よって、
議案第47号中
関係分は、可決すべきものと決定いたしました。
ここで、
理事者交代のため、
委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時30分
再 開 午後1時31分
――――――――――――――
○
松井隆文 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、
議案第39号
札幌市立
学校教育職員の勤務条件に関する条例の一部を改正する
条例案を
議題といたします。
質疑を行います。
◆たけのうち有美
委員 私からは、
札幌市立
学校教育職員の勤務条件に関する条例の一部改正について、3点伺います。
さきの
代表質問でも、我が会派において、昨年12月に公立の義務
教育諸
学校等の
教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の一部改正が行われたことに関し、
質問を行いました。
その法律改正では、大きく分けて2点の改正がありました。1点目は、1年単位の変形労働時間制の適用が可能となったことです。これは、業務繁忙時期の所定の勤務時間を延長するかわりに、夏休み等の長期休業期間中に休日のまとめどりを行うものです。2点目は、勤務時間の上限に関するガイドラインを業務量の適切な管理等に関する指針に格上げし、文科大臣が策定及び公表するものです。
札幌市
教育委員会では、この2点目の改正に基づいて示された指針を受け、今回審議を行っている
札幌市立
学校教育職員の勤務条件に関する条例の一部を改正する
条例案を上程しており、今後は、
文部科学省から示された指針の内容を踏まえ、規則等で具体的上限時間を定める方針と受けとめています。
代表質問の際にも指摘をしましたが、現在、社会問題にもなっている
教員の長時間労働を縮減する方向性については、
学校をよりよいものにしていくためにも必要な
取り組みであると考えますが、
教育委員会において、単に1年単位の変形労働時間制を
導入し、上限時間を定めるだけでは、何ら現場の長時間労働の解決にはつながらないと考えます。
そこで、
質問ですが、このたびの条例改正の趣旨は具体的にどういったものなのかを伺います。
◎早川
教育推進・労務担当部長 このたびの条例改正の趣旨は、国のいわゆる給特法の改正に基づき、
教員の業務量を適切に把握するなどして長時間労働
対策につなげるため、時間外勤務の上限時間の設定等の根拠を条例において定めるものでございます。
なお、国は、指針において、時間外勤務の上限の目安を月45時間、年間360時間以内と明示しており、条例が成立した場合には、これらを踏まえた上限時間の設定を検討しているところでございます。
◆たけのうち有美
委員 条例改正の趣旨は
理解しました。まずは、
教員の勤務の実態をより正確に把握し、長時間労働の実態をどのように解消に導くかを
検証することが今後の取り組むべき
課題であると改めて認識しました。
また、2019年11月の衆議院本会議、趣旨説明においても、1年単位の変形労働時間制を
導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではないとし、1年単位の変形労働時間制の
導入によって、学期中の勤務が現在よりもさらに長時間化しては本末転倒であるとしています。こうした政府の見解からも、長時間労働の解決には、業務の削減が大前提であることが
理解できます。1年単位の変形労働時間制の
導入については、指針における在校等時間の上限時間を、
状況をしっかりと踏まえながら慎重な検討を行っていただきたいと考えます。
さて、これまで、
教員の超過勤務については、給特法で定めるいわゆる超勤4項目と呼ばれる業務のみが超過勤務命令を受けて行うことができるものであり、その他の業務は自主的残業として扱われてきました。
教員の業務は、毎日の
授業準備のほか、成績処理、
学年や校務分掌の打ち合わせ、職員会議、
児童会や
生徒会の指導に加え、
生徒指導や
保護者対応などに追われ、休憩時間もとれない日々が続いています。また、部活動や研修、外勤といったような
学校外で行う業務も多く、超勤4項目だけではくくることのできない幅広い業務を行っているのが実態です。
今回、上限を具体的に示したことは評価できるものではありますが、数字だけでは絵に描いた餅となってしまいます。現在、
札幌市において試行実施中のエクセルファイルを
活用した在校時間把握においては、本人による自己申告方式で行っていますが、例えば、外勤終了後、退勤時刻となり、直接帰宅した場合などの時間の把握が不可能なケースもあります。このようなケースを一つとってみても、
教育委員会において集計している時間外勤務のデータは、
教員の勤務実態からかけ離れたものとなっていることが考えられます。今回の条例改正の趣旨を踏まえると、上限時間を超えているかどうかについて、さらなる客観性の高い把握方法の検討が急務であると考えます。
そこで、2点目の
質問ですが、
教育委員会として、現在の試行実施にかわる客観的な時間把握の手法としてどういったことを考えているのか、伺います。
◎早川
教育推進・労務担当部長 試行実施にかわる客観的な在校等時間把握の手法についてお答えいたします。
正確な在校等時間を把握するためには、
ICTの
活用やタイムカードなどの客観的な方法により計測することが求められているところでございます。そのため、
教育委員会では、
パソコンを
活用したタイムカードと同様の機能を持つ出退勤システムを構築し、
令和2年4月以降、
環境が整った
学校から順次
導入していくことを検討しているところでございます。また、在校等時間として勤務時間把握の
対象となる部活動の大会等の校外における業務時間についても入力できるよう調整しているところであり、より客観性のある正確な在校等時間の把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。
◆たけのうち有美
委員 現在検討中の
取り組み手法については
理解しました。まずは、そのような
取り組みをスタートし、今よりも客観性を高め、実態に即したものにしていこうと努力していることについては評価します。今後は、より客観的で、現場の
教員の負担とならない把握方法をぜひ検討していっていただきたいと思います。
2018年9月から試行実施中の在校時間把握の結果を見ますと、時期によってばらつきはあるものの、時間外在校等時間が月45時間を超える
教員の割合は、
小学校5割、
中学校6割ほどで毎月推移し、過労死ラインと言われる月80時間を超える
教員も1割以上いることがわかっています。
そこで、3点目の
質問ですが、このような
状況の中、
教員の勤務時間の上限時間を定めた場合、その
実現に向けて、
札幌市としてどのように取り組んでいくのかを伺います。
◎早川
教育推進・労務担当部長 設定されました場合の上限時間の
実現に向けた
取り組みについてお答えいたします。
教育委員会としては、これまで、
ICT環境の
整備などのほか、部活動休養日の設定や勤務時間外の留守番電話
対応など、負担軽減につながる
取り組みを実施してきたところでございます。また、現場からは
学校の人員
改善を求める声も強く、外部人材の
活用のほか、国に対し、機会を捉えて教職員定数の拡大を要望しているところでございます。
今年度は、民間コンサルタントによる
学校における業務
改善に向けた
取り組みを行っているところでございまして、その中間報告において、長時間業務に対する
教員の意識改革や、
教員と事務職員との連携強化などの
課題が指摘されているところでございます。今後、コンサルタントからの最終報告として、
改善に向けた提案を受けるところでございまして、その内容を踏まえ、
教育委員会として、
教員の勤務時間の縮減につながる
実効性のある
取り組みを
推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆たけのうち有美
委員 教育委員会としても、さまざまな工夫を行っていることは
理解します。民間コンサルの
活用による業務
改善の効果も期待したいところですが、2019年3月18日付で文科省から出されている通知、
学校における働き方改革に関する取組の徹底についてに添えられている資料、新しい時代の
教育に向けた持続可能な
学校指導・運営体制の構築のための
学校における働き方改革に関する総合的な方策についてにあるように、基本的には、
学校以外が担うべき業務等も
活用し、時間外在校等時間の縮減に向けて取り組んでいただきたいと思います。
また、
各校の
教育課程においても、工夫できるところは工夫していくということも今後は視野に入れていく必要があると考えます。
子どもたちの豊かな
学びと健やかな成長のためには、
教員が
子どもたちにしっかりと向き合える時間をつくることが何よりも大切です。
教育委員会においては、引き続き
取り組みをしっかりと進めていっていただくことを強く要望し、私の
質問を終わります。
◆
村上ひとし 委員 昨年12月に公立の義務
教育諸
学校等の
教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の一部改正が行われたということであります。
この改正内容は、大きく二つあると言われておりまして、一つは、勤務時間の上限に関するガイドラインを業務量の適切な管理等に関する指針に格上げをし、文科大臣が策定及び公表をするというものであります。
二つ目は、1年単位の変形労働時間制の適用が可能となったことであります。これは、人間の心身は繁忙期の疲労を閑散期で回復できるようにはなってはいないのに、業務の繁忙時期の所定の勤務時間を延長するかわりに、夏休みなどの長期休業期間中に休日のまとめどりを行わせるというものであります。
代表質問でも指摘をしましたが、変形労働時間制の
導入には、恒常的な残業がないことがその条件となっておりますが、本市の勤務実態調査や在校時間把握の集計結果でも、恒常的な残業があることは明らかであります。つまり、現状では、変形労働時間制
導入の条件を満たしていないということであります。
また、給特法の国会審議における参議院、衆議院の附帯決議でも、指針における在校等時間の上限の遵守を1年単位の変形労働時間制
導入の前提とするように示されております。ですから、国の目指す変形労働時間制を
導入しようとするならば、上限時間を条例で定め、遵守することが求められているわけであります。
そこで、このたびの条例改正は、変形労働時間制の
導入を前提としたものなのかどうか、お伺いをいたします。
◎早川
教育推進・労務担当部長 私から、条例改正に係る変形労働時間制の
導入についてお答えいたします。
このたびの条例改正は、国のいわゆる給特法の改正に基づき、
教員の業務量を適切に把握するなどし、長時間労働
対策につなげるため、時間外勤務の上限時間の設定等の根拠を条例で定めるものでございます。
一方、1年単位の変形労働時間制につきましては、
教員の長時間労働の
改善につながる
取り組みなのか、今後、国から示される具体的な
運用等を踏まえながら、
導入の可否について慎重に検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
◆
村上ひとし 委員 変形労働時間制の
導入を必ずしも前提にはしていないというようなお話でありますけれども、しかし、今回の国による給特法の改正は、法律のフレーム自体から言えば、1年単位の変形労働時間制の
導入が狙いであることは明白であります。
1月の
日本教育新聞によりますと、
全国の市区町村の
教育長の約4割以上が
導入に反対をし、賛成は約1割にとどまっていると報じられておりました。本市
教育委員会は、
導入の可否について、今後、国から示される具体的な
運用などを踏まえ、慎重に検討を行う旨の話でありました。しかし、いち早く、
導入を、私は断念すべきだというふうに思うわけであります。
その上で、長時間労働の解消についてでありますが、2016年の本市の
教員の勤務実態調査では、長時間の時間外労働が恒常化しているのが実態でありました。そもそも、
教員の業務は、簡単に繁忙期や閑散期など見込めるものではないと思います。
児童生徒間のトラブル、あるいは家庭の問題への
対応など、予測できない突発的な業務が生じることが多くて、
児童生徒の家庭との連絡なども業務時間外に行わざるを得ない
状況があると聞いております。
全国的にも
教員の長時間労働は依然として深刻でありまして、過労による休職や痛ましい過労死が後を絶ちません。最近では、
教員を志望する学生が相当な数で減少しているというふうに言われております。ですから、
教員の長時間労働の是正というのは、今や国民的な
課題であると思うわけであります。
教育委員会としては、現場の
教員などのさまざまな声と実態に即した
対策が必要であります。
そこで、
教育委員会として、
教員などの現場の声を取り入れながら、どのように長時間労働の
対策に取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
◎早川
教育推進・労務担当部長 現場の声を取り入れた長時間労働
対策についてお答えいたします。
教育委員会では、長時間労働
対策につながるさまざまな
取り組みを進めてきておりまして、
学校からのニーズが高かった夏季休校日ですとか、勤務時間外の電話
対応を留守番電話にする
取り組みは負担の軽減につながったとの報告もございまして、一定の効果が出ているものと認識しているところでございます。
現在、民間コンサルタントに委託し、
学校の実態を調査・分析しているところでございまして、今後、その結果を踏まえるとともに、校長会などの意見や現場からの声にも耳を傾けながら、
教員の負担軽減につながる
実効性のある
取り組みを
推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆
村上ひとし 委員 調査・分析を重ねて、現場の先生たちの長時間労働に、どこに原因があって、どう解決できるのかというのは、大変急がれる
課題であると思います。
教員の長時間労働の是正につきましては、
授業時数に比べて余りにも少ない
教員の定数をふやしていくことなど抜本的な
対策が必要だということを申し上げて、私の
質問を終わります。
○
松井隆文 委員長 ほかに
質疑はございませんか。
(「
なし」と呼ぶ者あり)
○
松井隆文 委員長 なければ、
質疑を終了いたします。
次に、
討論を行います。
◆
村上ひとし 委員 私は、
議案第39号
札幌市立
学校教育職員の勤務条件に関する条例の一部を改正する
条例案に反対の立場で、
討論を行います。
そもそも、この
条例案の改正は、1年単位の変形労働時間制の
導入をしていく上で、各
自治体に在校時間等の上限時間を定めさせるものであります。
国は、制度の
導入理由として、学期中を繁忙期とし、かわりに夏休みなどをふやすと言います。しかし、学期中を繁忙期にすること自体が、
教員の働き方をさらにひどくするものであります。例えば、現在の退勤時刻終了をめどに設定されている会議などが、午後6時あるいは7時まで可能となり、その後に
教員は次の日の
授業準備などを行うことになるわけです。当然、繁忙期に年休などを使うことが困難になることも
懸念されます。まさに、長時間労働を固定化し、助長するものです。また、育児や介護との両立もできなくなる
可能性があります。これらの問題があるにもかかわらず、条例で定めることは
教員の意思そのものが無視されるおそれもあります。
学校は、
子どもの
状況などで、臨時的、緊急的な
対応を絶えず求められる職場であり、それが
教育現場です。1年単位の変形労働時間制の
導入は、
教員の長時間労働の問題を解決するどころか、長時間労働を固定化、助長することにつながる
懸念があることから、その前提となる
議案第39号には反対であります。
○
松井隆文 委員長 ほかに
討論はございませんか。
(「
なし」と呼ぶ者あり)
○
松井隆文 委員長 なければ、
討論を終了いたします。
それでは、
採決を行います。
議案第39号を可決すべきものと決定することに賛成の
委員の挙手を求めます。
(賛成者挙手)
○
松井隆文 委員長 賛成多数であります。
よって、
議案第39号は、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、
委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後1時52分...