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令和 2年(常任)文教委員会−02月20日-記録

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  1. 札幌市議会 2020-02-20
    令和 2年(常任)文教委員会−02月20日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 2年(常任)文教委員会−02月20日-記録令和 2年(常任)文教委員会            札幌市議会文教委員会記録            令和2年2月20日(木曜日)       ────────────────────────       開 会 午前10時     ―――――――――――――― ○松井隆文 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、長屋委員からは欠席する旨、また、小野委員からは遅参する旨、それぞれ連絡がございました。  それでは、議事に入ります。  市立幼稚園の今後の在り方に関する方針(案)についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  私から、市立幼稚園の今後の在り方に関する方針(案)につきましてご説明させていただきます。  それでは、まず、方針案の内容の説明に入る前に、方針案を策定した理由について説明させていただきます。  教育委員会では、2005年に札幌市幼児教育振興基本計画を策定し、当時17園ありました市立幼稚園を各区1園の10園にし、幼児教育センター補完的機能を担う研究実践園と位置づけるなどの取り組みを進めてまいりました。その後、10年以上が経過し、2015年の子ども子育て支援新制度の施行や、昨年10月からの幼児教育無償化など、幼児教育をめぐる状況が著しく変化してきております。また、札幌市では、保育ニーズの高まりや少子化などから市立幼稚園定員充足率が低下し、実践研究を進める上で適正な園児数の維持が難しい園なども出てきております。  しかしながら、幼児教育重要性が高まっている現代におきましては、札幌市においても、これまで以上に幼児教育を推進していく必要性が高まっていると考えております。  そこで、札幌市の幼児教育を一層充実することを目的とし、今後10年間の市立幼稚園、そして、札幌市の幼児教育のあり方を示す市立幼稚園の今後の在り方に関する方針を策定することとし、本日説明させていただくものでございます。  それでは、今、皆様にお配りしている資料ですけれども、市立幼稚園の今後の在り方に関する方針(案)の概要版方針案の本書となっております。これからの説明は、方針案概要版に基づいて説明させていただきます。  それでは、概要版の、まず、第1章 方針の策定の趣旨をごらんください。  1 幼児教育重要性についてですが、幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございますが、札幌市の幼児教育施設運営主体は、私立が9割以上を占めており、幼児教育を振興していくためには、これらの施設との連携が欠かせないと考えております。  そこで、札幌市の幼児教育施設で質の高い幼児教育を提供できるような体制を整え、子どもたちが健やかに育つことができる環境づくりを進めるために本方針を策定することといたしました。  続きまして、2 方針の性格ですが、2の(2)方針の対象は、3歳から5歳までに幼児教育施設や家庭で行われる教育とし、(3)方針の期間は、令和2年度からのおおむね10年間といたしましたが、社会情勢の変化等に応じ、適宜、見直しを行いたいと考えております。
     続いて、第2章 幼児教育を取り巻く状況をごらんください。  ここでは、国や札幌市の動向等を示しております。  1 国における幼児教育に関する動向ですが、2015年以降、子ども子育て支援新制度や幼稚園教育要領等の改訂、昨年10月の幼児教育無償化など、幼児教育をめぐる状況が目まぐるしく変わってきております。  一昨年、同時改訂されました幼児教育施設の要領や指針では、幼稚園保育所認定こども園で行われる幼児教育が共通化されました。これにより、全ての幼児教育施設幼児教育が行われることが定められ、幼児教育に責任を持つ教育委員会がその対応を主導的に進めていく必要があると考えております。  続いて、右側、第3章 市立幼稚園の役割とこれまでの取組をごらんください。  市立幼稚園は、札幌市全体の幼児教育の質の向上を図るために、私立幼稚園では実施が困難な五つの機能を持つ研究実践園として位置づけられています。具体的には、研究や研修、教育相談・支援、保護者等啓発支援、幼保小連携の取り組みを進めており、これらの取り組みに対して、幼児教育施設の職員や市民からのニーズも高い状況となっております。  次に、資料をめくっていただきまして、第4章 札幌市の今後の幼児教育及び市立幼稚園のビジョンと施策をごらんください。  ここでは、札幌市が目指す幼児教育や将来像について述べております。  2の札幌市の幼児教育の現状と課題に記載している五つの課題を踏まえ、3の幼児教育の将来像の実現に向けた施策の体系と展開で、令和2年度から10年間で取り組む五つの基本施策を設定しております。  それでは、基本施策につきまして、上から順に説明させていただきます。  まず、基本施策1 時代に即した幼児教育の展開です。  市立幼稚園幼児教育の質の向上を目的とした実践研究を進め、その成果を幼児教育施設が効果的に活用できるように発信し、より一層の普及を図っていくものでございます。  次に、基本施策2 札幌市の幼児教育の質の向上です。  札幌市全体の幼児教育を振興するためには、3歳から5歳児のほとんどが通っている私立幼稚園保育所等市立幼稚園以外の幼児教育施設との連携が不可欠です。  そこで、私立幼稚園の教員が抱える悩みへの助言など、幼児教育施設からのニーズに応じた園内研修に協力したり、希望する保育所等への訪問支援の実施など、幼児教育施設で働く職員を支える取り組みを強化してまいります。具体的には、市立幼稚園の教員で教育相談訪問支援を担当する幼児教育支援員を増員して取り組みを進める見通しとなっております。  次に、基本施策3 特別支援教育の充実です。  特別な教育的支援を必要とする幼児が増加傾向となっているため、教育相談体制強化相談場所の拡充とともに、医療的ケア児受け入れに向けた検討を行うなど、幼児期特別支援教育の一層の充実を図ります。  次に、基本施策4 幼保小連携の推進です。  幼保小連携の取り組みは、遊びを中心とした幼児教育から教科等の学習を通じた小学校教育へ円滑に移行するために、今後さらに充実させていく必要があると考え、幼児教育施設が幼保小連携の取り組みを一層推進していけるような体制を構築いたします。具体的には、幼保小連携モデル園を設定し、幼保小連携に取り組む各園が参考となる事例を発信いたします。また、幼児教育施設小学校連携協力によるスタートカリキュラムの編成などについての手引を作成し、市内の幼児教育施設小学校に発信したいと考えております。  最後に、基本施策5 家庭教育支援の充実です。  育児の悩みを抱える保護者の増加等を踏まえ、保護者が安心して子育てをできるよう、相談や支援等を実施する体制を強化してまいります。  また、4にありますように、これらの施策に関する成果指標を設け、取り組みの評価を行い、今後の施策の充実に生かしてまいります。  続きまして、第5章 市立幼稚園の課題及び今後の役割と体制をごらんください。  1 市立幼稚園の課題のうち、(1)施設運営上の課題ですが、市立幼稚園定員充足率低下傾向にあり、研究に適した幼児の集団規模の維持が難しくなってきております。  また、(2)職員体制に関する課題ですが、市立幼稚園の教員は、2003年以降採用されておらず、後進の育成が急務となっております。  次に、2 市立幼稚園の再編についてです。  市立幼稚園定員充足率の低下、そして、札幌市の幼児教育施設への支援体制を強化するための資源を生み出し、機能的に札幌市の幼児教育を進めていくため、現在9園の市立幼稚園を5園へ再編いたします。再編対象は、定員充足率地域バランス、周辺の幼稚園等受け入れ状況等を考慮し、2025年度当初にひがしなえぼ幼稚園、あつべつきた幼稚園、もいわ幼稚園手稲中央幼稚園の4園を閉園したいと考えております。  次に、3 市立幼稚園職員体制の充実についてです。  幼稚園教諭は、2003年以降、採用されておりませんでしたが、小学校幼稚園の免許を持つ人材を小学校教諭枠で採用を再開し、幼稚園に配置したいと考えております。  以上が、本方針案の概要の説明となり、本書につきましては、今までご説明させていただいた内容と重複するため、説明は省略させていただきます。  最後に、本方針の策定に向けた予定といたしまして、3月5日から4月6日までの期間にパブリックコメントを実施し、市民から意見をいただいた後、本年4月以降に策定、公表する予定となっております。 ○松井隆文 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小須田ともひろ 委員  私のほうから、市立幼稚園の今後のあり方について、数点質問させていただきます。  まずは、在り方検討会議での議論の方針への反映についてです。  札幌市では、3歳から5歳までの幼児のうち、約98%が札幌市立幼稚園以外の私立幼稚園を初めとした保育所認定こども園幼児教育を受けていて、市立幼稚園に通っている方はわずか1.5%ほどであるということです。したがって、札幌市の幼児教育の質を高めていくために、市立の幼稚園はもちろんですが、札幌市の幼児教育の大半を担う私立の幼稚園保育所認定こども園などの多様なニーズを踏まえながら、札幌市の情勢に合わせた施策を展開していくことが必要だと考えられます。  そこでまず、1点目の質問ですが、今回のこの方針の素案を作成するに当たり、私立幼稚園保育所認定こども園関係者などで構成される検討会議を昨年5月から8月までに4回開催してきたとのことですが、そこで議論してきた内容をどのようにこの方針案に反映させてきたのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  在り方検討会議での議論の方針への反映についてお答えいたします。  検討会議では、委員それぞれのお立場から、これまでの市立幼稚園取り組みの成果を評価いただくとともに、市立幼稚園としての役割や機能の向上に向けた貴重なご意見をいただきました。具体的には、幼児教育施設に勤務する教職員の資質、能力の向上に向けた研修のあり方や、市立幼稚園幼児教育施設の連携につきまして、さまざまな視点から意見交換がなされたところでございます。また、加えまして、特別な教育的支援を必要とする子どもへの支援など、私立の施設において課題となっていることにつきましても、熱心な議論がなされました。  このような議論を踏まえまして、先ほどご説明いたしました札幌市の幼児教育の質の向上に向けた基本施策の具体的な取り組みとして、幼児教育施設を支援するための園内研修訪問支援などにつきまして、方針案に盛り込んだところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  ありがとうございます。  続いて、2点目です。  これまで、市立幼稚園は、私立の幼稚園と比べまして保育料において優位性がありましたが、昨年10月の幼児教育無償化により、その優位性は弱まってまいりました。また、保護者による送迎が必要な点や給食が提供されていない点などが保護者の負担感となり、園児数の減少につながっていると思われます。一方で、私立幼稚園は、特長のある教育課程を編成し、さまざまな保護者ニーズに応えているだけでなく、特別な支援を必要とする幼児の受け入れについても増加傾向にあり、市立幼稚園からの支援が必要だと思います。  市立幼稚園には、幼児教育支援員という、幼児期における特別支援教育について経験豊富な職員が在籍しております。今後も、支援員保育担当幼稚園教諭などによる特別支援教育実践研究を深め、その成果を保護者との相談や私立幼稚園への支援に生かしていくべきだと考えます。  そこで、質問ですが、幼児期における特別支援教育の充実についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  幼児期における特別支援教育の充実についてでございますが、札幌市におきましても、特別な教育的支援を必要とする子どもは年々増加しており、全ての幼児教育施設におきまして、早期から子ども一人一人の状況に応じた適切な支援を行っていく必要があると考えております。また、特別支援教育の推進に当たりましては、子ども同士が多様性を尊重し、互いの個性を認め合い、ともに生きていく、いわゆるインクルーシブ教育を進めていくことも重要と認識しております。  市立幼稚園におきましては、個別の教育支援計画等を作成し、子どものよさを生かした指導を計画的に行うとともに、子ども同士が、障がいの有無にかかわらず、ともに遊び、学び、育ち合うための実践研究を積み重ねております。この研究成果幼児教育施設において活用できるよう、こうした経験を積んだ幼児教育支援員を今後増員いたしまして訪問支援の体制を拡充するなど、公私一体となった幼児期における特別支援教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆小須田ともひろ 委員  3点目です。  これまで9園あった市立幼稚園を5園に再編していくということについてですが、私が住んでいます南区のもいわ幼稚園も再編の対象となっております。対象の園の周辺地域保護者幼稚園にかかわっている方々の不安は大きいものだと思っております。  そこで、最後の質問ですが、市立幼稚園が閉園することに伴い、近隣の幼稚園を希望する保護者ニーズに対応できるのか、また、その方針案について、保護者や地域を初めとした市民にどのように説明し、意見を聞いていくのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  保護者就園ニーズへの対応及び保護者や地域への説明についてお答えいたします。  今回の市立幼稚園の再編に当たりましては、先ほど説明申し上げましたが、定員充足率地域バランスに加えまして、近隣の幼稚園認定こども園受け入れ状況なども勘案いたしまして総合的に検討してきたところでございます。幼稚園認定こども園を希望する幼児の就園機会につきましては、閉園を検討している園の近隣施設の状況を精査したところ、十分対応が可能な状況となっております。  また、方針案につきましては、広く市民から意見を募るパブリックコメントを実施するほか、再編の対象となっている園の保護者や地域の方々につきましては、3月中旬以降に、直接、丁寧に説明する機会を設けてまいりたいと考えております。 ◆小須田ともひろ 委員  令和6年度末に閉園するということですので、時間的な猶予も一定程度あると思います。皆さんの意見を幅広く聞いて、丁寧に対応しながら、望ましい方向に方針を策定していただければと思います。  そして、施設の再編に当たっては、ちょっと先の話ではありますが、跡活用の問題も出てくると思います。地域の方々からのそういった意見も丁寧に聞きながら、ふさわしい形で活用されるように要望いたしまして、私からの質問を終わります。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、採用と再編の大きく2点について伺います。  まず、採用に関する1点目、市立幼稚園正規職員採用再開について伺います。  私は、1989年4月1日、新採用の養護教諭として市立幼稚園に赴任しました。実際に勤めてみて驚いたのは、幼稚園教諭子どもたちの見取りの質の高さと丁寧な打ち合わせと研修の充実です。部長の説明にもありましたが、幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期です。子どもたちが生き生きと自由に遊びながら、自主性を育む市立幼稚園の原点はここにあるのだと理解しました。  市立幼稚園は、2005年に策定された札幌市幼児教育振興基本計画で、札幌市の幼児教育を振興する研究実践園として位置づけられました。幼稚園教諭の皆さんは、札幌市の幼児教育をよりよいものにするという使命感を持って、これまでの間、研究と実践に励んできました。研究実践園としての実績は、市立幼稚園において幼児教育施設教職員資質向上を目的として実施される地域公開保育や研修に年間約1,000名が参加していること、私立幼稚園認定こども園が抱える課題に対して年間約800件ほどの訪問支援の依頼があること、さらに、市民からの教育相談は3歳児から5歳児の1割程度に当たる年間約4,700件にも上っています。この市立幼稚園研究実践園としての取り組みが、昨年行われた市立幼稚園在り方検討会議において、教育関係者やPTA、市民公募の委員などから高い評価を得ていることがわかりました。  しかしながら、我が会派が取り上げてきたように、2003年以降、幼稚園教諭採用選考検査が行われてこなかったことから、これまで札幌市の幼児教育を支えてきた研究実践園の機能やノウハウが失われてしまうのではないかという点が危惧されてきました。したがって、現在勤務している幼稚園教諭がこれまでの経験で蓄えた幼児教育の知見を新たに採用される幼稚園教諭に引き継いでいくためには、早期に採用を再開しなければならないと考えられます。  今回示された方針案では、幼稚園教諭採用選考検査を再開するとのことであり、このことについては一定程度評価したいと思います。条件としては、幼稚園教諭小学校教諭との免許を併有していることと聞いています。  そこで、質問ですが、採用再開に当たり、幼稚園教諭免許小学校教諭免許の併有とした狙いは何か、また、採用をいつから実施するのか、伺います。 ◎紺野 教職員担当部長  私から、免許併有の狙いと採用実施時期についてお答えいたします。  札幌市の教育が目指す自立した札幌人の育成に当たっては、幼稚園在園時のみならず、小学校入学後も見通した学びの連続性を保障する幼保小連携の推進が極めて重要だと考えております。  本市では、これまでも、小学校幼児教育施設の校長、園長及び関係者が一堂に会する幼保小連携推進協議会を設けて、幼児、児童に関する情報の共有や職員交流、研修を行う等の取り組みを進めてきたところでございます。今後、幼稚園教諭には、幼児教育施設小学校教育課程について、より理解を深め、学びの連続性を踏まえた指導内容指導方法の一層の工夫が求められることから、採用に当たっては、小学校との人事交流も視野に入れ、両方の免許を所有する者を採用することといたしました。  採用時期につきましては、幼保小連携を初めとした幼児教育に関する施策を進めていく上でも早期に再開することが望ましいと考えており、令和3年度からの採用を目指してまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  資質、能力の高い幼稚園教諭を早急に採用できるよう速やかな検討をお願いしたいと思います。  続いて、採用に関する2点目、正規職員の見通しを持った採用について伺います。  市立幼稚園正規職員である幼稚園教諭年齢構成についてですが、先ほども述べたように、幼稚園教諭採用選考検査を17年間凍結していたため、平均年齢は約49歳で、40歳以下の教員が非常に少ない状況にあります。また、市立幼稚園には、特別な教育的支援を必要とする幼児への接し方を私立幼稚園へ助言したりする幼児教育支援員が在籍しています。幼児教育支援員の指導のノウハウは、幼稚園教諭として豊富な経験に裏づけられており、これらに必要な指導方法を身につけるには相当な期間の実務経験を積むことが必要であると思います。  これまで採用を凍結してきた17年間にわたる空白期間を埋め、札幌市の幼児教育振興体制を持続可能なものにしていくためには、きちんとした計画を立てた上で幼稚園教諭を採用していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、今後どのような採用計画を持って採用を進めていこうとしているのかを伺います。 ◎紺野 教職員担当部長  正規職員採用計画についてお答えいたします。  幼稚園教諭の採用に当たっては、市立幼稚園の再編に伴う職員定数の減や今後の幼稚園教諭退職者数の動向、小学校との人事交流など、さまざまな要素を勘案する必要がございます。中でも、平成15年以降、正規幼稚園教諭の採用を行っていないことによる高齢化を踏まえると、今後、幼児教育ノウハウを継承し、幼児教育を担う人材を育成していく上で、教職員年齢バランスは重要であると考えております。  現在、教育委員会におきましては、幼稚園教諭採用に向けた計画を作成しているところでございますが、こうしたさまざまな要素を考慮しながら、計画的な採用に取り組むとともに、札幌市の幼児教育を牽引する人材の育成など、職員体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  幼稚園教諭年齢構成が適切なものとなるとともに、幼児教育支援員や管理職の育成がしっかりと行われるよう、計画的な採用を進めていただきたいと思います。  次に、市立幼稚園を再編する目的について伺います。  今回の方針では、現在9園ある市立幼稚園を5園に再編することが示されていますが、再編する幼稚園の検討に当たっては、定員充足率や地域のバランス、周辺の幼児教育施設受け入れ状況等も加味したとのことです。この中の定員充足率についてですが、札幌市においても、少子化の進行や保育ニーズの高まりなどが見られており、幼稚園を二つの区で1園に再編しても、残った幼稚園の園児が単純にふえることにはならないと思われます。  今後、幼保無償化や多様化する保育ニーズにより、仮に定員充足率に重きを置いて市立幼稚園必要性を判断した場合、将来的に市立幼稚園が徐々に少なくなってしまうことが危惧されます。市立幼稚園が減っていくと、これまで市立幼稚園が担ってきた私立幼稚園に対する実践に基づいた教育的な支援を行う機能が失われてしまう可能性があり、行く行くは札幌市の幼児教育の衰退につながることも懸念されます。市立幼稚園再編の目的を明確にすべきと考えます。  そこで、質問ですが、方針で検討されている再編について、どのような目的を持って行われるのか、認識を伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  市立幼稚園を再編する目的についてお答えいたします。  初めにご説明いたしましたように、市立幼稚園は、札幌市全体の幼児教育の質の向上を狙いとした研究実践園として位置づけており、研究、研修や教育相談・支援などの機能に関しましては、幼児教育施設や市民からのニーズも高い状況となっております。加えまして、幼稚園教育要領保育所保育指針等の改訂により、全ての幼児教育施設における幼児教育が共通化され、さらなる教育、保育の質の向上が求められていることや、特別な教育的支援を必要とする幼児が増加している状況などから、研究実践園としての機能を強化する必要があると判断いたしました。  教育委員会といたしましては、今回の再編を契機として、限られた人材を5園に集約することで、幼児教育実践研究を充実させ、全市の幼児教育施設への働きかけの強化や教育相談体制の拡充を図ることとしたものでございます。今後も、公立の幼稚園としての役割、機能を強化するとともに、市立幼稚園の魅力も一層向上させながら、札幌市の幼児教育を牽引し、さらなる充実を図ってまいる所存でございます。 ◆たけのうち有美 委員  今回の再編を契機とし、限られた人員を効果的に活用することで、市民への理解や私立の幼児教育施設への支援体制を一層強化するとのことです。それらの取り組みを通じて、札幌市全体の幼児教育の質の向上を引き続き進めていただくことを要望し、私からの質問を終わります。 ◆森山由美子 委員  私からは、2点質問をさせていただきます。  我が党の理念とも共通する考えとして、国連サミットで採択された持続可能な開発目標、SDGsでは、誰一人取り残さない持続可能な社会を掲げており、教育においては、学校教育の始まりである幼児教育段階から、未来を担う全ての一人一人の子どもに対して一貫性のある学校教育を進めていく必要があると考えます。その推進に当たっては、幼児教育段階から小学校教育段階への円滑な接続を含め、子どもの成長を見通した継続的な支援が重要であると考えます。  これまでも、市立幼稚園が中核となって幼稚園保育所認定こども園小学校の連携を進め、円滑な接続に資する取り組みを進めてきたとのことであり、特に特別な教育的支援を必要とする子ども小学校への就学に向けた引き継ぎは、非常に重要な取り組みであります。現在も、毎年1月に、各区の市立幼稚園が中核となり、区内の幼児教育施設小学校教職員とで行っている引き継ぎ会は、大きな成果を上げていると評価をしております。  本方針においても、幼児教育センター市立幼稚園が取り組むさまざまな施策の中に幼保小連携の推進が計画されております。  そこで、質問ですが、これまでの幼保小連携の取り組みにおける成果と課題は何か、また、課題の改善に向け、どのような取り組みを推進するのか、伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  幼保小連携の成果と課題及び今後の取り組みについてお答えいたします。  札幌市におきましては、平成25年度から幼保小連携推進協議会を立ち上げ、幼稚園保育所等小学校が校種間の垣根を越えて連携を図るさまざまな取り組みを推進してまいりました。これまでの取り組みの成果といたしましては、教職員同士の交流や子どもの情報共有が進み、特別な教育的支援を必要とする子どもを含めまして、一人一人の状況に応じた丁寧な指導が行われるようになってきたところでございます。  一方、幼児教育小学校教育のカリキュラムの接続に関しましては、双方の教職員の理解がまだ十分とは言えず、具体的な取り組みにつきましても、より一層充実させていく必要があると認識しております。  そのため、市立幼稚園と近隣の小学校をモデルに、校種間を円滑に接続するカリキュラムの開発や、子ども一人一人のきめ細かな引き継ぎのあり方などについて実践研究を行う予定でございます。また、これらの研究成果を全市の幼児教育施設小学校に発信し、さまざまな研修で活用するなど、幼児期から小学校への学びの連続性を高める教育をより一層充実してまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  全ての施設で活用しやすいモデル研究となるように、ぜひ、私立の視点も踏まえてこれまでの取り組みを検証し、幼保小連携の充実につながる成果をまとめていただきたいことを要望し、次の質問に移ります。  我が党では、一貫して子育て支援を党の政策としており、特に幼児教育無償化については、2006年に、教育負担を軽減するため、重点政策として掲げ、実現に向けた取り組みを進めてまいりました。2019年10月からは幼児教育無償化が全面実施され、幼児教育を受けたい人が受けられるよう環境が整えられたところであります。スタート1カ月後、会派として、全道、全国で実際の利用者、事業者へのアンケート実態調査を行った結果、利用者においては、幼保無償化に対して9割が評価するとの回答であった一方、保育の質の向上、受け皿整備が今後の課題であることが明らかになりました。  札幌市においても、秋元市長が保育所認定こども園などで量の拡大を掲げる一方、質的な側面からは、幼児教育センター市立幼稚園私立幼稚園等と連携し、札幌市全体の幼児教育の質の向上に取り組んでおります。先ほどの説明では、市立幼稚園には札幌市の幼児教育の質を向上するための研究、研修、保護者等啓発支援教育相談・支援、幼保小連携の推進の五つの機能があり、再編を契機として強化していくということでありました。  しかしながら、教育相談や研修等については、事業が区単位で展開されており、市立幼稚園を9園から5園に再編した場合、市民の利便性の低下や幼児教育施設との連携に影響を及ぼし、質の低下が懸念をされます。  そこで、質問ですが、再編によって、市立幼稚園の持つ機能が低下しないよう、どのように対応していくのか、伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  再編後の市立幼稚園の機能についてお答えいたします。  このたびの再編は、幼児教育を取り巻く社会状況や保育ニーズの変化などを踏まえまして、札幌市の幼児教育の質の向上に向け、これまで市立幼稚園が担ってきた機能の充実を図るものでございます。閉園を検討している区におきましても、こうした機能を充実させるために、例えば、教育相談につきましては、区内の小学校等を相談拠点として活用するなど利便性の向上を図る取り組みを検討しております。また、研修につきましても、幼児教育施設教職員の多忙化やさまざまな研修ニーズに対応するため、市立幼稚園の教員を講師として派遣する取り組みの対象を、これまでの私立幼稚園に加えまして保育所認定こども園にも拡大したいと考えております。  今後も、幼児教育施設や市民の要望、ニーズについて的確に捉えながら、新たな体制におきましても、機能の充実が図られるよう取り組みを進めてまいります。 ◆森山由美子 委員  市立幼稚園が閉園となる区においても、市民の方が必要な教育相談を受けたり、幼児教育施設教職員の皆さんが研修を受けたりすることに支障が出ないよう、さまざまな工夫を行い、札幌市の幼児教育の質の向上に取り組んでいただきたいことを強く要望し、私の質問を終わります。
    ◆村上ひとし 委員  いろいろ質疑されておりますけれども、結局は、国の大きな流れの中で起こっていることなのかなというふうに私は思わざるを得ません。具体的に言うと、市有施設の削減だとか、公務員の削減というこの間の大きな流れの中で、小学校も中学校も統廃合を進めていく、そして、このたびの方針の中で幼稚園も再編、縮小していくということだろうと思うのです。  それで、子どもは減っていくんだということや、私立幼稚園等が一定の役割も果たしていただいているだとか、いろいろありましたけれども、特別な支援を必要とする幼児の数だとか、あるいは、子どもの発達だとか成長に不安を抱えているお父さんやお母さんもいらっしゃる、これも、私は、減少するというよりは、これからもっとふえる可能性が高いだろうと思っております。また、私立の幼稚園や、あるいは保育園、小学校で勤めている先生方も、いろんな悩みを持って子どもと接している。そういう中で、やはり、今、市立の幼稚園の役割をどう展開していくのかと、そう考えると、私は、縮小ということになりますと、やはり、市の担ってきた役割だとか責任は大きく後退するものだというふうに思います。  そこで、1点目にお伺いをいたしますけれども、今回閉園を検討している園に在籍している園児は、どういう地域から通園している傾向があるのか、お伺いをいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  閉園を検討している園の園児が住んでいる地域についてというご質問でございますけれども、市立幼稚園の再編に当たりましては、定員充足率や周辺の幼稚園等受け入れ状況、現在通園している幼児の状況等も確認しながら検討を進めてまいりました。  その結果によりますと、閉園を検討している4園の園児につきましては、9割を超える方が園と同じ区から通園している状況となっております。 ◆村上ひとし 委員  厚別のあつべつきた幼稚園も対象になっていますけれども、厚別というのは、市内でもコンパクトな区でありまして、今、私立の幼稚園もバスなんかを運用しているわけですけれども、私ね、積極的にバスの運行なども図って、より、厚別であれば広範囲のところから来やすいようなサービスを充実させるといった積極的な検討も必要だと思うんですけれども、バスの運行なんかは検討されたんですか。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  幼稚園の送迎バスについての検討状況でございますけれども、送迎バスにつきましても導入について検討いたしましたけれども、安全に乗りおりできるような駐車スペースの確保ですとか、または費用面等のさまざまな条件整備、これについて確認したところ、現状では、なかなか簡単には実現することが難しいというふうな判断をしたところでございます。 ◆村上ひとし 委員  先ほどの質疑で、住民へ今後の説明をしていく計画なんかもお話がありましたけれども、私は、当然ながら、もし閉園ということになるのであれば、地域はもちろんですけれども、この間、関係、連携を深めている周辺の幼児教育施設などへの影響は大きいと思いますけれども、その点のお考えはどのように認識しているのか、お伺いをいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  閉園する園の周辺の地域ですとか、また、私立等の教育施設に対する影響についてということでお答えいたします。  閉園を検討しております園の周辺の地域で幼稚園を希望する幼児につきましては、近隣の幼児教育施設に就園が可能かどうか精査したところ、今のところ、十分対応が可能な状況と判断しております。また、地域の保護者からの教育相談につきましても、小学校等を相談拠点として活用するなど、利便性の向上を図る取り組みを検討しております。  近隣の幼児教育施設に対しましては、新たな体制の5園が拠点となり、市立幼稚園の教員を派遣して研修の機会を拡充したり、幼保小連携の取り組みを推進したりするなど、地域における幼児教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  研究実践園の役割を発揮する上で、地域バランスをとっていくことや効率的な幼稚園運営に支障が出てくるんじゃないかと思いますけれども、そのような懸念はないんですか。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  閉園することによりまして研究実践園の役割に支障が出る懸念はないかというご質問でございますが、繰り返しになりますけれども、市立幼稚園につきましては、札幌市全体の幼児教育の質の向上を狙いとした研究実践園として位置づけ、その機能に関しましては、幼児教育施設や市民からのニーズも高い状況となっております。  一方で、子ども子育て支援新制度や幼児教育無償化等により定員充足率が低下する中、市立幼稚園の役割である研究実践に適した幼児の集団規模の維持が困難になっている園も生じているのが実態でございます。  こうしたことを踏まえまして、このたびの再編に当たりましては、隣接した2区を1園でカバーできるよう地域バランスを考慮するとともに、研究実践園としての機能について、全市的な観点から強化できるよう検討を進めてまいりました。具体的には、再編を契機に限られた人材を5園に集約することで、幼児教育実践研究を充実させ、研究実践園の機能である幼児教育施設への働きかけや、教育相談体制について全市的に拡充を図ることとしたものでございます。  今後も、公立の幼稚園としての役割、機能を強化することで、札幌市の幼児教育を牽引し、子どもたちが健やかに育つことができる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  きょう出ている市立幼稚園の今後の在り方に関する方針(案)の本書22ページの2 市立幼稚園の再編の(1)の下のほうにありますけれども、そこでは、2005年からどういう検討をされてきたのかということなんかが書いていますけれども、2005年策定の札幌市幼児教育振興計画で検討した際に、必要最小限の園数規模として、17園の体制から各区1園配置を基本としたというふうに書いていますよね。  そこで、この必要最小限というのは、つまり、これだけはどうしても必要である、あるいは、これ以上は減らせないという限度だと私は思いますし、辞書を引いてもそういう意味合いで書いていると思うんですよね。ですから、このとき、教育委員会の皆さんは限界だと判断した、つまり1区1園が限界だということですよ。そういう判断ではなかったのかどうか、お伺いをいたします。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  当時の17園から10園にしたときの判断のことについてのご質問かと思いますけれども、当時、この17園から10園に再編する際には、今ご指摘がありましたように、この各区1園の体制で幼児教育を振興していこうということで計画を立てました。  しかし、先ほどご説明しましたように、国の動きの中で、子ども子育て支援新制度や今回の幼児教育無償化等、幼児教育にかかわる施策が非常に目まぐるしく変わってまいりましたので、そうしたことを踏まえまして、今回、9園から5園に新たに再編し、今後10年間をこの体制で振興していきたいと考えております。  また、最初にお話ししたように、この10年間の中でも、また世情を勘案しながら検討を進めていきたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  つまり、今後も、必要最小限とかという言葉は使うけれども、もっと少なくなる可能性もあるということですよね、検討の中では。  必要最小限というふうに何度も使う可能性があるということですか、これからも。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  今回の再編に当たりましては、必要最小限ということではなくて、今ある9園の人材を集約いたしまして、この5園をもって、まずは札幌市全体の幼児教育を振興していきたいというふうに考えております。 ◆村上ひとし 委員  17園から各区1園になるときに、いろんな関係者が、必要最小限、1区に1園がやっぱり限度だろうということで認識して理解した人はたくさんいると思いますよ。ですから、私は、そういう意味では、当時の1区1園と判断した、それからさらに縮小していくということはあり得ないというふうに思います。  今後、必要な教員の計画的な採用についても質疑がありましたけれども、しかし、2003年から新規採用されてこなかったわけですよ。そのことが、教員の高齢化が課題だということになっていますけれども、こんなことは当たり前に想像できたことだと思うのです。  ですから、今後、必要な教員の計画的な採用をするということでありますけれども、結局は、2005年当時から二つの区を1園で担うことが想定されていたのだという疑念を抱かざるを得ないということを申し上げて、質問を終わります。 ○松井隆文 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○松井隆文 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午前10時48分...