委 員 小 形 香 織 委 員 太 田 秀 子
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 佐々木 明 美
委 員 長 屋 いずみ
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――――――――――――――
○
村上ゆうこ 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
勝木委員からは遅参する旨、また、
村山委員からは
松井委員と、
千葉委員からは
長屋委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第2号 平成30年度札幌市
病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。
◆くまがい誠一 委員 私からは、
市立札幌病院の経営に関して質問させていただきます。
市立札幌病院は、今年度、
中期経営計画がスタートいたしました。計画では、
市立札幌病院として求められる医療を今後も安定して提供し続けていくため、
財政基盤の強化が必要であるとされております。平成30年度決算では、
診療収益が初めて200億円台に到達し、前年度よりおよそ11億円増収となったとのことですが、
経常収益はまだ9,000万円
程度マイナスの状況ですから、
病院経営のためには、さらに患者数をふやし、増収を図ることが必要と考えます。計画では、
紹介患者数を2017年度の1万2,255人から、2024年度には1万5,000人程度にすることを
数値目標としております。数多くの病院が存在する札幌市において患者数をふやしていくためには、
市立札幌病院が
公立病院として求められる役割をきっちり果たしていくことはもちろん、
市立札幌病院の強みを積極的にアピールすることが重要と考えます。
そこで、今年度購入した
医療機器についてお伺いしたいのですが、
市立札幌病院は、本年9月に、3台保有するCTのうち、1台を高性能なCTに更新したと聞きました。道内に3台しかない最新機種とのことですが、更新したCTの性能やその効果についてお伺いいたします。
◎貴志
放射線部長 更新したCTの性能と効果についてお答えいたします。
このCTで撮影した画像につきましては、
造影検査時のコントラストが、従来のCTに比べて最大4倍となります。そのことにより、これまでよりはるかにはっきりとした画像を撮影することができますので、より正確な
画像診断を行うことができます。また、更新前のCTは、従来の一般的な
CT画像しか撮影することができませんでしたが、新しいCTは、造影剤の
取り込み状況がわかる画像や成分分析が可能な画像など、さまざまな画像を一度に撮影することができます。それらさまざまな画像から、例えば、肺動脈の閉塞による肺梗塞やその範囲、また、胆石や腎結石の診断が容易になり、精度の高い診断を行うことができます。さらに、造影剤を従来の50%程度まで減らすことができますので、高齢者や腎機能が低下している患者の
身体的負担を減らすこともできます。
すなわち、このCTは、
画像診断の精度と効率性の向上に資するのはもちろんのこと、
造影剤量を減らすことができるため、
造影剤費用を削減でき、さらに、腎機能が低下しているため、
造影検査ができなかった患者も検査することができるようになるなど、
CT検査の
対象患者数をふやす効果が見込まれます。また、撮影時間も更新前の装置の8分の1以下になり、これまでは撮影と撮影の間隔が数分間必要であったものが、連続して撮影することができるため、より多くの患者の検査を行うことが可能となります。
◆くまがい誠一 委員 新しいCTは、例えば、より正確な画像を撮影できたり、造影剤の量を減らしたり、また時間を8分の1にできるなど、患者と医師の双方に新しいたくさんのメリットがあることを確認させていただきました。また、多くの患者の検査を行うことが可能であることも、あわせてわかりました。それであれば、患者数をふやすため、積極的にアピールするべきと考えます。より多くの検査を実施することにより、医療の質の向上に貢献することはもちろん、増収にもつなげていただきたいと思います。
そこで、伺います。
このCTをどのように収入につなげていくか、CTを活用した
増収対策についてお伺いいたします。
◎貴志
放射線部長 CTを活用した
増収対策についてお答えします。
この
新型CTで検査をする患者数をふやすためには、
市立病院の強みを多くの地域の
医療機関に知っていただくことが大切だと考えております。つまり、今回更新した
新型CTを含め、
市立病院が保有するPET−CTなど
高額医療機器の機能はもちろん、
放射線診断医の数など、当院の
診療体制が充実していることの強みを職員が地域の病院を直接訪問して説明するなど、積極的にアピールすることで地域の
医療機関との
共同利用を進めたいと考えております。
また、費用面では、このCTは造影剤の量を減らすことができますので、例えば、
入院患者の
造影剤使用量を50%削減できた場合、年間でおよそ400万円の削減効果が期待できるところです。さらに、質の高い
放射線診断体制のもと、従前の機器よりも精度の高い検査が可能であることが
診療報酬上でも評価されており、
エックス線検出器が最新のものに更新されたことで、
保険検査点数が1
検査当たり250点増加します。例えば、年間7,000件の検査が行われた場合、1,750万円の増収になります。
いずれにしても、多くの患者の皆様にこのCTで検査していただくことが大切だと考えておりますので、
新型CTの機能や質の高い
診断体制について、院長を筆頭に、当院の職員が機会あるたびに積極的にアピールして増収につなげたいと考えております。
◆くまがい誠一 委員 ただいま答弁いただいたように、
新型CTを含む
高額医療機器の
地域病院との
共同利用については、
病院収益に大きく寄与するものであり、ぜひ積極的に進めていただきたいと存じます。
次に、
医業外収益の現状についてお伺いいたします。
診療行為により
医業収益を稼ぐことが
病院事業の収入の根幹でありますが、現状では、黒字化を達成するためにはそれだけでは不十分であると思います。経費を削減して支出を抑制することはもちろんのこと、医業以外の附帯的な収益を上げることも
経営健全化には必要なことと考えます。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院が行っている医業外の
収益事業の現状についてお聞かせください。
◎宇都宮
経営管理部長 医業以外の
収益事業の現状についてお答えいたします。
市立札幌病院では、利用者の
利便性向上のために駐車場を整備するとともに、さまざまな
患者アメニティー施設を整備し、
医業外収益の確保にも努めております。
まず、駐車場についてでありますけれども、年間約24万台の利用があり、年間の
駐車場利用料は約3,400万円となります。また、平成24年5月に院内にカフェが、平成25年4月には院内にコンビニエンスストアが開店しておりまして、両事業者からの
施設使用料は年間で約1,700万円となってございます。さらに、院内には
自動販売機を34台設置しておりまして、施設の使用料は年間約1,000万円となります。こうした
取り組みにより、年間約6,000万円の収益を得ているところでございます。
◆くまがい誠一 委員 駐車場の整備やカフェなどの利用により、
医業外収益の現状としては年間6,000万円の収益を得ていることがわかりました。
しかし、
病院経営は綱渡りの状況であり、先日、新聞紙面でも取り上げられたとおり、道内54カ所の公立・
公的病院では再編・統合の必要があると
厚生労働省より判断されるなど大きな議論となっており、注目を集めているところであります。今回の分析は、人口100万人以上の区域に位置する病院などは除かれておりますので札幌市は対象外ですが、将来に備え、
経営努力を怠らず、少しでも収益を上げることが必要であると考えます。
このような中、地方自治体では、厳しい
財政状況が続く現状下において、支出削減だけではなく、現在保有している資産を最大限に活用し、新たな手法に基づき、収入をふやすことを目的として、全国の多くの自治体で
広告事業についての
取り組みがなされております。
市立札幌病院は、平成30年度の
外来延べ患者数は約38万人、
入院延べ患者数は約20万人を誇り、さらに、多くのお見舞いの方も来院している大規模な施設であります。広告を掲出する
民間企業等にとっても、企業・商品PRなどにつながる施設ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院として、
広告事業に取り組む考えについてお聞かせください。
◎宇都宮
経営管理部長 広告事業への
取り組みについてお答えいたします。
厳しい
経営環境でございますので、
医業外収益を少しでも得ることはとても大切なことであり、
広告事業もその一つの手法であると認識しているところでございます。
市立札幌病院では、今年度、患者や家族などの皆様への
サービスアップとして、
フロアマップや
診療内容、相談窓口、イベントなどの告知などのさまざまな情報を提供するため、
中央ホールに
デジタルサイネージを設置することとしております。
デジタルサイネージでは
民間企業の広告も配信されますので、
設置事業者が得る
広告料収入によって、無料で機器の設置や維持及びコンテンツの作成等がされるとともに、
広告料収入の一部につきましては
市立病院の
施設使用料として受け取ることとなってございます。
デジタルサイネージの設置は、
施設使用料といった
医業外収益をふやすことはもちろんでございますけれども、
市立札幌病院の強みや、気軽に診療や相談ができる
かかりつけ医を持つ必要性などを周知することにより、
地域医療支援病院として地域の
医療機関との役割分担を推進し、
経営改善につなげるなど、そういった効果も期待しているところでございます。
◆くまがい誠一 委員 ただいまご答弁いただいたとおり、
デジタルサイネージ等を利用した
医業外収益はもちろん、
拠点病院としての役割を十分に発揮していただければと存じます。
最後に、要望でございます。
病院経営を安定的に運営するためには、経費の節減ももちろん必要ではありますが、まずは
収入確保の対策を進めることが重要であり、まさに、
市立札幌病院の営業力、将来を見据えた先見性、そして、それらを収益につなげる創造力が試されていると考えます。収入減の本丸である
入院患者数をふやし、
病床利用率を上げる
取り組みは当然進めていただかなければならないことですが、そのほかにも、
医療機器の
共同利用や
広告事業などの附帯的な事業にも積極的に取り組む必要があると考えます。
市立札幌病院の力強い
財政基盤を築き、医師、看護師、
リハビリ職などが安心して働けるよう、そして、何より医療を受ける患者が安心して治療を受けられるよう引き続き
経営努力をされることをお願いし、私からの質問を終わります。
◆
太田秀子 委員 私からは、2018年度の
政策的医療の状況と
消費税増税の影響について伺います。
2019年4月に策定されました
市立札幌病院中期経営計画を見ますと、
市立病院は、急性期の患者に対し、状態の
早期安定化に向けて
診療密度が特に高い医療を提供する
高度急性期の病院として、地域の医療を支えることを役割の一つとしています。
さらに、
基本目標の1番目には、市民の命を守るため、他の
医療機関からの
受け入れ要請を断らない医療を実践しますと掲げており、
公的病院として、
小児医療や
救急医療、周産期医療、精神・
身体合併症に対する医療などの
政策的医療を必要としている患者を、断らずに
受け入れています。今後、これまで以上に
高度急性期機能を高めることが必要とされており、
取り組み項目の一つとして、
救急患者の
受け入れ体制の整備が挙げられています。
数値目標として、2017年度は3,156件だった
救急車等搬送件数を、2024年度には4,000件にする目標値が設定されています。
そこで、質問いたしますが、2018年度における
救急車搬送件数は何件になったのか、また、2次救急では対応できない心筋梗塞や脳卒中などの重篤な
救急患者を対象とする3次救急を担う
救命救急センターの
受け入れは、2017年度と比べてどうなったのか、伺います。
◎宇都宮
経営管理部長 まず、
市立札幌病院への
救急車搬送件数についてでございますけれども、平成30年度は3,592件の搬送があり、前年度と比べますと436件、約14%増加してございます。
次に、
救命救急センターにおける3次救急の
受け入れ患者数についてでございますけれども、平成30年度は969件を
受け入れておりまして、前年度と比べますと116件、約14%増加しております。
◆
太田秀子 委員 医療の視点から見ますと、
救急医療の
受け入れが大幅に増加し、
高度急性期病院としての役割を果たしていることがよくわかります。
しかし、その努力と裏腹に、経営の視点から見ますと、
政策的医療は採算を取りにくいことから、
病院経営を圧迫する要因の一つとなっています。常時、医師や看護師を初め、数多くの職員が救急の現場で待機し、対応することから、
救急医療単体で見ますと
収支不足が発生します。そして、これらは、
救急医療に限らず、小児や周産期、精神など、他の
政策的医療でも同じことが起こります。ですから、総務省は、
救急医療を初めとした
政策的医療に対し、基準を定め、
一般会計からの
病院事業会計に対する繰入金を認めています。
そこで、質問いたしますけれども、2018年度における
一般会計繰入金の決算額、また、
政策的医療に係る項目の個別の内訳を伺います。
◎宇都宮
経営管理部長 一般会計の繰入金の決算額と
政策的医療の内訳についてお答えいたします。
まず、平成30年度の
一般会計からの負担金や補助金の総額は、約37億円となってございます。そのうち、
政策的医療としては、
救急医療の確保に要する経費が約4億4,000万円、
精神医療センターの運営に要する経費が約3億円、
未熟児収容部門の医療に要する経費が約4,300万円、その他、周産期医療に要する経費などを合わせまして約9億円となってございます。
◆
太田秀子 委員 今、2018年度の繰入金を伺いましたが、私は、このように、札幌市が
市立病院に必要な税金を投入した上で、
経営状態の厳しさを支えながら安定的に
政策的医療を運営すべきだと考えています。
2018年度決算では、8,800万円の
経常赤字で、黒字化までもう少しというところまで来ています。しかし、この10月から消費税が10%へと増税されました。消費税の増税は、
市立病院の経営に大きな影響があるものと思いますがいかがか、伺います。
◎宇都宮
経営管理部長 消費税増税の影響と
診療報酬改定による状況についてお答えいたします。
市立札幌病院におきましては、消費税の
課税対象となる支出は材料費や委託料などでございますが、これらは平成30年度の決算で約100億円ございます。そのため、今回の改定に伴う2%の影響額は、
通年ベースで約2億円となるところでございます。
また、ことし10月1日に行われました
診療報酬の改定についてでございますけれども、
消費税増税への対応として、
診療報酬本体分では主に初診料、再診料や入院料で措置されております。仮に、当院での影響が大きい1日当たりの入院料の増加の影響額を概算いたしますと、約1億2,000万円と試算しているところでございます。また、薬価などにおきましても、
消費税対応分が措置されるものと思われます。
しかしながら、今回の
報酬改定は
消費税増税分の対応と薬価などの実勢価格への改定分などをあわせて措置するものでございますので、当院における消費税の
増税対応分を正確に算出することは困難な状況にございます。
今後とも、引き続き、
診療報酬改定の動向を注視するとともに、
診療収益の推移を分析してまいりたいと考えております。
◆
太田秀子 委員 私は、消費税が8%から10%に上がるけれども、どういう影響なのかということを伺いました。増税分は
診療報酬などで1億2,000万円が措置されるということでしたが、金額はまだはっきりしないのだということでありました。
診療報酬の改定を見ますと、
診療報酬本体はプラス0.41%ですけれども、今のお話を聞くと、金額としてはちょっと少ないような感じがします。また、材料価格はプラス0.03%です。ところが、ちょっとお話が出た薬価ですが、これは
マイナス0.51%と大幅に引き下がっているのですね。ですから、
診療報酬全体では0.07%の
マイナス改定なのです。昨年の改定では、薬価は1.74%引き下がっておりますし、
診療報酬全体では1.19%の
マイナス改定でした。あれから2年たって、今、消費税が増税されて、そして、
診療報酬も引き続きトータルで
マイナスだという状況でありますから、経営にはさらに少なくない影響が与えられる、そういうふうに考えております。国が定める
診療報酬改定の影響や医療を取り巻く社会環境の変化など、大変な努力が求められると思います。
そして、先ほどの質疑にもありましたが、早速、
消費税増税と同じタイミングで、9月26日に、
厚生労働省は再編・統合の議論が必要と位置づけた公立・
公的病院名を公表しました。札幌は今のところ対象ではありませんけれども、全国の公立・
公的病院の約3割にも当たる424もの病院が名前を公開されました。今回対象にならなかった
公立病院についても、ことし3月末までに策定した2025年度時点での
機能転換などの見直しが変わらなければ統合・再編の検討を要請するのだ、そう言っております。病床数、
ベッド数を減らして医療費を削減するものであり、まさに命にかかわる大問題だと思っています。全国で、産婦人科は28年間連続で減っています。小児科は25年間連続で減少です。地元で出産できる病院がないから札幌などまで出てきてお産をするのだという話が既に起こっています。ですから、地域で公的な病院がなくなったら札幌に患者が集中する、今でさえ起こっているのに、もっと大変なことになると考えます。
国は、安倍首相が掲げる子どもを産み育てやすい日本とは全く逆のことをやろうとしています。
厚生労働省には、
公的病院の運営についての決定権はありません。本市は、国に対して、地域から
公立病院をなくすなと、ぜひ要望していただきたいと思います。
そして、安定的に
政策的医療を運営するために、
市立病院としての努力と同時に、
消費税増税による負担分も含めて、現在の
一般会計からの繰り入れが安定的に
政策的医療を運営するのにふさわしいものになっているのかどうか、それも精査していただいて、必要な税金は投入すべきと求めます。
それは、
地域医療を守ることだけではなくて、市民の命を守ることになりますし、そして、
市立病院で働く皆さんの働く環境と健康を守ることにつながりますので、ぜひ、そのような視点に立って、今後も
市立病院が担うべき医療をより一層充実させていただきたい、そのことを求めて、質問を終わります。
◆
三神英彦 委員 私からは、
医療従事者の
配置数確保と
適正配置について、それからもう一つは、
患者サポートセンターについて、大きく2点伺わせていただきます。
まず、
医療従事者の
配置数確保と
適正配置についてです。
今年度からスタートした
中期経営計画では、
経常収支、
資金収支の黒字化を図るために、
入院患者数をふやすとともに、財政指標として掲げた
医業収益に対する
職員給与費の割合、いわゆる
人件費比率を毎年度抑制するという見通しを立てています。ただ、単に職員数を抑制して
人件費比率を下げれば今いらっしゃる職員の負担が大きくなるおそれもあり、職員の適正な必要数を見きわめ、確保することが必要であると考えます。
また、
病床利用率も、80%台から、2024年度には90%を目指す目標を掲げ、業務量の増加が見込まれる中、
中期経営計画では
医療従事者の配置数などは記載されておらず、
計画内容に見合った適正な配置数が
収支見通しに反映されているのか、疑問に思います。
そこで、質問ですが、本計画の達成に向けて、
計画期間内での
入院患者数の増加に見合った
医療従事者の配置数が適正に確保されているか、伺います。
◎向井
病院事業管理者 私から、
入院患者数の増加に見合った
医療従事者の確保についてお答えいたします。
市立札幌病院が、時代の要請に応え、市民が安心して身近な
医療機関で
医療サービスを受けることができるよう、
高度急性期病院として、また
地域医療支援病院として、地域の
医療機関を支えるという
市立病院としての役割を全うするためには、
医療従事者の確保はとても重要なことと認識しております。
そのため、
高度急性期病院としての体制を確保するためには、
医療従事者を初めとする
医療資源を
入院治療や
救急医療などの分野に重点的に配分する必要があると考えております。一方で、病状の安定している患者については、地域の
かかりつけの
医療機関に逆紹介するなど、地域完結型の医療も進めつつ、
外来機能の適正化を図る必要があると考えております。
厳しい
経営状況の中ではありますが、この
取り組みを進めることで、医師や看護師を初めとする
医療従事者の
重点配置が可能となり、
高度急性期病院としての機能を強化しながら適正な職員数を確保することが可能と考えているところでございます。
◆
三神英彦 委員 適切な
配置数確保は、
計画達成の大きな要素でもあり、
入院患者数の計画と実績を常に比較しながら、将来もきちんと見据えて、見直しも含めて
適正配置数を確保することを改めて要請させていただきます。
次に、
医療従事者の
適正配置について伺います。
収入の根幹である
診療収益を増加させて
収支改善を図っていくためには、
配置数確保はもとより、より経営的な視点での
人材配置が必要と考えます。医師に限って考えてみると、
診療報酬は各診療科によってばらつきがあるのではないかと思います。例えば、
診療科ごとに医師1人当たりの
診療報酬を算出して、1人当たりの報酬額の高い診療科には、医師を含め、
看護師等の
医療従事者を重点的に配置するなど、戦略的な
職員配置を考えないと今後の赤字解消もままならないのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、経営を意識した上で、
医療従事者の
適正配置についてどのようにお考えか、伺います。
◎向井
病院事業管理者 医療従事者の
適正配置につきましては、その時々の医療需要に対して過不足なく配置することはもちろんのこと、経営にも資する方向での配置が重要であると認識しているところでございます。
例えば、医師の配置につきましては、
市立病院が33の診療科の総合力で
救急医療や災害医療などの政策的な医療を担っていることを踏まえまして、各診療科の実情も考慮して医師の
適正配置に努めているところでございます。各診療科の実情の把握に当たりましては、年2回行っている各診療科部長との院長ヒアリングにおいて、患者数、診療単価、原価計算など、
診療科ごとの直近の収支状況や現場の状況、医師1人当たりの業務量なども確認し、適正な配置に反映させているところでございます。
また、今後、新たな医療技術の進歩や医療需要の変化に伴いまして提供するべき医療も変わっていくものでありますので、
高度急性期病院としての役割を果たしつつ、
経営状況にも配慮しながら、職員の
適正配置に取り組んでまいりたいと考えております。
◆
三神英彦 委員 続けて、今度は
患者サポートセンターの新設について伺います。
ことしの第1回定例市議会において、8階の東病棟を含めた病床数削減に係る条例改正を行ったところです。その後、半年がたち、8階東病棟の跡スペースの活用策も話が進んでいると先日伺いました。また、
中期経営計画では、患者が入院から手術、退院の各段階において安心して治療を受けられるように、入退院の支援機能を強化することを目的として
患者サポートセンターを2020年までに設置するとしています。
そこで、質問ですが、前段の8階東病棟の活用策、そして、今の
患者サポートセンターの新設、これらをどのように関連づけて進めようとしておられるのか、伺います。
◎仁木 医療品質総合管理部長 8階東病棟の利活用と
患者サポートセンターの新設につきましてお答えいたします。
患者サポートセンターは、患者への入退院支援の
取り組みを強化するとともに、医療福祉に関する相談や各種文書の受け付けなど、各種相談窓口を一元化し、患者を総合的に支援する機能を持つセンターとして新設する予定でございます。
そのためには現状の事務スペースでは足りないことから、病床を削減した旧8階東病棟の空きスペースも有効活用しながら、1階の事務室と、現在廊下となっております部分を改修して設置いたします。具体的に、旧8階東病棟のスペースについては、現在1階にある退院支援部門や地下1階にある栄養科の事務室を移転し、
入院患者に身近な場所で効果的な退院支援や栄養指導をする予定でございます。また、1階については、改修工事によりスペースが広がることから、相談ブースを増設して、主に高齢者の患者を対象に、栄養士や薬剤師、理学療法士など多職種による入院前支援を開始するほか、現在、ホールにある文書センターを移転、集約いたしまして、各種相談窓口の一元化を図る予定でございます。
◆
三神英彦 委員 入退院支援機能を強化して総合的に支援するセンターになるとのことで、病院利用者がより安心して治療を受けられるようになることは、もちろん歓迎すべきことだと思います。利用者に配慮した丁寧な工事をやっていただけたらと思います。
一方で、改修工事の費用負担や、センター設立後に維持費や人件費などが増加し、収支を圧迫する可能性などを心配してしまいます。よかれと考えてのセンター設置が経済的な足かせになっていかないのか、とても心配しています。
経営戦略の視点としては、
患者サポートセンターの設置もまた一つの先行投資として捉え、将来的には、単独、もしくは、ほかの事業と組んで回収可能なものに成長させていく観点が重要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
患者サポートセンターの設置に当たって、費用負担の抑制や収益の増加などの経営的なメリットについてどのように考えておられるのか、伺います。
◎仁木 医療品質総合管理部長
患者サポートセンターの設置による経営的なメリットについてお答えいたします。
まず、
患者サポートセンターの設置に伴う一連の工事費につきましては、約3,000万円を見込んでおりますが、病床機能等の見直しをした病院が対象となる北海道の助成金約1,000万円を活用する予定でございます。
なお、この改修工事費は、
中期経営計画の
収支見通しで見込んでおり、計画と比べて新たに負担がふえるものではございません。
また、職員の配置につきましては、従来の業務の流れを見直して対応するものであり、施設の維持管理費については、現状の施設を利用して設置するものですので、新たにふえる負担は限られているものです。一方で、センターの設置に伴い、患者の個別の状況に応じた支援を多職種で行い、入院前から適切な体調管理を行うことによりまして、入院後のよりスムーズな検査、治療や手術後の早期の回復が可能となるなど、医療の質的向上が図られるものと考えております。
この
取り組みは、入院期間の短縮による入院単価の向上にもつながるものであり、
救急患者や紹介患者の
受け入れ強化による患者数の増加もあわせて行うことで、収益の増加を図ってまいりたいと考えております。厳しい
経営状況ではありますが、引き続き、患者に寄り添い、サービスを充実させ、患者が安心して治療が受けられる病院を目指してまいります。
◆
三神英彦 委員 二つの人材関連の話、それから、
患者サポートセンターについてお伺いしました。今までの質問を見ていても、ここまでの経営難に対して議員側からはかなりきつく当たられてきたのではないかと思いますが、
市立札幌病院というのは、市民の病院なのだから、やはり、市民のためにできるだけ配慮した優しい病院であることと、それから、税金を使っているのだからきちんと健全な経営をすること、このハードルはかなり高いけれども、やはり両立しなければいけないことなのだろうなというふうに思うのです。その具体的な考えとして、例えば、人員配置のことを考えるにしても、新しいセンターを新設することになっても、その一つ一つに対して、どれだけ役に立つのかということと、それが回り回ってきちんと回収できるかということを考えることによって、公的財源を利用せずにちゃんと一本立ちしてやっていける病院になっていけるのではないかと考えます。
さらには、既にいろいろな方から話が出ておりますが、やっぱり、行政がかかわっている病院だからできることが必ずあるのだと思います。民間の病院ではできないことですね。そういったところで、例えば情報の部分、物の貸し借りの部分など、地域を包括してうまく考えるといったときに、上手にリーダーシップをとって
市立札幌病院らしい道を模索していただけたらと思います。
◆かんの太一 委員 私からは、
市立札幌病院の財政の健全化の
取り組み、看護師の人員の確保の2点について質問いたします。
札幌市は、2015年度から2018年度の4年間を計画年度とする
市立札幌病院新ステージアッププランを策定し、目指す将来像として、基幹病院、多機能病院、発展する病院、自立した病院を掲げて
取り組みを進めてきました。
また、本年4月には、前計画を発展させる形で、2019年度から2024年度の6年間を計画年度とする
市立札幌病院中期経営計画がスタートしましたが、喫緊の課題である
財政基盤の強化についてさらなる
取り組みを進めていかなければなりません。国は、病院の機能と役割の分化を促進し、
診療報酬の効率的な配分にも取り組んでおり、2016年、2018年の
診療報酬改定は連続して
マイナスとなりました。
病院経営は、従来にも増して、
診療報酬の内容に迅速に対応する機動的な運営が必要となり、難しいかじ取りが求められています。
このような状況下で、
市立札幌病院は、2018年度決算で
診療収益が初めて200億円を超えました。
経常収支は約9,000万円の赤字ではあったものの、前年度より約10億円好転し、厳しい
経営環境の中、経営の健全化を進められたことは、一定の評価をするところであります。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院では、前期プラン及び2018年度において、どのような点に力点を置き、改善の
取り組みを行ったのか、まず、お伺いいたします。
◎向井
病院事業管理者 これまでの
経営改善の
取り組みについてお答えいたします。
経営の健全化を進めるに当たりましては、増収策と経費節減の
取り組みのバランスが大切であると認識しているところでございますが、まずは、収益性の向上について重点的に取り組む必要があると考え、新
入院患者の増加と入院単価を高める
取り組みを行ってまいりました。新
入院患者の増加については、断らない医療を掲げまして、積極的に救急搬送患者や紹介患者を
受け入れてまいりました。平成29年5月から、3次以外の
救急患者の
受け入れを拡大しまして、また、病床の円滑な運用を図るために、30年1月には、一元的なベッドコントロールを行うことにより、
入院患者の
受け入れ体制の強化を図りました。その結果といたしまして、総
入院患者数は、29年度と比べ、1,236人増加しまして約1億円の増収となったところでございます。
また、入院単価を高めるための
取り組みといたしましては、平均在院日数の短縮や診療オーダーの徹底などに積極的に取り組むことによりまして、平成30年度より、大学病院と同水準の病院であると評価されまして、DPC特定病院群の指定を受けました。この指定による増収効果は1億6,000万円程度となります。
このほかに、外来でのがん治療の強化を図るために外来化学療法の強化や、
診療報酬改定の影響などもあり、平成30年度の
診療収益につきましては全体で10億円程度改善しております。
今後も、さらなる
財政基盤の強化に向けまして、職員が一丸となって医療の質の向上と収益向上の
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁の中で、増収と経費削減のバランスということで、増収策では、入院単価を高める
取り組みなど、また、緊急患者の
受け入れ増の
取り組みなども行ってきたということであります。収支構造が改善するということは、非常に喜ばしいことでありますし、それは、現場の医師や看護師を初めとする職員に支えられてなし遂げられるものであると思います。
医療の質を向上させるために、
市立病院では他職種連携の
取り組みなどさまざまな活動を行っており、このことは、先ほど答弁の中でも少し触れていましたけれども、DPC特定病院群として評価されるなど経営的にメリットがある一方、多くの書類作成やデータ入力、またカンファレンスの実施など、現場医療スタッフの負担の増加にもつながっているということも言えるかと思います。
昨年度の看護師退職者は、定年退職の5人以外に61人おり、退職者の年齢構成を見ると20代が最も多いという結果が出ております。また加えまして、30代や40代の働き盛りの看護師たちも退職者として多いといったことは、非常に大きな課題であると思います。
退職に伴う採用補充はしていると伺っておりますけれども、経験を積んだ中堅看護師が退職していく状況は、看護師の育成が進まず、結果として医療の質の低下につながるおそれがあること、また、入院料に付随して算定している各種加算において今後算定が難しくなる状況も生まれかねないなど、
病院経営にとって大きな痛手であり、看護師の離職防止対策は重要な課題であると認識しているところでございます。
そこで、質問ですが、病院局として、看護師の退職原因をどのように捉え、退職防止に向けてどのような
取り組みを行っているのか、伺います。
◎勝見 副院長 看護職員の退職原因と退職防止の
取り組みについてお答えいたします。
まず、退職の原因ですが、平成30年度に退職した職員の主な理由としては、他院への転職が48%、結婚や転居、家事、育児などへの専念などが39%を占めておりまして、在宅ケアサービスや慢性期医療分野での看護実践の希望、婚姻や出産などの家庭生活の環境変化が原因と捉えております。
次に、退職防止に向けた
取り組みですが、退職を考えている職員と個別に面談を実施しております。その面談においては、それぞれの家庭の事情に加え、今後の看護職員としてのキャリアアップやスキル形成などの相談を行っており、本人が配属先の変更を希望するときには部署異動を検討するなど、可能な限り慰留に努めております。さらに、本来、看護職員が行うべき業務に注力できるように、日中には看護事務補助員を配置し、また、夜間についても、夜間看護補助員を本年8月から増員して全ての急性期一般病棟に配置するなど、看護職員の負担軽減を図っているところです。
仮に看護職員の配置人数が大幅に減少することになりますと、職員1人当たりの業務量の増加につながるだけではなく、施設基準や加算要件を満たすことができなくなり、経営にも影響が出たり、医療の質の維持にも大きな影響を与えたりするなどのおそれがありますので、引き続き、看護職員が長く働きたいと思える職場づくりに向けて、現場職員の意見も聞きながら環境改善に取り組んでまいります。
◆かんの太一 委員 答弁の中で、退職の理由として一番高いのが他院への転職といったことで、48%という高い数字が出ていました。看護師の獲得競争というものも非常に激しくなっているのは承知しているところでありますけれども、やはり人材は宝でありますので、先ほど答弁の中でも述べられておりましたが、個別面談等、きめ細やかな相談を実施して、退職とならないように引き続き
取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
さて、次の質問ですが、看護師の負担を軽減する
取り組みとして、本年8月から夜間看護補助員を増員したとの言及が先ほどございました。これは、昨年までの計画である新ステージアッププランからの課題であったということでありますので、これを達成できたことは一定の評価をするところであります。
制度を導入するに当たり、スムーズに職場になれていただくため、補助員に適切な指導等を行っていくことはもちろんですけれども、指導に当たる看護師の負担にならないように、現場の声をしっかりと聞き、サポートすることも必要だと考えます。
そこで、質問ですが、夜間看護補助員が配置されたことで、看護師のどのような業務が軽減されたのか、伺います。
◎勝見 副院長 夜間補助員の配置によって、看護職員のどのような業務が軽減されたかということですが、これまで、夜勤に従事していた看護職員が担っていた患者の食事介助やイブニングケア、シーツ交換や寝衣の交換の補助、移送など患者のケア、そのほか、診療用具、医療材料やリネンなどの整理整頓、ベッド周囲の清掃、ストレッチャーや車椅子の整備など、環境整備に関する業務が軽減されているところです。
引き続き、職員の声に耳を傾けながら、看護業務の役割分担を見直すとともに、看護職員の負担軽減に努めてまいります。
◆かんの太一 委員 夜間勤務できる看護師を確保することはどこの病院でも苦労していることだと思うのですけれども、夜勤担当者の負担感を低減するためにも、この夜間看護補助員の制度をしっかりと運用していただきたいというふうに思います。
8月からということなので、まだまだしっかりと推移を見ないとだめだと思うのですけれども、今働いている正規の看護師の負担にならないように努めていただきたいというふうに思います。
最後に、要望ですが、この10月に消費税が8%から10%に増税されたことに伴い、
診療報酬の改定が行われました。
診療報酬本体分では0.41%の上昇となっており、国としては、
消費税対応分も考慮された内容となっているとのことでありますけれども、他の
公立病院と比較して、
市立札幌病院は、
医業収益に占める材料費や委託費などの割合が高いことから、経費の適正化、業務改善に取り組むことを求めます。
また、全国的には2025年から2030年ごろにピークを迎えるのに比べ、札幌医療圏の医療需要は、受療率の高い高齢者人口の割合が増加することを反映して、今後も伸びていくことが想定されています。
医療資源の集中する札幌及びその医療の中核を担う
高度急性期病院である
市立札幌病院の役割は、ますます重要になると考えられます。
地域や市民の期待に応えるために、さらなる
財政基盤の強化に取り組むとともに、そこで働く職員を安定的に確保できるよう環境改善を進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
○
村上ゆうこ 委員長 以上で、
病院事業会計の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時51分
再 開 午後1時53分
――――――――――――――
○
村上ゆうこ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。
◆佐々木明美 委員 私は、民生委員・児童委員の担い手の問題に関して、2点質問させていただきます。
民生委員は、制度の創設から100年の歴史があり、時代が変化しても、地域住民の立場に立って、福祉に関する相談や支援など、福祉サービスの重要な担い手として活躍されてきました。民生委員の職務内容は、民生委員法第14条で定められ、その1項は、「住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと」とされ、5項目にわたって日常生活の相談、助言、援助を職務として、住民福祉の増進を図るための活動を行うとなっております。核家族化の中で、困ったときに身近に相談できる人がいない方がふえている中で、ますますその役割が期待されていると思います。昨年9月の震災の際には、日ごろのつながりを生かし、おひとり暮らしの方の安否確認を行うなど、災害時にも献身的な役割を発揮されてきました。
8月1日現在、本市では、2,852人の方が330世帯にお1人の基準で選任されて活動されています。昨年の相談支援件数は年間4万6,177件で、そのうち高齢者の方の相談が約65%で、ふえている傾向にあります。相談支援の活動内容も、子育て、介護、年金、家族関係、住まいにかかわる問題など、実に幅広い生活の相談支援に対応されています。身近な民生委員から、高齢者の相談がふえ、かかわりも難しくなってきていると感じると相談を受けています。担い手がなかなか見つからないとも聞いております。民生委員が果たしている役割の大きさから言って、担い手不足は深刻な問題です。
この担い手不足の問題は、この間、議会でも繰り返し議論されており、2017年に我が党が行った民生委員の担い手不足の要因についての質問で、総務部長は、地域でのつながりが希薄になっていること、高齢者になっても仕事を続ける方がふえていること、民生委員の業務の責任が重いと思われていることが要因ではないか、市としても、今後に向けて、候補者発掘に向けた働きかけに努めると答弁されております。
そこで、質問ですが、この間、担い手不足の発生を防ぐために、どのように対応されてきたのか、伺います。
◎富樫 総務部長 民生委員の欠員の発生を防ぐための対策についてのご質問でございます。
民生委員の活動を支援するために、日ごろから、区役所あるいは区の社会福祉協議会におきまして、各地区の民生委員児童委員協議会あるいは個々の民生委員からの相談に応じて必要な対応を行っているところでございます。また、昨年8月には、高齢でも意欲があって健康な方に民生委員になっていただくことを可能とするために、新任、再任のいずれの場合も、民生委員の年齢要件の特例を設けまして委嘱時の年齢の上限をそれぞれ3年引き上げ、新任が75歳未満、再任が78歳未満というところまで引き上げたところでございます。
さらに、新たな担い手の確保ということで、広報さっぽろあるいはホームページといった手段を活用しながら民生委員・児童委員制度の周知、それから、札幌市や北海道、北海道警察、これらの退職予定者の説明会において民生委員・児童委員活動の案内などを行ってきております。加えて、昨年度からは、再任用が終了する予定の市職員に対しましても、改めて個別に案内を実施しているところでございます。
◆佐々木明美 委員 ただいまのご答弁で、広報や年齢の見直しの引き上げ、そして、公務員の再任用の方が退職する際に個別説明会も行ってきているということで、この間、幾つかの方法で担い手不足に対応されてきていることはわかりました。
しかし、いただいた資料によりますと、3年前から毎年平均100人台で担い手の不足が生じています。12月には、3年に1回の改選も行われる予定とのことですが、交代も含めて、かなりの方が不足するのではないかと私は危惧しております。
担い手が不足した場合、今後どのような対策を行っていくのか、伺います。
◎富樫 総務部長 民生委員に欠員が生じた場合の対策についてのご質問でございます。
まず、欠員が生じた地区では、同じ地区で他の区域を担当している民生委員に、欠員となった区域の業務も代行していただいている状況になっております。その上で、4カ月ごとに、一斉改選時と同様の手続によりまして欠員補充を行っているところでございます。
欠員を生じさせないためには、地域の方に民生委員活動というものを理解していただくための広報、それから、多種多様な活動を行う民生委員への研修の充実、このようなことなど、民生委員が活動しやすい環境づくりをさらに進めていく必要があるものと考えてございます。今後も、引き続きまして、民生委員児童委員協議会と連携して、民生委員の方々の意見をよく聞きながら、より活動しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
◆佐々木明美 委員 ただいま、4カ月おきに欠員、担い手の不足の見直しをしたり、地域との連携で欠員にならないように補充していきたいということでした。
しかし、これまでも、改選時期に担い手の方が一番不足するという事態が起きていました。これから、冬に向かって一番大変になる時期だと思います。民生委員の方々の声をよく聞いて、活動の負担にならないように、行政としての責任を果たすべきと申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。
◆松井隆文 委員 私からは、障害児通所支援におけます保育所等訪問支援について質問させていただきます。
私は、これまで、札幌市において利用者が非常に増加しているといった障害児通所支援について、事業所が提供する質の高いサービスの確保といった観点から、事業所に対する指導状況、また質の確保のための
取り組みについて継続して質疑させていただいたところであります。
障害児通所支援につきましては、現在の支給決定者が合計して1万人を超えているという状況で、ここ数年は、事業費ベースで言いますと、毎年20億円近く事業費が増加しています。平成30年度の障害児通所給付費の決算額が約123億円となっておりまして、今年度の予算も約145億円と、事業費が著しい伸びとなっております。これは、札幌市にお住まいの障がいのあるお子さんに必要な支援が広く行き届いている結果であるというふうに考えられますが、一方で、サービスの質の確保といった課題は引き続きあろうかと思います。札幌市としては、このサービスの質の確保について、事業者に対する集団指導や研修会のより一層の充実といったことによって、引き続き、質の確保をしっかり進めていくことを改めて求めておきたいと思います。
ところで、障害児通所給付費の事業費のほとんどは、児童発達支援、放課後等デイサービスといったことで、児童が通うという通所型のサービスに係る経費であります。しかし、障害児通所支援の中には、通所型だけではなくて、逆に、専門の支援員が保育所であったり学校のほうに訪問して児童の療育支援を提供する、保育所等訪問支援という訪問型のサービスがございます。このサービスは、平成24年に創設された比較的新しいサービスでありますけれども、障がいのあるお子さんがふだん通っている保育所や学校など、地域の関係機関を訪問して障がい児に直接支援を行うことができるという制度であります。
この制度は、保育所等訪問支援の専門スタッフが、ふだん障がい児と余り接することのない、あるいは、それを専門とはしていない関係機関の職員に対して、障がいのあるお子さんの特性を踏まえた専門的な助言、また、情報共有といったことを行うことができる大変利便性の高いサービスであります。しかし、比較的新しいサービスということもあって、実際はこの保育所等の訪問支援が十分に利用されているとはまだまだ言えない状況でありました。そうしたことから、私は、平成28年の予算特別委員会におきまして、保育所等訪問支援について、通所サービスと組み合わせて総合的な活用が図られるように
取り組みを進めていただきたいということを要望させていただいておりました。
そこで、質問ですが、保育所等訪問支援につきまして、ここ数年の事業所数、そして、サービスの利用状況及び決算額の推移というものについて伺います。
◎竹村 障がい保健福祉部長 私から、保育所等訪問支援の事業所数、利用状況及び決算額の推移についてお答えいたします。
保育所等訪問支援は、障がい児の保護者からの申請に基づきまして、ふだん通っている保育所や幼稚園、学校などの施設に支援員が訪問させていただき、集団生活への適応のための専門的な支援を提供するサービスでございます。まず、保育所等訪問支援の事業所数でございますが、平成27年4月では19カ所だったものが、平成30年4月には28カ所、ことし8月1日では34カ所と増加してございます。
次に、サービスの利用状況でございますが、平成27年4月の支給決定者数が185人であったところ、平成30年4月には504人、本年8月では673人と、増加傾向にございます。延べ利用日数につきましては、平成27年度では563日でございましたが、平成29年度には697日、平成30年度では1,233日となってございまして、サービスの利用は拡大してございます。
最後に、決算額についてでございますが、平成27年度は約700万円であったところ、サービス利用日数の増加に伴いまして、平成30年度では倍以上の1,881万円となってございます。
◆松井隆文 委員 ただいま、事業所数、支給決定者数、また延べ利用日数、そして決算をお伺いいたしましたが、ここ数年でかなりの伸びであるというふうに思います。数年前の状況と比べましても、保育所等訪問支援の事業所数はかなり増加しておりますし、サービスの利用状況も拡大している状況については理解したところであります。
これは、必要な児童にとってサービス利用が徐々に進んでいるということで、一定程度の評価はできると思います。しかしながら、やはり、ほかのサービス等に比べて、まだまだ足りない部分もあろうかというふうに思います。また、訪問型サービスである保育所等訪問支援を必要としている潜在的なニーズもまだまだ多くあるというふうに推察されます。そこで、保育所等訪問支援のニーズを顕在化させていくためには、障がいのあるお子さんたちが、地域の保育所、また学校に通う中で、何か困ったことがある場合、保育所等訪問支援の事業所が必要に応じてかかわることができるように、このサービス内容や利用することのメリットなどを含めて保育所等訪問支援の認知度を高め、そして、より一層地域に普及させていくことが必要であるというふうに考えます。
そこで、質問ですが、保育所等訪問支援をさらに地域に普及させていく観点から、保育所等訪問支援に対する認識とあわせて、今後どのように取り組んでいくつもりかということについてお伺いいたします。
◎竹村 障がい保健福祉部長 保育所等訪問支援の認識とさらなる普及の
取り組みについて、私からお答えさせていただきます。
保育所等訪問支援は、障がい児だけでなく、保育所などの職員も支援対象とするサービスであることから、関係機関が連携して障がい児を支援していく体制をつくるためにも重要なサービスであると認識しているところでございます。
さらなる普及のための
取り組みといたしましては、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所に対しまして、保育所等訪問支援の制度内容やサービスの重要性などをさらに周知することによりまして、保育所等訪問支援の指定もあわせて受けていただけるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
加えまして、障がい児の保護者、また障がい児がふだん通っている地域の関係機関に対しましても、引き続き、保育所等訪問支援のサービス内容や利用効果に関するPRを行うなど、さまざまな機会を捉えまして普及に努めてまいりたいと考えております。
◆松井隆文 委員 先日、私も、保育所等訪問支援に取り組んでいる事業所が行った実例を使った研修会に参加させていただきまして、現場でもって、障がいのあるお子さんをどういうふうにサポートしていくのかといった事例等を勉強させていただいたところであります。やはり、その子どもの特性に合わせて、日常生活から遊具の使い方までさまざまなことにちょっとしたアドバイスがあることによって、その子どもの対応が見る見る変わってくるといった事例を目の当たりにしまして、このサービスは非常に必要なものであり、また、まだまだ普及させるべきものだなと強く感じたところであります。
保育所等訪問支援は、児童発達支援や放課後等デイサービスに比べて利用者はまだまだ少ない状況でありますけれども、障がいのあるお子さんとその家族を地域の関係機関で一体的に支援していくために重要なサービスでありますことから、今後も、さらにサービスの活用が図られますよう、サービス提供体制の充実とさらなる周知、この双方にしっかりと取り組んでいただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆恩村健太郎 委員 私からは、子ども発達支援総合センターちくたくの地域支援室の現状と今後の展望について、幾つか質問いたします。
現在、テレビなどでもたびたび報道されているように、全国的に、自閉症や発達障がい、虐待を受けた子どもなど、医療や福祉の観点で支援が必要な子どもたちがふえてきている状況にあり、札幌市でも年々増加傾向にあると伺っております。私自身も、保育士として勤めていた中で、発達に心配のある子どもたちを数多く見てきました。保護者に対して受診を勧めるべきなのか、相談窓口を教えればよいのかなど、対応に苦慮する場面が多々ありました。
ちくたくでは、開設当初から地域支援室を設置し、保護者の相談や、保育所など地域の支援機関からの相談にも対応してきており、市民の期待するところも大きいものと認識しております。現在、ちくたくに限らず、全国的に児童精神科の医師は不足しており、初診までの待ち期間が長くなっている状況にあります。札幌市では、児童精神科の医師を養成するために、北海道大学病院と連携し、年間3,000万円の寄附を行うことで講座を開設して医師の育成に取り組んでいるところです。しかし、医師の育成には、やはり、ある程度の長い期間が必要となりますので、こちらは継続して取り組まれることを願うところであります。
ちくたくの児童精神科も、初診までの待ち期間は長く、地域支援室のように、診察までの待ち期間に悩みを相談できるところがあることは、今まさに子育てにおいて悩みを抱えている保護者にとって大変心強く感じるものではないでしょうか。また、施設で働く保育士などにとっても、発達に心配を感じる子どもについて気軽に相談できるところがあるということは非常に大切なことだと考えます。
昨年の
決算特別委員会では、我が会派として、障がいを持った子どもたちやその保護者が地域で安心して暮らせるよう、地域支援室の体制強化を図るよう要望したところです。
そこで、質問ですが、昨年の
決算特別委員会の答弁では、地域の人材育成や新たな親支援、家族支援などについて取り組むということでありましたけれども、具体的な
取り組み状況をお伺いいたします。
◎小林 管理担当部長 地域の人材育成と支援における具体的な
取り組みの状況についてのご質問でございます。
まず、支援についてでございますが、主に、ちくたくに通院しております子どもたちがふだん通う学校、幼稚園などや、治療の一環として地域支援室の職員が訪問し、実際に子どもの様子を見て教員等に助言するという支援を行っております。平成30年度の実績は21件でございましたが、今年度は、9月末現在で既に23件となっておりますので、年間では倍増となる見込みでございます。また、支援が必要な子どもの関係者が保護者を含めて一堂に会して意見交換するケース会議への参加実績につきましても、平成30年度の26件に対し、今年度は、9月末現在で25件となっておりますので、こちらも年間ではほぼ倍増となる見込みでございます。
さらに、今年度は、地域支援、親支援、家族支援に資するため、保育所や幼稚園等の職員を対象に、発達に心配がある子を持つ保護者への支援というテーマで、シンポジウム形式による研修会を9月28日に開催したところでございます。参加者は合計85名でございまして、内訳としては、保育所から41名、幼稚園から8名、認定こども園から8名、ほか、保健センターなどから28名となってございます。
今後も、実際の現場への支援の継続や、対応している職員向けの研修会などを開催するなどして、地域における支援力の底上げを図ってまいります。
◆恩村健太郎 委員 先日、我が会派でもちくたくを視察させていただきました。その際、地域支援室では、職員が児童精神科の外来患者の保護者の相談に乗るなどして、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所などの福祉的な支援につなげる役割も担っていると伺いました。
しかし、その人員体制は、診療担当係長を兼務している係長1名と専任の担当者2名の3名体制とのことでした。確認したところ、受診予約も含め、2018年度実績で年間約3,000件もの電話対応があり、そのうち、比較的長時間に及ぶ初回の電話相談が約1,200件、関係機関とのやりとりが約700件となっており、このほかにも来所相談が約500件もあるとのことでした。人員をふやすことは難しいことだと理解していますが、現状の体制では、各種相談と地域支援の両方を同時に充実させることは困難な状況ではないかと危惧しているところです。
そこで、質問ですが、増加する保護者相談や現場からの支援依頼を踏まえ、今後、地域支援室ではどのように取り組んでいこうと考えているのか、お聞きいたします。
◎小林 管理担当部長 今後の
取り組みについてというご質問でございますが、限られた人員体制の中で、専門職の職員を必要に応じて所属にかかわらず対応させるなど、より多くの相談対応や地域支援ができるよう取り組んでいるところでございます。また、ちくたくによる直接の対応のほかに、教育委員会や保健センター、児童相談所など、関係機関と一層の連携強化を図りながら、保護者が抱えるさまざまな悩み、相談事に適した対応をしてまいります。地域への支援につきましては、今回、親支援という視点で、実際に現場で子どもに接している職員を対象に研修会を実施したところですが、会場は満員、アンケートでも好評という結果でございました。
今後は、理解を一層深めるべく、具体的事例を題材にしたワークショップによる研修会の実施を予定しております。ちくたくとしては、引き続き、支援が必要な子どもたちにとって日常的な支援の場である学校や保育所などにおいて、保護者が気軽に相談し、安心して子育てできる環境が整うよう、地域における支援力の一層の強化を図ってまいります。
◆恩村健太郎 委員 最後に、要望いたします。
本年6月に本市で起きた2歳女児の虐待死事件を踏まえ、今後、ますます子どもにかかわる施策の充実が図られるべきだと考えます。児童相談所やちくたくなどの子どもを支援する部門に関しては、その機能の強化が部門横断的に図られる必要があるのではないでしょうか。特に、専門性の高い人材の育成は喫緊の課題であり、子どもにかかわる全ての施策について強化を図るべきだと思います。
支援を必要とする子どもや保護者が適切な支援を受けられるように、改めて、地域支援室の人員の増員も強く求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆竹内孝代 委員 私からは、障害者手帳のカード化に向けた
取り組みについて伺います。
これまで、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などをお持ちの障がいのある方々からは、現在使用している障害者手帳が大きくて財布に入らず、持ち運びが不便であること、また、各公共施設などで割引を受ける際に何度もかばんから取り出して提示するために、すぐに紙が傷んでしまうことなどから、丈夫で携帯しやすいカード化を求めるお声が寄せられております。
国会においては、当時、政調会長代理でありました我が党の山口代表が、当事者団体からのご要望を受けまして、13年前の2006年3月に質問させていただいて以来、長年、障害者手帳のカード化に向けて取り組んできたところでございます。ことし2月の参院代表質問でも、山口代表は再度この問題を取り上げ、安倍首相からは障害者手帳のカード化を目指す方針が示されました。そして、3月29日には、身体障害者福祉法施行規則及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則の一部を改正する省令が公布されました。本年4月1日から、いよいよ身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳のカードによる発行が可能となったわけでございます。
この
厚生労働省令や一連の通知を拝見させていただきますと、カード型の障害者手帳の導入をするかどうかについては各自治体の判断に委ねられております。また、自治体がカード型の手帳を発行する場合にも、引き続き、従来の紙の手帳も発行することとされており、カード型の手帳とするか、紙の手帳とするかについては、障がいのある方がどちらかを選択できるようにすることとなっております。
私のもとにも、障がいのある当事者の方々から、幾度となく、カード化が待ち遠しいといったお声が寄せられており、障がいのある方々の利便性の向上を考えると、札幌市においても早期に実現すべきと考えているところです。
そこでまず、1点目の質問ですが、障害者手帳のカード化について、札幌市の認識と他都市の検討状況についてお伺いいたします。
◎竹村 障がい保健福祉部長 私から、障害者手帳のカード化に向けました札幌市の認識と他都市の検討状況についてお答えさせていただきます。
まず、障害者手帳のカード化についての認識でございますが、ことし4月以降、障がいのある当事者の方々からカード化の実施についてお問い合わせをいただいてございまして、一定のニーズはあるものと認識させていただいております。
次に、他都市の検討状況でございますが、さいたま市が各政令指定都市を対象に行った調査によりますと、カード化の実施に向けて検討を行っているのは11市となっております。
◆竹内孝代 委員 法改正された4月以降、札幌市にもお問い合わせのお声が届いていると認識していることと、20ある政令指定都市の過半数以上の11市が実施に向けた検討を行っているというふうにお聞きいたしました。
さて、さきの
厚生労働省の通知によりますと、カード化の実施については、地域の障がい者等のニーズを踏まえ、適切に対応すべきとされております。札幌市においても、当事者の方々のカード化へのニーズを把握する必要があるのではないでしょうか。
そこで、次の質問ですが、手帳のカード化について、札幌市でもニーズ調査を行うべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎竹村 障がい保健福祉部長 障害者手帳のカード化に向けたニーズ調査の実施について、私からお答えいたします。
ニーズ調査の実施につきましては、今後の障がい者施策の総合的な検討のため、障がいのある方などに対するアンケート調査をことしじゅうに行う予定でございます。この調査では、各種障害者手帳をカード化したほうがよいと思うかどうかや、その理由などについてお聞きすることとしております。
この調査結果も踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 本市におきましても、今後行うアンケート調査を踏まえて実施していきたいというご答弁だったと思います。結果についても、早い時期にわかるのではないかと思います。
私は、障がいのある当事者の方々からこうしたカード化が待ち遠しいといったお話をお聞きしていることから、ニーズは十分にあるのではないかというふうに考えております。また、手帳型とカード型の選択制ですので、今の手帳型のままがよいという方々にも支障のない
取り組みであり、また、ぜひカード型を求める障がいのある方々の声に応えていただく、そういった調査にしていただけたらと思っております。
調査結果を踏まえ、導入準備を考えますと、システム改修、そして、対象の方々や関係機関への周知など、一定の期間を要することが想定されます。この春に待望の法改正が行われたことを踏まえまして、少しでも早期にカード化が実現するよう求めまして、私の質問を終わります。
◆吉岡弘子 委員 私は、無料低額診療制度について質問いたします。
無料低額診療制度は、社会福祉法の規定に基づき、生活困窮者が経済的な理由で必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を受けることができるための事業です。同事業を行う
医療機関で、無料または低額な料金で診療を受け、処方箋の交付を受けても、現在の制度では、調剤薬局は処方箋に基づいて無料か低額な料金での調剤を行うことができません。無料低額診療制度による診療の効果を十分に発揮するためには、診療を受けた人が薬局において無料か低額で薬を受け取れるようにする必要があります。
全国で無料低額診療事業は、2000年当時、250カ所ありましたが、2017年は687カ所にふえています。ある院外調剤薬局の報告ですが、無料低額診療を終えた親子の患者さんが調剤薬局に行きました。院外調剤薬局では、薬代がかかります。薬局は、薬代500円を請求しました。しかし、お母さんは500円でも払えませんでした。親子2人は、数キロ離れた自宅から公共交通を使わないで歩いてきたと言います。バス代もないから、歩いてきていました。500円のお金であっても払うことができなかった、そのことをぜひ想像してみてください。そういうお母さんの気持ちをぜひ想像してみてください。だから、院外薬局の場合では、診療だけで帰る患者もいるのです。病院に行きたいけれど、お金がなくて行かれない、早く治して働きたい、そう願う札幌市民が利用しているのが無料低額診療制度です。
無料低額診療事業を実施する病院に対しては、固定資産税や法人税等の優遇措置を行っていますが、ある
医療機関では、無料低額診療事業に係る費用は約2億円、一方、免除される固定資産税等は1億円ほどだと言います。そのような持ち出し分があるのに、事業を行う病院はふえ、医療の平等のために努力しているのです。
昨年、我が党の質問の中で、本市での無料低額診療を受診している人数は延べで1万人を超えていますが、その数は把握しているけれども、実態は把握していないと答弁されています。
そこで、質問です。
本市は、無料低額診療制度の利用者の状況を直接調査し、薬代を補助する事業の実施について検討すべきだと思いますがいかがか、伺います。
◎富樫 総務部長 無料低額診療の利用者にかかわる調査の実施についてというご質問かと思いますが、無料低額診療事業というものは、事業を実施する
医療機関において、医療ソーシャルワーカーなどが、患者からの申し出を受けて、事業の実施の可否、減免額、そして減免方法などを決定する仕組みとなっております。札幌市が、対象者の状況を把握する仕組みになっているわけではございません。
また、医療情報等を初めとした個人情報につきましては、慎重に取り扱うべき情報でございます。札幌市が個々の利用者の情報を収集することは難しい、このように考えているところでございます。
◆吉岡弘子 委員 調査もしない、国に求めるだけと。今までもそうでしたけれども、それでは余りにも冷たいのではないでしょうか。
2016年度からは、無料低額診療制度により受診された方の保険調剤薬局での自己負担について、政令指定都市の大都市民生主管局長会議を通じて国に要望していると答えておりましたが、本市は、この間、今の答弁と全く同じように、国には求めますけれども、独自でやる姿勢はありません。確かに、国の制度であり、実施しているのは、今おっしゃられたとおり、民間の
医療機関です。しかし、利用しているのは、生活に困窮している市民です。本市は、この制度を利用しても薬をもらうことのできない市民がいることに真っすぐ目を向けるべきではないでしょうか。
本市に今求めているのは、民間の病院に支援してほしいというものではなく、現行の制度を利用しても薬をもらうことができなくて困っている市民に支援してほしいということです。就学援助制度で言いますと、やはり国の制度ですが、対象費目については各自治体が判断し、必要なら予算を組んで出しています。福祉用具は、民間が売っていますが、必要な人が購入するときには本市が補助しています。地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本とする、これが自治体の役割です。であれば、国の制度だから、民間だから手を出さないという姿勢ではなくて、無料低額診療制度を利用することで生活を立て直すことができる、そういう市民を本市として支援すべきです。
昨年の質問で、薬代の助成制度を実施している他市をモデルに試算したところ、本市で3カ月を上限に実施した場合、年間で1,500万円、1カ月の助成ですと年間で500万円程度という答弁でした。2018年度の決算黒字で、この予算が組めないような市の財政ではありません。
旭川市は、2013年、1人の人が薬代の助成を受けるのは1カ月までという制度でスタートいたしましたが、かかる費用以上の効果が見られたため、ことしからは1年間までの助成に拡大しています。
政令市が国に対して求めている社会福祉関係予算に関する提案では、政令市ですから札幌市も求めておりますが、ここには、調剤を受けられず、治療を中断される方がいるため、制度の趣旨にのっとっているとは言いがたい状況ですと書かれております。本市が先導して取り組むことが国の制度改善につながるのですから、札幌市で先行して行うべきだと申し上げて、質問を終わります。
◆あおいひろみ 委員 私からは、重度障がい者に必要な在宅介護について2点と、生活困窮者への支援について2点お伺いします。
まず、重度障がい者に必要な在宅介護についてです。
重度の障がいがあっても住みなれた地域で安心して生活するために、重度障がい者に必要な在宅介護について質問いたします。
重度障がいのある方が地域で安心して生活を送るためには、個人のニーズに応じて、在宅で必要な支援を受けられることが必要であり、現在は、いわゆる障害者総合支援法に基づき、地域で受けられるさまざまなサービスが用意されています。重度障がいのある方が地域で受けられる介護サービスとしては、通所施設で必要な介護を受ける生活介護といったサービスなどさまざま用意されておりますが、地域生活を支えるために最も基本となるサービスは、ご自宅にいるときや外出時にヘルパーの方から身体介護や家事援助、移動支援などの必要な介助を受けることができる、重度障がいのある方のホームヘルプサービスである重度訪問介護と考えられます。この重度訪問介護については、それぞれの自治体において、1カ月に利用可能な介護時間数の上限が決められており、札幌市でも、これまで、重度訪問介護の介護時間数は段階的に拡大され、重度障がいのある方の長時間の在宅介護の充実が徐々に図られてきています。
しかしながら、札幌市では、あらかじめ定型の審査基準で定められた特定の障がい種別や障がい状況に該当しない場合は、希望する重度訪問介護の介護時間数が十分に支給されない場合があることが当事者の方からも指摘されています。そのため、札幌市においても、他政令市のように、重度訪問介護において必要な介護時間を個別に決定する仕組みの導入も含め、重度訪問介護の支給時間の決定方法など、重度障がいのある方の在宅介護のあり方について早急に検討を進めていく必要があるものと考えます。
そこで、質問ですが、まず、重度障がいのある方の在宅介護のあり方を検討するに当たり、障がい当事者や関係者からの意見を聞くため、これまでどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
◎竹村 障がい保健福祉部長 障がい当事者や関係者から意見を聞くためのこれまでの
取り組みについて、私からお答えさせていただきます。
昨年度は、障がい当事者や学識経験者、障がい福祉サービス事業者などを委員といたしました重度障がい者に必要な在宅介護のあり方検討会を計6回開催いたしました。在宅介護のあり方について、さまざまな観点から幅広く議論を行っていただいたところでございます。本検討会の議論のまとめといたしまして、本年3月には、重度障がいのある方の在宅介護のあり方に関する提言をまとめた意見書が提出されたところでございます。このほか、昨年11月には、検討会の議論も踏まえまして、重度訪問介護利用者や関係事業者に対する札幌市のアンケート調査も実施しております。
こうした検討会の開催、アンケート調査の実施のほか、障がい関係団体の方や個人の方などから個別に寄せられる声も参考にさせていただくなど、さまざまな形で幅広く障がい当事者や関係者のご意見を聞くよう取り組んできたところでございます。
◆あおいひろみ 委員 これまで、検討会の開催や重度訪問介護の利用者に対するアンケート調査の実施などにより、当事者や関係者の具体的な要望や提案といった声を参考にされながら、重度障がいのある方の在宅介護のあり方の検討に取り組んできたことがわかりました。実際に制度を利用する当事者や関係者の意見も十分に踏まえ、重度障がいのある方の在宅介護のあり方を検討していくことは、当事者主体の制度のあり方を検討するという点でとても大切な姿勢であると考えます。
繰り返しになりますが、地域で暮らす重度障がいのある方の介護サービスとして最も基本となるものは、ホームヘルプサービスである重度訪問介護と考えられますので、重度障がいのある方が希望する重度訪問介護の介護時間数を十分に確保できるように整備することは、重度障がいのある方が地域で安心して暮らすためには必要不可欠なことでもあります。そのため、札幌市においても、特定の障がいに限って長時間の重度訪問介護を支給するのではなく、他政令市のように、それぞれの介護の必要に応じて月に使用可能な介護時間数を個別に判断して決定する仕組み、いわゆる非定型による重度訪問介護の支給決定の導入を検討していくことが必要と考えます。
そこで、質問ですが、検討会の意見書とアンケート調査において、重度訪問介護の非定型による支給決定の導入に関してどのような意見があったのか、また、その意見をどのように受けとめて今後の検討を進めていくのか、お伺いいたします。
◎竹村 障がい保健福祉部長 非定型導入に関する意見とその受けとめについて、私からお答えさせていただきます。
検討会の意見書におきましては、特定の障がい種別や障がい状況にかかわらず、個別的な介助の必要性を踏まえました公平な支給決定が行われるよう、非定型による支給決定の導入が必要であることなどが意見として出されております。また、重度訪問介護利用者に対するアンケート調査におきましても、介護時間数が不足しているという意見とあわせて、介護の必要性に応じて個別に介護時間数を決定してほしいといった趣旨の意見が出されているところでございます。
こうしたご意見は、実際に制度を利用する重度障がいのある方やその関係者の実体験を踏まえた直接の声であることから、大変重要であるものと受けとめております。引き続き、非定型の導入も含めまして、望ましい在宅介護のあり方を検討してまいりたいと考えております。
◆あおいひろみ 委員 ただいまの答弁であったように、検討会でも、アンケート調査でも、障がい種別や障がい状況にかかわらず、必要な介護時間数を個別に判断して決定する非定型による支給決定の導入が必要というご意見があったことがわかりました。こうしたみずからの生活や介護体験を踏まえた意見からも、やはり非定型による支給決定の導入が必要であり、今後は導入に向けて具体的な検討を速やかに進めていく必要があるものと考えられます。重度の障がいがあっても住みなれた地域で安心して暮らすことができる在宅介護の実現に向けて、力強く取り組んでいただくことを要望いたします。
続いて、生活困窮者への支援について、2点お伺いいたします。
現在、本市では、生活保護受給者への就労支援のほかに、札幌市生活就労支援センターステップを設置しています。2013年12月、生活保護に至る前あるいは保護脱却の段階での自立支援の強化を図るために、生活困窮者自立支援法が成立、本市でも施行に合わせて就労支援センターステップが開設されました。ステップでは、就職の紹介だけではなく、心身の不調や人とうまく話せないなどの心の状態にも寄り添える場所を用意し、生活困窮者のさまざまなニーズに応えられるよう業務が行われております。
生活困窮者の仕事探しや就職に関する相談は非常に多く、ステップでは、昨年度の2,843人の相談者のうち、1,555件が仕事探しの相談とのこと、また、生活保護を受給している方に対しては、各区の保護課に1名から4名、計30名の就労支援相談員を配置して就職に向けた支援を行っていると聞いています。
昨年度は、支援によりどのくらいの方が就労したかを確認したところ、ステップでは620人の方が、生活保護を受けている方では946人が就職に至ったとのことでした。昨今の経済状況、雇用情勢を踏まえると、就職につなげること自体は以前よりも容易になってきており、就労支援のあり方も変わってきているのではないかと考えますが、就職が容易になっても、心の悩みを抱えてきた生活困窮者は働き続けることが難しかったり、札幌市のように雪が降ると仕事がなくなる状況では道外への就職に切りかえてしまう状況もあると聞いています。
そこでまず、現在の生活困窮者や生活保護受給者への就労支援の課題についてどのように捉えているか、伺います。
◎野島 保護自立支援担当部長 現在の生活困窮者や生活保護受給者への就労支援の課題に対する認識について、私からお答えさせていただきます。
現場の実感といたしましては、これまでは就労が難しかった高齢の方でも新たに仕事を見つけて増収を実現するなど、就労しやすい環境になっていると思います。一方で、さまざまな困難を抱え、自力では就労が難しい方や、就労が実現しても、何らかの理由によりそれを継続できず、すぐに退職している方もいらっしゃる、そういう現状であります。
したがいまして、相談者の状況に合わせてより一層のきめ細かな支援が求められているところでございまして、その結果、支援に当たりましてこれまで以上に時間がかかるようになっている、そういったことが課題であると認識しているところでございます。
◆あおいひろみ 委員 ただいまの答弁によりますと、職につける状況は改善されているものの、依然として困難な状況にある方も一定程度存在するという状況がうかがわれます。
ステップでは、これまでも、即座に就労することが困難な方に対して、福祉的就労を検討したり、認定就労訓練事業の活用による就労前の準備から始めたりと、相談者の状況に応じた支援を行ってきています。保護課の就労支援相談員も同様に相談者の状況に応じた支援を行っていると聞いています。そのような支援には、一定の時間がかかるのは当然であり、ぜひ、そこは手間を惜しまずに、相談者に寄り添った支援を行ってもらいたいと考えます。一方、就職はできても仕事が続かない方がいるということは、就労後も支援を継続する必要があるということではないでしょうか。
そこで、2点目の質問です。
生活困窮者が就労を継続させるためには、就労が決まった後の支援にも力を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎野島 保護自立支援担当部長 就労が決まった後の支援についてのお尋ねでございます。
就労により当面の生活不安は解消されても、過去の債務が残っているなど、必ずしもさまざまな問題が解決していない場合も多くありまして、そういった点では就労後の支援も非常に重要であると認識しているところでございます。
このため、ステップでは、就労を実現した相談者と連絡をとり、フォローアップを行っているところですが、その後において、例えば法テラスなど関係機関への同行といった就労以外の支援にも力を入れていくとともに、より効果的な支援のあり方について、今後検討していきたいと考えております。
また、就労したものの、自立に至っていない、生活保護を受給している方につきましては、担当ケースワーカーが就労後の状況を確認し、引き続き指導しているところでございます。さらに、生活保護から自立する方につきましても、ステップの情報を提供いたしまして、継続した支援が受けられるよう連携を強化してまいりたいと考えているところでございます。
◆あおいひろみ 委員 生活困窮者への支援は、相談のフォローアップの充実を図ることが大切であり、本人の状況に合わせ、きめ細やかな支援も行っているということは、生活困窮者自立支援法の理念である伴走型支援が実行されているのではないかと大変評価いたします。
要望です。
第2のセーフティネットであるステップの網目を細かくすることは、生活困窮者が社会にかかわりを持ち続ける受け皿であり、生活保護から抜け出した方が何よりも頼りにしている場所であると考えます。今後、生活困窮者の状況はますます多岐にわたる可能性もあり、引き続き、幅広い目線で支援していく必要があります。手間や時間を惜しまず、これまで以上に相談者に寄り添った支援を行うことを要望し、私の質問を終わりにいたします。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、障がいのある方の文化芸術活動の推進について質問します。
初めに、本市の
取り組み状況について伺います。
私は、障がいのある方の文化芸術活動は、自己表現の場になり、同じ障がいのある方や健常者の方、また、さまざまな方たちとの交流も生まれ、当事者にとって生きる励みとなり、地域においては、障がいへの理解を促し、誰もがお互いを尊重し合う共生社会へのかけ橋になる活動だと考えております。
私が、このことを実感したことがございました。それは、先日、北海道文化団体協議会主催のこども+アール・ブリュット 北海道みらい作品展に伺ったときのことです。この作品展は、全道の小・中学生の障がい児と健常児の絵画や書道、工芸などの作品展で、障がい児と健常児の区分けがなく展示しておりました。実際に展示物を見せていただきましたが、どの作品もすばらしくて、レベルが高く、感動いたしましたが、もっと感動したことがありました。それは、主催者から、参加者と来場者のアンケート内容を伺ったのですが、その内容は、出展した養護学校の子どもたちから自分の作品を多くの人に見てもらったことがとてもうれしかった、そして、そのご両親も子どもが頑張ってつくった作品が展示されているのを見て大変喜んでおり、一般来場者からも、とてもいい
取り組みで、これからも続けてほしいとの声が多くあったというものでした。
また、私の友人で、ALSの方がおります。その方は、発病して進行していくと自宅に引きこもりがちになりました。しかし、病気になる前から映画やコンサートが好きだったので、私は、友人たちとともに何度も誘い、また、一緒に行きました。その方は、今ではみずから積極的に映画やコンサートにも出向くようになり、SNSを通じて共通の話題を持つ知り合いもふえ、日々、張り合いを持って暮らしております。
これらのことからも、私は、改めて、文化芸術は、人々が心豊かに生きがいを持って暮らしを営んでいく上でそれを底支えしてくれる存在だと思います。札幌市文化芸術基本条例には、「文化芸術は、人々の心のよりどころとして安らぎと潤いを与え、創造力豊かな人間性をはぐくみ、人との交流や連帯感を深め、多様なものを認めあう心を養うことにより、活力と思いやりあふれる地域社会の実現と国際交流、世界平和に寄与するものである」とあります。しかし一方で、文化芸術は、日常生活上、不可欠なものではないように捉えられることもあり、そういった声も実際に伺うことがあります。理事者の皆様におかれましては、本市の目指す共生社会の実現のための大切な側面の一つに文化芸術活動があることを改めて認識していただき、着実に施策を進めていただきたいと考えているところです。
そこで、質問ですが、札幌市では、障がいのある方の文化芸術活動の支援について、現在どのような
取り組みを行っているのか、伺います。
◎竹村 障がい保健福祉部長 私から、障がいのある方の文化芸術活動の支援に対する札幌市の
取り組み状況についてお答えさせていただきます。
障がいのある方の文化芸術活動につきましては、当事者の方々の個性や能力の発揮、社会参加の促進を図る上でも、重要な活動の一つと認識しているところでございます。
札幌市では、これまでも、障がい者団体による器楽演奏やダンス、演劇等の総合的な発表会への補助、障がいのある方も気軽に参加できる音楽イベントの開催、発達障がい者当事者の会や家族会等による作品展示会等への支援などに取り組んできたところでございます。今後とも、関係団体のご意見なども伺いながら、文化芸術活動への支援に取り組んでまいりたいと考えております。
◆わたなべ泰行 委員 ただいまの答弁で、音楽イベントの発表会とかさまざまお話がありました。その
取り組みは大変すばらしいことだと思ってはおりますけれども、やはり、札幌市の
取り組みが、それぞれ個別の団体といいますか、広がりが少し乏しいような気もしております。
続きまして、障害者文化芸術推進法の施行を受けた今後の
取り組みについて伺います。
平成30年6月に、議員立法により、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が成立して、ことしの3月には、同法に基づく基本計画が国において策定されて、鑑賞・創造の機会の拡大、発表の機会の確保等、さまざまな方向性が具体的に位置づけされております。
一方、本市では、障がい者プラン2018の基本方針の中で、障がい者スポーツ、障がい者の文化芸術活動を支援し、障がいのある人の体力の増強や交流、余暇の充実を図ることで心豊かな地域生活を支援するとありますが、重点
取り組みにおきましては、障がい者スポーツへの支援は、体育施設のバリアフリー化やスポーツ大会の開催など具体的な内容が載っております。しかし、文化芸術への支援は、学習機会の提供や読書支援の推進などで、文化芸術支援の
取り組みとしてはやはり物足りなさを感じてしまいます。
私としましては、札幌市においても、この国の基本計画の考え方に沿って、障がい者の文化芸術活動を総合的、計画的に推進していく必要があると考えております。また、秋元市長の公約にも、冬季オリンピック・パラリンピック招致に取り組む都市として平和と共生社会の実現を目指すこと、また、障がいのある方がひとしく文化芸術を鑑賞し、参加、創造できるための環境整備やそのための支援に取り組むことと掲げております。
そこで、質問ですが、札幌市では、障がい者の文化芸術活動の推進に関して、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎竹村 障がい保健福祉部長 私から、推進法の施行を受けた札幌市の今後の
取り組みについてお答えさせていただきます。
札幌市では、今後の障がい者施策の総合的な検討のため、障がいのある方や支援者等に対する実態調査を行う予定でございます。この調査では、障害者文化芸術活動推進法の施行や国の基本計画も踏まえまして、文化芸術の鑑賞、活動に関する実態、ご意向についても伺う考えでございます。この調査結果を踏まえて課題を整理しますとともに、関係団体のご意見なども伺いながら、障がいのある方の文化芸術活動の推進につきまして検討してまいりたいと考えております。
◆わたなべ泰行 委員 ただいまの答弁で、実態調査をやっていただけるということで大変期待しております。また、関係団体から話を聞いていくということで、しっかりと実態を把握し、ニーズをつかんでいただければと思っております。
やはり、大事なことは、障がいのある方たちに、これから文化芸術活動への参加、創造、そして発表の機会、こういったことが確保されていく、これが本当に大事なことでございます。今回の実態調査の結果次第だとも思いますが、必要があれば、本市でも、国のように、障がいのある方の文化芸術活動の推進の基本計画の策定もぜひ検討していただきたいと思っております。
最後に、要望です。これは保健福祉局だけのことではないですけれども、やはり、これからは、札幌市においても、多様な立場の方々にとって文化芸術の価値に触れる機会が確保され、共生社会の実現に向かっていくことができるように、関係部局が幅広い視野を持って進めることを要望しまして、私の質問を終わります。
◆長屋いずみ 委員 私からも、2015年4月に始まった生活困窮者自立支援制度について、現状と今後に関して3点の質問をさせていただきます。
生活保護へ至る手前で困窮者を支援する生活困窮者自立支援法が施行され、4年目を迎えました。この制度により、福祉事務所のある全ての自治体に自立相談所の窓口が設置されました。本市でも、複合的な困難を抱えた生活困窮者に包括的な支援をするために、相談窓口をステップに委託し、市内中心部に支援員を集約、配置することにより運営を行い、生活困窮者の社会参加を妨げている問題の解決とあわせて就労支援を行ってきたと承知しております。
委託先である札幌市生活就労支援センターステップでは、生活に困っている方々のさまざまな相談を受けており、昨年度は2,843件の相談であったと、先ほどの質疑の中でお聞きしました。中央区の窓口だけでなく、区民センターなどにも出張して相談窓口を開設しながら、生活困窮者のさまざまな困難を幅広く把握し、支援を行っていると伺いました。相談内容も仕事以外の多種多様な相談がふえてきている、そういう印象です。
そこで、1点目の質問ですが、ステップにおける現在の相談の特徴はどのようなものなのか、また、それに対してどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。
◎野島 保護自立支援担当部長 ステップでの相談の特徴と、それに対する支援についてお答えさせていただきます。
ステップでは、就労に関する相談が多く、就労支援が大きな割合を占めている一方で、就労以外の何らかの問題を抱えているけれども、どこに相談に行ってよいかわからない、そういった方の相談を受ける機会がふえてきている、そういったことを実感しているところでございます。また、ひきこもりなど、設立当初は余り想定されていなかったような方の相談も見られるようになっておりまして、種類を問わず、何らかの困り事についてあらゆる相談を受けているのが特徴の一つと言えると思います。
支援は、相談者の方に寄り添って話を伺うことが基本でありまして、また、就労以外の相談の場合につきましては、課題を整理し、適切な専門機関に同行してつなぐ、そういった支援を行っているところでございます。
◆長屋いずみ 委員 就労支援、その他の相談も非常に多くなってきているということでした。相談内容は、多岐にわたり、複雑化、また長期化しているもの、そんなふうに推測されます。社会とのかかわりが薄い方、コミュニケーションが難しい方への就労支援や、60歳以上の就職相談も多く、中には、90代の高齢者の相談、さらに、多重債務を抱えた方の相談もあると、先ほどの質疑の中でもお聞きしました。
生活困窮者が抱えている課題は多種多様であるため、それぞれの状況に応じた支援が必要だと思います。未就労の状態が長く続いたために自信をなくしてしまったり、生活リズムが崩れているなどの課題を抱えた方も多い、さらに、社会とのかかわりが薄い方々にも、担当者制によってステップの就労支援員が就労まで支援を行っているとお聞きしました。一人一人それぞれの就労に向けた準備や支援には、困難も伴うと思います。多種多様な相談を支援するに当たり、いろいろな知識も求められていくと思います。
そこで、質問ですが、どのように支援員の専門性を高め、育成していこうと考えておられるのか、伺います。
◎野島 保護自立支援担当部長 ステップにおける支援員の専門性をいかに高め、育成しようとしているかという点についてお答えさせていただきます。
ステップでは、25人の支援員全員がキャリアコンサルタント等の資格を有しておりますが、ステップの役割は、就労支援だけではなく、種類を問わず相談に乗って課題を整理し、相談者が適切な支援につながるよう手助けをすることと認識しております。したがいまして、全ての問題を解決するための専門性ではなく、適切な専門機関による支援につなげるために、さまざまな分野での知見を向上させることが大変重要であると考えているところでございます。
そのため、国で実施しています支援員向けの研修への参加や、各専門機関とネットワークを構築し、頻繁に情報交換を行う機会を設けるなど、支援員の知識の向上に努めているところでございます。
◆長屋いずみ 委員 専門性といっても、委託ですので、市はさまざまな支援をしっかりとすべきです。
支援員は、生活困窮者の困窮の背景にある困難も含めた個々の状況に応じて、就労支援だけでなく、関係機関につなぎながら包括的に支援を行っているとのことでした。この事業の中で築き上げてきた関係性なのだろうと思いますし、重要な事業だ、そんなふうに感じました。支援体制の構築という点では、複雑化した問題解決のために、今後もますます求められていくと思います。また、支援員の雇用の安定と処遇の改善も重要な課題だと感じました。
では、次に、広報についてお伺いいたします。
現在は、広報さっぽろや町内会での回覧、ホームページ、チラシ、新聞などで幅広く広報していると承知しております。しかし、まだ相談につながっていない方々も数多くいらっしゃることが想定できます。現在の広報にとどまらない施策も必要かと思いますが、どのようにお考えか、伺います。
◎野島 保護自立支援担当部長 ステップのPR、周知等についてお答えさせていただきます。
ステップでは、区役所や地下鉄駅構内、公的機関、民間事業所にポスターの掲示であるとかパンフレットの配布をお願いするとともに、ホームページにより事業の周知も行っているところでございます。これらの公的機関や民間事業所へは、ステップの職員が直接訪問して事業説明を行い、理解を深めていただくとともに、ステップへの相談を案内していただくよう、協力を依頼しているところでございます。こういった
取り組みにより関係機関のネットワークが広がっておりまして、相互に支援対象者をつなぎ合う機会もふえまして、相談件数が増加していく一つの状況だと認識しております。
今後のPRについてでございますが、SNS等での周知は非常に有効であると思っておりますけれども、反面、情報がひとり歩きする、正確性を欠く危険性もあることから、慎重に検討したいと考えておりまして、引き続き、より効果的な周知方法について検討してまいりたいと考えております。
◆長屋いずみ 委員 ポスター、パンフなどいろいろ取り組んでいらっしゃる、今後も検討していくと答弁いただきました。支援が必要な方に情報が届くように、今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。