(2)として、市内の
福祉施設約6,400カ所に速やかに
防火対策の徹底を求める文書を送付しております。
(3)として、
合同会社なんもさ
サポートが運営するその他の物件につきまして、立入検査を実施しております。あわせて、同社の代表と副代表から
事情聴取を行っております。
(4)として、
類似物件の
実態調査につきましては、大きく3点ございます。1点目は、
有料老人ホームの疑いがある物件の
実態調査、2点目として、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設の実態の把握、3点目として、昭和50年以前に新築された古い木造の下宿または寄宿舎に対する査察等でございます。
(5)として、庁内の
緊急対策会議を、2月1日を1回目として、合計3回実施してきました。
続きまして、3ページ目をごらんください。
その後の
報告事項としまして、1点目として、「そしあるハイム」が
有料老人ホームに該当するか否かの判断につきましては、結論としては
有料老人ホームには該当しないと判断し、2月22日に
厚生労働省に報告しております。
有料老人ホームの
判断基準としては大きく二つありまして、一つは老人が入居されていること、二つ目として入居されている老人に入浴あるいは食事等の何らかのサービスを少なくとも一つ行っているということです。しかし、今回の「そしあるハイム」につきましては、食事の提供を行っていたことは確認されましたが、高齢者以外の者も当然に入居できるようなものでしたので、
有料老人ホームには当たらないと判断させていただきました。
(2)
類似物件の
実態調査の結果についてでございます。
有料老人ホームの疑いがある物件の
実態調査につきましては、昨年8月時点で
アンケートの未
回答施設28施設について継続的に調査を行いました。その結果、この表にございますとおり、未回答はゼロになり、未
届け有料老人ホームが10施設ふえ、非該当が11施設ふえ、
継続調査も8施設ふえたところでございます。この
継続調査の22施設につきましては、今年度末をめどに、未届けなのか、あるいは非該当に当たるのかを判断し、調査を終了したいというふうに考えております。
続きまして、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設の
実態把握についてでございますが、結果として127件の該当物件があり、このうち、下宿型で、未
届け有料の疑いがある物件を除くと28物件となり、このうち既に
調査済みのものが2件ございますので、それを引いた26物件について、今後、実地に調査を行う予定でございます。
続きまして、4ページ目をごらんください。
ウの昭和50年以前に新築された木造の下宿または寄宿舎に対する査察の結果等でございます。
米印が二つございますが、消防法令上の指摘があったのが5件、
建築基準法上の指摘が13件という結果になっております。
5番目の今後の
取り組みについてでございますが、まず、
取り組みの方向性としまして、高齢者や
生活困窮の方々の安心・安全な暮らしを確保するため、
類似施設の
実態把握、あわせて、札幌市がすべきことを検討し、着実に実行していくということでございます。
今後としましては、大きく3点ございます。
1番目として、
状況把握・
情報共有についてでございます。2番目として、次のページになりますが、
防火対策についてでございます。最後に、3番目として、
居住支援についての大きく三つに分けて今後取り組んでいくことにしております。
まず、4ページ目の
状況把握・
情報共有についてでございます。
先ほど来ご説明しておりますが、
法的位置づけのない施設については、今後、
実態調査を行っていく予定でございます。また、
生活困窮などの支援を行っている事業者などに対しては、今後、情報交換あるいは意見交換を行っていきたいと考えております。あわせて、地区の
民生委員児童委員協議会、あるいは
防火委員などの地域団体との連携も重要でございますので、これらの団体との
情報共有の強化について、どういう
取り組みができるか、
仕組みづくりについて検討してまいりたいと考えております。
続きまして、5ページ目でございます。
防火対策についてでございますが、1点目として、施設の管理者などに対する
防火研修会の開催や避難訓練の実施など、きめ細やかな
防火管理指導を検討してまいりたいと考えております。
次に、
有料老人ホームの疑いのある事業所に対しても広く出席を求めて、
防火対策を含めた正しい
制度理解を促すための説明会を開催したいと考えております。
居住支援につきましては、
生活困窮者の方々の居住の支援について、何ができるか検討してまいりたいというふうに考えております。
最後に、6番目の国への要望事項でございます。
1点目としまして、
スプリンクラー設置費等の補助制度については、今年度末で終了する予定でございましたが、既存の
小規模施設等における
スプリンクラー設備等の整備事業について継続を国へ要望したいと考えております。あわせて、この
小規模施設は
延べ床面積が1,000平米未満という制約がございますので、
延べ床面積の拡大についても要望してまいりたいというふうに考えております。
次のページでございますが、2点目として、
有料老人ホームに該当するか否かについて、非常に判断の難しい事例が多々出てきております。このため、これは全国的な問題でございますので、国に対して明確な
判断基準を示していただけるよう要望してまいりたいと考えております。
最後になりますが、
無料低額宿泊所の
判断基準につきまして、平成32年4月1日の改正法の施行までに、
無料低額宿泊所の
判断基準あるいは
日常生活支援の定義などについて、実態に見合ったものとなるように十分な協議の機会を設けていただけるよう国へ要望してまいりたいと考えております。
○
中村たけし 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
中川賢一 委員 私からは、今回の
共同住宅の火災を受けまして、今後、本市としてどのように実態に即した対策をとっていくのかという観点で、何点かお伺いしたいと思います。
質問に当たりまして、まず冒頭に、今回の痛ましい火災でお亡くなりになりました方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきますが、今回、火災のありました建物は、高齢者または
生活困窮者の方々が居住している
共同住宅となっておりまして、市としましても、以前から
有料老人ホームの実態があるのではないかということで調査を実施していた物件でございましたが、今のご報告では、そういったことはないと判断されたと伺いました。
火災の
原因究明につきましては、まだまだこれから時間を要する部分もあり、また、市内には類似の物件も多々あるということでございますけれども、いずれにしましても、今後最も重要でありますのは、このような火災による被害の発生を極力防いでいくことであります。このことは、こういった施設の設置の目的とか、利用されている方々の事情がもろもろあるかとは思いますけれども、今後は火災を発生させないでいくということがまずは最優先させるべき事項かなというふうに考えます。
その上で、今回のように、高齢者や
生活困窮者、いわゆる
生活弱者と言われるような方々がよりどころとしている施設の
安全対策を現実に即してどう講じていくかということが、あわせて重要な視点となってくるわけでございます。そのためには、まず、市内にある同様の施設の状況や
安全管理の実態などをできる限りしっかりと把握していくことが出発点となり、そういったことで、本市も、本日報告いただきましたような
実態調査をされていると理解しております。
そこで、まずは今回の調査について確認させていただきますが、今回の
調査対象としている
類似施設とはどのような施設を指しているのか、また、それらを調査していく目的について、あわせてお伺いしたいと思います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 まず、
類似施設がどのような施設になるのか、それから、今回の
調査目的ということでございます。
まず、
類似施設とは、高齢者や
生活困窮者が住んでいる
共同住宅のうち、「そしあるハイム」と同様の形態と思われるものであります。具体的には、
有料老人ホームの疑いがあり、
アンケート調査に未回答の建物とか、
生活保護受給者が2名以上利用していて、住宅の提供以外に料金を徴収している建物、あるいは、昭和50年以前に建てられた木造で下宿型の建物が該当するものと考えております。
このような施設に対して、高齢者や
生活困窮者の方々の安全・安心な暮らしを維持できるよう、建物の点検と事業者への注意喚起を目的として、
保健福祉局、都市局、消防局の3局が連携して調査を実施したところでございます。
◆
中川賢一 委員
調査対象の総数は結構ございますが、それらに対して
保健福祉局、都市局、消防局の三つの部局が連携して調査を実施したということでございます。
次に、対象となったこれらの
類似施設につきまして、三つの部局は、それぞれどういった観点で、どのような調査を行ったのか、この点を伺いたいと思います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 どのような観点で、どのような調査を行ったかということについてでございます。
まず、
保健福祉局では、
有料老人ホームの疑いがある物件のうち、
アンケート調査未回答のものについて、高齢者の入居状況、あるいは、提供されているサービスの内容といった
運営実態の把握のために実地による調査を実施いたしました。あわせて、消防法上の確認としましては、
消防用設備が適切に維持管理されていること、避難経路に物品等が置かれていないこと、たばこや
火気管理など
防火管理に不備がないことなどを確認いたしました。また、
保健福祉各法の
位置づけに基づき、
建築基準法上の用途を判断し、主に
防火避難規定に関する調査を実施したところでございます。
◆
中川賢一 委員 消防局、都市局では、それぞれ建物、消防、火災、
安全管理の調査をされたということですが、現時点での調査結果を見ますと、若干の指摘をせざるを得ないような事項のある建物もあったということでございます。
防火上の不備あるいは施設の未届けのように施設の設置や運営上の不適切な部分があった場合につきましては、当然、それらを改善していくことが大前提になると思います。ただ、今回のように、施設が高齢者や生活に困窮しておられる方々のよりどころになっている場合も多々あって、四角四面にこれらの是正を求めていくことによって彼らの行き場がなくなるようなことが起きてしまってはいけないので、こういったことに配慮していくことも同時に求められるわけでございまして、市長もさきの記者会見におきましてそのあたりの懸念を示されていて、非常に難しく、いろいろな判断を求められるのかなと思います。
そこで、もう一つ、札幌市としては、今回の調査を踏まえて今後どういった課題認識を持って対応していくお考えなのか、お伺いしたいと思います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 今回の調査結果を踏まえた今後の対応についてでございます。
今回の調査を通じて、火災などが発生した際の
防火意識が不十分であったと感じております。こうした事故を防止する上でも、事業者については、改めて認識を高めてもらう必要があるものというふうに考えております。平成30年度から新たに実施する未届けの
有料老人ホームの実地指導においては、
防火意識の啓発を行うとともに、事業者の考え方などを十分把握した上で、届け出の促進等、適切な運営がなされるよう助言・指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、今後、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設のうち、「そしあるハイム」と同様のいわゆる下宿形態の物件の
実態調査を予定しておりますが、火災の危険性を確認するとともに、
建物管理者の理解を得つつ、
防火意識の啓発に努めてまいりたいと考えております。
それから、
生活困窮者の方々の住まいにおける
防火安全対策については、
厚生労働省、消防庁、
国土交通省の3省庁から発出された
防火安全対策の通知に沿って対応策の検討を進めていくとともに、改善が必要な場合におきましては、必要な改修工事までの十分な時間的猶予を確保するなど、入居者の生活に配慮しつつ、早期改善が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
◆
中川賢一 委員 今回の事故から出てきた課題ですが、施設の
安全管理とか、その近くの周辺住民の安心な
日常生活を確保していくことが最優先だと思います。ただ一方で、生活に困窮されている方々の暮らしをどう守っていくのかというところがあり、非常に難しいかじ取りが求められる課題になってくるのかなと思います。
そうであるからこそ、今後いろいろ調査されていくというお話がございましたが、実態がどういう状況にあるのかということをできるだけ客観的にしっかりと把握していただくことで、初めて課題が合理的に整理されていくのではないかなと考えます。今後も調査は続くということですけれども、そういった点を意識して、しっかりと
実態把握に努めていっていただくことを求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆
小川直人 委員 私からも、冒頭、今回の
火災事故でお亡くなりになった方のご冥福と負傷された方の一日も早いご回復を心からご祈念申し上げたいと存じます。
それでは、質問に入らせていただきます。
ただいま、東区の
共同住宅火災にかかわる今後の
取り組みについて説明がありました。それらについて、何点か質問させていただきたいと思います。
1月31日に発生した東区
共同住宅火災を受けまして、本市では、今後、このような痛ましい事故が繰り返されることがないように、高齢者や
生活困窮者の安全・安心な生活をいかに確保するか、各
関係部局と連携の上、検討を重ねてきたという説明がございました。
今回、火災が発生した「そしあるハイム」は、入居者16名のうち、多くが高齢者で、一部介護が必要な方や障がいのある方がいらしたと伺っております。また、その中に、
生活保護受給者も13名が入居していたということであります。
しかし、本市では、この建物の
法的位置づけを、
有料老人ホームでも
無料低額宿泊所でもなく、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設として国に対して報告したという説明が先ほどございました。さらに、本市には、このような
法的位置づけのない施設が平成30年1月末時点で127件あり、未
届け有料老人ホームが疑われる施設を除いて、「そしあるハイム」と同様のいわゆる下宿のような形態の住居が28件あるということでした。さらに、3月20日付で、国の関係省庁から
生活困難者等の住まいにおける
防火安全対策の助言等について通知が出されております。こうした住居への
防火安全対策は全国的にも大きな課題でありますし、今回の
火災事故というのは、全国的にも非常に注目された
火災事故だったというふうに受けとめております。当然、本市の今後の
取り組みをどうしていくのかということが非常に注目されているところだと思っております。
そこで、質問ですが、今後、札幌市として
生活困窮者の住居への
防火安全対策についてどのような
取り組みを行っていくお考えなのか、お伺いいたします。
◎大野
保護自立支援担当部長 生活困窮者の住居への
防火安全対策についてでございます。
札幌市では、今回の火災発生以後、同様の事故を防止すべく、これまでに、
社会福祉施設への
防火対策の徹底を求める通知の送付、事故のあった建物の
管理運営をしていた
合同会社なんもさ
サポートの調査など、実行できる対策について速やかに行ってまいりました。引き続き、
火災事故の
原因究明や
社会福祉各法に
位置づけのない施設の
実態調査を進めるとともに、今後は、
生活困窮者などを支援する
事業者等との情報や意見の交換、
区保護課ケースワーカーに対する
防火研修の実施、届け出の有無を問わず、
有料老人ホームを運営する事業者に対して、
防火対策を含めた正しい
制度理解を促すための説明会の開催を実施することとしております。
また、今回被災された方の多くは
生活保護を受給されていたことから、アパートなどに住まわれている
保護受給の方全員に対して
防火意識を啓発するためのリーフレットの配付を行うものであります。
◆
小川直人 委員 ただいまの答弁で、今回の火災を受けまして、本市は率先して
防火安全対策にかかわる
取り組みを実施していくことが示されたわけであります。ただ、国の通知によりますと、
生活保護ケースワーカーが「そしあるハイム」のような物件を把握している場合、速やかに訪問し、入居者への防火安全の助言を行うとともに、防火安全の点検を行うことを求めております。
ケースワーカーが既に多くの業務量を抱えていることは認識しておりますが、今回のような
火災事故を未然に防ぐには、
生活保護受給者を直接担当する
ケースワーカーの助力も重要な要素となってくると思っているところであります。
そこで、質問ですが、
類似施設への入居者への
防火安全対策として、
ケースワーカーがどのような
取り組みを行っていく考えか、お伺いいたします。
◎大野
保護自立支援担当部長 ケースワーカーの今後の
取り組みについてでございます。
本年3月20日付で発出された国の通知では、未
届け施設や
類似施設を把握している場合は、
ケースワーカーが速やかに訪問して建物の
防火安全点検を行うこととされておりますが、通知に該当する物件は、既に
関係部局または
本庁所管課による調査を実施済み、または、近日中の調査を予定しているところです。今回に限っては、
ケースワーカーが直接点検する必要はないものでございます。
ケースワーカーが日々の
訪問調査の中で防火安全の視点を持って建物などの点検を行うことは、
専門的知識を持たないことから難しい側面がございますが、明らかに危険な状況を察知する視点の醸成は必要であるため、4月以降、消防局の協力を得て防火安全に係る研修等を実施するなどして、防火安全に向けたより効果的な仕組みを検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆
小川直人 委員
ケースワーカーに対して研修を実施するのは必要なことだと思いますが、現在、高齢者や
生活困窮者の安全・安心な生活を確保するために、
防火安全対策以外にも検討、実施すべき課題は山積していると思っております。そうした中で、
ケースワーカーが過度な業務負担とならないように、十分な配慮もお願いしたいというふうに思います。
一方、本市では、本件に関しまして、
関係部局が連携して対応の検討を行うべく、これまで3回の
緊急対策会議を行ってきたという報告がございました。その中で、今回の
取り組みとして幾つか検討課題を挙げ、実施時期を明記しております。
そこで、質問ですが、今回の
取り組みの中にある
生活困窮者の
居住支援の検討とは具体的にどのようなことを考えているのか、お伺いいたします。
◎大野
保護自立支援担当部長 生活困窮者の
居住支援の検討についてでございますが、住居の確保というハードと、そこで安心して暮らすための
生活支援というソフトの両面から検討する必要があると考えております。例えば、住居の確保について、市営住宅の空き住戸の活用や、
生活困窮者が安心した暮らしを実現していくための見守りや
生活支援などの検討も必要と考えております。
また、改正が予定されている
生活困窮者自立支援法においては、
シェルター等の
施設対象者や地域社会から孤立している方に対する訪問等による見守り、
生活支援の創設などにより
居住支援を強化しようとしております。こういった今後の国の
制度改正状況なども注視しながら、高齢者や
生活困窮者が安心して
日常生活を送ることができる
居住支援のあり方も検討してまいりたいと考えております。
◆
小川直人 委員
生活困窮者の
居住支援の検討の中の具体的な部分について、今お話をいただきました。聞いていて、非常に大事な点だと私も感じたところであります。今回の火災というのは、高齢の
生活保護受給者を中心に14名が死傷される大惨事でありました。このような痛ましい事故を二度と繰り返さないために、冒頭、岸副市長からも札幌市としての決意、思いが私どもに示されました。答弁がありました対策はこれから具体的に検討されていきますけれども、この対策は本当に必要な対策だと思いますので、さらに
スピード感を持って、実効性のある対策にしていっていただきたいと思っているところであります。
今回の施設は
法的位置づけのない施設ということで、私どもは、対応するにも難しい側面があるのではないかと率直に感じております。また、
生活保護受給者が多くいらっしゃるということであれば、どうしても、ふだん接している
ケースワーカーにいろいろな力をかしていただかなければいけないと思っております。先ほどからお話ししているとおり、今回の議会でも、
ケースワーカーの方は非常に負担が多いということが議論されておりますし、私どもはそういった現状にあるのだろうと認識しております。ともすれば、
ケースワーカーの方のモチベーションの低下を招くのではないかという懸念もしておりますので、そういった点も十分配慮していただきながら、二度とこういった火災を起こさないような対策をしっかり立てていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆
福田浩太郎 委員 私からも、冒頭、このたびの火災におきましてお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、今後、二度とこのような事故があってはならないという思いで質問させていただきたいと思います。
このたび火災がありました「そしあるハイム」は、
合同会社なんもさ
サポートというホームレス支援団体が建物の
管理運営を行っており、入居者への食事の提供のほか、病院や買い物への付き添いなど、生活全般について支援されていたと聞いております。
生活保護受給者や高齢者が多く入居していましたが、札幌市の判断では、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設とのことでありました。
私どもは、このたびの「そしあるハイム」のような住宅の運営形態は、高齢者や
生活困窮者の居場所として一定程度必要なものと考えるところでございます。しかし、そういった方々が多く入居する住宅として、
法的位置づけのない施設のままだと、消防設備等の規制も一般の
共同住宅と同じであるなど、防火安全面では不十分だと言えます。また、入居者の安全を守るため、建物の
管理運営者に対して必要な指導を行うことにも限界がある実情がございます。
そこで、質問ですけれども、行政としての関与が可能となるように、複数の
生活保護受給者を住まわせ、何らかの支援を行うこのような集合住宅等に対し、明確な
法的位置づけをすべきであると考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎大野
保護自立支援担当部長 住居に対する
法的位置づけについてでございますが、適切な
防火安全対策が行われるよう、建物の
法的位置づけを行うことは重要であると認識しております。しかし、明確な
法的位置づけをすることは、建物の
管理運営者と利用者の双方にとってメリットとデメリットがあると考えております。建物の
管理運営者にとっては、法令等に基づき
管理運営を行うことで、入居されている方の安全が確保されるとともに、安全な建物を提供していることを対外的に発信できることから、利用者へアピールすることが可能となります。一方で、規制等に適合する
管理運営を行うために、コスト増が避けられず、結果的に利用者の負担増が懸念されます。また、これまで、行政とは一定の距離を置き、比較的柔軟な支援形態をとってきた運営団体にとっては、不自由さを感じさせることもあります。
いずれにしましても、規制の強化によって高齢者や
生活困窮者の居場所が失われてしまうことのないように、最大限配慮がなされなければならないと考えます。今後も、これらの方々の安全・安心な暮らしをどのように確保するか、行政として何ができるかを継続的に考え、対策を検討してまいりたいと考えております。
◆
福田浩太郎 委員 現状における
法的位置づけのメリット・デメリット、困難さ、課題について、札幌市の認識を改めて確認させていただきました。
ただ、札幌市としても、高齢者や
生活困窮者の安全・安心な生活の確保が最も重要な課題であることも確認できたところでございます。お話にもありましたが、建物の明確な
位置づけは必要でありますが、規制によって高齢者や
生活困窮者が居場所を失ってしまうことがないようにしていただきたいと思うものであります。
さて、今般、
社会福祉法等の改正が国会に提出されておりまして、平成32年4月の施行が予定されております。その中で、
無料低額宿泊所への規制強化とともに、単独での居住が困難な
生活保護受給者への支援として、施設の最低基準を満たす
無料低額宿泊所等において、入所者へ食事の提供や病院の付き添いなどの
日常生活支援を行う事業に対する委託事業の創設が予定されております。
私どもは、劣悪な住環境や食事しか提供しない、いわゆる貧困ビジネスに対する規制強化は当然必要なことだと考えております。しかし一方で、貧困ビジネスとは無縁であり、高齢者や
生活困窮者のためにさまざまな支援を親身になって行っているが、運営が厳しい事業者も多いということも承知しております。そのため、このような悲しい事故が繰り返されないためにも、建物への十分な
防火安全対策とともに、建物の
管理運営団体等が安定してこのような方々への支援を行っていただくことができるように、支援の枠組みが必要であると考えているところでございます。
そこで、質問ですが、今回の法改正によって新たに予定されている施策などに対し、現時点で札幌市はどのように対応していくことを考えているのか、お尋ねいたします。
◎大野
保護自立支援担当部長 法改正における国の施策に対する札幌市の対応でございます。
法改正の動向については今後も注視していきますが、
無料低額宿泊所の規制強化と
日常生活支援の委託事業化は、法律が改正されてから施行までに2年の期間がございます。今後、改正法の施行までに、国に対して
無料低額宿泊所などの
法的位置づけに関する
判断基準や、
無料低額宿泊所の最低基準や規制の手続、入所者への
日常生活支援の定義や手続が、札幌市を初めとした自治体の実態に即したものとなるように要望してまいりたいと考えております。
あわせて、入所者への
日常生活支援の委託実施に向けて、委託できる団体等を幅広く設定し、柔軟な対応が可能となるように配慮いただくこと、規制の強化によって高齢者や
生活困窮者の安定した居場所の確保が困難とならないように、十分な協議の機会を設けてもらうとともに、積極的に意見交換を行ってまいりたいと考えております。
◆
福田浩太郎 委員 改正法の施行までには、もうしばらく時間がかかります。今後とも、行政各部署や事業者と連携を強化していただいて、
安全対策を油断なく実施していただきたいと思います。また、改正法施行に向けては、ご答弁にもありましたが、国とも十分な協議や意見交換を行い、支援する方々が活躍しやすい仕組みとなるように、また、決して高齢者や
生活困窮者の安全・安心な居場所をなくすことのないように、そして、このたびの痛ましい火災の当事者である札幌市がしっかりと国に求めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆平岡大介 委員 私からも、冒頭、今回の火災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
私からは、
ケースワーカーの防火点検、
ケースワーカーの対応、とりわけ高齢者の身体的な評価について、市営住宅の整備と軽費老人ホームの整備について、大まかに4項目にわたり質問させていただきます。
我が党は、今回の定例会の代表質問で、この
火災事故にかかわる質問をいたしました。市長は、こうした痛ましい
火災事故をなくすためには、どのような課題があり、何ができるのかを検討していくと答えているとおり、ケース記録を含めた徹底した検証と、そこから導き出される今後の対策が求められているというふうに思います。
まず、1点目として、
ケースワーカーの防火点検について伺いたいと思います。
先ほどからの質疑で明らかのように、「そしあるハイム」の入居者のほとんどが
生活保護受給者でありました。先ほどの質疑でも触れられておりましたが、改めて、今後の対策について伺います。
今後の対策として、担当
ケースワーカーが担当
保護受給者の住む住宅の防火点検を行って、改善指導や転居情報の提供、また、転居費用の支給を行うと聞いておりますが、ただでさえ忙しい
ケースワーカーが防火点検の知識を身につけて点検しなければならず、業務負担がふえることになるのではないかという懸念がありますけれども、その点をどのように考えているのか、それから、技術的にはどのようなことが可能になるのか、あわせて伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 ケースワーカーの業務負担の増についてと、技術的にどのようなことが可能かということでございます。
先ほどもお答えしましたとおり、
専門的知識を持たない
ケースワーカーが防火安全の観点から建物を点検することは難しいと考えております。また、3月20日付の国からの通知では、
ケースワーカーがチェックリストを使って確認することを求められており、従来の
ケースワーカー業務に新たな業務が加わることで、負担の増加があるものと考えております。
しかし、今回の火災で
生活保護を受給していた方を含む11人ものとうとい命が失われた事実を重く受けとめて、被保護者の安全・安心な生活を確保することが大切な課題でございますので、専門的な見地からの点検を行うことは困難でございますが、
ケースワーカーの過重な負担とならない形で、防火安全の確保に向けて可能な限りの対応を行ってまいりたいと考えております。
◆平岡大介 委員 今、大野部長からの答弁で、専門的な見方という点では限界があること、それから、過重な負担とはならないようにするけれども、新たな業務が加わることで負担はふえるという事実を確認させていただきました。
先ほど、新たな国からの通知などのやりとりもございましたが、実は、ちょうど9年前、2009年3月19日、群馬県渋川市の高齢者が入居する施設において火災が発生いたしまして、10名の入居者が死亡した事故がありました。この
火災事故をきっかけに、同年3月25日に、各都道府県、指定都市、中核市の民生主管部局長宛てに
厚生労働省から
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設・
共同住宅を利用する
生活保護受給者の防火安全体制の確認についてという通達が出されております。
内容をご紹介させていただきますが、一つは、
生活保護受給者が、
社会福祉各法に
法的位置づけのない施設、
共同住宅を利用する場合は、利用する前に、当該施設等における住環境や処遇等に加えて、今後、
消防用設備等の状況や避難通報体制等の防火安全体制についても確認されたい、二つは、
生活保護受給者が当該施設等を既に利用している場合は、当該施設等の事業者に対する聞き取り、または、通常の
訪問調査を通じて防火安全体制についても確認されたい、三つは、防火安全体制の確認に当たっては、別添2のとおり、消防庁予防課より通知が発出されているので、これを参考にするとともに、
生活保護法に限らず、法令に違反すること、または、その疑いがあることを発見した場合には、所管の消防署等の当該法令を所管する関係機関に情報提供されたいという内容であります。
この内容は、実際に札幌市の現場の
ケースワーカーに対してきちんと周知がなされていたのか、この点を伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 平成21年3月19日発生の
火災事故を受けて発出された通知についてでございます。
この
火災事故の発生を受けて実施した緊急点検の結果、札幌市では、未届けの
有料老人ホームを含め、
法的位置づけのない施設、
共同住宅に約700人の被保護者が入居していることが判明いたしました。このことから、その後、発出された委員がご指摘の通知を踏まえ、平成21年4月28日に開催した会議において、各区に対し、今後は、被保護者が該当施設に入居予定あるいは入居している場合は、
消防用設備等の状況や防火安全体制を確認することを依頼しておりました。
◆平岡大介 委員 それでは、現場で具体的にどのように周知されていたのかという点を聞きたいと思います。
この通知の別添2で何が書かれているのかというと、喫煙等の
火気管理が適切になされていること、それから、階段、通路など避難経路が適切に管理されていることというふうに、ある種のマニュアルというか、留意事項がありますけれども、具体的にマニュアルがつくられていて、それが
ケースワーカーに渡っていたのか。今回新しく点検するという項目にも、たばこの吸い殻の管理だったり、廊下や階段の状況だったり、この通知とも重なっている部分もあるのですけれども、具体的にそうしたチェック項目のマニュアルがつくられて、それが
ケースワーカーに渡っていたのか。
それから、先ほど紹介した3の中に、法令に違反すること、またはその疑いがあると発見した場合には、所管の消防署等に情報提供されたいということでしたが、実際に
ケースワーカーから消防に通報といったものがあったのか、そのことを確認したいと思います。
◎大野
保護自立支援担当部長 当時、通知で定められた内容は防火安全体制の確認ということであって、今回の国からの通知のような具体的なものではございませんでした。ただ、委員からご指摘がありましたとおり、消防に対する通知を引用する形でなされておりまして、これについては、専門的な知識ということで、マニュアル化されたということは確認されておりません。
◆平岡大介 委員 平成21年4月28日に会議を開いて確認されたということですが、こういった会議での確認というのは、保護課の中で毎年行われているものでしょうか、伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 会議自体は、大体月1回、定例でなされるものですが、防火の確認についての再度の周知なり依頼というものはなされていないということを確認しております。
◆平岡大介 委員 ちょうど9年前の通達の内容が実際に現場でちゃんと確認されて周知されていたのかという点では、ちょっと疑問に思う答弁でありました。
例えば、築50年の建物で防火体制については大丈夫なのかというのは、専門家でなくても感じるところでありますけれども、
ケースワーカーがそういうふうに感じた場合には、消防に対して点検の実施をお願いできるような連携が今後は必要なのではないかと思いますので、ここで、保護課職員の確認とあわせて、消防局との風通しのよい連携を求めておきたいと思います。
次に、
ケースワーカーの対応について、「そしあるハイム」に入居されていた高齢者の身体的な評価について伺いたいと思います。
担当の
ケースワーカーが、
保護受給者の生活実態を把握し、高齢化に伴う身体的変化と、住まわれているところ、例えば階段などの住居の環境といった状況に対応して住みかえとか施設の入所などを検討することは、訪問時に実際に対面していろいろと話して部屋を見てというところで非常に重要なことだと思うのですけれども、その役割についてどういうふうに考えているのか、伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 ケースワーカーの対応についてでございます。
ケースワーカーは、家庭訪問時において、被保護者の健康状態や生活状況を適切に把握し、その状態や状況に応じて医療機関への受診や介護、障がいサービスへつないでおります。また、身体の状況等から、設備構造が居住に適さないと認められ、本人から転居等の相談があった場合には、引っ越し代や敷金等の支給といった転居の支援を行うのみならず、単独での居住生活が困難と認められる場合は、在宅サービスを導入したり、救護施設、介護施設、障がい施設への入所を検討することなどをしております。
以上のように、
ケースワーカーは、被保護者が安心・安全な生活を送ることができるよう配慮しており、大切な役割を果たしていると思っております。
◆平岡大介 委員 大切な役割であると認識していると答弁されました。
これまでの我が党の質疑の中で確認してきたのですが、担当の
ケースワーカーが持っている世帯の数が平均的に80件以上と非常に多くなっております。また、高齢の
保護受給者に対しては、おおむね半年に1回、つまり年2回の面談、訪問が基本と聞いておりますが、年に2回ですから、非常に少ないのではないかなというふうに思います。しかも、保護課の
ケースワーカーの8割以上が20代と30代の職員であります。若い
ケースワーカーにとっては、高齢者の身体的な変化を見きわめて必要な対策に結びつけるということは、決して容易なことではありません。ですから、今回の
火災事故から、
ケースワーカーの役割を発揮していく上で、高齢化に伴う対応について保護課で十分に議論を深めるべきと指摘しておきます。
そこで、今回の「そしあるハイム」のケースではどういうふうに対応されていたのか、この点を伺いたいと思います。
「そしあるハイム」の入居者16名のうち、9名が70代、80代でした。亡くなられた最高齢の方は、85歳の男性でありました。70代、80代ともなりますと、骨や筋肉も衰えてきます。医学的な知識で申し上げますと、筋肉の場合は、80歳までにピーク時の30%から40%に低下すると言われておりますし、当然、病気のリスクも高くなってくる年齢であります。今回の「そしあるハイム」の場合、
ケースワーカーの訪問時に、病気や障がい等の状況から、
共同住宅での生活をどのように認識されていたのか、それから、介護施設等への入所は検討されたのか、この事実を伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 「そしあるハイム」に入居されていた方に対する今回の
ケースワーカーの対応ということでございます。
ケースワーカーが家庭訪問時に面接等を実施する中で、「そしあるハイム」で居宅生活を維持することができないほどに心身の健康状態が悪化した方はおらず、医療機関や介護施設へ直ちに入所しなければならない方はいなかったものと認識しております。
◆平岡大介 委員
ケースワーカーの面談で判断されたということでありましたが、医師への照会があったのかどうかという点を伺いたいと思います。
介護施設に行くか、または病院に行くのか、そういった判断材料として医療と介護の必要性について医師への照会があったのか、それから、介護のケアマネジャーとの連携などはされていたのか、この点を伺いたいと思います。
◎大野
保護自立支援担当部長 医師等への照会などはどうだったかということでございます。
「そしあるハイム」に入居していた方の中には、障害者手帳を所持していた方や要支援、要介護認定を受けていた方がいたほか、医療機関へ通院していた方もいらっしゃいますが、自力歩行が可能であるなど、
日常生活に格別の支障がある状況ではなかったと認識しております。一般的に、医療扶助や介護扶助を適用するに当たっては、主治医から医療、介護の要否意見書の提出を受けたり、必要に応じて主治医訪問やケアマネジャーとの情報交換を行っておりますが、「そしあるハイム」に居住していた方については、医師等と直接連絡をとらなければならないほど病状等が悪化した状況の方はいなかったものと認識しております。
◆平岡大介 委員 高齢者というのは、いきなり体調が変化したり、病気が重篤化する場合があります。先ほどの部長の答弁では、医療機関や介護施設へ直ちに入院、入所しなければならない方はいなかった、
日常生活に格別に支障がある状況ではない、症状等が悪化した状況の方はいらっしゃらなかったことを
ケースワーカーも確認されていたので、実際には病院の医師やケアマネジャーと直接連絡はとっていなかったということでした。
ただ、この判断に至るのに、先ほども言いましたが、年2回の訪問であります。そういう点では、この判断というのは見直す必要性があるのではないかと思います。特に、今は高齢化の時代でありますから、そういった考えを見直していくべきだと。
それから、高齢化にふさわしい
ケースワーカーの役割というところで、高齢の
保護受給者に対しては予防的な対策も求められております。特に、高齢者は、短期的に症状や介護状態が悪化する場合がありますので、そういったときには積極的にリハビリやデイサービスの利用を促していくべきなのだと思います。
改めて、高齢の
保護受給者に対して、身体機能の低下だったり病気の重篤化の予防策を見直すべきであるということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
次は、公的な住宅、公的な施設の増築について伺いたいと思いますが、まず、市営住宅のほうから質問させていただきます。
私は、これまで、議会の質疑におきまして、市営住宅の戸数についてただしてきました。例えば、民間住宅を市が借りて、それを公営住宅として利用する借り上げ住宅については、2030年までに1,178戸が削減されることとなっており、これではますます生活に困窮する高齢者や身寄りのない高齢者の行き場が失われることになるぞと指摘してきました。
家族の支援も受けられない身寄りのない高齢者で、要介護状態であっても、市営住宅に入居することができれば、介護サービスの組み合わせによって安心して暮らしていくことが可能であります。しかし、市営住宅に申し込みをしても高倍率のために入居ができない、つまり、そもそもの市営住宅の総数が足りないのです。そうした中で、借り上げ住宅を大幅に削減することは、一層、市営住宅に
生活困窮者の方々が入居できなくなるものであり、私は大きな問題であるというふうに思います。
そこで、伺いますが、今、都市局の中で、今後の市営住宅整備にかかわる次期住宅マスタープランをつくっていると聞いております。今回の
共同住宅火災問題の調査、総括、対策を考えていく
保健福祉局の立場から、都市局に対して市営住宅の抑制路線の見直しを求めるべきと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎大野
保護自立支援担当部長 市営住宅の見直しについてでございます。
「そしあるハイム」の
火災事故を受けて、現在、札幌市では、
保健福祉局のみならず、都市局、消防局などの
関係部局が連携して、高齢者や
生活困窮者の安全・安心な生活を確保していくために何ができるか、何をすべきかをさまざまな視点から検討しているところでございます。先ほどお答えしましたとおり、住居確保でいえば、市営住宅の空き住戸をどう活用していけるかといった検討もございます。住居確保の観点を含め、引き続き多角的な検討を進めてまいりたいと考えております。
◆平岡大介 委員 なぜ、平岡が市営住宅の整備を求めているのか、これは、「そしあるハイム」に入居されている方が、なぜこの施設、住宅を頼らざるを得なかったのか、そういったところを考えていかなくてはならないのです。結局は、市営住宅といった公的施設がないから、入ることができなくて、そういったところを頼っていたのが実態だと思います。
今定例議会の予算特別委員会でも取り上げましたが、応募倍率が最も高い団地の幌北では、募集している部屋6戸に対して応募者は1,385人、その倍率は230.8倍であります。それから、地域を歩いておりますと、何度応募しても市営住宅に入ることができない、10年以上応募しても入れない、こういった話もよく耳にするところであります。
また、通達の話になりますが、2015年6月11日に、
厚生労働省と
国土交通省から各都道府県、指定都市、中核市宛てに、
生活保護受給者の住まいの確保のための福祉部局と住宅部局等の連携についてという通達が出されております。そこには、公営住宅の入居について、「住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸又は転貸される公営住宅には、
生活保護受給者の地域生活の場としても積極的な役割を果たすことが期待されています。そのため、
生活保護受給者が公営住宅への入居を希望する場合、住宅部局と福祉部局が十分な連携を図りつつ、必要な情報提供や助言等を行うなど、特段の配慮をお願いいたします。」と書かれております。都市局とも連携し、さまざまな視点から検討などとの答弁もありましたけれども、2015年の通達に書かれているとおり、住宅部局と福祉部局が十分な連携を図りつつ、特段の配慮が必要であります。
保健福祉局としても、今回の
火災事故に際して、都市局に対して市営住宅戸数の整備計画についてぜひ意見をしていただきたいということを指摘させていただきます。
最後に、軽費老人ホームのA型、B型の整備について伺いたいと思います。
本市には、60歳以上で、家庭環境や住宅事情等の理由で、例えば、身寄りがないとか、家庭の事情で家族と同居できない、身体的な機能の低下によって自立した
日常生活を営むことができない、住宅において生活することが困難な方が入居する施設である軽費老人ホームというのがございます。現在、A型とB型があり、A型は食事がある、B型は食事の提供がないので自炊をする施設ですが、合わせて8カ所、450人分の部屋がございますけれども、現在、そのほとんどの施設が90%以上の入所状況であります。家族や親族に頼ることができない高齢者であること、それから、低廉な家賃で恒久的に入所できること、
生活保護費でも入所できることなど、条件としては高齢者の公的な施設の中で今回の「そしあるハイム」に最も近いのではないかと思います。
そこで、軽費老人ホームA型、B型の整備についても検討しなくてはならないと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 A型、B型も含めて、軽費老人ホーム全体の整備についてお答えいたします。
軽費老人ホームにつきましては、比較的低額な料金で入居できる施設として、高齢者
保健福祉計画に基づき、平成23年度までは整備を行っていたところでございます。しかしながら、整備を希望する
社会福祉法人等の事業者がほとんどなかったこと、それから、平成23年に新たな施設類型としてサービスつき高齢者向け住宅が創設されました。このことにより、民間による高齢者向け住宅の供給状況の変化等がありまして、これを踏まえますと、平成24年度以降は高齢者
保健福祉計画において整備を計画していなかったところでございます。
軽費老人ホームの運営に当たっては、利用者負担を減らすために、毎年、一般財源による補助金を交付しております。今後の整備につきましては、財源の確保あるいは民間住宅の供給状況などを踏まえながら、慎重な検討を要するものというふうに考えております。
◆平岡大介 委員 今ご説明されましたサービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住ですが、これと軽費老人ホームのA型、B型というのは全く別物であるということを指摘させていただきます。
まず、入居の条件といたしましては、サ高住は、原則として、60歳以上の高齢者であれば基本は入居可能であります。それに比べて、軽費老人ホームのほうでは、家族との同居が困難であること、身寄りがないこと、
日常生活に不安がある、年収の上限など、こういった一定の条件が設けられています。それから、家賃で比較しても、サ高住のほうは、おおむね年額60万円から80万円と資料で確認させていただきました。初期費用についても、さまざまありますが、家賃の1カ月から3カ月分かかるところもあります。それに比べて、軽費老人ホームはどうかといいますと、食事の提供があるA型のほうは年間80万円ぐらい、それから、食事の提供がないB型であれば12万円で入居可能であります。
これらを比較したときに、どちらも
生活保護費で入居することは可能ですが、保護費で入居できるほどのサ高住はほとんど存在しないと思いますし、あったとしても、非常に安いので、競争率が高く、既に埋まってしまっているのが実際だと思います。
部長は、先ほどサ高住が新設されたことから整備計画はないと答弁されましたけれども、そもそもサ高住と軽費老人ホームの条件の違いをきちんと認識されているのでしょうか、伺いたいと思います。
◎渋谷
高齢保健福祉部長 軽費老人ホームとサービスつき高齢者向け住宅の違いについては、もちろん承知しております。
サービスつき高齢者向け住宅につきましては、バリアフリー化や設備等の要件が厳しいので、その分、家賃に反映しています。ところが、これはかなり差があると思いますけれども、
生活保護受給者でも入れるサービスつき高齢者向け住宅は現在も実在しております。それから、軽費老人ホームA型、B型については、旧法なので新設はできない状況です。そうなりますと、軽費老人ホームはケアハウスのみとなります。ケアハウスのみになりますと、実際に運営するのは
社会福祉法人になりまして、先ほども答弁させていただきましたとおり、整備を希望する事業者がなかなか出てこないという実情も実はありますので、その辺も踏まえた上で検討していかなければいけないと考えております。
◆平岡大介 委員
生活保護費でも入れるサ高住はあるということでしたが、実際には、入居倍率も高くてなかなか入ることができないのです。それから、新しい法律では軽費老人ホームA型、B型をつくれないということであったら、新しい施設を考えなくてはならないと思うのです。私は、サ高住の新設が進んでいるから軽費老人ホームのような施設は要らないのだといった認識でずっといますと、この問題の根本的な解決にはならないなと思っておりますので、それにかわる
福祉施設の整備についても改めて検討していただきたいと求めておきます。
それから、改めまして、
ケースワーカーの高齢者の身体的な評価、それから、対応については改めること、そもそも、
ケースワーカーの84%が20代と30代で、持っている件数が80件以上で多忙であるという体制も改めて、今後の対応に当たることを求めておきます。
それから、
ケースワーカーが面談したとき、高齢者の身体的な状況、住居の状況などを見て頑張って住みかえなどを進めていこうとしても、実際に決定的に施設がない、市営住宅はあいていないという問題がありまして、結局は民間の
共同住宅に頼らざるを得ない実態がございます。都市局の住宅整備と
保健福祉局の対策が一体で進められなくては今回の問題の解決にはならないということで、公的な責任で施設と住宅を保障することが重要であるということを重ねて述べまして、質問を終わります。
○
中村たけし 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
中村たけし 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午前10時9分...