札幌市議会 2017-03-22
平成29年第二部予算特別委員会−03月22日-07号
平成29年第二部
予算特別委員会−03月22日-07号平成29年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第7号)
平成29年(2017年)3月22日(水曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 32名(欠は欠席者)
委 員 長 山 口 かずさ 副委員長 北 村 光一郎
委 員 三 上 洋 右 委 員 勝 木 勇 人
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 長 内 直 也 委 員 宗 形 雅 俊
委 員 こじま ゆ み 委 員 飯 島 弘 之
委 員 小 竹 ともこ 委 員 村 松 叶 啓
委 員 村 山 拓 司 委 員 畑 瀬 幸 二
委 員 小 野 正 美 委 員 桑 原 透
委 員 峯 廻 紀 昌 欠 委 員 しのだ 江里子
委 員 小 川 直 人 委 員 林 清 治
委 員 松 原 淳 二 委 員 岩 崎 道 郎
委 員 涌 井 国 夫 委 員 福 田 浩太郎
委 員 好 井 七 海 委 員 丸 山 秀 樹
委 員 わたなべ 泰行 委 員 村 上 ひとし
委 員 太 田 秀 子 委 員 田 中 啓 介
委 員 松 浦 忠 委 員 坂本 きょう子
委 員 中 山 真 一
――
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開 議 午後1時
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○山口かずさ 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、しのだ委員からは欠席する旨、また、前川委員からは丸山委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第10号 平成29年度札幌市
病院事業会計予算について質疑を行います。
◆
村松叶啓 委員 私からは、
病院経営に関して質問いたします。
総務省の新
公立病院改革ガイドラインによりますと、
公立病院は、地域における基幹的な
医療機関として
地域医療の確保のために重要な役割を果たしておりますが、近年、多くの
公立病院において、
経営状況が悪化するとともに、
医師不足に伴い、
診療体制の縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や
医療提供体制の維持が極めて厳しい状況になっているとのことであります。また、このような状況の中、
公立病院が今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには、多くの
公立病院において抜本的な改革の実施が避けて通れない課題となっているとのことであります。
市立札幌病院については、
救命救急センター、総合周産
期母子医療センターなどを有し、札幌市の
基幹総合病院として
高度医療の提供を行ってきたと認識しており、平成25年には、
地域医療支援病院の承認を受け、
紹介患者に対する
専門的医療の提供等を通じて
かかりつけ医等を支援する役割も担っていると認識しております。
一方で、
経営状況については、平成22年度は約6億円、23年度は約3億円、24年度は約1億7,000万円、25年度は約800万円のプラスと経常収支の黒字が続いておりましたが、26年度は約10億円、27年度は約13億円のマイナスと、近年は経常収支の赤字が続いております。このような状況は、地域において必要な医療が安定的かつ継続的に提供されていくのか、懸念を持つところであります。
昨年10月の
決算特別委員会では、我が会派の、隣におられる村山委員が、平成28年度の
経営状況と
病院経営を維持するための今後の対策などについて質問し、答弁では、収益はふえておりますが、費用もふえており、依然として厳しい状況であること、また、これまでの対策に加え、収益はもとより、経費の削減などについて、改善をさらに推し進めるべく具体策を協議していくことを回答されております。
そこで、質問ですが、
経営健全化に向け、今後どのような
取り組みを行っていく考えなのか、お伺いいたします。
◎蓮実
経営管理部長 経営健全化に向けた今後の
取り組みについてお答えいたします。
収益増につきましては、
連携医療機関への
訪問活動を継続していくとともに、新たに
在宅医療機関への
訪問活動や
近隣医療機関との懇話会において、当院の
取り組みの紹介や報告を実施していくことで
紹介患者のさらなる増加を図ってまいります。また、生死にかかわる重篤な患者以外、いわゆる3次救急以外の
救急患者の
受け入れを拡充するため、現在院内の体制を構築しているところであり、この
取り組みによる新
入院患者及び
延べ入院患者の増加を
経営健全化の大きな柱として考えているところでございます。
同時に、医療の質を損なわない範囲で支出を抑制していく
取り組みも進めてまいります。
医療材料につきましては、
外部コンサルタントのデータから見まして総じて低廉な購入価格となっているところでありますが、
同種医療材料の集約化などによりましてさらに単価の引き下げを図るとともに、適正な
使用数量等の分析を進め、より効率的な
医療材料費の執行を目指すものであります。また、
高度医療機器購入につきましては、一部の更新時期を繰り下げることなどにより、支出額を抑制してまいります。
◆
村松叶啓 委員 収益増の観点、あるいは経費の削減の観点、ともに具体策を考え、経費の削減については既に着手しており、収益増はこれからというように感じました。
延べ入院患者の増加を特に
救急患者の
受け入れで図るというご答弁でしたけれども、予算書によりますと、平成28年度
決算見込みが522人であるところを、29年度は611人と1日当たり89人の大幅な増加を見込んでおられます。そして、28年度予算比でも、
診療収益は10億円ほどの増収を見込んでおられます。
そこで、質問いたしますが、
救急患者の
受け入れ体制整備によって安定的に患者数を確保できるものなのか、病院局の考え方をお伺いいたします。
◎蓮実
経営管理部長 救急患者の
受け入れ体制整備による安定的な患者数の確保につきましてお答えいたします。
当院は、平成27年度は市外も含めて病院全体で2,093人の
救急搬送患者の
受け入れを行っているところですが、消防局の統計によりますと、札幌市における
救急自動車による
出動件数、また
搬送人員は、高齢化の進展などにより近年は増加傾向にあり、平成27年中は、市全体で、
出動件数が8万8,507件、
搬送人員が7万6,634人、当院が搬送先となり得る周辺の市内6カ所の救急隊でも合計で1万7,637人の搬送がある状況です。また、今後さらに搬送の増加も見込まれるため、今年度は
中央消防署に救急隊が増設されている状況です。
このような状況から、搬送依頼は十分にあると考えており、平成29年度予算案では、2,700人の搬入患者の増加を見込んでいるところであります。
◆
村松叶啓 委員 現在は、病院全体で2,093人の
受け入れを行っていて、近隣の救急隊の搬送としては2万件弱ということであり、そのニーズに関する考え方というのは理解いたしましたけれども、そうしたニーズに応える体制をいかにしてとっていくかということが重要であると思います。
救急患者でありますので、夜間あるいは休日を問わずの対応になると思いますが、今般、一部の報道では、重篤な
救急患者の治療を担う
救命救急センターのお医者さんが今月で7名退職されるそうであります。そうした方たちの中で、今後取り組もうとしている重篤以外の
救急患者の
受け入れ拡大方針に対し、
診療負担がふえると懸念して退職に至った方もいるかのような報道も見受けられております。
そこで、お聞きいたしますが、今後整備していくという体制はどのようなものなのか、伺います。
また、
救命救急センターの医師の負担増となるものなのかどうか、平成29年度のいつから開始するのか、これらもあわせてお伺いいたします。
◎関
病院事業管理者 今後整備してまいります体制と
受け入れの開始時期についてお答えいたします。
現在、当院におきましては、当院にかかりつけ中の患者の急患に対応するため、平日の夜間と土曜・日曜・祝日において2名の医師が常駐しております。うち1名は、研修医でございます。今後、3次救急以外の
救急診療の拡充に向けた院内の体制としましては、この2名の医師が主体となって対応するほか、各科のオンコールなどの
バックアップ体制をとることとしております。このように
救命救急センターとは全く別の体制で行うものでありまして、
救命救急センターの医師の負担増となるものではありません。
具体的な
受け入れの開始時期としましては、本年5月8日の夜間からの開始を予定しているところであります。
◆
村松叶啓 委員 ただいま、
救命救急センターの医師の負担増になるものではないというご答弁をいただきました。とはいえ、新たな
救急患者の搬送がふえると、例えば搬送途中で心肺停止するなどして、結果としては
救命救急センターの診療が必要となる患者もふえるのではないかと思いますが、そうした負担を懸念して反発された救急医の方はいらっしゃるのか、いらっしゃらないのか、お聞きいたします。
◎関
病院事業管理者 新たな
救急患者の搬送にかかわる
救命救急センターの負担と、それに対する救急医からの意見についてお答えいたします。
これまでも、当院では、幾つかの診療科で、
札幌医師会の当番制によりまして、2次
救急患者、すなわち、入院を要しますが、それほど重篤ではないといったような患者を
受け入れてきております。その中では、まれに搬送途中に状態が悪化して心肺停止といったことになるような事例ももちろんございます。そのような場合は、従来から、当番の診療科からの要請に当院の
救命救急センターが応えるなどして
救命治療を行っているところです。
このような診療の分担は、今後とも変わるところはなく、3次救急以外の
救急診療の拡充に伴いまして
救命治療が必要となるような状況が生じた場合には、これまでどおり
救命救急センターが必要な治療を行ってまいります。また、そのことは、
救命救急センターの
医師たちも自分たちの使命であると認識しておりまして、反対の意見を出した医師は全くおりません。
◆
村松叶啓 委員 体制としてはこれまでどおりということであり、
救急患者の
受け入れ拡大には
救命救急センターの医師も賛同している、また、先ほどのご答弁で、重篤以外の
救急患者の
受け入れ拡大は
救命救急センターとは別の体制で行っているため、医師の負担増となるものではないということでしたので、退職する直接の理由ではないというふうに感じました。そうは言っても、今月いっぱいで12人のうち7人が退職されるということでありまして、いずれにしても当面は医師が不足する状況になりますので、必要な医療を提供するためにも、早期の体制の立て直し、医師の確保にはしっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
また、
地域医療支援病院の役割としては、
救急医療の提供というのは大変重要なことであり、承認要件では1,000人以上とされていますが、先ほどのお話では
市立札幌病院はそれを上回る2,000人を
受け入れているとのことでありました。また、ニーズがまだまだあるということですので、やはり、さらに
受け入れていくことが必要だと考えますし、ひいては、そのことが収益を確保し、経営を改善させていくことにもつながっていくと思いますので、2次、3次のそれぞれで総合的な
受け入れ体制を整えて実現していっていただきたい、そのように思います。
◆
岩崎道郎 委員 私からも、
救命救急センターの医師の退職について、今、
村松委員からも質疑がありましたが、少し補足しながら質問させていただきたいと思います。
今回の退職の件が最初に報道されたのは、2月中旬の
テレビ報道でした。その際、トップダウンによる
救急患者受け入れ拡大方針への反発が背景にあるかのように報じられたこともあり、市民からは
市立病院の経営方針に対する不安や疑念のような声も聞かれているところです。
そこで、最初の質問ですが、今回の医師の
退職理由が
病院経営層への反発ではないかとの報道に対する病院側の認識を伺います。
◎蓮実
経営管理部長 各医師の
退職理由につきましては、家庭の事情や
キャリアアップなど個々の事情によるものでありまして、病院局としましては、報道にあるような事実はなく、また、そのような
医師たちはいないと認識しているところであります。
◆
岩崎道郎 委員
先ほど管理者からもお話がありましたが、
医師たちの意向については十分にやりとりがあったと認識しておりますので、報道にあったような内容ではないというふうに思ってはおります。しかし、先ほど
村松委員のお話にもありましたが、
市立病院では、ことしから3次以外の
救急患者の
受け入れを検討しているということです。そして、昨年度までの
救命救急センターの医師の勤務状態を拝見しますと、ほとんどの医師がかなりの時間外勤務をされていることがわかります。
救命救急という仕事ですから、決められた時間だけ勤務するわけにはいかないことは十分承知しており、それは我々でも容易に想像できます。しかし、2次、3次と分けていても、2.5次の
受け入れもあろうかと思いますので、やはり、
救命救急の医師の負担がこれ以上ふえるのはかなり厳しいのではないかと思います。
そこで、3次以外の
救急患者の
受け入れを検討していることが今回の
退職意向につながっているのか、改めて認識をお伺いいたします
◎蓮実
経営管理部長 3次救急以外の
救急診療の拡充と救急医の
退職意向についてお答えいたします。
当院では、先ほどもあったように、従来から幾つかの診療科が札幌市医師会の2次
救急当番に参加しておりますが、幅広い病態に対応できる
公立病院として、3次救急以外の
診療ニーズにより一層応えていくべきとの方針につきましては、
救命救急センターに所属する
医師たちも賛同していたところでございます。また、具体的な体制につきましては、
救命救急センターの医師の意見も踏まえながら、
救命救急センターとは別の体制を構築することとしたものであります。
したがいまして、3次救急以外の
救急診療の拡充にかかわる検討が
退職意向につながったとは考えておりません。
◆
岩崎道郎 委員 次に、今後の見通しを具体的に伺いたいと思います。
先日の北海道新聞の記事によりますと、
救命救急センターでは12名中7名の医師が退職するとのことです。この報道以降、最終的な
退職者数に変動はないのか、また、今後の補充の見通しもあわせて教えてください。
◎関
病院事業管理者 救命救急センターの医師の
退職者数と補充についてお答えいたします。
12名の医師のうち、最終的な退職者は7名となりました。4月以降の補充につきましては、7月に1名を採用し、10月には、今回退職する7名のうち1名が復帰する予定となっております。また、現時点では、院内他科の医師が、4月以降、週3回、1人ずつ日中の診療に参加する予定でありまして、引き続き応援人数の調整を図ってまいりたいというふうに考えています。加えて、北海道大学に対して、私自身が直接向こうに赴きまして救急医の派遣を要請しました。その結果、4月中旬以降の平日の日中に1名の診療応援を開始していただけることになりました。さらに、5月以降も可能な限りご支援いただける予定でございまして、現在、詳細を調整しているところであります。
今後も、引き続き、道内外の関係大学への要請等を含めて、必要な医師の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
◆
岩崎道郎 委員 ぜひとも、いい結果が出るように祈っております。
とはいえ、残念ながら、
救命救急センターでは4月から医師が大幅に減ってしまうという表現が正しいのだと思います。その結果、3次救急の
受け入れは、残念ながらやはり縮小せざるを得ないと思うのですが、3次救急は実際にどの程度の規模で縮小されるのか、
救急搬送を担う消防との調整、また、本市全体の
救急医療への不安がないのか、伺います。
◎関
病院事業管理者 1点目の3次救急がどの程度縮小するのかというご質問につきましてお答えいたします。
救命救急センターが担っている3次
救急医療は、極めて重要な役割を果たしているというふうに私は考えております。病院局としましても、3次救急を24時間365日維持していく考えに変わりはございません。
従来、
救命救急センターでは、1日
当たり平均1件から2件の3次
救急患者を
受け入れてきましたが、4月から人員が減少することから、例えば、何らかの処置を行っている最中に他の
医療機関での
受け入れをお願いする頻度が一時的にふえるのではないかといったことも一応は想定しております。ただし、具体的な
受け入れ件数につきましては、患者の病態やその都度の状況によりますので、具体的な
受け入れ可能数を事前に予測することは難しいといったことも現場からの声として聞いております。
次に、2点目の本市全体の
救急医療に不安はないかといったご質問でございました。
これに関しましては、来年度の体制について、
救命救急センターの医長から
関係医療機関の
現場トップの医師に対し、現状や今後の
診療体制を個別に説明して協力、理解を求めたところでございます。また、消防局や保健所、それから道央圏の3次
救急医療を所管する北海道にも状況を説明してご理解いただきました。
病院局としましては、もちろん私自身が先頭に立ちまして一日も早い
診療体制の早期回復を図るとともに、地域全体の3次救急の維持に向けて、引き続き他の3次
救急医療機関と連携してまいりたいというふうに考えております。
◆
岩崎道郎 委員
救急医療という特質上、実際にどれぐらい影響があるかとか、忙しくなるのかというのはわからないのだと思います。ただ、12名が5名に減ってしまうこと自体、非常にゆゆしき問題だと我々も考えております。
救急搬送が1件、2件というふだんの状況であればいいのですが、大きな災害とか大きな火事とか、何かの有事への対応となると非常に厳しいだろうなというふうに思いますので、皆さんは一生懸命やっていらっしゃるとは思いますけれども、それ以上に一日も早い医師の補充に全力を尽くしていただきたいと思います。
やっぱり、
市立病院という名前ですので、私たち市民の健康や命を守る大切な病院であることは言うまでもありません。その中でも、
救命救急センターというのは、
文字どおり市民にとって最後のとりでになる重要な役割を果たしてきていると思います。今回、個々の事情が重なったとはいえ、人員体制が半分以下になることに対して市民が不安を感じるのも当然であり、その点に関しては厳しい批判も仕方がないと思っています。
全国的に
医師不足と言われる中で、とりわけ救急医の確保は困難を伴うことは存じ上げております。しかしながら、一日も早い体制の回復はもちろんのこと、将来にわたって市民の期待に応えていけるよう、今後は全国から多くの救急医が集まってくるような
救命救急センターを目指していただきたい、そういった高い目標を掲げてその実現のためにしっかりと頑張っていただきたいと思います。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、
高額医療機器等にかかわる
医療連携について、幾つか質問させていただきます。
医療機器の購入には、毎年度、数億円の支出がされており、今後も機器の老朽化などに伴う更新が必要だと伺っております。
医療技術、
医療機器は日進月歩であり、最新の
医療機器を導入することは患者の検査や治療に極めて有効であるとは思いますが、
医療機器の経費は、
購入費用だけではなくて、機器の
メンテナンスなどが固定費となり、病院の経営に負担を与えるのではないかと危惧しているところです。
これは、
市立病院に限った話ではありません。地域全体として良質な医療を効率よく提供するためには、
高額医療機器を一つの病院で全てそろえるという発想ではなくて、地域の
医療機関の間での
共同利用を進めることが今後ますます必要だと考えております。そのような考えのもと、
医療機器の
共同利用の実施は
市立病院のような
地域医療支援病院の役割ともされておりますが、まずは、
市立病院にある
医療機器を地域の
医療機関に十分活用してもらうことが大切だと考えているところです。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院の
医療機器について、地域の
医療機関の
共同利用をどのくらい
受け入れているのか、伺います。
あわせて、
共同利用を進めるためにどのような
取り組みをしているのか、伺います。
◎蓮実
経営管理部長 1点目の当院の
医療機器等の
共同利用についてお答えいたします。
共同利用可能な
医療機器としましては、昨年4月に導入したPET−CTを初め、CT、MRI、マンモグラフィーなど多種にわたり、昨年度の
共同利用延べ件数は1,312件、各
医療機器の
利用医療機関実数の合計は148機関となっております。
2点目の
共同利用を進めるための
取り組みについてですが、
医療機器の新規導入、更新時には、
関係医療機関に対するご案内文等の送付により広報いたしております。さらに、年間約90件の
病院訪問時などにも適宜ご紹介しており、昨年8月には、PET−CTの
利用促進に向けまして、市内のみならず、江別市や恵庭市等のJR沿線に立地する
中規模病院等7カ所を訪問し、PRいたしました。また、
地域医療機関約880施設などに配付する当院の広報誌にも
共同利用に関する記事や利用実績を適宜掲載しているほか、当院のホームページには、
共同利用に関するお知らせや検査予約の方法等を掲載し、
利用促進を図っております。
なお、当院には札幌市医師会の
地域医療室も開設されておりまして、
医師会会員の方々は、こちらからも容易に検査等の申し込みをしていただける体制になっております。
◆わたなべ泰行 委員 1,312件、148機関と大変多い利用があり、また、積極的に広報を行っているということでした。
市立病院の
高額医療機器を地域の
医療機関にもっと有効に活用していただけるよう、さらなるPRや利用しやすい
仕組みづくりの工夫などに努めていただくなど、より一層、努力していただきたいと思います。
それでは、次に、先ほども
市立病院の経営というのは現在非常に厳しい状況であるとのお話が出ましたが、平成29年度は資金がマイナスになるという予算案であり、
機器更新についても、29年度は当初の更新計画での予定を一部先送りせざるを得ない状況と伺っております。今後も数億円という機器を導入、更新するのは、経営的にも大きな負担になると思います。一方、
市立病院の
医療水準の維持のため、患者の医療のために、一定の
高額医療機器は不可欠だろうとも考えるところでございます。
また、さきに申し上げたとおり、
医療機器の
購入費用だけではなく、機器の
メンテナンスが固定費として毎年度かかってくると思いますので、その圧縮を図ることが必要だろうと考えております。ただ、このような特殊な機器類の保守は、当然、
機器メーカー以外の保守作業は考えにくく、
価格競争性が余り働かないとも聞くところです。
そこで、質問ですが、経費節減の点から、高度な保守料金を節減するためにどのような対応をとっているのか、伺います。
また、
機器更新の先送りを行う予定とのことですが、今後、
機器更新についてどのような考えで進めていかれるのか、あわせて伺います。
◎蓮実
経営管理部長 まず、1点目の
医療機器の保守費用の節減についてですが、
高額医療機器の一部につきましては、平成28年度より、フル
メンテナンス契約から、定期点検のみの契約と修理費用を補填する保険契約とに分けることといたしました。また、
医療機器の稼働状況や故障発生状況及び故障時における診療への影響等を考慮の上、保守内容を見直しましてさらにメーカーなどと価格交渉を行うことにより、保守契約の節減に努めております。
次に、2点目の
医療機器の更新についてですが、厳しい
経営状況ではあるものの、
地域医療支援病院、また、がん診療連携拠点病院として質の高い医療を行っていくため、引き続き適切に行っていく必要があると考えております。したがいまして、更新対応機器につきましては、使用状況や修理部品の供給期限等を考慮しつつ、最新機器の導入の必要性なども検討した上で、平成29年度に5年程度の見通しを立て、効果的かつ効率的な
医療機器の更新整備に努めていきたいと考えております。
◆わたなべ泰行 委員 ただいま、保守料金の節減につきましてはしっかりと取り組んでいくとの答弁でございました。今後につきましても、ほかの病院での
取り組みなどの情報も収集して、さらに努力していただきたいと思います。
さて、ただいまお話がありました
医療機器の更新あるいは新規導入につきまして、
市立病院は、
地域医療支援病院として、また、がん診療連携拠点病院として高度な医療を提供していく、そして、地域の医療を支える役割があることから、一定の
高額医療機器が必要なことは理解しております。しかし、市内には、大学病院、また、同じく急性期の医療を担う病院もありますから、使用頻度や価格を考慮した上で、場合によってはそれらの病院の
高額医療機器を利用させてもらうといった発想もあるのではないでしょうか。もし可能であれば、そのようなことも考慮に入れて、今後の
機器更新あるいは新規導入を行っていただきたいと思います。
さらに言えば、
医療機器だけではなく、それ以外の検査、治療などの分野においても、急性期を担う大型の病院や大学病院などと医療機能を分担して、それぞれの得意分野をもって質の高い医療を効率的に提供するような連携が必要ではないかと思います。
そこで、質問ですが、
市立病院は、質の高い医療を効率的に提供するため、他の急性期を担う大型病院等とどのように
医療連携を図っていくのか、お考えを伺います。
◎蓮実
経営管理部長 他の急性期を担う大型病院等とどのように
医療連携を図っていこうと考えているかについてお答えいたします。
このような
医療連携につきまして、例えば、子宮がんに対して子宮内に放射線を直接当てて治療する腔内照射、皮膚への光線治療の一部など、当院にはない
医療機器を用いる治療につきましては、大学病院などほかの急性期を担う病院にお願いしております。また、当院は、病理診断を行う体制が充実しており、中でも、腎炎や腎移植の際などに行う腎生検については、大学病院を含む多くの
医療機関等から依頼が寄せられております。
今後につきましても、ほかの急性期を担う病院等とも連携して、お互いの得意分野を生かし、質の高い医療を効率的に行っていくよう努めてまいります。
◆わたなべ泰行 委員
市立病院にない最先端の機器は、大学病院や他の病院としっかり連携をとっているというふうに伺いました。
団塊の世代が後期高齢者になる2025年を見据えまして、それぞれの地域で、ふえ続けていく医療と介護のニーズにどのように対応していくかということは、現在大きな課題となっております。また、その
取り組みの大きな柱が、都道府県で策定が進められている
地域医療構想になります。この大きな流れの中、地域において効率的で質の高い医療サービスを提供するためには、病床の機能分化と連携が求められてくると思います。この機能分化や連携については、どちらかというと、急性期病院、慢性期病院、
地域医療支援病院とかかりつけのお医者様、こういったところが着目されております。しかし、少し発想を変えて、比較的類似した病院の中でも、お互いの得意分野を持って連携していくことが、今後、質の高い医療を効率的に提供することにつながるのではないかと考えます。
今後、
市立病院におきましては、そのようなことも念頭に置いて
病院経営をされていくことを要望して、私の質問を終わります。
◆村上ひとし 委員 私からも、
救命救急センターについて質問させていただきます。
特に、
市立病院全体としてどのように
救急医療を支える体制をつくるのか、こういう観点から幾つかお伺いいたします。
本市の
救命救急センターは、生命に危険のある重症の病気や交通事故などで大きなけがをした患者、または、2次
救急医療施設では対応が困難な重症患者の治療を役割とする3次救急の
医療機関です。したがって、言うまでもなく、生命を守る上で最後のとりでであると言えます。このように、
市立病院は、市内にある他の4病院とともに札幌圏の3次救急を担っており、昨年度は、札医大の663人、北大の589人に次ぐ、524人の搬送を
受け入れております。
言うまでもなく、
救急搬送された患者は、一刻を争う重篤な状態であります。そうした緊張感のある治療を、24時間365日、年中無休の体制で行っているわけでありますから、医師、看護師を初めとする医療スタッフにとっては、心身ともに常に緊張を強いられる極めて苛酷な職場であることは想像にかたくありません。
こうした中で、昨年度、
市立病院の
救命救急センターに搬送され、入院した患者がセンターをどのように出られたのか、すなわち、転院や退院などの状況を確認しましたところ、
市立病院内のほかの診療科に移った方が51%、他の病院に転院した方が17%、自宅に戻られた方が11%、そして、残念ながら亡くなられた方が21%ということでありました。この数字から、
救命救急センターに搬送された約7割の患者にさらなる入院治療が必要だということがわかります。
そこで、
救命救急センターを運営する上では、救急対応など初期の治療が一段落した患者に、どのタイミングで一般病棟への転棟や他の
医療機関への転院を勧めるのかということが大きな課題となります。これは、3次救急の役割を担う
救命救急センターとして、常に新たな患者を
受け入れられるように空きベッドを確保するという目的もありますが、同時に、長期入院の患者管理に伴う医師など医療スタッフの負担を軽減し、新たな患者への救命に力を集中してもらうためにも重要なことであります。
先日、
市立病院に確認しましたところ、
救命救急センターにおける昨年度の平均入院日数は約11日ということであります。しかし、14日を超えた方が104人、そのうち30日を超えた方は50人でありました。このように、
救命救急と言っても入院期間が非常に長い患者もおります。もちろん、センターに搬送されてから救急対応し、初期治療が一段落するのにどの程度の日数が必要かということは、それぞれの患者の病態により一律ではありません。しかし、平均入院日数を見ると、やはり、
救命救急センターでの入院期間が長くなっている傾向があるようです。
そこで、お伺いいたします。
一般病棟への転棟が難しく、結果として
救命救急センターにおける入院日数が長くなる理由や課題についてお伺いいたします。
◎蓮実
経営管理部長 まず、搬送される患者は重篤であることに加えまして、特に高齢の方には複数の疾患があることも多く、診療科を絞り切れないような極めて複雑な病状の患者がいたり、病状が刻々と変化したりすることなどにより、一般病棟への転棟のタイミングが難しいという事情がございます。
◆村上ひとし 委員 高齢の患者は言うまでもなくふえておりますので、それに伴い、複数の病気を持っていたり、複雑な状態で搬送されるので、救急対応が一段落してから次はどうするのかというタイミングが非常に難しく、単純にはいかないでしょう。そして、人工呼吸器を装着されたりしますと、呼吸管理の問題があってそういう点でも非常に難しい課題が多いと思います。
しかし、こうした状況下で入院期間が長くなった患者も管理しながら、新たな救急対応をする医師や看護師などの医療スタッフの負担は、やはり重いと考えます。しかも、糖尿病や心疾患など、複雑な病状、合併症を持った患者は今後さらにふえていくと考えられます。
救急医療というのは、そこで完結されるものではなく、その後に続く医療があってこそ展開できるものです。ですから、搬送されてくる患者にとっては、救急での治療は医療の入り口であり、そこから本格的な医療が始まり、場合によってはリハビリあるいは介護も含めた長期の療養へと続いていきます。したがって、一般病棟へ転棟する際には各診療科が最大限の協力をすることなど、
市立病院全体として
救命救急を支える体制の構築、いわゆる後方連携が円滑となる環境整備が必要であります。そして、そのことが
救命救急を担う医師や看護師の負担軽減にもつながると思うわけです。
そこで、お伺いいたしますが、現在、
救命救急センターから他の診療科ベッドへの転棟や転院をどのように行っているのか、お伺いいたします。
◎蓮実
経営管理部長 まず、院内のほかの診療科ベッドへの転棟につきましては、
救命救急センターの医師及び看護師によるカンファレンスを実施し、患者の病状を勘案して転棟の時期及び引き継ぎをする診療科を検討し、
受け入れ先の診療科の病棟と調整を行って実施しております。
次に、ほかの
医療機関への転院につきましては、医師が方針を決定後、地域連携センターの職員に転院調整の依頼を行い、地域連携センターの職員が患者や家族と相談しながら適切な転院先を選び、相手先病院と調整しています。
◆村上ひとし 委員 転棟や転院をどうするのかというのは、
市立病院のみならず他の病院でも、救急と一般病棟の連携など、課題が多いと思います。医師や看護師を中心にカンファレンスを行ったり、連携もしているようですけれども、根本問題として、
救急医療を初め、医師体制の問題、医師の確保が課題であると言わざるを得ません。これは、国の政策の問題でもあり、直ちに解決するのは困難であります。
しかし、今回、
市立病院の
救命救急センターに所属する医師12名のうち、この3月をもって7人もの医師が退職する事態が起こり、市民に不安を与えるとともに、3次救急を担う病院としての責任と役割が問われております。今後の
診療体制については、北海道大学への医師派遣の要請と
市立病院内の医師が
救命救急センターの業務も支援するということです。7人の医師が退職する緊急事態でありますから、当然、病院全体として医師の連携と支援を求めるのは必要なことです。今回の事態を踏まえ、継続して
救命救急センターへの
医療連携の構築を検討すべきであります。特に、高齢化に伴い、今後、一層複雑な病状、合併症のある患者がふえていくことを前提とした場合に、いかに
市立病院全体として
救命救急センターを支える仕組みをつくるのかという検討は急がれる課題であると思います。
そこで、お伺いいたします。
救命救急センターから一般病棟などへの転棟や転院、いわば後方連携が円滑になる環境整備を進めていくべきだと思いますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。
◎蓮実
経営管理部長 救命救急センターから一般病棟などへの転棟につきましては、今後、関係する職種により議論を行いまして、このような状態になれば一般病棟などに転棟するという基準の見直しを行う予定であります。
次に、他の
医療機関への転院につきましては、
救命救急センターの退院、転院の支援を担当する専任の職員が、患者の搬入時から必要な情報を収集し、安心して転院できるよう支援しているところです。加えて、担当する職員がふだんから地域の
医療機関に伺い、情報交換を行うなどして、患者を円滑に
受け入れていただけるよう努めております。今後も、このような情報交換を積極的に行うことで、地域の
医療機関と連携を図っていきたいと考えております。
◆村上ひとし 委員 関係する職員で基準を見直しながら対応する、専任の職員も配置して連携も図っていくということであります。
患者一人一人でその病状は違い、また、刻々と変化もいたします。どのタイミングで一般病棟へ転棟するのかという判断は非常に難しいと思います。また、
受け入れをする側の病棟の看護師など、スタッフの習熟にも一定の時間を要すると思います。
救急医の確保は全国的にも厳しい状況が続いており、
市立病院でも来年度は当面の間、必要な医師数の確保が難しいということであります。だからこそ、病院全体で
救命救急センターを支える
仕組みづくりが必要であります。
後ろに財政局の皆さんもいらっしゃると思いますが、
市立病院の仕組みや体制づくりに金がかかるのであれば、私は、一般会計からの財政投入をしてでも
救命救急センターの後方連携が円滑となるよう環境整備を急ぐべきだと思っております。なぜならば、
市立病院内でほかの診療科の医師が
救命救急センターを支援することになりますが、当然、ほかの診療科に余裕があるわけではなく、支援が長引けば長引くほど、
救命救急以外の医師を初め、職員に疲弊の連鎖を生む可能性があるからです。この点、必要な場合には、財政の皆さんも病院運営に配慮した対応をお願いしたいと思います。
それから、今、総工費が最大で1,000億円規模のアクセス道路の建設が計画されようとしています。このアクセス道路ができれば、一分一秒でも早く患者を搬送でき、救命率が向上するということも言われています。しかし、どんなに立派な道路をつくっても、医師や看護師を初め、救急対応する肝心の医療スタッフが充実していなければ、救命率を向上させることはできないのです。財政の皆さんには、今、どこに優先的にお金を使うべきなのか、この点についても十分検討していただきたいと思います。
それでは、次の質問に入りますが、
市立病院内での努力とともに、今まで以上に地域の
医療機関との連携もますます重要な課題であります。先ほど、
病院事業管理者が北大に直接出向いて医師派遣の要請をしたということですが、やはり、
病院事業管理者みずからが地域の
医療機関に出向いて、先頭に立って
救命救急センターとの連携を進めることが大切だと思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いいたします。
◎関
病院事業管理者 私は、現在でも地域の
医療機関の訪問を積極的に行っているところでありますが、院長として、また、私は地域連携センターのトップでもありますので、今後とも先頭に立って地域の
医療機関との連携を進めていきたいというふうに考えています。
◆村上ひとし 委員 非常に難しい課題だと思います。
救命救急での治療の結果、患者が急性期を乗り越えたものの、重度の脳機能障がいによる後遺症などがある場合、あるいは、合併する精神疾患によって一般病棟では対応が困難である場合、さらには、人工呼吸による管理が必要で退院や転院が困難な場合など、いわゆる出口の問題があります。この問題を改善するために、急性期を脱した患者を
市立病院内の一般病棟に円滑に転棟させるシステムと、重度の後遺症等により在宅への復帰が容易でない患者を
受け入れてくれる
医療機関、あるいは、介護施設などとの連携強化がどうしても必要であると思います。また、
救急患者の退院等を専門に担う人的体制の構築、さらに、専門で配置される人もつくということですから、こういった点も含めて対応が必要だと思います。
いずれにしても、医師を初め、関係する職員間で検討していただきたいと思います。
救命救急センターの医師、スタッフなどの医療関係の皆さんは、市民の命を守る最後のとりでである3次救急を守るという使命感を持って日々奮闘しております。ぜひ、病院全体で考えるとともに、支え合い、
病院事業管理者みずからも先頭に立って他の病院との連携を積極的に図っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
◆松浦忠 委員 私は、救急救命医療に関することと、それから、長年、使っていて、効能的に新薬と差のないジェネリック医薬品の利用の問題、この二つについて質問いたします。
まず最初に、救急救命医療で3次医療だけを
受け入れた病院が2次救命も
受け入れるように方針を転換すると。
そこで、お尋ねしたいのですが、市内の2次救急病院で、2次救急の患者が多くて、
受け入れて治療するまで相当な待ち時間が生じている状況が発生したから
受け入れるように方針を変更したのか、それとも、2次救急を
受け入れることによって、配置している救急救命士の患者に対応する稼働率を上げ、待機時間を少なくするという観点から2次救急を
受け入れることにしたのか、どちらなのか、お答えいただきたいと思います。
◎蓮実
経営管理部長 2次救急の
受け入れということですけれども、答弁でも触れさせていただきましたが、3次救急は
救命救急センターでして、別体制の部分については、生死にかかわるような重篤な患者、いわゆる3次救急以外の方も
受け入れるようにして拡大するということです。札幌市医師会の2次救急の当番には複数の診療科が参加しておりまして、2次救急自体は既に
受け入れる診療科がございます。さらに、今まで夜間の再来を受け付けていたのですが、他科にかかっている再来の方が当番の診療科に来た場合も
受け入れるというように、患者の
受け入れを拡大するところも視点にございまして、委員がおっしゃるような待ち時間の問題ではないということでございます。
◆松浦忠 委員
市立病院の医師が大量に退職していく問題というのは、過去にも何度かありました。最近では、静療院の問題があります。静療院の場合は、札幌市の
診療体制を変更することによって、そこに携わっていた医師が自分の持っている診療に対する医師としての考え方が大きく変わる、それは医師として
受け入れることができない、こういうことから、結果として多くの医師がやめていきました。
私は、今回の2次救急を
受け入れる判断というのは、医師が持っている価値観と相入れないから退職したというふうに見ざるを得ないと思うのです。これは、医師職である院長にお尋ねしたいのですが、院長も医師職ですからその辺はよくおわかりだと思うのです。医療法に基づく病院を経営するとなったら、どうしたって一定の医師数を確保しなければなりません。患者の要求はたくさんあります。10人いれば10様、100人いれば100様にありますから、それに対する医師の考え方というのをそんたくする中で判断していくことが大事だと思うのですよ。平岸の静療院のときは、行政側の札幌市がそこをはかり損なったなと私は思っているのです。そのはかり損ないをしたのはなぜかといったら、上田市長は、医師職である方を副市長に迎えて、そして、その人に任せて、いわゆる経営的な合理性を求めた、その結果がああいうふうになったと私は見ております。
私も77歳になりましたが、実は私が就職したのが日本国有鉄道で、北海道にも四つの鉄道病院があって、今現在、JR病院となっておりますけれども、札幌にもそういう病院がありました。そして、私は、組合側として鉄道病院の経営にかかわることにも参画いたしました。いろいろなことを経験してきました。
特に、2003年ころですが、教授を頂点とした大学病院の医局があって、いわゆる過疎市町村に対する医師派遣に伴って多額の研究費を求めるという問題が全国的に蔓延しておりました。そこで、私は、当時、政務調査費を使い、文部科学省の医師養成課長とも相談して、当時、北海道大学医学部には約1,000名の医師職がいましたが、この方々全員にアンケートを行い、多くの医師の方に協力をいただいて、この問題点について一定の集約をしております。これは、病院にも差し上げておりますし、全国の42都道府県、あるいは国、そして全国の主要な図書館などにも寄贈いたしました。そういう中で、心情的なことなどいろいろなことを率直に伺いまして、問題の把握をした上での今の私の発言なのです。
特に3次救急の医師というのは、細分化されていく医療の治療分野の中で、体全体を診るという技能を習得して、さらに、それに対応できるだけの経験を積んだ上で勤務しているわけです。そういう中で、今回、2次救急を
受け入れるということになると、夜間救急で来る多くの患者の要望はわかるけれども、先ほど私が申し上げたようなことで、それは医師の持っている矜持に触れていくのではないか、そのことが今回の退職の引き金になったなと私は判断するわけですよ。
なぜ、私がこういうことを質問するかといったら、
救急医療というのは、予算書にも明示されているように、この必要経費は企業会計の収支とは別に一般会計から支出しているわけです。そうであるがゆえに、そこのところの判断を間違えたのではないか、私はこう指摘せざるを得ないのです。
この点について、まず、間違えたか、間違えていないかは別にして、医師の持っている矜持という私の指摘に対して、ベテランの医師である院長には、まるっきり検討外れなのか、あるいは、そういうことも多分にあるだろうなと考えるのか、ひとつお答えいただきたい。
◎関
病院事業管理者 今の委員のご質問は、かなりいろいろな点がございましたので、一言でお答えするのはなかなか難しいと思っております。
ただ、私は、
救命救急センターで3次救急を一生懸命に頑張ってきた12名の医師は、本当にすばらしい医者だというふうに考えております。
それから、私は、彼らと何回もお話しいたしました。何のお話をしたかと申しますと、今後の
救命救急センターのあり方をどうしようかといったことについて彼らと相談したのでありまして、その中で、あなたたちが2次
救急患者を診なさいよなどとは、私は決して申し上げてはおりません。彼らは、一生懸命に3次救急の患者を診たいがために全国各地から集まってきたドクターなのです。一生懸命にそれをやってもらいたいがために私はその場所を提供しましたし、もっともっと一生懸命やってくれと彼らにお願いして、来年度も3次救急を一生懸命頑張ってくださいと私は申し上げました。しかし、先ほどいろいろな会派の委員にお答えしましたが、理由はそれぞれ違いますが、それぞれの家庭の事情などもございまして、今回、たまたま重なってしまいまして、私は本当に大変残念だなというふうに思っています。
それから、やめていく人間が、3次救急が忙しくてまるでバーンアウトしたような感じで思われているのは、彼らに対して本当に申しわけないなと思って、私は、院内にはそういった理由でやめたのではないということを通達いたしました。委員がご指摘のように、確かに、やりがいを与えられると一生懸命にやる人間が今の私どもの
救命救急センターの医者であります。ですから、何度も申し上げますが、2次救急をやりたいがために、あなたたち、やりなさいと言ったからやめたわけではないということをご理解していただけないかなと思います。
◆松浦忠 委員 院長は、そう言わざるを得ないでしょう。しかし、そこで笑っている方もいるけれども、私は、その辺のインターネットで情報をとって切り張りでやっているのではないのですよ。
私は、先ほども話したように、ずっと長い間、こういうことについて医者の立場をいろいろ調査してきましたが、大事なことは、人それぞれにそういうような矜持を持つわけですよ。特に、私は、日本の社会の中で、医師という職業が最も人から尊敬される職業だと思っています。それはなぜかといったら、私の命も救ってくれる人だからです。したがって、そういう人であるがゆえに、人がしない努力と研さんを重ねてそうした仕事に従事する方というのは、その人が口に出さないもの、あるいは、医師職でなければわからない矜持というものがあるのですよ。そこのところをきちんとしないと。誰が考えたって、12名中7名もが一気に退職するという、そんなに偶然が重なるようなことはないわけですよ。
したがって、そう言わざるを得ないのはわかるけれども、そこのところをしっかりと考えてやっていかないと。せっかく、去年、平岸の静療院のときに、ああいう子どもたちの診療に当たるお医者さんを確保することは難しいということで、何とかあの一件の収拾をつけるために、札幌市は北海道大学に1年間4,000万円ずつ研修費を払って、そして、来るか来ないか当てにならない医師の養成のために、わらにもすがる思いで194万の市民の税金を割いて出しているのですよ。そういうことなどを含めると、今、院長がお答えになったようなことで単純にやっておられるとすれば、私は、ちょっと違うのではないかなと思います。もうちょっとそこのところを考えて、きちんとやっていただきたいなと強く指摘しておきます。
次に、これは、事務方の皆さんに申し上げておきます。
こういうような病院の経営にかかわる問題のときに、やはり、2度あることは3度ある、3度あることはまた繰り返しますから、医師職の人の心の中がどこにあるかということをよくよく推しはかる、いわゆるそんたくをして、そして、例えば、患者からいろいろな要望が来たとしても、ここの職場で
受け入れが可能かどうかについて、きちんと十分に相談し、そして、推しはかって、そんたくをして、その上で決めていくということにしないと、静療院、そして今回というようなことになるわけです。そのために、いわゆる経営管理室長という局長職も置いています。さらに、部長もいますし、課長もいます。これは、そういうことをきちんとやるために置いているのです。
その辺について経営管理室長に一つだけ聞きますが、2次救急をやると言ったときに
救命救急センターの医師職の方々に直接話を聞いたかどうか、これだけお尋ねします。
◎渡邉 経営管理室長 先ほどご答弁申し上げたとおり、
救命救急センターの医師職の方々とは個人面談を含めて院長がじっくりお話しされておりましたので、この件に関して、直接、私のほうでお話をお伺いしたということは特にございません。
◆松浦忠 委員 質問はしませんが、指摘だけしておきます。
やはり、医師というのは、どんな診療に携わっている医師でも、みんなが同じ国家資格を持ち、そして、みんながそれぞれ自尊心を持っております。したがって、医師同士の話の中では言えるもの、言えぬものがあると思うのです。そういうものを事務方の皆さんがどう拾い上げていくか、本音をどう引き出していくか、これが大事なのです。
私が議員選挙に出た34年前の1983年は、病院の事務局長というのは部長職だったのです。その後、
市立病院の移転なども含めて、そういう中で局長に格上げをしていきました。それは何かといったら、だんだんといろいろなお医者さんも入ってくる、いろいろな職種の方々も来る、そういうことに対して、事務方としてどういうふうにして院長の補佐をしていくか、そういうことでの格上げだったのです。したがって、ぜひひとつ、今後は、きちんとみんなの意向を聞き取って院長に進言する役割を果たしていただくことを求めておきます。
次に、医薬品の関係についてですが、同じ風邪でも、新薬が出ました。昔、私らが子どものころは、風邪だといったら頓服と言われたのですね。このごろは、何かいろいろな薬品が出てきています。では、頓服の効能が今の病気に効かなくなったのかどうかといったら、効くのか、効かぬのか、試験した結果というのは聞いたことがないのです。ところが、頓服の薬価は安いのですね。新しい薬は、研究開発費がかかっていますから薬価が高いのです。
そこで、
市立病院で投薬している薬の処方箋の中で、同じ風邪でも、ジェネリックと言われる在来の安い薬の処方と新薬の処方について、どういう比率で医師が処方しているか調べたことがありますか、ないですか。ありましたら、その比率を示してください。なければ、ないと答えてください。
◎後藤 薬剤部長 現在、ふだん処方しているものの中で医師がどのような比率で処方しているかということ自体のデータは持ち合わせておりませんが、ご指摘のあったジェネリック医薬品の当院の使用状況ということでお答えさせていただきます。
後発品に関しましては、平成25年に、国のほうで後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップが作成されまして、後発品使用の目標が60%となっておりましたが、その後、閣議決定も踏まえて、平成28年には診療報酬改定で目標値が70%に引き上げられました。当院におきましても、新ステージアッププランで目標を60%としておりましたが、今、委員がご指摘になりましたように、昨今の事情を加味しまして、随時、ジェネリック医薬品の使用促進を進めておりまして、昨年度の段階でジェネリック医薬品として発売されているものの数量をベースにした比率はおよそ80%を超えました。そして、ことし3月には34品目のジェネリック医薬品を当院で新たに採用することになりまして、これによりましてジェネリック医薬品は90%ぐらいのシェアで使用するような状況になっております。
◆松浦忠 委員 今言った数字というのは、いわゆる処方されている量ではなくて、ジェネリックと言われている薬品の品目のうち、採用しているものということですか。
◎後藤 薬剤部長 お話が十分ではなくて、申しわけございません。
現在言われている数量ベースというのは、後発医薬品を使用した量でございます。ですから、
市立病院において後発品のあるものに対して、全部に後発品を使った場合を100としたときに当院では後発品を何%有効利用しているかという数字でありまして、現時点ではその採用状況を90%近くまで持ってきているということでございます。
◆松浦忠 委員 これは、
市立病院の医師の皆さんの認識の高さだというふうに私は受けとめました。
保険医療体制を維持していくには、何といっても、できるだけ医療費を少なく抑えていかなければ立ち行かなくなってしまうということは、誰でもがわかる話であります。そんなことから、
市立病院においては、ぜひひとつ、率先垂範で、できるだけ早く100%の処方になるようにさらに取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆好井七海 委員 私からは、認知症の対応についてと3次以外の
救急患者の
受け入れ拡大について、順にお伺いいたします。
まず、認知症の対応についてですが、ご承知のとおり、我が国は、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおります。それに伴い、認知症の方も急増することが見込まれ、2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人前後が認知症になると言われております。さきの保健福祉局との質疑でも認知症について触れましたが、きょうは医療現場での対応の観点から伺います。
認知症を抱えた高齢者がふえることにより、そのような方の一般的な病気による入院も増加すると見込まれます。
市立病院では、
入院患者のうち65歳以上の方が52%、うち70歳以上が39%であると聞いており、その中には、やはり認知症の患者も含まれております。身体疾患により認知症の患者が入院することになった場合、いつもと違う環境の中でうまく入院生活になじめるか、また、適切な医療が受けられるかなど、患者本人やご家族の方は不安になると思います。また、医療者の方々にとっても、患者に安全に、そして安心して入院生活を送っていただくため、大変なことも多いのではないかと推察いたします。
市立病院は、精神医療センターを有する身体と精神の治療を総合的に行うことのできる病院であり、これまでも多くの認知症のある患者に対応していると思います。
そこで、質問ですが、このような認知症のある患者に安心して入院してもらうため、
市立病院ではどのような
取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◎向井 副院長 認知症のある
入院患者に対する
取り組みについて、当院では、患者の認知症に伴う症状を和らげるよう、一般診療科の医師と精神科の医師が協力して診療を行っております。また、精神科の医師、精神看護専門看護師、臨床心理士、作業療法士等による精神科リエゾンチームが各病棟を巡回して、サポートの必要な認知症などの患者の診療を行っております。
それに加えて、昨年5月から、新たな
取り組みとして、院内の認知症ケアの質向上を図るため、同じく多職種による認知症ケアチームを編成いたしました。認知症ケアチームは、職員を対象とした研修や各病棟での認知症の患者に対する
取り組みをサポートして症例の検討や助言などを行うとともに、患者や家族の方からの相談にも対応しております。このように、チーム医療により認知症の症状悪化を防ぎ、治療を円滑に受けられるように努め、患者に安心して入院していただけるように取り組んでおります。
◆好井七海 委員 ただいまの答弁のポイントとしては多職種によるチーム医療を行っているということだったと思いますが、認知症のような課題に対応するためには、患者の状態について、関係する多くの職種で情報と意見を交換しながら医療サービスを提供していくことが必要不可欠だと思います。現場の医療スタッフの方々には大変なことも多いかと思いますが、認知症の患者やご家族が安心して質の高い医療を受けられるよう、引き続き努めていただくことをお願いします。加えて、もし効果的な
取り組みなどがあれば、ぜひとも地域の
医療機関などと連携して情報を共有していただきたいということを要望しておきます。
次に、我が会派の今議会の代表質問の中でも取り上げたように、高齢ドライバーの認知症対策を強化した道路交通法が3月12日から施行されました。この改正で安全対策としては一歩前進すると思いますが、認知症にかかわる医師の診断を受ける高齢者は、年4,000人ほどから5万人に増大すると見られており、医師の負担や責任が重くなることも懸念され、地域のかかりつけ医を支援する体制も重要であると思うところであります。
現在、医療提供に関しては、
医療機関の機能分化が進められており、
医療機関がそれぞれの役割を果たしながら連携し、患者に切れ目のない医療を提供していくことが求められております。
市立病院は、
地域医療支援病院として地域の
医療機関や医療従事者を支援するという役割があると思います。
そこで、質問ですが、認知症対応について、地域における
市立病院の役割をどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎向井 副院長 認知症対応における当院の役割についてお答えいたします。
まず初めに、地域の
医療機関では対応が難しい、認知症を併発した急性期の身体疾患などがあるような患者の
受け入れであります。先ほども申し上げたとおり、精神科の医師を含めたチーム医療により、患者が安心して治療を受けられるように、また、退院後に必要な医療や介護を円滑に受けられるように努めてまいります。
次に、地域の
医療機関を認知症にかかわる検査や診断の面で支援することであります。当院には、認知症の診断に用いる脳血流検査のための検査機器SPECTや、脳萎縮の診断に有用なMRIなどの
医療機器があり、撮影した画像の読影につきましても、専門の医師により、高精度かつ速やかに行うことのできる体制を整えております。
◆好井七海 委員 さまざまな患者に対応していくという答弁だったと思います。
要望になりますが、認知症への対応は、当然、
医療機関のみでできるものではなく、国が進める地域包括ケアシステムの構築などにあわせて、地域全体でそれぞれの患者を支える仕組みが必要であります。先ほどチーム医療の
取り組みを伺いましたが、同様に、地域においても認知症対応はチーム力が肝要になると思います。
市立病院においては、
地域医療支援病院として地域の
医療機関を支え、多くの病院で認知症患者への
取り組みが行うことができるように、例えば研修会や勉強会なども検討していただき、今後とも地域で患者を支える
取り組みに貢献していただくことを要望し、次の質問に移ります。
次は、3次以外の
救急患者の
受け入れ拡大についてお伺いいたします。
高齢化の進展により、
救急医療の需要も増加しております。先ほどの答弁にもありましたが、札幌市のホームページによりますと、平成27年中の救急
出動件数は8万8,000件を超え、過去最多でした。これは、5.9分に1回の割合で出動したことになり、10年前に比べると1万件以上も増加しております。
救急医療の体制は、比較的軽度な患者に対する初期の1次救急、中等症の患者に対する2次救急、生死にかかわるような重篤な患者の救命医療を担う3次救急の3段階に分かれておりますが、そのうち、市内で救急車により搬送された患者の大部分を占めるのは2次救急であり、この対策が急務です。ここで問題となるのは受け皿となる
医療機関の確保であり、医療体制が比較的充実していると言われる本市ではありますが、特に夜間については、あいている病院も少ないことから、
受け入れ体制の充実が望まれます。そういった中、
市立病院では、来年度から、3次以外の
救急患者の
受け入れにさらに力を入れていくというお話がありました。
そこで、質問ですが、
市立病院が3次以外の
救急診療をふやす狙いは何か、お伺いいたします。
◎関
病院事業管理者 3次救急以外の
救急診療をふやす狙いについてお答えいたします。
ご指摘のとおり、2次
救急患者の搬送が大きくふえておりまして、この傾向は今後もますます強まっていくというふうに考えております。また、近年、高齢の患者には、単一の疾患だけではなくて、さまざまな病態を抱えている方がふえているという点に関して、多くの医者が実感しているところでもあります。
したがいまして、多くの診療科と高い専門性を有する医師が多数在籍しておりまして、研修医の育成にも取り組むといった当院としての役割を考えますと、複合的疾患を有する患者の救急
診療ニーズにより一層応えていくとともに、その診療を通して、高い専門性を持ちながら、幅広い病態にも対応できる医師を多く育成していく医育機関としての当院の役割も担いながら行っていこうというものでございます。
◆好井七海 委員
市立病院には32の診療科があると伺っておりますので、多くの専門職の方に幅広く診ていただける総合病院であることを一つの得手として、充実した体制を整え、3次救急以外の
救急医療に力を入れることをお願いしておきます。市民にとっては、万一のときに本当に安心なことであり、私としても期待しております。
次に、既存の2次救急体制との関係についてお伺いいたします。
このたびの救急
受け入れ拡大については、その多くが2次救急になると思いますが、市内の2次救急は、札幌市医師会による当番制があります。
市立病院でも循環器、呼吸器、消化器、小児及び精神の2次救急輪番に参加しており、去年8月からはけが、災害にも加わっております。また、小児科については、輪番のほかに、平日は午後8時まで、土曜日は午前9時から午後3時まで、開業医の診療時間をカバーする形で医師が待機し、地域の
医療機関からの入院依頼などに対応していると聞いております。そうした中で、このたびの
取り組みによって
救急医療体制に厚みが増しますが、既存の輪番による2次救急の当番病院との連携や協力も大切になってくるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、2次
救急当番病院とどのように連携協力していくのか、そのお考えをお伺いいたします。
◎関
病院事業管理者 2次
救急当番病院との連携協力の考え方についてお答えいたします。
当院は、従来から、幾つかの診療科におきまして札幌市医師会における2次
救急当番制に参加し、当番日には当該診療科の2次
救急患者を
受け入れているところであります。当院としましては、この札幌市医師会の2次
救急当番制に引き続き参加し、
関係医療機関と連携協力していきたいと考えております。一方、当番病院で診療が難しいといった場合には、幅広い疾患に対応可能な当院として、できる限り搬送の依頼を引き受けていきたいと考えております。
◆好井七海 委員 札幌市医師会や医療関係機関と連携して、幅広く2次救急の体制を維持していくというご答弁だったと思います。
最後に、要望ですが、
市立病院には、
公立病院として
地域医療を支えるためにさまざまな役割があります。具体的には、救急、周産期、小児といった民間だけでは提供の難しい分野の医療を担うこと、あるいは、人材を育てることも重要な役割であると考えます。また、
地域医療支援病院として、地域の
医療機関を支え、
救急医療と
紹介患者の診療を中心とする病院であるという役割もあります。
このたびの3次以外の
救急患者の
受け入れ拡大は、このような
市立病院の使命を果たし、市民の生命と健康を守る
取り組みであり、ぜひともしっかりと実施していただくことを求めて、質問を終わります。
○山口かずさ 委員長 以上で、
病院事業会計予算の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時29分
再 開 午後2時50分
――――――――――――――
○山口かずさ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第12号 平成29年度札幌市軌道事業会計予算及び議案第13号 平成29年度札幌市高速電車事業会計予算について、一括して質疑を行います。
◆松原淳二 委員 私からは、路面電車ループ化開業後の成果と課題について伺います。
2015年12月20日、42年ぶりに札幌駅前通に路面電車の線路が敷設され、市電のループ化が開始されて1年と3カ月がたちました。昨年12月末に公表された札幌市路面電車ループ化後の状況についてという札幌市のホームページを見ますと、市民アンケートにおいて、駅前通のサイドリザベーションに関して、タクシーや荷さばき、そして自転車の走行など、走行帯の課題や低床車両が少ないことなどの声が寄せられているものの、歩道から乗りおりできる停留場ができたことで安全性や利便性が向上した、また、ループ化することで移動時間の短縮になったなどの意見も寄せられており、多くの利用者から高い評価を得ていると認識しています。
また、ホームページでは、ループ化後は、対前年比で1日当たり2,000人を超える増加となったと発表しております。ループ化が直接の要因とは言い切れませんが、路面電車の安全性や利便性の向上が図られ、そして、高齢者や障がい者にも優しい公共交通としての浸透が図られてきた結果だと考えております。誰もが利用しやすい便利な路面電車になったことで、外出を控えがちなお年寄りに都心部のまち歩きや買い物を促すといった効果にもつながり、都心のにぎわいやまちづくりに貢献するものと考えます。
そこで、質問ですが、交通局において、ループ化後の成果についてどのように捉えているのか、お伺いいたします。
◎東川 高速電車部長 路面電車のループ化後の成果についてでございますが、大きく二つあると考えております。
まず、一つ目として、内回り、外回りのどちらに乗車しても目的地に到着できるといった回遊性が向上したことに加えまして、駅前通へのサイドリザベーション方式の採用と停留場のバリアフリー化によって乗りおりがしやすくなり、安全性や利便性が向上したことから、結果として乗車人員の増加につながっているものと考えております。
二つ目として、駅前通で西4丁目停留場とすすきの停留場の間が結ばれるとともに、狸小路停留場が新たに設置されたことで、都心に足を運ぶお客様が増加し、まちのにぎわい創出につながっているものと考えております。
◆松原淳二 委員 ループ化により回遊性が向上した、そして、結果的にはそれが乗車人員の増加につながったのだろうということであります。また、西4丁目停留場とすすきの停留場が結ばれ、さらに、新たに狸小路停留場ができたことで、私も、何度か乗ったり近くを歩きますと、一瞬、歩いたほうが早いんじゃないかと思うのですが、いざ乗ってみると意外と便利でちょくちょく使わせていただいておりまして、路面電車の経営の観点からも乗車人員がふえるのは非常に喜ばしいことだと思っております。
しかし、その反面、利用者がふえたことで、特に、朝のラッシュ時の一部の時間帯において乗り残しが生じている停留場があると聞いております。乗車できなかった利用者にとっては、特に冬や雨などの悪天候のときには次の電車を待つ時間が非常に長く感じることと思います。朝のラッシュ時には数珠つなぎのように電車が来るわけでありますが、次の電車に乗れるとは限らず、次の次、またその次となってしまうことも間々あるのかなと思っていまして、このようなことが繰り返し発生することで利用客離れといったことも危惧しなければいけないと思っています。
そこで、ループ化後の乗り残しの状況と、これまで実施してきた乗り残しへの対策、また、その効果についてお伺いいたします。
◎東川 高速電車部長 ループ化後の乗り残しの状況と対策、その効果についてでございます。
ループ化開業後の平成27年冬の状況では、平日朝のラッシュ時間帯におきまして、外回りの西線11条、西線9条、西線6条の三つの停留場で慢性的な乗り残しが発生しておりまして、ご利用の皆様には大変ご不便をおかけしたところでございます。このため、ことしの冬につきましては、運行ダイヤを見直すことにより、混雑箇所の運行間隔を3分から2分台に縮めて輸送力の増強を図りました。また、乗客混雑の著しい外回りの西線6条停留場に職員を一定時間配置し、お客様に声かけを行うことで一人でも多くの方にご乗車いただけるようご協力をいただいたところです。
現状としましては、若干の乗り残しはあるものの、これらの対策により乗り残しとなるお客様の人数が減少したことから、一定の効果があったものと考えております。
◆松原淳二 委員 これまでのダイヤの見直しなどで一定の効果があったということでございます。
しかしながら、乗り残しの状況が緩和しているとはいうものの、乗ることができなかった利用者にとっては何も変わらなかったのと同じことになってしまうのかなと思っています。報道もされていますが、市電沿線は人口の増加が進んでいる地域でもあり、これからもますます増加が想定されております。現在、低床車両の導入に向けて準備を進めていると聞いており、このことは、路面電車の快適な利用環境、そしてバリアフリー化といったことにも寄与すると思いますが、乗車可能人員には大きく影響がないと聞いております。乗り残しが発生することは利用者にとっても望ましいことではありませんし、今後も効果的な対応をすることが望ましいと思います。沿線付近の人口については、路面電車の利便性が向上することによって、さらに増加が見込まれることも考えられますので、今後の乗り残し対策についても注視していかなければいけないと思っております。
そこで、今後の乗り残し対策についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎東川 高速電車部長 今後の乗り残し対策についてでございますが、お客様の利用状況や混雑状況を正確に把握するため、昨年10月とことし2月に利用実態調査を行ったところでございます。
次年度に向けましては、この調査結果を参考にしながら、混雑時間帯のより適切な運行ダイヤの見直しを行い、輸送力強化に努め、乗り残し対策を実施していくこととしております。
◆松原淳二 委員 実態調査の中身をしっかりと精査していただきながら、利用者にとってより便利で快適な路面電車を目指し、今後もさまざまな改善に努めてほしいと思います。
しかしながら、私も今までさんざん言ってきたのですが、人員や同一レール内を走る車両の数にも限りがありますし、安全性の担保は最重要課題となります。今冬は2分間隔のダイヤで対応してきたということでありますが、やはり、安全性の担保は必要不可欠ですので、行き過ぎたダイヤの過密化には十分配慮していただくことを求めておきたいと思います。
また、質問とは別ですが、先日、SAPICA乗継定期券でのプログラムミスにより、195件、3万2,290円の過収受があった旨の報道がありました。2月に公表したときには判明している分で71件、5,520円と報道されておりましたが、さらに精査を進め、バス会社保有のデータも含めて、3年分全てに対応した上で195件、3万2,290円の過収受の報道に至ったことについては一定の評価をしたいと思います。
しかしながら、これから、4月には敬老パスのIC化、路面電車の料金改定、9月にはさっぽろ駅の南北線と東豊線の連絡通路柵の撤去など、プログラム修正が控えております。このようなミスがないように万全の体制で臨むことを求めたいと思います。
また、SAPICAも、今、さまざまなところで決済できるようになってきております。札幌市のミスではないプログラムミスの可能性も今後は発生することが想定されます。そういったときにも、やはり、市民、利用者の利便性、そして信頼回復に向けた早急な対応を行うことを求めて、私の質問とさせていただきます。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、SAPPORO SNOW VISIONの成果と今後の展開について質問させていただきます。
平成28年
決算特別委員会において、我が会派の交通局における広告事業についての質疑に対して、広告収入は乗車料収入以外の重要な収入源と認識している、また、局の広告事業において、デジタル広告の推進は、広告収入の増加を図る上で重要な戦力の一つと考えているとの答弁がありました。
交通局の広告事業は、いわゆる中づり広告だけではなく、駅構内では、ロングセット広告JAXSON、また、Xシートシリーズや各種の大型ボードの広告、そして、円柱を活用したアドピラー、ホーム柵、ステッカー、また、改札機や、有名なところではペイント電車など、攻めの広告展開をしているのだなというふうに評価させていただいております。
そういった広告展開の中でも、特にSAPPORO SNOW VISIONは、デジタルビジョンの特性を生かして、1日に何社も広告を掲載でき、また、動画が多いためにまちのにぎわいにも貢献しており、デジタルサイネージの可能性に今後も期待しております。
このSAPPORO SNOW VISIONは、平成28年2月に本格的に稼働してから約1年が経過したところであります。
そこで、質問ですが、SAPPORO SNOW VISIONの成果や状況について、収支の観点も含めてお伺いいたします。
◎菱谷 事業管理部長 大通駅にありますデジタルサイネージ広告の稼働から1年たっての成果、状況というお尋ねでございます。
今、委員からもお話がありましたように、SAPPORO SNOW VISIONにつきましては、平成27年10月に6基、そして、28年2月に6基と段階的に稼働を開始しているところでございまして、全体的な稼働が始まってから約1年が経過したところでございます。平成28年度の掲出率で言いますと、高い月は6割を超える月もありますが、低い月には1割前後と、月によってかなりのばらつきがありまして、平均としては34%という状況でございます。
平成28年度の広告料収入は約4,000万円と見込んでおりまして、平成29年度の収入予算額は、それらも踏まえて6,500万円を計上しているところでございます。仮にこれを達成することになりますと、必要な経費もございますので、それを差し引きますと約5年間で設備投資額の1億7,000万円を回収する見通しとなっております。
稼働当初は1日単位で放映するプランが主流でございましたが、28年度に入ってからは、1週間連続で放映するプランの申し込みが増加するなど、一定期間の広告展開を図る傾向が出てきております。
なお、広告主は、現段階では首都圏に本社を置く大手企業が中心となっておりまして、業態も、映画配給会社並びに化粧品メーカー、放送局など、多岐にわたる企業から掲出いただいているところでございます。
◆わたなべ泰行 委員 今の答弁で、稼働から1年がたち、利用実態の傾向もわかってきて、5年間で回収できるというお答えでしたが、やはり、34%というのはまだまだ努力するべき点があるのだなというふうにも思います。
そこで、質問ですが、稼働率を高めて収入の増加を目指すに当たっては、これまでの利用状況をさらに分析して、今後の増収に向けてしっかりとした対策を検討すべきであると思いますが、交通局では、稼働状況についてどのように評価、分析しているのか、伺います。
◎菱谷 事業管理部長 これまでの稼働状況に対する評価、分析ということでございますが、稼働状況を分析する限り、SAPPORO SNOW VISIONの広告媒体としての認知度はまだまだ向上の余地があるものというふうに認識しております。
実際に、平成28年度下半期の平均掲出率は、上半期よりも約7ポイント上昇しております。これは、今年度、広告関係者が購読する広告メディア特集誌へ掲載したり、札幌商工会議所会員へのメール配信、また、企業家団体の研修会に出かけてPRするなどの営業促進、さらに、大通周辺の企業への営業活動により、少しずつではありますけれども、成果を上げているものというふうに考えております。
なお、今までご利用いただいた広告主のうち約3分の2は、2回以上の複数回の利用となっております。このことからも、1回広告を掲出していただければ、SAPPORO SNOW VISIONのPR効果も実感していただけるものと期待しているものでございます。
◆わたなべ泰行 委員 SAPPORO SNOW VISIONの周知がなかなか進んでいないけれども、一度使っていただいたらリピーターの方もふえていくということでしたので、やっぱり利用価値があるのだなと思います。とはいえ、まだまだ稼働率向上の余地があるのだなというふうに思います。
本市は、創造都市さっぽろということを掲げておりますが、札幌駅前地下歩行空間でICT事業を展開するなど、デジタル先端都市として世界の注目を集める事業を実施しておりまして、SAPPORO SNOW VISIONはその一翼を担えるデジタル広告媒体であるとも評価しています。
また、本市では、地下鉄駅、地下歩行空間を初めとする地下空間の活用について独自の地下文化を形成しており、今や、世界的にも札幌の魅力を高める施設の一つとして海外からも高く評価されております。海外からインバウンドで来られた方たちに対してどこに行きたいのかと尋ねたあるアンケートでは、地下歩行空間も挙げられておりましたが、このように、柱に設置され、デザイン性に富んだSAPPORO SNOW VISIONはこうした地下空間の雰囲気づくりの一翼を担っていると思います。今後は、広告媒体としてはもちろんのこと、ぜひ、札幌の魅力を高めるツールとして活躍することを期待しております。
そこで、質問ですが、SAPPORO SNOW VISIONにおける今後の展開について伺います。
◎菱谷 事業管理部長 今後の展開についてのお尋ねでございますが、先ほどご説明させていただきましたとおり、広告主にはリピーターが多い反面、稼働率をさらに高めていくには新規顧客の開拓を積極的に展開していく必要があるというふうに認識しております。このことから、これまでも行っている広告メディア特集誌への掲載とか、広告代理店と連携協力して企業、事業者への営業活動や販売状況の分析を行い、より利用しやすい制度の工夫も検討してまいりたいと考えております。
また、このビジョンには、例えば、花粉の飛散量を予測する花粉情報とか、紫外線の強さを予測する紫外線予報とか、ビールがおいしく飲める天候かどうかを数値化したビール予報というように、生活に役立つ情報と連動した広告を流す機能も付加されております。平成29年度は、こういった機能を最大限に活用いたしまして、この機能に適した業種、企業に特化した営業活動も積極的に展開してまいりたいと考えております。
なお、SAPPORO SNOW VISIONは、今年度、日本商環境デザイン協会北海道支部デザインアワードの最優秀賞をいただいておりまして、デザイン性がすぐれているという評価をいただいているところでございます。ついては、高品質なデザインを生かした販売促進を図るとともに、大通公園や、委員が先ほどおっしゃいました地下歩行空間のさまざまなイベント、また、来年度予定されている札幌国際芸術祭などとの連携を模索するなど、都市の魅力向上にも貢献していきたいというふうに考えているところでございます。
◆わたなべ泰行 委員 ビールのおいしい情報があるというのは勉強不足でしたが、まさに札幌らしい
取り組みだなと思います。
最後に、要望ですが、稼働率向上へ大変意欲的に取り組んでいること、また、広告代理店等の専門家の意見を聞いていることも伺いました。しかし、私の周りの広告代理店の方たちにお話を聞きますと、営業の方法にまだまだ改善の余地があるのではないかということでした。いろいろな方に話を聞いているとは思いますが、ますます積極的に専門家の話を聞いたり、ほかのデジタルサイネージの成功例なども研究して、ぜひ稼働率100%を目指してさらに収益を上げていただき、さらに、第2、第3のデジタルサイネージ設置に取り組んで赤字解消の追い風になっていくことを期待したいと思います。
その際は、ぜひ、地下鉄さっぽろ駅、すすきの駅への設置も検討していただければと思います。チ・カ・ホ、ポールタウンを挟むことで地下空間の魅力アップにも貢献できますし、数が多いと新たな広告展開も期待できると思います。今後も、デジタルサイネージの活用に向けて、さまざまな挑戦に積極的に取り組んでいくことを要望して、私の質問を終わります。
◆太田秀子 委員 私からは、精神障がい者の運賃割引制度について質問いたします。
本市では、身体・精神1・2級と知的Aの重度障がい者に交通費全額補助を実施しています。身体3級・4級、精神3級、知的Bの中度障がい者は4万8,000円の助成カード支援があり、さらに、身体・知的障がい者には全国統一の制度として運賃半額割引がありますが、同じ中度でも精神だけは半額割引がないため、本市として半額助成をしてほしいと要望が出されてきました。
我が党は、2012年3定、4定の代表質問、2014年、2015年の代表質問などで繰り返し質問してきましたが、本市は、その間、市長がかわっても、精神障がい者の運賃割引制度は実施されることが望ましいという答弁を繰り返してきました。2015年11月、交通局の事業推進担当課の資料によりますと、3障がい同一の考え方のもと、運賃割引の実施は望ましいと考えるが、地下鉄、電車、バスが歩調を合わせて実施することが基本と交通局の考え方を述べています。市長も交通局も、精神3級の運賃半額割引は望ましいと言いながら、整理、検討するとして今に至っています。
そこで、質問いたします。
精神3級の運賃割引について検討していると思いますが、どのような課題があり、検討状況はどうなっているのか、伺います。
◎菱谷 事業管理部長 精神障がい者の運賃割引の検討状況、また、どんな課題があるのかというお尋ねでございます。
先日の代表質問でも吉岡副市長から答弁させていただきましたとおり、3障がい同一の考え方のもと、精神障がいのある方につきまして運賃割引を実施することはもちろん望ましいと考えております。しかし、委員からもご指摘がありましたとおり、私ども交通局といたしましては、バスと地下鉄、路面電車の3事業が一体となって公共交通ネットワークを形成していることから、運賃割引を行う際には、各事業者が歩調を合わせていくことが基本と認識しているところでございます。
仮に、地下鉄、路面電車が先行して運賃割引を実施する場合には、バス事業者とは異なる取り扱いによる利用者の利便性の確保や運用上の課題のほか、減収が経営に及ぼす影響などがあると認識しております。これまで、これらの課題を踏まえつつ、運賃割引を行う際の手法や課題を解決するための方策などの検討を関係者間で連携して行っておりますけれども、現段階では結論を出すに至っていない状況でございます。
◆太田秀子 委員 今伺った中身は2015年の資料の中にも同じように書いておりまして、課題はこのときと同じだなと思って聞いておりました。
では、詳しく伺いますが、利便性については具体的にどういう課題があるのか、教えてください。
◎菱谷 事業管理部長 利便性の課題は具体的にどういうことかというお尋ねでございます。
利用者の利便性の課題についてでございますが、交通局が割引を先行実施する場合、バス事業者と割引制度が異なるため、福祉割引SAPICAなど1枚の乗車券で地下鉄とバスの両方を利用することができなくなり、地下鉄では、乗車の都度、券売機で切符を購入していただくことが必要となります。また、路面電車では精神障害者手帳の提示が必要となることや、地下鉄とバスを乗り継ぐ際の現行の乗り継ぎ割引の適用が困難になること、また、それぞれで料金を支払うことによる誤購入や誤使用に伴うトラブルの懸念など、運用上の課題があると認識しております。このほか、券売機で切符を購入する際に、たまったSAPICAポイントでは切符を購入することができないなど、SAPICAポイントの利用方法における課題もございます。
◆太田秀子 委員 では、続けて伺います。
減収についてですが、今、お話があったように交通局で先行実施した場合、費用は幾らかかるのか、お答えください。
◎菱谷 事業管理部長 経営に及ぼす影響として仮に先行実施した場合の減収額でございますが、現在の乗車実態や平成27年度の実績をもとに試算したところ、毎年、地下鉄事業と電車事業を合わせて年間約2億7,000万円の減収となる見込みでございます。
なお、ここ数年、精神障がい者の方々の数が増加傾向にあることを踏まえますと、減収額が経営に与える影響は大きく、今後の
経営状況を慎重に見きわめていく必要があるというふうに考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 まだ運賃半額割引を実施していない精神3級の方の地下鉄と市電の利用者数は5,537人と伺っていますので、本市の計算式に当てはめて私も計算してみました。平均単価250円の半分、平均乗車回数を199回、利用者数を掛けると1億3,700万円、そして、先ほどお話にありましたように、乗り継ぎ割引が適用されないとか、幾つかの要素を加味してそれらを差し引きますから、地下鉄で約1億1,000万円、市電は1,000万円になります。
そこで、改めて伺いますが、先ほどの2.7億円というのは、もう既に実施している精神障がい1級・2級を含めた金額です。精神3級の運賃半額割引を行った場合、地下鉄と市電を合わせて今後新たにかかる費用は1.2億円ということでいいでしょうか、お答えください。
◎菱谷 事業管理部長 中度の方々の減収想定額のお話と理解しておりますが、委員がご指摘のとおり、減収額のうち、中度の方に係る減収額は年間約1億2,000万円と推計試算しているところでございます。
◆太田秀子 委員 1級・2級はもう既に実施していますから、さらに減収するという意味では1.2億円だということでした。
2015年の交通局の資料には、先ほどもお話があったとおり、経営に及ぼす影響として地下鉄の建設に伴う資本負担が重いとか企業債残高を抱えているとあります。
そこで、私は、2015年度の交通局の決算を調べてみました。そうしましたら、約99億円の黒字です。この時点で10年連続の黒字でした。そして、2017年度の予算を見ますと、企業債の償還は230億円ですけれども、前年度と比べて償還金は21億円も減っています。企業債残高は、1998年の5,170億円をピークに、2017年予算では2,812億円と順調に減っています。
地下鉄の建設は、1999年、東西線宮の沢駅への延長が最後でした。このたび、東豊線の可動式ホーム柵の設置が完了し、これで全ての駅に可動式ホーム柵がつきました。今後、老朽化施設の更新などは必要ですが、大きな建設計画はありませんので、企業債は減っていくのみです。1.2億円の負担ができないとは思えません。
もう一つ、利便性の問題ですが、利用者からしますと、券売機で購入するのも、少し手間がかかりますが、問題はありません。障がい者団体からも、最初は戸惑うかもしれないけれども、負担が減ることはうれしい、券売機での購入でいいんだと。このことは、理事者の皆さんはもう既に聞いているはずですよ。
精神障がい3級の方たちは、多くが作業所に通い、社会参加し、復帰に向けて頑張っている人たちです。交通費助成は重要な支援なのです。ここに、精神障がい3級の方の手記があります。長いので省略して少し紹介しますと、一生懸命働いて鬱になった、自宅と病院を往復する暮らしは、社会と触れる必要性もなく、また、必要とされる場所もなくなる、回復に向かい、社会とかかわる第1段階として好きなことを何かしてみようと思う、しかし、それは物すごくハードルの高い第一歩だ、精神障がい者の多くは親元やグループホームで暮らしている、努力してひとりで暮らせるようになりたい、交通費の半分を援助してほしい、そういう支援が頑張る力になる、こう言っています。
そこで、質問いたします。
課題をいろいろおっしゃいますが、いや、もう言い続けてきましたけれども、国は知的、身体、精神の3障がいを一元化しました。国土交通省は、運賃割引の対象に精神障がい者を加えています。これは、障がい者の皆さんの粘り強い運動によってようやく進んできたのです。その後、本市にも訴えてきたはずです。これ以上待たせるのですか。家族に依存した生活の長期化は、障がい者の自立を困難にするだけではなくて、家族の経済的困難も引き起こします。運賃割引で地下鉄や市電の利用がふえれば、社会参加の後押しにもつながります。ここに障がい者運賃割引の目的があります。
これ以上先送りせず、精神障がい3級の運賃半額割引をまず市営交通で先行実施すべきと思いますがいかがか、伺います。
◎菱谷 事業管理部長 まず、冒頭の地下鉄事業などの収支の考え方から少し触れさせていただきたいと思います。
確かに、近年、経常収支は黒字を計上しておりますが、皆さんもご存じのように、まだ2,000億円を超える累積欠損金、また、3,000億円近い企業債残高を抱えておりますし、資金的にも緩和債を発行して何とか資金不足に陥らないようにやっているのが実態でございます。そういう意味では、交通事業の厳しさというのは依然として続いているのかなと考えているところでございます。
それから、中度3級だけでも運賃割引を先行実施することはできないのかというお尋ねでございますが、まず、現在の料金制度上、身体・知的障がい者の運賃割引につきましては、社会参加を促進するなどの趣旨から、障がいの程度にかかわらず、障害者手帳や療育手帳の交付を受けている方を対象に実施しているところでございます。このため、精神障がいのある方につきましても、仮に運賃割引を実施する場合、この趣旨を踏まえますと障がいの程度に応じて区分することは適当ではないのではないか、また、仮に中度障がいの方に限って割引を実施した場合、中度障がい者であっても、市の交通費助成で福祉パスを選択せずにタクシーやガソリン券を選択されている方、あるいは、市外からお越しの方で障がいのある方については割引の対象から外れてしまうことになるのではないかというふうに考えております。そのような観点から、中度の方だけを対象に運賃割引を実施することは難しいと認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、利便性の確保など、先行実施に係るさまざまな問題や減収の見込みによる経営への影響などについてしっかりと見きわめていく必要があると思います。これらを踏まえまして、精神障がいのある方の運賃について札幌市全体の課題としてどう対応していくべきか、今後とも各関係者間で連携調整を図りながら引き続き鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 私の質問が3級だけでもやってくださいと聞こえたのだったら、そうではないのですね。一番最初に言ったとおり、重度の方たちは、精神1級・2級の方も含めて助成はされているのだ、中度の方は、身体3・4級と知的Bの方、精神3級の方は4万8,000円の助成を受けている、だけど、その中で、身体3・4級と知的Bの方は国の方針として2分の1を助成されているということなのです。つまり、そういう中で、精神3級の人は2分の1の助成がないから札幌市でやってくれ、そういう要望が出ているのだと言ったのです。違うのでしたら、後でまた教えてください。
収支の考え方のことでお話がありましたが、私が言いたいのは、企業債があるとおっしゃいましたけれども、これは、家計と違いまして、適切な交付税措置をしていないから市町村は借金せざるを得ないというところもあるのです。たとえ借りても、やらなければならないことはやるべきなのです。
しかし、何でも借金すればいいというものではありません。その見きわめは、市民生活にとって必要かどうかと、地域経済の循環に効果的か、これが大事なわけですよ。そして、企業債については、緩和債とかいっぱいあることも知っていますけれども、順調に減っているわけです。さらに、乗車人数はふえていますので、それはできない理由にはならないと思いますね。
それから、利用者の利便性の問題も語られましたが、利用者からは、市の方と年に2回ぐらい懇談して、券売機で買うことはいいのだ、そういうことは伝えているのだということも聞いていました。今までも検討すると言い続けていて、きょうもそういうご答弁でしたが、昨年、障がい者団体の皆さんとの懇談で、ちょうど市長が来られまして、時期は未定だけれども、具体化に向けて検討していくと市長は回答しております。時期未定ではなくて、時期を決めて準備してもらいたい、まずは市営交通で一日も早く先行実施すべきと強く求めておきます。
あわせて、財政の方もいらっしゃいますので申し上げますが、民間バス事業者は本市から赤字路線の補助を受けている状況です。しかし、それは、市民生活の基盤となる地域の足を確実に確保するために公共交通としての役割があるから補助制度を設けているわけです。このような観点からいっても、本来、バスを含めた3事業所の障がい者運賃割引は、本市がお金を出して福祉の施策として行うべきものであると申し上げて、私からの質問を終わります。
◆松浦忠 委員 まず、交通局が所管している土地の問題、次に、乗車券の券売機にかかわる問題、それから、路面電車ループ化に伴う諸問題という3点を質問いたします。
最初に、交通局が所管している土地のうち、いわゆる乗車対策ということで、地下鉄駅のすぐそばにある場所を10カ所、駐車場として株式会社札幌振興公社に貸し付けております。
そこでまず、この賃料について、一般的な土地の評価が出ますが、その土地の評価額の何%で貸し付けているか、お尋ねします。
◎菱谷 事業管理部長 交通局の財産の土地使用料及び賃借料の算定は、固定資産税の評価相当額に一定の比率を乗じて求めているのが一般的でございまして、その率についてお尋ねでございます。
パークアンドライド駐車場の事業展開につきましては2.7%、それから、一般の駐車場のエリアにつきましては4.3%の率を乗じて算出しております。
◆松浦忠 委員 なぜ、パークアンドライド駐車場が2.7%で一般が4.3%という差が生じているのか、それについて説明いただきたい。
◎菱谷 事業管理部長 パークアンドライド駐車場は、本市の事業といたしまして、都心への車両流入の抑制及び地下鉄の需要喚起を目的として始めたものでございまして、交通局が所有する駅近隣の未利用地の有効活用を図り、土地及び建物の賃借料を得ることは、重要な収入となっているところでございます。
◆松浦忠 委員 交通局の持っている土地、使っていないところを活用して収入を得ているから、一般の貸し付けよりも1.6%ぐらい安くということですね。
交通局は、今も議論があったようにお金が大変だと言っています。確かに、今、交通局が建設投資をした借金の返済はなかなか大変であります。したがって、交通局は、収入を得られるところからは少しでも収入を上げていかなきゃならぬわけです。その収入を上げる一環として、車で通勤する人に、地下鉄駅のそばに駐車場をつくるから、ここを使って地下鉄を利用して勤務地へ行ってください、あるいは、目的地へ行ってくださいという目的でつくっているわけですね。
そういう中で、土地を借りている振興公社は、毎年、単年度で黒字になっています。しかし、自主事業でやっているロープウエーでは赤字を出しています。そして、赤字を埋めている最大の要因は何かといったら、この駐車場部門の会計なのです。これで最大の黒字を出して、赤字を埋めているのです。そうであれば、交通局は、4.3%のところに賃料をきちんと戻すべきだと思うのですよ。
交通局は企業会計ですから、管理者を含めて、内部でこのことについて検討したことがあるか、ないか、お聞かせください。
◎菱谷 事業管理部長 交通局の財産の使用料、賃貸料の算定は、先ほど答弁いたしましたように、固定資産税評価相当額に一定の比率を乗じることや、また、それができない場合は不動産鑑定の評価額を用いておりまして、社会情勢や近隣の相場感を反映した賃貸料というふうに考えているところでございます。
賃貸料のあり方につきまして、どういったあり方がいいのかということは今までも検討してまいりましたし、今後も、引き続き、社会経済情勢や市場の動向を踏まえまして、適宜、必要な見直しを図っていきたいと思います。
◆松浦忠 委員 委員長、私の質問に答えていない。答えさせてください。わからなかったら隣の職員に聞いてください、私が何を質問したか。(発言する者あり)
○山口かずさ 委員長 賃料の検討のところですね。
◎菱谷 事業管理部長 賃貸料のあり方については、これまでも、どういうあり方が適正かということは内部でも検討しておりますし、また、必要な見直しはしているところでございます。
◆松浦忠 委員 相原管理者に聞きますが、賃貸料2.7%ですから、1.6%減額しています。この減額は、10カ所で幾らになって、そして、これをどうすべきかということを内部で検討したのですか、しなかったのですか。管理者として答えてください。
◎相原 交通事業管理者 ただいま事業管理部長からお答えいたしましたが、時々刻々といいますか、情勢に応じて検討はしておりますけれども、私の代に直接検討したことはございません。
◆松浦忠 委員 では、2.7%を4.3%に上げたら幾らの差額が出ますか。
◎菱谷 事業管理部長 大変申しわけございませんが、今、試算した数字を持ち合わせておりません。
◆松浦忠 委員 さっき私にファクスしてくれたから、これに1.6を足して4.3でやったら何ぼになるか、やってごらん。この部分は保留にして次に進むから、後で答えてください。
相原管理者、あなたは、札幌振興公社の取締役をやっていますね。札幌振興公社は、株式会社で、会社法の適用を受けております。取締役は、その会社に対してどういう役割を果たさなければならないですか。
◎相原 交通事業管理者 当然に、会社の利益にそぐうような判断、検討への参加ということが必要になります。
◆松浦忠 委員 会社法でそう定められていますね。一方、今度は、札幌市の交通事業管理者として、交通事業の経費を節減し、できるだけ利益を上げて負債の返済に当たるのが交通局のまず第一の命題であります。それからいったら、札幌振興公社の取締役を務めているということは、一方では、利益を追求するために、例えば、土地を借りて駐車場事業をやるとしたら、できるだけ土地を安く借りるようにする。貸すほうは、できるだけ高く使ってもらい、そして利益を上げていくということですね。これは、交通事業管理者としては相反する仕事をやっているわけですよ。会社法では、これをいわゆる背信行為に当たると、こういうことはね。(「何でそうなるの」と呼ぶ者あり)
背信になるでしょう。片方で、できるだけ賃料を安く借りる、片方では、交通事業管理者としてできるだけ利益を上げるように資産運用する、これはいわゆる背反行為でしょう。(「政策誘導でしょう」と呼ぶ者あり)政策の問題ではない。(「政策誘導してるでしょう、これ」と呼ぶ者あり)いいですか、政策の問題でない。政策誘導は何かといったら、それでは、ことしの……(発言する者あり)いいですか、ことしの……
○山口かずさ 委員長 静粛にお願いします。
◆松浦忠 委員 (続)委員長、関連質問するなら、どうぞさせてください。私は中断しますから。
○山口かずさ 委員長 わかりました。質問を続けてください。
◆松浦忠 委員 (続)お互い静粛にやりましょう。お互いといっても、私は、この議会では、やめろとか、ただの一言もやじを入れたことはないですよ。少なくとも……(発言する者あり)いいから、畑瀬君、君は議長までやって、ぐちゃぐちゃ言うもんじゃない。
○山口かずさ 委員長 静粛にお願いします。そして、質問を続けてください。
◆松浦忠 委員 (続)畑瀬君、君は議長までやっているんだからね、静かにしなさい。(「わかんねえもん、だって」と呼ぶ者あり)わからなかったら、黙っていなさい。議論しているのは、私と理事者です。
そこでですね……(発言する者あり)勝木君、君もまだわからないのか。反省が足りないな。
○山口かずさ 委員長 質問を続けてください。
◆松浦忠 委員 (続)さて、そこで、市長、今のような立場というのは、利益相反の立場なんですよ。したがって、こういう立場において、交通局の経営も、それから、札幌振興公社の経営にもそれぞれ―振興公社は、まだ社長でないからいいですよ。少なくとも、交通局においては責任者ですよ。地方自治法に定められた事業管理者ですよ。市長はなぜこういう形で任命しているのか、まず、市長の真意を聞きたい。
◎秋元 市長 先ほどご答弁させていただきましたように、例えば、パークアンドライドのような交通政策と関連する事業があって、そこに交通事業管理者が取締役として参加しているということがあります。
仮に部分的に利益相反する部分が出てきたとしても、利益相反する場合はその議決に参加しないという形になりますので、問題はないと認識しております。
◆松浦忠 委員 それは、あなたの見解ですよ。法の見解は違いますよ。市長の席に座って、言ったことが何でも正しいなんて思ったら、これは違うよ。会社法で何を書いているか、公営企業法で何を書いているかということをもう一回読み直してください。これは、私は指摘しておきますから、また次の機会にやります。
それから、もう一つ、私もずっと議員をやっていますから、政策的にそれをやったということは知っていますよ。私もやれと言ったほうですよ。しかし、だからといって、土地を安く貸さなければ経営が成り立たないのかどうか。私の記憶では、土地を安く貸すなんていう話は、ただの一度も議会での議論はない。議事録を全部調べればわかる、これは。
一方で、この間、経済観光局で審議しましたけれども、法人の
経営状況の中に振興公社が出ております。この中にはっきり書いております。振興公社の経営報告書の中には、駐車場の料金体制を見直したことによって大幅に黒字が増加したと書いてあります。こういうようなもうかる事業ならば、交通局も交通事業振興公社というのを持っていますので、そこでやればいいのです。
こういうふうにして、自分のところでもうけるために活用できるものを、みすみす利益を少なくして、そして、札幌市が82%の資本金を出している振興公社の黒字化に寄与している、これは一体どういうことですか。こういうことをやっていて、そして大変だ、大変だなんて言っている。自分でやれることもやらないで、大変だ、大変だと言っていて、これは全く問題外です。
このことは、何を言ったって事実は事実で、今ここでどうすることもできないけれども、私がまず市長に求めたいことは、交通事業管理者に札幌振興公社の取締役を即座に辞任させることです。逆に言えば、札幌市の局長職がついていること自体がおかしいので、札幌市が82%の資本金を出して経営している振興公社であるがゆえに、市長の統制を全く受けない人々が経営に当たるべきであって、統制を受ける人は振興公社の経営にかかわるべきではない。これが、会社法で言う、そしてまた、地方自治法で言うありようなのですよ。
私はこうすべきだと思うのですが、市長、いかがでしょうか。
◎秋元 市長 先ほどご答弁させていただいたとおり、そう考えてはおりません。
◆松浦忠 委員 市長、今、あなたの頭の中は、それしかないからそれしか答えられない。しかし、よくよく会社法を読んでごらんなさい。地方自治法を読んでごらんなさい。私もよくよく読んでやっているんですから、私の指摘していることが外れているなんてことにはなりません。したがって、わからないときには、素直に、検討してみます、調べてみますと答えて初めて議論というのが成り立っていくのです。質疑というのは、そういうことなんですよ。
次に行きますけれども、先ほど言った差額は幾らになりましたか。
◎菱谷 事業管理部長 現在、振興公社に10カ所の土地を貸していまして、全てパークアンドライド駐車場に利用されておりますが、一般駐車場として利用している方もおり、それらの案分で計算されていて、今現在、その案分比が一カ所一カ所で異なるものですから、それがないと試算ができない状況でございますので、お時間をいただいて、委員のところにお届けいたします。
◆松浦忠 委員 振興公社がここで幾ら売り上げて、経費が幾らかかってどうなっているのか、さらに、近隣の駐車場の料金なども調べた上で、そこの料金が妥当なのかどうかも含めて精査した結果、こういうふうな形で、賃料はこのぐらいまで取れるということをきちんと判断してください。このことについては、3定で引き続きやります。
次に、たび重なるSAPICA乗継定期券の過収受についてです。
これが何で起きているかといったら、私は何回も指摘しておりますけれども、交通局にコンピューターのプログラムを検証するという意思がないから起きているのです。
もう一回、説明を求めますけれども、これは、日本信号株式会社の機械で、知的財産権もありますし、もう1社しかないですね。そうすると、料金を変えたり、あるいは、乗り継ぎの方法を変えたりしたときに、交通局から日本信号にはどういう条件で発注しているのか、説明してください。
◎小林 技術担当部長 料金判定プログラムの改修について、どういう形で発注しているのかというご質問でございました。
札幌市交通局では、さまざまな料金ルールを定めております。例えば、地下鉄と関連する路面電車やバスとの乗り継ぎのときに割引する、あるいは、乗車区間によってたくさんの料金をいただくなどです。その料金ルールを示して、バスなり電車なりの乗車地点から降車するまでの間にどういう経路を通って、その間の料金がどのようになるかを、改札機などで自動的に判定するプログラムをつくるようにという形で発注してございます。
◆松浦忠 委員 十分な条件が設定されているかどうかについて、それなりに検証しているのでしょうけれども、きちんと検証していないから結果的にこういうことが起きるのですよ。
そこで、こういうことが起きたときに、契約上、日本信号に瑕疵が発生しているのか、していないのか、これを示してください。
◎小林 技術担当部長 ただいまの質問は、このようなプログラムの誤りがあった場合に、メーカーの瑕疵という視点からはどうなのかということでございます。
これは、直ちにわかる瑕疵がある場合は、メーカーには対応する義務がございます。今回の過収受に関しましては、製品を納入する際に十分な検証を行って、そして、札幌市交通局におきましても同様に詳しく検証を行った上でそれを受け取り、運用を開始した後に判明したものということなので、製作時の瑕疵とはちょっと違う扱いになるのかなと思っております。
今回の過収受が判明した後の対応といたしまして、どのくらいの過収受があったのかといった解析などはメーカーの責任で行わせております。
◆松浦忠 委員 それでは、交通局側の条件の設定に誤りがあってそういう現象が起きたのか、誤りはないけれども、日本信号側の製作の手順違いでそういうことが起きたのか、どっちなのですか。
◎小林 技術担当部長 料金のルールを示したものを提示しまして、それに基づいて判定できるプログラムをつくるようにということで発注しておりますので、交通局側の発注の内容に誤りはなく、問題はありませんでした。一方、極めてまれな乗車パターンでございますが、メーカーがつくってきた料金判定プログラムの中に、特定のパターンで正しい結果が導き出されないというミスがあったものでございます。
◆松浦忠 委員 要は、交通局の側はきちんとした条件を設定した、そのとおりにきちんとつくられていれば過収受は起きなかった、ということですか。
◎小林 技術担当部長 はい、そのとおりでございます。
◆松浦忠 委員 そうしたら、この契約の中で、瑕疵担保責任というのは明示されているのですか、されていないのですか。
◎小林 技術担当部長 瑕疵担保責任は、工事の場合でも製造の場合でも、いずれも一定の条件のもとに設定されております。
◆松浦忠 委員 今回の場合、その瑕疵担保に当たるのですか、当たらないのですか。
◎小林 技術担当部長 この過収受に対しては、事後対応も含めて対応中でございますので、最終的にどのくらいの費用がかかったかなど、そういったことを踏まえて検討してまいりたいと考えております。
◆松浦忠 委員 瑕疵担保というのは法律的にどういうことかといったら、こういう条件のものをつくって製品を入れてください、そうしたら、それが入っているかどうか、一定の年限の中で、それが入っていなかったことがわかったら、直すのもそうだし、そのことで発注側に経費などの負担が生じたら、相手方の責任でそれも全部賠償させるのが瑕疵担保責任というものなんですよ。
金額によって後から判断するなんて、どこか一般の小売店とお客さんとの間で、「ご迷惑をかけたので、これをおわびに上げます」「いやいや、これぐらいはいいですよ」とか、そういうかけ合いの話ではないのですよ。したがって、少なくとも、皆さんは地方自治法、そして各種法律に基づいて仕事をされていますから、原因がわかったらその判断が先に来なくてはだめなのです。それをしないで、直した費用が多ければどうしようか、少なければまあいいかなんて、そういうものではないのです。
この点について、管理者はどう考えていますか。
◎相原 交通事業管理者 今回の判定プログラムのミスにつきましては、私どもが提示した条件に沿ったプログラムができていたのは間違いありません。そこの一部に、今、ミスと言いましたが、不要な命令が入っていまして、その意味では瑕疵があるものだと思います。
しかし、委員が今おっしゃられたような対応について、金額で決めているということではありませんので、直ちにプログラムを修正しており、今、返金対応についても責任を持ってやっていただいているところでございます。
◆松浦忠 委員 どうも答弁が紛らわしいのだけれども、私が尋ねているのは、条件設定を交通局でした、請負契約の相手方である日本信号は条件どおりにつくっていた、それでもなおかつこれが起きたのか、それとも、条件どおりにつくっていなくて起きたのか、これをはっきりしてください。
◎相原 交通事業管理者 条件どおりにつくっていたということであります。
◆松浦忠 委員 条件どおりにつくっていてでもこれが発生したということは、交通局の条件の設定が不足だったということですか。
◎小林 技術担当部長 今のご質問には、私からお答えいたします。
条件どおりの形でつくった中に、一部、不要な判断のプログラムが紛れ込んでおりました。それによって、本当にまれな乗車パターンで過収受になるものがあったというものでございます。
◆松浦忠 委員 その紛れ込むというところをもうちょっとはっきりさせてくださいよ。私が聞いていることは、交通局が発注した条件どおりにつくったのであれば、過収受が起きなかったということなのか。紛れ込んでという言葉は、選別していたときにリンゴにミカンが入っていたみたいな話をするけど……(発言する者あり)そうでなくて、想定外とは違うのですよ、これ。単純に言っているのですよ、私は。大事なことなんですよ、コンピューターをやる上で。
したがって、そこのところをきちんとしてくださいよ。例えば、施工の段階である回路を変更したからそこに回路の取り忘れをしていたとか、そういうことによってミスが生じたというなら、それはそれで話はわかるのです。紛れ込んだと言っても、何で紛れ込むのか。何もしないものが紛れ込むわけがないのですよ。歩いてくるわけではないんだから。
◎小林 技術担当部長 紛れ込んでいたという表現は適当ではなかったかもしれませんが、乗車料金の判定プログラムというのは、メーカーが持っている汎用性のある基本的なソフトウエアを札幌市仕様にカスタマイズして納品されるものでございます。メーカーでは札幌市に必要ないものを削除していくような形でつくってまいりますが、その中で、本当にまれな乗車パターンの中でしか働かない判定の1行を削除し忘れていたという形で残っていたものであります。
◆松浦忠 委員 それならよくわかるのです。紛れ込んできたなんて言うと、どこかから歩いてきたのかと思ってね。
そうすると、これは、明確にメーカーの製作の間違いであります。いわゆる瑕疵担保責任の問題です。したがって、契約者である管理者の名前で相手側に瑕疵担保通告をして、これに係る一切の費用についてはメーカーが交通局に支払いをする。それと同時に、メーカーとして、少なくとも市政記者クラブなどに会見をして、メーカー側の間違いでこういう事故を起こし、市民の皆さんと交通事業管理者に迷惑をかけましたというふうに市民にちゃんとわかるようにしなくてはだめだ。それがメーカーの責任であり、交通局が市民から信頼を得ることにつながるわけです。
私は、ぜひこれをメーカーに求めるべきだと思いますが、管理者、いかがですか。
◎相原 交通事業管理者 当然に、その方向で検討していきます。
◆松浦忠 委員 それでは次に、路面電車についてです。
路面電車がループ化することによって道路として使用していた車線が狭くなりました。その結果、駅前通など、特に路面電車の南1条から南4条の間は、車に人が乗っていても荷物の積みおろしができなくなったりして、混雑した状況にあります。この施策をとったのは札幌市でありますから、札幌市としてそれにかわる措置をちゃんと講じなければならぬというふうに私は思うのです。
そこで、これは電車事業と極めて関連が深いですから、札幌市はどういう措置を講じているのか、お尋ねいたします。
◎東川 高速電車部長 ループ化によって駅前通が3車線から2車線に変わったということで、当然ながら、荷おろし関係の場所あるいはタクシー乗り場を設置して、現在の2車線での対応でも問題がない状況になったということでございます。
◆松浦忠 委員 そうはなっていないですね。
そこで、業者側が交通局に働きかけて、特に駅前通を中心にした電車沿線では各社がまとめて荷物を配送するような方策を考えて、この間、実験的にやりましたね。私は、こういうことについては、交通局もきちんと代替措置をとるべきだと思うのですよ。電車を走らせたのは市長ですが、電車を運行しているのは交通局です。交通局もループ化して電車を走らせることによって一定の増収になるわけですから、迷惑をかけたことに対し、何らかの協力をして混雑解消の一翼を担わなければならぬのは当然のことだと思います。一方、市長も、混雑解消のために具体策を講じていくことが大事だと思うのですよ。
路面電車ばかりではなくて、かつて、地下鉄でも新さっぽろ方面から荷物を載せて運ぶ実験などをやりました。今回は、路面電車ですが、私は、こういうことについては、既存の電車とは構造が異なる荷物専用の電車を1両つくり、それを使って荷物の積みおろしが楽になるようにするべきではないかと考えます。その経費について、交通局がどの程度持つのか、あるいは、札幌市が一般会計でどの程度持つのか、内部の案分はこれから議論することにして、そういうことを政策的に考えるべきだというふうに思うわけですよ。
管理者は、以前は長く総合交通計画関係をやっていましたからよくわかると思うけれども、これについてどう思いますか。お答えください。
◎相原 交通事業管理者 大変難しいご質問だと思います。
今おっしゃった物流の実験については、札幌市というより、物流業者あるいは商業関係者などで札幌都心交通研究会というものをつくっておられまして、そこが主体となった
取り組みの一環というふうに認識しております。これは、私どもの路面電車1両を使用して、我々にとっては貸し切りという形になりますが、それをご提供させていただいて物流の実証実験をされたと。その背景としては、都心というのはもともと商業施設が集中しておりますので、配送トラックの荷さばきを効率化することによって渋滞を緩和していこうという目的があるものと認識しております。交通局として、その実験のこれからの推移は当然見守っていきたいなと思っております。
それから、かつてとおっしゃいましたが、ご提案にありましたように、車両も含めて、我々の持っている財産を利用してまちづくりに貢献していく、そして、交通局としても収益に貢献するような
取り組みであれば、ぜひ研究するべきだと思っています。
◆松浦忠 委員 そこで、市長、電車事業も市長が経営の責任者でありますが、行政というのは、上部の国土交通省や関係機関と協議して、法律の解釈の幅を広げていかようにでもやる。そういう中で、市民生活にとって欠かせない荷物の運搬、配送に不便を来している状況があります。昨今のニュースによると、ヤマト運輸株式会社では、配送がこれ以上ふえてはもう対応できないということで、時間制限や値上げを宣言し、一大社会問題になっております。それなのに、札幌市の中心部において、札幌市長みずから、そして、私は反対しておりますが、多くの議員が賛同してこれをやってしまいました。これは、まさに、国民・市民の生活権を侵害し、生活を無視したような愚策でありました。(発言する者あり)
まあ、いい。あなたと私の脳の構造が違うのだから、これはしようがないんだ。
○山口かずさ 委員長 質問を続けてください。
◆松浦忠 委員 (続)これはそういう愚策です。愚策をやったならば、生活する市民に少しでも迷惑をかけない、それに従事する人たちに迷惑をかけないという施策を講じるのが、また市長の役割であります。私は、具体に今のようなことを考えて提案いたしました。
さて、市長、こういうヤマト運輸の状況というのは、ほかの運送会社もみんな同じですよ。私のところには、運送会社から恨みに近い話が寄せられております。どうしてくれるのだ、会社が立ち行かなくなる、こう言っていますよ。
今、管理者が言ったような運送業者から頼んできたなんていう話は、全くお門違いの話です。これは、原因をつくった側がきちんとやらなくてはいけない。私は、こう思うのですが、市長、いかがですか。
◎秋元 市長 今、社会的に問題になっている宅配便を含めた運送事業のことと、ループ化のことは、直接関係がないというふうに思います。駅前通の電車のループ化に伴って、駅前通で荷さばきができないことについては、東西に荷さばきの場所を設定するなど、場所を決めてやっております。ただ、これで100%十分かというと、まだまださまざまな課題があって、解決していかなければならないわけであります。
そういった中で、運送事業者だけではなく、荷を受ける側のさまざまな問題もありますので、こういった都心部の交通混雑に対しては、さまざまな関係者が協働して解決に取り組んでいくことが重要なわけでありまして、その中の一員として札幌市としてもしっかりと考えていきたいというふうに思います。
◆松浦忠 委員 賛成した人はそれでいいのだと言っているけれども、私がなぜ反対したかといったら、今のようなことが起こることがわかっているから、理由も挙げて反対したのですよ。したがって、やった結果として駅前通でこういうことが起こっているわけですよ。そうすると、被害を受けた側から要請があるからそれに参画するではなくて、むしろ、加害者としての札幌市長が主催して、関係者に集まってもらって意見を聞いて、できるだけ補いをつけていく策を見つけ出していくのが本当の姿ではないですか。ここのところが理解されなければいけないと思います。
そういう意味では、これも公害ですよ。公の害ですよ。水俣病とか、あらゆる公害病と何ら変わりませんよ。公の害というのは、そういうものなんですよ。(発言する者あり)賛同した加害者のほうからはいろいろと意見があるようですが、私は、そういうようなことはやるべきではないということを、終始一貫、ちゃんとした調査のもとにやってきております。したがって、市長、今度はぜひ札幌市が中心になっていただきたい。今、私は、新たに専用車をつくるという一つの案を提案しました。これらを含めて早急に検討して、また、決算議会でこの議論をすることをお約束して、終わります。
◆村山拓司 委員 最後の質問者ですので、長時間にわたってお疲れのところ、大変恐縮ではございますが、簡潔に質問させていただきたいと思います。
私から、職員への暴力行為に対する対応、そして、駅構内の案内表示板、エスカレーター・エレベーターの更新状況など、3点についてご質問させていただきます。
国土交通省の発表によると、平成27年には、鉄道係員に対する暴力行為は全国で837件発生しており、昨年度から14件減っているものの、引き続き高い水準にあります。本市の地下鉄や路面電車においても、現場職員が暴力行為を受ける事案が発生しており、先月の2月26日には、地下鉄南北線北24条駅で、職員への暴力行為により対応した駅員が負傷し、被疑者が逮捕されたとの報道がありました。このように、輸送の安全確保や、利用者に対する輸送サービスの提供に影響を与えるような事件がマスコミの報道などで取り沙汰されている一方で、報道には至っていない事案も多いとお聞きしております。
また、昨今の外国人観光客の増加により、公共交通機関を利用する外国人が、全国的に増加している状況であります。昨年12月、新千歳空港にて、大雪による大規模な欠航により、外国人観光客と空港係員との間でトラブルが起き、警察が出動する事態が発生したとの報道もありました。日本語でのコミュニケーションが困難な観光客に対して、職員の案内が伝わらないことによるトラブルや、職員に対する暴力行為の発生が懸念されるところであります。
そこで、質問ですが、札幌市交通局において把握している、職員への暴力行為の発生件数や発生状況、外国人利用者による暴力行為の発生状況をお伺いいたします。
◎東川 高速電車部長 職員への暴力行為の件数、状況、それから、外国人利用者による暴力行為の件数についてでございます。
利用者から暴力行為を受ける件数につきましては、地下鉄では例年10件前後でございまして、過去5年の件数としては総計で57件となっております。この57件の内訳としましては、駅員に対するものが55件、乗務員に対するものが2件でありました。発生の状況としましては、主に、お客様案内を行っている最中や、お客様同士のトラブルを仲裁する際に暴力を受けることが多い状況でございます。
なお、全57件のうち、酩酊者による暴力行為が約65%の37件でした。また、外国人利用者による暴力行為は発生しておりません。
一方、路面電車では、過去5年間で職員に対する暴力行為は発生しておりません。
◆村山拓司 委員 札幌市においても、年に10件程度の職員への暴力行為が発生しており、接客中や利用者同士のトラブルを仲裁する際など、さまざまなケースで発生していること、そして、外国人利用者による暴力行為は、今のところ発生していないとのことでありました。
暴力行為事案の約65%が飲酒した利用者であるとのことで、アルコールの影響により自制心が鈍ってしまい、暴力行為に及ぶことも想像され、そういった事態に対応する職員の方々は精神的にもご苦労されていることと推察いたします。また、現状では発生していない外国人利用者による暴力行為も、新千歳空港で起こったような事案に鑑みますと、今後は発生してもおかしくない状況であります。
そこで、質問ですが、職員が暴力行為を受けた場合はどのような対応を行うのか、また、日本語を話すことが困難な外国人利用者などから暴力を受けた場合はどのような対応を行うのか、伺います。
◎東川 高速電車部長 暴力を受けた場合の対応と外国人利用者などのお客様から暴力を受けた場合の対応についてでございます。
職員が暴力を受けた場合は、職場の上司あるいは同僚が連携を図りまして、警察への通報を行い、速やかに対応しております。また、外国人利用者から暴力を受けた場合につきましても同様の対応としております。被害に遭った職員に対しましては、状況に応じて応急処置をし、
医療機関を受診させるとともに、被害届の提出などにかかわるサポートや被害を受けた職員のメンタル面の支援を含めて組織的に対応しております。
なお、暴力を受けた場合に備えまして、暴力行為対応マニュアル、あるいは、身を守るための防護盾を地下鉄全49駅に配備して、定期的な研修を実施しているところでございます。
◆村山拓司 委員 駅構内においては、職員を含めて一定の暴力事件が発生しており、その対応で現場職員がご苦労されているとのことでありました。このような暴力事件は、職員はもちろん、市民が安心・安全な利用をする上で絶対にあってはならないことであり、加害者に対しては毅然とした対応が必要であります。
先ほども取り上げた地下鉄北24条駅構内で発生した駅員への暴力行為は、幸いにも現行犯逮捕されましたが、こういった事件が発生した場合は、速やかな犯人検挙が今後の犯罪抑止の観点からも重要であります。犯人検挙に向けた対策の一つとして、近年、録画機能を持った防犯カメラの活用が増加しており、警察が犯罪捜査をする際にも非常に有効な手段とされております。
また、先日の報道で、東京都交通局は、今後10年間をめどに、東京都内の地下鉄380両全ての車両に防犯カメラを設置することを発表されました。設置の理由は、痴漢や迷惑行為などの犯罪防止や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えてテロ対策の強化を図るためとのことであります。本市の地下鉄駅構内には監視カメラが設置してあり、必要な場所では録画しているとお聞きしておりますが、今後、駅構内で発生する事件の早期解決や犯罪抑止に向け、個人情報の取り扱いに十分配慮しつつも、録画機能つき防犯カメラを増設すべきと考えます。
そこで、質問ですが、駅構内における犯罪抑止に向け、録画機能つき防犯カメラを増設すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎東川 高速電車部長 録画機能つき防犯カメラの増設についてでございますが、地下鉄駅には、お客様の安全を確保するために防犯カメラを設置してございます。この防犯カメラの一部には、テロ等の犯罪や鉄道事故及び災害等発生時に状況調査を行うことを目的に録画機能を有したものを設置しております。録画機能つきカメラは、その機能を活用することで、事件発生時に犯人検挙につながる有力な手がかりになる一方で、個人情報を記録することから、増設に当たっては慎重な検討が必要と認識しておりまして、今後の社会情勢や駅の利用実態等を踏まえながら適切に判断してまいりたいと考えております。
◆村山拓司 委員 先ほど取り上げた東京都交通局では、録画した映像は1週間程度で上書きし、映像を閲覧できる社員を限定して乗客のプライバシーに配慮するとしております。個人情報もプライバシー保護の観点から非常に重要な問題ではありますが、地下鉄駅構内で発生し得る酩酊客の暴力行為や痴漢、迷惑行為の犯罪抑止も同様に重要な問題であります。
本市は、2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けて着実に取り組まれておりますが、招致宣言から大会終了までの来場客数は147万3,000人を想定しており、国内外からの利用者が増加することは明白であります。
また、昨年12月2日から12月16日に本市内の男女5,000人を対象として行われた平成28年度第4回市民意識調査では、安全・安心して暮らせるまち実現のために札幌市に取り組んでほしいこととの質問に対し、公共空間などにおける防犯カメラの設置が38%と第3位となっております。さらに、防犯カメラの必要性については、必要だと思うが65.7%、どちらかといえば必要だと思うが31.6%と、合計すると97.3%もの方々が防犯カメラを必要と回答しております。
また、防犯カメラとプライバシー保護の優先度については、防犯カメラを重視すべきと、どちらかといえば防犯カメラを重視すべきを合計すると63.1%だったのに対し、プライバシー保護を重視すべきと、どちらかといえばプライバシー保護を重視すべきの合計は4.1%、どちらも同じくらい重視すべきは28.1%でありました。
先ほどの答弁では防犯カメラの増設は慎重に検討するとのことでしたが、これらのことから、大多数の市民が必要だと感じていることは明らかであり、札幌市民の防犯カメラに対するニーズに応えるためにも早急に着手していただくことを求めて、次の質問に入ります。
続いて、地下鉄駅構内の案内表示器、自動案内放送について質問します。
東豊線については、平成28年3月に案内表示器と自動案内放送が更新されております。案内表示器は、列車の行き先や先発と後発の二つの発車時刻のほか、列車の現在位置や停車駅、運行状況を表示するなど、公共交通機関を利用する方々にとって欠かせない情報源となっております。自動案内放送については、
機器更新に伴い、利便性向上の観点から新たにホーム別で女性と男性の声を使い分ける機能を取り入れております。具体的には、東豊線全駅で、福住行きは女性の声で、栄町行きは男性の声で案内放送を行い、行き先の区別を容易にするなど、障がいをお持ちの方を含め、多くのお客様にサービスの提供が行われているものと認識しております。
一方で、東西線と南北線の案内表示は、平成7年に、一度、更新が行われたものの、現在は稼働後20年を経過した装置で、表示される情報量は更新が行われた東豊線と比べて非常に少なく、利用者に対する列車発車時刻表示などの情報量の不足などにより駆け込み乗車を誘発することなどが懸念される状況であります。また、自動案内放送については、全ての案内放送が女性の声で統一されており、機器装置更新に伴い、女性と男性の声を使い分ける機能を取り入れた東豊線と比べると、障がいをお持ちの方にとっては行き先の区別による対応が非常に難しく、バリアフリーの観点からも早急に対応が必要であると考えます。
平成28年の
予算特別委員会で、我が会派から南北線、東西線の案内表示及び案内放送設備の更新計画に関して質問し、技術担当部長から、案内表示設備に関しては更新の時期と手法について検討している、案内放送設備に関しては乗客ニーズの動向、また、
経営状況なども加味しながら適切な更新時期を判断してまいりたいとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、南北線、東西線案内表示器の更新と自動案内放送変更について、その後の検討状況と更新した場合の費用を伺います。
◎小林 技術担当部長 南北線及び東西線の地下鉄駅構内の案内表示器と自動案内放送装置の更新に向けたその後の検討状況についてはどうかというご質問でございました。
南北線及び東西線の地下鉄駅構内の案内表示器、自動案内放送装置の更新計画につきましては、さきに更新を行いました東豊線と同様の機能を持たせることを基本として検討を進めてございます。案内表示器につきましては、列車の行き先や発車時刻のほか、列車の現在位置、停車駅、運行情報など提供すべき情報の精査や、LEDや液晶など画面表示方式について検討を行っているところでございます。また、自動案内放送装置につきましては、東豊線と同様にホームごとに女性と男性の音声による案内放送とする方向で、案内表示器と同じ時期に更新したいと考えております。今後できるだけ早い時期に更新できますよう、鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
また、更新した場合の費用につきましては、東豊線14駅の更新では案内表示器と自動案内放送装置の更新の両方の合計で約10億円となっておりますが、南北線は16駅、東西線は19駅ございまして、これらにつきましては、各案内設備の基本的な機器仕様が固まった段階で適切に見積もってまいりたいと考えてございます。
いずれにつきましても、地下鉄駅構内における移動の円滑化や快適なお客様サービスの提供に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
◆村山拓司 委員 東豊線では案内表示器と自動案内放送装置の設置に多額の費用がかかったということでありましたが、東西線と南北線は、東豊線よりも駅数が多く、さらなる費用がかかることが想定されます。また、ただいまの答弁で、できる限り早い時期の更新に向けて検討を進めてまいりたいとのことでしたので、この件については今後も注視していくことをお伝えして、最後の質問に入ります。
最後に、地下鉄駅のエスカレーター・エレベーターの更新状況について伺います。
平成25年の
決算特別委員会で、我が会派の阿部議員から、昇降機の長期間稼働による老朽化の問題について質問し、技術担当部長から、保守管理と部品交換などを適切に行い、安全管理に努めているとの答弁がありました。また、長期的な更新計画の策定においては、機器の劣化状況やお客様の利用状況を踏まえ、優先順位などを検討しながら更新計画を策定するとのことでありました。
しかしながら、最近のエスカレーターの利用状況を見ますと、右側を歩いたり駆け上がったりといった使われ方により、想定されているエスカレーターの耐用年数よりも早く劣化が進むのではないかと考えます。
このような観点から、昇降機の点検や
メンテナンスについては、どのようなスパンで、どのような内容で行っているのか、伺います。
◎小林 技術担当部長 地下鉄駅のエスカレーター・エレベーターの
メンテナンスはどのように行っているのかというご質問でございました。
これらの
メンテナンスとしての点検スパンにつきましては、建築基準法に基づきまして年1回の点検を実施しております。また、大通駅、さっぽろ駅などの使用頻度の高いエレベーターとエスカレーターについては月2回、それ以外は月1回の自主点検を行っているところでございます。
メンテナンスの内容といたしましては、エレベーターとエスカレーターの各機器の取りつけ状態、寸法測定等の外観点検、安全装置の動作確認のほか、劣化、損傷や異音の有無について確認し、必要に応じて部品の交換や調整を行ってございます。
◆村山拓司 委員 次に、南郷7丁目駅では、西側にホームへ向かう階段にエスカレーターの収容スペースが既に確保されているにもかかわらず、長期にわたって放置されたままであります。駅の周辺には札幌市白石老人福祉センターがあり、利用者は高齢者の方々が多く、以前からできるだけ早期にエスカレーターを設置してほしいとの要望があるとお聞きしております。我が会派から、長年にわたり、優先的に設置するよう要望してきたところでありますが、今定例会においてようやくエスカレーター設置に関する予算案が提出されました。
そこで、質問ですが、予算案が可決された場合、南郷7丁目駅のエスカレーター設置に向けてどのようなスケジュールで進むのか、伺います。
◎東川 高速電車部長 南郷7丁目駅へのエスカレーター設置に向けてのスケジュールでございますが、平成29年度に実施設計を行いまして、平成30年度に設置工事を完了させる予定でございます。
◆村山拓司 委員 今後の超高齢社会を踏まえ、駅のホームから出入り口やバスターミナル、タクシー乗り場などへ乗り継ぎ経路や、地上の主要な施設までの経路について、より快適な歩行空間が求められております。現在、地下鉄全駅にエレベーターが整備され、最低でも1ルートの移動円滑化経路が確保されていますが、エレベーターが整備されている出入り口と反対側が目的地である場合は、遠回りとなり、非常に不便であるとの声もお聞きしています。今定例会においては、駅施設エレベーター・エスカレーターの新設設置に関する予算案が提出されており、市民の方々の利便性向上につながるものと期待しております。
そこで、質問ですが、駅施設へのエレベーター・エスカレーターの新設計画の考え方とスケジュールについて伺います。
◎東川 高速電車部長 駅施設へのエレベーター・エスカレーターの新設計画に対する考え方とスケジュールについてでございます。
駅周辺施設のエレベーターとエスカレーターのさらなる充実を図るために、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015におきまして、新たに4基設置することを目標としており、既にバスセンター前駅8番出入り口のエレベーターの設置が完了したところです。今回の予算案では、利用者からの要望が多く、かつ、整備によって高い効果が期待できるものとして、琴似駅と大通駅へのエレベーター及び南郷7丁目駅へのエスカレーターの設置が盛り込まれたところです。
設置スケジュールとしましては、それぞれ平成30年度に完成させる予定としております。それ以降の計画につきましては、未定ではございますけれども、整備の必要性を含め、事業主体であるまちづくり政策局と連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○山口かずさ 委員長 以上で、軌道事業会計予算及び高速電車事業会計予算の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回は、明後日、3月24日金曜日午後1時から、都市局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後4時39分...