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平成29年(常任)文教委員会−02月06日-記録

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  1. 札幌市議会 2017-02-06
    平成29年(常任)文教委員会−02月06日-記録


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    平成29年(常任)文教委員会−02月06日-記録平成29年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成29年2月6日(月曜日)       ────────────────────────       開 会 午後0時59分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、陳情第240号 公立夜間中学校のすみやかな設置を求める陳情を議題といたします。  陳情第240号は、本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時       再 開 午後1時41分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  夜間中学校の需要に合った公立中学校の役割が、そもそも一般的にわかりにくく、見えにくいといったこともあるのではないかということで、順次、質問してまいります。  教育機会確保法により、地方自治体は、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供が義務づけられたところであります。義務教育を未修了のまま学齢を超過した方、つまり、未修了者形式的卒業者への教育機会の確保という理念はとても大切なことであり、現在でも、他自治体において公立中学校夜間学級が開設されていますが、多くは未修了者のみを対象としています。また、実際に夜間学級に通う全国の多くの就学者が外国の方々という数字もあり、主として日本語の習得を目的としているといった課題もあると聞いております。一方で、教育機会確保法対象者には、未修了者のほか、形式的卒業者も含まれることとされているため、今後開設されていく公立中学校夜間学級においては、より一層の多様な教育的ニーズを受けとめていくことが想定されます。公立中学校夜間学級開設の検討を始めるに当たっては、国による法令整備が必須の前提条件でありますが、夜間学級早期開設に向けて、まずは、どのような方々を対象にするのかという基本的な現状分析と、その方々に対してどのような教育を行っていくのかという方向性をしっかりと検討し、確立していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、どのような方々をどの程度の人数で受け入れる想定で検討を始めていくおつもりなのか、まず、伺います。
    ◎引地 学校教育部長  どのような方々をどの程度の人数で受け入れる想定で検討を始めるのかというご質問についてお答えいたします。  札幌市における公立中学校夜間学級設置に向けた基本的な現状分析ですが、まずは大きく二つの対象者像を念頭に置いております。一つは、高齢者を中心とした義務教育の未修了者でございますが、これらの方々につきましては、戦後の経済的困窮学習環境整備のおくれなどを背景として持つため、読み書きといった基本的なところから小学校卒業程度まで学力に大きなばらつきがあると推測されます。もう一つは、不登校など何らかの理由により学校へ継続して通うことができずに、形式的に中学校を卒業した比較的若い年代の方々で、おおむね小学校卒業程度の学力を備えていることが想定されます。これらの方々のうち、就学希望者がどの程度いるかを現時点で推測するのは非常に難しい部分もございますが、他自治体における公立中学校夜間学級日本人就学者数の現状を踏まえますと、数十人程度を想定した学校の規模として検討を始めることができるのではないかと考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  今、概念上、夜間学級対象者像を大きく二つに分けていただきました。もし仮に今の想定の数十人程度ということが本当なのであれば、学校の規模としては、既存の校舎を少し手直しした上で夜間に使用するような形となり、新たに学校を建設するといった多大な財政的負担は生じないものと考えます。また、二つの対象者像の方々の背景や属性やニーズを考えますと、それぞれの求める教育内容には大きな隔たりがあるとも感じたところです。  そこで、質問ですが、二つの対象者像の方々のそれぞれ違った教育内容に関する需要に対し、夜間学級においてはどのような教育を行っていくべきか、お考えを伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級ではどのような教育を行っていくのかということについてお答えいたします。  高齢者を中心とした未修了者につきましては、さきに述べたとおり、戦後の混乱あるいは制度的理由等により就学の機会が得られなかった方々であります。この方々が求めるのは、豊かな人生を送るための基礎的な知識や技能をじっくりと身につけていくことではないかと考えており、個別の習熟度に応じたサポート体制のとれる学級を編制し、教育を行っていくことが想定されます。また、比較的若い年代の形式的卒業者の方々につきましては、中学校の授業を再度履修しようと決意し、入学してくる方々もいると考えられます。このような方々が求めているのは、就労を含めた今後の社会生活を送るために必要となる学力を身につけることであり、主に中学校課程の教科を学ぶ学級を編制し、教育を行っていくことが想定されます。 ◆伴良隆 委員  ただいま二つの対象者像の方々にそれぞれ行っていくべき教育内容を確認しましたが、いずれの対象者像の方々につきましても、学齢期を過ぎていることを考慮しなければなりません。学齢期を過ぎた方の学びの場としては、現在、一般的には通信制を含む高校や大学、さっぽろ市民カレッジなどの生涯学習事業として取り組まれている市民講座などがあります。あるいは、特定の知識を学ぶための場として、専門学校日本語学校などもございます。これまでの答弁で、大きく二つの対象者像とその教育内容が示されましたが、このような方々のそれぞれの背景や事情は多種多様であり、全ての方が公立の夜間学級での教育に適するのではなく、生涯学習事業や特定の知識を学ぶ場のほうがより適した方々もいると考えられます。今後開設されていく公立中学校夜間学級においては、より一層の多様な教育的ニーズを受けとめていくことが予想されると先ほど指摘しましたが、漫然として全ての方々のニーズを受けとめるのではなく、各人により適した教育の場が選択、提供されるよう、教育委員会は、夜間学級で実施する教育の目的を明確にし、対外的にも広く示していく必要があります。  そこで、質問ですが、夜間学級で実施する教育の目的は何なのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級で実施する教育の目的についてお答えさせていただきます。  公立中学校夜間学級は、教育基本法学校教育法などの諸法令に基づき、義務教育として行われる普通教育であり、社会人向け講座などの生涯学習事業学習塾予備校等とは一線を画すものと認識しております。義務教育として行われる普通教育は、教育基本法第5条第2項において、「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われる」と規定されております。また、学校教育法第21条では、教育基本法に規定する目的を実現するための10項目の目標が設定されており、単なる知識の習得だけではなく、多面的な能力を養うことについて規定されております。  これらの規定を踏まえますと、公立中学校夜間学級における教育は、特定の科目を再度学び直したいといった要望に応えるものではなく、広く全ての教科を履修することを前提としていくべきものと考えております。 ◆伴良隆 委員  学びたいという意欲と、何を学ぶかということで、公立という概念整理をしていただきました。札幌市における公立中学校夜間学級について、就学者対象者像、開設の目的、教育内容学校規模などのおおよそを確認してきたところですが、学校建設などの大規模な財政負担がないとはいえ、教員など一定数のスタッフは必要でありまして、人件費の負担は生じると考えます。教育機会確保法第6条では、「国及び地方公共団体は、教育機会確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。」とあります。  そこで、質問ですが、国からの財政上の措置についてどのようなことが示されているのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  国から、ことし1月27日、夜間中学の設置・充実に向けてと題した手引が示されました。その手引の中には、教職員配置の取り扱いについて、通常の小・中学校と同様に、義務標準法に基づく学級編制及び教職員定数の算定が行われるとされております。定数上の人員だけでは学力の習得状況に応じたきめ細やかな指導ができないことや、専門教科の教員が十分に配置できないなど、学校運営に影響する課題もございます。  このため、公立中学校夜間学級設置促進を考えますと、特別な学級編制により教員定数をふやすことや、必要な財政上の措置も含め、国に要望していく必要があると考えております。 ◆伴良隆 委員  国が示した現在の手引では、あくまで現行法令の範囲内での財政上の措置しか示されていないという答弁がありましたが、この点に関しては、国に対して強く要望していただきたいと考えております。  また、夜間学級へ就学したいというニーズは潜在的に広く分布していると思われますし、夜間学級早期開設は喫緊の課題でありますので、より詳しいニーズ調査の結果をもとに、学級開設の目的を踏まえた上で、その入学要件を厳格に整理していく必要があります。しかしながら、先ほど、陳情提出者から、大事なことは入り口と出口であり、生きる力だというお話がありましたが、私も同じ思いです。されど、その入り口と出口をどうしていくかということに関しては、きちんとした形で定めていかなければなりません。  そこで、質問でありますが、私たちが提案すべきことは後ほど申し上げますけれども、今後、夜間学級についての詳しいニーズ調査をどのように実施していくのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  詳しいニーズ調査をどのように実施するのかというご質問でございます。  ニーズ調査につきましては、二つの対象者像の方々に対し、異なったアプローチをしていくことが効果的ではないかと考えております。義務教育の未修了者の方々につきましては、北海道教育委員会とも連携しながら、札幌遠友塾のこれまでの卒業者の方々などを中心としたネットワークを活用し、調査を行っていきたいと考えております。また、形式的卒業者の方々につきましては、形式的卒業者を含む若者の社会的自立を総合的に支援している若者支援総合センターの協力を得て、該当する方々への調査を行っていくことを考えております。また、区役所、区民センターなど入学希望者が利用することが想定される場所でアンケートを実施するなど、より多くの方々のニーズを酌み取る方法について工夫し、実施してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  私も、遠友塾に伺ってかいま見ましたが、恐らく、遠友塾皆さん方から言わせれば、どのような方々がいるのかは見ればわかるじゃないかということになるかもしれません。しかし、これから税金をかけてやっていくのであれば、公立としてどのような方々がいるのかをきちんと踏まえなければなりませんので、そのためのしっかりとした調査を行っていただきたいと思います。せっかく夜間学級をつくっても、ニーズに合わない学校では意味をなさないことから、夜間学級で学びたいとの人々のニーズをしっかりつかんで、そのニーズに対応できる学校をつくっていただきたいと思います。  最後の質問ですが、中学校教育課程をしっかり履修しているにもかかわらず、例えば、英語だけを学び直したいとか、日本語だけを学びたいといった需要に応えるものではなく、しっかりとした基礎学力を広く習得することであることを踏まえますと、実際に入学予定者を募集する際に、しっかりとした入学要件を定める必要があることは先ほど申し上げたとおりです。また、卒業認定も同様にしっかりとした基準を持って入学案内すべきと考えますが、夜間学級入学要件卒業要件概要整理をどのようにして行う考えなのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  夜間学級入学要件卒業要件の整理をどのように行うのかというご質問でございます。  入学要件のうち、形式的な卒業者につきましては、手引の中で、入学希望理由や既に卒業した中学校での就学状況について確認し、実質的に義務教育を十分に受けていないことなどが示されたところでございます。ただ、未卒業者につきましては、中学校課程の記録がない場合がほとんどと考えられますことから、入学希望理由をしっかり聞き取って判断することになるものと考えております。  卒業要件は、原則としては中学校教育課程における学力を習得していただくことが望ましいと考えておりますが、個人の習熟の程度に大きな差が生じることが想像できますことから、入学後の個々の履修状況を見きわめて判断することが適当であると考えております。 ◆伴良隆 委員  私は、今までも、教育委員会との質疑で、生きる力ということを申し上げてまいりました。これは学びということでありまして、陳情提出者が先ほどおっしゃったこともそうですが、その熱意と、教えるという喜び、そこからまた社会で強く生きていくといった一連の流れの中でその思いを大事にしていただき、教育機会の均等をこれからも大事にしていただきたいと思います。  基礎学力の習得も含めて、きちんとした形でニーズを調査しながら、しっかりとしたカリキュラムを組み、卒業に関しては、個々人の習熟度といった観点もありますので、その辺もしっかりと見据えながら課題を整理していただきたいと思います。 ◆かんの太一 委員  私からも、公立中学校夜間学級の設置に向けて、何点か質問いたします。  義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法の成立によって、従来から文部科学省が進めてきた全国の各都道府県に最低1校の公立中学校夜間学級の設置に向けて動きが加速しております。しかし、北海道においては、現在のところ、公立中学校夜間学級は設置されておらず、希望者ニーズに応えるため、自主開催している各地域の中学校夜間学級が大きな役割を果たしています。  陳情書でも触れられていますが、2010年の国勢調査による未就学者数は、北海道で7,374人、本市には2,001人おりますけれども、この未就学者数には、小学校卒業後に中学校へ入学しなかった者や中学校を中退した者の数が含まれておらず、実際の義務教育修了者はより多くの人数に上るものと予想されます。  本市においては、さまざまな方の尽力があり、1990年に札幌遠友塾が開かれ、現在も札幌市立向陵中学校で学びの場を提供しており、我が会派としても、教職員経験のある議員などが中心になり、取り組みへの理解と支援を続けてきたところです。国の法律制定を受けて大きく動き出した公立中学校夜間学級設置ですが、今までそのニーズに応えてきた自主夜間中学の役割は非常に大きいものと考えます。  そこで、質問ですが、札幌遠友塾自主夜間中学に対する教育委員会の評価について伺います。 ◎引地 学校教育部長  札幌遠友塾自主夜間中学に対する評価についてお答えいたします。  札幌遠友塾の活動は、戦中、戦後の混乱期に学校で学ぶ機会がなく、高齢となられた方々への学びの場を提供することを目的にしており、長きにわたり、その実践を積み上げられ、大変意義深いものと考えております。また、みずから学ぶ意欲を持ち続けている塾生の皆様に寄り添い、長年支えているスタッフの方々の活動は、義務教育とは違った特色を持った貴重な取り組みであると認識しております。 ◆かんの太一 委員  今の答弁の中で、大変意義深いというお言葉もありましたが、教育委員会としても、これまでの札幌遠友塾自主夜間中学取り組みに対して大きな評価をしていることがわかりました。  遠友塾のこれまでの卒業生は、その多くが教育機会確保法対象者となり得る方々ですが、公立中学校夜間学級が実施するのはあくまでも義務教育であり、法令等に縛りのない自由度の高い取り組みを行う自主夜間中学とは性格が異なるため、同列に比較することが難しいとは思います。しかしながら、公立中学校夜間学級対象者となり得る方々とともに、四半世紀もの間、取り組みを続けてきた実績の中には、公立中学校夜間学級で行う義務教育の中でも、参考にできるもの、学ぶべき点が多くあると考えます。  そこで、質問ですが、札幌遠友塾の評価、意義を踏まえ、公立中学校夜間学級ではその取り組みをどのように生かしていくことができるのか、お伺いします。 ◎引地 学校教育部長  札幌遠友塾の成果を公立中学校夜間学級でどのように生かしていくことができるのかというご質問にお答えいたします。  札幌遠友塾には、これまで取り組んできた学齢超過者が就学するに当たっての課題に対する豊富な実践例があると考えております。この点につきましては、公立中学校夜間学級でも参考にしてまいりたいと考えております。また、札幌遠友塾スタッフの方々がこれまで培ってきた教え方教材選定などのノウハウにつきましても、積極的に活用させていただきたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  ただいまの答弁の中で、スタッフの方々のノウハウということが出てきましたが、公立中学校夜間学級の設置を検討するに当たって、今までご苦労されてきたスタッフの方々のご意見を存分に生かせるような体制で進めていただきたいと思います。  次に、就学の機会提供のための広報などのあり方について伺います。  内閣府では、「いまからでも、まなぼう!公立中学校夜間学級」と題した8分間の政府広告を公開しており、わかりやすく公立中学校夜間学級の内容を紹介するとともに、日本語教育を希望する方への配慮から日本語、英語、韓国語の3カ国語対応としています。また、公立中学校夜間学級を設置している各府県のホームページの表記を見ると、希望者に配慮し、全て平仮名表記、漢字には必ず振り仮名を添えるなど、希望者へ配慮をしている自治体がある一方、漢字をそのまま表記している自治体も見られます。本市においては、希望する対象者や市民へわかりやすく、かつ配慮のある広報をすることが必要であり、それをもって広く周知していくことが重要だと考えます。  そこで、質問ですが、公立中学校夜間学級開設を想定した場合、どのような広報活動が必要と考えるか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級の開設を想定した場合の広報活動についてお答えいたします。  委員がご指摘のとおり、公立中学校夜間学級の広報に当たりましては、入学希望者だけではなく、広く一般にまで知れわたることが大切であると考えております。したがって、まずは、広報さっぽろや公共施設等へのリーフレットの配架など、多くの人が目にする媒体による広報活動を行う必要があると考えております。また、入学希望者の中には、読み書きが不自由な義務教育修了者の方々がいることに留意するとともに、入学希望者にとって魅力ある学校であることを伝えることができるよう、工夫しながら広報活動を進めてまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望ですが、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律第14条では、学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえて、地方公共団体に就学の機会の提供、その他の必要な措置を講ずることを求めています。しかし、就学を希望する方々は、さまざまな境遇、年齢、国籍、教育習熟度の差などがあり、従来の義務教育よりもさらにきめ細かい指導方法相談体制が求められると考えます。  これから、公立中学校夜間学級の設置に向けて、教育委員会においても、ニーズや実態のさらなる把握、教育課程検討等、さまざまな検討を加えていくことになると思いますが、就学を希望する方々に寄り添いながら、実態に即した体制を早期に構築していくことを求めて、私の質問を終了します。 ◆國安政典 委員  私からも、何点か質問させていただきます。  今回の陳情提出者である札幌遠友塾自主夜間中学の皆様は、戦争や病気など、さまざまな事情によって過去に十分な学びの機会を得られなかった方々のために、平成2年に開設され、長い間、学びの場を提供してこられて、昨年度は25周年を迎えられました。これまで、420人余りの卒業生を送り出しており、現在でも60人の方が熱心に授業を受けていると伺っております。札幌遠友塾では、これまでの長年にわたる活動の中で、多様な背景を持つ方々に対して、独自の教材や生徒への接し方など、多くのノウハウを蓄積していることを先ほど陳情提出者から伺いました。一方で、教育委員会が行う義務教育の中でも、アクティブラーニングの導入など新たな教育手法の導入を進めております。公立夜間中学においても、他の中学校と同様にその実践を進めていくべきであると考えます。  そこで、質問ですが、公立夜間中学と札幌遠友塾が協力し、互いのノウハウを積極的に共有することにより、双方ともによりよい教育を実践できると思いますけれども、改めて、教育委員会の見解を伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級と札幌遠友塾との協力やノウハウの共有についてお答えいたします。  札幌遠友塾では、さまざまな人生背景を持つ生徒のニーズに対応できるよう、きめ細やかな教育が実践されており、公立中学校夜間学級での義務教育においても参考とすべき取り組みが数多くあると考えております。また、双方で指導方法や教材に関する情報交換を行うなど、公立中学校夜間学級にとってもより充実した教育が実践できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  教育委員会としても、互いのノウハウを生かしてよりよい教育を目指すということを伺って、安心したところです。  これまで、札幌市を含め、北海道公立夜間中学がなかったことから、夜間中学での教育に詳しい人材はいないと思います。研修などを通じて公立夜間中学の教員としての専門性を高めていくことになるのだろうと思いますが、実際には、多くの義務教育修了者とかかわった札幌遠友塾スタッフの方々を講師として迎えることなどもアイデアとして考えられるのではないかと思います。  そこで、質問ですが、札幌遠友塾人材活用などの面でも交流を行う考えがあるか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  札幌遠友塾人材活用など、どのような交流を考えているのかということについてでございます。  札幌遠友塾スタッフの方々が持つノウハウは、委員もご指摘のとおり、大変貴重なものであることから、人材活用なども含め、どのような形で協力を依頼することができるのか、今後検討してまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  先ほど教員定数のお話もございました。そういったことも求めていくことは当然だと思いますし、また、札幌遠友塾人材活用についても、しっかりと協議をしながら進めていただきたいと思います。  ところで、教育機会確保法第15条第1項に、夜間中学設置に当たっては協議会を組織することができると規定されております。同じく、第2項では、その構成員として、都道府県の知事及び教育委員会当該都道府県の区域内の市町村の長及び教育委員会支援活動を行う民間の団体が規定されております。協議会の設置は任意ですが、北海道との役割分担や、今申し上げた札幌遠友塾との連携など、今後の公立夜間中学開設に向けて必要となる調整の場として積極的に活用すべきではないかと考えるところであります。  そこで、教育機会確保法第15条の規定にある協議会についてどのように考えているのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  教育機会確保法第15条に定められている協議会についてお答えいたします。  教育機会確保法には、公立中学校夜間学級に必要な事務の役割分担について、協議並びに連絡調整を行うための場として、都道府県教育委員会、市町村教育委員会支援活動を行う民間の団体等を構成員とし、協議会を設置できる旨が規定されております。協議会の設置に当たっては、北海道教育委員会とも連携が必要でございますが、札幌市としては、支援活動を行う民間の団体も協議会構成員とし、ご意見をいただくことが望ましいと考えております。 ◆國安政典 委員  最後に、要望になりますが、さまざまな事情で学ぶ機会を得られなかった方々に学びの場を提供できるよう、誰一人取り残さないという決意でしっかりと取り組んでいただきたい、このことを要望して、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からも、端的に質問させていただきます。  最初に、陳情書の内容、また、先ほどの趣旨説明の中にも具体的に示されていた意見書について質問したいと思います。  2012年12月、義務教育等学習機会の充実に関する法整備等を求める意見書、2014年11月には、義務教育修了者の実態把握のため、国勢調査の「教育」項目の改善を求める意見書、2015年12月、夜間中学の整備と拡充等を求める意見書と、3度にわたり、全会一致で可決されております。  市議会の強い意思でもあります意見書が3度にわたって出されていることについて、どのように受けとめておられるのか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級に関する意見書が過去3度も可決され、国に提出されているその重みについてお答えさせていただきます。  公立中学校夜間学級の開設は、学齢期に就学の機会が形式的にも、あるいは実質的にも提供されなかった方々に対して公平で質の高い教育を提供することを可能とすることから、必要かつ重要な学びの場であると考えております。3度の意見書の可決からは、公立中学校夜間学級の重要性はもとより、その就学機会の提供を実現するために早期開設が強く望まれているものと認識しております。 ◆池田由美 委員  意見書の重みについて認識されており、公平で質の高い教育が必要であることと、公立夜間中学の重要性についても今述べられました。三つの意見書ですが、義務教育等学習機会の充実に関する法制定と自主夜間中学への援助の拡充など、さまざまな内容です。そして、この三つの意見書を見ると、夜間中学の設置を求めていく国の流れとか、夜間中学設置に向けて動き出してきているということが手にとるようにわかるなと私も思います。  一昨年の第4回定例会での意見書では、多様な学びに対する支援、教員の加配や専門家の配置、夜間中学の在籍者への就学援助制度の充実など、具体的なことを求めております。そして、これは議会の強い意思でもあります。国に向けての意見書ではありますが、本市の立場も問われているのかなというふうに考えております。国や道任せではなくて、本市が主体的に意見書の具体化の立場に立っていくことが大切だと思いますが、どういった考えをお持ちか、伺います。 ◎引地 学校教育部長  公立中学校夜間学級を開設するためには、義務教育学校の教育課程の編成等、あるいは教材教具等のソフトの面もありますし、より詳細な調査等、また、ハード面での施設・設備設置場所等々の検討もあります。これらにつきまして、北海道教育委員会とも連携しながら協議を進めて、要件の洗い出し、学校の構想等を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆池田由美 委員  意見書の中身に沿って努力されていくという答弁だったと思いますが、国の動向や道の方向が見えてからといった中身にならないように、札幌市民の学びを守り、機会をしっかりと保障していく、そういう立場で取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。  次に、先ほどの質問の中で、公立夜間中学設置に向けた協議会の設置の話が出ておりました。私も、27年間の遠友塾教育実践というのは、今後大きな力になるのではないかと感じています。多くの市民団体も含めた協議会の設置ということですが、遠友塾協議会に入れていく考えがあるのかどうか、改めて確認させていただきたいと思いますけれども、いかがですか。 ◎引地 学校教育部長  協議会の設置に当たり、札幌遠友塾構成員とすべきということについてお答えいたします。  札幌遠友塾自主夜間中学として培ってこられた27年間の経験は、公立中学校夜間学級においても大変貴重なものになるというふうに考えております。協議会の設置に当たりましては、札幌遠友塾も含め、支援活動を行う民間の団体にも協力を得ることができないか、北海道教育委員会とも協議し、検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  これまで、札幌市では、遠友塾に場所として市民会館を提供し、市民会館が耐震構造の問題から取り壊しとなり、教育文化会館に移りました。そして、2009年4月からは、向陵中学校に場所を移して今に至っている状況だと思います。札幌市は、実際には遠友塾に深くかかわって活動を見てきているというふうに思います。道の判断という形で人任せにしない、そして、札幌市が主体的にかかわることが大切だと思います。協議会に遠友塾の代表を入れ、そして、一緒に協議していく場をつくっていくことを強く求めておきたいと思います。  戦後の混乱や貧困、不登校など、さまざまな事情を抱えている方が遠友塾で学ばれています。高齢の方や車椅子の方、病気を抱えている方もいらっしゃいます。昨年、私も交流会に参加しましたが、自分の学びたい思いや、学ぶことで元気になる、そして主体的に楽しく生活ができているなど、自分の変化を自分の言葉で語っていました。一人一人の自己紹介の発表に、みんながじっくりと耳を傾けて、お互いを認め合う姿が非常に印象的でした。教師やスタッフの方たちが生徒一人一人に寄り添って、温かくかかわる実践が支えになっているのだなというふうに感じています。学びたいと願う全ての人が諦めることなく学ぶ機会が保障されることが本当に大事だと改めて感じています。  今後、公立夜間中学の設置に向けて、施設の場所の選定、教員の研修、カリキュラムの編成、経済的支援の具体化、住民への周知など、検討課題がたくさんございます。この課題の一つ一つに、遠友塾を初め、多くの市民団体の皆さんと教育委員会が双方向で話し合い、一緒に考え合う協議会の設置と、本市が主体的に取り組むことを強く求めて、質問を終わります。 ◆堀川素人 委員  札幌市として、公立夜間中学を設置する方向で取り組んでいこうという話を聞いて、大変うれしく思いますし、つくっていく方向を前提として話し合われたことを大変うれしく思っております。25年たったということで、すごく長い間、工藤さんを初め、スタッフの人方は本当によく頑張ってやってきたなとつくづく思っています。  初めのころのことを考えますと、正直言って、余り相手にもされなかったというのが僕の印象です。これが大きく変わったのは、超党派の国会議員が集まって夜間中学の問題を取り上げたからで、そのあたりから文科省も動き出し、文科省が動き出したら、札幌市からもようやく前向きな答えが出てきてきょうに至っているのだと思います。  ただ、僕が一つ残念だなと思うのは、この流れは、理論から言ったら当然のことだし、それから、動きもいろいろとありましたから、札幌市は、それをいち早く察知して、もう少し早くこの問題に取り組んでくれてもよかったのではないかなと思っています。でも、長い苦労があった中で、ここまで来ました。  日本においては、憲法があって、教育基本法があって、学校教育法があって、そうした法律に基づいて今までの理論の中で学校教育に適用しようとします。しかし、実際を考えると、今でも不登校とか学校に行けない人などをこれだけ数多く出していますから、言葉だけで捉えたならば、学校教育法では全部をまとめ切れないというか、集め切れない法律になっている部分があると思います。そういう中で、夜間中学というのは、一番初めは国家の義務から出ていると思うけれども、多様な要求に応えなければならない、応えることが望ましいというのはみんなが一致していると思うのです。それなのに、学校教育法から考えた学校教育を押しつけて今までどおり適用したならば、今まで努力してきた人方は、本当はそんな教育を求めていたんじゃないんだ、子ども一人一人の全面的発達にどうかかわるか、まさにこういう幅の広い部分を求めていたのだということになる。初めは教育を受けられなくて、人生に自信がなくて生きてきた人方がたくさんいたわけですから、今までの経験を十二分に受けとめて、そういう人方に自信を持たせ、今、学校に行けない子ども方にも自信を持たせられるようにしなければなりません。そのためには、皆さんの考えを先に出すのではなくて、我々に何が足りなかったのかということを前面に置きながら、札幌市に夜間中学ができるならばそうした今までの苦労を最大に生かしてもらいたいというのが僕のお願いです。  質問にはいたしません。とにかく彼らの経験を十二分に生かしてもらう。そして、何に新たにお金をかけるのか。小さな夜間中学になるのかもわかりませんが、札幌市にとって、北海道にとって、日本にとって何が一番プラスになるのか、そういう大きな目標、また気持ちを持って取り組んでもらいたいということを心からお願いしまして、終わります。 ◆石川佐和子 議員  簡潔に質問したいと思います。  札幌市が公立中学校夜間学級設置に向けて取り組みを進めていることについて、私も大変うれしく思っております。もしかしたら、今、堀川委員がおっしゃられたことと重なるかもしれませんが、きょうのこれまでの質疑の中で、夜間学級ができたときの入学要件卒業要件、また、それをどのようにやっていくのかに当たっては、遠友塾でのノウハウを共有したり、人材活用の交流などを確認させていただきました。  それをどのようにというのはこれからのことだと思いますが、このたび、国会で成立した教育機会確保法の基本理念の中に、国、地方公共団体、民間団体等との密接な連携がうたわれています。お互いのノウハウの共有や人材活用というのは、密接なという言葉がなかったとしても想定できることかなと思います。  そこで、これまでの答弁と重なるかもしれませんが、これから公立中学校夜間学級設置に向けて、市教委や道教委と遠友塾をされてこられた皆さんとの密接な連携が非常に重要だという思いは今の堀川委員と同じですけれども、市教委として、密接な連携ということをどのように実現していこうとしているのか、確認させてください。 ◎引地 学校教育部長  協議会と遠友塾との密接な連携についてでございます。  先ほど申し上げましたが、まず、協議会の中に北海道教育委員会と遠友塾を初めとする各民間団体に入っていただき、教育課程のあり方、ニーズ調査のあり方など、もろもろの協議を進めていきたいと思っております。また、密接というのは、協議会のときだけでなく、学校視察あるいは教員同士の授業づくりの交流等々、そういうことも踏まえた日常的な交流、密接な連携を進めていきたいと思っております。 ◆石川佐和子 議員  最初の趣旨説明のとき、工藤さんは、遠友塾の精神というのは学ぶことが生きるあかしであり喜びであるということで、そのことを感じ取れるような方針のもとで活動されてきたとおっしゃられていました。一言で言うとそうなのだろうと思いますが、私は、高齢者や戦争で義務教育を受けられなかった方たちが学校に行き続けることができたのは、その陰で先生たち一人一人の声かけや配慮などがあったと思うのです。しかし、そうしたことまで感じ取るには、ふだんの連携ではなかなか足りないのではないかと思います。ですから、研修などの密接な連携の中で、教育ノウハウ以前に、そうしたこともあわせてしっかりと学び取りながら、その上で、夜間学級の設置に向けた取り組みをきっちり進めていただきたいということを切に願い、求めて、要望とさせていただきます。 ○山口かずさ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  ここで、陳情第240号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いはいかがいたしますか。  (「採決」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  それでは、陳情第240号は、本日、結論を出すことにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  異議なしと認め、陳情第240号は、本日、結論を出すことといたします。
     次に、陳情第240号について討論を行います。 ◆伴良隆 委員  このたびの案件は、公立の夜間学級であるからして、税の公平性と市民理解に鑑みますと、義務教育に資する事業内容になることと真に必要な学びにかかわる支援とは何か、本当に困っていて、志や熱意がある方々に対してしっかり対応できるよう、一つ一つの課題を丁寧に調査検討し、札幌にとってよりよい公立夜間学級をつくり出していかなければなりません。  また、今後は、先ほどの答弁にもありましたが、入学・卒業要件のあり方から、学校管理者側との折衝、普通学級との交流や催し物、給食などの学校諸費等、さまざまな課題について、対象生徒の視点だけではなく、現行の本市義務教育取り組みをもとに広く市民に納得がいくような慎重な判断が求められていることを指摘しておきます。  さて、先ほどの陳情提出者からの発言にもありましたように、遠友塾の精神や教えのルーツは、新渡戸稲造とメリー夫人が札幌創成川東地区に創設した札幌遠友夜学校にあるとのことでございます。  そこで、山口委員長に申し上げますが、本委員会継続審査中の陳情、札幌市民の誇りである「遠友夜学校」を札幌市とともに次世代に継承・顕彰を進める陳情が今年度の委員会でまだ一度も審議されておらず、本日審議の遠友塾によるこの陳情の取り扱いや採決結果と整合性を持たせるためにも、時間を置かず、年度内に再審議してしかるべき取り扱いをしていただきたいことを、我が会派として山口委員長に強く要望させていただきます。  いずれにしても、遠友塾の皆さんが、札幌に限らず、教育の一端を担っていただいていることに改めて敬意を表するとともに、公立夜間学級については、北海道や遠友塾を初めとするさまざまな教育機関としっかりとした連携と役割分担をしていただくよう、協議会などの場を通じて、札幌にとってよりよい公立中学校夜間学級を協力してつくり出していくべきことを申し添えまして、我が会派としての私の討論とさせていただきます。 ◆池田由美 委員  私は、日本共産党を代表して、陳情第240号 公立夜間中学校のすみやかな設置を求める陳情について賛成の立場で、討論を行います。  本市議会で、2012年、義務教育等学習機会の充実に関する法整備等を求める意見書、2014年、義務教育修了者の実態把握のため、国勢調査の「教育」項目の改善を求める意見書、2015年、夜間中学の整備と拡充等を求める意見書と、3度にわたって全会一致で可決したことは重みのあることです。議会の総意と市民の願いを受けとめて、本市として、北海道と連携し、一日も早く公立夜間中学校を設置するために力を尽くすことを求めます。  そのためには、協議会を設置し、27年間の教育実践を行ってきた遠友塾の経験を生かせるように協議会のメンバーとするべきであるということを申し上げて、賛成討論を終わります。 ○山口かずさ 委員長  ほかに討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  陳情第240号を採択すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  異議なしと認め、陳情第240号は、採択すべきものと決定いたしました。  なお、委員会の審査報告等につきましては、正副委員長にご一任願います。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時35分       再 開 午後2時38分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第2次札幌市児童相談体制強化プラン(案)についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎村山 子ども未来局長  第2次札幌市児童相談体制強化プラン(案)の説明に先立ちまして、発言させていただきます。  このたび、児童相談所の非常勤職員が逮捕、起訴されまして、さらに、昨日には再逮捕ということで警察からの発表がございました。  まずもって、被害を受けられた方に多大なるご迷惑をおかけしたこと、また、市民の信頼を大きく損なうことになりましたことについて、深くおわびを申し上げます。  私ども子ども未来局におきましてこうした事案が発生したことについて、大変重く受けとめております。事実関係の詳細につきましては、現在、警察に確認中でございますが、今後とも情報収集に鋭意努め、再発防止等に速やかに取り組んでまいりたいと考えております。  このたびは、まことに申しわけございませんでした。  それでは、強化プランの概要について、お手元の資料に基づき、児童相談所長の天田から説明させていただきたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  私から、第2次札幌市児童相談体制強化プラン(案)についてご説明申し上げます。  お手元に、資料1としてプラン案の概要版、資料2としてプラン案の本書を配付させていただいております。本席では、資料1のプラン案の概要に基づいてご説明させていただきたいと思います。  まず、左側の1 強化プランの策定にあたってでございます。  本プランの趣旨ですが、児童相談体制強化につきましては、前回、平成22年度に強化プランを策定し、体制強化の取り組みを進めてまいりましたが、児童相談は増加し続け、内容も複雑化、深刻化しており、平成27年には市内で児童虐待死の事案が発生しております。増加する児童相談への対応や児童虐待死の検証報告を踏まえ、児童相談体制の今後の方向性を定めるため、本プランを定めるものとしております。  本プランは、まちづくり戦略ビジョンの個別計画として位置づけ、平成29年度から平成31年度までの3年間を重点期間として取り組むこととしております。  次に、2 札幌市の児童相談に関する現状ですが、まず、児童相談所の相談状況について、養護相談が平成23年度に1,841件だったものが、平成27年度には3,346件と、1,505件の増となっております。同様に、虐待件数についても、記載のとおり、警察からのDV通告による認定件数増といったこともあり、平成23年度から平成27年度にかけて1,000件以上増加しております。また、一時保護児童についても、児童1人当たりの一時保護期間も長期化の傾向にあり、今年度、一時保護所定員を36人から50人に拡充し、対応しているところですが、施設への委託を含めた一時保護児童数が80人を超えた日も発生しております。  児童相談体制につきましては、現在、児童相談所、区家庭児童相談室、児童家庭支援センターそれぞれで日常的に相談を受けており、虐待事例など情報共有が必要なケースは、学校等の関係機関を含めた要保護児童対策地域協議会、通称要対協で情報共有を図っております。  社会的養護につきましては、入所施設の定員及び里親登録等を合わせて、区による受け皿が最も大きい北区が168人であるのに対し、厚別区は10人しかないなど、区による偏りが大きくなっております。  次に、右側の3 札幌市の児童相談に関する課題と今後の方向性でございますが、各課題に対応する今後の方向性として、相談支援力の強化、専門性の強化、相談機関の適切な役割分担と連携体制の構築、地域資源の整備と地域支援の充実、社会的養護体制の強化の五つの方向性を掲げております。  これらの方向性に対する具体的な取り組みについて、4 具体的取組に記載しております。  まず、相談支援力の強化ですが、新たなアセスメントツールの開発と関係機関との合同研修等に取り組むこととしております。専門性の強化では、児童相談関係職員のスキルアップ研修の充実、児童相談所への専門職の配置等、各区家庭児童相談室の専門性の強化に取り組むこととしております。  次に、資料の2枚目をごらんください。  相談機関の適切な役割分担と連携体制の構築では、児童相談所と各区家庭児童相談室の役割分担と情報共有、児童家庭支援センターとの連携強化、第二児童相談所の設置に関する検討に取り組むこととしております。  地域資源の整備と地域支援の充実では、(仮称)養育支援ヘルパーの派遣、児童家庭支援センターの整備、通所による保護者支援の充実、児童虐待防止に向けた在宅児童等支援のあり方検討に取り組むこととしております。  社会的養護体制の強化では、新規里親開拓と里親支援の推進、施設入所児童に対する自立支援に取り組むこととしております。  最後に、5 取組一覧と実施時期等で、それぞれの取り組みの実施時期を一覧表で整理しております。  このうち、子ども・子育て会議からの提言の中で早急に取り組むべき事項とされておりました1の(1)の新たなアセスメントツールの開発を初めとする関係機関との連携強化、3の(1)の児童相談所と各区家庭児童相談室の役割分担と情報共有、4の(1)の(仮称)養育支援ヘルパーの派遣につきましては、平成29年度の早期に実施することといたします。  また、国の動向を踏まえて検討を行う必要のある事項などを除き、取り組みが可能なものにつきましては、早期の実施あるいは検討に着手したいと考えております。 ○山口かずさ 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  第2次札幌市児童相談体制強化プラン(案)の説明に基づいて質問させていただきますが、冒頭に局長からおわびがございました。これについては、さまざまな問題が大小あったと言わざるを得なく、許されるものではございません。児童相談所の非常勤職員の起訴、再逮捕については、事実関係をしっかり把握した上で、今後は別の場でしっかりと明確にして、二度と起きないようにお願いしたいと思います。  それでは、質問に入ります。  第2次児童相談体制強化プラン案について、これまでの児童相談体制の課題への対策がよく練られたものであろうかと思いますが、既に議論対象になっているものが多く見られる中で、例えば手稲区児童死亡事件など、大小の悲惨な事件の反省を踏まえると強化プランのどのような点が特筆すべきものとなっているのか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  強化プランの特筆すべき点についてのご質問でございます。  このたびの第2次強化プランの作成に当たっては、複雑多様化する相談に対し、関係機関との適切な役割分担と連携が一層重要となっていることや、支援を要する在宅事例に対する実効性のある支援体制の構築が必要であるとの考えに基づき、さまざまな取り組みを盛り込んできたところでございます。特に、相談支援の具体的なチェック項目等を整理した新たなアセスメントツールを開発することとしたこと、支援を要する在宅世帯に対して支援者を派遣する(仮称)養育支援ヘルパーの派遣を新たに実施することとしたことなどが今回のプランの中でも重要かつ特徴的な取り組みと考えております。 ◆伴良隆 委員  今、特筆すべき点が大きく幾つかございましたが、アセスメントツールというところに少しフォーカスしたいと思います。  さまざまな虐待事件が続いた当初から、私は、どんな人や組織でも虐待への気づきと情報共有ができるよう、一定の判断基準となるガイドラインを設け、チェックシートなるものを組織問わずに各自が持ち、運用できるようにと児相に対して何度も訴求してきたところでございます。昨年の手稲区の児童死亡事件に対する検証報告の際にも、機関連携や気づきの共有ができていなかったと強く指摘されていることが明らかになりました。先ほどの答弁にもありましたように、アセスメントツールについては、特に早急に作成し、くまなく配り、その使い方に理解と協力をしっかり得なければなりませんが、一体いつまでにつくり、それをどのように活用していこうと考えているのか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  アセスメントツールの開発時期と活用についてでございます。  アセスメントツールにつきましては、早期に開発すべきものと考えており、他都市の例を参考にするなどして、時期的には平成29年度の早いうちの作成を目指したいと考えております。アセスメントツールを開発した後は、委員のご指摘のとおり、子どもの支援に携わる関係者への配付のほか、その周知や活用のため、児童相談所と学校、保育所等の関係機関との合同研修の実施や、要保護児童対策地域協議会や関係機関の研修会など、さまざまな機会を活用して周知に努めていく予定でございます。  また、アセスメントツールの活用につきましては、要対協の個別ケースの会議等で、児童相談所や関係機関が個々の要支援世帯をどのように評価しているかを見える化するためのツールとすることで、世帯の状態像の分析精度が高まり、より実情に合った支援方針の決定が可能になるものと考えております。 ◆伴良隆 委員  より実情に合ったものにしていかなければいけないというお話ですが、これについては、生活環境や経済環境などの長期的な環境変化がありますので、確立されたものは大事ですけれども、そこに検証を加えていってリニューアルしていくことも必要だと申し添えておきたいと思います。早くつくっていただきたいと思います。  それから、先ほどの答弁にありました(仮称)養育支援ヘルパーなるものですが、在宅支援という役割につきましては、いわゆる家事手伝いみたいなものに陥ることがないのかどうかといった心配もあると聞いております。  そこで、質問ですが、あくまで虐待防止につながるための支援体制の一環として、きちんとした役割と業務を確立し、誤解のないように広く周知しておくことが必要不可欠と考えます。他都市の運用事例も参考にされながら、いかがお考えか、現在の認識と検討状況を伺います。 ◎天田 児童相談所長  養育支援ヘルパーですが、児童相談所の指導が必要と判断される世帯のうち、一定期間の家事援助や育児支援等を実施することで、家庭の養育環境が改善されると見込まれる世帯を対象に派遣の要否を検討したいと考えております。  制度の総称につきましては、今後、整理することとしておりますが、他都市におきましてはヘルパー派遣期間を3カ月等の一定期間として実施している例もあり、他の障がい福祉サービスのように長期に支援するものではなく、児童が家庭で生活を継続する、あるいは、家庭に復帰するために必要な環境整備を児童相談所の指導の一環として短期間で集中的に行うものと想定しております。 ◆伴良隆 委員  業務を確立した上で、必要とされるサービスとともに、短期間ということで、当然、それは虐待の防止につなげるための養育の支援といった観点であるという整理だと思います。また、ヘルパーという呼称は、なじみがあり、決して悪いわけではございませんが、より誤解を与えない名称もあると思いますので、慎重に再考していただきたいと思います。  今回の強化プランの最後に、社会的養護体制の強化の取り組み、施設入所児童等に対する自立支援として、社会的自立に至るまで継続的に支援する仕組みを検討し、体制を充実するとあり、大変評価するところでありますが、現体制の児相だけでこのような社会的自立にまで取り組むことは非常に困難ではないかというふうに思われます。  一方で、児童虐待につながる理由は極めて複雑であり、さまざまでございます。確かに、児相も、これまで、事後対応と並行して随所で予防策に尽力されてきたところですが、仮に社会的自立に帰結していくのであれば、そもそも児童虐待はどのような社会的要因で起きているのかを総じて分析し、もって虐待の防止につなげるという連続性ある施策、取り組みの確立が必要であります。  そこで、児童虐待の根本的要因をどのように分析されているのか、また、それを児相だけで抱えるのでなく、どのような部門と連携を図っていくことが児童虐待の根本的対策になっていくと考えるか、村山局長のご所見を伺いたいと思います。 ◎村山 子ども未来局長  厚生労働省がまとめた子ども虐待対応の手引がございますけれども、その中で、子どもの虐待というのは、身体的、精神的、社会的、経済的といったさまざまな要因が複雑に絡み合って起こるとされております。したがって、これといった要因ということにはなかなかならないと思います。我々としては、今まで虐待の案件を見てきたところで、例えば、望まぬ妊娠があった家庭、発達障がいの特性のある児童がいた家庭、お子さんがいて再婚した家庭、いわゆるステップファミリーと言いますが、そういった家庭が虐待の発生につながったという例がありますので、そうした事例の積み重ねをもってしっかりと対応していかなければならないと思っております。  しかし、こういった事例を見ても、とても児童相談所だけで対応できるものではございませんので、母子保健や障がい福祉など庁内における行政内部の連携はもとより、地域、学校、保育所、警察、病院といった多くの関係機関と緊密に連携しながら取り組んでいかなければならないし、そのようにしてまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  私からも、第2次札幌市児童相談体制強化プラン(案)について質問いたしますが、質問に入る前に、冒頭に謝罪があった児童相談所非常勤職員による10代児童へのわいせつ行為を受けての逮捕、再逮捕という事態について少し触れさせていただきます。  再発防止に向けて、職員採用時のチェック体制、児童相談所内の職員の行動の把握など真摯に取り組んでいくことはもちろんですが、今回の件で多感な時期である10代の児童の心に大きな傷を負わせてしまったのではないかと危惧するところです。児童相談所に保護される子どもには、家庭に何らかの問題があったり、実際に虐待を受けたりと心に傷を負っている児童が多く、最後のとりでとも言うべき児童相談所において本件のような事件が二度と起こってはならないと強く思います。再発防止に取り組む際には、児童相談所組織内の改善を重ねるとともに、子どもの安心・安全、医療機関等とも連携した心のケアなど、子どもを第一に考えた取り組みを進めることを強く求めます。  それでは、質問に入ります。  プラン案では、児童相談所への医師職や弁護士の活用など、専門職の配置について取り組むとしていますが、弁護士に関しては、先般の児童福祉法の改正においても配置を要するとされたところです。児童虐待で児童を一時保護するような場面では、親権者の権限を制限するものであるとともに、子どもの権利も制限するものであることから、これを行政判断だけに委ねるのではなく、司法が関与することについて国でも検討していると聞いております。  そこで、質問ですが、現在、札幌市の児童相談所において弁護士の活用状況はどのようになっているのか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  私ども札幌市児童相談所における弁護士の活用についてでございます。  私どもは、従前より、児童福祉に見識のある弁護士との間で、緊急時も含めて相談できる体制を整えております。平成27年度につきましては、家庭裁判所への審判申し立て等の司法手続6件のうち2件、今年度は、司法手続10件中6件の対応を弁護士に依頼しております。また、今年度は、司法手続以外の法律面での相談を2件依頼しております。 ◆かんの太一 委員  答弁の中で、現在は、児童福祉に見識のある弁護士に法律相談を依頼しているということでしたが、ほかの自治体の児童相談所の状況などを見てみますと、福岡市や名古屋市では常勤の弁護士を配置しているほか、北海道でも、児童福祉法の改正に伴い、非常勤の弁護士を配置したと聞いております。  そこで、質問ですが、札幌市では弁護士の配置について今後どのように考えていくのか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  弁護士の配置の今後の考え方でございます。  今、委員がご指摘のとおり、他都市におきましては、常勤で他の職員と同様に虐待対応の業務に携わる弁護士を配置している児童相談所もありますし、月1回の勤務のみの児童相談所もございます。札幌市におきましては、現時点では必要時に弁護士に相談できる体制をとっておりますが、児童の処遇について家庭裁判所への審判の申し立てが必要な事例もふえてきております。今後、安定的に法律面でのバックアップを受けられるような体制について検討してまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  現在は必要時に相談できる体制を構築しているが、今後、安定的に支援を受けられる体制を検討していくという答弁だったと思います。  児童虐待の問題は、内容が複雑化していまして、児童相談所で迅速、的確に対応していくためには、児童福祉司など必要な人材を確保することはもちろんですが、医療面や司法面での専門的な人材の活用も今後はさらに必要になってくると思います。弁護士の活用については、業務範囲をきちんと精査しながら、何を担ってもらうのかということを明確にした上で検討を重ねていただきたいと思います。  次に、社会的養護体制の強化の取り組みのうち、施設入所児童等の自立支援の取り組みについて伺います。  強化プラン案に記載されておりますが、本市の措置児童数は、施設に540名、里親、ファミリーホームに178名と700名を超える児童が措置されています。プラン案の取り組み内容を見ますと、施設入所児童等の自立支援の仕組みについては今後検討していくということですが、多くの児童が措置されているという現状に鑑みますと、長期的な視点からの検討と並行して、短期的に今できることを早期に行っていくことも重要と考えます。  そこで、質問ですが、長期的、継続的な支援とともに、社会的養護のニーズが高まっている現在、短期的にどのような施策に力を入れていくべきか、お伺いいたします。 ◎天田 児童相談所長  施設入所児童等の自立支援について、短期的に今できることはどういうことかという質問でございます。  委員がご指摘のとおり、施設入所児童等の自立支援の大きな枠組みにつきましては、今後、関係機関との検討ということになりますが、一方では、現に施設等に入所している児童の日々の生活の中で、自立していくための支援を充実させていくことは非常に重要と考えております。  現在、家庭的養護の推進としては、児童養護施設の小規模ユニット化、これは、本体施設の中に6名ないし8名単位の生活空間を複数で配置するものでございます。また、家庭に近い養育環境である里親委託を進めているところでございます。日々の生活の中で児童が将来築くであろう家庭のイメージを持つことは、児童の自立に向けた大切な経験であることから、家庭的養護の取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望ですが、家庭的な環境での養育を実現するためにも、児童養護施設の小規模化整備については今後も着実に進めるとともに、最も家庭的な環境である里親委託についても引き続き取り組むことを求めます。  また、プランで指摘しているように、現在は、社会的養護の範囲外とされている18歳以上の者への支援にも力を入れていただきたいと思います。児童養護施設等を退所してしまうと、どこにもつながることができず、孤立化を招くケースもあると思います。次世代への虐待の連鎖につながるような環境をつくらないよう、児童相談所が中心となり、関係機関と連携して継続的な支援の仕組みづくりに真摯に取り組んでいただくことを求め、私の質問を終了いたします。 ◆池田由美 委員  私からも、質問させていただきます。  最初に、アセスメントツールの内容について、1点お聞きしたいと思います。  児童虐待による死亡事例に係る検証報告を審議した文教委員会でも指摘いたしましたが、手稲区で起こった虐待死の検証の中で、虐待の通報があったときはあらゆる情報を集めて判断しなければならない、そして、一番重要視するべき情報として、出生時の母親の状況、子どもへのかかわり方、家族の状況について、助産師からいち早く情報を把握することが重要だということで質問いたしました。  このアセスメントツールにもこういったことを盛り込んでいくのか、伺いたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  手稲区の事案から私どもが教訓として得たのは、まさにご指摘のように、この世帯に関してそれぞれの関係機関が持っている情報を集め、そして、それをきちんと分析し、その中から課題を整理し、支援につなげていくといった一連のものが必要であるということで、これは提言にも強く書かれております。それを踏まえて、アセスメントツールにつきましては、今、私どもが考えているのは、行政内部のみで使うものではなく、現に支援に携わる医療機関、福祉施設等も含めた情報を一つのシートの中で共有し、その中でそれぞれが役割分担して支援をしていく、さらには状況の変化もきちんと把握できる、そういうシートをつくっていきたいと考えております。 ◆池田由美 委員  今後、虐待の深刻化が考えられます。手稲区の虐待の問題では、助産師からの情報やさまざまな情報がつなげられ、関連する施設で連携があったとしたら、命を落とさずに済んだと思います。そのことを考えると、本当に無念で心が痛んでおります。二度と虐待死を起こしてはならないとの立場で、アセスメントツールの内容をさらに検討するべきことを求めておきたいと思います。  続きまして、プランの中身についてですが、相談受理件数が年々増加して、特に児童虐待相談は、2011年度が437件、2015年度が1,480件と3倍以上になっておりますし、虐待通告も、2011年度が710件、2015年度が1,366件と1.9倍にまで増加しています。虐待認定件数が増加した理由として、警察からのDV通告に伴う心理的虐待の認定が増加したとされています。この案を見ますと、虐待通知の経路では、近隣や知人、親戚、学校等からの通告がふえているとなっております。  そこで、ふえている要因をどのように分析しているのか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  近隣、知人からの虐待通告が寄せられている要因ということでございます。
     児童相談所では、民生委員、児童委員や児童関係機関の職員のほか、市民を対象として児童虐待に関する研修を行い、その受講者をオレンジリボン地域協力員として登録し、地域での児童虐待の発見、通報、情報提供や見守り等をお願いしておりまして、現在の登録者については約1万4,000名になっております。このほか、11月の児童虐待防止推進月間等において、虐待防止に向けた啓発活動などを実施しております。  これらの取り組みにより、児童虐待に対する市民意識が向上してきたことも近隣住民等から虐待通告が多く寄せられている要因と考えております。 ◆池田由美 委員  オレンジリボン地域協力員として約1万4,000人が登録されていることなど、市民意識が高まってきたという答弁だったと思います。  この強化プラン案の3ページの児童相談に関する現状の中でも、2015年度は虐待相談数が1,480件と前年度と比べて3割近い増加となっています。本市の市民の給与収入を見ますと、300万円以下の割合が約42%となっており、私は虐待の背景には貧困問題も大きな要因としてあるのではないかと考えますが、こういったところの認識はいかがか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  虐待に至る要因はどういうことかということでございます。  委員のご指摘の中でも経済的な要因ということがございましたが、これは一つの要因として考えられると思います。そのほかに考えられるものとしては、生育過程において十分な養育環境を得られずに育ってきた場合も結果として虐待につながっていくということも例としてはございます。具体的にこれが虐待につながるということは申し上げにくいところですが、さまざまな家庭環境の中で、結果として子どもの養育環境が適切に確保できていない場合があり、私たちとしてはそれに適切に対応していきたいと考えております。 ◆池田由美 委員  本市の雇用実態で、非正規雇用が4割となっており、特に若い層での非正規雇用がふえているのではないかと考えます。先ほど養育の問題点を指摘されておりましたが、貧困の中で育った子どもは、全てではありませんけれども、そういった形の条件になっているのではないかというふうに感じます。そして、貧困の中で育った子どもたちが、親となって、また貧困の中で子育てをしていくという貧困の連鎖が要因として非常にあるのではないかと考えます。  そのような背景を考えると、今後さらに相談件数がふえ、虐待通告件数もふえていき、虐待のケースも深刻化していくことにつながる可能性も高いのではないかと考えます。だからこそ、第二児童相談所を早急につくっていくことが必要ではないかというふうに考えております。  次に、先ほど、プラン案の8ページで、一時保護児童数について、2013年度以降、一時保護児童数の延べ人数が増加してきており、児童1人当たりの一時保護期間が長期化する傾向になっていると報告されておりました。2016年4月から、一時保護所の定員を50人に拡充しているにもかかわらず、一時保護児童数が80人を超えた日も発生していたということです。一時保護所に空きがない場合は、児童養護施設や里親等に委託する場合もあると書いていますが、50人を超えた場合は、誰がどのように対応しているのか、伺いたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  一時保護児童の受け入れ先の調整を誰がどのようにしているかということです。  これにつきましては、児童相談所の中では、相談判定課の職員が相談を受け、課の中でどのような形の受け入れが可能かについて個別に調整しております。その結果として、一時保護所が受け入れられる場合については第一に一時保護所で受け入れることになりますが、年齢的な要件、さらには、お子さんのさまざまな状況の中でその受け入れが難しい場合については、委員のご指摘のとおり、市内外の児童養護施設あるいは里親の委託という形で対応しております。また、児童の状況によっては、可能な場合、既に保護中の児童について、一時保護所から里親等への委託に変更するなど、個々の児童の状態に合わせた調整を行っております。 ◆池田由美 委員  児童養護施設や里親などの一時保護児童数を見ても、2015年度は実人数で304人、一時保護所は305人と、ほぼ同じ人数になっています。児童養護施設でもあきがなくて断られるケースも多いと聞いております。ケースによっては里親に依頼できないケースもあると考えられますが、依頼先を決定するまでの職員の対応の大変さが予想されます。保護される子どもにとっても、自分がどこに行くのか非常に不安を感じるのではないかと思います。そして、先ほどの答弁にもありましたが、一時保護所にいるお子さんのうち、家庭に戻れる見通しのあるお子さんを里親に移していくという説明もありました。見通しとして、家に帰れる可能性のあるお子さんだと思いますが、一旦、一時保護所で生活していたお子さんがまた違った里親のところに動かなければならないということは、非常に不安を感じるのではないかと思います。また、親にとっても、どこにいるのかという不安もあると予測されます。  私は、やはり、一時保護所で全ての対応が完結していくことが大事だと思いますが、いかがでしょうか。 ◎天田 児童相談所長  一時保護が必要なお子さんに対する調整につきましては、最終的には児童相談所の措置会議という形で機関による決定をしておりますが、その前段としての調整につきましては、市内近郊の児童養護施設はほぼ満床状態でして、直ちに受け入れが厳しい場合もあります。そういった面では、今活用できる資源は何か、最近は非常に苦慮しながら対応している現状でございます。ご指摘のとおり、一時保護所、里親、施設ということで考えていった場合に、そのお子さんに最も適切な支援先はどこかをきちんと見つけてあげることが大事だと思っております。そういう意味では、短期間で委託先を変更するのが好ましいということには決してならないと思います。  一方で、一時保護所につきましては、警察施設ではございませんが、やむを得ず施設内で生活しているということで、学齢児につきましては、そこから学校に通うことが難しい施設でございます。そういったことから、通学が可能な場合、そして親御さんの理解が得られる場合などを含めて、里親に委託したほうがいい場合につきましては、一時保護所から移っていただいて、より家庭的な環境の中で保護していきます。さらには、一時保護については次の判断がありますが、その判断をする際にも、家庭引き取りとするか、さらに支援を継続するか、適切な受け入れ先として施設がいいのか、里親がいいのかを含めた上で機関で決定している状況でございます。 ◆池田由美 委員  通学が可能だということであれば、一時保護所でお預かりしていたお子さんを里親に移していく場合があるのだということでしたが、それは親の承諾があると理解してよろしかったでしょうか。 ◎天田 児童相談所長  一時保護の実施につきましては必ずしも保護者の同意を前提とするものではありませんが、可能な限り、受け入れ先についての同意もいただきながら進めております。 ◆池田由美 委員  可能な限り親の同意を得ながら進めていっているという答弁でしたが、子どもがなれたところから移るというのは精神的に非常に負担が大きいのではないかと思います。ですから、一時保護所で全ての子どもを預かれるようにすることを求めていかなければならないと感じております。  次の質問ですが、先ほど一時保護所がいっぱいになっているという話がありましたが、虐待の相談や通告がふえていくことが今後予想されている中で、現状では待ったなしで第二児童相談所の必要性が浮き彫りにされているのではないかと思います。  10ページの他の政令指定都市の状況を見ても、札幌市の27万3,409人より児童数が少ない川崎市や京都市でも2カ所の児童相談所が設置されております。児童福祉士の配置人数から見ると、児童福祉士1人の相談件数は、川崎市では45.7件、京都市では38.2件、札幌市では79.6件となっており、福岡市、北九州市に続くワースト3となっている現状です。これらの現状を見ても、札幌市の虐待相談がふえ続けて深刻なケースがふえている今の実情からも、第二児童相談所の設置は待ったなしの状況で、2018年度からの検討では遅過ぎるのではないかと感じます。  この強化プラン案に第二児童相談所の設置を具体的に盛り込んでいくべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  第二児童相談所の整備を急ぐべきというご指摘だと思います。  第二児童相談所の検討に当たりましては、児童相談所に求められる機能や規模などを十分に見きわめる必要がございます。また、今般の児童福祉法の改正の中で、国において、改正法の施行後2年以内に児童相談業務のあり方等を検討することとされております。これらを踏まえて、第二児童相談所の必要性を含めて検討してまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  国においてあり方等が検討されるので、今、それを待っているということでしたが、そういうものが出た中で札幌市が検討を始めるという押さえでよろしかったでしょうか。 ◎天田 児童相談所長  ご説明が不十分だったかと思います。  国の議論の結果を待ってから検討するということではなく、並行して検討を進めていきたいと考えております。 ◆池田由美 委員  札幌市としても並行して議論していくのだという答弁でした。  12ページの家庭児童相談室の相談状況のところで、虐待相談が、中央区では28件、東区では32件、豊平区では20件、清田区では19件、白石区では18件と区ごとに状況が違っております。今後、全市対応から、複数の区をブロックにして対応を進めて、区との連携をさらに強めて相談しやすい環境をどうつくるのかということを検討していくことが必要だと考えております。例えば、旧白石区役所の跡地に第二児童相談所を建設して、白石、厚別、豊平、清田を一つのブロックとして対応していくということです。相談体制を整えて、さらに現状に見合った児童相談所の体制強化を計画的に検討していくべきではないかと思いますが、こういった検討はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  第二児童相談所を設置する場合を考えますと、地域的な対応を十分に考えていかなければならないことになります。その中では、区とのかかわりをさらに強化し、バックアップという意味での体制も必要だと思いますので、それらを含めて検討していきたいと考えております。 ◆池田由美 委員  これまで、第二児童相談所の必要性を質問させていただきました。本当に待ったなしの現状だと思いますので、何よりも子どもたちに負担のないように、相談しやすい環境を念頭に置きながら、早急に第二児童相談所を整備していただきたいと思います。発表はされておりませんが、水面下ではどこにしようかなどさまざまに検討されていると思いますので、区ごとの対応も含めて、よりよい相談環境になるよう第二児童相談所の設置を急ぐことを最後に求めて、質問を終わります。 ◆堀川素人 委員  僕からも、幾つか聞きたいと思います。  児童相談体制強化プラン案に書かれているものは、今までもよく言われてきたことだと思いますが、このほかに何か新しいものはありますか。 ◎天田 児童相談所長  これまで求められてきたものと同じことを書いているのではないかというご質問でございます。  まず、以前から連携強化について述べられてきておりますが、それについては、一層の連携強化が必要と認識しております。新たな第2次プランの中では、特に関係機関との協働という観点が一層重要であると考えており、そのためのものとして、関係機関が共有できるアセスメントツールの開発、関係機関の合同研修などを盛り込んでおります。さらには、支援対象にかかわる関係機関が認識を共有するといったさらなる取り組みが必要ということで、そういう意味での趣旨で述べております。  また、新しいことは何かというご質問でございましたが、これにつきましては、繰り返しになりますけれども、情報共有のためのアセスメントツールを開発すること、さらに、養育支援ヘルパーの派遣などの在宅支援について具体的な施策に取り組んでいくことなどを盛り込んでおります。 ◆堀川素人 委員  おととし、手稲区の虐待事件がありました。あのときも各関係機関の強化が絶対的なものであると言われて、あれから1年ちょっとたって、今、改めて関係機関の強化と言っていますが、具体的にはどういうことをやるのですか。  僕もそう思っているのですよ。本当に強化をきちんとして、特に警察との関係を密にしながらやらなければだめだと思っていますが、いろいろな名前が挙がるけれども、具体的にはどういうふうに取り組んでいこうとしているのか。 ◎天田 児童相談所長  今後の取り組みの中で連携について特に詰めていきたいと考えておりますのは、それぞれの関係機関が顔を合わせて情報を共有し、具体的に支援していくための連携を強化したいということでございます。そのための取り組みとしてアセスメントツールを一つの例として挙げさせていただいておりますが、これをきちんと活用することで、今までなし得なかったところの一層の連携を進めていきたいと考えております。 ◆堀川素人 委員  もしするならば、早急にしてくださいよ。具体的にどうするのか。ただ口だけでもって話しても、実効性は全然高まらないので、まずはこれをしてほしい。  それから、今言ったアセスメントツールというのは何ですか。日本語に直したらどうなるのか。 ◎天田 児童相談所長  アセスメントツールについてご説明させていただきます。  これは、児童や世帯の状態像などを関係機関で共有し、支援していくためのチェックシートでございます。これらの開発を含めて伴委員からもございましたが、今後の取り組みを早急に進めていきたいと思っております。 ◆堀川素人 委員  なぜアセスメントツールという名前にするのですか。特に年寄りなどにはわからないような言葉を大きな文字で出すのかな。少し長くなるかもわからないけれども、対象者の環境把握技法としたらわかりやすいじゃないの。そもそも、アセスメントというのは何なのか、ツールというのは何なのか。それから、その下にスキルアップとあります。スキルアップというのは技術向上のことだと思うけれども、その下に相談援助技術の向上と書いてあるじゃないですか。なぜ、この言葉を使わないのですか。日本人は、若い人ばかりではないんです。年をとった人もいて、その人方にも、どこかで足がかりを得ながら少しでも理解してもらえるようにするのが大事なのではないかと思います。  この前も、ある人と話したけれども、このように横文字を使ってわからない言葉にするのはごまかす技術の一つだと言われるんだよ。あなた方自体、下に書いているではないですか。それから、アセスメントツールという言葉だって、僕は、ここに来てから、どういう日本語に直るのだろうと調べました。こうやって僕にできることが、優秀なあなた方にできないわけがないじゃないですか。こういうことによって、何を言わんとしているのか、わからなくしている。  今、手稲区の話もしましたが、あなた方の技術の間違いがありました。それから、今回の件は、前に先生をしていた人が非常勤になって、その人は同じような事件を十数年前に起こしてやめているのです。これは、停職6カ月になったと言われています。極めて特殊な事件なだけに、札幌市としては、その経験は大事な情報として共有していかなければならぬ。それから、秘密保護法と情報公開の原則がある。それは、ここの中では重複する部分がありますよ。それでも、そこに至るまでの行為をした、それも同じ札幌市役所の中でやっているのに、その情報を聞けないというばかな話はないと思います。しかも、これは極めて特殊な事件ですよ。こういう事件を起こした人間の再犯率は高いと言われていますし、そういうことについて何で問い合わせなかったのかなと。こういう大きな問題があって、子どもの最後のとりでであるところが、とりでではなくなった、これは大変大事な事件ですよ。ここにどういう問題があったのか、ただスキルアップだと言うけれども、具体的に何ができたのか、そこの反省をきちんとしなければ、次のページは開いたらだめだと言うのです。また強化策とかと言う。前の問題で何が反省されるべきだったのか。何でも全部がうまくいったら反省することもありません。ところが、そういうことがあるから反省します。反省するということは、過去の事実から学ぶしかありません。そして、将来の道しるべにするということです。  こういうように、わかりやすく、何があって、こういう反省をした、そのほかにも連携しなければならない問題がたくさん出てきた、こういうことをやってから、新しい強化プランというページをめくることはいいと思います。そうではなくて、何かやっても、きちんと反省しないうちに、強化プランとか5年計画とか10年計画とか、こんなことをいつまでやっていても何の足しにもならぬと僕は思うのだけれども、それについてはいかがですか。 ◎天田 児童相談所長  まず、前段のアセスメントツールの名称については、今後、内容に応じてわかりやすい名称を考えていきたいと思います。  それから、職員の資質の向上については、第一に進めていかなければならないと思っております。この点についても、これまでのプランの策定の中でも区の強化を含めてやってまいりましたが、今後については、区と児童相談所との連携がより大事になっていくと思います。そういう意味での連携のあり方、職員の研修をきちんとやっていく必要があるというふうに考えております。 ◆堀川素人 委員  今、連携のあり方と言いましたが、その連携というのは情報を交換したりするわけでしょう。そのときに、今回のわいせつ事件がそうですが、札幌市の児童相談所と教育委員会の情報について、本来は共有できると思いますけれども、一方では、個人情報保護法、特定秘密保護法があって、それから情報公開の原則があります。こういう中で、どこまでできるのか。これは、他の機関ならばそれよりも幅は狭いと思います。そうであれば、今回の中でそういうこともきちんと整理しなければならないと思います。  僕が質問しても、まともに答えられる人がいないんだもの。僕も、どう考えるべきか、わからないから素直に聞いたのだよ。札幌市でも、総務局の考え方と教育委員会の考え方は、重なるところがあったり、考え方の違いだなと思うところが実際にあるわけです。今、児童相談所に聞いてもそこは全然答えられる状態ではないということでした。しかし、そこをきちんと理解しながらやらなければ、他と連携する場合に連携が深まらないよ。そういうことも含めてきちんとしていただきたいと求めて、終わります。 ○山口かずさ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後3時42分...