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平成28年(常任)文教委員会−09月13日-記録

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  1. 札幌市議会 2016-09-13
    平成28年(常任)文教委員会−09月13日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成28年(常任)文教委員会−09月13日-記録平成28年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成28年9月13日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、陳情第235号 札幌市の不登校対策フリースクール支援に関する陳情を議題といたします。  陳情第235号は、本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時1分       再 開 午後1時10分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  ただいま、陳情提出者から現状と思いをお聞きしました。私も、国の議論で、フリースクール等民間施設などがその機能性を発揮されていて、活躍されていることと、また、利用者によっては経済負担感があることは承知しております。  その中で、整理したいと思いますが、まず、憲法第26条第2項では、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」とし、改正前の教育基本法第4条では、「国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。」としております。  また、学校教育法では、就学義務として、保護者が6歳から15歳の子女に小学校6年間、中学校3年間の教育義務を課しており、学校教育法第1条に定める学校、つまり、国、地方公共団体及び私立学校法第3条に規定する学校法人のみがこれを設置することができるとしております。
     よって、いわゆるフリースクールフリースペースインターナショナルスクールなどについては、現行制度上は、法が定める就学義務を履行していることにはなっておりません。  次に、年間30日以上とされる不登校児童生徒数は近年増加傾向にあり、こうした児童生徒においては、義務教育が定める目標である心身の健全育成学校内外の学習等を通じた各種基本的な能力を養うことができない危険性が生じております。  こうした状況下で、教育委員会や学校では、さまざまな不登校児童対策を積極的に講じていますが、さまざまな要因で学校に準ずる公的機関である相談指導教室教育支援センターといった適応指導教室に通う児童生徒は、現在、本市に、小学生35名、中学生148名の計183名、学校以外の民間団体施設などにいる児童生徒数は、市の現在把握では、小学生が68名、中学生が48名の計116名いるとのことであります。  そこで、質問です。  不登校または不登校傾向にある児童への支援について、義務教育児童福祉の両面から、本市の基本的な姿勢と考えを子ども未来局教育委員会に、まず、伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  子ども未来局での基本的な姿勢と考えということでございます。  子どもたちが健やかに育つためには、安心して学ぶことができる場所が必要でございます。公の教育機関で通級、通学することが困難な子どもたちが少なからずいる中で、そういった子どもたちがみずからの状況やニーズに合った居場所を選択し、相談できる環境を整えることが重要であるというふうに考えております。 ◎和田 児童生徒担当部長  教育委員会としての基本的な姿勢と考えについてお答えいたします。  教育委員会としては、不登校児童生徒に対し、一人一人の状況に応じてきめ細かな支援を行うことが重要であると考えており、必要に応じて専門的な人材や関係機関と連携しながら、児童生徒学校復帰を図っているところであります。  また、当面の学校復帰が難しいと思われる児童生徒に対しましては、教育支援センターなどにおいて、学習や人とかかわる場面を設けることで、学校復帰や将来的な社会的自立に向けた支援をしているところでございます。 ◆伴良隆 委員  不登校児童等について、もう一度、お伺いしてまいります。  不登校児童等について、本市はどのような対策を講じていますでしょうか。主たる施策事業名と概要について、子ども未来局教育委員会、それぞれに簡潔にご紹介いただきたいと思います。 ◎岡部 子ども育成部長  不登校児童に係る対策の事業名と概要ということでございます。  子ども未来局では、不登校児童生徒の受け皿となっている札幌市内フリースクール等民間施設の活動を支援するため、施設の設置者に対し、施設を利用する児童生徒指導体制の整備、教材教具体験活動等に係る経費の一部を助成する子どもの学びの環境づくり事業を実施しているところでございます。  また、ひきこもりの状態にある本人やその家族を支援するための第1次相談窓口としての札幌市ひきこもり地域支援センターを整備し、子どもから大人までを対象とした相談を受けるすき間のない支援体制を構築しているところでございます。 ◎和田 児童生徒担当部長  不登校児童等に係る対策等について、主たる事業名と事業概要についてお答えいたします。  教育委員会では、学校で全教職員が不登校についての共通理解を図り、個々の状況に応じたきめ細かな対応ができるよう、教師用指導資料集の作成や配付、さらには、不登校対応に関する会議などを通じ、学校の不登校対策を強化する取り組みを行っているところでございます。  不登校対策の主な事業としては、教室に入れない子どもに対する学習支援や登校できない子どもに対する家庭訪問等を行う相談支援パートナー事業を実施しているところでございます。  さらに、学校復帰や将来の社会的自立に向けた支援を行うため、不登校児童生徒が仲間とともに学習や体験活動を行う教育センター相談指導教室を市内6カ所に設置しております。 ◆伴良隆 委員  それでは、次の質問ですが、今ご紹介された不登校児童等にかかわる各施策事業について、どのような過程を経て、いかなる成果を得てきているか、確認したいと思います。  子ども未来局教育委員会、それぞれに伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  不登校児童等に係る対策のこれまでの過程と、その事業の成果についてでございます。  フリースクール等民間施設事業費補助は、必要な職員の新規雇用やカウンセラーの配置、教材教具の整備や体験学習、実習等などに要する経費の一部に補助するもので、関係者の方々と意見交換を行いながら、平成24年度に創設したものでございます。  補助制度創設当初は、4団体、平成25年度以降は6団体に助成を行うなど、助成団体数なども増加している状況でございます。補助制度の利用により、施設職員の増員を初め、指導内容教育環境の充実、体験学習機会の増大等、子ども学習環境の充実が図られるとともに、不登校児童生徒の在籍校への復帰や高校進学等につながるなど、一定の事業成果を上げてきているものと考えております。  また、ひきこもり地域支援センターは、昨年10月に開設しまして、年度末までの6カ月間で160人の新規相談がありまして、そのうち、15歳未満の相談を8件受けたところであります。相談に当たっては、個々の状況に応じて、医療機関教育相談センターなど、適切な支援機関につなぐなどの対応をとっているところでございます。 ◎和田 児童生徒担当部長  不登校児童等に係る対策等について、これまでの過程と事業の成果についてお答えいたします。  まず、相談支援パートナー事業についてでございますが、不登校児童生徒に対して、相談支援パートナー等学習支援家庭訪問などを実施しながら、一人一人の状況に応じた丁寧な対応を行うことで登校できる子どもがふえたということが成果として上げられております。こうした成果を踏まえて、平成26年までに全ての中学校に相談支援パートナーを配置するなど、段階的に事業の拡充を図ってきたところでございます。  教育センター相談指導教室についてでございますが、学校に登校することが難しい子どもに対して市内4カ所の小学校内に相談指導教室を設置しまして、平成25年、26年度には、学校の建物に対して抵抗感のある子どもたちのために学校以外の施設を利用した教育センターを新たに2カ所開設して、合わせて市内6カ所に拡充してまいりました。  相談指導教室教育支援センターにおいて、仲間とともに体験活動等に取り組むことにより、人とかかわることへの不安が和らいだり、自信を持って活動に取り組めるようになったり、登校できる子どもがふえたことが成果でございます。 ◆伴良隆 委員  成果を確認させていただきました。  不登校気味の生徒を含めて、不登校児童はやや増加気味という中でございますので、数字としてなかなかあらわれにくい部分ですが、質としても、また学校復帰としても、今、成果を上げていることを確認させていただきました。  それでは、当該の事業費補助に移りたいと思います。  フリースクール等民間施設事業費補助要綱を踏まえ、フリースクール等の事業、活動内容の確認等において、どのような点に重点を置いていますでしょうか。また、どのような課題があるのか、伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  フリースクール等民間施設事業費補助要綱を踏まえたフリースクール等事業活動内容の確認等と課題についてでございます。  フリースクール等の事業、活動内容につきましては、それぞれのフリースクールの自主性や多様性を尊重しつつ、不登校児童生徒社会的自立に資するため、学校との間に十分な連携、協力関係が構築されていることが重要でございます。  このため、子ども未来局では、不登校児童生徒の学校以外での学習の場、居場所としてのフリースクールの実態について、教育委員会情報共有を行っているところでございます。  こうしたことを前提として、補助金を交付するに当たり、フリースクールに通う児童生徒の相談、指導等の活動のために適正に支出されていることの確認を行っております。  なお、補助金支出の確認等に当たりましては、特に支障となっている課題はございません。 ◆伴良隆 委員  それでは、次の質問になりますが、今後のことでございます。  不登校児童等への対策について、教育委員会としてより充実していく必要があることとは主にどのようなことか、現時点でのお考えを伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  今後の不登校児童等への主な対策についてでございます。  不登校児童生徒の数は中学校への進学後に増加する傾向がありますが、小学校段階から不登校の予兆を持った児童が潜在していることがわかってきたことから、今後、小・中連携をさらに深め、不登校の未然防止に向けた小学校段階での支援を強化してまいりたいと考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  同じく、今後のことについて、子ども未来局に伺ってまいります。  今後、不登校児童等への対策について、子ども未来局としてより充実していく必要があることとは主にどのようなことか、現時点でのお考えを伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  今後の不登校児童等への主な対策についてでございます。  各フリースクールにおきましては、不登校児童生徒学校復帰や進学等の社会的自立に向け、活動いただいているところでございます。  札幌市としてはそうした活動を継続して支援する必要があると考えておりますけれども、フリースクールへの補助は政令市の中では札幌市のみでございまして、他に実施している自治体も少ないという状況でございます。札幌市の厳しい財政状況の中、一自治体の単独での補助としてこれまで積極的に取り組んできたというところがございます。  現在、国会には、学校以外での学習活動を支援することを盛り込んだ教育機会確保法案議員発議により提出されているところでございます。また、文部科学省においても、学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援等について検討が進められている状況がございます。  札幌市として、まずは、これら国の動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  るる、今までの一連の不登校児童等の対策について伺ってまいりました。  きょうは最初の審議ということでございますので、事実関係を確認させていただきました。  私は、これから求められていることを主張して終えたいと思います。  まず、教育委員会には、不登校児童等対策を今後も積極的に講じる中で、まずは、各学校において、たった一人の児童生徒も不登校にならぬよう、教育的ニーズを把握し、わかる授業づくりやきめ細かい指導方法の実践、教職員と児童生徒間の信頼と児童生徒間同士の良好な人間関係づくり学級運営の充実、保護者はもとより、関係者間の適切な連携と対応などを通じ、児童生徒にとって学校が安心できる環境であるように、学校教育にかかわる取り組み全体の一層の充実が第一に求められています。  次に、学校に準じた公設の適応指導教室等においては、学校同様の取り組みはもとより、不登校の各児童生徒が一日も早く学校復帰できるように配慮した丁寧な指導と対応ができるよう、不登校児童への公的な教育環境の充実が求められています。  また、やむなく学校以外の民間施設等で過ごす児童がいる場合は、不登校児童生徒の真の利益となるよう、健全な成長発達のために、法令が定める教育内容と質を担保し、また、一日でも早い学校復帰を目指し、卒業後に望む進路進学を果たすとともに、社会で生き抜く確かな力を身につけるべく、フリースクール等民間団体や、そこにいる児童生徒の保護者ともしっかり協力し、日ごろから積極的に情報交換や連携に努め、民間施設等での教育指導内容やその効果、児童生徒の心身の健康、保護者を含めた家庭状況などについて随時把握し、精査、検証し、適時的確に指導・助言することが、フリースクールなど学校以外の民間施設等に税金という公金補助を行っている子ども未来局本市児童生徒健全育成に責任を負う教育委員会、それぞれに対し、今まで以上に強く求められていること、そして、平成24年度開始の本件補助制度を再検証すべきことも求められています。  最後に、時代の変化の中で、その子にとって何が最も幸せなのか、最善の利益なのかということは、今後も大変慎重な議論が必要であることを主張させていただきまして、質問を終わります。 ◆かんの太一 委員  私からも、フリースクールへの支援について、何点か質問させていただきます。  昨年9月に文部科学省が発表した平成26年度の児童生徒問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の結果では、全国における不登校児童生徒数は12万2,902名、出現率1.21%と平成24年度以降も増加を続けており、札幌市においても同様に増加傾向にあることは容易に想像されるところです。  札幌市では、平成24年度に、政令市として初めてフリースクール等民間施設に対する事業費補助制度を創設しており、他都市に先駆けた取り組みは、不登校の子どもの学ぶ機会を担保するものであり、評価しているところです。  こうした取り組みは、都道府県においても数が少なく、札幌市において厳しい財政状況の中でフリースクールへの独自の支援を行うに至ったことはどのような経緯からなのか、改めてお伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  補助制度創設の経緯についてでございます。  不登校の子どもの数が高どまりの状況にあることを問題と捉え、平成23年3月に策定した札幌市子どもの権利に関する推進計画の中でも、主要な取り組みの一つとして、フリースクールなど民間施設に対する支援のあり方の検討及び対策の推進を位置づけたところでございます。  支援のあり方につきましては、フリースクールへのアンケート調査や関係者の方々との意見交換を実施しながら検討を進め、不登校の子どもたちの学びの機会の確保のためにはフリースクールへの財政的支援が必要と考え、平成24年度に補助制度を創設したものでございます。 ◆かんの太一 委員  続きまして、昨年就任された秋元市長は、選挙公約に、フリースクールの活動を支援し、学校以外の学習支援体験活動を充実させますと掲げて、昨年12月に策定されたアクションプラン2015において、子どもの学びの環境づくり事業として継続した支援を行うこととしており、今年度予算でも1,240万円が計上されています。  そこで、質問ですが、札幌市では、これまで、平成24年度から4年間補助を行ってきましたが、その実績についてお伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  これまでの補助の実績についてでございます。  制度創設時の平成24年度は、4団体に対し、合計512万円を助成しております。平成25年度は、6団体となり、合計728万円、26年度は、6団体に合計910万円、27年度は、6団体に合計993万円を助成し、助成額は年々増加している状況でございます。  また、児童生徒数につきましても、平成24年度は52名、25年度は49名、26年度は58名、27年度は62名であり、増加傾向でございます。  なお、平成28年度は、8月時点で、7団体からの申請を受理し、合計1,175万円を概算交付したところでございます。児童生徒数につきましては、7月末現在で68名となっております。 ◆かんの太一 委員  ただいまのご説明で、助成の団体数と助成額はふえる傾向にあることがよくわかりました。フリースクールにとっては、それだけ経営状況が厳しく、支援が求められているというふうに考えられます。  今回の陳情を受けて、札幌市としてどのように対応していくかは、先ほどの答弁にあったように、国の動向も注視していくとのことでありますが、関係団体からは、フリースクール等民間施設事業費補助制度の創設以降、毎年要望が出されていると聞いております。  これらの要望に対し、これまでどのような検討がなされてきたのか、お伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  要望に対しまして、これまでどのような検討がなされたのかについてでございます。  補助制度を創設した平成24年度の翌年から継続して要望をいただいているほか、毎年、フリースクールに対してアンケートを行い、さらには、実地調査を通じて現状の把握に努めているところでございます。  これまで、そうして把握したフリースクールの状況を踏まえ、体験学習や実習等に要する経費などを新たに補助対象として拡充するなど、必要な見直しを図ってきているところでございます。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望です。  先ほど、陳情提出者から陳情の趣旨説明を伺いましたが、フリースクールの運営は、保護者からの利用料や寄附金等が主な収入源であり、厳しい経営が続いている状況にあると承知しております。  現在、国において、議員立法による教育機会確保法案文部科学省によるフリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業、有識者によるフリースクール等に関する検討会議について、引き続き審議や検証が行われております。  以上のことから、今後は、フリースクール等民間施設や通所している子どもたちに対する支援について検討が進められるものと考えております。  一方、札幌市においては、先ほどのご答弁にもありましたが、子ども未来局によるフリースクールへの財政支援のほか、教育委員会においては、教育支援センターの設置、相談支援パートナー事業の実施など、不登校児童生徒に対する支援体制の充実を図っていると聞いております。  今後も、国の動向を注視しながら、引き続き子どもの学ぶ機会を保障するフリースクールの活動への支援を継続していただくことを要望して、私の質問を終了いたします。 ◆池田由美 委員  私からも、何点か質問させていただきます。  最初に、不登校の子どもたちは、小・中合わせて、2014年度では1,846人、2012年度では1,623人と、比較すると200人以上がふえている状況です。  最初に、不登校の子どもがふえている要因をどのように分析されているのか、伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  不登校の子どもたちがどうしてふえているのかという分析についてでございます。  不登校については、友人との関係、生活リズムの乱れ、勉強がわからないなど、多様な理由が複雑に絡み合っていることが多く、また、核家族化人間関係の希薄さなど、子どもを取り巻く環境が大きく変化していることが背景の一つと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  学校の友人との関係をうまくつくれない、また、生活リズムが乱れていくこと、勉強がわからないということが、一つ一つではなく、重なり合っていく事情もあるというお話が今あったのではないかと思います。そういう中で、実際にフリースクールへ通う子どもたちがふえてきていることが多いのではないかと思います。  先ほどの質疑の中で、学校に行けない子どもへの対応をどうしているのかということについては細かく丁寧なお答えがあったと思います。学校側の相談パートナー適応指導教室、または教育センターでの学びの場など、努力されている中で、フリースクールも、子どもたちの大きな受け皿というか、居場所として存在していることも事実なのではないかというふうに思います。  先ほどの趣旨説明の中にも、子どもたちが施設に来て、本当は学校に行きたいという思いを持ちながらも、施設の中で元気になって積極的に勉強に取り組んでいるというような説明もありました。そういったことを考えると、フリースクールというのは本当に大きな役割を果たしているのではないかというふうに思います。  自信をなくしている子どもたちを受け入れ、一人一人に寄り添っていくフリースクールの役割について、教育委員会ではどのように認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎和田 児童生徒担当部長  フリースクールの役割についてでございます。  教育委員会といたしましては、フリースクールにつきましては、学校復帰に向けて努力している不登校児童生徒にとって一定の役割を果たしていただいているというふうに認識しているところでございます。 ◆池田由美 委員  一定の役割を果たしていることをお認めになっている旨の答弁があったと思います。先ほどの説明の中では、授業料が3万5,000円だという話も出されていて、費用の問題など、親御さんの負担は本当に大きいという話がありました。こういう負担があるからこそ負担軽減を何とかしていただきたいと思いますし、高い授業料で通っていることが子どもの心にとっても負担になっているのではないかというふうに感じています。こういった子どもの思いも含めて、フリースクールに行きたいと願う子どもたちを一人でも多く受け入れていくために、今回、陳情の中でも、施設事業費の補助等の要綱の見直しと拡大を求めてきているのではないかと思います。  私は、子どもたちや親御さんの支援という立場に立つならば、何とかフリースクール等民間施設事業費補助要綱の見直しをしていく必要があるのではないかと考えます。先ほどの答弁の中で、国の動向を注視していくというようなお話がありましたが、私は、札幌市が先進的にこの支援を行ってきたからこそ、いろいろな課題や要望がきちんと見えてきているのだというふうに思います。先進的な立場だからこそ、支援の拡充を検討する立場に立つことが大事ではないかというふうに思いますがいかがか、伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  補助制度の見直しについてでございます。  不登校の子どもたちの居場所としての役割を果たしておりますフリースクールの運営に係る支援の必要性は認識しているところであり、札幌市として先駆的に取り組んできているところでございます。  ただ、それを今後どうするかということにつきましては、先ほどもお答えさせていただきましたとおり、やはり、国が動いているということがございますので、まずはその動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  国の動向を注視するという同じ答弁でございましたが、札幌市が先進的に支援してきたことは全国でも本当に評価しているところではないかなというふうに思います。その中で、先ほども言いましたけれども、札幌市がやってきた実績があるからこそ、教育の確保法をどんどん進めて、助成をしっかり行っていくような中身も含めて国に求めていくことは、札幌市だからできることではないかというふうに思いますが、こういう姿勢はあるのかないのか、伺いたいと思います。 ◎岡部 子ども育成部長  札幌市として、国に対して働きかけを行うべきではないかということについてでございます。  フリースクールへの支援につきましては、何度も申し上げますが、札幌市のみが先駆的に行っております。ただ、国への働きかけについては、政令市以外でも、財政的支援以外に、フリースクールと委託関係を結んでいろいろと取り組んでいるところもありまして、そういう他都市の状況なども踏まえる必要があると考えておりますので、そういったところも注視してまいりたいと考えております。
    池田由美 委員  国に対して求めていく姿勢はあるということなのですか。 ◎岡部 子ども育成部長  国の動向、あるいは他都市の動向を見ながら考えていくというか、注視していくということでございます。 ◆池田由美 委員  札幌市が先進的にやってきたからこそ見えてくるものがたくさんあると思います。政令市以外のところも含めて、他都市ではどんな状況になっているのかを注視していくということでしたので、そういうものを検証していきながら、広く見ていきながら、ぜひ札幌市から声を上げてほしいということを求めて、次の質問に移っていきたいと思います。  次に、札幌市とフリースクールの官民協力体制の確立についてです。  この陳情でも求められているところだと思いますが、この間、フリースクールとの協議の場はどのような形で持ってきたのか、お聞きしたいと思います。 ◎和田 児童生徒担当部長  フリースクールとの協力の場をどうつくってきたかということについてでございます。  教育委員会では、フリースクールに対して、教員対象の研修講座の参加を呼びかけてきたり、不登校対策にかかわる会議にて意見交換を行ったりするなどして、不登校支援についてお互いに共通理解を図る場を設けてきたところでございます。  また、指導主事によるフリースクールへの訪問を通し、通所している子どもの状況把握や情報交換をするなど、学校との一層の連携をお願いしているところでございます。 ◆池田由美 委員  研修への参加や、また、年2回の会議を持っているとお聞きしておりましたが、そういった会議などはお持ちではないのですか。 ◎和田 児童生徒担当部長  いろいろな関係機関を交えて不登校対策にかかわる会議を設定しておりまして、その会議にフリースクールの方々もお呼びして情報交換をさせていただいております。 ◆池田由美 委員  そういう会議を年に2回開かれていることとあわせて、研修や意見交換の場も持ってきたということです。  しかし、先ほどの趣旨説明の中では、健康診断の問題などが出されていたり、まだまだ支援が必要だというお声が出されていると思います。また、子どもたちの学びを検証していく会議についても、定期的にケース会議を行うテーブルを用意してほしいとおっしゃっておりました。子どもの学びに関しては、いろいろな思いや願いが語られていないからこそ、こういう会議を持ってもらいたいのだという声が出ているのだと思いますけれども、さらに会議を充実させていく考えはあるのでしょうか、伺います。 ◎和田 児童生徒担当部長  今後の話し合いの場についてでございます。  教育委員会といたしましては、引き続き、これまでのこうした取り組みについて、フリースクールに通所している子どもたちの状況についての意見交換を適宜行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  さらには、そうしたことを充実していくかどうかについても、今後、いろいろな方面からさまざまな検証をしたり検討したりしながら考えてまいりたいと思っております。 ◆池田由美 委員  今後のあり方は、今までと同じ方向だと捉えてよいのでしょうか。充実させていくということでしょうか。 ◎和田 児童生徒担当部長  基本的には、今の状況について、まずは継続していきたいというふうに考えております。 ◆池田由美 委員  先ほどの趣旨説明の中にありました個々の生徒のケース会議などを開いてもらいたいという思いを聞いて、子どもの不利益がなくなっていくようにという立場で呼びかけているのだろうと私は感じております。もちろん、学校に戻ることが大事だし、そのために意見交換していくのは大事だと思いますが、先ほど言ったように、まだまだサポートが必要な子どもたちをどうしていったらいいのかということもございます。経営の問題も含めて、いろいろな思いや要望があると思いますが、毎年毎年、支援の中身についてしっかりと声を聞いて話し合っていく場がやはり必要ではないかと思いますので、ぜひ、その場を持っていただくことを求めていきたいというふうに思います。  最後になりますが、先ほども言いましたように、この陳情の中身には、子どもたちの不利益をなくしていきたいという願いが込められているのではないかなというふうに思います。何もかかわってないお子さんもいらっしゃると思うので、そういうお子さんたちがフリースクールで学んで、そして学校に戻っていくことも大事ですが、そこでしっかりと人間関係をつくっていける学びの場が今は本当に必要ではないかというふうに思います。そのためにも、そういう立場で大きな役割を果たしてきているフリースクールへの支援が本当に大切だと思います。  国の動向もありますが、ぜひ積極的に考えていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆堀川素人 委員  今も質問の中で触れられていたことですが、札幌市はフリースクールに対して助成をしています。この経緯をずっと知っていまして、自分ではともに歩いてきたなというふうに思っています。平成24年度から助成制度が始まって、大変ありがたいことだなと思っております。  しかし、それ以前は、法の枠なのかもしれませんけれども、学校以外に学ぶ場所というのは、学ぶと言っても学校教育の部分ですが、それはそれしかないような中で、フリースクールというのは基本的に今の学校制度の中ではあり得ないという認識であったかと思うのです。そこで、そこと話し合いをしてくれ、そして、フリースクールの現状をわかってほしい、こう言い続けて何年もたって、ようやくフリースクールと話し合う機会が設けられました。相手側にしたら十分かどうかわかりませんけれども、現在もそれが存在するということについても、これを今後とも続けていってほしいな、こう思っています。それから、フリースクールに対する助成というのは各市町村の中で札幌市だけということですが、そのことについても本当に大変ありがたいことだと思っております。  皆さんが言ったことと僕が違うのは、学校教育というのか、義務教育を学ぶ機会が制度として学校しかないこと自体、学ぶ側から言えば選択の余地がない、こういう中で、学校に通う以外にも違う制度が存在すべきである、僕はこう思っています。こういう話をしますと、学校に復帰しろ、学校に戻ってほしいと、いつもこのことが話題になります。これは、学校を運営する側から言ったらそうなのでしょう。  しかし、必ずしも経済的に貧しくなかったとしても、学校という大きな集団の中では、どうしてもなじめない、こういう人は一定の割合で出てくると僕は思うのです。例えば、性の問題なんかもそうです。我々は、生まれたら男と女しか性がないかのように思っていますけれども、そうではない。トイレに行くことからしてそうですが、僕の知り合いにはそういうことで命を絶った子どももいます。そういうふうにしてなじめない、大きな声を出して言えないけれども、実際にそういう生徒もいます。  それからもう一つは、昔は、教育権というのは国家にありました。国家の教育権と言われました。それが親の教育権という考え方に変わって、今は、子どもの学習権を保障するのだという中から、それが根づいて教育というものが大変多様な発展をしてきているというのは皆さんもご存じかと思います。  そう考えたときに、経済的に貧しい人方も結構います。そういう中で、フリースクールに通うとすれば、さっき言ったように3万3,000円を負担しなければ通えない。では、経済的に貧しくて学校に行けない残りの子ども方に対して、教育委員会は学習権をどう保障するのか。  しかも、それに加えて、さっき言うように一定の割合で学校に行けない子がいる。学校というのは、やっぱり大多数の中で動かざるを得ない。そういう中で、行動だとか、いろいろな考え方があって、その人の生き方を変えなければならぬくらいに大きな作用をする子ども方がやっぱりいるわけですよ。その子ども方の学習権をどう保障するのかということについて、教育委員会ではどう考えているのか。  僕は、もう一歩進んで、やはり、子どもの個性、学ぶ権利を本当に保障するならば、多様な学習制度、勉強する制度があってもいいという形の中でやらなければ、日本の教育というのは一定の限界が見えて、幾らいろいろな手を打っても不登校の子ども増加傾向になっていきます。実際にそうなっていることが証明していると思うのですけれども、そのことについてどう考えるのか、考え方をお聞かせ願いたい。 ◎和田 児童生徒担当部長  学校に行けない子どもたちの学習の保障をどのように考えているかということについてでございます。  委員がおっしゃるとおり、やはり、子どもたちの学習権の保障につきましては、教育委員会といたしましても大変重要なことだというふうに捉えてございます。  学校に行けない子どもたちに対しましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、教育支援センター相談指導教室等で、子どもたちの学習のあり方だとか学習について、あるいは、そのほかのさまざまな活動をさせていただいているところでございます。また、フリースクール等にも訪問し、子どもの状況を把握して、学校と連携をとっていただき、子どもたちの状況把握をさせていただきながら、子どもたちが一日も早く学校に戻り、あるいは、学習に向けて元気が出るような取り組みについてお互いに意見交換をさせていただきながら支えているところでございます。 ◆堀川素人 委員  部長を指定して聞けばよかったかと思います。  教育制度の変更、法律の変更にかかわることですから、札幌市が国にも働きかけて、今、札幌市が独自でやっている助成制度というのは国家が義務としてやるべきだと。フリースクールに対する考え方は、今、国のほうが進んでいますよ。その後を追いかけて国の動向を注視するということですけれども、国は大分やわらかくなってきているというか、前向きですよ。でも、制度とすれば金を出しているのは札幌市ですから、理解もしていると思います。僕は、今の助成制度ができた一つは、人に恵まれたと思っていますよ。上田さんがこの制度をやった、そういう面では上田さんだからやれたな、僕はこう思っています。  今、秋元さんにかわりました。秋元さんもこのまま進めていくとは思いますけれども、より一層のフリースクール化というか、権利として子どもたちに保障された別の学ぶ道という意味からも、札幌市が積極的に国にこのことを伝えて、法律の変更まで求めていかなければならぬと僕は思っています。  そのことについて、そういう気持ちがあるかどうか、もう一回、聞きたい。 ◎岡部 子ども育成部長  国への働きかけについてでございます。  先ほどもご答弁させていただきましたとおり、札幌市としてのこれまでの取り組みはございますけれども、やはり、国が動いていること、また、他都市の動きもありますので、そういった全体の動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆堀川素人 委員  部長が答えるのではなく、どうですか、教育長、それから局長に聞きたいのです。  どれだけの時間がかかるかわかりませんが、僕は、やっぱり、学校だけで学ぶということに対して、制度として子ども方に教育機会の均等な確保ということを考えた場合には、ある意味では法律の枠の中ではできないですよ。そうだとするならば、法律も変えていかなければならぬ。こういう積極的な働きかけというのは、ほかの都市の動向ではないですよ。国は、その方向でもう変わろうとしています。やっぱり、札幌市は、変わろうとするその尻を押さなければならぬ立場だと僕は思うのですよ。  その意思があるかどうか、聞きたいということです。 ◎村山 子ども未来局長  先ほどから、札幌市としての助成制度は先駆的だということでお褒めをいただいていると思っております。そのことに関して国のほうに物を申すということでございますが、国はもう既に今回の臨時国会でこの法案を議論するということでございますので、そこを注視していくのはもちろんのことでございます。  それから、他都市につきましては、助成制度を持っておりません。委託事業などをいろいろやっている実態はあるのでしょうけれども、その辺のところで、うちと同じ思いを持って国に物を申していただけるかどうかというのは、調べてみなければちょっとわからないというふうに思っております。  ただ、私どもとしては、そういうことに対して地方としての意見を求められる機会があれば、我々はどういう考えに基づいてこの施策をやっているかということを申し述べることはもちろん可能だと思っております。 ◎長岡 教育長  不登校児童生徒につきましては、我々は、できる限り減らすという方向で前向きに取り組んでおりますけれども、残念なことに、横ばいないしは微増傾向で来ているのが事実でございます。その間、教育支援センター相談指導教室など、学校に行けない子どもたちに対して、何もしないということにはなりませんので、できる限りの手だてを尽くしてやってきておりますけれども、傾向としては今お話ししたとおりでございます。  不登校の要因といたしましては、先ほど部長から3点ほどございましたけれども、本当にさまざまな要因が複雑に絡み合って学校に行けない子ども札幌市内児童生徒の中に1,800人ぐらいいることも事実でございまして、その子どもたちに対して、札幌市だけではなく、全国的に国を挙げてどういう形で教育的な支援をしていくかということが重要だと考えております。もちろん国との間でさまざまな機会を捉まえてそういう要望をすることは現在もしておりますし、今後もしていかなければいけません。それは、不登校の子どもたちに対して、義務教育に戻すのか、それとも、公が義務教育を担うものとは別な考え方があるとしたら、そういうものは国が制度的に検討すべきものだと考えてございます。札幌市として、そこのところで何かを単独で打ち立てるということではなくて、今後とも、国と都道府県、それから自治体ということで検討を進めていくべき重要な問題だと考えてございます。 ◆堀川素人 委員  2人の話を聞いて、札幌市が助成制度を持ってやっているのは今のできる範囲でやれることという中で、その先についてはこの気持ちを生かしていきたい、前向きにやっていきたい、こういう答えかなというふうに推測させてもらいますが、もしそうであるならば、ぜひ、制度の変更も含めてもう一度考えてもらいたいなと思います。  欧米の各国にはホームスクールという制度もあって、勝手に学ぶということではないですが、家庭の中でも学ばせることができます。日本は、歴史的な背景もあって、富国強兵という中で教育が捉えられてきた長い歴史があります。その歴史を負って今の制度が成り立っているとするならば、子どもの側が選択できる複数の制度が保障されているということは非常に大事なことです。その主たるものは、今の僕の頭の中でも学校だと思いますよ。思いますけれども、やっぱり、行けない人方が胸を張ってここの学校に行っていますということが保障されるような学校制度であってほしいなと。  それから、現実の問題とすれば、僕は、今の助成金額は一千何百万円と聞いていましたけれども、それにしても本当にささやかだなと。札幌市とすれば、もう少しどこかを削っても、教育の機会という子どもの権利に関する部分は、保障された権利がきちんと確保できるようにもう少し力を加えてもらいたいなと思います。なおかつ、さっき言ったように、義務教育の部分で、学校以外でも別の制度として国家からお金が出てくるような仕組みがあったら、このようなささやかな金額でなくて済む、こう思います。  ぜひともそうなるように、教育委員会にも子ども未来局にも頑張っていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。 ○山口かずさ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  ここで、陳情第235号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  それでは、陳情第235号を継続審査とすることにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  異議なしと認め、陳情第235号は、継続審査とすることと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時9分       再 開 午後2時10分     ―――――――――――――― ○山口かずさ 委員長  委員会を再開いたします。  次に、児童虐待による死亡事例に係る検証報告についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎村山 子ども未来局長  児童虐待による死亡事例に係る検証報告の説明に先立ちまして、一言、申し上げさせていただきます。  このたびの件につきましては、大変痛ましい事件というふうに受けとめておりまして、改めて心からご冥福をお祈り申し上げる次第でございます。札幌市といたしましては、今後も引き続き、さらなる児童虐待の防止に力を尽くしていく所存でございます。  本日は、外部有識者による検証報告につきましてご報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  児童虐待による死亡事例に係る検証報告についてご説明させていただきます。  お手元に2種類の資料をご用意させていただいております。  本日、市長に提出されました検証報告書と、その概要をまとめたA4判1枚物の資料でございます。  それでは、概要の資料を用いてご説明させていただきます。  まず、1 検証体制についてですが、児童虐待の防止等に関する法律では、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、国、地方公共団体に分析等の責務があると規定されております。  札幌市におきましては、札幌市子ども・子育て会議に常設しております児童福祉部会に検証を依頼し、同部会のもとに設置した検証ワーキンググループにおいて具体的な検証を行い、このたび報告書をまとめたところでございます。  次に2 事例の概要ですが、平成27年9月17日、自宅で長男、これは本児になりますが、長男の腹部を殴り、出血性ショックで死なせた疑いで養父が逮捕されました。本児は、病院に搬送されましたが、同日、死亡が確認されたものでございます。  養父は、昨年10月9日、傷害致死罪で札幌地裁に起訴され、懲役8年の刑が確定しております。  次に、3 家族構成につきましては、図にお示ししておりますとおり、実母、養父、本児及び異父妹の4人家族となっております。  次に、4 事例の経過についてでございますが、今回の報告書では、本事例の支援過程におけるポイントにつきまして、時系列にまとめております。  それらとともに、裏面に移っていただきまして、中段にございます6 検証における論点整理とあわせてご説明させていただきます。  論点整理の中ですが、まず、第1期として、平成23年1月から平成24年11月までの期間で本児の妊娠が判明し、平成23年5月に誕生したところですけれども、実母は若年で未婚であり、経済的な不安もあることから、保健センターでは本世帯を支援対象とし、支援を開始しております。平成24年7月には、実母が就職したことに伴い、本児は保育所に入所となっております。この第1期については、実母側も、何かあれば相談するなど、保健センターと安定的につながっておりました。  しかし、結果的に見ますと、この時期に実母の生育歴に一層の関心を持っていれば、潜在的なリスク要因が把握され、その後の支援を継続するかどうかの判断に影響を与えた可能性があるとのことが指摘されているところでございます。  次に、第2期として、平成24年12月から平成26年12月までの期間で、実母は本児の言葉のおくれを気にし始めておりますが、言葉が少しずつ進んできていること、保育所に通っており、継続的な見守りが期待できることなどを理由に、保健センターでは、平成25年12月に継続支援を終結しております。その際、保育所が主たる支援機関になったことは保健センターから保育所側に伝えられておらず、両者に協働関係というものが生じておりません。保健センターに保育所と協働関係を構築する動きがないことは、この時期の課題の一つとして指摘されております。また、この時期は、家族力動、家族成員のバランスを保持するという力ですが、この家族力動が変化しており、平成26年9月には養父との同居が始まります。保育所では、この養父について、とっつきづらく、挨拶もできない人という印象であり、また、実母に対しても、ネグレクト、育児放棄のことですが、この疑いを持つなど、この世帯に関するさまざまな状況を把握しておりました。  しかし、保健センターとの協働関係がないため、情報を共有する機会が失われており、この点についても指摘されているところでございます。平成26年12月に本児が保育所を退所した際も、退所した事実は保健センターに伝えられることはなく、本世帯は継続的に支援する機関との関係を持てなくなりました。  こうした家族力動の変化の観点からのアセスメント、これは、解決すべき課題を把握し、評価するということですが、このアセスメントがなかったと指摘されております。  続いて、第3期として、平成27年1月から同年8月までの期間で、平成27年3月に実母と養父は入籍し、同年5月に第2子となる妹が誕生しております。  保健センターが新生児訪問を行いますが、この際、産後鬱のリスクが高いこと、実母は過去に精神科に通っていたことなどがわかり、保健センターでは、平成27年6月、改めて当該世帯を継続支援の対象と位置づけました。しかし、保健センターが実母に連絡しても、連絡がとれないまま、児童相談所からの連絡があるまで具体的な動きはなく、その結果、家族の孤立が継続した点について指摘されております。  続いて、第4期として、平成27年8月31日から同年9月17日までの期間で、本児が疾病で入院し、病院から虐待通告があった以降の時期となります。  本児が入院している病院から、9月1日、児童相談所に対して、幾つかのあざがあることなどから、養父からの虐待疑いがあるとして通告がなされました。同日、児童相談所では、本児の情報を得るため、保健センターに電話をしましたが、この際、保健センターでは、継続支援の対象家族ではあるが、支援できていないという理解であったのに対し、児童相談所では、継続支援の対象家族ではないと把握されたという行き違いがございました。  9月3日、児童相談所は、病院において、主治医、本児、実母と面談を実施し、さまざまな情報を収集しております。9月4日には、本児が以前通っていた保育所から連絡があり、実母のネグレクト疑いや本児の発達のおくれなどについて聞き取りを行っております。9月8日、これまで聞き取りができていなかった養父との面談を行い、実母の育児能力の不足や精神的な不安定さなどについて聞き取りを行っております。児童相談所は、これらの情報を踏まえ、虐待疑いは依然として残るものの、明白とは言えず、今後も児童相談所が継続的にかかわっていくハイリスク世帯と捉えております。  その上で、病院が治療で継続的にかかわっていく予定であること、養父と実母が児童相談所とのかかわりを希望していることを理由として、一時保護処分ではなく、児童相談所と保健センターで連携して見守っていくことといたしました。本児は9月14日退院いたしましたが、翌15日に、母方親族から、保健センターと児童相談所に対して、養父の本児へのかかわりや本児の発達について心配があるとの電話連絡があり、9月17日に保健センターで面談する予定となっておりました。そうした折、本児は9月17日、養父からの暴力により死亡しております。  この第4期における課題ですが、1点目として、9月1日の時点における児童相談所と保健センターとの情報のやりとりに行き違いがあり、この点が以後の初期アセスメントに影響を与えたのではないかとの指摘でございます。  2点目として、関係機関によるアセスメントの整理や見直しといった機会がないなど、児童相談所に関係機関との協働関係を構築する動きが希薄であったという点でございます。  3点目として、退院前に、自宅に戻ってからの支援計画を立て、関係機関と共有することがなされておらず、リスクと支援ニーズに対応した支援計画の立案タイミングが遅いという点であります。  4点目として、今回の事件は養父の虐待疑いで通報されておりますが、本児を死亡させた養父に対するアセスメントが不十分であるという点であります。  以上の点を踏まえまして、五つの提言がなされております。  一つ目の提言は、関係機関との協働という視点からの介入、支援過程の見直しでございます。家庭復帰時には、個別の情報収集だけではなく、関係機関の合同会議を行うことを原則とすること、虐待対応の原則的な考え方や支援過程などを明確化した関係機関で共有できる文書の作成などであります。  二つ目の提言は、在宅支援の強化と地域資源の整備でございます。現在、在宅支援に対応するための地域資源が不十分であることから、地域拠点の整備、関係機関が協働するための制度的な枠組みの構築などでございます。  三つ目の提言は、児童相談所における専門性の向上でございます。児童虐待への対応は高度な専門性を要求されることから、特に系統的な研修カリキュラムを実施できる体制を構築するほか、専門性を蓄積できる人事体制や、監督・指導を行える中堅職員の育成と配置などでございます。  四つ目の提言は、札幌市における子育て支援体制の強化であります。児童虐待の予防的な観点からは、子育て支援体制を強化する必要があるとしておりまして、母子保健の観点からは、予防の中核となる保健センターにおける適切な役割分担、保健師の適正配置などであります。また、保育の観点からは、保育施設の危機感がしかるべき機関につながる仕組みの構築などでございます。  最後に、五つ目の提言として、(仮称)児童相談体制強化プランとの連動であります。現在、札幌市では、児童相談体制の強化に向けてプラン策定の議論を進めておりますが、本報告書の提言に基づく今後の検討は、こうした動きと連動することがのぞましいとしております。
     検証報告書の内容説明については、以上でございます。  札幌市といたしましては、今回のご提言を重く受けとめ、このような事件が起きないよう、取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ○山口かずさ 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私も、村山局長に引き続き、当該児童のご冥福を心から祈りたいと思います。  それでは、質問に移ります。  報告書とただいまの説明にあったとおりでございますが、特に、当該事件の人物経歴や家族構成や家族力動の客観的変化が各所、各場面で把握され、リスクの認識を持てる環境にあったにもかかわらず、保健センター等が、それをアセスメントし、早期に適切なアクションをしなかったことは、重大な問題であり、大変残念であります。  また、保健センターと児童相談所の連絡内容に伝達ミスがあるなど、結果的に情報収集と対応に不足とおくれが生じたとの指摘も猛省していただくべきと考えます。  私は、約5年前の当初から、児童虐待防止について、密接な機関連携とフラットな情報共有が本市においても多いに不足していることに危機感を覚え、継続的に議会質疑をしてまいりました。そして、この機関連携を担保するためのガイドラインと、できるだけ多くの方々に、虐待のおそれの気づきを持ち、情報共有をする一定の目安となるようなチェックシートをつくり、関係機関の担当者や市民まで広く共有してほしいと私は再三要請し、本市は児童虐待対応の手引きなるものを作成してくださいました。あわせて、作成後も、中身や形状を随時改変しながら、より精度を上げていってほしいと本市に要請してきたところでございます。  この報告書について言えば、12ページの4の課題を踏まえた提言、(1)のエの「子ども虐待対応の原則的な考え方、介入と支援過程、アセスメント項目、合同会議の目的とタイミング等を再検討し、これらを明確化した文章を作成、市内の関係機関(福祉、保健、医療、教育、保育等)で共有すること。この共有文書の作成に当たっては、関係機関と外部の複数の専門家を含む委員会を設置し行うこと。」これに関連し、リンクしているものでございます。  そこで、質問ですが、この児童虐待対応の手引きは、その後、どのように改変しながら広く共用されてきたのか、そしてどのような効果を得られたのか、まず、確認したいので、伺います。 ◎天田 児童相談所長  児童虐待の手引きについてでございますが、この手引には、関係機関の役割や虐待が疑われる兆候、緊急性や危険性のチェックポイントなど、虐待の早期発見のための基本的な事項を掲載しており、これを繰り返し広く周知することが重要と考えているところでございます。  そうしたことから、民生委員、児童委員、青少年育成委員、保育園や学校など要保護児童対策地域協議会の関係機関に配付したほか、一般市民にも広く活用していただくため、市のホームページにも掲載し、オレンジリボン地域協力員の研修会などでも周知させていただいております。  効果につきましては、手引の周知を含め、市民への出前研修やさまざまな啓発活動により、市民の虐待防止の意識が向上し、通告件数の毎年の増加につながっているものと認識しております。 ◆伴良隆 委員  確認させていただきました。  児童虐待というリスクを管理し、回避するという最大の目的のためには、検証報告書で最重要視されているアセスメント、これは情報収集と分析による課題の把握と評価でありますが、このアセスメントが実効性のあるものでなければなりません。そのためには、以下の五つの流れが徹底されなければなりません。リスクの知識というのは例えば事例やチェック項目、リスクの認識というのは気づき、注目、注意、リスクの共有というのは通知、相談、内部共有、リスクの判断は情報収集、機関協議、リスクへの対応は計画的実行、継続的検証であります。  しかし、今回は、これら五つの要素全てに大小の不足があったことは事実であります。そして、本事件では、保育所内で虐待のおそれがあるという具体的な早い時期の気づきがせっかくあったにもかかわらず、その段階で貴重な情報が有効に生かされなかったことは、こうした現場機関と密接に連携していく本市の主体性がまだまだ不十分であったと言わざるを得ません。  そこで、質問ですが、死亡した児童が通っていた保育所職員が各種状況証拠から虐待のおそれがあると認識していたのに、それが早期に伝わっていなかったことは、保健センター含め、本市が、現場サイドに対し、適時適切な情報提供と協力要請をする姿勢が不足してきたためであり、このことが本事件の最も大きな問題の一つと考えるが、いかがか。また、こうした問題が起きないように今後はどうしていくべきと考えるか、その対策を含めて伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  札幌市と現場機関との密接な連携についてでございます。  今回の事例におきましては、保健センター、児童相談所とも関係機関との個別的な連絡と情報収集は行っているところですが、関係機関による合同の会議を持つことはなく、協働という観点が希薄であったことは課題であると認識しているところでございます。  また、児童虐待発生時に迅速、的確な対応を行うため、事案の内容に応じて、マネジメントの主体も含め、相談機関のより適切な役割分担や連携体制を構築していくことも大変重要なものであると考えております。  今後は、検証報告書でご提言いただいた関係機関との協働という視点からの介入、支援過程の見直しを検討し、適切なアセスメントと実効性のある支援が行えるように努めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  まず、要保護児童対策地域協議会で言うところの関係機関というのは、保育所など多種多様な団体がございまして、主たる責務も業務も確かに違います。しかし、虐待または虐待のおそれに関する事例の知識や気づき、視覚的、聴覚的な情報の共有や相談など、虐待を防止していくための大切な地域資源である現場の方々が、意識や感度をより高め、そして、より協力していただくことがどうしても必要でございます。  そこで、質問ですが、今回の保育所施設のように、一定の時間、期間を児童生徒と継続的に接する教育や養育の機関など、要対協にも所属する各機関の現場にいる一人一人が、虐待へのおそれに気づくような感度と、その施設内でそうした恐れを共有し、専門機関に情報提供し、相談できるような環境づくりが急務であると考えますが、いかがか。また、今後はどうしていくべきと考えるか、その対策も含めて伺います。 ◎岡部 子ども育成部長  各機関の現場にいる一人一人が、虐待への恐れに気づき、専門機関に相談できるような環境づくりについてでございます。  今回の検証報告書では、提言の一つとして、保育所、幼稚園、認定子ども園等の保育施設が感じた危機感の内容が児童相談所を初めとする関係機関に確実に伝わるような仕組みの構築が掲げられているところでございます。  また、関係機関が、協働という観点から、より共通認識を持って児童虐待への対応を行っていけるよう、支援の考え方など、明確化した文書を関係機関で共有することも検証報告書でご提言いただいているところでございます。  こうした仕組みの構築や共通文書の作成を早急に進めるとともに、機動的な運用ができるような工夫をすることにより、関係機関の気づきを適切に酌み取り、関係機関全体で情報を共有しながら、世帯を見守っていく環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  気づきを酌み取り、共有して、そして予防に向けていきたいというお話でございまして、当然ですが、私と方向性が一緒だということを確認させていただきました。  私は、約5年前に初めて児童虐待問題について質問いたしました。その際に、児童虐待防止の一般的な限界とは何なのか、当時、私なりに10件を列挙いたしました。  そのうちの9個とは、相談扱い件数が増加を続け、対応しきれる数を超えてしまい、対応が万全ではないという限界、24時間365日対応していないので、相談を受け取れる時間帯が万全ではないという限界、機関が同じでも、複数の窓口によって拡大するスタッフによる情報一元化が万全ではないという限界、担当者が、自分の専門外の相談に対し、即座に的確な相談をすることが万全ではないという限界、機関の中で万全に情報が共有されたとしても、その後の対応については他機関との連携が万全ではないという限界、他機関との緊密な連携が図られていたとしても、その意思統一のためのガイドラインがなければ、その連携は万全ではないという限界、ガイドラインがつくられても、個々の事案では、担当者の専門知識だけでの判断は万全ではないという限界、情報通知の基準となる共通の事案例があっても、情報通知に規則化がなければ万全ではないという限界、ガイドラインのチェックシートをもとにした情報通知が規則化されても、規則以外の問題に対しては万全でないという限界です。  以上、このように、確かに、何か仕様書のようなものがあれば、それで万全というわけでございませんけれども、日々、目に見えるわかりやすいものがあることで、虐待の芽を摘む裾野を広げることになるのではないでしょうか。  そこで、質問ですが、先ほど紹介しました児童虐待対応の手引きも含め、フラットな機関連携、つまり、適時の情報共有と協議、専門性と組織力の結集といったガイドラインはもとより、児童生徒に距離が近い人、一人一人が、虐待のおそれに対し、ためらいや先入観のない、より感度や精度の高い気づきと、適時適切な情報の共有や相談ができるように、一定の目安となるようなわかりやすいチェックシートなるものもつくり、広く生かされるよう、改めて、再度、強く要請するものでありますがいかがか、伺います。 ◎天田 児童相談所長  チェックシートをつくるべきというご指摘でございますが、児童にかかわる各関係機関の支援者が子どもやその保護者の変化を見逃さないことが虐待の予防について最も大切だというふうに認識しております。また、その世帯の困り事は何か、何に注目して支援をしていったらよいかということについて、各関係機関が共通認識を持って情報共有し、そして、同じ方向を向いて支援をしていくことが必要と考えております。  そのため、このたびのご提言にもございますが、世帯の時々の状況の変化をつかみ、支援の必要性を的確に評価することが可能となるチェックシートにつきまして、外部の専門家の意見も伺いながら作成していきたいと思っております。 ◆伴良隆 委員  私の提言しているものが全て正しいというわけではないと思います。ただ、今回の提言でつくっていただいた手引の中のチェックには、確かに、内縁の方に留意をすることということもございますし、また、保育士は、親から体に落書きされたということで、わざわざ写真も撮っていたわけでございます。さらには、食器具が汚れたまま翌日に持ってくるといった状況もあり、そういったことが実際の気づきにつながっていたにもかかわらず、拾えなかったのは大変残念であります。  10の限界の10個目とは、全組織、全担当者が最大限の努力をしたとしても、社会の児童問題を根絶することは恐らく難しいという限界かなというふうに思います。虐待とは、社会全体の負の産物であり、家庭環境や養育や社会情勢にこそ根源がございます。複雑化する虐待事案と刻一刻と変化するさまざまな状況に、本市各担当者のご苦労は相当なものだと思います。  しかしながら、関係者一人一人と、組織おのおのの質を生かしていく連携と協働、そして、適時適切に対応できる組織・人員体制など、これまで虐待で亡くなったり被害を受けてきた児童たちの思いを生かすためにも、限界という限界が来るまで本市を挙げて万全を尽くしていただきたいのでありますが、一連の質疑を踏まえまして、改めて総括責任者の村山局長のお考えを伺って、質問を終えたいと思います。 ◎村山 子ども未来局長  既に部長からも答弁させていただいておりますが、検証報告書は非常に重みのあるものだということで、十分に認識させていただきたいと思っております。  関係機関との連携、情報共有について具体的なご提言をいただいておりますし、今、伴委員からもさまざまなお話をいただきまして、それを胸にとめて、関係職員全員が全力で再発の防止に努めていきたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  私からも、児童虐待による死亡事例に係る検証報告について質問させていただきます。  今回の事例検証に当たっては、専門家がさまざまな観点から8カ月にわたって熱心に議論され、報告書が提出された点に敬意をあらわしたいと思います。  こうしたプロセスを経た報告書は、行政を含め、私たち全員がしっかりと受けとめる必要があると考えているところであります。  そこでまず、質問ですが、札幌市として、今回の検証報告書の提言を率直にどのように受けとめているのか、お伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  検証報告書の提言の受けとめについてでございます。  今回の検証報告書は、関係者へのヒアリングを実施するなど、時間をかけた熱心なご議論と、児童福祉部会の委員それぞれのお立場からの客観的かつ専門的な検証をしていただいた上で、札幌市における児童虐待防止に向けた支援のあり方等をご提示いただいており、大変重たいものと認識しております。  このたびの提言を真摯に受けとめまして、札幌市はもとより、関係機関が一丸となって今後の対策を検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆かんの太一 委員  今回の検証報告書を読ませていただきましたが、かなり細かく丁寧に検証を行っているという印象を持っております。  長い期間にわたって行政が当該世帯にかかわっており、また、さまざまなターニングポイントがあったということもよく理解できるところであります。検証報告書は、あくまでも再発防止をメーンとしており、また、私たちは、結果を知っているだけに、こうしていればよかったというたらればの感想を持ちがちであります。先ほど、札幌市として提言を真摯に受けとめるとの答弁があったところですが、検証報告書の中では、事系列にさまざまな課題を挙げております。  行政として、こうした結果に至った一番の要因はどのような点にあると考えるのか、お伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  こうした結果に至った要因についてでございます。  検証報告書の中でもご指摘いただいておりますように、当該世帯をしっかり理解するためのアセスメントが不十分ではなかったかという情報収集の面と、児童相談所や区保健センターにおける支援に当たって、関係機関との協働関係を構築する積極的な動きがなかったのではないかという協働関係の構築の面が非常に重要なポイントではなかったかというふうに考えているところでございます。 ◆かんの太一 委員  札幌市における今回のような検証は3例目と聞いておりますが、このうち、子どもが死亡している残念な事例は2例であるとお伺いしております。  過去の事例においても、検証報告書が出され、その中で述べられた提言についてはしっかり対応していただいているものと考えております。  そこで、質問ですが、今回の検証報告書における提言は、これまでのものとの相違点や改善点はどのようなものなのか、お伺いいたします。 ◎岡部 子ども育成部長  これまでの再発防止策と比較しての今回の改善点についてでございます。  委員がご指摘のとおり、これまでの2例の検証報告書における提言につきましては、児童相談体制の強化を初めとして、全て対策を講じてきているところでございます。しかしながら、それぞれの虐待事例の背景が複雑になっているという状況がございまして、難しいケースもあるものと認識しているところでございます。  今回の検証報告書における提言では、在宅支援の強化と地域資源の整備、予防的な観点からの子育て支援体制の強化が掲げられておりまして、これまでにない視点からの再発防止策が盛り込まれているというふうに考えております。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望を申し上げたいと思います。  私が以前、保育所に勤めていた経験からすると、今回の事例は、保育所がもう少し早い段階で動いてもよかったのではないかと感じております。  先ほどのやりとりにも出てきていますが、保育所や幼稚園で働く保育士たちは、日常において子どもと長く接していることから、子どもについてのさまざまな気づきを持っています。その気づきを大切にして子どもや家庭を守っていくという視点が必要であるし、保育所や幼稚園に限らず、子どもにかかわるさまざまな支援機関はそれぞれの専門性を有していて、それぞれ違った気づきを持っていると思いますので、それらをどうつなげていくかという点が重要だと考えております。  やはり、今回の検証報告書のポイントは、答弁にもございましたけれども、関係機関がいかに連携していくかという点だと思います。連携といえば、よく会議の開催ということになりますが、会議の開催という形だけにとどまらず、提言書にもあるとおり、その開催のタイミングが重要であります。  また、気づきを大切にするという視点でも、関係機関の連携を促進していく必要があるのではないかと思います。それも、個人の力量によるのではなく、ある種、システム的に気づきがどの関係機関でも行える仕組みが構築されるべきではないかと考えているところです。今回の検証報告書の巻末にある「おわりに」においても、専門性を核とした連携と協働の仕組みが求められるという記載がありますが、私も同感であります。  子どもの命が失われたという事実を厳粛に受けとめ、可能な限り速やかに報告書の提言を実現していただくことを要望して、私の質問を終了いたします。 ◆池田由美 委員  私からも、質問させていただきます。  最初に、19歳での妊娠、そして未婚であったということで、保健センターによる実母への支援がスタートしています。こういう虐待のケースのときには、出産時の状況、出産後の状況などの情報が一番重要だと聞いておりますが、実母が出産した病院の助産師からの情報は得ているのかどうか、最初にお聞きしたいと思います。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   本事案におきまして、継続支援を開始した時点の実母に対する状況把握についてでございますが、パートナーとの関係や同居家族を含めて、生活状況については把握しております。出産時につきましては、詳細な情報になりますので、個人情報保護に鑑み、お答えについては控えさせていただきますが、支援を開始した段階での周囲の支えの状況は聞いておりますし、また、ご本人の生育歴等についても聞き取りを行ってございます。 ◆池田由美 委員  助産師の情報は得ていなかったと理解してよろしいでしょうか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   この事例につきましては、私どもはそのときの状況についてまだ入手してございませんので、今は正確には申し上げられません。申しわけございません。 ◆池田由美 委員  しているかどうかを把握していないということですか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   今、手元にそれを確認できるものがございませんので、お答えができないということでございます。 ◆池田由美 委員  後で確認して聞かせていただければと思いますが、助産師の情報というのは本当に重要であるというふうに思います。医療機関ということで、母親の既往歴や家族関係なんかも含めた詳細な記録がありますし、出産時の状況とか、出産後の子どもとのかかわりがどうであったとか、どんな人がお見舞いに来ていたということも含めて細かに記録されていると聞いています。そういう情報を聞いていたとしたら、精神科への既往歴というのはその時点でわかったのではないかと私は考えているところです。  ですので、最初の時点で助産師から出産時の情報を得ていたとしたら、保育園に1年間通った時点で支援を打ち切りにしていたというふうに思いますが、こういう判断も違ったのではないかというふうに考えるわけです。  助産師から出産時の情報を得ることをこれからしっかりと位置づけていく必要があるのではないかと思いますが、今まで位置づけていなかったということですか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   家庭訪問を実施する際には、ケアマニュアルというものを定めておりまして、その項目の中で、妊娠中に把握した場合は出産場所、出産予定日、それから、出産時の異常、これは、帝王切開であるか、吸引分娩であるかというような出産状況、そして、産後の状況として異常がなかったかどうか、さらに、気分が沈むとか涙もろかったというような産後の精神状況、また、母乳の分泌状況や哺乳時の乳房のトラブルなどにつきましても、現在、細かに項目を定めて聞き取りを行っているところでございます。このほかにも、事例として、虐待や育児困難があるといった場合には、生育歴、病歴、そして生活歴をさらに聞き取るということで記録票を定めているところでございます。 ◆池田由美 委員  それは、本人に聞き取るということですか。それとも、それを助産師の情報から得ていくということですか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   まずはご本人への聞き取りをします。出産時の状況は、母子健康手帳に記載の欄がございますので、そこから転記いたしますが、場合によっては補足で聞き取りをし、なおかつ、必要な項目がある場合は出産した産科医療機関あるいは助産所等への照会も行うことになると思います。 ◆池田由美 委員  聞き取るときと本人からの情報を聞くことの両方があると理解してよいと思います。  先ほども言いましたが、支援を継続している過程で、出産した場合においては必ず助産師の情報を得て共有していくことが本当に重要なことではないかなというふうに私は感じます。今回の例も、もしかしたら既往歴がわかったかもしれないということがここにあると思います。  ですから、今後、必ず助産師の情報をしっかりとつかんでいくことを位置づけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   現在、特に出産に際して、医療機関あるいは助産所は、育児困難等で継続して支援が必要と判断をされた場合には、医療と保健のネットワークという事業がございまして、そこから、本人の同意を得た上で保健センターに情報をいただいて、それから継続支援ということになっております。  本事例を踏まえまして、そのような連絡体制をさらに密にできるように進めてまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  もちろん、プライバシーもありますから、その辺はきちんと進めていく必要はあるかというふうに思いますが、助産師との情報共有をきちんと徹底して、早期から病歴などがわかるようにすることが必要だというふうに思いますので、ぜひ進めていただくことを求めておきたいというふうに思います。  次に、9月1日に虐待の疑いがあると病院から通告を受けておりますが、この虐待の通告から児童相談所がどう動いてきたのかを聞いていきたいと思います。  虐待の通告があった時点からの動きというのは、子どもの命を左右する大きなところだと思います。そして、総合的にさまざまな情報を見て判断をすることが求められているというふうに思いますが、何人の職員で情報を集めて判断されたのか、その辺を聞かせていただきたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  虐待通告があった場合につきましては、調査担当の担当者及び係長がまず第一線として動くことになります。そのほか、全件について、情報をもとにして所内で判断する会議を設けておりますが、何人が携わるかとなりますと、基本的には、虐待のケースでは、初動調査プラス、所として判断するときには合議制としておりますので、所長以下、少なくとも係長職は全員が入った形で判断しております。 ◆池田由美 委員  人数はわからないですか。しかし、所長、係長、担当職員なども含めて情報を見て、総合的に判断したということでよろしかったですか。 ◎天田 児童相談所長  そのように考えております。 ◆池田由美 委員  そこで、この報告の中でも、養父の生育歴が十分ではなかったと書かれております。私も本当にそうだと思っていますが、なぜ生育歴をつかめなかったのか、情報として不足していたのにそこに気づかなかったのか、その点を伺いたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  虐待の通報と情報を得た際には、ご指摘のとおり、保護者の生育歴も重要な情報の一つになると考えております。ただ、基本的には、聞き取りをしていく際に、親御さんの態度、現状をどのように考えているかなど、家族の通常生活の状況から聞き取りをしてまいりまして、適宜、保護者の生育歴等についてもお尋ねすることがございます。  ただ、生育歴等につきましては、その情報をどのようなタイミングでどのように得たらいいかという非常に難しい問題がございます。非常にデリケートな問題もございまして、ストレートに、あなたはどのような生育歴を持っておられますか、虐待を受けた経験はありませんかという聞き取りはなかなか厳しいものがございますので、繰り返し聞き取りをしていく中で、必要に応じて情報を高めていくという方法をとっております。 ◆池田由美 委員  養父との一回の面談ではそこまで踏み込めないのだという答弁だったと思います。  しかし、命が奪われたということを考えたときに、やはり、デリケートな問題とは言いつつも、話をいかに聞き取っていくのかというところでは大事な視点だったと思います。そして、そういう情報が欠けているのであれば、母方親族のA氏の証言がありますから、虐待の疑いがあるというなら子どもを家に戻すような判断はするべきでなかったと私は思います。お父さん、お母さんの養育歴、生育歴がわかって、信頼関係がしっかりできて、今までの虐待の疑いが晴れるというところまできちんと保護していくべきだったのではないか、そういう判断をしていくべきではなかったかというふうに思っています。  そして、これまでの質問の中でも、いろいろな情報があるけれども、その情報が共有されなかったということが繰り返されていると思いますので、その問題がしっかりと解決されるように、集団で総合的に見て判断していく、いろいろな機関の人の意見、見方を共有していく、このことがこれから求められてくるというふうに思いますので、ぜひ、その視点も強化していってほしいなというふうに思います。  続いて、最後の質問になります。
     先ほどから関係機関の連携のことも質問させていただいておりますけれども、要保護児童対策地域協議会の仕組みがあるとお聞きしております。この要保護児童対策地域協議会というのは、どの機関が招集して、どういうときに開かれるという決まり事があるのか、お聞きしたいと思います。 ◎天田 児童相談所長  要保護児童対策地域協議会、俗称要対協と申しますが、これにつきましては、児童虐待防止法に基づき、市町村に置くという規定になってございます。札幌市につきましては、指定都市なので区と二つの構造を持っておりますので、全市の要対協、そして各区にもそれぞれ要対協を置いてございます。この招集につきましては、基本的には会長となりますが、市につきましては児童相談所長、区につきましては区の保健担当部長が充て職としてその任に当たっております。  さまざまな情報の中で、個別の対応ケースと地域をどう考えていくかという大きな二面性があると思いますが、全体の会議の中では、それぞれの関係機関からのご発言により、市または区全体の情報を共有し、どういう取り組みをしていくのがいいのかということを考えるきっかけづくりとしております。個別の対応ケースにつきましては、児童相談所が持っているケースもございますし、保健センターが対応しているケースもございます。そして、これらを持ち寄る定例会議がございまして、これは適宜開催してございますが、その中で情報を共有しながら、さらに、その中で対応していく必要性があれば、双方の意見を聞きながら進めていくというやり方をしております。 ◆池田由美 委員  市の視点と地域の視点からということで会議があることと、個別対応をしていく定例会議の三つがあると聞きました。  個別対応の定例会議では、いろいろなケースが話されていて、いろいろな情報交換もあると思いますが、月1回など、どのくらいの頻度で行われているものなのでしょうか。 ◎天田 児童相談所長  基本的には、毎月の開催を目指して進めております。 ◆池田由美 委員  この会議というのは、今回の事例なども含めて、ケースについて情報を共有していく機関であったのでしょうか。 ◎天田 児童相談所長  本ケースにつきましては、基本的にはハイリスク世帯という認識がございましたので、その中で情報共有を進めていくことは可能だったのではないかというふうに考えます。 ◆池田由美 委員  本当に情報の共有がスムーズに行われていたならと、誰もが強く思っているところだというふうに思います。これから情報の共有をどういうふうにしていくのかが協議されていくと思いますが、働く現場の皆さんの声をしっかりと聞いた上で、どうやったら情報を共有しやすいのか、そういうことも含めて、しっかりと進めてもらいたいというふうに思います。やはり、情報の共有そのものが虐待の数を少なくしていくところにつながっていくのかなと思いますので、リスクが高くなってから会議をやるのではなくて、ふだんから情報を共有して協働していく視点を明確にしていくように進めてほしいと思います。  今現在も、たくさんのケースを持っておられて、私のお聞きしているところでは、児童相談所では160ケースを持っていたり、保健センターでは多い人で80件も持っているような実態で、今は走って相談活動をされていると思いますけれども、こういう事件を二度と起こさないという立場で、この会議をどのように開いていくべきなのかをしっかり検討し、早急に進めていってほしいということを求めて、私の質問を終わらせていただきます。 ◆堀川素人 委員  事例の経過とあるのですけれども、事件が起きたのは今からおよそ1年前です。つまり、事件が起きてから1年たったということですよ。  それで、その前からこの検証が始まっていると思いますが、大変遅いなと。事実が風化している可能性もあるし、事実についていない色がついている場合もあります。関係する中で、それぞれの責任ある立場の人がかかわっていて、自分にかかってくる影響が少なく済むようにという心が移入されているかもしれないということなのです。  僕は、皆さんもご存じだと思いますが、この事件が起きたときからすぐに調べています。それで、ひょっとしたらあの子の命を失わないで済んだかもしれないなというのは、ここでは9月14日、15日、17日とありますが、たしか17日の夜中に死亡が確認されているはずです。実際には16日から起こっているわけです。  それで、まず一つの質問は、9月15日に17日の面談を約束と書いていますが、誰と誰が約束したのですか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   9月17日に会う約束についてですが、保健センターで実母と会いました。 ◆堀川素人 委員  家庭児童相談室と書いていますが、誰と約束したかは書いていないのです。その上のほうに、母方親族A氏というのが出てきます。この人と約束したのか、それとも実母と約束したのか。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   親族A氏とお約束をしたということでございます。 ◆堀川素人 委員  僕の調査の中では実母とも面会の約束をしているようですが、これが出てこないのです。 ○山口かずさ 委員長  これは質疑ですよね。 ◆堀川素人 委員  (続)出ていないのだけれども、どうなっているのかということですよ。言わなくてもわかるでしょう。 ●請井保健福祉局母子保健・歯科保健担当部長   私どもの情報では、実母とはお約束をしていなかったということになっております。 ◆堀川素人 委員  そうしますと、ここにはこの事例の経過の重要な部分が出ていないということですよ。  そのときの僕の調査でわかっている、どうやりとりをしたかということを言いましょう。  僕の調査では、児相から母親に面談の日を入れているのですよ。そのときに母親が何と答えたかといえば、旦那がいないので、旦那と相談してから返事をいたしますというやりとりがあったのです。  そうしますと、もし僕の調査が事実だとするならば、こういうときに、虐待をしている人間がこの人間だと焦点が当たってきて、間違いないだろうという中で話が詰まっているときに、国はこういう虐待の中で何と指示をしていますか。  何と指示をしているかといったら、僕が言いましょう。  加害者、つまり、危害を加えている人間には知られないようにして連絡をとり合うようにというのが国の指示なのですよ。さっきも言ったように、実母は、旦那がいないので、帰ってきてから相談して返事をしますと答えているのに対して、それはそうですかと聞いて電話が終わっている。本来だったらば、旦那には絶対内緒ですよと念を押してやらなければなりません。ここの部分が欠落して、その旦那が加害者だとすれば、いつ自分に降りかかってくるかわからない、明らかになるかわからない恐怖もあるでしょうけれども、何とか事を隠そう、その日はこうやって仕事から帰ってきているはずですよ。5時だとかではなくて、かなり遅くに。それから暴行が始まっているわけですよ。  その段階で、本来、国から入っている指導をきちんと理解していたならば――僕は、ある意味では常識だと思います。その常識が機能しなかったがゆえに、旦那と相談してから決めますと。これを見逃してしまったというのは、極めて大きな児相の失態であるのではないかと思っていますよ。そのことがこの中でもって触れられていないというのは、事実が正確に伝わらないで、十何名もいる委員の人たちがそんなことを検討してきたということです。改めて聞いたら、えっ、そうなのというふうになると思います。  僕は、簾舞小学校の自殺の件でも調べましたよ。どんどん証言が変わる。本当はどうなのかということがわかるために、警察なんかでは、現場検証を何回もやることはありますよ。でも、早くやるのですよ。それから、証言も、とれるものは早くとるのですよ。なぜそうなのかといったら、後で自分の都合よく証言が変わる可能性があるし、記憶が薄れるからです。  先ほどの話に戻りますが、1年もたってからこういうふうになって、さっき言った重要な事実が隠れてしまっているということに対してどう思うのか、局長、答えてください。 ◎天田 児童相談所長  まず、事実関係について補足させていただきます。  報告書に時系列の経過の記載がございますが、今、堀川委員からご指摘のあった児童相談所から実母に対する連絡につきましては、9月16日でございます。このときは、本児の発達相談に関する内容でございます。かねてから、養父につきましても、本児に係る発達のおくれ等については非常に気にされておられたということもございます。そういったことから、発達相談につきまして、こちらから連絡をさせていただいたということです。  その際には実母が対応しておりますが、それについては、病院と児童相談所のどちらでも可能ですけれども、どちらでお受けしますかとお尋ねしまして、児童相談所で受けたいという希望がございました。そして、日時等については、夫に相談してからということで切電したものでございます。  そういう意味では、虐待の事実またはそのような通報があったことを知らせる目的ではありませんし、我々としてはそういうことはしておりません。あくまでもお子さんの発達相談ですので、支援をしていくという立場からのご連絡を差し上げたというものでございます。 ◆堀川素人 委員  いろいろな言い方がありますし、後日になったらそういう言い方をするのかもしれません。まず、支援の仕方と言うにしても、虐待があるという事実が出てきて、加害者は誰だという中でひそかに調査が行われているということは、加害者に知られないようにするというのは当たり前ですよ。僕もこの調査をしているのですから、こんなことを聞かないで僕が調査するわけがない。  そして、今言った事実については、当時の所長と何回も話しています。今、このことについては触れないで――僕は、これをもらったときに、そこがどうなっているのか、一番先にそれを見ました。そこは、これがなければという部分ですよ。一番先にそれを見たのです。しかし、載っていない。  今言えば、子どもの養育の仕方がどうのこうのと。それだとしても、そういうことがどんどん行われて、医者から、虐待の可能性がある、ふだんだったらつかないような傷があるとか、けががあると言って実態が明らかになってきている。A氏という人からも……(「要点を絞れ、要点」と呼ぶ者あり)黙っていれって。うるさい。何を言ってんだ。静かに聞け。 ○山口かずさ 委員長  静粛にお願いします。 ◆堀川素人 委員  (続)そういうふうにして絞られてきている中で、細心の注意を払わなければならぬ。お父さんと相談してと言ったことに対して、実母に、万が一、違う捉え方をしては困るから言わないでくれというのが普通ですよ。それが、ああそうですかと言って電話が終わるというのは、僕にとっては信じられない。  それで、今、僕が言わんとすることは、事実をきちんと伝えて検証するならば、それは検証に値するけれども、そうではない。一見、余計なことかもわかりませんけれども、さっき言った簾舞の子どもの自殺の件についてもそうだということですよ。ほかの役所なんかでも、またかと言って、ひっくり返されて、もう一回やり直したら実はこうだったということがしょっちゅうある。  これと似ているのではないかと思って、大変残念に思ってこの検証結果を見ているということを申し上げて、終わります。 ○山口かずさ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○山口かずさ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後3時22分...