札幌市議会 2016-03-14
平成28年第一部予算特別委員会−03月14日-06号
平成28年第一部
予算特別委員会−03月14日-06号平成28年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第6号)
平成28年(2016年)3月14日(月曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33名
委 員 長 飯 島 弘 之 副委員長 福 田 浩太郎
委 員 三 上 洋 右 委 員 勝 木 勇 人
委 員 高 橋 克 朋 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 阿部 ひであき
委 員 宗 形 雅 俊 委 員 北 村 光一郎
委 員 小 竹 ともこ 委 員 村 松 叶 啓
委 員 村 山 拓 司 委 員 福 士 勝
委 員 畑 瀬 幸 二 委 員 ふじわら 広昭
委 員 恩 村 一 郎 委 員 峯 廻 紀 昌
委 員 長谷川 衛 委 員 小 川 直 人
委 員 山 口 かずさ 委 員 中 村 たけし
委 員 松 原 淳 二 委 員 岩 崎 道 郎
委 員 涌 井 国 夫 委 員 好 井 七 海
委 員 前 川 隆 史 委 員 わたなべ 泰行
委 員 伊 藤 理智子 委 員 小 形 香 織
委 員 太 田 秀 子 委 員 平 岡 大 介
委 員 堀 川 素 人
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開 議 午前10時
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○飯島弘之 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、よこやま委員からは、阿部委員と交代する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
第9款 教育費 第1項
教育委員会費から第9項 学校整備費まで及び議案第31号
札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。
◆小形香織 委員 私は、教員の働く環境について質問したいと思います。
代表質問でも、教員の多忙な実態について取り上げさせていただきました。いじめや不登校など
子どもたちが発するSOSをしっかり受けとめ、そして解決していくためにも、先生と子どもがじっくりと向き合いながら日々の教育を進める環境がどうしても必要だと考えます。そのために、まず、教員の実際の勤務実態について
教育委員会が把握し、その実態改善へとつなげるよう調査の実施を求めてきたところです。
この求めに応える形で、
教育委員会は、2015年2月に教員の
勤務実態調査を実施いたしました。小学校、中学校での時間外勤務の平均は、1カ月間でそれぞれ66.9時間、66.8時間にもなっています。前回の調査より6時間減となっているとしていますが、その内容をよく見ますと、自宅への
持ち帰り残業が8.8時間減って、命令によらない時間外勤務が3.3時間ふえているという実態ですから、
個人情報保護などの関係で学校から持ち帰る仕事を減らしただけで、学校で残業して仕事をせざるを得ない、つまり、総体として時間外の業務が減っているわけではないというふうに私はこれを見せていただきました。
まず、この調査結果について、
教育委員会はこの実態をどのように受けとめておられるのか、認識を伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 教員の多忙な状況の認識についてでございます。
現在、子どもを取り巻く状況が多様化、複雑化する中で、教員の職務は多岐にわたり、時間的・精神的負担が増大しているものと認識しております。また、教育が直面する課題も多種多様でございまして、それに伴い、教員にもさまざまな対応が求められているところでございます。
市教委では、近年の勤務実態を的確に把握する必要があると考え、平成27年2月に、幼稚園、学校に勤務する教員の時間外勤務などの状況及び精神的に負担を感じる業務などを把握するため、改めて実態調査を行いました。調査結果は、先ほど委員からもございましたが、全校種、全職種の月平均時間が65.7時間となり、平成19年度の調査時と比べて6時間減となっております。各学校に導入している
校務支援システムによる業務の効率化や
スクールカウンセラーの活用などにより、一定の改善は図られているものと考えております。
しかし、学校は、依然、多忙な状況であると認識しておりまして、今後も、負担軽減に向け、取り組みに努めてまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 時間的にも精神的にも非常に負担がふえていると認識しておられるというご答弁だったと思います。
同じ調査の中で、時間外勤務等の縮減対策について
教育委員会は調査しています。どういう問いかといいますと、
スクールカウンセラー、
運動部活動外部顧問、心の
サポーター、学びの
サポーターなどの職員等の導入により負担感はどのようになりましたかという設問があり、これに対して、負担が減った、やや減ったと答える職員が58.5%でした。その一方で、導入前と変わらないが37.0%、負担が増したという方も4.4%いる結果になっております。
先ほど、
カウンセラーなどの活用で一定の改善は図られたというご答弁がありましたけれども、変わらない、あるいは、むしろ負担がふえたという方がこの調査の中でいるのはなぜだとお思いなのか、この点を伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 スクールカウンセラー等の導入により負担感についてどのように考えているかということですが、
スクールカウンセラーあるいは
運動部活動外部顧問等の人材の導入によって教員の負担感は軽減されていると認識しております。その一方で、子どもの状況は日々変化しておりまして、事前の打ち合わせ、あるいは引き継ぎなどの調整業務が必要だと考えているところでございます。
◆小形香織 委員 具体的に述べてまいりますが、例えば、
特別支援学級の
子どもたちに支援する学びの
サポーターは、現在、274校に配置されているとお聞きしています。時給が800円の
有償ボランティアでございます。一つの学校当たりの活用可能時間は、2015年で520時間と枠が決まっております。そして、学びの
サポーター活用アンケート調査というものでは、活用時間数について、やや不足、不足を合わせて65.3%がそう答えています。各学校が必要だと考える時間数は722時間ということです。ですから、202時間分はまだまだ
サポーターが足りないということが示されております。
また、
スクールカウンセラーは、市内全ての学校に配置しているとおっしゃっております。実際に
カウンセラーが何人いらっしゃるのかというと、数で言うと99名となっております。つまり、市内の小・中学校は合わせて約300校がありますけれども、そこに99人で対応しているということですから、一つの学校で見ますと、中学校で言えば、週に8時間程度、来る日数で言うと週に2回程度になるのではないでしょうか。
スクールカウンセラーというのは、もちろん
子どもたちの日常の相談にも乗るのですが、相談があるかどうかにかかわらず、常時、学校にいて、
カウンセラーとしての目で
子どもたちの様子を見守る、これが本来の役割だろうというふうに思います。しかし、現状の配置ではそれができないと思っています。
学校で働いている先生にお聞きしますと、
スクールカウンセラーや
サポーターの方々とじっくり情報共有できないのだとおっしゃいます。例えば、朝、職員室で一日の全体の動きを確認するなどの打ち合わせをそれぞれの学校で行っていると思いますが、その朝の打ち合わせに
スクールカウンセラーや学びの
サポーターが来ていらっしゃるかというと、そういう働き方ではないですよね。きょうはその子がお休みなのかどうかとか、最近気になる様子があるのだということなども、その朝の
打ち合わせ段階では伝える相手がいません。そして、先生が実際に教室に入っていけば、目の前にすぐ対応しなければならない
子どもたちがいて、情報や認識を共有しているよりも、まずは自分が対応せざるを得ない、そんなケースが何度か重なれば、先ほどの
アンケート調査で負担がふえたという実感が出てくるのは自然なことだろうというふうに思います。
学びの
サポーターは、2008年から139校でスタートして今は274校、
スクールカウンセラーも、2005年に82名からスタートして現在は99名です。さらに、
運動部活動外部顧問の導入など、いろいろな形で外部から教育を支える人たちをふやしてはいるのですが、今後、教員の負担軽減に向けてどのように取り組んでいこうとお考えなのか、伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 今後の取り組みについてです。
今、委員からもございましたが、市教委としても、教員がやりがいを持って働くことができ、
子どもたちとしっかりと向き合う時間を確保していくことが何よりも必要であり、教員の負担、負担感をさらに軽減する必要があるというふうに考えております。
今回、市教委での調査結果の分析に加えまして、幼稚園、各校種の学校に直接出向き、各学校の現状を把握するとともに、実際に行われているさまざまな取り組みについてもヒアリングを実施したところでございます。そのヒアリングの結果なども踏まえまして、現在、今後の教員の負担軽減に向けて市教委と学校が取り組んでいく必要がある事柄と学校の実践事例をまとめた冊子を作成しているところでございます。
各学校においては、行事、会議の見直し、業務の効率化など、それぞれの実態に応じた取り組みを既に進めているところですが、教員の負担、負担感につながる要因は学校ごとに異なっておりまして、負担軽減を図るためには、教員全体が課題を共有し、学校全体で取り組んでいくことが重要と認識しております。
教育委員会といたしましても、今年度中にこの冊子を幼稚園、学校に配付し、実践事例などを参考に、今後、各園、学校で具体的にどのような取り組みを行っていくのか、さまざまな機会を捉えて確認などを行いながら、負担軽減に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 これから各学校での実践事例などもまとめて冊子にしたい、できるだけ効率化を図ってきているところだというお答えでしたが、各学校でどのようにすれば時間外勤務が減っていくのか、それぞれの取り組みを参考になさることは一つの解決策になるだろうというふうには思います。
いただきました実践事例を見ました。例えば、職員の朝会を廃止して子どもと向き合う時間を確保した事例、あるいは、一斉退勤日、きょうは残業しないで帰るぞという日をつくってやっていくとか、各種行事や校外学習を厳選して減らしていくという
取り組み事例などが幾つかありました。
しかし、一つは、それでは、教育の中で朝の会議がなければいいのかということが別の側面であると思いますし、校外学習が少なければよいのかというと、決してそういうことではないですよね。そして、一斉退勤日についても、今、教育現場だけではなく、日本はどこの職場もそうですが、その日は頑張って残業しないで帰るにしても、その前の日やその翌日、その後から1週間、結局はいつもより多い残業時間で、全体は余り変わらないということが横行しているのが実情だろうと思います。ですから、こういう取り組みは、一つの解決策とはなっても、根本的な解決にはならないのかなと思って読ませていただきました。
そういう意味で、代表質問で求めましたように、正規の教員をふやして先生が受け持つ子どもの数をできるだけ減らし、まずは35人以下学級を進める、そして、少人数学級に進む、このことが、今、解決しなければならない、急いで実現しなければならないことだというふうに思っております。
OECDが行った調査でも、日本の教員の1週間の労働時間は、加盟国平均よりも15.6時間長く、最も長いという結果が示されております。このことにつきまして、当時の
下村文部科学大臣は、教員の労働時間につきましては適正な方法で把握することが重要であると参議院の
文教科学委員会で答弁されています。本市でも、今後も教員の勤務実態の調査を定期的に行うべきだと考えますけれども、どのように進めるお考えか、伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 今後の教員の勤務実態の把握についてでございます。
平成27年2月に
勤務実態調査を行ったところですが、今後は、市教委として、定期的に時間外勤務あるいは精神的な負担となっている業務等の状況を調査する予定でございます。この調査結果をもとに、原因の把握に努め、状況に合わせた対応策の検討を進めてまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 今後は定期的に行っていくということなので、ぜひ、実態をつかんでいただいて、それを改善につなげていただきたいと思います。
本市は、子どもの貧困について、これから具体的な策を進めようとしておりますが、やはり、教員と
子どもたちが心を通わせる関係をつくれるかどうかが大事ですし、そのための労働環境の整備だと思っております。
昨年12月に、札幌の手稲区で小学生の兄弟への虐待事件が報道されました。これが発見されたきっかけは、学校の先生だったとお聞きしております。2日間、学校を休んだので先生が家庭を訪問した、それで虐待が発見されたわけですが、その先生にとってみたら、2日間、子どもが学校を休んだことが気になったのですね。いつもと違う、どうしたのかなという気づきが教育の現場であるかどうかが、子どもにとっては決定的な分かれ道になると思うのです。教師と子どもが向き合える関係というのは、こうした子どもの変化に気づくことであり、そういうふうに気づくためにも教師が心にゆとりを持って働ける、教育に当たれる環境をつくるべきだと思います。
ぜひ、引き続きの定期的な調査と、それに基づく働く環境の改善を進めていただきたい、そして、より根本的には少人数学級を進めていくように求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
◆小竹ともこ 委員 私からは、
公立夜間中学の設置について質問いたします。
この件に関しましては、これまでも、議会において、他会派からも代表質問及び特別委員会においてさまざまな観点で質疑がなされ、それは、終始一貫してできるだけ早期に設置すべきとの意見で一致しているところです。しかし、なかなか具体的に進展していない状況にもどかしさを感じているのは私だけではないと思いますし、関係者の方々からも問い合わせが大変多いということで、本日、改めて質問させていただきます。
公立夜間中学は、戦争や病気、生活困窮などやむを得ない事情により、学齢期に義務教育を受けられなかった人たちに学習機会を提供するなど重要な役割を担っているものの、現在、8都府県、25市区に31校が設置されているのみであります。
平成22年の国勢調査では、在学したことがない、または小学校を中途退学した未就学者は北海道内に7,374人、
うち札幌市内には2,001人いるとのことであります。札幌市議会では、このような人たちに義務教育を受ける権利を実質的に保障し、学びの場を確保するため、国会及び政府に対して、平成24年12月、全議員による
義務教育等学習機会の充実に関する法整備等を求める意見書を提出しております。
国会においては、平成26年4月に超党派の
夜間中学等義務教育拡充議員連盟を発足し、
公立夜間中学の増設や支援拡充に向け、議員立法を目指し、検討を進めております。また、
文部科学省では、平成27年4月に
中学校夜間学級等に関する実態調査の結果を公表しており、全国的にも設置ニーズがあるとして、未設置の道県に
公立夜間中学を1校以上設置することを目指しています。さらに、同年7月には、不登校等でほとんど中学校に通えていないまま卒業した、いわゆる
形式的卒業者を
公立夜間中学で入学許可するに当たっての基本的な考え方を通知しました。
北海道教育委員会では、今年度、
文部科学省の設置促進に向けた
調査研究事業を受託し、札幌市
教育委員会とともに検討を進めているところであります。最近では、新聞各社も夜間中学の設置を支持しており、私は、道都である札幌市にはすぐにでも設置されるような印象を受けておりましたが、平成27年3定の
決算特別委員会での公明党の委員からの質問には、設置に向けて検討すべきさまざまな課題があるとの答弁であり、現在においても具体的に進展していないと伺っております。
そこで、1点目の質問です。
公立夜間中学の設置がなかなか進まない理由について伺います。
◎引地
学校教育部長 公立夜間中学の設置が進まない理由についてお答えいたします。
今年度、
文部科学省の設置促進に係る
調査研究事業におきまして、
北海道教育委員会と連携し、先進校への視察や
自主夜間中学への
アンケート調査を実施することなどにより、ニーズや課題等を検討したところでございます。その結果、学びたい内容も、読み書きなどの基礎的な学習から始めたい方もいれば、中学校の専門教科をしっかり学びたい方、外国籍の方の場合は
日本語教育等、幅広いニーズがございました。また、学校へ通う条件も、仕事等で通学日数の確保が難しい方や、障がいや病気をお持ちで通学や学習に配慮を必要とする方もいることなどがわかりました。
この方々が履修しやすい
仕組みづくりにしていくためには、
習熟度別クラス編成、複数教員による指導体制、日本語通訳の配置、さらに、
学級編制基準や教育課程の特例などが必要になります。これらの課題には、
文部科学省が示している現在の制度では十分に対応し切れないことから、入学を希望される方の希望に沿う
公立夜間中学を設置するためには、時間をかけて慎重かつしっかりと検討していかなければならないと考えているところでございます。
◆小竹ともこ 委員 さまざまなニーズがあることについては、私も十分に理解しているところであります。
ただいまのご答弁でもありましたように、字の読み書きなどの基礎的な学習をされている
自主夜間中学札幌遠友塾を私どもの会派の議員で視察してまいりました。そこでは、経済的なご事情等により、戦後、学ぶことができなかったご高齢の方々が意欲的に学習されている姿を拝見し、感銘を受けました。
パンフレットをいただいてきましたが、この「
自主夜間中学で、いっしょに勉強しませんか?」という
パンフレットには、どんな勉強をするのかということが書いてありまして、国語は平仮名から、数学は足し算から、英語はABCから、社会科は地図の見方から勉強しますとなっています。あいうえおや数から勉強する方は、ご自分のペースで学べるよう、マンツーマンで教えてもらえるじっくりクラスで勉強されています。かつて、このじっくりクラスがなかったころは、勉強についていけずに、遠友塾をやめられた方もいらっしゃるとのことであります。学び直しというよりも、文字どおり一からのスタートという感じを受けました。就学できなかった理由や背景はお一人お一人さまざまであるため、学習の進みぐあい、学力には相当の差があることを実感いたしました。
また、先ほど申し上げたように、ほとんど中学校に通えていないまま卒業した方、いわゆる
形式的卒業者に対する
公立夜間中学への入学を許可するに当たっての基本的な考え方は示されているものの、これによって学び直しの範囲が相当広がり、どういった人を対象者にするのかという定義や一定のルールはまだ示されていません。学び直しと一口で言っても、なかなか一くくりにはできない難しさがあり、まさに多様過ぎると言ってもよいようなニーズが存在するのだなと思いました。
一方で、昨年11月22日の
毎日新聞朝刊には、「公立『夜間中学』設立へ」という大きな見出しの記事が掲載されました。塾生の皆様方からも、最近の
公立夜間中学の設置促進に関する新聞報道等を見て、ぜひ札幌市に
公立夜間中学を設置していただきたいという期待の声を伺いました。このように、
公立夜間中学への入学を切望されている方はご高齢の方も多いことから、もっとスピード感を持って取り組めないものかと非常にじれったい気持ちでいるところであります。
そこで、2点目の質問です。
早期設置に向けて札幌市としてできることはないのか、この点を伺います。
◎引地
学校教育部長 設置促進に向けての札幌市として可能な取り組みについてお答えいたします。
国会におきましては、
公立夜間中学の増設や支援拡充のための法案を検討しておりますが、
文部科学省では、現在のところ、
形式的卒業者の対象者をどの範囲とするのか、財政的にどのように措置するのかなどについて明確には示されておりません。
このため、札幌市
教育委員会としては、生活環境や
履修希望内容がさまざまである入学希望者の実態に応じて、
学級編制基準、教員配置、教育課程の編成等で特例を設けることを可能とする法令整備やそのための財政措置が必要であると考えており、今後も
北海道教育委員会と連携しながら
文部科学省に働きかけてまいりたいと考えております。
また、
公立夜間中学の具体的な運用方法や諸課題等につきましては、引き続き関係機関と協議を進めてまいりたいと考えております。
◆小竹ともこ 委員 学び直しのニーズは、義務教育未修了者でごくごく基礎の部分から学習したい方、中学校から不登校になった時点から学びたい方など、その背景が多様であろうと考えます。それらのニーズの全てを
公立夜間中学が担うことは難しいことなのかもしれません。
私どもが
自主夜間中学、札幌遠友塾に視察に伺ったときに感じたことですが、民間の方々による自主運営であるからこそのよさを感じました。授業づくりも自由度が高く、一人一人のペースに合わせたきめ細かい対応ができていると感じました。これが公立ということになれば、特別な教育課程が編成され、逆に学びにくさを感じる方も出てくることになるのかもしれないと感じました。
そこで、中学校の卒業認定を望む方には
公立夜間中学、みずからのペースでゆっくり学びたい方には
自主夜間中学と、それぞれの特色を生かすことはできないものかと考えます。また、
公立夜間中学が
自主夜間中学から長年培った教材や指導方法のノウハウを収集する等の必要な連携を図ることも重要であると考えます。
前段で申し上げました国勢調査結果における全道、札幌市の未就学者の数字は、2010年、平成22年のものであります。このとき、15歳以上の方の調査であったわけですが、未就学率が特に高い75歳以上の方は、単純に5年が経過して80歳以上になっていることになります。ご高齢でありながらも学ぶ意欲を強く持っている方々のためにも、学び直しに係る多様な受け皿を札幌市でつくっていただきますことを強く申し上げまして、質問を終わります。
◆岩崎道郎 委員 私からは、中学生・高校生向けの読書活動の支援について、さらには、性に関する指導について、そして、子どもの貧困対策について、3点質問させていただきます。
まず初めに、中学生・高校生向けの読書活動の支援についてでございます。
私は、これまで、さまざまな委員会などの場所で、自分のPTAでの
子どもたちへの読み聞かせなどを通して感じていたことなどを質問させていただいて、
子どもたちの学びにおける読書の重要性を訴えてきたところであります。また、先日、車で白石を通りましたら、白石の複合庁舎も大分建ち上がってきておりまして、あそこに絵本図書館ができるのだといった思いも持ち、札幌市での図書による
子どもたちのますますの育みを期待しているところであります。
一方で、中・高生向けの取り組みとなりますと、例えば、中央図書館の児童サービスとしては、児童図書を中心に配架しているこどもの森コーナーと、児童文学など研究資料を集めた児童研究室の設置があります。こういったものは就学前の子どもから児童を対象にした取り組みが中心になっておりまして、中・高生に焦点を当てた取り組みが少ない、十分ではなかったと聞いているところであります。
また、札幌市の子どもを対象に平成26年7月に実施した読書についての
アンケート調査報告書では、公共図書館の利用頻度について、ほとんど利用していないと回答した小学生の割合が47.9%、中学生で65.3%、高校生では67.7%と、年齢とともに高くなる傾向にあります。しかし、中学生や高校生の時期は、心身が著しく成長し、自分自身を見詰める上でも読書が大きな力になると考えられますことから、今後の取り組みが期待されているところであります。
私は、昨年、文教委員会の視察で岐阜に伺ってまいりました。非常にすばらしい図書館があったのですが、そこでは、いわゆる中・高生、今まさに私が言わせていただいている支援をするべき世代をヤングアダルトとくくり、そうした場所も設けて、非常にすばらしい取り組みがなされていたところを拝見しました。
そこで、最初の質問ですが、中学生、高校生による中央図書館の利用状況とこれまでの取り組みについて伺います。
◎千葉 中央図書館長 中学生、高校生による中央図書館の利用状況とこれまでの取り組みについてお答えいたします。
平成26年度の利用状況につきまして、中央図書館の利用登録者の内訳で見ますと、小学生が10.0%、中学生が2.7%、高校生が2.8%となっております。貸し出し冊数の内訳で見てみますと、小学生が10.0%、中学生が1.5%、高校生が0.9%という状況になっております。
これまでの中学生、高校生に向けた取り組みといたしましては、施設見学、職場体験、調べ学習への対応のほか、出版体験などを行ってきております。しかし、これまでの利用状況を踏まえますと、今後は、中学生、高校生向けにしっかりと焦点を当てた継続的な取り組みが必要と考えているところでございます。
◆岩崎道郎 委員 さっぽろっこ読書プランにもありますとおり、中学生、高校生の全国的な不読率の傾向としては、平成26年5月の第60回学校読書調査報告書によりますと、1カ月間に本を1冊も読まなかった子どもの割合は、小学生で3.8%、中学生で15%、高校生では48.7%となっております。さっぽろっこ読書プランの前身であります第1次札幌市子どもの読書活動推進計画が始まった平成17年から見ますと、10年以上がたっていて、当時、幼児、小学校1年生くらいの子たちが、ちょうど今、高校に入り始めております。そういったことに鑑みますと、やはり、札幌市としても中・高生に向けた取り組みが必要なのだろうというふうに考えております。
しかし、全国の状況を見ても、不読率を下げていく取り組みは非常に難しい面もあると認識しております。そういう中で、中央図書館による中・高生向け事業の取り組みについては、家庭や学校教育、生涯学習等の関係機関からも、どのように進めていくのか、公共図書館への期待は大きいと思っております。
そこで、質問ですが、さっぽろっこ読書プランでは中学生・高校生向け読書コーナーを中央図書館に設置するとしていますが、どのような内容をお考えか、伺います。
◎千葉 中央図書館長 中学生・高校生向け読書コーナーの設置についてでございます。
中央図書館では、3月末に、ティーンズの森という名称で中央図書館の1階に中学生・高校生向けの図書コーナーをオープンする予定でございます。このコーナーには、図書資料約1,600冊を配架するほか、掲示板を取りつけまして、イベントなどの情報発信や利用者相互が本を紹介するなどのコミュニケーションの場としての活用を図ってまいりたいと考えております。こうした取り組みについては、学校などに行事案内の配布や掲示を行うなどいたしまして、広く知ってもらえるような工夫もしてまいりたいと考えております。また、中学生・高校生向けに新たなホームページを開設することや参加体験型のイベントを企画するなど、中・高生の図書館に対する関心を高めるさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆岩崎道郎 委員 そういった取り組みに心から期待させていただきたいと思います。
札幌市では、自己探究型の学習を推進していると思います。そういった中で、やはり、図書館の持っている機能を十分に生かし切ることもこれからの
子どもたちに求められているものなのだろうなというふうに感じております。
そして、私ごとではありますが、昨年4月に子どもを転校させまして、なかなか最初に友達ができないというタイミングで、図書館が非常に大きな役割を果たしていただいておりました。図書館で本を借りたり返したりするさなかで
子どもたちの人間関係が育まれていくという意味においては、これからも図書館の役割にますます期待させていただきたいと思います。
続きまして、性に関する指導について、何点かお伺いいたします。
現在の社会は、急激な情報技術の進展、そして、それに伴う情報の氾濫など、一昔前とは大きく変化してまいりました。例えば、携帯電話やスマートフォン、パソコンの急激な普及によって、今では小・中学生でさえ簡単にインターネットから情報が得られるようになりました。
子どもたちは、親の知らないところでいつの間にか有害なサイトにアクセスし、意図せず性的な情報を得てしまったり、ソーシャルネットワークサービスでのやりとりが引き金となって性的トラブルに発展したりする事件も報道で目にするところです。もちろん、親としても、
子どもたちが使う情報端末に関してはしっかりと機器を管理しなければいけないと思っているところであります。
そのほかにも、昨今では、いわゆるLGBTなどの性的少数者にまつわる課題とか、性同一性障がいなどの性に関する悩みや不安を持つ人たちへの配慮、さらには、さまざまな観点から性の問題について捉える必要性も高まっております。また、札幌市に目を向けますと、若年層の性感染症の罹患状況や10代の人工妊娠中絶率は、ともに減少傾向にあるものの、依然として全国平均を上回っている状況であると聞いております。このような状況を踏まえて、学校教育においては、
子どもたちに性に関する正しい知識を身につけさせるとともに、適切に行動することができるよう指導することが大切であると強く感じているところであります。
教育委員会においては、こういった時代背景を踏まえて、性に関する指導を充実するための積極的な取り組みが求められるものと考えております。
そこで、最初の質問ですが、まず、札幌市における性に関する指導の取り組みの現状について伺います。
◎引地
学校教育部長 札幌市における性に関する指導の取り組みの現状についてお答えいたします。
各学校においては、
教育委員会が作成した性教育の手引を参考にして年間指導計画を作成し、保健の授業等で性に関する正しい知識、自他の生命を尊重する態度の育成を図ってきたところでございます。また、産婦人科医師や助産師などの外部講師を招いて、思春期の体の変化や生命の誕生、性的トラブルの防止などをテーマとした体験的に学ぶ授業などを推進してきております。
しかしながら、近年に見られる性情報の氾濫など、子どもを取り巻く環境の変化に対応した指導が必要であることから、現行の手引を改定し、この4月から新しい手引を活用した指導を進めていく予定でございます。
◆岩崎道郎 委員 性に関する指導の指針となるように、新たに手引を改定して、充実を図るべく取り組まれていることに関しては、評価させていただきたいと思います。
しかし、学校に保健師が出向いて性に関する指導をされていると聞いているのですが、保健師からは、それがきっかけづくりになることは非常にすばらしいけれども、常日ごろ、学校の先生に対応していただくことが何よりも充実されるということも聞いておりますので、そのあたりも今後の取り組みに生かしていただきたいと思います。
それから、現行の性教育の手引が発行されたのは平成18年と聞いております。先ほど述べたように、そのころとは社会が大きく変化しており、
子どもたちへの指導内容も多様化し、さらには、障がいのある子どもに対する指導についても従来以上に充実を図る必要があるのではないかと思います。
そこで、伺いますが、
教育委員会は、今回の性に関する指導の手引の改定をどのような観点で進めておられるのか、伺います。
◎引地
学校教育部長 今回の性に関する指導の手引の改定の観点についてお答えさせていただきます。
社会の変化に伴いまして、インターネットに起因する性的トラブルのほか、人権尊重の精神の欠如によるデートDV、若年層のエイズ及び性感染症など、性に関する問題が多様化してきております。このような状況を踏まえ、子どもが現在及び将来の生活における性に関する諸課題について、適切に判断し、対処できる資質や能力を学校教育全体を通じて育むことを重視し、保健の授業のみならず、ほかの教科等の指導事例も掲載して充実いたしました。また、性に関する理解の基盤となる命の大切さをテーマとする学習を幼稚園から高等学校まで発達の段階に応じて位置づけ、その指導計画や指導方法の具体例を示すなど、内容を充実しております。さらに、障がいのある子どもに対する性に関する指導につきましては、各校種において一層きめ細かな配慮や指導を行うことができるよう、障がいの特性や状態に応じた具体的な指導計画や事例を充実しております。
◆岩崎道郎 委員 幼稚園から高校まで非常にきめが細かいことを改めてお話しいただいたので、十分に理解させていただいて、期待したいと思います。
特に、今のご答弁の中にありました障がいのある
子どもたちに対する性に関する指導については、私も、その障がいの状況や程度に応じたきめ細やかな指導、そして、支援が非常に重要であると考えております。障がいの状況によっては、思春期ともなると、自他の性の認識が難しいことなどから、性について強い関心を持っているのではないかと誤解をされたり、性的な被害者になったりすることもあると聞いております。また、自己表現がうまくいかないことで相手に誤解を与えてしまったり、異性と適切な距離をとれず不適切と思われる行動をとってしまったりすることなどにより、性にかかわるトラブルに発展することもあると聞いております。このようなことから、障がいのある子どもに対する性に関する指導は、より一層、きめ細やかに進めていく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、障がいのある子どもに対する性に関する指導を今後どのよう進めていくのか、伺います。
◎引地
学校教育部長 障がいのある子どもに対する性に関する指導についてお答えいたします。
障がいのある子どもの性に関する指導内容は、基本的には障がいのない子どもと同様でありますが、障がいの種別や程度等に応じて個に応じた指導の充実を図ることが大切と認識しております。特別支援学校や
特別支援学級では、例えば、他者の気持ちを理解することが苦手といった障がいの特性等を踏まえ、異性との適切な距離を実際にはかって示すなど、より具体的で丁寧な指導に努めているところでございます。
今回、改定した手引においては、このような具体的活動例の掲載を充実しており、今後、本手引を各学校の特別支援教育担当者を対象とした研修会等で活用するなど、障がいのある子どもへの性に関する指導の充実を一層図ってまいりたいと考えております。
◆岩崎道郎 委員 性に関する指導というのは、家庭で行うのは難しい側面があったりして、そういった意味では学校に期待する部分が非常に大きいと思います。ご苦労もあるとは思いますが、よりきめ細やかに、そして引き続きの指導をいただけますようよろしくお願い申し上げます。
最後に、子どもの貧困対策について伺いたいと思います。
秋元市長は、施政方針の中で、子どもの貧困対策をしっかりやると明言してくださっております。私も、これまでさまざまな機会を捉えて、子どもの貧困対策について提言し、質疑をさせていただいておりますが、ご案内のとおり、私が今ここで申し上げるまでもなく、子どもの貧困対策は、全市を挙げてしっかりと取り組まなければいけない非常に大きな課題であると考えております。
私は、けさ、子どもが通う学校のPTAの活動の一環として、交通安全の旗振りをしてまいりました。そういった中で、子ども一人一人の顔を見て、元気のない子、もしかしたらご飯を食べずに来たのかなと思うような子どもだったり、また、ぎりぎりの時間に慌てて駆け抜けていく
子どもたちの姿を見て、もしかしてこの子は貧困にあえいでいるのではないか、そんなことを考えてしまわざるを得ない状況にあること自体に心を痛めているところであります。子どもの将来が生まれ育った場所や環境によって左右されることのないように、そして、貧困が世代を超えて連鎖することがないように、環境整備、教育の機会均等を図る子どもの貧困対策が重要であることは皆さんもご存じのことと思います。
さらに、貧困問題に悩む子どもや家庭は、義務教育を過ぎてしまうと、社会から切り離されてしまってさらに見えづらくなってしまいます。そういったところからも、子どもが学校に在籍しているうちに困っている状況を把握し、支援することが何よりも重要だと考えております。
平成26年8月に閣議決定された子供の貧困対策に関する大綱において、教育の支援においては、学校をプラットホームとした総合的な子どもの貧困対策の展開が掲げられております。その対策としては、子どもの家庭の状況にかかわらず、学力を保障する取り組みや経済的な支援などがありますが、私は、貧困問題に悩む子どもや家庭を福祉的な支援につなげることが特に重要ではないかと考えております。
そこで、質問ですが、子どもの貧困対策において福祉等の関係機関との連携を進める上で、学校の担う役割及び現状の課題と今後の取り組みについて伺います。
◎松田 児童生徒担当部長 私から、福祉等の関係機関と連携を進める上で、学校の担う役割及び現状の課題と今後の取り組みについてお答えいたします。
子どもの貧困対策において、学校は、子どもの様子の変化から家庭の悩みや不安に気づき、早期の段階で福祉等の関係機関につなぐ役割を担っていると認識しております。しかしながら、生活が逼迫している状況や子どもが登校できない状況、保護者と連携がとれない状況等、問題が複雑に絡み合っていると思われる家庭について学校はどのように関係機関に相談すればいいか、苦慮する場合がございます。
教育委員会では、こうした課題を解決するため、学校の要請に基づき、教育と福祉の両面に関して専門的な知識を有するスクールソーシャルワーカーを派遣する体制を整えております。今後も、学校がスクールソーシャルワーカーを最大限活用して、支援が必要な家庭を福祉等の関係機関につなぎ、子どもを取り巻く環境が改善できるよう各学校に働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
◆岩崎道郎 委員 学校では、スクールソーシャルワーカーを活用して貧困家庭を関係機関につなぐ役割があるということに関して理解いたしました。まさに、バトンを受け継いでいく、受け渡していくこと、学校で気づいて福祉の分野につなげていく、さらには、保護者の就労支援などを本当に幅広くつなげていく、その最初のきっかけが学校にあるのだというふうに私は思っております。
そのためにも、学校と関係機関だけではなくて、地域との連携も非常に必要ではないかと考えております。昨年、さまざまな機会に自分の経験から少しお話しさせていただきましたが、私は、たまたま民生委員、児童委員、また、PTAの役員もさせていただきました。そういったことから、その学校で起こっている子どものさまざまな問題を先生方からお聞かせいただき、そのことをさらに福祉の機関につなげる、ある意味でスクールソーシャルワーカーのような役割を果たしていました。
スクールソーシャルワーカーの数がなかなか足りていないという声も聞かれますので、そういった意味から、地域では、今、私が申し上げたように、民生委員や主任児童委員の方々は、子どもが家庭、地域でどのような生活をしているかを把握しておりますので、日常的に支援できる人材として貧困問題に悩む家庭の見守りなどを行っている地域もあると思います。そういう中で、先ほどの答弁にもありましたスクールソーシャルワーカーについては、新しい人材でありますし、徐々に浸透してきておりますが、まだまだ一層の周知が必要な状況であると思います。私は、スクールソーシャルワーカーを周知すべきであると思います。
その後、
教育委員会でも民生委員、児童委員等へ周知するなどの働きかけをしていただいていると思いますが、貧困対策に向けてスクールソーシャルワーカーを活用した学校と地域の連携強化をどうされていくか、伺いたいと思います。
◎松田 児童生徒担当部長 スクールソーシャルワーカーを活用した学校と地域の連携強化についてお答えいたします。
学校は、これまで、身近に相談者がいないなどの孤立状況の家庭について、関係機関につなぐとともに、地域の人材に見守りを依頼するなどして連携して対応を進めてきているところでございます。スクールソーシャルワーカーは、困りを抱えた家庭に対して効果的な支援がなされるよう、学校と関係機関、地域の人材をつなぎ、スムーズな連携を図るための役割が期待されております。
教育委員会といたしましては、地域の人材に対してスクールソーシャルワーカーの専門性や役割を一層周知するほか、地域における支援会議等に積極的に派遣するなどして、学校と地域が緊密に連携していくよう取り組んでまいりたいと考えております。
◆岩崎道郎 委員 子どもの貧困については、保護者や家庭の状況の困りなどを関係機関に相談することができれば支援につながっていきますが、誰にも相談ができなかったりとか、恥ずかしくて外には言えないなどの理由でなかなか必要な支援を受けられない環境も多々あると聞いております。貧困に苦しむ家庭を包括的に支援すること、全ての
子どもたちが夢と希望を持って成長できる環境を整えるためには、今のご答弁にもありましたように、スクールソーシャルワーカーの果たす役割は非常に大きいですし、今後の活用も一層の充実を図っていただくことを期待したいと思います。
最後に、子どもの貧困対策というのは、名前は子どもの貧困に向けられていますが、決して貧困だけではなく、虐待とかいじめとか不登校とか、子どもにまつわるさまざまな問題が全て一つに通底している部分があるのではないかと活動の中で感じております。貧困対策にしっかりと目を向けることが、
子どもたちの環境全てにしっかりと光を当てることになるということを申し述べて、私の質問を終わらせていただきます。
◆わたなべ泰行 委員 私からは、学校トイレの洋式化についてとオリンピック・パラリンピック教育について、大きく2点質問させていただきます。
最初に、学校トイレの洋式化についてですが、我が会派は、学校トイレの洋式化について、平成13年に、市内の小・中学生、保護者それぞれ8,000人以上に学校トイレに関する意識調査を行いました。15年前のことですが、当時の結果としては、学校のトイレが嫌いと答えた生徒は46%、好きが6%、どちらでもないが48%でした。また、トイレを我慢したことがあると答えた生徒は43%で、学校から帰宅したらトイレに駆け込むことがあるのですかとの問いには、よくあると時々あるが合わせて85%あり、
子どもたちが学校でトイレを我慢している様子がうかがえました。我慢している理由で一番多かったのは、暗い、汚い、臭い、そして、次に多かったのは、家とは違うという理由でございました。そして、新しいトイレの希望では、76%が洋式を多くしてくださいとのことでした。
平成13年の
決算特別委員会にて我が会派の本郷委員が調査結果をもとに質問し、また、予算要望にも入れさせていただきました。そして、平成26年の
決算特別委員会では、学校のトイレは、大規模改修に合わせた全面改修だけではなく、単純に洋式化の改修を進めるべきと考えるがいかがかとの質問に、当時の学校施設担当部長からは、学校トイレの洋式化をスピードアップしていくために、洋式化のみの改修も進めるとの答弁がございました。
そこで、質問ですが、その結果、平成27年度末において洋式化の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
◎富樫 整備保全担当課長 平成27年度末における洋式化の状況についてお答えいたします。
学校トイレの洋式化につきましては、以前から行っている全面改修の際に合わせて実施しているもののほかに、今年度から、児童生徒数に応じて必要な洋式便器数を設定し、その数に満たない学校について、便器のみを洋式に取りかえる改修を始めたところでございます。その結果、平成27年度末の時点で洋式便器が必要数を満たしている学校は、小学校202校中151校、中学校97校中61校、高等学校及び中等教育学校8校中5校、合計すると307校中217校となっております。割合にいたしますと、小学校で約75%、中学校で約63%、高等学校及び中等教育学校で約63%、合計しますと約71%となっております。
◆わたなべ泰行 委員 生徒数に応じた整備を進めていって洋式便器が足りている学校が71%に達したということでしたが、平成28年度の予算では、便器のみを改修する10校とはまた別に、トイレの全面改修の設計が8校ありますので、洋式化への改修として18校の設計及び工事が計上されていると伺っております。
そこで、質問ですが、具体的にいつを目標にして全ての洋式不足を解消していくのか、お伺いいたします。
◎富樫 整備保全担当課長 洋式不足解消の目標の時期についてでございます。
現在策定中の札幌市学校施設維持更新基本計画におきまして、学校のトイレの洋式不足解消の目標年次を、改築やリニューアル改修により洋式化を図る学校を除きまして、平成31年度としているところでございます。
◆わたなべ泰行 委員 平成31年度を目標にしているということでしたが、改築やリニューアル改修によって洋式化を図る学校は除かれているとの答弁でございました。
そこで、質問ですが、平成31年度までに洋式不足が解消しない学校は何校あるのか、そして、それらの学校の洋式不足の解消がいつになるのか、お伺いいたします。
◎富樫 整備保全担当課長 平成31年度までに洋式不足が解消しない学校数とその解消時期についてでございます。
まず、不足が解消しない学校数につきましては、今後の児童生徒数の推移により変わる可能性はございますが、現時点では小学校2校、中学校2校の合計4校と見込んでおります。また、これらの学校の洋式不足の解消時期につきましては、今のところ、平成33年度までの解消を見込んでおります。
◆わたなべ泰行 委員 最後に、要望です。
生徒数に応じた整備という設置数の基準がありますが、平成33年度までには市立の小・中・高等学校の全ての学校の洋式化不足が解消されることは理解いたしました。立てた目標におくれがないようにしっかりと取り組んでいただきたいということと、また、学校現場や保護者の洋式不足に対する不安をできるだけ早く払拭していただくためにも、全面改修や洋式改修の実施が決まった段階で速やかに学校に情報提供を行っていただくように要望して、この質問は終わらせていただきます。
続きまして、オリンピック・パラリンピック教育について質問させていただきます。
2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますが、この2020年の大会は、スポーツを通じて
子どもたちにスポーツへの興味と関心を高めることはもちろんのこと、さまざまな人々が互いに尊重し合って協力し合っていく、こういう共生社会について考えていく貴重な教育の機会として受けとめることが重要であると考えております。
我が会派では、平成27年第2回定例市議会において、國安議員から、オリンピック・パラリンピック開催を踏まえた教育の推進について、積極的に推進すべきとの立場から教育長の見解を求めたところです。その際、教育長からは、人間尊重の教育や国際理解の教育について一層充実させるとともに、オリンピック・パラリンピックの理解促進を図ってまいるとの答弁をいただいております。
そこで、質問ですが、
教育委員会としてオリンピック・パラリンピック教育の意義をどのように捉えているのか、改めてお伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 オリンピック・パラリンピック教育の意義についてお答えいたします。
オリンピック・パラリンピックは、選手が自分自身の限界に挑もうとする姿や、常に目標に向かってベストを尽くそうとする姿から、努力することや向上心の大切さなどを学ぶことにつながるものと考えております。また、民族や国、人種や性、障がいの違いなどを超えて、さまざまな人々が互いに敬意を持って大会に臨む姿から、フェアプレー精神や他者を認め合うことのすばらしさ、平和のとうとさを学ぶことにもつながるものと考えております。
教育委員会といたしましては、このような学びは、自分の夢を描きつつ、自己の実現に向けて前向きに挑戦しようとする心や、互いにかけがいのない人間として尊重し、支え合う態度を育む観点などからも、大変意義のあるものと認識しております。
◆わたなべ泰行 委員 基本的な考えは理解いたしました。大会の目指す理念、精神について学んだことを、共生社会を築こうとする思いにつなげることが大切であり、将来、
子どもたちが自立していくことにつなげていくことが大事なのかなと思いました。
特に札幌市は、1972年の冬季オリンピック開催地となった歴史があります。そういった地元の歴史について学習することは、
子どもたちが、ふるさと札幌への愛着や、主体的に地域にかかわろうとする姿勢を育んでいくことにもつながると考えます。また、こうした学習の積み重ねが、将来札幌市が開催を目指しております冬季オリンピック・パラリンピックに対して
子どもたちが夢や憧れを持つことにもつながり、招致に向けての機運醸成の大きな力となっていくのではないかと考えます。
このような狙いを踏まえれば、オリンピック・パラリンピック教育の取り組みについて、大会が目前に迫ってからあれこれと現場に促していくのではなく、この4月からすぐに
教育委員会として計画的に推進すべきと考えます。開催地の東京では既にオリンピック・パラリンピック教育に取り組んでいて、オリンピアン、パラリンピアンの学校派遣、また、オリンピック・パラリンピックの学習読本や学習映像教材の作成など、さまざまな取り組みを行っていると伺っております。
そこで、質問ですが、オリンピック・パラリンピック教育を今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 今後、オリンピック・パラリンピック教育をどう進めていくのかという点についてお答えいたします。
教育委員会では、平成28年度から、オリンピック・パラリンピック教育に係るモデル校を指定し、大会に参加した選手を招いた授業や、スポーツ関連施設等を利用した体験的な学習を導入する予定でおります。また、札幌オリンピックを題材に取り入れ、ふるさと札幌のよさを再認識する学習についても、既に指導資料の作成に取り組んでおり、今後これを活用した授業を推進していく予定でございます。さらに、現在、国が作成を進めております大会の意義、役割などを盛り込んだ映像教材などの資料も活用し、各学校におけるオリンピック・パラリンピック教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆わたなべ泰行 委員 札幌市もオリ・パラ教育にしっかり取り組んでいくということは、大変喜ばしく思っております。
要望ですが、歴史の意義を学んだり教材を用意することも大事だと思いますが、来年度からオリンピアン、パラリンピアンの学校派遣を行っていただくことをぜひ希望させていただきます。予算が限られていることも伺っておりますし、大変なことだと思いますが、よろしくお願いいたします。
また、学校教育の計画というのは、各校の地域によって状況を考えて行うということも伺っておりますので、地域や家庭の理解と協力を得ながら、ぜひ充実していっていただきたいと思います。
◆太田秀子 委員 私からは、就学援助と義務教育児童生徒遠距離通学助成金について質問いたします。
まず、就学援助についてです。
3月18日は、いよいよ小学校の卒業式です。保護者は、小学校の卒業準備と中学校の入学準備でお金がかかり、今まさに大変なときです。小学校6年生の子どもを持つお母さんにお聞きしましたら、中学校の制服、ジャージー、ポロシャツ、Tシャツを買って5万9,790円、ほぼ6万円がかかり、これから鞄、外靴、上靴も買わなければいけないと言っています。お母さんたちの会話は、最近、どこでも、義務教育なのにお金がかかり過ぎ、苦しいというものです。
就学援助制度は、義務教育は無償とした憲法26条など関係法に基づき、経済的理由によって就学が大変な小中学生がいる保護者に対して、どの子も安心して勉強できるように学用品や給食費などの費用を援助する制度です。本市で就学援助を受けた場合、援助費の支給月は、入学準備金は6月、学用品費等は9月と2月の後払いです。後払いでは、経済的理由によって子どもの就学が大変な保護者に対して援助する支援策として、実態に即したものになっていません。とりわけ、入学時に必要な学用品やランドセル、制服などは高額で、購入時に手持ちのお金がなければ借り入れをする事態も起こります。中学校の入学準備は、学校指定のものをそろえなければならず、節約にも限度があります。
そこで、質問いたしますが、本市の就学援助制度の入学準備金支給費は、小学1年生で2万470円、中学1年生で2万3,550円です。入学準備には平均6〜7万円かかりますので、経済的負担の軽減が図れるように、就学援助制度の目的に照らして実効あるものにすべきです。つまり、後払いではなく、せめて入学準備の時期に支給すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎引地
学校教育部長 入学準備金について、入学前に支払うことはできないのかというご質問についてお答えいたします。
現在、就学援助の新入学学用品費につきましては、6月下旬に支給しているところでございます。就学援助の申請におきましては、前年の所得証明を必要とする場合がございまして、この所得証明書は、5月中旬以降でなければ発行されないという事情がございます。公平性の観点から、新入学学用品費の支払いは、原則、全ての申請者に対し、同一日に行うことが適切であり、現状より支払いを早めることは困難であるというふうに考えております。
また、仮にこの課題を解決できたとしても、3月下旬になって市外に転居する世帯も多く、新入学学用品費を入学前に受給した世帯が入学前に市外転居した場合、その受給額を返還いただく必要がありまして、その際、転居先を把握することは非常に難しいものであるというふうに考えております。
◆太田秀子 委員 私は、昨年の第3回定例市議会の
決算特別委員会でも同じような質問をしましたけれども、できない理由は毎回同じで、その後、検討もしていないのかとちょっとがっかりしていますが、次の質問をいたします。
小学校6年生で就学援助制度を利用している人数と率、その学年が中学に入学して1年生になったときの利用数と率をお答えください。
◎引地
学校教育部長 小学校6年生の受給者数、受給率、その翌年における中学校1年生の受給者数等についてお答えいたします。
まず、平成24年度を例にとりますと、この年の小学校6年生の就学援助の受給者は2,701人、受給率は17.64%、その翌年度の平成25年度における中学校1年生の受給者は2,733人、受給率は19.39%となっております。また、平成25年度の場合は、小学校6年生の就学援助受給者は2,829人、受給率は18.08%、その翌年度の平成26年度における中学校1年生の受給者は2,842人、受給率は18.56%となっております。
◆太田秀子 委員 平成25年度、2013年度に小学校6年生で就学援助を受けた人数が2,829人、平成26年度、2014年度にその子たちが中学1年生になり、就学援助を受けた人数が2,842人、ほぼ横ばいです。スライドしているではないですか。数字が同じだから、もちろん同じ人とは限りません。入学前に市外に引っ越した人もいるでしょうし、もしくは、市外から引っ越してきて、本市の中学校に入って就学援助を受けた人もいるでしょう。しかし、それらをプラス・マイナスしてもほぼ横ばい、ほとんどの人が生活状況は変わらず、中学に入学しても就学援助を受けていると判断できるのではないでしょうか。
先ほどの答弁では、5月にならないと所得がはっきりしないとおっしゃいましたけれども、この数字は、仮の認定制度など、工夫次第ではまず中学の入学準備金は早期に支給することが可能だということをあらわしているのではないでしょうか。認定して、入学準備金を支給した後、急に市外への引っ越しが決まったとか、急にお給料がふえたとか、そういうときは返してくださいと条件をつけて支給したらいいのではないのでしょうか。
そこで、もう一度質問いたしますが、私は、冒頭に、今、小学校の卒業と中学の入学準備で大変だとお話をしました。小学6年生として、小学校に在籍している2月、3月が中学校入学準備の時期なのです。入学準備金は、中学1年生の6月末に支給するのではなくて、小学校6年生の3月に支給すると考え方を実態に合わせるべきではないでしょうか。
本市の就学援助基準は、収入が生活保護基準のわずか1.1倍です。生活保護世帯には、入学準備金を入学前の3月1日に支給しており、準要保護世帯である就学援助も同時期に支給すべきです。
もう一度、伺います。早期支給の検討を始めるべきだと思いますがいかがか、お答えください。
◎引地
学校教育部長 中学校入学時だけでも入学前に学用品費のお支払いはできないかというご質問についてお答えいたします。
先ほどもお答えさせていただきましたが、中学校入学の場合、転居先の把握は比較的容易ですけれども、支給時期が異なるケースが出てくるという公平性の課題は残るものと考えております。また、所得証明の獲得等は先ほど申し上げましたように5月になりますので、やはり、公平性の課題ということから難しいものと考えております。
◆太田秀子 委員 福岡県や新潟市では、もうやっているのです。それは、親の負担が大変だから何とかしようと工夫しているわけです。そして、公平性と言いますが、多くの市民はこれを不公平だと言うでしょうか。それよりも、温かい施策だと喜んでくれるのではないでしょうか。私は、検討すると言わないのが不満ですが、引き続き求めてまいります。
そして、次の質問に移っていきます。
生活保護費の引き下げで連動するものは、本市で64あります。先ほど述べましたが、本市の就学援助の基準は生活保護基準の1.1倍ですから、就学援助もその一つです。国は、生活保護の引き下げを他の制度に連動しないよう自治体に通知を出しています。
北海道教育委員会からも文書が来ているはずです。
そこで、質問ですが、なぜ国はこのような通知を出しているとお考えですか。
あわせて、就学援助に連動させないよう、本市の保健福祉局から
教育委員会に文書が届いているか、伺います。
◎引地
学校教育部長 生活保護費の削減に連動させないよう国からの通知が出ているか、また、その内容等についてもご質問いただいたと思います。
平成25年から3年かけて、生活保護費が10%削減することとされました。しかし、生活保護基準を準用している就学援助などにつきましては、その制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながら、できる限り生活保護費削減による影響が及ばないよう対応することを基本とする考えが国から示されているところでございます。
私どもはこれに準じて考えておりまして、本市におきましても、この趣旨から、平成27年度から一定期間は、生活保護費削減に連動させずに、就学援助の認定基準額を維持することとしているところでございます。
◆太田秀子 委員 保健福祉局からも、連動させないでくださいというお話は来ていますか。
◎引地
学校教育部長 保健福祉局からも、連動させないようにという連絡を受けております。
◆太田秀子 委員 今のご答弁にありましたように、連動させたらだめだから、国からもそういう通知が来ているわけです。一定期間は下げないというお話で、一定期間というのがとても気になりますが、実態をしっかりと見て国からの通知の趣旨を踏まえていただきたいと思います。
就学援助の基準が引き下げられますと、本市でも、現在認定を受けている世帯の相当数が基準から外され、認定されなくなる懸念があります。3月上旬、貧困家庭の子どもの支援をせずに格差を放置した場合、子どもの生涯所得は減り、日本社会が被る損失は大きい、各地で子ども関連の予算を充実させ、貧困対策を急ぐべきだと新聞報道されました。教育は、未来への投資です。私は、本市の就学援助の認定率が2012年に18.16%だったのに対し、2016年度の見込みが15.20%に大きく下がっていることをとても懸念しています。本市は、子どもの貧困対策の計画策定の予算を組んで取り組むわけです。この取り組みに逆行することのないよう、就学援助の基準は、引き下げるのではなく、引き上げるべきと求めておきます。
次に、費目について質問します。
2010年から新たに就学援助の支給費目に加わったPTA会費、クラブ活動費、生徒会費が本市では対象になっておりません。2015年1月現在の資料では、
文部科学省が調査し、
北海道教育委員会が道内179市町村を集計していますが、PTA会費は111、クラブ活動費は100、生徒会費は97市町村で実施しています。
質問ですが、本市の就学援助の認定基準、生活保護の1.1倍は政令市の中で低いほうです。政令市の半分は1.2倍以上です。本市も認定基準を引き上げることが望ましいと思いますけれども、まずは、支給費目をふやし、PTA会費などの支給を実施すべきと思いますがいかがか、伺います。
◎引地
学校教育部長 認定基準等にあります支給費目を追加すべきではないかというご質問についてお答えいたします。
本市には、就学援助の認定基準や支給費目のあり方等の審議を目的とする就学援助審議会がございます。平成26年度にこの審議会を開催いたしまして、認定基準額の見直しとあわせて、支給費目の追加等について審議を行いました。そこで、本市の財政状況等を説明の上、ご審議いただきました結果、平成27年度から一定期間は生活保護費削減に連動させずに認定基準額を維持することと、支給費目の追加につきましては見送られたところでございます。
今後、平成29年度に就学援助審議会を開催する予定でして、社会経済情勢や財政状況などを踏まえて、生徒会費、PTA会費等を含めた支給費目の追加等について検討してまいりたいというふうに考えております。
◆太田秀子 委員 審議会待ちにならずにやってほしいところですが、少なくとも本市から審議会に積極的に提案していただきたいと思います。
次に、義務教育児童生徒遠距離通学助成金について質問いたします。
校区が広く、バス通学を余儀なくされている児童生徒に定期代が助成されています。対象者は、小・中学校を合わせて1,183人です。保護者は、SAPICA発行時のデポジット、いわゆる預かり金を負担します。その後、毎月1カ月ごとに地下鉄駅かバス営業所などへ通学定期料金の助成を受けに行きます。
丘珠中学校に通う生徒の場合、一番近い交換場所は環状通東駅です。親が仕事が終わってから行く、もしくは、生徒が学校から帰宅して、またバスに乗って環状通東駅に行くということですが、定期券発売所があいている時間に着けないこともあります。せめて学期分、夏休みまで、冬休みまでとまとめて交換してもらいたいというのが多くの保護者の願いです。
そこで、質問いたしますが、なぜ1カ月分ずつしか助成できないのか、理由を伺います。
◎引地
学校教育部長 複数月の定期券の引きかえは可能とならないのかというご質問かと思います。
平成14年4月に、それまでの一部助成から全額助成に変更した際に引きかえ券方式を導入しておりまして、この引きかえ券方式は助成対象を1カ月定期券に限定しております。その理由といたしましては、当時の磁気方式の定期券は、再発行ができず、定期券使用中に転居した場合や定期券を紛失した場合、自己負担によって改めて定期券を購入する必要があったことから、紛失等があっても自己負担が少ない1カ月定期券に限定したものでございます。また、交通事業者は、この発行方法をもとに定期券発行システムを構築しておりますことから、複数月の定期券を発行することができるようにするためにはシステムを改修する必要がございまして、交通事業者からは対応が難しい旨を伺っております。
◆太田秀子 委員 以前は再発行できなくて自己負担になるので1カ月にした、でも、今はそうではないということです。それから、バス会社のシステムだと伺いましたが、それは、バス会社が業務上行っているバス会社のシステムです。本市として、遠距離通学をせざるを得ない子どもや保護者の声に応えるのではなくて、バス会社の代弁者のように聞こえます。
協定書によりますと、本市は、バス会社に、助成購入書を添付の上、1カ月分の発行定期券の助成割引額を請求してくださいという内容で協定を結んでいます。協定は、4月から翌年3月までの1年間、協定を終了させる意思表示がないときは、順次、延長することになっています。例えば、この協定書の1カ月分を3カ月分にしたことで、お互いに不利益はあるでしょうか。1年ごとの更新に合わせて変更は検討できるのではないでしょうか。
先ほどの話では、落としても心配はもうない、ただ、バス会社のシステムの改修にお金がかかるのだ、難しいと言われたというご答弁でしたが、本市の決意があれば実現可能ではないですか。検討すべきだと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎引地
学校教育部長 事業者のシステムのことに加えまして、先ほど紛失の危険性等のお話もさせていただきましたが、今後、複数月定期券を購入する場合に立てかえ額が多額になる問題も含めまして、私どもとして保護者や子どもの負担軽減に向けた工夫や改善が何かできないかどうか、検討してまいりたいというふうに考えております。
◆太田秀子 委員 できると思うのです。ぜひ、急いで検討してください。
通学定期の助成は、保護者の希望を聞いて、まとめて交換できるように改善していただくことを検討してみるとおっしゃっていただきましたので、ぜひ改善していただくことを求めて、私からの質問を終わります。
◆村山拓司 委員 私から、進路指導及び生徒に対する指導についてご質問させていただきます。
昨年12月8日に、広島県府中町の町立府中緑ヶ丘中学校で、高校の推薦受験にかかわる進路指導を受けた後に生徒が自殺したという大変痛ましい事件があったとの報道がされております。
報道で知る限りではありますが、この事件は、中学校1年生のときの問題行動に関して、学校側の誤った記録に基づき、推薦の基準に至らないとの判断を行ったことが原因だと思われるとのことであります。誤った記録をもとにすることが不適切であることは言うまでもありませんが、これに加えて、今回は、進路指導の時間が十分に確保されておらず、廊下などでの立ち話のような形で面談が進められていたようです。保護者にとってはもちろんのこと、生徒の重要な進路を選択する時期に、そもそも廊下で立ち話をするような進路指導が行われていたということに対し、大変大きな驚きを感じているとともに、残念に思っているところであります。進路指導は、生徒にとって将来を左右すると言っても過言ではない大変重要なものであり、慎重に行われるべきであると、今回の問題を通して改めて認識を強くしているところであります。
そこで、質問ですが、札幌市の各学校における進路指導の実態についてお伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 各学校における進路指導の実態についてお答えいたします。
各学校におきましては、生徒が将来の進路に関心を持ち、目的意識を持って進学先や職業を選択、決定する力を育むことなどを目標に、中学校1年生から発達の段階に応じた進路指導を実施しております。特に、中学3年生においては、4月当初から進路に関する生徒の思いや願いを捉えるとともに、進路相談を繰り返したり、進路説明会や三者懇談を通じて保護者と情報を共有したりしながら、適切な進路選択となるよう努めております。また、推薦受験を希望する生徒につきましては、保護者の意向や本人の希望動機などを十分確認し、関係する教員で構成する校内推薦委員会において学習や生活の様子などをもとに総合的に検討を重ねており、最終的には、校長がその検討結果を踏まえ、推薦の判断を行っているところでございます。
◆村山拓司 委員 札幌市の各学校における進路指導について、生徒の将来を見据えて丁寧に取り組んでいることは理解しました。
しかしながら、各学校での取り組みについては、学校だけの判断や努力に任せるのではなく、
教育委員会としても、取り組み方法について方針を定めたり、情報提供などを行ったりした上で、計画的で確実な指導を進めていくことが大切なのではないかと考えます。
そこで、続けて質問ですが、各学校の進路指導が適切に行われるよう、札幌市としてどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 札幌市の進路指導の取り組みについてお答えいたします。
教育委員会では、教員向けの進路指導の手引を発行いたしまして、生徒一人一人に寄り添って計画的に進路指導を行うことや、教師間の情報共有の大切さなどについて啓発し、各中学校における進路指導の充実を図ってまいりました。また、各中学校の進路担当教員で組織する協議会と
教育委員会が連携しながら、校内体制づくりや教育相談の工夫などについて情報交流や研修の場を設けるなど、各学校における進路指導が適正に行なわれるように努めてまいりました。
今後とも、生徒一人一人の夢や目標が実現されるよう、丁寧な進路指導の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆村山拓司 委員 今回の広島県の事例については、今後、問題点が検証されていくことと思います。
また、昨年10月に、札幌市内の道立高校で、高校3年生の生徒が同級生の携帯電話を盗んだとの疑いをかけられ、教諭に事情を聞かれるうちに失踪し、遺体で見つかったとの報道がありました。道立高校で起きた事例とはいえ、私たちの住むこの札幌でも似たような事件が現に起きているわけであります。
中学3年生や高校3年生というのは、次のステージへ進むことに対する期待や不安があり、感情的にも不安定な時期だと思います。進路指導だけではなく、生徒に対する教員の指導という観点から見ると、生徒と教師との間に良好なコミュニケーションや信頼関係がとれているかなど、各学校レベルで問題が起きていてもまだ
教育委員会側で把握できていない点もあるのではないかと思います。
進路指導や生徒に対する指導のあり方について改めて検討していただくことを求め、私の質問を終わります。
◆小川直人 委員 私から、学校教育における法教育の充実について、昨今の社会情勢が変化する中においても
子どもたちがたくましく生き抜いていくために、提言を含めて質問させていただきます。
まず、本日、議論させていただく法教育は、過去に本市議会の中でも議論されてきているところですが、法教育についての定義といたしまして、法務省の法教育研究会の報告書によりますと、法曹養成のための法教育とは異なり、法律の専門家ではない一般の人々が法や司法制度の基礎になっている価値を理解し、法的な物の考え方を身につけるための教育を特に意味するものであり、法律の条文や制度を学び覚える知識型の教育ではなく、社会に参加することの重要性を意識づける社会参加型の教育であることが特色となっておりまして、昨今、この教育の重要性がますます高まってきております。
その背景として、1990年以降、行政改革や規制緩和など一連の改革が進められ、事前規制型から事後監視・救済型に移行されてきました。この改革によりまして、国民が自由に活動できる範囲が広がる一方で、自由な活動からさまざまな紛争が生じる可能性が指摘され、また、グローバル化の進展に伴い、さまざまな文化的背景や価値観を持った人々の間で交渉が日常化していることにより、今まで以上に透明なルールによる紛争解決が求められるようになりました。さらに、平成21年5月から導入された裁判員制度によりまして、国民一人一人が法や司法の役割を認識し、適正に問題の解決を図ることや、司法に能動的に参加していく心構えを身につけることが重要になってきております。
一方、
子どもたちの中では、インターネットや携帯電話、スマートフォンの普及などさまざまなものの低年齢化が進んできており、トラブルに巻き込まれるケースも報告されております。これらの普及に伴い、
子どもたちにも早い段階からインターネット上での商取引、著作権や人権に関する法的な約束事を教える必要があると考えております。
また、既にご承知のとおり、選挙権年齢が18歳に引き下げられ、本年7月の参議院選挙から18歳以上の高校生は選挙運動ができるようになりますが、公職選挙法を理解していないために選挙違反を犯してしまうことになりかねない事態を懸念しているところであります。
このように若者がこれまで以上に社会参加が可能となる状況がある中で、トラブルを抱える可能性もふえてきていることから、若者が法について理解する必要性がますます大きくなってきております。学校教育において、法教育を行うことへの期待がますます高まってきていると認識しているところであります。
そこで、質問ですが、札幌市における法教育の認識とこれまでの取り組みについてお伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 札幌市における法教育の認識とこれまでの取り組みについてお答えいたします。
裁判員制度など司法制度改革が進む中、学校教育においては、社会の一員として、法や決まりに基づき、よりよい社会の形成に主体的にかかわろうとする態度等を育成するため、法教育を一層充実させることは重要であるというふうに認識しております。
札幌市では、平成17年度から5年間、裁判所、検察庁、弁護士会と教員、
教育委員会の連携による法教育に関する実践研究を実施してまいりました。この実践研究では、模擬裁判やマンションのルールづくりなど法に関する体験的な学習の進め方について、裁判官などの法律の専門家も交えて検討するとともに、実際に検察官や弁護士が講師となる授業を行いまして、その教育的効果について検証してきました。その成果は指導資料集にまとめ、全ての市立学校教員に配付するとともに、弁護士等を講師とした研修会も行いまして法教育の充実に努めてきたところでございます。
◆小川直人 委員 ただいまの答弁で、札幌市として、法教育に対し、一層充実させることが重要であるという認識が示されまして、実践研究を実施しながら法教育の充実に努めてきたと答弁がありました。
しかし、札幌市における法教育に関する体験的な学習につきましては、裁判所の傍聴や弁護士を学校へ招いて授業を行っている中学校は数校にとどまっておりまして、札幌地方裁判所では、裁判官が学校に出向いて行う出前授業の取り組みを行っていますが、授業時間の捻出が難しいことや、弁護士の学校派遣については費用の課題があるなど、中学校における法教育にかかわる外部人材の活用が思うように進んでいないのが現状であると伺っているところであります。
このような中、北海道行政書士会では、12月6日に北海道、札幌市
教育委員会が後援となって法教育セミナーを開催するなど、学校教育における法教育を支援することについて検討されていると伺っております。
東京都行政書士会では、既に行政書士による法教育の取り組みが進められておりまして、私も、去る2月13日に東京都町田市の小学校で行われた行政書士による法教育の授業を視察してまいりました。その授業では、
子どもたちが自分たちで書いてみたペットボトルのラベルと本物のラベルを比較する活動から、ペットボトルのラベルには、消費者が安心して商品を購入することができるよう、さまざまな情報が書かれていることについて学習していました。さらに、
子どもたちは、ラベルに記載すべきことは法律で定められていることを知り、法律は自分たちを守ってくれるものだというふうに感じていたようであります。
北海道行政書士会では、法教育を支援するに当たり、売買契約やインターネット、自然環境、自転車の決まりなど、子どもや若者たちにとって身近な問題をテーマとして設定する予定と伺っております。私は、さまざまな分野の法の専門家でおられる行政書士の方々が、具体的な事例をもとに、
子どもたちに、法は守るものだということだけではなく、法によって守られていることについても伝えるなど、法をもっと身近に感じてもらえるような授業を行うことは大変意義のあることだというふうに考えております。
そこで、質問ですが、行政書士会と連携した法教育の取り組みのご認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。
◎引地
学校教育部長 行政書士会と連携した取り組みの認識と今後の取り組みについてお答えいたします。
子どもたちが実際の事象に触れたり専門家の話を聞いたりすることは、本物に触れることによって実感を伴った理解を深めるとともに、興味・関心や学ぶ意欲を高める上で大変有効であるというふうに考えております。さまざまな分野の法の専門家でございます行政書士の方々が
子どもたちに直接お話しいただくことによりまして、
子どもたちが、身近に存在する法や決まりに気づいたり、その価値を再認識したりする中で、より実感を持って法に接することができることにつながるものと認識しております。
教育委員会といたしましては、今後、北海道行政書士会と連携を図りながら、モデル校において行政書士の方々による法教育の授業を実施し、効果的な法教育のあり方について研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆小川直人 委員 ただいま、法の専門家の話を聞くことは有効な学習活動であり、
教育委員会としても、今後、モデル校を設定し、北海道行政書士会と連携を図りながら法教育の授業を実施してまいりたいという前向きな答弁がありましたので、質問はこれまでといたしますが、法教育の推進に向けた私の考え方をもう少し述べさせていただきたいと思います。
行政書士の方々の法教育に向けた熱意は、いろいろお話を聞きながら、私も強く感じているところですが、行政書士は、ふだん、子どもと接する機会が少ない状況でありまして、講師として、先生として
子どもたちに教えることは大変なご苦労があるのだろうと思っているところであります。
私が見せていただきました東京都町田市の小学校の授業のときに、東京の行政書士の皆さんからお話を聞くことができましたが、先生方は、開口一番、授業に向かうときはプレッシャーと緊張感を相当感じるということでした。このように、外部の人材を学校に招いて効果的に活用するためには、
教育委員会や学校が講師の方々と事前の打ち合わせを綿密に行うなど、しっかりとした協力体制を構築することが必要であると考えております。今後、北海道行政書士会と連携を深めながら、効果的な教育方法の取り組みを進めていただきたいと思います。
また、私は、社会で活躍しているさまざまな方が
子どもたちに生の社会の様子を交えながらお話しする学習は、子どもの成長にとって大変有効であるというふうに日ごろから考えております。私自身、本年1月27日に、ライオンズクラブの会員の一員として、真栄小学校で仕事を紹介する授業に参加してまいりました。私はこういう立場ですので、どうやったら議員になれるか、たすきとのぼりを持って、実演を交えながら
子どもたちに私の仕事を紹介したわけであります。
子どもたちには大変興味深く授業を受けていただきまして、学校の先生からも、
子どもたちが実際に社会の中で働く人に直接触れ、話を聞く機会は、先生の授業では得られないものが得られ、将来の仕事の動機づけにもなり、大変有意義であったという評価もいただいたところであります。
さらに、法律の専門家の協力のもと、学校で法教育を行うことは、教員のサポート、バックアップにもつながると思っておりまして、先ほどの議論にもありましたが、学校の教育現場の負担軽減にもつながっていく可能性があるのではないかと思っております。
改正されました教育基本法、学校教育法の根底に流れる精神は、
子どもたちが生きる力を育むことにあると思います。まさに、社会をたくましく生き抜く重要な要素の一つが法教育であると思いますし、推進していくことは喫緊の課題だと思っております。今後、行政書士会だけではなく、司法書士会など、さまざまな法の専門家、いわゆる士業と言われる方々の連携も視野に入れながら法教育の一層の充実を図っていっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
◆前川隆史 委員 私からは、1点目は(仮称)絵本図書館について、2点目は第3次札幌市生涯学習推進構想策定について、順次、お伺いいたします。
それでは、(仮称)絵本図書館についてお伺いいたします。
これまでの委員会でも何度か紹介させていただいておりますが、白石区は、札幌市におけるブックスタートの発祥の地でございます。読み聞かせボランティアの皆さんが熱心に活動されておりまして、絵本図書館の開館がいよいよ本年となり、その日が待ち遠しいと大変に期待感が高まっているところでございます。
絵本図書館は、昨年11月に策定されましたさっぽろっこ読書プランで、乳幼児の読書活動推進の中核的な役割を担う図書館として位置づけられております。これまでの委員会の質疑で、絵本図書館ならではの事業として、幼稚園や保育所などによる団体の利用、あるいは、年齢に応じたお話し会、また、デジタル絵本の提供などの事業が展開されると伺ってきたところでございます。私は、
子どもたちが読書に親しむためには、きっかけづくりに加えて、何度も絵本図書館に足を運びたくなるように、読書を継続していくための仕掛けも必要なのではないかと考えております。また、このような多くの新しい事業を円滑に運営していくためには、やはり、ボランティアの皆さんの活動が欠かせないのではないかとも思っているところでございます。
そこで、質問ですが、乳幼児の読書活動推進のため、(仮称)絵本図書館ではどのような事業に取り組んでいくのか、またあわせて、ボランティアの活動の支援や連携についてどのように取り組まれていく予定なのか、お伺いいたします。
◎千葉 中央図書館長 乳幼児の読書活動の推進に係る事業の取り組み、あわせまして、ボランティアの活動の支援と連携についてお答えいたします。
1点目の乳幼児の読書活動推進に係る取り組みについてでございます。
これまで、図書館では、乳幼児の読書のきっかけづくりに重点を置いて、図書館デビューを初めとする普及事業を実施してきました。(仮称)絵本図書館では、これらの事業を継承、充実させていきたいと考えておりますが、さらに、子どもの発達段階に応じて自主的に読書をしていく習慣が身につくよう、家族など身近な方々と一緒に楽しみながら読書を継続していけるような取り組みが必要だと考えております。
こうした新しい取り組みにつきまして、国内外の事例などを調査しまして、より魅力的な内容になるよう、ただいま調整しているところでございます。今後、一層、関係団体や企業などの協力も得ながら、社会全体で乳幼児の読書活動を推進する事業に育てていきたいと考えております。
2点目のボランティア活動の支援と連携についてでございます。
(仮称)絵本図書館基本計画におきまして、ボランティア活動の支援と連携は重要な取り組みとして掲げております。個人でボランティアに関心のある方には、養成講座などの機会を設けまして、例えば、絵本の修理や整理、室内の装飾や行事といった図書館運営にかかわるボランティア活動に取り組んでいただくことを考えております。また、現在、各図書館等で読み聞かせなどをされているボランティア団体には、絵本図書館におきましても活動の機会を設けてまいりたいと考えております。さらに、こうしたボランティアの皆さんが集い、交流する機会を提供することで、絵本図書館とのさらなる連携につなげていきたいと考えているところでございます。
◆前川隆史 委員 絵本にも
子どもたちにも最も触れてきているのがボランティアの皆さんであると思いますので、どうか、ボランティアの皆さんのお力をおかりして事業の活性化につなげていただきたいと思います。
また、私の周りには、点字による絵本の製作を行っている皆さんも多くいらっしゃいますが、ことしの4月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、通称障害者差別解消法が施行されます。障がいのある
子どもたちにも絵本図書館で本に親しむ機会を持っていただきたいと願うところでございます。
そこで、早速、質問ですが、絵本図書館では、障がいのある
子どもたちが読書を楽しむためにどのような取り組みをしていこうとお考えか、お伺いいたします。
◎千葉 中央図書館長 障がいのある
子どもたちへの取り組みについてでございます。
全ての子どもが絵本を楽しむ環境を整えることは、大変重要だと考えております。資料としては、布の絵本、拡大写本、デジタル絵本などを収集するとともに、タブレット端末を貸し出し、音声つきの電子書籍も利用できるようにするほか、手話によるお話し会などを実施していきたいと考えております。布の絵本や拡大写本を製作するなど、障がいのある
子どもたちに対する読書サービスの豊富な実績を持っており、私設の図書館を運営しているふきのとう文庫などとの連携も図ってまいりたいと考えております。
このような取り組みに加えまして、特別支援学校・学級の団体利用の受け入れを行うなど、障がいのある
子どもたちの利用につながるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 民間の力もかりながら、障がいの有無にかかわらず、
子どもたちの心を育むために絵本が活用される環境づくりをお願いしたいと思います。
続きまして、第3次生涯学習推進構想策定に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
先ほど小竹委員も触れておられましたが、我が会派では、これまで、義務教育未修了者や学び直しを希望する既卒者に対して、義務教育機会を保障する必要性や、学びこそが豊かな人生を生き抜くために最も優先されるものであるといった信念から、できるだけ早く
公立夜間中学校を設置すべきであると訴え続けてまいりました。道外の
公立夜間中学校や札幌の
自主夜間中学である札幌遠友塾に通う生徒の声を聞きますと、学ぶこと自体に喜びを感じ、それを生きる糧にしていることがひしひしと伝わってまいります。
そして、先週金曜日、3月11日、国会で大きな動きがございました。素案ではございますが、超党派の議員連盟による議員立法として、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案が示されました。その法律案を見てみますと、地方公共団体は、夜間において授業を行う学校における就学の機会の提供を講ずる、またさらに、政府は、速やかに必要な経済的支援のあり方について検討し、必要な措置を講ずる、このようにもございました。議員連盟の意向としては、今国会で法案を成立させて、この夏の7月には施行させたいとかなりのスピード感で準備を急いでいるとのことでもございました。
誰もが生涯にわたってひとしく学び、活躍することのできる社会の実現へ、今、多くの関係者が汗を流しております。そして、本市においては、このほど、平成28年度予算案に第3次札幌市生涯学習推進構想策定のための予算が計上されているところでございます。
そこで、質問でございます。
構想の策定に向け、現在どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 第3次構想の策定に向けた取り組みについてでございます。
現在の2次構想は、平成19年度からおおむね10年間の札幌市の生涯学習推進の指針として策定され、平成28年度に計画期間の最終年度を迎えることとなります。そのため、3次構想につきましては、28年度中の策定に向け、2次構想の総括、基本的方向性や施策体系の構築、素案の作成、パブリックコメント等、議会報告とあわせまして、多くの作業を遅滞なく進めていく予定でございます。
今年度は、2次構想関連事業の実施成果の検証のため、各部局に照会を行ったほか、市政世論調査におきまして生涯学習に関する質問項目を設け、市民ニーズの把握に努めたところでございます。現在、これらの結果を踏まえまして、札幌市の附属機関である社会
教育委員会議において、2次構想の成果と課題を検証しているところでございます。
◆前川隆史 委員 現在、市政世論調査等で市民ニーズ把握し、それを踏まえながら2次構想の検証を行っているというご答弁でございました。
先ほどの答弁にございました市政世論調査を私も拝見させていただきましたが、生涯学習への取り組みをしていない市民は若干減少したものの、依然として約4割という結果になっております。また、現在の学習環境に満足していますかという問いについては、満足していないとの回答が平成22年度の約26%から約39%へと非常にふえております。
そこで、質問ですが、今回の市政世論調査を受けて、生涯学習推進の観点からどのように評価、課題を認識しているのか、お伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 市政世論調査は、生涯学習についての市民の意識や関心、要望などを把握するため、19項目にわたって実施したものでございます。
この調査では、図書館などの公共施設が生涯学習支援の重要な役割を果たすことや、情報を入手する手段として今日でも紙媒体や口コミが有効であることなど、今後さまざまな施策を検討する上で非常に参考となる種々の事柄が明らかとなりました。また、委員がご指摘の生涯学習への取り組みや現在の学習環境の満足度などの結果につきましても、学習の継続性という観点から、今後の課題であると認識してございます。さらに、現在の学習環境に満足していない理由として、身近な地域に学習や活動できる場所が少ないという回答が前回調査から増加しており、そうした場の充実につきましても課題の一つと認識しているところでございます。
◆前川隆史 委員 この調査結果、つまり市民の声に市民の心を感じながら、市民感覚あふれる分析、計画の策定をお願いしたいと思います。
3次構想の策定に向け、来年度から作業が本格化するとのことでございましたが、私たちが暮らす地域に目を向けてみますと、急速に進む少子高齢化等により、退職された方などの活躍の場をどうしていくのか、また、単身高齢者の見守り、そういった取り組みの担い手となる現役世代の負担増など、地域社会にはさまざまな課題がございます。生涯学習といいますと、最初にお話しさせていただいた夜間中学などの学び直しも非常に重要でございます。一方で、学びの機会を通じて、例えば高齢者同士のつながりができる、深まっていくといった視点も大変に重要だと思います。私は、高齢者同士のきずな、友情の深まりが、今後、超高齢化を迎える地域社会にあって非常に大事なポイントになってくるのではないかと感じております。
そこで、質問ですが、3次構想の策定に向け、どのような視点、ポイントが重要であるとお考えか、お伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 3次構想策定に向けた視点についてでございます。
札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015では、誰もが生涯現役で活躍できる街という政策目標が掲げられております。今回の3次構想策定については、この政策目標の達成に向けた主要事業となっておりまして、アクションプランにうたわれている高齢者の社会参画や地域におけるきずなづくりは重要な視点の一つと考えてございます。また、先ほど申し上げた身近な地域における学習や活動できる場の充実につきましても、市民ニーズが高く、十分に配慮しなければならない視点と考えているところでございます。
これらの視点も含めまして、生涯学習を取り巻く現状と課題をしっかり検証し、時代の変化に対応した新たな構想の策定に努めてまいりたいと考えてございます。
◆前川隆史 委員 人口減少・少子高齢化時代において、地域社会を支えていく人づくりをどうやって進めていくのかが大きな課題でございます。そういった課題に生涯学習としてどう寄与していくのか、そういった視点から構想の策定をお願いしたいと思います。
最後に、提案ですが、夢のような話だと言われるかもしれませんけれども、あえて批判を恐れずに申し上げます。
きょう議論した内容を踏まえて、結論から申し上げますと、小・中学校の空き教室などを利用して、例えば、65歳を過ぎたら、もう一度入学して1年生から学ぶ、月に1度でも2週間に1回でもいいです。もちろん義務教育になるわけではありませんが、よくある市民の集まりや老人クラブ等から一歩進んで、もう一度、まさかの学生に戻って、ぴかぴかの1年生として入学して学ぶ、そういった事業をご検討いただきたいというふうに思います。
そして、高齢者ならではのさまざまなカリキュラムや地域貢献活動を通して、いわば高齢者と現役世代の縦のつながりとともに、高齢者同士の横のつながり、ずばり、友情を深めて支え合う地域社会を目指す、これは、私自身が札幌遠友塾で授業を受けさせていただいたときに、自分自身の気持ちとしても、また、そこで学ぶ高齢者の生き生きとした姿や友情を育んでいる姿を見て思い至ったことでございます。特区でもいいし、例えば希望する単位町内会でもいいので、試験的にでもチャレンジしてほしいと思っております。
第3次生涯学習推進構想策定に当たっては、少子高齢社会に対応した学びと人生について、札幌市が提案する新しい生き方のスタイルをつくるのだというくらいの使命感と熱い情熱を持って策定に当たっていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○飯島弘之 委員長 ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後0時
再 開 午後1時
――――――――――――――
○飯島弘之 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆宗形雅俊 委員 私から、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015にあります高等学校等生徒通学交通費助成事業についてお伺いしたいと思います。
まず、通学定期の交通費助成について、背景を少し述べていきたいと思います。
札幌駅から定山渓に向かう230号線を走るバス路線は、一部、対キロ区間があり、例えば、札幌駅からあいの里に行く同じ距離のバスと比べても、230号線のバス料金は倍以上かかります。つまり、同じ札幌市民でありながらバス路線によってバス料金が大きく違うので、この地域課題を解決していこうということで、南区の石山から定山渓にかけて定山渓沿線町内会連絡協議会というものがございますが、平成10年くらいからバス料金の格差是正の活動がございました。そして、平成13年に、当時の桂市長にも要望書を出し、また、最近では、私の記憶ですと、平成25年10月25日に当時の上田市長にもこの是正に向けて何とか努力していただきたいと要望しました。
これは、当時、札幌市営バスが走っていたところを民間事業者に委託しましたが、230号線を走っているバスは、その前から民間事業者によって運行されているということもありまして、料金設定等々の歴史的背景もあったのだろうと理解しております。ただ、昨今の人口減少の中、南区の人口が相当減ってきていまして、20年後の平成47年には平成22年と比べて減少率が27%ぐらいになるということで、10区の中では人口が大きく減っていくことが課題になっております。そういう中で、新たに住居を求めるときに、通勤・通学の利便性を考えたら、例えば、高校に通わせるにしても通学のバス料金が高いために、それが住まない理由になってしまっています。中には、高校生のお子さんを抱えて、交通費がかかるのでそこから転出してしまった事例もございました。そういう背景の中で、平成25年10月25日に、沿線の代表者が是正に向けて取り組んでくれと要望したところ、当時の上田市長から、まずは高校生の通学定期から取り組んでいきたいとその場でお話がございました。その後、この問題につきましては、市民まちづくり局の総合交通計画部の中でいろいろな調査をしながら、学校ということですから、その後、
教育委員会に移管され、今回のまちづくり戦略ビジョンの中に入ってきたという経緯だったと思います。
このことについては、当然、バス料金という根本的な問題がありますが、通学定期の助成事業がアクションプランに掲げられたことは、きょうもここにおります堀川議員や岩崎議員、わたなべ議員も、大きな一歩を踏み出したのではないかと地元の町内会に報告できたこともあって、私どももこの問題については評価したいと思っているところでございます。
ただ、先ほど言いましたように、根本的には、通学定期だけではなく、バス料金の格差を何とかしたいと思いますが、この場は
教育委員会の所管でございますので、その問題については別なステージの中でまたお話をしていきたいと思います。
そこで、この件につきましては、昨年の
決算特別委員会で、民主党の岩崎委員からも、事業の内容や基準額等の質問があったところです。その際、事業内容は、札幌市内に居住し、公共交通機関を利用して石狩管内の高等学校などに通う生徒に、通学に要する交通費のうち、基準額を超える2分の1を助成するもので、基準額は1カ月1万3,000円を想定しているという説明がございました。高校生の授業料に関しては、国において高等学校等就学支援金制度が整備され、保護者の所得に応じたきめ細かい対応が可能になったものの、高校生の通学範囲は、札幌市にとどまらず、石狩管内にも広がっており、遠距離にある学校に進学したいけれども、通学費が経済的な負担となって諦めざるを得ないという声も聞いております。通学費の家計への負担については、依然として大きな課題が残っていると認識しているところでございます。
このような中、一部助成とはいえ、札幌市が独自施策として通学定期助成を行うことは、先ほど申しましたように一つの前進と捉えております。特に、国公立高校に限らず、私立高校への通学も助成対象に含めていることについては、保護者の家計負担の公私間格差の解消に寄与するものと評価する次第でもあります。
そこで、二つ質問したいと思います。
まず、一昨年、市民まちづくり局で通学定期の負担調査をしていると思いますが、その際の調査では、定期券の負担額の分布について、一番多い額は幾らなのか、また、定期券負担の平均金額は幾らなのか、さらに、今回の助成対象の割合はどの程度になるのか、お伺いします。
また、基準額1万3,000円は、地下鉄と対キロ区間を除くバスを乗り継いだ場合における1カ月の通学定期券の最高額1万3,690円を踏まえて設定したということでございますが、そもそも基準額を1万3,000円に置いた理由、その合理的な根拠をお示し願いたいと思います。
◎引地
学校教育部長 定期券の最多価格帯、平均額、対象者の割合及び助成基準額についてお答えいたします。
平成26年に市民まちづくり局総合交通計画部が平成23年度から25年度までの札幌市立中学校卒業生の進学先を調査し、石狩管内の高校への通学費用について試算したものがございます。それによりますと、利用が最も多い1カ月当たりの価格帯は6,000円から7,000円の範囲でございまして、全体の約33%を占めております。また、利用額の平均は約8,800円、基準額1万3,000円を超える対象者の割合は約12%となっております。
次に、助成基準額を1万3,000円に設定したことにつきましては、自宅から札幌市内の高校等へ通う場合、均一料金区間のバス1本と地下鉄を乗り継げば大方は通学でき、この場合の1カ月通学定期券の最高額が1万3,690円であることから、1万3,000円を超える部分が負担の大きいところと判断いたしました。
◆宗形雅俊 委員 基準額については、後ほどお話ししたいと思います。
次に、助成額は、基準額を超えた半額という制度設計であります。その理由は、限られた財源の中、通学交通費の負担が大きい高校生を中心に少しでも多くの高校生に配慮したものであるとしております。
今、人口減少、少子化の進行で、子育て世代が住居を求めるときには、先ほどもお話ししましたように、住環境、子育て環境のよさ、通勤・通学の利便性の高い地域に集中する傾向がございます。ただ、片方で、各区の地域においては、世代間バランスの居住を念頭に置かなければならないのではないかと私は考えております。その意味で、低年齢の子育て支援も大変重要なことでございますが、継続した子育て支援、子ども、若者を社会全体で育成、そして支援する環境づくりを施策の方向性としているのであれば、半額助成ではなく、全額助成にしていくべきではないかと思っております。
そこで、質問ですが、制度設計は対象が5,400人程度でございます。ただ、少子化を踏まえますと、対象人数をどう予測していくのか、そして、必要額がどのようになるのか、今後の推移をお伺いいたします。
また、アクションプランでは平成30年度から開始となっておりますが、なるべく早くに前倒しできないものかということもございます。今回、アクションプランで打ち出しておりますが、来年度からできない理由は何なのか、あわせてお示し願いたいと思います。
◎引地
学校教育部長 今後数年間の見込み及び助成開始時期についてお答えいたします。
本市における中学校卒業者数の今後の推計をもとに積算いたしますと、助成開始年度の10年後である平成40年度における助成対象者数は約5,300人、助成費用は約8,700万円となり、助成開始時に比べて約3%減少することが見込まれております。
助成開始が平成30年度になる理由につきましては、5,000人を超える助成対象者の情報管理や助成金支給処理を行うため、情報システムを構築する必要がございます。また、高校入学を控える中学生に対しまして、進学先の検討を始める高校入学の1年ほど前に制度の周知を行う必要もあると考えております。制度詳細の決定、情報システムの構築を経て、平成29年度のなるべく早い時期に制度を周知し、平成30年度からの助成開始を目指していきたいと考えております。
◆宗形雅俊 委員 3%くらい減少していくことと、1年前くらいから制度を周知しながらということでした。
ただ、こういったことは受益者にすればプラスの話ですから、当然、周知は必要でしょうけれども、途中からこういう制度が始まったということであれば、喜ぶ人はいても、批判する人はいないと思うのですよ。
この間も、意見交換をしていると、制度の詳細の決定や情報システムの構築ということですが、情報システムの構築はそんなにかかるのかなと思います。素人感覚でいきますと、エクセルを駆使して5,000人分くらいの住所を入力して、そこに定期券の金額を入れれば、当然、2分の1援助ということで出てくると思います。また、援助ですから、銀行も絡むと思いますが、銀行に出すような名簿づくりということであれば、システム構築と言ってもそんなに難しくないと思っています。当然、それはどこかに外注すると思います。実は、先週、情報システム課に確認しましたら、条件によって変わるということで、どれくらいかかるという正確な返事はいただけませんでしたが、そんなにかからないのではないでしょうかという話でございました。そういう意味では、もうアクションプラン2015に掲げているわけですから、早急にやっていただきたいと思います。
それから、周知についても同時並行でできると思います。例えば、1年前ということであれば、来年度に向けてやっていって、その間にシステムを構築していけば、平成30年度ではなくて平成29年度でも行けると思います。
そこで、情報システムの構築について、具体的なスケジュールはどうなっているのか、改めてお聞きします。
◎引地
学校教育部長 助成開始までの作業スケジュール等につきましてお答えいたします。
申請方法や助成金の支払い方法、保護者、学生への周知方法、さらには事務の進め方などを決めていくに当たりまして、今回、私立や道立も含めた関係校との協議等も必要になりますことから、これら制度の詳細については、平成28年度中を目途に決めていく予定でございます。その後、助成対象者や金融機関情報等の管理などを行うための情報システムを関係機関と調整の上で構築してまいりたいと考えております。情報システムの構築には、半年から1年程度の期間を要する見込みと捉えております。
◆宗形雅俊 委員 1年くらいかかるということですし、いろいろな関係機関の調整をしているということでございます。
例えば、市内、石狩管内にある私立高校では、4月にはPTA連合会の各種総会があります。ということは、その前に打ち合わせをして、4月にはそのPTAを通じて伝えるようにするなど、実は、私学のPTAの方々はアクションプランに素早く反応していまして、ぜひ実施を前倒していただきたいということで、昨年の予算要望の中にも入っていたのではないかと思います。それから、システム構築に半年から1年ということであれば、もうスタートして同時進行すれば、行けない話ではないと思っております。
後ほど副市長にもお話を聞きたいと思いますが、いわゆる腹を決めるかどうかではないのかと思っています。要するに、できない理由ではなくて、やるのだという決意があれば、当然それに向かっていくということではないでしょうか。アクションプランで平成30年度と出しているから、それに合わせていきましょうということだと思いますが、やはりこういった問題は早くやったほうがいいです。ことし入学される高校1年生とはいかないかもしれませんが、来年度となれば、新しく中学3年生になられる方の進路選択幅が広がっていく可能性もありますし、
子どもたちの将来に向けていろいろな可能性が見つけられるのではないかと思うところでございます。
先ほど言いましたように、通学定期助成事業に一歩踏み出したことは評価しています。ただ、これは、あくまでも第一歩ということでございます。それから、10年後には費用が3%程度減少になる見込みということでございます。今後、本市の人口減少が進行すると費用負担は減少していくことになります。子育て世帯をさまざまな形でバックアップして、少子化、人口減少に歯どめをかけていかなければなりません。それから、各区における世代間バランスを保った居住という考え方の堅持などを考えていきますと、財政資源を投入するのは理にかなった方策ではないかと思っております。
そこで、先ほど地下鉄とバスを利用したときの最大が1万3,690円だということですが、これは計算根拠であります。私は、先ほど決めた基準の合理的な根拠は何ですかと聞きました。1万3,000円になったのは計算根拠であって、基準の根拠ではないと思います。裏を返せば、基準はないと思います。どこに置くかだけだと思います。ですから、先ほど一番多い分布帯はどこですかと聞きましたが、それは6,000円から7,000円、それから、平均額が約8,800円ということでした。そこから考えますと、これは個人的な意見ですけれども、対象の人数はふえるかもしれませんが、1万円以上ぐらいから援助していってはどうなのかなと思います。
最高額を調査したときには、2万8,000円台が1家庭いらっしゃるのですね。それから、2万円を超えるのは70人から80人程度、1万円を超えるとなれば1万人くらいになるのかもしれません。先ほども言いましたように、そういったことを調整しながら、広く助成できるような格好になるのではないかと私は考えておりますが、財源という話になってきますと
教育委員会は市長部局に予算を求めていくわけでございます。
そこで、元教育長の町田副市長にお尋ねしたいと思いますが、段々のやりとりを聞いてどんな感想をお持ちなのかということと、今、制度設計において、全額を出したらどうだとか、開始時期を前倒しできないものなのかといったことを質問させていただきました。その点について、ぜひとも副市長のバックアップをお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。
◎町田 副市長 宗形委員がご指摘のとおり、子育て世代を応援する環境を社会全体で整えていく必要性は、札幌市の重点課題の一つであると強く認識しているところでございます。
人口減少に伴い、今後さらに財政状況が厳しくなることが予想される中にあっても、通学定期券助成事業を初めとして、必要とされる施策に対してはアクションプランにおいて重点的に資源を配分したところでございます。先ほど助成開始時期等々についてご質問がございまして、
学校教育部長からご答弁させていただきましたように、制度詳細の決定の後、情報システムを構築し、一定の周知期間の確保が必要となりますので、このような事情から、助成開始は平成30年以降になり、基準額は1万3,000円とお話し申し上げました。まずは着実に事業を開始し、効果の検証を行った上で、財政状況を踏まえながらではありますが、今後、必要に応じて制度の見直しを検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆宗形雅俊 委員 将来にちょっと含みを持たせていただいた答弁でした。
今までなかった制度ですから、先ほどから言っていますように、大変評価しております。また、この件につきましては、先ほど言いました南区の超党派の議員、ここにいる4名のほかに、二部にいる民主党の三宅議員、我が同僚であります小須田議員も同じ思いの中できょうの質問をさせていただきました。
そういった思いの中で、今後、議論しながら、財源なり早い時期に実施できるか、またどこかの機会でやりたいと思いますので、ひとつ努力をお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
◆長谷川衛 委員 私からは、教員採用検査について質問いたします。
毎年、数多くの教員志願者が正規教員として採用されることを目指しておりまして、例年でありますと6月に1次検査、8月には2次検査、10月には最終合格の発表があり、採用者は翌年4月1日から実際に学校現場で正規教員として実践することになるわけです。一方、合格できなかった受検者は、多くの場合、期限つき教員、または産休、育休などの代替教員になる場合が多く、学校現場で働きながら、次の年の採用検査に向けて準備していくことになるわけであります。しかし、教員の定数増もなかなか進まない現状の中で、合格者数もなかなかふえない、そして、期限つき教員の方々にとっては、なかなか正規教員になれない厳しい現状が続いております。
ただ、ここ最近は、このような厳しい状況にありましたが、昨年実施された教員採用検査の最終合格の結果を見てみますと、最終合格者数は、小学校では前年の109人から58人増加の167人、中学校では前年の60人から52人増加の112人となっており、前年と比較してかなり合格者数がふえたという印象を持っております。実際に、ここ5年くらいの採用合計数の推移を資料としていただきましたが、そういう資料を見ても最も多い合格者数となっています。実際には、学校現場で実践に当たっている正規教員の退職者数などによって、その年、その年の合格者数がかなり変化することは理解しております。それにしても、今回は合格者がかなりふえている感じがしました。
そこで、最初の質問ですけれども、今回、合格者数がかなりふえた背景、またはふやした背景でもいいですが、札幌市
教育委員会の考えを伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 教員採用検査の合格者をふやした背景についてでございます。
教員の採用に当たりましては、前年度の早い時期に、不確定な要素である定年外退職あるいは再任用の動向なども推計の上で採用計画を策定し、採用を行っております。一方、学校におきましては、必要な教員数というのは4月の児童生徒数が決まって初めて確定することから、全て正規教員を配置することは困難でありまして、一定程度の期限つき教員が必要な現状にございます。
そのような状況のもと、学校現場において、今後、さらに複雑化・多様化が予想される諸課題に柔軟に対応していくため、教員としての資質あるいは適性等を有する優秀な人材をできるだけ正規教員として採用したいと考え、今回、採用計画における推計等を見直し、合格者数をふやしたところでございます。今後につきましても、数年後までを見通した採用計画を策定し、正規教員を積極的に採用してまいりたいというふうに考えております。
◆長谷川衛 委員
教育委員会としても、正規採用をふやすための努力をしていることは一定程度理解できます。
ただ、なかなか難しい課題でもありますし、正規採用の教員がふえた一方で、期限つき採用者もそんなに減ってはいないという現実もあります。今回、合格者の中には、数多くの期限つき教員や産休、育休等々の代替教員が合格していると思いますが、一方で、学級担任を持っている、あるいは部活動の指導を行っていて、学校現場で一生懸命に頑張っているがゆえに採用試験に向けた勉強の時間がなかなかとれない、そんなことで不合格になっている期限つき教員などが結構いるのではないかと思っておりますし、この間も主張してまいりました。
学級担任や部活動をやりながら、家に帰ってからさらに採用検査に向けて勉強するというのは大変なことだと思いますし、現実に期限つき教員をやっている方々からそのような声を多く聞いています。特に、1次検査の教養検査については、範囲がとにかく広いです。私も経験しておりますし、皆さんも経験しているとおり、知識というのは、大学卒業後、次第に忘れていくものであります。採用検査への準備にはかなり時間がかかると思いますが、現実的には期限つき教員にはそのような時間をつくれないのです。
それならば、学級担任をやらなければいいのではないかとか、部活動の指導をやらなければという声もありますが、現実には、小学校では正規教員も期限つき教員もほとんどが担任を持たなければなりません。また、中学校の部活動も学校事情等で引き受けざるを得ない期限つき教員の方々がたくさんおります。
ただ、これは、札幌市だけの問題ではありません。全国的な問題でありまして、そのような状況において、他の政令都市の中には、一定程度の経験を持つ期限つき教員については、教員採用検査の1次試験の教養検査などの一部を免除しているというところもあります。例えば、川崎市では、臨時的任用教員で、勤務経験に一定の要件はもちろんありますけれども、1次試験のうち、一般教養、教職専門試験及び教科専門試験が免除され、1次試験は小論文と集団討論だけとなっています。また、広島市では、1次試験では教養試験などはなく、集団面接とグループワークだけとなっています。今、2市ほど例を挙げましたが、そのほかにもこのような都市は幾つかあります。
私は、2014年の1定の
予算特別委員会で、2017年度からのいわゆる県費移管を機に、期限つき教員の特別選考の導入など選考方法の見直しを求めましたが、
教育委員会からは、期限つき教員に係る選考方法の見直しについては、他都市の状況、見直しに伴う影響等を調査した上で検討していきたいという旨の答弁がありました。
そこで、質問ですが、札幌市においても、期限つき教員が受検する場合、他都市のように、採用検査の1次検査において、教養検査等の一部を免除する考えはないのか、改めて伺いたいと思います。
◎檜田
教職員担当部長 教養検査等の一部免除についてでございます。
札幌市では、採用検査の1次検査におきまして教員としての必要な知識と理解等、さらに、2次検査におきまして面接等を通して教員としての資質あるいは適性等、その人物を見きわめ、評価しているところでございます。
期限つき教員等に関しましては、学校現場から、その勤務実績から教員としての資質等を評価する声も聞いております。
しかしながら、採用検査の今後の実施のあり方につきましては、教員の志願者等の状況、あるいは、国の動向などに加え、採用検査の共同実施者である
北海道教育委員会とも協議が必要なことから、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
◆長谷川衛 委員 今、引き続きということでありましたが、私はなぜここにこだわるのかというと、期限つきというのは、あくまでも身分が不安定であります。正規採用とは全く違います。そういう不安定な中で、
子どもたちと日々接していかなければなりません。そして、期限つき教員と言いながら、日々、一生懸命頑張っている先生たちは、やはり、
子どもたちや保護者から大変信頼されている方が多いのです。しかし、信頼されていれば採用される、試験に受かるということになっていません。
中でも、私がもったいないなと思うのは、中学校は教科によって倍率の差が随分ありますから現実が厳しいのはわかるのですが、何年も何年も受けている中で、せっかく優秀な人間が挫折してしまいます。私にとっては、この人は教員に向いているな、こういう人こそ
子どもたちとずっと接してほしいなと思う人が、身分が不安定であるがゆえに、これ以上、期限つきのままはできない、どこかで見切りをつけないと将来が安定しないということでやめてしまうケースもあるのです。何人か見てきました。私は、もったいないなというふうに思っているのです。私はそういうところでこだわっているわけでありまして、決して1次試験をなくせばいいとは思っていません。ですから、ぜひ工夫してもらいたいということを要望しておきたいと思います。
さて、私は、正規教員を積極的に採用していくという考え方をもとに、今、学校現場で頑張っている期限つき教員、臨時教員の方々の励みになるように、その考え方をさらに具体的に数にしていくことが求められていると思います。その観点から言えば、私は、現在の登録制度にはもう少し工夫の余地があるのではないかというふうに考えます。
札幌市の場合は、最終合格者は、採用候補者名簿に登録されて、辞退者等もいるようですが、4月1日に全員採用されます。全員が4月1日に採用されるということは、逆に言いますと、4月1日に確実に採用できる数を合格させているということでありますから、ある意味では数をかなり制約しているのではないかと思います。制約をすればするほど、確実に採用できますが、余分に採用できない分、期限つきになってしまう、こういう現象が起きているわけです。確かに、前年の秋の段階で4月の児童生徒数、学級数を推計するわけですから、厳しいのは私もよくわかっています。
といいますのは、学校によっては、転勤の多い地域があり、果たして転勤に見合うだけ入ってくるのだろうか、または、私立の中学校に行く、それから私立の小学校に行くというケースもあります。それから、先生方の中でも、定年退職をする方と早期退職をする方などさまざまなケースがある中で、
学級編制基準をもとにして決めなければならないので、確かに厳しいと私は思います。ただ、厳しいからといって、最終合格者数が抑制ぎみになれば、結局はまた学校現場では期限つき教員に頼っていかなければならない、このことは何とかしなければならないのではないかというふうに思っています。
そこで、先ほど市教委と道教委の関係について檜田部長から答弁がありましたが、札幌市と採用検査を共同実施している北海道は、4月1日採用の登録をA登録、4月1日以降の採用をB登録という登録制度を実施しております。いわゆる2段階の登録制度を導入しているわけであります。札幌市においても、4月1日採用にこだわらなければ、もっと多くの正規教員を採用できるのではないかと思います。4月1日以降の採用をばさっと切ってしまうと、採用がないとなれば期限つき教員は次の年まで待たなければならないわけですから、もう少し広げられないかと思います。
そこで、質問ですけれども、期限つき教員等を初め、できるだけ数多くの正規教員を採用していくために、札幌市においても登録制度を見直す必要があるのではないかとこういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
◎檜田
教職員担当部長 登録制度の見直しについてのご質問でございました。
採用に当たって必要な教員数を推計する上では、不確定な要素があることから、4月上旬に期限つき教員を配置してきたという実態がございます。今後、正規教員として優秀な人材を一人でも多く採用していくという観点から、登録制度を一部見直し、来年度実施の教員採用検査から、本市におきましても2段階の登録制度を新たに導入したいと考えております。
2段階の登録については、まず、第1段階目の登録Aの方々は、これまでと同じように4月1日の採用を予定するものでして、一方、第2段階目の登録Bの方々につきましては、4月1日以降の採用を予定するものでございます。最終合格者の決定の時点では、4月1日に採用することは確定できなくても、4月1日以降ということであれば採用可能と考えられる数も一定程度ございますので、これまでの期限つき教員の配置にかわりまして新たな登録制度を導入することで、これまで以上に正規教員の採用に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆長谷川衛 委員 今、檜田部長から、かなり前向きな答弁をいただきました。ありがとうございます。私も議会で何回か質問に立っておりますが、大きく前に進む回答はこれまでなかなかもらえませんでした。
今回の登録制度見直しというのは、僕は大変大きな意味があると思います。制度見直しというのは、なかなか勇気の要ることだと思います。せっかくそこまで踏み込んでいただきましたので、もちろん大きな評価をいたしますし、ぜひ、一人でも多くの教員を正規採用者として採用してもらいたい。そのことが、今、期限つきで学校現場で頑張っている先生方の励みになると思いますので、よろしくお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
◆好井七海 委員 私からは、2点お伺いいたします。
1点目はがん教育について、2点目は札幌市天文台の利活用について、順次、質問いたします。
初めに、がん教育についてです。
がんは、昭和56年から札幌市の死因の第1位であり、およそ3人に1人ががんにより亡くなっております。また、国の推計によると、生涯のうちに2人に1人はがんにかかるとされており、依然としてがんは市民の生命と健康にとって重大な問題であり、生涯にわたって健康で活力ある生活を送るためには、子どものころから、がんそのものを理解することや、がんの予防について学ぶことが不可欠であると考えております。
我が会派では、平成27年第3回定例市議会の
決算特別委員会において、保健福祉局に対し、がん対策部会とがん予防・胃がん対策の取り組みについて質問した中で、がん教育の普及の検討について伺いました。その際、保健福祉局からは、がん教育の取り組みは、子どものころからがんに対する正しい知識や命の大切さに対する理解を深めることが期待でき、がん予防の観点からも重要であることから、がん対策の柱の一つとして、具体的な手法について
教育委員会や医療機関などの関係機関と協議していくとの答弁をいただきました。
また、平成24年に政府が策定したがん対策推進基本計画においては、学校での教育のあり方を含め、健康教育全体の中でがん教育をどのようにするべきか検討し、検討結果に基づく教育活動の実施を目標とすることとされており、近い将来、学校におけるがん教育が本格的に推進されることに期待しているところであります。
このようなさまざまな動向を踏まえ、
教育委員会でも札幌市におけるがん教育の必要性を認識されていると思いますが、ここで、改めて確認させていただきます。
教育委員会として、がんの教育についてどのような認識をお持ちか、伺います。
◎引地
学校教育部長 がん教育の認識についてお答えいたします。
これまで、各学校では、学習指導要領に基づき、主に保健の授業において、生活習慣病の予防や喫煙が及ぼす健康への影響に関する学習の中でがんについて取り扱ってきたところでございます。そのような中、学校での健康教育においては、特に日本人の死亡原因として最も多いがんについての理解や、がん患者に対する正しい認識を深める教育をさらに充実していく必要があるとされております。
教育委員会といたしましては、今後、子どもががんについて正しく理解し、自他の健康と命の大切さについて主体的に考え、がんの予防に関する意識を高めるよう、がん教育を充実させることが重要であると認識しております。
◆好井七海 委員
教育委員会として、学校におけるがん教育の重要性について認識されていることは理解いたしました。そのような認識のもとで、今後、がん教育が本格的に推進されることを見据え、札幌市においても具体的な取り組みを進めていくことが重要であると思います。
私も、がん教育が具体的にどのように進められているのか調べてみましたが、北海道内の他地域では、学校の授業で学ぶことに加えて、休日に医師などを講師に招いた講演会を実施するなどして、地域ぐるみでがんについて学ぶ取り組みも見られました。また、札幌市においても、昨年度から2カ年にわたり、
北海道教育委員会が国から委託を受けて実施しているがんの教育総合支援事業に協力し、市内2校の中学校をモデル校としてがん教育に関する実践的な研究を進めていると伺いました。札幌市において、既にがん教育の取り組みの第一歩を踏み出していることには、大変、期待感を高めているところであります。
そこで、質問ですが、モデル校の実践も踏まえ、今後、
教育委員会として、学校におけるがん教育の取り組みをどのように進めようとされているのか、伺います。
◎引地
学校教育部長 モデル校の実践を踏まえた今後の取り組みについてお答えいたします。
モデル校では、医師やがん治療の経験者による講演会、日本対がん協会作成の映像資料を活用した授業等を実施し、がんに対する正しい理解と命の大切さへの理解を深めさせる指導などについて研究を推進してきたところでございます。学習後の生徒アンケートの結果では、学習前と比較して、がんに対する理解が深まるとともに、予防や健診の必要性等についての意識が高まっております。
これらの成果を踏まえ、今後、教員研修等の機会を捉えてモデル校の取り組みを他の学校に広めていくとともに、関係機関と連携してがんの予防に関する出前授業を拡充するなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆好井七海 委員 他の学校に、また、ほかでも講演会等を広めていただくということで、うれしく思っております。
また、がん教育を通じて子どもが命を大切にする心を育むとともに、生涯を通じてみずからの健康を保持・増進していくための力を高めることは大変重要なことだと思います。実施に当たっては、幅広い関係機関と連携して進めることが求められ、例えば、医師や看護師、保健師、がん経験者らを外部講師として招いて協力を得るなど、指導方法を工夫していただき、学校だけでの取り組みでは限界がありますので、
教育委員会と自治体、そして、がん対策の担当部局が連携して外部講師のリストを作成するなど、学校現場だけではなく、関係部局で支援し、がん教育の取り組みをさらに広げ、実効性のあるものにしていただくことを要望して、次の質問に移ります。
2点目は、天文台の利活用について伺います。
現在、中島公園内に札幌市天文台を設置しておりますが、この天文台は、古い歴史があり、1958年、昭和33年7月に開催された北海道大博覧会のパビリオンとして設置され、後に市に寄贈されたもので、57年が経過し、現在は青少年科学館の一施設という位置づけになっております。
天文台は、中島公園の一角にあり、意外に見落としがちなことから、利用者がどの程度来ているのか確認したところ、建設面積52平方メートルの小さな施設に今年度だけで1万人を超える来館者が訪れる見込みであるとのことでした。これは、単純比較ですが、来館者が比較的多い本体の青少年科学館は、平成26年度の来館者数約44万人の1平米当たりの来館者数は44人ですから、それと比較して天文台は1平米当たり192人にも達しました。また、近年の利用者数を見ると、平成18年度は3,000人未満、24年度には5,000人を超え、26年度は約6,700人、27年度はことしの1月末時点で既に9,800人を超えていると聞いております。
この利用者増の理由としては、市民の天文に対する興味の高まりに加え、中島公園を訪れる観光客の増加もあるものと思われます。このような状況に鑑みますと、設置から57年の歴史を刻んできている施設でありますが、より一層の利活用を図ることで、多くの市民や観光客に夢とロマンを与える施設として利用者増につなげていく可能性があるのではないかと考えます。
天文台を運営する青少年科学館は、プラネタリウムや移動天文車を活用し、天文教育の普及を初めとして、天文に関するさまざまな事業を実施しておりまして、さまざまな展示物や実験など市民が科学について楽しみながら学べる場として幅広く活動しております。しかしながら、この天文台を活用した事業については、市民に対していま一つ見えてこない気がします。
そこで、質問ですが、青少年科学館における天文台の位置づけと現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 天文台の位置づけと現在の取り組み状況についてお答えいたします。
青少年科学館では、広く市民に天文知識の普及啓発を図ることを目的として天文事業を展開しておりますが、天文台は、プラネタリウムや移動天文車と並び、これを実施する重要な施設として位置づけております。
天文台は、都心部にある利便性を生かし、誰もが気軽に立ち寄ることができる施設として、日中は太陽や惑星など、夜間では月や星の鑑賞を行い、多くの人に親しまれているところでございます。特に、日食や月食など天文イベントがある際には観望会を開催しており、移動天文車を活用するなど、青少年科学館全体で相乗効果を高めた事業実施にも努めております。また、プラネタリウムの来館者にも実際の星を体感していただくため、天文台で行っている行事等の紹介も行い、利用者の拡大も図っているところでございます。
◆好井七海 委員 さまざまな事業で市民に宇宙を体感してもらえるように利用拡大を図っていることは理解できました。
次に、札幌市天文台は、最近増加傾向にある国内外からの観光客にも楽しんでもらえるように、人気スポットとしての視点による活用をさらに進めていくべきと考えております。すなわち、札幌の夜を楽しく思い出深いものとしてもらうために、気軽に立ち寄れる公共施設として、藻岩山から見る札幌の夜景のように、ホームページなども活用して中島公園の天文台から見る札幌の中心部の星空をアピールすることで来館につなげることも一つではないかと考えております。
このほか、現在、月に1〜2度の週末のみの夜間開放の充実や、さらなる新しい取り組みも積極的に行っていくべきと考えます。例えば、北極星をモチーフにした五稜星マークのある建物である道庁赤れんが庁舎や、時計台、豊平館などの建物をめぐる北海道遺産スタンプラリーなどの他事業とも連携し、天文台を北極星が見える施設と位置づけるなどして、札幌を訪れた人々の来館を促す取り組みも考えられます。
そこで、質問ですけれども、観光客の利用を含め、多くの人々の来館に向けた取り組みを積極的に進めるべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 青少年科学館では、これまでも、札幌の星空を多くの市民に鑑賞していただくため、ホームページや広報誌による周知を初め、天文リーフレット「星空散歩」を定期的に発行するなど、来館者増に努めてきたところでございます。また、委員がご指摘のホームページの活用につきましては、現在、天文台が所蔵しております日食や月食などの画像を新たにホームページで公開するなどして天文台の魅力発信に一層努めてまいりたいと考えてございます。
なお、来月にはプラネタリウムをリニューアルオープンし、青少年科学館の来館者増が期待されることから、これを機に、天文台の天体鑑賞に興味を持っていただけるよう、さまざまな機会を捉えて取り組んでまいります。
◆好井七海 委員 天文に対するさまざまな発信をして観光客にも興味を持っていただくということは理解いたしました。
天文台は、札幌の発展とともに、札幌の星空を投影し続けてきた長い歴史を持つ施設であります。引き続きこの施設を大切に保存し、今後は、先ほどから申し上げているように、天文教育の普及とともに、観光スポットとしてさらなる利活用を図るべきと考えます。
折しも、天文台のオープンから60年を迎える2018年、平成30年は、皆既月食や15年に一度の火星大接近といった天文に関する大イベントがあります。
そこで、質問ですけれども、大きな節目となる開台60年に向け、各方面との連携を視野にPRし、記念イベントを大々的に行うべきと考えておりますがいかがか、お伺いいたします。
◎長谷川 生涯学習部長 委員がご指摘のとおり、開台から60年を迎える2018年、平成30年には、天文に関する大イベントがございまして、多くの来館者が期待できるところでございます。この機会を生かして天文台を知っていただくことは重要であると考えておりますので、天文イベントに合わせた記念行事の実施について、他都市の例なども参考にしながら、今後、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆好井七海 委員 天文イベントに対して積極的に取り組んでいただけるという前向きなご答弁だったと思いますので、私も今から楽しみにしております。
最後に、要望になりますが、私も、小学生のときに、天体望遠鏡で月のクレーターが目の前にあるかのように見たことや、土星の輪、木星のしま模様を見たときは大感動をしたことを今でも鮮明に覚えております。冒頭でも言いましたように、この天文台は、歴史のある貴重な文化遺産とも言える施設です。夜のみならず、日中でも説明してくれる施設環境もあり、そして、望遠鏡設置に大事な地盤もよく、都心にあり、天文台としては申し分のない環境にありますので、この立地条件を札幌の魅力の一つに加え、観光スポットとして、そして、札幌市民と
子どもたちが宇宙を身近に感じ、宇宙を語る夢とロマンの場としてさらに活用することを要望して、質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、札幌市青少年科学館について、3項目質問いたします。
1項目めは、天文事業について、2項目めは、札幌市天文台の今後の整備について、3項目めは、青少年科学館の展示物の更新と利用者のサービスの充実についてです。
最初の質問に入る前に、今、札幌市天文台について質疑がありましたので、関連して質問させていただきたいと思います。
2年後に開設60周年を迎えるに当たり記念イベントを開催するということでありますが、この記念イベントというのは、既存の施設のままで開催するのか、あるいは、一部改修して開催するのか、伺いたいと思います。
2点目の質問は、札幌市天文台は、現状のままだとあと何年くらい使用することが可能なのか、そしてまた、札幌市は札幌市天文台をこのままでどのくらい使用しようと考えているのか、まず、この点について伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 2年後の開台60周年記念イベントは現状の施設のまま実施するのかというご質問でございますが、これにつきましては、現時点では現状の施設でと考えております。
また、開台60年を迎える施設が今後どのくらいの期間使えるかということでございますが、現時点ではそのような調査はしてございません。細々としたところを直しながら、長く使っていきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 今、お答えいただいたことについては、後ほどの質問の中でも触れていきたいと思います。
私の記憶に間違いがあるかもしれませんが、ことし5月16日月曜日から6月4日土曜日にかけて火星が地球に小接近してくると記憶しています。やはり、そうしたこともきちんと市民の皆さんに周知して、札幌市天文台や青少年科学館にある天文台、そしてまた、札幌市にいらっしゃる星に関するアマチュアの愛好家の皆さんにも協力を呼びかけて取り組みをしていくべきだと申し上げて、本題に入りたいと思います。
最初は、天文事業についてです。
かねて、私ども民主党が求めていた青少年科学館のプラネタリウム更新が昨年2月の第1回定例市議会に補正予算として計上され、同年11月から改修工事が始まり、18年ぶりに最新機器を全面更新され、ことし4月にリニューアルオープンする予定となっております。
先日、青少年科学館に行き、新しいプラネタリウムの改修工事の様子を視察してまいりました。最新のプラネタリウムは、1億個の星を投影できる最新機器で、道内初の導入となるほか、札幌が導入しようとしている機種は国内でも余り多く導入されていない貴重なものであります。具体的には、星の瞬きなど、実際の星空を再現できるさまざまな機能を備えているということでした。また、プラネタリウムのドーム内には、市内の各小学校の校庭から360度の周囲や市内の景勝地の風景を映し出すことが可能で、臨場感を持って鑑賞でき、これまで以上に星や星座を身近に感じる工夫がされております。
青少年科学館では、プラネタリウムの投影ばかりではなくて、さまざまな天文事業を通じて、多くの市民に天文に関する普及啓発を行っています。例えば、大人や親子の天文教室、また、先ほども質疑の中にありました移動天文車、さらにはさっぽろ星まつり、そしてまた、二つの天文台が活用されております。その中でも、天体愛好家のご協力をいただき、さっぽろ星まつり事業というものが平成14年から市内の広域公園で開催され、ことしで15年目を迎えようとしております。
平成26年からはさとらんどで2日間開催しており、昨年の参加者はこの2日間で約4,000人を超える一大イベントとなっております。ここは、当然、農業関係の施設ですから、観察をする前にさとらんどの建物の視聴覚室で、農業と星と星座の関係などのスライドも活用しながら取り組みを行っておりまして、このように市民の天文事業への期待やニーズは高いことから、青少年科学館の役割は大きいと言えるわけであります。
そこで、質問でありますが、このようなことを踏まえて、青少年科学館が行っている天文事業の拡大に向けて今後どのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 天文事業の今後の取り組みについてでございます。
青少年科学館では、プラネタリウムや札幌市天文台の公開のほか、移動天文車を利用した事業、市民向けの天文講座や天文指導員の育成など、各種の天文事業を行っているところでございます。
また、委員のお話にもございましたとおり、サッポロさとらんどにおけるさっぽろ星まつり事業も好評でありますことから、天文ファンの裾野を広げていく上でも、例えば青少年山の家など、市内各所にこのような事業を広げていきたいと考えてございます。
なお、今回のプラネタリウムの更新では、学習指導要領に沿った学習コンテンツを制作し、小学生のほか、新たに中学生の理科学習に活用可能な機能も設けており、学校教育における事業展開を積極的に行ってまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 今、お答えがありました青少年山の家とか、それ以外にも広域的な公園がたくさんありますので、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
次は、札幌市天文台の今後の整備について伺います。
札幌市青少年科学館は、展示物が244点とプラネタリウム、また、これまで質疑してきました中島公園にあるものと科学館にある二つの天文台で大きく構成されております。先ほどもありましたように、中島公園における札幌市天文台は、北海道大博覧会が開かれたときに当時の雪印乳業のパビリオンとして整備をされて、札幌市に寄贈されております。その後、天体望遠鏡のみ更新され、その際にも当時の雪印乳業から現在の天体望遠鏡が寄贈されております。
最初に、昭和33年の北海道大博覧会のときに使った天体望遠鏡は、聞くところによりますと、東区の福移小・中学校で活用されていると聞いております。札幌市天文台は、市の中心部に近い中島公園にあり、地下鉄による利便性も高い天文台ですが、都心部にあるため、周囲が明るく、星を観察するには必ずしも良好な環境とは言えません。また、この天文台は、57年が経過し、施設・設備とも老朽化が進んでおり、さらに、小高い丘の上に立地しているため、車椅子の方はもとより、天体望遠鏡ののぞき口は踏み台を使用しないと子どもや大人も夜の観察ができないなど、課題が多数あります。
こうした状況を踏まえ、私は、全国の天文台の資料を集めて、2008年、平成20年に新設された仙台市の天文台を視察調査してまいりました。仙台市天文台は、当初は市内の中心部に近いところに科学館と併設されておりましたが、市内中心部のために夜に観察するには周囲が明るいことから、老朽化に伴う同じ場所での建てかえには適さないと判断をして、市内中心部から約10キロメートル、車で約30分弱の青葉地区に移転しているわけです。
仙台市の天文台は、大型の天体望遠鏡を設置している丸型のドームのほかに、屋根全体が開閉する観察室が設けられ、この施設内には、1台5,000万円前後の望遠鏡が6台設置されております。こうした大型の天体望遠鏡や6台の望遠鏡は、見たい星や星座の位置をコンピューター制御で簡単に捉えることができる最新の機能を備えております。さらに、この6台の望遠鏡は、車椅子の方や幼児や小学生、大人たちも踏み台を使用することなく利用しやすいように、札幌市の移動天文車と同じ型のクーデ型と呼ばれる望遠鏡で統一されており、学校の授業で複数のクラスがそこに行ってもグループごとに一人一人が観察する時間を十分に確保できるなど、さまざまなメリットがあります。仙台市では、このように来館者を受け入れることができる設備を備えております。
ちなみに、調べてみましたら、仙台市の中心部にある普通の科学館は、平成26年度の入場者数は約19万人ですが、青葉地区にある天文台は約28万人が利用されている状況にあります。仙台市に限らず、星や天文に興味を持っている札幌市民は多く、先ほどのさっぽろ星まつりの来場者数の例のように、かなりの潜在ニーズがあることは明らかな状況でありまして、札幌市としても、今後の天文台の施設整備のあり方をしっかりと検討していく時期に来ていると言えるわけであります。
そこで、質問ですが、現在の札幌市天文台は、施設や機器も古く、立地面でも必ずしも良好とは言いがたいことから、施設整備のあり方について調査を実施すべきと思いますけれども、どのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 札幌市天文台は、今ほどございましたように、1958年、昭和33年の設置以降、1984年には建物の修繕や望遠鏡の入れかえ、そして、1997年、平成9年にはドームを補修するなど、円滑な事業実施に向けて修理、保全に努めてきたところでございます。
その利用者数は、先ほどのご質問にもございましたように、近年、急激に伸びてきており、10年前の平成18年には約2,900人だったものが、今年度は既に1万人を超えてございます。特に昼間利用者の伸びが大きく、全利用者の8割を占めておりますが、これは、都心部にある利便性から市民利用が定着してきているだけではなく、観光客の利用が増加しているものと捉えております。
このような状況もございますので、当面はご指摘のような調査を行わず、天文台や移動天文車など現有の施設や設備を有効に活用し、魅力ある天文事業を展開していきたいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 立地面は確かにいいかもしれません。また、他都市でも、昔は中心部にそうしたものをつくっていた傾向が多くあります。しかし、最近は、更新、建てかえに当たっては郊外に場所を移していく傾向にあります。
調べてみますと、アマチュア天文家の皆さんが日本全国の天文台の夜の空の明るさの調査をした資料があります。中島公園にある札幌市天文台の明るさは、資料を見ますと16等級です。そして、東京の中野区の明るさも16等級となります。この16等級はどういった星が見えるのかというと、一等星が確認できる程度ということで、それ以外の明るさが少ない星についてはなかなか観測しづらいということであります。
ちなみに、北海道では、陸別町は星空が有名ですが、ここは21等級でございまして、6等星も見えます。また、私が調査してきた仙台市の天文台は19等級ということで、これは5等星がしっかり見えるという状況であります。
確かに、観光客も必要かもしれません。私は、昨年、中島公園にある札幌市の天文台を何回か視察に行ってまいりましたが、何の建物かなという感じでのぞきに来る方も結構多いのです。天文台ですよと係の人が説明をしたら、ああそうですかという感じで次の観光スポットに行ってしまうような風景もかなり多く見られました。いずれにしても、利便性はいいけれども、星空を観察するためには、あの場所はそれほどふさわしいとは言えないと私は考えているところであります。
そこで、部長の答弁では、当面は調査しないということでした。確かに使えないことはないですが、私が昨年に何回か行ったときには、ドームそのものが傷んできて、修理のしようがないし、そこに何千万円というお金をかけても、それが減価償却できるくらいの年数を保てるのかというと、私は疑問に思います。
調べてみますと、天文台を建てかえるためには、まず、場所の選定や機種の選定、そして、着工するまでに最低でも5年から7年はかかります。ですから、私は、新年度に
教育委員会独自で具体的に調査していくべきではないかと思いますが、その辺についてはどのようにお考えか、伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 青少年科学館の整備の関係では、まず、平成28年度に展示のあり方について検討を進める予定です。今後の青少年科学館に求められる役割、施設整備に関する全体の方向性を28年度の調査で検討していきたいと考えております。その上で、天文事業などの各種事業について改めて検討したいと考えておりますことから、その際に、天文台等のあり方についても調査を含めて検討したいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 そのような
教育委員会の考え方があるのかもしれませんが、私は、平成28年度はまず展示物を調査して、その後、全体の方向性を調査する中でやっていくということでは遅いと思います。いろいろありますから、つくる時期は別にしても、少なくとも調査していくということに関しては、科学館の展示物をリニューアルしていく以上に慎重にやっていかなければならないわけであります。
今後、建てかえに当たり、その前段には調査費の要望などがあると思いますが、天文台というのはいろいろな角度から検討していかなければなりません。新年度予算はまだ確定しておりませんが、天文台の建てかえなども含めて、新年度予算の中で活用していくお考えはないのか、改めて伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 繰り返しになって恐縮ですが、
教育委員会では、来年度、28年度は、今、予算要求させていただいておりますけれども、青少年科学館全体のあり方について300万円をかけて調査を実施する予定でございまして、その上で整備の方向性について打ち出していきたいと考えてございます。そういったことでございますので、手戻りがないよう、段階を踏んだ上で検討してまいりたいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 やはり、全体の構想をまとめると言っても、天文台の調査には時間がかかるわけですから、展示物の検討を平成28年度にやって、29年度くらいに全体の構想をすると。しかし、天文台はどういった諸準備をしていかなければならないかがわからないと、全体を網羅した整備の計画はできないわけですね。私は、そのためにこういう提起をしているわけであります。
ちなみに、新年度予算はまだ執行されておりませんが、調査をするとしたら生涯学習部の総務費の中で行われると思いますけれども、直近の過去3年間の不用額を調べてみると大体1,000万円から1,400万円あるわけです。予算を執行していないのでこれに足りない場合もありますが、こうしたことからすると、50万円になるのか100万円になるのかはわからないにしても、全体の構想をつくる上での事前の予備知識的な調査にも臨機応変に十分に対応できます。そして、今、審議しておりますが、札幌市の制度の中では款項目とあって、目の中では弾力的な運用が認められておりますから、このことについてはもう少し真剣にやっていくべきだと思います。
新年度予算はまだ確定しておりませんが、全体の計画をつくっていく上で、私は、ここについては独自の調査をしていかなければならないと思いますので、どのようにお考えか、教育長に伺いたいと思います。
◎長岡 教育長 まず、天文台整備について、ふじわら委員の熱い思いを受け取らせていただきました。私も、中学校のときは天文少年でしたので、非常にうれしく拝聴させていただいておりました。
よりよいものを導入して市民の利用に供するということは、それ自体は大切なことかなと思っております。ただ、釈迦に説法ですが、それには経費が伴います。財政状況が厳しい時代になってきておりますので、今後、事業展開をしていくにも、導入することの効果に対する経費をしっかり見きわめなければいけないと考えております。そこで、青少年科学館の全体の構想、今後の方向性を検討する中で天文台のあり方も検討させていただきたいという生涯学習部長からの答弁だったと思いますので、それはそういう手順を踏まなければいけないものと考えてございます。
また、もう一つの要因として、今の中島公園にある天文台は、昼間の観光客かと思われますが、利用が伸びてきてございまして、そういったものも検証していかなければいけません。また、星空観測の中での都市部の光ですが、肉眼で見るものについてはせいぜい一等星が見えるくらいというのはお話のとおりだと思います。ただ、望遠鏡などを使って見る際には、私も子どものときに見ておりましたが、例えば月や土星であるとか、星雲なども望遠鏡を通すときれいに映ることも実際にございます。そういったことからも、設置から58年がたちますけれども、現有の天文台がどれだけ十分に使えるのか、それとも不足があるのか、そういったものもしっかり見きわめた上で今後の天文台のあり方について検討させていただきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
確かに、教育長が言われることは理解できる面もあります。ただ、細かいことを申し上げると、あそこは中島公園ですから、たくさんの樹木がありまして、相談すれば枝を剪定できることもありますが、勝手に木を切るわけにはいかないのです。望遠鏡をのぞけばいろいろな星が多少は見えますが、枝や木が邪魔になって鑑賞するには十分な環境にないというのが現実なのです。ですから、全体構想をまとめていく上で、最低限、どういった準備をしていかなければならないのかということは、独自の予算で調査していただきたいと申し上げております。多少は平行線ですが、そういう調査をしていくという結論的な着地点には余り相違がないと思いますので、ぜひ、今後はそうした諸準備なり調査をしっかりしていただきたいと思います。
次は、青少年科学館の展示物の更新と利用者のサービス充実についてであります。
最初の質問は、今後の展示物の整備についてであります。
青少年科学館の展示物の直近の更新は、平成22年から5年間で、環境コーナーや雪・氷コーナーなどの更新が行われてきております。平成25年度の耐震改修に合わせた天文・地球科学コーナーの改修は規模が大きかったために、リニューアルオープンした平成26年度の来館者は過去最高の44万人に達しております。展示物の更新は、より多くの市民の関心を高めて来館を促し、科学や科学技術に関する知識の普及啓発に寄与するものであると理解しています。
しかしながら、5年間でどれぐらいの展示物の更新が行われたかというと、全体の約39%で、244点の展示物がありますが、そのうちの96点にすぎない状況であります。一定の予算の制約のもとに更新を行っているために、更新されずにそのまま利用されている古い展示物や、長い期間、故障した展示物、さらには、部品がないために修理が不可能な展示物に故障中と張り紙をされているのも目立ちます。
私も、時折、青少年科学館に行きますし、また、地域を回っておりますと、何回も科学館に来た
子どもたちや保護者、そして一般利用者からも、いつになったら故障が直るのかという問い合わせが多く寄せられます。さらに、いろいろ角度を変えて見ますと、展示コーナーが更新される都度に異なる制作者の意図や企画内容が採用されているために、施設全体としての一体感が薄れている点も否めないわけであります。
先ほど申し上げたとおり、ことし4月のプラネタリウムのリニューアルオープンを待ち望んでいる市民は多数いると思いますが、展示物の整備まで及んでいないために、せっかく増加した来館者数も減少しないかと私は心配しているところであります。展示物の更新は、市民、特に将来を担う
子どもたちに貴重な体験を与えるものであり、科学の進歩や理科の学習内容の変化を踏まえた整備を続けてこそ、青少年科学館の使命が果たされると言えます。
青少年科学館の指定管理者が平成27年3月にまとめた展示構想を見ますと、フロア全体の統一感を持ったテーマやデザインの構成、科学館にしかない展示や体験展示の拡充等が今後の課題として問題提起されております。
そこで、質問ですが、私は、この5年間の取り組みだけでは不十分だと思いますし、皆さんもこれで十分だと考えてはいないと思います。引き続き展示物の更新を行うべきだと思いますが、新年度も含め、今後の展示物の整備についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 これまでの展示物の整備は、札幌市の附属機関である社会
教育委員会議から青少年科学館の展示物のあり方についてという答申を受けまして、平成22年度から26年度までの5年間の整備計画を策定し、雪・氷、環境・エネルギー、天文・宇宙など、コーナーごとに展示物の整備を行ってきたところでございます。しかしながら、更新を行った展示物と未更新のものが混在している箇所もございまして、統一感に欠ける部分もあるとの指摘については承知しているところでございます。
平成26年に実施した青少年科学館に関するあり方検討調査の報告を踏まえ、先ほど来答弁申し上げておりますように、平成28年度は、展示物のあり方も含め、今後の青少年科学館に求められる役割や施設整備について調査を行うこととしております。この調査結果を踏まえて、平成28年度中に今後の青少年科学館の整備の方向性について検討してまいりたいと考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 今、新年度に検討作業を進めていくということでしたが、これまた、私どもが心配するのは、調査報告書をもとに
教育委員会内部で独自に検討していくのか、外部の有識者のご協力もいただかなければいけないと思いますけれども、その主体は
教育委員会内部なのか、外部にお任せにしてしまうのか、伺いたいと思います。
あわせて、今、部長からも答弁いただきましたように、この調査報告書は、平成26年3月に
教育委員会に提出されております。平成26年第4回定例市議会の私ども民主党の代表質問で、こうしたことについてどうするのかと質問したら、当時の教育長は、平成27年度以降、そうした検討をしていきたいということであります。しかし、そちらからもらった資料などを含めると、26年度にあり方検討からの報告書はいただいていますが、昨年4月から今日までそうした検討が全くされていないというのはおかしな話だと思います。私は、当時の教育長の答弁を聞いて、少なくとも27年度の段階で何がしかの検討が進められていくと理解していましたし、また、27年度にそういう検討がされてきたと思っていたのです。しかし、そちらから提出をいただいた資料では27年度は全くやられていないということですが、なぜこれができなかったのか。
先ほど申し上げた内部主体なのか、外部主体なのかということとあわせて、平成27年度に検討できなかった理由について伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 内部主体か外部主体かという1点目のご質問でございます。
平成28年度の300万円につきましては、委託費ということで外部調査を考えてございますが、当然のことながら、整備の方向性については
教育委員会と青少年科学館が協力して検討してまいりたいと考えてございます。
それから、平成27年度の整備のあり方について、全く手がついていないというご質問でございます。
これについては、おっしゃるとおりでございまして、私どもは、平成27年度はプラネタリウムに力を注いでございまして、その調査にはなかなか手がつかなかったということでございますので、28年度につきましては、早急にスピードアップをして対応してまいりたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 300万円の調査費を使い、外部の人が主体になってやっていただくということでありまして、それはそれでしっかりしていただきたいと思います。
しかし、幾らプラネタリウムを更新するとはいえ、また、生涯学習部ではたくさんの事業を扱っていますから、忙しいのは確かによくわかりますけれども、議会での答弁に基づいたような取り組みをしっかりやっていただきたいと申し上げておきます。
同時に、行財政改革の中でさまざまな問題が指摘されていますが、お金はどこかで節約をすれば取り戻すことができますけれども、時間は取り戻すことができないわけでありまして、そういう意味からも私は苦言を呈しておきたいと思います。
次に、戦略ビジョン・アクションプランを見ますと、この5年間で1,800万円の予算が確保されることになっていて、部長の答弁ではそのうちの300万円が調査ということであります。これは想定にしかなりませんが、それでは、そうした取り組みを行って、展示物の更新は何年度から予算化していきたいと
教育委員会は考えているのか、この点について伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 何年度から整備を進めるのかということでございます。
平成28年度につきましては、先ほど来申し上げていますように、まず、整備の方向性について打ち出し、それをもとに次年度の整備計画ということになろうかと思いますので、翌々年度以降の整備ということになろうかと思いますが、それは、また庁内できちんと調整した上で検討していきたいと思っております。
◆ふじわら広昭 委員 私が資料で調べた限りでは、平成15年以降の青少年科学館のデータが出てまいりました。現在まで13年がたっておりますが、大きなもので8回更新されておりまして、総額は4億7,200万円です。この内訳を調べてみますと、宝くじの助成金を活用したものが3億1,200万円で、
教育委員会のものは差し引きどれくらいになるかというと1億6,000万円です。これを13年間で割ると、更新のための予算が1,230万円しか来ていないのが事実であります。
そういう状況を含めて時系列的に調べていきますと、札幌市では、青少年科学館が開館されてこれまで35年になるけれども、科学館の展示物をどう更新していくかとか、理科教育とどのように結び合わせていくのかという根本的な太い柱が今日に至っても全くないということがわかりました。
例えば、先ほどの部長の答弁にもありましたが、平成19年に策定した第2次札幌新まちづくり計画において展示のあり方の検討を行うことになったために、平成21年に、部長の答弁があった社会
教育委員会議に展示物のあり方の検討について諮問され、平成22年3月に答申が出されておりまして、ここの中では、先ほども申し上げたように、5分野くらいが対象として改修されております。ですから、そちらからいただいた資料を見るとそれぞれ16の展示コーナーに分けることができますが、そのうちの4コーナーぐらいしか大規模なリニューアルができていなくて、残り12コーナーがまだ残っているという状況なのです。
そのような中で、平成26年3月に札幌市の教育振興基本計画が出て、理科教育の充実ということが平成26年度から35年度の10年計画の中で位置づけられております。そして、先ほど言ったあり方の調査報告書が出されておりますし、また、指定管理者である札幌市生涯学習振興財団独自の展示構想も平成27年3月に取りまとめられております。
こうした状況からいくと、平成19年に基本的なものをつくらなければだめだということになってから、もう何年たつのでしょうか。10年近くたっても太い柱が何もつくられていないということは、私はゆゆしき問題だというふうに思います。
町田副市長は、以前、教育長も担当されてそういうご認識もあると思いますが、このように、35年たっても札幌市の科学館の太い柱がないということについてどのように思うのか、そしてまた、今後、段階的に作業を進めていくにしても、私はスピード感を持ってやっていかなければいけないと思いますけれども、その点についてはどのような考えか、伺いたいと思います。
◎町田 副市長 札幌市
教育委員会では、一つの教育の大きな柱として、課題探究的な学習を
子どもたちに進めていくことを掲げているところでございまして、その課題探究的な学習を理科教育の中で具体的に展開していくのが大きな方向だろうと思います。その理科教育の充実、科学教育の充実の中で、青少年科学館の占める役割というのは極めて大きいわけでございまして、現代的な課題と申しましょうか、これからの将来的な課題として、青少年科学館のあり方というものを学校教育、生涯学習の中でもきちっと位置づけていかなければならないと強く思いますので、来年度に行う調査の中でもそういったことを検討していきたいと思うところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 ぜひとも、スピード感を持って、中長期的な視点を持って、しっかりといい計画をつくっていただきたいと思います。
最後の質問になりますが、利用者サービスの充実についてです。
私どもが地域や科学館にお邪魔したときに、保護者や一般利用者の方にどんなサービスがあったらいいですかとお聞きしますと、やはり、一番多いのは年間パスポートをつくっていただくと大変ありがたいということです。当然、小・中学生は無料ですが、ついていく保護者、あるいは、単独で行く一般利用者は、例えば、展示コーナーを見るのには1回700円、プラネタリウム1回につき500円なので1,200円かかります。確かに、今はセット券がありまして、この二つを見る際には1,000円で購入できる制度や回数券などはありますけれども、リピーター客やさまざまな人にたくさん来てもらうためにも、私が冒頭に申し上げた他都市の状況や仙台市でもそうですし、円山動物園にも導入されておりますように、年間パスポートを導入したらどうなのかと思います。
これは、条例ですから、少しの期間は必要だと思うし、また、指定管理者との相談はあると思いますが、そういうことについて、
教育委員会としても前向きに検討することが可能なのか、どのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎長谷川 生涯学習部長 年間パスポートにつきましては、今ほどの委員のご指摘にもございましたとおり、市内各施設においても導入しており、青少年科学館におきましても導入してほしいというご意見があることは承知しております。
この導入につきましては、来場者の増加、リピーターの確保など一定の効果が見込めますが、一方で利用料収入の減少といった可能性もありますことから、その料金設定等については慎重な検討が必要と考えております。
今後、その導入の可否については、指定管理者である札幌市生涯学習振興財団と協議してまいりますが、前向きに検討していきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 多くの方が望んでいるので、ぜひとも早い時期に実現できるように取り組んでいただきたいと思います。
最後に、1点だけ要望を申し上げます。
札幌市の青少年科学館に対するさまざまな計画を調べていきますと、一回、計画されて整備が終わると、数年の空白期間があって、また検討委員会を立ち上げて、それから整備をやっていくという繰り返しになっているわけです。科学館は、ほかの公共施設と違って技術が日々進歩しておりますので、必ずしも最先端のものをそろえなければいけないということではありませんけれども、継続して切れ目のない計画で更新できるようにしていただきたいと思います。例えば、これからつくろうとしている4年間か5年間の展示物のリニューアル更新計画の中でも、少なくとも3年目ぐらいには次の4年、5年に向けた更新がどうあるべきかというものをしっかりつくり上げて、そして、
教育委員会全体のものとして札幌市に予算要望できるように、切れ目のない更新計画をつくることを求めまして、質問を終わります。
○飯島弘之 委員長 以上で、第1項
教育委員会費等の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月17日木曜日午後1時から、市民まちづくり局のうち、地域振興部及び市民生活部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後2時44分...