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平成27年第二部決算特別委員会−10月09日-03号
平成27年第一部決算特別委員会−10月09日-03号

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  1. 札幌市議会 2015-10-09
    平成27年第二部決算特別委員会−10月09日-03号


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    平成27年第二部決算特別委員会−10月09日-03号平成27年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               平成27年(2015年)10月9日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34名     委 員 長  坂本 きょう子      副委員長   村 上 ゆうこ     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  こんどう 和雄      委   員  長 内 直 也     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  こじま ゆ み     委   員  阿部 ひであき      委   員  伴   良 隆     委   員  村 山 拓 司      委   員  松 井 隆 文     委   員  伊与部 年 男      委   員  小 野 正 美     委   員  大 嶋   薫      委   員  三 宅 由 美     委   員  桑 原   透      委   員  しのだ 江里子     委   員  林   清 治      委   員  かんの 太 一     委   員  成 田 祐 樹      委   員  涌 井 国 夫     委   員  本 郷 俊 史      委   員  丸 山 秀 樹     委   員  小 口 智 久      委   員  竹 内 孝 代
        委   員  村 上 ひとし      委   員  池 田 由 美     委   員  田 中 啓 介      委   員  松 浦   忠     委   員  石 川 佐和子      委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後0時59分     ―――――――――――――― ○坂本きょう子 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項ですが、中川委員からは、村山委員と交代する旨、届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費の質疑を行います。 ◆小口智久 委員  私からは、障がい者の就労支援について質問いたします。  障がい者の就労をめぐる最近の動向として、本年4月から障害者雇用納付金を申告する対象事業主が拡大しており、これまで常時雇用している労働者数が200人を超える事業主が対象だったところ、今回、100人を超える事業主においても申告が必要となりました。このことにより、100人を超える事業主は、法定雇用障害者数を上回っている場合は1人当たり月額2万7,000円の調整金の支給を受けられるようになりますが、下回った場合は1人当たり月額5万円の納付が必要となります。また、来年4月からは、障害者差別解消法の施行に対応する形で改正障害者雇用促進法が施行となり、雇用の分野に関する障がい者に対する差別の禁止と合理的配慮を提供する義務が規定されております。さらに、平成30年からは、改正障害者雇用促進法の施行によって法定雇用率の算定基礎となる障がい者数に精神障がい者が加えられるようになり、法定雇用率がさらに引き上げになる見込みであると言われております。  現在、民間企業における法定雇用率の目標は2.0%、つまり労働者100人を雇用している場合、2名の障がい者を雇用することになりますが、平成26年6月における札幌圏の企業における障がい者の実雇用率は1.88%であり、また、法定雇用率を達成している企業の割合も43.0%にとどまっており、いまだ半数以上の企業が法定雇用率を満たしていない状況であります。今後、障がい者の雇用がより一層求められるようになる中、障がい者の雇用を中小企業に広げるだけでなく、大企業においても精神障がい者を含めた雇用を一層進めていかなければならないと考えます。  しかしながら、精神障がい者を含めた雇用のノウハウは、企業全体ではまだそれほど蓄積されていないことから、国や北海道、札幌市が一体となって取り組みを推し進めるべきであると考えます。  そこで、最初の質問ですが、障がい者の一般就労をさらに企業に広げる上で、確認の意味で、国や札幌市が行っている取り組みの現状をお伺いいたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  まず、一般就労を拡充する国の施策といたしましては、市内3カ所の公共職業安定所では、障がい者の態様に応じた職業紹介職業指導、求人開拓など、また、札幌市北区と旭川にございます北海道障害者職業センターでは、職業指導、職業訓練に加えまして、ジョブコーチと呼ばれる職場適応援助者を活用いたしまして専門的かつ集中的な職場支援が行われております。このほか、札幌市北区にございます障がい者就業・生活支援センターにおきましては、就業、生活の両面にわたる相談支援等が実施されております。  次に、私ども札幌市としての取り組みでございますが、こうした関係機関と連携いたしまして、就業・生活相談支援事業や、就職に向けた障がい特性に合わせた研修等を行う元気スキルアップ事業、さらに、障がい者の就業体験等を実施する企業の開拓等を行う障がい者職業能力開発プロモート事業を通じて障がい者の就労支援を連携しているところでございます。 ◆小口智久 委員  障がい者の一般就労を企業にさらに広げる上で、障がい者の雇用に関心を持つ市内企業と就職を希望する障がい者を広く登録し、両者のマッチングにより、職業体験一般就労へつなげる取り組みが必要と考えております。しかしながら、国おいては、職業安定所職業紹介を行い、障害者職業センターにおいては職業リハビリテーション計画を策定しているということで、障がい者と企業のマッチングがまだまだ不十分であると聞いております。  そこで、質問ですが、本市の単独事業における企業での就業体験や就職につなげるための働きかけ等取り組みや成果についてお伺いいたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  本市の単独事業における企業への働きかけ等取り組みや成果についてお答えいたします。  平成23年12月から人材派遣会社への委託により実施しております障がい者元気スキルアップ事業におきましては、登録済みの企業や新たな企業開拓を通じて職場実習や雇用受け入れの提案を行っているところでございます。また、障がい者職業能力開発プロモート事業におきましては、平成24年度から、障がい者の雇用経験のない企業を中心に就業体験を行う企業の開拓を実施いたしております。さらに、この二つの事業では、企業等に対する研修も実施いたしておりまして、障がい者の雇用に向けたスキルアップを図っているところでございます。  こうした取り組みによりまして、スキルアップ事業におきましては、これまでの4年間で60件の就職につなげるとともに、プロモート事業における就業体験には、これまでの3年間で延べ38の企業からご協力をいただきまして、73人の職場実習につなげたところでございます。 ◆小口智久 委員  企業での職業体験や就職につなげるための取り組みについて、国の事業とは別に、札幌市ではこれまでも取り組んできたことを改めて認識いたしました。また、職業体験や就職につなげる上で大事なことは、障がい者の障がいの状況やこれまでの経験、得意、不得意等をしっかり把握した上で、本人の希望も踏まえ、最も適する企業につないでいくことであります。  このようなことを行う上で、障がい者の就業や日常生活の支援を一体的に行うことができる就業・生活相談支援事業所には大変期待しており、中でも、我が会派が配置を強く求めてきたジョブサポーターが障がい者と企業の間に立って果たす役割は大変大きいと考えます。先日の第2回定例市議会で議決した補正予算において、就業・生活支援担当員ジョブサポーターの増員が盛り込まれたのは大変喜ばしいことでございます。  そこで、最後の質問でございますけれども、就業・生活相談支援事業所に配置している就業・生活支援担当員及びジョブサポーターについて、今後も計画的に増員を図るべきであると考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  事業所職員の計画的な増員についてお答えいたします。  本市におきましては、平成20年度から就業・生活相談支援事業所の設置を開始いたしまして、現在、市内4カ所体制で実施いたしております。就業・生活支援担当員につきましては、今年度中にこの4カ所の事業所でそれぞれ1名ずつの増員を行う予定となっております。また、ジョブサポーターにつきましては、平成23年10月から毎年度1名ずつ配置いたしまして、本年度の当初段階では4名を配置いたしておりますが、今年度中には2名増の6名体制とする予定でございます。今後とも、計画的に職員体制の充実を目指してまいりたいと考えております。 ◆小口智久 委員  最後に、要望でございます。  障がい者の雇用の拡大について、札幌市として取り組みが可能なことは、国と連携して、ぜひとも前向きに進めていただきたいと思います。例えば、札幌サンプラザにある札幌市就業サポートセンターは、ハローワーク民間職業紹介業者が協働で無料の職業紹介サービスを提供しているだけではなく、再就職を目指す女性や中高年齢者シニア層向けにセミナー、カウンセリング、職業紹介までを一体とした職業支援を行っていますが、こういった民間企業のノウハウを活用した官民協働の就労支援の仕組みを障がいの分野でも行ってはどうかと考えます。特に、元気スキルアップ事業では、民間の人材派遣会社による研修を通じた障がい者のスキルアップだけではなく、登録者への職業紹介を行っており、こういった民間企業のノウハウを活用しながら、ハローワーク職業紹介等を組み合わせれば、効果的な就職支援が可能となるのではないかと思います。  今後とも、さまざまな施策を展開し、障がい者の一般就労が一人でも多くなるよう取り組むことを強く要望して、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私からは、障がい者や高齢者に対する福祉除雪について、また、視覚障がいのある方に対する日常生活用具の給付の2点について質問いたします。  最初に、福祉除雪について質問します。  福祉除雪は、高齢の方や障がいのある方が通院や買い物などの外出時に支障となる道路に面した出入り口部分と、必要に応じて玄関先までの通路部分の雪を地域の協力員が除雪するとともに、声かけや見守りなどを行い、地域福祉活動を推進することを目的としています。しかし、今、単身の高齢者世帯高齢者夫婦世帯がふえている中で、福祉除雪事業の除雪内容では対応できない要望が多くなっています。  その一つが屋根の雪おろしです。屋根の雪おろし中に亡くなる事故が毎年のようにあって、その事故の7割が高齢者です。ことし1月、80代の女性が屋根の雪おろし中に転落死するという事故もありました。この事故を報道した北海道新聞には、事故の報道記事とあわせて除雪作業の注意点を載せていました。しかし、そもそも80代の女性が屋根の雪おろしをするべきでしょうか。また、自分の屋根は自分の財産だから自己管理するべきということで済ませていいことでしょうか。  高齢化が進んで、除雪作業による高齢者の事故がますますふえていくことは容易に想像できます。自宅の屋根の雪おろしが困難な世帯の意識調査や実態調査を行うこと、また、高齢者に対して本市として支援していくべきではないか、ご見識を伺います。 ◎白岩 総務部長  屋根の雪おろし作業中の事故につきましては、大変痛ましいことであると認識いたしております。  雪の処理に関することにつきましては、札幌市民の関心やご要望は多岐にわたるものと考えておりますが、自宅の敷地内の排雪や屋根の雪おろしにつきましては、自宅での維持管理の一環として対応していただくことが基本だと考えておりますので、現在のところ、アンケート調査等を行う考えはございません。 ◆田中啓介 委員  先ほどの80代の女性は、老朽化したアパートの大家さんでした。今、そのようなアパートに入居されている高齢者や障がいのある方からも除雪の支援を求める声が上がっています。除雪支援を求めている方々が入居しているアパートは、鉄の外階段になっている老朽化したアパートで、その大家さんもまた高齢で除雪できないという実態もあります。  また、介護保険でヘルパーの生活支援を受けていても、国の通知では、ヘルパーの生活支援は除雪が対象になっていないだけではなく、そもそもしてはいけないということになっています。現在対象になっていないアパートなどの集合住宅に入居されている高齢者、また障がい者世帯の実態を把握していくこと、福祉除雪の対象拡大などの対策を講じていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎白岩 総務部長  集合住宅の場合につきましては、所有者や管理者に除雪の一義的な責任があると考えております。しかしながら、現実にはさまざまな実態があると考えておりまして、例えば、オーナーが近隣にお住まいで、積雪があるとオーナーご自身が除雪してくれるようなケースもあるでしょうし、あるいは、入居者の方々が協力しながら除雪に対応しているケースもあろうかと思います。  これからますます高齢化が進んでいく中で、福祉除雪の利用世帯がふえ、地域協力員の確保が課題となっている状況を踏まえますと、集合住宅福祉除雪の対象とするような要件の拡大につきましては困難であると認識いたしております。 ◆田中啓介 委員  今、答弁にあったように、自分の家の屋根、アパートの所有者、管理人、また、入居している人同士で協力してと言っても、実際には、大家さんが高齢だったり、住んでいるのが高齢者だけのアパートということもあります。福祉除雪事業の趣旨、また、これから高齢化が進んでいく中でのさらなる需要の拡大があるにしても、1年の半分近くは雪で家が埋まってしまう本市として、高齢者や障がいのある方が地域で安心して住み続けられるためにも対策を講じていくべきということを改めて求めて、福祉除雪についての質問は終わります。  次に、視覚障がい者に対する日常生活用具の給付についてです。  視覚に障がいのある方は、健常者と同じように、また、一人の人間として生活が送れるように、視覚以外のあらゆる機能を活用しながら、また、日常生活を送っていく上でのさまざまな支援用具などを活用しながら生活しています。こういう中で、札幌市では、地下鉄ホームに転落防止の可動式ホーム柵が設置されました。また、点字ディスプレイ、視覚障がい者用音声拡大読書器などの給付品目の拡大も行ってきて、視覚に障がいがある方は少しずつ自立した生活が送れるようになってきています。  しかし、例えば、スーパーで買ってきたパック入りのお肉や魚の区別ができない、洗濯をした後の服や靴下の色の区別がつかない、また、詰めかえ用の洗剤やシャンプーの中身も区別がつかない、複数の病院に通院していて、処方された薬は同じ袋のため区別がつかないという問題があります。  これらの問題を解消するために、ICタグレコーダーというものがあります。ICタグレコーダーは、ICタグというシールのようなものに音声データを登録しておいて、リーダーというペンのような機械をそのICタグに近づけると、登録していた音声データが再生されるというものです。例えば、登録ボタンを押しながら、「胃薬」とか「頭痛薬」と自分の声で吹き込み、ICタグを薬の袋に張っておきます。実際に服薬するときに、薬袋にリーダーというペンのような機械を近づけると、胃薬、また頭痛薬と吹き込んでおいた音声が再生されます。とても便利な製品であるだけはなくて、このICタグレコーダーは2万370円と、比較的、安価な商品です。  札幌市はまだこの商品を給付の対象にしておりませんが、他の政令市では既に対象にしている自治体もございます。本市として、実際に他の政令市がどれだけ対象にしているか把握しているのか、あわせて、対象になるとしたら、その対象になる方は何名になり、本市として給付を実施した場合、費用はどれくらいになるのか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  まず、1番目の他の政令指定都市の支給状況についてでございます。  本市が把握している部分でございますが、昨年9月時点で、政令指定都市では11都市で支給を行っております。  次に、音声ICタグレコーダーの支給の対象になる方は何人程度おられるのかというご質問でございますが、札幌市におきましては、本年3月末現在の数字で、視覚障がいの身体障害者手帳をお持ちの方は4,534人いらっしゃいます。このうち、仮に視覚障がい者用音声ICタグレコーダーを支給する場合の対象者数としては、視覚障害1級の方と2級の方を合わせた2,924人となるものと考えております。 ○坂本きょう子 委員長  費用について聞かれていましたけれども、いいですか。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  単価を2万円程度と勘案いたしますと、6,000万円程度と考えております。 ◆田中啓介 委員  20ある政令市のうちの11政令市で支給しており、さらに、2万円で計算すると大体6,000万円ぐらいかかるとお答えいただきました。  ICタグレコーダーというのは、視覚障がいを持つ方にとっては本当に有効です。例えば、スーパーで買い物をするときに介護者にお肉やお魚を買ったパックにICタグというシールを張る支援をしてもらうだけで、何日か後に冷蔵庫から取り出すときに、支援をする人が回りにいなくても、とったパックの中身がどのようなものかが音声で既に登録されているので自分で判断できます。また、洗剤でも、経済的ということで、今は多くの皆さんが詰めかえ用を使用していると思います。そういう中で、特に、まぜるな、危険と書かれた洗剤があると思いますけれども、買うときに支援する方にシールを張ってもらい、これは塩素系だとわかるように音声を吹き込んでおくことによって、別なものをまぜて詰めかえる危険もなくなります。また、血圧用の薬や睡眠薬を間違って飲むと、まさに命にかかわるようなことになります。そこで、薬局にシールを持って行って薬剤師に張ってもらうことで、自分で服薬管理をできるようになってまいります。さらに、冠婚葬祭で外出する際、この服、この靴下は何色か、さわっただけでは判断できませんけれども、ICタグレコーダーを用いて、どんな服を着るか、どんな色の服を着るか判断しておしゃれをすることができれば、文化的な生活の質を高めることにもつながってまいります。  今、政令市20のうち、11の政令市が既に対象にしています。また、費用も約6,000万円で行うことができます。何より、視覚障がい者が自立して安心・安全に暮らしていけますし、生活の質を高めていくことができます。こうしたICタグレコーダーは本当に必需品であり、本市として日常生活用具の給付の対象にしていくべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  本市における今後の考え方でございますけれども、札幌市では、これまでも、障がいのある当事者や関係団体のご意見、ご要望等を十分に勘案しながら、支給品目及び対象者の拡大などを図ってきたところでございます。ICタグレコーダーにつきましても、他都市の支給状況や他の障がい種別の対象品目とのバランス等を考慮いたしまして検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆田中啓介 委員  今、答弁があったように、本市として、日常生活用具の給付品目の対象者は拡大してきております。この製品は、視覚障がいのある方の生活を支援する上でとても有効な製品であるだけではなく、比較的安価な商品でもあります。そういった意味においても、早急に音声ICタグレコーダーを給付対象にすることを求めて、私の質問を終わります。 ◆松浦忠 委員  きょうは、13人が質問しますから、なるべく短く質問してくれという皆さんからの要請がありましたので、たくさんありましたが、一つだけにします。  まず最初に、身体障害者福祉センターについてです。  これは指定管理者に委託されているのですが、委託当初は理学療法士が配置されていませんでした。理学療法士は、火曜日と土曜日にボランティアで来てくれます。そして、整形外科のツカダ先生という方は、相当なご年配ですが、おまえの元気なうちはここへ行ってちゃんと面倒を見ろと教授から言われたということで、自分の診療所は余りやっていないようですが、土曜日に来て診てくれております。そこで、所管局と話をしまして、理学療法士について、ボランティアから報酬を払うようにしていただきました。皆さんは大変喜んでおります。そのことをまず申し上げておきたいと思います。これは、喜んでいることの報告であります。  そこで、質問ですが、いっぱいありますけれども、その中で、札幌市も冬季オリンピック・パラリンピックに手を挙げて、市長もこの連休にかけてスイスに要請に行かれるということです。  そういう中で、身体障がい者、なかんずく生産年齢の方で、例えば、途中から事故などによって身体機能を喪失した方は、それを補う装具をつけております。装具を製作する会社というのは、ほとんどが零細企業です。一方、これはホンダだとかトヨタといった大企業はいろいろな役割をするロボットを開発しております。私は、まず、札幌市内にそういう装具を製作する会社がどのぐらいあるかを掌握されているかどうか、これが一つです。していなかったら、していないでいいです。  それから、二つ目は、大手の企業はいろいろな人材が会社の中にいますから、たくさんの能力がある人を活用して、人間が話す言葉で動くものをつくったとか、あるいは、体に装着しておけば、脳から出る電流を感知して、例えば腰が痛いといったら、腰にかかる荷重を補助装具で賄うというようなものを開発しております。私は、ぜひ、市が積極的に支援などをして、札幌の業者がもっとすぐれた機能のものを開発するように取り組むべきではないかと思うわけですけれども、この2点について、まず、質問いたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  ただいまご質問がありました1点目の会社数につきましては、大変申しわけありませんが、今、資料がございませんので、後ほどお答えしたいと思います。  次に、2点目の札幌市としての考え方でございますけれども、保健福祉局といたしましては、本年3月4日から3日間、札幌駅の駅前地下歩行空間等におきまして、市民が、直接、展示製品のメーカーの担当者から最新の福祉用具の説明を受けまして、体験できる機会を設けたところでございます。高齢者や障がい者など、機器を使用する方の声を、直接、企業にフィードバックする機会ということでは大変有意義であったというふうに考えております。  現在、私どもが把握している中では、政令都市レベルでは2都市ほど、経済的な側面からそうした企業の育成に取り組んでいるところがございます。今後どうするかという部分に関しては、関係部局とも連携しながら検討していきたいというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  大体、途中で機能を失った人は、それぞれ個別に状況が違うのです。ですから、服で言うと、それぞれ寸法をとってもらって、仮縫いしてちゃんとつくる注文服という感じできちんとつくってあげると、その人は健常者により近い状況で就労していけると思います。大体、就労している人が事故に遭うと、事故の傷がきちんと癒えてリハビリなどをするまでの間に結構な時間がかかります。そうすると、公務員以外は、離職になることが多いのです。その人がまた社会復帰するとなると、そういう方々を雇用するのは事業主がなかなかということになるわけです。そこで、そういう人たちがきちんと社会復帰できるようにと。安倍晋三総理大臣が言う1億総活躍時代ですから、したがって、札幌市も200万総活躍時代でそういう人たちへの対応をきちんとしてあげるべきではないかと思います。  それをやるには、経済局がやるのだ、あの局だということではなくて、実際に、障がいを持っている方々の相談を受けて、補助金などを出したり、装具をつくるときのお金なども一部出しているのは保健福祉局です。したがって、私は、保健福祉局がお金を出してやることが一番早いし、また、開発する業者の人ともより親密に話ができて進むのではないかというふうに思っております。  市長は、いろいろな業種の方々に札幌でいろいろな仕事をつくって就業の機会を与えていくことを就任の方針としております。私も、それは大賛成です。  そこで、市長、やはり、保健福祉局から補助金を出す。経済局から企業対策で補助金を出すのではなくて、保健福祉局から補助金を出して、企業とタイアップしてそういうものの開発に当たることが私は大事だと思います。  そういうことについて、私は、ぜひ取り組んでいただきたいと私は思うのですが、この点について市長はどう考えられるか、お答えいただきたいと思います。 ◎秋元 市長  障がいのある方の装具の開発、いわゆる医療とか健康というようなことをものづくりとして地元の企業と結びつけていくのは大事だというふうに思います。そういう意味で、経済局にも開発支援などのメニューはありますが、今お話しのように、保健福祉局がふだんからおつき合いしている中で具体的にどういうことが出てくるのか、必要な開発をするお手伝いをしていく、あるいは、市立大学にはデザイン学科がありますので、人材としてそういったところをどう結びつけるか、さまざまなことが必要だろうというふうに思います。ですから、福祉器具という限定で資金をつくることも一つの考え方だというふうに思います。  そういったことを含めて、障がいのある方の自立のこと、それから、そのために地元の企業が貢献していける道筋をしっかり考えていきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  ぜひ、それをやっていただきたいと思います。  私は、長い間、この仕事をしていて思うことは、余りにも、こういうものはこの局というふうになってしまっている。例えば、経済局がこういうことをやっても、経済局は障がい者の方々との直接の接触はありません。あるのは保健福祉局なのですよ。お金は出すけれども、具体的な開発の相談だとかになると経済局はかかわりがない。わかりやすく言うと、金は出しっ放しになるのです。それで、うまくいかなかったら、うまくいかなかったで終わっているのです。保健福祉局が補助金を出して、業者とかかわり合っていって、実際に障がいのある方を選んで、その人を対象にして開発していくということになると、お金を出す側と障がいのある方の相談に乗ることと開発の業者が1カ所で結びつくわけですよ。そういうことで、市長、私はぜひこれをやっていただきたいということを求めて、終わります。 ◆村山拓司 委員  私からは、障害児通所支援についてお伺いいたします。  発達障がいや知的障がいなどの障がいのあるお子さんの支援は、保育所や幼稚園などでも行われております。しかし、保育所や幼稚園などの受け入れ人数は多くありません。現実的には、児童発達支援などの通所事業所に頼らざるを得ないのが実情だと思います。札幌市内の障害児通所支援事業所数は、全国の中でも非常に多くの事業所があり、平成27年10月1日現在で297カ所もあり、何と3年間で事業所数が2倍近くにもなっております。また、子どもたちに対する支援内容も、それぞれの事業所によって大きく異なり、自分で何をやったらよいか、自発的に考えさせる事業所もあれば、他業種から新規参入してきたばかりで知識が十分とは言えない事業所もたくさんあり、苦情やトラブルになることも少なからずあるとお伺いしております。身近なところに事業所が多数あることに対しては、選択肢が広がったとも言えますが、数がふえても質が伴わなければ意味がありません。現状では、発達などに心配のあるお子さんたちに適切な療育支援を受けてもらうためには、余りにも数が多過ぎて、保護者や子どもたちはどこの事業所を利用すればよいか、なかなか判断できないと思います。  そこで、質問ですが、本市として保護者にはどのような対応を行っているのか、お伺いいたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  障害児通所支援事業にかかわる保護者への対応についてお答えいたします。  サービスのご利用に当たりましては、保護者の自由選択のもと、事業者と利用契約を結ぶことが前提となっております。このため、札幌市では、各区役所におきまして、ご希望等をお聞きした上で、お住まいの近くにある複数の事業所を紹介する、あるいは、事業所の一覧をお渡しするといった対応を行っております。さらに、市内の事業所の受け入れ状況がリアルタイムにわかる空き情報ホームページを開設いたしまして、保護者が情報を容易に入手することができるよう環境を整えております。また、平成24年4月に開始した障害児相談支援では、介護保険のケアマネジャーのような役割を担う相談支援専門員が事業所と支援内容等の打ち合わせを行うなど、適切なサービスの利用に向けた支援を受けることができることとなっております。これらを活用していただき、児童お一人お一人がその特性に寄り添った支援を受けられるよう、保護者への情報提供に努めてまいりたいと考えております。 ◆村山拓司 委員  窓口などでは、本市としてしっかりと説明しているだろうと思いますが、やはり、保護者の皆さんにとって、わかりやすく丁寧に説明を行っていただきたいということと、ただいま相談支援専門員のお話がありましたけれども、そういった方々の人材確保にも取り組んでいただきたいと思います。  次に、冒頭で話をしましたが、先日、障害児通所支援事業は、他業種からの新規参入による事業所も非常に多いとの報道がありました。一方、本市による事業者への実地指導は3年に1度のペースで行っていると聞いております。しかし、そういった新しい事業所にこそ、しっかりと指導を行う必要があると考えます。  そこで、質問ですが、本市による新規事業者指導の対応についてお聞かせください。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  新規の事業者指導の対応についてお答えいたします。  事業者への指導につきましては、法令等に定めるサービスの取り扱いや給付費の請求に関する最低基準等につきまして周知徹底させるため、厚生労働省の通知に基づきまして、3年に1度の計画的な個別指導及び1年に1度の集団指導を行っているところでございます。ご指摘のとおり、新規事業者への指導は特に重要と考えておりますことから、例えば、新規事業者向けの集団指導を別途開催するなど、効果的な指導方法を検討いたしたいと考えております。今後とも、集団指導や個別指導等を通じてサービスの質の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆村山拓司 委員  集団指導に関しては、新規参入事業者に理解を深めてもらうことが難しいといったお話も聞いたことがあります。また、一部の事業者は、本市に請求する費用において相当数のご請求があることも聞いております。一生懸命頑張っている事業所の皆様がこの一部の事業者のせいで、ほかと同じようなサービスの質だと思われる可能性があることを危惧しております。ですから、人員に限りがあるかと思いますが、新規事業者には事業を開設して1年以内に個別指導を行えるよう努力していただきたいと思います。まず、札幌市として、しっかりとした体制を整えるための人員を確保し、事業所への指導を担っていただきたいと考えます。  最後に、私が今回質問させていただいた根底にあるものは、障がいのあるお子さんを育てる保護者の皆さんが安心して継続的な支援が受けられることであります。障がい福祉の分野は、その範囲も広く、制度改正も多岐にわたることが特に多いです。保護者の皆さんにどのような支援を利用できるのか、説明することができる障がい児支援の相談員も今後はさらにふやしていかなければいけません。問題が幾つも山積しておりますが、今後もこれらの問題に関してしっかりと注視していくことをお伝えし、質問を終わります。 ◆かんの太一 委員  私からは、平成26年度の福祉除雪について、また、今後の方針について、何点かお伺いいたします。  先ほどの他会派の答弁でも少し触れられていましたが、地域協力員の確保が課題だという言及がありました。今年度も、9月1日から10月5日まで利用希望者の申し込みが行われ、12月1日から翌年3月25日まで、除雪車による新雪除雪が行われた日の午前中に地域協力員が除雪を行いますが、この事業の実施主体である札幌市社会福祉協議会が、あらかじめ利用世帯と除雪を行う地域協力員マッチングを行うことで実際の除雪が行われるということであります。  そこでまず、ここ数年間の利用世帯数と地域協力員数の推移についてお伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  過去3年間の福祉除雪の利用世帯並びに地域協力員数につきましてお答え申し上げます。  利用世帯につきましては、平成24年度が4,302世帯、25年度が4,864世帯、26年度が5,198世帯となっております。25年度は、24年度の大雪の影響があったため、大幅に増加いたしております。  次に、地域協力員につきましては、平成24年度が2,942人、25年度が2,900人、26年度が3,280人となっております。  なお、平成26年度の3,280人の内訳につきましては、地域組織など、利用者の近隣にお住まいの方が1,914人、地域企業やNPOなどの地域協力団体の方が1,366人となっております。 ◆かんの太一 委員  地域の町内会やNPOや地域企業など、さまざまな方がかかわっている実態がわかったと思います。また、現在では地域協力員の確保がおおむねできているということですけれども、超高齢社会の到来によって福祉除雪を利用したいという世帯が今後ふえ続けて、地域協力員の確保が難しくなることも予想できると思います。  そこでまず、これまでどのように地域協力員の確保に取り組んできたのか、お伺いします。  また、地域の方にお話を聞くと、地域協力員の中心を担っている地域組織など、利用者の近隣にお住まいの協力員が高齢化しているというお話を耳にしますけれども、平成26年度の地域協力員の年齢構成をお伺いしたいと思います。 ◎白岩 総務部長  地域協力員の確保につきましては、広報さっぽろあるいは町内会における回覧板等による市民に対する呼びかけ、あるいは、札幌市や道の退職予定者に対する呼びかけを行うとともに、町内会関係者や地区福祉のまち推進センター等の地域に対して働きかけを行っております。また、災害防止協力会会員企業やその他の地域企業、福祉施設、学校、NPOにも協力依頼を行っているところでございます。  また、平成26年度の地域協力員の年齢構成についてでありますが、地域組織など、利用者の近隣にお住まいの地域協力員の方約400名に行ったアンケート結果によりますと、50代以下の方は12%、60代の方は35.4%、70代以上の方は52.6%となっております。これは、10年前と比較いたしますと、60代以下の方が減り、70代以上の方が大幅に増加している状況にあります。 ◆かんの太一 委員  地域協力員の年齢構成ですが、今の答弁の中にあったように、70歳代以上の方が非常に多く、52.6%と半数以上が70歳以上の方だということです。70歳代の方でも非常に元気な方が地域にたくさんいらっしゃいますが、協力員の多くが福祉除雪開始当初から継続して従事してくださっている一方で、新規の協力員はそれほどふえていないのではないかという印象を受けます。
     しかし、超高齢社会の到来によって、今後、福祉除雪の利用者はますますふえることや、地域協力員の高齢化によってやめられる方がふえると、これまでと同じような方法での地域協力員の確保は困難ではないかと思いますけれども、新たな地域協力員確保の方法についてどのように考えるか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  新たな地域協力員の確保についてでございますが、高齢化によりまして福祉除雪の申し込みがふえることが想定されることから、今後もさまざまな場面で地域協力員確保に努めてまいりたいと考えております。具体的に申し上げますと、福祉除雪利用者が居住する地域の地域組織に日ごろからのつながりを生かして地域協力員を探していただき、利用者と地域協力員マッチングを行っていただくよう、社会福祉協議会と連携し、これまで以上に積極的に働きかけを行ってまいります。  さらに、新たな取り組みといたしまして、利用者の近隣にお住まいの地域協力員の発掘やマッチングなどにご協力いただきました地域組織に対して必要な経費等を助成することを検討しているところでございます。 ◆かんの太一 委員  ただいまの答弁の中で言及がありました地域団体などへの助成ということですけれども、今後、検討されていく中で、助成の基準などをしっかり整備して、福祉除雪の充実につながるような取り組みをしていただきたいと思います。  福祉除雪は、地域でのつながりが生まれ、閉じこもりの予防につながる制度で、住みなれた地域で誰もが安心して暮らしていくためには、非常に重要なものであるというふうに考えております。さらに、福祉除雪地域協力員を経験したことがきっかけとなって、町内会活動やボランティア活動へ参加する方がふえて地域の支え合いが活性化することが期待されます。また、市のホームページに掲載されているアンケート結果によりますと、地域協力員の9割以上が「協力してよかった」「まあまあよかった」と回答されています。  今後も、この制度の利用希望者全員が福祉除雪を利用できるよう、また、地域協力員が気持ちよく支援を行えるような体制づくりに努めていただきたいと思いますので、この点を要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、臨時福祉給付金事業についてと要配慮者避難支援の2点についてお伺いさせていただきます。  初めに、臨時福祉給付金事業について質問いたします。  平成26年4月、政府の税と社会保障の一体改革の財源確保のために、消費税が5%から8%に引き上げられました。消費税は、所得が低い世帯ほど負担が重くなる、いわゆる逆進性があるために、我が党としても、低所得者や子育て世帯に対する支援策が必要であるとして、政府に対して、8%時には簡素な給付措置を、10%時には食料品などの軽減税率の導入を求めているところであります。  こうした経過を経て、昨年度、平成26年度は、まず、簡素な給付措置として臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金が実現いたしましたが、その後、消費税10%への引き上げが平成27年10月から平成29年4月に先送りになったことに伴いまして、2年目となりますが、今年度も引き続き給付金事業が実施されております。  昨年度の札幌市の実施結果でありますが、平成26年度の決算資料、局別施策の概要の36ページによりますと、給付金の支給総額は約54億6,000万円となっております。給付者数の実績については、担当課にお聞きいたしますと、二つの給付金を合わせた給付人数が約46万3,000人であり、給付率はあくまでも概数ということではございましたが、8割強であったということでございます。給付は、あくまでも対象者からの申請に基づき行われるものですが、事業の趣旨を考えると、対象者全てに給付金が行き渡ることが望ましいわけであります。また、昨年度は申請期間を9月末までの3カ月間といたしておりましたが、申請期間を過ぎても未申請者からの問い合わせが多々あり、期限を過ぎているため、断らざるを得なかったという大変残念な状況であったとも聞いております。  そこで、質問ですけれども、昨年度の実施結果を踏まえ、今年度は未申請者、未受給者を極力少なくするような対策を講じる必要があると思いますが、どのような取り組みを行うのか、伺います。 ◎白岩 総務部長  臨時福祉給付金の未受給者対策につきましてお答え申し上げます。  昨年度の実施結果を踏まえまして、大きく2点ほど対策を講じております。  まず、1点目といたしましては、申請期間の長期化でございます。昨年度は、厚生労働省の通知に基づきまして原則とされている3カ月間としておりましたが、今年度はこれより2カ月間長く設定することとし、9月7日から2月15日までの約5カ月間といたしました。  次に、2点目といたしましては、未申請者への申請勧奨でございます。今年度は、申請書を送付してから一定期間が経過した12月の時点で、まだ申請が住んでいない方に対しまして個別に申請を勧奨する文書を送付いたします。さらに、年明け1月の時点でも同様の文書を送付することといたします。また、広報活動につきましても、申請開始時期の広報に加えまして、12月ごろをめどに未申請者への申請勧奨を内容とする広報を行う予定としております。  これらの取り組みによりまして、未申請者、未受給者を極力なくすよう最大限努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  大きく2点について答弁いただきました。  未受給者対策として、申請期間を9月7日から2月15日まで、昨年の3カ月から約5カ月間に延長する、さらには、12月ごろには広報を実施するとともに、申請勧奨の文書もしっかり送付していくというようなお話であったと思います。広報活動については、私は臨時給付金のパンフレットもいただきましたが、対象者診断のフローチャートなどもしっかりして、その概要について非常にわかりやすいつくりになっておりました。今後も、丁寧な対応には大きな期待を寄せるところであります。  そうした中、私は、昨年、給付対象になった方から次のような声をお聞きしております。それは、給付金をもらえるのはありがたい、けれども、申請手続がわかりにくくて苦労したという趣旨のものでございます。いざ、申請となると、対象となる方には高齢者が非常に多いことから、申請書の書き方や必要書類がわかりにくいと感じる方や疑問を持つ方も多いのではないかというように思います。また、このような方は、身近に申請手続を手伝ってくれるような人がいればよいのですが、そうでない場合には、面倒だというように感じてしまい、申請を諦めてしまうことにもつながりかねません。  そこで、質問ですけれども、このように、申請手続についてわかりにくいと感じている方の疑問を解消し、対象者から確実に申請がなされるような対策が必要と考えますが、どのように取り組むのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  臨時福祉給付金の申請支援の取り組みにつきましてお答え申し上げます。  昨年度につきましては、申請書の書き方などに不安や疑問を持たれた方には専用コールセンターにお問い合わせいただくこととしておりましたけれども、実際には、案内文書発送後に、多くの方が、問い合わせのために、直接、区役所などに来庁されたケースが多かったと聞いております。  そこで、今年度は、コールセンターでのご案内に加えまして、各区役所に臨時福祉給付金の相談窓口を設けることといたしました。設置期間につきましては、申請受け付け開始日の9月7日から10月末までの約2カ月間とし、窓口では、申請書類の書き方や必要書類の説明などを行っております。この相談窓口において、わかりやすく丁寧な説明を行うことで、申請手続の疑問を解消し、給付金の対象となる方から確実に申請をいただくよう努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  申請手続の支援策として、専用のコールセンターのほかに、直接、各区に相談窓口を設置して対応し、記入方法の説明のみならず、記載補助も行うということがわかりました。この点については、昨年度の課題に対してきちんと対策を講じたものであると思います。引き続き、この対応をしっかりとよろしくお願いしたいと思います。  その一方で、今年度は、北海道庁所管の事業を含め、さまざまな給付金や商品券事業が並行して実施されている状況もございます。また、給付を装った振り込み詐欺や個人情報の搾取などにも非常に注意が必要であります。申請される方に混乱が生じないよう、今後とも、申請者の立場に立ってわかりやすく丁寧な説明に努めてほしいと思います。また、申請期間は来年2月中旬までの長期間になっておりますが、未申請者にそれぞれ申請勧奨していただいて、全ての対象者に給付金が行き渡ることを目指して、最後までしっかり取り組んでいただくことをお願いし、次の質問に移ります。  次に、要配慮者の避難支援について伺います。  昨日まで台風26号が去った後の低気圧等がありまして、我が会派としても避難情報を集めさせていただきましたけれども、高齢者を中心に負傷した方が非常に多かったこともございまして、改めてお見舞いを申し上げるところでございます。  札幌市も、平成20年度から、災害時の避難支援対策に対して町内会などの取り組みを支援しているところでございます。平成23年3月の東日本大震災以降、大災害などの備えとして、災害時要援護者に対する取り組みに札幌市としても大変力を入れており、私も、議会の中で何度も取り上げて、モデル地区の取り組みなどを通じて地域の活動の後押しを積極的にしていただくよう求めてきたところでもございます。  そうした中、平成25年6月には、国の災害対策基本法の一部が改正され、災害発生時にみずから避難することが困難な者のうち、特に支援を要する方を避難行動要支援者として、これらの方の名簿の作成が市町村長に義務づけられました。これに伴いまして、札幌市としても、ことし3月に札幌市災害時要援護者避難支援ガイドラインの一部を改定し、札幌市要配慮者避難支援ガイドラインを作成したと聞いております。  そこで、質問ですけれども、札幌市において既に避難行動要支援者名簿を作成したことと思いますが、どのような方々を対象として、どのくらいの人数が登録されているのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  避難行動要支援者名簿の対象者及び人数についてのご質問でございます。  まず、対象者及び人数についてでありますが、ことし3月に改定いたしました札幌市要配慮者避難支援ガイドラインにおきましては、要介護の認定を受けている方、身体障害者手帳1から2級を所持している方、あるいは療育手帳Aを所持している方等、八つの項目に該当する方々を避難行動要支援者といたしております。この要件に該当する方々を4月時点で札幌市保健福祉総合情報システム等から抽出いたしまして避難行動要支援者名簿を作成したところ、要介護認定を受けている方が約6万2,000人、身体障害者手帳1から2級を所持している方が約4万3,000人、療育手帳Aを所持している方が約6,000人などとなっておりまして、重複を考慮いたしますと、名簿登載者は全市で約10万人となっております。 ◆丸山秀樹 委員  今の答弁で、要配慮者は、これまでは、どちらかというと災害時要援護者と言っていた方たちかと思いますが、要介護認定を受けている方だけでも約6万2,000人、身体障害者手帳を持っている1級、2級の方で約4万3,000人、療育手帳Aを持っている方が約6,000人で、八つの項目で約10万人が登載されているというお話をいただきました。  このガイドラインは、町内会や地区福祉のまち推進センターなどの避難支援等の関係者等を規定し、この避難支援等の関係者に対して、災害の発生に備え、避難行動支援者等に名簿を提供できるとしております。実際に、大雨などで避難準備情報が出されるような状況においては、行政の関係者は、情報収集や避難所の開設などの事務に追われることとなり、避難に支援が必要な方たちについては近所の方が一緒に近くの避難所まで避難するなど、地域や隣近所での助け合いが非常に重要になってくることが過去の災害からもわかっております。このことは、私も地域などからよくお話を聞きますけれども、地域の人を地域で守る、自助、共助、近助が大事だとよく言っていますが、その考えにも符合するものでございます。したがって、今回作成された避難行動要支援者名簿を利用して、これまで地域でも把握し切れていなかった方々の避難支援を行えるようになるということはとても大切なことだと思います。  そこで、質問ですが、町内会や地区福祉のまち支援センターなど、地域で行動されている方々に具体的にどのように名簿情報の提供を進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  名簿情報の提供方法につきましては、庁内で検討を重ねまして、さらに幾つかの町内会や福祉のまち推進センターへ実際にお伺いさせていただき、ご助言をいただいた上で、具体的な手続を定めた札幌市避難行動要支援者名簿取扱要綱を制定したところでございます。  具体的に申し上げますと、名簿情報の提供を希望する町内会や福祉のまち推進センターなど、避難支援等関係者から申請していただき、その区域にお住まいの避難行動要支援者に郵送で同意を得た上で名簿情報を提供することとしております。また、名簿情報には個人情報が含まれていることから、名簿情報の適切な管理等について定めた協定を避難支援等関係者と私ども札幌市との間で結ぶことを想定いたしております。  今後は、名簿情報の提供に関する手続につきまして、町内会等への説明を行い、12月ごろから実際の名簿情報の提供事務を行ってまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  名簿の情報と管理、取り扱いの配慮は非常に必要だということもございまして、名簿情報の提供には要綱をしっかり定めていく、そして、申請をいただいて同意に至った場合にはしっかりと協定を結んでいきたい、また、そうしたことの周知も含めて、町内会等に説明を行って、ことし12月からスタートするというお話だったと思います。  ただ、この質問の初めにも申し上げましたように、本市では、平成20年度からモデル事業や出前講座などで災害時の避難支援に取り組む町内会への支援を行っていることから、町内会の取り組みとして、回覧や声かけ運動など、さまざまな方法で独自に避難支援の必要な方を見つけて、その支援者とマッチングを行っている町内会が既にたくさんあるのですね。  そこで、質問させていただきますが、そうした町内会において既に行われている取り組みと今回の名簿提供はどのような関係になるのか、お伺いしたいと思います。 ◎白岩 総務部長  既に避難支援の取り組みを行っておられる町内会等につきましては、私ども札幌市から提供いたします名簿情報は、ある意味で補足として活用していただきたいと考えております。  具体的に申し上げますと、既に町内会等で独自に把握されている避難支援の必要な方にはこれまでと同様な支援を行っていただき、札幌市から提供する名簿情報によって支援が必要であることが新たに判明した方につきましては、面談等を行い、その方の避難支援を検討していただきたいと考えております。また、現時点で避難支援等に取り組んでいない地域につきましては、この名簿情報をきっかけといたしまして、まずは名簿に登載されている方々の避難支援に取り組んでいただき、その後、地域の活動の実情に応じて、回覧や声かけなどにより独自に対象者をふやしていくことも検討していただきたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  既に取り組みを進めているところにあっては、独自で作成してきたノウハウ、また名簿などもあろうかと思うので、これをしっかりと補足するようにしていっていただきたい、そしてまた、新たな事業に取り組もうというところにも、面談を含めた取り組みのきっかけにしっかりとつなげていきたいというようなことだったと思います。  最初に述べましたとおり、災害時の地域の助け合いというのは非常に大切なものだと認識しております。避難行動要支援者名簿の情報が提供できるようになったことをきっかけに、避難支援に取り組む地域がふえて、要配慮者が安心して暮らすことができるようになることを期待するものであります。地域はもとより、札幌市におきましても、この取り組みは継続して行っていかなければならないものではないかと思います。そして、情報の更新についても定期的に行っていただいて、地域でも常に最新情報をつかんでおく必要があると思います。  本市におきましては、今後もこの活動が広く地域に根づくように働きかけと支援を求め、私の質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私からも、避難の問題、特に福祉避難場所の問題についてご質問させていただきます。  昨日来の暴風雨によりまして、道東を中心に大きな被害が出ました。高潮による浸水や河川の堤防の決壊、建物の損壊が相次ぎ、根室や紋別などでは避難指示や避難勧告も発令されました。私からも、被害に遭われた全ての皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。  このように、今、全国各地でさまざまな災害が発生しています。災害は忘れたころにやってくるとよく言いますけれども、忘れるどころか、本当に次から次へといろいろな災害が各地で起こります。そんな中で、市民の皆さんも、災害が起こること自体ももちろん不安ですが、もし災害が起きて、自分たちが地域の避難所に行ったときに、どんな対応になるのか、どんな暮らしになるのかという不安も非常に大きいものがあると思います。  そこで、福祉避難場所でありますが、災害が発生した後、避難所生活におきましては、日常生活を送る上で介助や支援を必要とする高齢の方や障がいがある方なども含めて、最初は地域の小学校や中学校などのいわゆる収容避難場所に避難することになります。しかし、災害によっては、2日、3日、あるいは1週間と長期化することがありますので、長期化する場合については、要配慮者のために福祉避難場所を開設して、そこの避難所に向かってもらうことになるというものであります。資料をいただきましたが、現在、本市が協定を結んでいる福祉避難場所というのは、四つの団体で219の施設があるということであります。  そこで、最初の質問でありますが、こうした福祉避難場所の配置、すなわち地域バランスについてはどのように考慮されているのか、また、施設などと協定を結ぶ際に、求められる福祉避難所としてどんな機能が求められているのか、この点についてお伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  福祉避難場所となります施設につきましては、ただいま委員からお話がございましたように、学校などの収容避難場所と異なりまして、私ども札幌市と協定を締結した4団体に加盟している施設であり、現在、市内10区に合計で219施設ございます。そういった意味から、一定程度のバランスがとれているものと考えております。  次に、どのような機能が求められているかというご質問でございます。  福祉避難場所には、日常生活を送る上で介助や支援を必要とするために、通常の避難場所での生活が困難な高齢者あるいは障がいのある方が安心して避難生活を送ることを可能とするような機能が求められると考えております。このことによりまして、例えば、高齢者につきましては老人福祉施設や老人保健施設、障がいのある方につきましては障がい特性に応じた専門施設などに移っていただき、それぞれの施設の職員が避難された方の状況に合わせたきめ細かいサービスを行うこととしているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  10区に一定のバランスで福祉避難場所が配置されているということでした。今、高齢化が急速に進んでいく中で、10区の中でも非常に密度の高い高齢化の地域もございますし、こうした地域バランスについては、さらに検証もしながら、より一層バランスのとれたものにしていただきたいというふうに思います。  高齢者の皆さんが小・中学校の体育館に避難して、そして、長期化する場合に福祉避難場所に移動していただくことになりますが、災害が発生した後の状況ですし、高齢者あるいは障がいのある方を福祉避難場所に誘導あるいは移動するのに、誰がどんなふうな手だてをしてくれるのかという点についても非常に不安のあるところだと思います。  そこで、小・中学校などの収容避難所から福祉避難場所へ移る場合の手順、そして、要配慮者などの移動手段についてお伺いしたいと思います。 ◎白岩 総務部長  一般の避難場所から福祉避難場所に移送する手段についてのご質問かと思います。  災害が起きますと、当然のことながら各施設も被災いたしておりまして、要配慮者の受け入れが困難な状況になっている可能性が考えられます。そこで、まずは施設の被災状況を確認させていただきまして、福祉避難場所として要配慮者を受け入れることが可能かどうか、まず見きわめる必要がございます。その上で、受け入れが可能であるという確認がとれた施設を福祉避難場所として指定させていただきまして、順次、1次避難所に避難している要配慮者を移送することといたしております。  また、要配慮者の移送につきましては、まずは施設にお願いをすることとなりますが、災害が起きたときには施設だけではなかなか移送が困難となることも想定されます。したがいまして、ことし8月に一般社団法人札幌ハイヤー協会と災害時における緊急輸送等に関する協定を締結いたしまして移送手段の確保に努めているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  災害が発生して、その後に、協定を結んでいる福祉避難場所ではどの程度受け入れが可能なのかということも確認しながら、一定程度の受け入れが可能だということになれば指定して、そして、今、ハイヤー協会とも連携されるという答弁がございましたように、タクシーを使って移動することが可能になったということであります。  次にお伺いしたい点は、福祉避難場所については、みずから備蓄物資を持っている福祉避難場所もあるように聞いておりますし、災害が発生したときに福祉避難場所に必要な物資などの提供はどんなふうに考えているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。 ◎白岩 総務部長  必要物資等の供給はどのようにするのかというご質問かと思います。  例えば、食料、毛布等々の必要物資につきましては、原則として、まずは福祉避難場所に指定された施設で備蓄しているものを使用していただくことが一義的となります。  なお、必要な物資がその施設で不足しているような場合につきましては、私ども札幌市が備蓄している物資を施設に提供することとなります。 ◆村上ひとし 委員  まずは施設に備蓄してあるものを使っていただくというお話でしたけれども、そうした場合の費用については、市ではどんなふうに検討されているのでしょうか。 ◎白岩 総務部長  ただいまご質問がありました経費の負担についてでございます。  施設で使用いたしました物資等に係る経費につきましては、札幌市が負担するなど、施設にはできる限り負担がかからないように被災者の受け入れをしていただく体制としているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  負担がかからないというのは、ぜひ、そのようにやっていただきたいと思います。  それから、高齢の方や障がいをお持ちの方などが避難するわけですから、必要な備蓄品の中には通常の備蓄品と違うものがあると思います。ですから、備蓄品の内容などについては、今後とも福祉避難場所で仕事をされている事業者の方などと相談を深めていただいて、高齢者あるいは障がいに合った適切な備蓄品を蓄えることができるようにしていただきたいと思います。  最後の質問でありますが、各地で災害が発生したときに、避難所生活が長期化して非常に厳しい生活を強いられている被災者の姿をテレビで見るたびに、市民の皆さんも不安を感じていると思います。特に、日常生活を送る上で、介助や支援を必要とするご高齢の方、あるいは障がいのある方はなおさらだと思います。  そこで、もし災害が発生して避難所生活が一定程度長期化する場合には、福祉避難場所というものがあることを市民に周知していくことも必要だと思いますが、どのように周知を進めていこうとお考えなのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  福祉避難場所の市民周知についてでございます。  現在、札幌市のホームページで福祉避難場所の紹介をいたしておりますけれども、そのほかに、通常の避難所での生活が困難な高齢者や障がいのある方へは、まず、地域の防災訓練などを通して、災害が起きたときには福祉避難場所という特別の配慮がなされた避難場所があることを知っていただくことで日ごろの安心につなげていただきたい、このように考えております。 ◆村上ひとし 委員  高齢化が進む中で、高齢の方こそ、災害が発生したとき、そしてその後の生活に大きな不安を抱えていますので、収容避難場所と福祉避難場所の連携あるいは充実に今後一層ご尽力いただきたいということを言いまして、質問を終わります。 ◆しのだ江里子 委員  私は、障害児通所支援事業についてと移動支援について伺います。  まず、障害児通所支援事業について伺ってまいります。  障害児通所支援事業に関して継続的に質問させていただき、昨年も決算特別委員会で療育の質の確保と指導についてお尋ねしております。1年前には、児童発達支援や放課後等デイサービス等の通所事業所は250カ所を超えるとのことでしたが、この10月1日現在では、通所事業所は、医療系を除くと294カ所と、政令市の中で大変突出しております。  質の確保と指導についての昨年のご答弁では、2013年度から札幌市主催の障害児通所支援事業所研修会が年3回、市内8カ所の児童発達支援センターを中核として行われていること、そして、指導状況については、3年に1回のペースで実地指導を行い、その中でも多かったのは個別支援計画の定期的な見直しの不備であったり、災害時に対応するための避難訓練の未実施などがあったと伺いました。1年が経過しましたので、その後について伺っていきたいと思います。  まず、3年目を迎えた児童発達支援センター研修会の報告は、市役所のホームページにも後日に掲載されておりまして、私は、毎回、大変興味深く拝見しております。この研修会は、全国的にも本当にまれな取り組みでありまして、注目度も高い研修会であり、行政と支援センターが一体となって取り組んでいる様子がうかがわれます。  しかし、研修会の参加率は、例えば、2013年の第1回では、対象事業所数175カ所に対して参加が145カ所、平均参加率が82.9%、参加者は200人でした。それが、2014年になりまして、第1回目は、対象事業所数が245カ所中、参加事業所174カ所、71.0%、参加者354名、そして、今年度の第1回目は、対象事業所数が352カ所中203カ所、57.7%、参加者数は463名となっておりまして、一昨年度には平均参加率が80%以上であったものが、昨年度は70%前後に低下し、そして、ことし6月に開催された第1回目は57%の参加率でありました。参加者は本当に増加しているものの、開所事業所数の増加に伴って参加率が低下した側面もあると思うのですが、先ほども質疑がございましたように、異業種などからの新規参入が多過ぎて最低基準の人員配置でスタートする事業者が非常に多く、研修に参加する人的余裕のなさもあると思われます。また、伺いますと、職員の異動が非常に早いという声も聞いております。  そこで、質問ですが、札幌市では、研修についてはどのように評価され、また、研修の参加等についてはどのように指導を行っているのか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  研修の評価と参加の指導につきましてお答えいたします。  児童発達支援センター研修会は、平成25年度の開始当初から、札幌市と各センターが一体となって計画して実施いたしているもので、その内容も毎年工夫しております。開催日程や研修内容によりまして参加率は左右されるものの、参加人数自体は年々増加しているほか、通常の事業所に限らず、相談支援事業所にも加わっていただき、新規事業所を初めとして、資質向上と各事業所間の連携にも寄与していると評価いたしております。また、研修会につきましては、年度当初に研修計画の周知を行いまして、開催の都度、札幌市とセンターの両方から各事業所に案内しているほか、各センターでは、毎回、返信のない事業所に対して電話による参加の案内もあわせて行っているところでございます。  この研修は法定研修ではないため、全ての事業所に参加を義務づけるのは難しい面がございますが、資質向上につながる有意義なものと考えておりますので、事業所に対しましてはこの研修会の活用をさらに促してまいりたいというふうに考えております。 ◆しのだ江里子 委員  研修会の内容を拝見させていただきましても、まさに、計画とか、その実施にはそれぞれの支援センターでも工夫されておりまして、このために使われる時間は本当に大変なものだなと思うほどです。先ほどもありましたように、この研修会については、義務化されたものではないので必ず出席しなければならないものではありませんが、これまで以上に参加を促し、指導していただきたいと思います。  この研修によって基礎の確認ができたり、また、事業所の特徴や支援内容を共有したり、支援員としての悩みを相談、共感することができたり、一事業所ではなかなか解決できない事例の解決につながることもあると考えます。課題もまだまだたくさんありますが、より充実した研修になるように、市と児童発達支援センターの試みを私は期待したいと思います。  研修の充実については札幌市としてこのようにしっかりと取り組んでいただいているものと理解しておりますが、厚生労働省は、ことし4月に放課後等デイサービスガイドラインを新たに定めております。利用する子どもや保護者のニーズはさまざまで、提供される支援の内容は多種多様、支援の質も大きな開きがあるとの指摘がなされている状況を踏まえまして、2014年7月に障害児支援の在り方に関する検討会の報告書が取りまとめられています。  この中で、支援の一定の質を担保するための全国共通の枠組みが必要であるため、障がい児への支援の基本的事項や職員の専門性の確保などを定めたガイドラインの策定が必要とされまして、特に、2012年度以降に創設された放課後等デイサービスについては早期のガイドラインの策定が望まれるとの提言がなされました。このガイドラインでは、サービス提供形態の多様性に照らして考えると、特定の枠にはめるような形で具体性をもって示すことは技術的にも困難であり、支援の多様性自体は否定されるべきものではないとされています。しかし、事業所から提供される支援の形態は多様であって、ガイドラインでは、障がいのある学齢期の子どもの健全な育成を図る意味においては、支援の根幹はどの事業所であっても基本的事項は共通しているとしております。そして、事業者向け自己評価表では40項目以上のチェック項目が掲げられ、そしてまた、保護者向けには18項目が掲げられています。特に、事業者向けの適切な支援の提供の項目とか、関係機関や保護者との連携の項目は非常に重要で、実に的を射ているポイントだと私は考えます。  そこで、質問ですが、札幌市は、このガイドラインにある自己評価表についてどのような活用を考えていらっしゃるのか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  ガイドラインにございます自己評価表の活用についてお答えいたします。  委員のご指摘のとおり、厚生労働省が作成したガイドラインは、どの事業所にも共通する有益なものと認識しております。したがいまして、本年4月6日付で各事業者に対してガイドラインを周知いたしまして、その活用を促したところでございます。  札幌市といたしましては、引き続き、個別の指導・監査や集団指導の場面で自己評価表の活用を働きかけ、具体的な業務改善や支援の質の確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  要望です。  児童発達支援センター研修会には、児童発達支援とか放課後等デイサービスの事業所を含め、障害児相談支援事業所も参加しておりまして、その数は350を超えています。ただ、先ほどから何度も申していますように、異業種が最低基準の人員配置でスタートするようなレベルの事業者が多く、また、研修に参加する人的余裕のなさもある中で、支援の質を担保することが果たしてできるのか、事故につながるようなことにならないのかと心配するところであり、実際にトラブルとなる事例も多いと聞いております。私は、そもそも国が支援の質を担保する取り組みをしてこなかったことに問題があると考えておりますが、今回、ガイドラインという形で支援の根幹の充実を図ろうとしたことで、質の担保に向けた取り組みがようやく緒についたと言えると思います。  しかし、このガイドラインは、放課後等デイサービスを実施するに当たって必要な基本的事項を示してはいますが、この内容を機械的に実行していけば質の高い支援提供が確保されるような手とり足とりの事業マニュアルではありません。各事業所に望むのは、このガイドラインの内容を踏まえながら、事業所の実情や個々の子どもの実情に応じて創意工夫を図り、提供する支援の質の向上に努めていただきたいと思います。札幌市は、全国でも児童発達支援や放課後等デイサービス事業所がこれだけ突出しておりますが、障がい児発達支援を委ねているならば、せめて人員配置において、児童発達支援管理責任者が1人いればほかの指導員の資格は問わないなどという国基準に対して資格者の増員を求めるなど、支援の質の担保が確実になる方策を選ぶべきだと私は考えます。  2014年度の決算では、障害児通所給付費は57億円、2015年度予算では68億円とますます膨大になっております。この金額が提供される支援の質に本当に見合うものなのか、考えるときではないかと思います。まずは、札幌市が、研修会や実地指導などの折に、このガイドラインの活用により、事業所や職員の支援改善につながるよう働きかけていただくことを強く求めます。  次に、移動支援についてです。  先日発表された札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015の中に、移動支援についての記載がございました。これについて、少し聞かせていただきたいと思います。
     移動支援については、札幌市は、2012年度から、保護者の就労や障がいに着目して通学についても利用を認めることになったと記憶しております。当時、私も委員会で質問させていただきました。その後、多くの方たちが利用されておりまして、保護者からも、本当に助かっているという声を多々聞いております。しかし、ことし6月に秋元市長と語る会を東区障害者自立支援ネットワークが開催させていただいたのですが、その会場の中から、特に移動支援についてさまざまな声が上がっておりました。  今回のアクションプランにある対象者の拡大とは、どのような内容をいつごろから行うのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  障がいのある方の外出を支援いたします移動支援事業につきましてお答えいたします。  移動支援事業につきましては、日常的に多様なご意見をいただいておりますが、とりわけ、対象者要件の拡大を望む声が多いことを踏まえまして、このたび、アクションプランにおける重点課題への取り組みといたしまして制度の充実に取り組むものでございます。具体的には、肢体不自由のある方の対象者要件である両手と両足の4肢のうち、3肢以上に障がいを有するという部分を2肢以上に緩和するものでございます。これにより、例えば、体の左右片側の半身麻痺により単独歩行が困難な方などが新たに外出支援を受けられるようになると考えております。  この対象者要件の拡大につきましては、待ち望んでおられる方も多くいることから、次年度以降の早期実現を目指して取り組んでまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  対象要件を拡大したということですが、半身麻痺の方たちはたくさんいらっしゃいますので、こういった方たちに対する移動支援が広がることは望ましいことだと思います。今までも、移動支援事業については、障がいのある方が、地域生活を営み、外出機会の拡大を図る上で大変重要な事業であると考え、そしてまた、札幌市もこれまで事業内容の充実や制度周知に努めていらしたと思います。  しかし、東区障害者自立支援ネットワークの意見交換会では、3障がいそれぞれの方たちから移動支援の困り事を発言されておりまして、今すぐにとは言えないまでも、一歩でも前に進むことができるように、市にはさらに力を尽くしていただくことを求めて、質問を終わります。 ○村上ゆうこ 副委員長  以上で、第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。  次に、第2項 子ども福祉費のうち関係分の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時43分       再 開 午後3時5分     ―――――――――――――― ○坂本きょう子 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆村上ひとし 委員  私からは、生活保護費について、生活保護費の基準引き下げ全般的な観点からお伺いしたいと思っております。  生活保護費の基準引き下げの問題でありますけれども、働いている人の賃金がどんどん下がっていく、年金も下がるという中で、仕事をして生活保護を受給していない人のほうが保護を受給している人より所得が低い、だから保護の基準を引き下げるというのは、そもそも矛盾した考え方だと思います。こうしたいわゆる逆転現象については、生活保護費が高過ぎるから起きるのではなくて、生活保護の基準以下で生活を送っているのに保護を受けられない、そういう人が急速にふえてきた、だから逆転現象が起こってきているというふうに考えています。  そして、生活保護基準というのは、言うまでもなく、憲法の第25条が保障している国民の最低限度の生活を保障する制度であります。生活保護基準の引き下げについては、代表質問でも質問したところですけれども、基準の引き下げについて、改めて、市はどんなふうにお考えなのか。特に、市の政策の中でもさまざまな貧困対策に取り組むことになっておりますし、この間も取り組んできましたが、そうした市が進める貧困対策に生活保護の基準の引き下げはどんな関係があるとお考えなのか、まず最初にお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護の基準は、国が責任を持って定めるものでございます。現在、生活扶助基準額の設定は水準均衡方式が採用されておりますから、その水準は国民の消費実態との均衡で相対的に決めるものとされています。平成25年8月の見直しについては、国の社会保障審議会保護基準部会において、総務省統計局の全国消費実態調査等をもとに、年齢階級、世帯人員、地域別に従来の基準額と消費実態の乖離を詳細に分析し、それを踏まえて国が決定したものでございます。  この基準改定によりまして札幌市の貧困施策への影響がどうであるかというと、余り影響はないと認識しております。 ◆村上ひとし 委員  貧困対策には影響がないという部長のご答弁でありました。  代表質問でも、生活保護制度の基準の引き下げについては、国が責任を持って決めているし、客観的な指標により合理的だと認識しているというご答弁でした。合理的だということです。それから、冬季加算についてもお伺いしたところ、これも、健康で文化的な最低限度の生活の維持に支障がないよう配慮されたものと認識している、こういうさきのご答弁でした。  市の貧困対策に影響はないということですから、その根拠としてお伺いいたしますが、改めて、基準の引き下げが及ぼす市民生活への影響について、私は調査すべきだと思いますけれども、その点はどうでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほども申しましたとおり、生活保護基準は客観的な指標等により合理的に決定されたと認識しておりまして、この基準によって市の施策について大きな影響が出るものではないと考えておりますので、とりわけ調査の必要はないと考えております。 ◆村上ひとし 委員  国の捕捉率の問題で見ますと、日本の捕捉率が極めて低いのは当然ご存じのことだと思いますが、約2割の捕捉率ということです。つまり、残りの8割の人は生活保護の基準を下回る生活をしているのに保護を受給していない、OECDは、こうした問題について速やかに解決すべきだと勧告しております。  生活保護基準の引き下げは、市民の生活に何ら影響がないということです。生活保護基準はもちろん国の基準でありますが、私は、この基準の引き下げによって市民の暮らしがどうなっていくのかということは、市が責任を持って注視していかなければならないし、必要な対策はとっていかなければならないと思いますけれども、この点の対策をとる必要性も含めて、どうですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  基準を下げたことによって影響するものがあるのではないかというお話ですけれども、私どもとしては、例えば、防貧施策に関連する就学援助、その他もろもろの低所得者対策について、基準に連動させて、即、下げるとするならある意味で影響がある場合があるかもしれませんけれども、国が基準を下げたことによる直接の影響はないと考えております。  それから、平成25年8月から26年度、27年度と3年にわたって基準の改定が行われていますが、この3年度の改定のたびごとに、できるだけ直接の影響が及ばないようにという通知が国から出ていますので、各関係部局に対しても直接的に影響が広がっていかないようにということで通知しております。 ◆村上ひとし 委員  影響については、今までも、現時点でも調査していないのですよね。調査していないのに影響はない、国が言っているから大丈夫だということですね。私は、国の基準であるのはもっともなことだと思いますし、皆さんはその基準に従って仕事を進めるのでしょう。しかし、先ほど言ったように、これは憲法第25条が保障する重大な制度の一つです。しかも、戦後最大の引き下げです。そういう点で考えると、制度をつくった国云々というよりも、それに従って生活をする人にはどういう影響が出てくるのかということについて、調査も含めて注視していくべきだと思います。それもしないで、影響がないと言うのは、私は、市の姿勢としては極めて無責任だと言わざるを得ないと思います。  それでは、次にお伺いいたしますが、部長は就学援助の話もされました。改めてお伺いいたしますけれども、生活保護基準に連動する制度というのは、本市の場合、どれぐらいあるのでしょうか。また、それらの制度は、市民の暮らしにどんな影響があるものなのか、この点についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  札幌市の事業で生活保護基準が影響しているのは、平成25年9月の調査で64項目と把握しております。これは先ほどの就学援助なども含んでおりますが、引き下げによってこれらにどういう影響を及ぼしているかということについては、私どもは、調査しておりませんし、現在のところ、知っておりません。 ◆村上ひとし 委員  調査もしていないし、知らないということは、影響がないということでいいのですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほど来申していますが、保護基準の決定というのは、全国消費実態調査をもとに、有識者を集めた国の審議会なりの基準部会なりで審議し、そのときの低所得世帯と生活保護基準とのゆがみを是正する形でなされております。つまり、低所得世帯と余りにも乖離した保護基準であれば、それは、低かろうが、高かろうが、問題だという意識を持ってやられているものだと認識しております。そのゆがみをできるだけなくすために、政府がそれをもとに物価などの動向を反映しながら決定したものですから、基本的には国民生活の実態に即した数値として客観的につくられているものだと認識しておりますので、影響がないと申し上げております。 ◆村上ひとし 委員  保健福祉局では、連動する制度の引き下げはしないように各部局に文書を出しているように聞いておりますが、それは出しているのですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  改定のたびごとに出しております。 ◆村上ひとし 委員  先ほど、部長は影響がないと言いましたけれども、影響がないのであれば、そんな書類を出す必要はないのではないですか。矛盾していると思いますよ。連動して引き下げられたら貧困層に大きな影響があるから、そういう対応をしているのではないですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  貧困をふやすというところでの影響はないということだと思います。社会生活を送る上で、ある程度の水準で営まれている生活が、給付が少なくなることによっての影響というのはある意味であると思います。例えば10万円の保護基準が9万5,000円になれば、本人にとっては影響を感じると思います。それと同じように、ほかのサービスについてもし生活保護基準と連動した形で下げてしまって受けられなくなると、本人にとっては非常に不利益に感じると思います。ただ、それによって貧困層がふえるとか、そのような形の影響というものではないという認識でございます。 ◆村上ひとし 委員  部長、生活保護基準に連動するものとしてはいろいろありますね。例えば、非課税世帯だった人が課税世帯になったり、医療や福祉、教育、税制、多様なところに影響します。そういういわゆる生活保護基準に連動した制度は、どういう人たちが利用しているのでしょうか。お金が余っている人ではないと思うのですよ。少なくとも、生活保護基準ぎりぎりでも、いろいろな制度を活用して頑張って頑張って生活している人たちが圧倒的だと思うのです。そういう基準が下がっていくということは、私はどう考えても影響があると思います。  改めて聞きますが、貧困に対する影響はないのですね。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほど来申していますように、貧困に対する影響はないと思います。というのは、先ほど算定方式をお話ししたとおりでございます。確かに、先ほど言われましたさまざまなサービスは、低所得層の方に減免したり給付したりする制度で、減免を受けられなくなったり給付を受けられなくなったりする可能性はあると思います。そこで、市などの努力で極力避けるようにしてほしいというのが国の通知の趣旨ですが、これは、貧困に対する影響ということではなくて、今まで自分が得てきた生活を満たせなくなることによる不利益で、それをできるだけ緩和してほしいという趣旨だと理解しております。 ◆村上ひとし 委員  どうも答弁が矛盾していると思います。だって、連動しているのは貧困層に対する制度ですよ。その基準が引き下げになったら、余計に貧困が深まるというのは当然のことだと思います。そういう影響がないというのは、重大な認識だと私は思います。  次の質問に行きますが、生活保護の世帯別の資料をいただきました。札幌市全体では、ことし8月の時点で5万3,361世帯の方たちが生活保護を受給していらっしゃいます。そのうち、お1人で生活している人が3万9,781世帯です。このうち、高齢の方が2万321世帯で51%を占めています。一方、2人以上の世帯は1万3,580世帯で、このうち母子世帯は5,416世帯と40%を占めています。貧困というのは、高齢者の孤立にもつながる一つの要素でありますし、母子世帯で見ますと、子どもの教育などに影響し、貧困の連鎖も懸念されるところだと思います。しかも、高齢化あるいは少子化と言われるときこそ、お年寄りや母子家庭のところに対策を講じていくことが本当に必要な時代だと私は思うのですが、本市で生活保護を受給している人たちは圧倒的に高齢者や母子世帯が多いという状況の中でも、生活保護基準の引き下げは全く影響がないのですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほど申しましたように、保護基準というのは、国民の健康で最低限度の文化的生活を保障するものだということで、厚生労働大臣によって決められたその基準を我々が執行しているということです。  先ほどの、母子家庭の子どもとか子育て世代とか子どもの貧困をどう考えるのだというお話ですけれども、生活保護基準の中でも、ひとり親の世帯に対しては、通常の保護基準に対して母子加算とかひとり親の方への加算、それから、子どもがたくさんいる方に対する児童養育加算などがあります。それから、教育扶助、高校就学費の支給、さらに、貸し付けとかも含みますが、自分のアルバイトなど一定の収入がある場合、その収入から学習塾代や進学の準備資金を除外して、実質的に保護費の中から出すというような仕組みが生活保護の中でやられて、貧困の連鎖を縮減できるような手当てがなされております。 ◆村上ひとし 委員  項目的ないろいろなことを言っても、全体が下がっているのですよ。基準的には、全体が下がっているのですね。そういう中で、高齢者が多い、あるいは母子世帯が多い、これは、生活保護を受給している方たちのみならず―先ほど、私は捕捉率の問題を言いました。今、単身で暮らしているお年寄りが51%ですよ。2人以上世帯の中では母子世帯が40%以上、これが、今、保護を受けている人たちの世帯数です。しかし、捕捉率の関係で見ると、圧倒的な方たちが保護を受給していないで、先ほど来質問してきましたが、連動する制度を利用しているのです。  本市が貧困対策に取り組んでいくときに、高齢者、そして母子世帯はどうするのですか。保護を受けていないで頑張っている人についての答弁をよろしくお願いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  母子施策や老人施策一般については私からお答えできる範囲のことではないのですが、先ほどから捕捉率という言い方をされていますけれども、捕捉率につきましては、国が初めて発表した年はたしか平成20年ぐらいだったと思います。間違っていたら済みませんが、このときに、資産も加味すると70〜80%の捕捉率という数値が出ております。ですから、日本の捕捉率は幾らかといったときには非常に難しい判断が迫られる数字で、単純な数字で日本の場合は捕捉率が低いという言い方はなかなか難しいと思っております。  ただ、老人や母子世帯の方というのは、実感としても、また、OECDが出した相対的貧困率の中でも子どもの貧困率は高いことになっていますので、その辺に対する施策は、まさに子ども未来局の貧困対策の仕組みの中で我々も連携して一緒にやっていきたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  OECDが出している数字も信用できないという答弁ですか。(「そうは言っていないでしょう」と呼ぶ者あり)違うのですか。  貧困の問題というのは、本当に政治、行政が力を合わせて解決を図っていかなければならない喫緊の課題です。それをどう解決していくのかということでは、いろいろな対策があったとしても、最も底辺の基準が生活保護の基準ですね。最後のとりでと言われています。だから、この基準を下げるということは、やはり働く人の賃金などいろいろなところに連動して、さまざまなところで基準が引き下げられていくことは明らかなのです。そして、子どものことについては子ども未来局というお話をされまして、恐らく引き下げをしないように文書も出しているのだと思いますが、これは影響があるからそういう対応をしているのですよ。  私は副市長にお伺いいたしますけれども、お年寄りや、一人で頑張って子育てしている母子家庭の皆さんは、大変ご苦労されていますし、生活保護を受けている方も当然そうですが、受けないで頑張っている人たちも水面下では相当いらっしゃいます。市としても、今後、貧困対策を進めていく上で、そういうところに対策を打とうとしているのだと思います。そのときに、この基準は国がつくったものだということは当然でしょうけれども、私は、その基準による市民への影響は市としてちゃんと把握していくべきだと思います。それを把握しながら、貧困対策にちゃんと生かしていく、こういうことが必要だと思いますけれども、板垣副市長、いかがでしょうか。 ◎板垣 副市長  段々のご質問でございますけれども、委員もお話しされていますとおり、生活保護制度は本当に最後のセーフティネットでございまして、健康で文化的な最低必要限度の生活を送るための基準ということでございますが、今回の引き下げは、国の制度でございますので、国が客観的な指標に基づいて引き下げたということだと思います。その背景として、ここ数年は、経済もようやく持ち直しまして、民間給与も上がり出しておりますが、デフレ経済の中で全体の消費者物価が下がっている、労働者の賃金も下がってきたという中で、それに合わせて生活保護費も下がってきてしまっているという状況かと思っております。  貧困の問題というのは、これからきちんと対応していかないと日本の社会にとって大変な問題だということは十分に認識しております。例えば虐待問題も、そのベースには貧困の問題があるというふうに言われておりますし、個々にいろいろな福祉政策、子どもに対する政策を判断する上でも、貧困ということは常に念頭に置かなければならないと考えております。しかし、いかんせん、生活保護制度は国の制度でございますので、生活保護制度自体は札幌市としてどうしようもない部分があろうかなと思います。  ただ、委員がご指摘のとおり、生活保護制度の基準が引き下げられたことに伴って、どのような影響があるかということは調査してみたいというふうに思っております。 ◆村上ひとし 委員  生活保護基準の問題は、相当長期間にわたって、さまざまなところで影響が出てくるというふうに懸念されております。そういう意味も含めて、ぜひ、今後、市のさまざまな施策を進めていく上で、受給者の生活実態がどういうふうに変化していっているのかということを注視していただきたいし、必要であれば救済していく対策も考えていくべきだというふうに私は思います。  このことを申し上げまして、きょうのところは質問を終わらせていただきます。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、生活保護に係る就労支援について、子どもの学習支援について、生活保護の不正受給への対応と実態把握について、以上の3点について伺いたいと思います。  まず、生活保護受給者に対する就労支援について伺います。  全国的に生活保護受給者の増加が進んでおりますが、先月の厚生労働省の発表によりますと、生活保護受給者は約216万人であり、2カ月連続で過去最多を更新しているところであります。また、本市においても、近年の著しい増加傾向はおさまっておりますものの、ことし8月時点での生活保護受給者は約7万4,000人であり、保護率は38.2パーミルと大阪に次いで全国で2番目に高い水準を示しております。  さらには、生活保護受給世帯の内訳を見てみますと、高齢者世帯が42.2%と一番多くなっておりますが、その次は、稼働能力、すなわち働く能力を有すると考えられるその他世帯でありまして、全体の19.4%を占めております。こうした働くことが可能な生活保護受給者の中には、一般的な求職活動ができる方がいる一方で、社会とのかかわりに不安を抱えていたり就労意欲が低下しているような方もいます。そのため、それぞれが抱えている課題に応じたきめ細かな支援を行うことが必要であると考えるところであります。  そこで、早速、質問でありますが、本市においては、こうした働くことができる生活保護受給者に対してどのように就労支援を行っているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護受給者に対する就労支援については、個々の対象者の就労意欲や稼働の阻害要因などの状況を十分に考慮に入れて、稼働意欲を高めるような支援を行っているところです。  具体的には、一般的な求職活動が可能な方に対しては、ケースワーカーと一緒に、各区に配置している全市で30名の就労支援相談員が連携して就労支援を行っています。また、ハローワークと連携して実施している生活保護受給者等就労自立促進事業においては、ハローワークと札幌市の役割分担を明確化した上で、一体的な就労支援体制づくりに努めているところです。さらには、就労していない期間が長期に及びまして、社会復帰に消極的になっている方に対しては、就業体験的なボランティア活動の場を提供することによって、社会に参加しているのだという意識を高めることを支援する就労ボランティア体験事業も実施しております。いずれも、就労支援事業として一定の効果があると考えておりまして、今後もより実効性のある施策として進めていきたいと思っております。 ◆阿部ひであき 委員  一定の効果があり、実効性を感じているところでもあると思います。  次に、子どもの学習支援事業について伺いたいと思います。  国においては、昨年1月に、子どもの貧困対策の推進に関する法律というものが施行され、その後、子供の貧困対策に関する大綱が策定されたところであります。大綱においては、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないような社会の実現を目指すとされております。また、子どもの貧困に関する指標の一つとして、生活保護世帯の子どもの高校進学率が挙げられ、今後、指標の改善に向けた取り組みが求められているところでもあります。  本市においては、高校進学の促進を目的とした学習支援事業であるさっぽろまなびのサポート事業を生活保護世帯の中学生を対象に平成24年度から実施しており、本年度には就学援助利用世帯の子どもにまで対象を拡大したと聞いております。こうした事業は、いわゆる貧困の連鎖を防ぐために極めて重要な取り組みであり、本市としても今後相応の規模で継続していく必要があるものと考えます。  そこで、質問ですが、子どもの学習支援事業について、これまでの実施状況と今後の方向性をどのように考えているか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  子どもの学習支援事業については、生活保護受給世帯の中学生を対象として、平成24年度に西区1区で試行実施しました後、年度ごとに対象区を拡大しまして、平成26年度から全区に拡大して実施してきました。これまでの参加者の高校等の進学率は、平成24年度が100%、平成25年度が96.9%、平成26年度が100%でありまして、十分な事業の効果があったものと認識しております。  また、今年度につきましては、新たに施行された生活困窮者自立支援法に基づく任意事業として、就学援助利用世帯にまで広げて実施しております。8月時点で生活保護を受けている方が162人、就学援助を受けている方が311人、合わせて473人の中学生が参加しており、昨年度の233人から倍増したところです。  今後についても、貧困の連鎖を防止するため、高校進学の促進を図るとともに、子どもたちが自己肯定感を持てるような居場所を提供する事業として引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  これまでの答弁を伺って、さらに質問したいと思います。  先ほどの答弁にありました就労ボランティア体験事業と子どもの学習支援事業については、平成26年度決算に比べて本年度の事業規模が大きく削減されております。  就労ボランティア体験事業については、生活保護受給者の自立支援に向けて、より多くの対象者に参加してもらうことが必要であり、子どもの学習支援事業についても、子どもの教育を通して、先ほども触れた貧困の連鎖を断ち切る極めて重要な事業であると考えます。  そこで、質問ですけれども、それにもかかわらず予算を大幅に削減するに至った経緯について伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  就労ボランティア体験事業については、就労支援事業の一つとしてとても有意義なものであると認識しておりますが、平成27年度にこれまでの、全額、国庫補助が一部の国庫補助に変わったということで、就労に向けての事業効果がより高い事業を優先せざるを得なくなりまして、就労支援事業全体の中で見直しを行い、その過程において、この事業についても参加期間短縮の見直しをさせていただいたところです。また、子どもの学習支援事業についても、生活困窮者自立支援法の施行に合わせて、全額、国庫補助が一部の国庫補助に変わったことになったため、本事業の実施状況を踏まえて、最大限、効率化できるように支援スタッフ体制を見直したりしまして、今までの学習支援の水準を維持しながら実施しているところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  国の補助が減ったという理由だけで事業規模を大幅に削減するというのはいかがなものかと思います。特に、本市においては、先ほども述べたとおり、大阪に次いで2番目に生活保護の受給率が高い状況にあります。そして、財政硬直化の要因とも言える扶助費の増加に対する取り組みも重要であるというふうに私は認識しております。何より、扶助費の50%近くも占めて1,290億円にも上る生活保護費について、適正化や雇用推進を含めた積極的な取り組みは非常に急務であると思いますし、国がというより、私たち札幌市がこれに対してしっかりと取り組んでいかなければならない重要な施策であるというふうに感じるところであります。  こうした本事業の意味する重要性に鑑みれば、国の補助云々にかかわらず、局内の予算配分における優先順位を上位に上げてでも積極的に取り組んでいかなければなりません。金額的にもそれほどの額ではないはずなのですね。保健福祉局の配分で十分にできる額ですよ。やはり、そのことをもう少ししっかりと考えていかなければならないと思います。  こうした順位のことも含めて、保健福祉局長にお伺いしますが、生活保護に対する対策はいろいろとあります。就労支援についても、教育支援についてもそうですけれども、国のほうばかりを向いて、札幌市がどんどん削っていくのはどうなのでしょうか。実際のところ、やはり札幌市全体における考え方を持っていくべきだと思うのですがいかがか、伺います。 ◎瀬川 保健福祉局長  委員がおっしゃいましたとおり、私どもとしても、生活保護の扶助費の増大というのは、財政の硬直化を解消する上で大変問題意識を持っているところでございます。そういった中で、今回、国の補助金の削減ということもありましてこういう見直しをせざるを得なかったという事情もございます。  しかし、それぞれの事業において、なし得る限り最大限の効率化を図った上で、できるだけ水準を下げないようにやっていきたいと思っておりまして、ことし1年の状況を見た上で、重要なものであれば市独自の対応も当然考えていかなければいけないものと考えているところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  非常に重要な施策だと思いますので、そういったところをしっかり考えていただきたいと思います。  戦略ビジョンのアクションプランにもこのことが書かれておりますので、その中身に鑑みて、力を入れるべきところはしっかりと力を入れて、札幌市の現状を考えた施策のあり方をしっかり考慮していただきたい、このことを指摘するものであります。  次に、生活保護費の不正受給の対応について伺います。  生活保護は、命と暮らしを守る大切なセーフティネットとして、あらゆる努力をしてもなお生活に困っている人に対して生活を保障するとともに、その自立を助ける大切な制度であり、貴重な税金を財源として全額が公費から支出されていることは周知のとおりであります。生活保護制度が真に市民から信頼されるためには、安心して利用できる制度であること、さらには、不正を許さない制度であることが非常に大切でありまして、私は代表質問でもこのことに触れました。  しかしながら、現実に目を向ければ、全国的にさまざまな問題が浮き彫りとなっております。その事例を見れば、収入の無申告から他人への成り済まし、偽装離婚やDVの虚偽申告などさまざまであります。この件については、我が会派でも今まで何度も取り上げており、重要な課題であると考えております。  本市における生活保護費の不正受給は、平成25年度においては812件、3億9,000万円でありましたが、平成26年度においては791件、3億4,000万円でありました。昨年7月に施行された改正生活保護法では、不正受給に対する対応が強化され、罰則が引き上げられたところであります。この不正受給の問題を積極的に解決するためには、個々のケースワーカーにただ負担を強いるのではなく、あらゆる事案を把握し、対応し得るある種の専門的な職員を配置し、そして生活保護の実態を把握しつつ、不正受給に対して効果的に対応することが重要であると考えます。  一方、平成26年第1回定例市議会におけるこの件に対する我が会派の代表質問に対しては、札幌市としては、専門部署の設置について、取り締まり的な性格が強いため、生活保護制度の趣旨になじまないとの認識を示していたところでもあります。  そこで、質問でありますけれども、本市として不正受給に対してどのように対応し、実態としてどうであったか、伺います。  また、市長がかわった現在において、不正受給などが疑われるイレギュラーなケースに対して、その実態を把握し、対応する専門的な部署の設置が必要であると考えますけれどもいかがか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護の不正受給は、制度の目的、理念を揺るがす、あってはならない事柄だと認識しております。本市では、保護開始のとき、そしてまた、年に1度、保護のしおりを配付して収入申告義務の周知を図っております。また、定期的に収入申告書を提出してもらうなど、不正受給の未然防止に努めてきております。その上で、給与や年金の申告額に誤りがないか確認するため、全受給者に対する課税調査を行い、また、扶養親族への定期的な照会を行っているところです。また、これらの調査の結果、近隣住民などから情報を受け、不正が疑われるような場合、時機を失うことなく、金融機関などの関係機関への調査を行うなどして実態の把握に努めているところです。  これらの取り組みは、昨年の生活保護法改正後も継続しております。しかし、残念ながら、平成26年度の不正受給件数は791件、金額にして約3億4,000万円の不正受給が発生しました。発見の契機は、先ほど申しました課税調査が49.8%とほぼ半数を占めまして、次いで預貯金調査が19.6%、また、不正受給の内容として、稼働収入の未申告が54.6%で半数以上を占め、借金や仕送りなどその他の収入の未申告が36.9%と続いております。今後も、生活保護が必要な方々が安心して制度を利用できるように、不正に対しては厳格な態度で臨み、悪質な案件については、加算金の徴収や、これまでどおり告訴等を行っていきたいと考えております。  次に、不正受給を取り締まる専門部署の設置についてです。  元来、生活保護制度は、保護受給者の自立を助長していくことを主たる目的とした福祉政策でございまして、自立に向けた支援を行うことが第一であります。専門部署は、取り締まり的な性格が強いため、最後のセーフティネットである生活保護制度の趣旨になじまないと考えておりまして、この点については今も変わりはございません。生活保護の不正受給は、金額の多寡にかかわらず、制度に対する市民の信頼を揺るがす深刻な問題であり、今後とも、より一層、適正な生活保護の実施に努めるとともに、不正受給については厳正に対処してまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  取り締まる要素が強いと言いますけれども、791件、3億4,000万円は、実際には取り締まっているのではないですか。個々で対応しているということになりますね。つまり、質問の中身は、取り締まるということではなくて、その実態を把握して対応する専門的な部署が必要ではないかと。取り締まる部署ではないのです。  実は、生活保護を取り巻く環境にはさまざまな事案があるのではないかと思っています。それは、生活保護の受給対象者のみならず、対象者を取り巻く環境にもいろいろな誘惑、あるいは、以前、私が指摘させていただいた貧困ビジネスといったものもあるのではないかということなのです。そうしたものに対応するときに、個々のケースワーカーが一件一件を受け持っている中で、それをきちんと把握し、それに対する時間をしっかり使うことができるのかということなのです。個々のケースワーカーが抱える生活保護件数は、たしか1人当たり80件を超えるはずであります。ただでさえケースが多い中で、的確に不正受給の実態あるいは生活保護をめぐる環境の把握ができるのかどうか、ケースワーカーにとっても限界があるのではないかと思います。  そうしたところで、医療費の過剰請求あるいは不必要な検査、さらには、自立支援の名を語った貧困ビジネス等、生活保護費をめぐる一連の不正受給の実態をしっかりと把握できるのは札幌市しかないのです。やはり、窓口でなければ把握できません。国では絶対に把握できませんからね。そうしたところでは、1番である大阪市、3番である京都市では、それぞれそういう部署を設けて把握し、把握した実態を国に報告しているはずです。そこで、これは国の制度ですから、国は、もう少しこれをどうしましょうかという話をしているはずであります。それなのに、全国保護率ナンバー2の札幌市が個々のケースワーカーに任せ切りになってしまっているというのは、時間的な配分も含めて、いまいち、追い切れていないのではないかと思います。  そうした実態をしっかり把握し、その状況を国に報告するためにも、まさに専門部署の設置は本当に必要不可欠である、改めて、このことを強く指摘するものであります。 ◆かんの太一 委員  私からは、生活保護の実態や自立支援について、また、今後の方針について、何点かお伺いいたします。
     まず、生活保護の動向について伺います。  全国的な生活保護の傾向を見ると、平成20年の生活保護世帯数は114万8,766世帯であったのに対し、直近の平成27年6月の数字では162万5,941世帯となっております。リーマンショック後、稼働年齢層と考えられるその他世帯の割合が増加していましたが、近年は減少傾向となり、高齢化の進行によって高齢者世帯のみが増加傾向になっています。  一方、本市の状況は、平成20年においては、生活保護世帯数は3万7,135世帯であったのに対して、8月の数字では約1.4倍の5万3,532世帯となっておりまして、リーマンショックによる経済・雇用情勢の悪化を受けて増加傾向でありましたけれども、最近は横ばいの傾向にあると聞いています。ただ、保護率という点に着目すると、先ほど来、他の委員からもご指摘がありましたが、全国平均を大きく上回り、政令指定都市の中では大阪市に次ぐ高い数字となっておりまして、生活保護世帯や生活困窮者に対するサポート体制を構築する施策が重要であると考えております。  そこで、質問ですが、札幌市として、現在の生活保護の動向についてどのように分析しているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  委員のご指摘のとおり、平成20年度のリーマンショック以降の経済・雇用情勢の影響を受けて被保護世帯が急増していましたが、最近の対前年比の伸び率は非常に鈍化しております。特に、増加傾向が顕著であった稼働年齢層を含むその他世帯については減少傾向ですが、高齢者世帯では依然として増加傾向が続いております。このことから、その他世帯は減少したものの、高齢者世帯が増加したことにより、生活保護受給世帯が増加していく傾向は続くと考えております。 ◆かんの太一 委員  最近の全国的な傾向と同様に、増加傾向にあった稼働年齢層を含むその他世帯については減少しているということでしたけれども、直近の市の統計においても1万353世帯もあり、決して楽観視できるような数値ではないと思います。  こうした世帯に対して自立を支援していくためには、雇用対策、就労支援策といった施策が大変重要だと思いますが、解雇などで収入が突然なくなり、生活が立ち行かなくなる場合に、他のセーフティネットを利用できない方や身寄りのない高齢者の方など、真に困窮している方々に対しては手厚く保護する必要もあり、自分の生活を立て直すため、一時的に生活保護を受けることもやむを得ないと考えております。不正受給などを防止しつつ、制度を必要とする方に対しては適切に対応していただきたいと思っております。  次に、最近行われた国の生活保護費の基準改定についてお伺いいたします。  生活保護基準については、平成25年8月に物価動向を勘案した形で見直しがなされ、激変緩和策として平成27年4月まで段階的に引き下げられてきました。その間に行われた平成26年4月1日の消費税額アップの際、増税分が織り込まれ、一旦は基準の増額改定があったと聞いておりますが、生活保護受給者の生活に直接影響を及ぼす部分でもありますので、具体的にはトータルでどれだけの額が引き下げられたのか、お聞きいたします。  そしてまた、この基準の引き下げに関しまして、それが不当だとして全国各地で自治体を相手取った形の訴訟などが行われていると聞いておりますが、札幌市においてはそのような状況にあるのか、また、どのような見通しを持っているのかについて、あわせてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護は、同じ世帯が同じ状況で受け続けるものではないということもありまして、基準改定の影響のみを算定することは困難でございます。生活扶助については、激減緩和策として平成25年8月から平成27年4月までの間で段階的に下げられてきました。例えば、60代と70代の高齢者2人世帯のモデルでは、生活扶助は、平成25年7月には月11万1,500円であったものが、平成27年4月には10万9,720円となり、月1,780円の引き下げとなりました。住宅扶助では、2人世帯の基準について、ことし8月に月4万6,000円から4万3,000円に見直されましたが、生活状況などから経過措置が認められている間は、従来どおりの住宅に従来の基準額で住むことが可能となっています。  冬季加算については、ことし10月から見直されまして、月々の基準が引き下げられた反面、支給月が11月から翌年3月までだったものが、10月から翌年4月に延長されました。2人世帯の場合、昨年はシーズン全体で15万円であったものが、今シーズンは12万4,600円と2万5,400円の減額になっております。  なお、傷病、障がい等による療養のため、外出が著しく困難で、常時、在宅せざるを得ないような方や、1歳未満の乳児がいる世帯では、改定後の基準額の1.3倍の額を認定することになっており、この場合、2人世帯では16万1,980円となりまして、改定前の基準より1万1,980円が増額となる形になっております。  それから、先ほどの訴訟の状況についてですが、基準の見直しについての訴訟は、現在、平成25年8月の基準改定に伴うものが全国で争われていると聞いています。北海道では、平成26年11月に142名が、基準改定の適否について、生活保護の変更決定処分を行った札幌市を含む5市と北海道を札幌地裁へ訴えております。憲法第25条との関係の中で、基準の適否やその合理性などが訴訟で争われておりますが、生活保護事務は法定受託事務であることから、被告、自治体からの請求に基づいて、法務大臣が訴訟を遂行しており、現在も係争中でございます。  個別の論点について述べることは、差し控えさせていただきたいと思います。 ◆かんの太一 委員  今のご説明で、高齢者世帯や母子世帯などさまざまな類型がありますので、適切な対応をしていただきたいと思います。  次に、生活困窮者自立支援制度についてお伺いいたします。  ことし4月から始まった生活困窮者自立支援制度では、相談窓口のステップを市内中心部に開設し、生活保護の一歩手前の生活困窮者の方々の就労支援を行っています。札幌市においては、相談窓口を1カ所とし、支援員を集約して配置することにより運営を行っていますが、住んでいる地域によっては、相談窓口までの距離が遠く、支援が必要な生活困窮者の方々が相談しにくいと感じてしまう危惧があることを以前から指摘しておりました。  平成27年第2回定例市議会の議案審査特別委員会における我が会派からの質問に対して、この点について、今後は、区民センターなどの地域に身近な場所でも臨時的な相談窓口を開設するとの答弁があったところでございます。  そこで、質問ですが、臨時的な相談窓口でのこれまでの相談回数や実績についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  ステップでは、出張相談会として臨時的な相談窓口を7月下旬の豊平区から順次開設しておりまして、9月末までに9区10会場で実施しております。相談実績は、合計95名で、1回当たり10人程度の方々にご利用いただいておりまして、大多数の方が引き続きステップでの支援を受けていることから、一定のニーズが確認できたところでございます。未実施区である厚別区についても10月中に実施を予定しておりまして、今後も定期的に各区を巡回しながら出張相談会を継続してまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  生活困窮者の相談については、就労に関する相談が一番多いと聞いています。生活困窮者に対して就労支援を行う上で大切なことは、生活困窮者が抱えている課題は多種多様であるため、それぞれの状況に応じた支援が必要だと考えております。時間をかけて個別の支援を行うことで就労が見込まれる方については、ステップの就労支援員が担当者制による支援を行うことになると思います。一方で、長期間、未就労の状態が続いたために、自信をなくしてしまったり、生活リズムが崩れているなどの課題を抱えた方については、就労に向けた準備をするための支援を行う必要があると考えます。そのような就労準備に向けた支援については、札幌市においては、生活保護受給者に対する事業として就労ボランティア体験事業を実施していますが、任意事業である生活困窮者に対する就労準備支援事業は本年度の実施を見合わせていると聞いております。  そこで、質問ですが、生活困窮者の個々の状況に対応した幅広い支援が必要とされる中、生活困窮者自立支援法の任意事業である就労準備支援事業の実施については今後どのように考えていくのか、お伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  本年度、札幌市において就労準備支援事業の実施を見合わせておりますが、ステップの就労支援員が就労体験の場の提供を行いまして、就労意欲の喚起を行うなどしているところです。  しかしながら、なかなか就労することができない方に対してさらに効果的な支援を行うために、就労に必要な社会的な能力を身につけていただく就労準備支援事業は非常に重要なものだと認識しております。そのため、現在、生活保護受給者に対する就労準備支援事業として実施している就労ボランティア体験事業を、生活困窮者も含めて支援する事業として実施できるように検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  就労を望みながらも、やむを得ず生活保護を受けている方や生活困窮者にしっかりと寄り添い、さまざまな角度から適切なサポートを実施していくことは行政の大切な役割であり、粘り強く取り組んでいく課題であると考えております。経済の状況などにより、生活保護の世帯数やパーセンテージは変わっていきますけれども、本市の施策が社会のセーフティネットとしての役割を十分に果たすようお願い申し上げまして、私からの質問を終了させていただきます。 ◆石川佐和子 委員  私からは、生活困窮者自立支援事業について伺います。  2015年4月の生活困窮者自立支援法の施行に伴って、札幌市では、生活困窮者の自立と尊厳の確保と生活困窮者支援を通じた地域づくりを達成するために、生活困窮者自立支援計画を策定するとともに、生活困窮者に対する自立相談支援機関として札幌市生活就労支援センターステップを設置、運営しております。この計画によりますと、生活困窮の主な原因が失業と推定できるために、支援計画の対象者数を完全失業者数の人数をもとに約2万2,000人と推計し、まずは生活困窮者を早期に把握し、一人一人の状況に応じた支援等を行っていこうと、この間、取り組みを進めていると認識しております。また、先ほどの質疑でもありましたが、生活保護を受けておられる全ての世帯の中で、働くことができるその他世帯が2割、また、平成20年から25年の間では2倍にふえていることからも、この事業の役割、また意義は非常に大きいというふうに思っています。  そこでまず、一つ目の質問ですが、札幌市生活就労支援センターステップにおいて、この4月から生活困窮者自立支援事業を開始しておりますけれども、これまでどのような支援をどの程度行ってきたのか、支援の実績を伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  ステップにおける支援実績と支援内容についてでございます。  ステップは、4月から8月までの5カ月で849名からの新規相談がございました。このうち、支援プランを策定している方が131名、他の支援機関につないだり、早期に就労が決まるなど、支援プラン策定前に支援が終結した方が326名となっており、残りの392名は相談を継続中の方となっております。利用者のうち、就労に結びついたのは105名で、就労プランに基づく支援により就労に至った方が20名、支援プラン策定前に就労が決まった方が85名となっています。支援プランの内容としては、自立相談支援事業による就労支援を含む者が131件、生活福祉資金による貸し付けを含む者は13件、ハローワークとの連携による生活保護受給者等就労自立促進事業による就労支援を含む者は3件となっております。 ◆石川佐和子 委員  支援の実績の数字を伺いましたので、今お聞きした数字をもとに質問させていただきます。  新規相談が849人でありました。その相談内容につきましては、資料を確認しますと、これは複数回答でありますが、モデル事業のときと同様に、仕事探し、また就職のことが一番多いと示されています。そうした相談の結果、就労に結びついた方が105人でありました。849人のうちの105人が就労に結びついたということですが、それ以外の方々はどうなっているのかとなりますと、その相談をした後、区の保護課や法テラスなどの関係機関につないだり、あるいは、連絡が途絶えた方もいらっしゃるということですけれども、一応、支援が完結したとみなしてしている方は相談終結という意味で326人ということですね。また、生活面や健康面での課題が整理されて、ニーズに応じた支援計画の策定ができた方は131人ということだと思います。残りの継続されている392人は、課題が解決されず、支援計画が立てられていない方々だと思います。  そこで、4点ほど伺います。  1点目に、新規相談者のおよそ半分の方が支援計画に至っていない理由について伺います。  2点目に、支援計画策定に向けては、支援計画に至っていない方々への支援をさらに手厚くしていくべきだというふうに考えますが、どのように進めるのか、伺います。  3点目に、資料によりますと、支援計画が策定された後に認定就労訓練を受けた方の人数はゼロと書かれております。これは、認定就労訓練事業の認定が進まなかったのか、あるいは、就労訓練の必要な方がいなかったのか、どちらなのかということです。就労訓練ということでは、2014年に行った就労訓練事業の推進モデル事業で受け入れの意向を示した事業者が25団体あって、支援の実施件数は4件であったという報告を以前にお聞きしておりましたが、それにもかかわらず、本格実施の今年度に入って認定就労訓練事業がゼロというのはどういうことなのか、その状況について伺います。  4点目に、相談者に寄り添った適切な支援を行い、課題を解決しながら就労にたどり着いていくためには、支援経過を的確に把握して、随時、伴走的に支援を行っていく必要があるというふうに考えますが、実際にどのように支援を行っていくのか、あわせて4点伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  1点目の支援計画に至っていない理由と、2点目の至っていない方にどのように支援を進めていくのかについては、まとめてお答えしたいと思います。  相談継続中の392名については、ステップで支援に着手してはいるものの、課題を把握するための聞き取りを行っている最中である場合とか、課題の解きほぐしに時間がかかっている場合など、支援プランの作成に至っていない段階の方々でございます。これらの方に対して、面談や電話連絡などにより定期的に連絡をとりながら、抱えていらっしゃる課題の聞き取りや必要な支援を丁寧に行っているところでございます。この結果をもとに、適切な支援プランを作成し、それに基づいた就労相談の支援を行っていくこととなります。  それから、3点目の認定就労訓練事業の支援実績がないのはなぜかということです。  就労訓練事業の認定は、平成27年第2回定例市議会で認めていただいた補正予算によるもので、受け入れ事業所開拓のための事業が開始後間もないこともありまして、現時点では認定実績がありませんが、既に認定申請の意向を表明していただいている事業所もございまして、これから認定事務を適切に進めていきたいと考えております。  また、職場体験については、今の段階でも5名がやっていらっしゃいます。  それから、最後の伴走型支援の必要性についてですが、ステップでは、相談者を自立に導くために、担当の支援員が初回相談から支援プランの作成、支援の状況の確認まで一貫して担当する体制としております。細切れにはなっておらず、ばらばらではない形で、対象となる方との信頼関係を築きながら継続的な支援を行っているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  これまでの公的な就労支援というのは、主に障がいがある方に対する就職援護措置としての就業準備支援とかジョブコーチによる支援、また、きょうの前段でも、生活保護受給者に向けた職業紹介ハローワークとの一体的な事業があるということをおっしゃっておりましたが、生活困窮者の法律ができたことで、就労訓練、いわゆる中間的就労が公的に位置づけられたことの意義は非常に大きいというふうに私は思っています。  今、認定がなぜゼロなのかとお聞きしたところ、ことしの2定の予算で可決したことなのでこれから始まるということですけれども、これまでのモデル事業で行ってきた民間事業者とのつながりを切ることなく、しっかりと引き継いで、困窮者の皆さんのために役に立つような施策につないでいただきたいと思います。  また、先駆的に中間的就労に取り組んでおられるいろいろなNPOがありますが、実際には経営的な基盤が弱い民間が受け皿になっているところがあって、私は、そうしたところにも今後は公的な支援を検討していくべきではないかというふうに思っておりますけれども、この点について、今の段階でお考えがありますか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  支援者からはそのようなご要望をたくさんお聞きしますけれども、また国、国と言って非常に怒られますが、国の方針として、就労訓練事業については社会貢献として考えていただきたいということなので、寄附や補助は考えていないということがありまして、私どもも今のところは考えておりません。  ただ、社会の中で、こういう事業があり、生活に困っている方を雇って企業の中でも育てていただくという必要性はあると思いますので、我々もいろいろと歩き回って周知していきたいと思っています。ぜひ、皆様方にも応援していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ◆石川佐和子 委員  今、ご答弁がありましたけれども、中間的就労というのは、就労へのステップアップのみならず、年金や生活保護を受けながら地域社会につながりをつくっていく重要なものでありますし、この計画の目的の一つである生活困窮者支援を通じた地域づくりにもつながっていると考えておりますので、今後、今要望したことも含めて検討していただきたいと思います。  この10月からは、自立相談支援機関ステップの受託者であるキャリアバンクが体験型就労支援の受け入れ先となる事業者を新たに開拓していくと伺っております。  そこで、最後の質問ですけれども、複合的な課題を抱える支援対象者の幅広いニーズに応えるためには、できるだけ幅広い分野の受け入れ先を開拓することが重要であるというふうに考えますが、受け入れ先となる事業者の開拓に当たってはどのように進めていこうとお考えなのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  受け入れ先の開拓ということでございます。  ご指摘のとおり、生活困窮者のさまざまなニーズに対応した就労体験を実施するためには多種多様な受け入れ先の確保が必要ということでございますが、私どもは、受託事業者が中心となって受け入れ先を開拓しております。具体的には、業界等の企業リストを活用して、受託事業者と取引実績のある事業所にダイレクトメールや企業訪問を行うなどして就労体験受け入れの働きかけを実施しているところでございます。  就労支援の対象者は、福祉の分野だけではなくて、当然、清掃もそうですが、工場や農作業など、より多くの選択肢を提供できるようにするために、幅広い受け入れ先の開拓に努めてまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  新たな受け入れ先が発掘されるように私たちも努力したいと思います。  生活困窮者の方々が抱えている問題は、本当に複合的に絡まっていることが多くて、就労以前に生活リズムが崩れているなどで就労に向けた準備がなかなか整っていかないということをよく伺います。生活困窮者自立支援法は、一人一人の自立と尊厳、また、地域社会の一員としてつながりを再構築するということを理念としておりますので、支援を必要とされている方々に寄り添う伴走型の支援をしっかりと強化しながら行っていただきたいと思います。就労支援ということでは、就労体験の場、就労訓練事業者、一般就労、それぞれをたくさん開拓することが重要でありますから、強化することを強く求めて、私の質問を終わります。 ◆中山真一 委員  私からは、子どもの学習支援事業について、これまでの事業の実績を踏まえ、改めて事業内容の検証と見直しを行うべきとの観点から、具体的には教育バウチャー制度導入の提案ということで、幾つか質問させていただきます。  先ほどもございましたが、この事業は、生活保護世帯の中学生を対象に3年前にスタートし、本年度からは対象を就学援助世帯にも広げて実施されております。現在では、会場によってばらつきはあるものの、キャンセル待ちが出ているところもあるなど利用者もふえており、関係する皆さんのご尽力により、貧困の連鎖の解消という大き過ぎる命題に対して、この事業が一定の役割を果たしてきたものと評価しております。  しかしながら、この事業も既に4年目となり、事業を実施していく中で現場の実情も見え、課題も限界もある程度見えてきたのではないかと考えます。同時に、子どもの貧困や貧困の連鎖といった課題の解決に対する社会的な要請もさらに高まってきております。本来であれば、このような命題は公教育がその役割を担うべきものと考えますが、現実には学校外教育の役割がますます大きくなってきております。このようなことから、より効果的に課題解決に資する事業にすべく、これまでの実施状況を改めて検証し、事業の再検討が必要な時期に来ていると考えます。  そこでまず、伺います。  事業効果の検証やその結果に基づく的確な事業の見直しが可能となるためには、適切な指標の設定が不可欠だと思います。先日公表されたアクションプラン2015の中でも、この学習支援事業が掲載されておりまして、事業ごとに活動指標を設定し、各事業の進捗状況を把握、検証していくことになっております。  ただ、アクションプランの中ではこの事業の活動指標は明記されておりませんでしたので、この事業は何を活動指標としているのか、また、その指標を設定した理由もあわせてお伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  アクションプラン2015における活動指標についてでございます。  アクションプラン2015における本事業の活動指標については、2015年度から2019年度までの計画期間中の各年度において、本事業に参加した中学生の高校等進学率を100%と設定したところでございます。本事業は、貧困の連鎖を防ぐために高校進学を促進することを目的とした事業であることから、事業の効果としては最もわかりやすい高校等進学率を指標としたところでございます。 ◆中山真一 委員  今、高校等進学率を指標とするのが事業の目的として大変わかりやすいというお話がありました。しかし、その子どもは、この事業に参加したから進学する気になったとか、この事業に参加したことで進学するための学力がついたということを判断するのはかなり難しいのではないかというふうに思います。そもそも、中学生が、平日の夜に2時間、勉強するために教室に通うという時点で、もともとある程度の学習意欲や意識のある子どもや親御さんだというふうに考えます。現に、先ほどもお話がありましたが、進学率は初年度から100%ですし、全区で実施した昨年度も100%です。100%に近い数字になるのは当然のことだとも考えられます。  まず、その結果がこの事業によって生じたものかどうか、その判断が困難な時点で、指標としての役割を十分に果たすことができませんし、そのような指標では事業成果を適切に検証することが困難だとも考えます。既に初年度から達成しているものを今後5年間の活動指標としている時点で、事業の不断の見直しという観点からも疑問です。私は、対象者の数は毎年増減しますので、進学率ではなく参加者数をふやしていくこと、さらに、参加率を上げていくことがこの事業の最も大切なポイントだと考えます。  そもそも、なぜこのような事業を実施するのか、事業の趣旨という観点から申し上げたいと思います。先ほども他の委員からございましたが、私も、今後の財政運営、生活保護制度の持続可能性という観点からも、生活保護費の適正化によって真に困っている方々をしっかりと支えていける仕組みにすることは大変重要だと考えます。同時に、中長期の観点から、生活保護費の増大を可能な限り抑制していくことが大切だと考えます。これは、申し上げるまでもなく、生活保護費の増大を抑制していくこと自体が本来の目的ではなく、期せずして貧困状態に陥ってしまう人たちを将来にわたっていかに少なくしていくかということです。  先ほどもお話がありましたが、今現在、生活保護を受給されている方の自立を支援していくことは当然必要です。しかし、これは、もちろん簡単なことではありませんし、かなり多くの費用やマンパワーを必要とします。中長期で見ると、むしろ、そういう貧困状態に陥ることを未然に食いとめることが、断然、費用対効果が高いと思いますし、何より、その方の人生にとってもそのほうがより望ましいことです。  そうしたことからも、子どもの学習支援事業では、一人でも多くの子どもに参加してもらうことが重要だと考えます。先ほどのご答弁でもありましたように、本年度の参加人数は473人とのことでした。対象は、生活保護受給世帯が約2,000世帯、就学援助利用世帯が約8,000世帯、合計約1万世帯ということですので、参加率は約4.7%です。対象者の中で95%以上の大多数の方が参加されていないということになります。費用対効果で見ても、事業費3,284万円に対して参加者が473人、参加者1人当たり約7万円の費用がかかっております。過去の参加率の数字もいただきましたが、初年度が13.8%、2年目が13.2%、昨年度が8.9%となっています。  そこで、伺います。  本事業の対象者への周知はどのような方法で行われているのか、お聞きします。  あわせて、そのような周知をされた上で、これまでの参加率の状況についてどのような認識をお持ちでしょうか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  周知の方法と参加率についてです。  この周知方法としては、年度当初に、生活保護世帯については各区の保護課から事業案内文などで、就学援助利用世帯については各中学校を通じて対象生徒に事業案内文を配付して周知したところでございます。年度当初の申し込みによりほぼ全ての会場が埋まった状態で、8月時点での全体の定員充足率は105.1%となっておりました。参加率を上げて参加者をさらにふやすことについては、本年度における支援スタッフ体制や各会場の広さ等から難しいと考えておりますが、次年度以降、参加者をふやすことについて検討していきたいと考えております。 ◆中山真一 委員  次年度以降、参加者をふやすことを検討していきたいということでした。そういう意味では、今もお話を伺いましたが、現状でも漏れなく周知されているのではないかというふうに思います。  私も、現場の皆さんや学校の先生方の努力が足りないと申し上げているわけではありません。参加者が少ないということは、何か原因があるわけです。私が懸念しているのは、今の事業スキームでは、参加を促しても、対象世帯の方々に、この事業に参加したい、させたいと思ってもらうことが容易ではなく、この数字に限界があるということです。この事業は、平成24年度に西区でモデル的に始まりました。その事業開始のときの委員会の議事録を拝見しますと、対象300人のうち、100人ぐらいの参加を想定しているというご答弁がありました。3分の1の33%ぐらいの参加を想定されていたということですが、実際に実施してみると、やはり参加者を集めることはそんなに簡単ではありません。  私も、何人ものケースワーカーの方々に生活保護の現場の状況についていろいろとお聞きしました。対象のご家庭も、それぞれさまざまな事情を抱えていらっしゃいます。そもそも、学習に対してネガティブなイメージを持っているお子さんも多いですし、親御さんとしても、自分の子どもを生活保護家庭や就学援助家庭の子どもが集まる場に行かせることにちゅうちょされるケースも多いと伺っております。自分が生活保護家庭や就学援助家庭だということを周りに知られたくないという気持ちも当然働きます。  私は、サラリーマン時代にはたくさんの中学生とも仕事をしてきましたが、子どもの身になって考えても、平日の夜にこのような学習教室に参加しようという気持ちになるのは簡単なことではないと思います。現在、参加されているのは、もともとある程度の意識も意欲もある親御さんやお子さんだと推察されます。進学率100%というのは、ある意味で当然の結果だというふうにも考えます。  こういった学習支援というのは、海外では以前から数多く実施されておりますし、近年では国内でも数多く実施されており、既に数多くの知見が蓄積されております。このような学習支援は、いかに子どもが自発的に参加したくなるような仕組みにできるか、これこそが肝だということが専門家の間では既に共通認識となっております。  そこで、伺います。  一人でも多くの子どもを支援していくために、対象世帯の子どもが自発的に参加したい、親御さんも子どもに参加させたいと思うように、参加するインセンティブがより働くような事業に変えていくべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  参加についてのインセンティブということでございます。  具体的には、苦手科目や苦手分野を仲間と一緒に取り組んで、連帯感を持って学習意欲を高めるようなグループ授業とか、信頼関係を深めて仲間関係をつくり合えるような料理教室とかスポーツなどのレクリエーションや、場合によってはハイキングや登山などを組み入れることによって、参加した中学生たちからは、勉強が嫌いな自分でも好きになったとか、ポジティブになったとか、家で勉強する習慣ができたという声をいただいております。今後も、子どもたちがこの事業に参加してよかったと思ってもらえるように、興味・関心を引きつけるような学習支援を工夫して進めてまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  今後、参加者が参加したくなるような中身をいろいろ工夫されていかれるということでした。  私は、こういう事業は、やる気のある人だけが来ればいいというものにしてはいけないと考えます。それよりも、今はまだそこまでの意欲や意識に至っていない子どもや親御さんをその気にさせること、そのきっかけを与えることがこの事業の本質だと思いますし、そこにこそ、この事業の一番の意義があるというふうに考えます。  我々も、このぐらいの参加人数でよしとして満足していいというものではないと考えます。その子どもが、将来、納税する側ではなく、やむなく支援を受ける側になってしまった場合の社会的損失は莫大なものになります。我々の不作為のツケを次世代に回すことにもなります。このような観点からも、知恵を絞って参加してもらえるような事業にすべきだと思います。  そこで、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、生活保護受給率日本一の大阪市では、生活保護世帯や就学援助世帯の子どもを対象に塾代助成事業を実施しております。この事業は、学習塾を初め、スポーツや習い事にも利用できる月額1万円を上限としたカードを交付するものですが、子どもたちの学力や学習意欲の向上、放課後の居場所づくりを目的に3年前から実施されております。この事業は、いわば教育バウチャーと呼ばれる仕組みですが、本年2月時点の数字で、対象者2万149人のうち8,915人、44.3%もの子どもが利用しております。本市の事業の参加率は4.7%ですので、10倍近い開きがあります。  なぜ44.3%もの子どもが利用しているのか、その要因を大阪でリサーチしてきました。やはり、通いたい先を選べるということが一番大きいようです。参加事業者は登録制ですが、さまざまな分野の1,300カ所ほどの教室が登録されています。子どもの学力のレベルはさまざまですし、子どもの志向や才能も多様ですから、塾に通いたい子どももいれば、パソコンを習いたい子も、英会話を習いたい子もいる、スポーツがやりたい子もいます。この仕組みだと、友達と同じ塾や習い事に通うこともできます。  この学校外バウチャーの仕組みは、大阪市が最初ではなく、もともと、東日本大震災のときに、NPO団体が被災した子どもたちのために寄附を原資として実施されていたものです。大阪市でもそのNPOが中心となって運営を担っており、東北で実施したノウハウを活用しているため、制度自体が利用しやすい仕組みになっていることも参加率が高い要因のようです。  そこで、伺います。  大阪市に次いで生活保護受給率の高い本市としても、今後、学習支援事業の参加者をさらにふやしていくために、対象者のニーズに合った教育バウチャーの形態を検討するべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  大阪市で行われている教育バウチャー形態の取り組みは、学習支援事業の実施形態としては選択肢の一つであると認識しております。ただ、先ほど来申し上げておりますが、学習支援事業においては、学力の向上を図ることはもちろん、自己肯定感を持てるような居場所を提供することも極めて重要だと考えています。人的な資本を大事にしていくような仕組みです。  大阪のバウチャーについて簡単に調べてみたのですが、対象生徒2万人で、1人当たり月額1万円ということで19億円のお金を投入しております。ただ、国では、恐らくこれは先ほどの生活困窮者自立支援制度の学習支援には該当しないと判断していて、2分の1の補助対象にはならなかったのだと思いますが、そこは定かではありませんけれども、いずれにしても市単費で19億円ほどの金が出ているようです。  ご指摘にあったように、本市で実施している学習支援の仕組み等を踏まえて、この制度についても慎重に検討していくことが必要だと考えております。 ◆中山真一 委員  今、財源のお話もありまして、慎重に検討したいというお話でしたけれども、国は当てにならないということなのです。危機感を持っている自治体はみずからやっているのですね。大阪市の教育バウチャーの導入も、参加者がふえれば、当然、その分の費用は大きくなります。もちろん、私も税金が無駄に使われることには反対の立場ですが、貧困の連鎖を防ぐことは、中長期の投資対リターンの視点でも、断然、割のいい投資だと思います。今、早急に手を打たないと、後々、高くついてしまうことになります。  加えて、大阪では、この事業により、民間の教育関連ビジネスが活性化しております。また、将来的には、クラウドファンディングを初めとした寄附を原資として活用することも可能です。アクションプランでは、この事業に関して4年後までの計画事業費も見込まれていますが、まさか今後4年間も変わらず同じようにやっていくわけではないと思います。アクションプランの中でも、「常に事業の必要性を検証しつつ」「計画事業の見直しや新たな事業の実施などにより、柔軟に計画を推進していきます。」と明確に書かれております。昨年、閣議決定された子供の貧困対策に関する大綱の中でも、基本的な方針として、「第一に子供に視点を置いて」と明記されております。一人でも多くの子どもを支援するために、ぜひ、子どもの視点に立ってこれまでの事業を検証し、柔軟に事業を見直していただきたいと思います。  この教育バウチャーは、もう実験段階ではないです。大阪市では既に成果が出ていることですから、札幌市としても、本気で子育て世代を応援するという意味でも、ぜひ実現に向けてしっかりとご検討いただくことを要望しまして、私の質問を終わります。 ○坂本きょう子 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。
     次回は、次週、10月16日金曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時43分...