委 員 伊 藤 理智子 委 員 小 形 香 織
委 員 太 田 秀 子 委 員 平 岡 大 介
委 員 堀 川 素 人
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開 議 午後1時
――――――――――――――
○
國安政典 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
五十嵐委員からは、遅参する旨、届け出がありました。
議事に先立ち、
審査方法についてですが、質疑者及び答弁者は起立して発言を行うこと、答弁者は冒頭に職及び氏名を名乗ってから発言を行うこと、なお、同一委員への答弁が継続する場合は最初だけでよいこととします。また、質疑及び答弁は簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、終了時刻は午後5時をめどとし、審査日程を予定どおり進めることのできるようご協力をお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
議案第1号 平成26年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件中関係分を議題とします。
最初に、平成26年度札幌市
一般会計歳入歳出決算中、歳入のうち
一般財源、第2款 総務費 第1項
総務管理費中会計室及び
財政局関係分、第3項 税務費、第10款 公債費 第1項 公債費、第11款 諸支出金 第1項
財産取得費、第2項 他
会計繰出金中
財政局関係分、第13款 予備費 第1項 予備費、平成26年度札幌市
基金会計歳入歳出決算及び平成26年度札幌市
公債会計歳入歳出決算について、一括して質疑を行います。
◆
村松叶啓 委員 平成26年度決算におきまして、
市税収入が前年度比72億円の増となっております。
個人市民税が3.5%増、
法人市民税が9.9%増、特に
法人税額を基準として課税をする
法人税割が12.9%増と、今、企業の業績が
持ち直していることが数字の上では見てとれる状況でございます。札幌圏のことし7月の
有効求人倍率は0.93と、前年同月から0.14ポイント改善しており、このことは、政府の
経済対策の効果による
企業業績の好転が雇用の改善に結びつくという好循環が徐々に地方にも出てきているところでございます。
そこでまず、平成26年度決算の
法人市民税の状況、特に1次、2次、3次と分野別でどのような状況なのか、伺います。
◎遠藤
税政部長 ご質問の平成26年度決算の
法人市民税の状況につきましては、現
年課税分で315億3,100万円、前年度より28億5,100万円の増となっております。
産業分類別の状況についてでございますが、
企業収益を反映する
法人市民税法人税割の調定額では、
農林水産業の1次産業が3,600万円で前年度比800万円、28.6%の増、建設業、製造業の2次産業が49億900万円で前年度比10億1,200万円、26.0%の増、卸・小売業や
サービス業などの3次産業が197億6,700万円で前年度比18億2,200万円、10.2%の増となっております。
◆
村松叶啓 委員 建設業を含む2次産業の伸びが現年度分で26%と大変大きくなっているということでございます。これは、平成26年度決算の
普通建設事業費が1,102億円と、
公共事業が大きくなっていることも一因になっていると思われます。
市内経済が活性化の兆しを見せている中、その流れをとめないためにも、
公共事業により、その流れを支える必要があります。基礎的なインフラの整備は、今後、
市民生活の向上はもちろんのこと、経済の活性化を推進するためのさまざまな活動を行う上でも、それを下支えするものでございます。そうした事業を実施していくためには、市債の活用は重要な財源であると思います。確かに、
普通建設事業費が増加すれば、
市債発行額や市債の残高が増加する部分もあるとは思います。もちろん、その発行額と残高の
バランスというのは大切なことではありますが、一方で、積極的な投資を行うことは将来の札幌のために必要なことだと考えております。
そこで、質問いたします。
市債、特に建設債について、その意義をどのようなものと考えているのか、そして、その発行が増加することに対してどのように認識されているのか、伺います。
◎平木
財政部長 建設債の意義と、建設債の発行額が増加することに対する認識ということでお答えさせていただきます。
まず、建設債の意義についてでございますが、建設債を発行することは、
財源調達としての役割に加えまして、
公共施設などを整備する財源を市債として借り入れ、その
元利償還金を将来にわたって支払っていくことで、年度間の
財政負担の平準化とか、
公共施設などを利用する将来の市民にも負担を分かち合っていただくという世代間の負担の公平性といった意義があるものでございます。
このようなことから、建設債の発行額の増加に関しては、札幌市の将来を見据えた必要な
建設事業を実施するためには、建設債をその財源として有効に活用していくことも必要であると考えております。ただ、一方で、先ほど
バランスというお言葉も出ておりましたが、将来世代に過度な負担を残さないよう、市債の適切な管理にも留意していく必要があると考えているところでございます。
◆
村松叶啓 委員 ただいまご答弁をいただきましたが、まさに将来世代との負担の公平性ということが市債の意義ということであります。私たちも先人が築いてくれた道路、交通、水道、
公共施設等の恩恵を受けているように、
建設事業は将来にわたる資産であり、将来への必要な投資を計画的に行い、そして、利用する将来世代も一緒に負担をするということだと考えます。
また、今後迎える
人口減少社会において、
生産年齢人口の低下が課題となりますが、我々の暮らしを支えるさまざまな産業における生産性を維持していくためには、
インフラ投資による効率性の向上により、労働力が減る分、生産性を高めていく必要があると考えます。
観光産業の一層の活性化には、市内外からの
アクセスの容易さが必要であります。また、
企業誘致、特に本社機能を誘致するには、
アクセスの容易さに加えて、さらなる
都市基盤の整備が必要と考えますし、また、自然災害に備えた防災力の強化という面も重要であると考えます。市債を活用しながら、これらの事業を進めていくことは、今を生きる私たちにも、そして、将来の世代のためにも大変重要なことであると思います。
そこで、もう一度、平成26年度の市債の
発行状況を見ますと、その60%は
臨時財政対策債によるものでございます。
臨時財政対策債は、
建設事業に対する投資とは違い、
地方交付税の原資を補うために平成13年度から発行しているものであります。市債本来の役割は、先ほどご答弁をいただいたように、将来世代も利用する
公共施設などの
建設事業の費用について将来世代と公平に負担をするためのものでございますが、
臨時財政対策債は、
地方交付税の
振りかわりということであります。その
市債残高はここ10年以上ずっと増加しており、残高の推移を見るとその総額がほぼ一定の中で、
臨時財政対策債の増加に対応して建設債の発行を抑制してきたようにも感じられるところでございます。
そこで、質問いたしますが、市債本来の活用目的とは性格が違う
臨時財政対策債と、本来の目的である建設債の
バランスについてどのように考えるのか、伺います。
また、
アクションプラン2015の事業など、札幌市の将来に必要な
投資的事業が
臨時財政対策債の今後の
発行状況によって影響を受けるのか、伺いたいと思います。
◎平木
財政部長 建設債と
臨時財政対策債の
バランス、関係といったご質問かと思います。
臨時財政対策債は、地方の
行財政運営全般に必要となる
一般財源の総額の確保のために、今の
地方財政制度におきまして
地方交付税の
振りかわりとして発行が認められており、その発行額は、税収の動向も含めた
地方財政全体の仕組みの中で決まっているものでございます。したがいまして、
臨時財政対策債と建設債ということでは、その発行は直接リンクするものではなく、今回の
アクションプランの期間中におきましては、建設債の残高も増加に転じる見込みとなっている状況でございます。先ほども申し上げましたが、市債の適切な管理には留意してやっていきたいと考えております。
◆
村松叶啓 委員 現実的には、扶助費の増加などいろいろな面で財源が必要で、
臨時財政対策債を活用しながら
一般財源総額を確保し、やりくりしなければならないという
財政運営の現状があることは理解できます。もちろん道路や建物ばかりが整備されればいいわけではありませんが、前回のオリンピックを契機にその整備がなされた札幌市は
都市基盤の更新という課題も差し迫ってきており、やはり、適切な投資を進めていくことが必要で、そのためには一定規模の
建設事業費を確保する必要があると考えます。
今回の
アクションプラン2015では、
建設事業費は5年間の総額で5,637億円が想定されております。
都市基盤を計画的に整備していくために平準化を行うことにより、各年度で1,000億円規模の
普通建設事業費を確保するなど、今後の
建設事業費の見通しを示しているところであります。
そこで、質問いたします。
アクションプランに計上された
建設事業について、
財政運営を考える中でどのように位置づけているのか、伺います。
◎平木
財政部長 アクションプランに計上された
建設事業について、
財政運営を考える中でどのように位置づけているかということにお答えしたいと思います。
今回の
アクションプランの案におきましては、経済の活性化とか、
税源涵養に資する将来の札幌の魅力とか活力を生み出す投資へ資源を重点配分したほか、
公共施設の
更新需要への対応など、真に必要な
建設事業を盛り込んでいるものでございます。一方、それら
建設事業などの
計画事業費やそれに充当する市債を含め、総体の事業費などを織り込んだ
中期財政フレームを策定したところでございまして、これを踏まえて着実に進めていくべきものと考えております。
ただ一方では、先のことを考えますと、将来世代に過度な負担を残すことのないように、引き続き、事業費の精査や効率的な
事業執行などを通じて
財政規律を堅持できるように努めてまいりたいと考えております。
◆
村松叶啓 委員
アクションプランに掲げられた
建設事業の実施によって、将来世代への投資を行うことによる経済の活性化、そして、それに伴う税収増といったことも見込めますので、ぜひ、着実に進めていただきたいと思います。
また、事業を進める上では、もちろん市内の建設業の皆さんの力が重要でありますので、人手の確保、また、若い技術者の
人材育成ができるような適切な入札価格といった部分でも、しっかりとした予算の措置をお願いしたいと思います。また、市債の発行については、本来の意義と必要性を市民の皆様に丁寧に説明し、将来への投資の理解を進めていただくことを求めて、質問を終わりたいと思います。
◆
岩崎道郎 委員 私からは、
アクションプラン2015について、
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みの一体化について、そして、
中期財政フレームと
市債残高について伺いたいと思います。
まず最初に、
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みを一体化した意図について伺いたいと思います。
きのう、市長から、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2015の発表がありました。このプランは、2013年10月に策定した札幌市
まちづくり戦略ビジョンの実現を推進する
中期実施計画と位置づけられており、また、市長の選挙公約に関連する事業も盛り込まれているなど、総事業数は697、総事業費は
一般会計や
特別会計など合計で1兆3,257億円を計上されております。また、施政方針に掲げる四つの
まちづくり、雇用を生み出す力強い街、女性が輝き
子どもたちが健やかに育つ街、いつまでも安心して暮らせる街、魅力と活力にあふれた暮らしやすい街をつくることを重点課題と設定しております。
計画期間中、未来への投資として、
建設事業は1,000億円規模を確保しながら、
ソフト事業などのその他の必要な事業もしっかりと確保するなど、今後の札幌市の
まちづくりを見据えて
バランスよく事業を計画化しているなという印象を受けたところでありますが、財政面では非常に苦労したのではないかと感じているところであります。また、今回の特徴は、今のご答弁にもありましたが、
人口減少と
都市基盤の老朽化に対応するため、未来への投資を積極的に行いつつ
財政規律を堅持し、めり張りのきいた
財政運営を行うことが明記されており、
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みを一体のものとして策定されていることであると考えております。
そこでまず、質問でありますが、今回の
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みを一体化した意図はどのようなものなのか、そして、一体化することによる財政的な特徴はどのようなものであるか、伺います。
◎平木
財政部長 今回の
アクションプランにおいて
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みを一体化した意図と、一体化することによる財政的な特徴についてお答えさせていただきます。
まず、一体化した意図についてでございますが、今回の
アクションプランでは、限られた財源の中で、ますます複雑化・多様化しており、さらに増大している
行政需要に対応していくために、
まちづくりの
取り組みと
行財政運営の
取り組みを一体化し、この計画の対象となる
政策的事業の財源を確保することで計画の実効性を担保しようとしたということでございます。
財政的な特徴といたしましては、
計画事業を実施するための財源とか収支に加えまして、
市債発行に伴う
市債残高の見込みなどを同時にお示ししたところにあると考えております。
◆
岩崎道郎 委員 今まで以上に事業と財源の結びつきが見えやすくなり、事業の実効性が高まるということは理解が深まりました。
次に、
中期財政フレームと
市債残高について伺いたいと思います。
まず、
中期財政フレームと従前の
中期財政見通しとの違いについて伺います。
代表質問で、我が会派の村上議員から、2014年度決算を踏まえた今後の
財政運営として、今後4年間の
市債発行の考え方を質問したところであります。これに対して、
アクションプランの中で
中期財政フレームにより
財政運営の計画を示し、これに基づき、収支と市債の適切な管理に努め、将来世代に過度な負担を残すことのないよう
財政運営を行っていくとの答弁がありました。
これまでは、当初予算公表時に、今後4年間の
財政見通し、いわゆる
中期財政見通しを示し、翌年度以降の
収支不足を推計し、
財源確保に必要な額を示したところです。
ここで、1点目の質問ですが、今回の
アクションプランで示した
中期財政フレームと従前の
中期財政見通しはどのように違うのか、伺いたいと思います。
◎平木
財政部長 今回の
中期財政フレームと従前の
中期財政見通しとの違いについてお答えさせていただきます。
従来の
中期財政見通しは、
歳入歳出の推計をしてから
収支不足額を算出していることと、それを解消すべく
行財政改革の
取り組みを実施するということでやっておりまして、
まちづくり計画の事業費とか
行財政改革の
取り組みの効果などを直接反映させたものではなかったところでございます。
今回の
中期財政フレームは、
計画事業費を含め、
アクションプラン期間中の全体の事業費の見込みを示しまして、さらに、そのための財源を
歳入歳出の改革とか基金の活用などによって確保した形で設定しているものでございます。また、
建設事業費の推計に伴い、毎年度発行する市債の額も推計し、それに伴った
市債残高の見込みも示しているところでございます。こういったことによりまして、
アクションプランの期間中の収支とか将来を見据えた市債の管理も行うことを目指したものでございます。
◆
岩崎道郎 委員 続きまして、
市債残高の認識について伺いたいと思います。
中期財政フレームには、
アクションプランに基づいた事業を実施した場合の
市債発行見込みが示されております。この
フレームでは、
建設事業などを実施するための市債や
臨時財政対策債の発行額は、2015年度から2019年度の合計で5,472億円の見込みとなっております。また、これを反映した
市債残高は、プランの
最終年度の2019年度では1兆1,779億円の見込みとなっておりますが、今回の2014年度決算においては、
一般会計の
市債残高は9,834億円であることから、これと比較すると1,945億円、約20%の増加となっております。
我々も、必要な事業については市債を活用して効果的に執行することが必要だと考えており、今後、
市債残高がふえていくことは、必要な事業を実施する積み重ねの結果であり、やむを得ない部分があるものと認識しているところであります。しかし、これから本格的に
人口減少社会を迎えるに当たって、今後の
財政運営を考えると不安は小さくないところであります。
そこで、2点目の質問ですが、
アクションプランで示した
市債残高についてどのように認識しているのか、伺います。
◎平木
財政部長 アクションプランでお示ししました
市債残高の認識についてお答えさせていただきます。
アクションプランにおきましては、
地域経済の活性化とか
税源涵養に資する将来の札幌の魅力や活力を生み出す投資、
公共施設の老朽化に伴う施設の更新、こういったものなどに必要な
建設事業を計上しておりまして、そういったことから建設債の発行額がここ数年に比べて大きくなっている状況でございます。また、
臨時財政対策債でございますが、こちらもその発行が継続すると見込まれており、残高の増加傾向が続いているところでございます。
そのような中、平成31年度、計画の
最終年度の全会計の
市債残高の
見込み額を見ますと、
臨時財政対策債の残高が大幅にふえている中におきましても、前回の
行財政改革推進プランで目標としていた平成22年度末の全会計
市債残高が1兆8,330億円でございましたが、こちらを下回っている状況でありまして、財政の健全性は一定程度保つことができているのではないかと考えております。
今後も、引き続き、事業費の精査を行ったり、効率的な
事業執行を行うことなどを通じて、将来世代に過度な負担を残すことのないよう、
財政規律を堅持すべく努めてまいりたいと考えております。
◆
岩崎道郎 委員
戦略ビジョンでも触れられていたように、札幌は、
人口減少社会、そして超
高齢社会の到来、さらに、老朽化した
都市基盤の更新など、大きな転換期を迎えております。そのような中でも、生活者、暮らしに視点を置いて、ずっと住んでいたい札幌をつくることは大変重要であります。そのために、
アクションプランの着実な実行はもとより、今後、各年度の予算編成を含め、将来世代へ過度な負担を残さないよう留意しながら、的確な
財政運営を進めてもらいたいと思います。
◆好井七海 委員 私からは、
市税事務所設置のその後の総括についてお伺いいたします。
札幌市の
税務組織について、平成22年10月に、市内10区にあった税務部を統合し、5カ所に
市税事務所を設置するという組織の大きな改革を行い、今月で5年が経過いたしました。平成23年の3定でも我が会派からお伺いしておりますが、この5年間の
経済情勢を振り返りますと、
市税事務所が設置された平成22年は、夏以降、急激な円高の影響などにより、景気は
足踏み状態となっております。そして、平成23年は、3月の
東日本大震災によって国内の
部品調達供給網が寸断され、
国内生産に大きく影響が出たほか、
福島原発事故に伴う
電力供給の制約により、我が国の経済は大きく落ち込み、その後、
持ち直しに転じたものの、急激な円高や世界的な景気減速によって
持ち直しの動きは緩やかになりました。平成24年は、震災からの
復興需要などにより、弱さが残るものの、景気も
持ち直しの動きが出始め、年末の総選挙による政権交代後、平成25年は、金融緩和、
財政出動、
成長戦略の3本の矢から成るアベノミクスによって、円安、株高となり、株価の上昇による
資産効果や、
消費者マインドの改善を背景に、
個人消費が景気を牽引したほか、
海外経済の
持ち直しと円安の動きによる
企業収益の改善などにより、景気は緩やかに回復しました。また、昨年は、4月に
社会保障と税の
一体改革として実施された
消費税率の引き上げの前に
駆け込み需要があったものの、その反動の影響や
物価上昇等により景気は
足踏み状態となりましたが、先月、内閣府が発表した
月例経済報告によれば、景気は緩やかな回復基調が続いているという状況になっております。このように
市税収入を取り巻く環境は、この5年間、必ずしも順風ばかりとは言えず、むしろ、大変起伏の大きいものだったと思います。
さて、
市税事務所につきましては、設置する目的として、区にあった税務部を統合し、規模を大きくすることによって得られる
スケールメリットを生かした事務の効率化と
組織機能の効果による公平、適正な課税と納税の推進が掲げられていました。
そこで、質問ですが、この5年間を振り返りまして、
市税事務所の設置についてどのような総括をされているのか、お伺いいたします。
◎遠藤
税政部長 市税事務所設置の総括についてのご質問です。
まず、
市税事務所の設置により、各区の税務部を
財政局直轄の組織とするとともに、税務を専門に所管する局長職を設置し、
指揮命令系統の一元化を行い、意思決定の迅速化や決定した方針をより徹底してきたところであります。また、組織の統合による
スケールメリットを生かし、事務の効率化を進めており、
管理職ポストの削減を中心として人件費の削減を行ってきました。
課税事務について申し上げますと、小規模区を統合したことや、従前、10区において少人数体制で
事務処理を行っていた
軽自動車税、
固定資産税の
償却資産について1カ所に集約したことにより、課題であった計画的な
人材育成や職員の専門性の向上、
事務処理方法の継承について改善されたほか、
事務処理に係る
チェック体制、調査などがより充実したところであります。
納税事務においても、
スケールメリットを生かし、現
年度課税案件、
滞納繰り越し案件などには
滞納段階別に専門の班が担当する機能分担型滞納整理を導入し、滞納整理の機能強化を図ってきたところであります。
このような組織体制の見直しやコンビニ納付などの納税環境の整備などにより、平成21年度の
市税収入率は94.3%だったものが、平成26年度決算では97.3%となり、3.0ポイントの上昇と大きな成果を上げたところであり、政令指定都市20市の中で、平成21年度の収入率は12番目でしたが、平成26年度決算では7番目と順位を上げてきているところであります。
◆好井七海 委員
市税事務所についてはおおむね順調に運営がなされていること、また、
市税収入率という客観的な数値において成果を出しているとの答弁でありました。
そこで、さらに質問いたしますけれども、これまで区役所にあった税務部が区役所から離れ、
市税事務所に統合することによって窓口が10カ所から5カ所になり、市民サービスが低下するのではないかという懸念がありましたが、現状をどのように認識しているのか、お伺いいたします。
◎遠藤
税政部長 市税事務所設置による市民サービス低下の懸念に係る認識についてのご質問でございます。
従前は10区で行っていた税務事務を統合し、市内5カ所に
市税事務所を設置することによって、市税に関する証明の取得や個人住民税の申告など市民サービスが低下するのではないかという懸念があったところでございます。このため、市税に関する証明につきましては、
市税事務所5カ所に加え、
市税事務所設置後も、引き続き、区役所の戸籍住民課の窓口で発行しております。また、
市税事務所と区役所戸籍住民課との連携を円滑に行うこととし、例えば、個人住民税において、収入を申告していない方が区役所を訪れ、税の証明を求めた場合でも、電話による聞き取りで所得を確認し、証明書を発行するなど柔軟な対応を行ってきたところであります。個人住民税の申告についても、申告時期に区役所などに臨時の申告会場を設け、申告書の受け付けをしております。このように、市民の税証明の取得や住民税の申告など、設置の際に懸念されていた市民サービスは維持できているものと認識しております。
◆好井七海 委員 市民サービスについて大きな問題は生じていないとの認識でありますが、では、どのような点を課題として認識しているのか、お伺いいたします。
◎遠藤
税政部長 どのような点を課題としているかというご質問でございます。
ことしの7月に、
市税事務所に来庁した方々にアンケート調査を実施した結果、税務事務を
市税事務所で行っていることを以前から知っていた方の割合は44%でありました。設置から5年が経過しますが、いわゆる認知度が44%という半数に満たなかった結果を踏まえ、今後も、広報さっぽろやホームページなどの各種媒体や出前講座など、さまざまな機会を通じて
市税事務所を市民に身近に感じていただけるよう努めてまいりたいと考えております。
また、アンケートでは、職員の言葉遣いや説明のわかりやすさについても調査を行いましたが、「よい」「どちらかというとよい」「わかりやすい」「どちらかというとわかりやすい」とのお答えが全体の約8割となりました。市民や納税者の皆様には、なお一層的確でわかりやすい説明を行うよう、職員の指導に努めてまいりたいと考えております。
税務部門の最大の使命は、
市税収入の確保にあり、その使命を果たすために、
市税事務所設置という大きな組織改革を行ったことを生かし、引き続き、機能強化を図り、職員の専門性を高めるとともに、常に、市民、納税者の立場に立って事務を行うことのできる人材の育成に努め、市民の皆様から信頼される税務行政の確立のために努力してまいりたいと考えております。
◆好井七海 委員 行政のいかなる仕事でありましても、人が一番大事であり、その人材の育成は非常に重要であります。特に税務事務は、複雑な税の仕組みに加え、納税者の生活状況とじかに接する業務であり、ともすれば応対する職員によって納税者である市民の満足度が大きく左右される性質のものであると思います。今後も、職員個々の税務に関する専門性を高めていくのはもちろんのこと、
市税事務所に相談に来た納税者の方々に対し、より親切、丁寧に説明し、市民からご理解いただけるような人材の育成にも力を注ぐことを要望いたしまして、質問を終わります。
◆太田秀子 委員 私からは、市税の納付と滞納について、5点質問いたします。
本市は、市税滞納者への差し押さえの見込み、目標を持っています。2008年度からの資料を見ますと、2009年度、2010年度は差し押さえ実績が目標を下回ります。しかし、2011年度から目標を上回った差し押さえが行われています。あわせて、本市の市税の収納率を見ますと、先ほどのご答弁にもありましたが、差し押さえの目標以上に差し押さえの実績を上げている2011年度から収納率は上がっています。2011年度95%、2012年度95.8%、2013年度96.7%、2014年度97.3%と上がり続けます。収納率のアップは、差し押さえの効き目のように見えます。滞納者にとって苛酷な徴収になっていないでしょうか。しかも、今後、2015年から2019年までの
アクションプランでは、さらに市税の収納率を上げていくという目標になっています。
2014年、銀行口座の残高約3万円を差し押さえられた男性は、アルバイト勤務のため、収入は不安定、妻と子どもと3人暮らしで、市税だけではなくて、国保も滞納、毎月の食費は約3万円という暮らしでした。ですから、差し押さえられた3万円は、家族の命綱でした。生活実態を明らかにして、支払い能力がないことを訴えて全額返してもらいましたが、税金の滞納は市民の生活のSOSだと思うのです。
ところが、2014年度財政局実施プラン期末報告という資料を見ますと、本市は、2012年7月から札幌市滞納整理表彰を実施しています。市内5カ所にある
市税事務所をそれぞれ四つのグループに分けて20の組織をつくり、2014年度は、徴収額などの成績上位の四つの組織を表彰しています。2013年11月からは、札幌市税務職員表彰を実施し、2014年度は3人の職員を表彰しています。期末報告では引き続き表彰制度を行い、より一層、職員の意識、意欲の向上及び組織の活性化を図る報告になっています。
質問の第1ですけれども、滞納を整理した数が多いから表彰するというよりも、どういう相談が寄せられているのか、職員で検証し合い、丁寧な相談に応じることこそ表彰にふさわしいと考えますがいかがか、結果のみで評価することが苛酷な差し押さえにつながると思いますがいかがか、伺います。
◎遠藤
税政部長 滞納整理表彰についてでございますが、滞納整理の実績を表彰するのではなく、納税者のいろいろな相談に丁寧に対応した職員を表彰すべきではないかというご質問でございます。
滞納整理表彰は、市税滞納整理事務に従事する職員の意識、意欲の向上と組織の活性化を図るとともに、
市税収入の確保と税負担の公平性の維持に資することを目的として、平成25年度より実施しております。納税相談におきましては、納税者の話をよく聞くとともに、誠実な態度やわかりやすい説明などに努めるよう研修などを通じて指導しており、このような職員の納税者対応は評価すべきものと認識しているところであります。ただ、滞納整理では、組織的な
取り組みが重要であるとの認識から、滞納整理表彰は職員個人ではなく、係や係内の班などの組織を対象としているものでございます。
◆太田秀子 委員 2011年度から連続して滞納者は減って、2011年度には8,887件だった差し押さえ件数は、表彰制度が始まったこの2012年度から1万件を超える実態となっています。先ほどお話しした実態にあるように、なけなしの3万円という金額が差し押さえられ、生活状況を聞いて全額返還という事例もあります。徴収実績を重視した相談になっていないか、危惧するところです。
そこで、質問の第2ですが、納付相談についてです。
納付相談に行こうと思っても、払えるお金がないと相談には行きづらいものです。無理な納付計画で、払い続けることができないような計画は、立てるべきではありません。先ほど税負担の公平性とおっしゃいましたが、納税できるのに、その意思がない悪質なケースもあるかと思いますけれども、それを除いて、今年度分を払えない人と、既に滞納があって払えない人がいるはずです。どのような納付相談になるのか、お答えください。
◎遠藤
税政部長 納付相談の対応についてのご質問であります。
本来、市税は納期内に納めていただくものでありますが、納税者から市税の納付について相談を受けた場合には、納期内に納められない事情や納税者の生活状況などを聴取し、適切に対応しております。具体的には、滞納者の収支状況や財産の状況などを伺った上で、未納となっている市税を直ちに納付できないことにやむを得ない事情があると判断される場合には、年度内といった一定の期間内で分割納付に応じるなど、滞納者の状況に合わせた滞納整理を行っております。
◆太田秀子 委員 財産などを見て年度内に分納してもらうということでした。
まずは、年度内でということでしたけれども、ちょっと確認したいと思います。
今年度の分を払えないと言ってきた人もいると思いますし、既に滞納していて払えないと言って相談に来る方もいると思います。そこでまず、滞納している分を年度内で納付するように相談を受け付けるのか、そして、年度内の納付ができない場合は、年度を超えた分納もできるのかどうか、もう一度、伺います。
◎遠藤
税政部長 例えば、現年度分、今年度分だけ滞納されている方につきましては、基本的には年度内での分割というお話をさせていただいております。ご質問にありましたように、過去から滞納して滞納繰り越し分のある方につきましては、ご相談を受けて、資産の状況とか収支の状況を見ながら、1年の範囲以内での分割という形で対応しているところでございます。
◆太田秀子 委員 ちょっとわかりづらいのですが、地方税法第15条では、納められない事実があるときは、滞納者の申請に基づき、1年以内の期間に限り、その徴収を猶予することができる、そういうふうに書いてあります。しかし、やむを得ない理由がある場合は、1年の期間に限り、延長できる、2年は超えないと書かれています。この地方税法に基づいた対応をするということでいいでしょうか、お答えください。
◎遠藤
税政部長 地方税法第15条につきましては、法律に基づく徴収猶予ということでございます。これについては、法律に基づき、震災、風水害、火災、あるいは、親族が病気にかかり負傷したとき、あるいは、事業の廃止、休止という要件がございまして、この要件に該当する場合につきましては、申請に基づいて1年以内の範囲での徴収猶予、分割納付という形になるところでございます。
先ほど、現年度分は年度内ということでございますが、現年度分であっても、この要件に該当する場合には1年以内ということでございますし、この要件には該当しないけれども、納付が困難だという事情がある場合には、基本的には年度内という形での分割をお願いしている状況でございます。
◆太田秀子 委員 1年で納付する計画を立てても、途中で病気をするとか失業するとか、計画どおりに行かない場合もあると思いますが、そういう場合はどうなりますか。
◎遠藤
税政部長 納付約束の履行が難しくなった場合の対応ということでございます。
ご本人や家族の病気、けが、事業の休廃止、事業での著しい損失や倒産など、納付計画を履行できないような事情が生じた場合には、担当者に連絡をいただくこととしております。そのような場合は、再相談に応じて納付計画を修正するなどの対応をしております。
◆太田秀子 委員 先ほどのお話では、震災とか家族の病気ということで、それ以外にも納付困難になった方には相談に応じるという言葉もありましたが、震災とか家族の病気などに限らず、しっかりと財産や日々の生活状況なども教えてもらうけれども、納付が困難だと判断したときには分納も認めるということでよろしいでしょうか。
◎遠藤
税政部長 ご本人から収入の状況、財産の状況を確認して、困難な事情がある場合は、今申し上げたような徴収猶予の規定に該当するもの以外についてもその事情によって分納を認める、そういう取り扱いにしております。
◆太田秀子 委員 それでは、
市税事務所について質問いたします。
市税事務所は、5年前に10区の区役所から市内5カ所にまとめられました。先ほどの質疑にもありましたが、区に住んでいる方たちからすると、区から離れて相談に行きづらいと聞いておりますけれども、今後どうするお考えか、教えてください。
◎遠藤
税政部長 市税事務所での相談というご質問でございます。
市税事務所の設置につきましては、市民の皆様方のご理解をいただきながら、今日まで大きな混乱はなく運営させていただいているものと認識しております。開設に当たっては、来庁する市民の利便性を考慮し、地下鉄やJRなどの
アクセスのよいところに設置し、また、車で来庁する市民のためには特約駐車場を確保しております。
ご質問の納税相談に当たっては、来庁での相談だけではなく、電話での相談にも応じておりますし、また、日中に電話や来庁できない方々のためには、毎週木曜日に午後8時まで夜間納税相談を受け付けておりますので、そういったことを活用していただくように、このことは広報さっぽろなどでPRを行っているところでございます。
◆太田秀子 委員 税金の問題というのはとても難しいですから、税金の問題に関しては電話でやりとりしてもわかりづらいかと思います。
最後の質問ですが、名古屋市では、2014年度の徴収率が99.1%、政令市で3年連続トップですけれども、人口1,000人当たりの差し押さえ率は本市より低くとどまっています。税の納付書は年に1回まとめて送るのではなく、年4回の期限ごとに送るなどの工夫をしていると聞いています。
相談しやすい環境の整備を工夫していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
◎遠藤
税政部長 相談しやすい環境ということですが、今ご説明いたしましたように、納税相談については毎週木曜日に夜間相談を開設しておりますし、住民税の申告についても臨時の会場を設けて申告相談に応じたりしております。今後とも、相談しやすい体制に向けて努めていきたいと考えております。
◆太田秀子 委員 きょう質問させていただいたことをもう一度おさらいします。
地方税法第15条というのは、国税で言えば、国税徴収法第153条に当たりますが、市税を滞納した場合や、納付書が届いたのに払えない場合、自分の生活実態を伝えて納付相談をすること、震災とか家族の病気だけではなく、いろいろな生活状況も勘案してくださって、基本は年度内納付だけれども、年度内に納められない場合は、年度を超えた分納も相談できるということでした。これは、相談に来た人にも伝えていただきたいし、納付相談を受ける職員にも徹底していただいて、滞納者の事業や生活を壊す納付にならないよう改めて求めて、私からの質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、秋元札幌市長が公約に掲げた入札契約制度の改善について、3点質問いたします。
1項目めは地元企業への優先発注について、2項目めは総合評価方式の拡大について、3項目めは最低制限価格の見直しについてです。
具体的な質問をする前に、私から、札幌市の公共工事の状況について、まず、申し上げておきたいと思います。
ことし9月初めの業界紙に「公共工事、秋枯れの様相」との記事がありました。また、今回の代表質問を聞いていますと、札幌市が発注する今年度の公共工事が減少しているとの指摘でありました。確かにそうした傾向がありますが、よく調べてみますと、札幌市のここ数年の公共工事は、2013年度、平成25年度は757億円、翌年度の平成26年度は768億円と発注量は伸びてきておりました。今年度は、市長部局で見ますと、8月末の時点で昨年同月比で9割強の契約金額で進捗しているとのことであります。
こうした状況の中で、今年度は工事件数などが低くなっている状況をさらに調べてみますと、2013年度、平成25年度に国は15カ月予算を編成し、札幌市の場合で申しますと、国からの補正などで約200億円を追加して公共工事を確保しました。また、平成26年度は150億円となっております。しかし、今年度は、わずかに30億円の補正額になっているということが1点目であります。
また、2点目は、国土交通省では、ことしの2月に、公共工事の積算基準及び標準歩掛かりの見直しなどが行われました。一般管理費は平均約20%増、現場管理費も平均5%増となり、契約金額のアップに対応していかなければならない課題もあると思います。国、開発局などでは、新聞の報道のように約2割減ということですが、いろいろ調べていきますと、当初予算で計画していた総発注件数を減らし、今申し上げた積算基準の見直しに伴うアップについてはそのことによって金額を確保しているために、件数等の2割削減につながっていると私は分析しております。一方、札幌市は、今回のアップ率を発注件数の減で補うのではなくて、さまざまな努力をし、中でも契約差金の有効活用を行いながら件数を確保している状況の中で、前年同月比で9割、1割減という状況になっているのかなと思うわけです。
こうしたことをまず申し上げて、具体的な質問に入りたいと思います。最初の質問は、地元企業への優先発注に関連して、工事や建設コンサルタント業務にかかわる一般競争入札の地域要件の運用見直しについてです。
一般競争入札を実施する際、地方自治法施行令に基づき、適正かつ合理的に入札を行うために、必要な場合は事業所の所在地などを地域要件として参加資格に設定することが可能となっています。札幌市では、同施行令に基づき、2003年、平成15年財政局管財部長決裁におきまして一般競争入札参加資格のガイドラインを定め、毎年度、このガイドラインの改正を行って今日に至っております。
その中では、競争性の観点から、元請実績などの入札参加条件を満たす応札可能者が市内企業で20者以上確保できる場合は、地域要件を設定し、市内企業に限定した入札を可能としています。反面、国内の大手メーカーが直接製造するプラント工事や昇降機工事以外の一般的な工事や、難易度の高い一部の建設コンサルタント業務において、実績のある応札可能な市内企業が規定に満たない場合は、地域要件を問わず、市外企業も参加できる一般競争入札を実施しています。実態は、地域要件を問わない案件においても市内企業がほとんど落札していますが、それはあくまでも結果論と言えます。それは、平成26年度で市内企業が受注したのは95.8%、今年度は、8月末現在で95.3%ということで、今後、年度がかわっても地元企業の落札が約95%という状況はそう大きく変わらないと私は思っております。
そういう中で、今後は、難易度が高くても、市内企業で履行可能な工事や建設コンサルタント業務については、市内業者に元請として実績を積んでもらうという札幌市の積極的な姿勢を示すべき時期に来ているのではないかと思います。私は、地元企業への優先発注や成績重視型入札の品質確保のあり方と20者確保の基準について、2008年度、平成20年度から予算及び
決算特別委員会などでさまざまな議論を重ねてきました。
現在の20者基準は、談合防止の観点から、2006年度、平成18年度の全国知事会の緊急報告を受けて設定されています。しかし、その後、札幌市の入札制度は大きく変化し、一般競争入札が原則となり、さらに、電子入札システムの導入や設計単価の情報公開の進展など、現在は、以前と比べて透明性が高く、競争性が確保された入札環境となっているのではないかと思います。さらに、談合行為等に対しても、入札参加停止措置期間を2年間に延長し、違約金も増額するなどのペナルティーを強化し、より厳しい措置を講じることによって談合防止にも取り組んできているところであります。現在の札幌市における入札環境においては、応札業者が10者あるいは15者程度あれば十分に競争性が働くことから、競争性確保のための20者という数的な目安が逆に市内企業の育成の足かせになっているのではないかと危惧しているところであります。また、以前にも提案しましたが、20者に縛られなければ、成績重視型入札の趣旨である品質確保の効果をより高めるため、3年間、あるいは5年間は、例えば基準点を75点または76点と固定化して、下限のラインを明確に示すことで企業が目標を持って技術力の向上に取り組めるように運用することも可能となるわけであります。
そこで、質問でありますが、特殊な事案や特別な事情がある場合などは例外といたしまして、技術力向上の観点から、市内業者の受注機会を妨げることのないよう、20者にこだわらず、市内業者に入札参加資格を限定できるよう、地域要件の運用を見直すべきと思いますが、どのように考えているのか、まず最初に伺いたいと思います。
◎大関 管財部長 ただいま地域要件の運用の見直しについてのご質問がございましたけれども、私どもも、地元企業の受注機会の一層の拡大を図ることにつきましては、除排雪事業等を含めた地域の社会資本整備を担う地元企業の育成や経営の安定化に資するということで、大変重要と考えているところでございます。
地域要件の基準については、平成19年に今の20者と設定したものでございますが、委員のご指摘のとおり、その後、電子入札システムの導入とか入札参加停止措置の厳格化、それから、情報公開の推進などの施策をさまざま講じてきたところでございまして、当時と比べると、現在はより不正行為の起こりにくい入札環境になっているのではないかと認識しております。こうした状況の変化を踏まえまして、今後は、工事等の性質や難易度に応じて、あくまでも競争性を低下させない範囲内で、応札可能者が20者に満たない場合であっても入札参加者を市内業者に限定できるよう地域要件の見直しを図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 今、部長から、運用の見直しについて図っていきたいということですので、今後、地元企業の優先発注の拡大に向けてより柔軟な対応ができるように、ぜひとも早い実現に向けた検討を行っていただきたいと思います。
次に、質問の2項目めは、総合評価方式の拡大に関連して、制度改正後の運用状況と今後の
取り組みについてです。
冒頭で今年度の工事費が減少傾向にある状況について述べてまいりましたが、工事量がふえているときも、そして現在も、特に市内の除排雪事業に貢献している土木建設業の皆さんからは、なかなか景気回復の実感が持てないとの声を聞くことがあります。市内業者の皆さんが明るい兆しを感じられないのは、工事の発注量だけでなく、札幌市の入札の現状にその要因の一つがあるのではないかと察するところであります。例えば、札幌市は、積雪寒冷地で冬場に仕事ができない土木系の工事などは、4月から12月までの9カ月間の工事で1年間の会社の利益を確保しなければなりませんが、この土木系工事の6割がくじ引きによる落札となっております。これまでは、工事量がふえても、くじに当たらなければ受注できず、いつになったらくじに当たるのかという不安を抱えて入札に参加しているのが実情ではないかと思うわけであります。
私は、これまでも、運任せではなく、施工能力のある事業者が落札できる入札環境の整備、あるいは、防災活動、除排雪事業などを担う地域を熟知した地元事業者が存続していくために、多くの事業者が幅広く受注できる仕組みづくりの必要性を強く提言してまいりました。今申し上げたことは、昨年改正された公共工事の品質確保の促進に関する法律、すなわち品確法の新たな理念であり、将来にわたる社会資本整備の品質確保のための担い手の確保、育成の実現を図るために、欠くことのできない施策であると言えるわけであります。
札幌市は、昨年4月、品確法が掲げる多様な入札・契約方法の活用の一環として、総合評価方式を大幅に改正し、従来からの技術力を重視する方式に加え、若者や女性の雇用、活用を重点的に評価し、
人材育成に取り組む企業を支援する
人材育成型と、地域防災活動や除排雪事業の実績を高く評価する地域貢献型を新設するなど、担い手の育成や地域に貢献する企業の受注機会に配慮した見直しが行われてまいりました。
札幌市は、これまでも、実績のある優良な企業の受注機会の確保とくじ引き対策の観点から、さまざまな機会で総合評価方式の有効活用を表明してきました。今年度から、実施件数をふやしておりますが、市長公約に掲げられた総合評価方式の拡大を目指すためには、私が従前から指摘してまいりましたように、入札参加者が少ない、あるいは落札者に偏りが見られるなどの課題の解消が不可欠であると言えます。
そこで、質問でありますが、今年度の総合評価方式の実施状況と、制度が効果的に機能しているのかについて伺いたいと思います。
◎大関 管財部長 今年度の実施状況と制度改正による効果についてでございます。
まず、今年度の総合評価方式の実施状況についてでございますが、9月末までの市長部局での実施件数は、昨年度の28件から34件ふえて62件となっております。このうち、制度改正後の件数は43件ございまして、その内訳は、従来からの技術力を重視した実績評価型が16件、新たに導入いたしました地域貢献型が22件、そして、
人材育成型が5件となってございます。
次に、制度改正の効果についてでございますが、改正後の1件当たりの平均入札参加者を見ますと9.2者となっており、昨年度の3.6者より大幅に増加しており、特に新設の地域貢献型では13.4者と、大変多くの企業に参加していただいている状況でございます。また、
人材育成型を見ますと1件当たり6.4者となっており、若者や女性の登用に積極的な企業が参加されているということで、制度創設の趣旨が反映された効果となっているのではないかと考えております。
一方、落札者の偏りについてでございますが、昨年度は実施いたしました28件のうち10件、36%で重複受注がございました。しかし、今年度の改正後は、43件のうち8件、19%に減少しておりまして、改善傾向にあるというふうに認識しております。全般的な状況を勘案いたしますと、評価方法の見直しとか新たな方式の導入などによりまして制度改正が効果的に機能しているものと私どもは受けとめているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 部長からの答弁で、従来より随分改善され、新たに導入した制度の効果や目的が一定程度達成されているというふうに私も理解いたします。しかし、大幅な制度改正とも言えるわけで、改正後、半年が経過しておりますが、新たな課題も見えているのではないかと思います。
私のところにも、総合評価方式に関して、特に中小の建設業の皆さんから数多くの要望や意見が寄せられております。その特徴的なものとして四つ挙げますが、第1は、なれない審査資料の作成に苦慮している、第2は、一括審査の対象工事をもっと広げてほしい、第3は、手持ち工事の評価が札幌市の設定する竣工検査の日程に左右されるため、不公平になりかねない、第4は、次の入札参加の準備のため、もっと早く落札結果が知りたいなどであります。
そこで、質問でありますが、総合評価方式のさらなる拡大に向け、今後どのような
取り組みを検討されているのか、伺いたいと思います。
◎大関 管財部長 総合評価方式の拡大に向けた今後の
取り組みについてでございますが、業界団体との意見交換会とか個別のお問い合わせなどを通じまして、ただいま委員からご指摘がございました内容と同様のご意見、ご要望は私どももいただいているところでございます。このようなご意見やご要望などを踏まえまして、今後、提出書類の簡素化、あるいは評価方法の改善、見直しを進める中で、より企業の皆さんが参加しやすい制度に見直してまいりたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 評価方式というのはくじ引き対策にも有効ですので、ぜひとも、使い勝手のよい内容への改善を進め、拡大することを強く求めておきたいと思います。その中でも、特に手持ち工事の関係ですが、現在、受注して竣工検査を受けて、その後、引き渡しをするまでは手持ち工事としてカウントされている状況にあります。やはり、その辺などを含めて見直すことや、手持ち工事の評価項目についても今後はしっかりと改善を図っていただきたいと思います。
最後に、3項目めの質問ですが、最低制限価格の見直しについてであります。
私は、ことしの第1回定例市議会の予算特別委員会で、工事の最低制限価格の引き上げを早急に行うべきと提言いたしました。今定例会の代表質問では、最低制限価格の見直しについては、測量などの建設コンサルタント業務の受注環境が厳しいことから、速やかに引き上げを進めるという市長の答弁がありました。
札幌市における建設コンサルタント業務の入札は、ほとんどが最低制限価格でのくじ引きであり、十分な利益が得られず、新規雇用や機器の更新もままならない厳しい状況にあることは私も認識しております。建設コンサルタント業務の最低制限価格については、ほとんどの都道府県や政令市が国のモデルを基準として足並みをそろえている中にあって、これまで、札幌市においてもこうしたことへの対応、改善が置き去りにされてきたと言っても過言ではないと思いますけれども、他に先んじて引き上げを決断したことは評価したいと思います。
そこで、質問でありますが、札幌市は、建設コンサルタント業務の受注環境をどのように分析して、どのような観点で最低制限価格を引き上げていくのか、基本的な考えについて、まず、お伺いしたいと思います。
◎大関 管財部長 建設コンサルタント業務の受注環境と引き上げの基本的な考え方についてでございます。
まず、建設コンサルタント業務の受注環境についてでございますが、平成27年8月末の平均落札率を見ますと74%となっておりまして、これに加えまして、ほぼ全ての案件が最低制限価格での落札となっております。このような状況から見ますと、大変厳しい受注環境にあると認識しているところでございます。また、1件当たりの契約金額を見ますと約430万円となっており、受注規模も小さいことから、経営環境も厳しい状況にあるものと理解しているところでございます。
社会資本整備を担う建設コンサルタント業における人材の確保、育成というのは重要な課題というふうに認識しておりますので、このような札幌市の入札の実情を踏まえて最低制限価格の引き上げが必要である、このように判断したところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 今、部長からも答弁がありましたように、平均的には74%でありますが、測量などは73%、あるいは設計では74%などという数字が存在しております。最低制限価格に張りついた落札率では地元の企業は技術者をしっかり育成するための十分な投資ができずにいますので、私は、工事も建設コンサルタント業務も含めて、最低制限価格の思い切った引き上げが必要であると思います。特に、建設コンサルタント業務の受注金額は総じて低いために、落札率が低ければ、当然、利幅も非常に小さく、一段と厳しい環境に置かれると思います。
将来の札幌市のインフラ整備を考えると、今、地元の熟練した技術力を次世代の若者へ継承していかなければなりません。今、申し上げたように、現在、7割台で落札している建設コンサルタント業務の引き上げが急務であることは、誰もが認識している中で、引き上げの時期については、入札に参加する企業が混乱することのないよう、十分な周知期間を確保した上でできるだけ早く実施すべきと言えます。また、上げ幅についても、過去には、2010年、平成22年に緊急
経済対策の一環として積み上げ方式に改正したときは、落札率が平均4ポイントほど上昇していると思います。今回は、
人材育成に充てる費用を捻出することが目的なので、そのとき以上に受注者が実感できる実効性のある引き上げをすべきと思います。
そこで、質問ですが、建設コンサルタント業務の最低制限価格の引き上げの実施時期と上げ幅についてどのように検討しているのか、伺いたいと思います。
◎大関 管財部長 建設コンサルタント業務の最低制限価格の引き上げの実施時期と上げ幅についてでございます。
まず、上げ幅につきましては、過去の引き上げの状況を踏まえた上で、80%前後の最低制限価格となるよう検討しているところでございます。また、引き上げの実施時期につきましては、十分な周知期間を確保した上で、来年2月中旬に告示する新年度の早期発注分からの適用を目指してまいりたいと考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 部長の答弁のように、新年度を待たず、来年2月中旬の早期発注分からすることについては評価したいと思います。また、80%に近づけたいということで、もう少し高くしてもいいのではないかと思いますが、ぜひ、早い時期に落札率が8割になるように取り組んでいただきたいと思います。
また、きょうはあえて質問はいたしませんけれども、土木系の工事の最低制限価格についてであります。
いろいろ調べてみますと、中央公共工事契約制度運用連絡協議会というものがあり、全国の13省庁や道路公団などの21機関など34の機関で構成されています。ここでは、四つの経費などを含めて、見直し、改善を図っていく場合には議案として採択して、決定した後に各加入機関に通知しているとのことであります。札幌市においても北海道・東北ブロックに加入しているわけであります。
先ほどの部長の答弁で、建設コンサルタント業務については上げるということでした。確かに、公共工事の場合は90%を少し下回るぐらいの平均落札率になっていて、それでは、積雪寒冷地の地元建設業として、利益を確保し、若い人材を確保していくのはなかなか難しい状況にあるのではないかなと思います。こうした中央公契連がありますが、ここで、いろいろお聞きしたり、調べてみますと、強制力がどの程度あるのかということは、非常に玉虫色の状況になっているようであります。ですから、札幌市としては、やはり、積雪寒冷地という状況を十分に踏まえて、今後、四つの経費の見直しに少しでも早く対応して、地元企業が利益を生み、経営改善や雇用対策などに結びつくような最低制限価格の引き上げになるよう強く求めて、私の質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、地方創生と
地方財政についてお尋ねさせていただきたいと思います。
もうご承知のように、日本は、平成20年から
人口減少の局面を迎え、一方で、東京への一極集中が進んでいることから、各地域はそれぞれの特徴を生かして自立的で持続的な社会を形成するための対策を行うことが急務となっているわけでございます。札幌市におきましても、平成27年前後から
人口減少が始まると予測されておりまして、平成25年10月に策定された札幌市
まちづくり戦略ビジョン<戦略編>において、既に、
人口減少への対応を見据えて、暮らし・コミュニティ、産業・活力などの戦略を持って取り組むべきテーマとしております。
国は、昨年9月に、まち・ひと・しごと創生本部を設置し、続いて、11月に、まち・ひと・しごと創生法を施行、さらに、12月には、およそ50年後の2060年に1億人の人口確保という目標を定めた長期ビジョン、また、2019年までの5年間の集中施策をまとめた総合戦略を策定して、
人口減少問題の克服と成長力の確保を目標に掲げて仕事と人の好循環づくりを支えるまちの活性化を目指しているところでございます。
その中で、国は、地方においても地方版総合戦略を平成27年度、今年度中に策定することを求めており、すぐにできる対策、措置を速やかに実行するため、平成26年度の補正予算において地方創生先行型交付金1,700億円を計上し、さらに、国の平成27年度当初予算においては、地方創生の財源としてまち・ひと・しごと創生事業費1兆円を地方歳出に計上し、
地方交付税として措置したところでございます。国も地方も厳しい財政状況にあって、この1兆円というのは地方の
取り組みの意欲が湧く規模のものであるというふうに思っており、国の地方創生にかける意気込みが感じられます。
そこでまず、質問でありますが、まち・ひと・しごと創生事業費はどのようなもので、その経費はどのように確保されたのか、お尋ねいたします。
◎平木
財政部長 まち・ひと・しごと創生事業費がどのようなもので、その財源はどう確保されたかということでございます。
まち・ひと・しごと創生事業費は、地方公共団体が自主性、主体性を最大限に発揮して地方創生に
取り組み、地域の実情に応じたきめ細かな施策を展開できるよう、平成27年度の
地方財政計画において新たに歳出に計上されたものでございます。その事業費は、先ほどお話にありました1兆円でございますが、この財源につきましては、地域の元気創造事業費や歳出特別枠といった既存の歳出の振りかえが0.5兆円、それから、地方法人課税の偏在是正分、そして、過去の投資抑制による公債費の減少分など、こういったものを活用した新たな財源0.5兆円ということで確保されているものでございます。
◆福田浩太郎 委員
地方財政措置されたまち・ひと・しごと創生事業費は、今お答えがあったように、地方歳出の振りかえによる重点化や新規財源の確保などによって創設されたということでございます。
先ほども述べましたとおり、長期ビジョン、総合戦略として札幌市においても(仮称)さっぽろ未来創生プランを作成中でございます。そのような事業を推し進めるために、国は、平成27年6月30日に、平成28年度予算に盛り込む地方創生関連施策の指針となるまち・ひと・しごと創生基本方針2015を閣議決定いたしました。この基本方針の中では、地方創生の
取り組みを今後も推し進めるため、いわゆる新型交付金の創設を盛り込んでおります。これを受けて、平成28年度の国の予算の概算要求において新型交付金は1,080億円を要求しておりまして、同額の地方負担を合わせた事業費ベースでは2,160億円となります。このような国の補助による事業実施への支援はもちろん大切ではありますけれども、地方が自主的に地方創生の
取り組みを進めるためには、より一層の
一般財源の確保が必要でございます。
さきの代表質問において我が会派の丸山議員から来年度の
地方財政の動向について質問いたしましたが、国の方針としては、地方の安定的な
財政運営に必要となる
一般財源の総額については、平成27年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するという答弁がありました。
地方交付税が地方全体の歳入と歳出のギャップによって決まることに鑑みますと、先ほども質疑がございましたが、地方税収が伸びる中で
地方交付税を確保するためには、地方創生事業など地方の歳出増要素についても、
地方交付税の算出根拠である
地方財政計画の歳出において適切な規模が確保される必要があると考えられるところでございます。
そこで、お尋ねいたしますが、平成28年度の国の概算要求において
地方交付税はどのような動きになっているのか、お尋ねいたします。
◎平木
財政部長 平成28年度の国の概算要求において、今、
地方交付税はどういう動向になっているのかということについてお答えしたいと思います。
国の概算要求における地方の歳出では、まち・ひと・しごと創生事業費を引き続き1兆円計上しておりまして、歳出全体では、
社会保障費の自然増などによりまして前年度から0.6兆円の増を見込んでいるところでございます。一方、歳入でございますが、こちらは、地方税と地方譲与税を合わせて1兆円増加するとしていることから、
臨時財政対策債を含む広義の
地方交付税で申し上げますと、前年度から0.4兆円減の20.9兆円と見込んでいるところでございます。その結果、地方の
一般財源総額を見ますと、端数の関係で今ご説明した数字とちょっとずれますけれども、前年度を0.5兆円上回る62兆円と見込んでいるところでございます。
来年度の
地方交付税につきましては、さらに、今後の国の予算編成の過程の中で議論されていくことになりますが、私どもといたしましても、指定都市市長会などを通じて、地方創生に必要な財源も含めて必要額の確保について要望していきたいと思っております。
◆福田浩太郎 委員 依然として厳しい状況が続くのかなというふうに思いますけれども、私ども公明党といたしましても、地方創生の
取り組みを深化させるためには、平成28年度に創設される新型交付金が地方にとって使い勝手のよい制度となるよう、また、この新型交付金の地方負担分も含め、地方の財源が確実に措置されることが大切であると考えておりまして、国に求めていくところでございます。
特に、きょう、質疑させていただきましたが、平成27年度に
地方財政措置として創設された地方独自の施策の財源となるまち・ひと・しごと創生事業費については、地方創生に係る各自治体の
取り組みのベースとなるものでありますから、恒久財源の確保をした上で、国の総合戦略の
計画期間である5年間は少なくとも継続される必要があると考えているところでございます。お答えにもありましたが、札幌市におきましても、指定都市市長会等を通じて積極的に声を上げていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○
國安政典 委員長 以上で、歳入のうち、
一般財源等の質疑を終了いたします。
次に、第1款 議会費 第1項 議会費の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
次に、第2款 総務費 第4項 選挙費の質疑を行います。
◆松原淳二 委員 私からは、選挙費にかかわる中で、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる改正公職選挙法にかかわる質問と、また、第18回統一地方選にかかわり、大きく2点について質問させていただきます。
まず、改正公職選挙法について、2点伺わせていただきます。
選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正が本年6月に公布され、来年6月19日以降に行われる国政選挙から、選挙権の年齢が18歳以上に拡大されます。現時点では、来年夏に行われる参議院選挙から18歳以上が投票できる見通しとなっております。法では投票日の翌日に誕生日を迎える方となっていますので、高校生の一部で投票権を得られる方が出てくる状況になっております。これまでも各種選挙において20代の投票率の低さが際立っており、18歳選挙権をきっかけに若い世代の政治への関心が高まるようにしなくてはいけないと考えております。これを契機に、若年層を含む啓発・周知活動に力を入れていかなければいけないと考えております。
そこで、質問させていただきます。
若年層への選挙制度の周知・啓発といったことについて、これまでどういった
取り組みを行ってきたのか、また、選挙権年齢が引き下げられることに伴い、拡大、変更を実施していくことを考えているのか、伺います。
◎新谷 選挙管理委員会事務局長 まず、1点目のこれまでの若年層を対象とした選挙制度の周知・啓発についてでございます。
選挙時ではない平常時の
取り組みといたしましては、新成人に対し、選挙への理解を深めてもらうため、啓発用冊子を作成し、新成人全員に送付しているところでございます。また、小学校6年生、中学校3年生向けの副教材を各学校へ送付しているほか、いわゆる出前講座ということで、小・中学校を対象とした選挙出前授業を実施しております。高校生に対しましては、昨年度、北海道選挙管理委員会と連携いたしまして、高校生向けの出前講座を試行的に実施したところでございます。このほか、小・中学生を対象としてポスターや習字等の啓発作品の募集及び展示、成人式での啓発等を行っているところでございます。選挙時におきましては、大学生の投開票事務のアルバイトの募集、大学でのポスターの掲示、ツイッターやメールを利用した啓発など、若者を意識した啓発を行っているところでございます。
次に、選挙権年齢の引き下げに伴う啓発の拡大、変更等でございます。
選挙権年齢の引き下げに伴いまして、議員のご指摘のとおり、来年の参議院選挙から投票できるようになりますけれども、この参議院選挙に合わせまして、18歳及び19歳の新有識者の方々に対し、お知らせ文書を送付することを現在検討しているところでございます。このほか、ホームページや広報さっぽろの活用を図ってまいりたいと考えております。それから、高校生向けの選挙啓発といたしましては、先ほど申し上げました高校での出前講座でございますが、昨年度は試行的な実施ということもございまして市内1校での実施にとどまりましたけれども、本格実施となる今年度につきましては、現時点で8校から実施の要望がございますので、北海道選挙管理委員会と連携協力しながら実施していく予定でございます。
◆松原淳二 委員 若年層への
取り組みは、これからは拡大されるということでございます。特に、これまでの新成人へのアプローチに関しては、今後は18歳、19歳へと拡大されることになりますので、例年より少し規模が大きくなろうかと思いますが、ぜひ、そこへの対応もお願いしたいと思います。
今、国では、高校生に対し、政治や選挙について学ぶための副教材の配付に向けて準備を進めているということで、報道や各種メディアなどでも模擬選挙やグループ討論などが取り上げられて関心が高まっていると聞いています。今あったように、昨年、試行的に実施した私立高校での出前講座についても、今年度は8校ほど手が挙がっているということですので、ぜひとも希望をかなえていただきたいということを期待します。
そこで、今後、希望する高校がふえることが想定されますが、その体制についてどの程度の対応が可能なのか、伺いたいと思います。
また、それに伴って、北海道選挙管理委員会と教育委員会との連携も強化する必要があると考えますがいかがか、伺います。
◎新谷 選挙管理委員会事務局長 出前講座がふえた場合の体制ということでございます。
現在、高校での出前講座の仕方は、北海道選挙管理委員会が主に講義部分を受け持ちまして、札幌市は主に模擬投票部分を受け持つということで、役割分担しながら、適宜、協力して実施する体制をとっているところでございます。今年度につきましては、実施要望が8校からありまして、そのうち、5校については現時点で模擬投票の希望がありますので実施していく予定でございますが、残り3校については、今後、調整しながら、高校で日程が重ならない限り要望のあった全8校で実施していきたい、そのように考えております。
それから、連携の関係のご質問でございますが、北海道選挙管理委員会とは、随時、実施の内容や時期等々について協議をしながら進めさせていただいておりますし、教育委員会とも、学校への周知等について協議しておりますので、今後とも引き続き両者と連携を図って進めてまいりたいと思っております。
◆松原淳二 委員 選挙権年齢の引き下げは、70年ぶりの大改正とも言える出来事でございます。今、答弁いただいたとおり、北海道選挙管理委員会や教育委員会などとも連携を図りながら周知・啓発にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、2点目の第18回地方統一選挙における開票確定のおくれについて伺わせていただきたいと思います。
今春に行われました第18回統一地方選挙において、全国各地で開票作業のミスやトラブルが相次いだとの報道を聞いております。札幌市においても、幾つかの区でトラブルなどにより開票結果の確定がおくれたと聞いております。幾つかの区における開票作業の遅延がどのようなものだったのか、また、その原因と今後の対策について、現時点での考えを伺わせていただきたいと思います。