札幌市議会 2015-09-01
平成27年大都市税財政制度・人口減少対策調査特別委員会−09月01日-記録
再 開 午後2時4分
――――――――――――――
○
飯島弘之 委員長 委員会を再開いたします。
次に、(仮称)さっぽ
ろ未来創生プラン素案の報告についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎岸
市長政策室長 本日は、現在策定中でございます(仮称)さっぽ
ろ未来創生プランの
総合戦略編の素案を中心にご説明させていただきたいと思います。
今回が第2回目の
調査特別委員会での審議となりますが、前回同様、委員の皆様からさまざまなご意見を賜り、プランに反映させてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、内容につきまして、
政策企画部長よりご説明させていただきます。
◎中田
政策企画部長 本日は、資料といたしまして4点ご用意させていただいております。
まず、資料1といたしまして
総合戦略編素案の概要、資料2といたしまして
総合戦略編素案の本編、資料3といたしまして市議会や
有識者会議等で出された主な意見とプランへの
反映状況、資料4といたしまして
人口ビジョン編の修正についてでございます。本日は、この資料に基づいて説明させていただきます。
まず、(仮称)さっぽ
ろ未来創生プランにつきましては、札幌市における人口の現状と将来を分析する
人口ビジョン編と今後5カ年の施策を取りまとめる
総合戦略編で構成されております。前回のこの委員会では
人口ビジョン編の素案をお示ししたところですが、今回の委員会では
総合戦略編の現時点における検討状況を報告させていただきたいと考えております。
それでは、資料1の素案の概要をもとに説明させていただきます。
まず、左上の枠囲みに記載しておりますとおり、現在、札幌市における今後5年間の施策を取りまとめる
中期実施計画の
策定作業を進めているところでありますので、今回の素案には、平成28年度以降の
新規事業や
レベルアップ事業については盛り込まれておりません。
中期実施計画を取りまとめた後に、
新規事業や
レベルアップ事業を盛り込んだ
総合戦略編をお示ししたいと考えております。
まず、
計画策定の背景、位置づけでございます。
人口ビジョン編でお示ししたとおり、札幌市では、ここ数年のうちに人口は減少に転ずることが予想されており、
生産年齢人口の減少が経済規模の縮小を招き、そのことが
生産年齢人口の道外への流出につながり、さらなる
人口減少を招くといった悪循環に陥る可能性が考えられます。そのため、低い出生率や道外への転出超過といった人口に関する現状についての問題意識を市民の皆さんと共有し、危機感を持って
人口減少対策に取り組む必要がございます。
そこで、右の図にございますように、安定した雇用が経済的な不安を軽減し、安心して産み育てる環境ができることで、子どもがふえ、経済が活性化し、さらなる雇用の創出につながるといった好循環を実現していくことが重要と考え、
基本目標1といたしまして好循環の実現に必要不可欠な安定した雇用を生み出すこと、
基本目標2といたしまして好循環を促進する結婚、出産、子育てを支える
環境づくりという2点を
基本目標として設定いたしました。
基本目標1の安定した雇用を生み出すについてご説明いたします。
出生率が低水準である要因といたしましては、未婚率が高いことと夫婦間の出産数が少ないことが挙げられますが、
アンケート調査の結果、非正規などの
雇用形態の不安定さや収入の低さといった経済面での不安が結婚、出産への大きな障害となっていることがうかがえます。
また、社会動態の観点からは、若者が首都圏へ大幅に転出超過しており、特に男性の多くが就職を理由として転出している一方で、
市内大学生の
地元就職志向は強く、希望がかなえられていない状況にあることがうかがえます。また、雇用情勢といたしましては、雇用の
ミスマッチが依然として続いており、業種によっては
担い手不足の問題が生じていること、
雇用形態といたしましては、札幌市は、
正規雇用割合が比較的低い宿泊業、
飲食サービス業などの従業者数が多いことが課題として考えられるところです。
それらを踏まえまして、施策の方向性としては、雇用の質と量の両面の確保、拡大が重要であり、そのためには多様で活発な経済活動によって足腰の強い
経済基盤を確立することが必要と考え、三つの施策の柱を立てたところでございます。
具体的な施策の内容につきましては、資料右側をごらんいただきたいと思います。
まず、アの札幌市産業の
競争力強化でございます。
1の国内外の需要を積極的に取り込む観光の振興では、急増する
インバウンド消費を取り込むため、
外国人観光客の
受け入れ体制の整備を進めるとともに、閑散期においても安定した集客を確保するため、
MICE誘致の強化を図るほか、国内外からの集客力を高めるため、
大型観光イベントなどの魅力資源を積極的に活用していきます。また、
冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据え、
スポーツコミッションを設立するなど、
大型スポーツイベントを積極的に誘致してまいります。
2の食の魅力を生かした産業の高度化では、道産品の
付加価値を向上させるため、6次産業の活性化を図るとともに、
食関連企業の海外への
販路拡大や外食産業の海外展開を支援いたします。また、
品質管理認証制度の取得の支援などを行い、
食関連企業の国内外での競争力を高めます。
3の
エネルギー転換に対応した
環境産業の創出・振興では、
市内企業が行う環境・
エネルギー分野の技術・製品・
システム開発を支援するとともに、札幌の特性を生かした
エネルギーシステムを導入した
スマートコミュニティーの構築について検討します。
4の需要が高まる健康・福祉産業の育成では、理系人材の受け皿とするため、健康・医療・
バイオ関連企業や研究機関の誘致に取り組むほか、健康増進や予防医療などの需要の高まりを踏まえ、食・健康分野の
産学官連携による研究開発や
研究シーズの
ビジネス化を支援いたします。
次に、イの札幌市産業を支える
基盤づくりでございます。
1の札幌市経済を支える企業の基盤強化では、札幌市経済の屋台骨を支える
中小企業に対しまして、資金面での下支えや経営相談の充実などで支援を行ってまいります。
2の競争力を高める
付加価値の創出では、札幌市の強みであるITを活用した他産業の
付加価値の創出や、映像、音楽、アニメなどのコンテンツや、デザイン、ファッションといった
クリエーティブ産業の振興を図ってまいります。
3の新たな企業の誘致・創出では、災害が少ないといった札幌の優位性を生かし、本社機能を初めとした
企業誘致に積極的に取り組むほか、創業しやすい
環境づくりを進めてまいります。
4の国内外への
販路拡大の推進では、
食関連企業の輸出拡大を図るため、商品開発から
販路拡大までを一貫して支援するほか、札幌に集積する卸売業と
道内メーカーとの
マッチングを行うなど、道内連携による
販路拡大を支援いたします。
ウの地域が必要とする人材の育成・定着でございます。
1の産業を支える
人づくりでは、建設、介護、保育など、業種に応じた情報提供や
マッチングを行うほか、
外国人留学生の誘致、企業への
就業支援や
観光従事者の
スキルアップを図ってまいります。
2の人材の還流を創出では、北海道や
周辺市町村と連携して、札幌圏への移住、定住の促進や技術、経験のある人材の
UIJターンの促進を図ってまいります。
3の安心して働ける
環境づくりでは、
正社員就職や定着に向けた支援を行うほか、市内全区で就業相談、職業紹介を実施するとともに、
合同企業説明会を開催いたします。
おめくりいただきまして、2枚目でございますが、
基本目標2の結婚・出産・子育てを支える
環境づくりについてご説明いたします。
出生率が低い要因であると考えられる未婚率が高いことや夫婦間の出産数が少ないことの背景には、適当な相手にめぐり合う機会がないといったことや、体力面や精神面での負担が大きいことも要素の一つと考えられます。また、
核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などによる家庭や地域における教育力の低下のほか、長時間労働などによって仕事と育児の両立が難しいといった仕事と生活の調和をとることが困難な状況も少子化を加速している要因と考えられます。
これらを踏まえまして、施策の方向性として三つの柱を立てたところでございます。
具体的な施策の内容についてご説明申し上げますと、まず、アの結婚・出産・子育ての切れ目のない支援でございます。
1の結婚の希望をかなえる支援では、北海道と連携して
結婚支援情報の発信強化を図るほか、高齢出産のリスクなど、妊娠や出産に係る正しい知識を理解した上で、
ライフデザインを構築するための支援を行います。
2の妊娠期から子育て期までの支援では、初妊婦への訪問など、産前産後ケアを充実させるほか、不妊に悩む方への支援を行います。
3の
子育て支援の充実では、待機児童を解消するため、保育定員の拡大や多様な
保育サービスの提供に努めるとともに、
子育て世帯の
経済的負担の軽減について検討いたします。
次に、イの子どもへの支援の充実でございます。
1の子どもの学習支援の充実では、子どもの多様な学びの機会の充実を図ってまいります。
2の子どものスポーツ・文化に親しむ機会の充実では、
中学校運動部活動の振興や文化芸術に親しむ機会の充実を図ります。
3の子どもが安心して過ごせる学校・施設の
環境づくりでは、児童の放課後の
居場所づくりやいじめの未然防止などによって、子どもが安心して学べる支援や対応の充実に努めます。
続いて、ウの子育てを支える社会の形成でございます。
1の子育てしながら働ける環境の整備では、男性も女性も主体的に家事や育児に参画する社会を形成するため、ワーク・ライフ・バランスを推進するとともに、
ひとり親家庭に対する支援を行ってまいります。
2の地域で子育てを支える環境の整備では、子どもを核とした多世代交流による
地域コミュニティーの活性化を図るため、児童会館とそれを補完する
ミニ児童会館を小学校や
まちづくりセンターと複合化した
新型児童会館として整備するほか、
保健センターやちあふるなどの
子育て支援機能を地下鉄駅周辺などの
地域交流拠点に集約して配置していきます。
3の配慮を要する子どもへの支援では、児童虐待などの困難を抱えている子どもの支援などの充実を図ってまいります。
最後に、
プラン推進に当たってでございます。
組織横断的な推進体制として、市長を本部長とした札幌市
人口減少対策推進本部を設置し、全庁を挙げて施策を展開してまいります。次回の委員会でお示しする予定でございますが、数値目標とKPIを設定し、進捗管理を行ってまいります。そのほか、北海道や市町村との連携、あるいは、国に対する提案をこれまで以上に進めるとともに、市民・企業・行政が一丸となって
オール札幌で取り組んでいくように努めてまいります。
概要の説明は以上でございます。
資料3は、前回の
調査特別委員会や
有識者会議で出された主な意見と現時点におけるプランへの
反映状況をまとめたものでございます。
今後は、昨日の
有識者会議や本日の委員会でいただいた意見を踏まえつつ、来年度以降に実施する
新規事業や
レベルアップ事業も盛り込みながら、さらなる検討を進めてまいりたいと考えております。
資料4は、前回の
有識者会議で出された意見を受けて、
人口ビジョン編に移動状況と性比に係る分析を追加したい旨の資料でございます。
下にグラフがございますが、このグラフは、女性100人に対する男性の割合を示したものでございます。札幌市における性別のバランスは、
人口移動の傾向が男女で異なることに大きく影響を受けておりまして、特に10代後半から20代後半にかけて男性の割合が女性と比較して低下していく傾向が見られます。この性比のゆがみが女性の結婚機会に影響を与えている可能性があることから、今後、札幌市の特徴として
人口ビジョン編に記載してまいりたいと考えております。
○
飯島弘之 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
村松叶啓 委員 私から、大きく3点、それぞれ順に質問させていただきます。
まず、ただいまご説明いただきました(仮称)さっぽ
ろ未来創生プラン総合戦略編の素案についてであります。
基本目標といたしまして、安定した雇用を生み出すことと結婚、出産、子育てを支える
環境づくりの2点を掲げ、その中で今後5年間の取り組むべき施策を示されております。さまざまな産業の振興、それを支える
基盤づくり、また、結婚から子育てまでの切れ目のない支援など、このプランの目指す方向性はわかるものの、それらの施策を実現させるための具体的な事業に関することが記載されておらず、札幌市として、これから実際にどのようなことを行っていくのかということがわかりません。喫緊の課題である
人口減少問題に本気で向かっていくのであれば、立派な計画をつくるだけではなく、具体的な
取り組みを実施し、そして、施策を実現させていかなければなりません。
前回の委員会では、個別、具体の事業については、同時期に策定される
中期実施計画の中に位置づけるものとするというご答弁をいただきましたけれども、この(仮称)さっぽ
ろ未来創生プランにおいても、実効性のある具体的な
取り組みを記載するべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎中田
政策企画部長 今、委員からお話がありましたように、さっぽ
ろ未来創生プランには、今回お示ししている施策に加えまして、現在、
策定作業中の
中期実施計画に盛り込まれる
取り組みについても盛り込んでいきたいと考えております。
前回の委員会の際には、こちらには施策を書いて、個別、具体の事業は
中期実施計画に記載するとご答弁いたしましたが、このプランは、
人口減少対策の観点から札幌市のさまざまな施策を位置づけるものでございますので、委員のご指摘も踏まえまして、このプランにおいても盛り込まれる事業の内容や
計画事業費等を記載した事業一覧を掲載するなど、具体的な
取り組みがわかるような工夫をしてまいりたいと思っております。
◆
村松叶啓 委員 次に、経済界や大学との連携について伺いたいと思います。
前回の委員会において、北海道とは、
人口減少対策をともに検討、推進する協議会を設置することについて、また、経済界とは、
プラン策定にかかわる
有識者会議に産業界や
金融機関等に参加していただくほか、
札幌商工会議所からの提言をプランに反映することについてそれぞれ答弁をいただきました。
しかしながら、他都市では、より積極的に
民間企業や大学との連携に取り組んでおります。例えば、北九州市では、
北九州スマートコミュニティ創造事業といたしまして、市と
地元企業、NPO、地域住民が参加し、
太陽光発電や風力発電、あるいは、工場から供給される
水素エネルギーといった地域の
エネルギーをその地域の中で賢く使いこなす
エネルギーマネジメントに取り組んでおり、
民間企業と連携することで、行政だけでは行えない新たな
取り組みに挑戦されております。また、福岡市では、福岡市
産学連携交流センターを開設し、国内外の研究者、企業等の連携、交流を促進することにより、新しい事業、産業の創出、地場企業の活性化、企業、
研究機関等の立地促進を図っており、大学の知見を活用した新たな地域産業の活性化に取り組んでいるところであります。
これら他都市との
取り組みと比べて、この札幌市には、企業や大学との連携といったものが見えてきません。札幌市においても、
民間企業との連携による新たな
取り組み、あるいは、大学の知見を活用した
取り組みを行い、産業振興や雇用創出につなげるべきと考えますが、経済界や大学との連携についてどのように進めていくのか、お伺いいたします。
◎中田
政策企画部長 経済界や大学との連携についてどのように進めていくかというお尋ねでございました。
経済界との連携につきましては、8月7日に札幌市と
札幌商工会議所との
要望懇談会が開催されておりますが、その中で、今後、ハード・
ソフト両面を含めて、これからの札幌の
まちづくりを進めていくためには、行政と経済界で手を携え、
オール札幌で取り組むことが必要であることを確認したところでございます。今後は、
おもてなし人材の育成やWi−
Fi環境整備などの
外国人観光客の
受け入れ体制の整備など、民間と連携して推進すべき
取り組みについて協議を進めてまいりたいと考えております。
次に、大学との連携についてでございますが、北大や北海道、
北海道経済連合会などの産学官が連携する
北大リサーチ&
ビジネスパーク推進協議会にこれまでも参画しているところでございます。この協議会では、健康科学・
医療融合拠点の形成を目指すさっぽ
ろヘルスイノベーションに取り組んでおりまして、
機能性食品の開発から製品化までを一貫して支援しているほか、道内外で行われている
企業交流会などへの参加を通じて
取り組みを広くPRしているところでございます。今後は、大学が有する知見を地域の活性化に生かすことができるよう、さらなる連携を検討してまいりたいと思っております。
◆
村松叶啓 委員 最後に、子育てしやすい
環境づくりについて伺います。
札幌市においても、これまで
子育て支援に関して取り組んできているところでありますが、子育てをしながら働ける環境の整備に関しては、さまざまな職種や
雇用形態で働く現場の方々の声をよく聞き、今後の施策に反映させていくことがまだまだ必要と考えております。
また、一方で、
国立社会保障・
人口問題研究所の調査によりますと、独身女性が理想とする
ライフコース、これからの人生をどのように送りたいかということについては、結婚や出産の機会に退職して、その後、仕事を持たない専業主婦になることを望まれる方が19.7%、また、退職して子育てを終えた後に再び仕事につくことを望まれる方が35.2%という結果が出ており、両方を合わせると54.9%と半数以上の方が家庭での子育てを望んでいることがわかります。安心して家庭で子育てをするためには、保護者が不安を抱え、孤立することがないよう、
相談支援体制を整える必要があり、さらに地域で子育てを支えていく環境が求められます。
また、札幌市が実施した
アンケート調査において、育児の不安や苦労について尋ねたところ、男性では5割、女性では4割を超える市民が
経済的負担が大きいことを挙げており、
子育て家庭の経済的な負担の軽減を図ることも重要であると考えます。
そこで、質問いたしますが、
子育て家庭の不安を軽減するため、どのようにして地域で子育てを支えていく環境を整備するのか、また、どのようにして
子育て家庭の経済的な負担を軽減するのか、あわせてお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
◎中田
政策企画部長 核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などから、子育ての知識や経験を共有する機会が少なくなってきております。そのことから、子育てへの不安や悩みを抱えている
子育て家庭がふえてきているのではないかというふうに考えられております。そういった子育ての不安や悩みを軽減するため、札幌市では、
子育て支援総合センターやちあふるなどにおいて
相談支援を行うことや、
子育て家庭が自由に集い、交流を深められるよう身近な場所で
子育てサロンを開催することで、地域で子育てを支え、保護者が孤立することがないように体制を整えてきているところでございます。さらに、今年度からは、特に、精神的な負担が大きい初妊婦への家庭訪問を実施するなど、きめ細かい相談体制を整えてきております。
子育て家庭の
経済的負担の軽減につきましては、札幌市独自の
取り組みといたしまして、未就学児の医療費や中学生の入院費の助成、あるいは保育料の軽減などを行ってきているところでございます。さらなる
経済的負担の軽減につきましては、現在、
中期実施計画の検討作業の中で検討しているところでございます。
◆かんの太一 委員 私からも、何点か質問させていただきたいと思います。
先日、札幌市から提示された
有識者会議の
委員構成についてですが、
学識経験者や経済界、労働界など、多様な委員で構成されていて、その点は評価できるところですけれども、その当時は女性が1名のみとなっていました。こちらの素案の概要版には、
基本目標2として、好循環を促進するため、結婚、出産、子育てを支える
環境づくりと書いてありますが、そういう計画であるにもかかわらず、現在の
子育て環境の問題点などについて実効性のあるアイデアや制度設計に対する貴重な提言を期待できる女性の委員が少な過ぎることについて、我が会派としても大変遺憾に思っていましたし、市の担当者にもそのことについて意見を述べさせていただいておりました。
その後、第1回目の
有識者会議が開かれて、会議の中でも同様の意見が寄せられ、2名の
女性委員が追加されたことについては評価しているところですが、新たに2名の
女性委員を追加するに至った経緯について教えていただきたいと思います。
◎中田
政策企画部長 有識者会議につきましては、幅広い分野から専門的なご意見をいただきたいと考え、
産学官金労言の各分野から委員を選定したところでございます。今、委員からもお話がありましたように、前回の委員会におきまして、
女性委員が1人であって、ふやすべきではないかというご指摘をいただき、さらに、その後に開かれました
有識者会議におきましてもふやすべきだというご指摘をいただきました。そうしたことから、委員の男女の構成比あるいは
専門分野等について検討いたしまして、
有識者会議の委員とも相談の上、仕事と子育てを両立しながら幅広く活躍されている2名を
女性委員として追加したところでございます。
◆かんの太一 委員 私がなぜ
有識者会議の
委員構成について質問したかというと、やはり、
有識者会議の構成を見て札幌市の本気度が問われると思うのです。私は、保育所で働いていたこともあって、
ひとり親家庭の方とも接する機会が非常に多かったのですが、例えば、保育所に子どもを迎えに来るにも、周りの方の協力を得ながら大変ご苦労されて保育所に通われているというひとり親もたくさんいらっしゃいました。そういう方とのコネクションを持っているとか、自分が実際にそういうことをなさっている方に委員になっていただいて、現況に即した意見をいただくことが本当に中身のあるものになるという認識を私は持っておりまして、そのために今の質問をさせていただいたところでございます。ぜひとも、熟慮に熟慮を重ねて委員の構成を考えていただきたいということを述べさせていただきます。
続いて、新たに
女性委員が2名参画した上で、昨日、第2回目の
有識者会議が開催されましたが、そこでどのような議論が交わされたのか、第1回目の会議の概要とあわせて伺います。
◎中田
政策企画部長 有識者会議における議事の概要についてでございます。
第1回目の
有識者会議は、7月23日に開催しております。この際には、
中小企業の底支えやベンチャー支援を積極的に行うべきといった雇用や経済に関するご意見、あるいは、
保育サービスの充実や男性の育児参加を進めるべきといった子育てに関するご意見など、委員それぞれのお立場から幅広いご意見をいただいており、その内容は、本日お示ししている
総合戦略編の素案の中にも反映させているところでございます。
昨日の第2回目の
有識者会議におきましても、観光振興を経済の発展に結びつけることの重要性や経済界との連携の必要性、プランに力強いメッセージ性をもっと盛り込むべきだといったたくさんのご意見をいただいたところでございます。特に、今回新たにご参加いただきました2名の
女性委員からは、子どもの成長に合わせて正社員を希望する女性が多いといった
子育て家庭の現状や、妊娠、出産に伴う職場でのトラブルに関する相談窓口の周知について、あるいは、子育てサービスを行うNPOや企業との連携について、さっぽろ子育てサポートセンターの利用促進などについて、子育てをしながら働く女性の視点から貴重なご意見をいただいたところでございます。
なお、昨日いただいたご意見につきましては、次回の
調査特別委員会でお示しする案に反映させてまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 ただいまの説明では、子育てに関する貴重な意見が委員から上がっていると思いますが、子どもを産み育てやすい社会を実現していくためには、ひとり親への支援など子育て施策を充実することが大変重要と考えております。
そこで、このプランでは、
基本目標の1番目として、安定した雇用を生み出すことを掲げており、経済に関する施策に重点を置いているように見えるのですが、プランの重点分野に関する考え方をお伺いしたいと思います。
◎中田
政策企画部長 プランにおける施策の重点分野の考え方についてでございます。
今回、このプランを策定するに当たりましては、
アンケート調査を行っておりまして、そのアンケートの結果によりますと、結婚や出産について、経済面での不安を感じている方が多いという結果が出ておりますことから、安定した雇用を生み出すことを
基本目標1として設定いたしまして、競争力のある魅力的な地場産業の積極的な育成を初め、市内経済を支えている中小・小規模企業の底上げや、産業を支える人材の育成など、安定した雇用を生み出すための総合的な
取り組みをまずは盛り込んだところでございます。
一方、
基本目標2の結婚・出産・子育てを支える
環境づくりにつきましても、安定した雇用を生み出すことと同様に重要な目標と考えておりまして、これら二つの目標を達成することで、安定した雇用を生み出すことができて、経済的な不安を軽減し、市民がより安心して子どもを産み育てることができる環境をつくっていくことができる、そのような好循環を実現できるのではないかと考えたところでございます。
◆かんの太一 委員 安定した雇用を生み出して、札幌で働きたいという希望をかなえるためには、足腰の強い
経済基盤を築くことが必要なことはもちろんのことですが、しっかりとした生活基盤を築くことのできる環境が整えられていること、結婚、出産、子育てを支える
環境づくりが大切だと考えます。ぜひとも、札幌が子育てしやすいまちであると実感できるような議論、プラン作成に努めていただきたいと思います。
続きまして、道内市町村との連携について少しお伺いしたいと思います。
現在、全国の自治体において地方創生に向けた検討や
取り組みを進めているところですが、他の都市の状況を見ると、取り組むべき課題については共通項も非常に多くて、第2回定例会後の各都市への視察などを通じてそのことを随分と実感したところでございます。
そのような中で、札幌市の発展のためには、札幌市ならではの強みや魅力を国内外にどのようにPRして人を呼び込むかという発想が大切であり、それをプラン、政策に反映していくべきと考えます。例えば、札幌の強みの一つである食や観光といった分野においては、それらを道内市町村とともに磨き上げて国内外に向けて発信するなど、オール北海道で取り組むことでこのプランの実効性が高まると考えます。
第3部のプランの推進に当たってというところでは、北海道、市町村との連携について触れられており、北海道全体の発展が札幌市の発展につながるとの考えを基本としていますが、札幌市の都市機能を生かして、具体的にどのような形で他の自治体及び北海道と連携していくのか伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
◎中田
政策企画部長 地方創生を実現するためには、委員のご指摘のとおり、札幌市の強みや魅力を国内外に積極的に発信していくことが重要と考えております。食や観光といった札幌市の強みは、北海道各地の魅力ある資源によって支えられているものであり、道内の1次産業者と市内の2次・3次産業者を結びつける6次産業化の
取り組みや、オータムフェストなど多くの道内市町村が出展する観光イベントの充実など、道内市町村と連携しながら、札幌と北海道の魅力を高めていきたいと考えております。そのほかにも、首都圏からの移住、定住の促進や企業の誘致など、さまざまな分野で北海道や道内市町村と連携・協働いたしまして地方創生に取り組んでまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 4点質問させていただきたいと存じます。
皆様には既にご案内かと思いますが、昨年、内閣府が人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査を行いまして、その中で、東京在住者の今後の移住に関する意向調査を行っております。対象者は18歳から69歳の男女1,200人でございました。
その調査結果を見てみますと、大変意外だったのですが、東京在住者の約4割、特に10代、20代の男女47%、50代男性の51%が地方への移住を検討したいと回答しております。また、移住したい理由を見てみますと、出身地であるふるさとに帰りたいという理由が一番多くて、2番目に多かったのがスローライフを実現したいといったライフスタイルを求めている、そうした意識が大変はっきりしてまいりました。一方で、移住する上での不安、懸念材料としては、先ほど来お話があったように、雇用、就労、生活の利便性のほか、移住にかかわる情報の提供が不十分であることも指摘されております。
そこで、一つ目の質問でございますが、今後、札幌に人を呼び込んでいくことを達成する意味でも、本市においても雇用、就労の場を整え、そしてまた、移住にかかわる情報提供を行うなど、移住願望に応えていく必要があると思いますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。
◎中田
政策企画部長 まず、移住願望に応える施策についてでございますが、札幌市におきましては、これまでにも、都道府県や市町村の居住、就労、生活支援等に係る全国的なポータルサイトである全国移住ナビに登録しておりまして、札幌市の概要や魅力を発信してきております。また、そのほかにも、経済団体や北海道などで構成する北海道人材誘致推進協議会に参加しておりまして、連携して
UIJターンのためのPR活動を行ってきているところでございます。
さらに、あす、9月2日でございますが、北海道と石狩管内全市町村、関係機関で構成される札幌圏地元定住促進協議会の第1回目の会議が開催される予定でございます。この協議会では、首都圏における札幌圏の魅力の効果的な情報発信など、圏域全体の移住、定住の促進に向けた総合的な検討が始められると聞いております。
札幌市といたしましても、この協議会に入りまして、札幌圏の移住施策について、北海道や圏域の市町村などと連携して検討を進めてまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 あす、札幌圏地元定住促進協議会が行われるということですが、新たな試みであり、斬新な意見を出し合いながら実効性のある施策をご検討いただければと思います。
続きまして、理系人材の転出防止策についてお伺いしたいと思います。
札幌市は、20代の若年層を中心として、道外に対して転出超過となっている状況でございます。前回の委員会でも議論した人口ビジョンにもありましたとおり、理系の学生は、その過半数が就職を機に東京圏に転出しているということでございます。実際に、今回、私も知り合いの理系の学生たちといろいろとお話をしてみましたら、札幌に残りたいが、就職先がないのですと非常につらそうにお話しされておりましたが、多くの学生も同様のお話をされておりました。この問題は、直接、
人口減少に影響するのはもちろんでございますが、全国に比して非常に高い北海道の未婚率や出生率の低さにも大きく影響していると考えております。
その意味で、札幌市として理系人材の働く場をどのように確保していくのか、お伺いしたいと思います。
◎中田
政策企画部長 理系人材の働く場の確保についてお答えいたします。
委員からお話がございましたとおり、大学、大学院卒業者の就職地を見ますと、理系は5割以上が道外を就職地としている一方で、理系学生の希望就職地では、男性で6割、女性で7割が道内就職を希望しており、地元就職希望は高いものの、実際には希望をかなえられていない現状がうかがえます。
このため、札幌市といたしましては、北海道や
周辺市町村と連携いたしまして、健康・医療・
バイオ関連企業や研究機関の誘致に積極的に取り組んでいるほか、
産学官連携の強化を通じた健康関連産業の
競争力強化、医療分野の産業集積に向けた検討、あるいは、札幌に集積するIT企業の他産業との連携、海外を含む新たなIT市場開拓など、理系人材の雇用の場の創出に向けて努めてきているところでございます。
◆前川隆史 委員 どうか、実効性のある施策をお願いしたいと思います。
続きまして、若年層の所得の増大にかかわる
取り組みについてお伺いしたいと存じます。
札幌市の合計特殊出生率が低水準にある要因は、未婚率が高い、夫婦間の出産数が少ないということであり、
雇用形態や収入など経済面での不安が大きな障害になっているということは、前回の委員会でも議論させていただいたところでございます。そして、若い世代の方々が結婚して子どもを産み育てるためには、前回の本委員会でも年収300万円の壁について触れさせていただきましたが、やはり所得をふやしていくということが非常に大切なことだと考えます。
公明党の青年委員会でも、先般、若年層の安定的な昇給や子育て世代への重点的な賃金配分、非正規労働者の正社員化など、若者の所得の増大を目指した青年政策アクションプラン2015を策定し、7月31日に安倍総理に提出したところでございます。ともあれ、若年層の所得が増大するような雇用環境が整えば、言うまでもありませんが、子育て若年層の転出防止、先ほどお話がございました
UIJターン等の移住促進にもつながると期待されます。
そこで、質問でございますが、若年層の所得増大には正規雇用化の促進やそのための経済成長が必要となるのは申すまでもございませんけれども、さっぽ
ろ未来創生プランにおいてはこういったところにどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
◎中田
政策企画部長 さっぽ
ろ未来創生プランにおきましては、
基本目標1に安定した雇用を生み出すことを掲げておりまして、札幌市の成長を牽引する観光、食、環境、健康・福祉の4分野を重点的に振興していくとともに、業種横断的に企業の活動を支えることで札幌市産業全体の底上げを図っていくこととしております。また、
正社員就職の促進に関しましては、若者を対象とした職場実習や合同説明会など就職や定着に向けたきめ細かい支援を実施するとともに、経済団体と連携しながら企業の人材育成力を高めるための支援を検討し、その
取り組みの中で正規雇用化を促してまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 最後に、前回も質問いたしましたが、婚活事業についてお伺いしたいと思います。
前回の委員会の際に、婚活事業について、結婚相談や情報発信などの結婚支援については、北海道や近隣市町村との連携も視野に入れつつ、今後、施策を構築する中で検討するといったご答弁をいただいております。今回の素案では、結婚支援について、北海道と連携して
結婚支援情報の発信強化を図るとの記載になってございますが、情報の発信だけでは余り実効性がないのではないかと私は考えております。
今回、政策調査課の方にいろいろ調べていただきまして、全国の
指定都市でもかなり突っ込んで取り組んでいるまちがあることがわかってまいりました。例えば、静岡市では、しずおかエンジェルプロジェクトとして静岡市主催の出会いのイベントを開催したり、また、京都市では、婚活イベントの主催、共催等をしておりまして、恋する京北SAKURAめぐりというイベントを行い、桜の名所をめぐりながら京北産の食材でバーベキューをするなどしています。また、クッキングde京都婚活と言って、料理をつくりながらお互いに手伝ったり話したりするイベントを毎月のように市内で開催して、さまざまな地域性を生かした婚活事業に積極的に取り組んでいることがわかってまいりました。
そこで、質問でございますけれども、札幌市においても、情報発信にとどまらず、具体的な婚活事業を積極的に実施すべきと考えておりますが、いかがでございましょうか。
◎中田
政策企画部長 前回の委員会でもお話しさせていただきましたが、札幌市が実施した
アンケート調査の結果によると、現在独身でいる理由として、適当な相手にまだめぐり合わないという回答が男女ともに最も高い割合で挙げられておりまして、出会いの機会が求められていることは認識しているところでございます。
出会いの機会づくりに関しましては、北海道が官民共同で全ての振興局に結婚支援協議会というものを設立する方針を示しております。石狩管内におきましても、管内の全市町村や各地の商工会議所、農業協同組合などの地域の幅広い分野の関係者が参加する石狩管内結婚支援協議会を設置しておりまして、この協議会で広域的な結婚支援のあり方を検討しているところでございます。札幌市もこの協議会に参加いたしまして、関係市町村などと連携しながら検討していきたいと考えております。
◆前川隆史 委員 ぜひ、出会いの場をたくさんつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今後、アクションプランを策定していくわけでございますが、狙いがはっきりした、ある意味で極端過ぎる、やり過ぎと言われるくらいの
取り組みをして、施策の対象となる企業や団体、人にインセンティブを期待させる
取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
◆池田由美 委員 私からも、5点ほど質問させていただきます。
1回目の審議のときに、我が党として、雇用の定着、出生率が低い原因として、相次ぐ労働法制の改悪、正規雇用が派遣労働、非正規雇用に置きかえられてきて、若者、女性においては半数を占める状況、サービス残業や低賃金などの労働環境の問題に触れながら、札幌市が本気で危機感を持って若者の雇用の定着、出生率の引き上げを考えるのであれば、正社員をふやしていくことを素案の中心にするべきと求めてまいりました。今回、
有識者会議の意見も踏まえて、素案に
正社員就職の促進が盛り込まれております。
そこで、最初に、
基本目標1の安定した雇用について質問いたします。
今回の素案では、
正社員就職の促進が明記されております。しかし、施策の方向性を見ますと、企業への支援を優先し、企業が元気になること、そこから企業の職員の正社員化と雇用環境の整備へと循環していくというトリクルダウンの考え方がうかがえます。この考え方は、安倍政権のもとで行われてきた経済政策アベノミクスの考え方そのものだというふうに思います。アベノミクスの経済のもとで労働法制の改悪が繰り返され、ルールある経済社会が壊されてきました。そのことが貧困と格差を深刻にし、働く人たちの個人消費を落ち込ませ、地域経済を冷え込ませているのではないでしょうか。景気をよくしてほしいというのは、札幌市民の強い願いです。域内経済を発展させるためには、市民一人一人の暮らしを豊かにして消費購買力を上げていくことが最も重要ではないかというふうに思います。消費購買力を引き上げていくためには、雇用の安定、正社員化を進めること、サービス残業や低賃金への手当が早急に必要です。
今回の素案に対して、昨日の
有識者会議の中で、危機感が余り感じられない、具体的なイメージが湧かない、そのような意見が多数出されておりました。この素案では、非正規雇用で今でさえ低賃金、サービス残業で苦しむ若者には希望が見えません。雇用の安定について、これまでも取り組んできた施策の評価の上に立って、最優先課題として早急に正社員化に向けた
取り組みに特に力を入れるべきと考えます。
そこで、正社員化に向けての
取り組みについてどのような認識でおられるのか、お答えください。
また、雇用の安定、正社員化について、札幌で働く労働者の多くは
中小企業で働いておりまして、昨日の
有識者会議でも、非正規雇用から正社員へと目標を持って取り組むことが意見として上がっておりました。素案概要に資金面で
中小企業の下支えを行っていくとありますが、
正社員就職の促進について、これまでの施策の評価と今後の方向性についてどのように考えているのか、お聞きします。お答えください。
◎中田
政策企画部長 まず、正規雇用をどうやってふやしていくかというご質問だったかと思います。
このプランにおきましては、雇用の質と量の両面を確保、拡大していくためには、多様で活発な経済活動を促進し、足腰の強い
経済基盤を確立すること、それによって
市内企業の成長が雇用の質と量を確保、拡大していくと考えております。さらに、正規雇用化に向けた企業の
取り組みを促していかなければいけませんので、企業に対してさまざまな働きかけを行うほか、経済団体と連携するなどしてそういった
環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
それから、2点目は、これまでの
中小企業支援の総括というご質問だったかと思います。
これまで、札幌市では、食や観光、ITの振興といった札幌の強みを生かした施策や、札幌市産業全般の経営基盤の強化を図る低利融資や経営相談など、さまざまな
中小企業支援を実施してきているところでございます。その結果といたしまして、札幌市内の企業の倒産件数は減少傾向にあるとともに、平成27年2月に実施いたしました企業経営動向調査において、
市内企業約1,000社のうち6割程度が賃金引き上げを行うと回答するなど、これまでの
中小企業支援策に一定の効果があったものと認識しております。
◆池田由美 委員 正社員雇用の促進化というところで、私は、早急にこの事業をしっかりと進めていく必要があるのではないか、その認識があるのかということをお聞きしたのですが、いかがでしょうか。
◎中田
政策企画部長 正規雇用化をしていくためには、企業の
取り組みも大事になりますので、企業に対しての働きかけというのは、経済団体とも連携しながら、できるだけ早期に進めていきたいというふうに考えております。
◆池田由美 委員 企業に対して経営相談なども行っており、倒産件数が減少してきている、また、1,000社へのアンケートの中で6割から給与引き上げの答えがあったという答弁がありました。効果が上がっているという話だというふうに思います。
私は、企業にとっても、働く人にとっても力になる支援が必要ではないかと思います。今の答弁の中にあった、札幌市の
アンケート調査などで6割の会社で給与が引き上げられる方向が見られるという中身が、本当に実施されていくのかどうか、これをしっかりと調査していくことが大事ではないかというふうに思います。
そこで、1,000社に行った
アンケート調査はどのような形で調査されたのか、お聞きしてもよろしいでしょうか。
◎小野 産業振興部長 ただいまの6割の賃上げについて、どのような調査をしたかということでございます。
経済局では、年2回、市内2,000社ほどに
アンケート調査を実施しておりまして、その時々の景気動向や自社の雇用動向をお聞きしているのと同時に、特定の質問項目として賃上げの状況をことし2月の調査のときにお聞きしました。その中で、既に賃上げを実施したという企業が53%ほど、平成26年度中に引き上げる予定とお答えになった企業が4.3%、合わせて約6割の企業が賃上げを予定している、または実施したとお答えいただいたということでございます。
◆池田由美 委員 6割の企業で賃上げが実施されるという答弁の中で、私は、4割のところはどうなっていくのかということがやはり心配だと思います。今後も調査検討していくことをぜひお願いしたいと思います。また、調査は委託されて進めていると思いますので、全部のところは難しいと思いますが、5人ぐらいの従業員でやられている小さな企業ではどういう苦労をされているのか、どんな支援が必要なのか、札幌市の職員が訪問してそういうことをしっかりと聞き取っていくことが今は本当に大事になってきているのではないかと思います。議会でも、そして
有識者会議の中でも、力を合わせて正職員化を進めていく、ここに力を強めて、未来創生プランが本当によいものになるように進めていただくことを求めたいと思います。
次の質問ですが、札幌市は多くの仕事を委託事業として進めてきていると思います。未来創生プランの作成に当たりまして、私は札幌市が官製ワーキングプアを生んではならないというふうに考えておりますが、札幌市の考え方と立場を伺いたいと思います。お答えください。
◎中田
政策企画部長 ただいま官製ワーキングプアについてのご質問だったと思いますが、札幌市の業務に関連する従事者の適正な労働環境を確保していくことは重要なことであると考えております。今後とも、各所管部局で検討の上、必要な改善に取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆池田由美 委員 市長からは、雇用環境や賃金について、入札の際に総合評価方式で評価していくという答弁が第2回定例市議会の中であったと思っています。札幌市の全ての委託事業で暮らせる賃金、労働環境の充実が広がっていくことは、他企業での労働環境、賃金の向上にも必ずつながっていくと考えます。公契約条例の制定や最低賃金の引き上げなどで雇用の安定が実感できれば、若者も元気になって将来に希望が見えてくるのではないかというふうに考えます。企業にとっても、市民や若者にとっても希望が見えてくる未来創生プランとなるように求めていきたいと思います。
次に、各分野の担い手育成について質問いたします。
担い手不足のために、建設、介護、保育など業種に応じた情報提供や
マッチング、各種の助成などを行い、企業が求める人材の育成、確保を行うとしています。建設、介護、保育等の仕事は、若者の雇用の場として本当に重要ではないかと考えます。
札幌市として、
担い手不足の要因をどのように押さえているか、伺いたいと思います。お答えください。
◎中田
政策企画部長 介護や保育あるいは建設といった分野で
担い手不足が発生している要因というご質問でございます。
それぞれの
マッチングのところで、若干、ミス
マッチングな部分が出てきていることが
担い手不足の要因の一つではないかというふうに思っております。そういった意味では、今後も、それぞれの職種の適切な情報提供を求職者に行うなどして、
ミスマッチが起こらないような施策を進めていくことが必要だと思っております。
◆池田由美 委員 介護や保育の現場からは、労働環境が悪いことが原因で働く人が定着せず、職員の不足が大きな問題となっています。低賃金で仕事がきつい、責任が重たい、こういうことが大きな原因ではないかというふうに私は考えております。医療現場からは、新人看護師を育成する余裕さえないのだという声も聞こえてまいります。担い手を確保し、医療や介護、保育や建設で雇用を定着させていくためには、労働環境の整備、最低賃金の引き上げなど、やはり、こういうことなしには進まないというふうに思うのですがいかがか、お答えください。
◎中田
政策企画部長 今、幾つかの職種に関して処遇改善の必要性についてのご質問があったかと思います。特に、その中でも介護士、保育士の処遇の改善というのは、良質なサービスを安定的に供給していく上で大変重要な課題であると認識しております。
介護士につきましては、今年度の介護報酬改定で、従来の介護職員処遇改善加算が拡充されたことから、職員の処遇改善につながることを期待しているところでございます。また、札幌市では、介護職員等の定着を図るため、働きやすい職場環境を整えていくための研修を実施しているところでございます。
保育士につきましては、子ども・
子育て支援新制度におきまして処遇改善等加算が設けられまして、賃金改善の措置が講じられているところでございます。職員処遇に関しましては、国が定める公定価格の基準に負うところが大きいことから、引き続き、大都市主管局長会議などを通じてさらなる改善を国に要望していきたいと思っております。
◆池田由美 委員 それぞれの
取り組みについてご答弁いただきました。本当にありがとうございます。
国の制度にかかわることでもありますので、それぞれの分野ごとに引き続いて働き方の調査、分析をかけていくことが大事ではないかと感じています。国政任せではなくて、札幌市独自で予算を投入して具体的な施策を盛り込んでいくことが大切ではないかと思いますので、今回の創生プランの中でも今後検討していただければと思います。
最後になりますが、
基本目標の結婚・出産・子育てを支える
環境づくり、アの3の
子育て世帯の
経済的負担の軽減について質問します。
市長の公約でもある子ども医療費無料化の拡充や保育料の引き下げ、札幌市の奨学金制度の予算化と拡充など、市民の切実な願いが届いてきております。この願いが未来創生プランに反映されていくのか、また、どんな計画を考えているのか、大まかなところでもよろしいですので、伺いたいと思います。お答えください。
◎中田
政策企画部長 子育てにおける経済負担の軽減策についてでございます。
先ほど村松委員のご質問にもお答えいたしましたように、現在、
中期実施計画の検討をしているところでございまして、その中で検討しているところでございます。
限られた財源の中でどの程度のことまでできるかということについては、
中期実施計画を明らかにする中で、それらの軽減策についても明らかにして、それを未来創生プランの中にも盛り込んでいきたいというふうに考えております。
◆池田由美 委員 ぜひ、市民の期待に応えた事業を盛り込んでいってほしい、市民の暮らしと雇用を守る中身にも取り組んでいってほしいというふうに思います。
安心して働き、子育てできる具体的な事業ですが、中学校での部活動にかかる経費が大変で部活動ができない子がふえてきている話とか、特定不妊治療にもっと助成できないだろうかという声が私のところに届いてきたりもしています。
これから市民の声を聞くパブリックコメントなどが行われていくと思いますが、今ある制度の充実と、新事業なども市民が希望を持てる具体化が行われるように、ぜひ市民の声を反映させていってほしいと思います。
子育て支援での保育施設等の整備に当たっては、利便性や効率性だけを求めて安上がりの保育の支援にすることなく、子どもの発達や健やかな成長、保育の質を充実させる具体的なものを素案に盛り込んでいただきたいと思います。
札幌で子育てしてよかった、札幌で仕事をして住み続けたい、札幌で子育てしようという思いが広がる未来創生プランにしていくために、議会でも、札幌市でも、
有識者会議でも力を合わせていくことを強く求めて、私の質問を終わります。
◆石川佐和子 委員 私からも、質問させていただきます。
前回の質疑のときには、妊娠、出産について、女性が選択できて、自分が決めることができる環境を整えることが重要だという観点で、何点か質問させていただきました。今回、素案が示されまして、結婚、出産、子育てを支える
環境づくりという項目においても資料が出されたところです。少子化というのは、1990年の1.57ショック以降、国が率先して対策を組み、札幌市においても、新・さっぽろ子ども未来プランを前期計画と後期計画ということで策定して、働きながら子育てできる環境の整備や全ての
子育て家庭への支援体制等も進めてきたと認識しています。
それらの施策に対して市民がどのように思っているのかということは数字を見ればわかりやすいのですが、未来プランの評価の中では、例えば、子どもを産み育てやすい環境だと思う人の割合は当初よりも14.3ポイント上昇していて、一定の評価があるのではないかというふうに捉えております。
しかし、
子育て支援策は拡充してきたと思いますけれども、合計特殊出生率は、この間、低迷しているということが現実としてあります。さまざまな目標達成値を設定して取り組んではおりますが、このたびの未来創生プランで課題を分析しておりますように、収入や雇用の問題もあって総合的な検証が必要だというのは私も思うところです。
こうした現状と課題の分析、また、検証も踏まえて、どうするかと考えることが重要でありまして、
有識者会議の中においても、成功した政策の深掘りと検証を参考にというような意見が出されておりました。したがって、プランの策定に当たっての進行管理が大事でありまして、数値目標やKPI、政策ごとの政策目標を設定し、進捗管理を行うことが大事であり、どの施策の何についてそれを設定していくかということが大事だと思います。
議事録を読ませていただきましたが、1回目の
有識者会議におきましては、例えば、男性の育児参加の促進について、男性が女性と同じように家事、育児を行うなど、女性の生活の仕方を変えていく考えを持つことが大事だという発言がありまして、こういう考え方は私も大いに共感するところであります。
しかし、例えば札幌市の男性職員の子育てへの参加については、国の次世代法に基づいて特定事業主行動計画の中で札幌市職員
子育て支援プランを策定し、現在は第3次プランまで進んでいますが、その中で実績を確認しますと、男性職員の育児休業等の取得率の数値目標は13%以上と設定しておりますけれども、直近の5年間では1.0から2.0%と非常に低迷しているのが実態です。
政令
指定都市の中で、例えば横浜の育児休業取得率は5%という数字です。政令市の中には合計特殊出生率が高い市が幾つかありますが、例えば、北九州市では、部下の仕事と家庭の料理を応援する上司、イクボスを目指し、管理職約560人がイクボス宣言をして、
子育て環境の向上、女性の活躍促進につなげるということで、2013年度の目標数値が6.1%のところ、2019年度にはこれを20%に引き上げようという設定をしております。
そこで、質問ですけれども、数値目標やKPIについては、具体的には、今後の
有識者会議の議論を尊重していくと思うのですが、札幌市としてどのような考え方で設定していくおつもりなのか、また、男性も女性もともに家事、育児を行うため、育児休業取得率などの数値目標をさっぽ
ろ未来創生プランに掲げるなど、足元の市役所全体から、性別固定観念といった男女平等に関する意識改革を行っていくべきと考えますがどうか、あわせて伺います。
◎中田
政策企画部長 数値目標、KPI設定の考え方についてでございます。
委員からお話がありましたように、プランの実効性を高めるためには、目指すべき成果を数値やKPIとして具体的に示した上で、その成果を事後的に検証し、
取り組み内容の変更や追加の検討を行うことが必要であると考えております。どのような項目にどのような数値を設定するかにつきましては今後の議論となるところでございますが、それぞれの数値目標、KPIを達成することで、目指すべき将来の実現につながる項目や数値となるようなものにしていきたいというふうに考えております。
次に、札幌市役所における意識改革ということでございますが、札幌市では、委員からお話がありましたように、男女共同参画さっぽろプランにおきまして、市民生活に男女共同参画の意識を根づかせることはもちろんのこと、市役所内におきましても、女性職員の登用促進や職域拡大に取り組むこととしております。また、委員からお話がありましたように、札幌市職員
子育て支援プランにおきまして、育児休業取得率を数値目標に置くなど、男性職員の積極的な子育てへの参加を推進しているところでございます。こうした
取り組みを進めることによって、札幌市役所におきましても意識改革が進んでいくような
取り組みをしていきたいというふうに思っております。
◆石川佐和子 委員 今回、
有識者会議の
女性委員を2名ふやされたこと自体は、私も大変よかったというふうに思っております。しかし、前回の質疑の中で、私もふやすことを求めて、
有識者会議の中でもふやすべきだというような意見があって、結果的にふえたことは本当によかったのですが、先ほども質疑があったように、なぜ最初からそうしたことができなかったのかと考えると、政策意思決定過程への女性の参画に対する認識が低いのではないかと言わざるを得ないというふうに私は思います。しかも、このプランは、女性に積極的に意見を言ってもらうことが実効性を高める上で大変必要なことであって、そのための
有識者会議でありますから、札幌市自身の認識をもっと高めていただきたいと思います。
未来創生プランは、札幌市の地域性を踏まえた
子育て支援や雇用の創出など、女性も男性も希望を持って働き、暮らすために必要なプランになっていかなければならないと思います。そのためには、今回の札幌市の提案に対しても、市民のたくさんの共感と協力を得ることが大変重要だというふうに思います。
そこで、もう一つ質問いたしますが、このプランを作成するに当たって、札幌市職員も含めて、常に市民とともに男女平等の社会をつくるという意識の徹底や札幌市の考え方が市民に伝わるような工夫が必要だというふうに考えますけれども、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎中田
政策企画部長 市民の共感と協力を得るためにどのようなことをしていくかというようなご質問でございました。
人口減少対策を進めるに当たりましては、札幌の人口の現状や将来について市民の皆さんと問題意識を共有して、一緒になって取り組むことが何よりも重要と考えております。プランの策定に当たりましては、市民を対象としたアンケート、あるいは、学生を対象としたワークショップなどを実施して幅広く意見を伺ってきたところでございます。今後は、
調査特別委員会や
有識者会議でのご議論を経た上でパブリックコメントを行うこととなりますが、このパブリックコメントの実施に当たりましては、多くの市民の皆さんにこのプランを読んでいただき、そして多様なご意見をいただけるように、効果的な広報の実施について検討していきたいというふうに考えております。また、プランの策定後につきましても、プランの内容を市民の皆さんにご理解いただけるように広く周知を図っていきたい、そのように考えております。
◆石川佐和子 委員 今、問題意識の共有が大事だと伺いましたが、国が示しているまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおいても、国民の認識の共有が最も重要であるという指摘があります。
子育て支援や雇用の創出は、人口がふえ続けていたころにも課題となっていたと思いますし、施策においても似たような文言が並んでいるように私は感じます。
そこで、今の時代性と札幌の地域性を踏まえて今回のプランを実効性あるものとしていくためには、これまでもワークショップやアンケートで市民参画を進めてきたというお話がありましたけれども、さらに、このプランづくりに参画してもらい、共有していくことが本当に大事だと思います。また、プランの策定に当たってこれまでにない危機感を持ってという言葉が示されているように、札幌市の本気度を市民とともに共有することが何よりも大事だと思います。そういった意味で、札幌市の本気度ということについて、男性職員の育児休暇取得率などを成果目標の中に具体的に打ち出すことが、わかりやすく、また、本気度を感じさせるものではないかと思いますので、きょうは質疑させていただきました。文章の書き方についても、わかりやすさに心がけていただきたいですし、思いが伝わる工夫を行いながら、さらに積極的にこのプランをつくり、市民と共有していくことを強く求めて、私の質問を終わります。
◆中山真一 委員 私からも、数点質問させていただきます。
まず、従来どおりのやり方ではない新たな
取り組み、札幌の地域特性を生かした独自の
取り組みについてお伺いしたいと思います。
先ほども
有識者会議についての質問が何点かありましたが、私も1回目の議事録を拝見させていただきました。その中で、有識者の方々が特に強調されていて印象に残っているのは、従来のやり方では
人口減少はとまらない、発想を変えるべきだ、札幌独自の新しい視点がないというご意見がありました。これは、本当に大変重要なご指摘だというふうに思います。
今回出てきているものは、先ほどのご説明にありましたように、従来の既に出ている政策で、新規のものは今後盛り込まれていくということでした。しかし、これだけだと、市民や民間の期待感を醸成して、民間投資を誘発したり、外から人を呼び込んだり、新規参入を促したりするには不十分ではないかというふうにも思います。
そこでまず、伺いますが、
有識者会議等での議論を踏まえ、札幌の地域特性を生かした新たな
取り組みや独自の政策は今回盛り込まれたのか、もしくは、今後新規のものとして具体的に盛り込んでいく予定があるか、伺いたいと思います。
◎中田
政策企画部長 まず、札幌の地域特性や新しい観点を盛り込んでいるかという点でございますが、このプランでは、観光や食を初めとした北海道、札幌の強みである分野を特に振興していこうというふうにしております。例えば、観光では、札幌ならではの観光イベントを充実することはもとより、急増する
インバウンド消費を取り込むため、Wi−Fi環境など
外国人観光客の
受け入れ体制を整備するほか、MICEの推進体制や開催支援を強化いたしまして、新たな施設設置も検討していきたいというふうに考えております。さらに、
冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据えまして、北海道と連携して
スポーツコミッションを設立し、
大型スポーツイベントを積極的に誘致するなど、札幌の強みといったものを最大限に生かしていきたいというふうに考えております。また、これまで以上に強化を図ろうと思っている観点といたしましては、
生産年齢人口の減少への対応策といたしまして、人材の還流をつくり出すということから、首都圏などからの移住、定住や
UIJターンを促進する施策を盛り込んでいきたいというふうに思っております。
今後、プランの成案を策定するに当たりまして、
新規事業、
レベルアップ事業をどんどん盛り込んでいきますので、そうした中で札幌の地域特性をより一層生かした
取り組みを少しでも多く盛り込んでいきたいというふうに考えております。
◆中山真一 委員 今のお話で、
新規事業、
レベルアップ事業を次の段階で盛り込んでいただけるということでしたので、楽しみにしていたいと思っております。
前回もお話しさせていただきましたが、ここにも書いてありますように、雇用の質、賃金を上げるには、特に実質賃金ということで、物価の上昇以上に賃金を上げていくためには生産性を上げていくことが不可欠だと私は考えます。1人当たりが生み出す
付加価値、稼ぐ量がふえないと、企業は給料を上げることができませんし、正社員をふやすこともできないというふうに思います。このプランの中にも、現在、地域の潜在的な可能性を引き出す意欲的、創造的な主体が活動しやすい
環境づくりが重要であるというふうに書かれていますが、まさにそのとおりであると思います。そのような
環境づくりのためには、私は、規制緩和や制度改革による社会実験のようなものが必要ではないかというふうに考えます。
一方、現状のプランに書いてあるさまざまな施策を実行するには、当然、お金がかかります。財源は限られておりますし、しかも、国が言っている交付金も、昨年の総選挙のときにおっしゃっていたこととトーンが大分変わってきまして、2,000億円のうち1,000億円は各自治体の負担であるというような状況を考えますと、再来年度以降も財源の問題はますます不透明ではないかなと考えます。このように、なかなか当てにできない国のお金を当てにするよりも、むしろ、規制緩和や制度改革を提案して国に働きかけるぐらいのことが必要ではないかというふうに思います。
このプランの中でも、札幌の産業の柱に据えている観光、医療、福祉、ITなどの分野でも規制緩和のニーズはたくさんあって、やれることもたくさんあります。
有識者会議の中でも、町田副市長がいろいろなイノベーティブな試みをやっていくことが今後も必要だというふうにおっしゃっておられましたが、調査によると新規参入者の生産性は既存事業者の1.3倍であるというデータが数多く見られます。
そこで、生産性を上げていくために不可欠な新規参入や民間投資を誘発するために、従来のやり方にとらわれない規制緩和や制度改革、社会実験のような試みが必要だと考えますが、そういったことは現状で考えておられますでしょうか、お聞かせいただければと思います。
◎中田
政策企画部長 規制緩和や制度改革についてでございます。
これまで、札幌市では、規制緩和のようなものといたしましては、例えば、都市計画の分野で、札幌駅前通地下歩行空間の整備を見据えて、沿道に容積率の緩和が可能な地区計画を決定いたしまして、
まちづくりの目標に沿った優良な民間開発を誘導するような
取り組みは行ってきているところでございます。さらなる規制緩和や制度改革につきましては、札幌市の
取り組みはもとより、国における特区制度の動向を見ながら、地域特性を生かすことができるように、北海道や関係自治体とも十分協議していきながら検討していきたいというふうに考えております。
◆中山真一 委員 今、国の特区制度等のお話がありましたが、その辺も踏まえて積極的に取り入れていただきたいと思っております。例として、他の地域で挑戦が始まっているものだけでも、やれることはたくさんあると思います。観光分野では、既にAirbnbというものがはやっていますが、特に外国人向け宿泊施設に係る規制緩和は、部屋不足に悩んでいる札幌にとっては大変有効な施策ではないかというふうに思います。また、最近よく話題になっていますが、UBERというアプリを使ったハイヤーの配車サービスに係る規制緩和があります。このUBERに関しては、私も、以前、ベトナムのホーチミンで利用したことがありますが、世界の主要な都市ではもはや常識になってきています。少し前までは、旅行先で、ここはWi−Fiがつながらないから不便だという言われ方をされておりましたが、今は、このまちはUBERが使えない、このまちはAirbnbが使えないから困る、不便だというふうになってきております。しかも、こういった規制緩和は、Wi−Fiとは違って設備にお金がかからないのです。ぜひ、積極的に進めていただければと思います。
その他、医療と観光の両分野にまたがるものでは、外国人向けの外国人医師による診療の解禁とか、介護分野では特養への多様な事業主体の参入解禁など、今、特区制度を見据えたいろいろな試みが全国各地で行われています。その気になれば挑戦できること、国に提案できることはたくさんあります。国が腰の重いものには、ほかの自治体と組んででも規制緩和を求めていくことも必要であるというふうに考えます。札幌がイノベーティブな挑戦を進めていく活力のまちであり続けるため、そして、この
人口減少時代に生き残っていくためにも、ぜひ、このような視点をプランに盛り込んでいただくことを求めます。
次に、先ほども質問がありましたが、移住促進について私からもお伺いしたいと思います。
先ほども、移住ナビ等への掲載とか、協議会に参加していろいろな施策をやっていきたいとお答えされておりましたが、それを聞いて、私自身は、成果を上げられるのかというふうにちょっと懸念しているところであります。このような協議会等に参加したりして首都圏でPR活動をやっていく、それだけでは簡単にはなかなか成果が上がらないだろうというふうに私は考えます。
企業誘致もそうですが、特に移住や
UIJターン促進という分野は、全国の自治体が本気でしのぎを削っている分野であります。その中で、札幌という商品を選んでもらって、移住してもらうくらいファンになってもらわないといけない、そんなに簡単なことではないというふうに思います。私自身も移住者であります。妻の実家のある札幌が大好きで東京から移住してきた1ターン者です。民間で働いているときには、主に宣伝やマーケティング、ブランディングにかかわる仕事をしておりました。
私の経験から少し申し上げると、この施策は、主体となる行政の側でしっかりとした戦略を持って進めていかないと成果を上げることは大変難しいというふうに考えております。この場でそこに余り深く入っていっても仕方がありませんので、細かくは申し上げませんが、これらの戦略を立てていくためには、その大前提として事実を押さえて現状を把握することが不可欠であります。そのためには、しっかりとした調査を実施することが必要であるというふうに考えます。これは、大変お金がかかることでもあります。ただ、そこまでやらないと、成果を出すことはなかなか難しいというふうに思います。
この場では、手始めに、戦略の前提となる現状の認識を伺いたいと思っています。
現状で移住先、
UIJターン先として札幌の優位性をアピールしていくに当たって、現在考えている札幌の優位性はどういうものか、お伺いできればと思います。
◎中田
政策企画部長 移住や
企業誘致を促進するに当たっての札幌の優位性はどのようなものかというご質問だったかと思います。
札幌市の優位性につきましては、一般的に、冷涼かつ四季の変化が鮮明な気候で、さまざまな都市機能や豊かな自然があることなどが挙げられると考えております。また、道内の人、物が集まる北海道の中心地として、年間を通じて開催される多彩なイベントや高いブランドイメージを持つ食といった北海道、札幌の魅力もあわせて発信していくことが重要と認識しております。さらに、
企業誘致の観点から申しますと、台風や地震といった自然災害リスクの低さや、高等教育機関の集積による豊富な人材、また、オフィスの賃料などのビジネスコストの低さが札幌の持つ優位性であると認識しております。
したがいまして、今後は、北海道や他自治体とも連携しながら、これらの優位性を効果的に情報発信していきたいというふうに思っております。
◆中山真一 委員 今もいろいろとお話しいただいたのですが、札幌のまちの魅力というのは本当に多様だと思います。誰をターゲットとするかによってもいろいろ変わってくるかなというふうに私自身は考えます。この施策は、やるなら成果を出さないと、中途半端にやるぐらいなら本当に投じたものが無駄になってしまうので、やらないほうがよいぐらいだというふうに考えます。ただ、私は、札幌の魅力に強く引かれて移住してきました。しっかりと戦略的にプランを組み立ててやれば、大変可能性のある分野であると考えます。ぜひ、しっかりとデータをとっていただいて、戦略的に実行していだだきたいというふうに考えます。
次に、別の視点から質問させていただければと思います。
私自身は、移住希望者や移住してきた人を支援するNPO法人の社員でもあるのですが、私自身が移住者ということもありまして、移住者の知人も多いですし、首都圏在住で札幌への移住を検討している人から相談されることも多いです。その経験から申し上げると、札幌に移住したいと思う理由は多様でさまざまです。
しかし一方、移住したいが、移住のネックになっていることは、大きく二つに集約されます。一つは仕事で、先ほどからもお話が出ていますように、特に給料の問題が大きなネックになっております。そして、もう一つは、子どもを札幌に連れていったときの学力についての不安が大変大きいです。これは、お父さんが札幌支社に人事異動になっても、子どもは札幌に来させず、単身赴任していることの理由でもよく耳にする話だと思いますが、子どもの学力問題というのは決して小さなことではないというふうに私は考えますし、子どもを持つ親にとっては大変切実な問題であると考えます。
全国学力テストについては、最近、北海道の結果が発表されまして、新聞でも大変大きく取り上げられました。これは、市民の関心も大変高い問題であることの証左だと思いますが、この議論はこれまで議会で何度もされてきました。
今回の創生プランでも、経済の活性化というものが大きな柱になっています。この中では、特に観光、食、健康、バイオ、医療、ITなど、今後、札幌経済の命運を握る分野の振興がうたわれておりますが、それも全て担う人材がいなければ実現できないことだと考えます。このプランの中でも、人材育成に関して、産業を支える
人づくりとして、例えば高校生に対する国際理解の教育や観光事業者向けの外国語講座の開催など、ある意味でテクニカルなことはうたわれていると思いますが、そもそもその大前提となる基礎学力の向上についての視点が不足しているのではないかというふうに考えます。
そこでまず、現状ではこれらの産業振興を将来にわたって担う人材を十分に育成できていると考えているのか、現状の課題認識を伺いたいと思います。
◎中田
政策企画部長 現状の教育環境で人材が育成されているのかということの認識でございます。
札幌市におきましては、少子化やグローバル化が急速に進む社会にあっては、子どもたちに基礎的、基本的な知識や技能とあわせて、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力なども育成する必要があるというふうに考えております。そういったことから、このプランにも位置づけておりますが、みずから疑問や課題を持って主体的に解決していくという課題探究的な学習の推進に取り組んできているところでございます。
◆中山真一 委員 今のお話は大変よくわかりまして、私自身も大変共感する話でもあります。
私自身は、何もこれまで行われてきた札幌市の教育を否定しているわけではありません。特に、私は現場の先生方に知人がたくさんいらっしゃいますが、大変ご苦労されている方も多いです。現に、私は、札幌の一番の魅力は札幌の人たちであるというふうにも考えております。札幌の教育で育った札幌の人たちが好きでこのまちに移住してきました。
ただ、これからは、このままでよいというふうには思っておりません。このプランの中でうたわれているように、将来、札幌の経済を引っ張っていくような産業を担える人材を今のままで十分育成できるかというのは、疑問に思っております。世の中の変化やニーズによって教育も変化、進化していかなければいけないと思います。しかも、その変化のスピードはどんどん速くなっていきます。しかも、教育は、未来を見据えてやらなければいけない課題です。
2026年にオリンピックを招致するべく、今、動いておりますが、11年後です。今の小学生が大学を卒業する年齢になります。時間がありません。近年では、特に低年齢層からの教育の重要性が定説になっております。テクニカルなことも必要ですが、それより大事なのは、その後の学びの前提となる基礎的な学力をつけてあげること、これが子どもの選択肢を広げてあげることにもなりますし、我々親世代の役割でもあり、義務であると思います。
これまでの右肩上がりの時代とは違います。
人口減少で
生産年齢人口が減っていきます。1人当たりの稼ぐ力を高めないと1人当たりの所得は上がっていきませんし、企業も正社員を雇用して賃金を上げられません。
先んじて地域活性化を実現しているドイツでは、地域に学校があって、人材がいるところに大企業が本社を移してきております。医薬品メーカーや自動車メーカーも、そのようにして人材がある場所に企業が移っていくという傾向が出ております。その企業を核に、その産業が集積していきます。人材が集まれば企業も集まり、人や金も集まっていきます。逆に、人材がないと集まらないと思います。
ちなみに、きのう発表されておりましたが、福岡市は、学力向上のために、来年の夏から夏休みを6日間減らすということらしいです。これがうまくいくかどうか、実際にやってみないとわかりませんが、そこまで危機感を持って本気でやっているということなのです。首都圏やアジアから人や企業、お金を引っ張ってくるためには、福岡市というのはライバルになる都市の一つだと思いますが、札幌市もこの学力の問題に今まで以上に正面から向き合っていくべきだと思います。
昨年の全国学力テストの結果を見ても、健康、医療、バイオを産業の柱にすると言っておきながら、小学生の算数が全国平均を下回っています。これはなかなかよいことではないなと思いますし、このままではいけないと思うのは当然だと思います。
この創生プランを絵に描いた餅にしないためにも、例えば全国学力テストのポイントを基準とした目標を設けるなど、基礎的な学力向上という視点をこのプランにも盛り込むべきだと思うが、どう考えますでしょうか。
◎中田
政策企画部長 まず、KPIをどうするかということについてでございます。
これにつきましては、先ほどもご答弁させていただきましたように、今後の検討ということで考えておりますので、どのようなものにどのような数値を設けるかということについては、今後検討していくこととしているところでございます。
それから、学力ということでございます。
委員からお話がありましたように、
子育て環境を充実することが人材の還流や企業の誘致につながるというようなことを私どもも意識して、今後、子どもたちの学ぶ力の向上がより確かなものとなるように、さらに検討していく必要があるというふうに考えております。
◆中山真一 委員 ぜひ、基礎学力という視点でこのプランに盛り込んでいただいて、未来を担う札幌の子どもたちに今まで以上にしっかりとした教育を身につかせていただければというふうに考えます。今後、独自の教育等々を踏まえてやられることを最後に要望しまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○
飯島弘之 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
飯島弘之 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、本日の案件に追加いたしまして、委員派遣についてお諮りいたします。
本日審査が終了いたしました平成28年度青本につきまして、各政党に対し、党派別に要望を行うため、委員派遣を実施することとし、要望時期につきましては現在調整中でありますことから、理事会にご一任いただくことにご異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
飯島弘之 委員長 異議なしと認め、委員派遣を行うことと決定いたします。
また、要望に先立ちまして、活動の詳細を協議する税財政関係特別委員長会議に委員長を派遣することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
飯島弘之 委員長 異議なしと認め、委員派遣を行うことと決定いたします。
以上で、本日の委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後3時53分...