(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
小川直人 委員長 異議なしと認め、議案第19号から第22号は、可決すべきものと決定いたしました。
ここで、
理事者交代のため、
委員会を暫時休憩いたします。
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休 憩 午後3時6分
再 開 午後3時8分
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○
小川直人 委員長 委員会を再開します。
次に、平成28年度国の施策及び予算に関する提案(通称〜「白本」)についてを議題とし、資料に基づき、
理事者から説明を受けます。
◎藤原 財政局長 本日は、指定都市共同で取りまとめました平成28年度国の施策及び予算に関する提案、いわゆる白本提案の原案をご審議いただきたいと存じます。
少子高齢化の進展や人口減少に的確に対応し、将来にわたって活力ある地域、ひいては日本社会を維持するために、昨年、まち・ひと・しごと創生法が制定されまして、地方としても、この課題に正面から向き合っていかなければならないところでございます。その中でも、指定都市は、圏域の中枢都市といたしまして、今後とも先駆的、先導的な役割を担い、少子高齢化や人口減少対策、都市の活性化など、緊急かつ重要な施策を推進していく必要がございまして、そのためには税財源の充実や国における必要な予算措置が欠かせないところでございます。
このような情勢の中で、本市を含めた指定都市全体といたしまして、政府並びに
関係機関に対しまして、指定都市の実情を踏まえながらさまざまな提案を行っていきたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましても、提案の趣旨を十分にお酌み取りいただきましてご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、白本提案の具体的な内容につきまして、財政部長からご説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
◎平木 財政部長 それでは、私から、平成28年度国の施策及び予算に関する提案、通称白本の原案についてご説明いたします。
初めに、配付資料の確認をさせていただきます。
2種類ございまして、資料1は平成27年度国家予算等の状況と提案の主な結果、資料2は平成28年度国の施策及び予算に関する提案(案)というものでございます。
まず、平成27年度の国家予算等の状況と提案の主な結果につきましてご説明いたします。
資料1の1ページには、平成27年度の国の予算フレームとその推移をまとめてございます。
平成27年度予算につきましては、経済再生と財政再建の両立を実現する予算ということで編成しておりまして、当初予算額は前年度比0.5%増の96兆3,420億円となってございます。歳入のうち、税収につきましては、54兆5,250億円と前年度を9.0%上回っております。新規公債の発行額は、下の表になりますが、27年度の欄にございますように、前年度を3兆6,000億円ほど下回る36兆9,000億円となってございます。
なお、公債の残高につきましては、表の右側になりますが、前年度より29兆円多い807兆円と見込まれております。
続きまして、2ページでございます。
こちらでは、平成27年度の地方財政計画の概要をまとめてございます。
平成27年度につきましても、通常収支分と東日本大震災分に分かれておりますが、この場では通常収支分について説明させていただきます。
こちらは、地方が地方創生に
取り組みつつ安定的に財政運営を行うことができるようにということで、一般財源の総額につきましては、社会保障の充実分を含めて、前年度を上回る61兆5,485億円となっております。歳入では、まず、一番上の地方税は、前年度比7.1%増の37兆4,919億円を計上するとともに、税収増になった影響で地方交付税は前年度比0.8%減の16兆7,548億円とされております。歳出につきましては、社会保障関係費の増加を計上した結果、前年度を2.3%上回る85兆2,710億円となっているところでございます。
3ページでございますが、こちらは、昨年度に提案させていただいたものの結果を掲載させていただいておりまして、その中でさらに主なものをご説明いたします。
まず、一番上ですが、提案項目4番目の地方固有の財源である地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止でございます。こちらは、地方税の増収などによりまして地方交付税は前年度より1,000億円の減となりましたが、一般財源の総額で見ますと前年度を1兆2,000億円上回る額が確保され、さらに臨時財政対策債は減額となったところでございます。
その下の提案項目5番目の多様な大都市制度の早期実現でございますが、平成26年5月に地方自治法が一部改正されまして、区にかえて総合区を設け、議会の同意を得て選任される総合区長を置くことができるようになりました。また、そのほか、指定都市と都道府県の事務処理について連絡調整を行うための指定都市都道府県調整会議を設置することも決められました。
なお、これらのほか、保健福祉を初めとした各項目について4ページまで記載がございますが、こちらにつきましても一定の成果が得られたのではないかと考えているところでございます。
続きまして、資料2でございますが、こちらは、今回、要望させていただいてはどうかという案でございます。
表紙を1枚おめくりいただきますと目次がございますが、中は税財政・大都市制度関係と個別行政分野関係に分けて記載しておりまして、合わせて15項目でございます。
提案項目の選定方法でございますが、最初に、指定都市の各分野の所管局による局長会議がそれぞれありまして、ここで白本の提案要望内容としてふさわしい項目を選定して、その項目の中から指定都市市長会として特に重要だろうというもの、あるいは、緊急性が高いだろうというものを厳選し、優先化を図って15項目にさせていただいております。
次に、右のページでございますが、上のほうに今回の提案書の前文が掲載されております。内容といたしましては、平成28年度国家予算編成に当たりまして、真の分権型社会の実現に向け、適切な措置を講ずることを要請するということでございます。
おめくりいただいて、1ページは税財政・大都市制度関係、2ページからは個別行政分野関係に分けまして、提案事項を全体で一覧できるように掲載しております。
それぞれの提案項目の内容につきましては、4ページ以降に記載しておりますので、そちらでご説明させていただきます。
それでは、2枚ほどおめくりいただいて、ここからが項目のご説明になります。
最初は、真の分権型社会の実現のための国・地方間の税源配分の是正でございます。
現状における国、地方間の税の配分と税の実質配分には依然として大きな乖離がございます。真の分権型社会を実現するためには、複数の基幹税からの税源移譲を行いまして、国と地方間の税の配分をまずは5対5とすること、さらに、国と地方の新たな役割分担に応じた税の分担となるように、地方税の配分割合を高めてもらうことを求めるものでございます。
続きまして、6ページでは、大都市税源の拡充強化でございます。
ここでは、都市的課題から生じる大都市特有の財政需要や事務配分の特例などがあるにもかかわらず、地方税制が画一的で税制上の措置が不十分であるために、個人・法人所得課税や消費・流通課税に係る国、道府県からの税源移譲によりまして大都市税源の拡充強化を図るように求めるものでございます。
おめくりいただいて、7ページは、国庫補助負担金の改革でございます。
真に住民に必要なサービスを地方みずからの責任で自主的、効率的に提供できるように、国と地方の役割分担の見直しを行った上で、地方が担うべき分野につきましては、国庫補助負担金を廃止し、所要額を税源移譲することを求めているものでございます。また、税源移譲されるまでの間につきましては、必要総額の確保や、自由度が高く、活用しやすい制度にすることを求めるものでございます。
右側の8ページは、地方固有の財源である地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止という項目でございます。
地方交付税は、地域社会に必要不可欠な一定水準の行政サービスを提供するための地方固有の財源でございます。そのことから、地方の財政需要などを適切に見込んで必要額を確保すること、また、地方の財源不足の解消は地方交付税の法定率の引き上げによって対応してほしいということ、臨時財政対策債は速やかに廃止することなどを求めるものでございます。
続きまして、おめくりいただいて9ページは、多様な大都市制度の早期実現という項目でございます。
指定都市は、地域で果たす役割など、さまざまな特性を有する大都市でございますが、基礎自治体優先の原則のもと、よりよい住民サービスを提供できるように、地域の実情に応じた多様な制度を実現するように求めるものでございます。
以上が税財政・大都市制度に関する提案事項でございまして、10ページからは個別行政分野の関係でございます。
10ページは、子ども・子育て支援新制度の円滑な実施という項目でございます。
子ども・子育て支援新制度が浸透するまでは、国において十分な制度の周知、啓発に努めるとともに、制度施行後の諸課題に対して、地方の意見を踏まえて改善を図ること、そして、制度の趣旨である量的拡充と質の改善を実現するための恒久的な安定財源の確保に取り組むことなどを求めるものでございます。
続きまして、11ページは、医療保険制度の抜本的改革という項目でございます。
市町村の国民健康保険は、被保険者に占める高齢の方や所得の低い方の割合が高くて、一般会計からの多額の繰り入れに頼らざるを得ないなど、財政基盤が極めて脆弱でございます。国民皆保険制度を安定的で持続可能な制度とするため、全ての医療保険制度の一本化に向けた改革を実現するとともに、一本化が実現するまでの間の必要な財政措置を求めるものでございます。
続きまして、12ページが県費負担教職員制度の見直しに伴う財政措置でございます。
平成25年11月に、指定都市所在の道府県と指定都市は、国の適切な地方財政措置があることを前提といたしまして、県費負担教職員の給与負担などの包括的な権限、税源を指定都市に移譲することに合意したところでございます。今後、移譲に伴って必要となる財源として、教職員の給与はもとより、事務関係の経費を含めた所要額全額について、適切かつ確実に措置するように求めるものでございます。
おめくりいただいて、13ページは、インフラ施設の長寿命化対策でございます。
高度経済成長期に大量に建設された道路、上下水道などのインフラ施設の多くが、今後、建設後50年を経過していくことになります。そのため、国におきまして、計画的な維持管理、更新などに必要となる財源を十分確保するとともに、コストの低減手法に関する新技術などの開発や支援に努めるといったことを求めるものでございます。
14ページは、生活保護制度の更なる適正化でございます。
平成25年12月に成立した生活保護法の一部を改正する法律に、就労インセンティブや不正受給対策の強化など、これまで指定都市が提案してきた内容が一部盛り込まれましたけれども、生活保護費の全額国庫負担や貧困ビジネスの規制など、生活保護制度のさらなる適正化を推進するように求める内容でございます。
続きまして、15ページは、介護保険制度の円滑な実施という項目でございます。
平成27年度より、地域支援事業の枠組みが変更されたところでありますけれども、今後も地域の実情に応じたサービスを提供できるように必要な財政措置を講ずることを求めるものでございます。また、公費によりまして所得の低い方への保険料軽減策が新たに実施されたところでございますが、さらなる負担軽減措置を実施するように求めるものでございます。
右側の16ページは、正規雇用及び長期的な雇用につながる雇用施策の推進でございます。
国の平成26年度補正予算におきまして地域活性化・
地域住民生活等緊急支援交付金が創設されましたが、この交付金は人口減対策を主眼とする包括的なものですので、さらに正規雇用や長期的な雇用につながる雇用施策を実施するための安定的な財源としての制度を確立して所要額を確保するといったことを求めるものでございます。
続きまして、17ページは、生活困窮者自立支援制度の円滑な実施でございます。
平成27年4月より生活困窮者自立支援制度が本格実施されましたけれども、国の基準額が画一的で大都市の実情に応じたものではないこと、また、これまで実施してきたホームレス自立支援事業などにおいて国庫補助の削減がなされたことから、ホームレスに関する事業の全額国庫負担など、必要十分な財政措置を講ずるように求めるものでございます。
右側の18ページは、訪日旅行やMICE誘致推進のための受入環境整備の推進ということでございます。
訪日旅行者の増加やMICEの誘致による経済効果の拡大を図るために、訪日旅行者の国内周遊を促進する
取り組みとか、指定都市が有する地域特性に即した外国人受け入れ環境整備、MICE誘致において、外国競合都市より優位性を高める施策の実施に対して必要な支援策を講ずるよう求めるものでございます。
最後に、19ページでございますが、予防接種制度の充実と財源措置でございます。
定期接種化が提言されている七つのワクチンのうち、いまだに定期接種化されていないおたふく風邪とB型肝炎ワクチンにつきまして、
安全性を十分検討した上で、早期に定期接種化するよう求めるものでございます。さらに、全国民がひとしく接種できるようにするために、その費用については全額国庫負担とすることを求めるものでございます。
以上が、白本本文の概要でございます。
最後に、今後の日程でございますが、本日、原案についてご審議いただいて、その結果を踏まえまして、指定都市の窓口・財政担当局長による協議において最終案を固めた後、7月14日に予定されているこの
委員会で改めて報告させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○
小川直人 委員長 それでは、質疑を行います。
◆山口かずさ 委員 私からは、子ども・子育て支援新制度の円滑な実施についてと介護保険制度の円滑な実施について、2点をお伺いします。
まず、1点目の子ども・子育て支援新制度の円滑な実施について質問します。
本年4月から、子ども・子育て支援新制度がスタートしました。新制度では、地域の実情に応じた子育て支援の検討を進めるため、市町村は、
地域住民の多様なニーズを把握した上で、計画的にその地域に最もふさわしい子育て支援を実施することが求められています。また、新制度を支える基盤として、社会全体による費用負担を行うこととし、消費税率引き上げによる増収分など、国、地方の恒久的な財源を確保することを前提としています。
2015年10月に予定されていた消費税率の10%への引き上げは、社会情勢の変化を踏まえて見送られましたが、今年度の子ども・子育て支援新制度における国の予算においては、消費税率引き上げで確保する0.7兆円の範囲で実施するとしていたその改善に関する事項が全て盛り込まれたと聞いています。
そこで、最初の質問です。
2015年度における子ども・子育て支援の質の改善について、国の予算ではどのような事柄が盛り込まれたのか、お伺いします。
◎平木 財政部長 子ども・子育て支援新制度における質の改善についてお答えいたします。
国の平成27年度予算におきましては、消費税率引き上げによる増収分のうち、子ども・子育て支援の充実に活用するとされた0.7兆円の範囲で実施する事項として整理された量的拡大や質の改善事項が盛り込まれております。そのうち、質の改善の主なものといたしましては、3歳児保育における職員配置につきまして、子ども20人に対して職員が1名という認可の基準よりも職員数を充実させて、子ども15人に対して職員を1名配置することができるよう所要の予算が計上されております。また、職員の定着確保のために、職員給与の3%の改善を図るための予算も計上されております。このほかに、小規模保育の体制強化や放課後児童クラブ事業の充実などが盛り込まれているところでございます。
◆山口かずさ 委員 3歳児保育に対する職員配置の充実や職員の定着確保のための給与改善などの事項が盛り込まれたということでした。今後も、制度の趣旨である量的拡充と質の改善により、全ての子どもが良好な環境で保育サービスを受けることができるようにするためには、恒久的な財政面の確保が必要となることから、国に対して、その確保に全力で取り組むよう要望してもらいたいと思います。
次に、新制度においては、認定こども園や保育所に加え、これまで認可外の保育であった小規模保育についても、地域型保育事業として市町村による認可事業と位置づけられ、本市においては、2015年4月時点で39カ所の小規模保育事業所がサービスを提供しています。小規模保育によって土地の確保が困難な都市部でも機能的な待機児童対策を講じることができる一方、これらの事業所は認定こども園や保育所と比べて規模が小さいことから、保護者がサービスの利用を考える際、職員体制などの保育環境について心配する方がいることも聞いています。
そこで、質問です。
小規模保育の職員配置について、認可に当たってはどのような基準が設けられているのか、お伺いいたします。
◎平木 財政部長 小規模保育の職員配置の基準についてお答えいたします。
小規模保育は、基本的に、0歳から2歳児までを受け入れる地域型保育事業として市町村の認可事業に位置づけられておりまして、保育所と同様に職員数の基準が定められております。保育所では、0歳児の場合は3人に対して職員が1名、1・2歳児の場合は6人に対して職員1名を配置することになっておりますが、小規模保育のA型とB型におきましては、これに1名が追加されております。それから、C型については、0歳児の場合だけではなくて、1・2歳時においても原則としてお子さん3人に対して職員1名を配置することとされております。
このように、小規模な事業であることに鑑みた保育環境の確保を図るために、職員数の基準にも配慮がなされているところでございます。
◆山口かずさ 委員 小規模保育についても、認定こども園、保育所と比べて質が低下することのないよう職員配置の基準が考慮されているということでした。保育の受け皿の拡充や維持をしていくには、今後も地域型保育事業による待機児童対策が必要であると考えているところでありますが、配置職員数はもとより、働く保育士の資質の向上が保育水準の確保の上で大切だと思いますので、市として的確に制度を運用していくことを求めます。
続いて、介護保険制度の円滑な実施についてお伺いします。
今回の介護保険法案の改正は、これまで全国一律の予防給付として位置づけられてきた訪問介護及び通所介護が、地域支援事業のうち、介護予防・日常生活支援総合事業に移行し、市町村の実情に応じて実施されることになりました。地域支援事業については、これまでは介護給付費見込みの3%を上限額にして実施していましたが、訪問介護及び通所介護が地域支援事業に移行した後の上限額に関する問題に対して、昨年度の白本提案においても上限設定を見直すなど必要な措置を要望していました。
そこで、質問です。
現在、地域支援事業の上限額がどのような形になっているのか、その内容についてお伺いします。
◎平木 財政部長 地域支援事業の上限額についての質問でございます。
地域支援事業の上限額は、委員からお話がございましたとおり、地域支援事業全体で介護給付費見込み額の3%ということにしておりましたけれども、今回の制度改正によりまして、介護予防・日常生活支援総合事業や包括的支援事業など、事業ごとに上限額の算定方法が設定されております。
訪問介護や通所介護が移行する介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、移行前年度の介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防支援、介護予防事業といったものの実績額の総額に75歳以上の高齢者の伸び率を乗じるなどして算出するという
取り扱いになっております。それから、包括的支援事業や任意事業につきましては、平成26年度の上限額に65歳以上の高齢者の伸び率を乗じるなどして算出する
取り扱いということになっているところでございます。
なお、本市におきましては、介護予防・日常生活支援総合事業への移行は平成29年度を予定しているということでして、平成27年度、28年度につきましては、従来どおり訪問介護や通所介護は予防給付として行って、地域支援事業は介護給付費見込み額の3%を上限に実施するということでございます。
◆山口かずさ 委員 これまでの実績に高齢者の伸び率等を反映させる方法で、上限が定められるということでした。
札幌市では、2017年度に移行する予定ですが、地域支援事業の
取り組みは始まったばかりであり、今回の上限額算定方法の変更による影響はいまだ不透明ですが、市町村が地域の実情に応じたサービスを提供できるよう、引き続き、柔軟で十分な財政措置を求めてください。
次に、低所得者の保険料軽減について質問します。
2015年度を初年度とする第6期計画期間において、全国の介護保険料基準額は月額5,514円で、2012年度から2014年度を期間とする第5期よりも542円の増、札幌市においては月額5,177円で、第5期より521円も増となっております。高齢化が進み、介護サービスの供給量がふえるに伴って保険料が増加することはやむを得ない面もあるとは考えています。しかし、低所得の高齢者の方々にとっては厳しい負担増になりかねないとのことから、低所得の方に対する保険料の軽減について考慮することが重要です。
そうした中、2015年度からは、介護保険の財政フレームに追加して公費を入れた低所得の方に対する保険料軽減制度が新設されました。
そこで、質問です。
2015年度に新設された保険料軽減の内容についてお伺いします。
◎平木 財政部長 平成27年度に新設されました保険料軽減の内容についてお答えいたします。
被保険者の介護の保険料は、もともと市町村民税の課税状況などに応じて段階的に設定されておりまして、所得の低い方の負担が軽減されるような形になってございます。今年度からは、これに加え、国において新たに別枠で公費を投入いたしまして、所得の低い方の負担軽減を強化することとされております。その中で、最も所得の低い保険料段階の方は、これまでは保険料が基準額の真ん中の50%だったものを45%まで引き下げておりますが、平成29年度に消費税率が10%に引き上げられた際には、公費による保険料軽減の対象を、世帯全員の市町村民税が非課税の世帯全てに拡大する予定と聞いておりまして、その場合、今お話しした最も所得の低い保険料段階の方の保険料については基準額の30%まで引き下げると聞いているところでございます。
◆山口かずさ 委員 公費を入れた低所得の方に対する保険料軽減が新設されたものの、その軽減措置についてはまだ途上であるということでした。今後、国の責任において、低所得の方に対する負担軽減策が充実され、また、介護保険制度が円滑かつ長期にわたり安定した制度となるよう指定都市が連携して要望することを求めて、質問を終わります。
◆
前川隆史 委員 私からは、項目15の予防接種制度の充実と財源措置についてお伺いいたします。
申すまでもなく、予防接種は、感染症対策として最も基本的な一つであり、国民の生命と健康を守る重要な手段であります。しかし、我が国において、先進諸国と比べて公的に定期接種化されたワクチンの種類が少ない、いわゆるワクチン・ギャップの問題があるため、我が党は、定期接種の拡大についてこれまで強く実現を求めてまいりました。
そうした中で、平成21年に、我が国においても、神戸市で新型インフルエンザの感染が確認され、その際、ワクチンの供給不足や優先接種
対象者の検討など、さまざまな課題が浮き彫りになったと承知しております。それを受けて、厚労省の厚生科学審議会に予防接種部会が設置されまして、予防接種制度の抜本的な見直しが行われ、平成24年にヒブワクチン等の7ワクチンの定期接種化の提言がありまして、予防接種法の改正が行われたと承知しております。
法改正の結果、定期接種化を提言された7ワクチンのうち、現在までに五つのワクチンが定期接種化されており、我が党としても高く評価しているところでございます。しかし、残る二つのワクチン、いわゆるおたふく風邪とB型肝炎については、具体的な定期接種化の時期はいまだ示されておりません。私たちは、
安全性を十分に検討した上で、早期に定期接種化を実現すべきと考えているところでございます。
そこで、最初の質問でございますが、残る2ワクチンの定期接種化に向けて、国においてどのような検討がなされているのか、お伺いいたします。
◎平木 財政部長 残る二つのワクチンの定期接種化に向けた国の検討状況についてのお尋ねでございます。
B型肝炎とおたふく風邪の2ワクチンにつきましては、今のお話にもありました厚生科学審議会に設置された予防接種・ワクチン分科会で定期接種化に向けた検討がなされております。このうち、B型肝炎ワクチンにつきましては、接種開始時期やワクチンの種類などの技術的な課題が整理されまして、その結果、全出生者を対象に、生後2カ月から12カ月までの間に大部分のワクチン接種を実施するという案が示されたところでございまして、今後は、実施体制や財源の捻出方法などの検討を行うとされているということでございます。
おたふく風邪ワクチンにつきましては、
安全性に重大な懸念は認められない旨の評価がなされておりまして、引き続き検討を行っている状況だということでございます。
◆
前川隆史 委員 国においても、厚生科学審議会の予防接種部会で検討が進んでいると理解させていただきました。残る2ワクチンについて、
安全性を確保した上で、早期に定期接種化を進めるべきと考えておりますが、定期接種の実施主体は市町村となることから、国民がひとしく予防接種を受ける上では、その経費について適切な財政措置を講じる必要があると考えております。
そこで、質問でございますが、定期接種に係る経費について、平成25年から地方交付税措置の拡充がなされたとのことでございますけれども、その内容について具体的にお伺いいたします。
◎平木 財政部長 定期接種に係る地方交付税措置の拡充についてお答えいたします。
定期接種の対象となる疾病ですが、集団予防や重篤化の予防が必要なA類疾病と個人の予防に比重を置くB類疾病とに分類されておりまして、この分類に応じて地方交付税の措置がなされております。
まず、風疹や破傷風などのA類疾病につきましては、平成25年度に公費負担が見直されまして、地方交付税で措置する範囲が2割から9割に引き上げられております。平成25年度に定期接種化されました小児用肺炎球菌などの三つの疾病とか、26年度に定期接種化されました水痘ワクチンにつきましても、A類疾病として経費の9割が地方交付税措置をされております。また、インフルエンザや平成26年度に定期接種化されました成人用肺炎球菌は、B類疾病としまして、こちらは経費の3割程度に地方交付税措置がなされている状況でございます。
◆
前川隆史 委員 平成25年度、26年度に、定期接種の実態に合わせて交付税措置の拡充があったことをお伺いいたしました。
しかし、地方交付税は、あくまでも標準的な行政水準を確保するための制度であることに対し、定期接種に要する費用は地方間で差があること、また、地方交付税による措置は経費の一部に対するものであることを踏まえると、国民全てがひとしく予防接種を受けられるようにするためには、国の責任において全額を国庫負担とすることが重要と考えております。
今回の白本要望を初め、さまざまな機会に、全額、国庫負担による予防接種が具体化するよう求めまして、質問を終わらせていただきます。
◆
伊藤理智子 委員 私からは、白本の16ページの正規雇用及び長期的な雇用につながる雇用施策の推進について質問させていただきます。
2014年度に緊急雇用創出事業が原則終了したことから、本市では、非正規雇用者数が依然として増加傾向にあり、非正規雇用者の雇用の不安定さや処遇の低さが正規雇用者に比べて家族形成やキャリア形成を困難にし、未婚や少子化に拍車をかけ、地域経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されるとして、引き続き雇用施策を実施するための安定的な財源としての制度を確立することなどを求めておられます。正規雇用ではなくて非正規雇用として働き続けることは、企業の問題だけではなく、札幌市の経済を活性化させる上でも大変重要な問題だと考えております。
本市として雇用創出事業の
取り組みを進めてきましたけれども、2009年度から、ふるさと雇用再生特別基金事業や緊急雇用創出事業等で行った事業数は339事業で、総事業額が75億4,827万1,000円、雇用された人数は5,089人とお伺いしております。さまざまな
取り組みが行われてきたと思いますが、この中で正規雇用につながった方がどれくらいいたのか、また、今まで取り組んできた雇用創出事業についてどのように評価しているのか、認識をお伺いします。
◎平木 財政部長 緊急雇用創出事業等についてのご質問でございます。
まず初めに、正規雇用に至った人数でございますが、緊急雇用創出事業等によって雇用された方につきましては、平成21年度当時から、事業終了後、おおむね1カ月後の進路について調査を行っております。そういう意味ではデータが古いものもございますが、その当時の状況では、正規雇用に至った方は事業に参加した方のうち968名だったと聞いております。
それから、これについての評価でございますけれども、緊急雇用創出事業等は、地域の雇用情勢がより厳しい時期に離職を余儀なくされた方の一時的な雇用機会を創出することなどを目的に創設された事業でございまして、そのような中でも、その後の正規雇用につながった方が1,000人近くいたということでございます。ですから、評価基準もなかなか難しいところではございますが、一定の効果はあったのかというふうには思っているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員 一定の効果はあったというような評価ですけれども、今、部長もお話しされましたが、現状としては正規雇用として働けない方たちが依然として増加傾向にある状況だと思います。
そこで、非正規雇用を減らして正規雇用につなげていくために、今後、本市としてどのような
取り組みが必要だと考えていらっしゃるのか、お伺いします。
◎平木 財政部長 正規雇用につげるために、札幌市としてどういう
取り組みが必要だと考えているかというご質問でございます。
正規雇用が進むことは、委員のお話にもありましたが、安定した雇用の確保という観点で働く方にとっても望ましいことですし、これから人口減少を迎えようという札幌市にとっても望ましく大切なことだと思っております。そのために、まずは雇用の場を創出すること、拡大することが大切だというふうに思っておりまして、企業立地の
取り組みや地域経済の活性化に向けた
取り組みをさらに一層推進していく必要があると考えております。
そういった考えのもとで、今回の2定で提案させていただきました肉づけ予算におきましても、観光産業の振興や、中小企業、次世代産業の育成、活性化、企業立地の促進などを図るための予算を計上させていただいているところでございます。また、仕事を求めている方に対しては、就業サポートセンターやSkipさっぽろなどによる就労支援のほかに、座学や職場体験を通じた就職支援といったことも引き続き必要になっているのではないかと思っております。さらに、今回の白本におきましても、正規雇用や長期的な雇用につながる施策を実施するための安定的な財源としての制度を確立するようにということで要望させていただいているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員 不安定な雇用ではなくて、正規雇用として安定して働き続けられるということは、安心して結婚し、子どもを産み育てられることにつながります。これは、市民一人一人にとっても、札幌市の経済を活性化させるためにも、非常に大切なことだと思います。せっかく正規雇用として働くことができても、長時間、過密で、限りなく違法労働に近い働かせ方を強制し、身も心もぼろぼろにしてしまう働かせ方、今、ブラック企業と言われていますが、こういう働かせ方が広がっており、社会問題化しております。これでは長く働き続けることはできないというふうに思います。市内でも、24時間営業している店で、休みもとれずに、店の駐車場にとめている車の中で寝泊まりしながら働いているという青年の実態を私は知っております。法律に照らして明らかに違法である働かせ方の実態を把握して対策をとる必要があるというふうに思います。
こうした違法な働かせ方を規制する青少年の雇用の促進等に関する法律がことし10月1日から施行されます。この法律では、青少年の雇用対策にかかわる国、地方公共団体、事業主、その他の関係者の責務にかかわる規定を整備するとともに、関係者相互の連携等に関する規定を設けるとしていますが、この法律を受けての対応を本市としてどのように行っていくのか、お伺いいたします。
◎平木 財政部長 青少年の雇用の促進等に関する法律の成立を受けた対応ということでございます。
今、お話がありましたが、この法律は、雇用の促進等を図ることを通じて、青少年がその有する能力を有効に発揮できるようにしようということなどを目的としたものでございまして、この法律におきましては、地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じて必要な施策を推進するように努めなければならないというようにされているところでございます。また、国では青少年雇用対策
基本方針を定めることとされておりまして、札幌市としては、この方針の内容などを踏まえながら、今後、必要な対応とか、国の施策と相まってということでもございますので、国等との連携などを検討していくことになるのではないかというふうに考えてございます。
◆
伊藤理智子 委員 そういう問題を解決していかないと、本当に安心して働き続けられるというのはなかなか難しいと思いますので、それについてはしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
違法な働かせ方を許さずに、不安定な非正規雇用ではなく、正規雇用として働ける社会を実現していくために、札幌市としてもさまざまな努力が行われてきていると思っていますけれども、一方で、その努力に逆行する
労働者派遣法案が衆議院で6月19日に採決されております。その内容は、専門業務を除いて、原則1年、最大3年という派遣の期間制限を廃止し、新たに事業所と個人単位の期間制限3年を設けます。
しかし、派遣先の過半数の組合の意見を聞くだけで、何年でも延長することが可能です。また、現行法では、期間制限が来れば派遣先の企業に直接雇用される仕組みですけれども、今回の法案では、期間制限にかかわる派遣
労働者への直接雇用の申し込み義務も削除され、正社員の道が閉ざされてしまうことになります。さらに、違法派遣があった場合、派遣先に直接雇用させる労働契約申し込みみなし制度が10月1日に施行される予定でしたけれども、今回の法案が施行されると、何年でも派遣できるために期間制限違反にならず、みなし制度は発動されなくなります。これでは、正社員ゼロ、生涯派遣をつくり出すものであり、本市の非正規雇用者数を減らすどころが、さらにふやしていくことになりかねません。私たちは、働かせる側、大企業に有利になるような抜け穴だらけの
労働者派遣法案は問題があるというふうに思っております。
こういう問題についても、本市として国に意見を上げていくべきというふうに思いますがいかがか、伺います。
◎平木 財政部長
労働者派遣法の改正の関係でございますが、衆議院で可決されて、現在は参議院で審議されておりますが、この改正案には、派遣
労働者に対する計画的な教育訓練とか、派遣期間終了時の雇用安定措置を派遣元に義務づけるなど、派遣
労働者の雇用安定やキャリアアップを目的とする内容が含まれているというふうに理解しております。ただ、一方で、今のお話にもありましたけれども、派遣期間の規制の見直しが内容として含まれておりますので、正規社員から派遣
労働者への置きかえが進む可能性があるのではないかなど、国の議論の中でも指摘されていることは承知しております。
私どもとしては、今後、そのようなことも含めた議論が国会の場でさらになされていくものというふうに考えてございます。
◆
伊藤理智子 委員 いろいろな
取り組みを進めてもなかなか非正規雇用が減らないという現状を打開するためには、その大もとにある
労働者派遣法を変えていかなければ、安心して働き続けられる正規雇用者がふえていきません。本市としても、国にしっかりと意見を上げていくべきであり、こうした問題点については改善するよう求めていくことも非常に大事な視点だと思いますので、このことも踏まえて白本で要望していただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。
○
小川直人 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
小川直人 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
最後に、委員派遣についてを議題といたします。
お手元に配付の
財政市民委員会行政視察実施案をごらんください。
本
委員会に関係する本市の諸課題や
取り組みについて、道外他都市の事例を調査し、今後の
委員会活動の参考とするため、本案を作成させていただきました。
ここで、委員の皆様にお諮りいたします。
本案のとおり、行政視察を実施することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
小川直人 委員長 異議なしと認め、行政視察を実施することといたします。
なお、詳細については、適宜、委員の皆様にお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。
以上で、
委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後3時59分...