札幌市議会 2014-10-21
平成26年第一部決算特別委員会−10月21日-05号
平成26年第一部
決算特別委員会−10月21日-05号平成26年第一部
決算特別委員会
札幌市議会第一部
決算特別委員会記録(第5号)
平成26年(2014年)10月21日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33人(欠は欠席者)
委 員 長 細 川 正 人 副委員長 山 口 かずさ
委 員 三 上 洋 右 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 勝 木 勇 人 委 員 村 松 正 海
委 員 村 山 秀 哉 委 員 小須田 悟 士
委 員 川田 ただひさ 委 員 小 竹 知 子
委 員 阿部 ひであき 委 員 福 士 勝
委 員 畑 瀬 幸 二 委 員 大 嶋 薫
委 員 ふじわら 広昭 委 員 恩 村 一 郎
委 員 三 宅 由 美 委 員 桑 原 透
委 員 小 川 直 人 委 員 林 清 治
委 員 植 松 ひろこ 委 員 涌 井 国 夫
委 員 本 郷 俊 史 委 員 國 安 政 典
委 員 丸 山 秀 樹 委 員 宮 川 潤
欠 委 員 坂 本 恭 子 委 員 小 形 香 織
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 小 倉 菜穂子
委 員 堀 川 素 人 委 員 金子 やすゆき
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開 議 午前10時
○細川正人 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、坂本委員からは欠席する旨、勝木委員からは遅参する旨、西村委員からは福士委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
第9款 教育費 第1項
教育委員会費から第9項 学校整備費までについて、一括して質疑を行います。
◆小竹知子 委員 私からは、高等学校における
特別支援教育の推進について伺います。
少子化に伴い、中学校の卒業生の減少が続いています。さきに
北海道教育委員会が公表した
公立高等学校の配置計画によりますと、平成30年度から33年度までの4年間に石狩学区で23から24学級相当の調整が必要とのことです。また、札幌市内については、中卒者数の減少に合わせて生徒急増期に新設した高校を中心に再編に向けた検討が必要としているものの、
札幌市立高校の学級減については札幌市教育委員会の判断に委ねると聞いているところであります。
北海道教育委員会では、平成32年度に高校1年生となる札幌市内の
中学校卒業者数は前年より549名も減少すると推計しており、これは、道立校だけではなく、市立校についても学級数の減を検討せざるを得ないのではないかと思っております。
そこでまず、質問の1点目ですが、
本市教育委員会は市立高校の学級数を減らすことについてどのように考えておられるのか、伺います。
◎大友
学校教育部長 市立高校の学級数減の考えについてお答えいたします。
おおむね10年間の
市立高等学校の基本的な方向性を示した
札幌市立高等学校教育改革推進計画を策定した平成15年から11年が経過し、少子化による
中学校卒業者数の減少も含め、急速な社会状況の変化や、生徒の興味・関心、また、進路希望等の多様化に対応した新たな方向性を検討する時期に来ていると考えております。また、札幌市
教育振興基本計画では、全日制高等学校における特色ある制度の充実・発展や、定時制である大通高校の卒業後の社会参画を目指した支援の充実を課題に掲げております。このため、市内の
中学校卒業者数が大きく減少する平成32年度以降の学級数につきましては、
市立高等学校の教育内容の充実や課題の解決とあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
◆小竹知子 委員 道立校だけではなく、市立校についても学級数を検討していくというご答弁であったと思います。
高等学校の入学者数が減少している一方で、知的障がいのある生徒の社会的自立を目指す
特別支援学校高等部への出願者数は逆に増加している現状にあります。私の手元に、特別な支援を必要とする生徒に関する調査についてという資料がございます。平成26年度
学校基本調査結果速報によれば、北海道の
高等学校等進学率は98.9%で、そこから
特別支援学校高等部への進学者数を差し引いた場合は97%程度となり、平成24年度の文部科学省の調査では義務教育において発達障がいの可能性のある児童生徒の在籍率が6.5%程度と示されていることから、北海道の高等学校にはおよそ3.5%程度の発達障がいの可能性のある生徒が入学していることが統計上推測されています。これは、高等学校の通常学級におよそ3.5%の発達障がいを持った生徒が在籍していることになるかと思います。
世界的には、ユネスコ、OECDなどの国際機関が中心となり、世界各国で
インクルーシブ教育を目指す取り組みが行われておりますし、日本においては、平成19年4月から
特別支援教育を推進するための新しい制度が施行されまして、それまでの特殊教育では支援の対象となっていなかったLD、ADHD、高機能自閉症の子どもたちを支援の対象として、全ての幼・小・中・高等学校で特別教育がスタートしております。これは、支援の対象が広がったことによる
特別支援教育を必要とする生徒数の増加が数字になってあらわれているのだと思います。
北海道教育委員会が公表している
特別支援学校高等部の配置計画では2年先の見通しまでしか示していませんが、これによると、平成28年度には札幌市内において3学級をふやすとしています。また、平成29年度にはさらに大幅な学級増を行う予定であると聞いており、道立校に加えて、札幌市においても市内南部の生徒の通学を考慮して
真駒内小学校跡地に
高等支援学校を整備することになりました。
今後も、当分の間は、
高等支援学校への進学希望者がふえる見込みであると聞いており、
北海道教育委員会では、空き校舎等の利用により間口整備を行うとはしていますが、札幌市及び近郊で1校丸々あくなどということは、そうそうあるとは思えません。そこで、高等学校が学級減となれば、当然、余裕教室が生まれるわけで、その教室を
特別支援学級として高校段階の知的障がいのある生徒の受け入れができないものか、そのことを市立の高等学校でも実施できないものか、
特別支援学級が難しいのであれば、
特別支援学校の分校や分教室でもよいので、高等学校の余裕教室を活用した
特別支援教育をぜひ推進してほしいと私は考えます。
北海道では、幕別高校の余裕教室を利用して
中札内高等養護学校の分校を設置するなどの取り組みが既に行われておりまして、
インクルーシブ教育の一環として、障がいのある生徒と障がいのない生徒が同じ校舎で学ぶことは、さまざまな教育的効果をもたらすと高い評価を得ているところでもございます。
そこで、2点目の質問になりますが、札幌市教育委員会としては、
市立高等学校の校舎を活用した
特別支援教育の推進についてどのように考えているのか、伺います。
◎大友
学校教育部長 市立高等学校の校舎を活用した
特別支援教育の推進についてでございますが、学級数減によりまして余裕教室が生じたといたしましても、法令上、高等学校では特別な教育課程の編成が認められておらず、通常の学級と同じ教育をしなくてはならないという問題があるために、
特別支援学級を設置することは難しいというふうに認識しているところでございます。また、
特別支援学校の分校や分教室は物理的には併設可能と考えられますが、
特別支援学校の設置は基本的には都道府県の役割であるため、市内の
道立高等学校において取り組みが進められるよう、
北海道教育委員会に要望してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆小竹知子 委員 法令の問題とか、また、行政間の縦割りといったことを強く感じます。このことが簡単でないことは承知しておりますが、まず、本来あるべき姿、教育の理念というものを求めて、ぜひ、行政間の垣根を越えて連携をとっていただけたらと強く思います。道と市の重なり合う部分とか、また、財政上とか予算配分の問題など、さまざまな障壁があることは承知しておりますけれども、札幌市
教育振興基本計画にありますように、一人一人の多様なニーズに応じた教育の充実に向けて、法律の弾力的な運用や改善も含めて、本市において高等学校における
特別支援教育を推進していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆植松ひろこ 委員 私から、
電子書籍貸し出しサービスについてお伺いいたします。
ことし4月の中央図書館のリニューアルによりまして、
電子図書館コーナーが設置されました。私も、館内で電子書籍を閲覧して、紙の本とはまた違ったよさがあることを実感してまいりました。この電子書籍は、来週の10月27日からいよいよ貸し出しが開始される予定であるとお聞きしております。
我が会派では、電子書籍の貸し出しにつきまして、これまでにはない新しい
読書スタイルの提供であり、時代の流れに対応した動きであるとして大いに注目し、電子書籍のみならず、他のサービスや今後の図書館のあり方につきましては、佐賀県武雄市や東京都千代田区などの他都市の図書館の視察を行ったり、もちろん議会でも質問してまいりました。また、特に電子書籍の種類と数量の確保や利用者の持つ端末機器への対応などの課題につきましては、会派としても指摘してまいりましたが、27日の貸し出しを迎えるに当たりまして、
電子書籍貸し出しサービスの内容について、改めて、3点お伺いいたします。
1点目は電子書籍のジャンル及び冊数について、2点目は
貸し出し冊数及び期間並びに対応する機器などの利用条件について、3点目は電子書籍のシステムの概要について、あわせてお伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 電子書籍貸し出しサービスの内容についてでございます。
1点目の電子書籍のジャンル及び冊数については、小説や実用書、
デジタル絵本などの児童書のほか、札幌や北海道関連の書籍や雑誌、また、郷土史などの地域資料のほか、創刊号からの広報さっぽろなど幅広いジャンルとなってございます。冊数は、スタート時におよそ2,900タイトルを貸し出しできるよう準備しております。
次に、
貸し出し冊数及び期間並びに対応する機器などの利用条件についてでございます。
貸し出し冊数は3点、
貸し出し期間は7日間としてございます。図書の
貸し出し冊数が10点、貸出期間が14日であるのに比べ、電子書籍の
貸し出し冊数が少なく、
貸し出し期間が短いのは、提供できる電子書籍が約2,900タイトルと少ないことと、より多くの方に電子書籍を体験していただきたい、このように考えているからでございます。
次に、対応機種につきましては、
インターネットに接続したパソコン、タブレット、
スマートフォンから24時間、どこでも電子書籍を読むことができるようになっております。
次に、3点目の電子書籍の
システム概要についてでございます。
利用者は、
インターネット上の札幌市の
電子書籍専用ホームページにアクセスして、
貸し出し券番号とパスワードを入力してログインすることにより、電子書籍を検索して読みたい電子書籍を選択することができるようになっております。利用者は、パソコンなどにデータを保存するわけではなく、7日間に
限りシステムのサーバーにアクセスする権限を与えられ、その期間はいつでも電子書籍を読むことができるようになっております。返却については、7日間が経過するとサーバーへのアクセス権が自動的に失われることとなるため、この結果、返し忘れがなくなります。このようなシステムの概要になっております。
◆植松ひろこ 委員 パソコンやタブレットのみならず、
スマートフォンでも利用ができるということで利便性が非常に高く、今まで図書館の利用が余りなかった方々にも利用していただけるのではないかと考えておりますし、幅広いジャンルの電子書籍の
貸し出しサービスが開始されるものと期待しております。
しかしながら、ITを活用したサービスというものは、これまで使っていなかった方々にとりましては、使い方がわかりづらいなど、どうしても縁遠いサービスとして捉えられがちです。これまでも機会を捉えて電子書籍に親しんでもらえる取り組みを行ってきたことは承知しておりますが、
電子書籍貸し出しサービスの開始に当たりましても、いま一度、利用促進に向けた取り組みをさらに行っていく必要があると考えております。また、
貸し出しサービスの開始に当たりましても、より多くの方に利用してもらえるよう、
貸し出しサービスが開始されたことを周知していくことが必要と考えております。
そこで、このサービスの利用促進及びPRにつきましてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 電子書籍貸し出しサービスのPR及び利用促進につきましてお答えします。
まず、広報さっぽろ11月号の特集記事でお知らせするほか、
PR用チラシの配布や札幌市の
図書館ホームページでのお知らせ、また、中央図書館1階にございます
電子図書館コーナー「デジタル本の森」で、PR動画の放映などによりPRを行う予定でございます。また、電子書籍を体験する
市民向け講習会の実施を11月に4回予定しているほか、今後、定期的に講習会を開催することで利用促進を図ってまいりたいと考えております。
◆植松ひろこ 委員 ぜひとも、多くの方に身近なものとして利用していただけるように力を入れていただきたいと考えております。
電子書籍は、
インターネットとパソコンなどの機器があれば、図書館に来館せずとも自宅などで借りられ、対応しているものだと画面上で文字の拡大とか背景色の反転ができるなど、読み手の状況に合わせることができる、いわゆる
ユニバーサルデザインとしての利便性があるという点におきましても普及が望ましいと考えております。
中央図書館では、障がいがあったり高齢で図書館に来館することができない方へのサービスとして、1981年から郵便による貸し出しを行い、さらに、2009年からは宅配便を導入し、直接、自宅から返却できるサービスを行っております。このサービスの昨年度の登録者数は191人で、郵便と宅配を合わせた図書の
貸し出し冊数はCDなどの視聴覚資料も含めると7,269冊と、一定程度の利用があります。電子書籍は、図書館に来館することが難しい方々にとりましても利用しやすいものではないかと考えておりますし、電子書籍の導入により、一層このサービスを利用したいと考える人がふえるものと考えております。
そこで、今後、このサービスを利用している障がいのある方や高齢の方の利用にどのように結びつけていくのか、お伺いいたします。
また、1点目の質問の答弁の中で、幅広い分野、ジャンルで電子書籍を集めているということで、その中には
デジタル絵本も含まれているとの答弁がありました。私は、紙の絵本というのは、イラストだけではなく、文字の配置とか文字のイメージなど、そういった全ての点を含めて一種のアート作品のようなものであるとも言えると考えておりますし、子どもが大人と一緒に自分の指でページをめくりながら読むことで、身近な大人との触れ合いや子どもの感覚の発達に作用していく面もあると思いますので、
デジタル絵本におきましては、その魅力がなくなってしまうのではないかと考えておりました。しかし、実際に
デジタル絵本を読んでみますと、音声やアニメーションなど、紙の絵本にはない魅力が
デジタル絵本にはありますし、今後も、さらなる技術の発達やつくり手のアイデア次第では発展していく可能性があるものだと感じました。
そこで、今後の電子書籍の活用についてどのような事業展開を考えているのか、また、特に
デジタル絵本の活用についてはどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 今後の電子書籍の活用についてでございます。
障がいのある方や高齢の方々にどのように結びつけていくのかということでございますが、現在、図書館の
郵送サービスを利用している
身体障害者手帳4級以上をお持ちの方々や、足が不自由で図書館に来館できない高齢の方々へ、図書を郵送する際に電子書籍の利用案内を同封することなどにより、このサービスの周知を図っていく予定でございます。また、電子書籍には文字を大きくしたり色を反転させたりできる機能もありますので、大活字本、拡大写本を利用している高齢の方々や弱視の方々についても、同様に周知を図っていく予定でございます。
次に、電子書籍を活用した事業展開として考えていることでございますが、電子書籍化した副読本を授業で利用するなど学校教育での活用や、札幌市が作成した
各種行政資料やパンフレットなども電子書籍化して市民に提供することなどを検討していきたいと考えております。
また、
デジタル絵本の活用については、平成28年度に白石区複合庁舎に開設予定の(仮称)絵本図書館において、生まれた時代から
デジタル環境のもとにある、いわゆる
デジタルネーティブ世代の子ども向けに、紙の本ではできない音声や動きを入れた新しい表現を盛り込んだ
デジタル絵本の提供や、大型モニターに投影して数十人単位での読み聞かせを行うなどの事業展開を考えていきたいと考えております。
◆植松ひろこ 委員 今月27日に
貸し出し開始となるまでにさまざまな課題を乗り越えてきたということは、過去の我が会派の質疑からも明らかでありまして、その点に関しては評価をしております。
他都市の図書館を視察いたしましたが、
電子書籍サービス開始は全国で初めてではありませんけれども、他都市と比較いたしまして、今後、本市が電子書籍の
貸し出しサービスに力を入れて取り組もうとしていることは実感しております。ぜひとも、本市の
図書サービスの特徴の一つとなるよう、引き続き取り組みを行っていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、学校図書館の現状と学校司書の配置について質問いたします。
札幌市では、札幌らしい特色ある学校教育の中核をなす三つのテーマの一つに読書を掲げており、学校教育における取り組みとして、現在、ほとんどの小・中学校で朝読書が盛んに行われております。その効果は、全国学力・
学習状況調査の質問に対する回答にもあらわれ、読書が好きな子どもの割合は全国平均よりも高いと伺っております。読書活動が盛んに行われる中で、子どもの読書に対する興味・関心が高まり、生涯にわたる学びの基盤を醸成している状況は大変にすばらしいことだと思います。学校図書館については、自由な読書活動の場であるとともに、主体的な学びの場所として子どもたちの育ちを支える拠点であり、我が会派としても、情報面を含め、
学校教育活動全般において極めて重要な役割を担っていると捉えております。
そこで、質問ですが、昨今の学校図書館の充実を図る取り組みの状況とその成果について、改めてお伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 学校図書館の充実を図る取り組みの状況とその成果についてお答えいたします。
教育委員会では、学校図書館の計画的な利用を促進するための
学校図書館アドバイザーを年間約90校に派遣しております。この
学校図書館アドバイザーは、実際に学校図書館を視察し、その学校の司書教諭や
図書館担当者に対して、新刊図書の選定やその配置、
学習スペースのつくり方などについて助言しまして、各学校における図書館運営の充実に努めているところでございます。
また、子どもの読書活動を一層促進するために、全ての中学校と
学校図書館地域開放事業を行っていない小学校へ
学校図書館ボランティアを派遣し、週に1〜2回の頻度で、学校図書館での貸し出し、返却の業務や蔵書の修繕、小学校での本の読み聞かせなどに従事しているところでございます。このような取り組みによりまして、多くの学校では、学校図書館が子どもたちにとって利用しやすい読書や学習の場所となるなど、その成果があらわれてきているというふうに考えております。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁で、週1〜2回の
学校図書館ボランティア、また、年間90校にわたる
学校図書館アドバイザーなどの派遣により、学校図書館の整備が進み、子どもたちにとって魅力あふれる場所となってきているといったことを確認させていただきました。
私は、図書館には専門的な知識を有する学校司書が常駐し、子どもの興味・関心に応じて本を選ぶ手伝いをするなど、子どもからの質問や相談に対してきめ細やかに対応できる環境を早急に整える必要があると考えております。折しも、本年6月には
学校図書館法の一部を改正する法律が可決され、法的に学校司書という職が明記されるとともに、その設置については努力義務が位置づけられたところであります。札幌市においては、昨年度からモデル校として市内中学校1校に学校司書を配置し、
学校図書館機能の充実を目指していると伺っております。
そこで、再質問ですが、学校司書を配置しているモデル校でのこれまでの取り組みの成果と課題についてお伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 モデル校でのこれまでの取り組みの成果と課題についてでございます。
これまでの取り組みの成果といたしましては、生徒からは、自分の望む本のほかに関連図書まで紹介してくれる、また、本についてよく知っているので、わからないときに気軽に聞くことができるなどの声が上がっており、学校司書を配置する以前と比べ、
年間貸し出し冊数や
貸し出し人数が約1.5倍にまでふえたことなど、学校司書が常にいることによる効果が明らかになったところでございます。また、学校司書の専門性を生かし、積極的に図書に関する情報をお便りなどにまとめて発信することで、生徒の読書への興味・関心が一層高まっております。
今後の課題といたしましては、多くの教科におきまして学校司書と教員が共同して取り組む学校図書館を活用した授業などの研究を進めていくことを考えているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁で、モデル校においては、関連図書の紹介などもしていただけるということで、
年間貸し出し冊数、また
貸し出し人数が1.5倍になり、教育委員会としても、学校司書を配置することによる教育効果が大変大きいと認識されているものと思います。学校図書館が子どもの豊かな感性や情操を育む
読書センターとして、さらに、みずから学ぶ
学習情報センターとしての機能を充実させることができれば、より一層、子どもの健やかな成長にとって欠かすことのできない場となることから、その機能の充実のためにも学校司書の役割は極めて重要と考えます。
我が党では、本年7月に、新しい教育を実現するための
義務教育条件整備に向けての提言をまとめ、
下村文部科学大臣宛てに手交いたしました。その内容は、教員定数の確保や教員の資質向上など大きく7項目にわたり、その中で、特にチーム学校の実現を提唱しており、学校が、教職員のみならず、
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、IT支援員、学校司書等それぞれの分野で専門知識を持つ専門家とも積極的に連携し、チームを組んでさまざまな教育課題に対処することが重要であるとうたっております。
また、文部科学省では、学校司書の配置等に対する地方財政措置を平成24年度から28年度まで実施しており、札幌市においても、このような国からの支援を活用するべきと考えます。子どもたちの読書活動をより一層充実させ、教科の学習などにおける学校図書館の効果的な活用を推進していくためには、やはり、読書の魅力を伝え、本を使って調べ、学ぶことの楽しさを教える専門家、学校司書が必要であります。
そこで、質問ですが、学校司書の配置を含め、今後、学校図書館の機能をどのように充実させていくおつもりか、お伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 学校司書の配置を含めて、今後、学校図書館の機能をどのように充実させていくかということについてでございます。
今後も、さまざまな本との出会いにより、子どもの心を育てる
読書センターとしての機能と、課題解決に向けて図書館を活用して調べるなど、みずから学ぶ力を育てる
学習情報センターとしての機能の両面の充実を図っていくことが重要であると認識しております。そのため、モデル事業を継続し、学校司書を活用した教科等の学習の効果を広く検証するとともに、モデル校の学校司書による図書館の活性化に向けた情報発信や、学校図書館を活用した事業例などについて他校へ普及啓発するなどして、学校図書館の機能の充実を図りながら学校司書のあり方について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 この1年6カ月間のモデル校での実証結果からも、
読書センター、また
学習情報センターとしての機能が明確な効果としてあらわれているのだろうと思います。こうした効果からも、学校司書配置モデル校の継続と、さらなる拡充が必要であると強く感じます。既に、近隣市町村においては恵庭市が平成16年度から学校司書を配置し、また、他の多くの政令指定都市においても全ての小・中学校に学校司書を配置している状況にあります。加えて、今回の法律改正によって学校司書の配置が努力義務として位置づけられたことは大きな意味を持つものであり、我が党が主張しているチーム学校の実現につながるものと思います。ぜひとも、モデル校1校だけの学校司書の配置から、全市的な配置拡充を実現し、子どもの主体的な学びとしての
学校図書館機能を一層高めていただくことを強く要望させていただき、質問を終わります。
◆小形香織 委員 私は、ワークルール教育について質問したいと思います。
代表質問でも取り上げましたが、働く若者を苛酷な労働に追い立て、物のように使い捨てにするブラック企業が広がっている実態などを挙げながら、本市でも問題が起きている認識をお持ちですかとただしました。そして、学校においてワークルール教育を進めるべきだと求めております。そのときの答弁では、労働者が安心して働くことができない企業が存在していることは認識している、中学校や高等学校の授業で労働者の権利や労働基準法などについて学習しており、その中でいわゆるブラック企業等の問題について学習することは必要と認識しているとお答えになっております。
まず初めに、ブラック企業等の問題について学習することが必要だと認識しているというのは、どのような学習のことを指しているとお考えなのか、伺いたいと思います。
◎大友
学校教育部長 ブラック企業等の問題に関する学習については、いわゆるワークルール教育に関連して、職業の意義と役割や、雇用と労働をめぐる問題などの学習として中学校社会科及び高等学校公民科の学習指導要領に位置づけられているところでございます。各学校においては、社会科や公民科の授業に職業に関する学習を位置づけており、いわゆる労働三法や憲法における労働者の権利や義務について学ぶとともに、例えば、求人広告や主な国の労働時間のグラフなどの資料を用いて労働条件について考えたり、非正規雇用など新しい労働問題について新聞記事などを用いて調べたりする学習が行われているところでございます。
◆小形香織 委員 基本的な労働三法だとか労働者の権利と義務などの学習のほかに、求人広告の見方などというお答えでした。
幾つかの認知度調査を行っておりますので、そのことをちょっとご紹介したいと思います。
まず、一つは、2012年に沖縄県の労働局が行った沖縄県内の大学生を対象とするアンケート調査です。これによりますと、法定労働時間を正しく理解している大学生は全体の53.2%、割り増し賃金制度について知っていると回答した大学生は29.3%、それから、沖縄県の最低賃金を正しく知っている学生は42.4%でした。ほかに、2012年に連合総研が調査を行っています。契約社員やパートタイム労働者も有給休暇を取得できることを知っていたのは正社員の66%、非正社員の52%、それから、時間外割り増し賃金をもらえることを知っていたのは正社員の70%、非正社員の60%でした。これら二つの調査から言えることは、法定労働時間とか最低賃金、割り増し賃金、有給休暇取得などについて正しく理解していない学生や労働者は、調査にもよりますが、大体4割から5割いることがわかると思います。
さらに、厚生労働省も調査を行っています。2009年2月に厚生労働省が設置した今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会で報告書を出しましたが、この報告書の中で、現状認識として、労働者自身がみずからの権利を守っていく必要性が高まっている一方、必要な者に必要な法知識が行き渡っていない状況であると示しています。そして、学校や家庭、地域社会、企業などが連携してワークルール教育を推進していくべきという旨の詳細な報告書となっています。その中では、やはり、労働関係法制度をめぐる知識の理解状況は低い状況だと指摘されているのです。特に、学校の教育についてどうかというときに、労働関係法や、トラブルが起きた際の相談先に関する知識について、付与する機会が多くない、生徒や教員の属人的要素、つまり人的な属性に関する要素が影響するというふうに報告されております。
今、これら三つの報告結果などをご紹介しましたが、授業の中で労働三法などについて教えておられるということでしたけれども、こうした調査結果を含めて、認知度や理解度は決して高くないという実情をどのように受けとめておられるか、伺いたいと思います。
◎大友
学校教育部長 各団体の調査結果並びに厚生労働省の研究報告結果の受けとめについてでございますが、労働に関する国民の意識調査、また、厚生労働省の報告書等も踏まえながら、社会に出る前段階から学習指導要領に基づいて労働に関する学習を行うことが大切であるというふうに認識しているところでございます。
◆小形香織 委員 もう一つ、私は、そういう認識をされる現場の先生方が大変大事な役割を果たすと思っておりますので、教員自身がこうしたワークルールをしっかり教えていこうと思える、その入り口に立つ必要があるというふうに考えます。ですから、先生方はさまざまな研修を行っておられると思いますが、働くルールなどについて問題意識を持てるような教員研修を進めていく必要があるというふうに考えますけれども、この点はいかがか、伺いたいと思います。
それから、特に高等学校においては、先ほどは通常の公民の授業の中で教えているというふうにおっしゃっておりましたが、私は、あわせて総合学習などの授業も活用していくべきだというふうに思います。ただ、そういうときに、先生自身が大変忙しいという職場実態ですから、法違反労働などの具体的な実態を知る機会はなかなか得られないだろうと思います。そこで、そういうことを実践的に知っているような方々の協力ですね。もともと労働者と使用者では力の違いがありますので、1人の労働者が1人の使用者に対して物を言うのは大変勇気の要ることだと思うのですが、そういう中で、自分が権利を侵害されていることをどのようにして使用者に伝えるのか、それが解決されない場合にどのような権利を行使して解決していくのか、実際にどのように訴えてやっていくのか、こういうことは、労働組合に関係される方、あるいは、それらの問題を具体的に解決しておられる弁護士などがよくご存じだと思います。ですから、そういう実践をしておられる方々を招いて直接お話を聞けるような出前講座のような授業なども進めるべきだというふうに考えますが、この点はいかがか、伺いたいと思います。
◎大友
学校教育部長 まず、教員が問題意識を持てる研修についてでございますが、今後、教員がワークルールに関する課題に対して一層理解を深め、適切な指導が進められるよう、社会科を初め、キャリアガイダンスなど進路探究学習にかかわる研修の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
また、労働組合や労働関係の弁護士による授業についてでありますが、厚生労働省の報告書にもありますように、例えば高等学校において労働問題に関する授業を行う際に専門家と連携していくことは有効であると認識しているところでございます。
◆小形香織 委員 神奈川県立田奈高校で厚生労働省の基礎調査を実施する際に、公民の授業だけでなく、実際に総合的な学習の時間にキャリア教育を学習しましたが、教え方の工夫もあり、そうした授業をしている中で、自分自身が最低賃金以下で働いていることとか、あるいは、アルバイトでも労災の適用があるのだということを理解した生徒がいたそうですけれども、このように効果的な授業をどう進めるかという実践が始まっていると思います。
自分の持つ権利とは何なのか、そして、権利侵害がなされたときに、きちんとそれを解決していくための手だてを働く人たちが知らなければ、結局、泣き寝入りせざるを得なくなると思います。今後は、法に関する知識を深めること、権利意識を高めること、そして、権利を行使するために具体的な支援の仕組みや、それを実現する機構、手続、つまり労働組合をどうつくるかとか、あるいは労働基準局の活用の仕方、そして裁判所の利用の仕方など、実践的な能力が育まれるようなワークルール教育を進めていくように求めまして、質問を終わりたいと思います。
◆小倉菜穂子 委員 私からは、障がいのある子どもも、ない子どもも、ともに学ぶ教育の推進についてと、教育センターの相談体制について、二つのテーマで質問したいと思います。
まず、ともに学ぶ教育の推進についてですが、最初に、
インクルーシブ教育のシステム構築モデル事業に関して伺いたいと思います。
この間、障がい当事者、またご家族、支援者の方々による、障がいの有無にかかわらず、誰もがともに学ぶことが大切という長年にわたる運動とか、また、世界的な差別禁止にかかわる動きの中で、日本も国内法の整備に取り組んで本年1月には障害者権利条約に批准しています。いつも、こうしたテーマのときにはお話しさせていただきますが、2012年の中教審報告では、
インクルーシブ教育システムの構築を打ち出しておりまして、また、改正された障害者基本法や障害者差別解消法も、障がいがあってもなくても、ともに学ぶ環境の整備を進め、共生社会を実現することを求めています。
2014年度より実施している札幌市
教育振興基本計画にも、共生社会の形成に向け、
インクルーシブ教育システム構築に向けた取り組みを踏まえといった文言が盛り込まれ、2013年度から、障がいのある子どもと障がいのない子どもがともに学び、育つための実践研究である
インクルーシブ教育システム構築モデル事業を東区の小・中学校において実施しておりまして、今年度は2年目となります。来月には、東京都の校長会の視察があると聞いておりますし、これまでにも他自治体の議会などからの視察も相次いでいると聞いており、こうした事業への関心の高さがうかがわれると思っています。
そこで、質問ですが、
インクルーシブ教育システム構築モデル事業について、昨年度の実践からどのような成果や課題が見えてきているのか、伺います。
また、そうしたことを受けまして、今年度の取り組みはどのように行われているのか、あわせて伺います。
◎大友
学校教育部長 モデル事業の昨年度の取り組みの成果や課題と今年度の取り組みについてお答えいたします。
昨年度は、障がいがあり、人とのかかわりに課題がある子どもや、学習や生活上に困難なことがある子どもなどに対して、障がいのない子どもとともに学ぶために、その状況に応じて提供するいわゆる合理的配慮について、モデル校として小・中学校1校ずつを指定して実践研究を進めてきたところでございます。モデル事業におきましては、学校外の子どもの状況をよく知る施設関係者や学識経験者、また、親の会の役員などから成る運営協議会を設置しまして、具体的な合理的配慮の内容を検討してきたところでございます。成果といたしましては、授業の流れを視覚的に示して見通しを持たせるなどの授業の工夫や、子どもの年齢や発達の状況によって学びのサポーターを効果的に活用することなどが通常の学級で学ぶ上で重要であることが明らかになったところでございます。
しかし、事業の委託期間が約半年と短く、対象とした事例の数も少なかったことから、合理的配慮の内容や実践事例のさらなる蓄積が必要となっているところでございます。そのため、今年度につきましては、対象となる事例をふやすとともに、より専門的な助言を得ながら、一層効果的な合理的配慮についての検討を進めているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 おっしゃるとおり、昨年度は秋からの実施なので、私は、年間を通した行事への参加などはどんなふうかなと思っていました。ことしは期間も長くとれるのかなと思いますから、そのあたりはしっかり取り組んでいただきたいですし、授業の工夫とか学びのサポーターの方のお話もありましたので、ぜひ効果的な活用に着目しながらことしも取り組んでいただきたいと思っています。
そうした中、これは、昨年、全国で実施したモデル事業から寄せられた合理的配慮に関するものだと思いますが、今、こうしたことが合理的配慮に当たるということで文科省のホームページでの公開が始まっています。私もそれを見ましたが、個人が特定されるような書き方はもちろんありませんけれども、学校施設の整備とか教員の増員とか看護師の配置などが必要であると書かれておりまして、私は、これまで地域の学校へ通った当事者が求めていた事柄と変わらないなと思いながらホームページを見ました。これまで当事者が訴え続けても変わってこなかった事柄ですが、私は、こうした事柄を合理的配慮の事例として国が責任を持って再確認せざるを得なくなった状況だと受けとめております。そうした事例を全国の障がいのある子どもの学校生活に生かしていこうというのが国の考え方ですから、札幌市としても、そうしたことをぜひ有効に活用すべきと考えています。
しかし一方で、先ほども言いましたが、施設整備であるとか、人員の確保とか、財源の問題であるとか、一人一人が必要とする配慮はそれぞれ違うことから困惑する学校もあるのではないかなと思っています。そういう中で、札幌市のモデル事業に他の自治体の視察があるように、私は、市内の各学校も札幌市のモデル事業について関心を持ち、そこで得られた成果をどう生かしていけるのかと考えておられるのではないかと思っています。
そこで、札幌市としては、この間の取り組みを全市的にどのように生かしていこうと考え、進めておられるのか、お伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 この間の取り組みにつきまして、全市的にどのように生かして進めているかについてでございます。
教育委員会では、合理的配慮の考え方について、管理職や全ての学校に位置づけられている
特別支援教育コーディネーターを対象とした研修会等の機会を通して各学校への普及啓発に努めているところでございます。
本モデル事業は、文部科学省が学校内におけるさまざまな合理的配慮の実践事例について、その対象や内容等を取りまとめるために行っているものであり、昨年度は、全国で65地域を指定し、実施されたところでございます。その実践事例につきましては、現在、国がデータベース化し、ホームページに公開しており、教育委員会といたしましては、各学校に対し、自校にいる障がいのある子どもの状況に応じてそれを参考にするよう働きかけているところでございます。さらに、今後は、各学校を訪問している
特別支援教育巡回相談員が、それぞれの子どもに必要な合理的配慮の内容について、より実態に即した助言を教職員に行っていくなど、可能な限り障がいのある子どもとない子どもがともに学ぶことができる体制づくりを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 合理的配慮につきまして周知を進めていくということでありました。そのお話の中でも、文科省の示している合理的配慮事例がありまして、それを参考にしていくようにということでした。
ホームページにアップされているものは割と大ざっぱにまとめてあるので、教育の現場におられる方はもっと詳細なものが手に入るのかと私は思うのですけれども、先ほど申し上げたみたいに、なかなかお金もかかるような事柄も事例としてたくさん上がっています。全国でモデル事業を実施して、その結果を例示したけれども、この事例を見て、私は、人の確保とか財源が厳しいのでどれも難しいということであってはならないというふうにとても感じました。国が実施したモデル事業によって、障がいのある子どもが地域の学校で学ぶために必要な配慮がさらに明らかになってくるわけですから、その実現に向けて責任を持って取り組むべきというふうに考えます。札幌市としても、これからますます取り組みを充実させていっていただきたいと思いますが、
インクルーシブ教育にかかわる財源の確保には力を入れていただきたいですし、国に対しても、
インクルーシブ教育推進にかかわる財源措置について積極的に求めていただきたいということを申し上げます。
次に、もう一つ、地域学習の取り組みについて伺いたいと思います。
インクルーシブ教育推進の取り組みとともに、札幌市
教育振興基本計画には、
インクルーシブ教育システム構築に向けた取り組みを踏まえつつ、一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援を行う
特別支援教育を推進することが求められるとしております。障害者基本法の第16条第3項では、
特別支援学校、学級で交流教室を推進し、相互理解を促進することを求めております。札幌市では、2003年度より、
特別支援学校で学ぶ子どもが居住している地域の小・中学校における活動を支えることで、地域の子どもたちとの交流を図る地域学習に取り組んできているところです。
そこで、2003年ですから大分時間がたっておりますが、これまで、また、現在の地域学習の現状はどのようになっているのか、成果と課題についてもあわせてお伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 地域学習の現状及び成果と課題についてお答えいたします。
地域学習は、
特別支援学校で学んでいる子どもたちの居住する地域での学習を支援する取り組みであり、保護者の希望のもと、地域の小・中学校を地域学習校として指定しております。現在、
特別支援学校に在籍する児童生徒の25.4%に当たる172名が地域学習に参加しているところでございます。
特別支援学校の児童生徒が地域学習校における学習等へ参加することにより、日常生活の場面でも子どもたちから声をかけられるようになるなど、地域とのかかわりが深まっているところでございます。また、地域学習校からは、子どもたちが触れ合いを通じて障がいのある子どもたちの存在を身近に感じ、相手を思いやる心が育ったなどの声が寄せられております。
今後、もっと多くの子どもたちが地域学習に参加することや、
特別支援学校と地域学習校、保護者とのより一層の連携協力により、取り組みの充実を図ることが必要であるというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 25.4%のお子さんが参加しているということでした。保護者の希望ということもありましたので、いろいろ事情があることについては丁寧に考えなければいけませんが、私としてはもっと進んでいるのかなというふうに思っていましたので、ぜひ、ご理解いただきながら取り組んでいっていただきたいなと思っています。現在、障がいのあるお子さんを含めて、全ての子どもが地域の学校で学ぶといったシステムにはありません。また、
特別支援学校が誰にとっても身近な場所に設置されているという現状でもない中、
特別支援学校で学ぶことを選択した子どもたちが居住している地域の子どもたちと交流を深める機会をつくることは、私は大変重要だと思っています。これまでも、
特別支援学校を卒業すると地域には友達がいなかったという当事者のお話を伺ったこともありまして、地域学習を積極的に展開していただきたいと思います。
そこで、今後、地域学習の充実に向けてどのように取り組みを進めていくおつもりか、お伺いいたします。
◎大友
学校教育部長 今後の取り組みについてでございますが、子どもたちが積極的に地域学習に参加するためには、一人一人の障がいの特性などに応じた配慮が必要と考えております。このため、今年度から、
北海道教育委員会と連携して地域学習推進会議を開催し、各学校における実践事例の発表や具体的な取り組みの情報交換などを行うこととしたところでございます。また、地域学習に参加していない子どもの保護者に対しまして、各学校における説明会等において地域学習の趣旨などについての理解、啓発を図り、参加を促してまいりたいというふうに考えております。
◆小倉菜穂子 委員 ことし、
北海道教育委員会と地域学習推進会議を持たれるということで、期待したいと思っています。参加していない方への説明については、ぜひ丁寧にしていただきたいです。冒頭に申し上げたように、2003年からの取り組みということで、時間をかけてもなかなか進むものでもないのだなと改めて思いましたので、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
繰り返しになりますが、
特別支援学校に通う子どもたちが地域で子ども同士での交流を進めていくことは、お互いに大切な経験を重ねることにつながるものと思いますので、しっかりとした取り組み、そして、双方の学校の理解や協力がなければ、そして、保護者、当事者の考えるところが大事だと思いますので、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思いますし、私も、今後その進捗を注視していきたいと思っています。
こちらのテーマについて、要望を二つほど言わせていただきます。
国や札幌市が進める
インクルーシブ教育構築に向けて、そして、
特別支援教育の推進という考え方は、インクルーシブと言うとみんな同じ学校でというふうに思いますし、
特別支援教育と言うと学校や教室が分かれた中ということで、なかなか理解しづらいことではないかなと思っています。私は、今後、
インクルーシブ教育システム構築モデル事業にかかわった方々や、また、これまで地域の学校を選択されてきた方々、また保護者、そして
特別支援学級や
特別支援学校を選択した方々の参加のもと、札幌の
インクルーシブ教育の方向性についてともに検討し、率直な意見を言えるような場の設置が必要というふうに考えていますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
そしてまた、子どもへの支援ではないのですが、障がいのある保護者が、子どもが学校から持ち帰るお便りの内容がわかりづらく、困難があるということを伺っています。障害者基本法、障害者差別解消法は、情報共有のあり方について規定しております。とりわけ子育て中の保護者にとって、学校などからのお便り、情報というのは大変重要です。法の趣旨を積極的に受けとめて、子どもはもとより、保護者にもわかりやすい情報提供をお願いし、この2点を要望してこちらの質問を終わります。
もう一つの質問ですが、教育センターの相談体制について、簡潔に進めたいと思います。
誰にとっても、生活にかかわる心配事を安心して相談できる環境が整っていることは大変重要です。また、とりわけ子どものことにかかわる相談については、なおさらだと思います。子どもの成長・発達に関すること、しつけ、不登校の状態にある子どものこと、また、発達障がいの理解や対応の仕方などについて悩む当事者や保護者も多くなっていると思っています。
西区宮の沢にある教育センターには、2001年より教育相談の窓口が設置されており、特別支援に関する相談や幼児教育相談、不登校を含めたその他の教育相談など、幼児期から就学後までの子どものさまざまな相談に対応しています。開設当時、私の友人は、お子さんの学習障がいについて、周りに理解してくれる人がいないと悩んでいたのですが、子どもの発達障がいについて相談できる場ができたと大変うれしそうに話してくれたことを覚えております。開設より既に10年以上経過しておりまして、この間、社会状況も、子どものかかわる環境も変化していることなどから、現在の相談の状況について気になっているところです。
そこで、質問ですが、教育センターにおけるそれぞれの相談について、昨年度までの相談件数の推移や、また、その大まかな内容についてお伺いいたします。
◎松田 児童生徒担当部長 教育センターの昨年度までの相談件数の推移と内容についてお答えいたします。
教育センターでは、平成12年の開設以来、相談件数が増加傾向にございます。平成13年度の相談件数と平成25年度の相談件数を比較いたしますと、
特別支援教育相談は2倍の2,154件に、幼児教育相談は6.8倍の1,284件に、不登校を含めたその他の教育相談件数はおよそ1.2倍の2,330件となっております。特に、
特別支援教育相談と幼児教育相談が大幅に増加しているところでございます。
相談内容につきましては、平成25年度の
特別支援教育相談及び幼児教育相談では、集団生活になじめない、自分の気持ちをうまく表現できず、友達とトラブルになるなどの発達障がいにかかわる相談が最も多く、就学後の相談では8割の1,770件、就学前の相談では7割の881件となっております。その他の相談では、不登校相談が最も多く、およそ8割の1,983件となっているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 今、数字を示していただきましたが、特別支援に関する相談や幼児教育相談など、幼児教育は約7倍というお話もありまして、相談件数が大幅に増加してきています。また、最初に私の友人のお話をしましたが、発達障がいについては、この間、自治体としても早期発見に力を入れて取り組まれて、そこが重視されていることもあると思いますけれども、どちらの相談においても発達障がいに関する相談が多いことがよくわかりました。
そこで、年々、それだけ急増している
特別支援教育、幼児教育の相談にどんなふうに対応しているのか、そして、その課題はどんなところにあるのか、お伺いしたいと思います。
◎松田 児童生徒担当部長
特別支援教育相談及び幼児教育相談の増加にどのように対応しているのか、課題はどのようなことかについてお答えいたします。
就学後の教育相談では、相談時間を見直し、相談枠をふやす工夫をしております。また、就学前の教育相談では、平成23年度より、各区の市立幼稚園での地域教育相談を開始し、相談場所をふやしております。しかしながら、相談件数が増加しているため、申し込みから実施までの待ち期間は、ここ数年、平均して30日から40日になっており、待ち期間が長いことが課題であると考えております。
◆小倉菜穂子 委員 相談枠や相談時間を見直すことなどはもちろんされているだろうと思っていましたが、平成23年度からは市立幼稚園でということで場所をふやし、身近なところで相談できるなど、そういった工夫を重ねてきていることはわかりました。また、発達障がいのお子さんの場合は、早期発見に加えて、その後もしっかりと継続して支援していく、何度も相談に乗ることもあるのかなというふうに思っています。
そういう中での課題として、30日から40日くらいの待ち期間があることを伺いました。ここ数年というお話で、突然、30日から40日になったのではないと思ったのですが、平均ということですので、当然、それ以上待たれている方もいらっしゃると思います。一日一日、子どもは成長していきますし、大変大事な時期だというふうに思っています。また、思い切って電話相談された保護者の方もいらっしゃると思います。私は、こういう方が相談してまず最初にこうした長い待ち期間状況に出くわすと、この先のことがますます不安になってくるだろうと思います。電話をしたその日にすぐ相談できるというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、私が考えると、心配事を抱える保護者としては、来週のどこかには相談予約をできるかなといったくらいが待っていられる時間ではないかなと思います。
そこで、質問ですが、こうした状況の改善に向けて、早急に体制を充実させることが重要だと思うのですけれども、今後はどのように取り組もうと考えておられるのか、お伺いいたします。
◎松田 児童生徒担当部長 教育相談体制の充実に向けた今後の取り組みについてでございますが、今後につきまして、相談員や相談場所を拡充するなど、待ち期間を短縮し、継続的な相談が実施できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。また、就学前の教育相談では身近で気軽な相談ができるよう、市立幼稚園の子育て広場において環境の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆小倉菜穂子 委員 待ち期間を短縮していただくための取り組みは、しっかり進めていただきたいと思います。財源的にはどちらを向いてもいろいろなことで本当に厳しい状況ですけれども、やっぱり、少しでも早く相談できることで幼稚園や学校などとの連携もスムーズになりますし、保護者の不安が軽減されることで保護者の子どもへの接し方も変わってくるなど、私は、早く相談できることの効果はとても大きいと思っています。子どもにかかわる相談を1カ月以上も待たせるような状況であってはならないというのは皆さんも同じように考えておられると思いますので、早急に対策を講じていただきたいと思っています。
最後に、要望です。
まず、私は、相談員や相談場所をふやす、そして、待ち時間を少なくすることを第一に急ぐべきだと思っていますが、加えて、相談者の満足度が高まるように、とりわけ発達障がいに関する相談が多いことは明らかですので、相談を受ける方々の専門性や資質のさらなる向上、そして、学校を初めとする関係機関との連携についても検討していただきたいと思います。また、幼児教育に関しては、この10月から各区において5歳児健診が始まっていますので、今後はその取り組みとの連携も積極的に進めていただきたいと思います。
この点を要望として申し上げまして、私の質問を終わります。
◆堀川素人 委員 僕のほうからは、一つは食物アレルギー、もう一つは、ことし、南区で発生した子どもの自死事件、大きく分けてこの二つについて質問させていただきます。
まず、一つは、アレルギーを引き起こすアレルゲン物質ですが、たくさんあろうかと思いますけれども、どういうものにアレルゲンがあってアレルギーを引き起こすのか、主なものについてお聞きしたいと思います。
そしてまた、どういうアレルゲンに対してどのぐらいの子どもがアレルギー症状を起こすのか、その割合を知りたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいまのご質問は、アレルギーの原因になる主な食品ということでございますが、複数回答ですので重複がございますけれども、多い順番に申しますと、卵、魚卵、乳、エビ、エビ・カニを除く魚介、カニ、小麦、それから果物類です。果物類は一緒になっておりますので数としては非常に多いですが、個々の果物の詳細な分類については、今、手元にございません。
割合については、小学生の部分だけで申しますと、卵は31.5%、魚卵は12.3%、乳は11.6%、これ以外は10%以下でございます。
それから、このうち、どのくらいが実際にアレルギーを引き起こすかとなりますと、私どもではそこまでの統計をとっておりませんので、ご報告できるような数字はございません。
◆堀川素人 委員 乳製品については、給食などではアレルギー反応を引き起こす子どもが大変多いと言われてきましたが、ことしになって大変大きな変化があったと聞いておりますので、どういう変化があって、その結果はどうなっているのか、お聞きしたい。
◎大古 学校施設担当部長 乳製品につきましては、食物アレルギーのある児童生徒も共通して食べられる献立をふやすということで、ことしの6月から、提供可能なカレーライスなど29品目の料理を選定しておりまして、調理方法等の検討を行うために試行実施を進めております。これにつきましては、今年度中に試行結果をまとめ、順次、本格実施に移していきたいというふうに考えております。
今、これらは実施途中でございますが、学校のほうからは、今まで乳製品のアレルギーのために一緒に食べられなかったお子様から好評をいただいているという報告をいただいております。
◆堀川素人 委員 乳製品については、全部ではないですが、除去食を中心に対応していたものが共通食になって、子ども方にとっては、みんなと一緒に食事ができてすごくうれしいと喜んでいる、また、父母も、大変負担が少なくなり、安心して子どもを学校に通わせることができるようになった、そういう声が僕のほうにも届いておりまして、とても評判がよくなった、うれしいことだと思っております。これは、僕が去年の代表質問の中で取り上げたことで、早速、そのことに努力していただいて、大変ありがたいなと思っています。
次に、卵製品ですが、30%を超える子どもが何らかのアレルギー症状を呈する、先ほどこういうふうにおっしゃいましたが、これについては、今後どういう形で給食を賄っていくのか、基本的な考えをお示し願えればと思います。
◎大古 学校施設担当部長 卵製品ということに限った話ではないですが、アレルギーについては多種多様でございまして、全てに対応することはちょっと困難だろうなというふうに思っております。しかし、今後も、学校給食における食物アレルギーへの対応は充実を図ってまいらなければなりませんので、献立に使用している食材についてさらに精査して、料理本来の食材や栄養素、栄養価などに配慮しつつ、共通で食べられる献立をふやしていきたいと考えているところでございます。
◆堀川素人 委員 乳製品も、教育委員会のほうで初めはどう言っていたかというと、乳製品を除いたらとても料理にならないとか、提供側では何とかおいしいものを食べさせてあげたいと考えているから共通食にするのは極めて難しいという話でした。でも、文科省などの指導を見ますと、共通食で安全なものをできるだけ提供しなさいという方針があって、乳製品については努力をされました。今も100%の乳製品が共通食にならないことは僕も理解しておりますが、卵製品については、今までのものを慣習的にやっていこうとしているだけで、まだまだ努力が足りない。乳製品が変わったのは、やはり何とかしなければという努力があって変えることができた。そして、安全ですから、子どもはもちろん、親にも評判がいい。
しかし、卵については、いまだにアレルギー反応を示す子が30%もいるとわかっていながら、共通の給食について少し努力が足りないのではないか、こう思っております。今までの慣例からいったらできないと言ったほうが楽なのでしょう。でも、楽なことだけ考えていたら、子ども方にとっては逆に不安が増していきますし、親もそうです。卵製品がそういう状況にあるとするならば、この際、ぜひ、卵製品も共通食を真剣に検討していただきたい。前に言ったことがことしの6月から試行されて評判がいいわけですから、今の卵の問題も、近々、変化が起きると期待しておりますので、ぜひともその期待に沿うような努力をしていただきたいということを申し上げて、この問題については終わります。
次に、南区で起きた子どもの自殺の件であります。
この事件については、起きたときに、町田教育長名で4月中に報告書を出したい、こう言っておりますが、いまだに報告書が出ていません。なぜこの報告書が出ないかといえば、学校が彼の死に深くかかわった、僕の調査ではそういうふうになっておりまして、教育委員会とすれば極めて発表しづらい問題だろうなと。学校と教育委員会は、やはり、切っても切れない関係で存在しているわけですから、自分たちの集団の中から責任を追及されるような声が上がった場合に、その報告書は極めて出づらい、まず、前提としてそういうことがあろうかと思うのです。
もう一つは、このいじめというのは、学校側がかかわった。いじめというのは、同級生とかその周辺で起こって、教育委員会なり学校なりはどちらかといったらかかわりが少ない。責任の部分でも少ない。だから、調べやすい。でも、今はそれでさえ大変陰湿な事件がたくさんありますから、第三者機関等をもってこれについて調査する、こういうふうになっております。そういう中で、もし学校が深くかかわっていた場合に、客観的な調査体制があるのか、ないのか、あるとしたら、それはどんな調査体制になっているのか、そのことについてお聞きします。
◎西村 教育次長 南区の小学生がお亡くなりになりましたことについて、私のほうから回答させていただきたいと思います。
札幌市の教育委員会では、児童のとうとい命が失われたことを大変重く受けとめております。お亡くなりになった数日後に、直接、ご両親にお会いし、依頼のあったことについて、教育委員会が主体となり、児童、保護者、教職員に対して聞き取りなどの調査を実施して、過日、ご両親に一旦の報告書をお渡ししたところでございます。
その報告書につきましては、現在、ご遺族から幾つかの質問をいただいているところでございます。この間、約7カ月が経過しておりますけれども、ご遺族のご意向を踏まえながら、また、子どもの心に十分留意しながら、教育委員会が主体となり、弁護士の方、あるいは子どもの心の専門家の方、そういった方々のご協力を得ながら丁寧に調査してきたところでございます。
現在、ご遺族から幾つかの質問をいただいているところでございますので、これにつきましても、今後、ご遺族との間で十分な話をしてまいりたいというふうに思っております。また一方で、当該小学校の保護者に対しまして、保護者及びお子さんからいろいろな聞き取りを実施しておりますので、当該小学校の保護者に対しまして間もなく説明会を開催し、調査の概要や教育指導上の課題等について教育委員会のほうから説明する予定でございます。
ご遺族の意向もございますけれども、保護者の説明会を経た後、今後の教育委員会の学校への指導も含めまして、学校への指導の状況、あるいは、その結果も含めて、何らかの形でご報告させていただく方向で現在考えているところでございます。調査の方法及び現在の状況、今後の見通しについて、私のほうから答弁させていただきました。
◆堀川素人 委員 今、学校の保護者ということで、あすだったと思いますが、報告が行われます。ただ、それも既に何カ月もたっての話です。先ほど言いましたように、4月に報告書が出るということから見ましたら、極めておくれております。亡くなった日は3月12日なのですね。それで、4月になると新しい学年にそれぞれ進級しますが、その1年上の子ども方は何のケアもされずに中学校に行っているわけですよ。
それから、子ども方は、そのクラス一つしかないですから、今、そのクラスで、何の説明もないのです。子ども方に言わせるならば、信じられない、学校の先生は何を考えているのだろうと。先生方は、子どもに何の説明もしないで、ある意味では淡々と授業している。あの死は何だったのか。子どもにとっては拭い切れない不信の中で授業が繰り返されて行われてきたということですよ。そのことについて、大分深くかかわったのではないかと思われる先生は、そういう認識をしているから、子ども方が私を信用してくれていないと。一番先に原案としてできた報告書は6月ぐらいだと聞いておりますけれども、そのときから既にそういう状態ですよ。それから何カ月たっていますか。
親も、このことについては全く横に置かれていました。今、こんな状態で過ぎていて、子ども方は多感な時期で成長するときに、まずは、事実関係はどこまで明らかにできるか、明らかになっていないならばなっていなくても、子ども方に寄り添う気持ちがなくて、今、時間が半年も済んでいる。僕は極めて異常な状態だ、こう思います。
教育長は、前に、自殺の件で、大変残念だという気持ちをここでもって吐露されて、僕も、そのとおりだ、そう考えてくれているのだな、ありがたいことだ、今後こういうことを繰り返してはならぬ、こういうふうに思って聞いていたやさきですよ。しかも、それは、親から、すぐ僕のところに、学校が深くかかわっている、この原因はどこにあるかという中で、たくさんの声が聞こえてきました。僕は、教育委員会にも、すぐにそれをきちっと調べなければだめだよと。それから、僕は、その話を聞いて、学校にもすぐ行きました。学校はどういう状態だったかといったら、先生方に話を聞きました、聞いた人は誰なのだ、校長と教頭です、校長、教頭は誰に聞いたのだ、いや、まだ調べていませんと。本人ですからね。それで、僕が教育委員会のほうに連絡をして、きちっと体制を整えて、学校自体に、それから、校長、教頭という学校の責任者にもきちっと聞かなければならぬ、これは、どうも学校全体の問題としてありそうだよ、こういう話もしたのです。
それから、1回目の調査をした。2回目はもう少し丁寧にやった。でも、あれが丁寧なやり方だとは僕は思わないのですよ。今、教育長もいる。教育委員長もいる。僕は、報告書は報告書でもって上げてもらいたい。あの報告書では全く真実に近づこうとする態度ではない、こう思いますので、ぜひともしっかり腰を据えてこの調査をしていただきたい。そうでなければ、彼の死は報われませんよ。彼の死は報われませんよ。そうするならば、ぜひとも僕が教育委員長、教育長にお願いしたいのは、もう一度、しっかりした調査をやっていただきたい。父兄に資料も与えないで、言葉は悪いけれども、自分方の責任逃れするような説明会を開いても何もならぬ、こう思っております。
僕も、もちろん調査をしています。僕がその報告書もらったのは3日ぐらい前です。今、事実と突き合わせをしようと思っているけれども、一定の時間がなければ難しいなと思うぐらいのものです。知らない人は、死んだということに関心があっても、事実関係について関心がなかったら、あれはさっと流されて終わってしまいますよ。こうだと僕は思っているので、町田教育長、この件について教育委員会としてどう取り組むおつもりなのか、お聞かせ願いたい。
◎町田 教育長 今いろいろご質問がございました。今後、教育委員会として、いろいろ聞き取りをさせていただいた子どもたちの保護者の皆様に対する保護者説明会を経た上で、その後、その報告書に基づきまして、当該学校への指導も含めて対応し、その上で、後日、改めまして議会にきちんとご報告をさせていただきたいと思っているところでございます。
今回の調査は、ご遺族のご意向によりまして、主に学校生活、それから教職員の指導の状況について調査を行っているところでございます。自死により子どもさんが亡くなった原因を直接特定することはなかなか難しい状況ではございます。ただし、この調査を通して学校の教育指導上の不十分さが明らかとなってきておりまして、今後、その改善に向け、学校を指導してまいりたいと考えているところでございます。
学校がかかわっているから調査報告書がおくれているということでは全くございません。子どもたちに寄り添うというか、ご遺族、ご両親のお気持ちを酌み取るところでちょっと丁寧な形で進めさせていただき、少し時間がかかっております。半年の時間がかかったことに関してはまことに申しわけないと思いますが、後日、改めて議会にもご報告させていただきたいと思っています。
◆堀川素人 委員 僕のほうの調査と今回の報告書の事実関係を突き合わせる、それからまた、僕は、再度、子ども方からも事情を聞き、また父兄からも聞いて、できるだけ正確なものにしたい、こう努力をしたいと思っております。
今回、二つの件があります。一つは、なぜ子どもがみずから命を奪うようなことになったのか、もう一つは、そういう事件があったら、子ども方の心には拭い去れないだけの傷を負わせられるのです。そのケアがしっかりとなされていない。このことに対しては、僕はもう本当に満身の怒りを込めてあなた方に言いたいですね。しっかりしてくれやと。僕が2日前に祖父に会った中では、今、隠すものは何もない、この事実を明らかにしてほしいのだ、そうじゃなければ孫が浮かばれない、教育委員会としてさらけ出してくれたらありがたかったけれども、一定の限界があるのだろう、でも、それで自分たちは満足するわけにはいかないし、亡くなった子どもはなお満足しないだろう、こういう気持ちで人間の力として可能な限り真実に近づけた、そういう認識が自分たちにできるまで闘ってまいりたい、こういう話をしていたことをつけ加えて、僕の質問を終わります。
◆阿部ひであき 委員 私からは、1点目は校内放送卓のデジタル化について、2点目は進路探究学習、いわゆるキャリア学習について、2項目質問いたします。
まず、校内放送卓のデジタル化についてであります。
平成26年第1回定例市議会の予算特別委員会において、我が会派の北村委員より、校内放送設備のデジタル化の整備状況について質問したところ、そのときの答弁では、平成25年度は1校で整備し、平成26年度は11校で整備を行う予定であるということでした。現在、デジタル化の整備を終えた小・中学校は15校であり、残り284校の放送設備はアナログ対応のままであり、画像が粗かったり老朽化によって故障するなど、満足がいく放送を行えない学校もあるように聞こえているところであります。
校内放送は、授業や学校行事のほか、災害時を想定した避難行動訓練等の防災教育、さらには、子どもたちによる自主放送など、さまざまな活用が行われていると聞いております。子どもたちがみずから機器に触れて、そして校内放送を行うことは、専門知識の吸収や得意分野の発見、さらには将来選択といったものにも影響を及ぼすなど、教育活動に非常に有益なことであると考えております。そのため、学校における校内放送設備の維持、必要な更新を行うことは非常に重要なことであります。
そこで、質問でありますけれども、学校の校内放送のあり方と意義について、教育委員会はどのように考えているのか、まず、伺いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいま、校内放送のあり方と意義ということでご質問がございましたので、私からお答えさせていただきます。
校内放送は、始業、終業のチャイムによる時報の放送のほか、避難訓練、地震などの災害時の緊急放送にも使われております。これらの従来の使われ方に加え、近年では、DVDなどの映像教材を使った授業や学校行事の中継、新任職員や部活の紹介、児童生徒による自主放送など、その活用は広がりを見せてきているところでございます。このように、学校放送、校内放送は、学校での教育活動においてなくてはならないものとして、年々、その意義が高まっているものと認識しているところでございます。その重要性に鑑みまして、今後においても、教職員や子どもたちが校内放送を十分活用できるよう設備を維持し、必要な機器の更新を行っていく考えでございます。
◆阿部ひであき 委員 そうしたさまざまな広がりを見せながら、教育活動になくてはならないものと理解している、さらには、校内放送の重要性について強く認識していると確認したところであります。
一方で、現在、一般的に発売されているテレビは、アナログ信号では対応できず、デジタル信号しか受信できません。今、各学校に配備されているデジタルテレビというのは、アナログ信号でも受信できるようになっていて、両方を使えるような形になっておりますけれども、今後、これらのテレビが更新を迎えたときに放送卓がアナログ信号対応のままであったら、教育委員会が重要と認識している校内放送が全く行えない事態となってしまうところであります。
そこで、再質問でありますけれども、1点目として、今後のテレビ更新に係る校内放送卓のデジタル化についての考え方を伺います。
また、2点目として、予算額も含めた今後のデジタル化への更新計画について伺います。
◎大古 学校施設担当部長 校内放送卓のデジタル化についてでございます。
各教室などにあるテレビについては、国の補助金により、平成21年度に全校一斉に配備されたものでございます。普通のテレビでございますので、耐用年数はおおむね10年から15年ぐらいではないかと考えているところでございます。このテレビは、今、委員からお話がありましたとおり、放送卓から信号を受け取りますが、アナログ放送機器のままだと校内放送を行えない事態になってしまいますので、今後のテレビ更新を見据えて、計画的、積極的にデジタル化を進めていく必要があると考えております。
デジタル化へ向けての更新計画については、平成26年度は1校当たり800万円、11校分で8,800万円の予算額となっております。27年度以降も、できるだけ多数の学校を更新していきたいと考えているところでございます。
デジタル化を進めるに当たりましては、現行放送卓をデジタル化したものとして、同軸ケーブル方式というものと、一方で、パソコンサーバーによって映像配信を行ういわゆるVOD方式と大きく二つの方法がございます。同軸ケーブル方式におきましては、設置費用が高いけれども、耐用年数が長いという利点があり、VOD方式は、前者に比べて費用は安いですが、耐用年数が短いという特徴がございます。これらは、設置費用や耐用年数、また、使い勝手などもかなり違った方式ですから、メリット・デメリットをよく検討いたしまして、また、全校をデジタル化した後の維持・更新に係る費用も含めて、学校にとって最善の方法で更新できるように計画を検討してまいりたいというふうに考えております。
◆阿部ひであき 委員 校内放送の重要性を認識しながら、従来のアナログ対応からデジタル対応に移行するのに、今年度は1校当たり800万円、11校で8,800万円ということであります。しかし、現状では、まだアナログ対応のまま残されている小・中学校が284校と全体の94%にも及んでいる状況ですので、このまま行けば校内放送をできない学校が出てくる可能性が非常に高くなっております。そうしたことでは、この整備というのは急がなければなりませんし、さらには計画的に進めなければならないと改めて指摘するものであります。
確かに、費用が非常に高い同軸ケーブル方式は、15年ぐらいの耐用年数があるのではないかと思いますが、もう一つのVOD方式であれば、初期投資は3分の1で済みますけれども、耐用年数は5年ぐらいなのかなと思います。全てを同軸ケーブル方式でやるとすれば相当な予算を必要とするのも確かですから、しっかりとした整備計画を立てながら、そういったところを織りまぜて柔軟に対応していただかなければならないということをあえて指摘申し上げて、1点目の質問を終わります。
続いて、進路探究学習、いわゆるキャリア教育について質問します。
キャリア教育とは、一人一人の社会的、職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育でありまして、本市では進路探究学習と位置づけているところであります。私は、子どもたちが早い段階で職業体験等の社会経験をより多く経験していくことで、働くことの大切さ、あるいは大変さ、そしてとうとさ、そういったものについて子どもたちに実感を伴って理解させたり、本当にこんな大変な思いをして働いているのだなと親に対する感謝の気持ちを育んだりすることにつながると考え、キャリア教育は今後の教育にとって極めて重要な取り組みであると考えるところであります。
ところで、平成25年度に実施された全国学力・
学習状況調査の児童生徒質問紙調査によると、将来の夢や目標を持っていますかという設問に対して、当てはまると回答した本市の子どもの割合が小学校6年生で約70%であったのに対し、中学校3年生では46%にとどまっていて、成長段階に伴って低くなっていく実態が明らかになったところであります。私は、こうした背景には、子どもたちがなかなか自分に自信を持てず、そして、将来に向けての夢や希望を持ちづらい環境が関係していると考えており、憂慮するとともに、改めて、キャリア教育、進路探究学習の重要性を痛感しているところであります。
進路探究学習については、このたび策定された札幌市
教育振興基本計画において重要項目の一つに上げ、自分らしい生き方を実現するための進路探究学習の充実を目指した施策が示されております。
そこで、質問ですが、現在、教育委員会が進めている進路探究学習の取り組みの現状とその成果について伺います。
◎大友
学校教育部長 現在、教育委員会が進めております進路探究学習の取り組みの現状とその成果についてお答え申し上げます。
札幌市では、狭い意味での進学指導や職業教育の概念とは異なり、主体的に自己の進路を選択できる能力を高め、将来、社会的、職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら自分らしい生き方を実現するための資質や能力を育む進路探究学習を進めているところでございます。例えば、中学校におきましては、教育委員会が企画した進路探究学習オリエンテーリングを市内専修学校等の協力を得て実施しております。今年度は、約750名の中学1年生が参加して調理師や保育士などの体験を行いました。成果といたしましては、難しかったけれども、できるようになってうれしかったなど、参加生徒が職業体験での満足感を語っており、将来の生き方や進路について考えるきっかけになっているというふうに考えております。
また、市立高校におきましては、教育委員会が校長会とともに進路探究セミナーを実施しております。長らく講師を務めていただきました植松電機の植松 努氏にかわりまして、昨年度からバナナ名刺プロジェクトに夢を持って取り組む丸吉日新堂印刷の阿部晋也氏による講演会などを行っております。このセミナーには、市立高校の全ての1年生が参加しており、この行事を通して、みずからの生き方や将来の夢について考え、職業に対する理解、認識を深めるなどの成果を得ているところでございます。
◆阿部ひであき 委員 私も、かねてから、子どもたちに志を育むための手段となる知識あるいは経験といったものが非常に不足しているのではないかというところに課題を感じておりました。
新たに制定されました新学習指導要領では、子どもたちの現状を踏まえて、生きる力を育むという理念のもとで、知識や技能の習得とともに、思考力、そして判断力、表現力などの育成を重視しているところであります。ここで言う生きる力とは、学校だけではなく、家庭や地域など社会全体で育むことが大切であります。そのためにも、今後、進路探究学習を一層充実させていくためには、もっと早いうちから職場体験ができるように、社会体験の受け入れ先となる地元の企業や商店、あるいは飲食店、病院、保育園など多くの事業者の協力が不可欠であります。
私の住む白石区では、町内会や各種団体、企業などと個人会員で構成されている白石区ふるさと会によって白石でっち奉公が行われております。これは、地域で働くことを通して、子どもたちに働くことの大切さや楽しさ、あるいはふるさと白石のよさを知ってほしいという同会の願いのもと、10年以上前から取り組んでいる就労体験事業であります。昨年度は、地元の企業や商店など173の事業所が受け入れに協力して、区内小・中学校から合わせて1,615人が参加したところであります。ただ、これも大変恵まれた例でありまして、他地区の学校におきましては、限られた条件のもと、地域の実情に応じて体験活動を教育課程上に位置づけていると伺っております。
そこで、次の質問でありますけれども、各学校における進路探究学習の取り組みの現状と課題について伺いたいと思います。
◎大友
学校教育部長 各学校における進路探究学習の取り組みの現状と課題についてでございます。
現在、小学校では、工場や農家を訪問する現地学習などにおいて、働く人々の苦労や工夫、また仕事のやりがいなどにつきまして、直接、話を聞いて学んでおります。さらに、中学校及び
市立高等学校におきましては、地元の商店街や商業施設などの協力を得まして、職場体験学習や職業人を招いた講演会などを実施しております。日常の学習に加えまして、このような体験学習を通して社会で活躍する大人と出会い、働くことの意義や社会と自分とのつながりなどについて学ぶ取り組みが行われているところでございます。
課題につきましては、小・中・高等学校の子どもの成長を見通した一貫したプログラムの開発とともに、先ほど委員のご指摘にございましたとおり、早い段階の小学校における進路探究学習の充実にあるというふうに考えているところでございます。
◆阿部ひであき 委員 平成25年第3回定例市議会における代表質問において、我が会派の飯島議員が、産学官連携のもとで設立した京都市の職業体験施設、京都まなびの街生き方探究館がもたらす効果について紹介し、今後どのように進路探究学習を展開していくのかと質問したところ、教育長から、他都市等の取り組みなどを調査研究しながら札幌らしい進路探究学習を充実させていくとの答弁がありました。
私は、進路探究学習を一層充実させていくためには、私も視察してまいりましたが、京都市の取り組みのように、実際の仕事を体験することを通して社会人としての生き方を学ぶための施設を設置し、進路探究学習に係る学校の取り組みを支援していくことが必要である、このように考えるところであります。また、これは、地元の企業の協力なしには取り組みを維持することは難しいことでありますけれども、地元産業と市が一体となって取り組むことによって、その分、子どもたちに郷土愛を育む絶好の機会となるばかりではなく、子ども一人一人に対する将来の就職観にも影響を与えるものであり、地元企業にとっても非常にメリットが大きいものである、このように考えます。
そこで、質問でありますけれども、本市における進路探究学習の一層の充実のための今後の展望について伺います。
◎大友
学校教育部長 進路探究学習の一層の充実のための今後の展望についてでございますが、現在、京都市の生き方探究館を初め、東京都品川区、いわき市などが設置した実際の仕事を体験できる施設への視察を進める中で、施設設置に伴う効果や課題、民間企業などと連携した運営のあり方などにつきまして調査研究を進めているところでございます。また、札幌市の経済界などからの協力を得まして、間もなく、札幌にふさわしい進路探究学習のあり方について検討する協議会を設置いたしますので、小・中・高の一貫したプログラムの開発や、小学校段階における社会や職業を広い視野から捉える体験施設の可能性を含め、協議を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆阿部ひであき 委員 昨年4月に自民党内に設置されたキャリア教育推進特命委員会から、教育機関、地域、企業、NPO等の力を結集し、我が国全体で学校の体験活動を推進する体制を強化すべきであるという提言がなされたところであります。私は、この提言の具体的な形として、先ほども触れました京都市のような、あるいは品川区とかいわき市という話もありましたが、職業体験をできる専門的な施設のもとで進路探究学習が展開されていくことが望ましいと考えております。
就業については、大卒の人材の3割近くが道外に流出してしまうという現状も見られることから、やはり、早いうちに子どもたちが地元の企業に関心を持つことも大切であると考えます。札幌らしい進路探究学習の実現のために、商工会議所や地元企業などからの協力を得るなどした職業体験施設の設置に向けた検討は今後の教育にとって喫緊の課題である、このことを指摘して、私の質問を終えます。
○細川正人 委員長 ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後0時1分
再 開 午後1時
――――――――――――――
○細川正人 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆恩村一郎 委員 午前中、阿部委員からは学校の放送設備のデジタル化等について質疑がありましたが、私からは、大きく学校施設の今後の整備計画についてお伺いしたいと思います。
運動会、学習発表会、さらには入学式や卒業式と、私も地域を中心にいろいろな学校を訪問させていただいておりますけれども、訪問した際に、校長先生や教頭先生からよく聞かされるのが、建物の老朽化にかかわるものや校内の設備、機器の更新のおくれにかかわるもので、これらのふぐあいによって満足のいく授業ができていない、また進められないといったような内容が主なものとなっております。
お聞きしたところによりますと、札幌市の小・中学校は、建築後25年以上経過した施設が8割を超えており、校舎や屋内運動場の老朽化が大きな課題になっているとのことでございました。老朽化した学校施設では、外壁の剥離や、屋根や壁からの雨漏りによって学校運営に支障が生じるほか、昨年度、真駒内曙中学校においては、給水管の老朽化による漏水で、1日、休校になったというふうにも聞いております。私の地元の清田緑小学校でも、体育館で雨漏りがありまして、先生たちがバケツをそこかしこに置いて雨漏り対策をやったという話も聞いております。子どもたちの安全や良好な教育環境の保持の観点からも、学校施設の老朽化対策は耐震化対策とあわせて喫緊の課題であろうというふうに思います。
そこで、現在の学校施設の整備状況について、3点お伺いしたいと思います。
まず、1点目として、現在、年3校ペースで改築を行っていると聞いておりますが、そのペースで進めますと、学校施設は改築までに何年間使用することになるのか、お伺いしたいと思います。
次に、2点目として、札幌市の市有建築物のストックマネジメント推進方針における鉄筋コンクリートづくりの耐用年数の目安である60年で改築を行っていくとしますと、年に何校の改築が必要となるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
もう1点、最後の3点目として、外壁や屋上防水の改修など、学校施設の大規模な改修は、現状では、建築後、何年で行われているのか、以上3点についてお伺いしたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいま3点のご質問がございました。
1点目の現在の年3校ペースで改築を進めた場合でございますが、最長で110年程度、学校施設を使用し続けることになります。
2点目の60年で改築が必要となるということで、1年当たりの改築校数でございますが、年間7校から8校の改築が必要となります。
次に、3点目は、現在、建築後、何年ぐらいで大規模な改修を行っているかということでございますが、外壁改修、屋上防水改修、給水改修が主なものでございますけれども、いずれも建築後おおむね35年程度となっております。
◆恩村一郎 委員 率直に言いまして、今の数字を聞いただけで皆さんもお思いかと思いますけれども、随分と気の長い整備になるのかなと思います。学校施設が子どもたちの学習、そして生活の場として本当に十分な役割を果たしていけるのか、非常に心配ですし、不安でもあります。実際、新しいJIS規格によります机などの整備に関しても大変おくれているというふうに聞いております。一度も新しいJIS規格に合った机や椅子で勉強することなく卒業していくお子さんたちがいる学校も随分出てくるのではないでしょうか。
こうした中で、現在、教育委員会では、学校施設の中長期的な整備計画を策定中と伺っておりますけれども、当該計画はどういった観点で策定されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 整備基本計画を策定する観点についてでございます。
札幌市の学校は、昭和40年代から50年代の児童生徒の急増期に年間十数校建設されておりまして、これらの学校の老朽化が進み、今後、大量に更新時期を迎えることになります。従来のように壊れたら直すという事後保全で何とかもたせ、建築後45年から50年で改築を行っていくことでは、老朽化による教育環境の悪化や大量更新に対応することは現実的に難しいと考えたところでございます。このため、現在の学校施設の現状をきちんと把握した上で、計画的に行う予防保全の必要性や長寿命化改修の可能性など、老朽化対策の検討を行っているところでございます。加えまして、学校施設の維持・更新の平準化に向け、改築、予防保全、長期寿命化改修の最適な組み合わせについてシミュレーションを行いまして、中長期的な改築、保全の方向をまとめる予定でございます。
◆恩村一郎 委員 学校施設の老朽化対策というのは、改めて申し上げるまでもなく、子どもたちの安全確保はもちろんのこと、学校施設というのは災害時等の地域住民の避難場所にもなっておりますので、大変重要な取り組みであろうと思います。それだけに、計画をつくっただけでとどまることなく、それを実行していかなければならないと思うのです。
そこで、改めて、学校施設の整備基本計画をいつごろまでに策定し、どのように具体的な事業に結びつけていく考えでいらっしゃるのかについてお伺いしたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 子どもたちの安全・安心を確保し、地域の拠点としての学校施設として積極的に老朽化対策に取り組む必要があると認識しておりまして、この整備基本計画を来年度の早い段階でまとめたいと考えております。その上で、老朽化に対して計画的、継続的に対応できるよう、教育委員会のみならず、関係部局と連携・協議を行い、当該計画に基づく改築や予防保全などにつきまして、札幌市の次期中期実施計画へ反映し、具体的な事業へ結びつけてまいりたいと考えているところでございます。
◆恩村一郎 委員 来年度の早い段階で策定したいということでございます。
安全で安心な施設環境を確保して教育環境の質的向上につなげること、さらに、地域住民の避難場所としての機能を確保する上でも、ぜひ積極的に学校施設の老朽化対策を進めてもらいたいと思います。また、学校の設備や機器の更新という問題については、子どもたちに同じ水準の教育を提供するために必要なものと考えておりますので、施設の老朽化対策と同様に、この点についても積極的に取り組まれることを改めて求めておきたいと思います。
最後に、いずれにしても、これらの対策を進めていく上では、一番に財源ということが問題になろうかと思います。そこで、さきの阿部委員の話も含めまして、きょう、段々の議論をお聞きになっておりました平木財政部長が後ろにいらっしゃいますので、ぜひしっかりとした予算措置をしていただきたいと思うのですが、その辺のご所見を最後にお伺いしたいと思います。
◎平木 財政部長 今のご議論をお聞きして一言ということでございます。
まず、市有施設全体について申し上げたいと思いますが、学校施設のみならず、市有施設の老朽化に向けた対策は重要な課題だというふうに思っております。札幌市におきましては、皆様もご承知のとおり、今後の人口減少や超高齢社会の到来などといった社会情勢の変化、あるいは、本格化する更新需要に対応するために、施設の効果的・効率的な配置とか総量のあり方について基本的な方向性あるいはその考え方を示す市有建築物の配置基本方針を策定している段階でございます。
本日議論がなされました学校施設でございますけれども、こちらは、質疑の中でも出てまいりましたとおり、多くの子どもたちの学習の場、そして一定の時間を過ごす場でありまして、さらに、災害時には市民の避難場所としても活用される重要な施設であるというふうに私ども財政局としても認識しているところでございます。その整備につきましては、今後、財政負担の平準化の観点なども考慮しながら、教育委員会と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
◆恩村一郎 委員 今、そういうお話でございましたけれども、来年度の予算に関しては、また5%削減で予算を立てろといったようなことが出ているようです。教育に係るお金というのは、削らないで、しっかりと宛てがうような形でぜひ進めていただけるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、障がいのある子どもの教育について、1点は小学校、中学校の通級指導教室の充実について、もう1点は、豊明高等養護学校における就労支援の充実、この2点について質問をさせていただきます。
まず、1点目として、通級指導教室の充実について質問してまいりたいと思います。
文部科学省の
特別支援教育に関する調査によりますと、平成15年度に比較して、平成26年度におけます
特別支援学校の在籍者数は1.3倍と伸びており、
特別支援学級の在籍者数も2.0倍、中でも、通級指導教室に通う子どもの数は2.3倍にもなっていると聞いております。通級指導教室は、通常の学級に在籍し、比較的軽度の障がいがある児童生徒に対して、障がいの状態に応じた特別な指導を行うために、在籍する学校はそのままで、言葉や聞こえなど苦手な部分の改善に向けて通う教室でありますが、この10年間で4万人以上もふえている状況であります。この一つの要因としては、平成18年度から、発達障がいが新たな通級指導の対象となったことが大きいものと思われます。
札幌市におきましても、発達障がいに対応した通級指導教室をまなびの教室として平成21年に北九条小学校と中央中学校に開設し、翌年には小学校2校に新たに開設しております。そのニーズは極めて高く、平成23年には、まなびの教室親の会などから、まなびの教室の各区増設の早期実現を求める陳情が文教委員会にも出されたところであります。その委員会の中で、私ども会派の阿知良委員から、まなびの教室における指導の成果や課題について質問を行いまして、まだ開設して2年目ということもあり、今後、指導、方法の確立に向けた検証が必要だという答弁をいただいたところであります。その後、通級指導を必要とする児童生徒の増加に合わせて教室をふやしてきていることと思います。
そこでまず、現在のまなびの教室の設置状況について伺いたいと思います。
また、指導内容の充実についてどのように取り組んでこられたのか、あわせて伺います。
◎大友
学校教育部長 まず、まなびの教室の設置状況についてでありますが、平成21年の開設以来、まなびの教室の増設に努めており、現在、小学校は中央区、豊平区を除く8区に、中学校は中央区、北区、白石区の3区にそれぞれ1教室ずつ設置しているところでございます。その結果、ことしの9月時点でのまなびの教室への通級児童生徒数は、小学生が237名、中学生が72名であり、陳情のありました平成23年と比較しますと、小学生は3.5倍、中学生は2.6倍となっております。
次に、指導内容の充実についてでありますが、まなびの教室では、個々の特性に応じて、個別指導や少人数のグループ学習などを効果的に組み合わせながら、子どもが抱える困難を改善できるよう指導内容の工夫に努めております。教育委員会では、毎年、各教室の担当者を集めた連絡会議を行い、教室の運営方法や指導内容のあり方などについて意見交換をするなど、その充実に努めているところでございます。また、現在は、開設して5年がたち、具体的な指導事例の蓄積が進んでいることから、その内容を教育課程編成の手引にまとめて各教室の指導に役立てているところでございます。
◆國安政典 委員 徐々にではあるけれども、まなびの教室もふやしてきた、また、指導の事例の蓄積も進んでいる、また、それを手引にまとめているというお話でございました。また、現状では、小学校では豊平区、中央区以外に8教室237名、3.5倍、中学校は3教室72名、2.6倍で、小学校のほうで見ますと平均して1教室当たり30名近い子どもが通っていることになります。この通級指導教室の指導の枠は大体1日に五つから六つぐらいになると聞いておりますが、これだけ通級する子どもの数が多ければ必要な指導を十分受けることができているのかどうか、不安も感ずるところであります。また、保護者からは、通級指導教室のある学校が自宅から遠くて、通わせるとなれば在籍している学校の授業を何時間も抜けてしまうことになり、通わせることが難しいという声もよく耳にするところであります。そういった意味から、より身近な地域で必要な支援を受けることができる体制を整備していくことが必要だろうと思いますし、私としましては、小学校は1区に2教室程度、中学校でも1区に1教室、もしくは、少なくとも2区に1教室はまなびの教室を配置していくべきだと考えます。
そこで、質問ですが、今後のまなびの教室の拡充について、教育委員会としてはどのように考えているのか、伺います。
◎大友
学校教育部長 今後のまなびの教室の拡充についてでありますが、まなびの教室の担当である通級指導教室の教員は、学級担任などと異なりまして、国から都道府県に対して定数に加えて措置されるいわゆる加配教員となっております。加配教員につきましては、必ずしも札幌市が要求した数が全て措置されるものではなく、かつ、年度末に次年度の配置状況が示されることから、計画的に通級指導教室を拡充していくことは困難な状況にございます。
しかしながら、先ほどもお答えいたしましたように、まなびの教室の通級児童生徒数がふえていることや、通級を希望する教育相談のうち、まなびの教室に関するものが全体の5割を占めているなど、今後もその数はふえていくものと認識しております。このようなことから、まなびの教室の拡充につきましては、そのための加配教員のさらなる配置について、今後も、指定都市教育委員・教育長協議会などを通じて国に対して要望していきたいというふうに考えております。
◆國安政典 委員 通級指導教室に通うことを希望する児童生徒がこれだけふえているのは、それだけ指導の成果が認められているということでもあるかと思います。その指導内容の充実については、今後もしっかりと努めていただきたいと思います。
また、通級指導教室の教員は加配ということでありました。ただ、これは、平成29年度から教員の配置にかかわる権限も都道府県から政令市に移譲される予定と伺っております。そうなれば、加配についても、直接、国から市に対して措置されることになります。そもそも加配でやることがどうなのかという議論もあるかもしれませんが、現状がそういうことであれば、しっかり要求していっていただきたいと思いますし、私どもも、ネットワークの中で国に対してしっかり求めていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、まなびの教室に通いたいという本人、そしてまた保護者のニーズにしっかり応えることができるように、今後も一層、通級指導教室の充実に努めていただきますことを強く要望いたしまして、この件についての質問は終わらせていただきます。
2点目の質問に入らせていただきますが、豊明高等養護学校における就労支援の充実について質問させていただきます。
障がいのある方の就労環境につきましては、厚生労働省北海道労働局の発表によりますと、道内3,124社を対象に行った調査におきまして、平成25年6月1日現在、障がい者の雇用者数は前年より8.1%、788人増加して1万492人と過去最高となっております。一方で、障がい者の法定雇用率の達成についてはまだまだ課題があると思います。平成25年4月より、民間企業における法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられましたが、それを達成した民間企業の割合は45.6%にすぎず、前年と比較しても4.5%も低下している実態にあります。
私ども会派としましては、障がいのある方の就労を支援する取り組みの充実に向けて、保健福祉局や教育委員会へ要望を続けてまいりました。市立
高等支援学校に関しても、生徒の就労の推進に向けて、設置学科を実際の職場環境に合わせる教育内容の見直しとか、企業の求める働く力と生徒の特性に基づいたマッチングを進める就労支援コーディネーターの配置を提案してきたところであります。
豊明高等養護学校におきましては、平成25年4月に流通・サービス科を設置されました。この流通・サービス科からはまだ卒業生を送り出しておりませんが、これまでの一般就労率を見てみますと、平成23年度で27.3%、24年度で29.1%、25年度で31.0%と、少しずつではありますけれども、改善が見られる状況にあります。
そこでまず、豊明高等養護学校における最近の就労促進の取り組みについて伺います。
◎大友
学校教育部長 豊明高等養護学校における最近の就労促進の取り組みについてでございます。
設置学科の作業内容と実際の就労先での業務内容に乖離が見られることから、昨年度、流通・サービス科を新設いたしましたが、その後も、さらに作業内容の見直しを進めているところでございます。具体的には、工業科において、産業構造の変化に応じ、コンクリート製品の製造を、リサイクル関連企業につながる電子機器の解体作業への転換を図ったところでございます。また、職務上のマナーなど勤務先での組織的な行動の基本を身につけたり、コミュニケーション能力の向上を図るため、ソーシャルスキルトレーニングを行う職業という教科を設定したところでございます。さらに、就労への意識を高めるために、職場実習や卒業生の職場先を見学する取り組みを入学直後から行っているところでございます。
なお、以前から取り組んでいることではございますが、卒業後3年間をめどに、年に数回、教員が職場を訪問いたしまして卒業生や雇い主への相談に応じていることもあり、離職者が少なく、定着率が高い状況にございます。
◆國安政典 委員 3年後の定着率は私も最近知りましたが、予想以上に高くて、現場の皆さんのご努力、そしてまた、企業の方々との協力関係をしっかり進めていただいていると実感したわけであります。
学校や教員の皆さんは、さまざまな取り組みを実践されているわけですけれども、そうはいっても就労支援に当たってはまだまだ課題があると思います。例えば、企業ニーズというのはまず就労先での作業内容を理解する必要がありますが、教員は、企業開拓とか、今お聞きしたような卒業後のフォローなどを教育活動の合間に行っております。当然、時間的な制約がありますから、十分な把握が難しいところがあるかと思います。また、学校では、ジョブサポーターの支援を活用していると聞いております。ジョブサポーターを拡大していくというお話もありますが、ほかの障がい者との関係から、学校のほうではこれ以上に利用拡大していくことはなかなか難しいのではないか、やはり、就労支援については学校での新たな仕組みづくりが必要だというふうに考えます。さらに、最近の就労先はサービス業が中心となってきておりまして、それと同時に、職場における役割も多様化し、複雑化してきていると思います。こういったことから、知的障がいのある生徒の就労に当たっては、これまで以上に学校側のコーディネート力の向上が鍵になってくると考えております。
札幌市では、いまだに就労支援コーディネーターを配置しておりませんけれども、多くの政令市では既に配置しているようであります。さらに、文部科学省におきましては、今年度から、
特別支援学校おける就労先の開拓、卒業後の職場定着支援等に取り組む就労支援コーディネーター配置モデル事業を公募しております。この事業は、最近の就労環境に精通した専門の職員を配置して生徒の就労支援を進めていくものでありますが、こういう事業を行うということは国においてもその役割の必要性を認識しているものと思います。
私ども会派としましては、豊明高等養護学校やこれから予定されている(仮称)南部
高等支援学校における生徒の就労状況の改善に向けた取り組みを求めてきたところであります。ことしの1定の予算特別委員会でも、丸山委員が取り上げて質問させていただきました。それに対して、文部科学省が実施するモデル事業や他都市の取り組み等を参考にしながら、既存の仕組みとあわせて生徒の就労に向けた仕組みづくりについて検討してまいりたい、このように答弁をいただいているところであります。
そこで、質問ですけれども、企業側からは障がいのある生徒の採用に当たってどのような要望があるのか、伺います。
また、都道府県、政令市における就労支援コーディネーターの配置状況について伺います。
さらに、教育委員会では、就労支援コーディネーターを配置する考えがあるのか、改めて伺います。
◎大友
学校教育部長 まず、1点目の障がいのある生徒の採用に係る企業側からの要望についてでございますが、職場での作業にスムーズに対応させるために、生徒の特性に関する詳しい情報、場面場面に応じた配慮、生徒への具体的な支援の方法などに関する情報が求められているところでございます。
2点目の都道府県、政令市における就労支援コーディネーターの配置状況についてでございますが、平成26年8月時点において33都道府県、7政令市が配置しているところでございます。
3点目の就労支援コーディネーターの配置に関する教育委員会の認識についてでございますが、札幌市自立支援協議会就労支援推進部会からも、教育分野における障がい者就労支援体制の強化について教育委員会に要望が出されているところでございます。教育委員会といたしましては、学校における就労支援体制の強化を図るとともに、就労支援コーディネーターの配置も含め、さまざまな取り組みを検討してまいりたいというふうに考えております。
◆國安政典 委員 豊明高等養護学校に通う生徒は、それぞれにハンディキャップを抱えながら、卒業後はそれぞれ若くして社会人としてスタートするわけであります。そういった一人一人にしっかりと着眼して、自立した社会人として育てていくという視点を持ちながら就労支援を推進していかなくてはいけないと思います。そしてまた、豊明高等養護学校が労働への高い意欲ある卒業生を企業に輩出することによりまして、学校と企業との信頼関係も構築されて、障がい者の就労支援の充実を進めている札幌市全体にとってもいい影響があると思うのであります。こういったことから、教育委員会では、現在、豊明高等養護学校が行っている教育内容の見直しを着実に推進していただきますとともに、他の自治体の先進的な取り組みも参考にしながら、来年度より就労支援コーディネーターの配置をしていただきたいと思います。
ことしの8月に、全国
特別支援学校知的障害教育校PTA連合会の全国大会がこの札幌で行われまして、私も参加する機会を得て、行ってまいりました。西村教育次長も来賓としてすてきなご挨拶をされておりましたが、私自身もそこでいろいろな情報を得ました。その中で、職場開拓の事例として、学校での子どもたちの様子をDVDにして企業に持って歩いて様子を見ていただく、こんな取り組みをしている学校がありまして、障がい者の雇用率が上がったということでした。実際に雇用しようと思えば学校まで来られたり、生徒の様子を見ながらさまざまなことを考えられるのでしょうけれども、雇用したくてもどうしていいのかわからない企業もたくさんあります。そこで、大まかな様子をお見せすることによって、ちょっと学校に足を運んでみようかと、こんなことにもつながっていくのかなと聞いております。
いずれにしましても、そういったことのためには現場の教員、先生方の負担が大きいと思います。就労支援コーディネーターをしっかり配置した上で、さまざまな工夫を凝らした就職先の確保に取り組んでいただきたいと思います。また、福祉関係事業所などともより一層の連携を図っていただいて、教育と福祉が車の両輪のようにしっかり機能して障がいのある方の就労を推進していただきたいと思うのであります。
それから、市立
高等支援学校は、これまでは豊明高等養護学校1校のみでしたけれども、平成29年度には旧真駒内小跡地に(仮称)南部
高等支援学校を新設するということで動き始めております。午前中の質疑でも間口のお話がありましたが、これまで北西部に偏在していたことが幾らか解消できる見込みであると思います。また、まだ増加し続けてピークが平成29年度とも想定で言われている中で、
北海道教育委員会は、公立
特別支援学校配置計画における平成28年度の見通しというところで、3学級相当の間口の確保を検討するとして、括弧して閉校予定の札幌拓北高等学校の活用ということが出され、地域ではもう既に8月31日に拓北・あいの里まちづくりセンターで住民説明会が行われました。先ほどの配置計画では平成28年度に1学年3間口ということですが、このときにも、将来的に希望者が増加した場合、規模の大きい札幌拓北高校が望ましいということが理由として説明されたわけであります。
間口の問題につきましては、長いこと、何度も何度も取り上げさせていただきまして、平成29年度に南部に設置することは高く評価させていただいております。ただ、道のほうでは、さらに増加する間口に対応しようとして、4年前ぐらいからでしょうか、課長級の協議もしっかりと進められてきておりますので、今後も増加する間口の対応については、道教委ともこれまで以上に連携を密にしてしっかり進めていただきたいということもあわせてお願いさせていただきます。
今後は、市立が2校体制ということになりますから、さまざまな相乗効果についても期待しているところであります。今回取り上げさせていただいた就労支援につきましても、これまで豊明高等養護学校が培ってこられたさまざまなノウハウや教育内容も、新設校にしっかり活用していただきたいと思います。相乗効果を生んで、そして、札幌市の子どもたちが自立した社会人としてしっかり成長していけるような教育の充実を進めていただきますことを期待して、私の質問を終わります。
◆宮川潤 委員 私は、教員が多忙であるという問題、それから、期限つきの教員が多いという問題について、順次、質問を行います。
まず、多忙であることについて、2点質問いたします。
ことしの6月、新聞で一斉に報道されましたが、OECDが参加34カ国について教員の状況などの調査を行いました。日本の中学校の教員が他国に比べて突出して多忙であるとともに、疲弊していることも明らかになりました。日本の教員は、余裕がなく、自己評価が低いとのことであります。例えば、日本の教員の1週間の勤務時間は、OECD平均38.3時間なのに対して53.9時間で最長でありました。事務作業は、OECD平均2.9時間に対して日本は5.5時間、課外活動指導は、OECD2.1時間に対して日本は7.7時間であります。
まず、日本の教員の現状について、OECDの調査を
本市教育委員会はどのように評価しているのか、伺います。
次に、本市で行った調査についてであります。
本市では、2007年、平成19年、教育職員の勤務実態調査を行っております。一昨年の12月、我が党の代表質問に対し、教育長は、「教育職員負担軽減検討会議を設置いたしまして、負担軽減に向けた具体策を取りまとめ、取り組みを進めているところであります。その一つとして、来年度から校務支援システムの運用も予定しておりまして、今後の実態把握につきましては、それらの取り組みの進捗状況を踏まえて検討してまいりたい」、このように答弁をされております。
そこで、2点目の質問ですが、本市における教員の負担軽減の具体策としてはどのようなことを行ったのか、その結果、見るべき成果が上がっていると言えるのか、伺います。
◎引地 教職員担当部長 まず、教員が多忙である問題についてお答えいたします。
1点目のOECDによる国際調査の評価についてでございますが、OECDの調査結果では、日本の概況として、1点目に、校内研修等を通じて教員が日ごろからともに学び合うことが教員の指導実践の改善や意欲の向上等につながっていること、2点目に、研修の参加意欲は高いが、業務のスケジュールや費用、参加への支援等に課題があること、3点目に、教員は、生徒の主体的な学びを重要と考えている一方、主体的な学びを引き出すことに対して自信が低く、ICTの活用を含め、多様な指導実践の実施割合は低いこと、そして、4点目に、教員の勤務時間は他の参加国よりも特に長く、人材の不足感も大きいことなどが明らかになっております。
教育委員会といたしましては、時間外勤務の縮減に向け、さらに取り組みを強化していかなければならないと考えております。
続いて、2点目の負担軽減の具体策についてでございます。
教育委員会では、平成19年の調査結果を受け、20年に教育職員負担軽減検討会議を設置し、教員の物理的、精神的な負担軽減のための具体的方策を検討したところでございます。検討の結果、業務処理の簡素化、業務支援として、教育委員会から発出する調査文書の統廃合や各種様式の電子化を推進するとともに、学校業務の簡素化として、学校の支援体制の確立、活用や学校における業務執行体制の見直し、会議、打ち合わせ時間の短縮などに向けて取り組む際の参考となる具体例を最終報告書として取りまとめ、各学校に配付したところでございます。また、校務支援システムなどのICTを活用するほか、
スクールカウンセラー、運動部活動外部顧問、心のサポーターなどの職員を配置することなども含め、教員の負担軽減につながっているものと考えているところでございます。
◆宮川潤 委員 負担軽減につながっているということであれば、教員の時間外勤務は減少したということでよろしいのですか。
◎引地 教職員担当部長 具体的なところにつきましては調査しておりませんが、放課後等の時間等につきましては負担軽減になっているというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 それはあなたが考えていることであって、客観的にどうなったのかということは調査していないわけですね。調査をしないで負担軽減につながっていると考えていてはだめですよ。もし考えているのであれば、検証なさったらどうですか。
私のところには、こういった会議時間短縮などの方法について示した文書を配付して、その結果、負担軽減になったという声は聞いていませんが、その後、まず、考えているということであれば根拠があるのか、検証するつもりがあるのか、2点伺います。
◎引地 教職員担当部長 負担軽減につきましては、今後、各関係機関、学校校長会等を含めまして、調査あるいは検証等をしていきたいというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 わかりました。根拠を伺ったけれども、答弁がないということは、根拠がないというふうに捉えさせていただきたい。検証については、今後していくということですね。わかりました。
全日本教職員組合というところがありますけれども、そこの調査では、教員の1カ月の時間外勤務は72時間56分という調査結果で、持ち帰りの仕事時間は22時間36分、合計で1カ月95時間32分にもなります。これが平均ですから、これより多い人もたくさんいるということであります。日本の教員は異常と言うほど忙しいということであります。教育委員会も、多忙であることについては認めておられるし、負担軽減につながっているという点については根拠がないということが今はっきりしたところであります。
私は、今のところ、これといった成果は見えていないと思っております。OECDの調査結果について、毎日新聞は、日本では特別な支援を必要とする生徒への指導能力などが備わった教員が足りないと感じている割合が高いのだ、背景には、業務の多さ、勤務時間の長さが挙げられている、教員の多忙解消策は、既に各地の学校や教育委員会に取り組み例が見られるが、国全体として可能な事務の外注化、共同化などを徹底すべきだろう、定数増も不可欠だとしております。
国の学校教育費をGDP比率で比べますと、日本の財政支出はOECD34カ国中で最低であります。一方、各家庭での負担割合は韓国、チリ、アメリカに次いで4番目に多くなっています。つまり、国は、教育に金をかけず、家庭任せにしているということであります。最も重要なことは、国として対策に本腰を入れることだと思いますが、市としても国への働きかけを一層強めるべきであります。また、私は、教員を中心としながら、
スクールカウンセラーや事務を補助する者など、人をふやすことが決定的に重要だと思いますが、
本市教育委員会の見解と国への働きかけについて伺います。
◎引地 教職員担当部長 時間外勤務縮減のための人員増と今後の取り組みについてでございますが、教育委員会といたしましても、人員増の効果に対する期待は大きいものがございます。ただ、現在の少子化の傾向や厳しい財政状況を考慮いたしますと、その実現は困難を伴うものと考えております。ただ、今後とも、必要な人員を確保するため、国や北海道への要望を行っていくとともに、文部科学省が打ち出す教員の多忙対策に注目しつつ、取り組み内容を充実してまいりたいと考えております。
◆宮川潤 委員 ぜひ、教員の多忙解消のために、教員などの人員増を図っていただきたいと思います。
次に、期限つき教員についてであります。
本市の小・中学校の教員は6,651人です。産休や長期間休む教員が出た場合には、教員免許を持っていて働いていない人を期限つき教員として臨時的に雇用します。それは、一時的に働いてもらうわけですから、1年間のみなどの短期間雇用となります。しかし、それとは別に、正規教員が定数を満たしていない場合、本来新たに正規の教員を雇用すべきですが、そうせずに、期限つきの教員で定数欠員分を補充している実態があり、本市で344人が定数欠の期限つき教員となっております。
その問題について質問いたしますが、期限つき教員の場合、多くは正規教員として採用されることを希望しているのだと思います。まず、本市で期限つき教員として働いている方の多くは、本市の採用試験を受けたけれども、採用されなかったとか、翌年の採用試験を受けるとか、正規教員として働きたいと考えている方が多いのが実態だと思うのですがいかがですか、伺います。
◎引地 教職員担当部長 採用検査を不合格となった期限つき教員につきましては、教員検査の状況等から、大半の方が正規教員を希望する意向を持っているものと考えております。
◆宮川潤 委員 私が伺っているところでも、期限つき教員でも、若い方はそのほとんどが例外なく正規教員を希望していて、翌年の採用試験を受けているようであります。先ほど全日本教職員組合の調査結果を示して残業が多いなど教員の多忙さについて申し上げましたけれども、過労死ラインである80時間を超える残業の人が35.8%と、3人に1人以上の割合で過労死ラインを超える残業をしているのであります。期限つき教員の方も例外ではなく、担任を持っている、部活動の指導をしているという方もいらっしゃいます。そういうふうに責任が重く、過労死するほど忙しい仕事をこなしながら、翌年の採用試験に向けた受験勉強をしなければならない、年度末には雇いどめで失業するかもしれないというのが期限つき教員の苦しい立場であります。そういう不安定な立場で教員の仕事と受験勉強の板挟みに遭っている先生に教わる子どもも、本来、翌年度も担任が繰り上がる場合であっても、1年間の期限つき教員のために担任がかわってしまうということもあります。
期限つきというのは、本人にとっても児童にとっても大変だと思うのですけれども、この点について教育委員会はどう認識されているのか、伺います。
◎引地 教職員担当部長 期限つき教員の身分が不安定であるということは、教育委員会といたしましても認識しているところでございます。
しかしながら、教員定数につきましては、4月の基準日における児童生徒数に基づく学級数により決定することとなります。教員定数が確定する前に、児童生徒数の増加や定年前退職者数の増加、再任用希望者の変更等があることから、一定数の期限つき教員を配置しなければならない実情がございます。期限つき教員の配置に当たりましては、指導の継続性を確保できるよう配慮し、児童生徒の教育に影響が生じないような学校体制をとるよう努めているところでございます。
◆宮川潤 委員 配置しなくてはならない実情かどうかという質問ではなくて、本人にとっても児童にとっても大変でしょうと聞いているのですよ。
教員の定数欠については、これまでも、期限つき教員ではなく、正規教員で対応するように求めてまいりました。昨年の予算特別委員会で、我が党の井上委員の質問に答えて、教育長は、期限つき教員を少しでも減らして正規教員を充てていく、この方向性についてはぜひとも進めたいと答弁しています。しかし、2012年に323人であったことに対して、ことしは344人とふえているのであります。教育長がはっきりと期限つき教員を減らして正規教員を充てていくと答弁しているのに、逆にふえているのは問題であります。定年前に退職する教員が出てくるとか、その後任として期限つきで雇用するとか、あるいは、国の教員加配の見通しがあるようですが、改めて質問いたします。
今年度、定数欠の期限つき教員がふえたのはどういう事情によるものなのか、どういう理由で何人ふえたのか、内訳を明らかにしてください。
◎引地 教職員担当部長 これは、4月上旬の児童生徒数の増減での学級編制によるものが主な要因であります。そのほか、平成26年度の採用時に関しましては、25年10月末の決定時以降に定年前退職者数が24名増加、再任用希望者数が20名減少した影響により、期限つき教員の数は増加したという結果になっております。
◆宮川潤 委員 学級編制によることと、定年前に退職される方が出てくる、つまり、定年まで働くだろうという予測のもとにいたけれども、予測していない定年前の退職者が出るとか、あとは、再任用の問題などもあるということであります。
事前に調べましたところ、定年前の退職者の補充として24人、定年後に再任用で働くと思っていたけれども、その予想に反して再任用しないで定年の時点でやめてしまった方の補充として20人いることがわかりました。
再任用の関係で質問いたしますが、定年後に再任用で働くかどうかという希望を本人に聞いて、あらかじめ何人が再任用で働くのか、何人は退職するのかということを事前に確定しているのではないかと思いますけれども、何月の時点で再任用の意向調査を行うのか、あるいは、その後、再度の確認をやっているのかどうか、伺います。
◎引地 教職員担当部長 再任用を希望する教員の意向調査のスケジュールについてお答えいたします。
再任用の意向調査につきましては、まず、事前の意向調査を7月に行いまして、その後、11月に本調査を行っているところでございます。
◆宮川潤 委員 意向調査が7月、本調査が11月ですから、11月で確定するということだと思います。再任用する予定でいたけれども、やっぱり、再任用しないで退職する教員が昨年11月の時点でもう20人いたということですから、その人数に相当する20人をことしの4月から来年の3月まで1年間の期限つきとして雇用しているということになります。昨年の11月に20人必要だということがわかったということですが、仮にこれが15人で、11月を過ぎてからまた新たに5人発生したとか、そういう微調整はあったとしても、大枠として大体20人は昨年の11月時点で再任用しないで退職することがわかったと。それがわかったのが11月でありましたら、ことしの4月からの採用であれば、期限つきにしなくてもよかったのではないですか。正規教員として採用することができたのではないですか。
再任用しなかったために雇われた期限つきの20人について、なぜ期限つきになったのか。4月までの日程上という問題なのか、そうであるなら、採用前に健康診断とかいろいろあると思いますけれども、その日程の事情について明らかにしてください。
◎引地 教職員担当部長 日程につきましてお答えいたします。
現在、採用検査最終合格の発表後、新規採用の正規教員に対する採用時健康診断につきましては、12月1日から20日ごろまで実施しております。また、その後、再検査を要する者が出てきた場合には1月中旬から下旬にかけて実施し、その結果は2月に開催される健康審査会で判定を行っているところでございます。
◆宮川潤 委員 通常の日程で採用される教員は10月ごろに採用が決定になるのだろうと思いますが、健康診断が12月1日から20日ごろで、健康診断で要精密検査となる方もいらっしゃいますから、そういう方が1月の中旬から下旬にかけて再検査し、その結果を受けて2月に
本市教育委員会の健康診査会をくぐって4月1日採用と、こういう日程であります。
一方、再任用の意向調査が7月だそうですから、7月の意向調査の時点では再任用する予定だったけれども、再任用せずに退職する場合は11月の本調査で人数が確定する。11月末になって正規採用者をふやすという決断をすれば、12月から1月にかけて健康診断を行えます。本採用の人は大量にいますから、健診の結果がまとまって出てくるのは時間がかかると思います。しかし、再任用するか、しないかという方の場合は20人程度ですから、同じだけ時間がかかるとは思えません。医療機関に追加分の20人を早くしてくださいと言えばできるはずですよ。ですから、スピーディーにやれば、通常の採用の方と同じように1月までに健康診断などをやって2月の健康診査会に間に合うのではないですか。そういう要請を医療機関にすれば済むことですよ。
もし、どうしても2月の審査会に間に合わない場合であれば、3月に健康診査会もあるのですから、間に合うのではないですか。通常、健康診査会は第4月曜日に行っているそうですから、3月の健康診査会は3月末になって、4月1日の採用までに日数がなくて、その点は厳しいということがあるかもしれません。しかし、健康診査会の担当部署に伺ったところ、第4週の月曜日というのは固定的ではない、早めることは可能だ、こうおっしゃっていますよ。それならば、再任用しなかった人数に相当するだけの人数、今回でいったら20人の方々は期限つきではなくて正規で雇用することもスケジュール的に間に合うのではないですか、どうですか。
◎引地 教職員担当部長 正規教員の新規採用の最終合格後から任用開始となるまでの健康診断、健康診査会の日程、事務手続など、改めて調査、確認を行うことも含めまして、今後検討していきたいというふうに考えております。
◆宮川潤 委員 わかりました。
私が最初に申し上げましたように、期限つき教員というのは、一般的な教員の多忙なところへもってきて、受験勉強もしなければならず、しかも1年間限りで不安定で大変なんですよ。できるだけ正規教員でということについて、私は、教育委員会に真剣な受けとめがあったのだろうかという点で疑問に思いますよ。こうやって日程を細かく見ていけば短縮できるんですよ。その検討を真剣にしていなかったということだと思います。今後、検討するということですから、ぜひ早期に改善していただきたいと申し上げて、終わります。
◆伊藤牧子 委員 私からは、サッポロサタデースクール事業について、簡潔に質問させていただきます。
札幌市では、2014年度から、土曜日の教育活動としてサッポロサタデースクール事業を行っています。この事業は、文部科学省の地域の豊かな社会資源を活用した土曜日の教育支援体制等構築事業を活用し、国、道、札幌市のそれぞれ3分の1の補助金によって行っております。内容は、全ての子どもたちの土曜日の教育活動の充実のために、年10回以上、午前9時から午後0時までを使い、地域の多様な経験や技能を持つ人材、企業等の協力により、土曜日に体系的、継続的な教育プログラムを企画、実施する取り組みを支援し、教育支援体制等の構築を図るというものです。
文部科学省は、2013年11月、学校教育法施行規則の改正を行い、公立校は、設置する教育委員会等が必要性を認めた場合、土曜授業を行うことが可能であると明確化したところであり、また、土曜日の教育活動であるサッポロサタデースクール事業について、教育課程に位置づけることも可能であるとしています。現在、ゆとり教育の見直しが議論されている中、土曜日に実施されるこの事業の位置づけは重要と考えます。
そこで、質問ですけれども、文部科学省は土曜日の教育支援体制等構築事業を教育課程に位置づけることも可能としていますが、この点について、札幌市はどのように考えているのか、伺います。
また、今年度、このモデル事業を3校で実施しており、事業を始めてからちょうど半年が過ぎましたので、この事業の成果についてお伺いいたします。
◎梅津 生涯学習部長 ただいまは、サッポロサタデースクール事業の位置づけと成果についてご質問でございました。
まず、事業の位置づけについてでございますけれども、札幌市では、土曜日を休業日とする学校週5日制につきましては、学校、家庭、地域の3者が連携し、役割分担をしながら、社会全体で子どもにみずから学び、みずから考える力を育む、あるいは豊かな人間性を育むことを理念に導入されたものというふうに理解しております。そのため、札幌市では、学校週5日制が社会に定着している状況に鑑みまして、ことしから、サッポロサタデースクール事業として、学校と地域で組織された運営協議会において地域の人材等を活用したプログラムを計画して、土曜日の豊かな教育環境の実現を目指しているところでございます。これは、子どもたちの自由参加により実施するものでございまして、教育課程として位置づけているものではございません。
それから、半年たちました成果についてですが、今年度は、モデル事業といたしまして小学校3校で実施しておりますけれども、子どもたちからは、楽しい土曜日の体験ができた、それから、地域で参加した方からは、地域全体で子どもたちを育てていくきっかけになればいいといったような意見が寄せられておりまして、期待した成果があらわれているというふうに考えているところでございます。
◆伊藤牧子 委員 今のご答弁では、この事業は、これからも週5日制を継続する中で、学校と地域と家庭でともに子どもたちの成長過程を見守っていきながら、教育課程に位置づけず、自由参加でやっていくということでした。強制されることなく、子どもたちが自由に参加するということはとても大事なことだと思いますので、ぜひ、この取り組みを豊かにしていただきたいなと思います。
学校と地域との関係につきましては、まちづくり戦略ビジョンにおいても、人口減少、超少子高齢化に対応するために、子どもや若者を社会全体で、また地域ぐるみで育て、住みなれた地域で、誰もが安心し、自立してともに暮らす社会を目指すとしています。中でも、小学校は、歩いて暮らせるまちづくりの拠点であり、将来的には複合化施設として、ハード面だけではなく、ソフト面においても地域の方々が多様に参加する地域に開かれた学校づくりが求められています。ただし、大事なことは、そこでも学校の主人公はあくまでも子どもたちですので、私は、今、子どもが何を考え、何を求めているかということを十分に酌み取ることが大切ですし、また、実施プログラムにも参画できることが重要と考えます。
そこで、質問ですけれども、当事者である子どもの意見を受けとめ、それを事業の実施プログラムに反映させていくことが重要と考えますが、どのように取り組むおつもりか、お伺いいたします。
また、先ほどのご答弁にありましたように、実施した3校のプログラムを見ておりますと、学習支援のほか、地域の歴史を学んだり、地域の人たちがさまざまな交流をしていること、また、広報さっぽろ8月号でも、サッポロサタデースクール事業に参加した子どもたちがアフリカのジャンベ太鼓を体験し、いつもは漫画を読んで過ごしていた土曜日とは違う体験ができたという感想もあり、私は、地域のさまざまな人たちと交流することで新たな出会いが生まれていっているのだと思います。
そこで、この取り組みを進めるに当たっては、地域の人材活用も重要と思いますけれども、身近な地域にある企業や商店街などとの地域資源をさらに活用する取り組みも進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎梅津 生涯学習部長 まず、子どもたちの意見の酌み取りについてでございます。
私どもは、より多くの子どもたちに参加していただきたいというふうに考えておりまして、参加を促すために、プログラムの実施後に子どもたちにアンケート調査を実施してございますが、その中で、サタデースクールの感想や今後やってみたいことなどについて意見の酌み取りに努めているところでございます。また、このアンケート結果につきましては、運営協議会におきまして評価、検証いたしまして、次回以降のプログラムの参考となっているところでございます。
それから、もう1点の企業や商店街などとの連携についてでございます。
子どもたちが新たな学ぶ機会を得る上で、こういった連携は大変有意義なことと考えておりまして、各運営協議会においてプログラムを計画する際に、地域にあるさまざまな資源を十分に活用し、連携を図るよう、今後とも働きかけていきたいというふうに思ってございます。
◆伊藤牧子 委員 先ほど来、運営協議会という実施主体のことをお話しされておりますけれども、計画の一覧表を見ると、運営協議会の主体の方はたくさんいらっしゃいます。学校長とか教職員とかPTA関係者とか町内会などさまざまな人が参加しなければならないとか、また、このスクール事業には必ず土曜教育コーディネーターをつけなければならなくて、その方もPTAの会長、副会長だったり、学校評議員を務めている人など、本当に地域の多様な人たちの参加が必要となってきます。
そういう中で、この3校のうちの1校では、運営協議会の中に子ども会も参加しているということです。そこで、私は、単にアンケートをとるだけではなく、もし本当にやれるのでしたら、子どもたちがここに参画して意見を述べ、どういうサタデースクール事業が本当にいいのかということを子どもたちと一緒に考えていったらいいのではないのかと思います。
このようにたくさんの方々が主体となって事業を回していっておりますが、年に10回以上、2時間の事業をやるというのは大変ですから、すぐに全校にはいかないと思います。ただ、この事業をやってみて、広報さっぽろにも出ていたように、本当に楽しかったとか、また、いろいろなことをたくさんやらなくても、自由にこういう事業をできるということで他校に広げていくと、もっとやりやすくなるのではないかなと思います。
そこで、質問ですけれども、他の学校においてもサタデースクール事業の取り組みをしやすくするためには、今お話ししたような事業の成果を情報発信することが重要と考えますが、どのように取り組むおつもりか、お伺いいたします。
また、来年度以降のサタデースクール事業の方向性はどのように考えているのか、あわせて伺います。
◎梅津 生涯学習部長 まず、他校への情報発信についてでございます。
この事業につきましては、これまで、教育委員会のホームページで紹介を行っているほか、先ほど委員のお話にもありましたように広報さっぽろや、市の広報番組、さらに新聞などでも取り上げていただきました。また、先般、開催したモデル校3校に集まっていただいて情報交換会を行っておりますが、これにはサタデースクールを実施していない学校にも声をかけて参加していただき、事業の成果などについて周知を図ったところでございます。今後とも、他校の取り組みが進むよう、積極的に情報を発信してまいりたいと考えてございます
それから、来年度以降につきましても、コーディネーターの発掘という結構大きな課題もございますが、委員のお話にもありましたとおり、今年度の実施成果を評価、検証した上で実施校の拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
◆伊藤牧子 委員 小学校にしても200校のうちのまだ3校ということで、いろいろな課題もあると思いますが、先ほどお話しされていたように、ぜひ情報交換会などを行って他校に広げるようにしていただきたいと思います。そして、土曜日の過ごし方につきましては、これからさまざまな議論があると思いますが、ただ単に学力を上げるとか、親や教職員の都合ではなく、どういう過ごし方をしたらいいのかということはぜひ子どもを中心に考えていただきたいと思います。
最後に、要望になりますが、急速な情報社会の進展、核家族化などによって地域の人間関係が希薄になっておりますけれども、これからの社会は、人と人とが触れ合う中で、自分で考え、自分で行動できる自立した人間になることが必要だと思います。地域の大人も子どもたちと同じ目線でともに学び、子どもも大人もともに育っていく環境づくりとして土曜日のサタデースクール事業は大切なものだと思っておりますので、ぜひ子どもの視点に立って進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、1項目めは青少年科学館について、2項目めは市立学校における消防用設備点検業務について、2項目質問いたします。
初めに、青少年科学館についてであります。
最初の質問は、昨年度は、改修工事が約1年かかりまして休館しておりましたが、その休館中の事業の取り組みと、ことし4月以降リニューアルオープンしておりますので、その後の利用状況などについて伺いたいと思います。
ご承知のとおり、札幌市の青少年科学館は、1981年、昭和56年に札幌市が科学及び科学技術に関する知識の普及啓発を通して創造性豊かな青少年の育成を図ることを目的として設置した社会教育施設であり、同時に、博物館法に基づいて登録している博物館でもあります。同科学館は、開館してことしで33年目になりますが、当初から、市内はもとより、市外からも小・中学生や大人が訪れて、2008年、平成20年10月には、来館者1,000万人を達成し、その後も来館者は毎年30万人を超えております。
先ほど申し上げましたように、昨年度は、耐震性能の強化と老朽化した設備の保全及び宇宙・天文コーナーの展示物の更新等のために約1年間休館いたしました。青少年科学館は、休館中に積極的に市内の幼稚園や学校などに出向いて出前事業などを行ったほか、移動プラネタリウムを導入してさまざまな取り組みをしたというふうに聞いております。
最初の質問は、ことし4月24日にリニューアルオープンしてから、これまでの来館者数と今年度の見通しはどのような状況になっているのか、伺います。
また、今申し上げた休館中の出前事業等、主な事業の取り組み、また、これに対する教育委員会の評価について、あわせて2点伺いたいと思います。
◎梅津 生涯学習部長 ただいま、青少年科学館のリニューアル後の状況と休館中に行った事業につきましてご質問がございました。
まず、リニューアル後の状況でございますけれども、本年4月24日にリニューアルオープンいたしまして、9月末までの約5カ月間で30万人をちょっと切る29万3,440人にご来場いただいております。この来館者数は、平成24年9月末までの数字と比較しますと6万人以上の増加となってございまして、率にいたしますと約27%増となります。このまま推移いたしますと、今年度の来館者は45万人を超えるかなという状況でございまして、これまでの過去最高は昭和57年の44万人ぐらいですから、これを超える可能性も出てきた状況でございます。
改めて、科学館は、多くの子どもたちや市民に親しまれ、再開館が期待されてきたものというふうに実感しております。また、このたび、山崎直子名誉館長のご助言もいただきまして天文・地球科学コーナーを整備しておりますが、ここ数年行ってまいりました展示物の更新と比較いたしますと規模が大きかったこともありまして、リニューアル効果が非常に高かったものというふうに分析しているところでございます。
それから、休館中の事業でございますが、ただいまの委員のお話にもございましたとおり、休館中は積極的に外に出て学校、地域へ出前事業を実施してきたところでございます。主な事業といたしましては、移動科学館あるいは移動プラネタリウムによる学習投影、それから、児童会館への出前サイエンスあるいは出前工作会、こういったことなどを通しまして、延べで小・中学校が67校、児童会館などは44施設で実施いたしまして約3万8,000人ぐらいの参加を得たところでございます。
長期休館によって学校や地域において積極的に新規事業を実施し、大変好評でございますので、平成26年度以降も継続して行っていくと聞いております。また、これらの実施によりまして、市民や子どもたちに科学館を身近に感じてもらえたこともございまして、リニューアル後の利用者増にもつながっているものというふうに認識しているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 リニューアル後の効果が認められたことや、休館中に行っていた出前事業などは今後も積極的に取り組んでいくということでした。
私なりに考えた来館者数のふえた要因としては、部長が今答弁されたように、宇宙飛行士の山崎直子さんが名誉館長に就任いただき、そしてまた、お忙しい中でありますけれども、ことしも夏にお越しいただいて講演会に参加していただいていることも含めて、青少年科学館に対する市民の関心度も非常に高まっているのかなということが挙げられると思います。二つ目には、2〜3年前になりますが、はやぶさの打ち上げで戻ってきたものが展示されたり、最近では、物理学を中心とするノーベル賞の日本人の受賞がふえて、北海道出身の方も受賞し、科学に関する興味や関心が市民も高くなっているのではないか。三つ目には、33年前にオープンして以来、科学館に勤務されている職員の皆さんの研究熱心な取り組みが挙げられるのではないかなと思います。
そこで、次の質問ですが、2011年、平成23年の
決算特別委員会において、私どもの会派の三宅委員がプラネタリウムの更新の関係で質問いたしました。答弁としては、プラネタリウムの更新は科学館の大きな目玉であり、今後のあり方について、ソフト面の充実も含めて、指定管理者と十分協議させていただきながら検討してまいりたいということでありました。平成23年の
決算特別委員会ですから、24年、25年、26年と約3年間ありましたが、具体的にどのように検討されてきたのか、伺いたいと思います。
◎梅津 生涯学習部長 平成23年の
決算特別委員会以降、プラネタリウムに関する科学館との協議の状況でございます。
青少年科学館とは定例的に協議会を行っているほか、施設の管理運営、あるいは施設・設備、展示物の修繕、更新など、一般的なことに関することについて、随時、連絡を取り合って意思疎通、情報の共有化に努めております。プラネタリウムにつきましても、同様に情報の共有化と必要に応じた対応を行っているところでございまして、例えば、児童生徒向けのプログラム番組の新規制作数を増加するなど、ソフト面の充実を図ってきてございます。
それから、先ほど休館中の事業でもお話しいたしましたとおり、休館中に移動プラネタリウムを新たに導入いたしました。これは、休館中ばかりではなく、科学館の活動として、より柔軟な活動もできるというように、開館後をにらんだ上で協議しながら進めてきたものですが、そういうことも含めて協議を続けてきたところでございます。
ただ、プラネタリウムの更新の話につきましては、年数もたっておりますので、近い将来、更新が必要という認識は両方とも持ちながらも、具体的な更新時期までは協議が至っていないところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 科学館との定例の協議会を通じて情報の共有や必要な対応をしてきたということであります。しかし、私どもが3年前に決算議会で指摘したのは、平成25年度の1年間をかけて行うリニューアルのときに、できればプラネタリウムも一緒に含めて前倒しで行っていくべきではないかという質問をして、先ほど申し上げたような答弁が返ってきたのです。今の答弁では、検討はしているのでしょうけれども、何か先が見えるような検討ではないという状況もあるわけです。それを踏まえて、私どもとしては、議会でもし部長が答弁されるのであれば、少なくとも、いろいろな検討をする際には課長レベルとか部長も入った検討委員会とか〇〇委員会というものを立ち上げると思うのですが、そういうものがなかったということは具体的な検討ということでは少しいかがなものかなと首をかしげるような状況であります。
しかし、そこばかりにこだわってもいけませんので、次の質問に入りたいと思います。
2008年、平成20年3月に学習指導要領が改訂されておりまして、プラネタリウムによる学習投影は、小学校4年生に加えて、小学校6年生でも月や太陽の位置などを学ぶことが追加されております。後ほど具体的に触れていきますが、平成22年3月には、札幌市の社会教育委員会議の答申の中でも、今後の展示物の整備の方針が打ち出されております。この中の文章を引用いたしますと、今後は、これらの展示分野がこれまで以上に学校教育において活用されることが見込まれ、学習指導要領を体した展示内容の拡充が求められている状況というふうな表現がされております。
そういう状況を踏まえて、プラネタリウムの利用状況を調べてみますと、平成24年度の来館者数は、プラネタリウムだけで一般市民も含めて約11万6,000人です。学校の学習投影利用については、小学校4年生が193校で1万5,290名、小学校6年生は33校で2,748名ということで、そのほかに3年生とかいろいろありますが、約1万8,000人強の方が学習用として利用されています。平成25年度は休館中ですからデータとして活用しませんけれども、今年度は、リニューアルオープン以降、この10月までに実施されたり予約が入っているのが、小学校では、237校で1万6,000人強、市外からは334校で1万4,000人強、中学校では、市内で45校で1,100人強、市外では84校で3,600人強という申し込みや実績があります。
しかし、実際に故障がなく動いているのかということを調べると、平成23年度は7件、平成24年度は6件、平成25年度は9件、そして、今年度はリニューアルオープンしてから15件とありまして、今言った件数は、学校が勉強しに来たところではなくて、一般市民用に開放されているときに故障した件数なのです。学校のときはどうなっているのかと青少年科学館に確認しましたら、もし学校のときに故障したら、途中で違うビデオを見てもらって、全く学習的なものがなかったことにならないように工夫していますということなので、そういうことから考えると学習の投影の段階でも同程度以上の故障が起きていることが想定されるわけです。また、展示物についても、平成19年度ぐらいから毎年4,000万円近い予算が確保され、68点が更新され、まだ更新されていないものが176点となっていて、新しいものもあるし、古くてもまだ使えるものもたくさんあります。こうしたプラネタリウムの利用や故障の状況、また展示物の状況から、先ほど申し上げた社会教育委員会議から答申されて予算がついているわけですね。
さらに、話は少し古くなりますけれども、私ども会派も1年に最低1回や2回は科学館にお邪魔しますが、この科学館が開館した当時、世界で初めて人工降雪装置が設置されて、現在もあります。しかし、数年前に、4基ある降雪装置のうち2基が故障して、なかなか直してもらえないという悩みを聞いております。
そこで、質問に移りますが、プラネタリウムについて全く検討していないとは思わないから質問するのですけれども、例えば、今後、プラネタリウムを更新する場合、買い取りで行くのか、リースで行くのか、その場合に附帯設備も含めて工事費はどのくらいの額になるのかという見積もりなどを関係の業界からとっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。
さらに、まだいつやるとは決まっていませんから、どちらとも言えない可能性もあるのでしょうけれども、リース方式にするのか、買い取り方式にするのか、そうした判断なりスタンスはどのようになっているのか、伺いたいと思います。
◎梅津 生涯学習部長 まず、プラネタリウムを更新したときの費用でございますが、まだ詳しい仕様が確定しているわけではございませんので概算になりますけれども、まず、今お話がありましたとおり、仮に導入するとして、その方法は買い取りにするのか、リースによるのかということがありまして、買い取りをする場合は設置費込みでおおよそ4億円ぐらい、それから、保守料金も含めたリースの場合は10年リースで年間約5,000万円ぐらいになるのかなという感触を持っております。
それから、現在の状況で、契約方法として買い取りで行くのか、リースで行くのかということでございますが、いずれにしても非常に大きな予算がかかります。さらに、買い取り、リースとも、一長一短、メリット・デメリットがそれぞれにございますので、他都市の事例などを比較検討してこれから慎重に検討したいと考えておりまして、現在の時点でどちらかの方法でやると決めている状況ではございません。
◆ふじわら広昭 委員 プラネタリウムを更新するメリットとして、幾つかありますが、例えば、今の札幌市の科学館にあるプラネタリウムで見える星の数は1万個弱だと思いますけれども、新しいものは1万5,000個前後になっておりまして、映像による学習効果のアップがあると思います。それから、集客力もアップすると思います。また、LED化によって、消費電力が現在の3分の1で済み、主要なランプの交換は20年間不要となります。それから、新しい機械に更新するために、保守の効率化、経費の軽減が図られると思います。そしてまた、今は二つの会社の装置をつけておりますが、こうした装置も総合的に関連性を深めて操作できることや、今、故障の多い原因の一つであるプロジェクターの台数が3分の1ぐらいになって故障のリスクも軽減されるというメリットがあります。
それから、仮にリースにした場合には金利がかかりますから、10年で見れば買い取りよりも高くなる場合もあります。しかし、全国的にも、あるいは道内でも、プラネタリウムを更新したところを見ると最近は大体リースが多い傾向にあります。それは、機械本体の所有は会社となりますから、故障とかいろいろなことには会社が責任を持つことになるからであります。
それから、展示物もそうであります。そちらの認識としては、今年度にいろいろなコーナーの雪とか天文とか交通という整備が終わったという認識でいるのかもしれません。しかし、私どもとしては、平成22年度に出された答申は、少なくとも7〜8年、あるいは10年以内は、それを踏まえた上で、先ほど申し上げた残りの176点の整備をしなければ――常に5年とか10年サイクルで多額の予算をどんと確保しなければならないという無理があるわけですので、ぜひとも、今後はそういう予算編成の要望をしていただきたいと思うわけであります。
そこで、検討中ということですが、では、今後の展示物の整備とプラネタリウムの整備の考え方について伺いたいと思います。
先ほども申し上げたように、私はスピード感が遅いと思います。少なくとも、こういった時期には具体的にこういうふうにしたいという考え方がなければだめだと思うのです。最近、私も地域の方から聞いたのですが、近所の方と家族で科学館に行きましたら、急に映らなくなって、料金の払い戻しはあったけれども、大変残念な思いをして帰ってきたということです。科学館に問い合わせたところ、最近は、経年劣化によって故障の増加に加え、交換部品が製造中止によってなかなか手に入りづらい状況にあるということでしたけれども、今後、こうした展示物とプラネタリウムについてどのように整備していこうと考えているのか、改めて伺いたいと思います。
◎梅津 生涯学習部長 ただいまは、プラネタリウムの更新も含めて、科学館の展示物の考え方ということでございます。
展示物の更新につきましては、委員のお話にもありましたとおり、今までは新まちづくり計画の中で位置づけをして整備してきたところですが、計画自体が終了いたしますので一旦は終わります。ただ、青少年科学館の利用者増、あるいはもっと活性化するという意味合いでは、常に最新の科学あるいは技術を紹介する、常に魅力ある展示物の整備をしていくことが求められているのかなというふうに思っております。それからまた、学校教育との連携につきましても、今後ともより一層強化していかなければならないというふうに考えてございます。
そうした中で、現在、青少年科学館を活用した理科教育推進の在り方検討調査というものを実施しておりまして、外部の有識者にもお集まりいただいて、この中で専門的な見地から意見を頂戴しているところでございます。こういった展示物の更新、プラネタリウムの件につきましても、この会議の議論あるいは意見などを踏まえまして、今後の展示物の整備方針について検討していきたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 先ほどはあえて言いませんでしたが、プラネタリウムは耐用年数20年、プロジェクターは10年ということですけれども、光学式は17年たっていて、デジタルは9年ということです。部長の言うように確かに一つの考え方にのっとって進めなければなりませんが、現状は、先ほど私が申し上げたように一般市民も大変懸念をしております。展示物についても、科学館に行ったらお休み中という看板が掲げてあるので、お休み中とは何ですかと聞いたら、故障していてなかなか直らないからということのようですけれども、余りにもお休み中となっている展示物が多過ぎるという指摘が来館者から科学館に寄せられているのですね。プラネタリウムも、古いことをお話しすれば、故障したときに来館された方もそれなりに理解を示してくれますが、耐用年数がもう少しあるからそれまでの間に更新すればいいということではないと思うのです。
理科センターのそうした答申が来年の3月末には出されると。しかし、担当者から聞いている話では、それを踏まえて平成27年度は計画をつくる、そして、その計画をつくった段階で平成28年度に予算要望をしていくとなると、私は非常に遅過ぎるのではないかというふうに思います。そういう意味からも、そしてまた、私は学習指導要領に基づいたプラネタリウムの位置づけというものがないがしろにされているのではないかと思いますので、前向きに、理科センターのものとは切り離して、プラネタリウムについては3年前にそうした答弁をしているわけですから、青少年科学館とも検討委員会みたいなものを立ち上げてしっかりした取り組みをしていただきたいと思います。
同じく、科学館の問題として、科学館の職員の専門性と人材育成について質問したいと思います。
今後の科学館は、小・中学校の理科教育の支援はもちろんのこと、企業や大学と連携した子どもたちのものづくりへの興味・関心を高めていくことが求められております。また、いろいろな技術が日進月歩で発展、改善されておりますので、そういう中で、展示物はもとより、新しく開発されたさまざまなものは、その場所になくても、職員がわかりやすく解説していける資質の向上やスキルアップを図っていかなければならないと思うわけです。
青少年科学館の運営を担う公益財団法人札幌市生涯学習振興財団は、ほかにも宮の沢にある生涯学習センターの施設運営も行っておりますけれども、設置目的や活動内容が全く異なる施設を同じ団体が管理することには一定の限界があると私は思います。そういう意味では、今、科学館と生涯学習センターでの人事交流が行われておりますが、私は人事交流を否定するものではありませんけれども、科学館の施設運営に支障が出るような人事交流であってはならないと思います。やはり、利用者に対する説明が十分にできないなどの問題が発生してきますので、これからは科学館のプロパー職員のモチベーションを高めて、専門性を高める研修、人材育成を進めることが必要だと思います。
そこで、特に科学館の位置づけを踏まえて、部長は、今後、科学館のプロパー職員に対する専門性を高める人材育成や研修体制、そして、その充実強化をどのようにすべきと思っているのか、そして、指定管理者である札幌市生涯学習振興財団を所管する立場の教育委員会としてどのように考えているのか、改めて伺いたいと思います。
◎梅津 生涯学習部長 科学館の職員の専門性を高める人材育成ということでございます。
まず、財団につきましては、指定管理者として指定しておりますので、指定する際に、私どもからの管理業務の仕様書の中には、当然のことながら、管理運営組織の確立という中で人材の育成についても要求水準として掲げておりまして、私どもとしても、随時、適切に守られるよう指導する立場であります。その上で、科学館におきましては、確かに職員としての専門性が高い部分もございますので、そういったことを高めるために、科学館としては学芸員などの資格取得を推進しているというふうにも聞いてございます。また、私ども教育委員会といたしましても、学校教育との事業連携という部分もございますので、教員の派遣も行うなど、施設に応じた専門性の高い職員配置に配慮しているところでございます。
いずれにしても、市民の生涯学習を支援するため、今後も、適切な人材育成あるいは研修を実施していく部分につきましては、財団に対して引き続き助言してまいりたいと思います。また、ただいまお話のありましたとおり、人事交流によりましても、利用者サービス、あるいは施設運営が円滑に行われるように、かつ、蓄積したノウハウ、専門性といったものが新しい職員に円滑に引き継がれるように継続的に働きかけてまいりたいというふうに思っております。
◆ふじわら広昭 委員 指摘、要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
この財団には、科学館と学習センターがありますが、合わせて32名の正職員がいて、それ以外にも嘱託とか契約職員がおります。多分、正職員が異動の対象になっていると思うのですが、先ほど申し上げたように、貸し館業務を中心とする生涯学習センターの運営管理と、科学という日進月歩の内容を扱う科学館ではおのずから違うものがあると思います。ですから、人事交流は否定しませんけれども、通常行われているようないわゆる機械的な人事交流をすればよいという問題ではないと私は思います。それは、科学館にとっても効果が薄く、そしてまた、個人にとっても、科学館のプロパー職員が生涯学習センターに行ったとしても効果は非常に薄いと思いますので、管理から事業実施までより専門性を持たせた人事組織の充実を図るように、ぜひとも、一般の指定管理団体と異なった視点での取り組みを財団に強く指導することを求めておきます。
それから、プラネタリウムについて、私は、先ほどのように理科センターからのどうあるべきかという答申を踏まえて判断していきたいと言うのではなくて、先ほどの現状を認識するのであれば、少なくとも、この12月の4定や、来年度は骨格予算になりますけれども、1定に補正予算を組んでしっかり取り組むと。その理由としては、1月から3月までが平均的に来館者数が一番少ないのです。5月のゴールデンウイーク、6月になると、新4年生、新6年生や、また一般市民もプラネタリウムの申し込みに来ますから、故障のないように、その少ない時期に合わせてそうした取り組みをしっかりすべきだということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、学校の消防用設備の点検について質問したいと思います。
現在、札幌市の教育委員会が所管し、消防用設備の点検を必要とする学校数は、多分、318校程度だと思います。こうした学校は、病院などとともに、消防用設備の設置、維持業務の基本的な考え方が消防法第17条で示されており、そして、消防法施行令第36条第2項では、これらの整備に必要な資格者について明記されているわけであります。
古い話になりますが、1993年、平成5年2月に、白石区役所においてスプリンクラー設備の誤作動によって被害が生じたことを踏まえて、同年3月15日に、札幌市の消防局長名で、消防用設備保守点検の契約についてという要請書面が出されております。これは、1991年、平成3年4月に、当時の自治省消防庁から消防用設備等点検済表示制度の活用も含めてしっかりと取り組むようにという通知が出されていて、そういう視点でのものでありました。
こうした学校は、言うまでもなく、授業を受ける児童生徒がいて、また、市民にも開放されておりますので、私は、点検に必要な資格を有する方を常用雇用している業者にしっかりとやってもらうことが必要だと思うのであります。教育委員会では、業務を行う業者を指名競争入札で決めているようでありますが、指名に当たっての基準についてはどのような資格要件を設けているのか、最初に伺いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいま消防用設備点検業務についての資格要件ということでお話がございましたけれども、私どもは、現在、市立学校を5ブロックに分けまして、札幌市競争入札参加者名簿の消防設備保守点検業務に登録されている業者の中から、ブロックごとに各9社を指名させていただいております。また、仕様書において、各消防設備ごとに点検資格を明示しておりまして、点検に当たっては有資格者を含む3名以上の者で行うということを定めているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 有資格者をしっかり確保しているところを指名しているということであります。
しかし、私が調べた限りでは、毎年ではありませんが、例えば一人親方の業者が指名されたり、あるいは、受注を受けた後に臨時的に資格を持っている人を集めている業者も一部にいるようなことも耳にいたします。私は、そういう業者が学校の消防用設備点検を行うことに不安を感じざるを得ません。学校の消防設備を点検する業者は、やはり、資格のある技術者を常用雇用している業者の中から指名することが基本ではないかと私は思います。
調べてみますと、教育委員会では、2005年度、平成17年度と2007年度、平成19年度に、登録業者に対して従業員数や資格所持の状況について事前調査を行った上で指名入札の対象としておりますが、今言った2回以外、最近はそういう事前調査が行われておりませんけれども、今後、こうした事前調査を再開する考えはあるのか、改めて伺いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 子どもたちの安全・安心は何よりも優先されるものでございまして、そのためには消防設備点検はより確実な履行能力のある業者に行わせる必要があると考えております。したがいまして、次年度からは、業者選定に当たりましては従業員数や有資格者の状況について事前調査を行いたいと考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 次に、積算についてでありますが、教育委員会では、国土交通省の建築保全業務積算基準に基づいて積算していると思います。私は、以前に、
北海道教育委員会に行って、道立は高校が中心ですが、道立高校の点検業務の委託のあり方や委託料について調査してまいりましたけれども、札幌市教育委員会の委託料積算額は、道教育委員会の積算額と比較すると1校当たりの委託料も含めて随分低いように思われます。
そこで、教育委員会では、学校の消防用設備点検業務の予定価格を設定するに当たってどのように積算を行っているのか、伺いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 委託料の積算でございますが、私どもは、一旦、国土交通省が出している積算要領を適用して算定しております。ただ、私ども札幌市は多数の学校が固まっておりますので、そういう状況での点検はスケールメリットがございますので、その計算だけではそうしたことが反映されていないために、複数業者から見積もりを徴取してその額も参考にしながら最終積算額として算定させていただいているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 今の答弁では、複数の業者から見積もりをとり、そういうものを参考にしながら予定価格を設定しているということでありました。しかし、私は、先ほど申し上げた国の積算基準が実情に合わないということであれば、関係業者から見積もりをとって実際の状況に引き下げることはいいと思うのです。ただ、調べてみないとわかりませんが、今の部長の答弁では、そちらで積算をしているものがあるけれども、業者の見積もりのほうが低く出てくるので、そちらに合わせているかもしれないというふうにとれるような答弁であったわけであります。そういう意味では、私どももさらに調べていきますけれども、より確実にこの業務を履行していくためにも、業者の適正な利益が確保されて、会社の存続や技術者の常用雇用につながっていくような適切な予定価格の設定が必要だと思うわけであります。
そこで、質問でありますが、現在の教育委員会の積算額が妥当なものかどうか、改めて調査することについてどういうふうに考えているのか、伺いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいま委員からいろいろご指摘をいただいたところがございますので、我々としては、より妥当性を持った積算額を算定するために、北海道や他都市の状況をぜひ調査させていただきたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
今申し上げたように、消防点検というのは、建物の維持管理上、非常に大切な業務であり、特に古くなっている学校施設においては、児童生徒の命を守ることが最優先されなければならないことからも、業者選定に当たっては、今後、毎年、事前調査を含め、厳正に行うとともに、委託料についても適正に算定し、質の高い業務が可能となるように努めていただきたい。また、関係業界との意見交換、情報交換などにもしっかり応じて実態に合ったような対応をしていただくことを求めて、終わります。
◆本郷俊史 委員 学校のトイレについて、簡潔に質問したいと思います。
本題に入る前に、基本的な考え方を確認したいと思います。
学校施設は、言うまでもなく児童生徒のための教育施設ですが、近年は、阪神・淡路大震災以降、災害時の避難場所として使われております。札幌市においても、約600カ所ある収容避難場所のうちの半数は学校でございますし、収容人数から言いますと8割以上が学校体育館になろうかと思います。
そこで、学校施設の位置づけについて、教育委員会としてどのように考えているか、確認したいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 ただいま学校施設の位置づけということでお話がございました。
改めて申し上げたいと思いますが、学校施設は、教育施設として児童生徒の学習の場であるとともに、生活の場でございます。加えまして、地域施設として学校開放など地域住民の利用に供するほか、地域住民の避難場所としての機能も担っている、こういうふうに考えているところでございます。
◆本郷俊史 委員 児童生徒の健康、あるいは快適な教育環境の提供、そして、今ありましたように、避難所として、これは特にバリアフリー化ですね。阪神・淡路大震災のときにも大変問題になりました。高齢者あるいは障がいをお持ちの方、妊産婦などなど、そういった方たちが利用されるということでございます。
そこで、学校トイレのあり方についてどのように考えているか、お聞きしたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 学校トイレは、健康に深くかかわりがあるものでございまして、子どもたちが何のためらいもなく普通に入れて、そして、使いやすいものでなければなりません。また、学校開放や災害時の避難場所としての役割も果たしておりますことから、高齢者や身体に障がいのある方にとっても使いやすいものでなければならない、こういうふうに考えております。
◆本郷俊史 委員 今、部長が答弁されたとおりだと思うのですね。私ども公明党の会派として、平成13年に、児童生徒8,000人、その保護者8,000人にアンケート調査を実施いたしました。それは、当時、こういう相談が寄せられておりました。子どもたちが学校でトイレを我慢している、ただいまと家に帰ってきて、ランドセルを置いて、まずトイレに駆け込むと。そういうことがあって、まずその実態を調査しようということになったわけです。
世間的にもマスコミ等でそういうことが取り上げられておりまして、当時、神奈川県議会では、超党派の議員による学校トイレ整備推進議連というのがあって、神奈川県はかなり学校のトイレの改修に力を入れておりました。また、NPOの学校トイレ研究会というところが、毎年、シンポジウムを開催されておりました。
私どもが行ったアンケート調査の結果によりますと、学校のトイレの好感度について、約半数の子どもたちが嫌いだと。嫌いな理由は、汚い、臭い、暗い、これが7割です。当時、「学校の怪談」とか「トイレの花子さん」という映画やドラマをやっていて、小学校低学年の子は暗くて怖いと。あと、札幌ならではですが、寒いと。3K1Sということがございました。新しいトイレの希望は、洋式を多くしてほしいというのが75%、4分の3です。確かにそうです。13年前の調査では、8,000人のアンケートのうち、自宅が洋式になっているお宅は既に96%なのですね。
そこで、平成13年3定の
決算特別委員会で質問いたしました。当時、和式と洋式のトイレの比率は、男子トイレが3対1、女子トイレが7対2なので、大規模改修に合わせて年10校前後は改修していきたい、こういう答弁でございましたので、これまでの改修状況について、洋式トイレが半数以上となった改修済みの学校はどこまで進んでいるのか、小学校と中学校に分けてお答え願いたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 洋式トイレが半数以上ある小・中学校の施設数ですが、小学校では202校中77校、中学校では96校中34校という数字になっております。
◆本郷俊史 委員 何か、すごくあっさりと答えられましたが、4割も行っておりません。平成13年の答弁では、平均10校として、今、13年たっていますから、大規模改修だけで130校、あるいは、改築だとか、その当時に新しくできて和洋が1対1になっている学校を含めたらこんな数字ではないはずですね。今の数字を聞いて、あの答弁は何だったんだ、50%にも達していないと。
先ほどの部長の答弁で、学校のトイレの重要性ということは認識されている、こういうことなのですよ。その当時に質問したときは、年10校だと30年もかかるのではないかというようなやじも出まして、もっと早めろということでしたが、今こういう実態になっています。
学校のトイレの洋式化が進まない、改善されないことに対してどのように思っていらっしゃるのか、あるいは、その理由についてお伺いしたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 学校トイレの改修でございますが、先ほど委員からもお話がありましたとおり、基本的に汚い、臭い、暗いといった3Kですが、これを合わせて解消するということで全面改修を中心に行ってきております。全面改修となるとかなり多額の費用がかかりまして、実施できる学校数がおのずと限られてきている中で、トイレの洋式化もなかなか思ったように進んできていないという状況がございます。
◆本郷俊史 委員 今の部長のお答えでいくと、これからも進まないということですね、費用が厳しいのだから。
トイレの改修は、この当時、保護者からはすごく喜ばれました。いろいろな声をお聞きしております。そして、今、4割弱が改修されてきれいな学校になっています。昔のように湿式のトイレではないですね。ホテルタイプの乾式のトイレになっています。すぐ隣の学校はすごくきれいになっているのに、自分の通っているところは大規模改修に当たっていなくて和洋の比率も2割のままだということが起こります。
中央区の例を出して済みませんが、平成22年に桑園小学校が改築されまして、トイレの洋式化率は男子で78%、女子で88%と5対5ではない。平成25年には、向陵中学校の男子トイレは67%、女子トイレは89%、平均83%が洋式になっている。平成13年度以降の改修校の平均で見ますと、小学校の男子トイレで69%、女子トイレで77%、中学校の男子トイレで65%、女子トイレ73%が洋式になっています。こういう格差があります。隣の学校はすごくきれいなのに、たまたま校区で分かれて古いほうに行っている方もいるわけですから、この格差の解消を図る必要があると思うのですが、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
そのためには、大規模改修に合わせた全面改修では多分できないのですよ。今、民間の既存施設はどうなっているかといいますと、いろいろな店舗でも飲食店でも、和式トイレを洋式トイレに改修していますね。今、工法もかなりモデル化されてきまして、2日間で変えられます。1日目に和式トイレの前垂れ部分をカットして、排水のアジャスターをセットして、超速硬モルタルはすぐ固まりますから、翌日には床を張って洋便器をセットして2日でできます。2日でやれなかったら店舗はやっていけませんよね。1カ所当たり、1ブース当たり40万円くらいという話も聞いておりますが、これは発注個数によってもまた上下するのでしょう。
そういうことを考えますと、トイレ単独でも洋式化の改修を進めるべきと考えるのですが、いかがでしょう。
◎大古 学校施設担当部長 生活様式が変化しておりまして、これに対応しつつ格差解消を進めていく必要があると考えており、学校トイレの洋式化をスピードアップしていく必要があるというふうに認識しております。そのためにも、今、委員からお話がございましたように、洋式化のみの改修も進めてまいりたいと考えております。
また、その際、全てのブースを対象にしていくのではなく、児童生徒の数に応じて必要な数だけを洋式化していくといった観点も取り入れ、効果的に整備を進めていくことも考えてまいりたいと思います。
◆本郷俊史 委員 やるのですね。(「甘いって」と呼ぶ者あり)言っていないのか。
疑うわけではないですけれども、平成13年のときに10校ずつやっていきますと答弁された方は、退職して、もういらっしゃいません。やっぱり、目標年次というか、最低限、洋対和の比率が5対5になっているという学校が100%になっているように、確かに、大規模改修のように壁もきれいになっていないし、天井もきれいになっていないかもしれないけれども、トイレだけは変わっていると。ぜひ、いつまでにここまで行くという数値目標で取り組んでもらいたいと思うのですが、最後に教育長にお聞きしたい。
◎町田 教育長 委員から、学校トイレは3Kということで汚い、臭い、暗いというお話がございました。私としても、学校トイレを逆の意味の3Kで、きれいで、心地よくて、くつろげると。学校トイレがくつろげるというのはいかがなものかという気もしますが、いずれにせよ、学校のトイレは子どもたちの生活にとって非常に大切だと考えておりますので、限られた予算でございますが、目標を定め、積極的に学校トイレの洋式化に取り組んでまいります。
◆金子やすゆき 委員 私からは3点ありまして、1点目が学校給食の安全確保策について、2点目が降雪期の学校敷地内での安全管理について、3点目が学力向上及び全国学力テストの結果の検証について、なるべく簡潔に、順次、お尋ねしてまいります。
まず、1点目の学校給食の安全確保策についてお尋ねいたします。
学校給食の食材というのは、児童生徒の安全・安心、そして健康の確保のために、多少高くても地産地消で国内のもの、安全なものを使っているというふうに承知しているところであります。札幌市の教育委員会のホームページを見ましても、道産品の使用比率が76%、それから、主食については道産のものを100%使っているなどと誇らしげに書いてあります。
ところが、個別に一つ一つの品目を聞いてみますと、実態としては中国産や韓国産の食材も多数使われていることをお聞きいたしました。具体的に申しますと、中国産のめんま、冷凍サワラの切り身、冷凍のアサリ、キクラゲ、はるさめ、あるいは韓国産の塩蔵ワカメ、炊き込みワカメ、シラス干し、オイスターソース、これ以外にも中華ソースや白ゴマ、みそ、豆板醤など、数えれば切りがないほどであります。
給食食材の概要は、今申し上げたように札幌市のホームページで公開しておりますけれども、こういう本当の実態が隠されているのではないかという疑問を持つわけであります。都合のよい部分だけの発表ではなく、実態を明らかにしてほしいと思いますが、まず、最初の質問は、なぜ中国産、韓国産の食材をかくも広範囲に使っているのか、その理由をお尋ねいたします。
◎大古 学校施設担当部長 食材の調達につきましては、今、委員からお話がありましたとおり、私どもは地産地消を進めているところでございます。学校の給食の提供に当たりましては、量が多いということもございますし、安定的に確保しなければなりません。また、低価格というか、安ければ安いほどいいのかもしれませんが、適正価格で調達できなければならないという制約がございます。今現在、給食に使われている食材は、道産品で何とか頑張ろうとしても、全製品をそのような観点で調達することはできていない状況でございます。そういった意味で、安全性などを十分確認の上、外国産品を使わせていただいているところでございます。
◆金子やすゆき 委員 今、二つお話がございました。量の観点、量の確保、それから価格の面の二つで、中国産や韓国産の食材を使っているというお話だったと思います。
安全性の確保を図っているということですが、具体的にどのようにその安全を確保されているのでしょうか。
◎大古 学校施設担当部長 安全性につきましては、外国産食材については、もちろん検疫を通って食品衛生法上の審査を経ているものが入ってくるわけでございますけれども、それに加えて、私どもは、給食食材共同購入の窓口をしている札幌市給食会のほうに、食材調達に当たり、納入業者に対してその食材に応じて細菌や残留農薬等の検査項目を指定して自主検査の書類の提出を義務づけ、それをもとに安全性を確認しております。また、給食会では、食材の適正な品質確保のため、学校に納入された食材に関して、平成25年度で言えば23検体について細菌等の検査を実施しております。さらに、私ども教育委員会でも、学校給食衛生管理基準に基づきまして抽出した給食食材の細菌検査等を実施しておりまして、食材の安心感と学校給食への理解をより一層促すため、主な食材の産地公表など情報提供にも努めているところでございます。
◆金子やすゆき 委員 非常に滑らかに答弁をしていただきましたけれども、私は、まず、食材の検査というのは、札幌市の規定では、年1回、7月に行うだけと聞いております。導入する業者が自主的に検査を行っているという話でありますが、業者みずから弊社の商品が汚染されているという申告が出てくるはずはないわけでして、これをきちっと検証していく仕組みが必要ではないかと思います。
札幌市の学校給食会は、食材を独占的に供給する立場にありますが、冒頭に申し上げましたように、中国、韓国からの食材が極めて広範に使われていることは非常に問題であり、また、北海道の食料自給率が200%近くに達することを考えると、なぜ量という問題が発生するのか、非常に疑問に思うわけであります。
ここで、さらに具体的に議論するために、食材の一つである塩蔵ワカメ、炊き込みワカメを例に挙げてご質問したいと思います。
この二つの食材につきましては、札幌市の規定の中で国内産と指定され、業者とも国内産という指定で契約しております。しかし、長い間、この規定に違反して韓国産の食材を提供していたと聞いております。ワカメと申しますと、日本人にとりましては三陸産や鳴門産が基本であります。スーパーに行きますと、韓国産などを安く売っていることは承知しておりますが、安全な食材、国産のものが十分ありますから、私は、やはりこういうものを使ってほしいと思うわけであります。
ことしの春、私がこの問題を質問したころぐらいから国産に戻したと聞いておりますけれども、なぜ、それまで規定に反して韓国産の食材を使っていたのか、その理由をお尋ねいたします。
◎大古 学校施設担当部長 韓国産に至った経緯でございますが、発端としましては、東北で起きた大地震の影響ということで、東北の三陸沿岸のワカメが使えなくなりまして、需給の逼迫から給食で使うような大量のワカメを国産で一括して調達することができなくなったということでございます。
ただ、今、規定に違反して提供され続けたというようなお話でございましたが、途中経過はいろいろございましたけれども、私どもは、製品の変更につきましては給食会から学校側にきちんと通知していたというふうに認識しております。規格書については、地震の影響による一時的なものだということでそのままになっていたため、規格上は国内産を使うことになっていましたけれども、実際の提供は、給食会の個別の通知によって韓国産が使われていたということでございまして、意図的に違反したとか、そのようなことではないというふうに認識しております。
◆金子やすゆき 委員 規定としては国内産だったけれども、実態としては震災の影響で韓国産を長く使っていたという話であります。
一見、もっともな説明だなというふうに思いますけれども、炊き込みワカメというのは賞味期限が1年以上あるものなのですね。塩蔵ワカメもかなり長期に保存がきくものであります。ところが、平成23年3月に地震が起きまして、4月からすぐ韓国産に切りかわっております。これはちょっとおかしいのではないかというふうに思います。
また、農林水産省がワカメの収穫量を年別に調べております。今、部長がおっしゃいましたように、平成23年度、岩手県、宮城県のワカメの生産量は確かに激減しておりまして、桁が二つ落ちるぐらいです。ところが、翌平成24年度には震災前に戻っているのですね。つまり、平成23年度の震災直後は流されてしまったという説明はわからないでもありませんが、24年度はもとに戻せたのではありませんか。実際に、給食会の中で入札を行ったときに、平成24年度は三陸産を使う業者から応札があったとも聞いておりますし、被災地復興支援の考え方からいきますと、私は、あえて国内産を選ぶべきではなかったのかと思いますけれども、いかがですか。
この点、私は、規定の違反だったのではないかと思いますがいかがか、お伺いいたします。
◎大古 学校施設担当部長 長もちする云々かんぬんのお話をされましたけれども、これは、半年なり1年なりの一定期間の単価契約ですから、平成24年度の年度当初に一定期間は確保できそうもないということであれば、その期間で途中から入るようになったとしても、そのまま単価契約が続いていたようなことがございます。随時見直すというような話もありますが、一定期間の契約をもって単価契約をさせていただいている都合上、こういうことにさせていただいたということでございます。
ただ、平成24年度には手に入ったというようなことではございますけれども、また別の問題として、品質の部分もございます。同じ品質のものが手に入るかどうかとか、不漁のときなどいろいろありますし、給食で提供する食材を選ぶ側は品質のほうも重要視しているところでございます。韓国産だから一概に品質が悪かったとか、そんなことではなくて、当時、品質については日本産でも韓国産でも平等な観点で見て選んだということでございます。
また、手に入れられるか、入れられないかというようなお話になりますと、調達するのは給食会で、給食会には登録業者がありますが、その登録業者も全国あらゆるところの品物を調達できる能力があるということではございません。長年のつき合いもあり、いろいろなところで安定的に供給を受けるにはつき合いを限定しなければならないとか、いろいろな要素があって業者が調達してまいりますので、全国のどこかにあったから調達できるというような意味合いでやっているものではないということはご理解いただきたいと思います。
◆金子やすゆき 委員 私は、先ほど農林水産省の統計をもとに数字が戻っているという話を申し上げましたけれども、それについて云々かんぬんとおっしゃったのは非常にいかがなものかというふうに思います。
今、韓国産も国産も品質が同じなのではないかというお話がありましたが、私の手元に、2012年、平成24年にアメリカのFDAという食品医薬品局が行った告知があります。どのようなものかというと、韓国産の海産物は人ぷんに汚染されていてノロウイルスの危険性があるということで、アメリカへの禁輸、販売禁止を決めております。この事実は日本でも広く報道されておりましたけれども、これはご存じでしたか。
◎大古 学校施設担当部長 そのニュースにつきましては、委員から5月か6月ごろにご指摘をいただいて知りました。ただ、私自身は、それを知ったのはその時期でございますけれども、そのニュースをよく読むと、ノロウイルスに冒されていたというのはカキの話であり、カキのノロウイルスの汚染ということですので、カキのノロウイルスの部分とワカメの話は一緒にせずに分けて考えなければなりません。カキは、ご存じの方も多いと思いますが、二枚貝でノロウイルスを抱え込んで毒性を持っています。それに対して、ワカメのように表面に付着して蓄積するものは検査基準も違います。そういうものを同一に捉えて、カキがだめだからワカメもだめだろうというような考え方で食材を選んだというようなことではございませんので、その辺はご理解いただければと思います。
◆金子やすゆき 委員 非常にユニークな答弁をいただきました。多分、部長は日本語の報道だけをごらんになったのだろうと思いますが、アメリカのFDAが出している英語の原文のものをぜひ見ていただきたいと思います。冒頭に簡潔にと申し上げましたのでこれ以上は言いませんが、差し上げますので、ぜひ、後で原文を見てください。
今、日本の検疫を通っているから大丈夫だとか、あるいは、安全の検査を年に1回やっているから大丈夫だという話がありました。しかし、ことしも、年末近くなっていろいろな事件がありまして、まず、中国産の食材については、腐った肉を売っていたファストフード店とか、残留農薬の問題などのいろいろな問題があります。また、韓国産の食材の危険性はここにあるとおりであります。
ちょうど、今月、発売中の週刊文春という週刊誌で連載が続いております。中国産、韓国産の食材が全国で多数使われているという問題でありまして、札幌市も、この中で中国産食材を使った深川飯の例が取り上げられております。全国的に子どもを持つ保護者の間では非常に話題となっておりまして、この報道を受けた杉並区の例ですけれども、中国産の食材は暫定的に使用を中止することを決めたそうであります。調達コストが上がった分については区のほうで補助を出して、当面は保護者の不安を解消したい、このような方針を決めたそうであります。
今、部長は非常に滑らかな答弁で問題ないとおっしゃいましたが、私は、保護者の間で不安が広がっていると思いますから、こういった声をきちんと受けとめて、今の食品の安全性の問題、特に中国産、韓国産食材については札幌市も同じように使用をやめるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎大古 学校施設担当部長 食材調達については先ほど申し上げたような考え方でやっておりますが、今、委員がおっしゃられた安心感の醸成でございますけれども、そういう報道を受けて市民の間で不安が高まっているとすれば、私どもとしても、それは解消に努めなければならないというふうに考えております。安全性の確保の手段でございますが、自主検査などで提出していただいているいろいろな書類も見直すなり、私どもでやっている食材の検体検査も輸入食材については重点的にするなど、市民の安心感を高めるような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
◆金子やすゆき 委員 非常に丁寧な答弁はいいのですけれども、中身が伴っていないと思うのですね。今お話があったのは、供給する立場にとって量の確保が大切だという話だと思いますけれども、私が申し上げたのは、食べている子どもは給食から逃れるわけにいきませんから、子どもの不安、保護者の不安を解消してほしいというのは、ただ単に立て板に水のような今の答弁で説明するのではなくて、実際の不安を取り除いてほしいという話でありますから、そこのところをしっかり検討して、こういった危険な食材は子どもたちに提供しないということをぜひやっていただきたいと思います。
それから、2点目の質問ですが、降雪期の学校敷地内の安全管理についてであります。
平成25年度から損害賠償を議会の報告案件に上げてきたということで、冬季の学校でもさまざまな事故が起きて損害賠償が発生していることがわかっております。具体的に申しますと、学校敷地内に駐車中の職員の自家用車が屋根からの降雪・落雪被害を受けたというものであります。
具体的にどれくらいの被害があったのか、まず、確認のためにお伺いいたします。
◎大古 学校施設担当部長 今、金額等の資料は持ち合わせておりませんが、平成25年度の事故内容については、今おっしゃられたものも含めて7件の報告を受けているところでございます。屋根からの落雪で車がへこんだというものもございますし、除雪機を物置から出した際に、近くに駐車していた職員の車に接触したもの、また、用務員が除雪の作業中に校地内に駐車していた職員の車に除雪機を接触させた云々とありますけれども、非常に遺憾な例が並んでいるということを申し上げたいと思います。
◆金子やすゆき 委員 今、用務員が職員の車にぶつけてしまったという答弁がありました。学校職員の駐車場ですが、私の理解でありますと、本来、自家用車での通勤は禁止となっておりまして、個別に校長の許可を受けて、許可が出ると自家用車で通勤できると聞いております。駐車場の使用料は免除をしておりますし、そのスペースについては自己管理と聞いておりますが、なぜ用務員が職員の駐車場のスペースを除雪しているのかということにそもそも疑問を感じるわけであります。職員の駐車場の除雪はみずからやるものであるということが職員に対する駐車場の貸与スペース提供の条件となっていると聞いておりますけれども、実態は違うのでしょうか。
また、用務員の仕事に職員駐車場の除雪が入っているのですか。
◎大古 学校施設担当部長 済みませんけれども、先ほどは金額を申し述べ忘れましたので追加させていただきたいのですが、昨年度7件と申しましたのは、弁済額で言いますと166万809円でございます。
それから、用務員の業務として職員が駐車しているスペースの除雪があるのかというお話でございますが、用務員の業務としてそういうことをやってくださいと位置づけられたものはございません。そういう意味では、とめている先生方がみずからやっていただくのが、私どもが常日ごろ申し上げている立場でございます。
◆金子やすゆき 委員 確かにおっしゃるとおりだと思います。雪国に暮らす者として、建物に大きな雪庇ができていれば、そこに車をとめたら落ちてくるだろうというのは当然わかるわけです。そこにとめて、雪が落ちてきて車がへこんだから賠償してくださいとその職員が市を訴えてくるというのは、私はそもそもそのことの理解に苦しむわけであります。
今、用務員の仕事ではないという答弁がありましたが、そうなると、なぜ札幌市が車の被害を受けた教職員に損害賠償をするのかという法的根拠が危うくなってくると思いますけれども、その根拠法令について明らかにしていただきたいと思います。
◎大古 学校施設担当部長 自動車への補償ですけれども、委員がご指摘のとおり、雪国で生活する者であれば落雪などは当然予見すべきことで、このような事故につきましては非常に遺憾なことでございます。今回の件では、管理上の不備によるものや業務遂行中の事故であるなど、市が法律上の責任を負う場合と認められるものであったということで補償したものでございます。
◆金子やすゆき 委員 今、私は法的な根拠についてお尋ねしたわけであります。職員スペースの駐車場の除雪は用務員の仕事ではないということでありますから、平たく言うと公務ではないことになります。札幌市がその職員に対して損害賠償を払っているという法的根拠は何なのか。これは、市民、国民の税金から出ておりますけれども、この根拠は何かという答弁をいただいていなかったと思います。
◎大古 学校施設担当部長 これは、学校長が認めて駐車させたものでございまして、駐車したこと自体は学校長の権限でさせているものでございます。学校長の権限でやっているということは、学校の業務として校長が行った業務でございますので、校長が通常の公務として行って生じた損害でございますので、先ほど申し上げた管理上の不備ということで損害賠償の責任が生じると解釈しております。
◆金子やすゆき 委員 なるべく速やかに質疑を進めていきたいので、すっきりと答弁をお願いしたいのですが、用務員の職務の中に除雪の仕事は入っていないわけですね。その駐車スペースの除雪は職員みずからやるものなのですよ。これを指示したのは学校長なのですか。学校長が指示したのであれば、その責任は学校にあるのかもしれませんけれども、学校長はそのような指示をする立場にないはずですね。なぜならば、用務員の職務にその仕事は入っていないからです。いかがですか。
◎大古 学校施設担当部長 駐車している車がなぜ駐車していたかという話で、学校長が認めて駐車しているわけですから、そこに学校長の責任があるというふうに申し上げているだけです。
◆金子やすゆき 委員 私の質問の意味がきちんと理解されていないのかもしれませんが、駐車をしていることの是非ではなく、損害賠償を行ったことの是非についてであります。本来、そこの駐車スペースは職員みずから自分で雪はねをしなければならぬところですけれども、どういういきさつかわかりませんが、実態として用務員が除雪をしている。つまり、本来、そのような仕事は用務員がする必要はなくて、そこで起きた事故というのは、みずからのリスクでそこに車をとめて雪が落ちてきたという話ですから、市民が負担するものではないと思うのです。そういった観点からどうなのかとお尋ねしているのですが、いかがでしょうか。
◎大古 学校施設担当部長 先ほどから用務員がやる必要はないからというようなお話ですけれども、では、用務員がやってはいけない業務だったのかという話になると、これは別な問題です。私どもは、先ほどから申し上げているように、そこに車があったせいでそうなった、その車を置かせる許可、承認を出したのは校長であり、その管理責任ということで、それは学校内の公務に当たるので補償の対象になるというふうに解釈した、そういうことでございます。
◆金子やすゆき 委員 よくわからないのですけれども、大分時間がたっているので話を先に進めます。
今後の安全対策ということです。ことし、多数の事故が起きて、7件で約160万円の賠償をしたということですが、私は、この雪庇の落雪事故が車の事故でよかったというふうに思うのであります。もし仮に、子どもたちがこの下を通っていて人身事故になったら大変なことになるわけであります。ことしもこれから雪が降ってまいりますけれども、ぜひ、子どもたちが通るスペース、職員の車をとめている駐車場の問題、これはきちっと線を引いてやっていただきたい、子どもたちの安全管理を本当に気をつけていただきたいということをお願い申し上げます。
これで2点目が終わりまして、もう一つ、最後の3点目は、全国学力テストの検証についてお尋ねいたします。
ことし8回目となる全国学力テストですが、文科省は、ことしから方針を大きく転換いたしまして学校別の成績、学校別の平均点の結果を公開することを認めたわけであります。しかし、札幌市は、学校別の平均点どころか、札幌市全体の平均点もいまだに明らかにしておらず、昨年同様に、全国平均とほぼ同程度という曖昧な表現で市民に報告をしております。都道府県は、ことしから全て平均点の公開を初めております。
そこでまず、質問ですが、国の方針転換についていかがお考えなのか、また、その上で、なぜ札幌市は依然として全市の平均点すら発表しないのでしょうか。
◎大友
学校教育部長 平均正答率の数値の公表に係る件でございますが、文部科学省は、全国学力・
学習状況調査に当たりまして、その実施要領に、本調査により把握できるのは学力の特定の一部であること、また、学校における教育活動の一側面であることを踏まえて結果を取り扱うよう示している、これは変わっておりません。加えて、序列化や過度な競争が生じないよう配慮することを求めている、これも従来から変わっていないところでございます。今年度は、そのような実施要領の考え方に基づきまして、市町村教育委員会におけるそれぞれの判断で、実施要領に定める配慮事項に基づき、個々の学校名を明らかにした調査結果の公表を行うことは可能であるというような形を示しているところでございます。
そのような状況を踏まえまして、私ども教育委員会といたしましては、これらのことを十分に踏まえて対応することが必要であることから、現段階では平均正答率の数値については公表しないとしたところでございます。
◆金子やすゆき 委員 現段階では公表しないという答弁でありました。
なぜ、ことしから国がこのような方針転換をしたかというと、保護者の間で結果の公表を求める声が高まってきたからだと思うわけです。全国で税金で行っているテストでありますから、その結果について保護者や地域住民にきちんと情報公開していくべきであるという声が高まっていることは、ぜひ認識していただきたいと思います。
また、保護者の立場から考えますと、学校の中で我が子が平均点より上なのか下なのかがわからないのはおかしいという声があります。ことしからその取り扱いが変わりまして、各学校での平均点は校長先生の権限で公開することもできるというふうに方針を変えたと伺っております。せめて、自分の子どもが通う学校の平均点ぐらいは保護者には伝えてもよいのではないかと思うのですが、ここのところはいかがでしょうか。
◎大友
学校教育部長 札幌市の児童生徒の学習状況等について、保護者や市民の皆様に対して説明を果たすことは極めて重要なことであるというふうに考えております。よりわかりやすく説明を行うようにということで、例えば、市の調査結果につきましても、今年度から、これまでの公表の仕方に加えて全国平均正答率と比較するグラフを示すなど、より一層、課題を捉えやすくなるように配慮したところでございます。
各学校においては、私どもの公表に対する基本的な考え方を踏まえまして、それぞれの学校長が工夫をして保護者の皆様にわかりやすい形で内容を示しております。ただ、札幌市教育委員会としては、学校ごとの数値等を公表するという判断はしていないということでございます。
◆金子やすゆき 委員 わかりました。
次に、結果の評価についてお尋ねいたします。
今、部長からお話がありましたが、ことしからグラフで全国との比較を出しておりますので、情報公開という意味では昨年より少し改善したのではないかと思います。そのグラフを見てまいりますと、科目によって違いますが、全国平均よりも少し高かったり少し低かったりで、おおむね全国平均という結果が出ております。これについても、ほぼこれで満足に近いようなニュアンスで報告書がまとまっておりますけれども、全国の数字を見てまいりますと、ことしの全国トップの秋田県などと比べますと10ポイント以上差が開いている科目もあります。全く、意識の違いで、そもそも札幌市の目指す目標は一体どこなのかと。秋田県などでは、きちっと高い地位をずっと保っていくのだ、頑張って結果を出していくのだということがはっきり読み取れるわけであります。
また、札幌市ではなく、
北海道教育委員会では、平成23年に、今まで非常に低かった順位をどんどん上げていきたい、平成26年度には全国平均まで追いつきたいという目標を掲げ、毎年しっかりと取り組みを行ってきて、ことしはかなりいいところまで来ておりますけれども、そもそも札幌市の目標というのはどこにあるのか、その考え方をお伺いしたいと思います。
◎大友
学校教育部長 札幌市といたしまして、全国学力・
学習状況調査の結果等を踏まえながらの目標ということについてでございます。
児童生徒一人一人の状況に応じた指導方法の工夫、改善をどのように図っていくのか、これが私どもが一番大事にしている目標でございます。ですから、数値結果をもっての目標設定ではなくて、各学校、各教室にいる子どもたち一人一人が学ぶ力をしっかりと培うように、一人一人の状況に応じた指導方法の工夫、改善を各学校においてしっかり行っていく、これを目標としているところであります。
そのために、このたびの調査結果も活用しながら、各学校において「学ぶ力」育成プログラムというものを作成して実行するとともに、学力調査に加えて児童生徒へのアンケート調査なども重ねて実施するなどして、各学校において作成して実行している「学ぶ力」育成プログラムを不断に見直して改善していくように教育委員会として強く働きかけているところでございます。
◆金子やすゆき 委員 今、指導方法の見直しなどに使っているという答弁だったと思います。
このテストの教科の中身ですけれども、教育委員会の資料によりますと、テーマというのが、身につけておかなければ後の学年の学習内容に影響を及ぼす内容、こういったものをテストに出しているということなのですね。つまり、そのテストの結果、できた子もいるかもしれませんし、できない子もいるのでしょうけれども、できないままにしておくのが一番問題なのだと思うのです。
次にお尋ねしたいのは、このテストの結果の見直しであります。4月22日に全国学力テストを行いまして、学校できちんと答え合わせをやっているのでしょうか。
◎大友
学校教育部長 テストの終了に当たっては、学校において、例えば子どもが苦手とする領域の問題だとか、調査後に授業でその問題を活用したり、また、少し時間があきますけれども、調査結果が記載された個人票が送られてきた段階で一人一人の子どもに配付することになりますから、その際に問題を改めて確認したり、実際にそういったことを行っている学校もありますし、私どもとしてはそういうことも工夫として大切なことだと思っております。
いずれにしましても、この調査というのは、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析して指導方法の工夫、改善に役立てること、そして、各学校が実際に自分の学校の課題を踏まえて授業を工夫したり、調査問題を使って授業をしたりするなど、子どもの学習状況を踏まえて必要に応じた工夫をすることが必要である、これは、私どもが日ごろから各学校に申し上げているところでございます。
◆金子やすゆき 委員 冒頭にお答えをいただいたところがとても大事だと思うのですが、テストをやってきちんとその問題の答え合わせをしているのが理想的な姿だと思うのです。しかし、私が聞いているところですと、4月22日に全国学力テストを行って答案用紙を出しますと、一緒に問題用紙も回収しているというふうに聞いております。問題用紙も答案用紙も回収してしまうと、その答え合わせができないのではないかと思うのですが、それはいかがですか。
◎大友
学校教育部長 実際の授業の場面におきましては、そのままその問題を使う学校や教室もあるでしょうし、そうではなくて、教師がその問題の内容とかその状況を把握していますから、例えば、直近ではその日のテストがあった後にとか、あるいは、5時間かかった、4時間かかったという状況ですので、直近でやるのではなくて、その次の単元とか、次の週だとか、学期の中の別のところで復習する段階とか、そういったところで学習計画を立てて実際に子どもに指導を行う、これが学校にとっては最も大事なことです。直ちに丸つけをして実際に子どもたちに確認させるという学校もあるでしょうし、そうではなく、学校の状況、子どもの状況に応じて、先生が工夫をして、実際に子どもたちの力の足りないところを、いろいろな意欲を高めながら本当の力がつくように工夫する、これが最も大事なことだというふうに考えているところでございます。
◆金子やすゆき 委員 ぜひ、そのようにお願いしたいと思います。
秋田県の例ですけれども、秋田県も、今でこそトップですが、昔からトップだったわけではなくて、長い積み重ねで今まで来たというふうに聞いています。秋田県の例ばかり申し上げておりますが、ここでは答案用紙や問題も回収する仕組みになっていますので、学校の先生が全てコピーをとっているということなのですね。コピーをとりまして、直後にまず学校でもって答え合わせをする、そして、できなかった問題についてみんなができるようになる、この繰り返しを毎年やっているからこそこうなのだというふうにも聞いております。8月になりますと、文科省から答案用紙と点数の結果が返ってきますが、さすがにテストが過ぎて4カ月たちますと、気になるのは点数だけでありまして、その問題ができたかどうかというところまで本当に見直しをやっているのかというのは疑問に感じるわけであります。ぜひ、こういう他県のよい例を参考にしていただき、見直しの大切さについて全校に徹底をお願いしたいと思います。
○細川正人 委員長 以上で、第1項
教育委員会費等の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、10月23日木曜日午後1時から、市民まちづくり局のうち、地域振興部及び市民生活部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後3時56分...