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平成26年(常任)文教委員会−09月24日-記録

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  1. 札幌市議会 2014-09-24
    平成26年(常任)文教委員会−09月24日-記録


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    平成26年(常任)文教委員会−09月24日-記録平成26年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成26年9月24日(水曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時59分 ○宗形雅俊 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、本日審査を行います陳情第137号の提出者から資料提出がございましたので、お手元に配付しております。  それでは、議事に入ります。  陳情第137号 札幌市民の郷土の誇り、「遠友夜学校」の貴重な財産である史料等を護り、市民による市民のための活用を図ることを求める陳情を議題といたします。  陳情第137号は、本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時59分       再 開 午後2時13分     ―――――――――――――― ○宗形雅俊 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆小竹知子 委員  ただいま、陳情提出者、遠友再興塾準備会の方のお話を伺い、新渡戸稲造夫妻が崇高な精神と志を持って創設された遠友夜学校、また、それに関係する資料は、私ども札幌市民が誇りとするべきもので、歴史的、文化的にも非常に価値が高く、というより、その価値ははかり知れないものであり、大変貴重な市民財産であったということを改めて認識させていただきました。  まことにお恥ずかしい限りではありますが、私は、この札幌に生まれ育ちながら、新渡戸稲造と遠友夜学校についての知識は非常に乏しく、ましてや、その関係資料等の所在や価値などについて特別な認識を持っておりませんでした。しかし、それは、私がただ単に教養に欠け、札幌市の歴史について知識欲を持たない人間だからと片づけるのは簡単なことではありますが、果たして、194万人いる札幌市民の中で、どれだけの方が、これらの関係資料等が世界に誇るべき市民共有財産であることを自覚し、今現在、その価値ある財産が既に北海道大学へ無償で譲渡されたことを知っているものなのでしょうか。事の本質を知らない、あるいは知らされていなければ、残念とも、惜しいとも、何ら感情は生まれてこないでしょう。これら関係資料北海道大学へ移管されることについても、一部の報道機関が伝えただけで、広く札幌市民に知られている事実とも思えません。市は、財団法人遠友夜学校からその跡地関係資料を無償で譲り受けた際の同意条件についてどれほどの思いを持って履行されてきたのか、疑問に思うところでもあります。  そこで、質問いたします。  北海道大学へ譲渡する以前のことになりますけれども、当時の寄附条件である札幌勤労青少年健全育成を履行し、さらには、新渡戸稲造氏の偉業、功績に鑑み、これら資料の歴史的、文化的な価値を札幌市民の方々に対して広く公開し、十分な情報提供、あるいは広報し、有効活用されてきたとのお考えなのか、また、そのことにかかわって本市が十分に尽力してきたのか、そしてまた、確認となりますが、これら関連資料札幌市民にとってかけがえのない財産であったと認識されているか、この3点についてお伺いいたします。
    梅津 生涯学習部長  新渡戸稲造あるいは遠友夜学校土地及び資料についてどういう認識でいたかというようなお話であったかと思いますが、まず、土地の寄附をいただいた経過についてちょっとご説明いたしたいと思います。  この土地につきましては、昭和37年2月に、札幌市が財団法人遠友夜学校宛て提出した土地利用計画がこの土地の寄附の同意条件というふうになってございます。この計画には、青少年情操教育及び生活指導、または青少年グループ活動の育成を目的とした施設を設置する、例えば青少年会館あるいは勤労青少年会館等、それから、2番目としては、保護に欠ける児童の保育所を設置する、3番目といたしましては、前2項の施設後の空き地に児童の遊び場を設置する、4番目といたしまして、新渡戸先生並びに遠友夜学校関係の業績を記念、顕彰する施設・設備を市と財団で協同して設置する、この4項目でございます。  その後、北海道による財団の解散承認がずれ込みましたので、最終的な土地寄附に関して札幌市と財団が同意を交わしたのは昭和42年になってございますけれども、そこには、「札幌遠友夜学校は、故新渡戸稲造氏が札幌市における勤労青少年健全育成を目的として創立し、経営を行つた歴史的経緯を尊重し、その敷地は札幌勤労青少年健全育成を目的とした施設の用地に限り使用すること」ということになってござました。私どもは、そういった経過を踏まえまして、あるいは、その土地の由来、あるいは資料等についても十分勘案した上で、レッツ中央、いわゆる中央勤労青少年ホームを建てまして、その中の一部に記念室という形で資料展示し、顕彰してきたという経過でございます。  その後、レッツ中央につきましては、新しい若者支援施設をつくらなければいけない、整備をしていかなければならないということで、それをレッツ中央跡地に建築するのかどうかというようなことがありまして、最終的にはそうはならなかったということでございますけれども、その経過におきましても、資料につきましてはたくさんの方が見られるようにということで、資料館の一部に記念室を設けて展示をし、私どもとしては今までどおりその功績を十分理解しながら進めてきたという認識でございます。 ◆小竹知子 委員  今、ご答弁をいただきましたが、今回、資料寄贈の撤回を求めている陳情ということで、陳情提出者は、当然、一つのところにあるべきだということと、跡地についてももちろん求められていると思いますけれども、私は、関係資料について、大変貴重な財産であるということを札幌市民に対して広く情報提供し、広報し、十分有効に活用されてきたかということをお聞きしました。 ◎梅津 生涯学習部長  札幌市民に対する広報につきましては、当時、レッツ中央がありました時代は、レッツ中央が遠友夜学校のあった地ということで、そこに記念室を設けて展示してまいりましたので、そういったことについて、ここにこういうものがありますという一定の広報を行ってお知らせをしてきております。それから、レッツ中央がそこに建て直すことなく別のところになったときには、先ほど申し上げたように札幌資料館に設置いたしましたが、資料館は、ある意味で場所的にもより多くの方が訪れて資料を鑑賞していただくことができるという判断もあって移転した経過がございまして、その経過につきましても場面、場面で広報してきたというふうに考えてございます。 ◆小竹知子 委員  今現在は、資料館のほうから北大のほうに移管されたわけですけれども、そのことについては、私はそのように理解しておりません。私は、資料館展示されている状況を見ておりませんが、本年の総務委員会市内視察のときに、その保存状況保管状況については決して誇れるようなものではなかったということを聞いております。もし、この関係資料市民にとって大変貴重な財産であるということを市民自身が深く理解しているのであれば、このように北大に無償で譲渡されるということがこんなに短期間で行われるようなことはなかったのではないかと私は考えております。  陳情提出者は、市が保有してきた関係資料が、市民への情報提供がないまま、いつの間にか北大寄贈されたとおっしゃっています。本年の第1回定例市議会予算特別委員会において、我が会派の伴議員は、北海道大学への関係資料無償譲渡について、初めから移管ありきではなく、まず資料の価値をしっかりと調査すること、その上で市民議会に対して十分で丁寧な説明を尽くすこと、また、この貴重な文化遺産札幌市の財産であることから、本来は札幌市が主体となって守っていくべきものと主張しました。それに対して、町田教育長は、改めて市民議会へ十分な説明をする必要があると強く感じていると答弁され、さらには、今後、市民議会の皆様へ丁寧な情報提供をさせていただき、その上でご判断いただく、このように答えておられます。  委員会が開催されたのが3月13日です。北大寄贈されたのが7月15日、その間、わずか4カ月のことであります。移管に向けたこの間の対応については、今、私の手元にもございますが、果たして十分な調査をし、市民議会に対して丁寧な情報提供をされたのかということについても、大変疑問に思う点であります。  そこで、質問ですが、北海道大学への移管について、教育委員会はどのように市民説明し、情報提供したのか、伺います。 ◎梅津 生涯学習部長  資料北大寄贈に係る市民への情報提供はどういうふうに行ってきたかということでございます。  今の委員のご質問にもございましたとおり、本年3月の予算特別委員会における議論などを踏まえまして、改めて市民情報提供をする必要があると考えまして、まず、学術的な見地から資料調査、分類を北海道大学の協力を得て行ったところでございます。その結果といたしまして、資料が473件、展示備品が102件の合計575件となっております。5月には、この調査結果及びこれまでの跡地利用経過並び北大への資料寄贈について、議会文教委員へご説明を行ったところでございます。また、教育委員会ホームページで6月下旬よりこの調査結果を公開いたしまして、同様に、関連資料北大への寄贈及びその理由、さらに、7月6日で資料館における資料展示を終了することについて告知いたしております。  教育委員会といたしましては、このように、ホームページを活用し、随時、市民等情報提供を行ったほか、議会においても関係議員説明した上で資料北大移転までの手続を進めたものでございます。  なお、新渡戸稲造札幌遠友夜学校を考える会の提出による、レッツ中央跡地記念館を建設するための土地貸与に係る陳情第50号が本年2月25日の総務委員会で採択されたわけでございますけれども、その翌日に、本件とともに、北海道大学への資料寄贈方向性について新聞報道されました。また、資料館における遠友夜学校記念室展示終了の件につきましても、7月5日に新聞報道され、5日と6日の2日間で800人ぐらいの多くの方が見学に訪れ、北大における展示再開を期待する声もあったところでございます。 ◆小竹知子 委員  私は、今のご説明を伺いまして、この陳情提出されたのは当然のことだったのではないかと考えます。なぜなら、今回、関係資料北海道大学寄贈されるまでの経緯は、市民を置き去りにし、さらには、市民の代表である議会をも軽んじた行為の上に成り立ったものであり、市民への情報提供は、量的にも質的にも、そして、それに要した時間についても不十分なものであったと言わざるを得ません。  もう1点お聞きしますが、市民への情報提供について、考える会の方へ情報提供された、説明されたとのことですが、何人の方に説明されたのでしょうか。  そして、その方が市民の代表という捉え方でよろしいのでしょうか。  そして、もう1点は、ホームページで公開されたということですが、ホームページに公開を開始したのが本年の6月23日です。そのわずか3週間後に、もう北大のほうへ譲渡してしまっております。その上、全ての方にインターネットの環境が整っているわけではないと思いますので、それに要した時間というのは非常に短いものという認識がありますけれども、いかがでしょうか。 ◎梅津 生涯学習部長  考える会のほうにはいろいろな場面でお話を申し上げておりますので、そういう経過の中で北大への寄贈についていろいろご説明し、ご理解を得てきていたというふうに認識しております。また、札幌市民全体につきましては、先ほど言いましたとおり、媒体としてはホームページを活用しながら進めてきたということでございます。  それから、ホームページで公開して3週間という短い期間で手続を進めたのはいかがかというお話があったかと思いますが、私どもとしては、一定の議論を踏まえ、手続を踏まえた上で行ってきたものというふうに認識してございます。 ◆小竹知子 委員  そちらは十分に情報提供されたという認識でありまして、この点については平行線をたどるかと思いますので、次の観点に参りたいと思います。  私が申上げたいことは、私も、この陳情があって初めて、市民を代表する一議員として、そして文教委員として、北大への移譲についての資料等を見ましたし、勉強する機会をいただきました。そしてまた、この関係資料については札幌市民が世界に誇るべきすばらしい貴重な財産であることを改めて認識しましたし、これは札幌子どもたちに引き継がれていかなければならない札幌市民の貴重な財産であることを強く認識した次第です。  今回のことと比較、検討するには、学術的な見地からは余りにもレベルが違うことであると思いますが、私の地元にはつきさっぷ郷土資料館がございます。この資料館につきましては、まちづくりセンターのほうから運営資金を予算配分され、運営委員会の方々が、高齢化担い手不足の中、地域の貴重な歴史を語る資料館としてみんなで大切に守っているものです。例えば、これを、耐震性能が不足しているとか、経費がかかるといった事情で、札幌市のほうが勝手にというか、運営委員会の方に断りもなく譲渡するようなことがあったとしたらどうだろうということを考えました。  もう一度申し上げますが、比較、検討するような事例ではないかと思いますけれども、そういったことを考えたときに、今、問われていることは、札幌市として、文化財を保護する行政のこれからの考え方あり方というものが厳しく問われているのだと思います。今回のことにつきましては、土地寄附条件を履行して崇高な精神を引き継いでいくという責務があると言いながらも、その点に関して市民が十分に納得できるようなことになっていないこと、そして、取り扱いの判断や事務手続は余りにも性急過ぎるのではないかなど、所々に問題点があると私は考えておりまして、北海道大学へ移譲したことが将来に禍根を残すようなことにならなければと強く危惧しているところであります。こういった事務手続についても問題があると考えますので、札幌市の文化財保護行政に関してこれからも厳しく注視してまいりたいと思います。 ◆小川直人 委員  私からは、本年の第1回定例会で採択されました陳情第50号 「札幌遠友夜学校跡地の一隅を、記念館(仮称)建設ほかの場として使用を求める陳情と、このたびの陳情第137号との整合性について、確認の意味も込めて、何点か質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、このたびの陳情書を拝見いたしますと、北大への資料の贈与が意思決定された経緯について、いまだに具体的説明がなく、市民に対して情報を遮断し、不明確、不透明になっていると主張されております。ここに記載のあるとおり、資料贈与の経緯を説明できていないということであれば、ただいま小竹委員からも質問がありましたが、市民への情報提供は不十分であり、疑念を持たれてもしょうがないと思うのであります。  そこで、私からの質問は、遠友夜学校資料北大への移転意思決定までの過程はどうだったのか、具体的に説明をいただきたいと思います。  また、その際、移転にかかわる事務手続は規則にのっとって行われたのかどうか。この辺は大事な点でありますので、先ほどの質問と重なるかもしれませんけれどもお答えを願いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいまは、北大への資料移転決定過程等についてのご質問でございます。  まず、遠友夜学校の創設からことしで120年が経過しておりまして、それに伴って関連資料も相当な年数がたってきておりますので、私どもといたしましては、従来から資料の散逸や経年劣化が懸念されていたところでございまして、将来的な資料展示あるいは保管のあり方につきまして、移転も含めて総合的に検討を進めていたという状況がございました。その結果、新渡戸稲造と遠友夜学校にゆかりが深く、資料展示や閲覧はもとより、整理、保存、さらには学術的な調査研究などを行える体制が整っております北海道大学への移転が最善ではないかというふうに考え、平成25年11月、昨年11月に同大学へご相談いたしましたところ、最終的に資料移転について双方が合意したものでございます。  また、移転手続につきましては、ことし3月の予算特別委員会でも取り上げられておりますけれども教育委員会といたしましては、所管部局と協議の上、札幌財産条例第8条第2項の規定に基づき、判断をしたところでございまして、所定の手続を経て資料移転の方針を決定いたしたところでございます。その後、議会における議論なども踏まえまして、文教委員を初め、関係議員の方々への説明や、先ほどご説明したとおり、ホームページによる市民への情報提供を行ったところでございます。その後、7月には北海道大学へ具体的に移転したというものでございまして、移転に係る手続につきましても規則等にのっとって行ったものというふうに認識してございます。 ◆小川直人 委員  遠友夜学校資料取り扱いについて、経年劣化してきたというような実態の中から、今後の展示、保管をどうするか、学術的な見地も含めて検討され、北大が最適だということでございました。そして、昨年11月に教育委員会として北大資料取り扱いを相談し、双方が移転の合意に至ったということが、今、答弁で明らかになったわけであります。また、移転事務手続についても、議会議論を経て所定の手続を進め、関係議員への説明、そして、ホームページによる市民への情報提供を進めてきたということも確認させていただいたところであります。  さて、さきの陳情第50号の審査において、我が会派のしのだ議員から、遠友夜学校資料市民への展示継続性や機会の確保などについて意見を述べさせていただいております。そして、その後、7月に北大資料移転したということでございます。移転された資料市民への展示に供されていなければ資料が有効に活用されているとは言えず、市民の利益が損なわれていると判断せざるを得ないものと私は考えております。  先週、会派の仲間の議員と北大記念館に行って展示状況を見てまいりましたが、私の率直な感想を申し上げますと、以前の展示よりかなり規模が小さいなというふうな印象を持って帰ってまいりました。  そこで、質問ですが、北大移転した後、関連資料はどのように活用される予定なのか、また、市民への公開が十分に行われているのか、お答えをお願いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  寄贈後の北海道大学での取り扱い展示状況等でございます。  北海道大学におきましても、議会議論、あるいは教育委員会からの要請などを真摯に受けとめていただきまして、資料移転後、速やかな展示資料閲覧のためにご尽力をしていただいているところでございます。差し当たって、資料移転いたしました直後の7月下旬から、北海道大学の構内の百年記念会館において、資料ミニ展示、暫定的な臨時の展示がありました。それから、今のお話の中で小川委員が鑑賞されたのは9月から始まっております「遠友夜学校略史−50年の変遷−」と題した展示ではないかと思いますが、これは、臨時ではなくて、常設の展示として位置づけられているところでございます。  このように、北大では市民等への展示継続性には十分配慮して、まだ2カ月程度でございますか、短期間でそこまで実現していただいたというふうに理解してございます。また、事前の申し込みによって、大学文書館閲覧室において、週に1回、資料の閲覧や複写も可能となっておりまして、市民への資料公開につきましてはこれまでよりも充実した利活用サービスが行われているものと私どもは認識しているところでございます。 ◆小川直人 委員  今の答弁では、北大と協議をして、資料移転後、短期間でありましたけれども展示が始まっているということでした。また、今までになかった閲覧とか複写といった市民へのサービスもしており、以前より充実したというようなご認識があるということで、移転後の展示については一定の理解をいたします。  しかし、先ほども言ったように、記念館展示状況に対する私の感想としては、大きい記念館の中で1ケースぐらいしかスペースをいただいておりません。また、その場所も、館の専門員に遠友夜学校資料はどちらですかと尋ねなければ確認できないような場所でありまして、率直に言って、展示の規模とか方法は記念館で十分とは言えないと感じましたし、以前に比べると物足りない思いをして帰ってきたところでございます。一方、近くにあります博物館も見てまいりましたが、博物館のほうにも新渡戸稲造先生展示コーナーがありまして、こちらのほうは展示の方法を含めて充実しているなという感想を持って帰ってきたところであります。  そこで、今後、資料展示規模について、北大に働きかけてぜひとも拡充してもらいたいというふうに考えておりますが、その可能性についてお聞かせいただきたいと思います。  それから、もう1点ですが、北大との覚書に基づく資料利活用についてであります。  このたびの陳情を見ると、関連資料北大寄贈によって市民の貴重な財産を失ってしまい、市民関係資料に触れたり活用することができなくなると感じているのではないかというふうに思っておりまして、そのために、陳情者は、北大から資料を取り戻す必要があると考え、今回、議会陳情提出されたと思っております。  そこで、資料寄贈に関して札幌市が北海道大学と取り交わした覚書を見せていただきました。その中には、寄贈者札幌市が寄贈資料市民展示する等の特段の必要が生じた場合は、寄贈者及び受贈者北大はその方法について協議するとの1項目が設けられておりまして、覚書のこの部分は議会議論の中の我が会派の主張が反映されてこのようになったというふうに理解しているところであります。  そこで、質問ですが、例えば遠友夜学校周年行事のときなど、覚書にある特段の必要が生じた場合には北大と協議の上で資料展示等が行われるものと解釈していいのか、確認の意味でお伺いしたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  まず、北大展示の拡充の計画に対する私どもの関与でございますけれども、先日来、北海道大学からお聞きしているところでは、来年は、いわゆる常設展示とは別に企画展示を予定していること、それから、関連資料研究報告書発行に向けた学術調査も始まることなど、さまざまな形で新渡戸稲造、遠友夜学校に関する事業等を企画していると聞き及んでおります。また、博物館コーナー云々のお話もございましたが、北大で所有しているものも含め、新渡戸稲造あるいは遠友夜学校資料全体の展示についてこれからどういう形で拡大しながら行っていくか、検討を始めているやにお伺いしております。  それから、北海道大学との覚書の関係でございますけれども、ただいまのご質問にもございましたとおり、取り交わした覚書には、資料市民展示する等の特段の必要が生じた場合と、特にそういった1項目を設けてございます。これは、後世にわたって長く貴重な資料を保存していくためには、劣化防止などの観点からいわゆる原本、原資料はなかなか展示できないのですが、特段の必要が生じた場合には、北海道大学と協議をして、例えばレプリカみたいなものであるとか、そういった資料展示の機会を持つと、そういった考え方に基づいて1項目を加えたものでございまして、このことにつきましては北海道大学とも理解を共有しているというふうに思っております。  いずれにしても、資料寄贈によりまして、保管、展示はもとより、閲覧サービス資料学術調査あるいは研究が進むことなどによりまして、新渡戸稲造あるいは遠友夜学校資料利活用が充実するということで、今後、より多くの市民の方々にその功績が広く周知され、認知されていくものというふうに期待しているところでございます。 ◆小川直人 委員  今の質問で確認しておきたいのですが、先ほど言った北大博物館にある新渡戸稲造、遠友夜学校資料については、従前は札幌市が保管、保存していたものを展示のために北大に貸している、そういう位置づけだというふうに私は認識しています。今度、北大資料移転した場合、札幌市の事業として展示したい、また、一定期間、記念館の中に展示したいという要望を北大にした場合には、北大と協議をして、今、部長はレプリカというような表現を使っていましたけれども、実物を含めてそういうことが可能だというふうにこの覚書からとれるのかどうか、確認させてください。 ◎町田 教育長  その協定ですが、今、梅津部長がレプリカと申し上げましたのは、札幌市が何か施設をつくって、そこで新渡戸稲造の書いたものを展示するとか、恒常的に展示するような場合にはレプリカを提供するのが普通であろうと。ただ、将来の話かもしれませんが、例えば、札幌市が博物館か何かをつくって、そこで新渡戸稲造や遠友夜学校についての企画展をやるなどの場合に札幌市が持っていた本物の資料を展覧会という中で展示すること、これは、今、徳川美術展などでは本物が来ていますから、そういうことだと思います。そのようなことで、いろいろな形で市民に対して本物を示すか、あるいは、恒常的にレプリカを飾るか、そういったさまざまな場合においてどういう形でやるのがいいのか、北海道大学札幌市が協議をするという1項を特に設けたものでございます。 ◆小川直人 委員  最初の段階で、遠友夜学校資料について、経年劣化だとか、これらの保存について非常に心配をしている札幌市としては、今後の保管場所として北大がベストだろうということで協議を進めてきたという事実があります。そして、陳情者としては、北大に行ってしまったら保管されたままで札幌市民がなかなか触れることができなくなる、活用することができなくなるという心配で陳情されたと思うのです。しかし、今、教育長のお話を聞いていると、札幌市として、市民が見たい、展示をしたいということで、そういう事業があって協議すれば資料を出してくれる、さらに、保存状態もよくなって、加えて、閲覧とか複写もできるので利便性も上がるというふうな答弁だったと思います。北大と言っても札幌市内でありますから、札幌市民にとってはいつでも行ける場所だなと思っておりますので、そういった今の答弁で私どもは移管された後も少し安心していられるなという気持ちを抱いたわけであります。  そこで、さきに採択された陳情第50号を踏まえ、本陳情の要望どう捉まえているかについてお伺いいたします。  本陳情の趣旨というのは、北大への資料寄贈の撤回を求めるものと認識していますが、一方で、資料跡地を含めた全てのものは一体としてあるべきと、昭和37年の同意条件の内容の遵守を強調しています。加えまして、陳情者陳情要旨を見せていただいたのですが、この陳情要旨には、札幌市は、約束を守り、遠友夜学校関連資料無償譲渡の白紙撤回と、記念し、顕彰する施設を求める陳情との記述になっております。  私が懸念するのは、さきの総務委員会及び平成26年第1回定例市議会で採択した新渡戸稲造札幌遠友夜学校を考える会から提出された陳情第50号 「札幌遠友夜学校跡地の一隅を、記念館(仮称)建設ほかの場として使用を求める陳情との整合性であります。陳情第50号では、レッツ中央跡地を公園として整備する際、その一隅に記念館を建設し、新渡戸稲造夫婦の功績を顕彰するとともに、遠友夜学校の歴史をたどる場として土地の貸与を求めるものでありました。この陳情第50号と本日審査をしている陳情は、直接的には求める内容は異なるとしても、その目的は相入れないものを感じてなりません。本陳情取り扱いを判断する上で、全会一致で採決したさきの陳情第50号にもし何らかの影響が出る状況が生ずれば、議会として、問題があるのではないかと懸念するものであります。  そこで、質問ですが、採択いたしました陳情第50号の趣旨を踏まえ、本陳情の要望事項の内容をどのように捉えているのか、お伺いいたします。  また、陳情第50号の採択後の進捗状況はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいまは、陳情第50号との関係等につきまして、まず、第50号の内容を踏まえて今回の陳情の要望をどのように捉えているのかということだったかと思います。  このたびの陳情の直接のご要望は、遠友夜学校関連資料等の北海道大学への寄贈の白紙撤回を求めるものということでございますけれども陳情全体からは、昭和37年の土地寄附条件に基づきまして、資料と施設を含めて全てのものは札幌市が一体管理すべきである、そういった主張であるのかなというふうに思われます。  教育委員会といたしましては、文教委員会における陳情取り扱いのご判断を尊重していくものではございますけれども、さきの陳情第50号に影響が出ることは避けたいと考えているところでございます。  それから、もう1点、陳情第50号の採択後の進捗状況でございますけれども、現在、レッツ中央跡地では、記念館建設予定地を除き、公園の造成がもう始まってございまして、年内には竣工して来年春からの供用開始と聞いております。新渡戸稲造札幌遠友夜学校を考える会とは、陳情の採択後、継続的に協議を行っておりまして、今年度中には記念館の建設計画や完成後の事業などについて覚書を取り交わし、各種計画の推進を支援していきたいというふうに考えてございます。  また、現在、考える会では、記念館の建設に向けて、広く市民や企業、団体へ建設基金を精力的に募っているというふうに聞いてございまして、本市としても順調に進むことを期待しているところでございます。 ◆小川直人 委員  ただいまの部長の答弁で、教育委員会からは、採択された陳情がある中で、その跡地を含めた利活用に対する要望の採択の可能性が残されている状況である場合、さきに採択されている陳情に何らかの影響が出かねないという見解が示されたのではないかと私は受けとめさせていただきました。そして、採択された陳情の現在までの進捗状況お答えいただきました。公園については来年春に供用開始ということですし、考える会とは覚書締結に向けて協議を進めているという状況、さらに、建設について募金活動を行っているなど、陳情第50号の実現に向けた対応がなされていることを今のご答弁で私も認識させていただきました。  そこで、質問ですが、本日審査している陳情取り扱いについては、どのような結果が出ようとも、全会一致で採択した意義を踏まえ、決して陳情第50号に影響することがないことを求めたいと考えておりますけれども、実務を担当する教育委員会の見解をお伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  陳情第50号に与える影響について、実務担当としてどうかということでございます。  先ほども申し上げましたけれども、私どもとしては、レッツ中央跡地を含めた利活用にもつながりかねず、今回の陳情取り扱いいかんによっては、さきに採択された陳情第50号との整合性を慎重に整理する必要が出てくるのではないかというふうに認識してございます。 ◆小川直人 委員  最後に、要望で私の質問を終わらせていただきます。  教育委員会からは、資料利活用の充実や今後の展示拡大を北大に働きかけるとの答弁がありました。これについては、ぜひ実現させていただきたいというふうに要望させていただきます。  本陳情取り扱いいかんによっては、陳情第50号との整合性を慎重に整理する必要があるという趣旨の答弁もあったというふうに私は受けとめさせていただきました。私は先ほども申し上げましたけれども陳情第50号と本日審査をしている陳情は、求める内容は直接的には異なるものとしても、その目的は相入れないものを感じているところであります。したがいまして、この陳情陳情第50号との整合性を慎重に整理することを求めまして、私の質問を終わります。 ◆涌井国夫 委員  今、段々の質問がありまして、よくわかってきましたけれども、この問題の淵源というか、どういうことかなと私なりにいろいろお聞きしたり、また調べましたけれども、やはり、本市の持つ歴史的な価値のある文化財の管理のあり方、継承の仕方、生かし方というのが一番大事なところだったのだろうなというふうに思います。昭和37年に札幌市が財団法人遠友夜学校の皆さんから譲り受けることになったわけですが、聞いてみたり調べてみますと、新渡戸稲造先生の教育的な精神、あるいはまた、遠友夜学校を運営していた人たちの心、そうしたものを札幌教育委員会が本当にしっかり受けとめて、その価値もしっかり整理した上で、どのように位置づけ、後世に残し、そして生かしていくかということについて、最初の部分でどうだったのだろうかとどうしても疑問符がついてきます。今まで熱心に一生懸命活動を進めてこられた新渡戸稲造先生、あるいはまた遠友夜学校の方たちの思いを本当に酌んで取り組んできたのかと。今の教育長はそんなことはないですけれども、今までのあり方については、もっときちんとした考え方を持って整理しておくべきでなかったのかと思います。今ごろになって、どのような価値があるのかと聞かれて、では調べますと言って500何点ありましたとか、こんなことは、私が見ていて情けない限りだというふうに思います。だから、指摘もされ、本当に何をやっているのだとお叱りもあるのだというふうに思います。  そうした状況の中で、まさに遠友夜学校資料の管理、保全の状況はどのようなものであったのか、適切に管理していたのかどうか、してきたのか、してこなかったのかということをまず率直にお伺いしたいと思います。  さらに、遠友夜学校資料の価値について、さまざまな分類は確かにされましたけれども、人物あるいは学術的な価値ですね。最近はお金の価値をはかるテレビ番組などがありますが、文化財の価値というのはそれぞれの思いがあるわけであります。そういう意味から、文化財管理のうちでも資産の評価は難しいというふうに思いますが、どんな認識をされ、考えを持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  まず、この資料の今までの管理、保全の状況ということでございます。  遠友夜学校記念室につきましては、レッツ中央ができました昭和39年に設置して、平成6年の遠友夜学校の創設100周年のときに大幅な改装を行って展示内容もリニューアルしてきました。そういった意味で、その意義や歴史を後世に伝えるということで資料の管理、保全に努めてきたという状況でございます。ただ、資料展示しているコーナーに専門の職員を配置することはいたしておりません。また、先ほども出ましたけれども、専門的な見地からすると、通常はレプリカを展示したりするのが適当と聞いておりますが、いわゆる原本そのものを展示するなどしておりましたので、そういう意味では維持管理の面で課題があったというふうに認識してございます。しかしながら、これらの資料の歴史や意義を踏まえて展示事業を行ってまいりましたので、これまで、資料の汚損あるいは紛失といった例はなかったものと考えてございます。  それから、歴史的あるいは文化的な価値、財産、資産上の価値等でございます。  関連資料につきましては、新渡戸稲造あるいは遠友夜学校の歴史や功績を後世に広めて記念、顕彰していくことを第一に考えて展示をしてきたということでございます。資料群につきましては、主に文書資料、物品資料、生徒の文集、刊行物に大きく分類されますけれども北海道大学による資料の本格的な学術調査によりまして当時の生活の様子あるいは学校の様子がさらに明らかになるということで、歴史的あるいは文化的価値も高まってくるのではないかなというふうに思っております。  また、財産上あるいは資産上の価値につきましては、教育委員会といたしましては、そもそも関連資料の売却あるいは処分等を前提としたものではございませんので、その財産的価値あるいは市場価値などの調査は行っていないところでございます。  ちなみに、北海道大学にこういった類の資料財産的価値について照会いたしておりますけれども、売却前提で鑑定業者に鑑定をお願いすればいわゆる価格はつくというふうには思われるけれども、その額の妥当性についての評価はなかなか難しいと。それから、現に北海道大学が所有しているほかの歴史的資料につきましても、北海道大学としては同様に財産的価値の客観的な評価は難しいものというふうに見解をいただいたところでございます。 ◆涌井国夫 委員  価値については、お金の問題ではなくて、大事なことは、新渡戸稲造先生の教育理念なり考え方なり、あるいはまた、生徒あるいは先生たちがその当時やっていた思い、その精神でありまして、それをどのように継承し、受け継いでいくかということです。そのためにも、常日ごろから新渡戸稲造先生を顕彰するためのセミナーとか講座だとか、市民レベルで研究するとか、そういうことに対して札幌市が積極的にかかわって市民の意識を高めていく、そしてまた、貨幣になる人なんてめったにいませんから、こういう偉人が札幌にも住んでいて、国際人として札幌市にこういう足跡を残したのだなということを再発見し、後世に伝えていくことが札幌市として大事なことだというふうに思っております。  その意味で、文化財として登録すべき価値のある資料について、いわゆる公文書とまた違って、かなりレベルの高い部分になってきますけれども札幌市として、今後、文化財の登録ということについてどのように考えているのかということが1点です。  それから、陳情に無償貸与についてということがありますが、今回、北大へは無償貸与ではなく寄贈となっておりますので、いま一度、無償譲渡にした理由について明らかにしていただきたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  まず、この資料文化財の登録の考え方についてでございます。  段々のお話がありますとおり、遠友夜学校関連資料につきましては、市民の貴重な財産でございますし、後世にわたって長く残すべく永続的な保存と有効活用を図っていくことが市民に対する重要な責務というふうに認識してございます。  先ほどもご答弁を申し上げましたけれども、私どもとしては、これまで、関連資料については、新渡戸稲造や遠友夜学校の歴史や功績を後世に広める、記念、顕彰することを主眼に置いて展示してまいりましたので、いわゆる学術的評価というものは行っておらず、文化財の登録等の具体的検討はしておりませんでした。このたび、関連資料北海道大学寄贈したことで資料の学術的調査研究がさらに進むものと期待しているところでございまして、今後、資料群が歴史的または学術的に高い評価を得るなど、そういった状況によって、私どもといたしましても文化財登録の取り扱いについても北大と協議してまいりたいというふうに思います。  それから、北大への寄贈について、貸与ではなくて譲与とした理由についてということでございます。  ご承知のとおり、遠友夜学校は、新渡戸稲造がメリー夫人の実家からの遺産を原資に創設された私塾でございますけれども、その精神に共感した札幌学校の多くの学生たちが教師として担ってきました。そういうことで、北大はゆかりが大変深く、新渡戸稲造に係る資料北海道大学でも別な形で既に保管、管理されているところでございました。  そこで、先ほど申し上げましたとおり、資料につきまして平成25年11月に北海道大学へご相談したところ、北海道大学といたしましても、新渡戸稲造氏あるいは遠友夜学校の足跡は札幌学校の建学の精神に沿ったものでもあるということで、このたびの札幌市からのお話は重く受けとめ、責任を持って資料を一元的に管理し、展示、閲覧を含めて、後世にわたって顕彰していきたいといった意向が示されたものでございます。  教育委員会といたしましては、関連資料の後世にわたる適切な保存と、市民への展示、閲覧の機会が保障されて、さらに学術調査や研究が進むことなど、これまでよりも資料の有効活用が図られるものと判断したことから、北海道大学の意向を尊重し、資料の保存、展示等の責任を一元化するという意味からも寄贈によることが最もふさわしいのではないかと判断したところでございます。  最近、北海道大学大学文書館にお聞きした話によりますと、札幌市在住の秋田県出身者のための学生寮、秋田北盟寮というものがありますけれども、そこの同窓会の方が、本年4月に、その同窓会で所有しておりました資料を秋田県の県立博物館寄贈しております。ただ、その際、新渡戸稲造氏の直筆の額だけは北海道大学寄贈したと聞いております。その理由といたしましては、札幌市が遠友夜学校資料北海道大学寄贈したのと同じような理由で、新渡戸稲造北海道大学とゆかりが深く、歴史的資料として展示、活用するのにふさわしいところだと判断したためというふうに伺ってございます。  このように、新渡戸稲造氏及び遠友夜学校に関する資料北海道大学に集まってきて、さまざまな形で利活用され、学術的な調査や体系的な研究が進むことで、新渡戸稲造氏あるいは遠友夜学校の意義や功績もさらに深まるのではないかと期待を申し上げているところでございます。 ◆涌井国夫 委員  札幌市には、これだけではなくて、こうした学術的、あるいはまた後世に残すべき大事なもの、文化財と称されるさまざまな文物が恐らく相当数あるというふうに私は聞いておりますので、今回の件を通して、学術的な側面からも価値というものをもう一度洗い直すべきだと思います。これは、恐らく教育委員会がしなければならないだろうと僕は思いますので、ぜひとも、教育長を中心に、文化財の維持管理、また整理といったことにしっかりと取り組み、子どもたちのためにも将来にわたってしっかり保全していただきたい、このようにお願いして、終わります。 ◆坂本恭子 委員  私からも、何点か質問したいと思います。  今回の陳情に当たりまして、陳情者がおっしゃっているように、私は、遠友夜学校資料については、本来的には札幌市が保有すべきものだというふうに考えております。そして、そのような道筋もぜひつけていただきたいと思います。しかし、先ほど来の議論の中でもありましたし、ご答弁の中でもありましたように、また、いみじくも陳情者ご自身も冒頭におっしゃっていましたが、保存ということで現瞬間を考えると、現時点での保存は北大が妥当なのかもしれないというお話になっています。南4東4の施設の取り壊しにより資料移転し、資料館へ、北大へという流れになっていますが、その中でも、市民はどなたでも見に行くことができる、文献に親しむことができる状況をつくっていくというのは、次善の策としてでも非常に大事なことだというふうに私は思っています。  今の委員会でのやりとり、理事者の答弁を聞いておりましても、資料北大で十分に利活用が進んでいるのだ、そういう形でやっていきたいのだというお話がございましたが、私は、この間の答弁を聞いて、札幌市としても、積極的に北大とかかわり、協力体制をつくる必要があると思います。先ほど来、聞いているところでは、北大ではこうやるようですとか、北大としては将来的にはこういう方向性を考えているようですという答弁が続いておりますが、本市として積極的に関与すべきではないのか、市民にとっては本市の貴重な財産である、後世にわたって引き継いでいくべきものであるというお話が再三あったわけですから、遠友夜学校関連資料について、将来的に北海道大学とどのような協力・連携体制をとっていくのか、やはり、本市がイニシアチブをとってやっていくべきだというふうに思うのですけれども、その点についてはどのようにお考えになっていますか。 ◎梅津 生涯学習部長  先ほどの段々のご答弁ともちょっと重なる部分はあろうかと思いますけれども北海道大学では、このたびの資料寄贈を受けまして、北海道大学としても大変重く受けとめていただいておりまして、まずは展示継続性に配慮し、構内の百年記念会館で7月下旬からミニ展示をしており、さらに、9月からは今回寄贈した資料を中心に常設展示も始まったところでございます。このほか、事前の申し込みにより、資料の閲覧あるいは複写といったことも可能になってございますし、また、来年度からは資料の本格的な学術研究・調査も予定され、さらには、資料の積極的な利活用についても検討を進めると聞いてございます。  今、委員からもご指摘がありましたとおり、私ども札幌市としても、積極的に北海道大学と協議あるいは連携していく必要があると認識しております。今後どのようなことが可能なのか、共同企画で行事を考えるなど、方策としてはいろいろあろうかなと思いますので、北海道大学と十分に協議しながら進めていきたいというふうに思っています。 ◆坂本恭子 委員  今、どのようなことが可能なのか、方策としてはいろいろあるというご答弁が最後にありましたけれども、まさにそこが肝だと思うのですよ。札幌市が寄贈する、無償譲渡してしまった中で、そこがはっきりしないから、一体管理できるように市民財産として取り戻せということが今回の陳情の趣旨になってくると思うのです。地理的な条件から言いますと、私は北区出身ですから、北大というのはまさに札幌の中にありまして、車の往来ができないといった多少の問題はありますが、利便性も高いですから、北大という敷地の中でなお市民が利用できるという思いはあります。  しかし、今回、陳情を出された方は、やはり、発祥の地であり、記念碑も建っている南4東4という地域を本当に大切にしたい、郷土の誇り、歴史がそこにあるのだという強くて深い思いがあるというふうに思います。ですから、何ができるのか、方策としてはいろいろあると思うということではなくて、そこはしっかりと受けとめてきちんと対応していかなければならないと思っております。  私の祖父は、1894年生まれで、もう他界しましたけれども、実は、学生時代に教師として遠友夜学校へ参加しておりました。ですから、私は、小さいときからおじいちゃんの膝の上に乗って話を聞くようなことがありましたから、私の中では遠友夜学校は非常に身近な存在としてありましたし、もちろん新渡戸先生のいろいろな文献なども祖父母の家にはありまして、そういうようなことも含めて、今回の陳情については共感するところが非常にたくさんあります。  陳情者も先ほどおっしゃっていましたけれども、署名活動を行う中で実は私信が出てきたのだというお話がございました。新渡戸稲造先生の関連書類というのは、先ほど秋田県の学生寮のお話もありましたが、新たに発掘される、これからまたどんどん出てくると。先ほど散逸、消失というようなお話もありましたが、今回、こういう形でまた改めて札幌議会で取り上げられ、マスコミ報道などもされる中で、逆に資料が集まってくることもあると思います。遠友夜学校関係者というのは、うちの祖父もその一人になると思いますが、在学生も含めると5,000人を超える規模になっているわけですから、今後も新渡戸稲造先生や遠友夜学校の新たな資料が出てくる可能性があると思います。  そこで、このことについて、札幌市としてはどういう対応をしていくのか、このことも北大に任せてしまう、丸投げしてしまうということでお考えになるのか、その点のお考えを伺いたいと思います。
    梅津 生涯学習部長  新たな資料の話でございますが、ただいまの坂本委員のご質問あるいは陳情者のお話にもありましたとおり、遠友夜学校の関係者というのは、いろいろな事情で卒業できなかった方も含めると5,000人以上いらっしゃるというふうに言われておりまして、今後も学校あるいは新渡戸稲造氏に関する資料がさまざまな形で新たに発掘されることも予想されるところでございます。基本的には、資料を保有している方、所有している方のご判断ということになりますが、その利活用についてそういった方々からご相談があれば、情報提供取り扱いも含めて十分にサポートを行っていきたいというふうに考えているところでございます。 ◆坂本恭子 委員  ぜひ、収集、保存ということにも積極的に取り組んでいただきたいと思います。  先ほど来出ているように、文化財あるいは博物館などといった構想についても、私は前向きに考えていただきたいなと私は思っています。しかし、まず、その話に行く前に、私は、今、祖父の話をしましたけれども、南4東4の地域に遠友夜学校があったのだ、地域の歴史を後世に伝えたいのだと、陳情なさった方のそういう気持ちは非常によくわかります。そのことによって札幌青空会が昭和23年に創設される、今ではボランティアとか留学生交流などに積極的に取り組んでいらっしゃるという山崎さんのお話を佐藤さんが代表してされていらっしゃいましたけれども、本当にこうした青少年育成のための大事なものがあると思います。  今、レッツ中央跡地については、新渡戸稲造先生の名前を冠する記念公園の整備工事が開始されているということが冒頭の答弁の中でありました。それからまた、新渡戸稲造札幌遠友夜学校を考える会がその一角に記念館を建設することにもなっていて、本市としては、遠友夜学校の精神を後の若者支援事業という形で継続して引き継ぐということで、全国的に言えば、例えば公立夜間中学校とか、そういうものになっていくわけですね。本当に勉強したくても学ぶことができなかった、義務教育を受けることができなかった、こういう方たちが、今、札幌の遠友夜学校において、新渡戸稲造先生の精神の中で、勉強していくという喜びを享受しながら生活を送っていらっしゃいます。  しかし、今、札幌市では、遠友夜学校についての資料北大での利活用を大いに期待するということに終始しております。やはり、何もしないということではいけないと思いますし、今、この委員会の中でも、新渡戸稲造先生の功績についてこれだけさまざまに語られてきましたけれども、この偉業、功績、遠友夜学校の歴史、あるいは発祥がどうだったのか、そこの地でどういう継承がされてきたのか、こういうことについて一人でも多くの市民に伝えていかなければならないというふうに思います。  また前に戻って恐縮ですけれども、現瞬間は北大との連携が欠かせないというふうに思いますので、その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  新渡戸稲造氏あるいは遠友夜学校の功績などについて、市民はどうやって継承していくのかということでございます。  段々の議論の中で、新渡戸稲造氏あるいは遠友夜学校の歴史や功績について、市民の中には知らない方もまだまだ多いという状況があることにつきましては、そういうこともあろうかなというふうに考えてございます。そのため、私どもといたしましては、今後ともこうしたことを多くの市民に周知していくために、ホームページあるいは広報誌などを通じて積極的に情報を発信していきたいと考えているところでございまして、今、具体的な内容を検討してございます。  また、遠友夜学校は、これは私が言うまでもないことでございますけれども、慈愛の心を持って進んで社会奉仕を行った新渡戸稲造の崇高な精神に共鳴して教師を買って出た札幌学校の学生、あるいは、温かな援助を惜しまなかった当時の市民の方々、こうした人々に支えられて青少年の希望の明かりをともし続けた、そういった歴史なのかなというふうに思っております。そうした意味から、札幌におけるボランティアの原点であるというようなお話も出ているところでございまして、私どももそういうふうに考えております。今後、北海道大学と連携しながら、そういった面や、さらにどうしたらいいかということを含めて、その歴史あるいは功績といったものを市民へお伝えしていくことが大変重要であるというふうに考えているところでございまして、そういう方向で進めてまいりたいと思っております。 ◆坂本恭子 委員  最後にいたします。  私ども日本共産党としては、博物館構想というものにずっと取り組んでまいりまして、議会のさまざまな委員会でも博物館設置の大切さを主張してきたところです。194万人という市民がいて、これだけの歴史的な遺産を持っている札幌として、博物館がないことが今回の問題の一番最初のところにあるのだと思うのです。  今回の資料について、学術調査とか学芸員の配置とか保存などのさまざまな面から、北大に置かれるほうが有効ではないのかというのは、今の段階での判断であります。しかし、これは、前段でほかの委員の話にもありましたけれども、最終的に、札幌市が文化財あり方というのをどういうふうに考えるのか、学術的な価値をどのように評価していくのか、評価する人間をどのように配置していくのか、こういうことが非常に大事だし、私は、資料館博物館を早急に建てていく、つくっていくというところに現実的に着手していただきたいと思っています。  先ほど来お話があったように、貴重な財産があるのです、後世にわたって引き継ぐべきものがあるのです、有効活用していくものがあるのですと言いながら、今回は北大のほうが有効活用できるからというお話です。しかし、生涯学習も持っていらっしゃる教育委員会ですから、前段の委員からも話があったように、教育委員会がしっかりとイニシアチブをとって博物館構想を進めていかなければならないというふうに思いますので、今後、教育委員会としてこれをどう展望していくのか、この点の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。 ◎町田 教育長  文化財の保存をどういうふうに行っていくのか、札幌市の文化財をどのように後世に伝えて調査研究していくのか、そのために博物館の組織がどうあるべきかということは、今、教育委員会が主体的にきちんと検討しなさいというお話でございます。教育委員会としても、生涯学習を進める中で、非常に大きな責務を持っていると思います。  また、もう一つ、文化行政と申しましょうか、これは観光文化局の文化部が所管しておりまして、博物館構想自体はそこでいろいろな形で検討しているところでございますが、縦割りというお叱りを受けることなく、観光文化局と教育委員会が連携しながら、札幌市の財産市民財産を後世にどう伝えていくのか、学術研究の仕組みをどうするかということについても研究してまいりたいと思います。 ◆小倉菜穂子 委員  さまざまな質疑がもう大分ありまして、今、坂本委員は大変身近に感じているというふうなお話もありましたし、先ほどは、市民の方々には新渡戸稲造さんのことがまだ知られていないと感じているということもあったと思います。  言いわけをするわけではありませんが、私は本当にお名前ぐらいしか存じ上げなくて、実際にどういうことをした人ですかと尋ねられますとちょっと困ったなというようなこともありました。しかし、ここ数年、市民の方々の本当に力強いこうした活動の中で、およそ150年前にお生まれになっている新渡戸稲造さんのことがまたクローズアップされ、私たちもまたさらにわかることができるようになったことは本当に大事だなというふうに思っています。また、この間も皆さんの口から遠友夜学校の取り組みのすばらしさが話されておりますけれども、これまでも、長い期間にわたり、たくさんの関係者の方の努力だとか、またその実践によって、遠友夜学校には本当にすばらしい学びがあったのだということが私たちにもよくわかるようになりました。そして、そうした活動がまさにこの札幌の地で行われていたこと、その史実、その偉業というのを、やはり、これからの子どもたち、そして市民の皆さんにわかりやすく、そしてもっともっと身近に感じていただく、そうした機会が提供されることが本当に必要だというふうに思っています。さらに、ご意見の中で市民が主体的に資料を活用できることが大事だとありましたけれども、本当にそのとおりだと思っています。  そういう中で、子どもというところでは、札幌市は、現在の学校教育の中で、新渡戸稲造さんの歴史についてどういうふうに取り上げられているのか、一つ伺いたいと思います。  また、子どもだけでなく、もちろん私たち大人ももっと知っていきたいし、知らなくてはならないなと改めて感じておりまして、先ほどもありましたが、生涯学習の視点からこれまでどんなことに取り組まれてきているのか、今後、ぜひこんなことをしたいということがございましたら、そのあたりをお伺いしたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  新渡戸稲造氏あるいは遠友夜学校の部分について、市教委としての取り組み、あるいは生涯学習の視点からの取り組みはどうかということだと思います。  教育委員会におきましては、お話がありました学校教育の場面では、小学校4年生において札幌らしい教育ということを推進しておりますけれども、この中で指導するために、遠友夜学校を開設した新渡戸稲造氏の営みから、北海道の発展に尽くした先人たちの苦労を考える授業の展開例を各小学校に示して実践しているところでございます。また、6年生におきましても、社会科の教科書に新渡戸稲造氏と遠友夜学校の歴史を紹介する内容が記載されておりまして、今のところはそういった部分で学習しております。  それから、生涯学習の視点といたしましては、特にことしは学校創立120周年ということもありまして、さまざまな場面、さまざまな団体によって、新渡戸稲造氏の功績とともに遠友夜学校をテーマにした多くの記念事業が行われております。また、北海道大学では、昨年来、国際的に活躍できる人材の育成を目指す新渡戸カレッジという名前を冠した事業もスタートしたと聞いておりまして、私どもといたしましても、節目にふさわしい動きとして大変喜ばしいなと感じているところでございます。また、このほど、新渡戸稲造札幌遠友夜学校を考える会の主催で札幌遠友夜学校創立120周年記念作文・論文コンクールを実施することになっておりますけれども、これに対しても一定の支援を行ったところでございます。  今後とも、子どもたちを含めた市民に対してこういったものを広く伝えていく、それから、新渡戸稲造、遠友夜学校にちなんだ事業や講演会の企画などにつきましては、生涯学習の視点から北海道大学と協力しながら積極的に支援してまいりたいと思いますし、私どもの自前の企画としても十分検討してまいりたいというふうに思っております。 ◆小倉菜穂子 委員  小学校の4年生と6年生で学習していることを伺いました。20代ぐらいの若い方に新渡戸先生のことをご存じですかと聞いたときに、名前は聞いたことがあるけれどもというようなお答えで、その方によってもちろん違うのだと思うのですが、やはり、12歳ぐらいの小学校の時代から大人になっていく間に、生涯学習につながるような形でお一人お一人にできるだけ入ってくるような伝え方をしていただきたいなと思っています。  先ほど生涯学習のほうで周年記念事業ということがありましたが、何十年に一遍といったことであると思いますけれども、日常的に日ごろからかかわれることが本当に大事だというふうに思っています。私のように北海道、札幌で成長していないというか、札幌はいろいろな地域から入ってこられる方が多いですから、そうした方々も必ずどこかで触れたり知ったりすることができるような工夫も大事かなというふうに改めて思っています。今、市民の方々も本当に活発で積極的に活動されておりますので、そことの連携もしっかりとしながら、ぜひ積極的にやっていっていただきたいなというふうに思っています。  新渡戸先生のことについても、偉業という言い方をしたり、本当にボランタリーな活動をされてきたと言われますけれども、この間、お話を伺ったり、少しずつ調べたりすると、例えば、男女平等であったり、生活が厳しい方々に学習指導をしたりということで、今まさに格差が広がっているこの社会にも通じるところがあるのかなと思います。このように本当に多面的な魅力を持った方だなということを改めて知ったものですから、いろいろな観点からアプローチしていくこともできるのではないかというふうに私は思っています。そして、そうしたことをつないでいって、現物の資料といいますか、見られる場所が今あるわけですから、そこにも行ってみたいと思う方々をふやしていくことも大事かなというふうに思っています。  そこで、市としても、ホームページというお話がありましたが、私は、広く皆さんに知っていただくためにも、広報誌に積極的に載せるなど、さまざまな媒体を使った情報発信の必要があるというふうに思いますけれども、その点についてはいかがか、お伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  広報誌あるいはさまざまな媒体を通して情報発信をしていくということでございますけれども、今後とも、北海道大学と連携しながら、新渡戸稲造あるいは遠友夜学校の歴史、功績について、例えば、資料はこういったところにこういうふうに保管されて展示されている等も含めまして、多くの市民に周知していくことが大変重要であると考えております。そういったことから、先ほどもご答弁いたしましたけれどもホームページや広報誌などを通じた情報発信をこれからも積極的に行いたいと考えておりまして、今後の具体的な内容について検討を始めたところでございますので、積極的に対応してまいりたいというふうに思っております。 ◆小倉菜穂子 委員  この間の取り組み方とか議会での議論とか、この件に関するさまざまな動きがなかなか市民に伝わっていないといった質疑が冒頭にあったと思いますが、広く市民の方々にお伝えすること自体が新渡戸稲造さんを知っていただくことの大きな柱になってくるというふうに思います。今、そこはこれから少し考えていくこともあるように受けとめましたので、一歩一歩、しっかりと取り組みを進めていただきまして、お家で何かをちょっと見ているときにも、ああ、そうなんだということが私たちにもわかるような、ぜひ、そうした丁寧で積極的な取り組みを強く求めて、質問を終わります。 ◆堀川素人 委員  今、段々の話を聞きまして、大体言い尽くしたかなと思っていますけれども、実は、僕は、年に1回、ニセコの有島記念館に行きます。何をしに行くかといったら、心の洗濯に行くのです。何に感動してくるかといえば、一つは、あの貧富の差が激しい中で、小作制を否定して、それこそ「生まれ出づる悩み」ではないですけれども、人間の根本的な悩みというのか、貧富の差に対する悩みに対して、有島記念館ですから、有島がどう振る舞ったかということが一つ。  もう一つは、あそこに遠友夜学校展示がされていまして、たくさんの有名な学者がそこにかかわり、服装などを見ても貧しい子どもが学んでいて、それは、まさに貧富の差で、学べるか、学べないかという貧富の差の中で、学ぶということは、僕は生きることだと、また、生きるということは学ぶことだと。そして、人間にとってどうしてもしなければならぬというのか、させなければならぬ、それは慈悲であり、そしてまた慈しみに包まれたあの精神というのは非常に高邁で、本当に我々が大事にしなければならぬものだなと、あそこに行ってそう感じるのです。ですから、今回、北大のほうに移管することになった経緯については、僕はもう少し市民に対して丁寧であってもいいんじゃないか、こういうふうに思います。  ただ、資料を残すという意味では、残念ながら、札幌市にはその能力がなかったという中で、今、とりあえず北大に預けるということで、無償譲渡ではなく、貸与の形でなすべきだったのかなと思います。そして、今、残された土地の利用についても、もしできるならば、当時の約束をきちっと守って、そこに資料展示されたならば、なおかつ、それがしっかり後世に残るような管理のもとになされたならば一番よかったんじゃないかな、こう思うのですよ。  何を言いたいかといいますと、要するに、札幌市にその能力がなかったということです。正直言って、歴史的文献、学術的文献を判断する能力が札幌市においてどれだけ十分に機能したか。機能させようしても、ないものは出てこないわけです。やっぱり、194万人の札幌市とすれば、そういう能力をもう少し高めていくべきである、こう思います。  そこで、何よりも大事なのは、これは文書を残すかどうかじゃないわけですよ。とするならば、運動論として、札幌市はその高邁な理想を子ども方に教え、大人にも教えながら、札幌が目指すべきものというのは、やはり慈しみや慈悲に包まれた大きな理想であり、こういう人がいたのだよと教えていくことです。僕は、今、北大に行った資料を取り返すということはしなくていいと思います。ただ、運動論のことは、教育委員会としてしっかりと取り組んでいただきたい、この意見だけ述べて、終わります。 ○宗形雅俊 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○宗形雅俊 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは、陳情第137号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」と呼ぶ者あり) ○宗形雅俊 委員長  継続という声がありましたので、陳情第137号を継続審査とすることにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○宗形雅俊 委員長  異議なしと認め、陳情第137号は、継続審査と決定いたしました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後3時48分...