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  1. 札幌市議会 2013-10-29
    平成25年(常任)経済委員会−10月29日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成25年(常任)経済委員会−10月29日-記録平成25年(常任)経済委員会  札幌市議会経済委員会記録            平成25年10月29日(火曜日)       ────────────────────────        開 会 午後3時 ○川田ただひさ 委員長  ただいまから、経済委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  陳情第53号 精神障害者札幌市営地下鉄及び市電乗車時の「運賃割引実施に関する陳情を議題といたします。  陳情第53号は、本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時1分       再 開 午後3時9分     ―――――――――――――― ○川田ただひさ 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、このたびの陳情を受けまして、精神障がいのある方への地下鉄及び路面電車運賃割引に関連して、何点か確認させていただきます。  精神障がいのある方の運賃割引については、各交通事業者において、国の動向はもとより、事業者として、経営状況などを踏まえてこれまでも検討されていることと思います。また、多くの自治体では、障がい者施策の一環として、身体障がいの方や知的障がいの方に加え、精神障がいの方に対しても交通費助成する制度を構築して対応していると認識しているところであります。こうした状況を考えますと、まずは、現状がどのようになっているのか、この点を改めて把握することも重要と考えます。  そこで、今回陳情のありました精神障がいの方を初め、障害者手帳を持っている方が市内には何人おられるのか、また、交通局が行っている運賃割引制度札幌市が行っている障がい者交通費助成制度はどのようなものであるか、改めてお聞きしたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  私から、札幌交通局が行っている障がいのある方への運賃割引制度についてお答えいたします。
     現在、地下鉄路面電車では、身体障がいの方や知的障がいの方、あるいは、その介護人付添人の方に対しましては、基本的に運賃の50%割引を行っております。しかし、精神障がいのある方につきまして運賃割引は行ってございません。 ◎天田 保健福祉局障がい保健福祉部長  私からは、札幌市における障害者手帳所持者数と私ども実施している障がい者交通費助成制度の概要につきましてご説明させていただきます。  まず、障害者手帳所持者数でございますが、平成24年度末現在におきまして、身体障害者手帳が8万7,500人、知的障がいのある方に交付しております療育手帳が1万4,507人、精神障害者保健福祉手帳が1万9,405人でございます。重複障がいにより複数の手帳の交付を受けている方もいらっしゃいますが、この3障がいの手帳を単純に合計いたしますと12万1,412人となります。  なお、札幌市の障害者手帳交付者数でございますが、年々増加しておりまして、5年前の平成19年度と昨年度と比較いたしますと、障がい者全体としては21%の増加となっております。これを障がい別に見ますと、身体障がいの方が12%、知的障がいの方が37%、精神障がいの方が65%となってございます。3障がいともに増加しておりますが、特に精神障がいの方の増加が著しい状況にございます。  次に、札幌市における障がい者交通費助成制度内容につきましてご説明いたします。  まず、運賃割引につきましては、交通事業者乗車料金を割り引くことにより、利用者の負担を軽減するものでございます。一方、交通費助成制度につきましては、市内に居住する障がいのある方の社会参加支援するために、交通費の一部を公費により助成するものでございます。札幌市におきましては、3障がいの制度手帳のうち、その程度重度中度、軽度の3段階に区分いたしまして、重度及び中度の方に対して助成対象としてございます。  障がいの程度別助成内容をご説明させていただきます。  まず、重度の障がいの方、いわゆる身体障害者手帳の1・2級、療育手帳重度、そして、精神障害保健福祉手帳の1・2級の方が該当いたしますが、助成内容は、福祉乗車証タクシー利用券自動車燃料券です。タクシー利用券につきましては年額3万9,000円が上限になります。自動車燃料券、いわゆるガソリン券ですが、年額3万円が上限となります。この3種類から一つを選択していただき、給付しております。  なお、福祉乗車証につきましては、札幌市内地下鉄、市電、民間バスを無料で利用できるものでございます。  また、中度の障がいの方、身体障害者手帳の3級・4級、療育手帳中度精神障害者保健福祉手帳の3級が該当いたしますが、この助成内容につきましては、ウィズユーカード年額4万8,000円を上限として交付しております。またはタクシー券年額1万3,000円、またはガソリン券年額1万円分、この中から一つを選択して給付しております。  なお、札幌市の交通費助成制度につきましては、地下鉄南北線が開通いたしました昭和46年に開始いたしまして、これまで幾多の改正を経て平成22年4月に現行制度としております。この制度改正当たりましては、1年以上の時間をかけて障がいのある方などのご意見を伺ったり、さらに、議会でのご議論をいただき、利便性の向上や社会参加の促進、そして、障がい種別による助成内容格差是正という観点から見直しを図ったものでございます。 ◆阿部ひであき 委員  ただいまの答弁で、障がいによる手帳所持者は年々増加していて、特に精神障がいの手帳所持者増加が著しいと。また、札幌交通費助成制度においては、障がいの程度に応じた違いはありますが、福祉乗車証ウィズユーカードタクシー券ガソリン券が選択できる制度となっており、この選択制度によって障がいのある方がご自身の状況に合わせて利用する形になっていることはわかりました。  札幌市として、障がいのある方への施策の展開はさまざまありますけれども交通費という観点では、交通局保健福祉局取り組みを個別に考えるというよりは、トータルで見ていかなければならない面もあると思います。そこで、仮に、精神障がいのある方への運賃割引実施した場合、この部分での影響額は幾らになるのか、伺いたいと思います。  また、精神障がい3級の方の中には、1級、2級の方と同様、福祉乗車証がもらえるようになれば、運賃割引の問題はほぼ解決するという声もあるやに聞こえておりますけれども札幌交通費助成制度において精神障がい者3級の方にも福祉乗車証が選択できるようにした場合、その影響額は幾らになるのか、これらをあわせてお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  私からは、交通局におきまして精神障がいの方へ運賃割引実施した場合の影響額についてお答えしたいと思います。  仮に精神障がいのある方に対して割引を行った場合、あくまでも推計ではございますが、年間2億円程度減収になるものと想定しております。この内訳といたしましては、障がい者交通費助成制度において交付されている福祉乗車証利用する分として保健福祉局から交通局に支払われている負担金減額となります。そして、助成用共通ウィズユーカード利用に伴う乗車単価減額となり、この2種類を見込んでいるところでございます。  福祉乗車証につきましては、現在、5,756人の方に助成しておりますが、この方々年間平均乗車回数171回に平均単価減額分の120円を掛け合わせた金額約1億2,000万円が減収になると推計しております。また、助成用共通ウィズユーカードにつきましては、現在、4,324人の方に助成しておりますが、この方々の分の171回の平均乗車回数減額分120円を掛け合わせた約9,000万円が減収になるものと推計しております。 ◎天田 保健福祉局障がい保健福祉部長  私からは、現在の札幌交通費助成制度におきまして、精神障がい3級の方が福祉乗車証を選択できるようにした場合の影響額についてご説明させていただきます。  平成24年度の利用実績に基づきまして、中度障がいに該当し、現在、4万8,000円が上限となっているウィズユーカードを選択した精神障がい3級の方が福祉乗車証を選択すると仮定いたしまして、この3級の方に交付したウィズユーカード1人当たり平均助成額と、福祉乗車証を使用しております1・2級の方の乗車証1枚当たり助成単価の差額を掛け合わせて試算いたしますと、2億5,000万円の増額となる見込みでございます。  ただし、助成内容を3障がい同一とすることとしておりますので、精神障害者保健福祉手帳3級の方だけではなく、同じ中度障がいである身体障害者手帳3級・4級、療育手帳中度の方にも福祉乗車証助成対象とする必要がございます。この場合につきましては、3障がいの影響額を合計いたしますと、私の試算でございますが、約5億円の増額となる見込みでございます。  なお、これらの試算につきましては、従来、ウィズユーカードを選択している中度障がいの方が現在の福祉乗車証利用者である重度障がいの方と同程度福祉乗車証利用するという前提で算定したものでございます。重度障がいの方よりも比較的障がいの程度の軽い中度障がいの方は利用頻度が高いことが予想されますし、先ほど答弁いたしましたように、障がい者数は年々増加してございます。これらを加味いたしますと、影響額につきましてはさらに増加する可能性がございます。 ◆林家とんでん平 委員  私からも、少しお話をお聞きしたいと思います。  私は、自分の子どもが障がいを持っております。途中から障がいを持ちまして、今は全く動けません。だんだん歩けなくなってきて、しゃべれなくなりました。途中で障がいを持ったものですから、公共交通機関を使いながらという時期もあったわけです。居住地も変えてきましたが、交通費がこうなるのだ、ああなるのだとだんだんと変わっていくさまを、きょうの陳情者のように当事者としていろいろと考えてきました。  先ほど陳情者趣旨説明でおわかりのように、精神障がいのある方は、病院に通うことが必要でして、2週間に一度は行かなければなりませんし、薬ももらわなければいけないということがあると思うのです。さらに、地域で暮らすということですが、国も地域移行仕組みを構築しようとして進めてきております。これは、札幌市もそうだと思いますが、そのためには、通院のほか、さまざまな社会参加がとても必要になってくると思うのです。それを支援するという観点から、精神障がいのある方の公共交通機関運賃負担軽減はとても重要であると思うのです。  そこで、精神障がいのある方に対するバス運賃割引については、昨年7月に、国が定める一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款に、身体障がい、知的障がいに加えて精神障がいもやっと明記され、3障がい同一観点でその意義は大きいと実感しております。これは、今のように、陳情者当事者として熱心な要請があったから実現したと思うのです。  しかし、残念なことに、この約款には強制力がないのです。精神障がいのある方に対する運賃割引実施については、バス事業者の判断に委ねられており、バス事業者経営判断によって実施の有無が分かれてしまう状況にあります。ですから、地域によって利用に格差が生じる可能性が出てきているわけですよ。  こうしたことから、ことしの第2回定例市議会で、精神障がいの方の運賃割引制度普及に向けた取り組みや、約款改正とその趣旨の徹底に向けた働きかけを広く関係機関に行うよう政府に求める意見書札幌市議会として提出しました。それはおわかりのとおりです。ですから、我々会派は、今後の政府の動向をとても注視しております。その一方、全国の状況を踏まえながら、広い視野を持って検討を進めることが必要だと思うのです。  そこで、質問します。  精神障がいの方に対する公共交通運賃割引について、他都市はどのような状況なのか、また、障がいのある方に対する交通費助成制度について、他都市ではどのような状況にあるのか、お聞かせください。 ◎中田 事業管理部長  私からは、公営交通事業者運賃割引がどうなっているかという状況についてお答えいたします。  公営交通事業者地下鉄事業を運営しているところは、札幌を含めて政令市で八つございます。札幌を除く七つの政令市事業者状況でございますが、仙台市におきまして、宮城県及び仙台市が発行する精神障害者保健福祉手帳を所持している方に対して運賃割引実施していますけれども、それ以外は公営交通事業者みずからが精神障がい者割引実施している例はないと聞いております。 ◎天田 保健福祉局障がい保健福祉部長  私からは、障がいのある方に係る交通費助成制度が各都市でどうなっているかにつきまして、承知する範囲でお答えさせていただきたいと思います。  実は、指定都市20市におきましては、何らかの形で交通費助成実施されております。ただし、その内容につきましては、例えば、公営交通に限られる、または、民間バスも含めて幅広く助成する、そして、タクシー券ガソリン券ども選択できるなど、さまざまでございまして、各都市状況につきましてその水準を単純に比較することは非常に難しいことでございます。  そこで、札幌市につきましては、福祉乗車証またはウィズユーカードなどの乗車券か、タクシー券ガソリン券のいずれかを選択できる制度にしてございまして、この点で他の政令市との比較をしてみますと、バス地下鉄等乗車券による助成につきましては、札幌市を含めて14市、タクシー券につきましては20市全市、ガソリン券につきましては7市で実施されております。このうち、札幌市と同様に、3種類から選択できる制度を持っておりますのは仙台市と浜松市となっております。また、地下鉄を持つ政令市8市に限ってみますと、全ての自治体乗車券助成が行われております。このうち、仙台市、横浜市、名古屋市、京都市、神戸市の5市につきましては、精神障がい3級の方につきましても無料乗車証助成対象としていると聞いております。  なお、札幌市と他都市交通費助成制度を障がい者1人当たり予算額に置きかえて試算してみますと、札幌市につきましては、全国的にはトップクラスに位置しております。また、札幌市の交通費助成制度につきましては、先ほど答弁いたしましたように、平成22年度の制度改正によりまして、個々の障がいの状況に応じた選択肢の幅を広げたり、助成を受けやすくするなどの見直しを図っておりまして、交通費助成利用される方の割合は格段に高まっていると考えております。  以上のことから、札幌交通費助成制度につきましては、単純比較はできませんが、他都市と比べても決して遜色のない助成水準であろうというふうに考えております。 ◆林家とんでん平 委員  ただいまの答弁の中で、まず、精神障がいの方に対する公共交通運賃割引は、他都市ではごく一部にとどまっている状況ということです。そして、平成22年の障がい者交通費助成制度についてありましたが、私もかかわっておりましたからよく知っておりますけれども、全国と比べるとトップクラスであるという答弁でございました。  それはわかるのですが、今回の陳情を踏まえて、今後、さまざまな視点で取り組むことが重要かなと思っております。例えば、地下鉄などで割引実施している場合、運賃割引による影響額公共交通ネットワークを形成しているバス事業者との連携など、整理すべき課題も多いと思うのです。  そこで、質問ですけれども地下鉄などで割引実施するに当たって、交通局においてどのような課題があると認識しているのか、お伺いいたします。 ◎中田 事業管理部長  私から、地下鉄割引実施した場合の課題についてお答えしたいと思います。  まず、札幌市の交通体系は、バス地下鉄路面電車の3事業が一体となって公共交通ネットワークを形成しており、乗り継ぎ割引などの運賃制度、あるいは、ウィズユーカード等乗車カードにおいても密接な関係がございます。そういったことから、各事業が歩調を合わせて運賃割引を行うことが重要であるというふうに認識しております。それから、乗り継ぎ割引関係で申しますと、バス地下鉄の間で運賃割引足並みがそろわない場合、改札機券売機などのシステム改修により対応するためには多額の費用と相当の期間が必要となるほか、料金制度も複雑になることが懸念されるところでございます。  さらには、3,000億円以上の企業債残高を抱えるなど厳しい経営状況にございますので、先ほど答弁させていただいたように、運賃割引実施することで乗車料収入年間2億円ぐらい減収になることもございますので、経営に及ぼす影響についても慎重に見きわめていく必要があると考えております。 ◆林家とんでん平 委員  予想はしておりましたが、課題はかなり多いのかなと思いました。  一方、札幌市において、平成24年3月に策定されたさっぽろ障がい者プランがありますね。その中で、障がいのある方の地域生活支え取り組みを進めていくということがあると思います。地域でどうやって支えていくか、これがプランの中にうたわれていると思っております。障がいのある方の社会参加を進めていくことは、先ほど趣旨説明でもおわかりのとおり、日々の生活の中でいかに外出の機会をふやしていくか、これは、行きたいという人とそれを支える人がいて、それが札幌市のプランであって、それを進めていくことがとても重要であると思うのです。障がいのある方がスムーズに外出できる仕組みがつくられると、単に外出の機会がふえるだけではなく、このことによって住みなれた地域で安心して暮らせることができまして、地域社会への参加機会もふえていくと思うのです。  こちらの陳情の中にも書いておりますが、私たちは、障がいがあっても人間らしく生きたい、いつもそう願っていますとあります。こういう支えがあることによって、やっと健常者と同じような生活ができるのだということかなと思うのですね。そのために、保健福祉局のみではなく、市全体として取り組んでいく必要が出てくるのではないかと思うのですよ。  そこで、質問ですが、精神障がいの方の社会参加の促進に向けて、運賃割引観点を含め、交通局はどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  今、林家委員からお話がありましたとおり、障がいのある方の地域生活支え自立社会参加を促進していくことは大変重要であると考えております。そのときに、地下鉄路面電車のみならず、バスやJRを含めた公共交通機関社会参加を促進するための重要な基盤であると我々も認識しているところでございます。全庁的に取り組んではいかがかというお話もございましたので、今後につきましては、きょうの議論も踏まえまして、庁内の関係部局と連携しながら、札幌市全体としてどのようなことができるかについて検討していきたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  ぜひ、そうしていただければと思います。  きょうは、保健福祉局交通局の2局にお越しいただきましたけれども、全庁的なことが障がいのある方にとって支えになるのではないかと思うのです。縦割りでありますと、なかなか支えにつながっていかず、どこかに壁ができてくるところがありますので、ぜひ、全庁的に連携をとりながら、障がいのある方の立場に立って検討を進めていくことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ◆福田浩太郎 委員  私からも、質問させていただきたいと思います。  先ほど陳情者方々お話を伺いました。大変なご苦労をされながら、一生懸命、社会参加されようとしていることを改めてお聞きしまして、心に深く感じるところがありました。  これまで、国におきましては、障害者自立支援法が制定されて、3障がい一律の支援、そして、措置から支援ということで、これまでの予算の枠組み、義務的経費として法のもとに障がい者支援を行っていくということで、遅いかもしれませんけれども、着実に取り組みが進められてきているところでございます。  本市におきましても、先ほどお話があったように、交通費助成につきましては、厳しい財政状況の中にあって、サービスの充実、そして3障がい同一仕組みとして改善を進めてきたことも理解しております。私ども会派といたしましても、陳情者の思いを何とか実現できないものかと思うところであります。ただ、こうしたことを実現するためには、さまざまな影響も考慮していかなければならないことも現実でございます。そうしたことから、私からは、先ほど来の議論を踏まえて、精神障がいの方への運賃割引の導入と本市における公共交通ネットワークとの関係について質問したいと思います。  平成23年8月に改正されました障害者基本法は、障がいの種別にかかわらず、自立社会参加のための支援を一層推進することを基本理念としております。また、先ほどもありましたが、平成24年7月には、国土交通省が定めるバス事業標準約款において運賃割引対象に精神障がいの方を加える旨の改正が行われまして、これは法の理念の実現に向けた一歩であると認識しているところでございます。  このたびの陳情は、地下鉄及び路面電車に精神障がいの方への運賃割引を先行して導入することを要望するものでございますが、札幌市域内では、これら2事業に加えまして、民間バス事業との3事業公共交通ネットワークを形成しているところでございます。そうしたことから、札幌市内の各バス事業者動向も精神障がいの方の自立社会参加の推進に少なからず影響があると考えているところでございます。  そこでまず、お尋ねしたいと思います。  札幌市内の各バス事業者における精神障がいの方への運賃割引検討状況について把握しているのかどうか、していればお聞かせいただきたいと思います。 ◎天田 保健福祉局障がい保健福祉部長  各バス事業者における運賃割引検討状況について、私どもが承知する限りでお答えさせていただきます。  まず、私ども保健福祉局といたしましては、委員がご指摘のとおり、障害者基本法理念に立ちまして、福祉部局として国や各交通事業者に対して精神障がい者に対する運賃割引実施について働きかけをしてきております。特に、平成21年以降につきましては、北海道とも足並みをそろえて要望活動を続けてきているところでございます。  とりわけ、林家委員からもございましたとおり、昨年7月に、バス事業に係る標準運送約款改正がございましたので、これを受けまして、昨年10月に市内バス事業者3者、中央バス、ジェイ・アール北海道バス、じょうてつバスですが、北海道保健福祉部局が呼びかけましてこの3者と意見交換を行っております。この席上、各事業者から、公共交通事業者として障がいのある方々への社会的な配慮を行う必要性については十分に理解しているという認識をいただいております。しかしながら、精神障がい者への運賃割引につきましては、3者とも、運賃収入減収要因となることから、現段階では実施は難しいとの見解が示されております。  その背景として伺っておりますのは、各事業者とも利用者数の減少や燃料価格の高騰が続く本当に厳しい経営環境の中で、過去15年間運賃を据え置いてきており、この間、並々ならぬ経営努力を続けてきているけれども運賃割引対象者の拡大は経営に大きな影響を与えることから、運賃割引実施については難しいと伺っております。  なお、その後、いずれのバス事業者につきましても、その状況、考え方が変わったとの情報は把握しておりません。 ◆福田浩太郎 委員  ただいまの答弁をお聞きしますと、精神障がいの方への運賃割引導入に向けて、平成21年度以降、毎年行っていただいており、また、約款が改定されてから、機を捉えて意見交換を行ったということで、保健福祉局北海道足並みをそろえて各バス事業者に対して粘り強く対話を行っているものの、見通しについては不透明だということでございます。  確かに、バス事業者はどこも経営状況は厳しいと思いますが、障がいのある方の自立社会参加の促進、そして、バス事業者経営は何としても両立させていかなければならない課題であると認識しております。一方、先ほど答弁でもありましたが、地下鉄等で先行して割引実施することは、整理すべき課題も多く、特に公共交通ネットワークを形成しているバス事業者との連携は重要であるというふうに考えているところでございます。  そこで、2点目に、この問題について、交通局としては今後どのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  交通局の今後の対応をどうしていくかについて、私からお答えいたします。  交通局といたしましては、先ほどもご答弁させていただきましたが、運賃割引に対応するためには、整理すべき課題が幾つかあると認識しているところでございます。特に、バス地下鉄路面電車の3事業が一体となって公共交通ネットワークを形成しておりまして、乗り継ぎ割引などの運賃制度においても密接な関係がございますので、各事業者が歩調を合わせて運賃割引を行うことが重要であると考えております。  このようなことから、私どもといたしましては、精神障がいのある方への運賃割引につきましては、バス事業者と一体的に対応することが望ましいという考え方はこれまでと変わりませんが、先ほどもご答弁いたしましたように、きょうの議論も踏まえて、今後何ができるかについては、庁内の関係部局と連携を図りながらいろいろ検討していきたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  現時点での対応については理解いたしました。  確かに、精神障がいの方が戸惑うことなく3事業を一体的に利用するためには、各交通事業者が一体となって運賃割引が適用されることが望ましいと私も思いますので、先ほど来申し上げているように、精神障がいの方への割引の導入は大切な課題であります。つきましては、交通局だけではなく、札幌市として地下鉄及び路面電車における検討とあわせて、引き続き、バス事業者と連携しながら取り組んでいただきたいというふうに思います。  また、バス事業者経営は非常に大きな要件だと思いますが、利用者がふえることによって経営の改善にもつながっていくわけでございます。札幌市全体として、公共交通の利用促進に向け、モビリティーマネジメント等に全庁を挙げて積極的に取り組んでいただくこともお願いいたしまして、質問を終わります。 ◆木村彰男 委員  先ほど部長からご答弁がございましたが、私がいただいている資料の中では、平成24年の4定で他会派の質問があり、それに対して、市長からは、これについてはバス事業者との歩調を合わせて検討していかなければいけないというお話があり、それを受けて、昨年に中央バス、じょうてつバス、ジェイ・アール北海道バスお話をして要請した、しかし、経営が非常に厳しい中にあって、今回の陳情方々対象にすることは難しいというお話が今あったわけでございます。  そうなってくると、市長が解決すべき課題検討とおっしゃった相手が引き続きそのようなお考えでございますから、相手が変わらない限り、これ以上、札幌市は何もしないのかということが1点でございます。  もう一つは、当然、バス事業者経営がよくならなければできないということを言っているわけでございますが、先ほどちらっと陳情者にも申し上げたのですけれども、例えば、南区の定山渓地区や石山地区、藤野地区からまち場の病院に薬をいただきに来る、病院にかかるとなった場合、じょうてつバス利用して来るか、真駒内までじょうてつバスで出て、地下鉄に乗って中央の病院に来ることになります。  そこで、先ほども言いましたけれども、全部が対象にならないとしても、遠くから病院に行かなければならないことについて何らかの立証ができたといいますか、それが担保できる方については、別なカテゴリーで先行してやっていくと。先ほど調査の中で検討するといった一つの切り口を聞いているのですが、そのような考え方は持っておられないのか、お聞かせください。 ◎中田 事業管理部長  昨年の4定の中で、確かに、市長からは、いろいろな課題があるので引き続き検討するというご答弁をしております。課題は、先ほどお話しさせていただきましたが、乗り継ぎ割引が適用になっておりますから、地下鉄のみで実施した場合にどのような解決策があるか、我々はこれからそこを整理していかなければなりませんし、庁内的にも関係のところと議論していかなければならないと思っております。  いずれにしても、そのような課題がございますので、我々としては、今後、課題解決のために何が必要かということを整理していきたいと思っております。 ◆木村彰男 委員  できないということを聞いているわけではなくて、今の陳情者の思いが、100とは言わなくても、どうすれば徐々にでも実現していくかということを私は考えているわけでございます。もちろん予算もありますし、全体の収支もございます。しかし、どんな条件が整えば、一部の方かもしれませんが、割引を適用できるような方策がないのか、あるのか、それについてご検討いただけるという今のご回答でよろしいのでしょうか、お聞かせください。 ◎中田 事業管理部長  庁内的に関係するところでは財政当局とか、あるいは、バス事業者とのネットワークを組んでおりますので、市民まちづくり局総合交通計画部も対象になります。あるいは、隣に座っております保健福祉局の障がい福祉の関係も一緒になって考えなければなりません。あるいは、全庁的なことなので、市長政策室ともやることになります。そのような関係のところと何ができるかを議論していき、木村委員がおっしゃるように、100点か零点ではなくて、このぐらいならできそうかということは、今後、庁内的に検討していきたいと思っております。 ◆木村彰男 委員  陳情者の思いやお考えは、今言ったようなゼロか100かという話ではないと思うのです。札幌市が端緒となって先鞭をつけていくことによって、他の政令指定都市にもそれが波及していくようなものになっていけば、私は皆様方の一つのご成果だと思いますので、実現に向けてぜひやっていただければと思っております。 ○川田ただひさ 委員長  坂本議員、番外ですので、簡潔によろしくお願いいたします。 ◆坂本恭子 議員  日本共産党は委員がいないものですから、きょうは、委員長のお計らいによって番外で質問させていただきます。ありがとうございます。  簡潔に質問したいと思います。  今までの段々の質疑を聞いていますと、委員の総意としては、陳情者の願意を酌み取って、ぜひ運賃割引制度を導入してほしいという方向性だったのかなと私自身は受けとめているところです。それぞれの理事者からもご答弁がありましたけれども、今後は関係する部局と全庁的に議論検討していきたいということでした。  そこでまず、一つ伺いたいのは、しっかりとしたプロジェクトチームなりを設けて全庁的な検討を行っていくのか、これからのスケジュールはどういうふうにお考えになっているのか、そこはぜひ具体的にしていっていただきたいものですから、ここを伺いたいと思います。  それから、バス事業者についてお話がございまして、運営的な問題などもあり、非常に厳しいと話しているということでした。先ほどゼロか100かという話がありましたけれども、3事業者が歩調を合わせることが重要だということですから、バス事業者が踏み出さなければ交通局として単独で動き出すという決断ができないのかどうかという点についてもあわせて伺いたいと思います。  一遍に聞いてしまいたいと思います。  陳情者趣旨説明の中で、障がいを持ったご本人たちが混乱をしてしまうからというようなことでなかなか前に進まないとありましたが、自分たちは大丈夫ですというお話がございました。途中で制度が変わったり、事業者によって対応が違うことで混乱を生じてしまう懸念については、私どもは議会の中では運賃割引制度を導入すべきということでバス事業者働きかけをすべきと繰り返しお話ししてまいりましたが、随所で混乱ということが随分と出てきたように感じています。そういう意味では、当事者が大丈夫だと言っているわけですから、そこのところはクリアされているのではないかと思うのですが、その点についての評価、お考えがあれば改めて伺いたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  まず、1点目でございますが、プロジェクトチームをつくるかどうかでございます。  それも含めて、今後、関係のところと協議することになりますけれども、あえてプロジェクトチームをつくらなくても打ち合わせ等の会議は持てますので、今のところ大丈夫ではないかと私としては考えております。  それから、スケジュールについては、まさにこれから関係のところとの議論検討に入っていくわけですから、今の時点でどれぐらいというお話はちょっと難しいのではないかと思っております。  それから、バス事業者と歩調を合わせるのが最善の策ですが、交通局単独で判断できるのかどうかについてですけれども、それも含めて関係のところと協議していくことになります。  そして、4点目は、これまで精神障がいの方の割引制度を導入することによって混乱が生じるというニュアンスで、交通局の発言でそう受け取られていたことがあったのかと思っております。私どもとしては、制度が複雑になって、わかりにくいのではないかとお話をさせていただいていたところでありまして、決して、対象者が精神障がいのある方だから混乱するという意図でそういう言葉を使ったことはございません。きょう、いろいろお話しさせていただいた中でも、そのような誤解を招くような表現は適切ではないと我々も考えておりますので、きょうは混乱という単語は一つも使わないでご説明させていただいているところでございます。 ◆坂本恭子 議員  プロジェクトチームについては、あえてつくらなくても大丈夫だと思うというご答弁でした。そして、スケジューリングについては、これからやっていくので、どのくらいということは、現在はご答弁をいただけないということでした。  先ほども申し上げましたが、私どもは、標準約款が改定になる以前から運賃割引については3障がい同一でやるべきだと主張してまいりました。議会の中では、そのことについてきちんと受けとめていただき、検討などについては内部的にやっていただいているものだと理解しておりましたし、それが、前回の代表質問で、標準約款が変わったわけですから、いよいよ精神障がいについても導入が望ましいという発言につながったと理解しておりました。これは昨年のことですから、そういう意味では、バス事業者とのいろいろなやりとりをしながらも、交通局単独で考える時間は十分にあったはずだと思います。ですから、これから改めて全庁的に議論をして結論を得ていくのだ、しかも、バス事業者とも連携をしながらやっていくということでは、今まで一体何をやっていたのかと、そこについては改めて申し上げなければいけないと思います。こうやって、当事者の方たちが陳情を出してくださいました。趣旨説明の中でみずからの言葉で発言する機会を自分たちでつくってきたことをぜひ重く受けとめていただいて、いつ、どのくらいで決着するかはわからないということではなく、早急に対応すべきだというふうに思います。  それから、札幌市内では、ばんけいバス1社が運賃割引を導入しております。私ども共産党の札幌市議団では、ばんけいバスの本社までお邪魔してお話を伺ってまいりました。ばんけいバスは、こう言っては何ですけれども、小さい事業者ですから、経営はかなり大変なところがおありで、ほかの事業をやっているので何とかバスを動かしていられるというようなお話もありました。その中でも、なお、3障がい同一で、精神障がいの方たちの運賃割引もやっていると、それは、地域に貢献したい、地域に根差すという会社の経営理念をしっかり貫いていきたいからだというお話がありました。  ばんけいバスは、地下鉄南北線の真駒内駅、東西線の円山公園駅にそれぞれ系統路線を持っております。あえて混乱という言葉を使わないとおっしゃいましたが、この路線を利用されている精神障がいのある方の皆さんは地下鉄の乗り継ぎが必要なわけですが、それぞれの駅などで混乱するような場面があったのか、交通局としてそれを把握しているのか、その点を伺いたいと思います。 ◎中田 事業管理部長  ばんけいバスにつきましては、円山公園駅、真駒内駅、もう一つ発寒南駅と接続しております。三つの駅と接続しておりますが、実際に乗り継ぎ割引の指定駅になっているのは円山公園駅1駅のみとなっております。  そこで、ばんけいバスで精神障がいのある方に運賃割引を導入しており、地下鉄はやっていない、そのことに伴うトラブルが発生しているかというご質問でしたけれども、何らかのトラブルが発生しているという報告は特に聞いておりません。 ◆坂本恭子 議員  当事者の皆さんも、その点については大丈夫だと言い、実際に少ない数ではあるかもしれませんけれども運賃割引を導入している事業者交通局の間でもトラブルはないということですから、ここについては全く安心していいということだと思うのです。途中で制度が変わっても、あるいは、事業者によって運賃割引の導入の仕方が違っても混乱はないということです。先ほど来、3事業者が歩調を合わせることが重要だということを強調されていらっしゃいましたけれども、私は、その点については、交通局地下鉄と市電を運行している事業者が先行して行っても全く問題ないことがはっきりしたというふうに思います。
     ですから、バス事業者にはもちろんこれからも働きかけをしていっていただきますが、交通局が先行的に運賃割引を導入することが重要だと思いますし、これを行うことがバス事業者にとっては大きな動機づけにもつながっていくと思いますので、管理者、どうでしょうか。交通局としてこれを先行して導入するご決意、ご決断をぜひいただきたいと思うのですが、私は、それについてのご答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。 ◎若林 交通事業管理者  先ほどから私どもの部長が答弁しておりますように、3事業が歩調を合わせて運賃割引を行うことが基本的な考え方ではありますけれども、あわせて、地下鉄路面電車が先行して運賃割引を導入する場合にも課題があります。例えば、バス事業者との一体的な対応が望ましいことや、先ほども言いましたが、約2億円の減収が想定される中で経営にどういう影響を及ぼすのかということも見きわめなければならないというふうに思います。  いずれにしましても、これらを踏まえて、今後とも、運賃割引の導入について札幌市全体としてどう対応していくべきかという検討を行っていきたいと思います。 ○川田ただひさ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○川田ただひさ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは、取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」と呼ぶ者あり) ○川田ただひさ 委員長  それでは、陳情第53号を継続審査とすることにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○川田ただひさ 委員長  異議なしと認め、陳情第53号は、継続審査と決定いたしました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後4時6分...