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  1. 札幌市議会 2013-10-01
    平成25年(常任)文教委員会−10月01日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成25年(常任)文教委員会−10月01日-記録平成25年(常任)文教委員会  札幌市議会文教委員会記録            平成25年10月1日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午後0時59分 ○井上ひさ子 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、本日審査を行います陳情第52号の提出者から資料の提出がございましたので、お手元に配付しております。  それでは、議事に入ります。  最初に、陳情第52号 札幌市立図書館蔵書管理に関する陳情を議題といたします。  陳情第52号は本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時       再 開 午後1時6分     ―――――――――――――― ○井上ひさ子 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆佐々木みつこ 委員  ただいま、本市の図書館蔵書管理について貴重な陳情をいただいたと認識しております。  本市の図書施設は、中央図書館地区図書館区民センター地区センター図書室など45カ所設置されており、幅広い市民が利用する施設であります。現在は、図書コーナーなどを除く全ての施設の所蔵本がどこでも受け取り、返却可能となったため、これらの市内図書施設を一つの図書館として利用することができ、すぐれた利便性があるのではないかと考えるところです。  しかしながら、これらの所蔵本、資料は、陳情でもご指摘のあったとおり、札幌市民の貴重な財産であり、適正に管理されるべきものではありますが、平成18年から22年までの5年間で2万1,000冊が無断に持ち出されるなどの被害が発生しており、大変遺憾に感じます。  先日、この文教委員会の視察において、武蔵小杉の駅直結型複合施設内にあります図書施設を視察いたしましたが、そこでも、盗難防止装置、いわゆるBDSを図書室入り口に導入しており、ICタグでの管理もして、自動貸し出し・返却が可能なシステムを導入しておりました。
     そこで、1点目の質問ですが、中央図書館にはBDSを設置しているとのことでしたけれども、現在の図書館におけるBDSの設置状況について、改めてお伺いします。  また、所蔵している図書館資料の保護のためBDS設置は大変有効な手段であると思われますが、今後、地区図書館などその他の図書館施設においても設置する予定はあるのか、見解をお伺いします。 ◎江本 中央図書館長  無断持ち出し防止措置、BDSの設置状況、それから、今後の設置予定についてでございます。  中央図書館では、磁気式のBDSを平成3年3月に2階入り口に1台、平成14年3月に1階入り口に2台設置しております。ご存じのとおり、地区図書館などにはこれまで設置しておりません。  次に、地区図書館9カ所にBDSを1台ずつ設置するとした場合ですが、BDS本体のほか、周辺機器や装備費用を含め、かかる費用は合計で約7,500万円となります。さらに、区民センター地区センター図書室などの32カ所の図書施設にも同様にBDSを設置した場合、かかる費用は約1億5,500万円となります。このため、現在の財政状況から早急に設置することは困難でございます。  しかし、委員がご指摘のとおり、ICタグを導入すると多額の経費も要しますが、無断持ち出し防止ばかりではなく、自動で貸し出し、返却が行えるなど、市民のサービスアップにもつながることから、このような観点も含めまして、導入については慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  費用対効果を検討するとのことでしたが、市民のサービスアップも含めて、ぜひ緻密に検討していただきたいと思います。  次に、札幌市では、今後、都心部に都心にふさわしい新たな図書館を整備することとしており、ことし5月に公表されました(仮称)市民交流複合施設整備基本計画の中では、既存図書館のような総合ライブラリーではなく、蔵書の種類や機能について特徴を有した図書館として整備することとしているようであります。都心部の図書館として利便性などに期待がある一方、また、市民以外の利用も想定するとたくさんの出入りがあることが考えられ、蔵書管理の面で不安があります。また、昨今の書店の経営難の中、民業圧迫にならないのか、不安の声もあるところでございます。  そこで、質問ですけれども、この新たな図書館の基本的コンセプトはどのようなものか、どのような方々の利用を見込んでいるのか、さらに、提供する図書館資料にどのような特色を持たせる予定なのか、以上についてお伺いするとともに、より多数の方々に利用されることを想定すると、市民交流複合施設という施設内整備の図書館の蔵書管理は、出入りの動線がより複雑多様化することが考えられ、新たな図書館では開設当初からBDSを設置するなど、資料の亡失対策をしっかりと講じる必要があると考えますがいかがか、お伺いします。 ◎江本 中央図書館長  まず、新たな図書館のコンセプト想定利用者、資料の特色についてでございますが、コンセプトについては、札幌の魅力が後世や国内外の方々に伝わるよう、また、市民のさまざまな活動が豊かに広がるよう、札幌の魅力やまちの情報、そして、ビジネス課題解決に役立つ情報を提供する都心の知的空間を創出したいというふうに考えております。  利用者について、都心には官公庁や民間企業、商店などが集積していることから、ビジネス活動のため、また文化芸術、娯楽などの活動、さらには観光などで札幌を訪れた方々がまちに関する情報を収集するためなど、幅広く多くの方々の利用を見込んでいるところでございます。  提供する図書館資料の特色としては、法律、経済、政治分野、そして年鑑、白書、統計類を初め、医療、福祉、情報技術、教育、まちづくり活動に関する分野など、ビジネスや多様な課題解決に有用である専門的な資料を他の図書施設以上に充実することを考えております。そのほか、歴史、食、文化芸術などを初めとする札幌の魅力資源を積極的に発信するものについても充実してまいりたい、このように考えております。これらについては、今後も調査研究を継続しまして、都心に設置する図書館としてふさわしいものになるように検討を深めてまいりたいというふうに考えております。  次に、図書館資料亡失対策についてでございますが、委員がご指摘のとおり、都心にふさわしい図書館は複合施設内に開設することになりますので、出入り口が多く、利用者の動線が複雑になるほか、他館に比べて入手が困難な図書館資料や高価な専門書等の配架も多くなるものと考えております。したがいまして、図書館資料の亡失への対策としてBDSの設置は有効な手段の一つであると認識しており、館内レイアウトの工夫などとあわせて引き続き具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  新しい図書館では、さらに札幌の情報やビジネスなどの情報を含め、都心の知的空間として貴重で高価な資料が提供されるというふうに伺いました。  陳情にもございましたとおり、図書館の資料及び蔵書は市民の財産であります。今までも2万1,000冊、2,800万円の損失があるということですし、亡失対策は大変重要なものであると思います。また、利用者にとっても必要なものがないと利用できないということで、知的機会の喪失にもなります。今回の陳情ではBDSやペナルティー、公表規定などの案もいただいておりますが、たくさんの蔵書をいかに効率的に管理し、無断持ち出しや返却おくれをいかに未然防止できるのか、そういったことに対して、システムをもって心ない利用を防止する啓蒙が必要であるというご指摘であると私は考えます。このような点を踏まえ、既存図書館とともに、新しい図書施設を含めて全体的な亡失対策システムを検討していただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆三宅由美 委員  私は、返却遅延に対するペナルティーについて、まず、伺います。  札幌市の図書館は、全体でおよそ250万冊の蔵書を有し、年間の貸し出し冊数は750万冊を超えています。そこから市民が得る情報の量は莫大なものがありまして、図書館は、市民のさまざまな課題を解決するためには、なくてはならないものだと考えております。  一方で、残念ながら、図書の無断持ち出しや長期間の延滞も毎年発生しておりまして、市民の貴重な財産の損失を防ぎ、有効に活用するための方策は、陳情にもございましたように、ぜひ必要だと思います。その方策の一つとして、長期間延滞した利用者に対して、一定期間貸し出しを制限することで早期の返却を促すことが考えられます。しかし、公共図書館は、市民が平等に、かつまた、容易に図書館の資料に接し、そこで得た情報により生活上のさまざまな課題を解決するための施設であり、利用制限というものはその性格にそぐわないのではないかという一面も考えられます。  そこで、図書館における利用制限に関して見解をお伺いいたします。  まず、1点目は、ペナルティーに対する札幌市の考え方についてですが、現在、札幌市の図書館では、長期間延滞している利用者に対して、延滞している資料の返却があるまで貸し出しを停止し、返却と同時に停止を解除しています。延滞の抑止のために、一定期間、返却後も貸し出しを停止することが考えられますけれども、このことについての見解をお聞かせください。  次に、2点目は、延滞を防止する方策についてですが、市民の知る権利を保障し、市民の問題解決のために資料を提供することが使命である公共図書館としては、利用制限の強化以外の方策により長期の延滞を防止する必要があると考えているところです。また、大半の延滞は、返却期限を忘れるなど、いわゆるうっかりミスによるものと思われますが、こういったうっかりミスを未然に防ぐことも長期延滞を防止する上で効果的と思われます。  そこで、利用制限以外の延滞防止のための方策として、図書館としてはどのようなことを考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。 ◎江本 中央図書館長  まず、1点目の返却延滞に対するペナルティーの考え方でございます。  昨年、策定しました第2次札幌市図書館ビジョンでは、今後のあるべき図書館像といたしまして、市民の生活や創造的な活動を支える知の拠点となる図書館を基本理念として掲げております。この理念実現のためには、市民の知る権利を保障し、あらゆる種類の知識と情報を容易に入手できるようにすることが大切であるというふうに考えております。したがって、長期未返却利用者に対する貸し出し制限も、早期の返却を促すために返却のあるまでとし、返却された後については停止を解除するということが妥当な扱いだというふうに考えております。  次に、延滞を防止する方策についてでございますが、札幌市では、本来の返却期限を2ないし3週間超過した場合、当該利用者に対し、郵便による督促を実施し、さらに、30日を経過した時点で貸し出しを停止しております。その後、返却された時点で貸し出し停止を解除しておりますが、なお返却されない場合は、随時、郵便及び電話による催促を実施しております。延滞については、意図的に返さない場合もございますけれども、委員がおっしゃるとおり、うっかりミスによる延滞が大変多うございます。こうしたことから、来年度の図書館システム更新に合わせて、返却期限後5日を過ぎた利用者に電子メールで通知することとしておりまして、早期返却を促すことで延滞防止に効果があるものと期待しております。  また、延滞防止に当たっては、利用者の協力が不可欠でございますので、ホームページや館内のポップ、ポスターで返却期限を守るよう呼びかけることや、調べもの学習で来館する児童に図書館の利用マナーを指導するなど、さまざまな機会を捉えて延滞防止を訴えていきたいというふうに考えております。 ◆三宅由美 委員  返却期限の5日後にメールということは、これは一歩前進だと思っております。やっぱり、これからも啓発活動として利用マナーをしっかりと皆さんに伝えるような努力も必要だと思っております。  次に、亡失図書冊数、損害額の公表について伺います。  図書特別整理、いわゆる図書館の棚卸しでは、毎年3,000から4,000冊程度の図書が所在不明になっており、その理由として図書の無断持ち出しが大きな原因だと聞いております。図書館資料は税金により購入した市民の貴重な財産であり、これだけの数が行方不明になっているということは、市民のモラルという点からも非常に残念だと感じております。  そこで、このような行方不明図書の状況について、2点ほどお尋ねしたいと思います。  まず、1点目の質問は、図書館には高価な図書も多いと思われますが、やはり、そういった図書が被害に遭いやすいのか、あるいは、ジャンルなどに共通した傾向があるのか、お聞きしたいと思います。  次に、2点目ですが、BDSなどの装置による無断持ち出し防止には大変な経費を必要とするため、導入はなかなか困難であり、当面は啓発活動などソフト面を中心に対策をとるとのことですけれども、市民のモラルに訴えるという意味で、毎年、被害冊数や被害額を公表することも効果的であると考えます。これについて、図書館の見解をお聞きいたします。 ◎江本 中央図書館長  まず、1点目の亡失となる図書の種類についてでございます。  貴重書や、特に高価な図書は、所蔵場所を考慮するなど特に管理に注意しておりまして、これらがなくなる件数はわずかでございます。一方で、行方不明となる図書の大半は、小説一般のほか、料理、編み物といった実用書、児童書など幅広いジャンルにわたっております。  次に、2点目の被害の公表による亡失の抑止についてでございます。  これまで、亡失図書については、使用に耐えなくなった廃棄本とまとめて、除籍冊数として事業概要やホームページ上で公表しておりましたが、今後は、その内訳として亡失図書数などについても掲載を検討してまいりたいというふうに考えております。  また、蔵書の被害としては、無断持ち出しのほか、切り取りや書き込みなどがありまして、有効な対策がなかなか見つからない状況ではございますけれども、フロアワークを強化することや、市民のモラルに訴えるという観点から、ホームページを使って被害の実態を公表することにより市民の協力を求めるなど、効果的な対策を検討してまいりたいというふうに思っております。 ◆三宅由美 委員  廃棄分について詳細な分類をする、それを公表するということは大変重要だと思います。市民の間で、えっ、こんなにかということがあったら、それはだんだん抑止力にもつながってくるのではないかと思っております。  次の質問ですが、亡失処理規定の見直しについてお伺いしたいと思います。  行方不明となったり、長期間延滞されている図書館資料というのは、ほかの利用者がそれを利用することができないという意味では、図書館に所蔵していないのと同じであり、蔵書管理の上からも図書館の蔵書から除籍することが必要であると思われます。他方、これらの図書は市民の貴重な財産であり、除籍というものは慎重に行うべきとの考えもあります。  そこで、これらの行方不明、あるいは長期延滞の図書についてどのような事務処理をしているのか、また、それについて見直す考えがあるのか、お伺いしたいと思います。 ◎江本 中央図書館長  亡失処理規定の見直しに関してでございますが、まず、行方不明図書については、札幌市図書館資料整理要領によりまして、年1回行う図書特別整理で同一図書が引き続き3回にわたり所在不明となった場合、亡失として除籍しております。この図書特別整理では、1回目で発生した行方不明図書が、その後の2回、3回と経過する段階で半数近くまで減少しております。こうした状況から、行方不明図書については直ちに亡失とするよりも、要領で規定するとおり、3回にわたり所在不明となったものを亡失として除籍処理の対象とすることが妥当であるというふうに考えております。  また、長期延滞図書については、要領によりまして、利用者の住所等が不明な状態で2年を経過したものについて亡失として除籍することとしております。未返却の利用者が一時図書館利用をやめていても、データが残っている限り、未返却図書があることを確認できます。したがって、未返却の利用者が利用を再開した折、カウンターで職員が折衝しまして、返却や弁償につながった事例もございます。一方で、除籍してデータを消去してしまいますと、未返却図書があっても通常どおり借り受けることが可能となってしまいます。このため、現時点においては、現在の要領どおり、郵便や電話等による督促、催告といった事務を繰り返すことを経て、2年を経過した後に亡失処理をすることが適当ではないかというふうに考えております。 ◆三宅由美 委員  いずれにしましても、BDSが2億円以上かかるということで、財政上、なかなか無理だというお話が当初ありましたが、やはり、まずこのような実態をしっかりと市民に知らせ、モラルの向上を図ることに努めていただきたいと思います。 ◆小倉菜穂子 委員  本日は、改めて、図書館の本を大切にすること、その重要性を陳情者の方にご指摘いただいたというふうに思っています。  誰もが図書館の本を自由に読むことができる、そのためには、それを無断で持ち出す行為はもちろんあってはなりませんけれども、残念ながら、ご指摘のような現状があるということです。先ほど来の質疑でも、BDSの設置の検討、また、今ほどは亡失図書の情報公開ということで、そうしたことを検討し、そして情報公開していくことは私も本当に大事だと思っております。特に、本を読むという行為に関しては、表現の自由であるとか、知る権利といったことがその根本にあるのだろうと強く考えますと、やはり、陳情にありますように、規制であるとか、取り締まり、罰則などによってその改善を図るというのは最適な方法とは言えないのではないかと、私も考えているところです。  そこで、市民が気持ちよく読書を楽しむために、即効性というのはないのかもしれませんけれども、やはり、図書館の利用に関するマナーといいますか、先ほどモラルという話もありましたが、そうしたものを子どものうちから自然に身につける取り組みを地道に続けることも一方で大変必要かなというふうに思っています。そのために、親子で利用しやすい図書館といった視点から、子どもにも積極的に図書館を利用してもらえるような取り組みが重要でありまして、今、図書館が子どもの読書活動推進事業で実施している図書館デビューのような機会をもっと有効に活用して、図書館として、本の利用の仕方を幼いうちから身につけていただくための努力や工夫が今後の図書館の活動としては大事かな、重要かなというふうに思っています。  そこで、1点だけ伺いますが、図書館の日常活動の中で、子どもたちに対して利用のマナーを呼びかけるような働きかけをどのように行っていらっしゃるのか、そしてまた、今回こうした陳情を受けて、改めて本を大切に扱うことについて考えるところもあるというふうに思うのですけども、今後はどのように取り組んでいこうとしているのか、その点について伺います。 ◎江本 中央図書館長  中央図書館で毎月行っております図書館デビューは、主に就学前の子ども向けのイベントでございまして、図書館の利用方法、マナーについて、寸劇やトークを交えながら子どもたちに優しく、わかりやすく呼びかけているものでございます。また、児童生徒については、図書館を利用した総合的な学習や、図書館モデル公開授業において図書館職員から利用に当たっての注意事項やマナーなどについて説明しております。さらに、子どもが図書館の利用登録をする際には、マナーを記載した子ども用の利用案内を配付したり、ホームページのキッズページでも利用マナーの啓発を行っているところでございます。  また、委員がご指摘のとおり、子どもたち図書館利用のマナーを身につけることは非常に大切なことだというふうに考えておりまして、そのためには、図書館における行事などを通じて、保護者や幼稚園、保育所の指導者等を対象に、図書館利用のマナーの啓発を含め、子どもの読書活動にかかわる際の支援となるよう、今後ともさまざまな機会を捉えて子どもたち図書館利用におけるマナーの向上に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  マナーの啓発をしっかりということで、本当に当たり前ですが、地道にやっていくべき取り組みだというふうに思っています。これから、白石の複合施設でしたか、絵本図書館も構想にあったというふうに思います。そうしたところへも、子どもたちがお母さんと一緒にいらっしゃるのでしょうから、ぜひこのような機会もこれから生かしていっていただけたらというふうに思います。  また、子どものマナーですが、あれはだめとか、これはだめと指導するのではなくて、やはり、こうやったらいいとか、ああやったらもっといいよというようなかかわり、声かけが大事かなと思いますので、その点はぜひ丁寧に伝えていくことを求めておきたいと思います。  そして、利用のマナーについては、もちろん小さいころからですけれども、私たち大人も、しっかり理解を深めるように、いま一度、そうした啓発活動に取り組んでいただきたいと思います。また、子どもと一緒に来ているお母さんたちお父さんたち、保育園の先生方も、自分でしっかりと声かけできるように、そうした取り組みがこれからますます必要かと思いますので、ぜひそこのところは力を入れて取り組んでいただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。 ○井上ひさ子 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは、陳情第52号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  陳情第52号を継続審査とすることにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  異議なしと認め、陳情第52号は継続審査と決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時35分       再 開 午後1時37分     ―――――――――――――― ○井上ひさ子 委員長  委員会を再開いたします。  次に、議案第9号 平成25年度札幌市一般会計補正予算(第3号)中関係分を議題といたします。  質疑を行います。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。  討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第9号中関係分を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  異議なしと認め、議案第9号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時38分       再 開 午後1時39分     ―――――――――――――― ○井上ひさ子 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、児童虐待による死亡事例に係る検証報告についてを議題とし、資料に基づき、理事者より説明を受けます。 ◎大谷内 子ども未来局長  本年1月に豊平区で起きました、母親の手により児童が死傷する事件にかかわりまして、児童相談所を初めとした関係機関の対応につきまして、札幌市社会福祉審議会児童福祉専門分科会に検証をお願いしていたところでございますが、本日、その検証報告が札幌市長宛てに提出されました。  本日は、その内容につきまして、委員の皆様にご報告させていただきます。  子ども未来局といたしましては、このたびの事件を重大な事案として深刻に捉えているところでございます。二度とこのような事態が起きないように、この検証報告を踏まえまして、対策を講じ、より一層、児童虐待を防止する取り組みを推進してまいりたいと考えているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ◎難波 児童福祉総合センター所長  それでは、児童虐待による死亡事例に係る検証報告につきまして、私から説明させていただきます。  お手元に配付させていただきました資料は、2種類ございます。本日、市長に提出されました検証報告書が資料の2でございます。その概要をまとめたものが資料1でございますので、その資料に沿ってご説明させていただきます。  まず、1ページ目の上の部分でございますが、検証組織の位置づけについてご説明いたします。  児童虐待防止法では、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、国、地方公共団体に分析を行う責務があると規定されております。厚労省から別途出されている通知では、検証組織は社会福祉審議会のもとに設置する部会とされていることから、札幌市においては社会福祉審議会の専門分科会である児童福祉専門分科会を検証組織としております。今回の検証につきましては、具体的な検証を、分科会のもとに設置した検証ワーキンググループにおいて行い、最後に児童福祉専門分科会で承認を得るという形といたしました。  なお、検証経過につきましては、報告書の19ページに掲載されておりますので、ご参照ください。  次に、今回、検証をしていただきました事案の概要でございます。  平成25年1月に、母親が自宅で次女、三女及びみずからをも刃物で刺し、次女が死亡したものでございます。その後、4月には母親は起訴されております。  なお、本件につきましては、公判はまだ開始されておりませんので、本検証につきましては、関係機関が把握している事実に基づいて行われております。  事件当時の家族構成は、図で示したとおりでございます。父母は離婚しており、その後、長男と長女が転出したため、事件当時は母親、次女、三女の3人世帯となっておりました。
     次に、この事案の経過をご説明いたします。  主な経過のみをお伝えいたしますが、より詳細な経過につきましては、報告書の3ページに記載されております。  まず、平成22年7月に、母親が父親のDVから逃れる形で4人の子どもと長女の子を連れて札幌市に転入いたしました。当時から母親は長男の問題行動に苦慮をしており、転入前から児童相談所の支援を受けておりました。転入時に札幌市児童相談所にケース移管され、児童相談所と区役所がこの家庭への支援を開始しております。その後、長男は23年4月には転出しておりますが、24年7月に母親が包丁を持ち出して、みずから110番通報するという出来事が起きております。このとき、警察がかかわり、病院も受診しましたが、入院には至りませんでした。この件については、警察から区役所の精神保健を担当する課に8月になってから通報が入っており、区役所内の関係課、学校と情報を共有し、児童相談所へ情報が提供されております。  このご家庭は、長女にも育児不安があり、母子保健の担当職員が支援していたのですが、長女と母親の関係は、深刻なトラブルのため、急速に悪化いたしまして、12月に長女は世帯を転出してございます。家事、育児を担っていたのが長女であったことから、区では長女に対して何か起きた際の区への連絡、学校への情報提供や転出後の家庭の状況確認等の対応を行い、リスクが高い家庭として児童相談所に対して関与を依頼しております。  そのような中、1月には、次女が知人宅に家出し、警察から児童相談所に連絡がありました。児童相談所では、一時保護を視野に入れて次女や母親と面談をした結果、身体的虐待が疑われない、次女に母親への拒否感等がないことから、一時保護をせず、在宅で指導すると判断いたしました。  事件の10日前には、長女が区に対し、母親が食事をつくっていないなどの連絡をしております。区では、これを虐待通告として捉え、直ちに児童相談所に連絡をした上で、翌日には児童会館で安否確認を行いました。児童相談所は家庭訪問を行いましたが、不在であり、その2日後に事件が発生しております。  次に、2ページ目をごらんください。  このような経過を関係機関における記録やヒアリングにより分析した結果、3にございますが、本世帯が抱えていた児童虐待の危険性、要するに、養育の困難さにつきましてアからカまで六つの項目が提示されております。まず、アとして母親の家事、育児能力が十分ではなかったこと、イとして、母親が精神科を受診中であり、また、家族との確執などを背景とした自傷行為が繰り返し見られていたこと、ウとして、札幌市に転入する前から家族関係が不安定であり、家庭不和のエピソードがたびたび見られたこと、特に、事件の数カ月前から母親と長女の間で深刻なトラブルが生じ、母子関係が急速に悪化したこと、エとして、母親と長女の確執の結果、家事、育児を担っていた長女が転出し、母親のみで十分に家事、育児ができていたか疑わしいこと、オとして、長女の転出後、本世帯を支援する親類縁者等がいなかったこと、カとして、長女にも自分の子どもに係る育児不安があり、区役所の支援を受けていたことです。  次に、検証結果の4といたしまして、この事案の問題点と課題につきましてご説明いたします。  詳細は、報告書の6ページ以降になります。  この世帯でございますが、児童虐待の危険性を多く抱え、家族構成員の変化による複合的な問題が生じてきた家庭と見ることができます。また、事件発生までの比較的長期間、関係機関により見守り、支援されていたことも特徴に挙げられます。  分科会では、これら課題を四つに整理いたしました。  まず、課題の1といたしまして、養育者の状態把握が適切に行われていたかどうかという点でございます。  ソーシャルワーカーを通しての病状把握にとどまっていましたが、主治医としても、生活の状況が十分に把握できないと養育上の問題点を考慮した上での見通しは難しいため、実際に家庭にかかわっている担当者が主治医と直接に意見交換をする必要があったのではないか、そうすれば、急激に状況が悪化する可能性を認識できたのではないかとご指摘をいただいております。  課題の2といたしまして、転機となる時点で適切に虐待のリスクを判断できたのかという点でございます。  支援の経過を見ますと、二つの転機があります。一つは、事件の概要になりますが、平成24年12月、家事、育児を担っていた長女の転出時でございます。このとき、区では危険性が高くなると予測していましたが、ここでの危険性は十分に養育ができなくなるのではないかというネグレクトに関することでした。次の転機は、平成25年1月、次女が知人宅に家出をして児童相談所がかかわったときです。身体的虐待が疑われないことなどから、児童相談所も緊急性は低いとして在宅指導としています。  ここでの問題点は、いずれもネグレクトの危険性はあるが、身体的虐待の可能性は低いと考え、緊急性のあるケースと捉えていなかったことが挙げられます。このことについて、検証報告では、複数の自傷行為というエピソードに対して、突発的な行動の可能性を想定できたのではないか、また、身体的危害ではなく、心理的な影響を想定する視点が必要だったのではないかと指摘されております。また、区では危険性が高いとの認識がありましたので、児童相談所と区がこの認識を十分に共有する必要があったと指摘されてございます。  課題の3といたしまして、関係者間の情報共有とケース検討会議が適切に行われたかということです。  ケース検討会議は行われておらず、先ほどご説明したとおり、緊急性の高いケースではないとの認識があったことが要因の一つですが、会議開催により、ともに情報共有、問題の分析を行うことで適切な判断が可能だったのではないかとご指摘を受けております。また、ここでは、組織間の連携のみならず、組織内部でも共通認識を持ち、方針が確認される必要があるとされております。  課題の4といたしまして、関係機関の連携とマネジメントは適切であったのかという問題でございます。  ケース検討会議が行われなかったことの背景には、この家庭に対してどの機関が主としてかかわる機関なのかということが明確ではなかったことがあります。かかわっている機関の中で、どこがこの家庭への支援全体をマネジメントするのか、つまり、関係機関を指揮し、方向づけし、進捗管理するのかという、いわゆるマネジメントの主体を関係機関が共有している必要があると指摘されております。  以上、これらの課題を踏まえて五つのご提言をいただいております。  3ページをお開きください。  提言1から4は、課題1から4に対応しており、提言5は、提言1から4を実施する前提となる体制整備に係るものとなっております。  提言1は、養育者の状態把握に係る重要性の認識についてです。  精神疾患のある方の病状や見通しを適切に把握するために、職員への研修の充実だけではなく、医師側についても、医療情報の提供が守秘義務に抵触しないことなどを説明し、理解を得るなど、医師の協力を得られやすい体制をつくるようにとのご提言でございます。  提言2は、転機となる時点で適切に判断、評価できる方法についてです。  身体的虐待、ネグレクトなどということではなく、子どもに対してどのようなリスクがあるのかということを総合的に評価すること、その際には、直接的な虐待行為がなくても、心理的虐待を念頭に置いて評価することを提言されています。  なお、それでも問題点の分析、評価、つまりアセスメントは難しいとの認識から、関係する各機関が共通の情報を持った上で、ともにアセスメントを行うようにとの提言でございます。  提言3は、関係機関の情報共有、ケース検討会議のあり方についてでございます。  どの段階で、どのような情報を共有すべきか、または、会議をすべきかということについて、具体的なルールづくりを求められております。特に、今回の事案のように危険性が高い、ハイリスクという段階での取り扱いについても、これは含まれます。あわせて、組織内部での情報共有、意思決定のあり方についても検討するよう提言されております。  提言4ですが、連携にあたってのマネジメントの主体の明確化でございます。  どの機関が主となる支援機関となり、支援全体を指揮監督、進捗管理するのかについてルールづくりを進めるよう求められております。ただし、この主体は状況によって変わり得るものであり、柔軟に考えるべきとされております。  提言5ですが、児童相談体制の強化についてでございます。  まず、区家庭児童相談室について、現在の係長職1、非常勤職員1という体制は不十分であるとの観点から、職員の増、専門的教育を受けた人材の配置といった職員体制の強化が求められております。またあわせて、専門機関として権限のある児童相談所との役割分担、助言や支援を受けられる体制の確保が求められております。一方、児童相談所に対しては、専門職配置による質の確保や個々の職員を指導、教育できる体制づくりが求められております。さらに、児童虐待対策は、行政だけでなし得るものではないとのことで、地域の機関との協力体制が提言されております。  検証報告書の内容に関しましては、以上でございます。  札幌市といたしましては、今回のご提言を重く受けとめ、二度とこのような事件が起きないように早急に改善策を策定するように取り組んでいきたいと考えてございます。 ○井上ひさ子 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆三宅由美 委員  まず、この事例の検証のため、このようにわかりやすく、しっかりと書かれて、熱心な議論を尽くされた委員の方々に敬意を表したいと思います。  検証報告では、この事例の対応に関して四つの課題を指摘しております。これらの課題は、このケースだけにとどまらず、支援を必要とする家庭に対する処遇方針を決定するために必要なことと考えます。このため、これらの課題解決のために出された提言にきちんと対応することが、二度とこのような事件を起こさないためにも必要だと考えております。  提言の内容を見ますと、処遇の方針決定にかかわる部分と、処遇を決定するための相談体制の充実について書かれております。私は、このうち、私自身が最も大切と考えております相談体制の充実、特に区役所の相談体制の強化について、この1点だけお伺いいたします。  札幌市では、これまでも、児童相談体制の強化に取り組み、特に各区役所においては平成23年4月に児童相談担当として家庭児童相談室の設置を行っており、これが身近な子どもの相談窓口として機能しつつあることについては一定の評価をするものです。特に、このケースに関しましては、精神保健担当、生活支援担当、さらに児相、それから母子保健、もちろん家庭児童相談室もかかわっておりましたが、本当にハイリスクなので、それぞれが自分の分野にかかわることを一生懸命にしっかりと支援したと私は思います。これだけたくさんの部局が支援してきたからこそ、なかなか一つにまとまれなかったのかなと、このことが一番大きな問題としてあると思っております。  家庭児童相談室は、区役所における児童にかかわる相談のかなめとなる部署であることから、区役所内部や区役所以外の関係機関との連携の中心となるばかりではなく、ここが地域と児童相談所との連携の中心となる部署であると私は考えております。しかし、今、これだけ重要な役割があるにもかかわらず、報告書にもあるとおり、家庭児童相談室の現行の職員体制は十分なものとは言えないと考えております。  ついては、家庭児童相談室の体制強化にどのように取り組んでいくのか、このことについてお伺いいたします。 ◎難波 児童福祉総合センター所長  区家庭児童相談室の体制強化にどう取り組んでいくのかというご質問でございますが、区の家庭児童相談室は、区役所における関係部局や地域の関係機関と連携をしながら支援を進める相談窓口として、児童虐待対策においては非常に重要な部署である、このように認識しております。しかし、このたびの検証報告でご指摘いただきましたが、区家庭児童相談室の体制は、関係機関との情報共有や、適切な連携を図りながら支援を進めるためにはまだ不十分であり、今後、その機能を十分に発揮するために、より一層、体制の強化に取り組む必要があると考えてございます。職員体制については、今後、報告書の指摘を踏まえ、関係部局とも協議をしていくとともに、さらなる専門性向上の観点から研修体制の充実にも一層取り組んでまいりたいと考えてございます。  加えて、専門機関である児童相談所におきましても、区家庭児童相談室を十分に支援できるような体制づくりに努めなければならないと考えております。 ◆三宅由美 委員  今回のケースは、非常にさまざまな課題があり、これから児童虐待の対応に関して前進するための提言がしっかりと書かれております。私は、緊急性をどう判断するかということは、やはり、それぞれがばらばらではなく、ケース検討会議を開いたり、そこから、こんな危険なことがある、精神保健から見たら突発的な自傷行為が他への暴力に発展することもあるなど、さまざまなところからの発言が必要だと思っております。  家庭児童相談室は、区役所内部だけの連携ではなく、要保護児童対策地域協議会を通じた地域との連携も必要だと思っておりますので、体制の充実については人材まで含めて検討し、ぜひ職員増を実現していただきたいと考えております。よろしくお願いします。 ◆小倉菜穂子 委員  ご報告がありました事案は、本当にあってはならない痛ましい出来事であります。全ての大人がこの事案を重く受けとめて、二度とこうしたことのないように、虐待の防止に向けてより一層力を尽くしていかなければならない、きょうは改めてそんな思いで参りました。  札幌市は、2011年3月に札幌市児童相談体制強化プランを作成しています。このところ、子どもを取り巻く環境の急激な変化ということがずっと言われていまして、区役所及び児童相談所における相談支援体制の強化に取り組むとして、この間、子ども安心ホットラインや、先ほどありました家庭児童相談室も立ち上げてきました。プランの中には関係機関の連携強化も強く掲げていると思いますが、今回の事案によりまして、そうした取り組みがいまだ着実に進んでいないのだということが露呈したというふうに感じています。  この検証報告を読ませていただいて、そしてまた、今、理事者からの説明を伺いましたが、やはり、このご家庭の過去のいろいろな経過を見ると、いわゆるリスクが高い、ハイリスクと言うのでしょうか、そうしたご家庭だったというふうに思います。母親が精神疾患を患っていたということでありますが、子育てや家庭生活を送る上での困難性への状況把握が適切であったのか、また、子どもたちも、元気で明るく、身体的虐待もなかったというお話を伺いましたが、母親の自傷行為を見聞きしていたでしょうし、それ以外のさまざまな出来事も含めて、幼い子どもたちの心の負担を考えると、私は心理的虐待の可能性を早い段階から疑うべきであったと思っています。提言のとおり、家族一人一人の的確な状況把握が重要でありまして、それをもとに関係機関が集まってケース会議が開かれたならば、亡くなった次女を初め、三女、母親との親子分離であるとか、また在宅支援とか、そうした判断も含めて、より密度の高い支援ができたのではないかなというふうに思っています。  そこで、児童相談所に関して、基本的な事柄になりますが、確認させていただきたいと思います。  先ほどの強化プランの策定時に、児童福祉司は1人が約190件の相談を担っていたということですけれども、その点について、この間の改善はどんなふうに進んでいるのか、伺います。  また、児童相談所が今担っている虐待事案は約500件で、その半数ほどは保護者の精神疾患がリスク要因の一つになっているというふうに伺っています。保護者にそうした精神疾患がある場合、あるいは疑われる場合について、さまざまなリスク評価をする上で少なくとも児童相談所ではどのような取り組みをして支援につないでいるのか、伺います。  さらに、私は先ほども申しましたが、虐待の有無について考える際に、子どもへの心理的虐待ということにもっと目を向けるべきだというふうに思いますけれども、札幌市における心理的虐待の現状及びその支援について伺いたいと思います。  また、今申し上げたそれぞれについて、今後どのように取り組みを充実させようとしているのか、あわせて伺いたいと思います。 ◎藤田 児童相談所担当部長  ただいま、大きく3点ご質問をいただいたかと思いますので、順にお答えいたします。  まず、第1点目は、プラン作成時からどのように改善されてきたのかというご質問でございます。  札幌市児童相談体制強化プラン策定時の平成22年度と昨年24年度の実績を比較いたしますと、児童福祉司は32名から35名へと3名増加し、相談受理件数は5,437件から5,041件と約400件減少しております。単純計算ではございますが、1人当たりの件数は177件から144件に減少しているところでございます。  しかしながら、虐待にかかわる相談や、家庭内のもめごと等による家庭不和の相談、それから、保護者の精神疾患、精神不安定による相談など、比較的困難な養護相談は1,870件から2,191件と約300件ふえておりますことから、1件の相談に係る児童福祉司の時間と労力は増しているものと認識しているところでございます。  次に、2点目は、リスク評価の取り組みと支援についてでございます。  児童の相談に対処するためには、保護者の状況もしっかりと把握することが大変重要なことと認識しているところでございます。そのため、保護者に精神疾患がある場合のリスクの評価を適切に行うためには、職員に対する研修機会の充実が重要であるというふうに考えておりまして、横浜市にございます子どもの虹情報研修センターで実施しておりますさまざまな専門研修に参加させるなど、研修機会の充実と専門性の確保に努めているところでございます。また、職場内研修の一環といたしまして、精神疾患に関する医学的知見の習得と、技術向上に努めているところでございまして、今後とも、精神医学的な知見の研修機会を持つことで研修の充実を図り、リスク評価の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、具体的な支援についてでございますが、児童相談所に非常勤精神科医師がおりますので、必要に応じてそちらに依頼して、児童の診断だけではなく、保護者の精神症状につきましても助言をいただいております。また、保護者の了解が得られた場合には、医師による保護者へのカウンセリングや、保護者に対する子育て支援プログラムへの参加を促しているところでございます。  次に、3点目の心理的虐待についてでございます。  札幌市の平成24年度の児童虐待認定件数は435件ございましたが、そのうち、心理的虐待と認定いたしましたのは57件、13.1%でございまして、その多くは父母の家庭内暴力が児童の目前で行われて、それを目撃した事例であると考えております。この心理的虐待を受けた児童に対しましては、カウンセリングを中心としたかかわりを持ちながら対応しているのが現状でございます。  今後の心理的虐待への取り組みの充実についてでございますが、心理的虐待の認定のあり方の検討、それから、児童に対する支援の強化とあわせまして、先ほどの精神科医師による保護者へのカウンセリングや、保護者に対する子育て支援プログラムへの参加について、その実施体制の充実を検討していきたいというふうに考えているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  今回の事案の結果を見ますと、当然、行政の支援、そして、地域や学校での見守りは本当に大変重要なことでありますし、今後もしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。そのためにも、今お話がありました一人一人の状況の的確な把握はもちろん欠かせないと思っていますが、残念ながら、個々のケースが複雑化しているのは事実だと感じております。  今のお話では、各職員はいまだに1人当たり144件の相談を抱えていて、そして、研修についても、今もされているということですが、今後もさまざまな研修にしっかり取り組んでいくということでした。そうした研修の充実はもとより、やはり、専門性を持った職員を増員していくべきだろうと強く思っております。職員の負担の大きさが、リスク評価であったり、また、今回の一番大きな問題かと思いますが、ケース検討会議ができていなかったということにもつながっているのではないか、そんなふうにも考えるところです。  そこで、質問ですが、今回の事案が深刻な事態に至ったことについて、報告書の中でも提言ということで幾つかのポイントを伺いました。特に、ケース検討会議が開かれなかったことについては、やはり読んだ人の誰もが大変疑問を持つところであります。提言にありましたけれども、児童相談所の立場から、ケース検討会議がなぜ開催されなかったのか、そして、そもそも会議開催の主体はどこが担うものであると考えているのか、そして、今後はどう取り組むつもりなのか、伺いたいと思います。  あわせて、児童相談所の体制強化は、本当に今後も不可欠ですが、この点についてどのようにしていこうと考えているのか、これについても伺います。 ◎難波 児童福祉総合センター所長  まず、私から、なぜケース検討会議が開催されなかったのか、会議の開催主体はどこが担うのか、今後どのように取り組むのかという点につきましてお答えいたします。  この家庭に起こり得る問題として、身体的虐待よりもネグレクトの可能性を考えており、そのため、緊急性は低いと認識していたことがあります。また、区が有していた危機感を児童相談所が共有できていなかったこと、さらには、どのような状況で誰が会議を開くべきかという認識にばらつきがあったこと、こういったことがケース検討会議が開かれなかった理由でございます。複合的な問題を抱え、複数の機関がかかわっているケースにつきましては、その家庭の問題がどこにあるのか、何を支援の目標にするのかについて、全ての関係者が一致した認識を持ち、解決に向けた方策、あるいは、役割分担について十分に協議される必要があります。したがって、支援を進めていくに当たっては、ケース検討会議の開催は非常に重要なプロセスでございまして、必要な時期に適切に行わなければならないと考えております。  ついては、今回の事案を真摯に受けとめ、関係機関が一体となって支援に当たれるように、速やかに関係課によるプロジェクトを設置いたしまして、マネジメントの主体も含め、必要なルールづくりを進めていきたいと考えてございます。 ◎藤田 児童相談所担当部長  児童相談所の体制強化についてでございます。  近年、複雑、困難な相談が増加しておりますことから、児童福祉司の適正配置や、個々の児童福祉司を十分に指導できる職員体制の整備につきまして、関係部局と協議をしていきたいと考えているところでございます。あわせて、職員の専門性の向上により一層努めるとともに、区の家庭児童相談室をしっかりと支援することができる体制づくりを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  提言にもありましたが、その仕組み、そしてルールをこれからつくっていくということですね。期待したいと思うのですが、それは、本当に最低限の絶対に必要なことだと思いますから、確実に実施してください。  そして、この間、もう既に検討されていると思いますが、皆さんが抱えている事案の中で、検討会議が開かれて、必要なのにそれが隠れていて見えなかったということがないように、改めて、ぜひ確認していただきたいというふうに思います。そして、新しい仕組みが生きたものとなるように、会議をつくるとか、ルールをつくるというのはきっとできると思いますが、やはり、絶対に子どもを守る、二度とこうしたことを起こさないと、そうした使命感と気概を持って取り組んでいただきたいというふうに強く思っております。  そこで、この事案について、当然、児童相談所としても検証されてきたと思いますけれども、どこが主導して、どの時点で会議を開催して、どのような支援をすることが適当だったと今お考えか、その点について、最後に伺いたいと思います。 ◎藤田 児童相談所担当部長  今回の事案について、現時点で児童相談所としてどのように考えているのかという視点でお答えいたします。  会議の開催主体につきましては今後のプロジェクトの中での検討を待ちたいと考えておりますが、現時点では、平成24年12月に長女が世帯から転出した、そのことによって家庭内の力動が変わった、すなわち家族内の人間関係が変化した、この時点で母親への支援体制のあり方や、次女及び三女の一時保護の実施等について関係機関と問題認識を共有すべきであったというふうに考えております。  つきましては、今回の事案を真摯に受けとめまして、関係機関が一体となって支援に当たることができるよう、必要なルールづくりを進めていきたいというふうに考えているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  開催の主体ということで、どこが責任を持ってそれを開催するかが本当に大事だと思うのですが、今後、プロジェクトの中で検討されるということでした。会議を持つだけでなく、最終的に何かあったときに責任がどこかとか、それが本当にきちんと明確になるように、しっかりやっていただきたいなというふうに思っています。ルールづくりに取り組むに当たりましては、全ての機関、関係者が今回の事案をしっかりと――私は、それぞれが検証して、それぞれの検証を持ち寄って会議の場に臨むのがいいと思っています。いきなり集まってどうしようではなくて、そういったこともあって、今、最後にお伺いいたしました。そうしたことを持ち寄って議論することが肝要だというふうに思いますので、ぜひ取り組みを急いでください。  さまざまな生活の困難を抱えるご家庭がある中、そのリスクが小さいうちに、そして多重化しないうちに、行政や地域の方々が適切な時期と手法で支えていかなければならないと思います。特に、子どもがいる家庭については、より深い洞察力を持って取り組むことを強く求めます。  また、今回、この家庭は、誰にも知られずに困難が深刻化したのではなくて、支援があったにもかかわらず、それぞれがばらばらに行われていたことで深刻な事態となりました。職員の中に一人の方を支援する際に、その家庭全体を見渡すような視点が欠けていたのではないかというふうに思います。一方、このご家庭は、要件というのがありますけれども、母子生活支援施設には入っておられないと伺っています。私は、そこで得られるような総合的な支援を地域で実現することができなければ、リスクが多重化しているご家庭の在宅支援というのは困難だ、本当に難しいなということを改めて感じております。  報告書の提言の最後に、チームアプローチの検討も必要というくだりがございますが、そのためには、ケースごとに全体を見渡し、そしてコーディネートできる、そうした職員の育成が不可欠だと思っています。ぜひ、二度とこうしたことを繰り返さないよう、ご意見、ご提言も視野に入れ、理不尽で苦しい思いをしている子どもたちを一刻も早く救済できる仕組みをつくり、そして、そうした救済の中からお父さんとお母さんとお子さんがきちんとした温かい家庭を持てるように、支援に力を尽くしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 ◆木村彰男 議員  私は、今回、8名の分科会委員により、さらに4名の臨時の委員も加わりまして、ことしの2月から9月まで、7回のワーキンググループで検証されて、このような答申といいますか、提言をいただいたことについて感謝を申し上げる次第でございます。  私は、2月20日の代表質問で、上田市長に対して、今回の再発防止はどうしたらできるようになるのかということをお伺いしております。また、その後の予算特別委員会におきましても、上田市長にお越しいただいたり、局長、部長に対しても同様のご質問をさせていただいております。  そこでまず、局長にお伺いいたしますが、今回、五つ提言がありますが、この提言は五つとも実現できるとお考えになっておりますでしょうか。できるとすれば、それはどのような優先順位でいつまでにおやりになるおつもりでしょうか。また、できないものがあるとすれば、それはどれで、なぜできないのか、お聞かせください。 ◎大谷内 子ども未来局長  五つの提言について、できる、できない、そういうことを伺いたいということかと思います。  提言5は別のお話になりますが、課題の4点と提言の4点はリンクしておりまして、課題についてそれぞれ提言をいただいております。先ほどご質問に答える中でもお話しさせていただきましたとおり、この提言の中で、行政がかかわっていて、そのかかわり方について転機があったのではないかと、そのような意見をいただいておりまして、その転機について、行政の判断を行うべき時期、主体ということにしっかり取り組むようにと受けとめているところであります。そして、その実施主体がどこであるか。それから、その転機を受けとめて行政がしっかりした判断を行うべきであるということについて、課題の3、提言の3で述べられているケース検討会議のあり方が非常に重要だというふうにご意見をいただいたところでございます。  ほかにまとめて4点ありますけれども、こういったことは非常に重要なご意見だと受けとめておりますので、これについて、必要な時期にケース検討会議をしっかり行うことができるように我々が行政内部で早急に話し合いを詰めていきたいと思っております。これは、いつまでと申し上げることができませんけれども、年度内で早急にということは、私どもは覚悟を持って取り組んでいきたいと思っているところでございます。できない点については、今ここで考えているところはございません。 ◆木村彰男 議員  私は、このご報告をいただいて、何回か、担当者とこの問題について話し合いをしました。その中で私が感じたことは、例えば、お医者さんとの関係です。特に精神科医であるとか、そのお医者さんとの協力関係、こういった関係については、やはり予算的な措置を講じなければ、すぐさま実現するのは難しいのではないかとも考えたのであります。したがって、私は、上田市長に対してもお聞きしましたけれども、お金は無尽蔵にあるわけではありません。お金は限られた形でしかないわけです。その中で、どのような形でお金を使っていくと、このようなことが再発しないのか、もう一度、ご確認の意味でお聞かせください。 ◎大谷内 子ども未来局長  これについては、先ほどのご質問で具体的にお答えしなかった点でございますけれども、提言の5で職員体制のあり方についていただいておりますので、先ほどのお答えでもお示ししたとおり、関係機関と協議して職員の専門性を向上させる、そういったことに早急に取り組んでいきたいと考えているところでございます。 ◆木村彰男 議員  再発防止に向けていろいろな手段が行われるでしょう。また、来年度の予算においてもそのようなことが講じられるでしょう。その全てを再発防止に向けてご尽力いただきたいと思います。  最後に、市民に向かって、このようなことは二度と再発させないというお約束をお伝えください。 ◎大谷内 子ども未来局長  冒頭に決意を述べさせていただきましたとおり、このような事態については二度と発生しないように、私どもは、関係機関としっかり連携をする、そういう決意で取り組んでいきたいと思っているところでございます。 ○井上ひさ子 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○井上ひさ子 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。
        ――――――――――――――       閉 会 午後2時28分...