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平成25年(常任)総務委員会−05月20日-記録

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  1. 札幌市議会 2013-05-20
    平成25年(常任)総務委員会−05月20日-記録


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    平成25年(常任)総務委員会−05月20日-記録平成25年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成25年5月20日(月曜日)       ────────────────────────       開 会 午後0時59分 ○こじまゆみ 委員長  ただいまから、総務委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、本日審査を行います陳情第50号の提出者から資料の提出がございましたので、お手元に配付しております。  それでは、議事に入ります。  最初に、陳情第50号 「札幌遠友夜学校」跡地の一隅を、記念館(仮称)建設ほかの場として使用を求める陳情を議題といたします。  陳情第50号は本日が初審査ですので、提出者から趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時       再 開 午後1時29分     ―――――――――――――― ○こじまゆみ 委員長  委員会を再開いたします。  それでは、質疑を行います。 ◆小須田悟士 委員  3点お伺いしますが、よろしくお願いいたします。  今ほどの秋山会長のお話を聞いて、札幌市にも大変な跡地があったのだなと。私もつい最近までわからなかったのですが、この遠友夜学校の実践の地は、札幌市民として私も誇りに思うところでもあります。この陳情書の理由の欄の4番目に記載のあるとおり、遠友夜学校の運営主体である財団法人は、学校が閉校した後も運営を継続しておりましたが、昭和42年に、財団法人の理事会が、この土地は遠友夜学校の跡であることを表示し、その目的に沿った利用をしていくことや、敷地内にできるだけ空き地を設けて子どもの遊び場にすることなど、先ほど秋山会長もおっしゃっていましたけれども、これらを条件として札幌市に土地を無償譲渡して解散しております。  そこで、1点目の質問でありますが、このたびの陳情を受けるまで、かつて寄附を受けた趣旨なども踏まえ、札幌市としては、レッツ中央跡地をどのように活用する方針であったか、まず、お伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  札幌市としての跡地活用の方針についてでございますけれども、レッツ中央跡地につきましては、先ほど来、質疑にもございましたとおり、かつて遠友夜学校がございまして、閉校後に当時の財団が子どもたちのために札幌市に寄附をしたという経緯がございます。また、現在、その周辺には街区公園が少ないという地域特性がありますほか、その跡地に対しては公園整備を望む地域の意向もございまして、それらを総合的に勘案いたしまして庁内議論を行いました結果、この場所に遠友夜学校があったという歴史を伝え、児童の遊び場の機能も有する、いわゆる記念緑地として整備する方向性を整理したものでございます。
     その結果、平成25年度、本年度の予算におきまして、公園整備のための基本設計費環境局みどりの推進部に計上されているところでございます。 ◆小須田悟士 委員  今のお答えにより、児童の遊び場の機能も付与した記念緑地として整備する方針であることは理解いたしました。  その方向性を整理するに当たって、歴史的経緯や寄附を受けた趣旨、周辺地域の特性のほか、地域住民の意向なども勘案したとのことでありますが、行政としての意思決定に対しては支持するものであります。しかし一方で、陳情内容にあるとおり、考える会が主体となって、記念館をみずから建設し、維持管理をしていく予定であるということですが、その事柄自体は否定するものとはならないのではないかと思います。  そこで、2点目の質問ですが、改めて、この陳情内容を札幌市としてどのように受けとめるのか、その考え方もひとつお伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  陳情内容の受けとめ方についてでございますけれども、考える会の皆さんが、地域の望む公園整備自体に賛同しながら、みずから主体となって記念館を建設し、さらには維持管理までしていこうと行動し始めましたことは、市民主体まちづくりの具体化とも言えるものでございまして、その方向性は、跡地の歴史的意義を尊重しようとしている我々札幌市の活用方針とも根本的には違わないものである、このように受けとめているところでございます。  したがいまして、考える会の皆様と地域の皆様とが相互に理解し合える関係を築いていけることを期待しているところでございます。 ◆小須田悟士 委員  陳情の説明内容も踏まえますと、考える会の活動と地域の方々の公園整備を望むという思いは決して接点がないわけではなく、相踏み込めるような状態ではないかなと思うわけであります。活動の方向性をもう少し具体的に示しながら、双方が対話をし、理解し合っていくことが重要と考える次第であります。理事者からは、ただいま、考える会と地域とが相互に理解し合える環境を築いていくことを期待しているという答弁をいただきました。  そこで、3点目の質問ですが、考える会と地域とが相互に理解し合えるように、行政として何か具体的に活動しているのか、お伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  考える会の皆様と地域の皆様とが相互に理解し合えるよう活動することについてでございますけれども、今年度、地域の方と公園整備ワークショップが予定されておりますので、考える会の皆様方にもぜひご参加いただき、それぞれの意向をより具体化しまして、率直に意見交換をして相互に理解し合えるよう我々札幌市としてマネジメントを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆小須田悟士 委員  今後、札幌市に対しては、このたび、考える会がみずから行動し、ある意味で公共的な取り組みをしていこうということについて、その自主性と主体性を尊重した上で、地域住民との双方で理解し合えるようなマネジメント役を期待しておりますで、どうぞよろしくお願いします。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、2点質問させていただきます。  新渡戸稲造夫妻の高い志によりまして、南4東4の地に設立され、ボランティアの市民により運営された遠友夜学校は、まさに札幌市民の誇りと言えるものでありまして、札幌市においても、その功績を後世に伝えるように、大通西13丁目にあります札幌市資料館に遠友夜学校記念室を設置しております。私も何度か閲覧したことがありますけれども、新渡戸稲造夫妻の偉業とか遠友夜学校の功績について、当時をしのびながら学ぶことができる空間となっておりまして、訪れた市民や観光客が熱心に資料を見学しており、その取り組みに関しては評価できると考えます。  一方で、このたび、陳情者の皆様が、みずから遠友夜学校記念館を設け、維持管理をしていこうとすることも、また上田市長が提唱される市民自治の一つの理想的な形と言えると思います。そして、新渡戸稲造や遠友夜学校の関連資料を収集するなどして記念館で展示し、訪れる方々にできれば口頭でその功績を説明していくことも想定されていると伺っておりまして、資料館展示事業とこうした考える会の取り組みとが連携していけるならば相乗効果を得られる展開もあり得るのではないかと思うのです。  そこで、1点目の質問ですが、資料館に遠友夜学校関係の資料を展示している経緯と、札幌市はどの程度の資料を所有されているのか、まず、伺います。 ◎梅津 教育委員会生涯学習部長  ただいま、資料館に遠友夜学校関係の資料を展示している経緯などにつきましてご質問がございました。  もともとの遠友夜学校の記念室は、昭和39年にレッツ中央を開館いたしましたとき以来、その施設の1階に設置しておりましたけれども、建物の老朽化と耐震性能の不足のために平成23年3月で閉館して建物を解体いたしました。これに伴いまして、遠友夜学校の貴重な資料を展示するには、多くの市民あるいは観光客が訪れる札幌市資料館へ移設するのがふさわしいと判断いたしまして、現在、市の資料館内に遠友夜学校記念室を整備いたしまして、平成23年10月から開館しているところでございます。  資料につきましては、新渡戸稲造直筆の額、あるいは関連書籍、学校に関する文献など、いずれも貴重な資料となっておりまして、本市が所有している資料は全体で約260点でございます。このうち、180点をただいま記念室で実際に展示しておりまして、そのほか、平成13年から北大博物館に額であるとか文献など約30点を貸し出しているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  資料館に移設された経緯と、現在、市所有の資料は260点とお聞きしましたが、このうちの大半は資料館に保管、展示されていて、その1割強になる30点を北大博物館に貸し出しているという現状は理解いたしました。  これは、今後、地域とも折り合って考える会による記念館建設が実現したならという前提に立つのですが、例えば、市所有の資料の一部を考える会にも貸し出し、資料館北大博物館だけではなく、記念館でも、そこにしかない資料を閲覧でき、また学べる機会が用意されるといった展開も検討の余地があり得るのではないかと思うのです。  そこで、質問の2点目ですけれども、考える会にも市所有の資料を一部貸与するなどして、資料館北大博物館などと新渡戸稲造や遠友夜学校の功績を踏まえた事業連携可能性があるのではないかと思うのですがいかがか、また、その場合の所管部署はどこになるのか、あわせて伺います。 ◎梅津 教育委員会生涯学習部長  新渡戸稲造や遠友夜学校の功績を踏まえた事業連携可能性などについてでございます。  現在、資料館で遠友夜学校に関する資料を展示していることで、遠友夜学校や新渡戸稲造に興味を持つ方にとどまらず、資料館を訪れる多くの方にその歴史や意義、功績などに触れる機会を提供しておりまして、大いに親しまれているところでございます。資料館の今後のあり方や、地域や考える会の意向に沿った記念館の内容にもよりますが、資料の貸し出しのほか、資料館北大博物館あるいは記念館との間で資料の巡回展示、あるいは、遠友夜学校にちなんだ行事の連携など、教育委員会として生涯学習の観点からどのような連携が可能なのか、検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆しのだ江里子 委員  資料館の今後のあり方にもよりますが、資料館とか北大博物館、そしてまた、新たなこの記念館との間における関係資料の巡回とか、行事などの連携に関する可能性について、教育委員会が生涯学習の観点から検討していただけるということがあり得ることを理解し、大変安心いたしました。  先ほどの質疑応答にもありましたように、公園整備ワークショップを通じて地域と考える会が相互に理解を深め合っていくことを期待しております。その結果として記念館建設が実現したならば、この札幌の地で繰り広げられた新渡戸稲造や遠友夜学校の功績を広く発信していくための連携の可能性は十分あり得るものと考えますので、ぜひとも前向きな検討を要望し、質疑を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からも、質問させていただきます。  前段の陳情者のお話は、新渡戸稲造氏が残した遠友夜学校の資料を保存するとか、あるいは、記念館を建設していきたいという非常に熱い思いででした。私も、この陳情が出されてからいろいろと調べたり遠友夜学校に関する本を読ませていただいたりして、新渡戸稲造氏が行ってきた功績は非常にすばらしいなと感じております。  特に、遠友夜学校は、新渡戸稲造氏が、貧乏問題が現代社会の最大の難問であり、人類を貧窮より救うことが最も大きな問題であると、貧しい両親を持った粗野な子どもたちや、日雇い労働者など出面の子弟に対する夜学校をという志の中で1894年に開校し、50年間にわたっていろいろな人たちがボランティア精神のもとで続けてきた、そして、本当に貧しい子どもたちに学ぶ機会を与えてきたということは、非常に重要な取り組みだったというふうに思います。  遠友夜学校に関する本を読みますと、記録では、一日の労働で疲れた子どもたちが夜学校で学んだり、札幌の自然の中で教師や友達と遊んだりして疲れを癒やし、教師や友達との信頼関係を深めて人間として成長していく様子が非常に多く伝わってきます。現在の憲法でうたわれているひとしく教育を受ける権利を実践で示し、札幌の子どもたちの教育に大きく貢献した業績は、本当にすばらしいものだと私は受けとめております。現在の札幌の教育現場ではいじめや自殺、体罰、過度な競争教育、また子どもの貧困など深刻な問題が山積しており、こういう時代だからこそ、遠友夜学校から学ぶべきことがたくさんあると思います。そして、これからも札幌の市民や子どもたちに継承していくべきだというふうに強く思っております。  そこで、本市として、この遠友夜学校についてどのように認識されているのか、まず、お伺いしたいと思います。 ◎梅津 教育委員会生涯学習部長  ただいま、札幌市としての遠友夜学校の評価についてご質問でございました。  先ほどの陳情の趣旨説明の中でもるるご説明がありましたし、ただいま委員からもお話があったところでございますが、遠友夜学校は、新渡戸ご夫妻が創立した私立の夜学校ということで、明治27年から昭和19年までの50年間、開かれ、当時、学校で勉強したくても家庭の事情などで学べなかった青少年に無料で学習の場を提供していたものでございます。慈愛の心を持って、進んで社会奉仕を行いました新渡戸稲造の崇高な精神、これらに共鳴いたしまして給料なしで教師を買って出た友人、あるいは札幌農学校学生たち、そして、温かな援助を惜しまなかった札幌市民に支えられて、青少年に希望の明かりをともし続けた遠友夜学校は、札幌市におけるボランティアの原点とも言えるもので、私どもといたしましても評価しているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  私は、なぜここでなければならないのかということが非常に重要だと思うのです。これは、今の陳情者の説明の中でも、南4東4の遠友夜学校が開設されていた場所であるので、そこに公園がつくられる中で、ぜひそこでやりたいということでした。当時、この地域は、豊平川の川原で侍部落とも呼ばれる本当に貧しい地域で、貧しい子どもたち、学校に行けない子どもたちの授業料を無料にし、北大生や元教員など多くの人たちが無償で教育を行っていましたが、この地はそういう場所であること、そして、そのことを札幌市民子どもたちに継承し、全国のネットワークに発信していくことが非常に意味があると思うのですけれども、その認識についてお伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  この跡地から遠友夜学校の歴史を伝えていくことの重要性についてでございますけれども、先ほど来ございますとおり、かつてここに遠友夜学校があったという歴史的経緯でありましたり、一方で地域の皆様が街区公園を欲しいという要望もあり、総合的に勘案しまして庁内議論の中でこの跡地では遠友夜学校を記念する緑地として整備するというふうにしたところでございます。先ほど来ご答弁させていただいておりますとおり、今後、この公園整備ワークショップの中で、地域の方々と、考える会の方々にもご参加いただきながら、遠友夜学校の歴史をこの跡地からどのような形で発信できるのかといったこともあわせて検討してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆伊藤理智子 委員  前段の議論でもありましたし、今の認識とか、この地でつくっていきたいという思いの重要さということは市の考え方としても一致できるのかなというふうに思いますので、まず地域の理解が本当に得られるようによく話し合っていくことが大切だと私も思います。さらに、地域住民に理解を得て進めていくことは丁寧に行っていくべきだと思いますけれども、ワークショップについても、本市が積極的にかかわって、考える会と地域住民との橋渡し役となり、行政と地域住民、考える会の三者で一緒に進めていけるように支援していくべきだというふうに思うのですがいかがか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  予定している公園整備ワークショップにつきましては、予算は環境局みどりの推進部にございますけれども、私ども市長政策室もその場に出向きまして、地域の方々と考える会とのコーディネート役をさせていただきたいと考えております。 ◆伊藤理智子 委員  ぜひ、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  私は、遠友夜学校の実践をいろいろ学んでみると、今の札幌市の教育現場の大変さとか、経済の冷え込みの中での子どもたちの貧困問題など、どうしてもこういう社会的な問題を重ね合わせて考えてしまうのですね。こうした時代背景のもとで、教育とは何か、人と人とのつながりで大切なことは何かなど、人間としての成長・発達について本当に大切なことを改めて教えてくれる札幌遠友夜学校は、本市の貴重な財産であり、市民にその実績を継承していくことが重要だと考えます。50年間、遠友夜学校が無償で子どもたちに教育を行ってきた実践を、この遠友夜学校があった地で記念館を建設して継承していくべきだなというふうに思いますので、その役割を果たしていく上でも、本市として積極的に協力していくべきだということを求めて、質問を終わります。 ◆谷沢俊一 委員  質問というより、確認させていただきたいと思います。  先ほど、陳情者において、公園整備に当たって、本市においては10%から12%程度は他の目的に転用するというか、貸与することが可能であるというお話がございました。これは、本市においてそういう方針なり規定が何かあってそれが先ほどの話になっているのか、また、そういう方針があるとすれば、これまでの本市の公園に適用された事例があるのかどうか、それを確認させていただきたいと思います。 ◎本多 みどりの推進部長  今のご質問にございました公園用地の10%から12%というのは、都市公園法の中で建物の設置許可を与えられるのが10%から12%とございます。そういうことで、一応、今回10%から12%とお答えしておりますが、実は、ここは街区公園でございますので、札幌市内の街区公園では基本的に建物の設置は認めておりません。ただ、ここの地は、遠友夜学校の跡地ということで緑地として整備いたしますので、公園という位置づけではなく、公園の一環、緑地の一環として公園に当てはめたら10%から12%の建物の設置が可能だということですけれども、何度も申しますが、基本的にはほかの街区公園では設置を認めておりません。 ○こじまゆみ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○こじまゆみ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは、陳情第50号の取り扱いについてお諮りいたします。  取り扱いは、いかがいたしますか。  (「継続」と呼ぶ者あり) ○こじまゆみ 委員長  それでは、陳情第50号を継続審査とすることにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○こじまゆみ 委員長  異議なしと認め、陳情第50号は、継続審査と決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時53分       再 開 午後1時55分     ―――――――――――――― ○こじまゆみ 委員長  委員会を再開いたします。  次に、札幌市まちづくり戦略ビジョン戦略編>の答申素案についてを議題とし、理事者から説明を受けます。 ◎渡邊 市長政策室長  札幌市の今後10年間のまちづくり方向性を示します札幌市まちづくり戦略ビジョンにつきましては、ビジョン編戦略編に分けて策定することとしております。ビジョン編につきましては、ことしの2月に議会の議決をいただいたところでございます。今年度は、ビジョン編に掲げます都市像の実現に向けた施策の方向性を示す戦略編の策定に向けて作業を進めたいと考えてございます。  本日は、去る5月15日に開催されました審議会におけます答申素案に対する審議内容につきましてご報告させていただくとともに、委員の皆様よりさまざまなご意見を賜りたいと考えてございます。いただきましたご意見につきましては、答申案に反映させるべく、次回の審議会に報告したいと考えておりますので、ご審議のほどをよろしくお願い申し上げます。  それでは、資料につきまして、政策企画部長よりご説明させていただきます。 ◎石川 政策企画部長  それでは、私から、今月15日に開催されました審議会における審議内容をご報告させていただきます。  早速でございますが、資料のご説明に入らせていただきます。  まず、資料1をごらんください。  資料1は、戦略編の今後の審議スケジュールをお示ししたものでございます。冒頭に渡邊室長からもご説明がございましたが、皆様もご承知のとおり、総務委員の皆様からさまざまなご意見をいただきながら、本年2月の第1回定例会におきましてまちづくり戦略ビジョンビジョン編の議決をいただいたところでございます。  そこで、このスケジュール表の上から3段目の審議会の欄でございますが、審議会では、議会の皆様からの意見や市民意見を踏まえまして、これまで専門部会を中心に戦略編の検討を進めてまいりました。そして、去る5月15日に第7回審議会を開催いたしまして、答申に向けた素案の審議を行ったところでございます。今後は5月下旬に開催予定の第8回の審議会におきまして、答申案の審議を行い、6月上旬には審議会としての答申案を取りまとめ、市長に答申を行う予定としております。  続きまして、一番上の議会の欄をごらんください。  本日は第7回審議会審議内容などについて中間報告をさせていただきまして、本日いただきましたご意見につきましては、答申案に反映させるべく、第8回審議会に報告する予定でございます。そして、6月上旬の審議会の答申後、直ちに各会派個別に答申内容をご報告させていただきながら、この際にもご意見を賜りたいと考えてございます。その後も庁内で議論を重ねまして、7月上旬には、一旦、戦略編の素案を固めた上で、その素案を総務委員会にご報告させていただき、パブリックコメント案を確定させていきたいと考えております。その後、パブリックコメントを経まして、9月上旬をめどにパブリックコメントでいただきました意見をご報告いたしますとともに、再度、皆様からご意見を頂戴しながら戦略編の原案を確定させてまいりたい、このように考えております。  なお、3定議会におけます取り扱いにつきましては、今後、議会側と調整させていただきたいと考えてございます。  こうした形で、戦略編につきましても、これまでのビジョン編と同様に、総務委員会の皆様からさまざまなご意見を頂戴しながら策定作業を進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きご審議のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、1枚おめくりいただきまして、戦略編の現時点での審議内容についてご説明させていただきます。  本日は、資料2−1から2−3までの戦略編の概要版にてご説明させていただきます。  まず、資料2−1をごらんください。  資料の左上に「はじめに」というところがございますけれども、この戦略編は、今後10年間で大きなパラダイムの転換が求められている三つの分野につきまして選択と集中を進めるという内容になってございます。そこで、章立てにつきましては、まず、第1章でソフト系創造戦略、そして、第2章では将来を展望しました都市空間の創造ということで、戦略を促進する都市整備基本方針を定めておりまして、さらに、第3章では今後10年間の行財政運営の視点といったことをまとめております。  続きまして、その下の第1章の創造戦略でございます。  重点化すべき分野が三つ掲げられておりまして、それぞれ二つないし三つの創造戦略、合計では八つの創造戦略で構成されております。  まず、暮らし・コミュニティの分野でございます。  創造戦略1 地域福祉力創造戦略では、市民が孤立することのない地域づくりをテーマに、地区福まちの活性化や、現在も進めております保健師等による地域アプローチの強化、さらには、避難場所等の防寒対策といった取り組みがまとめられてございます。  その下の創造戦略2 共生社会創造戦略でございます。全ての市民が社会に参加できる地域づくりのため、多世代交流の推進や福祉的側面からの保育所の待機児童の解消、小学校と児童会館の併設化、さらには、今後の超高齢社会を見据えまして地下鉄駅周辺等のバリアフリー化の一層の促進なども位置づけられてございます。  次に創造戦略3 地域マネジメント創造戦略では、地域資源の活用の推進をテーマに、区役所の機能強化、さらには区民協議会の活性化、また、空き家等を活用した地域活動の拠点づくり、そして、除雪のあり方などについてもまとめられてございます。  資料の右に目を転じていただきまして、ここからは産業・活力のテーマを掲げております。  まず、創造戦略4 札幌型産業創造戦略でございます。新たな価値の創造による産業の高度化のために、産業振興ビジョンにも記載されております、今後重点化を図る四つのテーマ、食、観光、環境、健康・福祉の分野でございますが、ここでは食のブランドづくり、観光まちづくりプランの策定、さらには、エネルギー関連技術の産業化や生活・健康支援産業の振興などの取り組みが記載されてございます。  続きまして、創造戦略5 都市ブランド創造戦略は、道内循環を高め、道外需要を取り込む手法と基盤づくりをテーマに、国際戦略プランの策定や文化芸術の産業化に向けた取り組み、また、広域連携では道内連携の進化に向けた取り組み、さらには、SAPPORO(サッポロスマイル)のさらなる普及や、国際的な冬季スポーツ大会の誘致といった取り組みがまとめられてございます。  続きまして、創造戦略6 産業人材創造戦略でございます。将来の札幌・北海道経済を支える人材の育成・活用のために、政令市の中で低位にある留学生をふやすための取り組み、さらには、札幌の経済を牽引する女性の活躍を支援していくための就労支援や保育サービスの拡充などについて記載されてございます。  その下は、低炭素社会・エネルギー転換がテーマとなってございます。  一つ目が創造戦略7 低炭素都市創造戦略では、環境負荷の少ない都市構造の形成をテーマに、地下鉄駅などの拠点への機能集約をしていくこと、公共交通を基軸としたまちづくりを進めることで、二酸化炭素の排出を抑制するまちづくりを進めることが記載されております。さらに、緑豊かなオープンスペースネットワークということもここで記載されてございます。  そして、第1章の最後の創造戦略8 次世代型エネルギー創造戦略でございます。エネルギー利用効率と安定性の向上のために、エネルギー政策大綱や基本計画の策定を意識した取り組み、都心部でのエネルギーネットワークの構築、さらには、清掃工場におけるごみ焼却エネルギーの効率的な回収といったことが盛り込まれてございます。  第1章は、以上の八つの創造戦略によりまして構成されております。  資料を1枚おめくりいただき、資料2−2をごらんください。  第2章の将来を展望した都市空間の創造でございますが、これは、今後10年間の都市空間の基本的な考え方を示したものとなってございます。  第1節は、現状とその取り組み方向性を示したものでございまして、現状の都市基盤は、整備水準が高いものの、一方で、今後、老朽化が懸念されております。さらに、パラダイムの転換が必要な三つの課題に対応していくことを模索しております。  そして、第2節では、都市空間の基本目標といたしまして、持続可能な札幌型の集約連携都市への再構築を進めるということを掲げてございます。この基本目標の具体的な方向性をその下の囲みに示しておりまして、一つ目は、超高齢社会を見据えまして、地下鉄駅周辺などに多様な都市機能を集約すること、二つ目では、良好な環境を備える郊外の住宅地では、住まいの多様性が確保され、札幌らしいライフスタイルが実現できること、そして、三つ目として、公共交通を基軸としたまちづくりや、新たなエネルギーネットワークを構築することなど、環境配慮型の都市を目指すといったことが記載されております。さらに、道内外と多様な交通ネットワークでつながりながら、北海道の経済を牽引する中心都市を目指すこと、最後に、都市基盤を効率的に維持するとともに、災害に強い安全・安心な都市をつくっていくという基本目標を掲げてございます。  表の右側をごらんください。  ここでは、都市空間の種別ごとにどのような取り組みをするのかを記載しておりますけれども、資料2−3に図面がついてございまして、適宜、こちらとあわせてごらんいただきたいと思います。  資料2−2の上段でございますが、魅力ある市街地についてであります。  まず、複合型高度利用市街地という概念を設定してございます。地域的にはおおむね環状通の内側と地下鉄の沿線などを位置づけておりまして、2−3の図面をごらんいただきますと、札幌市の中心部付近にございますオレンジ色のヒトデ形をしている場所でございます。ここの地域では、今後、高密度な市街地を形成していくこととしておりまして、具体的には、今後の再開発はこのオレンジ色の地域を中心に行いながら、地下鉄沿線に多様な機能を集約していこうとするものでございます。  続きまして、その下の郊外住宅地でございます。図面では縁辺部の黄緑色で示している地域でございまして、現在では第1種低層住居専用地域を中心としたいわゆる戸建住宅が主体となっている地域でございます。ここは、良好な生活環境を保全する地域ということで、空き家等の問題もございますが、今後、学校とコミュニティ施設の併設化などを進めながら、歩いて暮らせるまちづくりを進めること、さらにはコミュニティ交通の確保などの検討も行ってまいります。  資料にお戻りいただいて、次は都心でございます。  ここは、札幌の中心点からおおむね1〜2キロメートルの区域と位置づけまして、さまざまな都市機能を集約すること、そして、魅力ある都市空間を創出すること、さらに、新たな概念といたしまして、先進的かつ積極的なエネルギーネットワークをこの都心部で構築するという概念が打ち出されてございます。具体の事業も、大通、創世1.1.1区(さんく)、札幌駅の交流拠点、また、北3条広場や市電のサイドリザベーションによる魅力向上、さらには、自立分散型エネルギーの推進などを進めてまいります。  その下は、交流拠点について記載しております。  まず、地域交流拠点についてでありますが、これは、第4次長期総合計画では地域中心核という位置づけでございました。基本的にはこれを引き継いでおりますが、今回、地下鉄始発駅全てを地域交流拠点に位置づけたところでございます。地下鉄始発駅は、後背圏や魅力資源と連携するゲートウエーといたしまして、積極的に施策を展開する地点として位置づけられてございます。さらに、これらの交流拠点では、例えば、空中歩廊による駅への接続の推進、さらには、新たな概念といたしまして、今後、白石区役所が例に挙げられるように、区役所の建てかえなどに当たりましては地下鉄駅などとの接続による地域交流拠点への配置を原則とし、利便性の向上に努めてまいりたい、このように考えてございます。  次に、高次機能交流拠点でございます。これは、経済や観光などの拠点になる地域でございまして、アンダーラインを引いている箇所が第4次長期総合計画からプラスされたものでございます。例えば、円山動物園の集客力向上や東雁来へのものづくり産業の集積などが挙げられてございます。
     続きまして、持続可能な都市を支える三つのネットワークという概念がここで打ち出されてございます。  一つ目は、交通ネットワークでございますが、骨格道路網の整備による広域連携の強化を行いますとともに、公共交通を基軸とした交通体系の確立を目指しまして、例えば、都心アクセス強化道路軸の検討などを行ってまいります。  次に、みどりの空間ネットワークでは、環状グリーンベルトなど緑のネットワークの推進や、地域特性に応じました公園の再整備などが記載されてございます。  そして、三つ目は、第4次長期総合計画にはなかった概念といたしまして、エネルギーネットワークがここで打ち出されておりまして、内容といたしましては、自立分散型ネットワークの確立、さらには、広域圏も踏まえた再生可能エネルギーの活用なども行ってまいります。  最後に、都市基盤のマネジメントでありますが、既存の都市基盤の適切な維持と活用、また、コミュニティ施設などの再配置を図ってまいります。  続きまして、1枚おめくりいただいて資料2−3、図面の左下をごらんください。  第3章が記載されておりますが、第3章は、戦略の展開を支える行財政運営の視点についてでございます。  新たな創世期を切り開く行財政運営をテーマに、市民自治のさらなる深化を図るため、市民に対してよりわかりやすい情報提供や、徹底した市民議論を行ってまいります。また、受益と負担のあり方や事業の見直し、さらには、市有財産の活用を図ってまいります。また、変化に対応できる組織運営や財政運営を行うとともに、市民、企業などとの連携も強化してまいります。最後に、新しい概念といたしまして、ビジョン編の都市像の中でも位置づけられております北海道や道内市町村との連携を強化していくことを具体的な事例を用いながら記載してございます。  戦略編の概要版のご説明は、以上のとおりでございます。  続きまして、ちょっと厚目の資料3につきましては、戦略編の素案そのものでございますが、本日の説明は割愛させていただきます。  最後に、資料4をごらんください。  この資料は、先般、開催されました審議会において出された意見をまとめたものでございますが、お時間の都合上、一つ一つのご説明は省略させていただきますので、後ほどごらんいただきたいと思います。  資料の説明は以上でございますが、冒頭に渡邊室長からも申し上げましたとおり、今回、委員の皆様からいただいたご意見につきましては、次回の審議会において報告をした上、戦略編答申案に反映させてまいりたいと考えておりますので、ご審議のほどをよろしくお願い申し上げます。 ○こじまゆみ 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  まず、本戦略編の案ではありますけれども、これについて、市長政策室を中心に、昼夜を問わずご苦労されたことに敬意を表したいというふうに思っております。  昨年度来、我が会派では、さまざまな場で、まちづくり戦略ビジョンに対する意見を申し述べてきたところであります。戦略編は、ビジョン編以上に、今後、その中身の諸所で各論の議論があるというふうに思いますけれども、本日の委員会では、2定の代表質問を目の前にしながら、全体的なことを総論として捉え、そしてまた、重要項目を聞いてまいりたいと存じます。  まず、我が会派の飯島議員が段々にいろいろな議論をさせていただいてきたところであります。特に、いろいろな視点の中で、割愛しながら申し上げますけれども、北方圏という大きな視点があります。北方圏という視点から、当然、積雪寒冷地の北海道であり、札幌でありという中での雪の扱いであるとか、いろいろなエネルギーの問題もそうでありますけれども、こういったことを論じられてきた中で、市長政策室、または理事者側で、市長も含めて、いろいろなご回答や、前向きなお話を受けたところであります。  また、せんだっての第1回定例会の代表質問にて、私の視点から、特に、雪という視点でありますが、維持管理がもちろん大事でありますけれども、除排雪という維持管理だけではなくて、そもそものまちづくりの構造にかかわるまちづくりそのものなのだということ、年間の半分を占める雪の季節に苦労されている現実があり、ここにまちづくりの視点を入れるべきだというふうに申し述べてきました。  また、先ほど部長からのお話にありましたが、課題が山積する郊外住宅地というふうに言われる地域のまちづくりについて、少子高齢化をどう打破していくのかということであります。ここも、まちづくりにおいては、本市としても非常に重要な視点であります。  第7回の審議会でも、地域交通のネットワークということで、バスの巡回ということが申し添えられているところであります。こうした中で、我々、会派の一連の発言に対し、また、質問に対して、それに呼応した形で、市長を含めて前向きな答弁がなされてきたところであります。  そこで、確認のために伺いますけれども、こういった諸所の点につきまして、戦略編に掲げる取り組みとしてどのように反映されてきたのか、まず、お伺いします。 ◎石川 政策企画部長  代表的な積雪寒冷地と郊外住宅地に関する取り組み戦略編への反映についてお答えさせていただきます。  まず、積雪寒冷につきましては、創造戦略3の地域マネジメント創造戦略の中に、雪と共存した暮らしの推進という施策の方向性を独立して設定いたしました上で、例えば、地域の特性に合わせた除排雪の推進や、超高齢社会を支える福祉除雪の推進、さらには、今後の除雪のあり方についての市民議論を進めることなどを明確に位置づけたところであります。  このほかにも、例えば、経済や環境などの分野におきましても、高断熱・高気密住宅関連技術や、雪氷冷熱活用技術などの研究開発や実用化への支援、さらには、冬期間におけます熱の利用が多い札幌の特性を踏まえまして、自立分散型のエネルギーネットワークの構築に取り組むことなど、積雪寒冷地である札幌特有の課題への対応についてさまざまな取り組みを盛り込んでいるところでございます。  次に、郊外住宅地に関する取り組みにつきましては、第2章、将来を展望した都市空間の創造という中で、郊外住宅地という概念を総合計画では初めて掲げさせていただきました上で、今後の取り組みとして、例えば、路線バスのルートの見直しなどによる地域の足の利便性を高める取り組み地域住民やバス事業者とともに検討していくといったことでありましたり、空き家を活用した居場所づくり、さらには、空き地などを適切に維持管理する新たな手法を総合的に検討していくといったことを盛り込んだところでございます。  加えまして、複雑多様化する地域課題に対応していくために、地域カルテや地域マップなどの活用を図りながら、今後は、地域住民などとの協働によりまして、その状況に応じたきめ細かい取り組みを展開していくというふうにしているところでございます。 ◆伴良隆 委員  ここで、2点ほど指摘させていただきたいと思います。  まず、我が会派の主張にさまざまにご配慮いただいて、非常に重きを置いていただいたということは、高く評価したいと思いますし、感謝をしたいなというふうに思っております。今、いろいろなお話がございました地域マネジメントということもそうでありますし、また、空き家という言葉が出ましたので、当時の総務委員長であられた宗形議員も、これに関して非常に精力的に取り組まれてきたということもございます。一連のことについてご配慮いただいたことには、感謝を申し上げたいと思います。  指摘ですが、雪についてでございます。  都市空間づくりは、戦略編についても、空中歩廊というものが巻末に小さく出てきますし、地下歩行空間もそうでありますけれども、こういうことをもっとダイナミックに都市計画として取り上げて、除排雪の心配が少しずつ減っていくような、公共交通の駅近傍にある高齢者の専用住宅の増設など、雪に強い構造のまちをつくる戦略をもっと大きく取り上げるべきだと考えております。  雪がいかに市民を苦しめているか、その現実を、きれいごとではなくて、きちんと、再度、強く指摘していきたいというふうに思いますし、天からの恵みものというだけではなくて、やはり苦しいところがあるのだという現実を覆いかぶせることがないように、よろしくお願いいたします。  2点目の指摘でございます。  雪にも関連することで、先ほど雪氷エネルギーのお話がございましたが、いわゆるエネルギー問題でございます。これは、これから環境局とも議論をする必要があると存じますけれども、エネルギーに関しては、今、世界や国、電力会社などの動きが目まぐるしく変化しておりますし、当然、市民議論もそうであります。3.11以降のエネルギーに関する冷静かつ現実的な議論は歓迎いたしますが、理想や思想が先行した一過性のエネルギー計画では、10年という長期計画の中ではいかがなものかと心配しております。  周辺に多くの自治体住民がいる政令市として、エネルギーに対して、国レベルではない、札幌市の身の丈に合った責任とは何かに立ち返り、市民に背信のないコストパフォーマンスを実現するエネルギー事業を実現すべきところであります。  その意味で、本計画ではエネルギー関連が多く取り上げられているところでありますけれども、現実に即し、未来にも通用する全方位的なエネルギー計画におさめるべきが得策であると忠告したいと存じます。  それでは、二つ目の質問に移りたいと思います。  行財政改革の視点であります。  戦略編の運営方法についても、昨年の第4回定例議会での我が会派の北村議員の代表質問におきまして、行財政改革の視点を盛り込むべきではないかとただしたところであります。  これを受け、このたび報告を受けた戦略編においては、第3章でお話がありました戦略の展開を支える行財政運営の視点が設けられておりまして、我が会派の指摘が取り入れられたものと認識しているところでございます。  厳しい財政状況の中で、ビジョンを着実に進めるためには、これまで以上に経営資源を効果的に活用することが重要であります。今回、第3章で、行財政運営の視点としてさまざまな項目が設けられているところでありますが、私は、これらの中でも、5項目めに示されている変化に対応できる組織という視点こそが、戦略の効果的な実現にはとりわけ重要だと考えているところであります。  そこで、質問でありますが、審議会では、戦略編の第1章や第2章に掲げる施策を強力に推進していくために、行政組織をどのように再編すべきとの議論があったのか、伺いたいと思います。  また、この部分では、区役所の機能強化を掲げておりますが、これについて、審議会での議論においてはどういう方向性を目指そうとしているのか、伺いたいと思います。 ◎石川 政策企画部長  戦略編におけます行政組織の再編についてお答えいたします。  審議会におきましては、時代の変化に即応した施策を機動的に展開するためには、部局間の連携や従来組織の再編を通じました効率的な組織体制の構築が必要だというさまざまな議論がなされてきたところでございます。さらに、例えば、エネルギー政策の展開に当たりましては、組織全体に横串の通った横断的な体制が必要であるとの意見がありましたほか、国際戦略の展開やシティプロモート、さらには、芸術文化の産業化を進めるに当たっては、実行力のある組織横断的なプロジェクトチームの必要が議論されてきたところでございます。  こうした意見を踏まえまして、第3章におけます今後の行財政運営の視点におきましては、変化に対応できる組織について、明確に位置づけたところでございます。  次に、区役所の機能強化についてでございますけれども、地域における課題が複雑多様化する中で、まちづくりセンターなどが地域をコーディネートする役割を果たすことが期待されておりまして、このためには、区役所がそれを強力にサポートしていく必要があるとの議論があったところでございます。  そこで、全市一律の取り組みでは解決できない課題へ対応していく機能をこれまで以上に発揮するために、地域への総合的な支援のあり方でありましたり、区役所機能と本庁機能のあり方などの検討を進めまして、効果的な行政組織体制の構築を図ることを目指すというふうにしているところでございます。 ◆伴良隆 委員  イメージといいましょうか、大分踏み込んでいただいたなというふうに思うわけでありますけれども、そのことについては承知いたしました。  今のお話にありました部分でありますけれども、プロジェクトチームといったことにつきましては、私も、当初の代表質問で、いろいろと思うところがあって、横串をということで市民目線に立ったつもりで申し上げました。これについては、市長からも、プロジェクトチームをということで、非常にすばらしいなと、課題を共有できているのだなというふうに思ったわけであります。  第7回の審議会におきましても、機構再編というところでは、実際に議論があって、まちづくりセンターとか区役所などの支援体制をどうするのだということでありました。  やはり、こういったことは、審議会審議会としましても、改革を断行して継続していくということです。これは、言葉だけではなくて、決意と行動力が実際に必要なのであります。非常に大きなエネルギーが必要になるとは思いますけれども、行財政改革、機構再編というのは、言ってみれば、筋肉をどうやってふやして、ぜい肉をどうとっていくかということで、これは非常にいろいろな議論があると思います。今、部長からお話がありました本庁機能であるとか、区役所機能であるとか、あるいは、まちづくりセンターや、土木センターのあり方なども含めて、どうやって筋肉を強くして、ぜい肉を落としていくか、これはしっかりと議論をしていただきたいというふうに思っているところであります。  この辺のところは、後に、市長に伺っていきたいというふうに思います。  それでは、三つ目の質問に移りたいと思います。  あるまちの計画というのは、まず初めに課題があるのではなく、この計画でも創造とか戦略という言葉を何度も使っておりますように、初めに打ち出す大目標がなければなりません。また、審議会での議論を受けて戦略をつくり上げている最中であることは理解いたしますが、創造戦略を実効性のあるものとするためには、市民に対してしっかりとメッセージを打ち出していくと同時に、庁内でも、ビジョンに関する認識を共有した上で、しっかりと議論する必要があると考えます。  この戦略編を見ておりますと、私は、非常に読みやすく、よくでき上がった作文だなと、つくづく思っております。裏を返せば、言葉が悪くなりますが、結局、何が言いたいのかよくわからない、インパクトがない計画だということになりまして、そういう声を実際に聞いているところであります。  あわせまして、とにかく計画をつくらなくてはいけないから、各部署が期限までに項目と対象事業を寄せてこい、こういったことがあったのではないか、そんな計画であったのではないかという声が実際に聞こえてくるわけであります。実際に書かれている現状の課題は、積雪寒冷とか、豪雪であるとか、女性のワークライフスタイルなどといった札幌の特性以外はどこの都市でも抱えている問題でありまして、本計画に記されているその対処方法は、本市としては、新しい視点、新しいものだといいましても、必ずしもすべからく目新しいというわけではありません。  確かに、パラダイムシフトは大きく打ち出しておりまして、その意義は評価するところでありますが、だから、何をして、何をもって現状や目の前の危機を打破するのか、そういうところが書いてあるようでいて伝わってこない、つまり、心に響かないのであります。恐らく、その原因は、この計画は、さまざまな取り組みが羅列されていく工程の中で、創造や戦略といった計画の魂となる市民の夢が存在していないからではないかと私は思っているところであります。つまり、いわゆる大義名分となる目玉の事業が示されていないのが本計画の最大の欠陥であると私は考えております。  そこで、質問でありますけれども、市民に対してしっかりと伝えるためには、一本、筋の通った目玉が必要であると考えますが、そもそも、この計画はそういうものになっているのかどうか、夢は何なのでしょうか、目玉は何なのでしょうか、伺いたいと思います。  また、その中で、創造戦略について、庁内の関係部局は、審議会はもとより、部局同士とどのように認識を共有する努力を行ってきたのか、そして、今後、行っていくのか、伺いたいと思います。 ◎石川 政策企画部長  まず、戦略編の目玉についてのお尋ねでございましたけれども、まちづくり戦略ビジョンは、ビジョン編戦略編で構成された一連の計画となってございます。これまで、議会の皆様とのご議論などを踏まえまして、いわゆるビジョン編を策定してまいりましたけれども、その中では、二つの都市像を掲げながら、今後、パラダイムの転換が求められる三つのテーマといったことについて、行政資源の集中配分を行うなど、選択と集中を図っていくというふうにしているものでございます。  そこで、例えば、暮らし・コミュニティの分野におきましては、超高齢社会を見据えました共生社会の実現を目指しまして、学校とコミュニティ施設との併設化など、公共施設の集約化と多機能化を進めるといったこと、また、産業・活力の分野におきましては、女性の潜在力により経済の活性化を図っていくことや、新たに札幌市の災害リスクが低いという特性を踏まえまして、政府機関を初めといたしますバックアップ機能の誘致に取り組むことなどを掲げてございます。さらに、低炭素社会・エネルギー転換の分野におきましては、自立分散型のエネルギーネットワークの構築に取り組むことなど、これまでにはない、さまざまな新しい概念が盛り込まれているものと、このように考えているところでございます。  続きまして、創造戦略の審議における庁内関係部局のかかわりについてお答えさせていただきます。  まちづくり戦略ビジョンの策定に当たりましては、札幌市内委員会規定に基づきます庁内組織といたしまして、市長政策室長を議長に、庁内の約60人の部長から成りますまちづくり戦略ビジョン策定検討会議を設置しておりまして、例えば、審議会に提出する資料を作成するための庁内調整でありましたり、審議会における審議を踏まえました、さまざまなレベルでの議論を重ねてきたところでございます。  さらに、審議会の議論の場におきましても、それぞれ関係の深い部局の課長職が出席させていただきました上で、審議会委員からの質疑でありましたり、意見交換を行うなど、さまざまな場面で、戦略編の審議について、原局の密接なかかわりがあったものでございます。 ◆伴良隆 委員  この質問に対しましては、そういうお答えになるのかなという感じがするわけでありますけれども、概念の部分は、ビジョンというところで、私どもも代表して皆さん方と議論してきたところでありますし、また、まさに部長が説明されたとおりなのです。ですから、この文章は、読んでいてもすっきりいくわけであります。でも、どれだけの市民が読むかどうかは別にしましても、市民が読み終わったときに、すとんと落ちるかどうかということなのです。結局、何をもって打破するのかというそもそもの原点に立ち返ったときに、それに対する答えが今のような答えでは、私たちはわかるかもしれませんけれども、やはり、市民は、ではどうするのですかということで、次の一手が見えない、そういうふうなところなのです。ですから、私の質問の内容と答えられた内容は、確かに、合っているようでいて、ちょっとすれ違いというような感じがいたすところであります。  いずれにしましても、私からお話を申し上げたいところは、我が会派の武市委員も、地元で、夢を持ってとずっと言い続けられてきたわけであります。現状はこうだから、パラダイムはこうシフトしよう、そして、各事業ではこんなことで対処していこうという順序で策定するのではなく、なぜか分かれてしまったビジョン編とともに、この目玉の事業によって、少子高齢社会や財政硬直化を切り抜けていくのだ、こういうリーダーシップを発揮して、夢や希望を持ち、胸を熱くさせる計画に持っていかなければ、せっかくつくったこの計画も、きれいな文章の集合体というかわりばえのない計画のための計画になり下がってしまうおそれに、今、直面しているのではないかと思っております。  その状況について真摯に受けとめていただきまして、では、何が足りないのか、リーダーシップは誰が果たしていくのか、夢と希望のある目玉は一体何なのか、改革は誰が断行していくのか、それを考えていくことが、市政をリードしていく市役所の皆さんの生きがいであり、やりがいである、このように私は思うところであります。  そして、こういう高い意識を持って、先ほど庁内の連携のお話もございましたし、横串の話もありましたし、審議会を通じての横の連絡のご苦労もわかりました。しかしながら、常に議論は、時には机をたたきながらも、全庁一丸となってこの計画を共有し、ここで描いた施策の実現に取り組んでいくことが肝でありまして、そうした日々の積み重ねが私たちの子どもに残していくふるさとをつくっていくというふうに信じるところであります。  それでは、市長政策室長に伺いたいと思います。  渡邊室長は、この4月に着任されたばかりでありますけれども、今後は、ビジョン及び戦略に掲げる取り組みについて、特に私は今までの一連の質問で大きく三つ触れてきましたが、こういったことも含めて、実現に向けてどう取り組んでいくおつもりか、その思うところを伺いたいと思います。  また、今まで指摘してきた計画について、そもそもの不足であると考えるところの夢や創造、そして目玉の事業など、今後、どう埋め合わせをしていくのか、市長政策室のあり方を含め、どうリーダーシップを図っていくのか、その気概や思うところ、覚悟をお聞きしたいと思います。 ◎渡邊 市長政策室長  大変重い質問でございますけれども、私の思いのたけだけを申し述べさせていただきたいと思います。  札幌の発展、成長を支えてきたのは、一つには、右肩上がりの人口増加があったと思っています。ただ、それが、平成27年前後にピークを迎え、減少していくという意味では、これまで経験したことがない状況に入っていくわけでございます。ちょっと大げさに申し上げますと、未知の世界に踏み込んでいくというふうに言っても過言ではないかと思います。  ただ、そのように想定される事態に、ビジョンなり戦略編の中で対応策が述べられているわけでございますけれども、それに的確に対応して、将来の札幌市民にふるさと札幌を引き継いでいく、それが今を生きる我々札幌市民の使命だと私は考えてございます。  札幌の10年先のまちづくりの方針でありますビジョン、さらには戦略編で示されます目標あるいは施策の方向性につきましては、国際戦略、観光振興など、これから新たにつくられる施策については、しっかりと反映をしていく、さらには、産業振興ビジョンなど既に先行してつくられたものについては、まちづくり戦略ビジョンとの整合性をしっかり図っていく、これらを政策調整部門の市長政策室としてはしっかり図ってまいりたいと思っています。  それから、市長政策室には改革推進部がございますので、ぜい肉の部分をどう落としていくかということについては、改革推進部を中心に、庁内の事務事業の見直し等をしっかり図ってまいりたいと思ってございます。  いずれにいたしましても、人口減少は、まさに消費人口の減少にもつながってまいります。そのために、三つのテーマの中の産業・活力で、これに対応する部分を述べております。それから、超高齢化の進行の部分についても、三つのテーマの中の暮らし・コミュニティで対応する部分を述べてございます。それから、三つ目のエネルギー政策の転換については、三つのテーマの低炭素社会・エネルギー転換でということで、私は、パラダイムの転換を求められている事柄に対して、この三つのテーマで対応する戦略編をつくっているという意味では、それなりに的確な戦略だと私は考えてございます。  目玉というふうに申されましたけれども、これだけ幅広い行政分野になっておりますので、その中の一つ二つの目玉ということでは決してないと思います。いろいろな手を打ちながら、将来的には人口が減りますけれども、193万人の人たちがいかに暮らしていくかというものが今回のまちづくり戦略ビジョンだと考えてございます。 ◆伴良隆 委員  ありがとうございます。  精いっぱいというところだと思うのです。行政の方々の範疇、権限の中で、この文章をどうつくっていくかということでありますけれども、私も同じような思いだというふうに思います。世代は違いますけれども、この札幌のまちをどうしていくのかという意味は、やはり、リーダーシップ、リードなのです。これは、この計画そのものが札幌市政をリードしていくものであり、そしてまた、行財政も含めて、札幌市の中の部署では、恐らく市長政策室がリードしていくことになるのだと思います。こういう両輪でやっていく中で、市民が、この計画を見て、行政改革を見て、そうかというふうになっていくわけであります。言ってみれば、その中の集合体であるものが三つのテーマと八つの視点だと思います。それは、確かにそのとおりですけれども、やはり、ここのかみ合わない部分は、私たちが地元に帰って、こういうまちにしたいと言って、そこは出てくるわけですけれども、ではどうするのですか、あなたは何をもってそのまちを実現するのですかといったところで、市民が、そうか、そういうものを希望として持とうではないか、夢を持とうではないか、そういう話を具体にしていくべきではないかというふうに申し上げているわけなのです。  その中で思うところはございますけれども、この辺にしまして、最後に何点か申し上げてまいりたいと思います。  私に事前に説明がなかったかと思いましたけれども、この計画が、定性的なところを起点としているので、目標値について、そもそも各成果指標の目標値は現在は存在しないので加えることができていない、このように聞いております。しかしながら、目標値がない中で審議すること自体がいかがなものかと、我が会派の小須田委員もひどく憂慮しているところであります。そもそも、計画をつくるということは、現状の何らかの数値が裏づけとなって初めてつくられるのが通常であります。何らかの背景となる数字が提示されないままにこの計画を審議するにしても、万人受けするきれいな言葉を議論し、精査するだけでは、こうした議論や審査の意義は一体何なのかということになるわけであります。  早急に、議会に計画の根拠となっていく数値を示していただき、実情に基づいた現実的な議論ができる環境を整えていただくように指摘させていただきたいと思います。  2点目は、これは誰のための計画かということであります。  確かに、市民のための計画でもございますし、行政計画であるのかもしれません。そして、そこに審議会を絡めていくことも確かに悪うございません。これまで、多くの庁内議論を含めてご苦労があったとのことでありますけれども、私がひどく危惧していることは、そこにわずかな市民をかかわらせて、パブリックコメントをやって、証拠づけをして、審議会を盾にしてしゃんしゃんというようなことは絶対に許されないのであります。それを市民計画だとか市民自治だと言うのであれば、明らかに市民という言葉の使い方が間違っていると私個人は考えております。  つまり、申し上げたいのは、こじま委員長が、先日、異例の指摘をされたように、議会側ともっと丁寧な議論が必要であるということを指摘したいのであります。委員会とは、市民の代表者である議員との議論でありまして、この計画だけではなく、このごろ散見されますけれども、早く通さなければならないという中で、議会とのやりとりを短縮したり、割愛したりということをするのであれば、市民のために仕事をするはずだったのに、いつの間にか自分たちの計画のために仕事をしていることになってしまうのであります。よって、もしも、こうした今後のスケジュールの中で議論を生煮えにしたまま無理くり進めるようなことがあれば、わざわざ議会議決案件にする必要もございませんし、計画の中身以前に、市民の代表、つまり議会を軽視するような手法がもしあれば、それを原因として、この計画には同調できなくなる可能性もあり得ますので、くれぐれも、事の運び方、意思疎通のとり方には注意すべきであるというふうに指摘したいと思います。  最後に、三つ目の指摘でありますけれども、これは、先ほどの質問の繰り返しであります。  まちづくり戦略ビジョンはもとより、やはり、一体誰が主導して、何をもって現状の不足を打破し、未来の繁栄をつくっていくのか、そのリーダーシップがしばらくの間見てこられないまま、今、札幌市が来ているということであります。  本日、国会に、防災・減災等に資する国土強靭化基本法案が提出される予定であります。その中でも、本市にも段々に議論が出てくるはずでありますけれども、北海道新幹線であるとか、丘珠空港であるとか、オリンピックであるとか、こういった未来志向型のリーダーシップが、今まさに必要なのだと私は考えております。その中に、段々に、こういった計画の中のものをどうやって達成していくのか、こういうふうな順番なのだと私は思うわけであります。  本計画を見る中に、これら計画全般については、本日の委員会審議を踏まえて、そしてまた、今後、我が会派議員と精査しながら、代表質問を通じて、しかるべき方に追及してまいりたいと考えておりますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。 ◆しのだ江里子 委員  私は、戦略編の中にあります共生社会創造戦略に関連して質問させていただきます。  まちづくり戦略ビジョンは、1定で議決されたビジョン編においても、その目指すべき都市像の中で、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまちを掲げています。この中でも、つながりと支え合いのまちづくりという要素を盛り込み、誰もがその能力を十分に発揮し、社会的な役割を果たすとともに、互いの個性や多様性を認め合う寛容さと相互の信頼感のもとでつながる共生のまちづくりを進めるとし、基本目標の中でも共生と交流により人と人がつながるまちにしますという柱を掲げ、多世代交流の推進や障がい者への市民理解の促進、市民の居場所づくりなどに取り組むことを盛り込んでいるところです。  地域の中で安心して暮らせることや、つながりをつくるといった共生の重要性については、審議会や市民会議など、策定過程のさまざまな場面で議論がされているとの報告が昨年の総務委員会でもありましたが、共生がこれからのまちづくりにおいて非常に重要な概念であるとの共通した認識のもと、ビジョン編での重点的な位置づけがなされたものと理解しています。今回、中間報告として示されている戦略編の中でも、共生社会創造戦略が掲げられているところで、まさに人口減少などの社会構造の変化に伴い、価値観や枠組みの転換が求められる中で、こうした方向性は、全ての市民が社会に参加しながら自立して生き生きと暮らしていくために大変重要であり、これからの社会のあり方を見据える上で時期を得たものと評価しております。  そこで、質問ですけれども、共生社会創造戦略に共生に関連する一連の施策と取り組みがまとめられていますが、審議会の中でどのような議論がなされてきたのか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  共生社会創造戦略審議会における議論につきましてお答えさせていただきます。  まず、ビジョン編では、今後の超高齢社会を見据えまして、誰もがその能力を十分に発揮し、みずからのできる範囲で社会的な役割を果たしながら、互いの多様性を認め合う社会、いわゆる共生のまちづくりといったことを都市像に明確に位置づけているところでございます。  そこで、審議会におけますこのたびの戦略編の議論におきましては、例えば、豊富な社会経験や知識、技能を有する高齢世代などが積極的に社会に参加し、生涯現役で生きがいを持って暮らせる環境づくりが必要だということ、また、地域の重要な担い手であります子どもや若者に対する多様な学びの機会の創出や、まちづくり活動への参加機会を拡充すること、さらには、誰もが住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、いわゆる歩いて暮らせるまちづくりを進めることが重要であるというような議論がなされまして、これらの施策の方向性として位置づけたところでございます。  その上で、今後予想されます社会経済情勢の変化であるとか、時代の潮流、さらには札幌市の特性や課題面から分析いたしますいわゆるSWOT分析も用いながら、今後、重点的に展開すべきさまざまな取り組みを導き出すことで共生社会創造戦略を構築したところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  この都市像にきちっと位置づけて、そして、高齢世代の参加であり、子ども、若者の学びの機会の拡充、また、歩いて暮らせるまちづくりというところをしっかりと位置づけていくということ、さらに、これからの社会情勢なども踏まえた上で、審議会の中でしっかりと分析され、この戦略として構築されてきたことに関しては理解いたします。  年齢とか障がいの有無などにかかわりなく、誰もが支え合い、そして自立して暮らせる共生社会の実現というものは、人口減少とともに高齢者がふえ、市民の価値観が多様化していくこれからの札幌市のまちづくりにおいて非常に大切な考え方であると考えます。共生の取り組みについては、私も大きな関心を持っているところで、2011年の第3回定例議会の代表質問において、道内各都市におけます共生型福祉事業として展開されている例を示し、このテーマに関して質問させていただきました。この中では、現在、札幌市において展開されている高齢者サロンとか子育てサロンといったような地域主体の交流活動は活発ではあるものの、事業目的にそって限定的に進められている例が多いことを指摘させていただき、福祉施設などと地域社会が日常的にかかわり合いながら、子どもや高齢者、そして障がい者が継続的に交流を深めることができる共生型の環境を地域の中で構築するための方策について伺わせていただきました。
     このときには、当時の渡部副市長から、地域における福祉施設や集会施設、そしてコミュニティカフェなどの地域の活動拠点も含めて、施設などの拠点と地域住民を地域の中で互いに結びつける取り組みを進めていくとの答弁をいただきました。一方、共生社会創造戦略の中で、地域で共生する環境づくりに掲げられている取り組みの中では、学校施設などを活用した多世代交流の場の創設といったことを掲げているほか、暮らし・コミュニティ全体の戦略を見ますと、学校と地域の連携とか学校施設の有効活用など、学校をコミュニティーの中で効果的に活用して共生を進めていくといった方向性が殊さら記述されているようにも思えます。  そこで、もう1点質問させていただきますが、地域コミュニティーにおける多世代交流などの共生に関して、学校を中心として取り組むことについてどのような議論がなされてきたのでしょうか、また、こうした考え方を受けて、今後どのような具体的な取り組みが想定されるのか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  学校を中心とした共生のまちづくりに向けた取り組みについてお答えさせていただきます。  1点目の審議会における議論についてでございますけれども、さまざまな市民同士がつながって交流できる環境づくりを進める上で、地域の中でおおむね歩いていける範囲内に存在しており、かつ、地域にある施設の中で最もなじみのある学校は、地域コミュニティーの活動拠点として有効に活用すべきであるといった多くの意見が委員から出されたところでございます。さらに、学校を高齢者なども集える場とすることによりまして多世代交流の新たな動きが期待できるなど、まさに学校を中心とした共生のまちづくりを推進すべきであるといった議論がなされてきたところでございます。  次に、2点目の想定される具体的な取り組みについてでございますけれども、例えば、今後改築予定の学校におきましては、例えば、まちづくりセンターや児童会館などコミュニティ施設との併設化を図ることや、空き教室を活用いたしまして地域のさまざまな団体が交流する場を創出することなどを進めてまいりたい、このように考えてございます。  また、昨年3月に閉校いたしました真駒内緑小学校の跡施設を活用いたしまして、子どもたちと地域の方々が交流できるスペースとして、現在、整備を計画しているところでございますけれども、今後とも、空き教室などを活用した地域コミュニティーの場づくりにつきまして、さらに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  少子高齢社会の中では、まさにコミュニティーの交流の場を確保していくことが大変重要であります。今後、多くの学校では、児童数が減少していくことが現実となっていくものと思います。そんなときに徒歩圏内に配置された学校の特性を生かすということは、大変有効であると考えます。また、空き教室を地域交流のために利用することによって子どもたちと地域の交流が生まれることになり、子どもたちを社会全体で育てていくという意味においても大変重要と考えられますので、その点においても積極的に進めていただきたいと思います。まず、旧真駒内緑小学校が一つのモデル事業として大変注目されると思いますので、これもしっかりと進めていただきたいと思います。  市民参加事業のワークショップの中でも、拝見しましたら、多くの市民から共生についての意見が出されておりました。まさにつながろうとする意識であったり、支援者と要支援者の日常的なつながりの必要性、それから、学校、老人クラブ、子育てサロンのタイアップなど、また、地縁の限界を超えた新しいつながりも今後出てくるものと思われます。  先ほどお話ししましたけれども、代表質問の中でも取り上げた福祉施設などの社会資源での共生型の取り組みを推進することもこれからは重要だと考えますが、社会資源があればあるほど縦割りになってしまいがちになり、行政の中でも積極的とは言えない状況も見られます。今ある社会資源を生かすことも含めた共生の取り組みについても、今後、鋭意検討していただくことを要望いたします。 ◆谷沢俊一 委員  私からも、何点かご質問させていただきます。  先ほど、戦略編においてSWOT分析を導入しているという話がありました。基本的には、札幌市の持つ優位性をしっかりと把握し、また、弱い点も客観的に把握し、よい点は伸ばす、また、比較して弱いところはどう克服するか、こういう観点を取り入れたことは、具体的な取り組みを進める上では非常に大切なことだというふうに私も考えております。  具体的に若干お聞きしたいと思うのですが、創造戦略における産業・活力の分野の中で、特に観光に関した国際関係のありようについて伺いたいと思います。  先ほど来、パラダイムの転換という中で、人口減少社会の到来が近づいてきて経済規模の縮小が懸念されているという中にあって、まちづくりを考える際には、やはり産業あるいは経済の活力は極めて大事であると考えております。中でも、本市の一大産業でございます観光分野について、どういう戦略を持って取り組んでいくのかがポイントになるのかなというふうに思います。  観光客の誘致を考える際に、当然、そのターゲットをどこに置くのかということが問題でございます。これまでは、札幌のみならず、全国的にも中国、韓国を中心とした東アジアがターゲットになっておりまして、これらは、ある意味では都市間競争が激しいと言われている対象国であります。しかし一方では、最近の対日感情に関する政治上のリスクの顕在化をやはり意識しなければならないというふうに思います。そういう中で、こういう時代背景だからこそ、札幌市、北海道も含めた優位性を生かした上での誘客をどう進めていくのかということが大切であります。北海道の冷涼な気候、あるいは雪は、南国の人にとっては極めて魅力的な資源であると思いますし、そこにターゲットを絞り込んで集中的な集客を図る、そういう戦略が必要になってくるのかなというふうに思います。  そこで、質問いたしますが、審議会においては、観光誘客に関する議論の中で海外展開の相手先などに関する具体の議論があったのか、また、そうした議論を反映した取り組みにはどういうものがあるのか、まず、お伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  戦略編におけます国際的な観光客誘致の取り組みについてお答えいたします。  審議会におきましては、特に東南アジアなどの地域について、急速な経済成長が続いていることから、訪日観光客数の伸びが著しく、また、現地におきましては、雪や冷涼な気候などを背景としまして札幌の評価も高いといったことを踏まえ、こうした有望な地域に目を向けて戦略的な観光客誘致を図るべきだといった意見がございました。こうした意見を受け、海外プロモーションの強化といたしまして、海外有望市場や新興国市場など、国、地域のニーズを捉えたプロモーションを実施することで海外からの観光客誘致を図る取り組みが盛り込まれているところでございます。また、例えば、イスラム圏からの旅行者を初め、食における制限など生活習慣で配慮が必要な旅行者に対する受け入れ環境の向上、いわゆるハラル認証など、きめ細やかな対応を行うことで観光客の集客につなげるべきだといった意見もございました。  これらを受けまして、多様な文化圏からの旅行者への対応強化の取り組みにつきましても、具体的な施策の方向性が明記されているところでございます。 ◆谷沢俊一 委員  審議会の主な意見という資料の2ページ目で、創造戦略5−4にもありますが、やはり、よりわかりやすさを向上させるために、例えば有望な海外プロモーション先を例示するなど、そういったプロモートを意識した項目がわかるように表現すべきと書いてありますので、ここは配慮したほうがいいのかなと思います。  それから、市内企業による輸出などの国際展開について、関連して伺いたいと思います。  観光客の誘致はもとより、これから進出していく、すなわち積極的に海外展開を図るという視点も極めて大事だろうというふうに思います。今、東南アジアの成長が非常に著しく、そういう地域への進出はもちろんですけれども、北海道札幌の特性、地政学的に見てもロシアなどの北方諸国は札幌にとっても大きなビジネスチャンスが出てくるのではないかというふうに思っています。  そこで、質問でございますけれども、審議会においては、国際展開に関する議論はどういったものがあって、素案にどのように反映されたのか、伺いたいと思います。  また、その議論を受けて、市として、今後どういう方向で国際展開を図っていこうとするのか、あわせてお伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  戦略編におけます国際展開の取り組みにつきまして、まず、審議会での議論と素案への反映状況についてお答えいたします。  審議会におきましては、人口減少社会の到来によります経済規模の縮小への懸念といったことを踏まえまして、世界の活力を札幌に取り入れていく視点が重要だといった議論がなされてまいりました。こうしたことから、道内循環を高めて道外需要を取り込む手法と基盤づくりを目指す創造戦略5の都市ブランド創造戦略におきまして、例えば、断熱住宅などの積雪寒冷地向けの製品、技術を持つ企業であったり、北海道の強みである食関連産業などがアジアや北方圏に海外展開できるよう、積極的な支援に取り組むことを位置づけてございます。加えまして、グローバルに活躍できる人材を育成するために、若者の海外経験を促す取り組みといったことであったり、企業のグローバル人材の確保、支援などの取り組みも盛り込んでいるところでございます。  続きまして、今後の市の取り組み方向性についてお答えいたしますが、現在、まちづくり戦略ビジョンの策定に並行いたしまして、その実施計画である国際戦略プランの作成に取り組んでございます。ビジョンに掲げました施策の方向性に沿った具体の取り組みにつきましては、このプランの中に盛り込みながら、組織横断的な取り組みを進めてまいりたい、このように考えてございます。 ◆谷沢俊一 委員  方向としてはわかりました。特に、新たに国際戦略ビジョンというものを策定したいということでございます。さきにプーチン大統領と安倍総理の会談もございまして、北海道からも、北海道銀行ですか、経済的な交流というか、支援について打ち合わせをしてきているということがありました。恐らく、ロシア等を見ますと、当然、環境の問題、それからエネルギーの問題、あるいは医療のある意味での支援、さらには食料、ロシアにはそういったさまざまポテンシャルがあると思います。そういう意味では、そこをもうちょっと意識した中身にしてはどうかなと。さっとしか読んでおりませんが、そこはもうちょっと強調していいのかなという印象を持ちました。これは僕の感想です。  もう1点だけお伺いしたいと思います。  先ほども伴委員からさまざまな指摘がございました。区役所の機能強化、そして地域を総合的に支援していくという話もありましたし、区役所と本庁機能の連携やあり方についても効果的な行政組織体制を構築するということが記載されております。身近な地域におけるコーディネート機能というものを強化していきたいということは、非常に大切であるとは思いますけれども、地域活動、特に現場の最前線に行けば行くほど、そこにかかわる人の資質というのが非常に大切になってくるというふうに思っています。例えば、まちづくりセンターでは従来から技術職の方もセンター長になっていますが、最近は保健師の方もセンター長として配属されております。健康づくりあるいは地域福祉の観点から言うと保健師の配属は好ましいことではありますが、もう一方で、その方に、いわゆる地域を結びつけてコーディネートできる、そういうマネジメントをできる資質があるのかどうかということもやはり求められてきます。人をまとめていくというか、オルガナイズしていく能力がなければ、保健的な視点からはまちづくりにかかわれるけれども、やはりその機能を十分に果たせないのだろうというふうに思うのです。そういう意味では、こうした計画を実現していこうとすれば、市の職員のいわゆる多面的な資質がいやが上にも求められてきます。  最近、まちづくりセンターは大変に多忙を極めているというふうに聞いておりますけれども、ただ多忙を極めているだけでは解決しません。やはり、組織化する、マネジメントするさまざまな能力をしっかりと身につけておかないと、苦労するだけ苦労してというふうになりかねないわけです。そういう意味では、本当に行政組織体制の強化を図ろうとするのであれば、そうした業務をしっかりと担える職員の育成、人づくりが極めて大事だろうと思いますので、そういうスキルをどのように身につけていくか、そして、その人たちを適材適所に配属する仕組みもシステムとしてしっかり考えていく必要があるというふうに思います。そういうふうに、地域の特性に合った人づくり、それから、先ほどもありましたが、国際化ということでグローバルな視点で交渉できるようなスキルを持った職員の育成と、やはり、これからはキャリアデザインという戦略がさまざまに求められるのだろうというふうに思います。  そこで、戦略編に関する審議会での議論において、市職員の育成、人づくりといった観点に関してどのような議論があったのかどうか、あったとすればどう位置づけられているのか、お伺いいたします。 ◎石川 政策企画部長  戦略編におけます市職員の育成の取り組みといったことについてお答えいたします。  審議会におきましては、委員がご指摘のとおり、例えば、区役所やまちづくりセンターの職員について、積極的に地域に出向いてネットワークをコーディネートできる能力の必要性といったことでありましたり、また、保健師を初めとする専門職について、その専門性を生かしながら、地域に密着した活動を行うことの重要性などの議論があったところでございます。また、国際的な観光戦略を推進するためには、語学に加えまして、ホスピタリティーなど観光学を学んだ人材の活用が大切だといったような意見もあったところでございます。  これらを踏まえまして、今回の戦略編では、第3章の変化に対応できる組織といった部分におきまして、人材が経営資源として重要であることを再認識し、市民ニーズや行政課題の変化に的確に対応できる職員の育成を行うといったこと、また、これらの職員を適切に配置することによって戦略の効果的な展開を支えていくことが盛り込まれているところでございます。 ◆谷沢俊一 委員  よくわかりました。  これまで、人を育ててこなかったのかというと、研修制度がありますから、そういうことではありませんが、ただ、どちらかというと、個人の資質をピックアップして配置していくというやり方から、やはり、組織的に人材をどう育てて適材適所に配置していくか、そういう職員づくりに本気になって取り組んでいただきたいなというふうに思っております。 ◆伊藤理智子 委員  私からも、質問させていただきます。  今回の戦略編で今後10年間の計画を具体的に進めていく上では、自治体として、現在の経済の状況、また今後の経済の状況を責任を持って見きわめて考えていく必要があると思っています。  来年4月の消費税の増税で8%、再来年には10%に引き上げられようとしていることから、予定どおりに実施されれば、消費税増税だけで13.5兆円、その他の増税や社会保険料の値上げなどを合わせれば20兆円もの負担増になります。1997年に行われた消費税の増税などで9兆円の負担増になりましたが、経済が一気に冷え込み、国民に大打撃を与えました。今回の消費税の増税は、当時の2倍以上の負担増です。働く人の年収は、この4年間で21万円も減っています。さらに、年金額の削減は、これから3年間で総額1兆3,000億円もの所得と消費を減らすことになります。また、過剰な投機によって既に食料品や光熱費の値上げ、特に光熱費では北電が家庭向け電気料を10.2%値上げするよう国に申請しているところです。諸物価の値上がりが市民生活と営業を圧迫しています。収入がどんどん減っているにもかかわらず、消費税で重たい負担を強いるなら市民の暮らしは大打撃です。全国でも所得の低いと言われている札幌市でこんな負担増が強行されれば、貧困にますます拍車がかかり、経済が冷え込んでしまうと考えます。  札幌市が市民の暮らしの防波堤となるような具体的な施策が求められていると考えますが、戦略ビジョンについて、本市として、今後の経済の見通しをどのように認識して、どう対応していこうとされているのか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  まちづくり戦略ビジョンの審議におきます今後の経済見通しの認識ということでございますが、今後、札幌市では生産年齢人口の減少が見込まれております中で、これに相関する形で札幌の経済規模の縮小が懸念されております。加えまして、道内の人口は札幌よりもさらに急速に減少していくことが見込まれておりまして、地域消費型の経済構造であります札幌並びに北海道に深刻な影響を与えることが予想されておりますことから、北海道経済全体の活性化を見据えた上で、札幌、北海道の魅力や強みを生かしつつ、新たな付加価値を創造することによりまして足腰の強い経済基盤を確立していくことが必要であると認識をしており、これらにつきましてはビジョン編の中にもしっかりと明記されているところでございます。  なお、景気動向に関しましては、長期的な見通しは国などにおいても示されておりませんので、今回のビジョンの検討に当たりましてもその見通しは示しておりません。  それから、今後どうしていくのかといったことでありますけれども、ご質問の中に貧困といったことがございましたが、貧困の根本的な解決に向けましては、市民1人当たりの所得を高めていくことが何よりも重要であるという認識から、その必要性をビジョン編に明記しておりますし、また、選択と集中を図るテーマの一つとして、このたび、産業・活力をしっかりと明記し、位置づけたところでございます。  そこで、戦略編におきましては、新たな価値の創造によります産業の高度化でありましたり、道内循環を高め、道外需要を取り込む手法と基盤づくり、さらには、将来の札幌・北海道経済を支える人材の育成、活用などの観点で、企業誘致や産業育成、さらには女性が活躍しやすい環境づくりなどさまざまな取り組みについて産業・活力の分野の創造戦略に盛り込んでいるところでございます。また、全ての市民が社会に参加できる地域づくりを目指して、先ほどもご質問がございましたが、共生社会創造戦略の中には、長期間、未就労の生活保護受給者などの就労困難者に対する支援の強化でありましたり、ひとり親家庭への就業支援、さらには障がいのある方の就労機会の拡充などについて盛り込んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、これらの取り組みについて、今後、予算化とか実施計画への位置づけを行うことによりまして着実に事業を展開してまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  所得を高めていくという視点は、私たちも一致できるし、やはりそこを強化していかないと、本当に市民の暮らしが冷え込んでいる状況ですから、深刻だと思うのですね。ただ、景気の見通しは長期的には難しいというのはわかるのですけれども、今、政策を出されている状況の中では、ことしから年金が引き下げられますね。来年から消費税が上がる、それから、北電が電気代を上げると言っていて、今、こういう具体的な負担増が出されてきていますから、市民の可処分所得が減って貧困化がますます進んでいくことになるというふうに私どもは懸念しております。  そういう中で、私も戦略ビジョンを見せていただいたのですが、今、部長からいろいろな貧困対策が掲げられていると答弁がありましたけれども、どう見ても、孤立の問題や貧困問題の対策の観点が非常に弱いな、押し出しているところがなかなか見えづらいなというふうに思うのですよ。それは、昨年の1月に40代の姉妹が孤立死するという痛ましい事件がこの札幌市で起きて、二度とそういう悲惨な孤立死を起こさないために対策をしていかなければならないということになってきたのですが、7月には50代の男性が孤立死されて、11月には80代のお母さんと60代の息子が孤立死すると、全国の中でも孤立死される方の割合が非常に多いというか、1年間を見ただけでもこういう状況になっていて、収入が途絶えて誰にも相談できずに社会から孤立してしまった痛ましい事件が起きています。  どうしたら孤立死をなくしていけるのか、これは、戦略編にも掲げてはいますが、もっと具体的な対策が必要ではないかなというふうに思うのですね。戦略ビジョンでは、高齢者の孤立対策については割と具体的に書かれていますけれども、実際に起こった孤立死は高齢者だけに限っていないという現状について、しっかりと受けとめて戦略ビジョンに反映させるべきだというふうに思うのです。40代、50代の方が亡くなっている、働き盛りの方が亡くなっていて、そういうところの視点も強化していくことが非常に大事ではないかなというふうに思うのです。  こうした孤立対策について、どう受けとめて、どう教訓化し、どう対応していくのかが非常に問われていると思うのですけれども、貧困へのさまざまな対策について、今後、戦略ビジョンでどういうふうに進めていくのか、伺いたいと思います。 ◎石川 政策企画部長  先ほど答弁いたしましたとおり、まず、貧困対応の根源、根本的な解決のためには、市民1人当たりの所得を高める産業・活力の分野に力を注いでいくこと、そして、一方では、一つ目のテーマの暮らし・コミュニティの創造戦略の1のタイトルは市民が孤立することのない地域づくりであります。したがいまして、我々行政の公助と地域の見守りの共助をミックスしながら強化することで、誰もが孤立することのない地域づくりという創造戦略1をつくり上げておりますし、その概念がまさに創造戦略2の共生社会創造戦略でございます。ですから、一方だけではなくて、地域、我々、さまざまな場面を総合的に駆使しながら、今、ご質問があった問題に取り組む方向性を示しているものと考えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  思いはよくわかりますけれども、この文章だけを読んでいると、非常に弱いな、伝わってこないなというふうに思うものですから、ぜひ、そういう強い思いを持って取り組んでいくのだということがわかるように提案していただきたいと思うのです。  全体的な戦略ビジョンの中で、やはり、戦略の具体化がきちんと行われていっているのかどうか、点検評価と見直しというところもありましたが、そういう視点も非常に重要だなというふうに思っています。今、この計画が立てられている中でも、札幌市では既にいろいろな課題が出てきていると思うのです。具体的に言いますと、歩いて暮らせるまちづくりでは、既に東区の北丘珠のスーパー寿が廃業して、この地域に住んでいる人たちは歩いて買い物に行けるお店が近くになくて困っているというお話を聞いております。また、北区では、イトーヨーカドーが撤退するとのうわさがあり、その周辺住民が歩いて通えるお店がなくなると困ると心配されているというお話も伺っておりますから、こうした問題についても具体的にどうしていくのかという対策が求められていると思います。  また、高齢者住宅では、行政が責任を持ってきちんと基準づくりを行い、行政指導を強めていかなければ、貧困ビジネスという危惧される問題も出てきます。また、介護報酬が低いことで、こうした高齢者住宅や、そこに一緒にかかわっている地域包括支援センターとか、そういうところの職員が長く働き続けることができずに職員が短期でころころと変わってしまうという課題もたくさん聞いています。  高齢期に安心して暮らせる対策についても非常に強化していくことが求められているというふうに思っているのですけれども、この戦略ビジョンの計画を進めていくに当たって、山積する課題についてきちんと対応できているのかなど、進捗状況をチェックしていくことが求められていると思います。こうした課題を検証していく上でも、どのような体制で戦略の具体的な進捗状況を点検し、見直しを進めていくのか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  進捗管理の具体的な方法といったことについてお答えいたします。  戦略編におきましては、その実現性を確保するための目安といたしまして、創造戦略において目標とする成果指標、さらにはロードマップを設定したところでございまして、今の新まちづくり計画がそうであるのと同様に、戦略ビジョンについても、毎年、進捗状況を点検、評価した上で、数値を公表しながら明確な進捗管理をしてまいりたいと考えております。また、ビジョンに基づきまして今後策定されます新まちづくり計画や各個別計画の実施計画におきましては、より多くのさまざまな指標を掲げながら進捗管理を行うことで、トータルとして着実な推進を図ることを想定してございます。 ◆伊藤理智子 委員  やはり、経済がすごく冷え込んでいる中で、今後10年間の札幌市をどうしていくのかという非常に大切な戦略だと思います。一つ一つが大き過ぎて、大切なところがたくさんありますが、その一つ一つがしっかりと市民のための具体的な戦略になっていくことが非常に重要です。市民の個人消費を高めていく上でいろいろ提案されておりますが、やはり、具体的に中小零細業者とか、働く人たちの収入が確実にふえていくような対策というのは、国の責任になっていくのでなかなか自治体が主体的にやっていくのは難しいのかもしれません。しかし、例えば、今、札幌市でいろいろと具体的にやっている住宅リフォーム条例とか公契約条例とか、直接、働く人たちや中小零細業者の方々の収入をふやしていけるような対策を着実に積み上げてきているものもありますから、そういうことも生かした上で戦略を具体化していっていただきたい。  それから、貧困対策についても、そういう視点を持っているけれども、孤立されている方が社会から隔絶されているというか、一人でこもってしまうところもあります。そういうところに温かい手を差し伸べて、貧困などで困っている人たちを救い上げながら、札幌市全体がどのようにして温かいまちになっていくかという視点が非常に重要だと思いますので、ここのところもしっかりと、市民の皆さんが見て、ああ、札幌市はこういうところに力を入れて頑張っているのだなとわかるようなビジョンにしていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からも、質問させていただきます。  これまで、札幌市におけるさまざまな課題について段々の質疑がなされてきましたけれども、まちづくり戦略ビジョンは、人口減少、超高齢社会といった課題を見据えて、市民が主役のまちづくりを進めるために、市民と企業と行政がともに目指すべきまちの姿を共有した市民計画であるというふうに示されていると認識しています。私たちもそうあるべきだと思っているものですから、これまでの代表質問や常任委員会の質疑を通して確認してきたところであります。  まちづくり戦略ビジョンの策定におきましては、昨今の子どもたちが置かれている非常に厳しい状況を踏まえて、子どもや若者が生きることに希望を見出せる施策が何よりも重要ではないか、何よりも優先して取り組むべきではないかという考えから提案してきたところであります。私たちはそうした提案を受けたというふうに思っておりますけれども、このまちづくり戦略ビジョンの基本理念として、札幌の未来をつなぐ子どもたちのためにという文言を第5章で掲げられたこと、また、第4章の基本目標の中で子ども、若者として一節を設けられたことを評価しているところであります。そして、市民計画であるビジョンを実現するための戦略編ですが、ビジョン編で掲げたさまざまな概念、計画を実現するために、社会経済情勢を踏まえた都市経営戦略として、今回、戦略編の素案が示されましたけれども、このまちづくり戦略ビジョンの理念がしっかりとここに反映されることが重要だというふうに考えているところです。  そこでまず、1点目の質問ですけれども、まちづくり戦略ビジョン戦略編に関する審議会の議論において、ビジョン編で掲げた基本理念をどのように受けとめ、そしてどのように反映しようとしているのか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  審議会での議論におきまして、ビジョン編で掲げた基本理念をどのように受けとめ、どう反映していくかということですが、委員がご指摘のとおり、札幌の未来をつなぐ子どもたちのためにというビジョン編の基本理念につきましては、この戦略編にもしっかりと継承していくために、資料3の冒頭1ページ目に記載する戦略編の策定趣旨の中に、将来の札幌を担う子どもたちの明るい未来を願い、先人たちがこれまで培った都市の魅力を更に高める努力をした上で、このまちの輝きを次世代に引き継いでいかなければならないといった文章をまずしっかりと明記しているところでございます。  これを受けまして、第1章の創造戦略では、例えば、学校と地域が一体となった子どもの学びを支える仕組みづくりといったことでありましたり、また、創造性豊かな子どもを育成する教育プログラムの充実、さらには環境教育の推進など、三つのテーマ全てにおきまして、子どもの成長を支援し、まちづくりにつなげていく取り組みが盛り込まれているところでございます。また、第3章の行財政運営の視点におきましても、子ども議会とのさらなる連携などを通じて、さまざまな世代の声を適切に市政に反映していくことを明確に位置づけるなど、ビジョン編に掲げる基本理念につきましては戦略編にもしっかりと反映されているものと考えております。 ◆石川佐和子 委員  ビジョン編に掲げられた基本理念をこの戦略編にもさまざまな観点からしっかりと盛り込んだという答弁をいただきました。  これまでの質疑の中にありましたけれども、文章は確かにできているけれども、今後、これをどういうふうに実現していくかということが非常に重要だなと思いますので、その辺は、これからも子どもや若者等の意見を踏まえた取り組みをしっかりと実現していくことに重きを置いていただきたいと思います。  それから、今は子ども、若者の観点でお伺いしましたが、次に女性の観点でもう一つ質問いたします。  経済社会や地域社会の活性化を進めるために、今回、戦略編の特徴として、女性の潜在力を生かした経済の活性化ということを新たに盛り込んだというご答弁が先ほどありましたが、女性の潜在的な力を生かすことは、男女共同参画社会の実現に向けても本当に重要なことだなと思っているところです。この戦略編における産業・活力という項目の創造戦略6の産業人材創造戦略という中で、ワーク・ライフ・バランスの取り組みや働きながら子育てができる環境の充実という文言が盛り込まれていることは、評価するところであります。  そこで、質問ですけれども、ワーク・ライフ・バランスの促進や、子育て支援環境の充実などについて、産業・活力の柱として位置づけておりますけれども、柱として位置づけた経緯、理由など、審議会における審議がどうだったのかについて伺います。 ◎石川 政策企画部長  ワーク・ライフ・バランスや子育て支援の充実を産業・活力の柱に位置づけた経緯でございますが、審議会におきましては、まず、札幌市の現状として、全人口に占める女性の割合が政令指定都市の中で一番高い一方で、女性の有業率は全国平均を下回っている特徴があるという指摘を受けたところでございます。そうした中、今後の人口減少社会の到来と、それに伴う経済規模の縮小への懸念を考えた場合、女性がみずから持つ力を最大限に発揮して活躍できる環境づくりを行うことが、まちの活力の維持にとって極めて重要であるとの議論がなされてきたところでございます。こうしたことから、創造戦略6の産業人材創造戦略におきまして女性が活躍しやすい環境づくりに取り組むということを明確に位置づけたところでございます。 ◆石川佐和子 委員  女性が活躍できる環境づくりというのは、本当にもっともだな、非常に大事なことだなというふうに思います。  毎年、札幌市が市民アンケート調査を行っている中で、昨年、ワーク・ライフ・バランスについての設問がありました。ワーク・ライフ・バランスという言葉を知っていますかという設問だったのですが、知っていると回答した人が約20%に対し、約60%が知らないという回答だったのですね。これは18歳以上で任意に選んだ1万人のうちの約半分ぐらいの方にご回答いただいたアンケートですが、本当にそういうところからのスタートだなというふうに思うのです。これは常に課題として言われていると思うのですが、まだ女性が活躍できる環境づくりの途中であるという認識を持ちながら、その環境づくりのために、男女共同参画に関する意識啓発を進めるところからまず取り組んでいただきたいというふうに思います。  最後の質問ですが、戦略編ビジョン編をまとめられているのですが、こういった考え方について市民とどういうふうに情報共有していくかという観点におきましては、わかりやすさを徹底することがやはり一番重要ではないかなと思うのです。ビジョン編の策定過程においては、パブリックコメントを通して、大人146名、384件の意見を合わせて、特にキッズコメント、子どもの意見が1,200人ぐらいですか、2,300件ぐらいの意見が寄せられ、また、その意見を踏まえて文言修正したという取り組みがあったことは評価しています。  また、それができたというのも、子どもの意見募集用の小冊子を作成されて、情報周知をわかりやすく行うということを心がけたということで評価したいと思います。  戦略編は、先ほどから何回も言っているのですけれども、行政計画でありまして、市民が社会に参加できる地域づくりなど、市民生活に大きくかかわる計画でありますから、本当に情報共有が重要であるというふうに考えます。  そうした観点から、ビジョン編と同様に、わかりやすい情報公開を行うべきでありまして、今後のパブリックコメントの予定も先ほどお伺いしましたけれども、こうした機会を利用して積極的に広報すべきだというふうに考えます。  そこで、最後の質問ですけれども、戦略編パブリックコメントを行う際に、特に学生や若者、子どもたちの意見を聞き取る工夫をするべきだというふうに考えますが、そういった予定はあるのかどうか、伺います。 ◎石川 政策企画部長  パブリックコメントについてお答えいたします。  パブリックコメントの実施に当たりましては、広く市民の皆様からご意見をいただくことはもちろんのことですけれども、委員がご指摘のとおり、将来のまちづくりの担い手となります学生や若者、子どもたちからもご意見をいただくことは重要だと認識しています。  そこで、ビジョン編におけるパブリックコメントでは、市内全小・中学校にキッズコメント版の配付を行い、学校の授業でも取り上げていただき、その結果、1,000人を超える多くのお子さんからご意見をいただきました。今回の戦略編におきましても、ビジョン編と同様にキッズコメントは行います。また、新たな取り組みといたしまして、今、市内の大学生など若者との意見交換会といったことも計画をしているところでございまして、引き続き、学生を初めとする若者や子どもたちから幅広く意見をいただく取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  今、キッズコメントはもう一度やるということと、大学生との意見交換を行うということを伺いました。さらに、パブリックコメントの効果的な手法等も検討されるということを要望したいと思います。  それから、パブリックコメントの際に公開する冊子づくりについても、わかりやすく――わかりやすくというのは、わかっている人がわかりやすいと思っても、わかりやすいということにならなくて、子どもに見てもらう、若者に見てもらう、そういう視点で本当にわかりやすさということを確実に実現していただきたいと思います。  最後に、一つ意見ですけれども、第1章の創造戦略の中には成果指標というのがいろいろ書き込まれております。その成果指標の横に基準値と目標値という設定があります。この基準値という言い方ですけれども、その基準値の下に値があると、その値がいいか悪いかはっきりしない中で、あたかもその値が基準になるというような誤解というか、そういう印象を与えると思うのですね。なので、基準ではなく、私は実測値というふうに言ったほうが的確ではないか、それに対する目標値というふうにしたらいかがかと思いますので、ご検討ください。 ○こじまゆみ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○こじまゆみ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後3時41分...