札幌市議会 2013-03-05
平成25年第一部予算特別委員会−03月05日-04号
平成25年第一部
予算特別委員会−03月05日-04号平成25年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第4号)
平成25年(2013年)3月5日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 34人
委 員 長 阿知良 寛 美 副委員長 飯 島 弘 之
委 員 宮 村 素 子 委 員 勝 木 勇 人
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 村 松 正 海 委 員 村 山 秀 哉
委 員 よこやま 峰子 委 員 宗 形 雅 俊
委 員 川田 ただひさ 委 員 北 村 光一郎
委 員 伴 良 隆 委 員 川口谷 正
委 員 西 村 茂 樹 委 員 小 野 正 美
委 員 ふじわら 広昭 委 員 三 宅 由 美
委 員 桑 原 透 委 員 しのだ 江里子
委 員 宝 本 英 明 委 員 山 口 かずさ
委 員 村 上 ゆうこ 委 員 中 村 たけし
委 員 涌 井 国 夫 委 員 三 浦 英 三
委 員 芦 原 進 委 員 福 田 浩太郎
委 員 井 上 ひさ子 委 員 坂 本 恭 子
委 員 小 倉 菜穂子 委 員 石 川 佐和子
委 員 金 子 やすゆき 委 員 木 村 彰 男
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開 議 午後1時
○阿知良寛美 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項ですが、宮村委員からは遅参する旨、阿部委員からは北村委員と交代する旨、届け出がありました。
議事に入ります前に、委員長から、一言、お願いがございます。
きょうは、ご承知のとおり、両方合わせて26名が発言を予定されております。これまでの委員会の時間を見ますとおよそ午後10時ぐらいまでかかるのではないかということでございますので、質問において、理事者の答弁を確認する必要もあると思いますが、再質問、再々質問するときには、極力、省いていただきたいと思います。また、答弁する理事者の皆さんにおきましては、質問者の意を酌み取って簡潔に答弁をお願いしたいと思います。
それでは、議事に入ります。
初めに、第2款 総務費 第1項 総務管理費中
市長政策室関係分の質疑を行います。
◆石川佐和子 委員 私から、1点について、市民の声を政策に反映する、その名も
市民意見政策反映事業について簡潔に伺います。
市民自治が根づき、さらに進化していくためには、市民の声を聞くことに力を注ぐことは非常に重要なことだというふうに思います。市長も、これまで、
タウントークを皮切りに、非常に力を込められて、市政への積極的な市民参加を促すための働きを進められてきたと思います。さきの代表質問におきまして、私
ども市民ネットワークは、小倉議員を通して、市民が自治するまちづくりについて質問を行い、その中で、市民の要望や提案を実現する
市民意見政策反映事業を市民参加のツールとして十分に生かせるように制度化すべきという提案を行ったところであります。こうした市民意見を政策に反映する事業がある一方、さまざまな地域で市政に対する考えや意見を持っておられる市民が、その声をどのように伝えてよいのかわからないという意見も多数聞いているところであります。
そこで、質問ですが、札幌市は、こうした市政に対する提言や要望といったいわゆる市民の声をどのような方向で受け付けておられるのか、また、そうした声は年間どれくらいの件数が寄せられているのか、伺います。
◎林 広報部長 市民の皆さんから寄せられるご意見をどういうふうに受け付けているかということと、その件数についてご質問がございしまたので、お答え申し上げます。
市役所には、毎日、市政に関する提言、要望、あるいは苦情など、極めて多数寄せられているところでございます。このほか、各事業を所管する担当部局に直接寄せられるものもございますし、それから、市民の声を聞く課、あるいは各区の広聴係といった広聴部門にも数多く寄せられておりまして、これに対応しているところでございます。広聴部門に寄せられる件数を申し上げますと、平成23年度には全体で8,916件ございました。そのうち、市政に関する意見、アイデアなどの提言が216件、市の事務事業についての改善要求など、いわゆる要望が6,589件でございまして、提言、要望を合わせますと6,805件でございまして、全体の7割以上が市政に関する何らかの提案となっている状況でございます。
◆石川佐和子 委員 非常にたくさんの要望や提言を受けておられることがわかりました。
次に、
市民意見政策反映事業について伺います。
市政への市民参加を進め、市民が自治するまちづくりを実現するために、市民との情報共有はもとより、市民の声が市の施策や事務改善に反映されていくことが非常に重要だと思います。こうしたことを積み重ねることで、市民と行政の信頼関係がだんだん培われていくというふうに考えます。先日、
市民意見政策反映事業について所管している市民の声を聞く課にお話を伺ったところ、
市民意見政策反映検討会議というものがございまして、政策への反映に向け、ここで市民の声が検討されていると伺いました。
そこで、質問ですが、
市民意見政策反映事業について、市は、その必要性についてどのように認識されておられるのか、また、
市民意見政策反映検討会議とはどのような会議なのか、また、これまでに施策に反映した件数や具体的な事例をあわせてお伺いいたします。
◎林 広報部長 まず、
政策反映事業の必要性の認識についてでございますが、先ほどお答えしましたとおり、市役所には毎日毎日たくさんの市民から貴重なご意見をお寄せいただいてございますので、それを少しでも多く市政につなげていくことが市民自治を進めるためにも極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
それから、
政策反映検討会議についてでございます。
市民の皆さんから寄せられたご意見の中には、実にさまざまなご意見がございますので、そのうち、この検討会議で検討いたしますのは、検討に時間がかかるけれども、重要なもの、例えば、制度改正が必要なものであるとか、お金がかかるものとか、しっかりと検討すべきご意見についてこの会議で検討しているものでございます。会議のメンバーでございますが、政策部門でございます政策企画部、それから、行政改革を所管している改革推進部、さらに提案内容に関係する事業部局、そして、私ども広報部で構成しているところでございます。具体的な政策への反映方法について検討、協議を行いまして、実現できるものを市政に反映しているところでございます。
なお、寄せられるご意見の中には、検討会議にかけるまでもなく、時間をかけずに対応が可能と思われるものも多数ございますので、その場合には、事業を所管する担当部局のほうで責任を持って対応するという仕組みにしております。
それから、市政反映の件数というお尋ねでございます。
これは、
政策反映検討会議など、私どもが把握しているものは、平成23年度の実績で申し上げますと25件となっております。近年の事例を申し上げますと、
東日本大震災の際に札幌市へ避難してこられた方々に対して敬老パスを特例的に随時交付する制度を新設したこと。それから、札幌観光に役立つ情報を集めた無料の
スマートフォン向けのアプリ、札幌いんふぉというものを導入したこと。それから、つい最近の事例で申し上げますと大学生版広報さっぽろの発行などがございます。
◆石川佐和子 委員 今の答弁で、
東日本大震災で被災された方への速やかなサービスとか、広
聴リポーターである大学生の意見に基づいて発行された大学生向けの広報とか、たくさんのそうした提案が生かされていることがわかりました。こうした検討会議での横断的な検討を行って、市民から寄せられた意見を市政の政策として反映していくこの制度は大変重要なものだと私も認識をしております。こうした制度をもっとたくさんの市民が活用するべきだというふうに考えているところですが、残念ながら、この制度は余り知られてないというふうに思います。
そこで、質問ですけれども、こうした
市民意見政策反映事業が広く市民に周知されていないことについて、今後、積極的にPRをしていく必要があるというふうに考えますが、市としてはどのようにお考えか、伺います。
◎林 広報部長 この事業のPR強化ということでございます。
今、委員がご指摘されましたとおり、まずは、札幌市でこういう事業をやっているのだということをもっともっと多くの市民の皆さんに知っていただくことが大切だと考えてございます。そこで、今後の取り組みといたしましては、市の
ホームページの中に、広聴事業の一つとしてみんなの声を市政に生かしますというコーナーがございますが、このコーナーをもっとわかりやすいものとなるよう見直しを行ってまいりたいと考えてございます。それから、広報さっぽろを活用することもあわせて行ってまいりたいと考えておりまして、事業のPR強化におきまして取り組んでまいる考えでございます。
◆石川佐和子 委員 市民の一人一人が自分の気づきに基づいて要望や提案を行い、それが政策に生かされているという実感を持つことが非常に重要だと思います。今、
ホームページの見直しとか、広報さっぽろの活用の検討とか、改めてこれから考えていかれるということですので、そうしたことをしっかり行っていただき、こうした
市民意見政策反映事業の充実を含め、積極的なPRを行っていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆
金子やすゆき 委員 私は、
テレビ番組による広報業務につきましてお尋ねさせていただきます。
札幌市は、四つの放送局の
テレビ番組を使って、毎週、広報番組を持っております。正直なところ、私は、実はこれらの番組を一度も見たことがありませんが、まず最初にお伺いしたいのは、札幌市がテレビ広報を実施する意義についてどのように考えておられるのか。
それから、
テレビ番組というのは全道放送ですから、放送は札幌市だけではなくて北海道全域に流れております。全道540万人の道民の中で札幌市は190万人ちょっとですから、単純に考えると3割ぐらいの世帯にしか届かず、残り7割は札幌市民ではない方に電波が届いていることになると思いますが、札幌市民の市税を使ってつくった番組がどれだけの人に届いているのかという点から考えて、その費用対効果についてもお考えをお示しいただきたいと思います。
◎林 広報部長 まず、こういう広報番組をやっていることの意義ということでございます。
私どもは、いろいろな媒体を使いまして、札幌市の市政を市民の皆さんに情報提供させていただいております。毎月、広報さっぽろを各世帯にお配りしたり、それから、
ホームページで、日々、新しい情報をお届けしたり、そのほかにもまち中にある
大型ビジョンとか、いろいろな手法を活用しておりますけれども、やはり、テレビ、ラジオというのは非常に有効な部分があると考えてございます。私どもは、広報についての
アンケート調査を行ったことがございまして、その中で、テレビで市政の情報を得ていると、あるいは得たいという方も多数おられます。これは、高齢化が進む中で、こういった媒体に接している方がこれからどんどんふえてまいります。やっぱり、高齢の方はテレビに日常的に接している部分が多いと考えておりますので、テレビ、ラジオの番組も有効であるというふうにとらえているところでございます。
それから、もう一つ、市外への放送等のお話がございまして、費用対効果についてどういうふうに考えているのかということでございます。
視聴率の調査を行っておりまして、テレビの場合、今年度はまだ途中でございますが、全体の平均で視聴率3.5%。それから、ラジオの場合は、平成24年度分はまだ出ておりませんので、23年度分で言いますと2.2%となっております。この視聴率が高いか低いかについては、いろいろと考え方があるかというふうに思いますが、単純に、テレビの場合は先ほどの視聴率に世帯数を掛けますと1回当たりの放送で約3万2,000世帯がごらんになっている、ラジオの場合は4万2,000人が聞いているという計算ができます。さらにコストをその人数で割り返しますと、テレビの場合は1番組1世帯当たりのコストが8.2円、ラジオは1番組1人当たり1.5円という計算になります。札幌市外の方にそういう放送を聞いていただいているとか、見ていただいているとか、もちろん委員がご指摘の趣旨はわかりますけれども、私どもとしては、そういったコスト計算をした上で費用対効果についても十分効用があるものだと考えているところでございます。
◆
金子やすゆき 委員 大変具体的な数字を用いたご説明をいただきまして、よくわかりました。
1回当たり3万2,000世帯の方がごらんになっているのだということでありますが、そこの後にお聞きしたいのが、まさに、今、部長がおっしゃった費用対効果の関係です。この4本の番組をどんなふうにつくっているのかということで、四つの放送局の各番組の1本当たりの制作費、放送費でしょうか、これを出していただきましたところ、各放送局によってばらばらであります。各放送局によって放送している時間も違いますし、番組の長さ、番組の時間も異なりますが、これはなかなかアンバランスなところがございます。例えば、札幌テレビは、放送時間が一番長くて1回4分間の番組ですが、この単価は1本を1回放送するのに制作費、放送料込みで約22万円という数字になっております。一方で、放送時間が2分30秒のUHBは約36万円ということで、時間が短い方がなぜか放送料が高い設定になっています。また、HTBが放送しているものは、1分間で1回、約50万円です。テレビの世界は一般的には1秒単位で値段がふえていきますので、短い番組が高いというのは普通では余りあり得ないのですが、なぜこのようなことになっているのか、この予算を組んだ積算の根拠についてお尋ねしたいと思います。
◎林 広報部長
テレビ番組の単価が放送時間数と比べて相当ばらつきがあるというご指摘だったかと思います。
もちろん委員もご案内のとおりだと思いますが、当然、放送時間帯によってコストが違ってきます。先ほどHTBの例をおっしゃいましたが、HTBは、1分間ですけれども、朝の出勤時間の前の視聴率が比較的高い時間帯に札幌市の広報についてPRするという番組を流しております。したがいまして、その時間帯によってコストが変わってきているという問題があろうかと思います。
◆
金子やすゆき 委員 私は、このような
テレビ番組の予算を組むのですから、もう少し突っ込んで、どういう積み上げで、制作費はこれこれだ、放送料はこれこれだと具体的なご説明をいただけるのではないかと思っていたところであります。
というのは、今、時間帯によって違うとおっしゃいました。私もかつて放送局に勤めていたことがありますが、時間帯によって違うというのも、朝の時間帯が一番高いのではなくて、いわゆる
ゴールデンタイムという19時から22時の時間帯が一番高いのです。時間帯によって違うのだというご説明がもし仮にそうだとすると、テレビ北海道が放送している「
ウォッチング札幌」という番組があります。これは、
ゴールデンタイムで時間が3分15秒と比較的長い時間帯ですけれども、実は、この局の番組は放送料金が最も安くて1回21万円となっていますから、これは矛盾しているのです。そう考えていくと、単純に時間帯が違うだけの理由ではないのではないかと思うのですけれども、もう一度、そこを突っ込んでご説明いただけないでしょうか。
◎林 広報部長 私どもは、契約に当たって、当然、積算、設計して、
見積もり合わせをした上で契約しているわけですが、一番基礎にしているのは、例えば、
北海道広告業協会が出している広告料金表とか、あるいは、
北海道映像関連事業者協会が作成している
映像制作費積算資料などに基づいて積算いたします。あわせて、単純にそれを足し算するだけではなくて、過去の契約実績も踏襲した上で設計しているものでございます。したがいまして、委員がおっしゃるように、その積算の仕方がどうなのか、単純に時間帯の問題だけではないのではないかということでございますが、要素としましては、番組をつくる制作費と放送するための放映料という二つがかみ合っております。番組の制作に係る費用と、視聴時間帯による高い、低いということとあわせて、私どもとしては適正に積算をした上で契約につなげているというふうに認識しているところでございます。
◆
金子やすゆき 委員 その積算については、業者からきちんと見積もりをとり、
見積もり合わせを行って適正にやっているということでした。
しかし、今年度の下期から財政局のほうで始めております随意契約の理由の公開という資料が手元にありまして、これはインターネットなどでも公表されておりますが、私は、極めて違和感を持ってこれを見たのです。
市長政策室広報課が行っている4局に対する
テレビ番組の契約は、いずれも随意契約で行っております。これは、ことしや去年に始まったことではなくて、かなり長くにわたって4局での広報番組について特定の広告会社と
特定随意契約を行っていると聞いております。
この理由は一体なぜなのか、いつからこのような形でやってらっしゃるのでしょうか。
◎林 広報部長 今、委員がご指摘のとおり、広告代理店と
特命随意契約という形で契約を行っております。
この理由でございますが、私どもは、テレビ、ラジオそれぞれ四つの番組について契約しておりますが、契約する場合の条件といたしまして、具体的にどの放送局でどの時間帯に、さらにはどんなような番組を放送するのか、これは私どもが指定した条件としてつけており、それを提供できるのは特定の広告代理店になりまして、
特命随意契約で契約しているところでございます。
いつからかというのは、今、手元に資料がございませんが、広報番組はかなり古くから始めた歴史がございまして、きっとその当初から今と同様の随意契約というやり方でやっているというふうに思います。
◆
金子やすゆき 委員 今、札幌市が希望する特定の放送局で放送するためには決まった広告会社と契約をしなければならない、だから
特定随意契約をするというご説明だったと思いますけれども、もし仮にそのようなルールがないとしたら、いかがなりますでしょうか。その場合でも
特定随意契約になるのでしょうか。
◎林 広報部長 先ほど申し上げたような具体的な条件を変えれば、特命にはならないということもあり得ると思います。
そこで、私どもは、従前から、放送局と直接契約できないのかとか、放送局等といろいろ話をしながら確認してきておりますが、委員がご指摘のとおり、競争性を導入できるものであれば、そうしたほうがいいと。それから、我々は、ただ金額のみでどういう契約をするのかということを考えているわけではなくて、例えば、広告代理店が持っているいろいろな番組制作のノウハウとか、あるいは提案をもらうとか、そういうことも含めてこれまでやってきております。今後においては、競争性の組み込み、それから、効果の高い、質の高い、そういう広報番組になるよう契約見直しについても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆
金子やすゆき 委員 特定の放送局で放送するためには、特定の広告会社で契約をしなければならないというルールはございません。私は、実際に放送局で仕事をしておりましたので、その商習慣はよく承知しておりますけれども、特定の広告会社と特定の放送局を結びつけるというのは、商習慣としてそういうルールはありません。これは、何年か前に、
公正取引委員会が、全国的な放送局の商習慣としてそのようなものがあるのではないかということで調査に入ったことがありますけれども、結果的に
公正取引委員会もその事実を認めることができなかったというケースがありまして、これは証明されております。
そして、きょうは管財部長にもお越しいただいておりますので、関連してお聞きさせていただきたいのは、本年下期から公表されております随意契約の理由です。ここに、今申し上げた
テレビ番組を随意契約に選定した理由として、
番組制作放送業務は、放送界の商習慣から、希望する放送局、番組形態、時間帯を提供できる特定の代理店と契約を締結する必要があることから、契約の性質または目的が競争入札に適さない、と書いてあります。しかし、この記述は事実と異なります。このような事実と異なる理由をもとに随意契約を行うことについて、財政局としてどのようにお考えになっておりますか。
◎木村
財政局管財部長 今、事実と異なるというお話がございましたけれども、私どもでは、事実と異なるということについて確認できておりません。
◆
金子やすゆき 委員 商習慣ということですから、これは民民の間でそういう習慣があるのか、ないのかですが、公取はこうだという話は今申し上げたとおりであります。
それから、今、広報部長から、今後は見直しを検討してまいりたいという前向きな発言がございました。これは、具体的には、平成25年度の予算から、今までのような
特定随意契約は改め、競争性の高い契約を行っていくと理解してよろしいでしょうか。
◎林 広報部長 これからの検討でございますので、具体的な時期について申し上げることはできませんけれども、できるだけ早期に対応できるように検討していきたいというふうに考えてございます。
◆
金子やすゆき 委員 きょうは、まだ3月5日であります。4月から新年度が始まって、4月の番組もあるでしょうけれども、これは、いつの段階で発注する業者を決めたかというと、記録によりますと去年は3月21日に業者を決定しております。今からでもコンペを開き、
プロポーザル入札をして、希望する広告会社に手を挙げていただくというのは、物理的に十分可能だというふうに私は思うのです。くどいようですけれども、随意契約の理由として財政に出している言いわけは、業界のルールからするとこんなことはないというのはもはや明らかでございますので、このままこの言いわけで
特定随意契約を続けるのであれば、
地方自治法違反になるのではないかと私は思うのです。検討するとおっしゃらずに、新年度からすぐにやるように考えていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
◎林 広報部長 どうせ見直しをするのであれば、当然、中身のあるものにしなければなりません。先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり、競争性の原理をどういうふうに働かせるのか、それから、質のよい番組につなげていくためにどうしたらいいのか、見直す場合には幾つかのパターンが考えられると思います。どういう条件設定をして、どういうふうに競争性を働かせ、あるいは、業者のアイデア、ノウハウをどうやって番組づくりに反映させるのか、何が正しいのか、今後考えていきたいと思いますので、それには若干時間がかかるというふうにご理解いただきたいと思います。
◆
金子やすゆき 委員 時間がかかるというのはわかるのですが、くどいようですけれども、随意契約というのはあくまで例外でございます。何度も申し上げていますが、長い期間にわたってこのような虚偽の説明、虚偽の言いわけで
特定随意契約を行ってきたことが明るみに出てしまったわけですから、早急にその体制を整えていただいて、もし上期から無理なのであれば、下期からでもぜひやっていただきたいということを要望したいと思います。
◆よこやま峰子 委員 私は、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟についてと討論型世論調査についての2点お伺いいたします。
最初に、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟について伺います。
札幌市は、2006年3月、創造都市さっぽろ宣言をいたしました。これは、第2次産業が弱い札幌市として、創造性を生かし、さまざまなものに付加価値をつけることで経済活動を発展させるという狙いによるものです。この創造都市さっぽろという取り組みを進めていく中で、札幌市は、ユネスコが認定する創造都市ネットワークに加盟することを決めました。
現在、認定都市は34都市でありますが、札幌を含む約20都市が申請、立候補を表明し、約50都市が申請を検討中であり、順調に行きますと、2〜3年で認定都市が100都市になる見込みであります。申請の分野としては、文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディアアート、ガストロノミー・食文化の七つから成っております。日本からは、現在、名古屋市がデザイン、神戸市もデザイン、そして金沢市がクラフト&フォークアートの分野で加盟しております。札幌は、これまでの取り組みを生かし、デジタル技術と芸術を融合させた新しい芸術表現と言われているメディアアートの部門で登録申請する予定でございました。しかし、ユネスコ本部の事情により、認定どころか、申請の受け付けがとまっている状態とお聞きし、大変憂慮しております。ユネスコの選定いかんによらず、札幌のまちの特性を生かした世界に通用する創造性のあるまちづくりを積極的に進めて、世界的な認知を得られるように取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
そこで、非常に気になっております創造都市ネットワークの加盟に関する状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
◎酒井 プロジェクト担当部長 ユネスコ創造都市ネットワークの加盟の現状と今後の見通しについてというご質問でございました。
ユネスコ創造都市ネットワークの加盟につきましては、委員がご指摘のとおり、2012年、つまり今年度中の加盟登録を目指して準備を進めているところでございます。しかしながら、ユネスコ運営費の最大の拠出国でございますアメリカが、パレスチナのユネスコ正式加盟に反発し分担金の拠出を停止したことで、ユネスコ本部が財政危機に陥り、ネットワークの登録申請受け付け、そして、新規の審査が2011年12月より中断している状況でございます。翌2012年5月に開催されました創造都市ネットワーク加盟国による実務者会議におきまして、11月までに加盟都市にて分担金を支払うことになったとの情報を受けておりまして、その段階では、申請再開への希望を持ったところでございました。
しかしながら、いまだ申請受付は再開されておらず、ことしに入りましてから得た情報では、中国が、今後2年間、創造都市ネットワークへ計30万ドルを拠出し、それにより専門官を雇用することで早ければ本年4月にも申請受け付けが再開される見通しであり、その際には、ユネスコ本部からウェブサイトへの情報掲載であるとか各国に対しての連絡を行うということでございます。したがいまして、申請受け付け再開時には直ちに申請書提出が行えるように、鋭意、準備を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
◆よこやま峰子 委員 状況についてはよくわかりました。一刻も早くユネスコが受け付けを再開してほしいと思う反面、1国による30万ドルの拠出といいますか、そういうこともいかがなものかなとちょっと思うところでありますが、早くしてほしいなと思います。
札幌市は、メディアアートの部分でユネスコネットワークの申請を予定しておりますが、先日の雪まつりの際、人気を呼んだプロジェクションマッピングなどもこの創造都市の取り組みの一環であると思いますので、今後はこのような具体的な事例を多く積み重ねながら、創造都市の目指すところや、その意味について――私は、数人の知人に創造都市はどういうことか知っていますかと質問したところ、創造都市という言葉すら知らない方がほとんどでした。ですから、その意味や意義を市民にわかりやすく伝えていただきたいと思います。
世界的な枠組みの中で札幌市も参加し、都市の発展につなげていくことを大いに期待するものであります。しかしながら、登録をしただけでは意味がないので、それを契機として、札幌の創造都市としての発展にどのように生かしていくかが今後問われていくことと思います。ユネスコの動向を見ながら、しっかりと準備をして、ユネスコ申請に備えていただくことを強く要望いたしまして、この質問は終わります。
次に、討論型世論調査についてお聞きいたします。
新年度予算に討論型世論調査というのがありまして、その概要についてお聞きしたいと思います。
まず、どういった事業で、従来の世論調査とどのように違うのか、お伺いいたします。
◎林 広報部長 討論型世論調査の概要と、従来の世論調査との違いということでございます。
まず、この手法でございますが、これは、アメリカのスタンフォード大学で開発されたものでございまして、従来の世論調査とは趣が異なるものでございます。まず、この調査の一般的な流れをご説明いたしますと、この手法は、初めに特定のテーマに関して無作為抽出で世論調査を行います。ここまでは従来の世論調査と同じものでございますが、その後、その調査の対象となった方の中から希望される方に集まっていただいて、テーマに関してグループ討議あるいは全体討論をするというものでございます。その討論会では、専門家の意見を参考としながら、参加者同士が議論、討論を重ねていくことになります。そして、参加者一人一人が熟慮をしていく中で、どのような意識の変化が見られるか、それをアンケートという形でさらに測定していくものでございます。
一般に、討論型世論調査は、公平、中立な情報提供を受けた中で、テーマに関する理解を深め、討論、熟議を重ねていくことに重きを置いた市民参加手法の一つだというふうに考えられているものでございます。
◆よこやま峰子 委員 今、ご答弁をお聞きしましても、世論調査という名前はついているけれども、実態はかなり異なるように思います。私も、余りにもわからないので、インターネットなどで過去の事例などを見ましたが、非常にわかりにくく、市民参加をうたっておりますが、何のためにするのか、明確なビジョンが全然見えてきません。しっかりとした方向性を持って予算要求をしていらっしゃるのかなと思うほどであります。
そこで、質問ですが、1点目は、どういった枠組みでするのか、今はどこまで話が進んでいるのか、まず、お尋ねいたします。
2点目は、具体的なテーマはこれから決まるとのことですが、札幌市にはどのようなテーマがふさわしいと考えておられるのか、また、他都市など過去の事例におけるテーマとその結果をどのように生かされたのか、そして、札幌市としては、今回の事業で得られた市民意見を今後どのように生かしたいと考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
◎林 広報部長 運用の枠組み、あるいは、ふさわしいテーマ等々のご質問でございますが、まず、事業の枠組みについてでございます。
この事業は、札幌市が今まで経験したことのない新たな事業でございますので、専門家のアドバイスをいただきながら、新年度のできるだけ早い段階で、まずは事業の実施体制であったり、実施の枠組みを確定したいと考えているところでございます。
また、テーマについてでございますが、一般に、広く公共政策に関する問題のうち、賛否両論がある中長期的な課題の解決に向いているというふうに言われておりますので、市政に関するもののうち、将来にわたる市民議論が必要な、ある程度大きな視点に立ったテーマがふさわしいと考えているところでございます。その市民議論のきっかけとして、この手法を活用できないかということでございます。
また、国内で幾つか先進事例がございますが、その事例のテーマといたしましては、道州制の問題であるとか、公的年金制度のあり方、あるいは、BSEの全頭検査の必要性、さらには、エネルギー・環境問題などが取り上げられているところでございます。
それから、市民意見の生かし方でございますが、これらの先進事例では、政策反映といいますか、政策形成の参考としているところが半数程度ございます。札幌市といたしましても、何らかの形で政策形成に活用する方向で考えているところでございます。
◆よこやま峰子 委員 ご答弁によりますと、政策に生かしていくという曖昧なお答えでしたけれども、結果をどのように生かしていくのかという取り扱いも決まっていない状況において800万円もの予算がつくのは、私にはちょっとわかりませんし、それだけの予算を投じて何を得ようとしていらっしゃるのか、全く見えてきません。
そこで、質問ですが、討論型世論調査に係る費用800万円の内訳を教えてください。
次に、札幌市として討論型予算調査を今後も継続していくお考えなのか、また、政策形成以外に今回の手法の結果をどのように活用するおつもりなのか、お伺いいたします。
◎林 広報部長 まず、費用の内訳でございますが、予算上の内訳といたしましては、3,000人に対する
アンケート調査に係る費用、それから、150人規模で2日間にわたって討論会を行う費用といった内容でございます。具体的には、例えば、資料作成費であったり、パネリストや参加者への謝礼、会場運営費、事務費などとなっておりますが、実際にこの予算をどのように使うのかというのは、先ほど申し上げましたように、実施内容とあわせて検討することになります。
また、その後、継続するのかというお尋ねでございますが、今回は試行的に導入するものでございまして、もちろん継続することを念頭に置いてはおりますけれども、実施結果を検証した後に改めて判断してまいりたいと考えております。
また、政策形成以外に手法の検証結果をどう活用するのかということでございますが、例えば、今後、通常の世論調査を実施する場合におきましても、その世論調査をより質の高いものとするために、世論調査を行う際の情報提供をどういうふうにしたらよいのかというようなこと、あるいは、市民への情報提供、つまり広報の質を高めるための参考にもなり得るものと考えております。特に、若年層の市民参加をより活発化させる必要がございますが、そのための広報のあり方などを視野に入れているところでございます。具体的な活用方策については、今後、専門家の意見を参考としながら検討してまいりたいと考えてございます。
◆よこやま峰子 委員 今回、何度伺っても、曖昧模糊としてこの調査の成果として何を得ようとしてやろうとなさっているのか、私には見えてこないのですけれども、今回の手法の趣旨の一つには若者層など市政に関心の薄い層へのアプローチもあるということなので、その点は一定の評価をいたします。しかし、過去にもさまざまな市民参加の手法を取り入れているのですから、なぜ、今この手法を取り入れなければならないのか、やっぱり、この新しい手法に800万円という多額の費用をかける意味が私には理解できません。新たな取り組みによって市民の声を聞くという意欲は買いますが、限りある財源の中でこうした新事業を行う以上は、事業全体の詳細をイメージし、しっかりとした結果を出せる取り組みにしてほしいと思わずにはいられません。今回の予算800万円というものは、紛れもなく市民の税金ですので、この費用が税金の無駄使いにならないことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、札幌市が保有する美術作品について質問いたします。
最初の質問は、札幌市が実施しました美術作品の調査状況等についてでございます。
昨年、秘書部では、市役所が保有しております美術作品について調査し、その調査結果を見ますと、芸術の森美術館が所蔵しているものや野外彫刻などを除いて、札幌市は464点の美術作品を保有しております。その内訳としては、絵画が342点、書画64点のほか、彫刻やステンドグラスなどが58点ということであります。また、その取得に至った経緯として一番多かったものが市民などからの寄贈であり、これが238点に及んでおります。さらに、現在は行っていないそうでありますが、市が購入したものも98点あるとのことです。残りにつきましては、現在の札幌市役所庁舎ができる前から保有しているものなどであり、その由来、来歴は不明ということであります。
そこで、質問の1点目は、464点の美術作品は、主にどのような部署、部局で保有しているのか、また、市民などから寄贈の申し出があった場合、具体的にどういう対応をしているのか、この点について、まず伺います。
◎本間 秘書部長 まず、464点の美術作品を保有している部局についてお答えいたします。
市のほとんどの部局では何らかの美術作品を保有しておりますが、一番保有点数が多いところは私ども秘書部でして、85点を保有してございます。このほか、教育文化会館や体育館などを所管いたします観光文化局が54点、文化資料室を所管する総務局が46点、議員控室などを所管する議会事務局が37点となっております。
次に、寄贈の申し出があった場合の対応でありますが、これにつきましては、明文化された基準はございません。しかし、芸術の森美術館で所蔵いたしますような芸術的価値の高い作品を除きまして、申し出を受けた部局におきまして、展示することを前提に、適切な展示場所があるかどうかを判断し、考慮しているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 次の質問は、美術作品の有効活用の視点で質問したいと思います。
秘書部では、昨年7月13日のカルチャーナイトに合わせて、市が保有する美術品を広く市民に見ていただくことを目的に、北の画家展という催しを実施し、その新聞記事は私も見ました。この催しは、時計台やテレビ塔など市内の景色を描いた絵画や、道内出身者など北海道にゆかりのある画家の作品を展示したもので、ふだん、目にすることがない札幌の昔の風景などの絵画が展示され、企画内容としてはいいものであったと多くの市民からも聞いております。しかし、1日だけのカルチャーナイトに合わせた結果であったため、当日来ることができなかった方もいるのではないかと思います。
そこで、2点目の質問ですが、この北の画家展のように、財産の有効活用の面からも多くの市民に美術作品を鑑賞していただく機会を今後も継続していくべきと思うわけでありますけれども、どのように考えているのか、伺います。
◎本間 秘書部長 美術作品の有効活用についてお答えいたします。
市役所で保有しております464点のうち、その約7割に当たります336点につきましては掲示してございます。また、秘書部で保有しております85点につきましても、このうち、36点は寄贈いただいたものということもありまして、随時、かけかえを行うなど、できる限り掲示することに努めており、現在、掲示しております点数は50点となってございます。掲示場所につきましては、市長室、副市長室を初めとして、市役所の内部が多いこともありまして、昨年のカルチャーナイトに合わせて北の画家展として展示会を行った次第でございます。
ご質問にありましたように、財産の有効活用という観点からも、札幌市で保有する美術作品を市民の方々に鑑賞していただく機会を設けていくことは必要であると考えておりますので、来年度も何らかの形で実施することを検討してまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 次の質問は、市役所の1階ロビーなど公的な施設を使っての美術作品の展示、活用についてであります。
先ほどの答弁で、秘書部で保有する美術品が85点、そのうち36点は寄贈されたものということでしたけれども、この中に詩人の原子 修氏と書家の中野北溟氏が札幌市役所に寄贈された「創成の川」という書があります。私も、先日、表装された実物を拝見させていただきましたけれども、倉庫に保管しているだけではもったいないな、大変立派な作品だなと改めて認識いたしました。
いろいろなデータを調べてみますと、この作品は、平成23年3月22日に上田市長に寄贈され、その年の10月26日に詩碑の除幕式が創成川公園で行われて今日に至っております。この詩を書いた原子先生によりますと、上流から下流に流れていく川を象徴化して、過去と現在、未来へのつながりを表現した、また、過去の知恵に学びながら創造都市さっぽろとして現在をしっかり生き、先人の知恵を未来に発展させる札幌のこれからを書いたと取材に応じております。また、原子先生がつくられた詩を中野北溟先生が書にしたためたわけですけれども、書をしたためる中で、やはり、未来につながるはつらつさも加えながら、文字の大小や余白、筆のタッチで生命の躍動を表現したというふうに中野先生も感想を述べられております。また、中野先生は、これまでも石川啄木の文学碑や札幌冬季五輪参加の詩碑など多数の作品を手がけてきておりますが、この詩から、今後の札幌の躍進や希望を感じたという感想も持たれております。
こうしたことを踏まえて、先日、私のところにも、また、他の会派の市議会議員の皆さんのところにも市民の方々が来られて、原子先生、中野先生の作品について、多くの市民がいつでも見られるように、市役所本庁舎1階のロビーに掲示してほしいとの要望も受けたところであります。
そこで、質問ですけれども、こうした声を受け入れて、この書をロビーに掲示、展示し、多くの市民に見ていただくことが寄附者の意向にもかなうものと思うわけでありますが、どのように考えているのか、伺います。
◎本間 秘書部長 この書を1階ロビーに掲示してほしいという要望は、私ども秘書部でもお受けをしているところでございますが、この作品は、額も入れると20キロを超える重量がございますため、落下防止などの安全対策のほかに、掲示する作品を良好な状態で維持するための掲示方法、期間などの保存管理方法や、今後の1階ロビーの活用方針などにつきまして、現在、関係課と協議しているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 幾つか要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
今、部長の答弁のように、安全対策をしっかりしていかなければいけないと思います。先日も庁舎管理にお伺いしましたら、まず、強度も含めて、飾られる場所の大理石の裏側にあるコンクリートの支柱にどのような細工をすれば、今、部長が言ったような重さに耐えられるのかということも確認しなければいけないということでありました。そういう意味では、ぜひ、安全対策を確認していただいて、一日も早くこれを展示していただきたいと思います。同時に、日本語はもとより、英語、中国語、ハングル語などで、この文章と、その解説をぜひとも入れていただきたいと思います。
また、二つ目の要望といたしましては、部長の答弁でも、今後、市民が幅広く美術品を鑑賞できる機会を設けたいということでございましたので、ぜひとも、新年度も何らかの形で実現することを検討していただきたいと思います。その検討に当たっては、期間限定のものだけではなくて、市役所本庁舎の1階ロビーを例えばミニ美術館のように市民が芸術に触れる空間とするようなことも想定していただきたいと思います。
最後の要望としては、先ほども触れましたカルチャーナイトのように、市民が地域の文化を楽しむ行事をもっとたくさん実施していくことなど、創造都市を所管する市長政策室が市民の創造性を育み、創造力を刺激することに積極的に取り組んでいくことを要望して、質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、道内市町村との連携について伺いたいと思います。
我が会派では、これまでも、涌井議員が、また、本定例会の代表質問においては三浦議員が、それぞれ北海道と札幌市の連携の重要性を指摘してきたところであり、それに関連して質問させていただきます。
昨年の3定議会の代表質問において、涌井議員からは、札幌市は、今後、平成27年前後の約194万人をピークに、戦後初めて人口減少に転ずることが見込まれており、全人口に占める65歳以上の老年人口の割合は同年には約25%となり、その後も増加し続けることが予測されるなど、人口減少、超高齢社会というかつて経験したことのない局面を迎えようとしている現状認識を述べたところであります。加えて、依然として、
東日本大震災発生の影響がさまざまな分野に及んでおり、また、市内の経済・雇用情勢は厳しい状況にあるなど、先々を描くことが非常に難しい時代を迎えていることから、市長に対し、そうした困難な局面を乗り越えるために、北海道における札幌市の役割をどのように考え、北海道に対してはどのような役割を期待するのか、伺ったところであります。
市長からは、道内市町村に札幌の都市機能を有効に活用していただきながら、北海道の魅力、資源を札幌の市民や企業が認識し、その付加価値を高め、道外に情報発信するなどして、北海道全体の発展を牽引していくことが道都である札幌の重要な役割であり、広域自治体である道には自治体間連携の調整などの役割を期待しているという答弁をいただいたところであります。
道・市間の連携と一言で言うことが多いわけでありますが、札幌市の魅力や活力は、北海道の豊かな自然や食などのすぐれた資源に支えられておりまして、それを守り育んでいるのが各市町村であるという実態に鑑みますと、道との連携とともに、道内市町村との連携がまさに重要であり、市長の認識にはそのとおりであると共感するところであります。
そこでまず、さきに議決された今後10年間の基本的指針となるまちづくり戦略ビジョンにおいて、道内市町村との連携についてどのように位置づけているのか、伺います。
◎石川 政策企画部長 戦略ビジョンにおけます道内市町村との連携の位置づけということについてお答えさせていただきます。
まちづくり戦略ビジョンにおきましては、市民、企業、行政などが共有できる将来の札幌の姿であります目指すべき都市像といたしまして、一つに北海道の未来を創造し、世界が憧れるまちと、もう一つ、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまちという二つを掲げているところでございます。その具体的な姿といたしまして、札幌、北海道が持つ自然や文化と、北方圏ならではの知識や技術などを創造性によって磨きをかけ、新たな価値を生み出すとともに、道内市町村と連携して北海道の魅力をさらに高めていくということを掲げているところでございます。さらに、ビジョンの推進に当たりましての基本姿勢、この中にも、札幌の発展は北海道とともにあるのだということを常に意識しながら、北海道の中心都市としての役割を果たしていくことをうたっているところでございます。具体的には、道内他市町村との連携を深めながら、北海道の豊かな資源と札幌の都市機能を結びつけまして、また、双方の魅力を高めた上で札幌の情報発信機能によりまして国内外に発信すること、さらには、北海道の魅力や価値を札幌の企業や市民が再認識いたしまして道産品の消費を積極的に行うなど、道内の経済循環を高めていくといったことなどを位置づけているものであります。
◆福田浩太郎 委員 まちづくり戦略ビジョンにおいても、道内市町村との連携によって相乗効果で魅力を高めていくということ、そうした札幌市の発展は北海道とともにあるという認識、積極的に市町村との連携を進めていくという点は理解したところであります。さきの決算特別委員会におきましても、札幌圏の都市機能を北海道全体で活用するという観点から、各振興局の協力を得ながら、道内市町村や民間事業者の相談に積極的に応じていくという答弁があったところであり、このように他の市町村や事業者などと手を携え、北海道の魅力を高めていくという姿勢、そして取り組みは、私どもとしても高く評価しているところであります。
しかしながら、一方で、札幌市がどんなに道内市町村との連携に積極的であったとしても、その趣旨が十分に伝わらない場合、相手方市町村が連携することに尻込みしてしまう懸念もあります。ビジョンに掲げる考えや、互いにウィン・ウィンの関係を築いていこうという思いを十分に伝えていくということが重要と認識をしております。
実際、私も、近隣や地方の市町村の方から札幌はいいよね、いろいろな施設がある、景気も地方よりはましである、札幌のひとり勝ちである、もっと他の市町村のことを考えて施策を打ってほしいとか、また、道の関係者からは、北海道全体を考えて道と協力して事業を行ってほしいなどと言われまして、こちらの思いが伝わっていないなということに歯がゆい思いをすることが多々あります。
そこで、お伺いしますけれども、広域自治体である道にも協力を仰ぎながら、具体的連携の取り組みへとつながっていくような道内各市町村への働きかけも積極的に行っていくべきであると考えますがいかがか、伺います。
◎石川 政策企画部長 道とも連携した道内市町村への働きかけといったことについてお答えします。
札幌市と道内市町村との連携におきましては、委員がご指摘のとおり、北海道の発展なくして札幌の発展はないとの考え方のもとで、北海道全体のため、札幌の都市機能を道内市町村にぜひ使っていただきたいという思いを丁寧に伝えていくことが何よりも重要であると認識いたしております。
そこで、本年1月に開催されました北海道と札幌市の行政懇談会におきまして、当該趣旨を市長からお伝えしましたところ、高橋知事からは、札幌市のその考え方は大変すばらしいというお言葉をいただいたところであります。その後、道の各振興局が協力するので、例えば、市の幹部が全道各地に赴いて、直接、その趣旨を説明してはどうかというようなご提案もいただきまして、現在、新年度からの具体化に向け、道とその進め方を協議しているところでございます。
なお、政策企画部の新年度予算には、市町村と連携し、地域活性化に貢献する事業費を新規に計上したところでございまして、今後、道内市町村に説明を行っていく際には、この事業の活用によりまして、例えば、狸小路にございます道産食彩HUGへの出店や札幌駅前通地下歩行空間でのイベント開催の支援など、具体的な連携メニューを提示いたしまして、実効性のある連携へと結びつけてまいりたいと考えているところでございます。
◆福田浩太郎 委員 今ご答弁いただきましたが、くどいようですけれども、北海道、また他市町村には札幌の思いというものがまだまだ理解されていません。札幌にいいとこどりをされるのではないかという警戒心だったり、また、歴史的経緯やその土地土地の気質の違いなど、すんなり協力するというふうにいかないことは容易に想像できます。ご答弁にもありましたように、札幌市幹部が全道各地域を訪問するなどして、具体的な連携イメージも含めて、札幌市の考えを各市町村にしっかり伝えていくことを考えているということですが、粘り強く何度も訪問するなど、そのような取り組みを進めていただきたいと思います。
また、都市間の連携については、さきの代表質問において、市長から、道と市の若手職員による仮称政策研究未来会議の設置、政策部門における人事交流などの新しい取り組みを行っていく旨の答弁もいただいたところでありまして、あわせてそのような取り組みもしっかりとお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、多くの識者が北海道のポテンシャルの高さを語ってくださっております。それを実現するには、人と人との触発、アイデアや技術を磨いていく、紡いでいく、つまり、交流、連携による魅力や価値の創造いかんにかかっていると思うわけであります。まず、行政がその先鞭をつけていただき、企業や市民がそれにつながっていけるように、ご苦労は多いと思いますけれども、札幌市のほうから、胸襟を開き、積極的にアプローチをして、道内市町村との連携をさらに深めていっていただきたいことを強く要望して、質問を終わります。
◆坂本恭子 委員 私は、官製ワーキングプアの問題、とりわけ指定管理者制度にかかわって質問したいと思います。
この問題については、私ども日本共産党も繰り返し取り上げてまいりました。指定管理者制度のもとでの不安定雇用、低賃金の実態は極めて深刻だと思っておりますし、この問題についても指摘してまいりました。昨年の決算特別委員会で、市民サービスの向上、効率的な施設運営と労働条件の改善ということのバランスをどうとっていくのか、非常に難しい課題であると部長はご答弁なさいました。私は、改めて、この実態について認識を伺いたいと思います。
今でも、指定管理者制度のもとで働く職員は、正規の職員が3割、非正規の方が7割と言われております。北海学園大学の川村雅則先生の調査ですが、正職員でも厳しい労働環境にあることが明らかになっております。正規が減って非正規がふえている、時間当たりの賃金が低い、雇用の継続性が保障されていないというようなことですが、実際には、正規職員の離職者がふえた、指定管理期間があるため新規採用が難しい、正規職員の基本給を10%削減した、職員数が減ったため超過勤務や休日出勤がふえた、体調不良を訴える職員がふえてきている、このような実態が調査の中で明らかになっています。雇用の形態、あるいは賃金の状況、労働環境はこのように劣悪で大変厳しい状況にあると思いますけれども、改めて、その認識についてどのようなお考えをお持ちか、伺いたいと思います。
それからまた、今回は大学のゼミで調査を行っておりますが、札幌市が指定している管理者、事業者ですから、本市の責任で実態調査を行うべきだというふうに思いますけれども、このお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
◎平木 改革推進部長 2点のご質問でございますが、最初に、指定管理者の施設で働く労働者の方々の雇用に関する認識ということでございます。
お話の中に雇用の継続の問題もございましたが、私どもとしましては、昨年、指定管理者のもとで働く労働者の賃金に関する調査を実施しております。その調査の中では、非正規職員全体の1時間当たりの平均賃金を出しておりまして、それは904円でございまして、最低賃金法に基づく北海道の最低賃金を200円程度上回っているという状況でございます。また、その調査の中で、平成23年4月1日時点のことを調べましたけれども、その時点では最低賃金を満たしていることも確認をしているところでございます。
ただし、最低賃金、または、それに近い賃金の方もおりまして、昨今の厳しい経済情勢を背景に経済活動全般で雇用環境が大変厳しい状況にあり、そんな中におきまして指定管理施設におきましても同様な状況にあるというふうに認識しているところでございます。
それから、調査の関係でございますが、今申し上げましたように、賃金に関する調査につきましては、指定管理施設で働く労働者の方々が公契約条例の対象になりますので、その条例が制定された場合に対応できるような準備ということで実施したものでございます。今後は、改めて調査をするというよりは、この調査をもとに公契約条例の円滑な対応を図ってまいりたいと考えております。
なお、指定管理者における雇用の実態という観点で申し上げますと、定期的に業務・財務検査を行っておりまして、その中で労働関係法令が守られているかなどについて個々の施設ごとに確認しているところでございます。
◆坂本恭子 委員 昨今の厳しい経済状況を背景に雇用環境全体が厳しくなっているのだというお話がありました。しかし、これは2011年1月当時の総務大臣の記者会見での談話ですが、指定管理者制度が導入されてから今日までの自治体のこの制度の利用の状況を見てみますと、コストカットのツールとして使ってきた嫌いがあるというふうに、国みずからが感想というか、見解を示しております。私は、雇用全般が厳しいから、指定管理者のもとでの雇用も厳しくなるのは当たり前なのだということではないのではないか、逆に、調整弁として指定管理者制度そのものが使われているのではないかというふうにも思っています。
そもそも、指定管理者制度のもとでは、正規職員として期限なく働き続けることができないということなのではないでしょうか。その大もとには、私は、やはり4年間という定めがある指定管理に問題があると思っております。この間、この4年間という期間の設定について質問してまいりましたけれども、やはり、合理的な答弁はいただけていないというふうに思っています。4年という期間の設定は、不安定な雇用を生む労働者の問題、そしてまた、指定管理者である事業者自身もこの4年間ということについては大変苦労していらっしゃいます。長期的な視野に立った運営方針や職員育成等の計画策定の弊害になっている、事業内容よりも金額を重視しており、次期の指定管理期間の提案のたびに内容を増加しつつ金額を下げることを求められ、指定期間内のことばかりにとらわれ、長期的な計画が困難と、これは、事業者みずからが答えている内容です。私は、4年間という期間が区切られることについて限界があることが明らかだというふうに思うのです。こういう指摘に立った上で、改めて、4年間という指定期間を設定している合理的な根拠についてお示しいただきたいと思います。
◎平木 改革推進部長 指定期間を4年間にしている根拠ということでございます。
指定期間につきましては、施設の管理が適切に行われ、制度の趣旨が実現されているかどうかということを定期的に見直す機会として設定しているものでございます。その期間の長さにつきましては、長い、短いそれぞれでよい点、課題になる点があると考えてございます。例えば、期間が長くなりますと、指定管理者における人材の育成とか、管理運営のノウハウの蓄積ができやすくなるなどの長所がある一方で、短い場合はどうかと申しますと、市民ニーズや社会情勢の変化に応じた施設運営とかサービスの見直しを柔軟に行いやすくなるとか、新規事業者の参入の機会を確保しやすくなるとか、そういった長所があるところでございます。札幌市におきましては、このようなことを勘案して、指定期間を原則4年としているところでございます。
◆坂本恭子 委員 今お話しになりました答弁を繰り返すなと委員長に言われたので、繰り返しませんが、合理的な答弁ではないのですよ。なぜ4年なのか。ほかの自治体を見てみますと、3年だったり、5年だったりといろいろあります。法律には期間の定めというのはありません。4年にしなければならない理由は、私は、全く合理的ではないと思います。私は、当面、雇用の実態からも、事業者の実態からも指定期間の延長が求められていると思っておりますので、まず、そこはしっかりと検討していただきたいと思います。
なおかつ、指定管理者制度そのものの問題点があろうかと思います。それは、冒頭に昨年の決算特別委員会での部長の答弁を引用したものですけれども、制度そのものが抱えている問題点というものがあって、そこにメスを入れていかなければならないと考えております。
そこで、今、指定管理者の選定に当たっては、公募、非公募という二つの方法がありますけれども、公募、非公募の選定の分け方というのでしょうか、基本的な考え方についてお示しいただきたいと思います。
◎平木 改革推進部長 指定管理者の募集における公募と非公募の考え方でございます。
指定管理者制度は、多様化する市民のニーズに、より効果的・効率的に対応するために、公の施設の管理に民間の方々の力を生かしていただきながら、市民サービスの向上と効率的な施設運営を図ることを目的とするものでございます。総務省の通知におきましても、複数の申請者に事業計画書を提出してもらうことが望ましいとされておりまして、札幌市におきましては、制度の目的の達成を図る観点から公募を原則としているところでございます。
一方、その施設の性質とか目的から特定の団体を相手方として指定する必要がある場合もございまして、その場合には非公募とすることも可能としております。平成21年に策定いたしました運用のガイドラインにおきましては、例えば、施設利用者との継続的な信頼関係が求められる場合とか、長期的な視野に立った事業運営が必要な場合など、合計九つの項目で非公募とできる要件を定めて運用してきているところでございます。
◆坂本恭子 委員 施設そのものの機能や性質で分けているということだと思います。公募が原則でありますが、継続的な信頼関係だとか長期的な運営ということで、人的なかかわりが深い施設など、福祉の分野で言えば、障がい児・者、あるいは高齢者などを対象としているところを非公募としているのだろうと思います。
そこで、公募が原則でありながら非公募があるということで事業を継続してきているわけですから、非公募の施設に対しては、定期的なチェックが求められているし、必要だと思うのです。先ほども、例えば事業とか財務に関してこれまで検査を行っているというお話がありましたが、事業内容の評価、指導ということについてはどのように行ってきたのか、札幌市の指導、それから、改善などを求めるようなことはなかったのかどうか、その点について伺いたいと思います。
◎平木 改革推進部長 非公募の施設に対してのこれまでのチェック、指導ということでございます。
一つには、先ほどお話しいたしましたが、定期的に財務状況、業務状況の検査をやっております。そのほかには、今の財務、業務の検査も同じですが、公募施設、非公募施設の両方とも、毎年、指定管理者の評価をやっておりまして、その評価結果につきましては、
ホームページで公表させていただいているところでございます。
◆坂本恭子 委員 評価をした結果、問題のある施設はありましたか。
◎平木 改革推進部長 問題のあるところは、特にございません。
◆坂本恭子 委員 この間、事業評価を行い、業務・財務検査も行っている中で、特段の問題はなかったということです。であるならば、非公募の枠を拡大していく方向を探求したらいいのではないかというふうに私は思います。先ほど、継続的な信頼関係とかいろいろお話がありましたけれども、例えば第二かしわ学園、あかしあ学園などは、今、公募になっていますね。私のいただいた資料ではそうなっております。障がい福祉課が所管の施設ですが、こういうところについては、事業者がきちんとした運営をしていればという前提ではありますけれども、私は非公募にしていっていいのではないのかというふうに思います。
そこで、この間、公募から非公募に変更された施設は何カ所あって、その理由はどういったものなのか、伺いたいと思います。
◎平木 改革推進部長 公募から非公募に切りかえた施設が何カ所あって、どういった理由かというお尋ねかと思います。
平成18年4月に一気に数がふえておりますので、そことの比較でお話をさせていただきますと、平成18年4月に、公募だった施設のうち、現在は非公募になっている施設は、募集区分で言いますと12区分、施設の数で言いますと20施設でございます。
その理由でございますが、一つには、本来、施設の目的等からすると当初から非公募にすることを前提としているような施設ですが、1回目の管理者を決めるに当たって公募をしたものが先ほどの12募集区分20施設のうちの3区分5施設です。それから、前回の平成22年の一斉更新のときに運用をいろいろ見直しまして非公募の理由をきっちりさせましたが、そのとき新たに加えた非公募理由に該当するということで非公募になったものが7区分5施設で、これが主な変更理由でございます。
◆坂本恭子 委員 今、20施設が非公募の施設になっているということですが、長期的な視野に立った事業運営をしていくというお答えもあったと思います。私の手元にある資料ですと、例えば、男女共同参画センターは、人権に配慮しなければいけない、それを擁護し、市民全体に普及啓発していくと。国との関係もありますから、そういう意味では、公募で管理者がどんどん変わっていくのではなくて、それこそ長期的な視野に立って運営をしていく、そして、支えていくような重要な施設だと理解しております。
公の施設というのは、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設ですから、私は、部長が先ほど公募を前提としながらというお話をされていますけれども、全ての公の施設は市民の公共福祉のために設置されているものだというのは共通認識だと思うのですが、非公募の考え方というのは、多くの公の施設に共通して言えるものではないかというふうに思います。非公募になれば、雇用の安定が図れる、事業者としても安定的に長期の事業計画を立てることができる、そして、それが利用する市民に対するサービス向上につながっていく、私はこういうメリットがあると思います。先ほど、部長もメリット・デメリットの中で雇用の安定ということをお話しされていましたが、こういう形で公の施設が運用されていくことについて、異議を唱える人はいないのではないかなと思うのです。私は、ぜひ、非公募の拡大について考えていただきたいのですけれども、いかがお考えですか。
◎平木 改革推進部長 公募、非公募の考え方についてでございますが、先ほどもお答えさせていただきましたように、指定管理者制度のそもそもの目的という部分でございますけれども、これは、民間の方々の知恵とか工夫、能力を使わせていただきながら、市民サービスと効率的な施設運営を図っていくことを目的としているものでございます。そのためには、より多くの方の工夫、創意、発案をいただくことを前提として考えていくべきと思っておりますので、原則はやはり公募にすべきだというふうに認識しているところでございます。
今後は、個別の施設ごとに、社会情勢や施設機能の位置づけの変化の有無などを見ながら、その施設の設置目的を効果的に達成することができるように、柔軟に判断していくのがいいのではないかと思っているところでございます。
◆坂本恭子 委員 民間のノウハウを活用して市民サービスの向上を図っていくために、公募が原則だということでした。それであるならば、私は、公募、非公募それぞれに着目して、今おっしゃった観点でどういう状況になっているのかという検証をぜひ行っていただきたいと思います。それぞれの施設で、例えば、雇用の問題について、事業計画の進捗状況について、また、利用される市民の皆さんの評価、こういうことについて検証すべきと思いますが、そのお考えはありますでしょうか。
透明性、新規参入の機会の拡大ということで、指定管理者制度は公募を原則としてやっていくというお話があります。しかし、官から民へという流れの中で、競争原理を働かせようとして行った結果が、官製ワーキングプアを生み出してしまったと私は思っています。みずからの手で官製ワーキングプアを生み出したという反省に立てば、今後の指定管理者のあり方、制度のあり方も必然的に見えてくると思います。非公募という制度のもとで、安定した、そして充実した施設の機能の発揮、役割を担って、市民にこれを提供していくことが可能になると私は思いますので、ここについて検証を行っていただきたいというのが先ほどの質問の趣旨です。ただし、チェック機能も働かさなければなりません。さまざまな工夫をしながら進めていくべき問題だというふうに思っております。
そして、最後の質問になりますが、公募であれ、非公募であれ、業務の再委託という問題が出てまいります。とりわけ、清掃や警備の業務に従事している労働者の実態は大変厳しいものがあります。これは、繰り返し申し上げていますので、ここでは言いません。本市として、指定管理者に施設管理を行わせている立場から、これら労働者の雇用や賃金の実態調査を行って、改善すべきものは改善するという立場にぜひ立っていただきたいと思うのですけれども、その点、どのようなご見解をお持ちでしょうか。これを聞いて、終わりたいと思います。
◎平木 改革推進部長 2点のお尋ねでございます。
最初に、今の公募、非公募の状況等を検証すべきというご質問でございますが、先ほどもちょっとお答えしましたけれども、毎年、指定管理者の評価をしております。その中では、指定管理者が行っている市民の方、利用者の方のアンケート結果なども取り入れながらやっておりますので、そういったことを通じて施設ごとの運営状況がどうなっているのか、確認していきたいと思ってございます。
それから、2点目の指定管理者から再委託を受けている事業者で働く労働者の実態調査を行うべきということでございますが、指定管理者からの再委託先の実態調査となりますと、調査先がかなり多くなりまして、調査の実施に相当の期間が必要になると思っております。また、現時点におきましては、その回答を義務づける根拠がございませんので、どれだけの協力が得られるのかということも不透明な状況にあると思ってございます。
ただ、今、議論していただいていますが、もし公契約条例が制定された場合には、再委託業務のうち、清掃、警備、施設設備運転監視といった業務につきましては、作業報酬台帳が指定管理者に提出されることになりますので、賃金水準等の状況を確認することが可能になるものと考えてございます。
◆小倉菜穂子 委員 私は、市有建築物のあり方について質問いたします。
まちづくり戦略ビジョンのビジョン編の中には、基本目標の一つに、都市基盤が適切に維持・保全されるまちを掲げ、市有建築物については機能の複合化など効率的・効果的な再配置が進められていると将来の姿を描いております。周知のとおり、市有建築物が一斉に更新の時期を迎えることから、先日、財政局の質疑のときも、将来の建てかえであるとか、保全費用に関する財源確保策について質問いたしまして、国の補助金、また基金、そして市債の発行といったものを活用していくという内容でした。そのときも申し上げましたけれども、市債の発行には、私は、平準化というところで大変危惧することがあって、そのこと自体は理解するものの、これを担う生産年齢人口が将来は減少することから、その発行にはより慎重であるべきであります。そのためにも、時代に対応した新たな発想や工夫によって、900を超えるとされている市有建築物の更新や保全に取り組む必要があるというふうに考えております。
こうした課題に最初に取り組んだのは、神奈川県の秦野市とのことで、公共施設の再配置に関する基本方針を策定しており、政令市ではさいたま市であり、そして、そのほかにも多くの自治体で既に取り組みが始まっているところです。
そこで、質問ですが、市長政策室では、2012年度まちづくり基礎調査・研究費を活用して市有建築物の基礎調査を実施しているというふうに聞いておりますが、まず、その調査内容について伺いたいと思います。
また、2013年度予算案の中では、同じく市長政策室に計画調査費が計上されており、新たなまちづくりの観点から将来の市有建築物のあり方を検討するということですが、その目的、そして内容について伺いたいと思います。
◎石川 政策企画部長 まず、平成24年度に実施いたしました市有建築物の基礎的調査の内容といったことについてお答えさせていただきます。
この基礎的調査では、市有建築物の現状を把握するために、将来の更新もしくは保全費用の算出を初めといたしまして、市民の利用状況や施設に要するコスト、さらには、類似施設の配置状況や施設利用者への
アンケート調査など、さまざまな観点からの調査を行いまして、現在、その結果を整理しているところでございます。
続きまして、平成25年度予算に計上いたしました計画調査費の事業の目的でございますが、将来の人口減少並びに超高齢化を見据えまして、日常生活に必要なことが身近な場所で行える、いわゆる歩いて暮らせるまちづくりといったことや、地域コミュニティーを維持、活性化させる拠点づくりといった、新たなまちづくりの観点から効果的かつ効率的な市有建築物の配置のあり方について調査検討を行うものでございます。
また、委員がご指摘のとおり、その際には、この取り組みを実効性の高いものにするためにも、将来の活用可能財源の減少であったり、施設の更新・保全需要の増大など、財政上の課題への対応も踏まえる必要があるものと考えてございます。
そこで、平成24年度の基礎的調査の結果をもとに、有識者等によります検討委員会を設置いたしまして、専門的見地からご意見をいただくとともに、市民アンケートなどによりまして市民の意向も踏まえながら、市有建築物の配置のあり方の方向性といったものを示す基本方針策定に向けた取り組みを新年度に進める予定としております。
◆小倉菜穂子 委員 予算書の中では1,000万円の予算がついていたかと思います。今、検討委員会が設置されるということでしたので、そうした費用ということももちろんあるかと思いますし、また、計画の冊子とかもできるのだというふうに思います。先ほど来ありますが、本当に大切なお金ですので、そこはぜひ効果的・効率的に使っていただきたいと思っています。
それから、公共施設白書をつくっている自治体もありますが、恐らく、今回のお話を伺ったところでは、私は、基礎調査の結果がそうしたものに当たるのかなというふうに感じています。その基礎調査については、完了しましたら、私たちも見たいですし、ぜひ、広く公表していただきたいと思っています。
それから、財政の課題等、そしてまた、新たなまちづくりという視点でつくっていくということだったと思いますが、そうしたことの両立を図るのはなかなか容易ではないなと思いますので、検討委員会ということでしたけれども、多方面にわたる議論が必要と考えますので、ぜひ、しっかり行っていただきたいというふうに思います。
一方、札幌市では、公共施設の維持管理に関する方針として、これまでも、例えば、市有建築物では施設の長寿命化の取り組みを進めるために市有建築物のストックマネジメント推進方針、また、インフラ関係では道路維持管理基本方針を策定しております。
そこで、伺いたいのですが、2013年度には、有識者による検討委員会から意見をいただいた後に市有建築物の配置に関する基本方針を策定したいという先ほどのお話でしたけれども、この基本方針のイメージはどんなものを想定しているのか。今ほど申し上げた既存の方針とはもちろん性質上も違うと思いますが、それらとの関係性なども含めて伺いたいと思います。
また、基本方針を策定した後、将来の市有建築物の配置に向けてどのように進めていくおつもりなのか、あわせて伺います。
◎石川 政策企画部長 基本方針のイメージについてお答えいたします。
市有建築物ストックマネジメント推進方針などの既存の方針でございますが、これは、費用の平準化であったり、コストの縮減といったことを重点に置きまして、計画的に建てかえや維持管理を行うための取り組み方針を定めたものでございます。
しかし、このたび、私どもがつくる基本方針は、こうした取り組みに加えまして、中長期的なまちづくりの観点から、将来を見据えた施設の配置そのものの考え方などを定めようとするものでございます。基本方針の具体的なイメージといたしましては、例えば、人口構造の変化等に応じた施設配置の考え方であったり、将来にわたり保有すべき施設総量の検討なども想定しているところでございます。また、効果的・効率的な施設配置の手法といたしまして、人口構造や住民ニーズの変化に応じて、地域に必要な機能を、例えば統合し、多目的化することでありましたり、民間施設などの活用、連携なども考えられているところでございます。
次に、策定後の進め方といったことでございますが、この基本方針は、中長期的な視点から、将来の配置に関して全市的な方向性を示そうとするものでございます。基本方針の策定後は、方針の内容を踏まえまして、施設更新を見据えて、個別、具体の施設配置に関する検討を順次進めていくことになりますけれども、今後、策定されます中期計画や部門別の自主計画などに反映させることで中長期的な展開を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 施設の総量であるとか手法など、今いろいろご答弁がありまして、全市的な考え方をまとめていくのだということがわかりましたが、その後はそれぞれの各部門でということですね。
そこで、個別の施設配置の検討は、基本方針の策定を受けて、順次、それぞれ進めていくということです。しかし、私は、子ども未来局だと思いますが、昨年度から今年度にわたって児童会館のあり方というものを既に先行して検討しておりまして、そういうものを見ますと、今回のような全市的な基本方針がもう少し早くあってもよかったのではないか、必要があったのではないかなというふうに思うところです。そうしたことから、児童会館のあり方のときは非常に唐突な感じがしました。このときは、結果的に利用者である子どもたちの声を聞くことが実施されましたけれども、今後、各部局によるそうした検討に移る際にも、当然ですけれども、利用者の声をしっかりと受けとめていただく、そして、市民サービスが低下することがないように真剣に取り組んでいただくということをこの基本方針の中で明確にしていただきたいなと思っています。
まず、そうした検討委員会にぜひ公募委員を入れていただきたいのですが、そうした検討委員会で議論をいただいて、多くの市民の意向を踏まえて、将来世代の負担とならないように、そして、札幌市の新たなまちづくりの基盤となる方針策定にしっかりと取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆伴良隆 委員 私は、2項目について質問させていただきたいと思います。1項目めがまちづくりと雪について、2項目めが郊外住宅地のまちづくりについてでございます。
1項目めは、まちづくりと雪について。
市民の市政に関する要望、注意が全ての計画の指標になるわけではありませんが、こういった市民からの要望やクレームに対して、個別の部局ではなく、本市全体としてどのように手を打っているのか、知りたいところであります。そういう意味で、まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において市民要望の1位である除雪、つまり雪についての問題や課題について確認していきたいと思います。
第4次長期総合計画では、その施策の特徴で、除排雪については環境負荷低減などに配慮し、地域内雪処理など効果的・効率的な取り組みを強調したとございます。また、冬のみちづくりプランでは、その趣旨からして、あくまで雪対策に特化した雪の計画でございまして、維持管理の除排雪の観点のもと、作成されており、札幌市全体のまちづくりを雪の視点で策定された性質のものではないと私は解釈しております。雪を当たり前とし、あるいは、維持管理の分野にとどめ、雪の視点を本市のまちづくり計画に主たるものとして取り上げないのは、札幌市がみずからを否定するようなものであります。当初のビジョン編の案では、雪に関する一般的な気候風土とウインタースポーツ、観光などの記述があるほかはわずかな除排雪の記述にとどまったもので、約半年間、雪に囲まれて過ごす我々札幌市の長期計画としては、体をなすものではなかったと私は思っております。
そこで、質問ですが、総務委員会で我が会派の飯島委員がこの雪の件で質疑された経緯や、私のさきの代表質問で市長が雪について、ビジョンの中にきちんと位置づけるべきというのは正しい指摘だと思うと答弁されたことを踏まえ、本市の将来像を定めていく上で雪に関してどのような基本姿勢で検討していくのか、まず、伺います。
◎石川 政策企画部長 まず、戦略編の中での雪に関係する検討の基本姿勢といったことについてお答えさせていただきます。
札幌は、ご存じのとおり、年間の約半分は雪とともに暮らしていかなければならない環境にありまして、まちづくりにおけますさまざまな分野の施策におきまして、積雪寒冷地であるといったことを常に意識していくことが求められているものと認識をしております。まちづくり戦略ビジョンの策定に当たりましても、先ほど委員のご質問にもありましたとおり、総務委員会を中心にご審議をいただいてきたところでございますが、その際にも、北方圏の拠点都市としての位置づけであったり、雪対策について明確に位置づけるべきではないかといったご指摘をいただいてきたところでございます。こうしたご意見を踏まえまして、今回、策定いたしましたビジョン編におきましては、全ての施策に通ずる都市像の中に、先人たちが育んできた北方圏ならではの知識や技術をさらに磨き上げ、新たな価値を生み出していくといったことを明確に位置づけさせていただいたところでございます。
そこで、現在、検討を進めております戦略編におきましても、除排雪のあり方のみならず、積雪寒冷地であるという特性を生かしまして、例えば、産業基盤の強化でありましたり、冬期間のエネルギー利用の効率化など、全ての重点分野におきまして、この都市像に掲げる北方圏で暮らす札幌型のライフスタイルを追求していくことを基本に鋭意検討が進められているところでございます。
◆伴良隆 委員 全てのという言葉、中でも、全ての重点分野、さまざまな施策にわたってというところが非常にポイントだと私も理解しているところでございます。
いみじくも、本市の基本構想では、この基本方向は市民一人一人の生活が充実して初めて生まれてくるものであるとしています。よって、市民の最も要望の多い除排雪という雪対策は、今まで以上にその取り組みを進めながら、そもそも本当に住みやすいまちのためには雪に強いまち、雪と共存できるまちを目標に掲げ、それを重要な視点に置いた都市空間づくりを計画し、インフラ整備によって具現化していくことが求められています。
そこで、伺いますが、審議会で検討中という戦略編ではございますけれども、積雪寒冷のまち札幌の雪について具体的にどのような取り組みが検討されているのか、伺います。
◎石川 政策企画部長 戦略編の中での具体的な検討内容についてでございます。
現在、審議会では、これまでの議会におけます審議の状況を踏まえながら、戦略編に掲げる暮らし・コミュニティ、産業・活力、そして低炭素社会・エネルギー転換という三つの分野につきまして重点的な検討が進められているところでございます。まず、この中の、暮らし・コミュニティの分野につきましては、地域の特性に応じた除排雪を推進するために、平成21年度に策定いたしました札幌市冬のみちづくりプランに掲げるさまざまな取り組みを着実に推進していくことに加えまして、今後の超高齢社会を見据えまして、例えば、福祉除雪の充実であったり、また、災害時の避難場所における防寒対策の推進などについても議論が進められているところでございます。このほか、産業分野では、例えば、積雪寒冷技術の研究開発を進めるとともに、これを海外に輸出する取り組みに加えまして、冬の魅力を生かした観光振興などについても議論が進められているところでございます。さらに、環境・エネルギー分野では、高断熱・高気密住宅の普及促進であったり、自立分散型エネルギーネットワークの構築などについても検討が進められているところでございます。
このように、重点戦略の全ての分野におきまして、積雪寒冷を意識した施策に関する議論がなされているところでございまして、今後、さらにこれらの効果的な展開について検討を深めてまいりたいと考えているところでございます。
◆伴良隆 委員 挙げていただいたとおり、言わずもがな、全ての分野にわたってということが確認できたところであります。
先日、私も、消防局の予算委員会で救急車の現着時間短縮の件として、市民の命、安全を守るという観点から、消防局は雪対策も担うべきとの質問もしました。これに対し、消防局は、雪対策室と連携することは必要だとし、情報提供という新たな取り組みを約束してくれました。まちづくり戦略ビジョンは、言うまでもなく、まちづくりの計画であります。よって、雪をベースにしたまちづくりやインフラ整備の具体的な取り組みを一刻も早く答弁できるように要請したいと思います。
そもそも、目の前の雪の問題が解消されていかなければ、市民にとって魅力あるまちでも何でもないのであります。まちづくり戦略ビジョンは、夢を語るものでもございますが、その夢は実現されるものでなければなりません。地に足がついた政策と理想を求める政策と、その両者の隔たりが広がったまま計画期間が過ぎないように強く指摘しておきたいと思います。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
次の質問は、郊外住宅地のまちづくりについてであります。
私は、さきの代表質問にて、郊外住宅地のまちづくりに関して大きく取り上げさせていただいたところであります。それは、本市のおのおのの郊外住宅地がさまざまな課題を抱え、そのことが本市全体の問題となっているにもかかわらず、その責任部署や取り組みを含めた体制が明らかでない実態に大いに問題を見出したからであります。総合的かつ横断的な体制で積極的に各地域をマネジメントし、プロデュースすべきとの私の指摘に対し、幸い、市長からは、横串的なプロジェクトチームをつくって、公有地売却問題を含め、地域特性、地域課題、地域要望を捉えて議論し、総合的に検討するという趣旨の答弁がなされたところであります。
そこで、質問でありますが、郊外住宅地のまちづくりにおいて、その課題解決に向けた取り組みをどのように戦略編に位置づけていくのか、伺います。
また、組織横断的な体制の構築について、どのように進めていくのかもあわせて伺います。
◎石川 政策企画部長 まず、1点目の郊外住宅地の戦略編での位置づけについてお答えいたします。
戦略ビジョンにおきまして、郊外住宅地は、ゆとりのある良好な環境を生かした暮らしが実現できる場と位置づけておりまして、そのためには、さまざまな課題にきめ細かな対応をしながら、徒歩圏内での生活が確保されるよう、例えば、生活利便機能の配置でしたり、地域コミュニティーの活性化などに取り組む、いわゆる歩いて暮らせるまちづくりについて検討が進められているところでございます。そこで、現在、具体的な取り組みといたしましては、例えば、土地利用規制の緩和による日用品店舗、いわゆるコンビニの誘導であったり、路線バスの利便性の向上やバス利用環境の改善、さらには、学校の空き教室などを活用した市民のたまり場の創出などにつきましても検討が進められているところでございます。
また、都市空間に関する検討では、第4次長期総合計画と同様に、地域の生活拠点であります地域中心核を設定する予定となっておりまして、そこでは、大規模な土地利用転換を適切に誘導しながら、郊外の拠点にふさわしいまちづくりを進めることについても検討が進められているところでございます。
続きまして、2点目の組織横断的な体制構築の進め方でございます。
戦略ビジョンの審議会における検討の中でも地域課題への対応や地域活動の支援のためには、まちづくりセンターなどの支援・調整機能を強化していくことが必要であるといった議論がなされているところでございます。郊外住宅地の置かれている状況は地域によってさまざまでありますので、まず、これまでつくり上げてきた地域カルテなどを用いながら、地域とともに協議して課題の抽出や共有を図っていくとともに、必要に応じて関係部局と区が連携いたしまして、地域課題を整理したり、横断的な体制を構築し、地域課題の解決の支援に当たっていくことが必要であると考えてございます。こうした取り組みを推進していくことによりまして、今後起こり得る郊外住宅地のさまざまな課題に対応してまいりたいというふうに考えております。
なお、具体的な手法につきましては、課題の性質によって異なりますため、ビジョンの策定と並行いたしまして、そのあり方につきましては、区を所管する市民まちづくり局などとともに、今後さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
◆伴良隆 委員 代表質問のご答弁をさらに掘り下げていただいて、具体的な取り組みの事例を挙げていただいたところであります。形の部分は別にしましても、やはり、郊外の住宅地のまちづくりというのは、先ほども申したとおり、非常に大きな課題でありまして、一方では職員の方々もやりがいを感じるような内容だと私は思っております。どういう形で行くかは、多分、これから具現化していく中でいろいろな議論があると思いますけれども、ぜひとも、いろいろな職員の方々、地域の方々も含めて、仕事とか、生活とか、ライフワークとしてぜひ頑張っていただきたい、このように思っているところでございます。
郊外住宅地のまちづくりと、先ほど私が申し上げた雪の視点をもとにしたまちづくりというのは、非常に密接な関係がございます。今後、さまざまな検討が加えられていくと思いますが、大いに期待しているところであります。一方で、目標あれども、実効性はなしということが決してないよう、本件は、行政の縦割りを排除し、そのすき間を埋め、皆さんの英知を結集して一丸となって取り組んでいただくようにお願いしたいところです。今後も、都度、この経過を確認していきますので、以後は具体的にご答弁ができるようにあわせてお願いしておきたいと思います。
◆宝本英明 委員 私からは、プロジェクションマッピングを活用したまちの活性化とまちづくり戦略ビジョンについて伺いたいと思います。
最初に、プロジェクションマッピングを活用したまちの活性化について伺いたいと思います。
札幌は、四季を通じてさまざまなイベントがありまして、また、文化芸術を中心とした施設が豊富であり、これらは世界に誇れる質であったり規模であったりします。しかし、その一方で、若干マンネリ化をしてきておりまして、市民がその価値を十分に実感できていないように思っております。市民がみずから実感できなければ、観光客の皆さんにそういったものの魅力を伝えることは難しく、せっかくの観光資源が色あせてしまっているのではないか、そのように思っております。
そんな中、ことしの雪まつりで、札幌市は大雪像に光のアート映像を投射するプロジェクションマッピングを実施いたしました。これは、先ほどありましたが、文化芸術を生かしたまちづくりの取り組みであります創造都市さっぽろの一環で行ったというように聞いております。大雪像への投射というのは世界初ということもありまして、道内はもちろんのこと、全国放送のテレビでも数多く取り上げられ、大きな注目を集め、札幌の認知度の向上にもなったのかなと思います。私も初日に見てまいりましたが、真っ白な雪像に映像が映えて、そしてホッキョクグマが出てくるなど、札幌らしい、とてもすばらしい作品であったなと思います。
ただ、多数の方々が来場されたことによって、安全性の確保という面で途中から中止になりました。このことについては、非常に残念だなと思いますが、所管局ではありませんので、言及いたしません。ただ、この先端的なアートは、雪まつりの新しい楽しみ方を提示し、その魅力を高めることができたのかな、市民から観光客まで人々の心を引きつけたのかなというように思います。
そこで、1点目ですが、今回の雪まつりでのプロジェクションマッピングについて、どのようなことを狙って映像作品の制作を行ったのか、伺いたいと思います。
それから、プロジェクションマッピングは、一連の取り組みの一環で、昨年夏にも創成川公園で実施されておりました。私はこちらも見に行ったのですが、雪まつりのときと同様に大勢の人がいらっしゃっていました。非常に関心が高いのかなと思います。このプロジェクションマッピングを活用することで、既存の観光資源の魅力を高めていくことの検証ができたのかなと思います。これを生かして、今後、札幌のまち全体の魅力アップにどう取り組むかということが次の課題になっていくのかなと思います。
そこで、2点目ですが、今年度実施した2回のプロジェクションマッピングをどのように総括し、今後の取り組みにどのように生かしていくおつもりか、伺いたいと思います。
◎酒井 プロジェクト担当部長 まず、1点目は、雪まつりのプロジェクションマッピングの映像制作に当たっての狙いについてご質問でございました。
委員がご指摘のように、今回のプロジェクションマッピングは、文化芸術を生かしたまちづくりである創造都市さっぽろの一環で実施したところでございまして、既存のイベントなどの観光資源を、アートを活用して魅力を高め、発信強化を図り、まちの活性化につなげる取り組みを市民にわかりやすく伝える具体的な事例であると考えてございます。このような狙いのもと、作品制作では世界初の大雪像での実施を意識いたしまして、観光客だけではなく、特に地元市民が足を運びたくなる大雪像の新しい楽しみを発信できるように考慮いたしました。具体的には、雪像本来のよさである純白を引き出すために色鮮やかな高いクオリティーの映像を投射するとともに、子どもから大人まで楽しめるストーリー構成も心がけたところでありまして、さらに、厳冬期に屋外での実施でございますので、5分以内の短目の作品にすることにも配慮したところでございます。
続きまして、今年度2回実施いたしましたプロジェクションマッピングの総括と今後の取り組みについてということでございます。
プロジェクションマッピングを初めとするアートの活用が、既存の観光資源の魅力を高め、集客効果にもつながることが検証できたので、今後は、雪まつりだけではなく、他のイベントなどにもこうしたアートを積極的に活用してまいりたいというふうに考えてございます。また、民間の方々にもアートの活用の効果を理解していただいたというふうに考えておりますので、今後も積極的に活用してもらえるよう働きかけることで札幌のまち全体の活性化につなげてまいりたい、このように考えている次第でございます。
◆宝本英明 委員 民間ということでは、雪まつりでもアウディの雪像にプロジェクションマッピングを投影しておりましたが、民間の力も積極的に使っていって、ぜひイベントを盛り上げていっていただきたいなと思います。
それから、プロジェクションマッピングは、先ほども創成川の話をいたしましたが、大雪像とか東京駅のような大きい建物だけではなく、さまざまな手法があります。その例として、雪まつり期間中には、地下歩行空間の北2条広場で小規模なプロジェクションマッピングが行われておりました。私も、その前を何度も通ったのですが、子どもを初め、たくさんの方々が楽しんでいる様子で、北2条広場のディスプレーを使わずににぎわいを生み出せる事例として非常によい取り組みだったのかなと思います。北2条広場は、本来、創造都市さっぽろの発信拠点としてディスプレーなどを活用して映像作品を発表する場所であります。しかしながら、今回のように、必ずしもディスプレーの活用にこだわらないで、北2条広場内の空きスペースを活用して先端的なアート作品を展示するなど、創造都市発信空間としてさらなる活性化を図っていくことができるのかなと思います。
そこで、質問ですが、北2条広場の活性化に当たって、ディスプレーの活用にこだわらず、今後、幅広い活用を検討していくべきだと思いますけれども、その点について伺いたいと思います。
◎酒井 プロジェクト担当部長 北2条広場のディスプレー活用にこだわらない幅広い活用についてのご質問でございます。
北2条広場の活性化や市民評価の導入につきましては、これまでもご指摘をいただいているところでございまして、それを踏まえまして、今回、活性化に向けて空きスペースの活用などを実施してきたわけでございます。今回、実施いたしましたプロジェクションマッピングは、人の動きに反応して映像が動く、双方向性のあるいわゆるインタラクティブと呼ばれる作品でございます。雪まつり期間中に実施することで、今、委員がご指摘のように、お子様連れを中心に期間中約3,000人に立ち寄っていただきまして、あわせて、隣接する6面のディスプレーの映像作品にも関心を持ってもらう効果も確認ができたところでございます。ディスプレーの映像だけでなく、今回のような先端的なアート作品の展示など、空きスペースも含めて空間全体を有効に活用することで北2条広場のにぎわいづくり、活性化につながることを、今回、改めて確認したところでございます。
昨年12月には、この北2条広場におきましてアンケートを行ったところであります。2日間で252人から意見を聴取いたしまして、その結果、映像作品の発表や観光情報の提供のほか、椅子の設置などを望んでいることもわかったところでございます。空間コンセプトであります創造都市さっぽろ発信拠点という趣旨や、今回のアンケートの結果を踏まえつつ、今後も空間全体を有効に活用した幅広い展開を行うことで、北2条広場のさらなる活性化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
◆宝本英明 委員 今回の三つのプロジェクションマッピングを実施したことにより、この可能性が広がったと思います。ぜひ、こういった先端的な芸術表現を使って札幌らしいアートを積極的に活用していっていただきたいと思います。それから、北2条広場ですが、活性化に当たっては、北2条広場の趣旨を踏まえつつ、創造都市さっぽろの発信拠点にふさわしくなるよう、さらなる先端的なアートを活用しての活性化をぜひ図っていっていただきたいということを申し上げて、この質問は終わります。
続いて、まちづくり戦略ビジョンについて伺いたいと思います。
まちづくり戦略ビジョンは、まちづくりの最上位の計画として極めて重要なものであります。これから、いよいよ戦略編の検討が本格的に進められる予定でありますが、ビジョン編で掲げられる都市像を実現していくためには、効果的な取り組みを着実に推進し、実効性を持ってまちづくりを進めていくことが求められていると思います。
我が会派は、本会議や総務委員会などでさまざまな観点から議論してまいりましたが、特にエネルギー政策については、昨年の第3回定例市議会において、私が行った代表質問の中で、脱原発依存社会の実現のためには、節電だけではなく、再生可能エネルギーの活用、さらには、LNGを活用した分散型電源を導入していくことの重要性や、ヨーロッパにおけるエネルギー政策の先進事例を積極的に取り入れていくことを指摘しながら質問させていただきました。
この際、市長からは、脱原発依存社会の実現に向けて全力で取り組まなければならないとの認識と、エネルギー分野をまちづくりの中心的なテーマとして位置づけていくことが重要であるとの答弁がありました。こうした概念が戦略ビジョンの中でも最も重要な部分となる都市像である、私たちが目指す札幌市の将来にも位置づけられたことは、非常に意義深いものと評価しているところであります。脱原発依存社会の実現を図るためには、エネルギーについて、総合的かつ戦略的な施策展開を検討するとともに、来年度策定予定のエネルギー基本計画や将来を見据えた総合的な施策大綱の策定とも連動していくことが重要であると思います。
そこで、質問でありますが、戦略編の検討の中で、脱原発依存社会の実現に向けてどのような施策の方向性が検討されているのか、伺いたいと思います。
◎石川 政策企画部長 脱原発依存社会の実現に向けた施策の方向性についてでございます。
現在、戦略編の内容は検討中でございますけれども、エネルギー分野に関しましては、再生可能エネルギーや熱と電気をあわせて供給するコージェネレーションシステムなどの次世代エネルギーシステムの普及推進、さらには、自立分散型エネルギーネットワークの展開、加えまして、循環型社会の構築などについて具体的な施策の方向性を議論しているところでございます。先ほど開催されました審議会の専門部会におきましても、こうした施策を構築していく中で、例えば、都心部におきましても、建築物の更新時に高断熱化によりエネルギー効率を高めるとともに、建物単位でのエネルギーマネジメントの導入を推進すること、また、ごみをエネルギーとして熱や電力を効率的に活用していくこと、さらには、再生可能エネルギーの創出に市民によりますファンドを活用することなど、さまざまな取り組みやアイデアが議論されているところでございます。こうした取り組みを重点戦略に盛り込むとともに、今後策定されるエネルギー基本計画や長期的な施策大綱の中でもこれらを体系的に位置づけることによりまして、エネルギー転換を進め、脱原発依存社会の実現を目指してまいりたい、このように考えているところでございます。
◆宝本英明 委員 未来の子どもたちも安心して暮らしていけるため、脱原発依存社会という大きな目標を目指して、さまざまなチャレンジをビジョン並びに施策大綱などに盛り込んでいくことを要望させていただきたいと思います。
そこで、このまちづくり戦略ビジョンは、時代の転換期に向かう中にあって、今後の札幌市の進むべき方向性を示した非常に重要な計画であると認識しております。先般、ビジョン編が本会議において議決されたところでありまして、これに基づいて戦略編の検討をさらに進めていくこととなります。この戦略ビジョンは、私も、先般、20代を中心とする若者が参加する学習会でこのビジョンを説明するなど、折に触れて周知を図っているところでありますが、市民も時代の転換期におけるまちづくりの方向性ということに関しては非常に関心が高いと思っております。これからの困難な局面に立ち向かっていくためにも、このビジョンを、まさに市と議会、そして市民が共有しながら、まちづくりを展開していくための指針としていくことが必要であると思います。
戦略編のスケジュールについては、この春ごろの答申を経た上で秋ごろまでに策定をするとのことでありますが、戦略編に掲げられている重点戦略については、これを推進するためにいかに実効性を高めていくかが今後まちづくりの上でも大きな鍵になるものであります。先般の代表質問においても、予算の重点化や部門別計画の策定によって取り組みを加速させていくとの市長答弁があったところであります。我が会派としても、戦略ビジョンの考え方に基づき、着実に市政運営を推進していくことを強く求めていきたいと思います。
そこで、最後に、井上室長に質問させていただきたいと思います。
井上室長は、この1年間、まさにまちづくり戦略ビジョンのビジョン編の取りまとめに奔走され、ご苦労も多かったと思います。今後、引き続き、戦略編の検討が続きますが、今後、まちづくり戦略ビジョンを推進し、その実効性を高めていくために、どのような決意で挑むのか、伺いたいと思います。
◎井上 市長政策室長 ビジョン編につきましては、総務委員会を中心にいろいろご審議いただき、議決をいただきましたことにつきまして、感謝を申し上げます。
今、質問にもございましたように、まちづくり戦略ビジョンの戦略編につきまして検討中でございますけれども、このビジョンが立ち向かわなければならないのは、少子高齢化や生産年齢人口の減少、グローバル化する経済など、これまで余り経験したことのないような社会経済状況から生じるさまざまな課題であります。それらのことにきちんと対応することによって世界に憧れるまちを目指すわけでありますから、これはなかなか大変だろうというふうに思っております。
ビジョン編の第5章に、ビジョンの推進に当たってということで、市民の皆さんの主体的な参加でありますとか、北海道の共生など、ビジョンを推進していくための基本となることをさまざまに記載させていただきました。それは大事なことであるというふうに思っておりますが、私の立場で対していかなければならないと考えておりますのは、札幌市役所という組織全体が、このビジョンが指し示すさまざまな課題を本当の意味で共通認識として、ビジョンの目指すべき都市像の実現に向かって一丸となって取り組んでいくのだという意識、体制を築いていくことだろうというふうに思っております。そのために必要なのは、やはりコミュニケーションだろうと思っておりまして、さまざまな部局との話し合いを大切にしながら、ビジョンの推進に向けて今後とも努力してまいりたいと思っております。
議員の皆様におかれましても、今後ともよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。
◆しのだ江里子 委員 私は、広聴活動費について質問させていただきます。
市民の力みなぎる、市民自治が息づくまちづくりを掲げて上田市長が誕生されてから10年を迎え、その間、自治基本条例施行から6年が経過しています。市民が主役のまちづくりを口で言うのは簡単ですけれども、実際に行っていくのはなかなか困難も伴い、その中で市民との情報共有、市民の市政参加が重要なのは言うまでもありません。札幌市を形づくるのはそれぞれの地域にほかならず、その中においては、町内会とかNPO、事業者の方たち、多くの担い手が支えていらっしゃいまして、そのためには、一部の方に限らず、より多くの市民が市政に参加できる工夫が必要だと考えます。札幌市が将来こうなってほしいと思う理想とか構想を札幌市民が共有し、行政とともにまちづくりという協働に至るプロセスを根づかせるためには、より一層、市民への情報提供や意見聴取を基本に、行政が市民とともに考え、有意義に意見交換を行い、ともに実践をしていくことが重要だと考えます。
2012年8月に行われた全国市民オンブズマン連絡会議の2011年度情報公開度ランキングの結果が出ております。このランキングは、有効回答が得られた852自治体の中で、市長の交際費公開度とか議会議事録公開度、そしてまた情報公開条例の規定など、11項目にわたる基準で採点をされておりまして、20政令市の中では、札幌市、熊本市など13市が満点であったと聞いております。
このように、情報公開度は高くても、市民が行政を身近なものと感じているかというと、そうとは言えないところに課題があると思います。行政は、まちづくりに余り関心がない人たちも巻き込んでいく工夫をすべきであると考え、仕組みを整え、一人でも多くの市民の背中を後押しすることでまちづくりへの参加を一層進めていかなければならないと思います。現在、札幌市の市政への参加としては、例えば、都市計画審議会の中では、24名の委員中6名の市民が参加し、市民委員は25%であるなど、審議会への市民委員登用も盛んに行われておりまして、そして、2011年に行われたワールドカフェの実施など、市民参加拡大への取り組み実績は評価できるのですが、さまざまな理由で市政に参加できない市民もまだ多くいらっしゃいますので、あらゆるレベルで市民参加の機会を用意することが大切だと思います。
そこで、質問ですが、市政に対する意思表示こそ、市政参加の第一歩と考えられます。市民の声を聞く機会を行政の責任で確保することが何より重要だと考えますが、現在、どのような広聴活動を行っているのか、お聞かせください。
◎林 広報部長 現在、どのような広聴活動を行っているのかというご質問でございますが、これは三つございます。一つは、個別広聴でございまして、市役所や区役所などに直接来訪された市民への対応、あるいは電話やファクス、お手紙、またはインターネットメールなど、広く市民の皆さんの声をお伺いできるような体制と仕組みを整えているところでございます。二つ目は、集団広聴でございまして、例えば、市長と市民が対話するふらっとホームのように、お集まりいただきました市民の方々から市政に関する意見をお伺いしたり意見交換を行うものでございます。そして、もう一つは、調査広聴でございまして、こちらは、いわゆる世論調査、市民アンケートという形で広く市民の皆さんの考えを集めるものでございます。
◆しのだ江里子 委員 個別と集団、そして調査広聴と三つの広聴があるということでした。ちょうど広報さっぽろ3月号が各家庭に配られておりますが、この中でふらっとホーム2012の対話の様子が紹介されておりました。昨年度のふらっとホームでの市民の身近な意見から、地下鉄構内の電光掲示板で防災の意識を高め、日ごろの備えを広報することを初めとして、2歳未満の乳幼児世帯に支給されるおむつ用ごみ袋のサイズ選択が可能になったり、いろいろな札幌市の施策につながっていることがわかりました。このように、市民意見に耳を傾けるさまざまなチャンネルを用意していることは理解します。その中でも、調査広聴である世論調査についてもう少し伺いたいと思います。
2012年度の市政世論調査によりますと、まちづくりへの参加意向は、自分自身の生活に影響があると思われる場合は参加したい方が24.3%、自分の関心のある分野について参加したい方が18.3%、自分の住んでいる地域について参加したい方が15.7%などなど、何らかの形で参加意向を欲している市民が多くいらっしゃる一方で、特に参加したいとは思わないという市民も残念ながら29.6%と、昨年に比べ2%ほどふえております。また、まちづくりの関与としては、新聞や広報さっぽろなどでまちづくりに関する情報に目を通している市民が60.5%、町内会、まちセンなどで実施する地域の活動に参加する市民が14.2%と、積極的関与とは言いがたいと思います。
そこで、質問ですが、調査広聴の意義ですけれども、市民意見を市政に活用するという意味で市民の声を聞く課の中で調査広聴が担うところはどのようなところにあるのでしょうか。また、次年度の新規事業である討論型世論調査は、従来の世論調査と少し趣が異なり、市民参加のための手法と言えると思いますが、市民参加の手法として代表格であるワークショップなどとの違いはどこにあるのか、さらに、広報部でこの事業を行う趣旨についてもあわせてお聞かせください。
◎林 広報部長 まず、1点目の調査広聴の意義についてでございますが、調査広聴は、
アンケート調査などを通して、市民意識の方向性、あるいは施策事業の認知度、さらには、市政に関する要望などを把握するものでございまして、札幌市のさまざまな施策を進めるための貴重なデータとしているものでございます。
2点目の討論型世論調査とワークショップなどとの違いということでございますが、最も大きな違いは、一般に、ワークショップは、合意形成を目指して行われる共同作業であることに対しまして、討論型世論調査の方は、合意形成を目指すものではなく、参加者一人一人が熟慮することに重きを置いている点がワークショップなどとの違いでございます。
それから、広報部がこの手法に取り組む趣旨でございますが、一つは、広聴の観点から、従来の世論調査では得られない、いわゆる熟慮した市民意見に接することができる貴重な機会であるということがございます。そして、もう一つは、広報的な観点から、市民の皆さんに対してどういう情報をどのように提供したら理解が深まるのかということも検証できますので、広報、広聴のいずれの面からも検証結果を活用する意義があるものというふうに考えているものでございます。
◆しのだ江里子 委員 今、ワークショップとの違いなどをお聞かせいただきました。討論型世論調査は、国とか自治体でも幾つかの事例が見られますが、本当に市民参加に重きを置いた手法でありまして、通常の世論調査と討論フォーラムから構成され、討論のための資料とか、専門家からのまさに公平、中立な情報提供を十分に受けまして、さらにじっくりと討論をした上で、再度、調査を行い、意見や態度の変化を見ていくというものです。無作為抽出で選ばれた参加者による討論フォーラムは社会の縮図であり、こういった新しい手法の中で、広聴とか広報の観点から検討する積極性とか市民の市政参加が拡大するということは大変喜ばしいのですけれども、一方で、この手法には課題もあると聞いております。
そこで、質問ですけれども、この手法においては、民意誘導とならないように、特に公平性とか中立性の確保が重要と考えるのですがいかがか、伺います。
◎林 広報部長 公平性、中立性の確保についてでございますが、ただいま委員がご指摘のとおり、どのような手法でも、メリットがある反面、当然、留意をしなければならない課題もございます。特に、討論型世論調査という手法におきましては、公平性、中立性というものをしっかりと確保していく必要があるということは、専門家からも指摘されているところでございます。公平性、中立性の確保につきましては、事業の運営方法全般にわたってあらゆる面で細やかな配慮が求められますので、事業の実施に当たりましては、専門家の監修のもと、公平性、中立性に十分留意をしながら実施し、有効性の検証とノウハウの蓄積に努めてまいりたい、このように考えてございます。
◆しのだ江里子 委員 要望です。
市民との協働には、まちづくりへの参加の道筋を整理し、少しでも関心を持った人がすぐに行動に移せる仕組みとか環境の整備が重要であり、行政が適切な働きかけを行い、市民の興味とか参加へのやる気を引き出していく工夫を積み重ねることでまちづくりの芽が大きく育っていくと考えます。2010年、全国初の討論型世論調査を行った神奈川県藤沢市では、藤沢のこれからとして、現状調査と課題克服の方向と将来伸ばすべき分野についての調査を行いまして藤沢市新総合計画の参考にしています。こうした新たな手法については、積極的な参加希望者ばかりではなく、通常、投票に参加することの少ない、そしてまた、市政を自分のことと考えることが少ない若年層を巻き込むこともでき、まさに社会の縮図である市民参加の機会拡大とか、広報、広聴につながる可能性は評価いたしますが、課題、リスクを十分に吟味し、公平性とか中立性に留意していただきたいと思います。
なお、デリケートな手法であることは理解しておりますが、せっかく試行する以上、市政への活用の視点も忘れずに、また、フォーラムとかグループワークで時折見かける声の大きな人に議論が引きずられることがないよう、実のある検証機会となることを求めて、私の質問とさせていただきます。
◆木村彰男 委員 本日は、ご多忙のところ、上田市長にもお越しいただき、私が代表質問でもお聞きいたしました市長政策室所管の札幌市まちづくり戦略ビジョン原案について1点だけご質問させていただきます。
上田市長は、私の代表質問に際しまして、主に3本の柱、観光、食、環境を上げ、これを推進力として札幌市の経済を牽引し、そして、札幌に富を蓄積し、景気の浮揚、雇用の創出をなし遂げていくという旨のお話をされていたというふうに思います。
ここに、北海道がまとめた調査報告書、カジノを含む統合型観光リゾート(IR)による経済・社会影響調査があります。これは、昨年、平成24年11月に公表されたものです。IRとは、1990年代まで主流だった、いわゆるラスベガス型カジノや、その延長にあるアメリカ型カジノと少し趣を変え、ギャンブルを構成要素とはしつつも、高い質の宿泊施設、ホテルでの料飲サービス、エンターテインメントショー、高級ブランドショップの建ち並ぶショッピングセンターといった一種のテーマパークのようなものを指しています。
この後、このような複合型リゾートのことをIRと呼ばせていただきます。
IRの合法化の動向を踏まえ、この調査書では先進地である米国ネバダ州、マカオ、シンガポール、韓国の専門家にアンケートを行っていまして、シンガポールと韓国については、2012年7月から11月まで現地調査をしてまとめ上げたものだそうです。私が見た限りではございますが、予算の厳しい北海道がこれだけのものをよく踏み込んで調査レポートをつくり上げたというのが印象でございました。そこでは、観光を切り口ととらえて、産業振興、雇用促進に期待する北海道の気概というようなものが私には見えました。シンガポールで展開されているIRは、国、地域の雇用や海外の観光客増大に飛躍的に貢献しているとうたわれております。また、直接投資による経済的効果のみならず、その税収活用によって地域住民の福祉に大きく貢献しているという報告になっております。
そして、北海道が中心になって進められていたカジノに関する情報交換会、いわゆる道庁主催のカジノの勉強会、研究会のことでございますが、札幌市からは政策企画部が窓口となってこの研究会に出席している旨、お聞きしております。
そこで、政策企画部がこの場におられますので、まず、この件について質問させていただきます。
これまで、北海道庁主催の研究会に札幌市はどのようにかかわってきたのかをお伺いするとともに、研究会に出席してきたご担当を通じて把握されているレポートの総括及び感想について、まず、お聞きかせください。
◎石川 政策企画部長 道庁主催の研究会への札幌市のかかわりについてお答えさせていただきます。
平成18年でございますが、当時、政府自民党内の検討委員会の中で、我が国におけるカジノエンターテインメント導入に向けての基本方針といったものが公表されました。これは、カジノに関する法整備の動きが活発化してきたことを受けたものでございまして、道庁の主催によるカジノに関する情報交換会が平成20年2月に設置されました。この交換会は、道内各地のカジノについて研究する団体や市町村、さらには経済団体などが参加いたしまして、国における法整備の動向とか海外の先進事例について情報共有を図ってきており、札幌市も平成20年8月から参加させていただいてきたところでございます。
また、委員がお示しのこのレポートについてでございますが、ご指摘のとおり、平成22年に国内でのカジノ実現を目指す超党派の議員連盟が発足いたしまして、カジノに関する法整備についての私案を発表されたことを受けて道が調査を実施したものでございまして、私どももその結果について報告を受けているところでございます。
二つ目のご質問のそのレポートの総括及び感想でございますが、このレポートでは、カジノの誘致に当たりましては、集客や雇用創出などの経済効果が期待される一方で、治安の悪化や青少年に対する悪影響、さらにはギャンブル依存者の増加など、さまざまな課題も多数存在するといったことが報告されております。したがいまして、カジノにつきましては、経済的なプラス面のみならず、地域に与えるマイナス面も十分考慮した上での慎重な取り扱いが必要である、このように認識しているところでございます。
◆木村彰男 委員 カジノに関しては、これまでさまざまなところで議論を行っているところでございます。現在、このようなカジノ構想におきましては、今も出ましたけれども、国においては、超党派の国会議員の中で特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案を提出する動きがあるというふうにも聞いております。安倍首相も大変積極的である旨、伺っております。このように、国においては、議員連盟がカジノ推進の法整備を行い、自治体で言えば、例えば、東京都においては石原前知事がお台場カジノ構想を打ち上げてきたいきさつがございました。また、東京以外では、沖縄と北海道が有力視されているというふうにも伺っております。このことは、国際都市さっぽろにとっても大変チャンスがあるというふうにも思われます。
また、この計画のほとんどが実は外資の導入によって実現しているということで、政府、自治体の負担はほとんどないというふうにも伺っております。事実、先ほどの勉強会には、小樽市、苫小牧市、千歳市、釧路市、恵庭市、石狩市等のほかに、美唄商工会議所であるとか、滝川青年会議所等も参加しており、全道的な関心が注がれていると考えてよいと思います。
しかし、先ほどの推進に関する法におきましては、カジノを設置できる区域について、地方公共団体の申請に基づいて国による認定を行うことで初めて実現を見るわけであります。拱手傍観してIRが実現するわけではありません。積極的に手を挙げる必要があるというふうに私は考えます。この推進に関する法は、大体、札幌を含めた許諾件数については最大10カ所程度と伺っております。そして、当面はその政策ニーズの高い2〜3カ所を優先してつくっていこうというようなことも伺っております。
そこで、質問でございますが、こうしたいろいろな動きがある中において、札幌市としては、今後、カジノについてどのようにかかわっていかれるおつもりであるか、お聞かせください。
◎石川 政策企画部長 先ほどもご答弁を申し上げましたとおり、道が実施しましたレポートにおきまして、カジノの誘致に当たりましては、地域に与えるマイナス面も多数存在するといったことが報告されております。したがいまして、カジノにつきましては、こうした点を十分考慮しまして、さらには、地域住民の意見も十分に踏まえた上での慎重な取り扱いが必要であるというふうに認識しています。
いずれにいたしましても、国におけるカジノに関する法整備といったものが議論の前提となりますので、今後とも、国の動向を注視しつつ、引き続き道を中心とした関係団体との情報交換会を継続してまいりたい、このように考えております。
◆木村彰男 委員 言うまでもなく、カジノは観光資源ということで極めて大きな影響を持っているというのは、今お答えになったとおりでございます。現在、市長政策室にその窓口といいますか、所管されておるのですが、最終的には、やはり、札幌市においても観光文化局に担当する窓口を設けて人員を配置していくべきだと考えますけれども、それはいかがでしょうか。
また、北海道のようにレポートをつくるということではなくて、やはり、ほかの地域であるとか、先進的に誘致の運動をしているような地域の情報を集めて把握していくことも大事だと思いますので、それらの調査費などを予算の中に計上していくようなことも検討に値するのではないかというふうに考えますが、いかがでございましょうか。
◎石川 政策企画部長 先ほどからご答弁をさせていただいているとおり、この話は、国における法整備が議論の前提となります。今後とも引き続き道を中心とした情報交換会を継続しまして、情報把握を行ってまいりたいと思っております。したがいまして、現時点でカジノ推進に係ります担当を設けたりとか調査費を計上したりする段階にはまだないものと考えているところでございます。
◆木村彰男 委員 最後に、上田市長に来ていただいておりますので、以上の質疑をお聞きになりまして、札幌市として何ができるかということが一つでございます。また、現在、カジノ設置に向けて受け皿づくりを行っている札幌市内の民間団体であるとか有識者の動きもございまして、これも一生懸命やっていらっしゃると伺っておりますが、そのような動きに対して市長はどのようにお考えになっているのか、最後にお聞かせください。
◎上田 市長 札幌市は何ができるかというのは、法律がどうなるかによるので、現時点では何もできないというふうに思います。基本的にはばくちでして、賭博罪という立派な刑法の犯罪類型がございまして、その例外として競輪、競馬、あるいはパチンコ等が認められているものでございます。それにカジノというものを開放するのかどうかは、国策上、極めて重要な国民的合意の必要な法律改正になろうかというふうに思います。
観光にとって有益であると言われます。莫大なお金が動きますから、それは有益であるに違いないと思います。ただ、賭博罪というのがそもそも刑法に定められているということは、人間の本性に、偶然のゆえで勝負が決まり、そして、お金が動くことを好む射幸心というものが潜在的にあるということを前提にして、そして、それをいかに抑制するかということを刑法は考えていると思います。それを開放するには、相当の折り合いをつけた国民的な合意が必要だというふうに思います。
お金がもうかるというのは、当然、お金がもうかるやりとりがないと賭博は成り立ちませんので、それで地域が潤うというのは、客観的な問題として現象はそのとおりだと思いますが、我々がそういう道での経済の活性化、地域の活性化を望むかどうかということはとても大事な論点だと思います。私ども札幌市は、今まで、そういうことは選択せずに、観光資源としてはこんなにすばらしいものがたくさんあるぞということで頑張ってきました。そのために、札幌はさまざまなイベントもありますし、市民自身が本当に笑顔で観光客をお迎えすることができるという政策を立案して、地域と、あるいはほかの地域とも連携しながら、北海道をすばらしい観光地にしていくのだということを理念として考えているわけであります。ですから、カジノについて積極的に誘致をしようという考え方は現在ございません。
民間の皆さん方がお考えになり研究されるというのは、大変結構なことといいますか、私どもがどうのこうのと言う筋合いのことではないと思いますので、それはご自由にどうぞというふうに考えます。
◆木村彰男 委員 私も、この議論をちょっと振り返って、過去においてどんな議論が行われていたのかなと見てみましたけれども、札幌市においてカジノについての議論なり質疑は議事録の中にほとんどなかったのです。今回、私も初めてこれを見て、現在、進められているあり方というのは、一つの推進法というのがあって、その後に実施法というのが来まして、先ほど市長がおっしゃったように違法性の阻却の問題は実はそこから出てきます。だから、今の段階においては、例えば、先ほどからちょっと出ておりますけれども、モーターボートであるとか、競輪であるとか、競馬であるとか、そういうように違法性を阻却していく段階の一つであると私も考えております。この件につきましては、今後とも札幌市において検討していただきたいということを申し上げて、私の質問にかえさせていただきます。
○阿知良寛美 委員長 以上で、第1項 総務管理費中
市長政策室関係分の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時40分
再 開 午後4時5分
――――――――――――――
○阿知良寛美 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中総務局関係分、第12款 職員費 第1項 職員費、議案第17号 札幌市公文書館条例案、議案第18号 札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案、議案第19号 札幌市職員退職手当条例等の一部を改正する条例案及び議案第24号 包括外部監査契約締結の件について、一括して質疑を行います。
◆
金子やすゆき 委員 私は、情報化推進部が所管するシステム開発関連予算の随意契約の問題1点だけ、ご質問していきたいと思います。
情報化推進部で持っているシステムの関連予算が約31億円あります。先ほどの市長政策室でもお尋ねさせていただきましたが、今年度から、財政局が随意契約の公表を始めたのですけれども、これを見ていくと情報化推進部の予算の随意契約が非常に多いなという印象を持ったところでございます。
まず、お尋ねさせていただきたいのは、情報化推進部所管のシステム管理予算のうち、随意契約による発注金額が年間どれだけあるのか、また、それが予算全体に占める割合はどのくらいであるのか、まず、お尋ねさせていただきます。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
情報化推進部の平成25年度予算総額約52億円のうち、直接、情報システムに関連する費用は約32億円となっております。このシステム関連経費のうち、約79%に当たる約25億円は随意契約によるもので、システムの運用保守業務や開発・改修業務、また、入札以外のコンピューター機器類の賃借などになってございます。それ以外の約7億円は、入札により調達するもので、コンピューター機器類のリース調達などに係る費用となっております。
◆
金子やすゆき 委員 79%ですから、約8割もの予算が随意契約で行われているというのは、やっぱり、随分高いなという印象を持つわけであります。これまで随意契約率が高かった理由はなぜかというと、いわゆる基幹系システムの中では、これまでで言うと、いわゆる大型汎用機が特定のメーカーに依存していて、そのメーカーに頼らざるを得ない、毎年の保守はその1社しかできないので、構造的にそうなっているのだという説明をお聞きしております。
そこで、今後は、本市が、今、新しく開発を進めている新基幹系システムですと、そういった大型計算機をつくるような特定の電気メーカー1社に依存するのではなくて、むしろ、本市の地元の企業、幅広い地元の企業、あるいは、システム開発をできる企業に裾野を広げて公平性の高い発注を行っていくのだ、こういう説明を聞いていたところであります。
そこで、次にお尋ねしたいのは、この新基幹系システムは平成27年度までに稼働すると。既に一部稼働していると聞いておりますが、本格稼働する28年の時点で、先ほどおっしゃった随意契約率8割がどこまで下がっていて、どれだけのところまで公平性の高い一般競争入札が上がっていくのか、その見通しが立っていらっしゃればお聞きしたいと存じます。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
情報システム関連経費のうち、機器の調達というのは、いわゆるハードウェアを購入する、もしくはリースするというものになりますので、これについては、現在も約6割が随意契約、残り4割弱ぐらいが入札ということで調達できております。ただ、運用保守費になりますと、随意契約の率が随分高くなってございます。これは、先ほど委員のご質問の中にありましたように、開発、構築を行った業者に、その後、随意契約を行うことを続けてきている傾向にあるものでございます。
ちなみに、運用保守費の随意契約の割合だけを申し上げますと、現状においては93.4%ほどを随意契約で調達いたしております。
現在、基幹系システムの再構築を進めておりまして、特定の技術ではなく、標準的な技術を使って構築することによって多くの企業が参加できるようにということを目的として実行しているものでございますけれども、こうしたことをやることによって、現在、随意契約で進めております金額のうち、約2.5億円ほど、入札に移行していけるのではないかという見込みを立てているところでございます。
こちらの再構築は、現在、まだ事業の途中でございまして、平成24年7月にようやく住民記録システムが稼働したところで、税、福祉等のシステムもまだ開発中でございますので、これはあくまで見込みの数字ですけれども、このような様相となっております。仮にこの金額が競争入札に移行した場合には、運用保守費の随意契約の割合は、現状の93%ほどのものが70%ほどに下がるものというふうに見込みを立てております。
◆
金子やすゆき 委員 先ほどのご説明で79.4%というのは、全部の予算の中で占める割合が79.4%だと思うのですが、今のお話は、運用保守費の部分が93%から70%まで随意契約率が下がっていくだろうというお話だと思います。
そこで、私はさらにちょっと疑問に感じましたのは、新しい基幹系システムというのは、札幌総合情報センター、いわゆるSNET、本市の出資団体ですが、ここにソフトウェアを開発してもらい、それを借り上げる契約になっていると聞いています。総額で約170億円のシステム開発をしてもらい、それを約24年間の長期にわたってここからリースを受けるということですけれども、これも同じく随意契約だと聞いております。これまでの古い基幹系システムは本州資本である東京の大きな特定電気メーカーに依存していましたが、これからは、24年間、SNETに依存していくのだとなると、今までと一体何が違うのだろうかと疑問に思うわけであります。24年間というと、新幹線がやってくるだろうというような時代までこのSNETのシステムを使わなければならないというと、私は、これでは随意契約が余り変わっていないのではないかと思うのですけれども、そこの受けとめはいかがでございますか。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
システムの関連経費については、従来から、開発、構築を担当した企業にその後の運用保守業務を発注するということを継続してきたところでございます。しかしながら、先ほどご答弁申し上げましたように、住民情報系の基幹系システムが稼働限界を迎えるに当たり、特定の企業の技術のみに頼らず、標準的な技術を使用したシステム開発を行い、多くの企業が業務を担えるようにする取り組みを現在進めているところでございます。
この開発に当たりましては、独立行政法人産業技術総合研究所が研究成果として所有している包括フレームワークという手法を活用して再構築を進めようとしているものでございます。ただ、そのフレームワークを札幌市のシステム開発に生かしていくために、略称で産総研と申しておりますが、産総研とSNET、そして札幌市が共同研究を行いながら、分割発注、そして、その分割した発注を地場の企業にもという流れの中でこれまで開発を進めてきているものでございます。
いずれにいたしましても、SNETには開発の全体管理をお願いしておりまして、そちらに長期間にわたってシステム利用料を払うことで現在進めているところでございます。
◆
金子やすゆき 委員 そのシステム利用料を、24年間、ずっと払っていくのですが、私は契約書をいただいて見たところ、本市がシステム開発費用を全部負担するのですけれども、システムの所有権は札幌総合情報センターが持つということになっているのですね。これは、市民の財産でつくったものなのに、どうして札幌市の所有にならないのかなと疑問に思うところなのです。
その問題より先に話を進めたいと思うのですが、今のお話の中で、産総研が開発した包括フレームワークを使いながら新しいシステムを開発していくというふうに聞きました。しかし、それは、産総研自体と契約をしているわけではなくて、固有名詞を挙げてもいいと思いますが、札幌総合情報センターを通じて、ピースミール・テクノロジー社という会社に随意でこの業務の開発業務を委託しているというふうに聞いております。このピースミール・テクノロジーという会社は、一体どのような会社なのか、なぜこの会社に随意で基幹系システムの大部分を委託発注しているのか、この会社の設立年、出資者、従業員数、売り上げ規模など、会社概要がわかればお知らせください。
それから、札幌市からピースミール・テクノロジー社に出している随意契約、発注金額、また、SNETを通じた同社への発注金額をお知らせいただきたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
ただいまのご質問のうち、会社の概要の部分については、本日、資料を持ち合わせておりませんので、大変恐縮ではございますが、お答えしかねる状況でございます。
ピースミール・テクノロジーという会社は、先ほどご答弁いたしました産総研の包括フレームワークという新たな開発手法、これは産総研に知的財産権が保有されているものでございますが、このフレームワークという手法を使ってシステムの開発を行うこと、さらには、その後の保守運用を行うことを認める企業を産総研の方で限定している状況でございます。その中で、ピースミール・テクノロジーは、認可を受けて技術移転ベンチャーと認められた企業になってございます。
SNETからピースミール・テクノロジーの発注状況でございますが、基盤機能の構築、再構築事業全体のプロジェクト管理・支援などとしまして、SNETから平成24年度までで約21億円の発注を行っているところでございます。
◆
金子やすゆき 委員 今の説明でちょっとよくわからなかったのは、産総研というのは、私の理解が正しければ、これは国の独立行政法人だと思いますから、ここの研究試験は国税で賄われているものですね。その研究成果というのは、当然、国に所属するものだと思っておりますけれども、その知的財産がどうしてピースミール・テクノロジー社に移転するのか、ピースミール・テクノロジー社だけが独占的に使えるものなのか、あるいは、その他のシステムIT企業が産総研のこのフレームワークを使うことはできないのか、そのあたりはいかがでしょうか。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問についてですが、産総研が開発し、知的財産権を所有している包括フレームワークという手法については、産総研も広く社会に普及させていくことを目標としているというふうに伺っております。しかしながら、現段階でその手法をオープンにいたしまして、特定の企業が営利企業活動の一環として広く活用することには慎重になっておりまして、まず、社会に着実に普及することを目標としていることから、技術移転ベンチャーというものを特定の企業に限定しているものと伺っております。
◆
金子やすゆき 委員 今のご答弁ですと、ピースミール・テクノロジー社というのは営利企業ではないように聞こえますけれども、そのようなことになっているのでしょうか。
私が調べたところでは、ピースミール・テクノロジー社というのは、JASDAQに上場しているウルシステムズという企業の関連会社という位置づけになっておりまして、設立されてまだ3年ぐらいの歴史の浅い小さな会社ですが、この3年間で非常に急成長しております。そして、札幌市も、直接、ピースミール・テクノロジー社と多数の随意契約を行っておりまして、その会社の概要をお持ちでないということですけれども、僕は、それはおかしいと思うのですよ。まだできたばかりの新しい会社、歴史もなく、資本金500万円もないような会社ですけれども、その会社になぜ本市が多額の随意契約を行っているのか、相手方がどんな会社かも知らずにその会社に業務を流し込むというのは、普通は考えられないと思うのですよ。どなたか、資料を持っている方はいらっしゃらないのですか。
◎藤井 情報化推進部長 先ほどご答弁しましたように、大変恐縮ではございますが、本日、資料を持ち合わせていませんので、後日また、資料のご提供なりご説明させていただきたいと思っております。
また、産総研の包括フレームワークとピースミール・テクノロジーの関係につきまして改めてご答弁させていただきますけれども、先ほど来申し上げていますように、住民情報系のシステムが稼働限界を迎えつつあり、その再構築に当たっては、私どもとしましては、特定の企業の独自技術に頼らない標準的な技術を用いた情報システムを構築したいと考えたところでございます。
そうした手法により新たなシステムを構築することによりまして、従来、長い期間、特定企業に随意契約で運用保守を発注してきたところが、新たな企業も参加できるようになる、そういうことを目指して現在取り組みを進めているところでございます。
ちなみに、開発費総額のうち、ピースミール・テクノロジーに発注する予定は開発スタート当初段階では約30億円で、システムの基盤部分を開発するものでございます。これは、その基盤部分の上に住民記録システム、税のシステム、福祉のシステムといった各業務システムが乗ることによって全体が構築されますが、それらの業務システムの構築費は当初約90億円を見込んでおります。この90億円は、ピースミール・テクノロジーではなく、総合評価方式による競争原理を導入した調達方法により現在開発を行っているところでございます。
○阿知良寛美 委員長 金子委員に確認したいのですけれども、今、会社概要を持ち合わせていないということで、この答弁は後日でいいですか。どうしましょうか。
◆
金子やすゆき 委員 会社概要は、後日で結構です。
引き続き、話の論点が変わるかもしれませんけれども、今、ピースミール社に発注している金額は約30億円と伺いましたが、この中で人件費の占める割合はどのくらいか、掌握してらっしゃいますか。
◎藤井 情報化推進部長 ご答弁いたします。
申しわけございません。掌握しておりません。
◆
金子やすゆき 委員 この質問をしますというお話はしてあるのですが、残念ながら数字をお持ちでないということで、仕方がないので部分的なところは私がお話しします。
これは理事者側からいただいた資料ですけれども、毎年、SNETからこの会社に6億円、7億円のお金が流れていっています。このピース社というのは、先ほども申しましたが、できてまだ3年という歴史の浅い会社でありまして、もともとゼロから生まれた会社なのですよ。ところが、この会社の公表データを見ますと、わずか3年間で売り上げが10億円を超える大きな会社に成長しております。その内訳は何かというと、札幌市の売り上げが6億円、7億円ですから大部分を占めています。ということは、何を言いたいかというと、できたばかりの何の歴史も実績もない会社と、なぜ、随意契約をしているのかということについて、きちんと説明もできない。その会社は、この3年間にどんどん内部留保を蓄えて、札幌市の仕事をしながら富を蓄積しているのが現状だと思うのです。
なぜ、新基幹系システムをやるかというと、今まで大手電機会社に随意契約でずっと仕事を出し続けて、言葉は悪いですが、いいようにやられていた、これを何とかしたいということで、もっと地元の会社にお金を落とせないだろうかというのがそもそもの原点だったと思うのです。しかし、このピースミール・テクノロジーは札幌の会社ではないですね。私は、こういったやり方は非常に不透明だと思うわけであります。
いずれにしても、このシステムは非常に市民にわかりづらい分野ですが、そこを隠れみのにしないで、できるだけ随意契約は改め、競争性が高い仕事に改めていく、それから、なるべく地元の会社に仕事を落としていくということをぜひやっていただきたいと思うのです。
残念ながら具体的な数字をお持ちでないということで余り議論できませんので、ここまでとさせていただきますが、ぜひ、この点はお願いしたいと思います。
◆伴良隆 委員 私は、3項目質問させていただきます。1項目めがパブリックコメントの今後のあり方について、2項目めが本市のエアフィルターのあり方について、3項目めが本市のコンピューターウイルス対策について、以上3点について質問してまいりたいと思います。
まず、パブリックコメントの今後のあり方についてでございます。
本市においては、市民参加の機会の拡大や公正の確保、透明性の向上を図るため、国や北海道などのパブリックコメントの実施状況なども踏まえ、平成16年に札幌市パブリックコメント手続に関する要綱を制定し、本市の重要な政策の策定に際し、その要綱に基づいて、パブリックコメントを実施しております。しかし、そもそも条例の制定などは、市民の代表者である議員により構成する議会において議決が必要なものであり、理論上、見方によっては重複した手続になっているとも考えられます。
そこで、まず、パブリックコメントによる市民の意見と議員の意見との概念的なすみ分けについて、確認の意味でお聞きしたいと思います。
◎渡邉 行政部長 パブリックコメントにつきましては、市長がよりよい政策案を作成するに当たっての手続の一つといたしまして、広く市民の意見を聞くものでございまして、議員の皆様には、これにより作成した政策案について議会においてご報告し、あるいはご審議をいただくものでございます。また、パブリックコメントの実施、あるいは、その結果につきましては、必要に応じて議会にご報告し、ご意見をいただいているところでございます。
◆伴良隆 委員 次に、平成23年度に行ったパブリックコメントの手続を実施した政策案の24件中、政策案の修正なしが5件、1項目のみ修正した政策案が8件、合計が13件であります。つまり、数字的な結果では、パブリックコメント件数の半分以上が、市民の意見を求めながら、本市は反映しないか、あるいは、ほぼ反映しないというのが実数上の実情であります。また、パブリックコメントにおいて意見した市民の人数で1桁の人数にとどまったものが24件中10件に及ぶという状況であります。パブリックコメントにかかる政策案の完成状況から、それらへの意見数が少なかったり、意見内容が文言修正程度におさまるのもある意味で理解するところでもございます。しかし、幾らパブリックコメントをすること自体に意味があるとはいえ、パブリックコメントをするのに適したものとそうでないものがもっと精査されるべき時期に来ているのではないかと私は思っております。このままだと、結果的には、目的のために形骸化した手続に陥っていくおそれがあります。
そこで、2点質問させていただきたいと思います。
パブリックコメントを実施するからには、その時間や労力に見合った成果が必要であると考えますが、本来、実施しなくてもよいようなものも実施されているのではないかとの疑念が生じております。この点について、まず、どのように考えていらっしゃるのか、お聞きします。
続けて質問でございますが、実際のパブリックコメントの実施に当たっては、要綱やそれに基づく通知に従い、必ず実施することとしているもの以外については、政策案を所管する部局の判断により実施するとのことでありますけれども、実施するからには実効性が伴うべきものと私は考えます。よって、実効性の観点から、パブリックコメントをすべきかどうか、これは市民の意見を聞く適切な別のやり方も含めて検討すべきではないかと考えます。この実効性の観点に関し、制度を所管している部局としてパブリックコメント実施の今後のあり方についてどのように考えていらっしゃるのか、お聞きします。
◎渡邉 行政部長 1点目のパブリックコメントの実施についてのご質問でございます。
パブリックコメントは、審議会あるいは市民アンケートなど、さまざまなプロセスを経て一旦の成案を作成した上で、幅広く市民の意見を聞くために実施しているものでございます。その性質上、必ずしも、全ての政策案に多くのご意見が寄せられる、あるいは、寄せられたご意見が全て政策案に反映されるものではございませんけれども、いずれも広く市民から意見を聞く必要があると判断して実施しているものでございます。
なお、平成23年度の実績でございますが、個別には委員からもご指摘がございましたけれども、総計で申し上げますと817の個人、団体から約1,900件のご意見が寄せられているところでございます。
2点目のパブリックコメントの実施のあり方についてでございますが、市民への義務賦課、あるいは、権利制限にかかわる条例のほか、総合計画、その実施計画、市政の特定の分野に関する基本的な計画など、広く市民に影響が及び、これらの意思決定過程に市民参加の機会を設けるという観点から必ず実施するものがございます。また、これら以外のものにつきましては、所管部局の判断でパブリックコメントを実施できることとしております。この場合、所管部局におきましては、具体的な政策案のパブリックコメントを実施、検討するに当たって、市政への市民参加の機会拡大、公正の確保、透明性の向上といったパブリックコメントの目的を前提としつつ、政策案の内容、あるいは市民の関心度合いのほか、実質的に広く市民の意見を聞く必要性が高いか否かといった実効性の観点など、さまざまな観点から検討すべきものというふうに考えているところでございます。
◆伴良隆 委員 数の問題にいたしますと切りがないわけでありまして、問題は手続という方法と中身であります。ただ、やっぱり数は一つの指標になりますので、そういうことで私は論拠にしたわけであります。
私は、パブリックコメントの本来趣旨である公正の確保及び透明性の向上は、政策については、市民の代表が集う議会を通じて慎重に議論、審議されている中ではございますが、何とかまだ理解することはできます。しかし、もう一つの札幌市のパブリックコメントの趣旨である市民参加の機会の拡大については、手続上の理屈では機会の拡大を促していることになっていても、実際は、パブリックコメントの結果を見れば、残念ながら市民参加が広がっているとは言えないと私は思っております。さらに言えば、そもそも、パブリックコメントの制度を知り得て、その政策情報を入手し、そして、内容を理解し、限られた期間と方法で意見をまとめて発信することは、正直、市民には大変な労力でありまして、限られた市民しかそれを全うできないのではないか、こうした事実があるのではないかと私はあえて申し上げたいのであります。
よって、本市の言うパブリックコメントによる市民との協働による市政運営とは、理想と現実にかなりの温度差があるのではないかと私は考えております。パブリックコメントの運用に関しては、今後、さまざまな観点からの実効性とその対象範囲の選定、情報内容の選別など、工夫を凝らし、めり張りある運用を求めておきたいと思います。
あわせて、本市パブリックコメント手続要綱の第3条2項の2及び3項に実効性の有無についての視点を加筆したらいいのではないかと具申して、質問を終えたいと思います。
それでは、2点目に、本市のエアフィルターのあり方についてであります。
今日、再び大気汚染の問題が報道されるようになりました。本市の大気汚染も、今や隣国に左右されてきているのが実情で、中国からのPM2.5などの微小粒子状物質の越境汚染が問題にされているところであります。人間が呼吸を通して微粒子を吸い込むことで、呼吸器を通じて健康へ悪影響を与えるとされています。本市が管理する各公共施設として、特に、不特定多数の人が長時間使用するような施設や、高齢者や幼児などの抵抗力が低い弱者など、いかに室内空気環境を良好に保つかは、本市の重大な責務と言えます。
我が会派のこじま議員の委員会質疑では、エアフィルターについて、健康面や衛生面、安全面などの十分な性能が必要だとの指摘に対し、本庁舎は良好な室内空気環境が確保されているところとの行政部長答弁がございました。
そこでまず、伺いますが、さまざまな人々が利用する公共施設の良好な室内空気環境の確保について、本市の責任をどのように考えているのか、また、今後、季節風が強くなる時期を控え、本庁舎の室内空気環境についてどのような対策を考えているところか、伺います。
続けて、伺っていきます。
エアフィルターについては、まずは、安全性がきちんと確保される適切な基準や性能保証が必要であります。また、シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドは、家具や建築資材、接着剤、防腐剤、塗料などに含まれている化学物質として大きな問題となっています。さらに、今後は、より環境に配慮した環境負荷の少ない資源リサイクル可能な製品も市民に求められているところでもございます。
そこで、質問でありますが、市民の安全・安心を守る本市の責務を念頭に、エアフィルターに関して、品質や性能が維持される基準や保証はどうあるべきと考えていますか、また、ホルムアルデヒドなどの化学物質の排除や、資源リサイクルが可能な製品を導入するなどの環境負荷低減への取り組みについて、本市は、今後、どのような姿勢で臨むべきと考えているのか、あわせて伺います。
◎渡邉 行政部長 職員や来庁者の方々の健康を守るために室内の空気環境を良好に保つことは、もちろん大変重要なことだというふうに認識しております。そのため、本庁舎におきましては、労働安全衛生法や建築物衛生法に基づき、浮遊粉じんあるいは二酸化炭素など、必要な測定項目について2カ月に1度測定し、良好な空気環境を確保しているところでございます。
また、ご質問にありましたように、今後、季節風が強くなるなど、PM2.5等の大気汚染物質の飛来が懸念されるような場合には、環境省の注意喚起のための暫定的な指針に基づいた対策を講じてまいりたいというふうに考えてございます。
また、本庁舎で使用いたしますフィルターの規格及び性能につきましては、JIS規格などにより定めているところでございますが、これを、技術力を有し、実績のある第三者機関で検査させることによりまして品質を確保しているところでございます。
また、環境首都を宣言する札幌市といたしましては、環境負荷を低減させることは重要なことだと認識しておりまして、資源リサイクルが可能な製品であることを仕様書に明記することとしておりますとともに、今後につきましても、より環境負荷を低減させるようなフィルターが普及した場合には、導入について検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。
◆伴良隆 委員 安全・安心となりますと、さまざまな技術的な革新もございます。そういう意味でもいろいろな環境の変化もございますので、市はあくまで毅然として市民の安全・安心を守っていただきたい。その上で、自由な競争もしかり、いろいろな技術革新もしかり、しっかりと慎重に見ていただきながらこれを受け入れていっていただきたい、このように要望して、終えたいと思います。
それでは、3点目は、コンピューターウイルス対策について伺います。
札幌市においても、ほとんどの業務でIT化が進んでおり、事務処理のほとんどはネットワーク化されたシステムで行われている状況にあると思います。札幌市は、193万人の市民の個人情報を扱っており、市民は個人情報の漏えいに強い危機意識を持っているところであります。
そこで、質問の1点目でありますが、コンピューターウイルスへの感染が情報漏えいの主な原因として取り沙汰されておりますけれども、札幌市でのコンピューターウイルスの感染状況について、まず、伺いたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 コンピューターウイルスの感染状況についてでございます。
まず、住民記録、税、福祉等の住民情報系システムのネットワークは、インターネット等の外部とつながっていない閉じられたネットワークになっておりまして、インターネットを介した情報流出の心配はない状況でございます。
一方、財務会計、人事給与等の業務を処理する行政情報系のシステムや、職員間や外部とのメール、インターネット閲覧などを行うイントラネットシステムでは、これまでにウイルスを検知した例がございまして、平成22年度で375件、23年度で234件、24年度は1月末までで151件となっております。これらの検知したウイルスは、ウイルス対策ソフトにより駆除されるなど適切な処理がとられておりまして、これまで情報流出等に至った例はございません。
◆伴良隆 委員 ご答弁のとおりで、この3年間のウイルス感染数が減少傾向にあることは評価できると思います。ウイルス感染による情報漏えいもこれまではなかったとのことでありますが、年間数百件の感染状況にあるということは、今後、情報漏えいにつながる事故が発生しないとは限らない状況にあると言えます。
そこで、質問の二つ目でございますが、3点質問させていただきたいと思います。
ウイルス感染の原因としてどのようなものが挙げられるのか、その対策としてどのような取り組みを行っているのか、また、ウイルスの種類としてどのようなものがあるのか、さらに、部局別に見たときに傾向のようなものがあるのか、以上、3点お伺いします。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
まず、ウイルス感染の原因を分析いたしますと、USBメモリー等の外部記憶メディアの使用によるものが約95%と大多数を占めております。情報セキュリティーの取り組みといたしましては、ICカードとパスワードによるパソコンへのログオン管理や、ネットワークにファイアウオールを設け、外部からの不正アクセスを防いでいることに加えまして、全てのパソコンにウイルス対策ソフトを導入し、最新のセキュリティーパッチを適用させるなど、現在考えられる物理的・技術的対策を講じています。さらに、これらに加え、毎年、職員を対象に情報セキュリティー研修を実施し、人的対策にも取り組んでいるところでございます。
次に、これまで検知したウイルスの種類といたしましては、ワームと言われる自身のファイルのコピーを作成することにより、増殖する活動を行う不正プログラムが最も多く検出されております。検出された中には、特に危険と考えられるスパイウェアと言われる、情報漏えいにつながる不正活動を行うウイルスも平成23年度に4件、24年度に2件の検出がございました。しかし、いずれも感染による不正活動が行われる前に駆除されており、被害はございませんでした。
次に、部局別でのウイルス検知数を比較したときの傾向といたしましては、この数年来、病院局と教育委員会での検出数が他の部局と比べて多くなっております。他の部局では、年間で数件あるかないかといった状況でございますが、この二つの部局では、年間で数十件の検知数となっております。教育委員会では学校、病院局では病院と、いわゆる現場における検出数が事務局での検出数を大幅に上回っております。
◆伴良隆 委員 特に危険と考えられる情報漏えいにつながるような不正活動を行うウイルスが、数件、発見されている状況だということであります。物理的・技術的対策と職員の意識啓発に努めてきたということでしたけれども、部局別に見たときには、おっしゃったとおり、病院局と教育委員会が多いのであります。それも、病院や学校といった現場のウイルス検知数が多いということでありました。病院や学校においても物理的・技術的対策については同様の対策をとられていると思いますが、いわば、この原因は病院の医師や看護師、学校の教職員の意識によるものではないかと私は考えます。
そこで、質問でございますが、学校や病院での検出数が多いという事実に関して、この現状をどのように認識し、対策を講じているのか、伺います。
◎藤井 情報化推進部長 病院局、教育委員会では病院や学校のいわゆる現場でのウイルス検出が多く、その原因のほとんどが、先ほどもご答弁しましたように、USBメモリー等の外部記憶メディアの使用によるものとなっております。先ほど申し上げました物理的・技術的対策は病院や学校でも講じておりますので、職員の情報セキュリティー意識の向上のための人的対策を一層充実させる必要があるものと考えております。
こうした状況から、情報化推進部といたしましては、病院局と教育委員会の情報担当部門と協議、調整を行ってきておりまして、平成21年度から、病院の医師と看護師、学校の教職員を対象とした情報セキュリティー研修を実施しているところでございます。その結果、病院局、教育委員会ともに、ウイルス検知数が平成23年度には前年度に比べて半減しておりまして、着実に研修の成果が出てきているものと考えております。病院や学校の現場は行政の事務職場とは異なる職場環境にあることは配慮しなければならないと思っておりますが、私どもといたしましては、情報セキュリティーを維持していくことは、業務上、また、市民サービスを進める上で大変重要なことと認識しておりますので、今後も引き続き、病院局、教育委員会と連携を図りながら、研修実施などを通じて職員の情報セキュリティー意識の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
◆伴良隆 委員 もう少し元気よくおっしゃっていただけると意気込みが伝わります。ご答弁がありましたとおり、今後も、物理的・技術的対策はもちろんでありますけれども、そもそも外部記憶メディアを安易に使ってはいけないなど、職員の意識向上を図ることは必要不可欠であります。PCウイルス対策で成果を上げていることは事実でありまして、評価できますが、本来はウイルス検索数ゼロが適切な数字であります。私も自戒を込めて申し上げたいと思います。
今後、より必要になるのは、教育現場や病院などの特殊な職場環境にある職員の意識向上になります。学校などにおいては、私が議会質問している学校長集金の要領違反などにも見られるように、その特殊な環境が公務員としての意識低下を招いているのではないかとの声があります。教育委員会や病院局を筆頭に、本市全部局職員に対し、情報管理の重要性について総務局として厳しく意識向上をさせるようにお願いしたいところであります。
なお、本件に関しましては、改善状況について、この後、各部局はもとより、教育委員会、病院局、各担当の部署から逐次ご報告いただくようにお願いしまして、私の質問を終えたいと思います。
◆しのだ江里子 委員 私は、札幌市国際戦略プランの策定についてと、市民と共に学ぶまちづくり推進研修事業について、2点質問させていただきます。
まず、国際戦略プランの策定について伺います。
昨年、第4回定例市議会の代表質問におきまして、私は、情報通信技術や国際交通ネットワークの著しい進歩などのグローバル化の進展に対応するために、札幌が持つ多彩な魅力を世界へ積極的に情報発信し、人、情報、資金などを呼び込む活力みなぎるまちづくりが求められることを指摘させていただきました。これに対し、札幌市では、現在、札幌市国際戦略プランを策定中であり、海外の成長を取り込む交流の推進、多様性を認め合う多文化共生社会の実現、そして、互恵的な国際協力の推進などを主な方向性として、来年度、早い時期の公表を目指して進めているとの答弁をいただきました。
そこで、質問ですが、札幌市国際戦略プラン策定のその後の進捗状況についてはいかがか、伺います。
◎今井 国際部長 札幌市国際戦略プランの策定状況についてでございます。
昨年12月に、有識者や公募委員で構成される札幌市国際戦略プラン懇談会を開催し、素案についてご意見をいただくとともに、現在、庁内の関係部局と具体的取り組みの調整を進めているところでございます。また、現在、まちづくり戦略ビジョン戦略編が審議会において議論されており、ことしの春をめどに答申がなされる見込みであります。さらに、答申後におきましても、庁内において議論を進め、実効性を高めていく予定がありますことから、札幌市国際戦略プランの公表は、これまで、来年度の早い時期を目指しておりましたが、プランとビジョンを双方向の関係で内容を詰め、整合性を図っていくため、ビジョンの公表時期と合わせたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 12月に懇談会を開催され、さらに庁内の取り組みの調整をされていて、来年度の早い時期ということでしたが、まちづくり戦略ビジョンの春の答申を待った上で進めていくために、多少おくれるのではないかなと思います。
札幌がグローバル化に対応するために、また、先ほども触れました札幌市国際戦略プランの方向性の一つである多様性を認め合う多文化共生社会の実現においても、私は、国際人材の育成が極めて大事だと考えております。2010年、文部科学省の発表によりますと、日本人の海外留学生は5万8,060人と、ピークであった2004年の8万2,945人に比べまして約2万5,000人、約30%も減少しております。それは札幌においても同じでございまして、札幌市内の各大学も交流協定を締結している海外の大学に学生を派遣する取り組みを行っておりますけれども、意に反し、学生の内向き志向というものはなかなか変わっていかないということが指摘されております。
そこで、札幌市は、国際人材育成事業の一つとして、この2月に、大学生が姉妹・友好都市の同世代の学生と合宿形式でさまざまなテーマについて議論を行う姉妹・友好都市青少年未来プロジェクト事業の一つである学生国際合宿セミナーを実施したと伺っております。
質問ですが、学生国際合宿セミナーの概要、成果についてはいかがか、また、札幌市国際戦略プラン策定において、青少年の国際人材育成をどのように考えているのか、伺います。
◎今井 国際部長 学生国際合宿セミナーは、札幌の大学生19名、そして、今回、初めて全ての姉妹都市から学生19名が参加し、開催されたところでございます。2週間にわたりまして、寝食をともにし、共通のテーマについて学び、討議するもので、参加した学生にとりまして異文化理解の促進、人的ネットワークづくりに大きく寄与したと考えております。また、合宿セミナーのプログラムとして、ボランティア体験を初め、市内の企業や小学校の訪問、活動報告会の開催など、市民と参加学生との友好交流を深める機会があり、市民の姉妹・友好都市に対する理解にもつながったと考えております。
次に、札幌市国際戦略プランにおける国際人材育成についてでありますが、国際感覚豊かな人材の育成と活用を施策の柱の一つと位置づけており、青少年の海外経験の促進など、札幌の将来を担う国際人材の育成に積極的に取り組んでいくことを考えております。
◆しのだ江里子 委員 札幌市の学生19名、そしてまた5都市の学生19名、合計38名が、2週間、まさに寝食をともにするというのは本当にすごい合宿だったと思います。この日程表を拝見しますと、座学では外国人籍市民の就労状況とか震災と多文化共生のまちづくりについてなどの講義を受け、そして、今も答弁にありましたように、小学校とか職場を訪問し、そしてまた、市民との交流であるワールドユースカフェでは「国際結婚は異文化理解?」について話し合いがされ、最終の活動報告会では市民とのフリートークも行われ、交流を深めていたということが読み取れました。報告会では、例えば、異文化理解というのは、一面的なものではなくて、多面的に理解することであったり、まさに異文化を尊重すること、そして、異文化のイメージを固めないことであるということ、また、幼いときから異文化に触れることが必要だとの発表があり、発表を聞いた市民からは、どの国の人とも友達となり、友達のことを知るために言葉を学んだり、相手に自分や札幌のことを伝えたくなるとの感想が寄せられていました。国際プラザでは、昨年12月からことし2月までに開催されましたこども領事の企画など、年齢に合わせた多文化共生の取り組みがなされておりまして、札幌にいながら外国の様子を知ることができ、身近に感じることができると考えます。
これ以外にも、2月9日にサッポロ・インターナショナル・ナイト2013が開催されました。これは、北海道大学とユネスコなどが中心になって毎年開催されている催しですけれども、ここには札幌に在住している留学生と高校生以上の市民がたくさん参加しておりまして、今回は200人以上が参加いたしました。私も、インターン生、高校生とともに分科会から参加しましたが、まさに多文化を知る、そして、相手の国の事情を知ることがいかに大切かということを改めて知る機会となりました。そういったことで、本当に札幌市の将来にとりましても国際人材の育成が何より重要な課題だと考えます。国際的視野を持った人材がふえることによって、札幌の経済とか文化など、さまざまな分野において海外との交流が盛んになり、札幌の活性化にも大きく寄与するものと考えます。札幌市国際戦略プランの策定に当たっては、今後も積極的に国際人材の育成を盛り込んでいただくことを求めて、この質問は終わります。
次に、市民と共に学ぶまちづくり推進研修事業について質問いたします。
上田市長は、常々、市民とともに考え、ともに悩み、ともに行動すると話されます。市民が主役のまちづくりには、市民との情報共有はもちろん、市民の市政参加が重要であることは紛れもありません。町内会、NPO、民間事業者などを初め、多くの市民が地域を支えていますが、もっと幅広く多くの市民が参加していくことが望ましいと考えます。そのために、行政は、まちづくりに関心はあっても行動へつながらない人とか、できれば余り関心がない方たちにも働きかけをして、年代を問わず、一人でも多くの市民の背中を後押ししていただきたいと、先ほど私は市長政策室における広聴活動の質問の中でも求めさせていただきました。
職員部が実施をしている市民と職員が一緒に学ぶまちづくり推進研修事業ですが、地域の課題解決に向けた知識やスキルを職員と市民がともに習得できる機会でありまして、まちづくりへの市民参加促進につながるものと考えます。市政知識とか市政への参加経験のない市民にとりまして、研修を受講することで、まちづくりの課題やテーマに応じた意見交換とか意見集約の方法など、まちづくり参加に役立つ知識などを習得し、課題発見から解決するための事業提案に至る計画作成プロセスを体感することで市民参加を経験する場となり、おのおののまちづくり能力を高めることができます。一方、職員にとりましても、市民とともに研修を受講することで、まちづくりの課題やテーマに対する市民意向とか問題意識を把握することができ、市民感覚、そして市民の生活実感をより反映した課題解決に向けた事業提案のプロセスを体感し、市民意向の反映方法とか市民参加型のまちづくり活動の実践方法を考察する機会となります。
この事業は、2011年から4年間をかけて、課題の発見方法や解決策を見つける方法について、実際に研修をしながら幅広く適用でき、一般的に活用したりすることができる、使い勝手のよい汎用性のある研修モデルの策定を目指していると聞いています。2011年は、防災福祉と子育て支援の二つのテーマを設定し、研修を行い、モデル案を策定したと聞いております。
そこで、質問ですが、2年目の2012年度の実施状況とその成果はどのように評価されているのか、伺います。
◎常野 自治研修センター所長 ただいま、市民と共に学ぶまちづくり推進研修事業につきまして、平成24年度の実施状況と成果に関するご質問をいただきました。
今のお話にございましたように、2011年度、平成23年度に、どういった研修にすればよいのかといった内容を定めた研修モデル案が策定されましたので、今年度はそのモデル案の試行実施と見直しの年となっております。具体的な研修の実施状況でございますけれども、10月から12月にかけまして全5回の研修を行いまして、市民が16人、職員が15人、合計31人が受講しております。研修のテーマは、円山動物園をもっと身近なものにするためにはという比較的イメージしやすいものを取り上げまして、研修として活用しやすいプログラムにするために運営方法などにも工夫を凝らして実施いたしました。その結果、参加した市民や職員からの感想といたしまして、課題や解決策を見つける方法などを具体的、体験的に学ぶことができた、また、実際の仕事に活用する機会があった、あるいは、本音で話し合いができてよかった、お互いの考え方などを知るよい機会になったなど、高い評価が得られたというふうに考えております。
したがいまして、研修モデル案の完成度を高めることもできましたし、あわせまして、研修そのものとしても効果があったものと考えておりまして、モデル案のさらなる見直しに向けて実施結果の検証を行っているところでございます。また、研修を通じてさまざまなアイデアが提案されましたが、これらにつきましても関係部局へ情報提供いたしたところでございます。
◆しのだ江里子 委員 平成24年は、試行実施ということで、市民16名、そして職員15名の31名が参加し、円山動物園をもっと身近なものにしようということで、私もこのまとめをいただきましたが、中身は大変おもしろいものでした。そして、実際に、円山動物園の三上園長が目指すものということで、せんだっての新聞に書いていらした中で、市民と職員が一緒にまとめ上げた中からのものかなと思われるところがありました。例えば、ZOOコンというのがありまして、まさに婚活なのですが、動物園の中で合コンをしようという企画とか、あるいは、市民の積極的来園のための情報発信、100万人集客大作戦であるとか、まさに市民にとって非常に興味のあるもので、そしてまた、市民と職員が一緒にこれをつくり上げることはとても意義のあることだったと思います。
少子高齢化の本格化とか、人口減少とか、原発事故に伴うエネルギー政策の見直しなど、札幌市を取り巻く社会経済状況は大きく変化して、市民ニーズも複雑化、高度化しておりまして、職員は市民感覚から遠いなどという声もちらほらと聞かれます。職員にとって、このような市民ニーズを把握し、課題解決能力を身につける必要性はますます高まっておりまして、実践的に学ぶことのできるこの研修は大変意義のあるものと考えます。一方、この研修を通して、市民の方たちがまちづくり活動に役立つ知識などを習得され、まちづくりを担う仲間として、行政と一体感を持ち、具体的なまちづくりの場面につなげていただくことができることが重要であると考えます。そのためには、テーマの策定に当たっては、市民が発言しやすく、まとめられた提案ができるだけ市政へ反映されていくようなものが望ましいと考えます。
そこで、質問ですが、来年度、2013年度の事業はどのような内容を予定されているのか、伺います。
◎常野 自治研修センター所長 来年度の市民と共に学ぶまちづくり推進研修事業の内容についてでございます。
来年度につきましては、今年度、一部見直しいたしました研修モデル案を試行実施することで汎用性の高い研修モデルをつくるために、さらなる見直しを進め、活用に向けた検討を行う年と位置づけております。研修の中身につきましては、今年度と同様に、市民と職員が一緒に課題発見から解決するための事業提案までをプロセスとして、実践的に学びながらまちづくりに必要な技術を習得できるものということで、取り上げるテーマはこれから検討することになりますけれども、地域の具体的な課題など、市民の皆さんが身近に受けとめてくださるようなものにしたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 自分たちも公共の担い手であるという意識とか、まちづくりを行う仲間としての市民と行政の一体感など、受講によって得られた効果を具体的なまちづくりの場面につなげていくことが極めて重要でありまして、あわせて、市政課題に対する市民の問題意識とか提案などについて、行政がさまざまな場面で把握することが求められ、大変に重要であると考えます。市民と職員が一緒に学ぶこの研修は、お互いの理解を深めることができるだけではなく、その点においても自治を推進する札幌市にふさわしい事業と考えます。将来的に多くの部局がこのモデルを活用し、市民の市政参加の機会拡大につながることを私は期待しております。
なお、市民に研修へ参加していただくことは、市民が主役のまちづくりの実践につながるものであります。運営上、難しい面があることも承知していますが、研修を通じて提案されたアイデアに関しては、先ほどの動物園もそうですけれども、市民意見としてしっかり認識し、市政への活用の視点も忘れずに事業を実施していただきたいと思います。例えば、習志野市では、研修参加者有志による中間支援団体の設立をフォローし、フォローアップ研修でファシリテーターとして役割を与えながら、具体的な地域の課題抽出と活動展開につなげている事例もあります。札幌市におきましても、まちづくりサポート情報をしっかりと提供し、活動を支援していただくことを求め、私の質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からは、東京事務所の取り組みについて質問したいと思います。
我が会派では、これまでも、札幌市民の雇用の拡大や産業の高度化、経済の活性化に寄与する企業誘致、とりわけ東京事務所の誘致活動に大いに注目しており、昨年の第1回定例市議会
予算特別委員会において、隣にいる芦原委員が質問を行ったところであります。その際の答弁では、企業誘致は、経済局産業振興部と総務局東京事務所が連携して行っており、平成22年度からは東京事務所に係長職を1名増員するなど、本格的に誘致活動を展開することにより、徐々に成果も上がりつつあると伺ったところであります。一方で、札幌市が行っている企業経営動向調査によりますと、札幌市内企業の足元の景況感は回復基調にはあるものの、平成24年度上期には市内景況判断、BSIはいまだマイナス23.1ポイントと、依然としてマイナスの状況が続いております。また、雇用についても、本市の有効求人倍率は、平成23年度の0.4倍台から昨年12月には0.54倍まで水準を上げてきたとはいえ、全道平均の0.61倍、また全国平均の0.79倍から見ますと大きく下回っている状況にございます。経済の活性化や雇用の拡大には、その起爆剤となるべき企業を首都圏からさらに誘致することが必要でありまして、東京事務所が果たすべき役割は極めて重要であると考えるところであります。
そこで、2点伺います。
この1年間に、東京事務所の活動によってどのような企業が立地し、具体的な件数や雇用創出効果はどのようになっているのか、また、それが札幌市全体の企業誘致においてどれくらいの割合を占めているのか、伺います。
◎大島 東京事務所長 企業誘致の今年度の成果についてでありますが、東京事務所がかかわったものとしてコールセンターが6社、事務センターが5社、IT関連企業2社の計13社が、今年度、既に立地または増設いたしております。また、これら13社の立地による見込み雇用創出効果は1,108人となっており、立地企業数、雇用創出効果とも平成23年度を上回っている状況にございます。また、これらの数字が札幌市全体の成果に占める割合につきましては、立地件数は、市全体の23件に対して東京事務所関係分が13社、率にして約57%、見込みの雇用創出効果は、市全体の2,207人に対して東京事務所関係分が1,108人、率にして約50%となってございます。
◆福田浩太郎 委員 ご答弁にあったように、企業立地数、そして雇用創出効果については着実に増加しており、一定の評価ができるというふうに思います。
次に進んでまいります。
昨年の
予算特別委員会において、芦原委員から、今後の企業誘致のターゲットについてどのように考えているのか質問したところ、ご答弁では、本市に優位性のあるコールセンターや事務センター、ソフトウェア開発企業を中心としつつも、新たなターゲットとして食関連産業の誘致に取り組むべきと考えているとのことでありました。言うまでもなく、食は北海道、札幌を代表する産業であり、北海道の食のブランド力は、国内はもとより、海外からも高く評価をされているところであります。また、札幌は、食の一大消費地であるとともに、1次産品の付加価値を高めることができる食料品製造業が数多く存在することから、北海道の食の一大集積地ともなっております。これらのことからも、私も食関連産業に重点を置くことは妥当と考えます。しかしながら、昨年の委員会では、企業誘致に係る東京事務所の予算が非常に少なく、なかなか札幌の景気回復につながっていないことを指摘したところであります。
そこで、局別施策の概要の25ページを見ますと、平成25年度の新規事業として、首都圏戦略的企業誘致推進事業の記載がございます。これは、昨年の委員会での我が会派の指摘を受けて東京事務所が新規に事業計上したもので、企業誘致の活動をさらに進める取り組みだと思っております。
そこで、2点伺いたいと思います。
この事業においてターゲットとする業種についてどのように考えているのか、また、具体的にどのような取り組みを行っていく予定なのか、あわせて伺います。
◎大島 東京事務所長 1点目の新規事業におけるターゲット業種についてでありますが、当事業では、食の安全・安心を支える試験研究機関や、道内の食材を原料とする食品製造業、あるいは飲食業等も含め、食に関する生産から加工、販売に至る一連のつながりを発展させていく中で、必ずしも十分に機能していない分野、弱い分野を補完できるような業種をターゲットにしてまいりたいと考えております。
2点目の具体的な取り組みについてでございますが、東京事務所がこれまでに首都圏で培った人脈や、在京の団体などが持つ情報等を活用しながら、企業への個別ヒアリングやセミナーなどの開催を通じてネットワーク化を図るとともに、首都圏企業のニーズを丁寧に掘り起こしてまいりたいと考えております。そうして把握したさまざまなニーズ等につきまして、例えば、札幌企業と首都圏企業の取引拡大につなげるなど、食産業の振興に資するよう幅広く対応していくことが肝要であると考えております。
◆福田浩太郎 委員 食というものは、北海道、札幌の主要産業でありまして、力を入れて取り組んでいただくことは大いにお願いしたいと思います。一方で、現在、策定中のまちづくり戦略ビジョンでは、食分野以外にも観光や環境、健康、福祉の分野の振興を重点的に取り組むべき項目として上げられております。
そこで、最後の質問として、二つ伺いたいと思います。
これらの産業に関する企業誘致については、現在、どのように取り組んでいるのか、また、これらの産業の誘致をどのように強化していこうと考えているのか、伺います。
◎大島 東京事務所長 平成22年度以降、東京事務所がかかわったものといたしましては、環境分野の企業1社を誘致した実績がございます。また、ご指摘の健康、医療や環境、エネルギーなど先端分野の企業等の誘致を目指し、昨年7月に経済局が新設した札幌圏みらいづくり産業立地促進補助金につきまして、首都圏で企業向けのPR等を行っているところでございます。
今後の取り組みといたしましては、新年度、まず、食関連について戦略的な企業誘致に着手いたしますので、これを進めていく過程で蓄積したさまざまなノウハウを生かし、観光や環境、健康、福祉などの分野につきましても関係部局と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 最後に、まとめさせていただきますが、大島所長は、前職は経済局の課長でありまして、札幌の経済は東京事務所が大きくかかわるという認識のあらわれというふうにも理解したいと思います。私がある講演で聞いてきた、シリコンバレーはなぜ発展をしたか、世界的IT産業都市になぜなり得たのかというと、それは企業が持っているたくさんのアイデアや技術を結びつけるコーディネーター的な役割を果たす人がいたからあのような都市になったのだという話を課長時代の大島所長に話したところ、こわもてな印象とは違い、意外にも温かく共感してくれたことを思い出します。今、いろいろな答弁を聞いて私が推測すると、従来の企業誘致とともに、新たに札幌、北海道の食や観光の情報を紹介して、ビジネスのきっかけをつくり出す、そして、企業誘致を進めるという新しい取り組みだということであります。東京の能力と札幌、北海道の素材を掛け合わせて、より魅力的なものを生み出していく新しい取り組みだろうと思います。ぜひ、大島所長を中心として、東京事務所が一丸となってこうした挑戦に取り組んでいただきたいというふうに要望したいと思います。
また、もう1点、手短に、新しい誘致の視点も要望させていただきます。
東日本大震災の発生以降、首都圏直下型の震災を想定し、国の防災対策の見直しを進めている中央防災会議は、昨年7月、災害発生時の政府機能のバックアップ拠点をあらかじめ定めることを求める中間報告を取りまとめており、その中で、設定場所の例示として本市を含む5都市が示されております。こうした動きを受けて、ことし1月には、北海道と札幌市が共同で、国に対し、「大規模災害に備えた政府機能の強靭化に向けて」と題して政府機能のバックアップに関する提案書を提出し、指定を要望したと伺っております。また、大震災以降、首都圏企業が災害時における事業の継続性の観点から、地方に本社機能などを移す動きもございます。いずれも共通のキーワードはリスク分散でありまして、札幌市が持つ地震や台風、雷などの少なさなどは重要なセールスポイントとなると考えるものであります。もし札幌市が政府のバックアップ拠点として指定されることになれば、いわば札幌の優位性が政府のお墨つきを得たことになり、このことが企業が移転先として札幌を選択する呼び水にもなり得ると考えるところでございます。
したがいまして、ぜひ、これらについても、関係部局と連携をしながら、東京という地の利を生かした一層の取り組みを期待いたしまして、私の質問を終わります。
◆坂本恭子 委員 私は、ゲートキーパーの研修について質問したいと思います。
ゲートキーパーは、ご承知のとおり、自殺対策として位置づけられ、打ち出されているものです。悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて必要な支援につなげ、見守る人のこと、悩みを抱えた人は、人に悩みを言えない、どこに相談に行ったらよいかわからない、どのように解決したらよいのかわからないなどの状況に陥ることがあります。悩みを抱えた人を支援するために、周囲の人々がゲートキーパーとして活動することが必要です。ある文章の引用ですが、行政全般にこういう役割が求められているというふうに思います。
私は、自殺対策としてはもちろんですが、広い意味で申し上げれば、生活再建を手伝っていくという意味で大切な役割を持っているものだと思いますので、本市としても積極的にゲートキーパーの養成をすべきであると思いますけれども、まず、ゲートキーパーの重要性についてどのように認識しているのか、また、現在の研修で何か取り組んでいるものがあればお示しいただきたいと思います。
◎常野 自治研修センター所長 ゲートキーパーは、非常に重要な役割を持っていて、行政全般に求められているのではないか、どういう認識なのか、また、現状でどう取り組んでいるのかというご質問でございました。
生活に困窮した人に対してどのように対応したらよいかなど、そういった市民福祉向上のための視点は、職員にとって非常に重要であるというふうに考えております。ゲートキーパーに関する研修は、自治研修センターとしては行っておりませんけれども、ゲートキーパーの中心的役割である自殺予防という観点から、精神保健センター、札幌こころのセンターにおいて、自殺のサインとか、適切な対応をコンパクトにまとめたほっとけないカードというものの理解と活用を推進するため、出前方式の研修を実施しているというふうに聞いております。平成24年度では、新任のケースワーカーや保護課の面接担当係長、国保の保険サービス員、こういった方たちを対象に、計13回、547名へ研修を実施したというふうに聞いております。
◆坂本恭子 委員 自治研修センターとしては残念ながら実施をしていないということでしたけれども、生活困窮、自殺予防というところでの重要性については認識してくださっていると思います。
行政全般に求められているのではないかというお話をしましたが、2011年度の新採用職員は、一般事務職166名が採用されておりますけれども、そのうち、119名が福祉現場に配属、税職場に配属された者が27名ということです。2012年度は、一般事務職269名のうち、192名が福祉の現場、そして41名が税の現場ということですから、新採用の方たちの約9割の皆さんは、直接、市民にかかわり、そして、福祉だとか税だとかなかなか厳しい現場に配属されていることが資料でわかりました。自殺の大きな要因の一つは、経済的な問題だということは皆さんも承知されていると思います。例えば、税や国保の滞納には、払いたくても払えない経済状況が大変な方がたくさんいらっしゃいます。そういう一方で、納税で言えば滞納整理、滞納処分というのは、目標を立てて、そして、行財政改革推進プランにも位置づけられて行われている状況です。頑張っても報われず、自分の力だけでは働くこと、生きることが困難な人がいること、生活保護などの福祉制度を活用すれば道が開ける人、わずかな手助けで自立できる人、さまざまな人がいて、声のかけ方一つで命を救い、その人に希望を持たせ、あるいは、生きる意欲を持たせることができます。ぜひ、新採用の研修のときにそうした実感を学んでから、職場で市民の皆さんと直接向き合っていただきたいというふうに思います。
私は、新採用職員の研修にもゲートキーパーあるいはゲートキーパー的な視点を盛り込んだ講座を位置づけるべきだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
◎常野 自治研修センター所長 新採職員の約9割が税、福祉の職場に配属されている現状等もあり、新採研修でゲートキーパーに関する研修を開催してはどうかといったご意見でございました。
新採用研修の中に設ける場合に、研修内容を検討するとか、時間配分とか、カリキュラムの調整等、検討すべき事項もたくさんございますので、今後の課題とさせていただきたいと存じます。
◆坂本恭子 委員 今後の課題ということですので、もちろん新年度すぐというふうにはならないと思いますが、私は、ぜひ、これを積極的に位置づけていただきたいと思います。ゲートキーパー的な視点というのは、私たちは、議会において保健福祉局とか税の分野でずっと取り上げてきている問題ですが、どこの部署にいても求められる視点だというふうに思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、国保や税の滞納があるときに、どうぞ相談に来てくださいと言ってもなかなか役所には足が向かない、相談に行くこと自体もためらってしまうような状況があると思うのですね。だからこそ、生活再建の手助けをする第一歩、最初の接触というのでしょうか、何かで来たときにきちんと対応することが極めて重要になってくると思います。
自殺予防対策では、こころのセンターでは出前講座ということで職場研修などに出向いてお話をしているということでした。きっと、ここで大きな成果が上がっているのだろうというふうに思いますし、私は、ぜひこういう出前講座を実施していただきたいと考えるところがあります。例えば生活保護のケースワーカーですが、直接事例というのでしょうか、どういう職場でどういうことをやっているか、どんな相談を受け付けて、どういうふうにつないでくれればいいのか、どういうふうに声をかけてくれればいいのかというようなことについて直接話を聞く、現場の様子を知ることができる、そういう位置づけというのがとても大事なのではないかなと思います。そこで、こころのセンターのように、職場研修とか部局研修でぜひ出前講座を実施していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
また、eラーニングと言って、自主研修というのでしょうか、そういうことをやるようなものがあります。自治研修センターとして、その教材の開発とか配信をやっているということですから、ゲートキーパーにおける先進都市の事例などを紹介するようなサイトとか、さまざまなところからゲートキーパーに関する資料が出されていたり、あるいは映像化されていて、対応などのロールプレーをできるシステムもありますので、そういうものをぜひeラーニングの中に位置づけられないのかと考えています。
それから、一般職研修で3年目研修というのがあります。さらには、役職者研修というのもありますけれども、私は、とりわけ係長に昇任したときにゲートキーパー的な視点を持った研修が大事なのではないかというふうに思います。今すぐやりますという話にはならないのかなとは思いますが、こういうところも今後の重要な検討課題として積極的に位置づけていただけるのかどうか、その点のお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
◎常野 自治研修センター所長 生活保護のケースワーカーから直接話を聞くという研修、また、ゲートキーパーの対応としてロールプレーイング等を織り交ぜたeラーニングとしての活用や、係長昇任時の研修でそれを活用してはどうかと、幾つかご提言をいただきました。頂戴いたしました今のご提案につきまして、自治研修センターだけで実施できない内容も含まれておりますので、所管する部局などとも協議をしながら課題として受けとめさせていただきたいと思います。
◆石川佐和子 委員 私は、2項目について質問したいと思います。
審議会など、附属機関等における市民参加の拡充について、それから、外国籍市民のための防災対策等について伺います。
まず、審議会など附属機関等における市民参加の拡充について伺います。
札幌市は、政策形成過程への市民参加の機会を拡充し、公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的として附属機関等の設置を要綱で定めております。また、その中の一部委員は公募することを要綱で定めております。行政がさまざまな意思決定を行うときに、専門的な立場からの調査や審議にあわせて、公募委員の客観的な意見、市民感覚による意見を聞き、議論を深めることは非常に重要ではないかと考えています。
なぜかというと、審議会などで提案される提言等を受けて市が計画を策定し、それに対するパブリックコメントを行う流れがありますけれども、市民生活にかかわる計画であっても、その内容が難しくて、理解が困難で意見を出すことができないというような声をたくさん聞いているため、提言、答申をまとめる段階で市民の公募委員が加わることで、提言等を市民にわかりやすく工夫をし、ひいては、市の計画にも反映することができ、パブリックコメントにつながるのではないかというふうに考えるからです。
本市において、審議会など附属機関で委員の公募を行っているのは、行政処分の審議や専門的知識が必要とされる場合などを除いた分野と聞いています。
そこで、質問ですが、審議会などの附属機関等における委員の選任に当たって、公募制をどの程度実施しているのか、その状況について伺います。
◎渡邉 行政部長 附属機関等の委員の公募制につきましては、政策形成過程の市民参加の機会を確保する重要な手段の一つとして積極的に導入を進めているところでございます。公募制を導入している機関数でございますが、昨年8月1日現在で実施いたしました定期調査の結果では、附属機関等90機関のうち、約3割に当たる26機関となっております。また、その推移でございますが、公募制の導入に関する規定を札幌市の要綱に追加いたしました平成17年度の前年度と比較して、現在、約2倍近い数となっておりますけれども、平成21年度以降はおおむね横ばいとなっているところでございます。
なお、附属機関の全体数から、法令等に基づき、委員が特定されていることにより公募制を導入できないという19の機関を除きますと、4割近くの機関が導入している状況となるところでございます。
◆石川佐和子 委員 平成17年度の前年度に比較して2倍という数字を伺いましたが、公募制を実施している機関の数は、2009年度以降はおおむね全体の3割にとどまっているということでした。最初から公募制を設定しない委員会もありますが、拡大していかない理由についてお伺いします。
◎渡邉 行政部長 委員の公募制が拡大していかない理由でございます。
委員の公募制につきましては、私どもの要綱におきまして、設置目的あるいは審議内容等を勘案し上で公募制を実施することになっております。ただし、法令等に定めるところによって、委員の資格に特別な条件が付されているとか、行政処分に関する審議を行う、あるいは、審議に専門的な知識が必須であるような場合には公募制を適用しないこととなってございます。これまで、各部署において積極的な導入に努めてきていただいて、順調に公募制が拡大してきたところでございますが、やはり、ここ数年は、専門性等の理由から公募制を導入できない機関が残ったために、結果として横ばいになっているものと認識しているところでございます。
◆石川佐和子 委員 2006年度からなかなかふえていない状況の中で、2006年度に自治基本条例が施行されたことで、私はさまざまな分野で市民自治、市民参加が進んでいるというふうに感じています。しかし、全委員の人数に対して公募委員の人数の割合を見てみますと、2006年より微増しているけれども、4.5%ということです。個人情報にかかわることとか、法令上、そのように規定されて除外する場合もあることは十分承知しております。ただ、専門的な知識が必要だということで公募委員がなじまないという理由は、一定の理解はするところですが、専門性が求められる附属機関等においても、委員の公募を再検討し、公募委員を拡大すべきというふうに考えています。
そこで、質問ですけれども、公募委員に応募してきた人数等を把握し、評価すること、それから、非公募とする場合であっても、その理由が妥当かどうか、改めてチェックするなど、公募委員制度の拡充に向けて取り組みを進めるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎渡邉 行政部長 公募制の導入につきましては、先ほどもご答弁を申し上げたように、設置目的あるいは審議内容等を総合的に勘案した上で判断しているところでございますが、今後は、毎年行っております定期調査において応募状況等を把握し、公募状況の分析を行いますとともに、審議内容の専門性等を理由に公募制を導入していない機関につきましても、委員選任の事前協議等の場を通じて関係部署と十分に協議し、引き続き導入を働きかけてまいりたいというふうに考えております。
◆石川佐和子 委員 今回、担当部局の方に公募委員の応募人数の状況などを伺いましたところ、その人数を把握していないということでした。今の答弁の中で、人数を検証するなど取り組みを進めると伺いましたので、重複の状況も含めて評価していくことが必要だと思いますので、しっかり検討していただきたいと思います。
また、昨年10月、市民自治推進会議におきまして、委員の方から、第三者の観点で見ればもっと公募できるのではというような指摘もございました。こうしたことを受けまして、繰り返しになりますが、非公募とする場合であっても、その理由が妥当かどうか改めてチェックするなど、拡充に向けて取り組んでいただきたいということを求めて、この質問は終わります。
引き続き、外国籍市民のための防災対策等について伺います。
1995年、阪神・淡路大震災、2003年には十勝沖地震、2007年、新潟県中越沖地震などでは多くの方が被災をし、また、忘れもしない2011年の
東日本大震災においては、現在でも避難生活を余儀なくされている方がたくさんおられる状況にあります。そういう中で、外国籍市民の方は、言語や文化の違い、災害経験の少なさから、地域防災計画の上では災害時要援護者に位置づけられており、災害時の外国籍市民への支援体制を事前につくることが非常に重要だというふうに考えています。
そこでまず、1点伺いますが、現在、札幌市内に居住されている外国籍市民の方々の人数と居住地域の傾向はどのようになっているのか、現状について伺います。
また、札幌市の大規模災害時における外国籍市民の方々の避難及び避難生活への支援、また、防災講座など防災知識を外国籍市民へお知らせするための取り組みについてどのように進めておられるのか、伺います。
◎今井 国際部長 札幌市における外国籍市民の人数につきましては、ことし2月1日現在で9,417人となっており、傾向としては、北海道大学の留学生が多く住んでいる北区が2,227人と最も多く、次いで中央区となっております。
次に、大規模災害発生時の外国籍市民の避難や避難生活を支援する取り組みについてでございますけれども、今月、国際プラザとの間に災害多言語支援センターに関する協定を結ぶ予定でございます。国際プラザが設置いたします災害多言語支援センターは、大規模災害の発生時に外国籍市民が必要とする災害情報につきまして、多言語で情報提供いたしますとともに、避難所巡回や電話相談、窓口対応などの業務を行うことを検討しております。このほか、避難生活を円滑に送るために必要な多言語表示シートの作成を進めており、各避難所に配備していきたいと考えております。
次に、外国籍市民に多言語で防災知識を普及させる取り組みといたしましては、さっぽろくらしのガイドや、現在、作成を進めている携帯用防災カードにより防災情報を提供していくほか、来年度には避難所に関する情報を多言語で記載した防災マップを制作する予定でございます。また、ことし2月に外国籍市民や支援団体を対象とした防災講座を実施しており、来年度も実施する予定でございます。
◆石川佐和子 委員 ただいま、災害多言語支援センターを設置していくというご答弁を伺いました。外国籍市民の皆さんが安心して災害時に避難及び避難生活をできるようにするには、設置される災害多言語支援センターの機能が予定どおり十分に発揮されることが必要な支援を行き届かせるためにも重要だと考えます。しかし、新潟県中越沖地震の際、災害多言語支援センターが設置されましたが、支援活動の共有が十分ではなく、混乱が生じたという報告を聞いているところであります。
そこで、再質問ですが、国際プラザが災害多言語支援センターを設置するということですが、その運営体制はどのように考えておられますか。
また、大規模災害を想定し、避難所において多言語表示シートなどを用意するということですけれども、それを使用したシミュレーションを事前に行うべきと考えますがいかがか、伺います。
◎今井 国際部長 災害多言語支援センターの運営体制につきましては、現在、国際プラザと協議中でございますが、実質的な責任者は国際プラザの事務局長とする方向で考えております。
次に、多言語表示シートを活用したシミュレーションについてでございますけれども、外国籍市民を対象とした防災訓練は既に実施しているところでございますが、今後、シミュレーションを行うよう検討していきたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 災害が起きて避難する場合、必ずしも住んでいる場所の周辺ではなくて、一番近い場所に避難するというように想像を絶することが起きると考えています。外国籍市民は札幌市内で約1万人弱おられるということですが、一番多いのが中国の方で、次が韓国または朝鮮の方と伺っています。先日、韓国の方とお話しする機会がありましたが、韓国は地震がない国で、地震そのものがどういうものか、経験がないので全然わからない、また、子どものころから災害訓練を行ったことがないということもお聞きしました。そうしたことから、外国籍市民の方々の避難及び避難生活への支援を円滑に行うためには、支援体制はもとより、私たち札幌市民も、言語や文化の違いを日ごろから知ることや、地域の中で顔が見える関係性をつくっていくことが重要ではないかと思います。
そこで、質問ですが、外国籍市民の方が一番多く居住している北区を筆頭に、地域の中のコミュニケーションを形成するための取り組みが必要と考えますけれども、どのようにお考えか。
また、NPOやボランティアによる支援も、取り組もうとしている支援の中にしっかりと位置づけるべきと考えますが、いかがか。
あわせて、災害発生時への対応など、事前に情報を周知することが重要と考えますが、先ほどのご答弁にありました多言語携帯用防災カードあるいは多言語防災マップの配付、それらの説明等をどのようにとり行うのか、伺います。
◎今井 国際部長 外国籍市民が多い地域における住民とのコミュニケーションについてでございますが、札幌市におきましては、先ほど述べましたように、大学の周辺に留学生が多数生活しており、こうした地域で開催される防災訓練や町内会行事に留学生などの外国籍市民が参加し、地域市民と交流を図っているところもあります。今後も、日ごろからコミュニケーションが深まるよう参加を促進していきたいと考えております。
次に、災害発生時におけるNPOやボランティアの外国籍市民への支援についてでございますが、災害発生時における災害多言語支援センターの活動には、市民団体やボランティアの支援が重要であると考えており、市民団体やボランティアの協力について、国際プラザが策定する行動計画において位置づけ、検討していく予定でございます。
次に、携帯用防災カードや防災マップの配付方法についてでございますが、外国籍市民に対して直接郵送するほか、札幌市への転入時に各区役所の窓口や、外国籍市民を対象とする防災講座などで配付することを検討しております。
◆石川佐和子 委員 今後、策定される行動計画を注視していきたいと思います。
最後に、関連して、行政部にも1点お聞きします。
行政が公文書で情報を発信するに当たっては、外国籍市民の方はもとより、誰にとってもわかりやすい表記にすべきと考えています。表記についてですが、特に発信年月日の年号表記については、2004年に総務局長より通知が出され、社会一般において西暦による表記も数多く見られることから、原則として元号に西暦を併記する取り扱いに変更しました。
しかし、最近、一部では徹底されていないというふうに感じているところですけれども、どのように認識しておられるのか、また、通知の趣旨にのっとり、元号と西暦の併記を改めて徹底すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎渡邉 行政部長 ご指摘の通知の内容は、庁内外を問わず、原則として本市が発信をする全ての公文書の発信年月日について元号に西暦を併記するとしたものでございます。通知後8年を経過いたしまして、庁内外に発信する一般的な公文書の発信年月日につきましてはおおむね徹底されているものと思っております。刊行物につきましては、広報さっぽろとか予算説明書などの基本的な刊行物については発行年に西暦が併記されているところでございますが、一部の刊行物の発行年が元号のみの表記となっている例が見受けられているところでございます。
本市では、よりわかりやすい公文書ということを心がけているところでございまして、毎年、春に公文書における片仮名言葉、あるいは、略語の使用方法等につきまして、私ども総務局から全庁に注意喚起の通知を出しているところでございます。この元号、西暦併記につきましては、よりわかりやすい公文書という趣旨で共通するものでございますので、ことしの通知に盛り込み、改めて一層の周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
◆川田ただひさ 委員 私からは、朝鮮学校への補助金について質問させていただきます。
拉致問題が、北朝鮮による国家犯罪であるということは、ここで多くを語るまでもなく、周知の事実でございます。ただ、この問題については、どうしてここまで硬直状態になり、そして、解決も非常に難しい困難な状況になるのかと、多くの日本国民がそう思っているわけでございます。よくよく考えてみれば、拉致というのは、すなわち誘拐事件であります。単独でやるには非常に難しく、衝動的な犯罪ではありませんので、北朝鮮という国交のない国に連れ去るということを考えれば、計画的な犯罪にしてもかなり用意周到で、また、多くの共犯者がいなければできないことは言うまでもないかと思います。そのことを考えれば、拉致するためには、まず、実行犯である工作員を手招きする人、かくまう人、被害者である拉致する日本人を特定してコンタクトをとる人、そして、工作員が日本海を渡って出入りしやすくする人たち、共犯者が日本国内で大手を振って歩きやすくし、また、疑いを持たせないように装わせ、また、疑いを持つような日本人がいた場合、北朝鮮と協調する人たちとその団体を巧みに利用してその人たちを糾弾し、疑いの矛先をずらす人たち、こういったことをあわせ持って初めてここまでの硬直状態が続いたわけであります。単独で国交のない国に連れていくのは容易なわけではなく、いろいろな要因が重ね合って今に至っているのは言うまでもないことであります。
時間もないですから、私がここで多くを語るまでもなく、北朝鮮当局と朝鮮総連、また朝鮮学校は、人事権などにおいて密接な関係にあることは以前に私も指摘したところであります。北海道庁は、今、どのような補助金にしているかといいますと、人数割りで決めておりますので、かつては100名以上いた朝鮮学校の人数でしたが、今は100名を切って75名前後くらいになっておりますことから、減らしている状況にあります。
そういう中で、もっとひどいのは、核実験であるとかミサイル発射といったように結果的に日本の安全保障を揺るがす事件や状況もありまして、そういう中で新年度の予算計上を取りやめている自治体もあります。そういうことも考えれば、私としては、常々言っておりますけれども、札幌市も補助金の支出を見直すべきではないかと思っております。
そこで、お伺いいたします。
平成24年度も申請を受けて補助金を支出するわけでございますが、これは、ほかの状況と何も関係なく支出するのでしょうか。
また、道は、先ほども言いましたが、生徒数の減少によって補助金を減らしていっておりますけれども、札幌市は減らすつもりはないのかどうなのか、まず、この点についてお伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 朝鮮学校に対する今年度の補助金支出の質問についてでございますが、札幌市といたしましては、今年度も前年度と同額の補助金を支出する予定でおります。
次に、補助金の減額予定の有無についての質問でございますが、北海道は朝鮮学校の運営管理費全体を対象とする補助となっているのに対し、札幌市の場合は教材費の一部に対する補助となっております。札幌市といたしましては、来年度も今年度と同額の補助金を支出する予定でおります。
◆川田ただひさ 委員 多分、そういう答えなのかなと思っていたわけであります。この問題について多くの市民がどう思うかは、あとは世論が決めることになるかと思います。
そこで、今、政府では、ミサイルの発射、または核実験、こういったことについて追加の制裁措置を検討しております。そういった視点で考えたときに、札幌市としては、国の制裁措置についてどのような見解を持っているのか、お伺いします。
同時に、朝鮮学校について、そもそもどんな認識を持っているのか、お尋ねしたいと思います。
◎今井 国際部長 我が国の北朝鮮への制裁措置は、核実験、または弾道ミサイルの発射に対する国連安全保障理事会の決定した措置に加えまして、外交、防衛を担う政府として、拉致問題などさまざまな事情を勘案した上での政治的判断だと理解しております。
また、朝鮮学校に対する認識についてのご質問でございますが、補助金の対象である学校法人北海道朝鮮学園は、私立学校補助の規定により所轄庁である北海道知事の許可を得て設立されたいわゆる準学校法人であり、また、朝鮮学校は学校教育法に基づく各種学校であると理解してございます。
◆川田ただひさ 委員 手続的にいったらそんな感じになるかと思います。
そこで、2月18日の産経新聞は、「朝鮮学校生、ミサイル礼賛」という内容の記事を1面で報道したわけでございます。この中身を読ませていただきますと、朝鮮中央テレビが流した映像から、120名の全国の朝鮮学校の児童が北朝鮮を訪朝した際の様子がわかったとあります。彼らはミサイルを衛星と言っていますが、「日本全国を驚かせて祖国の衛星が飛んだとき、私たちは(正恩)元帥様がいらっしゃる祖国の空を見上げました」と。元帥様と言うのですね。さらに、少年芸術団の朝鮮学校の生徒らが登場しまして、「わが国を宇宙強国に輝かせ、世界がうらやむ誇りを抱かせてくださった金正恩元帥様を慕い、祖国に駆けつけました」、こう言っているわけであります。そして、「『元帥様がいらしてこそ私たちの学校もあり、元帥様お一人についていきます』と決意を述べ、感謝の花をささげた後、敬礼で締めくくられた」としています。もう一度言いますよ。「元帥様がいらしてこそ私たちの学校もあり」と、これは朝鮮学校の方ですよ。「元帥様お一人についていきます」と決意を述べ、感謝の花をささげた後、敬礼で締めくくられたと。これは、朝鮮学校の校長たちが1月10日から引率して訪朝していたわけであります。
こういった状況でございます。インターネットを見られている方もいらっしゃると思いますが、こういったところに皆さんの市民税が払われているということを、もう一度、さらに認識していただきたいと思います。
そこで、またお伺いいたします。
自治基本条例、子どもの権利条例には、国籍により不当に差別されないという条文があります。このことは、国家間の利害対立とどのような整合性を持っているのか、また、国際部は子どもの権利条例の理念に合致していると言われて支出しているわけでございますけれども、改めて、このことについて国際部にお尋ねしたいと思います。
◎今井 国際部長 世界の国と国の間には、さまざまな外交上の問題、そして利害関係が存在していることは周知のとおりでございます。
しかしながら、札幌市といたしましては、民族、国籍を問わず、札幌で暮らす未来を担う子どもたちの健やかな成長を願うという考えから、朝鮮学校及び北海道インターナショナルスクールに対しまして教材費の一部について補助金を支出しているところでございます。
◆川田ただひさ 委員 180万円というのも、平成17年から180万円のままであります。生徒数が減少しても、そのまま180万円です。先ほど言われましたように教材費に出しているわけであります。当然、教材費でありますから、生徒数が少なくなれば使う教材の数も少なくなりますが、いまだに補助金の額は変わらないということであります。いただいたこの中身を見ますと、授業指導書、またはコンピューター、そしてテレビなど、いわば教材に関連するものということで申請を受けて支出しているようであります。私も、先日、朝鮮初中高級学校の教科書はどんな中身かというのは、皆さんにお話ししたところであります。北海道庁は補助金申請時に朝鮮学校の教科書内容を確認しております。その内容は、先ほど言いましたが、授業指導書も教材費として対象になっておりますが、そういう意味では、どんな中身で教育してその教材を使っているのかということは僕は非常に重要だと思っています。
そこで、この教科書の中身について確認しないのか否か。
また、内容については私が議会でもう言っていますから、時間もないのでここではまた語りませんが、当然、知っているかと思うので、そのとき、聞いてどのような認識を持ったのか、この点についてお伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 朝鮮学校で使用する教科書内容の認識についてのご質問ですが、教科書自体は札幌市からの補助金の補助対象項目となっておりません。そういうことから、補助金申請時に朝鮮学校の教科書内容の確認は行っておりません。
なお、私立学校法上の所轄庁である北海道におきましては、朝鮮学校で使用する教科書を確認しているところでございます。
◆川田ただひさ 委員 国際親善とかいろいろとおっしゃっておりますけれども、私たちは平和を愛する人間ですが、あの教科書の中身で、向こうは果たして平和を愛しているかどうかというのは、もう一度、機会があったら皆さんに改めてその認識を聞いてみたいと思うわけであります。
私としては、どうしてここまで――もう見直している自治体もあります。本当に予算計上さえしないところもありまして、不思議だなとずっと思っていたわけであります。ただ、ちょっとしたものを読んで改めてわかったのが、何と札幌市の議連です。政令指定都市になって最初にできたのは何かといったら、日朝友好促進議連です。皆さんもよくごらんになっているからわかりますが、何と昭和52年にできております。私は、そういう意味ではなるほどなと。我々の会派の先輩方も加盟していますから何とも言えないところですけれども、これはなるほどなと。(発言する者あり)
○阿知良寛美 委員長 ご静粛にお願いいたします。
◆川田ただひさ 委員 (続)そもそも、一体、どうしてここまでかたくなに出されるのか、本当に非常に不思議でならないわけであります。
そこで、教育内容とかいろいろとごらんになっているかと思いますけれども、この教科書の内容は、事実として認識されているのかどうなのか。
また、私の代表質問に市長は拉致問題については重大な事件だと回答しておりますけれども、その教育内容、教科書の中身とそういった市長の答弁に矛盾はないのかどうなのか、この見解についてお伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 教科書内容について事実であるとの認識を持っているのかというご指摘でございますけれども、先ほど申しましたとおり、私立学校法上の所轄庁である北海道におきまして朝鮮学校で使用する教科書を確認していることから、本市におきましては、朝鮮学校で使用する教科書を確認する立場にはないものと考えております。
◆川田ただひさ 委員 私は、結局、矛盾はないのかどうなのかお尋ねしたわけでありますが、それも答えられないほどいろいろなことがあるのかなと思いますので、これでやめておきます。
そもそも、どのような理由を持ってこの補助金を支出したのか。いろいろな新聞に出るようになってから私も市民の方から聞かれるようになりましたけれども、どうしてこの補助金が支出されることになったのか。教材費ということですけれども、そういった経過を改めて確認したいと思います。
そして、補助金を支出した当初の状況と、今、世間を騒がせている状況は違いますけれども、こういったことについてどういった見解を持っているのか。
また、この補助金はそもそも札幌市民にとって有益なものであるのかどうなのか、この点について認識をお伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 まず、補助金支出開始時の補助理由に関する質問でございますけれども、朝鮮学校は、私立学校法上の規定により、北海道知事の認可を受けた準学校法人によって設立された学校であり、国際都市を目指す札幌市としては、日朝両国の親善に寄与し得る人材を育成する同校への補助は、公益上、必要であるとの理由で支出しているところでございます。
次に、補助金を支出した当初と現在の状況についての見解に関する質問でございますが、日本と北朝鮮の関係は大変厳しい状況が続いているという認識は持っておりますけれども、学校と市民の交流は、2年に1度、開催されるアンニョンフェスタなどを通じて交流の裾野が広がっているものと認識しております。
最後に、補助金の必要性についての質問でございますが、教材費の一部について補助金を支出することにより、朝鮮学校に通う子どもたちの教育向上が図られ、現在では、毎年、二十数件の地域交流事業が行われており、札幌市民にとりましても有益であるものと考えております。
◆川田ただひさ 委員 その状況についてどう判断するかというのはありますけれども、先ほど今井部長から重要なお話がありました。日朝両国です。結局、日本国政府は、今、北朝鮮を正式に国として認めていないわけでありますが、改めて、札幌市は認めているのだということも顧みた感じがいたします。
ちなみに、あの川崎市でさえと言うのも大変失礼ですが、先日、この補助金について報道がありまして、市長が、会見で、一部を拉致被害者救済の啓発グッズにして現物支給するとされました。そういう意味で、皆さんがそういう回答でされるのはしょうがないのかもしれませんけれども、正直言って、これが認知されているとは到底思えない、世の中の状況はそのようになっていることだけは指摘しておきたいと思います。
警視庁などの資料等においては、全国に幾つかある朝鮮学校の関係者が拉致問題にかかわっているといろいろと言われております。もちろん平和を愛する朝鮮人の方もいらっしゃるのかもしれませんが、そういったことを言われているのも事実であります。
本市は、拉致問題と朝鮮学校について、関係ないと思われているのかどうなのか、この点について見解をお伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 日朝両国の親善に寄与し得る人材を育成することを目的としている朝鮮学校は、拉致問題とは関係がないものと考えております。
◆川田ただひさ 委員 わかりました。これも、後で世論がどのように判断するかということになるかと思います。
結果的に、今まで見解をお伺いいたしましたが、この団体への補助ということではなく、教材費の補助と考えれば、普通に考えれば、人数は少なくなってきているわけでありますから、道庁と同じく、やはり補助金の額も考えるべきではないかと思います。それが普通だと思いますので、そのことについては今後もいろいろな機会で追及してまいりたいと思います。
◆宝本英明 委員 私からは、再構築されております基幹系情報システムについて伺いたいと思います。
私は、基幹系情報システムの再構築事業については、本格的に開発が始まる前から、地元IT企業の参入機会拡大につながっていく事業であると考え、それを実現するためのさまざまな要望をしてまいりました。平成22年度から27年度末までがこの事業の期間でありますので、ちょうど折り返しに入りました。これまでに行われてきた競争入札の結果や地元のIT企業の振興にどうつながってきたのか、また、今後はどう進めるのかといったことについて伺いたいと思います。
1点目は、不調になった入札案件について伺いたいと思います。
SNETの
ホームページを見ますと、入札案内やその結果が公表されております。この競争入札の実施状況によりますと、昨年、9月上旬に公示された地元企業を対象とした調達、法人市民税及び事業所税システムの基本設計にかかわる業務という入札については、応札者が1社もない不調となりました。その後、改めて入札を公示して、今度は入札があり、落札者が決まったとのことであります。基幹系情報システムの開発業務の競争入札は、総合評価方式で行われておりますので、応札者がいないということになれば、改めて総合評価委員会を開催してから公示をするなど、余計に準備期間がかかったものと思われます。実際に、不調になった後の再調達の公示は10月19日でしたので、順調に進んでいた場合と比べると、約1カ月程度、調達がずれ込んだことになります。システムの開発が1カ月おくれて契約されたということは、基幹系情報システム再構築事業の全体スケジュールの面でも少なからず影響があったというように思います。
そこで、質問ですが、今回、不調となったことについて、その原因をどのように認識し、また、再調達以後はどのような点に留意して対応されたのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 委員からご質問のあった発注については、同じ時期に別の開発業務の発注を総合評価方式で実施する旨を公示したところでございますが、一方の開発業務の入札には応札があったものの、本件開発業務には応札がないという結果になったものでございます。以上のことから、不調になった原因は、入札の時期が同時期であったため、事業者が応札する案件を選択し、片方の案件に応札が集まったものと認識しております。
そこで、再度入札を行った際には、予定する経費や開発期間などの条件については変更せず、入札を公示する時期をずらして実施したところ、応札者があり、無事、契約に至りました。この結果、開発業務の契約時期が約1カ月ずれ込みましたが、稼働までの開発スケジュールを調整することで不調による影響を吸収することができております。
その後の調達については、入札の実施時期が重ならないように留意したり、調達の実施時期をできるだけ早目にお知らせするなどの配慮をしているところでございます。
◆宝本英明 委員 競争入札ですので、不調になることは避けられないということは理解するところであります。それでも、この事業は期間が決まっているわけでありますから、不調になることは、事業を進める札幌市にとっても、また、参加を希望する事業者にとっても望ましいことではありません。事業者は、基幹系情報システムの開発予定に対してどの開発に応札するか、また、受託した際にはどんな体制で挑むか、落選した場合にはどの開発に臨もうかなど、一生懸命に考えて総合評価方式の提案に取り組んでいるものと思います。特に、地元のIT企業は、大手企業に比べますと体制を構成する社員の手配にも苦労していることと思います。その事業者の苦労や思いを考えると、札幌市には取り組もうとしている事業者の事業にも配慮した対応をとっていただきますようにお願い申し上げたいと思います。
それから、地元企業の受託状況と分割発注について伺いたいと思います。
基幹系情報システムの再構築事業では、発注をできるだけ分割して、本州の大手企業に比べて会社規模の小さい地元の企業が参入しやすくなるように配慮しながら開発を進められてきております。この入札の結果を見ますと、2月20日までに19件の総合評価方式での競争が行われ、このうち9件は地元企業を対象にした競争入札として行われ、残り10件は本州の大手企業も参加する競争入札として行われたとのことであります。
そこで、伺いますが、これまでに行われた19件の総合評価方式での競争入札において、地元企業が受託した件数とその金額、あわせて、基幹系情報システムの開発業務の契約金額に占める割合についてお聞かせ願いたいと思います。
それから、地元企業の参入機会拡大という事業の目的に対して、現段階でどのように評価しているのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
競争入札により地元企業が受託した件数と金額、開発業務の契約金額に対する割合についてでございますが、件数は11件、金額は約8億円でした。また、開発業務の契約金額に対する割合は約15%であります。
現段階での評価ですが、事業を進めていく中で、次第に地元企業が受託する件数、金額が増加していること、それも複数の地元企業に受託をいただいていることを考えますと、事業の目的としております地元企業の参入機会拡大については一定の成果があったものと考えております。
◆宝本英明 委員 今の答弁で注目したいのは、地元企業が受託した件数が11件ということです。地元企業を対象にした競争入札は9件でありますので、残りの2件については、本州の大手企業も参加する競争入札において地元企業がチャレンジし、受託に至ったということであります。それも、価格のみの競争ではなく、技術力もあわせて評価する総合評価方式での競争を経て地元企業が受託に至ったことについては、大いに関心を持つところであります。
そこで、伺いますが、本州の大手企業も参加できる競争入札において、地元企業が落札した2件の金額と、その企業がこれまでに基幹系情報システム開発事業にどのようにチャレンジしてきたのか、その実績についてお聞かせ願いたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 本州の大手企業も参加する競争入札で地元企業が落札者となった2件の金額とこれまでの実績についてでございます。
一つ目は、固定資産税システムの基本設計にかかわる業務で、契約金額は9,300万円でした。この業務を落札した地元事業者は、この契約に至るまで、地元企業を対象にした競争入札に4件応札し、うち2件を落札して開発に取り組んでおりました。もう一つは、税滞納整理システムの基本設計及び滞納整理システム共通化設計にかかわる業務でございまして、契約金額は約1億3,300万円でした。この業務を落札した地元事業者は、この契約に至るまでに、地元企業を対象にした競争入札に5件応札し、うち2件を落札して開発に取り組んでいたほか、落選はいたしましたが、本州の大手企業も参加する競争入札に1件応札しておりました。
◆宝本英明 委員 今の話で、私は、地元企業は本州の大手企業と競り合える力を持っていることを改めて認識するところであります。個人や企業は、適度な競争の中でもまれることによって力をつけたり、自信を深めていくものだと思います。今回の事例は、まさに地元のIT企業が札幌市の基幹系情報システムの業務に参加する機会となっただけでなく、競争力の向上という地元企業の振興という点でも意義のある結果であったかなと思います。同時に、今後の基幹系情報システムの開発に当たっては、細かく分割された小さい発注ばかりではなく、地元企業がステップアップすることを念頭に置いたある程度の規模を持った発注も必要ではないかというふうに思います。
これまで、札幌市は、開発に支障を来さない範囲の中で可能な限り分割発注を行うように努力するという発言をされてまいりましたが、事業の後半に入っていくに当たり、発注の規模についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
◎藤井 情報化推進部長 地元企業の参入機会を拡大するという目的を達成するために、事業に参加したことがない企業が取り組みやすいように、今後も小規模な発注も必要だというふうに考えております。一方、委員がご指摘のとおり、比較的大きい規模の開発に地元企業が応札している状況があることや、ある程度の規模の発注にすることにより、開発を管理する負荷の軽減も図られることから、今後の発注は細分化することにのみ力点を置くのではなく、ある程度の規模を持った発注を進めるといったバランスにも配慮した開発を行ってまいりたいと考えております。
◆宝本英明 委員 システム開発の発注を分割することについては、開発を管理する職員の作業がふえ、開発が難しくなる危険性も増していくので注意が必要であることは、昨年の決算特別委員会で指摘させていただきました。適度な規模での発注がふえることは、このような分割発注による危険性を低減させる効果につながっていくと思いますので、ご検討していただきたいと思います。
いずれにしても、地元企業が成長していくことをイメージして、地元企業の身になって事業の発注に関する計画を検討していただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。
○阿知良寛美 委員長 ここで、およそ30分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後6時16分
再 開 午後6時50分
――――――――――――――
○阿知良寛美 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆芦原進 委員 私は、職員研修費8,025万7,000円のうち、海外事例調査助成事業について質問したいと思います。
いっぱい書いてきましたけれども、省きまして簡単に行きます。
まず、世界経済のグローバル化が言われて久しいわけでありますが、今や、国境を取り払い、国際社会の状況を的確に把握、理解し、その上で、本市の国際化、国際的視野を持って対応できる人材の育成は大切なことだと思っております。そんな中、本年度、人材育成の一環として新たに行われる職員研修は、本市のこれからの政策に海外の先進事例を取り入れることを目的とした大切な事業と思いますし、反対するものではありません。前向きに取り組む必要があると私は考えております。しかし、計画は大胆に、運用、実行は厳格かつ慎重で綿密に行わなければなりません。なぜなら、市民の皆様の血税で実施されるからであります。
そこで、本題の質問に入っていきます。
予算が8,025万7,000円と昨年度より非常にふえていることについて、なぜふえているのか。研修費ということしか書いていないので、中身がふえた理由がわからない。聞きましたら、新たに先進事例調査助成事業を実施するということでした。しかし、本市では、かつて、職員を、2週間程度、海外に派遣する研修制度を実施しておりました。よく、会話の中で、たばこを吸わなくなった、やめたのかと聞きますと、いやいや、ちょっと休憩していますという話になるのですが、本件について、もう一度、私はきちんと念を押しておきたいと思います。休憩ではなくて、前の研修は取りやめたのか否か、まず、ここをお聞きして質問に入ります。
◎常野 自治研修センター所長 海外派遣研修を取りやめたかどうかというご質問でございますが、海外派遣研修につきましては取りやめております。
◆芦原進 委員 そのように答弁していただかないと先に進まないことになっております。やめたということですが、それまで行ってきた実績、成果を踏まえ、やめたという判断があったと思います。
そこで、質問でございます。
以前に実施していた海外派遣研修の目的はどのようなもので、その実績と成果はどのようなものだったか、また、派遣を取りやめた理由についてお尋ねしたいと思います。
◎常野 自治研修センター所長 以前、実施しておりまして取りやめとなった海外派遣研修の目的と実績と成果と、なぜ派遣を取りやめたのかという理由についてのお尋ねでございます。
以前、実施しておりました海外派遣研修は、職員の国際的な視野を広め、資質の向上を図ることを目的として実施していたものでございまして、昭和45年度から平成19年度まで、合計323人の職員を派遣いたしております。
成果といたしましては、まず、1点目といたしまして、海外諸国の行財政事情等に触れる貴重な機会を提供できまして、人材育成上の効果が高かったことが挙げられると思います。また、成果の2点目といたしましては、調査テーマは概括的なものが多くて、必ずしも個々具体的な課題の解決を目的としたものではございませんでしたが、派遣の報告書は庁内で広く共有されまして、各局・区の計画立案などに生かされたと考えております。
実施を取りやめた理由についてでございますが、平成19年度に事業見直しを行いまして、海外渡航が一般的になったこと、また、ある程度の情報までであればインターネットなどで容易に情報収集できるようになったという理由から、一旦の役割を終えたというふうに判断いたしたものでございます。
◆芦原進 委員 答弁の確認はいたしませんので、よろしくお願いします。
再質問に入ります。
現在、非常に円安が続いており、株も上がっておりまして、非常に景気回復への期待が高まっている状況の中ですけれども、札幌市も含めて経済情勢は依然としてまだまだ厳しい状態にあると思うのです。そのような中で、一定額の予算を投じて職員が海外に赴くことに対して市民の厳しい目が注がれることは、私は意識しなくてはならないと思います。まして、一度、役割を終えたと判断したのならば、なおさらのことで、推して知るべしでないでしょうか。今回の事業は、私は新しい事業だと認識いたしております。局の緊急課題対策枠として局内で節約した予算を財源に充てると聞いておりますが、新たな海外派遣を実施するならば、その目的や理由が明確にされ、それが納得のできるものでなければならないと思います。
そこで、新たに海外事例調査助成事業を実施する目的と理由は何なのか、お示しいただきたいと思います。
◎常野 自治研修センター所長 新年度から開始いたします海外事例調査助成事業の目的と理由についてのお尋ねでございます。
複雑かつ多様化する行政課題を解決して今後の施策を考えていくためには、海外のさまざまな分野の先進事例などを学びまして、それを市政に生かしていく必要があるほか、あわせて、より広い視野で市政運営ができる国際的な人材を育成することが重要であるというふうに考えております。以前の海外派遣研修は、IT環境の充実とか海外渡航の一般化を理由として取りやめたものでございますが、インターネットで得られる情報にも限界がございまして、政策課題の解決に向けて具体的な先進施策とか事業等の調査を行うということであれば、業務として現地に赴いて実際に目にし、生の声を聞くことの意義はやはり大きいものと考えております。
したがいまして、本事業は各局・区が抱える政策的課題の解決とか、国際都市あるいは創造都市さっぽろの推進という未来を目指した施策の策定に向けて職員が海外先進事例を直接調査すること、また、そうした経験を通じて職員の国際的な視野を広め、あわせて資質の向上を図ることの2点を狙いといたしまして、平成25年度から新たに海外事例調査助成事業を実施することを決定したものでございます。
◆芦原進 委員 具体的な政策的課題の解決を目指した調査ということで、これから先に向かっての取り組みだと思います。
インターネットは、確かに瞬時にして世界の情報が得られます。しかし、現地に行くと、やっぱりインターネットの情報と相違があることもあります。また、実際に現地に行ってみないとわからないこともありますし、私は、大切なことは、血が通っているのか、また心が通うのか。目で見て、聞いて、心で感じることはインターネットではできません。そうした意味で、私は、現地に行くということは大切なことだと思っております。また、物事というのは、中にいてわからない、自分で家のことはなかなかわからないけれども、外から見る、他人から見るとよくわかるという身近な問題もありますから、外から札幌市を見ることも大事なことだと私は思います。そうであればこそ、制度の内容も含めて、派遣を通じてどのような成果が得られるのかということをきちんと考えていく必要があります。ただ行けばいいというものではないということを申し上げたいと思います。
また、職員は定期的に異動されるのですね。人事異動があるのです。民間のようにずっとその場にいないわけですから、せっかく調査に行ったのに、異動することによって海外で学んだこと、経験されたことが生かされないことになってはいかんと思います。そうした意味では、効果を得るには事業の継続性ということも見なければならないと思います。
そこで、最後に、もう1点質問したいと思います。
海外事例調査助成事業はどのような中身、内容になっているのか、お尋ねしたいと思います。
◎常野 自治研修センター所長 海外事例調査助成事業の内容についてのお尋ねでございます。
具体的な実施内容といたしましては、各局・区が政策的課題の解決に向けた海外の先進事例を調査することに対して費用の助成を行う予定でございます。対象となる職員は、一般職及び係長職としまして、調査期間は移動を含めて最大10日間までを予定いたしております。旅費につきましては、1人当たりで最大38万円の助成とし、このほか、必要に応じて現地でのコーディネート料とか通訳の経費として最大で22万円までの助成を行うこととしております。対象となる事業につきましては、5月から6月にかけて各局・区に対して募集を行います。研修センターが中心となってその選考を行い、審査の結果によりますが、派遣者数は最大で15名を考えております。各局・区における研修の実施は8月から12月までの間に業務の状況を勘案しながら行う予定でございます。
先ほどお伝えしたとおり、本事業は、各局・区の抱える課題の解決に向けて調査を行うものでありますので、調査の成果は、派遣された職員の異動にかかわらず、局・区の業務に継続的に生かされるというふうに考えております。
◆芦原進 委員 最後は、要望と、私の若干の苦言でございますが、先ほどいろいろと答弁がありましたけれども、やはり、平等かつ厳格が大事だと思います。変な横やりが入ったりして、不平等でその人がもうけたという話にならないように、ぜひ、していただきたいなと思います。先ほどもお話ししましたけれども、大切な市民の税金を投じて職員が海外に赴くことになるわけですから、やはり、市民の厳しい目線をしっかり意識して、そして、当然のごとく、報告等も明確にしていただきたいと思います。
昨今というよりも、これは当然のことですが、国会、また、私たち地方議会も、定数削減、また報酬削減という大きなテーマがありますし、国家公務員、地方公務員の給与の引き下げ等々、国民は厳しい目線で私たちの一挙手一投足を見ていると思うのです。やはり、これからも、国民や市民の関心度は大変高く、厳しい目が注がれてまいります。そうした意味では、実施する以上は、十分に実施内容を検討し、市民が納得できるような成果が得られるように要望しておきます。
1点だけ、私の感想でございます。
感想ですから当たってないかもわかりませんが、私の感じるところ、本予算は、どうも予算づけありきのような感じがします。やはり、それが否めない。民間であればこういう理由で、こういうことをしたいので、社長さん、お願いしますという形で役員会にかけて予算が決まると思うのですが、どうも予算化に至るまでのプロセスが私自身はちょっと明確に受けとめられなかったなという感想でございます。
今後、こういう新しいものを予算化するときは、しっかりとしたプロセスを持ちながら、本当に市民が理解できるような予算化に努めていただきたい。あわせて、こうした要望、苦言を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
◆小倉菜穂子 委員 私は、公文書館の設置について質問したいと思います。
近年、公文書管理の重要性とともに、それを市民と共有する公文書館の設置が必要であるとの認識が全国で高まっていると思います。そうした中、国は、2月、国の行政機関が保有する公文書の管理状況に関する調査結果を初めて公表し、2011年度は紛失や誤廃棄など不適切な管理が181件あったことが判明したという報道がありまして、こうした公文書管理の徹底というのは依然として課題があるということが明らかになりましたし、そのように感じたわけです。
一方、札幌市では、昨年6月、公文書管理法の制定によって公文書の管理条例を制定して、保存期間が終了した公文書のうち、市政の重要事項にかかわり、将来にわたって市の活動や歴史を検証する上で重要な資料になるものを特定重要公文書として永久保存し、市民に利用をしていただくというふうにしています。札幌市は、これまでも、情報公開条例に基づいて市民への情報公開を積極的に進めておりますけれども、公文書館も同様に、市民との情報共有を進め、市民自治や市民参加を推進する重要な役割を担っていくものと考えています。
公文書館というと、大変かた苦しいイメージがありますが、今回は、旧豊水小学校を改修した施設ということもありまして、その点を逆に生かして、出前講座やさまざまな企画でその存在をアピールし、ぜひ、若い方々も含めて、誰もが気軽に、そして積極的に活用できるような事業展開をしていただきたいと思っているところです。
7月に開設になりますけれども、現在、そこに向けて利用促進策を検討されているかと思うので、その点について伺いたいと思います。
また、これまで、公文書館の基本構想であるとか整備計画等を経て大変丁寧にやってこられていると思いますが、以前、基本構想検討委員会の市民利用会議というところから提言が出ています。提言は幾つかありますが、その中で、市民がより利用しやすいものとなるように、施設の運営等を審議するため、有識者や利用者で構成する運営協議会の設置が求められるということが出ておりました。私は、どの提言も大事だと思いますが、この点は市民自治の視点からも大変重要だというふうに感じているところです。
そこで、利用者がより使いやすく、そして開かれた公文書館とするためには、運営協議会を設置して、館の運営に関して市民、利用者の声を反映させる仕組みをつくることが必要と考えておりますけれども、その運営協議会についてはどんなふうに考えておられるのか、あわせて伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 まず、1点目の公文書館の利用促進策についてでございます。
委員のご質問にございましたように、やはり、私どももより多くの市民の方に利用していただける公文書館にしていきたいと考えてございます。そのために、適切なレファレンスであるとか利用者ニーズに即した市民参加型事業の開催によりまして利用者の満足度向上に努めますとともに、所蔵しております資料のデジタルアーカイブの充実を図りまして、公文書館の資料に親しんでもらう、あるいは、企画講演会や出前講座などによりまして公文書館の認知度を高めていくといったような取り組みを行うことで利用者の拡大につなげてまいりたいと考えてございます。また、これまでも要望がございました土曜日を開館日といたしますことで、新たな利用者の開拓にも結びつくものと期待しているところでございます。
続きまして、2点目の運営協議会についてでございます。
利用者の声を公文書館の運営に反映させる仕組みをつくることは、大変重要なことだというふうに認識しております。本市では、公文書館管理に関する重要事項について意見を述べることができる公文書館管理審議会を設置しておりまして、この審議会の委員には、有識者のほか、市民の方にも就任していただいてございます。公文書館の運営につきましては、特定重要公文書の管理と密接な関係にございますことから、これにつきましても、同審議会においてご意見を伺うこととしたいと考えているところでございます。また、開館後は館内アンケートや
ホームページなどによりまして、利用者のニーズを的確に捉え、それを検討するのはもちろんのこと、重要な事項については審議会に報告し、そのご意見を伺いながら公文書館の運営に反映させてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 認知度を高めるための工夫をし、土曜日を開館するということもお伺いしましたので、ぜひ、そうしたことでたくさんの方に気軽に来ていただければというふうに思います。運営協議会については、審議会に市民の方が入っているということでした。この点も大変大切だと思うのですが、今は審議会の中にちゃんと市民の方が入っておられると思うのですけれども、それをずっと継続していただきたいというふうに思います。
それから、基本構想をいろいろ見ている中で、たくさんの人に周知をしなければということが書いてあったと思うのです。やはり、認知がすぐにぱっと広がるようなところではないので、オープン前にできることはできるだけやって、例えば、
ホームページの作成などは今からでも急いでやっていただけたらなと思っています。
次に、利用する市民に満足していただける施設となるために、そこで働いている職員が、札幌市の歴史であるとかその特性、そして、所蔵している特定重要公文書の整理、保存や修復等について専門的な知識を持っていることが大変重要だというふうに思います。公文書館については、博物館にいらっしゃる学芸員のような専門の資格がないと伺っておりますけれども、そうした中で職員の専門性を確保するためにはどんなことをお考えなのか、伺いたいというふうに思います。
そして、冒頭に国の報告をお示ししましたけれども、その報告の中では、公文書の紛失、消失があった、自宅に持ち帰ってなくした、他の文書に紛れ込んで誤廃棄した、また、国税庁では納税者の個人情報を含む文書の紛失もあったといったことが報告されていて、本当に大きな問題だというふうに思います。ですから、札幌市の公文書館が存在意義を発揮していくためにも、重要な公文書が公文書館に確実に移管されていくことが重要だというふうに改めて思いました。そのために、札幌市の職員一人一人が、公文書管理についての正しい知識を持ち、公文書の作成の段階から、最終的には公文書館に永久保存されるものだということを常に頭に置いて適正に整理、保存することが必要かなと思っています。
そこで、公文書管理条例の第40条においても、公文書の管理を適正かつ効率的に行うために必要な知識等の習得及び向上を図る上で必要な研修を行うこととされておりますけれども、今後、職員にどのような研修をしていく予定なのか、あわせて伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 まず、公文書館職員の専門性の確保についてでございますが、歴史資料として重要な公文書の管理等を学ぶために、国立公文書館におきましてアーカイブズ研修というのが開催されておりまして、公文書館の母体となります文化資料室におきましても、こうした研修に職員を派遣し、専門的知識、技術の取得に努めてきたところでございます。今後とも、こうした研修等を積極的に受講し、職員の専門性が確保されるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、一般職員向けの研修についてでございますが、本年4月の公文書管理条例の全面施行を受けまして、文書管理全般にわたる全庁的な研修を計画しております。その研修の中で、公文書館にかかわる内容を盛り込みまして、公文書館、あるいは特定重要公文書といったものの重要性に対する認識を職員の間に浸透させていきたいというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 公文書館の職員は、アーカイブズ研修を受けるというふうに伺いました。こういう方々をアーキビストと言うのですが、実際のところ、こういった専門の資格制度は、今、ないということでしたから、そういった研修にお出かけになったり、職員の勉強もなかなか簡単でないと思いますけれども、先行自治体などもありますので、そういったところの情報なども共有しながら、ぜひ、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
それから、職員の方々の全庁的な研修をやっていきますということでした。今、これから準備されるのかと思いますが、4月にはまた新しい職員も入ってこられますので、ぜひ、そうした新規でフレッシュな方々にも研修の中で公文書の大事さを伝えていっていただければというふうに思っています。
市職員は、文書作成、管理についてこれまで以上の緊張感を持って当たっていただくように、また、札幌市公文書管理に関するガイドライン(案)というのがありまして、今月中にもきちんと策定される予定と聞いておりますので、その徹底にもしっかり取り組んでいただきまして、札幌のまちの姿を、漏れなく、そして正確に後世に残していってほしいと思います。公文書の利用、作成、管理を通じて市民と職員をつなぐ場が公文書館であるというふうに考えますので、市民にとって少しでも身近な、そして、より利用しやすい施設となるように積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆宮村素子 委員 私から、職務経験のある保健師の採用についてお伺いしたいと思います。
昨年の
予算特別委員会で、保健師の働き方の見直し、増員、職務経験のある保健師の採用を求めたところであります。その理由は、白石区での40代の姉妹の孤立死事件を通して、行政の中で保健師の役割、期待が共有されていなかった、また、市民も保健師の存在すらわかっていなかったという点が明らかになったところです。一方、保健師の集団を見ますと、約200名のうち7割が20代から30代で、臨床経験がなく、限られた業務の遂行で地域看護力が高まっていなかった点も私は明らかにしたところであります。
医療、看護、介護、福祉を取り巻く環境がすごい勢いで変化している中で、保健師がみずから専門職としての仕事の仕方を先駆的にやっていくのが本来ですが、どうもそういっていない、そうした背景の中で、今回、初めて職務経験者の採用試験が実施されました。これは、私が長く求めてきたことでもありまして、一定の評価をするところでございます。
そこで、改めてお伺いしますが、職務経験者の採用試験を実施するに至った経緯、募集要件、内容、採用結果についてどういう状況だったのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎谷江 職員部長 職務経験を有する保健師の採用に当たっての経緯、募集要件などのお尋ねでございます。
今回の採用試験につきましては、少子高齢化や地域のつながりの希薄化に対応するため、地域での見守りや相談体制を強化する必要があることから、即戦力となる保健師を増員いたしまして、実施したものでございます。また、保健師の年齢構成におきましては、40歳代などの中堅層の職員が不足しているため、経験豊富な職員を採用することによりまして、若手保健師の育成や資質向上にもつながるものと考えております。採用の要件につきましては、28歳以上50歳未満で、民間または自治体での職務経験が5年以上の方としまして、その試験内容につきましては、筆記試験だけではなく、グループディスカッションやロールプレーなどを導入いたしまして、保健師の職務に必要な知識、技術をしっかりと評価させていただきました。受験者は81名おりまして、40歳代を含む4名を採用する予定となっております。
◆宮村素子 委員 多彩な試験のやり方により、約20倍の中から4名を採用する予定ということで、今後、この方たちの活躍を本当に期待するところです。
今、40代と言ったのかなという気がしましたけれども、採用した4人の年齢構成、経験年数、また、どういった経験をされてきた方たちなのか、これは個人情報保護には影響がないと思うので、お知らせいただければと思います。
◎谷江 職員部長 4人の採用を予定しておりますけれども、先ほどは40歳代を含む4人とお答えしたところでございます。それぞれ保健師として実際に職務経験があり、実地に活躍してきておりまして、その経験が生かされるものと期待しているところでございます。
◆宮村素子 委員 大変に経験深い方たちだと。そこで、この方たちに求めるのはやはり地域看護の実践力です。即戦力とおっしゃいましたが、私も、周りの若い保健師にこうやって仕事をするのだよと実施して見せる姿を求めたいと思います。しかし、4名で、実務を示しながら、後輩といいますか、若い保健師を育てろとなると、4人でどこまでできるのか、責任だけが重くのしかかる構図を私は想像するのです。
そこで、これは職員部に聞いてもだめなのかなとは思いながら質問しますが、この4人をばらばらにいろいろなところに配属しても、池に石を投げるぐらいのことで、波紋がうまく伝わればいいけれども、投げただけに終わるような職員の起用の仕方は困るなと思います。このような点で、職員部は、きちんと効果的に起用してもらいたいとか、そういったことについて保健福祉局にどんなふうに話しているのか、もしそういうことがあればお聞かせ願いたいなと思います。私は、職務経験のある保健師の採用を今後も継続していただきたいと思いますけれども、どう考えているのか。
さらに、40代ですから50歳に近い人たちを想定できますが、そうした保健師の処遇、昇任についてもしっかり考えていかなければならないと思いますけれども、その点はどう考えておられるのか、伺いたいと思います。
◎谷江 職員部長 職務経験を有する保健師の採用後の配置の件でありますけれども、保健師につきましては、育児休業等で休んでいる方も多数おりまして、現場での年齢構成にかなりいびつな状況が生じております。そこで、経験を有する者の配置につきましても、保健福祉局と十分協議いたしまして効果的な人員配置ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。
また、今後の採用についてでありますけれども、今回の採用選考を行う中で、さまざまな経験を有し、かつ、本市への採用を希望する保健師経験者が多数いることが確認できました。今回の選考の結果を検証しつつ、今後も継続して採用を行っていきたい、このように考えてございます。
また、処遇の件でございますが、昇任に当たりましては、上位の職に必要とされる在職年数がそれぞれ定められておりまして、通常、一般職から係長への昇任は7年6カ月、係長から課長への昇任は4年とされてございます。既に採用を行っております事務や土木などの民間企業経験者等につきましては、採用前の経験を考慮いたしまして、通常よりも4年短い3年6カ月の在職期間で係長への昇任試験を受験可能とするなどの特例を設けております。保健師につきましても、この経験者採用と同様に、採用前の経験を考慮した人事異動の特例的な取り扱いにつきまして、今後、人事委員会と協議してまいりたいと考えてございます。
◆宮村素子 委員 特例として3年半ぐらいで道が開かれると理解しましたけれども、よろしいでしょうか。
そして、やはり、きちんと立場を与えてといいますか、その任を果たすためにはそういったことをしなければ大きな集団を大きく変えていくことにはならないなと思いました。そして、今、実施結果を検証してと、募集したら応募者が多かったので、今後、とってよかったということがわかれば採用したい向きのお言葉でした。
しかし、私は、大きく集団を変えていくためには少なくとも3割はこういった経験のある人をとる必要があり、大きく集団を変えていくことができたら、その後、新卒がある程度多くなっていっても指導できるバックボーンがしっかりするというふうに思うのです。ですから、しつこいようですが、最後に、きちんと一定の目標を持って、私は3割と思いますけれども、採用を続けるという意思を確認して、終わりたいと思います。
◎谷江 職員部長 今回、初めて、職務経験の有する保健師の採用試験を行ったわけでありますけれども、非常に優秀な方に受けに来ていただいたと考えております。そういった方が、採用した後、各地域に出て、ほかの保健師に大きな影響を与えてくれるような非常に大きな活躍を期待し、今後、採用に当たっての検討を進めてまいりたいと思います。
◆三宅由美 委員 私からは、2項目質問させていただきます。
女性職員に対する研修についてと事故賠償の取り扱いについての2項目ですが、最初に、女性職員に対する研修についてを質問いたします。
我が国では、1986年に男女雇用機会均等法が施行され、以来、雇用に関して男女の機会均等を図るための法的な整備が進んできました。しかし、昨年、世界経済フォーラムが発表した世界男女格差報告によると、日本は労働への参加に関する男女間の格差が135カ国中78位、そして、幹部や管理職への女性の登用は106位と世界的に見ても大変低い水準で、男女雇用機会均等法ができてからもう27年もたちますが、十分とは言えません。少子化と高齢化の進行に伴い、労働力人口の減少が見込まれていることをあわせて考えても、女性が今以上に活躍の場を広げることはこれからますます重要になると考えております。今、多くの女性がその能力を発揮して働くようになればGDPが6%上昇するというような、甘い考えかどうかわかりませんが、そういう考えもありますし、女性が納税者になれば、これこそ税源の最も有効な涵養策になると私は考えております。
さて、札幌市の現状ですが、1定で女性の登用について私どもの会派の中村議員が質問したのですが、こちらの女性議員の数を見てください。そちら側を見てください。こんなに少ない現状でいいのですかという質問をしたことを私ははっきり覚えています。札幌市がまとめた男女共同参画さっぽろプランにおいても、その基本目標の中で、女性一人一人が力をつけ、政策あるいは方針決定過程等の重要な場面に積極的に参加していくこと、そして、それらを支援する施策を充実していくことの必要性がはっきりとうたわれております。一方で、同プランによりますと、札幌市職員全体に対する女性職員の割合が約28%であるにもかかわらず、係長職以上の女性は約12%にとどまっており、決して高いとは言えない状況です。札幌市を取り巻く行政課題が複雑かつ多様化している中、今後、よりよい市政運営を行っていくためには、女性職員の割合を高めるのはもちろんのこと、もっと多くの女性職員が市政運営の意思決定過程などに参画し、その能力を発揮させていくことが必要だと考えます。そうしたことから、女性のキャリアアップについては研修などで後押しをしていく必要があると考えております。
そこで、質問ですけれども、来年度の研修において女性職員に対する研修の強化を検討中と聞いておりますが、まず、現状と来年度に向けた考え方をお聞きいたします。
◎常野 自治研修センター所長 女性職員に対する研修を現状でどう行っているのかということと、来年度は研修強化を検討中と聞くが、その考え方はどういったものかというお尋ねでございました。
現在のところ、自治研修センターにおきましては、女性だけを対象とした専門の研修というのは実施しておりませんが、女性職員の登用に資するという観点から、自治大学校が実施しております政策形成能力とか行政管理能力を習得することを目的とした研修に、毎年度、女性の係長職を1名派遣してきているところでございます。
委員のお話にもございましたとおり、よりよい市政運営を行うためには、多くの女性職員が市政の意思決定に参画することが重要であるといった観点から、来年度から女性職員を対象とした研修を新規に実施いたしたいと考えております。内容といたしましては、行政経営とか政策企画力などに関するものを中心に、4日間程度を予定いたしております。
◆三宅由美 委員 政策形成や行政運営などの場合、女性を登用するためには、係長職の女性の割合をふやすことが第一歩になると思います。格差の問題についてお話ししますと、いつも、女性が係長試験をなかなか受けないのだというお話をよく聞いておりました。私も、それが一番の壁だと認識しております。人事委員会の資料によりますと、平成24年度の係長職候補者試験は、受験資格がある職員のうち、実際に1次試験を受験した者の割合は、男性が約59%であるのに対し、女性は約20%にとどまっているという現状があります。なかなかこれがふえていかず、かえって低くなって20%を下回っている年もあります。女性職員の受験率が低いのは、ライフサイクルとの兼ね合いもあることでしょうが、女性の役職者が少ない現状では、お手本となるような先輩、意欲を持って係長試験を受けるような先輩、いわゆるロールモデルと出会いにくいことなどにより、キャリアを志向する意識を持ちにくいということも一因と私は考えております。
来年度、計画されている女性を対象とした研修の実施に当たっては、女性職員の能力をもっと発揮してもらうとともに、キャリアに対する積極的な動機づけとなるような研修にすることが必要と考えていますが、この点についてのお考えをお聞きいたします。
◎常野 自治研修センター所長 現状では、女性のキャリア志向意識が低いので、研修の実施に当たってはキャリアに対する積極的な動機づけをするようなものとすべきではないかというお話でございました。
今のお話にもございましたとおり、今後は、女性職員のキャリアアップを積極的に支援するための取り組みが必要であるというふうに私どもも考えております。具体的な内容でございますが、対象は一般職から係長職までとして、先ほど申し上げたとおり、政策企画や住民との協働などといった政策理論に関する科目のほかに、管理職として必要となるコミュニケーション力とか指導力、課題解決力、こういったマネジメントに関する科目も取り上げていきたいと考えております。実施に当たりましては、グループ討議など、受講者同士の交流にも配慮いたしまして、受講を通して女性職員がキャリアアップに必要となる知識とか能力を身につけ、また、意欲的に仕事に取り組んで、今後さらに活用できるような内容にしてまいりたいというふうに考えております。
◆三宅由美 委員 女性に特化したこの研修に大変期待しているところです。
先ほども述べましたように、ロールモデルが少ない現状におきましては、受講者同士のコミュニケーションが図られることで、同じ立場にある女性職員同士が仲間づくりをしたり、お互いに励まし合ったりするような面も期待されます。そのような点にも目配りしながら、研修を受講した女性職員にとってキャリアアップの動機づけにつながるような充実した内容にしていただきたいと思います。ぜひ、多くの女性職員がこの講座を受講するよう進めていただきたいと思います。
次に、事故賠償の取り扱いについてです。
北海道警察の発表によりますと、本道におきまして、2012年中に発生した交通事故の死者数は200人に上り、2008年以降の減少傾向から再び増加に転じたところです。また、事故の総件数は1万5,000件弱となっています。札幌市においては、現在、清掃車両や消防車両など約1,000台の公用車を使用しているほか、札幌市が管理する道路は総延長5,500キロメートルに上ると聞いています。これほどの数になると、好ましいことではないのですが、交通事故のほか、道路の管理瑕疵など札幌市の責任のある事故は年間相当数発生しているのではないかと思われます。
そこで、質問ですが、2011年度、2012年度に発生した札幌市に責任のある事故の件数について、市有施設における事故なども含めて、どのような状況になっているのか、お伺いします。
◎渡邉 行政部長 本市に責任のある事故の状況でございますが、職員の運転の誤りによる公用車の交通事故でありますとか、道路上の陥没に起因する事故など、市職員の過失や市の施設管理の方法などが原因で発生いたしました事故の件数は、企業会計分を除きまして、平成24年度は10月までの数字で48件となっており、平成23年度は114件となっているところでございます。
◆三宅由美 委員 ただいまのご答弁で、年間約100件程度の事故が発生しているとのことでしたが、札幌市に責任がある事故であれば、当然、相手方への保障が必要となります。
そこで、質問ですが、2011年度、2012年度における相手側への支払い額はどのような状況なのか、お伺いします。
◎渡邉 行政部長 事故の相手方への支払い状況についてでありますが、事故の発生から金銭の支払いまでには一定の時間を要しますことから、支払い件数につきましては、先ほどご答弁いたしました事故発生件数とは一致してございませんけれども、平成24年度は、10月までの数字で76件の事故に対して約1,100万円、平成23年度は、108件の事故に対して約1,900万円となってございます。
なお、この支払い額のほぼ全額が本市の加入している保険によって補填されているものでございます。
◆三宅由美 委員 一旦、起きてしまった事故について、その被害を最小限にとどめた上で、責任の所在を明らかにして、誠実に相手方と話し合い、適切な解決が図られるよう努めるべきと考えています。
そこで、質問ですが、事故が発生した場合の札幌市の対応について、示談などによる紛争の解決に至るまでの流れはどのようになっているのか、また、その紛争解決のための金額の算定はどのように行っているのか、この辺の流れをお伺いいたします。
◎渡邉 行政部長 本市におきまして、市に責任のある事故が発生いたしました場合には、所管課において初期対応を行いますとともに、関係課への報告あるいは保険会社への連絡などを行っております。その後、相手方と示談交渉を行うこととなりますけれども、その際、相手方が一方的に本市の責任を追及し、本市が損害を賠償するといった対立した関係ではなく、円満に紛争の解決を図るという共通の目的を目指す関係が望ましいという考え方のもとに、従来から誠実に交渉を行っているところでございます。その結果、相手方から損害賠償請求は行わないとの意向が示された場合には、本市が損害額に相当する見舞金を支払うという内容の示談を取り交わし、これに基づいて支出するという対応が一般的となっているところでございます。
次に、支払い額の算定についてでありますが、人身事故の場合には、自賠責保険、あるいは日本弁護士連合会の基準などの客観的な基準を用い、保険会社や弁護士などとの相談や法制課での審査などを行った上、適正な金額を算定しております。また、物損事故の場合については、時価による算定を行っているものでございます。
◆三宅由美 委員 最後の質問ですが、ただいまのご答弁で、札幌市では、紛争の円満な解決に向けた努力がなされ、被害者に支払う見舞金の金額も適正に算定されていることは理解できましたが、しかし、市民の目線から見た場合、見舞金としての支払いはいかがなものかと思います。言葉の誤解などを招くおそれがあり、また、市民の権利意識が従来よりも高まっている今日におきましては、損害賠償と受けとめられるのが一般的ではないかと思うわけです。
そこで、質問ですが、事故の責任関係を明確にし、より市民にわかりやすい対応を行うという観点から、損害賠償金として支払うことを検討すべきものと考えますがいかがか、伺います。
◎渡邉 行政部長 本市におきましては、これまで見舞金による支払いを中心に対応してきたところでございますが、ご指摘のとおり、近年においては、より責任関係を明確にした上で、損害賠償金として支払いを行った方がより適切なケースもあると考えられるところでございます。また一方で、同じような事故が発生したときに、見舞金として支払う場合と賠償金として支払う場合とが分かれるような事態は、かえって市民の皆さんの誤解や混乱を招くおそれもございますから、ご指摘の点を踏まえまして、今後は原則的に損害賠償金として支払い、議会への報告など、取り扱いの見直しを検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆涌井国夫 委員 私からは、大きく2点、本市職員の他市町村への派遣について、それから、国際部の関係で職員の海外への出張の件について質問いたしたいと思います。
最初の職員の派遣でございますが、これは、地方自治法第252条の17に、地方公共団体の事務処理のために特別な必要があると認められるときは、普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員に対して、相手側の普通地方公共団体の職員の派遣を求めることができる、こういうふうに規定されておりまして、職員の派遣について認めているわけであります。さらに、職員を派遣しようとするときは、あらかじめ当該普通地方公共団体とお互いに協議して進めなければならないと。その際、第2項に、その給料、手当及び旅費は当該職員の派遣を受けた普通地方公共団体の負担とするのだというような規定も設けられております。
そこで、札幌市から他市町村への職員派遣の現状、派遣先あるいは人数、派遣期間、派遣形態はどうなっているのか、まず、伺いたいと思います。
◎谷江 職員部長 他都市への職員派遣の現状についてでございます。
本市が行っている他の自治体への派遣につきましては、研修を目的とした派遣と、委員からお話がありました自治体からの求めに応じて職員を派遣する、地方自治法上の派遣の二つの形態で行っております。
まず、研修を目的とした派遣についてでありますが、北海道に部長職1名、課長職2名及び係長職を1名、北海道警察に課長職1名、石狩市に係長職1名をそれぞれ2年の期間で、また、夕張市に一般職1名を1年の期間で派遣を行っております。
次に、地方自治法上の派遣についてでありますが、
東日本大震災の被災地への復興支援を目的といたしまして、宮城県山元町に課長職1名、係長職1名及び一般職4名を1年を原則として派遣を行っているところでございます。
◆涌井国夫 委員 地方自治法上の派遣あるいは研修派遣があるということで、大きく2種類あるということでございます。このうち、研修を目的とした派遣の中に、北海道、あるいは石狩市のほか、夕張への派遣も行っていると。日本で唯一の財政再生団体である夕張市への派遣というのは、同じ研修派遣というくくりではなくて、別の意味合いを持っているのではないのかというふうに私は思っておりまして、夕張市への職員派遣はどのような位置づけで行っているのか、経緯あるいは現状をお話しいただければと思います。
◎谷江 職員部長 夕張市への派遣の意味合いでございますが、幾つかの研修派遣につきましては、派遣先団体ごとに個別の目的は異なりますが、ほかの団体の取り組みを学ぶという点については同じであると考えております。夕張市につきましては、人口減少、少子高齢化が進行する中、地域再生に向けて取り組む同市の施策を参考にする目的で派遣を行っているものでございます。
◆涌井国夫 委員 今の答弁で、夕張市の職員派遣は、夕張市の地域の再生に向けた施策の取り組みを参考にする目的で派遣しているということでありますけれども、夕張の現状を本当にわかっているのかというようなことで、今回、私は質問いたしているわけでございます。夕張市は、財政再生団体ということで、今まさに注目する地方自治体でございます。夕張の学校というのは小・中それぞれ幾つあるのか、高齢化率がどのくらい進んでいるのか、市営住宅などの公共的な施設の老朽化についてはどうかとか、私は、夕張に実際に行ってまいりまして、きょう、お話しさせていただきたいと思っているところでございます。
例えば、夕張の直営でやっていた養護老人ホームの施設がございます。定員が50名ぐらいでございますが、実際、財政破綻した後、手直し、補修は全く手つかずの状態でございまして、それを受けた事業者が補修をしながら、そして、私が行ったときには雨漏りもして大変な状況でございまして、こんな状況の中で夕張市から施設を受け取って維持している、利用されているというようなことでございました。あるいはまた、高齢化率も44%と大変な状況でございます。特に、市営住宅などは、平家が連檐している住居でございますけれども、お年寄りが1人住んでいるということで、冬場などは、1人住んでいるために除雪しないといけません。そして、健康診断とか、健康はどうなのかといろいろな見守りもやっているようでございます。ご存じの方も多いと思いますが、夕張市というのは非常にまちが点在化して、そして、集合的に一つの国道につながっているという特殊な状況です。学校も、3校あったのが小・中学校がそれぞれ1校しかない。民間の医療機関、まち医者ですけれども、3軒ぐらいしかない。交通も、学校に通うスクールバスを使ってその1校のところに行っているというような大変な状況です。
そんな中で、同じ地方自治体の職員である夕張市の職員は何人でやっているかわかりますか。認識を伺いたいと思います。
◎谷江 職員部長 夕張市の職員の数のお話でございます。
夕張市は、現在、財政再生計画に基づきまして職員の適正化、給与の削減による人件費の削減に取り組んでおりまして、平成24年4月1日現在の職員数は一般行政部門で77人、総職員で147人という数字を捉えております。
◆涌井国夫 委員 確かに、夕張の問題を議論する際は、当然ながら、まずもっては北海道が取り組むべき課題だというのは論をまたい問題だと思います。それにしても、行政同士、自治体間の中で職員を派遣しているようなときは、地方自治法では協議をしなさいというふうになっているわけであります。協議も、なぜ必要なのか、今、事務執行するために職員はこのぐらい削減しながらやっているのだという実態も当然やりながら、何とか1人、2人というような格好で、恐らくお願いする、あるいは要望が来るというような協議の中で進めていくということであるというふうに思います。財政破綻によって職員数が半減しているのですね。現在84人でやっているわけでございます。市の人口は1万471人、そういう中で人口1人当たり7.5人です。類似団体は9.5人だそうでございます。現在、夕張市では自前の職員のほか、今お話があったように、北海道、札幌市などの各自治体から20名の職員の派遣を受けて行政の執行体制を維持しています。私が調べましたら、自治体から20名、さらに、道外からも浜松1名、それから、東京2名、北海道13人で札幌が1名、岩見沢1名、旭川、石狩1名ずつ、さらに、民間の企業からも富士通1名、NEXCO東日本が1名ということで、このような体制の中で必死になって取り組んでいる。
このように、札幌市からは1名の派遣でありまして、確かに、北海道がまず取り組むべき課題というふうには思いますけれども、札幌市まちづくり戦略ビジョンにも明確に書かれておりますように、北海道の中心都市の札幌、北海道とともに発展する札幌とか、札幌市が北海道に対して何が担えることができるか、貢献できるか、札幌市が果たす役割は非常に私は大きなものがあるというふうに思うわけでございます。
そこで、私は、夕張市への派遣、1名ですけれども、研修派遣、職員のスキルアップというものも当然ございますが、夕張市の支援策として考えていくべきではないのかというふうにも思っております。こんなような苦労をしている夕張市に対して、北海道と協議しながら、どんなことができるか、もっと取り組むべきだと。
そこで、改めて聞きますけれども、派遣職員は、今、1年交代で札幌市はやっているそうでございます。ほかの市町村は2年間で更新しているそうでございます。1年だと、なかなかコミュニケーション、人間関係をつくるというのもやっぱり十分ではないというふうに私なんかは思っておりまして、この際、派遣職員をさらに増員すべきではないか、こんなふうに思うのですが、そのことについて伺いたいと思います。
◎谷江 職員部長 夕張市への派遣を増員すべきではないかというお話でございます。
派遣の増につきましては、本市におきましても厳しい財政状況が続いている中、福祉分野を中心といたしまして、行政需要に対応しながらも適切な定員管理に努めているところでありまして、決して職員配置に余裕のある状況でないことはご理解いただきたいと思います。
また、相手の自治体の求めに応じまして職員を派遣する、いわゆる地方自治法上の派遣の場合は、派遣を受けた自治体が人件費を負担することが基本となってございます。ただ、夕張市への職員派遣につきましては、札幌市が人件費を負担しておりまして、これにつきましては、研修を目的としているということを理由としておりまして、研修派遣の趣旨からも、これ以上、派遣の人数をふやすことにつきましては慎重な検討が必要なものと考えております。
◆涌井国夫 委員 1万4,000人、札幌市の職員がいるわけですよ。そして、札幌市の職員の皆さんは、当然、全国から採用をされているわけです。道内の各市町村からも札幌市の職員になっている方もいらっしゃいます。夕張出身の方もいらっしゃると思うのです。調べましたら52名ほどいるそうでございます。やはり、私は、そういう意味で、夕張市というのは、今お話ししましたように特例的な部分なのだろう、通常の職員の派遣とはまた違う、特例的な支援なのだろうと。そうであれば、なお一層、逆に、1名を1年間でくるくる回すのではなくて、しっかり支援していこうというようなことで取り組むべきではないのか。
最後に、生島副市長に、改めて、1名でいいのか、増員を考えていただけるのか、本当は秋元副市長のほうがいいのかもしれませんけれども、お伺いしたいと思います。
◎生島 副市長 夕張は相当困っているということについて、私もそのように理解しております。
札幌市の職員も1万4,000何がしの職員がおりますけれども、だからといって人に余裕があるということでもございません。それから、今、地方自治法上の派遣をしている山元町がございます。これは、お金は向こうで持ちますから来てください、増員してくださいと。これは、山元町に限らず、
東日本大震災で被災された地方公共団体は、皆、悲鳴を上げております。ただ、実は、そこについても、今、我々としてはなかなか増員が難しいとお答えしているような状況もございます。
そのような中で、先ほど部長からご答弁申し上げましたように、札幌市が人件費を負担して職員を派遣することについては、法令との整合性や市民の理解などなど難しい課題もございますので、その検討については慎重にならざるを得ない、現状ではそのようにお答えさせていただきます。
◆涌井国夫 委員 夕張市は、毎年2回から3回、国と、そして、北海道と、三者協議というものをやっています。さまざまな課題を抱えながら、そして、取り組むべき課題を整理して107項目にわたって要望があるそうでございます。しかし、それに優先順位をつけて45項目に絞り、さらに細かく、何ができるかということを真剣に取り組んで一生懸命やっているそうでございます。
そんな中にあって、皆様からお話を伺った部分で、北海道の市長会の中で、夕張市のほうから札幌市の市長にお話があって1名を派遣することになったのだというようなことで、1年限りの交代で、来年は大丈夫なのか、どうなのかと。はっきり言って、破綻した後、係長も部長もみんなやめるわけですね。どっとやめた後、本当に若い人たちが残って、必死になって行政運営をやろうと思って、だんごになって取り組んでいたというふうに伺いました。
そんな中で、今、全国の自治体職員の団塊の世代がみんな一斉に退職の時期に来ているわけであります。ただでさえも受け入れということが本当に数名しか採用できない中にあって、退職は多いというような中で、本当にやりくりしている。そしてまた、浜松市も、今年度でやめていかれるということで欠員がある。何とかあと1名、必死になって夕張市のほうから何とか手当てができないのかというお話がありまして、何とか、北海道の元気は札幌市が牽引力となって担っていくのだと。やはり、さまざまな課題を、札幌市も、多くの、ある意味では頑張ってやろうと。これは、僕は、市民は大いに理解できると思います。そして、夕張市から来られて職員になった方も結構いるわけですから、マインドの強い部分の人たちが職員としているわけですので、ぜひ、副市長、考えて検討していただきたい、お願いしたいと思います。
さて、2項目めは、国際部関係の職員の海外の出張ということでございます。
本市職員の方が海外へ出張されるケースがどのくらいあるのか調べましたら、平成23年度は75人、平成24年度は78人ということで、これは札幌市のお金で行っている部分でございます。中にはJICA、あるいは、さまざまな国との関係の中で相手の国の費用で行かれるケースもあるようでございます。したがいまして、これ以上、恐らく行かれているのだろうというふうに思っております。
こうしたそれぞれの局ごとの海外の出張数の押さえはどこでやっているのかということで、私は、国際部あたりである程度は押さえているのだろうというふうに聞いたところ、全く承知しておりませんということでございました。やはり、これからのグローバリゼーション、あるいは、さまざまな海外への渡航について、あくまでも公費で行く場合には、国際部が中心になって、各国で交流した相手方、あるいは情報をさまざまに共有しながら進めていくべきではないのかなと。そこは、ある意味では国際部だけの問題ではない。産業振興という都市間交流の中の取り組みが必要でもありますので、そうしたトータルな部分で、やはり、都市間交流、あるいは、さまざまな出張の中の情報の共有というものに取り組むべきだろうというふうに思うのです。
さらに、今、海外に行ったときに事故もありますので、渡航者としての必要な安全対策、そして情報の共有はどういうふうになっているのか、また、出張の成果についても市役所内でどういうふうに共有されているのか、お伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 本市におきましては、平成23年8月に、国際的事業にかかわる関係部で構成する国際戦略連絡会議を設置し、各国の事情のほか、姉妹・友好都市交流、外国人観光客の誘致、海外との経済交流と本市における国際的な事業に関する情報の共有化を図り、関係部が蓄積して横断的に情報活用を行っているところでございます。また、この会議を構成いたします部局以外に対しましても、その求めに応じてこれらの情報を持ち得る範囲で提供しているところでございます。
◆涌井国夫 委員 国際戦略連絡会議という中でいろいろ共有していると。私は、まだまだ十分になっていないと思っております。さまざまな情報とか人脈とか、札幌市が持ち得るそうしたボリュームのある海外の情報は、市民にも還元をしなければならないし、あるいは、何らかの産業振興ということで、企業が海外へ行く場合でも、お手伝いできることはするとか。ただ、こうしたことは国際部だけではできません。産業振興、あるいは札幌市の商工会議所も必要かもしれません。トータルでしっかり市民に資する取り組みがあってしかるべきだと思いますけれども、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎今井 国際部長 市民に対しましては、海外出張の派遣元である各部局におきまして適切に情報提供と共有化が図られているものと考えております。また、どのような情報の提供が効果的であるか、そのあり方について、先ほど述べました国際戦略連絡会議において検討していきたいというふうに考えております。
◆ふじわら広昭 委員 私は、札幌市役所の本庁舎管理について、2項目質問いたします。
1項目めは、本庁舎の外壁落下について、2項目めは、空調機のフィルターについてそれぞれ質問いたします。
まず最初に、本庁舎の外壁落下についてでありますが、ご承知のとおり、2月25日月曜日、午前11時ごろと午後1時30分ごろに本庁舎南側の地下1階部分の外壁の一部が剥がれて、合計約2.1トンのコンクリートの外壁が落下しました。私が自宅に戻りましたらファクスが入っていましたが、詳しいことがわからず、もしかしたら本庁舎の高いところから落ちたのかなと錯覚いたしましたけれども、その後の夜のニュースなどを見ますと今申し上げたような状況を確認できました。落下した場所は、冬期間であり、中庭だったために人の出入りがなく、幸いでしたけれども、それにしても深刻な事故になりかねないものでした。
本庁舎は、言うまでもなく、1971年、昭和46年に竣工して、もう既に40年以上を経過して老朽化の影響が随所に出ているところであります。庁舎管理課に確認したところ、平成23年度は77件の修繕が行われているということでしたが、今後も、中長期的な視点を持って入念な点検と保全が必要な時期に来ていると思うわけであります。今、思い出しながらずっと勘定しておりましたが、市長、副市長や各会派も含めて約15〜16の局がこの本庁舎に入って仕事をしております。さらに、不特定多数の市民の皆様も来庁していまして、そういう意味では、こうした状況になったことは市民も非常に不安を感じているところであります。昨年8月には、市職員の目視点検などによって老朽化が確認されたことから、専門業者の技術的な助言を踏まえて、一部、落下防止の措置をとったという説明も受けているところでございます。しかし、先ほどから申し上げておりますように、実際に事故が起きておりますので、もっと緊張感を持って慎重に対応していただきたいと言わざるを得ません。
聞くところによりますと、庁舎管理課には、電気職や機械職の担当はいらっしゃいますが、建築を専門とする職種の職員がいないとのことであります。市有建築物を管理している箇所の全てに建築職を配置することはもともと困難であり、効率的でもないと思いますが、専門家の集団であります都市局の建築部といかにして連携体制を築くかということが重要ではないかと思うわけであります。そういう意味では、専門業者の助言も踏まえて対策をしましたが、もう一歩、建築の専門部署である建築部との連携が不可欠でなかったのかと考えるわけであります。
そこで、質問でありますが、一部の報道機関から建築部との連携不足が指摘されておりますけれども、本庁舎の維持管理について、庁舎管理課と建築部との連携はどのようになっているのか、まず、伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 庁舎管理課と建築部との連携についてでございますが、まず、予防保全につきましては、建築部が庁舎管理課と連携をとりながら計画的に実施しているところでございます。また、日常の補修、修繕につきましては、庁舎管理課が必要に応じて建築部と相談をしたり、あるいは、経験豊富な民間の専門業者の助言を踏まえながら設計、施工管理をしているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 日常的な修繕については庁舎管理課がやっているということでございますけれども、そういう知識が全くないということではありませんが、建築職がいない庁舎管理課でさまざまな補修、修繕をやっていく場合に、どういった対策をするかという協議、判断をするのは限界があるのではないかと推測するわけであります。ある程度しっかりとした対策をしていくためには、今、部長のお話がありましたが、もう少しマニュアルというか、役割分担をしっかり図って、こういうときにはこういうふうにしようというようなものが少し不足しているのではないかと思うわけであります。
そこで、今回の事故の教訓として、建築部との連携をより確かなものにする必要があると考えますが、現時点では具体的な改善策をどのように考えているのか、伺います。
◎渡邉 行政部長 庁舎管理課と建築部との連携の具体的な改善策についてでございますが、これまでは、必要に応じて建築部の技術的支援を受けておりましたけれども、今後は、より一層、安全対策を強化するために、日常の点検方法や設計、施工、竣工の各時点におきます役割分担や運用について、より明確にした連携の仕組みを再整備してまいりたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 今、部長から今後の対策などを含めた考え方が示されました。今回の事故は負傷者が出なかったわけでありますが、市民や職員の安全を確保する点からも、二度と起こしてはならないと思いますので、改めて、総務局長としてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎若林 総務局長 今回の外壁の落下については、幸いなことに、けが人などは出ませんでしたけれども、ご指摘のとおり、状況によっては重大な事故に至る可能性もございまして、庁舎管理に責任を負う総務局長として非常に重く受けとめているところでございます。市民の皆様に大きな不安を抱かせてしまったことに対しまして、深くおわびを申し上げたいと思います。
今後は、施設の維持管理において、安全対策をより一層強化するために、建築部とも協議を行い、十分な対応をするとともに、このようなことのないように施設の適切な維持管理に万全を期してまいりたいというふうに思います。
また、特に建築部との連携についてもご指摘をいただきました。総務局としてさまざまな業務を所管している中で、他部局との連携についてはあらゆる場面で意識するように指示をしてまいりましたし、私自身も心がけてきたつもりでございます。ただ、今回の問題については、建築部との連携が十分であったか、改めて反省をしなければいけないというふうに思っております。見直すべきものについてはしっかりと見直していきたい、そう考えております。
◆ふじわら広昭 委員 要望を3点申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
今、局長からもお話がありましたけれども、ぜひとも庁内連携をしっかりと行っていただきたいということが1点です。
それから、某新聞のきょうの朝刊によると、落下防止策より、落下した壁面に残っているコンクリートパネル30枚を剥がすほうが安全という判断で、それを撤去し、今後は軽くて耐久性のあるアルミ素材などの金属製パネルの設置などを検討するという記事が掲載されておりました。しかし、確認すると、庁舎管理も建築もまだこういう判断をしていないということであります。こういう手法もあるかと思いますが、環境首都札幌の実現を目指す札幌としては、さまざまな手法も考えていただきたいと思います。そこで、最近では市内のビルなどにも見られる壁面緑化ですが、ツタやツルアジサイ、ツルマサキなども含めて、ぜひ有効な検討をしていただくことを求めておきたいと思います。
次に、空調フィルターの関係ですが、昨年の決算特別委員会でも取り上げました。その中で、私は、一般社団法人公共建築協会の公共建築工事標準仕様書に適合している場合は第三者機関の試験と同等に扱うべきではないか、また、フィルターの仕様などを
ホームページに掲載していくべきではないかなど、フィルターの仕様に関して幾つかの改善を求めてきましたけれども、昨年の決算議会で求めた検討項目についてどのような結果が出ているのか、伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 昨年の3定以降におきますフィルターの仕様に関する改善点でございますが、まず、1点目は、性能試験を行う第三者機関につきまして、一般社団法人公共建築協会の評価書で評価をされている場合には第三者機関の試験を受けたものとみなすことといたしました。改善の2点目は、新規参入者が対応しやすくするために、仕様等に関する情報について札幌市の
ホームページに事前公表をすることといたしました。また、改善の3点目としては、フィルターの交換時期につきまして、より効率的・効果的となるように、目詰まりの度合いをあらわす圧力差の管理値により交換するものとしたところでございます。また、これらのフィルターに関する情報につきまして、各市有施設の間で共有を図るために、関係する施設の管理者に対する説明会を昨年12月に2回開催したところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 改善点については、一定の評価をしたいと思います。
次に、2点再質問いたします。
現在の図面は、ろ材パックを製作するには少しわかりづらいので、もっと工夫をすべきではないかというふうに思いますが、この点についてどのように考えているのか。
再質問の2点目は、そちらからいろいろ資料を提出していただきましたが、フィルターを庁舎管理課で購入する場合、随意契約による三者見積もりもあわせて行っております。しかし、お聞きしますと、こうした業者が固定化されているのではないかと受けとめられるような説明がありました。また、それ以外にも、2年前の入札の中では、17時31分に入札の
見積もり合わせが行われております。入札が延々と長引いて、17時15分を過ぎることはあり得るかもしれません。しかし、常識的には17時15分という執務時間の中に行うことが基本となっております。そういう意味で、こうした随意契約、三者見積もりも見直しをして競争性をしっかり保っていくこともある意味では必要ではないか。私は、業者を責めているのではなく、庁舎管理課も別に悪気があってやっているとは思いませんが、やはり、そうした誤解を招くようなことはしないほうがいいと思うのですけれども、この2点についてどのように考えているのか、伺います。
◎渡邉 行政部長 現在の図面につきましては、ろ材パックの参考寸法が記入されていることで、かえってわかりづらい面もあるために、よりわかりやすくなるように改善していきたいと考えてございます。
また、フィルターを庁舎管理課で購入する場合に競争性が働いていないのではないかというご指摘でございますが、確かに、購入金額が少額ということもあり、業者が固定されていた面もございますけれども、今後は、より競争性が働くように、札幌市競争入札参加資格者名簿から意欲のある者を探し出し、参加業者をふやすように努めてまいりたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 ぜひ、そういう改善をしていただきたいと思います。
次に、前回も質問いたしましたけれども、フィルターの捕集率90%以上の不織布を洗浄する業者について、どのように調査してきたのか、伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 インターネットなどにより調査いたしましたけれども、捕集率90%以上の不織布を洗浄し、その性能を保証する業者については、私どもとしてはちょっと探し出すことはできなかったという結果でございます。
◆ふじわら広昭 委員 調べた資料も参考資料としてそちらからいただきました。その中には、Q&Aで、現時点では比色法90%対比の洗浄装置がないため、洗浄、再生使用はできませんということであります。60%台と90%以上の二つパターンが求められますが、そちらからいただいたものは、こういうことで見つけることができませんでしたということでありますけれども、ここの会社のQ&Aではそういう洗浄装置がないというふうに理解していいのか、その辺について庁舎管理課の見解を確認したいと思います。
◎渡邉 行政部長 私どもが調べた限りでは、やはり捕集率90%以上のフィルターに対応する洗浄装置が現在ないということだというふうに理解しております。
◆ふじわら広昭 委員 私が素人ながらに調べた状況によると、洗える可能性のあるところも出てきております。仮に洗浄できる業者の存在が確認された場合には、洗浄して再利用するお考えがあるのか、改めて伺いたいと思います。
◎渡邉 行政部長 これは、フィルターの製作メーカーと洗浄業者の両者ともが捕集率90%以上の性能保証をされるのであれば、環境面を考慮して不織布を洗浄して再利用することについて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 最後の質問になりますが、今の答弁では製作メーカーと洗浄メーカーが保証するのであればということであります。改めて、捕集率90%以上の不織布が再利用可能となった場合、環境面ではガラス繊維より優位性が明らかでありますので、ガラス繊維をやめて不織布に限定してはどうかと思いますけれども、この点についてはどう思うか、伺います。
◎渡邉 行政部長 捕集率90%以上の不織布が洗浄により再利用可能となった場合については、洗浄可能な回数、あるいは洗浄費、洗浄業者までの運送費などのコスト、さらには安定供給の点から洗浄業者の数などを調査した上で判断してまいりたいというふうに考えてございます。
◆ふじわら広昭 委員 最後に、要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ぜひとも、そうした調査を積極的に行い、よりよいものを求めていただきたいと考えております。
要望としては、札幌市におきましても、プレフィルターは本庁舎の地下の委託業者によって洗浄されていることが明らかになったわけであります。これは、ここ数年ではなくて、かなり前から洗浄をしているということですが、札幌市の場合には、汚水は本庁舎の地下深くの貯蔵タンクに一度集められますので、プレフィルターであっても、粗い目ではあっても、ごみをたくさん吸い込んでおりまして、水質の調査をする必要があります。お聞きをすると、今までは一つのボックスの水の中に入れて洗って乾燥しているようでありますけれども、そちらから確認してもらったら、本市の下水道局においても、直接洗うのではなくて、事前にごみをとって、それから洗うべきではないかということであります。札幌市は、汚水は下水道に流していますから、下水道法に基づく水質の基準がありますので、ぜひ一度、従来の洗い方による水質検査と、下水道から指導を受けた場合の水質の調査をしていただきたいというふうに思います。そして、先ほども何度も言ったように、安易な
見積もり合わせや
特定随意契約などについては、しっかり見直すことを強く求めて、質問を終わります。
◆木村彰男 委員 私は、まず、北海道と札幌市の二重行政について、それから、総務局行政情報課所管で水道料金徴収のために個人情報が提供された件について、市庁舎の施設賠償保険について、札幌市の情報システムと山口斎場のシステム事故について、最後に、休職手当及び労働協約、労使交渉についてお聞きいたします。
まず、北海道と札幌市の二重行政についてでございます。
私は昨年の決算特別委員会でお聞きしておりますが、上田市長は、平成24年6月26日の記者会見で、形式的には重複しているように見えるが、無駄は発見しがたいというような発言をされております。また、当時の渡邉行政部長は、北海道の調査協力依頼に対して、職員が同行し、施設の状況、サービス内容等、北海道と札幌の連携についてヒアリングした上で、年度末、今のことでございますが、最終報告づくりに協力しているというお話があったかと思います。今、最終報告を受けまして、市長がおっしゃる無駄は発見されなかったのでしょうか。また、改善の必要はないのでしょうか。まず、お聞かせください。
◎渡邉 行政部長 二重行政につきましては、それをどのように定義するのか、あるいは、どのように理解をしているかということにもよると思いますけれども、委員がご指摘になりましたように、市長の記者会見において、市長からは、従来から、施策の実施、あるいは施設の設置に当たりましては北海道と協議を行ってきた経緯がありますことから、明らかに無駄であるような二重行政はないと考えているとご発言を申し上げたわけであります。その点では、今般、公表されました道と札幌市の二重行政に関する調査報告書におきましても、現時点で緊急かつ重大な問題は生じていないと結論づけるとともに、道と市が連携を図りながらさらなる相乗効果を生み出していくという観点からまとめられておりまして、道と市の認識の間には大きな差はないものというふうに考えているところでございます。
なお、同報告書におきましては、施策は3件、施設は6施設について北海道から課題の提起がございましたので、それについては、ともに検証させていただく中で、行政サービスの向上や効率化につながるようなことがあれば、ぜひ協力して改善していきたいと考えております。
◆木村彰男 委員 今回の報告は、私なりに分析してみたのですが、北海道から権限の移譲が進められた場合は、二重行政が解消できるような点が見られます。これは農地法の関係などで私も散見できたのですが、これにつきましては、北海道が権限移譲に対して非常に消極的であります。ですから、これについては、札幌市側で強く権限の移譲を求めていかない限り、二重行政は解消しないのではないかと私には思われます。これに対して、反対に、費用がかかるもの、北海道が費用を負担しなければならないようなものについては、一切、札幌市に任せるといいますか、私の目から見ると押しつけてくるようにも見えます。例えば、現在、障がいを持ったお子さんが通う支援学校のように、札幌市がこういう学校の予定地があると申し上げて、何とか道にやっていただきたいというようなことを申し上げても、お金がかかるということなのかわかりませんけれども、これはなかなか実現しておりません。このように権限移譲の問題と費用分担の問題というのは相互に関連していきますけれども、北海道とは今後とも粘り強くこういう問題について折衝していくようになるかと思います。
そこで、理事者は、札幌市民の立場に立って、何をこの折衝のポイントとして考え、そして、優先的に何を行わなければならないのか、また、その工程表についてはどのように考えるか、お聞かせください。
◎渡邉 行政部長 今後につきましては、まず、北海道と市の行政推進に関する協議の場を設置することとしておりますので、その中で実務に携わっている職員同士により課題の検証や今後の対応に関する協議を行うこととなっております。この協議に当たりましては、広域自治体である北海道と基礎自治体である札幌市が、それぞれの役割分担を踏まえ、どのように連携協力していくかということをともに考えることが重要だというふうに考えてございます。したがいまして、北海道と札幌市のどちらか一方がその負担軽減を図るために今回の協議を行うものではないと認識しているところでございます。
また、北海道との協議につきましては、今月中に開始し、その後も、できることから始めていくという姿勢で臨んでまいりたいと考えているところでございます。
◆木村彰男 委員 報告の中にありますけれども、例えば、観光振興策ですか、私は先ほどカジノのことも言いましたが、そのほかに産業振興策であるとか企業誘致政策というように、特に法令で分担が決まっていないようなものは、お互いに何をやるかという役割が非常に明確ではないといいますか、しかも同一エリアの中でお互いに独自なサービスを続けるということで、非常に二重行政が発生しやすいように私には見えるのであります。ですから、こういうものについては、やはり、人、物、お金というものは同じベクトルの方向に向けて改善していく形にしていかないと、なかなか解決していかないのではないかと思うのです。それについては、要望として、ぜひお願いしたいと思うのであります。
次に、第2問に行きます。
水道局の職員が保護課の職員の方に要請し、個人情報の提供を受けまして、そのことによって処分された事案がありました。この件について、なぜこのようなケースが新聞に出るような形で露見してきたのか、私はその辺がちょっとわからなかったので、そのことについて、まず、ご説明いただけませんでしょうか。
◎渡邉 行政部長 今回の件につきましては、市職員の不正行為に関するメールなりお手紙なりということで市長宛ての届け出制度をつくりましたところ、そういう形で情報が寄せられたことによりまして、そうした情報を検証していただきます札幌市のコンプライアンス委員会にご報告し、そのコンプライアンス委員会の資料という形で一般に公表されたものでございます。
◆木村彰男 委員 私は民間でちょっと働いていたのですが、この水道局の方は、私の目で見てみると、債権回収に非常に一生懸命だった方なのですよ。相手方にきちんと請求をかける。当然、相手の方もそれは払わなければなりませんから、担当の方が一生懸命に情報収集するのは、私の目で見ると当たり前のような感じもするわけでございます。これに対して、理事者の方々は、正規の手続をとらなかったこと、つまり、安易に情報を収集したという行為を捉えて、いわゆる刑法的に言うと行為無価値を主張されるわけでございます。したがって、それによって処分もあったと。
ところが、法益侵害の度合いといいますか、それから、結果無価値の観点から見るとき、私に言わせると、非常に微罪というか形式犯ではないかと。このような新聞沙汰といいますか、本当にそんな事案になる必要があったのか。私は、この水道局の方に同情してしまうのでございますが、このような形で考えていったときに、私の今のような考え方は否定されるかと思うのですけれども、理事者はどのようにお考えになるか、お聞かせください。
◎渡邉 行政部長 委員がご指摘のように、債権回収に全力を尽くすということは市職員として当然の務めであろうとは思いますけれども、今回は、そのやり方が個人情報の取り扱いという面で適正さを欠いていたということだと理解しております。
◆木村彰男 委員 正規の手続を踏んでも、なお目的を達せられない場合は、個人情報保護条例による第8条第1項ただし書き、さらに、第7号に基づく札幌市情報公開・個人情報保護審議会の意見聴取、このように複雑、煩雑な手続が水道局職員の前に立ちはだかっておるわけでございます。このような中で処分される真面目な水道局職員に対して、水道料金を払わずして居所を移転し、その後、生活保護を受け続けている個人の情報はかくも守られる、何とすばらしい制度かと私は思うのです。
理事者は、このような条例の運用、改善の方向、手続の簡素化について考えがあるか否か、お聞かせください。
◎渡邉 行政部長 札幌市が保有する個人情報の利用提供については、札幌市の個人情報保護条例において厳格な取り扱いが定められておりますが、これは、やはり、市が保有している個人情報が適切に扱われない場合には個人の権利、利益が侵害されるおそれが生じることから定められているものでございまして、その運用におきましても、当然ながら慎重に行う必要があるというふうに考えているところでございます。
◆木村彰男 委員 そういう形で進まれるというふうに理解しましので、それはそれでやっていただいて私は結構でございます。ただ、処分された方の立場に立つといいますか、気持ちに立つと、一生懸命やっていらっしゃる方とそうでない方がいて、一生懸命やった方が処分されているということについては、やはり、私は何か了解できないような観点でこの事案について思いました。
次に、市庁舎の壁の落下について、別な委員からも出ましたので、原局の方に一度お尋ねしていましたが、ちょっと観点を変えてお伺いします。
今回、外壁の脱落による人身事故はありませんでしたが、マンションオーナーであるとか管理組合などの場合、これは雪庇が落下した場合もそうですけれども、先ほど私が申しました施設賠償保険というのがありまして、この加入によってかなりの部分が支払われます。
これは確認ですが、札幌市においては、この施設賠償保険に加入しておられないと聞いております。それは事実かどうか、もしそうだとすれば、その理由はなぜなのか、そして、いろいろなところにいろいろな人が入っておりますから、私はかなり有効な保険なのかなと思いますが、それに入るおつもりがあるか、まず、これについてお聞かせください。
◎渡邉 行政部長 本庁舎におきましては、区役所などと同様に、施設賠償保険については加入をしてございません。これは、万が一、そういう事案が発生した場合については、その都度、対応することとして保険に入っていなかったものというふうに考えてございます。
また、それでは施設賠償保険への加入はどうかというお尋ねでございますが、それにつきましては、他都市でありますとか、他の市有施設の状況、あるいは保険の内容等も考慮しながら検討させていただきたいというふうに考えてございます。
◆木村彰男 委員 ぜひ、検討していただきたい。全部かける必要はないかもしれませんが、やはり、人が一人亡くなったりしますと相当大きな賠償金が発生すると私は思っているので、これについてはご検討していただけるということで結構だと思います。
それから、第4問としまして、昨年、山口斎場で漏水の事故がありました。そして、その漏水の事故が原因でシステム障害を起こし、1日、斎場の業務をできなかったということで、市民の方に大変なご迷惑をかけて、その間は里塚の斎場を使われたとお伺いしております。このことは、実は、山口のほうは民間業者に委託していて札幌市は関係ないのだという立場ですけれども、札幌市でも、例えば、情報化推進部のシステム以外に原局で約200ほどのシステムがあるらしいのですが、それらがシステムダウンしたときと、今回、山口斎場のシステムがダウンしたことでの改善すべきところといいますか、そこは同じようなものを包摂していると私は思っておりまして、その面で危惧があるわけでございます。
そこで、情報化推進部でも、情報セキュリティーの内部監査のようなことをおやりになってらっしゃるようでございまして、その際、現場を訪問していろいろヒアリングをして、ご相談して、改善の余地があるというようなことでご指示されていると伺っておりますが、どのような内部監査が行われているのか、まず、お聞かせください。
◎藤井 情報化推進部長 ただいまのご質問にお答えいたします。
情報セキュリティーの観点から、各原局で所管しております約240ほどのシステムについて、私どもの職員で監査を行っております。また、基本的には、システムを所管している部署の職員が自己監査を行うということもベースにしまして、その上で問題があるようなところについては、私どもの職員が実際に出かけていってヒアリング、実地監査等を行っているところでございます。
今回、生じました山口斎場の事故は水の関係の事故でございますけれども、システム面では、サーバー等の機器類をどこに設置しているのか、それがどのような状況にあるのかというところまで、各原局ではなかなか対策をとり切れていない面が生じているかもしれないという認識を持っております。そこで、今後行う情報セキュリティー内部監査の際には、これまで地震対策を中心に監査を行ってまいりましたが、その視点を広げてさまざまな観点からの監査を行うように改善してまいりたいと考えております。
◆木村彰男 委員 先ほど言いましたが、これまで地震を想定したいろいろなバックアップ体制のようなことが行われていたというふうに伺っております。今回は漏水ですけれども、先ほど出ましたように、事故点検、ヒアリングの調査、総合点検をやっていくということで、システムについて非常に詳しい情報化推進部のいろいろなアドバイスが生きてくるといいますか、参考になってくるというふうに私も思うところでございます。
ただ、これはよく例え話に出ますが、消防局の方が行って、法令に違反している、この防火扉の前に物を置いてはいけませんよという指示をしていたとしても、やはり、仕事の関係でどうしても防火扉の前に荷物が置いてあって、なかなか改善されないというようなこともよくある話でございます。つまり、注意しただけではなくて、本当に改善が徹底しているかということもご指導いただかないとなかなか徹底しないのではないかと思います。その辺ついては、これからさらに注意してやっていただくことを要望したいと思います。
次に、代表質問でもお聞きしましたが、いわゆる休職に関する規定のお話でございます。
これは、脅迫メールの関係で、今お休みされていらっしゃる方のことを私が取り上げたのですが、きょうは、そのことは言いません。
札幌市の場合、5年以上勤務されている方は、1年半、病気休職していたとしても100%お金が出ていて、さらに、1年半から3年目までは70%出ています。ただ、今、病気休職の方が非常にふえていまして、他の政令指定都市にいろいろ聞きましたけれども、100%もらっているところはもうかなり少数派になっております。私がお聞きしている限りでは、政令指定都市20市の中ではもう四つぐらいしかないと伺っておりますが、これらの休職にかかわる改善について、今はご検討中ということになっておりますので、その労使交渉等について、まず、お聞かせください。
◎谷江 職員部長 病気休職期間中の給与の取り扱いの件でございます。
病気休職期間中は、委員からお話がありましたとおり、勤続期間に応じて支給されておりますが、これらの給与の取り扱いも含めまして、病気休暇・休職制度全般の見直しについて、現在、労使交渉も行いながら見直しの検討を進めております。これらにつきましては、内容が確定次第、できるだけ早期に見直しを実施したいと考えております。
◆木村彰男 委員 私も人間でございますから、いろいろなご事情でお休みになるということはあると思います。しかし、基本的に、ノーワーク・ノーペイといいますか、働いていないところに給与が発生するということにはならず、民間の会社と比較して、札幌市の要件は非常に恵まれているといいますか、職員の方にとってかなり有利な条件になっていると思います。これは、納税されていらっしゃる方から見ると、少し改善を求めなければならぬというふうに思うのでありまして、これについては、なるべく早目にそのような方向性が出ていただくということを望みます。
最後に、これは、何回も生島副市長にお聞きしておりますが、いわゆる政府が要求する7.8%の人件費の引き下げの問題でございます。きょうの新聞に出ておりますが、一応、反対の表明をされておりますけれども、ある新聞によると検討中というようなことも書いてあって、三角印になっておりました。もしこれらの人件費の引き下げを射程に入れるとすれば、7月というようなこともおっしゃっておりますが、これについて労使交渉に入る予定があるのか、最後に生島副市長にお聞きいたします。
◎生島 副市長 代表質問のときにもお答えいたしましたように、今回、国から、地方交付税を削減する、そして、給与について引き下げろという要請があったところでありますが、この件については、地方6団体が反対するという共同声明も出しております。そういう中で、本市としても、直ちにこれを受け入れることにはならないと考えております。
今後につきましては、これまでの行財政改革の状況も踏まえた上で、本市の財政運営の状況であるとか他団体の動向等を注意しつつ、引き続き議論をしていくことが必要という段階でございますので、職員組合に提案するとかしないとか、そういうことを考える段階ではない、このように思っております。
◆木村彰男 委員 代表質問でもお聞きいたしましたけれども、今回の場合は、市民、国民のレベルから見ますと、札幌市のラスパイレス指数を含めて、私はやはり高いという認識を持っておりますので、この点については、また重ねて質問していきたいと思います。
○阿知良寛美 委員長 以上で、第1項 総務管理費中総務局関係分等の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月7日木曜日午前10時から、環境局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後8時49分...