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平成25年第二部予算特別委員会−03月05日-04号
平成25年第一部予算特別委員会−03月05日-04号

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  1. 札幌市議会 2013-03-05
    平成25年第二部予算特別委員会−03月05日-04号


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    平成25年第二部予算特別委員会−03月05日-04号平成25年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第4号)               平成25年(2013年)3月5日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33人     委 員 長  伊 藤 理智子      副委員長   長谷川   衛     委   員  武 市 憲 一      委   員  鈴 木 健 雄     委   員  高 橋 克 朋      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  長 内 直 也      委   員  細 川 正 人     委   員  小須田 悟 士      委   員  佐々木 みつこ     委   員  こじま ゆ み      委   員  阿部 ひであき     委   員  小 竹 知 子      委   員  伊与部 年 男     委   員  猪 熊 輝 夫      委   員  福 士   勝     委   員  畑 瀬 幸 二      委   員  大 嶋   薫     委   員  恩 村 一 郎      委   員  林家とんでん平     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  小 川 直 人     委   員  林   清 治      委   員  植 松 ひろこ     委   員  本 郷 俊 史      委   員  谷 沢 俊 一     委   員  國 安 政 典      委   員  丸 山 秀 樹
        委   員  宮 川   潤      委   員  小 形 香 織     委   員  伊 藤 牧 子      委   員  松 浦   忠     委   員  堀 川 素 人       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時 ○伊藤理智子 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、北村委員からは、阿部委員と交代する旨、届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費について質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  まず最初に、平岸にあります静療院の関係についてお尋ねします。  平岸の静療院の中にあるのぞみ学園などを含めたああいう総合的な施設というのは、全国に何カ所あって、どういうところが運営の主体になっているか、まず、その点をお尋ねいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  豊平区平岸にございます児童心療センターのご質問かと思います。  この病院につきましては、児童精神科の医療機関であるとともに、知的障がい、特に自閉症児の入所施設として支援を行うという、医療、そして福祉の両面からの機能を持つ施設でございます。この類例の施設につきましては、全国に4カ所ございます。北海道内にはのぞみ学園を入れた児童心療センターがございますが、その他の施設は全て本州にございます。 ◆松浦忠 委員  運営主体は、どこが運営主体になっていますか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  他の3医療機関につきましては、一つが都立、二つは県立でいずれも公立施設でございます。 ◆松浦忠 委員  ここは、児童心療センター関連ばかりではなくて、かつては精神障がいを持たれた大人の施設も一緒にありまして、ひもといてみますと、板垣市政時代にこういう施設がつくられていったということで、そういう点では、札幌市は大変先駆的な取り組みをされてきたなということを私は改めて認識しているところです。  そこで、今回、大人の精神障がいの診療棟、病棟を市立病院に移す、そして、あそこは児童心療センターという形で残る、このことをめぐって、この3月で医師がやめられるということでいろいろな動きがありました。  そこで、まず最初に、市長にお尋ねしたいのは、札幌市は、基本的に、北海道でただ1カ所の施設ということでこの施設を残し、今まで以上にさらにしっかりと拡充していくという考え方に立つのか、それとも、できることならばこの施設の役割を他の機関に担ってもらいたいと考えるのか、この点についてお尋ねします。 ◎上田 市長  この児童心療センターの歴史もございます。そして、役割の重要性といったことについては、私は、大変重要な施設であると考えておりますので、存続を前提に発展させていくことを考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  それでは、今回、この専門医がやめられる、そして、札幌市の職員である3名の医師職の人を充てて、当面、いわゆる法律の枠内のそれぞれの要件は満たすということで存続していく、こういうふうに報道されておりますけれども、私はそれはそれだなと認識しております。  そこで、北海道大学札幌医科大学を含めて検討委員会をつくるということですけれども、私は、今回の問題というのは、わかりやすく言うと、医師職が集団で退職をする行為だ、結果としてこういう行為だというふうに私は見ています。これに、今のような形で対応をすることについて、どの時点で内部の医師職の人を充てて対応するという今のような判断をされたのか、この点について伺いたいと思います。 ◎加藤 保健福祉局長  医師の対応につきましては、現実に、私どもでは、内部的に北大、医大などを含めて関係機関に当たったところでございます。最終的に外部からの招聘が無理であるというのは、1月初旬にも北大にお伺いして再度のお願いをしたところでございます。しかしながら、児童精神科を目指すお医者さんが非常に限られて少ない中で、専門のお医者さんを回すのは今の段階では無理だというお話もございました。そういった中で、ぎりぎりの判断といたしまして、その病棟を存続させるための最低限の措置として、内部の医師をもって充てることを確認したところでございます。 ◆松浦忠 委員  私は、乳幼児健診の外部委託のときから、これは簡単にいく話ではないということは承知しておりました。私が、桂市長時代にこの委託を提案したのですが、そのときも、私は簡単にいく話ではないということを承知の上でしていたのです。それはなぜかといったら、かつて、医師会の会長であった武見太郎さんが、診療報酬の値上げをめぐって、全国の開業医は時間外、祭日・休日勤務は一切させないという同盟罷業宣言ストライキ宣言をして、時の総理大臣と話し合いをして診療報酬を値上げさせていきました。時の日本国の最高権力者である総理大臣をして、それを受け入れさせていったという歴史的な経緯からすれば、これはそう簡単な話ではないのですね。既に、ついこの間というか、わずか数年前に乳幼児健診の委託でもありました。  ですから、今回、これを進めるに当たって、当然、そういうことは想定されるし、それから、精神障がいの中でも、特に重度のこういうことを専門とするお医者さんの数が少ないということは、行政の皆さんはもうご承知だと思うのです。そういう中で、この施策を進めようといったときにそういういろいろなことが起こるのは、急に、けさ、突然として、きのうまで当たり前に勤務していた人がやめるということではなくて、いろいろな話の中でだんだん予兆が出てきているわけですから、そうすると、それにどう対応するかということは当然考えていたと思うのです。その辺は、親御さんは、いろいろ不安の気持ちもあるでしょうし、いろいろな第三者の市民の意見もあるでしょうけれども、いろいろなものがあったにしても、そう いう方向で行くと決めたら、やっぱり、何があってもきちんと進んでいく、いろいろな手当てをしながら行くというのは、市側としては最初から覚悟の上だったというふうに私は思っているのです。  そういう中で、今回、内部の専門医ということだったら、例えば、やめられた渡部副市長も精神科のお医者さんですね。そうすると、副市長であっても、緊急のこういう状況を切り抜けていくには渡部さんも含めて診療に当たるようなことだってできたと私は思うのです。そういうことについて、内部でどう検討されたか。  ここは、私は市長にお尋ねしたいのですが、市長は、その辺について渡部さんを含めた検討をされたかどうか、この点、お尋ねします。 ◎上田 市長  さまざまな可能性について検討したということを申し上げておきたいと思います。 ◆松浦忠 委員  私は、渡部副市長とは、子どもの問題だとか障がい者の問題では結構話をしました。そういう中から、渡部さんも、相当難しい問題であるということで、特にお医者さんの世界のいろいろなこと、悩み事というか、現実について話しておられました。また、この前兆として、市内の民間4病院が去年の4月からスーパー救急の対象になりましたが、あの問題のときにも、やっぱり、北海道との関係、厚労省との関係でも渡部さんは大変苦慮されておりました。こんなことを考えると、私は、1月と言わず、もうずっと進んでくる過程の中で、去年の秋というか、少なくとも11月、12月ぐらいの段階でこれはなかなか難しいなという判断はできたと思うのです。そういう想定ですよ。そういう中で、最悪の場合、内部でこういう体制でというようなことについても、私は当然していたのではないかと思っていたのですが、今聞くと、さまざまな相談はあったと言うけれども、どうもそこまでの決断はされていなかったのだなと、こういうことなのですね。  私は、やっぱり、こういうことをやるときに、特に医師会を相手にするときには、市長が相当な覚悟を決めて進まないと、結局、札幌市長としての意向は全く無視されて、医師という集団の世界の中の意見に振り回されていくことになっていくのではないかなというふうに思うのですね。私がこう思うことについて、市長は、いやいや、それは違う、札幌市役所として市長が決定した意思は通していける、たとえ医師職にかかわる問題であってもというふうにお考えかどうか、この点についてお尋ねします。 ◎上田 市長  さまざまな専門職がおられます。そして、それぞれの職能に応じてのプロフェッショナルとしての見解を持たれるのは、非常に大事なことだというふうに思います。そんな中で、行政が病院なり施設というものについて存続させていきたいという意思というのは、札幌市は、歴史的にしっかり踏襲し、そして、その社会的な必要性、重要性についてもますます高まってきているという認識でございますので、これを存続させるために最大限のご努力をすることには変わりないわけであります。  ただ、時期的な問題として、5名の常勤のうち4名が一斉にやめられるという状況下におきまして、緊急的な対応をとらなければならない状況でありまして、現在、用意できている状況が最善だというふうには全然思っておりません。この状況を打開するために、今、緊急的に庁内の人事異動という形で病院機能を存続させるという決断をし、4月以降、そういう形でご利用いただくことで考えているわけでありまして、この状態をずっと続けていくというわけではありません。現に、さまざまなネットワークを通じて、児童精神科医を志す精神科医を常勤という形で雇用すべく努力を続けているわけでございます。 ◆松浦忠 委員  私は、極めて残念だなと思うことは、渡部さんから、たとえ周りからいろいろな意見があったとしても、特に、精神科の専門医の方ですから、そして、北海道で長く保健・医療行政の仕事をされてきた方ですから、そういう点では、私は市長が渡部さんを選択したということは、これからますますいろいろな形で――いろいろな形ということは、今まで人間の体にあらわれていなかったそういう障がいをお持ちの方が生まれてもくるし、我々健常者もそういう障がい者になっていく。そういうときに、市長の本当に大切な相談相手の一人に選ばれたということは、いろいろな話は抜きにして、私は本当に純粋に考えて非常にいい選択をしたなと思ったのです。  しかし、今回、辞表を受理されたということは、選択としては最悪の選択をされたなと私は思うのです。ただ、覆水盆に返らずですから、私が市長に申し上げたいのは、いろいろな意見があったとしても、これはと決めてやられるときには、よくよく関係の皆さんにその筋立てを話して市長みずから理解を求める、そして、それを進めていく、これがなかったら私は進んでいかないと思うのです。特に、こういう障がいをお持ちの方の親族、こういう方々にとっては大変な悩みなのです。それゆえに、恐らく、これらの方々は大変に落胆されたのではないかというふうに私は思っております。  今後、決して早ければいいというものではないですから、時間はかかってもいいですから、検討委員会に頼るということではなくて、やっぱり、市長が執行している行政については、市長が責任を持って部下職員を指揮して、医師の確保も、それから、体制の立て直しもぜひやっていただきたい。このことを市長に強く要請して、市長、頑張って、落胆しないでやってください。私は、このことについて、特に市長がやめさせたことは、ちょっと選択の間違いでなかったかと指摘しながら、しかし、終わったことは仕方がない。したがって、以降は、余り医師職に右往左往することなく、時の総理大臣が屈服したからといって上田市長が屈服することはないですから、ぜひ、これから仕切り直しをしてきちんと体制を立て直していただきたいということを求めて、終わります。 ◆こじまゆみ 委員  私からは、保健福祉に関する総合・横断的な相談窓口の開設についてと、児童心療センターの医師退職問題に係る対応等について、大きく二つ質問させていただきます。  まず、保健福祉に関する総合・横断的な相談窓口の開設に伴って、さまざまな窓口の今の弊害について、私自身、考えてまいりました。そうしますと、窓口における業務を細分化し、それぞれの部署に窓口業務も設け、専門的に処理する方式で業務処理を行っています。このことは、それぞれの窓口で専門性を発揮し、住民に対して適切な相談対応と手続の案内が可能となりますが、一方で、各課担当間の垣根ができるなど、縦割り組織の弊害を生み出してしまいます。  さらに、庁舎の構造上、関係部署の集中配置が望めない場合、市民が行政サービスを求めて庁内を移動しています。いわゆる市民のたらい回しだと私は思っております。また、窓口業務を処理するに当たっては、窓口で受け付ける職員、担当者の接遇態度や基礎知識、処理能力などに左右されます。その結果、窓口に来た市民にとっては不満足であったり、均一な行政サービスを提供できないなど、デメリットを生み出しています。これがいわゆる窓口業務を担う職員の能力の差ではないかと考えます。  また、窓口は、年度末、年度初めの3月、4月は繁忙期になりますし、週明け、週末になれば混雑曜日等がありますけれども、窓口を拡張したり、混雑の平準化を図ったりといったことは余り行われていないように思います。この結果、各種の申請届け出や相談等の件数の集中化により、窓口では市民の待ち時間や処理時間が長くなり、行政サービスの低下を来しています。これは、いわゆる窓口の臨機応変の対応やフレキシビリティーの低さをあらわしていると私は思っております。  これらの状況を踏まえて、窓口サービスの向上と言われ始めて少なくとも5年や10年以上が経過するものと思いますが、自治体窓口では、子どもに関すること、高齢者や障がい者等、業務が各年代であっても内容によって細分化されているため、それぞれの部署に窓口が設置され、縦割り行政の弊害とも言える庁舎内において市民のたらい回しの状況がいまだ散見されております。私も、議員になる前に、引っ越しで住民票を市内で数回異動することがありましたが、そのたびに、住民票、そして子どもの福祉に関することなど何カ所か回らなければならず、仕事をしていたので昼休みを利用して役所に来たものの、きょうは書類だけもらい、書いてまた来ようと出直したこともありました。  今回、新設する保健福祉の相談窓口では、専任の相談担当者と民間委託の案内員により相談に対応し、適切な窓口へスムーズに案内するということです。病院などでは、何年も前から施設内の案内などについてはボランティアの方々が気軽に声かけを行い、患者の窓口までの対応を親切に、速やかに対応している姿を見かけています。  そこで、質問ですけれども、今回、保健福祉の相談窓口の案内員について、ボランティアの方々の活用なども考えられるのではないかと思いますが、どのような理由から民間委託という方法に至ったのか、伺います。 ◎渡辺 総務部長  案内員を民間委託するに至った理由についてお答えしたいと思います。  保健福祉の相談窓口の案内・介助施策といたしまして、各区役所に1名ずつ案内員を常駐させることとしております。この案内員は、庁舎内におけます道先案内を行うばかりではなくて、どこの窓口へ行ったらよいかわからないという方から、来庁の目的を正確かつ丁寧にお聞き取りしまして、その上で適切な窓口、場合によっては複数の窓口につなぐことになっていますが、それを判断して紹介するといったような役割になる点で、病院などで活動されるボランティアの方々とは質的な違いがあると考えております。このため、案内には親切で温かみのある接遇はもとより、相手の方々の意向を素早く把握するコミュニケーション能力、あるいは、当然ですが、保健福祉に関する制度知識が求められると考えております。また、来庁された方を案内、介助する際には、本人の申請書、あるいは、手帳などを直接拝見させていただくこともありますために、個人情報など、業務上知り得た秘密を守る義務を課す必要もございます。また、年間を通じて全区で一律、一定のサービスの提供を求めることになりますし、また、事業効果などを検証するために案内実績の統計資料を作成、提出していただく必要もございます。  これらを考え合わせますと、ボランティアによる対応では極めて困難というふうに考えまして、契約に基づいて民間事業者に業務委託することが適当であると判断したところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  ボランティアにしては、やはり求める成果が大きいのかなと思いました。ただ、民間委託と言っても簡単ではないと思われます。子どもから高齢者の方々では対応の内容や相談の種別の選定も必要で、簡単に確定しがたい案件を抱えることも多いと思います。案内員には、今おっしゃったような接遇能力やホスピタリティーもそうですが、保健福祉制度に関する基礎知識が求められることから、そのような専門知識を有する人材を安定的に確保できる事業者を選定していく必要があると思います。  そこで、委託先としてどのような事業者を想定しているのか、また、案内員が行う業務について、個人情報との関係もありますけれども、業務委託内容についてどの程度を想定しているのか、あわせて伺います。 ◎渡辺 総務部長  まず、1点目の案内員業務の委託先についてであります。  委託先といたしましては、保健福祉分野を初めとする区役所の業務全般を理解し、かつ、的確な市民対応が可能な人材を確保、育成できる事業者から選定する必要がございます。そうした点を考慮した場合には、区役所の電話交換業務の受託者は、日々の業務を通じまして区役所の機構あるいは組織や業務分担に精通しておりますほか、各種多様な対応経験を通じまして、例えば、介護というキーワードであれば、保険料のことなら保険年金課、介護サービスのことであれば保健福祉課というふうにつなぎ分けるようなきめ細やかな応対ノウハウも蓄積しております。その上で、やはり委託先として求められる条件を十分に満たしているのではないかと考えているところでございます。  さらに、本年度、実は東区と白石区におきまして試行的に案内員のみ配置しておりますけれども、その業務を電話交換業務の受託者の中から選定して行わせましたところ、業務の遂行状況といたしましては極めて良好であったという結果がございます。こうした実績も踏まえまして、平成25年度の案内業務につきましては、区役所の電話交換業務の受託者による指名競争入札を行いまして委託先を決定する方向で検討を進めているところでございます。  次に、2点目の案内員の業務内容ということでございます。  案内員が行う業務の一つ目といたしましては、まず、フロアで行き先などに迷う方々に声かけをしていただきまして用件を聞き取るとともに、また、二つ目といたしまして、その用件に応じた適切な窓口を判断して案内、誘導すること、そして、三つ目といたしましては、先ほどの質問の中でもちょっと触れましたけれども、介助です。例えば、申請書の書き方とか、そのようなことを教えてほしいという方々に対しまして、同行の案内とか申請の手続の補助を行うことなどを想定しているところでございます。  また、委託先の業者に対しましては、日々の業務実績について日報と月報を作成し、報告していただくことになると思います。 ◆こじまゆみ 委員  今回、東区、白石区でモデル事業を行っているということです。相談窓口の開設というのは、縦割り行政の各窓口間をスムーズに市民誘導するための初歩の段階であり、今回はワンストップで総合的に相談対応をするわけではありません。市民志向の観点からサービス向上を図っていくのであれば、やはり、総合窓口化に向けて、さらにその先の段階を見据えて取り組んでいくべきであろうと考えます。  市民の利便性向上のため、住民が関連する複数の手続を1カ所の窓口で集中して行うことができるようにする総合窓口化は、複雑化する福祉の仕組みではありますが、人的支援の活用や情報共有、システムの導入等によりシンプルに取り扱われていくことが望ましいと思います。また、どこの窓口に行けばいいかという次のフロー、矢印の数は少なければ少ないほど時間の短縮につながり、シンプルでスムーズに対応、処理できるものと考えます。  そのためには、総合窓口でどのような業務を取り扱うのか、業務のフローをどのように見直すかなど、さまざまな課題はあるものの、今回の総合・横断的な相談窓口の開設がただの交通整理にとどまることがないように、開設後の検証を行いながら、さらなるステップアップが推進されるよう求めたいと思います。  次に、児童心療センターの医師退職問題に係る対応等について質問させていただきます。  この件につきましては、我が会派の代表質問において、この問題の対応に係る責任をとる形でおやめになった渡部副市長の任命責任等について厳しく指摘させていただいたところであり、児童心療センターの医師の確保状況につきましては、市内部の医師の人事異動による対応を含め、少なくとも常勤医師は3名確保できる予定、そして、北海道大学札幌医科大学及び市内民間医療機関などに協力を呼びかけ、数名程度は非常勤医師として確保できる見込みとの答弁があったところであります。  現在、児童心療センターは、この医師退職問題を受けて、現在も新患の受け付けをしていない状況にあります。児童心療センターを初めて受診するような発達障がいの疑いのある子どもの保護者は、ただでさえ我が子の発達に対する不安を抱えながら病院を訪れるものであり、一刻も早い診断と早期の療育を待ち望む方にとっては心理的な不安も増長され、適切な療育の開始が遅くなることなど、新患の受け付け休止は大変大きな影響があるものと考えます。児童心療センターが新患の受け付けを休止してから、数少ない市内の発達障がい児を診ることのできるクリニックは多忙を極め、半年後まで予約を入れることができない状況のクリニックもあると伺っております。このままの状況が長く続くのは、極めて政策的な医療分野である児童精神科医療を担っている児童心療センターがその役割と責任を全く果たしていない状況であると考えます。私といたしましては、一日でも早く、4月からのさらに詳細な診療体制を市民に明らかにし、新患受け付けを再開する必要があると考えております。  そこで、質問ですが、まず、1点目として、児童心療センターの4月以降の診療体制についてどのようになったのか、そして、医師確保の最新状況とあわせて明らかにしていただきたいと思います。  そして、2点目として児童心療センターの新患の受け付け開始はいつごろになる予定なのか、そのめどを伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童心療センターの4月以降の診療体制及び新患受け付け再開のめどはいかがかというご質問でございます。  まず、第1点目の医師の確保及び診療体制の状況でございます。  まず、当然、外来診療及び入院患者の方々の対応を行わなければならないという使命がございますので、このため、医療法に定めます常勤医師3名の確保が緊急課題でございましたので、先ほど市長からも答弁させていただきましたように、緊急避難的な対応といたしまして常勤医師3名を内部異動で確保する、まず、その方針を立てたものでございます。そのほか、外来診療、そして、土・日、平日、夜間の対応、いわゆる宿日直もございますので、当然、3名の医師のみでは病院の維持はできないわけでございます。そういったことから、外来診療、そして夜間、休日の当直医の確保につきましても並行して進めてまいりました。  その結果、外来診療につきましては、過去にお勤めいただいていたドクター、または、今回、意を決して協力したいとお申し出いただいている先生方もございまして、これは非常勤ということになりますが、4名ないし5名の確保ができる見通しとなっております。また、休日、夜間の当直医につきましても、ほぼ確保のめどがついている状況でございます。そういった面では、単に常勤医師3名ということではなくて、入院設備を持つ病棟の維持のための医師の確保につきましては、本当にぎりぎりの線でございますが、何とか確保のめどがついたところでございます。現在、2〜3名の医師による外来診療体制をとっておりますけれども、入院患者の中で転退院の可能な方については、万やむを得ず、進めてきております。その結果、入院患者の診療については、現在と比べますとかなり減ってまいりますが、そういった面では、常時は厳しいけれども、2名の医師による外来の診療体制についてはとることが可能と考えております。  この体制につきましては、ことし1月以降、新規患者の受け付け休止、診療規模の縮小という形で進めておりますが、1月現在と比べますとほぼ同程度の体制は4月以降も維持できるというふうに考えております。そういった面では、フルスペックということにはなりませんが、1月現在と比べた体制の維持は何とかしていきたいと考えております。当然、医師の確保につきましては、引き続き努力していきたいと思っております。  2点目の新規患者の受け付け再開のめどでございます。  これにつきましては、やはり、早くこの診療体制を整えてほしいという内外からの要望については、私も承っております。来年度も引き続き残留していただく医師が1名、そのほかは、4月以降、児童精神科医療の経験のある医師、今回初めて携わる医師、または、経験はあるけれども、専門ではない、そういうさまざまな精神科の先生方が今回着任されます。そういった中で、小児対象の経験が少ない医師も何人か含まれますので、十分な診療を行うためには、まず、経験豊かな医師のサポートが必要でございます。そういったことから、全体としての診療体制をとるためにはある程度の時間がかかるものと考えております。  これらのことを考え合わせまして、新たに着任する医師が十分な診療を行うことができると判断した段階で新規患者の受け入れを再開させていただきたいと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  着任されるドクターに一日も早く心療センターの業務になれていただき、児童精神科部門の充実に寄与されることを願うばかりであります。待っていらっしゃる子どもたちと親御さんたちの心配を払拭できるよう、一日も早く再開できることを願いたいと思います。  私は、やはり、本来なら、渡部前副市長にこれら児童心療センターの今後のあり方についてお答えいただきたかったのですが、市長は、去る1月28日に臨時記者会見を開き、渡部正行副市長が1月末で退任する旨の発表をされました。来年度の重要な予算を審議するための第1回定例議会を前にやめられるということ自体、なぜこの時期にという思いと、途中で投げ出した感が否めず、ご本人から退任に至る経緯等のお話を伺いたかったのは私だけではないと思います。本日は、市長に出席を求めさせていただきましたので、退任に至る経緯や理由、市長の任命責任等について明確な説明を求めたいと思います。  まず、副市長という職は、市長を補佐し、市の行政事務を監督する特別職であり、市長が欠けたときにはその任務を代行する、要するに市長の推し進める政策を実行するといった極めて重要な役割を担っていると思います。市長が議会に提案し、同意可決による人事であり、市長の腹心の部下であった方が就任されるのが通例であると思います。  そこで、渡部前副市長をどのように評価し、副市長に就任されたのか、お伺いいたします。 ◎上田 市長  これは本会議でも答弁させていただきましたが、医務監として採用させていただき、そして、その実績をもとに、医師という立場と、保健・医療業務について行政としての長年の経歴、業績というものを評価させていただいて、札幌市のこれからの保健福祉のあり方を強力に推し進めていただけるということで、議会からも期待を寄せていただき、同意をいただいて就任したところでございます。  そして、副市長に就任されてからは、ご承知のように、地域福祉社会計画等についてしっかりとした方針を出され、あるいは、まちづくりセンターへ保健師を配置するというような、これまでにない政策を実現するために尽力をされたということもございます。これは、方向性として、私の考える札幌市の保健、医療のあり方、あるいは、地域の活力といったものを総合的に高めていくために大変すぐれた政策である、このように考えておりますので、残された業績というものは非常に高く評価しているところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  副市長の評価をいただきました。私の知るところによると、新聞や雑誌等の報道だけですけれども、市長は、先ほどお話がありましたが、市長就任前の弁護士だった時代から30年来の友人でいらっしゃった渡部氏を、4年前の平成21年4月に札幌市保健福祉局の局長職にある医務監に招聘され、上田市政3期目開始直後の平成23年7月に、肝いり人事で副市長に登用されました。当時、人事や財政等の自治行政全般に経験が足りないことを憂慮した市長周辺から難色を示す声もあったようですが、市長の強い思いで押し切ったと伺っております。  このたびの退任は、本人から辞任の申し出があったということですが、その一方で、行政執行の不手際による事実上の更迭と報道されております。任期途中での突然の退任は、副市長という職の重要性、職責の重さを考慮すると、事実上、私どもには更迭と受けとめざるを得ません。この大切な時期に職を辞すること自体、責任放棄としか映りませんが、市長のお考えを伺います。  また、市長の肝いり人事で就任された腹心の部下でいらっしゃった副市長が、任期半ばで行政執行の不手際を理由に退任するということは、札幌市政の上では前代未聞のことであり、極めて異例としか言いようがありませんが、任命権者の市長は、市長としての任命責任をどのようにとるおつもりなのか、伺います。 ◎上田 市長  やめざるを得ないというふうにご本人が判断した経過については、さまざまな考え方があろうかと思います。私は、この問題が、ご本人の行政執行による何かの失策というか、そういうことで起こったことではないというふうに考えております。歴史的な経過の中で、児童心療センターの問題、あるいは、医師職の皆さん方の札幌市における活動についてさまざまな認識を意見交換する中で、渡部さんという個人の問題ではなくて、制度の中での問題だというふうに考えておりまして、誰彼が悪いというようなことではないというふうに私は理解をしているところでございます。そんな意味で、今回、特に児童心療センターの問題が本当に緊急の課題となりまして、その問題を解決する一つの契機になるのであれば、みずから職を辞することによって展開を図れるのであれば、それは、自分の考え方といいますか、生き方にも合致するものだと、こういうお考えを述べられておりまして、そういう意味合いで辞意を表明されたということについて、私もとめるすべがなかったということでございます。  任命責任ということでございますが、これは、政治は結果責任でありますので、混乱が起きたということ、そして、4人の医師が集団的にやめられるということも、基本的には私の部下でありますので、それも含めて混乱を生じたのは、私に責任があるということに対して私は逃げるつもりは全くございません。混乱が起き、市民の皆さん方にご心配いただき、議員の皆さん方にも大変ご心配をいただいていること、そういう事態になったことについては、最高責任者としての私の責任があるということ、これは、私ははっきり申し上げたいと思います。  その責任のとり方については、混乱を早く解消をすることに最大限努力すること、そのことに尽きるというふうに考えますし、部長、局長を初め、ラインでしっかり頑張っておられる皆さん方が先ほど来お答えさせていただいておりますように、本当に本来の児童心療センターにかけられた期待と任務、役割といったものを早く達成するために、医師職を初め、さまざまな条件を満たすべく最大限の努力をするということを表明させていただいているところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  市長は、常日ごろから、市民が主役との政治理念で市政執行に当たられていると思いますが、渡部前副市長が推進してこられた札幌市児童心療センターの医師確保の問題や、昨年、市民の皆様が署名活動を行ってまで存続しようとしていた受診率の高い乳幼児健診について、そのあり方を検討するという名目のもと、水面下で民間委託の可能性を模索し、混乱を来していました。これらの問題等は、市民や職員の意見を全く無視したトップダウンによる行政執行であり、市民意見を第一に考える市長の行政手法とは全く逆行するものだと私は感じます。  市長は、記者会見で、じくじたる思いがある、力が足りず、十分サポートできなかったのは私の責任だとか、副市長が働きやすい状況をつくれなかった、極めて残念で反省しなければならないとコメントされておりましたが、市長は渡部前副市長の仕事の進め方についてどのようにお考えだったのか、どのように評価されていたのか、また、辞任に至るまでの経過の報告を受け、市長としてどのような指示をしてこられたのか、伺わせていただきたいと思います。 ◎上田 市長  渡部前副市長の仕事の仕方につきましては、逐次、報告を受けておりました。議論の経過のどの段階でいろいろな情報が公開されていくかということは、非常に大きな問題でありまして、当初、考えていたスケジュールといいますか、乳幼児健診の問題にしても、たたき台のたたき台のたたき台の段階でいろいろな見解が述べられるようなことから始まりまして、収拾がつかない状況に立ち至ったのではないか、そんなふうに思っております。意図いたしているところは、いかに市民の皆さん方に使い勝手のいい制度にし、そして、子どもたちの情報を共有できるシステムをつくっていくか、そういうことでありました。その一つの方法として、乳幼児健診の外部委託――丸ごと外部委託がいいかどうかについては議論がありますので、それを完璧に推し進めるとか、押しつけるとか、そんなことはできるわけがありません。ですから、議論の中で非常に象徴的な事象を捉えてあらぬ方向に議論が行ったといいますか、意図しない方向に行ってしまったことについては、結果的に残念であったというふうに思います。ただ、市民の皆さん方、利用者の皆さん方の声を無視して何かをやろうという形でやったことではないということは、しっかり申し上げておかなければならないと思います。  それから、丁寧に議論を進めるということについては、ほかの副市長の仕事もそうでありますが、あるいは、局長からご報告を受けたときもそうでありますが、そのことは常に申し上げているところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  市長のほうから丁寧な議論を進めるようにということだったと思います。渡部前副市長が行ってきた行政執行の不手際は、札幌市児童心療センターの医師確保問題で露呈したことになりましたけれども、職員からの現在の体制に対する不満や今後の組織のあり方などに向けた不安に一因があるとすれば、また、今年度予算に上げられている事業についてもトップダウンの指示であったとするならば、よいも悪いも実施するための事業提案がされていますが、トップにいらした指揮監督者がいなくなった今、事業内容等も見直しが必要ではないかと思いますが、いかがお考えなのか。  また、保健福祉関係者にとっては、新規事業など、いいだけかきまぜられて、強引に市政執行に当たるようにときゅうきゅうとした中でその任務に当たっていたように感じます。これまで、渡部前副市長が進めてきた機構改革や人事、副市長が改革のエンジンと言われた幹部職員などについて見直す必要があると考えますがいかがか、市長のお考えを伺います。 ◎上田 市長  ちょっと質問の趣旨がよくわかりませんでしたけれども、トップダウン、ボトムアップと、いろいろ手法はあると思います。しかし、ある確信を持ってその政策を進めるということはとても大事なことであります。私は、これが正しいというふうに思うことは、率直に申し上げてご理解を求めることが大切だというふうに思います。その進め方は、もちろん、信念を持って、確信を持って申し上げることが支持を受けられるような説得力のあるものでなければ、やはり、それはもっといろいろな要素を考えなければならない、反省しなければならない、謙虚でなければならないというのは当然のことであります。そういうことで、トップダウンということは自分の意思が全てという意味合いであれば、それは是正されなければならないだろうと思います。  それから、これまでやってきた機構の問題等々については、それがいけないという話ではなくて、実施をしてみて、そして検証しながら、当然、職員の皆さん方の意見も上がってくると思いますので、それを踏まえて、また、より市民のためになる行政組織になれるように、十分検討を加え、進化させていくように考えております。 ◆こじまゆみ 委員  新設の事業等もあります。ただ、指揮監督をされていた方がいらっしゃらなくなった中で、やはり、局に与えられる負担とか、その効果の評価が非常に重みとなってくるのではないかと危惧しています。それについて新たな副市長が携わるときには、しっかりとフォローアップできるような形で対応していただきたいと思います。  今回の児童心療センターの医師確保問題については、全庁を挙げて医師職総動員で当たるよう、私も厚生委員会で指摘させていただきましたが、現在の状況で3名の医師が決定して、4〜5人の非常勤医師が対応してくれるであろうということでした。しかし、まだ新患の受け入れができるような状況ではなく、行政が担ってきた児童精神分野の子どもたちや保護者の方々のニーズを果たせているとは言えません。前副市長が辞任することで責任をとったかのように見えますが、本来ならば、私は、精神科医であったわけですから、みずから児童心療センターを立て直すべく一人の医師として役割を果たすぐらいの気概があってもよかったのではないかと考えます。みずから辞任したということで、いいだけかきまぜて投げ出してしまうのは余りにも無責任過ぎます。1月末まで在籍のはずでしたが、辞任の報道があって、月曜日には副市長室は既に閉鎖され、前副市長は登庁さえされていません。  それを容認されていた市長は、1月末までの副市長の職務をどのように考えて対外的にも内部的にも取り扱われてきたのか、そして、2人の副市長でこの大切な予算委員会を乗り切れると判断されたのであれば、副市長は、3人でなく、お2人でも十分ではないかと思いますが、市長はどのようなお考えか、伺います。 ◎上田 市長  1月末で退職されるということで、事実上、1月からの仕事については引き継ぎということで対応させていただいたということでございます。事務引き継ぎの仕事はしっかりさせていただいておりまして、対外的な仕事はしていないというふうにご理解いただきたいと思います。  それから、もちろん、条例で副市長の人員は3名まで許されているということがございます。これだけの、193万人の市民生活に対して、本当に限られた1万4,200人ほどの定員の職員が本当に満度に力を尽くすことができるように指揮監督、指導できるためには、副市長職は3名必要だという認識でございます。この議会の最終日にまたご討議いただくための議案を提出させていただきたいと考えておりますので、ぜひご理解賜りたい、こんなふうに思っているところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  市長も、記者会見で任命責任があるとみずから認識されておりました。やはり、このような混乱を引き起こしたことについて一義的な責任があり、市長は市民に対してどのように任命責任をとろうとされるのか、先ほど明確にはされておりましたが、それだけでいいのかどうか、私は非常に疑問です。  このような前代未聞とされる副市長の更迭とも言える辞任劇は、市政執行上、市民に与える影響、そして職員に与える動揺など、市政に対する不信感につながります。私たちも、議会として人事案件を取り扱う立場から、お友達人事から、今度はお気に入り人事になるように受け取れますが、くれぐれも同じ轍を踏まぬよう、真摯に、誠実に職責を全うされるような人材の提案となることを求めるとともに、行政内部の人事に明け暮れるのではなく、児童心療センターについては市民目線に立った行政を進めるべきと指摘し、私の質問を終わります。 ◆植松ひろこ 委員  私からも、障がい児(者)医療・福祉複合施設整備について、そして、児童発達支援センターについてそれぞれお伺いいたします。  初めに、障がい児(者)医療・福祉複合施設についてお伺いいたします。  施設整備計画につきましては、さかのぼりますと、私がまだ議員となる前の2010年第4回定例市議会の我が会派の代表質問におきまして、旧静療院成人部門の跡地施設活用策として、近隣の障がい児・者施設の老朽化対策や児童福祉総合センターの狭隘化への対応について、その活用を検討すべきと指摘し、以降、それに沿った形で検討が進められてきたと認識しております。さらに、この施設整備計画は市長マニュフェスト事業としても位置づけられ、私としましては、この計画は、障がいのある方の支援体制の向上はもとより、札幌市、そして北海道の保健福祉行政全体の底上げを図る施策として捉えていたところでございます。  そのような中で、今回の一連の児童心療センター医師退職問題に関連し、昨年11月には、厚生委員会の中で、現場医師から、施設整備を凍結し、整備計画を見直すべきといった発言や、12月には関係団体から同様の趣旨の要望書が札幌市に提出されたことなど、医師退職問題への対応とあわせまして、施設整備計画の対応につきましても非常に注視をしておりました。また、2012年の第4回定例市議会の我が会派の代表質問の中で、一日でも早く完成させるべきであるが、現場医師との意見の相違があるのであれば、少し立ちどまり、市民にとってよりよい施設となっていくよう、お互いの意見や要望をしっかり整理した上で進めることも必要ではないのかと質問し、時間をかけ、丁寧に説明し、理解を得ながら進めるとの答弁がありました。
     この間、児童心療センターの現場スタッフと本庁職員の意見交換会も開催されたとも聞いておりますし、4月以降も残られる現場の医師の方と保健福祉局長が幾度となく面会し、意見交換や調整を行ったとも聞いております。今回、2013年度予算案に当初の計画どおりの15億9,000万円の整備に係る予算が計上されているのも、こういった現場医師からの一定程度の理解を得た上での計上であるものと理解しており、大変安心しております。  そこで、2点、お伺いいたします。  1点目は、確認の意味も含め、施設整備の今後のスケジュールについてお伺いいたします。  2点目に、複合施設整備計画について、説明会などを通じ、関係団体や施設利用者などからはどのような意見や要望が寄せられているのか、あわせてお伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がい児(者)医療・福祉複合施設の整備に関しまして、2点ご質問をいただきました。  まず、1点目の施設整備の今後のスケジュールでございます。  このスケジュールにつきましては、当初計画からかなり時間をかけて関係団体、また利用者、保護者の方々のご意見をいただきながらそのスケジュールを見直しまして、今また計画を進めております。まず、現在、ひまわり整肢園を移転をさせていくという一つの機能がございますが、このために体育館の解体工事を進めておりまして、今月中には解体工事を完了する予定でございます。また、今月下旬には、現在の管理棟、そして、旧成人部門の病棟部分の改修工事に着手する予定でございます。そして、6月には、体育館、そしてひまわり整肢園の増築部分、第二かしわ学園車庫、これらについては増築または新築となりますが、これらの工事について着手する見込みでございます。  なお、竣工につきましては来年3月を予定しており、供用開始につきましては5月ごろを見込んでいるところでございます。  次に、2点目の関係団体や施設利用者等からのご意見や要望の内容についてでございます。  これまで、関係団体、そして利用者、保護者の方々に対する説明をそれぞれ複数回開催しておりますが、関係団体の方々からは、基本的には、複合施設の計画について賛同をいただいております。おおむね賛同をいただいていると言うのが正しいかと思います。札幌市といたしましては、この複合施設の計画の中で、特に、地域への支援機能、そして相談支援機能、これらを新たに設けたいと考えておりますが、先般、開催いたしました関係団体の説明会におきましても、これらの機能について、さらなる意見交換の場を設けてほしいという要望がございます。  また、発達医療センターと現地にございます児童心療センターの医療機能の統合及びそれに伴う拡充も一つの肝になると思います。これらについては、単にメディカルセンターとしてそれぞれが別々にあるのではなく、やっぱり、一つの医療機能として、特に重症心身障がいのある方を含めた体と心と両面での医療が連携して行えるよう、そういった意味での医療機能をぜひ高めてほしいというようなご意見も頂戴しております。  また、通園施設でございますかしわ学園、ひまわり整肢園、そして、大人の施設であります第二かしわ学園の利用者、または保護者の方々に対しても複数回にわたり説明会を開催しておりまして、レイアウトや各部屋の広さ、そして設備などにつきまして多くの要望をいただいております。これらにつきましては、可能な限りその設計の中に反映させてきたところでございます。これらの施設の利用者への説明会の中では、早期竣工という要望も多く寄せられております。  一方、発達医療センターの利用者説明会につきましては、一昨年8月に開催をしまして、その際、要望の多かったのは、移転のための問題ということになりますが、通院が困難になる方への対応策でありまして、これを検討中でございます。こういったことからまだ2回目の説明会が開催できていない状況でございまして、発達医療センターに対する説明会については、なるべく早期に開催したいと考えております。  複合施設に移転するこれらの各施設につきましては、今後とも、利用者の皆様、そして関係団体の皆様からもご意見、ご要望をお伺いしていくことを考えております。ハード面での限界はございますが、利用者への支援、そして地域への支援、こういったソフト面での充実によりまして、よりよい施設を目指していきたいと考えています。 ◆植松ひろこ 委員  先日、札幌市手をつなぐ育成会などの呼びかけで開催されました障がい児・者の医療を守る緊急集会におきましても、複合施設化による仮称子ども心身医療センターの早期実現が決議されたとも聞いておりますし、先ほどもありましたように、施設利用者からも、もっと意見交換会を開催してほしいとか、いろいろな声があったということでした。今後とも、関係者や関係団体の意見を聞きながら、市の職員、現場の方、それぞれ考えはあると思いますが、利用者の方々を第一に考えた施設整備をして、先ほどお話しされたスケジュールどおり完成したという報告がいただけるようにお願いしたいと思います。私ども会派といたしましても、このように指摘した部分から始まっており、市長を支える会派といたしましても責任を持って注視していきたいと考えておりますので、理事者の方々におかれましても、ぜひともそのような強い意思で取り組んでいただきたいということを求めまして、複合施設の質問は終わります。  続きまして、児童発達支援センターについてお伺いいたします。  札幌市内には、児童発達支援事業所が約170カ所と、政令都市の中でも多くあり、約3,700人の児童がこちらを利用している状況とお伺いしています。私は、児童発達支援事業所が多く指定されていることにつきましては、身近なところで療育が受けられるという観点におきまして、よいことだと感じております。しかし、事業所によっては必ずしも児童一人一人の状態に合った療育支援が提供されていない状況にあるということもお伺いしております。障がいのある児童へ適切な療育を提供するために一番大切なことは、療育指導の質を高めていくことであり、一人一人の障がい特性に応じた重層的な支援体制をつくっていくことが重要になっていくと思っております。  児童発達支援事業所は、障がいのある児童へ支援を行う身近な療育の場であり、児童発達支援センターは、地域の事業所に対し援助や助言を行う、いわゆる地域の中核的な療育支援施設であると位置づけ、まさに、こうした重層的な療育支援を担うことになるため、各事業所からは大きな期待も寄せられていると聞いております。現在、市内では7カ所の児童発達支援センターが指定を受けており、約170カ所の事業所に対し、療育の相談や技術的な指導などを行うことになりますが、個々の児童発達支援事業所の療育の質を高めていくためには、さらに児童発達支援センターの数をふやしていく必要があると考えます。  昨年の第4回定例市議会の代表質問におきまして、新たに児童発達支援センターの指定を受ける事業所に対しては、札幌市児童福祉法施行条例で定める人員や設備の基準に加えまして、昨年10月に札幌市が定めた基本方針に基づき、地域の中核的な療育支援施設として必要な機能を果たすことを求めていきたいとの答弁をいただいたところであります。  そこで、その後、札幌市が定めた基本方針をどのように周知したのか、あわせまして、新規の指定申請や相談状況についてお伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  基本方針の周知と新規指定申請の状況でございます。  まず、この基本方針を定めた経過といたしまして、児童福祉法の改正の理念を札幌市内においてどのように展開していくかという際には、実際に支援に従事される関係者として旧児童デイサービスの関係者及び相談支援事業所を含めた関係者の方々にご意見をいただき、そういったものを踏まえて作成させていただきました。これを、昨年11月になりますが、既に指定を受けております7カ所――これは公立が4カ所、民間が3カ所となります。これらの児童発達支援センターに対して、今後、札幌市が定めた基本方針に基づいて事業展開を実施していただくように通知させていただいております。また、市内の児童発達支援事業所が所属します関係団体、札幌地区児童発達支援連絡協議会という名称の任意団体ですが、その協議会を対象として、基本方針に基づく児童発達支援センターのあり方などについて情報提供を行っております。さらに、市民一般に対しても、札幌市のホームページに掲載するなどして周知を行ってきております。  次に、新規の指定申請についてでございますが、現在、1件の申請を受け付けておりまして、本年4月に新たにセンター1カ所を指定できるかと考えております。  また、その他相談の状況でございますが、この基本方針を策定いたしました昨年10月以降、例えば、センターに求められる役割とか、行政とのかかわりはどういったものか、そして、札幌市内の事業所の状況がどんな状況になっているのかなど、指定申請を前提とした問い合わせを数件いただいております。今後とも、設置の問い合わせにつきましては丁寧な対応に心がけまして、上質なセンターの設置を促していきたいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  既に指定されている7カ所に対してきめ細かく周知をしたこと、また、指定申請につきましては、まだ1件でありますが、4月に指定ができそうだということでした。指定申請がまだ1件と少ないことに関しては気になるところでありますが、地域の中核を担う療育支援施設として機能するためには、事業所が理解して申請していくことはやはり大事であります。そして、新規に申請を検討している事業所が数件あるとのことでしたが、少々ハードルが高くなることになるのかもしれませんけれども、しっかりと慎重に審査していただくとともに、今後、指定申請がふえていくことを期待しております。  札幌市が策定した児童発達支援センターの基本方針ですが、一つは、身体障がいや知的障がいなどの障がい種別にかかわらず、障がい特性に応じた一貫した支援を提供すること、また、地域から必要とされる相談支援の拠点として、保健センターや相談支援事業所などの関係機関と連携し、障がい児一人一人に応じた相談支援を実施すること、療育や医療、福祉などのさまざまな情報を地域に発信すること、さらには、児童発達支援事業所や関係機関とのネットワークを構築し、専門研修や勉強会を実施することなど各事業所の支援技術の向上や事業者間の情報交換に取り組むこととされております。  このように、児童発達支援センターにはより高度な総合的支援が求められていることから、児童発達支援事業所や関係機関ではその取り組みについて大変期待しているものと考えます。特に、札幌市は児童発達支援事業所が全国で最も多いという状況にありますので、これまではそれぞれの事業所が個々に療育の質の向上に向け努力を積み重ねてきたわけではありますが、今後は、児童発達支援センターを中心としたネットワークをつくり、センターが持つ専門的支援のノウハウが多くの事業所に提供され、かつ、事業者同士のかかわりが多くなり、情報交換や連携が円滑に進み、札幌市全体としての療育の質の向上が図られる支援体制になっていくものと考えております。こうした支援体制の構築は大変理想的ではございますが、札幌市としましても初めての試みでありますので、実現に向けて着実な歩みを続けていくことが求められると思います。  そこで、児童発達支援センターは、支援体制の構築に向け、具体的にどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童発達支援センターによる支援体制構築に向けた取り組みについてでございます。  まず、昨年12月に、札幌市自立支援協議会――これは、実際に障がいのある方々への支援に携わっておられる関係者で構成する会でございます。この協議会と札幌市との合同で、先ほど申し上げた指定7施設の職員を対象に、児童福祉法の改正に携わった当時の厚生労働省の担当官をお招きいたしまして、法改正に伴う事業内容、理念などについて研修会を既に開催させていただいております。また、この2月からは、児童発達支援事業所とのネットワークの構築を受けまして、センター同士の連絡調整機能を持つ会議を毎月開催しまして、それぞれの現状と課題について情報交換を行っております。また、新年度に向けた事業所向けの勉強会であるとか、今後、具体的な取り組みについてさらに協議を行っていく予定でございます。また、先日、先ほど申し上げた市内の事業所で組織する札幌地区児童発達支援連絡協議会におきまして、センターの役割や機能について周知いたしまして、あわせて、新年度からセンターが実施する勉強会への参画につきましてPRを行ったところでございます。  新年度につきましては、これらの取り組みに加えまして、療育の相談や技術的な指導を充実させるため、センターの職員を対象として研修会を継続して開催したいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  児童発達支援センターが支援体制の構築に向け、さまざまな取り組みに着手しており、事業者とのネットワークを構築するため、既に児童発達支援センター間の連絡調整会議が開催され、事業所を対象とした勉強会に向けた取り組みも進められているとのことでありました。  しかしながら、児童発達支援センターはスタートしたばかりであり、人的体制や専門的スキルが必ずしも十分ではない状況にあると推測されることから、児童発達支援センターの力だけでは効果的な事業展開を進めることは難しいのではないのかと考えるところです。やはり、私は、これからの事業を円滑に実施するためには、札幌市が調整役や推進役を担い、地域の児童発達支援事業所と児童発達支援センターとの関係構築を図ることが重要であり、それがなければ札幌市で定めた基本方針の実現は難しいのではないかと考えております。  そこで、札幌市は、児童発達支援センターに対し、具体的にどのような支援を行っていくお考えなのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童発達支援センターにつきましては、植松委員がご指摘のとおり、このセンター自体がスタートして間もない状況でございまして、実態としては、やはり、人的な体制、そして専門的な技術などが整っている状況ではございません。これに加えまして、地域の児童発達支援事業所の実態や課題など、情報の把握なども決して十分ではない状況にございます。こういったことから、今後とも積極的な支援が必要になっていくだろうと考えております。  札幌市の具体的な支援といたしましては、センターが開催する連絡調整会議や勉強会に私も職員も参加しまして、新たに指定する予定の事業所の情報なども提供していきたいと考えております。また、特に、保健センター、児童相談所、保育園などの関係機関との連携も非常に重要になってまいります。こういった関係機関との連携を円滑に行うためのパイプ役として、仮称でございますが、療育関係者会議を開催する予定でございます。さらに、療育支援にかかわる国の動向であるとか、他都市の取り組み、先駆的な取り組み等について情報を収集し、それを提供していくこと。そして、地域に多数所在するこれらの事業所の中核的な療育施設としての役割をしっかりと果たせるよう支援していきたいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  児童発達支援センターに対してしっかりと支援していくお考えであることがわかりました。この支援をぜひとも継続していただき、ますます児童発達支援センターの機能が充実していくことを期待し、これからも注視していきたいと考えております。  札幌市における療育を充実したものとするためには、方針にもございましたが、保育園や幼稚園、学校、医療機関、公的機関に至るまで、児童発達支援センターが中心となり、連携していく必要があります。障がいのある児童が入学、進学、卒業などにより支援が途切れることのないよう、乳幼児期、就学前、学齢期、青年期を通じて一貫的な支援が受けられますよう、札幌市のより積極的な支援をお願いいたします。事業所の多さという量的な部分に加えて、これまで伺ってきた児童発達支援センターを中心とした支援体制をしっかり構築することにより、質的な水準の高さにおいても他都市から注目されるような療育環境となっていきますことを期待しまして、私の質問を終わります。 ◆谷沢俊一 委員  私からも、児童心療センターに関連してお伺いいたします。  昨年11月に厚生委員会がございまして、私からも、自閉症の方を初めとする発達障がい支援に関して、学識経験者や民間医療機関等の医師などを加えた検討委員会を立ち上げるという答弁とその中身について若干質問いたしました。当時の資料ですと、これは昨年の11月13日の対応方針の中に出ておりますが、今年度中に加齢児の問題や民間医療資源との役割分担等を踏まえた児童心療センターのあり方を検討する場を設けると、答弁にもございました。過日の新聞によりますと、関係団体が児童心療センターのぞみ学園の存続を求めて決議をしたと、26日の集会の模様が報道されております。  そこで、報道の中に、札幌市は本年度中に専門家との検討会議を設置し、病棟の存廃も含め、ゼロベースで協議する姿勢を示しているということがございまして、これはちょっとただごとではないなというふうに思いました。今、検討委員会を立ち上げるということですから、具体的な人選といいますか、どういう構成にされようとしているのか、また、どういう方向に向かって固まりつつあるのか、大変気になるわけです。私としては、児童心療センターの病棟、それから、自閉症児の病棟も、当然、存続を前提として議論をしていただきたいと考えるわけですが、まず、このあり方検討委員会の現段階での考え方についてお伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、児童心療センターにつきましては、本当に歴史のある、また、全国にも非常に数の少ない非常に貴重な施設と考えております。そういった面では、これまで果たしてきた役割は非常に大きなものがあるというふうに考えておりますし、昨年4月に病院局から保健福祉局にこの機能移管を受けた際も、当然、この存続はもちろん、今後の発展を見据えて移管を受けたところでございます。  しかしながら、今回の医師退職という本当に大きな事態に直面いたしますと、現在の児童心療センターの運営体制について、退職を予定している医師、また関係機関からも実はさまざまな問題点を提起されております。この中の一つは、やはり、児童精神科の医師が非常に少ない、児童精神科医療を目指していきたいけれども、専門の医師として定着しないという話もあります。一方では、市内にクリニックとして開業されている先生方がかなりいらっしゃいます。医療機能としては非常に機能を求められておりますけれども、そこに患者が集中して、そのドクター自体も疲弊をしているという問題、さらには、大人の自閉症の医療をどこで担うのか、そういった問題について、今回、我々としては改めて直面したということであります。  そういった面では、あり方検討ということにつきましては、単に児童心療センターをどうするか、こうするかということだけではなくて、児童精神科医療を含む札幌市内の精神科医療全般にかかわる問題になります。そういったことから、札幌市としましては、精神保健福祉法に基づきまして附属機関であります精神保健福祉審議会を設置しておりますので、この審議会に諮問をさせていただきたいと考えております。今年度につきましては、今月12日にこの審議会を開催する予定でございまして、その席で市長が、直接、諮問させていただく予定でございます。  このあり方検討を進めていく際に、札幌医科大学の神経精神科の教授である審議会の会長にも、このあり方検討をどのように進めていったらいいかという進め方についてご相談させていただきました。結果としては、審議会の中に検討部会を設けるべきだろう、また、検討部会の構成としては、最終的には会長の指名となりますが、北大教授などの精神医学の学識経験者、そのほか、実際に児童精神科医療に携わっておられる現場の医師、そして、特別支援教育、臨床心理などの専門家、また、発達障がい関係の団体の方々については、単に保護者ということではなく、札幌市内には福祉関係に非常に精通している方々も多くいらっしゃいますので、そういった方々にご参加いただいて構成するのがよろしかろう、人数的には、実質的な議論をするためには10名程度であろう、このようなご意見をいただいておりまして、正式には3月12日の審議会の席上で決定することになります。  また、検討の方向性につきましては、先ほど申し上げましたように、単に児童心療センターをどうするかという問題だけではないというふうに考えておりますので、そういった面では、審議会に諮問する事項といたしまして札幌市の児童精神科医療のあり方という形にしたいと考えております。具体的な内容といたしましては、北大など関係機関からも児童心療センターの入院機能のあり方について問題提起がされております。そして、児童精神科医の育成の場所をどうしていくかといった問題も実は提起されています。これらを考え合わせてまいりますと、民間の医療機関等も含めた札幌市全体の児童精神科医療のあるべき姿はどのようなものか、そして、あるべき姿を目指すため、札幌市あるいは児童心療センターがどういった役割を果たすべきなのか、そして、これらを踏まえた上で、現実問題として児童心療センターの病棟の維持の可否といったことも含めた安定的な運営形態をどう考えるか、これらが議論されるものと考えております。  そういった面では、先ほど、市長から、児童心療センターは存続を前提として拡充していきたいというふうに答弁をいただきましたが、私も担当者として同じ気持ちでございます。しかし一方では、医療機能の中で入院設備を持つことについては、やはり、医師の確保が非常に大きな課題でございます。やはり、そういった現実も見据えた形での議論というのは必要であろうと思いますし、この部会の中でもそういった視点からの議論がされるだろうというふうに考えております。 ◆谷沢俊一 委員  検討委員会については、児童福祉審議会に検討委員会を設けて、基本的には、お医者さんが6名、学識経験者と民間の方で十数名ということですが、一つは、将来の札幌の児童精神科医療の全般的な方向性について検討しますということでした。  しかし、もう一つ、今回のテーマは、今の児童心療センター、さらには発達医療センターがくっついてくるという中で、そのセンターの運営のありようですが、今、お医者さんがやめられたという状況があるわけです。今、札幌市の心療センターをどう運営するかを見きわめて、そして将来的につなげていくというような答弁だったと思いますが、そういう意味では、今回、さまざまな問題が起きた一つの要因として、そこに勤務されているお医者さんが、そのありようについてさまざまな疑問を持ったり、あるいは不満を持ったりということでこういう事態に至っているわけです。ですから、僕は、本当はそういう方がメンバーの中に1人や2人は入ったほうがいいような気がするのです。現実に札幌市の将来を見きわめていくとなると、まさに当事者を委員の中に1人でも2人でも加えた方が、短期的な目で見るとむしろ実質的な論議が進んでいくのではないかという気もするのですが、この点についてどう思うか、答弁をお願いします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、委員構成について、関係団体という形でくくってはご説明させていただきましたが、この中には、当然、今回、診療対象となっております自閉症を含めた発達障がいの関係団体の方も加わっていただけるものと考えております。そして、児童心療センター、旧静療院児童部から長い歴史を持っているこの施設から巣立った専門スタッフの方々、これは、医師だけではなくて心理士も含めておりますので、そういった方も部会に加わっていただけるものというふうに考えております。 ◆谷沢俊一 委員  関係者が入るというのはわかるのですが、今の予定では、児童心療センターのお医者さんは検討委員の中に入らないのですね。 ◎天田 障がい保健福祉部長  今回設けるのはいわゆる附属機関の部会になりますので、札幌市の附属機関の委員の構成については、基本的には当事者たる職員は入らないと考えます。ただし、当然、事務局として関係職員は同席することになります。 ◆谷沢俊一 委員  要するに、当事者のお医者さんもそうですし、さまざまな技術職の方、専門の方がたくさんいらっしゃいますから、こういう方の意見が検討委員会に十分反映されることが大事なのかなと強く思います。ですから、これについては、12日に1回目の検討委員会を立ち上げるということで、当然、検討委員の皆さんには本市の基本的な考え方を示していく機会もあるでしょうから、ぜひ、現場の意見が検討委員に十分に伝わるようにしっかりとお願いしたいと思います。  もう1点、今回の児童心療センターのあり方検討ということで、この施設には、主に児童心療センターと、先ほど医療部門の統合の話も出ておりましたが、発達医療センター、かしわ学園、ひまわり学園と、そして、外からまあちと第二かしわ学園が入ってくるという形です。まあちについては、いわゆる知的障がい者の更生相談所ということで者のほうですね。児相が児のほうをやっていますから。そういう意味では、まあちがこの心療センターのところにくっついてくるというのは、児童というくくりで言えばちょっと違和感があります。児相の空間をしっかり確保したいということなのかもわかりません。これは余り深く言いませんが、むしろ、第二かしわは生活介護型の通所施設になっていまして、相当古くなったので今回移築するということですね。  基本的には、現状がそのまま移ると考えてよろしいのですか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  第二かしわ学園につきましては、当初計画では成人部門のスペースの一部に入居というふうに検討いたしましたが、その後、関係者の方々のご意見も頂戴しまして、敷地内に別棟で建てる形に変えてございます。この道路の向かい側に、現在、第二かしわ学園の園舎がございますが、これは、公設民営施設、いわゆる指定管理者制度で直営ではございませんので、今は他の社会福祉法人が運営しております。移転後につきましては、基本的には現在の機能については維持をしていただくということでございます。 ◆谷沢俊一 委員  第二かしわについては、先ほど、関係者といろいろな懇談会をやって、第二かしわばかりではないですが、さまざまな要望や意見を聞いたという話です。  ここで、例えば第二かしわで、医療機関も従来から近いと言えば近いのですが、今こうした施設に要望されるいわゆるレスパイト、介護している人も1日、2日の休憩をとるとか、あるいはショートスティとか、ぐあいが悪いとなったら1日ぐらいは泊まってもいいではないでしょうかとか、あるいは、相談事業を拡充してほしいとか、そういう要望は出なかったでしょうか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  関係団体の方々からのご意見といたしまして、今、委員がご指摘のレスパイトであるとか相談機能を充実してほしいという要望はございます。  これについては私も検討しておりますが、基本的に、相談機能としては、いわゆる相談支援事業所として指定を受けるというより、専門スタッフがその専門性によって、利用者の方だけではなく、他の市民の方からのお問い合わせがあった場合についてもいろいろな相談に対応していただくということで、これは、基本的に従前から変わることはありません。  問題は、レスパイト、介護疲れを緩和するための場の設定ということになります。第二かしわ学園については、通所施設ですので、従前から宿泊型のショートスティは機能的にもできないことになっております。これができるのは入所施設になりますので、入所施設がふえない中でレスパイトの場をどう確保するかということが、実は私どもとしても今後の大きな課題だと思っています。それを実施しようとするならば、ここに通所しておられる方々だけではなくて、一時的利用としての日中一時支援事業というメニューが地域生活支援事業の中にありますので、この日中一時支援事業で日中の預かりという形をできないかどうかといったことについても同時並行的に検討しております。 ◆谷沢俊一 委員  今回、あり方検討委員会において、心療センターと発達医療のありようについて、また、将来の札幌市の児童精神科医療のありようについて検討するということですから、今おっしゃったように、こういう複合化のメリットを――必ずしもここで宿泊できなくても、近くに入所できるところがあるとすれば、法的な縛りはあるかもしれませんが、トータル的にそういうニーズに応え得るような対応も考えられるのではないかと思います。そういう意味で、どちらかというと成人系になりますが、第二かしわについて、あるいは、まあちはこのまま来るにしても、そのあり方についてはトータルな検討をしっかりした上で、相互にそのよさが出て本当に複合化してよかったと言えるような取り組みをしっかりお願いしたいということを要望して、終わります。 ◆小形香織 委員  児童心療センターについて質問したいと思います。  これまで、心療センターの医師が一度に大量に退職するという事態を受けまして、理念のないまま、空き部屋対策をしてきたのではないのか、あるいは、現場と事務方との意見のそごがあったのではないか、そのままで複合施設化を進めるべきではないというようなことを私どもは申し述べてまいりました。今後、どういう児童心療センターになるべきかということで、今後のあり方は精神保健福祉審議会に諮問していくということでございました。  私は、やはり児童心療センターが市民の願いに応えるセンターになるべきだというふうに思いますので、まず、伺いたいのですが、過日の代表質問で、児童心療センターが果たす今後の役割の認識について私どもは質問をいたしました。果たしてきた役割は大きいと、今のやりとりの中でもそのようなご答弁がありましたが、大きな役割を果たしてきたとおっしゃっているその具体的な中身について明らかにしてください。 ◎天田 障がい保健福祉部長  児童心療センターが果たしてきた役割はいかなるものかというご質問でございます。  児童心療センターにつきましては、旧静療院児童部時代から、いわゆる自閉症の非常に強い行動障がいを伴っているお子さん方の療育の場がなかったという時代的な背景の中から、昭和48年に全道で初めて専用の病床を持つ機能として開設されてきております。その後、医療だけではなくて、福祉的な側面からも含めた両面、そして、お子さんの場合は教育といった面でも一元的な支援を行う場として、昭和57年4月にのぞみ学園が設置されてきた、こういう歴史的な経過がございます。特に、現在、児童心療センターにおいて実際に患者に対応している状況を申し上げますと、外来患者全体の95%が自閉症を中心とした発達障がいのあるお子さん、中には、不登校を含む不安障がいや強迫性障がいといった心因性の障がいをお持ちの方も多くいらっしゃいます。そういった面では、こういった分野について、外来だけではなく、入院設備を含めた機能を持つ非常に貴重な医療資源であると考えております。  そして、児童精神科医療の特徴といたしましては、やっぱり、治療の考え方の中に、心の発達によって子どもがつまずきを乗り越えて成長していく、それを支援していくことも含められると解釈をされておりまして、児童心療センターにおきましてもこのような考え方に基づいて治療が行われてきております。とりわけ、患者ご本人に対しては、教育や保育、集団活動などによって健康な育ちを保障しつつ、治療を進めながら、ご家族や関係機関に対しても総合的な支援を行ってきております。そういった観点から、身体管理を含めた手厚い医療が必要な場合であるとか、激しい行動などの症状に直面し、ご本人、そしてご家族の方が行き詰まった場合などについて、薬物療法、入院治療などを行っております。  この児童心療センターにつきましては、先ほど申し上げましたように道内唯一の児童専用の入院病床を持っております。また、このセンターの敷地内には小・中学校の分校を設置し、いわゆる教育の保障も同時にあわせて行っております。そういった面では、医療だけではなくて、教育もあわせて行う。そして、福祉施設に入所している方であるとか、クリニックに通院している方々の中で入院治療が必要と判断された方については、医療、福祉、教育の各分野の資源を一元的に提供している、児童心療センターについてはそういった形で運営してきたと考えております。 ◆小形香織 委員  今、部長がおっしゃったことは、まさに公立の病院だからこそできることなのだというふうに思うのですね。家族へ総合的な支援をしていく、あるいは、子どもの心の発達によって、つまずきを乗り越えて、そして回復していく。それは、1日、2日で治っていくものではなくて、長い時間をかけて乗り越えていくものなのだと思うのです。ですから、緊急時の対応をするところから、家庭生活、社会生活へと戻っていけるようになるまでは長い時間がかかりますから、これはやはり民間の病院ではできないことだと思うのです。時間がかかるし、そんなに薬をどんどん出すというものではなくて、むしろ、心に寄り添った形で治療していくということですから、これは、公立病院だからこそできることなのだというふうに私は思います。  前段のやりとりの中で、今回の審議会への諮問に当たって、市長は、児童心療センターの存続を前提としているのだと答えておられました。しかし一方で、先ほど、入院機能のあり方について、病棟の可否についてご審議いただく審議会になるのだということもおっしゃっておりました。今後の児童心療センターとあり方として、現状の入院機能を維持するということなのかどうかで言うと、私は、今のお答えだと入院できる機能をなくす、あるいは縮小させることも含めて審議会に諮問されるのではないかと非常に危惧しておりますが、その点はいかがなのか、伺いたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  審議会の議論につきましては、基本的には審議会に委ねることになっていくと思います。その中で、必要なデータ等については札幌市からも積極的に提供し、効果的なご議論をぜひお願いしたいと考えております。  その中で、入院機能をどうするかという問題については、やはり避けて通れない問題だろうと思います。これは、べき論ということではなく、問題点として、医療機能を支える医師の確保がどういった形でできるのかということにかかってまいります。これがまさに大きな課題であろうと思います。そういった面では、この機能は必要ないということでは決してないと思っていますが、一方では、その機能を支えるための医師の確保、また、児童精神科医を育成する場をどういった形で設けたらいいのかなども含めた、市全体の精神科医療の問題になるのだろうと思います。  そういった中で、先ほど市長が申し上げたように、存続を前提として拡充をしていきたいという気持ちは、当然、私もやまやまですが、あわせて、現実も直視した上で審議会でのご議論をしていただく必要があるのだろうと思います。そういった面では、先ほど申し上げたのは、これを議論していただくというよりは、さまざまなご意見をいただいた中で論点としてこういうことが想定されるだろうという立場で申し上げております。いずれにしましても、審議会では委員による自由な議論が行われ、その上で一定の方向性が導き出されるものというふうに考えております。 ◆小形香織 委員  審議会でどういう議論がされるのかというのは、もちろん自由に議論していただいていいと思うのですが、札幌市として、入院機能を決して手放さないという構えがなければならないのではないかなと私は思っています。2月26日に障がい児・者の医療を守る緊急集会が開かれまして、私もそれに参加をして参りましたけれども、こんな意見が出ました。自閉症の子どもを持つ親御さんです。うちの子どもは、小学校で病気を理解されず、体罰やいじめに遭っていた、そして、そのことでパニックを起こして拒食症になって静療院でお世話になった、自閉症児が入院できる施設、のぞみ学園に受け入れてもらって救われた、親も立ち直れたのだ、今まで子どもとここまで来られたのは静療院があったからなのです、こういうふうに言っておられました。やっぱり、入院機能があって子どもも親もゆっくりと立ち直っていく。外来だけの心療センターではこのプロセスをケアすることができないわけですから、私は、札幌市の構えとして入院機能は手放してはならない、このことを強く求めておきたいと思います。  次に、さまざまな課題が提起されているとおっしゃっておられましたので、質問していきたいと思いますが、先ほどのやりとりの中でも、医者の確保が難しいということで、医師の確保について一つ大きな課題があるということがわかりました。  それから、私はもう一つ伺いたいのは、児童心療センターは本来18歳までの子どもを診るところですが、今の静療院あるいは児童心療センターに来ておられる患者は、実際には外来患者の3割、入院患者の7割は成人の方であるという資料をいただいております。札幌と同じように、障がいのある子どもたちをケアする入院機能を持つ自治体は、札幌を入れて全国に四つあるとおっしゃっておりまして、東京都と大阪府と三重県と北海道札幌市であります。この四つの自治体の中で、東京、大阪、三重は、年齢が加わってしまった子ども、加齢児と言われていますが、その問題は起きていないというふうに聞いているのです。自閉症を持つ子どもが大きくなっていったときに入れる病院とか施設というのが、札幌の場合はほかの三つの都市と比べてかなり不足しているということなのではないかと私は思っています。  東京、大阪、三重では解決してきているのに、札幌ではこれが解決できていない。この原因は何だとお考えになっておられるか、伺いたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、1点目の医師の確保の方法についてでございますけれども、これまで大学に派遣をお願いした時期もございましたが、最近では、センターに在籍しておられる医師の個人的なつながりによって対応してきたのが実態でございます。研修を目的とした医師の受け入れ等については、基本的には従来の静療院児童部時代からも行ってきておりませんが、その中で、最近では平成21年に1名のみ受け入れた状況でございます。そういった面では、児童精神科の領域でありながら、児童精神科を育てる場になっていたのかということについて、大学の関係者からもご意見をいただいておりますし、育成する場としてどういった形をとっていけばいいのかといったご意見も実はいただいていて、それを含めた議論になっていくのかなというふうに思っています。  のぞみ学園の加齢児問題ということになりますが、これにつきましては、委員が今ご指摘のとおり、他の3施設については18歳以上のいわゆる成人の方はこの施設に入所しておられません。これは、児童福祉法の規定上、18歳に達するまでが法の適用であって、さらに、万やむを得ず、期間を延長して入所することができるという規定がございましたが、これについては昨年4月に廃止されております。その問題が直面したのが実はこの児童心療センターということになります。  では、他の3施設及び市内ではどうなっているかということになりますが、市内でも、成人のこういった類例の症状を呈する方が入院しておられる医療機関はございます。そして、全国でも一般の精神科病院に入院しておられる例があるだろうと思いますし、学識経験者の調査によりますと、やはり、そういった方々の入院期間が極めて長くなっているという傾向もあるというふうに聞いています。そのほかでは、福祉施設への移行です。これについては、あくまでも医療的な側面から入院の必要がない状況の方となってまいりますが、福祉施設への移行が考えられますから、そういった面では、他の3施設については、18歳に達する時点で、基本的に成人の施設、または一般の精神科病院に移っていることが想定されます。  この児童心療センターにおきましても、過去には、この施設で支援の可能になった方については、当然のごとく、福祉施設の利用につなげてきております。一方では、福祉施設での支援が困難な重症の患者もいらっしゃいます。その方々が、結果として18歳を超えて残ってしまう、それが加齢児問題ということになるのだろうと思います。この対応策として、札幌市としましても、市内または市外の知的障がい者の施設への移行促進も進めてございますし、平成17年に、東区雁来に、俗称ゆい、これは自閉症者専門の知的障がい者の入所型施設、そして、隣に発達障がい者支援センターと、相談機能を持つそうした施設を整備いたしまして、そちらに移っていただいた方も多くございます。ただ、現在、この施設も満員でございまして、ゆいでのさらなる受け入れが非常に難しい状況になっています。  また、福祉施設に入所後、症状が悪化した場合については、やっぱり入院が必要となります。入院治療が必要な場合で、一般の精神科の病院ではなく、入所前に入院していた児童心療センターを希望する方もいらっしゃいます。そういった場合はセンターとしてはやむを得ず受け入れてきた、それで結果として入院が長期化した場合もあるだろうと考えております。そういった面では、入院が長期化した場合の受け皿を他の医療機関に求めることができるだろうかというところが、同じ医療機関としての悩みを実際に内在させたということになるのだろうと思います。これらのさまざまな理由によって、児童心療センターの外来、そして入院患者の中で18歳以上の方々が多く占めているということなのだろうと思います。  そういった面で、これは正しい分析であるかどうか、他の医療機関の受け入れ状況はどうなっているかについても、あわせて基礎的なデータとして収集作業を進めております。これらがまとまった段階で審議会に情報として提供させていただきたいと考えております。 ◆小形香織 委員  入所する先、入院する先がなかなか見つからないとか、あるいは、重症な患者の場合はやはり心療センターで診ていく必要があるのではないかなどなど、非常に難しい課題があるのだということで、今の児童心療センターが抱えている課題の一端が答弁の中で述べられたのかなと思います。こうした課題も含めて、今のご答弁の中で調査というようなこともおっしゃっておられましたが、今後、審議会で議論していただく際の調査資料はどのようなものを用意されているのか、準備をされているのか、詳しく教えていただきたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  あり方検討を行う上で、当然、基礎的な資料、客観的なデータが必要になってまいります。これを収集するために、今年度、現況調査業務につきまして札幌市立大学看護学部の監修をいただきまして、民間のシンクタンク会社に委託し、現在、実施しております。この業務の中では、全国の類例の児童精神科の医療機関で構成する協議会がございますが、この会員団体である32医療機関全てに対して、医師を初めとしたスタッフの状況とか、患者はどういう状況にあるか、そして、他の医療機関との連携をどのように進めているのかなどについてアンケート調査を実施しております。また、アンケート調査だけではなく、今年度中に実地に施設にお伺いしまして、現状、そして抱えている課題などについて把握するための調査も実施したいと考えておりまして、その際には、私ども職員も同行させていただきたいと考えております。  そして、札幌市内には精神科病院が38ございます。これは、人口規模に比しますと非常に多いという特徴がございます。また、38の病院のほかに、精神科診療所、クリニックも相当数ございます。このクリニックは、必ずしも組織化されておらず、これらのクリニックで構成する協会にお願いいたしまして、そのうちから45の医療機関、そして、そのほか関係施設など13団体にお願いいたしまして、児童の診療の状況であるとか、児童心療センターにどういったことを求めるのかなどについてアンケート調査を実施しております。  これらのアンケート調査と並行いたしまして、児童心療センターの客観的な現状分析が必要だろうと考えておりますので、そういったことも行っておりますし、全国の同種の病院と児童心療センターの相違点、先ほど小形委員からご質問のありました加齢児問題をどう解決しているのかということも多分含まれるだろうと思います。そういったことであるとか、市内の児童精神科の医療資源の状況はどうか、そして、市内の他の医療機関や団体がどういったことを求めているのか、そういった役割、そして、他の医療機関が期待する役割などについて調査結果として今年度中にまとめたいと考えております。これらの調査につきましては、まとまり次第、基礎的な情報として審議会に提供させていただきたいと考えております。 ◆小形香織 委員  アンケートも含めて調査し、基礎的なデータにして審議していただくのだということで、ぜひともしっかりと丁寧にやっていただきたいと思っています。  厚生労働省の中には、子どもの心の診療拠点病院の整備に関する有識者会議というのが開かれておりまして、全国での子どもの心の診療に関する研究がされて、議論がされていますね。その中では、さまざまなことが教訓として出されていますが、例えば、早期発見の重要性ということで、障がいがあることに気づかずに学校でいじめられて重症化してしまうケース、もし早く発見できていれば、もう少し早く対応ができただろうというようなことなども出されておりましたし、乳幼児健診とどういうふうにつながっていくのかということもとても大事だということがポイントとしてその議論の中では出されていました。それから、医師が足りないことも、これは全国的な傾向として明らかなことで、自治体病院で児童精神科の医者がいるところが大体標準で5人ぐらいだと。規模はさまざまでしょうが、お医者さんは標準5人ぐらいで、全国で臨床で児童精神科専門でやっているお医者さんは70人ぐらいなのかなというようなこともこの議論の中では出ておりました。そんな中で、どういう工夫がされているかといいますと、やはり、拠点病院がしっかり地域のところに出向いていって研究して、そして、保育士だとか、あるいは、教員だとかと研修したり、そういうことでお医者さんとしての経験も培ってもらう、こういうことがとても大事なのだということなども議論されております。  加齢児の問題だとか、医師の不足の問題などは、やはり、一つ一つ実践をしながら積み重ねて解決していくということと、そして、その中心的な役割はやはり札幌市が果たすべきだというふうに考えておりますので、ぜひしっかりした議論をしていただきたいということを求めまして、質問を終わりにさせていただきます。 ◆伊藤牧子 委員  私からは、障がい者相談支援事業の拡充と地域ぬくもりサポート事業について、2点お伺いいたします。  初めに、障がい者相談支援事業について伺います。  昨年の1月、白石区で知的障がいを持つ妹とその姉が孤立死した事件が起き、社会に大きな衝撃を与えました。二度とこのようなことを繰り返さないために、福祉的な支援を必要とする世帯の孤立死対策の取り組みについて、昨年4月に厚生委員会が開催されました。その委員会において、障がい者相談支援事業所は、姉妹が滝川市から札幌市に転居した後、作業所やグループホームの入所などのさまざまな相談を受け、丁寧に対応しておりましたが、結果的には福祉サービスにつなぐことができなかったということでした。私は、障がいのある方や家族の地域生活を支える障がい者相談支援事業所の役割は大変重要であり、地域の中での支援体制や相談支援事業所の相談員の働く環境を整備し、障がい者相談支援の充実を図るよう、求めてきたところです。  そこで、質問ですが、障がい者相談支援事業所は、2012年度、1カ所ふえ、18カ所となりましたが、事業所における今年度の相談件数や支援内容の状況についてお伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がい者相談支援事業所の今年度の相談実績についてでございます。  まず、相談件数につきましては、昨年4月からことし1月までの10カ月間で4万件を超えてございます。年度に置きかえて推計いたしますと、今年度の相談件数については4万8,000件ぐらいになるだろうと思っています。これは、昨年度の相談件数と比較いたしますと、昨年度の相談件数の実績が4万3,600件でございますので、約11%の増加になる見込みでございます。  次に、支援内容についてでございますが、福祉サービスの利用に結びつける支援が最も多く1万9,400件、全体の48%、不安や孤独感の軽減への支援が約5,000件、全体の12%、年金等の制度や金銭管理等、いわゆる経済的な支援が3,300件、全体の8%程度になります。平成21年度から、札幌市におきましては、全ての相談支援事業所で、障がい種別によらず、身体、知的、精神、各障がいの支援を実施することにしておりますが、その当時と比べますと、年金の制度であるとか金銭管理の支援に関することは、全体に占める割合はまだ小さいですけれども、相談件数としては約2倍になっております。相談支援事業所としましては、福祉サービスの需要に結びつける支援が中心になると申し上げましたが、それ以外の生活全般の支援についてもかかわりを深く持ってきている状況になっていると考えております。 ◆伊藤牧子 委員  今の答弁で、相談件数が11%増加していることと、支援内容も、福祉サービスが中心ですが、年金とか金銭管理の相談、生活の相談などあらゆる相談がふえてきておりまして、札幌市は障がい種別を問わずに相談を受けるということで、相談支援事業所にとって負担がますます重くなっているのではないかと思います。また、今言いましたように相談が多岐にわたっていますので、先ほどの孤立死の事件もありましたが、関係機関との調整、作業所、病院等への同行など、当事者に寄り添ってさまざまな支援を行うためにはやはり相談支援事業所の質の向上を図ることも重要ですし、今、常勤3〜4人で運営しているところも多く、厳しい労働条件のもとでやめる人も多いことからも、やはり職員の労働環境を整備することも必要と考えます。  今回、2013年度の予算案を見ますと、相談支援事業所18カ所の後方支援、人材育成、相談支援スキルの向上を担う基幹相談支援センター1カ所を新たに設置することを提案されています。私は、以前から繰り返し求めておりましたが、相談支援事業所の質の向上と事業所の増設については、両方同時に目指すべきであり、基幹相談支援センターが設置されることにより、それらが可能になるのではないかと思っております。
     そこで、再質問ですが、相談支援事業所に関する今後の事業展開をどのように行うおつもりか、お伺いします。  2点目に、障がい者総合支援法により新たに難病の方への対応、障がい当事者同士が支え合うピアサポートの取り組み、また、発達障がいの相談がふえるなど、今後さまざまな対応が求められると思います。基幹相談支援センターが相談支援事業所の後方支援、相談支援に従事する人材育成、相談スキルの向上を担うとのことですが、相談支援に従事する人材の資質向上についてはどのように行っていくおつもりか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  相談支援事業所における今後の事業展開についてでございます。その中で、特に基幹相談支援センターについてご説明させていただきます。  まず、昨年4月に障害者自立支援法が改正されまして、市町村は地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として基幹相談支援センターを設置することができるという規定になっております。現在、札幌市内には、市が委託します18カ所の相談支援事業所のほか、事業者指定を受けて障がい福祉サービスの利用に係る支援計画の作成を行う指定相談支援事業所が20カ所ございます。これらの事業所の支援技術の質の維持が今後課題になっていくと考えておりまして、やはり、これを進めるための全体的な調整が機能として必要というふうに考えておりますので、ことしの夏をめどに基幹相談支援センターを札幌市内に開設したいと考えております。  札幌市としましては、基幹相談支援センターを設置することによって、どんなメリットが出てくるか、何を期待するかということになります。まず、各事業所が抱えている困難事例であるとか、計画作成を行う際のいろいろな難しさ、そして、入所施設から地域生活への移行の促進、それから、障がい当事者による相談支援活動の支援、関係者による定期的な協議の場として自立支援協議会などがありますが、これらをどういうふうにしてつなげていくか、拡充していくかということが課題となってまいります。これらの連携を進めていくという意味で、基幹相談支援センターには、地域における相談支援のかなめの役割を担っていただきたいというふうに考えております。  加えまして、来年度からは、地域保健活動推進事業としまして、市内3区に保健師が各2名増員され、民生委員や町内会・自治会、地域包括支援センターなどと連携を図りながら、地域が抱えている保健福祉に関する課題に対応することとしております。この事業と連携する形で、障がい者相談支援事業所につきましても3カ所に支援員を1人ずつ配置いたしまして、相談支援事業所と区役所とが連携を密にして地域での障がいのある方々に対するさまざまな支援の取り組みをバックアップしていきたいというふうに考えております。  次に、2点目の相談支援に従事する人材の資質向上ということでございます。  まず、障がいのある方に対する相談支援につきましては、心身機能や活動等において障がいとなっている状態を適切に把握し、障がいのある方の意思を尊重し、そして、寄り添った支援が特に求められております。相談支援を担う事業所の職員、相談員の役割は非常に大きいものと考えております。  このような役割を果たすためには、身体、知的、精神といった各障がいの特性に応じて活用可能な各種制度であるとか社会資源について知識を有するだけではなく、関係機関や地域福祉の関係者と連携して適切な支援計画を調整する人材が求められると考えております。これまでも、札幌市としましては、自立支援協議会を構成する相談支援事業所に部会を設けていただき、この部会と連携しまして、例えば、身体障がいに関する支援の経験の少ない相談員が豊富な支援実績を持つ相談支援事業所に赴いて研修を行うといった交換研修を実施してきておりますが、自立支援協議会の事務局機能が決して十分ではなかったというのが現状でございます。そこで、新たに設置を予定しております基幹相談支援センターが事務局に加わることで、研修の機会を増やしたりするなど取り組みを強化することが可能になると考えております。  今後におきましては、札幌市が基幹相談支援センターとも連携することによりまして、相談支援に従事する職員の育成を初めとして、一層の資質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆伊藤牧子 委員  ことしの夏に基幹相談支援センターが設置され、地域の相談支援のかなめになるということで、ぜひ、これからそれぞれの相談支援事業所への支援体制の強化につながることを期待したいと思います。また、今いろいろな支援についておっしゃられましたが、今後、新たにサービス等利用計画も作成されるということで、事業所への支援、またピアサポートなど、障がいのある方が安心して生活するためにはこのような取り組みも必要ですので、ぜひ、積極的に進めていただきたいと思います。  また、先ほどおっしゃられていました地域支援員の配置に関しても、地域保健活動推進事業が今年度も提案されておりますが、その事業と連携して全区に早急に配置が図られるよう強く求めておきたいと思います。  また、人材育成ということでは、さまざまな研修をされたり、いろいろな支援がありますが、やはり人がとても大事です。福祉は人なりと言いますので、相談に従事する職員がなかなか定着しない状況の中で、今後、ぜひ委託料の増額により職員の待遇改善も図られるよう求めて、この質問は終わります。  次に、地域ぬくもりサポート事業についてお伺いいたします。  市民ネットワークは、誰もが安心して地域で生き生きと暮らせるまちづくりを進めるために、地域力、市民力を生かした助け合いの仕組みづくりに取り組んできたところです。地域には、障がいのある方や高齢の方など、さまざまな困難を抱えている方がおりますが、それは、必ずしも公的な福祉サービスさえあれば充足できるというものではありません。ちょっとした支え合いを通じて人と人との心温まる交流を深めていくことで、今よりも一層充実した生活を送ることができる方も大勢いらっしゃると思います。一方、地域の方々の中には、専門的な知識はないけれども、ちょっとしたお手伝いならできる、自分の余暇の時間を何か役立てたいという思いの方も大勢いらっしゃると思います。しかし、そうした熱意のある方といろいろな支援を受けたいと思っている方がなかなかつながっていないというふうに感じております。  そうした中、2012年度秋より、障がいのある方の暮らしを地域でサポートしていくため、地域住民が地域サポーターとして登録し、1回ワンコイン500円で応じる地域ぬくもりサポート事業をモデル的に実施しています。ボランティアを紹介する仕組み自体は、これまでも、官民問わず、少なからず存在していたと思いますが、障がいのある方に特化した試みというのは先駆的だと思っております。この事業では、障がいのある方の相談支援に携わってきた社会福祉法人が利用者と地域サポーターの調整をするための運営主体となる地域ぬくもりサポートセンターを委託され、地域サポーターと支援を希望した障がいのある方をつなぎ、話し相手や外出支援などを行っていると聞いています。今年度は、中央区の幌西、南円山地区でモデル事業を実施したということですが、2月5日の新聞報道で、従来の福祉サービスではカバーされない障がいのある方の暮らしを地域ぐるみで支える仕組みとして取り上げられておりました。  そこで、質問ですが、実際にどのような成果があったのか、事業の実績と地域サポーターや利用者からどのような声があったのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  地域ぬくもりサポートモデル事業の実績と参加者の声でございます。  まず、このモデル事業につきましては、昨年8月からことし1月までの6カ月間の実施期間を通じまして、発達に障がいのあるお子さんや身体に障がいのある方など11名の利用がございました。支援を行う地域サポーターにつきましては、実施地域を中心に呼びかけましたところ、31名の方から登録があり、延べ41回の支援が行われております。具体的な支援の内容としましては、公的な福祉サービスの対象とならない幼稚園への送迎であるとか話し相手などのほか、重症心身障がい児のご家庭での除雪の手伝いといった実績も報告されております。  参加者の声といたしましては、まず、利用した方から、これまで家族に気兼ねして車椅子では余り出かけられなかったのだけれども、このサポート事業を利用して気軽に外出することができるようになったとか、子どもも家族以外の人と触れ合うことができて刺激になるなど、日々の暮らしの充実につながったという評価をいただいております。また、地域サポーターからは、これまで地域の中で何か役に立ちたいと思っていたけれども、どうしていいかわからなかった、事前にサポートセンターで利用者に配慮すべきことなどを丁寧に教えてもらえるので安心であるなどの声が寄せられているところでございます。 ◆伊藤牧子 委員  今のご答弁で、本当に、公的サービスではなくても、地域の中でそれぞれができるちょっとしたことを地域の人がすることで障がい者の生活支援に役立っていることがわかりました。  今回、2013年度中には実施地域を中央区全域に拡大すると聞いております。しかし、サポーターはまだ31名ということですので、これから支援する人もふえるという中では、より多くの地域サポーターの参加が必要になると考えます。また、地域ぬくもりサポートセンターについては、現在、2名体制で運営しておりますので、今後、支援件数がふえていく場合に体制がどうなるか、危惧されると思います。  そこで、質問ですが、次年度は中央区全域で拡大を図るということですけれども、地域サポーターの登録を初めとした事業展開をどのように図るお考えか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  次年度以降の事業展開についてでございます。  まず、中央区の全域に事業の実施地域を拡大したいと考えておりますが、その場合におきましても、これまで以上に多くのサポーターの参加が必要となってまいります。サポーターにつきましては、広報さっぽろなどの広報番組で呼びかけるほか、町内会や福祉のまち推進センターを初めとして、地域に根差したまちづくり活動などに取り組んでおられるNPO法人、そして、福祉系の専門学校などに幅広くPRをし、登録の拡大を図ってまいりたいと考えております。また、利用者とサポーターをつなげるコーディネート、調整についてですが、相談支援事業所や障がい福祉サービス事業所など、地域の社会資源にも利用者の紹介であるとかサポーターとの顔合わせなどによってより協力を呼びかけ、一人一人に合わせた丁寧な支援を確保していきたいと考えております。  札幌市といたしましては、引き続き、一つ一つの支援実績を積み上げ、それによって地域における助け合いの仕組みづくりを進めていきたいと考えております。障がいのある方への理解促進ということもテーマになると考えておりますので、こういった理解促進を図りながら、この事業の名前でございますぬくもりのある暮らしを支えていきたいと考えております。 ◆伊藤牧子 委員  私は、ぜひこの事業を成功させていただきたいと思います。札幌まちづくり戦略ビジョンの将来のまちの姿として、共生と交流による人と人とのつながるまちを目指しています。しかし、共生社会というのは、すぐに実現するわけではなくて、日常生活の中でお互いにいろいろな人たちが理解し合うことで徐々に熟成されていくものだと思っています。この地域ぬくもりサポート事業は、コーヒー1杯分の金額で地域の中や市民の中にお互いさまという関係を築くもので、私は、本当に地道な事業だと思いますけれども、これは大切な事業ではないかなと思っています。また、今後、全市に進めること、そして、モデル事業の検証をしっかり行い、地域に密着した制度になるよう期待しまして、私の質問を終わります。 ○伊藤理智子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時30分       再 開 午後3時50分     ―――――――――――――― ○伊藤理智子 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆林家とんでん平 委員  私から、重度訪問介護に関することと重症心身障がい者・児の災害時対応について、大きくこの2点について質問したいと思います。  まず、先日、我が会派の代表質問でも取り上げました重度訪問介護に関することですが、重度の障がいのある方が地域で自立した生活を営むためには、居宅でのホームヘルパー等による1対1の支援が欠かせない状況であります。このたび、2013年度予算案において重度訪問介護の充実が打ち出されておりますが、今までの札幌市の支給時間数である月720時間と330時間の間に、新たに月540時間と450時間を設定する考えが示されました。  そこで、代表質問でこれはどういう考え方かと質問をしたところ、答弁では、重度障がい者の暮らしの選択の幅を広げ、自立生活を一層促進するとともに、家族も生き生きとした生活を実現するために制度の充実を図るものであり、例えば、重症心身障がい者など継続的な介護、見守りの必要性が特に高い方は、必ずしも自分や介護をするご家族の生活リズムではなく、ほかの障がい福祉サービスの空き状況などに応じて生活を組み立てる必要があったが、支給時間数を延長することにより、より一人一人のライフスタイルに合わせた暮らしを営むことができるようになると考えている、また、支給時間数を見直すことにより、介護しているご家族の負担も軽減され、安心な家族生活を支えてまいりたいという答弁がございました。このことは、日々、さまざまな困難を感じながら暮らしている利用者にとっても大変に喜ばしいことであったと思います。また、私は、制度の充実に向けて提言し、10年間、いろいろお話しさせていただいておりましたが、大きく前進したと実感しております。  今回の実施に対して、予算資料では、重症心身障がい者の方などが対象になることとされております。確かに、重症心身障がい者は、日常生活の全てにおいて介助を必要とし、昼夜を問わず継続的な見守りなども必要でありますから、支援の充実が真っ先に求められていると思うわけであります。一方、私は、これまで、障がいのある方やそのご家族からさまざまなことを聞いてまいりました。重症心身障がい者の方以外にも、障がいの状態などから介助時間数が足りないという切実な訴えを数多く伺ってまいりました。重度訪問介護が公的な給付制度である以上、一定の基準を設けて運用すること自体は当然ですが、真に居宅での介助を必要としている方には、必要な支給時間数を手当てすることができる仕組みは重要であると思います。  そこで、質問であります。  ぜひ、ここを強調してお話ししたいと思いますが、重度訪問介護の支給時間数については、障がいの原因疾患などにとらわれることなく、本人の障がいの状態等に基づき適切に支給決定できる仕組みとする必要があると考えますけれども、今回の充実に当たっての支給時間数拡大の対象者とその考え方をお伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  重度訪問介護の時間数拡大の対象者とその考え方についてでございます。  今回、充実いたします内容につきましては、まず、これまで札幌市が実施いたしました重度の身体障がいのある方々へのアンケート調査であるとか家庭訪問などの結果を踏まえまして、継続的な介護や見守りの必要性が特に高い方について、介護時間の拡大を図るものでございます。具体的には、月540時間、これは1日当たり18時間に相当いたしますが、この支給対象者につきましては、夜間を含め、生活全般にわたり介護が必要であり、意思疎通も困難な重症の心身障がい者の方や、人工呼吸器による呼吸管理を行っている方を想定しております。次に、月450時間、これは1日当たり15時間に相当いたしますが、この対象者につきましては、夜間に体位交換などの介護が不定期に必要であり、かつ、外部との連絡が困難な方を想定しております。  札幌市としましては、このたびの支給時間数の拡大によりまして、一人一人の障がいの状態であるとか介護の必要性に応じて、これまで以上にライフスタイルに合わせた暮らしを営むことができるよう支援してまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  介護を受ける方の選定はとても重要であると、僕はずっと訴えてまいりましたけれども、名前のない、そういう障がいのある方に対してはとても手薄だったと思っているのですね。ぜひ、その辺をもっと着目して進めていっていただきたいと思うのです。  一方、パーソナルアシスタンス事業です。これは、重度の身体障がいのある方の介助に、ヘルパー資格のない地域住民の方などが参加することができるとともに、重度訪問介護の時間数不足を補う手だてとして活用できる制度でありますが、この事業を開始してもう間もなく3年がたとうとしております。この間、札幌市としても、身近な区役所で利用手続ができるように事務の見直しをしてまいりました。そして、介助者の講習会、利用者同士の交流会の開催など、制度の利用促進に向けてさまざまな取り組みをしてきたと聞いております。  一方、これは前回もお話ししましたが、障がいのある方やご家族にとっては、手続が煩雑である、そして、必ずしも希望する介助者が見つからない、思ったように利用できないという声もまだまだ聞こえております。今回、重度訪問介護を充実させることにより、これまで介助時間数の不足を感じてきた方々については、一定程度は支給時間が延長されます。ただ、そうしますと、気になるのはパーソナルアシスタンス事業のことであります。パーソナルアシスタンス事業は、当初の目的の一つとして介助時間の拡大がありました。ですから、時間が拡大されることになると、パーソナルアシスタンス制度の利用自体が敬遠されていくのではないかと、そこをちょっと危惧しております。  そこで、質問でありますが、私としては、重度の身体障がいのある方の安心かつ安全な地域での暮らしを実現するには、重度訪問介護という公的なホームヘルプサービスだけではなく、パーソナルアシスタンス事業のような補完的な施策がともに充実していって、車の両輪として機能していくべきと考えておりますけれども、札幌市としては、今後ともこのパーソナルアシスタンス事業を継続し、強化していく考えはあるのかどうか、これを伺いたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  パーソナルアシスタンス事業の継続、強化についての考え方でございます。  まず、この事業につきましては、委員がご指摘のとおり、公的な制度である重度訪問介護の時間数の不足を補うことが可能であるということに加えまして、利用者が介助者を選択できるという本市独自事業ならではの特徴がございます。実際に、利用者からは、自分の身体状況を熟知した介助者から継続的な介護を受けられ、安定した生活を送ることができるようになったなどの声が寄せられております。また、介助者の中には、この事業により初めて障がいのある方の介助を体験することとなり、より専門的な技術を学ぶためにみずからもヘルパー資格を取得したという事例なども伺っております。パーソナルアシスタンス事業につきましては、利用者にとっては、介助時間数の拡大以外に、生活場面における自己決定、自己選択の機会を広げるものであるとともに、市民にとっても障がいのある方への理解を深めるきっかけになるものと考えております。  札幌市といたしましては、今後とも、パーソナルアシスタンス事業を継続して実施することはもとより、事務手続の簡素化を図るなど制度のさらなる改善に努め、一層の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  引き続きパーソナルアシスタンス事業を継続していくという考えがあるということで、私はとても安心しております。  しかし、時間数の拡大だけではなく、自分に合った介助者を確保していく、これが安心した地域生活を送る上では大変重要であります。特に、障がいの程度が重度になっていけばいくほど、生活全般にわたってヘルパーの支援を受けることになりますから、介助の質が利用する方の生活の質を左右する、これはとても大切なところだなと思うのですね。私は、昨年の決算特別委員会で、障がい者本人やそのご家族は、必ずしも希望に沿った支援を受けられていない実態があることを指摘しました。その際、札幌市からは、ヘルパーの質の向上に向けて研修を行うとの答弁がありました。実際に、本年1月には、ヘルパー事業所の管理者などを対象とした研修会が開催されたと聞いております。ヘルパーに対する研修については、どちらかといえば、ベッドでの体位交換と車椅子などへの乗りかえなどの介助技術、たん吸引や胃瘻などの医療知識に着目した技術的な研修は多くありますけれども、私は、ヘルパーの質を向上させるためには、それに加えて、介助を受ける側の視点に立って、障がいのある方やそのご家族の気持ちに寄り添った介助のあり方を学ぶ研修が重要であると思うのです。健康というのは心身でありますから、この辺は介助を受けるほうの身になって介助するべきだと思うわけです。  そこで、質問でありますが、今回行った研修の具体的な内容を聞かせていただきたいことと、札幌市としてはどのような評価をしているのか、お伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  ヘルパー研修の具体的な内容と、札幌市としてどう評価しているかということでございます。  ヘルパーの育成につきましては、各事業所の管理者が従事者の支援の質の向上について意識を持っていただくということがまず必要でございます。そして、個別指示で指導を積み上げていくことが現場の支援につながっていくものと考えております。そういったことから、本年1月22日に、管理者を対象とした研修会を開催いたしました。これは、講演会とグループ討議を組み合わせた形で実施いたしまして、78事業所から80人に参加いただいております。具体的な研修内容でございますが、まず、研修会について、みずからが重度の身体障がい者であり、事業所の管理者として実際に携わっておられる方を講師にお迎えしまして、ご自身がヘルパーから支援を受け、かつ、ヘルパーの指導にも当たっているという実体験をもとにして、ヘルパーのあり方という介護の基本的な理念を語っていただきました。そして、グループ討議では、各事業所で実際に起きたトラブル事例を取り上げまして、講師からのアドバイスを受けながら、その解決策について参加者の中で討議を行っていただいております。  この研修についての札幌市なりの評価でございますけれども、今回のような形式で管理者研修を企画、実施するのは初めての取り組みでございます。受講者からは、介助を受ける側の視点がわかって勉強になった、今までの介助指導を見直すきっかけになったなど、高い評価をいただいておりまして、管理者の意識向上を図るという研修の所期の目的は十分果たせたものと考えております。  札幌市としましては、今回のアンケート調査も踏まえまして、引き続き、内容に工夫を凝らしながら、管理者研修会の実施などを通じてヘルパーの質の向上に向けた各事業所の取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ◆林家とんでん平 委員  札幌市としては、今回の研修はとてもよかったという回答かなと思います。  そうであれば、今後、より多くのヘルパーに対してこうした機会を多くつくっていっていただきたい、与えていただきたいと思います。本当に、ヘルパーは2級、1級で技術的なことは覚えるのですが、やはり、精神的なところ――人が外から入ってくるわけですから、これを受け入れるのは、まず家族が大変です。そして、当事者はもっと大変です。言えない方、言葉を発せられない方々が多いわけですから、この研修を、もっと実のある、もっと内容の濃い研修にして、ぜひ継続して続けていただきたいと思っております。  介助を受ける側として、やっぱり、すぐれた介助技術の知識を持った方に来てほしいというのは本当にあるわけです。1対1ですから、逆の場合は耐えられないわけであります。ですから、心が通う温かな介助にはどうしたらいいか、皆さん、研修の中でぜひヘルパーにお話ししていただければと思います。このたびの重度訪問介護の充実やパーソナルアシスタンス事業の取り組みが障がいのある方やそのご家族に対して真に実りのある支援につながるよう、介助者の質の向上に向けては、札幌市として、継続的な研修の実施はもとより、あらゆる機会に取り組みを進めていくことを求めておきたいと思っております。  次に、障がいのある方の災害時における支援体制についてであります。  東日本大震災から間もなく2年がたとうとしております。復興まではまだまだ長い道のりという感じがしますけれども、震災への関心が徐々に薄れてきていると感じるのですね。テレビ等でも放送しておりますが、この大震災では、障がいのある方は障がいのない方に比べて2倍多く亡くなっていると言われております。2倍多くです。障がいのある方は、災害が発生した場合、周りの人の手助け、特別な配慮が必ず必要となります。ですから、逃げおくれた方も多くいたはずです。  そこで、このような悲劇を繰り返さないよう、障がいのある方の災害時における支援体制をしっかり考えていく必要があるのではないかと思います。障がいのある方は、高齢者、子どもなどと並んで災害時要援護者と言われております。国は、平成17年から各自治体に災害時要援護者の避難対策の策定を促していました。本市においては、平成20年3月、札幌市地域防災計画において、災害時要援護者対策として札幌市災害時要援護者避難支援ガイドラインを策定しております。その中で、地域が主体となって要援護者の避難支援体制の整備を図っていくこととしておりますが、この取り組みが必ずしも順調に広がっているとは到底思えない、私はそう思っております。ですから、質問しているわけであります。  なお、小学校や中学校などの収容避難場所の整備に関しては、避難場所基本計画の策定作業も進められているとのことで、要援護者がなるべく支援なく避難所生活を送れるようさまざまな配慮が検討されていると聞いております。私自身もそうですが、特に重い障がいの方を抱えている家族にとって、もしもの事態になったときの不安は非常に大きいのです。  そこで、質問ですが、障がいのある方の災害時における避難行動や避難生活の支援について、現状はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がいのある方への支援に関するご質問でございますので、障がい者施策を所管しております私から答弁させていただきます。  まず、避難行動支援としましては、地域に身近な区が中心となって、災害時要援護者の避難支援の取り組みの普及啓発に努めております。地域における要援護者の把握に当たりましては、障がいのあることを周囲に知られたくないという方もおられ、取り組みの推進における課題の一つであると認識しております。  次に、避難生活での支援についてでございますが、今年度中に策定を予定しております札幌市避難場所基本計画におきまして、障がいのある方に配慮した取り組みとして、基幹避難所となる小・中学校に対して、これまでも実施しておりますバリアフリー化に加え、車椅子対応トイレがない学校には身体障がい者用の便座を備蓄するとともに、災害時要援護者が優先的に暖をとるスペースや、救護棟の機能を有する配慮スペースを提供することなどを想定しております。また、収容避難場所での生活が困難な災害時要援護者を移送する福祉避難場所につきましては、平成23年7月に、障がい者福祉施設等の運営者で構成される団体と災害時要援護者の緊急受け入れについて協定を締結いたしました。現在、その具体的な運用について検討、協議を行っているところでございます。 ◆林家とんでん平 委員  現状をお聞きしましたが、今、計画中という感じかなと思います。障がいのある方は、日常生活においてさまざまな不自由を抱えております。災害時においては、障がいのない方が抱えている不自由にプラスして、日常生活より厳しい状況下におけるさまざまな困難性を伴うことになります。ご存じかと思いますけれども、過去にも、平成2年から平成7年にかけて起こった雲仙普賢岳噴火、平成7年の阪神・淡路大震災、平成16年の新潟中越地震などでも、多くの障がいのある方が甚大な被害に遭っております。私も、目の当たりにしております。ですから、これまでの教訓を生かすために、私はもっと障がいのある方の側に立って支援策を検討すべきと考えております。  そこで、確認の意味を込めまして質問しますが、障がいのある方の災害時におけるリスクを札幌市としてどのように認識しているのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  災害時のリスクの認識についてでございますが、障がいのある方は、その障がい特性に応じて避難行動や避難生活でハード・ソフトの両面からさまざまなリスクを抱えております。例えば、身体に障がいのある方や車椅子の利用者につきましては、震災後の道路状態によっては収容避難場所までの移動が困難になることなどが想定され、避難所の設備の状況によっては日常生活が非常に困難な場合が考えられます。また、視聴覚に障がいのある方や知的な障がいのある方につきましては、瞬時に情報を入手しづらいといったことや、自分の身に起きていることをうまく情報発信できないといったことに起因するリスクが考えられます。また、著しい行動障がいやコミュニケーションに困難を伴う方につきましては、収容避難場所において大勢の人と一緒になることによりパニックになるなど、心身の状況が著しく不安定になってしまうという危険性がございます。また、難病患者や内臓に障がいのある方につきましては、医薬品の服用や医療機器の使用等のいわゆる医療的ケアを受ける環境が瞬時に整わないなどの可能性があり、これらもリスクであると考えております。  東日本大震災では、体育館の床がかたくて横たわることができず、車椅子の上で10日以上もいた方、また、自閉症の方が避難所での集団生活に適応できないことから、親子で自家用車での生活を余儀なくされたということも伺っております。そういった面では、障がいに対する正しい理解の促進が今後の課題であると認識しております。 ◆林家とんでん平 委員  全くそうでありますね。理解が必要であると。例えばの話でお話ししますが、東日本大震災級の地震があったと仮定すると、私の家のことで言いますと、私はほとんど外にいますから、かみさんとその当事者、当事者の妹、2人で見ているような状況なのです。そうして、全く動けませんから、移動するときはバギーというものに乗っております。そのバギーも、震災でどうにかなるかもしれません。そして、必要なのは、もちろん薬はそうです。それから、酸素吸入も必要になる。それから、いわゆるおむつ関係もありますね。まず、移動を考えてみますと、2人では到底無理であります。ですから、地域の方々の支援をリスク中にどのように盛り込むか、そういうこともとても大切だと思うのです。そして、今言ったおむつとかトイレもいろいろあります。それから、人工呼吸器を使いますから電源も必要です。大震災の場合はきっと電源も確保できない状況でありますから、それをちゃんと確保するにはどうしたいいだろうとやはり思うのですね。今現在、災害に遭ったとしたら何も機能しないわけです。ですから、いち早く今のリスクを理解していただき、いち早くこれらに手をつけていただきたい。  そこで、局長にお話を伺いたいと思います。  今までのやりとりの中で、まず最初に、リスクというところを理解をすることがとても大切だということをぜひ思っていただきたいし、それから、今後、災害時の支援体制をどのように整備していこうと考えているのか、その意気込みといいますか、それらをぜひお聞かせいただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。 ◎加藤 保健福祉局長  障がいのある方の災害時における支援体制は、今、天田部長からそれぞれの障がいに応じたリスクがあるというお話がございました。私どもは、障がいのある方という一くくりで施策をまとめてしまっておりますけれども、現実に障がいのある方々は、先ほどから言っているように、それぞれの障がいによってさまざまにリスクが違っております。そういった意味では、我々は、総論的な議論で計画をまとめるのではなくて、それぞれの障がいのある方々にとって、どういうふうに逃げたらいいのだろうかとか、災害があったときにはどういうふうに行動したらいいのだろうかとか、障がいのある方々、高齢の方々それぞれの特性に応じた個別の施策のバリエーションを考えていかなければならないのかなと考えているところでございます。  しかしながら、先ほどから障がい者の理解ということでお話がございましたが、昨年、知的障がい者の見守り事業の中で、私どもは、サービスを利用されていない障がい者にアンケートを実施したところでございます。その中で、自分のことを民生委員に知ってほしくないという方が7割いらっしゃいました。私どももこの数字の大きさに驚いているところでございまして、そして、今まで障がい福祉施策を推進してきた者にとっては、自分たちの施策はまだまだ足りないのだなということを実感させられた数字でございました。まずは、地域の方々、それから、障がいを持っている方々それぞれが、自分の障がいのことや、周りの方々も障がい者がこういうところにいらっしゃるのだ、何かあったらこういうことをしなければならないのだと、本当に障がいに対する理解というものを十分深めていくのが一番重要ではないかなと考えてございます。  しかしながら、理解ということで言えば、なぜ必要かといったときに、先ほど委員からもお話がございましたが、災害があったときには、俗に言われているのは自助、共助、公助という順番になってございます。しかし、障がいを持っている方々にとってみれば、健常者の方と比べて自助に対する依存度は非常に低くなってまいりまして、共助が大きく左右するわけでございます。そういった意味で、災害のときに共助をどううまく働かせるか、この仕組みづくりをやっぱり考えていかなければならないのかなと思ってございます。  先ほど来、地域ぬくもりサポート事業のお話もございました。それから、今、委員からパーソナルアシスタンス事業のお話もございました。このような事業は、まさに、地域社会におきまして日ごろから障がい者の理解を進めるという意味でも役立っているのではないかなというふうに私どもは考えておりまして、こういったさまざまな事業を展開し、そして、障がい者に対する理解を促進するために、いろいろな場面を利用して、障がい者の権利擁護とか、障がい者のためにこんなことをしていきたいのだということを地域の方々にも図っていきたいなと思っております。  具体的には、こんなことも考えてみたらどうかということで、今、私が実際に思っているのは、障がいのある方も参加した形での避難訓練を地域で行ったらどうだろうかと。これは、地域の方々、それから障がい者団体の方々のご理解を得ながらやらなければなりませんが、障がいを持った方々が地域の方々と一緒に避難する場合に、それぞれどんなことが大変なのかということを実感してもらう大変いい機会にはなるのではないかなと考えております。また、先ほど、福祉避難所の問題とか、避難所の問題がさまざまございました。我々は手引書というものをつくっておりますが、この手引が本当に障がい者それぞれの特性に合ったきちんとした手引になっているか、もう一度見直ししながら、障がいを持っている方々に実際に見てもらいながら、これではちょっと合わないとか、そういった意味での検証もしながら、本当に障がいの持っている方々がいざというときに困らないような、そんな仕組みをつくっていきたい、このように考えているところでございます。 ◆林家とんでん平 委員  ありがとうございます。  とても大切なところは何かというと、今、民生委員に知られたくないという事情はどこから来ているかというと、やっぱり理解が足りないというところだと思うのですよ。札幌市の施策として理解度がまだまだ足りないから、入り口を広げないところがあると思うのです。例えば、北欧へ行くと、皆さんが門戸を広げて障がいのある方を受け入れています。例えば、補聴器でも、色のついた補聴器にしてこれはファッションであるし。日本は違います。わからない色にします。そこは理解が足りないからです。ですから、ぜひ、理解をするということを先に網羅していただきたいという思いであります。  要望でありますけれども、今言われたように、障がい者と言われる方々だけではございません。高齢者の方々もそうでありますが、札幌市地域防災計画や札幌市災害時要援護者避難支援ガイドラインで定められることには限界があると思うのです。これは、保健福祉局がいいのか、また、危機管理対策室がいいのかというところがありますが、医療的なケアが必要な障がい者や高齢者に対してどのような支援が可能か、さらに掘り下げて議論してほしいと思います。やはり、医療機器は第一の生命線でありますから、これをぜひ議論していってほしい。  災害はいつ起こるかわかりません。この間の暴風雪もありますし、隕石もあります。どこでどうなるかわかりません。どこから降ってくるかわかりません。ですから、できるだけ早急に支援体制を確立してほしいところですが、そもそもの検討体制として、専属的な組織の整備も含めて構築を急がれるよう要望して、私の質問を終わります。 ◆國安政典 委員  私からは、障がい者就業・生活相談支援事業の充実について質問させていただきたいと思います。  振り返りましたら、昨年の第3回定例会でも全く同じテーマで取り上げさせていただきました。我が会派の涌井議員の代表質問並びに決算特別委員会で私から同じテーマで質問させていただいたところであります。約半年たちまして、最近の状況、さらには、新年度予算ではどうなってきたのか、また、今後の展望といったことについてきょうは質問させていただきたいと思います。  まず、障がいのある方の一般企業への就職状況であります。  例えば、知的障がいのある生徒が特別支援学校から一般企業へ就職する割合は、北海道の場合、平成23年3月に19.9%だったものが、昨年の3月には25.0%となったように、少しずつではありますが、ふえてきております。関係者の皆様の努力によりまして、一般企業へ就職する障がいのある方はこのようにふえつつありますが、就職に困難を抱える障がいのある方の一般就労を円滑に進めるためには、障がいのある方と企業との間に立って就職と職場定着の支援を図ることが特に重要であります。  このような取り組みを進める上で、就業・生活相談支援事業所の役割は大変大きくなってきております。加えて、札幌市版のジョブコーチでありますジョブサポーターを事業所に配置することについて、これまで、私どもは何度も繰り返して求めきたところであります。就業・生活相談支援事業所は、国と北海道から委託を受けている事業所も含めて、市内5カ所の体制となりました。また、ジョブサポーターにつきましては、平成23年10月に1名、昨年10月に1名、合計2名配置となっております。さらなる取り組みを強く期待しているところであります。  そこで、初めに、確認の意味で、就業・生活相談支援事業所の状況について伺いたいと思います。  今年度の実績の見込みがそろそろ見えてきたと思われますことから、就業・生活相談支援事業所における今年度の相談支援件数、それから、就職に結びついた件数、これはどのようになっているのか、お伺いします。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がい者就業・生活相談支援事業の実績についてご報告させていただきます。  まず、障がい者就業・生活相談支援事業所におけます相談実績についてでありますが、今年度は、4月から1月までの10カ月間の実績を申し上げますと、1万6,445件となっております。これを年度に置きかえて推計いたしますと、今年度の実績については約1万9,000件になる見込みでございます。平成23年度、昨年度の相談件数が1万1,226件でございましたので、昨年度の約1.7倍となる見込みでございます。また、就職に結びついた件数でございますが、今年度4月からこの1月までの10カ月間の実績については89件となっております。昨年度は、年間の件数が92件でございましたので、この推計からいたしますと100件を超える見込みとなっております。 ◆國安政典 委員  相談支援件数は、今年度も伸びているということでございます。また、就職に結びついた件数も100件を超える見込みということで、各事業所の取り組みに対します成果に心から敬意を表したいと思っております。  昨年の6月に、私ども会派7名で、ジョブサポーターが配置されました就業・生活相談室からびなを視察してまいりました。ジョブサポーターの活動が大変精力的でありました。その時点では1名の配置でありましたので、ここでお話を伺いましたら、病気になってもなかなか休むことができない状況であるということもおっしゃっておりました。そこに、昨年10月に1名増員となって2名体制となったわけでありますが、複数配置によりまして支援内容の充実とか、またジョブサポーターの負担軽減が図られることを期待しているところであります。  そこで、質問いたしますけれども、まず、就業・生活相談支援事業所にジョブサポーターを複数配置したことによる効果をどのように評価しているかということと、もう一つ、就業・生活相談支援事業の今後の施策展開についてどのように進めるおつもりなのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  まず、1点目のジョブサポーターの複数配置の効果に関する市なりの評価についてでございます。  ジョブサポーターの業務につきましては、就職等に困難を抱える障がいのある方の就職と職場定着に向けて、就職前から職場定着までの長期間にわたってさまざまな支援を行うものでございます。例えば、採用面接への同行であるとか職場訪問などにより、障がいのある方、企業の双方に助言等を行っております。一昨年10月から昨年9月までジョブサポーターは1名体制でございましたが、集中的な支援の必要な時期が重なる場合に不足するため、現実的には一度に5名程度までしか支援できず、さらなる支援希望者に対して支援をお断りせざるを得なくて、支援が非常に難しかったという状況がございました。そこで、昨年10月以降につきましては、ジョブサポーターを2名体制とさせていただきましたが、これでより多くの方への支援が可能になったと考えております。さらに、ジョブサポーターがペアを組んで役割分担を決めて事務を行うことにさせていただきました。このことによりまして、障がいのある方が抱えている不安であるとか不満を解決するための働きかけを、ご本人だけではなく、企業やご家族に対しても早い段階で集中的かつ同時進行的に行うことが可能となってきたと考えております。  2点目の今後の施策展開についてでございます。  第3次札幌新まちづくり計画におきましては、平成26年度までに就業・生活相談支援事業所を4カ所にすることとしております。これで、国が設置しておりますセンター1カ所と合わせまして、市内5カ所体制が整ったところでございまして、関係機関と連携してさらなる支援の充実に努めてまいりたいと考えております。また、この計画におきましては、平成26年度までにジョブサポーターを4名配置することにしておりますが、来年度にはさらに1名増員して3名体制とすることとしております。
     今後とも、就職等に困難を抱えている方に対して、職業訓練や職場実習の段階から職場定着の段階までの一貫した支援を通じて就労先への定着率を高め、障がいのある方が安心して働けるよう引き続き事業全体の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  今の答弁を伺いまして、複数体制で、ペアで役割分担をすることができた、メリットは大きかったということだろうと思います。当事者の不安や不満の解消にもつながった、また、企業、家庭にもということでございました。本当に、この充実は重要であるということを改めて認識させていただいたところであります。  一方で、ことしの4月から障がいのある方の法定雇用率が引き上げとなります。法定雇用率の算定基礎に精神障がいのある方を加えることとして法律改正がなされ、法定雇用率もさらに引き上げになると見込まれます。既に、首都圏におきましては、法定雇用率の引き上げの動きと相まって、身体障がいや知的障がいのある方の雇用が売り手市場になっていると伺っております。重い知的障がいのある方や精神障がいのある方の就職をいかにきめ細かく進めるか、これからこの課題は極めて重要ではないかと思います。  また、障害者総合支援法の施行によりまして、難病の方が障がい福祉サービスの対象となります。まだ予想にすぎませんが、難病の方々は、恐らく障がい福祉サービスの中でも就労支援の部分のニーズが高いのではないかと予想もできますので、こういった方々へもきめ細かな支援が必要であると思います。  新年度は、ジョブサポーターを1名増員するというお話でしたが、私は、まだまだ足りないと思うのであります。また、さっぽろ障がい者プランにおきましても、福祉施設利用者のうち、一般就労への移行者の数を200人という高い目標を持ち、これはずっと続けていく、維持をする、そのためにも、昨年の3定でも言わせていただきましたが、早急に4カ所の事業所全てに複数、2名ずつのジョブサポーターの配置を求めたいと思います。  きょうは、このことを要望して終わるつもりでおりましたけれども、3定とほとんど変わりませんので、やっぱりどうしても納得がいきません。  第3次札幌新まちづくり計画は平成26年度までですね。先ほどの部長の答弁の中では、26年度までに4名ということでありましたけれども、改めて計画を見てみましたら、平成24年度までに4人となっています。これはプリントの間違いなのでしょうか。それとも、第3次新まちづくり計画は、この後、改正されたのですか。私は改正されたものをいただいていないと思います。計画の31ページに、平成24年度4人となっています。しかし、今の話では、今年度は2名で、新年度になっても3名ということです。これは記載が26年度と間違ったのでしょうか。  私は、平成24年度は4名配置という記憶があります。ですから、この4人をまず早くやって、しかも、今、課題がありましたとおり、1名配置ではさまざまな課題がある、複数が好ましいと。ですから、4掛ける2の8名配置ということを昨年も言わせていただいたのです。第3次札幌新まちづくり計画を平成23年の暮れに発表されて、最初の年度からこのとおりやらないのはどういう意味なのか。こちらが間違いなのかどうなのか、ちょっと確認させていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ◎天田 障がい保健福祉部長  ちょっとお時間いただけますでしょうか、恐縮です。  大変お待たせして、失礼いたしました。  まず、第3次新まちづくり計画の中では、一応、平成24年4月までに4人というふうにさせていただいておりますが、実施状況を見まして、実施計画の中で26年度までに4名という形にさせていただいております。 ◆國安政典 委員  ジョブサポーターにつきましては、たしか5年ぐらい前だったと思います。天田部長が課長の時代ですが、福岡の例を挙げさせていただきながら、国が施策展開をするハローワークに配置しているジョブコーチはなかなか足りない、一方で、福岡では独自の支援員を配置して年間100名を超える就労に結びつけていると。これは、代表質問でもさせていただきましたけれども、札幌市でもこういう独自のジョブコーチが必要ではないかといったところから、さまざまな議論もさせていただいて、本当に工夫をしてジョブサポーターという支援員を配置していただきました。そういう意味では、本当に敬意を表しているのです。  ただ一方で、やっぱり、障がいを持つ方の就労というのは、どうしてもきめ細かな支援が必要なのです。先ほどの答弁にもありましたけれども、面接から始まって職場定着まで、本当に人の手による支援が非常に必要で、そしてまた、それぞれの障がいの状況も違いますから、それに応じた支援が極めて大事です。しかも、機械でやるわけにはいかない。やっぱり、人の手が必要なのです。ですから、これを配置する。先ほど1.7倍という相談支援の実績もお話しされておりましたが、費用対効果という考え方になるのはある意味で仕方がないことであろうかとは思いますけれども、やっぱり実際にはどうしても人の手が必要な世界であり、分野なのです。そういった意味では、早く8名にしていただきたいというふうに思うのです。  事業計画の中でそうなったということでありましたけれども、いずれにしましても立派な冊子で発表されて、最初の年度からやってないというのは――これは、言い方が間違いでしょうか。そういう意味では、ぜひ、副市長、どうでしょうか。これは、どう捉えたらいいのか、私自身もまだすっきりしない部分があります。事業計画の方で捉えていけばよろしいのでしょうか。それから、一体いつになったら――これは、最初の計画からすると後退したということですね。 ◎加藤 保健福祉局長  ジョブサポーターの数の関係につきましては、昨年来、私どもも必要性等につきましては十分理解して、この充実に努めたいということで頑張ってきているところでございます。  私どもの計画の中では、平成24年度に4人にするということで計画に上げて努力してきたわけでございますが、この事業の進展を見ながら、サポーターが果たしている役割が効果的であったかどうかということを検証しながら人数をふやしていきたいという考え方も一方でございまして、私としては、認めていただける努力がちょっと足りなかったのかなというふうに反省しているところでございます。先ほどからお話がございましたとおり、複数配置で8人にしていくということで、私どもは、ぜひこれを成し遂げたいと思っております。その辺は、ぜひもう少しお時間をいただければ、私ども努めてまいりますので、お許しいただきたいと思います。 ◆國安政典 委員  許すとか許さないということではないので、本当に前向きな答弁をありがとうございます。  役所の方は、新しいことを提案すると、それは計画にありませんのでみたいなことを言われることが時々あります。逆に、では、そこにないとできないのですかと聞くと、いや、決してそういうことではないと、私はそういうことをたびたび経験してまいりました。ですから、今、局長みずからご答弁いただいたとおり、そのまま受けとめさせていただいて、ここにこだわることなくですね。先ほども言ったとおり、また環境も変わってまいります、特にこの4月以降は。その辺の状況もきっちり注視して、また、見きわめていただきながら、私は必要となってくると思いますので、拡大していっていただきたい、このことを求めて、終わります。 ◆宮川潤 委員  さっぽろ障がい者プランの基本施策、情報バリアフリー化の推進では、障がいのある方が支障なく情報伝達や情報取得ができるよう、点字や音声、情報通信の活用など、障がい特性に応じた配慮に努めますとしています。本市の重度障がい者(児)等日常生活用具給付制度では、重度の障がい者に情報、意思疎通支援用具として拡大読書器を弱視の方を対象に給付するとしています。  私は、1年前の予算特別委員会で、この拡大読書器は、弱視の方だけではなく、全盲の方にも給付すべきだと質問しました。拡大読書器は、スキャナーで文字を読み取ることができるもので、本や雑誌はもちろん、役所からの書類、郵便物、通帳なども読み取ってモニターに大きく映し出すことができますが、音声で読み上げることもできるものです。機種もふえてきましたが、よみともライトという機種のカタログでは、主な特徴としてこのように書かれています。本体上面の原稿台に活字や点字文書を乗せ、ボタンを押すだけでその内容を肉声に近い滑らかな音声で読み上げます。その次に、「モニター(別売)を接続することで、視力に応じた拡大画面で読書が楽しめます」と。この機種は、音声での読み上げが第1の機能で、第2の機能として別売りのモニターを接続して文字を拡大して見ることができるということです。  また、給付対象について、本市の裁量で拡大することができるもので、指定都市では11市が全盲の方も対象にしています。  1年前の委員会で、私が全盲の方も対象にすべきだと求めたところ、全盲の方にも非常に有効なものだという答弁がありましたが、加藤保健福祉局長は、慎重に、前向きに検討すると、失礼ながら、少し意味不明な答弁でした。意味不明なまま1年が経過しました。検討の結果、慎重になったのですか、それとも前向きになったのですか。局長、全盲の方を対象にするのか、1年間、検討されてきたそうですから、この際、はっきりさせてください。 ◎加藤 保健福祉局長  私も突然の質問でそのようにお答えしたことは記憶に残ってございまして、ただ、意味不明かどうかというのは、慎重に、しかも前向きにという意味は、一歩一歩着実に足場を固めながら進めてきたということでご理解いただければなというふうに思ってございます。  本件につきましては、昨年の予算委員会で宮川委員からご質問があり、それから、昨年の決算特別委員会では長谷川委員からもご質問がございまして、音声拡大読書器の全盲者への対象拡大についてはそれぞれ同じようなご質問をいただきました。私どもは、検討いたしました結果、今お話があったように、文字情報でございます郵便物とか印刷物を音声にかえる機能を持つ用具というのは、本当に全盲の方々にとっては必需品ではないかなと考えているところでございます。そういった意味で、全盲の方々に対しまして、音声で読み上げる機能に着目をいたしまして、本年4月から給付することができるような準備を進めているところでございます。 ◆宮川潤 委員  そういうことでは、全盲の方にとっては朗報だと思います。昨年から質問として取り上げてまいりましたが、こういうことはぜひ早く決断することが大事だろうと思います。  先ほど、いろいろ機種があると申し上げました。カタログを見せていただきましたら、デスクトップ型のかなり大きな機械で、さまざまな機能の備わった機種もありますし、携帯型のゲーム機かデジタルカメラ程度の大きさのものもあります。高機能の機械を駆使してさまざまなことをやりたいと言う方もいますが、そういう方ばかりではなくて、機械が苦手な場合には、機能が限定されて簡単に操作できるものがいいと言う方もいらっしゃいます。市としては、なるべく安く済むほうがいいということになりがちでありますが、拡大読書器について価格の制限を設けることで機種選択の幅を狭めてしまうことがないようにしていただきたいと思いますけれどもいかがか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  障がいのある方が選択しやすい福祉用具の機種の選定についてというご質問でございます。  まず、これまで音声読み上げ機能がついている拡大読書器を対象としていなかった全盲の方につきまして、先ほど局長から答弁させていただきましたように、今回、給付の対象とさせていただくことにしました。これらについては、基本的にはご本人の意向が反映できるような工夫という観点から、1年間、検討してきたものでございます。  なお、視聴覚障がい者を対象としたいわゆる情報支援機器につきましては、一般に高額なものが多い傾向がございまして、音声読み上げ機能を備えたものは、従来は20万円、最近では委員がご指摘のとおり10万円程度の価格帯の製品も出てきております。これらは、一長一短でございますが、やはり、用具そのものについては、日々、技術が進歩しておりますし、用具の種類もだんだん多様化してきております。  そういった面では、日常生活用具の中でどういった用具を給付していくのかということについては、我々としては時とともに非常に悩むところです。しかし、基本的には、それぞれの障がいに着目して給付をしていきたいと考えておりますし、新しい用具としてどのような用具を給付したらよいのかは、関係団体のご意見等も伺いながら引き続き検討していきたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  私から、3点質問させていただきます。  1点目は精神科救急医療体制整備事業について、2点目は保健福祉の相談窓口について、3点目は災害時要援護者避難支援対策について、この3点について、順次、一つずつお話を伺っていきたいと思います。  初めに、精神科救急医療体制整備事業についてお伺いいたします。  いわゆる精神疾患については、近年、その患者数が急増しており、国の患者調査では平成20年に320万人を超え、4人に1人が生涯で鬱病等の気分障がいや不安障がい、物質関連障がいのいずれかを経験しているとも指摘されております。さらに、高齢化の急速な進展に伴いましてアルツハイマー病などの認知症も全国的に急増しており、まさに精神疾患は私たちの身近な疾患と言えます。  このような背景のもと、国は、今年度、都道府県で改定作業が進んでいる地域医療計画において、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4大疾病に精神疾患を加え、5大疾病とすることとし、精神疾患に罹患しても、より多くの方がそれを克服し、地域や社会で生活できるような医療提供体制の構築を目指しております。本市におきましては、平成25年度の予算に約1,100万円を計上いたしまして、平日の夜間と土曜日、日曜日等について、精神科救急患者用の空きベッドである空床を現在の1日1床から2床へとふやし、民間病院で精神科救急入院料を算定する、いわゆるスーパー救急病院の協力も得て病院群輪番を2体制化して充実強化をするとの説明がなされております。  北海道警察がまとめましたデータによると、本市では毎年400人前後の方が自殺しております。中でも、身体疾患を中心とした健康問題を抱えた60歳以上の男女の自殺が特徴として挙げられております。また、WHOの調査では、自殺者の96%に何らかの精神疾患があったという報告もあり、今後、超高齢社会を迎え、認知症等がますます身近になる札幌市において、夜間、休日の精神疾患にかかわる急性症状に対し、確実にかつ手厚く医療を提供することは極めて重要なことであり、私も今回の充実策には期待を寄せております。  そこで、質問ですが、まず、確認の意味で、現在の札幌市の精神科救急医療体制の現状と今回の体制強化を図った背景について伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  精神科救急医療体制整備事業につきまして、現状と、今回、体制強化を図った背景等についてご説明させていただきたいと思います。  まず、現在、札幌市における精神科救急の医療体制につきましては、まず、当番病院による病院群輪番制と精神科救急情報センターとで構成されております。まず、一つ目の病院群輪番制でございますが、これは、北海道が実施主体になっておりまして、平成11年から全道を八つのブロックに分け、それぞれのブロックごとに当番病院を毎日1カ所指定し、急な入院に備えて空きベッドを確保し、必要な診療を行うという事業でございます。また、精神科救急情報センターにつきましては、搬送先となる病院との円滑な連絡調整を行うため、平成16年に札幌市が設置いたしまして、関係団体に委託をして実施しております。この事業は、当事者や家族のほか、警察や消防等からの通報、相談を受け、適切な処遇に振り分けるなどの業務を行っております。この精神科救急情報センターの相談実績でございますが、平成23年度には総数で約4,100件、このうち、医療機関への受診につなげたものは558件、入院につなげたものが182件となっております。  次に、今回、体制強化を図った背景といたしまして、一つ目には、当番参加病院ですが、札幌市内に38の精神科病院がございますけれども、そのうち、現在は27の病院がこの当番に参加をしていただいております。しかし、必ずしも全ての精神科病院が参加をしているという状況ではなく、年々、病院が減少しているという傾向がございます。二つ目には、当直が必要になってまいりますが、当直が可能な医師数の全体的な不足と、もう一つは、医師の高齢化などにより医療現場の負担が過重になってきております。また、三つ目には、救急患者の受け入れの中心となる当番日の個室や空きベッドの確保が困難になってきております。これらについて、関係団体である精神科医会などからご指摘をいただいておりまして、このままでは現行の体制がいつまで維持できるかといった懸念の声、将来的な不安といったことが背景となってございます。  札幌市が属するブロックは、道央ブロックで札幌圏と後志圏になっておりますが、道内の他のブロックよりも人口規模が非常に大きく、全体としては260万人程度の人口を抱えております。ここで発生する患者については、当然、人口基盤が多いことから発生する事例が数多くございまして、万一、確保している1床の空きベッドに患者が入院した場合、その後に急患が発生したときにはその対応が困難であるというような課題がございました。これらの課題につきまして、札幌市の精神保健福祉審議会での審議を経ながら、札幌市と関係医療機関、そして精神科医会の先生方との間で約4年にわたり協議を重ねてきたものでございます。 ◆丸山秀樹 委員  4年にわたり協議を重ねてきたということです。私もいろいろ調べてみましたら、札幌圏、後志圏は、少ないところと比べると人口では8倍ぐらい、病床数では20倍くらい多いということもわかった次第です。現在、北海道で改定作業が進められている医療計画は、既にパブリックコメントを終えていて、札幌市内を初め、半数以上の輪番病院において夜間、休日の空床確保が困難な状況にあるとの現状認識を素案で明記しているようです。  その一方で、本市は、平成25年度から病院群輪番を2体制化し、空床をふやすとしています。しかし、今、輪番病院がふえず、高齢化も進んできて、38のうち27ということはやめてきているところも少しずつふえてきているのかもしれないような状況の中で、各病院の負担はますます増加し、疲弊させる懸念もあろうかと思います。  そこで、質問ですが、市民が安心できる安定的な救急医療体制とするためには、平成25年度以降、どのような輪番体制を構築することになるのか、具体的には、スーパー救急病院の協力を得た体制の仕組みについてどういう形になるのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  平成25年度以降の輪番体制の構築についてでございますが、輪番に参加していただいております精神科病院は、先ほど申し上げたとおり、現在、27病院でございます。この輪番体制が、現在の1体制から次年度からは2体制になることによりまして、単純に計算いたしますと、27日に1回、当番が回ってきます。二つの体制に分割しなければ、今度、輪番体制を強化したときに、単純にその倍、約13日に1回の当番になります。そうしますと、やはり各病院の負担が倍増することになります。そこで、この負担増加を防ぐために、精神科救急の病棟を設置する病院、いわゆるスーパー救急病院として国の指定を受けております市内四つの病院が当番日の多くを引き受けることにより、他の輪番病院の負担をふやさないという配慮をいただくことになりました。さらに、二つの輪番制にすることにより、1日当たり2人分の空きベッドが確保されることになります。さらに、3人目の入院を要する場合はどうするかということですが、こういった例が発生したときには、スーパー救急病院の中から受け入れ可能な病院等に依頼をしまして迅速な対応を図る予定でございます。 ◆丸山秀樹 委員  今、単純に計算すると13日に1回ぐらいになる予定が、スーパー救急病院、今で言うところのさっぽろ香雪、トロイカ、大谷地、常盤の4病院の協力も得る形で体制を少し緩和するというようなお話だったのだろうと思いますが、4月以降の輪番体制は、各病院との協力関係の上で充実するということを伺いました。  精神科救急医療体制の整備については、昨年策定されました第3次札幌新まちづくり計画にも位置づけられておりまして、1次外来、対応施設の整備など、重層的な精神科救急医療体制の充実を図るという記載がございます。  そこで、質問ですけれども、今後のあるべき姿として、まちづくり計画の最終年次である平成26年度までにどのような充実策を検討していくのか、伺います。 ◎天田 障がい保健福祉部長  第3次新まちづくり計画の最終年次である平成26年度までにどのような充実策を検討していくかということでございます。  まず、昨年4月から、私どもの市立札幌病院の精神医療センターで、精神症状と身体症状を有するいわゆる合併症患者の対応を開始しております。さらに、来年度からは、スーパー救急の病院として大きな役割を担います輪番体制がスタートいたしますが、これによりまして、複数のスーパー救急病院が協力して患者対応を行うとともに、身体合併症をお持ちの方については市立札幌病院の精神医療センターが一般の救急医療と連携して対応するなど、他の自治体には例のない重層的な体制が実現する見込みでございます。一方、現在の精神科救急医療の体制は、緊急に入院を要する患者の対応が主であり、不眠、不安、いらいら、または薬切れといった軽症の患者への夜間・休日の対応が必ずしも十分ではなく、検討が必要と認識しております。  また、精神科救急情報センターが現在受けております電話につきましては、入院病床を持たない精神科クリニック等の通院患者からの相談が非常に多くあります。夜間、休日等で緊急に対応が必要となった場合に、薬の内容を置いてあるとか、病状の情報が得られず苦慮する場面もございます。このため、今後は精神科クリニック等との連携強化策を検討してまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  今お話にありましたように病床を持たないクリニックも非常に多いということで、私も市民相談でよくそうした相談を受けます。また、入院しても3カ月で出されてしまうという状況も話としてよく伺うところですが、札幌市は、そうしたことに対して、合併症などについては市立病院でしっかり体制を組んでいく、また、スーパー救急病院の協力も得ていく体制をとっておられることは評価したいと思います。  現在、都道府県と政令市の二重行政ということが全国的にも非常に大きな議論になっているところですが、北海道と札幌市の間でも、いわゆる箱物と言われる施設以外に、十分連携をしていかなければいけない分野があり、この分野もきっとそうした分野の一つであろうというふうに思います。今回、精神救急医療の体制整備を理解するためには――北海道が事業主体だということもありまして、本市の保健福祉局の職員が北海道に対して何度も足を運んだということも、学んで非常によくわかりました。仕組みが非常に複雑なのですよ。八つのブロック分けがあったり、病院数、病床数、また、輪番体制があったり、さらに受診数、入院数の実績ということで、これが絡まってくることになります。こうしたことを勘案して八つに分けているのだろうと思うのですが、その集積度合いからすると、札幌はやはり大変な状況に置かれているということもわかった次第でございます。4年かかったと聞いていますが、粘り強く働きかけた一つの成果だったのだろうというふうに思います。市民の関心が高く、生活への影響も多い保健、医療、福祉の分野については、ほかにも北海道との連携が必要であり、また、課題も多いということで、本市におきましては、今後とも北海道との十分な協議と連携に努めていただきたいと思います。  また、精神科救急医療体制の充実を図る今回の見直しは、各病院や警察、消防などの関係機関との調整も当然必要になってくるものと思います。市民が安心できる体制となるよう、十分な準備をしていただきたいと思います。  そして、保健所で計画されている救急安心センターさっぽろが平成25年10月に開設されますが、聞くところによりますと、精神疾患に対応できる体制にはなっていないということで、そうした場合は精神科救急情報センターを紹介することになっているというように聞いております。ついては、救急安心センターさっぽろと精神科救急情報センターとの円滑な連携、協力体制が築かれることが重要となると思います。その点についても連携協力、体制円滑化を求めて、二つ目の質問に移りたいと思います。  次は、保健福祉の相談窓口について質問いたします。  先にも述べましたけれども、超高齢化の進展や長引く景気停滞などを背景にしまして、独居高齢者を初め、障がいのある方や母子世帯など、日々の暮らしにおける悩みや将来に不安を抱えている市民がふえております。そうした中、社会環境や生活様式、意識の変化などに伴い、保健福祉にかかわる市民の悩みも複雑多様化しております。区役所の相談窓口はそうした市民のさまざまな悩みの一つ一つを聞き逃すことなく、個々の課題解決へ適切に導くことが求められます。  しかし、保健福祉の制度は頻繁に改正されておりまして、また、その情報も多岐化が進んでいることから、市民にとっても各制度の仕組みや相談窓口がわかりにくくなっているのが現状です。平成25年度に各区役所に開設される保健福祉の相談窓口は、市民の総合・横断的な相談にきめ細かく対応し、市民サービスの向上を図るとしていますが、この窓口の開設によって何が変わり、どのような効果があると考えているのか、窓口開設の具体的な狙いを初めに伺います。 ◎渡辺 総務部長  保健福祉の相談窓口の狙いにつきましてご質問でございます。  さまざまな悩み、あるいは困難を抱える市民の方々の中には、どこの窓口に相談したらよいかわからないまま、不安な気持ちで区役所に来られる方も数多くいらっしゃいます。このたびの保健福祉の相談窓口の取り組みは、そうした市民の方々の気持ちを受けとめられるよう、保健、福祉、医療にかかわる総合・横断的な相談窓口の新設によりまして、親身できめ細やかな対応を実現すると同時に、各種制度の所管する専門相談窓口間の連携体制を強化することを狙いとするものでございます。具体的には、新しい窓口では、複数の課や係にまたがるような相談に、まず専任の担当職員がじっくりと耳を傾けまして、そして、相談者の課題を整理した上で関係窓口へつなぐとともに、その際、相談の要点や関係情報を記載いたしました受付票もあわせて引き継ぐことによりまして相談者が円滑にサービス等に結びつけることを目指すものでございます。また、この受付票でありますけれども、引き継いだ各窓口での対応結果を記載し、返送されますので、相談窓口の担当職員は、相談者の課題全般にわたる対応結果を確認するとともに、もしサービスなどに結びつかなかった場合の継続対応など、関係窓口との連携によるきめ細やかな事後支援も可能になると考えております。  さらに、先ほどこじま委員からもご質問がありましたけれども、相談窓口の補助スタッフといたしまして配置いたします案内員は、フロアで迷っている方への声かけなどを通じまして適切な窓口を紹介し、介助の必要があれば同行案内や申請手続も支援するなど機動的に対応を行います。これによりまして、いわゆるたらい回しなどの防止とか時間短縮といった来庁者に対するサービスアップにもつながるというふうに考えております。このような新しい相談窓口の設置を通じまして、悩みや困難を抱える市民の支えとなる区役所の体制をより一層強化してまいりたい、このように考えております。 ◆丸山秀樹 委員  総合・横断的にたらい回しをなくしていきたいというお話もございましたし、また、専任の担当職員をしっかり設けていくということでございました。  先ほどこじま委員から案内員に対する質問がございましたけれども、案内員とともに配置される相談担当職員について次の質問をさせていただきたいと思います。  窓口に来庁する市民というのは、先ほどからずっとお話をいただいておりましたけれども、困難な課題を複数抱えている方ですから、ただ案内してほしいだけではなくて、さまざまなことで困惑している状況の中で相談してくることが予想されると思います。この窓口には専任の係長職が配属されると聞いておりますけれども、この職員には、幅広い保健福祉の制度知識はもとより、市民の話を聞きながら複雑に絡み合った課題を解きほぐして、課題の緊急度や優先度を見きわめて適切な専門窓口につなげていくための相談対応のスキルが求められると考えます。  そこで、質問ですけれども、こうした高度な専門スキルを身につけた職員の人材育成のためにどのような方策を考えているのか、伺います。 ◎渡辺 総務部長  担当職員の人材育成の方策についてのご質問でございます。  保健福祉の相談窓口には、保健福祉分野での業務経験を持ちました専任の担当係長を各1名配置することを予定しております。委員のご指摘のとおり、窓口はさまざまな悩みや困難を抱える方が訪れることが想定されますので、担当係長には、言葉の細部まで注意深く聞きまして、そして、相手の訴えを酌み取る相談対応力、傾聴力と言いますけれども、そういうような対応力に加え、さらに、各種制度に関する幅広い知識が必要になると認識しております。このため、この係長には、外部専門家を講師といたします集合研修を実施いたしまして、相談対応の心構えとか、基本知識・技術を習得する機会を設けることとしております。また、多岐にわたる各種制度に関する知識習得に当たりましては、業務主管部の職員を講師とする研修を行いますほか、関係制度資料を集約いたしましたマニュアル等の整備も予定しているところでございます。  なお、これらの研修は、担当係長が配属された後の4月に集中的に行うことにしておりますので、その他各種準備も整えた上で、窓口の開設時期につきましては、ゴールデンウイーク明けを予定しております。また、窓口開設後におきましても、職員の人材育成の方策につきましては、この効果の検証などを踏まえながら、今後とも継続的に研究してまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  言葉の細部も含めて外部の研修などもしっかりやっていく、また、マニュアルなどもしっかり整備していくというお話でございます。いただきましたスキームの中にも、大事な三つのポイントがあるということで、相談担当職員には三つの役割が示されております。一つは、先ほどお話がありました傾聴であり、窓口案内であり、この事業の最大の魅力の一つにもなる事後フォローというものがございます。この中でも、事後フォローは非常に大事だろうと思うのですけれども、複数の窓口サービスがあって、つまり、何に困って何で悩んでどうなったのかということを最後まで追跡してくれる、こうしたサービスを受けたのだということがなければ、やっぱり満足してお帰りいただけないという状況になるのではないかと思います。そうしたことをしっかりフォローして、どこかにつなげていく、網の目から漏れる人をつくらないように相談窓口としての機能をしっかり果たしていただきたいと思います。  この事業の予算を見ましたら、ほとんどが人件費のようでございます。きょうは財政局も来ていますけれども、保健福祉局は約4,500万円を要求しました。ところが、財政局査定で2,300万円になったわけです。5月から始まるとして11カ月間、1.5人区で計算していたのですが、最終的に1人区になったという状況でございます。実は、病気になっても休めないような案内員の事業予算になっているということなのだろうと思いました。そうしたこともありますので、できれば、事業の経過によりましては体制の強化もしっかり検討を願いたいということも含めて、この質問も終わりにしたいと思います。  次に、三つ目は、災害時要援護者の避難支援対策について質問させていただきます。  この事業につきましては、私も平成24年の1定の予算特別委員会及び3定の決算特別委員会で、市としての取り組み、地域への支援や普及活動等について質問してまいりました。その際の答弁としては、本事業を円滑に実施するためには、日ごろ、近隣関係が築かれていることも大切ですから、その基本となる日常的な見守りや安否確認活動を推進する取り組みもあわせて支援を行い、普及啓発については、出前講座やフォーラムの開催とあわせて、取り組んだ地区の活動取り組み事例集を作成していくとの答弁をいただいたところでございます。  そうしましたら、このたび、事例集を作成していただけるということで、その印刷段階のものを見せていただきました。連合町内会の取り組みとして厚別区の厚別東連合町内会の具体的な事例や、単位町内会としては手稲区つくし町内会の取り組みの手順と概要、またさらに、その二つの地区で実践されたときに使用された募集のチラシとか、要援護者の避難支援に当たっての基本的なルール、こうしたことも全て盛り込まれておりまして、これは、これから取り組もうとしている地域の活動に役立つものになるなということで私も大きな期待を寄せました。  そこで、質問ですけれども、市として、今回、作成いたしました活動取り組み事例集をどのように周知して地域の取り組み支援に活用していくつもりなのか、伺います。 ◎渡辺 総務部長  活動取り組み事例集の周知と活用ということについてのご質問でございます。  この事例集でございますけれども、今、委員からもご紹介ありますけれども、先駆的な連合町内会並びに単位町内会において実際に取り組んだ具体的な手法及びその内容を手順を追って解説するものでございます。これから取り組もうとする地区、さらには、既に取り組んでいる地区におきましても、活動の推進に向けたイメージをしやすいものになっております。そこで、周知の方法として、配付先でありますが、全ての連合町内会及び単位町内会のほか、地区福祉のまち推進センターにも配付したいと考えておりまして、3月中の配付を予定しているところでございます。さらに、この取り組みにつきましては、民生委員・児童委員の皆様の協力も必要になることから、民生委員・児童委員の皆様にもあわせてこの時期に配付いたします。  また、地域の取り組み支援における事例集の活用方法といたしましては、取り組みを希望する地域の関係者の皆様方に、これまでに作成してまいりました災害時支え合いハンドブックとかモデル事業の報告書にあわせまして、この事例集の内容についても丁寧にご説明を行い、事業に取り組む際の参考として活用していただくことを考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  全ての単位町内会、また、福まち、民生委員にも3月中に配付していくということで、このことにつきましては心から感謝を申し上げたいと思います。この事例集を活用して、一つでも多くの地区が取り組むことができるよう、区保健福祉部の地域への支援を引き続き継続していただきたいと思います。  しかしながら、本事業は、一度、要援護者と支援者を組み合わせたら完成するものではございません。例えば、転出入があったときは、再度、組み合わせを行う必要があるなど、メンテナンス作業にも大変時間を要することになります。また、3定の決算特別委員会でも申し上げましたが、災害時要援護者避難支援事業の取り組みをきっかけとして地域での活動が進んでいくと、保健福祉の枠を超えた地域づくり、防災体制づくりへと発展し、防災と福祉による新たなまちづくりを展開していく地区がふえていくことが予想されます。また、まちづくり戦略ビジョンの基本目標13の中にも、地域防災力が高く、災害に強いまちにしますと掲げられており、万が一の災害発生に備え、自力で避難することが困難な災害時要援護者への避難支援の充実強化など、地域の自主防災組織、消防団、関係行政機関などが連携した実践的な地域防災体制を進めることになっているはずです。  こうした地域の防災力の強化の取り組みに関しては、行政サイドでは、市民まちづくり局、危機管理対策室、消防局、また保健福祉局、区役所など、さまざまな部署が縦割りでかかわっておりますが、こうなってくると、見守りなどの福祉と合わせたまちづくりの一体化が望ましいと考えます。しかしながら、地域がこの事業に取り組むには、全ての事柄を関連づけながら総合的に取り組むこととなり、結果として、地域と密接な連携を持っているまちづくりセンターの負担が非常に重くなるのではないかとも懸念します。  そこで、質問ですが、この事業の取り組みを拡大させ、継続させていくために、保健福祉局としてどのような支援をしていく考えなのか、伺います。 ◎渡辺 総務部長  災害時要援護者避難支援対策の取り組みを拡大していくための保健福祉局として支援の考え方についてお答えいたします。  これから災害時の要援護者避難支援の取り組みを希望する地区に対しましては、福祉のまち推進センターや民生委員・児童委員などによる日常的な見守りや安否確認活動を推進する取り組みをベースとして支援を行うことが重要と考えているところでございます。このため、地区を担当する保健師など区の保健福祉部の職員が、今後、地域に積極的に出向きまして、まちづくりセンターとの連携を図りながら活動に対する支援を進めていく体制を整えてまいりたいというふうに考えております。また、既に取り組みが進められている地区に対しましては、継続性という観点から、要援護者と支援者の状況変化に応じた体制を維持できますよう、先進的に取り組んでいる地区の事例を紹介するなどの支援も行ってまいりたいと考えております。  さらに、取り組みの拡大とともに、要援護者避難支援対策からさらに一歩進みまして、地区の防災対策という形で展開を図ろうとする地区に対しましては、その動きの中から生ずる地区の要望、あるいは課題といったものを区の保健福祉部が把握し、必要に応じて区の市民部とか消防局などとしっかり連携しながら対応することができるよう、関係部局に対して情報提供や働きかけを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  各地域が今回の事例集を手にしたときに、各区の相談、または応援体制がしっかり図られていかないと、それに応えられない状況が生まれてくることも予想されると思います。実は、今まで約1年間ぐらい、私たちの厚別区の事例が広報さっぽろに連載で掲載されておりまして、今回で最終回を迎えてしまいましたけれども、その中で一貫して言われていることは、やはり、この事業というのは継続が非常に大事で、一つは、情報の更新をしっかりやっていかなければいけない、そして、防災の普及啓発を図っていかなければいけない、このことをやり続けていかなければいけないのだということでした。そうした市民ニーズにかなうように、ぜひとも全庁的な応援体制を敷いていただきたいことを求めまして、私の質問を終わります。 ○長谷川衛 副委員長  以上で、第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。  次に、第4項 生活保護費について質疑を行います。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、生活保護の適正化対策について、さらに、生活保護者に対する就労支援について、大きく2点について伺いたいと思います。  まず、生活保護の適正化対策についてであります。  今年度予算における人件費あるいは公債費、扶助費といった義務的経費は、約4,446億円と非常に大きな金額になっていて、対前年比83億円の増となっております。予算額に対する比率も1ポイント上昇して52.2%になるなど、財政の硬直化の進展は予算にもあらわれてきていることから、これ以上の財政硬直化が進まないように何らかの方策を検討する必要があるのではないかと考えるところであります。  特に、扶助費についてですが、2,629億円と、対前年度比6.3%増、金額にして約155億円、1年分の除雪費に相当するような大きな金額がいきなりふやされている状況であります。これも、本市の財政を圧迫する大きな要因となっていると考えます。今回、2,600億円ですが、ちょうど5年前は1,800億円だったのですね。この5年間で大体800億円ふえている状況であります。  こうした財政硬直化の事態を回避するためにはどうしたらいいかというと、依然として厳しい経済・雇用情勢を踏まえて、地域経済の活性化に向けた事業に積極的に取り組んでもらうこと、これはもちろん一つ出てくるかと思います。また、負担の大きい扶助費について、特に、50%以上を占める生活保護費については、適正化や雇用促進を含めた積極的な取り組みが急務ではないかというふうに私は思うところであります。  そこで、質問ですが、本市において生活保護制度の適正化に向けた取り組みはどのようになされてきたのか、また、課題点、問題点をどのように把握されているのか、伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  札幌市における生活保護の適正化に向けた取り組みといたしましては、早期の資産収入調査による困窮状態の把握や、年1回、行われます課税調査を実施しているところであります。さらには、医療・介護扶助の適正実施に向けて、レセプト点検の外部委託を初め、重複受診防止のためのレセプト点検員及び介護点検指導員を配置し、さらには、暴力団員排除等のため、暴力団及び粗暴な者の対応になれている警察OBの生活保護特別指導員を配置しているところであります。また、生活保護適正化対策事業として、所轄署と連携を図るため、暴力団関係世帯点検及び関係機関連携事業を実施し、資産調査の中でも、自動車に関しては、年1回、自動車保有世帯調査指導事業を行っているところでございますが、他人名義のものや詐取したものについては発見が非常に難しい現状でございます。  国の法定受託事務であります生活保護では、受給者及び扶養義務者の収入等について、我々は調査権は持っておりますが、対象機関の回答義務がないため、限界があるところでございます。そこで、政令指定都市市長会などで、自治体の調査権限の拡大や強化について国に申し入れをしているところでございます。  さらに、生活保護の適正化に重要な事柄といたしまして、ケースワーカーの適正配置と技量の向上が不可欠であります。そのため、毎年、ケースワーカーの増員を行い、適正配置に努めているところであります。また、本庁が主催する研修の実施や、全国平均より高い抽出率を確保した生活保護法施行事務指導監査を通じて、ちなみに全国平均が4.8%ほどの抽出率で監査をしておりますが、札幌市の場合、ケースワーカーと1対1で、受給世帯が抱える問題点の解決に取り組み、必要な指導を行っているところでありまして、札幌市の場合には6%程度の抽出率で、現場としては頑張っているというところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  現場として頑張っているのは、私もよく存じているところであります。非常に大変な部署であるというふうに思いますし、また、さまざまな事案もございます。  生活保護は、命と暮らしを守る本当に最後のセーフティネットとして、本当にあらゆる努力をしてもなお生活に困っている人に対して生活を保障するとともに、その自立を助ける、そういう大切な制度であります。貴重な税金を財源として、全額、公費から支出されていることは周知のとおりであります。私は、この生活保護制度が本当に信頼されるためには、安心して利用できる制度であることと、やはり、もう一つ大切なことは、不正を絶対に許さないということでありまして、この二つをきちんと両立てで考えていかなければならないのではないのかと感じているところであります。  しかしながら、現実に目を向ければ、先ほどの答弁にもちらっとありましたけれども、もっと全国的なことで言えば、生活保護制度をめぐる問題は本当にさまざまな事件として明らかになってきているところであります。収入の無申告から他人への成り済まし、偽装離婚とか偽装DVだとか、そうした虚偽申告までさまざまであります。  そこで、二つ目の質問でありますが、本市においては不正受給の実態把握がどの程度なされているのか、もう少し具体的な事案を含めて伺いたいと思います。
     また、その事案はどういった経緯で明るみになったのか、あわせて伺います。 ◎中村 生活保護担当部長  生活保護は、皆様方の貴重な税金を財源として運営している制度でありまして、不正に対して厳しい姿勢で臨み、不正受給を減らしていくことは、生活保護行政に対する市民の信頼を得るためにも非常に重要なことだと認識しております。  そこで、札幌市における生活保護の不正受給についてでございますが、平成23年度は、632件、合計金額が3億3,827万円となっております。平成23年度の市内の保護世帯数は4万7,716世帯ですので、不正受給の発生率は1.3%となっております。  また、不正受給が発覚した経緯についてですが、平成23年度は、銀行などの関係先調査による発見が440件で、不正受給全体の69.6%、さらに、部内点検による発見が151件、同23.9%となっております。この部内点検による発見といいますのは、ケースワーカーが家庭訪問などで保護受給者と会話する中で不審な点に気づき、本人に問いただして不正が発覚した場合や、保護受給者から提出された書類を確認したケースワーカーが不自然な点に気づき、本人に問いただしたり、あるいは金融機関に調査するなどして不正が発覚したような事例であります。特に、平成23年度は部内による発見がふえておりまして、これは、生活保護の最前線に立つケースワーカーが限られた法的調査権の中で基本的な訪問調査活動をし、地道にこつこつと積み重ねたことにより実を結んだものだと認識しております。  ちなみに、外部からの情報提供につきましても、平成23年度で40件、6.3%の発見がございました。 ◆阿部ひであき 委員  額としては非常に大きい額でありますね。私は、ケースワーカー一人一人の地道な作業でもって発見されているというのは、本当に頭が下がるような思いであります。  しかしながら、ケースワーカーというのは非常に忙しい方々で、そういう部分では、本当にこれにばかり当たっていられないところも出てくると思うのです。生活保護率の1位は大阪市でありますが、生活保護者が抱える自立阻害要因というのは非常に多様化してきて、ケースワーカーの指導の範囲を超えるものが多く、それが非常に負担となっておりまして、あわせて、生活保護受給者や扶養義務者に対する調査権限や指導権限等が不十分であることから、不正受給を抑止するための対応として、市全体の共通の課題認識として平成21年に全庁横断体制であるプロジェクトチームを設置しました。さらには、24年には副市長をトップとした生活保護適正化連絡会議を設置して、生活保護の適正な執行を確保していくために、より効果的・効率的な手法や体制及び国への制度改革要望について市全体で検討を進めているというふうに聞いております。また、第3位の京都市においても、平成21年9月から、保健福祉局長を本部長とした京都市生活保護不正受給防止等対策推進本部を立ち上げて、未然防止、早期発見、徴収対策の三つを柱に各福祉事務所において厳正に対処するべく取り組みを進めているというふうに聞いております。  私は、やはり、これらの多様な事案に対して、一人一人のケースワーカーが発見して、それを問いただしていくだけでは、その根っこに潜在化している不正受給の問題が本当に解決するのだろうかと考えているところなのです。大阪においても、京都においても、こういうものを専門的に扱う部署がありますが、しかし、本市においては、今はそれが全くないわけでありまして、そういったことを考えると非常に温度差を感じるところであります。  そこで、三つ目の質問ですが、財政構造上、硬直化の要因となっている生活保護制度に対する適正化推進事業は、本市にとって急務と言える取り組みだと私は考えるのですけれども、本市の見解を伺うものであります。 ◎中村 生活保護担当部長  先ほども申し上げましたとおり、札幌市でも適正化対策事業は行っておりまして、これによって不正受給の発生率も1.3%と抑えているところでございます。しかし、不正受給に対し、現行法上、調査権等が十分ではなくて、調査に限界がございます。捜査権はございませんので、ケースワーカーのみでは対応できない場合が多々ございます。  ただし、元来、生活保護制度はあくまでも保護受給者を自立に導いていくことを主たる目的として行います福祉施策でありまして、保護受給者の自立に向けた支援を行っていくことが第一であると考えております。ここ数年、生活保護の話題が報道機関等で取り上げられる機会がふえ、その中でも生活保護の不正受給に多大な関心が寄せられていることは十分認識しておりますが、大多数の保護受給世帯が適正に保護を受けている状況にありますことから、今後とも、生活保護事務の基本に立ち返り、保護受給者の自立に向け、地道に訪問調査活動を継続してまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  こういう言い方をすると、本当に申しわけないなと思うのですが、その1.3%というのは氷山の一角ではないのかと思うところであります。調査権がないのは重々承知をしているところであります。しかし、調査権がなくても、実態はやっぱり把握しなければならないと思うのですよ。本市における状況はどういう状況なのだろうかと。実際にそういったことに足をとめるというか、一歩を踏み出さないと、やっぱりそれは見えてこないことだと思うのです。そういったことを考えると、その一歩を果たしてどこで踏み出すのかなというところなのです。  そこで、きょうは、上田市長に出席をお願いしておりまして、段々のやりとりを聞いていただいたところだと思います。私は、端的に申し上げて、生活保護費をめぐる不正受給の問題、あるいは貧困ビジネス、また、医療扶助をめぐる不正申告なども当然ございまして、こうした問題が全国的に顕在化している昨今であります。先ほども言いましたように、私は、これは氷山の一角であると感じるという話ですけれども、やっぱり、本市においても、このように潜在化している部分の問題の解決には、現場を扱う本市の全庁的な取り組みの展開が急務ではないかと考えます。  そこで、市長に質問でありますが、ケースワーカーの声をスムーズに吸い上げて、そうした事例あるいは事案を専門的にしっかり調べるといいますか、そういった全庁的な部署が一つ必要ではないか、それをつくることによって、むしろケースワーカーの負担を減らすことができるのではないかと考えるのですが、見解を伺いたいと思います。 ◎上田 市長  この問題につきましては、政令市市長会でも、特に大阪市、京都市、あるいは堺市などがたびたび話題になります。先ほど部長からお話がありましたように、市長会としては調査権限をもう少し強化してほしい、少なくとも照会できる権限はあるわけですから、それに対して回答義務がないのは本当に調査権限という名にふさわしくないという状況もございますので、やはり法律的な措置をしてほしいという意向を勧告する要望書を出しておりますし、そういうことは市長会としてかなり強い意見として申し上げているところであります。大阪の場合は、橋下市長になる以前の市長の時代でありますが、非常に熱心にこの問題に取り組んでおられました。熱心に取り組むということは、それだけ問題性がかなり顕在化しているという意味合いでもあります。ただ、前市長の場合は、取り締まりというところがなかなか――先ほど来部長が申し上げていますように、大多数の適正な受給を受けておられる方々の権利を保障することと、社会的な偏見といいますか、そういったものを助長するようなことはやりたくないと。市政の中で、やはり、寄り添い型の丁寧な支援活動をしていく中で指導をしていく、あるいは、本当に犯罪的なものについては告発していく、そういうことをやってきているところであります。  私も、たまたまNHKで特集がございまして、ケースワーカーがどれだけ苦労して就労支援等をやっているかという大阪市の取り組みのドキュメントが放送されたことがございますが、本当に頭が下がるすばらしい活動をされていると思います。そういうものを見て、やはり市民の皆さん方が理解を深めるということと、おかしいなと思うことについては、告発というよりも、ちょっと調査してほしいという形で言われるものについて重点的に面接をしっかりする、そういうことで不正が起こらないように予防していこうという制度が一番温厚な方法であろうというふうに思います。  また、京都の市長の発言によりますと、不正受給を奨励するような、こうやればとれるというようなことがインターネット上で飛び交っているということも主張されておりまして、私ものぞいたことがありますけれども、やはり、相当厳しい非倫理的、没倫理的な社会が醸成されていることについては危機感を持つ一人でもあります。ただ、今の1.3%が多いか、少ないかということについては、評価の問題でありますので、ここで、あのまちは何%でこのまちは何%ということは申し上げません。  また、今、ケースワーカーの負担を軽減するという意味合いで専門部署をつくってはどうかという阿部委員のご提案でありますが、それも一つの考え方かというふうに思いますけれども、やはり、それが取り締まり的な性格を持つようなことになりますと、やはり、全体の制度の理解が偏見に類したものになっていく可能性を十分に秘めているというふうなことも考えます。いわゆる大阪などでよくやられているドクターショッピングとか貧困ビジネスとか、薬を転売するとか、そういうふうなことは、しっかりとしたレセプトチェックということで、札幌の場合はほぼ問題ないだろうと言われているところであります。ですから、私どもは、とりあえず、今でもできるいろいろな側面的調査方法をしっかりやって、その上で不正に至らないような状況をつくっていくといいますか、そういうことに最大限の努力をさせていただきたい、こんなふうに考えているところであります。 ◆阿部ひであき 委員  私は、最初に、安心して利用できる制度であり、そして、不正を許さない制度であるという話をさせていただいたところです。やはり、不正を許さない制度をやっているということをしっかり見せることが、私は、大多数の生活保護を受けている方々の権利を保障することだというふうに思うのですよ。それがないと一緒くたにされてしまって、多くの市民の方々が不信感を持っている。これは全国的にも言えることでありますけれども、そういったことを考えたときに、やはり、厳しくすべきところは厳しくする。ただし、今その権限がないというのであれば、少なくとも実態は把握すべきだと思うのです。そのためには、どういうふうにやるかというと、やっぱり、一歩踏み出して、ケースワーカーがこれは相当疑わしいというふうに思ったら、その疑わしいことに専門的に当たる人たちがいるといないとでは大きく違って異なってくるわけであります。そこに目をつぶってしまって、これ以上になるとわからないからと言ってうのみにしてしまっている部分が随分あるのではないかなと思うのです。やっぱり、そうしたところでは、適正化の問題というのは、しっかりと取り組む姿勢を見せることではないのかなと。そして、しっかりと把握した実態を国に上げることによって、国もそれを一つの題材として動いていかなければならない、こういうことだと思うのです。  それぞれのケースワーカーの方が当たっていただいている状況を鑑みて、ケースワーカーの人たちの負担を少しでも減らしつつ、そして、本当に必要としている人たちにとって本当に受けやすい環境はどういうことなのか、そのためには厳しくするときは厳しくするという姿勢を見せることだと私は思うところであります。そして、何よりも財政硬直化の原因をつくっているというところです。やっぱり、その辺もしっかりと鑑みて考えていかなければならないというふうに私は思うところであります。  次に、移りたいと思います。  次は、生活保護受給者の就労支援体制についてであります。  当然、適正化に取り組むことも急務なことでありますけれども、同時に就労支援体制の充実も急務であります。本市において、就労支援相談員は、平成23年まで10名の体制だったとお聞きしていますけれども、これを20名に増員して、平成24年にはさらに5名増加して25名としたところであります。平成24年度の4月から12月までの実績では、相談開始、継続の被保護者数2,230名に対して就職した人数が841名、率にすると37.7%ということであります。  そこで、質問ですが、本市の就労支援について、こうした数字上の結果からどのようなことが言えるのか、今後の取り組みの方向性も含めて伺いたいと思います。  あわせて、就職した被保護者のその後の実態把握についてどの程度把握しているのか、伺いたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  厚生労働省の統計によります福祉事務所における就労支援事業を活用した生活保護受給者の就職率は、平成22年度でございますが、全国平均で38.1%でございました。そのときの全国の有効求人倍率は0.56倍でございます。一方、平成24年12月の札幌圏の有効求人倍率は0.54倍で、全国平均とほぼ同程度の水準であると認識しているところでございます。いずれにいたしましても、今後もより一層の就労支援を図っていきたいと考えております。  次に、就職した被保護者のその後の実態でございますが、就労した後もなお生活保護を継続して受けている方につきましては、生活保護受給者本人からの申し出やケースワーカーによる調査活動により個別に把握してございます。場合によってはさらなる増収指導や転職指導も行い、自立に向けた支援を行っているところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  個別にということでありますけれども、やはり、ここも一つ、就職したから、ただその就職率でもって全国平均と同じくらいだからいいのだという話ではないと思うのです。やはり、その人がどういう雇用形態でもって就職したのか、正規雇用なのか、それとも臨時雇用なのか、そうしたところもちゃんと把握することが、今後の生活保護制度に関する実態把握のあり方として必要なことではないのかなと思います。臨時雇用だったら、その人はまたすぐ就職しなければならないですね。やっぱり、どういうサイクルになっているのかということもしっかり調べていかなければならないのではないかなと。  そういったことを考えれば、生活保護受給者に対する就労支援でありますけれども、被保護者の一人一人の生活そのものを一定期間は見守るべきではないか。就職したからそこでというよりも、やっぱり半年なり1年なり、ちょっと長い期間ですね。今まで働けていなかった人たちが随分多いと思うので、そうしたところでは勤労意欲が失われないうちに勤労意欲の継続、維持に一緒になって取り組んでいかなければならないのではないかと感じております。ただ、今、半年、1年と言いましたが、それを現行の25名体制でやれというのもなかなか難しいことではないかなと思うところであります。  先ほどの大阪市の事例ですが、就労自立支援の取り組みとして、ハローワークの管轄地域を細分化して、地域ごとに被保護者に対する就労支援を派遣会社などの民間事業者に委託する総合就職サポート事業に取り組んでいると聞いております。その取り組みは、被保護者を指名して、マン・ツー・マンで、ハローワークへの同行はもちろんのこと、被保護者に対するスーツの貸し出し、あるいは履歴書の書き方の共同作業など、非常にきめ細やかにサポートしています。そして、平成24年11月末現在ですと、全対象者数5,454名に対して就職者数が3,190名と、実に就職率は58.5%と非常に高いものになっております。当然、そこにはいろいろな問題もあるかと思います。先ほど言ったように、正規か臨時かといった雇用形態がどうなっているのか等々の問題はあるかと思います。しかし、一歩、そういう取り組みをしたことによって、次の段階への取り組みに向けて模索を図ることができるのではないのかなと私は考えるところであります。  そこで、質問でありますが、本市においても、こうした事例から民間事業者を巻き込んだきめ細やかな就労支援体制を構築するべきではないかというふうに感じるところでありますけれども、見解を伺います。 ◎中村 生活保護担当部長  札幌市におきましても、非常勤職員であります就労支援相談員が履歴書の書き方や面接の受け方、ハローワーク等への同行など、きめ細かな就労支援を行い、大阪市よりも求人倍率が低く一層厳しい雇用情勢の中で相応の実績を上げており、努力を続けているところでございます。  ちなみに、来年度は5名ふやして30名体制でやっていきたいと考えております。  就労意欲が低い方に対しましては、行政だけの対応ではなく、カウンセリングを行いながら就労意欲を喚起するなど、専門的にきめ細かくかかわる必要がありますことから、民間事業者に委託してカウンセリング事業も実施しております。このほか、区に設置しておりますあいワークにおきまして、就労支援相談員、あいワーク相談員、ハローワーク相談員が連携を深め、個々の対象者の状況に合わせたきめ細かい支援を行うセミナーを開催するなど、関係機関との連携をより一層強化しながら、札幌市独自の生活保護受給者の自立支援に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  民間も一部利用していて、今度は25名から30名体制にしたいという話ではあります。  これは、再度、市長に質問させていただきますけれども、就労支援について、民間の一部利用というよりも、もう少し広い意味での税源涵養といいますか、あるいは、そういった形での民間活用といいますか、そうしたところでは民間と手を携えて抜本的に取り組むことを検討されるのも一つの手ではないのかなと考えますので、その辺の見解も一つ伺いたいなと思います。  また、先ほどの適正化の課題も考えれば、本市においてはやはり生活保護率2位という状況にあるわけです。1位の大阪市、あるいは3位の京都市がこれだけやっているのであれば、しっかりと抜本的に、かつ、私は先ほどから口を酸っぱくして実態の把握と言っていますが、こういうことを含めた有効的な施策を早急に検討し、取り組む必要があると考えますけれども、総合的な市長のお考えもあわせて伺うものであります。 ◎上田 市長  大変難しい問題であることは委員もご承知の上でのご質問というふうにお伺いいたします。  今、生活保護の問題と、生活困窮者対策といいますか、この政策をどうするかということで、国の社会福祉審議会でやっている最中でございます。私は生活困窮者対策をどうするかという部会で委員を務めておりまして、そこで政令市市長会としての意見も私の個人的な意見も申し上げているところであります。  まず、二つのご質問がある中で、1点目の民間の企業の皆さん方が生活保護受給者あるいは生活困窮者を積極的に雇用するような、雇用を誘引する政策を打てないものかというのは、私も全く同じ意見です。今、厚生労働省で考えているのは、どうも、頑張れ、頑張れというような話がたくさんございまして、いろいろなプログラムをつくるのですが、やはり、問題なのは自治体だけの力ではこれは到底できることではありません。その地域、その地域における企業の皆さん方、あるいは、社会的企業と言われているように、弱者だとか生活困窮者だとか、いろいろなハンディを持っている人たちの就労のチャンスを与えていく、そういう事業者をふやしていくための補助を国レベルでやっていかないと、自治体の中でそれを支出していくというのはとても困難なことであります。NPO等も育てるのも、そういうことをやってみようという団体がふえていかないと、札幌市の有効求人倍率が0.5という状況の中で探していくのは本当に大変な作業です。働く場がないと、働けと言っても、それは無理な話であります。そういう意味で、全体的、総合的に、民間も頑張れるというものをつくっていくための法制度をしっかりつくるべきだと、今、一応、動きはそうなっているということで、阿部委員の意見と私は同じ見解だというふうに申し上げておきたいと思います。  一方、生保受給者の実態調査はどうかということでありますが、私は、札幌市の生保受給者の皆さん方の割合を見てまいりましても、やはり高齢者が多いとか、障がい者ももちろんそうですけれども、札幌の人口構造、あるいは、北海道全体の中における札幌の都市としての悩みというのが集約されているのでこういう数になってあらわれてきているというふうに思います。そんな意味で、実態としては、はっきりリーマンショック以後こんなにふえてしまったというようなことがあるわけで、それは社会の問題が大都市に集約してきていることのあらわれと捉えた上で、やはり、経済政策をしっかりすることと、先ほどのように就労のチャンスを与える企業を育てていくとか、そういうことで対応するしかないと思います。取り締まりとか、あるいは、厳しくしたほうがいいという議論ではなかなか限界があるのではないか、あるいは、弊害が出てくるのではないかという考え方で、今のところ、いるところであります。  いずれにいたしましても、何もしていないわけではなくて、いろいろなことで現場の職員は本当に一生懸命頑張っているところでございます。その効果が本当に出るように、私ども組織の問題、あるいは、いろいろな研修を受けていただけるように生活困窮者にチャンスを提供する、そういったことに努力を重ねてまいりたいと考えるところであります。 ◆阿部ひであき 委員  それぞれの考え方も当然ありながら、厳しくしないほうがいいという市長のお考えかと思います。しかし、私は、きちんとしたルールづくりはどうしても必要ではないのか、そこをやらなければならないのではないかなと思うのです。  今、生活保護については、確かに高齢者の問題もあります。そして、その他世帯というのもあります。そうしたことで考えたときに、就労支援のあり方というのもそれぞれ個々の分野に応じて当たっていかなければなりません。国ということがありましたが、何より、実態というのは現場である本市しかわからないことだと思うのです。ですから、実態の把握だけでも、どういうふうになっているのだろうかと。そしてまた、煩雑になって非常に忙しい思いをしているケースワーカーの負担を少しでも減らせるように、そのためにはその人たちの言葉を吸い上げる、そういったことは、私はどうしても必要なことではないかと考えるところであります。  先ほども言ったように、生活保護率2位というのは、私にとっては非常に残念な結果でありますし、もちろん、市長にとっても残念な結果だと思います。そういうところで、ぜひともきょうのお話は頭の片隅に一つ入れておいていただきたい。そして、今の段階における生活保護のあり方を正すためには、やはり、札幌市がそれについてしっかりと知っておかなければならないことがあると思います。私はそれを強く指摘させていただいて、本日の質問を終わりたいと思います。 ◆林清治 委員  私からは、生活保護受給者に対する就労ボランティア事業についてお伺いしたいと思います。  先ほどの質疑の答弁で市長からもあったのですが、札幌圏の雇用情勢は、ことし1月の有効求人倍率が0.55倍と若干持ち直しがあります。しかしながら、北海道の有効求人倍率0.61倍、全国の有効求人倍率0.81倍と比較すると依然として低水準が続いており、就業を希望する求職者を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。そして、札幌市の保護動向としても、一時期の急激な増加は見られないものの、ことしの1月現在、被保護世帯数が5万1,161世帯、被保護人員が7万3,394人、保護率が38.0パーミルと、依然、増加傾向にあるという状況でございます。  このような状況の中で、昨年の政権交代以降、議論が活発化しておりますが、国は、1月に生活保護の支給基準を引き下げることを閣議決定しております。対象は生活扶助費と期末一時扶助費であり、生活に直接影響の大きい内容となっております。また、最近、ニュースにもなっていましたが、生活保護受給者の不適正事例を目撃した場合に通報する制度を検討しているような自治体も出てきています。このように生活保護受給者への行き過ぎたバッシングも全国的に大変強まっています。確かに不正受給の事例もあるのでしょうが、全体がそうではありません。そういう中で、権利としての生活保護制度はしっかりと守っていかなければいけない状況にあります。  前の政権の中では、生活保護費の増大を問題視する中で、まずはジェネリック医薬品の活用やレセプトの検証などにより医療費、医療扶助費の削減を進めること、そして、ケースワーカーの増員などによって不正受給の防止対策を強化することを基本とした政策をつくろうとしておりました。不正受給をなくすことは当然のことでございますが、生活保護受給者の中には、例えば、肉親の介護や派遣切りなどにより仕事を失い、その間、病気やけがなども重なり、やむなく生活保護受給者となった方もいます。そのように、仕事につきたくてもなかなか仕事につけない人たち、意欲をなくしてしまった人たちに対して、社会復帰の第一歩につくための意欲を取り戻していただくように、そのための支援である就労ボランティア体験事業の役割が今後とも大変重要になってくると思っております。  昨年の第3回定例市議会の決算特別委員会では、私から、事業に参加することにより就労に対する意欲が高まった人に対してタイムリーに就職に結びつけるための道筋をつくることと、今後、実施区を拡大していくに当たり、効果的に実施できるような配慮をお願いしたところでございます。  そこで、一つ目の質問ですが、今年度、就労ボランティア体験事業を実施していく中で、就労意欲が高まった方に対してどのような支援をされているのか、その状況をお伺いします。 ◎中村 生活保護担当部長  就労ボランティア活動を継続していくことで、徐々に自信を取り戻し、就労に向けて一歩踏み出そうとする方々につきましては、就労支援相談員やハローワークを活用しながら支援を行うこととしております。さらに、求職活動に必要な基礎知識をつけるために、今年度は、コミュニケーション能力を身につけるためのセミナーや、清掃作業のポイントを学ぶための清掃講座、パソコン講座などを行っております。今後も、ボランティア事業の参加者の状況に合わせたきめ細かな対応を、本事業を実施している事業者に対してもお願いしていきたいと考えております。 ◆林清治 委員  ただいまの答弁で、ハローワークなど、また支援相談員との協力、そして、清掃セミナー、パソコン講座などもやっていて、本当に意欲が高まってきた方に対してできるだけきめ細やかな支援を始めているということでございました。  先行している3区では、この事業を体験した受給者や事業者、ボランティア先の事業者、そして、区役所の保護課職員などが集まる交流会を開催していると聞いております。この就労ボランティア事業については、参加している方たちが一歩を踏み出すための自信を取り戻してもらうことを目的としていることから、例えば、この事業を経験して就職した人からの体験を聞くことなどによっても、自分自身も頑張ろうという気持ちになると考えております。そのような場を定期的に設けることも一つの方法と考えていますがいかがか、お伺いしたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  昨年度から参加者と協力事業所の方と保護課ケースワーカーが一堂に会して情報交換を行う交流会を行っておりまして、今年度も12月に事業を実施した各区で開催いたしました。中でも、厚別区で行った交流会では、就職した方から、事業に参加することにした動機や参加しているときの気持ち、今、頑張っていることを発表していただきました。発表の後は会場から大きな拍手が起きました。現在、事業に参加している方にとっては、自分も次に続きたいという気持ちになっていただけたのではないかと思いますし、発表した方にとっても、より自信を持てたのではないかというふうに感じております。  交流会につきましては、来年度も継続して開催し、その中で就職した方の体験談を聞く場を設けていきたいと考えております。また、事業への参加をためらっている方に対して、事業に参加することで一歩を踏み出せるかもしれないと思うきっかけを持っていただけるよう、就職した方の体験談を載せたチラシを作成し、ケースワーカーがこの事業への参加を勧めるときに活用することなどについて検討を加えてまいりたいと考えております。 ◆林清治 委員  今、先行区で実施してきたさまざまな部分を有効に生かしていくというお答えがございました。そして、今までの試行実施の課題を整理しながら新たな取り組みを始めていく、そういうことは本当に評価していきたいと思うし、ぜひとも継続していただきたいなと思うところであります。  新年度は7区に拡大していくことになっておりますが、新規に始める区はどこか、そして、その拡大区の事業者をどのように選定していくのか、そのことについてお伺いしたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  来年度につきましては、現在、実施しております厚別区、白石区、豊平区に加えまして、中央区、南区、西区、手稲区で実施する予定でございます。新たに実施する区につきましては、公募により事業者を募集し、プロポーザルを行った上で選定する予定でございます。事業者を選定する際には、この事業の目的を達成するために、参加者と協力事業所、参加者とケースワーカーとのコーディネート役を担う支援員が重要な役割を持ちますことから、その体制を十分にとっていただけることも含めて慎重に選定してまいりたいというふうに考えております。 ◆林清治 委員  新年度は中央区、南区、西区、手稲区で実施していく、そして、就労ボランティア事業の中で本当に一番の鍵を握る事業者の選定ですが、公募を行っていくというお答えでした。本当にこの事業目的をどうやって達成していくのか、そのことを考えた上で事業者としっかりやっていただきたいと思います。  昨年の決算特別委員会でも質疑を行っていますが、区役所保護課のケースワーカーと事業者のボランティアコーディネーターの連携というのは本当にこの事業成功の鍵を握っております。また、ボランティア事業所をいかに拡大していくか、ボランティア先を見つけていくか、そのことが本当に大きくかかわってきている、そういう実態が今までの先行3区の中でも声として上がってきております。そうした部分もしっかりと対応していただきたい。  そして、新年度において、ケースワーカーを全市で40名以上増員していただけると聞いております。それでも年度当初はまだかなりの受け持ち件数で、ケースワーカー1人当たりの負担がかなり大きくなると思います。そうしたことも予想されている状況の中で、体制づくりは本当に今以上にしっかりと続けていっていただいて、就労ボランティア事業の参加者もふやしていただきたいと期待しているところでございます。  そこで、この事業を効果的に進めるに当たっては、参加している人の感想などもよく聞き取り、事業に生かしていくことも必要と考えておりますが、いかがお考えか、お伺いしたいと思います。 ◎中村 生活保護担当部長  この事業を効果的に実施するためには、参加している方たちの意見を取り入れることが有効であると認識しております。折に触れ、アンケートなどをとり、どのようなことを望んでいるか把握しながら、協力事業者や受託事業者、ケースワーカーの意見も踏まえた上で、必要な支援は何かを検討し、生活保護受給者の方々の自立に向けたより効果的な事業となることを目指したいと考えております。 ◆林清治 委員  先ほど来、言っているように、昨年の決算特別委員会もそうですし、この質疑でもそうですが、就労ボランティア事業は、本当に社会復帰を目指すための第一歩という位置づけでございます。先ほど来、就労についての話も出ていましたが、なかなかそこまで至らない受給者の方々、社会から孤立している受給者の方々に対する社会復帰の第一歩という位置づけになるかなと思います。今、国の中でも、今後の生活保護政策はいろいろ検討されているというふうに聞いておりますし、国の動きも十分注視しながら、真に自立支援に向けた事業とする必要があると思います。  先日、釧路社会的企業創造協議会の講演を聞く機会がございました。釧路市では、10年ほど前から支援事業を立ち上げて、行政と研究機関、NPOなどが協力して支援事業を続けております。そして、幅広い中間的就労事業所の確保などの取り組みを進め、今年度からは、生活困窮者の社会的居場所づくり、そして雇用創出事業を始めておりまして、上田市長も中村部長も釧路市の取り組みを視察したと聞いております。ひきこもりや障がいのある方、そして生活困窮者、そうした方々の社会的居場所、そして雇用創出という意味で、札幌市においても、今後、国の方針などもしっかりと見ながら、さらにソーシャルファームなどの検討も視野に入れながら、この事業の拡大、雇用創出の拡大に向けて今後も活動を進めていただきたいなというふうに思います。このことを強くお願いしまして、質問を終わらせていただきます。 ◆松浦忠 委員  寒くなってきたので、なるべく早くします。  まず、今、私は、生活保護のところで、就労の問題だとか不正受給だとか、皆さんの質疑をずっと拝聴していました。市長、どうでしょうか、戦後、仕事がなかったときに失業対策事業ということを国の事業でやっていました。今、就労ボランティア体験事業などの援助する仕組みをつくって、パソコンとかいろいろなことをやっていますけれども、パソコンもいいし、履歴書の書き方もいいですが、私は、まずは若者が実際に体を動かして働く、ここが大事ではないかなと思うのです。そういう意味で、かつての失業対策事業みたいな事業を一つやってみてはどうかなと。例えば、夏でしたら、札幌市の市有林の白旗山がありますね。あそこでは、伐採だとか間伐だとか、そんなに難しくない作業が結構あるのです。今、業者に委託すると、木材を切り出しても、丸太を切り出しても、かかる経費の何倍もお金がかかっております。そこで、単費でもいいですから、失業対策事業的な体を使って仕事をするという独自の事業も一つやってみたらどうかなと。  たまたま私の住んでいるところに失業対策の札幌市の事務所がありまして、苗圃があったりして、閉鎖されるまで高齢者の方なども来て作業をされておりました。ですから、そんなことを一つ考えてみてはどうかなというのが1点であります。  それから、もう一つは、現在、去年の6月から12月まで、生活保護者の子どもたちが学力の面で劣らないように、そして、高校に進学できるようにということで、国の補助事業の中でまなびのサポート事業をやっておられます。これも、それぞれ実施回数とか参加人数などの報告はいただいております。去年は西区で試験的にやりましたね。ことしは、中央区、白石区、豊平区、西区、厚別区と五つの区でやるということですが、なぜこれが選ばれたのかと尋ねたら、全日制の高校の進学率の低い区だということなのです。誰が実施しているかといったら、札幌市青少年女性活動協会が受託者に選ばれて実施しているということであります。そして、そういう補習事業をして、その成果はどういうふうに調べているかと聞いたら、成果については判定していない、調べていないということなのです。  そこで、まず一つは、この子どもたちに高校進学のための勉強を教えると。高校進学率が低い、高いの中で、特に、本人が、勉強に興味を持って、よし、ここへ行ってという意欲になるか、ならぬかも大きなことだと思うのですよ。そういうことからいったら、青少年女性活動協会に委託するのもいいのですが、私は、むしろ、札幌には教育大学がありますから、この教育大学と提携して、必要な経費はお払いすることにして、そして、教育大学の学生の一つの実習の場として――今、恐らくボランティアはそういう学生が来ているのではないかと思うのです。やはり、そこに教授がきちんと介在して、そして、教員を志望する学生の実習の場として取り組んでもらうことのほうが、この事業の目的の趣旨に沿った成果をより上げられるのではないかなというふうに思うのです。さらに、補習事業をする中で、成果を確認するために、テストがいいのか、何がいいか、要は成果が見えるような形にしていって、子どもたちに自信を与えていく、これも大事なことだと思うのです。僕は、決してテスト、テストで点数を競うという意味で言っているのでないですよ。子どもたちに、ああ、これだけ教えてもらって、自分はこういうふうにできるようになった、ちゃんと教えてもらってやればできるのだなと、そういう意欲や自信を持たせることが大事だと私は思うのです。  そういう意味で、新年度では、全部を教育大学にとは言いませんけれども、5区のうちの何区かでもそういう形で教育大学に委託してやってみることはどうかなと思うのですが、この2点について市長の見解を伺って、それによってはもう1回か2回やって、早く終わりたいと思います。 ◎上田 市長  失業対策事業が戦後の大変厳しい状況のときにあったことは、私も小さいころに聞いたことがございます。それは、多分、国しか雇うことができない経済状況だったのだろうというふうに思います。本当に企業もみんな疲弊している状況、労働力を吸収することができないという状況の中で、当時、社会的インフラを整備しなければならないという緊急的、国家的な公共事業もあったということで、そのようなことが行われたのだろうと思います。今、それと同じことをできるかということについては、社会状況も違いますので、なかなか難しいと申し上げたいと思います。  今、スポイルされているといいますか、本当に労働意欲を失っている方たちに労働意欲を持っていただけるように、どうやって指導・助言をさせていただくかということでいろいろな苦労をしているわけであります。そういう中で、体を動かす仕事ということで白旗山というお話がございましたが、環境整備といいますか、グリーン事業といいますか、私もこういったことはかなり有効なものではないかと思います。ただ、それは、例えば、木質ペレットをつくって環境にいいエネルギー源にしていくとか、そういうこととちゃんとリンクをしなければいけないということもありまして、直ちに、札幌市でそういうことをできるかどうか、検討はさせていただきたいと思いますけれども、仕事というのは継続的、連続的に行わなければいけないと思いますので、制度として確立するために、ペレットづくりだとか、森の再生とか、そうしたことをどういうふうにやれるか、しっかり検討させていただきたい、こんなふうに思います。  それから、教育大学の学生にというお話であります。今も、青少年女性活動協会に委託しているものの、実態は、やはり学生の皆さん方に登録していただいてご指導いただくということで、貧困の連鎖を断つための施策としてこの事業があるものと考えております。成果についても、子どもたちがそこに来ること自体、学ぶ喜びだとか、あるいは学ぶ力を何とか獲得したいという意欲がそこにあらわれているというふうに思います。成果をはかるものが何もないわけではなくて、参加者の子どもたちにアンケートをとって、子どもたちが、来てよかった、また来たい、続けたい、ありがたいと感謝しているというふうなことを踏まえて、いろいろな学習指導の機会を提供していくように制度的にもバックアップしていると考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  まず、前半の部分は、私は特に白旗山という一例を出したのですが、札幌を取り囲んでいる民有林もこういう経済状勢の中でほとんど手が入っていませんから、そういうことも含めて、また、山ばかりでなく、やることはほかとのところでもいろいろあると思うのです。規模は大きくなくてもいいから、試験的にでも事業化してみてはどうかというふうに思いますので、ひとつ、ぜひ早急に検討を進めて取り組んでいただきたいと思います。  それから、後段のほうですが、私がなぜ教授をこの中に入るようにしてと言うかといったら、やっぱり、今、学校の教員がいろいろ悩んでいます。特に、新規採用になって入ってきた人たちが30人前後のクラスを預かって、なかなか教室をうまくまとめられぬ、こういう悩みが大きな割合を占めているというふうに私は伺っています。そういうとき、一体、主にどういう子どもが先生の言うことをちゃんと守ってくれないかと聞いたら、やっぱり、余り勉強に興味のない子どもという答えが出てきます。  そこで、勉強に興味がないというのは何かなと考えたら、小学校に上がったときから、例えば、親に勉強を教えてもらうとか、お兄ちゃんがいたとか、そういった環境にずっとあって、比較的、学校の勉強に子どもがついていける状況なら興味を持っていくのですね。ところが、低学年のうちに、親に聞こうとしても親も忙しい、そして、学校でもやっぱり一定の計画の中で授業が進んでいきますから、わからぬうちに進んでしまう、もういい、聞いたってわからぬから、俺はやめたとなってしまうわけですね。  ですから、私は、逆に言えば、教員になる人の事前の勉強、実際の教室に行ったとき、こういう子どもたちがたくさんいる、この子どもたちをどうすればいいかという教育実習になるというふうに私は思っているのですよ。そういう意味で、今度は、それをどういうふうにして学生たちの成果にするかといったら、やっぱり、そこに教授が介在しないとそういうことはなかなか難しいのですね。だから、僕は、ぜひ教育大学に委託して、そして、大学としても教員養成課程の中に生かしてもらうようにしていただきたい。これが私の提案している事業なのです。  ぜひひとつ、そういう方向で検討して、可能であれば――可能なんです。不可能ではないんです。可能なんです。ぜひ、1区でも2区でもやっていただきたいと思うのですが、市長、どうでしょうか。意味合いはそういうことなのです。 ◎上田 市長  今、大学の役割論の中で研究と教育、もう一つは地域貢献という三つが掲げられているわけでありまして、私は、札幌にある大学は札幌の地域のために貢献する役割を模索されているというふうに思います。また、教育界で活躍しようという意欲を持った学生たちが多く学ぶ教育大学の学生諸君が、そういうことに興味を持っていただけることは大変ありがたいことだと思います。もちろん、大学には教育の考え方がさまざまあろうかと思いますが、大学との間で議論させていただくということは、きょうの議論も含めて伝え、そして、私の意見も述べさせていただきたい、こんなふうに思います。 ○伊藤理智子 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日、7日木曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後6時35分...