委 員 宮 川 潤 委 員 小 形 香 織
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 松 浦 忠
欠 委 員 堀 川 素 人
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開 議 午後1時
○伊藤理智子 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、五十嵐委員、堀川委員からは欠席する旨、また、本郷委員からは三浦委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第14号 平成25年度札幌市
水道事業会計予算について質疑を行います。
◆伊藤牧子 委員 私からは、地下水の利用について伺います。
ここ数年、
地下水利用専用水道ということで、地下水をくみ上げ、水道に利用する病院や企業などがふえてきています。厚労省によると、公共水道とは別に上水道から地下水の専用水道に切りかえた施設は、2004年の283カ所から2008年には933カ所と大幅に増加しています。背景には、コスト削減、断水時の備えなど、また、不純物を取り除く
マクロ化技術の向上が挙げられ、今後さらにふえると予想されます。一方、専用水道の増加は、水道料金の減収や地下水の大量揚水による地盤沈下など、公共水道を運営する自治体にとっては大きな問題となっています。
神戸市では、2010年度末時点で20件の専用水道が導入され、水道料金の減収額は4億5,000万円、京都市では、2011年度末で44件、8億8,000万円の減収額が推計され、水道事業に大きな影響があるとしています。札幌市においても、水需要、給水収益が減少する中、高度成長期の急激な人口増加などに伴い、整備した大量の水道施設等が次々と更新時期を迎え、また、耐震対策等、札幌市の水道事業を取り巻く経営環境は厳しい状況であり、決して人ごとではないと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市の水道から地下水への転換は、現在どのようになっているのか、水道局が把握している状況について伺います。また、このことによる減収等の影響はどのくらいになるのか、あわせて伺います。
◎森 総務部長 札幌市での
地下水利用への転換の状況と減収について、私からお答えいたします。
現在のところ、地下水を初めとする水道以外の水を使用する場合に、水道局への届け出義務はございません。したがいまして、水道局として、地下水を利用している事業者等の状況や地下水の使用量を正確に把握することは難しい状況にございます。
一方で、水道局では、口径75ミリメートル以上のいわゆる大口径の使用者と、年間総使用量が3万立方メートル以上の
大口使用者につきまして、検針等の情報をもとに使用状況を調査し、分析を行っているところでございます。この調査の結果、廃業や移転といった状況変化がないにもかかわらず、水道の使用量が大幅に減少している利用者が存在しておりまして、調査を開始した平成15年度以降、徐々に増加する傾向にございます。平成23年度末の時点で、このような内容として63件を把握しております。このうち、一定程度は
地下水利用へ転換している影響があるものと推定しているところでございます。
これら
大口利用者等の使用水量が減少したことに伴います料金収入への影響といたしましては、調査開始前の平成14年度と平成23年度を比較いたしますと約10億円の減と試算しております。
◆伊藤牧子 委員 今のご答弁にもありましたが、
大口使用者の減は63件で、2002年度と2011年度を比較すると10億円の減収ですので、決して少ない金額ではないと思います。
企業にとっても、専用水道への転換は、長引く景気低迷が続いている状況のもとで少しでも経費負担を軽くしたいという企業努力のあらわれであり、規制するものではありません。しかし、専用水道を導入している利用者は、緊急時の
バックアップ利用に備えて継続して大口径の給水管を接続していますが、水道施設の整備と維持のために本来負担するべき金額より少ない水道料金しか払っていないことから、専用水道の利用者とその他の利用者の間に料金負担の不公平が生じています。また、ホテルや病院などの
大口使用者が専用水道に転換した場合、さらに料金収入が減少することになり、将来的にはその分を一般家庭が負担することにならないか、懸念されます。
このような状況の中、先ほどの神戸市では、2011年10月から、緊急時の
バックアップとして上水道を併用して利用する
専用水道施設等に対し、新たな負担金を求める制度をスタートさせています。また、京都市では、料金改定を含めた
大口利用者の上水道利用を誘導するなどの対応策を講じるとしています。これらの対応策は、多くの水を使用する利用者には、それに応じた負担をしてもらうという
利用者負担の公平を求める考えの上に立ったものと思います。
そこで、質問ですが、
利用者負担の公平性を踏まえ、水道局では
地下水利用転換への対応をどのように考えているのか、伺います。
◎森 総務部長
地下水利用転換への対応の考え方ということでございます。
本市の水道料金は、家事以外の用の区分では、接続する給水管の口径が大きくなるほど基本料金が高額となる、いわゆる口径別料金を採用しております。また、口径40ミリメートル以上の中・大口径使用者については、1カ月当たり30立方メートルから最大で1,000立方メートルまでの基本水量を設定いたしますとともに、その水量分の料金を組み込んだ基本料金を設定しているところでございます。これらの料金設定は、受益者負担の考え方に基づきまして、一度に大量の水を使用できる中・大口径使用者から、常時、水を供給するのに必要な固定費を適切に負担していただくことを目的といたしまして、昭和55年の料金改定時に導入し、昭和59年の料金改定から現在の形になっているところでございます。したがいまして、現行の基本料金の設定におきましてそれぞれの利用区分に応じて一定の固定費を既に負担していただいておりまして、現段階で
大口利用者の
地下水利用への転換によって負担の公平性が損なわれている状況にはないものと考えているところでございます。
しかしながら、
大口利用者からの収入が減少するということは経営上の課題の一つとして認識しておりまして、引き続き、他都市の先行事例とその効果について情報収集に努めますとともに、常に安全かつ安定した水を供給してきた水道のすぐれた部分をPRしながら、
大口利用者に対する水道利用の促進を図ってまいりたいと考えております。
◆伊藤牧子 委員 今のご答弁で、札幌市の水道料金は、現在の固定費の中で専用水道に係るコストが吸収されていることはわかりました。
しかし、今おっしゃられたように、
大口利用者の専用水道への転換は減収につながり、将来的には水道事業にも影響があるかもしれませんので、ぜひ、
大口利用者へのPRなどを含めて、これまで以上に対策を進めていただきたいと思います。
一方、地下水の利用は、防災の観点からすると有効な手段だと考えます。
東日本大震災では、約260万戸が断水し、その一部は復旧までに1カ月以上かかり、1週間を超えるとお風呂や洗濯などの生活用水が不足する中、井戸などが活躍したと聞いております。札幌市は、地震など災害発生時の飲料水を確保するため、緊急貯水槽を市内33カ所に設け、必要最低限である市民1人当たり1日3リットルの飲料水の確保や、緊急時給水管路の整備、また、市民に備蓄用の2リットルのペットボトルを販売するなど、災害に備えての取り組みは大変重要だと思っております。
しかし、断水が長期化すると、さらなる水の確保が必要となります。札幌市には、良質な地下水があり、多くの井戸があるほか、先ほどお話ししました専用水道も有効です。現在、これらの井戸や専用水道のうち、災害時に利用できるよう札幌市と協力体制をとっている井戸が800近くあると聞いております。今後は、地下水の利用状況を把握し、災害に対する仕組みを構築することも重要と考えます。
そこで、質問ですが、災害対策として、井戸や専用水道を活用することが必要と考えますけれども、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
◎酒井 給水部長 災害時の
地下水利用について、私からお答えいたします。
水道局では、災害時の
応急給水対策といたしまして、緊急貯水槽にて、生命維持のための水として1人1日3リットル3日分の飲料水、配水池にて4日目以降の最低限の生活用水の確保に努めております。
委員がご指摘のとおり、災害発生から時間がたつにつれ、生活用水に対する需要が高まることから、井戸や専用水道の水を災害時に活用することは、水道局が行う応急給水の対策とあわせまして、より充実した水の確保対策になるものと考えます。これらの水は、それぞれの設置者がみずから管理しているものでございまして、私どもが、直接、水道水として市民の方々に供給できるものではありませんが、応急給水を補完するものとして、今後その活用について検討してまいりたいと考えております。
◆伊藤牧子 委員
東日本大震災の教訓として、やはり、水道水だけではなく、地下水や井戸などの取り組みが大変重要だということはわかっていることだと思いますので、ぜひ、災害時の対策として、保健福祉局とか、その他の関連部局と連携しながら地下水の利用にも取り組んでいただきたいと思います。
要望ですが、地下水は、今、水道局の飲料水、専用水道、また災害時の生活用水にと多様に利用されていますが、地下水は土地の所有者に属する私水と位置づけられており、
地下水そのものの利用を規制することはできません。しかし、全国各地で地下水の過剰なくみ上げなどによる地盤沈下が発生して問題となっています。地下水を水資源として位置づけ、公共の財産として保全と利用を図ることが重要であり、適正に地下水を利用するためには、環境局、
危機管理対策室、保健福祉局と情報を共有し、連携して地下水の利用状況等の
データベース化などを進めていただきたいと思います。
また、専用水道についてですが、先ほどもおっしゃられたように、水道局への届け出義務がないということで正確に把握することは非常に難しいと思います。しかし、京都市とか神戸市では、さまざまな工夫で実態に沿うような把握をしていると聞いております。ぜひ、札幌市も専用水道への切りかえの実態をぜひ把握するよう求めて、私の質問を終わります。
◆松浦忠 委員 まず、質問する前に、少し説明を求めたいと思います。
企業会計予算説明書の120ページ、3の営業外収益のところで、受取利息2,600万円、それから雑収益5,274万3,000円、この二つの内訳を示してください。
◎森 総務部長 まず、雑収益の内訳は、不要品の売却収益が含まれておりまして、鉄くず等を売却した金額が入っていて、具体的にはそのような内容でございます。受取利息については、まず、長期債券の運用利息が1,800万円、それから、
短期債券運用利息が800万円、このような内容が含まれているものでございます。
◆松浦忠 委員 長期債券と短期債券の内訳は、何と何を買っていますか。
◎森 総務部長 主に国債でございまして、そのほかに政府債がございます。
◆松浦忠 委員 買っている金額の総額は幾らですか。
◎福澤 財務課長 ただいまご質問のありました内訳については、予算ですので、想定しているものということでお答えします。
長期債券の運用利息につきましては、もととなるものを30億円と想定しております。それから、短期債券の運用につきましては、81億9,000万円を元金として算定しているところであります。
◆松浦忠 委員 そうすると、これは、長期、短期を含めて、水道事業を運営していく会計の中では、直接、必要のない金が1年間に111億9,000万円あるというふうに理解してよろしいですか。
◎福澤 財務課長 ただいま申し上げました30億円と81億円につきましては、1年中、この額がずっとあるということではございません。中身を想定した運用の合計額を出しております。それから、運用上、常にこの資金が余っているということではありません。日々の状況等も見ながら、できるだけ運用利息を確保できるよう、そういうことで進めている内容のものでございます。
◆松浦忠 委員 そうすると、平成24年度決算見込みでいくと、日々の水道局の経営のために使わないで債券を購入しているお金は一体幾らなのですか。
◎福澤 財務課長 常にという意味で長期的に運用をかけておりますのは、20億円につきましては、議会にご説明して
水道施設更新に
積み立て運用金ということで出しているものがありますので、これは運用をかけている状況にございます。
◆松浦忠 委員 私は、なぜ、きょう、ここでこういうことを聞いているかといったら、さきの代表質問で、我が会派の金子議員が、水道料金が高い、引き下げるべきだという質問に対して、答弁は、いわゆる地震対応の設備更新だとか、あるいは、今後に備えてとか、こういうありきたりの答弁で終わっております。私は、この金利を見て、今の状況から言ったら相当な金が運用されているなと。
そこで、お尋ねしたいのは、水道局は企業会計ですから、わかりやすく言うと、企業会計というのは、現金などの流動資産ではなくて、固定資産について言えば、当然、つけたものは、何年使って更新しなければならぬとなったら、会計法上、定額か定率かのどちらかを用いて減価償却をしていくわけです。そうすると、資金が積まれて、それらをもとにして更新しなければならないような財産について定額的な更新をしていくわけです。それには、必要な資金をどういうふうにちゃんと積んでいくか、あるいは、そのときにどう準備するか。積んでいくか、借金でするか、二つに一つなのですよ。
そこで、企業会計として、今現在、そういう更新すべき資産は、総額幾らあって、それに対して、年度別に更新をしていくには幾らのお金が要ると、こういう計画を立てておられるのかどうか、これを示してください。
◎森 総務部長 有形資産、固定資産の合計が122ページに記載されておりますけれども、これが資産の額で2,588億円になります。
今ご指摘がありました更新の計画、その手当ての対応でございますが、これについては、今、検討を進めているところでございます。更新計画というものが前提になりますので、そういった計画の策定もあわせて進めていかなければいけませんので、その状況を見ながら財政的な手当ても検討を進めている状況でございます。
◆松浦忠 委員 私が議員になってから今まで、1988年の値上げが初めてですが、それからも水道料金の値上げが何回かありました。少なくとも企業会計でずっとやっていたわけですから、したがって、きちっとした設備更新のための計画を立てなければ――今回上程されているこの財務諸表を見ますと、少なくとも82億円余の金が、それを超える金が、この3月31日には
水道事業管理者の部屋の金庫の中にあるわけですよ。財務諸表からいったらあるのです。北野管理者のところの金庫にこれがあるのですよ。そうやって、いや、設備がこれだけあって、更新していかなきゃいかん、不安だ、不安だと言ってどんどん金がたまっていくようなことになって、料金が高いから下げてくれないかと言ったら、いやいや、設備更新があるからと言う。今、答えがあったように、水道局として資産に対するきちっとした更新計画、資金計画などをいまだに立てていない段階で、金だけをためていく。そして、その料金がほかの都市と比べて高い、その高い原因の一つに、
市民ネットワークの皆さんも私も最初から反対していたけれども、当別ダムへの総額46億円の出資金だとか、いろいろあるわけですよ。
したがって、そういう計画がない前提で、料金を下げるわけにはいかぬとかなんとかという論拠には乏しいと私は思うのです。これについて、まず、水道局の帳簿をやっている会計に明るい方は、会計に明るいということは経営にも通じて明るいのですが、今の私の指摘に対してどういうふうに思われますか、お答えください。
◎北野
水道事業管理者 水道事業は、今さら申し上げるまでもありませんが、利用者の皆様からいただく水道料金で独立採算とするのが基本的なフレームになっておりまして、今の料金については、平成9年度に、今後4年間の収支状況を見きわめた上で料金改定させていただいた内容となっております。そのときには、水道料金については、いわゆる
地方公営企業法の規定に基づいて
総括原価方式がとられておりますから、必要な営業費用のほかに、資産維持費として、平成9年度から議会にもお認めいただいて、これは将来の施設更新に当てるための原価としてお認めをいただいた
水道料金体系となっております。
そして、平成9年に料金を決めた段階でのいわゆるコストの部分については、営業費用のうち、人件費であるとか、また、大きなものは想定した金利よりも下がったこともあって、そういう合理化と金利情勢があって、その後、料金改定をしなくても各年度の経営としてはきちんとした利益を得ることができる状況になってございます。
今、おかげさまで利益が出ておりますけれども、その利益については、料金の見直しというご指摘もございましたが、私どもが考えているのは、水道事業というのは、現在だけの話ではなくて、30年先、50年先と、これからもこの施設をずっと維持し、利用者の皆様にしっかりと水をお届けするのが何よりも大切だということであります。ですから、確かに、今、料金を下げますと、今の利用者の皆さんには喜んでいただけるかもしれませんが、その分、全部、将来の利用者に負担がかかるということで、私どもは将来の利用者の皆さんにも責任を持った経営をしなくてはいけないというのが基本的な経営の考え方でございます。
それでは、それをきちんと利用者の皆さんにご説明できるかというと、今、ご指摘がありましたけれども、今の段階では、具体的な更新計画、例えば、札幌市の水道事業の基幹施設である白川浄水場の更新計画とか、それから、配水管の更新計画については、これまでしっかりとした整理ができておりませんでした。白川についてはまだもう少し時間がかかると議会にもご説明しておりましたが、
配水管更新計画については、今年度に策定いたしまして、それに基づいた取り組みを平成25年度から進めます。それに係る費用については、当面の計画としては、12年になりますけれども、700億円を超えるお金がかかるとか、そういったことをまとめ、今度はそれをきちんと利用者の皆様にご説明していく、そういうことをこれからしっかりやっていきたいと思います。
いずれにいたしましても、水道事業の利益というのは、一般の民間企業の利益と違って、株主への配当とか、役員の事業報酬とか、あるいは、税の支払いというものには一切関係のないものでありまして、公営企業の利益というのは将来の施設事業のために必要な財源として位置づけておりますので、それを有効に使っていきたいというふうに考えてございます。
◆松浦忠 委員 基本的に、公営企業には利益というのはないのですよ。公営企業というのは、利益ではなくて、健全に設備の更新、維持をしていける、これでやっていくのが公営企業の趣旨であります。
そこで、今、管理者からそういう話もあったのですが、水道事業ができたときから今までの財務状況からいったら、借金をして設備投資をして、そして、ふえる人口に対応するように皆さんに水をお配りする、これでやってきているのが今の
水道事業会計です。そうすると、これからも、更新したものは30年なり40年なりまた使うということになれば、当然、そこでまた借金をして、そしてその返済をしていく、私は、ずっとこの延長で行くのではないかと見ているのです。今、資金ベースと言って、資金繰りの中で、正式な会計に基づいて、設備の減価償却は積み立てていく、そして、そのほかの経常経費は料金の中で賄っていくという会計に移行するなんていうことは、私は夢物語だというふうに思っているのです。
それについて、管理者は、いやいや、そうではない、大体こういうような手順を踏んでいけば、借金でやるということではなくて、当たり前の会計制度に基づく財務運用ができていく、こういう見通しを持っておられますか。
◎北野
水道事業管理者 いわゆる資本の考え方でありますけれども、当初、
公営企業会計としての水道事業がスタートしたときには、手元資金がありませんでしたから、それを企業債で調達する形でスタートいたしました。そして、建設投資の財源としては借り入れをするのが基本ですが、昭和40年代から50年代に地域の拡大に応じて非常に大幅な投資が必要だったことから、そこの借入金が大幅に膨らんで、その借り入れの支払い利息が経営を圧迫するのが水道事業にとっての大きな課題の一つでございました。そこで、建設のときには水道料金についても施設整備を想定した資金ベースの料金体系でしたけれども、それでは損益のほうでなかなか経営状況が難しかったので、平成5年度に料金の考え方を損益ベースに改め、平成9年度からは資産維持費を原価に入れていただいたという経緯がございます。
そして、今は、経営の関係で言えばできるだけ借入金の残高を減らすところに力を注いでおりまして、平成12年のピーク時は企業債の残高が2,013億円ほどございましたけれども、今、その利益とか、あるいは資産維持費というものを有効に使って、企業債の借り入れを抑制することにより、現在、企業債の残高については約6割弱まで減少してまいりました。したがって、支払い利息についても、ピークから比べると7割ぐらい軽減されまして、そういう形で営業収支については好転材料になっているということでございます。
ただ、今後の施設更新について、その形で全部回るかというと、これは難しいと思います。施設の整備をこれからどういう形で進めていくか、今、一生懸命その計画を立てておりますけれども、今の見通しでは、建設のピークにおいては今の中で回しているお金だけでは対応できませんので、企業債の借り入れをふやさざるを得ないなと見込まれております。そのときに、今、積み立てている施設更新積立金なども有効に活用して、できるだけ借り入れを抑えた運営を心がけていきたいというふうに考えてございます。
◆松浦忠 委員 今、平成25年度の予算書を見ると420億円ぐらいの収入になっています。一方、利息で言うと、償還を含めて29億円余の支払いで7%ぐらいが占められることになっております。私は、いずれにしても借金ゼロなんていうことは急激にはできっこないわけですから、やっぱり、きちんと計画的に――皆さんは、何かあると他都市と比較してという言葉を使います。それでは、例えば、名古屋だとか、大阪だとか、福岡だとか、札幌市が政令市になった当時のいわゆる大都市ですよ。今、札幌市は人口で5番目ですから、その人口順の5番目までと比較してどうなのかと、こういうようにやっぱり料金の見合いというのが必要だと思うのです。
したがって、やっぱり、比較する中では料金もそれらと肩を並べて均衡をとっていく、さらに、設備の更新などの借り入れなどを含めながらやっていく。あるいは、市民に札幌市水道債を発行して市民に低利の水道債を持っていただくとか、いろいろな方法を考えて資金を調達していく、そして、料金を下げていくと。これでなければ――皆さんが常に言う、市長も言いますし、みんなが言う、我々も言いますが、他都市並みということです。市民だって、見ていて、今は、電気の画面でいろいろなものが映る機械がありますから、ちょっとボタンを押したらぱっといろいろなものが映ってきて、あら、札幌は高いわと、こうなるわけですよ。
私は、そういうことが大事だと思うのです。やっぱり、水道局の経営について、私は、そういう他都市と料金を比較して、五つの都市と比較してとは言わぬけれども、少なくとも札幌市が政令都市になったときの人口規模が100万以上のところと比較して、札幌市は5番目ですから、10の都市があったとしたらやっぱり真ん中ぐらいにいるのがいいのではないかなと思うのです。
そういうような考えに立って、いわゆる都市計画とか経営計画を立てていくのが、やっぱり、市民の合意というよりも、理解を得られやすいのではないかなというふうに私は思うのです。市長、いわゆる均衡論ですが、そういう考え方について市長はどうお考えになりますか。
◎上田 市長 今、いろいろな比較の仕方がございますので、例えば横浜から札幌に引っ越してこられて、えらく高いなというふうに思われることはあり得ることだというふうに思います。そんな意味で、そういう感覚で我々に寄せられたときに、それは、どういうことで横浜あるいは神戸と札幌は違うのかということをしっかり説明できる材料を持ちあわせていなければならないというふうに思います。同じく政令市と言っても、昭和47年、1972年のオリンピックのときに、急激に膨張した、集中的に投資しなければならなかったという特殊性といいますか、都市の成り立ちの特殊性といいますか、そういったことを多くの市民の皆さん方にご理解をいただいて、その設備投資を私たちはどういうふうに十分に使いこなし、かつ、将来に向けてもそれを維持していくことに向けたお金が必要なのかということをご理解いただくしか方法はないのではないか、そんなふうに思います。
そういう意味で、丁寧な説明と、違いというもの、そして歴史的な違いということについてもしっかり説明させた上で、それでも納得ができない、我々の説明が十分ではないということがあるならば、それはまた料金についてしっかり考えなければならないと思います。
◆松浦忠 委員 市長は、今、その説明の仕方が足りないんでないかというような、そういうふうに理解してもらえないということは、説明の仕方が足りないのでないか、よく説明するという話なのです。
しかし、市民の感覚は、現実的に生活する中で、例えば、あそこの都市は、1立方メートル100円です、札幌市は120円です、そうしたらやっぱり札幌市も100円にしてよと、これが単純に市民の願うところなのです。経営者というのは何かといったら、そういう願いを聞いて、では、どういうやり方で100円に近づけるようにするかと。100円までいかなくても、まず一旦は110円ぐらいのところでいくかと。あるいは、115円でもいいです。やっぱり、経営のやり方をちょっと変えて、何ぼかでも安くして、そして、借金も、ちょっと長くなるけれども、こんな形にして、あるいは、市民の皆さんにも、水道の債券を発行して、金利は安いけれども、少し資本参加してもらうと。こんなようないろいろな知恵を出して、そういう中で、なくてはならない札幌市の水というものを経営していく、そういうことがなければうまくないのではないかなと。そういうような取り組みをする中で、更新計画なども、その長さと量に対して年数的な長さが決まってきていいのではないか、私はこういうふうに思うわけです。
そういうことからいったら、今、今年度中に700億円ぐらいかかる管路の云々とあるけれども、それだって、じゃあ、どんな調査をされて、そして、その調査の結果がどうだということは、私も説明受けていません。例えば、1キロ単位でこういう管の中にロボットのテレビカメラを入れました、そしてずっと行ったらこういう間隔でこことここの間がこういう傷みぐあいだから、では、ここはやらんきゃいかん、ここからここまではまだちょっとやらないでいいとか、そういうような調査によって必要な管の更新が出てくる、資金需要が出てくるということなのですよ。
だから、そういうようなことを含めて、やっぱり、詳細にやって――計画は会社側の北野社長が立てる、我々が立てたものが正しいのだ、株主代表である議員の皆さん、我々の言うことをやらなかったら、いつ水道がパンクしてあなたのところに水が行かなくなるかもわからぬよと。わかりやすく言えば、こんなふうに言われたら、そうなってもいいからやらないでいいとは誰も言えないわけですよ。
したがって、その辺は、我々議員にも、それから市民にももう少しちゃんとわかるように、調査して、資料を出して、経営計画というものを示してくれないと、きょういきなりここで平成25年度から700億円いきますよと。今ある金は何ぼだといったら84〜85億円だ、では、これは全然足りない、1割ちょっとしかない、では、どうするのだ、また値上げかと、こういう話になってくるわけですよね。あるいは、借金ふやしていくと。では、そこで、本当に700億円、何年でやるかというこの状況の把握の仕方によってうんと変わるわけですよ。この辺をきちんと出してくれないと、我々も市民の代表である議員も、それがわからないで、皆さんの言うことをうのみにして、そして、市民からは、そうは言ったって、俺は80歳になる、あと何ぼ生きても45年かと。ヨーロッパで言われている寿命でいったら125歳だというけれども、俺はそこまでいかん、もうあと10年か十数年だ、100歳までいったって20年だ、そうしたら、今からさらに40年使う管の借金の分を金利も含めて俺にも持てというのかと、こういう話が出てくるわけですよ。
したがって、そういうことについて、きちんとした上でいろいろな経営計画が立てられていかないと、ほかの人はわかりませんが、少なくとも私は納得できない。市民にも説明できる自信は全くない。こういうことについて、私は、やっぱりきちんとすべきだというふうに思いますけれども、管理者、どうですか。
◎北野
水道事業管理者 松浦委員のおっしゃるとおりだと思います。
配水管の更新計画につきましては、今年度の目標として一生懸命まとめましたが、そのときには、現状の配水管の状況とか、配水管が埋設されている土壌の環境とか、そういうものを全て調査いたしました。それに時間がかかりましたが、調査をして、今後は、それをできるだけ平準化する形で更新を進めていくためにどうすればいいかということを検討しました。これは、できてまだ日が浅いものですから、議会とか市民の皆様への説明がまだ十分ではないことについては反省をいたしまして、これからその計画の内容にいてしっかりとご説明させていただきたいと思います。
◆松浦忠 委員 まず、私は、これはくぎを刺しておきますからね。
この計画の中で、値上げをするなんてことは考えていますか、考えていませんか。
◎北野
水道事業管理者 今の状況では考えておりません。
◆松浦忠 委員 今の状況というのは、少なくとも700億円は、何キロですか。
◎北野
水道事業管理者 全体で配水管は4,800キロメートルありますけれども、その中で、一遍にできませんから、期間を区切って進めていこうと。あれも計画ですから、状況によっては数字の変動はありますけれども、今、その第1期
配水管更新計画として想定しておりますのは、平成25年度から36年度までの12年間で700キロメートル、事業費――済みません。私は先ほどキロメートルと事業費をちょっと差し違えておりまして、今見込んでいる概算事業費は556億円です。ごめんなさい。先ほどの700というのは、金額でありまして、総事業延長の数字でしたので、ここで訂正させていただきます。
◆松浦忠 委員 そうすると、第1期の12年間では、値上げはしないということですね。
◎北野
水道事業管理者 そうなるように努力をしていきたいと思います。
◆松浦忠 委員 市長、市長も随分苦労しながら財政運営をやっているのは私もよくわかるのです。これは皆さんも私と同じ認識だと思いますけれども、日本の人口構成を見たら、いわゆる勤労所得者の人数的な割合を言うとこれからはそんなにふえていきません。そして、年齢構成と負担の関係はもう統計で出ておりますし、あるいは、日本の国の人口推計をやっている所管部署からもそういうものはもう出されていますが、負担というのはなかなか大変になります。そういうことからいったら、やっぱり、そういうものも全部きちっと加味した中で――私は、何も狂ったらだめだと言っているのではないです。そういうものもきちっと加味して、そういう中で、水道料金をこれ以上は上げないで、少なくとも12年間は抑えていくと。更新の速度も含めて、今、言ったそのキロ数は何が何でも12年間でやらなきゃいかぬということではない。要は、市民負担が可能なところはどこなのか、所得との見合いでそれを考えながら経営することが公営企業では一番大事だと思うのです。私はそういうふうにやっていただきたいと思うのだけれども、管理者、どうですか。
◎北野
水道事業管理者 繰り返しになりますけれども、公営企業は、決して利益を追求するためにやっているわけではなくて、水道サービスをこれからもしっかりと続けていくために経営を考えていくというのが基本であります。その料金については、料金の水準とか、料金の体系とか、検討をしなければならないいろいろな項目がございますので、資金が必要なことも全部含めて、今後しっかりと検討し、今、積立金が非常に多くなっていますが、まさにそういう積立金を活用することによって、料金についてもできるだけお客様に負担をかけないように経営していこうと考えてございます。
◆松浦忠 委員 これは、北野管理者は、任命されてそんなに長くないですが、たまたまこれだけ積立金ができたというのは、水道局の努力なんていうのはそんなにないのですよ。何があったかといったら、いわゆる世界の経済の変動の中で金利が下がっていく、物価が下がっていく、あるいは、予定していた賃金も上昇しない、こういった状況の中でこういうものがほとんど生み出されてきているのですよ。今、北野管理者の言葉の中に盛んに経営、経営という言葉が出てきます。しかし、経営、経営ではなくて、この経営の株主は誰かといったら市民なのです。その市民の想定される所得の状況などもよく類推できるわけですから、そういうものを類推しながら、12年のものを15年に延ばしたり、あるいは、20年延ばしたりしていくと。市民生活が成り立って、初めて水道料金も払っていけるわけですよ。水道事業の経営だけ、あるいは設備だけを心配のないものに何が何でも取りかえるという考え方だけでなくて、今、私が言っているようなことが根本だということをきちんと考えて、私は、その上に立って経営計画を立てるべきだと。これが私の指摘事項ですが、このことについて理解がいきましたか、管理者。
◎北野
水道事業管理者 よくわかりました。
◆松浦忠 委員 最後に、もう一つ、別なものです。
地球上にあるいろいろな鉱石の中から資源を取り出します。その中で、鉄を取り出したり、いろいろな希少金属もあります。しかし、一般的に使われているもので、最も多い熱量を必要とするのは銅だと言われているのです。そして、電線だとか、配電盤だとか、モーター、こういった電気関係の機器はほとんど銅線が使われております。この更新について、今まで、皆さんは、国のほうで標準を定めていて、その標準で更新していくのだと。こう言うわけですが、ことしは、それらの機器について、どういう場所のどんなものを、お金にしてどのぐらい更新する予定を立てているか、示してください。
◎佐渡 浄水担当部長 機器の更新ということでございますが、設備系に附属するケーブルということになろうかと思います。
申しわけありませんが、ケーブルだけの更新費用というのは、今、手元に資料はございません。
◆松浦忠 委員 ケーブルばかりでなくて、配電盤だとか、モーターだとか、銅線を使っているもの、銅を使っているもの、そういう電気設備ですよ。そういう更新は、どんなものをおよそどのぐらいの金でという更新計画を持っているのか。
◎佐渡 浄水担当部長 設備系でいきますと、例えば、白川浄水場の低圧配電盤の更新工事とか、そういうものをやっておりまして、全ての設備更新を含めて総額では11億円ぐらいを計画しております。
ちなみに、白川の低圧配電盤設備工事では、6,900万円の予算を計上しているところでございます。
◆松浦忠 委員 北野管理者、私は前から言っているのですが、こういう銅などは、金物類の中では、1番とは言わないけれども、キログラム当たりの量で言うと1番使っていると思うのです。そういうことからしたら、例えば、ケーブルやモーターで言えば絶縁が悪くならない限りというようにして、今、国はこの基準でやれなんていうことではないのです。したがって、それぞれの企業会計の中で、北野管理者の判断の中で、試験をしたらまだまだ使えるということであれば、今まで国の基準でやっていたものを、耐用年数を延伸して使うと。札幌市で一番最初に耐用年数を延伸してかなりの額を節約したのは交通局ですよ。これは、伊与部委員の提案で、列車の更新時期を延ばすべきだと言って、地下鉄の車両の更新を延ばしたのです。これで多額の費用が浮きました。これが最初です。
したがって、私は、この予算の中でそういうことが盛られたとしても、執行の段階でもう一回検討して、節約できるものはそういう形で節約していくべきだと思うのですけれども、管理者、いかがですか。
◎北野
水道事業管理者 今のお話については、私どもも、これまでそういう形で取り組んできたというふうに考えてございます。更新につきましても、耐用年数で機械的に更新しているわけではなくて、現実的には、設備関係でも年数的にはそれ以上にもうちょっと使ってやっております。
ただ、私どもが考えておりますのは、繰り返しで恐縮ですが、水道事業というのは、とにかくしっかりとお客様に水を届けるのが最大の使命でありますので、決して断水事故が起きることのないようにということが最も大事であります。そのぎりぎりまで、もう壊れるまで使っていいかとなると、水道の基本的な考え方としては、安全性と経済性をはかりにかけて、多少は経済性に劣るところがあったとしても、やはり安全性を最優先に考えて対応していくのが基本的な考え方でございます。
◆松浦忠 委員 管理者にちょっとお尋ねするけれども、これは、技術的な問題ではなくて、算数的な話なのです。例えば、自動車は、皆さんも私も乗っています。自動車を更新するのはどうするかというと、一つは、形がもう大分古くなったからかえようかと、こういうのも一つあります。それからもう一つは、形は古くなっても、まだ余り走っていないし、部品もそんなに取りかえていないから、もう少し乗るよと。そして、ずっと乗っていったら、どうもあちこち部品が傷んできて修繕費がかさむようになった、では、この辺で取りかえようかと。そういうようなことで、例えば、自動車で言うと取りかえの判断基準が三つぐらいあると思うのです。今、私が言っているのは最後のところです。
したがって、ずっと設備の経年管理をしてきて、例えば、修繕費がかかるとか、あるいは、ケーブルで言うと、絶縁をはかったら、その値が、最初は100あって、80以上あればいいといったものが下がってきて90ぐらいになった、安全率25%あったものが12.5ぐらいになったから交換するかとか、やっぱり、一つのきちっとした物差しがあってやるべきだと私は思うのです。そういう物差しは、残念ながら、今まで聞いていることではなかったというふうに私は記憶しておるのです。
それとも、今回の予算について言えば、そういうことをきちんと整理されて、誰にでも説明できる新しい基準をつくられたのですか。
◎佐渡 浄水担当部長 電気部品がいつ壊れるかということを予測したり推定するのは、技術的になかなか難しいところがございます。そこで、基準になるのは、法定耐用年数とか、今まで壊れた実績とか、もしくは、今まで法定耐用年数以上に使っていて大丈夫だった実績とか、そういう実績を積み重ねてある程度のところで延伸する年数を決めているのが現実でございます。
◆松浦忠 委員 想定耐用年数というのは、どこで、どういう根拠に基づいて決められたというふうに理解されておりますか。
◎佐渡 浄水担当部長
地方公営企業法で決まっていると認識しております。
◆松浦忠 委員
地方公営企業法では必ずしもみんなが納得できる年数になっているかといったら、私は所管しているところにも聞いたのですが、今まで何回も聞いてもわからないと言うのですよ。例えば、今回、モーターについて言えば、今までは絶縁抵抗をはかってそれだけだったのです。そうしたら、今度、新しい別な測定方法を導入して、そして、その測定値がそれよりも下がったら危ないからと言うのです。実は、この間、それが補正予算で下水道であったのです。私は、手稲に見に行ったのです。1カ月に1回、ちょっと試運転するだけなのです、エンジンをかけて、発電機を回して。それが、この新しい測定方法でやったらどうも危険値のところに近づいたと。では、その危険値というのは、その測定方法で事故が起きた、故障した実績か何かがあったのかと聞いたら、下水道の人は、それは全くわからないと言うのです。技術的に素人ではないのですよ。ちゃんと北海道で一番というような大学の電機工学科を出た管理職の人は私にそう答えるわけですよ。
そうしたら、私は、それを聞いて、一体、市民の大事な水道であれ、下水道であれ、そういう設備をどこまで使うかとか、どこでかえるかという基準について、例えば、札幌市の水道の北野社長のところで、確たる説明できる根拠がなくて、それで、いや、今はまだ大丈夫ですとか、いや、ここはもう限界だからとか、こう言われても誰もが理解できないのです。私は、そこをきちんとすべきですよと言っているのです。
例えば、配電盤にしたって、私は今まで何回も言ってきたけれども、配電盤に流れる電流が、新しくモーターとか電球をたくさんつけたから、その配電盤の回路を流れる電流が大きくなって、その中に使っている電線ではもう流し切れません、だから、この配電盤はもう少し太い電線を使った配電盤にかえなければいかぬ、こういう説明があれば、なるほどなとなるのです。
それがなくて、もう何年かたったからと言われても、どうしてとなるのです。例えば、銅線が腐食して、緑色の緑青という、鉄で言えばさびが出ます。そういうのがどんどん出て細くなってきました、100あった容量がもう70ぐらいになったと。(発言する者あり)こういうような状況でもきちんと出たならば、それでは基準まで来たからそこで更新しますと、そういうところで基準値をつくったというならわかる。(発言する者あり)何にもつくらないで、今みたいなことを言われても、誰も理解しない。
今、そこで、何回も言ってきたからわかったと言っているけれども、向こう側がわかってないのです。向こう側がわかって、私にわかるような説明をしてくれなければ、私がわからないものを、私は市民の代表としてどうやって市民に説明するのですか。私はそこを聞いているのです。
したがって、この予算で計上されていたとしても、やっぱりそういうことをきちっと検証して、必要がなければ執行しない、これがなかったらだめではないですか。わからぬ者と知らぬ者が集まって、そうだ、そうだと言って、後で市民から水道料金がこうやって高いのに何で下げてくれないのだと言われて、それは水道局が下げないから悪いのでと言ったって、これでだめな話なのですよ。(発言するものあり)
○伊藤理智子 委員長 松浦委員、質問をしてください。
◆松浦忠 委員 (続)したがって、これについて、管理者、きちっと説明ができるまではこれに関連する予算は執行しない、検証して我々議会にきちっと説明する、そして、理解を得られた上で執行するというのが当たり前ではないですか。どうですか。
◎北野
水道事業管理者 今回、予算として皆さんにご審議をお願いしておりますのは、私どもが必要な更新だということで予算をお願いしているものでありますので、予算としてお認めいただければ、もちろん、その執行の段階で、より工夫をしながらの執行というのはありますが、事柄としては進めてまいりたいというふうに思います。
◆松浦忠 委員 市長、市長も仕事として弁護士を長くやられたから、いろいろな事案にかかわってこられたと思いますけれども、今、私が指摘しているのは、唯心論か唯物論かというと唯物論なのですよ。物理的物証をどうするかということなのです。精神的に頑張ろうという話ではないのです。かつては、交通局も、旧運輸省が決めているから車両の使用年限はこれだということで聞かなかったわけですね。しかし、再三、議会で、私なんかも言ったし、伊与部委員なんかも何回も何回も言って、最終的には伊与部委員の意見を取り入れて車両の延伸をはかったわけですよ。やっぱり、それが経営者としてのあるべき姿だと思うのですよ。
市長、これについて、私は本当に何回も何回も言ってきています。したがって、少なくとも、どうやったら安全を保てて、どの辺が更新の限界か、その研究をきちんとまじめにする。これがなかったら、今の北野管理者の答弁では――僕もはっきり言って中身がわからない。恐らく、ここに座っているメンバーで、それは絶対に危ないと確信を持てる人が何人いるか。いないと思うのですよ。そういう中で、賛成か反対かといったら、はい、賛成と、僕はこれではいかんと思うのです。やっぱり、物理的にきちんと検証して、できるだけ大事に使っていくことが必要なので、市長、ぜひ、今後、市長として水道局の皆さんと検討していただきたいということを市長に要請したいのですけれども、いかがでしょうか。
◎上田 市長 物によると思います。本当に切れてしまうと、直ちに水道が札幌じゅうに行き渡らないような事態が起きるものと、切れるまで待って、すぐに対応すれば何とかなるものと、物によって部品の占めている重要性があって、水道機能を維持するためにと、先ほど来、管理者からも何度かお話がありましたが、そういうものとの対比において安全値をどういうふうに考えたらいいか、これは個別にしっかり考えなければならないというふうに思います。
ただ、全体に一気にダウンしてしまう、機能が維持できなくなって大きな影響が出るようなものについては、やはり、法定の耐用年数というのは一つの判断基準になるだろうというふうに思います。そこで、法定の耐用年数が来たから直ちに取りかえるということではなく、そのときに再検査をしてみるといいますか、そういうことは必要だろうと思います。製造メーカーにこれは大丈夫かと聞いてみて、もう少し大丈夫だというような専門的な助言をいただけるのであれば、それに従うというようなことが繰り返しやられていって、執行の段階でも、市民の皆様方の財産ですから、臨機応変に、最大限、有効に活用させて最少の経費で最大の効果という考え方を徹底させていくことが必要だろう、こんなふうに思います。
◆松浦忠 委員 とにかく、企業会計ですから、他力本願で、誰かが決めているからそれに従うではなくて、特に今は地方分権になっているわけですから、しっかりとそういうことについて検証すると。そして、私は、何も、それが半年でできるとか、1年でできるなんて言っているのではないのです。そういうことにちゃんと取り組んでやっていくことが大事なのです。それがいわゆる公営企業なのです。だから、そのことをやっていただきたい。
それから、もう一つ、水道の盗水について、札幌市にも算定基準があります。今、盗水だと指摘があったら、それに対して、札幌市の算定基準で、単純にこの基準だからこれだけ払いなさいとしています。しかし、こういうことだけで決めるのではなくて、やっぱり、盗水の状況を把握している人がいるとすれば、そういう人の意見も聞いて算定していくべきだと私は思うのですけれども、この取り扱いについてはどうですか。
◎小田 配水担当部長 盗水の場合の算定基準は、前回の違反工事の問題でのお話だと思いますが、その場合、水量の算定が不明だと、メーターが故障していてその指針では読みとれないという場合に適用したものでございます。
◆松浦忠 委員 私が質問しているのは、そういう盗水を目撃して、一定期間、監視していた、目撃をしていた、そして水道局に通報したと。そうした場合に、その算定をするときに、いわゆる目撃をして通報した人の意見というのは聴取すべきだと思うのですよ。そして、その人の状況も聞いた上で、盗水した人にそれを確認して、その上で水量を決定していく、こういうことをすべきだと思うのだけれども、これについてはどうですか。
◎小田 配水担当部長 この件に関しましては、通報をいただいたお方と水道局の職員とが面談してお話を伺っております。それ以外の我々の方法で算定することのほうが水量的には多かったということで、こちらのほうが適切であったというふうに考えております。
◆松浦忠 委員 今の質疑を通して、水道局が算定された方法と、目撃された人の言われていることと、どちらが多いかどうか、私は確認ができませんから、きょうの質疑はこれで終わり、この問題については、これ以降に確認して、また再度、別な機会に改めて続行したいと思いますので、きょうは、ここで終わりにします。
◆こじまゆみ 委員 私からは、水道管の維持管理について伺わせていただきたいと思います。
今、るるお話がございましたが、やはり、大量の配水管が次々と経年劣化を迎えているということは、大量の更新時代が到来するのではないかというふうに私自身は考えておりまして、水道局としましては、配水管の計画的な更新ということで、延命化、平準化、そして今後の事業計画が挙げられていると伺っております。
ただ、延命化、標準化ということと裏腹に、ライフラインの安心・安全という面から考えますと、近年、老朽化した社会インフラの事故が相次いでいることをかいま見ますと、全国的に注目されている現状もございます。昨年12月の中央自動車道笹子トンネルの事故では、多数の死傷者が発生したほか、全面開通まで約2カ月を要し、この間、交通や物流にも多大な影響を生じることとなりました。報道等によりますと、この事故の原因は、トンネル上部からコンクリートの天井板をつり下げていたボルトの結合部の経年劣化であったとされております。また、まだ記憶に新しいところでございますが、2月10日に発生した網走市の導水管の漏水事故では、市内の約6割に当たる約1万1,600世帯で最大18時間にわたる断水が発生しており、この事故原因は、管体の亀裂によるもので、人為的なものではなく、自然発生的なものと伺っております。
道路や上下水道といった社会インフラは、市民生活に直結しており、一たび事故が発生すると確実に市民へ影響を及ぼすことになります。先ほど来の延命化、平準化ということももちろんございますが、特に水道につきましては、市民生活に欠かすことのできない命の水、ライフラインであり、絶え間なく水を供給し続けなければならないと存じます。このため、水道局では、配水池など、施設の更新や耐震化を進めるほか、管路については、白川浄水場からの大動脈である白川第3送水管新設事業の実施や、平成25年度からは、昨年末に策定した
配水管更新計画に基づく更新事業を進めていくものと認識しております。
漏水などの事故を未然に防止していくためには、更新を計画的に進める一方で、日ごろからの維持管理も非常に重要であり、特に、異常箇所の早期発見と適切な対処が不可欠であると考えます。例えば、建物や道路など、一般的な構造物であれば、比較的容易に目視点検や詳細な点検を行うことができ、その結果によっては補修や更新といった対応をとることができると思いますが、水道管については、ほとんどが地中に埋められ、土壌だとか環境による影響も多数あるというふうに伺っており、漏水などの異常の有無を判断することは非常に難しいのではないかと考えております。
そこで、水道管における漏水などの異常箇所の発見と対処について、どのような維持管理を行っているのか、また、水道管の漏水はどの程度発生しているのか、伺わせていただきたいと思います。
◎小田 配水担当部長 初めに、水道管の維持管理についてお答えいたします。
水道管の維持管理は、漏水などの異常の有無を監視するとともに、計画的な点検調査を行い、劣化が認められるものは、予防保全の観点から補修や更新を行っております。また、漏水が発生した際には、速やかに修繕を行っております。具体的には、配水センターにおきまして、配水池などの流入及び流出量や水位、送水管や配水幹線などの基幹管路におけます流量を24時間集中監視しており、規模の大きな漏水事故など、即座に異常を検知することが可能となってございます。また、地上にまで水が出てくるような漏水は、市民の皆様からの通報により発見することも多く、日ごろから市民の皆様にはご協力をいただいているところでございます。
水道管の点検や調査につきましては、水管橋や仕切り弁などの附属設備は直接目視や動作確認などにより行っております。それ以外の水道管のほとんどは、委員がご指摘のとおり、地中に埋設されておりますことから直接的な点検が行えないため、特殊な技術や機器を用いて地上から漏水の有無を調査する漏水防止作業を行っております。
次に、水道管の漏水発生状況についてお答えいたします。
平成23年度におけます老朽化に起因する漏水の修繕件数は、配水管で32件、給水管で422件、合わせて454件となっております。また、1年間の漏水量は約570万立方メートルで、全配水量約1億9,200万立方メートルに対して漏水率は3.0%となってございます。
なお、本市の漏水率は大都市の中でも4番目に少ない数値であり、これは、これまでの積極的な老朽管更新や適切な維持管理のたまものと考えてございます。
◆こじまゆみ 委員 札幌市の漏水率は、大都市の漏水率を比較してみると4位ということで、これは、老朽管更新や外面腐食管対策を積極的に実施してきた一方で、ほとんどが地中に埋まっている水道管について、漏水の有無を調査し、発見して修理するという漏水防止作業の成果によるものが大きいと考えます。水道管の漏水は、収益にならない水が増加するばかりでなく、断水や水量、水圧の低下、濁水の発生といった直接的な影響のほかに、道路の陥没や家屋への浸水といった2次災害を引き起こすおそれがあります。漏水防止作業は、このような事故を未然に防止することに加え、水資源の有効活用といった環境保全の観点や、修繕費の削減など経済性の向上にも寄与する大変重要な作業であると思います。
そこで、札幌市における漏水防止作業の具体的な内容と効果について伺いたいと思います。
◎小田 配水担当部長 漏水防止作業の具体的な内容と効果についてお答えいたします。
漏水防止作業は、計量作業と音聴作業の二つに大別されます。計量作業につきましては、各配水ブロックの配水量や水圧を超音波流量計などを用いて測定し、水道の使用量が最も少ない深夜などの配水量や水圧の状況について分析した結果から漏水の有無を判定しております。音聴作業につきましては、計量作業により漏水があると判断したブロックにおいて、聴診器のような機能を持つ音聴棒を使用し、配水管に接続されている消火栓や仕切り弁などの附属設備から漏水音を聞き取り、漏水の有無を判断するものでございます。この作業は、小さな漏水音と下水の流れる音や車の走行音といった都市騒音を聞き分けるもので、特殊な技能と経験が必要になります。音聴棒を使用した作業は、積雪期を含め、年間を通して実施しており、また、作業時間帯は昼間を基本としておりますが、都市騒音の影響を考慮して、繁華街や幹線道路沿線では早朝や深夜に実施することもございます。
平成23年度は、計量作業として73カ所のブロックを対象に実施し、また、音聴作業は、配水管900キロメートルと、それに接続される全ての給水管のほか、市内全ての消火栓1万7,160カ所を対象に実施しております。この結果、先ほど申し上げた漏水の修繕件数454件のうち、約25%に当たる114件を一連の漏水防止作業によって小さな漏水のうちに対処しており、大きな事故を未然に防いでいるものと考えております。
また、これらの漏水防止作業によって漏水を防止できた量は、1年間で約157万立方メートルを見込んでおり、1立方メートル当たりの販売単価214円で換算いたしますと約3億4,000万円分になり、有収率の向上にもつながっております。さらに、環境負荷の低減の観点からは、貴重な水資源を有効に活用するだけではなく、浄水処理に使用する薬品やエネルギーの節減にもつながっているものと考えております。
◆こじまゆみ 委員 157万立方メートル、1立方メートル当たり単価214円に換算して3億4,000万円と、経済効果も非常に高いのだなと改めて感じます。
漏水防止作業は、いろいろな作業を組み合わせながら地道で継続的に行うことにより、大きな効果を生み出していることがよくわかります。特に音聴作業は、私も道路で見かけたことがありますが、長い棒を耳に当ててやっていらっしゃるのがそうだと伺いました。非常に特殊な作業であり、高度な技術、技能とともに経験が必要なもので、このような技術や経験を一朝一夕で習得することは困難であり、熟練した技術者を確保し、その技術、技能を確実に継承していくことが大きな課題であると考えます。
水道局では、組織体制の見直しや業務委託の範囲拡大により職員の削減を図るなど、経営の効率化を進めてきておりますが、漏水防止作業に係る担い手の確保と技術、技能の継承について、どのように考えているのかお伺いします。
また、
配水管更新計画では、法定耐用年数40年にとらわれず、60年、80年といった使用基準年数を新たに設定したと伺っていますが、このことは、従来よりも長期にわたり配水管を使用していくことになると認識しております。
そこで、配水管の使用年数が長期化していくことを踏まえた今後の維持管理について、どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いします。
◎小田 配水担当部長 まず、漏水防止作業にかかわる担い手と技術、技能の継承についてお答えいたします。
漏水防止作業につきましては、水道局の経営の効率化を進める中で、特殊な技術、技能を要する音聴作業について、平成17年度から札幌市水道サービス協会に委託を開始し、あわせて、水道局から技術、技能の移転も図ってきております。現在、委託開始から約8年が経過いたしましたが、作業量及び調査実績も直営時代と比べて遜色なく、漏水率も着実に減少してきており、漏水防止作業にかかわるパートナーとして札幌市水道サービス協会への技術、技能の継承は順調に進んだものと考えております。
次に、今後の維持管理に関する取り組みについてお答えいたします。
将来にわたり管路の健全性を維持していくためには、計画的な配水管の更新と漏水防止作業を初めとした維持管理を両輪とする予防保全が重要と考えております。委員がご指摘のとおり、
配水管更新計画では、従来よりも長期にわたり配水管を使用していくため、更新事業を着実に進めていく一方で、漏水の発生状況のほかに漏水の原因となる外面腐食の進行度などを常に監視し、把握していくことが重要であり、漏水防止作業を初めとする日々の維持管理をこれまで以上に充実していく必要があると考えております。
◆こじまゆみ 委員 市民の皆さんが、ふだんどおり、いつも安心して水道を使うことができるのは、冬も、そして深夜も、季節、昼夜を問わず、これら漏水防止作業を初めとした維持管理を地道に継続して行っている結果であり、まずはこのことにありがたく感謝したいなと思います。そして、今後も、現状に満足することなく、水道管の維持管理を一層充実していくようお願いしたいと思います。また、平成25年度から開始する配水管更新事業においても、漏水調査や各種点検の結果をもとにした対象管路の選定や積極的な事業の前倒しなど、維持管理と連動したより効果的な事業の推進が重要であると考えますので、このことにつきましても検討をお願いしたいと思います。
最後に、漏水防止作業のような特殊な技術や技能は、水道管を適正に維持管理していく上で非常に重要なものであり、札幌市にとって大きな財産であると思います。以前から申し上げておりましたが、そのためにも、今後も漏水防止作業の担い手である札幌市水道サービス協会との連携を堅持しながら、こういった技術、技能の維持、継承を確実に行っていただきたいということを要望させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
◆林清治 委員 私からは、先ほども議論がありましたが、水道事業の経営の根幹を担う地方
公営企業会計基準の見直しについて質問していきたいと思います。
地方公営企業の会計制度というのは、
地方公営企業法が施行された1952年以来、経済性を発揮するための複式簿記の導入とともに、大規模な施設整備が必要とされることなど公営企業の特質を背景として、民間企業会計のものとは一部異なる独自の仕組みがとられてきました。近年、民間の企業会計基準においては、会計ビッグバンと言われるように、経済のグローバル化による情報開示等の要請がふえていることを踏まえて、国際基準に準拠した大幅な見直しが進められてきているところであります。一方、
公営企業会計基準は、1966年以来、47年も大きな改正がなされておらず、民間企業会計との違いが大きくなっている現状がございます。
今回、国による地方
公営企業会計制度の見直しが行われることになっております。
地方公営企業法の改正を初めとする手続が、今、進められているところでありますが、民間の企業会計基準をできるだけ取り入れるとともに、地方公営企業の財務における透明性の向上と自己責任の拡大を図ることなどが目的として挙げられております。
会計制度の見直しに関する一連の動きを見てみますと、まず最初は、地方公営企業における経営の自由度を向上させる観点から資本制度の見直しが行われました。そして、一部改正された
地方公営企業法が既に昨年4月から施行されているところであります。続いて、一連の見直しの中で、最も重要な位置を占める会計基準の見直しについて、昨年1月に関係政省令の改正が行われたところであります。各地方公営企業においては、2014年度までに新たな会計基準を適用することが求められております。この会計基準の見直しは、約半世紀ぶりとなる大きな制度の変更でありますが、市民の方々には余り知られていないと思うところであります。また、新たな会計基準に移行するためには、予算書や決算書、または会計処理のあり方など、多岐にわたる検討の対応が必要ではないかと思われます。
そこで、会計基準の見直しについて、2点質問いたします。
1点目としては、今回の会計基準の見直しにより、主にどのような変更があるのか、2点目としては、水道局では、会計基準の見直しへの対応をどのように進めているのか、お伺いします。
◎森 総務部長 まず、1点目の変更内容についてでございます。
会計基準は、会計の処理や財務状況の表示の仕方を定めたルールでございますので、会計基準の見直しにより経営状況が変わるものではございませんが、地方公営企業においては、新規となる会計処理の導入や変更などによりまして財務状況の表示が大きく変わっていくことになります。主な項目といたしましては、公営企業独自の買い入れ資本金制度の変更や、補助金等により取得いたしました固定資産の償却制度の変更のほか、より実態に即した資産状況を明らかにするための減損会計の導入、現預金の動きを示すキャッシュフロー計算書の作成などとなっております。新たな会計基準では、民間企業に準じた多くの基準が導入されておりまして、民間企業との比較が容易になるなど、これまで以上に利用者の方々への情報開示が進むことになると考えているところでございます。
2点目の対応状況についてでございます。
新たな会計基準につきましては、平成26年度予算から適用されますので、限られた期間内で対応していくことが必要でございます。水道局では、まず関係機関からの情報収集を積極的に行いまして、新会計基準の内容や必要となる対応について慎重に検討を進めてきておりますとともに、監査法人など専門家からの助言等を受ける体制も整えております。また、業務に必要な財務会計システムにつきましても、新基準に合わせた改修を進めていることころでございます。
◆林清治 委員 ただいま、今回の会計基準の見直しによって、民間企業の会計に近づくという部分と、システムの改修やさまざまな要件が必要であるということでした。特に、財務状況の表示方法においてこれまでと変わる部分が多くあるという説明であります。料金収入をもとに独立採算を原則とする地方公営企業において、利用者からの理解を得ていくことが非常に重要であると思うところであります。特に、ほかの企業会計と比べましても、水道局の会計では大きな変化があるのではないかなと思っています。
水道局では、現在、新基準への対応を進めているという答弁がございましたが、この移行により、具体的にどのような影響が考えられるのか、全体像を捉えながら準備しておくことも重要であるというふうに認識しております。
そこで、質問ですが、
水道事業会計の新会計基準への移行に伴い、現時点でどのような影響があると考えられるのか、また、特に影響が大きいものについてお聞きしたいと思います。
◎森 総務部長 新会計基準移行に伴います主な影響についてお答えいたします。
水道事業の財務諸表において特に影響が大きいものといたしましては、これまで借り入れ資本金に計上していました企業債を固定負債へ計上することにより、負債額が大幅に増加することとなりまして、これが大きなものでございます。仮に、平成23年度決算における企業債残高から試算いたしますと、負債額が約1,246億円増加することとなります。また、資本剰余金の一部が負債へ移行されることなど、資本が大幅に減少する反面、負債が大幅に増加する傾向になることも見込まれております。さらに、補助金等によりまして取得した固定資産について、償却制度の変更によりまして、一部の補助金等の収益化が義務づけられ、
水道事業会計では利益が大幅に増加することが見込まれております。仮に、平成23年度決算について試算いたしますと、この補助金等の収益化という要素だけでも20億円を超える利益の増加が見込まれておりますが、これは、現金を伴わない見た目上の利益でございまして、経営を好転させるものではございません。
これらのことを含めまして、新会計基準への移行に伴う影響につきましては、利用者の皆様からのご理解を得られるよう説明に努めてまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 ただいまの答弁の中で、平成23年度の決算で試算すると見た目の利益が20億円を超えるというような話、それから、企業債残高である1,246億円の資本金減少、そして負債が増加するという部分がございました。やっぱり、情報開示という部分でも、市民に誤った見方をされない、きちんと見ていただくということも必要だと思うし、そういう努力をしていただきたいと思うところでございます。
次に、会計基準の見直しを契機とした財源の有効活用について質問していきたいというふうに思います。
先ほど来、議論になっておりますが、近年、老朽化を迎えた施設の更新は大きな問題となっております。そして、先ほどのこじま委員の質疑にもありましたが、記憶に新しい笹子トンネルの老朽化による天井板崩落事故など、本当に痛ましい事故も発生しているところでございます。高度経済成長期に整備された全国の多くの施設で、現在、老朽化が進んでおり、対策が求められているところであります。そして、施設更新のためには資金が必要であり、その財源が十分に確保されていないことが全国的な課題となっております。
これまで、我が会派では、ライフラインである水道施設を維持していくことが市民生活にとっても大変不可欠なことであるとの認識に立って、施設の老朽化に伴う修繕経費の増に対応するための修繕引当金の導入や、施設更新の財源を確保するための積立金の導入を求めてきたところであります。水道局では、修繕引当金及び
水道施設更新積立金を導入し、財源の確保を図っていただいていることについては、一定の評価をしているところであります。
施設の老朽化対策として、水道局では、配水管や浄水場の更新計画を策定していると聞いておりますが、今後は、これらの更新に要する事業費が増大する見込みであり、料金収入が減少傾向にあることを踏まえると、厳しい経営状況となることが見込まれております。今回の会計基準の見直しは、地方公営企業の財務状況の明確化を図ることを目的の一つとしており、この趣旨を踏まえ、経営課題を的確に把握することと、施設更新の財源確保を図ることが大切であると考えております。
そこで、次の質問ですが、新会計基準への移行を契機として、現在、
水道事業会計が有している引当金などの資金について、今後、最優先される施設の更新事業の財源にも有効活用できるよう検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
◎森 総務部長 財源の有効活用についてということでございます。
委員がご指摘のとおり、水道局といたしましては、市民の方々に安全でおいしい水をいつまでもお届けするための施設の更新財源の確保は、最も重要な経営課題の一つであると認識しているところでございます。そのため、今回の会計基準の見直しとあわせまして、引当金などの資金をより有効に活用するなど、更新財源のあり方についても検討を進めてまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 ただいま、引当金を含めて有効活用していくという答弁がございました。質疑は終わりまして、最後は要望になりますが、本当に、水道局だけではなくて、公共の福祉を担う地方公営企業として、新たな会計基準においても、利用者に財務状況をわかりやすく伝えることが必要だと思うし、経営に対する理解を得ていくことが大変重要だと思います。先ほど来、他の委員の質疑にもありましたが、しっかりと経営状況を見ていただいて、どれだけ更新にお金がかかるのか、予算がかかるのか、そして、その更新をいつしなければいけないのか、やはりそのことを早期に明確にし、市民に情報開示、ディスクロージャーしていくことが、今、大変重要だというふうに思っているところであります。さまざまな施設の老朽化による事故を未然に防止するという話になりますと、施設更新のための財源確保は本当に急がれると思うところであります。
施設の更新時代における地方公営企業の経営のあり方を考えるに当たっては、これまで以上にしっかりと経営状態を明確に示し、新会計基準を活用して経営課題の把握や分析をしっかり行うことが必要であります。そして、先ほど言ったように、施設ごとに更新の時期と経費をできるだけ早く市民にわかりやすく示していただきたい。そうすれば、先ほど来の水道局の積み立てが何に使われるのかということが明確に伝わると思います。この厳しい財政状況の中で、新たに施設更新をするに当たって、起債をして、借金をして、子どもや孫の世代に負担を残す、そのことは避けなければいけません。今からしっかりと積み立てをして、そのお金で市民のライフラインである水道を守り、しっかりとサービスレベルを維持していく、やはり、そのことが一番大事なことになっていくと思います。そういう意味で、なお一層、民間的な経営手法を活用して柔軟な対応で施設の更新を着実に進めていただくことを要望して、質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、給水装置立入調査についてと、満期メーター取りかえ業務について、大きく2点、質問させていただきます。
先に給水装置立入調査についてですが、平成22年の第3回定例議会におきまして、給水装置の安全性について質問させていただきました。その問題に対するその後の水道局の取り組みについて質問したいと思います。
配水管から分岐して建物内に引き込まれております給水装置は、所有者の財産でありまして、その管理については、所有者、または使用者が適切に行うものとされております。しかし、近年、全国的に給水装置の管理の不徹底とか、給水管と他の配管との接続、いわゆるクロス・コネクションによる水質汚染事故が問題となっております。最近では、共同浴場の混合水栓を通じて温泉水が配水管に逆流し、約40戸に影響を与えていたという事例とか、食品製造会社で井戸水の配管を給水管に接続していたために、飲料に不適切な井戸水が小学校や一般家庭約50戸に流れ込むといった逆流事故も発生しております。東京都や横浜市では、以前より、薬品等を使用している施設に対して給水装置の立入調査を行って水質汚染事故の防止を図っていることから、本市でも同様な立入調査の必要性を以前に指摘させていただいたところであります。
札幌市では、現在のところ、今、申し上げた他都市のような水質汚染事故は確認されておりませんけれども、今年度から専門の係員によります給水装置の立入調査を開始したと伺っております。
そこで、質問ですけれども、立入調査の対象と今年度の実施状況及び調査の内容についてお伺いします。
◎小田 配水担当部長 ただいま委員からご指摘のとおり、水道局では、今年度から給水装置の立入調査を開始いたしました。まず、立入調査の対象施設は、給水装置と他の配管が誤って接続された場合に水質汚染事故の危険性の高い施設といたしまして、ガソリンスタンドなどの石油取扱業、クリーニング業、写真・印刷業、食品製造加工業などの施設のほか、井戸水、温泉水、雨水など水道水以外の水を併用している施設がございます。平成24年度は、そのうち、先進都市で改善指摘率の高かったガソリンスタンド207施設を対象に立入調査を実施いたしました。
次に、立入調査の内容でございますが、水道局では、給水装置工事の新設や改造工事におきまして、設計審査や竣工検査により、給水装置が法令で定める構造及び材質の基準に適合していることを確認しておりますが、その後、届け出のない改造工事が行われ、基準に適合しなくなってはいないかどうかを確認するものでございます。具体的には、配水管の水圧に影響を及ぼすおそれのあるポンプに直接連結されていないこと、給水装置以外の配管、その他の設備に直接連結されていないこと、逆流を防止するための適切な措置が講じられていることなどを目視により調査しております。
◆國安政典 委員 立入調査の対象としては、ガソリンスタンドなどの石油取扱業、クリーニング、写真、印刷、さまざまありました。また、井戸水、温泉水などの水道水以外の水を併用している水質汚染事故の危険性の高い施設を対象として、そのうち、平成24年度はガソリンスタンド業207施設について立入調査を行って、給水装置が法令で定める構造及び材質の基準に適合しているかを目視によって確認したということを理解いたしました。
本市では、幸いにも給水装置に関する水質汚染事故はまだ確認されておりませんが、水質汚染事故の危険性の高い施設は多岐にわたっておりまして、万が一、クロス・コネクションがあった場合には重大な水質汚染事故につながるおそれがあるものと思います。
そこで、今回、ガソリンスタンドを対象として行った立入調査の結果とその効果について伺います。
◎小田 配水担当部長 今年度実施いたしましたガソリンスタンドを対象とした立入調査の結果とその効果についてでございます。
今年度は、207施設で立入調査を行った結果、懸念されておりました油類の配管とのクロス・コネクションはなかったものの、約8割の166施設におきまして、洗剤や液体ワックスなどを使用する洗車機の不適切な接続や無届けの改造などが行われていることが判明いたしました。具体的には、洗車機と給水管との接続方法の不適が97件、洗車機内部の逆流防止装置の不適が33件、また、寒冷地特有の凍結防止のため、洗車ノズルから放水するための加圧ポンプの直結などが138件などとなっており、複数の不適事項が見られた施設もございました。
このため、これら問題のありましたガソリンスタンドに対して、不適事項を指摘の上、改善指導を行い、そのうち約3割の49施設が指導に基づき改善を実施したことを確認しております。
しかしながら、多くの場合、改善に係る費用の問題などにより、早急には改善が進まない状況となってございます。このような不適切な施設につきましては、2度、3度と繰り返し立入調査を実施し、改善指導を行うことで、水質汚染事故の未然防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆國安政典 委員 立入調査の実施によりまして、事業者へ的確な改善指導を行い、水質汚染事故を未然に防止する、そういう施策に積極的に取り組んでいるということでございました。
水質汚染事故は、一度起きますと、ほかの水道利用者に大きな迷惑がかかるといいますか、大変な問題であります。現在、立入調査を行っているガソリンスタンド以外にも対象を広げ、水質汚染等の危険性の高い施設に対して立入調査の目的、意義を十分に説明して、クロス・コネクションによる水質汚染事故の危険性を啓発することで水道水の安全に対する意識の向上を図ることが必要だというふうに思います。そのためにも、今以上に立入調査を充実させるために体制の強化も図らなければいけないと思いますし、また、クロス・コネクション等、給水装置に不備があって改善勧告に従わない施設には、過料等の法的措置も検討するべきではないかと思います。
今年度の調査でも改善指導、改善を実施したのが約3割、49施設ということでございました。しっかり改善をすること、そこまでが仕事ではないのかなというふうにも思うわけであります。水道の使命は、安全でおいしい水を利用者に供給することでありますけれども、いわば水道の末端施設である給水装置で安全性が確保されなければ、安全な水の供給は保障されません。今後とも給水装置の立入調査をしっかりと行っていただいて、安全でおいしい水の確保、供給に努めていただきたいというふうに思います。
次の質問に入らせていただいて、満期メーターの取りかえ業務について伺います。
水道メーターは、水道事業経営に大きな影響を与える給水収益の根幹となる水道料金の算定に欠くことのできないものであります。その交換につきましては、計量法の規定に基づいて、8年間の有効期限ごとの交換が義務づけられております。札幌市では、満期メーター取りかえ業務として、年に約10万個強のメーター交換を業務委託で行っていると伺っております。
今後につきましては、市電フェスティバルにおきまして、低床車両を活用した新たな催しを組み込むなど、地域との連携を深めながら、このフェスティバルへの来場者の増を図れるようさらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 ただいま取り組みの具体的な例も含めて答弁いただきました。
低床車両導入は、沿線住民の皆さんも本当に期待の声が大きいところでございますし、この低床車両の魅力を最大限発揮しながら、さらに路面電車の利用促進に取り組んでいただきたい。そして、市電フェスティバル、地域の住民も、毎年、本当に楽しみにしている行事でございますので、地域と連携しながらさらに活性化していただきたいなと思うところでございます。
次に、2点目の質問として、路面電車の利便性向上について質問したいと思います。
今後、低床車両が導入されても、西4丁目停留場における降車に時間がかかるという問題、そして、停留場のバリアフリー化など、利用促進策と並行して利用者の利便性向上に取り組んでいくことが大変重要であります。路面電車からおりる際に時間がかかるという問題については、現在でも朝と夕方のラッシュ時、西4丁目停留場に職員が出て定期券などの利用者を中の扉から降車させる対応をしていることは承知しております。でも、問題の解決にはまだまだ至っていない状況でございます。
また、現在路面電車において、多く利用されているウィズユーカードは、料金箱にカードを通さなければならないため、処理に若干時間を要しており、ここに降車時の混雑の一因があるのではないかと考えているところです。今後も路面電車の利用を促進していくためには、混雑時にスムーズな降車ができるようにすることが不可欠と考えております。
そこで、質問ですが、混雑時のスムーズな降車の実現に向けて、今後どのような取り組みをしていく考えであるか、お伺いいたします。
◎小西 事業管理部長 混雑時のスムーズな降車に向けた取り組みについてお答えいたします。
本年6月に、路面電車にもいよいよSAPICAが導入されることによりまして、委員からもお話がありましたけれども、ウィズユーカードをカードリーダーに通すというこれまでの方式から、さっとかざすだけでスムーズな降車が可能になる方式に移行されるため、降車時間の短縮効果が期待されるところでございます。このほか、西4丁目の停留場で混雑する朝夕の通勤時間帯には、持ち運びが可能なSAPICAのハンディー読み取り機を職員が形態し、SAPICA利用者が中扉からもスムーズに降車できるよう対応を予定しているところでございます。
◆林清治 委員 ただいま、SAPICAのハンディー読み取り機による混雑時のスムーズな降車の実現に向けて、具体的に新たな取り組みもされていくということでございますので、しっかりと取り組んでいただいて利便性向上につなげていただきたいなと思うところでございます。
次に、もう一つの課題である停留場のバリアフリー化についてです。
これは、低床車両の導入とともに実施することで、本来であれば最も効果的な取り組みになると考えているところでございます。道路幅員の問題もあり、整備には時間がかかるのは承知しているところですが、高齢者や障がいのある方に安心して利用していただくためには早期の整備は欠かせないと考えております。停留場のバリアフリー化を早期に達成するためには、交通局の取り組みのみならず、建設局で行っている電車通りの拡幅工事とスケジュールを合わせていく必要があることから、交通局と建設局との連携が大変重要であるというふうに考えております。
本日は、建設局の浦田土木部長にもおいで願っております。そこで、土木部長に質問ですが、現在事業中の電車通りの道路拡幅事業の進捗状況と今後の整備スケジュールはどのようになっているのか、また、交通局とはどのように連携を図っているのか、お伺いしたいと思います。
◎浦田 建設局土木部長 私から、現在事業中の電車通りの道路拡幅事業の進捗状況と今後の整備スケジュール及び交通局との連携状況についてお答えいたします。
路面電車関連の街路事業といたしましては、現在、西7丁目通、電車の路線名で言いますと山鼻線の南4条から南9条の区間680メートル及び福住桑園通、これも電車の路線名で言いますと山鼻西線の南1条から南9条の区間940メートルについて、平成12年度に事業に着手し、これまで用地買収を進めてきたところでございます。平成25年度には、都心側から地下埋設物の支障移転工事に着手する予定でございまして、この工事が完了した区間から、26年度以降、電線共同溝設置工事、道路拡幅工事と順番に進めていく予定でございます。
工事につきましては、バリアフリーを考慮して拡幅後の道路の計画高さに軌道面を合わせる必要がございます。そのため、工事の手順としては、まず、軌道の撤去、続いて道路掘削及び路盤工事、軌道の再設置、舗装、場所によっては電停の設置といった複数の一連の作業を、市電の運行に支障がないよう、深夜の限られた時間、今のところ、恐らく実質5時間程度になるのではないかと思っておりますが、この時間で行う必要があるため、年間の施工延長は大体百数十メートル程度と通常の道路工事よりもかなり期間を要する見込みとなっております。現在のところ、全区間の完成には、最短でも平成32年度ごろまでかかる見通しとなってございます。
こういった一連の事業に関する交通局との連携についてでございますが、これまでも、街路事業に合わせて交通局が実施する電停のバリアフリー化や制振軌道化などの事業に関して連携をとりながら調整を図ってまいってきたところでございます。今後も、交通局で平成25年度に行う実施設計の成果を踏まえ、道路拡幅工事と一体的かつ効率的に実施できるよう十分調整し、連携を図ってまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 今、土木部長から、大変先の長い話でございますが、平成32年というようなことも聞かせていただいております。32年度には680メートルと940メートルの二つがということがございますが、道路拡幅工事で電線などの埋設もやっていくということで、本当に時間がかかります。そのことは一定程度理解しておりますが、道路拡幅の終了によって初めて停留場のバリアフリー化が実現するということでございますので、今後とも交通局と建設局は緊密に連携してできる限り早期の完了を目指していただきたいと考えているところでございます。
また、道路拡幅事業中の区間の停留場の早期バリアフリー化はもちろん、それ以外の区間のバリアフリー化にも相当の時間を要すると聞いておりまして、その停留場でも乗りおりに支障を来さぬように、何らかの対応が必要であるというふうに考えております。
そこで、質問ですが、道路拡幅事業中の区間のバリアフリー化の具体的な内容をお伺いしたい。また、それ以外のバリアフリー化まで時間を要する停留場についてどのように対応されていくのか、そのこともあわせて伺いたいと思います。
◎富澤 技術担当部長 まず、1点目の道路拡幅事業中の区間のバリアフリー化の具体的な内容でございます。
道路拡幅事業中の区間におけます停留場のバリアフリー化の具体的な内容につきましては、道路の移動円滑化整備ガイドラインを考慮いたしまして、車いすが安全に利用できるよう、停留場の幅を現行の約1メートルから2メートルに拡幅するものでございます。さらに、車両の乗降をしやすくするために、乗降時用の高さを15センチメートルから30センチメートルにかさ上げして車両との段差を改善するとともに、乗降場から横断歩道などへのスロープを設置することで段差を解消し、高齢者などにも利用しやすいものとしていきたいと考えております。
なお、設置するスロープは、路面状況にもよりますが、長さを6メートル程度とりましてなだらかな勾配にしたいと考えております。
次に、当面、道路拡幅の計画のない区間でございますが、こちらのバリアフリー化までに時間を要する停留場につきましては、乗降場の高さを15センチメートルから30センチメートルにかさ上げし、車両との段差を改善するとともに、乗降場から横断歩道などへのスロープを設置して段差を解消することで、高齢者なども利用しやすいものにしていく考えでございます。
◆林清治 委員 ただいま、バリアフリー化の停留場の具体的な形、高さや幅、そしてスロープの設定ということがありました。そして、道路が拡幅にならないところの停留場についても、かさ上げをしていく、高さを上げていく、そしてスロープを設定していくという答弁でございます。
本当にこの低床車両の導入、そして、今後のループ化も踏まえて、全庁を挙げて路面電車の活性化に取り組むことが必要であります。また、多くの市民の方々が、低床車両、そして使いやすさ、バリアフリー化というものに大きく期待しているとこであります。
最後に、要望となりますけれども、今後とも、沿線との連携を進めるほか、多角的な視野のもとに創意工夫を凝らしていただいて、路面電車の利用促進に全力で取り組むとともに、来るべき超高齢者社会に適応していくためにも、バリアフリー化を早期に実現し、そして、乗りやすくおりやすい路面電車となるよう、今後、利便性向上を図っていただくことを強く要望しまして、質問を終わらせていただきます。
◆丸山秀樹 委員 私からは、大きく2点について伺います。
1点目は、先ほども少しお話が出ておりましたが、地域に対する緊密な取り組みの一つとなります路面電車への乗り方の周知の取り組みについて、2点目は、地下鉄及び路面電車内での携帯電話使用ルールについて、順にお伺いします。
まず、1点目として、路面電車への乗り方の周知の取り組みについて伺います。
路面電車の1日の平均乗車人員は、平成23年12月時点で2万3,037人、24年12月時点で2万3,717人と14カ月連続で前月比増となり、12月時点で前年度比3.3%の増と伺っております。これは、特に西15丁目停留場からロープウェイ入口停留場までの山鼻西線沿線にマンション等が建設されたことも要因となっていると伺っております。
私は、安定した乗客数が維持されることが、公共機関の経営に求められる重要な要素であり、常に念頭に置いて取り組まなければならない大切な課題の一つであるとも思っております。そこで、安定的な乗車増につながる、札幌市交通局にとっても参考となる取り組み事例はないものかと調べましたところ、バス会社の事例ですが、十勝バスの取り組みが参考になるものと感じました。
乗り合いバスの事業者であります十勝バスは、2006年に十勝管内の路線バス利用者数は最盛期の2割に満たないまでに落ち込みましたが、ある取り組みをきっかけに、2012年の3月期決算では40年ぶりに増収に転じたことから、全国のバス事業者からの視察やマスコミ取材等、その取り組みに大きな注目が集まっております。その取り組みというのは、安心した顧客そのものをふやさない限り立ち行かないという危機感のもと、顧客の創造に挑戦したからだと言えます。十勝バスの具体的な取り組みといたしましては、まず、町内会や停留場ごとに範囲を絞り、市役所に行くならこの時間の何番のバス、病院に通い、往復にはこの時間の何番のバスというふうに、地域ごと、目的別にバスの情報を周知いたしました。さらに、社員みずからが自分たちの足で1000戸以上を訪ね、アンケートで地域住民の声を拾ってみると、バスは不便という意見があり、その理由を突き詰めていくと、整理券はいつとるのか、バスに乗るのは前から、後ろからなのかなど、実はバスの乗り方がわからないために利用をちゅうちょしている人が意外に多いということがわかったというのです。
そこで、十勝バスは、帯広市の協力を得ながら、バスマップの中に、乗りおりの仕方をわかりやすく図解で示すことで利用者からの安心感や信頼感を得ることに努めました。このことは、路面電車においても、生かされるものではないでしょうか。ふだん、全く利用していない地域住民や、ややしばらく電車に乗っていない方々にとって、中央のドアから乗るのか、前から乗るのか、さらに、整理券はあるのか、料金はどこで、どのように支払うのかなど、なれていれば地下鉄乗り継ぎ券をもらうことなど何ら苦にならないのに、なれていなければ他の乗車客に迷惑をかけるのではないかという不安が先によぎってしまいます。このように、乗り方がわからない不安もあって、乗車をためらっている方もいるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、交通局では、路面電車を利用するお客様に対し、利用方法の周知をどのように行っているのか、また、現行の周知方法に関し、苦情や要望等は出ていないのか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 路面電車を利用するお客様に対しての乗りおりの周知と、それから、苦情や要望について、お答えいたしたいと思います。
まず、乗りおりの周知につきましては、西4丁目及びすすきの停留場の案内板と車内運転台の背面案内板に、降車時に現金、カード、もしくは乗車券でお支払いくださいといった表記を行っております。また、車両外側の中ドア右横にワンマン入り口と、さらに前ドア右横にワンマン出口と表記しております。
現在いただいている苦情、要望の中では、既にご利用されているお客様からの声が多いために、周知方法に係る苦情といったことで特に目立ったものはありませんけれども、昨年、電車事業所職員によりまして山鼻19条停留場近隣を対象に顧客調査を行いました。この際には、一部の方から、札幌に移り住み、初めて市電に乗った際、乗車するドアや料金表示がわかりづらいといった具体的なご意見もいただいたところでございます。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁で、既に利用されているお客様の声が多いことを前置きした上で、現状で行っている周知方法の説明がありまして、その周知方法に係る苦情は受けていないとのことでした。しかし、その周知方法は、どちらかというと、事業者側の目線での周知方法であり、先ほどの停留場付近を対象とした調査に、乗車するドアや料金表示がわかりづらいとの回答があったように、事業者が思っている以上に実は改善の余地があるのではないかと私は思っているところであります。
例えば、料金の支払いについて、現行では、乗車料金は170円で、ウィズユーカードだと乗り継ぎも楽ですが、現金だと290円を払えば乗り継ぎ区間を乗ることができ、超えると地下鉄下車駅の改札前で精算が必要となります。しかも、乗り継ぎをするときは、電車をおりる前に乗り継ぎますと運転手に声をかけ、そして、乗り継ぎ切符を発行してもらい、おりる前に乗り継ぎ切符を受け取って降車する、こういうことも知らなければわからない。また、回数券も車内で運転手が販売してくれます。当然、なれている人はそれを利用している方もいます。1,700円だと11枚ついてきますので、1回分、お得です。この回数券は、細かい金額に分かれて10円、20円、50円とか、要するに1,000円の回数券もあります。また、昼間の回数券として1,000円券、2,000円券、要するに4種類あります。またさらに、現金の精算の方は170円を現金投入口に入れますが、200円を入れてもおつりは出ません。入れてしまうと、乗務員が返金作業をすることになります。その前に100円を両替しておく必要があります。紙幣の方も事前に両替が必要で、1,000円を両替すると170円を払えるように細かく両替金が出てきますけれども、乗車料金が差し引かれて830円が出てくるわけではありません。一度、1,000円を両替して受け取ってから、170円を現金投入口に入れる形になっていると思います。さらに、乗客の高額紙幣に対する乗務員の対応や、始発から朝の7時までは早朝割引で現金を150円払えばおりられるようにもなっています。
いろいろありますが、長くなるのでやめますけれども、ウィズユーカードや回数券、170円の小銭を事前に用意するなど、スムーズに降車できることを知っていただく、なれていただくための機会をふやすことが、実は大切なのではないかと私は思うのです。やはり、十勝バスが行っているように、わかりやすく図解で示し、あらゆる機会を利用して顔を出して周知活動を行うことが、地域住民、子どもやお年寄り、さらには観光客にも乗ってみたいと思っていただけるような取り組みになるのではないでしょうか。
交通局でも、電車沿線地域の戸別訪問により聞き取り調査を行っていることは、とてもよい取り組みだと私は思います。調査で、初めて電車に乗車した際の不安についても聞くことができたことは、今後に生かすことができる収穫であったと思うのです。
そこで、質問ですけれども、今後、電車の利用者をふやすための取り組みの一つとして、帯広の十勝バスで実施しているような電車の乗り方の啓発の取り組みを進めるのが有効であると考えますがいかが、伺います。
◎田畑 高速電車部長 実は、昨年の6月でございますけれども、帯広市にある十勝バスを訪問いたしまして、顧客創造の取り組みについて詳しく説明を受け、これが大変参考になったところであります。十勝バスでは、現にバスを利用されているお客様ばかりではなくて、現在、まだ利用されていない方たちに直接聞き取り調査を行って、この結果、より使いやすい路線への再編成とか、利用目的別の独自の時刻表をつくって戸別配付を行うなどして新たな顧客の創造に結びつけておりました。
札幌市交通局といたしましても、今後は、他事業者のこういった積極的な取り組みを研究しながら、電車の乗降方法とか料金の支払い方法等についても改善を行いまして、主要停留場とか交通局ホームページ等に掲載するとともに、さまざまな機会を捉えて周知活動を行い、お客さんの目線に立った利便性向上策に努めてまいりたいというふうに思います。
◆丸山秀樹 委員 そこで、私も、幾つか、さまざまな機会での周知活動の中での提案をしたいと思います。
一つは、ぜひ、出前講座、出前事業での周知などを行っていただきたいということ、そしてまた、先ほども少し出ていましたが、市民へのパンフレットの配付にもそうした工夫が必要だということです。乗降のことや、ルートマップは今でも行っていますが、停留場のスポットをPRする。さらに、ループであればどちらで回ると目的地まで何分かかるかなど、余り経費はかけられないかもしれませんが、見開きだとかなり大きなものになるので、やはり、ハンディーでめくれるぐらいのもの、広げなくてできるようなもので、それぞれの時間などもわかるようにしてはどうかと思います。また、旅行会社とのタイアップなども図りながら、そうしたものを開発してはどうかとも考えます。
この6月から電車でもSAPICAが使えるようになりますので、PR方法にも変化が求められると思います。社会的にも、高齢化に伴う働き方の変化、人口の都心回帰の傾向、ライフスタイルの価値観の変容など、社会を取り巻く環境も大きく変化しているので、そうしたことにも対応していただき、当然、そうなれば移動手段としての交通機関の役割も変化していくことになりますので、利用客のニーズを素早く察知して対応していくことが必要であると考えます。多くの方に乗車していだけるよう、安全性はもちろんのこと、使いやすく親しみやすい路面電車を目指した取り組みを行っていただきたいことを述べまして、この質問は終わります。
続きまして、地下鉄及び路面電車における携帯電話の取り扱いと携帯電話のルールの周知について伺います。
まず、地下鉄及び路面電車の車内における携帯電話の取り扱いについて伺います。
携帯電話やスマートフォンの普及状況につきましては、昨年度末の総務省からの公表結果から、携帯電話やPHSの世帯普及率は94.5%となっており、その内数であるスマートフォンについては、前年比19.6ポイント増の29.3%と急速に普及が進んでおります。このようなことから、現状の地下鉄及び路面電車内において、携帯電話やスマートフォンを利用している乗客が非常に多くなってきております。
現在、地下鉄は、車内での携帯電話使用ルールについて、平成21年4月から、心臓ペースメーカー装着者へ配慮しつつ、それまでの車内での一律電源オフから、専用席付近のドア部分を含めた箇所を電源オフエリアと指定し、それ以外ではマナーモードに設定の上、通話を禁止しており、路面電車内については一律電源オフとしております。最近の多くの携帯電話は大変開発が進んでおり、電波オフモードという機能が設定されておりまして、電源オフにしなくても電波を発しないでゲームや音楽を楽しむことが可能となっております。心臓ペースメーカー装着者への配慮ということであれば、電源オフエリアでも電波を発しなければ問題ないと考える人もいるのではないでしょうか。
このようなことを背景として、実際に携帯電話の電源オフ指定場所において電源オフにしないことから、お客様同士のトラブルに発展しているケースもあるのではないかと思われます。また、ことし1月上旬の新聞に、東京メトロの駅間でも携帯電話が使用できるように整備されたとの記事並びに札幌市の地下鉄のことも掲載がありました。札幌の地下鉄では、東西線、東豊線は整備済みで、南北線も工事を進められており、今年度中には全線において電波が届くようになる見込みと聞いております。このような整備が進むことにより、地下鉄に乗車中でも携帯電話やスマートフォンで多種多彩な情報が入手できることや、最近は地震が起きる前に携帯電話が鳴ったということがありましたけれども、緊急地震速報の入手など、災害発生時のツールとしても活用でき、非常事態発生時などの情報収集や連絡に有効と考えるところもございます。
そこで、質問ですが、交通局では、地下鉄及び路面電車の車内における携帯電話の取り扱いについて見直す考えがあるのかどうか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 車内における携帯電話の取り扱いの見直しについてでございますが、委員がご指摘のとおり、国内の携帯電話につきましては、心臓ペースメーカーなどに影響を与えるおそれがあるとされていた、例えばNTTドコモで言うとムーバといったものですけれども、従来の通信方法が昨年の7月に終了いたしまして、心臓ペースメーカーへの影響が大幅に軽減されたところであります。また、委員がご指摘のとおり、多くの端末では、電波を発しない状態、いわゆる電波オフモードでのメール操作やゲームなどを利用することが可能となっています。携帯電話は、災害時の情報伝達ツールとしても欠かせないインフラとして既に定着している状況だと思われます。一方、件数はそれほど多くはないのですが、車内における携帯電話の使用に関しまして、ルールが徹底されていないという関係から、お客様同士のトラブルに発展することがあるというのもまた事実です。
これらのことから、事業者といたしましては、地下鉄及び路面電車車内での携帯電話等の電波を発する機器の取り扱いにつきまして、一定のルールのもとで利用しやすい環境をつくることが大切であるというふうに考えております。ことし1月24日に、総務省から、各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針というものが出されましたけれども、この内容等も参考にいたしまして、今後取り扱いの見直しを検討していきたいというふうに考えております。
◆丸山秀樹 委員 ただいまの答弁で、事業者としては、地下鉄及び路面電車内での携帯電話の電波を発する機器の取り扱いについて、一定のルールのもとで利用しやすい環境をつくることが大切だという回答がございました。このようなこの流れは、調べてみましたら、先ほどの東京メトロを初め、仙台、大阪、名古屋、京都と実は全国に広がっております。全国的なこういう流れの中で、観光客の多い札幌市地下鉄利用時間にスマートフォンや携帯電話を利用する方のニーズも考えなければならないと思います。
地下鉄及び路面電車内での携帯電話、スマートフォンと言われる多機能型携帯電話や電波を発する機器についての利用方法を含めた取り扱いについて、今後取り扱いの見直しを検討する考えを持っているということを知ることができました。このような取り組みを進めるに当たっては、利用者に対する使用ルールの周知が不可欠となります。
そこで、質問ですが、今後、携帯電話使用ルールの周知についてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 ルール周知の取り組みについてでございます。
地下鉄及び路面電車車内での携帯電話の使用方法見直しに当たっては、わかりやすいルールづくりと徹底した周知が必要であると考えてございます。具体的に申し上げますと、専用席や優先席付近の電波を発してはいけない場所や範囲が一見してわかるように、付近の使用制限範囲部分について、例えば、手すりやつり手の配色とか、さらには案内表示を変えるなど、視覚的にも理解されやすいようにしたいと考えます。また、車内案内といたしましては、車内での携帯電話はマナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください、また、専用席付近では携帯電話などの電波を発する機器のご使用はおやめくださいというような放送を繰り返し行うことも考えられます。そのほか、駅構内や路面電車電停において、ポスターの掲示や音声放送、さらには、ホームページの活用や携帯電話使用ルールの周知に向けたキャンペーンなど、さまざまな取り組みを行っていきたいと考えています。
◆丸山秀樹 委員 今の答弁にありましたように、使用方法の見直しについては、わかりやすいルールと周知が必要だと考えます。
今、具体的にございましたような色の配置、視覚による理解、さらには、案内における電波を発する機器などというようなこともしっかり放送の中に入れていく、そういうさまざまな取り組みをしていかなければならないと思います。地下鉄や路面電車を利用されるさまざまなお客様のニーズに応え、ルールに従ってしっかり周知を図り、より多くの方に使いやすく親しみやすい公共交通機関になるよう努力し、利用者をふやしていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆宮川潤 委員 地下鉄ホームの転落防止柵について、それから、わかりやすい地下鉄出口の表示について、2点質問します。
まず、転落防止可動柵についてですが、東西線に設置された後、南北線もことし完了、東豊線についても前倒しで行われることになりました。事故を防止するという点で非常に効果があると思うのですけれども、設置が完了したところでは、設置前と比べてどれぐらい事故が減少したのか、まず、明らかにしてください。
また、可動柵の設置後の事故は、どこでどういう事故が起きているのか、その対応策とあわせてお示しください。
◎田畑 高速電車部長 まず、転落防止柵の効果についてでございます。
投身事故や転落事故、いわゆる輸送障害と呼んでいるものですが、これは、平成16年度、平成17年度ぐらいがピークでございました。3線合計の数字で申し上げますと、投身事故については平成16年度が17件、それから、走行路面転落は平成17年度がピークで31件発生しております。ホーム柵設置後につきましては、投身事故や、一般的な転落事故、例えば、酩酊の方が誤ってホームに転落するとか、視覚に障がいをお持ちの方が転落する事故は、両方ともゼロになっております。
それから、ホーム柵設置後にどのような転落が発生しているのか、それからまた、その防止対策はどうかということでございます。
ホーム柵設置後ですけれども、これまで、東西線の新さっぽろ駅、南郷7丁目駅で合わせて3件、それから、これはホーム柵がついておりませんが、東豊線の美園駅で1軒発生しております。いずれも1歳から3歳の小さなお子様で、転落したというよりも、停車中の列車とホームのすき間から下に落ちて軽傷になる事故が平成22年5月から24年10月までに合計4件発生しております。
これらの対応策につきましては、最初の転落が発生した平成22年5月から、具体的な対策の手法について検討を重ねてまいりました。先行する東京とか大阪の地下鉄の一部の駅で既に採用実績のある転落防止のゴムをホームの端部に設置することで、現在最大21センチメートルほどあるホームと列車のすき間を15センチメートル以下に抑えて、転落防止の効果が期待できるというようなことを今考えているところでございます。
◆宮川潤 委員 小さい子どもがすき間から落ちてしまう事故ということですが、ホームの先端にゴムを取りつけるということですね。それは、どれぐらいの駅のホームにつけるのか。また、出入り口部分につけることになると、車両には幾つも出入り口があるので、そこに全てつける形になるのか、あるいは、一部分につけるのか、どこに設置するのかという計画についてお示しください。
◎富澤 技術担当部長 転落防止ゴムを設置する場所についてでございますが、車両とホームのすき間につきましては、線路の曲がりぐあい、ホームの建設時の仕上がり寸法、また、そのときの列車の傾きぐあい、そういったことで乗車口ごとにすき間は異なってございます。このため、転落の危険性のあるすき間としまして、15センチメートル以上すき間があるところを3路線で調査いたしました結果、乗車口全部で1,902カ所ございますが、そのうちの103カ所について転落防止ゴムを設置したいと考えております。
今後の計画でございますが、南北線の8駅、乗車口が44カ所、東西線6駅の50カ所、東豊線1駅の9カ所、計103カ所を予定してございます。さらに、同時に、車両側の乗降口下部には車体外板に厚さ3センチメートルほどの部材を設置することで効果的に進めてまいりたいと考えてございます。
◆宮川潤 委員 1,902カ所の車両の出入り口のうち103カ所で、15センチメートル以上のすき間のあるところということが示されました。それはそれで進めていただきながら、その整備が終わった段階で、果たしてそれで十分かという検証が必要になると思いますので、ぜひ、その検討もしていただきたいことを申し上げておきます。
次に、わかりやすい出口の表示についてです。
地下鉄をおりますと、改札を抜けて、コンコースを歩いて、階段を上って地上の開口部から外に出ます。初めて行ったところですと、大体、改札を抜けたところの壁面に地図が張ってありますから、その地図を見て、自分が何番出口から出るといいのか、その出口からどの方角に進めばいいのかということを頭に入れて出ていくわけです。しかし、私の場合で言いますと、何番出口かというところまでは覚えているのです、どこから出ればいいのかというのは。ところが、階段を上って行くと、大体階段の途中に折り返しがありまして、そこでだめなのですよ。開口部まで、上まで上がった時点で、さて、こちらはどちらの方角かわからないという状況になります。私だけではないと思いますよ。出入り口の部分の床に金属のプレートが埋め込まれていて、方角を表示しているところがあります。これを見ると何とかわかるのですよ。非常に助かります。しかし、その表示があるところとないところがあります。私は東豊線を利用しておりますので、大体その表示があると思っていたのですが、南北線や東西線に乗るとほとんどないようです。
まずは、地下鉄の出入り口というのは、全市で何カ所あって、方角を表示しているのが何カ所になるのか、お示しください。
◎田畑 高速電車部長 地下鉄の駅の出入り口の方位表示は何カ所設置されているのかというご質問でございます。
地下鉄は、ご承知のとおり、今、全部で49駅ございまして、出入り口は、民間ビルと接続しているものも全て含めて233カ所ございます。このうち、交通局が所管している出入り口は158カ所です。その中で、方位案内を設置しているのは、今、宮川委員がおっしゃった東豊線につきましては当局所管の全ての出入り口に設置しております。それから、設置時期の問題ですけれども、東西線は、再延長した2駅、具体的に言いますと宮の沢と発寒南駅になりますが、ここには2駅で8カ所設置しております。方位案内を設置している箇所数で言いますと合計で57カ所となります。
◆宮川潤 委員 233カ所の出入り口のうち、57カ所にあるということですから、176カ所はないことになります。全部の出入り口に設置していただきたいと思います。わかりやすい交通機関にすることが、乗客増にも結びつくものだと思います。そこで、方位表示について、今後、全出入り口に設置するお考えはないのか、検討していることがあればお示しをいただきたいと思います。
◎田畑 高速電車部長 今後の設置の考え方でございますけれども、現在設置している方位表示も設置した時期により若干デザインが違っていて、年配の方等からはわかりづらいというような声も寄せられています。そういったこともありまして、実は、現在、新たなデザインによって案内する方法の検討を始めたところでございます。地上部の床面に設置いたしますので、剥離とか摩耗に強い材質の選択も兼ねて、とりあえずということになりますが、3駅6カ所ぐらいで試行的に設置して、その結果をもとに、まずは当局管理の全出入り口に表示することを検討しています。
なお、試験的設置につきましては、現在、積雪や低温の関係もありますので、雪解け後、早急に行いたいと考えているところであります。平成25年度内には、当局の出入り口、また、エレベーターの地上部分も含めまして全部に設置していきたい、それから、接続する民間ビルにつきましてもできるだけ協力をお願いしていく、そういったことも考えているところでございます。
◆宮川潤 委員 考えるだけではだめだということは申し上げておきたいと思います。
私は、東西線のバスセンター駅でおりてファクトリーに行くことがありますけれども、その際、出口の階段の踏み板ではなく垂直の部分、蹴込み板と言うそうですが、そこにファクトリーは出口を右に200メートルという表示が出ていまして非常にわかりやすいです。ただ、ファクトリーのロゴが入っているので、単なる案内ではなくて、広告なのかなというふうに思いますけれども、集客施設が駅の近くであってそこに行きやすい表示がたくさんあると、例えば、ファクトリーの場合は地下鉄でも便利にいけるのだという認識を広く持ってもらえることになりますから、集客施設に行く市民は地下鉄を利用することになると思うのです。集客施設あるいはランドマーク的な場所に行くための案内表示をふやすことについて、ぜひご検討いただきたいと思っておりますけれども、どのようにお考えか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 今、おっしゃられたファクトリーは、実は広告でございます。
ランドマークに案内する表示につきましては、おっしゃるとおり、広告との関係もありますので、交通局では、地下鉄案内標識設置要領というものをつくりまして、統一的な取り扱いを行ってきたところです。地下鉄の駅舎内とか階段部分で案内しているところもありますが、出口案内といたしましては、国道などの主要な通りとか、官公庁、学校、公共施設のほか、出入り口からおおむね100メートル範囲のホテルとか銀行とか、金融機関のような主要なランドマーク的施設などを案内しているところです。
今後、これらをふやしていく考えはないのかということでございますが、地下鉄駅構内のほか、駅出入り口付近の歩道には、今、観光文化局のほうでつくっている観光案内板というのもございますので、これらとの整合性もとっていく必要がありますけれども、先ほどのお話にありました方位案内にランドマークを記載することなども含めて、案内の増設等について、よりお客様の立場でわかりやすい案内表示を行っていきたいというふうに考えます。
◆小川直人 委員 私からは、3点質問させていただきたいと思います。
まず、地下鉄土木構造物についてでございます。
昨年12月に中央自動車の笹子トンネルにおいて天井板が落下するという崩落事故が発生をいたしまして、車3台が巻き込まれ、9人が死亡する大惨事となったことは、まだ記憶に新しいところでございます。そして、全国各地で、我がまちの道路、トンネルは大丈夫なのか、不安視する声が上がりまして、現在、それぞれの自治体で点検対策が進められていると聞いております。
こういった状況を受けまして、国としても、道路や橋など、公共施設の老朽化が懸念されますことから、政府の2013年度予算におきましても、公共インフラの老朽化対策を重視しているところでございます。笹子トンネルの事故の翌日に札幌市が管理をしている道路トンネル15カ所を点検したと聞いておりますが、点検した結果は異常がないということでしたので安心しているところでございます。
札幌市内の最大のトンネルは地下鉄でございます。総延長が48キロメートル、うち、地下トンネル部は43.5キロメートル、高架部が4.5キロメートルであります。そして、南北線が開通してから既に40年が経過をしておりまして、経年劣化も心配されるところでございます。
そこで、質問ですが、札幌市の地下鉄では笹子トンネルで起きたような事故が起きる心配はないのか、また、点検はどのように行っているのか、そして、その結果はどうであったのか、お伺いいたします。
◎富澤 技術担当部長 まず、札幌の地下鉄のトンネルで笹子トンネルのような天井板の落下事故は起きないのかということでございます。
私どもの地下鉄のトンネルには、天井板という構造はございません。また、南北線につきましては、走行路面の真上の天井部は、特に添架物を取りつけていない状況でございます。東西線、東豊線につきましては、天井部に電車線、架線がございます。これをつり下げております金物は、後づけのアンカーではなく、建設時に躯体のコンクリートの中の鉄筋と結束されている金物でございまして、構造的に抜け落ちる心配はないということでございます。
その点検でございますが、2年ごとに目視と打音による法定点検を実施しておりまして、点検の結果、現在のところ、健全度は良好であり、安全性に影響を与えるような問題は見られない状況でございます。
◆小川直人 委員 今の答弁で、地下鉄全体としては天井板がないこと、それから、南北線には天井部に添架物がない、そして、東西線、東豊線には、電線があるが、抜ける心配はないということでありますので、今の答弁で安心したところでございます。
地下鉄というのは、市民の大切な足でありますし、加えて、これは市民の財産でありますから、今後とも長く使用していかなければならないと思っておりますけれども、将来に向けて、地下鉄はどのような保全が求められているというふうに考えているのか、お伺いをいたします。
◎富澤 技術担当部長 地下鉄構造物につきましては、当然、より長く使うことが求められております。そういう観点では、現在、通常の点検といたしましては、先ほど申しましたように、2年に1回の定期点検を実施いたしまして、これまで良好な結果が続いております。今後につきましては、現在行っている点検を継続して着実に行っていくこと、あわせて、壁面等に異常が見られた場合は、状況に応じた補修を速やかに行うことで構造を維持していけるというふうに考えてございます。
また、将来的に長く使うためのより精度の高い計画を立てるために、現在、目視や打音による法定点検に加えまして、コンクリートの劣化の有無を調査する試験を実施し始めたところでございます。一つは、中性化調査、もう一つはアルカリ骨材反応といった調査を行いまして、より精度の高い健全度の判定を行って、現状を正確に把握しながら長期的な保全に努めたいと考えてございます。
◆小川直人 委員 今、定期的に検査をやっていて、良好であり、こういう状況を続けていきたい、補修すべき点があれば直ちに行って、それで長く使っていきたいという答弁でございました。
今の答弁の中で、コンクリート躯体の品質検査で、精度の高い健全度の判定を行いたい、そして、状況を的確に把握したいということでありますけれども、その部分について、検査方法とか、判定、そしてその判定結果をどのように評価しているのか、もう少し踏み込んで答弁ください。
◎富澤 技術担当部長 今、申しました劣化調査の手法でございますが、まず一つは中性化の調査でございます。この中性化というのは、本来アルカリ性であるはずのコンクリートが、例えば、酸性雨とか、大気中の炭酸ガス、そういったものとの反応によってだんだん中性化していき、そのことによって内部の鉄筋の腐食が進行していく、結果的にコンクリートにひび割れが生じる、そういった現象がどの程度進んでいるかということを調べるのが中性化試験でございます。もう一つのアルカリ骨材反応は、コンクリートの中に含まれるアルカリの成分と、コンクリートの中の骨材、通常は砕石でございますが、この砕石の中の特定の成分が反応を起こすことで内部で膨張物質が生じる現象を起こすことがございます。こういったことが現在どの程度見られるのか、これを調べるのがアルカリ骨材反応調査でございます。
どちらの検査につきましても、現在、調査をし始めたばかりですので、調査のサンプル数が少なく、確実性の高い評価がまだできておりません。今後、よりサンプル数をふやし、継続的に検査を続けることで、より精度の高い評価をしていけるものというふうに考えてございます。
なお、少ないサンプル数でございますが、今のところ、目立った劣化は認められませんので、当面は現在の維持方法で保全していけるというふうに考えてございます。
◆小川直人 委員 かなり専門的な検査をやっていますが、まだサンプル数が少ないので、これからたくさんとっていけば、傾向値なり、どれだけトンネルがもつかといったようなことが高い精度でわかっていくのかなと思います。わかってくれば、それによってどういう補修をすればいいのかということもしっかりとできると思いますので、私は、この辺は非常に大事だと思っております。
今、専門的な話を聞きましたが、専門家の前で私から言うのは釈迦に説法かと思いますけれども、きょうは、私の思っていることをちょっとお話しさせていただきたいと思います。
地下トンネルというのは、道路トンネルより気象条件による影響は少ないと思います。地下に入っているわけですから、気温も大きく変化しないでしょうし、そういった意味では道路トンネルよりコンディションがいいのかなと思っています。しかし、地下水が湧き出てきて、コンクリート躯体にしみ込み、それが劣化の原因になると言われておりますので、地下水の部分については、くみ出しているということでありますけれども、しっかりやっていかなければならないところかなと思います。
それから、横浜の地下鉄は、海岸線を走っています。同じ地下水が出てきますけれども、そこには塩分が含まれていて、その塩分が悪さをしてレールが破断したという事例がございます。私はきのうのお昼のテレビで偶然見たのですけれども、トンネルの劣化を特集した番組の中で、専門家の方が、トンネルというのは、土の中に浮いているもので、安定しているものではないと認識したほうがいいですよと、そして、3年もつと思えば、3年目に補修をするのではなくて、今、補修をやることが延命対策として大事だと言われておりました。
コンクリート躯体の寿命というのは、今言ったようにコンディションや環境によっていろいろ違うのでしょうけれども、一般的に65年と言われている中で、東京の銀座線は、昭和2年に開業して80年を超えて現在も使用している状況でございます。こういったところを見ると、日常的にしっかり点検して、早目、早目に手を打つことが地下鉄トンネルの長寿命化につながっていくと思いますので、ぜひ、100年はもつトンネルを目指して日常的な点検補修を続けていっていただきたいと思います。
次に、地下鉄高架駅の耐震改修について伺います。
地下鉄高架駅である南北線の南平岸駅、自衛隊前駅、澄川駅、真駒内駅の耐震改修を平成25年から実施すると聞いております。どの駅をどの年次で実施する予定なのか、また、工事に際しては、地下鉄を利用する市民や地下鉄の運行に支障のないような施工が必要と考えておりますが、平成25年度はどのような工事内容になるのか、お伺いいたします。
◎富澤 技術担当部長 地下鉄高架駅の耐震改修についてでございます。
対象になりますのは高架駅4駅ございますが、平成25年度より、南平岸駅、自衛隊前駅、澄川駅、真駒内駅の順におのおの2カ年で工事を実施する予定で、平成30年度の完了を目指しております。
平成25年度は、南平岸駅の橋脚と駅内部の補強工事に着手いたしまして、駅内部では、鉄骨により筋交い補強及びコンクリートの増し打ちによる補強、並びに、それに伴う外壁、内壁及び天井の改修を実施するものでございます。工事中は、お客様や近隣にお住まいの方になるべくご迷惑をおかけしないよう、外壁部は防音パネルで覆うとともに、駅内部は施工部分とお客様が利用する範囲を仮設間仕切り、壁等で区分することで十分な安全対策をとっていきたいと考えております。
◆小川直人 委員 4駅について、平成30年の完了を目指すと答弁がございました。
南北線もホーム柵が設置されて、この耐震工事が終了するということになりますと、かなり安全性が増して、市民の安心にもつながると思うのでありますが、高架駅の下は、やはり利用客が往来する場所でありますし、さらに、高架線の下というのは道路も走っていたりする状況でございます。
先月、JR千歳線の高架からコンクリート片が落下した事故がありました。さらに、今週の月曜日は、本庁舎地下1階のコンクリート板が剥離する事故も発生しました。これも、冬だったので、午前11時でしたけれども、誰も外に出ていなかったので、どちらの事故も大事故に至ってはいないのであります。しかし、先ほどから言っている南北線は、開業から40年が経過しておりますことから、駅とか線路の高架部のコンクリート躯体の点検、メンテナンスはしっかりと行わなければならないというふうに思います。やはり、地上部は地下部よりもさらに傷みやすいと言われていますので、事故が起きないように、さらに長く使えるように、この辺はこれからもしっかりと見ておいていただきたいと思います。
3点目の質問ですが、地下鉄火災を想定した非常訓練についてであります。
昨年10月に、営業終了後の深夜に行われた大規模な列車火災訓練ですが、私はこの火災訓練を見ることができなかったのですけれども、その後、DVDをいただきまして2度ほど見せていただきました。映像からは、薄暗いトンネルの中はまだ煙が充満して、非常にリアリティーのある中で訓練されたなというふうに思っておりまして、その後も担当部署の方からいろいろお話を聞いてきたところでございます。交通局では、既に反省なり総括がなされていると思いますが、訓練のあり方について私なりに感じたことについて、提起を含めて質問させていただきたいと思います。
今回の訓練は、平成23年5月に発生いたしましたJR北海道の列車火災事故を踏まえた訓練と聞いております。この事故の発生時、JR職員が12名乗車しておりましたが、車内の情報把握や乗客の退避誘導に対して適切な行動をとっていなかったことが、その後、報道されまして、その行動について指摘されているところでございます。
そこで、交通局として、過去に、このような大規模な列車火災やテロ被害を想定した訓練をどの程度実施されているのか、また、札幌市交通局では、職員がこのような状況に遭遇した場合を想定した教育や訓練を実施しているのか、お伺いいたします。
◎田畑 高速電車部長 交通局で過去に大規模な列車火災やテロ被害を想定した訓練を実施しているのか、それから、こういった大規模災害に職員が遭遇した場合を想定した教育や訓練を実施しているのかということに対してお答えいたしたいと思います。
大規模な訓練につきましては、例えば、消防とか警察、北海道運輸局と連携するような大規模な訓練は、最近時では平成20年6月及び平成21年9月に爆破テロ訓練を行いました。また、昨年10月には列車火災訓練を実施いたしました。地下鉄運行に直接従事する乗務関係の職員とか駅関係職員などにつきましては、毎年、定期的な列車火災訓練や駅構内火災訓練に、常時、避難誘導訓練をあわせて行っているところであります。また、JR北海道の列車火災事故を教訓といたしまして、地下鉄運行に直接かかわらない本局庁舎の全職員に対しましても、教習用の車両が教習所にありますので、それを活用いたしまして、非常通報装置とか非常はしご、さらにはお客様の避難誘導など、必要最小限の知識、技術を身につけるために、平成23年度から非常時訓練として行っているところでございます。
◆小川直人 委員 過去に3回やっていて、本庁職員に対しても避難誘導の訓練をしている、知識を習得させるために取り組んでいるという答弁でございました。
事故が起きた場合に、パニックに陥らず、整然と避難するためには、やはり訓練を受けた方が的確に誘導する必要があると思います。そのとき、訓練を受けた職員が乗り合わせている確率を考えると、今、言われたように本庁舎の職員の教育をしているようでありますけれども、それだけでは不十分ではないかというふうに思います。交通局以外の職員にも拡大して訓練を実施して非常時に避難誘導できるように幅広く養成すべきというふうに私は考えておりますが、その点についてお伺いいたします。
また、教育や訓練を受けた職員が地下鉄乗車時に非常事態に遭遇して実際に避難誘導の活動を行う場合というのは、このDVDでもやっておりましたが、訓練のときは整然となっていましたけれども、多分、実際の事故の場合は、すごく騒然として、私の指示に従ってくださいと言っても、うまく皆さんに注目させて的確に誘導するというのはなかなか至難のわざだというふうに私は思います。そのときには、まず、誘導する人が自分であるということを認知していただくことが大事で、そのためには、腕章なのか、帽子なのか、訓練のときはゼッケンをつけていましたが、そんなものは通常持っていないと思いますけれども、居合わせた乗客の方に誘導員だとわかるようなものを身につけるために、ふだんから携帯しておく必要があると思っております。その辺については、どういうふうにお考えなのか、この2点をお伺いいたします。
◎田畑 高速電車部長 訓練を交通局職員以外にも拡大できないか、また、何か携帯するもので職員を識別することはできないかということだと思います。
職員が災害などに遭遇した場合を想定した訓練、要はお客様の避難誘導訓練ということになるのですが、今年度は、本局職員以外にも、白石消防所、道警にも呼びかけまして研修に参加していただきまして、非常に好評でした。来年度以降も、関係団体への参加協力を呼びかけながら、さらにこういった拡大を図っていきたいというふうに思っています。
それから、教育や訓練を受けた職員と一般のお客様を区別し、そして、安全な避難誘導を行うために、腕章などの目立ったグッズを携帯させてはどうかということです。今、考えているのは、例えば、表面は交通局関係職員であることがわかりやすくなっていて、裏面には避難誘導のときの心得みたいなものを書いたシールを携帯して、そして、シールははがしてぱっと張ると目立つ、今、そういったものも考えているところでございます。いずれにしても、お客様が一目でわかるように、そういった区別をして安全に避難誘導していきたい、そういうふうに思っております。
◆小川直人 委員 交通局以外の方にも呼びかけて研修を行っているということも今の答弁でわかりました。さらに拡大をしていくということでございますので、ぜひ、この辺は取り組みを強化していただきたいと思います。訓練をしている方が多ければ多いほど、乗り合わせる確率が高まってまいりますので、そのことは大事なことだなというふうに思います。
それから、目立つためにワッペンをつけるということでしたね。僕は事故の現場に遭遇したことがないのですけれども、ワッペンの場合、誘導して、ついてきてくださいと言って背中を向いたら何もわからなくなってしまいます。ベストとか、選挙で使うようなたすきとか、帽子とか、旗なんかもいいのですけれども、もう一工夫していただきたい。ただ、こういう方は、そんな大がかりなものはふだん持って歩けませんので、限界があると思いますが、いろいろ工夫して検討いただきたいなと思います。
また、こういう訓練をやっていることが意外と知られていなかったなと思っています。私も、新聞で見て、それから問い合わせをさせていただきました。地下鉄に乗るとポスターがあって確認できたのですが、9月1日ですか、札幌も全市の合同防災訓練をやっておりますので、そういったことと一緒に、何か連動したものができないのか。訓練をやっているということがPRされれば乗客の皆さんの安心につながると思いますで、PRももう一工夫いただきたいなというふうに思います。
それから、今回、交通局の方、関係者の方が参加していますが、聞くと、営業時間が終わってからの訓練だったということです。そこに一般の方も参加するのはなかなか難しいとは思いますけれども、一般乗客の方が訓練に協力していただければ、当然、乗客の方の意識も高まりますし、参加することによって一般乗客の方から見た訓練のありよう、そして、災害時に一般の乗客はどういう行動をとってしまうのか、その場合にどういう心得をしておかなければならないのか、そういったことも聞き取りできると思いますので、こうしたことも一つの検討課題かなと思います。
そういったことで、訓練についても、これからいろいろ検討を加えていけば有意義な訓練につながってくると思います。このDVDの中で、下村事業管理者から、今回の訓練はスムーズに行えたが、実際の事故は突然起こる、そのときに訓練していない乗客の安全をいかに確保するかが一番大事だという旨のお話をされておりました。私も、全く同じ気持ちでございます。これからも、訓練を充実させて、乗客の地下鉄に対する安心を醸成し、安全、そして命を守ることを最優先にした地下鉄事業をさらに進めていただきたいと思います。
最後に、恐縮ですけれども、下村事業管理者から、この訓練の分析、そして、これからの災害事故にどのように生かしていこうと思われるのか、加えて、今後の地下鉄事業の発展に向けた思いがあればお聞かせください。
◎下村 交通事業管理者 さまざまなご指摘をいただきまして、ありがとうございます。
私ども交通局としましては、通常、現場で行っている訓練というのは、確かにさまざまな状況を想定してやっております。しかし、実際に訓練の具体的な行動で得られるのは限られた状況でしかないわけであります。ですから、こういう現場訓練を通じて一番大事なのは、訓練が終わって、参加したそれぞれの職員がその訓練を振り返り、もし状況が違ったらどういうことになるかなと、実は、こういういろいろな状況想定とか、実際に訓練に参加したときの観察、それから、これが変わった場合はどうなるかという洞察力、こういうことが一番大事になってきて、これがなければ幾ら同じような訓練を繰り返しても意味がないということでございます。
ですから、これは、現場の訓練だけをいっぱいやればいいということではなくて、その現場の訓練から得られたさまざまな判断材料、問題点、こういったことを後ほどの教習等の座学でまた意見交換し合う、そこで気づく、こういうことをどんどんふやして充実を図るとともに、交通局職員だけではなく、警察、消防、それから、可能であれば地下鉄の周辺に近い人にも入っていただいて、多くの方がその趣旨をよく理解してやっていただければ、それぞれの立場でまたご意見などをいただけるのではないかなと思います。こういった経験値、それから、ふだんの観察力をそれぞれの立場で持ち寄って充実させていくことが、これからの交通局の非常時の訓練を豊かなものにしていけるのかな、万全なものにしていけるのかなと思っておりますので、そういった観点から続けてまいりたいというふうに思っております。
◆小形香織 委員 軌道事業に関して、上下分離制度について質問いたします。
特許申請に当たり、平成30年代、西暦で言うと2018年以降になりますか、平成30年代前半には市電事業に上下分離制度を導入するという計画が示されました。上下分離というのは、運転し、その運行をコントロールする、いわゆるソフトの部分を担う事業者を上と呼び、そして、車両や軌道などのハードの部分を管理する事業者を下と呼んで、その上と下を別々の事業者に担わせる制度のことで、札幌市電の場合は、本市交通局が下の事業を行うというお考えのようです。
この上下分離導入の計画が出され、市電沿線に住んでおられる住民の方々などから、民間事業者に市電の運行をさせて大丈夫なのか、JRがローカル線を廃止した後に民間事業者が運行して大きな事故を起こした例もある、札幌市は市電の運転手の首切りをするつもりなのか、こういう心配の声が寄せられています。
上下分離をして、運行はどこかの事業者に任せることに対し、こうした市民の懸念についてどのように認識されているのか、伺います。
◎小西 事業管理部長 ただいまご質問がありましたが、今後、持続的な経営形態の一手法として上下分離制度の導入について検討しているところでございます。
今、職員の雇用の確保ということについてのご懸念かと思いますが、これまでご説明してきたとおり、軌道事業を考える上では、まず安全運行の確保が最優先になることでございます。この安全運行の確保につきましては、現在の非常勤職員の路面電車運転手を、経営形態を見直した後の運行を担う人材と位置づけまして、これまで正職員が培ってまいりました技術及び技能をしっかりと継承し、新たな経営形態の担い手に身分移管することで将来にわたって安全運行を維持していけるものと考えております。
また、ご懸念の雇用の確保の点でございますけれども、札幌は、類を見ない積雪寒冷地の中で全線併用軌道という厳しい運行環境にあります。そういう中で、札幌固有の難しい運行に関する技術、技能をしっかりと受け継いだ非常勤職員は、新たな担い手にとっても必ずや必要不可欠な人材になるものというふうに考えておりますことから、そのためにも、我々としては、人材の育成をきちんと進めていくことがおのずと職員の雇用の確保にもつながるものというふうに考えているところでございます。
◆小形香織 委員 まず、今の非常勤職員の身分を移管してということでしたので、首切りはしないというふうにおっしゃったと私は理解いたしました。
世界中の都市で、LRTやらトラムというものが復活して走っております。日本でも富山で市電が走るようになりましたし、北海道では函館が市電のまちとして有名ですが、札幌ほどたくさん雪があるまちで市電を走らせている都市は例がないというふうにお聞きしております。今、安全運行をするのだとおっしゃっていますが、では、具体的に、雪の多い札幌という190万人の都市の中心部を除雪しながら運行する、それを任せられる会社というのは、私は、今のところ存在しないのではないかなというふうに思っていますけれども、どのような組織、どのような会社を想定しておられるのか、そのことについて伺いたいと思います。
◎小西 事業管理部長 今後の新たな担い手の選定手法についてのお尋ねかと思います。
今後、新たな事業の担い手に求められる条件といたしまして、私どもは、現在のところ考えている部分で申し上げますと、一つには、先ほどご答弁申しましたように、非常勤職員の雇用の確保といったことがまず挙げられるかと思います。そのほかとしては、上下が分離したとしても、安全管理の確保につきましては、上下が一体的に事業連携を図られる体制をつくることが必要だと思います。3番目といたしましては、路線をしっかりと維持し続けていただけることがまた大事だろうと思います。加えて、4点目といたしましては、現在のサービス水準をしっかり維持、確保していただけること、これらが新たな担い手には必要な条件だということで、こういう担い手を選定していくために具体的にどういう手法が得られるかということにつきまして、詳細に検討を進めているところでございます。
◆小形香織 委員 今おっしゃったようなことを具体的に実現する団体は今のところなくて、これからどういう手法で考えるかということですので、一体となって安全管理をやれるところというふうになれば、民間に丸投げするというふうにはならないのだろうと思うのですね。やはり、札幌市が何らかの形で深く関与できるように、財団だとか第三セクターのような形があるのかなと、そんな話も聞こえて来ています。
よくある民間手法の一つに、採算とれないと思ったらさっと撤退してしまうということがあるのですね。介護サービスなんかがそうでした。株式会社が介護に参入して、利用者さんがたくさんいたのに、ある日突然いなくなって、利用者が困って不便な思いをするという例が、全国でも札幌でもありました。
市電を上下分離して、今おっしゃったような考え方で、上の部分を新たな団体に任せて進めていく中で、採算がとれないなどの理由で撤退してしまうということが起きるのではないか、この懸念についてはいかがか、伺いたいと思います。
◎小西 事業管理部長 新たな担い手の選定の検討に当たりまして、安全運行の確保に向けた体制の確保はもとより、健全な経営に向けた組織体制のあり方、及び、どういった財務基盤を求めるか、しっかりした収支計画が見込めるのか、そういったさまざまな観点からの検討を行いまして、札幌市の昭和初期からの伝統ある路面電車の事業を将来にわたって確実に維持することができる事業形態、あるいは、担い手についての具体の検討ということを現在考えているところでございます。
◆小形香織 委員 あわせて、責任の所在も心配なのです。上下分離して、軌道や車両については市が責任を持つということですから、例えばの話ですが、軌道の整備に落ち度があったために事故が起きてしまった場合、これは札幌市の責任になると思います。ただ、運転手の不注意などで事故が起きてしまった場合、これは運行する団体の責任になるのかと思うのですけれども、こういうケースで札幌市に全く責任がないと言えるのかどうか、現時点でのお考えを伺いたいと思います。
◎小西 事業管理部長 上下分離制度の制度設計をこれから詳細に検討するに当たりまして、一口に上下分離と言いましても、実は上と下の境をどこにするのかといった部分につきまして、我々は今検討進めているところでございますけれども、実はいろいろと悩ましく難しい問題がございます。そういったことから、運送事業者が担う責任の範囲と整備事業者が担う責任の範囲を明確にする必要があるというふうに考えております。
事故発生時の対応につきましても、その役割分担と連絡体制をしっかりしたものにし、迅速に対応できるようにしなければ、お客様にも大変なご迷惑をかけてしまうということでございます。そういったことから、私どもとしては、それぞれの責任分担を明確にした上で、しっかりと安全運行が維持できる体制を構築したいというふうに考えております。
◆小形香織 委員 これから考えていかれるということです。しかし、結局、今、悩んでおられるということで言うと、やはり、札幌市が深くかかわって責任を持った運行をしていくことにならざるを得ないのではないかなというふうに思っています。新しい財団のような形で市がつくることになり、つくるときには市が出資するということにならないと、上下で一体的な事業を進めて深く関与していくこともできません。そのためにも、運転技術の継承とか、人材の育成というのも進めていく、こういうご答弁だったのだろうというふうに思います。
やっぱり、公共交通は、市民みんなの乗り物として、どうやったって市がしっかり保障していくことが求められていくと思います。私は、上下分離をしなくても、今の交通局の直営でもやれるのではないのかなと思っています。ループ化したら、今、札幌市の見積もりでは少なくとも1日当たり600人ぐらいの乗客増だとかたく見積もっているということですが、中央区の人口は、将来推計を見ても、病院が近いとか、まちに近いということで、高齢者もふえていくということです。また、市電の沿線はまだマンションが建設されておりますから、私は、観光客の利用も含めて、ループ化にしていけば利用者はふえていくと思いますし、低床車両の導入も高齢者の方から大変歓迎されていて、これらのことが利用増につながることで財政的にも経営収支は上向きになっていくのだろうなというふうに思っております。
昨年12月に開かれた経済委員会では、将来にわたって直営の維持は困難だという形で説明されていますが、そうした決めつけをしないで、公共交通は公的福祉の一環であるということを議論の中心に据えていただきたいということを求めまして、質問を終わります。
○伊藤理智子 委員長 以上で、軌道事業会計予算及び高速電車事業会計予算の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回は、次週5日火曜日午後1時から、保健福祉局関係の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後6時33分...