札幌市議会 2012-11-13
平成24年(常任)厚生委員会−11月13日-記録
なお、これらは、あくまでも
センター側からの立場で患者の病態のみを勘案した場合の予想数であり、実際の
受け入れ先との調整を行ったものではありませんので、この点はご留意いただければと存じます。
最後に、5の
対応方針についてであります。
まず、1の
医師確保についてでありますが、当
センターに引き続き勤務を表明しております1名と合わせて3名程度は確保できる
可能性がある状況となっており、引き続き、現行の5名の確保に向けて全力を挙げたいと考えております。
医師確保につきましては、非常に厳しい状況でありますが、行政の責任として、市を挙げて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、2でございますが、現行の
医師数の確保、
診療体制の維持は厳しい状況でありますので、
退院可能者や
福祉施設処遇可能者の
退院促進等により、
医師数に応じた
診療規模とする必要があると考えております。
3でございますが、今年度中の
応急的対応として、来年4月以降の
診療体制のめどがつくまでの間、新患の
予約受け付けや
入院患者の
受け入れにつきましては、
短期入院や急患を除き、基本的には行わないこととしたいと考えております。
4でございますが、
運営体制の課題の一つとなっております
児童精神科の本来的な
診療対象を超えた患者につきまして、患者の状態に応じた転・退院等を進めていきたいと考えております。
5でございますが、今年度中に、加齢児の問題や、
民間医療資源との
役割分担等を踏まえた
児童心療センターの今後のあり方を検討する場を設けたいと考えております。
最後に、6でございますが、今後の
児童心療センターの運営につきましては、今後とも、
現場スタッフの意見をよく聞きながら進めるとともに、
複合施設化につきましても、利用者や
現場スタッフに理解を得るため、丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。
○
小形香織 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
五十嵐徳美 委員 今、
天田部長から、るる説明をいただきました。ことしの春に、
静療院の
成人部門が
市立病院に残る、そして、
児童部門が
保健福祉局に移動したと、この春ですね。退職の
意思表明が8月21日並びに8月27日ですから、4カ月くらいでこういう事態を招いたということで、本当に、一体どうなっているのだというのは、我々も含めて、
新聞報道等を見た方についても同じことが言えるのではないか、そんなふうに思うのですね。
きょう、初めて、
理事者からきちっとした説明をいただきましたが、先週あたりの
新聞報道によりますと、例えば、ある新聞では「
後任医師確保、先見えず」という記事になったり、また「
規模縮小、存続へ
医師確保のめど」と。新聞ですから、それぞれの私見によって書き方はあるのでしょうけれども、余りにも情報がさまざまで、逆に、それを見聞きする我々を含めて、では、確かな情報というのは一体何だというようなことが言えるのではないかと思うのですね。
また、新聞の一部でありますけれども、幹部の発言として、存続のために制約は出るが、受け皿となる場所が市内外にもあると。ある意味では、非常に安易にこのことをとらえて発言したように思われます。ある幹部と書いていますから、ここにいる方なのか、そうでないのか、わかりませんけれども、議会に対する説明と前後して、
報道機関に説明する中身がこういうふうに先行するということは、余りにも安易だということで、ぜひとも、ここにおられる皆さんにはその辺を十分に承知いただきたいと思います。そして、ここに入院している方や市民の方にとっては不安であったり、そういうものを十分に与える重大な案件であるということで、逆にその運営であったり
マネジメントする立場におられる方々には厳しく指摘をしなければいけない、そんなふうに思っております。
結果として、辞意がかたくて慰留は困難であると。民間であれ、
市立病院であっても、
ドクターがそこに勤務して、一生涯、その
医療機関にいるということはあり得なく、
スキルアップのためであったり、また、それぞれの事情によって退職することは想定はされるものの、今回の
児童心療センターに至っては、新たなる体制の中で、当然、協議もされてきたでしょうし、そういったことを踏まえて、今言いましたように4カ月でこういう事態を招くということは、ある意味、その職場の責任を果たさないということも問題であるというふうに思っています。
そこで、これは、ある意味で現場の問題であると同時に、やっぱり、この
心療センターを運営する
保健福祉局全体の問題にもかかわっているのではないかと思うのです。病院の現場は
医療行為、今回、
マネジメントということが
保健福祉局に移ったということは福祉の分野も絡めるという考え方でこの
センターを設立したと思うのです。問題は、この場合、それをつかさどり、
マネジメントするそれぞれのお立場、責任は十分あると思いますので、ここは、局長にその責任というものを痛感いただくと同時に、まず、この事態に至った経緯と原因についてどのように認識しているか、お聞かせいただきたいと思います。
◎加藤
保健福祉局長 ただいま、
天田部長から、資料に基づきまして、今回の
児童心療センターの
医師退職にかかわる経緯と対応について説明させていただきましたが、まずもって、今回の医師の
大量退職という事態につきまして、
児童心療センターをご利用されている患者の皆様、ご家族の皆様、
関係団体、そして
議員各位、何よりも市民の皆様に多くの不安を与え、また、ご心配をおかけいたしましたことにつきまして、
保健福祉局長といたしまして深くおわびを申し上げます。
先ほど来、
天田部長が説明しました医師の確保の状況について、私から、若干、補足的に説明させていただきたいと思います。
先ほど全力を挙げて医師の確保に取り組んでいるという中で、私どもは、北大にお願いしてまいりました。北大の医局からは、
先ほど説明のあった昭和48年から続く
市立札幌病院の
児童部門の、歴史ある
診療部門の火は消さないと言われておりますので、北大は必ず協力してくれるものであるというふうに私どもは信じているところでございます。ただ、何分、医務監と
天田部長が北大の医局を訪問してお願いいたしましてから2カ月がたっているところでございます。したがいまして、新聞等の報道にもございましたが、あす、私どもの副市長が北大の医局に再度お願いいたしまして、医師の確保について、私どもの立場をもう一度説明し、お願いしてくる、こういうことになっているところでございます。
また、北大からは、急に言われた話でございますが、次年度以降、平成26年度以降については
ローテーション等についても何とか確保してみたいというお話も伺っておりまして、私どもといたしましては、平成25年度を何とかしのいで、しのいだ後にはきちっとした形で医師の
確保等もできるのではないかというふうに思ってございます。また、
病院局からも全面的に支援するというふうに申し入れがございますので、札幌市といたしましては、
児童心療センターの運営を、市民の皆様に余りご心配をかけないでもできるように全力を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
前置きがちょっと長くなりましたが、
五十嵐委員のご質問にありました背景とか原因について、私の認識をご説明申し上げたいと思います。
私自身は事務職でございますから、医師それぞれのいろいろな思いとか、そういうことをきちっと酌み取れるかどうかはわかりませんが、私が部下から報告をもらっていることをまとめて、その中で私自身が考えていることについてご説明させていただきたい、こう思います。
まず、ことしの4月に、
病院局から
児童心療センターの移管を受けました。昨年の
予算編成時におきましては、まだ
病院局にあった中で、私どもは、そういう局の枠組みの中ではありますが、一たん、予算上は私どもの方に来るという想定で
予算編成し、それから、
複合施設における施設の工事の
予算化等を含めて私どもも調整を行ってまいりました。この調整の中において、
病院局と
保健福祉局という縦割りの弊害ではございませんが、局間の中でやはりうまくいかなかった部分もあったのではないかなというふうに感じているところでございます。また、医師がこの時期に一遍に退職されることについては、やはり、何らかの共通する要因があったのではないかな、こういうふうに思っているところでございます。
例えば、
静療院時代は、
児童部門と
成人部門を含めて9人の医師で行っておりました。院長は、今、
市立病院へ行かれました
安田院長で、今年度末での退職を予定しておりますが、年齢的にも非常にバランスのとれた医師の配置になっていたところでございます。しかし、今回、
成人部門が移転することに伴いまして、5人の医師になりました。特に、来たばかりの若い医師を含めて5人で
児童心療部門全体の責任を担うという部分につきましては、やはりかなりのプレッシャーがあったのではないか、このような感じもしているところでございます。
また、児童と成人の両方を受け持っていた病院が、児童だけが独立することによりまして、逆にさまざまな問題点があらわれたと。今まで児童と成人が一緒になっていたことでできたことが、児童だけになったことによってできなくなってきた、そういう何らかの問題が病院の治療の現場においてあったのではないかな、こんなことも感じているところでございます。
また、今回の
児童心療センターの発足に当たりましても、現在は5人の医師で行っております。6人の医師でやりたいということで、私どももそのつもりでおりましたが、その医師の確保ができなかったということも、自分がこのまま残っていくと本当に大変なのではないか、負担が大きくなっていくのではないか、こういう医師の個々の悩みを私どもが敏感に感じ取ってそれに対応できなかったのではないか、そんなことも感じているところでございます。
また、
先ほど成人部門が独立したということを申し上げましたが、その結果、例えば
スタッフ等において、今までであれば本院でちょっと頼むという形ですぐに
応援態勢ができたことが、やはり、局が違うことによって、十分な、迅速な
応援態勢ができなかったのではないか、こういう
病院経営の
引き継ぎの微妙なところがうまくいっていなかったのではないか、こんなことも感じているところでございます。
いずれにいたしましても、私どもは、
児童心療センターの現場の方々の意見や要望に耳を傾けながら進めてきたというふうに思ってはおりますが、結果的には、これまで
市立札幌病院が担っていた部分が切り離されたことによってさまざまな問題が浮かび上がりました。そして、
児童心療センターという形はできましたけれども、
児童心療センターをこういう病院でこんな形で運営していきたいのだという心の部分が本当に入っていなかったのではないかなというふうに反省しているところでございます。風通しのよい状況の中で
スタッフの意識のずれなどを話し合える、そんな病院にしていかなければならない、このように痛感しているところでございます。
◆
五十嵐徳美 委員
児童心療センターを設立することは、もう数年前に決まっていますね。局長は、今いろいろな原因のことを言っておりますよ。
病院局が中心であったと言いながらも、当然、
保健福祉局が受けるという前提になっていますね。今の背景や原因と考えられることというのは、そんなものは最初から想定できたことではないのかな、そういうふうに言わざるを得ません。
なおかつ、今、形はできたけれども、心が入っていない部分があった、縦割りの弊害があったと、そんなものは役所の論理です。
センターを運営したり、そこにかかわっている患者や家族や、多くの市民にとっては、それは役所の論理でしかないと言わざるを得ませんね。
そういった中で、改めて、札幌市
児童心療センター条例をもう一回読み返してみました。設置をした目的が書いてあります。ちょっと読んでみますと、第1条に
センターの設置という部分がありますが、「発達の障がいや心理的障がいのある児童に対し専門的な診療、相談、検査、訓練等を行うことにより、その発達及び
心理的回復を支援するとともに、
関係機関等との連携を図ることにより、児童が育つ環境を向上させるため」、
児童心療センターを設置すると。書いてあることはもっともなことであり、それは、あらかじめ想定してつくったわけですね。そして、現場の方々の意見も聞いたつもりだと言うものの、4カ月もたった中で、長く勤務をされた方、新しい方もおられますが、さまざまな理由によって退職をするというのは、やはり尋常ではないですね。
先ほども言いましたように、1人の医師が同じ
医療機関で一生涯勤務するということはあり得ない。
スキルアップだったり、または、さまざまな事情によって違う病院でやることもありますが、事、
児童精神科はもともと
ドクターが少ない中で、なおかつ、北海道においても
入院施設があるのは数が限られておりまして、そういった意味では、札幌市は、先駆的に昭和48年に
静療院ができてその役割をずっと担ってきたわけですよ。心が入っていないというのは、今、弁解する話ではないですよ、言いかえますとね。
でも、今日に至った上で、では、これからどうするのだということになります。過去の反省を踏まえて、さまざまな
ドクターを確保するということもありますけれども、本来、医師を確保して形をつくればいいということではなくて、本当にこの
児童心療センターがそもそも機能するようにやっていく。2年後の平成26年春には複合化するという方針も出ているようですが、そうなると、そこには
ドクターがふえるから大丈夫だと、ただ数の問題を言っているようにしか聞こえないのですよ。
そういった中で、改めて、この条例の第1条にある設立の目的を達成するに当たって、今、部長からは今後の対応で対処療法的なことが出ておりますが、根本的にこの
児童心療センターをどうしていくかということにかかっているのではないかと思うのですよ。当然、お役所の方々は時間がたつと人がかわります。その
引き継ぎによって組織は成り立っていくのですが、本当にきちっと心を入れてつくりかえる、またはリスタートしないと継続できないのではないかと思うのです。そこにいる人によって運営が変わるようでは、全くもって本末転倒になります。
そこで、局長に、今後の
取り組みはここには書いてあるものの、根本的にどう解決をしていくのか、改めてお話を聞かせていただけますか。
◎加藤
保健福祉局長 なかなか難しいご質問でございますが、この問題が8月末に表面化いたしました。私どもとしましては、当面、医師が確保できない場合は一体どうなるのかということを想定いたしまして、病棟を休止する場合はどうするのかといったことも含めて、今いるすべての
入院患者、
通院患者等の状況につきまして検証を行ったところでございます。
この中に、先ほど部長からもご説明申し上げましたが、来年4月以降も
児童心療センターでの入院、治療を継続する必要がある方がかなりいらっしゃいます。まず、これらの方の処遇を最優先で考えなければいけない、どんなことがあっても
入院患者の方々をきちっと処遇していかなければならない、このように考えてございます。その上で、やはり、札幌市として、医師の確保を含めながら、この病院をどう運営していくのか、こういった考え方をきちっと確立していかなければならないのではないか、こう思っております。
この病院を
病院局から
保健福祉局に持ってきた最大の理由は、やはり、医療と福祉の強い連携でございます。これは、
病院局ではできないことが
保健福祉局ならできる、こうした意味で医療と福祉の
結びつきをきちっとした形で表現し、市民の方々にきちっとサービスを提供する、このために病院をどのように運営していくのか、こういったことについて、職員、医師、そして患者の方々、それから各団体の方々、それぞれから
一つ一つ意見をお聞きしながら、委員からもお話がありましたように、遅きに失した感はございますが、改めてそういった方針を確立して病院の運営に当たっていきたい、このように考えているところでございます。
◆
五十嵐徳美 委員 本当に繰り返しになりますけれども、この春にはそういうものができ上がってスタートすべきだったのでしょうね。その趣旨を踏まえると、
医療行為と福祉がスムーズに連携するということは、当然、
医師職の方、そして事務職の方が同じ方向に向かわなければいけないのでしょう。そうした中で、医師を確保する場合、常々、
北海道大学の医局を中心に医師を派遣していただきながらそういう体制をつくってきました。今いる医師は、おやめになりたいという方々も含めると、ほとんど
北海道大学ですね。お1人の方が東海大学の医局から見えています。
全国には
児童精神科の
ドクターが少ないといえども、北大はもちろんベースでありますが、ほかの大学、
医療機関にも――あす、副市長が北大に行かれると言いますけれども、副市長は
精神科の医師ですよ。何のために副市長をやっているのだと言いたくなりますね。そういうことも踏まえて、副市長という大きな役職を担っていただいている。
児童心療センターだけのことではないにしても、ぜひとも、副市長は専門的な見地からその役割をしっかりと――ここにいれば直接言いたいところですが、あえて来ていないのかどうかわかりませんけれどもね。
先ほどは、少なくとも数の問題ではないとは言いましたけれども、患者さんにとっては、医療法上、必要な
ドクターを十分に確保することをぜひ目指していただきたい。全力を尽くしていただきたい。そして、改めて協議する場をつくると言うのですが、同じ轍を踏まないでね。多分、以前も協議をしてこの春からスタートしたのでしょうけれども、同じような
取り組みをしてまた心が入っていないものになっては、何のために今回の大きなアクシデントを乗り越えるかということになります。ですから、ぜひとも局長が在任中に、しっかりと、次の人がやるのではなく、
加藤局長が責任を持って、平成26年の春から進むであろう
複合施設化のことも含めて、やり残したことはないというくらいに、局長は、
マネジメントをつかさどる立場の人間として、ぜひ責任を持って取り組んでいただくことを望みます。
◆
峯廻紀昌 委員 それでは、私からも、
複合施設化の進め方、後任の
医師確保の状況、
医師数に応じた
診療規模等について、何点かお伺いしたいと思います。
ただいまの
五十嵐委員とのやりとりで、局長から、
複合施設化の
進め方等について何らかの問題があったと認識しているという答弁がありました。
そこで、この
複合施設化というのは、既存の
児童心療センターと
児童福祉総合センター内の
発達医療センターを統合して、心と体の発達におくれのある子どもへの総合的な
医療施設として、近隣の障がい児・
者施設と
知的障害者更生相談所も移転させて、障がい児・者の医療、福祉の
複合施設を整備し、これを拠点に札幌市全体の障がい児・者への
支援体制のさらなる向上を目指す施設であります。なおかつ、これは、市長の
マニフェスト事業ということもございますから、着実に進めて
予定どおりに完成させなければいけないと思っております。
しかしながら、今回、その進め方に多少の問題があって医師が退職するということで、多少なりとも影響を与えているのであれば本当に残念な話であります。ですから、今後は、しっかり課題を整理して、議論を尽くして、最善の体制を整えてやっていただきたいというふうに思っております。
そこでまず、2点ほどお伺いいたしますけれども、1点目は、確認の意味ですが、今回の
複合施設化の意義について改めてお聞かせいただきたいと思います。
2点目といたしましては、今回の
医師退職問題について、
複合施設化や大規模改修の進め方でどのような問題があったのか、また、そのことを踏まえて、今後どのように進めていくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 まず、1点目の
複合施設化の意義についてでございます。
この
複合施設化につきましては、平成21年度に市の方針として決定をいたしまして、具体的には平成21年度から今年度まで数年にわたりまして検討を重ね、26年から供用開始する予定としているものでございます。
まず、この
複合施設につきましては、
児童心療センターが持っております心の病や発達障がいを持つ子どもへの診療機能と、子ども未来局が所管している
児童福祉総合センターの中のクリニックであります
発達医療センターが持つ体の発達への診療機能、さらには、通園による障がい児への療育機能などをあわせ持つ
複合施設とするものでございます。この
複合施設化の大きな意義といたしましては、複数の診療科による治療が必要なお子さんや、医療と福祉の双方向からの支援が必要なお子さんに対し、同じ場所で専門的な支援の提供を行うことが可能になることと考えております。
また、それぞれの機能が持つ専門的な支援技術について、この施設内、あるいは他の施設や関係機関ともお互いに連携、向上が見込まれるものと考えております。これに加え、現状において、狭隘化や老朽化など課題を抱えております近隣の施設につきまして、ハード面の制約によって多様化する市民ニーズに必ずしもこたえることができていないことから、このようなことも含めまして、この
複合施設化により、一定程度、解決が図られることも意義の一つと考えております。
2点目のこれまでの
複合施設化等の進め方の中で問題はなかったかということでございます。
複合施設化につきましては、これまでも、現場の医師や
スタッフにも十分に時間をかけて説明し、要望や意見に対して丁寧に対応を行うことなどを心がけて調整を進めてまいりました。しかしながら、今回の件を受けまして、現場の医師から、
複合施設化への不満や不安があったということも聴取しております。このことから、やはり説明や対応が十分ではなかった点が多少なりともあったのではないかと考えております。
今後は、利用される方々、保護者の方々はもとより、現場の医師や
スタッフに対しましても、これまで以上に丁寧に説明を行いまして、要望等に対してもでき得る限り対応してまいりたいと考えております。
◆
峯廻紀昌 委員 ただいま答弁いただきましたが、当然、意義については、忘れることなく、それを目的とし、それを実行に移し、実現することをまず心してやっていただきたいと思います。それから、
複合施設化に当たっては、当然、ちゃんと気をつけてやったつもりだった、しかしながらというお話がありましたし、先ほど退職の理由についてご説明がありましたが、新しい
スタッフが来ても同じような問題がまた噴き出るわけですから、今回浮上した課題についてはきっちり整理して、これを機に、ぜひとも
スタッフが働きやすい職場となるように必要な改善を行ってほしいと思います。そして、
静療院の
成人部門と切り分けることによって失われたスケールメリットが補われ、各施設の機能の連携によって障がいのある子どもにとって夢や希望の持てるすばらしい施設となるように、ぜひとも計画どおりに進めていただきたいということをまず求めておきたいと思います。
そこで、
先ほど説明がありました後任の
医師確保の状況についてお伺いいたします。
児童心療センターは、北海道で唯一の
児童精神科の専用病床と、全国で四つしかない自閉症児の病床をあわせ持つところでございますから、全国的に見ても、極めて先駆的な病院として、本市のみならず、北海道全体の発達障がい児への支援の中核を担ってきたというふうにも思っております。
その
児童心療センターが今このような状況になっているということでございますが、児童精神医療の分野について全国的にその重要性が叫ばれている中で、医師の確保が非常に難しいために病棟を継続できないというような事態は絶対に避けなければいけないと思います。
先ほど、医師の確保については北大を初めとした関係機関にも当たっており、現段階では1名ないし2名を確保できる
可能性があるとの説明がございました。今回、4名が退職して1名ないし2名の補充では、今の5名体制から考えると、大変な状況になるのではないかということが推察されます。場合によっては、病院機能を大幅に縮小しなければならない事態も想定されます。現行体制の維持につきましては厳しいという説明でありましたけれども、私は、やっぱり、不退転の決意で、さらなる努力によって現行の
医師数の確保に向けて取り組むべきだというふうに強く思っております。
そこで、2点ほどお伺いしますけれども、医師の確保数によって児童医療
センターの
診療体制はどのようになるのか、医師の確保数ごとにぜひお答えいただきたいと思います。
2点目といたしまして、これまで具体的にどのように医師の確保に努めてきたのか、また、今後の
医師確保の手法とか見通しなどがあればお伺いしたいと思います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 1点目の
医師確保数ごとの
診療体制についてであります。
現在の
診療体制につきましては、先ほどご説明いたしましたように常勤医師5名体制となっておりますが、本来は、常勤医師6名、さらに夜勤対応のための非常勤医師を含めた7名体制を想定していたわけでございます。現在の
診療体制を維持するためには最低でも5名は必要ということになりまして、これがぎりぎりの体制というふうに考えております。
一方、3名ないし4名の
ドクターが確保できた場合ですが、まず、医療法上、20床以上の病棟を持つ病院は最低3名以上の医師の配置が必要とされております。こういったことから、3名ないし4名の医師が確保できた場合につきましては、
入院機能は維持できることになります。そして、外来部門も維持できることになりますが、医師の確保状況、また、医師の負担を考え合わせますと、やはり
外来診療部門は縮小せざるを得ないことになると思います。あわせまして、
病棟機能につきましても、医師の確保数に応じた体制をとっていく必要があると考えております。また、3名ないし4名では適正な宿日直の勤務体制が困難となりますことから、別途、夜間勤務を行う非常勤医師の配置が必要不可欠となるものと考えております。
また、2名以下となった場合につきましては、
病棟機能を休止、または廃止せざるを得ないことになります。この場合は、現在の
入院患者全員に転院または退院していただく必要があり、外来診療も大幅に縮小せざるを得なくなります。
私どもとしては、今申し上げましたように、
病棟機能を維持するため、また、現在の診療機能を維持するために、人数的にはやはり必要な数を確保していきたいと考えておりますが、確保数に応じた
診療体制については検討していく必要があると考えております。
2点目の具体的な
医師確保の手法についてであります。
先ほど
加藤局長からもご説明させていただきましたが、あす、渡部副市長が
北大医学部に直接出向きまして
医師確保の依頼を行う予定となっております。このほか、これまでも、東京の同種の病院に勤務する医師に直接依頼を行うなど、現行の
医師数の確保に向けて最大限努力をしているところでございます。今後につきましては、引き続き、
北大医学部を中心に医師の確保に向けて協力を要請する予定としておりますが、現行の
医師数の確保は非常に厳しい状況でありますので、まずは、病院としての機能を存続するために必要な医師の確保に全力を尽くしていきたいと考えております。
◆
峯廻紀昌 委員 医師の確保に向けては、先ほど
五十嵐委員からもありましたけれども、本当に担当副市長を先頭に、ぜひとも全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。もし仮に病棟の機能を維持するために必要な
医師数が不足する場合は、
市立病院や一般部局にいる医師を総動員してでもぜひ対応していただきたいということを求めておきたいと思います。
次に、
医師数に応じた
診療規模の縮小等についてお伺いいたします。
来年度の
診療体制のめどがつくまでは、新規患者の
予約受け付けや
入院患者の
受け入れは基本的に行わない、また、
医師数に応じた適正な
診療体制とするため、現
入院患者の退院促進を行うとの説明がありました。
今お話ししたことについては、私は、本当に市民サービスの大幅なレベルダウンと言わざるを得ないと思います。初めて
児童心療センターで診察を受けることが必要となった方は、子どもの発達の状態について大変大きな不安を抱えているわけであります。そういった方の
予約受け付けをたとえ一定期間でも行わないということは本当に大変なことでもありますし、他の
医療機関も予約がいっぱいだという状況から考えますと、受診するまでさらに時間がかかることになりまして、その不安はますます増長していくことにつながっていくのではないかと思っております。また、現
入院患者の退院促進についても、その影響は大きく、本当に安易に進めるべきではないというふうに考えております。
そこで、規模の縮小について2点ほどお伺いいたします。
1点目は、新規患者の受け付けについてでございますが、今年度いっぱいは5名の医師がおりますから、これまでどおり受け付けして、退職後、後任の医師に引き継ぐことはできないのかお伺いいたします。
2点目は、現
入院患者の退院促進について、市民サービスの継続的・安定的提供の観点から安易に行うべきではないというふうに思いますけれども、この2点についてお伺いいたします。
◎佐久間
保健福祉局医務監 まず、新規患者の
予約受け付けについてでありますが、現在、ことし12月診察分までの新規患者の予約は満杯でございます。治療の継続性を考えまして、来年1月以降の予約は受け付けていない状況でございます。これまでの医師5名体制では、通常、
予約受け付けから初診まで3カ月程度要しておりました。より長期間の待機となることが見込まれる中で、次年度以降の
診療体制が確定していないまま予約を受け付けることは困難であります。また、4月から医師が不足することになりますが、1月に診た患者は1回目ですぐ方針が決定するわけではありませんので、初診後3カ月程度の治療方針が決まらない状況で主治医がかわることは、患者への影響も大きく、治療上、好ましいこととは考えておりませんので、やむを得ない対応だと考えております。
2点目の現
入院患者の退院促進についてでありますが、まず、
精神科病床の一般的な方針としまして、
入院患者の社会生活の適応能力を向上させるため、退院可能な方については早期に退院してもらい、必要な在宅療養を継続するということになっております。今回、本人やご家族の状況を勘案しながら
診療体制に応じた退院促進を行う予定ではありますが、通常でも
小児病棟では院内学級ののぞみ学園に通う中学3年生のお子さんは一斉に退院されますので、年度がわりに多くの退院者がおりまして、
児童心療センターでの
入院治療継続が望ましいと判断される患者まで退院させることは考えておりません。よって、現
入院患者への処遇という観点では市民サービスの大きな低下に当たるものとは考えていませんし、必要な患者にまで退院を促進することは考えておりません。
◆
峯廻紀昌 委員 状況と考え方については理解いたしました。
繰り返しになりますけれども、
児童心療センターは、札幌市のみならず、北海道全体の児童精神医療の中核的な役割を果たしてまいりました。歴史ある大変貴重な医療資源というふうに考えておりますので、本当はこのような事態を招かなければよかったのですが、ぜひ、札幌市が総力を挙げてこの難局を乗り越えていただきたいと思っております。
最後に、黒川
児童精神科部長にお伺いしたいと思います。
黒川部長は、平成2年に札幌市に採用されて以来、
児童心療センターの発展にご尽力され、今回、来年の3月をもって退職をする旨、表明されております。退職までまだ半年ありますが、
児童心療センターの今後の発展に向けて、何か思いなどがあればお聞かせいただきたいと思います。
◎黒川
児童精神科部長 私は平成2年に
静療院の
児童部門に赴任しまして、それから22年がたちました。
静療院の
児童精神科病棟、
児童精神科部門は、北大を中心とした私たち
児童精神科医が1973年に設立して、その後、最初は、現在、日本自閉症協会の会長をやっている山崎晃資医師がリーダー、その次には退任された設楽雅代医師がリーダーで、私は1990年4月からこの部門を預かっています。そして、現在、退職する医師、残留する医師を含めて、すべて私の教え子です。私が教えて、
児童精神科の道に入ってきました。そして、全員、もちろん骨を埋めるつもりでここに赴任してきました。それがこういう形になってしまったことは、本人たちもとても残念ですし、それ以上に、私がここをうまく守り切れなかったので、本当に申しわけなく思っています。
きょうは、恐らく、私自身の意思として話をするのはこれが最後になると思いますので、長くなりますが、少し話させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
最初に、具体的なことからです。
今、病院を続けて何とか平成25年の
診療体制をつくっていこうとして奮闘しているのは、私からバトンタッチをお願いしている河合健彦医長です。河合健彦医長から、次年度以降の
診療体制をより安定したものにするために、幾つかメッセージを預かってきましたので、最初にそのお話をします。
第1番目は、ちょっと説明しなければわからないかと思いますが、要点だけを言うと、医療の自立性の確保ということです。
平成24年4月から走り出した現在の病院機構は、医療の自立性が保障されず、病院機能の妨げになるような機構なので、これを全面的に早急に変えてほしいということです。
現在の機構がどんなふうに妨げになるか、実は、私はこの機構が提案された平成23年8月にいろいろな方に説明に回っています。1人は、退任した吉田哲憲前
市立病院長です。もう1人は、私の二つ左にいる佐久間伸子先生で、彼女がまだ医務監だけだったころです。それから、行政の人たちなので、ちょっとご理解は難しかったかもしれませんが、
加藤局長にも
天田部長にも話をしています。さらに、これは
理事者側が嫌がりますが、主要な会派のお力をかしていただけそうな方にもこの問題を話して、何とか改善できないかと訴えましたが、結局は押し切られた形で4月からこの体制がスタートしたのです。スタートしてみると、やはり病院の雰囲気はどんどん変質していくし、医療の妨げになることも多い。なぜそうなったかという責任追及はともかくとして、早急にこの病院の機構を改めてもらいたいというのが河合君からの第1のメッセージです。
二つ目のメッセージは、
複合施設の問題なのです。
複合施設の理念ということを言われましたが、まず最初に、私が説明しますけれども、
複合施設という何か理念があって
複合施設ができたわけではなくて、実態は、建物の有効利用という意味で幾つかの施設をそこに集めた集合住宅のような構想だったのですね。そのとき、係長か課長かはわかりませんが、たまたまいいアイデアを見つけたということで児・者一貫の福祉と医療を展開する施設というふうに名前をつけたのです。もっと大々的な名前がついていたのですね。それで、私は、打ち合わせのときに、こういうところまできちんと検討されたことではないので、少なくともその名前はやめなさいと言いました。それで
複合施設となったのです。最初は、統一施設という名前だったのですね。
ただ、結果として出された理念は、とても大事な理念です。一つは児童と成人の児・者一貫の支援づくりということと、もう一つは福祉と医療による総合的な支援ということですね。これは、とても大切な理念です。私のところにも、親の会の団体、それから患者の親からも、そういう方向でぜひいろいろなことを実現してほしいという強い願いが出されています。これはとても大切な目標なのです。しかし、壮大な目標なのです。5年、10年という検討を経て初めて実現できることなのですね。
ただ、実現が不可能であるとは思いません。幾つか、私たちも実現してきています。その最初は、そもそも自閉症の子の医療と教育の場所をつくり出すことで、これは、1960年から1970年にかけて、私たち専門医師と親の会と、それから市議会がスクラムを組んで実現しました。それが札幌市の情緒障がい児学級であり、
静療院の
児童部門なのです。
その次に、1980年代から1990年代にかけて、15歳を超えた人たちの医療の保障と生活の保障をどうするかという
取り組みがありました。これも、親の会と私たちと市議会、それから近隣の市町村の応援もあって、一つは18歳まで入所できるのぞみ学園を併設すること、二つは大人の生活保障である成人施設、厚田はまなす園という成人施設を設立したことです。これが二つ目の大きな事業でした。
三つ目の大きな事業は、自閉症者自立支援
センターの設立です。これは、2000年になって実現しました。やはり、10年ほどかかって実現しました。重度の自閉症の人たちを地域生活に戻していこうという親の願いと私たちなりの全力投球でつくったものです。平成17年にオープンしました。
こんなふうに10年、20年かかっても大きな事業が展開できるので、今度の児・者一貫、それから医療と福祉の総合的な支援というものも、本気でそのつもりで取り組めばやがて実現できると思います。
ただ、そのためには、幾つか大事な点があります。これが河合君からのメッセージなのですが、今の
複合施設の例は、この問題の検討なしに行政の担当者が考えついただけの言葉なので、もう一度、利用者市民と専門技術者を最初から中心に据えて検討し直してほしいということです。
この目標の実現のためには、まず、それに必要な医療技術と福祉支援技術を開発する必要があるのです。今の児童支援の医療技術と福祉技術だけではできないことなのですね。
それからもう一つは、実現まで5年、10年かかる工程表を行政と専門技術者と利用者市民とが対等な資格で討議してつくっていくことです。今回の
複合施設構想は、市民の意見はほとんど聞かれていない。パブリックオピニオンという切り離されたばらばらな形で、しかも、計画がほとんど決まった段階で取り上げられただけなので、計画の初期段階からきちんと入っていません。
これは、私も委員でしたので、私にも責任があります。これは、今までのゆいをつくるときまでの歩みと全然違う形だったのです。今までは、必ず親の団体の代表がきちんと体系的な形で構想の最初の段階から入っていたのですが、今回はそれが全くなかったのです。ですから、そのやり方でつくり上げようとしている
複合施設の理念は、実を結びようがないので、もう一遍、初めから検討委員会をつくりたい。
その検討委員会は、モデルがあって、私たちは平成13年に札幌市強度行動障害・自閉症者処遇基本計画という計画をつくりました。そのときには、保護者団体、行政、専門技術職が対等の立場に立ってテーブルに着いて、そしてプランをつくって実現したのです。それと同じ質の検討委員会をつくって、もう一度最初からこの問題に取り組むべきです。そして、5年、10年かかる工程表をつくっていくことが必要だということですね。
そこで、これに関して、実現は不可能かもしれないけれども、私と河合君から一つ提案があります。それは、この検討が少し進むまで今始まりつつある
静療院成人病棟跡地の改修計画を凍結するという提案です。
これは、本当に児・者一貫の支援をするとなると、今はその中に15歳までの児童の治療施設しかありませんので、高校生、大学生の患者を治療する思春期・青年期病棟、これは児童病棟とはまた治療技術の違う病棟ですが、その病棟をつくらなければならない
可能性もあります。それから、今ののぞみ学園は医療型の児の施設ですが、札幌市の独自事業として自閉症の児・者の医療型施設に規定がえをしていかなければならないという案が出る
可能性もあるのですね。このときには、建物の改修が必要になります。そうすると、今、医療部門に与えられている今でも手狭な面積の改修だけでは、到底、やっていけない
可能性があります。
ですから、本気でやるのであれば、言葉だけでなくて本気でやるのであれば、それを凍結して最初から検討し直すことが必要だと思います。もう19日から体育館の取り壊しなどが始まりますので、時間がないですから、多分、行政は受け付けないと思いますが、私たちは願っています。そうしなければ、児・者一貫、あるいは医療と福祉の総合支援というのはまだしばらくずっと先になっていくと思います。
それから、三つ目は、河合先生がぜひ言ってほしいと言ったことです。ちょっと読みます。もっと具体的なことになります。
河合先生は、
児童心療センターで治療を受ける子どもたちのことを思って、平成25年度に
診療体制を維持するために、北海道の
児童精神科医師に加えて、全国の
児童精神科医療機関及び日本児童青年
精神医学会に呼びかけて医師を探しています。ところが、11月6日、11月8日、11月9日と、札幌市の行政担当者から新聞社へ次々に情報が提供され、その結果、医師派遣について協議している相手の機関や、これから協力を要請しなければならない医師会、
精神科医師たちに不信感を持たれてしまいました。軽率なのか、あるいは、意図的な情報操作なのかはわかりませんが、くたくたになりながら医師探しをしている河合にとっては、後ろからバケツで水をかけられるような行為でした。札幌市の行政の姿勢に強い不信感を持ちます。
直ちにこのような情報操作をやめて、それから、できれば、再建計画をリードしている行政のリーダーを差しかえる。具体的には渡部副市長のことです。とてもいい方で、アイデア豊かな方ですが、こんなふうにぼろぼろと情報を漏らしてしまうことがちょっとあることと、それから、じっくりと専門医師の意見を聞くということがありません。それからもう一つ、最大の問題は、交渉相手にほとんど信用されておりません。いろいろないきさつがあったのだと思いますが、だから、彼も傷つくでしょう。たくさんいますので、私は、上田市長が、直接、情報漏えいの謝罪に行くとともに、お願いしてくるのがよいと思いました。しかし、聞くと、昨日、既に記者会見をしてしまっているようなので、一体どうしたものかと思いますが、先週の
報道機関を使っての情報操作は大変なミスだと思います。これが河合君の意見です。
退職の理由について、私は、委員の皆様のほかに、保護者の皆様、市民に対しての説明責任がありますので、話をいたします。
退職の理由ですが、
天田部長が話をした
退職理由自体は、うそでも何でもありません。そのとおりです。というのは、そんなふうに私たちが
保健福祉局に対して言ったからです。ただし、これは、もうやめていく身なので、これ以上、意味のないけんかをしてもつまらないだろうということで、いわば大人の
退職理由です。
本当の
退職理由は違います。本当の
退職理由は、理由はさまざまですが、退職の背景にあるのは行政の担当者と私たち病院の医療技術者との意見の対立です。意見の対立が生まれたのは、
静療院の
児童精神科部門を独立させて一般会計で運営する病院にするというプラン、そのプランの目的が何であるかという認識が違ったからなのです。このプランの提案者は私なのです。このプランは、平成15年、16年に、当時の行政担当者の知恵をかりながらつくったプランなのです。20年からの行政との話し合いでは、行政の担当者たちはそれ自体も知らなかったのですね。
私たちがこのプランによって実現しようと思ったことは、
児童精神科部門は財政的な不安を抱えていまして、つまり、企業会計での黒字化などは見込めない機関ですので、それをどうにかする。
児童精神科部門を一般会計部門に移して、財政的な不安を取り除き、それによってより自立性の高い専門
医療機関に脱皮させることだったのです。医師、専門医師と専門医療技術職が医療報酬その他の不安のない状態で、子どもたちの心の健康に必要なものは何でも存分にやりたいと思って、それで提唱したプランなのですね。
ただ、平成20年、21年から始まった行政担当者たちとの話し合いでは、それはほとんど理解されませんでした。行政担当者は、一般会計のもとに入るという形から、既存の
保健福祉局の行政機構の中に組み込んで、そして、行政機構の中の一つの下部組織のような感じにとらえて、全体の大きな方針や運営も行政職が行うような形の組織を提案してきました。そのときから、ずっと、本来目指すものと行政担当者の受け取り方、意見のそごが続きました。そのことが、建物の改修のあり方に関しても、機構のあり方に関しても、診療のあり方に関しても、たくさんの意見の対立をずっと生み続けたのです。私は、この意見の対立、平成21年から23年にわたる3年間の準備期間の討論の不毛さを体験して、平成17年に私たちが協力して自閉症者自立支援
センターをつくり上げたころの札幌市の行政とはすっかり変わっていると感じました。
その意見の対立は、今もずっと続いていますけれども、それでも現場は、毎日、診療しなければならないので、機構を保留するというわけにもいかない、建物の改修計画を保留するというわけにもいかないので、いろいろな妥協点がありながらも、ともかく、一応、相互の一致点を見つけて、そのようにして平成24年4月に
児童心療センターが発足しました。ですから、今度の問題は、4月から始まって4カ月間で爆発したのではなくて、準備期間を通じてずっと解決できなかった問題なのです。
ここで、退職について説明させていただきます。
退職について、まず、私ごとになりますが、私は、今、62歳です。以前から、60歳ぐらいからは公立病院での現職のフルタイム勤務は体力的にきつくなるだろうと思っていました。60歳を超えたあたりで、私は、自分の診療ペースで治療できるような形の診療機関に移って、もう大きくなった自閉症の人たちをなるべく長く診ていきたいと考えていました。
それで、今度の
児童心療センターづくりはなかなか大変でしたが、その結果、よかったかどうかはわかりませんけれども、一応、決着がついたので、平成25年3月をもって退職したいと、私は、まず最初に私の4人の教え子たちに打ち明けました。教え子たちは、その後、1カ月ほどで、私は7月半ばごろにお話ししているのですが、8月の半ばごろには4人のうちの3人が自分たちも退職をすると宣言をしたのです。
そういう宣言をした背景には、平成24年4月に実際にこの
児童心療センターで診療を始めてみて、医師たちが
センターの理念や運営のあり方が病院の体をなしていないというふうに感じたことがあります。
少し、例をお話しします。
児童心療センターの開設初日の4月1日に、行政の担当者が4人やってきました。幹部たちです。全職員を集めて訓示をしました。訓示の内容は、
児童心療センターは、昨年までのように
病院局に所属しているわけではない、
保健福祉局に所属がかわったのであるからそれを自覚して仕事をしていただきたいという訓示だったのです。本当の意図はわかりませんが、医師たちは、行政が病院の運営を主導するという宣言をしに来たのだというふうに受け取りました。
それから、週1回、佐久間医務監が
センターにいらしていろいろ仕事をしてくださっていますが、週1回、
センターに来て決裁をして帰っていきます。患者たちの顔を知らない人がこの
センターの医療責任者であるということと、その人が、必ず、帰るときには、本来は患者の出入り口である正面玄関に車を呼んで、そこから乗り込み、そして事務職が最敬礼して見送るという
静療院ではあり得なかったような光景をずっと目にして、そして、病院が確かに変質したのだというふうに感じたのだと思います。行政の常識は医療にとっての非常識なので、そのあたりの違いがありました。
ただ、そういうことがあっても、私は、まだやっていけるし、行政の担当者というのは数年でかわるので、少し辛抱して展開してくれないかと言ったのですが、既に私に対しても若い医師たちは不信感を持っていました。最後には、非常に激しい怒りを持っていろいろな宣言をしました。
怒りの対象は二つで、第1の対象は行政です。自分たちが骨を埋めるつもりで頑張っている病院をこんなふうに変質させてしまったし、まだどんどん変質していくのではないかということに対する怒りです。二つ目の怒りは、私に向いています。それは、私の教え子たちですから、私を信頼していたのですね。だから、現場と行政がかなり大変な対立になっても、今までと同じように何とか病院のあり方を守るだろうというふうに期待していたのです。そこの評価が違うところで、それでも、確かに不十分な形でしか4月1日の発足を迎えられませんでした。おまけに、私が、その不十分なものしか残さずに去っていくということですので、私を恨んだのだと思います。この二つの怒りがあって、この先生たちはもう続ける気力をなくしています。実際に退職されると思います。
再建と言って、いろいろなことをきれいな作文にしてお話ししてくださいましたし、行政の方としては、
加藤局長も天田 孝部長も、今のようなことはなかなか理解できない医療の内容に関することなので、うそをおっしゃっているわけではなく、きちんと説明されているのだと思います。しかし、現場で起きている本当のこととは少し違うストーリーができているなと感じました。
◆
峯廻紀昌 委員 今、経過を含め、具体的に、やはり、現場とのずれということで大きく目立った部分があろうかと思いますし、先ほども議論がありましたように、組織
マネジメントの問題が大きくあるのかなというふうに思います。
そういう意味におきましては、今、黒川部長からお話があったことを
加藤局長はぜひ受けとめて、今後に向けて取り組んでいただきたいと思います。今、部長からお話があった
複合施設化のゼロベースからのスタートということですが、これは、さまざまな議論の積み重ねを行って今日に至っているということもありますし、なおのこと、利用する市民の不安を招くということもありますから、簡単にはなかなかできないかというふうに思います。しかし、ぜひとも、今出たお話等を含めて、この施設の今後のあり方、あるいは、医師の確保に向けてぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
◆谷沢俊一 委員 今、退職される黒川部長から、心情的なものも含めてさまざまなお話がございました。
黒川部長が今いる医師を育ててこられ、黒川部長を慕って
静療院に勤務されているということで、ある意味では希望を持ってこられた医師たちが退職される、しかも一気に4人という数です。今、さまざまな手厳しい指摘があり、また、黒川部長は日本を代表される
児童精神科専門の医師でもいらっしゃって、そういう立場の意見が十分に反映されていないと今のお話を聞いて感じました。この複合化も、まずは箱物から決めていって、何をくっつけるかという印象を持ってしまった、こういうお話でした。また、行政サイドの物の見方と専門医の立場からの考え方に相当ギャップがあって、あす、北大に行ったとしても、北大の医学部でも、恐らく、なぜ急に、何が原因でこんなに一気にやめるのか、そこを納得しないと、多分、次の医師探しも簡単にはいかないのかなという感じを受けました。
そこで、最初にもお話がございましたけれども、4月1日に新たな5人体制でスタートして、医師を初め、従事されている職員、臨職を入れると100名前後の方がここで勤務されております。セラピーを担当する方、看護師あるいは作業療法士と、さまざまな職種の方がいてかなり大きな組織なのです。そういう中で、特に機構なりがかわるときというのは、僕はある意味では非常に大切な時期だったと思うのです。環境も変わるし、
成人部門は
市立病院の本院に移転していますから、そういう面では、事務管理という以上に、
マネジメントに占める人事管理の面で、不満を吸収するとか、あるいは、さまざまな課題に的確に対応していくとか、大事な時期にあったにもかかわらず、そういうことが解決されずに、未消化のうちに時が過ぎていったのではないかという感じを受けるわけです。
私にとってはそのことを象徴するかのような印象ですが、医務監が
センター長を兼務しています。いわゆる
スタッフとして上にくっついているのではなくて、まさに、
児童心療センターのラインのトップにいらっしゃる、そういう立場ですね。その方が、週に1回勤務されて、そして、さまざまな現場の雰囲気を察知するというのは、ある意味ではできないのではないか、できなかったというふうに断じざるを得ないのかなと思うわけです。しかも、専門は小児科でいらっしゃいますね。
精神科の臨床経験がない中で、
精神科の医師のさまざまな意見を聞きながらコミュニケーションを築くことがなかなか円滑に行かなかったのかなという感じも受けます。そういう意味では、安易な行政組織をこういう大事な現場においてつくってしまったという印象を受けるわけです。
そこで、ぶり返しみたいになりますけれども、
児童心療センター所長について、現場に常勤していないこと、かつ、
精神科医でもないことについて、佐久間医務監には失礼かもわかりませんが、そういう経験がない佐久間医務監の事務取扱というのは、どういうことでこういう体制になったのか、1点確認したいと思います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 今ご質問いただきました、
児童心療センターの所長を医務監の事務取扱としている理由についてということでございますが、まず、私からお答えさせていただきまして、その後、医務監から補足させていただきます。
まず、その理由でございますが、
児童心療センター所長につきましては、組織上、部長職としてございます。機構上は、部相当の組織としているということであります。今年度当初には、
病院局から
保健福祉局に組織上の移管を受けまして、先ほどご説明させていただいた一般会計による一般行政病院という形での運営を開始することになりましたこと、あわせまして、これも先ほどご説明いたしましたが、平成26年に向けまして、今、予定しております
複合施設化がございます。この中には子ども未来局の
発達医療センターを含めた
複合施設化などを控えておりますが、これについては、まだ関係局との議論を続けながら、特にソフト部門について、どういう形の職員の体制をとれば地域支援ができていくのか、それから、医療と医療の連携、医療と福祉の連携をどうしていくのかといった大きな課題がありまして、このことが、市民サービスに向けて、今、我々に課せられている大きな検討課題というふうに思っています。こういったことも踏まえて検討していくという課題がございますので、組織体制を強化するために局長職としたものでございます。
なお、
市立札幌病院におきましても、本年3月まで組織上の責任者は
病院局長でございまして、
病院局長は
静療院には常駐しておりません。そういった意味では、必ずしも組織の責任者として局長職が
児童心療センターに常駐しなければならないというものではございません。また、現地には医療法上の病院管理者として
精神科医である
児童精神科部長を配置しております。そういった意味から、
医療機関の組織体制としても特に問題があるというふうには考えておりません。
次に、勤務体制として週1日ということについてご説明させていただきます。
この理由についてでございますが、まず、医務監につきましては、原則として、毎週金曜日、週1回を
センターで勤務することとしております。この勤務頻度につきましては、
児童精神科部長ほか
現場スタッフとも相談して決定したものでございます。また、その他の日も、必要に応じて、適宜、
センターに勤務することはもちろんでありますし、定期的に開催しております運営会議が月1回ございますが、これには必ず参加をすることにしております。それから、職員からも医務監を訪れまして日常的な決裁、報告、相談等を受けていたということでございます。そういった面で、今の体制が不自然、不備ということではないというふうに私は考えております。
◎佐久間
保健福祉局医務監 私からちょっと補足させていただきますが、4月に事務取扱になりましたときに、私自身は、やはり、医務監として、保健所とかほかの衛生の問題とかをいろいろ持っておりまして、病院管理者としては立派な医師がいらっしゃいますので、黒川部長とご相談したら、とりあえず月に1回の運営会議に来ていただければ結構ですということでした。ただ、医療面のこととか、パラメディカルの
スタッフのこともあるので、運営会議が金曜日にあるものですから、同じ曜日の方が職員もわかりやすいということで、いろいろ相談して、また、その後も黒川部長と相談したり、ほかの
スタッフの課長とも相談しまして、とりあえずは週に1回行って、何か問題とかがあったときに相談しやすいように、常に
センター長室にいますので何か相談事があってほかに言いにくいことがあれば来ていただくようにとアナウンスしていただいておりました。それ以外も、運営会議などにいろいろな責任者が出ていますので、そこでもいろいろお聞きしていますし、あと、衛生委員会にも出席するようにして、職員の、特に一般の
スタッフの意見はそこで聞けますので、そういうことで一応は努力したつもりでした。
今回、若い医師がやめるときに、今まで、管理者である
精神科の部長がいるところに、先ほどおっしゃいましたけれども、門外漢の私が若い医師を呼んで個人的にいろいろ聞くのはいかがなものかというような遠慮もあったりしました。ですから、正直言って、若い医師たちとお話ししたのは、今回、やめるということを聞いてびっくりして、どういうことなんですかということで個々に面接して、いろいろな思いを聞いたのですが、私自身の反省としては、やはり、もう少し踏み込んで若い医師の悩みなどをいろいろ聞けばよかったなと、反省しております。
◆谷沢俊一 委員 医務監のお話もわかります。門外漢であったと。そして、
センター長として、長くいらっしゃる黒川部長のもとでうまくいくのではないのかと思っていたのだろうと思います。しかし、先ほど言ったように大きく変わろうとしているこの時期です。先ほどの黒川部長のお話でも、さまざまな問題点や課題意識を持っていらっしゃって、ある意味では、4月以降もそうした課題や問題点について十分に協議されないうちにこの結果を迎えたのかなという感じを受けます。そういう意味では、確かに、体制的には対応できるようなシフトを組んだということなのかもわかりませんが、実際に、医師を初め、職員の方のモチベーションが相当衰退してきているという状況は、事前に把握し、それなりの対応が必要だったのかなと感じております。
また、さまざまな課題等もあるのかもわかりませんが、今回の複合化に当たっては、確かにここにあり方についての対応策が書いてありますが、
児童心療センターのあり方については、これまでも庁内に課長・部長職等の検討会議を持ってきて進めてきたと思います。しかし、今回、こういう事態に至ったこと、あるいは、先ほど河合医師のご意見も含めてるるお話がありましたように、さまざまな検討の中で利用者である市民や医療技術職の意見も十分に反映されていないというご指摘もありました。
そういう意味で、大きな課題を抱えつつ、このあり方を検討するに当たっての今後の基本的な考えについてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 まず、4月の機構の構成変更に至る経過といたしまして、先ほど平成21年からと申し上げましたが、札幌市全体としての検討は実はその前からしてございます。それらを踏まえて、多段階にわたる組織の議論を経た上で組織を決定し、なおかつ、
複合施設化等につきましても、単にあく施設をどう利用するかという空き部屋の議論ではございません。あくまでも、札幌市として、福祉、医療、そして教育、それぞれの分野が抱えている、特に発達障がいを持つお子さんを含めた障がい児・者、この中には、発達障がいだけではなくて、当然、肢体不自由、知的障がいの方も含まれます。この方々に対してどのような支援をしていくのが妥当なのか、それに対して現状はどうかということについて、それぞれの局ごとの議論を重ねた上で、それらを私ども障がい福祉課が調整させていただいたという経緯がございます。
そういった面では、先ほど黒川部長から、または河合医長からという形での説明がございましたが、そういった経緯の中でこれらを議論してきたということが
医師職の中に十分浸透していなかったことについては、私としては、平成21年以降、障がい福祉課長として、そして、昨年から担当部長としてかかわってきた者としては非常に残念な思いがございます。
そこで、改めて、
児童心療センターについて、札幌市として基本的な考え方はどうかということについて、私なりの考え方というよりは、札幌市としての考え方を説明させていただきたいと思います。
経緯については、先ほどの繰り返しになってしまいますが、この
センターの前身でございます旧
市立札幌病院静療院児童部を昭和48年に開設いたしまして、それ以来、心のケアが必要なお子さん、そして、発達障がいのあるお子さんの診療を専門に行ってきました。さらに、昭和57年から、全国的にもまだ4カ所で、ふえておりませんが、道内でも極めて貴重な医療資源となる自閉症のための専用病床でありますのぞみ学園を併設いたしまして、これまで多くの重度の自閉症児を
受け入れて医療と福祉の両面からの支援を行ってきているというふうにまず考えております。開設当初は、心のケアが必要なお子さんや発達障がいのお子さんを対象とした
医療機関は市内外にも非常に少なく、
静療院児童部が果たしてきた役割は極めて大きかったというふうに考えておりますし、現在も何ら変わらずにその役割を果たしているというふうに考えております。
一方、発達障がいのあるお子さんを診療する民間のクリニックにつきましては、徐々に市内にもふえてきておりまして、開設当初とは医療環境が変化してきている状況もございます。また、のぞみ学園につきましては、自閉症児の早期療育を目的とした病棟で、これに福祉的な機能もあわせ持つ、ここに特徴がございますが、実際には、児童福祉法の対象年齢である18歳までというところを超えて18歳以上の入院が大半となっている状況がございまして、やはり、本来の姿と現実が乖離しているという事実もございます。これは、単にそうなったというよりは、当然、必然性もあるということであります。
そういった面では、成人施設として非常に強い行動障がいを伴っている成人の福祉的な受け皿は、全国的にも決して多いわけではありません。その中で、札幌市としても、東雁来にゆいをつくってきました。ここは単に、重度障がい者の終生の入所施設ではなく、地域生活に移行していくための訓練の場という位置づけでつくってきている、それが一つあります。それから、先ほど黒川部長から説明がありましたように厚田はまなす園です。これは石狩市にございますが、これも全国的にも非常に貴重な自閉症者の施設でございまして、これらの
受け入れ先をつくることによって、
静療院、特にのぞみ学園の年齢超過者に対応してきたという経過がございます。そういった中で、実際問題として本来の姿と現実が乖離していることについては、特に若い医師から強い疑問があり、これは私として承っておりますが、これも一つあるのかなと思います。
このような状況も踏まえまして、当
センターに対して、では、市民からどういったことが求められているのかということに関しまして、これも、実は若い
精神科医から市民のニーズにこたえられていないというような意見を伺っておりまして、やはりこういった機能を再検証する必要があるのではないかというふうに思います。
さらには、医師不足の中で体制をどう維持していくか、こういった解決をしなければならないさまざまな課題も、今回の問題を契機に私たちとして認識したつもりでございます。これらについても、今後、やはり解決していくために検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。
◆谷沢俊一 委員 自閉症を中心とした札幌市のさまざま
取り組み、また、最近は、特に発達障がいの対象者がまだまだ幾らでもいらっしゃるということも指摘されておりまして、今お話があったようなニーズに沿った新しい施設をつくることについては、やはり、時代に応じた方向で取り組んでいかなければならないということは感じます。
今、さまざまな指摘もあり、新たなあり方検討をやっていくのだということでございまして、いろいろな関係者を含めて検討委員になっていただくことになろうかと思いますけれども、あり方を検討する際に、具体的にどういう手法、どういうスケジュールでそれを検討していくのか、この辺について考えていることがあればお伺いしたいと思います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 まず、今後、札幌市として検討していかなければならない課題として今考えておりますのは、幾つか申し上げますと、一つは、まさに
医師確保の問題であります。
児童精神科医が市内外に極めて少ないということが一つあります。どのようにして医師を確保していくか、
児童精神科医の育成をどういうふうに進めていけばいいのか、そこに札幌市としてどのようなかかわりを持つことができるのか、それが一つです。
それから、今回につきましては、
成人部門と分離したことによって病院機能が低下しているということで、特に若い医師からの指摘もございます。これは、
病院局とも十分協議し、さらに、現場には
静療院庶務課、現在は管理課となっておりますが、当然、事務方も従前からおりますので、そういった現場の関係者等も含めて、どういう体制をとっていくのが必要なのか、どこまでとれるのか。そういうことも含めて、ある程度、万やむを得ない部分を感じつつも、現在の機能があるわけですが、実際的には病院機能が低下しているという指摘もあると。さらには、先ほど申し上げましたが、特にのぞみ学園の患者の加齢化の問題にどういうふうに対応していくのか。そして、やはり、大きな課題としては、
医療機関との連携、そして、最近クリニックを開業しておられる
児童精神科の先生方がおられますので、こういった先生方との連携をどうしていくのか。いわゆる病病連携、病診連携という言葉がございますが、こういったこと、そして、
福祉施設、これも札幌市内、または市外にも知的障がい者の成人施設もありますし、児童の施設、知的障がい児の施設はかなり減ってきておりますが、こういった施設との連携をどういうふうに進めていくか。この中で
児童心療センターがどのような役割を担うことができるのか、こういったことについては、やはり、従前から検討するということで、課題として考えている部分、さらに、今回の医師の退職表明を契機に我々として改めて再認識させていただいた課題、これらがまずあるというふうに考えております。
その上で、どのような形の検討手法、そして、スケジュールをとるかということでございますが、まず、札幌市内には、幸いにして医療資源、医療関係者が非常に多い。特に、
精神科医のほか、
児童精神科としての研究者もいらっしゃいます。そして、発達障がいにかかわる支援、これは、医療だけではなく、福祉、教育、そういった関係者も実は非常に厚く活動しておられますので、今、私どもは、発達障がい者支援の体制整備として、いろいろな部会を開催する中で、いろいろなご意見をいただき、それを札幌市政に反映していくという手法をとってきております。こういった関係者が非常に手厚くいらっしゃいますので、学識経験者、そして民間
医療機関の関係者も含めた検討の場を今年度中には立ち上げていきたいというふうに考えています。また、この検討の中では、他都市の状況について改めて調査してみたいと思いますし、札幌市内の民間
医療機関の資源も改めて調査してみたいと考えております。これらの状況を踏まえながら、
児童心療センターが今後果たすべき役割は何なのかということについて、有識者の方々に加わっていただいて議論していきたいというふうに思っています。
スケジュールといたしましては、遅くとも来年秋ごろまでには一定程度の結論を得たいというふうに考えております。具体的にどう実行していくかについては、この検討の経過も踏まえつつ、先ほど平成26年から
複合施設化と申し上げましたが、この中では、単に近隣の施設をくっつけるということではなくて、あくまでも地域資源をどのような形で展開していくことができるかという観点で子ども未来局とも検討しているところでございますので、その中にぜひ反映していきたいというふうに思っております。
◎黒川
児童精神科部長 そのような検討がきちんとなされて、特に、必ず親の団体の代表を入れる形で展開していただければと思います。
この3年間ないし4年間の検討期間中に私が感じたことをお話しします。
天田部長も大変優秀な方ですが、行政の畑にいるだけではわからないことが何点かあるのです。そのような意見を検討会議の中でうまく出せなかったという思いがあります。例えば、今度の
複合施設にはまあちが入ってきますが、知的障がいがあるかどうかの判定機関なのですね。今問題になっているのは、発達障がいの人の福祉保障をどうするかなのです。発達障がいの人は私のところにもたくさんいますが、その福祉保障のために知的障がいの人の療育手帳をとるかと、それを希望してまあちに行くと、ちょっとIQが高いからとれないと。それであれば精神障がい者の障害者手帳をとるか。この判定はこころの
センターでしますが、こころの
センターでは、いや、これは、やはり、発達上の問題なので精神障害者手帳は交付できないと、そういう形で両方の間を行き来してしまいうまく支援が組まれない方が多いのです。
このようなニーズを考えたら、まあちという判定機関は、こころの
センターあるいは精神障害者手帳を発行する判定機関と機能的な連携を図れるような隣接した形、あるいは、一つの建物の中にあることが必要なのです。それが、この平岸のところにまあちを移すことで何か実現できるのかどうか。こんなふうに、まあちのこの先10年、20年のあり方を考えてどのようにするかを決める必要があるということは、ちょっと言いましたけれども、取り上げられることはなかった。
(「
委員長」と呼ぶ者あり)
◆大嶋薫 委員 今の黒川部長の発言についてですけれども、今は今後の議論のあり方をどうするかというところでのやりとりで、その議論の中身をどうするか、さらに議論を深めていくということについてはこれからの課題になってくるかと思うので、その辺を整理しなければならないと思うのですが。
○
小形香織 委員長 あり方の検討の手法等について、今、質問がされております。そのことについて、その内容に沿って簡潔にご答弁をお願いいたします。
◎黒川
児童精神科部長 専門医療技術職の意見をきちんと取り入れることが必要だということの例として、まあちのことを取り上げました。
もう一つは、第二かしわ学園です。第二かしわ学園の移行計画に関しては、私は、何度も、今の改修計画は中止して改めるべきだということを言っていますが、取り上げられることはなかったです。第二かしわ学園は、重度の知的障がいの人たちの療育機関ですので、それに見合った建物、マンパワー等が必要で、現在の第二かしわ学園の700〜800平米というところではそれが展開できないのです。今は個別化療育になっていますので、その1.5倍から倍は必要、さらに、通所施設は地域生活支援の中心ですので、通所だけではなくて、レスパイトや相談機能なども含める必要があります。第2のゆいのような形にしてモデル通園施設にしていくのが必要だと思うのですが、そんなようなこともほとんど取り上げられることがなかった。
だから、専門医療技術職は、毎日、そういう患者や家族に会って、そのニーズを肌で感じているし、それをどう解決したらいいかに関しても専門的な見解を持っていますので、それをきちんと中心の一部に据えて検討を進められるのがよろしいかという私のコメントです。
◆谷沢俊一 委員 検討委員会においては、新たな課題も含めて、有識者、それから現場の声も伺いながらということですから、まさに平成26年には子ども未来局の施設もこちらに統合されてくるということでございますので、すそ野というか、領域が非常に広くなってまいります。これも、今、部長からお話があった医療と福祉と教育を合体させて、市民、また障がいのある方のために施設を充実させていくという本来の趣旨、ねらいというか、それを達成するために、やはり、専門家の意見、現場の意見、もちろん行政の意見なり教育の意見も反映されなければならぬということだと思います。そういう意味では、この検討会議というのは今後の
心療センターの複合化において非常に大切な役割を担うのだろうと思います。
さまざまなご意見があると思いますけれども、そういう意見をできるだけ聞いた上で、現場の方が働きがいがある、使命を持って頑張れる、場合によっては研修を受けたいという全国のお医者さんがここを目指して来るような病院になることが大切なことになってくるのだというふうに思うのです。そういう意味では、今回の問題を機に、本来的なありようを、また、現場で働いている方にとっても本当に働きやすいというか、目的に沿って全員がそういう方向に向かっていけるような
取り組みをぜひしっかりとやっていただきたいということを求めて、終わります。
◆伊藤牧子 委員 今、黒川部長から、河合医師のお話ということでありました。私自身も、4人の医師が急にやめられるということで、なぜだろうかという疑問を持ちながらこの場にいましたけれども、少しは疑問が解けたというか、また、逆に、3年も4年もこのようなさまざまな課題を持ちながら、なかなかそこを解決できなかったところも、非常に残念というか、恐らく、自閉症、発達障がいとか、子どもの心のケアを何とか治していこうという人たちの集まりでありながら、さまざまな認識の違いの中で、少しボタンがずれてきたというところは非常に残念に思います。
そういう中で、私は、今、一番不安に思っているのはそこに入院している患者や保護者の方ではないかなと思います。のぞみ学園は、先ほども言われましたように、年齢を重ね、長期間、入院している方もいて、そこにいなければ暮らしていけない方もたくさんいらっしゃると思います。また、そこからさまざまなケアを受けながら、社会のさまざまなところに巣立っていくという本当に大切な機関だと思います。
そういう中で、先ほど、医師がどなたもいなかったら中止になるけれども、3人が確保されたら、医療体制に沿って施設の充実を図っていくというお話がありました。本来ならば、こういうことが起きなければ、当然、入院を続けた人もいますし、また、外来治療に変更できるということで退院を進める方もいらっしゃいます。でも、先ほど無理に退院は進めないということでした。本人が退院可能であっても、それこそ保護者が高齢になって在宅でなかなか治療ができないとか、そういう方もたくさんいらっしゃると思うのです。私は、そういうことはないと思いますけれども、これを機に多少なりとも無理をして退院させるようなことがあれば、本当に患者や保護者の方々に負担を強いるようなことになるのではないかと思いまして、今回も保護者や患者を中心に当事者の立場に立って物事を進めていただきたいと思います。
そこで、2点質問いたしますけれども、まず、
入院患者や保護者に対して今回の現状について速やかに説明すべきと考えます。そこで、説明会は開催されたのか、もし開催されていないとすれば、開催するつもりはあるのか、また、いつごろを予定しているのか、お伺いしたいと思います。
また、2点目ですが、先ほどのお話にもありましたように、
診療規模を縮小するために退院促進を図るということですけれども、
受け入れ病院はそんなに多くないと思うのです。そういう中で、退院後の行き先は具体的にどのようなところを考えているのか、また、札幌市としてはどこまで責任を持ってきちんと対処できるのか、その点を伺わせていただきます。
◎黒川
児童精神科部長 現場の責任者としてお答えいたします。
説明会は、できるだけ早急に開催します。実は、10月早々に説明会を開けないかと思っていたのですが、今後の
診療体制に関して全く見込みが立たない、見込みが立たないというのは、だめという意味ではないですが、どのようになるかわからないので、患者個々の処遇をどのようにすれば、最善策ではなくても、次善策のような形で医療補助ができるのかの見通しが立たないので、その段階では説明会が開けなかったのです。その見通しが立ち次第、説明会を開くということでは
保健福祉局と現場では一致していますので、その見通しが立ち次第、早急に説明会を開きたいと思います。
ただ、ああいう形での
新聞報道というのは、私どもは市の公務員ですが、全く不適切だと思いました。安心させたり、また、おどしたり、恐らくそれが同じところから行われているのだろうと思います。どういう意図で行ったのかはわかりませんが、ああいう形で
新聞報道があるのであれば、不確かでももっと早く開くべきであったと反省しています。
それから、
入院治療、あるいは、
診療体制の縮小によって治療方針を変えなければならない方たちの行き先の問題です。
児童精神科病棟である
小児病棟に入院している子どもたちと、自閉症施設である自閉症病棟ののぞみ学園に入院している子どもたちでは、行き先、転院先が異なってきます。
小児病棟の子どもたちというのは、3カ月ないし1年半ぐらいの入院期間を経て退院していきますので、退院後、外来治療に変わっていくことも多く、その入院の長さを見越せば、多くの子どもたちはそろそろ外来治療に切りかえることができるので、外来治療での継続、つまり在宅、退院という形になると思います。
それから、一部の方は、家庭的に不適切養育、ストレートに言えば虐待養育のような家庭環境から入院してきている子どもたちですので、行動の混乱の鎮静は、早々、急には行かないことと、在宅自体が子どもの福祉にとってよいとは限りません。この場合には、児童福祉関係のいろいろな施設に生活の場を移し、外来治療に切りかえることになると思います。
もう一つは、
統合失調症など重い精神障がいの中学生で、来年4月の時点でもし
小児病棟での入院が不可能になった場合には、一般の
精神科病院に転院して精神疾患の治療を続けることになると思います。一般の
精神科病院の中学生、高校生年齢の人たちに対する治療機能はすばらしいとは言えないのですが、それぞれの病院なりに全力を尽くしてくださるように医療情報を提供して、そういう方たちは転院して
入院治療を続けることになると思います。
次に、のぞみ学園に入所中の人たちです。実際には、多数の方が、のぞみ学園に入院継続する以外には生活や生命の保障ができない状態にあります。ただ、医療上の見通しだけから言えば、半数ぐらいの方は、入所
福祉施設か、もう一つはゆいか、そういうところにいろいろな手当て、バックアップをすれば、これを機会に地域生活に向けた
福祉施設処遇が可能ではないかと思います。ただ、それがあと4カ月の間に実現するかどうか、もちろん全力を尽くしますが、わかりません。その手当て、バックアップが必要で、現在の
福祉施設の機能や能力のまま
福祉施設にお願いするのでは
福祉施設が引き受け切れないと思います。例えば、人的保障、職員の保障に対して市でバックアップするとか、それから、ゆいも相当の能力がありますが、ゆいの建物は、社会生活に移行するためにつくったグループホームのミニチュアのような形の棟ですので、病棟の構造が余り頑丈ではない。ですから、窓から外へ出てしまうとか、いろいろなものを食べてしまうような、異食行動と言いますが、そういう方は壁のくぎを外して食べてしまうとか、そんなような事故が起こる懸念があります。したがって、ゆいに対しては、人的保障のほかに、例えば、急いで一部建物の本格改修をするとか、そのような手当てをすることで、ゆいの引き受け機能、療育機能がアップしますので、そのようなこともあります。
ただ、私の発言を札幌市が取り入れるとは全く限らないのですが、私としてはそんなふうなことを願っている次第でございます。
◆伊藤牧子 委員 やはり、保護者の方が一番心配なさっていると思いますので、これからの先行きをどうするかというところでは、今は現場の責任者ということですので、ちゃんと説明をしていただければと思います。
また、さまざまな
福祉施設への転院とか、在宅医療も支援をしなければなかなか厳しいというようなお話でした。在宅に戻ったときに患者や家族に何らかの支援がないと、これまでのような治療を継続することはできないと思うのですけれども、札幌市として何らかの支援を行うつもりはあるのか。
また、今回は4人の医師がやめられるということで、これまで続けられていた支援プログラムがそのまま続けられていくのかどうかというところもお伺いいたします。
◎黒川
児童精神科部長 在宅に移った方のケアは、現在もしています。在宅に移った方のケアについて、重度の障がいを持った方に関しては、今、在宅支援のシステムがあります。そのシステムを最大限活用するというか、実際に保護者が活用されていまして、ホームヘルプ、ガイドヘルプ、また、よい形での通所先での指導、レスパイトケア、そういうものを組み合わせてご家族が疲弊してしまわないように支援しています。
医療機関としては、直接、職員を派遣するなどの支援は実際のマンパワーとしてすることができないので、そのような支援システムを運営するところに対して、医療情報の提供や具体的な支援方法の助言などを通じて返上していきます。
それから、
小児病棟からの退院患者に関しては、問題になるのは、もといた地元校への通学が難しい子どもがいることです。不登校であったり、地元校の大勢の環境の中では学校生活がまだ無理な患者です。その患者に関しては、フリースクール、相談支援学級など、不登校の子どもを
受け入れるいろいろな民間及び公立のシステムがありますので、そういうところと病院の心理治療が連携し、そして、適当な患者に関しましては、今、外来の方で中学生のデイケアをしています。まだ学校に行くことができないけれども、在宅での引きこもりにならずに、友人関係を体験したり、自分なりに自分もこういうことができるというような有能感を感じさせるさまざまな作業を体験させたりしながらのリハビリシステムですが、そのようなものとの連携協力によって支援していきたいと考えています。
◆伊藤牧子 委員 行政のさまざまな問題によって何らかの不利益が出る子どもたちとか患者とか保護者がいるとなれば、非常に大きな問題だと思いますので、その辺は、何らかの想像力を持ってこれまで以上にバックアップ体制をぜひとっていただきたいなと思います。
私は、今回、初めてさまざまな問題が露呈してきたと感じました。いい面もあると思いますが、マイナス面も出てきましたから、これからあり方の検討会議を設置されるということですので、課題をきちんと俎上にのせて、ぜひ一つ一つ丁寧に解決していっていただきたいと思います。
○こじまゆみ 副
委員長 私からは、簡潔に質問させていただきたいと思います。
委員からるる質問がございまして、答弁を伺い、やっと今までの経緯を伺うことができたと思っております。ただ、今ごろこういった形で議論をなされること自体、私は非常に無責任であると思います。
今、委員からお話がありましたように、今いる子どもたち、外来通院をする子どもたちに対して、もしくは、保護者の方々が不利益をこうむるようなことがあっては絶対にならないと思っております。ましてや、
児童心療センターにかかる必要のある子どもたちが、かかれない、受診できないということがあった場合には、やはり、それは市民に不利益をこうむらせてしまうということで、行政に責任があるのではないかと私は思っております。平成25年度は何とかしのぎたいということでございますので、25年度は、今いる子どもたち、外来通院する子どもたち、また保護者の方々の不安や心配を決してあおるようなことがないように、しっかりと診療していただきたいと思います。
そこのところは、何度も何度も重なるところでございますが、医師は3名以上をしっかりと確保していただかないと病院機能は果たせません。ましてや、夜勤をするときに非常勤の医師で本当に対応できるのかというのは、私は非常に疑問を持ちます。
ですから、平成25年4月1日以降、しっかりと病院の体制を維持できるのか、その気概を皆様に伺いたいです。オール市役所、オール行政でやっていけるのかどうか、もう一度、伺わせていただきたいと思います。
◎加藤
保健福祉局長 私が一番最初に
五十嵐委員のご質問にお答えしたときに、昨日、市長の記者会見で、札幌市を挙げて、全力で、医師の確保を含め、
児童心療センターの運営に当たっていきたいということを申し上げておりまして、私も冒頭に申し上げたつもりでございます。
今回の委員会の中で、黒川部長からも、さまざま問題点の指摘がございました。私自身、内部の問題がこのような形であらわれることについては、非常に残念だというふうに思ってございます。これも、一つ、私どもの反省点としては、一番最初に申し上げました風通しのよい施設づくりというか、そういう状況をつくることができなかったということでもあります。
しかし、私どもは、医師にとっての理想の病院も必ず必要ではございますが、それを目指していくためには、やはり、みんなが使いやすく、市民もこの病院は本当にいいんだなというふうに思えるような病院もつくっていかなければなりません。そういった意味では、行政が行う病院というものは、ある程度、市民の理解の中で、そして、多くの方が利用しやすい病院の中でつくっていかなければならないなというふうに思っております。
そういった意味で、ただいま、こじま副
委員長から、気概を示せということでございますが、さまざまな問題点がここで出てきたということは、逆に言うと、この問題点が解決されれば、本当にすばらしい病院になっていくのではないかなというふうに思っておりますので、こういうことをきっかけに本当にいい病院をつくっていきたい、こういうふうに思っております。
○こじまゆみ 副
委員長 ぜひとも、すばらしい病院をつくっていただきたいと思います。全国に4施設しかない病院で、政令指定都市にあるのはまさしく札幌市だけでございます。そこがこういった状況の中で利用者に迷惑をかけるようなことがあってはならないと私も思いますので、ぜひともよい病院にしていただきたい。
そして、あり方検討ですけれども、もっと丁寧にやっていただければありがたいなと思います。障がいもさまざまです。知的障がい、肢体不自由ももちろんありますし、精神障がい、発達障がいもあって、そこにはさまざまな
福祉施設もございます。さまざまな方たちのご意見を聞きつつ、子どもたちが本当に健やかにはぐくまれる、そんな
児童心療センターになりますことを求めて、私の質問を終わります。
◆井上ひさ子 議員 私からも、何点か質問したいと思います。
先ほど来の質疑を聞いておりまして、現場の医師と本庁の
保健福祉局との間に大きな食い違いがあるということが明らかになりました。議会に対しても、やっぱり本当のことを報告していなかったというふうに私は思うのです。何よりも、行政主導で進めてきた
複合施設にいろいろなものを重ねてやっていく、そういう中でこの病院そのものが変わらなければならない、変えなければならないと言っているのですが、変えようとしていたのは行政の皆さんではないかと私は思いました。
それで、私どもの会派の小形
委員長が特別委員会の中で質問したときに、
天田部長は、医師の退職は直ちに
複合施設化と関連しているとは考えていない、また、開業など個人的な理由で退職するのだと答弁されていました。しかし、今回の報告にもありましたし、先ほどの黒川部長のお話にもありましたが、
運営体制に対する不満、不安、こういうことが背景にあって、そういう中で
複合施設化が進んでいることによってこのようになったと私は思うのです。今ですと、その背景の中で、医師の退職の原因は、やはり、現場の医師の声が本当に届かなかった、そして、動いていく方向性が違ったというところにあったというふうに思うのです。
なかなかその辺を認めておりませんけれども、今ですと、それを認めますか。これを1点質問いたします。
◎天田 障がい
保健福祉部長 児童心療センターにつきましては、当然に、チーム医療として、医師が中心となった上で、看護師、そして、この
児童心療センターについて特徴的なのは心理士が多く配置されていることでございます。このチーム医療がいかにして充実していくか、これが、まず
児童心療センターとして本来目指すべき役割だと思いますし、そういった面での認識のずれはないと思っております。
先ほど答弁させていただきました今回の
複合施設の整備につきましても、時間をかけて庁内議論をしてきましたし、ご説明をいたしましたけれども、なお、不十分な面があったのではないかというふうに反省をしております。この中で、それぞれの職種ごとに、別々にという考え方ではありませんが、それぞれの意見を伺っております。その中では、看護師として地域の支援にどういうふうにかかわっていったらいいのか、そして、心理士も同じように、院内での治療及び相談を含めて、また、地域への支援にどのような形でかかわっていくことができるだろうか、そのようにそれぞれの専門職種の立場でかなり建設的な意見もいただいた中で議論を続けてきているとまず認識しております。
その中で、医師の退職の表明に当たって、これについては、先ほどご説明しましたように、8月に、私どもとしては急に認識しました。その点の問題もあるかと思いますが、急遽、医務監が
医師全員について面談を行いました。その際に、私、そして、同意のもとに管理課長も同席させていただきまして話を伺いました。さまざまな意見、そして不安を伺った上で、退職の意思が固いというふうに考えておりますが、それぞれの思いは本当にさまざまで、5人の医師はそれぞれであるというふうに思います。
では、何が主に退職の理由なのかということになりますと、決して一つではないというふうに思います。理由の一つには、
複合施設がどういうふうになっていくのかということに対しての不安という声は確かにございました。それは、やはり医療がベースになっている病院の中に福祉が入り込むことについての不安というような意見もないわけではありません。それは、それぞれの医師の見識、そして経験、その中から感じた部分だと思います。これは、決してないがしろにするということではございません。やはり、それらも改めてきちんと承っていく必要があると思っています。ただ、これが、直ちに各医師が退職を決意した第一の理由ではないというふうに考えています。
そういった面では、これについては、背景として、一部の医師からは確かに伺っております。ただ、すべての医師から
複合施設が問題であるというような発言は、医務監も、そして私も聴取の中では伺っていないというふうに認識しております。ただ、これは決して小さな問題ではないと思っております。そういった意味では、改めて認識させていただいたということでご了解いただきたいと思います。
◆井上ひさ子 議員 私は、やっぱり、背景の中にその問題があったというふうに思うのですよ。さっき黒川部長が自分の退職のことを語られましたけれども、病院の中はどういう状況だったのかということで言えば、現場の方に聞いたのですが、数年間は、
小児病棟とかのぞみ学園の改修工事などで引っ越しの連続だったと。そして、日常の医療業務はしなければならないし、そのほかの作業もある。そういう中でこういう問題が出てきて、平成24年度に入って、
静療院成人部門の本院統合に伴って病院の機能が低下したと、それは先ほどもお話がありましたよね。放射線の医師が非常勤化したとか、そういう中で、今、これから大きく課題になっていく身体合併症の治療を目的とした成人の重度障がい者の方々が入院されるという、医師がぎりぎりの中でやっていて、もう負担も限界だったと思うのですね。そういう中で、話し合いの中に入っていって、今言いましたが、そういう話も聞いておくけれども、次の計画の中にそれを盛り込んでいけるようなものにはなっていなかったと私は思うのです。
そして、さっき黒川部長がお話ししていましたけれども、長い
取り組みの中で、次に病院が進む段階というのは、高齢者の方々も含めての医療ですよね。そういうところにも手を入れていかなければならない、そして、本庁の方とも計画、プランを持ちながら進めてきたと、そういうことが皆さんには届いていなかったと思うのです。ですから、そういうことが重なって退職せざるを得ない、こういう状況が大きな要因だというふうに私は思うのですが、改めて伺います。
◎天田 障がい
保健福祉部長 答弁の繰り返しになりますが、各医師の退職の決意に至った背景についてはさまざまであるというふうにまず認識しております。
この中では、一つは、やはり、現在の
診療体制に対する不満、そして、もう一つは、今後に向けた不安、これらがあったというふうにまず認識しております。この中に、
複合施設化の問題についても、確かに不安という声はあったというふうに認識してございます。そういった面では、これが全くないということではないというふうに思います。そういった面で、決してこれを軽んじてはならないと思っております。しかしながら、それが直ちに医師が退職をするに至った主要な原因というふうには私どもとしては受けとめておりません。
この計画につきましては、先ほど申し上げましたように、庁内として時間をかけて議論をしてきてございます。当然、
病院局も加わった上での庁内議論でございますし、その中には、現場の
スタッフも入った上での議論をしてきています。そういった中での議論を積み重ねてきている上での
複合施設化の検討であるということをぜひご理解いただきたいと思います。
◆井上ひさ子 議員 先ほど現場と
保健福祉局の食い違いを言いましたけれども、念のために、黒川部長に、今、私がその要因についてお聞きしたのですが、お話しすることはありますか。
◎黒川
児童精神科部長 実際の討議の場面は、3局の会議なのですね。子ども未来局、
保健福祉局、それから
病院局の3局の会議なのです。幾つかの議題に関しては、
病院局や子ども未来局から発議、討議があっても、
保健福祉局の方で、それは既に上から決められていることであって、その議論をしてもただ手戻りなだけであるので、その議論に関しては、先生、なさっても仕方がないのではないかというような発言があって、確かに、それであればその問題を議論できない、そういう面が幾つかあったのです。もちろん、私たちも、それでもうこれはやむを得ないと思ってイエスと言いましたので、私どもにも責任はあると思いますが、議論の過程はそのようなものであったということだけ申し述べます。
◆井上ひさ子 議員 そういうことが積み重なって、不信になったり失望になったり、退職に至ったのではないかと私は思うのですね。ですから、これは、現場との十分な話し合いに、全く真の話し合いになっていなかったのですから、やっぱり、私どもの会派の小形
委員長が求めていたように、今後のあり方を考え直すべきだと思います。
次に、無理な複合化によって、厳しく苦しかった時代、50年にわたって積み上げてきた札幌市の
児童精神科医療をなくしてはならないというふうに私も思います。子どもの心と育ちを福祉の中心に据えて、家族や関係者のよりどころとなっているこの施設です。今後の対応について、先ほど、積極的に転院等を進める予定だが、
児童心療センターでの
入院治療継続が望ましいと判断される患者まで転・退院を行う趣旨ではないというふうにお話がありましたが、こういう子どもたちの
受け入れ先が本当にあるのか、どこにも行けない子どもたちが入っているのではないか、また、
入院患者47人のうち何人ぐらいそこに残すのか、転院させる患者はどれぐらいを想定しているのか、そういう場合、
受け入れ先と患者の家族の同意が得られているのかどうか、その辺が本当に心配ですけれども、いかがですか。
◎天田 障がい
保健福祉部長 診療規模の縮小によって退院を余儀なくされるお子さんがいるのではないかというご不安に関連するご質問かと思います。
まず、冒頭、配付資料4のところでご説明させていただきました、
入院患者の病状のみを考慮した上での予想数として、
小児病棟とのぞみ学園の状況についてご説明させていただきました。これは、繰り返しますが、あくまでも、
センター側として内々の見きわめを必要としていくことから検討したものでございまして、実際にご家族の同意を得る、または入院先を確定する作業ではございません。それはこれから実施していくことになりますし、これについては相当な困難が伴うというふうに考えております。
転・退院による規模の縮小については、医師の確保数に応じて調整を図っていかざるを得ないというふうに考えますが、具体的な確保はこれからでございます。先ほど、
児童精神科部長から、具体的な検討の状況、そして、どういったお子さんをどういった場で支援することが妥当なのか、そういったことを含めてのご説明をさせていただいております。そういう意味では、具体的な
受け入れ先についてはこれから十分調整していく、そういった要素でございますので、現段階では未定ということになります。
繰り返しますが、これにつきましては、無理に転・退院を強要するということではございません。医師の確保状況は決して予断を許さないところもございますが、あくまでも、医師の確保については、ぜひ医療の機能をきちんと確保できるよう、そういった意味からも市が全力を挙げて十分に努めていきたいというふうに考えております。
◆井上ひさ子 議員 無理に患者を転院させるということではないというふうなおっしゃり方をしましたね。一時的に子どもたちを転院させるけれども、お医者さんを確保したら、確保次第によっては移ってもらうということもあり得るということですか。
医師が確保された場合、転院している子どもたちをまた戻すという覚悟はおありですかということを聞いたのです。
◎天田 障がい
保健福祉部長 ご質問の趣旨としては、仮に施設または
医療機関に移っていただくことがあるとして、医師が確保できた場合、転・退院をされた方々を呼び戻すことができるかというご質問ということでよろしいでしょうか。
これにつきましては、まず、その時点におきまして、
児童心療センターでの再治療を希望し、さらに、
児童心療センターでの治療が望ましいと判断される場合につきましては、もちろん
児童心療センターで治療を受けていただくというのがまず基本になると思います。
ただ、それがどうかということについての評価はちょっとあるかと思います。例えば、主治医が開業する際に、患者が主治医を変更したくない、変えたくないということから、新しい
医療機関に転院される場合もございます。また、支援が定着している場合もあるかと思います。これらについては、委員のご指摘のように、一概に呼び戻すことが患者にとってためになるかということについては、必ずしもそうではない。そういう意味では、ケース・バイ・ケースの判断になるかと思います。
◆井上ひさ子 議員 それは、先ほど主治医がかわって大変だという話を黒川部長もおっしゃっていましたから、あり得ることだと思うのです。ただ、そういう方々が希望した場合は戻していくという方向に立ち返ってほしいのですよ。最も重度な障がいを持つ子どもたちを見る
児童心療センターなのですから、ほかの病院では本市の
心療センターのかわりにはならないというふうに私は思います。
そういう中で、黒川部長から本音のところが出されましたけれども、今回の問題については、今、働いている現場の皆さんの声が反映されるような方向で改めて議論を開始していかなければまた同じことが繰り返されますから、私は、本当に長きにわたって続けてきた児童精神医療を守っていくという決意に立って皆さんには力を発揮してほしいと思います。
○
小形香織 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
小形香織 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時33分...