札幌市議会 2012-06-05
平成24年第 2回定例会−06月05日-02号
議案第5号 札幌市
公文書管理条例案
議案第6号 札幌市
住民基本台帳条例等の一部を改正する条例案
議案第7号 札幌市保健所及び保健センターの使用料等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市
環境影響評価条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市生活環境の確保に関する条例の一部を改正する条例案
議案第10号 札幌市
建築基準法施行条例の一部を改正する条例案
議案第11号 札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案
議案第12号
札幌市営住宅条例の一部を改正する条例案
議案第15号 町の区域を新たに画し、及び変更する件
議案第16号 札幌市区の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第17号 市道の認定、変更及び廃止の件
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〇出席議員(68人)
議 長 三 上 洋 右
副 議 長 大 嶋 薫
議 員 伴 良 隆
議 員 阿部 ひであき
議 員 小 竹 知 子
議 員 北 村 光一郎
議 員 川田 ただひさ
議 員 植 松 ひろこ
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 山 口 かずさ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 石 川 佐和子
議 員 金子 やすゆき
議 員 木 村 彰 男
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 宗 形 雅 俊
議 員 よこやま 峰子
議 員 小須田 悟 士
議 員 宝 本 英 明
議 員 小 川 直 人
議 員 しのだ 江里子
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 小 倉 菜穂子
議 員 伊 藤 牧 子
議 員 村 山 秀 哉
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 長谷川 衛
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 林家とんでん平
議 員 三 宅 由 美
議 員 阿知良 寛 美
議 員 芦 原 進
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 伊 藤 理智子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 恩 村 一 郎
議 員 ふじわら 広昭
議 員 三 浦 英 三
議 員 本 郷 俊 史
議 員 涌 井 国 夫
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 宮 村 素 子
議 員 武 市 憲 一
議 員 小 野 正 美
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 福 士 勝
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 西 村 茂 樹
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 年 男
議 員 堀 川 素 人
議 員 松 浦 忠
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 生 島 典 明
副 市 長 渡 部 正 行
副 市 長 秋 元 克 広
交通事業管理者
交 通 局 長 下 村 邦 夫
水道事業管理者
水 道 局 長 北 野 靖 尋
病院事業管理者
病 院 局 長 富 樫 正 樹
危機管理対策室長 長 利 秀 則
市長政策室長 井 上 唯 文
総 務 局 長 若 林 秀 博
市民まちづくり局長 板 垣 昭 彦
財 政 局 長 金 崎 健太郎
保健福祉局長 加 藤 敏 彦
子ども未来局長 大谷内 則 夫
環 境 局 長 長 岡 豊 彦
経 済 局 長 渡 邊 光 春
観光文化局長 可 児 敏 章
建 設 局 長 宮 浦 哲 也
都 市 局 長 阿 部 宏 司
会 計 室 長 山 崎 亘
消 防 局 長 遠 藤 敏 晴
教育委員会委員長 山 中 善 夫
教育委員会教育長 北 原 敬 文
選挙管理委員会委員長 小 谷 俵 藏
選挙管理委員会委員 笹 出 昭 夫
選挙管理委員会委員 湊 谷 隆
選挙管理委員会委員 常 田 豊 明
人事委員会委員 品 川 吉 正
人事委員会事務局長 今 義 範
監 査 委 員 谷 本 雄 司
監査事務局長 大 居 正 人
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 本 間 章 弘
事務局次長 出 井 浩 義
政策調査課長 東 館 雅 人
議 事 課 長 吉 田 雅 博
調 査 係 長 森 譲
議 事 係 長 深 井 貴 弘
委員会担当係長 冨 永 智
委員会担当係長 八 代 吟
書 記 早 坂 友 秀
書 記 大 山 佳 洋
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〔午後1時1分開議〕
○議長(三上洋右) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、66人です。
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○議長(三上洋右) 本日の
会議録署名議員として
佐々木みつこ議員、山口かずさ議員を指名します。
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○議長(三上洋右) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(本間章弘) 報告いたします。
本日の議事日程、議案審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔報告書は巻末資料に掲載〕
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○議長(三上洋右) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第13号、第14号の2件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
財政市民委員長 しのだ江里子議員。
(しのだ
江里子議員登壇)
◆しのだ江里子議員
財政市民委員会に付託されました議案第13号
北九条小学校改築工事請負契約締結の件及び議案第14号
手稲中学校改築工事請負契約締結の件の2件につきまして、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑として、いずれも低入札価格調査が行われたが、本市の失格判断基準は国の基準と比べて厳しく設定されていると考えてよいのか。北九条小学校では、今後、壁面に太陽光パネルを設置する予定となっているが、壁面では費用対効果が低いことから、設計の段階で形態を工夫すべきではなかったのか等の質疑がありました。
討論はなく、採決を行いましたところ、いずれも全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(三上洋右) ただいまの委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(三上洋右) 質疑がなければ討論に入りますが、通告がありませんので、採決に入ります。
議案2件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(三上洋右) 異議なしと認めます。
したがって、議案2件は、可決されました。
次に、日程第2、議案第1号から第3号まで、第5号から第12号まで、第15号から第17号までの14件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
伴 良隆議員。
(伴
良隆議員登壇・拍手)
◆伴良隆議員 私は、自民党・市民会議を代表いたしまして、札幌市政における市長の政治姿勢並びに市政の諸課題について質問いたします。
まず、教育行政のあり方についてであります。
私は、常日ごろから、教育は社会の源であると思っております。教育は人をつくり、人が社会をつくるからであります。我が国の先人たちや私たちの両親初め、祖先の絶え間ない教育をもって、国を愛する勤労で勤勉な国民が我が国をつくり支えてきたことで、今日の繁栄を手にできていることに感謝しなければなりません。一方、これだけの社会の諸課題を抱えているのは、昨今の教育全体による一部失敗もあったことは、残念ながら事実であります。戦後、家庭教育を初め、国や地方自治体による教育方針や教育現場が、個人の育成に偏ったため、結果的に、公共の福祉を重んじない個人主義があたかも正しいかのような世情が生まれ、社会にさまざまな問題や事件を引き起こしています。勤労、納税に始まる国民の義務を果たさずに、公共の福祉に反した行為や、言論、つまり、自分勝手に主張し、利益を獲得することを自由や権利と勘違いしていることは、崇高な自由や権利の概念とは完全に反した行為であり、その者たちの自由や権利は正当なものではありません。
改正教育基本法では、義務教育について、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとするとし、今までのような個人の育成に重きを置いた教育ではなく、国家及び社会の形成者としての育成を重んじる古きよき日本の教育に戻ることになりました。あわせて、我が国の教育目標にあるように、道徳心を培うことや、我が国と郷土を愛することは、家庭教育は言うまでもなく、国及び
地方公共団体の責務であります。
そこで、初めに、2点伺います。
まず、教育は社会と子どもの育成にどのような影響を与えるものと市長は考えますか。
次に、本市の義務教育は、国の教育方針を踏まえ、どのような子どもを育成することを目標にし、そのためにどのような努力をしていますか。
ところで、我が国における教育行政は、学習指導要領を最低基準として、地方分権が進み、
文部科学省自体が各市町村に創意工夫を求めている状況です。その結果、多くの市町村において、さまざまな視点を通し、教育行政が多様化してきています。しかし、最も大切なことは、我が国全体の子どもたちがひとしく資質向上に付する取り組みでなければならないという点です。よって、地方における教育行政の位置づけは大変重要であります。
ところが、本市における教育行政は、各学校における日常的な各種テストで十分であるとしながら、各学校が独自で作成している小テストは質のばらつきが大きいとの指摘が内外にあり、
本市教育行政は学校現場丸投げではとの評判です。
そこで、伺います。
本市教育委員会は、答弁するたびに、各学校において、日常の小テストや定期テストなど、さまざまな機会をとらえて学力を構成する要素ごとにきめ細やかに把握し、その評価を子どもたちに還元しながら、一人一人の指導に生かしており、子どもたちは、その時々において、みずからの学習状況等を確認し、次の学習に生かしていると繰り返します。では、この一連の取り組みとは、小・中学校それぞれどのような取り組みなのか、具体的に明らかにしてください。
さて、教育現場では一生懸命に努力している教師がたくさんいます。教師の役割は、教える子どもを我が子のように思い、その子の長所、短所を把握し、よき可能性を引き出しながら育成し、家庭教育とともに社会に輩出していくことであります。皆さんにも、名歌、「仰げばとうとし」の「我が師の恩」で思い浮かぶような恩師がいると思います。子どもは教員に大きく影響されるのです。
しかしながら、昨今は、公務員の不祥事が絶えず、教育現場でも、一部教員の資質、指導力の低下や、いまだ偏った思想教育が散見されるのはゆゆしき事態であります。教員の資質や指導力を担保するためには、養成と研修の充実が図られなければならず、これは教育行政の大きな責務であります。一方、教員側は、絶えず研究と修養に励まなければならないのであって、研修にも積極的に参加しなければなりません。
ところが、各学校、各教員、職務のそれぞれの忙しさが違い、自己研さんへの積極性の違いも相まって、熱心な学校や教員と、そうでない学校と教員とで、資質、指導力に顕著な差異が生ずる事態が起きています。また、さまざまな人間関係で悩むような精神力や
コミュニケーション能力が弱い教員への対処も課題です。学級崩壊は、家庭教育にも責任がありますが、教育行政側にもその責任があります。ひとしく教育を受ける機会を与えることは教育側の義務であり、教育に差異が生じている事態に対し、果たして本市は対策を講じているのでしょうか。
そこで、3点伺いますが、札幌市として、教員の採用段階において、どのような資質、力量を備えた人材を求めるようにしていますか。
教員の資質、力量、つまり、教員の人間力、精神力、指導力、
コミュニケーション能力などの向上を図る一環として、本市としてどのような取り組みを行っていますか。また、その取り組みを踏まえて、今後、どのような充実を図っていく計画ですか。
教員が研究、修養に努めたとしても、指導力の問題が解決しない場合には、本市としてどのような対応を行っていますか。
さて、本市における独自のテスト、札幌市
学習実現状況調査は、悉皆調査ではなく、抽出調査です。他
都市独自テストのほとんどが毎年実施している中で、本市は3年に1度です。本市以外の
政令指定都市13市の小学校では、独自テストの教科は国語、算数ですが、本市は、学力・
学習状況調査の関係から昨年度は社会のみの実施です。そもそも教科の基本は、読み書き、そろばんと言うだけあって、初等教育には国語、算数が重要なのです。
しかして、社会には競争しなければならない機会がたくさんあります。社会は弱者を助けなければなりませんが、競争という現実を社会が否定することはできません。実際に受験や就職試験という競争にさらされたときに、札幌市の学校教育を信じてきたけれども、全国でこんなに低い位置にいるとはと子どもや親が愕然としたら、本市は、だれがどう責任を持つのでしょうか。例えば、学習塾に通える子どもと通えない子ども、つまり、親の収入格差で学習の情報に格差が生じないように努めるのも教育行政の大事な役割です。
また、
本市教育委員会が、学習状況の指標は日常の小テストや定期テストだと言うのなら、その比較対象範囲は学校内の自分自身であり、日本全校での自分自身を比較するよりも客観性が著しく不足しています。全国の子どもと比較することに積極的でないことは、井の中のカワズをつくり出します。比較をすることは、学習の情報を提供し、その子の可能性を最大限に引き出すきっかけになります。自分では頑張っているでは、生徒や教師の自己満足でしかありません。ですから、もっと頑張っている人と比較できることで、もっともっと頑張ろうと思えることが大事なのです。
教育基本法第10条の2では、「
地方公共団体は、(中略)保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるように努めなければならない。」としています。よって、子どもたちの習熟度を向上させるための取り組みを把握し、各学校、他の自治体とその取り組みを比較することは、子どもや保護者、または教員にとっても、さまざまな課題点の抽出として欠かせない取り組みです。
そこで、4点伺います。
子どもたちの習熟度を向上するための取り組みを把握し、各学校、他の自治体とその取り組みを比較することを、本市は、いつ、どのような方法で行い、それを
本市教育施策にどのように生かしているのか、伺います。
また、どのように保護者へ情報提供しているのか、伺います。
そして、各学校の間で学力の差があるのが現状で、その差を埋めることが必要ですが、教育委員会として、これをどのように考えていますか。
最後に、基礎学力、基礎体力はもとより、スポーツ、芸術など、本市の学校教育として目指すべき具体的な数値目標を設け、それに向かって本市が全員野球で頑張っていくべきと考えますが、いかがですか。
次に、札幌の都市経営のあり方について質問します。
私は、札幌が目指すべき都市経営、つまり、札幌らしい都市経営とは、札幌が持つ地理的、気候的な特性と、多様な都市機能の集積と独自性や優位性を最大限に発揮して、札幌の経済と文化を活発化させながら、市民生活を豊かにしていくことであると思うのです。その経営を支える大きな二つの柱があります。
まず、一つ目が、20年から30年後の将来を見据えたインフラ整備などを実行する公共投資であり、二つ目は、市全体の経済活動をパワーアップしていくための企業誘致や産業育成、雇用支援などの幅広い個別的な経済施策であります。公共投資は、ハード面とソフト面への投資という2通りがあり、ハード面は、道路、空港など社会資本の施設整備を目指すものであり、いわゆる公共事業になります。
現在の民主党政権では、物から人へという
キャッチコピーで
公共事業悪玉論を展開してきましたが、公共事業には一定の景気拡大効果が見込まれ、東日本大震災の影響もあり、きちんと見直しがされつつあります。特に大都市圏では、高速道路や国道、空港などの産業基盤の生産性が高いという調査結果が出ており、それらの充実がもっと図られるべきだと思います。
そこで、札幌市の公共投資、公共事業の状況を見ますと、
普通建設事業費は、平成14年度の1,452億円から、平成23年度では736億円に劇的に半減しているのです。これは、札幌市の
一般会計予算の8.5%にしか満たない金額であり、
政令指定都市の多くが10%以上を確保している状況から見ると、公共投資額は異常な低さです。平成24年度の経済関連予算を見ても、
中小企業向け融資資金が大半を占めており、将来の
都市インフラ整備や景気雇用を刺激するものとは言えません。公共事業や民間の経済活動が積極的に行われなければ、
経済波及効果が大幅に上がることはなく、市民所得や税収の増加と雇用拡大が生まれないことは明白な事実です。
私は、今こそ、20年後、30年後の将来を見据えて、札幌にふさわしい産業基盤を整備するための公共投資を考える必要があると思うのです。その公共投資の条件は、
国際観光文化都市など、札幌が目指す
都市ビジョンの実現に向けて合致することがキーポイントであり、さらに、国内、海外の都市とダイレクトにつながることや、経済成長と雇用拡大に大きく貢献する見込みがあることなどが重要と言えるはずです。
そこで、質問ですが、公共事業に頼らないと公言される上田市長にとって、何が不要であり、逆に、札幌市に必要な公共投資と公共事業とは何なのか、市長就任以降、市長みずからが
経済波及効果を期待した代表的な公共事業は何か、その予算規模と
経済波及効果はどのように分析しているのか、お伺いします。
先ほど来の公共投資についてわかりやすくするために、具体的な一例として、丘珠空港の滑走路延長という事柄に仮に当てはめてみて、ここで検討してみたいと思います。
現在の1,500メートルしかなく小型の旅客機しか発着できないものを、2,000メートル級として今後の主力機種である中型旅客機の発着が可能になれば、多くのメリットが見込めるはずです。例えば、LCC、格安航空や
プライベートジェットの参入がしやすくなり、国内外とダイレクトに結ばれる、
空港ターミナル経営は黒字化が見込まれる、地下鉄の地上高架による延長や高速道路の都心乗り入れなども実現すると、アクセスはさらに良くなり、相乗効果が見込まれる、防災機能や
道内ネットワーク強化にも貢献でき、道都としての役割を果たせるなどであります。札幌のまちづくりに大きなインパクトと前進をもたらす可能性が非常に高いことを考えれば、500メートルの延長は大変有益な公共投資であります。
一方、現在の丘珠空港は、
北海道システム、HAC1社のみの運行となっており、HACの経営は丘珠空港の今後に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
先日、札幌市が丘珠空港の滑走路延長に消極姿勢との報道があった数日後に、上田市長の定例記者会見後、市長は前向きとの報道があり、我々はこれを大いに評価しております。さまざまな調整も必要ですが、これこそが、利害関係や政治スタンスを超えて、札幌市全体で知恵を出していくべき事例であるはずです。
そこで、伺います。
HACに出資してきた札幌市として、丘珠空港を拠点としたHACの事業に対してどのような支援を行ってきたのですか。また、今日のHACの経営状況に関して、本市はどのように認識していますか。
次に、改めて確認しますが、札幌市は、丘珠空港の価値をどのように認識していますか。また、北海道の方針はまだ出されていませんが、丘珠空港を今後どのように活用していくかは札幌市の都市経営問題でもあります。有効な
公共投資対象を失わないように、道の動きを待つ受け身ではなく、丘珠空港の継続的な活用に対し、今こそ札幌市の英知を結集し、積極的に取り組むべきですが、いかがですか。
あわせて、市長は、先日の滑走路延長についてのコメント後、丘珠空港についてどのような展望を描いているのか、お伺いします。
次は、経済施策についてであります。
第3次札幌新
まちづくり計画では、札幌の強みを生かした産業の育成と企業の誘致が掲げられ、また、札幌市
産業振興ビジョンでは、食、観光、環境、健康・福祉の四つの重点分野を中心とした事業展開がスタートしました。しかしながら、我が国経済、北海道経済の長引く低迷や、大震災発生後にいや応なく始まった社会経済情勢の激変などで、前途が非常に厳しいことは間違いありません。
我が会派は、製造業などの地場産業の育成や新規事業のバックアップ、周辺市町村と連携した企業誘致等の推進など、幅広い経済施策の展開を主張してきました。そのベクトルに一致したものとして、平成21年の石狩市との企業誘致連携協定や、今年度からスタートした札幌圏みらいづくり産業立地促進事業があると言えます。
そこで、第1点目の質問は、今後の企業立地促進の方向性についてです。
コールセンターやIT関連産業だけでなく、地場も含めた製造業を主体とした第2次産業の育成、集積を図ることが必要と考えますが、市長はどのように施策を進めるのか、お伺いします。
第2点目の質問は、近隣自治体との連携のあり方についてです。
企業誘致をめぐっては近隣自治体とライバルになることも予想されますが、それをどのように克服して札幌圏みらいづくり産業立地促進事業を推進していくのか、お伺いします。
第3点目の質問は、企業誘致における市長のトップセールスについてであります。
札幌近隣市の市長は、みずからトップセールスを積極的に行い、時期を問わず、頻繁に企業訪問などをされているそうです。一方、上田市長は、昨年度に数回、いわゆるトップセールスを行っているとのことですが、効果的にするためには回数や方法など工夫できると思いますが、市長はどのように考えているのか、お伺いします。
第4点目の質問は、企業誘致の体制についてです。
企業誘致の決め手となるのは、担当部局の熱意や個々人の能力はもちろんのこと、札幌市の横断的な調整力や提案力であるはずです。そのためには、企業の動向やニーズに即応できる柔軟な体制が必要であり、さらには、まちづくりの観点から、例えばディベロッパーなどを活用した積極的な攻めの誘致ができる戦略的な体制が求められるわけです。市長は、そのような体制づくりについてどのように考えているのか、お伺いします。
次は、エネルギー問題についてであります。
原発に頼らない社会の実現がにわかに言われ始めています。しかしながら、原発がない社会を即座に実現することは、社会や経済への影響が余りに大きく、私たちの生活を脅かすことになります。我が国の過去においても、エネルギー供給を断ち切られたために戦争が泥沼化したり、オイルショックによって経済や社会へ大打撃を与えられたことは苦々しい経験であります。よって、エネルギーのソースが一部に偏ることは、エネルギー安全保障や経済危機管理という面でもいかがなものか、冷静に議論しなければなりません。よって、現実的には、エネルギーのベストミックスのあり方を議論するとともに、国の原子力安全規制や防災体制などの改革も当面必要であると考えます。
さて、上田市長が原発問題を論じることは、約192万人の札幌市民や札幌近隣の都市に至るまでのエネルギー論を展開していることにもなります。よって、エネルギー問題を公に論じる以上、それに対して説明責任を果たすことは避けられません。
そこでまず、伺いますが、市長は、原発ゼロに賛同し、原発を過渡的エネルギーとしていますが、それでは、いつごろまでに、何のエネルギーがとってかわり、どのくらいのコストで達成されるものという何らかの計画があって言っているのでしょうか。それとも、いつか達成したいという希望観測的な理想論でしょうか、伺います。
さて、原発停止が及ぼす社会への影響や代替エネルギーの問題があります。原発停止による電力不足のおそれから、このたび、市長は、市有施設の10%弱の節電を市役所内で進めるとしています。行政みずからが今までの努力以上に節電を行う姿勢は、大いに評価できます。しかし、節電が及ぼす社会経済への影響は避けられず、本市としてもその対策をしていかなければなりません。
そこで、伺いますが、今後の節電による市民生活や企業への影響に配慮し、本市としてどのような対策が必要と考えますか。
また、札幌型ものづくり振興戦略では、製造業などの第2次産業にIT、コンテンツ、バイオを加え、新たな産業創出を計画しています。しかし、同時に、新産業創出に伴うCO2排出への対策も必要であります。札幌型ものづくり振興戦略でも、環境・エネルギー分野におけるものづくり産業の支援をするとし、これが将来的にはCO2抑制につながることも期待できます。一方、新産業創出によるCO2排出を削減していくための新たな対策は明らかにされていません。
そこで、伺いますが、本市では、循環型社会の施策や新エネルギー導入事業はさまざまにありますが、札幌型ものづくり振興戦略での新産業創出によるCO2排出増加も含め、これらのCO2を効果的に削減していくための対策や新たな取り組みはありますか。
これまで述べたように、原発ゼロへ急速に傾けば、夏場の電力不足による市民・企業負担、火力発電燃料輸入による資金流出と燃料費増加による電気料金値上げなど、大きな問題に直面します。さらに、CO2排出権費用の増大とエネルギー交渉による企業競争力の低下だけでなく、CO2排出量増大による環境悪化も避けられない問題です。
本市は、2020年に、温室効果ガスを1990年比25%削減する目標を掲げています。しかし、札幌市は、民生部門のCO2排出量が全国比較で突出しており、こちらの対策には苦慮しているのが現状です。また、原発停止の現状では、本市としても火力発電に頼らざるを得ず、CO2を今まで以上に排出していくことになります。
そこで、伺いますが、原発停止によって結果的に波及しているCO2排出という環境問題について、札幌市はどのように認識していますか。
次に、東北の災害廃棄物、いわゆる震災瓦れきの受け入れについてです。
我が会派は、被災地の復興、復旧に向け、安全性の確保を前提としながら、被災地の災害廃棄物を受け入れてほしいと要望してきました。我が会派の各議員も、視察団を組み、被災地の状況や、東京都の災害廃棄物受け入れ処理の全体スキームなどを見てきました。
東日本大震災後の現在も瓦れき処理の進捗状況は国の当初計画を下回っており、この要因の一つとして広域処理のおくれが考えられます。先日、国から岩手、宮城県の災害廃棄物推計量の精査結果が出された報告数値だけを比較しますと、広域処理の必要性は薄らいでいるようにも見えます。しかし、宮城県では処理のめどが立っていないものが多く、正式に受け入れを実施している自治体はごくわずかです。国も、依然として広域処理受け入れ量が不足しており、引き続き広域処理を推進しています。
私は、市長が、一人の政治家として、人間として、脱原発社会を目指してきた活動家として、理想と現実のはざまで大いに迷い苦しんでいるのではないかと思っています。その理由は、市長は、市民の安全を守ると言いながら、何が安全かわからないとも発言しており、そのことは、結局、市民の安全はみずから判断するものだと言っていることに等しいからであります。
さて、北海道は、焼却前瓦れきの放射性セシウム濃度について、国よりも厳しい基準を設定しています。また、苫小牧市は、北海道よりも厳しい独自基準を示した上で、災害廃棄物のリサイクル事業への協力を表明するなど、自治体として安全を検証し、前向きに取り組む気持ちと行動力が伝わってきます。
ところが、札幌市はといいますと、市長自身は、これまで、安全基準をつくる考えはない、現時点では受け入れる考えはないなどと再三述べています。札幌市は、これまで延べ1,083人の職員を派遣し、現在も6人の職員が現地で被災地復興に向けた活動をしています。本市職員を被災地に派遣するのに、安全性を考えて被災地の瓦れき受け入れはしないというのでは、派遣された職員や家族は複雑な思いでしょう。
そこで、伺いますが、札幌市と強いつながりのある東北の人々が、瓦れきと化した大切な財産を汚染された瓦れきと言われ、傷つきながらも、一刻も早い復興を日々望んでいます。瓦れきを安全に処理していくための方法がないのか、何とかできないものなのか、本市は、いま一度、全力で取り組むべきものと考えますが、いかがですか。
そして、広域処理の推進に弾みをつけるためにも、日本の大都市である札幌市が率先して災害廃棄物を受け入れてほしいと考えますが、いかがでしょうか。
次に、公契約条例についてであります。
公契約条例は、さきの第1回定例会において条例案が提出され、結果として、審議不十分ということで、現在、継続審査となっているところであります。また、第1回定例会において、これは異例中の異例かと思いますが、予算特別委員会の財政局審議において、理事者側の説明が不十分ということで、再度、日程をとって条例案について審議するということもあったほど、市側の拙速、かつ準備不足が露呈するという、条例案の中身のみならず、その条例案制定に向けての市側の進め方に関しても問題が多いものでありました。
また、この点については、条例素案が示された昨年第3回定例会、つまり、この条例制定に向けて市が準備を再スタートさせた時点から、業界の理解を得ることが、条例案について審議をしていく上で、条例案の中身とともに最重要課題であると我々は一貫して指摘してまいりました。しかしながら、市側はこの点を軽視してきました。その結果、さきの定例会の終盤時期に、市長みずからが業界団体を訪問して理解を求めに回るという慌てぶりは、議会からは議会軽視と、業界からは不誠実という声が多数上がり、異例な事態を引き起こしました。
そこでまず、市長に伺いますが、これまでの公契約条例に関しての市側の対応、進め方についてどのような感想をお持ちか、伺います。
次に、先ほど述べましたように、業界団体から条例案に同意をいただくことができないままでしたが、その中で、業界側である札幌建設業協会から、条例案に関し、モデル事業を実施することが提案され、市長もそれを了解された経緯、事実があります。札幌建設業協会の要望書によれば、入札・契約制度のさまざまな課題や問題点が解決されておらず、札幌商工会議所を初め、関係する業界団体とともに制定に反対してきたことにあわせ、モデル事業を実施する中で、さまざまな課題や問題点を、業界の意向が反映される協議機関の中で、時間をかけて詳細かつ丁寧に検証、評価していくことと明確に主張しています。
しかしながら、市側は、モデル事業の内容について業界側にほとんど相談することもなく、条例制定に向けて市側が課題と考えている点についてのみモデル事業を検証するために、市側に対する業界の不信感はさらに増しました。5月初めには、唐突に開かれた
財政市民委員会において、モデル事業の対象が限定的であること、検証の中身が事務処理程度のものであること、検証期間については明確にせず、とにかく早く条例を通したいと思わせる独断先行的な姿勢に、各委員からさまざまな質問が相次ぎました。これらの指摘を受けて、本市は、札幌建設業協会札幌部会に対し、やっと協議機関の設置を提案したようでありますが、今までの市側のすべての行いが後手後手であることは、議会や業界から言われたから仕方なく対応するという雰囲気を感じさせています。
そこで、2点伺いますが、そもそも市職員の労力、つまり税金をかけて行うモデル事業とは、一般的にどうあるべきで、どのように実施、そして検証され、議会や業界にどのように、都度、説明すべきとお考えでしょうか。
また、本市公契約条例案について、業界側から、市側には業界の理解を得たいという誠意が感じられず、モデル事業はそこそこにして、とにかく早く条例を通してしまえと思っているのではないかという声が実際に我々に寄せられていますが、当該モデル事業を実施するという本市の姿勢は今後どうあるべきとお考えですか。
次に、モデル事業の内容についてお伺いいたしますが、今回のモデル事業は、条例が制定されていないということもあり、公契約条例案における労働者の賃金状況の報告にかかわる事務処理の確認、検証を行うということであります。今回の条例案の内容で問題とされている一つに、市側が定める労働者の賃金水準が経営を圧迫することにより、結果として、むしろ被雇用側の労働環境の悪化を招くおそれがあるのではないかという点であります。また、そういったことから、事務処理の確認、検証と同様に、賃金状況の正確な報告が実際になされるのかという疑念が、この賃金状況の報告にかかわる事務処理の問題点です。
我が会派も、その点を非常に懸念しております。こういった問題点の検証なしに、ただ事務処理の確認、検証を行うというのは、官民双方にとってむだな作業であり、そして、市民からいただいた大切な税金のむだ遣いでもあり、地方自治法に抵触する行為ではないかと言わざるを得ません。
そこで、2点伺いますが、多大なコスト、手間をかけて実施するモデル事業であるのなら、これまでの反省も踏まえて、業界にもよく相談した上でモデル事業の検証内容について見直しをかけるべきですが、いかがですか。
また、業界が要望しているとおり、最低でも1年以上の時間をかけてモデル事業の内容、課題、問題点を検証すべきであると考えますが、いかがですか。
最後に、公契約条例案にかかわる本市の市有施設利用の問題です。
市民からのご指摘では、本庁舎や市役所所有の掲示板に、本市公契約条例案について、理由なき反対とか、制定を求めて奮闘しようと記した賛成側のみの紙面が張ってあり、しかしながら、もう一方の公契約条例案反対側の紙面を張っていないことは、市所有の掲示板として公平性に欠けるという内容でした。
そこで、我々が本庁舎管理部門に問い合わせたところ、目的外使用として組合側に貸与していること、そして、これらの掲示物は、市民の目に触れるが、公契約条例案に対する市民の可否判断はそのことによって全く影響されるものではないとの回答でした。
当該記事内容を拝見しますと、文中に、公契約条例は、市民の生活感覚から大きく乖離した議会重視の騒動と一部経済団体のエゴにより継続審査になったとございます。我々議会側からすれば、本条例案に対して、さまざまな公の場にて公平に反対や賛成の議論を交わし、互いの立場を尊重しながら継続審議に至っております。また、今現在も、こうして条例案について議論している繊細な時期でもございます。
本市の本庁舎使用許可基準によれば、ポスター掲示については、その許可基準、条件に、市の主催、共催するもの、市が後援するものなどとあります。一方、札幌市公有財産規則の第15条の目的外使用許可の限定範囲に、「直接又は間接に市の事務、事業の便宜となるとき又は施設の運営を増進することとなるとき」や、「その他市長が特に必要やむを得ないと認めるとき」などとあります。
そこで、3点伺います。
当該掲示物は、市が主催、共催、または後援しているものか、あるいは、事務、事業の便宜となるものか、あるいは、市長が特に必要やむを得ないと認めるものですか。
また、当該掲示物は市民の目に触れていますが、本庁舎管理部門の回答のように、公契約条例案に対する市民の可否判断はそのことによって全く影響されるものではないと断言できますか。
そして、市民からのご指摘にあるように、本条例案の反対側の紙面を張っていないことは市所有の掲示板として公平性に欠けると思いますが、こういった現状の市有掲示板の使用実態についての公平性について、市長はどのように考えているのか、伺います。
次に、福祉行政のあり方について伺います。
まず、福祉行政の責任と体制についてです。
一般財源の25%を占める保健福祉費、そして、少子高齢社会が一層進む中、これからの福祉ニーズを的確にとらえるとともに、増大していく福祉費をいかに効果的に利用し、あるいは、増大の伸びを鈍化させていくか、大変重要な問題であります。一方で、働けるのに働かない者や、不正に権利を主張する者に福祉が一部配分されている現実に、まじめに税金を払っている市民が生活や文化レベルを向上しようとする意欲をそがれてきていることは大変遺憾であります。
地方自治体の保健福祉事業は、国の制度に左右され、事業費もふえていく中、高齢、障がい、生活保護、介護、保健医療や精神医療など福祉ニーズのスピードも増しています。多様化、煩雑化する福祉窓口の業務は、専門的知識を要し、他部門との連携やリソースの活用等、専門性の高い業務であります。このような中で、いかに膨大な情報を効率的に収集し、整理・統合し、各方面と連携して適時に適切なサービスを提供していくか、本市の福祉業務体系をいま一度見直すべきです。
本市の生活保護受給者に対する自立支援体制を例にとれば、その各事業の相関関係は非常に複雑で、各事業のサービス内容も必要以上に重複しており、それぞれの背景を持った市民が最適なサービスをどこで受ければよいのか、明確ではありません。受給者の年齢、心身の状態、家庭環境はさまざまであり、ケースワーカーが受給者ごとに効果的に自立支援できる体制が課題となっています。結果的に、市民がたらい回しになったり、自立を先延ばしにして生活保護から離れる意欲を低下させれば、保護費や自立支援事業費、つまり、まさに税金の浪費にもなります。
よって、カウンセリングから就労に至るまで、一つの事業で一貫して支援していく体制に集約するとともに、市民のメンタルだけではなく、雇用環境を的確に把握し、求人開拓までできる専門家を配置すべきです。このようにワンストップサービスのさらなる向上のためには、福祉業務体系の見直しとともに、即戦力になる専門家の配置、体制づくりが必要なのです。つまり、本当に必要なサービスを、必要な市民に、必要なときに提供できているのか、いま一度、検証することが急務です。
そこで、4点伺いますが、まず、本市の福祉行政が今日抱えている喫緊の課題は何であると認識していますか。
次に、実効性のある福祉業務と効率的な福祉事務のために、本市で行われている取り組みはありますか。
また、多様化、煩雑化する福祉窓口の業務などに対応するため、福祉専門家の能力を効果的に発揮させる人員配置、体制づくりを、本市はどのように行っていて、どのような効果が上がっていると検証していますか。
そして、生活保護受給者に対する自立支援体制についてですが、メンタルケアはもちろん、雇用環境を的確に把握し、求人開拓からマッチングまでできる専門家とチームを組み、自立支援から雇用対策、あるいは経済対策へと、より高いアウトプットに励むべきと考えますが、いかがですか。
今回、地域福祉社会計画では、地域で必要な福祉サービスが受けられる体制の確立を目指して、さまざまな機関が協働できる仕組みづくりとして地域のネットワーク図を掲げています。漏れなく、切れ目なく、すき間なく利用できる仕組みづくりと、網目をきめ細かくすることは確かに重要ですが、関係機関が連携する一方で、事業そのものが分散化し、責任の所在が不明確になりはしないでしょうか。
また、今後は、最初の入り口となる相談窓口、つまり、区役所や区社会福祉協議会がコーディネーターとなり、行き届く仕組みづくりを推進するとしていますが、コーディネートした後は民間任せにしてしまうのか、対応困難時はどのように把握し支援するのか、責任の所在が明らかでなく、フィードバックの仕組みも見えず、行政からの一方通行の感は否めません。
また、多様な福祉課題に対応するためのサービスを提供する体制の推進を基本施策とし、ボランティア団体やNPO法人などとの連携を挙げていますが、行政は、どこまでその効果を把握し、事業を改善していけるのか、やはり、その責任所在も明らかではありません。
さらに、この計画の中では、市民の支え合いによる地域福祉社会の推進を目標としています。福祉意識を高めるという仕組みが、おなじみの普及啓発活動や主体的参加の促進というだけでは困ります。まして、地域を支えている市民への負担増大につながっていくのでは元も子もありません。地域で支えるという福祉が結果的に単なる行政の丸投げとならないように、行政が責任を持って福祉環境整備を実施すること、つまり、フォロー体制を整備することが同時に必要なのです。
そこで、3点伺いますが、ますます歳出が膨大化する保健福祉行政において、自助、共助、公助のあり方を考えたとき、本市行政が福祉において全うする責任とは一体何を指すのでしょうか。そして、地域福祉に対し、行政は、どこまで責任を持ち、何をもって支援していくのか、明らかにしてください。
また、本市に本当に必要なサービスが、必要な市民に、必要なときに提供されるためには、サービスを必要とする市民にどのような協力を求めますか。
次に、母子保健事業における本市乳幼児健診について伺います。
母子保健は、生涯を通じた健康の出発点であり、次世代を健やかに育てる基盤となるものです。健やか健康21では、21世紀の母子保健の取り組みの方向性や指標が提示され、関係機関・団体が一体となって取り組む国民運動計画として目指すべきものを明らかにしています。その中で乳幼児健康診査の重要性が強調され、これまでの疾病発見から育児支援の観点へ見直すとしています。また、児童虐待による死亡事例の状況からも、生後より早い段階で乳児全数の状況を見きわめることが必要であり、効果的な機会として改めて健診が見直されています。よって、育児支援が適切になされるためには、乳幼児健診の高い受診率が維持されなければなりません。
現在、札幌市母子保健事業のあり方検討委員会で、母子保健事業について検討が進められています。検討会資料によれば、札幌市における乳幼児の集団健診は、受診率が高く、必要な精密検査が実施され、親子のさまざまな悩みに対応しており、育児支援により児童虐待の未然防止に寄与しています。札幌市小児科医会が小児科医に実施したアンケートでは、札幌市の乳幼児健診は満足度、評価が高く、検討委員会の委員からも評価する声を聞いています。発達障がいの早期発見と支援が盛り込まれた発達障害者支援法を踏まえ、乳幼児健診にいち早く取り組み、発達障がいの子を持つ保護者の会や専門家から一定の評価を得ているとも伺っております。
この札幌の質の高い乳幼児健診の育児支援体制は、医師、助産師、看護師、心理士、保健師などの専門職の総合力と情報を保健センターで一括管理できる体制により実現されているものです。例えば、産後は心身の状態が不安定なので、母親や新生児のケアには助産師の専門性を必要としています。このように乳幼児の集団健診は一定の評価を得ており、今後は未受診者の把握や保健と福祉の連携等の充実を図っていくべきです。
そこで、3点伺います
母子保健事業の根幹である現行の乳幼児の集団健診について、札幌市母子保健事業のあり方検討委員会で議論中ですが、市長は、母子保健事業をどのように評価していますか。また、本市における乳幼児の集団健診についてはどのように認識していますか。
母子保健事業の担い手として助産師の専門性は大変重要でありますが、本市として助産師をより確保していくための今後の対策を教えてください。
また、札幌市母子保健事業のあり方検討委員会で、母子保健事業の充実に向けて出される結論、改善点を今後の施策に反映すべきであると思いますがいかがか、伺います。
次に、自治基本条例の必要性と検証について伺います。
日本と札幌の発展に寄与するものであるか否か検証する意味で、平成19年4月1日より施行されている自治基本条例について質問いたします。
当時、条例の有効性も含めて懸念を持たれながらも制定されましたが、まちづくりの最高規範であると位置づけしていることに、独善的だとの指摘があります。そもそも自治基本条例が他の条例に優越することは、法律上、認められません。また、地方自治法は、地方の法的な自治権とその精神を保障しているものであって、その範囲を超えることはできません。日本の歴史と伝統に基づいた慣習を無視する国政運営がなされない限り、日本人であれば法律に逸脱した条例をつくることができないのであります。
そして、本条例が制定された後も、町内会加入率は下がる一方で、地域活動をする担い手も減少し、地域同士のきずなは弱体化しています。その一例が白石区のいわゆる孤独死問題であり、民生委員への負担はさらにふえています。自治基本条例は、本来のまちづくりとは無縁で、意味のないものであると言われてもいたし方ないのであります。
このようにさまざまな問題を指摘される本条例は、第32条に、「5年を超えない期間ごとに、市民の意見を聴いたうえで、この条例の規定について検討」とあります。これらの検証について計8回の会議を開き、無作為抽出した市民による市民会議も開催されたとしております。
そこで、伺います。
今回の一連の会議で、自治基本条例の発想そのものも含めて、どのような反省点がありましたか。また、検証方法についてですが、当時、反対か疑問を持っていた人たちからの意見も聴取する努力をしたのか否か、伺います。
次に、本条例第2節に市民の責務という条項があり、まちづくりの主体であることを認識するとともに、まちづくりに参加するように明記されていますが、努めるものとするという努力目標で終了しています。また、賃貸アパートなど、転入届も出さず居住しているケースなど、一概に市民の責務と言っても、今のままでは認識を高めることは困難な状況もあります。
確かに、市が宅建業界、北海道マンション管理組合連合会、住宅都市開発協会などと各町内会に加入促進する協力関係にあることは非常によいことです。しかしながら、まちづくりに対して参加をお願いという立場で要望するだけであれば、権利を助長させることにもなります。市民の自覚ある協力があってこそ健全なまちづくりができるはずで、市民も必要最低限の責務を負うことは必要不可欠であります。
そこで、伺います。
今後、身近な諸問題を解決するためには、市民が札幌市民として自覚を持ち、責務を負うことが有効であると考えますが、市長の見解をお伺いします。
また、開拓の時代から伝わっているさまざまなお祭り、行事、施設を文化として大切にし、郷土愛を促進し、地域に対する責任を感じることは、市民としてとても大切なことです。そこで、札幌に愛着と誇りを持つための意識を条例前文に明記するだけでなく、札幌の歴史と伝統を重んじることという規定を条例に設けることこそ、札幌市民として大変有意義なことと考えますが、市長の見解をお伺いします。
本条例の第4条、第5条に、まちづくりなどの基本理念とし、市民が主体であることを基本とし、市民の参加により行われると明記しています。
そこで、伺いますが、北区屯田にある地区センターや豊平区の月寒公民館など、地域住民が主体となって担ってきた歴史のある施設などがあります。そこの地域に住む人たちで構成される町内会などの自主性を尊重するのであれば、その地域住民が指定管理者として運営しているものについては、契約更新方法について十分な配慮が必要なのではないかと考えますが、市長の見解をお伺いします。
市長が最初に選挙に出馬した平成15年時のマニフェスト、上田文雄の政策に、18歳以上、外国籍住民も参加できる常設型住民投票制度を制定しますとあります。このことは、将来、外国籍の人たちに対する地方参政権をも認めることにつながり、我々自民党・市民会議としては、日本の札幌市民を守るために、これを断固として阻止いたします。
市民参加について、本条例第21条第3項第4号で、文化的背景、国籍等を配慮するようになっており、同第7項では、必要な条例等を整備するとなっております。市民自治推進会議での報告では、主に本条例第21条関連について、市政への市民参加制度の条例化を検討すべきとし、主に第22条関連について、住民投票条例に関する条例検討をする必要があると明言しています。これら一連の動きに思慮をめぐらすと、市政における重大な決定について、議会を無視し、外国籍の人たちに決定権を与えることを可能にする危険なものと憂慮するところであります。
そこで、お伺いしますが、本条例第3条で、自治基本条例をまちづくりの最高規範と位置づけ、同第3条2項では、まちづくりに関する条例、規則等の制定、改廃等に当たっては、この条例に定める事項との整合を図らなければならないとあります。今後、本条例第21条にある市政への市民参加に関連し、条例化の検討などを進める前に伺います。
同条第3項第4号では、外国籍の方などの市民参加は不当に不利益を受けないと規定され、国籍を問わない市政への市民参加が認められていますが、ここで言う市政への市民参加とはどのようなことを意味するのか、伺います。
次に、市長は、平成15年当時のマニフェストで、18歳以上、外国籍住民も参加できる常設型住民投票制度を制定しますとしていますが、同条例第22条に基づく住民投票条例に関する条例を策定する際には、当時のマニフェストの実現について今も目指しているのか否か、また、市長は、外国籍の地方参政権についても賛同しているのか否か、そして、さきの第1回定例会で継続審議となった公契約条例案には多くの問題点が指摘されていますが、この公契約条例案はまちづくりの最高規範となっている自治基本条例との整合を図った案として作成されたのか否か、以上、4点を明確にお答えください。
最後に、国家観と市政について伺います。
上田市長は、現在まで9年の市政をとり行ってきました。190万都市をリードしなければならない重責を想像しますと、政治家の一人として、そのお立場を尊重する次第です。
しかしながら、市長の9年間を振り返ってみますと、一部、信念を貫いていることは確かですが、経済効果の高い市長独自の施策は見当たらず、しまいには新たな市民負担を求めながら市政運営をしているというありさまです。市長の理念ばかりが先行しているようですが、果たして中身はどうでしょうか。新しい札幌独自の産業をつくってきたわけでもなく、市民の日々の生活は、市長が言う市民自治などという理想論ではよくはならないということがはっきりしてきました。
私は、なぜこのような政治が行われているのか、考えました。そこで、考え至ったのは、市長には国家観があるのだろうかという大きな疑念であります。市長は、市長が言う市民自治を重んじていますが、国家に生きる市民に、国家の歴史や伝統、国民としての自覚がなければ、その時々の世情や利益感情で離合集散を繰り返す市民がふえるだけであります。
ところで、市長室には札幌市旗のみしかなく、これは、市長が初当選後の市長ご自身の指示により国旗が取り除かれたからであり、現在、その国旗は市長室の戸棚に折り畳んでしまってあるそうです。また、新規採用職員採用式での札幌市職員の服務宣誓の際や、市長による市職員への年末あいさつの際にも国旗はないとのことであります。一方で、市役所本庁舎正面には国旗と札幌市旗の両方が高々と掲げられています。こうした国旗への一連の対応を見ておりますと、市役所内部など市民の目には余り触れない場所でのみ、市長は国旗を避けているように感じられます。
市長は公人であり、国旗及び国歌に関する法律に定めた日章旗を公務の際に掲揚していないことは、まことに遺憾です。このようなことを繰り返していますと、平成23年の国旗・国歌訴訟上告審での最高裁判決で言うように、地方公務員の地位や性質、職務の公共性にかんがみ、法令や職務上の命令に従わなければならないのに、その職務上の命令に従わない公務員を助長することにもなりかねません。
そこで、4点伺います。
改めて確認しますが、国旗はもともと市長室に据えられていたわけで、国旗をわざわざ取り除かなければいけなかった理由を教えてください。
次に、市長にとって、国旗を掲揚しているときとそうでないときとでは、どのような条件の違いがありますか。
また、札幌市職員の服務の宣誓に関する条例に基づき行われる式典である札幌市職員採用式で、職員が全体の奉仕者と宣誓する厳粛な場において、国旗、市旗は掲揚してあるべきですが、いかがですか。
そして、式典などの公式行事で国歌、君が代斉唱のときに、市長は国歌を歌っていますか。
私の座右の銘の一つは、温故知新であります。私の使命は、今、この議場、傍聴席にいらっしゃる人生の先輩たちがつくり上げてこられた社会と、国の宝である我々の子どもたちがつくる未来とのかけ橋の一つとなるために、そして、我が愛する家族、ふるさと、日本を守るため、歴史や文化、伝統を重んじ、新しい未来に向けて果敢に挑戦していくことであります。
そこで、最後に伺います。
市長は、どのような国家観を持って本市の政治をとり行っているのでしょうか。
以上で、私の代表質問を終わります。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(三上洋右) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 8項目にわたりましてご質問をちょうだいいたしましたので、1番目の教育行政のあり方についての、市長の教育行政の責務についてという部分の一部を私が答弁させていただくことにいたしまして、この項目につきましては、北原教育長が札幌市としての教育行政についての子細な見解を申し上げますので、お聞き取りいただきたいと思います。その他、2番目の都市経営のあり方、エネルギー問題、東北の震災廃棄物の受け入れ、さらには8番目の国家観と市政について、この項目について私から答弁をさせていただきます。その余は、担当の副市長から答弁をさせていただきますので、お聞き取りいただきたいと存じます。
まず、教育行政のあり方についてということで、教育行政の責務についてでございますが、教育が社会と子どもの育成についてどんな影響があるのか、市長の見解はどうなのだ、こういうお話でございます。
教育基本法が改正されまして、それをお引きになりまして、その前文に、日本国民が願う理想として、民主的で文化的な国家の発展と世界の平和と人類の福祉の向上への貢献が掲げられております。その理想を実現するために、改正前の教育基本法に引き続き、個人の尊厳ということが第一に掲げられているわけでありますので、この点については旧教育基本法と何ら変わりないというふうに思います。古きよき教育が戻ってくるというふうなお話がございましたけれども、その点は、古きよき教育というのはいかなることを指しておられるのかはわかりませんが、もし、旧教育基本法以前の明治憲法時代の、いわゆる戦前の教育をもって古きよき教育だ、それに戻るのだというお話であれば、私は承伏しがたい。新しい教育基本法の前文のところには、日本国憲法の精神にのっとり、これを教育で実現していくのだと、国の発展をそういうふうにしていくのだということが書かれているわけでございますので、私は基本的にそのような立場でおるわけでございます。
こういうことからも、教育は、みずからを、あるいは他人、自他ともにお互いを尊重し合い、そして、社会や文化をともに維持・発展させるための資質あるいは能力といったものを身につけるということに資する極めて重要な人間の営みである、このように考えますし、そういう影響を個人、市民あるいは社会に与える大きな仕事として教育というものがある、このように考えているところでございます。
その余の詳しいこと、どういう制度をやっているかということについては、先ほど申し上げましたように、教育長から答弁をさせていただきますので、お聞き取りください。
2項目めは、都市経営のあり方についてということでございまして、公共投資はどういうものが今後必要なのかというご質問でございます。将来を見据えた公共投資についてということが第1点目でございます。
札幌市は、これまで、人口の急激な増加に対応しながら、計画的な社会資本整備を行ってきたところでございます。先人たちのこういう努力のもとに、都市機能というのは、他の大都市と比較いたしましても決して劣ることがないほど完成してきた、そして、ほぼ成熟した状況にあるというふうに私は考えております。
その一方で、例えば、政令都市移行前後に、1972年でありますが、今から40年前に集中的にさまざまな公共投資が行われて都市整備が行われました。それが40年を経過いたしまして、老朽化が進んだ建築物というものがたくさんできてきているわけでありまして、これらの維持だとか補修というものがますます増大をしていくとともに、今後の人口構造の激変、高齢化ということでございますが、これに対応いたしまして、保育所だとか、あるいは高齢者向けの福祉施設の整備など、こういうものが求められているわけであります。
さらに、東日本大震災、あるいは福島の第一原発の大事故が発生したことを契機にいたしまして、例えば、太陽光発電だとか分散型のコージェネレーションだとか、新しいエネルギーシステムへの対応というものが喫緊の課題というふうにされているわけでございまして、そういう新たな課題だとか、時代が要請する、そういうことに対する公共投資というのは今後とも必要である、このように認識をしているところでございます。
また、これまでも、
国際観光文化都市の玄関口としてふさわしい都心部の整備のために、札幌駅前通地下歩行空間だとか創成川通の整備などを行ってきたわけでありますが、これらの事業は、周辺の民間ビルの建てかえを誘発するなど、大きな
経済波及効果というものを生み出してきたものである、このように考えております。
ちなみに、駅前通地下歩行空間でありますが、この事業費は約250億円でございました。そして、駅前通地下歩行空間に接する沿道の主要なビルが建てかえられることになりました場合に、合計で1,000億円以上の投資が行われるというふうに試算をしているところでございまして、4倍の投資効果がある都市整備である、公共工事である、このように考えております。
今後とも、社会経済情勢に配慮しながら、札幌市の未来を見据えた上で必要な公共投資を着実に行っていきたい、このように考えております。
2点目のHACに対する認識と丘珠空港の展望などについてお尋ねでございます。
これまでのHACに対する支援内容と経営状況の認識についてということでありますが、新生HACが丘珠空港を拠点とするに当たりまして、札幌市といたしましても、移転に係る経費の2分の1を補助させていただきました。また、昨年度も、HACと協力をいたしまして、路線の利用拡大だとか、そういう取り組みを実施するなど、利用率の向上ということが極めて大事なわけでございますので、そういう意味での側面からの支援を行ってきているところでございます。HACの経営は厳しい状況が続いているものと認識を共有させていただいておりますが、今後も、HACとの連携をさらに強めまして、積極的に利用促進を進めるということで経営安定化を側面から支援させていただきたい、このように考えております。
次に、丘珠空港の価値についてという極めて本質的なご質問でございますが、丘珠空港は、札幌圏と道内の各都市の間を結び、ビジネスや医療、あるいは、観光を初めとした道民生活や経済活動などを支える道内航空ネットワークの拠点であるという認識でございます。また、北海道の防災ヘリや道警のヘリが配備をされておりまして、災害時の救難、救助など防災基地という側面もございます。丘珠空港は、このような多様な機能といったものをあわせ持つインフラとしての価値が非常に高いものというふうに認識をいたしているところでございます。
最後に、丘珠空港の利用と展望についてということでありますが、札幌市では、行政機関や民間事業者などと平成23年5月に丘珠空港活性化プログラムというものを策定いたしまして、今後も丘珠空港の活性化に向けて積極的な取り組みを進めていくというふうにしているところでございます。
その一方で、丘珠空港は、陸上自衛隊の共用空港でもございまして、運航便数の制限などのさまざまな運用上の制約条件というものを抱えている空港でございます。丘珠空港の将来展望につきましては、これらの制約に加えまして、前回の滑走路延長時に100メートル延長して1,500メートルになったわけでありますが、そのときの周辺住民の皆様方との合意内容、合意事項だとか、国の航空政策や航空業界の動向など、幅広い意見を伺い、また、それをしっかりと考えながら中長期的な視点に立って考えていきたい、このように思っているところでございます。
次の項目は、経済施策についてでございます。
1点目の今後の企業立地促進の方向性についてということでありますが、立地条件などの面で札幌に優位性のある業種については、今後ともさらなる集積を図っていくことが基本でございます。これに加えまして、北大リサーチ&ビジネスパークにおけます主要研究テーマというふうになっております健康・医療、あるいは環境・エネルギー分野というような、国内において成長発展が見込まれる、なおかつ、現在のところ特定地域への集積というものが進んでいない先端技術産業につきまして、新たな支援制度を創設して、研究開発施設、あるいは、それに続く製造拠点施設といったものの誘致に取り組む考えでございます。
2点目の近隣自治体との連携のあり方についてということでございますが、札幌圏みらいづくり産業立地促進事業というのは、近隣自治体がおのおの強みを生かして相互に補完し合うということで札幌圏全体の優位性というものを高めていくという点で、関係自治体の皆様方との認識を共有している、一致しているものでございます。今後も、企業動向や事業用地などに関する情報の共有、合同企業訪問の実施など、一層の連携を図っていきたい、このように考えております。
3点目の企業誘致におけます市長のトップセールスについてということでありますが、企業誘致を主目的としたもののほかにも、これまで毎年行っておりますIR説明会、あるいは、観光誘致の際にも札幌に企業進出をお願いしたいとさまざまな情報を提供させていただきまして、企業誘致に結びつけるというようなこともさせていただいておりました。今後とも、多様な機会をとらえまして、新たな立地支援制度、あるいは、北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区のメリットなどもアピールするなど、積極的なトップセールスに努めてまいりたい、このように考えております。
4点目の企業誘致の体制についてということでありますが、現在、産業振興部に加えまして、東京事務所にも専任の職員を配置しておりまして、情報収集を行うとともに、首都圏企業からの問い合わせに即応する体制を整えているところでございます。また、立地を検討している企業は、事業用地や人材の確保など多岐にわたる情報を求めておりますことから、関係部局が連携いたしましてこの支援に取り組んでいくという体制にしておりますし、今後とも企業動向やニーズに柔軟に対応できるように体制の強化、構築に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
3点目のエネルギー問題についてでございます。
まず、脱原発依存社会に向けての計画についてということでありますが、脱原発依存社会を目指すという方向性は、昨年、第2回定例市議会におきまして、皆様方の全会一致によりまして原発に頼らないエネルギー政策への転換を求める意見書というものが可決されております。そのような意味合いにおきまして、市議会の皆様方、ひいては札幌市民の皆様方と私の共通認識というものがそこで得られているものと信じているところでございます。
今後、国から明らかにされますエネルギー基本計画の内容だとか、札幌市のエネルギー転換調査、昨年度の予算でちょうだいして実施いたしました転換調査の結果を踏まえまして、脱原発依存社会実現に向けての道筋というものをお示ししていきたいと、現在、その作業中でございます。
次に、節電による市民生活や企業への対策についてということでありますが、札幌市は、市民生活や企業活動などに支障を来さない範囲で節電の呼びかけを行ってまいります。企業への対策につきましては、これまでも、市職員が企業を訪問いたしまして、省エネの支援を行い、一定の成果を上げてきたところでありますけれども、今年度、新たに省エネアドバイザーの派遣による支援を予定しているところでもございます。あわせて、節電効果が非常に高いというふうに言われておりますLED照明の導入補助や、あるいは、節電方法の情報提供といったものも実施をするということで、市民の皆様方にも節電の必要性ということについてしっかり考えていただく、そういう対策を講じてまいりたいと考えているところであります。
CO2削減のための新たな取り組みということでありますが、現在、CO2削減を図るために、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入や省エネ機器の普及、これらに取り組んでおりまして、さらに、メガワットソーラーの誘致についても新たに進めているところでございます。今後、CO2削減に寄与いたします環境産業の創出に向けて、産学が連携した新製品あるいは新技術の開発への支援などについても積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
原発停止によるCO2についてというご質問でございますが、市民生活や企業活動を維持する上で火力発電の割合が高まり、一時的にはCO2が増加することになることは避けられないというふうに認識をいたしております。しかしながら、今後は、節電を推進するとともに、環境負荷が少ない天然ガスによる火力発電や水力発電、あるいは、さまざまなコジェネ技術等によります電力の確保と、太陽光発電あるいは風力発電などの再生可能エネルギーの導入促進によりましてCO2削減に努めてまいりたい、このように考える次第でございます。
4項目めでございます東北の災害廃棄物受け入れについてでございます。
この点につきましては、議会でも何度かお話をさせていただいておりますが、災害廃棄物につきましては、広域処理必要量というものが精査をされまして大きく減少するなど、先ほどご質問の中でもご紹介がありましたが、状況にかなりの変化がございますけれども、災害廃棄物の移動から最終処分に至るまでの安全確保のための十分な基準あるいは手段などについて、札幌市が受け入れると判断できる情報というものがいまだに国から明確に示されてはいないというふうに考えております。
したがいまして、これまでお答えをしてきたとおり、安全性の確証が得られない現時点では、将来にわたる市民の安全・安心というもの守るという観点から、災害廃棄物の受け入れにつきましては、これは単に災害廃棄物と言っているのではなくて、放射性物質が付着をしている、そういう災害廃棄物の受け入れについては行う考えはないというふうに申し上げたいと思います。
8項目めの国家観と市政についてということでございます。(発言する者あり)
長い話にはしませんけれども、国旗・国歌にかかわる対応につきましては、4点のご質問が相互に関連をしているというふうに考えております。これまでも、平成16年の第1回定例市議会で、貴会派の代表質問として村松議員、そして高橋克朋議員からもご質問をいただいておりますので、また、その答弁、やりとりを木村議員が勉強されてことしの1定でご質問をちょうだいいたしました。その際にも平成16年1定で申し上げた私の見解は変わらないということを申し上げてきておりますので、ご質問いただいた伴議員におかれましては、それを十分ご承知おきいただいているのだというふうに期待をしております。その上で、関連をする質問でございますので、一括してお答えをさせていただきたい、このように思います。
国旗及び国歌に関する法律で定められておりますとおり、国旗はもちろん日章旗でございますし、国歌は君が代である、このように認識をいたしております。
国旗の掲揚と国歌の斉唱に当たっては、それぞれの状況に応じて適切に対応をさせていただいているところでございますし、また、職員の採用式における国旗と市旗の扱いにつきましては、私が特に始めたわけではなく、私が市長に就任する前から同じやり方で踏襲をさせていただいているところでございます。
国家観と市政運営ということでありますが、私は、国家は、まさに憲法の基本原理でございます国民主権、平和主義、基本的人権を尊重して運営されているべきものであり、国民の生命、身体、自由、財産といったものをしっかり守ることが使命とされた組織であるというふうに思っているところでございます。そのような考えのもとで、市政の運営に当たりましては、まさに民主主義、市民自治ということが肝でございますので、市民とともに考え、ともに悩み、そして、ともに行動するということを通じて、困難な時代ではありますけれども、これに市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街をつくるぞと、そういう市民とともに築いていくという決意を申し上げて市政運営に当たらせていただいているところでございますので、ぜひともご理解のほどをお願い申し上げたい。
以上でございます。
○議長(三上洋右) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私から、公契約条例についてお答えいたします。
まず、1点目のこれまでの経緯に対する認識についてでございます。
公契約条例につきましては、昨年の夏以降、関係業界、労働団体などと意見交換を行うとともに、議会におきましても慎重にご審議をいただいたところでございます。しかしながら、関係業界から十分な理解が得られていないこともあり、条例案が継続審査になった状況につきましては真摯に受けとめさせていただいております。
2点目のモデル事業実施に当たっての姿勢等についてでございます。
モデル事業は、お互いに検証し合うことによって、条例に対するさまざまな不安や懸念を解消していくものであり、誠意を尽くして条例の理解が深まるよう最大限の努力をしていく所存でございます。そのために、モデル事業におきましては、条例実施上のさまざまな疑問点、問題点について協議、検証を行う協議機関の設置を札幌建設業協会に申し入れをし、現在、双方で協議を重ねているところでございます。今後、協議機関における協議の進捗状況については、適時適切に議会に報告してまいりたいと考えております。
3点目のモデル事業の見直しについてでございます。
モデル事業を通じての具体的な検証内容につきましては、今後とも、関係業界のご要望を踏まえ、幅広く対応してまいりたいと考えております。検証期間につきましては一定の期間が必要であると考えておりますが、あらかじめいつまでと区切るのではなく、実際に検証していく中で見きわめがなされていくものと考えております。
4点目の市有施設利用についてでございます。
質問は3項目ございましたけれども、それぞれ関連をいたしますので、一括して答弁させていただきます。
ご質問にあります掲示板は、札幌市役所職員組合に対して、札幌市公有財産規則に基づき、市長が必要と認めて目的外使用許可を与えているものでございます。また、この掲示板への掲示物は、当該許可に基づいて組合が組合員への情報提供のため掲示しているものでございます。
掲載されている内容につきましては、目にした市民の受け取り方はさまざまあるとは思いますが、いずれにいたしましても、組合員への情報提供の範囲を逸脱しない限りにおいては認められるものと考えております。
以上であります。
○議長(三上洋右) 渡部副市長。
◎副市長(渡部正行) 私からは、福祉行政のあり方と自治基本条例のもろもろのご質問にお答えをいたします。
まず、福祉行政のあり方について、1点目の福祉行政の責任と体制についででございます。
福祉行政が抱える課題につきましては、急速に進む少子高齢化、雇用基盤の変化、家族形態、地域基盤の変化などを受けまして、福祉制度が複雑化・多様化する中で、限られた体制の中でいかに的確にサービスを提供していくかということが課題と認識をしております。実効性のある福祉業務と効率的な福祉事務の取り組みにつきましては、各種福祉業務に電算システムを段階的に導入いたしまして、住民記録や税のデータと連携させることによりまして、事務の効率化と同時に、市民の申請手続の簡素化などを図ってきております。また、乳幼児健診における未受診者対策などの事務処理を効率的に進めるために、現在、母子保健情報システムの開発に取り組んでいくなど、引き続き各種業務の改善を図っているところであります。
人事配置、体制づくりの現状につきましては、平成18年度に区保健福祉部の大規模な機構改革を実施しておりますが、その後も複数の課にまたがる困難ケースに柔軟かつ機動的に対応できる係長ポストの設置や、精神障がい者や児童等に関する専門相談体制の拡充などを行ってきておりまして、その効果につきましては、関係部局の連携によって、適宜、検証を行ってきたところでございます。こうした状況を踏まえながら、現在、今後の社会環境の変化や多様化、煩雑化する業務に対応いたしまして、職員が持てる能力を十分に発揮し得る体制づくりを目指しまして、区保健福祉部の組織、業務再編も視野に入れた幅広い検討を始めております。
生活保護受給者に対する自立支援体制につきましては、ハローワークと保護課による合同の就労支援チームによりまして、早期就労に向けて集中的に支援を行う福祉から就労という支援事業の活用に努めているところでございます。また、早期の就労が図られるよう、履歴書の書き方や面接の受け方、ハローワークへの同行などきめ細かい支援をするために、職業相談の経験を持つ者などを就労支援相談員として配置しておりまして、昨年度に引き続き増員をしたところでございます。今年度は、就労意欲の喚起、職業能力の開発向上のための支援、求人開拓に加えまして、職場定着支援などを含めた一貫した就労自立支援を行うようハローワークにおいて事業の拡充が図られたことから、ハローワークと一体となった就労支援チームにより今まで以上に支援を進めてまいりたい、そのように考えております。
あり方についてのもう一つですが、本市の福祉支援の責任ということでございました。本市が福祉において全うする責任ということにつきましては、法に基づき、市民の心身がともに健やかに育成されまして、その有する能力に応じた自立した日常生活を営めるよう適切な支援を実行できる組織体制を確立するとともに、市民に必要かつ十分なサービスを提供することであるというふうに考えております。地域福祉に関する行政の責任につきましては、地域で福祉サービスの適切な利用につながる各種相談体制を整備するとともに、地域におきましては、高齢者や障がい者などへの見守りなど、日常的な支援を行う共助のネットワークを構築することでありまして、また、それに対する支援を行うこともその責任の中に含まれていると考えております。
サービスを必要とする市民に求める協力につきましては、基本的には、区役所などの公的機関にみずから相談していただくことであります。また、地域におきましては、住民がお互いに支え合って日常生活を営むことができるように努めることも必要であります。札幌市といたしましては、何らかの事情でみずから相談することが難しい方であっても、住みなれた地域で、より気軽に相談できる仕組みの構築を続けて図ってまいりたい、そのように考えております。
次に、母子保健事業における本市乳幼児健診について、3点のご質問がございました。
1点目の母子保健事業の評価と集団健診の認識についてでございますが、昭和40年に母子保健法が制定されて以来、札幌市の母子保健事業は、女性のライフスタイルの中で大きな節目となる妊娠、出産、育児に焦点を当てまして、その時代背景に応じたさまざまな事業に取り組んできており、一定の成果を上げてきていると評価をしております。一方、子どもの健やかな成長を支援するためには、生まれる前から18歳に至るまで、事業を切れ目なく構築していくことが必要でありますが、現在の母子保健事業は個々の事業のつながりや連続性にちょっと欠けるところがございまして、3歳児健診以降の事業体系や個別の支援も十分ではないというふうに認識をしております。
札幌市の乳幼児健診につきましては、1回に40人から60人を診る集団健診方式で行っておりまして、行政的には極めて効率のいい健診方式であると考えております。しかしながら、健診にいらした方々からは、受診場所や受診日時が限定される、待ち時間が長い、流れ作業的である、ゆっくり相談ができないなどの意見も寄せられていることから、今後、さらに受診者の立場に立って考慮することも必要であると考えております。
2点目の助産師確保のための今後の対策についてでございますが、札幌市では、助産師免許をあわせ持つ保健師や非常勤の助産師を、乳幼児健診の際に母親の体調などについて相談を受ける母性相談や妊産婦健康相談に活用しております。また、乳児家庭全戸訪問事業というのがあるのですけれども、ここにおきましては、地域の助産師を母子保健訪問指導員として委託契約をしておりまして、家庭訪問相談業務に従事をしております。今後は、母性相談や妊産婦健康相談などを担当する保健師、母子保健訪問相談員に対し、産婦人科医師や助産師が講師となって研修会を実施して充実させてまいりたい、そのように考えております。
3点目のあり方検討委員会の結論、改善点の施策への反映についてでございますが、母子保健事業のあり方検討委員会では、保健、医療、福祉の関係者が連携協力をしながら、地域できめ細かく育児支援を行う体制づくりなどについて、現在のところ、検討をいただいているところでございます。検討委員会での議論が終了した後、時代の変化に対応した母子保健事業の方向性について提言書をいただけることになっております。
札幌市といたしましては、母子保健事業の方向性を多角的な視点から取りまとめるものと期待しておりまして、その提言を踏まえながら、施策としての優先度や実効性、実施体制など、さまざまな条件や要素を吟味、勘案した上で今後の方針を決定してまいりたい、そのように考えております。
自治基本条例の必要性の検討について、8項目のご質問をいただいております。
まず、市民自治推進会議でどのような論議がされたかということでございますが、市民自治推進会議の最終報告では、自治基本条例の理念や内容はよいという評価があった一方、まちづくりへの意識醸成や市民参加の取り組みの強化、さらには、まちづくりに関する情報発信の強化など、今後の改善を要する六つの課題をいただきました。
検証に当たっての意見聴取に関する努力についてでございますけれども、条例の検証に当たりましては、有識者を初めとして、まちづくり活動団体やNPOの代表者、無作為抽出で選ばれました一般市民など、自治基本条例の制定の賛否にかかわらず、幅広く意見を聴取させていただきました。
3番目に、市民が責務を負うことの有効性についてでございますけれども、市民が行動し、身近な地域課題を解決する、いわゆる地域力を発揮するためには、市民一人一人のまちづくりへの参加が不可欠でございます。自分たちにできることは自分たちでやるという意味で、市民が責務を負っていくことは重要だと考えております。
札幌の歴史と伝統を重んじる規定の設置についてでございますが、札幌の歴史と風土を誇りに持つ市民憲章の気高い精神は、自治基本条例の各条項の礎として前文にうたわれていることから、新たに個別の規定を設ける必要はないと考えております。
地域が指定管理者となっている施設の契約更新への配慮についてでございますけれども、指定管理者制度の運用に当たりましては、制度趣旨である市民サービスの向上と効率的な運営の実現を基本としております。その中で、地域のまちづくりに利用される施設の指定管理者の選定につきましては、自治基本条例の趣旨も踏まえ、前回の更新時に、地域団体との関連性や地域への貢献実績などを選定基準に盛り込んでおりまして、加点要素としておりますが、今後、その配点のあり方について検討していきたい、そのように考えております。
市政への市民参加の意味についてでございますが、市政への市民参加におきましては、パブリックコメントや審議会、ワークショップなどさまざまな形態で実施されておりますが、外国籍の方を初め、性別や年齢にかかわらず、さまざまな考え方を持った市民に参加していただくことは重要である、そのように考えております。
7点目ですが、平成15年当時のマニフェストの実現を今でも目指しているのかというご質問でございますが、住民投票条例に関しましては、公職選挙法の適用を受けないことから、他都市では独自に投票できる年齢要件を20歳未満に広げたり、外国籍の市民の方を対象にする例も見られておりますけれども、一方では、そもそも合憲性について問題点の指摘もあるので、制度の導入に当たりましては、市民議論を徹底するなど今後も慎重に検討しなければならないと考えております。
なお、現在、法律上では認められていない外国人の地方参政権につきましては、国内では賛否両論が分かれておりまして、今後もしっかり国民的な議論をしていく必要があると考えております。
8番目の公契約条例案と市民自治基本条例の整合性についてでございますが、公契約条例案につきましては、公契約に従事する者の適正な労働環境を確保する一方で、事業者につきましても地域社会を担う一員として健全に発展していただくことを目指しておりまして、このことにより、だれもが安心して働き、暮らすことのできる地域社会の実現に寄与するものであると信じております。このことは、地域社会の構成員がそれぞれの自分の役割を果たして協力しながらまちづくりを進めていく自治基本条例の理念と一致しているものと考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(三上洋右) 北原教育長。
◎教育長(北原敬文) 教育行政のあり方について、市長答弁以外の項目について、私からお答えをいたします。
1点目の教育行政の責務についてであります。
まず、札幌市の考える義務教育の目標及びそのための努力についてでありますが、札幌市におきましては、確かな学力と豊かな心、健やかな体を家庭や地域とともにはぐくむ義務教育の推進を目指しまして、札幌市教育推進計画のもと、具体的な施策の実行に努めているところでございます。
次に、札幌市の学力の把握と指導についてであります。
学力を観点ごとにきめ細かに評価し、一人一人の子どもの指導に生かすことにつきましては、これは国の方針でありまして、全国で行われていることでございます。札幌市では、そうした取り組みをより一層充実させるために、指導資料や学習教材の作成などの授業づくりへの支援や、ICT機器の充実、ボランティアの活用環境の整備など、各学校への支援に努めているところでございます。
2点目の教員の資質、指導力の向上についてであります。
まず、採用段階において求める人材についてでありますが、札幌市では、教育者としての強い使命感と子どもへの愛情にあふれた人物、加えて、子ども理解にすぐれ、教育の専門家として確かな力量のある人物を求め、道と共同開催をしております教員採用検査の工夫、改善に努めているところでございます。
次に、教員の資質向上の取り組みについてでありますが、教員の資質向上を図るために、国の教員研修の実施体系を踏まえ、教職経験5年ごとにすべての教員が受講する研修を位置づけるなど、さまざまな研修を体系的に整備し、教科等の指導力やコミュニケーション力など、より実践的な指導力の向上を図る内容について実施しております。今後は、これらの研修の一層の充実を図るとともに、日常の指導等に悩みや課題を抱いている教員への個別のサポートについてもきめ細かく対応してまいりたいと考えております。
次に、指導力の問題が解決しない教員への対応についてでありますが、指導力の問題の解決には、学校長の指導・助言や校内研修等の実施、加えて、ただいま申し上げました教員への個別サポート体制の中で改善を図っております。それでも改善が見られない場合は、法令に基づき、原則1年間、校外での指導改善研修を実施しております。この研修の結果、指導が改善し、学校に復帰した例もありますけれども、本研修を実施してもなお改善が見られない場合には、免職、その他の必要な措置を講ずることとなります。
3点目の子どもの習熟度を上げる取り組みの把握等についてであります。
まず、習熟度を上げる取り組みの把握の方法と札幌市教育施策への活用についてでありますが、各学校の取り組みにつきましては、学校が点検評価した成果や課題等をもとに、指導主事の学校訪問や校長との学校経営懇談などを通して随時把握しているところであります。また、他の自治体の取り組みにつきましては、各種発行物や各地の教育委員会関係者が集まる協議や情報交換の機会を通して把握しており、そうした情報を検討しながら札幌市の教育施策の参考にしております。
次に、保護者への情報提供についてでありますが、教育委員会といたしましては、学ぶ力の育成にかかわる研究推進校の実践等についてホームページで情報提供しております。また、各学校に対して、学ぶ力の育成に関しての具体的な取り組みを学校説明会、学校便り、ホームページ等で情報提供を行うよう指導しているところであります。
次に、学校間における学力の差に対する認識についてでありますが、教育委員会といたしましては、一人一人の子どもに日常的にきめ細かな指導と評価を進めることによって学ぶ力を身につけさせることが大切であると認識しておりまして、そうした取り組みを通してそれぞれの学校の実践力を高め、札幌市全体の学力の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、学校教育における数値目標の設定についてでありますが、札幌市では一人一人の子どもに応じた適切な教育を進め、生涯にわたってみずから学ぶ子どもの育成に努めております。そのような観点から、例えば、学校で好きな授業があるという子どもの割合について数値目標を掲げるなどしているところでありまして、今後とも、学校教育の充実に向けた適切な目標のあり方について検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
(伴 良隆議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(三上洋右) 伴議員。
◆伴良隆議員 ご答弁ありがとうございます。
まず、私の方からも、段々に再質問させていただきます。
まず、教育でありますが、今のお話では、各学校の取り組みを例示してくださいという私に質問に対して明確に答えていません。各学校の取り組みをさまざまに把握しているのだというふうに確信をしているのなら、日常の小テスト以外にも、標準学力検査や北海道教育文化協会のテストがあります。この経費は保護者から学校諸費の教材費として徴収していますが、各学校が標準学力検査をどこの業者に委託しているのか、学校諸費の未納率は幾つか、未納の場合にその分をどこから補てんしているのか、把握をしていますか。
それから次に、学力の差を埋めることについて、答弁は矛盾しておりまして納得できません。なぜなら、本市のどの事業も、他の政令市や自治体と比較して、その差をもとに適切な数値を出して受益者負担を求めているじゃないですか。なぜ、学力となると、ほかの政令市や自治体とその差を比較したり数値目標を定めたりしないのか、これを説明していただきたいと思います。
それから、数値目標について私が聞いているのは学力や体力のことでありまして、その目標がないなら、基礎学力や体力の結果が向上しないときの責任所在はどこにあるのか、今、ここではっきりとしてください。
次に、経済、都市経営のあり方についてであります。
市長のご答弁もございましたけれども、まず、申し上げますが、札幌駅前通地下歩行空間は、前の市長のときからの計画だったということはここで申し上げておきたいと思います。
私が聞きたいのは、ストック、いわゆる維持・補修や、福祉分野、あるいは環境分野もそうでありますが、こういった今のご時勢で必要に迫られてやっている施策を聞いているのではありません。札幌の特性はこうであるから、あるいは、産業構造はこうであるから、税収区分はこうであるから、だからこそ、私はここに公共投資を持ってきて税収を上げていくのだと、こういったビジョン、プランを示せるかどうかということを聞いているのです。それを打ち出す政治家の決断をしているのかどうか、リーダシップを発揮しているのかどうかと、この質問に対してお答えください。
それから、災害の廃棄物についてであります。
先ほどのご答弁からしますと、国の安全基準、つまり安全な移動手段や最終処分、こういったことが明らかにされていないからだとの答弁であります。
では、お聞きしますけれども、それが明らかにされたら災害廃棄物の受け入れを検討するという意味かどうか、お答えください。
それから、札幌に流入している食料品や、本市職員を被災地に派遣するときの安全の基準を本市は示していないのに、災害廃棄物については国の安全基準が明確でないからという理由では、一貫性がありません。一貫性を持った説明をしていただきたいと思います。
次に、公契約条例であります。
公契約条例は、今のご答弁からしますと、業界団体には配慮する、そして、誠意を尽くしていくといったお言葉を信じるしかないわけでありますが、一方で、期間については、期間は設けないで検討を重ねていくということでありますから、いまいち答弁が相反しているような感じがいたしますので、改めてお聞きしますが、業界団体の要望に応じる可能性が十分あるのかどうかということを明確にしてください。
そして、市有掲示板のことについてでありますが、先ほどのご答弁は、市民のとらえ方は人それぞれである、このようにおっしゃっていますので、市民のとらえ方によっては影響を受けている可能性がないとは言い切れないということでよろしいのか、お答えください。
それから、市民の目に触れる市役所などの市有掲示板についてでありますが、この答弁について、公平性はどうですかというふうに私は答弁を求めているのですが、明確に答えられていません。
それから、自治基本条例についてであります。
答弁に明確にされていないようで伺いますけれども、市長にお伺いします。
市長ご自身は、18歳以上、外国籍住民も参加できる常設型住民投票制度を制定するというこのマニフェスト、上田文雄の約束を今でも維持しているのか、それとも破棄したのか、それを教えてください。
そしてまた、答弁では、住民投票権については、合憲性についてもさまざまな問題があるとしているにもかかわらず、一方で、慎重に議論をしていくようにということで示唆をしています。これは、外国人に投票参加を認めることの余地があるということでとらえてよろしいでしょうか。
最後に、もう1点、再質問は、国家観と市政についてでありますが、先ほどるる市長の話がありました。私の方としてお聞きしたかったのは、そういうことではなくて、国家観について、日本国憲法の理念とかそういったものは当然のことなのです。そういったことを踏まえた上で、そしてまた、市長がいつも言われるような市民への思いというものはわかっています。私が聞きたいのは、市長の日本への思いはいかようなものなのかということを聞いているのです。愛国心とか郷土愛とか家族愛とか、そういったものというのは市長の姿勢のどこに見てとれるかということを聞いていますので、お答えになれるようでしたらお答えください。
以上です。
○議長(三上洋右) 上田市長。
◎市長(上田文雄) 都市の戦略としてどういう経済政策を持つのかということの再質問についてお答えをさせていただきます。
産業構造というのは、やはり、長い歴史をかけて、札幌という地理的条件、あるいは歴史的な条件、こういったものによって定まってきたといいますか、そういうものであるというふうに思います。ある時期には、やはり、この140年の歴史の中で、近代化の歴史の中で、札幌市に集中的に投資をしなければならないという公共事業があったというふうに思います。それは、本当に人口増加と、そして、GNPと言うのでしょうか、そういったものが上がってくるということを前提にいろいろやってきたものだというふうに思います。ところが、人口構造が変わっていく状況の中で、同じような方針はとれないという状況の中で、今までつくってきた経済対策と違うものをやはり持っていかなければならないというふうに私は考えております。
そんな中で、やっぱりソフト重視と、コンピューター用語でありますけれども、既にそういう言葉を使われておりますので用いさせていただきますが、ソフト、人間の頭の中で考えて、人間が行動していくことをどう活性化していくかということが非常に大事な要素になってくるというふうに思います。そんな意味で、例えば、創造都市というものを掲げ、そして、その具現化としての国際芸術展をやるとかというようなことで、クリエーティブな、創造的な人がこのまちに集まってきていろいろなことが考えられる、そういうことをやっていくことがこれからの新しい経済戦略でなければいけないだろう、そんなふうに思っております。
映画についてのコンテンツ特区というのが認可をされましたけれども、これも、やはり、映画というのは、ただ見て楽しむのではなくて、それをつくっていくことができる場を提供する、それをしやすいことによって映画産業というものがこのまちで発展する可能性があると。これも本当に創造都市の一つのフレームの中にあるというふうに思いますが、そういったものをしっかりやっていかなければいけないというふうに考えて、そういうものを呼びかけさせていただいて実践をしているところであります。
ハードについても、もちろん、駅前通地下歩行空間の計画はずっと前からございました。これは、地下鉄が開通した40年前からそういう議論があったのです。そういうふうに、長い間、あれを実現するときにも、なぜもっと昔にやらなかったのかというふうな議論があったぐらい、市民の議論がたくさんあってようやく実現した、そういうことでございます。だれがやったから偉いとか、偉くないとか、そういう手柄話ではなくて、やっぱり、札幌が今持っている実力をどう発揮するか、そういうことが大事なのだと私は考えますので、ぜひご理解をいただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、公共投資が必要な場面というのが必ずあるわけでありますので、これについてもしっかり議論をさせていただきたい、このように思っております。
それから、安全基準の問題でございますけれども、国が8,000ベクレルと言い、北海道が100ベクレルと言い、そういうばらつきのある議論がなされております。そして、国からの8,000ベクレルについてはずっとそのまま維持をされているところであります。私どもは、直接、環境大臣、内閣総理大臣、そこからご依頼を受けている、どうしますかというご依頼がございますので、私どもとしては、災害廃棄物についてはもちろんお受けする用意はございますよ、しかし、放射性廃棄物ということになりますと、これは問題があるということで、安全を確認させていただくということを申し上げているわけであります。そして、私どもが安全と言っているのは、この札幌において焼却施設の中で一般ごみが焼却されたときに、どういうふうにして焼却灰の放射性をカウントできるかと。13ベクレルから18ベクレルというのが出ているわけでありますので、私どもは、努力をしてもこれを減らすことはできません。ですから、焼却をした段階でこのレベルになる廃棄物であれば、我々はそれを受け入れないということにはならないと、そういう基準を申し上げているところでございます。そして、国に対しても、札幌市のそういう方針について4月4日付で回答させていただいておりますが、それ以降、何らのお話もございません。
それから、今、職員を山元町に派遣をしておりまして、どうなのだというお話でございますが、これは、廃棄物の処理の問題は全市民にいや応なしにかかわってくる問題だというふうに思いますけれども、職員は、ある意味で同意をいたしまして、そこでやりがいのある仕事をやるという非常に強い使命感を持ってそこに行っているわけでございます。もちろん、札幌市の空中線量と山元町における空中線量は違います。しかし、それを承知の上で、しっかりやってくるぞということで思いを語りながら頑張っているところでありますので、それとこれとを一緒にするわけにはいかぬ、このようにご答弁をさせていただきたいと思います。
次に、自治基本条例でございますが、18歳以上、外国人と。確かに、私は、平成15年に市長選に出馬させていただいた際にそのようなマニフェストを記載した記憶がございます。そして、自治基本条例を制定する際に、そのことをどう盛り込むかというようなことも、多くの市民の皆さん方と、また議会の皆さん方ともご議論をさせていただきながら、この精神といいますか、多くの方々が参加できる、人種だとか、性別だとか、あるいはいろいろなハンディだとか、そういったものを乗り越えて、このまちに住む人たちがどんな属性を持っていようと、自分たちのまちの中で暮らす、そのために生きやすい状況をつくっていくことに参加しやすいような、そんな仕組みをつくっていこうというのが自治基本条例の精神でございますし、私が平成15年に立起をさせていただいた際の思いもそのようなところにあるわけであります。
住民投票条例につきましても、議論があることは間違いなくありますけれども、その精神を具体化する際に多くの皆様方のご議論をいただき、さらに、もちろんのこと、市議会の皆様方のご承認がなければ、そのようなさまざまな議論があるところについて私の独断でできるわけでもございません。そんな意味で、議論の素材として非常に大事な部分でありますので、会派のご意思は地方参政権というところまで今お話が及んでおりますが、そのこととは別に、非権力的な、そういうものを定める場合に外国人が参加するということについては、これは問題ないのではないだろうかと、いろいろな場合が考えられるというようなことについても十分な議論をした上で考えを深めていきたい、こんなふうに思っております。
それから、国家観ですね。大事なことを忘れていました。
十分に愛国主義者でございまして、私は、もちろん兄弟も、親はもう亡くなってしまいましたけれども、家族が一番大事でありますし、みんな、家族も日本人でありますし、日本という国がやってきたこと、いいことも悪いこともいろいろあったわけでありまして、それを全部まとめて、私は日本という国を愛する。だからこそ、いろいろなことをこれまで申し上げ、そして、市政を預かるという立場からも、多くの市民の皆さんと一緒に、私が独断で間違いを起こさないように多くの議論をしていただきたいということを念じながら、市政をつかさどらせていただいているところでございます。ご批判はいろいろあろうかと思います。どうぞ、どんどんご批判をいただきまして、よりよいものをつくっていくということには柔軟に謙虚に努めてまいりたいと、私はこのように考えておりますので、その点についてご理解のほどをお願い申し上げたい、こんなふうに思います。ありがとうございました。
○議長(三上洋右) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 公契約条例の関係でございます。
モデル事業に当たって、いわゆる業界の要望を受け入れるのかというご趣旨だというふうに思います。今、協議機関の具体的なあり方につきましては、まさしく、今現在、協議を重ねているところでございます。先ほど来申し上げておりますように、双方の共通理解に立ってモデル事業を進めることが大切でございますので、要望に応じるのかどうかということに対する答えとしては、当然、業界からの要望にオープンにこたえていかなければ共通の認識に立ったモデル事業は進めることができないなと、そういう気持ちで今やっているところでございます。いずれにしても、誠心誠意、対応していきたいというふうに思っております。
それから、掲示板の話でございますけれども、もちろん市民の皆さんが掲示板に接する機会はあるわけでありますから、それによってこういう情報があるなというのはもちろん知るところとなるということでございます。しかし、そこで公契約条例の可否について直接的な影響があるのではないかということについては、直接的という意味でいきますと、それを見たからすぐ反対になるとか、そういうようなロジックではないだろうというふうに思います。ただ、それがゼロかというふうに言われると、ゼロの証明というのは非常に難しいと言わざるを得ないかなと思います。
それから、公平性のお話でありますけれども、何度も申し上げておりますように、この掲示板は、組合に対して目的外使用許可を与えているということでございますので、掲示物については、組合の内部的な行為として組合員への情報提供を行っているものでございまして、その範囲を逸脱しない限りにおいては問題ない、このように考えております。
○議長(三上洋右) 北原教育長。
◎教育長(北原敬文) 教育行政のあり方についての再質問を、私の方からお答えをさせていただきます。
まず、各校独自のテスト等の費用についてでございます。
これにつきましては、保護者に負担をお願いしているところでございますけれども、未納率等につきましては、手元に資料がございません。後ほど資料をお届けしたいと思います。
それから、学力の差のことについてでありますが、学力の差は、その要因がさまざまでありまして、予算等のように単純に比較することができるものではないというふうに認識しております。学ぶ力は、他と比較して差を埋めることではなく、それぞれの課題を克服して、それぞれのよさを生かしていくことが必要であります。そうした取り組みが全体を底上げしていく、結果的に全体として学力の向上につながっていくものだというふうに考えているところでございます。
最後に、学力向上の責任ということでありますが、子ども一人一人に学ぶ力を身につけさせることは、これはだれの責任かと。例えば、自分の子どもがテストで何点しかとれなかった、その責任はだれにあるのですかと言われてもなかなか答えづらいというところであります。
ただ、子ども一人一人に学ぶ力を身につけさせることにつきましては、教育委員会を初め、学校、家庭、地域、市民ぐるみで子どもたちの学ぶ力を身につけさせていく、この取り組みを進めていくということは、これは大人の責務でもありますし、そういう認識に立って教育委員会として努力を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上です。
(伴 良隆議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(三上洋右) 伴議員。
◆伴良隆議員 それでは、再々質問に参りたいと思います
教育の方でありますが、今、お話があったとおり、教材費について把握していないということであります。また、未納のところは、どこがどう補てんしているのか。それは、学校現場に丸投げということであります。実際の教育の中で、実際の成熟、あるいは教育の習熟度についても、この取り組みも同じように把握していない、学校に丸投げということと全く同じであります。私は、この標準テストにかかわる学校諸費の未納と補てんの問題、そしてまた、北海道教育文化協会が行っているテストの内容を含めて、今後、我が会派を通じて、各級議員と連携して議会で追及していきたいと思います。
それから、先ほど、学力が上がらないことについて、だれが責任を持つのかということは、いささかわからないというふうにおっしゃいますが、そういう教育長だから困るので、私は目標値を設けてくださいという話をしているのです。
それから、市長の都市経営についてでありますが、色とりどりお話がありましたけれども、もし端的にお答えになるのであればということでありますが、経済施策というのは、一つのパンをどうやってふやしてから分け与えるかということであります。ですから、一つのパンというものをただ分け与えていくのではないわけであります。どうやってパンをふやしていくかということについて、端的に答えられるのであったら答えてください。
それから、先ほどの災害の廃棄物のことについてでありますが、国の方に打診しているということでありますが、これは、我々の参議院議員長谷川 岳さんが環境大臣の細野さんに質問したところ、細野大臣が、上田市長に対しては、札幌市に対しては説明をしたい、理解を求めたいというふうにあったわけですけれども、そうしたら、札幌市の方は、その説明を聞く努力をこちらの方からアプローチしたのかどうか、それを最後にお伺いします。
それから、先ほど公契約条例のことについてでありますが、掲示板のことですけれども、確認ですが、掲示板については間接的には影響があるということでよろしいのかどうか、確認したいと思います。
それから、市有施設の公共物について、こういった使い方をしていることは公平性に欠けると私どもは思っておりますので、これを市長みずから認めているということは市民感覚からずれていると、我が会派は広く世に知らしめていきたいと思います。
それから、自治基本条例につきましては、マニフェストについては維持をしているということでございますし、一方で、自治基本条例ということでございますので、これはすべて一蓮托生だということでわかりましたので、この自治基本条例は市政の重大な決定に対して、その意思決定の参加対象を際限なく広げ、権利のみを助長するものであり、自由経済を制約しようとする公契約条例とともに我が会派は注意深く監視をしていきたいと思います。
そして、先ほどの国家観につきましては、私も聞きました。尊重したいと思います。
以上です。
○議長(三上洋右) 上田市長。
◎市長(上田文雄) 経済はパンをふやすことだというふうにお話がありました。確かに、そうだというふうに思います。やはり、北海道もそうでしたけれども、開拓といいますか、開発をしてきた過程というのがあるわけですから、公共事業は本当に国の補助金なりいろいろなものをもらいながらやってきたということがあります。そこで形成された経済の構造といいますか、そういうものがやはり色濃く残っているわけであります。そこからパンをふやすためには、そういう業界はもちろん大切ですよ、そういう事業ももちろん大切なのですけれども、新しい戦略を持って少し違うパンをつくっていく、しかも、それは
経済波及効果が非常に大きいものを、あるいは、付加価値が非常に高いというような産業を育てていくというのが私どもの戦略でございまして、それを先ほど来申し上げているところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
それから、細野大臣が長谷川 岳議員からいろいろ言われたというのは新聞で読んでおりますけれども、その後、私どもは、4月4日の回答書の中で、教えていただきたいと。札幌市が納得できると言ったらおかしいですけれども、これは事務レベルでしっかり環境局が議論させていただいているところでもありますので、それに対する回答はいまだいただいていないと、そういうことでございます。
○議長(三上洋右) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 間接的影響というものをどう考えればいいのかというのは難しいところですけれども、何もないわけではなくて、何かそこに文字が書いてあれば、これは、ないものに比較すれば確かに影響があると言えばあるぐらいかなというふうに思います。
○議長(三上洋右) よろしいですか。答弁漏れはないですか。いいですか。
北原教育長。
◎教育長(北原敬文) それでは、教育行政のあり方についての再々質問ということで、私の方からお答えをさせていただきます。
各学校独自のテスト等の費用についてですけれども、これについて、学校丸投げというふうにご指摘を受けましたけれども、保護者の負担をいただいていることについては確かですが、お答えさせていただいたのは、この未納率について資料が手元にないのでお答えが今できません、後ほど資料をということでお答えさせていただいたところですので、そのようにお受け取りをいただきたいというふうに思います。
それから、先ほどの学力の向上の責任についてでありますけれども、私のような発想をするから学力の向上を図られないのだというご指摘をいただきまして、謙虚に受けとめさせていただきたいとは思いますけれども、ただ、しかしながら、学力の向上については、先ほども申し上げましたけれども、さまざまな要因がございます。子どもが学ぶ力を伸ばしていくためにどういう要素が必要なのか。教える教師の指導力もありますし、教育施策の観点もありますし、子ども自身の気質の部分もございます。そういったことを含めてトータルで考えていったときに、実際にこの数値についてだれに責任があるのかということではなく、先ほど申し上げたように、教育委員会を初め、学校、家庭、地域が手を携えながら市民ぐるみで子どもたちの学ぶ力をしっかりと育てていくことが必要だということを申し上げたつもりでございます。
以上です。
○議長(三上洋右) ここで、およそ30分間休憩します。
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休 憩 午後3時15分
再 開 午後3時46分
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○副議長(大嶋薫) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
林 清治議員。
(林 清治議員登壇・拍手)
◆林清治議員 私は、民主党・市民連合議員会を代表し、当面する諸課題について、提言を含め、質問いたします。
最初に、財政問題について、2点伺います。
1点目は、2011年度の市税の収納対策と収入額の見込みについてです。
我が国経済の状況は、内閣府から4月に出された月例経済報告によると、景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直しているとされています。しかしながら、道内の景気動向は、日本銀行から4月に出された地域経済報告、いわゆるさくらレポートによると、景気は横ばい圏内で推移しているとされ、設備投資が全体として底がたく推移しているものの、公共投資は減少、個人消費、生産は横ばいと、全国と比べても低目の水準にとどまっています。このように道内景気は低迷しており、実感として厳しい状況が続いていることから、札幌市の歳入の根幹であります市税収入の確保が懸念されるところです。
そこで、1点目の質問ですが、このような経済状況の中、市税予算額の確保及び予算収入率の達成に向け、2011年度はどのような対策をとってきたのか、お伺いします。
また、その結果、2011年度における予算額及び予算収入率の達成見込みはそれぞれどうなのか、あわせて伺います。
2点目は、行財政改革推進プランの進め方についてです。
2012年度予算は、市長の3期目の最初の本格予算として、第3次札幌新
まちづくり計画の事業を積極的に盛り込むなど、施政方針さっぽろ元気ビジョン第3ステージの実現に向けて大きな一歩を踏み出す予算となりました。一方で、予算編成過程では、最終的な財源不足額が128億円に達したことから、行財政改革推進プランに沿った事務事業の見直しなどによって102億円の効果額を生み出すとともに、財政調整基金を26億円取り崩して解消したと承知しております。
この2012年度予算における見直し効果額102億円についてですが、行財政改革推進プランにおける2014年度までの3年間の効果額が520億円ということですので、これを単純に割り返しますと、進捗率は20%足らずとなり、プラン策定後、まだ1年目であることを考慮いたしましても、少々物足りなさを感じるところでございます。
札幌市の財政状況は、ことし1月に公表された中期財政見通しにおいて、2013年度から2015年度の各年度に92億円から202億円の財源不足が見込まれるなど、引き続き厳しい状況が続いている上に、東日本大震災の影響も加わり、国、地方を通じた税収の見込みは極めて不透明なものとなっております。こうした中にあっても、超高齢社会、人口減少社会への対応や厳しい地域経済への対策、さらには、大転換期を迎えているエネルギー政策への対応など、持続可能な財政運営を基本としながらも、山積する行政課題を解決しなければならないのであり、そのためにも、行財政改革推進プランを着実に推進し、財源を確保していくことが必要だと思います。
もちろん、こうしたプランの推進に当たっては、特に市民の皆さんに影響がある項目については、その検討状況や見直し内容など、市民の皆さんに対する早目の情報提供と丁寧な説明が不可欠であると考えます。
そこで、質問ですが、行財政改革推進プランの1年目の見直し効果額が102億円となったことに対する市長の認識と今後の進め方についての考えをお伺いします。
次は、まちづくり戦略ビジョンについて、2点お伺いします。
昨年度から今年度の2年間にわたって策定検討を実施していますまちづくり戦略ビジョンは、超高齢社会、人口減少というかつて経験したことのない時代を迎えるに当たって、札幌市が将来に向かってどのようなまちづくりに取り組むかの方向性を定める重要な計画であります。現在、国政レベルにおいても、エネルギー政策論議や社会保障と税の一体改革など、将来の我が国の進路を決める大きな議論がされています。このような社会の大転換期を迎えている中で、自治体としても、国の動きなどをとらえながら将来ビジョンを描いていくことは、タイミングの合った取り組みであると考えております。
我が会派としましても、まちづくり戦略ビジョンが将来を見据えた骨太のビジョンとなるよう、議会の場でも積極的に取り上げ、ビジョンの基本的考え方、検討方法、策定方針などや市民意見の反映などの議論をしてきたところでございます。
市長は、まちづくり戦略ビジョンの策定の特徴として、市民と一緒につくることを掲げ、さまざまな取り組みを実施してきました。このような取り組みにより、一人でも多くの市民の方々に将来のまちづくりに対する関心を持ってもらい、そこでの市民意見をビジョンに生かしていくということは、地域の自主的なまちづくりをさらに促進し、市民自治をさらに高度に進化させていくことにもつながるものであると考えております。
具体的な取り組みとして既に議会でも質疑していますが、昨年度は、1000人ワールドカフェを初めとして、さまざまな場面で今までとは違った市民参加手法を取り入れたことで、特に若い世代の参加が多く、市民の方からも市政に参加する実感を得た取り組みだったとの話も伺っています。また、1万人市民アンケートや、3カ月にわたって検討を重ねた市民会議、施策分野別ワークショップなど、さまざまな形で市民参加の機会を設け、市民意見をビジョンの内容に生かしていくという手法は、市民が主役の市政を進めながら、市民がつくる自治のまちを目指すという市長の方針を具現化したものであると評価するものであります。
一方、現在は、審議会での議論が進んでおり、基本目標の骨格が示され、検討されるとともに、今回の計画の大きな特徴となる選択と集中のための重点戦略についても、審議会に地域コミュニティ部会、経済・雇用部会、都市構造部会の三つの専門部会を設置して重点戦略の検討をしていると聞いています。現在の議論の中では、重点的に取り組む課題として、地域、経済、環境の三つの分野で検討が進められ、つながりと支え合いによる安心で魅力ある地域づくり、創造性を生かした産業群の形成、持続可能な都市を構築するスマート札幌の推進という三つのテーマが重点戦略の柱として上げられており、今後10年後の将来を見据えると、札幌市が魅力あふれるまちであり続けるためには、どれも重要な課題であると言えます。
そこで、質問ですが、現在、審議会で検討されている地域、経済、環境という三つの重点テーマが、なぜ、これからの都市運営において重点戦略として位置づけられることとなるのか、市長のお考えをお伺いします。
また、まちづくり戦略ビジョンでは、目指すべき都市像を見据えて、これまでになかった課題や重点的な取り組みの方向性が打ち出されることが想定されます。一方、第3次札幌新
まちづくり計画が昨年12月に策定され、この計画に基づいてさまざまな施策展開がされているところです。第3次札幌新
まちづくり計画に掲げられた五つの政策目標による計画事業の実施によって、安心で活力あふれるまちを実現することは最優先されるべきと考えますが、市長が掲げている市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街を実現するためには、新たな理念や方向性についても積極的に取り入れることが望まれると考えております。
そこで、質問ですが、今後、まちづくり戦略ビジョンの中で提示される新たな課題や取り組みについては、具体化に向けた検討をスピード感を持って進めてほしいと考えておりますが、今後どのように施策展開をされようとしているのか、具体的なお考えをお伺いします。
次に、札幌市自治基本条例について、2点お伺いします。
1点目は、札幌市自治基本条例第32条に基づく条例の見直し等についてであります。
自治基本条例が2007年4月に施行されて以降、札幌市のまちづくりの根幹は、市民が主役のまちづくりを基本理念として、札幌市の各事業において、情報共有、市民参加の取り組みが積極的に進められています。このことは、上田市長が、1期目以降、政策の基本として位置づけ、取り組んできたことであります。条例制定後も、市長が、直接、市民と意見交換する市長とおしゃべりしませんかと、2010年度まではタウントークの名称だったふらっとホームは68回、約4,700人の市民が出席、市職員が出向く出前講座の開催は2,453回、約12万4,000人の参加がありました。そのほかにも市民参加のワークショップなど、市民自治推進に向けて多くの取り組みを実施しています。これらの事業は、市がどの程度実施できたかという実績も重要でありますが、多くの市民に市民自治によるまちづくりが実感できたかということも重要であります。この両面で検証していくことが必要であると考えております。
この条例は、札幌市のまちづくりの根本的な規範であり、多くの市民が共感を持てるものであるべきと思います。市民自治の取り組みは、市民と札幌市が一緒になってこの条例の理念に基づくまちづくりの実践を積み重ねていくものであり、このような過程により進化していくものであると考えます。条例第32条には、「5年を超えない期間ごとに、市民の意見を聴いたうえで、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて見直し等の必要な措置を講ずる」と規定しています。この条文を踏まえ、施行後5年目を迎え、条例に課題が生じていないか、検討を加えていくことは、極めて意義のあることと考えております。
このことから、市民自治によるまちづくり施策等の評価にあわせて、条例施行後、初めてとなる条例の見直し等が行われることとなり、札幌市は、学識経験者や地域のまちづくり活動団体の代表者、公募委員から構成される市民自治推進会議を設置し、同会議がことし3月に提出した最終報告書によると、条例の見直し等に関しては、当分は個々の条文改正は必要ないとしています。
そこで、質問です。
今回の市民自治推進会議の最終報告にある条例の見直し等の検討結果についてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
2点目の質問は、札幌市自治基本条例第31条に基づく、市民自治によるまちづくりの施策等の取り組みの強化についてであります。
市民自治に関する施策等の状況を評価し、課題等を検討することは、市民自治を色あせないようにするためにも重要なことであります。条例第31条には、市は、市民自治によるまちづくりに関する施策等が条例の趣旨に沿って整備、運用されているかを評価し、必要な見直しを行うための仕組みを整備しなければならないと規定しています。このことから、市民自治推進会議は、各施策などを検証した上で、1点目は市民自治の意識醸成、2点目は中長期計画や財政運営における市民参加の拡充、3点目として市民参加の取り組みの強化、4点目として地域のまちづくり活動従事者に対する情報提供の強化、5点目として区民協議会等に関する情報発信の強化、最後に、6点目としてまちづくりセンター自主運営化のメリット、課題などの情報提供など、六つの方向性を報告書の中で示しています。
私は、札幌市が推進してきた施策は市民が主役のまちづくりを理念として取り組まれており、そのことにより市民自治の意識も定着しつつあると考えております。その一方で、条例施行5年を経過し、新たな節目を迎えた今、より市民自治を加速させるために、今回の提言は極めて重要な事柄を示唆しているのではないかと考えています。
そこで、質問ですが、昨年度の市民自治推進会議が提出した報告書及びその中の提言を受けて、札幌市は、より一層、市民自治の取り組みの強化に努めていくべきと考えますが、市長はどのように進めていくおつもりか、お伺いいたします。
次に、環境産業の創出について、2点伺います。
1点目は、環境産業創出に向けた基本的な考え方についてです。
2010年6月に策定された政府の新成長戦略では、我が国の強みを生かす成長分野として環境・エネルギー分野が掲げられ、2020年までに50兆円を超える環境関連新規市場を創出することが目標とされています。
そうした中で、昨年3月11日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故は、私たちの暮らしや我が国の産業に大きな影響を及ぼすとともに、エネルギーに対する関心がにわかに高まり、国においては、エネルギー政策の見直しが急ピッチで進められているところです。また、環境省が全国1万1,000社余りを対象に昨年12月に実施した環境ビジネスに焦点を当てた経済動向調査によりますと、我が国の環境ビジネスについては、多くの企業が今後の発展を見込んでいるとの結果が出ています。特に、再生可能エネルギーやスマートグリッド、蓄電池等のエネルギー関連産業が有望であるととらえております。大震災の逆境をむしろばねにして、ピンチをチャンスに変えて成長戦略を築いていこうとする企業の意欲があらわれていると考えます。
北海道では、ことし3月に北海道環境産業振興戦略を策定し、多様なエネルギー資源や豊かな自然に根差した1次産業など、本道の優位性や特性を生かし、環境産業を経済活性化に向けた推進エンジンの一つとして育成、振興を図っていこうとしています。本市におきましても、2011年1月に策定した札幌市
産業振興ビジョンでは、本市経済の成長を牽引する重点分野の一つに環境を掲げ、北海道、札幌市の強みを生かした環境関連産業の創出や、省エネルギー・新エネルギーの研究開発、導入の促進及び人材育成の取り組みを進めていくこととしています。また、当該ビジョンのアクションプランとして、ことし1月に策定された札幌型ものづくり振興戦略においても、環境・エネルギー分野におけるものづくり産業の支援が掲げられているところです。
そこで、1点目の質問ですが、本市では、今年度から、新規事業として、市内の大学や試験研究機関と連携して、本市の特色を生かした環境産業の創出に取り組むこととしておりますが、環境産業の創出に向けた基本的な考え方についてお伺いいたします。
質問の2点目は、大学等の研究成果の事業化に向けた取り組みについてです。
先月、行政視察で富山市を訪問した我が会派の経済委員会委員から、興味深い報告がありました。報告によりますと、富山市では、中小企業の新製品・新技術開発を促進するため、富山大学と連携し、同大学が所有する最新鋭の各種分析機器等を低廉な金額で利用できる仕組みをつくっているとのことです。中小企業単独では導入できないような最新鋭の機器を地元企業が利用できる環境をつくることで、企業の技術力の底上げや新製品・新技術開発を支援するとともに、大学側にとってもさまざまな企業と接点を持つことのできる機会となっており、研究成果の事業化に向けたマッチングの促進にもつながっていると聞き及んでいます。敷居が高いと思われがちな大学を身近に感じることで、産学官連携を促進させる工夫が見られます。
本市におきましても、バイオ分野では、北大を中心とした札幌バイオクラスター構想、Bio−Sなど、市内に集積する大学や試験研究機関と企業が連携し、一定の成果を上げてきておりますが、製造業分野での産学官連携の成果がなかなか外にあらわれてきていないのが現状であると感じております。本市に限らず、北海道には、中央依存体質や支店経済都市といった意識が払拭できずに、地域や企業がお互いの得意分野を持ち寄り、知恵を出し合って新しい技術や製品をつくり出すという経験が少ないと感じています。そのことが産学官連携をスムーズに進めることができず、北海道産業がなかなか発達しない根本的な原因になっているのではないかと考えます。3.11以降、価値観の転換を含めた新しい社会システムを構築していくには、これまで以上に、大学などの英知と企業の高い技術力を生かす産学官連携が大きなかぎを握っていると考えます。特に、低炭素社会や循環型社会などの実現に大きく貢献する環境産業の創出は、時代が求めているものであり、スピード感を持って取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、質問です。
大学試験研究機関の先進的な研究成果をどのように事業化に結びつけていこうと考えているのか、お伺いします。
次に、行政における保健師の役割について、2点お伺いします。
ことしの1月に、釧路市で高齢者のご夫婦が自宅で亡くなり、発見されるという痛ましい事件がありました。これは、妻の病死後に、認知症の夫が取り残されて凍死したということです。同様の事例が札幌市や全国でも相次いで起きたことを受けて、札幌市を初め、北海道内の各市町村において障がい者の実態調査が行われました。この実態調査により、釧路市では、ひとり暮らしの知的障がいを持つ40代女性が保健師の訪問により無事に保護され、孤立死を未然に防ぐことができました。超高齢社会の到来が目前に迫り、地域における人と人のきずなも希薄化する中で、痛ましい事例を二度と繰り返さないためにも、市民による見守り活動や、地域に密着した行政支援などを一層充実する必要があると考えております。
さらに、時代の大きな変化に伴い、育児不安や児童虐待、ドメスティックバイオレンスの増加、うつ病や自殺者の増加、認知症の予防など家族や社会が抱える健康問題も多様化し、複雑、困難なものとなっています。また、市民の健康づくり、健康増進を図る健康さっぽろ21は最終評価の年を迎えておりますが、未成年者の飲酒、喫煙、薬物等の問題、人工妊娠中絶や性感染症の罹患、さらに、成人期においてはメタボリックシンドロームの増加等、すべての世代を通じて健康をめぐる課題は山積しております。このような現状だからこそ、市民の健康を守り、支える保健師には、より一層、専門性を発揮してほしいと思っております。
しかし、2010年度の厚生労働省の調査によりますと、札幌市の保健師1人当たりの担当人口は1万人を超え、政令市平均の7,380人を大きく上回るなど、保健師の配置数は最も少ない状況にあります。
我が会派では、かねてより保健師を充足することが必要と主張しておりましたが、来年度の保健師採用予定数は過去最高の20名程度ということであり、札幌市の姿勢が示されたものと評価しているところです。今後、保健師の増員が図られれば、よりきめ細やかな地域での保健福祉活動が行えるものと思います。
そこで、1点目の質問ですが、2013年度に保健師採用数をふやすということは、保健師の活動に期待するものが大きいからと推察するところであります。今後、保健師にどのような役割を期待しているのか、市長のお考えをお伺いいたします。
2点目の質問は、保健師を活用していく上での体制の整備についてです。
保健師は、区役所の保健福祉課と健康・子ども課の両課に分かれて配置されており、市民の立場から見ると、どの課の保健師に相談したらよいのか、わかりづらいように思います。本年4月には、保健師のまちづくりセンター所長が誕生し、市民の生活の場に一番近いところでその専門性を発揮できるようになりました。市民にとって、保健師がより身近な存在となったのではないでしょうか。保健師をまちづくりセンター所長へ登用することは、長年の課題であり、今やっと実現したという思いはありますが、保健福祉の観点も加えた地域のまちづくりや市民とともに行う健康づくり活動などが一層推進されていくものと期待しているところであります。
しかし、保健師のまちづくりセンター所長1人ではできることも限られていますので、区役所の保健福祉部、市民部と連携を図りながら、全市モデルとなるような活動を実践してほしいと思っております。また、まちづくりセンターを保健師が定期的に巡回し、市民相談や健康づくりの支援をする仕組みも求められていますが、区保健福祉部に配置されている保健師の体制整備も、同時に大変重要なことと考えております。
そこで、質問ですが、より効果的・効率的に行政の保健師を活用していくには、組織的な仕組みづくりと区役所の体制整備も重要と考えますが、どのように体制整備を進めようとお考えか、お伺いいたします。
次に、子ども・子育て施策について、2点伺います。
1点目は、今後の待機児童対策についてです。
現在、札幌市では、第3次札幌新
まちづくり計画に基づき、2014年度末までに保育所定員4,000人増に向けて保育所整備を進めています。この計画に基づき、昨年度の保育所整備の実績は、
政令指定都市移行後、最大となる1,190人の定員増を確保しましたが、2012年4月1日現在の待機児童数は1,389人を数え、依然として増加傾向が続いています。その中でも、特に3歳未満児は全体の7割近くを占めている状況です。この待機児童増加の要因として、札幌市は、経済状況の悪化に伴う就業希望世帯の増加や、保育所整備による新たな需要の喚起などが考えられると分析していますが、依然として景気回復が見込めない先行き不透明な状況から、今後、計画策定時の想定以上に待機児童が増加する可能性があると懸念しています。
このような状況ではありますが、昨年6月、NPO法人エガリテ大手前が政令市と中核市の56市が策定した次世代育成支援行動計画前期の進捗状況を検証したやる気と実績ランキングを公表し、札幌市は8位と上位に位置づけられました。私は、これまでの保育所の定員増はもとより、昨年度から取り組んでいる家庭的保育や事業所内保育への支援、そして、今年度から実施する幼稚園預かり保育の充実と、一定の質が確保された認可外保育施設の運営を支援するなど、多様な保育ニーズに対応した保育サービスを提供するための施策を強力に展開することにより、市長が掲げている子育て日本一も、近い将来に実現することも可能だと考えています。
先日、我が会派で視察した静岡市では、3歳未満児を対象に、希望する認可保育所に入れるまでの間、一時的に入所できる待機児童園を設置し、年度途中の育児休業明けなどでも保育サービスを受け入れやすくする工夫がされていました。札幌市内でも、育児休業を終えて職場に復帰するにも、年度途中の保育所入所が困難なため、4月に合わせて育児休業期間を切り上げる保護者もいると聞いています。これ以上、待機児童をふやさないためには、このような現状をしっかり踏まえながら、柔軟かつ積極的な対応が求められていると考えます。
そこで、質問ですが、待機児童対策について、第3次新
まちづくり計画の見直し、また補正予算による対応など、今後の取り組みについてお伺いいたします。
2点目の質問は、子ども・子育て新システムについてです。
現在、国において関連法案が審議されている子ども・子育て新システムは、すべての子どもの良質な生育環境を保障することにより、子どもや子育て家庭を社会全体で支援することを目的としており、関連制度及び財源を一元化することで新しい仕組みを構築し、質の高い学校教育と保育の一体的な提供、保育の量的拡充、家庭における養育支援の充実を図るとしています。また、この制度を進めていくことにより、だれもが安心して子どもを産み育てられる社会を実現し、女性の社会進出の促進と少子化問題の改善を図り、今後の経済成長につなげていくことが示されています。
子ども・子育て新システムが目指すところは、札幌市が進める、未来を担う子どもたちを社会全体で支えていく、また、一人の子どもが生まれ成長する過程を総合的に支援していくという方向性と共通するものと考えます。この制度の本格実施に当たっては、市民の理解と協力が不可欠であり、特に保護者を初めとする関係者にとって大きな関心事であることから、十分な周知と準備期間が必要だと考えます。
しかし、制度実施に伴う恒久的財源の確保や制度の詳細な検討など、引き続き、国と地方が協議しなければならない課題も多いことから、これらを早期に解決し、具体の準備や周知を行わなければならないものと考えます。
そこで、質問ですが、子ども・子育て新システムを円滑に施行していくには、札幌市として今後どのように対応していくのか、お伺いいたします。
次に、障がい児の通所サービスにおける療育の充実についてお伺いします。
障がい児の健やかな成長を図っていくためには、日々、周囲の温かい援助を受けながら、着実に成功体験を積み重ねていくことが重要と言われており、集団生活への適応のための訓練や基本的な動作の指導などを通して、一人一人の適切な発達を促す療育の場の量的、質的な充実が不可欠であると考えられます。
こうした療育の場である障がい児の通所サービスについては、本年4月の改正児童福祉法等の施行により、サービス体系が大幅に見直されました。具体的には、これまでの障害者自立支援法に基づく児童デイサービスや、児童福祉法に基づく知的障がい児通園施設、肢体不自由児通園施設等は、児童福祉法のもと、障がいの種別による区分をなくし、年齢に応じた専門的な支援が提供されるよう、基本的に乳幼児を支援する児童発達支援と学齢児を支援する放課後等デイサービスに再編されるとともに、児童発達支援に関しては、地域の中核的な療育支援施設と位置づけられる児童発達支援センターが設けられることとなりました。また、これにあわせて、障がい児の通う保育所等に訪問支援員が出向いて必要な訓練などを行う保育所等訪問支援という新サービスも創設されたところとなっております。
一方、我が会派において、さきの第1回定例市議会予算特別委員会において指摘をしておりますが、児童発達支援と放課後等デイサービスについて、現在、市内に150カ所を超える事業所が指定を受けているものの、そこで展開されている療育の手法は決して一様ではなく、療育の場というよりも、むしろ保護者のレスパイトを目的とした、いわゆる預かりを行っているところも少なからずあると聞いております。また、札幌市が実施した実態調査においても、事業所の抱える課題として、他事業所を初め、関係機関との情報交換や連携不足が挙げられており、確かに事業所の量的整備は進んでおりますが、学校など関係機関との情報共有を図る場面が不足していることで、障がい児一人一人の特性に合わせた個別的な支援が十分に提供できない状況となっていることがうかがわれます。
このたび、法改正によって、障がい児の療育体制のさらなる充実に向けて制度面の環境整備が進められたわけですから、これを最大限活用し、障がい児一人一人の障がい特性や成長に応じた適切かつ一貫した支援を提供することができるよう、児童発達支援を初めとする関係機関が相互に連携したしっかりとした体制をつくっていくことが重要な課題となっています。地域で療育を進めていくには、例えば、新たな児童発達支援センターがそれぞれ担当地域を持ち、その地域ごとに他の児童発達支援事業所への指導や研修等のバックアップを行うような仕組みづくりも効果的と考えられます。
そこで、質問ですが、札幌市として、今後、障がい児の通所サービスによる療育についてどのような体制を構築していく考えなのか、また、児童発達支援センターを含む体制のあり方を札幌市としてもできるだけ早い時期に示し、事業所を初めとする関係機関の理解と協力を得ていく必要があると考えられますが、どのように検討を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。
次に、節電対策について、2点お伺いいたします。
1点目は、節電の取り組みに対する基本的な考えについてです。
福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー・環境政策を大きく転換させるものになりました。昨年12月に開催された政府のエネルギー・環境会議では、これまでの政策を白紙から見直し、原発の依存度の低減を目指しながら、エネルギーのベストミックスと温暖化対策について新たな視点での検討が必要との考え方を示しました。我が国の原子力発電が占める割合は、2010年度で総発電量の約3割を占めていましたが、5月5日に泊原子力発電所3号機が停止したことで、国内のすべての原発が停止しております。このことによる電力不足の影響は、幸いにも、現時点では大きな混乱は起きていませんが、電力需要がふえる夏を迎え、政府は正式に節電対策を決定しました。
これを受けて、北海道電力では、一昨年の猛暑の場合を想定し、予備力を含めて7%の節電を道民や企業に要請するなど、道内でも本格的な節電に取り組まなければならない状況にあります。今回の場合は、昨年、東北電力、東京電力管内で発令した電力使用制限令など強制的な対応を求められてはいないものの、道民や企業にとって節電努力が求められ、加えて、老朽火力発電所がフル稼働している中で、計画外の緊急停止も想定され、不安な状況にあります。一方では、道内での夏の節電は、想像以上に難しいとの指摘もあります。本州などに比べて夏場も涼しい道内では、エアコンの普及台数も少なく、冷房の設定温度を高目にするといった節電だけでは大きな効果は期待できないというものであります。
しかし、泊原発がすべて停止した中でことしの夏を乗り切るためには、私たち自身の暮らしを見詰め直しながら、エネルギー消費のベースを下げる努力を追い求めていかなければなりません。安全と利便性、経済性、環境問題、エネルギーセキュリティーを同時に達成し、安定した電力供給体制をいかに構築していくか、真剣に考え、取り組んでいく機会であると考えます。市役所・市民・事業者が協力して節電と省エネに知恵を絞ろうとする経験は、将来への財産となるはずです。そのためには、ことしの夏の節電要請について、正確な情報に基づき、しっかりとした対策を行うことが必要です。既に実務者レベルでは実施されていると聞いていますが、関係機関である北海道庁や北海道電力としっかりと情報共有し、それを広く市民に周知していくことが重要であります。
札幌市では、ことしの夏に向けて全庁的な札幌市電力緊急対策本部会議を開催し、2010年度の夏の最大需要電力と比較して9.7%、緊急対応を含めると13.3%の高い削減目標が報告されました。
そこで、1点目の質問ですが、市有施設での節電による削減目標が、要請されている7%を大幅に上回っていますが、市有施設における節電の取り組みの基本的な考え方についてお伺いいたします。
質問の2点目は、家庭の節電を推進する取り組みについてです。
札幌市内の電力需要は、約4割が家庭で6割が業務となっています。業務部門に関しては、多くの企業がこれまで省エネや節電の取り組みを行ってきており、今後の取り組みにはおのずと限界があり、家庭における電力需要をどれぐらい減らしていくことができるのかが重要であります。その結果によっては、この夏の節電対応のみならず、今後の原子力発電に依存しない社会の実現の工程にも影響してくるものではないでしょうか。
昨年、札幌市が実施した節電キャンペーンでは、夏場のモニター世帯で平均約13%の節電を達成したとの報告がありました。これは、節電意識の高い家庭が相当努力した結果であり、すべての家庭が達成できるとは思っていませんが、まだまだ家庭部門での電力削減の可能性があることを示しているものと思います。また、市民などが太陽光発電や省エネ機器を導入する際に支援を行う札幌・エネルギーecoプロジェクトは、これまでも大変好評であり、多くの市民が申し込まれており、昨年度も当選倍率は約1.5倍に及んだとのことです。今年度も、先日終了した1回目の募集では、予算を増額したにもかかわらず、それを大幅に超える1.6倍もの申し込みがあり、市民の環境に対する関心の高さがうかがえます。また、6月1日から開始した札幌LED推進キャンペーン事業も好調にスタートしたと聞いております。このような環境に対する高い意識を持っている札幌市民の思いをしっかりと受けとめ、市民力を発揮してもらうためには、導入支援とともに、札幌市は、家庭の節電の具体的な取り組み方法などきめ細やかな情報提供や、家庭での節電効果を日常的に確認できる機器を利用した見える化の促進などが求められていると考えます。
我が会派では、ことし4月に横浜市を視察し、低炭素都市の実現を目指したスマートシティプロジェクトの取り組みについて調査してまいりました。その中では、住宅内のエネルギー消費機器の稼働状況や消費状況を監視できるホームエネルギーマネジメントシステムを導入している家庭では、電力消費量が約20%削減しているとの説明を受け、その効果の大きさに驚きを感じました。こうした他都市の事例なども参考にし、今後も市民が取り組みやすい環境の整備を進めていく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、この夏の家庭における節電を推進するため、札幌市としてどのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。
最後の質問は、雪対策について、ダンプトラック確保の観点から2点お伺いいたします。
公共工事の縮減や長引く景気の低迷などの影響から、ダンプトラックを保有する運送事業者にとって厳しい経営状況が続いており、年々、保有台数を減少せざるを得ない状況となっております。また、未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から1年が過ぎ、大幅におくれていた復旧や復興工事もいよいよ本格化の時期を迎えております。政府の当初の見通しでは10カ年で復興を目指すとしておりましたが、復興工事の発注が出おくれているとともに、専門家の間では復興の規模が10カ年で終えられるスケールではないとの指摘もあり、今後、10年以上の期間を要することも十分想定される状況です。
また、東北地方の技能者や運転手などについては深刻な不足状態が続いており、賃金が大幅に上昇するとともに、不採算を懸念した入札不調も多発するといった事態が発生していることも報道されております。このため、技能者や運転手などの人材や、ダンプトラックを含めた機材の確保に関しては、北海道への期待が非常に高く、今後の東北地方への流出が避けられないとの見方が強まっており、札幌市におけるダンプトラックの確保については、これまで以上に厳しい状況が長期間にわたり続くことが想定されます。
一方、札幌市における除排雪事業に目を向けると、冬の市民生活に欠くことのできない制度となっているパートナーシップ排雪については、1992年度の本格実施より20年が経過しておりますが、生活道路全体の6割を超える約2,300キロメートルで利用され、実施町内会はさらに増加しております。
また、排雪実施の日程については、早い雪解けが期待できることから、2月中旬を望む町内会が多く、施工が集中する傾向となっておりますが、過度の集中やダンプトラックの減少などにも対応できるよう、2006年度より札幌市によって日程調整が行われております。しかし、中には、日程の調整や変更が難航するような町内会もあり、場合によっては、半日だけで作業が終わり、残り半日は施工できないといったような非効率的なケースもあると聞いております。このような場合には、より効率的な作業を進める観点から、作業時間が短い町内会を幾つか集約し、ダンプトラックがむだなく効率的に活用できるような工夫が必要であると考えております。
パートナーシップ排雪は、冬期間の地域の生活環境向上のために、市民・企業・行政の3者による協働の理念をもとにスタートした制度です。今後、より一層、ダンプトラックの確保が難しくなっていくような状況を考えますと、安定的な制度の継続のため、より積極的に市民に協力を求めていくことも必要ではないでしょうか。
そこで、1点目の質問でありますが、札幌市の雪対策を取り巻く環境が厳しさを増す中で、パートナーシップ排雪を効率的に進めていくために、施工時間が短い町内会などについては、札幌市が主体となり、施工の効率性を重視した日程調整が可能となるよう協力を求めていくべきと考えますがいかがか、伺います。
次に、ダンプトラックの確保に向けた積算についてであります。
冬期間に必要なダンプトラックを確保することについては、先ほども述べたとおり、今後も厳しさを増すことが想定されます。冬期間の経済活動や市民生活に影響を与えないためにも、除排雪事業は必要な期間に十分な機材や人員を確保しなければならない宿命を負っております。とりわけ排雪作業に必要となるダンプトラックを安定的に確保することは極めて重要な問題であることから、かねてより、我が会派としても、重要課題としてあらゆる機会をとらえて主張してきております。また、我が会派では、除雪事業者や運送事業者からさまざまな声を聞いており、取り組むべき課題が多いと再認識しているところです。
例えば、札幌市の除排雪事業では、1シーズンに4,000台前後のダンプトラックが従事しておりますが、札幌管内だけでは賄い切れず、遠く帯広や旭川などからも500台から600台程度の応援を仰いでいる状況にあります。このようなケースでは、除雪事業者は、宿舎を確保するなど、滞在に必要な経費を追加的に負担しなければならない状況であると聞いております。また、雪たい積場が混雑しているような現場では、ダンプトラックの運搬効率が低下するため、特に運搬距離が極端に短い場合に、1台当たりの運搬費が札幌市の積算と合わないといった声があり、その分、除雪事業者の負担となっているとも聞いております。
札幌市の除排雪事業は、年間100億円を超す大規模な事業であり、近年の公共事業の減少から、除雪事業者や運送事業者にとっては欠かすことのできない事業でありますが、一方で、ダンプトラックに関する現在の積算体系を続けた場合、ダンプトラック確保の困難さに拍車をかけ、除排雪作業そのものができなくなるなど、市民生活に与える影響も大きいものと懸念されるところであります。
そこで、2点目の質問でありますが、今後も必要なダンプトラックを安定的に確保していく観点から、積算上、より実態を反映するよう努めるべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
以上で、私の質問のすべてを終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(大嶋薫) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 9項目のご質問をいただきました。私からは、財政問題とまちづくり戦略ビジョン、そして節電対策についてお答えをさせていただき、その余は担当副市長から答弁をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、財政問題についてでございますが、2011年度の市税の収納対策と収入見込みについてということでございます。
まず、収納対策についてでございますが、市税事務所移行後の取り組みとして行っております滞納段階別に専門のパート、班というものをつくりまして、これが担当いたします機能分担型滞納整理というものを充実強化するとともに、通年実施をさせていただいたところでございます。また、コンビニエンスストアで収納できる税目というものを、従来の軽自動車税に加えまして、市・道民税の普通徴収分及び固定資産税、都市計画税に拡大いたしまして、納税の利便性というものを向上させたということが挙げられます。さらに、民間委託によりまして、電話で市税の納付呼びかけというものを行います納税お知らせセンターで取り扱う対象案件を見直しいたしまして、初期段階の滞納整理を一層効率化したということが挙げられます。
これらの取り組み等の結果、多くの納税者、市民のご協力を得まして、2011年度、平成23年度の予算額でございます2,754億円を確保できる見込みでございまして、予算収入率は94.8%を想定、目標にしておりましたけれども、これも達成できる見通しとなったところでございます。
次に、行財政改革プランの進め方についてというご質問でございまして、平成24年度予算における見直し効果額102億円の内訳についてでありますが、これは、土地の売り払いや基金の取り崩しといった効果が単年度限りのもののほかに、人件費の見直しや事業執行方法の工夫といったように、効果が将来にわたって持続いたしますものが102億円の中に36億円含まれているものであります。行財政改革プランにおいて見込んでおります効果額は520億円で、これは3年間の累計額として整理をしているものでありまして、この効果額36億円を含めて、今後もこうした持続可能な取り組みによりまして一層進めていくことを考え合わせますと、1年目の見直し効果額102億円は決して少なくない数字であるというふうに認識をいたしているところでございます。
今後も、不透明な経済状況の中にあるわけでありますけれども、新たな行政課題に的確に対応していくために、議会議論や市民議論を丁寧かつ迅速に行うなど、透明性を保ちつつ、プランに上げながらまだ実施をしていない項目につきまして着実に進めていくということで、将来に向けた財源の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
2点目に、まちづくり戦略ビジョンについてご質問をいただきました。
ビジョンの柱となる重点戦略についてでありますが、札幌市の人口は、市制施行以来、増加の一途をたどっているわけでありますが、直近の人口推計によりますと、平成27年をピークに減少に転じるということが予想されております。こうした中で、今回のまちづくり戦略ビジョンは、札幌市の総合計画としては、初めて人口減少局面で策定をされるという長期計画でございます。10年後の札幌における人口の構造は急激に変化をいたしまして、現在と比較いたしますと、年少人口は10%以上減少するということとともに、単身の高齢者世帯は30%以上増加するというふうに予想されておりますことから、これまで以上に、人のつながりによって安心して暮らせる、そんな地域づくりというものが求められている、このように考えるわけであります。
また、生産年齢人口の減少に伴いまして、市内の総生産など経済規模の縮小、減少といったことが予想される中で、北海道経済全体の活性化というものを見据えながら、足腰の強い経済基盤の確立が急務となっているところであります。さらに、東日本大震災を契機といたしまして、原発に依存しない社会の実現に向けまして、再生可能エネルギーの普及や、あるいは自立分散型のエネルギーシステムの導入を進めるとともに、これらの環境産業の創出にも取り組むなど、環境・エネルギー施策をまちづくりの中核に位置づけるということも重要な視点である、このように考えております。
こうしたことから、現在、まちづくり戦略ビジョンの審議会におきましては、地域、経済、環境、この三つのテーマが今後のまちづくりにおける重点課題だというふうに位置づけをされまして、鋭意検討がされているもの、このように考えております。
そこで、ビジョンで検討されている課題への対応についてでありますが、まちづくり戦略ビジョンにつきましては、現在のところ、審議会から9月には答申をいただき、その後、札幌市としての原案というものをお示しする予定でありますが、例えば、地域での見守りだとか、あるいは支え合いの推進に向けたまちづくりセンターの機能強化のほか、さらなる再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギーの推進など、新たな課題につきましてはスピード感を持って具体化を図るということが必要だと思います。
そこで、審議会での検討と並行いたしまして、この夏にも庁内での重点施策に関する検討を行った上で、まちづくり戦略ビジョンの策定と同時に施策が展開できるように、第3次新
まちづくり計画の追加補強を行い、次年度以降の事業化に結びつけてまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、節電対策についてお答えいたします。
市有施設における節電の基本的な考え方についてでありますが、北海道電力から7%の節電要請がございまして、この夏の電力不足を乗り切るためには、市民、企業、そして行政が一体となり、節電に取り組む必要があることから、市役所が率先して高い目標を掲げて積極的な姿勢を示し、市民や企業の皆様方に節電の協力を呼びかけるものでございます。市有施設での実施に当たっては、市民生活への影響が最小限となるように十分配慮いたしまして、また、ご理解もいただきながら進めてまいりたい、このように考えております。
この夏の家庭における節電推進のための取り組みについてということでありますが、広く市民の皆様に節電に取り組んでいただくためには、新聞などマスメディアを活用いたしまして積極的に広報を行うほか、各地域で開催されますイベントなどにおいても、節電を呼びかけたり、あるいは子どもたちに率先して実践してもらうなど、全市を挙げての取り組みにしていく考えでございます。また、広報さっぽろやホームページなどの広報媒体を通じまして、具体的でわかりやすい節電方法を情報発信するとともに、節電効果が高いLED照明導入促進事業や、1万人を超える家庭向けのキャンペーンも同時に展開しながら、節電に取り組んでまいる所存でございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(大嶋薫) 渡部副市長。
◎副市長(渡部正行) 私からは、自治基本条例の見直しについて、行政における保健師の役割について、子ども・子育て施策について、障がい児の通所サービスにおける療育の充実についての4点についてお答えをいたします。
まず、自治基本条例の見直しについてでございます。
1点目の条例の見直し等の検討結果についてでございますが、条例の見直し等の検討結果は、有識者や公募委員等で構成される市民自治推進会議のみならず、無作為抽出によって選ばれました一般市民が参加した市民による集中評価会議での検討結果も反映した内容でありまして、札幌市としては、極めて重要な提言であると受けとめております。したがいまして、札幌市といたしましては、この提言内容を尊重いたしまして、現行の自治基本条例の理念と条文のもと、提言に沿った運用に努めてまいりたい、そのように考えております。
2点目の市民自治の取り組みの強化についてでございますが、市民自治に関する取り組みにつきましては、全庁一丸となって取り組むことが肝要でありまして、今後も、私が本部長を務めております市民自治推進本部が中心となりまして、六つの提言を踏まえて改善に取り組んでまいります。また、これらの進捗状況につきましては、次年度以降の市民自治推進会議に報告いたしまして、方向性などを確認しながら進めてまいりたい、そのように考えております。
次に、行政における保健師の役割についてでございます。
まず、保健師の役割でございますけれども、札幌市は、超高齢社会の到来を迎えまして、穏やかに健やかに子どもを産み育てられ、さまざまな障がいのある市民や高齢者等、すべての市民が住みなれた地域で安心して暮らせるまちづくりを目指しております。そもそも保健師の役割は、保健の文字にありますとおり、地域住民の健康を守ることにあります。今後、札幌市が待ちの姿勢から行動する市役所への転換を図っていく中で、保健師が支援を必要とする市民へ積極的にアプローチすることや、地域とのかかわりを一層深めていくことが必要であると考えております。
具体的には、家庭や地域へ出向き、赤ちゃんから高齢者までのさまざまな相談に応じまして、身近な地域での相談者としての役割を担うということがございます。また、医療機関、民生・児童委員や地域包括支援センター等、保健・医療・福祉の関係者とのネットワークをより強固に結びまして、地域に潜在しております助けが必要でありながら声を出せない人々を早期に発見いたしまして、公的なサービスにつなげることはもちろんですが、適切な在宅療養の環境を整えまして、地域におけるサポート体制の調整役を担うことも重要でございます。さらには、地域保健活動のコーディネーターとして地域の健康課題を把握いたしまして、健康づくり活動や町内会活動を行う方々との協働によって、健康の増進、介護や認知症等の予防活動を地域で推進していくといった役割も期待しているところでございます。
行政における保健師の役割に基づき、そういう意味で保健師を活用していく上での体制の整備についてでございます。
今後の社会構造の変化や市民ニーズの多様化に対応いたしまして、より効果的かつ効率的な区保健福祉部の組織体制を構築するために、ことし1月に庁内横断的な関係職員によります区保健福祉部のあり方検討グループを設置しまして、現在、鋭意検討を進めているところでございます。また、まちづくりセンター所長へ保健師を登用したことも念頭に置きながら、先ほどお答えいたしました保健師の役割を踏まえまして、具体的な業務の進め方を検討するため、ことし6月、今月ですけれども、保健師職によるプロジェクトも設置いたしております。これらによる検討の成果を区保健福祉部における地域保健福祉活動の体制整備に結びつけまして、より効果的な保健師の活用を図ってまいりたい、そのように考えております。
次に、子ども・子育て施策について、1点目の今後の待機児童対策についてでございます。
第3次新
まちづくり計画に基づき実施しております保育所整備については、来年4月を待たずに年度内に開設予定となる施設もありまして、年度途中の利用希望者も考慮した柔軟な対応を図ってまいりたい、そのように考えております。現在は、既存の保育施設に対して増改築事業の意向調査を行っておりまして、今後、この調査結果を踏まえ、新設とあわせて増改築につきましても積極的に対応して推進してまいりたいと考えております。このように第3次新
まちづくり計画を着実に実行するとともに、今後の待機児童の推移を見きわめながら、希望する保育サービスを確実に受け取ることができますよう、柔軟かつ積極的に待機児童対策を進めてまいりたいと考えております。
2点目の子ども・子育て新システムについてでございますが、札幌市は、実施主体としての責務を果たすべく、これまでも、全国市長会や指定都市市長会を通じまして、新システムの円滑な施行に向けた要請や提言を国に対して行ってきたところでございます。現在、制度導入に向けた関連法案が国で審議されておりますことから、今後の動向を注視しながら、市民の混乱を招かないように的確に対応してまいりたい、そのように考えております。
次に、障がい児の通所サービスにおける療育の充実についてです。
まず、障がい児の通所サービスの療育の体制でございますが、札幌市といたしましては、児童発達支援事業所と放課後等デイサービス事業所を身近な地域における日々の療育の場といたしまして、児童発達支援センターは、各事業者に支援のノウハウを提供する機能をあわせ持つ中核的な療育支援施設として位置づけたいと考えております。さらには、児童相談所や発達障がい者支援センターが専門的にバックアップする重層的な支援体制を築いてまいりたい、そのように考えております。
次に、2点目ですが、児童発達支援センターを含む体制の検討についてでございます。
5月に札幌市と児童発達支援センター、相談支援事業所、関係事業者団体、障がい者団体をメンバーとして検討会議を立ち上げたところでございます。この検討会議では、児童発達支援センターを核として、先ほど申し上げました重層的な支援体制を構築する考え方に基づきまして、児童発達支援センターの具体的な機能や適正な配置数、さらには、地域の関係機関との連携の進め方などについて検討を行うこととしておりまして、本年度中に方針を策定いたしまして、札幌市としての通所サービスによる療育の体制を確立してまいりたい、そのように考えております。
以上でございます。
○副議長(大嶋薫) 秋元副市長。
◎副市長(秋元克広) 私からは、環境産業の創出についてと雪対策についてお答えを申し上げます。
まず、環境産業の創出についてのうち、1点目の環境産業の創出に向けた基本的な考え方についてであります。
積雪寒冷地にある大都市という札幌の特性を生かし、また、再生可能エネルギーの素材となる自然の豊かさなども踏まえた札幌発の産業を創出したいと考えているところでございます。想定される分野としては、再生可能エネルギーのほか、高断熱・高気密住宅、寒冷地仕様自動車関連技術などが考えられます。これら今後の成長が期待できる環境産業を創出・育成していくことは、地域経済の活性化や新たな雇用の創出につながりますことから、これらが札幌を代表する産業の一つとなるよう積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
2点目の大学等の研究成果の事業化に向けての考え方についてでありますが、ご質問にありました富山市の例にあるような大学と企業とのマッチングの機会は、札幌でも各大学が研究内容を公開する場を設ける形で実施されてございます。特に、東日本大震災以降、環境・エネルギー分野では、大学が研究成果の実用化のために企業と、そして、企業では自社の技術を活用するために大学と、それぞれの立場から連携を模索する動きが見られておりまして、今年度実施いたします札幌発の環境産業創出事業は、こうした動きを財政的に後押しするものでございます。また、この事業では、将来的な市場性、そして発展性などについての調査もあわせて実施することといたしておりまして、より実用化の可能性の高い新たな産業を創出することにつなげていきたいと考えているところでございます。
次に、雪対策についてであります。
1点目のパートナーシップ排雪の施工効率を重視した日程調整についてでございますが、近年、確保が難しくなっているダンプトラックを有効活用するためには、パートナーシップ排雪の作業を効率的に行うことが大変重要であると認識しているところでございます。これまでも、地域に対しては、パートナーシップ排雪の作業に当たり、宅地内の雪出しを行わないことなどについて理解を求めてきたところでありますが、今後は、夏の段階から地域と創る冬みち事業などを通じて、ダンプトラック確保の現状についても十分な説明をし、日程調整を柔軟に行うことができるよう、理解と協力を求めてまいりたいと考えてございます。
2点目のダンプトラックの安定的確保につながる積算についてであります。
ダンプトラックを安定的に確保するため、これまでも、軽油価格の変動に対応した単価の設定や諸経費率の一部見直しなどを行ってきたところでございます。今年度は、新たに運送事業者を対象にアンケート調査を行う予定であり、その中に遠方からのダンプトラック滞在に係る項目を加えることとしております。また、除雪事業者に対しても、排雪の運搬距離に応じた作業効率に関する調査を行うことなど、今後もより実態に即した積算に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(大嶋薫) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日6月6日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(大嶋薫) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(大嶋薫) 本日は、これにて散会いたします。
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散 会 午後5時4分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 三 上 洋 右
副議長 大 嶋 薫
署名議員 佐 々 木 み つ こ
署名議員 山 口 か ず さ...