札幌市議会 2012-03-06
平成24年第一部予算特別委員会−03月06日-04号
平成24年第一部
予算特別委員会−03月06日-04号平成24年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第4号)
平成24年(2012年)3月6日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 34人
委 員 長 こんどう 和雄 副委員長 小 倉 菜穂子
委 員 武 市 憲 一 委 員 高 橋 克 朋
委 員 鈴 木 健 雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 細 川 正 人
委 員 よこやま 峰子 委 員 宗 形 雅 俊
委 員 こじま ゆ み 委 員 北 村 光一郎
委 員 阿部 ひであき 委 員 西 村 茂 樹
委 員 猪 熊 輝 夫 委 員 畑 瀬 幸 二
委 員 ふじわら 広昭 委 員 三 宅 由 美
委 員 林家とんでん平 委 員 長谷川 衛
委 員 小 川 直 人 委 員 宝 本 英 明
委 員 村 上 ゆうこ 委 員 林 清 治
委 員 本 郷 俊 史 委 員 谷 沢 俊 一
委 員 芦 原 進 委 員 國 安 政 典
委 員 井 上 ひさ子 委 員 坂 本 恭 子
委 員 小 形 香 織 委 員 石 川 佐和子
委 員 堀 川 素 人 委 員 木 村 彰 男
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開 議 午後1時
○こんどう和雄 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、宮村委員からは、高橋委員と交代する旨、届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
初めに、第8款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆
石川佐和子 委員 私からは、
認知症高齢者グループホームの
防火安全対策と
市民防災センターの
リニューアルについて伺わせていただきます。
2010年3月13日に、本市北区の
認知症高齢者グループホーム「みらいとんでん」で発生しました火災は、7名の入居者が亡くなるという大変痛ましい事故でした。この火災の発生を受けまして、
認知症高齢者グループホーム等における
防火安全対策を確立するために、本市では
保健福祉局、都市局、消防局の3局で
合同プロジェクトを設置し、対策を検討してこられたと伺っております。また、夜間の火災発生を想定した避難訓練や
スプリンクラー等の
消防用設備の設置に向けての方策を盛り込むなど、取り組みを進めてこられたというふうに伺っております。こうした取り組みについて、
スプリンクラー等の
消防用設備の設置状況について伺っていきたいと思います。
消防用設備に関しましては、2006年に発生しました長崎県大村市の
グループホーム火災を受けて、消防法令が改正され、
スプリンクラー、
自動火災報知設備及び
火災通報装置の設置基準が強化されたと聞いています。
そこで、1点目の質問ですが、275平米以上の施設に設置が義務づけられた
スプリンクラーと、面積にかかわらず設置が義務づけられた
自動火災報知設備及び
火災通報装置について、設置の猶予期限である今月の3月31日時点でどのような
設置見込みとなるのか、伺います。
次に、
スプリンクラーについては、275平米未満の
小規模施設においては、消防法令上、設置義務がないわけでありますけれども、火災の熱を感知し、自動的に放水する
スプリンクラーは、
グループホーム等にとって消火効果の観点から有効な安全対策というふうに思われます。
そこで、2点目の質問ですが、設置義務のない275平米未満の
小規模施設への
スプリンクラーの設置については、これまでどのような指導を行ってこられたのか、また、その結果、今月3月末でどのような
設置見込みとなるのか、伺います。
また、今後、新たな施設が開設された場合、設置に向けてどのような指導を行っていくおつもりか、あわせて伺います。
◎佐々木 予防部長 私から、
認知症高齢者グループホームの
防火安全対策につきまして、2点お答えいたします。
まず、1点目の
設置猶予期限であります今月末時点での
スプリンクラー等の
設置見込みでございますが、
スプリンクラーの設置義務のある275平方メートル以上の施設は201施設ございます。そのうち、198施設が既に設置され、残り3施設については、今月末までに設置される見込みとなっております。また、面積にかかわりなく設置義務がございます
自動火災報知設備、さらには
火災通報装置につきましては、市内の237施設のうち、236施設が既に設置され、残り1施設につきましては、今月末までに設置される見込みとなってございます。
2点目の
スプリンクラーの設置義務のない275平方メートル未満の施設への指導状況とその結果でございます。
これまで、立入検査、訓練指導、研修会など、あらゆる機会をとらえまして、関係者へ
スプリンクラーの有効性について説明するとともに、
保健福祉局との情報共有や連携しての指導によりまして、該当いたします36施設のうち、29施設が既に設置され、残り7施設につきましても、移転予定であるとか、あるいは、家主の方と設置を協議中であるというような状況になってございます。
さらに、今後新たに開設されます施設につきましても、引き続き、関係者へ
スプリンクラーの有効性についての説明や
保健福祉局との連携などによります自主的な設置を促してまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員
スプリンクラー等の設置についてです。
いよいよ期限となっているこの3月末におきまして、すべての施設で設置され、また、275平米未満の施設においても、移転する施設以外において自主的に設置される見込みであるというふうに伺いました。また、さまざまな指導を通し、消防局が施設の安全の確保に向けて取り組んでおられるということを評価したいと思います。
しかし、こうしたハード面の対策とあわせて、出火防止や避難が確実にできるソフト面での対策も重要ではないかと思います。火災の発生時に一人で避難が困難な方が多く入居されている
認知症高齢者グループホームにおいて、入居者9名までの1ユニットにおいては、夜間の職員は1人のところは大変であるというふうに聞いております。先ほどもお話ししました北区の
グループホームでの火災が起きた場合も、入居者を短時間で避難させることが困難だということが明らかになっています。そうしたことから、地域の中での火災避難時の協力についても検討していくべきではないかというふうに考えます。
そこで、再質問させていただきますが、
認知症高齢者グループホームの出火防止及び避難等の
防火管理対策としまして、これまで施設に対してどのような指導を行ってこられたのか、また、今後こうした地域の連携も含めてどのような指導を行っていくおつもりなのか、あわせて伺います。
◎佐々木 予防部長 ただいまご質問の出火防止及び避難等の
防火管理対策の指導についてお答えいたします。
まずは、何よりも施設からの出火を防ぐことが重要でありますことから、暖房、給湯設備や厨房機器のほか、喫煙の管理など、日常のチェックポイントをリスト化いたしまして全施設へ配付しております。
次に、避難対策といたしまして、特に、夜間における迅速、確実な避難対策を確立するために、
消防職員が施設に出向いて、実地指導を行っているところでございます。また、身体的に訓練に参加できない入居者のかわりとなる精巧な代理人形を使用するなどいたしまして、より実践に近い形で訓練を実施しているところでございます。さらに、地域との連携の中で、最近では、近隣住民の方の協力を得た避難訓練を行うなど、さまざまな工夫を凝らした訓練を実施している施設もふえております。特に、地域防火の中核を担う消防団は、施設の
運営推進会議や訓練に参加するなど、施設との協力体制を構築しているところでございます。
今後におきましても、施設の規模、構造、入居者の状況などに応じたきめ細やかな
アドバイスを継続して、
災害対応力の着実な向上を図り、入居されている方の安全の確保につなげていきたいと考えているところでございます。
◆
石川佐和子 委員 今後、本格的な
高齢化社会が到来することによって、
グループホーム等のこうした福祉施設は、地域の中でどんどんふえていくことが予想されます。そうした中で、今おっしゃったような施設の安全性や安心の確保は、これまで以上にも大事になってくるというふうに思います。
そうした中で、庁内の部局の連携はもとより、今のお話にありましたような
グループホームがある地域の中での連携強化についても、消防団の協力や町内会の中での協力など、しっかりと連携を強めるように取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。また、今、
アドバイスも継続して行っていくということを伺いましたので、ぜひ、施設ごとの実態に応じたきめ細やかな対応をしていくべきということを改めてお願いしたいと思います。
引き続いて、
防災センターの
リニューアルについて伺わせていただきます。
昨年の3月11日の
東日本大震災以降、日ごろからの防災訓練や防災意識の醸成等の重要性が再認識され、防災に向けた取り組みは、いずれの地域でも課題となっていると思います。札幌市
市民防災センターは、地震や火事の煙など、さまざまな災害の疑似体験や
消火体験等を通し、災害の恐ろしさや自分の身を守る方法、実際の災害時にどのような行動をとればよいのかなど、貴重な体験ができる施設というふうに思います。
そこで、今回、
市民防災センターを
リニューアルするということで予算の概要が示されているところでありますけれども、その背景と具体的な内容について、まず、伺わせていただきます。
◎武井
総務部長 まず、
リニューアルを計画した背景でございますが、平成15年の開館から現在まで、小学生から町内会の方々に至るまで多くの方々にご利用いただいております。来館者数が堅調に推移している中で、開館当初に設置いたしました機器が老朽化し、改善の要望が寄せられていたことから、更新の準備を進めてきておりました。そうした中で、
東日本大震災が発生したことにより、防災意識が一気に高まり、昨年12月の
市民アンケートでもそれが裏づけられております。そのため、
リニューアルに当たりましては、
東日本大震災の教訓を生かしまして、地震や津波災害に加えて、暴風災害の体験施設を新たに加えるなど、市民の意見を反映した構成にすることとしております。さらに、地域の
防火防災力を強化するため、児童生徒に対する体系的な
防火防災教育プログラムと連動した体験学習を行える場としても位置づけていきたいと考えております。
具体的な内容でございますが、
地震体験コーナーでは、
東日本大震災の震度も再現でき、新たに
緊急地震速報やガラスが割れる音などの音響効果、さらには、長
周期地震動を取り入れるなど、より市民の意識を喚起できるような臨場感を演出していきたいと考えております。
津波映像体験コーナーでは、大震災の記憶に新しい津波の恐ろしさを学んでいただくために、既存の3
Dシアター内に光や風による新たな演出効果を加え、座席の振動を連動させた実写とCGを織りまぜた津波映像を新設いたします。
暴風体験コーナーにつきましては、最大瞬間風速50.2メートルを記録し、大きな被害をもたらしました平成16年の台風18号を教訓といたしまして、風速10メートルから30メートルまでの暴風を体験できる装置と映像を組み合わせたものになります。
リニューアルオープンは、
防災センターが開館からちょうど10年になります来年の3月末を目指しております。
◆
石川佐和子 委員
市民防災センターの来館者数が2010年度では6万7,000人、また2011年度では7万人を超えたと伺っておりまして、年々ふえている様子がわかりました。そのように、より多くの方に体験してもらうことが今後も非常に重要になってくると思います。しかし、現在の設備を見てみますと、入り口に段差があったり、説明が障がいに対応していないことなどがありまして、
バリアフリーの観点から改善すべき点があり、
リニューアルをするに当たっては、障がいのある方も利用しやすい施設とすることが重要だというふうに思います。
市民ネットワークでは、聴覚に障がいがある方への
市民防災センターの
利用拡大に向けた取り組みを求め、2010年の第1定の
予算特別委員会の中で質疑を行いました。3
Dシアターでの
日本語字幕がなかったり、体験の解説が音声のみであったりなど、配慮が十分ではない状況がありましたし、聴覚に障がいのある方について、その当時の2009年度の利用が1団体、また2010年度では2月末で5団体、31人と、とても少ないことに対して改善を求めたところであります。
そこで、その点についての確認ですけれども、
防災センターの障がいのある方の利用は、その後、どのぐらいであったのか、そのうち、聴覚障がいのある方はどれぐらいであったか、また、
利用拡大に向け、この間、どのような創意工夫をされてこられたのか、伺います。
また、今後、
市民防災センターの設備を新設、更新するに当たって、わかりやすい説明板、字幕、
音声ガイド、車いすへの対応など、
バリアフリーを徹底すべきと考えますが、その辺はどのように取り組むのか、あわせて伺います。
◎武井
総務部長 まず、聴覚障がい者の
利用状況等でございます。
障がいのある方全体の利用状況につきましては、平成23年が2,341人で、前年と比較いたしまして437人の増加となっております。このうち、聴覚障がいのある方の利用は、平成23年が27人と、前年に比べて4人の増加でございます。障がいのある方の
利用拡大に向けた取り組みといたしましては、現在の
地震体験コーナーを
車いす対応としたり、3
Dシアターの映像には
日本語字幕を入れております。また、
北海道札幌聾学校に対しましては、利用を促進していただくよう、案内文を送付しているところでございます。
次に、今後の
バリアフリーに対する取り組みでございます。
新設する
暴風体験コーナーや更新する
地震体験コーナーも、車いすの利用の方が体験できるようにしたいと思っております。3
Dシアターにつきましても、車いすの出入りがよりしやすくなるよう
バリアフリー化するとともに、新たに導入する津波映像には、
日本語字幕を入れ、さらには、
手話通訳者をつける場合のスペースに新たにスポットライトを設置する予定でございます。さらに、各コーナーの説明板を充実し、
点字パンフレットを作成するなど、
バリアフリー化に配慮してまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 今、さまざまな障がいをお持ちの方に対する利用に向けた工夫を行っていくというような説明を伺いましたので、そうした点はきめ細やかな対応を続けていただきたいと思います。
再々質問させていただきます。
現在、札幌市内には、約9,600人の外国人の方が生活しておられます。そして、
市民防災センターの外国人の来館者数は、2010年中で710名、また、2011年中では629名と伺っています。札幌市では、多文化共生の取り組みとしまして、避難場所となる
市立小・中学校や街区公園に新設する
避難場所標識の表示を多言語化するということでもありますし、また、札幌市発行の
防災パンフレット「家庭防災のしおり」も英語、中国語、韓国語、ロシア語、タイ語など、多言語化を進めております。
そこで、質問ですが、外国人の
防災センターの
利用拡大に向けて、
リニューアルの際には、設備の内容がわかりやすいような工夫をするために
多言語表示をするべきと考えますけれども、どのように進めるのか、伺います。
◎武井
総務部長 外国人の
利用拡大に向けた取り組みについてお答えいたします。
現在、
防災センターの
パンフレットには、
外国人登録者数の多い上位3カ国、中国、韓国、アメリカの言語を取り入れております。平成23年中の
外国人利用者は、委員ご指摘のとおり629人となっておりますが、外国人の利用がさらにふえるよう各コーナーに
外国語表記を取り入れるなど、案内板の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 最後に、要望になります。
2011年中に外国人で
防災センターに来られた方は629名ということで、平均すると1日2名はいらっしゃるかなということです。そうした皆さんは、表示がないということで、これは一体何をやるところなのかと、これまでは全然わかりづらかったということであります。そうしたことで、今回の
リニューアルに合わせて多言語の対応にしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
以上のことを求めて、私の質問を終わります。
◆
木村彰男 委員 私は、
消防団員・職員の国旗に対する起立、敬礼及び国歌の斉唱について、同じく、団員・職員の服務規律についてお伺いいたします。
私は、さきに代表質問でもお聞きいたしましたけれども、上田市長は、札幌市の一般職員が内心の自由、もしくは思想、信条の自由を持って、国旗に対する起立、敬礼をしない場合であっても、それを容認する立場であるということを答弁されたと思います。市長みずからが範を示すことができないのに、部下たる職員にそれを命ずる条例、規則等を強いる立場にないことは明らかであります。
これに対し、
消防団員、または
消防職員には、内規によってそれを義務づける規定があり、異なる取り扱いになる旨、答弁されております。
それでは、お聞きいたしたいと思います。
その内規とはいかなるものでございましょうか。そして、その内規に当たる規定はいかなる経緯をもって札幌市で採用を見るに至ったのでございましょうか、そして、その内規と国旗・国歌法との優劣、上下関係についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
◎武井
総務部長 まず、国旗等への敬礼義務に関しまして、その根拠になっている内規でございますが、
消防職員の儀式等における国旗に対する礼式につきましては、札幌市消防訓練及び礼式に関する規則において定められております。これは、国が決めております
消防組織法に基づいて定められている基準でございます。
そして、国旗・国歌法との優劣についてでありますが、私どもとしては、優劣があるという認識はしておりません。
◆
木村彰男 委員 それを前提にして、国旗の掲揚、国歌の斉唱について、さらにお伺いいたします。
一般に、
消防団員、
消防職員の場合、私も団員でございますが、立ったまま、
センターポールに掲揚されている国旗に向かって敬礼することが多いのでございます。したがって、そこにおいては、既に起立しておりますので、起立という命令が下ることはございません。それに対しまして、室内、例えば消防大学校等で卒業式、入学式等があった場合でございますが、既に国旗は中央に掲示されております。それから、市旗、団旗等も設置されていることが前提になります。この場合、司会をつかさどる職員の方、もしくは進行係の方が起立を促す命令を多分出されます。そこにおいて命令を発するわけでございますけれども、この命令は、内規にうたわれているのでございましょうか。また、この内規に反し、職員が起立しない場合、この職員は内規違反という解釈でよろしいのでしょうか、お聞かせください。
◎武井
総務部長 まず、国旗に対しては、儀式におきまして掲揚、降納する場合に敬礼するという規定になっております。ですから、常に張ってある国旗等に対しては、特別にそういう作法をしろという規定にはなっておりません。
そして、起立をすることの号令に起立しないことが命令違反になるかどうかということでございますけれども、この規定では、起立については命令違反とは規定されておりません。ただ、号令も含めた全体の命令に従わなければ、上司の命令に従わない規律違反になりますので、罰則の対象になると考えられます。
◆
木村彰男 委員 それでは、起立した職員が、さきの職員の命令によって国歌の斉唱を促されているにもかかわらず、これに違背し、国歌を歌わなかった場合、この行為は内規違反になりますでしょうか、お答え願います。
◎武井
総務部長 国歌につきましては、同規定によりまして、国歌が演奏されたときに起立する、いわゆる気をつけをするという規定がございます。ただ、この中では、歌うこと、斉唱については規定されておりませんので、歌わないことが、即、規律違反になるものではございません。
◆
木村彰男 委員 私も、これを見ておりますけれども、国歌については歌わなくてもいいというか、その規定がないのでございます。これにつきましては、敬礼義務と同じように、国歌を歌わなければならないという規定を附則するおつもりはないか、お答え願います。
◎武井
総務部長 現時点では、そういう考えはございません。
◆
木村彰男 委員 それでは、先ほど申し上げましたけれども、国旗・国歌法との関係において、特段、優劣関係はないということでございますが、先ほど言いました号令、命令違反、大きな意味での命令違反ということについては処分できるという考えでよろしいのでしょうか。また、そのような職員が累犯に至るようなことがあった場合は、その処分を前提にさらに重い処分を科すということもあり得るのでしょうか、お聞かせ願います。
◎武井
総務部長 ご指摘の上司の職務命令に従う義務に違反した場合は、当然のこととして処分の対象になります。それが、累犯といいますか、重ねて従わなかった場合には、当然、裁量権の範囲の中で量定を重くすることは考え得ることです。
◆
木村彰男 委員 よくわかりました。
次に、団員・職員の服務規律について伺います。
私は、さきに、大阪市の
懲戒免職事例が平成22年度で札幌市の33倍である旨を代表質問でも明らかにしたところでございますが、昨日の報道を見て、さらにあいた口がふさがりませんでした。それは、大阪市の保健福祉を担う職員が
子どもたちにみずからの入れ墨を見せておどかしていたという報道でございました。懲戒事例の一端がこのような
潜在的職員の温床として繰り返されているということを思って、慄然とした報道だったわけでございますが、顧みて、札幌の職員、ましてや、
消防団員・職員の中にこのような方がおるとは私は思っておりませんし、私自身はそれを信じております。
しかし、これを聞いていた家人が、最近は若い人の中に入れ墨をしている人を見ることがあると言っておりまして、そう言われてみると、
ファッション感覚というのか、私も雑誌等でそのような入れ墨を見たこともございますし、私が学生のころ、はやっていた任侠映画に出ていた入れ墨とはまたわけが違うのかと思っておりました。
そこで、質問ですけれども、団員とか職員の方が、入れ墨に限らず、例えばピアスとかひげを蓄えて服務に当たるときに、一般市民の方が違和感を覚えるような作為があった場合、これを戒めるような規定がさきの内規にあるかどうか、また、その服務命令に違背してそれを続けた場合、それにどのように対処するのか、お聞かせください。
◎武井
総務部長 消防職員の身だしなみと申しますか、服装に関しまして、これは市役所の職員全般に申し上げられることではございますけれども、服務上、特段の定めがあるものではございません。ただし、例えば夏のエコスタイルを着用する場合など、市民と接触する職員が不快な気持ちを市民に与えるようなことがあれば、当然のことながら指導をすることにしております。この指導に対して、何回指導しても従わなければ、命令に従う義務に違反することになりますので、処分の対象になると考えます。
◆
木村彰男 委員 ぜひ、指導を徹底していただきたいと思います。
◆北村光一郎 委員 私からは、震災時における消防体制の設備及び今般出されました国際会議IFCAA2012札幌開催について、消防の部分で質問させていただきたいと思います。
このたびの
東日本大震災では、被災地製油所の燃料供給停止や、道路が寸断し、流通体制が混乱したことにより、災害活動を行う救急車両の燃料不足が発生したと聞いております。私も、テレビや新聞で、被災地のガソリンスタンドで多くの一般車両が給油のために列をつくっていた様子を見ておりました。被災地での燃料の流通体制が麻痺し、有事の消防体制に多大な影響を及ぼすと推測できます。
札幌市では、
東日本大震災と同様の震災が発生した場合、北海道全体も含めまして、地域の特性上、四方が海に囲まれており、輸送網が寸断される等、こういう観点から災害応援による燃料供給は困難と思われます。また、道内でも、
東日本大震災と同様に、製油所からの燃料供給が停止することや、ガソリンスタンドの被災により営業ができないことも考えられるため、本市でも消防車両の燃料確保は困難と考えられます。
現在、札幌市の消防車両の燃料はガソリンと軽油の2種ですが、その供給は民間ガソリンスタンドに依存しているということであります。消防局は、19大都市を調査したということで、その調査結果をお聞きしました。それによりますと、12市の都市では、消防施設に併設して消防独自の給油施設を所有しているそうであります。今回の震災を踏まえ、さらに増設すると聞いております。また、それ以外に、これまで給油施設を整備していない7都市においても、今回の震災を踏まえ、整備する予定だそうです。どの都市も燃料対策を最重要施策ととらえていると聞きました。札幌市においても、平成24年度の事業で消防独自の給油施設を整備することとして震災対策を強化するとのことであります。
そこで、質問でございます。
給油施設を整備するに当たり、その整備概要、また、どのような基準で設置されるのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 給油施設の整備概要と設置基準についてお答え申し上げます。
設置場所は、大規模災害時の必要資機材を備蓄し、全国から支援の消防車両が集結するなど、活動の拠点となる札幌市消防学校の敷地内に設置を予定しております。設置の基準については、消防局が保有する車両は229台ございます。大規模災害時に、これらの車両を、生き埋めになった被災者の生存の目安であります3日間、72時間運用するために、ガソリン約1万5,000リットル、軽油約2万リットルが必要であります。この容量を設置の基準としております。
◆北村光一郎 委員 消防活動の初動対応は、大災害時におけるかなめであります。
東日本大震災の教訓を生かし、出動態勢を確保するため、早急に基盤整備を進めるようお願いいたします。
次に、消防庁舎の整備についてであります。
東日本大震災の被害において、宮城県内では、全体で100消防施設のうち、65施設の約7割に建物被害があり、特に被害が甚大であった石巻地区の消防本部では、4消防署10出張所で構成されていましたが、1消防署を除く施設で建物に被害があり、消防本来の任務ができなかった状況にあったと言われています。この内容としては、津波による被害のほか、地震による倒壊の被害も多数あったと聞いております。
札幌市の消防施設の耐震補強については、原局の説明では、札幌市耐震改修促進計画に基づき、計画的に耐震性が確保されており、未耐震化は中央区の大通出張所、東区の北栄出張所、豊平区の美園出張所の計3カ所の施設があるということです。いずれも、建築から既に45年以上が経過しており、震度6以上の大地震が発生すると倒壊するおそれが極めて高い施設であると思われます。大地震の発生時は、多くの建物が倒壊し、火災の発生により消防車や救急車が直ちに出動しなければなりませんが、消防署の耐震性が確保されていなければ、消防施設が倒壊し、救急車両が出動できなくなり、災害の防御、人命救助の役割を果たすことができなくなることが想定されます。
そこで、質問でありますが、1点目として、耐震化がまだ実施されていない大通、北栄、美園の3出張所について早急に耐震化を実施しなければならないと考えますが、耐震改修の具体的な計画をお伺いします。
次に、防災の拠点である消防署の老朽化に伴う建てかえについてであります。
耐震性が確保されていても、消防施設は年数が経過すれば老朽化が顕著となり、順次、改修していかなければいけないと考えます。札幌市においては、市有建築物の資産管理基本方針に基づいて、市有建築物の長寿命化、建てかえ時期の平準化を図ることとしており、その中で、耐用年数を非木造建築物で60年と設定し、延命化を図ることとしています。しかしながら、消防施設は、市民の生命と財産を守るため、24時間365日稼働する施設であり、災害時の中心的な活動拠点となるわけでありますから、当然、大地震があっても頑丈であり、直ちに出動できる高い耐震性を備えた建てかえを計画的に行っていかなければならないと考えています。
そこで、2点目の質問でありますが、消防施設の建てかえについて、今後、どのように庁舎建設を行うかの方向性をお伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、消防施設の耐震化についてお答えいたします。
ご指摘がございました三つの出張所の耐震化につきましては、大通出張所は、隣接いたします豊水出張所と統合いたしまして、星園高校跡地に新たな出張所を平成24年度に建設し、現在の大通出張所は解体いたします。また、北栄出張所は平成26年度に、美園出張所は平成27年度に建てかえを予定しており、これによりすべての消防施設の耐震化が完了いたします。
2点目の消防施設の今後の建てかえ計画につきましては、施設の建築年次及び老朽化度合いを踏まえまして、次期中期計画において庁舎の整備を進めてまいりたいと考えております。
◆北村光一郎 委員 引き続き、IFCAA2012札幌開催についてお伺いいたします。
国際会議IFCAA2012札幌開催についてですが、本市の観光振興は、昭和51年に策定された新札幌長期総合計画では、国際的スポーツ大会やイベントなどの開催を観光の一分野と位置づけ、その後、第3次長期総合計画では、コンベンション都市として確立することが札幌市の目指す都市像の一つとされました。このような経緯を踏まえ、コンベンション都市としての受け入れ体制を整備する必要があることから、公益財団法人札幌国際プラザの創設や札幌コンベンションセンターの開業など、ソフト面及びハード面の充実を図ってきたと聞いております。その結果、今では、国内医療系の学会や研修会だけではなく、APEC貿易担当大臣会合や国連軍縮会議を初めとした政府系の国際会議に加え、数々の国際会議が開催されております。
本市では、平成22年に札幌MICE総合戦略を策定しましたが、MICEの推進は観光産業を中心としています。本市としては、観光資源のさらなる充実を促すために効果的なものとしてとらえているとお聞きします。また、経済効果のみならず、学術、文化芸術などさまざまな分野から幅広く交流が促進されることにより、本市が標榜する創造都市づくりの基盤として期待しているところです。
しかしながら、昨年、発生した
東日本大震災は、本市の観光分野にも暗い影を落とすものとなりました。特に、原子力発電所事故の影響は、風評被害を及ぼし、観光面に打撃を与え、国内だけではなく、海外からの観光客が激減するなど、本市経済にも大きく影響を与えました。本市を訪れる外国人は、主にアジア地域からの観光客が多くを占めており、このたびの大震災の影響による減少数は、このアジア地域の方々が特に顕著だったことから、風評被害を払拭する上でも、札幌MICE総合戦略に基づく誘致活動を積極的に行う必要があると考えております。
そこで、質問ですが、ことし6月に、本市においてアジア地域の消防関係者が集まる国際会議が開催されるそうですが、このIFCAAとはどのようなものか、また、札幌開催の概要についてお伺いいたします。
◎武井
総務部長 IFCAAについてお答え申し上げます。
IFCAAとは、アジア消防長協会の英語表記の略称でございます。アジア消防長協会の会員は、アジア・オセアニア地域の22カ国、2地域が加盟しております。そして、この協会は、アジア各国の消防長が連携いたしまして、消防に関する技術や装備などの研究を促進させるとともに、各国の情報を交換し、アジア地域における消防を発展させることを目的としております。これは、1960年、昭和35年に設立されまして、総会は国内外で2年に1回開催されており、札幌開催は初めてでございます。
次に、札幌開催の概要についてですが、本年6月20日から4日間、札幌コンベンションセンターで開催いたします。IFCAA総会に加えまして、全国からすべての消防長が出席する国内会議もあわせて開催いたしますことから、参加者数は1,000名程度を想定しております。さらに、共催イベントとして、国際消防・防災展や各国の消防救助隊による合同訓練を企画しており、多くの市民の方たちにも見ていただこうと考えております。
◆北村光一郎 委員 IFCAAについては、よくわかりました。
そこで、アジアやオセアニア地域から災害対応のプロである消防のトップが一堂に会する国際会議が本市で開催されることは、まことに喜ばしく思うとともに、一人の札幌市民として心から歓迎したいと思います。
さて、来週11日をもって、未曾有の大災害でありました
東日本大震災の発生から1年がたとうとしております。我が国は、昔から地震大国日本と言われるように、多くの地震が発生し、その都度、我々の生活に甚大な被害を及ぼしました。災害が発生した際、我々は非日常的な現実を目の当たりにし、パニックに陥り、正確な判断ができなくなるばかりか、避難生活では必要な物資も手に入らなくなる、このことはこのたびの
東日本大震災でも明らかになり、日ごろから災害に対する備えが必要であることを強く印象づけられたところであります。
一方、今回の
東日本大震災には、全国各地から緊急消防援助隊が集結し、行方不明者の捜索、救助を行ったところであります。その数は7,577隊と聞いております。人員は2万8,620名でした。また、海外からも多くの救助隊や医療班が派遣されましたが、その連携のあり方について課題が残ったということも聞いております。したがって、このたびの大震災を教訓とした取り組みをあらゆる機会に反映させるべきと考えています。
また、本震災では、地域の実情に精通した
消防団員が第一線で活躍しましたが、残念ながら、200名を超える方々が職に殉じられたところであります。
消防団員は、地域密着性、要員の動員力及び即時対応力の面ですぐれた組織であり、仮に、本市で大震災などの大規模災害が発生した際には、その活躍が大いに期待されるところであります。
そこで、質問ですが、このたびのIFCAA札幌開催では、
東日本大震災の教訓が反映されたものとなっているのか、また、消防団はIFCAA札幌開催にどのように関与させるのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、
東日本大震災の教訓がどのように反映されるのかというご質問に対してお答えいたします。
今回の開催を市民の皆さんの防災に対する意識を高めてもらう機会にもしていただくことを考えておりまして、二つの共催イベントを企画しております。
まず、一つ目は、どなたでも気軽に見学できます国際消防・防災展でございます。この消防・防災展では、未来型の消防車や最新の防災用品などを紹介するとともに、地震体験や消火体験など防火防災について、だれでも簡単に学べる企画を多数用意しております。特に札幌で大震災が発生したことを想定しまして、市民一人一人がみずからの命を守るために必要なことや、長期にわたる避難所生活で必要な心構えなどについて疑似体験できるコーナーを設けます。
もう一つの企画は、国際消防救助隊合同訓練です。これは、札幌を含む北海道の消防隊や救助隊が海外の救助隊と連携し、より迅速で効果的な救助活動が行えるよう合同訓練をIFCAAとして初めて実施いたします。訓練の様子も公開し、市民の皆さんに見ていただくことを考えております。この訓練に参加を予定していますのは、現時点で日本を含めて7カ国、1地域でございます。この中には、
東日本大震災で応援をいただいた国と地域も含まれております。
次に、消防団の関与についてでございます。
IFCAAの開催の機会をとらえまして、消防団の皆様にもさまざまな形で参加していただくことを考えております。まず、
消防団員の災害活動能力を向上させることを目的に、会場となりますコンベンションセンターの地元消防団であります白石消防団による大規模災害を想定した訓練を実施し、海外から参加する方たちにも見ていただく予定でございます。さらに、全市の
消防団員を対象といたしまして、各国の消防機関が取り組んでいる消防活動の研究発表など、海外の消防事情を聴講する研修会もあわせて開催する予定でございます。
◆北村光一郎 委員 ただいまの答弁を聞いて、このたびのIFCAAの札幌開催は、消防に関する国際会議としては最大級であるだけではなく、国際消防・防災展や国際消防救助隊による合同訓練は、市民への防災に対する関心を高めるとともに、国内外の救助隊員の連携強化が図られるものというふうに考えます。また、消防団がこのような国際的イベントに参加することについても、大変意義深いものであり、さらなるレベルアップが期待されるところであります。このような大規模イベントをせっかく本市で開催するわけですから、消防関係者だけではなく、多くの市民の皆さんや企業の方々に来ていただくことが必要不可欠であると考えます。
そこで、質問ですが、集客、PRについてどのような方法を考えているのか、また、これによる本市への経済効果はどのようなものが見込まれるのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、集客、PRについてお答えいたします。
広報さっぽろなど本市の広報媒体を利用した広報活動を進めるほか、テレビ、ラジオ、新聞などのマスコミに対しても協力要請を行う予定です。また、さっぽろまちづくりパートナー協定により、北海道コカ・コーラボトリングの自動販売機約9,000台に4月からPRポスターを掲出させていただきます。さらには、同じ協定によりまして、サッポロビールのご協力により、3月12日から、JR札幌駅南口広場に、開催までの残り日数を表示するカウントダウンモニュメントを設置いたします。3月12日には除幕式を行い、IFCAA100日前イベントとして開催に向けた機運を高めるとともに、
東日本大震災1年という節目に当たり、市民の皆様に改めて防災について考えていただくことを訴えてまいりたいと考えております。
次に、経済効果でございますが、一般的には、国際会議等における参加者1人当たりの滞在期間中の消費額は、一般の観光客と比較して3倍と言われております。このことから、参加者の規模からも比較的大きなコンベンションとなります今回のIFCAAでございますけれども、会議参加者による消費効果など一定の経済効果がもたらされるものと考えております。
さらに、大震災以降、原子力発電所事故によって風評被害が観光面に打撃を与えていることから、海外からの参加者に札幌の安全・安心を理解していただくことで、今後の観光振興や次のコンベンション誘致につながることが期待できる点も経済効果としてとらえております。
◆北村光一郎 委員 大変、効果も上がるということで、安心しております。
最後に、要望で終わらせていただきたいと思います。
実は私も
消防団員でございますから、個人的な意見とは言えませんが、市民として、団員として、消防組織に関して申し上げたいと思います。
今、るる質問させていただいた中で、消防資機材の充実に関しては十分な予算がつくというふうに思っております。ところが、人員増強に向けての予算という質問を原局に投げかけましたところ、適正配置であるというような観点から、それほどふえないという現状が見てとれます。少子高齢化と言われ、中心部は特に高層ビルがたくさん建ち並ぶという環境の中で、果たして
消防職員の増強等々は必要ないのかという危惧を申し上げさせていただきます。
それから、同じく、
消防団員に関してでございますが、これもなかなか増員が図られない。女性をたくさん入れようとしていますが、実は、女性ももう働いてしまっていて、団員として訓練、その他会議に出られない現状になってきているのではないかと、自分の経験から申し上げます。
そして、とどめは、消防関係の審査委員会ですが、私は予算を削減するような審査委員会だと思っているのです。そのような財政的な観点から、団員に高揚、やる気、その他のものが欠落するようなイメージと、物すごく仕事量がふえたという声が現場から上がっているのが現実でございます。そういうところも踏まえ、予算、また仕事量について団員の方とよくお話しして、職員との交流を深めていっていただきたいというふうに要望いたしまして、私の質問を終えさせていただきます。
◆林清治 委員 私からは、子どもに対する防火防災教育と地域と連携した防火防災の取り組みについて質問させていただきたいと思います。
先ほど来出ているとおり、あと5日で発生からちょうど1年となる
東日本大震災は、我々に多くの教訓を残しました。その中でも、学校における日ごろの防災教育の取り組みによって児童生徒の被災に大きな明暗が生じたところであります。今、全国的に、子どもに対する防火や防災教育の取り組みについての重要性が高まっている状況になっております。
子どもたちがまず身につけるべきは、火災や災害発生時に、大人に頼ることなく、
子どもたち自身で危険を察知して、みずからを守る力、すなわち生きる力になると思います。
また、この
東日本大震災においても、中学生たちは、避難所では食事の配ぜんや水くみ、物資の運搬など、避難所の運営においても大人を支える大きな役割を担っておりました。小学生に比べて心身が発達している中学生は、初期消火やけが人の搬送、救命処置など、知識と技術を学ぶことにより、大人と同等の判断力と行動力を身につけるとともに、災害時に必要となる助け合いやボランティア精神を醸成していくことで、地域の防火防災への関心を高めることが期待できると考えております。
そこで、1点目の質問ですが、消防局では、第3次札幌新まちづくり計画の災害時における活動支援教育事業として、中学生に対する防火防災教育について積極的に取り組むと聞いておりますけれども、活動支援教育事業とは、どのような観点で、どのような取り組みを行うのか、お伺いしたいと思います。
◎佐々木 予防部長 私から、子どもに対する防火防災教育について、まず初めに、災害時における活動支援教育事業についてご説明させていただきます。
これは、中学生を対象に、火災や大規模震災などの災害発生時に、大人に頼らず、みずから判断し、身を守れる力を身につけるとともに、お年寄りや幼い子どもを助ける意識と行動力をはぐくむことを目的とした取り組みでございます。取り組み内容でございますが、中学校における総合的な学習の時間や保健体育の授業、消防署における職業体験などにおいて、消火訓練やけが人の搬送方法、さらには、応急手当て、AEDを活用した救命措置、そしてまた、避難訓練などの実践的な体験型の防火防災学習を実施することとしております。
◆林清治 委員 ただいま実践型の研修をやっていくという回答をいただきました。
そこで、消防局における子どもに対する防火防災教育の今後の体系について、重ねてお伺いしていきたいと思います。
消防局では、これまでにも、幼児を対象とする幼年消防クラブや、小学校1年生から中学校3年生までの児童生徒を対象とする少年消防クラブ、また、小学校4年生の社会科の授業を活用した「教えて!ファイヤーマン」、さらには、中学生を対象とした防火防災教育など、それぞれの事業に取り組んできたと聞いております。防火防災に限らず、
子どもたちに効果的に身につく教育をもたらすには、幼児期から成人するまで各世代における具体的な到達目標を定め、しっかりとした教育理念で取り組むことが必要だと感じております。一貫した理念を持って、子どもの発達段階に合わせた防火防災教育に取り組むことにより、中学生に対しても生きる力と大人を支援する力を効果的にはぐくむことが期待できるというふうに考えているところでございます。
そこで、2点目の質問ですが、子どもに対する防火防災教育について、消防局として今後どのように効果的に取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
◎佐々木 予防部長 私から、子どもに対する防火防災教育の体系化についてご説明させていただきます。
消防局といたしましても、
東日本大震災を踏まえ、地域における防火防災の担い手を効果的に育成するためには、子どもの発達段階に着目いたしました一貫性を持った教育指針が必要であると判断いたしているところでございます。本年2月に、消防局における防火防災教育指針を策定いたしました。具体的には、幼児期から成人するまでの間を幼児、小学校低学年、小学校高学年、中・高生の四つの世代に区分いたしまして、それぞれ具体的な到達目標、例えば、小学校高学年では、災害発生時の危険を回避し、身を守る行動ができるなどと定めまして、目標を達成できるように取り組むこととしてございます。
この指針に基づき、今後とも、学校や関係部局と密接に連携をいたし、子どもに対する防火防災教育のさらなる拡充を図ってまいる所存でございます。
◆林清治 委員 ただいまの答弁の中で、
子どもたちを四つの区分で段階別に目標をそれぞれつくって具体的な取り組みをしていくという答弁がございました。子どもに対する教育は、本当に、将来の防火防災の担い手をはぐくみ、そして、
子どもたちが自分で自分の身を守るという大事な取り組みであるというふうに思いますので、しっかりと進めていっていただきたいなというふうに思います。
さらに、次の質問に入りますが、一方で、地域の
防火防災力の強化ということに目を移していきたいと思います。
今後における超
高齢化社会の進展という状況を踏まえ、火災等の災害が発生した場合において、最も被害に遭う危険性が高い高齢者や障がいのある方々を地域としてどのように支えていくかが喫緊の課題であるというふうに思います。先ほど他の委員の質疑にもありましたけれども、ちょうど2年になろうとしている北区の
グループホーム火災を初め、今、高齢者が犠牲になる火災は全国で相次いでおります。このような痛ましい火災をなくすためには、やはり、地域の住民同士が日ごろから顔の見える関係をつくり、自助、共助の土台づくりを進めることが大事であるというふうに考えているところでございます。
これまでにも、火災予防に係る地域単位の取り組みとしては、消防局の支援のもと、例えば、住宅用火災警報器の設置について、悪質な訪問販売を排除するための共同購入の推進、また、連続放火が発生した場合における緊急対策や地域パトロールの実施などに取り組んでいました。また、先月、北区でも実施されておりましたが、
グループホームなどの社会福祉施設と周辺の住民が合同で避難訓練を行い、このときには消防局や地元の消防団も協力しながら、地域が連携して取り組むというようなことが行われております。このように、地域住民の助け合いの輪がどんどん広がっていくことが今求められているのかなというふうに思っているところであります。
東日本大震災の発生を契機として、地域の結びつきやきずなの重要性がクローズアップされており、これから先、いかにして地域の連携を深めていけるかということが、超
高齢化社会に向けた地域の安全確保のために極めて重要になるというふうに考えるところでございます。
そこで、質問ですが、地域が連携した防火防災対策について、消防局としてはどのように考えているのか、また、具体的な取り組み内容について、今考えていることをお伺いしたいと思います。
◎佐々木 予防部長 私から、地域の防火防災の取り組みについて、2点お答えいたします。
初めに、地域の連携に係る考え方ですが、地域には、住民組織である町内会に加えて、消防団、防火委員、民生委員、そしてまた、小・中学校を初めとする各種の学校、さらには商店街、企業など、防火防災にかかわります人的、物的にさまざまな機能や対応力を持った機関が存在しております。これらの機関がお互いに得意とする能力や機能を持ち寄って、火災を初めといたします災害対策全般に備えた日常的な取り組みを行うことが重要であると考えております。
次に、具体的な取り組み内容でございますが、地域の各機関による、いわゆる住宅防火に係る助け合いのためのネットワークを構築いたしまして、来るべき超
高齢化社会を踏まえた防火防災対策を推進してまいりたいと考えております。具体的には、高齢者が特に多い地域や
グループホームなどの社会福祉施設があります地域など、それぞれの地域特性に応じた助け合いのための取り組みを消防局が支援することにより、火災発生時におきます災害弱者の早期の救出や夜間の一時収容場所、さらには、避難路の確保を初め、災害対策全般への備えを進めることで地域の防火防災対応力を向上させてまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 ただいま、防火防災教育と、そして地域と連携した防火対策ということで質問してきました。今のお答えにあったとおり、住宅防火ネットワーク、地域の助け合いのネットワークという部分で、これが本当にこれから求められてくる内容になるのかなと思っております。
先ほど触れたように、北区
グループホーム火災から2年、そして
東日本大震災から1年と、本当にまだ期間がたっていない状態の中で、昔から言われるように、「鉄は熱いうちに打て」というような言葉もありますけれども、今の機会を生かし、過去の教訓に学び、子どもの防火防災教育や地域での助け合いネットワークの取り組みをしっかりと推進していただきたいというふうに思うところであります。
最後に、要望ですが、今後は、各関係部局内を含めてしっかりと連携を密にしながら、地域の皆さんの視点に立って、消防局として地域の安全・安心のさらなる向上に一層努めていただくことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
◆芦原進 委員 まず、質問に入る前に、今、委員の皆さんから話がありましたように、きょうを入れてあと6日で
東日本大震災から1年になります。北海道と東北は、親戚みたいなものだとよく言われます。いち早く現地に飛んでいって、我が身を損ずることも顧みずに、消防活動に必死に取り組んでくださった関係者、また
消防団員の皆さんに厚く敬意を表したいと思います。本当にありがとうございました。
それでは、質問に入らせていただきます。
救急安心都市さっぽろ推進事業について、るるお尋ねしてまいりたいと思います。
第3次新まちづくり計画に掲げられている救急安心都市さっぽろ推進事業は、病院の到着前の救急体制の強化を目指して平成3年に救急救命士法が制定され、救命士の資格を有する
消防職員が医師の指示のもとで特定行為を行う制度が出発いたしました。その後、メディカルコントロール体制の整備に伴い、救命士の処置の範囲が拡大されました。
その救命効果の実績から、救命士が担う役割に対する期待感がさらに高まり、平成22年4月、厚生労働省の救急救命士の業務のあり方等に関する検討委員会において、新たに三つの行為、3行為と言いますが、血糖値測定と低血糖発作症例によるブドウ糖の投与、これは、血糖が下がると脳に影響があるということで、ブドウ糖を投与できるようになりました。二つ目は、重症ぜんそく患者に対する吸入、ベータ刺激薬の使用、三つ目は、心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施、これを実施することが適当であるということが検討委員会で報告されました。そして、来年度から、全国的ではありませんが、政令都市を中心とした一部の地域において、新たにこの3行為が実施されることになっております。
今回の救命処置の拡大は、救命士制度の発足以来、初めて、重症者の血液を採取して検査することや心肺停止前の傷病者に対して行う処置であり、平成3年からちょうど20年が経過した救命救急士制度の新たな一歩と言える大変意義深いものであります。特に、その先陣を続けてきた者が、私は札幌市の消防局の救急救命隊であったと思っております。消防局において、新たな3行為は、一分一秒を争う市民の命を守るためには最も有益なものと判断いたします。だから、このことが導入されることになったと伺っております。
我が会派としまして、これまで、生命のとうとさという観点から、AEDの設置促進――私が議会で一番最初に取り上げさせていただいて、このAEDを札幌じゅうに普及していくべきだという質問をしたことを覚えておりますが、既に1,000施設を超える設置が進んでいると伺っております。また、救命講習の普及啓発、さらに、救命士による気管挿管、気管に管を挿入することを気管挿管と言うそうでありますが、これや薬剤投与など、従前から救命率の向上のための施策推進に取り組んできたところであります。
札幌市の救命率は、何とすばらしい、平成22年度中、1カ月生存率で22.1%であり、全国平均の11.4%を大きく上回っておりますが、今回のさらなる処置拡大により、救命率がさらに高まるのではないかと大いに期待いたしております。
そこで、2点質問させていただきます。
新たな3行為の具体的な効果について、また、実施に向けた体制整備をどのように進めているのか、お伺いします。
引き続きまして、ビデオ喉頭鏡を用いた気管挿管についてです。
平成22年度救急業務高度化推進検討会において、手で行う技術の容易さ、安全性、確実性が確認され、昨年8月に総務省消防庁と厚生労働省の連名通知により、実施が可能となったのであります。新たに導入するビデオ喉頭鏡は、消防の方にやっていただきまして、私も拝見いたしました。やはり、操作が非常にしやすく、すぐれたものだなと私もその場で感じました。
消防局は、現在もそういうものを既に使っているのですね。しかし、このビデオ喉頭鏡は新たにやるということでありまして、以前の気管挿入に比べて安全性、確実性が増すだけではなく、適応性も増していく。安全性プラス適応性、確実性も増していくということでありますので、適応症例もふえていくと伺っております。一般的に見ますと、どちらがどうなのか、新しいものと古いもので何が変わるのか、こういうふうな見方ができると思うのです。
そこで、質問するのですが、現在使っている気管挿管とビデオ喉頭鏡による気管挿管の違い及び新たに適応となる症例についてお伺いしたいと思います。
◎佐藤 警防部長 救急安心都市さっぽろ推進事業の新たな3行為の効果についてでございます。
初めに、血糖値測定と低血糖発作症例へのブドウ糖投与についてでございますけれども、血糖測定及び低血糖の早期補正によりまして重度の後遺症を回避できることとなります。また、病院前の意識消失傷病者が低血糖疑いと判断された場合、脳卒中などとの区別ができまして、より適切な搬送先医療機関を選択できることとなります。
次に、重症ぜんそく患者に対する吸入ベータ刺激薬の使用につきましては、重症発作により気管支が閉塞した場合、死亡する可能性がありますが、吸入ベータ刺激剤で気管支を広げることによりまして、心肺機能が維持され、救命率が高まることとなります。
最後に、心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施につきましては、心肺停止前に静脈路確保と輸液を実施しながら搬送することによりまして、搬送中に心肺停止状態になった場合でも速やかに薬剤投与が可能となり、救命率の向上を図ることができます。
次に、実施に向けた体制整備についてでございます。
先般、札幌市医師会、市内の救急救命センター医師等で構成いたします会議におきまして、新たな3行為の導入につきまして全面的な協力を得られたところでございます。このことから、今月から研修体制や教育教材等の準備に着手いたしまして、来年度の早い時期から救命士に対しまして必要な研修を行い、新たな3行為の実施に向けた体制を構築してまいります。
次に、気管内挿管の違いでございますけれども、現在の気管挿管は、傷病者の頭部を後ろにのけぞらせまして、のどの奥をのぞき込み、挿入部位でございます声門を目視によりまして確認できた場合に限り実施をしております。ビデオ喉頭鏡は、挿入部の先端にカメラがついておりまして、傷病者の頭部を後ろにのけぞらせることなく、モニター画面で声門を確認でき、安全、確実に気管内挿管が可能となります。交通事故などによりまして頸椎損傷が疑われる事案につきましては、頭部を固定する必要があり、現在使用している器具では気管挿管をすることが非常に難しゅうございますけれども、ビデオ喉頭鏡を使うことによって、これが可能となるところでございます。
◆芦原進 委員 今ご答弁をいただきまして、日進月歩で――救命とは人の命を守るところからスタートしたと思うのですね。日々の研さんというか、努力の積み重ねで、救急車そのものが病院のような形になっている。命を救うことが目的だったのだろうけれども、倒れる前の状態まで回復させていこうという取り組みだと伺っております。そうした意味で、今回、三つのことが新たに追加されるということです。私たち市民は、いつどうなるかわかりませんから、安心して倒れると言ったらおかしいのですが、非常に安心して生活できるなと思います。今言いましたように、新たな3行為が、救命率の向上、また後遺症の低減に効果があることを伺いました。実施に向けて体制の整備を着実に進めることは理解いたしました。さらに、新たな三つの行為については、他の地域に先駆けての実施であり、救急安心都市さっぽろの推進に大きく貢献することになり、大変期待するところであります。
実施に際しては、メディカルコントロール体制や教育体制が充実していることが要件となっており、我が札幌が実施地域に選定されること自体、本市の救急業務について、高い安全性が確保されていることの証明であると私は考えます。倍近い救命率につながっていることが評価されているのではないかと思います。一部の地域のみの実施ということですので、まずは、札幌市が実施地域であることを――安心してもらわないといけないわけですから、広く市民の皆さんに知っていただくことが大切であると私は思うのです。その上で、新たな三つの行為の内容とその効果をしっかり理解してもらうための積極的な広報活動が必要だと私は思います。このことにより、新たな3行為の実施が必要な場合に、傷病者やその家族に対するインフォームド・コンセント――英語で言いましたが、説明と同意が円滑に行われると考えています。
そこで、質問させていただきます。
新たな処置拡大に向けた市民への広報についてどのように実施する予定であるのか、お伺いいたします。
◎佐藤 警防部長 新たな周知拡大に向けた市民への広報についてでございます。
広報の重要性につきましては認識しておりますことから、消防局ホームページを初め、広報さっぽろ、ポスター掲示などさまざまな広報媒体を利用していきたいと考えておりますし、さらには、報道機関に対しまして協力を依頼するなど、積極的に広報活動を行うよう考えてございます。また、各地域において行われます会議等、市民に接する機会をとらえまして、精力的に情報提供を行っていきたいというふうに考えてございます。
◆芦原進 委員 本当に精力的に、いいものをつくっても、それが活用されないとね。市民の人が安心して暮らせることが一番健康なのですよ。いざというときに守られるというものがあれば、安心して暮らせるわけです。いざというときに守られないと思えば、おちおち生活もできないという状況になりますから、そういう意味では、札幌市の消防には大変期待をいたします。
再々質問をさせていただきます。
次に、これもまたすばらしいですが、新たな心電図伝送について質問させていただきます。
これは、すごいですね。処置拡大、ビデオ喉頭鏡については、省令改正や通知により、全国的な動向であると把握しておりますが、一方で、新たな心電図伝送システムについては、札幌市独自の取り組みと伺っています。これがすごいのです。
急性心筋梗塞等の心疾患者の死亡率を下げるためには、発症から2時間以内にカテーテル治療等により血管の詰まりを取り除く処置が必要と聞いております。救急車が病院到着前に、心臓の活動を、立体的に――今で言う3Dであります。そのように観測できる、いわゆる12方向から立体的に映すそうですが、そういう12誘導心電図を病院に送ることは、病院側のカテーテル室の準備、医師等の医療スタッフの招集を早めることにつながり、処置開始までの時間を短縮できることから、死亡率低減には非常に有効な手段であります。
しかし、効果的な心電図伝送を行うためには、心電図を伝送する医療機関の傷病者受け入れ体制――ここが大事ですね。つまり、札幌市内の循環器救急病院の協力と連携が大前提にならなくてはなりません。
そこで、質問いたします。
他都市の実施状況を含め、心電図伝送の導入経緯と医療機関との協力体制についてお伺いいたします。
◎佐藤 警防部長 新たな心電図伝送につきまして、他都市の実施状況についてでございます。
政令市では、横浜市、広島市が実施しております。そのほか、群馬県桐生市、福岡県久留米市、飯塚市で実施をしていると把握しております。導入例はまだ少ない状況でございますけれども、横浜市消防局からは、12誘導心電図の伝送が早期の治療方針決定に有効であったとの発表がなされているところでございます。
導入経過についてでございますが、昨年、救急蘇生の指針である新たなガイドラインが発表されまして、この中で、病院前における12誘導心電図の利用を推奨されたものでございます。導入に当たっては、心電図の受け側、受診側であります医療機関の協力が不可欠でございます。本市におきましては、平成22年1月に、循環器、呼吸器2次病院で傷病者の受け入れ体制を強化するためのネットワークが設立されたことから、このネットワークの理解と協力によりまして心電図伝送を行い、救命率の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
◆芦原進 委員 やっぱり、横浜市は何事も先駆けてやっておるようでございます。しかし、横浜市にまさるとも劣らない札幌市の取り組みだということで、大いに期待したいと思います。
最後に、要望でございます。
救命士制度は、量から質へという時代に転換しつつあると伺っております。高度な救命処置のためには、専門的な知識、熟練した技術が必要であることは言うまでもありません。一方、増加し、多様化する救急需要にも的確に対応していかなければならず、まさに、限られた時間の中で、救急隊の生涯教育をどのように進めていくかが今後の課題ではないかと考えます。創意工夫により、効果的・効率的な検証、教育の体制を構築するとともに、医療機関との連携強化に力を注ぐことで、さらなる病院到着前の救急体制の充実を図り、全国的に見て非常に高い水準にある本市の救命率の維持・向上のために努めていただくことを強く要望し、質問を終わらせていただきます。
◆井上ひさ子 委員 私から、消防の勤務体制について伺いたいと思います。
2009年に、今後10年間の札幌市消防局運営方針をお決めになりました。その背景には、職員が大量に退職する、また、新規採用により職員の約半数が入れかわる、再任用制度の導入や女性職員の職域の拡大、隊の編成について考慮しなければならないことが書かれております。この間、大きな災害もあっただけに、消防力の維持・向上を図るため、日々の訓練、研修、そして、災害に備えた技術の継承は本当に欠かせないと思います。
その中で、本市は、消防の勤務体制について、現在の2部勤務から3部勤務の導入に向けた検討が行われ、既に白石区、厚別区でモデル的に進め、2年目に来ました。2部勤務から3部勤務について、既に他都市では先行しているとはいえ、現場の中では大変不安もあったというふうに思われます。
そこで、質問ですが、約半数以上の職員が大量に退職して入れかわっていく状況の中で、本市の技術は引き継がれていくのか、このことについて伺いたいと思います。
◎武井
総務部長 まず、若年職員に対する技術の伝承についてお答えいたします。
団塊の世代の大量退職と大量採用によりまして、経験の少ない若年職員が増加してきております。このため、一定以上の消防力を維持するためには、経験豊富な職員と若年職員とを組み合わせるなど、隊編成に配慮が必要と考えております。この点につきましては、隊員の組み合わせが勤務ごとに入れかわります現在の2部制の勤務体制では問題の解決が難しいことから、3部制の特徴であります隊員を固定化できる抜本的な勤務体制への見直しが必要と考えております。
若年職員の育成につきましては、新規採用時に初任研修期間を6カ月から1年間に延ばしまして、実際の現場におけます知識、技術を習得する教育を取り入れておりますけれども、さらに内容を充実させてまいりたいと考えております。さらに、所属におけます研修の充実のため、認定を受けた指導者による研修や、経験豊富な再任用職員から技術の伝承を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
◆井上ひさ子 委員 勤務ごとに入れかわることでは、大変難しいこともある中で工夫されているかなと思います。
そういう中で、ここの部署は消火とか救急・救助などの災害対応を行うところだと思うのですけれども、2部勤務から3部勤務にする中で、人を減らさずに定数をきちんと守ってやっていかなければならないと思いますが、この辺についてはいかがですか。
◎武井
総務部長 3部制の導入に伴いまして、定数を増減するとか現員定数を変更するということは考えておりません。
◆井上ひさ子 委員 先ほど、3部勤務によって同じ隊員による勤務が固定されて可能になるということとか、経験者や新しく採用された方がチームをつくって研修などに取り組むというメリットがあるのかというふうに思います。しかし、デメリットとして、例えば引き継ぎの問題など、2年が経過していく中でそういう困難さも想像されるわけですが、このメリット・デメリットがどのような状況になったのか、また、この間、この3部勤務をどのように評価されているのか、伺いたいと思います。
◎武井
総務部長 3部制導入に伴いますメリットとデメリットについてお答え申し上げます。
まず、メリットですが、隊員の組み合わせが勤務日ごとに入れかわります現在の2部制に対しまして、3部制では活動する隊員が固定化されますことから、職員個々の役割が明確になり、災害対応能力が強化されると考えております。また、2部制にはない日勤日、いわゆる9時から5時の勤務日がございますから、このため、災害出動に影響されずに研修などを行うことができるようになります。さらに、救急需要の増加が見込まれている時期に予備の救急車を運用できるなど、市民サービスの向上にもつながるものと考えております。また、3部制の勤務サイクルは、2部制に比べまして疲労回復に効果的であるというふうに考えております。特に、高齢職員や再任用職員、出動回数の多い救急隊員等、身体負荷の軽減につながるものであります。
一方、デメリットについてですが、業務の運用上、とりわけ支障になるような大きな問題はないと考えております。しかしながら、先ほど委員から指摘がございました業務の引き継ぎに関する手法の見直しが必要になりますし、隊員の固定化で役割も固定されることから、業務経験の幅が狭められる懸念もございます。こうした課題は私どもも認識しておりますけれども、これらにつきましても、3年間の試行を経まして一定のノウハウの蓄積があるものですから、十分克服できるものと考えております。
◆井上ひさ子 委員 今後の見通しについてですが、今の白石区、厚別区の2区から広げていくと。一気にはできないというふうに思うのですけれども、メリット・デメリットなどがある中で、本当にこれを改善させて、拡大していく方向に向いているのかどうか、これを最後に質問したいと思います。
◎武井
総務部長 今後の導入計画でございますが、平成24年度には東署、西署、手稲署、さらには、救急ワークステーションという組織がございますけれども、これらの4カ所について導入したいと思っております。続いて、平成25年度には、残る五つの消防署、中央署、北署、豊平署、清田署、南署に導入し、全署の導入を完了したいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 市民生活の安全を脅かす災害が本当に発生しております。そういう中で、消防の果たす役割が求められているというふうに思います。職場などのアンケートで調査なども行っているというふうに聞いておりますので、職場の声に十分配慮されて進めていただきたいと思います。
最後に、私は、昨年11月に、災害・雪対策調査特別委員会で石巻市を訪れました。本市の消防局の皆さんがいち早く被災地の救援活動に訪れ、大変感謝しておりました。そういう中でご苦労もあったというふうに思いますが、多くの方がそういう経験をされた中で、本市の消防、防災の活動により一層邁進していただけますことを求めて、終わりたいと思います。
◆小川直人 委員 私からは、
東日本大震災を教訓とした消防対策と消防航空体制、消防救急デジタル無線などについて質問させていただきます。
まず初めに、
東日本大震災を教訓といたしました消防対策であります。
3.11
東日本大震災は、地震や津波によって甚大な被害が発生し、間もなく1年がたとうとしております。改めて、お見舞いとご冥福をお祈り申し上げます。
被災地では、いまだその傷はいえ切っておらず、復旧、復興に向けて動き出しているものの、もとの状態に戻るには相当の年月を要するものであります。一日も早い復興を目指し、札幌市として被災地に対する支援と、避難されてこられた方の支援を引き続き行う必要があるというふうに考えております。
これまで、札幌市の消防局からは、被災地に延べ503名の隊員を派遣し、人命救助を初めとする活動を展開してまいりました。私は、昨年の第3回定例会決算特別委員会におきまして、被災地に派遣されて得た貴重な教訓を生かし、本市で大規模な地震災害が発生したときに、消防局が十分対応できるように体制の強化を求めたところであります。
この間の取り組みといたしましては、ウオーターカッター車、大型除染システム車、特殊災害対応車など、道内における大規模、特殊な災害に対して活動するために、総務省から道内の消防機関に8台が無償貸与されていますが、こういった車が札幌市消防局に7台貸与されております。この特殊な消防車両を迅速に被災地へ派遣するための計画を定め、12月1日から運用を開始しているというふうに聞いております。また、大規模災害時に消防・防災ヘリコプターを初めとする防災関係機関が保有する航空機をより効率的に、かつ安全に運航するために、国、道の関係機関で構成する北海道ヘリコプター等運用調整会議に参画することで、空・陸両面において広域的な対策が進んでいるとも聞いているところでございます。さらに、これらの対策とあわせて、消防局内に検討委員会を立ち上げ、
東日本大震災の教訓を踏まえた今後の消防体制を鋭意検討されているというふうに聞いてもおります。
そこで、3点お伺いいたします。
1点目は、第3次新まちづくり計画において、震災時における消防体制強化事業の一環として、特別消防隊の創設と都市型捜索救助を導入することで、より迅速で効果的な活動が行えるよう消防・救助体制の強化を図っていくとのことでありますが、創設、導入に至った背景についてお伺いいたします。
2点目は、特別消防隊の部隊構成と、さらには、この隊の装備資機材に新年度予算では2,000万円を計上しておりますが、どのように配置しているか、今後、どのような計画で配備を進めていくのか、お伺いいたします。
3点目は、都市型捜索救助技術の概要についても、あわせてお伺いいたします。
◎佐藤 警防部長 1点目の特別消防隊の創設と都市型捜索救助技術の導入についてでございますけれども、
東日本大震災では、消防庁の集計によりますと、286件の火災が発生したところでございます。本市の地域防災計画における最大の被害想定では、建物の全・半壊が約11万棟、合わせまして156件の火災の発生が見込まれており、北海道の地理的な条件などを考慮いたしますと、限られた時間内に消火活動と救助活動を並行して集中的に実施する必要があるといった背景から、これらの事業の導入を計画したところでございます。
次に、2点目の特別消防救助隊の部隊構想、配置資機材などについてであります。
特別消防隊は、高度な知識、技術を有した経験豊富な隊員と、高機能、先進的な資機材を集中配備いたしまして、特に困難性の高いビル火災、大規模化した火災などに対し、消火活動はもとより、人命救助活動についても高い実践力を持つ部隊といたします。
特別救助隊の装備、資機材についてでございますが、濃い煙で視界不良の現場でも、逃げおくれた人、さらには、壁の中に隠れた火種を確認できる赤外線カメラや、避難経路の目印となります発光するロープなどのほか、隊員の安全性を高めるための個人装備などを重点的に配備する予定としております。
今後の配備計画についてでございますけれども、中央、北、豊平の3消防署に本年12月の発足を目指し、現在、消防局内にプロジェクトチームを設置いたしまして、具体的な運用方法とあわせて検討を行っているところでございます。
3点目の都市型捜索救助技術の概要についてでございますが、ビルの倒壊現場など、特に困難性が高い救助活動を迅速に実施するため、総務省消防庁が推進する救助技術の総称でございますが、コンクリートを切断したり穴をあけたりする資機材、狭い空間から安全に救出するための特殊な担架などを、中央、北、豊平の3消防署の特別高度救助隊などに整備するものでございます。
◆小川直人 委員 札幌で大規模災害が発生した場合、北海道は、四方が海に囲まれているということで、道外からの緊急消防援助隊の到着には相当の時間を要すると思います。今回、札幌から被災地に行くのも相当苦労されたというふうに聞いております。さらに、北海道は寒冷降雪地ということで、冬季に災害が発生いたしますと被害がさらに拡大することが想定されております。したがいまして、今お話がございましたように、みずからの活動能力を強化しておくことは極めて重要でありまして、特に生存率が急速に低下する72時間以内までの活動がこのことによって大いに期待されるところであります。
新たに発足されます特別消防隊につきましては、その高い活動能力と活動に期待いたしますし、その効果の検証を踏まえつつ、さらなる充実について検討いただきたいというふうに思います。
そのことを申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。
次は、消防航空体制の確保についてお伺いいたします。
このたびの大震災直後に、本市消防ヘリコプターをいち早く現地に派遣いたしました。現地の状況につきましては、瓦れきなどで道路が寸断されておりまして、住民の避難経路や消防隊の進入経路も絶たれた状況の中で、仙台市内の小学校の屋上に取り残された避難者、計236名を救出されております。災害発生直後に、ヘリコプターによる空からの機動力が極めて有効でありまして、大規模災害時には、いち早く被害状況を把握することが必要であり、迅速性にすぐれたヘリコプターは上空からの状況把握に非常に有効的であります。
消防局は、大規模災害派遣時や点検期間中において通年で運航できる体制を確立するために、平成21年4月に消防ヘリコプターを整備したところであります。
東日本大震災においても、保有する機体2機を交互に派遣し、残った1機により市内の救急災害の運用体制を確保してまいりました。
そこで、1点目の質問ですが、
東日本大震災でそれぞれの機体の飛行時間とこれまでの延べ飛行時間について、どれくらい活躍したのか、伺います。
2点目は、平成24年度予算の中に消防ヘリコプター点検整備費約8,800万円が計上されておりますが、それは、どのような点検で、どれぐらいの期間を要するのか、また、点検整備期間中においては災害出動にどのように対応するのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、消防ヘリコプターの飛行時間についてお答えいたします。
新しい方の機体であります現行機につきましては、
東日本大震災において50時間飛行しております。導入からの延べ飛行時間数は、平成24年2月末現在で797時間でございます。先に導入した機体であります予備機につきましても、
東日本大震災においては45時間飛行しております。こちらの機体の延べ飛行時間は、同じく2月末時点で5,804時間になっております。
点検整備のご質問でございますが、ヘリコプターの点検整備は、主なものとして2種類ございます。一つ目は、航空法に基づきます航空機耐空検査です。車にたとえますと車検のようなものでして、これは毎年実施されます。もう一つは、機体製造メーカーから義務づけられております重点整備で、5年置きに実施することになります。平成24年度は、この二つの検査が重なることから、予算にございます点検整備費は耐空検査と重点整備の二つの検査に要する経費でございます。通常、耐空検査で2カ月程度、重点整備は3カ月程度の期間を要することになります。
また、整備期間中の災害出動につきましては、予備機を活用し、市内の災害対応に当たることになっております。
◆小川直人 委員 今、答弁をいただきまして、現行機は、平成21年に配備されて797時間飛行されている、予備機については、平成3年に配置されたというふうに聞いておりますが、既に5,804時間運航されているという状況で、かなりの飛行時間となっております。被災地ではそれぞれ50時間、45時間の活躍をしたということでありますが、そういったことも加えてこのような飛行時間になっているということであります。
加えまして、今、消防ヘリコプターの点検整備は、長い時間がかかるというお話がございました。通年運航体制を確保していくためには、予備機の存在は重要な役割を担っているというふうにただいまの答弁で認識いたしたところであります。このことによりまして、平成21年に1機を整備したことは大変価値があります。点検期間中、派遣中でももう1機ありますから、その分で市民の災害・緊急対応ができるということでありますので、そういうふうに感じました。
そこで、質問ですが、今後の消防航空体制についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 今後も、通年運航体制につきましては維持すべきと考えております。その上で、将来の消防航空体制のあり方につきましては、さまざまな角度から検討を進めてまいりたいと考えております。
◆小川直人 委員 次に、石狩のヘリポートについてお伺いいたします。
本市消防局のヘリポートですが、平成20年9月まで丘珠空港内に格納庫を設置しておりましたが、現在は石狩の方にヘリポートを移転して運用しております。その理由は、平成20年1定の
予算特別委員会の答弁の中で、丘珠空港は、自衛隊機と民間機が使用している関係上、離着陸が非常に多く、半径5マイルの丘珠管制圏内において、他の航空機が着陸態勢に入った場合、離陸制限がかかり、消防ヘリコプターの迅速な出動態勢の確保に課題があるとしております。
東日本大震災におきましては、仙台市が使用していた仙台ヘリポートが津波にのみ込まれまして、宮城県消防ヘリコプターが流されたというふうに聞いております。石狩ヘリポートは、仙台ヘリポートと同じように海岸線に近いところに位置しております。加えましては、北海道では、現在進めている津波浸水予測調査に加え、新年度から4年間で、
東日本大震災の地震規模を参考に地震の揺れによる被害想定の調査にも着手すると報道されているところであります。
そこで、質問ですが、石狩ヘリポートの立地状況はどのようになっているのか、また、今後の考え方についてお伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、石狩ヘリポートの立地についてお答えいたします。
石狩ヘリポートの立地ですが、海岸から約700メートルのところに位置しておりまして、海抜は5.7メートルでございます。一方、仙台市のヘリポートは、海岸から同じく700メートル、海抜は6.0メートルと、ほぼ同様の立地状況でございます。
今後の考え方につきましては、
東日本大震災の津波で壊滅状態となった仙台ヘリポートの教訓を受け、大規模な災害が発生した場合にも影響を最小限に抑えられるよう、現在地の適否も含めて検討が必要と認識しているところでございます。
◆小川直人 委員 震災の直後におけるヘリコプター活動の優位性は、今回の
東日本大震災でも明確になりました。加えまして、予備機について、このたびの活動で長時間飛行していることもわかってきたところであります。ヘリコプターの寿命は、飛行時間によって決まるということも聞いております。今後とも、通年運航が維持できる体制を確保していただくように、早期に検討していただきたいと思います。
また、ヘリポートについてでありますけれども、津波浸水調査を踏まえまして、大規模災害時、特に津波被害の少ない適地はどこか。先ほどの報告では、石狩も仙台ヘリポートも同じような条件だと伺っていますので、同様の震災が発生した場合は、石狩のヘリポートも津波の影響を受けることも考えられますので、これから、市内及び近郊も含めて十分に検討して迅速な対応をしていただきたいというふうに思います。
次に、消防救急無線のデジタル化、消防指令システム及びヘリコプターテレビ伝送システムの整備についてお伺いいたします。
平成23年1定の
予算特別委員会で、電波法の改正に伴い、消防救急業務運用に不可欠な消防救急無線のデジタル化の移行につきまして、私から質問させていただきました。
その中で、複雑多様化する災害への対応や高齢化の進展などで需要増加が想定される救急サービスを提供するなど、市民が安全で安心して暮らせる住みよいまちを実現するため、消防体制の充実強化を図る必要性について求めさせていただきました。
また、消防無線の基地整備に合わせて、消防指令システムについても更新し、車両動態位置管理システムを導入するということです。この車両動態位置管理システムは、消防車や救急車をどこに配置するか、GPSを使ってすぐわかるというふうに聞いております。そういったシステムを導入することによりまして、現場到着時間の短縮を図るものと伺っておりまして、両システムとも、平成25年の運用開始をめどに現在整備が進められているというふうに聞いております。
そこで、最初の質問は、この更新整備を進めている消防救急デジタル無線及び消防指令システムでは、具体的にどのような機能を強化しているのか、お伺いいたします。
また、
東日本大震災では、消防通信システムについて、被災地における全消防本部の64%が無線局舎や制御システムの破損、消防庁舎の停電、中継回線の途絶及び火災や救急要請の多発による無線の混乱によりまして、消防救急無線が使用できずに苦慮したと聞いております。この経験を生かしまして、災害に強い消防体制の充実が求められている中、現在、整備を進めているそれぞれのシステムの具体的な対応策の取り組みについてお伺いいたします。
次に、ヘリコプターテレビ伝送システムの整備についてです。
この件につきましては、昨年の1定の
予算特別委員会で、私から、阪神・淡路大震災のときに、上空からの映像の重要性について指摘させていただきまして、本市においても有効なヘリコプターテレビ伝送システムの整備を求めさせていただきました。そして、映像受信範囲の拡大等の機能強化を目指し、平成23年度中に整備するとの回答でありました。その2週間後に
東日本大震災が発生したわけであります。被害が広範囲に、かつ大規模に発生したにもかかわらず、当日、札幌市消防局から緊急消防救助隊の派遣を決定するなど迅速な救助活動ができたのは、いち早く被害規模を想定したこともありますけれども、被害関係者から送られてくる映像とリアルタイムな情報が大きかったと聞いております。
そういった災害時における重要な情報であるヘリコプターからのテレビ映像を受信するヘリコプターテレビ伝送システムの更新が間もなく完了すると聞いておりますが、どのような機能強化を図ったシステムがあるのか、お伺いいたします。
◎武井
総務部長 まず、消防救急デジタル無線と消防指令システムの整備によります機能強化についてご説明いたします。
GPS機能を活用し、災害発生時に現場に最も近い消防車や救急車の選定を行い、自動的に最短ルートで現場へ誘導することで、到着時間の短縮を図ることが可能になります。さらに、119番で受け付けた通報内容や災害場所の情報が消防車等の車内に設置するテレビモニターに表示が可能となり、指令員と出動車両との情報共有が可能となります。また、現在のアナログ方式の無線では、距離によっては消防車同士の無線交信ができない場合がありますが、デジタル化に伴いまして、受信エリアが拡大され、広域的な通信体制の確保が可能となります。さらに、119番を受け付けます指令台につきましては、現行の9台から10台に増強することで、大規模災害時にもより多くの通報受け付けが可能となります。加えて、現在は、一般の人でも無線の内容を聞くことができますが、通信内容が暗号化されることで個人情報の漏えいを防ぐことが可能となります。
2点目の
東日本大震災に伴う教訓とその対応策でございますが、停電時にも3日以上継続して利用できる発電機や蓄電池などの非常用電源を確保いたします。無線の回線数につきましては、7チャンネルから16チャンネルにふやすことで大規模災害時でも混信を防ぐことが可能となります。さらに、無線施設の損壊を防ぐため、無線局舎やアンテナの鉄塔などの補強を行い、耐震性を強化いたします。また、回線が切断されるリスクを軽減するため、中継回線を有線から多重マイクロ無線に変更いたします。
3点目のヘリコプターテレビ伝送システムの整備状況と機能強化についてお答えいたします。
ヘリコプターからの映像を受信するアンテナを消防局庁舎の屋上からもみじ台無線基地局に移設したことにより、受信不能地域を解消することができました。さらに、新たにGPSの導入により、ヘリコプターの現在位置や送られてくる映像がどこを撮影しているかを指令情報センターのモニター上に表示でき、災害場所を正確に特定できる機能を強化したところでございます。
◆小川直人 委員 今の答弁で、機能強化が相当図られたという感じがいたしました。それぞれのシステムの更新事業で、これまで要望させていただきました安全で安心な住みやすいまちづくりを念頭に整備されてきたということを確認いたしました。救急車が迅速に困っている方のところに到着する時間がかなり短縮されるということでありますし、日常、それから災害時も、このシステムがかなり機能するのではないかなというふうに感じたところでございます。
東日本大震災に派遣されて、被災地で救急活動の任務に当たられた隊員の状況は、震災後、議会の中でも報告されました。その活動に対しまして、市民は、誇りに思うと同時に、頼もしく感じたというふうに思います。隊員の皆さんにつきましては、貴重な経験を生かして、大規模災害が発生した場合に、ぜひ札幌市を守っていただきたいというふうに思います。
しかし、いかに訓練された消防隊員でも、丸腰では活動が限定的になると思います。本日は、資機材やシステムのさらなる充実強化について議論をさせていただきました。この機能を十分に発揮していただくために、訓練を重ね、有効な活用・運用方法について、随時、検証を加えまして、市民の生命、身体、財産を守る使命を果たしていただきたいというふうに思います。
最後に、先ほどもお話がありましたが、ことし6月に、アジアの24カ国と地域の消防機関が札幌に集まりますIFCCAが開催されます。これを契機に、本市の消防局の能力がさらに高まり、市民の防災に対する意識が高まることを願いつつ、質問を終了いたします。
○こんどう和雄 委員長 以上で、第1項 消防費の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時58分
再 開 午後3時20分
――――――――――――――
○こんどう和雄 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中危機管理対策室関係分の質疑を行います。
◆
木村彰男 委員 まず、私は、原発事故対策につきまして、そして、災害時の防災備蓄品の備えにつきまして、それから、豪雪時に自衛隊を災害派遣することにつきまして、この3点を質問させていただきます。
まず、私は、危機管理対策室所管の原発事故につきましてお伺いいたします。
札幌市は、北海道の高橋知事に対しまして、泊発電所にかかわる防災実務者会議ですか、事故の対応を協議するような会議に2度にわたって参加させてくれと要請しているのでございますけれども、まだその実現を見るに至っておりません。現在の上田市長と高橋知事の関係をいろいろお聞きしますと、どちらかがおやめにならない限り、この交渉テーブルもなかなか難しいのかなというふうに思っております。札幌市民にとっては大変不幸なことだなと思っております。とはいいましても、対策に抜かりがあってはいけませんし、考え得る最も悪いケースを想定した上で準備していくということは変わらないと思います。
私がかつて読んだ本の主人公に瀬島龍三という人がおりました。この人は、昔、日本軍の参謀をやり、戦後、長くソ連に抑留されまして、帰国後、経済人として活躍した人ですけれども、この人の言っている中に、作戦を立てるときには、悲観的に準備して、楽観的に対処していくという言葉があって、私は非常に示唆に富む言葉だなと思っていつも肝に銘じておるのです。
例えば、さきに公表された福島原発をめぐる民間事故調査委員会の記録などを見ましても、さきの首相である菅直人さん、政権側でございますけれども、事故当初から、準備も想定もなかったということで右往左往している様子が新聞とかテレビなどでも放映されておりました。また、枝野官房長官に至っては、何の準備もなくといいますか、情報もない中で延々と記者会見を開いていたということを告白されておりまして、私はちょっとびっくりしたのでございます。
そこで、札幌市においては絶対にそういうような状態を惹起してはならないという決意のもとに、私は、まず第1点目として、現在、札幌市が原発に対して現状で準備できていることをお聞きするとともに、今年の予算で特に中心的に準備、拡充しようと考えていらっしゃる装備とか備品等をお伺いしたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 原発に対する取り組みということで、現在の取り組みと、それから、今年度の予算でという2点のお尋ねがございました。
まず、1点目は、現在、原発事故への対策といいますか、取り組みを行っているものについてご説明いたします。
福島第一原子力発電所の事故を受けまして、市民の不安解消などを目的といたしまして、今年度、幾つかの対策を既に実施しているところでございます。具体的に申しますと、まず、放射性物質の検査について、浄水場の水道水、浄水場の原水となる河川、食品、学校給食の食材、それから、水再生プラザの放流水、下水汚泥の焼却灰、あるいはコンポスト等について定期的に検査を実施しているところでございます。また、空間の放射線量率につきましては、昨年の10月から、本庁舎、清田区庁舎、南区庁舎、それから手稲区庁舎の市内4カ所におきまして、週1回、定期的に測定しているところでございます。
そのほかの対策でございますけれども、泊原子力発電所で事故が起きた場合に札幌市にも被害が及ぶ可能性があることを踏まえまして、原子力事故災害対策を講じていくための準備として、
東日本大震災における対応とか、あるいは課題等について調査し、今後準備が必要となる事項の抽出、整理を進めているところでございます。
それから、2点目の今年度の予算でさらに準備、拡充しているものがあるかというお尋ねでございました。
ただいま申し上げましたもの以外に、今年度中、平成23年度中に実施予定の取り組みについては特にございません。
◆
木村彰男 委員 今お伺いいたしますと、放射能の測定といいますか、サンプリングというか、モニタリングを中心にしてやっていらっしゃると。
ただ、現状の被害の状況というのは、福島の方から影響を受けていないかという段階だと思うのです。今、私どもが想定してお話し申し上げていたのは、あくまでも泊のことです。今、運転停止ということも想定されていますが、また運転が再開されて、何らかの形で被害が起きるというか、原発の事故が起きたことを想定したときに、どういう準備が必要かという前提で今のお考えをお聞きしているつもりでございますけれども、今、特段、何らかの準備というか、マニュアル的なものはおつくりにならないというふうに聞こえたので、そういう理解でよろしいのでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 先ほど申し上げましたけれども、私ども危機管理対策室において本来であれば、原子力対策の地域防災計画を策定することに取り組むということでございます。しかし、国あるいは道の状況が若干おくれている状況もございますので、平成23年度の取り組みといたしましては、まずは情報収集をしましょうということで、福島で起きた内容あるいは情報を収集し、その中から課題を抽出し、今、委員が言われたように、泊発電所で事故が起きた場合に、今、札幌市ではどういったことに対して対策を講じなければいけないかというようなデータ収集をしているということでございます。このデータ収集を、平成24年度、来年度には地域防災計画の策定につなげていきたいということで考えておりますけれども、仮に地域防災計画の策定がずれ込んでいくというか、若干おくれたとしても、課題への対応策等には、今できる範囲の対応について札幌市で取り組んでいきたいということでございます。
◆
木村彰男 委員 今お伺いしておりますと、地域防災オペレーションといいますか、その策定については、ロードマップとして来年度中に全部できるというお考えでおっしゃっているのでしょうか。それについて、ちょっと確認させてください。
◎山崎 危機管理対策部長 地域防災計画のスケジュールでございますけれども、去年の段階では、平成24年度中に策定したいと。これは、国、道が、その前に、同じく24年度中に策定ができるだろうという見込みの中で、札幌市も24年度中にはつくりたいというふうにスケジュールを考えておりました。
◆
木村彰男 委員 要するに、平成24年度中ですから、今年度の予算の中でつくるということでよろしいわけですね。24年度中の予算の中でつくり上げるということでよろしいのですよね。
◎山崎 危機管理対策部長 平成24年度の予算で地域防災計画をつくることを考えております。
◆
木村彰男 委員 その場合、装備的なものとか、いろいろなものを今想定していらっしゃると思うのですけれども、現在、こういうものを準備しなければならないとか、こういうものを想定しなければならないとか、そういうような具体的な備品の選択であるとか、そういうものは、今のところ、ご担当者の頭の中には全くないということなのでございますか。
◎山崎 危機管理対策部長 今回の地域防災計画の見直しについては、原発はもちろんですが、津波についても実施したいということを考えておりました。
今ご指摘のあった、例えば収容避難場所の備蓄の整備についてでございますけれども、特に原発にということではございませんが、災害時に避難された方が収容避難場所に行かれて、そこで最低限の必要な物資を提供できるような公的備蓄の整備充実についても平成23年度から取り組んでいるところでございます。
具体的に申し上げますと、まずは
東日本大震災で問題となりました防寒対策ということがございましたので、とりあえず寝袋4万着、それから、アルファ化米、これは食糧でございますが、これも足りないということで増強したところでございます。
◆
木村彰男 委員 私が申し上げている原発の観点に特化した話とはちょっと違うかなと思って伺っております。
例えば、今見ておりますと、福島の方々が原発のところから遠く離れたところに避難されているという現状があると思うのです。具体的にそういうことを考えてみたときには、泊周辺の方々が札幌の方に避難されてくるとか、そういうことで、ほかの自治体と違って大量の避難民が札幌の方に押しかけてくるといいますか、押しかけてくると言ったらおかしいですが、避難されてくる状況を想定するということが一つあるかなと思うのです。その場合において、札幌市で住居のストックが一番あるのは、例えば、厚別区の市営住宅であるとか、そういうようなものがご提供できるものになるかと思うのですけれども、そういうような想定はございませんでしょうかという意味でお聞きしているのでございます。
◎山崎 危機管理対策部長 今ご指摘のあった件等につきましては、北海道と連携して、札幌市もぜひそういった地域防災計画の中に盛り込んでいきたいという考え方がございますので、従来から、上田市長も、札幌市はUPZの範囲内に入っていないけれども、道が地域防災計画を策定するに当たっては、札幌市もぜひそういった考え方の中に取り込んでいただきたいと。札幌市も、今ご指摘のあった避難者の受け入れとか、医療体制での受け入れだとかということについて、ぜひ、広域での災害対策について貢献したいというふうに考えているところでございます。
◆
木村彰男 委員 先ほどから何回も申し上げておりますけれども、今、防災の実務者会議に加わっていないという現実もありますから、私が申し上げたかったのは、例えば、札幌市が逆に呼びかけて、個別の町とか村の方々とそういうものについてのフォーラムをつくって、ともに検討できるものについては検討し合っていこうではないかというようなことについてご検討されておるのかということをお聞きしたかったのでございます。
◎山崎 危機管理対策部長 去年の8月だったと思いますが、札幌圏の7市町村とともに、札幌圏の防災対策についてともに連携をとって対応していきましょうということで、まだ1回しか開催しておりませんけれども、担当者の会議を開催いたしました。それから、小樽市とか後志管内の町村に対しての働きかけというご指摘がありましたけれども、小樽市とは日ごろから連携をとるようなことで、私も、小樽市の担当者と広域での対応をぜひ一緒にやりたいということを申し上げているところでございます。
◆
木村彰男 委員 できるだけ札幌市がイニシアチブをとって、近隣の方々との連携を密にしていっていただきたいということを希望します。
次に、会派の勉強会でもお伺いしたのでございますが、札幌市の防災関係の備蓄品について、私も担当の方と一緒に伺って学校等で見せていただきました。その中で、自衛隊の関係者の方とも一緒に行って思ったのですが、灯油のストーブがなかったのです。灯油のストーブは、もちろん暖房にも供することができますし、被災者の方々の中には、そこで調理したりラーメンをつくったりというようなことにも使えるので、大変重宝しているという情報を私も得たのでございます。現在、灯油ストーブというのは、札幌市はストックをしておりませんで、自衛隊とか北海道が持っているストーブを期待しているというのか、運び入れていただく段取りになっておると伺っております。それでは、自衛隊が持っているストーブというのは一体どのくらいあるのかというご質問をしたところ、これは、防衛の機密であって、一体どこに幾らあるかということも札幌としては把握しておらぬと伺っているのでございます。
そこで、質問ですけれども、そういう認識で、何台あるかがわからないということで、一つは、それに頼るのはいかがなものかということと、札幌市において、自前で灯油ストーブをストックしておかなくていいという理由がもしあるとすれば、その2点をお伺いしたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 冬期間の災害発生時におきましては、避難場所の防寒対策といたしまして、陸上自衛隊や北海道エルピーガス災害対策協議会から、今ご指摘のあった移動式の石油ストーブの提供を受けることにしているところでございます。自衛隊につきましては、委員ご指摘のように、運用上の問題から、具体的な提供可能数は公表できないというふうにされておりますけれども、札幌市や近郊の部隊に一定程度のポータブルの石油ストーブを保有していることは聞いているところでございまして、災害時の初動対応として必要な台数の提供を受けることは可能であるというふうに私どもは考えているところでございます。また、エルピーガス災害対策協議会につきましても、大規模災害時には、道内の協会加入事業者から調達して札幌市に提供することになっているところでございます。
現在、収容避難場所の環境整備に着手しているところでございまして、初動対応から長引いた避難生活にも耐えられるような防寒対策について、収容避難場所の暖房種ごとの早期復旧方策を具体的に検討していきたいというふうに考えているところであります。委員ご指摘のように、場合によっては札幌市が独自に自前でポータブル式の石油ストーブを備蓄するということも考えた中で検討を進めていきたいというふうに考えております。
◆
木村彰男 委員 ぜひ、予算の関係もありますでしょうから、その備品の項目の中にご購入も入れていただければと思います。
次に、今回、冬に豪雪の災害がありましたが、幸いというのか、札幌は、ほかの市町村と比べまして、雪の被害などは比較的少なかったかと思います。ただ、雪おろし作業中に亡くなったり、けがをされた方もいると伺っておりますので、そういう方々には、本当に心からお悔やみ、お見舞いを申し上げる次第でございます。
札幌市は、記録を見せていただいた限りでは、過去には、豪雪に伴う自衛隊の災害派遣というのは平成8年に行っているというふうに伺っておりまして、係の方からいろいろ資料や当時の様子などを伺っております。去年もかなり大きな被害があったということで伺いましたが、去年、平成23年度の段階ではこちらの委員会からご質問も出ていたようでございますけれども、結果としては、自衛隊の災害派遣につながっておらないということでございます。私なりにこれを分析してみたのですが、平成8年のときにはどういう内容で自衛隊の方に災害のオペレーションをやっていただいたかということを見ていると、雪の運搬支援が主なお仕事だったというふうに伺っておるわけです。自衛隊におきましても、つまり、要請を受ける側におきましても、公共性、緊急性、非代替性、こういうような三つの要件があるようでございまして、自治体が自前でやれるのであれば、まず自治体が自前でやる、やれないから非代替性というようなことで自衛隊が出てくる、こういう段取りになっているのかと思っております。今度、札幌市の構えとしてでございますが、去年の総括を見ると、重大な被害発生に備えた警戒配備体制をとり、迅速な災害対応対策が確保できているという自分なりの認識があった、したがって、自衛隊に対する災害派遣を要請しなかったという総括になっていると思うのです。
これを前提にして、ことしの岩見沢の例をちょっと考えてみますと、岩見沢は年前から大変記録的な豪雪といいますか、降雪に見舞われておったという前提がまずあると思うのです。そして、雪がうずたかくどんどんたまっていって、道がどんどん狭くなっていく、そして、軒の高さまで雪が埋まって、本当に高いところでは2階建てのところまで来て、岩見沢の方々にとってみればこれは尋常ならざる状況であるということで、そこにおいてサインが出ていたと私は思うのです。にもかかわらず、結局、岩見沢市としては、どういう状況まで来たら北海道に災害の派遣を――自前でできないというような認識に立って、当然、北海道と打ち合わせしておったと思うのです。していたけれども、道の関係者は、最後に派遣要請をしたときに、連絡調整ぐらいにしか思っておらなかったのか、事前のオペレーション、初動のオペレーションができていなかったというふうに私は思っているのです。
そのことを前提にして考えてみると、札幌市の場合、どのような段階になったときに一つの派遣のシグナルといいますか、災害派遣のメルクマールのポイントを突破していくというふうに考えておるのか。つまり、災害派遣のラインというものをどこに置いて、そこを突破していくと、もうこれは派遣の一つの準備段階に入っていると考えておるのか、まず、その辺のご認識を伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 札幌市の雪害における自衛隊の派遣要請に関してでございます。
明確な判断基準について札幌市で定めているわけでございませんけれども、除排雪体制の確保、あるいは人的被害とか建物被害の発生の状況、また、社会的影響などを踏まえまして総合的に判断するというふうに考えております。
平成8年の大雪の際は、大雪によって市民生活に重大な影響が出た、それから、市民の生命、財産の確保という観点から、ライフライン及び幹線道路の運搬除排雪が必要だということで自衛隊の方に派遣要請を行ったところでございます。
◆
木村彰男 委員 例えば、平成8年の場合でも、かなりの量の雪が積もっているということで、札幌市によって事前に除排雪などがかなり行われていた場合は、僕は、派遣の要請がなかったのかなという気もしておったのですけれども、そういう認識でよろしいのでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 平成8年1月の大雪の際には、朝から大変な大雪でございましたので、その状況を見て自衛隊の方に派遣要請をしたということでございます。
◆
木村彰男 委員 災害対策基本法第2条における豪雪という定義というのは、具体的に量とか時期的なもので何メートル積もったかということは書いていないと私は思うのです。例えば、豪雨といいますか、大雨なんかの場合は、一過性で集中的に降ってくるような形になるものですから、それで水位がぐっと上がってくる。ただ、雪の場合は、さっき言った岩見沢の例ではないけれども、だんだんに排雪とか除雪が困難になっていくという過程がある。そこに一挙にどっと1メートル近く降るという話になってくるものですから、事前にそういうものの派遣要請ができていれば、仮に1メートル積もっても、1メートル積もったことがすぐに災害派遣の要請にならないような気もするのですけれども、その認識について伺っているつもりなのです。
◎山崎 危機管理対策部長 まさに委員がおっしゃったとおり、例えば雪が何十センチ降ったから派遣要請ということではございませんで、先ほど申し上げましたように総合的に状況を勘案いたしまして、まさに市民生活に甚大な影響が起きる可能性があるという判断に至ったときに派遣要請をするということでございます。いろいろな条件というのは、例えば、朝から降り続いているだとか、夜だけ降っているとか、いろいろな状況があると思いますので、単純に降雪量だけ、あるいは、除排雪のおくれだけということではないというふうに考えております。
◆
木村彰男 委員 今回、最初にお伺いしたときに、危機管理対策室が担う雪対策といいますか、それと、それこそ雪対策室が担うものと、一応、所管的には2分割されているというふうに伺っておりまして、まず、第一義的には雪対策室で処理していくというのは当然のことなのです。そこにおいて、雪対策室といろいろ仕事を分掌しながら、最終的に災害の自衛隊派遣なんかを要請するのは危機管理室だと思うわけでございますけれども、雪対策室とのコミュニケーションといいますか、それらについてはどういう分掌になっているのかということを最後にお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 気象台の方から大雪警報が出た場合には警戒配備ということで、私どもは各区役所も含めて警戒配備体制をとる、警報が出た場合はそのようになっているところでございます。
実際の雪害ということを考えましたら、実際に雪がたくさん降り積もって支障が出てくる、市民生活にも影響が出てくるという判断のときには、雪対策室と危機管理対策室とで協議をしまして、副市長を本部長とする札幌市雪害対策実施本部、これは災害対策本部ではございませんが、その一つ手前の札幌市雪害対策実施本部というものを設置して、実施本部会議におきまして関係部局で実施される雪害対策を行うことになっているところでございます。これがさらにひどくなりまして、本当に札幌市全体が甚大な被害に見舞われる可能性が出てくるということになった場合は、札幌市災害対策本部に移行するという形でございます。先ほどの雪害対策実施本部の事務局につきましても、雪対策室と私どもの危機管理対策室が両方で当たるということでございまして、災害対策本部に移行した場合は、私どもが事務局を担うということでございます。
◆よこやま峰子 委員 私は、災害時における避難所の熱エネルギー確保についてお伺いいたします。
平成23年3月11日、あの大震災から早くも1年がたとうとしております。震災後、全国で震災に対する備えと防災に関する意識が高まり、あらゆる方面で震災に向けた取り組みがなされているところでございます。中でも、大震災が起きた場合の緊急避難場所については、今回の大震災において多くの学校が避難所となった経験から、学校の緊急時避難場所としての機能が見直されているところであります。現に、今回の大震災において緊急避難所となった学校施設は、3月17日のピーク時には、岩手64校、宮城310校、福島149校、茨城75校、その他の県24校と合計622校にも及んでいます。このことを受けて、文部科学省は、震災3カ月後の6月に、
東日本大震災の被害を踏まえた学校の整備に関する検討会を設置し、同年7月には、学校施設の安全性や防災機能確保など、特に重要な課題について検討した結果、緊急提言を取りまとめたところであります。そして、札幌市においても、災害時には、市内の小・中学校300校を収容避難場所として指定しております。
また、札幌市においては、暖房・厨房設備の熱源が都市ガスである小・中学校が3割強に上っていることから、昨年の3定において、我が会派の北村議員の代表質問において、災害時の避難場所としての学校施設の暖房・厨房設備について質問し、当局から、今後、収容避難場所の環境整備全般について見直しを行う予定であり、その中で、学校の暖房・厨房設備に関する対策についても検討を行うというご答弁をいただいたところでございます。
そこで、質問ですが、その後の避難場所としての学校の都市ガスを熱源とした暖房・厨房設備に関する対策の検討状況と今後のスケジュールについてお伺いいたします。
◎山崎 危機管理対策部長 都市ガスを熱源といたしました学校の暖房・厨房設備に関する対策についてでございます。
小・中学校の緊急措置的な暖房方策や、プロパンガスを都市ガスに変換する移動式のガス発生装置、これを接続する接続口の整備につきまして、費用面とか設置条件などを含めまして調査検討を進めているところでございます。今後は、これらの検討結果をもとにいたしまして、来年度、有識者や市民の意見を聞く場を設けまして、最適な収容避難場所の暖房あるいは厨房対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆よこやま峰子 委員 今のご答弁ですと、平成24年度、来年度から検討委員会を設けるというお話でございました。災害というのは、いつも想定外でありまして、いつ、どのような形で起こるかわかりませんし、特に、暖房設備に関しましては、冬季に災害が起きた場合を想定しますと、一刻も早い復旧が重要だと考えます。災害発生から72時間、3日間が生命を守る大きな分岐点とも言われており、緊急避難場所として、復旧までの間、学校に避難場所としての機能がどれくらい整っているかということが多くの方の生命にも大きく影響を与えると思っております。検討委員会の提言にもあるように、ぜひ、災害時の防災機能の向上としてのガス設備に関し、プロパンガスを都市ガスに使えるようガス変換装置を仮設するための接続口の整備並びにプロパンガスを都市ガスに変換する移動式ガス発生装置の設置の早期実施が望まれております。
しかしながら、災害時用のプロパンガスの接続口を仮に設備したとしても、肝心のプロパンガスボンベが運ばれなければ役に立ちません。また、平成20年度発表の札幌市第3次地震被害想定によると、冬季に災害が発生した場合、復旧には電力でおよそ6日、都市ガスでは1週間を経過しても約95%が供給停止となり、その復旧には約77日間もかかる見込みと想定されております。つまり、多くの大災害時には、道路の損壊や渋滞により輸送が困難となることが予想されております。
都市ガスを熱源としている3割強の小・中学校において、プロパンガスを平時から併用していくことで速やかな復旧が可能となります。今回の震災でも、応急のエネルギーとして災害用バルクという貯槽LPガスの対応により、電力、都市ガスの復旧が整うまでの間、大いに活躍したと聞いております。
この通称災害用バルクとは、日常、比較的多くのガスを使用する小・中学校や病院、スーパーなどにLPガスを供給する設備システムであり、ガスボンベの交換による供給にかわって、バルク貯槽に直接供給を行う新しい供給方式で、地面に固定式のため、地震にも強い設計になっております。300キログラム、500キログラム、1トンの3種から、適用分のタンクを選び、設置しておきますと、平常は高熱エネルギーとして利用できることはもちろん、避難所においては炊き出しや暖房、給湯の熱源エネルギーとして使え、試算によれば、災害時にLPガス残量が500キロだとしますと、調理、暖房、入浴用に約100人分、7日間の備えとなります。この災害用バルクは、面積として2畳分ぐらいで、500キロでおよそ300万円、また、国の補助も受けられるということでございますので、災害用バルク設置で緊急時のエネルギーを確保することにより、現在は学校施設の大部分が都市ガス供給に依存していることのリスク分散にもなるものと考えます。
そこで、質問ですが、都市ガスを熱源としている学校の暖房・厨房設備に、通常から、都市ガスだけでなく、プロパンガスを併用するような設備を備え、災害に備えるべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。
◎山崎 危機管理対策部長 平時からのプロパンガス施設の併用についてというご質問でございます。
災害時のリスクを分散するという観点からは、熱源として都市ガスとプロパンガスを併用することは有益なことだというふうに考えております。
ただし、平常時から災害時の緊急バルクを併用するに当たりましては、経済性だとか利便性、あるいは立地条件など、さまざまな角度から総合的に検討する必要があるというふうに考えております。
今後は、現在進めている収容避難場所の環境整備全般の見直しの中で、教育委員会とも連携しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
◆よこやま峰子 委員 ただいまのご答弁によりますと、平時からのプロパンガスの併用には、コスト面、利便性、立地条件などさまざまな面での検討課題があるが、避難場所としての学校機能を考えると、教育委員会と、情報共有を初め、いろいろ連携をとりながら検討したいとのことでございました。
検討委員会が出した提案書の中にも、防災担当部局との連携として、学校が本来果たすべき役割を果たした上で、地域住民の応急避難場所としての役割を担うためには、あらかじめ、教育委員会と防災担当局との間でお互いの役割を明確にしながら防災機能の向上を図っていくことが必要であると述べられております。
そこで、改めて、きょう、いらしていただいております教育委員会にお尋ねいたしますが、今後、教育委員会との連携の中で、この災害用バルクを札幌市内の学校に設置するお考えがないかどうか、また、既存の場合はいろいろ課題が多過ぎて大変であるなら、まず、耐震などの改築を予定している学校にモデル的に設置することはできないものかどうか、教育委員会にお尋ねいたします。
◎梅津 教育委員会学校施設担当部長 ただいまの災害用バルクの学校への設置についてでありますが、学校施設は、本市の避難場所の半数程度を占めておりまして、また、市内各地域に存在することから、災害時には重要な施設であるというふうに考えております。その上で、避難場所となる学校施設の防災機能の強化といたしまして、応急エネルギー対策の確保は重要であると認識しているところであり、学校施設に係る防災機能強化の取り組みについて、危機管理対策室から要請があれば、連携しながら改築校における災害用バルクのモデル的設置などにつきましても検討してまいりたいというふうに考えております。
◆よこやま峰子 委員 ただいま、要請されれば連携してというお話でしたが、今回、私は、この質問をつくるに当たりまして、危機管理対策室と教育委員会の双方に、都合8回、いろいろお聞きしましたところ、危機管理対策室ではそれは教育委員会の方ですと、そして、教育委員会に聞くとそれは危機管理対策室の方ですと、行ったり来たりで、一体どちらで決めてどういう予算になるのか、やる気があるのか、ないのか、本当にわからなかったのです。そこで、最後に双方の局をお呼びしてお聞きしましたら、やはり、災害時バルクについては検討しますというお答えをいただきましたので、ぜひ、本当に連携して、一刻も早く、災害用バルクを――LPガスは、復旧に関して本当に一番早い熱エネルギーだと思うのですね。やはり、電気でも都市ガスでもなかなか復旧がおくれますので、災害用バルクについてご検討いただくことを希望いたしまして、質問を終わります。
◆林清治 委員 私は、地域防災力向上の取り組みについて、二つの視点から質問していきたいと思っております。
まず、1点目は、区役所と地域の連携強化について質問させていただきます。
本市では、
東日本大震災を教訓として、これまで防災対策として構築していなかった津波対策や原子力災害対策についても、国や北海道の動向に注視しながら対策を講じるということが出されております。新たな防災対策の準備を進めているところでありますが、残念ながら、すべての計画を策定し、具体的な対応策を検討するには時間がかかるというふうに聞いております。災害は、いつ、どこで起きるかわからないことを考えれば、そういう時間のかかる準備とは別に、短期的で実践的な防災にかかわる取り組みも並行して行う必要があるというふうに思っております。その一つとして、私は、この地域防災力の向上への取り組みがあると考えております。過去の大規模な災害では、発生直後に行政による個別援助が対応できず、家族や近隣住民などの地域社会による共助が極めて重要であることが指摘されております。東日本対震災でも、改めてその共助というものが意識されたということでございます。
本市においても、町内会などの自主防災組織を中心に、防災訓練の実施や訓練等を通じた人材育成、防災知識の普及啓発を行っていることは承知しておりますが、近年、地域社会においては、少子高齢化といった社会環境の変化に伴い、自主防災組織の後継者不足や要援護者を支援する若い層の不足など、多くの課題も見受けられるようになっております。そこで、地域住民にとって最も近い立場であり、災害時には地域の災害対策拠点となって最前線で活動し、応急対策に当たる区役所が、地域と連携を強化して支援していくことが重要であると考えております。区役所では、これまでも防災訓練の実施、研修会、講演会など地域防災力の向上のための取り組みを実施しておりますが、この大震災以降、地域住民の防災意識が高くなっていることから、今こそ、相互連携や相互支援を一層強化して、地域防災力の向上へと結びつけていくことが急務であると考えております。
そこで、1点目の質問ですが、このたびの大震災を契機に、地域防災力を向上させるため、区役所と地域が連携する取り組みを強化すべきと考えておりますがいかがお考えか、お伺いします。
◎山崎 危機管理対策部長 区役所と地域との連携強化の取り組みということでございます。
例年実施しております区の防災訓練や防災リーダーの研修に加えまして、このたびの大震災を受けて、地域住民を対象といたしまして、日ごろの災害への備えや、いざというときの心構えなどにつきまして講演会とか研修会を実施しているところでございます。このほか、被災地に派遣された市職員の体験報告会を行った区もございまして、地域住民の防災意識の向上に努めているところでございます。また、このたびの震災以降、ほとんどの区におきまして、住民にとって関心が高い収容避難場所の開設、あるいは運営に係る研修会を実施しておりまして、新たな試みとして、避難所運営ゲーム、HUGと言っておりますが、このゲームを行い、ゲーム形式で避難場所運営を学ぶ取り組みを実施している区もございます。このほか、災害時に地域と高校が相互に連携協力するということで、協定を締結した事例が二つほどございました。
なお、今後4年間の第3次札幌新まちづくり計画におきましては、すべての区におきまして、災害時要援護者への支援活動の推進だとか、あるいは、DIG、各種講演会の実施など、地域の防災力向上をテーマとした事業を計画しております。これまで以上に地域と連携を図っていくということでございます。
◆林清治 委員 今、さまざまな取り組みについて答弁をいただいたところでございますが、避難所の運営という面では、HUGというゲーム形式でやっていくような部分とか、地域と高校との協定という形の中で取り組みを進めているということでございます。地域防災力の向上に向けて、やはり、区役所の機能というのが大変重要視されてくるのかなというふうに思いますし、地域との連携強化という部分は本当に大事なことだと思います。今後とも、ぜひとも継続した取り組みとしていただきたいというふうに思っているところでございます。
また一方で、地域防災力の向上に当たって、心身ともに発達し、大人と同様の理解力と行動力を有する中学生が、貴重な担い手として期待されている存在であるということも皆さんは認識していると思います。今回の
東日本大震災においても、甚大な被害を受けた現場において、中学生たちの奇跡とも言うべき見事な対応によって多くの命が救われた地域がありました。ご存じだと思いますが、岩手県の釜石市です。釜石の奇跡とも言われ、マスコミなどでも多く報道されております。
釜石市は、大津波で多数の死者、行方不明者が出ているにもかかわらず、市内の小・中学校全14校の児童生徒約3,000名のほぼ全員が無事だったということです。犠牲になったのは学校にいなかった5人だけであって、学校にいた児童生徒や下校途中だった児童生徒は、全員無事だったと伝えられております。このかけがえのない命を救ったのは、日ごろの防災教育にあったと言われております。津波がまちを襲った際の三つの原則として、想定にとらわれるな、その状況で最善を尽くせ、率先して避難する、この三つが徹底されていたため、多くの中学生たちは、先頭を切って小学生を誘導して避難を助けたり、地域の保育園や老人福祉施設、地域の住民を巻き込んで避難を行い、被害を最小限に抑えることができたということでございます。
釜石市では、2004年から防災教育に取り組んでおり、平常時から市や地域で実施する防災訓練へ参加し、学校と地域の連携を深め、地域の防災意識を高め、自助と共助のあり方を共有し、地域防災力の向上を図ってきたということでございます。また、中学生たちは、みずからも被災者として身を寄せる避難所においても、率先して清掃を行い、炊き出し、救援物資の配布、お年寄りの手助けなどもしたというふうに聞いております。被災した中、みずからの命を守っただけでなく、地域住民の手本となり、役に立つことができたということです。これらの事例から、地域防災力向上には、中学生に対しての防災教育を行うとともに、ふだんから中学校との連携を図っておくことが非常に大切になってくるというふうに考えているところであります。
そこで、次の質問ですが、中学校との連携強化のための取り組みについてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 中学校との連携強化の取り組みについてでございます。
来年度から、これまでの小学校に加えまして、中学校におきましても、非常参集訓練を実施することにしております。この非常参集訓練につきましては、市の職員と学校の施設管理者が連携いたしまして、体育館や進入可能な箇所の確認をするほか、体育館以外で使用できる校内の収容スペースの状況だとか、あるいは、開設時に必要となる物品の保管場所などを確認して、災害時にスムーズな避難場所開設を可能とするための実践的な訓練でございます。また、平成24年度は、中学生を対象といたしました防災に関する副教材を作成することにしておりまして、災害に対する心構えだとか、自助、共助の大切さを学び、主体的に行動できるよう、防災教育の充実もあわせて図ってまいりたいというふうに考えております。
少子高齢化が進む中、平日の日中ですと若者とか就業している人の多くが地域外に出ていることになるわけでございまして、こういった時間帯に災害が起きた場合には、委員ご指摘のとおり、中学生の果たす役割は大変大きいというふうに考えるところでございます。地域によりましては、中学生が防災訓練に参加し、日ごろから地域と中学校が連携を深めているという事例もございますので、このような取り組みを他の地域や中学校にも広めていくなど、これまで以上に中学校との連携を強化してまいりたいというふうに考えております。
◆林清治 委員 ただいま、全中学校への取り組みの要請や、区の職員、教職員との連携、そして副教材づくりということもご回答されたところでございます。
先ほど、私は消防局に対してもちょっと質問して、消防局の取り組みも聞いたところであります。同様に、地域のネットワークづくり、それから、中学校に対する防火防災教育という部分の取り組みを徹底していくというような回答でございました。
札幌市の場合、今、検討している津波とか原子力対策ということも当然重要なのですが、やはり、直下型地震とか、さまざま違う防災の観点も必要だと思います。そういうものも踏まえて、中学校または中学生に対する教育だとか、地域の方に対する教育だとかも含めてしっかり検討していただきたいなというふうに思います。何分、中学生、中学生ということで、余り過度な期待をかけたり負担をかけるわけにはいかない状況でございますが、そういう中で、より一層、区役所を含めて、地域の方の命を守るためにしっかりと取り組んでいただきたいなと思います。そのためには、教育委員会や消防局など庁内の連携をどう図っていくか。これは、やはり、危機管理対策室が音頭をとって率先して進めていただければありがたいなというふうに思います。今後も、そういう取り組みの強化を要請しまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆本郷俊史 委員 私からは、より実践的、現実的な地域防災計画の見直しという観点から、提言を交えて質問したいと思います。
間もなく、3.11から1年になります。この間、さまざまな検証がなされて、防災対策の課題や教訓が浮かび上がってきております。例えば、仙台市は、阪神・淡路大震災以降、特に、宮城県沖のマグニチュード8クラスが大体30年周期で起こるというふうに予想されていて、防災行政無線を各避難所に配備し、震度5強以上の大災害があったときに、避難所の開設に関して、区役所がその無線を使って指示をして避難所をあけるというマニュアルになっておりましたが、被害を受けて防災行政無線が全く使えなかったと。そして、ご承知のとおり、携帯はつながらない。避難所には大勢の方が押し寄せてくる。結局、施設管理者、学校であれば校長の判断であけざるを得なかったということでございます。
また、去年の6月29日の河北新報の記事でございます。感謝と涙でフィナーレ、仙台・高砂市民センター、非指定避難所奮闘、震災から110日、一時1,200人超、行政を頼らず1日3食。これは何かというと、発災直後、この市民センターは収容人数440でございますが、ここに1,200人を超える方々が避難をされてきた。当然、指定避難所でありませんので食糧の備蓄はわずかだと。マニュアルに沿って宮城野区に食糧の支援を求めたが、指定避難所でないことを理由に断られた。公務員としてはマニュアルに沿った対応。確かに、指定避難所に手配するだけで大変だったかもしれない。しかし、ここを地域防災計画に盛り込んでいれば対応ができたかもしれない。たまたま指定管理者である館長が元消防局職員だったために、この人の奮闘で、周辺の企業に協力をいただき、翌日から、3食、食糧の手配をされたということでございます。
仙台は、先ほど言いましたとおり、昭和53年に宮城県沖地震があって大きな被害を受けました。このことをきっかけに、昭和56年、建築基準法が改正され、今の新耐震基準になっているわけです。ですから、札幌に比べると、市民の皆さんの防災意識も高いですし、対策も進んでいた。しかし、防災計画がマニュアルどおりに機能しない、こういう課題でございます。
そこで、質問の1点目ですけれども、
東日本大震災から得られたこのような課題や教訓、情報を、本市としてはどのように把握をしていらっしゃるのか、また、これら得られた情報を、今後、地域防災計画の見直しにどのように反映されようとしているか、伺います。
もう1点は、昨年の3定で市長に質問したときに、札幌は、大きな災害がないために市民に安全神話がある、防災意識が低い、こういうお話でございました。私どもは、数年前に住宅の耐震化条例をつくるときに、先進地を調査、視察いたしました。神戸、名古屋、静岡、仙台、どこでも言っていたのは、その制度を使って住宅の耐震化の申し込みが一番多いのは、やはり、1月17日を中心に、1月だということでございました。
そこで、私は、市民の防災意識を高めることと、今、せっかくつくった耐震の補助制度がなかなか使われないから、それを組み合わせて、危機管理対策室が中心となって、都市局の協力も得て、ぜひパネル展やセミナーを札幌市主催でやっていただきたいということを私は申し上げました。この3月11日から札幌駅前通地下歩行空間でパネル展が開催されますけれども、やはり、多くの市民に見ていただかなければならない。そのためには、こういった市民PRについて、特にマスコミへのPR、そして建築士会等の関係団体の協力といったことがどうなっているか、3点伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 3点のご質問でございます。
まず、1点目の
東日本大震災の検証報告の収集、情報の収集ということでございました。
東日本大震災の発生を受けまして、私どもといたしましては、民間のシンクタンクなどによる現地の調査報告、あるいは、実際に被災地に派遣された札幌市職員の体験報告などを通しまして、被災者の声など、実際に現地の情報収集をしてきたところでございます。また、全国の政令指定都市間で防災対策の連携を推進するために、毎年開催しております大都市の防災主管者会議におきまして被災都市の現状についても報告を受けているところでございます。さらに、私ども危機管理対策室の職員も、福島市や仙台市などを訪れまして、原発事故や避難場所運営に関して、地元の自治体の職員やボランティアの方々からの聞き取りによりまして、震災直後からの対応状況や課題等につきまして多くの貴重な情報を収集してきたところでございます。
二つ目は、検証内容を地域防災計画へどう反映するのかというお尋ねでございました。
現在、これまで収集した被災地の情報を参考にしながら、原子力災害対策、津波災害対策、あわせて避難場所の環境整備につきまして、それぞれの課題等を抽出、整理をしているところでございます。来年度以降に予定しております地域防災計画の本格的な見直しに際しましては、抽出した課題に対しまして、被災地ではどのように対応したのか、あるいは、どのような問題があったのか、被災地での生きた情報を十分に踏まえまして対策の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
3点目は、3月11日に合わせた防災パネル展の開催についてでございますが、防災パネル展の具体的な内容についてお答えいたします。
東日本大震災からちょうど1年目となる3月11日の日曜日でございますが、日曜日から14日までの4日間、駅前通地下歩行空間におきまして、「札幌市防災パネル展〜
東日本大震災から1年〜」というものを開催いたします。現地の支援活動を行ってきた部局も参加いたしまして、被災地の状況や札幌市職員による現地支援状況の写真とパネル、それから、札幌市の地震対策の取り組みや災害に対する日ごろの備え、さらには、原発事故についての説明パネルも展示いたします。また、パネル展示とあわせまして、ご指摘のありました住宅耐震化促進の紹介コーナーや、札幌市の防災協会による防災グッズの展示、また、さぽーとほっと基金の募金などをあわせて行うこととしております。マスコミ等に対しても、このパネル展のPRに関しまして協力をいただくということでお願いしているところでございます。
◆本郷俊史 委員 やはり、パネル展に関しては、開催すればいいということではなしに、本当に多くの市民に見ていただきたいので、ぜひ力を入れて取り組んでいただきたいということを申し上げます。
次に、収容避難場所について質問したいと思います。
今回の特徴は、何といっても帰宅困難者です。発生時刻が14時26分で、今の防災のマニュアルですと、例えば、商業施設やホテルにしてもそうですけれども、まず、建物から外に、安全なところに出ていただくというようなことになっている。また、ちょうどその時間ですから、会社から帰る人たちがJRや地下鉄駅周辺の指定避難場所に殺到された。先ほど言いましたけれども、避難場所を開設した校長先生。その駅周辺の学校に列になって入ってくる。500名、600名の体育館の収容に対して、2,000名、2,500名という方が来る。収容避難場所に収容し切れないぐらい。また、そのことによって、本来、その地域の方々が避難するべき学校に行ったら、既に満杯で避難できなかったという方たちがたくさんいらっしゃいました。また、東北大周辺の学校では、当初数名だった外国人留学生。ここには食糧があるということで、どんどん呼び寄せて、最終的には数十名単位になった。宗教的な事情で食事も豚肉を食べないとか、あるいはお祈りの場所が欲しいとか、さまざま苦労されたそうです。また、指定されていた学校体育館のガラスが落下して使用できなかった。また、マニュアルでは派遣された市の職員が避難所運営をするというふうになっておりましたが、実際、若い職員が行って、町内会長を初め、地域の防災リーダーに指示してということができない、運営できないといった場面もございました。
札幌市の避難所業務マニュアルによりますと、あらかじめ配置された職員約2,000名から2,500名。自分の住んでいる近くの避難場所に3名から5名を派遣する、こういうふうになっているのですが、でも、実際は、発災直後、行政も被災を受けております。なかなかマニュアルどおりにいかない。私は、避難所業務のマニュアルの改訂が必要だと思っております。改訂か、書き加えるかですね。最悪を想定して、市の職員が行けない場合の施設の開錠だとか、あるいは、最初に言いました避難所を開設する判断、場合によっては、行政に連絡がつかないというときには地域であけてもらうなど、次善の策を考えておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
また、先ほど言いました指定避難所以外の避難場所が開設された場合の対応についてもお伺いします。
あわせて、ハード面についてですが、今、市は、609カ所を収容避難場所として指定されております。市有施設441、国と道の施設は24、民間、神社やお寺などが144。しかし、耐震性が充足している施設は397施設、65%でございます。また、備蓄物資を有している避難場所は132カ所。1,000人程度収容規模の各区の体育館や、白石区のコンベンションセンター、ここは2,300名。道立総合体育館は4,000名。備蓄物資がない。それから、学校備蓄については、300校のうち75校。今、学校については、平成26年までに耐震化を終了するということですので、以前は余裕教室に備蓄庫をつくって校舎が被害を受けたら使えないではないかということもありましたけれども、今は耐震化が終了する。ですから、ここは置ける。また、備蓄物資の食糧でございます。1人1食分、17万1,000食。しかし、これも帰宅困難者が入っていない。最大14万人を想定していて、帰宅困難者が8万3,000人。22万人の想定をしております。
先ほど言いましたように、2,000名を超える帰宅困難者が学校の体育館に入ってきた。地域の方たちがアルファ米でようやくおにぎりをつくった。2,000名もいますから、1人ピンポン玉の大きさのものが1個か2個です。本来は地域の方を守らなければいけないのに、複雑な心境。なぜ、帰宅困難者のために、私たちは徹夜して、朝、ピンポン玉の大きさの2個のおにぎりをつくらなければならないのか。当然ですね。
この備蓄にも偏りがありまして、中央区1万4,500食、北区2万4,000食、東区1万3,000食、こういうふうになっている。これは、各区の避難者を想定した配置だと思うのですよ。しかし、今言いましたように、帰宅困難者という問題もある。中央区の昼間人口は、中央区の人口の倍です。他の9区は、夜間人口より昼間の人口は全部少ない。だから、整備するに当たっては、こういうこともきちんと踏まえておかなければならないというふうに思うのですね。
それで、1点目は、ハード面での指定避難所の見直しも必要だと思うのですけれども、場所によっては30人くらいしか入れないところを指定したりしているのですね。耐震性もない。ここに備蓄しておいても、これは使えない。ハード面での指定避難所の見直しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
それから、防災備蓄、食糧に関しては、最低でも学校には配置をしていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
それから、今、言いました各区のバランスを考えた備蓄の食糧の配置、3点お伺いします。
◎山崎 危機管理対策部長 まず、1点目のハード面での収容避難場所の見直しについてということでございます。
収容避難場所の耐震化の重要性は、私どもも強く認識しているところでございます。しかしながら、耐震化されていない施設でございましても、大雨だとか台風の際などには避難先として使用できることから、地域の住民の方々の要望に応じまして指定しているところでございます。このたびの
東日本大震災を契機といたしまして、収容避難場所の環境整備全般について見直しを行い、その中で耐震化されていない施設の指定のあり方及び備蓄のあり方についても検討を行うことにしているところでございます。
それから、2点目の学校における備蓄の整備ということについででございます。
来年度、小・中学校につきましては、現在の75校に加えまして、余裕教室の活用により40校の備蓄庫を整備することで教育委員会と調整しているところでございます。今後とも、教育委員会と連携いたしまして、小・中学校の備蓄箇所の拡大についてさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、3点目の食糧備蓄の各区のバランスと、特に帰宅困難者とのかかわりということでございました。
現在、食糧備蓄におきましては、各区にお住まいの方が被災した場合に対して準備しているというものでございます。また、地域防災計画におきましては、企業の役割といたしまして、地震発生後の3日間は、企業みずからの努力で対応できるよう、食糧等の備蓄についてもあわせて行うべきということをうたっているところでございます。
帰宅困難者対策といたしましては、帰宅困難者そのものの発生をまず抑制することが最も重要だというふうに考えておりますので、現在作成中の企業向けの
防災パンフレットの中で、企業に対しては、むやみに従業員を帰宅させないで、帰宅手段が確保されるまでは事業所にとどめることや、事業所の災害対応に当たるということでお願いしたいというふうに考えているところでございます。また、企業での食糧備蓄が大切である旨も記載して、その普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆本郷俊史 委員 収容避難場所ですけれども、一覧表で609カ所となると、やはり、大災害のときに、こう思います。今、雨とかと言っていました。だから、地震のときに実際に使えるのは397カ所なのですね。なぜこうなっているかというと、地域防災計画で最大14万人の避難を見ているので、人数を当てはめていくと、大体これくらいないとおさまり切れないということだと思うのですが、これは、やはりマンション対策をぜひやっていただいて、本当に現実的に避難できることを考えていただきたいと思うのです。
先ほど言いました仙台ですが、地域の避難所に行きましたら、既にもうあふれている。食糧も水も来ていない。マンションの集会室だったり、そういうところを活用して、自主的にそこを避難所として炊き出しをやり、乗り切ったというところが多々ございます。だから、最初に言いましたけれども、ぜひ、こういった生きた情報をきちっと掌握してほしいと思うのです。
確かに、仙台は、市民の皆さんも意識が高いから、防災訓練をやったりと。言っていたのは、一番生きたのは、マンションのコミュニティーを維持するために、年に1回、芋煮会をやっているマンションが結構多いのですね。あるいは、敬老の日にそういうのをやったりと。実は、これが、寸胴だとかバーナーだとかを持っていて、そして、40食、50食をそのときにつくっていますから、手際よく、そのことが生きたと。
札幌は、今、83万世帯ですね。共同住宅にお住まいの方が実に67%なのです。これは、マンションでも賃貸も入れて、あるいは、市営住宅だとかも全部入れて。圧倒的に共同住宅が多い。戸建てが少ない。中央区などは88%が共同住宅です。その中でも、分譲マンション、棟数で言うと3,523棟ありますが、昭和56年以降、要するに耐震性を有しているのが3,100棟ございます。ですから、ここに自主防災組織があり、避難所としての集会室の整備ができていて備蓄もされているとなれば、先ほどどなたか質問していた共助ですよ。まず、3日分は自分で食糧を用意する。全体的なことはマンションの自治会でやる。共助。足りないところは行政と。このことによって、むしろ、避難所というところは、ご承知のとおり大変なところです。本来なら、避難所へ行かないで済むことの方が大切です。
ですから、今後の私たちの防災計画の見直しとしては、マンション対策、例えば、ごみ有料化のときに、ごみステーションのマンションへの附置義務というのをやりましたね。それみたいなこと、それに対する行政の支援などを含めて、マンション対策が重要と考えますが、いかがでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 マンション対策についてでございます。
マンションでは、高層階での揺れや増幅が激しいということで、エレベーターの停止といったマンション特有の被害への対策が必要となるということでございますけれども、一方で、木造住宅と比べまして倒壊の可能性がかなり低く、住民同士が協力し合ってマンション全体での災害への備えをするということは、大変効果的であるというふうに考えているところでございます。
マンション居住者に対する防災対策の普及啓発は非常に重要であることから、マンションで起こり得る被害をこれらの住民の方々に周知するとともに、被害を防ぐための事前の備えや災害時の対応策について、家具の固定だとか避難など、居住者個々人の取り組みだけではなく、マンション全体で資機材の準備やマンション内での避難場所の開設など、マンション全体で取り組むべき内容を盛り込んだ
パンフレットを現在作成中でございます。今後は、この
パンフレットを活用して、マンションの管理会社やマンションの自治会等に配布して、積極的にマンションでの防災対策について普及啓発をしてまいりたいというふうに考えております。
◆本郷俊史 委員 ぜひ、しっかり取り組んでもらいたいと思います。
そうすると、避難所が609カ所なくても、先ほど言った3,000棟ぐらいあるわけですから、20万世帯ぐらいあるわけですから、この防災計画がきちっと進んでいけば、避難所の数も見直すことができるわけです。今おっしゃったように、家具の転倒防止については、札幌市では高齢者、障がい者のための補助制度がなかなか実現していないのだけれども、ここをきちっとやれば、本当にマンションは自分の住んでいるところで炊き出しをもらいながら生活できる。こういうことを取り組んでもらいたいと思います。
防災力向上にプラスになると思われる具体的な提案を何点かいたします。
一つは、先ほど部長が答弁されておりましたHUGです。
避難所運営ゲーム、頭文字をとってHUG、あるいは、抱き締めるということをかけ合わせているわけですけれども、実は、今回の震災で、自主防災組織でこれをやっていたために、パニックにならず、避難所運営がスムーズにいったという事例が幾つも紹介されております。先ほどもあったけれども、これは、地域防災力の向上に大変有効と。もともとは、これは静岡県でつくったものですけれども、今回の地震を契機に、仙台のバージョンをつくったそうです、より具体的に。ですから、町内会を含めて、あるいはマンションの管理組合を含めて、実施拡大に向けてぜひ取り組んでもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
二つ目は、学校等の防災備蓄庫についてです。
実際に、町内会長や地域の防災リーダーの方が自分の子の学校の備蓄庫に何がどれぐらい入って、どういうふうに収納されているのかというのがわからないのが現状だと思います。場合によっては、そこに学校の行事で使ういろいろなものが入っていて、防災備蓄が奥に入っていたりとかですね。そこで、年に1回、町内会の防災訓練をやるときに、防災備蓄の棚卸し。一たん、全部、体育館に出してみる。食糧とか毛布など。そうすると、足りないもの、先ほど言ったように、炊き出しに必要だね、寸胴も要るね、バーナーも要るねと。足りないものは町内会で用意してくれるところもある。地域の防災リーダーがここに何があるかということがわかっていることで、相当、避難所の運営に役立ちます。ぜひ、こういうことを提案したいのです。
あわせて、年1回、校長室がいいと思うのですけれども、学校と地域の防災リーダーが一堂に会して防災会議を開催する。
今回、避難所で、やっぱり、学校の先生に対する感謝の声、本当によくやってくれたというのが圧倒的です。本当に、学校というのが、いざというときに地域の拠点になる。校長先生は2年ぐらいしたらかわっていきますので、ぜひ、このことも取り組まれたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 3点のお尋ねでございました。
まず、一つ目のHUGについてでございます。
HUGにつきましては、まず、実施状況でございますけれども、地域の住民の方々が参加したものに関しましては、昨年9月に中央区の町内会において実施され、約80名の方が参加した研修の中で行われたというふうに聞いているところでございます。地域の方々ではこの1回のみでございますけれども、このほかに、昨年の12月に、中央区の保健福祉部におきまして、避難場所の担当の職員が約100名程度おりますけれども、この職員を対象として延べ10回実施いたしまして、100人の職員がHUGに参加したというふうに聞いているところでございます。私もそのときに実際に見に行って、市の職員が、HUGというものはどんなものなのか、それから、これを地域に広めるためにはどうやってやればいいのかというようなことに積極的に取り組んでいたのを見てまいったところでございます。
我々も、今後のHUGの実施の拡大に向けた取り組みについて検討していきたいというふうに考えているところでございます。そもそもHUGは避難場所の運営ゲームでございますので、避難場所の運営につきましては、地域の方だけではなくて、今の地域防災計画上では区の職員が避難場所の担当職員ということなので、住民の方々と相互に連携してやることが不可欠でございます。そこで、まずは中央区の先行事例を参考といたしまして、関係部署と調整を図りながら、それ以外の各区の避難場所の担当職員にもこういったHUGについて経験をしてもらって、地域への普及に向けた体制づくりに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
それから、二つ目は、町内会で、年1回、防災備蓄庫の棚卸しということでございます。
札幌市の備蓄庫の考え方でございますけれども、家庭内備蓄や流通備蓄による対応が基本ということで、公的備蓄については防寒対策だとか食糧対策で、流通備蓄が到着するまでの間の不測の事態に備えて必要最低限の物資について計画的に整備しているところでございます。市民の方々に、みずからの備えの重要性を認識していただく取り組みが非常に大切であるということで、備蓄庫を確認していただくことも大切な取り組みだというふうに考えておりますけれども、現在、備蓄物資の配置のあり方そのものについて見直しを進めているところでもございますので、現時点では、札幌市の公的備蓄の考え方や整備の状況について知っていただくことがより重要なことでもあるというふうに考えているところであります。今後とも、出前講座だとか防災リーダー研修等のあらゆる機会をとらえまして、これまで以上にみずから備えることの重要性について改めて普及啓発に力を入れてまいりたいというふうに考えております。
それから、3点目は、校長室で年1回程度は地域の防災会議を行ったらどうかというご提案でございました。
学校と町内会の連携につきましては、これまでも、防災に積極的に取り組んでいる地域におきましては、学校を使用した避難場所の宿泊体験だとか、学校と地域が連携した防災訓練などが既に行われているところでございます。また、
東日本大震災後、新たな取り組みといたしましては、ある地域では、災害時の避難場所となる学校と町内会、そしてまちづくりセンターが連携いたしまして、避難場所運営協議会というものの設立に向けて準備を進めているというふうに聞いております。この中で、地域の防災マップを作成し、避難場所の運営を含めまして、災害時の備えについて周知を図る取り組みなども進めているというふうに聞いております。今後とも、このような地域と学校との連携が深まる方策につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
◆本郷俊史 委員 最後の質問ですけれども、私は、防災対策に関する条例をつくったらどうかと。
港区では、今回の地震を契機に、昨年の10月に港区防災対策基本条例というものを制定いたしました。何といっても、ここは、昼間の人口が区の人口の5倍ということもあって、今回は大変混乱したということでした。先ほど部長もおっしゃっていましたが、従業員の一斉帰宅の抑制だとか、帰宅困難者用の食糧をそれぞれの事業者が備蓄してくださいとか、あるいは、他区の人が圧倒的に多いわけですから、そういった人たちの一時受け入れの協力をお願いしたりと。事業者も、最初はいろいろ抵抗もあったようでございますけれども、行政としての支援ということも盛り込んで今回の条例ができております。
私が先ほど申し上げましたマンション対策は、確かに、エレベーターがとまって、高層階に住んでいらっしゃる方への水、食糧の補給をどうするかとか、家具の転倒防止をどうするかという課題はありますけれども、そのことによって今の防災計画で考えている避難所の計画はがらっと変わるわけですね。この話になってくると、これは都市局でございますので、他部局にまたがるというようなことを踏まえて、札幌市の防災対策が総合的により現実的に進んでいくようにということで、札幌市の防災対策基本条例なるものをつくるべきだと考えます。
これは、局がまたがるものですから、最後に小澤副市長に答弁をいただければと思います。
◎小澤 副市長 ご提案いただきました市民と企業と協働した防災対策の推進ということにつきましては、私どもも地域防災計画の中で定めているところでございますが、今、本郷委員からお話がありました港区の防災対策基本条例というものを見せていただきました。基本的な性格としては、努力義務規定が多いのかなというふうに見ておりますけれども、せっかくこういう先行事例もありますので、この条例の運用状況も注視しながら、今後、今ご提案いただいた件について検討させていただきたいというふうに思っております。
◆小形香織 委員 私からは、収容避難場所への応急救援備蓄物資の配置について質問させていただきたいと思います。
昨年10月の決算特別委員会で、私どもは、すべての収容避難所に水や食糧、毛布などの応急備蓄物資を配置すべきだと求めています。今回、いただいた資料を見ましたら、来年度、先ほどありましたが、学校が40施設、それにプラス8カ所あって、48の市有施設の収容避難場所に新たな応急備蓄物資の配置ができる予定だというふうになっております。
まず、これについて、この48カ所は、危機管理対策室が学校などに働きかけることでふえたのだと思いますけれども、どのような調査をして、どういう働きかけをしたのか、伺いたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 収容避難場所、特に小・中学校への備蓄物資の配置につきましては、私どもも、小・中学校が収容避難場所の拠点施設ということで、基本的には、今、総合的に見直しをしている収容避難場所の環境整備という中で、札幌市全体の収容避難場所のあり方だとか、備蓄物資の配置の仕方だとか、さまざまな問題について検討していきたいということでございましたけれども、今、申し上げたように、小・中学校については拠点という考え方がございますので、小・中学校については、できる限り備蓄の配置を拡大していきたいというふうに申し上げてきたところでございます。
そういったことで、教育委員会と連携をとりまして、来年度、小・中学校で余裕教室等を利用して備蓄物資を配置できる学校については積極的に検討してほしいということで教育委員会の方にお願いし、検討していただいた結果、今、委員がご指摘になった40校ということでございます。
◆小形香織 委員 危機管理対策室の方から教育委員会に対して、連携をしながらぜひ検討してほしいとお願いして、そして、可能なところからこたえてもらった結果だというふうなご答弁だったと思いますけれども、まさに、危機管理対策室が意思を持ってふやしていこうと思えばふやすことができるということなのだというふうに思います。ですから、この教訓に学んで、すべての収容避難場所に応急備蓄物資を配置するという基本姿勢を持つならば、一度に全部とはいかなくても、一つずつ進んでいくのではないでしょうか。
今、市内に610カ所の収容避難場所があるとお聞きしています。昨年は609カ所でしたので、1カ所ふえたのだと思います。その610カ所のうち、札幌市が所有している施設が442、そして、私立学校とかお寺だとか、そうした民間の施設が168あるというふうに聞いています。
そこでまず、市有施設の442について、既に131カ所は応急備蓄物資が配置されていて、残るのは311カ所だと。そして、先ほどのやりとりの中であるように、48カ所がこれから配置できる見通しがあるということですから、残るのは、具体的には263カ所がまただということになるのだろうと思います。まだ配置ができないという中には、条件整備をすればできるという見通しがあるところと、それから、ここはなかなか難しいというところがあるだろうというふうに思います。
市有施設で、まだ応急備蓄物資が配置できていない先ほどの263カ所のうち、どの程度が配置できる可能性があり、どの程度がこれはちょっと難しいというふうにお感じになっておられるか、お示しください。
同じく、民間施設についてはどうか、同様にお示しください。
◎山崎 危機管理対策部長 備蓄物資を配置していない市有施設について、どういうふうに考えるのか、それから、民間施設についてもどうかというご質問でございました。
先ほど申し上げたとおり、小・中学校については、優先的に配置をしていきたいということで拡大してきたということでございます。来年度もそうですし、次年度以降につきましても、小・中学校については、教育委員会と連携をとりながら拡大していきたいと。ただ、私どもがぜひ置いてくださいというお願いをしたからすぐできるということだけではなくて、今回、40校ふえるというのも、やはり、
東日本大震災で、それぞれ学校も含めて、教育委員会全体の考え方も少し変わってきたところも大きいのかなというふうに思っているところでございます。ですから、次年度以降に取り組むといっても、毎年同じように40校程度の学校で余裕教室ができて物理的に置くスペースができるかというと、なかなか難しい面もあるというふうに考えているところでございます。
学校についての考え方は基本的に以上でございますが、市有施設全体のあり方については、先ほども述べましたように、私どもといたしましては、いろいろな考え方がおありだと思いますけれども、すべての収容避難場所に備蓄物資を薄く配置するのがいいのか、それとも、拠点のように考えて、ある程度重点的にそういった施設を充実していくのがいいのかというようなことについては、これからデータを集めた上で、有識者や地域の方々のご意見を伺いながら、収容避難場所の環境整備について一定の方針を打ち出したいというふうに申し上げてきたところでございますので、私の個人的な考え方ではなく、今後、そういったことを含めて進めていきたいということで答弁とさせていただきたいと思います。
◆小形香織 委員 とりわけ学校施設のことでお聞きしたいのですけれども、今のご答弁だと、全体として広く薄くがいいのか、重点的がいいのかを含めて検討していくのだという話なのだと思いますが、少しでも備蓄物資を収容避難場所に配置していく、私はこういう考え方に立つべきだというふうに思っています。とりわけ、おっしゃっておられた学校施設ですね。ここは、拠点施設として緊急にやっていきたいところなのだというふうに言っておられました。その中で、今、調査をされて、まだ学校で備蓄物資が配置されていないところが実際にあるわけですね。そして、改築だとか改修に合わせてそういう備蓄物質を置くような場所も考えていきたいという答弁なども過去にはありましたけれども、そうした計画がある学校は見通しがあるのだろうと思うのです。しかし、そうした計画もない学校でどういうふうに配置していくのかということを考えると、いつまでも改修、改築だけを待っていては、できないだろうというふうに思うのです。災害はいつ来るかわからないわけですから。ですから、まず、どうすれば配置できるのかということで、とりわけ学校施設については積極的に条件整備を進めるような働きかけを今後も進めていくべきだというふうに思うけれども、どうかということが1点です。
それから、民間施設などは、あり方も含めてとおっしゃっていましたけれども、多少差があっても――お聞きしましたところ、今回調査したのは、どのぐらいの面積の備蓄物資を置ける場所があるのかとか、そういうことを聞いているということなのですね。つまり、まずは610カ所を視野に入れて、どんな状態なのかを把握したいということで考えておられるということなのだと思いますけれども、そうした民間施設に対しては、直接、危機管理対策室がお願いして、応急備蓄物資を置くと。とりわけ、私立学校などというのは役割が大きいと思いますから、こういうところなども含めて直接お願いすべきだというふうに思いますけれどもいかがか、この2点を伺いたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 2点お尋ねだったと思います。まず、1点目は、学校等について、危機管理対策室が主導的な役割を果たして条件整備を積極的に進めるべきではないかと、2点目につきましては、私学等も含めまして、私どもが積極的に働きかけて配置を進めるべきだということだったと思います。
まず、1件目の条件整備を進めるべきということでございますけれども、今回、来年度配置が可能な40校につきましても、それは、物理的に余裕教室があって、置くスペースがあるから来年度にすぐ置けるということでございます。新たに物置だとか倉庫を学校敷地内に建てて、そこに置くという考え方ではございません。ですから、今、とりあえず早急に配置できるところ、今の空き教室等を利用してできるところにつきましては、早急に学校と連携をとりながら、教育委員会にも協力をいただきながら配置していきたいというふうに考えているところでございます。
委員からは、もっともっと条件整備をして全校配置を進めるべきだ、取り組むべきだというご指摘であったと思いますけれども、例えば、今、申し上げた倉庫だとか物置を学校施設内につくって、余裕教室などがなくても置いたらいいのではないかという考え方も一方ではあるかもしれません。ただ、そこまでして全校配置する意味合いが本当にあるのかどうかという問題も、もちろんコストの問題とあわせてあるのかもしれません。そういったことを含めて、先ほど申し上げている有識者や地域の方々とともに考えて、小・中学校に広めるとしても、今の空き教室だけを考えても物理的におのずとそういった限界があるわけですので、そういったことについて、どういった方針で臨むのがいいのかということを整理して結論を出していきたいというふうに考えているところでございます。
それから、民間の施設につきましても調査をしているところでございますが、私どもとしては、いろいろな方々にいろいろなご意見を出していただくときに、有識者も含めて、あるいは地域の方々も含めてご意見をいただくときに、民間の施設については、置けるスペースが一体どのくらいあるのでしょうかと言われたときに、何もデータを持っていませんということにはなりませんので、今、そのためにデータ収集をしているということでございます。
民間については、協力いただけるところがあるかもしれませんし、仮にスペースがあったとしても、それはちょっとほかの用に使いたいのでお断りしたいというところもあるかもしれません。そういったことも含めて、総体的に、市有施設への備蓄の配置の仕方、それから民間施設への備蓄の配置の仕方について方向性を打ち出していきたいというふうに考えているところでございます。
◆小形香織 委員 小・中学校は拠点として優先的に配置したいのだというふうにお答えになりながら、最後は、そこまでして全校配置する必要があるのかみたいな、そういう答弁になっているのは、私はちょっと矛盾しているというふうに思うのですね。やはり、小学校は歩いて通える場所なわけで、そもそもそういう考えで配置されているところですから、住民の皆さんは、避難場所といったら学校というふうに考えるわけです。ですから、やはり、どうすれば収容避難場所であるすべての小・中学校に配置できるのか、少なくともそういう目線で考えていくべきなのではないでしょうか。そのことは強く求めておきたいというふうに思います。
そして、民間についても、確かにいただいた資料はさまざまあります。でも、ここは必要だというふうにある程度考えながら、全部を視野に入れて、少ないところもちょっとでも置かせてもらって、そこでそういう役割を果たしてもらうと。こういうふうに考えて、すべての収容避難場所に応急備蓄物資を配置するという考え方をきちっと持つべきだ、そのことを求めて、質問を終わりたいと思います。
◆
石川佐和子 委員 私からは、原子力防災対策及び地域防災計画の見直しについて伺わせていただきます。
東日本大震災、また、東京電力福島原発事故を教訓とするべきことの質疑がこれまでありましたけれども、多くの方々がとうとい命を奪われ、家族や家、そして仕事を失い、住みなれた土地を離れることを余儀なくされるという想像を絶する被害については、本当に言葉にすることは難しいことですが、だれもが被災された方々の悲しみや不安、悔しさを共感しているものではないかと考えます。こうした震災の被害に加え、最近、明らかとなっている当時の東京電力や政府の判断の不的確さ、その後の対策のおくれなどが重なり、被災された方々がもとどおりの生活を取り戻すには、なお時間がかかることが予想されております。
札幌市においては、震災直後から、現地に職員の方を直接送る、また、避難して来られた方を受け入れるなど、さまざまな支援を行っていることを評価するところでありますが、今後も必要に応じたさまざまな支援を行うことが重要であり、3月11日を教訓として、札幌市の防災対策を市民にとっても実効性のあるものとしなければならないというふうに考えています。
市民ネットワークは、福島市と福島原発との距離、それから、泊原発と札幌市との距離が60キロメートルと大体同じということで、この間、福島市の放射線量が高い状況が続いており、3月3日現在でも毎時0.55マイクロシーベルトと福島県の中でも高い数値となっていることから、実効性のある原子力防災対策について繰り返し質問を行ってまいりました。先月の第1定の代表質問におきましては、泊原発で福島原発と同レベルの事故が起きた場合等の被害を想定したシミュレーションを、場合によっては札幌市独自で実施することも視野に入れて取り組んでいくという上田市長の答弁もありまして、期待するところであります。
現在、札幌市では、原発対策、そして津波対策、避難場所の環境整備を柱とした地域防災計画の見直しに取り組んでおられます。
そこで、1点目の質問でありますが、本市は、この間、原子力防災対策の構築を目指し、調査機関並びに職員による福島の現地調査を実施してこられたというふうに伺っておりますけれども、現段階においてどのようなことを課題としてとらえておられるのか、その進捗状況について伺います。
それから、2点目に、国においては、原子力規制庁を4月に設置することが閣議決定され、また、国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会最終報告は6月に提出の予定とされております。しかし、この間の政府の原発事故にかかわる検討の推移を考えますと、国が原子力防災計画を策定するには、なお時間がかかることが予想されます。
こうした状況の中、本市の原子力防災対策及び地域防災計画の見直しに関する今後のスケジュールについて、先ほども平成24年というお話がありましたけれども、改めて、もう一度、伺います。
3点目に、昨年の札幌市防災会議の資料におきましては、原子力防災対策策定に関して有識者による検討及び本市への提言が予定されておりますけれども、これらをどのように実施しようとしておられるのか、あわせて伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 3点ご質問がございました。
まず、1点目の現段階での課題抽出の内容、それから、進捗状況等についてということでございました。
原子力防災対策の見直しにおきまして、昨年12月に、私どもの職員が福島市役所に赴きまして、福島市での災害対応に従事している職員から直接聞き取り調査を実施しているところでございます。例えば、正確な情報や、災害時に速やかに情報を入手するための体制づくりが必要だとか、市民が必要とする情報を正確かつわかりやすく迅速に提供することなどが課題として挙げられている]ところでございます。また、平常時からの放射線量のモニタリングだとか、札幌市においてもこれらの課題が必要になるというふうに認識しているところでございます。さらに、他の自治体での対策だとか国の動向なども調査をいたしまして、課題を整理して次の対策につなげていくことに現在取り組んでいるところでございます。
2点目の本市の原子力防災対策及び計画策定のスケジュールについてでございます。
現在、国におきましては、ことし4月に防災基本計画を見直す予定でございます。関係する自治体に対しまして、来年度には地域防災計画の改定や策定を行うように求めているというふうに聞いておりますけれども、国から地域防災計画策定のための支援の内容だとか策定に関する具体的なマニュアルが示される時期がまだ明らかになっていないことなどから、地域防災計画の見直しにつきましては、確実なスケジュールの見通しがなかなか立たない状況でございます。こんな状況ではございますけれども、ご指摘のように、いつ起きるかわからない原子力事故に備えるということでございますので、先ほどの課題抽出なども踏まえまして、地域防災計画の策定とはまた別に、今後も可能な原子力災害対策の検討を進めていくようにしたいと考えているところでございます。
それから、3点目の、有識者による検討についてはどのような形でやられるのかというお尋ねでございました。
原子力防災対策を策定するためには、例えば、放射線医学だとか薬学、あるいは気象学などのほかに、放射線量の測定だとか情報伝達の方法などにつきまして、幅広い分野で専門家からの意見を聴取する必要があるというふうに考えておりますので、そういった方々にぜひ専門的な見地からご意見を賜りたいというふうに考えております。
◆
石川佐和子 委員 聞き取り調査を現地で行うとかモニタリングなどで課題を抽出されているということでありました。そうした課題を整理されましたら、ぜひ、そうした情報は市民と共有すべきだというふうに思います。また、スケジュールにおきましても、国の状況をかんがみてなかなか難しいという状況も伝わってきましたけれども、先ほどおっしゃったように、いつ災害が起きるかわからないということを踏まえて、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
再質問として、2点お伺いいたします。
今後、北海道が策定する原子力防災計画の対象は、30キロメートル圏、いわゆるUPZですね。そういうふうに拡大される方向でありますが、札幌は泊から60キロメートルですから、当然、これに含まれないわけであります。
これまで、原発から60キロメートルという距離での原発防災を想定している自治体というのはないわけです。本市の取り組みは初めての試みというふうに思われますが、そうした中で対策を考えていくに当たって、今の答弁の中にありましたように、有識者、専門家に意見をいただきながらまとめていくということでしたけれども、いただきながらという程度のかかわりの中で策定することは非常に難しいのではないかというふうに考えます。防災対策の内容も、原発からの距離とか人口などによっておのずと変わってきますし、より原発に近い地域の被災者の受け入れや医療機関の対応などもしっかりと想定しなければならないのではないかというふうに考えます。
そこで、改めて伺いますけれども、北海道の原子力防災計画の策定に当たっては、札幌市との協議が困難というふうに想定されている中、札幌市としましては、独自で北海道に匹敵するような内容の原子力防災対策を策定しなければならないということがありますことから、有識者による検討会議を設置し、議論を深めるべきというふうに考えますがいかがか、伺います。
また、地域防災計画策定のプロセス、それから、子どもの視点での取り組みについてもあわせてお伺いしたいのですが、
市民ネットワークでは、昨年の第3定におきまして、防災計画に女性や障がいのある方の参加や意見を集約することを求め、懇話会を設置するという答弁をいただいているところです。また、札幌市も主催として参加しました「災害時に必要な女性の視点とは」という内容の災害と女性の人権を考えるシンポジウムもこれまで開催されているところでありまして、自治基本条例を定めている札幌市としましては、大事なことを決める場に多様な市民が参画できることが重要であるというふうに考えます。札幌市防災会議は、関係機関の責任者や担当者の方々がメンバーとなっており、市民からは非常に遠い印象があります。そうした防災会議に公募委員を加えることとか、例えば、市民版の札幌市防災会議のような枠組みによって、市民が計画策定に参画する機会をつくっていくことも必要ではないかというふうに考えています。
また、被災地の
子どもたちはどうかといいますと、現在、物理的にも精神的にも非常に不自由な生活を強いられておりまして、放射能汚染を防ぐために屋外で遊ぶことを制限されるなど大きなストレスを抱えていますことから、
子どもたちの遊びを支援するボランティアグループが現地に数多く入っております。今後の地域防災を考える上で、
子どもたちが遊ぶことや学ぶこと、そして、精神的な安心感を取り戻すための支援を欠かすことはできないと思います。
そこで、2点目の質問になりますけれども、原発、それから津波防災対策、そして避難所についてが三つの柱となっている地域防災計画の見直しに当たって、そのプロセスへの市民参画を進めるべきと考えますが、どのように進めるおつもりか、伺います。
また、地域防災計画の見直しに当たっては、女性や障がい者に加えて、さらに子どもの視点を持って取り組むべきと考えますがいかがか、伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 まず、1点目の原子力防災対策における有識者会議の設置ということでございます。
有識者からご意見をいただくにはさまざまな手法かあるというふうに考えるところでございますけれども、ご指摘のありましたように、原子力防災対策の検討に当たっては、例えば有識者会議を設置するなどして、個々の幅広い角度からご意見をいただき、議論を深めるというようなことで、一堂に会して会議形式でやることも有用な手法の一つであるというふうに認識しているところでございます。したがいまして、設置のあり方については、今後、ご指摘のご意見も踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
2点目は、地域防災計画の見直しに当たっての市民参加、あるいは、女性、障がい者に加えて、子どもの視点を持って取り組むということについてでございます。
今回の大震災の事例からも、避難場所の運営を初めといたしまして、改めて、災害対策に女性とか障がい者の方、子どもの視点を反映させることが重要であるというふうに再認識したところでございます。そこで、
東日本大震災発生後、直接、声を聞くことが重要であるという認識から、男女共同参画のシンポジウムへの参加とか、高齢者団体、障がい者団体の方々との意見交換会などを行ってきたところでございます。
今後も、市民参加ということで、パブリックコメントはもちろんでございますが、女性や福祉専門職、それから、避難場所で子どもに直接接してきた保健師の方々等の意見を聞く場を設けるなどいたしまして、地域防災計画の見直しにこれらの方々の意見をぜひ反映させてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆
石川佐和子 委員 有識者会議はさまざまな議論を深めるためにも必要ではないかということで検討していくというふうに今伺いましたので、ぜひ、そうした方向で進めていただきたいと思います。そして、女性や障がいのある方、また子どもの視点もしっかりとその中に盛り込んでいただきたいというふうに思います。
最後の質問になりますが、甚大な災害時には、国の指示に沿って自治体が動くことは当たり前のことだというふうに思いますし、情報収集や国からの指示の系統のあり方が確立されるべきだということは言うまでもないことだと思います。しかし、緊急時にはそれらが混乱する可能性もありますし、自治体として独自の判断を求められる場合があると思います。先ほども実践的な地域防災対策をという質疑がありましたが、今回の福島におきましても、情報不足で自治体が物事を決定できなかったということをお聞きしていますけれども、例えば、避難地域に指定されていなくても、避難希望者が多くいらっしゃれば避難に関する窓口を設置するなど、対応ができなければならないというふうに考えます。
また、昨年の震災の直後、原発から数キロメートルしか離れていない自治体の首長が、地震対応に頭がいっぱいで、原発事故にまで考えが及ばなかったというふうにおっしゃっているように、今後は、自然災害と原発事故が同時に発生する複合災害に留意していくことが不可欠だというふうに思います。来年度中に原発や津波対策が構築される予定で進めることとあわせて、地域防災計画には複合災害対策を盛り込まなければ、防災計画の実効性は担保できないのではないかというふうに考えるところです。
北海道が昨年11月にまとめた北海道原子力防災計画の課題抽出報告書というものがありますけれども、その中で、大規模な地震災害、津波災害、雪害などの自然災害とともに、原子力災害が発生する事態を想定し、複合災害を意識した防災体制の整備が課題抽出に係る基本的事項3点の中の一つとして掲げられております。
そこで、お尋ねいたしますけれども、緊急事態を区分するための判断基準を確立するなど、自治体として独自に緊急時における意思決定のあり方について検討しておく必要があるというふうに考えますがいかがか、伺います。
また、複合災害について、今後、地域防災計画にどのように位置づけ、取り組んでいこうというふうに考えておられるのか、伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 まず、第1点目の緊急時における自治体の意思決定のあり方についてでございます。
災害対策基本法の第60条では、生命または身体の保護、災害の拡大防止のために、市長の独自の判断で住民に対する避難指示や勧告ができるというふうにされているところでございます。緊急時に速やかな意思決定を行うためには、まさに、委員ご指摘の正確な情報を早期に収集することが重要でありますことから、まずは、そのための有効な体制や手法について今後も検討を進めていくことにあわせまして、国や道の動向も踏まえながら、意思決定のあり方について検討していきたいというふうに考えております。
2点目の複合災害の地域防災計画への位置づけということでございました。
自然災害と原子力事故災害の複合災害を想定した対策を検討することは、重要な課題であるというふうに認識をしております。例えば、非常配備体制のあり方だとか、それから優先して取り組むべき対策などにつきまして、原子力災害対策とあわせて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆
石川佐和子 委員 最後に、要望になりますが、昨年の11月に、原子力安全委員会の原子力施設等防災専門部会のワーキンググループが、原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方というものをまとめておられますけれども、その中に、地域防災計画等を立案する際に、関連する地元の自治体、それから、住民等が関与できる枠組みを構築し、その決定プロセスへの参加を確保することが重要である、これによって実施する防護措置についても理解が深まるとともに、地域の実情が反映されることから、その実効性が向上するとともに、円滑に実施されることが期待されるというふうに示されております。つまり、だれかにお任せで決めた計画を掲げるのではなくて、市民が自分たちの身を守るために、みずからも参画し、実践的で実効性のある計画としましょうということをおっしゃっているのだと思いますし、私もそのとおりだと思います。
市民アンケートによりますと、3.11を踏まえましても防災に関する意識づけがまだまだ高くなっていないという実態がありますけれども、先ほどのいろいろな調査結果を市民と情報共有するなどして進めまして、札幌市及び各地域の実情に沿った地域防災計画となるよう、さまざまな市民意見を確実に生かして取り組んでいただくことを強く求めて、私の質問を終わります。
◆坂本恭子 委員 私は、防災行政無線について質問したいと思います。
新年度予算では、1,000万円ですけれども、防災行政無線更新整備費として、更新整備に向けた実施設計ということで計上されております。この更新整備にかかわって、3点質問したいと思います。
これは無線機、移動局というふうに言うようですけれども、この拡充について、それから更新実施計画の案について、さらには、この無線システムの保守点検業務の再委託について、この3点の質問を順次したいと思います。
防災行政無線システムはどういうものかというと、災害が発生した場合、災害の規模、災害現場の位置や状況を把握し、いち早く正確な災害情報を地域住民などに伝達する必要があり、災害情報の収集、伝達手段の確保を目的としてこのシステムを整備していくというふうにお聞きいたしました。まさに、災害時の情報伝達手段として大きな役割を果たすものだというふうに思っております。
また、先ほど来、
東日本大震災のお話がありますけれども、この震災の後、その重要性がますます高まっているというふうにも思います。そしてまた、とりわけ、この問題は人命に直結することになりますから、市民の間に情報の伝達や入手の格差ということは絶対にあってはならない、こういうふうにも思っております。
そこで、この無線機、移動局についてですけれども、ご説明を受けて、統制局、基地局というのが1カ所、5カ所とあって、818カ所の移動局、いわゆる無線機だと思うのですが、それが整備されております。この移動局の整備状況、特に市有施設であります収容避難場所、それから、病院、応急生活物資を供給する商業施設への配置状況はどのようになっているのか、まず、この点について伺いたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 防災行政無線の整備状況ということでございます。
委員ご指摘のように、移動局については818局を整備しているところでございます。内訳でございますが、収容避難場所につきましては、小・中学校、それから市有施設である442カ所の収容避難場所のうち、85%に当たる373カ所に設置しているところでございます。また、応援協定を締結している機関については、流通にかかわる事業者3機関、それから、病院につきましては災害時の基幹病院として指定されている13病院などとなっているところでございます。
◆坂本恭子 委員 市民に対する情報提供、それからまた、情報収集ということで大切な役割を果たしていくということを冒頭にお話ししましたけれども、市有施設442カ所のうち85%、373カ所に整備をされているということ、それから、病院は基幹病院として位置づけられている13に対して、商業施設等には3機関というお話がありました。
818カ所がそもそもどうなのかということもあろうかと思いますが、今ある無線システムの中で、大体1,000カ所ぐらいは移動局をつくることができるというふうなお話も伺いました。今持っている容量でも100数十カ所は持てるということですから、私は、今の状況でも移動局を設置できるところは設置をしていくべきではないのかなと思います。市民に対して適切な情報を提供していく、あるいは、いろいろな指示を出していくというようなことで大変有用だというふうに思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 未設置である収容避難場所等につきましては、例えば、防災行政無線が設置されている拠点施設と近接してすぐ近くにあったり、あるいは、合築されている施設も中にはございます。こういったことから、各施設の立地条件等を再検討いたしまして設置の必要性について検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆坂本恭子 委員 特に市有施設については、状況はそれぞれあるのだと思います。合築だから1本でいいというのは合理的な考え方なのかなというふうにも思いますけれども、近接しているので必要ないというのは、例えば、北区役所があるので北区民センターにはつけていませんと、こういうようなことになっているわけです。しかし、道路を1本隔てたら何が起こるかわからないというような中で、やはり、私は、ファクスもついている無線のこういう機器というものが本当にしっかりとネットワーク化されていくのは大事なことだと思います。残り15%の市有施設は、差し引きすると69カ所になるのですか。そこにはついていないということですから、これについては最優先して行っていく、そして、容量として100数十カ所分がまだあるわけですから、これはやっていくべきだというふうに思います。
それから、先ほど申し上げました応急生活物資を供給する機関は、3機関というご答弁がありました。とりわけ、先ほど来、備蓄物資をどうするかというようなことも含めて議論をしてきておりますが、スーパーとかコンビニとか、いろいろなことが想定されるのだろうというふうに思いますけれども、札幌市はコープさっぽろと協定を結んでいるのですね。災害時にこういう物資を供給してほしいということで提携している、これは経済局の方でやっているというふうに聞いております。それと同様に、北海道では、コンビニエンスストアのセイコーマートと連携して協定を結んでいるというふうにも話を聞いています。
私は、やはり、地域の中でより密着してきめ細やかに市民に物資を提供できるというのでしょうか、そのためには、コンビニエンスストアというのは非常に有効な手段だなというふうに思います。先ほどは3機関ということでありましたけれども、コンビニ全体の業界もそうですが、特段、セイコーマートというのは、環境の問題などでも札幌とも非常に関係が深く、いろいろ連携しているようなこともあります。北海道に根差したコンビニエンスストアでもありますので、ぜひ、北海道と同様に、札幌市独自でコープさっぽろのように協力、提携を行ったらいいというふうに思います。そして、同時に、無線機、移動局というものもこういうところに設置してみたらいいのではないか、より迅速に必要なものを必要なところに手配するというのでしょうか、そういうことも含めて、無線の機能が十分に発揮できるのではないかと思うものですから、この点についてもお考えをお聞かせください。
それから、病院は、13基幹病院ということでした。災害時基幹病院制度実施要綱というものがあります。1996年、当時は衛生局長の決裁ということで基幹病院の制度というものが具体化してきました。この中にも書かれているのですが、13の基幹病院の配置だけでは十分ではない、だから、それ以外に支援病院というものもつくって、基幹病院と支援病院が連携しながら災害時医療体制を何とか持ちこたえていくのだということが書かれています。13の基幹病院だけでは足りないということが、このときからもう既に言われているわけです。
そういう意味では、基幹病院をふやしていくということももちろん大切なことですけれども、この病院にも無線機、移動局が設置をされていますので、私は、13の基幹病院だけではなくて、この支援病院と言われるような位置づけのところなども含めて、設置箇所をふやしていくべきだというふうに思います。1996年のときは衛生局長でしたけれども、今は
保健福祉局が担当になるのだと思うので、ぜひ、そういうところとも連携して病院でも移動局をふやしていくべきだというふうに思うのですが、その点についてのお考えも聞かせていただきたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 流通にかかわる事業者との協定締結の拡大、あるいは、ご指摘があったように、災害時基幹病院以外であっても災害時に対応能力のある病院の指定についてはどうかということでございました。この件につきましては、関係局と協議、調整を行いまして、必要に応じて協定の拡大とか支援病院の指定等について検討を進めていきたいというふうに考えております。
また、これらの事業者あるいは病院等への無線の配置についてでございますけれども、今、更新整備計画を立てようという中でございますので、その中で検討していきたいというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 必要に応じて検討は進めるということで、連携についても、無線機の設置についても、更新のときに検討していくということですから、私は、ぜひ、スピード感を持ってやっていただきたいなというふうに思います。これは求めておきたいと思います。
そこで、今回、実施設計が予算案に計上されておりまして、この更新整備が2013年から2024年の10年間にわたって行われていこうとしているわけですね。資料をちょうだいいたしました。今ある818カ所の移動局について、経費の平準化という考え方に立って、10年間ですから年平均80カ所前後を更新していくという計画になっています。
そこで、今ある基地局がどういうふうになっているのか、実際にどういう使われ方をしていて、更新計画はどういうふうになっていくのかという問題ですが、今、14年から15年使っている基地局が存在しています。これからも13年から15年ぐらいは使えるだろうという見込みで計画が立てられているわけですが、いざ、818カ所を直します、これだけ新しくしなければなりませんといったときに、結局、平準化していけば一時期の大きな負担が減っていくという考え方に基づいて、使えるものも途中で新しいものに変えていこうという更新計画に私には見えます。
そこで、10年かけて818カ局の更新整備を終わらせていこうということですが、平準化ということを考えないで、今動いている移動局の無線機を耐用年数まで使い、その後、更新していくということについて、今の更新計画案と比較検討などをしてみたことがあるのかな、私はするべきだというふうに思うのですけれども、これはいかがですか。
◎山崎 危機管理対策部長 更新整備の計画についてでございますけれども、通信機器の耐用年数につきましては、減価償却資産の耐用年数等に関する省令というものがございまして、その中では通信機器は10年というふうに定められているところでございます。ただ、これは、耐用年数が10年たったからといって、直ちに性能が維持されない、あるいは使用できなくなるといったものではございません。私どもも、できるだけ有効に使っていきたいと考えているところでございます。
ただ、デジタル防災行政無線というのは、平成13年に標準の規格が制定されまして、年数的にもまだ10年ほどしかたっていないということがございます。それから、政令指定都市の中では札幌市が初めて導入したということもありまして、他都市でどのような更新計画をしているのかといった前例も見ることができません。長期使用によるリスクを推しはかることができない状況の中で、札幌市として更新計画をつくらなければならないということでございます。
したがって、現段階での更新の計画案につきましては、移動局が818ありますけれども、これを平準化して、最初の平準化のための枠組みの中で最小限に抑えて更新を進めていきたいと。すべての機種について一律に15年使って、15年は使える可能性があるからそこまでぎりぎりで使っていくということではなくて、安定した通信体制を維持するということから、なるべくリスクが少ないということも検討しながら考えていきたいということでございます。ですから、現時点では、今の818カ所について、仮に平準化をした場合につきましては、すべて14年あるいは15年使用するという考え方は持っていないということです。
したがいまして、今、我々が考えている更新計画に対して、仮にそれを15年使った場合にどうなのかという試算は、現在、行ってはおりません。
◆坂本恭子 委員 いろいろなものについて、延命というか、長寿命化だとか、長く使うようなことをやっておきながら、このことについては、長期使用のリスクを考慮して平準化のみを優先して、それは全く考えていないのだということです。確かに、災害時に使うものですから、そのときに使えないという状況があっては困ります。そこはしっかりと手当てをしていきながら、しかし、長もちをさせるということだと私は思います。後ほど、3点目のところで保守点検業務のことについても触れますけれども、そういうことをしっかりとやっていくことが大事なのではないでしょうか。
私は、平準化した場合と15年という耐用年数を仮置きして比較検討するということは、難しいことではないというふうに思います。現行案で見てみましても、15年で更新するものが24%、196の移動局です。それから、11年から12年で更新するものが60%で484移動局です。13〜14年で更新するものが16%の138ですから、逆に言うと、今、4割は10年を超えて使っているし、そういう計画になっているということですね。こういうことからいっても、札幌市は政令指定都市の中では初めて導入したというふうにおっしゃっていますけれども、やはり、当初から、15年でも使用に十分耐え得ると判断して、15年ぐらいは使えるのだということを前提にして整備を進めていったのだというふうに思います。そういう意味からいくと、私は、長期使用のリスクを考慮したと言いながらも、結局、余分な負担増というものを平準化という名のもとで10年間にわたって行っていくことになるのではないのかなという懸念を持ちます。
ましてや、札幌市が使っている独自のシステムということで、メーカーは2社に限られています。NECとパナソニックだけだということですね。この二つのところからしか入れていないわけですから、結局、平準化して、札幌市は少しでも負担を減らしながら10年間ずっと更新をし続けていくのです、しかも、80台前後ということになっていくわけですけれども、企業の側からしてみれば、NECになるのか、パナソニックになるのかわかりませんが、毎年、そこで札幌市の市場というものが必ずあるのだということになるわけですね。私は、こういうところからいっても、長くもたせる、使っていくということと、こういう特定の企業の有利になるような更新整備の計画を持つということを市民の前にさらしたときに、どっちが正しい選択なのかということは火を見るよりも明らかだというふうに思います。
改めて、慎重な比較検討を行うべきだったというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
◎山崎 危機管理対策部長 私どもが今考えている更新整備計画案といいますか、原案といいますか、たたき台については、委員ご指摘のような10年ではなくて、12年でやっていくのがどうだろうかという考え方で検討しているわけでございます。
ただ、いろいろなご意見もございますので、これから更新整備計画案を策定していくわけでございますけれども、システム全体について、安定した運用ができ、そして、安全性の高い万全な通信体制を維持できるということが最も大切なことだと考えておりますので、これにあわせて経済性も加味しながら検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆坂本恭子 委員 10年というのは、更新計画が10年間ということで、基地局自体は12年間使っていくというのが計画ですね。整理せずに言ってしまいましたけれども、そういうふうに理解はしております。
安定的に運用できるようにということでのお話はよくわかりますよ。それから、何かあったときに使えないということではやはり困るわけですから、そういうところはしっかりとやっていただかなければならないというふうに思います。
ただ、技術革新というのは、相当、飛躍的に伸びているのだろうと思います。今のシステムを維持するための保守点検業務ということについても、メンテナンスということについても、相当手厚くできるようになってきています。良好な状態で性能を長く維持する、そういうような業務というのができてきているのではないか、そしてまた、それが必要不可欠だというふうに思います。
そこで、保守点検業務の再委託について質問したいと思います。
防災行政無線システム保守点検業務ですけれども、現在、これがどのように行われて、その性能は良好に維持されているのか、これらにかかわる経費は平年ベースで概算幾らになるのか。
あわせて、保守点検業務の地元企業への委託状況について、これは、できれば件数、発注金額でお示しいただきたいのですが、これがどのようになっているのか、伺います。
◎山崎 危機管理対策部長 保守点検の委託内容についてでございます。
防災行政無線システムの安全な維持管理体制を構築するために、保守点検を業者に委託して実施しているところでございます。点検項目につきましては、無線通信に関する機能のほかに、統制局及び基地局については、蓄電池設備等の附帯する設備の点検、それから、818カ所の移動局等につきましては、アンテナとかバッテリーの状況等、すべての無線局について機能がきちっと確保されるように総合的な点検を必ず年1回行うことにしているところでございます。また、故障時の緊急対応ということでございますので、24時間365日の連絡体制を確保しているところでございます。
保守点検に要するこれらの経費につきましては、平成23年度の契約額で約2,700万円となっているところでございます。
保守業務につきましては、システム全体に関する専門的な知識が必要となることから、統制局あるいは基地局設備等を納入している業者と契約しているという結果になっておりますが、契約業者からは業務の一部につきまして再委託の申請が出されておりまして、地場の企業数社が保守点検業務に携わっているところでございます。金額等については不明でございます。
◆坂本恭子 委員 再委託については、地元業者に再委託しているというお話でしたが、保守業者について言いますと、NEC系とパナソニック系というか、そこの関連会社が保守の業者として登録しているというか、契約していて、そこからさらに地元の企業に再委託されているという状況ですけれども、ほんの数社ということですね。年間2,700万円ということで今お話がありましたが、非常に重要な仕事も担っていただきながら、かなりの技術も必要だというようなところもあるのでしょう。しかし、私は、こういう分野というのは地元の企業にどんどん開放していくべきだというふうに思います。
札幌市情報化推進部所管の住民系情報システムも、以前、議会で取り上げましたけれども、金融系に強いところだったということで、昭和の時代から1社独占というような状態がずっと続いてきて、今、やっとそれがグラスボックス化されて改善されてきているというふうに聞いています。ユニシスですけれども、ここの再委託先は、今、全体で5割から6割になっているというふうに聞いています。また、金額では3割ぐらいなっているというふうに伺っています。
部長は、今、金額、件数ともに不明だというお話をされていましたけれども、この点について、私はきちんと調査をすべきだというふうに思います。そして、防災行政無線の部門も、地元企業に対して門戸を大きく開き、発注量、発注金額を拡大していく必要があるというふうに思います。そのための研究あるいは工夫も必要なのだと思います。地元企業、地元経済の活性化をこういうところからも図っていくべきだというふうに思うのですが、その考えをお聞かせいただいて、私は質問を終わりたいと思います。
◎山崎 危機管理対策部長 保守点検の委託につきまして、地元企業が再委託を受けられるような契約というのはなかなか難しいというふうに聞いております。委員ご指摘の点もございますので、今後とも、そういった手法があるのか、できないのかということについて検討していきたいというふうに考えております。
○こんどう和雄 委員長 以上で、第1項 総務管理費中危機管理対策室関係分の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月8日木曜日午前10時から、環境局関係の質疑を行いますので、定刻までご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後5時50分...