札幌市議会 2012-03-02
平成24年第二部予算特別委員会−03月02日-03号
平成24年第二部
予算特別委員会−03月02日-03号平成24年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第3号)
平成24年(2012年)3月2日(金曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 31人(欠は欠席者)
委 員 長 桑 原 透 副委員長 三 浦 英 三
委 員 勝 木 勇 人 委 員 高 橋 克 朋
委 員 村 松 正 海 委 員 長 内 直 也
欠 委 員 村 山 秀 哉 委 員 こじま ゆ み
委 員 佐々木 みつこ 委 員 飯 島 弘 之
委 員 阿部 ひであき 委 員 小 竹 知 子
委 員 伴 良 隆 欠 委 員 伊与部 年 男
委 員 川口谷 正 委 員 福 士 勝
委 員 小 野 正 美 委 員 大 嶋 薫
委 員 恩 村 一 郎 委 員 峯 廻 紀 昌
委 員 しのだ 江里子 委 員 山 口 かずさ
委 員 中 村 たけし 委 員 植 松 ひろこ
委 員 涌 井 国 夫 委 員 阿知良 寛 美
委 員 福 田 浩太郎 委 員 丸 山 秀 樹
委 員 宮 川 潤 委 員 伊 藤 理智子
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 松 浦 忠
委 員 金子 やすゆき
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開 議 午後1時
○桑原透 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、村山委員からは欠席する旨、また、
小須田委員からはこじま委員と、川田委員からは阿部委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第14号 平成24年度札幌市
水道事業会計予算について質疑を行います。
◆
伊藤理智子 委員 私から、
水道料金の滞納問題の対策について質問いたします。
白石区で起こった痛ましい
孤立死事件を二度と繰り返さないために、水道局として取り組める問題について質問したいと思います。
今回の事件を受けて、
日本共産党は、本市に対して、
ライフラインの確保は、居住者がいないことが明らかな場合以外、供給停止は行わないこと、民間の電気やガス会社についても協定を結んで徹底するように求めました。
水は、命をつなぐ上で大切な
ライフラインです。経済が冷え込んでいて、仕事もなく、貧困が広がり、孤立している人たちが困窮しているのに、周りにSOSを発信できなくて命を落とすという痛ましい事件が、この間、続いています。生活が破綻していく中で、最初のシグナルとして一番気づきやすいのは滞納している状況だと思います。家賃が払えない、市税、
国民健康保険料や
水道料金、電気、ガスなどの公共料金が払えない、借金がふえ、滞納が続いていくという形であらわれてきます。そのときに、どうやって支援の手を差し伸べられるのかが非常に重要だと思います。
水道料金が払えずに水道を停止した件数は、2011年12月末までに8,796件と聞いています。12月末時点で2,282件が
給水停止の状態となっています。水道をとめられた方々が、その後、どうしているのか気になるところです。
給水停止執行に至るまでの対応について、水道局としてどのような働きかけを行っているのか、伺います。
また、
給水停止をした後の対応はどうしているのか。明らかに生活が困窮している世帯については、保護課などの
福祉部局との連携が重要になってくるというふうに思うのですけれども、
福祉部局との連携はどのくらい行っているのか、生活再建に結びついているのか、伺います。
◎高橋
営業担当部長 滞納問題の対策についてのご質問でございます。
まず、
給水停止執行に至るまでの水道局の対応でございます。
件数については、今、委員からもお話がございましたけれども、私どもで最終的にやむを得ず
給水停止をやるという件数は、今、委員がおっしゃったとおり約2,000件ぐらいあるというふうに認識しております。
そして、それに至る経過ですが、私どもは、水道が
ライフラインとして市民生活に欠かすことのできないものであることから、
給水停止に際しては、滞納理由として、経済状況の悪化や健康状態の不良などにより生活が困窮している世帯も少なくないというふうに思われるため、画一的、機械的な対応はせず、その実施には慎重を期しているところでございます。具体的には、未納者の
生活状況や未納に至った事情などを把握するために、約4カ月程度の期間をかけながら、最低5回程度は未納者宅を訪問し、場合によっては、夜に来てくれということであれば夜にもお伺いし、
生活状況の把握や
支払い方法等について話し合いの機会を持つよう努めております。また、やむを得ず
給水停止を行う場合にあっても、まずは、
給水停止の予告、そして、停止通知、実際に実施日にご不在であれば、そのときは停止をしないで、1回、延期いたします。そういう形で、各段階を踏まえております。それでもなお、最終的に実施する場合にあっても、未納者への周知期間を確保するために、週末や週明けの
給水停止は行っていない状況でございます。
次に、停止後の対応でございますが、未納者の
債務不履行により
給水停止を行った場合でも、例えば、
支払い方法について延期や分割など、相談に応じて給水の再開に向けて柔軟な対応をとるよう努めております。実際に、約6割の方が当日中に給水再開、残る2割は1週間以内に給水を再開しております。
給水停止後においても、メーターの定時検針は継続して行います。その際、異変を感じた場合には、
委託事業者から
担当料金課へ連絡し、対応しているところでございます。また、メーターの定時検針以外にも、年2回の全軒調査を行っておりまして、
メーター指針の確認のほか、
電気メーターの動きや郵便受けの状況、積雪状態などの
生活状況から、長期不在などの可能性がある場合には、可能な限り、家主あるいは
管理会社等へ契約状況の確認を行っているところでございます。
3点目の
福祉部局との連携でございますが、基本的には、未納者の多くは生活困窮や家族の
健康状態等については他人には知られたくないというのが一般的であり、多重債務などの情報を私どもが知り得るのはご本人から申し出いただく以外にはございません。仮に、未納者との面談の中で、例えば、既に生活保護を受けているなどの状況が判明した場合には、
福祉部局の担当者と連絡をとり、未納者の
生活状況を考慮した柔軟な対応をとるよう努めております。その他、生活困窮と思われる未納者で、市の
福祉部局との相談が必要と思われる方に対しては、
水道料金の支払いとは別に、これはプライバシーにもかかわりますので言い方は非常に気を使いながら、区の
福祉部局への相談といった方法もあることをアドバイスしております。
こうしたことで、委員がおっしゃったとおり、
福祉部局と連携し、対応した件数は、平成22年度で48件であり、平成23年度は39件ということでございます。
◆
伊藤理智子 委員 今、それぞれの対応についてお聞きしました。
生活に困っている人たち、それから困窮している状況を把握した場合は、
福祉部局とも連携しているというようなことで件数も示されていましたけれども、滞納している人が明らかにそこに住んでいないことがはっきりしている場合以外は、不在であることが確認できない場合、
給水停止は行うべきではないというふうに思うのですがいかがか、伺います。
また、水道がとめられるということは、
ライフラインですから、よほどのことだというふうに思います。
福祉部局と連携する件数は、平成22年度で48件、23年度で39件ということですが、実際にとめられている人たちは2,282件ですから、まだまだ
福祉部局と連携していくことが求められているのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
給水停止をする人、督促する人には、
水道料金を払ってもらうことだけではなく、生活全般について見ることができる
ゲートキーパーの役割が果たせるということも、今後はさらに重要になってくるというふうに思いますし、そこから生活再建が始まると思います。生活が破綻して、借金や滞納がたくさんある世帯は、滞納料金を督促に来たということで、払える見通しがない中で困っていることなどはなかなか相談しづらいこともあるのが現状だと思います。生活に困窮している世帯への対応の仕方、
福祉部局との連携などについて、しっかりと話を聞いて対応できる役割を果たすための研修も必要だと思いますし、こうした内容について具体的に
マニュアル化するべきというふうに思いますけれどもいかがか、伺います。
また、訪問してもなかなか本人に会えない、話し合いができない場合など、督促状とは別に、お困りの方は相談してくださいと、生活に困窮している人が活用できる制度などを紹介した
リーフレットを一緒に入れてくるなど、相談を促していく工夫も必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、どのように対応していくのか、お考えを伺います。
◎高橋
営業担当部長 4点か5点ありましたが、まず、1点目は、住んでいる人に対して
給水停止を行わないことを基本的な考えとすべきではないのかというご質問であります。
水道事業は、
水道料金を主たる財源としておりまして、
水道料金収入の安定的な確保は事業運営の健全性を維持する上で不可欠なものであることから、未収金を解消するための一つの手段として
給水停止を行っております。
給水停止は、先ほどご説明いたしましたけれども、再三の督促行為にもかかわらず、支払いに応じる意思を示していただけない方に対して行っているもので、このことは納入期限内に納めている大多数の市民の皆様との公平性の観点からもやむを得ないというふうに思っております。
2点目は、実際に水道がとめられている数2,282件に対して福祉との連携が39件というのは少な過ぎるのではないかというお話でありました。
まず、39件と申し上げましたのは、先ほど私が説明しました、4カ月かけて何回か面談をする中で、
生活状況を把握できて福祉と連携して対応している件数が大部分でございます。中には、
給水停止をした後に、区のケースワーカーから連絡があって、この方は生活保護を受けていらっしゃる方だということを後から知る場合もごくまれにはございますけれども、大部分は
給水停止をする前に対応している件数でございます。
そして、
給水停止を行った世帯の実態調査を毎年2回やっておりますけれども、2,282件というのは家事外も含んでおり、家事のみで申し上げますと、1,800件ぐらいとなり、実態調査をしますと1,000件ぐらいは既に長期不在になっておりまして連絡がとれない状況でございます。
それから、
マニュアルの話がありました。現在、私どもはいろいろな
マニュアルをつくっておりますけれども、
収納関係事務処理マニュアルの中では、未納者から生活困窮や事業不振の理由で一括納入が困難であると申し出があった場合は、
生活状況等を考慮して分割して徴収することができるということを明文化しております。現在、福祉と連携している部分については、今後、
マニュアル化をしていきたいというふうに考えてございます。
それから、研修についても、毎月、各料金課で行っている係会議の中で、職員が体験した事例をもとに、業務の問題点、留意点などを話し合って、職員間の情報共有と啓発を行っているところでございます。
それから、
ゲートキーパーの役割をというお話がございました。そして、具体的には
リーフレットを入れたらどうかというご提案もございました。そういった委員からのご指摘も含めて、現在、厚労省でも動きが出ておりますし、札幌市でも、3月上旬に、各事業者を入れて、北海道も交えた協議会で意見集約することになっておりますので、その際の議論や意見集約を踏まえて対応していきたいというふうに思います。基本的には、
水道局単独で行えるものは速やかに実施いたしますし、ほかの部局との調整が必要なものは協議をしていくという考えでございます。
◆
伊藤理智子 委員
ライフラインをとめるということは、本当に命にかかわる問題だと思います。いろいろと丁寧な対応もしながら、とめるときには本当に慎重に対応をしているということではありますけれども、長期不在だと明らかになっている以外は、やはり、命にかかわる
ライフラインだということもありますので、とめないで対応できるように努力していくことが求められるのではないかと思います。
また、
給水停止する人や督促をしに行く人は、滞納者の生活を総合的に受けとめていくことがこれからさらに重要になってくると思います。
マニュアルの中でも、一括納入が困難であると申し出があった場合は分割納入を紹介したり相談に乗ったりしているということですけれども、生活に困窮されている方は、いろいろな督促や催促が来て、もうどこに相談したらいいかわからないというあきらめの状態になっている方たちもいるのですね。そういうときに、
水道料金を払っていないことがそうしたことを発見できる入り口になると思います。そういう人たちが生活を立て直して、自立していけるようになりましたら、
水道料金もきちんと払っていくことができるようになりますし、本市にとっても、いろいろな税金を払っていただく上でもプラスになる取り組みだと思うのですね。
ですから、受け身だけではなくて、こういうことを研修でさらに徹底して、
マニュアルにも具体的につけ足していく。それから、生活に困窮されている方が救われる制度があることがなかなかわからない、情報が周知されていないという問題もあります。ですから、
リーフレットでそういうことを知らせていくことにもしっかり対応して、孤立して命を落とすという痛ましい事件を起こさない温かい札幌市政にしていくという上でも、水道局の果たすべき役割として位置づけていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。
◆伊藤牧子 委員 私からは、
当別ダム事業についてお伺いいたします。
先日の代表質問でも触れましたが、当別ダムは、建設の賛否の声がある中、ダムの堤体が完成し、昨日、3月1日に試験湛水が始まりました。一たん湛水して、水圧に耐えられるかなどの試験を経て、2013年から供用開始となります。予備調査から42年という長い歳月を経て、当別町の山奥にあった青山地区は、札幌市や石狩市の人口増加に伴い、不足する水源確保のためという大義名分のもとに、人々の暮らしの一切が湖底に沈められます。2013年からは、小樽市、石狩市、当別町で水道水が供用開始となりますが、水源に余裕のある札幌市は、13年後の2025年に初めて4,000立方メートル、約8,000人分の水道水が供給され、目標年度の2035年には4万4,000立方メートルが予定されています。しかし、2013年からの12年間にわたる未受水期間において、一滴の水も供給されないにもかかわらず、約50億円の企業債の償還が始まり、市民へも負担が強いられます。
札幌市は、1992年から企業団に参画しています。構成団体として、1992年から2011年までに出資金などの負担金約98億円を支出していますが、
維持管理費の運営費も含めると、今後も多額の税金を投入することになり、市の財政を圧迫することが懸念されます。札幌市は、2010年度の
水道事業会計において、一般会計からの繰入金が約20億円あります。本来は、福祉や教育に使われる予算であり、結果として市民の負担増につながります。
名古屋市は、1995年に本格運用に入った
長良川河口堰の水を一滴も使っていませんが、不要な水を確保したために、名古屋市の
水道料金は1997年に約20%値上げされています。不要な水源施設への投資は、市民がそのツケを支払うことになります。
これまで、1999年、2004年、2007年と3回の給水量と給水人口の再評価が実施されました。特に、水道局が行った2007年度の再評価に関して、総務省は、水需要の予測は実績を踏まえていないという疑問を呈しています。これに対し、水道局は、最近20年間の1日
最大給水量は60万立方メートルから66万立方メートルと横ばいにもかかわらず、1日
最大給水量は今後も増加の一途をたどり、2035年までにかなりのスピードで伸び、2025年には、現在の
水源保有量の82万5,000立方メートルを超えるので、
水需要予測は妥当性があり、当別ダムは必要であるということの根拠にしています。しかし、2011年度の1日
最大給水量は約58万9,000立方メートルと、人口191万人に対し、年々、減少しています。
そこで、質問です。
札幌市の
水需要予測は実績と大きく乖離していましたが、妥当であるとしたその根拠について、改めて伺います。
◎酒井
給水部長 水需要予測に関しましてお答えいたします。
札幌市が平成19年度に実施した
水需要予測は、ダム本体の着工に当たって、当別ダムの規模を最終決定するために、
石狩西部広域水道企業団に参画する一員として実施したものでございます。これは、平成19年の時点で知り得る実績値及び
統計的手法を用いて予測したものでございまして、企業団が実施する事業再評価において、公開の場における
学識経験者等第三者からの意見聴取を踏まえた上で、国の定めた実施要領に従って評価され、妥当であるとされております。また、平成21年には、総務省の
政策評価分科会でも審議され、改めて妥当性が認められているところであります。
◆伊藤牧子 委員 総務省、厚労省が妥当であるとした札幌市の
推計方法は、私は、だれが聞いてもおかしい
推計方法だと思います。人口が減っているのに、給水量がふえると。その根拠に、人口が減っても、逆に世帯数がふえ、将来は1人当たりの水の使用量がふえる、将来、節水機器の普及は頭打ちになるとしていますが、現在も節水機器は進化しておりますし、世帯数が分化してふえていくというのは、高齢世帯もありますし、
推計方法が本当に妥当かということは、私は今でも疑問に思っています。高齢世帯の
ひとり暮らしの方は、きのうの質問でもありましたように、年金生活も踏まえて生活をつましくしており、水の使用量も減らしていますから、私は、この
推計方法による
水需要予測を行うこと自体がおかしいことだったと思っています。やはり、最初からダムありきとしか考えられない
推計方法だと思っています。
札幌市では、現在、2015年をピークに人口減少に転じ、超高齢社会など
社会経済情勢の変化に対応するため、今後10年間の
まちづくりの基本方針として、札幌市
まちづくり戦略ビジョンを策定中です。今後の札幌市の
経済社会状況、市民生活、さらには財政状況を見通す上で、札幌市の
水需要予測は重要な指針となるはずですが、この
推計方法による
水需要予測では
ビジョン策定の正確な指針とはなり得ないのではないかと思います。
そこで、質問ですが、水道局からいただいた人口と水量の推移の資料を見ますと、札幌市の2035年の人口予測は189万3,000人と減ったのに、1日
最大給水量は87万2,000立方メートルに増加すると予測しています。2006年からの過去5年間の1日
最大給水量の予測を見ますと、2006年は68万3,000立方メートル、2010年には72万9,000立方メートルと1年ごとに約1万トン増加する予測となっています。しかし、2010年度の1日
最大給水量の実績は、59万8,000立方メートルと予測を大幅に下回ることになりました。
人口減少社会を踏まえ、
まちづくり戦略ビジョンを策定している中、水道局としてはこの
推計方法による
水需要予測についてどのように考えているのか、伺います。
◎酒井
給水部長 人口減少社会などを踏まえた
水需要予測の考え方についてお答えいたします。
平成19年度に実施いたしました
水需要予測につきましては、先ほど申し上げましたとおり、当別ダムの着工に当たり、ダムの規模を決めるために求められたものでありましたが、札幌市全体の配水量の8割を担っている
白川浄水場の更新整備に平成30年代から着手しなければならないため、その更新計画を策定するに当たって、今後、最新のデータによる
水需要予測の精査が必要と考えております。
本年1月には、
国立社会保障・
人口問題研究所から日本の将来推計人口が新たに公表されておりますが、この
公表データをもとにした札幌市の将来人口については、現在のところ、具体的な数値がまだ示されておりません。この数値に変更があれば、水道局といたしましても、
社会経済情勢の動向と合わせまして、今後、平成19年度に実施した
水需要予測の見直しが必要であるかどうか検討していくことになると考えております。
◆伊藤牧子 委員 確認の意味でお尋ねしたいと思います。
今、
国立社会保障・
人口問題研究所の
人口推計予測によって、
水需要予測を考えるということですね。
2007年のときは、これを使用しないで、札幌市独自の仮定値を求めて推計しているのですけれども、それとかわって、今度はこちらを使うということでよろしいのですか。
◎酒井
給水部長 人口に関してはこれを使うということです。
このほかに、いろいろな手法を絡めて、例えば
社会経済情勢がこれからどのようになるかとか、そういうものも含めて検討していくことになると考えております。それにつきましてもまだ示されておりませんので、本当に
水需要予測を見直さなければならないかということについては、まだ明らかとはなっておりません。
◆伊藤牧子 委員 もう1点ですけれども、
白川浄水場は、今後、平成30年代に改修していくということですが、具体的にどのような規模かなどはまだ決まっていないのですか。縮小も含めて考えられるということですか。
◎酒井
給水部長 これからの検討となっております。当然、これからの推計値等々を見ながらその規模等が検討されるべきものだと考えております。
◆伊藤牧子 委員 2007年の再評価のときに、
白川浄水場の規模が、13万トンの増設が予定されていたのに見直されたということで、この4〜5年の間でこういうふうに推計の見直しが変わっていくというのは甘いのではないかと思います。
現在、
白川浄水場には約30%の余剰水があり、水利権にすると10万トン以上の水が余っていることからも、水源に余裕があることは明らかです。また、札幌市の1日
最大給水量60万トンのうち、約11万トンをホテル、デパートなど、そして、
中央卸売市場も使用しておりますが、地下水を利用したり、市民に節水機器が普及することで、さらに減少していくと思われます。
札幌市の
当別ダム事業への当初の目的である水源の確保に水源の分散化が加えられ、最近では水源の分散化が主目的になっていますが、当別ダムに求める水利権は、4万4,000立方メートル、約10万人分です。札幌市は、厳しい財政状況のもと、
行財政改革推進プランにも示されているように、市民負担を求めており、水道水は現在も将来も余る中、水道水を受水するため、第2浄水場に多額の税金を投入するのは市民にとっても決して納得のいかない問題ではないでしょうか。
そこで、質問ですが、札幌市の人口、水需要が大きく減少する中、当別ダムの水道事業について、供給開始まで12年間の時間的余裕がある現在、一度立ちどまり、すべてを情報公開し、市民参加のもと、公開で議論する場が必要です。ダムに慎重な市民や専門家も入れた検討、検証の場を設置して、札幌市の
水需要予測などの実態に即した検討をすべきと考えますが、最後に、事業管理者にお伺いいたします。
◎北野 水道事業管理者 札幌市が企業団から受水するまでの期間に再度検討すべきではないかというご質問でございます。
当別ダムを水源といたします
石狩西部広域水道企業団の施設整備事業は、札幌市の
水需要予測を踏まえまして、平成24年度で1期事業を完了し、その後、平成30年ころから2期事業を開始する予定になってございます。
企業団の事業は、節目節目で、必要性や妥当性を検証しながら事業を進めていくこととしております。札幌市といたしましては、今、委員からもお話がございましたけれども、将来水源の確保に加えて、東日本大震災で改めてその重要性が認識されました水源の分散化や送水ルートの二重化によって安定給水を図り、今後必要となる浄水場の――今お話にございましたけれども、
白川浄水場の大規模改修における活用なども目的としながら、この事業の継続の必要性には変わりないものと考えて対応していきたいと考えております。
ただ、今のお話にもありました札幌市の水道事業を進めていくに当たりまして、料金をご負担していただいております市民の皆様のご理解をいただくことは大変重要なことであると思いますので、今後とも、さまざまな機会を通して、皆様の理解をいただける、深めるような努力を続けてまいりたいと考えております。
◎酒井
給水部長 先ほどの件で修正したいと思います。
人口データを
国立社会保障・
人口問題研究所のデータを用いると申し上げましたけれども、一番最初に申し上げたとおり、この公表されたデータをもとにして、札幌市の将来人口を推計したものを用いるということに訂正させていただきたいと思います。
◆伊藤牧子 委員 先ほども申しましたように、札幌市の
推計方法は非常に難しいデータを掛けたりして出していると思うのです。私は、やはり、一番確実なのは実績に基づいた推計だと思いますので、それも加味して、これからの
まちづくりにも大変大きな問題となりますので、きっちりと検討していただきたいと思います。
ダム事業は、巨大な補助金のため、また負担金もありますため、一度走り出したらとまりません。これは、全国のダム事業でも同じだと思います。八ッ場ダムも、国が一度中止しても、また再開されました。一番被害をこうむるのは地元の住民です。石狩市、当別町も
水道料金の値上げが検討されていると聞いております。
当別ダム事業も、過去3回、見直す時期があったと思います。特に、2007年の再評価では、当初の給水量が17万トンから4万4,000トンに縮小されました。こうした実績に基づいて本当に必要かどうか議論されるべきだったと思います。しかし、この再評価委員会は、座長が札幌市営企業調査審議会の部会長を兼任しており、事業を推進している立場の人が座長をしているということは、公平性、客観性に欠けた議論が進められ、市民意見が反映されたとはなかなか言えないと思います。
受水まで12年間ありますので、市民への徹底した情報公開と、推進、反対を含めて、市民や専門家を入れた公開の検討の場をぜひ設置していただきたいと思います。それに加えて、もしできれば第三者評価委員会など検証する場の設置を強く求めて、私の質問を終わります。
◆松浦忠 委員 まず最初に、札幌市監査報告、平成23年度報告第3巻が市長から提出された議案書の中に報告書として含まれておりますが、この中の56ページに、特定資産の管理についての意見で、財団法人札幌市水道サービス協会の特定資産について指摘を受けております。
5種類ある特定資産のうち、職員研修積み立て資産について指摘を受けております。それからもう一つは、経営安定積み立て資産についても、団体が定めた取り扱い要領の規定などが具体性に欠け、明確になっていないのでというようなことで、これをきちんと整備することというふうに書かれておりますけれども、これについて、この監査報告書を受けて、サービス協会に対してどのように改善を求め、それがいつから具体的にどう変わっていくのか、この点をまず第1点目としてお尋ねします。
続いて、第2点目は、職員数についてです。
平成23年度も627名、24年度も627名です。再任用が23年度は40名、24年度は24名というふうに短時間再任用が減っておりますが、この627名のうち、現在、再任用が何人いるのか。短時間再任用が減ったのはそれはそれで、それぞれ23年度と24年度で数字がどのように変わるのか、この点を示していただきたいと思います。
それから、3点目は、設備の更新などがこの中に盛り込まれていると思うのですが、その中で、一つの例示として、電気関係の設備は、どういうものを取りかえ、更新しようとしているのか、明示してください。
以上、3点についてです。
◎川本 総務課長 私から、再任用の職員についてお答えいたします。
再任用のフルタイム職員でございますが、平成23年度におきましては58名で、平成24年度におきましては72名で、前年度比14名の増となっております。
◎佐渡 浄水担当部長 私から、3点目の設備の関係でございます。
電気設備の更新工事の代表的なものということでございましたが、平成24年度においては、
白川浄水場の低圧電気盤、高低圧配電盤設備更新を予定しているところでございます。
◎高屋敷 企画課長 サービス協会の監査の件でございます。
まず、職員研修の積み立て資産の件につきましては、今後は積み立てを行わないことといたしまして、通常予算で対応していく予定でございます。また、経営安定積み立て資産につきましては、特定資産に関する取り扱い要領の取り扱い基準を明確な内容に再整備することで今後は対応していきたいというふうに考えてございます。
◆松浦忠 委員 この職員研修は、ここにはこれしか載っておりませんから、一体、職員研修として特定資産で積み立てたお金は現在幾らあるのか。
それから、全体的に言うと、退職引当金などを除いて、サービス協会の使える繰越金は幾らあるのか、これについて示していただきたいと思います。
次に、職員の関係ですけれども、72名というと11%を超える人たちが再任用ということになっております。それはそれでよしとして、私は、仕事の見直しなど、もっとできる部分があるのではないかと思うのです。そういうことについて、平成23年度と24年度を比べて、業務改善の中でどういうふうに業務量を削減し、人を生み出していく計画を持たれているのか、その点を明らかにしていただきたい。
さらに、去年の決算議会で私が尋ねましたが、組織の統廃合、合理化などによって庁舎にあきが出ております。そのあいている場所の活用です。民間に貸すなど、どういうふうにしているのか。去年の決算議会以降、新年度までの間でどういうふうな活用方針を定めたか、それについて明らかにしていただきたいというふうに思います。
それから、3点目の配電盤取りかえであります。
この配電盤は、容量が足りなくなって取りかえるのか、設備をしてから一定の年数が経過したから取りかえるのか、これを明らかにしてください。
◎福澤 財務課長 私から、空き庁舎の活用につきまして、そして、業務改善の考え方につきまして、2点お答えさせていただきます。
まず、庁舎の統廃合に伴います空き庁舎でございますが、現在、西部配水庁舎の跡地につきましては、公募をかけるということで、2月いっぱいまで公募をかけて売却を進めているところでございます。この状況につきましては、現在、整理を行っておりますけれども、基本的に売却をかけていきたいと思っております。
それから、今あいている場所としましては、白石庁舎の3階が唯一あいておりますけれども、ここにつきましては、平成24年度から検針業務の民間委託化を進めるために、新しい委託業者が入って使用することになっておりますので、その分を含めると、あいている庁舎は今のところはない状況にございます。
続きまして、2点目の業務改善の状況でございます。
水道局におきましては、平成6年度より経営の効率化の観点に立ちまして業務改善の計画に取り組んできております。これまでも、水道メーターの検針、配水管の維持管理、浄水場の設備点検など、業務の委託化、請負化の推進、そして転任・退職職員の不補充によって職員やコストの節減に努めてきているところでございます。あわせまして、機構改革、組織のスリム化なども行ってまいりまして、平成6年度段階の定数920名に対しまして、平成22年度決算の段階では641名で、279名の職員の削減を行っておりまして、これに伴います累計の効果額としては約94億円の効果を上げているところでございます。
委員からご質問のありました平成23年度から24年度に新たなというものにつきましては、今回、新たなものはございませんけれども、これまで行ってきた委託をそのままさらに進めていくということで考えております。
◎高屋敷 企画課長 私から、職員研修積み立て資産の額につきましてご説明させていただきます。
平成22年度の職員研修積み立て資産といたしましては、約2,500万円となってございます。また、もう1点の使える繰越金についてでありましたが、これは22年度のサービス協会の内部留保金といたしますと、4億4,000万円という数字になってございます。
◎佐渡 浄水担当部長 3点目にご質問の工事のことでございますが、第3浄水場の電気の盤ということで、容量等の変更はございません。
設置されて26年が経過しております。私どもの考え方では、法定耐用年数が20年でございますが、もう少し使えるということで25年をめどにしております。しかし、予算等の関係もございまして、26年が経過したところで、安全・安定給水のために、トラブルを起こしては困るということで、今回、更新を考えているものでございます。
◆松浦忠 委員 まず、このサービス協会ですが、4億4,000万円の内部留保があると。なぜ内部留保ができたのだろうかと考えてみたら、委託料を余計に払い過ぎていたということだと思うのです。こういう外郭団体と言われるところに対しては、職員がいれば退職引当金などを除いて、あとは運転資金程度があればいいのです。したがって、それ以外は払い過ぎているわけですから、逆に言えば、委託料を調整して、できるだけそういうような内部留保資金を持たないでやっていってもらうようにする、私はこれが本来のあり方だと思うのです。
そういう点について、私は、是正を求めたいと思いますけれども、その点に対する考え方はいかがでしょうか。
それから次に、職員数の関係ですけれども、やっぱり、どの組織も、役所と言わず、民間と言わず、常に仕事を見直して、毎年毎年、何ぼかでも省力化していく、これがあって初めて組織の活力も出てくるのです。そういう点で、水道局は、石原さんが事業管理者のときに、札幌市で初めて現業職員の方を全部廃止する、配置転換などを含めてするという大英断をしました。そういう点では、私は、指摘もしているし、見ていて、札幌市の五つの企業会計の中では、一番、一生懸命やっているところだというふうに、その点は評価しています。
しかし、余りやらないグループの中で一番ですからね。
水道料金を払っている市民から見たら、まだまだということなのです。したがって、そういう点について、今、予算はこう組んでいますが、新年度、来年の3月までの間に業務を見直して、これだけの人的経費の節減なども図ったということが出るようにやっていただきたいと思いますけれども、これは後でまとめて管理者にお答えいただきたいと思います。
次に、検針などの委託ですが、ガス会社、北海道電力なども検針業務をやっております。同じ公共料金ですからね。そういうような検針委託のあり方について、これらの会社とも話をして、それぞれ委託を受けているサービス協会もあれば、北電は北電、ガス会社はガス会社であるでしょうから、区域別にまとめて受け持って1軒の家に行ってこの三つを調べてくる。こういう方が行ったり来たりの時間だけ短くなって合理的になるのですから、私は、ぜひこういうことをやるべきだと思うのです。
これについて、今まで、北海道電力なり北ガスなりと、今、私が求めたようなことを協議した経過があるかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
それから、3点目の電気設備の配電盤ですが、容量は変わっていない、基準が20年だ、26年たったから心配だと。何が心配なのですか。物を取りかえるというのは、例えば、家庭で冷蔵庫を買いかえることになったら、冷蔵庫の冷やす機能がだめになって、部品も、製造物責任法に基づいて10年間は部品をつくるけれども、もう10年以上が過ぎてしまって部品がないという場合には買いかえなければならないですけどね。
それでは、今の配電盤は、26年間使って故障したことがあったのか、ないのか、そして、どういうところに故障の可能性があるのか、年数を使うことによってあるのか、この点について明らかにしてください。
◎北野 水道事業管理者 私から、2点、水道サービス協会のあり方と札幌市水道事業の業務の効率的な運営についてお答えさせていただきます。
水道サービス協会につきましては、これまで議会でも出資団体としてのいろいろな検討がなされてきたわけでございますけれども、来年度から財団法人の制度改革に伴いまして一般財団法人に衣がえをするということがございます。その中において、内部留保資金については公益的に還元することも現在検討されておりますが、サービス協会自体は、これまで水道局と一体となって札幌市の水道事業に当たってきた協会でありまして、今後、その役割をいかにしっかりと果たしていくかと。おっしゃるとおり、現在は札幌市からの委託事業を主とした事業運営を行っておりますけれども、そういったところの見直しも含めて、より効率的な運営ができるように水道局としても考えていきたいと思ってございます。
それから、水道局の業務改善に向かって、平成6年からいろいろ成果を上げてきたわけでありますけれども、たまたま23年度から24年度に向けて新たな項目がないということであります。しかし、業務の効率化につきましては、私どもは公営企業という立場で事業を行っておりますので、公営企業として、常に企業性を発揮し、効率的な運営を心がけていかなければいけないものでございます。執行する中でどの程度の成果が上がったということを来年の決算でしっかりご報告できるよう、効率的な運営に努めてまいりたいと考えております。
◎高橋
営業担当部長 検針の委託の関係で、1回でも北ガス、北電と一緒に協議したことがあるのかというご質問だったと思います。
水道メーターの検針業務は、平成16年度にサービス協会に全面委託してやっておりましたけれども、平成18年度に包括外部監査の意見として特命随契に対する懸念が表明されたことから、水道局としても、サービス協会以外でも実施可能か検討することを経て、平成21年8月から公募型のプロポーザルで北ガスサービス株式会社が豊平区1区の検針をやってきました。ただ、北ガスにプロポーザルでやる前に、北電、北ガスと一緒に検針をやってみるという実験に取り組んでいたというふうに承知しております。ただ、その結果は、結論を申しますと、我々は地下のメーターで、札幌市の約65%が地下式でございまして、そこを見るということ、それから、2カ月に1回という頻度ですが、北電、北ガスは毎月見るような違いもあります。確かに、針を見るのは一緒ですが、やっぱり中身が異なるということで、一緒にして効率化しようというとこまではなかなかいきませんでした。その結果、豊平区について公募型プロポーザルをやり、当時は3者の応募があって、その中の1者の北ガスサービスが水道の検針だけを単独に受けて、現在も行っている状況でございます。
◎佐渡 浄水担当部長 電気の盤の取りかえ工事について、なぜ更新するかということでございます。
白川浄水場の第3浄水場は、非常に重要な施設でありますので、電気の盤がトラブルを起こすと停止になる可能性もあるということでございます。具体的には、保護継電器や補助リレーなどが老朽化して誤操作するとトラブルが出てくるということもございます。また、部品も、26年前のものとなりますと、新しい部品に取りかえるにも加工しなければならず、急いで復旧することがなかなか難しいということでございます。
◆松浦忠 委員 検針業務のあり方ですけれども、隔月であろうと、3カ月に1回のものであろうと、組み合わせて難しいかといったら、私はそうではないと思うのです。今、検針の皆さんが持って歩いているのは、小さな、中にコンピューターが内蔵されているもので、その中にプログラムが入っております。どんなものでもきちんとプログラムを組み込んで検針員が持って歩けば、どうとでも間違いなくできるのですよ。要は、余り急激な変化が、どこかの会社が当たらなくなって、どこかの会社がなくなるということではまたいろいろと起きるでしょうから、それぞれ今持っている北ガスなり、北電なり、水道サービス協会なりの陣容に応じて話し合いをして、受け持ち軒数を割り振って、そういう中で一緒にそれぞれ三つを検針すると。場所によっては都市ガスが入っていないところもあります。そういうことを、話をきちんとしてやっていけばやれるのです。そうすると、必然的に、3回行くものが、行ったり来たりの時間だけでも3分の1で済むようになって、3分の2は節減されるわけです。そうやっていけば実現可能だし、どの検針会社も、うちのところだけが特別に利益が減って、あちらがふえるということもないですからね。私は、そういうことをきちんとしてやっていくべきだと思うのです。
そうでないと、北ガスだけが応募しましたといったら、私の頭に何がぴんときたかというと、北ガスに前の副市長の田中賢龍さんが監査役で行っており、北ガスには熱供給公社の実質経営ということで札幌市が移しているな、いわば北ガスと札幌市は親戚みたいなものだ、そうすると、とりあえずは親戚縁者の中で格好をつけたかと、こうなってしまうのですね。
したがって、そうではなくて、実質的に、合理化というのは、人の首を切るばかりが、人員削減するだけが合理化ではないのです。同じ人員の中で仕事の量をふやしていく、これも合理化なのです。むだをなくしていく。このことをやるべきだと強く求めたいのです。ぜひひとつ、このことについて秋の決算議会までに、北ガス、北電と協議をして、一定の方向が出るようにやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
それから、配電盤です。
これは、私も、長い間、言っているのです。別に、保護継電器が10年使ったからだめになるとか、20年使ったからだめになるとか、30年だからという単位のものではないのです。私は、1976年に中国に行ってきました。そのときに、鉄道を見たら、ケーブルも電気機器も、戦前に日本がつくった鉄道設備が全部使われておりました。私は、電線は減らないものかと思っていろいろと調べてみたのだけれども、電線というのは、何年、電気を流しても減らないのですね。電気というのは、自分は消耗していくけれども、他を傷つけないのです。
したがって、配電盤についてそういうふうにつくった基準は、一体、いつ、つくられて、どこがつくった基準なのか、これを明らかにしてください。
◎高橋
営業担当部長 北ガスあるいは北電と協議をする考えはないかということでございます。
先ほどご説明したとおり、水道メーターの検針業務自体、水道サービス協会の特命随契という形はいかがなものかと。要するに、もっと競争性を持たせるべきだ、サービス協会だけしかできないわけではないということで、現在、民間委託の拡大を進めているところでございます。
先ほど実験をしたと申し上げましたけれども、その際も、やはり、検針なのだから、北電と北ガスが公益性を持って同じ仕事をやっているのだから、そこが一番いいのではないのかというご意見もあったというふうに聞いています。ただ、実際は、プロポーザルをやったときには北電の応募はありませんでしたし、北ガスについても、検針をしている北ガスサービス会社という子会社が応募してきました。さらには、8月から新しく4区で民間委託をさらに拡大しますけれども、そこはほかの一般の民間会社が応募してきている状況で、特に北ガス、北電がそれをやれるという状況ではなくて、今は一般的にできる状況になっているということでございます。
今、我々がしようとしているのは、10区の民間委託へ徐々に拡大していくということで、今は豊平区を3年間やりましたけれども、その実施状況を踏まえて、平成24年度からは4区に拡大し、それは新しく違う会社がまた入るわけですから、その中で受け持ってやっていただくというのが我々の基本的な考えでございます。
◎佐渡 浄水担当部長 電気の盤の基準ということでございますが、20年更新ということは法定耐用年数ということで、地方公営企業法施行規則に準拠している考え方でございます。私どもが25年ぐらいというふうに決めているのは、私どもの使用実績などを考慮して、5年は延命できるだろうということで延命しているということでございます。
◆松浦忠 委員 まず、最初の検針の関係ですが、私が言っているのは、事業主体である札幌市水道局と北ガスと北海道電力という事業者側の3者が集まって、一体にして、きちんと小さな検針コンピューターの入力も整理して、まず3者で区域内をやるべきではないかと。
それでは、前回に試験したときに、そういう形をとったのですか。どういう形でやったのですか。これについてお尋ねします。
それから、配電盤ですが、私がさっき聞いたのは、地方公営企業法でこの基準をつくったというのは、一体、何年につくったのですかと聞いているのです。答えていない。
◎佐渡 浄水担当部長 手元に資料がありませんので、今のところ、わかりません。
◎高橋
営業担当部長 前回にやった内容はどういうものかというご質問でございました。
まず、平成18年に北ガス株式会社、平成19年に北電と、それぞれ1,000軒程度を抽出しまして、市内あるいは郊外で共同検針をしたということでございます。委員がおっしゃるように、確かに、検針でハンディーターミナルを持っている中に電気関係、ガス関係、水道関係のすべての料金的なものを網羅して1回で全部をやってしまうということは考えられる案だと思いますが、その辺のシステムの統合の話、あるいは、委員のお話ですと新しい会社をつくるという話なのかもしれませんけれども、一たんの実験は1,000軒程度ずつやったということでございます。
◆松浦忠 委員 私の言っていることをご理解いただけませんか。
前回やったのは、1,000軒を選んで、わかりやすく言うと、検針票を三つ持って、北ガスの検針票、北海道電力の検針票、水道局の検針票、この三つを持って歩いたということでしょう。一つの機械の中にそれが全部入っていたのですか。(発言する者あり)大嶋委員は、入っているわけがないと言うけれども、大嶋委員は水道事業管理者でないからわからないと思うのです。大嶋委員は副議長だからね。
したがって、何であれ、三つの記入すべきものを持って歩いてやっているから能率が上がらないのですよ。その手に持って歩く機械そのものを、今はコンピューターでやるわけですから、それをきちんとつくってやるということになれば、能率が上がるのははっきりしているのですよ。そういうことをして実験をしなさいと私は言っているのです。(発言する者あり)
大嶋さん、副議長、私に会社をつくってやれと言ったって、それは無理だ。だって、私は、議員をしていて……。
○桑原透 委員長 松浦委員、質問してください。
◆松浦忠 委員 (続)私が会社をつくってやったら、兼職でそこは受注できないでしょう。無理なことは言わないで。
そういうことで、そこをきちんとやらなければだめなのですよ。私はそれをやってみなさいと言っているのです。全くやらないでいて、これでやりたいと言っても、はっきり言って、あなた方は、札幌市における専業ですから、ほかが水を売って事業に参画するといったって、なかなかそうはいかない仕組みですからね。したがって、ぜひひとつ、そういうことでやっていただきたいというふうに思うのですけれども、その検討を秋の決算議会までに3者でやっていただけませんか、どうでしょうか。もう一回、答えてください。
それから、配電盤の関係ですが、これは、何の都合か知らないけれども、たまたまそういう年数を国がつくったのかもしれません。しかし、現実はずっと傷まないから使えるのです。したがって、単に年数がたったから、心配だからということではなくて、そのついている部品の中で、これは長い時間がたって、悪くなって、どうしても交換しなければならぬというものがあったら、そういう部品は今でも頼めばつくれますから、そういうものをつくって予備を持っておく。そして、壊れたらすぐに取りかえる。こういうことで対応できるわけです。はっきり言うと、大体は壊れないのです。私も専門家だから言っているのです。
したがって、こういうような形で、取りかえていたずらに
水道料金を使っていくということでは、負担者である市民は納得いたしません。ですから、これらについては、事業の執行の停止を求めたいというふうに思います。
これについて、管理者は、同事業の執行をもう少し検証して、必要のないものについては取りかえをしないということについてどうお考えか、私の提起についてお答えいただきたい。
それから、先ほどの検針の関係も管理者からお答えいただきたいと思います。
◎北野 水道事業管理者 まず、設備更新の関係ですが、先ほど部長からご答弁申し上げましたけれども、私どもは、水道の供給をとめてはいけませんから、そのために、装置産業と言われているように、施設の維持を適切にやっていくと。その中で、実際の耐用年数と実質的な耐用年数が確かに経験値でありますから、実質的なものを見ながら、できるだけむだのない形で更新を進めていくという考えに変わりはございません。ことし予定して予算化した事業については、その更新の必要性を認めて予算化したものでございますので、執行の段階でもう一度改めて再検証するということはやらなければいけないとは思いますけれども、ここで直ちに執行を停止すると申し上げるようなことはできないと考えております。
それから、共同検針については、申しわけありませんが、過去の経緯は不勉強で承知しておりませんけれども、相手のあることですので、その中でどういうことができるのかということはやはり話をしていかなければいけないと思います。ただ、過去にそういう検査の中でいろいろ検討された課題で、そこでなかなか難しいということであれば、それ以上、次はないのかもしれませんが、そのときに検討する余地が残っているかどうかも含めて検証させていただきたいと思います。
◆松浦忠 委員 前回の検針のやり方は、言ってみれば三つの記録するものを持って歩いてやるやり方ですので、これは、だれしも大変だということになります。したがって今の時代は、極めて手軽にそういうものがつくれるし、活用できるわけですから、ぜひ、事業体3者で話し合って、そういう実験をするように進めていただきたいということを求めておきます。
それから、配電盤については、例えば、しょっちゅう動いているものの軸が減るというようなことは回数で決まりますから、それは何も否定しません。しかし、配電盤の場合、停電でもあって、常用電源が切れて予備電源に切りかわるということがない限りはそういった継電器も働きません。また、異常電流が生じたら働くような継電器もついておりますが、そういうことはほとんどないし、1回でだめになるものでもありません。ですから、物理的、合理的な検証が何らされていない中で、ずっと国が定めたからということで今までずっとやってきている。ところが、国は、地方分権一括法でもって、多くの、特に、今言ったような耐用年数的なものに関する施行令などについては、全部、地方で条例で定めなさいということで出てきて、この議会にもそのうちの一部がかかっております。そういう意味では、地方できちんと検証して、合理性のあるもの、より安全なもの、こういうことをしていくことがいわゆる地方の自治なのです。したがって、私はそういうことを強く求めておきたいと思います。
特に、配電盤の検証などについては、この議会の最後の採決の前までに、私もご案内をいただいて現場の検証をしていきたいというふうに思っておりますので、その節はご協力のほどを申し上げておきたいと思います。
◆金子やすゆき 委員 私からは、水道施設更新積み立て運用金の運用について、それから、利益の利用者還元につきまして、この2点をご質問させていただきます。
まず、最初の水道施設更新積み立て運用金についてでございます。
将来の
白川浄水場の改修に向けまして、毎年の利益の中から計画的に積み立てを行っていくという積み立て運用金です。平成22年度の決算では、約46億円の当年度の純利益が出た中で、20億円の積立金を初めて積みました。また、今回審議しております24年度の予算案で、約36億円の当年度純利益の中で、既に資金計画の予算の段階で20億円の水道施設更新積み立て運用金を計上することになっております。このまま、この計画で積み立てを続けてまいりますと、数年後には資金規模が約100億円に達してくるわけでございます。将来の
白川浄水場にどれだけお金がかかるのか、全貌はまだ明らかになっておりませんけれども、その大半を賄うために徐々に準備をしていくことになりますと、たまってきた資金を一体どうやって運用していくのかというところをお聞きしていきたくなってくるわけでございます。
そこで、原局に運用の仕組みをご質問させていただきましたところ、基本的な考え方として、安全性を確保しつつ、長期運用でなるべく高い利回りを確保していきたいというお話を伺っているわけですけれども、想定している長期とは、どのくらいの年数なのか、また、想定している利回り、あるいは安全性、リスク管理などを具体的にお聞かせいただきたいと思います。
◎福澤 財務課長 私から、今、委員からご質問のありました積み立て運用金の運用の考え方についてご説明いたします。
委員からのご質問にもありましたように、平成22年度の決算におきまして積み立てを認められました
白川浄水場の更新積立金につきましては、平成30年代に
白川浄水場の大規模更新が見込まれますので、使用するまでに少し間があることから、複数年にわたる資金運用を行うために、一たんは積み立て運用金という形で再度予算計上を行いまして長期間の運用を行うこととしたものでございます。
運用年数と利回りでございますけれども、運用年数につきましては、現在、水道局で持っております事業計画は5年計画でございまして、その最終年度が平成26年度となっております。それに合わせた財政計画を持っておりますので、一たん、平成26年度までの3年間と考えております。利回りにつきましては、直近の国債の利回りを参考としまして、約0.2%と見込んでおります。
それから、安全性の確保でございますけれども、これにつきましては、水道局の資金管理方針に基づきまして、元本が保証される国債、地方債、政府保証債等に限定することで安全性を確保してまいりたいと考えております。
◆金子やすゆき 委員 今のお話の中で、平成26年までの財政計画の3年のところで0.2%の利回りを目指しているというご説明でございました。
白川浄水場の改修は、本日の議論の中でもございましたけれども、平成30年度以降の改修でございますし、多分、一度に何百億円がかかるわけではなく、計画的に工事が進んでいくものだと思いますので、26年度までの3年間の運用0.2%というのは、期間としてはいささか短いのではないかという感想を持つところでございます。
札幌市の基金は、ほかにもいろいろな種類がございますけれども、こういう長期の運用を行う基金では、例えば地下高速鉄道基金、あるいは
まちづくり推進基金で、こういったものは、同じく長期の運用ということで、大体1.5%の利回りを目指すということもあるわけですね。ですから、財政計画が決まっているということではありますけれども、この辺の仕組みをうまく組みかえることによりまして、実際の資金需要に応じた、もっときちんとした利回りが得られるような構図と。つまり、今、国債の運用金利というお話がございましたが、確かに3年の国債でしたら0.2%というような水準だと思うのです。しかし、10年国債、あるいはもっと長期の超長期国債となってまいりますと、当然、利回りももっと上がってくると思いますので、そういう内部の仕組みで改正できることにつきましてはきちんとやっていただきまして、市民の皆様から預かった財産を大切に運用することに努めていただきたいと思うわけでございます。
それから、2点目の利益の利用者還元につきましてお尋ねさせていただきます。
札幌市の水道財務というのは、非常に健全でございます。これまで行ってきたさまざまな合理化努力によりまして、人員削減、あるいは不必要な設備の見直し、こういったものによって、年々、きちんと利益が出る体質になってきているということは非常に喜ばしいことだと思います。
その一方で、利益を支えているのは市民が払っている
水道料金になるわけですが、皆様もご承知のとおり、札幌市の
水道料金は指定都市の中で最も高い水準だというふうに言われております。私の手元にはこういうグラフがございますが、全国の数字を比べますと、例えば、毎月の使用水量20立方メートルで比べますと、札幌市の一般家庭の月額利用料金が3,486円となるのに対しまして、一番安い大阪市は2,016円と約1.7倍ほどの差が開いております。
私がご質問させていただきたいのは、こうやって財務体質がだんだんよくなってきていて、毎年、安定的に利益が出てくるようになってきているところで、何とか、市民に少しでも還元していただくことができないだろうかというお尋ねでございます。
平成24年度の予算を見てみました。この中で、いわゆる家事用の給水収益を見てみましたところ、263億円の売り上げを見込んでおります。仮に、
水道料金を5%下げてみたら、単純計算でありますが、263億円掛ける5%は13億円です。ことしの予算で見込んでいる純利益は約36億円でありますので、仮に5%下げて売り上げが13億円減ったとしても、まだまだ純利益はあるということなのですね。この先、
白川浄水場に限らず、いろいろなインフラの再整備、あるいは更新等もあるかと思いますけれども、だんだん利益が出る非常によい体質になってきたということで、市民の皆様にも少しでも利益を還元する、つまり、わかりやすく言うと、料金の引き下げをぜひご検討いただけないかというふうに思うわけです。
平成24年度の予算案で直ちにというのは難しいかもしれませんけれども、そういう方向で、この先の長期的なシミュレーションを、あるいは、市民の声を聞く、こういったことをやっていただけないかどうか。政策的な面でございますので、管理者にその意気込みをお聞かせいただければと思います。
◎北野 水道事業管理者 札幌市の
水道料金につきまして、今、大都市との比較ということでご指摘がございました。
札幌市の
水道料金につきましては、全国平均と比べますとほぼ水準並み、それから、道内の平均と比べますと低い水準にございます。確かに、大都市と比べて高い数字なのですが、これには理由がございまして、それぞれの事業体の経営環境が違うということもございます。大都市の中では、札幌市は事業を開始したのが昭和12年でございまして、他都市に比べると最も遅く、その後、市政の発展に伴いまして需要が急増いたしましたので、水需要に対して集中的に施設の整備を行ってきたということがございました。そのときの財源として、いきなり料金ということにはいきませんので、多額の企業債を借り入れたことによって他都市に比べて残高が増大したということがございます。また、実際の事業運営のコストとしても、ほかの大都市と比べまして、積雪寒冷地ということで凍結や雪対策にコストがかかることもございまして、大都市との比較では札幌市の今の料金はそれなりに高目になっているものだと認識しております。
今の料金というのは、実は、平成9年度に料金改定をさせていただきましたが、その際に、資産維持費という形で原価の中に入れていただくことを議会でお認めいただきました。資産維持費といいますのは、将来の施設更新に資するため、その年度のコストを賄うことに加えて、言ってみれば、事業報酬的な意味合いで料金制度として認められているものでありまして、日本水道協会が策定している標準的な料金算定の中にもきちんと位置づけられております。現在、水道事業が良好な財政運営をさせていただいておりますのは、まさにこの資産維持費によるところが非常に大きい状況でございます。ただ、それは、将来のために料金に入れることをお認めいただいたということもございますので、それを今の利用者の皆さんに還元することよりも、今後、将来にわたって施設更新に有効に活用させていただいて、還元という意味では、もうちょっと長期のスパンで考えて利用者の皆さんの負担を平準化する、あるいは、将来の負担増に対して料金による負担増をかけないことに有効に使わせていただきたいというふうに考えてございます。
◆金子やすゆき 委員 今、どうして札幌市の
水道料金が高いのかというご高説を伺いました。大都市の平均とほぼ変わらないということですけれども、もう一回繰り返しますが、月20立方メートル使うとすると、政令指定都市の平均は2,503円が1カ月の料金で、札幌市は3,486円ですから、決して平均ではなく、ここから非常に離れているということでございます。
水道料金が高い理由は、今、抱えている企業債残高、あるいは将来に向けた投資、設備更新という話がありましたけれども、その話を単純に聞くと、昔からの借金を返すために今負担する、それから、将来に向けた投資も今負担するということです。そうすると、ことしに限って言うと、過去のことも未来のことも全部引き受けるとなって、これを繰り返していったらいつまでたっても料金の引き下げはできないと思うのですね。これは、10%とか20%、半分に下げるという話ではなくて、まず少しでも下げてみる。そして、直ちにするということではなくて、それに向けて、まずはそこまで勉強してみたらどうだろうかと。研究するのは、一円のお金もかかる話ではありません。せめて市民の話を聞いてみてはどうだろうかという話でございますので、これだけ申し上げさせていただきまして、質問を終わります。
◆伴良隆 委員 水道局の収容避難場所対策についてお伺いいたします。
あと10日もすれば、痛ましい東日本大震災から1年がたつわけであります。私は、これまで、各委員会で災害対策について質問してまいりました。中でも、昨年の決算特別委員会、また災害・雪対策調査特別委員会で、東日本大震災における水道被害と本市の対応、応急給水体制に関する取り組みなどについて伺ってまいりました。多くの委員から既にさまざまに質問されてきたことではありますけれども、いま一度、確認していきたいと思います。
まず、質問でございますが、水道施設の耐震化はどう取り組んでこられましたか、また、どういう現状にあるか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
◎酒井
給水部長 まず、施設の耐震化の取り組みについてお答えいたします。
水道局では、札幌水道長期構想の中で、総合的な危機管理システムの確立を重点テーマの一つに掲げ、事故や災害に強い水道システムの構築を進めてきたところでございます。代表的な取り組みといたしましては、被害の発生を抑制する対策として、藻岩浄水場や清田配水池、配水幹線などの基幹施設や配水管の耐震化を行っております。耐震化のほか、
白川浄水場から他の浄水場へのバックアップシステムの構築、あるいは配水管網のブロック化など、被害の影響を最小化する事業にも取り組んできたところでございます。また、災害対策施設として、緊急貯水槽の整備や配水池への緊急遮断弁の設置など、災害時における応急給水拠点の確保に向けた取り組みを進めております。
次に、施設耐震化の現状でございます。
施設ごとの耐震化率で申し上げますと、平成22年度末で、浄水場につきましては18.6%、配水池は60.2%、基幹管路は34.3%となっておりまして、政令市の平均と比較いたしますと、配水地が20ポイントほど上回っているほかは、ほぼ同程度の状況にございます。現時点では、このように耐震性の不足する施設や管路がまだ多数存在する状況となっております。
◆伴良隆 委員 日々の安全給水のために、水道局の皆さんが、さまざまに課題を抱えながらも、果敢に努力していることだと思います。
震災直後から、仙台市などで多くの水道局の職員の方々が応急復旧活動支援で活躍されました。その教訓をもとに、職員の技術向上により、応急体制整備に生かしていきたいと昨年は答弁されています。震災から1年がたつ中、そろそろ検証できてきたことがあると思いますので、質問いたします。
東日本大震災で得た教訓は、いま一度、何でしょうか、また、今後の事業の方向はどのようなものなのでしょうか、そして、どのように進めていくのでしょうか、お答えください。
◎酒井
給水部長 東日本大震災の被害につきましては、厚生労働省あるいは日本水道協会がまとめた報告書にさまざまな事例がまとめられておりまして、その中から特徴的なところをまず申し上げます。
浄水場や配水池に関しましては、地盤の液状化により1カ所の浄水場で甚大な被害が発生し、また、耐震性の低い配水塔が損壊した事例がございましたが、このほかは比較的軽微な被害にとどまり、機能停止に至ったケースはなかったというような報告がされております。一方、管路につきましては、非常に多くの被害が発生しております。この中には、耐震化されていない送水管の損傷によって断水が長期化した事例もありましたが、耐震化された管路は、これまでの大地震のときと同様にすぐれた性能を発揮しておりまして、被害は生じていないとのことでございます。これらの被害事例や教訓を踏まえますと、個々の施設の耐震性を高めるだけでなく、基幹管路のループ化、あるいは二重化によるバックアップ機能の確保など、システム全体の機能を維持するための対策が重要であると改めて認識しているところでございます。
また、耐震化の現状や震災を踏まえた今後の事業の方向性でございますけれども、現時点では、耐震性の不足する施設あるいは管路が多数存在しておりまして、耐震化の事業には莫大な費用と時間がかかることから、被災時の影響や整備の優先度を設定した上で、順次、整備をしていく必要がございます。そこで、水道システム全体の機能維持を強化していくことを基本理念といたしまして、骨格となる浄水場、送水管、配水池などの基幹施設、それにつながる配水管線を連続して耐震化する、このような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
当面の取り組みでございますけれども、現在進めております
白川浄水場から平岸配水池までの白川第3送水管の整備、平岸配水池を初めとした施設の耐震化、医療機関等の災害時に重要となる施設への配水管の耐震化については、震災の教訓を踏まえまして、できるだけスピードアップして工事を進めていきたいと考えております。事業の実施に当たりましては、施設の耐震性を評価するため、浄水場や配水池等の耐震診断を前倒しして実施して、今後の更新や維持管理上の改修要素を加味した上で、システムの再構築や更新に合わせた効率的かつ効果的な整備を、順次、実施してまいりたい、このように考えております。
◆伴良隆 委員 それでは、収容避難場所の質問に入りたいと思います。
順次、質問をいたしますので、ご回答いただきたいと思います。
まず、札幌市が指定している609カ所の収容避難場所について、水道局は、これを収容避難場所として認識、認知していますか。
◎酒井
給水部長 収容避難場所の認識についてでございますけれども、該当するすべての施設につきまして把握しておりますし、医療機関などと同様に、災害時において重要となる施設であるというふうに認識しております。
◆伴良隆 委員 重要であると認識されているということが前提になります。
次に、本市の収容避難場所において、緊急貯水槽で想定しているのはおおむね1キロメートルとなっていますが、この範囲から外れる収容避難場所は、本市内ではどの程度存在していると把握していますか。
◎酒井
給水部長 緊急貯水槽につきましては、地震による被害が大きくなると想定された地域へ重点的に配置しております。このため、収容避難場所が1キロメートルの範囲に入っていない割合で言いますと、現状で重点的に配置しております北区、東区、白石区がおおむね30%と低くなっておりますけれども、被害の少ないとされる南区に向かって割合がだんだん高くなっておりまして、市内全体ではおおむね50%という状況となっております。
なお、今後9カ所の整備を計画しておりますので、その際には、低いところではおおむね25%、市内全体でおおむね40%となる見込みでございます。
◆伴良隆 委員 北の方では緊急貯水槽がつけにくいという状況があるようにも感じるわけですが、それはいいとします。
次に、昨年の災害・雪対策調査特別委員会、また、決算特別委員会以降、収容避難場所の給水体制を改善する直接的な対策を具体的に行ったものはありますか。
◎酒井
給水部長 給水体制改善のための直接的な対策は何かということでございます。
現在、水道局が取り組んでいる事例といたしましては、緊急貯水槽の9カ所設置に向け、学校、公園等の緊急貯水槽が設置可能な用地の管理者との調整、あるいは設置箇所の決定を進めているところでございます。平成24年度からは、具体的な設置工事のための調査設計に着手することとしております。また、応急給水栓につきましては、実際に立ち上げる際に必要な人出の確保や冬季の利用に備えた凍結対策などの課題がございますので、応急給水栓の具体的な整備計画につきましては、これらの諸課題を整理した上で、引き続き検討を進めてまいりたい、このように考えております。
これに加えまして、水道局災害対策訓練、あるいは、仙台市との意見交換会で得られました知見を生かしまして、現在、職員向けの災害対策
マニュアルの改定作業を行っており、災害発生時に、より効率的な応急給水を行うための職員の配置の検討、あるいは、水道局内外の情報の迅速な共有化を整理しているところでございます。
◆伴良隆 委員 先ほどの質問では、酒井給水部長は、収容避難場所の5割程度が緊急貯水槽の1キロメートル範囲外であるということで、私はそう解釈しておりますけれども、水道局は、今後は緊急貯水槽を順次増設していくということで、近々では伏古や星置などへの設置を予定しているわけであります。
昨年の調査特別委員会の酒井給水部長のご答弁は、収容避難場所によりましては、近くに緊急貯水槽が設置されない場合もございます、それにかわる給水対策でございますが、給水タンク車による運搬給水がやはり基本になると考えておりますけれども、耐震化した幹線に設ける応急給水栓や復旧した管路に設ける仮設給水栓もございますので、それらを活用するなどして、避難場所の近傍で給水できる対策もあわせて進めてまいりたいというふうに考えております、このようにおっしゃっているのですね。
そこで、2点、あわせて質問いたします。
札幌市内のすべての収容避難場所において、何らかの給水施設・設備状況が災害対策において満たされた状態になるのはいつのことですか。遠い未来ですか。近い未来ですか。
もう一つ、続けて言います。
現在進行中の浄水場や配水池、送水管の耐震化に加え、災害時基幹病院や救急告示医療機関への配水供給ルート耐震化の対策と各収容避難場所の近くで給水できるようにする対策については、同時に行われていくべきと考えますが、いかがですか。
◎酒井
給水部長 まず、収容避難場所の災害対策につきましては、先ほど委員も私の答弁をお話ししたとおり、タンク車による運搬給水が基本というふうに考えております。
それから、施設整備の観点につきましては、緊急貯水槽はやはり設置には限りがあるというふうに考えておりまして、さきに答えたとおり、耐震化につきましては、人命にかかわる病院施設を優先し、収容避難場所への施設整備が完了する時期につきましては、この時点では明確にお答えすることはちょっとできません。しかし、着実に進めてまいりたい、このように考えております。
また、耐震化計画と応急給水の計画につきましても、同時に並行して実施していきたいと考えております。
◆伴良隆 委員 確認いたしました。
同時に行われていくということで、違いないと思います。幹線あるいは枝線を耐震化することが応急給水栓機能の前提となることは理解しております。
ここで、ある収容避難場所の置かれている環境を紹介したいと思います。場所は、北区屯田北部の屯田北小学校、中学校でございます。
一つ目は、近隣住民数は増加していて、当該小学校、中学校はマンモス校で、避難者数は相当数を見込むことができる根拠は、さきの調査特別委員会で私が詳細を示したとおりであります。緊急貯水槽の一定基準である1キロメートル外であります。それから、第3次地震被害想定では、最大震度6強で、液状化の可能性も高いとされています。また、付近は泥炭、青粘土の土壌のため、鋳鉄管の管路腐食が早く、耐震性は疑問であります。さらに、各学校の受水槽、ここは収容避難場所でありますから、この受水槽はどうなっているかといいますと、これは旧式のものなのです。平成14年から平成17年に設置されたものでありまして、受水槽に蛇口もついていなければ緊急の遮断弁もついていないのです。つまり、穴をあければとれますね。生活用水ぐらいで、飲み水にはなりにくいということですから、これは備蓄の水とは考えにくいわけであります。
ちなみに、札幌市の小・中学校で、小学校は、205校あり、このうちの実に185校が旧式のタイプであります。つまり、これは、災害用の備蓄の水とは考えにくい学校だということであります。中学校は、99校のうち、87校が同じような状況にあります。こんなふうなことでございます。
話は戻りまして、今度は各学校の災害用の備蓄状況であります。備蓄状況を見ましたら、食糧、トイレ、毛布、寝袋、照明、その他とあるのですが、食糧はありますけれども、水はゼロなのです。それから、生活用水として748カ所ある災害応急用の協力井戸は、屯田地区には全体で一つもございません。それから、同じく緊急貯水槽の1キロメートル外、給水対象外でありますけれども、ここが新たに収容避難場所として指定される模様であります。いい兆しとしては、近隣に大きなスーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストア、あるいはコンビニ、自動販売機なども通常程度ある、このような状態なのですね。
そこで、質問いたしますが、先ほど述べたように、浄水場や配水池、送水管、そして基幹病院等への水供給ルートの耐震化を優先する中で、現状で災害が起きたときに、給水体制が不足している収容避難場所において、市民は水道局にどんな給水を期待できるのでしょうか、お答えください。
◎酒井
給水部長 先ほど申し上げたとおり、タンク車による給水が基本となるというふうに考えております。
◆伴良隆 委員 やはり、どうしてもタンク車に頼るのですね。
私は、昨年、災害・雪対策調査特別委員会の視察に行かせていただいたのです。場所は浦安市です。非常に勉強になりました。後に、浦安市の災害対策の担当者とやりとりをさせていただきまして、教えていただいたのです。
一つ目は、災害発生後、液状化の影響か、耐震性緊急貯水槽のうち、3基の貯水槽が使用不能であった。そこで、給水車での給水がさらに必要になった。ところが、市内から5キロメートル離れた浄水場からふだんなら30分で往復できるところが、交通渋滞により実に4〜5時間かかったため、給水機能が著しく低下した。この交通渋滞は、液状化や倒壊による道路遮断だけでなくて、人命救助や混乱した人々であふれ返るという災害そのものの特性が理由ではないか、このようなことでありました。
なお、これは幸運だったということでありますが、隣接する港湾に海路で自衛隊が来て、これは横須賀だと思いますけれども、それで水量の確保ができたということでございます。
そこで、質問でございます。
昨年の調査特別委員会でのご答弁では、今もありましたけれども、収容避難場所によっては、近くに緊急貯水槽が設置されていない場合、給水タンク車を基本としているが、収容避難場所への給水車、この給水車とは本市の給水車だけでなくて、応援協定を締結している全国の政令指定都市や道内市町村、そして、今申し上げましたような自衛隊の給水車も含むわけでありますが、こういった給水車の到達が難しい状況の際には給水車で予定している給水量に準じた給水を実行できますか。
◎酒井
給水部長 給水が困難な場合ということでございますけれども、当然、道路が寸断されていたり、こちら側のタンク車、あるいはトラックなどが不足する場合とか、人手が不足する場合など、いろいろ考えられると思います。道路が寸断されて孤立する状況ですと、被災者を救助する活動に合わせた対応もせざるを得ないということも想定されます。また、物資、人手が少ない場合につきましては、そのときに持ち得る情報と物的・人的資源によりまして、対応可能な範囲の中で給水を行うことになろうかと思います。
このような場合も含めまして、水道局、あるいは行政だけで対応できる範囲につきましては限りがありますので、市民の協力をいただきながら進めていく必要もある、このように考えております。
◆伴良隆 委員 部長は、つまり、そのときはそのときで精いっぱい頑張りますという答弁なのですよ。そして、精いっぱい頑張ってもだめなときは、市民の皆さん、助けてくださいという話ですね。
さて、危機管理対策室は、災害時の給水対策の主たる担当は水道局であるとしています。これは事実ですね。ただし、危機管理対策室の役割のうち、スーパーマーケットやコンビニなどとの物資提供関連協定では、災害時応急生活物資として、災害当日から3日の第1段階で飲料水、つまりペットボトルを調達するとしています。
本市の一般的な協定書では、第4条に、これは一例だと思いますけれども、スーパーなどは、札幌市から要請を受けたときは、一般消費者に対する商品供給や被災店舗の復旧などの業務に支障を来さない範囲で保有商品の供給に対する協力について積極的に努めるものとする、このようにしているのです。つまり、物資の提供者とは、この協定によって、市民による買い占めに関しては拒否する理由はないのです。つまり、供給物資を期待できるものではないと考えていいですね。また、災害状況によっては、必ずしも近隣地域に供給されるものとの保障もございません。
先ほどの浦安市のことでありますが、実際に、浦安市では、同じように物資供給協定を結んでいたようでありますが、災害発生時にはやはり買い占めが起きて、その供給は乏しかったとのことであります。また、浦安市で確保するはずだった物資も、これは特殊だと思いますけれども、東北への物資支援で、なお確保は難しかったとのことであります。よって、スーパーやコンビニのお水などの応急生活物資は、災害時に大きくは期待できないというふうに踏んでいいわけであります。
浦安市では、これらの反省を踏まえて、管路給水や運搬給水には過度には期待せず、今後は、それらと同時に進めるべき施策はストック型の給水であり、市民各自のストックを奨励すること、並びに、集合住宅、これは浦安市では特徴的でありますけれども、集合住宅の受水槽に緊急遮断弁の設置を推奨すること、これは補助金という意味だと思います。また、市民各自のストックも、当初の1人3日分ということではなくて、1人7日分、1週間分とすることが望ましい、このように反省しているそうであります。
ところで、水道局ではペットボトル入りのさっぽろの水という商品を作製していますね。私も本市の災害訓練でいただきましたけれども、これがなかなかおいしいのですよ。ごちそうさまでした。
そこで、端的にお伺いしますが、このさっぽろの水は何のために作製したものですか、どんな用途で使っていますか、お答えください。
◎高橋
営業担当部長 さっぽろの水は、安全でおいしいという札幌市の水道水のよさをPRして、水道事業のPR、それから、自然豊かなまち札幌の観光PRを目的としまして、平成16年4月、販売したのは平成16年6月からでございますが、水道水から塩素を除去してボトル詰めをしたさっぽろの水をつくっております。
◆伴良隆 委員 どんな用途で使っているか、お願いします。
◎高橋
営業担当部長 用途というのは、つまり、つくった目的、製造の目的ですが、先ほど申し上げたようにPR主体ということでございます。
◆伴良隆 委員 PRということでございますね。
そこで、次に聞きますが、水道局は、さっぽろの水をどういったところに無料で配っていますか、総じて年間何本ぐらい無料で配っていますか。
◎高橋
営業担当部長 まず、さっぽろの水を販売しているところを申し上げれば、市内のホテル、市役所、区役所、病院、札幌観光協会、あるいは我々の水道サービス協会です。それから、無償では何本かというご質問だったと思いますけれども、平成22年度の実績で申し上げれば13万8,000本、その前が13万本でございます。23年度は、1月末の時点で12万本を無償配付しております。
◆伴良隆 委員 たくさんの本数を無料で配っているということが確認できたわけであります。PRのためだということですね。
そこで、先日の2月28日の報道でこういったことがございました。さっぽろの水、丘珠発便で配付ということでございます。
読みますが、札幌市の第三セクター札幌丘珠空港ビルは、3月末までの毎週水曜日、丘珠空港からの出発便で、乗客定員にさっぽろの水500ミリリットルをプレゼントしている。同社と北海道エアシステム、HAC、市水道局の共同事業で、丘珠から出発するHACの全路線が対象、機内で1人につき1本を配付する。いいことですね。いただいたら、うれしいと思いますよ。
そういうこともありますが、この費用は3者で負担し合っているそうでありますけれども、HACの乗客にさっぽろの水を配るのは何のためですか、お答えください。
◎高橋
営業担当部長 さっぽろの水をHAC機内で配付したということでございますが、これは、1月の中旬ごろに、札幌丘珠空港ビル株式会社から、冬の北海道の観光シーズンである2月、3月に、札幌丘珠空港ビル、北海道エアシステムの2社に札幌市水道局を加えた3者での共同企画で実施しませんかというご提案がございました。その内容は、今、委員からご紹介いただきましたけれども、2月、3月の毎週水曜日限定で、札幌丘珠空港からの全出発便のご搭乗のお客様にさっぽろの水500ミリリットルペットボトルを機内でプレゼントするということでございます。
その負担につきましては、3者で3分の1ずつ負担するということで、全部で1,440本の配付予定本数のうち、3分の1の480本を丘珠空港ビル会社が購入、それから、北海道エアシステムも3分の1を購入、そして、水道局はその3分の1を提供するという形でそれぞれの共同企画という形でご提案がございました。
それについては、さっぽろの水のおいしさを再認識していただくことと、その水源環境を含む自然豊かな札幌のまちのPRということで、さっぽろの水の本来の目的にかなうというふうに我々は考えまして、有益な企画であるとして協賛することにいたしました。
◆伴良隆 委員 このさっぽろの水ですけれども、ちょっと戻りまして、収容避難場所にもっと活用したらいかがでしょうか。賞味期限はたしか2年だったと思いますけれども、幸いなことに備蓄したまま使わなくても、避難所になる小学校に入学した小学生が2年生の冬に避難訓練をしながらさっぽろの水を飲めばいいのではないですか。備蓄になりますし、防災の学習にもなりますし、今、部長がおっしゃったように、札幌の水道水が安全でおいしい水であることのPRにもなると思います。今、苦労しているHACを例えにして非常に悪いですけれども、経営の苦しいHACを水でささやかに支援することも結構でありますが、その水を一本でも避難所対策に使った方がいいのではないでしょうか。何も1億円かかる緊急貯水槽をつけるという話ではないわけであります。
そこで、突然で申しわけありませんが、北野水道事業管理者にお聞きします。
給水体制不足の収容避難場所に対して、水道局がこういったさっぽろの水などのペットボトルを備蓄物質として提供すれば、私は、当面のリスクを減らせると思いますけれども、いかがですか。私からこのアイデアをとっても構いません。
◎北野 水道事業管理者 以前、危機管理対策室長をしておりました関係で申し上げますが、備蓄というのは、避難場所に備蓄する際には、実際に避難場所に避難されてこられた方にどのように配分するかが一番課題になっているところでございます。そして、その管理ですね。水については、水質の維持管理が皆さんの健康に直接かかわるところなので、私どもとしては一番注意を払っていかなければいけないと考えております。
ペットボトルで備蓄する、体育館に置くということについては、その保存スペースや管理がきちんとできるかというところは、今後さらに検討が必要だと思います。手段としてはあるなというふうに考えています。
◆伴良隆 委員 ご丁寧な話でありましたが、次に、リスク分散の話をちょっとしたいと思います。
きょう、私は、この原稿を練って、プリンターで出力しようとしましたら、たまたま故障したのですよ。やっぱりこういうことがあるのです。そして、自分でフラッシュメモリーに入れたのですが、ただ、心配なのです。フラッシュメモリーをなくしたり、水についたら、それでおしまいなのです。そこで、今度は、リスク分散で、このデータをメールに転送しておいたわけです。そして、幸いにも、時間内に会派の控室で無事にプリントアウトできたわけであります。
これを地元のことに例えます。先ほどの例でいきますと、屯田の南側にも緊急貯水槽があるのですよ。ところが、先ほどの浦安のような話もあります。この緊急貯水槽が横揺れ、縦揺れによって、あるいは液状化によって使い物にならなくなった。酒井部長の期待している給水車も来なかった。そして、きょうも地元の屯田の方がいらしていますが、地区センターの備蓄を聞きましたけれども、ほとんどないのですよ。そして、水はありません。そんな中で、私はさっぽろの水についてアイデアを持ったわけであります。ですから、最初から最後までの頼みの綱は市民各自の備蓄だ、このようにもなってくるわけであります。
そこで、昨年の12月に行われた平成23年度の第2回市民アンケートの結果を見たいと思います。このアンケート結果で、東日本大震災以降の防災意識などの変化というところで、一番多かったものは、防災意識は高まったが、備えはしていません、これが断トツの64.3%であります。それから、これは複数回答可でありますけれども、災害時活動への協力意識で一番多かったのは44.9%で給食・給水活動であります。つまり、こういう解釈もいいと思うのですが、備えはしていないけれども、物があればいつでも協力する、こういう認識にとどまっているということなのですね。そういった中で、現状では、市民の備蓄に頼れるような状況にないのではないかと思います。まして、厳冬期でありましたら、電気やガス、灯油が停止して、各家庭で備蓄するペットボトルも凍るおそれがありまして、それらのリスクも踏んでおかなければなりません。
さて、避難所の給水のことを役所の現場に聞きますと、危機管理対策室や教育委員会に聞いてくれと言われるのですよ。そして、その部局に行きますと、今度は口をそろえて、水道局次第だと言うのです。教育委員会は、いつでも協力すると好意的に言ってくれてはいますが、私はこう思うのです。市役所の各局の協力をもっと仰いだらいいのではないでしょうか。あるいは、市民ともっと対話して、理解をしてもらって協力してもらう、こういうこともいいのではないのでしょうか。渡邊計画課長みたいな熱意ある水道局員がたくさんいるのです。水道局には、もっと先頭に立って災害時の給水対策をしてほしいと思います。
そこで、危機管理対策の責任者をやられ、また地域の、北区のような実情も、北区長であられましたから、よくわかっていらっしゃる北野水道事業管理者に聞きます。
給水体制が比較的不足している本市の収容避難場所について、本市関係各局に協力を求めること、また、該当地域の地域住民にその状況を早急に説明し、地域住民と協議して対策を具体的に打つべきと考えますが、いかがですか。
◎北野 水道事業管理者 私ども水道事業に携わる者の使命というのは、必要とされる方に水を届けることでございます。
災害時においても、平常時と同様に、水道管で水をお届けできればそれにこしたことはないのですけれども、先ほど部長からもご答弁させていただきましたように、耐震化の状況から見ると、第3次被害想定では水道管の破損によって広範囲にわたって断水が発生するというふうに予測されております。したがって、水道局として水をお届けするために、まず第一に取り組まなくてはいけないのは、水道施設の耐震化を進めることなどによって、災害に強い水道システムの構築を着実に進めていかなければいけないというふうに思ってございます。
また、水道局といたしましては、発災直後から、水道管の復旧に全力を挙げます。ただ、復旧するまでの間におきましては、東日本大震災での支援活動で私どもが対応に当たったように、被災者の方々に給水タンク車によって水を届ける運搬給水が基本にならざるを得ないと思います。しかしながら、この運搬給水も、発災直後は応急給水に必要な人員や車の手配、あるいは、委員から指摘のありました輸送ルートの状況などから考えますと、しっかり届けられないことが十分考えられます。そういう意味では、行政だけの対応には限界があるということは、過去の大規模な災害からの教訓としても明らかになっているところであります。したがって、私どもとしては、その水道管に大きな被害が想定されるような地域から優先順位を決めて、市民への直接給水が可能になる緊急貯水槽の整備を進めるとともに、一人でも多くの方の命を守るためには、水に限ったことではないのですけれども、先ほど委員もおっしゃいましたように、市民みずからの備えをお願いしているところであります。
運搬給水の具体的な運用につきましては、実際に避難場所の関係で申し上げますと、区の災害対策本部が収容避難場所の避難状況を把握する。そして、地域の被害状況も災害対策本部の中で把握いたしますので、そういったことを踏まえて、適切な対応をすることになります。しかし、近くに緊急貯水槽がない地域につきましては、災害時にはとにかく復旧を急ぐということですけれども、平常時から、地域の皆さんに必要な情報をしっかりと提供した上で、特に、みずからの備えが重要な地域にお住まいだということについて、日ごろから理解をしていただけるように広く啓発をしていくことが重要だというふうに考えてございます。
先ほどの備えという部分では、市民みずからのストックが重要だというようなご指摘もございまして、私も、それはそのとおりだと思います。ただ、緊急貯水槽の整備は、優先順位を決めてやっているのですが、緊急貯水槽のエリアでカバーできないところについては、これも先ほどご答弁させていただきましたけれども、応急給水栓の活用などのハード的な取り組みにも引き続き早急に取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。
防災対策ということについては、ここまでやっておけば、これで大丈夫だというようなゴールは決してないわけでありまして、今できる最善のことを一つ一つ着実に行って、必要とされる方に水を届けるのが水道局の使命であります。ただ、ほかの局においても、市民の命を守るという意味では、それぞれの局がしっかりと対応すると。これは、地域防災計画の中でも各局長は危機管理対策責任者として位置づけられておりますので、そこは十分に連携をとりながら協力してやっていきたいというふうに考えます。
◆伴良隆 委員 堅実なご答弁で、ありがとうございます。
おっしゃったとおりなのですね。言わずもがなで、皆さん方がおっしゃったとおりなのですけれども、まさか、自分たちの周辺の収容避難場所ではここまで備蓄物資、水がなかったというふうに面食らうようなことは避けたいわけでありまして、そういった部分の情報を地域の方々に流していき、そういった中でバックアップができるとか、できないとか、あるいは、市民の方々にもご協力をと、これが順序なのですよ。そこをぜひお願いしたいことと、また、関係各局に関しては、危機管理対策室の室長でいらっしゃいましたから、よくやっていただきたいと思います。
日々の水道事業も、今までの災害対策も、地域防災計画の見直しや東日本大震災に伴った新たな災害対策も、何かしら優先順位があるとおっしゃっています。そのこと自体を否定するものではありませんけれども、そもそも事業の優先順位、計画の優先順位とは何でしょうか。
病院には病人がいますから、病院への管路耐震化は優先だと言います。これは、人命救助という観点から確かに当たり前で、病院は大切であります。それでは、自宅療養の病人は優先ではないということでしょうか。あるいは、通院している透析患者だっているわけであります。避難所に避難した要援護者や、体力のない高齢者や赤ん坊は優先にならないということなのでしょうか。収容避難場所のことです。
そこで、きょうは、上田市長にわざわざ来ていただいておりますけれども、お答え願いたいと思います。
現状で災害が起きて、給水体制が不十分な収容避難場所とわかっていて、やはり想定どおり給水が滞っている状態のとき、札幌市は、水が行き届かない住民に、先ほど来の水道局の計画の優先順位を事細かに説明し、その計画では収容避難場所への対策には優先順位があって、だから応急給水が難しかったと釈明されるのですか、そして、市民はその釈明に納得してくれると思いますか、お答えください。
◎上田 市長 17年前の阪神・淡路大震災が札幌のような大都市における災害の典型的な直下型の地震ということでありますので、我々はここから学ばなければならないことがたくさんあるだろうというふうに思います。今回の東日本大震災の場合は、津波が一番大きな衝撃でありましたので、少し類型が違うかなというふうに思いますけれども、家屋が倒壊するというふうなことから、避難民が多くなって、一度に大きな災害が起きますと、当然、行政ができることには限界があるということは冷静に考えればだれもがわかるわけであります。しかも、行政自身が、どれだけ訓練をしていても、準備をしていても、大混乱に陥る、これもまた、だれが悪いということではなく、その時間をどれだけ縮めるかという努力をするということですが、多分、我々の力には限界があるだろうと思います。
そういったことも含めて、行政ができることについて、日ごろからこのぐらいのことしかできないだろうと市民がわかっていることが大事だと思うのですね。だから、行政の力が発揮されるまでの間は、自分たちのことは自分たちで守るぞという認識を持っていただく。そのレベルは、日ごろのさまざまなハードのつくり方などでカバーできる部分もたくさんありますから、インフラを整えていくことによってその心配の度合いを軽くしていくことはとても大切なことであります。しかし、ゼロになることは決してないわけであります。そういう意味では、どうしても自分たちで、みずからの命を守らなければならない。
ライフラインがずたずたになってしまった場合、それを人の手でつなげるしかないだろうということをまずもって理解していただくことが大事だと思います。
したがいまして、避難される方々が収容される場所、避難場所には、現状ではどういうものがそろっていて、ここまではできるけれども、今のところ、これについてはできないという情報をしっかり提供するということですね。その場合に、次善の策として、ここから一番近くの、今は水道局の話でありますから、水をとるための緊急貯水槽は一番近くではここにある、ここがだめならこちらにあると、その順位をしっかりと告知しておくということです。そして、健康な方はそれを運搬することを手伝ってほしいと、そういうことを告知していくことが一番大事なことだろうと思います。
どの施設を先に設備するか、その順位が1番か、2番か、早いか、遅いかということについては、さまざまな事情を考察した上で決めるしか方法がありません。それは、原案をつくって、さまざまな皆さん方にご批判をいただきながら修正していく、そういうことをやっていくべきだというふうに思いますが、とにかく、設備をするにしても、設備が欠落している部分であっても、それを補充し、是正していくのは市民だということをみんなで認識していくことが私は最も大切なことだというふうに思います。
そういう意味で、地域の中で地域防災組織、自治組織をほとんどの町内会でつくっていただいておりますので、そこにおけるDIG、ゲームですが、災害を想定した机上での訓練をやっていただいておりますし、あるいは、すべての単位町内会に札幌市がつくりました防災のDVDを配付させていただいております。ですから、こうなったときには、こういうことが起こるということがイメージできる道具、あるいは、情報を獲得するために刺激的なものを、どういうことを知らなければいけないか、もっと自分で調べてみようという意欲を喚起するような資料を我々は提供させていただいているところでございます。こういったものを十分に活用して、そして、まずは自分の命を守るということ、力が余れば、他人をしっかり守るということ、そして、地域の皆さん方で連携をしっかりとるということ、これを皆さん方にぜひお願いしたいということを告知していくことが大事だと思います。
その中の一つとして、水の備蓄についても、これは非常に大事なことだというふうに思います。収容避難場所に行かなくても断水ということがありますので、自宅に水が来ないことに備えて、自分の家族が1日3リットル掛ける3日間なりのものは、さっぽろの水を買っていただければ一番いいですけれども、そういう形で備蓄することを推奨するというご指摘は大変よいアイデアだというふうに考えます。私は、自分自身でも、少し大き目のタンクで買いそろえていたこともございますけれども、そういうふうなことをやっていく、それを見ることによって自分で注意して、ほかのことも、ここは大丈夫かと点検する意欲が出てくるわけですね。そういう意味で、まずは、家具を固定する、水をそろえておくというようなことをしっかり実践していただくことによって、災害を最小限のものにとどめていくことにつながっていくのではないかと考えるところでございます。
ご質問をありがとうございました。
◆伴良隆 委員 ご答弁をありがとうございます。
もっともなことをおっしゃっているのですね。ただ、そこまで至るのはなかなか大変なことでありまして、先ほど、5割の収容避難場所が緊急貯水槽から離れている、備蓄物資も足りない状況である、これは、今まで長い間、私がるる説明してきました。そのハードの部分というのは、ここがだめならここはだめ、そして、次もだめと、こういうふうなことの中で、行政としても精いっぱいやっていただきたい部分もありますし、また、情報も流していく。当然できることもできないこともあるわけですから、その不足の部分を住民の方々によく理解していただく、こういったことだと私は思っています。
将来を見据えた計画も大事であります。でも、今、目の前の課題も大事なのです。今ないものはない、ないならばつくればいいのですよ。今、つくれなければ、先ほどのさっぽろの水のようにかわりを備えればいいのです。備えることもできないのだったら、知恵を出すしかないのです。今すぐにできないことは、市民にそれを丁寧に説明すれば、必ず不足の現状をそれこそ水に流してくれますし、市民は自分らも何とかしなくてはと思って協力してくれるはずです。
上田市長がよくおっしゃるのですが、これはいいことだと思います。ともに考え、ともに悩み、ともに行動することを大切にしながら、市役所全体で動くことが大切だとおっしゃっていますね。
そこで、最後に、上田市長にお伺いします。
給水体制が比較的不足している本市の収容避難場所について、関係各局に協力を求めること、また、該当する地域住民にその状況を早急に説明し、地域住民と協議して具体的に対策をするべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、命の水と言いますけれども、そのとおりでありまして、水は命なのですよ。市長、市民の命と安全を守れるのか、その決意を聞かせてください。
◎上田 市長 ご指摘の情報をしっかり提供するということは極めて重要なことだというふうに考えまして、先ほども申し上げたとおりであります。
そして、市役所の横の連携も本当に大事なことだということは、3.11以降、我々は、さまざまな観点から考えてまいりましたけれども、思いのほか、それがうまくいっていないといいますか、頭の中の片隅にはあっても、それがつながっているかどうかとなりますと、非常に不安な部分があることもまた明らかになってきていると私は思います。
そんな意味で、関係部局と言わず、全庁を挙げて、自分が気がついたやるべきことを書き出して、つなげていくと。これは危機管理対策室が中心になってやるべきことでありますが、庁内のネットワークをしっかり再構築していくということと、そして、役所の限界も含めて、市民の皆さん方にしっかり告知し、それぞれの集合場所等には、ここにおける限界値をしっかり告知できるような体制をとるべく検討させていただきたい、こんなふうに考えます。
◆伴良隆 委員 この話は、昨年の冬、収容避難場所の給水状況を私に教えてくださった地元の方がいまして、先日、この経過を報告したのです。その方は、こうおっしゃっていました。地域でできることは幾らでも協力するから教えてほしい、そうでないのだったら自分たちで何とかするしかない、こういうことだそうであります。
上田市長の強いお気持ちも聞きましたし、事業管理者の強いお気持ちも聞きましたけれども、あとは市長と水道局次第だと思います。
◆植松ひろこ 委員 水道水の放射性物質検査について質問いたします。
昨年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響により、同じ月の3月23日に東京都の水道水から乳児の摂取基準を超える放射性ヨウ素が検出され、日本じゅうに不安が広がりました。このことをきっかけに、放射能汚染の影響の大きさが認識され、水道水に含まれる放射性物質濃度についての関心も高まりました。各水道事業体では、水道水の安全性を確認し、利用者の不安を解消するため、それぞれの判断で放射性物質検査を実施したとのことですが、昨年4月4日に、厚生労働省から今後の水道水中の放射性物質のモニタリング方針が通知され、一つの統一的な目安が示されました。この方針によりますと、福島県及びその近隣の地域を対象として、1週間に1回以上をめどに水道水を検査することとされております。
札幌市水道局でも、昨年3月21日から、水道水の放射性物質の検査を始めており、市内にある五つの浄水場のうち、三つの浄水場について、週1回ずつ検査を行ってきました。原発事故が発生した当初、放射性物質測定器は、札幌市としては、衛生研究所に1台しか所有していなかったため、水道水の検査も札幌市衛生研究所に依頼して行っていたと聞いております。その後、水道水の放射性物質検査体制を強化するため、昨年12月に水道局水質管理センターに放射性物質測定器を導入したと伺っております。
そこで、質問ですが、水道局に測定器を導入したことにより、検査体制がどのように変わり、どのような充実が図られたのか、お聞かせ願います。
◎佐渡 浄水担当部長 私から、水道水の放射性物質検査体制についてお答えさせていただきます。
水道局では、委員ご承知のとおり、昨年12月6日に、水質管理センターに放射性物質測定器を導入いたしました。調整の後、12月26日から水道局独自で水道水の検査を行っております。定常的な検査としては、それまで市内三つの浄水場の水道水を週1回ということでございましたが、測定器の導入後は市内に五つある浄水場、すべての浄水場の水道水検査を週1回実施しております。このほか、水道水の原料となる河川の水の検査も、すべての浄水場について新たに月1回ずつ行っております。さらに、浄水処理で発生する浄水汚泥についても、すべての浄水場で年に数回程度は測定していきたいと考えております。また、測定器の導入によりまして、検体の速やかな測定が可能になったということと、水道水の検査により適した機種を導入したということで、1検体当たりの検査時間を短縮できるようになりました。これにより、緊急時には、測定回数をふやすなどの柔軟な対応が可能となったほか、測定結果も迅速に把握できる体制が整ったところでございます。
◆植松ひろこ 委員 水道水の放射性物質の検査結果については、水道局のホームページで随時公表されており、私も注意深く拝見しておりましたが、昨年3月の測定開始以来、すべて不検出であるため、札幌の水道水の安全性は現時点では確保できているのではないかと思います。
また、水道局独自に検査機器を導入したことにより、よりきめ細やかな検査体制が実現するとともに、緊急時に迅速な対応が可能となったことがわかりました。現在の放射性物質に関する指標として、放射性セシウムが1キログラム当たり200ベクレル、放射性ヨウ素については、1キログラム当たり300ベクレル、乳児については1キログラム当たり100ベクレルという値が定められております。
厚生労働省では、この指標の見直しを行っており、昨年12月28日に見直し案が示されたところです。この見直し案によると、放射性セシウムを対象とし、1キログラム当たり200ベクレルだった指標値に、新たに、指標値ではなく、目標値として10ベクレルに設定され、20倍に強化されることとなります。この見直しはことし4月1日から実施される予定と伺っており、基準となる値が強化されることは、国民がより安心を得るために重要なことであります。その反面、厳しい検査基準に対応するためには、新たな検査体制の整備が必要ではないのかと思います。
そこで、質問ですが、今回の指標の見直しは、水道局の現在の検査体制にどのような影響を与えるのか、お伺いします。
また、札幌市において、水道水の放射性物質が目標値を超過する可能性は現状では非常に低いと考えられますが、万が一、この新しい目標値を超過した場合に、札幌市ではどのような対応をとるおつもりなのか、あわせてお聞かせ願います。
◎佐渡 浄水担当部長 まず、1点目の指標の見直しに伴う水道局の検査体制への影響でございます。
基準となる値が強化されることにより影響を受けるのは、測定器の検出限界値でございます。今回、厚生労働省では、検出限界値として1キログラム当たり1ベクレルの精度を目指すということが示されております。これは、水道局が現在行っている測定の検出限界値と同じであります。したがいまして、指標の見直し後も現在の検査方法を見直すことなく、そのまま継続することができるということでございます。
次に、2点目の目標値を超過した場合の対応についてお答えいたします。
水道水が放射性物質の影響を受ける原因としては、空気中や雨水に含まれる放射性物質が河川に流入するということがございます。また、検査の対象となっている放射性セシウムは、本市の浄水場で通常行っている凝集沈殿や砂ろ過といった処理である程度取り除けるということがわかってきてございます。さらに、北海道立衛生研究所においては、1時間ごとに札幌市内の空気放射線量などを測定しておりまして、その数値を注視することによって、数値が増加した場合には、あらかじめ浄水処理を強化するとか、水道水の検査頻度をふやすような対応が可能となります。したがいまして、目標値を超過しそうな場合には、事前に予防策を講じることができるということでございます。
また、今回見直される水道水の放射性物質の新たな目標値ですが、世界保健機関、WHOが長期的な影響を考慮して設定したものであり、目標値を超過すること自体が飲用不適であることを意味するものではないとされております。しかし、万が一、水道水の放射性物質の検査結果が目標値を超過した場合には、報道発表やホームページ等で広く広報を行っていく必要があると考えております。さらに、目標値超過の状況が続くような場合には、水道水の摂取制限を実施する予定でございますし、その場合には、飲料水の確保のための給水車の手配や応急給水体制をとることにしております。
◆植松ひろこ 委員 今後も、状況に応じて、その都度、見直しを行いながら、きめ細やかな検査体制を維持していただきたいと思います。また、緊急時の対応についてきちんと考えられていることがわかりましたので、万が一の際には速やかで確実な対応を期待いたします。
最後に、2点要望ですが、放射性物質につきましては、事故から1年が経過している今も、依然として市民の関心の高いところです。検査の都合上、ホームページでの即日の公表は難しいとのお話でした。しかしながら、市民の皆さんが気になるのは、今まさに飲もうとしている水が安全であるかどうかであると思います。市民の方が安心と思えるよう、極力、速やかに公表できるよう努めていただきたいと思います。
2点目は、先ほど伴委員からもございましたが、災害対応についてです。
水道局が独自にできることには限りがあるとは承知しておりますが、放射能汚染を含め、さまざまな災害に備え、各家庭で飲料水を確保する必要について、管轄である水道局が周知していくことが大事であると思いますので、こちらにも力を注いでいただきたいということを求めまして、私からの質問を終わります。
○桑原透 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
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休 憩 午後3時32分
再 開 午後3時55分
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○桑原透 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆阿知良寛美 委員 私からは、大きく分けて2点、中高層建物における直結給水について、もう1点は、石狩西部の浄水場運営とサービス協会の事業展開について、2点お伺いいたします。
初めに、直結給水の普及状況について質問させていただきます。
水道は、快適な市民生活を営む上で欠かすことのできない重要な施設であります。水道法第1条に「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り」とあるとおり、より安全で安心して利用できることを第一に考えていかなければなりませんし、また、そういう思いで皆さんは仕事をされているというふうに思います。
そこで、直接、安全でおいしい水を供給できる直結給水の普及状況について質問いたします。
水道の給水方式は、配水管から、直接、水道水を給水する直結方式と、配水管からの水道水を一たん水槽に受け、受水槽から給水する貯水槽方式に分けられます。従来は、特に送出水塔などの水位計算をした上で、大体3階くらいの建物まで、要するに、低層階の建物に直結で給水している方法が主なものでございます。また、中高層建物では貯水槽方式で給水を行っておりました。
しかし、貯水槽方式は、受水槽の維持管理が適正になされていない場合には、受水槽施設での衛生上の不安もあります。一方、直結方式は、直接、安全でおいしい水を供給できることに加えて、受水槽方式で必要な水槽設置のスペースも必要ではないことから、建物のスペースの有効利用がより図られ、メリットも非常に多いと思います。そこで、本市においても、給水サービスの一環として中高層建物への直結給水が導入され、平成9年には、直結加圧装置を設置することで10階程度まで対象を拡大していると聞いております。
そこで、第1点目の質問として、中高層建物への直結給水を採用してから新築建物においての直結給水割合と既設建物の直結給水への切りかえがどの程度進んでいるのか、お伺いいたします。
◎小田 配水担当部長 直結給水の普及状況につきましてお答えいたします。
札幌市では、地形的な特徴を生かして、計画的な水道施設整備を行ってきたことから、比較的高い配水管水圧を確保できるため、給水サービスの向上を目的といたしまして、平成4年度から、市内中心部及び北部の地域を皮切りとして、中高層建物を対象に直結給水の拡大を図ってきております。
そこでまず、1点目の4階以上の新築建物の申請における直結方式の割合についてでございます。
直結方式を導入した平成4年度では15%でございましたが、その後は順調に増加し、平成22年度では93%を占めるまでになっております。また、直結方式の申請件数は、平成4年度から22年度末までの累計で、建物数が5,653棟、戸数では11万6,457戸となってございます。以上のことから、新築における中高層建物の直結化は、確実に進んでいるものと認識しております。
次に、2点目の既設建物の貯水槽方式から直結方式への切りかえについてでございます。
申請件数の累計で、869棟、2万7,064戸となっておりまして、こちらの方も、少しずつではございますが、切りかえが進んでいるものと考えております。
しかしながら、貯水槽水道の建物は、現在もなお約1万1,000棟が残されており、そのうち病院や学校などを除いた6割程度は切りかえが可能な建物ではないかと思われますので、引き続き、直結給水への切りかえにつきまして積極的にPRを行っていきたいと考えております。
◆阿知良寛美 委員 今の答弁では、新設は特に直結給水が確実に進んでいるという答弁でございました。その意味では、中高層建物の水の安全性がより高まっているという答弁だったというふうに思います。
受水槽は、昔は、建物の建て方にもよるのでしょうけれども、地下式などがありました。ですから、この席では余り言いませんけれども、大変恐ろしいこともあったのは確かに事実だというふうに思います。そういう意味では、そういったことも含めて、水の安全性をもっとPRしながら、直結給水を進めていただきたいというふうに思います。
水道工事を施工する場合には、必ず新築、改造、撤去など、水道局に申請をしなければなりません。その際に、水道局には設計審査及び検査手数料を納めなければならないのですが、しかしながら、新設建物に関する現行の手数料を調べてみますと、水道メーター1個当たりの金額となっております。そういうことからすると、集合住宅の場合、水道メーターの個数分すべてに対して手数料が加算されることから高くなっているのだろうと思います。水道メーター1個の一般家庭と、複数のメーターを設置する集合住宅では、審査や検査に要する時間も当然違いがあることは理解いたしますが、その中で何か改善することによって減免措置がとれないかというふうに思います。
審査の場合は、1戸、そして集合住宅と、集合住宅では配管は大体同じですから、1戸は1個ということではないわけで、まとめて審査できるわけです。また、検査についても、1カ所に行くのと、まとめて1棟を見るのでは、同じ計算をすると不合理なわけですね。その意味では、既設集合住宅などの切りかえでは、私は以前にも質問しておりますが、手数料の減免措置をとられておりまして、先ほどの答弁でありましたように、少しずつではありますが、普及されている、一役買っているのだろうというふうに思います。これだけ直結化が進んでいる状況の中で、新築建物についても何らかの減免措置が必要ではないかと思います。
そこで、質問でありますが、新設の集合住宅の手数料について見直しをする考えはないのか、お尋ねいたします。
◎小田 配水担当部長 手数料の減免措置につきましてお答えいたします。
給水装置工事にかかわります手数料は、設計審査及び検査業務にかかわる平均的な作業時間から算出しておりまして、建物の種類にかかわらず、水道メーター1個当たり一律の額を徴収してございます。現行の手数料は、平成10年に制定したものでございますが、当時の中高層建物の給水方式は、建物1棟につき水道メーター1個の貯水槽水道が主流であったことから、手数料としましては1件分で済むケースが大半でございました。しかしながら、現在は、中高層建物の直結給水が普及拡大し、1棟に複数の水道メーターを設置する建物が増加しており、マンションなどのように戸数が多くなると手数料が高額となるケースもございます。
そこで、利用者の負担軽減の観点から、複数の水道メーターを設置する建物の新設工事などの場合、2個目以降のメーターについては、設計審査の受け付けや調定事務、あるいは検査場所への移動などの項目についての減免をできるだけ早急に実施したいと考えております。
◆阿知良寛美 委員 実際にどのぐらいの差があるという具体的な数字は、きょうは出ないのですか。
◎小田 配水担当部長 まず、新築工事でございますが、最も一般的な家事用の合計が40ミリメートル未満のものにつきましては、現行では、1個につきまして審査と検査を合わせて1万1,600円を徴収させていただいております。そして、減免措置につきましては、2個目以降、審査と検査を合わせまして1戸につき4,400円を減免するといった形を検討しているところでございます。
◆阿知良寛美 委員 今までは1万1,600円、2個目も1万1,600円、3個目も1万1,600円ですが、2個目からは4,400円を減免するということですから、相当、低減されるということだと思います。
今回の札幌市の予算議会でも審議していますけれども、値上げが結構あって市民の負担がふえるわけで、そういう意味では、こういった試みは現実に即したもので大変いいのではないかなというふうに思います。できるだけ早期に取り組んでいただければなと思います。
2点目は、石狩西部の浄水場運営とサービス協会の事業展開についてお伺いいたします。
特に、
石狩西部広域水道企業団が新設する当別浄水場の運営についてでありますが、先ほども質問がございました。札幌市が北海道、小樽市、石狩市、当別町とともに参画している
石狩西部広域水道企業団の事業は、ようやく第1期工事を終えて、平成25年度から通水が予定されております。ちょうど、きょうの朝刊にも出ていました。試験湛水スタートとあります。記事をずっと読んでいきますと、最後に、現場ではダム建設に反対する市民団体のメンバーが集まり、むだなダムと書かれたと、余計な記事も書いております。
当面は、札幌市を除く2市1町への用水供給ということであります。いずれは札幌市へも供給される浄水場でありますし、札幌市の水道は豊平川に依存しているという状況からかんがみますと、市民生活に重要な役割を担う安全で安心な水道を守っていくためには、札幌市のかかわりが大変重要ではないかというふうに思います。
東日本大震災では、私も目の当たりにしてまいりましたが、地震被害に加えて、津波、火災、液状化現象、原子力災害など、多岐にわたる災害発生によって、社会の混乱を招いており、水道についても多くの断水が発生し、数々の困難に立ち向かわなければならない状況でございました。
当別浄水場は、札幌市の
白川浄水場、藻岩浄水場、旭川の石狩川浄水場に続き、全道で4番目の大規模浄水場になるというふうに聞いております。このような新設の浄水場運営については、当別ダム上流域の自然条件による水質の変動など、水処理に関する特有の懸念材料ではなくて、浄水場新設に見られる設備の予期せぬトラブルなどといった不安要素は非常に多いわけで、そういう面では、そういった要素を考慮した対応が必要ではないかというふうに思います。
そこで、質問でありますが、企業団が安全で安定した水道用水の供給を行っていくために、札幌市は、今後、どのように浄水場の運営管理にかかわっていくのか、お伺いいたします。
◎酒井
給水部長 石狩西部広域水道企業団の当別浄水場につきましてお答えいたします。
委員ご指摘のとおり、新しくできる浄水場の運営につきましては、水質変動、あるいは施設の運転初期に発生するトラブルなど、さまざまなリスクが想定されるところでございます。ダム貯留水の水質変動などを把握するためには、季節の変化を含めた見きわめが必要となっており、平成25年度の供用開始から浄水場の運転が安定するまで3年程度を要するものと考えております。
そこで、この非常に重要な3年間につきまして、企業団が水道用水を安定、確実に供給していくためには、浄水場の立ち上げに関して豊富な経験と技術力を有している札幌市が一定の役割を果たしていくことが不可欠であることから、職員を追加して派遣し、万全な体制をとることとしております。また、企業団では、札幌市からの追加派遣に加えて、札幌市の浄水場の運転管理に実績があり、専門性の高い技術力を有した札幌市の出資団体である水道サービス協会に浄水場の運転管理業務を担ってもらう予定と伺っております。このように、当別浄水場の運営に関する企業団の基本方針としては、札幌市からの派遣職員、企業団職員と水道サービス協会が一体となって取り組むことによって、運転初期の平成25年度から27年度までの3年間、安全、確実な運営を図ることとされたところであります。
札幌市といたしましては、今後も、企業団を構成する団体の一員としてしっかりと企業団を支援してまいりたい、このように考えております。
◆阿知良寛美 委員 平成25年の通水に向けて、いろいろな不安定要素があるだろうと思います。また、先ほど言ったように、新しい機械ですから、多分、思わぬトラブルも出るだろうと思います。先ほどの配電盤の話ではないですけれどもね。そういう意味では、札幌市と水道サービス協会が一体となって、通水までしっかり準備を進めるということであります。
サービス協会のかかわりについては、昨年の第3回定例市議会でも私はお話をしております。石狩西部広域企業団に参画している2市1町との広域連携の中で、水道サービス協会の果たすべき役割についても検討すべきであると質問し、また、提案をさせていただいているところであります。
札幌市水道サービス協会は、現在の公益法人から、事業活動に制約がなく、自由な事業活動が可能な財団法人へこの4月1日からいよいよスタートするわけであります。その意味では、サービス協会が札幌市以外の浄水場の運転管理などにかかわっていく、貢献していく、広域的に事業展開するということは、協会の自立化という観点からも好ましいというふうに思っております。これまでサービス協会というと、先ほども質問がありましたけれども、札幌市から仕事をもらっているだけというか、そういうことが主なものですから、そういう面では確かに批判がありました。これからは、そういう立場になって独自で仕事をしていくことも非常に大事なことですから、私は期待しているわけであります。
また、道内にある多くの水道事業体においては、職員の大量退職に伴う技術力の低下、さらには、水道施設の老朽化対策、耐震化もおくれております。北海道では、市町村合併が進まなかったわけですね。そして、都市間距離が非常に長い中で、人が点在して住んでいます。そういう意味では、これから将来のことを考えると、例えば、水道でも下水道でも、それを運営していく、維持していくということは大変困難なことだろうと思います。中でも、小規模水道ほど、人材の確保、育成が非常に喫緊の課題となると言われております。今後の水道運営に危機感を持って対応しなければならず、特に地方の小さな施設については、そんな状況にあるというふうに思います。このような状況を考えますと、水道サービス協会がこれまで札幌市の水道事業で培ってきた実績と専門性を生かして、近隣市町村が抱えるこれらの課題解決に積極的に関与し、貢献していくこととともに、新たな収益を確保するということは大変意義があると思います。
そこで、再質問でありますが、今回の石狩西部の事例を契機に、水道サービス協会の広域的な事業展開に向けた取り組みをどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎酒井
給水部長 水道サービス協会の広域的な事業展開に向けた取り組みについてお答えいたします。
現在、水道サービス協会は、札幌市水道局と一体となった事業運営体制を構築し、水道局からの業務委託を主とした事業を行っておりますが、今後は、協会の専門性を生かした自主事業の取り組みを拡大するとともに、組織体制の充実や財政基盤の強化などによって自立化を図っていく必要があると考えております。そのためには、委員のご指摘のとおり、今回の石狩西部の事例を一つの契機として、水道局からの業務委託で蓄積された高い専門性を有する技術と実績をもとに、他事業体からの業務の受託や新規事業開発を目指すなど、広域的な事業展開を積極的に図っていく必要があると考えております。
今後は、近隣水道事業体が抱えている課題やその課題解決に向けたニーズなどを把握した上で、事業展開の可能性を調査研究するなど、水道局と水道サービス協会が連携を図りながら、中長期的な取り組みについて検討を進めてまいりたい、このように考えております。
◆阿知良寛美 委員 最後に、要望させていただきたいと思います。
前にもちょっと引用させていただきましたが、北大と日本政策投資銀行北海道支店と水道局、水道事業体も含めて、北海道の水ビジネスを考える勉強会をずっと開催されています。その報告書を見ますと、北海道は合併が非常に進んでいないということで、ほかの市町村ですが、1万人以下の給水人口が73%です。水道事業はスケールメリットがあって初めて成り立つのだろうと思うのですが、そういう中で、管を取りかえたり維持することが非常に困難になります。北海道には、企業局はあるけれども、水をつくる機関はなくて、実際に水をつくっているのは市町村、そして札幌市になるわけで、北海道を見るとそういったスケールメリットを最大限生かせているのは札幌だと思います。そういう意味では、私は、札幌のこれからの仕事は非常に重要だと思いますし、今は札幌市の水道局かもしれないけれども、将来的には北海道の札幌市水道局になれるようにしっかり頑張っていただきたいとエールを送って、質問を終わります。
◆中村たけし 委員 私からは、配水管路の更新について質問させていただきます。
本市の水道は、1937年の創設からことしで75年を迎えまして、この間、水道施設の拡張や整備を進めてきたところでございます。水道施設の中でも、市民生活に密着している配水管は、高度経済成長や市勢の急激な発展による給水需要の増加に合わせて整備を行いまして、現在の総延長は約5,800キロメートルに達しています。本市では、これまで漏水の発生や水質の悪化を防止することを目的としまして、過去に採用していた管体強度が弱い石綿管や塩化ビニール管、そして普通鋳鉄管、赤水などが発生しやすい、内面にライニングされていないダクタイル鋳鉄管の更新事業を積極的に実施しまして、これらの配水管についてはほぼ布設がえが完了しているところでございます。
これらの事業によって、本市の配水管のほとんどは、内面がライニングされたダクタイル鋳鉄管やポリエチレン管となっておりまして、材質強度や水質面の向上が図られているところでございます。しかしながら、これらの配水管につきましても、布設されてから相当の年数が経過している管もありまして、経年化に伴って管自体の劣化や腐食が進行しまして、漏水などの危険性が高まってくるものと思われます。
そこで、質問ですが、現在の配水管の経年化状況と更新事業について、まずお伺いします。
◎小田 配水担当部長 まず、現在の配水管の経年化状況についてお答えいたします。
水道で経年化の目安とされている法定耐用年数40年を経過する配水管の延長は、平成22年度末において71キロメートルとなっており、全配水管延長の5,835キロメートルに対する割合は1.2%と非常に低い数値となっております。これは、これまで着実に実施してきた更新事業による結果と考えております。
次に、現在実施している配水管の更新事業についてお答えいたします。
主に口径75ミリメートル以上の配水管に使用しておりますダクタイル鋳鉄管につきましては、管体外面の腐食に起因する漏水事故の防止策といたしまして、ポリエチレンスリーブが被覆されていないものを対象として、年数の経過にかかわらず、腐食の進行度に応じて、順次、布設がえを行っております。また、主に口径50ミリメートルの配水補助管に使用しておりますポリエチレン管につきましては、古いタイプのものは経年化に伴い、内面が劣化して出水不良となるおそれがあるため、材質が改良され、耐震性にもすぐれている配水用ポリエチレン管への布設がえを行っております。このほかにも、配水幹線や災害時重要施設、病院などですが、ここへの供給ルートなどの重要な管路につきまして耐震管への布設がえを進めておりますけれども、このような耐震化事業によりましても配水管の更新が図られております。
本市におきましては、これらの更新事業や日ごろの維持管理により、現在のところ、健全な配水システムを維持しており、市民の皆様への安全・安定給水を確保している状況でございます。
◆中村たけし 委員 ただいまの説明で、法定耐用年数の40年を超えている管が平成22年度末で71キロメートル、その数値は1.2%とかなり低いことがわかりました。また、更新状況から、現在の配水管は健全性が保たれていることがよくわかりました。
しかし、配水管の年度別の布設延長を見ますと、1973年度から30年間は毎年10キロメートル以上、特に1977年度から10年間については年平均で200キロメートルもの配水管が布設されておりまして、2010年度における事業延長約65キロメートルよりもはるかに多いものであります。今後、これらの配水管が次々と経年化しまして更新時期を迎えることとなり、いわゆる大量更新時代が到来することになるわけでございます。
経年配水管の増加は、漏水事故の発生数の増加につながり、断水などによる市民生活への影響や有収率の低下、さらには
維持管理費の増加など、さまざまな問題発生のリスクが高まってくるものと考えられます。したがって、今後、経年配水管をいかに更新していくのかということが重要になってまいります。経年配水管の更新に当たっては、管種や継ぎ手などにより、40年という法定耐用年数を超えても、なお使用することができる場合もございますから、40年を超えたからといって機械的に取りかえるというむだをすることなく、実態に即した更新周期を設定することが必要であると考えています。また、更新事業は、直接の収入増に結びつく事業ではないものですから、将来にわたって確実に事業を実施していくためには、長期的な視点に立った財政計画も不可欠なものとなってまいります。
そこで、質問ですけれども、大量更新時代を見据えた今後の配水管更新に関する考え方をお伺いします。
◎小田 配水担当部長 これからの配水管更新に関する考え方についてお答えいたします。
将来にわたり、安全・安定給水を確保していくためには、配水管の更新事業を継続的かつ円滑に推進していくことが不可欠でございまして、とりわけ大量更新時代におきましては、更新事業量の増加は避けられず、計画的な対応が必要と考えております。大量更新時代の事業量増加に対応するためには、財源の確保が大きな課題となりますが、管路の延命化による事業量の抑制や一定の時期に更新が集中しないよう、事業量の平準化を図ることで可能な限り事業量の抑制に努めていきたいと考えております。
このためには、いわゆるアセットマネジメントの手法を活用して、配水管や財政の状況を把握、分析した上で更新計画を策定する必要があると考えております。計画の策定に当たりましては、委員ご指摘のとおり、実態に即した更新周期を設定することが重要と考えており、配水管の寿命に大きく影響を与える要因でありますポリエチレンスリーブの被覆の有無、土質などの埋設環境や管の材質などにより分類し、それぞれの条件に応じた本市独自の更新周期を設定していきたいと考えております。また、限られた財源の中で、より効果的・効率的に配水管の更新を進めるためには、使用年数に加えて、管路の重要性、耐震性、外面腐食度などを総合的に評価した優先順位を設定し、計画的に更新していくことが必要と考えております。
現在、これらの検討を進めているところでございまして、平成24年度中に管路更新計画を策定し、25年度から新たな管路更新事業を開始する予定でございます。
◆中村たけし 委員 平成24年度中に管路更新の計画を立てるということでございました。管路の延命化が必要でございますし、今ほど、アセットマネジメントを行い、実態に即した更新を行うということでございました。また、本市独自の更新基準をつくっていくという答弁もございました。ポリエチレンスリーブが施されたダクタイル鋳鉄管であれば、他都市の基準などを見ると100年ぐらいの耐用年数がありますので、このぐらいの基準を定めていただき、重ねて申し上げますけれども、使えるのにかえるといった更新をすることなく、むだのない更新計画を立てていただきますことを要望して、質問を終わります。
◆山口かずさ 委員 私からは、貯水槽水道の衛生管理について質問します。
ビルやマンション等の貯水槽水道には、特に、法的な管理義務のない有効容量が10立方メートル以下の小規模貯水槽水道で、設置者等の管理の不徹底による衛生上の問題が見られることが多く、水質面での不安を感じる利用者が少なくありませんでした。しかし、貯水槽水道は設置者等の財産で、水道事業者は、制度上、関与できなかったことから、管理の徹底を促すような新たな仕組みの検討が求められていました。
このようなことを背景に、2002年4月に改正水道法が施行され、水道事業者が貯水槽水道に関与できるようになって間もなく10年が経過しようとしています。この法改正は、水道事業者と設置者の両者の責任を給水条例に明記することで、水道事業者も貯水槽水道の維持管理に係る指導・助言や利用者に対する情報提供などを行うことができるようになるというものです。これを受けて、本市でも給水条例を改正し、水道事業者が貯水槽水道に積極的に関与する体制を整えるとともに、いまだ法的規制のない小規模貯水槽水道について、衛生管理に関する啓蒙活動を兼ねた実態調査を2003年度より実施し、その後も調査を継続していると聞いています。
そこで、質問です。
小規模貯水槽水道の衛生管理に関して、法改正以降、どのように取り組んできたのか、また、その取り組みの結果をどのように評価しているのか、お伺いします。
◎小田 配水担当部長 まず、1点目の小規模貯水槽水道に対するこれまでの取り組みについてお答えいたします。
法改正以前は管理実態も把握できていなかったことから、平成15年度から17年度の3カ年で、市内の小規模貯水槽水道の全施設8,621件を対象に、直接訪問による実態把握と衛生管理の啓蒙などを兼ねた調査を行い、あわせて、直結給水への切りかえのPRなども行いました。この実態調査の結果、管理状況が良好な施設とほぼ良好な施設を合わせても2割に満たなかったため、設置者の管理意識は十分ではないと判断し、平成18年度以降も点検調査を継続して改善状況の確認などを行っております。この調査は、水槽内部の汚れなど、早目の対応が必要な施設を優先しながら3年単位で行っており、今年度で3回目の調査が終了いたします。
次に、2点目の取り組みに対する評価についてお答えいたします。
これまでの9年間の取り組みの結果、良好あるいはほぼ良好な施設は全体の2割に満たなかったものが約4割にまで増加しており、また、施設・設備に不備があるものは約4割から2割に減少しております。
なお、これら不備があった施設のうち、受水槽内の水質が基準を満たさなかった施設は、当初の調査では62件ございましたが、平成19年度以降は報告されておりません。
以上のように、これまでの小規模貯水槽水道への取り組みにおいては、一定程度の成果が得られているものと考えております。しかし、依然として不備が改善されていない施設のほか、調査拒否により、いまだに維持管理状況が確認できていない施設も約2割残されているなど、まだ課題があるものと認識しております。
◆山口かずさ 委員 当初の実態調査の結果では良好な管理をされていた施設が非常に少なかったとのことでしたが、設置者の中にはそういった維持管理の知識が少ない方もいて、いろいろと難しい面もあったのではないかと思います。これまでの取り組みで、少しずつ改善に向かっているということですので、やはり、水道事業者の適切な関与によって設置者の手助けをしていくことが必要と私は考えます。
しかし、これまでの9年間の調査の中でさまざまな課題も顕在化してきていますので、今後、それへの対応が求められていくと思います。不備が改善されない施設に対する指導の継続はもちろんですが、調査を拒否している施設についても、行政が管理の実態を把握できていないということで不安が残ります。
そこで、質問です。
調査を拒否しているのはどのような施設で、その理由とはどのようなものなのか、お伺いします。
◎小田 配水担当部長 調査を拒否している施設についてお答えいたします。
調査拒否施設の約7割は、マンションやアパートなどの集合住宅で、残り3割は事務所や店舗などの業務系施設となっております。拒否の理由といたしましては、適切に管理しているので調査の必要がないとするものや、都合が悪い、あるいは協力できないといったものまでさまざまでございますが、これらの施設に対しては、衛生部局とも連携を図りながら、できるだけ早急に管理状況を確認する必要があると考えてございます。
◆山口かずさ 委員 調査拒否施設に必ずしも維持管理の不備があるということではないようですが、いずれにしても確認できていないことには何とも言えませんので、今後も管理状況の把握に努めていただきたいと思います。
このように、調査を拒否する、あるいは、不備が改善されないような課題がある施設には、設置者の意識の向上はもちろん必要ですが、その貯水槽水道を使用している利用者にも働きかける必要があるのではないでしょうか。貯水槽水道は、一般の利用者、マンションであれば住民の方となりますが、そのような方々にとっては、直接、目につきにくく、問題が起きない限り、意識されることは少ないと思います。しかし、問題が起きる前に防がれるべきであり、常日ごろの予防、つまり適切な維持管理とその継続が必要です。そこで、利用者自身が自分の飲み水にもっと関心を持つようになって、みずから設置者に働きかけるようになれば、設置者の意識もおのずと変わっていくのではないでしょうか。そのためには、設置者ばかりではなく、利用者の方々にも貯水槽水道の情報を提供するなどの働きかけが必要だと思います。
そこで、質問いたします。
利用者の方々への情報提供などについて、水道局のお考えをお伺いします。
◎小田 配水担当部長 利用者の方々への情報提供についてお答えいたします。
委員ご指摘のとおり、設置者のみならず、利用者の方々に自分の飲み水について関心を持っていただくことは、貯水槽の衛生管理に非常に有効であると考えております。このためにも適切な維持管理方法を広く周知することが重要と考えており、パンフレットの作成、配布やホームページなど、さまざまな媒体を活用したPRを行い、設置者の管理意識の向上とあわせて利用者への情報提供を図り、貯水槽水道の良好な自主管理体制の確立を目指してまいります。
◆山口かずさ 委員 2010年度では7,303棟の小規模貯水槽水道施設があると聞いています。しかし、貯水槽水道を使用している多くの利用者の方々は、先ほども申し上げましたが、自分の住んでいるマンション等の貯水槽水道が10立方メートル以上であるので、毎年、検査義務があるとか、それ以下であるから法的規制がなく、設置者の判断にゆだねられているなどは知らないのではないかと思います。ですから、利用者の目につくところ、例えば地下鉄や電車、バス車内などに大体のモデル世帯数を示して、自分の住むマンション等は一体どうなのかと疑問を持ってもらうような仕組みづくりをする必要もあると思います。また、貯水槽水道の検査済み証を見せていただきましたが、その有効期限が不明だったり、連絡先も記入されていませんでしたので、利用者が見てすぐわかるように、また、疑問を持ったらすぐに連絡ができるように変える必要があると感じました。
冒頭でも申し上げましたが、水道事業者が貯水槽水道に関与できるようになって間もなく10年になりますので、法的管理義務のない小規模貯水槽水道においても、利用者を守る観点から、法的規制をかける必要性について検証することを国へ働きかけていただきたいと要望し、私の質問を終わります。
○桑原透 委員長 以上で、
水道事業会計予算の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後4時38分
再 開 午後4時41分
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○桑原透 委員長 委員会を再開します。
次に、議案第12号 平成24年度札幌市軌道事業会計予算及び議案第13号 平成24年度札幌市高速電車事業会計予算について、一括して質疑を行います。
◆伊藤牧子 委員 私は、路面電車停留場の安全対策と利便性について伺います。
2月10日の財政市民委員会でも、路面電車活用計画案について議論がなされており、路線のループ化や新型低床車両の導入などとともに、既存の電車のバリアフリー化を図ることは大変重要なことだと思っています。既存の電停は、幅も狭く、車いすなども利用できませんが、バリアフリー化になりますと、高齢者や障がいのある方や子どもたちにとっても利用しやすくなりますので、大いに期待したいところです。
電車停留場には、電車の位置が危険なところも数カ所あります。私は、毎日、電車を利用しておりますが、特に薄野方向の西15丁目の停留場については曲線部に隣接し、横断歩道から離れた場所にあるため、停留場から横断歩道に向かう際には、利用者と車が接触するなどの危険性があります。またこの付近には、札幌医大病院、NTT東日本札幌病院、中村記念病院などが集中しており、高齢者の方の乗りおりが多く、電車をおりた後、どちらに進もうかと迷っている場面を私は電車の中から見ていつも冷やりとしております。
この停留場の安全対策については、2008年の決算特別委員会において質問し、その後、2009年4月に停留場のロードヒーティングの配電盤や標識等を南側に移設するなど、横断歩道からスムーズに停留場に行き来できるように改修工事が行われたところであります。しかし、停留場自体は横断歩道から離れているため、依然として危険な状態であることには変わりありません。事故が起きたら人の命にかかわることですので、路線のループ化により、今後、既存の電停のバリアフリー化も進められることもあわせ、特に乗降者の多い西15丁目の電停のさらなる安全対策を進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、既存の停留場のバリアフリー化については、道路の拡幅事業とあわせて実施することとしていますけれども、どのように進めるおつもりか、そのスケジュールを明らかにしてください。
また、薄野方向の西15丁目停留場については、ループ化を機に安全対策の検討を急ぐべきと考えますがいかがが、伺います。
◎富澤 技術担当部長 まず、既存の停留場のバリアフリー化のスケジュールでございます。
建設局が所管しております道路拡幅事業につきましては、南9条以北の道路を対象にいたしまして、平成25年度から32年度までが計画期間となってございます。交通局では、この拡幅工事に合わせまして架線や軌道の工事を順次行い、停留場のバリアフリー化につきましては平成27年度ごろから着手することとなる予定でございます。この中でも、西15丁目停留場につきましては、委員ご指摘のとおり、乗降人員の多い停留場でございますので、できるだけ早期に着手したいというふうに考えてございます。
次に、西15丁目停留場の安全対策でございます。
西15丁目の薄野方向の停留場につきましては、これまでも、ロードヒーティングの配電盤の移設による改良工事、また、一般車両に対して乗降中であることを示す電光表示板の設置、車内放送による注意喚起のアナウンスなど、歩行中の安全を確保する方策を講じてきたところでございますが、委員ご指摘のような抜本的な対策は道路が拡幅となることで初めて可能になることでございます。このことから、停留場の移設を含めた横断歩道との接続につきましては、道路拡幅に合わせた停留場のバリアフリー化を進める中で改善してまいりたいと考えてございます。
◆伊藤牧子 委員 平成27年ごろからバリアフリー化を進めるということで、ぜひ早急に検討をお願いしたいと思います。西15丁目は、本当に高齢者も多く、乗りおりも多いところですので、ぜひ進めていただきたいと思います。警察署との協議もあると思いますけれども、十分に検討を重ねていただきたいと思います。
次に、停留場の利便性についてお伺いいたします。
藻岩山ロープウェイが、昨年12月23日にリニューアルオープンし、電車の利用者もふえたということです。今後も藻岩山ロープウェイとの連携により、利用者をさらにふやしていく努力が必要です。現在、リニューアルに合わせ、ロープウェイ入口の停留場近くにロープウェイ山麓駅に行く無料のシャトルバスが運行されています。私は、ロープウェイ入口の停留場を利用しておりますが、時折、電車をおりた観光客らしい人から、どちらの方向に行ったらよいかと声をかけられます。私も案内表示板を探してみますが、非常にわかりづらく、冬で暗くなっておりますと、山側ではなくて反対側の方向に行く方もいらっしゃいます。藻岩山ロープウェイを経営する札幌振興公社が案内表示をしているということですけれども、観光客や利用者の立場に立ってシャトルバス乗り場の場所がすぐわかるような案内表示板にぜひ変えるべきだと考えます。
また、現在、電車の防護さくや運転席の背面部分に案内表示板を設置していますが、利用者にとっては、電車との位置関係で見てもすぐにわかりづらい案内表示板になっております。せっかくつくったのですから、ぜひおりたらどこに行くかがわかりやすいようにすべきではないかなと思います。札幌は、観光を産業振興ビジョンの重要な柱としていますが、私は、このような本当に小さな積み重ねが観光客をふやすために大事な取り組みではないかと思います。
そこで、質問ですが、藻岩山ロープウェイの利用者のために、電車内のシャトルバス乗り場の案内表示をもっとわかりやすい内容に改善する必要があると思います。また、利用者の起点となる西4丁目やすすきのの停留場に、だれが見てもわかるような案内表示板をぜひ設置すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 シャトルバス乗り場の案内表示についてお答えいたします。
現在、ロープウェイ入口停留場及び車内の運転席の背面に設置しておりますシャトルバス乗り場を示した案内板は、雪まつりの開催に間に合わせるために、急遽、職員の発案によって自作したものでございます。しかしながら、わかりやすさという点では、デザイン等にもう少し工夫が必要な点があります。このため、だれでも迷わずにシャトルバス乗り場をご案内できるような案内板をただいま製作中でありまして、早い時期に交換したいというふうに考えています。
なお、ロープウェイ入口停留場に掲示している案内板ですが、これは、防護さくに設置しているためにお客様の目線よりも下になっております。そういったこともありますので、新たに設置する案内板は、お客様の目線に合わせた形で、より視認性の高いものに変えていきたいというふうに考えております。また、西4丁目、すすきのの両停留場につきましても、同様の案内表示板を設置したいというふうに考えてございます
◆伊藤牧子 委員 最後に、要望になります。
やはり、観光客をふやすためには、交通局と観光文化局も含めて、ぜひ連携しながら進めていただきたいと思います。案内板に関しましては、これから観光シーズンが始まりますので、ぜひ、本当にわかりやすい案内板にして、もっと大胆に、だれが見ても、藻岩山に行けるのだ、藻岩山は本当に魅力のあるところだということがわかるような案内表示にしていただきたいと思います。
それから、先ほどのシャトルバスは15分置きに運行しています。バスを待つ身になりますと、特に高齢者にとってはベンチも必要ではないかと思います。今、ベンチはないのですね。電車もこれからはバリアフリー化を目指し、また、藻岩山も高齢者や障がいのある方、子どもたちにとっても利用しやすいバリアフリー化がされています。私は、この精神を、本当にいろいろなところの細部に、このまちが本当にバリアフリー化されているということがわかるように、ぜひいろいろなところに配慮して進めていただきたいと思います。
そして、先ほども言いましたように、観光は重要な産業ですので、お役所仕事ではなく、ぜひサービスということを考えていただいて進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○桑原透 委員長 次に、松浦委員からの通告がございますが、出席要請をしている市長は、現在、第一部で質疑を行っている最中です。第一部での質疑が終了次第、こちらに出席していただきますが、松浦委員は質疑を始めますか。
◆松浦忠 委員 はい。
○桑原透 委員長 それでは、質疑を続行します。
◆松浦忠 委員 市長にかかわるものは保留をして、出席してからということにいたします。
まず、SAPICAの普及率、利用率は、何パーセントぐらいになっているか、その点をお尋ねいたします。
二つ目は、去年の3月9日に、包括外部監査人から交通局の監査結果が出されております。その中で、保守点検など委託業務が多過ぎる、一般競争入札などを含めて、もっと競争性を持たせるものにすべきだという指摘があります。この監査人の意見に基づいて、何件について、どういう内容の改善を行ったか、改善というより、一般競争入札に移していったのか。
三つ目は、平成21年11月から23年2月14日の工期で、ATO、制御速度センサー試験装置というものを導入しておりますが、これをどのように利用し、この試験結果においてどういう保守点検、あるいは運行などに活用できたか。この設備は4,567万5,000円をかけて随意契約でやっておりますが、その点と、そして、製造会社はどこか。
次に、装置更新の中で、議会の資料の中に札幌市監査委員の報告書が一緒に入っておりますが、この監査委員の報告書の43ページに、東西線信号保安装置更新工事白石ということで、10億8,997万6,650円が掲載されております。東西線信号保安装置ということでありますが、この更新契約の札幌市の見積もり単価は幾らか、そして、契約を結んだ単価は幾らか、契約における予定価格と契約価格の率は何%であったか、それから、更新年数の基準はどこにあるか。
委員長、路面電車の関係については市長が来てからやりますので、まずは、今の地下鉄の関係を中心にいたします。
◎小西 事業管理部長 私から、1点目のSAPICAの普及率のお尋ねについてお答え申し上げます。
SAPICAにつきましては、平成21年1月から導入いたしました。直近の状況を申しますと、枚数で26万5,000枚を超えたところでございまして、使用率につきましては25%となってございます。
◎富澤 技術担当部長 設備更新に係る契約の特命案件の見直しでございますが、これにつきましては、さきの議会等でも、順次、見直しをしているとお答えいたしましたが、来年度、平成24年度に向けた見直しといたしまして、15件の業務を特命随契から入札に切りかえることといたしております。内容といたしましては、空調設備の更新業務で、これは駅の空調設備でございます。それから、一部エレベーターの保守業務でございます。そのほかに、指名競争入札で行っていたものを一般競争入札に切りかえるものが3件で、車両基地のクレーンの定期点検でございます。
次に、ATOの試験装置でございますが、これは、車両の定期点検時におきまして、ATO自動運転装置の性能確認を行うものでございます。メーカーは日立でございます。
それから、東西線白石駅の信号更新でございます。金額は調査中でございますけれども、更新の年限は、34年間使用して更新したものでございます。信号装置の更新年限につきましては、25年から30年を一たんの目安として更新の計画を立ててございます。
○桑原透 委員長 あとはわからないですか。(「はい」と呼ぶ者あり)
◆松浦忠 委員 わからないものはわからないでいいです。
まずは、SAPICAの普及率です。
去年、私が聞いたのでは、たしか20%と言っていましたね。5%しか上がっていない。たしか、私は、去年、20%と聞いたはずなのです。間違っていたら、訂正してください。去年がもっと低かったら低かったと。私の記憶では20%です。
なぜ、SAPICAが普及しないのか。これについて、交通局はどういうふうにとらえているのか、この点についてお尋ねします。
それから、保守点検業務です。
例えば、エレベーターです。今回、一般競争入札にしたのは何かといったら、業務用に使っているエレベーターだけなのですよ。お客さん用の一般の駅のエレベーターは一般競争入札にしていないのです。今、日本じゅうにエレベーターはたくさんあって、メーカー系列以外に保守会社もあって、みんなやっていますよ。小野委員もこれを取り上げたけれども、私は、八王子の監査によって――私の記憶では、八王子が自治体では全国で一番最初に庁舎のエレベーターをメーカー以外にやらせたと記憶しています。その後、私はそのことをもとにして取り上げて、小野委員も取り上げて、いろいろ移ってきました。
私は、こういう普遍的なものを、どうして、そうやって特定のところにいつまでもひっついているのかなと。いつまでも、特定のところにやらなければいけないという考え方に固着しているのかなと。固着です。こういうものは固執とは言わないです。個別にひっついていると。固執なんていうのは、まだ離れていて、しがみついているのだけれども、ひっついているのですよ。こういうのは固着と言うのですよ。どうしてそういうことをやっているのか、理解できない。
したがって、こういうものについては、即座にやらなければだめですよ。私がどうなっているのと言って、管理者に来てもらって、いろいろと話をしたら、私がちょっと言ったから15件ぐらいふやすかと。こんな感じでやっているようでは、2,000万円もかけて、包括外部監査人に頼んでやったこの報告書が一体どうなるのですか。借金会社の社長として、もうちょっとしっかりやらなければだめだ。
皆さんの月給は、一般会計の職員より一円たりとも低くない。横浜市の交通局の自動車部門は、もう何年も前から賃金が下がっているのですよ。札幌市は、そうではないでしょう。漫然とやっている。前の技術担当部長はどこの会社に天下りしていますか。管理者は答えてください。
それから、ATOの制御装置、オートマチック・トレイン・オペレーションです。
これは何かといったら、列車自動運転装置ですよ。この試験センサーを入れたということは、ここの3線の一番新しい車両に、取りかえた車両に自動列車運転装置がついている。無人運転ができる。こういうことになっているわけだけれども、無人運転に対する取り組みなどはどのようにしているのか、いつからやるのか、この点についてお尋ねします。
それから、信号制御装置であります。
めどが25年から30年ということですけれども、この目安は、何を基準に設定したのか、説明してください。
◎小西 事業管理部長 私から、1点目のSAPICAについてお答えいたします。
私どものSAPICAは、平成21年1月に販売を開始しましたが、現状は、地下鉄のみの使用となってございます。私どもの目標といたしましては、地下鉄のみの利用である24年度末におきまして、使用率30%を目標に、今、進めてまいっているところでございます。昨年度におきましては、委員ご指摘のとおり、20%をちょっと下回るぐらい、ほぼ20%の状況で、現状は25%ということですから、私どもの認識といたしましては、普及していないということではなくて、むしろ順調にご利用いただいているというような認識でおります。
◎下村 交通事業管理者 前技術担当部長の再就職先でございますが、これは川崎重工株式会社でございます。
◎田畑 高速電車部長 ATO試験装置、ATO運転を導入して、今後、無人運転をするのかというご質問でございますが、ホームさくを立ち上げて、地下鉄東西線、南北線、東豊線をワンマン化する計画でおります。したがいまして、将来的に無人運転にするというような検討は、今はしておりません。
◎富澤 技術担当部長 昇降機の保守点検についてでございます。
地下鉄駅の昇降機は、現在、私どもで管理しているものは、エレベーターで122台、エスカレーターで238台、合計360台の昇降機を管理してございます。保守の契約内容としては、いわゆるフルメンテ契約ということで、これは、部品交換も含めて各メーカーが計画的、継続的な保守管理をするという内容ですが、そういったことにより、安全性や必要な性能の維持を図っております。また、当局の管理体制の省力化もあわせて図る目的で実施しているものでございます。
この業務を入札化すべきというご指摘でございますけれども、昇降機につきましては、バリアフリーの観点からますますその信頼性が求められてきております。多数の昇降機を効率的に安全管理する、また、設置後30年を超えて老朽化が非常に進んだ昇降機もございますので、そういった昇降機の寿命を最大限延伸するための技術的な検討、部品の確保、さらには効率的な機器更新の計画、実施、こういった課題を解決していくためにはメーカーとの協力が不可欠というふうに考えてございますので、今すぐ入札化するのは適当ではないというふうに考えてございます。
それから、信号保安装置の更新年限の目安についてでございますけれども、25年から30年にしている理由といたしましては、一つは他都市の実績を参考にしていることと、使用している機器類の部品供給ができなくなる時期ということで設定しているものでございます。
◆松浦忠 委員 まずは、SAPICAの関係です。
これについては、去年、お買い物もできるようにするという機能をつけるときに、北洋銀行だけに発行させることに対して、例えば、東京や名古屋の例を挙げて、特定の北洋銀行だけという市のやり方に反対しました。やっぱり、そういうようなことが影響して出ていっていないということなのです。したがって、そのやり方が間違っていて、その結果が如実にあらわれているということなのです。
そういう点の反省を踏まえて、これをどう改善していくかと。改善ということは、北洋銀行1社ではなくて、どこでも使えるようにする。本来、乗車券をよそから買うなんていうことをしたこと自体が全くの間違いであって、自分のところのお金をいただく、その手形を他人に発行させるなんて、そんな間抜けたことをやるからこういうことになるのですよ。間が抜けたということは。(「バスに入っていないからだって」と呼ぶ者あり)
バスに入っていないからだけではない、それは。大きいか、小さいか、実証もしてないで言うのではない。そういう間の抜けたことをやっているからこういうことになっているんだよ。
間抜けたことというのは、間というのは、1間、2間の間です。抜けるということは続いているもので、途中で抜けているものを間抜けだ。間尺に合わないは、尺に合わないは、6尺なら6尺に合わないのを間尺に合わない、こういうことだ。
そこで、これをどういうふうに、今後、もう1年やってみて、少なくとも5割を超えないようだったら根本的にやり方を変えなければだめだ。
その点については、今、市長も来ているけれども、後で市長にまとめて答えを求めます。
そして、エレベーターの関係でわかりやすく一つ言うと、例えば、道庁なんかは全部がエレベーターです。あれだけたくさんの道民が来て、あるいは、一般の外国の人も来ます。そして、高層階ですよ。でも、あの古いものが今ちゃんと動いているよ。そして、庁舎だって、道庁も建てかえをしなければならない年限に来ているけれども、コンクリートを調べたら、まだ70年もつということで、90億円をかけてこれを補修して使う、こういうことを道庁はするわけですよ。それは何だといったら、金がなくて、道庁は職員みずからが8%なり、あるいは7%、6.何%の賃金までカットせざるを得ないような財政状況にあるから、みんな、知恵を出してやるのですよ。札幌市は給与を満額もらっているから、道庁が満額をもらったってそれより高い水準にある。そういう中で漫然とやっているからこういうことになるのです。
エレベーターについては一例です。ほかにだって、できるものはいっぱいありますよ。そういうものについては、これはきちんと一般競争入札にするべきだ。
これについても、後で市長の見解を伺います。
それから、前技術担当部長が川崎重工に天下りしていますけれども、川崎重工と札幌市交通局との仕事の関係、川崎重工にどういう内容のものをどれだけ発注しているか、この点について示してください。
それから、信号保安装置を1回かえれば10億円です。この信号保安装置は、25年から30年が目安だ、他都市だと。東京都の交通局は黒字なのですよ。東京都は黒字です。大阪も黒字です、交通局全体としては。それはどこでもうけているかといったら、地下鉄でもうけているのです。バスは赤字です。そういうところと、ここと。
それから、先ほどの答弁の中で、部品の供給とありましたけれども、どんな部品が何年で供給されなくなったのですか。そして、他都市では、装置のどこが故障して、何の部品が供給されなくて困ったことがありましたか、それを明示してください。
あるいは、札幌市の場合、更新前、26年か何年間か使ったと言っていますけれども、その使った間で、どのような故障が何回あって、部品もなくて、メーカー側がもうこれ以上使うことができないと言ったのか、それとも皆さん方が判断したのか、この点について明らかにしてください。
○桑原透 委員長 川崎重工と札幌市の関係と信号装置の関係の二つが出ました。
◎富澤 技術担当部長 川崎重工にどういったものが発注されているかということでございますが、川崎重工へ発注している大きなものは、地下鉄の車両の関係でございます。地下鉄の車両につきましては、ゴムタイヤ方式、札幌方式ということもございまして、当初から共同開発して、当初開発したメーカー以外ではなかなか製造できないということで、川崎重工に発注している状況でございます。
あと、継続的に発注している大きなものとしては、軌道関係の転轍機がございます。転轍機は札幌にしかない特殊な形状でございまして、更新はまだないのですけれども、修繕、改修、その他の業務につきまして川崎重工に発注しているところでございます。
それから、信号保安装置の部品供給ということでございますが、手元に細かいリストはございませんけれども、信号保安装置の中に使用しているリレーとか、個々のユニットが大体改版になっていくという形で、互換性のあるものが次第になくなっていくというのが実態でございます。そういったことから、全体を新しい互換性のないものに取りかえるとなると、取りつけのための改造が大きく発生することもございまして、時期を見て更新している状況でございます。
◎小西 事業管理部長 私から、今後のSAPICAの普及につきましてお答え申し上げます。
公共交通ネットワークにつきましては、地下鉄のみならず、バスあるいは市電とのネットワークの中で市民の足として利用されているということからしますと、現状の地下鉄のみの利用に限られているSAPICAの普及につきましては、おのずと限界があるわけでございます。したがいまして、来年度早期に向け、現在、バスと市電への利用について鋭意開発中でございますので、それが実現すればかなりの普及増になるというふうに考えております。あわせまして、その開発が終わった後の次の段階といたしまして、保健福祉局との協議となりますけれども、お年寄りにお使いいただいております敬老福祉乗車証、あるいは、障がい者の方にご利用いただいております福祉乗車証についても、SAPICAの実現につきまして、今後、検討を進めてまいりたいと思ってございます。
◆松浦忠 委員 答えになっていないのだよ。
例えば、川崎重工業の関係、それから信号保安装置です。
私が聞いているのは、川崎重工業に幾ら発注しているかと聞いているのですよ。札幌市の地下鉄は、皆さんもご承知のように、丸紅と札幌市が共同開発してきたという経緯があります。そして、しばらくは、すべての維持管理などを含めて、丸紅と札幌市が契約をしてきました。私が1983年に議員に出て以降、当時、社会党の議員がこれを取り上げて、丸紅ともうそろそろ縁を切っていいのではないかということの中から丸紅が外れていったという経緯があります。
したがって、車両などについては特許があって、川崎重工業がゴムタイヤ方式の開発特許を持っていて、他のメーカーが特許料を払わなければ使用できないという状況になっているのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
それから、信号装置ですけれども、継電器やユニットなどは、幾らでも、札幌市が型を残しておいてほしいとメーカーに要請すれば、メーカーはユニットなどプリント板の型を残します。これは、3,000円や5,000円でホーマックに行って買ってくるものと違うのだから、10億円ですからね。
それでは、私が先ほど聞いたように、25年間にどういうふうに故障件数がふえてきたのか。そして、その故障が多くて、とてもではないけれども、この設備は使用に耐えないという状況になったのかどうか。年間160億円もの赤字を出して、一般会計から補てんを受けているこの会社の管理、経営では、とてもそんな抽象的な話で納得できるものではない。そこのところはきちんとしてください。
そして、前技術担当部長が、設備の総括責任者、技術の責任者である部長が、その人が川崎重工に天下っている。こういう実態は、癒着以外の何物でもない。こんなことをやっていて、さっき言ったように、エレベーター一つをとっても、ああでもない、こうでもないと理由をつけている。今、メーカー系列以外の保守会社もたくさんあります。部品供給をしないと言ったけれども、過去に、部品供給をせざるを得なくなって、これはするようになっています、いろいろな経緯があって。
したがって、きちっと一般競争入札に付する。そして、特許があって、どうしても、このエレベーターはほかの会社が特許料を払ってまでやっても合わない、こういうものについては、それはそれで仕方がないでしょう。そういう検討を具体的にしたのですか、答えてください。
◎下村 交通事業管理者 前任の技術担当部長でございますけれども、この部長は、在職した36年間、一貫して交通局の技術畑にいるわけでございますが、29年間を車両技術の業務で研さんを積みまして、鉄道に関する技術的な高い見識を持っておりました。この間、車両機器の検査の自動化とかパンタグラフの小型化、あるいは、偏摩耗に関する共同研究とか、タイヤ車両の検査周期を延伸する法改正に技術的指導者としてかかわりました。また、在職中の共同研究等を通じて、他の鉄道業者の技術者のほか、全国的な鉄道に関する専門家としての技術交流がありまして、これら幅広い経験をもとに、特に車両製造における新造車両のコーディネーターとしての高い能力が車両メーカーにも有能な技術者として評価されたものでございます。
平成21年4月に、登録事業者への再就職者の本市職員に対する営業活動制限の強化を内容とした札幌市職員の再就職に関する取扱要領を施行しているわけでございますが、私どもからは、退職する際には、本人にこの内容を説明して、これを厳重に踏まえて判断するよう指示をしておりますし、その他の職員を含めて、日ごろからこの取り扱い要領の周知徹底を図って遵守するよう指示しております。この職員に関しては、私どもからあっせんしたという事実もございませんし、こういったことから、市民からの疑念を抱かれるようなことがないよう、今後につきましても、この取り扱い要領を厳正に運用していきたいと考えている次第でございます。
◎富澤 技術担当部長 まず、川崎重工への発注額でございますが、平成22年度の分で申しますと、車両の新造及び改造といった内容で合計約28億8,000万円ございます。
信号装置の故障の件数は、申しわけございませんが、今、資料がございませんので、後ほど報告させていただきます。
それから、川崎重工で特許があるかということがございましたけれども、車両に関する特許は、今、ございません。
昇降機につきましては、メーカー以外でやらせることを検討したことがあるかというお尋ねだったかと思いますが……(「特許、特許」と呼ぶ者あり)
申しわけございません。特許につきましては、一部、メーカーの中で持っている特許はございますけれども、直ちにそれがメーカー以外は保守業務ができないといった制約になるような特許はないと理解しております。
それから、メーカー以外に出した事例は、本局庁舎のエレベーター等を出しております。これについては、POG契約、フルメンテナンスではない形で契約してございますので、職員が部品の更新も管理している状況でございます。
○桑原透 委員長 松浦委員に申し上げます。
市長は、公務のため、18時10分に退席いたします。
市長への路面電車の質問から先に行っていただくようお願いいたします。
◆松浦忠 委員 市長にちょっと申し上げますが、私は何回も申し上げているけれども、いいですか、議会中は、皇族がおいでになったとき以外は、板垣市長以来、今まで抜けるということはないのですよ。議会はあなたの職務ですから。何があるか、私は聞きませんよ。議会中は、議会の審議に呼ばれたら終わるまできちっと誠実に対応する、このことを強く求めておきます。きちっとやってください。
そこで、先ほど質疑の中でありました川崎重工の車両の問題です。これについては、特許はないのですよ。なぜ私がこういう質問をしているかといったら、中国では、フランスやドイツなどの新幹線の車両を入れて、中国がいいところをとって独自につくった車両が事故を起こした。それで、日本の車両も特許を持っていません、外国も持っていませんということが明らかになった。以前、私が国鉄にいたときに、信号装置もそうですけれども、すべてのメーカーが開発したものの特許なんていうのは取っていなかったのです。今も基本的には変わらないと思いますよ。そうすると、さっき、なぜ私が丸紅との関係を言ったかといったら、この問題を取り上げたのは、当時、我々が昭和58年に出た当時、社会党の伊与部議員ですよ、これを取り上げたのは、丸紅との関係を。
そして、例えば信号の保守会社、電気の、あれなんかも日本信号がずっと社長をやっていたのです。日信電子です。これも、伊与部議員が取り上げて、今、札幌市の天下りが社長をやるようにした。こういう経緯があって、丸紅も手を切らせた。当然、交通局の経営に大きな影響を及ぼす車両と信号制御装置など、10億円単位のものはきちっと一般競争に付すのが当たり前ですよ。
そして、さっき聞いていたら、下村管理者は、前技術担当部長はあれにかかわったとかこれにかかわったとかいろいろなことを言っていますけれども、それでは、この人は、そういう特許などを取得して、東京大学を含めて、本当に高い評価を受けているのかどうか。いいですか。メーカーは何のために、あるいは会社は何のために役所の人を雇い入れるか、あるいは、元請の人を雇い入れるかといったら、請負に回る側は、そこから仕事をもらう、人件費を含めてその何十倍か、何百倍かの仕事をもらう、そのことを期待して受け入れるというのは、これは、もう日本の定まった説ではないですか。定まった説ですよ、これは。
したがって、そういうようなことをきちっと断ち切る。(「富澤さんが行くのかどうか聞けよ」と呼ぶ者あり)富澤部長の問題ではない。こういうことをどうするか。これは市長の経営姿勢の問題ですよ、はっきり言って。そういうことをきちんとやらないで、湯水のごとく、はっきり言って交通局のだらしない経営について、一般会計からだらだらと多額の税金を繰り入れていく、こんなことは許されないです。
そこでまず、市長、エレベーターです。道庁なんかは全部やっています。どこだってエレベーターは一般的に保守していますよ。したがって、僕は、これは即座にやるべきだと思うのですけれども、市長、いかがですか。これが一つ。
二つ目は、車両、信号装置です。
この信号装置については、メーカーはそれぞれ言い分があるでしょう。それでは、もう一つ、部長に尋ねる。さっき私が尋ねたけれども、答えなかったよね。さっきの質問に答えてよ。10億8,997万6,650円のものは、予定価格が幾らで、契約価格は幾らだったのか、入札率は何ぼだったのか。さっき、肝心なことを答えてないでしょう。
これらを含めて、いわゆる設備の管理ですよ。維持管理の管理、統計的な管理です。これをきちんとやって、その上で、どこで取りかえるかという判断をしなければだめだと言うのですよ、私は。これだったらメーカーの言いなりではないですか。
まず、さっきの予定価格と契約額の率、金額は幾らか。それを聞いてから、市長、答えてください。
◎富澤 技術担当部長 白石の信号保安装置の更新の入札率でございますが、100%となってございます。予定価格と契約額は、同額でございます。
◎上田 市長 昇降機、車両、信号機というお話でございますが、安全性との関係で差し支えないものについては一般競争入札が可能であるというふうに思いますので、そのような方向で、どれが継続的な契約でなければならないのかということをしっかり判別し、そして、お答えできる、合理的な理由が説明できるもの以外については、基本的にはおっしゃるとおりである、このように思います。
◆松浦忠 委員 市長は、極めて一般的な感覚でお答えいただいていると私は思うのです。
そこで、管理者、あなたも市長から分社の社長として任命されてやっているわけですからね。あなたを任命している任命権者が今みたいな考え方でおられるのだから、あなたは、それをきちんと受けとめて指揮命令をきちっとしていかなければだめではないですか。
例えば、電車の台車の補正予算が去年にありましたね、あのときも私はあなたに何回か言いましたよ。あなたは、川崎重工に発注すると言いました。それで、私は、そんなことをしないで、地元の製缶業者などに、きちんとした設計図をつくって、それに基づいて地元にやってもらいなさいと。地元の雇用の確保、地元での技術を確立する、こういうことも大事だからということを言いました。そして、どうして川崎重工にこだわるのかと思って聞いてみたら、前技術担当部長がそこへ行っていたということがわかって、私も唖然としたのです。そういう天下りと癒着の関係を大赤字の交通局がいまだに延々と続けているということは、もはやギリシャに次ぐ札幌市交通局ということになりますよ。したがって、この点についてはきちんとやっていただきたい。
それから、富澤部長、100%ということはどういうことなのですか。見積もりをもらって、それをそのまま計上したということですか。それとも、あなたが積算をして、その金額に会社がぴたっと合ったということなのですか。どちらですか。
○桑原透 委員長 答えられる方はいますか。
◎富澤 技術担当部長 積算の詳しい資料は、今、手元にございませんが、基本的な積算の仕方といたしましては、機器部分につきましてはメーカーの見積もり、それから工事部分につきましては工事の積算、これを合わせて予定価格をつくっているということでございます。
入札の経過ですが、1回でこういう形になったのか、何回か札を入れていただく中で予算枠の中に入ったのかというあたりにつきましては、申しわけございませんが、今、手元に資料がございません。
◎下村 交通事業管理者 先ほど松浦委員がおっしゃった中に、路面電車の台車枠の更新については、川崎重工につくらせるという管理者の発言があってつくらせたというようなお話だったのです。(発言する者あり)そうですか。
要は、地元の業者に発注できないのかと常々おっしゃっておられたと思いますが、台車枠更新の発注に当たりましては、実は、時間がかかりましたけれども、台車枠製造の実績要件をつけないで地元の業者でも受注できるように配慮して行いました。また、入札方式としては、輸送機械器具製造業の登録業者を対象とした一般競争入札で実施いたしました。
しかしながら、対象となる、いわゆる性能を発揮する台車枠をつくれると手を挙げた登録業者は、対象となる方は市内業者でもいたのですけれども、結果として応札される方はいなかったという結果でございます。
◆松浦忠 委員 では、その台車は、結果としてどこが落札したのですか。まず、それが一つです。
それから、富澤部長、結局、今の答弁を聞いていたら、要は、メーカーから見積もり額をもらってそのままやったということですよ。そんなものは、後で私が資料を見せてもらったらすぐにわかる話です。それが、交通局の経営実態だということです。経営者としての感覚がゼロとは言わないけれども、限りなくゼロに近い状況だと言わざるを得ない。さっきの答えからいったら、市長は非常に残念に思っていると思います。
そこで、下村管理者、台車は、何社が応札して、どこが落札したのですか。
◎下村 交通事業管理者 落札者は、川崎重工株式会社北海道支社でございます。応札者は、1社でございます。
◆松浦忠 委員 交通局は、全部、業者の言いなりです。そして、どんどん赤字をふやして、それは親会社の社長である上田市長、埋めてください、お願いと。今、世間で話題を集めているどこかのやめた社長と似ているね。大王製紙ですよ。似ているよ、これは。(発言する者あり)
いやいや、何もばくちをやったと言っているのではないですよ。金にけじめがないということについては、感覚がないということについては、私に言わせたら同じだということです。したがって、こういう経営実態の中で任せておくということは、極めて問題がある。
したがって、市長、私は、きちんと経営感覚のある管理者を外部からでもいいから招聘して、交通局の管理に当たらせるべきだと思うけれども、いかがですか。
◎上田 市長 当面、その考えはございません。
ただ、市電についてもそうですし、非常に大きな投資を必要とするものでありますので、乗り物につきましては、長もちするということ、安全性を確保できるということを第一義的に考えなければならないことでありますので、そのことを十分に頭に入れながら、しかも、なるべく低額で安い価格で導入できるということを常に念頭に置きながら仕事させていただきたい。私どもも、交通局にはそのように要請していくというふうにさせていただきたいと思います。
◆松浦忠 委員 市長、私は、管理者、経営責任者を外部から招聘すべきだというふうに思いますけれども、それについてはいかがですか。
◎上田 市長 ご意見としては、十分お伺いしておきます。
ありがとうございました。
◆松浦忠 委員 意見としてということは、聞きっ放しというだけではなくて、やがて、来年もまたこういう決算議会もあり、これはお互いの任期まで続く話ですから、決算議会までにしっかりとどういう改善点を出すのか、その点を注視して、この関係はこれで終わりたいと思います。
そこで、市長、ループ化の問題であります。
地上の軌道電車のループ化について、私が会って話を聞いた人の中では、ごく一部はループにしてそうかと言う人もいますけれども、大半の人は、ループ化にしたってそんなに人が乗るわけではないだろうと言うのです。今、南4条から大通まで地下通路もあります。人間が歩く地下通路もあります。狸小路のところには出口もあるでしょう。そうすると、ループにして電車を回遊させたことによって時間が短縮できても20分という話なのです。ぐるっと乗れると言っても、南4条から乗って、20分余計に乗れば40分たったらこっちに来るのです。したがって、そういうことになぜ19億円をかけるのかと。市長の考えとは交わらぬところだろうけれども、多くの市民にはこれがあるのですよ。ここのところを、きちんと、もうちょっと、本当に市民との合意――私らも、はっきり言って、これはどう考えても理屈に合わないなと思っています。
いいですか、市長。市長の理念と、現実に税金を納めていただいて、その税金を使ってやる仕事とを、必ずしも一致させることは難しいのです。現実には電車も赤字です。やるとしたら、先に、今の路面電車の体制の中で運行などを民間に委託をして、黒字にして、それからではないかというのが、ほとんどの皆さんがそうなのですよ。
この点については、私は、少なくともそれはそうすべきだと思うのです。この点については、やる気になったらできるのです。ただ、市長の意思の問題です。私は、せめてこのぐらいはやってからやるべきだと思いますけれども、市長、いかがでしょうか。
◎上田 市長 さまざまな経営改革をしていかなければならないということについては、私も同じ考えであります。後先をどちらにするかということではなくて、市民に負担かけないようにするためにはどうしたらいいかということを常に頭に置きながら事業を進めたいと考えておりますので、そのことは同時並行的に考えていかなければならない問題だ、このように思っております。
◆松浦忠 委員 私も市長も、任期は平成27年5月1日までなのです。27年5月1日までの間に、市長は今のループ化を完成させると言っています。26年に完成させると言っていますね。そして、経営の改善はその先だ、こう言っているのです。
そうしたら、市民に税金で負担を強いるか、強いないかという一番大事なところは、だれがやるかわからぬ、自分の責任の外に置いて、お金のかかる部分だけはやってしまう、自分の責任でやると。後の借金の始末は、次の任期の人がだれかやってくれと。これは、行政の仕事のやり方で国民から最も批判を受けているところなのですよ。きちんと任期内で物事を処理したのが、私の記憶の中では大阪の橋下市長だけです。あの人が、なぜ、国民から、大阪府民から支持を受けるかといったら、あるいは大阪府民から票を受けるかといったら、そういうことなのです。
したがって、ここは、きちんと先に――やる気になったらこれはすぐにできます。経営を移行して、黒字にする。任期内で黒字にすることをまず先にやって、その後の任期内でループ化するならする、こういうような手順にすれば、これはやってできないことではないのです。
この点について、市長、私は、やっぱり考え方をきちんともう一回再構築してやるべきだというふうに思うのですけれども、市長は、そういう再構築をする考えはないですか。どうですか。
◎上田 市長 ですから、同時並行的にやりましょうと言っているわけです。
◆松浦忠 委員 同時並行ということは、少なくとも、ループ化するときには、ループ化の営業を開始するときには、今の経営形態を民間に委託する、こういう形の中でやるというふうにここで明らかにされるわけですか。
◎下村 交通事業管理者 今、私どもが進めている軌道事業の経営の見直しにつきましては、同時にループ化を進めていき、その中で、将来の抜本的な経営の改善のためにはどういう形がいいのかということも、あわせて、今、市長が申し上げたように、同時に検討を進めているところでございます。
ただ、今まで走っていなかったところに新たに路面電車を入れてループ化して、なおかつ、積雪寒冷による凍結路面の中で一般交通との併用軌道にもなっており、これを一気に経営形態もかえてやるのは非常にリスクが高いので、我々としては、万全な体制のもとでループ化を先に実現して、軌道では特許と言いますけれども、新たな延長部分の特許申請の基準に見合うように、間に合うように合理化を進めていきたい、経営の見直しを進めていきたいなというふうに思っております。
◆松浦忠 委員 私は、下村交通事業管理者に聞いているのではないのですよ。札幌市交通局の経営責任者として、市長が、ループ化と経営改善を検討するのは並行でやるさ、それは、だれでも。要は、市民が求めているのは――私もそうですよ、求めているのは。私は何年も前から言っています。一向に進まない。国に聞いたら、国は、具体策が出てくればやると言っていますよ。一向に進まない。
したがって、私は、市長に再度尋ねたいのですけれども、ループ化と同時に、同時にで結構ですが、同時に運行形態を民間に移す、こういう形でやるということで進んでいくのですか。それとも、今までどおり、ループ化を先にやって、運行形態はずっと考えていくということですか。ずっとということは、今は2020年ごろと言っていますが、そういうことなのかどうかということを改めてきちんと表明してください。
◎上田 市長 そのことは検討中だということで、先ほどからお話し申し上げているところでございます。
◆松浦忠 委員 今まで、私が説明を受けてきたのは、ループ化が先で、経営形態を移行するのはその先ですという説明を委員会で受けてきています。それから、予算なり決算なりの資料の補足説明でも、管理者を初めとして、皆さんにおいでいただいて受けた説明もそうですよ。したがって、僕は、そこのところをはっきりしていただきたいということを市長に申し上げているのです。これは、市長としての一つの権能の中で市長が判断することですから、明確にお答えください。
◎上田 市長 活用計画案というものを出しておりますけれども、同時並行的に、さまざまな経営改善についての検討を加えながらやっていきましょうと申し上げているわけでありますので、直ちに後先ということよりも、同時平行的にと私は申し上げているわけでございますから、そのことをご理解いただきたい、このように思います。
◆松浦忠 委員 これは、全く理解できない、市長。
これで最後にしますけれども、金を使って、市民にも関係の業界にも喜んでもらって、職員の痛みを伴う民間委託化という問題については、選挙母体である職員に配慮をして、全く手をつけないで任期満了していくという上田市長の基本的な姿勢が、私には見えました。これが見えたから、これで終わります。
◆金子やすゆき 委員 夜も更けてまいりましたので、私からは、2点、簡潔にご質問させていただきたいと思います。
まず、今、松浦委員からもご質問がございました軌道事業会計につきまして、大きく分けて2点ご質問いたします。
1点目は、非常勤職員の雇用形態につきまして、それから、2点目の質問は、公営企業会計制度の改正への対応について、それぞれ伺ってまいります。
まず、1点目の非常勤職員の雇用形態の問題でございます。
今の議論でもございましたが、市電のループ化を行うためには、まず、長いこと、市電が赤字を垂れ流しているという現状があります。そして、ループ化を実現するためには、今、理事者からもご説明がありましたけれども、まずは国の特許を取らなければならないと。特許はどうするかというと、赤字を垂れ流していることをストップしなければなりません。どうするかというと、先日の代表質問でも、運賃を値上げする、もう一つは、経費を削減するというご答弁がありました。経費の削減はどうするのだということでありますけれども、これは、人件費の削減をするというご説明があったかと思います。人件費をどうやって削減するかというと、非常勤職員を活用することによって人件費を削る、こういうご説明だったかと記憶しております。
そこで、交通局の非常勤職員とはどういう制度なのか、ご説明を伺いました。
交通局の軌道の非常勤職員は、路面電車の運転手、第2種非常勤職員(採用困難職)ということで、28名の運転手がこの職で働いておられます。28名の方々の平均年齢が約32歳、勤続年数が5年9カ月ですが、こういう年代になってまいりますと、恐らく、ご家庭を持って、お子さんもいらっしゃって、そろそろマイホームを建てようかなという年齢に差しかかってくるころだろうと思います。
非常勤職員というのは、この名前のとおり、1年更新ですから、来年更新されるかどうかは、条件がついておりまして、勤務成績が良好な場合は更新することができる、こういう条件つきのいわゆる非正規職員ということになります。こういう非正規職員になりますと、さあ、マイホームを建てるぞといって住宅ローンを組もうとしても、銀行は住宅ローンを融資してくれません。
そして、この非常勤職員は、更新されたらどの程度の昇給があるのかとお尋ねいたしましたところ、私もこれを聞いて驚いたのですけれども、1年しっかりと勤務して、契約更新されて、翌年に給料が幾ら上がるのかというと、大体、月額1,000円前後しか上がらないと言うのですね。60歳に達する年まで、毎年、契約が更新されるかもしれないのですけれども、一年一年上がっていっても、月々1,000円しか給料がふえない。このように非常に不安定で、かつ、極めて条件が悪い職種に置かれているのが非常勤職員の運転手の方々だというふうに思うわけです。
今お話がございましたけれども、交通局の幹部の方々は、退職すると川崎重工という一流メーカーに天下りされていく。札幌市と川崎重工の関係を申しますと、どっちが上かはわかりませんけれども、むしろ天上がりなのではないかと思うわけで、非常にうらやましい。一方で、経費削減のしわ寄せを若い人に寄せていくというのは、私は考え方としてこれは間違っているというふうに思います。経費削減が必要なのはもちろんわかるのですけれども、やっぱり、若い人が不遇をかこっていて、いつまでたっても正職員になれない、こういうものを官製ワーキングプアと言うのではないかなというふうに思うわけです。上田市長はもうお帰りになってしまいましたけれども、公契約条例の中でワーキングプアを何とかしていきたいと、こういうお考えとはちょっと矛盾点があるのではないかなというふうな気がするわけでございます。
そこで、お尋ねいたしますが、まず、人件費削減については、非常勤職員のみに頼るのではなくて、今の人事制度を改めて、今いらっしゃる職員の人事制度を含めて、トータルで削減を図っていくべきではないかと思うのですけれども、お考えを伺いたいと思います。
◎小西 事業管理部長 ただいまお話がございました非常勤路面電車運転手の処遇改善と人件費をどう効率化するかということでございます。
まず、非常勤運転手の処遇改善につきましては、私どもは、今後、持続可能な経営形態の見直しを検討する中で解決していかなければならない課題だというふうに認識しております。ただ、先ほどの議論の中にもございましたけれども、札幌におきましては、全線、自動車交通との併用軌道ということとあわせまして、積雪寒冷地だということで、運行の技術、技能の伝承が非常に難しいということ、そして、安全運行の維持が至上命題になってくるわけでございます。したがいまして、当面の間は、現行の経営体制の中で非常勤職員の拡大を行いまして、これまで培ってきた技術伝承を行い、今後、新たな運送事業の担い手があらわれました場合には、非常勤職員の身分移管ということも考え合わせた上で、安全技術を円滑に移行していきたいというふうに考えてございます。このことを通しまして、非常勤職員の処遇改善もあわせて図られるよう検討してまいりたいと思ってございます。
それから、トータルでの人件費削減でございます。
人件費の削減につきましては、一つは、単価という部分もありましょうし、あるいは、今後、我々が検討していかなければならない部分につきましては、1人の運転手が運行する1日の運行時間を引き上げることが可能かどうかという部分で、トータルでの人件費コストの削減も選択肢の一つと考えられますので、あらゆる多面的な方向から、効率化、人件費削減の方向を考えてまいりたいと思ってございます。
◆金子やすゆき 委員 今、非常勤職員の処遇改善を検討していきたいという大変力強いご答弁をいただきました。また、運転手の運転時間をふやしていくというご説明もありました。ただ、原局から、既に運転手の運行ダイヤについてのご説明をいただいておりますが、これを見ていて、果たして本当に可能なのかと疑問を持つわけでございますけれども、時間がありませんので、そこは割愛させていただきます。そこで、私からは、今、部長からもご答弁いただきましたが、処遇改善をしっかりと検討していただいて、先に進めていただくことをまず要望させていただきます。
2点目は、公営企業会計制度の見直しについてでございます。
ことしの1月に総務省が出した会計制度の見直しにおきまして、恐らく、軌道事業会計でもさまざまな影響があろうかと思います。
まず、これにつきまして、どのような影響があり、どのように対応されていくのか、これをお伺いさせていただきます。
あわせて、この中の借り入れ資本金の負債の計上、あるいは、みなし償却の廃止ということで、多分、軌道事業会計の自己資本比率に大きな影響が出てくるのではないかと思うわけです。果たして、資本不足になる懸念はないのか、自己資本比率がどこまで下がるのか、この点もご答弁いただきたいと思います。
◎小西 事業管理部長 ただいまお尋ねのございました会計制度変更についてでございます。
国におきましては、地方公営企業会計制度の見直しを平成26年度の予算及び決算から変更ということで、我々もそのスケジュールに合わせて、今、準備中でございます。
その主な変更点を三つ挙げさせていただきますと、従前、建設債は借り入れ資本金として資本の部に計上してございましたけれども、新しい会計基準では負債の部に振りかえることになります。あるいは、従前、固定資産につきましては、補助金充当部分を減価償却しないみなし償却が認められておりましたけれども、このみなし償却制度が廃止されること、それから、退職給付引当金などの引当金の計上が義務化されること、こういったことがポイントになろうかと思います。
るるの変更がございますけれども、例えば、みなし償却で申しますと、従来、補助金により取得した固定資産につきましては、毎年度、補助金相当部分も今後は減価償却することになります。一方、固定資産の取得財源となりました補助金につきましても、これまでは資本の部の資本剰余金に計上したままとなってございましたけれども、会計基準の変更に伴いまして、負債の部の長期前受け金に振りかえた上で、減価償却に見合う額を、毎年度、収益化するため、費用と収益が相殺されることになります。これらの変更につきましては、財務諸表上の整理の仕方の変更でございまして、経常収支の部分につきましては影響を及ぼすものではないということでございます。
それから、退職引当金につきましては、例えば、軌道事業で申しますと、8億円の影響がございます。この引当金につきましては、損益計算書の上では特別損失という形で処理することになるため、経常収支には影響を及ぼしません。ただし、累積欠損金はその時点でこの額だけ増加することになろうかと思います。ただし、引当金制度自体は、長期にわたる費用の平準化を目的としているため、資金自体には影響を及ぼさないということと、その引き当て自体により経営状況が悪化するものではございませんので、長期のスパンで考えますと収支に与える影響は少ないものと考えてございます。
それから、自己資本比率は、現状は56.5%でございますが、制度変更に伴いまして、22.9%ということで比率が下がることになります。
また、今後の事業に与える影響でございますけれども、国におきまして、資金不足比率という指数がございまして、これが20%あるいは10%を割ることによりまして、財政健全化団体の指定や、起債に当たって協議から許可ということで、建設事業について非常な制約がかかることになります。しかし、資金不足比率の算定に当たっては、今回の制度改正では影響させない措置をとると国では申しておりますことから、今後の事業運営に直ちに影響を与えるものではないというふうに認識してございます。
◆金子やすゆき 委員 大変わかりやすいご説明をありがとうございました。
会計制度の見直しというのは、あくまでバランスシート上の見直しでありますので、収支については影響がないのは当たり前の話なのですね。
今、数字を一ついただきました。3本ある大きな見直しの中で、一つは、退職給付引当金が8億円あるということです。恐らく、期末要支給額が8億円あるということだと思うのですが、これは特別損失で立てるということですけれども、どこかの1年で特損として上げられるのでしょうか、何年度に上げられるのですか。
◎小西 事業管理部長 先ほど申しましたように、平成26年度の予算の段階及び決算の段階から新会計制度が導入されますので、その時点からというふうに考えてございます。(「単年度ですか」と呼ぶ者あり)
一括で考えてございます。
◆金子やすゆき 委員 ちょっとおかしいなと思うのです。
先ほどの小西部長のご説明で、これは長期平準化という観点から行うものだという話ですけれども、そうであれば、一括で特損で上げるというのは矛盾するのではないかと思うのです。
これは、総務省の出しております地方公営企業会計制度の見直しについてですが、これをよく読んでまいりますと、恐らく全国どこの公営企業でもそうだと思うのですけれども、退職金をきちんと積み立てていない公営企業において、一括で損を出してくると大変な負担になりますから、そうしなくてもいいように経過措置が設けられております。これは、その組織の全職員の退職までの平均残余勤務年数に応じて、案分して特損を出していって構いませんというふうな経過措置が定められているのですね。
札幌市の交通局、軌道事業の従業員の皆さんの平均年齢は大体50歳ですから、定年までは10年あります。8億円の特損を10回に分けて出すことも構わないわけですけれども、どうしてそうされないのでしょうか。
◎小西 事業管理部長 制度的には、委員がおっしゃったように、分割も認められてございますが、現実的には資金に影響はございません。それから、先ほど言ったように、今後、建設事業を行うに当たって例えば建設債の発行にかかわる制約等もございませんので、分割して計上する実益が余りないというふうに理解しておりますので、この際、一度に計上した方が適当なのかなというふうに考えてございます。
◆金子やすゆき 委員 わかりました。
実益がないというご説明で、ある意味、胸の中ですとんと落ちた気はいたしますけれども、会計的に申しますと、退職者は毎年出てくるものでありまして、一度に全員がやめるわけではありません。ですから、毎年毎年の損益を確実にきちんと把握していくという観点から言うと、一度にどんと落とすというのは会計原則から外れるのですね。なぜ、平成26年度にまとめて1年でやるかというと、今後の軌道事業会計を考えるときに、毎年8,000万円の特損を出して足を引っ張られるよりは、そこで1回で出しておきたいということだと思うのです。でも、僕は、そういうことは、軌道事業会計では果たして利益が出ているのか、出ていないのか、このことに対する市民への目くらましではないのかなという気がするのですね。
会計制度については、これ以上申し上げても意見のすれ違いになりますので、これ以上は申し上げませんけれども、やっぱり、市民もこの収支は本当に黒字になるのかということをきちんと見ていますので、そこのところはきっちり認識して当たっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
◆小竹知子 委員 私からは、大きく2点質問いたします。
1点目は、地下鉄駅の有効活用について、2点目は、駅構内の安全利用に向けたマナー向上への取り組みについてお伺いいたします。
まず初めに、地下鉄駅の余剰空間の有効活用については、昨年の3定の決算特別委員会において、積極的な増収策の一つとして、駅の空きスペースを活用する取り組みについて私から質問いたしました。そのときにいただいた答弁では、大通駅を初め、南郷18丁目駅など4駅6カ所の空きスペースの募集を行ったところ、3日間にわたって行われた現地見学会に19の民間事業者が参加され、11月下旬には出店者を決定したいとのことでした。
そこで、質問ですが、このときの公募によって最終的に何カ所に出店されることになったのか、また、それによってどのくらいの増収が図られることになったのか、伺います。
◎小西 事業管理部長 今回の駅施設の有効活用にかかわります公募では、委員がお尋ねのように、4駅6カ所の募集を行ったところでございます。その結果、3事業者から申し込みがございまして、3駅3カ所に出店をいただけることになりました。
具体的な箇所でございますけれども、円山公園駅のバスターミナルの2階に、障がい者に就労支援を行う作業場とその販売コーナーが設置されることになりました。また、南郷18丁目駅では、既存のキヨスクがその面積を拡張されることになりました。さらには、大通駅でございますけれども、改札の中に売店とコーヒーショップの2店が出店されることになりました。
この出店に係ります増収の見込み額でございますけれども、年間で954万5,000円になります。
◆小竹知子 委員 4駅6カ所の公募に対しまして、19の民間事業者が現地見学会に参加されたということで、私は公募したすべての箇所に出店されることを期待しておりました。しかし、実際に出店に至ったのは3駅3カ所ということで、箇所数は半分にとどまっており、少々残念な結果であったと言えるかと思います。
私も、先日、午後6時半ごろですが、公募をしている空きスペースを見てまいりました。そのスペースは、東豊線から南北線につながる通路にありますので、行き交う人々の通行量が大変多くて、向かい側のレストスペースに設置されている自動販売機、これはSAPICAを利用することができる飲料の自動販売機ですけれども、この売り上げも大変好調であるということをお聞きしました。ここであれば、利用者数が多いであろうと出店を希望する事業者は多かったと思うのですが、実際にはそのスペースへの出店には至りませんでした。そこには、何らかの理由、何かネックになるものがあったのだと思われます。
そもそも、地下鉄駅への出店に当たっては、火災基準に適合した仕様に改修する必要があります。耐火構造の壁で天井まで区画すること、構造材や内装材を不燃化しなければいけないなどですが、キヨスクのような形態の売店を設置する場合には出店者が500万円ほどかかるとも聞いております。
また、私が見に行った箇所がまさしくそのような状態でしたが、壁でふさがれていて部屋になっているような箇所については、出店者みずからが壁を撤去したり、出店の形態によってはスプリンクラーなどの防火対策を講じる必要があるなど、出店者にとってはそれらが大変大きな負担となり、そうした負担が出店のネックになっているのではないかと思いました。壁の撤去などについて、交通局が負担して行うのではなく、出店者の負担で行わせているのは、出店者が短期間で使用を取りやめて撤去した後に、次の事業者が出店されずにあいたままになった場合は、交通局が負担した費用がむだになるというリスクを回避するためではないかと考えます。
しかし、平成21年度からこれまで3回にわたって公募を行い、また、公募後にも、先着順に申し込みを受け付ける随時募集を行っても依然として申し込みのない現状を見ると、何か対策が必要ではないかと思います。これまで我が会派として指摘してきたことではありますが、交通局みずからが出店に必要な改修を行い、事業者が出店しやすい環境を整えることで、出店者の負担が軽減され、出店が推進されていくものと考えます。
そこで、質問ですが、今後、交通局が必要な改修を行う考えはあるのか、お伺いします。
◎小西 事業管理部長 出店に際しまして、駅施設の改修が必要な場合、これまでその費用は事業者の負担としてございました。過去で大規模な改修が必要だった例といたしましては、大通駅の定期券発売所へ向かって右側横にありますセブンイレブン、南北線の大通駅のコンビニ型のキヨスク、西28丁目の出入り口を出ました地上部にあります小児科医院の例がございまして、このいずれも数千万円単位の改修費のご負担をいただいているところでございます。
今回、公募した箇所のうち、改修が必要となる箇所は、まさに、今、委員がご見学いただいたところでございますが、そこにつきましては、例えば壁の撤去が必要だということ、それから、出店形態にもよりますけれども、委員がご指摘のように、消防法上のいろいろな基準をクリアする必要があります。また、利用形態によりましては電力設備を整える、さらには給水・排水設備が必要になるケースもあろうかと思います。したがいまして、今回の公募で問い合わせがございまして、なおかつ、継続的な出店が期待できる場所につきましては、出店者が求めます施設・設備の基準などを改めて調査いたしまして、出店者の初期投資リスクの軽減を図るという観点から、出店者と私どもとの費用負担のあり方、あるいは、使用料の料金設定をどうするかなど、さまざまな観点から検討してまいりたいというふうに思っております。
◆小竹知子 委員 先ほどの大通駅のコンビニエンスストアは、売上高が道内一と聞いております。出店がふえることは、地下鉄事業の増収になるだけではなく、出店に伴う雇用の創出にもつながり、ひいては地域経済の活性化を図ることにもなるかと考えております。交通局が経費をかけても、その負担分を回収する手だてはあると思いますので、ぜひ前向きに検討していただくことを強く要望いたします。
そして、もう1点は、駅構内の安全利用に向けたマナー向上への取り組みについて質問いたします。
この質問については、私自身、非常に質問しにくい部分がございますが、だれもが安全に駅構内を利用できる環境づくりのために、あえてお伺いいたします。
最近、交通局でエスカレーターの安全利用のキャンペーンや利用者の意識調査を行ったとの新聞やテレビでの報道を目にいたしました。その内容は、多くの人はエスカレーターの左側に立って、右側をあけて利用する習慣があり、そのあいた右側を歩く人がいることで、転倒を初めとする危険性が潜んでいるというものでございます。また、地下鉄駅構内のエスカレーターの事故は、ここ数年、年間20件から30件発生し、多くは単独の事故、転倒によるものであるということです。エスカレーターを利用される人の中には、小さな子どもと並んで利用する方、また、障がいにより右手でなければ手すりにつかまれないといったような方もいらっしゃいます。しかし、現在のように、右側をあけ、そこを歩くような習慣においては、このような方たちにとって大変利用しづらい状況であるとともに、横を歩く人の影響で思わぬ事故に巻き込まれる危険性も確かに潜んでいるかと思います。
そこで、質問ですが、交通局では、エスカレーターの安全利用について、どのように考えていて、どのようなエスカレーターの安全利用の取り組みを行っていらっしゃるのか。
そして、もう1点は、意識調査を行ったということで、私はそのアンケート用紙をこちらに持っております。
設問が大きく三つありまして、質問の1番目は、「ふだん、エスカレーターを歩いて利用することはありますか」と。これは選択肢が三つありまして、一つ目が「いつも歩いている」、二つ目が「急いでいるときに歩くことがある」、三つ目が「歩かない」。そして、質問の2番目は、「正しい利用法はどちらだと思いますか」ということで、これは2択になっております。一つ目が「急いでいる人のために片側をあける」、二つ目が「立ちどまって手すりにつかまり利用する」です。そして、質問の3番目は、「エスカレーターを利用していて危険だと感じたことはありますか」ということで、こちらも2択で「ある」「ない」、そして、「ある」と答えた方に対して、「どのような状況でしたか」と記入できるようになっているアンケートでございます。
この結果と、また、この結果をこれからの対策にどのように生かしていくのか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 エスカレーターの安全利用に向けたマナー向上の取り組みと意識調査のためのアンケートの結果についてでございます。
まず、エスカレーターの安全利用への考え方と取り組みの内容についてでございますけれども、エスカレーターの安全な利用については、以前よりお客様からもいろいろなご意見をいただきまして、これまでも掲示物による案内を行ってきたところであります。今回、改めて安全な利用方法を周知する必要があるというふうに交通局で判断いたしまして、新たな取り組みを始めたものであります。
具体的な取り組みの内容といたしましては、昨年9月に、JR北海道と共同で大型ステッカーを作成して、すべてのエスカレーター設置箇所に掲示してございます。さらに、ことしの1月30日から2月1日までの3日間、今、委員がおっしゃったキャンペーンを張ったわけですが、設置全駅において、小学生の声によるアナウンスを終日放送いたしました。二つ目といたしましては、エスカレーターもエレベーター協会の管轄になっているので、日本エレベーター協会との共同で、大通駅と札幌駅において啓発ティッシュを配布いたしました。三つ目としては、ホームページで呼びかけました。さらに、四つ目として、大通駅で利用者へのエスカレーターに関する意識調査を行い、この4項目を今回の安全利用キャンペーンとして実施したところです。また、このキャンペーンにつきましては、マスコミ各社が報道で取り上げていただいたところでありまして、社会的にも関心の高いものであったというふうに考えております。
次に、意識調査、アンケートの結果と今後の対策への反映ということでございます。
エスカレーター利用者への意識調査は、交通局としては初めて実施いたしました。回答者は235人ございまして、この結果、8割の方がエスカレーターを歩いて利用している、たまに歩くという方も含めて8割が歩いて利用しているということでした。2点目といたしましては、片側、右側をあけることが正しい利用方法だと誤解している方が半数近くいらっしゃいました。3点目として、4割を上回る人が利用の際に危険を感じたことがあるといった実態が明らかになったものであります。
エスカレーターを歩いて利用するという習慣は、長年、定着しているものでありまして、この行動を簡単に変えていくのは難しいと思います。しかしながら、今後は、このアンケートの結果のほかに、キャンペーンに対して寄せられましたお客様の声なども参考にいたしまして、出前講座やマナー
リーフレットを作成するなど、新たなキャンペーンの展開を行って、より有効な手法や内容を検討して、正しい利用方法の呼びかけを継続して行っていきたいと思っております。
◆小竹知子 委員 最後に、この質問は、自戒の意味を込めてお聞きいたしました。日ごろの自分の行いやマナーを振り返ったときに、お年寄りや小さなお子さんのこと、また、障がいを持った方々を巻き込んでしまうかもしれないといった想像力に欠けていたと反省しているところでもあります。これは、地下鉄駅を利用する多くの方々が共有しなければいけないことと認識しております。
交通局において、だれもが安全に利用できる環境をつくることは、事業者としての大きな責務であると思いますし、今後は、マナーを含めた啓発や注意喚起を利用者へ行うとともに、交通局のみならず、ほかの機関や事業者とも連携し、広がりのある取り組みをぜひ行っていただくことを要望して、私の質問を終わります。
◆中村たけし 委員 私から、路面電車に関して質問させていただきます。
路面電車のループ化に関して、さきの代表質問で我が会派の小川議員が質問して、路面電車のループ化や新型低床車両の導入の意義などについて確認したところです。札幌市の将来を見据えた重要なプロジェクトがいよいよ本格始動することになります。路面電車の
まちづくりへの活用については、路線のループ化や新型低床車両の導入、施設のバリアフリー化など、路面電車のさらなる魅力を高め、利便性を向上することで、新たな需要喚起を図る一方で、経営の効率化を進めながら、安全運行を継続的にしていくことが急務となっております。
そこで、私から、大きく二つ、既設線の機能向上の取り組みと経営の効率化を進める中での安全運行の継続について質問させていただきます。
まず、既設線の機能向上の取り組みについてですが、先日の財政市民委員会において、我が会派の宝本委員から、電停のバリアフリー化など既設線の機能向上を今後どのように進めていくのか質問し、理事者から、今後予定されている街路拡幅工事に合わせてバリアフリー化を進めていきたい旨の答弁がありました。
先ほど、伊藤(牧)委員からバリアフリー化のスケジュールの質問がありましたが、平成27年度から進めていくということでございました。電停のバリアフリー化を進めていくことで、超高齢化社会を迎えた本市において、今後、お年寄りや体の不自由な方を初め、多くの方々にとって利用しやすくなるとともに、新たな利用増も期待できると考えています。
そこで、質問ですが、このバリアフリー化は、どの電停が対象になり、電停幅や段差解消などどのような整備を行っていくのか、具体的な内容について、まず、お伺いします。
◎富澤 技術担当部長 路面電車既設線のバリアフリー化についてでございます。
スケジュールにつきましては、先ほどもご説明いたしましたが、平成27年度ころから西15丁目停留場のバリアフリー化に着手してまいりたいと考えております。その後、街路拡幅工事の区間に含まれております停留場、山鼻西線では、西線6条、西線9条旭山公園通に停留場がございます。また、山鼻線では、東本願寺前、山鼻9条に停留場がございます。この4停留場につきまして、拡幅工事の進捗に合わせてバリアフリー化を進めていけるものと考えてございます。
また、具体的な整備内容でございますが、停留場の幅につきましては、現在約1メートルでございますが、これを1.5メートル以上に広げること、また、停留場と車両の段差をできる限り小さくすること、また、車いすのためのスロープを設けることなど、バリアフリー化の基準に適合したものにしていきたいと考えております。
◆中村たけし 委員 次に、新型低床車両の導入により、乗りおりが容易になって、だれもが利用しやすい路面電車となりますけれども、さらなる利便性を高めるために運行時間の短縮が重要になってくると思います。現路線では、全線が自動車と共存する併用軌道でありまして、交通信号による待ち時間が運行時間に与える影響が大変大きいのが現状でございます。このため、例えば、電車が接近したときには青信号を延長して、赤信号であれば短縮させる、そういった電車を優先的に通過させる優先信号の導入が必要だと考えます。現在、1条線の西5丁目交差点にはこの優先信号が導入されておりまして、一定の効果を上げているとお聞きしています。さらに、運行時間短縮には電車の乗降時間も大きな影響がありまして、乗降客の多い電停では乗降時間の改善も必要だと考えます。
そこで、質問ですけれども、利便性のさらなる向上のために、電車優先信号の増設など、運行時間の短縮についてどのように取り組むのか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 運行時間の短縮に向けてどのように取り組んでいくのかというご質問でございます。
優先信号の増設に関しましては、今、委員のお話にもありましたように、西5丁目交差点において効果が上がっておりますので、増設していくことが望ましいというふうに考えております。しかしながら、優先信号の増設となりますと、路面電車だけではなくて都心部の交通全体に与える影響があることから、市民
まちづくり局とも連携しながら所管官庁に働きかけていきたいと思います。
この優先信号以外にも、例えば、平成25年度に予定しているICカードSAPICAの導入によりましてスムーズな乗降が可能となることや、路線のループ化で内回りと外回りで乗車するお客様のバランスが均衡して混雑が緩和されるといったことから、特に朝夕ラッシュの時間帯で運行時間が短縮されるのではないかといった期待もしているところでございます。
◆中村たけし 委員 電停のバリアフリー化については、道路の拡幅の必要性などがあって制約があり、実現までには一定の時間を要します。また、拡幅予定のない道路もあると聞いていますので、そういった中でも、せっかく導入する低床車両などを有効活用するために、電停の一層のバリアフリー化、あわせて、運行時間の短縮にさらなる工夫を凝らして、路面電車をより利用しやすいものにしていく環境整備に努めていただきたいと思います。
次に、経営の効率化を進める中で、安全運行の継続について質問させていただきます。
このたびのループ化に伴いまして、営業キロがふえることになります。そして、電車の運行について、西4丁目とすすきのの折り返し運転から環状運行となりまして、約40年ぶりに運行環境が大きく変わることになります。言うまでもありませんけれども、公共交通機関の最大の使命は安全運行の確保であり、ループ化後、運行環境が大きく変化することになっても安全運行が維持されなければなりません。そうした観点から、このたびの路面電車活用計画について確認していきたいと思います。
まずは、人的体制についてです。
活用計画では、当分の間は、現行経営体制において非常勤運転手の拡大などの内部効率化を実施し、15%程度の人件費の削減を行うこととしています。確かに、現在の路面電車の経営状況は、一般会計から約2億円の補助金を繰り入れて、2010年度の決算では約8,000万円の赤字も計上しています。この赤字体質を改善し、健全な経営基盤を確立しなければならないことは当然ですけれども、過度の効率化で安全技術のレベルが低下するということはあってはならないことです。
そこで、質問ですけれども、経験の浅い運転手がふえる中で、安全運行をどのように維持させていくお考えなのか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 非常勤運転手がふえていく中で、どうやって安全運行を維持していくのかということでございます。
非常勤の路面電車運転手は、国の免許を取得させた上で任用しておりまして、その後も正職員と同様の教育訓練を実施しています。また、経験年数の浅い運転手に対しましては、特に添乗指導を強化するなど、重点的に教育訓練を行って、技術、技能の向上に努めております。路面電車の非常勤職員は、採用困難職と位置づけられておりまして、60歳までの任用更新が可能となっております。こういったことから、経験の蓄積による安全技術の向上も正職員と同様に期待できるものであります。さらには、雇用形態の異なる職員が混在している状況を踏まえまして、正職員と非常勤職員が一体となった少人数研修を実施し、職員間のコミュニケーションを円滑にするなどの取り組みを日ごろから行うことで、非常勤職員のモチベーションの向上にも努めております。
なお、路線のループ化に合わせまして新型の低床車両も導入されることになりますので、新たな教育訓練体制を構築していきたいと考えておりまして、今後も、ループ化や非常勤職員の拡大によって安全運行に支障がないよう、技術、技能の向上やモチベーションの維持・向上にしっかりと努めていきたいというふうに考えております。
◆中村たけし 委員 人的体制についてはわかりました。
次に、施設面に関してですが、老朽化した施設を更新していくことについてお伺いしていきます。
路面電車の各施設については、厳しい経営環境もありまして、これまで設備投資を抑制してきています。それは、どのようにして路面電車を
まちづくりに活用していくのか、その方向性が示されていなかった段階においてはいたし方がないことだったと思います。しかし、今回、活用計画をつくりまして、路面電車を
まちづくりに積極的に活用していく方向性がまとめられ、ループ化を行い、新型低床車両を導入していく道筋が見えた時点におきましては、交通局としても老朽化した施設や設備について計画的に更新を図り、安全で安心な運行を確保する必要があると考えます。
工場や車庫は40年以上が経過しておりまして、30両ある車両のうち、8割に当たる24両につきまして実に50年以上経過している状況がございます。さきの代表質問で我が会派から新型低床車両の導入スケジュールについて質問しまして、2012年度に1両、さらに2014年度に2両を導入するとの答弁がございました。安全で安心な運行を確保するためには、老朽化した車両の早期の更新が必要だと考えます。
そこで、質問ですけれども、現在ある30両の車両の今後の更新計画についてお伺いします。
◎富澤 技術担当部長 路面電車の車両更新の時期ということでございます。
路面電車の車両更新計画につきましては、今、委員からもお話がございましたが、平成24年度に新型低床車両を1両導入いたしまして、検証試験を行った後、平成26年度にはさらに2両を導入する計画でございます。平成27年度以降でございますが、長期的な収支をもとに計画的に導入していきたいというふうに考えてございまして、計画どおりに進んだ場合は、平成30年度には、全体の約3分の1、平成35年度では約2分の1、半分が低床車両となっていく予定でございます。大変ゆっくりとではございますけれども、利便性、快適性など、利用者のサービス向上について着実に進めてまいりたいと考えてございます。
◆中村たけし 委員 安全運行のためには、技術、技能の継承は非常に重要であり、施設面での整備の充実が必要であります。今、確認しましたように、安全運行に支障が出ないようにしっかりと計画を進めていただきたいと思います。
市電の運行環境や札幌市の総合交通計画につきましては、市民
まちづくり局や市長政策室にこれまで任されてきたというか、そちらの立案で進められてまいりました。交通局は、そうした制約のある経営環境の中でこれまで市電の経営を行ってきたわけでございますが、2005年の路面電車の存続決定から長い議論を経まして、ようやく札幌市路面電車活用計画が策定されまして、札幌の
まちづくりに路面電車が活用されることとなりました。
札幌市路面電車活用計画ができるまでの交通局の市電経営は、言ってみれば、商品力も企画力もないフランチャイズ店舗を任されたコンビニ店主のようなものでありまして、売れる商品もなければ、設備も古いといった環境ではうまく経営ができるわけもございません。この計画ができた今後におきましても、現場の意見として、運行環境の整備、沿線への施設の誘致、しっかりとした総合交通計画の策定などについて、交通局が市民
まちづくり局や市長政策室にしっかり伝えていくことが重要であると考えます。
低床車両の更新を例に挙げますと、新型低床車両の導入は、老朽化した車両の更新という側面と、新型低床車両に多くの方に乗ってもらって、低床車両のよさを実感してもらい、
まちづくりに活用していくという側面がございます。先ほど、計画的に導入していきたいという答弁がございましたが、経営環境を整備するという観点から、これくらいは計画を前倒しして少しでも早く新型低床車両が導入されることを要望しまして、質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、最初に、南北線ホームさくの設置について質問させていただきます。
地下鉄南北線は、現在3000形と5000形の車両が走っておりますが、今年度末をもちまして最後の3000形車両1編成が引退し、南北線ではすべての車両が5000形に統一されます。緑色ボディーの3000形車両は、昭和53年、1978年の南北線延長時に導入後、30年以上にわたり活躍し、多くの利用者に親しまれてまいりました。その引退を記念して、昨日、3月1日から、さよなら3000形共通ウィズユーカードが発売されたところですが、平成20年に東西線の6000形車両が引退したときには記念式典を行っているため、今回も同様のイベントを楽しみにしている市民も多いと思います。
一方で、これまで異なるタイプの車両が混在していたことからホームさくの設置に当たっての課題となっておりましたが、5000形車両に統一されることにより、ドア位置の統一化が図られるため、ホームさく本体の設置についても、いよいよ市民の目に見えるような本格工事を迎えることになると思います。
そこで、質問ですが、東西線6000形の引退時に行ったような記念セレモニーを南北線でも実施する予定があるのかどうなのか、また、現在、南北線のホームさく設置に向けた準備工事、車両更新はどの程度まで進んでいるのか、あわせて、ホームさくの設置工事はいつごろで、どこの駅から始め、供用開始となるのはいつからの予定なのか、お伺いいたします。
◎富澤 技術担当部長 まず、1点目の3000形の引退セレモニーにつきましては、この車両が市民の皆様にご愛顧いただいたということで、感謝を込めまして、今月の25日日曜日に真駒内駅で引退セレモニーを行う予定でございます。
次に、ホームさくの準備工事、車両更新の進捗状況でございます。
ホームさくの準備工事につきましては、現在、各駅のホームさくの基礎工事、配線工事を実施してございまして、ことし5月までで完了する予定でございます。また、車両につきましては、既に新造車両3編成の更新を完了してございまして、平成24年度は2編成の既存車の改造を行うことで、6月までに全車両がホームさくと連動することができる車両となる予定でございます。
3点目のホームさく設置工事の工程等ということでございます。
ホームさく本体の設置工事でございますが、これは、ことし6月から1駅ずつ、順次、ホームさくを設置してまいりまして、平成25年3月、来年3月までには全駅のホームさくの設置を完了する計画でございます。設置工事につきましては、より多くのお客様が乗りおりいたします麻生駅から工事を開始することとしております。また、ホームさくの供用開始時期でございますが、これはホームさくの設置が完了した駅から、順次、1駅ずつ供用を開始する計画でございます。
◆丸山秀樹 委員 南北線のホームさくの設置工事の工程につきましては、今ご説明がありましたように、来年度中の完成に向けて計画的に進めているとのことですが、ホームからの転落事故や車両との接触事故を抜本的に解決することを目的として設置されたホームさくが、実際にどれくらいの効果を上げられているのか、東西線での全面稼働から間もなく3年が経過いたしますけれども、改めて設置の効果を検証する必要があると思います。また、東西線の場合は、ホームドアの開閉にかかる時間などを加味して、運行ダイヤの改正も行われました。南北線においても、同様にダイヤの改正が行われるのか、関心のある利用者もいるのではないかと思います。ホームさくの設置工事やダイヤ改正などについても、利用者にとって大きな影響を与えるものであるために、事前に丁寧な周知が重要になってくるものと考えます。
そこで、質問ですが、東西線のホームさくの効果について、どのように評価しているのか、また、南北線でも東西線と同様にダイヤの改正を行うのか、改正するとすれば、どのような内容で、いつから行うのでしょうか、また、ホームさくの設置工事やダイヤ改正など、利用者への周知はどのような方法で行うのか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 東西線ホームさくの効果と南北線のダイヤ改正及びこの周知ということでございます。
まず、東西線のホームさくの効果につきましては、ホームさく設置後、列車との接触事故や投身事故は皆無でございます。こういった輸送障害は発生していませんので、事故防止の効果は非常に大きいというふうに評価しているところでございます。
次に、南北線のダイヤ改正でございますが、南北線は、ことしの6月から設置するホームさくや、自動列車運転装置、ATO装置というものがありますけれども、この導入に合わせましてダイヤ改正を行う予定でございます。改正の主な内容といたしましては、各駅の停車時秒を5秒ないし10秒延長することによりまして、若干ですが、列車の乗りおりにゆとりを持たせたダイヤとなる予定でございます。また、麻生駅の折り返しですが、ホームで折り返す方式に変更いたしますので、お客様の列車待ち時間の短縮やホーム上の混雑緩和に効果がありまして、輸送サービスの向上にもつながるものというふうに考えております。
3点目は、これらの周知の関係でございます。
利用者への周知は、市のホームページや広報さっぽろに掲出いたします。また、駅構内や車内へのポスター掲示を行うほか、工事の影響が予想されます南北線高架部の近隣の方たちには、
まちづくりセンターなどを通じましてきめ細やかな広報を行ってまいりたいというふうに考えています。さらに、ダイヤ改正に伴う時刻表の変更でございますが、時刻表の出版社や、最近は時刻表検索ソフトがはやってございますので、こういったところへ情報提供を行うなど、さまざまな媒体を活用しながら利用者に周知を行っていきたい、そのように考えてございます。
◆丸山秀樹 委員 今聞きましたところ、ホームさくの設置後、列車との接触事故、または投身事故等の輸送障害は発生していないということでございました。最近は、携帯電話やスマートフォンなどを使用しながら、いわゆるながら歩きが非常に増加しているということで、ホーム上の安全は旅客のマナーだけには頼られない現状にあるように思われます。ホームからの転落事故や投身事故、車両との接触事故など、ホーム上の安全を確保するには、やはりホームさくが最も効果的なものであると考えます。現行の10カ年計画が終了するのは平成25年度ですが、次の経営計画の策定に向け、そろそろ準備作業に入ると思います。市民からのホームさくの早期設置を求める声にこたえるためにも、次期計画の中に東豊線の前倒しをぜひ盛り込んでいただきますことを要望したいと思います。
次に、路面電車の利用促進について伺います。
路面電車のループ化、新型低床車両の導入には、先ほどいろいろな話が出ておりましたように、工事費をいかに圧縮できるかという課題があると私も思っておりますが、CO2対策、また観光資源の視点から賛成でございます。人口減少、超高齢化社会の到来を考えると、人や環境に優しい交通機関として路面電車の役割は今後も欠かせないものと考えます。
まちづくりの観点からの路面電車活用計画案については、さきの財政市民委員会で議論されたところですが、既設路線のループ化により、どの電停間においても最短で移動できる手段が確保され、例えば、山鼻沿線の利用者が大通方面の西4丁目や医療機関が集積している西15丁目に向かう場合など、利便性は格段に向上し、利用促進につながるものと期待いたします。また、ループ化をすることによって、沿線住民の利便性が向上するのみならず、初めて札幌を訪れる観光客にも乗った場所に戻ってこられるということでわかりやすくなり、軌道の特性が生かされるものと考えます。
市民、観光客が訪れる路面電車沿線の主要施設として、藻岩山ロープウェイがございます。平成22年4月から休止しておりましたが、昨年12月23日にリニューアルオープンいたしました。このオープンの初日には約3,000人の方が来場し、藻岩山ロープウェイを経営する札幌振興公社によると、営業休止前は年間約50万人の利用でしたが、4月以降の1年間で100万人を目標にしているとの新聞報道があったと記憶しております。また、ロープウエーの営業休止前は、1日平均130人の方が路面電車に乗ってロープウエーを利用していたと聞いておりますが、リニューアルオープン後は今まで以上に大勢の方が訪れることが期待されるところです。ロープウエーと連携した利用促進策を展開することで、路面電車の乗車人数を大きく伸ばすことができるのではないかと思います。
そこで、質問ですが、藻岩山ロープウェイのリニューアルオープンによって、路面電車の乗車人数はどのくらい増加しているのか、また、ロープウエーとはどのような連携をしているのか、伺います。
◎小西 事業管理部長 まず、藻岩山ロープウェイのリニューアルオープンに伴う路面電車の人員増についてでございます。
ことし1月の路面電車の1日平均乗車人員は、2万2,780人でございました。前年度の同じ月は2万2,156人でございまして、それと比べますと、人数にして624人、率にいたしますと2.8%の増加となってございます。また、この月におけますロープウエーの利用者数でございますが、1月は4万6,675人の利用者がございまして、このうち、路面電車に乗ってロープウエーをご利用された方が5,972人ということで、ロープウエーの利用者に占める市電の利用率は12.8%でございます。1日平均で申しますと、往復で約400人の方が市電をご利用いただいてロープウエーに乗っていただいたことになります。
次に、ロープウエーとの連携でございますけれども、昨年12月23日のリニューアルオープンに合わせまして、路面電車の1日乗車券とロープウエー及びもーりすカーの往復乗車券をセットにいたしましたお得な企画乗車券を発売しましたほか、藻岩山山頂から見る初日の出に合わせまして、初日の出電車をことしの元旦に4便運行させていただきました。また、ロープウエーをPRするために、現在もラッピング電車を運行しておりますほか、電車内のポスターにて藻岩山で行われるさまざまなイベントのご紹介もさせていただくなどの取り組みを行っているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 今お話がありましたように、ロープウエーの利用者に占める市電の利用率は12.8%、1日平均にすると往復約400人と、ロープウエーによる一定の効果があったことが理解できます。藻岩山ロープウェイを初め、大規模な集客施設が経営に与える影響は非常に大きいものがございます。それは、沿線にあった学校や施設が移転したことによって乗車人数の減少が続いていることからも明らかでございます。ついては、この件につきましては、全庁を挙げて、学校やオフィスなど地域に溶け込むような施設を積極的に誘致し、計画的に配置することが必要ではないかと考えます。大規模な集客施設の配置は、効果的な取り組みであるとは思いますけれども、もう一方で、現実にはこれは非常に時間のかかることでもございます。したがいまして、地道ではありますが、沿線住民や企業の需要をいかに掘り起こすか、また、地域に親しまれる路面電車の魅力づくりなどに日常的な取り組みをいかに積極的に展開していくかが大事であると考えます。
そこで、質問ですが、路面電車の利用促進策、特に地域と連携した取り組みとして現在どのようなことを行っているのか、また、今後どのような取り組みをされようとしているのか、お伺いいたします。
◎小西 事業管理部長 地域と連携した取り組みについてお答えいたします。
平成22年度から、中央区の事業でありますまちの魅力再発見事業と連携いたしまして、市電沿線の町内会の活動をご紹介するポスターを定期的に電車内に掲出するなど、地域の
まちづくりの啓発の面で連携してございます。
また、沿線の活性化という観点から、昨年11月からことしの2月にかけまして、車内のつり革とつり革の間に沿線の飲食店など店舗のつり下げ型のクーポンを設置いたしましたところ、これまで約3,000枚が持ち去られたということで、ご好評をいただいてございます。今後は、クーポンを提供いただいた飲食店やクーポンをご利用していただいた方に対して行ったアンケートがございますので、これらについての分析を行うこととしてございます。
さらには、沿線の西創成地区からのご要望を踏まえまして、現在の資生館小学校前という電停名称に合わせまして、副称、サブの名称として、歴史的な地域の名称でございます西創成を括弧書きで追加する方向で、今、関係機関との調整を進めているところでございます。このことによりまして、地域の方々の市電への愛着がさらに深まり、多くの方に市電を利用していただけるものと私どもは期待してございます。
今後の取り組みでございますけれども、西創成地区は、これまでも、例えば、電車を借り切って
まちづくり懇談会を開催いただいたり、あるいは、地域のまち並みと電車の写真によるカレンダーを毎年つくっていただいたり、この地域は市電とともに歩む
まちづくりを行っていただいております。こうして路面電車に愛着を持っていただいて
まちづくりに積極的にご活用いただいている地域あるいは住民の方々とどのようなことができるのか、今後とも検討してまいりたいと思ってございます。
また、路面電車の主要な施設でございます藻岩山ロープウェイと連携いたしました新たな企画乗車券、あるいは、沿線商店街などとのキャンペーンやイベントの実施など、路面電車沿線の施設あるいは地域との連携を深めまして、より親しまれ、より一層利用されるよう努めてまいりたいと思ってございます。
◆丸山秀樹 委員 私は、市電とともにという
まちづくりは非常に大事な視点だと思います。沿線町内会の活動紹介や沿線飲食店のつり下げクーポンなど、自分たちの活動が車内でポスターに紹介されたり、さらには、そこに住む住民が昔からなれ親しんだ歴史のある地域の名称が停留場の副称に採用されることは、地域との結びつきを強め、路面電車に対して愛着を持ってもらうための大切な取り組みの一つであると思います。これをきっかけに、地域の
まちづくりが盛り上がることを切に期待するところです。
今後も、路面電車沿線の施設や地域との連携を深めることで、地域の活性化とともに、地域の方々の市電への愛着がより一層深まり、路面電車の利用者が増加するという相乗効果が生じるような取り組みに、より一層努めていただくことを要望して、質問を終わります。
◆宮川潤 委員 本市地下鉄の新年度予算は、収益的収支では47億5,900万円の黒字ですが、一方、企業債の償還は292億6,400万円を予定しております。近年、営業収支を黒字化してきたのは、乗客がふえたからではなく、人件費を削減してきたことによるものであります。
2007年度、地下鉄全線の乗客数は、1日平均57万2,041人、5年後の2011年度は55万3,332人で、1日1万8,709人減っております。乗客数は減り続けています。そういう中で、経営を健全化させなければならないということでやってきたのが、駅務の委託化などの人員削減です。1999年度、地下鉄の総人件費は130億円でしたが、2010年度には60億円になりました。これは、職員を減らし、地下鉄駅の仕事を外部委託してきたのですが、駅務の委託費を含めても85億円ですから、差し引き45億円、35%も減らしました。正職員の人数で言うと、1,092人から581人に減らしたのです。
ところが、その駅務の委託化は、2008年度に終了いたしました。駅務に関しては、これ以上、人を減らすことはありません。私は、これからが交通局の本当の経営手腕が問われてくると思っています。今までのように人減らしで経費を節減するばかりではなく、交通の王道であります乗客増が求められてくるからです。
そこで、伺います。
今後の地下鉄の経営に当たっては、人員削減はもう限界になっていること、乗客増に今まで以上に真剣に取り組んでいかなければならないと思いますがいかがか、その認識を伺います。
◎小西 事業管理部長 私も、地下鉄の経営の王道ということで、まず乗客増を図るべきだということにつきましては同感でございます。今後、いかに乗客をふやすかという取り組みについてでございますけれども、幾つかご披露させていただきます。
これまで取り組んできましたプロスポーツチームや映画とのタイアップなどに加えまして、今年度から新たに札幌国際短篇映画祭やオータムフェストといったような都心部での集客力のあるイベントとの連携、あるいは、雪まつり協賛イベントでございましたトヨタビッグエアと連携いたしまして、イベントPRのための記念共通ウィズユーカードを発行したり、地下鉄に乗っていただくような仕掛けとしてスタンプラリーなどのイベントを実施したところでございます。また、リサイクル市民の会と連携いたしまして、地下鉄南平岸駅の高架下の空きスペースを利用しまして、忘れ物センターの時効を迎えた品物の販売を行いました。
また、札幌を中心に活動しております若手の歌手などを支援するオトキタ事務局と連携いたしまして、ことしの1月から、今月もございますけれども、月1回、地下鉄大通駅コンコースでメトロライブを開催しております。直近に開催いたしました2月25日のメトロライブには、420人の方がご来場されました。絶対数としては多くございませんでしたが、そのうちの46名の方にアンケートにご協力いただきました。今後も継続して開催することを希望する方は43名、93.5%の方がございました。また、会場までの交通手段でございますけれども、73.9%の34名の方が地下鉄でいらっしゃっていると回答いただきました。イベントの規模は小さいものの、着実に利用促進につながっているものというふうに考えてございます。
今後は、このように、他部局やさまざまな団体と連携した取り組みをこれまで以上に進めることとし、工夫、改善を加えながら取り組んでまいりたいと思ってございます。
◆宮川潤 委員 たくさん答弁されましたね。
乗客増に結びつくと思われるものは、成功するか、しないかということもありますけれども、それは別としても、まずは積極的にやっていくべきだという点では、私も賛成であります。そのために、まず、地下鉄の魅力を増す取り組みとして、札幌ドームや日本ハムファイターズとのコラボレーションで新たな取り組みを行うことや、また、京都の市営地下鉄は、いわゆる駅ナカ商業施設が人気を博して、それに伴って乗客が大幅にふえたそうです。それで、計画していた料金値上げをしなくてもやっていけるようになったそうであります。
出店することによっての収入ももちろんですが、京都市営地下鉄の取り組みに倣って、乗客増に結びつけるような検討もすべきかと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎小西 事業管理部長 お尋ねのございました札幌ドームや北海道日本ハムファイターズなどプロスポーツチームとの連携についてでございます。
まず、北海道日本ハムファイターズとはスポンサー契約を締結してございまして、試合会場で地下鉄利用促進のイベント、例えば、SAPICAをお持ちいただいて抽せんをしていただくと景品が当たる、そのようなイベントがございますが、そのような取り組みを行ってきているところでございます。また、札幌ドームとは、ドーム内の1塁側の天井に、地下鉄をご利用いただきたいという交通局のつり下げ広告を掲出していただくなど連携を図っているところでございます。さらに、北海道日本ハムファイターズやコンサドーレ札幌の試合がある日には、福住駅あるいは大谷地駅を装飾するなど、試合を盛り上げる取り組みを行っております。今後は、札幌ドーム、ファイターズ、コンサドーレと連携しまして、駅の装飾を拡充することについて、現在、検討を進めているところでございます。
また、ファイターズとの連携に関しまして、地下鉄東豊線の1編成をラッピングしたファイターズ号を今月末の開幕戦に先立って運行する予定としております。これに興味を持って、ファイターズファンを初め、多くの方々に乗車していただけるものと期待しているところでございます。
次に、お尋ねのありました駅ナカ事業についてでございます。
先ほど累々のご質疑もございましたけれども、これまで公募を平成21年度から3回実施してきてございます。消防法とか、先ほど来ありました費用負担等、いろいろ難しい制約もございます。しかしながら、資産の有効活用によります増収は大変大事なことだと考えておりますので、今後も、空きスペースの有効活用につきまして積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆宮川潤 委員 雪まつりのときにも車両のラッピングなどもあったように思いますし、先ほどもありましたが、路面電車でもそのようなことをしていまして、特にイベントなどに合わせて雰囲気を盛り上げることに一役買っているところもあると思います。
日本ハムファイターズについても、地下鉄のラッピングということで、私は、選手の写真を大きく車両にラッピングするようなものをつくって、それは開幕前だけではなく、開幕から1シーズンを通じて運行してはどうかというふうに思っております。ドームと東豊線の結びつきを生かすこと、それから、札幌らしさの演出にもなるというふうに思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
さらに、今後、選手にお願いしておいて、地下鉄に乗っていただいて、何月何日、東豊線でファイターズの選手に会おう、こういうイベントも私は非常に楽しそうであるというふうに思っております。ファンは間違いなく喜びます。プロスポーツチームを札幌の財産として生かすということであると思いますし、まちのイメージアップにもなると思いますので、ご検討いただきたいと思いますがいかがか、伺います。
さて、私は、乗客増のために、沿線に学校や公共施設、集客施設がつくられるということが決定的に重要だと考えております。先ほども申し上げました京都の市営地下鉄は乗客増に成功していますけれども、烏丸線の沿線には学校がたくさん配置されております。大学だけを申し上げますと、京都精華大学、京都工芸繊維大学、京都府立大学、京都ノートルダム女子大学、京都産業大学、大谷大学、同志社大学、同志社女子大学、平安女学院大学、佛教大学、龍谷大学です。こんなにたくさん大学があれば、通学する学生もおのずと乗っていくでしょうから、通学する方も便利ですし、大学と地下鉄のお互いにとっていいということになると思います。
こういう学校や集客施設が検討される際に、交通局は、地下鉄財政という面から、それから施設利用者という面から、両方のために積極的に関与していくべきだと思います。さらに、民間の集客施設、病院、専門学校などの建設も地下鉄駅周辺につくられるように、地下鉄駅周辺の民間所有の空地の情報が寄せられる仕組みも有効に機能するのではないかと思います。駅周辺に集客施設でもできたら乗客がふえるのかもしれないというような待ちの姿勢ではなくて、駅周辺に集客施設をつくらせるという姿勢が必要であります。さらに、パークアンドライドを活用することも効果的だと思われます。駐車場料金と定期券を組み合わせ、従前よりも安価にすべきであります。また、駐車場周辺の商業施設での買い物が有利になるポイントや割引なども検討すべきであります。
これらの提案を踏まえて、集客増対策についてどのように考えておられるのか、何をされていくのか、明らかにしてください。
◎小西 事業管理部長 まず、1点目のファイターズ号についてでございますけれども、現在、どのようなインパクトのあるデザインにしてお客様に楽しみにしていただけるかということで、球団とデザインの詳細について詰めを行っているところでございますので、登場まで楽しみにしていただければというふうに思います。
それから、ファイターズの選手などを起用して、乗客増につなげられないかということでございます。ファイターズ号の運行を契機に、委員からご提案いただきました部分も含めまして、どのような利用促進策の展開が可能か、協議してまいりたいというふうに思ってございます。
最後に、地下鉄沿線の施設、特に大学等が利用増に非常に有効だということ、それから、パークアンドライドの駐車場、あるいは地元の沿線の商店街との連携ですが、私どもとしては、当然、乗客増につながる有効な手段だと考えてございます。現状の地下鉄を取り巻く経営環境は、低迷が続く経済状況や少子高齢化ということで、通勤・通学の利用が減少するために厳しい状況にございます。沿線施設の誘致等、交通局だけによる取り組みでは限界がある部分もございますので、本市の他部局はもとより、関係する事業者と連携を密にしまして、今後の実現に向けまして積極的に働きかけてまいりたいと思ってございます。
◆宮川潤 委員 こちらからもいろいろ提案申し上げましたけれども、一番簡単にできそうなことはファイターズの選手のラッピング車両だというふうに思っております。ほかにも楽しいイベントに積極的に取り組むとともに、駅周辺に公共施設、集客施設を誘致すること、パークアンドライドを真剣に追求すること、車に頼らない生活スタイルの定着など、乗客増への取り組みが強化されることを求めて、質問を終わります。
◆しのだ江里子 委員 私は、地下鉄における省エネルギー化の取り組みについて質問させていただきます。
札幌市は、2008年6月に環境首都・札幌を宣言し、地球環境問題への対応を市政の最重要課題の一つと位置づけ、事業を通じて市民の環境意識が高まるように働きかけており、その一つが省エネルギー対策であり、さまざまな取り組みが求められています。
重ねて、昨年の東日本大震災で、国内の電力需要が逼迫し、特に、夏の冷房時期には、国からの電力使用制限が出され、停電や、関東などの鉄道でも間引き運転をするなど、全国的に非常に困難な状況となったのは記憶に新しいところです。その時期に、首都圏に行くことがありましたが、山手線は、日中、車両内の照明をすっかり消しまして、冷房はとまっており、当然、間引き運転が行われておりました。ホームのエスカレーターはとまっていたり、地下鉄、私鉄も同じでございました。まさに、都市インフラは、電力に支えられていたということを改めて痛感することになりました。
そこで、質問ですが、市内事業者の中でも特に多くの電力を消費して地下鉄を走らせている交通局では、これまでに、新型車両の導入に合わせて省エネ性能の高い機器を導入したり、駅の老朽化設備を新しくする際には省エネを重視した設備を採用するなどしていると聞いていますが、具体的にどのような省エネルギー化の取り組みを行ってこられたのか、また、その効果はどの程度であったのか、伺います。
◎富澤 技術担当部長 これまでの省エネルギーの取り組みについてでございます。
今、委員ご指摘のとおり、交通局は、地下鉄や路面電車の運行に大量の電力を使っております大口事業者でございますので、従来から多角的な省エネルギー対策を進めてきたところでございます。具体的には、地下鉄の新型車両の導入に合わせまして、ブレーキ時に発電する回生ブレーキシステムを効率のよい機器に改良することで車両の省エネ化を進めてまいりました。また、駅の設備では、大型の換気装置に用いるモーターにインバーターを採用いたしましたほか、空調設備、照明設備、またエレベーターやエスカレーターといった設備に省エネ型の機種を優先して採用するようなことに継続的に取り組んできたところでございます。
これらの取り組みの効果でございますが、地下鉄が現在の規模になりましたのは平成11年2月でございますが、それ以降で比較いたしますと、平成12年度におけます電力使用量が年間で約1億5,500万キロワット時でございます。これが、10年後の平成22年度の電力使用量は約1億4,400万キロワット時となってございまして、率にして7.3%の削減となったところでございます。その結果、ピーク電力のカットも含め、契約電力の見直しなども行いまして、年間の電力料金でございますが、平成12年度の約21億6,000万円が、10年後の平成22年度には約17億円に削減されまして、経費的にも4.6億円、率にしまして21%の削減効果が得られているところでございます。
◆しのだ江里子 委員 大口事業者として地下鉄構内や車両に多角的な省エネルギーの取り組みをされているということは、本当に重要なことだと思います。今、ご答弁にありました回生ブレーキシステムは、ハイブリッド車と同じように、今まで捨てていたエネルギーを電気に変換し、再び使えるエネルギーとして回収するシステムだそうです。そしてまた、インバーターの導入など多くの取り組みをされてきました。この10年間の取り組みの結果、電力量では7.3%、そして、年間に支払う電気料金も数億円と大きく削減できていることは評価したいと思います。
しかし、省エネの技術革新はまさに日進月歩で進んでおりまして、これまでの努力の上にも、さらに交通局みずからがより実効性のある省エネを着実に行うことも必要なのではないかと考えます。例えば、東京メトロの環境報告書2007年度版をホームページから拝見しますと、地球温暖化対策として、環境配慮型車両の導入や低公害車の導入、そして、人感知式エスカレーターの導入、インバーター照明機器の導入などに取り組んでいます。
そこで、質問ですが、交通局自身がより実効性のある省エネを着実に行うために、さらなる省エネに取り組むべきと考えますけれども、今後どのように進められるのか、お聞かせください。
◎富澤 技術担当部長 今後のさらなる省エネ化に向けた取り組みということでございます。
確かに、省エネ技術は非常に進んできてございます。これに合わせまして、車両の更新、設備改良に合わせながら、可能な範囲で地下鉄への技術導入を進めているところでございます。具体的には、現在、電照広告、駅名標識、防災設備の避難誘導灯、またトイレ照明などにLED照明を順次導入しているところでございます。また、エスカレーターにセンサーを設置して、人がいないときには停止させるといった改良も進めているところでございます。
また、新たな試みといたしまして、現在、南北線では車両のブレーキ時に発生しました回生電力を十分に活用し切れていないということがございますので、この回生電力をバッテリーに蓄えることで別の車両に供給いたします、蓄電池式回生電力貯蔵装置を変電所に新たに設置することで、エネルギーの有効活用を図っていきたいと考えてございます。
◆しのだ江里子 委員 LED導入や人感知式センサー導入など、省エネの新技術導入を進めていることはわかりましたが、今後も大きな効果が得られるよう努力していただきたいと思います。
最近の地下鉄車両は、非常に省エネ性能が高くなっていると説明で伺いました。走行に必要な電力の3分の1以上をブレーキ時の回生エネルギーでできると聞いておりました。そして、ただいまのご答弁にありましたように、今回、電力貯蔵装置を設置するということですが、従来から採用しているブレーキエネルギー回生システムとの違いはどのようなところにあるのでしょうか。また、ほかでも導入実績があるのか、具体的な設置計画の内容をお聞かせください。
◎富澤 技術担当部長 電力貯蔵装置と従来のものとの違いでございます。
従来の再利用する装置は、回生インバーターという名称でございますが、こういった装置では回生した電力をその瞬間に消費しなければその電力はむだになるという欠点がございました。今回、設置計画をしております蓄電池式回生電力貯蔵装置では、回生した電力を一たん蓄電池に蓄えることができます。その電力を必要なときにいつでも車両に供給することができますので、回生した電力をむだなく再利用できるというものでございます。
次に、この装置のほかでの導入実績でございますが、鉄道での導入事例は、国内では5年ほど前にJR西日本で初めて導入された実績がございます。その後、鉄道も含めまして4件ほどございまして、地下鉄におきましては、既に設置されている事例が神戸市と大阪市でございます。
また、具体的な設置計画の内容でございますが、事業計画といたしましては、平成24年度、25年度の2カ年で、南北線の2カ所の変電所に1台ずつ設置することを計画しております。事業費は約3億円を見込んでおりますが、経済産業省の補助を申請する予定で、補助率は3分の1を見込んでおります。この装置によります電力の削減効果といたしましては、南北線の電車走行の電力に対しては4%相当、駅も含めた南北線全体の電力消費量に対しましては約2%の削減効果を見込んでいるところでございます。
◆しのだ江里子 委員 札幌市は、札幌版の環境マネジメントシステムを進めています。省エネを進めるのは大変大切なことですけれども、これで費用が上がってしまっては何もならないわけです。経費削減にもつながる蓄電池式回生電力貯蔵装置のような、まさに鉄道ならではの新しい省エネ対策を今後も積極的に進めていただくとともに、従来からの対策を改善しながら、これらを積み上げて大きな実績をつくっていくという今の方向性を継続させていただきたいです。これには技術の継承も必然だと思います。省エネをぜひとも推進していただきたいと思います。
また、昨年からの電力需要が困難な状況によりまして、電力会社では火力発電がふえた結果、化石燃料の使用量が増加しています。このようなときだからこそ、交通手段として、自動車から公共交通機関に切りかえることが大切なことだと考えますので、いま一度、公共交通機関のさらなる利用を市民に呼びかけていただくことも重ねて求めて、終わります。
○桑原透 委員長 以上で、軌道事業会計予算及び高速電車事業会計予算の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回は、次週3月6日火曜日午後1時から、保健福祉局関係の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後7時33分...