札幌市議会 2011-12-06
平成23年第 4回定例会−12月06日-03号
議案第20号 札幌市
児童心療センター条例案
議案第21号 札幌市
こども医療費助成条例の一部を改正する条例案
議案第22号 札幌市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案
議案第23号
公立大学法人札幌市立大学の中期目標を定める件
議案第24号 平成24年度
当せん金付証票の
発売限度額を定める件
議案第25号 市道の認定及び変更の件
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〇出席議員(68人)
議 長 三 上 洋 右
副 議 長 大 嶋 薫
議 員 伴 良 隆
議 員 阿部 ひであき
議 員 小 竹 知 子
議 員 北 村 光一郎
議 員 川田 ただひさ
議 員 植 松 ひろこ
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 山 口 かずさ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 石 川 佐和子
議 員 木 村 彰 男
議 員 金子 やすゆき
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 宗 形 雅 俊
議 員 よこやま 峰子
議 員 小須田 悟 士
議 員 宝 本 英 明
議 員 小 川 直 人
議 員 しのだ 江里子
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 小 倉 菜穂子
議 員 伊 藤 牧 子
議 員 村 山 秀 哉
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 長谷川 衛
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 林家とんでん平
議 員 三 宅 由 美
議 員 阿知良 寛 美
議 員 芦 原 進
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 伊 藤 理智子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 恩 村 一 郎
議 員 ふじわら 広昭
議 員 三 浦 英 三
議 員 本 郷 俊 史
議 員 涌 井 国 夫
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 宮 村 素 子
議 員 武 市 憲 一
議 員 小 野 正 美
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 福 士 勝
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 西 村 茂 樹
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 年 男
議 員 堀 川 素 人
議 員 松 浦 忠
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〇欠席議員(なし)
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 小 澤 正 明
副 市 長 生 島 典 明
副 市 長 渡 部 正 行
交通事業管理者
交 通 局 長 下 村 邦 夫
水道事業管理者
水 道 局 長 北 野 靖 尋
病院事業管理者
病 院 局 長 吉 田 哲 憲
危機管理対策室長 長 利 秀 則
市長政策室長 秋 元 克 広
総 務 局 長 井 上 唯 文
市民まちづくり局長 橋 本 道 政
財 政 局 長 金 崎 健太郎
保健福祉局長 加 藤 敏 彦
子ども未来局長 大谷内 則 夫
環 境 局 長 若 林 秀 博
経 済 局 長 渡 邊 光 春
観光文化局長 山 崎 亘
建 設 局 長 宮 浦 哲 也
都 市 局 長 阿 部 宏 司
会 計 室 長 飯 塚 和 惠
消 防 局 長 遠 藤 敏 晴
教育委員会委員 西 村 真 理
教育委員会教育長 北 原 敬 文
選挙管理委員会委員長 高 橋 忠 明
選挙管理委員会委員 上瀬戸 正 則
選挙管理委員会委員 大 西 利 夫
選挙管理委員会委員 富 田 新 一
人事委員会委員長 大 塚 龍 児
人事委員会事務局長 今 義 範
監 査 委 員 谷 本 雄 司
監査事務局長 大 居 正 人
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 早 瀬 龍 宏
事務局次長 本 間 章 弘
政策調査課長 熊 木 隆 春
議 事 課 長 出 井 浩 義
議 事 係 長 田 口 繁 治
委員会担当係長 木 村 卓 哉
委員会担当係長 冨 永 智
書 記 太 田 知 孝
書 記 大 山 佳 洋
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〔午後1時1分開議〕
○議長(三上洋右) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、67人です。
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○議長(三上洋右) 本日の
会議録署名議員として
宮村素子議員、
本郷俊史議員を指名します。
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○議長(三上洋右) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(早瀬龍宏) 報告いたします。
去る11月30日、
人事委員会委員長から、議案第20号 札幌市
児童心療センター条例案に対する意見書が提出されましたので、その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、
質問順序表、
陳情受理付託一覧表、陳情取下げ一覧表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
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○議長(三上洋右) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第2号、第13号、第14号、第16号から第25号までの13件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
小竹知子議員。
(
小竹知子議員登壇・拍手)
◆
小竹知子議員 私は、ただいまから、自民党・市民会議を代表し、今定例会に上程されました議案及び市政の諸課題について、順次、質問をいたします。
初めに、市長の政治姿勢について、大きく6点お伺いします。
最初に、財政問題について、2点質問いたします。
1点目は、税の涵養策についてです。
我が国の経済は、
東日本大震災の後、一部回復の兆しが見られるものの、ユーロ圏の財政危機、急激な円高など、今後の見通しは極めて厳しい不透明な状況となっております。道内経済においても、長い景気の低迷から立ち直ることができず、また、本市においても、税収の伸び悩み、生活保護を初めとする
社会保障費の増大により、より一層厳しい財政状況が続いております。このような状況下にあって、少しでも強固な財政基盤をつくり上げるためには、自主財源を確保することが重要となります。
本市の
財政力指数は、平成22年度で0.694と、政令市中において最低の状況が続いており、市税などみずから賄える財源では市政を運営することのできない、極めて脆弱な財政状況であることを示しております。自主財源の中心となる市税収入は、平成22年度決算において2,751億円であり、10年前と比較して60億円増加しております。いかにも市政運営の努力によって増収となっているかのようです。
しかし、その実態は、税源移譲や税制改正によって本来200億円規模の増収効果が見込まれたことからすると、60億円の増収は、実質的に140億円の減少であったということであります。
我が会派は、これまでも、常々、
公共事業の推進や民間活力の活用などによって税の涵養を図り、自主財源を引き上げる政策を提案してまいりましたが、事実上、減少していることをかんがみますと、より戦略的、効果的な施策の速やかな実行が必要であると強く指摘するものです。例えば、都心周辺など利便性の高い地区において、容積率、高さ制限の緩和など、民間再開発が進むような施策を強化し、長期的な税収の確保に努めるべきであります。
そこで、質問ですが、民間の力を生かしながら税の涵養に結びつくような取り組みについてどのような認識をお持ちか、お伺いします。
また、今後の取り組みについて、短期、中期、長期の視点で、それぞれの取り組みについてお伺いします。
2点目は、市債についてです。
一般会計において、平成22年度決算における市債残高は9,636億円となっております。市長は、さきの選挙において、4,000億円の借金を減らしたと自負しておられましたが、過度に借金を減らすことだけを目的としたために、税の涵養につながる
公共事業を抑制し過ぎたのではないでしょうか。その結果として、景気の悪化を招き、税収が減少するという悪循環を引き起こしたことは、市内の経済状況をかんがみますと、重大な問題であると言わざるを得ません。
建設事業債の残高は、平成13年度で約1兆2,000億円であったものが、平成22年度では約7,400億円と、10年間で激減した一方で、国の財政悪化により、
地方交付税の
振りかわりとして地方が借金を肩がわりする
臨時財政対策債の残高は、制度が始まった平成13年度に100億円であったものが、平成22年度は2,260億円と激増しています。
そこで、質問ですが、市長は、借金の減少をどの水準まで目指すのか、お伺いします。
また、悪循環を招き、景気が低迷しているこの現状をどのように認識されているのか、お伺いします。
そして、市債残高を減少させるため、さらに
建設事業債を減らし、
臨時財政対策債をふやし、結果として残高を減少させていくという手法を今後も続けるのならば、市内経済はさらに疲弊していくことが考えられますが、どのように対応されるのか、お伺いします。
政治姿勢の2点目は、都心の
まちづくりについてです。
近年、
少子高齢化の急激な進展や、価値観、
ライフスタイルの多様化、
コンパクトシティへの転換など、都心を取り巻く状況が大きく変化する中、本年1月にさっぽ
ろ都心まちづくり戦略が策定されました。現在、都心部では、
札幌駅前通地下歩行空間及び
創成川公園の整備という二つの大きな事業が完了しました。さらに、さきに
パブリックコメントを終えた第3次札幌新
まちづくり計画では、引き続き、創造的な
市民活動等の拠点となる
市民交流複合施設の実現を目指す北1西1地区再開発や、これと連携した西2丁目地下歩道、都心内の中心を象徴する空間である
サッポロ広場の形成を目指す
大通交流拠点整備などのほか、新たに
南1条地区における地上・地下整備の
事業化検討が盛り込まれております。
我が会派としては、本市を取り巻く経済状況の悪化や、市の厳しい財政状況の中、真に札幌のまちをよくしていくためには、都心の果たす役割は極めて大きく、その活性化は必須であり、そのためには、必要な公共投資については積極的に行っていくべきと考えております。
しかしながら、公共投資を行うに当たっては、個々の
公共事業の効果のみを考えて個別に展開するのではなく、そのほかの
公共事業との連携や、既存の施設、空間との一体的な活用を図ることにより、相乗効果を発揮させるなど、より高い事業効果を上げることが求められています。例えば、今後、地下空間の整備が予定、検討される
大通交流拠点や、西2丁目地下歩道、南1条通などについては、既存の地下空間との連携による都心全体としての回遊性を高める動線を意識した
ネットワーク化が必要でありますし、地上部の
歩行者通行量が減少するなどの課題が見えてきた
札幌駅前通についても、
道庁赤れんが前の
北3条広場や
創成川公園等と一体で解決策を検討することが必要ではないでしょうか。現在、大通地区及び
札幌駅前通地区では、
まちづくり会社による積極的な活動が行われているほか、
南1条地区においては、
地域関係者が地下の整備等についてみずから検討を行うなど、主体的な動きが活発化しております。
そこで、質問ですが、今後の都心部への公共投資のあり方を含めた都心の
まちづくりについて、市長の見解をお伺いします。
政治姿勢の3点目は、被災地の瓦れきの受け入れについてです。
3月11日の
東日本大震災以降、札幌市では、被災地に向けた即座の物的・人的支援や、義援金の拠出に加え、避難されてきた方々に向けて住宅支援を初めとする各種の
生活支援等を行ってきました。また、この市議会においても、札幌市における
地域防災計画の見直し、強化のほか、
収容避難所の備蓄強化や耐震化にかかわる問題など、第2回定例会やさきの第3回定例会などでさまざまな議論があったところであります。一方、国においては、先月21日に12兆1,025億円の第3次補正予算が成立し、津波による
瓦れき処理費用3,860億円や、福島第一原発事故による除染費用3,558億円などを含む、総額9兆2,438億円の
復興関係予算が計上されたところです。これにより、ようやく復旧、復興の取り組みが加速度的に早まるよう期待もしているところであります。
しかしながら、今、私が気になることは、地震や津波等によって発生した瓦れきに関する被災地以外での処理の受け入れについてです。震災直後は多数の
地方公共団体が受け入れを表明しておりましたが、福島第一原発事故による汚染問題の影響からか、時間がたつにつれ、その勢いがトーンダウンしてきております。
私は、先月、震災から8カ月が経過した被災地へ行き、
瓦れき処理が思うように進んでいない現状を見てまいりました。こうした中、環境省も各都道府県を通じて受け入れの意向調査をしていると聞いておりますが、これに対し、上田市長は、汚染された瓦れきは受け入れをしないとの意向を表明しております。11月8日の
市長記者会見においては、瓦れきがどのようなものなのかについて十分な情報をもらっていないとした上で、
放射性物質によって汚染をされているというものであれば一切お断りするとのことでありました。当然、市長は、札幌市民の安全・安心を確保することが使命でありますし、私も、汚染された瓦れきについては、国の何らかの方針や処置を待たなければならないと考えております。その一方で、汚染されていない瓦れきについては、被災地の速やかな復旧、復興の手助けとして、処理できる範囲内で受け入れるべきと考えております。そして、実際に、4月時点における環境省の調査に対する回答によれば、本市は年間約3万8,800トンの
瓦れき受け入れ能力を有しているとのことであります。
そこで、質問ですが、市長は、汚染された瓦れきは受け入れないと明言されておりますが、汚染されていない瓦れきの受け入れについてはどのような見解をお持ちなのか、伺います。
また、被災地の瓦れきについて、安全性が確保されたものからいち早く受け入れを始めたらどうかと提言いたしますが、お考えを伺います。
政治姿勢の4点目は、
再生可能エネルギーの方向性についてです。
再生可能エネルギーについては、本市における
太陽光発電設備の設置や
木質ペレットの利用の取り組みなど、官民問わず、既にさまざまな利用の取り組みが行われております。特に、福島第一原発の事故以来、
再生可能エネルギー法の成立もあり、全国的にも
再生可能エネルギーが積極的に推進され、その取り組みが加速度的に進むと予測をされているところです。
環境関連分野は、全社会を挙げて取り組むべきものです。また、成長著しい昨今の状況などをかんがみると、札幌市は、
再生可能エネルギーの利用者としての観点のみにとどまらず、より積極的な行動を起こすべきときにきていると私は考えます。例えば、高断熱住宅、中でもパッシブハウスや積雪に耐え得る
太陽光パネルの架台などは、
積雪寒冷地という地域性から札幌市内の企業には技術の蓄積があると考えます。また、
モエレ沼公園での雪冷熱を利用した
冷房システムなどは、雪の降る札幌の気候を最大限活用したものであると考えます。
一方、札幌圏は、全国でも有数な大学が集積している圏域です。その中には、北海道大学の
低温科学研究所など、
積雪寒冷地ならではの研究をしておられる研究者の方も多く、私は、その利を踏まえ、もっと広く活用すべきと提言いたします。具体的には、札幌市内の事業者が持つさまざまな技術と、大学の研究者が持つ知識を集約したりマッチングしたりしながら、
積雪寒冷地に適した
再生可能エネルギーのあり方を考えることができないか、そして、
札幌オリジナルの
積雪寒冷地に適した
再生可能エネルギーのシステムを構築し、これを、北海道、東北を初めとした国内にとどまらず、広く北方圏の国々に広げていくようなビジネスチャンスにつなげる可能性も探るべきではないでしょうか。こうした取り組みをすることにより、企業間や企業と大学との交流なども進み、ひいては、エネルギー問題にとどまらず、地域経済の活性化や大学の知を生かした
まちづくりにもつながっていくものと考えます。
現在、札幌市が進めている
エネルギー転換調査では、
再生可能エネルギーの普及への課題等の整理や、省エネルギーのさらなる推進への課題等の整理と
市民ライフスタイルの検討などについても調査すると聞いております。その結果も気になるところですが、
再生可能エネルギーは、札幌市全体にかかわる問題であって、さきに述べたような大きな方向性を視野に入れつつ、全市的な観点で検討を進めるべきであると考えます。
そこで、質問ですが、
再生可能エネルギーについて、現在、検討が進んでいる
まちづくり戦略ビジョンを初め、地域経済の活性化や
まちづくりにどのように生かしていこうとされているのか、その方向性を伺います。
政治姿勢の5点目は、TPP、
環太平洋パートナーシップ協定に対する考え方についてです。
先月11日に、野田首相は、TPPに関して、交渉参加に向けて関係国と協議に入ると表明しました。TPPに関しては、ほかの国際間の経済連携と違い、例外なく関税を撤廃することができることを考えると、第1次産業のウエートが大きい北海道にも大きな影響を与えることとなります。札幌市も、本年1月に策定された
産業振興ビジョンで、札幌市経済の成長を牽引する戦略として、食、観光、環境、健康・福祉を重点分野としてこれから取り組もうとしているわけであります。特に、食に関しては、北海道全体の第1次産業と市内の2次・3次産業が連携し、6次産業として札幌の経済を発展させようとしています。また、今月にも策定されようとしている
札幌型ものづくり振興戦略の中でも、高い
ブランド力を誇る北海道産を利用した
食料品製造業の
付加価値額を、平成21年の691億円から平成27年には760億円と、10%のアップを目指す方向性とのことであります。今、安全・安心として海外でも評価の高い
北海道ブランドを売りに、札幌経済の浮揚を考えているにもかかわらず、TPPに参加することによって、その
ビジョン自体が無意味なものになってしまうのではないでしょうか。
一部報道によれば、輸出産業や一部の製造業などにはよい影響を与えるとのことであります。しかし、今、特に輸出産業などが困っているのは70円台という厳しい円高の問題でありますが、これは、高い関税をかけられているのと同じことです。このことは、TPPに参加する、しないの問題ではなく、
民主党政権による通貨政策の失策による問題であります。このことを考えれば、安い賃金での労働力も大量に入ってくる危険性もあり、日本人の労働環境も著しく厳しい状況に置かれてしまう危険性があります。
また、医療分野についても大きく影響し、私たちの生命についても不安を感じるところもあり、外国企業が日本国内で不利益をこうむったとして、日本政府を相手取った訴訟を提起できるとする、いわゆる
ISD条項も盛り込まれる懸念もあることから、私たちの今までの商取引や習慣、文化さえも壊されてしまう危険性があります。
札幌市議会も、
TPP協定交渉参加の中止を求める意見書を昨年の第4回定例会で可決したところであります。北海道庁も、
高橋はるみ知事を本部長として、先月14日に
北海道TPP協定対策本部を設置しました。1次産業や医療分野を中心に対策をまとめ、今後の対応を検討しようとしております。市長は、
定例記者会見などで明確に反対を述べられました。先月8日の
定例記者会見では、私なりの行動をとらせていただくと述べられているわけであります。
そこで、質問ですが、市長は、具体的に、TPPの交渉について、政府に対してどのような行動をされるのか、お伺いします。
また、政府は、早ければ来年の11月ごろには
TPP交渉を妥結する可能性があります。言葉やパフォーマンスだけではなく、TPPについて本当に反対をされているというのであれば、具体的な
数値データなどを用い、TPPに参加することによって札幌経済に与える影響を訴えることが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、
TPP参加が札幌経済に対して具体的にどのような影響を与えると考えていらっしゃるのか、市長の認識をお伺いします。
また、北海道全体の第1次産業と連携をとりながら、
産業振興ビジョンや
札幌型ものづくり振興戦略を考えているのであれば、今回のTPPの問題については、政府に対する行動のみならず、あらゆる想定のもとでの
食産業振興についても、北海道と連携をとりながら対処する必要があるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、TPPに関し、北海道とどのような連携をしながら対処するおつもりなのか、お伺いします。
政治姿勢の6点目は、大阪市長選の結果に対する認識と今後の大都市制度についてです。
このたびの大阪市長、府知事のダブル選挙は、大阪都構想を掲げる橋下新市長率いる大阪維新の会の両候補の圧勝に終わりました。大阪の民意が反映された結果は結果として受けとめなければなりませんが、しかしながら、地方自治の根幹を揺るがしかねない大阪都構想の行く末や独断専行の政治手法には、その強力なリーダーシップに期待する向きがある一方で、多くの批判があることもまた事実であります。
上田市長は、地方分権の確立と政令指定都市の未来を見据え、現職市長候補の応援でわざわざ大阪まで行かれ、選挙カーに乗って必死に応援されたとお聞きしているところでありますが、今回の選挙の結果を踏まえ、市長としてのリーダーシップのあり方を含め、率直にどのような認識を持ち、札幌市やほかの政令指定都市にどのような影響を及ぼすと考えられるか、お伺いいたします。
また、先日の第3回定例会において、我が会派の宗形議員が、新たな大都市制度特別自治市の創設について質問いたしました。いま一度、振り返りますと、国の施策及び予算に関する提案、いわゆる白本要望にあるとおり、基礎自治体優先の原則のもと、住民がよりよいサービスを受けられるよう、広域自治体、基礎自治体という2層制自治構造を廃止し、地方が行うべき事務のすべてを一元的に担う大都市制度特別自治市を創設することを要望している中で、横浜市長が呼びかけた大都市制度共同研究会に参加しないなど、札幌市は、現段階でやや積極性に欠けるのではないかとの観点から質問したところであります。これに対して、市長からは、みずからが指定都市市長会の大都市制度検討部会の副部会長として、昨年5月に特別自治市という概念を持ち出し、具体的な検討を進めた上で、指定都市市長会として提案を取りまとめたとのことでありましたが、一方で、幾つかの都市が圏域をつくっている本州のほかの大都市とは違い、北海道に一つしかない札幌のような大都市では、自治のあり方に距離があると答弁されるなど、依然として消極姿勢が感じられるところであります。
そこで、質問でありますが、特別自治市の概念と対極にある大阪都構想が大阪の民意を受けて具体的な検討に入る動きを見せておりますが、今こそ、ほかの政令指定都市と歩調を合わせて、特別自治市創設に向けて大きな一歩を踏み出すべきと考えますがいかがか、お伺いします。
政治姿勢の最後に、1点指摘をさせていただきます。
過日、家庭ごみ収集やごみステーションに関する課題等に対応していくため、第三者をメンバーとして設置された家庭ごみ収集方法等に関するあり方検討委員会の中間取りまとめが公表されました。その中では、対応すべき現状の家庭ごみに関する課題として、ごみステーション管理の負担軽減とさわやか収集のあり方が挙げられていますが、我が会派が以前から主張している戸別収集については盛り込まれませんでした。
確かに、単にごみの問題だけでとらえると、戸別収集実施に伴う約62億円と言われる収集経費の増加は、厳しい財政状況を抱える札幌市としては大変な課題であることは言うまでもありません。しかし、不適正排出が減少し、ごみステーション管理に係る住民間のトラブルの回避が期待できる、高齢者、障がい者のごみ排出の利便性が向上する、収集業務の増大により、新規雇用を創出し、経済活性化につながるなどのメリットがあることは、既に議会での議論などで明らかであります。
また、古くから戸別収集を実施している福岡市を視察したところ、市民からは、そのメリットは大変大きいとの声が多く、大変好評であると聞いております。検討委員会では、ごみ施策の枠の中のみの検討となるのはやむを得ませんが、最終的に札幌市が判断する際には、それだけにとどまらず、広い意味での未来の札幌の
まちづくりの観点から総合的な判断が求められると考えます。そして、中長期的なスパンで戸別収集の有益性を議論すべきであるとの我が会派の主張の趣旨を深く理解していただくべく、行政執行の判断のあり方について指摘をさせていただきます。
次に、公契約条例についてお伺いします。
市長は、一貫して公契約条例制定に向けて積極的な姿勢を崩されておりませんが、しかしながら、いまだ、この条例に関しての市民の認識は非常に低く、また、対象となる業界団体においては、条例制定に対しては否定的な意見も多いのが現状であります。市側は、これまでの議会、委員会等の質疑におけるこの条例の問題点等についての質問に対しても、例えば、検討中といったあいまいな答弁を繰り返すばかりであり、議会側に明確に納得がいく説明をしていないのが現状であります。また、こうした不十分な検討段階において、
パブリックコメントを市民に求めるといった、市側のまさに制定ありきで臨む強硬姿勢に関しては、まことに遺憾であります。このように、市民、議会を軽視した姿勢には、今、多くの批判が寄せられております。
さきの第3回定例会において、市長は、平成24年の第1回定例会でこの条例案を上程したい旨の答弁をされておりますが、これまでの議会での議論の深まり度合い、そして、関係する諸団体の理解度の低さからして、我が会派としては、第1回定例会で結論を求めるような状況にはないと考えます。
そこで、質問ですが、入札制度改革等、必要な施策を行わずして条例制定を進めようとする姿勢には大いに疑問を感じますが、この点に対してどのような見解をお持ちか、市長にお伺いします。
次に、この条例に関しての法的な問題点について、具体的にお伺いします。
この条例は、先行事例として、千葉県野田市、そして、同じ政令市である神奈川県川崎市において制定されております。しかし、憲法、民法、地方自治法、独占禁止法といった観点からの問題点を解決できず、廃案になった都市の事例もあります。このように、上位法に照らし合わせても問題がある条例であることから、この点については、議会においてその見解を明らかにしていただくことが必要であります。
さきの第3回定例会において、我が会派から質問をさせていただいてはおりますが、市側からは納得のいく明確な答弁をいただいておりませんので、改めて、市長に順次お伺いします。
まず、憲法第27条第2項は、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とあります。本市公契約条例素案は、国が定めた最低賃金を上回る賃金額を市長が定め、これを公契約に従事する労働者の最低賃金額とし、事業者に承認させることで契約相手を限定し、これに違反した事実が判明した場合は、是正を求め、さらに、事実公表、契約解除することができるとしています。雇用契約の内容である労働条件に対する公的機関の介入は、労働者間の適用関係に合理性ある法律によるべきであって、一
地方公共団体の札幌に大きく限定されるような本条例によることはできません。
公契約条例は、実質的に雇用契約の内容である労働条件に介入しており、公共が契約の自由を妨げ、労使間で自主的に定めるべき労働条件である賃金について介入することになります。さらに、独占禁止法第19条は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」としています。地域が限定される公契約条例は、労働者間の適用関係に合理性ある法律ではなく、実質的に雇用契約の内容である相手方の労働条件に介入することは、取引上の地位を不当に利用し、事業活動を不当に拘束する条件をもって相手方と取引し、そのことで自由公正な競争を阻害することになります。
そこでまず、公契約条例は、憲法第27条第2項において違憲であり、よって、独占禁止法第19条への違反であると考えられますがいかがか、市長に見解をお伺いします。
次に、憲法第94条は、
地方公共団体は、法律の範囲内で条例を制定することができるとあり、地方自治法第14条第1項は、普通
地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるとしております。本市条例素案は、本条例が定めるところの範囲の労働者に対して、一定金額以上の作業報酬支払いを遵守することとあります。その遵守理由が明確でないまま、事業者の経営裁量を過度に規制したり、同一業務であっても、本市と他市とで賃金差が生じることで労働者の平等を阻害することになり、最低賃金法の目的や効果を阻害することになります。
第3回定例会の決算特別委員会、また、先月の財政市民委員会でも明らかになったように、低賃金の実態を示す客観的な数字根拠は示されることはなく、本条例素案にもそれらの事実関係の記載がないまま
パブリックコメントを行っており、公契約を設けるべきとするための合理的な理由がいまだ提示されていないことは、まことに遺憾であります。
国の最低賃金は、厚生労働大臣等による最低賃金審議会の意見聴取と決定という法律に定めた厳密な手続をされております。仮にも、本市条例素案が、最低賃金法の趣旨のもと、厳密な手続で定めようとされたとしても、本市公契約条例が国の手続に準じたものになり得るかは甚だ疑問であり、むしろ、最低賃金法の手続体系を無視する形となってしまう可能性があります。このように、本市が目指す公契約条例は、いわゆる上乗せ条例とはほど遠く、それどころか、最低賃金法の根拠を揺るがす危険を持つ以上、国の法律を上回る規制をすることは、憲法第94条と地方自治法第14条第1項が言う条例制定には該当せず、越権行為であります。
そこで、質問ですが、公契約条例は、憲法第94条において違憲であり、地方自治法第14条第1項への違反であると考えられますがいかがか、お伺いします。
次に、平成21年の国会質問第64号は、最低賃金法と公契約条例のいずれが有効かを質問されたものですが、その質問に対し、内閣は、最低賃金法上の地域別最低賃金は、地域の経済状況等を踏まえつつ、一方で、全国的に整合性のある額を設定するものであり、ご指摘のような条例は、このような地域別最低賃金の趣旨に反するものであることから、これを制定することは地方自治法第14条第1項の規定に違反するものであると考えるとしています。
そこで、市長に伺いますが、この平成21年の国会質問第64号は、どの程度の法定拘束力を持つと考えていますか。
また、本市が検討している公契約条例、つまり、国会質問第64号で言う、地方自治体が、最低賃金法の趣旨を踏まえ、地域別最低賃金額を上回る独自の最低賃金額を規定した条例について、これを制定することは地方自治法第14条第1項の規定に違反するものであると考えると内閣の答弁書に記載されていますが、市長は、この答弁に対し、どのような見解をお持ちか、お聞きいたします。
次に、本市における防災教育についてお伺いします。
3月11日に起こった
東日本大震災では、物的、人的を問わず、甚大な被害がもたらされ、私たちは、改めて自然災害の恐ろしさを思い知ったところです。札幌市第3次地震被害想定によると、札幌市においても、震度6から7の地震発生の可能性があるとされております。市民の生命、身体、財産を守るためには、昨年見直しが行われた札幌市
地域防災計画にもあるとおり、市民一人一人や地域における取り組みが大変重要であると考えます。
私は、先月、被災地に行き、特に児童生徒への防災教育の大切さを痛感してまいりました。今回の震災において、石巻市立大川小学校では、避難しているさなかに多くの児童が津波にのみ込まれ、全校児童108人中74人の生命が失われました。その一方で、釜石市においては、市内小・中学校の児童生徒が全員避難して無事だったという事実が、釜石市の奇跡として広く語られているところであります。
しかし、これは、釜石市内の児童生徒にとっては、常日ごろからの訓練や研修などにより身についた高い防災意識が行動にあらわれた成果であり、その意味では、奇跡などではなく、極めて普通のことだったと言えるのかもしれません。実際に、釜石市内の小・中学校では、自分の命は自分で守ることができるようになるだけではなく、助けられる人から助ける人への意識をはぐくむことを目的に、独自の全校防災学習を実施しているとのことです。災害時に助ける人になれるような知識や技術を身につけるための実践的な防災教育を常日ごろから行っているのです。
今回、文部科学省は、
東日本大震災を受け、防災教育を全面的に見直す方針を決めました。宮城、岩手、福島の3県だけで635人もの児童生徒が津波の犠牲になったことを教訓に、指示がなくても、どうすれば生き残れるのかをみずから判断し、主体的に避難行動ができることを目指して、12月から全国の指導主事ら220人を対象にした研修を開始し、防災担当の教員を配置することが明らかにされています。しかし、これから本当に必要なことは、こうした取り組みを学校という現場の中でどう生かし続けるかということだと考えます。
一方、避難所生活に目を向けますと、避難所の運営や避難者の支援に当たっては、大学生や高校生などの若い力が大変重要となります。今回の震災においても、避難生活を送りながら、避難所の運営に積極的に高校生がかかわっていたり、瓦れき撤去等のボランティア活動に多くの学生が参加していますが、こうした活動の輪がもっと広がっていけば、被災地の復興にもつながっていくばかりか、将来の防災に対する意識向上、つまりは共助の考えにつながります。そのため、本市においても、国における取り組みを検証しつつ、より一層の取り組みが必要であると考えます。
そこで、質問です。
本市においてもしっかりと防災教育を充実させていくことが必要と考えますが、教育委員会や危機管理対策室など、各関係行政機関の今後の連携のあり方を含め、具体的な防災教育の取り組みについてどう考えているのか、伺います。
次に、障がい児・障がい者福祉施策についてお伺いします。
私が会派では、障がい者福祉施策の中でも、特に障がいのある、あるいは障がいの疑われる子どもにできるだけ早い時期に適切なケアや訓練を行うことが、将来的に障がいの重症化を防ぎ、ひいては、成長後に一般就労するなど、自立した生活を送る可能性が高まると考え、ことし夏ごろから秋にかけて、札幌市の児童療育体制がどのようになっているのかについて現地調査を実施いたしました。
そこで、私は、静療院児童部門や発達医療センターの児童療育にかかわるスタッフが、専門的な技能や知識に基づき、障がいのある子どもに対し、適切で念入りなケアや訓練を行っているところを拝見させていただきました。私は、こういったことができる場所やスタッフの数がふえることにより、これまで以上にそれらの多くの子どもが将来的に自立した生活を実現する可能性が高くなると考えております。今後見込まれる超高齢化社会での介護費用や
社会保障費の増大を見据え、重度障がい者への生活支援施策や就労支援施策を行っていくことはもちろん重要なことです。また、こうした障がいのある子どもへ良質かつ潤沢なサービスの提供を行うことによる将来的な障がい者の自立促進については、一時的には予算がかかっても、将来への投資的な観点から、さらには、障がいのある子どもの未来への希望をはぐくむ観点からも、特に充実させていく必要があると考えます。
そういった意味で、今回提案されている
児童心療センター条例案につきましては、市立札幌病院静療院の児童部門について、一定程度の収支の制約がある企業会計から、政策的に充実強化を図っていくことが可能な一般会計の病院となるという点において、我が会派として、長く主張し、取り組んできたものですので、歓迎するところであります。
しかし、一番大きな問題は、平成25年度以降に予定されている発達医療センターとの統合を機に、この病院がどのようなソフト展開の充実化を図り、札幌市全体の障がい児の療育体制に対してどのような役割を果たしていくことになるのかだと考えます。発達医療センターとの統合後は、児童心療センターではなく、新しいセンターの名称をつけることになるかと思います。その際には、多くの市民が親しみやすく、障がいのある子どもを持つ親御さんが気軽に利用できるような名前にしていただきたいですし、総合的な相談窓口機能や、障がいのある子どもばかりではなく、その親御さんへの直接的な支援機能もぜひ設けていただきたいと考えております。
市立札幌病院静療院の児童部門には、心の病気や自閉症の専門的知識を持つ多くの医療技術職がおりますし、施設の統合後は、障がいのある子どもの専門的知識を持つスタッフがさらに集約されることになると思われます。私は、そのような専門的知識を広く札幌市全体に広めることができれば、より多くの機会によって障がいの早期発見が可能になるとともに、発見後の早期療育のためのケアや訓練の拡充につながると考えます。
また、先日、改めて、厚生委員会において静療院の病棟を視察いたしました。発達医療センターや障がい児施設と統合するための改修を行う建物は、想像以上に老朽化しており、配置も複雑であることを再認識いたしました。障がいのある子どもがよい環境で療育が受けられ、また、スタッフにとっても働きやすい施設とするためには、抜本的な大規模改修が必要だと感じました。改修計画については、ぜひ、利用者や現場で働くスタッフの声も丁寧に取り入れながら進めていただきたいと考えております。
そこで、3点お伺いします。
今回、提案されている
児童心療センター条例案について、このセンターは、平成25年度以降、発達医療センター等と統合し、複数の診療科の医療機能と福祉機能が統合した新しい施設とする予定とのことですが、統合後は、札幌市全体の児童療育体制の中で、どういった位置づけ、役割を担っていく施設となるのか、伺います。
また、2点目として、施設改修計画について、設計費が今年度予算に計上されておりませんが、現在は、成人病棟のみの改修を行う計画だと聞いております。我が会派としては、成人病棟の改修のみでは、決して、利用者にとっても、そこで働くスタッフにとってもよい施設にはならないとの考えから、現行の計画の変更も視野に入れながら施設改修計画を進めるべきと考えますが、今後、具体的にどのように施設改修計画を進めていくのか、伺います。
3点目として、これまで、札幌市の看護師等の医療技術専門職員については、一般部局と病院局の間では積極的な人事交流は行われていないと認識しておりますが、この病院の看護師を初めとした障がいの専門的知識を持つスタッフが、人事異動により各区の保健センターなどさまざまな場所に配置され、周りの職員へ指導を行ったり、また、逆に、保健センターなどの職員がこの病院に配属され、障がいの専門的知識を身につけることができれば、札幌市役所全体の児童療育機能の向上につながると考えますが、このような人事交流はお考えか、伺います。
次に、高齢者福祉について、2点お伺いします。
1点目は、地域で暮らす高齢者への支援に対する考え方についてです。
先日、札幌市が発表した市政アンケートによると、市政に関する要望について、高齢者福祉に関することが昨年度に引き続き第2位であり、割合では0.2ポイントふえて22.1%となっています。また、より積極的に進めてほしい具体的な施策に対する要望については、在宅の高齢者のための保健福祉サービスの充実が45.7%で第1位となっております。こうした結果から、私は、高齢者が地域でいつまでも元気で暮らせるような社会を今後どのように構築していくか、また、そのためにはどのような支援が必要かを早期に検討することが求められているのではないかと考えます。
そうした中で、地域の現状を見ると、在宅サービスはいろいろと充実してきており、介護保険を活用している高齢者は、ケアマネジャーが必要なサービスを手配する体制が整備されています。しかし一方で、一般の高齢者にとっては、自分の生活で必要な支援をしてくれるサービスはどこにお願いするとよいのか、また、どのサービスを利用すれば生活が改善されていくのかなど、さまざまあるサービスの中から的確に見つけ出すことが難しく、その利用をためらいがちになるという課題が見受けられます。この課題を解決するためには、高齢者が望む必要なサービスがしっかりと提供されるように、地域包括ケアの考え方のもと、医療、介護、予防、生活支援などのサービスが切れ目なく提供される体制を確立するとともに、地域におけるさまざまな高齢者関係機関の
ネットワーク化をさらに進め、コーディネート機能を充実させることが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、これからの超高齢化社会を見据え、こうした地域で暮らす高齢者への支援について、札幌市はどのように考えているのか、お伺いします。
高齢者福祉の2点目は、老人クラブ活動費補助金の見直しについてです。
高齢者が地域の中で元気に生きがいを持って暮らしていく上では、老人クラブの活動も大変重要なものです。
札幌市では、各クラブが行う各種の社会活動に対して、老人クラブ活動費補助金を交付して支援しておりますが、この補助金については、昨年度の事業仕分けの結果も踏まえて、補助の仕組みを見直すこととし、ことし7月に、札幌市老人クラブ連合会理事会へその見直し案が提示されたところです。現行の会員数に基づく定額補助から、ボランティア活動などの取り組み度合いによる加算額方式を取り入れた見直し案に対して、理事の中からは、高齢のためボランティア活動などへの参加が体力的に難しい会員もふえているという現状への配慮に欠けている、ボランティア活動に限らず、健康づくり活動についても加算額の対象活動に加えるべきといったさまざまな指摘や反対意見が出されたとのことです。
私は、さきの第3回定例会の決算特別委員会において、各クラブの実情や課題を踏まえた札幌市老人クラブ連合会理事会の意見をしっかりと受けとめて対処すべきであると、その対応姿勢を問いただしたところです。これに対して、市からは、見直しについては、札幌市老人クラブ連合会理事会の一定のご理解をもとに進めることとし、意見交換を通して再認識した事柄をでき得る限り考慮しながら、見直し案を再考、工夫したいとの答弁がありました。その後、札幌市から、理事会の意見を考慮した修正案が提示され、理事会において了解されたと聞いており、今後は、各クラブへの説明会などを行っていくものと思いますが、見直しの目的や期待される効果を明確に示して、それをクラブ側にきちんと理解いただけるよう努めることが大切であると考えます。
そこで、質問ですが、市長は、老人クラブ活動の意義についてどのように認識し、今回の見直し案によりどのような効果を期待されていると考えているのか、お伺いします。
また、こうした点を踏まえて、札幌市としては、新制度のスタート時期や各クラブへのサポート方法についてどのように考えているのか、お伺いします。
次に、運動部活動外部顧問派遣モデル事業についてお伺いします。
中学校における運動部活動は、子どもたちの心と身体を健やかにはぐくむ貴重な教育活動であり、我が会派としても、平成21年の第3回定例会において質問するなど、これまでもその充実を図るよう求めてきたところです。
運動部活動については、先日、文部科学省が実施した平成22年度体力・運動能力調査の結果が発表され、中学校や高等学校において運動部に所属していた経験を持つ大人は、そうでない者に比べ、体力が高いことが報告されるなど、運動部活動における継続的な運動経験が生涯にわたって重要な意味を持つことが改めて示されました。また、来年度から、中学校において全面実施となる学習指導要領においても、部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう留意することと位置づけられ、部活動の意義が規定されたところであります。
このような中、札幌市に目を転じて見ると、現在、市立中学校で設置されている部活動の数は、全市的に見ると、10年前の平成13年度に1,194部設置されていた運動部が、平成23年度においては980部と減少傾向にあります。部活動を行うためには、当然、子どもたちを指導する顧問教諭の確保が不可欠です。ここ数年、運動部、文化系の部を合わせて部活動の顧問になっている教員は、全教員の約6割と変わらない状況であり、多忙な業務や家庭の事情等により顧問を引き受けることができない教員も少なからずいると聞いております。
このような状況を改善すべく、平成21年の第3回定例会での我が会派の質問に対して、教育長からは、運動部活動外部顧問派遣モデル事業を実施するなどしながら、課題についても検討を進め、より一層、部活動支援の充実に向けて検討を進めるとの答弁がありました。この事業は、運動部活動の意義を大切にした指導を行うことのできる教職経験者を外部顧問として派遣し、効果的な運用等について調査研究するものであり、開始年度である平成21年度には3名、その後、派遣人数を順次ふやし、現在9名を派遣しているとのことですが、果たしてその成果は出ているのか、危惧しているところであります。
そこで、質問ですが、これまでの運動部活動外部顧問派遣モデル事業の成果と課題についてお伺いします。
また、これまでモデル事業で行ってきたこの事業について、今後、どのように展開していくお考えか、お伺いします。
最後に、コミュニティ施設の管理運営についてお伺いします。
本市においては、地域住民のコミュニティ活動や生涯学習の拠点として、区民センター、コミュニティセンター、地区センターが各地域に設置され、子どもからお年寄りまで、市民各層の交流の場として、また、地域文化をはぐくむ場として利用されております。
そうした中、豊平区においては、社会教育法に基づく公民館としては市内唯一の月寒公民館が設置されております。月寒公民館は、昭和36年の旧豊平町との合併により本市に引き継がれた施設で、地域住民の日常生活における生活文化の創造と教養の向上、さらには、心の触れ合う豊かな地域づくりの場として重要な役割を担っている社会教育施設です。貸し館事業のほかにも、豊平区の高齢者教室である創造学園の運営を初め、各種教養講座や文化祭の開催など、地域における生涯学習の拠点施設として多くの市民に利用されております。
月寒公民館は、平成22年4月から
指定管理者制度が導入され、月寒連合町内会を母体とする札幌市月寒公民館運営委員会が管理運営を行っているところですが、地域の各種団体との連携や交流も深く、地域の特性に合ったさまざまな講座や行事が展開され、各種サークルの育成にも積極的に取り組まれており、施設の利用者数も増加傾向にあると伺っております。平成21年の
指定管理者の選定手続では、3者からの応募があり、選定委員会で審査した結果、この運営委員会が指定を受けました。しかし、指定期間は平成26年3月までの4年間となっており、その後、継続して指定を受けられる保障がない中で運営をしている状況にあります。
東日本大震災の発生により、今、地域のきずなが再認識されるようになってきました。私は、月寒公民館のように、地域住民みずからがコミュニティ施設の運営に携わり、自分たちの住むまちに愛着を持ってさまざまな活動に参加していくことが、地域のきずなをより一層強め、安心して暮らせるぬくもりのまちをつくっていくことにつながるのではないかと考えます。
指定管理者制度の導入に際しては、これまでも議会で数多くの議論を経て今日に至っており、民間が持つノウハウを活用して、市民サービスの向上と経費の節減を図ろうとする
指定管理者制度の趣旨に反対するものではありません。しかし、その一方で、地域での活動の場として地域住民や地域に密着して管理運営を行っているコミュニティ施設などについては、
指定管理者選定の際に、地域の特性を十分理解した団体であることなど、一定の配慮が必要ではないかと考えております。
そこで、質問ですが、地域密着型で管理運営が行われているコミュニティ施設などについて、
指定管理者の選定の際に何らかの配慮をするお考えはないのか、お伺いします。
以上で、私の質問のすべてを終了いたします。ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(三上洋右) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 7項目ご質問をちょうだいいたしましたので、私からは、1番目の政治姿勢についてと公契約条例、そして、防災教育につきましても私から答弁させていただきまして、その余は、担当の副市長並びに教育長からも答弁をさせていただきます。
まず、私の政治姿勢ということで6点と、それから、一つのご指摘がございましたので、その点について、順次、お答えを申し上げます。
まず、1点目は、財政問題についてということでありますが、1点目の税源の涵養策についてということでございます。
札幌市は、しばしば支店経済などという言葉で言いあらわされますまちでございまして、製造品あるいは出荷物が他の都市に比較して少ない、いわゆる消費都市として発展をしてきたまちでございます。全国的に見ても、人口の割に税収が少ないというまちでございます。このような発展の歴史を持つ札幌市の財政運営において、安定的な自主財源というものを拡充する、そういう財務体質の強化ということが大変重要な課題であるというふうに私も認識をいたしております。都市計画や、あるいは再開発制度についても、税源の涵養という視点をあわせ持って運用してきたところでございまして、現在策定中の行財政改革推進プランにおいても、税源の涵養という視点を重視したところでございます。
少し具体的に申し上げますならば、駅前の地下歩行空間につきましては、沿道ビルの建てかえの促進というものを期待したものでありますし、創成川通の整備、これは創成川イーストというふうに言われておりますが、民間投資を誘因していく、こういう意味合いがあるわけでありますし、創世1.1.1区(さんく)といった事業につきましても、税源の涵養という視点をあわせ持って進めてきたところでございます。また、不要不急な市有地の売却につきましても、これを民間の資産形成にいたしますと、当然のことながら、そこから固定資産税等の税金が上がってくるわけでございますので、そんな意味で税源の涵養策の一つに挙げることができるわけであります。
今後、長期的には、人間が生み出す知恵だとかアイデア、こういったことを産業振興の礎に据えていくということ、札幌の持つ豊かな資源を生かして、そして、市民が創造的に活動できる土壌を整えていくということで、新しい文化や高い付加価値を生み出す産業というものを創出していかなければならない、このように考えております。また、短中期的には、容積率を初めとする土地利用制限の規制緩和といいますか、これを、再開発事業に対する補助などとあわせまして、経済効果が期待できる施策を十分に活用しながら、魅力と活力あふれる
まちづくりというものを、市民、企業、そして行政が一体となって推進をしていくべきであると考えております。
2点目の今後の市債管理のあり方についてでございます。
札幌市が都市としてほぼ成熟した段階にあることなどから、市債発行を行う建設事業費は減少してきたということは事実でございますが、昨今の札幌市経済の厳しい状況というのは、平成9年の拓殖銀行の経営破綻による深刻な打撃によりまして低迷を続けてきたその傷跡がいえない中で、平成20年秋のリーマンショックを契機とした世界的な金融危機の影響を受けたことが大きな要因である、このように考えております。
市債残高につきましては、近年、自治体の意思でコントロールすることができない
臨時財政対策債、臨財債と言われておりますが、この発行額が、ご指摘のとおり、急増しております。これに加えまして、
少子高齢化、あるいは大震災に備えた
まちづくり、公共施設の大量更新など、さまざまな行政課題に対応するため、今後、
建設事業債の有効な活用が不可欠であるというような状態になっておりますので、今後、一般会計の市債残高が増加をしていくことはやむを得ないということだと考えております。
しかし、来るべき超高齢化社会、そして人口減少社会というものを見据えますと、将来世代に過度な負担を残さないように、市債の発行規模を管理していくことがどうしても必要だと考えております。今後は、札幌市全体の市債残高の縮減ということを目指して一般会計の債務管理を行っていく、そんな方針で臨みたいと考えているところでございます。
都心の
まちづくりについてということでお尋ねでございます。
都心の
まちづくりにおける今後の公共投資については、限られた財源でその効果を最大限に高めるという視点から、より一層の選択と集中ということが求められてまいります。また、協働による
まちづくりを進めるという観点から、官民が都心の将来像を共有し、歩調を合わせた投資を行っていくということが肝要かと存じます。
ことし3月に開通いたしました
札幌駅前通の地下歩行空間の整備におきましては、既存の地下空間との連携によりまして都心内の回遊性が大幅に向上したほか、整備に合わせた沿道ビルの建てかえが進むとともに、民間プロジェクトによります
北3条広場整備計画が進展するなど、今後もこの事業効果が波及あるいは持続するということが期待をされているところでございます。
このように、今後の都心の
まちづくりにおきましては、公共投資によります波及効果を重視しながら、特に地元関係者による
まちづくりの検討熟度、あるいは、開発意欲の高い地区において民間投資を誘引する施策の展開や、民間と連携をしたプロジェクトの推進などによりまして、都心の魅力だとかにぎわいといったものをより一層向上させ、札幌のまち全体の活性化というものを牽引してまいりたい、このように考えているところでございます。
被災地の瓦れきの受け入れについてお尋ねでございます。
放射性物質に汚染をされた瓦れきの受け入れにつきましては、これまで申し上げてきておりますとおり、現段階では行う考えはないということを、いま一度、明らかにしておきたいと存じます。
その一方で、
放射性物質に汚染されていない瓦れきの受け入れについてということでありますが、これにつきましては、基本的には拒む理由はございません。しかしながら、これまでの国の方針の中で、
放射性物質に汚染されている、いないという区分は示されておりません。そして、受け入れる
放射性物質の基準については、受け入れ側に判断がゆだられているということなど、国の安全面の基準が明らかでないというふうに私は認識をいたしております。また、安全性に関して、国による国民への十分な情報提供がなされていないということなどから、現時点では市民の理解を得られる状況ではないと判断しておりまして、このような状況下におきまして、瓦れきの受け入れを行うことはできない、このように考えております。
再生可能エネルギーの方向性についてというお尋ねでございます。
再生可能エネルギーを初めとするエネルギー利用の見直しは、全社会で一丸となって取り組むべきものと、私も認識を共有させていただいております。
また、環境・エネルギー関連産業というのは、今後の成長産業というふうに見込まれる分野でございますし、北海道、札幌の特性を踏まえた環境、エネルギーの開発や利用などの取り組みというものは、地域経済の活性化に資するものと認識をし、また、期待をしているものでございます。そのためには、地域にあります大学や研究機関、企業、行政などが互いに連携しながら、札幌ならではの取り組みというものを進めていくことが必要かと思っております。このように、環境、エネルギーは、経済の活性化や
まちづくりと関連が深い重要なテーマでありまして、
まちづくり戦略ビジョンでも、目標としてしっかりと位置づけをさせていただいているところでございます。
次に、TPPに対する考え方についてでございます。
1点目の政府に対する行動についてということでありますが、これまで個別の機会を通じましてさまざまな意見を申し上げてまいりましたが、北海道市長会の要請を通じて、国や道内選出国会議員に対し、道民合意がないまま関税撤廃を原則といたしますこのTPPへの参加を決して行わないことという強いメッセージを申し上げてきたところでございます。
今後とも、TPPに対する要請活動等に当たっては、道内自治体というものが一丸となって取り組むということが重要であると考えております。
2点目の札幌経済に対する具体的な影響についてということでありますが、
TPP参加により、この北海道の良質な産業であり、基幹産業でございます農業が衰退をし、北海道の良質な食料源という優位性というものが失われていくのではないか、そのことによって札幌に集積をしております2次・3次産業についても多大な影響をこうむり、結果として札幌経済の存立基盤というものが脅かされていくのではないか、このように心配をしているところでございます。
しかしながら、
TPP参加によります影響額につきましては、これはなかなか難しいものがありまして、関係する分野が非常に多岐にわたりまして、具体的な試算は、政府の機関ですらさまざまなものが出されているわけでございまして、我々の情報量によってこれを正確に判断するということは非常に困難な状況であるというふうに言わざるを得ません。引き続き、国等の情報収集に努めるとともに、市内企業・団体への調査などを通じまして札幌経済への影響力の把握に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
3点目の北海道との連携についてということでありますが、今後とも、政府への要請活動はもとより、現在申請中でございます北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区というものがございますが、これを通じまして1次産品の高付加価値化を図る、そして、食産業の国際競争力を強化していくということを目指しまして、北海道や道内各地域と連携を強化しながら対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、大阪市長選についての結果に対する認識と、今後の大都市制度についてということでございます。
1点目の選挙結果の認識と札幌市や他の政令指定都市への影響についてでございますが、選挙結果は、インパクトの強いメッセージが大阪府民あるいは大阪市民に受け入れられた結果だというふうに認識をしておりますし、また、大阪がそのような選択をされる状況にあったのだ、このように思うわけでございます。
なお、市長のリーダーシップはどういうものがいいのかというふうなことについての私の物の考え方でございますが、いろんなリーダーシップ像はあるわけでありますが、私は、市民とともに考え、ともに悩み、そして、ともに行動する、それをまとめ上げていくのがリーダーシップだというふうに考えております。いわゆる市民自治というものを極めて大事だというふうに考えていくリーダーの姿勢が正しいリーダーシップではないか、このように考えております。
また、選挙戦の大きな争点となっております大阪都構想なるものにつきまして、この構想の内容というのは、ほとんどわかりません。理解ができないというふうに思っております。でありますから、各政令市は、それぞれ自分たちの歴史的な、あるいは地理的な特性というものを持っているわけでありますので、それぞれに応じた役割をみんなが持っているというふうに理解をするほかないかというふうに思います。
そういう意味で、今回の選挙結果が、札幌市や他の政令市における大都市と広域自治体との関係に直ちに影響をするというふうには、私は考えておりません。
2点目の特別自治市創設への取り組みということでありますが、大都市制度の見直しというのは法改正によって行うものであります。よって、国に具体的検討を促すために、19政令市の市長で構成をいたします指定都市市長会におきまして、新たな大都市制度の一つの姿として特別自治市というものを提案してきたところでございます。また、10月31日に開催されました指定都市市長会議におきましても、特別自治市の議論を継続するとともに、制度創設について、改めて政府に要請をしたところでございます。
政府は、本年8月に設置をされました第30次地方制度調査会におきまして大都市制度を審議事項としておりまして、来年にも議論が始まっていくかというふうに思っております。今回の地方制度調査会は、政令市から横浜市長が委員となって出席をすることになっておりますことから、今後とも各政令市長と力を合わせて取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
ごみの問題につきましては、ご意見を拝聴いたしました。
それから、2点目の公契約条例についてのご質問でございます。
まず、入札制度の見直しということでありますが、競争性、公平性、透明性、そして、品質の確保だとか、あるいは経済・雇用状況など、さまざまな要素を勘案して、必要があると認められるものについては、これまでも、順次、改善を図ってきておりまして、公契約条例の施行前であっても必要な改善については行っていきたい、このように考えております。
また、公契約条例につきましては、この制定につきまして、マニフェストに掲げた私の重点施策の一つでございまして、市民の皆さん方に、直接、この間、お訴えをさせていただいてきたところでございます。現在、その素案について、広く市民の皆さん方から意見を求める
パブリックコメントを実施中でありますけれども、労働環境がより一層厳しくなっていく中で、事業の品質確保を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現に資するものとして、早期に実現を目指しているところでございます。
法律的な問題点についてご指摘がございました。
1点目の労働条件への介入ではないかというご指摘でございます。
公契約条例は、契約自由の原則に基づきまして、札幌市と受注者との間で締結をする契約を対象としておりました。受注者は、契約上の約束の一つとして、一定賃金の確保という義務を、みずからこれを履行する責任を負うものでございまして、市が公権力を用いて事業者の労働契約の内容に介入するものではございません。また、この条例により、優位的な地位を利用して不当に利益を得るものではないことから、憲法上及び独占禁止法上、問題はないと理解をいたしております。
最低賃金法と条例の関係についてでございます。
最低賃金法を上回る規定、規制というものをすることは越権行為ではないかとのご指摘でございますが、ご質問にございました平成21年の国会質問第64号に対する内閣の答弁書では、公契約条例において、契約の相手方に対し、地域別の最低賃金額を上回る賃金を支払わなくてはならないとすることは、最低賃金法上、問題ないとの解釈が示されておりました。憲法上及び地方自治法上、問題はないと、私も同じ考え方でございます。
3点目の国会質問の同じ第64号に対する内閣の答弁書の解釈でございますけれども、答弁書は、最低賃金法と公契約条例の関係に関する質問に対する政府としての法的解釈を示しているものでございまして、これは、私は、それなりにといいますか、尊重されてしかるべきものだろう、このように考えております。
この答弁書において、地方自治法に違反するものとされる条例の類型というのは、これは、条例の射程距離の問題、何を対象にしているかということにかかわる問題でございまして、地域内の労働者全部について一律に最低賃金額を上回る賃金でなければ契約をしてはならないというような内容のものであれば、それは最賃法なり地方自治法に違反するということを政府の答弁は言っているわけでございまして、契約の相手方が市と当該契約者との間におけるものにつきましては、それは、契約の相手方に限定して公契約条例を適用するというものでありますので、一定賃金の支払い義務を保障していく公契約条例は地方自治法上も問題はない、私はそのように理解をしているところでございます。
次に、防災教育の取り組みについてでございます。
防災教育につきましては、児童生徒の生命、身体を守るということに加えまして、子どものときから教育をすることで、市民一人一人の災害に対する認識を高めることにもつながることなどから非常に重要なことである、このように考えております。
現在、学校では、札幌市教育委員会が作成をいたしました学校震災対応マニュアル等の内容を踏まえまして、火災や地震に対する避難訓練や、あるいは安全指導などを実施しているほか、各教科においても防災に関する学習を行うとともに、消防局が実施をしております「教えて!ファィヤーマン」、これは全国的に評価をされているプログラムでありますけれども、これだとか、ジュニア防火防災スクール事業によりまして、児童生徒への防災教育の取り組みが進められているところであります。
さらに、来年度から学校で活用できる防災の副教材を現在作成することを計画しておりまして、これもあれも、議員がご指摘のとおり、みずから考える力、これを育てる、高めるということが今後とも必要なことだというふうに思いますし、これは、防災教育に限らず、高齢者に対する思いやりだとか、あるいは、子ども同士のさまざまなトラブルを解決する問題だとか、みずから考えるということが、最も大事な、自分を守り社会を守っていく力になる、私はそのように信じておりますので、防災は極めて身近な問題として、今回、3.11で我々に突きつけられた問題であります。この問題を、単に防災の問題だけではなく、本当に私たちの社会が安全に、そして安心して生活ができる環境をつくっていくために、子どものときから、大人と一緒に、そしてまた行政も企業も、みんなで一丸となって力をつけていくという努力をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(三上洋右) 渡部副市長。
◎副市長(渡部正行) 私からは、ご質問いただきました4番目、5番目、7番目につきましてお答えをいたします。
まず、障がい児・者福祉政策についてでございます。
1点目の児童心療センターの施設統合後の位置づけと役割について、児童心療センターが持つ子どもの心の病や発達障がいへの診療機能と、発達医療センターが持つ体の発達への診療機能、さらには、障がい児への通園による療育機能もあわせ持つ複合施設というふうになります。子どもの心と体の発達に関する総合的な支援施設として位置づけまして、複数の診療科による治療が必要な子どもや、医療と福祉の双方向からの支援が必要な子どもに対し、同じ場所で専門的な支援の提供を行うほか、それぞれの機能が持つ専門的な知識について他の医療機関や施設へ広げていくことも目指すべき重要な役割と認識しております。
2点目の施設改修計画は変更がないのかというようなご指摘でございましたが、施設利用者や職員から寄せられた意見、要望につきましては、慎重に検討してまいりました。当初想定をした計画では、その要望等に対応することが困難であると判断し、当初の施設改修のみを行う計画から、一部については増築等も施設改修とあわせて行うこととしてさらに検討を進めてまいりたい、そのように考えております。
なお、整備するに当たりましては、今後も引き続き利用者の意見や要望などをできるだけ取り入れてまいります。
今後の予定についてですけれども、早期に設計業務に着手いたしまして、来年秋ごろには工事を開始し、完成は平成26年3月ごろをめどとしております。
次に、3点目の看護師等の医療技術職員の各区保健センター等との人事交流ということでございますが、職種にかかわらず、職員が人事異動によりさまざまな職場や立場で経験を積み、その時々で配置された職場において前職の経験を生かし、良質な市民サービスを提供していくのは重要なこととは認識しております。
ただし、病院と保健センターでは看護師等の職種に求める職務内容は大きく異なりまして、処遇にも差を設けていますことから、人事交流を行うためには課題も幾らかあるというふうに考えております。
市全体の児童療育体制の向上につきましては、人事異動のみではなくて、これまでも行っている児童心療センターでの区保健センター等の職員を対象とした研修の充実化などにより対応してまいりたい、そのように考えております。
次に、高齢者福祉についてでございます。
1点目の地域で暮らす高齢者の支援についてでございますが、だれもが住みなれた地域で安心して暮らせることはもちろん大事なことでありまして、そのためには、買い物やごみ出しに困難を抱えるなど、公的サービスだけでは対応できない日常的な生活課題に適切に対応する体制の整備が必要になります。これまでも、民生委員、児童委員や地区福祉のまち推進センター、町内会、自治会等の地域団体が見守り活動を行い、福祉や生活全般に関する相談等を実施しているところでございます。さらに、先駆的な地域では、ボランティアやNPO法人の協力も得ながら、ネットワークを構築して高齢者の生活を支えている事例もございます。このような取り組みがほかの地域にも広がるよう、区社会福祉協議会や区役所がコーディネート役となり、地域で行われている活動や各種地域資源のネットワークづくりをさらに推進してまいりたい、そのように考えております。
2点目の老人クラブ活動費補助金の見直しについてでございます。
まず、老人クラブは、近年、新規加入者の減少などによる会員の高齢化や加入率の低下といった問題も抱えておりますが、地域で健康づくりやボランティア、友愛活動などを積極的に展開することを通しまして豊かな社会づくりに寄与しているとともに、高齢者がさまざまな知識や経験を生かして活動する生きがいづくりの場として、その意義は今後ますます高まるものと考えております。見直し案を通しまして、こうした活動の大切さについて地域や市民に一層理解が広がり、それが会員の励みともなって、クラブ活動のさらなる活発化や加入率の向上につながっていくことを期待しております。
次に、新制度の実施時期や各クラブへのサポート方法でございますが、新制度については、平成25年度からの実施に向けて、各クラブがこうした活動により活発に取り組むための参考となる活動事例の紹介や相談への対応など、円滑な移行へのサポートを、来年度、しっかりと行ってまいりたい、そのように考えております。
次に、コミュニティ施設等の管理運営についてでございます。
指定管理者の選定に当たりましては、これまでも必要な見直しを行ってきておりますけれども、更新時には、現在、指定管理業務を行っている団体について、その実績を適正に考慮する必要があるものと考えております。地域住民の活動拠点でありますコミュニティ施設など、
指定管理者の選定につきましては、前回、地域団体との関連性や地域への貢献実績などを選定基準に盛り込み、加点要素としたところでありますけれども、今後もその配点のあり方については検討してまいりたい、そのように考えております。
以上でございます。
○議長(三上洋右) 北原教育長。
◎教育長(北原敬文) 運動部活動外部顧問派遣モデル事業につきまして、私からお答えいたします。
まず、成果と課題についてでありますが、外部顧問の派遣によりまして、運動部活動の存続が可能となるとともに、教職経験を生かした指導が行われることによって、技術指導のみならず、生徒の人間形成にも配慮した運動部活動が行われるなどの成果が上がっております。
しかしながら、そうした指導ができる人材を確保することが難しく、それが課題となっております。
次に、今後の展開についてでありますが、教育委員会といたしましては、このモデル事業が保護者や学校から高い評価を得ておりますことから継続的に実施することとし、各学校や中学校体育連盟などと連携しながら、適切な人材の確保に努めるとともに、外部指導者制度との有機的な関連を図りまして、運動部活動が一層充実するよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上です。
(
小竹知子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(三上洋右) 小竹議員。
◆
小竹知子議員 ただいまご答弁いただきまして、ありがとうございます。
公契約条例につきましては、上田市長と我が会派での見解の大きな違いというものを感じております。次の第1回定例会におきまして、引き続き、厳しく追及させていただきたいと考えております。
そしてまた、TPPに関してですが、反対を表明されておりますが、実質、それが札幌市経済に与える影響というものについて、やはり、その数値というものを示せない中での賛成ということにはならないかと思いますので、その働きかけといったものもしっかりと取り組んでいただけたらと考えております。
そしてまた、再質問なのですが、障がい児、障がい者の福祉施策についての3点目について再質問させていただきます。
私は、医療技術専門職員について、札幌市役所全体の児童療育機能向上のためにも、一般部局と病院局との間で人事交流をするお考えはないのかと質問させていただきました。それに対しまして、一般市民のサービスへの向上も考えて大変重要なことであると認識されているとのお答えでしたが、大変重要なことと認識されているのであれば、まず最初に、職員の処遇の差ですとか、そういったことを考える前に、市民サービス、あとまた、札幌市全体の児童療育体制を向上させるためにも、どういったことをすることによってその差を埋めることができるのかとか、そういった考えをお持ちではないのかということについて、もう一度、認識をお伺いしたいと思います。
○議長(三上洋右) 渡部副市長。
◎副市長(渡部正行) 人事交流についてでございますけれども、近々にはちょっと難しいところは、先ほどの理由でございます。
ただ、私がご説明申し上げましたように、やはり、まずもって、今度、統合される、どういう名前になるかわかりませんが、統合されたセンターにおきまして、やはり、札幌は10区ございますけれども、10区の職員に均質に知識なり技能なりを、まずそれを普及していくということが大事だろうというふうに思います。
やはり、市役所の制度でございますので、処遇の問題とかはそうそう簡単にはいきませんので、先の展望としては考えてまいりたい、人事交流で考えてまいりたいとは思いますけれども、まずはそこからやらせていただきたい、そのように考えております。
以上です。
(
小竹知子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(三上洋右) 小竹議員。
◆
小竹知子議員 ありがとうございました。
あと、もう1点だけお願いでございます。
外部顧問派遣モデル事業についてなのですが、ただいま、市立中学校での部活動の現状というのは、子どもたちが部活動を選択するというのではなく、消去法というようなことになっているかと思います。子どもたちがやりたいと思っていても、顧問教諭が不在ということで、やりたい部活動が見つからず、帰宅部を選択するといったような結果にもなってしまっております。子どもたちにとっては、本当に非常に大切な問題であるかと思います。次代の札幌市を担う子どもたち、有意な人材を育てるためにも、この運動部活動というのはしっかりと充実させていくべきものだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(三上洋右) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後2時36分
再 開 午後3時6分
――
――――――――――――――――
○副議長(大嶋薫) これより、会議を再開いたします。
代表質問を続行します。
山口かずさ議員。
(山口かずさ議員登壇・拍手)
◆山口かずさ議員 私は、民主党・市民連合議員会を代表し、2011年第4回定例市議会に上田市長が上程されました諸議案並びに当面する諸課題について、提言を含め、順次、質問いたします。
まず、2012年度の予算編成についてです。
我が国の経済状況は、2008年のいわゆるリーマンショックによる急激な景気の悪化からようやく立ち直ろうとしていたさなかに、
東日本大震災が発生し、私たちから多くの大事なものを奪い、また、経済活動を混乱させました。そこに追い打ちをかけるように、欧米の金融不安や経済の停滞感を背景として、急速に円高が進行したまま高どまりし、国民生活や企業経営の先行きに大いに不安を与えています。この影響は地域経済にも及んでおり、札幌市の経済状況は、個人消費など一部で持ち直しの傾向が続いているほか、観光客数にも回復の動きがあるものの、雇用情勢の停滞や企業の景況感の悪化など、全体としては厳しい状況が続いています。
こうした状況のもと、国は、2012年度から2014年度の新たな中期財政フレームを発表し、
社会保障費の自然増への対応を含めた一般財源総額について、2011年度の水準を下回らないよう確保することや、
地方交付税については、地方の安定的な財政運営に必要となる財源を適切に確保することのほか、大震災にかかわる復旧、復興に当たっては、被災団体以外の
地方公共団体に影響を及ぼすことがないよう、国費による措置を大幅に拡充した上で、地方財源を確実に確保するとされました。
このような中、札幌市では、さきに来年度の予算編成方針を公表し、伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えるという基本方針に沿って、行財政改革推進プラン(案)に基づく事務事業の見直しや収納率の向上を図って所要の財源を確保しながら、第3次札幌新
まちづくり計画(案)の事業を着実に実施することを定めました。
現在、この方針に沿って各局から提案のあった予算要求の概要が公表されていますが、上田市長3期目の最初の本格予算として、喫緊の課題である低迷する景気状況や先行きの不透明感への対応はもとより、市有施設の耐震化や備蓄物資の適正配置といった災害対策を着実に進めていかなければならないことなどを考え合わせると、これまで以上にめり張りがあり、そして、市民にとってよりわかりやすい予算としていく必要があると考えています。
そこで、質問です。
近い将来、確実に到来する超高齢社会、人口減少という困難な時代を見据え、市長は、2012年度予算を具体的にどのように編成するおつもりか、お伺いします。
また、札幌市の今後の財政運営を見据えると、市税などの自主財源をできるだけ多く確保し、他の政令指定都市と比べて脆弱だと言われている財政基盤を少しでも充実強化させていくことがますます重要だと考えます。
このような認識のもと、第3回定例市議会の代表質問において、我が会派から、市税を初めとする市有債権の収納率向上など、歳入確保対策についてどのように取り組もうとしているのかとお伺いしたところ、市長から、他都市において、債権管理に関する条例を制定しているところもあることから、そうした事例も参考にしたいとの答弁があり、また、同じく決算特別委員会においては、理事者から条例制定に向けた作業を進めていきたいとの答弁がありました。
そこで、質問です。
条例にはどのような内容を盛り込むことを検討しているのか、また、いつごろまでに条例を制定したいと考えているのか、お伺いします。
次は、公契約条例の制定及び入札制度の改善についてです。
我が会派では、2008年から今日まで、公契約条例の策定に向けて、検討委員会を立ち上げ、さまざまな角度から調査と議論を積み重ねてきました。そこで、改めて明らかになったことは、特に建設業では、元請と下請という重層的な関係の中で、明確な賃金体系が確立されず、仕事量の変動が、直接、施工単価や労務費の引き下げにつながり、会社はもとより、建築労働者の生活を不安定なものにしていること、また、業務委託契約や
指定管理者制度においても、低価格入札により、官製ワーキングプアなど、そこに従事する事業者や労働者の状態悪化を招いていることです。
こうした背景の一つに、1949年のILO第94号条約、公契約における労働条項に関する条約がいまだ日本で批准されていないことが上げられます。一方、2009年5月に成立した公共サービス基本法の第11条に、適正な労働条件の確保と労働環境整備は、
地方公共団体の義務であると定められたことが影響してか、近年、地方議会から、国や当該自治体に対し、公契約法等の制定を求める意見書採択数は、昨年2月時点で813議会に及んでいます。また、野田市、川崎市では、既に公契約条例を制定し、施行しています。こうした中で、市長が、(仮称)札幌市公契約条例素案を関係常任委員会に説明し、11月22日から市民への
パブリックコメントを実施したことは的を射たものであり、高く評価しています。
そこで、公契約条例の制定に当たり、今回の同条例素案で特に重視しなければならない点について、以下、3点お伺いします。
質問の1点目は、条例の適用範囲以外の工事及び業務契約に対しても条例の趣旨が尊重されることが必要であり、条例の実効性の確保と、その浸透状況を見きわめ、適用範囲の拡大も視野に入れておくべきと思いますがいかがが、お伺いします。
質問の2点目は、作業報酬のあり方についてです。
条例素案の中でも、税金を原資とする札幌市の発注事業を通じ、品質低下等が生じることのないよう、労働者の適正な労働環境の確保を図る必要があるとしています。また、今後、作業報酬下限額設定に当たり、工事は国の公共工事設計労務単価、業務は建築保全業務労務単価を基準に、生活保護基準その他の事情も勘案し、審議会の意見を踏まえて制定するとしています。
しかし、現在、国が定めている札幌市の公共工事設計労務単価等は、全国最低水準での下落傾向にある中で、さらにそこから一律80%または90%を下限とすることは、条例素案の趣旨に矛盾すると言えます。
そこで、質問です。
1次下請、2次下請であっても、51職種ある
公共事業設計労務単価を、例えば、熟練工は100%以上に、それ以外は90%程度を確保する報酬区分を設定しなければ条例素案の趣旨が生かされないと思いますが、どのようにお考えか、お伺いします。
質問の3点目は、入札制度の改善についてです。
条例素案では、条例の制定により、労働者に一定額以上の賃金が支払われることを前提にした入札が行われることによって、より適正な価格による競争を促す効果が期待できるとしています。しかし、これらは、業者の条例趣旨の理解や企業努力だけでは限界があり、入札制度の改善が必要です。
その一つ目は、札幌市と北海道とでは最低制限価格及び低入札調査基準価格が異なっている点です。同一市域内で同規模の工事や業務の経費算出基準が異なることにより、受注者に不利益が生じていることは明らかです。
二つ目は、特定共同企業体の構成要件です。現在は、市内に主たる営業所を有する者を原則として2分の1以上含むことや、混合入札も可能となっていますが、私たちは、市内業者を構成員代表とするよう見直しを求めてきました。これまで、工事の難易度や参入の公平性などを理由に見直しが先送りにされてきましたが、実際には、地元企業がその現場の主力を担っており、技術力や実績も十分に蓄積してきているのではないでしょうか。
そこで、質問です。
新年度から、最低制限価格及び低入札調査基準価格の設定基準を少なくても北海道の基準に引き上げるとともに、特定共同体結成要件についても、市内の景気、経済、雇用のてこ入れの視点から、市長は、暫定措置として、同企業体の構成員代表は市内業者に限定する政治判断をすべき時期に来ていると思いますがいかがが、お伺いします。
次は、札幌・大田姉妹都市提携記念訪問についてです。
札幌市は、昨年10月22日に、韓国大田広域市と姉妹都市提携を行い、以後、国際親善ジュニアスポーツ姉妹都市交流事業として両市の中学女子バレーチームが親善試合を通じた交流を行ったほか、ロシアのノボシビルスク市を加えた3都市の青少年による姉妹都市少年交流事業など、活発な取り組みが進められています。また、本年10月には、上田市長を初め、市民訪問団、経済訪問団、市議会議員訪問団など約100名から成る札幌市の公式訪問団が大田市を訪問し、現地で1周年を記念した事業に参加しています。その際には、札幌商工会議所と大田商工会議所が今後の交流に向けた覚書の交換をしたほか、札幌観光協会と大田観光協会が姉妹提携を行うなど、これからの交流の土台づくりも行ってきました。
姉妹都市交流は、市民レベルを中心に推し進め、相互理解と友好親善の促進を図ることを基本と考えますが、行政レベルとしては、互いの施策のよい点を学び合い、
まちづくりに生かしていくのも極めて重要なことです。特に、大田市では、昨年の姉妹都市提携の際、札幌市役所本庁舎を訪れたヨム市長が、1階の元気カフェに立ち寄り、その取り組みに感銘を受け、大田市役所庁舎に大田版の元気カフェである健康カフェをつくりました。この取り組みは大田市民にも大変好評で、現在、市内に4店舗を構えるまでになり、本年中には8店舗に、その後もさらにふやす方向だと伺っています。
ところで、今回、我が会派も市議会議員訪問団に参加し、大田市を訪問しましたが、その中で、幾つか、札幌にも取り入れるといいのではないかと思う施策がありました。
まず一つ目は、子ども向け図書館です。これは、大田市庁舎の20階に設置されており、土・日も開放されています。主に高校生くらいまでの子どもを対象にしており、書籍のほかにも、学習スペースやパソコン、映像コーナーなどが設けられています。札幌市でも、区役所に隣接している区民センターに図書室があり、児童向けのコーナーなどもありますが、子ども向けに特化し、かつ庁舎の中に設けられていることで、子どもたちが小さいころから行政にアクセスしやすく親しみやすい雰囲気づくりをしているのが印象的であったと聞いています。
次に、幸福売店という取り組みですが、これも、大田市役所庁舎に設けられた施設で、市民や職員から持ち込まれた不要になった衣類や書籍を販売するリサイクルショップです。ボランティア組織によって運営され、その売り上げは主に低所得家庭児童向けの奨学金や低所得者層への食糧支援などに使われるとのことです。
最後に、ボランティアによる福祉の取り組みです。大田市中心部で開催されていたイベントの中で、福祉学科の学生が出店し、コーヒーを無料で提供するかわりに募金を募るというシステムです。さきの幸福売店の取り組みもそうですが、大田市では、ボランティアの力を中心に社会全体で助け合おうという試みが盛んで、ぜひ札幌でも取り入れるべきと考えます。
そこで、質問です。
市役所庁舎のスペースやリサイクルショップの市場性等、大田市と異なった状況があり、いろいろな課題もあると思いますが、こうした大田市の取り組みを札幌に合った形でぜひ取り入れていくべきと考えますがいかがか、お伺いします。
次は、福島第一原子力発電所の事故に伴う札幌市の放射能汚染等の対策についてです。
文部科学省は、11月25日、東京電力福島第一原子力発電所から約1,700キロートルも離れた沖縄県でも放射性セシウムが観測されたと発表しました。放射性セシウムは、地球の自然界には存在しない物質で、今回の福島原発事故で大気中に放出されたものが日本全土に降り注いだことになります。二度とこのような放射能汚染を繰り返さないためには、太陽光や風力など
再生可能エネルギーの活用が大事だと改めて思います。
さて、放射能による汚染等の測定については、札幌市でも、独自の取り組みとして、事故発生から間もない3月21日から水道水の測定を開始し、5月から下水処理場からの放流水や汚泥、9月には高濃度のセシウムに汚染された稲わらで飼育された牛肉が市場に流通したことから、主要食品なども含めた食品のモニタリング検査、また、10月からは清掃工場の焼却灰の測定と市内4カ所での大気中放射線量の測定が開始され、さらには、学校給食の食材についても、検査対象とされている1都16県で生産された野菜などの青果物や食肉等を対象に今月から定期的に
放射性物質検査を実施し、その結果をホームページ等を利用して継続的に市民に情報提供しています。今後も、市民生活の安全を確保するため、一層の取り組みが必要です。
そこで、1点目の質問は、被災地の災害廃棄物広域処理についてです。
国は、福島県以外の被災地の災害廃棄物の広域処理を進めるとして、各自治体に対し、受け入れ調査を実施し、処理に当たってのガイドラインを示していますが、多くの混乱を引き起こしています。その理由としては、セシウムの濃度基準が1キログラム当たり8,000ベクレルと、原子炉等規制法で定める基準の80倍と極めて高い数値であること、焼却の際にバグフィルターによってセシウムがどの程度除去されるのか明確になっていないこと、費用は国が負担するとされていますが、検査体制や調査等については不明なこと、照会文書が非公開であるなど、手続が極めて不透明なことなどです。
東京都は受け入れを開始していますが、独自の検査体制のもと、国よりも厳しい検査、搬送の基準で行っているとはいえ、事前の議論、住民説明、事後検証などの課題は残されたままです。東北3県を中心とする被災地の早期復旧・復興に向けて、私たちも惜しみない支援を提供していく気持ちに変わりはありませんが、食糧基地として、また、観光資源も豊富な北海道の環境を守り続け、そして、未来を担う子どもたちのためにも、何としてもこれ以上の
放射性物質の拡散は避けなければなりません。
札幌市は、10月に、環境省に対し、安全性の確証が得られる状況にないとして、現時点で災害廃棄物を受け入れることはできないと回答したと伺いました。我が会派も、放射能汚染の広がりを最小限に抑えることが市民に対する責務だと考えます。
そこで、質問です。
環境省が示したガイドラインに基づく災害廃棄物の受け入れについて、市長はどのようにお考えか、お伺いします。
質問の2点目は、原子力災害対策についてです。
内閣府原子力安全委員会の専門部会は、これまで原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域をEPZとして原子力発電所から8キロメートルから10キロメートルを目安に定めていたものにかえて、5キロメートルを目安としたPAZ、予防的防護措置を準備する区域、30キロメートルを目安としたUPZ、緊急時防護措置を準備する区域を新たに定めるとの報告書をまとめ、また、PPA、
放射性物質の飛散による被曝を避けるための防護措置を実施する地域と呼ばれている地域についても50キロメートルを目安に検討を進めていくとしています。また、北海道でも、原子力防災計画を抜本的に見直すとして、有識者の専門委員会を設置し、その報告書を11月21日に取りまとめましたが、肝心なPAZやUPZの範囲については、国が早急に示すことと述べただけで、札幌市も含め、どこまでの自治体がこれらの範囲に含まれるかについては明らかにされていません。
しかし、札幌市は、泊原子力発電所から60キロメートルしか離れておらず、福島第一原子力発電所から同程度の距離である福島市で除染作業に追われているといった状況を考えると、泊原子力発電所で同じ規模の事故が起きた場合に備えて、早急に対策を講じておくことが望まれます。また、泊原子力発電所で事故が起きた際には、周辺の多くの方が札幌市に避難されてくることが考えられ、そうした避難者の受け入れや医療体制など札幌市が果たさなければならない役割は大きく、札幌市抜きで実効性のある防災計画を策定することはできません。
そこで、質問です。
札幌市として、今回示された原子力発電所にかかわる防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方をどのように受けとめているのか、また一方で、いつ起きるかわからない事故に備えて、今後どのように対策を進めていこうとするのか、あわせてお伺いします。
次は、
食産業振興についてです。
札幌市では、ことし1月に中長期的な産業振興の方向性を示す札幌市
産業振興ビジョンを策定しましたが、その中では、食を重点4分野の一つに位置づけ、現在、そのアクションプランとして
食料品製造業を主要6産業の一つに位置づける
札幌型ものづくり振興戦略の策定にも取り組んでいます。
2009年の工業統計を見ると、本市の製造業全体の出荷額が過去10年で約35%の大幅な減少になっているのに対し、
食料品製造業の出荷額はほぼ横ばいで堅調に推移していることからも、札幌市のものづくりにおいて食は確実に大きな柱の一つになっているものと言えます。しかし、人口減少などによる国内消費需要の縮小や経済のグローバル化の進展など食産業をめぐる環境が厳しいことを踏まえ、食産業自体の競争力を高めるなど、これらへ対応した取り組みをしっかりと進めていく必要があります。
このような中、札幌市では、9月に、北海道経済連合会や道内3市と連携し、北海道を東アジアにおける食の研究開発輸出拠点とすることを目指した北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区の申請を行いました。この特区は、北海道の食を1次産業から2次、3次産業まで総合的、有機的に連携させることにより、高付加価値化し、成長産業に育成していこうとする構想であり、この構想の実現は、札幌市、北海道の農業、食産業の振興、ひいては我が国の農業、食産業の国際競争力の強化に大きな役割を果たすものと考えています。この特区が採択されれば、税制上、財政上など、国の総合的な支援措置が活用できるようになり、食産業の一層の振興が可能になるとともに、具体的な事業が動き出すことにより、本市の厳しい雇用環境の改善にも大きく貢献するものと考えられることから、その実現を大いに期待しています。
そこで、質問です。
北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区の採択の見通しと、本特区が採択された場合、本市としてはどのような施策展開を図っていくのか、お伺いいたします。
また、食産業を振興していくため、食の高付加価値化に向けた取り組みを進めていくとのことですが、2011年第3回定例市議会における我が会派への答弁によると、具体的な高付加価値化を推進するためには、食材の機能性についての調査・分析や、それを活用した食品の開発などを行う、いわゆるバイオ産業の一層の振興が必要となってくるとのことでした。
さきに素案が示された第3次札幌新
まちづくり計画では、IT産業が集積する札幌テクノパークにバイオや食関連の研究開発施設が入居できるように再構築するという札幌テクノパーク・リノベーション推進事業が掲げられています。
そこで、質問です。
札幌テクノパーク・リノベーション推進事業のねらいと、同事業によって具体的にどのような取り組みを進めようとしているのか、お伺いします。
次は、基幹系情報システムの他の自治体による利用についてです。
我が会派では、行政サービスを担う基幹系情報システムについて、各自治体が個別に情報システムを持つのではなく、共同で利用して効率的に運用すべきと考え、自治体クラウドに注目してこれまでも取り上げてきました。
しかし、自治体クラウドの採用に当たっては、自治体間で事務の内容や手順をそろえるための時間が相当かかることから、老朽化し、稼働限界の到来が間近に迫っている本市は、早急に対応する必要があったため、本市は独自で基幹系情報システムの再構築に着手しました。本市は、再構築に当たり、産業技術総合研究所の手法を採用してグラスボックス化を図り、特定のメーカーへの依存の解消や分割発注による地元中小企業の参入機会の拡大を実現するという全国でも例のない先進的な手法で開発を進めており、一定の成果を出していることについては評価し、今後の調達でも期待しています。
一方、全国の自治体の中には、札幌市と同様に基幹系情報システムの老朽化や発注の透明性等に課題を抱え、再構築を検討している自治体があるのではないかと考えており、グラスボックス化された本市の基幹系情報システムは透明性が高いことから、他の自治体がこれをもとにしてその自治体に合ったシステムに改修するといった開発を行うことは比較的容易なのではないかと推察します。
そうしたことを踏まえ、現在、再構築中ですが、来年度から順次稼働を始める基幹系情報システムを他の自治体に利用してもらうことについて、今からでも検討すべきと考えています。仮に、ほかの自治体が本市の基幹系情報システムを利用することになれば、利用料収入が期待できるほか、類似したシステムができることで、似通った作業を共同で効率的に行うことが可能になるなど、まさに自治体クラウドが目指す効果に近い結果が得られると期待できますし、そして、何より、地元のIT企業が本市の基幹系情報システムの再構築にかかわって身につけたシステム開発の力を発揮できる場が拡大することにつながります。
そこで、質問です。
開発が完了し、順次稼働を始める本市の基幹系情報システムをほかの自治体が利用することについて、札幌市の考え方をお伺いします。
次は、ことし6月に成立した特定非営利活動促進法の一部を改正する法律、いわゆるNPO法の改正に伴う今後の取り組みについてです。
NPO法は、1995年の阪神・淡路大震災で、町内会、自治会とともに、民間の非営利団体、すなわちNPOやボランティア団体などの市民による自主的・自発的な活動が地域の復興に大きな力を発揮したことを契機に制定されたものです。
東日本大震災後の復興支援においても、発生時から多くのNPO法人が活躍し、さまざまな社会的ニーズにかかわりながら存在感を高めてきたと思います。このことは、NPO法が施行されてから12年が経過し、NPO法人数が全国で4万を超える実績になったことでも明らかです。
しかし、その一方で、税制上の優遇措置のある認定NPO法人は全国でわずか230程度にとどまっているのが現実で、制度の普及が急がれています。これを踏まえ、NPO法人の財政基盤の確立と普及等のため、超党派の議員立法で今回の改正が行われました。新しくなったNPO法で特筆されるのが所轄庁の変更です。現在は、内閣府と都道府県がNPO法人の認証を行っていますが、来年4月以降は、都道府県と政令指定都市に一元化されることにより、札幌市内に事務所のある団体は札幌市になります。
また、国税庁が行う認定NPO法人についても、同様に札幌市が所轄庁となります。そして、NPO法人の財政基盤の確立のため、新たな認定制度が設けられたことも大きな特徴と言えます。特に、NPO法人が広く市民からの支援を受けているかどうかの基準、これはパブリックサポートテストと言われているものですが、この要件を緩和して認定を受けやすくするとともに、設立間もないNPO法人のスタートアップ支援として、この要件を免除した仮認定という制度が導入されました。
このほか、今回の改正では、都道府県や市町村が条例で個別に指定したNPO法人に寄附した場合、寄附者の住民税を控除することができる個別指定制度も創設され、札幌市のように、子育て日本一を目指す
まちづくりを掲げ、また、環境首都・札幌を宣言していることから、子育てや環境問題に取り組むNPO法人を指定するなど、特色ある施策展開も期待できると思っています。
いずれにしても、今回の改正は、教育や子育て、防犯や防災、医療や福祉など地域の
まちづくりに市民一人一人に参加してもらい、それを社会全体として応援しようという新しい価値観、すなわち新しい公共によって人々の支え合いと活気のある社会を目指す理念とも一致し、大変喜ばしいことです。また、地域のことは地域で決めるという地域主権の推進とも趣旨を同じくしているもので、上田市長が力を込めて取り組んできた、市民が
まちづくりの主体と定めた自治基本条例や市民
まちづくり活動促進条例の理念とも一致すると考えます。
そこで、質問です。
今回の改正で、来年4月からは札幌市が新しい所轄庁となることから、新所轄庁として、今後どのように取り組み、どのような効果を得られるのか、市長のお考えをお伺いします。
次は、福祉関係3団体の再編・統合についてです。
社会福祉協議会、在宅福祉サービス協会、福祉事業団の福祉関係3団体の再編・統合について、我が会派としては、それぞれの事業の特徴や現場の議論も保障しながら各団体とよりよい方向で議論していくことが大切だと考えています。そうした観点から、2009年と2010年の予算特別委員会において、我が会派が質問し、札幌市からは、3団体の再編・統合を一つのビジョンとし、各団体からの提案を踏まえながら段階を踏んだ再編・統合の選択肢を含め、メリット・デメリットを整理し、今後の方向性について整理したいとの回答がありました。
その後、各団体と札幌市による再編・統合に向けた議論が重ねられた結果、ことし2月には、札幌市の出資団体改革推進本部で、社会福祉協議会を存続団体として、在宅福祉サービス協会、福祉事業団の福祉3団体を一括して統合するための検討作業を進めるという方針が出されました。また、各団体においても、3月に行われた理事会、評議員会で3団体の統合に向けた正式な協議に入ることが了承されたと聞いています。
これを踏まえて、2013年4月の統合を目指して、ことし4月には各団体によるプロジェクト会議を設置し、9月には代表者会議が開催され、新しい社会福祉協議会は各団体がそれぞれ実施している地域福祉推進事業、在宅福祉推進事業、施設福祉関連事業を総合的かつ有機的に提供できる体制を整備し、市民一人一人の暮らしを尊重する福祉社会の実現を目指していくことをコンセプトとしていると聞いています。これまで別々に進められてきた地域福祉にかかわる事業を新団体の中で提供していくことは、介護を必要とする高齢者や障がいがある方だけでなく、地域で暮らす方々のさまざまな課題に適切に対応しながら必要な支援を提供するためにも大変重要なことであり、また、札幌のまちらしいサービスを提供する先駆的団体として新しい社会福祉協議会の事業運営に期待しています。
そこで、質問です。
最終的に札幌市として3団体を統合する方向性を打ち出した判断についてお伺いします。
あわせて、統合することによってどのような事業展開を考えているのか、お伺いします。
また、3団体が統合することによって、新しい団体は非常勤職員も含めると1,500人以上の職員を抱える組織になると聞いています。現在、在宅福祉サービス協会が実施している訪問介護事業は、民間事業者とも競合していますが、今回の再編・統合によって、民間事業者への影響が大きいのではないかという懸念の声も上がっています。
しかし、介護分野でのセーフティネットをしっかり確保するためには、札幌市としても、再編・統合後の団体の経営基盤を安定化していくことと、また、市内における介護サービスの充実に大きな役割を果たしてきた在宅福祉サービス協会による取り組みも踏まえ、利用者ニーズに即したサービス事業を先取りして展開するといった積極的な姿勢を堅持していくことが必要です。
そこで、改めて、新団体が訪問介護サービスを提供する必要性と、民間事業者に対する影響についてお伺いします。
次は、子育て支援についてです。
まず、ワーク・ライフ・バランスの取り組み状況についてお伺いします。
札幌市の2009年合計特殊出生率は1.06ですが、これは、全国平均1.37と比較すると、大幅に低い数値であり、また、政令市の中では最低となっています。少子化の改善は、本市が重点的に取り組むべき課題です。札幌市が2006年に実施した市民意識調査の結果からは、できれば持ちたい理想の子どもの数については、3人とする回答が一番多かったにもかかわらず、現在の子どもの数と今後持つ予定の子どもの数については2人という回答が最も多く、次いで、現在いない、そして持つ予定もないという回答となり、理想と現実のギャップがあらわれています。
理想とする数の子どもを持てない背景には、景気の悪化による社会経済状況、核家族化による子育て家庭の孤立化、深刻化する児童虐待問題などの、子育て・子育ちをめぐる環境の変化による、子どもを育てにくいことに係る強い不安感や負担感があると考えています。これから子どもを産み育てようとする世代の不安や負担を軽減する取り組みが、子どもを産み育てやすい
まちづくりを目指す今の札幌市政に必要です。
不安や負担軽減に係る取り組みは、さまざまな側面から進められるべきですが、札幌市において、共働き世帯が増加し、働きながら子育てをする親たちがふえている現状を考えると、仕事と子育てを両立する環境、特に職場環境を改善していくこと、つまり、ワーク・ライフ・バランスの視点が最も重要であると考えています。ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、企業の意識確認や取り組みが必要です。子育てをしながら働き続けることは、それだけでも本当に大変なことですが、勤務先が子育てをしながら働くことは当たり前という雰囲気であることが重要です。最近では、札幌市内においても積極的に取り組む企業はふえてきていますが、今の厳しい経済状況のもとでは、行政が積極的に個々の企業を支援し、実効性のある取り組みを進めていくことが必要だと考えています。
そこで、質問です。
ワーク・ライフ・バランス推進事業について、現在までの取り組み状況、そして、今後の方向性をお伺いします。
次に、ひとり親家庭への支援についてお伺いします。
ひとり親家庭は、子育てと生計の担い手という二つを親一人だけで担わなければならず、子どもの養育、住居、収入等の生活全般で多くの困難な場面に遭遇しており、先ほど取り上げましたワーク・ライフ・バランスの実現はさらに遠いものになっています。
本市においては、札幌市母子家庭等自立促進計画を2008年5月に策定し、ひとり親家庭等の生活の安定と子どもの健やかな成長を基本理念として各施策に取り組んでいます。この計画は、2012年度までの計画で、2013年度からは新しいひとり親家庭の自立支援計画がスタートすると聞いています。依然として雇用情勢も悪い中、2人親家庭より困難な条件の中で子育てをしているひとり親家庭には大変厳しい環境が続いています。このひとり親家庭が子育てをしながら経済的に自立できる環境と、子育ての中で直面するさまざまな悩みを気軽に相談できる体制づくりを進めることが何より大切だと考えています。
ひとり親家庭については、2010年8月より、父子家庭にも児童扶養手当が支給されるようになり、父子家庭、母子家庭の差がなくなりました。しかし、同じひとり親であるのに、婚姻歴のないシングルマザーは寡婦控除の取り扱いに差があります。この差は、シングルマザーの多くが利用する保育所の保育料にも大きな影響を及ぼしており、3歳未満の子ども1人を保育所に預けた場合の保育料は、札幌市においては年間で最大17万円もの差になるとの試算もあります。寡婦控除適用の可否は本質的には税制の問題ですが、できるところから見直しを図るという柔軟な対応も必要ではないでしょうか。現に、政令市の中でも、岡山市と千葉市が保育所保育料に関して寡婦控除のみなし適用を行っていると聞いています。
そこで、質問です。
市長は、日本一の子育てしやすいまちを目指すとおっしゃっています。そこで、ひとり親家庭への自立支援に向けた次期札幌市母子家庭等自立促進計画の策定に当たって、ひとり親家庭の状況をどのように把握し、計画に反映させるのか、お伺いします。
さらに、この計画には父子家庭への支援も含まれますが、それがわかるような名称についても検討すべきと思いますがいかがか、お伺いします。
また、子育て・子育ちを支援する観点から、札幌市においても、保育所保育料に関して婚姻歴のないシングルマザーの寡婦控除のみなし適用を行うお考えがないか、お伺いします。
次は、今後の生活道路排雪支援制度のあり方についてです。
札幌市では、生活道路の排雪について、行政だけが担うことは財政面で困難なため、地域で生活道路の排雪を実施する場合に、地域と行政が費用や労力を出し合う排雪支援制度を設け、快適な冬期間の生活環境をつくり出すこととしています。この排雪支援制度については、地域が排雪延長当り一定の費用を支出し、市発注のマルチゾーン除雪の共同企業体が排雪作業を行う除雪パートナーシップ制度と、市が無償で貸し出すダンプトラックを利用し、地域が積み込み作業を行う市民助成トラック制度の二つの制度が設けられています。
これら制度の背景を聞くと、市民助成トラック制度は、1969年に創設された歴史ある制度ですが、地域が積み込み作業を行う関係から、土・日に作業が集中することや、地域の労力確保などの課題が顕在化したとのことです。このような課題に対応するため、1992年に地域・企業・行政の3者による役割分担で実施する除雪パートナーシップ制度が設けられ、現在に至っています。これら二つの制度により、生活道路全体の75%を超える約2,700キロメートルで利用されていることから、今や冬の市民生活に欠かせない制度となっています。ただ、近年の急激な高齢社会の進行などを受け、地域にとって作業に伴う労力の提供が要らない除雪パートナーシップ制度へと移行しつつある一方で、市民助成トラック制度についても根強い人気があり、利用されています。
しかし、両制度が発足してから相当の年数が経過し、制度的な疲弊や札幌市全体の雪対策を取り巻く環境も大きくさま変わりしてきています。特に、さきの第3回定例市議会の代表質問や11月25日の災害・雪対策調査特別委員会において、我が会派が取り上げてきたダンプトラックの減少については、この制度にとって大きな課題です。
ダンプトラックは、公共工事削減の影響から、近年、徐々に台数が減少してきており、これまでにも問題視されてきましたが、
東日本大震災に対し、全力で復興に当たるという日本全体の大きな命題がこれまで以上に冬期間のダンプトラック確保に影響するのではないかと考えています。震災の復興に当たり、北海道のダンプトラックに対して、どれほどの応援要請があるか、現時点では未知数ですが、今後の復興工事を考えると、相当な台数が応援に当たることも想定されます。このような難しい情勢であることや、両制度とも、作業時期が重なり、ダンプトラックの需要が2月中旬前後に集中する傾向にあることから、例えば、パートナーシップ排雪の作業時期の大幅なおくれや、市民助成トラックの貸し出し台数の大幅な減少といったような事態も否めなく、今後の制度利用への影響が避けられないのではないかと危惧しています。
一方、札幌市では、今後も持続可能な雪対策を進めるための新たな指針として、2009年度からの10カ年計画である札幌市冬のみちづくりプランを策定し、さらに、2010年12月にはプランを適切に進行管理するためのアクションプログラムを策定しています。このアクションプログラムでは、生活道路の排雪支援制度について、ダンプトラックが減少する中で、制度のルールを遵守することにより、排雪量を抑制し、制度の継続を目指すことを掲げていますが、状況が改善されない場合には、生活道路の排雪支援制度そのもののあり方を見直すなど、新たな取り組みを実施することにも触れています。今後も続くことが予想されるダンプトラックの減少傾向を受け、本市としても早急な対策を立てて、冬の市民生活への影響を最小限にとどめることが重要だと思います。
そこで、質問です。
ダンプトラックが減少する中で、札幌市の市民生活に欠くことのできない生活道路の排雪支援制度について、当面、どのように進めていくお考えなのか、また、除雪パートナーシップ制度と市民助成トラック制度について、将来的なあり方をどのように考えているのか、あわせてお伺いします。
次に、地域の
まちづくり活動の展望についてお伺いします。
地域が抱える高齢化、地域活動の担い手不足、町内会加入率の低下という課題は、今に始まったことではありません。札幌市は、
少子高齢化が急速に進み、コミュニティ構造も大きな変化を迎えています。子ども、障がいがある方、お年寄りが、安全・安心、そして快適に暮らしていくためには、今以上に地域の支え合い、助け合いが必要となってきます。
東日本大震災の教訓を踏まえて、地域のきずなの再生は多くの市民が感じ入ったところです。こうした地域のきずなを深めていくためには、町内会や自治会が中心となっている地域の
まちづくり活動を活性化していくことが必要であり、その活動を支える人材の確保は最も重要です。特に、
まちづくり活動の担い手の高齢化などが顕著であることから、若者が参加する地域の
まちづくりについて、より一層、取り組んでいく必要があると思います。
多くの市民は、地域の
まちづくり活動への参加について、意欲的との調査結果も報告されており、単に
まちづくりに参加するきっかけがないという若者の声も聞いています。したがって、若者に合わせたきっかけづくりが重要で、特に、震災の関係では文部科学省からボランティア活動への積極的な参加を促す通知も出されていますが、大学との連携、講義やゼミと地域活動の連携がより一層求められているのではないでしょうか。
そこで、質問です。
若者の
まちづくり参加に向けた取り組みの拡充、また、大学との連携が重要と思いますが、この点を今後どのように考えているのか、お伺いします。
次に、地域の
まちづくり活動の支援策についてです。
まちづくりセンターが87カ所あるように、地域ごとの特性や課題はさまざまであり、支援策もそれに対応した形が期待されています。11月22日に地域の概況や課題をまとめた地域カルテ・マップが公表されましたが、今後は、これを生かして地域ごとの
まちづくりの方向性を話し合い、そのビジョンに沿った活動を活性化させていく必要があります。しかし、町内会や自治会、福祉のまち推進センター、商店街、NPOなど地域の
まちづくりにかかわる構成団体は多種多様であり、それぞれの団体や市民が自分たちのまちのことを話し合い、行動しやすい環境づくりを札幌市は積極的に支援するべきだと考えます。
そこで、質問です。
札幌市は、この地域カルテ・マップの公開を機に、これらが地域ごとに有効に活用されるための方策についてどのように考えているのか、お伺いします。
最後の質問は、白石区複合庁舎整備についてお伺いします。
1点目は、新庁舎の整備方針と、これまでにない特徴についてです。
白石区役所の移転、建てかえについては、これまで2度にわたって、白石区内の各連合町内会会長の連名により市長への要望書が提出されるなど、多くの区民の切実な願いでした。我が会派としても、白石区役所移転の早期事業化を強く求めてきており、2010年の第3回定例市議会代表質問において、南郷通1丁目の市有地への移転方針を確認しました。
過日、札幌市が明らかにした白石区複合庁舎整備基本計画骨子では、白石区役所を含む四つの公共施設の移転整備と民間機能の導入を事業の柱とし、今年度中に基本計画を策定の上、新しい区役所の供用開始を2016年度とするスケジュールが初めて示され、今後の進捗について区民とともに大いに期待しています。
この白石区役所の建てかえは、初めての区役所更新です。区役所は、多くの市民が訪れる最も身近な公共施設の一つであり、時代の要請に対応した市民サービスが提供されるばかりでなく、多くの区民が集まる場として
まちづくりの起爆剤にもなり得る施設です。したがって、単に現在の区役所を建てかえるということだけではなく、新たな時代に対応した将来の区役所像を見据えた施設整備であるべきだと考えます。
そこで、質問です。
新しい白石区役所は、どのような特徴を有し、また、どのような事項に配慮した施設整備にするのか、お伺いします。
2点目の質問は、防災と環境への取り組みについてです。
東日本大震災では、災害時における避難、救護、その他応急対策の拠点となるべき公共建築物にも甚大な被害が及び、防災拠点の機能確保の重要性が改めて認識されました。そうした中、札幌市においても、区役所や区民センターは身近な市民サービスを提供する施設であるとともに、災害時においては、市民の安全を確保するため、地域防災の拠点機能も担っており、区の災害対策本部や収容避難場所として、万が一の事態を想定した施設整備が重要です。
一方、環境への取り組みについて、本年3月に策定した札幌市温暖化対策推進ビジョンにおいては、低炭素社会の将来像や削減目標を示しており、環境首都・札幌を目指す意欲的な取り組みとして評価しています。地球温暖化対策としての
再生可能エネルギーの取り組みは、大地震に伴う原発事故を受けて、より一層、重要性が高まっており、札幌市として利用拡大に向けて取り組むことが肝要です。
そこで、質問です。
新しい複合庁舎の防災と環境への取り組みについて、それぞれどのように進めていくのか、お伺いします。
3点目は、民間機能の導入についてです。
計画地を含むその周辺は、第4次長期総合計画などにおいて地域中心核として位置づけられていることを踏まえ、札幌市は、複合庁舎の整備とともに、商業、医療などの民間機能の導入を図る方針を改めて計画骨子に示しました。
私は、多様な商業・業務機能、行政機能など各種都市サービス機能が集積し、
まちづくりの活性化や都市の魅力向上につながるものとして、この民間機能の導入についても大いに注目しています。また、本年1月から3月に開催された区民ワークショップでは、拠点づくりの考え方として、民間施設の併設による活気づくりが意見としてまとめられたほか、本年1月の区役所来庁者アンケートにおいても、公共機能に限定されない、多様な活用を期待する声が多数寄せられていると聞いています。
しかし一方で、地元において、これまで事業を行ってきた方々にとっては、地域経済の活性化に期待しながらも、今後のまちの変化に不安を抱いている方もいらっしゃると考えられます。
そこで、質問です。
民間機能の導入について、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
以上で、私の質問のすべてを終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(大嶋薫) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 12項目ご質問がございましたので、私からは、予算案編成の問題と公契約条例、大田市との関係、原発問題、それからNPOの問題についてお答えをさせていただきます。その余は、担当副市長から答弁させていただきます。
まず、2012年度の予算編成についてというご質問でございます。
ご指摘のとおり、経済動向というのは不透明さを増しておりまして、国と地方の財政環境ということにつきましても、依然として、大変厳しいものというふうに認識せざるを得ません。国におきましては、震災に関連した補正予算編成のほかに、一括交付金や子ども手当の財源など、地方財政にかかわりの深いさまざまな問題について、継続的な議論が行われているさなかでございます。
こうした中で編成いたします平成24年度の予算についてでございますが、これは、私のマニフェストの実現に向けた確かな一歩というものを市民の皆さんに実感していただける内容とする必要があるものと考えておりまして、現在策定中の第3次新
まちづくり計画に盛り込んだ事業を可能な限り具体化するとともに、行財政改革推進プランに基づいて持続可能な財政構造の確立に向けた取り組みを着実に進めていきたい、このように考えているところでございます。
さきに各局からの予算要求の概要を公表させていただきましたが、今後、査定内容や論点について段階を追って公表をするなど、これまで以上に編成過程の透明化を図るとともに、国政の状況にも留意しながら、トップマネジメント機能を効果的に発揮して、伸ばすべきものは伸ばし、変えるべきものは思い切って変えていくということを基本に編成作業を進めてまいる所存でございます。
債権管理に関する条例についてご質問でございます。
市税や使用料など予定した収入を確実に収納するということは、収入額の確保や公平性を守るという観点から極めて重要であると考えております。これまでも収納率の向上を図るためにさまざまな取り組みを進めてまいりましたけれども、個々の債権の性質だとか、あるいは、徴収に係ります体制整備の程度などによりまして、収納率にばらつきが生じているという状況でございます。そうしたことから、全体的な債権管理の精度、正確性といったものを向上させていくことによって収入額や収納率の底上げを図ってまいりたい、そういうことを目的として、その一連の手続を定める条例を制定したい、このように考えているところであります。
具体的な内容としてどんなものがあるかということなのですが、債権管理に関する市長の責務の明確化だとか、異なる債権における滞納者情報の相互利用だとか、さらには、事実上、徴収が不可能な債権を放棄するための手続などを盛り込みたい、こんなふうに考えているところであります。現在、札幌弁護士会の協力を得ながら内容につきまして検討を進めているところでありますが、来年の第1回定例市議会には条例案を提出したい、こんな考え方でいるところでございます。
2点目にご質問のございました公契約条例の制定及び入札制度の改善についてという項目でございます。
まず、条例の適用範囲の拡大についてということでございますが、条例につきましては、施行後、その運用状況を的確に把握するとともに、賃金の支払い状況や労働者への周知方法など、さまざまな観点から検証を行い、必要に応じて見直しを行う、そんな考えでございます。適用範囲の拡大についても、条例の趣旨の浸透状況だとか、あるいは、実効性の確保の状況などを考慮に入れまして検討を行っていきたい、こんなふうに考えております。
作業報酬のあり方についてでありますが、この下限額については、条例の趣旨を踏まえながら、労働者、使用者の関係者などで構成されます審議会において議論をしていただくこととしておりまして、その意見を十分に踏まえて決定していきたい、このように考えております。
また、最低制限価格等の引き上げ及び特定共同企業体の結成要件についてでございますが、最低制限価格等の引き上げについては、現在、国及び北海道の設定基準や落札率の推移等を踏まえまして、その引き上げ幅について検討をしているさなかでございます。また、条例施行を視野に入れまして、工事及び清掃、警備などの業務委託について平成24年度の当初事業から反映できるように、あわせて検討を進めているところでございます。
次に、特定共同企業体の結成要件でありますが、代表者を市内の事業者に限定した入札参加条件を付することについては、地域経済の活性化や市内の事業者の育成ということを一層図る観点から、競争性が確保されるということを前提にいたしまして、工事の規模や内容、あるいは施工能力等を考慮しながら、対象工事を選定し、可能なものから取り組んでいきたい、このように考えております。
3点目であります札幌・大田姉妹都市提携記念事業、記念訪問についてということであります。
かねてから、私は、市役所や区役所の庁舎というのは、多くの市民が集い、活動できるにぎわいのある市民の場であるべきだ、こんなふうに思っているところであります。そのために、本庁舎に元気カフェを設置し、1階ロビー全体を市民が憩える場所にリニューアルをさせていただいたところでございます。今回の記念訪問では、大田市における幸福売店を初めとする、社会全体でみんなが支え合っていこうと、そういう大田市の施策に大変深い感銘を受けて帰ってきたところでございます。市庁舎が多くの市民の活動の場としてにぎわっている様子を拝見し、意を強くしてきたところでございます。
具体的にご提示いただいた施策については、それぞれどのような形で取り入れることができるか、検討しているところでございますが、今後、区役所など市有施設の改築や、あるいは、新たな
市民交流複合施設の整備の機会などもとらえまして、市民が憩い、集える、そんな機能をできる限り取り入れていきたい、こんなふうに考えているところであります。
また、ボランティア団体の一層の活用などについても、札幌の状況に合った形で大田市の取り組みを取り入れ、各世代が支え合う優しさとぬくもりあふれるまちの実現を図っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
4点目の福島第一原子力発電所の事故に伴う札幌市の放射能汚染等の対策についてでございます。
まず、被災地の災害廃棄物の広域処理についてお尋ねでございます。
国が示しておりますガイドラインは、広域処理に係る安全性の考え方を国の災害廃棄物安全評価検討委員会における専門家の検討を経て取りまとめられたものと、私もそのように認識をしているところであります。しかしながら、このガイドラインは、災害廃棄物の移動から最終処分までの行程における安全確保のための十分な基準だとか手段というものが明確に示されているものではないというふうに考えております。このようなことから、現時点では、国のガイドラインに基づく災害廃棄物の受け入れについては、市民の安全・安心を守るという観点から、これを行う考えはございません。
原子力災害対策についてご質問でございます。
1点目の国の考え方をどのように受けとめているのかということについてでありますが、今回示されました防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲についてでございますが、これは、今後、新たな知見や、あるいは安全対策、技術の採用などによりまして、適宜、見直すとされていますものの、福島第一原子力発電所の事故の被害が広範囲に及び、現に60キロメートル離れた福島市においても、除染作業や線量計の配布、あるいは、学校での屋外活動の制限などのさまざまな対策に追われている状況を考えますと、今回示された考え方は、私は妥当ではないというふうに考えるものであります。
札幌市といたしましては、原子力発電所の事故は被害や影響が多大となることから、その災害対策は、よりもっともっと広範囲な地域で実施すべきであると考えているところでございます。
2点目の今後の対策の進め方についてということでありますが、新たに原子力災害対策を
地域防災計画に盛り込むこととしておりまして、国や北海道の動向を見据えながら、福島県や海外での対応事例を調査いたしまして、札幌市として必要な対策の検討を進めているところでございます。これまでも大気中の放射線量や水道水などの
放射性物質を測定いたしまして、その結果を市民に公表する、情報提供するということや、放射線に関する講演会なども行ってきたところでありますが、今後も、より即時性の高い、できるだけリアルタイムで精度の高い情報を、市民にわかりやすくその内容を提供するなど、市民の不安解消に努めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
7項目めのNPO法の改正に伴う今後の取り組みについてということであります。
来年4月からは、NPO法人の認証及び認定事務は札幌市が所轄庁となりますために、NPO法人にとっては、より身近な行政機関で相談をすることができる、あるいは、申請の手続をできるということになりまして、その利便性の向上が図られるわけでございます。また、こうした手続を通じまして、札幌市といたしましても、多くのNPO法人の声を直接聞くことが可能となりまして、より現場に即した対応や支援策を講じることはもとより、市のさまざまな施策にその声を反映させることができる、そのように思っております。
今後、札幌市といたしましては、この法改正を契機にいたしまして、新しい公共の担い手でありますNPO法人とより連携を深め、多様化する地域課題に積極的に取り組むとともに、市民や企業ともこれまで以上に協働し、そして、地域のきずなと支え合いによる
まちづくりを推し進めていきたい、このように考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(大嶋薫) 小澤副市長。
◎副市長(小澤正明) 私から、基幹系情報システムの他の自治体による利用についてお答えいたします。
札幌市の基幹系情報システムの再構築では、どのIT企業でもシステム開発が可能となる開発手法を採用しておりまして、これによりまして、特定業者との随意契約の解消による調達の透明化や地元企業の受注機会の確保など、札幌市の情報システムをめぐる課題の解決が図られるように事業を進めているところであります。このような課題は自治体共通のものであると考えられることから、グラスボックス化した透明性の高い札幌市のシステムを他の自治体が改修を加えながら利用することについて、今後、権利関係や利用料なども含めて調査検討を進めていきたいというふうに考えております。
以上です。
○副議長(大嶋薫) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私から、2項目についてお答えをいたします。
まず、
食産業振興についてであります。
1点目の北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区の採択の見通しと本市の施策展開についてであります。
採択の結果は年内にも公表される予定でございますけれども、全国から11件の申請があったうち、ヒアリング対象の7件の一つに選ばれたところであること、また、国際戦略的にも重要な食に関する唯一の提案であることから、大いに期待をしているところでございます。
今後の施策展開につきましては、食資源の高付加価値化を図るため、北大リサーチ&ビジネスパークを中心とした産学官連携による研究を推進するとともに、成長著しい東アジア市場の需要を見据え、輸出向け商品の開発や貿易実務の支援強化などによって北海道の食産業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
2点目の札幌テクノパーク・リノベーション推進事業のねらいと具体的な取り組みについてであります。
バイオ産業の研究には、先端的なIT技術が不可欠となっております。そこで、それらが集積する札幌テクノパークに市内外の創業支援施設から移転するバイオ企業や研究施設などを受け入れ、ITとバイオの有機的な連携を促進してまいります。その具体的な取り組みについてでありますが、技術連携を目的とした研究会の開催や、近隣の北海道情報大学や食品加工研究センターなどとの連携により、新たな研究開発を促進してまいります。
次に、今後の生活道路排雪支援制度のあり方についてであります。
まず、当面の進め方についてでありますが、ダンプトラックを確保することが難しくなっている現状におきましては、雪たい積場へ運搬する排雪量を極力抑えていくとともに、限られた台数で効率的に作業することが重要であると考えております。このため、除雪パートナーシップ制度における生活道路の排雪時に一定の雪を残すルールの徹底を図るとともに、市民助成トラック制度においても同様な取り扱いを地域に働きかけてまいります。またあわせて、公共用地活用などによる地域内での雪処理の推進や、排雪作業時間の拡大など、作業効率を上げるさまざまな取り組みを進める中で冬期間の生活道路の環境確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、将来的な除雪パートナーシップ制度と市民助成トラック制度のあり方についてであります。
マルチ共同企業体がダンプトラックを確保する除雪パートナーシップ制度と、札幌市が運送事業者と契約する市民助成トラック制度は、いずれも必要なダンプトラックの確保が困難となりつつあります。特に、市民助成トラック制度は、近年、登録台数の減少が著しく、一部では地域からの希望台数にこたえ切れない状況にございます。このため、今後もダンプトラック台数の推移を見きわめていくとともに、排雪ルールの徹底などまちの中に雪を残すことへの市民の理解を求めることや、排雪作業のさらなる効率化に取り組む中で、これらの効果も検証しながら生活道路の排雪支援制度のあり方について検討してまいります。
私からは、以上であります。
○副議長(大嶋薫) 渡部副市長。
◎副市長(渡部正行) 私からは、4項目のご質問についてお答えをいたします。
まず、福祉関係3団体の再編・統合についてでございます。
1点目の3団体を統合する方向性を打ち出した理由及び統合による事業展開についてでございます。
まず、統合の検討に際しましては、段階的な再編・統合についても検討はいたしました。しかし、本市のセーフティネット機能をより一層強化するためには、3団体の事業を有機的に結びつけ、福祉、介護、保健、施設などが一体となったサービスを提供できる団体とする必要があること、また、3団体の業務一元化や執行体制の見直しによって、より効率的かつ弾力的な事業の展開が期待され、団体の経営基盤の安定強化も見込まれることなどの理由から、3団体を統合する方向性で検討することが適切であると判断をしております。
次に、統合による事業展開についてでございますけれども、例えば、市民一人一人の暮らしを尊重する社会を目指すという視点で、現在、社会福祉協議会が実施している地域福祉に関する事業と、在宅福祉サービス協会や福祉事業団が実施しております個別支援事業を結びつけ、サービスを必要とする市民に漏れなく、切れ目なく、すき間なくサービスが提供できる体制の構築などが考えられます。具体的な事業は、検討すべき項目が多岐にわたりましてさまざまな課題がありますことから、今後とも議論を深めてまいりたいと思います。
2点目の訪問介護サービスを提供する必要性と民間事業に対する影響についてでございますが、サービス供給のセーフティネット機能を確保する観点からも、公的な団体による介護サービス提供の継続は今後とも必要であると考えております。また、介護保険制度の導入以降、訪問介護サービスの市場が拡大し、民間事業者が増加、成長する中で、全市の訪問介護利用者数のうち、在宅福祉サービス協会の割合は、近年、1割台で推移しております。現状では民間事業への影響は少ないと認識しておりまして、新団体になっても大きく変わらないと考えております。
次に、子育て・子育ち支援についてでございます。
まず、1点目のワーク・ライフ・バランスの取り組み状況についてでありますが、平成20年7月の事業開始以降、積極的に取り組む企業を独自の基準で認証しておりまして、認証企業数はことし11月末現在で277社に上っております。認証企業に対しましては、育児休業取得者が出た企業への助成金支給やアドバイザー派遣、札幌市との契約上の優遇など、個々の企業にとって魅力あるさまざまな支援策を設けてまいりました。さらに、今年度は、一定の要件を満たした認証企業が札幌市の融資制度を利用した場合の利子を一部助成する制度や、事業所内保育施設を設置する企業への補助制度を創設いたしまして支援を拡充したところでございます。
今後も、これらの取り組みを継続するとともに、さらに実効性が上がるように十分にPRを行い、市内企業においてワーク・ライフ・バランスが実現するよう支援していきたい、そのように考えております。
2点目のひとり親家庭の支援についてでありますけれども、まず、次期札幌市母子家庭等自立促進計画策定に当たっての状況把握と計画への反映及び名称の検討につきましては、ひとり親及び寡婦世帯におけるアンケート調査を行い、その調査結果や、国の方針との整合性、関係者の意見等を考慮し、効果的な支援策を策定し、名称の変更についても検討してまいります。
次に、保育所保育料の寡婦控除のみなし適用についてですが、札幌市では、ご指摘のように、日本一、子育てしやすいまち実現に向けて保育サービスの拡充に努めておりますが、この制度を持続可能なものとするために、保護者の皆さんのご理解をいただき、適正な負担をお願いしたいと考えております。
いわゆるシングルマザーに対する寡婦控除につきましては、ご指摘のように、本質的には税制上の問題ではありますけれども、保育料は税額によって決定されるため、同じ収入状況の世帯であっても寡婦控除のないシングルマザーの方が離別、死別の母子世帯よりも高くなる傾向にあります。特に、低所得階層におきまして影響が大きいということは認識をしております。子育て支援の観点から、一連の保育所保育料の見直しとあわせまして、実施に向けて検討してまいりたい、そのように考えております。
次に、地域の
まちづくり活動の展望についてでございます。
1点目の若者の
まちづくり参加に向けた取り組みの拡充についてでございますが、札幌市では、若者の
まちづくり参加について、これまで各区の事業やイベントを中心に進めてまいりましたけれども、ことし9月には、新たな取り組みとして、18歳以上29歳以下の市民約2,000人を無作為抽出いたしまして、参加承諾を得ました29人の若者を集めて若者と地域のつながりミーティングを開催いたしました。参加者からは、地域のつながりを再認識することができた、さらには、
まちづくりへの参加きっかけとなったなどの評価をいただいており、札幌市といたしましては、今後ともこのような機会を積極的に提供してまいりたいと考えております。
また、大学との連携につきましては、区ごとの取り組みに加え、昨年度から学生サークルを地域に派遣する取り組みを進めておりまして、これまでに55件の派遣を行い、地域から好評を得ているところでございます。今後は、新たな学生サークルの参加を呼びかけるなど、さらなる拡充を図るとともに、大学の授業の中で学生が地域の
まちづくり活動に参加、体験するように働きかけてまいりたい、そのように考えております。
2点目の地域カルテ・マップの有効な活用に向けた方策についてでございますが、このたび公表しました地域カルテ・マップは、地域の住民がそれぞれの地域の特性を把握し、地域の実情に応じまして、課題解決に向けた
まちづくりの話し合いや活動をこれまで以上に活発に行えるよう、そのような目的で作成したものであります。今後は、この地域カルテ・マップをもとに、町内会を初め、さまざまな団体やグループがワークショップなどを開催し、活発な議論が広がることを期待しております。
札幌市といたしましても、
まちづくりセンターを通じて会議の調整役の派遣などを行い、ワークショップの運営を支援していくほか、地域の要望に応じたオリジナルマップの編集、作成など、できる限りニーズに即した支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、白石区複合庁舎整備についてでございます。
まず、1点目の新庁舎の特徴と整備に向けた配慮事項についてであります。
白石区複合庁舎は、地域の意向を十分に踏まえ、より一層、区民に開かれ利用しやすい施設とすることを基本といたしまして、多くの区民が集い、憩える機能を取り入れ、将来の区役所建てかえのモデルとなるように取り組んでまいります。庁舎の顔となるエントランスは、地下鉄コンコースと直結させ、各種団体のイベントや情報発信にも利用可能なスペースを確保するとともに、元気カフェの設置も検討いたします。また、障がいのある方や高齢者の方々の意見をいただきながら施設整備を進めるバリアフリーチェックシステムなどを庁舎施設として初めて導入し、だれもが使いやすい人に優しい庁舎となるよう取り組んでまいりたいと考えております。さらに、札幌の子どもたちの健やかな成長を支えるため、子どもの読書活動を推進する機能やボランティアの育成など、読書活動を通じて子育てを支援する機能の導入についてもこの複合庁舎整備の中で検討してまいりたい、そのように考えております。
2点目の防災と環境への取り組みについてでありますが、防災への取り組みとしては、災害時の区災害対策本部などへの電力を賄う非常用発電設備や、緊急貯水槽などの応急給水施設などの整備を含む防災拠点としての諸機能について、今後、札幌市
地域防災計画の見直しを踏まえて検討を行う予定でございます。また、環境への取り組みは、まち並みに配慮した植栽を初め、屋上緑化や保育園園庭の芝生化など緑の確保に取り組むとともに、太陽光や
木質ペレットを含む
再生可能エネルギーの導入について検討するなど、総合的な環境の配慮を行ってまいりたい、そのように考えております。
3点目の民間機能の導入についてですけれども、民間機能の導入に当たりましては、公共機能との相乗効果や地域に貢献できる機能の視点を重視するとともに、地域の各団体の代表と公募市民などで構成する検討会や計画地周辺の住民、事業者を対象とした説明会を開催するなど、多様な意見をいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。また、導入手法につきましては、将来の社会環境の変化に対応できるような定期借地方式を活用することとし、事業者選定につきましては、来年度以降の公募に向けまして、用地の利用条件や事業者の審査方法などの条件を今後検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(大嶋薫) お諮りします。
本日の会議はこれにて終了し、明日12月7日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(大嶋薫) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(大嶋薫) 本日は、これで散会いたします。
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散 会 午後4時39分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 三 上 洋 右
副議長 大 嶋 薫
署名議員 宮 村 素 子
署名議員 本 郷 俊 史...