続きまして、個々の具体的な
取り組み内容でございますが、2ページ目をごらんください。
まず、1
広報普及活動といたしまして、(1)パンフレット、ポスター、それから(2)ニュースレターについて、条例の説明や
子どもアシストセンターを紹介した広報物について表の形式でまとめております。
次に、3ページですが、(3)
普及啓発事業として子どもの権利の日関連事業を、また、(4)
出前講座等や(5)その他では、広報さっぽろ、テレビ、ラジオ等のさまざまな機会をとらえ、広報に取り組んできた内容をまとめております。
次に、3ページの下段の2
学校教育における
理解促進に向けた取組でございます。
まず、(1)
教員研修の実施でありますが、学校において子どもの権利の理念を生かした
教育活動がより充実し、条例の趣旨等が子どもや保護者に正しく理解されるためには、まず教員が十分に理解していることが求められておりますことから実施しているものでございまして、具体的な内容を次の4ページに1から3としてまとめております。
続いて、(2)
公開授業の実施でございますが、子どもの権利の理念を生かした教育の
普及啓発のため、昨年度は、5ページの表になりますけれども、1、2のとおり
小・中学校各1校で実施したほか、
子ども同士が互いに支え合えるような関係をつくり出す仕組みであるピア・サポートについての授業も3のとおり公開したところであり、その内容をまとめてございます。
次に、6ページでございます。
(3)
研究協議会による研究の実施についてでございます。
これは、子どもの権利に関する教材開発、指導方法の工夫等について、実践的な調査研究を実施した内容について記載しているところでございます。
(4)
広報活動については、
教育委員会で作成しているホームページの内容とあわせまして、子どもの権利に関する
研究協議会において作成しました
保護者向け啓発資料を学校に配付するなど、今後、各学校のPTAの
研修会等で活用していただくよう啓発を進めていきたいと考えているところでございます。
次に、7ページの3 子どもの参加等の取組の推進でございます。
(1)子どもの権利に関する
施策実施状況の調査でございますが、条例に基づく、とりわけ全庁に共通すると考えられる
取り組みとして、子どもにわかりやすい
情報発信、それから、子どもの参加が挙げられることから、その状況について調査を行ったものでございます。表の形式で一例を1、2に掲載しているとおりですが、調査結果を市役所内で共有し、より一層の
取り組みにつなげていきたいと考えております。
次に、8ページの(2)子どもの参加の充実と支援でございます。これは、
子ども未来局が中心となって昨年度実施した子どもの参加に関する
取り組みをまとめております。
1子どもの
権利推進アドバイザーですが、子どもの権利について、まずは市の職員がきちんと理解する必要があることから、職員を対象に、さまざまな施策等に子どもの参加を初めとした子どもの権利の視点を取り入れるためのアドバイスをいただくものであり、昨年度、制度を設け、9回ほど実施しております。
2
子どもサポーター養成講座ですが、主に子どもにかかわる活動を行っている大人を対象に、地域における子どもの参加を進めるための
ノウハウ等を身につけていただく内容の講座を実施し、昨年度は5回、延べ66名に受講をいただいております。
3子どもの参加の手引きについては、職員向けのガイドラインを作成したほか、
市民向けにつきましては、昨年度、原案を作成したところであり、こちらはなるべく早い時期に配付できるよう準備を進めているところです。
4
市民自治チェックリストの改定ですが、これは、市が事業を企画し実施するに当たりまして、市民の皆様に対し、わかりやすい
情報発信ができているか、また、
市民参加が十分されているかを内部で確認するためのリストでありますが、そのリストに子どもに関する項目を追加したところです。
続いて、9ページをごらんください。
(3)子どもの意見を反映した
施設づくりですが、札幌市にあるすべての
児童会館、
ミニ児童会館におきましては、
子ども運営委員会を設置いたしまして、
子どもたち自身が会館利用に当たっての
ルールづくりや行事の企画・運営に携わっており、その状況をご紹介しております。
運営委員会の
取り組みを通して、
自分たちで考え、工夫を行ったり、困難を乗り越えたりという実践を積み重ねていくことは、特に子どもの豊かな育ちにつながるものと認識しているところでございます。
次に、下段の方でございますが、4 権利の保障の
仕組みづくりでございます。
(1)子どもの
権利委員会の運営でありますが、この機関は、子どもの権利に関する施策の充実や保障の状況の検証を行うための機関として設置しているものでございます。次の10ページに
審議経過等を表として整理させていただいておりますが、昨年度につきましては、主に子どもの権利に関する
推進計画の策定に向け、審議いただき、答申をいただいたところです。
(2)に、その計画について掲載してございます。1から4までに計画の概要、策定経過、
基本理念、
基本目標をそれぞれまとめております。今回の計画の策定に際しましては、多くの子どもから意見を聞き、その一部を計画に反映しておりますが、そこでの意見の概要と、意見に基づき計画に反映した箇所を11ページに表として整理させていただいております。
続きまして、12ページの5 子どもの
権利救済機関(
子どもアシストセンター)の
運営状況であります。
子どもアシストセンターでは、条例に基づく子どもの
権利救済機関として、子どもの最善の利益を判断の基準といたしまして、相談対応や
救済活動を行ってまいりました。
相談件数等については、前年度と比較して大きな変動はございませんが、幅広く子どもや保護者の声に耳を傾けるとともに、問題解決に向け、
相談段階から
公的第三者として積極的にかかわる
調整活動についても実績を積み重ねつつあり、
救済機関としての一定の役割を果たしたものと認識しているところでございます。
なお、運営の詳しい状況等は、お手元の別紙にまとめているところでございます。
続いて、13ページの最後の項目になりますが、3 今度の取組の方向性についてです。
先ほどからご説明させていただいております子どもの権利に関する
推進計画の項目に沿いまして、四つの
基本目標ごとに、主に
子ども未来局、
教育委員会が行う事業を中心に整理してございます。
1点目は、
基本目標1、子どもの
意見表明・参加の促進について、新規の事業といたしまして、
子ども運営委員会・
子ども企画委員会の設置や
プレーパーク事業について取り組んでいきたいと考えております。
2点目は、
基本目標2、子どもを受け止め、育む
環境づくりにつきましては、こちらも同じく新規の事業としてフリースクールなど民間施設との連携にも取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、14ページでございます。
3点目は、
基本目標3、子どもの権利の侵害からの救済として、この計画と同時期に策定いたしました札幌市
児童相談体制強化プランに基づきまして、子どもの権利の侵害に対し、速やかな
救済体制に向けて
取り組みを進めていきたいと考えております。また、先ほどご説明させていただきました
子どもアシストセンターにつきましても、引き続き
子どもたちにより相談しやすい体制を目指していきたいと考えているところでございます。
4点目は、
基本目標4、子どもの権利を大切にする意識の向上について、
普及啓発活動が中心となりますが、さまざまな工夫を行いながら、子どもの権利について理解を深めることができるよう広報・
普及活動に取り組んでまいりたいと考えております。
○
國安政典 委員長 それでは、質疑を行います。
◆こじまゆみ 委員 私から、大きく2点に分けて質問させていただきます。
学校での状況と、また、今回の札幌市子どもの権利に関する
推進計画について、大きく2点について伺わせていただきます。
平成21年4月に施行された札幌市子どもの最善の利益を実現するための
権利条例に基づいて、さまざまな事業が行われております。私は、2年前に
文教委員をさせていただいておりまして、条例が通過するときの委員でもございました。改めて、これを2年後に評価させていただくということで、この機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
今回はその
取り組み状況について説明をいただき、子どもの
権利救済機関、
子どもアシストセンターの平成22年度
相談件数については実数が1,171件、前年比8.4%減、延べ数3,788件、前年比6.1%増ということで、同案件に対して回数を多くかかわったということ、また、
調整活動について、
相談段階から積極的にかかわり、深刻な問題となる前に対応することができたということでございました。一定の役割を果たしていることは非常に理解できるところでございます。
子どもは、幼少期も含め、児童生徒になってからもですが、それぞれの成長・
発達段階がございます。未熟な存在であるから、健やかな成長を支援することは行政として大切なことであります。子どもを取り巻く環境の変化、現在の
経済状況等を見ても、決して子どもを産み育てやすい環境とは言いにくい状況であると私は感じております。その中で、子どもが健やかに無限の可能性を持って成長していくことを心から願っておりますし、その環境を整備していくことは私
たち大人の責任でもあります。子どもの
権利条例が、子どものためではなく、大人が利用するための条例になっていないかと懸念しておりました。
また、条例により、努力義務を課すことができますが、逆に、条例に縛られてコミュニケーションへの弊害や信頼関係への影響などはないのかと心配もしておりました。
学校教育において、
教員研修、
公開授業の実施、
研究協議会における研究の実施などさまざまな
取り組みがなされているようですが、条例を周知徹底することが目的なのか、子どもの最善の利益を求めることが目的なのか、どちらが優先されているのかわかりにくいと感じてしまいます。子どものための
権利条例のはずですが、大人の視点から子どもによかれと思われる環境をつくるための大人の自己満足のための条例のように感じられてしまうのは私だけでしょうか。
本来、子どもの
権利条例は、
子ども未来局が、
福祉的施策として、子どもの健やかな成長を願い、作成し、検討されてきたところだと思います。
子ども未来局から
教育委員会へ、福祉から
教育現場へ移行していくことは、
子どもたちへ指導、教育する立場上、現場の教員の方々はその難しさを十分に認識されていることと思います。
そこで、学校の状況について、何点か伺わせていただきたいと思います。
学校の授業の中で、道徳、社会、
ホームルーム等で権利の
理解推進のため、さまざまな活動を行っていると伺っておりますが、小学校や
中学校等、それぞれ
取り組みの状況が異なることと存じます。今年度の
基本目標4のところに、
中学校教育課程編成の手引というものが挙げられており、これを新たに作成していくということでございますけれども、そこで、現段階での各学校の
取り組みの状況について、どのように進められているのか、伺います。
◎池上
指導担当部長 子どもの権利に関する指導に関しまして、現段階での各学校の
取り組み状況についてお答えいたします。
各学校におきましては、各教科や道徳、
特別活動等におきまして、
子どもたちがみずからの権利を正しく理解し、行動できるようになるため、
小・中学校等それぞれの
発達段階に応じて具体的な場面を題材とするなど、さまざまな
授業実践に取り組んでいるところでございます。例えば、先ほどの説明にもありました報告書の5ページにある
公開授業などのほかに、幼稚園、小・中・高等学校それぞれの実践例を示しております子どもの権利に関する指導の手引などを参考にしながら、子どもが自分のよさに気づくとともに、友達それぞれのよさを共感的に理解することを通して自分らしく生きる権利を学んだり、地域の人々や施設などを題材に、郷土の伝統や文化のすばらしさを知ることを通して豊かに育つ権利に気づいたりする授業などが行われております。
◆こじまゆみ 委員 自分らしく生きる権利、そして豊かに育つ権利の中では、郷土、文化についてもしっかりと指導していただいているようでちょっと安心しました。
積極的に実施されているところは、今回の
公開授業への
取り組みや出前講座などにより本当に理解が深まってきているとは思います。しかし、浸透度、
取り組み状況は必ずしも一様でないものと思われます。積極的に推進している学校と、これから
取り組みを強化し、推進される学校等があると思いますが、
子どもたちによい影響が及ぼされていることを願っております。
そこで、2点目ですが、今回の
条例施行から2年余り経過しましたが、学校の先生、教員の方々はどのように変化してきているのか、伺わせていただきます。
◎池上
指導担当部長 条例施行後の学校の教員の変化についてお答えしたいと思います。
教育委員会といたしましては、これまで、すべての教員に配付した子どもの権利に関する指導の手引、あるいは条文解説、
各種研修会を通しまして、条例で定められた子どもにとって大切な四つの権利の内容や大人の役割などについて示し、教職員に対して条例の理念についての理解を図ってきたところでございます。その結果、各学校においては、先ほど申し上げました
取り組みも含めまして、子どもの権利にかかわる
取り組みを位置づけた
教育課程編成の手引、先ほど今年度は中学校というお話もありましたが、これを活用するなどしながら条例の趣旨を踏まえた
授業づくりが進められてきております。また、より一層子どもに寄り添いながら、いじめや虐待などの問題の早期発見に努めるとともに、苦しんでいる子どもの側に立って、その解決に取り組んだりするなどしております。
このように、これまで以上に子どもの最善の利益を意識した
教育活動が進められるようになってきており、教職員の子どもの権利に係る意識が深められてきていると考えております。
◆こじまゆみ 委員 やはり、
子どもたちが一日の多くの時間を過ごす学校、幼稚園、小・中・高校における役割は重要なものですし、子どもをしっかりと察し、導いていただく教育の現場が混乱することのないように取り組んでいただきますよう求めておきます。
次に、2点目の札幌市子どもの権利に関する
推進計画について伺います。
この計画の策定に当たり、昨年12月17日からことしの1月26日までの41日間、素案を公表し、意見を募り、これをもとに素案が修正されております。大人47名、子ども272名、計319名からのご意見の内容を私も確認させていただきました。それをもとに、この計画が策定され、
基本理念、
基本目標が掲げられております。平成26年までの4年間という
期間設定もされているようです。
そこで、
基本理念として、子どもの権利を尊重し、安心できる環境の中で、自立性と社会性を育むまちの実現を掲げられておりますが、この計画の目的が明示されていないのではないかと思うのです。その目的について、どのように考えているのかなというふうに私はちょっと疑問を感じております。
目的が、仮にこの理念の実現に向けて子どもの権利の保障を進めることということであれば、逆に、計画が実施されれば子どもの権利の保障を進めることができるということになります。せっかく計画を立てられたのですから、成果を上げるべく取り組むことになると思いますが、そのための
基本目標を4点挙げられておりますけれども、非常に抽象的な表現になっております。
取り組み状況については、その一つ一つについて最後の13ページ、14ページに書いておりますが、どのようになればその成果が上がったとされるのか、また、成果の尺度はどのように考えているのか、伺わせていただきたいと思います。
また、これらの目標の
優先順位をどのように考えているのか、検討されているのであれば伺わせていただきます。
◎金田
子ども育成部長 1点目の成果の尺度についてお答えいたします。
平成22年3月に実施いたしました意識調査におきまして、安心して生きる権利など、条例に定められている権利の中で守られていないと思うものはという質問に対しまして、いじめ、虐待、体罰などから心や体が守られることということや、それから、障がい、民族、国籍、性別、家族のことなど、どんな理由にせよ差別を受けないことなどといった権利が子どもにとって守られていないという回答が多かったことを踏まえまして、このような守られていない権利の割合が減少し、子どもが安心できる環境の中で自立性と社会性をはぐくむことができる状況を保障することが求められているものと考えております。
また、調査では、子どもが自然、社会、文化などの体験をしやすい環境であると思う人の割合が大人55.4%、子ども42.4%となっておりますが、子どもの
体験活動の機会を充実するなど、これらの環境を整えることで指標の向上に努めてまいりたいと考えております。
2点目の
優先順位についてですが、子どもの
権利推進計画では、子どもの
意見表明・参加の促進、子どもを受け止め、育む
環境づくり、子どもの権利の侵害からの救済、子どもの権利を大切にする意識の向上といった四つの
基本目標を掲げております。
児童虐待等の緊急性の高いものについては速やかに対応しながら、それぞれの目標の達成につながる事業の実施を通して子どもの権利が保障される状況につながるものと考えております。
◆こじまゆみ 委員 やはり、成果を求めないのであればやりっ放しで計画自体が無意味になってしまいます。せっかく行政が時間と予算をかけて実施される計画ですからしっかりと成果を上げていただきたい、子どもの権利が保障され安心な環境を準備していただきたい、そんなふうに私は思います。
やはり、どうなれば成功で、どうなれば見直しとなるのか、4年間という
期間設定のようですので、成果を評価し、計画の妥当性をはかるためには
目標設定は大切なことだと思いますので、しっかりと意識化されるよう、より具体的に示されることをお願いしまして、私の質問を終わります。
◆
村上ゆうこ 委員 私からは、子どもの参加等の
取り組みの推進について質問させていただきます。
子どもの
権利条例が2009年4月1日に施行されてからことしで3年目に入り、
権利条例に基づいてこれまでさまざまな
取り組みが行われているという報告がありましたけれども、これからも子どもの権利を守っていくための
取り組みを進めていただくとともに、
取り組みの成果が大人も子どもも含めた札幌市民全体に着実に広がっていくことを期待しておりますので、今後もさらに努力をしていっていただきたいと思います。
子どもの権利を守るための今後の課題として考えられますことは、子どもの権利について、子どもにも大人にも十分に理解していただけるように、それぞれの年代に合わせた効果的な広報・
普及活動を行う必要があることはもちろん当然のことでありますが、さらに、
子ども自身が子どもの権利を自分自身で体験的に理解して、しっかりと自分のものとするために、子どもの参加の
取り組みを積極的に進めていくことも非常に重要であると思います。子どもの参加の
取り組みを進めていくに当たって大事なことは、
子ども自身がみずから積極的に参加することに取り組むことであると思います。子どもの権利を守っていくための子どもの参加の大切さがこれまで市民の方になかなか意識されてこなかったことを考えますと、子どもが参加すること自体に大きな意味があることはもちろんですし、子どもの参加については、
子どもたちがみずから進んで積極的に目的を持って取り組むことが非常に大事であると思います。
さらに、
子どもたち自身が社会のいろいろな場面、場所に参加できるということ、また、自分の意思で積極的に参加することの意味や意義を十分に自覚するとともに、参加のための効果的な方法を、大人から一方的に与えられるのではなく、自分でも進んで考える力をつけられるような方向に向けて活動ができるよう、大人の人たちが子どもに助言や動機づけをしていくことも非常に大切なことであると思います。当然ながら、
子どもたちが最初から自覚を持って参加することはなかなか難しいと思います。時間もかかることだと思います。したがって、段階的にステップを踏んで、
子どもたちが確実に参加という体験を得ながら成長していくことができるように援助する方法を大人たちが工夫することも求められると思います。
子どもの参加というのは、子どもだけの問題ではございません。子どもの参加という体験を通して、既成の考え方にとらわれがちな大人一人一人も、一人一人の子ども、ひいては子ども全体を見直すきっかけとなり、また、
子どもたち自身も、大人の工夫した援助のもとで、子どもの参加という成功体験を得ることによって自分に自信を持ち、これが健やかな成長、育ちにつながっていくと思います。もちろん、実際の活動の中では、一人一人の
子どもたちの考え方が異なり、意見が衝突することも当然出てまいります。そうした意見の衝突、食い違いを、
子どもたち自身が悩みながらお互いに納得いくまで話し合い、そして解決していくというプロセスを経験し、身につけていくことが非常に大切なことであると思います。このような
子ども同士の体験やそれにかかわった大人たちのそれぞれの体験が、子どもも大人も子どもの権利を適切に行使することについて理解を深めることになるのではないかと思います。
そこで、質問いたします。
札幌市では、子どもの参加をより進めていくための仕組みとして、子どもの活動を支える大人を対象とした事業として、昨年、
子どもサポーター養成講座を実施したとの報告がございましたが、事業の成果についてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 子どもサポーター養成講座の成果についてでございますが、この講座では、子ども参加の事例等に関する講義のほか、子ども向け活動の体験や企画など実践的な演習も行い、延べ66名の市民の方が受講いたしました。受講後のアンケートによりますと、参加者から具体的な話が聞けてよかった、視野やネットワークが広がったなどのご意見をいただいております。受講者の中には、青少年育成委員やボーイスカウトなど既に地域で活動を行っている方もいらっしゃいまして、講座で得たことを実践に生かしていただくことで、地域での子どもの参加を進めるきっかけになるものと考えております。
◆
村上ゆうこ 委員 今年度につきましても、
子どもサポーター養成講座を実施していくということですけれども、ぜひ多くの参加者が集まるよう取り組んでいただきたいと思います。
また、多くの子どもサポーターが地域で活動することによりまして、
子どもたちが具体的に参加する様子を身近で見ることができるようになり、子どもの参加に取り組んでみたいと思っている方々や、そう思いながらもどのように
子どもたちにかかわっていけばよいかわからずにいる方々にとりましても、子どもサポーターはよいお手本になるものと思います。また、これから子どもの参加を広げていくためには、地域を初めとして、施設や企業なども含めたさまざまな関係団体の
取り組みも重要であり、子どもがかかわるあらゆる場面で子どもの参加の機会があることが望ましいと考えます。
そこで、再質問させていただきます。
札幌市の今後の
取り組みにおきまして、子どもが参加する機会としての
子ども運営委員会や
子ども企画委員会を設置していくとしていますが、具体的にどのように進めていこうとしているのか、お伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 子ども運営委員会、
子ども企画委員会についてですが、円山動物園、青少年科学館など子どもが利用する施設に新たに
運営委員会を設け、運営に子どもの意見を反映させる
仕組みづくりを進めるほか、市政及び地域で子どもに大きくかかわる事業を実施する際にも子どもの意見を反映する企画委員会を設置するなど、子どもの参加を進めていきたいと考えております。今後、職員向け及び
市民向けに作成している子どもの参加のガイドラインや手引の活用を図り、こうした
仕組みづくりの定着を支援し、子どもの参加活動を促進していきたいと考えております。
◆
村上ゆうこ 委員 最後に、要望になりますが、子どもの参加というものは、端的に言いましたら、子どもが前面に出て、大人は一歩下がって子どもの活動を支援する、子どもの活動を見守るということだと思います。また、こうした姿勢を持つことがとても大事なことであると思います。
ともすれば、大人は、よかれと思ってついつい子どものすることに口や手を出してしまうことが多いですが、子どもの
権利条例の理念の実現に向けた大事な
取り組みということで、これまでもお話ししたように、子どもにとっても、また大人にとっても、非常に大切で得るところが多い子どもの参加の事業につきまして、今後さらに一層の広がりを持って展開していくことを期待しまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆三浦英三 委員 私からは、効果的な権利理解の促進について、1点質問させていただきます。
先ほど、金田部長から、平成22年度
取組状況報告書の説明がありました。その中で、広報・
普及活動として、子どもの権利の理解を進めるために、パンフレットとかポスターとか、また、子ども通信、子どもの権利ニュースなどのニュースレターなど多くの印刷物を作成しているという報告がありました。
私自身は、印刷物を作成すること自体は大事だと思っていますので、今後とも継続して取り組む必要があると考えているところであります。しかし、残念ながら、それだけではなかなか効果が上がらないのではないか、このようにも思っているわけでございます。同じ情報を提供するに当たっても、もっと自然な形で子どもの権利が大切である、また、札幌市には子どもの
権利条例があるのだということをもっと積極的にPRできる方法がないのかなと思っているわけでございます。
そこで、質問ですけれども、この条例は平成21年4月に施行になっていますので、それ以来、ことしは3年目に入るわけです。よって、今、このPRについて具体的に検討していることがあればお知らせ願いたいと思います。
◎金田
子ども育成部長 効果的な子どもの権利の広報についてお答えいたします。
委員のご指摘のとおり、現在行っているパンフレットとかニュースレターの配布については、一定の効果があるものの、子どもの権利についての普及、理解の飛躍的な促進につなげることは難しい面があると考えております。今後は、他部局で実施している子どもに関する印刷物にも子どもの
権利条例について掲載することを働きかけていくこと、それから、出前授業の形で、学校において、直接、
子どもたちに権利の大切さについて話をするなどの
取り組みを行っていきたいと考えております。
◆三浦英三 委員 今、部長から、他部局等への働きかけ等々、また、新しい事業を考えているということでありますけれども、もっとインパクトがあるような目立つものをぜひとも考えていった方がいいのではないかと思いますが、何かご意見があったらお教え願いたいと思います。
◎金田
子ども育成部長 インパクトのある広報ということでございますが、より目立ち、さらに、子どもの
権利条例を広く市民に知っていただき、その内容を理解していただくためには、さまざまな広報の手法が必要であると認識しているところでございます。今後も、例えば、子どもが利用する商業施設や関係機関などに協力を求めまして、より多くの方の目につく効果的な
広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 私も、子どもの
権利条例に基づく2010年度の
取り組み状況の報告から、4点について伺いたいと思います。
2009年4月、子どもの
権利条例が施行され、条例が反映されたまちづくりを進めるために、子どもの
権利条例推進計画がことし3月に策定されました。その際には、272人の
子どもたちから369件の意見が寄せられたと先ほど説明がありました。
市民ネットワークは、計画の策定に当たっては、子どもの参加のもと、そして子どもの言葉を用いるなど、子どもの声の反映を求めてまいりました。札幌市が行うさまざまな計画等に対しても、子どもも大切な札幌市民の一人として意見などを表明できる機会を設けるべきと考えています。その観点から、現在進めている札幌市地域福祉社会計画の改定に向けて、2010年度に保健福祉局が実施した
市民意識調査の対象年齢を前回の16歳から13歳に引き下げたことは評価いたします。
そこで、1点目の質問ですが、子どもの
権利条例が施行されて以降、札幌市において新たなに子どもも対象に意識調査等を行った計画はどれぐらいあるのか、また、各部局においては子どもの参加を広げることにどのように取り組んでおられるのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 1点目の子どもを対象に意識調査等を行った計画についてお答えいたします。
委員よりご提示いただきました地域福祉社会計画の改定のほか、第2次子どもの読書活動
推進計画やさっぽろ子ども未来プランの後期計画、それから子どもの権利に関する
推進計画の策定におきまして子どもを対象とした意識調査を行っております。また、月寒公園の再整備計画におきましては、子どもの遊びをテーマとした子ども対象のワークショップを開催しております。
2点目の各部局への働きかけについてでございますが、現在、子どもの市政への参加を進めるに当たっては、専門的見地から指導を行う子どもの権利アドバイザーを設置いたしまして各部局に派遣しているところでございます。また、職員向けの子どもの参加ガイドラインを作成、配付するとともに、各局区等が実施している子どもの参加等に関する
施策実施状況の調査結果を情報共有いたしまして、日常業務に生かすことができるようにしております。
◆石川佐和子 委員 子どもの権利アドバイザーの設置や、そして、子どもの視点を取り入れ、子どもの参加を積極的に進めるための市政における子どもに対する
情報発信と、子どもの参加を進めるためのガイドラインを作成し、業務内容を検討しているということを伺いました。それは、子どもの参加を進めることにとてもよいことだと思いますので、その趣旨に沿ってしっかり行うとともに、今お話があったように、検証もしっかり行っていただきたいと思います。同様の観点から、市民にとっても子どもの権利にのっとった子どもの参加を心がけ、実践することが重要と考えます。
そこで、質問ですが、
市民向けの子ども参加ガイドラインを作成中と先ほど説明がありましたけれども、その周知方法と、これら二つのガイドラインを今後どのように生かしていくおつもりか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 市民向け子どもの参加ガイドラインの周知方法についてお答えいたします。
市民向けの子どもの参加ガイドラインについては、市内の各学校や児童委員、青少年育成委員などに送付するとともに、市役所や各区役所などで一般の方にも配布する予定でおります。そのほか、まちづくりセンターへの配架とかホームページへの掲載などを通し、広く市民への周知を図っていきたいと考えております。
次に、ガイドラインを今後どのように生かしていくのかというご質問ですが、先ほどもお答えいたしましたけれども、市の各部局での事業、あるいは地域のまちづくりなどの
取り組みの中で活用していただくことで、市政及び地域における子どもの参加を促進していきたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 これまでの子どもの
権利条例のパンフレット以外に、こうした参加を広げるためのパンフレットというのは今までにない
取り組みだと思いますので、たくさん用いられるように使っていただきたいと思います。
次の質問に行きます。
2点目は、子どもの権利に関する
推進計画、子ども向け概要版についてです。
子ども向け概要版は、子どもにわかりやすく説明するために作成したと示されておりますが、わかりやすいかどうかについて、子どもの評価はどのようであったのか、また、これまでも子どもが参加してパンフレット等を作成してきていると聞いていますけれども、今回はどのようであったのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 子ども向け概要版の子どもの評価についてお答えいたします。
概要版につきましては、札幌市内の
小・中学校や
児童会館等の子どもが利用する施設に配付しておりまして、評価については、今のところ、子どもからの声は直接届いておりませんが、よりわかりやすさを目指すという視点からは工夫の余地があるのではないかと感じているところでございます。
また、子ども向けパンフレットの作成に当たっての子どもの参加についてですが、子ども議員を対象にアンケートを実施したほか、
子ども同士の意見交換を行っております。
◆石川佐和子 委員 再質問ですが、概要版の1ページは、札幌市の考え方というところから始まっています。このアプローチがとても固くて、上の方から発しているような感覚がし、何人かの子どもに聞いてみたのですが、ちょっとわかりづらいという感想がありました。特に、子どもが使用するものをつくるに当たっては、計画の段階から子どもの参加を欠かすことはできないと考えています。
質問ですが、子どもの権利に関する
推進計画、子ども向け概要版については、子どもの意見、感想を踏まえて、わかりやすく工夫し、概要版の見直しを行うべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎金田
子ども育成部長 今後、概要版を新たに作成する場合には、委員ご指摘のとおり、改めて子どもの意見を聞きながら、子どもの視点に立ったよりわかりやすいものを作成したいと考えております。
◆石川佐和子 委員 3点目の質問に行きます。
子どもの権利の普及に関してですが、札幌市が実施した事業効果に関する
市民意識調査において、札幌市の
子育て環境で子どもの権利を尊重する体制が整っているかという問いに対し、「思う」と回答した割合が、昨年度は41%、今年度が約43%と先ほどの説明にありました。本市が、これを子どもの権利の理念が市民に浸透してきていることがうかがえる結果と評価していることは、適切とは言えないと思います。
そこで、質問ですが、札幌市の
子育て環境で子どもの権利を尊重する体制が整っていると思う人の数字はほぼ横ばいであり、子どもの権利の理念は十分知っていないととらえることが適当だと思いますけれどもいかがか、伺います。
また、そうした実態を踏まえて、設問を工夫するなど、子どもの権利が浸透するようさらに事業に取り組むべきと考えますがいかがか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 市民意識の調査結果の評価につきましてお答えいたします。
昨年度よりも数値が上がっていることから、十分とまでは言えませんが、徐々に子どもの権利の理念が浸透してきている結果ではないかなと考えているところでございます。
しかしながら、委員ご指摘のとおり、確かに設問については工夫の余地があると考えられますので、それを改善するとともに、さらに子どもの権利の理解を進める事業に取り組んでまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 最後に、子どもの権利を市民に知ってもらうための
取り組みについて伺います。
5月30日の子どもの
権利委員会で、委員の方から、権利侵害からの救済に関して、権利侵害が起こることが前提での救済ではなく、起こさないためにどのような計画があるのかという質問が出ていたと聞いています。権利侵害を起こさないためには人権教育が重要でありますが、その具体的な内容に関しては、27日の特別委員会での國安議員の質疑に対する答弁にありましたように、人権推進事業の中で民族や男女共同参画などの権利意識を培うことと理解しております。
しかし、さまざまな場面において子どもの権利に対する理解を深めていくことが重要であり、ここで質問ですが、学校関係、町内会関係などにつながりがない方など、広く市民に向けた子どもの権利を知ってもらう機会、そうした理解をしてもらうための
取り組みを今後どのように行っていくのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 学校や町内会などにつながりのない方に対する広報ということについてお答えいたします。
現在は、広報さっぽろやホームページなど限られたものとなっております。しかしながら、子どもの権利の理念を大人に理解いただくことが大事であると考えておりますので、今後、人が多く集まるイベントなどで、大人、子どもにかかわらず、効果的な広報に取り組んでまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 最後に、要望です。
2010年3月の子どもに関する実態・意識調査において、子どもの権利を知っているかとの問いに対して、「知らない」と答えた小学生が64.7%、中学生が62.1%でした。また、市民においても同様の調査結果があったと記憶しています。これからも、子どもの権利がたくさんの人に浸透していくように、今、広報さっぽろ等の限られたものという答弁でありましたけれども、さまざまな
取り組みを通して
普及啓発をしていただけるように要望して、終わります。
◆宮村素子 委員 私から、端的に伺いたいと思います。
今、平成22年度の
取り組み状況ということで、いろいろな報告がございました。大変にご苦労されながら、一生懸命やっているのだなということがわかりました。
そこで、子どもの権利というわけですけれども、これは、人間にとっての基本的な人権ということと重なっているというふうに思っております。教育のあらゆる場面のときに、教師は、きちんと状況、状況に応じてただしていく、それを教えていく、それは、正しいやり方を教えていく、それぞれの授業にありながら、その中で場面、場面で子どもの動きを通したり、クラスの関係の中で教えていっているというふうに思います。それから、今、道徳という言葉を嫌う人もいて、私も変だなというふうに思っているのですが、道徳教育の中でも具体的に教えています。それから、家庭でも、人としてのあり方というものを、人として育つための家庭での教育、家庭での教え、はぐくみということで、やはり子どもの権利ということと重なっておりますよね。あえて、子どもの権利というものではないけれども、日本は本来ずっとこうしてやってきたかと思っています。今、教育の現場の中でも、格別、大きく変わってきていることがあるというふうに思わないし、教師も、だからといって特別しなければならないとはそんなに強く思わない。自分の教科の中で、子どもとの接触の中でやっているよと、私はそういうものだと思っているので、努力していることについて私は頑張っているねという評価はしますけれども、本当にこういう進め方が絶対必要なのかどうかというのは、私は疑問に思っている一人です。
そこで、一事例ですが、では、教わる権利というものもあって、事例としては何でそれをと言うのかもしれませんけれども、例えば、国歌は、子どもにとって教わる、教えてもらう、日本人として教えてもらうべきものだ、子どもの立場で言うと教わる権利があるというふうに思うのです。しかし、この5年間ぐらいを見ましても、100%、いろいろな式典のときには起立して歌われているといった報告をいただきましたけれども、実際に行ってみますと、やはり歌われていない。歌っているのは来賓だけなのですね。教員で立っていない方もいましたが、ここ数年の中では教員は立っているなというふうに私は思っていますけれども、歌っていない。来賓だけが歌っている。そして、もちろん父兄も歌っていない。子どもも歌っていない。けれども、校歌は、1年生でも、入学してから今の時期になると、自分の行っている学校の歌ということで校歌を歌っているのですね。それこそ、言葉のつながりで意味をきちんと理解しているというふうには思わないけれども、胸を張って歌っています。先生も、校歌はちゃんとピアノ伴奏をするのですが、国歌斉唱となりますと突然テープになって子どもは歌わない。
そういったことから、何年生で国歌を教えているのか、伺いたいと思います。
◎池上
指導担当部長 国歌につきましては、小学校1年生から6年生を通して指導することとなっております。
◆宮村素子 委員 けれども、1年生の今ぐらいのときには、私は聞くのは酷だなというふうに思いながら聞いたら、わからないと。そこで、2年生の子に聞きました。そうしたら、そんなの習っていないよと。それから、3年生の子にも聞きましたら、それは本当に一部で、私が日ごろ接する
子どもたちですけれども、聞きましたら、習ってねえやとかと言うのです。もしかしたら教えているのかもしれないのだけれども、子どもが教えてもらったというふうに感じないというのでは、それはちょっとないかなと、権利からいくとね。やっぱりきちんと教える。自分が国歌をどう解釈して、この歴史を解釈して、それに対して自分の考え方をどう持つかというのは別ですけれども、日本人としてきちんと教えるということは、法的にもそれは決まっているわけでありますから、もっとこれを教えると。そして、少なくとも2年生ぐらいからはやはり歌えるように、みんなで歌う体制にするというのも、
権利条例の遂行ということから見ると、この
教育現場の中で日本人としてすべきことかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
◎池上
指導担当部長 学校における国歌の指導につきましては、学習指導要領に基づきまして、今後とも適正に実施するように各学校に対して働きかけてまいりたいと思います。
◆宮村素子 委員
教育委員会は、今までもうずっとそういう体制で来ているわけですね。だけど、現場との乖離があり過ぎる。ですから、教えることはきちんと教える。そして、やっぱりテープの伴奏で歌えというのは教育しにくいでしょう。ピアノできちんと伴奏して子どもに教えると。そのことを早急に実施する、指導するということでしたけれども、きちんと指導されてきたかどうか、もう一度、各学校に出向いてチェックしながら指導されたらいかがかと思いますが、再度、どうでしょうか。
教育長、どうでしょうか。
◎北原 教育長 国旗・国歌につきまして、あれは平成12年だったでしょうか、各学校長に対して適正に実施するようにということで職務命令を発出しました。その後、各学校においては100%実施できるようになってきたところでありますが、委員ご指摘のように、具体的内容として必ずしも十分でない部分があるというふうには理解しております。
ただ、いずれにいたしましても、そういった経過の中で
取り組みが進められ、我が国に、あわせて他国に対する尊敬とか信頼といったことも大事にしながら国旗・国歌についてもしっかりと考えていく、そういう
取り組みを進めさせていただいてきているところであります。今後とも、そういった
取り組みを進める中で、委員ご指摘の課題等についてもさらに改善を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。
◆宮村素子 委員 もう一度、教育長に確認します。
きちんと歌えるように教えられていない、そのことは、子どもの権利からいったら、私は教わるべき権利があるというふうに思いますが、それが教えられてないということに関してはどう思いますか。
◎北原 教育長 教えるべき内容が、学習指導要領等で示されている内容が、もしも全く触れられないまま来ているとしたら、学ぶ権利、知る権利について十分でないというところはあろうかと思います。
ただ、例えば、子どもの権利について、先ほど認知率について必ずしも高くないという状況がありましたけれども、実際に子どもの権利について指導がなされているか、なされていないかというふうに考えていったときに、社会科の教科書その他に子どもの権利についての記述はありますし、通常の授業の中で触れられていることはほぼ間違いないところだろうというふうに思っているところです。ただ、子どもの認識として、必ずしもそれがしっかり教わったという認知に至っていないというところもあろうかと思います。
そういったことも含めて、そのことについては国旗・国歌等も同じことだと思いますが、今後の教育の改善の中で、
子どもたちが意識的にそのことを学んだということがしっかりと認知できるような、そういった意図的、計画的な指導が進められるように、
教育委員会としても働きかけてまいりたいというふうに考えております。
◆宮村素子 委員 教育長がおっしゃったように、状況の報告という中で、これは中身が限定しておりますから、では、国歌はどうかというふうにはならないかもしれませんけれども、やはり、子どもが正しく習ったと認識できて歌うことができるといった状況まで持っていくように、この1年間の結果を来年の春に確認したいと思います。
○伊藤理智子 副委員長 私からも、
子どもアシストセンターについて、それから、
学校教育における
理解促進に向けた
取り組みについて質問させていただきます。
子どもの
権利救済機関の別紙の概要を見ますと、相談状況等についての中身では、昨年度の
相談件数はほぼ前年度並みの件数が寄せられたとのことでした。相談者の内訳では、母親561件と子ども521件からの相談が大半で、子ども本人の内訳で最も多いのは中学生の204件、次いで小学生の150件ですが、小学生からの相談が前年度の189件より減少しております。中学生の相談は、携帯電話を持っている子が多いことからEメールでの相談が多くなっておりますが、小学生は電話での相談がほとんどだということです。小学生の相談数が昨年度より減ったことについてどのように分析して、今後、さらに相談しやすい環境をどうつくっていくのか、具体的な対策について伺います。
学校教育における
理解促進に向けた
取り組みについてですが、子どもの
権利条例の趣旨等が子どもや保護者に正しく理解されていくためには、校長や教員が条例について十分に理解していることが求められることから、市立幼稚園、学校の新任管理職及び一般教諭10年経験者等に対する研修を実施し、全
小・中学校参加の
小・中学校教育課程
研究協議会においても説明を行った、また、活用できる資料として子どもの権利に関する指導の手引を作成して全教員に配付し、子どもの権利に関する教育
研究協議会において作成した校内における
教員研修用資料をすべての学校に配付したということです。また、研修会や
小・中学校の
公開授業などで子どもの権利に関する内容の授業が行われておりますけれども、こうした
取り組みを受けて、各
小・中学校では研修や資料を活用した教育実践がどのように展開されているのか、広がっているのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 まず、
子どもアシストセンターの
相談件数の中で、小学生からの相談が減少していることについてでございますけれども、実件数では、副委員長のお話にもございましたように、前年度の189件から150件へと39件減少しております。ただ、延べ件数で言いますと、372件から419件へと47件増加しております。これは、子どもと大人を合わせた
相談件数全体の傾向と一致するものでございまして、小学生につきましても総体的にほぼ前年度並みの件数が寄せられたものと考えております。
今後は、実件数の減少ということを念頭に置きながら、
子どもアシストセンターが子どもにとってより身近で安心して相談できる機関として認知なされるよう、引き続き
広報活動に取り組んでまいります。
◎風無 教育研修担当部長 子どもの権利にかかわる
教員研修の成果が実際に学校にどのように広がっているのかということについてお答えいたします。
教育委員会では、子どもの権利について教員の意識を高めるために、お手元の報告書にも記載されておりますように、各学校に校内研修用の原稿付きプレゼンテーション資料を配付するなどして、子どもの
権利条例の理念に基づいた指導についての
教員研修の推進に努めております。また、新任管理者研修や10年経験者研修等におきましても、弁護士や児童相談所の担当者などを講師として、同条例の趣旨や学校における具体的な実践事例のほか、いじめや児童虐待への対応について学ぶなど、子どもの権利の理念を生かした研修と実践の充実に努めているところであります。
こうした研修の結果、各学校においては、子どもの権利に関する指導の手引や啓発パンフレット、それから、プレゼンテーション資料等を有効に活用しながら、条例の趣旨を踏まえた
授業づくりが進められているとともに、より一層、いじめや虐待などの早期発見やその解決に取り組むなど、教員の子どもの権利にかかわる意識が深められてきていると考えております。
○伊藤理智子 副委員長 まず、
子どもアシストセンターについてですが、実件数は減っているけれども、延べ件数はそんなに変わっていないということでした。
しかし、この資料を見ますと、中の方に曜日と
相談件数ということで示されております。曜日と
相談件数については、平日の相談はほぼ同じくらいの
相談件数になっておりますけれども、土曜日は3時までということで半日の相談、日曜日はお休みということなのですね。しかし、相談内容で一番多いのが学校生活での相談となっていることから、電話で相談する小学生の
子どもたちが相談しやすい土・日の相談を実施するように工夫していくことが大切ではないかなと思っているのですがいかがか、伺います。
また、教員への研修と子どもの権利に関する資料の配付についてですが、子どもの権利条約を批准している日本が、国連子どもの
権利委員会から3度にわたる勧告を受けている内容は、現在の日本の
子どもたちの置かれている現状をあらゆる角度から分析しております。今回の最終所見では、学力の優秀性に特化した教育を行うのではなくて、公教育の第一目的である人格の全面的発達が大切であることなどが指摘されております。
日本の
子どもたちが置かれている深刻な状況について詳しく指摘されている今回の子どもの
権利委員会による3回目の勧告について、市教委はどのように受けとめているのか、認識についてお伺いします。
また、勧告で指摘されたことは、現場の教員に、札幌市の
子どもたちの置かれている状況も例外ではない実態があることをより深く理解していただけるチャンスになるのではないかと思っています。さらに、子どもの
権利条例を深める上でも非常に参考になる資料だというふうに思いますので、子どもの
権利委員会の勧告についても教員の研修資料として活用していくべきではないかなと思いますがいかがか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 子どもが相談しやすいように土・日も開設してはどうかというご質問でございますが、現在、
子どもアシストセンターでは、7人の相談員が、月曜日から金曜日までは午前10時から午後8時まで、土曜日は午前10時から午後3時まで相談を受け付けております。相談員の身分は第2種非常勤職員でございまして、週5日29時間の勤務となっており、開設時間においては、子ども用と大人用の相談電話に対応できるように、必ず2名以上の相談員を配置するようシフトを組んで対応しております。そのほかに、相談員は、相談業務に加えまして、子どもと大人それぞれを対象とした出前講座を実施しており、勤務の調整の余裕のない状況となっております。
したがいまして、現在の人員では
子どもアシストセンターを日曜日等に開設することは難しいと考えますが、今度、子どもを初めとする相談者の意見等を参考しながら、相談しやすい機関となるよう検討してまいりたいと考えております。
◎池上
指導担当部長 国連子どもの
権利委員会の勧告につきまして2点ご質問がありましたので、お答えしたいと思います。
まず、1点目は、国連子どもの
権利委員会の勧告についての
教育委員会としての認識についてでございますが、このたび、同委員会から日本政府にあった勧告として示された中には、法整備等の国レベルで対応すべきものだけではなく、例えばいじめとか児童虐待に関する問題等、実際に子どもが生活するあらゆる場で大人が子どもの最善の利益を考慮して実践的に対応していかなければならないものもあり、
教育委員会としても引き続き対応しなければならない課題であると認識しているところでございます。
続きまして、2点目は、国連の勧告を教員への研修資料として活用すべきではないかとのご質問でございますが、
教育委員会といたしましては、これまですべての教員に配付してきた子どもの権利に関する指導の手引、あるいは、条文解説、
各種研修会などを通して教職員に対して条例の理念についての理解を図ってきたところでありますけれども、今後につきましては、勧告の研修資料としての活用のあり方についても検討を進めてまいりたいと考えております。
○伊藤理智子 副委員長 今、
子どもアシストセンターの方では、相談に対応されている方の体制などに非常に余裕がないというようなお話でした。本当にいろいろな
取り組みをして、出前講座も、実際に相談されている方が地域に出て、子どもの
権利条例をより深く知っていただくように非常に努力されて頑張ってやられているのは、広げていく、知らせていくという上でも本当に大切だというふうに思っています。
でも、今、子どもの
権利委員会からの勧告のお話もしましたけれども、過度に競争的な教育に日本の子どもが置かれていて、札幌市の
子どもたちも例外ではないという中では、権利救済してほしいというようなことをだれに相談したらいいかわからなくて悩んでいらっしゃるお子さんや保護者の方もまだまだたくさんいらっしゃると思うのですよ。そういう意味では、いい
取り組みをさらに広げていくように体制を強化していくことが、子どもの
権利条例を札幌市に浸透させていく上でさらに重要になってくると思いますので、ぜひ、ここは強く求めておきたいというふうに思います。
それから、子どもの
権利委員会の勧告についての市教委の認識と今後の研修の資料にするということでは、検討していきたいということでした。現場の教員の皆さんは
子どもたちの状況も実態も一番よくご存じだというふうに思いますけれども、やはり、全国的な視野で今の
子どもたちの置かれている状況も知りながら、子どもの
権利条例の実践をどう生かしていくかということがすごく大切になってくるのではないかというふうに思っておりますので、今後は、ぜひ、この勧告についても資料として教員の皆さんに配付して実践に活用していけるようにしていただきたいということを求めて、私の質問を終わらせていただきます。
○
國安政典 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
國安政典 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、理事者退席のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時11分
再 開 午後3時12分
――――――――――――――
○
國安政典 委員長 委員会を再開いたします。
次に、委員派遣についてを議題といたします。
お手元に配付の
文教委員会行政視察実施案をごらんください。
本委員会に関係する本市の諸課題や
取り組みについて、道外地域の先進的な事例を調査し、今後の委員会活動の参考とするため、本案を作成させていただきました。
ここで、委員の皆様にお諮りいたします。
本案のとおり行政視察を実施することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
國安政典 委員長 異議なしと認め、本案のとおり行政視察を実施することといたします。
なお、行程など詳細につきましては、正副委員長にご一任願います。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時13分...