札幌市議会 2011-06-27
平成23年第一部議案審査特別委員会−06月27日-04号
平成23年第一部
議案審査特別委員会−06月27日-04号平成23年第一部
議案審査特別委員会
札幌市議会第一部
議案審査特別委員会記録(第4号)
平成23年(2011年)6月27日(月曜日)
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●議題 付託案件の審査
●
出席委員 33人
委 員 長 五十嵐 徳 美 副委員長 宮 川 潤
委 員 武 市 憲 一 委 員 宮 村 素 子
委 員 鈴 木 健 雄 委 員 こんどう 和雄
委 員 山 田 一 仁 委 員 細 川 正 人
委 員 よこやま 峰子 委 員 宗 形 雅 俊
委 員 こじま ゆ み 委 員 北 村 光一郎
委 員 阿部 ひであき 委 員 西 村 茂 樹
委 員 猪 熊 輝 夫 委 員 畑 瀬 幸 二
委 員 ふじわら 広昭 委 員 林家とんでん平
委 員 桑 原 透 委 員 長谷川 衛
委 員 小 川 直 人 委 員 宝 本 英 明
委 員 村 上 ゆうこ 委 員 林 清 治
委 員 本 郷 俊 史 委 員 三 浦 英 三
委 員 谷 沢 俊 一 委 員 國 安 政 典
委 員 伊 藤 理智子 委 員 小 形 香 織
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 石 川 佐和子
委 員 堀 川 素 人
――
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開 議 午後1時
○
五十嵐徳美 委員長 ただいまから、第一部
議案審査特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
猪熊委員からは、遅参する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
初めに、第3款
保健福祉費 第2項
児童福祉費の質疑を行います。
◆
谷沢俊一 委員 私からは、
事業所内保育施設設置促進事業についてお伺いいたします。
事業所内保育施設は、企業が、従業員の子どもを対象として、企業の敷地内あるいは近隣に設置する
保育施設でございますが、幼い子どもを育てながら働く親たちにとっては目の届く場所で子どもが保育されること、さらには、勤務時間に合わせて一般の
認可保育所では対応しづらい夜間、休日等においても対応が可能なことによる安心感が大きいわけでございます。特に、本市は
サービス業が多いことから、この
保育形態は有益であるというふうに考えられます。また、このことによって、保育の場が少しでも多く提供されることは、
認可保育所への
入所希望者数が大変増加している現状においては、
待機児童ゼロを目指すという市長の公約からかんがみても、寄与するものではないのかというふうに思います。
しかし、市内の
事業所内保育施設は、札幌市に届け出があるものについては、ことし3月末現在で49施設となっており、そのうち40施設は病院の中に設置した
院内保育所という状況であると伺いました。この事業がなかなか普及していかない背景には、やはり
費用負担の問題が大きいわけですね。
保育施設の設置時には多額の費用が必要となりますし、その後の運営に関しても長期的な経費の負担を強いられます。昨今の厳しい経済状況のもとでこの費用を捻出するのはなかなか難しいという事情から、個々の企業では、必要性は感じているけれども、導入に踏み切れないということで普及を難しくしているのではないかというふうに思います。
事業所内保育施設の設置に関しては国の
助成制度がございますけれども、このたび、札幌市では、国の助成金を受給する企業には上乗せして補助を行うということで、定員等の面で国の助成金に該当しない企業にも補助を行う事業を創設されるということでございまして、そういう意味では一定の評価をさせていただいているところでございます。ただし、
補助制度の設計においては、企業、事業者のニーズを十分に把握して、効果的な仕組みにしていく必要があります。
そこで、1点目の質問ですけれども、札幌市では、
事業所内保育施設の設置に係るニーズを把握する目的で、ことしの3月に
市内企業向けの
アンケート調査を実施しているというふうに聞いております。この
アンケートで得られた結果を踏まえて、札幌市としてどのような制度を構築しようとしているのか、伺います。
また、
事業所内保育施設は、原則的に企業の従業員を対象としていると伺っておりますけれども、従業員の
利用者数が少ない場合に、
近隣地域にお住まいの住民も利用できる形をとるならば、さらに
待機児童の解消という効果も見込めるというふうに考えられます。
そこで、2点目の質問ですけれども、札幌市が補助する
事業所内保育施設において、近隣にお住まいの市民の利用が可能な制度になるのかどうか、お伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 事業所内保育施設設置促進事業についてお答えいたします。
まず、1点目の
企業向けアンケートの結果を踏まえた制度の
補助概要についてです。
事業所内保育施設の設置につきましては、定員10人以上の施設を設置する企業を対象とした国の
助成制度がございますけれども、札幌市の
アンケートでは、多くの企業が設置費の負担が
保育施設設置に当たっての課題であるというふうに回答しております。また、国の助成金に上乗せする補助や、国の制度の対象外である定員9人以下を対象とする補助の創設が望まれているとの回答も多く見られております。これらの
アンケート結果に基づきまして、札幌市では、国の助成金を活用する場合でも設置費を上乗せして補助し、また、定員につきましても5人以上を
補助対象としたいと考えております。
なお、補助率につきましては、
認可保育所を設置する場合の法人負担と同程度とすべきと考えまして、国の助成と併用した場合でも、市のみを活用した場合でも、どちらも
企業負担が設置費の4分の1となるよう設定いたします。ただし、限度額は、類似の制度を有する他の
政令指定都市の例を参考にいたしまして500万円としております。
次に、2点目の
地域住民の利用についてでございます。
事業所内保育施設は、原則的には企業が従業員のために設置するものでございますが、利用者の確保や
地域貢献の面から、定員の一部を
地域住民に開放することは考えられますので、そのような場合でも補助の対象とするよう検討してまいりたいと考えております。
◆
谷沢俊一 委員 国の助成金、そして、札幌市の上乗せ分の助成金を活用したとしても、設置に係る費用の4分の1は企業が負担するということでございました。厳しい経営状況の中では、施設の
設置費用が事業の経営を圧迫するという懸念を持つ企業も多いのではないかと思います。また、
保育施設の管理の難しさ、あるいは、一定数の利用者が継続的に見込めるのか、単独の企業が
保育施設の設置・運営に踏み切るにはこういった多くの課題というか、不安材料があると思います。
今、定員5名以上ということで、国の基準に上乗せするというお話でございます。病院内の保育の場合は、早くから看護師、医師のニーズが強くて制度化されておりますけれども、他の
サービス業のうちでも業態、職種によって――私が具体的に相談を受けたのは
理美容関係の方々でございました。これも、個々の店舗では対応が非常に難しい現状がございますけれども、お互いに連携して何とかできないのかというご相談を受けたことがございます。そういう意味で、全国的には、例えば、
オフィスビルの開発段階でデベロッパーが付加価値として最初から
保育施設を組み込んでいる例もございます。
そこで、例えば、複数の企業あるいは事業者が参加して共同で設置する形態、
事業組合などをつくって会員に利用させる形態、あるいは、特定の
オフィスビルに設置することで
テナント企業が共同で出資するというか、1社ごとの負担を軽減化するような仕組みが適当ではないかというふうに考えますけれども、この点についていかがか、お伺いします。
◎金田
子ども育成部長 企業の負担が軽減される
設置形態についてお答えいたします。
企業向けアンケートにおきましても、
設置費用の面や利用者の安定的な確保の面から、一つの企業が単独で設置することは困難であるとの回答が得られているところです。したがいまして、委員のご指摘も踏まえまして、複数の企業が共同で設置する形などについても補助の対象となるよう検討してまいりたいと考えております。
◆
谷沢俊一 委員 今のご答弁では、共同での設置等、企業の負担に配慮してこれから制度設計されるということです。
従業員のための
保育施設を設置するというのは、従業員の福利厚生という側面だけではなく、企業にとっては、優秀な人材を確保、定着させるという
人材育成コストの削減、さらには企業のイメージアップも
メリットとしてございます。札幌市が設置費の補助をするとしても、
事業所内保育施設の設置は企業が主体的に行うというものである以上、この設置の
メリットについて十分に広報、周知をしていく必要があると思います。そういう周知を受けて、設置に向けて検討を始める企業がふえていくのではないかというふうにも思います。そういう意味では、国の
助成制度、そして、これから札幌市が創設しようとする
補助制度について、十分に周知を図る必要があるというふうに思います。
最後の質問ですけれども、この事業について、どのような形で
企業向けの広報、周知を図っていくおつもりか、お伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 企業への広報、周知方法についてお答えいたします。
事業所内保育施設の
設置促進には、企業にも従業員にも
メリットとなるワーク・ライフ・バランスについて経営者の理解が必要となりますので、ワーク・ライフ・バランスの
普及啓発とあわせて、
事業所内保育施設の設置についても幅広くPRしていきたいと考えております。
なお、
女性従業員が多い業種、勤務形態の関係で
事業所内保育施設のニーズが高いと考えられる業種に対しましては、特に重点的に周知を図りたいと考えております。
また、国の
助成制度につきましても、制度を所管する
北海道労働局と連携し、札幌市の
補助制度とあわせて周知してまいります。
◆
伊藤理智子 委員 私からは、
私立保育所新築費補助について質問いたします。
今回の補正予算で、当初予定の1,300人の計画から、さらに60人を上回っての整備を行うということですが、ことし4月時点の
待機児童が1,339名にもなっております。我が党は、今回の代表質問で、2013年度までに5,000名の
保育所整備を行い、
待機児童の解消を図るように求めましたが、生島副市長は、
超過入所及び
待機児童が生じている現状を重く受けとめている、
待機児童の解消を目指すと答弁されました。
質問ですが、
超過入所は解消を目指すのか、伺います。
目指すのであれば、ことし1月の
待機児童は2,654人、
超過入所は2,286人と合計で4,940人にもなっておりますから、5,000人規模で保育所をふやさなくてはならないと思いますがいかがか、伺います。
◎堂前
子育て支援部長 待機児童と
超過入所につきましては、いずれも重要な課題だと認識しております。これまでも、私どもとしては、最大限の努力をしてきてまいっておりますけれども、まずは、
子ども未来プラン後期計画を着実に実施してまいりまして、今後におきましては、現在策定中の第3次新
まちづくり計画の中において整理をして、
待機児童、
超過入所に対して改善、解消を目指していきたいと考えております。
◆
伊藤理智子 委員 私の事務所に、保育所に入れないという深刻な相談が多数寄せられています。産休明けで仕事に復帰しようと
保育所入所の
申し込みを行ったAさんは、希望者がいっぱいで予定していた仕事の復帰時期に復帰することができませんでした。また、1歳半のお子さんを保育所に入所させて働きたいと申し込んだBさんは、1歳児クラスがいっぱいでいつ入れるかわからないということでした。Bさんは、ご主人が月14万円程度の給料で、親子3人で生活していくのが本当に大変な状況だということでした。しかし、定員がいっぱいでいつ入れるかわからない、ご主人も、正職ではなくていつ解雇されるかわからないという状況で、奥さんも何とか働かなければならないというご相談でした。
今、保育所に入りたいと待機している方々の
生活実態は、待ったなしの状況で希望している方がたくさんいるというふうに思います。働きたくても預ける保育所がないという深刻な実態についてどのように認識されているのか、伺います。
◎堂前
子育て支援部長 認可保育所の
入所申し込みにつきましては、各区の健康・
子ども課で受け付けをしております。その際に、
申し込みに来られた方々から必要書類を提出していただき、世帯構成や就労状況などのお話を伺いながら実態の把握に努めておりまして、私どもとしては、可能な限りそれらに対応しているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員 可能な限り対応しているということではありますけれども、
待機児童の保護者の
労働実態、
生活実態がどのような状況になっているのかということは、やはり、保育所を整備されている皆さんがよく理解して
保育所整備が必要だという認識を深めていただきたいというふうに思います。
超過入所についても、多いところで90名定員の保育所に112名の子どもを入所させなければならない状況になっております。現場の保育士は、定員をオーバーしている中でも、
子どもたちの健やかな成長を願って保育の質をさらに向上するために努力しております。しかし、子どもの数が定員より多くなると、
保育体制が本当に厳しくなって、パートなどで臨時職員は入っていますけれども、やはり正職の役割が重たいということで、保育士の疲労も限界な状況だということを現場の声として私は聞いております。
今回の
東日本大震災では、保育中の
子どもたちをこの甚大な地震と津波の被害の中でも一人も死亡させることなく、保育士が命がけで
子どもたちを守ったということが大変注目されております。この教訓をしっかりと受けとめて、保育の質を低下させないこと、そして、災害が起こったときに迅速に避難できる
保育体制についても、現在、新システムのもとで最低限の基準の見直しが検討されようとしておりますけれども、緩和するべきでないというふうに私は思っております。
現場の保育士が保育の質を低下させないで頑張っている努力を受けとめて、
子ども未来局として、
超過入所については第3次計画で
待機児童の解消とあわせて検討していくということではありますけれども、
超過入所も現場では大変になっているのだという認識を持って、目標をしっかりと持って取り組むべきだというふうに考えますがいかがか、伺います。
◎堂前
子育て支援部長 まず、保護者の状況でございますが、先ほども言いましたとおり、各区の窓口の中で最大限に対応しておりますけれども、委員からお話がありましたように、希望しながらも入所できない児童がいることについては、私どもは重く受けとめております。したがいまして、昨年度も、当初、820人のところ、1,000人を超える規模で増員を行い、また、今年度については、委員もご承知のとおり、当初予算では1,300人でしたが、今回、さらに60人と、一人でも多く入所できるように対応してきているところでございます。
今後、各区においてはそういった対応を続けるとともに、
先ほどお話があった保育士の大変なご苦労もございますので、私どもは、整備をするとともに、保育士の処遇についてもこれまでも札幌市独自で
補助制度を設けております。また、そういった部分については国の制度によるところが大きくございまして、これまでも国に要請してまいりましたけれども、保育所の整備とあわせて、そういった国に対する要請をさらに逐次やっていきたいと思っております。
◆
伊藤理智子 委員 本当に努力してやってきているな、だんだん
整備計画もふえてきているなと私も思っているのですけれども、それに比例するように
待機児童がふえていっている、
超過入所もふえていっているのが実態です。合わせて5,000人ぐらいの整備を思い切ってやっていかなければ本当に大変な状況ですし、入所したい、預けたいという方の
生活実態も、夫婦で働いていかなければ本当に生活できないような厳しい深刻な実態になっています。やはり、3年間で5,000人の整備を行い、
超過入所も
待機児童も解消していくのだというしっかりとした目標のもとに第3次計画を進めていっていただきたいということを強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。
◆
石川佐和子 委員 私は、
プレーパーク推進事業について伺います。
プレーパークとは、従来の公園、既成のブランコやシーソー、鉄棒などがあるようなお仕着せの遊び場ではなく、
子どもたちが想像力で工夫し、わくわくするような遊びをつくり出すことができる遊び場のことです。
東京都世田谷区の
羽根木プレーパークが1979年にオープンしてから、広く知られるようになりました。ことしの5月に、私も
羽根木プレーパークを見学してきました。いかにも好奇心を刺激される手づくりの遊具があったり、その日はあいにくの雨降りだったのですが、どこからか、子どもの歓声が聞こえて、木工遊びなどに夢中になっている
子どもたちがおりました。大人が決めた遊びではなく、やりたいことを子どもが自分で決めて、ひとりではできないことも大人の力もかりて実現していく様子にとても感動いたしました。
こうした
プレーパークは全国に270近くあるとのことですが、
子どもたちが自由な発想で遊ぶことができる外遊びの場は、まだまだ
子どもたちにとって身近な場所になっていないのが現状だと思います。札幌市におきましては、
公園遊びを行っているNPOや市民団体が活動しておりますが、公園では
ボール遊びができないなど、子どもにとって窮屈な遊びになっており、
公園遊びを広げるためのさまざまな支援を求める声が広がっています。
そこで、質問です。
今回の肉づけ予算で、新たな
取り組みとして
プレーパーク推進事業を行うということですが、その実施に当たっての課題をどのように認識されているのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 プレーパーク推進事業の実施における課題についてお答えいたします。
プレーパークにつきましては、先ほど委員のご発言にもございましたように、全国で270団体が活動しておりますが、札幌市ではまだ十分に認知されておらず、まずは市民の理解を進めていく必要があると認識しております。また、本事業は、
地域住民の皆様が活動主体となり運営を担うことになりますことから、担い手の発掘や遊びを引き出す
プレーリーダーの育成とともに、
遊び場周辺の市民の皆様にご理解、ご協力をいただくことが不可欠であると考えております。
◆
石川佐和子 委員 答弁にありましたが、
プレーパークそのものの周知がなかなか広がっていないことや、現場を支えていく担い手の育成なども本当に課題だと思っております。
羽根木プレーパークには、子どもと一緒に遊ぶ常駐の
プレーリーダーがおりまして、
世話人会という約30名ほどの大人が、行政や町内会、学校など、たくさんの人たちとコミュニケーションを図り、
プレーパークを支えています。子どもの見守りや声かけ、ボランティアの募集、イベントの企画や苦情への対応など、一日たりとも現場が途切れることなく30年以上続いていることに、
地域住民が
プレーパークの場を通してつながっていく強さ、豊かさ、思いの深さを感じると世話人の方はおっしゃっていました。
そこで、質問です。
今回、新たな
取り組みとして
プレーパークを進めていくに当たって、
プレーパークに対する理解を深めたり、担い手を発掘、育成するという話が先ほどありましたが、この肉づけ予算の中ではどのような
取り組みを行うのか、伺います。
また、子どもが主役の事業でありますことから、進め方においても子どもの意見を聞き、反映させていくべきと思いますが、どのようにお考えか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 本事業でどのような
取り組みを行うのかということについてでございますが、市内各地に
取り組みを広げることが子どもにとって身近な地域で多様な体験機会を確保することになりますことから、広く市民に対して活動内容などをご理解いただく必要があると考えております。そのため、
プレーパークについて、理解を深めていただくための講演会や公園を会場とした
モデル事業に実際に参加いただくなど、
普及啓発を進めてまいりたいと考えております。
次に、参加する子どもの意見を聞くことについてでございますが、これは大変重要な視点でございますので、その趣旨を事業を行う実施団体に対しまして周知し、活動に子どもの意見を反映させることの大切さを知らしめるとともに、札幌市といたしましても、機会をとらえて子どもの意見を聞き、本事業が子どもにとって最善の内容となるよう努めてまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 活動しながら子どもの意見を聞いていくということを伺いましたので、しっかりそのように進めていただきたいと思います。
羽根木プレーパークは、小学生や幼児の我が子の遊ぶ様子が自分の遊んでいたころと随分違うと感じた1組の夫婦が、ヨーロッパで視察した
冒険遊び場を参考に、
地域住民とともに
手づくり遊び場をつくったことがきっかけとなったというふうに聞いています。その遊び場が、1979年、世田谷区の
国際児童年記念事業の一つとして
羽根木公園の一角に開設され、その翌年に世田谷区が
プレーパーク事業を
児童健全育成事業として位置づけ、日本で初めて常設の
プレーパークとなったというふうに聞いています。
そこで、質問です。
今回は最初の
取り組みであり、
プレーパークづくりに向けたスタートであるというふうに思いますが、子どもがいつでも参加できるという観点から、今後、常設の
プレーパークづくりを進めていくべきと考えますけれども、今回の
取り組みをどのように生かしていくおつもりか。また、今後の
取り組みについて伺います。
◎金田
子ども育成部長 常設の
プレーパークと今後の
取り組みについてでございます。
今後、
プレーパーク推進事業を実施していく中で、事業の成果についての評価を行い、それに基づいて札幌市における
プレーパークのあり方を確立させ、さらに発展させていきたいと考えております。委員がご提案の常設の
プレーパークにつきましても、事業の成果を検証していく過程で、他都市における事例との比較検討、評価を行うなどして研究してまいりたいと考えております。
◆
石川佐和子 委員 最後に、要望になります。
2009年に札幌市の
子ども権利条例が制定され、子どもの意見表明や参加する権利など、子どもの最善の利益を実現するため、子どもの視点に立った
まちづくりなどを目指し、子どもの権利に関する
推進計画がまとめられたと聞いています。その中の一つの
取り組みとして提案された
プレーパークでは、子どものやってみたいという気持ちに寄り添い、子どもが外遊びを通して自分の限界に挑戦し、自分の世界を広げていこうとする行動を、たくさんの
大人たちが見守り、応援することが重要です。ただいまの答弁で、事業の評価を行い、それを今後の
プレーパークのあり方の確立に向けて提案していくということですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
羽根木プレーパークの中には、区の予算で、仮称ではありますが、乳幼児の親子と多世代の交流ハウスという建物が4月にオープンしていました。子育て中のお母さんが、上の子どもを
プレーパークで遊ばせながら、赤ちゃんのおむつ交換や授乳などを行ったり、一休みできる小さな家です。
プレーパークが乳幼児親子の外遊びを支援する
取り組みとしても役割を拡大させており、本当にすばらしいことだと感じました。
子どもたちの豊かな外遊びが保障され、子どもの権利条例が反映された
まちづくりをさらに進めるため、札幌市としての
プレーパークの第一歩となる今回の事業を通し、
プレーパークに対する市民の理解や担い手の発掘、育成をさまざまな手段を用いて丁寧に進めていくことを強く要望して、私の質問を終わります。
◆阿部ひであき 委員 私からは、子育てサロンについて質問させていただきます。
我が会派のよこやま峰子議員が、平成19年6月の
議案審査特別委員会の中で、子育てサロンについて、地域において親子の交流の場が身近に用意され、子育て家庭の孤立化や子育て不安の解消を図るものと評価しております。その後も子育てサロンの環境が整えられてきたのではないのかなと思います。
私も、以前、青少年育成委員をやっておりましたので、何度か、福祉のまち実行委員会を通して子育てサロンの運営にかかわった経験があります。そうした経験を踏まえて、まず、子育てサロンの
取り組みについてお聞きしたいと思います。
現在、札幌市直営の常設が11カ所あり、そのうち、子育て支援センター、あるいはちあふるの7会場では、ほぼ毎日、子育てサロンが開催されていると思います。一方、地域主体の子育てサロンでは月1回ぐらい開催されておりますけれども、直営の子育てサロンと地域主体の子育てサロンでは活動内容に明らかな乖離があるのではないかというふうに感じています。また、こうした実態を踏まえますと、直営の子育てサロンの活動内容は、無料の親子保育園のような体をなしているようにも思えてしまいます。常設サロンの
取り組みを行うことと並行して、従来からの事業
取り組みに関して、しっかりと事業の目的といいますか、原点に返ることが必要であるというふうに私は思います。
そこで、質問でありますが、こうした乖離は、子育て支援サービスの利用のしやすさという点において不均衡を生じているというふうに感じておりますけれども、これについてどのように考えておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
◎堂前
子育て支援部長 子育て支援サービスについて、不均衡ではないかというご質問でございます。
まず、札幌市直営の子育てサロンにつきましては、全市、または各区における子育て支援の拠点として、全市民や区民全体を対象に、子育て中の親子が気軽に集い、相互に交流を図る場としてのサロン機能のほかに、保育士や栄養士などの専門職の配置によりまして、育児相談や栄養指導、講座の開催等、子育て全般に関する専門的な支援を行う施設として整備を進めているところでございます。一方で、児童会館の子育てサロンや、お話にありました地域主体の子育てサロンは、地域での子育て環境の整備の一環として、子育て中の親子が気軽に集い、相互に交流を図る場として、全小学校区での設置を目指して事業を進めているところでございます。両者は、設置の目的や対象区域、果たすべき機能が異なることから、提供する子育て支援のサービス内容によっても違いがあるものと認識しております。
このため、今年度から、週3回開催し、相談機能なども付加した新たな常設の子育てサロンを全中学校区に整備することとしております。これによりまして、子育てサロンの本来の目的でもございます子育て家庭の孤立化や子育て不安の解消を図りたいということで、それによりまして子育てサロンの効果がより高まるものと考えているところでございます。
◆阿部ひであき 委員 ただいまのお話にもありましたが、本来ある子育てサロンの
取り組みの目的といったもの、その原点は非常に大切ではないかと思います。そうした子育て家庭の孤立化や子育て不安の解消を図るという原点は決して忘れていただきたくないし、また、子育てサロンの活動回数及び活動内容が直営のサロンと地域の支援サロンと余り乖離しないように、公平に近づける対策をしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。さらに、今後の展開をしっかりと見据えながら、中央集約ではなく、地域分散型の子育てサロンのあり方も視野に入れて、地域の活性化の一助として役割を見失わないでいただきたいというふうに思っております。
さて、今回の常設サロンの整備に当たってはNPO法人という名前がたくさん出てきているようであります。NPOなども活用するということでありますが、今回、常設サロンとして整備する20カ所について、運営者の選定基準並びに選考方法について具体的にお聞かせいただきたいと思います。
◎堂前
子育て支援部長 今回、整備いたします常設の子育てサロン運営者の選定についてでありますが、整備予定の20カ所の常設サロンのうち5カ所については、長年にわたりNPOを含む地域の団体が運営しております子育てサロンの中から、地域における活動の状況や運営内容等を検証した上で、週3回以上、1日5時間の開催、活動拠点の確保となり得るもの、相談対応、講座の開催等、拠点としての事業の実施が可能な団体を選定し、常設サロンの
モデル事業として整備したいと考えております。残りの15カ所につきましては、週1回実施しております児童会館の中から、ただいま申し上げました
モデル事業と同様の事業が実施可能な施設を選定し、こちらについては、週3回、1日3時間開催の子育てサロンに拡大して常設化を行いたいと考えております。
◆阿部ひであき 委員 先ほど、地域の主体性を重んじていただきたいという話をさせていただいているところでございます。NPO法人ばかりに偏ってしまっては、今まで協力していただいた地域の団体やボランティアの活動が薄くなってしまうような気がしてしまうところであります。そうしたところでは、NPOなどの募集の選定においてもしっかりと開かれた形で指定基準や選択方法をしっかりと明示していかなければならないのではないのかなと感じております。本当に決まったところばかりが来るようでは大変なことになりますので、そうしたところでは、広く宣伝して、こういう活動をしていて、こういうところで参加してもらえるような法人あるいは地域の団体はありませんかとはっきりと出すべきだと私は思います。どうか、その辺の
取り組みをはっきりと明示していただきたいと思います。
最後に、子育てサロンにおける宣伝等の
取り組みについてであります。
子育てサロンに参加している親子の多くは、お母さん同士の横のつながりがなかなか広がらないということを感じているところであります。また、参加したいと思う反面、人間関係を敬遠して、参加しづらいと考えている親子も実はたくさんいるということであります。また、サロンデビューという言葉もあるように、初めてサロンに行くときに、参加したいと思ってはいるのだけれども、なかなか不安があるということも聞いております。これは、子育てサロンの利用を促すような、市民に活用されやすいような子育てサロンの宣伝等の
取り組みが不十分ではないのかというふうに感じており、それが一因ではないかというふうに思っております。
また、実は、私の身近にも父子家庭があるのですけれども、お父さんは非常に行きにくい、周りはお母さんばかりで参加しづらいといった声があるのも事実であります。それは、父子家庭ばかりに限らず、お父さんが参加しやすいような体系もあっていいのではないかということも感じているところであります。
そこで、質問でありますが、子育てサロン利用者のリピーターと新規で来られる利用者の利用状況について、まず1点目にお聞かせいただきたいと思います。
2点目につきましては、子育てサロンへの参加を促すための宣伝あるいは広報はどのように行っているのか、さらに、今後どのように宣伝や広報を展開するお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
最後に、
取り組みとして、お父さんと子どもの関係ですね。父子家庭、父親と子どもの参加啓発の可能性についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
◎堂前
子育て支援部長 3点のご質問がございましたので、順次、お答えさせていただきます。
まず、1点目の子育てサロンの利用者の利用状況についてでございます。
統計データがございます直営サロンで申し上げますと、平成22年度の平均では、新規利用者が約13%、継続利用者が約87%となっております。
2点目の子育てサロンへの参加を促すための宣伝、広報についてでございます。
これまでも、出産前の母親教室に始まりまして、母子保健訪問指導員の新生児訪問の際や、4カ月、10カ月、1歳半、3歳の各健康診査の際に子育てサロンに関するチラシを繰り返しお渡ししております。また、小児科や
まちづくりセンターにもチラシを置かせていただき、周知に努めているところでございます。今後も、相手にわかりやすく、きめ細かい宣伝や広報活動を進めてまいりたいと考えております。
3点目の父子家庭に対する参加啓発についてでございます。
参考までに、子育て支援総合センターにおける平成22年度の土曜日・日曜日・祝日の父親の利用率を申し上げますと、平均で約28%でございます。また、平日に仕事が休みの方や育児休業をとっている父親が定期的に利用する姿も見受けられます。
今後、さらに父親の参加のきっかけをつくるためにも、これは既に子育て支援総合センターで実施しております事業でございますが、お父さんと遊ぼうなどの父親向けの講座などを充実させまして、あわせて、ホームページ上でも父親の目にとまるように啓発方法を工夫してまいりたい、そのように考えております。
◆阿部ひであき 委員 常設の子育てサロンの整備をこれから進めていくのでしょうけれども、そのことばかりに偏らないで、本来ある子育てサロンの事業目的をしっかりと踏まえながら、親子が気軽に利用しやすい工夫を常に検討していただきたいなと思います。ただいまのお話では、新規で13%、継続で87%ということで継続率が非常に高いということでございますけれども、月1回程度である地域主体のサロンは、宣伝をしっかりしないとそれが十分に伝わらないし、また、活動をしているのかどうかもなかなかわかりづらいという点もあるわけです。今の活動の中では、
まちづくりセンター等を通しての宣伝と言っていましたが、もっと広く、例えば、商店を利用させていただくとか、お店にポスターを張らせていただくなど、いろいろな方法がまだあるかと思います。そういう可能性を含めて
取り組みを広げていただきたいと思いますし、親子という中では、父親と子どもの関係も深まるような活動の場にもしていただきたいということもお願いするところであります。
NPOに偏らず、地域の方々との連携をしっかりと図り、そして、地域に根差した整備を進めていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
◆村上ゆうこ 委員 私からは、地域主体の子育てサロン、保育ママ事業、
保育所整備について質問させていただきます。
さきの代表質問で、我が会派の畑瀬議員が常設サロンの整備について札幌市のお考えをお聞きいたしましたけれども、私からは、地域主体の子育てサロンについてです。
現在、札幌市内には子育て支援総合センターを初めとする札幌市直営の常設子育てサロンが11カ所、児童会館で行われている子育てサロンが99カ所、そして、地域主体の子育てサロンが179カ所、合計289カ所で子育てサロンが行われております。この中で、地域主体の子育てサロンは、地域の中におられる子育てのお役に立ちたいと思うさまざまな方たちが中心となって運営され、地域での子育て支援の経験、実績を積んでいらっしゃいます。そして、地域主体の子育てサロンの運営に当たっては、やりがい、充実感などを持って日々行っていると思いますが、運営面では大変ご苦労をされているとのお話も伺っております。
このたび、札幌市では、昨年12月からことし2月にかけて、子育てサロンの利用者や地域主体の子育てサロンの運営者を対象に
アンケート調査を行ったと聞いております。
そこで、質問させていただきます。
子育てサロンを利用している方たちは、どんなことを期待し、望んでおられるのか、また、運営者の方々はどんなことにご苦労されているのか、
アンケートの結果からうかがえる特徴的な部分についてお尋ねいたします。
◎堂前
子育て支援部長 アンケート調査の結果についてでございます。
まず、利用者からの要望といたしましては、同じ子育てサロンを週3回利用したい、新しい遊びを教えてほしい、駐車場を確保してほしいなどが上げられております。また、運営者側が苦慮していることにつきましては、利用者からの開催回数をふやしてほしいとの要望にこたえられない、スタッフがいない、運営費の確保が大変、場所が狭いなどが上げられております。また、運営者からの行政への要望といたしましては、職員の派遣や支援の拡大などを望んでおられます。
なお、その他の特徴的な項目についてでありますが、子育てサロンに参加することで、親同士の情報交換ができる、リフレッシュできる、子育てにかかわる悩みや不安が軽減されるなどの声が寄せられておりまして、子育て家庭の孤立化や子育て不安の解消を図るという子育てサロンの本来の目的、効果がうかがえる結果となっております。
◆村上ゆうこ 委員 別な質問でございますけれども、市長が重点政策として掲げられました日本一の子育てしやすいまち、これを目指しておりますが、常設サロンを市内の中学校区98カ所すべてに設置していくということもとても重要な施策と考えます。しかし、地域主体の子育てサロンのこれまでの実績も踏まえ、地域に根差し、地域に密着した地域主体の子育てサロンへの支援を今後も充実させて、きめ細かな子育て環境を整備していくこともあわせて必要だと考えます。
そこで、質問ですが、今回の補正予算に地域の子育てサロンへの運営支援の拡大が計上されておりますけれども、地域主体の子育てサロンについて、札幌市としては今後どのような支援をお考えなのか、お聞かせ願います。
◎堂前
子育て支援部長 地域主体の子育てサロンへの今後の支援についてであります。
これまでの運営支援では、年間15回以上の開催で年間1万円の補助を行っておりましたが、今年度当初予算で、補助の要件を年間12回以上の開催へと緩和しております。さらに、今回の補正予算においては、サロンをより多く開催していただけるよう、月2回以上開催で年間3万円、週1回以上で年間5万円の補助を行うための経費を計上させていただいたところでございます。
地域主体の子育てサロンの役割は、その場における支援だけにとどまらず、その後の地域での近所づき合いの中での見守りや声かけなども子育て家庭への支援につながるものでありまして、札幌市の子育て支援施策においても大変重要な役割を果たしていると考えております。今後は、課題の一つであります地域主体の子育てサロンの担い手の確保に向けたボランティアの育成をさらに進めるとともに、ボランティアを希望している方々に対しても必要な情報を提供できるよう、ホームページやパンフレットなどの充実を図ってまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 今回の
アンケート調査の結果を踏まえるなど、札幌市が速やかに今回の補正予算で地域主体の子育てサロンへの運営支援の拡大、充実を図っていくことに対して、高く評価したいと思います。
地域主体の子育てサロンは、現在、179カ所で実施され、このうち、開設から5年以上運営されている子育てサロンが約7割あると聞いております。しっかりと地域に根づきながら、地域の特性に沿った運営もなされております。一番身近な子育てサロンとして、単に開催回数だけでは推しはかることができない重要な役割も担っておりますことから、今後も札幌市として地域主体の子育てサロンへの支援を充実していただくことを強く要望して、子育てサロンへの質問を終わります。
次に、家庭的保育事業、保育ママについて質問いたします。
札幌市の保育ママ事業は、ことしの2月から保育ママが6人でスタートいたしましたが、当初のころは、預かる乳幼児が定員に満たない保育ママもおられたと聞いております。しかし、この制度がだんだん市民の間に浸透するにつれまして、希望者も徐々にふえてきて、現在ではどの保育ママもほとんど定員いっぱいの
子どもたちを保育しているとのことで、また、保護者からの評価も上々と聞いております。このように、新たな事業が順調に船出したことは本当に喜ばしく思います。
ところで、この事業がスタートした際には、保育ママと補助者が保育に当たるという説明を受けましたけれども、このたびの補正予算案には、代替保育ママという新たな言葉が出てきております。この代替保育ママとはどのような役割を果たすのか、お聞きいたします。
また、この代替保育ママを導入することで、これまでとの違いもあわせてお聞きいたします。
◎堂前
子育て支援部長 代替保育ママの役割についてご質問がございました。
代替保育ママは、保育士資格を有する者の中から、保育ママが選考し、基礎研修を受講した上で札幌市が認定いたします。保育ママとの雇用契約に基づきまして、保育ママとともに家庭的保育を行う点で補助者と同じ役割を果たしますが、保育ママが何らかの事情で保育に当たれない場合はそのかわりを務めることができるとしております。
そういうことで、これまでは、保育ママが保育に当たれない場合には保育ママを支援する連携保育所において代替保育を行うこととしておりました。このため、保護者は、代替保育を利用する場合、その連携保育所に連れていかなければなりませんが、代替保育ママを導入して雇用することによって、代替保育ママは保育士資格を有しておりますので、保育ママにかわっていつもの場所で補助者とともに通常どおりそのまま保育を行うことができるといった役割ないしは違いがございます。
◆村上ゆうこ 委員 次に、これもまた新しい事業ですが、グループ型小規模保育事業についてお伺いいたします。
札幌市のこれまでの制度は、保育ママが住んでおられる家を利用して保育を行う居宅型です。今回の補正予算案では、8組は居宅型ですけれども、保育ママの居宅ではなく、賃貸物件を活用したグループ型が2組盛り込まれております。
そこで、このグループ型とはどのような制度なのか、また、グループ型を導入することで居宅型とは何が変わるのか、お聞きいたします。
◎堂前
子育て支援部長 グループ型の制度内容は、同一の建物において2人の保育ママが協力しながら家庭的保育を行うものでございます。各保育ママにそれぞれ代替保育ママ、または補助者がつき、合わせて4名の保育者が最大で10名の乳幼児を保育することになります。
次に、居宅型との違いについてですが、複数の保育ママと代替保育ママ等がローテーションを組むことによりまして、それぞれの勤務時間をずらすことによって延長保育を実施することができるようになります。さらに、交通アクセスのよい賃貸物件を活用することも可能となり、今まで以上に利用しやすい制度にしたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 保育ママと保育士資格についてお聞きいたします。
国のガイドラインでは、一定の研修を受講し、さらに市町村の認定を受けた方であればだれでも保育ママになれるとなっております。保育士の資格の有無は問わないと聞いております。意欲のある方であればだれでも保育ママになれるのがこの制度の理想とするところであると思います。しかし、札幌市では、現在のところ、保育ママの要件として保育士の資格を求めており、さらに、今回導入されます代替保育ママも同じく資格を求めております。
そこで、質問ですが、札幌市としては、将来的にも保育ママや代替保育ママになる方に保育士の資格を求めていく考えなのか、資格を持たない方でも保育ママになれるような制度とするお考えはないのか、お聞きいたします。
◎堂前
子育て支援部長 保育ママと保育士資格についてでございます。
現在、札幌市では、保育ママの要件として保育士資格の保有を求めておりまして、また、今回、新たに認定する代替保育ママについても保育士資格を求めることとしております。一方で、委員お話しのとおり、国のガイドラインでは一定の研修を受講することによって、保育士資格を持たない方が保育ママになることも可能としておりますことから、この制度はことしの2月から始めておりますが、この制度を利用する保護者の信頼感をしっかりと確保できた段階で門戸を広げることも検討してまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 それでは、最後の質問ですが、保育ママ事業の今後の展開についてお伺いいたします。
市長マニフェストのうえだの約束におきまして、2014年度までに保育ママを現在の6人から40人に拡大するとしております。今回の補正予算案でも保育ママの10組増が提案されておりますが、その内訳は8組が居宅型、2組がグループ型となっています。居宅型は、地域の一員でもあります保育ママが自宅を活用して保育を行うことから、地域の方に支えていただく環境を醸成しやすいという利点がございます。一方で、グループ型は、先ほどの答弁によれば、延長保育の実施や交通アクセスなどの点で保護者の利便性が高まるとのことであり、それぞれにすぐれた面を持っていると思います。
今後の保育ママ事業の展開に際しまして、この居宅型とグループ型をどのように組み合わせていくのか、お伺いいたします。
◎堂前
子育て支援部長 今後の保育ママ事業の展開についてでございます。
委員お話しのとおり、居宅型とグループ型はともにすぐれた面を持ってございます。まずは、新たな
取り組みとなるグループ型を年度内の早い時点で開始し、利用者や保護者の意見も聞きながら課題等を整理し、その上で今後の事業展開について検討してまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 保育ママ事業が地域に根づくことで地域全体で子どもをはぐくんでいく地域力、市民力が高まっていくと思いますので、さらに保育ママ事業の拡大と充実を図ることを要望して、保育ママの質問については終わらせていただきます。
最後になりますが、
保育所整備について質問いたします。
現在は、多くの女性が就業しており、女性の就業、社会参加が当然と言える時代にもなってきております。このような時代状況を踏まえますと、市民の方々、女性にとっても、男性にとっても仕事を続けながら安心して子どもを産み、そして健やかに育てていきたいということが切実な願いとなっているものと思います。こうした切実な願い、切実な思いを実現させていくために、お父さんもお母さんも安心して働くことができる環境をつくることが非常に大切なことになります。市民の方々の働きやすい環境づくりのため、保育所の整備は欠かすことができない重要な課題であります。
ここで、保育所の定員について見てみますと、札幌市が1972年に
政令指定都市に移行してから39年が経過しておりますが、2011年度当初予算におきましてはこの39年間の中で最も多い1,300人の定員増を図るなど、札幌市が積極的に
保育所整備を進めていることについて、我が会派も十分に認識しているところであります。
そこで、こうした状況を踏まえた上で質問いたします。
2011年度当初予算で定員増を図ることとした1,300人のうち、保育所の新築930人分とこのたびの補正予算で計上しました保育所の新築60人分を含めた現時点での
子ども未来プラン後期計画に基づく
認可保育所等整備事業の進捗状況について、どのようになっているのか、お尋ねします。
◎堂前
子育て支援部長 保育所新築の今年度の進捗状況でございます。
当初予算で計上いたしました保育所の新築による定員増930人分のうち、9カ所、690人分につきましては、現在、着実に整備が進められているところでございます。区別に申し上げますと、北区で4カ所、白石区で2カ所、中央区、清田区、西区がそれぞれ1カ所となっております。未定となっておりました240人分の保育所新築につきましては、既に追加での整備希望者の募集を終えており、その結果、予定を上回る計4カ所、300人分の整備希望がございました。
当初予算を上回ることとなった1カ所60人分の整備費に係る補助につきましては、一人でも多くの児童を受け入れることができるよう、今議会において補正予算を提案したものでございます。
今後、札幌市社会福祉施設等整備審査会に諮るなどの審査を行い、承認したものについては、いずれも来年の4月1日の開設を目指して速やかに整備を進めることとしております。
◆村上ゆうこ 委員 ただいまのご説明で、札幌市は着実に
保育所整備を進めており、2010年度の実績としては1,058人の定員増が行われており、また2011年度予算案の中で1,360人の定員増となっているとのことです。
これは、さっぽろ
子ども未来プラン後期計画の5年間で3,500人という定員増に関する目標について、最初の2年間で約7割近くを達成することになりますので、これについては札幌市が積極的に
保育所整備を進めているものと評価いたします。
しかしながら、
待機児童数について見てみますと、昨年の4月1日に1,290人であったものがことしの4月1日には1,339人となっており、1年間で49人増加しております。また、市長のマニフェストにおいても、4年間で保育所定員を4,000人拡大するとしていることからも、今後も積極的に
保育所整備を進めていくべきものと考えます。
その一方で、保育所の整備に当たり、民間事業者を募って毎年1,000人規模で保育所定員を整備していくことは大変なことであります。特に、保育所用地については、用地を確保することが難しい地域もあるとお聞きしておりますが、そのような地域では、例えば使用していない札幌市の市有地を活用するなどの方策も必要なのではないかと考えるところであります。
そこで、質問でございます。
これらの状況を踏まえた上で、保育所新築のための用地の確保を含めまして、今後どのような手法により保育所の整備を行っていくつもりであるのか、お聞きいたします。
◎堂前
子育て支援部長 保育所の整備手法についてであります。
保育所の整備希望者の募集に当たりまして、保育需要が高い地域に未利用となっている市有地がある場合には、これを積極的に活用して整備を進めていきたいと考えております。このほか、保育所の増改築や、今議会において補正予算を提案させていただいている賃借料
補助制度を活用した分園整備など、多様な手段により整備を進めてまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 もう1点、質問がありまして、安心こども基金の件をお聞きするのを忘れましたので、再度、質問させていただきます。
先ほどの伊藤(理)委員への答弁においても、
保育所整備については今後も積極的に進めていくということでありましたけれども、国の
助成制度であります安心こども基金による保育所の整備事業等については、助成の実施期限が延長されました。2011年度中に工事に着手し、2012年度中に工事の完了等が見込まれるものについても助成対象とされたと聞いておりますので、
保育所整備に当たってはこれをぜひ活用すべきと考えますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか、お聞きいたします。
◎堂前
子育て支援部長 国の
補助制度の活用についてでございます。
委員からお話のありました、平成23年度着工、24年度中に竣工するものについては安心こども基金の対象とするということでございます。安心こども基金は、自治体及び事業者の負担が小さいことから、これにつきましては積極的に活用してまいりたいと考えております。
◆村上ゆうこ 委員 ぜひ、市有地を活用した
保育所整備についても積極的に進めていっていただきたいと思います。
また、延長されたこのたびの安心こども基金の積極的な活用を図るなどしていただき、できるだけ早い時期にさっぽろ
子ども未来プラン後期計画の目標を達成していただくとともに、現在、策定している第3次新
まちづくり計画においても、札幌市として
待機児童対策にしっかりと積極的に取り組む姿勢をお示しいただくことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆よこやま峰子 委員 私は、児童相談所運営管理費について、端的にお聞きいたします。
補正予算の概要を見ますと、児童相談体制強化プラン推進事業費に計上された予算990万円のうち、700万円余りが子どもホットライン設置のためとなっております。この3月に策定された札幌市児童相談体制強化プランなどによりますと、このホットラインは、虐待などの相談に対して24時間365日対応可能な体制を整備するとのことであります。
そこで、質問ですが、これまでの児童相談所での夜間・休日の電話での相談体制はどうであったのか、今までの現況とこれまでの相談件数についてもお伺いいたします。
◎難波 児童福祉総合センター所長 今までの状況と相談件数につきましてお答えいたします。
現在、正規の勤務時間以外となる夜間帯では、超過勤務中の職員または一時保護所の職員が対応し、土・日など休日の日中の時間帯につきましては、児童虐待対応相談員として非常勤職員を配置し、電話対応等により相談を行っております。
また、昨年度の相談件数で申し上げますと、主に22時以降の深夜帯に一時保護所の職員が対応した件数でございますが、445件、休日の日中時間帯では932件となっております。
◆よこやま峰子 委員 ご答弁によりますと、今までも夜間・休日を問わず一定量のかなり多くの電話相談があることがわかりました。札幌市内には子どもアシストセンターや児童家庭支援センターなど幾つかの相談機関がございますが、やはり、市民は、虐待や要保護などの緊急ケース、あるいは育児に対する相談などでも、まず児童相談所が真っ先に頭に浮かぶのではないかと思いますので、虐待の未然防止や早期発見のために大いに役立つものと期待しているところであります。
そこで、質問ですが、今回、このホットラインを設置するに当たり、その体制についてどのような点で充実を図っていくご予定なのか、お聞きいたします。
◎難波 児童福祉総合センター所長 ホットラインの体制と充実強化の点でございます。
現在の体制でございますが、主に虐待通報に重点を置いたものでございまして、特に、夜間の一時保護所での対応につきましては、本来業務である一時保護児童への対応を行いながらのものとなっております。このため、長時間に及ぶことが少なくない育児困難の相談などでは十分な対応ができないことや、その間の入所児童への対応が手薄となってしまうといった課題がございました。
このため、ホットラインの体制は、非常勤職員を5名採用し、勤務時間外となる夜間帯と休日の日中時間帯とを合わせての交代勤務を予定しております。専門職員の配置により、緊急性を要する事案への対応はもとよりとしまして、育児困難等を訴える相談に丁寧に対応できるよう体制を充実させることを目的として、このたびホットラインを設置するものでございます。
◆よこやま峰子 委員 ただいまのご答弁からもその重要性がうかがえるところでございますが、相談の内容は、虐待を初め、子育てに関すること全般と多岐にわたり、恐らく緊急を要するものや専門的な知識が求められることも多いことかと思います。したがいまして、電話という顔の見えない相談にいち早く的確に対応できる人材が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、相談に対応する職員はどのような方を予定しておられるのか、また、その職員の研修はどのようにしていくおつもりか、お聞きいたします。
◎難波 児童福祉総合センター所長 相談員につきましては、児童福祉経験者、社会福祉士などの福祉知識をお持ちの方、児童養護施設などの勤務経験者、さらには、教員OBなどを想定しております。電話相談マニュアルの整備を行い、採用後は、関係機関との連携手法、あるいは相談対応の研修を随時実施しながら資質の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆よこやま峰子 委員 ご答弁からも、このホットラインは、今後、大いに、子どものみならず、育児に悩む保護者の方の力強い味方になることと思いますが、せっかく体制強化の一環としてこのようなホットラインを設置いたしましても、それが利用を望む人々に広く知られなければ意味がないと思います。
そこで、市民への周知をどのように行っていくおつもりか、お聞かせください。
◎難波 児童福祉総合センター所長 市民への周知についてでございます。
この4月、各区に家庭児童相談室を設置いたしました。このこととあわせて、児童虐待のみならず、育児困難な場合の相談先としてのホットラインの設置につきまして、広報さっぽろへの掲載、さらにはポスターやチラシなどを作成し、公的機関や町内会などのご協力も得ながら、広く市民の皆様にとってわかりやすい周知を図ってまいりたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 このたびの児童相談所における24時間体制での電話相談は、悩みを抱える多くの保護者あるいは子どもにとって、大変喜ばしく意義深いものと考えます。今まで、夜間の電話対応は職員が当たっていたとのことですので、専任の相談員が対応することになれば、時間的なゆとりと専門的な知識により素早い対応が期待できます。また、このホットラインでは、市民からの虐待通報のみならず、育児で悩む保護者にとっても朗報であると思います。このホットラインにより救われる事例も非常に多くなることと期待いたしますので、しっかりとしたPRと適切かつ丁寧な対応を強く要望して、私の質問を終わります。
◆林家とんでん平 委員 私からは、スタディメイト派遣事業についてお伺いしたいと思います。
スタディメイト派遣事業は、児童養護施設に入所しております児童に対して学習等の支援を行うボランティアを派遣するものと伺っております。今、札幌市内には5カ所の養護施設がありますけれども、養護施設へ入所している
子どもたちは、さまざまな事情によってここで生活をしているわけでございます。例えば、虐待など保護者に子どもを養育させることが適当でないと判断される場合や、保護者の就労や病気などにより、保護者が養育できない事情に陥った場合など、こういう子どもがこの施設に入所しております。これらの子どもが安心して生活できる環境を整えながら、温かく見守るとともに、生活面ばかりではなく、学習面においても援助を行っておりますけれども、施設入所前の生活環境の影響から、勉強面の大きなおくれや勉強する習慣そのものが身についていないこともあって、学習面についてはより丁寧な支援を要する子どもが少なくないと伺っております。
そこで、2点質問させていただきます。
まず、1点目は、札幌市内の児童養護施設に入所している子どもの数、また、その中でスタディメイト派遣事業の対象となり得る子どもはどのぐらいいるのか。
2点目は、養護施設入所児童の学習支援について、施設側ではどのように取り組んでいるのか、この2点をあわせて伺いたいと思います。
◎難波 児童福祉総合センター所長 ただいま質問にございました1点目の児童養護施設に入所している子どもの数とスタディメイト派遣事業の対象者数でございます。
平成23年6月1日現在、市内5カ所の児童養護施設に入所している子どもは、合計で326名でございます。このうち、スタディメイト派遣事業対象者となる子どもは、小学生が138名、中学生が66名、高校生が44名、合計で248名となってございます。
次に、2点目の施設における子どもの学習への支援についてでございます。
現在、児童養護施設におきましては、施設職員が宿題を中心とした基礎学力向上のための指導を行っております。しかしながら、個々の子どもの状況や課題にきめ細やかに対応できない状況もありますことから、施設によりましては定期的に外部から学習の講師やボランティアを招いて学習指導などの
取り組みを独自に行っているところもございます。
◆林家とんでん平 委員 札幌市が施設入所中の児童に対して学習支援を行うことは大変重要なことであると考えておりますけれども、その方法が施設や
子どもたちにとってよりいいものでなければならない、これは当然のことであります。施設に入所している学齢期の子どもにとって、勉学に励むことは、施設退所以降に社会的に自立を目指す際に非常に有益であると確信しているところです。
その一方で、例えば、施設入所中の児童への支援は、ただ勉強と言うと変な言い方かもしれませんが、私は、ただ勉強を教えていればいいというだけではないと思うわけですね。やはり、将来は社会に出ていくわけでございますから、必要とされてくる知識や教養、そして、人間性の成長に対する支援といったものも学習支援と同じくらい重要だと思うわけです。このスタディメイト派遣事業を進めるに当たっては、ぜひともこのことを踏まえて、より効果のある
取り組みや体制をとるべきだと思っております。
そこで、質問でございます。
この派遣事業について具体的にお尋ねしたいと思っておりますが、まず1点目は、どのような視点でこの事業を進めていくのかについて伺います。
2点目は、その人選方法について、どのような基準や選考方法をお考えか、また、各児童養護施設への派遣方法について、あわせてお示しいただきたいと思います。
◎難波 児童福祉総合センター所長 1点目のスタディメイト派遣事業を進めていく上での視点でございます。
まず、児童養護施設に入所しております小・中・高校生を対象に、子どもの学習のおくれを防ぐことや学習への習慣づけなどの学業対策を図るとともに、児童養護施設に入所している
子どもたちはこれまで育ってきた家庭環境にさまざまな事情を抱えておりますことから、今、委員からご指摘ございましたように、学習面のみならず、社会的自立に向けた視点でも支援を進めていくように考えているところでございます。
次に、2点目のスタディメイトの人選方法等についてでございます。
まず、人選方法でございますが、福祉に関心を持つ市内の大学生あるいは専門学校生以外にも、先ほど言った観点から、地域で活躍されている方々などからも幅広くボランティアを募りたいと考えております。
なお、登録、派遣される学習支援ボランティアにつきましては、子どもへの熱意、あるいはさまざまな社会経験が非常に重要であると考えております。このため、人選に当たりましては、これらを十分に配慮するとともに、実際の派遣に当たりましては、児童養護施設の希望、あるいは派遣状況等を考慮して派遣を進めてまいりたいと考えております。
◆林家とんでん平 委員 本当はもう少し具体的なお話をいただければと思っていましたが、いずれにしましても、子どもの能力を引き出し、将来、社会に旅立っていく
子どもたちのためにこの制度は大変有効であると確信しております。
今の派遣事業については、学生ばかりではなく、地域で活躍されている方々からも幅広く募集するという答弁でありました。その意味で、人生経験が豊富で、かつ、魅力ある大人の方がボランティアとして学習支援を行う機会を子どもに与えることは、単に学習面だけではなく、物事に対する
取り組み姿勢や困難な事例への対応方法など、
子どもたちとの触れ合いの中でその人生経験で学んだことを伝えることにつながり、
子どもたちの成長に大きくプラスになると思うわけであります。まさに経験豊富な大人の方についてもスタディメイトとして登録、派遣するとのご回答でありましたので、ぜひ、学生ばかりではなく、経験豊かな大人の方がボランティアとして活躍できるようにこの制度を運用していかれますよう強く要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆こじまゆみ 委員 私からは、
プレーパーク推進事業について伺わせていただきたいと思います。先ほど同じような内容がございましたので、重複しないように端的に伺わせていただきます。
プレーパークは、ブランコや鉄棒などの遊具があったり、今、
ボール遊びやたき火が禁止されている普通の公園ではなく、規制のない自由な子どもの遊び場、冒険できる遊び場として、地域や行政が連携し、
子どもたちの遊び場が運営されていると伺っております。安全を最優先してしまいますと遊びの魅力が減少してしまいますが、未経験の新たなことにチャレンジしたり、冒険したり、遊びの可能性が豊かで、子どもの想像力や身体の運動能力を十分に引き出し、子どもがやりたいことをできるように環境が整えられています。また、自然や動物との触れ合いの機会も用意されている自然公園のようなところもあると伺っておりますし、回数や地域の特性により
プレーパークのスタイルもさまざまだと伺っております。
先ほど
プレーパークに関する質疑がありましたけれども、改めて、この事業を札幌で行う効果をどのように考えているのか、伺わせていただきます。
◎金田
子ども育成部長 プレーパーク推進事業の効果についてでございます。
本事業においては、委員のご質問にもございましたが、規制をできるだけ排除した自由な遊びの中で、
子どもたちの自主性や創造性、協調性がはぐくまれ、健やかな成長が推進されます。また、そのほかの効果といたしましては、
プレーパーク活動が地域主体の活動となることから、子どもにかかわる市民活動の広がりにもつながるものと期待しているところでございます。
◆こじまゆみ 委員 規制を緩和し、健やかな成長をはぐくむということ、また、地域主体ということで地域活動の広がりということでございます。
札幌市は、今までもこのような事業を行ってこられておりますけれども、特定の地域ということではなく、子どもにとって集まりやすい身近な地域での活動を広めていくということですが、その身近な場所である既存の公園や遊休地における
子どもたちの活用状況は、今、どのようになっているのか、また、禁止制限事項について、緩和をするというのであれば現段階でどのように考えているのか、伺わせていただきます。
◎金田
子ども育成部長 既存の公園や遊休地における
子どもたちの活用状況と禁止制限事項の緩和についてでございます。
現代の
子どもたちは、少子化や社会環境の変化の影響によりまして公園で遊ぶ機会が減少していると感じております。
プレーパーク推進事業は、
子どもたちが屋外で伸び伸びと創造性を発揮する場を創出するものでありますが、たき火や穴掘りなど、条例等による禁止制限事項の緩和については、
子ども未来局と公園を所管する環境局など関係部局において協議を進めていく中で、近隣住民の皆様や他の公園利用者への配慮等も行いながら、子どもの意見を最大限に実現できるよう進めてまいりたいと考えております。
◆こじまゆみ 委員 たき火、穴掘りについては、関連部局との調整が必要かと思います。公園や遊休地を活用するということですが、部局間の調整や連携を円滑に行っていただきたいと思います。
また、地域の方々が運営し、先ほどの質疑の中にも
プレーリーダーとございましたが、
プレーリーダーが見守るなどの条件整備は容易ではないのではないかと思いますけれども、事業の主体となるのは大人なのか、子どもなのか、くれぐれも混乱することのないよう、事業補助のみならず、遊び場の提供、そして活動支援のあり方について丁寧に検討し、実施していただくよう求めておきます。
子どもの体験活動事業として、現在、少年団体活動支援、少年リーダー養成研修等があり、子どもの学校外活動の野外教育事業や児童会館、そしてミニ児童会館事業など、子どもの健やかな成長のためのさまざまな事業が札幌市にはございます。また、今回、拡充される子育てサロンは、先ほどの質疑の中にもございましたが、札幌市直営の子育て支援センター、そして、札幌市青少年女性活動協会が運営する児童会館におけるサロン、地域における任意設置のサロンなど、本当にさまざまな担い手が子育て支援事業にかかわっています。これらの事業が混在しますけれども、混乱することのないようにくれぐれも調整と連携を図っていただきたいとお願いしておきます。
日本
冒険遊び場づくり協会では、
プレーパークは子どもの生活圏にあり、いつでも、だれでも遊べること、そして、自然素材豊かな野外環境であること、つくりかえができる手づくりの要素、自由度が高いということを大切にしています。そして、運営するためには、住民によって運営すること、住民と行政のパートナーシップを築くこと、また、先ほど来お話があります専門職の
プレーリーダーがいることが提案されています。このように、
プレーパーク推進事業を進めていく上で、
子どもたちの身近な場所で実施されていくわけですから、子育て支援の担い手である
地域住民の方々の理解と協力が不可欠だと私も思っております。
そこで、質問ですが、地域団体、そして子ども会、活動協会、野外活動のNPO、ほかの団体など既存の地域団体への情報提供、そして関係調整は丁寧に行っていただきたいと存じますが、どのように考え、実施していくおつもりなのか、伺います。
◎金田
子ども育成部長 既存の地域団体への情報提供と関係調整についてでございます。
プレーパーク事業を進めるに当たりまして、子ども会や町内会など既存の地域団体については、本事業の担い手としてぜひ名乗りを上げていただきたいと考えております。
プレーパークは、子どもがみずから考えながら遊ぶという視点で活動を展開するものでございまして、既存の地域団体の皆様が本事業に携わることで当該団体の日常の活動の幅が広がるという効果も見込まれます。
また、
プレーパークに関する情報提供やその内容、理念に関する
普及啓発については、既存の地域団体の皆様を含め、市民全体に対しホームページや広報さっぽろ、パンフレットに加え、出前講座など地域に出向いて説明を行うなど、きめ細かく丁寧な広報を行うよう努めてまいりたいと考えております。
◆こじまゆみ 委員 手を挙げていただきたいということで、子ども会、町内会の方々も頑張っていらっしゃいますので、日常の幅が広がる地域のつながりを大切にしていただけるようお願いしておきます。
最後に、大志塾の事業とのかかわりについて伺いたいと思います。
大志塾事業は、次代を担う
子どもたちの自主性、創造性、協調性、自己表現力をはぐくむことを目的に、平成17年度よりサッポロさとらんどの事業用地の一部を会場として、200名の
子どもたちを受け入れ、実施してこられています。事業の対象者は市内の小学生であり、さまざまな学年が参加し、違う学校の
子どもたちと交流する機会を得ることができる上、子ども会が養成したジュニアリーダーがスタッフとして参加することで事業参加者に対して多様な体験機会を提供しているものです。
今回、提案された
プレーパーク事業と大志塾事業は似通っているように見えるのです。体験活動を提供するという趣旨からは本当に同じように見えてしまうのですが、どこが違うのか、そのかかわりについてお伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 大志塾事業との関係についてでございます。
プレーパークと大志塾事業につきましては、委員からご指摘ございましたように、いずれもできるだけ規制を排除した自由な遊びであり、その目的、理念は共通であります。しかし、大志塾の会場は1カ所に固定されており、一度に200人が参加する大規模なイベントであるのに対しまして、
プレーパークは近隣の公園という子どもにとって身近な地域で気軽に参加できる点に違いがございます。今後とも、両事業を推進する中で、
子どもたちの多様な体験機会のさらなる充実が図られるものと考えております。
◆こじまゆみ 委員
子どもたちが、遊びを通して、体験活動を通して、健やかにはぐくまれることを今後も期待したいと思いますので、少なくとも連携と調整を図られるようお願いいたします。
最後に、ご要望を申し上げて、私の質問を終わります。
さまざまなスタイルの
プレーパークがありますけれども、いずれも共通しているのは自分の責任で自由に遊ぶことがモットーとなっていることです。都市化されて自由な遊び場が失われてしまった今日、私たちの時代であれば泥んこ遊び、基地づくりなど、子どものころには身近で当たり前に自由にできた遊びが制限されてしまったことは私たち大人の責任であります。自由に遊ぶ場の環境を準備していくことは大切なことではございますが、大人の勝手な思い込みや都合で介入することのないよう、あくまでも子どもが主役ですから、自主性を尊重し、子どもの目線で新規事業に取り組んでいただくよう求めておきます。
子どもの自由な遊びを支援することで、遊びを通して
子どもたちの笑顔あふれる暮らし、豊かな
まちづくりを目指して有意義な成果を得るため取り組んでいただくよう要望し、私の質問を終わります。
◆北村光一郎 委員 私からは、子ども育成部の子どもの学びの環境づくり調査研究事業費、フリースクール支援のあり方の調査検討についてお伺いしたいと思います。
ここには
子ども未来局でフリースクールへの支援を検討していくための調査研究費と書かれておりますが、本来、義務教育の対象である小・中学生が不登校になっていることへの対応は教育委員会が行うべきだと考えているところでございます。調べましたところ、不登校児の対応については、これまで何度も議会で取り上げられ、教育委員会でその対策について答弁を行ってきていると私も聞いております。その中では、スクールカウンセラーを全小・中・高等学校に配置したり、教育相談の充実を図ることや、相談指導学級を設置して学校復帰に向けた支援を行うことなどが挙げられております。
しかし、残念ながら、いただいた資料と説明によりますと、ここ数年、不登校児童生徒の出現率は減少していないというふうに伺いました。今後もさらに不登校対策の充実を図ることが必要であることは間違いありませんが、フリースクールへの支援が不登校対策のためだといたしましたら、対応としては、
子ども未来局ではなく、教育委員会が対応するべきではないかと私は思います。
そこで、質問でございますが、
子ども未来局ではどういう理由で、何を調査するのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎金田
子ども育成部長 フリースクールの支援の対応についてでございます。
委員のお話にもございましたように、不登校対策は教育委員会を中心に取り組んでおりまして、
子ども未来局におきましても、児童相談所や家庭児童相談室の相談業務などで連携しているところでございます。また、
子ども未来局は、子どもの健全育成の観点から、放課後の
子どもたちの居場所として児童会館や民間児童育成会を所管しており、同様の観点から、不登校の子どもが安心して過ごすことができる環境づくりとしてフリースクールなど民間施設への支援のあり方検討に取り組むものでございます。
今回の調査の内容についてですが、不登校対策全体を見据えた中で、不登校の
子どもたちの安心できる学びの環境づくりのため、フリースクールなど民間施設との効果的な連携や支援のあり方を調査研究するものでございます。
◆北村光一郎 委員 ただいま答弁をいただきました部分で、NPO等のフリースクールなど民間施設を支援するということは、不登校を容認することかなと。(発言する者あり)それから、教育委員会としては、教育センターや相談指導学級の開設をしていますし、スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業も実施しています。スクールカウンセラーの派遣、学校での面接や教育相談の実施、職員会議での指導体制の徹底、学校ボランティアの導入、そしてまなびの教室、これだけたくさんのメニューを上げて対策に取り組んでいるというふうに資料には書いてありますが、学校教育の否定ということにはならないのでしょうか。この辺をどう思うか、お伺いいたします。
◎金田
子ども育成部長 フリースクールの支援が学校教育の否定につながるのではないかというご質問です。
文部科学省におきまして、不登校はどの子にも起こり得ることとし、不登校児童生徒が民間施設において相談・指導を受け、一定の要件を満たす場合には通所した日数を指導要録上は出席扱いとすることができる旨を通知しております。
札幌市におきましても、不登校児童生徒が民間施設において相談・指導を受けている実態があることから、民間施設とのより積極的な連携や支援のあり方を検討し、児童生徒の社会的自立に向けた成長を支援するということは不登校対策を進める上で有効であると考えております。
◆北村光一郎 委員 不登校対策は本当に大事な部分で、
子どもたちにとっては大切な部分だと思います。
しかし、資料をいただきましたところ、全体で1,600人を超える不登校児童生徒のうち、NPO等のフリースクールへ通っている児童生徒は100人程度であるという資料をいただきました。特にそこだけに支援することは、ほかの1,500人の
子どもたちはどういう扱いをしているのか。バランスを欠いているというふうに私は感じます。行政の責任として、不登校児童生徒全体を支援していくことが重要であると考えておりますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)
○
五十嵐徳美 委員長 お静かにお願いいたします。
◎金田
子ども育成部長 不登校児童生徒全体を支援していくことの重要性についてでございますけれども、不登校対策は、行政全体で取り組むべき重要な課題であると認識しております。また、子どもは札幌の未来を担う大切な存在であることから、不登校の子ども一人一人に対しましても個別の状況に応じてきめ細やかに支援していきたいと考えております。今後、教育委員会を初めとする関係部局との連携を一層強め、効果的な方法の調査研究を進めることにより、不登校の
子どもたちの社会的自立に向けた有効な支援策を実施してまいりたいと考えております。
◆北村光一郎 委員 趣旨は大体わかりました。
ただ、結局、教育委員会に予算が行っていないということを言っているのかな。福祉部にはたくさん予算があるけれども、教育委員会には予算が足りないのかなというふうにちょっと思います。どっちかというと、教育委員会では子どもを助けるためには全部こなしていけないということがありますのでね。調査研究という部分では理解をいたしましたので、要望等を述べて、私の最後の質問とさせていただきます。
子どもの居場所ということであれば、発達障がいなどの児童生徒の人格形成、保護、育成という福祉的なものであるというふうに理解できます。調査のための委員会等をつくる場合は、臨床心理士など医療・福祉関係者、そして、今おっしゃいましたが、教育委員会等々とのさまざまな事業とちゃんと連携してこの事業を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終えさせていただきます。
○
五十嵐徳美 委員長 以上で、第2項
児童福祉費の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時44分
再 開 午後3時4分
――――――――――――――
○
五十嵐徳美 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第9款 教育費 第1項 教育委員会費から第8項 生涯学習費までについて、一括して質疑を行います。
◆小形香織 委員 私は、中高一貫教育校整備事業費1,300万円にかかわって質問したいと思います。
中高一貫校を市立でつくるということで、これは、期待する声が上がる一方で、懸念の声も多くあるというふうに思います。
日本は、国連子どもの権利条約を批准しています。そして、日本政府はこれまで3度にわたって国連から勧告を受けています。3度とも共通して指摘されている最大の問題は、過度に競争的な教育制度によるストレスにさらされ、かつ、その結果として、余暇、身体的活動及び休息を欠くに至っており、子どもが発達のゆがみを来していることを懸念する、こうした趣旨のことを3度とも国連から指摘されているという点です。
札幌でも、札幌市内の私立の中高一貫校では、結果として受験競争の低年齢化を招いています。国連子どもの権利委員会の勧告、指摘は、札幌も例外ではないと思いますし、市教育委員会は、この勧告を受けとめて教育を進めるべきだと考えます。ことし3月に出されました札幌市中高一貫教育校設置基本構想によりますと、2015年4月には、初めての札幌市立の中高一貫校への入学がスタートとなる、こういう中身ですが、まず、入学させる段階で懸念される入学者の選別について質問したいと思います。
この基本構想によりますと、学力検査を行わず、適性検査、作文、面接、調査書、抽せんなど複数の方法の中から選択の上、適切に組み合わせて実施するとのことですが、具体的にどのような検査を想定しているのですか。受験競争の低年齢化を招かない入学方法にすべきと思いますがいかがか、お尋ねします。
◎金山 学校教育部長 入学者の決定方法につきましてお答えいたします。
今、委員からご指摘がございましたように、法令の定めに従いまして、学力検査は実施せず、適性検査、作文、面接、調査書、抽せんなど複数の方法の中から選択の上、適切に組み合わせて実施することとしております。具体的な検討はこれからでございますが、受験競争の低年齢化につながることのないように、今後、調査研究を進め、決定次第、入学を希望する児童やその保護者に対しまして適切に情報提供をしてまいりたい、このように考えております。
◆小形香織 委員 学力検査は行わないということで、今、はっきりとご答弁いただいたと思います。
ところで、よくあるパターンですけれども、適性検査と称して塾に通っていなければわからないような難問を解かせて、小学校6年生以上の学力を求めるものも既に実施している学校などではあるようです。この適性検査は、小学校6年生までの教科書の中身を理解していれば十分というものであるべきだと私は考えます。中高一貫校の合格を目指した塾で勉強したトップクラスの子だけしか入学できないようなものではなくて、いろいろな子が幅広く入れるようにするべきだというふうに思いますけれども、そういうお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
◎金山 学校教育部長 適性検査につきましては、受験競争の低年齢化につながることのないよう、単に知識の多寡に左右される検査ではなく、例えば、発想力や物の見方、考え方を見るものなどを考えてございまして、今後、十分に時間をかけて調査研究するなど、詳細に検討して決定してまいりたい、このように考えております。
◆小形香織 委員 先ほどのご答弁と今のご答弁と、どちらも受験競争の低年齢化につながることのないようにというふうにお答えされました。非常に重要な言葉だというふうに思いますので、私は重く受けとめております。
次に、私は学校が開設された後について懸念がありますので、質問させていただきたいと思います。
私立の中高一貫校では、エリート大学に入学させるための進学実績をつくるために、例えば、本来の勉強は高校2年生までで全部を終わらせてしまって、高校3年生の授業は大学入試対策一辺倒になっているところもあります。今回の中高一貫校は、大学受験一辺倒に偏った教育であってはならないと思いますけれども、その点はいかがか、伺います。
◎金山 学校教育部長 中高一貫教育校につきましては、
子どもたちの6年間を見通した学びの育ち、あるいは見守り、そういうものを重点的に考えまして、
子どもたちの課題解決能力あるいは表現力を伸ばすような教育課程を考えております。
なお、教育内容につきましては、現在、検討を進めておりますので、今後、その内容が決まり次第、あらわしていきたいというふうに思っております。
◆小形香織 委員 課題解決力など、これからそうしたことを検討していくということですけれども、この基本構想の22ページには、受験準備に偏したカリキュラムを想定していませんと書いております。こういうことで、この文字どおり理解してよろしいのですか。
◎金山 学校教育部長 そこに書いてあるとおりでございます。
◆小形香織 委員 受験準備に偏したカリキュラムは想定していないという表現は、これまた、とても大事な一文でよい言葉だというふうに思います。
今回、中高一貫が目玉で、そこに注目されがちですけれども、忘れてはいけないのは、この中高一貫校に入らない、入れない、いろいろな
子どもたちがいっぱいいます。私は、その
子どもたちの成長を保障していく教育を進めることをぜひ忘れないでほしいと思うのです。
そこで、伺います。
教育長、30人学級の早期実現や期限つき教員をなくすことなどを正面に据えて、すべての
子どもたちの豊かな教育をきちんと視野に入れて進めるべきだというふうに思いますけれども、そういうお考えがおありかどうか、伺いたいと思います。
◎北原 教育長 少人数学級の実現については、教員定数の問題について国、道に対して要望を繰り返してきているところです。いずれにしても、よりよい教育の実現のために札幌市教育委員会としても力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
◆小形香織 委員 国に要望して、すべての
子どもたちを視野に入れながらということ、私はそこが一番大事だというふうに思います。そして、最初に言ったように、すべての
子どもたちを視野に入れた教育でなくてはならないというふうに思います。
今回の中高一貫校のこれから先の検討に当たっては、札幌市子どもの権利条例を生かして、
子どもたちの意見表明権も大事にして、中学生や高校生の声もこの検討の中身に反映させるべきだというふうに考えます。そして、先ほどご答弁のあった受験競争の低年齢化を招くことがないよう、そして、受験準備に偏したカリキュラムは行わないよう強く求めて、質問を終わりにします。
◆よこやま峰子 委員 私は、補正予算の概要にあります困難を有する若者への支援事業について質問をいたします。
確かにそのとおりではありますが、タイトルに少なからず違和感を覚えます。もう少しなじみやすいといいますか、例えば、社会参加への支援を必要とする若者のための施策など、余りいいタイトルは頭に浮かんできませんけれども、困難を有する若者への支援ではなく、表現をもう少し工夫できなかったものかなと思います。
それはさておき、近年、引きこもりやニートの若者、不安定な雇用状況の若者の増加が問題になっており、札幌市においてもその状況が顕著になってきていることを大いに危惧し、不安を覚えるところでございます。
札幌市では、このようなフリーターや非正規雇用の若者、またはニートや引きこもりなどに対して、若者の社会参加と自立支援へ向けて、平成22年4月に、それまでの勤労青少年ホームと青少年センターを活用した若者支援総合センターと若者活動センターを開設いたしました。そして、1年が経過し、実績として相談件数が26%増の2,700件、支援プログラムの利用者が61%増の4,600人と大きく増加し、その成果を上げていると伺っております。その結果もあり、今年度の当初予算では、これまで内閣府が行ってきた調査から推計して出していた引きこもりの人数など、札幌市として初めて引きこもりの若者の実態調査を行うための費用も計上されたと伺っております。
このたびの補正予算では、これらの若者への自立支援事業の強化が盛り込まれておりますが、今回新たに実施する中学校卒業者等進路支援事業と社会体験機会創出事業の二つの事業について、それぞれの目的と具体的な支援の内容をお聞かせください。
◎長岡 生涯学習部長 中学校卒業者等進路支援事業と社会体験機会創出事業について、その目的と具体的な内容についてお答えいたします。
まず、中学校卒業者等進路支援事業について、その目的でございますけれども、中学校及び高等学校の卒業時、または高校中退時に進路が未定で社会的自立に不安のある生徒は、学校から離れてしまうと継続的なサポートは難しく、引きこもり状態になることが懸念されるため、早期に生徒を支援し、引きこもり状態になることを未然に防止することを目的として実施するものでございます。
また、具体的な支援の内容についてですが、社会的自立に不安のある生徒について、学校と連携し、生徒本人やご家族の意向を尊重しながら、若者支援総合センターへつないでまいります。若者支援総合センターでは、個別面談や共同作業、職業体験などのプログラムにより自立支援を行うとともに、適切な支援機関への橋渡しも行っておりますが、ほかにも、家族への支援として、同センターの担当者も交え、悩みや課題を家族同士が共有し、家族を社会的に孤立させない
取り組みも行っており、家族とともに若者を支援するきめ細かな
取り組みを進めてまいります。
次に、社会体験機会創出事業について、その目的ですが、引きこもりやニートといった若者の自立支援には、まず社会に出てさまざまな体験を重ねることが大切であり、企業などへの職場見学やボランティア体験などは非常に有効なものであると考えております。しかしながら、自立に向け努力している若者の受け入れについてご理解をいただける企業等はまだ少ないため、受け入れ可能な企業や団体を拡大することが課題であり、本事業は、このような受け入れ企業等を開拓し、社会体験をサポートすることを目的として実施いたします。
また、具体的な支援の内容についてですが、若者支援総合センターに配置した専門の支援員がさまざまな企業や団体等を訪問し、社会的自立に向けて努力しようとしている若者を職場見学や職業体験等で受け入れていただける企業やNPO団体等を広げるとともに、若者が円滑に職業体験等を行えるようにサポートするなど、一人でも多くの若者が社会的自立に向けて進むことができるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 ただいまの答弁からも、中学・高校卒業時や高校中退者で進路の定まらない
子どもたちを早期に支援していくこと、あるいは、自立に向けた支援をしていく
取り組みは、非常に重要かつ大事であるということを改めて認識するところでございます。
小・中・高校時代の不登校などをきっかけに引きこもりやニートになってしまう傾向が強く、このような若者を生み出さない、あるいは少なくするためにも、早期支援が求められていると考えます。この二つの新事業がこのような早期支援として果たす役割は大きいと期待はいたしておりますが、この新事業が円滑に機能し、その役割を果たしていく上でどのような課題があると想定していらっしゃるのか、また、それらの課題に対してどのように取り組んでいかれるのかもお伺いいたします。
◎長岡 生涯学習部長 二つの事業を実施するに当たっての課題とその対応についてお答えいたします。
まず、中学校卒業者等進路支援事業を実施するに当たって想定される課題でございますが、対象となる生徒のうち、どのぐらいの生徒を若者支援総合センターに実際につなぐことができるかという点が、現時点で考えられる主な課題であると考えております。
その対応といたしまして、学校とも協力して、若者支援総合センターにおける相談や自立支援プログラムの内容、また関係機関との連携について、本人はもとより、ご家族の方々にもよく説明させていただき、十分ご理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。そして、ここで実際の成果を上げていくことが今後対象となる他の生徒やそのご家族の理解も深め、さらに若者支援総合センターにつなぐことができるものと考えております。
次に、社会体験機会創出事業を実施するに当たって想定される課題ですが、職場見学や職業体験とはいえ、現下の厳しい社会情勢の中で企業等にいかに事業の趣旨に賛同していただけるかが課題であると考えております。
その対応といたしまして、企業等に対し、これまで引きこもり傾向にある若者を受け入れた実績がある企業等の事例を紹介させていただくなど、この事業の趣旨を十分にご説明させていただき、少しでも多くの企業等に賛同いただけるよう努力してまいりたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 教育委員会では、昨年9月に、教育、保健福祉、雇用などの20の機関で構成するさっぽろ子ども・若者支援地域協議会を立ち上げ、支援を要する若者の社会的自立に向け、ネットワークを構築し、札幌市のみならず、北海道、国の機関、NPOなども参画し、相談を行ったり、複数の機関が連携することによって効果を上げたケースもあると伺っております。私は、札幌市の行政組織にこだわらず、できるだけ多くの子どもや若者がこういった支援のネットワークにアクセスできるようにすることが必要であろうかと考えます。
そこで、質問ですが、中学校卒業者等進路支援事業についても、難しいこととは思いますけれども、今後は、札幌市だけではなく、北海道や民間団体などとも連携して実施すべきであると考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎長岡 生涯学習部長 北海道や民間団体などと連携した事業の実施についてお答えいたします。
この事業は、今年度は主として札幌市立の中学校、高等学校の生徒を対象に実施いたしますが、今後は、委員ご指摘のとおり、北海道や民間団体とも連携して、道立や私立の高校にも事業の範囲を広げ、卒業時または中退時に進路が未定で社会的自立に不安のある生徒を若者支援総合センターにおける相談や自立支援プログラムにつなげ、早期の対応ができるようにしてまいりたいと考えております。さらに、北海道の関係機関や民間団体も参加する子ども・若者支援地域協議会のネットワークをこれまで以上に活用して、社会的自立に不安のある
子どもたちが引きこもり状態に陥らないよう、支援の一層の充実に努めてまいりたい、そのように考えております。
◆よこやま峰子 委員 昨今、若者を取り巻く環境は厳しく、大学を卒業しても正社員での就職先は少なく、また、社会情勢や雇用形態の変化により非正規雇用が著しく増加しております。このような中で、将来の札幌市を担う若者が、自分の未来に夢や希望を持ち、生き生きと暮らしていけるように、現在悩んでいる若者への支援はもちろん、社会的自立が困難な若者をつくらない、あるいは、引きこもりが長期化しないように早期支援をすることが大事であると考えます。また、地域や地元企業がしっかりと若者をサポートしていくという視点からも、この二つの新事業の担う役割は非常に大きいと考えます。
行政、地域、民間が一体となり、積極的に連携して、困難を有する若者への支援事業に取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
◆長谷川衛 委員 私からは、中高一貫教育校の基本計画策定にかかわって、何点か質問したいと思います。
国公立の中高一貫校は、1999年、学校教育法の一部改正によって選択的導入が可能になったわけであります。それ以来、全国各地で連携型、併設型、一体型というような形態で設置されてきました。そんな中で、札幌市は、導入に当たってかなり時間をかけ、慎重に検討を重ねてきたということですけれども、設置に対する期待感がある一方で、先ほども出ておりましたが、懸念材料もかなりあるということから、この間、時間をかけてきたのだろうというふうに考えております。
さて、今回の補正予算に計上されております中高一貫教育校の基本計画策定については、ことし3月に市教委から出されました札幌市中高一貫教育校設置基本構想をもとにして、新校舎建設の観点から進められると思いますけれども、新校舎にはその学校の教育理念がきちん反映されていなければならないことは言うまでもありません。
そこで、細かい点は別にしまして、大きな観点から、幾つか、確認を含めて質問したいと思います。
今回、札幌市における公立の中高一貫教育校は、初めての
取り組みであります。そうであれば、まずは、どんな学校をつくるのかという基本理念が最も重要であると考えるわけであります。札幌市内には、既に私立の中高一貫教育校があり、それぞれ独自の教育理念を持って取り組んでおります。建学の精神は各校でそれぞれ独自のものがありまして、そうした理念に基づいて、国際理解、または情報教育、理数教育などそれぞれに特徴を持った教育課程を編成して取り組んでおります。中には、部活動に非常に力を入れたり、または大学進学を念頭にした教育課程を編成している学校もあり、さまざまな学校が存在しているわけであります。また、他都市の公立中高一貫教育校を見てみますと、大事にしている教育理念はあるものの、依然として学力偏重と言えるような、大学受験に重きを置いた教育内容を採用しているところが多く見受けられます。
こうした中で、今、札幌市では一体型の公立中高一貫教育校を設置しようとしておりますけれども、基本構想によりますと、札幌で学んだというアイデンティティーを持ちながら、将来の札幌や日本を支え、国際社会で活躍する知・徳・体のバランスのとれた自立した札幌人を育てると述べております。基本構想にはこういう記述はありますけれども、この記述というのは、義務制の小・中学校も含めて、私は共通の教育目標だろうというふうに思います。こうした共通の目標をもとに、今後、新しくできる学校が教育目標としてどのような理念を持つのか、私はここが最も大事なところではないかというふうに考えております。また、教育内容では、実験、観察、体験を重視した課題探究的な学習などを柱とするとあり、大学受験に特化したカリキュラムは採用しないと、このことも明言しております。受験に偏ったカリキュラムとしないことはこれまでのさまざまな議論からすれば当然だと思いますけれども、札幌市が設置する公立の中高一貫校でありますから、さらに一歩踏み込んで、人間教育に力点を置くといった考えを示すべきと私は思います。
そこで、基本構想にも一部記載はありますけれども、確認を含めて、2点質問いたします。
1点目は、私学や他都市の中高一貫教育校と異なる札幌市立の中高一貫教育校に特徴的な教育理念があるとすれば、それはどのようなものなのか、お聞かせ願いたいと思います。
また、2点目は、他校の例を見ますと、中高一貫教育学校の実態は依然として受験、学力中心の傾向が強いようにも感じられます。受験に偏ったカリキュラムとしないと言っておりますけれども、人間教育といった観点からどのように基本構想の理念を実現しようとしているのか、具体的に考えていることがあればお聞かせ願いたいと思います。
◎金山 学校教育部長 まず、1点目の札幌市の中高一貫教育校における教育理念の特徴についてでございます。
現在、札幌市教育委員会では、未来を切り開く人間性豊かで創造性あふれる自立した札幌人を教育推進の目標として掲げ、これに基づき、各市立学校において学校運営方針を定めて取り組んでおり、新たに設置する中高一貫教育校においてもこの基本的な考え方に基づいて札幌らしい学校教育を進めていくことになります。
今回の中高一貫教育校においては、6年間の連続した学びという中高一貫教育の特徴と、これまで開成高校コズモサイエンス科が培ってきた文系、理系にわたる体験的な学習を通した創造的な思考力の育成といった教育内容とを融合し、みずから課題を発見し、解決する力、みずからの将来を切り開く力といった自立の基礎力を養うとともに、豊かな人間性、札幌に愛着を持つ心などをはぐくむよう取り組むこととしております。こうした方針を持って、ふるさと札幌を誇りとし、お互いの立場と人権を尊重し合い、豊かな創造力を発揮しながら社会に貢献する人材を育成することが札幌市の中高一貫教育校における教育理念の特徴であると考えております。
2点目の受験に偏したカリキュラムとしないことについてであります。
中高一貫教育校においては、高校入試がないことなどによる時間的余裕を生かし、課題探究的な学習により、生徒の知的好奇心を刺激し、学ぶ意欲を醸成することに力を入れるとともに、例えば、六つの学年で委員会を構成して行事を企画したり、中学校段階の授業に高校段階の生徒がサポートに入るなど、幅広い異年齢集団を生かした教育活動を展開して、主体性を育て、一人一人の長所を伸ばし、豊かな人間性をはぐくみたいと考えております。
受験準備に偏した教育を行うことは考えてございません。
◆長谷川衛 委員 今の部長の答弁の中で非常に大事なものがありました。
それは、私が先ほど言いましたけれども、一般的な札幌人の育成という基本的なものから一歩突き進んで、人権を尊重し合う、そんな
子どもたちの学びの場づくり、それから、子どもの主体性を磨くためにさまざまな
取り組みをしていきたいということもありましたので、これからかなり議論されると思いますが、私はそういう点を大事にしていただきたいということを申し述べておきます。
次に、今後の具体的な検討について幾つかお聞きしたいと思います。
この基本構想の内容を踏まえて、この4月から、プロジェクトを設置して議論を開始したということでありまして、今後は、このプロジェクトで理念を具体化して、学校施設に反映させていくための検討を進めていくことになると思いますけれども、この議論を進めていく際に、中学校、高校それぞれの現場の教員が培ったノウハウを持ち寄って、十分に議論して組み立てていくことが私は大変重要だというふうに考えています。言うまでもないことですが、私も中学校の教育にかかわってきましたけれども、そもそも中学生と高校生では、発達段階が近いとはいえ、かなり大きな違いがあります。ですから、これに伴って、指導上、留意すべき点や手法も異なる点が大変多いわけであります。高校の先生は、すぐに中学校1年生を教えろと言われても、実際はなかなか戸惑いますし、また、その逆もあるわけであります。一方で、中高一貫教育を効果的に展開していくためには、そこで働く教職員は、中高の区別なく、一体となって教育目標を共有しなければなりません。同じ方向を向いて、連携して取り組むことが必要不可欠であるというふうに思います。
今回、母体となる開成高校においては、2004年度からコズモサイエンス科を設置しておりまして、英語、理科、数学において非常に実践的な
取り組みを展開しています。発信型の英語力や科学的教養、論理的思考力の育成などにおいて大きな成果を上げておりまして、入学希望者も多く、大変魅力ある学科となっていました。
今回の中高一貫校は、このコズモサイエンス科をベースに改編されることになっておりますけれども、それであれば、開成高校の先生方に、中高一貫教育の理念と特徴、それから、これから目指すべき教育の方向性といったものをしっかり理解してもらうことが何といっても大切だというふうに思います。その上で、コズモサイエンス科の
取り組みというすばらしい成果があるわけでありますから、その理念と実績が生かされるように現場の声をしっかりと取り入れていく、このことが大事だというふうに思います。
そこで、最後の質問になりますけれども、2点質問いたします。
現在取り組んでおりますプロジェクトの構成がどうなっているのか、また、具体的な検討においては、開成高校の教員にも説明して、現場の声をしっかり聞きながら連携していくべきと考えますが、いかがか。
2点目には、さらに、中・高それぞれの教員連携のあり方の具体的な認識についてお聞かせ願いたいと思います。
◎金山 学校教育部長 プロジェクトの構成と開成高校との連携、中・高それぞれの教員連携に関するお尋ねだったかと思います。相互に関連がございますので、一括してお答えいたします。
中高一貫教育校設置検討プロジェクトにつきましては、基本構想の内容を具体化し、基本計画等に反映するため、この4月から検討を開始いたしました。中高一貫教育校の具体的な検討に当たっては、中学校と高校それぞれの指導方法や特性を生かしながら一体的な学校運営を実現する必要があることから、中学校と高校それぞれの教員が連携して取り組むことが必要不可欠であると認識しております。したがいまして、このプロジェクトには、中学校教員4名、高校教員5名が参加し、中学校と高校それぞれの経験と知見を持ち寄り、理解を深めながら進めているところでございます。
また、改編対象となる開成高校との連携につきましても、密接に連携を図る必要があるとの認識から、プロジェクトに参加する高校教員のうち、3名を開成高校の教員として開成高校の校内検討組織との連携が図られるようにしております。これまで、開成高校と教育委員会の共催による研修会の開催や、開成高校教員を含めた先進事例の調査研究などに取り組んでおり、こうした
取り組みはプロジェクトと開成高校が相互に連携協力しながら進めております。今後も、教育活動や施設の状況等について、中学校と高校が相互に理解を深めながら調査研究するなど、より具体的に検討してまいりたい、このように考えてございます。
◆長谷川衛 委員 最後に、要望であります。
実は、私の母校が開成高校でありまして、そういう点では非常に複雑な心境であります。といいますのは、懸念する材料がまだまだありますから、今後、具体化に向けてその懸念する材料をぜひ払拭していただきたい。
特に、前期4年間の中で、私も見られる範囲で全国の中高一貫校を見てまいりました。見てまいりましたが、共通の課題として、大きな壁は、先ほども言いましたけれども、中学校の先生方と高校の先生方の経験上のギャップというのでしょうか、どうもなかなか一体的になれないのが共通の課題になっておりましたから、ここは先ほどの答弁で一定程度わかりましたので、本当にきめ細かくやってもらいたいと思います。
なぜかといいますと、やはりいい学校をつくってもらいたいのです。いい学校をつくるためには、先生方が手を組んで理想に燃えないといい学校はできません。そんな意味では、きょうの質問を十分に念頭に置きながら、魅力ある学校づくりに尽力していただきたいと申し上げて、質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、人権教育にかかわります学校教育指導費の中で、人権教育の推進について質問させていただきたいと思います。
現在、生命、そして身体の安全にかかわる問題や、不当な差別、経済的な困窮から来るさまざまな問題など、今日においても多くの人権問題が生じております。また、
子どもたちに関しましても、いじめや暴力、また、児童に対する虐待など、人権にかかわる問題が後を絶たない状況にあります。札幌市におきましても例外ではなく、児童虐待やいじめの問題など、人権にかかわる課題は常に問題とされてまいりました。さらに、民族問題として、アイヌ民族に対する課題を現在も抱えているところであります。
私は、子どもや女性、障がい者など、特に社会的に弱い立場に置かれた方々の人権を保障し、だれもが人間としての尊厳を持って安心して生活できる社会を形成していかなければならないと思います。しかしながら、人権に関する問題がいまだに解決されないのは、日本人の傾向として、同質性や均一性を重視し、異質のものを排除しがちな傾向があり、また、国民の中には人権を尊重する意識がまだ十分に定着していないのではないかというふうに思うのであります。このような人権課題を解決し、国民の間に人権に対する意識高揚と理解啓発を図っていくには、人権を尊重する精神をはぐくむ人権教育を推進していくことが大変重要であるというふうに思います。
そこでまず、札幌市におけます人権教育に関するこれまでの
取り組みと成果について伺います。
◎池上 指導担当部長 人権教育のこれまでの
取り組みと成果についてお答えいたします。
教育委員会では、人間尊重の教育を札幌市の学校教育の重点の一つと位置づけまして、このもとで人権教育の充実に努めてきたところでございます。具体的には、研究開発事業等におきまして、民族、子ども、男女平等などに関する課題を設定いたしまして、例えば、民族教育では、社会科における地域の発展に尽くした先人の業績を学ぶという単元で、民族として誇りを大切にし、みずからの文化を守ろうとした知里幸恵さんを取り上げるなどして、アイヌ民族に対する正しい理解を深められる授業づくりなどを行ってまいりました。また、子どもの人権では、
子どもたちが、将来、自分が親になったときに自分の子どもをどう育てるか想像することを通して、子どもの幸せについて考える道徳の実践などを行ってきたところでございます。
このようにして、人権教育に関する授業開発を積み重ね、指導の手引やホームページなどに掲載するなどしながら授業の改善、充実に努め、人権教育の
普及啓発を図ってまいりました。その結果、各学校におきまして、人権教育に関する指導を社会科等の教科や道徳、特別活動など教育課程に明確に位置づけるとともに、研究開発事業等での実践の成果を生かした授業が行われるようになってきているところでございます。
◆國安政典 委員 これまで、人権教育に関しましては、民族、子ども、男女平等という柱のもとに、指導の手引を作成するなどして社会科などの教科で実施されているということでありました。
人権教育というのは、知識として理解するだけでは単なる机上の論理に終わってしまい、実社会の中で生かされないのではないかという心配もあります。国におきましても、人権教育の内容として、人権に関する知的理解とともに、人権侵害を受けている人々を支援しようとする意欲や態度をはぐくむなどの人権感覚を身につけることが大切であるというふうにされております。
教育委員会では、今回、人権教育推進事業を始めるということでありますけれども、この事業を実施することによりまして人権教育をどのように進めていこうとしているのかが問題であると思います。
そこで、伺いますけれども、人権教育推進事業の趣旨と
取り組みの内容についてお聞かせいただきたいと思います。
◎池上 指導担当部長 今回、計画しております人権教育推進事業について、まず、その趣旨についてでございます。
教育委員会といたしましては、これまでの
取り組みから、人権を尊重しようとする意欲や態度をより一層はぐくむためには、人権の問題について見識を有する方から直接話を聞くなど、人とのかかわり合いを通してより実感を伴って理解を深めていくことが有効であると考えたところであります。そのため、このような体験的な学習の進め方や実施上の課題等について検討することを目的に、本事業を計画したところであります。
取り組みの内容といたしましては、専門家等から成る人権教育推進プロジェクトを設置いたしまして、そこでの検討をもとに研究推進校において実践的研究を行う予定でございます。研究推進校においては、民族、子ども、男女平等などの人権について、例えば、サッポロピリカコタンを訪問し、アイヌの方々のお話を聞いたり、トラブルで困っている友達にアドバイスするピアサポートの
取り組みや、
子どもたち同士でロールプレーを行ったりするなどの体験的な学習を実施することを通して、その有効性や課題などを明らかにしてまいります。
これらの研究推進校の実践については、人権教育推進プロジェクトにおいてさらに検証を加えまして、今後の人権教育の具体的な進め方等について各学校に示してまいりたいと考えております。
◆國安政典 委員 人とのかかわり合いを通して人権感覚をしっかりとはぐくむということでございました。関係する方から直接お話を聞いたり、またピリカコタンを活用した体験的な学習を通してそういう心情を育てようということで、大変有効なことであるというふうに考えております。
また、これからさらに進めていく中で、人権教育推進プロジェクトが、今後、この教育の充実を図る上で大変重要な役割を担っていくのではないかというふうに思うわけであります。このプロジェクトによる検討が、人権のさまざまな課題に即して、より実効性のあるものとしていくことが必要であると思いますが、果たしてどのような立場の方が委員になるかも大切であるというふうに思います。
そこで、伺いますけれども、人権教育推進プロジェクトにおけます委員の構成はどのように考えているのか、伺います。
◎池上 指導担当部長 人権教育推進プロジェクトの委員の構成についてでございますが、学校関係者のほか、民族、子ども、男女平等などの人権についてそれぞれ見識を有する方や、アイヌ民族の方に委員になっていただくことを想定しておりまして、幅広い立場からのご意見をいただくなどして、より実感を伴って理解を深めていく、このような人権教育がどの学校においても推進されるよう具体的な方策などを検討していただこうと考えております。
◆國安政典 委員 人権が侵害されている人の立場に立った人権教育が推進されていくことが一層必要であるというふうに思うわけであります。
これは提案でありますが、今、柱とされておりますのは民族、子ども、男女平等ということですけれども、私は、冒頭に、子どもや女性、障がい者など、特に社会的に弱い立場に置かれた方々の人権と言わせていただきました。今回の中では、残念ながら、障がい者という視点が盛り込まれておりません。今後は、学校教育の中で、各学校には障がいを持つお子さんも少なからずいらっしゃるわけでありますから――もちろん、推進していくべき教育の柱の中で、特別支援教育の推進ということで一生懸命にやられていることは存じ上げております。しかし、障がいのない方から見た場合の、人権教育の材料と言っては大変失礼かもしれませんが、そういった立場に立つ絶好の機会でもあるかと思いますので、そういった視点もぜひ盛り込んでいただけたらなというふうに要望させていただきます。
いずれにいたしましても、今回のプロジェクトの委員を含め、当事者の方々の声を直接聞くなどして、
子どもたちの人権に対する意識がこれまで以上に高まっていくような
取り組みを拡充していただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆宗形雅俊 委員 私からは、読書チャレンジ・幼児絵本ネットワークセンター事業と中高一貫教育校整備事業の2項目について質問していきたいと思います。
委員長、分けて質問したいと思いますので、ご了承をお願いしたいと思います。
まず、読書チャレンジ・幼児絵本ネットワーク事業の予算720万円について質問します。
この事業は、乳幼児期から小学校までの切れ目のない読書環境を整備するとともに、市立及び私立幼稚園の連携の促進を目的として、幼稚園単独ではそろえにくい大型絵本や布絵本などを整備し、各園に貸し出すシステムを構築する事業というふうに補正予算の概要に載ってございました。私も、幼児教育は大切だということで、この事業には賛同するものでありますが、これにつきまして何点か質問していきたいと思います。
予算概要の貸し出しのイメージを見ますと、幼児教育センターで買いそろえ、保管して、各区の市立幼稚園まで貸し出し、私立幼稚園が借りるときには、区内の市立幼稚園まで借りに行ったり返却するというイメージになっております。
そこで、3点質問していきたいと思います。
まず、大型絵本等の貸し出しですが、これが幼児教育に与える効果を第1点目の質問といたします。
それから、幼児教育センターから市立幼稚園への貸し出し、さらに私立幼稚園への貸し出しというイメージ図になっておりますが、市立幼稚園と私立幼稚園は同時進行の中でやっていかれるのか。また、幼児教育センターは、幼児教育に対していろいろな研究をする、そして、市立幼稚園は実践研究園であるということも聞いておりますので、この新しい事業については市立幼稚園のみから始めていくのか、その辺の連携スケジュールもお答え願いたいと思います。
それから、絵本整備に313万4,000円を計上しております。大型絵本もしくは布絵本の冊数はどのぐらいを想定しているのか、また、ことし1年のみならず、継続的に買いそろえていくのか、その方向性も含めてお答え願いたいと思います。
◎梅津 学校施設担当部長 幼児絵本ネットワークセンター事業で3点の質問がございました。まず、この事業の効果、それから、市立幼稚園、私立幼稚園との関係、そして、予算における冊数、そして継続するのかということです。
1点目のこの事業の効果と市立幼稚園と私立幼稚園の関係等につきましては、関連いたしますのでまとめてお答えさせていただきたいと思います。
私ども札幌市におきましては、委員からお話もございましたとおり、ただいま市立幼稚園は研究実践園として区内の私立幼稚園との連携を図りながら研究あるいは研修を計画、実施し、成果を情報発信したり、地域教育相談を充実させる
取り組みを通しまして幼稚園の区内連携を進めております。今回の幼児絵本ネットワークセンター事業は、委員からお話がありましたとおり、乳幼児期から小学校まで切れ目のない読書環境を整備する施策の一つとして、幼稚園ではそろえにくい大型の絵本や布絵本などを幼児教育センターに集中保管いたしまして、市立幼稚園などに貸し出すための仕組みをつくるものでございます。これによりまして、市立幼稚園の保育などにおける読み聞かせ活動を通じまして、園児が本に親しむ機会を充実させていくとともに、本を使った教育活動に関する研究を推進いたしまして、この成果を私立幼稚園にも提供することなどによりまして両者の連携を進めていきます。さらには、私立幼稚園から要望があれば貸し出しも行っていく事業でございます。
それから、3点目の絵本の整備はどのぐらいかということでございます。大型絵本、布絵本につきましては、単価が5,000円ぐらいから1万円ぐらいとなってございまして、どういう図書を選定するかということにもよりますけれども、大体300冊から600冊程度の冊数を購入いたしたいというふうに考えてございます。
それから、これを継続していくのかというお話でございましたが、今回の予算を使って整備をさせていただきまして、その活用状況を見きわめながら考えてまいりたいと考えております。
◆宗形雅俊 委員 第1番目に、幼児教育に与える効果という質問をしたところですけれども、ポイントがはっきりわからなかったので、改めてお願いいたします。
もう一つは、私立幼稚園との連携スケジュールです。市立と私立は同時進行にはしないのですね。最初に市立幼稚園で実践し、私立幼稚園についてはその後というようなことを事前説明で若干聞いているのですけれども、私立幼稚園はいつごろから連携していくのか、改めて2点お願いします。
◎梅津 学校施設担当部長 幼児教育に関する効果についてでございますけれども、これは、先ほども申し上げましたが、読み聞かせ活動などを通じまして園児が本に親しむ機会を充実させて、幼児期のころから本に親しんで、小学校に上がっても教科書等に十分親しめるようにという効果があるというふうに考えてございます。
それから、いつから私立幼稚園にも貸し出しを始めるのかということでございますが、まずは、市立幼稚園から始めまして、その状況を見ながらなるべく早いうちに貸し出しを始めたいというふうに思っております。
◆宗形雅俊 委員 次の質問ですが、この予算の中では、システム構築に221万円、その他配送185万6,000円となっております。このシステムの構築は、貸し出す仕組みということで概要としてはわかるのですけれども、どういった内訳になっていくのかということをお示し願いたいと思います。
それから、配送費は、今、幼児教育センターが市立幼稚園に貸し出すということですから、それを想定した185万6,000円だと思うのですが、稼働は大体どのぐらい見ているのかということと、あわせて、1往復当たりどのぐらいの見積額になっているのか、これを教えていただければと思います。
◎梅津 学校施設担当部長 予算の中のシステム構築費につきましては、これは新たに何かシステムを構築するということではございません。現在、小・中学校で運用しております既存の寄託図書という制度がございますが、このシステムを利用いたしまして、その一部を改修するための経費として予算を計上させていただいております。
それから、配送費につきまして頻度的な話でございました。これは、今のところ、今回の予算の積算に当たりましては一つの園当たり週1回程度の利用を想定して積算しているところでございます。
◆宗形雅俊 委員 システムの構築で200何万円というのは、個人のお金では相当ですけれども、行政の中でというとそう大きな金額ではないかと思います。
私は、この議案を見たときに、事業としては、先ほど言ったように進めるべきだと思っております。ただ、さっき学校の寄託図書ということもありましたが、札幌市には中央図書館というすばらしい図書館がありますので、そこのシステムに乗っていけないものなのかと思っております。そして、今後、私立の幼稚園と連携していくときにも、配送等はそちらで構築していった方が経費的に安いのではないかという思いもございます。それから、中央図書館には3万1,000冊の絵本があるというふうにも聞いております。そういう意味では、大型絵本や布絵本の活用もさることながら、私立幼稚園ではなかなか買いそろえられない絵本が中央図書館にあって、それをうまく貸し出していく、こんな相乗効果も考えられなかったのかと思っております。
この件に関しては、中央図書館にもご意見をいろいろ聞いてきました。なかなか難しい言い方はしておりましたけれども、今回のシステム構築に当たり、中央図書館の利用やシステム等々も検討されたのか。そして、さきの学校の寄託図書も合わせて運用してトータルでやっていくと、もしかすると経費的に安くなるのかもしれません。そんな検討をしたのかどうか、そして、検討した結果、こういう形になったのだということで、その経費的な根拠をぜひここでお示し願いたいと思います。
それから、きょうは中央図書館の長谷川館長も来ていらっしゃいますけれども、この検討に当たって、中央図書館に事前の検討や相談があったかどうか、これもお聞かせ願いたいと思っております。
◎梅津 学校施設担当部長 中央図書館の配送システムを利用しないのか、あるいは、経費的な話も含めて検討したのかというご質問でございます。
先ほどもお答えいたしましたとおり、今回の事業につきましては、予算計上に当たりまして貸し出し頻度は一つの園当たり週1回程度を想定しているものでございます。中央図書館の配送システムにつきましては、各地区図書館、あるいは区民センター、地区センターの図書館施設を結ぶものでございまして、毎日、大量の図書をルート配送することで成り立っているものでございます。このルートに週1回程度の利用が想定される市立幼稚園の13園を加えることは必ずしも妥当ではないと考えますが、検討に当たりまして、あえてこのルートに乗せるとすればという試算をした結果は約400万円ぐらいの経費増になるのではないかという見込みでございました。
一方、
先ほどお話し申し上げましたとおり、寄託図書の制度につきましては、個別の学校と1対1で結んでございまして、この配送システムを使った場合は今年度の予算で言いますと68万円ぐらいということでございます。これらのことから、費用や効率性の面で既存の寄託図書の配送システムを活用することとしたものでございます。
◎長谷川 中央図書館長 この幼児絵本ネットワークセンター事業に当たりましては、今、梅津部長からお話がありましたとおり、配送のやり方などについていろいろご相談を受けております。
◆宗形雅俊 委員 今、配送の件で、少しでも経費が浮けばということですが、私は、ずっと話を聞いていて、全部が固定概念で動いているなという感じがします。中央図書館も、確かに各区の図書室、地区センターへの貸し出しシステムがあり、それは固定していて、そこに加えていくと経費増になるということです。
比較はできませんが、私も過去に民間の会社にいたときにそういう配送業務がありました。契約をしていまして、きょうは配送があったり、なかったりはありますけれども、そういう組み方をすれば配送も行けると思うのです。そして、寄託図書の話があって、現在は寄託図書のやり方に乗っていくという梅津部長の話でしたが、もう少し広い意味で検討を加えてみたら、また、今あるからそこに乗せていくということもありますけれども、もっと発想を平らにして、チャラにして、改めて組んだらどうなのだと。いわゆる図書室の過去からの経験則も含めてありますでしょうし、それから、中央図書館に行ったときに、幼児教育センターや学校図書と中央図書館が担う役目は違うというお話も聞きました。だから、この事業として補完することについてなじまないということもあるのですね。ただ、それについてもスキームの問題であって、改めて一緒になって合同でやっていこうという発想をすれば、そして、今の仕組みをうまく利用すればどうできるのだと、ずっと聞いていてもそういう発想がないのですね。ですから、もう一度、余地があるのであれば、ぜひ改めて中で検討していただきたいと思っております。
それでは、この件についての最後ですが、読み聞かせ、大型絵本があるのですけれども、今は電子書籍がさまざまに発達してきています。変な例ですけれども、昔、カラオケは8トラックから始まって、カセット、VHD、LD、今は通信カラオケということで、通信でいろいろな情報がとりやすくなっております。先ほど、幼児の教育的な効果というお話を聞かせていただきましたが、当然、先生が
子どもたちに読み聞かせるということも大事でありますけれども、社会情勢、時代の変遷も出てくると思うのです。そうすると、いろいろな考え方がありますが、今、学校ではデジタルテレビも来ていて、そこから通信で取り込める、そして、電子書籍で絵本が出てくるという可能性もあります。そういった将来の方向性への対応について、突然で申しわけないですけれども、その辺の見解だけを教えてください。
◎北原 教育長 電子書籍の活用等については、今、中央図書館でも実践的な
取り組みを進めようとしているところであります。
ただ、学校において大型テレビ等を使っての活用等を考えたときに、現在でも実物投影機を使って大型画面に投影して
子どもたちに見せることは可能であります。その活用は、今後いろいろな形で研究を進めていかなければならないと思っておりますが、同時に、手にとって本を見ていく、紙ベースの本に触れていく経験もまた貴重なものだというふうに思っております。その両方をあわせて、この後、
子どもたちのためによりよい教育環境を提供していくことを考えていかなければならないというふうに考えているところです。
◆宗形雅俊 委員 この件につきましては、さまざまありますし、これに限らず、こういう仕組みを組むときに、発想の転換を……(発言する者あり)済みませんが、私が質問しております。ぜひ、そういった発想を持っていただきたいということを言っておきたいと思います。
次に、中高一貫教育校整備事業について質問いたしたいと思います。
中高一貫教育校については、我が会派も、過去より、当然、札幌市も公立として設立すべきではないかと訴えてきたところでもあり、私どもも先進事例として全国の中高一貫教育校数校の調査を行ってきたところです。本市も、検討協議会を初め、さまざまな経緯を経て、平成23年3月に中高一貫教育校設置基本構想を策定したと聞いております。そして、現在の開成高校を市立中高一貫教育校として、平成27年4月に開校すると決めたと聞いております。
まず、今回の整備事業の内容を改めて教えていただきたいと思います。
それから、基本構想の策定に当たり、本年1月25日と聞いておりますが、文教委員会において基本構想案の説明と質疑を行ったと承知しております。その後、構想決定までの経緯、そして、この構想について、市議会に決定したという正式な説明等があったのかどうか、これも含めてお答え願いたいと思います。
◎金山 学校教育部長 まず、1点目は、施設整備に係る基本計画の目的、内容についてのご質問だったかと思います。
中高一貫教育校は、既存の中学校、高等学校とは特徴の異なる部分が多い学校でございます。札幌市で設置する中高一貫教育校においては、基本構想にもございますとおり、その特徴を最大限に生かした教育活動の展開を想定しておりまして、校舎についてもその教育活動に適したものとすることが重要であると認識しております。また、新校舎につきましては、既設の校舎が立地している敷地に建設することから一定程度の制約がかかることが想定されます。そこで、施設整備に係る基本計画として、想定される教育課程等を検討した上で、中高一貫教育校に求められる機能や校舎の配置箇所の整備、仮設校舎の要否など、建設費用も含めて調査し、まとめることを予定してございます。
2点目の基本構想を持ってからその後のご説明ということでございますが、現在、この基本計画につきましては、あくまでも調査を前提とした内容の計画でございまして、調査の内容を踏まえまして改めてまたご説明を申し上げたい、このように考えてございます。
◆宗形雅俊 委員 私も、この基本構想を見せていただきました。また、先ほどもお2人の委員が中高一貫教育校について質問しておりました。
基本構想等々が出まして、この中でも課題、留意点などを挙げております。今後、この課題について詳細な具体案を検討されていくと思いますけれども、中高一貫教育校の設立を望むものの、市民とかけ離れてはいけませんし、札幌市としても初めての公立中高一貫教育校であるので、教育界や市民の関心は大きなものになっていると思っています。そして、その具体化した学校像を早く市民に示すべきと考えておりますし、基本構想の中での課題やパブリックコメントに対する課題などにいち早く
取り組み、公にも示す責任があると私は思っているところです。
この課題について、同窓生や市民の方々から私のところにもさまざまなご意見や問い合わせをいただいているところでございます。基本構想では、学校規模は1学年4学級、総学級数は24学級でありますが、開成高校が現在1学年8学級の総24学級でありますから、中高一貫になればクラブ活動等も課題の一つであると思っているところであります。特に、運動系のクラブ活動などを考えましても、中学期と高校期の体力差、また、中体連、高体連などの組織の違いがあり、その点も工夫していくというふうにお聞きしておりますが、グラウンドや体育館の活用はどのような対応をしていくのか。また、今までの高校から学級数が半分になるということですから、従来のクラブ数、綿々と続くクラブのレベルの維持、あるいは、低下につながらないかと危惧する声もあります。そういった認識をどのように持っていらっしゃるか。そして、中高一貫校は、異年齢集団による交流での学び合いがある反面、基本構想の課題、留意点にもありますけれども、生徒会組織の問題、構成はどのように考えているのか、また、中学期のリーダーシップの育成を具体的にどのようにしていこうとしているのか。基本構想はこれから検討だと思いますけれども、その方向性なりでも示していただければと思います。
◎金山 学校教育部長 まず、部活動に関してのご質問がございました。
基本構想に示しておりますように、幅広い異年齢集団による活動を重視する観点から、部活動につきましては、基本的には中・高合同で行ってまいりたいと考えておりますが、特に、体育系部活動の種類につきましては、ルールの違い等から中・高を別々に行う必要があるものも想定されます。したがいまして、今後どのような部活動を行うかも含めまして、校舎や体育施設の配置などについて検討を進めてまいりたいと考えております。
2点目に、部活動の縮小についてというご質問がございました。
学級規模の減少に伴う部活動の規模につきましては、検討すべき課題であると認識しております。今後、開成高校の伝統も踏まえながら検討していく必要があると考えております。
しかしながら、札幌市における学校の適正規模につきましては、中学校で1学年4から6学級、高校では1学年4から8学級としてございまして、1学年4学級の札幌市が設置する中高一貫教育校につきましては、双方の適正規模を満たしていることから一般的な部活動を展開することは可能であると考えてございます。
また、異年齢の交流ということでお話がございました。異年齢の交流によって年少者が不適応になるのではないかと懸念される声もございます。先進事例によりますと、実際にはそういう問題はなかなか散見されなく、十分な教育効果があるという報告もございます。一方、高校段階の生徒がリーダーになってしまうことによって、中学校段階によるリーダーシップの育成が困難になるという懸念も指摘されております。原則、6年間の一体的な活動ということを考えながらも、今後、検討を重ねてまいりたい、このように考えてございます。
◆宗形雅俊 委員 要するに、4学級から8学級までだから、4学級で合致しているからいいのだという発想ではないと僕は思うのです。そうであるけれども、運営していくときに、新しい学校であればゼロからの出発ということです。中高一貫という形でありますけれども、既存の開成高校から行くということで、移行するための課題にはいろいろな意味で大きなものがあると思います。その中で、今まで続いたクラブの伝統的なものが、少なくなることによってクラブ数が少なくなる、また、数は同じでも部員が少なくなると。それから、今、運動系も中・高と一体化するということで、いいものがあるかもしれないけれども、体力差や技術の差がどちらへ引っ張られていくかということもあると思うのですね。これは、これからプロジェクト等で検討していく材料だと思うのですけれども、相当大きな問題ですから、私どもは、もう倍ぐらいの敷地で、あそこでとれるかどうかはわかりませんが、本来はそれぐらいのことを想定していくべきではなかったかと思っているところです。
続きまして、中高一貫教育校の新設だと言いましても、市立開成高校は歴史があります。そうすると、市民の皆さんや地元の方は、やはり開成高校のイメージを持ち続けていくと思うのです。中高一貫でもそれがベースにあるのだろうと。それから、基本構想でも伝統を守りつつということがありました。
そうすると、先ほども受験が悪みたいな話をしていますけれども、選抜するときには何かの手段があるわけです。それから、学力偏重ですが、やはり、人間性を持ちながら片方で学力のレベルを上げていくことも大切なことだと私は思っているところです。そういう意味では、開成高校の学力的な維持、また運動系の維持というのは、市民の皆さんは従来のイメージを持っていると思うのです。少なくとも、中高一貫についても、今まである開成高校の位置づけ、学力にしても、スポーツにしてもそういう位置づけを持ちながら皆さんは来ると思うのですね。確かに、中高一貫の選抜方法は全国的にも学力検査は行いません。この基本構想にありますが、適性検査、作文、面接、調査書、抽せんと入っております。ただ、やはり学力的な維持、運動系の維持という期待も、私はこの中高一貫にはあるのではないかと思っているところです。
そういう意味では、全員が来て、適性検査ですけれども、どこかで基準を持ちながらやっていかなければならない。それは学力的な意味等々もあるわけで、選抜方法はこれからだと言っていますけれども、その担保をどのようにしていくのか、お聞きしたいと思います。
もう一つは、今、プロジェクト等々で検討していますというお話ですけれども、そういった課題、カリキュラム等々について検討して、これをいつまでにつくり上げて公にしていくのか、そのスケジュールを教えていただきたいと思います。
それから、私の知り合いに開成高校の出身者がいます。同窓会などの役員もしています。聞きますと、開成高校は、中高一貫になると卒業カウントはどうしてくれるのだということもすごく気にしているのですね。僕は、これは大事なことだと思うのです。ですから、そういったことも含めて、その辺の方向性もお示し願いたいと思います。
◎金山 学校教育部長 開成高校の伝統に絡んで、学力の維持というご質問だったかと思います。
先ほどもお答えしましたけれども、現在、プロジェクトチームを設置しておりまして、高校教員5名のうち、開成高校の教員が3名参加しております。その中で、開成高校の校内検討組織との連携を図りながら、開成高校のベース、伝統になる部分と中高一貫教育との兼ね合い、これらのことを検討しているところでございます。内容については、これも先ほどもご答弁いたしましたが、中高一貫教育校のねらいとしている課題解決的な学習、あるいは、学ぶ意欲とか主体性をはぐくむなどの内容をベースにしまして中高一貫教育校のあり方をさらに検討してまいりたいと考えてございます。
それから、2点目のスケジュールにつきましては、基本構想に基づきまして具体的な教育課程の編成や入学者決定の方法、あるいは校舎の設計、建設、その他学校運営を行う上で必要な事柄の整理など、さまざまな検討事項がございます。今後、検討事項の洗い出しを行った上で、年内には詳細なスケジュールを整理するとともに、適切な時期に開校準備室を設置するなど、
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
なお、卒業のことについては、今後の検討課題の一つとして押さえております。
◆宗形雅俊 委員 今、2番目の質問の中で、具体的なソフト的カリキュラムを含めてと、年内スケジュールはことし中にと、要するに、それをまとめるのではなくて、その方向性が、年内スケジュールというのは年内に決まるということですか。要するに、中身を年内中に発表できるということではなくて、カリキュラムの方向性は、それはいつまでにやり上げるのですか。開校までですか。
◎金山 学校教育部長 今のご質問は、カリキュラムも含めて年内に一定程度の方向性を出していきたいと、スケジュールの方向性を出していきたいということで今考えてございます。(発言する者あり)
○
五十嵐徳美 委員長 宗形委員、もう一度質問してください。
◆宗形雅俊 委員 ですから、カリキュラム、それから、今の課題の、いわゆる進め方のスケジュールは年内中に決めますと。それがかたまるというか、カリキュラムは何だ、課題解決はこうしますというもの、これはいつまでに出すのですかという質問です。
◎金山 学校教育部長 先ほど段々の中でいろいろ課題がございました。校舎を建設するためには、それなりの教育内容を設定しなければなりません。さらに、それに合わせまして、それぞれの教育内容をまた決めていかなければならないということになりますので、個々にスケジュールが変わってくるかと思います。ただ、スケジュールの内容につきましては、今年度内にいついつまでにも含めまして整理していきたい、このように考えております。
◆宗形雅俊 委員 もう最後にしますが、今のスケジュールは、僕は大変重要なところだと思うのですよ。というのは、今、進めていく上で、年内中にここまでと。ただ、開校直前に出て、こうだったと。ところが、いろいろ中身を見ると、中高一貫はいいけれども、中身のいろいろな問題について、内容のいろいろなやりとりができる、審議ができるようなたたき台ができ上がって、それが必要だと思うのですね。そういう意味では、開校直前とか半年前というよりも、もう少し早い段階で一回示しながら、そしてまた、いろいろ広く意見交換をしながらいい学校をつくり上げる、そういう方向性を持っていった方がいいのではないかということをご指摘して、終わりたいと思います。
○
五十嵐徳美 委員長 以上で、第1項 教育委員会費等の質疑を終了いたします。
次に、議案第9号 札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案の質疑を行います。
◆
伊藤理智子 委員 この市立学校設置条例案は、2007年12月に札幌市立小中学校の学校規模の適正化に関する基本方針と札幌市立小中学校の学校規模の適正化に関する地域選定プラン第1次が策定されて、2008年7月に真駒内地域小規模校検討委員会の準備会が立ち上げられ、2008年9月から2009年12月まで、9回の検討委員会で真駒内地域の小規模校の課題について議論されてきたものです。
今回は、真駒内小学校、真駒内曙小学校、真駒内南小学校、真駒内緑小学校を廃止して新たに二つの学校を配置するという提案ですけれども、統廃合について、
地域住民や統廃合される学校の児童、保護者から反対の声や不安な声が出されていないのか、この点について伺います。
◎梅津 学校施設担当部長 ただいま、真駒内4校の統合に関しまして、保護者等から反対の声、不安の声は出ていなかったのかというご質問でございます。
まず、小規模校検討委員会での検討期間中、あるいはその前後に寄せられたご意見の中には、校舎の選定、検討の進め方のほか、通学の安全に関する不安の声も一部ございました。これらのご意見は、すべて検討委員会にご報告し、議論の参考とさせていただきました。
それから、小規模校検討委員会から意見書をいただいた後の平成22年2月に、検討委員会における検討経過と意見書にまとめられた結果のほか、統合校開校に向けた今後の予定などにつきまして、地域の方々にご説明するため、地域説明会を開催いたしました。この説明会では、通学安全の
取り組みなどのご質問やご意見をいただきましたが、統合そのものについて反対とのご意見はございませんでした。
◆
伊藤理智子 委員 不安の声はいろいろと寄せられているけれども、反対の声はなかったということです。
しかし、保護者や地域の方々は、統廃合されてから通い始めてどうなっていくのかとか、2キロメートル圏内と言われているけれども、冬場の交通の安全など、いろいろな面で大丈夫だろうかとか、放課後の児童が生活する場所が遠くなるのではないだろうかといういろいろな声も寄せられているということは私もお聞きしております。
今後、通学の問題や放課後の問題など具体的に改善してほしいことなど、児童の声をしっかりと聞きながら、保護者からも相談があった場合に、もう統廃合が決定されたことだからと機械的な対応を行わずに、不安や心配の声がもし今後出てきた場合は、丁寧に受けとめて対応していくべきではないかと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎梅津 学校施設担当部長 今後の問題でございますけれども、児童や保護者などが不安を感じることがないよう、開校準備便りといったようなものも出しまして必要な情報を提供していきたいというふうに考えてございますが、保護者や地域の方からまた新たに不安の声、心配の声が寄せられた場合はしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
◆
伊藤理智子 委員 当たり前のことですけれども、議会という公の場できちんと確認していかなければ、今までいろいろな問題が起こったときにきちんと対応できない、機械的な対応で済ませてしまうということがあるから私は質問しているのです。
学校の統廃合については、
子どもたちの成長にとって本当にいい教育環境を保障するために、日ごろ、
子どもたちの様子をしっかりと見ている先生たちの声や
地域住民の声、保護者や、そして、何より児童の声をよく聞いて慎重に取り組むべき課題です。小学校が統廃合され、実際に真駒内地域の
子どもたちの通学が始まってから具体的に問題が出てきたらしっかり取り組むというご答弁でしたので、しっかりと取り組んでいただくことを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
○
五十嵐徳美 委員長 以上で、議案第9号の質疑を終了いたします。
最後に、議案第10号 札幌市立高等学校入学料等に関する条例の一部を改正する条例案の質疑を行いますが、通告がございませんので、質疑を終了いたします。
以上をもちまして、本委員会に付託されました全案件に対する質疑を終了いたします。
次回の委員会は、6月29日午後1時から、討論及び採決を行いますので、定刻までご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後4時29分...