一つ目といたしまして、
少子高齢化の進展あるいは
人口減少社会の到来がございます。このグラフにありますように、
少子高齢化の一層の進展により、札幌市の人口は平成27年ごろをピークに減少に転じるということが予想されております。これは、
都市成長型の
都市計画から転換していくことが求められると言えますし、この傾向は、まず
郊外住宅地の方から
高齢化、空き地、空き家の増加、
コミュニティーの維持の難しさといった点で顕在化していくというふうに考えております。
二つ目といたしまして、人の移動による
交通量の減少がございます。真ん中のグラフは
パーソントリップ調査の実績と将来推計をグラフにしたものですが、人口の減少に伴いまして
交通量の減少が予測されております。特に、通勤・
通学目的での
移動トリップ数が減少しており、これは、
公共交通網の維持、あるいは、車を運転しない
高齢者等の
移動手段をどう確保していくかという課題が顕在化していくものと考えております。
三つ目といたしまして、
二酸化炭素排出量の増加ということ、地球環境問題であります。札幌市の
CO2排出量は
増加傾向にありまして、大変見にくくて恐縮ですけれども、グラフにありますように、全国に比べて民生・
運輸部門の
排出割合が高くなっており、
都市活動に伴う排出量の削減を強化する必要がございまして、
移動交通量を短縮化するとか、
公共交通への
利用転換を図ることが求められております。こういった状況に対応して、今回、必要な
土地利用の
見直しを行っていこうということを下の黄色い部分に書いております。
次に、3番目の
土地利用計画制度の
運用方針の
位置づけであります。
左にありますように、この
運用方針というのは、
都市計画マスタープランに則して具体的に
土地利用計画制度をどう運用していくかという方針を示すものでありまして、これに則して具体的な
土地利用規制を定めるという関係になっております。右側にそれを拡大して構成を書いておりますが、目的と
位置づけに始まって全部で5章立てで構成しておりまして、とりわけ4番の
土地利用計画制度の
運用方針の中で、都心とか
住宅地、そういう
土地利用の
区分ごとに、右にあります1の
マスタープランの考え方、2の現況・動向・課題、3の制度の
運用方針、こういう構成で組み立てております。今回、これを見直すわけですけれども、
都市計画審議会において、左下にあります今日的な社会・
経済情勢を踏まえた
土地利用のあり方ということでこれまで議論をしていただきました。その結果あるいは提言を踏まえて今回見直そうというものですので、この
都市計画審議会での成果を資料としておつけしております。
資料の3をごらんいただきたいと思います。
表紙にありますように、全部で三つの構成になっておりまして、この6月にまとめていただきました。逐一のご説明はいたしませんが、中身をご確認いただくとすれば、1ページ目には、今も触れましたような
マスタープランの内容を確認した上で札幌市の現況あるいは課題をデータ的に見てまいりました。その上で、2ページ、3ページですが、都心や
高度利用住宅地等々の
土地利用の区分別に課題を確認し、下に
都市計画審議会や
関係団体意見とありますが、この間、そういう
意見交換もやってまいりまして、どういう意見があったかということを整理いたしております。3ページもそういう形で
一般住宅地、
郊外住宅地について整理をし、成果といたしましては、4ページの地域別の
土地利用のあり方ということで、今申しました都心以下の四つの
土地利用区分ごとに大きく三つの
括弧書きで区分して整理されております。
一つ目の(1)が、これまでやってきていることを今後も引き続きやるべきであろうという内容の整理、確認、そして、今回対象となっておりますのが(2)の
土地利用計画により新たに取り組むべきこと、これは後ほどご説明させていただきます。そして、(3)として、なかなか
土地利用だけでは難しい、取り組むべきことがありますので、いろいろな施策と連携してこういうことをやっていくべきであるということも案としていただいております。このような、
都市計画審議会の議論を受けまして、今回、
運用方針の
見直し案をまとめたところです。
資料1に戻っていただいて、資料1の右側に移ります。
ここでは、上段の4番、
エリア別現状・課題、そして、下の5番の
運用方針の
見直し内容ということで整理し、縦に3列で組み立てております。3列それぞれのご説明をさせていただきたいと思います。
まず、左側の1大
規模店舗と
共同住宅の
立地動向というところです。
この図も小さくて恐縮ですが、赤い点が2000年以降の1万平方メートル以上の店舗の
立地箇所を示しております。近年、
郊外部での立地がふえてきているということが確認できると思います。また、青い点は、2005年から2008年までの
マンションの
立地箇所でありまして、濃い
オレンジ色の部分は、
高度利用住宅地と申しておりますが、そこでの立地がふえてきていることが確認いただけると思います。これらにかかわる課題を下の赤枠のところに書いておりますが、こういった動向の中で、特に
郊外住宅地で車を運転しない高齢者の
生活利便をどう支えていくかということが大きな課題になってまいります。
そこで、黄色い部分の
見直しテーマ1として、
生活利便機能の
適正配置ということを掲げております。このテーマにおいては、超
高齢社会の到来を見据えまして、市街地内のあらゆる地域において歩いて暮らせる
まちづくりを目指すために、買い物や医療、福祉などの
日常生活に必要な
利便性の確保を図ろうということであります。具体的には、下に青く1、2、3とありますが、1として、
郊外住宅地で身近な範囲に
生活利便施設が立地できるように
土地利用制限を緩和したいということであります。2といたしまして、駅から遠いなど
公共交通利便性が低い地域においては、大
規模商業施設の立地を制限していこうということであります。そして、3といたしまして、地下鉄駅周辺などで
生活利便機能の向上に貢献するような
建築計画に対しては、容積率の緩和などで柔軟に対応していこうという考えであります。
次に、真ん中の列ですが、一番上の図で青く点々で書いてありますのは、建物の階数が1〜2階程度の建物を表示しております。
ごらんのとおり、ほとんど
低層住宅になっていますが、現行の高さ制限を見ますと、黄色い線で囲んでいるところが27メートルの高さ制限、左側の緑の方が10メートルと。これは、
土地利用規制のいきさつで現在こうなっているわけですが、左の図で見ましたように、近年の
マンションの
立地動向が非常に
利便性の高いところに集中していく、あるいは、
都心居住志向になってきており、こういう比較的
郊外部のところでは、今後、
マンション立地需要というのは非常に低いというふうに考えております。そのため、こういう場所では、今は27メートルでおよそ9階建てまでの
マンションが建つという規制になっておりますが、むしろ、今の
社会状況の変化をとらえますと、現行の住環境を保護するという側に若干シフトして、高さ制限を強化することを考えたいと思っております。
そこで、
見直しテーマ2として、
住宅市街地の住環境の維持・増進、
地域特性を捉えた
まちなみの形成と掲げております。具体的には、4といたしまして、これは
高度利用住宅地で、こういう場所はもちろん地下鉄の沿線とか都心の周辺ですけれども、基本は
高度利用を図っていくべき地域であります。ただ、それでもやはり
低層住宅がまとまっている地域がございますので、そういうところでは、住民の方々、権利者の方々の合意のもとですが、住環境を守ろうということであれば高さ制限を強化するということで対応していきたいということであります。これは、もう既に何カ所か、事例はございます。それから、5としましては、上の図のような
一般住宅地あるいは
郊外住宅地の
幹線道路沿道においては、現在の良好な住環境、あるいは、広がりのある景観を維持するということで、高さ制限を強化したいと考えております。そして、6は、高さ制限を一
たん強化はしますけれども、一律に強化するだけではなくて、
周辺環境や
自然環境に配慮した良好な
建築計画ということであれば柔軟に緩和するということも一方で用意したいというふうに考えております。
最後に、右側の列ですが、右上の図は、
都心部周辺の
マンションの
立地動向を示しておりまして、点々になっている青い表示が1990年代の
マンション、赤い方が2000年代に立地した
マンションであります。
一目瞭然ですけれども、地価の下落等の要因もあり、
マンション立地が徐々に都心の中に来ている傾向にございます。都心部に
マンションが建つことは、いわゆる
都心居住を推進するという意味で推進すべきだというふうに考えておりますけれども、他方で、都心部の商店街の連続性とか
にぎわいの確保という意味で、純粋な
マンションというよりも、やはり、低層部がお店などになることが望ましいだろうと。
そこで、
見直しテーマ3としては
都心機能の更新・誘導と掲げております。具体的には、7で書いておりますように、
共同住宅の低層部は
にぎわいを生み出す用途とするような、これは地元の皆さんと一緒にですが、そういう誘導策を検討していきたいというふうに考えております。
以上、三つの
見直しテーマに基づきまして
土地利用計画制度の
運用方針の修正を図っております。具体的には、資料が非常に細部にわたるので逐一のご説明は省略いたしますけれども、資料4では
見直し案と、それから、37ページ以下に
新旧対照表を掲げさせていただいております。
最後に、今後の
スケジュールについてご説明したいと思います。
資料2をごらんいただきます。
まず、上に
用途地域等全市見直しの全体
スケジュールというものがあります。本日ご説明しております
運用方針の
修正素案につきましては、7月から
パブリックコメントを実施して
市民意見をいただき、必要な修正を加えて9月ごろに決定したいと考えております。
パブリックコメントの
実施概要は、下に掲載のとおりです。
そして、その後、決定した
運用方針に基づきまして具体的な
用途地域等の変更案をつくり、これも
パブリックコメントを実施した上で、多分、来年の4月早々になると思いますが、新しい
土地利用の
規制内容の決定をしたいというふうに考えております。
○
三宅由美 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
宗形雅俊 委員 起立させていただいて、冒頭、
財政市民委員会の
構成メンバーであります公明党の高橋 功議員がご逝去されました。私も、同じ区の
選出議員として、仲間として、大変残念に思っております。まずは、哀悼の意を表したいと思いますので、そのことを申し述べて、質問を始めたいと思います。
それでは、着席させていただきます。
まず、今、部長からご説明いただいた
土地利用計画制度の
運用方針の修正についてということで、平成16年に札幌市
都市計画マスタープランが策定されて、それに基づいた
土地利用計画制度の
運用方針のもと、平成18年に
用途地域等全市見直し、そして、昨年には
区域区分を
見直してきたということでございます。今般、前回の
見直しから5年が経過し、
社会情勢の変化や昨年の
パーソントリップ調査の分析結果などを踏まえて、平成22年度から23年度にかけ、
用途地域等全市見直しを行うとし、その前段として、基本的な考え方となる
土地利用計画制度の
運用方針の
見直しに当たって、札幌市
都市計画審議会で検討を進めたと聞いております。この検討の進め方として、
審議会の中に
土地利用計画検討部会を設置して、平成22年10月に第1回が開催され、今日まで、途中2回の
都市計画審議会への
中間報告を挟み、6回開催されてきたと聞いております。
2点、質問したいと思います。
今、星部長から概要の説明がございましたけれども、整理をする意味で、まず、1点目は、今回の
土地利用の
運用方針の
見直しの目的について、改めて簡潔にお尋ねしたいと思います。
それから、今年度中に
土地利用運用方針、
用途地域等の
見直しを決定するということで、
スケジュールは、今のプリントにあるとおり、9月までに
パブリックコメントをして
運用方針を決定する、その後、
用途地域を決定するのが今年度中ということですけれども、この
運用方針の策定以降、具体的に何回ぐらい
審議会を開催するということも含めて、改めて詳細な
スケジュールを具体的にお知らせ願いたいなと思います。
まずは、この2点をお願いします。
◎星
都市計画部長 まず、1点目の
運用方針の
見直しの目的についてであります。
現在の
運用方針は、先ほどもご説明しました
都市計画マスタープランの目標である持続可能な
コンパクトシティへの再構築を実現する上で、
土地利用規制の運用のあり方を整理して平成18年に策定したものです。今回の
見直しは、この目標を実現するという意味では同じですけれども、
社会経済状況の大きな変化がございますので、それに的確に対応する形で
土地利用計画制度を変更すべき点があるだろうと。その点を明らかにすることを目的に、具体的な
制限内容を決める前段として
運用方針の
見直しを行おうということでございます。
次に、2点目の具体的な
スケジュールということでございます。
若干繰り返しになりますが、
土地利用計画制度の
運用方針につきましては、7月の
パブリックコメントを経て9月ごろまでに決めます。その上で、
用途地域の
見直しは、
運用方針の策定に引き続き、10月ごろまでに素案をまとめた上で、11月中ごろになるかと思いますけれども、
パブリックコメントを実施いたします。また、その実施に合わせまして、
パブリックコメントだけではなくて、市民や事業者の皆さんに
見直しの素案を広く周知するために説明会なども行ってまいりたいと考えております。
都市計画審議会といたしましては、
パブリックコメントの前に、まず素案をお示しし、その後、案をつくった段階で
事前説明、そして、来年の2月か3月になりますが、正式な法律上の諮問ということで、都合3回、
都市計画審議会にはご説明あるいは審議をいただきます。そういうことで、最終的には年度をまたいで4月になってからかもしれませんが、
用途地域の最終的な決定ということを考えております。
◆
宗形雅俊 委員 もう一つ、説明をしていただいたのにまた改めてという話になるかもしれませんけれども、今回の
運用方針の
見直しは、前回の
策定時点からの
社会情勢の変化や
パーソントリップ調査の分析結果を踏まえているということで、先ほど超
高齢化とかありましたが、
見直しの
ポイントについて端的に説明していただきたいと思います。
それから、
土地利用の
運用方針の
見直しの意義ということで、市民にとって、また、
札幌経済にとっての
メリット、影響、それから行政としての
メリット、これをどう見ているのか、その認識をお聞かせ願いたいと思います。
◎星
都市計画部長 まず、1点目の
見直しの
ポイントについてでございます。
今回の
見直しでは、
少子高齢化が進む中で、
生活利便性の確保あるいは低
炭素型都市、CO2の
排出削減ということ、そういう社会を構築するというような今日的、社会的な要請がございますので、それに対応すること、さらには都市として札幌の魅力を高めていく、そういうことを目指そうというものです。これらのことに対応するために、今回の
見直しにおいては、
日常生活における
利便性の向上、
低層住宅地を主体とする地域の住環境の保護、さらに、都心の
にぎわいの連続性の確保、大きくはその3点を主要な
ポイントとして考えております。
次に、市民や札幌の経済あるいは行政として、
メリットはどういうことがあるのだろうかというご質問です。
今申し上げました三つの
ポイントは、いずれも市民にとっては住みやすい
まちづくりにつながるものだろうというふうに考えております。また、札幌の魅力あるいは美しさが向上して、都市としての価値を高めるということは、経済の
活性化にもつながっていくだろうというふうに考えております。さらに、行政としてはということでございますけれども、市民の
生活環境の向上、あるいは、経済の
活性化を図るということ、これ自体がまさに行政として目指しているところでございますので、札幌の
まちづくり全体に大きな効果があるというふうにとらえております。
◆
宗形雅俊 委員 もう2点聞きたいのですが、資料1の
土地利用計画制度の
運用方針の5章になっている中で、4の(2)に多
中心核都市構造の話が載っていました。
マスタープランの中に
地域中心核等の
位置づけなどもあったのですけれども、今回、その辺はどうなるのか、1点お尋ねいたします。
それから、
マスタープランの中で、
コンパクトシティということで市街化のお話ですが、今後、
市街化調整区域についてはどんな方針なのか。今までどおりなのか、何か違うことを望んでいくのか。今回、これは議論されていないと思うのですが、将来の
市街化調整区域のあり方についてどういう方針で行くのか、その辺も改めて見解を教えていただきたいなと思います。
◎星
都市計画部長 まず、今回お示ししております
運用方針の修正の中で、
地域中心核というのはどういうふうに考えているのかということです。
今おっしゃっていただきましたように、
都市計画マスタープランあるいは
土地利用計画制度のもともとの
運用方針の中で、
地域中心核の
土地利用というのはやはり高度な
土地利用を進めるべきだという方向性を示して、これに基づいて
土地利用規制を行っております。この方針は堅持していく考えであります。
その上で、今回の
見直しにおいては、
地域中心核を含め、
公共交通の
利便性が高い地域においては、
コンパクトシティの概念をより積極的に進めるという意味で、
都市機能の複合化あるいは
土地利用の高度化を誘導するためにさまざまな
規制緩和を行う仕組みをつくる、そういうことを盛り込ませていただいております。
それから、
市街化調整区域にかかわる今後の方針ということでございます。
まず、
市街化区域と
調整区域を区分する
区域区分ですが、
市街化区域のあり方ということにおいては、前回の
市街化区域の
見直しにおいても方向性を示させていただきましたけれども、今後は、やはり、
人口減少を迎えて新たに市街地を拡大していくという時代ではないだろうということを基本に考えております。
その上で、
市街化調整区域の
土地利用ということですが、
自然的環境の保全と調和を図ることが基本だと思っています。これは、今回、
見直しを行っております
運用方針とは別に、
市街化調整区域の保全と活用の方針というものを平成18年に策定いたしまして、
自然環境の保全と創出、優良な農地との健全な調和、さらには秩序ある
都市的土地利用の誘導など、許容できる
土地利用を明らかにしております。これにつきましては、適宜、
見直しを行ってきておりますし、今後も
社会状況の変化に応じて
見直しを行い、
調整区域の適切な
土地利用を誘導していくというふうに考えております。
◆
宗形雅俊 委員 わかりました。
そこで、今回の
土地利用運用方針等々のことですけれども、今、札幌市も札幌市
まちづくり戦略ビジョンというものを策定しているかと思います。そういう意味で、
土地利用の
運用方針というのは、
ハード面の
まちづくり戦略に非常に大きな影響を及ぼすと思うのです。私の感覚からすれば、我々
自民党会派は、過去から、
上田市長に将来
ビジョンをつくるべきだということをずっと言っていましたけれども、今回それに呼応するように
まちづくり戦略ビジョンを策定するということで、今、準備を進めているところですね。そう考えますと、その一番のベースの
まちづくり戦略ビジョンがあって、それを示された上で、今回の
土地利用のあり方等々も含めて、基本的な考え方があって、それに乗ってやっていくのが本来の順番ではないのかなと思っているところなのです。策定中の
まちづくり戦略ビジョンは平成25年3月に確定、公表というふうに聞いていますが、この辺で
ビジョンとの整合性はどうとっていくのか。私とすれば前後が違うかなという気がするのですが、今進んでいますけれども、その整合性の問題についてお聞かせ願いたいなと思っています。
◎相原 市民
まちづくり局理事 今回の
土地利用計画制度における
運用方針の
見直しということにつきましては、繰り返しになるかもしれませんけれども、急激な
高齢化の進展や低炭素社会の構築といった今日的課題かつ将来を見据えた上で、時代の要請といいますか、そういうものにこたえていく、そのために
見直しを行うということでございます。先ほどのご質問にもございましたとおり、この検討におきましては、これまで、
都市計画審議会などで幅広いご議論をいただいて、今回、その内容を踏まえて修正の素案をまとめさせていただいたところでありまして、私どもといたしましては、この機会をとらえて速やかに
運用方針を
見直し、さらには、それに引き続いて
用途地域等の
見直しを進めることで札幌市の
まちづくりに生かしていきたいというのが基本的な考え方でございます。
その上でお答えいたしますが、ご質問がありました
まちづくり戦略ビジョンとの整合をどう図っていくのかということでありますけれども、
まちづくり戦略ビジョンというのは、まさに札幌市の新たな
まちづくりの基本的な指針ということでございます。当然のことではありますが、その
ビジョンで示されるさまざまな考え方については、我々としては、
都市計画マスタープランというのも一つの部門別の計画でございますので、そういったさまざまな考え方に沿いまして、我々が今運用している、基本となっている
都市計画マスタープランの
見直しを行うこと、さらには、必要な
土地利用計画制度の
見直しも行っていくことが必要だろうと思っております。そのため、
ビジョンの策定の推移、その内容については注視をして整合を図ってまいりたいというのが基本的な考えでございます。
◆
宗形雅俊 委員 最後ですけれども、この考え方は、
コンパクトシティを含めて、総論としては私も非常にわかるわけです。特に私のいる南区というのは、
市街化調整区域が多く、人口が減ってきているということで、この考え方はわかります。しかし、ミクロの考え方をしますと、やっぱりいろいろな意味で取り残されているなと。私も地元を回ったりしますと、まさにさっき
調整区域の問題ですけれども、どんどん
高齢化していって息子や孫の代になったときに、
調整区域であるために土地の活用がなかなかできないという規制がある、かといって、やっぱり昔から住んでいる代々の土地から離れられない、こんなようなジレンマを感じる方も多いのです。そういったようなところでもぜひいろいろなことを聞きながら、
市街化区域もそうですが、
調整区域についても、いろいろと制約もあると思いますけれども、今後、
土地利用のあり方も含めていろいろな面で弾力的な検討をしていただきたいなと思っています。
それからもう一つ、
土地利用の
運用方針の中で、がちがちに規制するのではなく、環境に配慮すれば高さ制限の緩和等々もある程度考慮しているということですから、これから、いろいろな投資を含めて、当然、市民の利益もありますけれども、
札幌経済を
活性化をするために、規制をかけながらも、ある意味ではさらに弾力的な運用ができるように要望して、私の質問を終わりたいと思います。
◆宝本英明 委員 私からも、昨日、急逝されました公明党の高橋 功議員に、心からご冥福をお祈り申し上げて、質問に入りたいと思います。
私からは、
郊外住宅地における諸課題への対応について伺わせていただきたいと思います。
皆さんもご承知のとおり、札幌市の人口は、今後、2015年からは減少に転じていくといったことが予測されております。ただ、その一方で、
高度利用住宅地、いわゆるまち中では高層
マンションの立地がふえてきておりまして、逆に人口がふえてきている、そういった状況にあります。この状況を考えますと、
人口減少に伴う諸問題はまず
郊外住宅地から顕在化をしてくる、そういうふうに考えられるのではないかと思います。
郊外住宅地ではもう既に人口が減少をしてきておりまして、それは、単に人口が減少しているだけでなく、例えば、厚別区のもみじ台地区を初め、昭和40年代に造成されました団地では住民の
高齢化も本当に著しい状況になっております。そのような
郊外住宅地に住む高齢者の
生活利便を確保していくといったことは、行政として非常に重要な施策であります。私としては、
土地利用施策の観点からも、
生活利便施設の立地緩和に対しては直ちに実施していくべきだと考えます。年をとったら郊外からより便利なまち中の
マンションに引っ越せばいい、そう言う方もいらっしゃるかもしれませんが、現実にはなかなかできることではないと思います。
そこで、質問ですが、
郊外住宅地の
少子高齢化に対応して、これまで
都市計画としてどのような施策を講じてきたのか、それから、今回の
見直し内容の一つに
郊外住宅地における
生活利便施設の立地緩和とございますけれども、具体的にどのような方策を考えているのか、伺いたいと思います。
◎星
都市計画部長 まず、1点目の
郊外住宅地の
少子高齢化に対応したこれまでの
都市計画施策ということです。
平成18年、これは
用途地域の全市
見直しを行ったときでありますが、このときに、第1種低層住居専用地域、これは12種類の
用途地域の中で一番厳しいもので、
低層住宅の環境を保護する目的の
用途地域ですけれども、この第1種低層住居専用地域で容積率の緩和を行いまして、2世帯住宅などのニーズへの対応を図っております。それから、今お話にありましたもみじ台とか青葉町などにおいて、これまで
地区計画によって
土地利用を非常に厳しく制限しており、戸建てしか建たないという制限になっておりましたけれども、地域の皆様とお話し合いを重ねまして、
高齢化に伴うニーズの変化を踏まえて社会福祉施設が立地できるような緩和を行いました。さらに、あいの里のような計画的な住宅団地においては、集合住宅や学校が予定されていた地区につきまして、住宅需要の変化とか児童数の減少に対応して柔軟に
土地利用計画の変更を行ってきております。
次に、今回の
見直しにおいて、
郊外住宅地における
生活利便施設の立地緩和とは具体的にどういうことかということでございます。
郊外住宅地では、今申しました第1種低層住居専用地域が広く指定されておりまして、コンビニエンスストアも立地できないようなところがございます。こういう場所においては、やはり、歩いていけるところに少しでも店舗が立地することが望ましいと考えておりますので、主要道路の沿道などの
用途地域などを変更いたしまして、コンビニとかスーパーマーケットの店舗立地の可能性を広げていくという措置を講じたいと思っております。
◆宝本英明 委員 私としては、
生活利便の確保に限らないで、
郊外住宅地に住む高齢者が、これからも、その場所で便利に、そして快適に暮らしていけるよう、
都市計画においても柔軟で大胆に施策展開を図っていくべきではないかと思っております。
高齢者の
生活利便の問題については、近年、買い物難民とか買い物弱者といった社会問題としてメディアなどでも取り上げられております。これらの解決策として、事業者側でも移動販売車やコミュニティバスといったさまざまな取り組みも行っていますが、札幌市においてそのような問題を深刻化させないためにも、今回の
見直し施策だけに限らないで
郊外住宅地問題に対して幅広く取り組んでいくべきではないかと思います。
質問ですが、今後さらに深刻化していく
郊外住宅地問題に対してどのように取り組んでいかれるのか、お考えを伺いたいと思います。
◎星
都市計画部長 郊外住宅地問題への取り組みについてでございます。
今ご指摘いただきましたように、
郊外住宅地の問題は、
生活利便の確保だけではなくて、さまざまな課題に対して幅広く取り組まなければいけないというふうに考えております。空き地、空き家の増加とか学校の廃止、その跡利用、あるいは、地域コミュニティ力の低下など、
郊外住宅地の著しい
高齢化と
人口減少に伴いまして進行していくさまざまな課題に対して、
用途地域、
地区計画あるいは
都市施設といった
都市計画手法だけではおのずと限界がございます。そこで、地域の良好な環境や価値を維持・向上させるための住民や事業者などによる主体的な取り組みに対しまして行政も積極的に支援を行っていく、こういうことで、
郊外住宅地問題に対しては関係部局とも緊密に連携を図りながら総合的に施策展開をしていくことが非常に重要だと考えております。
◆宝本英明 委員
郊外住宅地における高齢者の
生活利便の確保については、本当にこれからの重要な都市問題であると思います。そういった視点の中で、今後も、市民
まちづくり局のみではなくて、部局間をまたいだ連携のもと、さまざまな施策を複合的に強力に推進していただきたいと思います。
一方で、
郊外住宅地については、高齢者だけの問題としてとらえるのではなく、私としては、改めて若者の視点で考えていくことも重要ではないかと思っています。若者を誘導して、そして、子どもたちも必然的に誘導されてくると思いますが、そういった施策を実施する中で、子どもの笑顔があふれて、その笑顔で高齢者も元気になっていくまちが生まれてくるような、そういったことを期待していきたいと思います。
住宅地が造成されたころ、本当にまちにあふれていた活気を、いま一度、取り戻すためにも、子育て世帯を含む若者が魅力を感じる、そこに住みたいと思ってもらえるような
住宅地の再生にぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
◆小形香織 委員 私からは、二つの点について伺いたいと思います。一つは、
生活利便機能の
適正配置に関する部分になります。もう一つは、藻岩山、円山の天然原始林保護のことについて、並行して質問したいと思います。
1点目は、これから人口が減少する、
高齢社会が進む、そういう中で、
日常生活を送っている圏内に医療施設あるいは福祉施設があって、歩いて買い物にも行ける
まちづくりが必要だというふうに思います。ところが、郊外への大型店舗の相次ぐ出店もあって地域の商店街は壊滅的な状態だというふうに思います。身近なところでの商店街はなくなって、車でわざわざ大型店舗に行かなければならない、車のない人や運転できない人、とりわけ高齢者の方は買い物にも行けず、先ほどもありました買い物難民という言葉も生まれるようになりました。考え方として、
生活利便性を確保するために地域の商店街を守る施策が必要だと思いますがいかがお考えか、まずそこを伺いたいと思います。
そして、もう一つは、円山、藻岩山の天然原始林の保護についてです。
とりわけ南1条から南9条の環状通、ここのすぐ隣に、国が指定する、保護すべき天然原始林があります。ですが、大きな幹線道路と原始林が隣接しているということで、排気ガスあるいは高層建築物によって日陰が生じることで自然生態が守られない、まち並み景観もよろしくない、こういう問題があるわけですけれども、今回の修正で、藻岩山、円山天然原始林の自然は守られることになるのかどうか、ここを伺いたいと思います。
◎星
都市計画部長 まず、身近な生活の利便を高めるという意味で、商店街の保護をするのかというご質問かと思います。
土地利用規制の考え方といたしましては、常にそうですけれども、市民の生活の
利便性をより高めていくということがまず非常に重要な課題というか、目的といいますか、それで
土地利用規制の運用を行っております。かつては、もちろん商店街を中心に札幌の商圏構造というのができていたわけですけれども、その後のさまざまな状況変化、今ご指摘いただいたモータリゼーションの進展なども含めて、商業あるいは流通の形態というのが主に変わってきています。
土地利用規制といたしましては、それが大きな弊害を生まない限りは、社会的な要請としてとらえていろいろな立地が可能になるような
土地利用規制の運用をしております。
今回、これは先ほどご説明したことと重複いたしますけれども、今後、急激に
高齢化していく、特に
郊外部においては全市平均よりもずっと大きな割合で
高齢化になっていきます。その方々が
公共交通機関をうまく利用できればいいのですけれども、どうしても、これまで自動車依存で生活していた方々がなかなか自動車の運転ができなくなるというときに、身近な利便施設を使えなくなる、そういうことが大いに予見されます。ご指摘いただいた買い物難民とか食の砂漠問題というのは、まさにそういうことで起きていると理解しております。
そういうことに対応して、郊外型の大型店舗というのはどうしても車依存型の流通構造になっておりますので、車を利用できない方には利用しづらいということに当然なってまいります。そこで、今回やろうとしていることは、今後は、大きな店舗は郊外においては立地抑制をして、中規模以下の店舗が立地できる環境を整えていこうということです。それは、かつてからあった商店街の商業の競争力を弱めないという面もあるかもしれませんけれども、商店街の保護ということを直接的な目的というふうには考えておりません。
それから、2番目の原生林の環境の保全ということについてですが、
土地利用抑制というのは市街地の中の建築物の制御を行うものですので、直接的に
調整区域の
自然環境の保護を目的とするものではありませんので、今回やることが、直接、原生林の保護ということに結びつくとは考えていません。目的が異なっております。
◆小形香織 委員 まず最初に、今、直近でお答えいただいた原始林の保護について、目的としていないということですけれども、最初のご説明の中では、
自然環境の保護というのがそもそもの
マスタープランの考えだということもおっしゃっていましたよね。やっぱり、そういうことを
土地利用計画の中に盛り込んでいくべきだというふうに思うのです。とりわけ、円山と藻岩山原始林は国が指定するものだし、そして、札幌市の観光文化局が出している「札幌の文化財」という冊子の中では、市域のうちに天然林を持っている例は少なく、ほとんど奇跡と言ってよい、貴重な原始林だということを観光文化局が出している冊子に書いているのですね。ですから、このエリアについては、やっぱり原始林を保護する、札幌のまちをつくるという観点をしっかりと盛り込むべきだということを強く求めておきたいというふうに思います。
それから、1点目に聞きました高齢者の
生活利便施設の観点の商店街の話ですけれども、地域の商店街は、大体どこも商店街としての
にぎわいが大変苦しい状態だというふうに思います。不況とあわせて、郊外に大型店ができて人の流れが変わってしまったと今ご説明がありましたが、そうした意味で、やっぱり大型店の出店規制が必要だ、抑制していくというふうにお答えになりましたけれども、どのように規制されていくお考えか、具体的にお示しください。
◎星
都市計画部長 ご質問ではありませんが、せっかくの機会ですので、恐縮ですけれども、この資料1の裏面をごらんいただきますと、ただいまおっしゃった原生林というのは、白抜きの
市街化調整区域です。
市街化調整区域にしていること自体が
自然環境の保護に一番強い規制ですので、ぜひご理解いただきたいと思います。
それから、大
規模商業施設の立地規制の方法論ということのご質問かと思いますけれども、準工業地域あるいは近隣商業地域では建築できる店舗などの規模に制限がございません。ですから、現状ではかなり大きな店舗が立地し得る場所があります。これらの
用途地域を指定しているうち、
公共交通利便性の低い地域に対しましては、今回新たに特別用途地区という上乗せの規制を指定することによって、店舗の床面積の上限を定めて、立地する商業店舗の規模を抑制していくという方法論を考えております。
◆小形香織 委員 そうすると、特別用途地区というのを盛り込んで、大型店は、原則、札幌市の郊外には出店させないということですね。そこをイエス、ノーでお答えください。
◎星
都市計画部長 もちろん大型店の規模設定というのはこれからですけれども、考え方としては、郊外の交通
利便性の低いところにおいては、これまで比較的自由に立地していた大きな店舗の立地を抑制していくという考え方です。
◆小形香織 委員 わかりました。
円山、藻岩山の方ですが、先ほどありましたので、一言だけ申し述べます。
市街化調整区域にしていることで保護だとお答えになりましたけれども、実際には、その周りに緩衝地帯、バッファゾーンなどをきちんと設けていかないとならないわけです。私が問題にしているのは、南1条から9条の環状通の部分、そこは中高層の建築物も建てられるというふうになっているものですから、そこは保護する観点で
土地利用も盛り込むべきだということを言っているのです。
市街化調整区域で守られるというふうにはならないと私は考えておりますということを最後につけ加えまして、質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 資料1の
運用方針の
見直し内容の
見直しテーマの2番目に青い数字で4と書いたところがあります。読み上げますと、「
低層住宅がまとまった
高度利用住宅地で地域住民の合意に基づく場合は高さ制限を強化」と記されております。先ほど部長の方から説明いただきました資料2の今後の
見直しスケジュールの中を見ますと、
運用方針の
見直しについては9月末ぐらいまでに
パブリックコメントを終わって決定をすると。そこで、初めは決算議会ぐらいで質問しようかなと思ったのですけれども、こういうふうになっているので、あえて、今、質問することにいたしました。
一つは、住民合意という場合は、具体的にどういったような場合に住民合意が形成されたというふうに受けとめていいのか、まず一つ、最初にその点について伺いたいと思います。
◎星
都市計画部長 都市計画法の改正によって、
都市計画提案制度というのがしばらく前にできました。それ以前は、
都市計画の発意というのは専ら行政側にしかできませんでした。もちろん陳情とか要望というのはありますが、法律上の発意というのは行政側にしかできなかったのに対して、やはり、地域住民の主体的な
まちづくりということを重視していこうではないかということで、
都市計画法が改正になりまして提案制度というものができました。これは、ある一定の区域の権利者の3分の2、加えて、土地の面積の3分の2以上の方々の合意というか、署名というか、連名といいますか、合意があれば
都市計画を変えてくださいという提案をできる、そういう法律上の制度ができました。これは、札幌市ではかなり積極的にとらえておりまして、既に
高度利用住宅地の中で地域の皆さんがそういう運動をされて、皆さんと話し合い、ここは戸建て主体のまちだから高さ制限を抑えようではないかということで、
地区計画で、もともと30何メートルの制限のところを15メートルにしようではないかと。そこで、私どもとして、それは合意形成されているのでと、3分の2ですね。その後、法律上の手続がありますけれども、それで合意が確認できたら、法的な15メートルの規制を強化するという
地区計画、これは既に札幌市内の3カ所で適用しております。そんな形で、これをさらに運用していこうという考えであります。
◆ふじわら広昭 委員 では、最後に2点ですけれども、今のことに関連して、どこぐらいの高さにするのかというのは、地域住民の方の発意というか、考え方が尊重されるのか、法律なんかで、ある程度、30メートルのものはその半分とか何パーセントというようになっているのかが1点目です。
最後の質問は、後で土地を購入する方も出てくるかと思うのです。その場合には、
低層住宅地ということで記されていて、この程度の高さまでは建てられるというようなもので買う場合もあると思います。いろいろな情報は収集すると思うのですけれども、高さ制限を強化するといった場合には、後からそこに住む方、土地を買う方などには行政側としてどのような周知をしていくのか。これは、行政だけで100%ということはあり得ないと思うのですが、後でトラブルになる場合も想定されると思いますので、その辺の周知方法についてどうなのか、この2点について質問して、終わりたいと思います。
◎星
都市計画部長 まず、地域合意で高さ制限を強化する場合に、何らかの基準なり、法律上の幅があるのかということですけれども、それは、法律上はございません。
しかし、あくまでも、
都市計画マスタープラン、これは
都市計画の運用の憲法みたいなものですから、それに全く逸脱するようなことは、たとえ地域の皆さんだということでも行政としてそれを法律上の規制としてかけるのは難しいと思っています。例えば、JRとか地下鉄の駅があって、その周辺は商業・業務住宅の複合市街地にすべきだというところに、駅の真ん前にたまたま戸建て住宅があるから、そこを10メートルの制限にするかとなると、それは本来あるべき土地の姿とかなり乖離がありますから、難しいかなと思っています。
ただ、やはり、基本は、皆さんの合意を前提に、
都市計画マスタープランで読み取れる範囲であれば尊重して適用していきたいというふうに考えています。
それから、そうやって決まった中で、後で土地を購入する場合に知らなかったらどうするというような話かと思います。土地抑制というのは非常に複雑でわかりづらいということで、私どもとしてもいろいろわかりやすく周知するということはいろいろな形でやっております。ただ、
市街化区域のあらゆる場所でいろいろな形の規制がかかっているものですから、それを、逐一、権利者にお知らせするのは現実的に無理ですので、なるべく情報公開して、インターネットで全部見られるようになっているとか、そういうことをやるのが基本だと思っています。あと、不動産取引の場合は、業法の中でこれはどういう制約があるということは周知する義務がありますから、買う人はその中で確認していただくということをお願いしたいと思います。
○
三宅由美 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
三宅由美 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、札幌市総合交通計画案の検討状況についてを議題とし、理事者から説明を受けます。
◎山重 総合交通計画部長 私から、平成23年度末の策定を目標に検討を進めております札幌市総合交通計画につきまして、お手元の資料に従いまして、検討状況を
中間報告させていただきます。
A3判資料の札幌市総合交通計画の検討状況に関する
中間報告をごらんください。
まず、1ページ目左の1−1 計画策定の背景でございます。
交通に係る都市圏全体の取り組みとして、札幌市を含む7市3町で、平成18年度から第4回道央都市圏
パーソントリップ調査を実施し、これをもとに、平成22年3月、道央都市圏の都市交通
マスタープランを策定いたしました。
今回の都市交通
マスタープランは、これまでの人口増加、経済成長といった状況とは異なり、
人口減少、
少子高齢化の急速な進展、経済活力の低下などの課題がある中で、あるべき将来像実現のための交通に関する基本方針を示したもので、これらを踏まえて札幌市総合交通計画を策定することとしております。策定に当たりましては、市民、学識経験者、関係団体、行政機関から成る札幌市総合交通計画策定委員会を組織し、昨年7月から検討を進めてきたところであります。
次に、1−2 計画の目的と
位置づけでございますが、第4次札幌市長期総合計画や札幌市
都市計画マスタープランといった
上位計画や都市交通
マスタープランを踏まえ、おおむね20年後を想定した将来交通に対する基本的な考え方とおおむね10年間の交通施策を体系化した総合的な都市交通計画であり、札幌市の交通に関する個別計画などを策定、実施する上での指針となるものでございます。
次のページをお開きください。
2.計画理念と基本方針についてです。
札幌市における将来交通に対する基本的な考え方である計画理念を、「暮らし」・「活力」・「環境」を重視する
公共交通を軸とした交通体系の実現といたしました。計画理念における三つの視点につきましては、今後、想定される
人口減少や超
高齢化社会の到来などの課題がある中で、地域生活の確保に寄与する交通を実現するための暮らしの視点、都心の経済活動の低迷、多数の観光客来訪、道内各地からのアクセス性向上などの課題がある中で、都心の
活性化、観光振興、広域連携強化に寄与する交通を実現するための活力の視点、
二酸化炭素排出量の増加、短距離利用などの自動車依存傾向などの課題がある中で、環境負荷の低減に寄与する交通を実現するための環境の視点ということで設定いたしました。
また、左下段のとおり
公共交通と自動車、整備と活用、行政、市民・企業、交通事業者の役割という三つのバランスを考慮した都市交通を目指してまいりたいと考えております。
次に、右側の基本方針ですが、暮らしの視点として
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えること、活力の視点として道都さっぽろの顔となる都心
まちづくりを支えること、観光都市さっぽろの実現を支えること及び圏域連携のための広域交通を強化することとしております。環境の視点では、交通システムの充実により環境首都・札幌の実現を支えることとしており、これら五つの柱を基本方針として取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次のページをお開きください。
3.各交通ネットワークの現状・課題と取組方針については、各交通モードごとに現状と課題を抽出し、右側に取組方針をまとめております。
まず、
公共交通ネットワークの基本的な考え方でありますが、超
高齢社会の到来や
人口減少など、
公共交通の役割はますます高まっており、
公共交通に対する意識の醸成や
利便性向上などの質的レベルアップを図ることにより、
公共交通を軸とした交通体系を確立することとしております。各交通モードのうち、地下鉄では、SAPICAの他交通機関との連携など、さらなる
利便性向上やホームさくの設置を進めることとしております。バスについては、利用者数は減少傾向ですが、
地域特性に応じた持続可能な地域交通体系を構築し、
利便性と効率性を兼ね備えた
公共交通ネットワークの構築を検討します。路面電車では、延伸地域の特性に合わせ、
まちづくり計画や再開発計画と連携を図りながら、延伸実施に向けた検討を進めます。交通結節点では、各交通機関が相互に連携し、スムーズに乗り継げることが不可欠であることから、わかりやすさ、使いやすさを重視し、連携強化を進めます。
また、3ページ右側上段に、骨格
公共交通ネットワーク図を示してございます。
次に、下段の広域的交通ネットワークでは、丘珠空港は、道内航空ネットワークの中核として
位置づけられており、路線の利用促進や
利便性向上などの取り組みも進めてまいります。
次のページをお開きください。
道路ネットワークについては、右側の図にあるとおり、2高速・3連携・2環状・13放射道路を骨格道路ネットワークとするとともに、創成川通や豊平川通といった都心アクセス強化道路軸の整備により、自動車の円滑性向上を図ることとしております。また、自動車の過度な利用を控え、
公共交通をみんなで支えるという意識を醸成し、適切な自動車利用への誘導を図ることも重要としております。
駐車場については、駐車場の共同化や既存駐車場の有効活用など、必要な駐車機能を工夫しながら確保するとともに、荷さばき駐車場は路外施設をふやしていくことを基本としつつ、路上での荷さばきのルール化など、効果的な取り組みをあわせて実施していくこととしております。
徒歩については、歩道のバリアフリー化を積極的に推進するとともに、地下空間の拡充を図ることにより、回遊ネットワークの強化を図ることとしております。
自転車については、都心部や駅周辺における自転車歩行空間の確保に向けた取り組みを進めるほか、利用者に対するルール、マナーの周知・啓発を進めるとともに、行政・市民・事業者がそれぞれの役割を踏まえながら総合的な駐輪対策を推進していくこととしております。
次のページをお開きください。
4.交通施策の体系化の展開イメージについてご説明いたします。
基本方針ごとに、それぞれの施策パッケージを設け、実施目標のもとで交通施策を取りまとめております。
まず、拠点
まちづくり支援パッケージでは、実施目標1として、安心・安全な生活空間を形成するため、歩道のバリアフリー化や自転車利用環境の整備を進めることとしております。また、実施目標2として、駅接続型のバス路線の維持を図ることと交通結節点の機能向上を進めることとしております。
右側をごらんください。
都心
まちづくり支援パッケージでは、実施目標1として、都心内の回遊性を高めるため、路面電車の延伸などの
公共交通システムの拡充を進めることとしております。また、実施目標2として、快適に回遊することが可能な地下歩行空間のネットワーク化と、その活用の検討を進めることとしております。また、実施目標3として、都心と高速道路とのアクセス機能強化の検討を進めるとともに、都心部における渋滞緩和のため、道路交通の分散化の取り組みを進めることとしております。
次のページをお開きください。
観光促進パッケージでは、実施目標1として、観光周遊を支援するため、えきバス・ナビの活用などによる
利便性向上を図ることとしております。また、実施目標2として、観光資源までのアクセス性向上を図り、札幌市内の回遊性を高めるため、拠点間の幹線道路を強化することとしております。また、実施目標3として、道路景観の向上を図るため、駐輪対策の推進、無電柱化などの対策を進めることとしております。
右側の広域連携パッケージでは、実施目標1として、札幌の
都市機能の活用などによる道内各地の魅力、活力向上を図るため、道内各地とのアクセス機能強化の検討を進めることとしております。また、実施目標2として、物流の円滑化、緊急搬送の迅速化及び緊急車両走行の円滑化を図るため、道内各地や空港、港湾施設とのアクセス機能強化の検討や連携道路などの整備を進めることとしております。また、実施目標3として、企業活動や観光ニーズに対応するため、丘珠空港路線の利用促進を図ることとしております。
次のページをお開きください。
環境負荷低減促進パッケージでは、実施目標1として、
公共交通の利用促進を図るため、
公共交通システムの拡充や既存施設などの
利便性向上を図ることとしております。また、実施目標2として、
二酸化炭素排出量の削減を目指して、道路交通の分散化や渋滞緩和対策による交通円滑化を図ることとしております。また、実施目標3として、拠点間連携を担う道路や主要なバス路線を中心に、重点的、効率的な除排雪の実施を図ることとしております。
次のページをお開きください。
これまで、総合交通計画策定委員会を5回開催いたしまして、委員の方々からさまざまなご意見をいただいております。全体を通してでは、四つ目にございます交通機関の使い方や
利便性をモデルプランとして、利用者や観光客などへ発信していくとよいなどのご意見や、計画理念、基本方針については、一つ目にございます、生活というキーワードが重要だが、生活を考えつつ、環境、活力も考慮しているといった視点が必要であるなどのご意見がありました。また、各交通モードの基本的な考え方では、三つ目にございます、高齢者が多い地区では、循環型のバスがあればもっと利用者もふえるのではないかなどのご意見がございました。
最後に、右側の6.今後の
スケジュールでございます。
本日の検討状況についての
中間報告の後に第6回策定委員会を予定しており、その後、9月ごろに
財政市民委員会で札幌市総合交通計画素案についてご説明したいと考えております。その後、
パブリックコメントを経て、年度内に計画を策定してまいりたいと考えております。
○
三宅由美 委員長 それでは、質疑を行います。
◆こんどう和雄 委員 質問に入る前に、公明党の高橋 功議員が急逝されました。私とともに議会でご同意を得て監査委員に選任され、いよいよ2人でやろうではないかというお話をしたばかりでございまして、大変残念でなりません。ご冥福をお祈りいたします。
それでは、ただいまお話のありました総合交通計画の検討状況に関する
中間報告、これは、審議委員18名の方には、23年度末までこれからもまだご苦労をいただきますけれども、敬意を表して、また、ぜひともきちっと取りまとめをお願いしたいなと思っております。
その中で、3点ほど質問をさせていただきたいと思います。
2010年3月に策定されました道央都市圏の都市交通
マスタープランというものを拝見させていただきました。この中では、暮らしと活力、それから環境の三つの視点のもとで計画づくりが進められてきました。そして、ただいま説明にありましたこのたびの札幌市総合交通計画では、同じく、暮らしと活力、環境の三つの視点を重視した計画理念を設定して、これに基づいて札幌市の交通施策の展開の方向性をさらに示す五つの基本方針で成り立っているという説明を受けております。
基本方針を見ましたら、活力という視点に対しては、都心の
まちづくり、観光では観光都市さっぽろ、それから広域交通を強化するという三つを掲げているのに対しまして、暮らしの視点というところに目を向けますと、
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えるという文言で、この1点が基本方針ということになっております。これは、私なりに考えますと、日々の生活を営む上で、
公共交通が市民にとって使い勝手のよい環境の創出につながっていくということに尽きるのではないかと思っております。
私は、先日、公明党3人、自民党3人の6名のプロジェクトを組みまして、大震災後の東日本の被災地をつぶさに見てまいりました。まず、仙台に入りまして、東北地方の石巻、南三陸町、気仙沼、さらに釜石、港で大きな津波があったところがほとんどですけれども、大震災で目も当てられないぐらい物すごい被害でございました。その中で、水道とか下水道、さらに道路といった社会インフラも含めて、鉄道とかバスといった
公共交通のありがたみというか、市民生活に欠くことのできない重要なものを学んできたと申しますか、改めて、
公共交通というのは本当に市民生活にとって大事なことだな、それは言うまでもないということをよく理解して帰ってまいりました。
私も、日ごろから、市民の交通を語る上で、自転車の方をよく質問させていただいておりますけれども、最近、景気が悪いこととか、あるいは、健康増進のために自転車を利用されるということで、自転車に注目が集まってきている、自転車屋も結構繁盛していると現場に行ってお話を聞いております。人の多く集まる買い物とか、さらには、地下鉄駅まで自転車で行って駐輪しようとか、そういうふうに自転車が身近に必要になっている時代になってきて、注目されますけれども、歩道上を我が物顔に走ってトラブルがあったり、それから、放置自転車というなかなか解決できない大きな問題があります。その中で、他の交通機関と連携する、さらに市民の暮らしを便利にということが求められておりますけれども、この4月1日に建設局に自転車の対策担当課が新設されました。これにつきましては、これからも連携プレーをよくしていただいて、自転車対策もソフトとハードでしっかりとお願いしてまいりたいなという要望でございます。
そこで、
まちづくりの中で、都心部では、札幌駅前地下歩行空間、さらには創成川アンダーパスという大規模なプロジェクトがおかげさまで完成しまして、大変、
利便性が向上されました。このような都心の
活性化に資するような取り組みが非常に重要なことは確かですけれども、一方で都心部以外での取り組みが十分行われているのかどうかというのは、私は、日ごろから疑問に思っているところがございます。
そこで、質問ですけれども、五つの基本方針の一つに
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えるという文言が入っていますが、こういう基本方針とした背景についてお尋ねをしたいと思っております。
◎山重 総合交通計画部長
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えることを基本方針とした背景についてお答えいたします。
地域中心核などの拠点では、商業・業務機能、行政機能などの各種都市サービスの状況が異なっていることから、その
地域特性に応じて拠点ごとにそれぞれの
まちづくりが進められることが重要と考えております。また、平成42年には、札幌市においても3人に1人は65歳以上の高齢者になることが予想されており、
地域中心核などの拠点では、歩いて暮らせる
まちづくり、さらに安心・安全な
まちづくりを実現していくことが重要と考えております。これらのことを踏まえまして、地域の
まちづくり計画などと連携しながら、交通サービスの充実を図ることが重要であることから、
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えることを基本方針として設定したところでございます。
◆こんどう和雄 委員
地域中心核において、歩いて暮らせる
まちづくりを目指しているということでありました。
次に、当然ながら、交通体系としても拠点周辺に自転車あるいは歩行者が集まってくることは間違いない事実なのですけれども、市民の暮らしを支えるというこの1点を追求しますと、困ったことが起きたときに、その時々に対策を講ずるだけではなくて、将来こういうことが起こり得るという予測をすることが行政としても一番大事なことではないかと。そういうことを的確に予測し、今から必要な取り組みを計画的に進めていただきたい。そして、それを市民に情報としてご提案して、市民の理解も得るということと、さらに、市民の皆様からご協力いただかないとやってはいけないだろう、成り立たないだろうというのが考え方の基礎にあると思います。
そこで、質問いたしますけれども、
地域特性に応じた拠点の
まちづくりを支えるという基本方針には、先ほどのお話で安心・安全な交通環境の向上を図るとありますが、どのような交通施策をその中で進めていこうとしているのか、お伺いいたします。
◎山重 総合交通計画部長 安心・安全な交通環境の向上を図るための交通施策の進め方についてお答えいたします。
拠点の
まちづくりを支えるという基本方針に係る交通施策の例といたしまして、これまで進めてまいりました歩道のバリアフリー化につきましては、引き続き、
地域中心核や乗降人員5,000人以上の駅を中心に、新・札幌市バリアフリー基本構想で定めた53の重点地区においてバリアフリー化を進めてまいります。また、JRや地下鉄駅を中心に、拠点周辺では自転車利用の増加により迷惑駐輪などが見受けられる状況にあることから、先月策定した札幌市自転車利用総合計画に基づき、総合的な駐輪対策の推進など、自転車利用環境の整備に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。さらには、JR手稲駅周辺で実施したような、交通基盤整備に向けた検討なども進めてまいりたいと考えております。
このような拠点の
まちづくりにかかわるさまざまな交通施策を効果的・効率的に実施するため、現在検討中の交通戦略におきまして拠点
まちづくり支援パッケージとして取りまとめ、拠点周辺における安心・安全な交通環境の向上を図ってまいりたいと考えております。
◆こんどう和雄 委員 最後に、もう1点ですけれども、北海道では既に人口の減少が始まっております。札幌市も、お話のとおり、平成27年をピークとしまして減少に転ずるということで、まさに、
高齢社会も含めて、そういう時代の到来が間もなく来るということです。人口が増加しているときには、どんな施策であろうと、わかりやすく言えば需要対応型の交通施策を上手に進めていけばいいのであります。ただ、
人口減少に伴う一番の問題点は、当然、
交通量などが減っていくことは今からわかるわけでありますが、これについては、札幌市がかつて経験したことのないことが起きてくるというのはもう間違いのない事実であります。こうした状況の中では、今から
まちづくりの
ビジョンをしっかりと持って、各分野ごとにそれぞれのセクションで取り組みを進めることが重要であると認識しているわけです。
そこで、質問ですけれども、
人口減少を見据えまして、交通施策をどのように進めようとしているのか、最後にお伺いいたします。
◎山重 総合交通計画部長
人口減少を見据えた交通施策の進め方についてお答えいたします。
平成18年に実施した道央都市圏
パーソントリップ調査において、今後予測される
人口減少により、平成42年には道央都市圏全体において約6%の
交通量が減少すると予測されております。したがいまして、交通インフラの整備のあり方につきましては、これまでの量的な拡大基調から質的な改善への移行が求められること、また、財政的な制約も想定される中、既存交通施設の長寿命化などに計画的に取り組む必要があると考えております。また、
公共交通利用者の減少が想定される中で、
公共交通ネットワークを一定の水準で維持することも極めて重要と考えております。
これらのことを踏まえ、交通施策の体系化に取り組んでまいりたいと考えております。
◆宝本英明 委員 私から、総合交通計画の検討状況について伺いたいと思います。
先ほど、札幌市総合交通計画の検討状況に関する
中間報告について説明がございました。説明があった、総合交通計画における考え方についての質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、こんどう委員からもお話がありましたが、平成21年度に道央都市圏の都市交通
マスタープランが策定をされまして、その中でも、暮らし、活力、環境という三つの視点に着目して都市圏の目標設定をされております。今回、札幌市の総合交通計画でも、このことを受けまして、同様の視点で計画理念、さらには基本方針を考えている、そういったことでありました。道央都市圏の中にある札幌市の交通計画でありますから、このことは当然のことであると思います。
また、今回作成している計画において、私は、計画理念の考え方にあります三つのバランスがとても重要な考え方ではないかと思っております。先ほどから、札幌市の人口は間もなく減り始め、さらには
高齢化していく、そういう話が多々ありました。さらには、今、
社会経済状況の変化や地球温暖化の問題などを考えても、これまでの交通計画における考え方を転換していかなければならない、そういった時期に来ているのかなと思います。そのような状況において策定されます今回の総合交通計画の中では、
公共交通と自動車、整備と活用、行政、市民・企業、交通事業者の役割といった三つのバランスに着目し、このことを考慮した都市交通を目指していく、そういったことであります。
そこで、質問ですが、この三つのバランスを考慮することとした背景について、まず、伺いたいと思います。
◎山重 総合交通計画部長 計画理念の考え方において三つのバランスを考慮することとした背景についてお答えいたします。
平成18年に実施した第4回道央都市圏
パーソントリップ調査では、前回調査の平成6年に比べ、札幌市における自動車の分担率が増加する一方で、
公共交通の分担率が減少しており、このままでは
公共交通の利用が大幅に減少することが予想されます。これからの超
高齢社会では、これまで以上に
公共交通の役割が高まることが明らかであり、現在の
公共交通ネットワークを維持することが大切であると考えております。したがいまして、
公共交通と自動車のバランスを図ることが重要と考えております。
また、札幌市の人口については、平成27年をピークに減少することが予測されており、それに伴い、
交通量の減少も見込まれております。従前の人口増加に伴う量的な対応から、必要となる整備を行いながら、今ある社会インフラを生かし、上手に活用するという整備と活用のバランスを図ることで、都市の持続的な発展、成長を支えることが重要であると考えております。
さらに、総合交通計画を推進するためには、行政のみならず、各交通モードの利用者である市民や企業の皆様及び各種交通サービスを支える交通事業者がそれぞれの役割を担い、連携を深めながら取り組みを進めることが重要と考えております。
◆宝本英明 委員 今の答弁にもありましたように、従来とは異なった背景がある中で、既存のものをいかに有効に使っていくか、また、今の話にもありましたが、これから迎える超
高齢社会を交通の面からどのように支えていくか、そういったことが焦点であると思います。そのときに三つのバランスを考慮することは、非常に重要な視点ではないかと思います。
また、今の説明では、おおむね20年間を見据えた将来交通に対する基本的な考え方をまとめた第1編の基本方針、それとともに10年間の短中期計画となる交通戦略をまとめていくとのことであります。今回の報告ではまだ検討の途上であるということですから、また、この委員会で報告があると思います。この交通戦略は第1編の基本方針がベースになるものと思いますが、この場合、先ほども質問させていただいた三つのバランスを考慮した都市交通を目指す計画理念のもとに交通戦略を展開していく、そういったものになると考えております。
そこで、第2編の交通施策の体系化に当たって、特に三つのバランスを考慮した中でどのようなことを重視していくのか、お考えを伺いたいと思います。
◎山重 総合交通計画部長 交通施策の体系化に当たり重視することについてお答えいたします。
その主なものといたしましては、本計画では、現在の
公共交通ネットワークの維持・充実を大きな柱と考えており、その実現のためには、自動車の過度な利用を控え、
公共交通を皆で支えるという意識の醸成、また、
公共交通利用者の
利便性を向上させることが重要と考えております。
次に、道都札幌に集積しているさまざまな
都市機能を、札幌市民のみならず道内の多くの方々に活用していただくため、あるいは、国内外から多くの観光客に訪問していただき、札幌のみならず北海道全体の魅力や活力を向上させるため、交通施策の面から連携強化やネットワークを維持・充実させることが重要と考えております。このように、さまざまな取り組みを進めていくためには、今後想定される
人口減少、
少子高齢化の急速な進展などの
社会状況の大きな変化を迎える中で、暮らし、活力、環境の三つの視点と、ご質問にありました三つのバランスが重要と考えており、常にこれらを意識しながら今後の交通施策の体系化につなげていきたいと考えております。
◆宝本英明 委員 何回も申し上げておりますが、札幌市の総合交通計画における交通施策を考えていく上で、本当に三つのバランスというのは大変重要な視点だと思っております。個別の案件についてはまた別の機会でと思っておりますが、私の住んでいる北区、そのすぐそばのことですが、都心アクセス強化道路軸に
位置づけされている創成川通について関心を持たれている人がかなりいるというふうに伺っております。整備と活用といったバランスの中で、今あるものを最大限に生かしていくという考え方を重視して取り組んでいただきたいなと思います。そのことを要望して、質問を終わりたいと思います。
◆小形香織 委員 私からは、とりわけCO2対策、車に頼らないまちをどう進めるかということで、CO2対策という観点から見ると、市内交通のあり方をどうするのか、とりわけ都心部の
交通量をどうやって減らしていくのかということが主要な問題だというふうに思っています。
今回の案として示されたものを見ますと、CO2の削減をどう進めていくのかという視点が弱いなというふうに感じています。10年後及び20年後は、札幌市の
CO2排出量を幾らと定めるのか、そのために、どういうふうに自動車交通の量を、とりわけ都心部における自動車交通の量について、目標、その実現のための手だてをはっきりと示して明らかにするべきだというふうに思っています。しかし、今回の計画案では、余り具体的ではない、
位置づけが不十分ではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがか、伺います。
それから、都心の車、特にマイカーの交通の削減を図る上で、ビルを建てる際には駐車場の附置義務などがあると思いますけれども、これはやや時代おくれかなという感が否めません。道路ネットワークの基本的な考え方というところで、駐車場については、一般車両の駐車場はおおむね充足しており、中でも都心部は余裕が生じているというふうに書かれています。一方、自転車については、駐輪場の容量が不足していると書かれています。今後、都心のあり方としては、必要以上の駐車場はつくらずに、自転車と
公共交通への誘導を図るべきだというふうに思います。そのときに、駐車場と駐輪場のあり方ももう一度考え直すべきではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがか、二つ伺います。
◎山重 総合交通計画部長 まず、1点目の
二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みについてお答えいたします。
環境首都・札幌の実現に向けては、路面電車の延伸のようなハード整備の検討に加え、ICカードのさらなる
利便性向上やえきバス・ナビによる情報提供など、ソフト施策を効果的に取り入れることにより、利用者の
利便性向上などで
公共交通の利用促進を図ることが重要と考えております。また、
公共交通を皆で支えるという
公共交通に対する意識の醸成により、適切な自動車利用への誘導を図ることも重要と考えております。
次に、2点目の都心部の自動車駐車場と駐輪場の確保についてお答えいたします。
都心部では、ご質問にありましたように、新築建築物への駐車場附置を義務づけるなど駐車場の供給を進めてきた結果、一般車両の駐車場に対してはおおむね充足している状況にありますが、多くの建物では荷さばき用の駐車場が確保されていないことから、路上での荷さばきのルール化など、短期的な取り組みもあわせて行っていく必要があると考えております。
また、都心部の駐輪実態については、駐輪場の不足により自転車が歩道上に放置され、歩道環境と景観の悪化を招いている状況にあります。こうしたことから、10年間で取り組む自転車に係る施策を総括した札幌市自転車利用総合計画を5月に策定したところであり、都心部と駅周辺を重点地区と
位置づけております。このように、駐輪対策としては、既存ストックや未利用地の有効活用により駐輪場を確保するなど、総合的な駐輪対策を推進してまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 CO2削減のところで、具体的にどういうふうに
公共交通を充実させて減らしていこうという目標をお持ちなのか、そこをお聞きしたいのですけれども、それはどういうふうにお持ちか、伺います。
◎山重 総合交通計画部長 先ほどご説明したように、ハード的な施策は今までも重点的に進めてまいりましたが、今後はソフト的な施策、つまり
公共交通を利用するという意識の醸成、それらを今後は重点的に進めていきたいと考えております。その具体的な交通施策の展開につきましては、今後、施策の戦略化の中で具体化してまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 まず、駐輪場と駐車場のところは、総合的に考えていくのだ、自転車利用の計画も出したのだということですけれども、充足している駐車場に対して不足している駐輪場ということですから、これは、駐車場を駐輪場に変えていくなどの誘導的な、つまり、できるだけ車に頼らないまちをつくるということで誘導していく施策を盛り込むべきだというふうに思います。
それから、私がお聞きしているのは、具体的な環境施策として数値はどういうふうに持っておられるか。ソフト・ハードの部分はわかるのですけれども、そうではなくて、札幌市全体で2020年には1990年度比25%削減するのだというふうに目標を持っておられますね。それに近づけていくための総合交通としての目標数値はないのですかと聞いているのです。そこをお願いします。
◎相原 市民
まちづくり局理事 具体的な数値目標あるいは数値目標に対するロードマップといったようなご質問だと思います。
実際に、今、第1編でお示ししている全体の基本方針、理念というところに数値はありません。何をやろうとしているのかというと、今、環境局がつくりました札幌市全体の数値目標とかがございますけれども、最終的には、
公共交通でも、その内数としてどこまで稼げるかと言ったら変ですが、貢献できるかという考え方を持たなければならないと思っていまして、一定の検証といいますか、その作業をしている状況にあります。
そこで、2編の交通戦略、今、部長からもいわゆる体系化と説明させていただきましたけれども、その体系化の中でそういう記述を書き込みたいなと思っております。そういうことでございます。
◆小形香織 委員 わかりました。
2020年までに25%削減するということに近づける、そういう数値をこれから入れるということですから、ぜひ、具体的に、積極的に盛り込んでいただきたいということを求めて、質問を終わります。
◆細川正人 委員 中身を見ると、とてもきれいな言葉で、こうなるとこの交通計画はすばらしいものになるのだろうなと思っても、計画部隊がつくるものを実施部隊がやろうとすると、いや、お金がなくてなかなかできないんですよねと。除雪の問題、駐輪場もなかなかできないところもありますが、そう言って、実は財政という横やりがぴゅっと入ってきてしまいますよね。
そこで、この交通計画は、この中で10年間を見据えているわけですから、この10年間でどういう量をやるのだという目標というのですか、そういう量をきちっとその中に組み込んで、そして、これで行きたいと、それを示すことが僕は必要かなと思うのです。そういった量をちゃんとそこに組み込んでいく、そういったお考えをお持ちなのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
◎山重 総合交通計画部長 10年間での目標量ということについてお答えいたします。
最初にお話がございましたが、我々は計画部隊でございますから、実施部隊、あと財政当局とも、この計画については、10年間に実施する具体的な交通施策ということで、十分に連携・調整を図りながらこの計画をつくってまいりたいと考えております。
それから、目標量につきましては、10年間でこういうことになるというアウトカム的な指標を設定しながら、それに向けた施策の実施量を、今後、交通戦略の中で具体化していきたいと考えております。