委 員 佐 藤 典 子 委 員 小 倉 菜穂子
委 員 佐 藤 美智夫 委 員 松 浦 忠
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開 議 午後1時
○村松正海 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、大越委員からは、遅参する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第10号 平成23年度札幌市
病院事業会計予算及び議案第19号 札幌市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。
◆長谷川衛 委員 私から、
緩和ケアについて、1項目のみ質問したいと思います。
厚生労働省の2007年
人口動態統計では、日本人の死亡者数は110万人で、そのうち、がんによる死亡は約34万人となっております。平均寿命が延びていることもあり、今や、日本人の3人に1人ががんで亡くなり、特に、65歳以上では2人に1人ががんで亡くなっております。また、2人に1人が生涯にがんにかかるとも言われております。
最近、私の身近でも、大変親しくしていた方ががんで入院していたわけでありますけれども、先日亡くなりました。この方は、
緩和ケア病棟で最期まで家族に囲まれながら穏やかな入院生活を過ごした上で亡くなったのでありますが、患者の中には十分な
緩和ケアを受けられずに亡くなる方も多いというふうに聞いております。
余命数カ月と宣告され、どのように過ごすのか、大きな問題であると感じており、これからがん患者の増加が見込まれる中、私たちの身近な問題としてがんや緩和ケアを考えていく上で数点にわたって質問したいと思います。
WHOも、従来、終末期に行われるものとしていた緩和ケアの定義を、疾病の早期から行われるものと2002年に変更しており、今、
緩和ケアは、がん患者にとって必要不可欠な医療と言えます。この定義や
がん対策基本法などの整備により、
がん診療連携拠点病院では
緩和ケアチームなどの体制をとっており、病院により体制はさまざまであると思いますけれども、チームの活動により、患者の痛みのコントロールと精神的安定をもたらしていると思います。
市立札幌病院も、拠点病院の先駆けとして
緩和ケアチームを置き、がん患者への緩和医療の提供を進めてきたと聞いております。また、
北海道がん登録にも積極的に参加し、がん診療の
データ収集に貢献していることも聞き及んでおります。日本にはがんに関する統計が少なく、このようなデータの蓄積によってがん患者の発生数や生存率等が統計的に分析される意義は大変大きいものと思います。
そこで、最初に、3点ほど質問したいと思います。
まず、一つは、
市立札幌病院でのがん登録による現在のがん患者の状況はどのようになっているのか、また、
緩和ケア病棟のある病院へ転院する患者は年間何人ぐらいおられるのか、さらに、転院する際はスムーズにできているのか、この3点についてお聞きしたいと思います。
◎村田 副院長
委員お尋ねの当院におけるがん患者の数ですが、
登録データによりますと、毎年1,000人前後で推移しており、直近の平成21年は1,034人となっております。また、がんの種類別では、大腸、肺、乳房、胃、前立腺、腎臓の順で多く、この六つのがんで全体の6割となっております。
次に、
緩和ケア病棟のある病院へ転院した患者数でございますが、転院に当たりましては、
地域連携センターが転院先の病院と受け入れについて協議を行っており、平成21年度は71人、22年度は1月末で69人の方が転院されております。スムーズに転院できているのかについてですが、ほとんどの患者が2週間以内に転院しております。ただ、転院先の病床の空き状況と患者やご家族の希望が合わず、待機期間が長くなる場合もございます。
◆長谷川衛 委員 ただいまの副院長の答弁でも、市立病院だけでも多くのがん患者がいるのですね。1,000人を超える患者です。
緩和ケア病棟への転院数もやはり大変多いわけでありますけれども、札幌市内ではもっと多くの患者ががん治療を受けていると思いますので、適切な緩和ケアの提供がこれからもますます求められるというふうに思います。
また、最近では、一つの病院に長期間入院することが大変難しくなっておりまして、病気の状態によっては転院を求められることも多い実態があります。患者や家族としては、最期まで一つの病院でみとられ、みとることができないのかとの思いを今強くしているわけであります。患者は、できるだけ家族に負担をかけたくないとの思いも強く、それを考えますと、国が進めておりますがんの在宅ケア、または居宅でのみとりは、理想とは思いますけれども、家族の負担などを考えますと限界もあると私は感じております。
この
緩和ケアを効果的に提供するためには、私は、やはり、専用の病棟を設けることが最もいいと思っておりますけれども、さまざまな課題があるとも言われております。しかし、先日、
厚生労働省の発表した
保健統計総覧によりますと、札幌では、札幌市民1人当たりの
医療機関数や病床数は、都道府県、指定都市の中では非常に多い方でありまして、市内の病院でも、病床数を削減したり、その一方で
緩和ケア病棟を拡充するという動きもあると聞いております。
そこで、再質問になりますけれども、2点ほど質問いたします。
まず、札幌市内の
緩和ケア病棟の状況はどのようになっているのか。
また、二つ目ですが、このたび、
市立札幌病院では、新
パワーアッププランに基づいて、効率的な病床運営を行うため、病床数を削減することとしましたけれども、今回の病床再編に当たって、
緩和ケア病棟についてどのような検討がなされたのか、この2点をお聞きしたいと思います。
◎村田 副院長 最初に、札幌市内の
緩和ケア病棟の状況でございますが、白石区の
東札幌病院や豊平区の
KKR札幌医療センターなど7病院に176床の
緩和ケア病床があり、病床規模で申し上げますと、
東札幌病院の58床を除くと、各病院とも20床前後となっております。
◎富樫 副院長 このたびの病床再編に当たりまして、
緩和ケア病棟についてどのような検討がなされたのかという質問についてお答えします。
緩和ケア病棟の設置については、
緩和ケア内科を含むがん診療に携わる
診療科医師、看護部、医事課などで構成したワーキンググループを設置しまして、数度にわたる検討を行ってまいりました。その中で、当院で行っている
急性期医療と、必要とする
緩和ケア病棟の規模、専門医師、看護師の確保、各診療科との役割分担、転棟基準など多くの課題があることから、今回の病床再編の中で
緩和ケア病棟を設置することは困難との結論に至りまして、引き続き検討を重ねていくこととしたところであります。
◆長谷川衛 委員 今、答弁の中で、札幌市内にも
民間医療機関7病院で176床の
緩和ケア病棟を整備しているということでありますけれども、調べてみますと、
緩和ケア病棟があっても、その病院内の患者しか受け入れていないという病院もありますね。または、他からも受け入れているという病院もそれぞれあるようであります。
この間、
パワーアッププランの
パブリックコメントにしましても、市長と語る各区でのさまざまな集い等ありますが、その中でも、
市立札幌病院に
緩和ケア病棟をぜひ設置してほしいという要望が出ていることも私は聞いております。
今回の再編における
緩和ケア病棟の取り扱いにつきましても、
先ほど答弁がありましたが、一定程度、検討を重ねた上でのものというふうには理解しているところでありますけれども、
ホスピスケア、または
在宅緩和ケアへの橋渡しなど、地域との連携強化とともに、不足する
緩和ケア医療への対応など、今後とも
市立札幌病院に期待するところは大変大きいのではないかというふうに私は思うわけです。
そこで、最後の質問になりますけれども、
緩和ケア病棟における
市立札幌病院の役割をどのように考えておられるのか、これは、ぜひ管理者にお答え願いたいというふうに思います。
◎吉田
病院事業管理者 緩和ケア病棟といいますか、
緩和ケア医療における当院の役割をどのように考えるかというご質問であったかと思います。
当院は、先ほども富樫副院長から申し上げましたが、
地域がん診療連携拠点病院としてがん治療を行う
急性期病院でございますことから、がんと診断され治療を受けている患者に対しまして、
緩和ケアチームを中心として、早期から、身体的のみならず、精神的、社会的な苦痛など、多面的な苦痛に対する緩和治療に当たるのが当院の大きな役割であるというふうに考えてございます。さらに、終末期の
緩和ケアが必要な患者に対しましては、入院を望まれる場合は
緩和ケア病棟を持つ病院への転院を、在宅での療養を望まれる場合は、地域の医療機関や
訪問看護ステーションと連携協力を行っていくことが現在の当院の役割と考えてございます。
◆長谷川衛 委員 最後に、要望になりますが、1月に
厚生労働省が開催しました
がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会でも各委員が述べておりましたけれども、緩和ケアに関する知識は医療にかかわる医療者の方々にまだ十分に伝わっているとは言えない、ましてや、
緩和ケアというものについて患者や家族の方々にはまだまだ十分広がっていないのではないかというふうに私は思っています。
一番最初に申し上げましたけれども、日本人の平均寿命も相当延びておりますから、当然、がんで亡くなる方もますますふえていきます。こういうがんの時代に対して、
緩和ケア医療を考える入り口として、私は今後も取り組んでいきたいというふうに考えております。そんな意味では、
市立札幌病院の役割は
急性期医療を担当するところではありますけれども、これだけ多くのがん患者が通っている
市立札幌病院というのは、札幌市民にとってやはり頼れる病院なのであります。
緩和ケア医療の普及についてもぜひ尽力をしていただいて、がんの痛みに苦しむ患者を一人でも多く救っていただきたい、このことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
◆國安政典 委員 私からも、がん対策について、2点お伺いします。
1点は
がん地域連携パスにつきまして、もう1点は
放射線治療につきまして、2点質問させていただきます。
私
ども公明党は、がん医療の充実に向けまして、国政の場におきましても
がん対策基本法の成立に大きくかかわらせていただきますとともに、現在、がん検診の受診率の向上に向けて、
がん検診無料クーポンなどさまざまな取り組みを推進しているところであります。日本のがん検診の受診率は、他の国と比較しても低く、早期発見が重要な5大がんなどの検診率を上げる取り組みも重要であるというふうに考えております。また、
がん対策基本法に基づく
がん対策推進基本計画では、
がん連携パスの整備により、がん診療における医療機関の役割分担を進め、がん医療の質の保証と安全の確保を図ることを求められているわけであります。
病院局からは、さきの3定で
がん連携パスの運用についての質問に対し、国、北海道の
連携パスモデルを使用し、今後、
当該パスモデルの使用が可能な
連携医療機関の確保に努めていく旨の答弁があったところであります。
そこで、質問でありますけれども、がんの
地域連携パスは数種類運用しているということでありましたが、現在の運用状況はどのようになっているのか、まず伺います。
◎晴山
病院局理事 がんの
地域連携パスの運用状況についてお答えいたします。
現在、当院で運用しているがんの
地域連携パスは、
前立腺がんと肝臓がんの2種類であります。そのうち、
前立腺がんパスは、昨年4月から市内4カ所の医療機関の参加を得まして運用を開始し、本年2月末現在で7名の患者に使用しております。また、検査の結果、
前立腺がんと確定診断されなかった14名の患者に対しても、
経過観察用のパスを使用しましてがんの早期発見に努めております。また、肝臓がんにつきましては、昨年10月から準備を進めまして、1名の患者に使用しております。
◆國安政典 委員 今のところ、がんの連携パスはまだ数が少ないというふうに思いますけれども、ようやく運用が本格化し、これから地域全体でがん患者を診る体制がつくられていくものと期待したいところであります。
しかし、肺がんや胃がん等の5大がんと言われる日本人に多いがんについては、パスは作成されているものの、具体的な運用は進んでいない状況であると思います。がん治療は、これから、一つの拠点病院のみが行うのではなく、患者を地域全体で見ることに取り組んでいくことが必要でありまして、役割分担がより重要になると思います。その意味でも、分担する機能を明確にし、大まかな治療の工程表である連携パスは、患者が安心して地域で治療を継続するための
必須アイテムであるというふうに考えます。
そこで、質問ですけれども、5大がんの連携パスは北海道でも既に作成、公表されているわけでありますが、市立病院では
具体的運用に向けてどのように進めているのか、お伺いします。
◎晴山
病院局理事 5大がんの連携パスの運用に向けた取り組みについてお答えいたします。
北海道では、昨年11月に、
がん診療拠点病院が共通で使用可能な5大がんの
地域連携パスを作成しました。当院を含む札幌地区では、これに基づき、市内の
がん診療拠点病院8施設の医師及び
地域連携部門で構成する
代表者会議で平成23年度中の
パス運用開始に向けて検討を重ねており、当院においても5大がんごとの担当医師を定めるなど、
連携医療機関との協議に向けた準備を進めております。
◆國安政典 委員 次に、がんの
放射線治療について伺います。
現在のがん治療では、手術、化学療法とともに、
放射線治療は大きな柱でありますけれども、まだ、がん患者全体の25%程度が
放射線治療を受けているだけで、治療を行う専門医も少なく、もっと普及させていく必要があるというふうに思います。
放射線治療は、ここ数年で治療機器が大きく進歩し、当初は実験的なもので健康保険の対象外であったものが保険を使えるようになったり、
高度先進医療に採用され、
自己負担額は大きくなるものの、最新の機器による治療が受けられるような環境整備がされてきております。また、
緩和ケアの一環として行われるものや、がんを小さくして手術するために化学療法と一緒に行う
放射線治療もふえているというふうに聞いております。
そこで、伺いますけれども、現在、
放射線治療を行っている患者はどれくらいいるのか、また、主にどのようながんを対象に行っているのか、伺います。
◎富樫 副院長
放射線治療を行っている患者数は、平成22年1月から12月までの1年間で301名でございます。
放射線治療を行っている主な部位は、乳房、頭頸部、骨、肺、脳、食道などでありまして、これら六つのがんで全体の約74%を占めております。
◆國安政典 委員 301名ということで、
放射線治療はかなり多くの患者が受けており、多くの命を救うためにも高度な
放射線治療機器の導入が望まれると思います。
市立病院では、多くの科が使用する
画像診断用の機器、例えば、23年度はCTの更新が予定されておりますが、
治療用機器は2台あるものの、平成14年度に導入されたものと平成7年の移転時に購入されたものであり、かなり古くなっていると思います。
がん治療用放射線機器の性能は年々向上し、周辺の臓器に大きな影響を与えずに、これまで治療が難しかった深部のがんも治療できる機器が登場しております。価格はまだ高価であるということですけれども、導入している医療機関もふえているというふうに聞いております。
市立病院では、
がん拠点病院として多くのがん患者の期待にこたえる高度な
放射線治療を行うためにも、最新機器の導入が必要であると思いますが、今後の更新についてどのように考えているのか、お伺いします。
◎富樫 副院長
がん治療用の
放射線機器の更新についてお答えいたします。
当院では、数多くの医療機器を保有しておりますことから、年数が経過したものなどを中心に、毎年度、平準化した投資規模の中で順次更新しているところであります。委員からご指摘のありました
放射線治療機器につきましても、これまでの使用状況や性能の向上にかんがみまして、ここ数年内に更新する必要があると考えており、今後の財政状況や患者の動向、
医学物理士など有資格者の確保なども勘案しながら、機種や更新時期を検討してまいりたいと考えております。
◆國安政典 委員 がん治療は、地域の医療機関が一体となって患者をサポートする必要があります。そのためには、患者、また家族がよく治療内容を理解し、安心して治療に専念できる工程表である
地域連携パスが有効であるというふうに考えます。各拠点病院と協力して、
がん連携パスの効果的な運用に当たっていただきたいというふうに思います。
また、
放射線治療機器につきましては、非常に高価でありまして、財政負担も大きいことは理解しておりますけれども、がん治療に実績のある市立病院にはできるだけ早期に整備されるよう進めていただきたい、このことを要望させていただきまして、私の質問を終わります。
◆坂本恭子 委員 私は、病床数の見直しと
ジェネリック医薬品の採用状況について、二つを質問いたします。
まず、第1点目の病床数の見直しについてです。
今回、810床のベッドから764床のベッドに46床削減することになっております。ほぼ1病棟分に相当する規模のものなのかなと思っておりますが、新
パワーアッププランでは、静療院の成人部門の本院統合後の一般病床を810床から75床減らすこととしておりました。今回、それとは違う形で病床数の見直しが出てきておりますから、これがどのような観点から行われているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
それから、
ジェネリック医薬品の利用拡大、採用状況についてです。
これは、私は繰り返し取り上げてまいりました。少しずつですけれども、
ジェネリック医薬品の採用が広がっています。患者はもとより、保険者である札幌市の
医療費負担の軽減、それから、病院の在庫金額の減少など、メリットが大変大きいということもあって取り上げてまいりました。
これは、今年度、2月現在の実績でいきますと、率としては10.9%、品目が193品目というふうに拡大してきております。新
パワーアッププランの中では、年間20品目程度を目標に
ジェネリック医薬品への移行を考えているということでした。品目数だけでいきますと、昨年度から今年度にかけては既にクリアしているのかなというふうに思いますけれども、この間、どのような形で採用の拡大を図ってきているのか。また、新
パワーアッププランでの導入目標というのは、引き続き、達成可能な数字というか、現実的にやっていくのかどうなのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 まず、私から、病床数見直しの観点についてお答えいたします。
新
パワーアッププランでは、近年、急速に進んでおります医療の急性期化により、当院の
平均在院日数が短縮し、
病床利用率が低下していること、さらに、DPCへの移行後、その傾向がさらに進むものと考えられましたことから、病床利用の実態に合わせて病床及び病室の有効活用を図るため、病床数を見直すこととしたものでございます。
プラン策定時は、
委員お話しのとおり、
病床利用率が90%となることを念頭に75床の減を想定しておりましたが、その後、各診療科、病棟の
病床利用状況や
診療科部長のヒアリングなどを踏まえまして、院内で精査を重ね、46床減の764床としたものでございます。
◎樋口 副院長
ジェネリック医薬品についてお答え申し上げます。
ジェネリック医薬品は、我々の病院でも積極的に入れていこうという方針で、共産党からは以前からずっとご指摘いただきまして、たしか、数年前、正確な日にちは忘れましたが、最初のころは6%台でございました。それから、毎年、努力をしまして、現在は、先ほどおっしゃったように、先月の数値ですけれども、10.9%にふえております。
実際的には、注射と経口剤がありますけれども、我々の病院では、全部で192品目のうち、注射は120品目が後発品になっております。現実的には非常に高価なお薬が多く、使用頻度が多いということで、今は数字を言えませんけれども、金額的には大変高い利益差が生じております。
ジェネリック医薬品に切りかえたのは、21年度は25品目、22年度は、現在までですが、23品目です。目標の20品目以上ということでは、特に注射が非常に多いということで、今は10.9%ですが、何とか20%までというふうには思っています。経口剤に関しては、院外処方が非常に多いので、実際的には我々は先発品で処方しておりますけれども、院外では
ジェネリック医薬品が大分出ているのではないかと考えております。そういう意味で、さらなる努力をしていきたいというふうに思っております。
◆坂本恭子 委員 まず、
ジェネリック医薬品の方ですが、注射が120品目ということで、随分進んでいるというふうには思っております。10.9%ということで、年度末までどれくらい数字が伸びるかわかりませんけれども、最終的に20%ぐらいの導入を目指していきたいというお話もありました。やはり、先ほども申し上げましたように、患者の負担、それから、保険者である本市の負担の軽減にもつながっていくものです。また、
ジェネリック医薬品へ移行しているもの、先発だったものが後発に移行しているものも大変多くなってきておりますし、品質も安定してきているということですから、ぜひ、これは進めていっていただきたい。それから、品目だけではなくて、
金額ベースでも目標をしっかり持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
ジェネリック医薬品についての質問は、これで終わらせていただきます。
病床数の削減ということですが、当初、90%程度の占床率と言うのですか、ベッドの確保がそのとおりに伸びてこないということで、75床から46床の削減にとどまっているというお話でした。
6人部屋から4人部屋に変えることに伴って、差額室を設定するということがかねてより言われておりました。今回、72床になるのでしょうか、4人部屋の差額室ができるわけですけれども、ここについて、具体的に差額の料金設定がどういうふうになっているのか、お聞かせください。
◎野崎
経営管理部長 差額室の料金設定についてお答えいたします。
4床差額室につきましては、
病床利用率の比較的低い病棟を中心に6床室の一部を転用して整備するものでございまして、整備内容としては、天井や壁の改装、さらには、電動ベッドとか収納家具、いす、テレビ、冷蔵庫などを設置し、テレビ、冷蔵庫については無料でご使用できるような設備になっているところでございます。料金につきましては、整備に要する経費、その他管理費等に基づきまして、1日2,100円を予定しているところでございます。
◆坂本恭子 委員 個室でもないのに1ベッド当たり1日2,100円ですね。4人部屋ですけれども、ここで差額ベッド料が発生するということですか。4人部屋でやるということですね。患者の負担は大変大きいというふうに思いますけれども、そこら辺はどういうふうに考えていらっしゃるのか。私は、差額ベッド料金の徴収は行うべきではないと思いますけれども、改めてお考えを伺いたいと思います。
先ほどもちょっと申し上げましたが、72のベッドが4人部屋の差額ベッドになるわけです。新年度のベッドの占床率は84.6%ですから、単純に2,100円を掛け合わせていきますと、4,668万9,000円というお金が入院患者から吸い上げられることになります。厚労省の告示だと思うのですが、通知の中で、民間病院については差額ベッドは50%を超えてはならない、それから、公立病院については30%、国立病院については20%、こういう規制が設けられています。そもそもこの以前というのは、保険外のところで新たな料金徴収をされないでも必要な医療を受けることができる、そして、それは、公立病院、国立病院に特に求められていることだと私は思います。
そういう意味では、そもそも公立病院は、あまねく市民が利用できるように、そういう状況をつくっていくということではないかと思います。病院の病室の環境が改善されることは結構なことではありますが、差額ベッド料を取るということは、やはり許されない。しかも、1日2,100円という料金が取られるということですから、私は、これは行うべきではない、見直すべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。
◎野崎
経営管理部長 4床差額室の導入につきましては、静療院成人部門の本院統合に伴います収支計画の見直しの中で、4床室化による療養環境の改善及び収益の改善をプランに掲げまして、今、進めているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、4床差額室に変更する部屋につきましては、
病床利用率の比較的低い病棟を中心に6床室の一部を転用して整備するものでございますし、先ほど申し上げましたとおり、一定程度の投資をいたしまして快適な療養環境を用意するというふうなことで、先ほど委員が言われたとおりの収入がすべて収入となるものではないことをご理解いただきたいと思います。
また、患者の声からも、通常、我々が上等室と言っている個室が36室ありますが、ほぼ満床状態が続いてございまして、個室を求める患者に対して、純然たる個室ではございませんが、多床室の中で個室風の環境を整えるというふうなことでご使用いただくことも、
市立札幌病院だけではなく、他の病院などの例も参考にして導入しようとして考えたところでございますので、ご理解いただきたいと思います。
◆坂本恭子 委員 部屋の環境がよくなるというのはいいですね。快適に入院、治療に専念していただくということですし、今の6人部屋から4人部屋に変わっていって今の面積基準の要件も満たされていくわけですから、私は、それは当たり前のことだというふうに思っております。しかし、そこで2,100円という差額ベッド代を取るのかどうなのかということですね。今までだと、テレビのお金がかかったり冷蔵庫の使用料がかかったり、そういうものもひっくるめて2,100円になる、そういうお話だったと思います。
しかし、先ほど、私が病院局の方からいただいた保険外併用療養費医療機関名簿です。これは、全部ではないみたいですが、大体の公立病院、市内の代表的な病院がリストアップされているものですが、これを見せていただきましたけれども、個室は差額を取っているところがありますね。部長が今言ったように、市立病院にも特別室がありまして、1万2,000円、1万円、上等室が8,000円ということです。こういうことも含めて、個室で差額ベッド料を取っている病院はあるけれども、少なくとも私がそちらからいただいた資料では、4人部屋で差額ベッド料を徴収している病院はないのですけれども、実態はそれでいいですか。4人部屋で差額ベッド料を取っている病院は市内にありますか、ありませんか。
◎野崎
経営管理部長 統合前の国立西札幌病院では、多床室の上等室があったというふうに伺っております。(「4人部屋ですか」と呼ぶ者あり)
○村松正海 委員長 もう一度ご答弁しますか。
◎野崎
経営管理部長 4人部屋というふうに伺っております。
◆坂本恭子 委員 改築前ということですから、現段階ではないということですね。
私は、差額ベッドが4人部屋になるということで、実際にどんなふうになるのかということで比較図という資料をもらうと、ここに4床差額室と書いてあるのです。これを見て幾らになるのだと聞いたら2,100円というお話でした。調べていきましたら、今いただいている資料の中では、4人部屋で差額料金を取っているところはないというふうに思っています。これが事実でなければ後でまた訂正があるのだろうと思いますけれども、特別室、上等室という個室である程度の利用があるのは当然だと思うのです。希望があるのも当然だと思うのです。
部長は、さっき、ほとんど満床になっていると言いましたけれども、私が電話で聞き取りをしたときには、市立病院の特別室Aは、30平米あって1万2,000円です。電動ベッドで、トイレ、シャワールーム、キッチン、応接室が整備されていて、これが50%の稼働率というふうに伺いました。特別室Bは、24平米で1万円ですけれども、これが7割ぐらいということでした。上等室は、12平米で8,000円です。これはシャワールームとかはついていないですね。机、トイレということですけれども、病院都合でない場合は70%程度というようなお話を私は聞いていたものですから、ほとんど満床の状態になっているということであれば、その数字を改めてお示しいただきたいと思います。
あわせて、今回、4人部屋になる72床についてですけれども、この占床率、稼働率をどういうふうに見込んでいらっしゃるのか、お聞かせください。
◎野崎
経営管理部長 先ほど委員からお話がございました特別室の2種類、1万2,000円、1万円の部屋と8,000円の上等室については、もちろん利用状況については異なっているものというふうに思いますが、私が先ほど申し上げました満床状態と、多く利用されていてなかなか入ることができないというふうにお話ししたのは8,000円の上等室のことでございまして、数字的な違いがあるということであれば後ほどお示ししたいというふうに思います。
それともう一つ、4床差額室の占床率ですが、収支計算をどう立てるのかということにつきましては、60%程度というふうに考えたところでございます。
◆坂本恭子 委員 60%ですか。一番最初に、90%の占床率を目指していたけれども、それが伸び悩んでいるので、6床室を4床室に変更して有効活用するというお話でしたね。これは、新
パワーアッププランにも書いている話です。そして、新年度の占床率は全体で84.6%を見込んでおります。そして、有効活用をすると言って、差額ベッドの占床率については60%ということですか。これはおかしくないですか。占床率を上げて、ベッドの稼働率を上げて、そして、収支の見直しをしていくのが新
パワーアッププランですね。占床率だけで見れば平年度ベースよりも下がっていく、60%程度の見込みだということですから、私は、この新
パワーアッププランの考え方でいくと、全く逆の方向に向かっていってしまうのではないかなというふうに思うのですけれども、その点はいかがお考えになりますか。
◎野崎
経営管理部長 病床利用率につきまして84.6%と予算でお示ししているものについては、一般病床の全体の
病床利用率でございます。先ほどの90%を目標とするということにつきましても、一般病床をその時点で810床から735床をベースとして90%という
病床利用率でございます。84.6%にしたことにつきましては、先ほど申し上げましたが、現在までの病床の利用状況、あるいは今後の病床利用の見込みを各診療科の医師や病棟などからヒアリングすると同時に、ある一定程度の余裕を持っているということも必要だろうということで、病床を過度に減らしていない、75床減から46床減にしたというのは減らし方を少なくしたというふうなことでございます。
また、60%というのは4床差額室だけで見たときの稼働率でございまして、4床差額室は18室を予定してございますので、18室掛ける4ですから、72ベッドに対しての60%ということになります。ですから、全体で言いますと、その他のベッドについては84.6%ではなく、それより若干高いと。4床差額室ではない違う部屋につきましては、84.6%ではなく、86%なり87%なりというふうな計算をして、病院全体としては84.6%の予算を組んでいるということでございます。
◆坂本恭子 委員 診療科によってもベッドの占床率は変わるわけですから、いろいろなものを上積みしていって、平均で84.6%というのは十分に理解しています。だから、特別室Aというのは半分しか動いていないわけですね。それでもこの中には入ってきているわけです。
今回の72ベッドについては、2,100円の差額料を取るということですね。ここだけで見ると60%ですが、これはやむを得ないというふうにお考えなのか。本来は急性期の病院というさっきからのお話もありましたが、何かあったときに受け入れができるという状況を地域の病院と連携しながらつくっていくわけですね。そのときに、市立病院へ行きます、4人部屋しかあいていないのです、お金がかかってしまいますけれども、いいですかと。痛い思いをして、つらい思いをして、救急搬送されていくときに、そういう確認をされて、本人はわからないで、いいです、すぐに連れていってくださいと。それは同意とみなされるのですね。入院しました。お金を請求されるのですよ、差額ベッド代を、通常でいけば。こういうときの対応ということも考えていただかなければならないというふうに私は思います。
先ほども申し上げましたけれども、
市立札幌病院というのは市民の皆さんにいつでも気軽に利用していただける病院だったのではないかなと思い、実は、こういう立派な本を借りてまいりました。これはもう10年前に出されていますから、140年誌というのもできているのでしょうか。これは、市立病院ができたときのお話です。病院仮規則を定め、病院薬価、賄い料も商工に限り自費とし、農業移民、アイヌ、私財困窮者は官費としたと。ここでは、貧しい人、困っている人たちには公的なお金で医療を受けさせてあげよう、そういうことが私は書かれているのだと思って読ませていただきました。大変立派なものだなと思って見せていただきましたけれども、私は、今回の差額ベッド料を徴収するということに当たって、このときの市立病院の精神が、一体、まだ生きているのかな、正直、そういうふうに思いました。
改めて、私は、これは行うべきではない、初心に返って、本当に大変な思いをしていらっしゃる方々すべてに対応していける、そういう病院にしていくべきだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
◎吉田
病院事業管理者 ただいま、官費で払うべきだというお話でしたので、その点については私がお答えいたします。
明治に斎藤龍安先生が病院をつくられたときのお話でございます。そのときは健康保険もございません。そして、赤ひげの時代でございます。お金持ちからたくさんお金をいただいて、お金のない人はただにしてということが可能であった時代でございます。ただいまの総務省が黒字にしろというふうな国の指示もないときのことでございます。ですから、時代が全く違いますので、精神は生きておりますけれども、病院も生きていかなければならないことをご理解いただきたいと思います。
◆坂本恭子 委員 時代は違うというお話であります。やっぱり非常に残念ですね。
差額ベッドの導入というのは、厚労省が1984年に決めたのですね。患者は快適さを求めているということで、差額ベッドを希望する患者からは、入院基本料などとは別に特別料金を徴収できるという制度になりました。これは、当初は個室か2人部屋となっておりましたけれども、その後、4人部屋にまで拡大されることになっているわけです。ですから、通常の感覚でいくと、差額ベッドと、まして、公的な病院でということになったときに、4人部屋に入るといって、そこで差額料が発生するのか、私はそこの問題だと思うのです。
経営についていろいろお考えになるのは管理者としてはもちろん当然のことですし、ある程度の収支を埋めていくという仕事は求められていると思います。しかし、お金がある人は大きくていい部屋に入れて、お金のない人は――今、6人部屋は基準以下ですね。1ベッド当たり6.4平米なければならないところを、今、市立病院は4.8平米だというふうに聞いております。4人部屋になってやっとこれが7平米になるということですが、お金がなければ、狭くて窮屈な不自由を強いられる、そういう部屋にしか入れないというのは、私はやっぱりおかしいことだと思うのです。ある意味で収支の改善は求められるけれども、市立病院、公立病院というのは、本当に地域の医療に寄り添ってやっていくものだというふうに思います。そこで療養される方の環境を整えていくというのは当たり前のことですよ。だから、今の基準に合わせて4人部屋にするというのは当たり前のことだと思います。しかし、4人部屋まで差額ベッド料を取っていいというふうになっているから取らせていただきます、市立病院はお金もないのでということでは、私はやっぱり受け入れられないというふうに思いますね。
今、本当に暮らしが大変な状況になっているところで、こういう値上げにつながる差額ベッドの導入ということはやっぱりすべきではないというふうに思いますし、民間もこれからは4人部屋がどんどんスタンダードになっていくと思うのです。というか、もうなってきています。そういう中にあって、
市立札幌病院が差額ベッド料を取るということが民間に波及していく、そういう影響も考えていっていただかないと、地域連携、地域連携と言っていろいろな専門分野で連携していきながらも、値上げにつながる連携というか、私はそういう関係はつくっていくべきではないと思うのです。
改めて、今回の差額ベッド料2,100円の値上げは行わないでいただきたいということ、やめるべきということを申し上げて、終わりたいと思います。
◆佐藤典子 委員 私からも、質問させていただきたいと思います。
今、新
パワーアッププランに基づきまして、病院局一丸となって取り組みを進めているところであります。
きょうは、新
パワーアッププランに関連しまして、このプランの13ページに書かれております経営効率化のための具体的な取り組みの中で、勤務環境の整備、それから、患者サービスの充実等を中心に質問させていただきたいと思います。
安定した医療、また、その医療の充実に向けては、働く環境づくりの整備を欠かすことができないと考えております。新
パワーアッププランの経営効率化のための具体的な取り組みの三つ目に勤務環境の整備等が上げられておりますけれども、安定した医療の提供、充実、そして、働く医師や看護師等のこうした環境整備の充実をさらに進めていくべきと考えております。
そこで、1点目の質問です。
医師の勤務環境改善として、必要とされる診療科への医師の確保、増強という中では、救命救急センター、産婦人科、新生児内科など計10人の予定で増強などを図っていくとされていますけれども、勤務医不足が叫ばれる中で、現在の医師確保の状況はどのようになっているのか、伺います。
2点目は、医療秘書の増員についてです。
医師の事務的な仕事の補助を行う医療秘書の増員も欠かすことはできません。11人を今後は5人ふやしまして16人にするというようなことが示されておりますけれども、現在の配置状況はどのようになっているのか、また、これによって医師の業務負担軽減がどのように行われているのか、さらに、それをどういうふうに評価されているのか、伺います。
また、今後一層の増員を図るべきと考えますけれども、その点についてどのようにお考えか、伺います。
3点目です。
専門性の高い病院事務職員の確保、育成についてです。
プランに記載されていますように、これからの病院経営には、診療報酬、また、診療情報管理等の高い専門性が求められている医事業務を安定的に遂行することが求められていることは言うまでもありません。これを担う職員の確保、育成が大変重要と考えます。このプランにおきまして、任期付職員や病院独自職員の検討が予定されているというふうに示されていますけれども、この検討状況、話し合いがどういうふうに進んでいるのか、また、今後の見通しについてもあわせて伺います。
◎野崎
経営管理部長 3点ございましたが、一括して私からお答え申し上げます。
まず、新
パワーアッププランの取り組み状況のうち、医師確保の状況でございます。
平成21年4月に医師定数を13名増員いたしまして、23年3月時点では定員を若干上回る134名の医師を確保し、さらに、新年度に向けまして7名程度の増員をする計画となってございます。脳神経外科などはいまだ欠員とはなってございますが、増員の必要性が高い診療科といたしまして、プランに掲げました救命救急センター、産婦人科、新生児内科につきましては、一定数の医師確保が実現する見込みとなってございます。
次に、医師の事務作業の補助を行う職員、いわゆる医療秘書の増員の状況についてでございます。
平成21年3月の
プラン策定時の医療秘書の職員数は11名でございましたが、
診療科医師の希望などを踏まえまして、平成23年3月現在では20名まで増員配置をしたところでございます。これらの職員は、医師が専ら行っておりました電子カルテへの入力や予約業務、診断書等の文書の作成など事務的業務を中心に補助しているところでございまして、これらの作業によりまして医師の事務負担軽減効果があらわれてきており、各
診療科医師からも高い評価を得ているところでございます。今後につきましても、医師の希望を聞きながら増員を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
最後に、専門性の高い病院事務職員の確保、育成でございます。
委員ご指摘のとおり、病院を取り巻く環境は、診療報酬の改定や医療保険制度の見直しなど常に大きく変化してございまして、これらの動向に確実に対応できる専門性の高い事務職員の育成、確保が急務となっているところでございます。このため、プランにも掲げましたように、診療報酬、診療情報管理など高度な専門性が求められる医事業務部門を中心に、病院独自職員の配置に向けて関係部局との協議を進めてまいりました。現時点では、長期的な人材育成や人事交流のあり方等の課題があることから結論は得ておりませんが、引き続き、実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
◆佐藤典子 委員 医師が安心して働き続けることができる環境づくりというのは、本当に医療のレベルを上げることにもつながるというふうに考えておりますので、その確保についてはさらに進めていただきたいということを強く求めておきます。また、医師が抱えている事務事業の軽減を図るほかにもさらに検討する余地があるところについては、また医師と相談しながら今後も進めていくことも考えているということでありますので、その点についても求めておきます。
専門性の高い病院事務職員の確保については、今はなかなか結論を出すまでには至っていないということでありますけれども、医療を取り巻く環境は今後もますます煩雑になったり、複雑になったり、またレベルも高くなっていくと思われますので、この点についても強く求めておきます。
次に、患者サービスのアップについて伺いたいと思っております。
患者サービスのアップにつきましては、市民ネットワークとしましても、これまでも図書室の設置の要望とか相談窓口の一元化などを求めてきたところであります。経営効率化のための具体的な取り組みの四つ目に患者サービスが上げられておりますけれども、この中で、今、患者満足度調査を行っているというふうに伺っています。病院局では、この満足度調査を定期的に行って、病院スタッフの接遇や施設などに対する意見、要望を把握して、その後の取り組みに生かしているということであります。
また、先日も、病院に行きましたら、ロビーにいろいろな方からの意見が掲示されておりました。これは、満足度調査ではなくて、日常的な要望などから抜粋したものが公表されておりますけれども、一つ一つに大変丁寧にお答えをいただいて、取り組んでいるのだなという誠意を感じるものでした。
そこで、この満足度調査について伺いたいのですけれども、今回、この満足度調査の調査票の配付方法なども改善して、より多くの患者の意見や要望を把握されていると聞いております。そこで、2010年度の満足度調査では患者からどのような意見や要望があったのか、また、それをどのように改善していこうとされているのか、伺います。
そして、患者アメニティーの向上につきましては、外来等の待ち時間を有効に活用できるように、患者用の図書室が設置されておりました。ひっきりなしに患者が入っておられた感じを受けましたし、いろいろな方が手にとって見ておられましたので、図書室が置かれた意味もあると評価できるのではないかと思っています。
そこで、アメニティーの向上ということでの図書施設ですけれども、利用状況はどのぐらいあるのか、また、患者の反応、反響としてどういうふうな声が届いているのか、伺いたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 2点ございましたが、まず、患者満足度調査における意見及び改善の取り組みについてお答え申し上げます。
患者満足度調査につきましては、平成17年から継続して実施しているものでございますが、これまでの結果を踏まえまして、休憩スペースの拡大や面会時間の延長などを実施してきたところでございます。22年度の患者満足度調査におきましても、引き続き、職員の接遇についてお聞きしてございまして、おおむね良好との結果は得ているところでございますが、会計時の呼び出しの改善や待ち時間の短縮といった要望などが寄せられているところでございまして、新年度に向けて自動支払い機の導入を計画しているところでございます。
次に、患者用図書室の利用状況とその反響についてお答え申し上げます。
患者用図書室につきましては、昨年8月2日にオープンいたしましたが、貸し出し手続を行うことなく患者が自由に本を閲覧できるような仕組みでございますことから、正確な利用者の数は把握できないものの、常に患者が出入りしていることから、多くの皆様にご利用いただいているものと考えてございます。本年度の患者満足度調査におきましても、図書室においてお聞きいたしましたところ、待ち時間に利用できるのはありがたいといった声が寄せられているほか、入院患者からもよい取り組みというふうに評価されているところでございます。
◆佐藤典子 委員 新年度から自動支払い機が導入されるということでありますので、患者にとってもそういった手続がスムーズに行える取り組みがさらに進むのではないかと期待しますし、また、意見などを生かして取り組みを進めていただきたいと思います。
それから、患者用図書についてですが、2005年の1定のときに、患者用図書室を設置してはいかがでしょうかという質問をさせていただきました。そのときには、こういった待合室での図書室ではなくて、患者が自分の病気と医療行為について知ったり、治療方法を自分で決め、患者と医療者が一緒に病気を治す、そういうような取り組みのためにも、専門書などを置いた図書室の設置などが求められるのではないかという質問をさせていただきました。そのときは、場所などもなかなか難しいので、そういうところは今後の課題だというふうに伺っていたのですけれども、まず一歩、患者のアメニティーの改善という部分でこういったものが設置されたことは評価するところです。
今後は、患者と医療者が一緒に病気を治すというところで、インフォームド・コンセントやセカンドオピニオンの重要性などが今言われている中で、市民のための健康とか医学情報の提供など、また、きめ細かなコミュニケーションを図る手助けとしても、
市立札幌病院においても医療関係の専門書などをそろえた患者用図書室の設置について、改めて、きょうは要望だけにさせていただきたいと思います。
最後の質問ですけれども、相談体制についてです。
これまでも、患者の相談体制の充実を求めてまいりました。2004年に質問させていただきましたときには、相談体制が五つの窓口に分かれていて、患者がいろいろなところに行かなければならず、なかなか相談しづらいという話を聞いていたものですから、ぜひこれを一元化して患者にとってスムーズな相談体制の充実を求めてきたところであります。今回、こういった相談部門が一元化されまして、以前の体制よりかなり向上しているというふうに思っています。
そこで、相談体制の充実とともに、患者の相談内容も多様になってきているというふうに思いますが、どんな種類の相談が寄せられ、対応しておられるのか、伺います。
また、現在の相談コーナーを見せていただきましたが、そこは仕切りになっていますけれども、小さな机が並んでいるカウンター式になっているものですから、私としましては、やはり患者のプライバシーとか、デリケートな内容もあるかと思います。
そこで、相談コーナーの間仕切りや相談用の個室の増設など、進めていただきたい部分としてぜひ改善を求めたいと思うのですけれども、そのことについてどのようにお考えか、伺います。
また、もう1点です。
今、患者は玄関で待たれるわけですが、入ったときの風の強さとか寒さというのは、病院に来ているのですけれども、我慢をして待つという状況があります。また、今、相談窓口ができて、新患の方は受け付けされるところができましたので、直接、強い風は吹き込みませんけれども、両方に強い風が吹き込むようになっています。そうしたときに、入院する予定の患者のところに一番に強い風が行くとか、文書センターや、薬剤部の方とか、検査の説明をされる側の方には非常に冷たい風が行きます。働く環境の整備というところでは、そうした寒さ対策についてもぜひ検討いただきたいのですけれども、どのようにお考えか、あわせて伺いたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 3点ございましたが、まず、1点目の相談コーナーでの患者の相談内容でございます。
交通事故や労災関係、生活保護などの福祉関係、難病などの特定疾患関係、医療費の支払い相談、障害者手帳などの諸手続など、年間約3万件の相談や事務手続の支援を行っているところでございます。また、
地域連携センターでは、転院、退院の支援などの相談やがんに関する相談に対応しているところでございます。
2点目の相談コーナーの相談環境の改善についてお答え申し上げます。
医事課の相談コーナーにつきましては、先ほどの委員のお話のとおり、患者の利便性を重視いたしまして、狭隘な事務室の中で窓口を一元化しているところでございまして、その中で各窓口に間仕切りを設置するとともに、相談の内容や相談の人数によっては相談室を使用するなど、プライバシーの確保に努めているところでございます。個別の相談コーナーの設置や相談室の増設につきましては、限られた事務室スペースの中では困難なことでございますので、病院全体のレイアウト見直しの中で改善が可能な方策について検討してまいりたいと考えてございます。
最後に、厳冬期に中央ホールが寒いとのお声があることは承知しているところでございます。これまでも、玄関正面への防風兼用のブースの設置や、自動扉に開閉用のタッチセンサーを新設する、あるいは、各コーナーへパーテーションを設置するなど、寒さ対策に努めてまいりました。今後につきましても、ホールの温度の調整をより綿密に行うとともに、先ほどお答えいたしました自動支払い機設置に伴うホール全体の配置見直しを行うことから、その中で検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆佐藤典子 委員 要望であります。
市立病院の基本理念は、すべての患者に対して、その人格、心情を尊重し、常に優しさを持って診療に専心することだというふうにこれまで聞いてまいりました。サービスアップなどについても、本当にきめ細かに患者や入院患者の意見、要望を聞き、できることは改善していくといった誠意のある態度で取り組んでおられることを評価しているところです。
きょう申し上げました要望も、入院患者が待っているところの寒さとか、文書コーナーなどは、全員がそこではなくても、一部は別室で作業できる場合もあると伺っておりますので、今伺いましたレイアウト変更の際には、働く方々の働きやすさの改善なども含めて、ぜひ前向きに行っていただきたいということを改めて強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
◆松浦忠 委員 私からは、6点について質問いたします。
1点目は、福利厚生会からの物品購入について、2点目は、精神科病棟新築工事について、3点目は、21年度、22年度の患者の来院動向について、4点目は、一般会計から病院会計への繰入金について、5点目は、公傷判定医について、6点目は、病院職員、特に組合員の選挙活動についてであります。
まず最初に、病院局の方も福利厚生会から物品を購入されているのですけれども、なぜ、福利厚生会を経由して買われたのか、それについてお尋ねいたします。
◎野崎
経営管理部長 当局においても、職員福利厚生会から書籍などを購入しているところでございます。福利厚生会が委託しております地下1階の書店から購入しているものと存じますが、書籍につきましては5万円未満の少額のものということで、地方公営企業法施行令に基づき、随意契約できることとなっておりますことから、本庁舎地下の売店で購入したというものでございます。
◆松浦忠 委員 病院の位置的なことから言ったら、わざわざ本庁舎の地下の売店から購入しなくても、配達してくれるところもあるのです。今は、例えばクロネコヤマトでも佐川急便でも鉛筆1本、消しゴム1個から配達してくれます。
福利厚生会というのは、院長も構成員であります。厚生会の会員ですね。言ってみれば、皆さんの身内を利用して物品購入をしている、こういうことになるわけですが、一般の企業の方も、商売は何の制限もなくお互いに競争してやっているわけです。そういうことからいったら、そういうところから購入するというのは、私は、今の社会の通念上、適正ではないのではないか、やっぱり不適正と言わざるを得ないなというふうに思うので、これは、ぜひひとつ新年度から改めていただくことを求めて、終わります。
そこで、職員部長を呼んでいるから、福利厚生会について聞いておきます。
職員部長、福利厚生会の関係はあなたのところの所管かなと思います。人も派遣していますね。今は、派遣はなかったですか。派遣があるか、ないか、お尋ねします。
◎森 総務局職員部長 現在、福利厚生会に対しましては7名を派遣してございます。
◆松浦忠 委員 私は、一般会計からそれぞれの各会計でも福利厚生会のことを聞いてきました。7名の人件費は、23年度の予算では一体幾ら見ていますか。
◎森 総務局職員部長 直接、給与で支給されておりますが、今は手元に資料がございませんのでお答えいたしかねます。
◆松浦忠 委員 なぜ、7名必要なのか。
◎森 総務局職員部長 福利厚生事業は、官民を問わず、事業主の責務として職員の元気回復や士気高揚、心身の健康の保持・増進などの事業を通じまして、職員がその能力を十分に発揮できる環境を確保することにより、市民サービスを維持・向上させることを目的としております。福利厚生は、勤務条件の一つでございまして、地方公務員法第42条におきまして、福利厚生事業の実施は地方公共団体の責務であると規定されております。
札幌市では、他都市と同様に、職員互助会でございます福利厚生会において事業を実施することにより、効率化を図っているところでございまして、人的管理的な要素を含むため、事業の実施に当たりましては、札幌市が積極的に関与していく必要があると考えているところでございます。
◆松浦忠 委員 この派遣は、いわゆる定年前の職員全員なのか、それとも、再任用も含まれているのか。含まれているとすれば、その内訳。(発言する者あり)
◎森 総務局職員部長 現在は、すべて現職でございます。
◆松浦忠 委員 委員長、委員長に一つお尋ねしますけれども、大嶋委員は、再三言っていますけれども、議会運営委員長ですよ。いいですか。質疑に、議事運営に異議があるなら、委員長に手を挙げて、議会運営委員長ですから、議会全体の議事運営を取り仕切っている立場ですからね。したがって、委員長の議事の進め方に異議があるなら異議があるという発言をして、動議を出して、議事の進め方を直すなら直す、これが議会の通常のルールでありますから、このことをきちっとしてください。
○村松正海 委員長 それは私が委員長として判断しますので、松浦委員は質問をしてください。
質問をどうぞ。
◆松浦忠 委員 札幌市は、局長職を含めて約1,000人を再雇用しております。それが必要かどうかの議論は別に置いておいて、職員福利厚生会に何で正職の給料の高い人ばかりを派遣しなければいけないのか、再任用の派遣でなぜだめなのか、これについては私は前々から疑問に思っておりました。なぜ、正職で7名派遣しなければならないのか、この点についてお尋ねいたします。
○村松正海 委員長 松浦委員、きょうは病院局の審査でございまして、福利厚生会は総務局に当たりますので……
◆松浦忠 委員 (続)わかっています。わかった上で……
○村松正海 委員長 ですから、違う質問をしてください。
◆松浦忠 委員 (続)委員長、私がなぜこの質問をするかといったら、本当は、これは各局の最後の局のところでやろうと思っていたのですよ。なぜかといったら、各局全部、市長も来てもらって、福利厚生会の事業が本来の財団法人の事業から逸脱している、このことも含めて、最後に総括的に福利厚生会の質疑をしようと思っていたのです。したがって、一つ一つ分散しながらどこかのところで聞いていって、最後にきちっと整理をする。そうでないと質疑はできない。議員も大体わかっていないのですよ。
いいですか、委員長、申し上げておきますよ。これは議長に問題があるのだけれども、私が質問して回答された、文書質問に対する回答書が全部の議員に配られていない。だから、みんなは私の質問内容がほとんどわからない。昔は、これは全部配られたのですよ。いつからこうなったのか。これは、桂さんの、共産党と私を除いてオール与党体制に近いことになってからこうなったのですよ。
○村松正海 委員長 わかりました。お座りください。
森部長、答えられる範囲で1回だけ答えてください。
◎森 総務局職員部長 札幌市の人事配置につきましては、再任用職員も含めまして適切な人材活用のために適切に行ってきております。
◆松浦忠 委員 これについては、きょうの最後のところで市長にお尋ねすることにします。
次に、精神科病棟の新築工事について、私は、4定のときにも、病院局に、一般競争入札で制限をなくしてやるべきですよということは再三申し上げておりました。結果、どうなったか、答えも何も来ないから私も黙っておりました。
そこで、お尋ねしたいのは、まず、どういう条件で入札の告示をしたのか、そして、現在、入札は終わったのか、終わっていないのか。結果、予定価格、最低制限価格、そして落札価格など、それらについて明らかにしてください。
◎野崎
経営管理部長 工事の入札の状況でございます。
精神病棟の工事に関しましては、建築工事と電気、機械、エレベーターの四つの工種に分かれて入札をするところでございます。
そのうち、建築工事につきましては、去る2月8日に告示を行いまして、同月24日、25日に入札、28日に開札したという状況になってございます。条件につきましては、建築工事につきましては、単体では市内のA1、JVではA1とA1あるいはA1とA2の組み合わせということで、施工実績は3,000平米以上という条件を付したところでございます。
電気、機械、エレベーターにつきましては、2月25日に告示をしているところでございまして、3月14日、15日に入札を受ける予定となってございます。電気については単体で市内A、機械については単体で市内A、またはJV、エレベーターについては単体で機械設備、所在地問わずというふうな条件としているところで、これは既に告示をしているところでございます。
◆松浦忠 委員 建築工事について、何ゆえに3,000平方メートルという施工実績を条件につけたのか。これ以外は条件なく、あとは一般競争入札ですね。この条件だけで、あとは一般競争ですね。
◎野崎
経営管理部長 申しわけございません。施工の実績条件でございますが、機械につきましては成績重視型ということでつけてございまして、機械につきましても施工実績は3,000平米以上という条件を付しているところでございます。ですから、施工面積の条件を付しているのは建築工事と機械工事の二つでございます。
◆松浦忠 委員 これ以外に条件はないかと聞いたのですよ、私は。皆さん方は、最初にこういうことを言ったのです。病院の建築をした実績があるとか、そういうものもつけたいとか、いろいろ言っていたのですが、私の方は、そんなことは関係ないでしょう、すべての条件はなしでいいのではないのかということを言っていたのだけれども、そうすると、そういうようなものはなしで、ただ単に、建築で言えば3,000平方メートル以上の実績があること、それから、機械でも3,000平方メートル以上の実績があること、こういうことですね。
そうすると、なぜ、建築で3,000平方メートル、機械で3,000平方メートルという条件になったのか、お示しください。
◎野崎
経営管理部長 施工実績につきましては、一般競争入札ということで、市内のA1という条件を付した中で参加が可能ということで、本庁で定めます一般競争入札ガイドラインに基づきまして、発注工事と同種同規模の実績をつけることが可能となっているところでございます。本工事につきましては、工期が短いことや狭隘な敷地に建設すること、あるいは、救命救急センターのそば、本院との接続という特性もあることから、今回の建築物が約3,000平米という面積を有していることもございまして、3,000平米以上の施工実績のある業者という条件をつけさせていただいたところでございます。
◆松浦忠 委員 建設業法はご存じですね。あるいは、それにかかわる諸法規も企業会計ですからご存じだと思うのです。基本的に、今はどんなことができるかといったら、全くの何の資格もない人が代表者になって登記をして会社をつくる。そして、その人が、1級建築施工管理士とか、病院の今の病棟を請け負うのに必要な資格を持った人とそれぞれ雇用契約を結ぶ。落札をして、工事が始まったらいつからいつまであなたを雇用したい、こういう条件で雇用契約を結ぶ。今はそれで入札に参加できるのですよ。官公庁はすべてそれでできるのですよ。
そういう中で、実績というのは何かといったら、一つの法人なりが過去にそういうものをつくったことがあることが実績なのです。しかし、今のような会社形態の人は、一つ終わったらそこで精算して会社は解散してしまうのです。そして、自分がしたいなという仕事が出てきたときに、また法人をつくって参加する。法人は定款がありますからね、法務局登記のときに。その工事に合った定款をつくって参加するのです。これが、今、建設業法で認められている請負側の体制なのですよ。
以前にも皆さん方にいろいろお伺いしたときに、私も堀川議員も皆さんに意見として言いました。したがって、実績なんていうのは全く関係ないではないですか。一般会計のガイドラインと言うけれども、企業会計でその管理者に義務づけられているのは、予算は管理者が議会に直接提出することができないことだけは企業会計法で定められております。これは、市長が調整するということになっています。それ以外の執行権限というのは管理者に与えられております。一般会計のガイドラインをまねる必要もない。今までに、幾つか、堀川議員も、例えば、あの病棟の床頭台というか、ベッドのわきの物入れがありますね。あれの契約更新のときにも、フクリ企画が入っている問題に対して、きちっと競争性を持たせるべきだと言って幾つか指摘をしました。皆さんは、一たんは入札を取りやめて、結果的に再入札もフクリ企画に行くような仕組みをつくっていってしまった。
フクリ企画とは何ぞやといったら、できたときには福利厚生会と市職員組合が出資してつくった会社で、初代の社長は、右近さんと言う衛生局長をやめた方でありました。3代目社長は、市職員組合の委員長の佐藤一博さんです。さっきの福利厚生会も含めてこういうことが連綿として行われていて、そして、今のようなことをやっていくから、現在、逮捕、拘留中、取り調べを受けて本人も罪を認めていると新聞報道されていますが、小泉係長事件のようなことが氷山の一角として出てくるわけですよ。私どもは、事前に、皆さんにそういうことの見解を十分求めたけれども、管理者の院長先生を含めてただただ答えに窮するという状況の中で、後は結果を見ましょうということで、私らもそれ以上は言いませんでした。結果、こういうことになりました。
◎田中 浄水担当部長 ケーブルの交換ですけれども、法定耐用年数というものがございまして、電信電話線は30年というふうに規定しております。今、エコケーブルと言いまして、抵抗の少ない、エネルギーロスの少ないケーブルに取りかえるということでケーブルを交換しているのが現状でございます。
◆松浦忠 委員 法定耐用年数というのは、何の法律でどういうふうに規定されているのですか。これが一つ。
エコケーブルというのは、エコというのは何ですか。
電線でエコというのは何かといったら、電線を電気が走っていく過程の中で、電線の持つ、電気よ、おまえはそこを通るなというのを抵抗と言うのですが、この抵抗が多いと到達する機器までに電気が減るから、減らないようなものは一体何なのだと。そういう物質を使う。普通は銅が使われておりますね。それにかわるものにどんなものがあって、それが一体何%ぐらいか。一般的には銅線が使われております。銅線に対して、エコと言われる材質は、おまえ、行くなよという抵抗勢力が何%ぐらい減って、その減った分の価値が、残存ケーブルの、例えば30年としましょうか。20年でそれをかえるとしたら、ケーブルの10年間の残存価値、それから、エコに変えた場合の価格、何年でそれが回収できるのか。普通はそういう計算をきちっとした上でやるのですけれども、そういうことをどのようにされてやっておられるのか、事例を一つ示してください。
◎田中 浄水担当部長 まず、ケーブルの耐用年数につきましては、地方公営企業法施行規則に法定耐用年数が記載されております。
それから、エコケーブルでございますけれども、今、松浦委員から質問があったことにつきましては、手元に資料がございませんのでわかりませんが、現在のものは、重金属を含んでいない、いわゆる純正の銅に近いということで確認しております。
◆松浦忠 委員 正直に答えて。そういう比較計算をしていないなら、していないでいいから。していると言って資料を出してきてわからなかったとなったら、ここは議会ですから、虚偽答弁になるのですよ。正直に答えてください。(発言する者あり)そうですよ。事実に基づかない答弁はうその答弁ということになるのですよ。だから、正直に答えてください。これは、改めて求めておきます。
それからもう一つ、田中部長、公営企業法と、電気のこういう設備に対するいろいろな法律がありますね。電気設備に対する法律です。電気事業法もあるでしょう。そういった電気の関係の、経済産業省が所管する法律が幾つもあります。この法律とどちらが優先するのですか。
◎田中 浄水担当部長 電気事業法には耐用年数がございません。したがって、今申したように公営企業法をとっております。
◆松浦忠 委員 電気工作物規定なんていう通産省所管のものがかつてはあったのです。ここで、例えばそういうものが規定されていたのです、かつてはね。私は、公営企業法が絶対的に正しいなんて思っていませんよ。なぜかといったら、公営企業法で、一つ一つの品物に対して、新製品が出てきたら、その都度、法を改正していますか。あるいは、施行令なり通達、規則でもいいですよ。改正していますか。
わからなければわからないでいいのですよ。はっきり言うと、私みたいに低レベルの人間がこの程度の質問をして、皆さんが札幌市の生命を預かる大事な水道の機器の維持管理をしているとしたら、何かちょっと心配だな。当然、私が言ったようなこと――そして、特に重金属の、純度の高い銅を使う、純度が高くなれば通電度がいいのです。電気を通しづらい物質が含まれていれば、通電率はそれだけ悪いのですよ。それはわかるのです。しかし、それでは、エコだ、エコだと言って、重金属を含んだ電線をとってどうするの、それは。銅は溶かして再生するわけでしょう。いい値段で売れるわけでしょう。そうしたら、そこで重金属と分離や何かいろいろなことをしなければいかぬ。だから、そんなことに踊らされるのではなくて、経済的に、別に銅に重金属が含まれていたからといって、そこを電気が流れて水道のモーターを回して水を上げたからといったって、その水に重金属が混入していくわけではないのですよ。電気は重金属を運びませんし、ましてや、モーターを使ったポンプを通じて水にまじるなんていうことはないのです。
だから、エコなんていうのは、僕はわからないですよ。エコというのは何という日本語に直すのか、よくわからないけれども、そういうわからぬような言葉で惑わして、あるいは惑わされて簡単に物をかえる。すべて市民の負担です。かかる経費をできるだけ抑える、そして、低廉な価格で市民に水道水を供給する、これが公営企業の果たす役割です。公営企業法にも基本的にそう書かれているはずです。皆さん、公営企業法をもう一回読み直してください。そして、しっかりと対応してください。これは、また次の機会に質問しますけれども、このことはぜひ肝に銘じてやってください。このことは指摘しておきます。
さて、次に、労働組合員と政治活動についてであります。
戦後、最初に水道局職員から市議会議員を輩出したのは、いわゆる議員と呼ばれる人を出したのは澤木さんが最初でありました。この澤木さんの2回目の選挙のときが僕の初めての選挙で、1回目のときは僕らも澤木さんを応援しました。私は国鉄労働組合でしたから。そのときにどんなことが行われたかといったら、水道局の集金用の小型乗用車にみんな乗って戸別訪問に行くのです。おい、いいのか、それと言ったら、いやいや、水道はちゃんと管理者とうまく話をつけてあるから、こんな調子でやっていたのです。私もその横に乗せてもらって戸別訪問に行きました。しかし、水道はいいな、おれなんか、国労にはそんなものは全然なしで、歩いていけ、これだけだ、いやいや、水道局はいいな、こう言ったものですよ。そして、行ったらおやつも出してくれるし、いやいや、戸別訪問を頼まれて動員がかかるなら水道局だなとみんなに人気があったのです。
その後も、水道局は大体そんな体制で続いておりました。これに対して、私が議員になってからしばらくたって、これはうまくないなということで、やみ専従問題などを取り上げて、また、住民監査請求が出されて、その監査結果が出る前に市労連としておよそ五千数百万円を札幌市に返納して一件落着ということになりましたね。そして、当時の桂市長は、議会で私の質問に対してやみ専従はないと答えて、最終的にはそういう結末になり、議会でみずから陳謝をして、減給処分をしてこの幕を引いたといういきさつで、これはおよそ平成10年か11年のことでありましたね。これは事実であります。議事録を見てください。新聞にもテレビにも大きく出ました。
さて、今日、水道局はどうなっているか。私の方からは言いません。
そこで、管理者にお尋ねいたします。
今、水道局の組合員が後援会活動と称してどういう活動をしているか、管理者はどのように掌握されているか、お尋ねいたします。
◎堀口 総務部長 具体的なものにつきましてはあれしませんけれども、このような大変厳しい状況の中で組合員が選挙活動をするなんていうことは、地方公務員法上もそうですし、いろいろな意味でこれはできないということになっておりますので、そういう活動はしていないというふうに理解しているところでございます。
◆松浦忠 委員 かつての話をもっとすると、水道局の中に書記局というのがあって、そこで市の内線電話を使って電話依頼なんかもやっていたのですよ。今だって行われていますよ。私の方からこれを言えば、具体的なことに触れるような問題にも発展してくるから、私はここではあえて言いませんけれども、ぜひ、早急に調査して、いいですか、討論はしあさってでありますから、あさっての5時までに私に実態を報告してください。そして、私は、討論のときに、私が調査したことも含めて指摘をいたします。この件についてはこのことを申し上げて、終わります。
そこで、市長、先ほど私が指摘したようなことが行われたことは過去の実績ですが、そのことは別にして、今現在、こういうことに対して指摘された場合、市長はどんな対処をすることが妥当だと思いますか。ちょっとお尋ねします。
◎上田 市長 先ほど来おっしゃっていることの事実関係について、私は存じ上げておりませんので、何ともお答えのしようがないというふうに思います。
ただ、一般論として、法に定めたとおりの選挙運動と認定されるかどうか、事実関係、それから、労働組合としての活動の限界をきちんとわきまえてされるべきであるというふうに考えるところでございます。
◆松浦忠 委員 市長は、北教組の顧問弁護士もされて、労働組合の中の活動と憲法のかかわり、そして、法律での規制、憲法との整合性、こういうことについては弁護活動を通じて十分ご存じの方でありますから多くは言いませんけれども、地方公営企業法の職員が、なぜ、札幌市役所の中にあって分離して独立した労働組合になっているかといえば、これはいわゆるスト権との関係なのです。そして、日本の国内では、当初はマッカーサーによってスト権が禁止されたけれども、その後、国際労働機構の勧告などもあって、現業労働者に限って団体交渉権と団体行動権は認める、しかし、同盟罷業権は認めない、こういう関係の中にあります。しかし、選挙活動などについては、これはやはり公務員法などが適用されて一定の規制がされている、こういう事実があることは市長もご承知のとおりだと思います。
したがって、これ以降のことについては、次は、交通局の方で最後の締めとしてやらせていただくことにして、終わります。
◆小嶋裕美 委員 私は、将来にわたって水道の安全・安心を保つためには、水源を良好に保全するほか、水づくりのための高い技術力を備えた人材の育成が欠かせないと考えており、これら2点に関する将来に向けた取り組みについて質問いたします。
まずは、1点目の水源保全です。
昨年10月の決算特別委員会でも述べましたが、水質汚濁防止法の規制などによる水質保全に加え、水道局による事業者などへの汚染防止の要請や市民広報、そして、水源パトロールによる水源監視などによって、現在のところ、安全・安定給水が維持されていることは私も十分理解しているつもりです。その一方で、札幌市民の水がめと言われる豊平峡ダムと定山渓ダムの上流域は、国有林や国立公園の中にあり、今後も森林管理者などの行政機関が中心となって保全していくことが期待できますが、両ダムの下流には市街地があり、その開発が進むと水源水質が悪化することが心配されます。
今回の代表質問で我が会派の川田議員が述べたとおり、外国資本が国内の森林を買収する動きがあり、森林が果たす水源涵養機能の喪失につながることが懸念されますが、現在の法制度の中では水源域の土地の売買を規制することは困難です。このような状況の中で、将来に及ぶ安全・安心のためには、例えば、行政が、水源保全上、必要な民地を取得して緑化したり、水源域での事業活動や地下水のくみ上げに一定の枠組みを設けたり、水源涵養のため、市民参加による植林を行うなど、水源域の水質悪化を未然に防止する手だてを推し進めていくことが効果的だと思います。
水源保全のための持続可能な手だてを進める仕組みづくりには関係機関の連携が重要であると思いますが、残念ながら、地方の水行政は中央省庁の組織に準じた縦割り構造となっているのが実情です。一方、国レベルでは、水制度改革国民会議や超党派の国会議員や民間有識者での議論を経て水循環基本法の要綱案をまとめており、法案の国会提出を目指す動きがあります。この要綱案では、地下水を統合的に管理すべき公共水と位置づけること、内閣府に水循環庁を創設することなどとあわせ、河川流域ごとに横断的な行政機関を設けることを盛り込んでいます。
私は、このような考えも重視し、総合的で体系的な施策を展開するため、水資源を利用する立場の水道局が、市の関係部局や森林や河川の管理者などの関係機関との議論を主導的に進めるとともに、先取りして実施できる有効な対策として、土地利用の実態を把握して必要な土地を取得したり、市民参加型の保全に向けた市民、企業との対話を積極的に行うことができるのではないかと考えております。
そこで、質問ですが、このような状況を踏まえ、水道局では将来に向けた水源保全にどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
◎田中 浄水担当部長 まず、水道局の将来に向けた水源保全の取り組みについてお答えいたします。
安全・安定給水のためには、水源保全が重要な課題であると認識しており、このたび、長期的な展望を持って将来にわたる水源保全対策などを検討する局内プロジェクトを立ち上げ、豊平峡、定山渓ダム下流の土地の利用状況を把握するための調査にも着手したところでございます。今後、国の制度検討などの動向を注視しつつ、効果的で持続可能な水源保全対策について検討し、関係機関などと必要な協議をしてまいりたいと考えております。
また、ことし7月には水質試験所の組織名称を水質管理センターに改め、水源から蛇口までの水質管理を一層充実させてまいりたいと考えております。特に、豊平川水源域においては、現在も、定山渓地区の町内会や観光協会などと連携して、水源汚染防止に関する協力を呼びかけるリーフレットなどによる広報活動を行っておりますが、今後は、出前講座などを活用し、市民や企業との対話をさらに積極的に行い、水源保全に向けた協働の取り組みの推進につなげていきたいと考えております。
◆小嶋裕美 委員 ぜひ、20年後、30年後、子どもたちに安心して託せるよう、将来を見据えた水源保全策につながるようにしっかりと検討していっていただきたいと思います。
続きまして、2点目ですが、水源の水質管理や浄水処理といった水づくりのための人材育成について伺います。
私も専門職として育成していただいた一人でございますが、やはり、技術職、専門職という立場から、人材育成はこれから必要になってくると思います。現在、ハード面では浄水場を初めとした施設整備の更新期を迎え、また、ソフト面では団塊の世代の退職に伴う技術の継承が課題となってくると思います。
そのような中で、将来に向け重要なライフラインである水道事業を安定して維持していくためには、水道施設を健全に保つことはもちろんのこと、人材の確保と育成が不可欠です。特に、水源の水質変動の把握や水源の状況に応じた浄水場での適切な浄水処理を行う中で、多くの職員が経験を積んで培ってきた技術の水準を維持するとともに、一層の向上を図るため、技術を確実に継承していくことが必要だと考えます。また、平常時はもちろんのこと、リスク対策として、水源水質事故や施設・設備の事故などの緊急時にも適切に対応できる技術を備えた職員を浄水場や水質試験場に配置した万全の体制を維持していくことが不可欠だと思っております。
そこで、質問ですが、水道局として水づくりのための人材育成についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎田中 浄水担当部長 水づくりのための人材育成に対する水道局の考えについてお答えいたします。
水質管理や浄水処理は、専門性の高い分野であり、例えば、浄水場での薬品制御など平常時の運転管理業務にも高水準の技術と知識が必要であり、特に、緊急時には経験に基づく正しい判断力や行動力を持った人材が不可欠であります。また、本市の水づくりのかなめであります白川浄水場でも徐々に老朽化が進んでおります。その維持管理や、今後予定される大規模改修を意識した人材育成に取り組んでいくことが重要であると考えております。
このため、水道局では、浄水場の高度で複雑化したシステムの運転や保全に関する研修のほか、最新の水道技術などに関する研修を計画的に行うとともに、委託業務の受託者との情報共有を密にすることにも努めており、今後も継続的にこれらを実施してまいります。また、豊かな経験、知識を持ったベテラン職員やITに詳しい若手職員などが持つ知識やノウハウを映像記録化などの手法も活用して共有化することにより、職員のさらなるレベルアップを図ってまいりたいと考えております。
さらに、水道局では、今年度より水安全計画を運用しておりますが、本計画において、水質事故などがあった場合の職場間の連携、影響の大きかった事故の検証、対応の改善などから成る、いわゆるPDCAサイクルを用いた運用手法を取り入れており、その活用によって水道技術全般に関する職員の経験値を高め、危機管理能力を備えた見識の広い人材を育成していきたいと考えております。今後とも、こうした人材育成の取り組みを進めることにより、水づくりのための盤石な体制を維持していきたいと考えております。
◆小嶋裕美 委員 将来の私たちの子どもの世代に至るまで安全で安心できる水づくりのためには、関係機関との連携、そして、水源域の事業者の協力、市民との協働による水源保全の取り組みを充実させていく必要がありますので、水道局としても、活力のある議論を展開し、具体的な施策に結びつけていただくことを求めておきたいと思います。
あわせまして、市民の健康と生活に直結するライフラインの維持という重責を担う水道局は、安全性、安定性の高いシステムを構築した上、適切に運営し続けなければなりませんので、ぜひ、技術をしっかりと継承し、つないでいっていただきたいと思います。北海道の強みでもある水資源、道都札幌がリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
水源保全と人材育成は、いずれも長期的な視点を必要とするものですので、最後に、管理者としてお示しいただける見解がございましたらコメントをお願いし、私の質問を終わります。
◎小山 水道事業管理者 水道事業を営む者といたしましては、水源保全や人材育成という課題は、安全・安定給水のための百年の計として取り組んでいくべき重要なテーマでございます。私も策定に携わらせていただきましたが、平成16年に策定いたしました札幌水道長期構想にもこれらを反映させ、先ほどお答えいたしましたような取り組みを進めているところでございます。また、長期的な視点に立った取り組みの一つとして、次の時代の水道局を担っていく局内の中堅・若手職員とともに、私も参加して勉強会を開催しておりまして、その中で自由闊達な意見交換をしているところでございます。
ご承知のように、昨年は、第3回定例会でもご質問がありましたとおり、8月の集中豪雨に伴います豊平川におけます高濁度の発生によりまして浄水処理が危機に瀕しましたことから、本市の水道システムにも脆弱な一面があることを認識いたしました。加えまして、12月には、人命にかかわるような甚大な被害は生じておりませんが、月寒断層の活動に関係すると考えられます直下型の地震が発生しております。
私は、この勉強会に参加する職員に対しまして、このような危機的事象への備えに対する強い意識を持ち、将来を見据えた上でおのおのの職場でも活発な議論を行うよう求めております。その議論の中で、例えば、将来の大規模改修時における水源や施設の分散化など万全な危機管理ができる水道システムの構築や、他都市で検討されたりしておりますが、水道水源林の保有などさまざまなアイデア、構想が生まれ、検討されることを期待しております。こうした場なども活用しまして、水道局内の情報や課題を共有し、将来を描いていくとともに、人材の育成を図っていきたいと考えております。
今後とも、関係機関や市民との連携・協働を意識した施策を展開し、国の水道ビジョンの基本理念でございます持続可能な水道事業の構築につなげてまいりたいと考えております。
○村松正海 委員長 以上で、水道事業会計予算の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後4時22分
再 開 午後4時26分
――――――――――――――
○村松正海 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、議案第12号 平成23年度札幌市軌道事業会計予算及び議案第13号 平成23年度札幌市高速電車事業会計予算について、一括して質疑を行います。
◆伊藤理智子 委員 私からは、地下鉄ホームの可動さくについて質問させていただきます。
地下鉄のホームさくが東西線に設置されて、視覚障がい者の転落事故はゼロ件になっており、視覚障がい者の皆さんからは、可動さくが設置されて東西線は安心して利用することができると大変喜ばれております。市民の命と安全を守る上で地下鉄ホームの可動さくが果たす役割は大きく、南北線、東豊線にも一日も早く可動さくを設置してほしいという声が寄せられております。
昨年の決算特別委員会で、我が党の坂本委員が東豊線への設置前倒しについて質問を行いました。そのときの答弁では、安全対策上、非常に大きな効果があるということで、可能な限り検討を進めているとのことでしたが、その後の検討状況についてどのように進んでいるのか、お伺いいたします。
◎新谷 事業管理部長 東豊線ホームさくの設置前倒しの検討状況についてお答えいたします。
私ども札幌市の地下鉄は、間もなく開業以来40年が経過いたしますことから、今後、老朽施設の改修や耐震補強など大規模な建設改良工事が必要となる見込みでございます。ただ、こうした中でも、ホームさくの設置は、駅ホームの安全性の向上を図る上で大変有効であると認識しておりますので、後年次の企業債の償還額等にも配慮しながら、各年度の建設投資額の平準化の可能性について現在検討を進めているところでございます。
一方、ことし1月16日、東京のJR山手線目白駅で視覚障がいのある方がホームから転落した事故を契機に、国土交通省では、鉄道事業者を構成員とするホームドアの整備促進等に関する検討会を立ち上げ、ことしの夏をめどに中間取りまとめを目指すということでございますことから、新たな財源確保の方策についても国の動向を注視しているところでございます。
これらのことから、今後の財政状況や国の動向を見きわめながら、東豊線のホームさくの前倒しについて引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
◆伊藤理智子 委員 国の動向も注視しながら引き続き検討していくということです。
今、1月16日、目白で視覚障がい者の方がホームから転落して亡くなられたというお話がありました。札幌市でも、ことしの1月8日、南北線の自衛隊前駅で全盲の男性の方がホームから約1メートル下の線路に落ちる事故が発生いたしました。この男性は軽症で済んだということでしたので本当によかったなというふうに思うのですが、やはり、可動さくがないということで、視覚障がい者の方は本当に欄干のない橋を渡っているような危険な状態のところで、日々、緊張して通勤などをしなければならないというような状況になっております。
札幌の地下鉄で二度とホームからの転落事故を繰り返さないということを肝に銘じながら、可動さくが設置されていない路線の安全対策について具体的な対応が必要だというふうに思うのですけれども、この点について何かお考えがあるのであればお聞きしたいと思います。
◎田畑 高速電車部長 ホーム上の安全対策ということでございますけれども、ホームさく設置というのが一番いいということは十分わかっているところでございます。それまでの間の安全対策ということで、既に、視覚に障がいのある方のための安全対策施設としてはホーム上に点字ブロックを敷設してございます。これは、バリアフリーガイドラインで統一的な規格が示されておりますが、札幌市では平成16年度から統一規格に変更してきておりまして、この3月末をもちましてすべての駅、すべてのホームで統一的な規格にかわってまいります。また、経年劣化によりましてすり減ったもの、はがれかかっているものなどにつきましては、直ちにこれを新しいものに張りかえております。
このほか、万一、お客様がホームから転落されたときに列車を緊急停止させるための装置といたしまして、平成17年度までに非常列車停止装置を全駅のホームに設置しております。
◆伊藤理智子 委員 点字ブロックが3月ですべての駅にできるということで、視覚障がい者の方も少し安心だと思うのですけれども、1月8日に転落された方は、いつも利用している駅で、反対方面の電車が入ってきたことを自分の行く方の列車が入ってきたと勘違いして、そして、ドアに乗ったつもりで転落しているということです。ですから、点字ブロックだけではなくて、やはり、可動さくの設置されていない駅では駅員の声かけも非常に重要ではないかなというふうに私は思っています。
私がお話を聞いた視覚障がい者のAさんは、Aさんの知っている視覚障がい者の3人に1人が地下鉄ホームから転落しそうになった経験を持っているというお話をされておりました。このAさんも、先日、東豊線を利用している際に、ホームで白杖、つえをついていたときに、床がなくて冷やりとした、一日も早く南北線と東豊線にも可動さくを設置してほしいというお話をしてくれました。毎日通っているなれた駅でも、可動さくがないために冷やりとするようなできごとが日々起こっているというふうに思います。やはり、こうした視覚障がい者の皆さんの体験を視覚障がい者団体など当事者の皆さんからよく聞いて、どのような安全対策が有効なのか、具体的なのか、当事者の意見をよく聞いた上で、それを反映させた安全対策が必要ではないかなというふうに思うのですがいかがか、伺います。
◎田畑 高速電車部長 1月8日の転落事故に関しましては、本当に大事に至らなくて私どももほっとしたところでございます。この事故を受けまして、既に各駅に対して、視覚に障がいのあるお客様を見かけた場合については、ホーム階での状況を監視モニター等で注視する、そのほかに、ふだん通勤などで駅を使われている方の利用状況を把握いたしまして必要に応じて事前に声かけを行うなど、これまで以上に積極的かつきめ細かい対応に努めるよう、そういった指示を出しまして既に態勢をとっております。
また、これまでも職員による乗車マナーの向上もしくは利用促進キャンペーンというのを行ってまいりましたけれども、今後は、ホームからの転落防止とか、列車の接触防止、非常列車停止措置に関するPRキャンペーン、こういったものに力を入れながら、各障がい者の関係の団体を通じまして一層の注意喚起を図るなど、こういったさらなる安全対策の強化に努めてまいりたいというふうに思っております。また、我々職員だけではなくて、周囲の方たちによる見守りということも非常に大切になると考えておりますので、お客様への協力を呼びかけるポスターを駅に掲出するなどして実施してまいりたいというふうに思っております。
また、障がいを持たれている方たちの意見を反映するということでありますけれども、これまでも、障がい者の関係団体とか障がいに関して専門的な知識を持っている方々の意見を反映させるために、交通局では平成16年度から地下鉄駅等バリアフリー化検討委員会というものを開催しております。そういった中で、さまざまなバリアフリー施設に対してのご意見をいただいております。また、そのほか、障がいを持たれている方々が多数参加している北海道運輸局主催のバリアフリー会議等にも当局の職員を派遣いたしまして、いろいろなご意見、ご要望を伺っているところです。今後も、そういったさまざまな機会をとらえまして、障がいをお持ちの方の生の声を生かせるようにさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
◆伊藤理智子 委員 いろいろ取り組んでいるということでしたので、ぜひ、地下鉄を利用される視覚障がい者の方にもそういうふうに意見を聞いているのだということがわかるように、知らせながら、生の声もしっかりと受けとめながら、それを反映させた安全対策を具体化していただきたいということと、とにかく地下鉄の可動さくが設置されていればこうした勘違いで転落するということも起こらないわけですから、ぜひ、引き続き前倒しができるようにしっかりと検討していただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
◆松浦忠 委員 それでは、1点目は、福利厚生会、2点目は、SAPICA、3点目は、路面電車の経営収支見込みについて、4点目は、労組と選挙の関係についてであります。
まず、福利厚生会、23年度の物品購入見込み予算計上額、そして、22年度は幾らであったか、増減を示してください。そして、なぜ福利厚生会から買わなければならないか、その理由を明らかにしてください。これが、1点目の質問であります。
◎新谷 事業管理部長 福利厚生会に関するご質問でございますけれども、お答えが前後するかもしれませんが、まず、私ども交通局の庁舎には売店がないことと、それから、少額であっても公金支出の方法に対応していただけるということで、本庁での業務の際にここの地下の売店で消耗品等を購入しているということでございます。こうした消耗品につきましては、予算上は一般事務費に計上しておりますので、どこで購入するかという予算上の特定はしてございません。
また、平成22年度というお話ですけれども、途中経過でございますが、現在、おおむね4万2,000円程度を本庁地下の売店で購入しているところでございます。
◆松浦忠 委員 書籍なんかは買っていないのですか。ほかの部局で時刻表だとか、そういうのを買っていませんでしたか。たしか、文書質問の回答書の中にはなかったかな。
◎新谷 事業管理部長 平成22年度ということでございましたので、今の手持ちは今年度の4月から12月までのものでございますが、常備薬と郵便切手を買っているものでございます。
◆松浦忠 委員 乗務員なんかがいらっしゃるから、ぐあいが悪くなるということで緊急的に薬を飲んでその場をしのいで勤務をすると、駅務員なんかの方でもですね。そういう点では買うということはわかるわけですけれども、そういうものについて、一般的に言うと、市販でそれぞれ注文すればちゃんと配達もしてくれるという便利なところがたくさんありますからね。佐川急便あるいはクロネコヤマト――別に宣伝しているわけではないのですよ。これは、一般的に皆さんがわかっている名前だから言っているのですよ。
したがって、私は、こういうものについては、福利厚生会は管理者も含めて会員ですが、むしろ電話一本で済むところできちっとしていくということの方が事務の効率化にもなるのではないかというふうに思いますので、新年度からはひとつゼロになるようにすることを求めて、ここは終わっておきます。
そこでまず、市長も会員の一人ですが、きょうは、直接、所管している部長が出ておられるから、所管事項なので職員部長に申し上げておきます。この質疑で二部にかかわる各部局のものは全部終わりです。したがって、この質疑の中で明らかになったように、扱っているものすべて、福利厚生会でなければ買えないというものは何一つありませんでした。全部、一般の市販物であります。したがって、新年度以降はすべて市販で、それも、電話一本で注文すれば大量仕入れで安く配達してくれるという便利なところがたくさんあります。どことは言いません、例は出しません。そういうところから購入されて事務の効率化を図っていただきたい。
それから、派遣職員についても、7名を職員で出すなんていうのは、職員でなければできない仕事ならば仕方ありませんよ。しかし、これはそうではありません。
きのう、総務局長に言ったら、課長が実務をやっているから福利厚生会の課長にも来てもらって聞いてくれと言われて、課長が2人来ました。1人の課長は職員の課長、1人の課長は福利厚生会で採用された職員の課長でした。その程度の事務は雇用した職員の皆さんの中で処理していけます。そして、それらの事務の徹底については、きちっと総務局長を中心とする理事会があって、評議員会があって、それぞれの職場の代表の人も出て評議員会を構成し、理事会を構成しているわけでありますから、当然、その理事長の総理のもとに事務が執行されていくということでありまして、職員ではなくても十分対応できる、こういうふうに判断いたします。
ですから、ぜひ、職員部長、3月末をもって職員7名は引き揚げて、そして、それぞれの専門職員で対応する。そして、例えば、どうしても市役所の中の事務を知っている人が何人かいなければならないというならば、再雇用ではなくて、年齢に制限なく一般公募で職員の退職者から募集して採用する、賃金を決めてですね。これが、大体、一般的にそんなところだろうと思いますので、このことについて、私は実務的な職員部長に見解を求めたいのですが、いかがですか。
◎森 総務局職員部長 福利厚生事業といいますのは、先ほどもお話をいたしましたように、事業主の職務として職員の元気回復や士気高揚、心身の健康の保持・増進などの事業を通じまして職員がその能力を十分に発揮できる環境を確保する、そのことによりまして市民サービスを維持・向上させることを目的としておりまして、これは勤務条件の一つとして、地方公務員法の第42条におきましても規定されているところでございます。したがいまして、人的な関与も含めまして実施していくことが必要と考えているところでございます。
◆松浦忠 委員 それでは、市長に最後にお尋ねします。
私は派遣はやめるべきだと思いますが、市長は続けるべきと思うか、見解を明らかにしてください。
◎上田 市長 いろいろな歴史的な経過もあり、また、社会的な役割、法律上の規定等々があるというふうに思います。だれが何を担うかということについて、一番適切な方法を選ぶというのは、これは世のならわしに習おう、このように思います。ご指摘の点は聞いておりますので、この問題に限らず、さまざまな場面で、適材適所、必要な人材を必要なところに置くということは今後もやってまいりたいというふうに考えます。
◆松浦忠 委員 市長、今のは極めて抽象的です。私が聞いているのは、やめるか、やめないか。だから、もっと聞きます。7名から減らすか、減らさないか、ゼロにするか、しないか、この点についてお尋ねします。
◎上田 市長 ですから、その点は、今、実務の現場についてしっかり検討した上でなければ答えができないということでございます。
◆松浦忠 委員 この程度にしておきます。あとは、4月1日になればわかることですから、したがって、これはこれと。
次に、SAPICA、いわゆるICカード乗車券についてお尋ねします。
ICカード乗車券について、交通局は、このICカード乗車券を導入して、例えば、北洋銀行のクローバー機能を持った乗車券が発売されますが、北洋のクローバー機能を持たない乗車券、交通局のいわゆる料金、交通局の運賃として買った切符で買い物をする機能を持たせることができるのか、できないのか、お尋ねします。
これは、SAPICAについて今まで私が全く聞いていない事項で、いろいろ考えてこれもあってもいいのではないかなと思うことがあるものだからお聞きします。
◎新谷 事業管理部長 北洋クローバー機能を持たない乗車券、SAPICAで小額物品等の購入ができるかどうかということでございますけれども、その機能につきましてはいわゆる電子マネーという機能でございまして、電子マネーの機能につきましては北洋銀行のクローバーカードとはまた別で、単なる電子マネー機能を持たせるということは可能でございます。
法律では、組合への便宜供与はできるよと書いてあるのです。そして、労使の力関係でこれをやっているのです。したがって、今、交通局について言えば、それだけの赤字を持っているのですから、例えば、組合が事務所を持つにしたって、あのビルの中に持つのではなくて、交通局の施設の中で、どこか空きスペースがあったらそこを借りて使うぐらいの謙虚さがなければだめです。あのビルというのは、いわゆる地下鉄の駅ホームから直結していて、非常に利便性があって結構な賃料を取れるビルなのです。結構と言っても、それなりにですがね。しかし、希望がないからあそこに税務事務所を入れて、そして税金で家賃を払っているのです。そういうこともわかっているけれども、それにしても、やっぱり、ちゃんと市場性のあるものは市場性があるようにする。これをみんなに聞けば、190万人のうちの過半数は私の意見に賛同すると思うのです。
したがって、ぜひひとつ、新年度から早急にそういうことができるように交通事業管理者に指示をしてやっていただきたいということを市長に求めて、終わります。
◆宝本英明 委員 私からは、ICカードのSAPICAについて質問したいと思います。
私も日ごろから使用させていただいておりますSAPICAですが、現在、地下鉄のみでの利用になっておりますが、目指すところは地下鉄やバス、路面電車といった公共交通利用を基盤として、区役所などの証明窓口での使用、動物園や体育館などさまざまな公共施設での使用、そういった行政サービスに利用でき、電子マネーなどの商業サービスにも利用可能な市民カードでありまして、単なる交通系のICカードとは性格が大きく異なっております。札幌市においては、ICカードの持つ多機能性を市民の日常生活に幅広く活用することで市民の利便性の向上を図ることを目的として導入をされたものでありまして、また、ご承知のとおり、使い捨てではなく、繰り返し使用できることは環境負荷の低減にもなりますし、地元商業者と連携することにより地域経済の活性化に役立つものであると認識しているところであります。
SAPICA導入を決定した当時、ウィズユーカードに対応する地下鉄の改札機などの機器の老朽化に伴いまして、その更新時期を迎えておりましたことから、ウィズユーカードのままで更新するのか、それともICカードの機器に更新していくのか、検討した結果、経費削減にもつながる、そういった判断から、先ほども論議がありましたが、地下鉄事業10か年経営計画におきまして平成20年度をめどにICカードを地下鉄に導入する、そういったことから、2009年、平成21年1月30日からSAPICAの運用が開始されたところであります。発売から約2年が過ぎまして、これまで大きなトラブルもなく稼働しており、現在の運用枚数は20万枚を超えるなど、今もなお利用者は順調に伸びていると伺っております。ICカードについては、ほぼ全国のJRを初め、地下鉄やバス、私鉄などで導入されているなど、時代の流れであります。我が会派といたしましても、バス、路面電車やJRの検討状況を注視して、議会でたびたび取り上げてきたところであります。
そうした中、懸案でありましたバスや路面電車との共通利用については、平成25年度の夏ごろまでの実施を目指すと昨年末に発表されたところであります。さらに、JR東日本が発行しておりますSuicaや、Suicaと相互利用されておりますJR北海道のKitacaなど、SAPICA以外のICカードも地下鉄、バス、路面電車で受け入れするという方向が示され、交通利用について一定のめどがついたことは評価をするところではないかと思います。
しかしながら、こうした導入に至る経緯や今後の展開等については、まだまだ札幌市民に対しての理解が進んでいないように思われます。実際、私の周りには、KitacaやSuicaなどのJRのICカード受け入れの報道を見て、SAPICAでJRを利用できると思っている人もおりますし、また、そういった中でウィズユーカードがすぐにでも廃止になっていくのではないかといった心配をしている人がいるのも事実であると思います。
そこで、広く市民の皆さんに正確に理解していっていただく必要があると思います。まず、SAPICAシステムの開発とその管理運営、さらにSAPICAの発行などを札幌総合情報センター、通称SNETに委託しているところでありますが、そもそもSNETを活用することとしたのはなぜなのか、SNETにそうした能力があると判断した理由をお示し願いたいと思います。
それから、首都圏などで広く相互利用を実現しているJR方式を直接採用しなかったのはどうしてなのか、また、札幌圏で1枚のカードにならなかったのはなぜか、導入当初の話ではありますが、その理由を改めて伺いたいと思います。
◎新谷 事業管理部長 まず、1点目のSNETを活用した理由についてでございます。
ご承知のように、国内の鉄道系ICカードとして初めて実用化されたのは、平成13年11月に導入されましたJR東日本のSuicaでございます。しかし、これよりも前の平成11年度に総務省の外郭団体から実際の営業路線におけるICカード実験事業をSNETが受託し、本市の地下鉄も改札駅にICカードの読み取り機を設置して実証実験を開始しました。その後も、SNETは、平成16年度までの間、必要な経費はすべて国が負担する形で総務省、経済産業省及び国土交通省からそれぞれ実験事業を受託し、実施したところであります。
次に、その実験内容でございますが、ICカードによる地下鉄の乗車のほか、路面電車との乗り継ぎ、カードの券面印刷による定期券、携帯電話の利用、乗車料金のクレジットカードでの支払い等々、さまざまな機能の連携を実施したところでございます。
このように、5年4カ月にわたるさまざまな実験を通じて、ICカードの設計や運用技術、事業連携のノウハウなどがSNETに蓄積され、本市の実情に合った実用化の基盤が整っていたところでございます。そこで、バス事業者も含めて、SAPICAの事業主体である札幌ICカード協議会を設置したところでございますが、ここにおいて、会員の総意としてICカードに関する技術や知識を有していたSNETに委託するということに決定したところでございます。
次に、2点目のJR方式を採用しなかった理由についてでございますが、本市の市民カードとしての独自サービスをJR方式のカードで柔軟かつ迅速に提供できるか、あるいはまた、相互利用で必要な試験費やセキュリティー対策経費などはどの程度必要になるのかといったことについて見きわめる必要がございました。JR方式を採用した場合には、本市の独自サービスを追加するごとに、Suicaと相互利用を行っているすべての事業者への影響を考慮しなければならない、そういった制約がございます。また、経費についても、費用対効果を見きわめるために必要な情報を、当時、JR側からは明確に示していただけなかったこともございまして、私どもの経営判断としては、JR方式を全面的には採用せず、それまでSNETが培ったICカード技術をもとにシステム開発をすることが得策というふうに決定したところでございます。
また、札幌圏で1枚のカードにならなかった理由についてでございますが、トータル的な導入経費の軽減を図るためにシステムを一元化できないかなど、当時、JR北海道と協議をした経緯がございますけれども、JR北海道におきましては、JRグループ他社との連携が先決課題であったことと、また、JR北海道としても独自のサービスの提供を目指していたということでございますので、結果としておのおのでICカードを発行することになったところでございます。
SAPICAは、独自方式によって市民カードとしての自主裁量を確保しつつ、将来的に地下鉄との相互利用を行う場合に必要な部分についてはJRの仕様に準拠したシステムとして開発したところでございます。これによって、今般、JRとの基本合意が可能となったところでございますけれども、お話にございましたように、今後も双方向の相互利用を目指して継続して協議を進めることにしてございます。
◆宝本英明 委員 今、JR北海道との協議や導入に至る経緯をご説明いただきましたが、ぜひ、広く市民の皆さんに正確に理解していただく努力をしていただきたいと思います。
そこで、JR北海道のKitacaなどといった他社のICカードも地下鉄、バス、路面電車で受け入れていく、そういった方向が示されているものの、やはり、最終的には、地下鉄やバス、路面電車で使えるSAPICAがJR北海道のKitacaエリアで使えること、すなわち、先ほども申し上げましたが、札幌圏での相互利用を目指すべきだと思いますので、今後もさらに協議をしていっていただくことを要望しておきたいと思います。
次に、SAPICAにかかわる費用対効果について伺いたいと思います。
IC化については、先ほども申し上げましたが、経費削減につながることから地下鉄にSAPICAを導入することになった、そういったことだと思いますけれども、まず、地下鉄単独でのICカードの経費はどのくらいなのか、さらに、バス、路面電車との共通利用やJRなどとの相互利用に要する経費はどのくらいなのか、それから、JRとの相互利用に要する経費については、既に開発されていたJRの方式を採用していれば、極端に言えば要らなかったのかどうなのか、あわせて伺いたいと思います。
さらに、地下鉄事業におけるIC化による経費削減の効果はどのくらいなのか、具体的にお示しいただくことと、また、市内公共交通機関へICカードを導入するために市がどのくらい負担するかという観点から、バス、路面電車のIC化にはどのくらいかかり、その財源構成はどうなっているのか、お示し願いたいと思います。
◎新谷 事業管理部長 まず、1点目の地下鉄単独でのIC化の経費についてでありますが、システム開発のほか、IC専用改札機など新たに必要となる新規の機器及びネットワーク機器などの導入経費が必要となるものでございまして、ハード・ソフト合わせて約34.5億円を見込んでいるところでございます。
次に、バス、路面電車との共通利用やJRなど他社カードの受け入れのための経費でございますけれども、各駅の改札機などのプログラム追加とか、定期券発行機の改修などが必要となりまして、約16億円を要するというふうに見込んでおります。このうち、お話にございました、JRとの相互利用に係る分といたしましては約5.5億円というふうに見込んでございます。
次に、お話にございましたように、JRとの相互利用に伴う経費について、仮にJR方式を採用していれば要らなかったのではないかというお話でございますが、他社カードの受け入れに当たりましてはすべての機器の改修が必要となりますので、何らかの改修経費を伴うものというふうに考えてございます。最近、全国各地のJRや私鉄などで相互利用のお話が出ておりますが、1社当たり5億円から10億円程度の費用を要したとの新聞報道もございますことから、決して割高ではないというふうに考えております。
次に、地下鉄事業におけるIC化による経費削減の効果についてでございますが、仮にIC化せずに既存のウィズユーカード方式でいった場合には、ウィズユーカード対応の改札機は1台当たり約1,200万円ほどでございます。したがいまして、総更新経費というのは約83億円ほど要する見込みでございました。これに対しましてICカード専用改札機につきましては、構造が簡素ということもございまして、1台当たり約320万円と非常に安価でございますことから、IC化の場合の更新総額経費は約70億円にとどまる見込みでございまして、差し引き約13億円の削減効果が期待できると考えてございます。この効果は、15年程度で機器の更新サイクルが参りますが、そのサイクルごとに発生するというふうに考えてございます。また、毎年度の経費削減効果といたしまして、ICに切りかえることで年間約4,000万ほどの保守費用を削減できるほか、ウィズユーカードの作成費等で5.7億円削減できるなど、各年度7億4,000万円ほど節減できる見込みでございます。ただ一方で、IC化に伴う増加経費もございまして、共通利用センター等の経費で約1億8,000万円ほど増加がございますので、差し引きすれば、毎年度の経費削減効果といたしましては5億6,000万円ほどが見込まれているところでございます。
最後に、バス、路面電車のIC化の経費でございますけれども、乗車データなどを集計する処理装置のほか、IC対応の車載器などが必要となってまいります。バス3社の合計で42億4,000万円ほど、また、路面電車につきましては5億7,000万円ほどということでございまして、バス、電車合わせますと、これは平成23年度から25年度までの3カ年でございますけれども、合計で48億1,000万円ほどを見込んでいるところでございます。
この財源構成でございますけれども、運賃箱等については電車やバス事業者の自己負担と考えておりまして、その額は11億8,000万円ほどでございます。残る36億3,000万円ほどを市が補助することとしておりますが、そのうち国費は55%相当の19億9,000万円ほどを見込んでございますので、実質的な一般会計の持ち出しは差し引き16億4,000万円というふうに見込んでいるところでございます。
◆宝本英明 委員 最後に、今後の展開について伺わせていただきたいと思います。
まず、バス、路面電車との共通利用が実現した場合、そのサービス内容はどのようになるのか、伺いたいと思います。
それから、JRなど他社カードの受け入れについてでありますが、SAPICAで地下鉄に乗った場合につく10%のポイントは、Kitacaで地下鉄に乗った場合にも同じようにつくのか、つかないのか、このあたりのサービス内容についてもどうなるのか、伺いたいと思います。
さらに、ウィズユーカードとの関係について伺いたいと思います。
ウィズユーカードがSAPICAに移行されることになって、イニシャルコストを回収でき、ランニングコストの低減効果が出てくるということでありますが、ドニチカきっぷや一日乗車券など、他の磁気カードを含めたウィズユーカード等の発行は今後どのようにしていくのか、また、仮に廃止するとした場合の対応策も含めて、現時点での検討状況をお示し願いたいと思います。
◎新谷 事業管理部長 まず、バス、路面電車のサービス内容でございますけれども、SAPICAポイントの付与とかオートチャージサービスなど、現在地下鉄で提供している基本的なサービスにつきましては、バス、電車においても同様に提供したいというふうに考えてございます。
また、JRとの関係でございますけれども、SuicaやKitacaなど他社のカードで地下鉄、バス、路面電車を利用する際には地下鉄の券売機やバスの車内でチャージできるようにするほか、利用促進の観点から、乗り継ぎ割引についても、あくまでも地下鉄とバスに乗っていただくということでございますので、適用する方針でございます。ただ、10%相当のSAPICAポイントにつきましては、営業戦略上、付与しないということにしてございます。
次に、ウィズユーカードなどの発行についてでございますけれども、ICカードと磁気カードの並存は私どもにとって二重コストとなるものでございまして、他都市におきましても磁気カードについては、順次、廃止をしているところでございます。本市におきましても、SAPICAの普及状況を見きわめながら、バス事業者と十分に協議を行い、適切な時期にSAPICAに一本化してまいりたいというふうに考えているところでございます。また、ドニチカきっぷや一日乗車券につきましては、切符方式など発券コストが安いものに見直した上で継続してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、ウィズユーカードを廃止する場合の対応策でございますが、お持ちのカードをできるだけ使っていただけるようにということで、例えば、発売停止いたしましたその後も、一定の期間、利用可能な期間を設けたり、残額の積みかえなどについてこれから検討してまいりたいというふうに考えております。
◆宝本英明 委員 最後に、要望をして終わりたいと思いますが、今お話にありましたように、懸案であったバス、路面電車との共通利用が実現に向けて動き出していくということでありますので、その点はぜひやっていっていただきたいことと、また、JRとの相互利用についても、今のところ、札幌市側の受け入れだけでありますけれども、将来的には相互利用の実現を目指して協議していくということでありますので、ぜひ行っていっていただきたいと思います。
今後は、交通利用だけではなく、行政利用や商業利用など、SAPICAの市民カードとしての役割が十分に発揮されるよう、多くの市民がICカードのよさをわかるように積極的なPRに取り組んでいただきたいと思います。交通局だけでなく、関係する部局と十分に連携を図っていただいて、市民カードSAPICAの実現に向けて取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。
◆谷沢俊一 委員 私からは、地下鉄の火災対策、そして、地下鉄のバリアフリー化について、大きく2点質問させていただきます。
まず、地下鉄の火災などに対する安全対策についてでございますが、本年1月、JR東京駅での線路の火災によりまして、京浜東北線が消火まで2時間にわたって運転を見合わせました。2月には、東京モノレールにおいて、変電所火災によって軌道の上に車両がとまってしまい、乗客1,280人が約2時間車両に取り残されまして、こうした火災による交通機関への影響が相次いだわけであります。
地下鉄は、都市内の大量輸送機関として、輸送力、あわせて定時性にすぐれております。特に、積雪寒冷地である札幌市においては、都市機能において欠かすことのできないインフラでありまして、それだけに安全対策ということが重要になってくるわけであります。地下鉄については、万一、駅あるいは車両で火災が起きた場合、多数の乗客の安全を確保するために、鉄道法に基づいた火災対策基準が定められておりまして、当然ではありますけれども、構造物の不燃化等の対応が求められ、札幌市も対応してきたと思います。一方で、平成15年2月に韓国の大邱市で起きた地下鉄火災事故では、死者が192人、負傷者が148人という多くの犠牲者が出ております。これはガソリンをまいた放火事件でしたが、その被害の大きさに改めて火災の恐ろしさを知りました。
そこで、本市の地下鉄において、これまで火災が起きたことがないのか、あるのか、まず1点、これをお伺いし、また、韓国の地下鉄火災事故を契機に見直されました火災対策基準の改正内容というのはどのようなものだったのか、最初にお伺いいたします。
◎坂 技術担当部長 1点目の札幌市の地下鉄で火災が起きたことがあるのかというお尋ねですが、札幌市の地下鉄施設内では、トイレでトイレットペーパーが燃やされた事例はありましたが、火災はございません。また、火災ではございませんが、車両で平成20年にブレーキディスクに付着したほこりが熱で煙を出しまして車両が一部欠行した事例がございます。
次に、2点目の火災対策基準の主な改正内容についてでございます。
平成16年12月に改正された新火災対策基準では、先ほど言われたように韓国の火災がガソリンによる放火であったことから、放火による大規模な火災への対応などが盛り込まれました。具体的には、駅施設関係では、排煙設備の基準の見直し、簡易型売店の不燃化、また、ホームからコンコースへの避難階段に防火戸を設置することが義務づけられました。このほか、2方向避難経路の確保や居室の専用排煙設備の設置について、平成20年度までに実施することが新たに義務づけられました。また、車両関係では、連結する車両間に煙を遮断するための扉を設置することや、内装の不燃化の強化などが図られたところでございます。
◆谷沢俊一 委員 韓国の火災を受けて、放火の場合、非常に大きな事故になるリスクが高いということで、防火戸、それから2方向に逃げられる、あるいは、排煙設備の強化、車両間の扉を設置する、こういったような改正があったと今お話がありました。
そこで、札幌市として、火災対策基準の改正を受けて具体的にどのような対応をしてきたのか、その整備状況についてお伺いいたします。
◎坂 技術担当部長 改正された火災対策基準に基づく地下鉄施設における整備状況についてお答えいたします。
まず、2方向避難経路につきましては、未適合でございました9駅、そのうち南北線すすきの駅、中島公園駅、幌平橋駅の3駅につきましては新たに避難経路を設置することで対応いたしました。また、その他の6駅につきましては、軌道間に煙の拡散を防止するための垂れ壁を設置することで基準に適合させ、いずれも実施期限でございました平成20年度までに完了しております。また、ホーム階から階段部への防火戸等の設置につきましては、未適合箇所は39駅、153カ所あります。このうち5駅、14カ所につきましては今年度までに整備をしたところでございます。また、車両間の扉につきましては、平成17年12月以降に更新した車両から、順次、設置しているところでございます。
◆谷沢俊一 委員 火災対策基準にある2方向へ逃げられるところがなかったのは9駅で、すすきの駅、中島公園駅、幌平橋駅の3駅については新たに通路をつけたということでございます。防火戸、防火シャッターの整備は、39駅、153カ所で適合しないということでございましたが、今、伺うと、整備を実施したのが5駅、14カ所ということですから、1割程度ということだと思うのです。ある意味では、余り整備が進んでいるというふうには思われないわけでありますが、今後の整備についてどういうふうに計画を立てているのか、この点について再質問したいと思います。
万が一火災が発生した場合に備えてこうしたハード面の整備も必要でございますけれども、乗客の被害を防ぐためには、的確に避難誘導をする、こうしたソフト面の体制が非常に大事になってくると思います。大邱市の放火火災事故では、火災が発生した後、すぐ停電になっておりまして、要するに乗客等がパニック状態になっていくわけです。そうなると、避難経路があってもお互いに行き先を見失って事故が大きくなる、こういったこともあるわけです。
そこで、交通局として、避難誘導体制をあわせて整備する必要があると思いますが、どんな取り組みをされているのか、伺いたいと思います。
◎坂 技術担当部長 1点目の防火戸等の設置についての今後の整備計画でございます。
未適合となっている対象34駅、139カ所について、順次、整備を行っていく予定でございますが、総額で約20億円の費用を要すること、また、営業時間外での制約された作業であることから時間がかかりますので、平成30年をめどに整備を終えたいと考えております。
2点目の避難誘導体制の整備に関する取り組みについてでございます。
避難口を示す誘導灯などの適正な維持管理を行うとももに、各駅の避難経路を表示するなど、お客様にも避難方向がわかりやすいように努めております。
また、万一の火災に備え、駅務員による駅構内火災訓練、乗務員を中心とした列車火災訓練などを毎年定期的に実施しております。訓練に際しましては、旅客の誘導訓練を重点項目としているほか、駅構内で業務に従事している警備員や清掃業者、キヨスク職員にも参加していただくなど、効果が上がる内容となるよう工夫しているところでございます。
◆谷沢俊一 委員 今、財源が20億円程度かかるということと、施工上の制約があるので、平成30年を一つの目標に整備をしたいということですが、これは、やはり前倒しをしながら、あと139カ所ですか、早い段階での整備を行うべきでありますので、これは求めておきたいと思います。
それから、ソフト面での取り組みについても、関係職員も含めてさまざまな訓練をしているということであります。それは当然ですが、こういう火災が発生したときに、やはり、弱者の方というか、障がいのある方やお子さんが犠牲になるケースが非常に多いですから、そういった方も視野に入れて、一層の防災意識の向上、そしてその取り組みを強化していただきたい、このことを要望して、この件については終わりたいと思います。
もう1点は、地下鉄駅施設のバリアフリー化についてご質問いたしたいと思います。
平成12年の交通バリアフリー法の制定に伴い、国が約半分の補助金を出すことで地下鉄等々のエレベーターの設置が急速に進んできまして、東札幌駅の大通から新さっぽろ駅方面のエレベーターが6月ごろに完成します。中の島駅もできるということで、49駅全駅にエレベーターが設置されることになり、この件については大変喜ばしいわけでありますけれども、今後の高齢化の進展に伴って利用者の移動の利便性をさらに高めるためには、エレベーター、エスカレーターも含めて、レベルアップというか、次のステップを考えていかなければならないというふうに思うわけです。
地下鉄駅によっては、エレベーターの設置場所が必ずしも駅の中心ではなくて、エレベーターを使うためにまた相当歩かなければならないところも現状はあるわけです。そういうところについては、今後、2機目、3機目というか、そういう設置も視野に入れておく必要がある、こういうふうに思います。
そこで、最初に質問いたしますけれども、エレベーターは6月で全49駅につきます。一方で、現在、エスカレーターが設置されていない駅は札幌市には何駅あるのか、地下鉄全駅でエレベーター及びエスカレーターがそれぞれ何機か、エレベーターは複数つけているところもありますから、全部でどのくらいついているのか、お伺いいたします。
また、エレベーター、エスカレーターの今後の増設についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎田畑 高速電車部長 まず、エレベーター、エスカレーターの設置の現状に関するご質問でございますけれども、エスカレーターが設置されていない駅は南北線の10駅となっておりますが、そのほかの東西線及び東豊線につきましては全駅で設置されています。また、エレベーターの設置台数でございますが、ことし春に竣工する中の島駅、東札幌駅を含めまして、全49駅で116基となってございます。また、エスカレーターにつきましては、39駅で238基となっております。
次に、今後の増設についての考え方でございますが、これまで、札幌市では、いわゆる交通バリアフリー法の基準に基づき、まずはエレベーターの全駅設置に向けて全力を挙げて取り組んできたところでございます。地下鉄駅舎にエレベーターやエスカレーターを増設するに当たりましては、多額の設備投資財源を確保しなければならないということのほか、地上部の用地確保とか地下構造上の制約など、解決しなければならない問題もございます。交通局の地下鉄駅のバリアフリー化整備計画は、平成22年度をもちまして一たん終了いたします。したがいまして、エレベーターやエスカレーターの増設を含めました今後の計画につきましては、現在動きがあると聞いております国の動向等も踏まえまして、既存設備の更新時期も考慮しながら策定していきたい、そのように考えております。
◆谷沢俊一 委員 エレベーターについては49駅中116基、エスカレーターは39駅において238基ついているということですが、未設置の駅が南北線に10駅あるということです。やはり、エレベーターだけではなくて、エスカレーターも――エレベーターというのは何十人も乗れるものではありませんから、日常的に使いやすいのはどっちかというとエスカレーターだということになりますので、10駅のエスカレーター設置は最優先課題だろう、こういうふうに思うわけです。
今、財源的な問題を指摘されておりました。それは理解いたしますが、やはりこうした未設置の場所には――個別の問題で大変恐縮ですけれども、実は、平成19年の予特でも質問しましたが、南郷7丁目駅の白石老人福祉センターに行くためにホームからコンコースに上がるところには、既に階段にエスカレーターのスペースが確保されております。そこに金属のふたのようなものをして、いつでもつけられるような状態にあって、それがずっと放置されているわけです。ですから、福祉施設を使っている老人クラブの方等々がそこを通るたびに、これはいつつくのだろうか、こういうふうにいつも言われるわけです。もう一つは、平成22年度で整備計画を一たん終了して、これから国の動向を見ながら新たなものを計画するのだ、こういうふうにおっしゃっていました。そういう意味では、こういうふうに既にスペースがあるところは、最初から土地を探したり位置をつくり直したりする必要がないわけで、ただそこにつけるだけの場所ですから、やはりそういう地域の特性なんかも考えながら整備を進めていくべきだ、こういうふうに思うのですけれども、この点についていかがお考えか、お伺いします。
◎田畑 高速電車部長 今後、エレベーターやエスカレーターの更新、増設を検討していく、そういったことに当たりましては、既に設置している設備の老朽化の度合いとか、駅の利用者数、さらには地上部周辺施設の状況なども考慮しながら優先順位をつけていくということになります。ただ、例えば、今ご指摘のとおりの、南郷7丁目駅のように既にスペースがあるところというのも重要な判断要素になるというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、現在は地下鉄事業10か年経営計画を鋭意推進しているところでございますので、この次の計画を策定する中に具体的に盛り込めるよう努力してまいりたいというふうに思っております。
◆谷沢俊一 委員 今、次期計画の中で、今の南郷7丁目駅も含めて具体的な整備箇所を盛り込みたいということでございましたので、早い段階でこの計画がスタートする、あるいは、具体的に優先順位を南郷7丁目駅に、優先的にと言ったらまたちょっと別ですけれども、ぜひそこをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
◆三浦英三 委員 最後の質問ですので、簡潔に行います。
1点目は、地下鉄駅における授乳室の設置について、2点目は、液晶画面を活用した広告について、この2点について質問させていただきます。
先日の代表質問において、我が会派の青山議員が、より利便性の高い地下鉄を目指す一環としまして授乳室の設置について質問いたしました。理事者側からは、平成23年度から利用できるようユニット式授乳室の実験的な設置に向けた準備を進めているとの答弁がありました。我が会派としましても、地下鉄駅の具体的な魅力向上のための取り組みとして大変有効であり、子どもを持つお母さん方を初めとした利用者にとって安全で安心して利用できる環境づくりが大切である、このように考えているところであります。
そこで、質問します。
現段階において、具体的な設置場所や時期、そして、どのような内容の授乳室を検討されているのか、また、防犯対策など運用上の取り組みも必要と思いますけれども、どのように検討しているのか、初めにお聞かせください。
◎田畑 高速電車部長 授乳室の設置場所や時期、内容についてでございます。
設置場所といたしましては、大通駅の東西線と東豊線を結ぶ改札内の通路に、現在、くつろぎの空間としていすとテーブルを配置している空間がございますけれども、この一部を活用して設置いたします。時期については、5月中旬ごろまでの設置を予定しています。内容につきましては、幅が約2メートル半、奥行きが1メートル60センチ程度の不燃性のブースを二つ連結したユニット式タイプで、扉は横開きとなっております。また、室内にはカーテンをつけ、いすやテーブル、おむつ交換台、ミラー等の備品を設置いたします。
なお、ブースデザインや各備品の色合いにつきましても、市民の方がより親しみやすいものにしていきたいというふうに考えております。
次に、防犯対策でございますが、まず、設置場所につきましては、人通りが多く、駅事務室に近い場所を想定しております。また、各ブースの扉にはかぎをつけるとともに、早朝、深夜の時間帯は使用制限を設けるほか、緊急時には駅事務室と直接連絡がとれるようブースごとにインターホンを設置する予定でございます。
◆三浦英三 委員 今の部長の答弁によりまして、青山議員の代表質問に対して準備が万全であることが理解できました。
次に、その代表質問の答弁の中で、子育て中の利用者が地下鉄駅空間にどのようなものを求めているのかといったニーズを具体的に把握するためにアンケート調査を行うという答弁がありました。
そこで、質問いたします。
設置に向けた周知方法についてどのように考えているのか、また、アンケート調査はどのような方法で実施し、その結果を今後どのように活用しようと考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎田畑 高速電車部長 授乳室設置の周知につきましては、広報さっぽろを初め、局ホームページに掲載するとともに、できるだけ、直接、お母さんたちに情報が届くよういろいろな工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
アンケート調査の実施方法と調査結果の活用についてでございますが、設置場所や局ホームページを活用しまして、地下鉄駅改札内という設置場所が適切なのか、また、より利便性を高めるための設置品目などに不足しているものはないかなど、実際に利用されたお母さんたちからのご意見をいただきたいというふうに考えております。また、授乳室に限らず、人に優しい地下鉄として駅空間にどのようなものを求められているのかというような調査も行いまして、関係法令上の規制や施設の改修に伴う課題整理が可能なものにつきましては積極的に取り入れていきたいというふうに考えてございます。
◆三浦英三 委員 より多くのお母さん方に利用してもらえるよう、まずしっかりとPRをしていただく、あわせて、アンケート調査の結果をしっかりと踏まえていただきまして、今後も、授乳室のみならず、駅を利用されるさまざまな利用客の皆さんのニーズにこたえ、より多くの方に使いやすく親しみやすい駅空間となるようさまざまな工夫を重ねていただきたいということを要望したいと思います。
次に、2点目の液晶画面を活用した広告について質問させていただきます。
来週の3月12日に、札幌駅前通地下歩行空間が開通します。地下鉄さっぽろ駅からすすきの駅までが地下通路でつながります。四季を通じて、天候に関係なく歩いて移動することが可能になり、大変喜ばしいことである、このように思っております。
地下鉄経営の面からすれば、駅前通地下歩行空間が開通することで、現在地下鉄を利用して移動している多くの人が徒歩に転換するということが容易に予測されます。近年、減少傾向にある地下鉄の乗車人員に、さらに影響を与えることになるのではないかというふうにも懸念しております。したがって、一昨年から交通局で始まりました乗ってコ!プロジェクトなど乗車料収入をふやす取り組みに力を入れていくのはもちろんのことでありますけれども、一方で、広告や資産の有効活用によるいわゆる附帯収入についても決して小さくないことから、知恵と工夫によって増収策にも積極的に取り組む必要がある、このように思っているわけであります。
そこで、質問いたします。
まず、地下鉄の広告料収入について、この5年間の金額と、営業収入に占める割合の推移とその傾向についてどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎新谷 事業管理部長 地下鉄の広告料収入の推移及び傾向についてでございます。
まず、ここ5年間の広告料の状況でございますが、平成18年度は22億2,000万円で営業収入に占める割合は5.4%、平成19年度は22億4,000万円で割合は5.5%、平成20年度は21億5,000万円で割合として5.3%というふうに推移してまいりました。しかしながら、平成21年度では、前年度に比べ5億2,000万円ほどの減となりまして、率にして約24%の減となり、結果的に、金額といたしましては16億3,000万円と大きく落ち込んだところでございます。また、今年度につきましても、現在のところ、さらに約10%程度減になる見込みでございまして、約15億円程度にとどまるのではないかというふうに考えてございます。
これは、リーマンショックの影響などによる景気低迷に起因するものというふうに考えておりますが、加えて、昨今の広告業界では、従来型の紙媒体等による静止画像方式からインターネットによる動画方式に比重が移りつつあるなど、広告をめぐる時代の変化が背景にあると思われ、今後とも広告の確保は厳しさを増していくものというふうに考えているところでございます。
◆三浦英三 委員 今の部長の答弁で、リーマンショックによる景気低迷などの影響を受けて広告料の収入が大きく落ち込んでいることがわかりました。
広告については、当然、景気が悪くなると経費削減の対象となります。最初に広告費が削減されることが多いのではないかと思うわけであります。そのような中で、東京の山手線では、既に車内の液晶画面を活用した広告を展開しております。ほぼ満杯に広告が入っていて、非常に多くの収益を上げている、このようにも聞いております。
札幌市においても、昨年の12月13日から約4週間、南北線の新型車両でトレインビジョンと言われる液晶画面を設置し、広告展開の実証実験を行ったと聞いております。その実証実験では、地元企業のCMだけではなくて、市政情報やクイズなども流れていたということであります。トレインビジョンを見た方にお聞きしますと、流れていたCMの内容なども記憶に残っているし、乗車している間も楽しく過ごすことができた、また、周りの乗客の反応もよかったように見受けられたとのことでありました。
そこで、質問です。
今回の実証実験の検証結果についてお聞かせ願いたいと思います。
◎新谷 事業管理部長 トレインビジョンの実証実験の結果についてでございますが、今回の実験に参加いたしました電気メーカーが、実験期間中に南北線を利用いたしました10代から60代の男女にインターネットによるアンケートを実施したところ、800件を超える回答があったということでございます。そのアンケート結果によりますと、液晶画面の評価につきましては、さまざまな情報を得ることができることや、情報が見やすいなどの理由により、約8割の人が高い評価をしているということでございます。また、映像内容の認知度につきましては、最もよく見られたのは星占いということでございますが、広告の認知度もそれに次いで高い結果となっておりまして、広告媒体としての有効性が認められるものと考えております。
今後につきましては、ご質問の中にもございましたように、JR東日本の山手線では、52編成で約5,000画面を有し、そのスケールメリットということもございまして掲出率が100%と好調であると聞いております。しかし、同じ首都圏の公営地下鉄では、15編成で300画面ということで数字が少ないことから、広告掲出率が20%程度にとどまっているというふうにも聞いてございます。
本市におきましても、増収効果が見込めるのかどうか、十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
◆三浦英三 委員 私は、このトレインビジョンなどの液晶画面を活用した広告というのは、増収策の目玉になる、有効な広告媒体であるというふうに考えております。
今回の実証実験は、既に行き先案内などを表示する液晶画面のある2編成のうちの1編成に、もう1画面を追加する形で行われたと聞いております。液晶画面を設置している車両が南北線の2編成しかない現状では、広告スポンサーを確保することはなかなか難しいと思うわけであります。したがって、今後、液晶画面をフルに活用して広告展開をするためには、少なくとも南北線の全車両に導入することは当然必要であります。また、できれば3線全車両に導入することが望ましいというふうに考えているわけであります。
そこで、質問します。
南北線に液晶画面を設置するにはどのくらいの費用がかかるのか、また、今後、東西線や東豊線も含めて液晶画面を設置する考えがあるのかどうか、あわせてお聞きしたいと思います。
◎坂 技術担当部長 1点目の南北線の全車両に液晶画面を設置する費用でございますが、現在1画面で運用している車両を2画面化すると1編成当たり約1,300万円かかります。また、現在のLEDの車内表示機で運用している車両を液晶画面に変更して2画面化すると、1編成当たり約5,300万円かかり、南北線の全車両に液晶画面を設置するには合計で約9億4,000万円の費用がかかる見込みでございます。このため、費用面から、南北線の全車両に液晶画面を直ちに設置することは難しい状況でございます。
2点目の東西線や東豊線を含めて全路線に液晶画面を設置する考えはあるのかということについてでございますが、各車両のLED車内表示機の更新時期や新車購入時期に合わせ、広告ニーズの変化や液晶画面の必要性について見きわめてまいりたいと考えております。
◆三浦英三 委員 南北線の全車両に液晶画面を直ちに導入すると9億4,000万円かかるということで、費用面からして非常に難しい、現在設置されているLEDの車内表示機や車両を更新する際に液晶画面の導入について検討していく、そういう今の部長のお話でありました。導入に向けて積極的に取り組んでいくことを私はぜひとも期待をしておりますので、頑張っていただきたいと思います。
また、効果的な広告展開を行うためには、やはり、広告が流れている場所をふやしていくことも必要であると思うわけであります。一つの広告がさまざまな場所で流れることで、スポンサーは広告を打ちやすくなるのではないかと思うわけであります。来週開通する地下歩行空間にも映像広告が流れるとのことなので、そうした広告媒体との連携についてもしっかりと検討していただきたいというふうに思います。そういう意味からも、地下鉄車内への画面設置のみならず、例えば、25年度に稼働が計画されている、先ほど質疑がありました南北線のホームさく、さらには東豊線のホームさく、これにも液晶画面をしっかりと組み込んでいくようなこともぜひとも考えていただければなというふうに思いますので、そのことを要望いたしまして、私の質問にさせていただきたいと思います。
○村松正海 委員長 以上で、軌道事業会計予算及び高速電車事業会計予算の質疑を終了いたします。
以上で本日の質疑を終了し、次回は、次週3月7日月曜日午後1時から、本委員会に付託されました全案件に対する討論及び採決を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後6時39分...