札幌市議会 2010-12-02
平成22年第 4回定例会−12月02日-04号
議案第21号 札幌市外国の
地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第22号 札幌市特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案
議案第23号 札幌市職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例案
議案第24号 札幌市
職員特殊勤務手当条例の一部を改正する条例案
議案第25号 札幌市
障害者福祉施設条例の一部を改正する条例案
議案第26号 札幌市
建築基準法施行条例及び札幌市
中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例の一部を改正する条例案
議案第27号
札幌市立学校設置条例の一部を改正する条例案
議案第28号 平成23年度
当せん金付証票の
発売限度額を定める件
議案第29号 市道の認定及び変更の件
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〇
出席議員(63人)
議 長 福 士 勝
副 議 長 宮 村 素 子
議 員 川田 ただひさ
議 員 飯 島 弘 之
議 員 小 嶋 裕 美
議 員 宗 形 雅 俊
議 員 横 山 峰 子
議 員 山 口 かずさ
議 員 宝 本 英 明
議 員 小 川 直 人
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 村 上 仁
議 員 小 倉 菜穂子
議 員 伊 藤 牧 子
議 員 村 山 秀 哉
議 員 細 川 正 人
議 員 しのだ 江里子
議 員 長谷川 衛
議 員 佐 藤 右 司
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 林家とんでん平
議 員 阿知良 寛 美
議 員 芦 原 進
議 員 伊 藤 理智子
議 員 坂 ひろみ
議 員 佐 藤 典 子
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 近 藤 和 雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 三 宅 由 美
議 員 恩 村 一 郎
議 員 ふじわら 広昭
議 員 大 嶋 薫
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 三 浦 英 三
議 員 青 山 浪 子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 馬 場 泰 年
議 員 笹 出 昭 夫
議 員 小 野 正 美
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 高 橋 功
議 員 本 郷 俊 史
議 員 涌 井 国 夫
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 堀 川 素 人
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 西 村 茂 樹
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 年 男
議 員 湊 谷 隆
議 員 佐 藤 美智夫
議 員 松 浦 忠
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〇
欠席議員(3人)
議 員 佐々木 みつこ
議 員 大 越 誠 幸
議 員 宮 本 吉 人
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 小 澤 正 明
副 市 長 中 田 博 幸
副 市 長 生 島 典 明
交通事業管理者
交 通 局 長 下 村 邦 夫
水道事業管理者
水 道 局 長 小 山 高 史
病院事業管理者
病 院 局 長 吉 田 哲 憲
危機管理対策室長 北 野 靖 尋
市長政策室長 秋 元 克 広
総 務 局 長 中 西 浩 二
市民まちづくり局長 若 林 秀 博
財 政 局 長 金 崎 健太郎
保健福祉局長 岡 村 龍 一
子ども未来局長 橋 本 道 政
環 境 局 長 山 崎 亘
経 済 局 長 井 上 唯 文
観光文化局長 梶 原 隆
建 設 局 長 渡 邊 光 春
都 市 局 長 宮 浦 哲 也
会 計 室 長 飯 塚 和 惠
消 防 局 長 松 井 英 樹
教育委員会委員 設 楽 雅 代
教育委員会教育次長 阿 部 宏 司
選挙管理委員会委員長 富 田 新 一
選挙管理委員会委員 高 橋 忠 明
選挙管理委員会委員 大 西 利 夫
選挙管理委員会委員 上瀬戸 正 則
人事委員会委員 品 川 吉 正
人事委員会事務局長 森 裕 傑
監 査 委 員 谷 本 雄 司
監査事務局長 紙 谷 健 治
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 早 瀬 龍 宏
事務局次長 本 間 章 弘
政策調査課長 熊 木 隆 春
議 事 課 長 出 井 浩 義
議 事 係 長 田 口 繁 治
委員会担当係長 木 村 卓 哉
委員会担当係長 冨 永 智
書 記 太 田 知 孝
書 記 早 坂 友 秀
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――――――――――――――――
〔午後1時1分開議〕
○議長(福士勝) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、61人です。
――
――――――――――――――――
○議長(福士勝) 本日の
会議録署名議員として恩村
一郎議員、坂
ひろみ議員を指名します。
――
――――――――――――――――
○議長(福士勝) ここで、
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(早瀬龍宏) 報告いたします。
宮本吉人議員は、所用のため、本日の会議を欠席する旨、また、
佐々木みつこ議員は、所用のため、遅参する旨、それぞれ届け出がございました。
本日の
議事日程、
質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
――
――――――――――――――――
○議長(福士勝) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第2号、第8号、第10号、第17号から第29号までの16件を一括議題とします。
昨日に引き続き、代表質問を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
本郷俊史議員。
(
本郷俊史議員登壇・拍手)
◆
本郷俊史議員 私は、ただいまから、
公明党議員会を代表いたしまして、市政の諸課題について、順次、質問を行います。
最初に、経済・
雇用対策について、3項目お伺いします。
一つ目は、今後の経済・
雇用対策の
取り組みについて、2点お聞きします。
我が国は、既に
人口減少社会に突入するとともに、
少子高齢化の進展や環境問題の深刻化など、我々を取り巻く
社会状況は大きく変化しています。また、日本の経済の現状は、円高の進行や
世界経済の停滞によって、足元はもとより、先行きはさらに厳しさを増していくものと思われ、
デフレ脱却の糸口も全く見つからない中、生活の基盤である雇用の確保もままならない大変厳しい状況が続いているものと認識しております。
内閣府が11月18日に発表した
月例経済報告では、景気はこのところ
足踏み状態となっている、また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるとしており、
雇用情勢については、一部には持ち直しの動きがあるものの、依然として厳しい状況が続いていることを指摘しております。また、生産については、このところ減少していると、2カ月連続で下方修正するとともに、個人消費についても、持ち直しているものの、一部に弱い動きも見られるとして、1年9カ月ぶりに下方修正するなど、
経済情勢の先行きの不透明さが一段と強まっているのであります。また、札幌圏のことし10月の
有効求人倍率は、徐々に回復傾向を示してはいるものの、0.37倍にとどまっており、本市の経済・
雇用環境は極めて厳しい状況にあると言えるのであります。
このような状況の中、札幌市の経済が持続的に発展し、魅力あふれる
まちづくりを実現していくためには、これからの
社会経済情勢の変化をしっかり見据えた上で、それらの変化に対応するための中長期的な視点から戦略的な
産業振興策を講じていくことが不可欠であります。
こうした中、市長は、ことし10月に札幌市
産業振興ビジョンの素案を発表しました。その中で、さまざまな外的要因の変化にも対応できる足腰の強い
経済基盤を確立することが急務となっており、そのためには、まず、雇用の場を確保、創出し、市民に働く機会を提供する必要があるとうたっているところであります。
雇用対策としては、今年度、当初予算と
補正予算とを合わせて28億円規模の
緊急雇用対策を打ち出し、1,705人の
新規雇用を創出するとしており、今議会においても、さらなる
雇用施策を含む
補正予算の提案があり、間断なく努力をされていることは認めるところでありますが、まさに結果としてあらわれる効果的な
取り組みが求められているのではないでしょうか。
そこで、1点目の質問でありますが、
雇用対策について、これまで講じてきた施策を市長はどのように評価しているのか、また、札幌市における当面の
雇用対策についてどう考えていくのか、さらに、雇用の場の確保に向けて長期的な
取り組みをどのように進めていくのか、お伺いします。
2点目は、若年層の
創業支援についてであります。
ここ数年、札幌市から道外への
人口流出が多くなってきており、すべての年代において転出者が転入者を上回る状況が続いております。特に、20代の若者の
転出超過数が多くなっており、しかも、その数は年々増加傾向にあります。これは、先ほど申し上げた
有効求人倍率からもわかるように、大学を卒業しても道内で就職ができず、やむを得ず道外に職を求めて流出しているものと考えられるのであります。
20代を中心とする若年層が雇用の受け皿が少ないために就職ができないのであれば、必ずしも企業への就職という形にとらわれずに、みずから起業・創業することも選択肢に入れられるようにすることも重要ではないでしょうか。そのためには、市としても、これまで以上に創業を志す若者への支援に力を入れていくことが必要であると考えるところであります。
そこで、質問ですが、若年層に対する
創業支援のあり方についてどのように認識しているのか、お伺いします。
二つ目に、
補正予算に対する評価について伺います。
今議会には、既に議決済みである
職員費関連の項目を除き、
歳入歳出予算総額37億6,600万円の補正が提案されております。このうち、
後期高齢者医療や
新型インフルエンザの
ワクチン接種などに係る経費を除いた29億6,000万円ほどが
経済対策関連の事業になると理解しているところです。提案のあった事業を見てみますと、
雇用対策としては高卒未就職者への支援、
地域経済対策としては商店街独自の
商品券発行に対する支援などがあるほか、
子育て分野では
家庭的保育事業、いわゆる
保育ママ制度の実施や、
環境分野では
市有施設への
太陽光パネルの設置、さらに加えて、
公共投資としては道路の整備や学校の
耐震補強など、多岐にわたる分野での事業が盛り込まれております。
今回の
補正予算は、国における
経済危機対応・
地域活性化予備費活用の閣議決定が一つの契機になっていると思うのですが、これまでのたび重なる
経済対策にもかかわらず、なお、景気の厳しさが続いている状況をかんがみると、国の対策のみならず、札幌市が地域の実情に合った独自の経済・
雇用対策を行うことが必要であると考えるところです。
そこで、質問ですが、このたびの
補正予算を市長は何に重点を置いて編成したのか、また、今回の
補正予算をご自身はどのように評価しているのか、お伺いをします。
三つ目は、
住宅エコリフォーム補助制度の
条件緩和についてであります。
この
補助制度は、昨年の第4回
定例市議会において、全
議員提案により成立した札幌市環境負荷の低減等のための
住宅リフォームの促進に関する条例に基づき、平成22年度に新たに創設されたものであります。
条例制定の大きな目的の一つは、
市内産業の活性化であります。長引く景気の低迷を反映して、
新設住宅の着工戸数は、平成18年以降、
減少傾向となっており、平成18年度は対前年比5.4%減、19年度は24.2%減、20年度は12.5%減と非常に厳しい状況が続く中、この制度により
市内中小企業の受注機会の増大が図られ、
住宅業界が活性化されることを期待していたところです。
こういった経緯のもと、今年度、補助金として1,500万円を予算化し、制度をスタートさせました。申請の受け付けは7月1日から10月末までの4カ月間であり、その利用状況は、
申請件数が45件、補助額が約1,000万円、予算の執行率は約67%で、1件当たりの補助金は約22万円ですが、実際の工事費は約550万円で、
経済効果は26倍という結果でした。国の
住宅版エコポイント制度の影響もあり、
申請件数としては物足りない結果であったと言わざるを得ません。
その要因の一つとして、手続面の煩雑さがあるのではないかと考えます。私たちが
条例制定に当たって視察した川越市など他都市の事例では、
補助申請のために新たに用意するものは
工事写真程度で、あとは見積書や契約書のコピーなど、非常に簡素化された制度となっておりました。札幌市においても、利用拡大を図るためには
申請手続の簡素化を検討されるべきと考えます。
また、平成23年度の
補助事業については、真に
市内産業の活性化に結びつくよう
予算規模の拡大というものも求められるところです。
そこで、質問ですが、札幌市では次年度に向けて
住宅エコリフォーム補助制度の
条件緩和についてどのようにお考えか、伺います。
次に、来札1,500万人を目指した
観光戦略についてであります。
ここ数年の
世界経済の状況を見ていくと、
東南アジア各国のほか、中国やインドなど、いわゆる新興国が急速な
経済成長を遂げており、
グローバル化による変化は、日本全体はもとより、この札幌においても観光を取り巻く環境にさまざまな影響を与えているところであります。一方、国内では既に
人口減少の時代に入っており、今後、
定住人口の増加が見込めない中、都市の活力を維持していくためには、観光を初めとした交流人口の拡大や
地域経済の活性化が極めて重要であります。
現在、策定が進んでいる
産業振興ビジョンでも、観光は、札幌の経済を支える重要な要素として位置づけられたところであります。ご存じのとおり、観光にかかわる産業は、宿泊、飲食、物販、運輸など非常にすそ野が広く、今後、札幌の産業全体の活性化を図っていくためには、
観光客誘致を一層推進することで外貨を稼ぐという考え方が非常に重要であると考えます。最近は、中国を初めとしたアジア圏からの
外国人観光客の増加が目立っていますが、昨年度の統計では、全体の約56%が道内からの観光客であり、海外からの誘致ももちろん大切ではありますが、
地元北海道内からより多くの方に来ていただくということも重要であります。
そこで、1点目の質問でありますが、今後、
道内市町村からの観光客をふやす
取り組みについてどのように考えておられるのか、お尋ねします。
次に、札幌の新たな
魅力づくりについてです。
民間のシンクタンクが実施したことしの
地域ブランド調査において、札幌は魅力的な
都市ランキング第1位となりました。雪まつりや
YOSAKOIソーラン祭りなどのイベントや
モエレ沼公園、芸術の森といった施設は、札幌の魅力を代表するものであります。さらに、時計台を初め、豊平館、旧小熊邸といった歴史的な建造物も貴重な
観光資源と言えるのではないでしょうか。このような建造物や庭園などを整備、活用することによって、札幌の歴史と庭園をめぐる
まち歩きツアーのようなものも企画することができるのではないかと思います。
そこで、2点目の質問でありますが、こうした
歴史的建造物を新たな
観光資源として発掘し、活用することについてどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いします。
次に、行政の果たすべき役割についてです。
今年度の
観光コンベンション部の予算は、昨年度より増加したとはいえ、約6億8,800万円、
一般会計予算全体の0.08%にすぎません。本来であれば、より多くの予算を投入し、積極的な
観光振興策を展開していくことが重要でありますが、本市の厳しい
財政状況を考えますと、これからの
観光コンベンション部の
取り組みとしては、芸術文化、スポーツ、都市景観など、各部局が行っているさまざまな施策を観光の視点でコーディネートしたり、また、官民との連携では、観光にかかわる企業や団体、北大を初めとした
観光学部を持つ大学等、観光に携わるあらゆる主体がそれぞれの分野で十分な力を発揮してもらうための役割を果たすべきであると考えます。
そこで、3点目の質問でありますが、策定が予定されている
観光振興プランの中で、行政の役割をどのように位置づけ、責務を果たしていこうと考えているのか、お伺いをします。
次に、建築物の安心・
安全対策についてお伺いします。
一つ目は、学校など
市有建築物の耐震化についてです。
近年、国内や海外において大地震の発生が続いています。国内では、平成19年の新潟県
中越沖地震や平成20年の岩手・
宮城内陸地震、海外では、ことしの初めに起きたハイチやチリの大地震が記憶に新しいところですが、これらの地震により甚大な被害が発生している状況を考えると、市民の安心・安全を確保する観点から、建築物の耐震化は重要な施策です。
特に、平成20年5月に起きた四川大地震では、学校の崩壊により多くの
子どもたちが犠牲となりました。言うまでもなく、学校は、児童生徒が一日の大半を過ごす活動の場であるとともに、災害時には地域住民の
応急避難場所としての役割も果たすことから、その安全性の確保は極めて重要であり、耐震化の推進が喫緊の課題であると考えます。
しかしながら、北海道における
公立小・中学校の耐震化は
全国レベルと比べておくれており、
文部科学省の平成22年4月1日現在の調査結果では、北海道の
公立小・中学校の
耐震化率は全国と比べ10%以上低い60.6%となっております。同様に、札幌市における
公立小・中学校の
耐震化率は64.9%であり、今後、さらに一層の耐震化の実施が必要な状況にあります。
このような状況の中、国では、平成20年に
地震防災対策特別措置法を改正し、Is値0.3未満の
公立小・中学校等の施設の
耐震化事業に対し、
国庫補助率を引き上げ、あわせて
地方財政措置も拡充しており、
地方公共団体の
財政負担は大幅に軽減されてきている状況にあります。さらに、平成23年度には、学校の耐震化を含む
施設環境の改善のための新たな交付金を新設する予定であり、このような施策の活用も考慮しつつ、より迅速に耐震化を進めることが必要であると思われます。
また、学校以外の
市有建築物についても、災害拠点や
応急避難場所として指定されている施設は多く、その安全性の確保は非常に重要な課題であります。札幌市においては、平成18年に
市有建築物耐震化緊急5カ年計画を策定し、震度5強の大地震において倒壊のおそれがあるIs値0.3未満の64施設について緊急的に耐震化を実施してきており、
学校施設52校を初め、区役所などの
災害拠点施設や
避難施設についても計画に沿って耐震化が進められているところであります。
そこで、2点質問します。
まず、1点目ですが、
市有建築物耐震化緊急5カ年計画に引き続き、Is値が0.3以上で目標値に達していない154施設については、先ほど説明したとおり、安全性の確保の面から迅速な対応が求められているところであります。このため、早急に
耐震化計画を策定し、着実に耐震化を進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、2点目ですが、この154施設については、学校128校を含むものであり、現在の
耐震化計画から期間をあけることなく耐震化を実施し、安全性の確保を急ぐべきであります。
財政負担についても、国の補助などを利用した上で進めることにより、より市の負担を軽減できるものと考えるものです。
そこで、この154施設の耐震化について、今まで以上に
スピード感を持って進めていくべきと考えますがいかがか、お伺いします。
二つ目は、住宅の耐震化の推進についてです。
住宅の耐震化については、平成17年度に、
議員提案により、
木造戸建て住宅を対象に
耐震診断等に係る費用に対する支援を柱とした札幌市
住宅耐震化促進条例を制定したところです。その後、平成20年度におきまして条例の一部改正を行い、対象を
マンションを含むすべての住宅に拡大するとともに、昨年度、
エコリフォーム条例を制定し、バリアフリーや断熱改修とともに工事費用の一部助成の制度がスタートしたところです。
札幌市においては、住宅及び多数の者が利用する建物の
耐震化率を平成27年度までに90%とすることを目標に、札幌市
耐震改修促進計画を策定し、耐震化に取り組んでおりますが、多額な
改修費用や高齢化の進展に伴う
マンション管理組合の合意形成が図りにくいなどの課題により、耐震化が進みづらい状況になっていることは私も十分認識しているところです。
しかし、阪神・
淡路大震災の犠牲者の8割以上の方が住宅の倒壊による圧死であったこと、また、市内の人口の約6割の方が
共同住宅で生活していることを考えると、住宅の耐震化は喫緊の課題です。特に、昭和56年の新
耐震基準以前に建てられた分譲
マンションが市内に約600棟もあることを考えると、今後、行政による支援が一層重要になってくるものと考えます。現在、国においては、分譲
マンションなどの耐震化を促進するため、改修工事などに対する助成制度の創設を検討しているという動きがあります。
そこで、札幌市における分譲
マンションを対象とした耐震化について、これまで取り組んでこられた内容と社会情勢を踏まえたこれからの
取り組みに関する考え方についてお伺いします。
次に、福祉問題について、4点お聞きいたします。
一つ目は、特別養護老人ホームの整備について伺います。
公明党では、昨年暮れ、介護総点検を実施し、全国3,000名を超える議員が現場に出向き、実態調査やアンケート活動を展開してまいりました。これらの調査を受け、介護基盤の整備を加速させることや介護職員の処遇改善に向けた施策について強く要望してきたところであります。
現在、国においては、高齢者の生活を地域で支えるために、介護保険サービスや介護予防サービスのほかにも、住宅や生活支援サービス、医療保険サービスなどといった五つのサービスを一体化して提供していくという地域包括ケアを念頭に置いた第5期の介護保険事業計画の基本指針等を示そうとしております。札幌市においても、これらを受けて次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定していくわけであり、それに向けた高齢者の意識調査についても実施しているところであります。
一方、ことしの6月末で6,000人を超える特別養護老人ホーム、いわゆる特養の待機者がおり、本人や家族が希望してもなかなか入所できないという厳しい状況にあります。このような中、札幌市の来年度の特養の施設整備は218人分と待機者の5%にも満たない整備数にとどまっているわけであります。
そこで、質問ですが、高齢者人口がますます増加する中、今後、策定予定の次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画においてはこれまで以上の施設整備が必要と考えますがいかがか、お伺いします。
二つ目は、児童相談所の将来構想についてです。
急増する児童虐待を含めた児童相談全般に関して、児童相談所の職員が懸命に対応されていることは承知しておりますが、増加の一途をたどっている現状では、児童相談所や行政機関だけの対応では改善は難しいのではないかと思うのであります。具体的な数値を挙げますと、札幌市児童相談所への相談件数も、平成17年度の4,040件が平成21年度には6,036件と大幅に増加しており、また、一時保護された子どもは、平成17年度の延べ7,569人から平成21年度には1万452人と急増しております。また、札幌市が児童養護施設に措置している児童は平成21年度末で569人となっており、市内施設の定員は368人であることから、約200人は札幌市外の施設に入所している状況です。
札幌市では、今年度中に児童相談所の将来構想を策定することとなっており、先日、札幌市社会福祉審議会から札幌市児童相談所のあり方について意見具申がなされたところです。
そこで、3点お伺いします。
まず、1点目は、児童相談所の業務量が増大する中、現状の施設面で十分に対応できているのかということについて、意見具申では、児童相談所の拡充については提言されていますが、面接室や一時保護所等の狭隘等の解消については判然としないように見受けられることから、児童相談所の拡充についてどのようにお考えか、伺います。
2点目は、札幌市外の児童養護施設に多数の児童が入所している状況下で、家庭復帰に向けた保護者との面会や指導等を考えると、札幌市内で養護するためにも、ファミリーホームの増設等を検討するなどその受け皿をふやす必要があると思いますが、このような社会的養護体制に関しては今後どのような方向性をお考えなのか、お伺いします。
3点目は、子どもの権利の保障の観点にかんがみ、子どもの権利条例において、子どもの権利に関する保障の状況を調査審議する機関として位置づけている子どもの権利委員会に対しても意見を求めるべきと考えますがいかがか、お伺いします。
次に、特定不妊治療費助成事業についてお伺いいたします。
少子化が進む中、健やかに産み育てられる環境をつくることは社会全体の責務であります。札幌市の合計特殊出生率は、平成17年に過去最低の0.98になっています。その後、平成18年は1.03、平成20年には1.07とおおむね微増していましたが、平成21年には1.06とわずかながらも再び低下が見られています。また、平成21年の出生数は1万4,506人で、前年より339人減少しています。
札幌市の妊娠、出産をめぐる問題としては、10代の人工妊娠中絶率が高いこと、また、妊婦健診を一度も受けずに出産間近に医療機関へ駆け込む未受診妊婦の増加などが見られます。望まない妊娠による人工妊娠中絶が後を絶たない一方で、子どもの誕生を望んでいるにもかかわらず、授からない夫婦もおります。
いわゆる不妊に関しては、精神的な悩みや負担感のみならず、治療にかかる費用が高額なため、経済的な理由を背景に子どもをあきらめざるを得ない夫婦もおります。このような方々への支援として、医療保険の適用外であり高額の治療費が必要となる体外受精や顕微授精の費用の一部を、公費で助成することを我が党としても強く要望してきたところです。
札幌市においても、平成17年10月から特定不妊治療費助成事業を開始していることは一定の評価をしているところであります。事業開始から5年が経過する中で、制度の充実も図られてきていると思いますが、厚生労働省では、助成制度のさらなる拡充として、これまで1年度当たり助成回数が2回であったものを3回までにふやすとともに、所得制限の緩和なども想定し、平成23年度予算の概算要求を行っております。
そこで、質問ですが、札幌市では、平成23年度から特定不妊治療費助成事業における助成回数をふやすなど制度の拡充についてどのようにお考えか、お伺いします。
四つ目として、今後の母子保健事業の推進についてです。
現在、各区保健センターにおいては、妊婦や乳幼児期の母子などを対象として、母子保健法に基づき、専門職による相談、家庭訪問、各種教室などの事業を展開しています。このような事業を通じて、育児に悩みや不安を抱えるハイリスク親子を早期に把握し、早期に支援を開始することは、児童虐待発生予防のためにも重要であると考えております。
札幌市では、平成15年度から、市内の産婦人科や小児科医療機関と連携し、ハイリスク親子の早期把握と支援を行う保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業を展開しています。この事業を通じて医療機関から寄せられる情報提供は年間360件前後でありますが、医療機関別に見ると、産婦人科からが約7割であり、小児科からは約3割という現状にあります。
現在、小児科医療機関では子どもが病気のときの治療や予防接種を行うという役割分担がなされていると思いますが、最近では、地域の小児科においても、子育て中の母親が気軽に集える場を提供し、情報交換や仲間づくりを進める医療機関が出てきていると聞いております。病気の治療に加えて、育児支援の必要性や重要性から、医療機関においてもこのような動きが始まったものと考えるところです。このように、母子保健上のさまざまな課題を解決し、保健と医療が連携した育児支援ネットワーク事業の一層の推進を図るとともに、地域の小児科医療機関と行政が連携して親子の支援を切れ目なく行っていくことが重要であると考えます。
そこで、質問いたしますが、母子保健事業を推進するためにはより一層保健と医療の連携が重要になると思いますが、札幌市としていかがお考えか、お伺いいたします。
次に、今後の路面電車の活用についてお伺いいたします。
市長は、平成17年2月に路面電車を残すと決断し、その後、さまざまな検討を進め、本年3月に札幌市路面電車活用方針をまとめた中で、
まちづくりに路面電車を活用するため路面電車を延伸するべきであると方向性を示したことは、大変評価しているところです。
先ほども申し上げましたが、今後、札幌市が1,500万人の
観光客誘致を目指すに当たり、都市の装置として魅力的な景観を創造することが可能な路面電車を
観光資源として活用すべきであると考えます。札幌駅へおり立った観光客が魅力ある札幌の都心部を回遊するためにも、路面電車の札幌駅までの延伸やその活用を検討すべきと考えます。また、路面電車の活用を考えるに当たっては、既設線地域の
まちづくりも一体的に考える必要があります。路面電車が運行する山鼻線や西線周辺では、古くから営業し、地域の生活を支える商店がある一方で、個性的な店舗や飲食店が点在するなど、まちが変わり始めております。このような既存の資源を活用し、これら地域と連携した
まちづくりを進め、路面電車沿線地域の活性化を図りつつ、観光スポットとして活用することにより、回遊性を高め、地域の活力、にぎわいが向上するとともに、札幌市全体への
経済効果が図られると考えます。
また、今後、高齢化社会を迎えるに当たり、みずから自動車を運転しない、できない高齢者が増加することが見込まれていることから、公共交通機関の充実は必要不可欠であると考えます。路面電車は、道路から直接乗降できることから、上下運動が少ないことに加え、駅間距離が短いなど、高齢者などだれにとっても優しい乗り物です。さらに、これからの
少子高齢化を考えると、ぜひ早期に低床車両を導入するべきと考えます。
また、本市は、平成20年6月に環境首都・札幌を宣言し、市民一人一人が環境保全に取り組んでいく決意を世界に発信したところです。まち中で排気ガスを出さない路面電車は、環境政策のシンボルとして活用できると考えます。
路面電車については、幅広い市民議論を重ね、延伸についての検討を進めていると思いますが、今後、市長として最終的な判断を下すに当たっては、私がただいま述べたような路面電車が持つさまざまな面での有効性を十分に考慮し、積極的に評価する立場で臨むべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
最後に、子どもの読書活動の推進についてお伺いします。
読書は、さまざまな知識を獲得するとともに、子どもに豊かな心をはぐくむ大切な活動であります。すぐれた作品と出会うことによって、子どもの本来持っているみずみずしい感性が一層磨かれ、創造力が豊かに育っていきます。そのようなことから、私は読書活動を推進することは、子どもが健やかに成長するために欠かすことのできないものであり、大変重要であると考えております。
また、読書には、個々の子どもが自分で作品を味わい、また、興味・関心に基づいて知識を深めるだけではなく、その経験を家族や友達、先生などさまざまな人と共有することによって人とのかかわりが深まり、コミュニケーションの広がりにつながるという側面があります。したがって、私は、子どもの読書活動を進めるに当たっては、学校はもちろんのこと、家庭や地域の大人が互いに協力して、それぞれの役割を分担しながら取り組んでいくことがぜひとも必要だと考えております。
ことしは、平成20年に国会において全会一致で採択された国民読書年であります。この決議では、平成22年を国民読書年に制定し、政・官・民協力のもとで国を挙げてあらゆる努力を重ねることを盛り込んでいます。札幌市でも、ことしは、第2次札幌市子どもの読書活動推進計画が策定された計画推進の初年度であります。その中の学校等における活動の推進においては、札幌らしい特色ある学校教育の一つに、生涯にわたる学びの基盤となる活動として読書を位置づけ、小・中・高等学校の各段階において読書に親しむ態度や習慣を身につけることは、論理や思考などの知的活動や意思伝達能力をはぐくみ、豊かな感性を磨く上で不可欠であるとしているところであり、今後の
取り組みに強い関心を持っているところであります。
そこで、質問ですが、まず、これまでの学校における読書活動の
取り組み状況についてお伺いします。
次に、今後、子どもの豊かな心をはぐくむための読書活動をどのように推進していこうとしているか、お伺いします。
以上で、私の質問のすべてを終了します。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(福士勝) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 6項目ご質問いただきましたので、私からは、経済・
雇用対策と来札1,500万人を目標とした
観光戦略、そして、今後の路面電車の活用についてお答えをさせていただきます。その余は、担当副市長並びに教育次長からお答えをさせていただきます。
最初に、経済・
雇用対策についてでございます。
1点目の今後の経済・
雇用対策の
取り組みについてというお尋ねでございますが、まずは雇用の場の確保についてお答えをいたします。
雇用対策につきましては、札幌市の独自施策といたしまして、就業サポートセンターを初め、資格取得と就職支援の結びつけをいたしましたプログラム事業だとか、女性、中高年齢層など就職が困難な方々に対しまして各種再就職支援事業に取り組んできたところでございます。今年度も、9月までに、国の緊急雇用創出事業を合わせまして約4,000名の就職を実現することができました。そして、こういうことが雇用の下支えとして一定の成果が上がっている、このように認識をしているところでございます。
しかしながら、
雇用情勢というのは依然として厳しいというのは議員ご指摘のとおりでございまして、一人でも多くの求職者の就職確保といったことは当面の大きな課題でございます。このため、引き続き、緊急雇用創出事業など国のさまざまな
雇用対策を最大限活用するとともに、雇用におけるミスマッチの解消、そして、企業に対する採用意欲といったものを喚起する、そんな施策などを積極的に進めてまいりたい、このように考えているところであります。
また、長期的な
取り組みについてでありますが、雇用の場の確保、創造のためには、何よりも産業振興といったことを進めるということが重要であると考えております。
産業振興ビジョンに掲げますさまざまな施策を確実に実施することでさらなる雇用の創出につなげてまいりたい、このように考えております。
次に、若年者に対する
創業支援のあり方についてでございます。
札幌市は、これまで、セミナー、相談対応、資金の貸し付け、起業家育成施設の提供など、年代を問わずさまざまな支援を行ってまいりましたが、若者の
雇用情勢が厳しさを増す中にあって、若年層にスポットを当てた
創業支援というものは極めて重要である、このように認識しているところでございます。したがいまして、これらの支援事業を若年層に対して周知するとともに、創業に対する意識調査を行った上で、商工会議所など関係団体と連携をいたしまして、若年層向けのセミナーを実施するなどの
取り組みを検討してまいりたいと考えております。
2点目の今回の
補正予算についてでございます。
このたびの
補正予算については、国が9月に打ち出しました
経済対策を踏まえつつ、札幌市の
経済情勢に即応した事業を盛り込むことに意を用いたところでございます。具体的には、高校卒業未就職者を正規に雇用いたします企業への助成や、商品券を発行する商店街への支援などを単独事業として実施するほかに、道路や街路の整備などの公共事業につきましても、国の
経済危機対応・地域活性化予備費を活用したものに加えまして、独自の単独事業も一定の事業規模を確保したところでありまして、景気の回復と
雇用環境の改善に資するもの、このように考えております。
3点目の
住宅リフォーム補助制度の
条件緩和についてでございます。
この制度はことしからスタートさせたものでありますが、その初年度において思いのほか申請が伸びなかったと。その要因につきましては、市民及び事業者への周知不足というものが考えられるほか、議員ご指摘のとおり、受け付け開始が遅かったということだとか、手続面における煩雑さ、加えて国の住宅エコポイント制度との競合、こういう要素が複合した結果であったというふうに考えているところであります。
こうしたことからも、平成23年度に向けましては、市民から直接相談を受けることになりますリフォーム事業者を対象としました説明会を早目に開催するなど、より一層制度の周知に努めるとともに、申請期間の前倒しだとか、あるいは提出書類の見直し、さらには、対象となります住宅の要件だとか申請者の年齢要件の緩和など、利用拡大に向けた見直しを早急に行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、来札1,500万人を目指した
観光戦略についてお尋ねでございます。
1点目の
道内市町村からの観光客をふやす
取り組みについてでありますが、気軽に札幌の観光を楽しむことができる道内観光客の誘致活動というのは今後もしっかりと取り組んでまいりたいと考えておりまして、その一つとして、来年春にオープンをいたします札幌駅前通の地下歩行空間におきましても、魅力あるイベントの実施だとか、あるいは、札幌や北海道の魅力の発信などをコンセプトといたします広場において、大型映像装置を活用しました観光イベント情報などの発信を検討しているところでございます。また、北海道全体の観光振興のためにも、オータムフェストのような全道各地の特産物が札幌に集まるイベントというものを充実させていきたいと考えております。さらに、今年度からは、旭川市、函館市などの道内中核都市と連携を図りまして、それぞれの都市のホームページに新たにこの中核都市の観光情報もお互いに載せ合う、こういうことも企画をしているところでございます。
今後は、このような
取り組みを進めていくことによりまして、札幌市民が道内各地を訪れる機会がふえ、お互いのまちの魅力を発信することで、結果として札幌を訪れる観光客が増加するというふうに考えてもおります。
2点目の札幌の新たな
魅力づくりについてでございます。
札幌の観光の強みと言える季節ごとのイベントや食に加えまして、札幌独自の歴史を今に伝える歴史的な建造物の活用というのは新たな観光の
魅力づくりにつながるもの、このように私も考えます。今後は、歴史的な建物を発掘いたしまして見学会を実施しております札幌建築鑑賞会などの市民団体とも連携を図りながら、市内各所にあります景観的にもすぐれた建物、庭園などを
観光資源として掘り起こし、観光客に紹介をしてまいりたい、このように考えております。
3点目の行政の果たすべき役割についてでございますが、現在策定を進めております
観光振興プランでは、札幌市の新たな魅力の発掘や、
道内市町村と連携した広域的な
取り組み、官民の連携強化ということが課題であると認識をしているところでございます。また、観光は、都心の
まちづくりなど札幌市における各分野の事業と関連を持つものでありますので、これからは、
まちづくりを進めていく上で観光という視点をしっかりと位置づけていくことも課題である、このように考えております。したがいまして、こうした課題を解決していくとともに、北海道全体の観光振興の牽引役としてのリーダーシップといったものを発揮していくことが札幌市の役割と責務である、このように考えているところでございます。
次に、今後の路面電車の活用についてお答えをいたします。
路面電車は、使いやすい公共交通機関としてだけではなくて、
まちづくりにおける都市の装置として、その特性が地域の活性化に極めて重要な役割を果たすものと考えております。こうした観点から、今後の路面電車延伸の検討に際しましては、地域活力の創造や環境首都・札幌の実現、さらには、札幌の魅力を世界に向けて発信することへの活用など、多角的に検討を進める必要がある、このように認識をしているところでございます。
私といたしましては、路面電車につきまして、積極的に活用すべきだという考えを持っておりますが、今、まさに幅広い市民議論を行っている最中でございまして、そうした中で市民の意向を適切に把握し、また、関係機関などとの協議も進めながら最終的な判断をしてまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○議長(福士勝) 中田副市長。
◎副市長(中田博幸) 私から、建築物の安全・安心対策についてお答えいたします。
1点目の学校などの
市有建築物の耐震化についてでございますが、まず、次期
耐震化計画の策定についてであります。
Is値0.3未満の64施設につきましては、平成19年度より順調に耐震改修を進めておりますが、これに引き続き耐震化が必要となります154施設については、平成23年度中には次期計画を策定し、事業を進めてまいりたいと考えております。
次に、次期
耐震化事業への
取り組みについてでありますが、議員ご指摘のとおり、学校を初めといたします
市有建築物の耐震化は、地域の安全・安心確保の面から
スピード感を持って取り組むべき喫緊の課題と認識をしております。そのため、次期計画の対象となります施設のうち、学校22校につきましては、既に今年度より前倒して設計業務に着手しており、そのうち5校については改修工事も予定しているところであります。今後につきましても、新たな国の交付金の動向を注視するなど、
補助制度を有効に活用いたしまして、
財政負担の軽減を図りながら積極的に事業を推進してまいりたいと考えております。
次に、2点目の住宅の耐震化の推進についてお答えします。
まず、これまでの
取り組み内容ですが、平成20年度からは分譲
マンションにおきましても耐震診断に対する
補助事業を実施しており、平成22年度からは、耐震設計も追加いたしまして、所有者の耐震化への
取り組みに対する支援制度の充実を図ってきております。
なお、市内にある分譲
マンション約3,500棟のうち、昭和56年以前の旧
耐震基準で建築されたものは約600棟ございますが、これまでの耐震診断の
補助制度の活用実績などを踏まえますと、所有者の合意形成が難しいこともあり、その多くは耐震性の有無の確認さえも行われていない状況にございます。
したがいまして、耐震化への
取り組みの第一歩として、この耐震診断がまずは実施されることが重要と考えております。このため、例えば、大規模修繕の際に合わせて耐震診断を行うよう所有者へ働きかけるなど、さらなる周知やPRに努めますとともに、国や他の自治体の動向も踏まえながら、より充実した制度運用と支援策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(福士勝) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私から、福祉問題についてお答えをいたします。
1点目の特別養護老人ホームの整備についてであります。
札幌市では、現在、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき、特別養護老人ホームを含め、施設や在宅の介護サービス提供基盤の整備を進めているところでございます。今後は、在宅介護が困難な高齢者の一層の増加が見込まれており、これまで以上の特別養護老人ホームを初めとする高齢者向け施設の整備が必要になると考えておりますが、介護保険料に与える影響などさまざまな課題もありますことから、市民意見の把握に努めるとともに、議会における議論を深めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の児童相談所の将来構想についてであります。
初めに、児童相談所の施設面の拡充につきましては、社会福祉審議会から提言をいただきましたので、相談件数の増加に見合う面談室等の増設を図るほか、一時保護所については、定員増や学習専用室の新設とともに、児童のさまざまな状況にきめ細やかな対応をとるため個別指導用の個室を配置するなど、現施設内にある発達医療センター部分の有効活用も含めて検討してまいります。
次に、社会的養護体制の方向性ですが、少人数養育のファミリーホームや児童養護施設における小グループケアなど、家庭的な養育環境の充実を図るとともに、市内で多様な受け皿を拡大し、整備してまいります。
次に、子どもの権利委員会の意見についてですが、児童相談所の将来構想は子どもの権利の保障にも深くかかわることでありますので、今後、当権利委員会の意見を十分に聞いてまいりたいと考えております。
次に、3点目の特定不妊治療費助成事業についてであります。
平成23年度からの制度の拡充についてでありますが、札幌市といたしましては、国の動向を踏まえながら助成回数などについて検討を行い、不妊に悩む市民の方々への支援を充実してまいりたいと考えております。
次に、4点目の今後の母子保健事業の推進についてであります。
札幌市といたしましては、医療機関と母子保健上のさまざまな課題を共有し、地域における育児支援がきめ細かく進められるよう、さらに連携を深めてまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(福士勝) 阿部教育次長
◎教育次長(阿部宏司) 子どもの読書活動の推進について、私からお答えをいたします。
1点目の学校における読書活動の
取り組み状況についてでありますが、各学校においては、子どもの豊かな創造力をはぐくむとともに、知的好奇心を持って学び続けようとする心を培う読書活動を、教科はもとより、特別活動や朝読書の時間などにおいて行っております。中でも朝読書の活動については、年を追うごとに増加してきておりまして、平成22年度の調査によると、小学校においてはほぼ全校が、中学校でもおよそ9割の学校が取り組むようになってまいりました。
次に、2点目の今後の読書活動の推進についてであります。
子どもの豊かな心をはぐくむためには、読書の機会の拡充だけでなく、読書にかかわるボランティアなどさまざまな人との触れ合いも大切であることから、今後も、朝読書を初めとした主体的な読書活動を推進するとともに、中学生による小学生への読み聞かせや、地域書店や地区図書館等と連携した
取り組みなど、一つの学校の枠を超えた人とのかかわりを生かした読書活動を一層推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(福士勝) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――
休 憩 午後1時56分
再 開 午後2時32分
――
――――――――――――――――
○副議長(宮村素子) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
坂本恭子議員。
(坂本恭子議員登壇・拍手)
◆坂本恭子議員 私は、日本共産党を代表して、議案並びに当面する市政の諸課題について質問いたします。
最初は、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、環太平洋戦略的経済連携協定、TPPについてです。
これは、例外品目なしに関税を撤廃、100%自由貿易化して、一部の輸出大企業の利益を確保するねらいで検討が進められているものです。もし実施された場合、日本の農業は壊滅的打撃を受け、農林省の試算では、食料自給率が14%まで激減し、農業生産は4.1兆円、実質GDPは7.9兆円減少し、雇用は340万人減るとされています。
私ども日本共産党は、日本の農業と安全な食料、関連産業と雇用の確保のため、TPPには反対です。
1点目は、市長の基本的な考え方についてです。
日本の食料自給率について、どうあるべきとお考えですか。食料のあり方はその国が自主的に決めるという食料主権を実現すべきと思いますがいかがか、伺います。
市長は、政府がTPP協定交渉に参加することに反対なのか、明らかにしてください。
2点目は、北海道と本市への影響についてです。
北海道は、道内の影響額を2.1兆円にも上るとしています。11月9日に、北海道の農業協同組合中央会、経済連合会、消費者協会、森林組合連合会が共同記者会見を行い、金を出せば食料は手に入るという時代は終わった、国民の食と命をはぐくむ農業を守るため、TPPに反対、食の安全に不安が起きるなどと強く反対を訴えました。11月8日には、北海道議会で、TPP交渉への参加を行わないよう求める意見書を全会一致で可決しています。本市議会でも、TPP協定交渉参加の中止を求める意見書案を本会議で可決すべく、会派間で協議をしています。
市長は、農業者の声はもちろんですが、道議会の意見書、道内4団体の意見を真摯に受けとめ、道都の市長として協働と連帯を表明すべきですが、どのように受けとめているのか、同じ考えなのか、明らかにしてください。
また、本市も例外ではなく、農業は壊滅的打撃を受け、農家戸数と耕作面積の減少に一層拍車がかかるのではないかと思うのですがいかがか、ご見解を伺います。
本市における影響額を試算すべきと思いますがいかがか、伺います。
3点目は、雇用への影響についてです。
営農できなくなることや、食品関連企業や流通業で倒産がふえるため、失業が急増することが見込まれています。さらに、看護師など技術職の外国人労働者が流入します。労働者人口の多い本市においても深刻な影響を受けることになると思いますが、市長はどう対処するおつもりか、伺います。
質問の第2は、10月20日、指定都市市長会が厚生労働省に提出した社会保障制度のあり方を含めた生活保護制度の抜本的改革の提案についてです。
この提案では、保護受給者に医療費の一部自己負担を求めるとともに、条件によっては生活保護を開始して3年から5年後に改めて判断するとして、強制的に保護を廃止することも考えられます。2006年10月に、日本弁護士連合会は、生活保護の切り下げをやめ、社会保障の充実を求める立場で、人権擁護大会宣言を決議いたしました。この中で、健康で文化的な生活を営む生存権を保障する憲法第25条に照らせば、国及び地方自治体には、すべての人の尊厳に値する生存を実現する責務があると高らかにうたっています。
上田市長は、この宣言と同じ立場に立つのですか、伺います。
市長会の提案は、憲法第25条に照らし、問題だと思いますがいかがか、市長の見解を伺います。
質問の第3は、私どもが実施している市民要望アンケート調査の結果に関してです。
現在、連日、回答が寄せられている最中ですが、一たんの集約を行いました。約2,000通の回答で複数回答ですが、「いま、心配なこと、お困りのことは何ですか」という設問に対して、最も多いものが医療・健康で60%、続いて、高齢者・介護が57%、家計・くらしが50%となっています。また、医療や介護分野での設問では、75歳以上の医療費の引き下げや無料化を求める回答が53%、保険料・利用料の引き下げが50%、施設をふやしてほしいというものが42%となっています。保育、
子育て分野では、保育所の増設を求めるものが52%、学費と仕事の分野では、若い世代の仕事をふやしてほしいが最も多く52%です。これらの市民要望に老後の不安と暮らし、経済の厳しさが非常に強くあらわれていると思いますが、市長はどのように受けとめますか、この声にどのようにこたえていくのか、お聞かせください。
質問の第4は、暮らし、福祉を守る事業の財源対策についてです。
市民生活は切迫し、生活を守る緊急対策を必要としています。暮らし、福祉を守る事業の財源として、まず、財政調整基金の残高96億8,000万円の半分を取り崩す、予算より多く配分された普通交付税と臨時財政対策債を合わせた139億円のうち、まだ残っている91億円を緊急対策として活用すべきです。また、電柱やガス管などの道路占用料を2009年に引き下げましたが、その恩恵にあずかっているのは北電やNTT、北ガスなどの大企業であり、引き下げた13億円をもとに戻すべきです。法人市民税の超過課税を他都市並みに14.7%にすることで、1億8,000万円の税収増となります。さらに、自衛隊基地交付金は9,500万円しかありませんが、本来の固定資産税相当額との差額1億円余りを国に求めるべきです。
これらの合計で150億円以上の財源をつくり出すことができます。問題は、市民生活の厳しさに対する危機感と、暮らし、福祉を最優先にする市政運営へ思い切って転換することだと思います。
市長は、暮らし、福祉最優先の市政運営の財源対策について、どうお考えになっているのか、伺います。
質問の第5は、公契約条例についてです。
官製ワーキングプアが問題になっていますが、公共事業においては、最低賃金ぎりぎりではなく、労働力の再生産にふさわしい賃金を保障すべきであり、地方自治体による公契約条例の制定、検討が進められています。本市でも、9月6日、札幌市における公契約条例の早期制定に関する陳情が労働組合から提出され、財政市民委員会に付託され、現在、継続審査中となっています。また、市長は、ことしの第1回定例会の本会議で、千葉県野田市における公契約条例の運用状況と、国の最低賃金法制を含む立法上の動向といったものを注視する旨の答弁をしています。その後、野田市では条例改正も行っています。
改めて伺いますが、市長は、公契約条例の必要性についてどのように認識されているのか、伺います。
とりわけ、
経済情勢が厳しく、労働者の賃金が低い本市では具体的な検討を早く始めるべきだと考えますが、現在どのような検討を行っているのか、また、いつ議会に条例案を示すのか、制定のめどをお示しください。
次は、景気・
雇用対策についてです。
質問の第1は、雇用問題についてです。
来春卒業の新規学卒者は、9月現在、札幌圏における高校生の
有効求人倍率が0.72倍、就職内定率は16.7%と非常に厳しく、大卒者も深刻な就職難です。就職希望者に比べ、求人数が非常に少ない問題とともに、求人があっても、最低賃金ぎりぎりで、定期昇給や賞与もなく、期限つき採用のため、若者が将来に展望を持つことができません。市長は、このゆゆしき事態をどうとらえているのか、認識を伺います。
介護や保育など福祉の事業は、市民要望が強い上に雇用効果、
経済効果が大きいので、
雇用対策としても大いに進めるべきと考えますが、いかがか。
あわせて、経済界に広く働きかけをして、一人でも多くの求人を広げるべきですが、どのように対処されるおつもりなのか、伺います。
今議会で
補正予算が計上されている高卒未就職者就職応援事業についてですが、2010年3月に卒業した本市在住者を正規雇用した場合、80万円の助成金を支給する事業を、50人と限定せずに、条件のかなった法人にはすべて応じることも視野に思い切って枠を広げるべきだと思うのですが、いかがか。
このたび、私どもが改善を求めていた選挙管理委員報酬の日額化でおよそ4,000万円もの削減が見込まれていますが、これを原資にすればすぐにでも踏み切ることが可能ではないでしょうか。ご決断を求めます。
また、現在、本市で臨時採用している100名の職員については、今年度末で解雇されることとなっていますが、次の安定した就職が決まるまでは責任を持って雇用を継続すべきと考えますが、いかがか、また、市内の高卒者を正規雇用した中小業者を対象に政策入札の導入を行うべきですがいかがか、伺います。
質問の第2は、
産業振興ビジョンについてです。
現在策定中の
産業振興ビジョンは、重要分野として食、観光、環境、健康・福祉が挙げられ、
グローバル化への対応を打ち出していますが、求められているのは、
地域経済の活性化であり、地元経済の循環と地場産業の立て直しです。地元の中小零細業者への支援をより具体化すべきと考えますが、いかがか、また、きめ細やかな支援ができるように、各区に産業振興の担当を置き、中小零細企業の実態とニーズを把握すべきと思うのですがいかがか、地域内循環と再投資で
地域経済の活性化と中小企業を育成する観点を明確にすることが重要だと思いますがいかがか、伺います。
質問の第3は、
住宅エコリフォーム補助制度についてです。
岩手県宮古市では、
経済対策として、総工事費20万円以上の市内業者による
住宅リフォームに対して一律10万円の補助を支給していますが、断熱工事など幅広い工事を対象としています。申請書はA4判用紙1枚のみで、添付書類も見積書、住宅の写真、住宅地図のコピーだけです。手続が簡単で、厳しい条件のないことが反響を呼び、需要が広がっています。本市の制度は改善すべきではないでしょうか。手続が煩雑で対象工事の条件が厳しいこと、業者に建設業許可登録が必要であることなどの条件を取り払うことで、飛躍的に効果が上がると考えております。
市長は、より利用しやすく、
経済効果を上げるために見直しの必要があるとお考えになっているのか、現在どう検討しているのか、明らかにしてください。
質問の第4は、小規模零細業者対策についてです。
コミュニティ型建設業創出事業は、地域密着型の小規模な作業を中小零細企業が請け負い、その橋渡しを地元団体等が行う、住民にも評判のよいものです。事業仕分けの結果、廃止を含む見直しと判定されましたが、存続すべきです。
現在の検討状況はどのようになっているのか、伺います。
また、建設業許可を持たない小さな業者が小規模な公共事業を受注できるように小規模工事登録制度を創設し、地元零細企業に発注すべきですが、お考えを伺います。
次は、国民健康保険の問題についてです。
質問の第1は、国保料滞納者への差し押さえについてです。
この間、滞納世帯に対する財産調査や差し押さえ件数が急増していることを指摘してきました。2005年度の財産調査件数は5,724件で、滞納処分件数は51件でしたが、2009年度にはそれぞれ5万3,261件、474件と、ともに9.3倍となっています。本市では保険サービス員を全市100地区に配置し、納付相談を促す一方で、これまで3,000円、5,000円と払ってきた方に、これでは納付期限内の完納ができないからと受け取りを拒み、完納できる金額を要求するため、滞納世帯がふえるという悪循環に陥っています。少しずつでも払おうとしている世帯には親身な相談を行い、少額での分割納付にも応じるべきと考えますが、市長の認識を伺います。
国税徴収法では、最低生活費として差し押さえ禁止額が設定されています。国保もこれに倣い、せめて生活保護基準並みの最低額は残すべきですが、これまでの本市の対応はどうなっているのか。よもや、根こそぎ口座を押さえている、そういうことはないのか、伺います。
児童扶養手当や子ども手当、学資保険などは、本来の支給の意味合いからいって差し押さえの対象から外すべきですが、いかがお考えか、伺います。
質問の第2は、国民健康保険料の滞納者への対応についてです。
建設関係の方が職を失い、日々の生活にも窮する状態で国保料を払えなくなったケースですが、督促状が来て相談に行ったとき、はなから支払うのが当たり前だから何としても払えという厳しい対応だったので、それ以来、窓口へは行けなくなり、減免制度があることも知りませんでした。その後、留守のときに保険サービス員が置いていった手紙に、「不在でしたので本書を差しおきます。既に納期限の過ぎている保険料は、至急、札幌市内の金融機関か区役所保険年金課に納めてください。納められない理由のある方は、下記の相談窓口までご連絡または来庁してください。このまま滞納が続くと、被保険者証の更新に伴い、期間の短い短期被保険者証を交付いたします」とあり、その後に長い文章が続き、最後に「滞納処分により、財産、給与等の差し押さえを行うことがあります」と書かれていましたが、内容がよく理解できず、差し押さえの文書が来て改めて窓口へ相談に行ったときには、差し押さえは既に決定したことだからとの対応でした。
国保料が払えない世帯に対して支払うように訪問したり文書を送付したりしていますが、この時点で相談に来ない滞納者は、払える見通しがなかったり、役所の文書を理解できない人も多く、差し押さえ処分の通知が来て初めて事の重大さを認識する方がふえています。窓口の相談も、何としても払えという態度ではなく、どうすれば滞納をふやさないで払っていけるのか、幾らなら払えるのか、税やほかの公共料金の滞納がある場合や多重債務を抱えている場合などは生活全般を立て直す支援が必要です。消費者センターにつないだり、生活保護申請、ハローワークとの連携なども必要です。訪問や窓口の相談内容について、機械的な対応をしていないのか、実態調査をし、改善を行うべきだと考えますがいかがか、伺います。
質問の第3は、資格証明書の発行についてです。
2010年10月1日時点で、本市の国保料滞納世帯は5万7,614世帯、短期証発行世帯が3万378世帯、資格証発行世帯が9,210世帯となっています。資格証を発行されている世帯は、ぐあいが悪くても病院にかかることができずに、この札幌市でも命を落としてしまう痛ましい事例が報告されています。資格証の発行は、払えるのに払わない悪質滞納者に限定すべきですが、いかがか。あわせて、資格証でも緊急の場合は短期証に切りかえることができる旨、より丁寧に周知すべきですが、具体的な改善をいかが考えますか、伺います。
質問の第4は、国保料の引き下げについてです。
本市の国保会計の累積赤字は、2009年度に解消しました。本市は、低所得者の多い国保世帯の負担に配慮し、一般会計繰入金を含む財源確保に最大限努め、1世帯平均保険料を据え置くこととしたとしていますが、国保加入世帯の年収は年々下がり、本市の平均所得は、2010年度、98万3,000円にまで下がっています。平均保険料を据え置いても実質的には値上がりの状況で、払いたくても払えないのが実態です。
このような重い負担が市民の暮らしを圧迫している実態について、市長はどのように受けとめているのか。国保料が高過ぎるとはお考えにならないのか。国に改善を求めていくことはもちろんですが、本市独自策でさらに国保料を1世帯当たり1万円引き下げるべきだと思いますが、市長のお考えを伺います。
次は、介護保険と高齢者の住み続けられる
まちづくりについてです。
質問の第1は、施設の不足についてです。
本市の65歳以上の高齢者世帯は約21万世帯で、全体の25%を占め、そのうちの60%を単身・夫婦世帯が占めています。2015年には市民の4人に1人が高齢者となることから、各種介護施設の充実とサービス基盤の整備が質・量ともに急がれています。
1点目は、特養ホーム待機者の解消についてです。
本市の待機者は6,000人を超え、そのうち要介護4と5の重介護の方が2,000人、在宅待機の方が約2,000人と緊急事態です。ところが、2009年からの3年間で10カ所、443人分の整備計画は全く不十分です。現実に、特養に入るのを心待ちにしながら入所できずに亡くなる方が後を絶ちません。特養の待機者を解消する考えがあるのか、今後どういうペースで取り組むのか、伺います。
2点目は、地域密着型サービスの充実についてです。
住みなれた地域で老後の生活を送るためには、小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスの整備と役割が重要となります。現在、10区の行政区を日常生活圏域として整備していますが、今後は、中学校区を圏域とした整備を目指すべきと思いますがいかがか、伺います。
負担が重い介護保険料とサービス利用料、ホテルコストの導入など、所得の低い高齢者が介護サービスを利用できない事態になっています。グループホーム入所時の負担は平均でも13万円前後であり、年金で賄えるものではありません。本市として、所得の低い高齢者に対して独自の軽減策を講ずるべきと考えますがいかがか、伺います。
3点目は、療養病床削減の影響と施設建設への財政支援についてです。
4月、厚生労働省が行った調査では、療養病床をなくしたら受け入れ先がないなどの理由から、老人保健施設や特養ホームへの転換予定は未定であるとする病院が61%にも上っていることが明らかとなりました。介護療養病床を廃止すると入院患者がどの施設にも入所できなくなることが懸念されるため、存続させるべきと思いますがいかがか、見解をお示しください。
また、特養ホーム等の基盤整備を進めると介護保険料の値上げにつながるという仕組み自体が問題です。必要な施設を整備しても保険料に連動しない財政支援を国に強く求めるべきだと思いますがいかがか、伺います。
質問の第2は、高齢化に対応した
まちづくりについてです。
本市の2008年の空き家数は13万6,000戸で、空き家率が13%です。特に、1970年代など同じ時期に戸建て住宅が集中して建てられた地域では、住民の高齢化と住宅の老朽化が一斉に起こり、雪かきや家屋の維持管理もできなくなり、町内会役員の担い手もいません。また、少子化で児童生徒数も減少し、学校が統廃合され、地域の商店もなくなることで車の運転ができなくなれば買い物や通院もできないという事態です。まち全体の高齢化が著しい住宅地では、売りに出された家屋や土地を有効活用した認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護施設などの建設を進めるなど、地域密着型サービスの整備を進めるべきと思いますが、ご見解と今後の対策について伺います。
質問の第3は、市営住宅の住みかえの促進などについてです。
2009年度、全市の高齢化率が19%に対し、市営住宅入居者では28%となっており、築年数の経過した市営住宅における高齢化対策、バリアフリー化は差し迫った課題です。ところが、エレベーターの設置されていない市営住宅が2万戸あります。高齢化で階段の上りおりが困難になると引きこもりがちになることから、介護サービスの必要性も急速に高まります。エレベーターのない5階建ての市営住宅は、利用者の送迎が困難なため、デイサービス等を提供する介護事業者からも敬遠されています。また、認知症の高齢者は、生活地域が変化することで症状が悪化することもあり、住みかえの申し込みができない方もふえています。特に、医療や介護を受ける必要性が高いのに、階段の上りおりができない高齢者への対応は待ったなしの課題です。緊急な住みかえ対策と計画的な1階への住みかえの2本立ての対策が必要だと考えます。
緊急対策としては、住みかえ専用の新たな市営住宅を建設すべきと思いますがいかがか、伺います。
計画的対策としては、既存住宅の1階が空室となった場合、入居者募集を行わず、住みかえ用としてはいかがか。さらに、建てかえ計画を前倒しして余剰地に福祉施設や住みかえ用住宅を建設するなど、地域密着型の福祉サービスと一体となった市営住宅のあり方を検討すべきと思いますが、どのようなお考えをお持ちなのか、伺います。
質問の第4は、訪問介護サービスを利用した院内介助についてです。
自力で通院することが困難な場合には、通院介助サービスを利用しています。病院内では病院職員が介助することになっていますが、対応困難な場合には、利用者と事業者が自費負担で訪問介護サービスを利用している実態があります。厚生労働省は、院内介助であることをもって一概に算定しないことのないよう徹底する旨の事務連絡をしています。訪問介護サービスで算定可能な院内介助については、この事務連絡の趣旨を徹底し、事業者に十分周知し、自費負担を減らすべきですが、どのように対応するおつもりなのか、伺います。
次に、子どもにかかわる問題について質問します。
保育所の待機児童の解消についてです。
私どもは、待機児童がふえ続けている問題について繰り返し取り上げて、その解消を訴えてまいりました。ようやく、本市は、今年度から5年間で3,500名の保育所の整備を進める計画を立てました。しかし、待機児童は10月1日で2,142人にも上り、増加の一途をたどっています。当初予算では820人の整備計画でしたが、見通しはいかがか、上回って整備されるのか、伺います。
また、一刻も早く前倒しで増設すべきと求めておりますが、来年度も1,000人以上の整備を行い、3年間で計画を達成すべきと考えます。市長はどう取り組むのか、伺います。
最後に、札幌版事業仕分けについてです。
本市における行政評価は、ことし、事業仕分けで89事業中74事業が不要または見直しと判定されました。この結果に対し、市民意見の募集に83.8%の市民が納得できないと反対の意思を表明しています。老人クラブ活動費補助金が見直し、保養センター駒岡は廃止などとされましたが、老人クラブと施設利用者など当事者から反対する陳情が出されています。結果的に、市民の中に分断と対立をつくり出すことになったと思うのですがいかがか、まず、伺います。
質問の第2は、ことしからの実施に必然性があったのかどうかという点です。
2009年度一般会計決算では、歳入規模が7.1%増となり、福祉施策等を大いに進めることができる状況になってきたと思うのですがいかがか、市長の認識を伺います。
質問の第3は、市側だけで仕分けの対象を独占的に選定している点です。
行政のむだを、予算の使われ方も含め、市民目線で見直すには、選定段階から市民を参加させるのが当然のことだと考えますがいかがか、伺います。
質問の第4は、仕分けの方法についてです。
市がつくった見直し・廃止誘導型の論点シートや仕分け評価シートの審査ばかりで次々と処理されており、視察して実態を確認するとか利用者からの聞き取りなどが一切封じられています。こうした十分な情報を提供せずに判定させるやり方では、適正な判定は期待できません。直ちに改善すべきだと思うのですがいかがか、見解を伺います。
質問の第5は、結果として、市民の賛成も得られず、市民の間に分断さえ持ち込むなど、さまざまな問題をはらむ札幌版事業仕分けについては、みずからを仕分けの対象にすることも含め、そのあり方そのものの抜本的な見直しが急務と考えますが、その意思がおありかどうか、端的に伺います。
以上で、私の質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(宮村素子) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 大変厳しいご質問をいただきまして、私からは、6点の中の政治姿勢についてと景気・
雇用対策、それから、ただいまの事業仕分けについてお答えをさせていただきます。その余は、生島副市長から答弁をさせていただきます。
まず、私の政治姿勢についてでございます。
1点目の環太平洋戦略的経済パートナーシップ、いわゆるTPPにつきまして、関連いたしますので、一括してお答えをさせていただきます。
TPPにつきましては、貿易の自由化という世界的な流れをとらえたものだと考えておりますが、食料の安定的な供給、そして、食料自給率の向上といった観点からも、我が国の農業に対して深刻な影響が生じないように慎重に議論を進めていく必要がある、このように考えております。
北海道の試算を見ますと、TPPへの参加に伴う北海道の基幹産業であります農業、食産業への影響は極めて大きいところであります。現時点で札幌市への具体的な影響額といったものについての試算は非常に困難ではありますけれども、第1次産業やその関連産業に加えまして、道内の景気低迷ということによります第3次産業への影響など、札幌市の経済、雇用に対する影響というものも少なからず生ずるのではないか、こんなふうに考えております。
札幌市といたしましては、道内の関係機関と歩調を合わせる形で、北海道市長会を通じて、道民合意がないままTPPへの参加を行わないように国に対して要請しているところでありまして、引き続き、国の動向を注視し、関係機関とも連携しながら対応してまいりたい、このように考えております。
次に、2点目の生活保護制度の抜本的改革の提案についてでございます。
生活保護制度は、ご指摘のとおり、憲法第25条の理念を踏まえまして、生活保護法に基づき、国及び
地方公共団体で運用しているところでございます。しかしながら、現行の制度は、高齢化だとか、あるいは就業形態などの社会的、経済的な情勢の変化に対応できていないという指摘がございまして、働くことが可能な方に対する集中的な就労支援など、市民から信頼される適正な制度運用といったものを骨子とした生活保護制度の再構築について、政令指定都市の市長会としての提案をしたものでございます。
3点目の市民の声を踏まえた市政運営についてでございます。
景気の先行きの不透明感だとか厳しい
雇用情勢など、市民生活を取り巻く環境というのは非常に厳しい状況にあるとともに、これまでに経験したことがない超高齢社会の到来を迎えまして、市民の多くの皆様方が将来への不安といったものを抱いておられるもの、このように私も認識をしているところであります。市民の皆さんが抱える生活の不安感を払拭するために、これまで同様に、高齢者、障がい者福祉を初めとし、子育て支援だとか、あるいは経済・
雇用対策など、市民生活に直結した分野について今後も計画的かつ積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
その一方で、私は、市民の力、市民の英知を結集することによって、未来を切り開いていくことができるというふうに確信をいたしております。団塊の世代が退職をし、地域に戻ってきている今こそ、それぞれの職場で培った豊富な経験というものが地域での課題の解決に生かされるもの、このように考えております。今後も、引き続きまして、市民とともに考え、そしてともに悩み、ともに行動しながら、市民だれもが幸せを感じ、元気に活動できるということを目指しまして、全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
4点目の市民生活を守る事業の財源対策についてでありますが、税収の伸び悩みだとか社会保障に係る費用の増大など、厳しい
財政状況が続いている中にあっても、長らく低迷する経済、雇用や市民生活にかかわる喫緊の課題にはしっかりと対応していくことが肝要だと考えております。このたびの議会でも
補正予算をご提案申し上げているところでありますが、今後とも、
経済情勢などを見きわめつつ、歳入歳出両面で一層の工夫を行うことによって所要の財源を確保して必要な対策を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。
次に、5点目の公契約条例についてでありますが、さきの第3回
定例市議会の代表質問でも答弁をさせていただきましたとおり、賃金など労働者の適正な労働条件の確保については、札幌市といたしましても重要な課題である、このように認識しているところでございます。現在、野田市などの状況について調査をしておりますが、実効性の確保、ここが一番問題であります。実効性の確保という観点からの課題の整理を進めているところでございまして、
条例制定に向けまして引き続き検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
2項目めの景気・
雇用対策についてお答えをいたします。
1点目の雇用問題についてでありますが、まず、来春卒業の新規学卒者の
雇用情勢についてでありますけれども、
雇用環境は依然として厳しく、大変憂慮すべきものと考えております。
次に、福祉分野の事業の推進についてでありますが、介護・保育サービスの需要を踏まえまして、経済、雇用にとって効果的な事業の実施を行ってまいりたいと考えているところであります。
次に、経済界に対する働きかけでございますが、ことし8月に各企業に対して文書による要請を行ったほかに、年内にも札幌市内の業界団体に対しまして三つのハローワーク所長との連名での要請を行おうとしているところであります。
次に、高卒未就職者就職応援事業の拡大についてでありますが、議会のご承認をいただいた後に事業を実施することになりますけれども、その実施状況を見て検討してまいりたいと考えております。
次に、新規高卒臨時的任用職員の雇用の継続についてでございますが、これまでも研修やカウンセリングなどの支援を続けてきたところでありますけれども、今後は、合同企業説明会を行うなど、雇用期間内での就職に向けて最大限努めてまいりたいと考えております。
次に、政策入札の導入についてでありますが、客観的な基準づくりなど難しい課題がありますけれども、企業の採用意欲を喚起する施策も重要でございまして、幅広く検討してまいりたいと考えております。
2点目の
産業振興ビジョンに関する質問に一括してお答えをさせていただきます。
地域経済の活性化のためには、道内循環の拡大といったこと、あるいは、零細企業を含みます中小企業の育成は極めて重要でありますことから、ビジョンにその趣旨を明確に示しているところでございます。また、企業のニーズ把握がますます重要になると考えておりまして、区役所からの情報収集や職員と企業との意見交換を行いまして、課題を把握の上、政策の立案につなげてまいりたい、このように考えております。
3点目の
住宅エコリフォーム補助制度につきましては、平成23年度に向けまして、手続の簡素化や補助要件の緩和など制度の見直しを行ってまいりたい、ご指摘のとおり、そのようにやってまいりたいと考えているところでございます。
4点目の小規模零細事業者対策についてでございます。
まず、コミュニティ型建設業創出事業につきましては、市民評価の結果を受けまして、外部識者等で構成されます委員会において検討をいただいたところでありますが、建設業支援策としての必要性が高いとの意見が出されております。これらの意見を踏まえまして、現在見直しを進めているところであります。
次に、建設業許可を持たない事業者の方につきましては、従来から入札参加資格者名簿の一般サービス業に登録できる制度となっておりまして、今後もその活用を図ってまいりたい、このように考えております。
次に、6項目めの市民評価について、それぞれの質問は関連がございますので、まとめてお答えをさせていただきます。
私は、行政ニーズの多様化や
少子高齢化の一層の進展などの時代の変化を踏まえまして、市政運営においては、事業の選択と集中ということを見据えた行財政改革に不断に取り組んでいかなければならない、このように考えているところでございます。今回の市民評価はその一環として実施したものでございまして、時代の変化の中で行政が行うべき必要性が薄れてはいないか、あるいは、担い手やその手法といったものを見直す必要はないのか、そういったことを市民的な視点で評価、議論をしていただいた、そういうものでございます。この
取り組みによりまして、大変多くの市民の皆さん方に市政に関心を持っていただきまして、さまざまなご意見をいただいたことは、まさに市民自治のさらなる進展、前進であったというふうに私は実感をしているところでございます。
そのような意味において、さまざまな意見が出るということにつきましては、分断と対立という言葉、あるいは、昨日は小嶋議員からも無用な市民間の混乱というふうなご指摘がございましたけれども、まさにそのような問題を市民自身がしっかりと議論する場を提供するという意味合いにおいて、市民自治というものを私は逃げることなく市民とともに考えていきたい、このような考え方に立っているものでございます。
次に、市民評価の手法に関してでございますが、まずは、市民参加をさらに進めることに重点を置きながら検討していくことになりますが、対象事業の選定方法や、仕分け人の方々に事業内容を理解していただく方法など、今後検討していかなければならない課題もあることはご指摘のとおりでありますし、私もそのように認識をしているところでございますので、新年度の市民評価に向けましては、これらを念頭に幅広く検討してまいりたいと考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(宮村素子) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私から、3項目につきましてお答えを申し上げます。
まず、国民健康保険の問題についてです。
1点目の国保料滞納者への差し押さえについてでありますが、まず、分割での保険料の納付相談におきましては、世帯の生活状況を 十分把握した上で、納付資力に応じた対応を行っているところでございます。
次に、差し押さえの金額についてでありますが、差し押さえを実施することによって最低限の生活を損なうことのないよう適切に実施しております。
次に、差し押さえの対象除外であります。
児童扶養手当や子ども手当の受給権については、法令で差し押さえを禁止されておりますが、それらの手当が口座に振り込まれ、一般財産となった段階では、差し押さえが禁止されているものではありません。
しかしながら、ほとんど残高のない口座に振り込まれたそれらの手当を差し押さえするようなことはございません。
また、学資保険については、差し押さえ禁止財産となっておりませんが、滞納世帯の個々の事情やその他の納付資力を把握した上で判断しております。
2点目の滞納者への対応についてでありますが、相談に当たりましては、滞納者から生活状況などを十分聞き取るとともに、必要に応じて生活保護の相談へつなぐなど、きめ細かな対応を行ってきており、今後も個々の滞納者の状況に応じ、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
3点目の資格証明書の交付であります。
まず、資格証明書は、法令により、特別の事情があると認められる場合を除き、1年以上滞納を続けた世帯に対し、交付することとなっております。
次に、短期証への切りかえの周知についてでありますが、資格証明書を交付する際にお渡しする文書などに掲載しておりますほか、今年度の保険証の一斉更新では、これに同封する国保のしおりにも新たに掲載するなど、周知に努めているところであります。
4点目の国保料の引き下げについてであります。
国保加入者の医療費が、高齢化などに伴い、毎年増加している中、札幌市では、低所得者が多く加入していることや、所得低下による負担増に配慮して、一般会計から多額の繰り入れを行い、最大限、保険料の軽減と抑制に努めているところであり、これ以上の保険料の引き下げは困難と考えております。
次に、介護保険と高齢者の住み続けられる
まちづくりについてであります。
まず、1点目の施設の不足についてであります。
一つ目の特別養護老人ホームの待機者の解消についてですが、現計画における整備に加えて、既存施設の増床なども予定しております。今後は、特別養護老人ホームについてこれまで以上の整備が必要と考えており、介護保険料に与える影響などを踏まえつつ、その整備について検討してまいりたいと考えております。
二つ目の地域密着型サービスの充実について、まず、日常生活圏域の見直しについてであります。
札幌市におけるグループホームや小規模多機能型居宅介護事業所等の地域密着型サービスは、政令指定都市の中でも比較的高い整備水準にあると言えますが、次期介護保険事業計画の策定に当たっては、その充実とあわせて、より地域に密着した介護サービスを提供できるよう、日常生活圏域の見直しについても検討してまいりたいと考えております。
次に、所得の低い高齢者に対する軽減策についてであります。
札幌市独自のグループホーム利用料等の軽減策につきましては、これに係る新たな財源を確保する必要があり、市の
財政状況を考慮いたしますと困難であることから、国に対し、軽減策を引き続き要望してまいります。
三つ目の介護療養病床削減の影響と施設整備に伴う財政支援について、介護療養病床の廃止に対する見解についてであります。
介護療養病床につきましては、国において今後の方針が示されておりませんが、施設利用者の不安や事業者の混乱を招かぬよう、早期にその方針を提示すべきものと考えております。
次に、施設整備に伴う保険料の増額抑制のための新たな財政支援を国に求めることにつきましては、これまでも保険料負担軽減に係る財政措置を要望しているところであり、この中で引き続き要望してまいりたいと考えております。
次に、2点目の高齢化に対応した
まちづくりについてお答えをいたします。
札幌市では、高齢者が住みなれた地域での生活が続けられるように、地域密着型サービスの整備を進めております。認知症高齢者グループホームにつきましては、地域の高齢者の状況等を踏まえ、要介護認定者が多く、かつ、グループホームが未設置の地域を優先して整備しているところであり、今後も、地域の状況等を勘案し、地域密着型サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の市営住宅の住みかえの促進などについてお答えをいたします。
まず、住みかえ専用の市営住宅の建設についてでありますが、既存の高齢入居者への配慮はある程度必要としても、それのみに着目して専用の住みかえ住宅を緊急的に建設することは困難であり、また、空室となった1階への住みかえについても、新たに市営住宅への入居を希望する高齢者も多いことから、そのすべてを既存の高齢入居者の住みかえ用に限定することは難しいと考えております。
しかしながら、高齢者のみでなく、住みかえにはさまざまなニーズがありますので、これらにより適切に対応していけるよう、現行制度の見直しを検討してまいりたいと考えております。
次に、福祉サービスと一体となった市営住宅のあり方についてでありますが、今後の建てかえ計画につきましては、平成23年度に予定している市営住宅ストック総合活用計画の見直しの中で整理することとしており、また、建てかえにより生まれる余剰地を活用した医療や介護など、サービス拠点の整備につきましても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、4点目の訪問介護サービスを利用した院内介助についてであります。
院内介助につきましては、厚生労働省による通知や北海道の見解が事業者に十分理解されるよう、今後も、引き続き、ケアマネジャーの研修会や、北海道による事業者に対する集団指導を通してその周知に努めてまいりたいと考えております。
次に、子どもに係る問題についてお答えをいたします。
保育所の待機児童の解消につきましては、今年度の当初計画で820人の定員増でしたが、事業者の自主整備等を含めますと、総数として当初計画を上回る1,000人程度の定員増となる見込みであります。また、来年度につきましても、急増する保育需要に柔軟に対応しながら、先日公表されました国の待機児童解消先取りプロジェクトを活用するなど、積極的に保育所整備を進めてまいりたいと考えております。
以上であります。
(坂本恭子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(宮村素子) 坂本議員。
◆坂本恭子議員 生活保護、それから、国民健康保険のことについて再質問したいと思います。
上田市長、生活保護については、憲法25条の理念を踏まえた制度だというご見解を示していただきました。その上に立って、今回、 指定都市市長会で出した提案については、現状に対応できていないことから再構築をしなければならないということのご認識がありましたけれども、市長として、憲法25条に、このたびの提案というものが合致をしているというふうにお考えなのかどうなのかということを私は改めて伺いたいと思います。
この中に、医療費の自己負担の問題、それから、生活保護も、就労支援をしながら、その後、3年から5年後にはまた再申請、改めて廃止も含めて判断をするというようなことが提案の中で言われているわけです。これで、本当に憲法25条の理念というものを生活保護制度が継承していくことができるのかどうなのか、そこのところのご見解を改めて伺いたい。
私は、やはり、医療費などというもので、今定められている最低生活費、これからさらに医療費を支払わなければならないということであれば、今決めている憲法25条の生活水準、それ自体が低いものになっていかざるを得ないのだろうというふうに思いますので、 この点も踏まえてご答弁をいただきたいと思います。
さらに、国保の問題についてですけれども、実態を把握しながら、資力に合わせながら、分割納付、それから差し押さえについても行っているのだというお話もありました。
そこでまず、2点申し上げておきたいことがございます。
学資保険についてですけれども、これは、差し押さえの禁止対象にはなっていないという副市長からの答弁もございました。貯蓄性の高いものという見方もできるのかもしれませんが、現に、これは本人の解約の承諾を得て差し押さえの対象になっているというのが今の実態だと思います。子どものためにこつこつとお金をためている、入学のときに、何かのときに、この学資保険の給付金が出ることによって
子どもたちの教育にかかるものを蓄えているというようなことですから、私は、やはり学資保険というのは、差し押さえ禁止対象ではありませんが、このことも含めて大いに議論をしていかなければならないと思うのです。せめて、学資保険については、私は差し押さえの対象にすべきではないということを改めて申し上げておきたいと思います。
それから、子ども手当と児童扶養手当についても、ほとんど残高の残っていない口座については差し押さえをしないようにしている、現実にはそういう指導をしているということがありましたけれども、実際には、これも学資保険と似たようなもので、例えば、来年、うちの子が進学するのですということになったときに、今ある子ども手当あるいは児童扶養手当というのは、その口座にためて置いているはずなのですよね。生活が厳しい、だから、その手当には今手をつけないで、次の入学のときに、来年の春に、あるいは再来年に、そのとき、子どもの何かのために、制服を買ってあげる、学用品を買ってあげる、そのために手をつけないで置いておこう、こういうお金も、口座から出し入れされていないということが確認されると、それは資産として差し押さえの対象に今はなるわけですよ。これ自体がおかしいということを私たちは言っているわけです。答弁の冒頭でも言っていましたけれども、口座に入ってしまえば、それは差し押さえの対象になるのだというところについては、私は、実態を丁寧に見て、これはやらないように、これを改めて各区保険年金課に対して指導していただくように求めておきたいと思います。
それから、2点質問いたしますけれども、差し押さえについて、生活を損なうことのないように行っているというご答弁がありました。質問で申し上げましたけれども、税の差し押さえの場合には、国税徴収法というものがあって、最低生活額、1人10万円、それから、扶養世帯は1人当たり4万5,000円というお金を残さなければならないということになっているのだけれども、国保の場合には、この最低額が明記されたものがないのですね。なので、国保も、国税徴収法に倣って、最低生活額を残すべきだということを言っているわけで、私は、これは、改めて基準を明確にしていただきたいというふうに思います。そのお考えがあるのか、どうなのか、伺いたいと思います。
それから、滞納世帯への対応について、これも、生活の状況を把握したり、必要であれば生活保護につなぐケースもあるというようなお話がありました。しかし、実態は、そういう話はほとんど聞いたことがありません。本当に、差し押さえをするぞということばかりが先行しているという実態があると思うわけです。保険サービス員のことも触れましたけれども、例えば、税の滞納はないですか、住宅の家賃を滞っていませんか、あるいは、何かほかに生活のために借金をしているようなことはないですかと、国保のお金を払う以前に、もっと困っていることはないのかということをきちんと把握していく必要があると思うのですよ。ですから、それが生活保護の申請だったり、あるいは、仕事ができるという状況であればハローワークとの連携だったり、いろいろなことがあるわけです。
今、自殺対策の中で、ゲートキーパーというものが大変重要だということは多くの皆さんの認識になっていると思いますけれども、この国保の徴収員、職員もそうですし、保険サービス員も、ゲートキーパーと同じような位置づけを持ってやっていく必要が私はあると思うのですよ。生活全般を立て直していく、そういう役割を担わせていくことが重要だと思うのだけれども、現状、こういうことがきめ細かくやられているという認識に立ちますか。それをお聞かせいただきたい。あるいは、これからやる気があるのかどうか、その点についてお聞かせいただきたい。2点質問いたします。
○副議長(宮村素子) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 生活保護制度の抜本的改革の提言ということで、政令市の市長会で提案をさせていただいているところであります。これが憲法25条に抵触しないか、趣旨に反しないかというご質問でございますが、当然のことながら、25条の趣旨をより正確に実現するために提案をさせていただいているというのが私どもの考え方でございます。(「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)
何を言っているのじゃなくて、しっかり聞いていただきたいと思います。これからちゃんとご説明します。
生活保護法というのができまして、既に60年という時間が経過をしております。その中で、当初のころの朝日訴訟等が提起をされた当時と、いささか、運用実態あるいは保護の基準というものについて相当乖離が出てきたのではないかというふうな考え方が一つございます。そしてまた、大都市に生活保護受給者というのが集中するというのも、これまた一つ、現実としてございます。
その中にあって、本当に、もちろん就労不可能な方々に対して生活保障をするというのは当然のことであります。しかし、働けるのにかかわらず、働く意欲を失っておられるような方々に対してしっかりとした就労支援をしていく、こういうふうなことが今の生活保護法の中ではないわけでございます。そういう意味で、社会参加をしていただく、そして、社会との関係をしっかり結びながら、みずからも生きがいを持って、そしてまた、社会的な活動をしたい、経済的にも、あるいは社会的にも参加をしていただけるような、そんな就労支援、ご指導といったものをさせていただけるような制度に改めていかなければ、少しモラルハザードが起きたり、あるいは、保護を受けておられない皆さん方から、非常にこの制度に対する懐疑的な見方をされるというようなことで、生活保護そのものに対する不信感ということになっては非常に問題があるというふうに我々は考えるわけでございます。
そのような意味において、私どもは、生活保護制度といったものの生活保障という、生活を保障していこうというその理念をしっかり実現しながら、よりそれが社会に受け入れられる、そういうものになり得るための、そういう改革をしていく必要があるのではないか、こんなふうに考えた上で提案をさせていただいたところであります。
医療費についても、今、札幌市の当初予算では生活保護費は1,100億円ぐらいになっていると思いますが、その約半分が医療費でございます。そういう現状にもあって、もちろん必要な医療はしなければなりません。しかし、医療側、医療を受ける側、それぞれが緊張感を持ってと言ったらおかしいですが、適切な医療が受けられるような、そんなきっかけになるということを理念として持っているところでありますし、提言も、その意味では、一部負担をしていただくためには、最低生活を保障するという仕組みをつくるということがしっかり提言の中に盛り込まれているわけでありますので、そういう意味合いも含めてご議論をいただければありがたい、このように考えているところでございます。
○副議長(宮村素子) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 2点、再質問をいただきました。
まず、1点目の差し押さえの際の最低生活基準の設定ということでございますけれども、国民健康保険料の徴収は、国税徴収法の例に倣うことというふうに法令で決まっておりますので、国税徴収法の例に基づいて実施をしておるところでございます。
それと、2点目の滞納者への対応の関係でございますけれども、私は、一番大切なのは、やはり、滞納者の方がどういう生活をしておられるのか、その状況を十分にお聞きして親身になって対応するということが一番大切かなというふうに思っておりまして、職員は そのような気持ちで対応しているものと考えております。
(坂本恭子議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(宮村素子) 坂本議員。
◆坂本恭子議員 国保についてですが、国税徴収法の例に倣うということになっているということですけれども、現場では、基準を明確にした通知なり文書というものが出ていないということは確認をしております。それが末端まできちんと伝わっているのかどうなのか、運用がされているのかどうなのかというところがやはり問題なわけです。そういう意味では、今、副市長は例に倣うということで今までやってきているということですから、これについては、漏れのないように、きちんと対応できるように、私は明文化すべきだというふうに思います。指導のあり方、対応方を改めていただきたいというふうに思います。
それから、生活保護の問題についてですけれども、確かに、大都市での生活保護受給者はふえております。特に、この提案を出してきた座長ですか、幹事都市であった大阪市は50パーミルを超えているわけです。札幌市だって2番目で30パーミルを超えているわけだから、これは、大都市により顕著に硬直化があらわれているということは市長の立場では言えると思います。
しかし、より正確に憲法25条の理念を実現するために今度の提案をしたというふうに市長はおっしゃった。これは、最後の方で、最低生活額を幾らにするのかということも含めて、全体的に議論されていかなければならない問題だというふうにおっしゃったと思うのだけれども、結局、社会保障制度全般を見直していく中で、生活保護のあり方、制度を再構築していくというのが考え方ですよね。そうなると、国のそもそもの社会保障制度、これが変革されていかない限り、各都市での生活保護の今の仕組みというのは変わっていかないということですね。
そういう中で、モラルハザードという言葉を取り上げて、不適切だということを取り上げて、これがどうも市民の中で理解が得られないのだということを口実に、今、生活保護を受けなければならない、そういう立場にいらっしゃる方を排除していく、そういう思考に私はつながっていくのではないか、あるいは、そういう危険性があるのではないかというふうに思うものですから、改めてこの点を強調しておきたいと思います。
いずれにせよ、これは、指定都市市長会の提案であって、議会では全く議論されていない中身でございます。私どもは、議会でも立場をそれぞれ異にすると思いますので、これから議会の中でも大いに議論をしながら、市長にも見解を求めていきたいというふうに思います。
以上で終わります。(拍手)
○副議長(宮村素子) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日12月3日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(宮村素子) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(宮村素子) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後3時40分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 福 士 勝
副議長 宮 村 素 子
署名議員 恩 村 一 郎
署名議員 坂 ひ ろ み...