ビジョン(案)は、全体で5章から構成しております。
第1章、札幌市
温暖化対策推進ビジョン策定にあたっては、
ビジョン策定の背景や目的などについて記載しております。
ビジョン策定のねらいといたしましては、市民・事業者・札幌市のすべてが主体となって対策に取り組まなくてはならないこと、次世代へ豊かな環境を残すためには、今、対策に取り組まなくてはいけないこと、本
ビジョンは、現在考え得る対策のシナリオ、つまり道筋を示し、各主体の行動を促すものであることを初めにうたっております。
続きまして、第2章では、
地球温暖化対策に向けた目標と将来の姿とし、削減目標を設定する上での前提条件を整理し、
中長期目標について記載しております。目標につきましては、
科学的知見や国内外の
社会的状況などを踏まえ、
中長期目標を設定しております。結果的には国と同じ
削減目標値になっておりますが、長期目標は2050年に
温室効果ガスを1990年比80%削減、中期目標は2020年に1990年比25%削減としております。そして、まずは、2020年の中期目標の達成を目指し、どのように対策を展開していくかについて第3章以降に記載しております。
第3章では、
ビジョンを実現するための
温室効果ガス削減シナリオとし、札幌市の
温室効果ガスの排出状況の特徴を整理した上で、中期目標を達成するためのシナリオを記載しております。
ここで、資料3の本書14ページをお開きください。
上の帯グラフですが、札幌市の排出量の特徴として、民生家庭、民生業務、そして運輸部門における
CO2排出量が全体の約9割を占めており、今後の
温暖化対策としては、その中でも特に民生家庭、
民生業務部門における取り組みが非常に重要であることを示しております。また、具体的な数値としましては、隣の15ページのグラフになりますが、上から一つ目と二つ目のグラフは、2007年から2020年までに削減する
温室効果ガスの量を示しております。1990年に934万トン、直近の2007年には1,208万トンの
温室効果ガスが排出されておりますので、1990年比で25%削減ということは、現状から比較いたしますと507万トンを削減することとなり、42%の削減率となります。
なお、2020年までに507万トン削減することにつきまして、どの部門でどの程度の削減を目指すかについて示したものが一番下のグラフでございます。市民・事業者・札幌市の努力によって削減するものをシナリオの展開による削減とし、民生家庭、民生業務、運輸部門の合計で340万トンを削減し、そのほか、
電気事業者による
エネルギー転換や技術革新、あるいは国際間の
排出量取引により残る167万トンを削減するものと想定しております。
次に、16ページをごらんください。
このシナリオの展開として、国の
中長期ロードマップをベースに札幌市として重点的に進めるべき取り組みを10の
アクションとして示しており、例えば、北国基準の
省エネルギー住宅の普及に向けた展開として約29万トンなど、具体的な削減量を示しております。
なお、これらを合計いたしますと、先ほどの340万トンになります。この削減量の考え方につきましては、資料4の資料編に記載しておりますが、本日は、時間の都合上、割愛させていただきます。
続いて、17ページの第4章では、10の
アクションによる
中期目標達成のための
シナリオ展開とし、10の
アクションのそれぞれの項目について記載しております。
次に、18ページをごらんください。
例えば、ここでは北国基準の
省エネルギー住宅の普及に向けた展開に関して記載しておりますが、2020年に目指す姿、目標を達成するための市民・事業者・札幌市のとるべき行動、そして、一事業者として
札幌市役所が率先して取り組む行動を示しております。このように、一つの
アクションについて1ページを割き、それぞれ10の
アクションについて記載しております。
そして、最後の第5章でございますけれども、申しわけございませんが、資料2に戻っていただきまして、右下になります。
シナリオを展開するにあたってといたしまして、10の
アクションを進めていく上で考慮すべき視点について記載しております。具体的には、環境と経済の両立、環境教育の充実、広域的な連携の視点、シナリオの見直しと発展に向けての4点でございます。
最後になりますが、本
ビジョン(案)は、
環境審議会の
温暖化対策部会の意見なども踏まえ、できるだけ図表を盛り込む工夫をしたり、本文全体も30ページ程度にまとめ、ボリュームを減らすなど、市民の皆様に読んでいただきやすいようにまとめております。
以上、
ビジョン(案)についてご説明させていただきましたが、今後は、
パブリックコメントにより幅広く市民の皆様のご意見をいただいた上で成案化してまいりたいと考えております。
○芦原進 委員長 それでは、質疑を行います。
◆近藤和雄 委員 私から、数点お伺いしたいと思います。
ただいまご説明がございまして、私も何回か読ませてもらいましたけれども、
大変コンパクトでわかりやすいなと。当然、市民の皆さんにも見ていただいて、事業者の皆様を含めて、これはまだ案でございますけれども、これをしっかりと進めていかなければ地球環境は守れないのではないかということは、皆さんが最初に共通して考えていらっしゃることではないかと思っております。
まず、
温暖化対策推進ビジョン(案)では、ただいまご説明のとおり、2020年までに1990年比で25%、そして、2007年比だと42%に相当する507万トンという
温室効果ガスを削減するということで、大変厳しくハードルの高い目標ではないかと感じるところです。この高い目標を達成するために、この
ビジョンをこれからどんどん進めていかなければいけません。
そこで、2ページの上の方を見ますと、市民・事業者、そして、下段の札幌市の3者が協力しないと当然できないのですが、やはり、主役は市民・事業者なのではないかということは理解できます。これは、市民と事業者が主役になってやらなければならないということだと思います。
もう一つは、18ページ以降の10の
アクションですが、これも各ページできめ細かく解説されております。
温暖化対策を行うには、当然ながら、経済的な負担が伴ってきます。ですから、温暖化をとめるために経済が
マイナス効果になってはいけないということは十分読み取れるわけです。しかし、昨今では、特に経済、景気回復と雇用の確保などと言われていますが、市民や事業者が取り組むためには、これがすごくすばらしい案だとしても、簡単に進まないということも一方では想定されるところでございます。
このような中で、具体的に市民・事業者とうたっていますから、市役所もそのリーダーシップというか、旗振りをやらなくてはならないわけでありますが、いかにして
温暖化対策の実践につなげていくかと。そのための
ビジョンというか、いろいろと修正はあったとしても、市民・事業者という主人公がかぎを握っているわけですから、いかにして
シナリオどおりに実践してもらうか、目標達成までどのようにそれを推進するのかというところが一番重要ではないかと思うのです。
そこで、質問ですけれども、市民や事業者に
温暖化対策を実践してもらうために、札幌市がどのような役割と申しますか、ここで言うと三つが協働でということはわかりますが、特に、札幌市が
ビジョンをつくって、国も当然ですが、行政はどのような役割を果たすべきと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 温暖化対策を推進する上での札幌市の役割というご質問についてお答えいたします。
札幌市の役割といたしましては、市民や事業者の方に
温暖化対策の必要性について理解を深めていただくとともに、メリットを感じながら
温暖化対策に取り組める具体的なメニューを提示し、
温暖化対策推進の旗振り役になることと考えており、その意味で札幌市の役割は大変重要であると認識しております。
なお、
札幌市役所は
市内最大級の
温室効果ガス排出事業者であることから、
市有施設等で
温暖化対策を率先して実施していくことが必要であると考えております。
◆近藤和雄 委員 次に、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
今、札幌市の役割についてお答えがございました。市民や事業者がその必要性を理解して、メリットは何なのか、やはり、その辺がかぎだなと私も思います。そして、具体的なメニューを考えていただいて、快くというか、スムーズに
温暖化対策に取り組んでいただくということは誘導として正しいと思っております。
というのは、札幌市は、2006年、平成18年10月に、市民一人一人が環境に優しい行動をとることを宣言するさっぽ
ろエコライフ10万人宣言を達成しましたが、私も協力した一人です。さらには、同年9月から、現在も続いておりますが、さっぽ
ろエコ市民運動という
普及啓発活動をやって、環境が大事である、環境首都・札幌であるということと合致した成果が少しずつ上がってきて、本当に環境が大事であるということは市民にもある程度の理解が広まってきたのではないかと思います。ですから、私から申しますと、環境を語らないとこれからは生きていけないのではないかという感じがします。CO2もそうですが、環境がすべて自分の生活を一変するというか、よくもするし、悪くもします。ですから、目に見えない排気ガス、CO2に色がついていればいいなと私はいつも感じているところです。
また、
ビジョンの21ページの
エコライフの定着・拡大に向けた展開というところで58万トンの
CO2削減を目標に見込んでおりますが、繰り返しになりますけれども、私としてはその目標の達成は大変厳しいと感じるところです。
そこで、質問ですけれども、市民や事業者に対して、より効果的に
温暖化対策の実践につながるよう、札幌市として今後どのように旗振り役を果たしていくのか、お伺いしたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 今後の
温暖化対策の取り組みについてお答えいたします。
より効果的に
温暖化対策を推進していくためには、
温暖化対策によるCO2や
エネルギーコストの削減量を把握できるような見える化を図り、市民や事業者の方々に取り組みによる
CO2削減や
経済的効果を実感していただくことが重要であると考えております。あわせまして、新
エネ・省エネ機器の導入に要する初期投資の負担を低減する補助制度など、
温暖化対策の実践へとつながるような取り組みを充実してまいりたいと考えております。
◆近藤和雄 委員 もう一つお聞きしたいのですけれども、対策を進めるための規制的な施策も私は必要になってくるのではないかと思っております。実効性のあるものを進めるためには、ただ何でもありきではなくて、市民・事業者にご協力をいただくためにも、多分、規制をしなくてはいけないということもあると思います。
温暖化対策を実践する市民や事業者にメリットのあるメニューを具体的にお示ししながらやっていけば、当然、協力は惜しまないということも考えられるわけです。目標達成はなかなか容易ではない、困難はあるけれども、例えば、有料化など
ごみルールの変更によって、現在のところ、ごみの減量が大幅に――有料化は私ども会派は反対していたのですけれども、昨年7月1日から有料化になってしまいました。ただ、減量したことについては、実際に目標が達成されていることは確かなところでございます。大幅なごみの減量を達成したように、CO2の削減、507万トンもの
温室効果ガスを削減するという高い目標値を達成するために、例えば、企業の
CO2排出量の制限、あるいは、自分でもよく感じているところですが、札幌市内の中心部に車を入れないとか、よく言われるように、1人で乗って行くときには100円とるとか、いろいろと問題はありますけれども、自動車の利用を制限するルールの導入などといった大胆な対策も、国の方でそういうことがあったとしたら、札幌市、北海道もそういう動きが必要な場合もあるのではないかと思います。
そこで、質問ですが、現在はまだ案ですからなかなかとは思いますけれども、札幌市として何か規制的なものを導入するようなお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 規制的施策についてお答えいたします。
現時点では、規制的な施策を導入することは考えておりませんが、札幌市の
温暖化対策を今後推進していく上で、規制に関する国や他都市の動向を注意深く見守っていく必要性があると考えております。
◆近藤和雄 委員 最後に、参考までにお聞きしたいのですけれども、10の
アクションのシナリオについてそれぞれ解説されております。例えば、1の北国基準の
省エネ住宅の普及に向けた展開では2020年に目指す姿として
CO2削減量が29万トン、さらに、高効率給湯・暖房機器の普及では108万トンの
CO2削減など、それぞれ10のシナリオに分かれておりますが、この数字はどのようにしてはじかれているのか。市民・事業者・札幌市の職員もみんなこれに向かってやろうではないかということになっていくわけですが、どのように計画の目標値を定めたか、積算をされたと思いますけれども、それについて教えていただければと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 先ほども若干ご説明させていただきましたけれども、ことし3月に国の方から
ロードマップ環境大臣試案が示されておりまして、基本的にはそれに基づいた形で算出しております。ただ、中身によっては、札幌市として地域特性を生かしてこの辺はもう少し力を入れようなどと、そういう点については国の基準よりも強目といいますか、多目な数値ものせております。
◆畑瀬幸二 委員 私からは、この
ビジョンについて、端的に2点質問したいと思います。
1点目の質問として、今後の進め方についてであります。
先ほどの説明にもありましたように、今回の
ビジョンというのは、
温室効果ガスの削減目標や取り組みの方向性を示しております。環境首都・札幌にふさわしい
温室効果ガスの高い削減目標の設定、あるいは、わかりやすい
削減シナリオというものを提示しておりまして、一定の評価をいたしております。
しかし、肝心なことは、
ビジョンの策定、公表後にどのように取り組んでいくかであると思っておりまして、ここで描かれている内容をいかにして実現していくのか、そのことに尽きるのではないかと思っております。市民の皆さん、事業者の皆さん、札幌市を含めまして、とりわけ市民や事業者の皆様方が主体的に
温暖化対策を実施していくためには、札幌市としてより具体的な取り組みが必要であると思われます。
そこで、質問ですが、先ほどの説明でも一部触れられていたところでありますが、
ビジョン策定と公表後の進め方について、改めて市の考え方を伺っておきたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 今後の
温暖化対策の進め方についてお答えさせていただきます。
温室効果ガスは、家庭生活や
オフィス活動から多く排出されていることから、
地球温暖化対策は、市民や事業者にとって身近なところから取り組むことができるものでございます。このような認識を一人でも多くの市民や事業者に持っていただくためには、これまで以上に
地球温暖化の状況やその対策の必要性などを普及啓発するとともに、この
ビジョンが目指す理念や方向性を市民・事業者・行政が共有していく必要があると考えております。その上で、具体的な取り組みにつきましては、国の動向を見ながら札幌市の実行計画を策定するとともに、できることから
温暖化対策に取り組んでまいりたいと考えております。
◆畑瀬幸二 委員 次に、2点目の質問として、札幌らしい
温暖化対策について質問しておきたいと思います。
先ほどの説明の中で、札幌市の
CO2排出の特徴は、民生家庭、民生業務、運輸などの市民や企業の日常活動に起因するものが非常に大きいということでありました。これまでの委員会でのやりとりも、このことで随分と議論してきた経緯があります。CO2の排出量が大きい大規模な製造業等の事業所であれば、ある意味、対象を絞って進めることも簡単でしょうけれども、札幌市の場合は、市民・事業者に幅広く削減を求めることになりますので、大変難しい側面があると思われます。
そこで、質問ですが、このような本市の特色を踏まえて、市民・事業者の
CO2削減にどのように取り組み、どのような効果を期待しているのか、お伺いいたします。
◎宮佐
環境都市推進部長 本市の特色を踏まえて、どんな取り組みで、どのような効果を期待しているのかというご質問に対してお答えさせていただきます。
民生部門や運輸部門など日常生活から排出される
温室効果ガスの割合が高いということは、
積雪寒冷地という札幌市の地域特性により、冬期間の暖房や給湯による
エネルギー消費が多いことが大きな要因と思われます。このことから、高断熱、高気密の
省エネルギー住宅や高効率給湯・暖房機器の普及、あるいは、
木質バイオマス燃料の利用拡大などに力点を置いて
温暖化対策を推進してまいりたいと考えております。このような取り組みを推進することにより、
温室効果ガスの削減のみならず、関連産業の振興や雇用の創出などにもつなげてまいりたいと考えております。
◆畑瀬幸二 委員 3年前に
ミュンヘンの
姉妹都市交流で札幌市からも訪問団を出しまして、きょう来ている委員の中でも当時出席したメンバーがおりますが、訪問の折、毎回、環境問題について勉強する機会に恵まれてまいりました。この間、お邪魔したときは、2030年までに排出量を半減化していくという
ミュンヘン市の方針を示されました。私どもの市からすると、極めて意欲的な方針のもとで進めておりました。その中で、さまざまな政策的なメニューを総動員しながら、実現可能な方向性を示しながら、今、順調に進めているということが示されました。札幌市は、
姉妹都市提携を結んでいる中で、せっかく
環境先進都市ミュンヘンと行き来をしておりますので、ここばかりではございませんけれども、ドイツ全体でさまざまな特徴がある推進方策をやっておりますから、ぜひここら辺の資料収集をしておいていただきたい。今度、行動計画をつくるときに議会でまた議論がありますでしょう。その折には、私どもは先進都市の実例などを含めてやりとりしていきたいと思うものですから、この要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
◆高橋功 委員 私からも、1点お伺いしたいと思います。
事前にもご説明いただきましたし、
温暖化対策推進ビジョン策定ということで資料も十分読ませていただきました。感想を申し上げると、よくできているなというのが率直なところです。こういう目標を実現するためにはこういうことをやらなければいけないということについてはよくできている。問題はこの目標ですよ。
実は、政府は、現在、2020年までに
温室効果ガス排出量を90年比で25%削減することを、私に言わせると、ある日突然、国際公約しました。いい、悪いではないですよ。いい、悪いということをここで議論する必要はないですが、いずれにしても、時の総理大臣が国際公約をしたのですよ。いろいろ違和感はありましたけれども、そのぐらいやらなければいけないという感じはしましたね。当然、その目標を掲げて
地球温暖化対策基本法の成立を目指した。私も大変注目しておりました。
通常国会で衆議院を通過しましたね。そうしたら、ある日突然、総理大臣がやめた。
参議院選挙が7月にあることは決まっていましたから、そういういろいろな経緯の中で、結果、廃案になったのです。そこで、今開かれている臨時国会でまた成立を目指しておりますけれども、ご承知のとおり、会期末はたしか来週12月3日ですよ。延長もないわけではないかもしれませんが、いずれにしてもあと1週間余りです。そういう中で、この成立の先行きは大変不透明というか、大丈夫かなというのが率直なところです。再び廃案になるおそれがあるのではないかという気がしています。ましてや、きのう、おとといとびっくりするようなニュースも飛び込んできています。きょうも、午前中に衆議院予算委員会で集中審議をやっていました。テレビを見ていましたら、あの朝鮮半島のことで集中審議しているではないですか。とても
温暖化対策基本法を議論する余地はなしですね。
いずれにしても、そういう状況の中で、成立は大変不透明だと思います。今の部長からのご説明は、この
温暖化対策推進ビジョンは、
科学的知見、国の目標などを踏まえて、そして、結果として国と同じ削減目標ということになっている、こういうことですね。しかし、今申し上げたように、状況としては、国際公約をした国の目標は今後変わる可能性がある。なぜかというと、ある日突然、25%と国際公約をしたのだから、もしかしたら、政権がかわったら、次の政権を担当した総理が違うことを言うかもしれません。可能性がないわけではないですね。これだって、いつあるかわからない。政権交代が起こったということは、次の政権交代が起こる可能性もあるということですよ。そんなことを今ここで議論する必要はないけれども、いずれにしても、国際公約をしている国の目標が変わる可能性があるでしょう。
そこで、質問ですが、国の
温室効果ガスの削減目標が変わったら、札幌市はどういうふうに対応していくのですか。今は、25%だ、2050年までに80%だみたいなことに基づいてやっているけれども、この辺は率直にどのようにお考えですか。
◎宮佐
環境都市推進部長 国の目標が変更された場合の対応につきましてお答えさせていただきます。
もし、現在、国で示しております目標が変更されたといたしましても、札幌市として
地球温暖化対策を進めていくこと自体は変わらないものと考えております。そのため、現時点でできることにつきましては引き続き対策を進めることとし、目標につきましては、変更された国の目標を踏まえ、その時点で改めて検討してまいりたいと考えております。
◆高橋功 委員
地球温暖化なのだから、札幌市だけでできる話ではないので、当然と言えば当然ですね。札幌市だけが温暖化するわけではないので、日本国として国の目標が変われば変わるというのはある意味では当然かもしれません。ただ、そういうことも起こり得るということは念頭に入れておかなければならない。絶対に変わらないとはだれにも言えないわけだし、現に起こったわけですからね。そういう意味では、その辺はよく頭に入れておいていただきたいということが一つあります。
いずれにしても、実行計画の法的根拠、要するに、対策基本法ができて初めて国の基本計画ができ、実施計画ができるでしょう。それに即して札幌市の実行計画、こういう説明ですから、そういう意味では大変不透明なので、僕は極めて難しいと思っているけれども、もし
地球温暖化対策基本法が今の国会で再び廃案となった場合、札幌市の実行計画はどうしますか。近々の話ですから、どういう対応をするか、お伺いしておきたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 基本法案が廃案になった場合の対応についてお答えいたします。
基本法案では、国の基本計画や実施計画に即して地方自治体の実行計画を策定するよう求められているため、法案が廃案となった場合、今後の国の動向を待たなくてはなりません。しかし、国の動きが見えない場合には、札幌市として独自の実行計画をつくることも含め、実行計画の策定について検討してまいりたいと考えております。
◆高橋功 委員 国はどうあれ、法律が成案になろうがなるまいが、札幌市として独自で実行計画を考えていきますということですから、それはそれで大事です。しかし、先ほどから何回も言っているように、実行計画をつくっても、大前提が崩れれば、全く意味がないとは言いませんが、そういうことが起こり得るので、国の動向をよく――僕は個人的に余り急がなくてもいいかなという気がしていますけれども、そのことだけを最後に言っておきたいと思います。
◆村上仁 委員 私からも、幾つか簡潔にお伺いしたいと思います。
温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減するということですし、その主な対策については10の
アクションに基づいて行っていくということでありました。先ほど部長のご答弁の中でもこの10の
アクションの目標の設定について若干説明がありましたけれども、3月の国のロードマップに従って、本市の特徴なども加味して目標を設定しているというお話でした。
この案を見ますと、14ページですか、札幌市の
温室効果ガスで多いのが民生家庭あるいは民生業務や運輸だということであります。そういう点では、これから目標の達成を確実なものにしていくという点では、各部門で本当に削減が進んでいるのかどうかという点について定期的に進行管理をしていかなければなりませんし、かなり細かい部分も含めて数字を押さえていく、そして、その中でも問題点がいろいろ出てくると思いますが、こうした問題点を洗い出しながら検証していくことが重要だと思います。
そこでまず、10の
アクションが設定されておりますけれども、例えば、先ほどもありましたが、民生家庭部門で言えば、給湯器の約85%、暖房機の約50%を高効率機器にすることによって108万トン削減しましょうということであります。また、自動車も次世代自動車を50%以上にして58万トン削減というようになっておりますが、この進行状況の管理をどのように行っていくのかという点が一つです。
もう一つは、今の経済情勢を見ていますと、なかなか思うように買いかえが進まないといいますか、例えば、家庭で見てみますと、必要性はわかるけれども、やはり、なかなかお金が伴ってこないということもあります。これは、中小事業者も同じ傾向にあると思いますので、そういう点では削減が予定どおり進まないことも想定しなければならないと思います。
そこで、思うように進まないという状況が明らかになった場合、どのように対応しようとしているのか、2点目としてお伺いしたいと思います。
◎宮佐
環境都市推進部長 温暖化対策の進行管理と削減が予定どおり進まない場合の対応についてというご質問に対してお答えさせていただきます。
この
ビジョンで設定しております
温室効果ガスの削減目標の達成状況を初め、民生家庭、民生業務、運輸などの部門ごとの
温室効果ガスの排出状況や、10の
アクションで設定しております目標の達成状況、あるいは、各種事業の実施状況など、さまざまな項目について毎年把握してまいりたいと考えております。その結果、削減が予定どおりに進まない分野が明らかとなった場合には、その原因となる課題や背景を検証し、事業を見直しするなど、その後の
温暖化対策に反映してまいりたいと考えております。
◆村上仁 委員 進行管理という点では毎年把握していくということですし、部門ごと、あるいは分野ごとでCO2の削減が思うように進まないことが明らかになれば見直し等もしていくということでありました。
私は、やはり、市が積極的に絶対に削減させましょうと強い姿勢で臨むという点では、家庭や事業者だけにお願いするということだとなかなか進みにくい状況もあると思うのです。そういう点では、毎年きちんと数字も押さえて進行管理をする上で、思うように進まない分野については、その理由もきちっと押さえながら、必要な対策、誘導策を積極的にとるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○芦原進 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○芦原進 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
次に、白石清掃工場建設談合に係る損害賠償請求訴訟の和解について(報告)を議題とし、理事者から説明を受けます。
◎飯高 施設担当部長 私から、白石清掃工場建設談合に係る損害賠償請求訴訟の和解についてご報告をさせていただきます。
札幌市は、平成9年4月に実施いたしました白石清掃工場建設工事に係る指名競争入札におきまして、談合があったとして、落札者である株式会社タクマを被告とし、平成20年11月21日、札幌地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しておりました。
お手元の資料の白石清掃工場建設談合に係る損害賠償請求訴訟の和解についてをごらんください。
資料の第2項の札幌市の主張でございます。
まず、(1)の訴訟時におきましては、一つ目として、談合という違法行為により、公正かつ自由な競争による価格形成が阻害されたため、損害をこうむったこと、二つ目といたしまして、被告らが、基本合意の存在のもと、本件入札において個別談合が行われたことは、公正取引委員会の審判資料や本件入札経過から明白であること、三つ目といたしまして、本市の請求額、本件請負金額のうちの9.86%は損害額として相当であること、これらを、訴状のほか、準備書面の陳述、証拠の提出により主張してまいりました。
その後、本年3月24日に札幌地方裁判所から和解の提案がございまして、これまで和解内容について協議を続けてきたところでございます。10月20日に同裁判所の方から和解勧告が示されました。和解協議に際しましては、(2)の和解提案後の主張にお示しのとおり、一つ目としては、和解条項の前文に裁判所の公平な取引を求める強い姿勢を示していただくこと、二つ目といたしまして、和解条項に被告の言葉で「反省と今後談合等の違法行為を行わないことを確約する」ことを盛り込むこと、三つ目といたしまして、同種裁判における判決、和解事例と同等な損害額を要求してまいりました。
これまで、弁論準備手続など計13回の裁判を継続してきましたが、本年10月20日に同裁判所より相当額の支払いを被告に求める和解勧告がございまして、平成22年11月4日の期日において、本市、株式会社タクマともに裁判所の和解勧告を受諾し、資料にございます第3項のとおり、株式会社タクマが札幌市に対し24億7,432万4,280円を支払うことで和解が成立いたしました。
同じ資料の中に、和解調書の写しを添付してございます。
和解を受諾した理由といたしましては、資料の中の第4項のとおり、前文で事業者に対して公共の利益に反して不当な取引制限を行ってはならないことを強く求めており、このような裁判所の姿勢を前文で示すことは他の和解では例がなく、談合を決して許さないという本市の主張が認められたものと考えております。
また、和解条項の第1項では、被告は、公正取引委員会の審決において独占禁止法第3条の規定に違反するとして排除措置を命じられたこと並びに東京高等裁判所の判決において審決の取り消し請求が棄却されたことを踏まえ、本件工事の入札までの営業活動について真摯に反省し、今後、同種工事の入札において、一層、法令を遵守し、談合等の違法行為を行わないことを確約した上で、札幌市に24億7,400万円余りを支払うことを義務づけており、被告の主体的な言葉で反省と確約の意思を盛り込むことは和解においてのみ実現可能であると考えられ、支払い総額としましても、同種訴訟の裁判事例と比較して判決と同等の損害回復が図られております。
他都市におけます同種の談合訴訟の状況ですが、資料の裏面下の表をごらんください。
札幌市を含めまして、現時点で34件の訴訟が提起されております。判決により裁判が確定した訴訟17件のうち、15件で原告が勝訴しております。また、札幌市を含め、東京都や名古屋市など七つの自治体で10件の和解が成立しております。裁判が終了した他都市の損害額の率を見ますと、判決では予定価格または請負額の5%から8%の事例がありますが、原告が勝訴した15件のうち、5%が最も多く、半数以上の8件を占めております。特に、近年は5%または6%となっております。また、和解の場合ですと、5%または6%で解決が図られており、判決同様、5%が半数以上の6件を占めております。
損害額の認定につきましては、裁判所から、損害の性質上、その額を立証することは極めて困難であることから、民事訴訟法248条により、相当な損害額を算定せざるを得ないとの見解が示されており、これまでの口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、札幌地方裁判所で判断されたものであり、妥当な金額であると思われます。
これらを総合して、談合を決して許さないという本件訴訟の目的を達成したと判断し、和解により本件訴訟を早期に終結させることといたしました。
○芦原進 委員長 それでは、質疑を行います。
◆畑瀬幸二 委員 本件について、端的に2点質問いたします。
今、白石清掃工場建設工事にかかわる損害賠償請求訴訟の和解について報告がありました。申し上げるまでもなく、談合というのは、市民の貴重な税金を特定の事業者が私利私欲のために違法に搾取する許しがたい行為であります。したがいまして、独占禁止法を引き出さずとも、決してあってはならないということは言うまでもありません。