委 員 村 上 仁 委 員 佐 藤 典 子
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 佐 藤 美智夫
委 員 松 浦 忠
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時10分
○坂本恭子 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項ですが、山口委員からは、欠席する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
議案第11号 平成22年度札幌市
病院事業会計予算について質疑を行います。
◆
阿知良寛美 委員 私からは、病院事業の経営状況とその課題に関してお伺いいたします。
まず、1点目は、平成21年度の
決算見込みについてであります。
これまでの
市立札幌病院の経営状況を見ますと、現在の桑園の地に移転して以降、しばらくの間は毎年10数億円の赤字が続いておりましたが、この3年間を見ますと、18年度は8億1,000万円、19年度は8億7,000万円、そして、20年度は8億5,000万円の赤字で推移しております。全国的な傾向として、診療報酬の
マイナス改定や医師不足などに伴って、その経営環境や
医療提供体制の維持が難しくなるなど、各地の
自治体病院の経営状況が悪化している中で、
市立札幌病院の経営が大幅に悪化することなく行われているのは、7対1看護の導入など、これまでの
医療提供体制の充実や
経営効率化に向けた取り組みがあってのことと理解しております。
こうした中で、21年度はどうかといいますと、当初予算では7億2,000万円の赤字となっており、前年度の実績と比較しても1億円以上好転する予算となっております。これは、言うまでもなく新
パワーアッププランの
取り組み効果があってのことと思いますが、今後の経営を占う意味でも、この21年度の決算は大変重要な位置づけになると思います。もちろん、最終的な決算数値が確定するのはまだ先のことではありますが、あと1週間ほどで21年度が終わる時期でもあり、おおよそその姿は見えてきていると思います。
そこで、質問でありますが、21年度の決算をどう見込んでいるのか、その主要な要因とともにお伺いいたします。
◎野崎
経営管理部長 21年度の
決算見込みについてご質問がございましたので、お答えいたします。
まず、収入につきましては、高額薬品の使用量や手術件数の増加などにより、診療単価が増加してございますけれども、
平均在院日数の短縮により
病床利用率が予算を下回る見込みであることなどから、診療収益を含めた
収益的収入の全体では、予算に対して減収になる見通しとなっております。一方、支出につきましては、抗がん剤等の高額薬品の
使用量増加などに対応するため、予算の補正を行いました材料費やその他の諸経費ともほぼ
予算どおりの執行となる見込みでございますけれども、人件費については、医師等の欠員が生じておりますことなどから、
収益的支出全体では予算に対して不用額が生じる見込みとなってございます。
収益的収支差し引きでは、支出の不用額が収入の減収額を上回る見込みでありますことから、予算並びに前年度の決算よりも好転する見通しとなっておりまして、資金収支についても好転を見込んでございます。
◆
阿知良寛美 委員 収支が予算よりも好転するという答弁でありました。
この中で、抗がん剤などの高額な医薬品や医療材料が増加しているというお話がありました。当然のことでありますが、医療というのは、必要な薬を投与して、必要な器材を使って治療、処置を施すものでありますから、殊に、市立病院のような
急性期病院であれば、がんや心疾患、さらには脳疾患を初めとする大きな疾病に対しては、必然的に高額な薬品や材料を使って、高度で質の高い医療を提供することが日常だというふうに思います。今後も、市民の生命、健康を守るため、より積極的な高度医療の実践をしていただきたいと思います。
ただ、ここで考えなければならないのは、高度な医療の提供のために高額なコストもかかっているということであります。もちろん、使用した材料は何らかの形で診療報酬などに織り込まれてくるわけでありまして、材料費の増加が直ちに経営を圧迫することにはならないというふうに思います。しかし、逆に言えば、これらの材料の購入価格を引き下げることで経営改善を図っていくことが可能であります。つまり、高額な材料を少しでも安く仕入れ、高度な医療を提供していくことが求められるというふうに思います。これまでも市立病院では材料費の削減に取り組んでこられていることは十分わかっておりますが、高額な医療材料が増加してきている今こそ、さらなる節減対策が必要だと思います。
そこで、お聞きしますが、市立病院における医療材料の
購入価格水準はどうなのか、また、
医療材料費の縮減に向けてどのような取り組みを進めているのか、お伺いいたします。
◎野崎
経営管理部長 医療材料の購入価格の水準と
医療材料費縮減の取り組みについてお答えいたします。
当院の医療材料の購入価格の水準は、
コンサルタント業者による価格分析によりますと、
自治体病院としては全般的に安価で納入されており、一部の医療材料については全国屈指の価格になっているものもあるというふうな報告を受けてございます。
しかしながら、ご指摘のとおり、
医療材料費のさらなる節減は必要であると考えてございまして、新
パワーアッププランでも医業収益に対する
医療材料費の比率を数値目標として設定し、既に取り組みを始めているところでございます。具体的には、
コンサルタント業者による医療材料の
購入価格分析をもとに、さらに値引きが可能と判断される医療材料について重点的に価格交渉を行うとともに、新規に導入する医療材料の
価格引き下げを図るため、事務職員と医師が協力して交渉に当たることとしているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 市立病院の
購入価格水準は、
自治体病院の中では非常にいい方だということだと思います。しかし、医療材料の購入については、
自治体病院では一般的に民間よりも価格が高くなる傾向があるというふうにも聞いております。その意味では、今の答弁にもありましたけれども、病院を挙げて、さらには民間からの知恵やさまざまな情報を取り入れながら
医療材料費の縮減に取り組んでいただきたいと思います。そうしたことが安定した経営につながり、ひいては、市民の健康を守るという役割を果たし続けていくのではないか、このように思いますので、そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆
伊藤理智子 委員 私からは、病院職員の委託業務について質問させていただきます。
2009年3月に策定されました
市立札幌病院新
パワーアッププランでは、公立病院としての今後の果たすべき役割として、専門性の高い
医療従事者による標準化された良質で高度な医療を将来にわたり安定的に提供することが求められている、札幌市内はもとより、2次、3次の医療圏域における住民の命を守る最後のとりでとしての役割も果たしていかなければならないとしています。
市立札幌病院で働く人たちは、医師を初め、さまざまな職種があり、市民の命と健康を守るために日夜奮闘されています。
市立札幌病院の本院では、一般事務や調理業務、
医療補助員と呼ばれている看護助手など、さまざまな業務について委託しているとのことです。委託業務には、患者や家族と直接に接する場面もあります。患者からの要望を受けても対応できず、ほかの職員と連携しなければならない状況もあると思います。
患者サービスの向上や安全、
感染防止対策上、
委託業務職員と正職員の問題意識の共有と連携が求められていると思いますが、どうやって意思の疎通を図り、連携しているのか、具体的にお示しください。
◎野崎
経営管理部長 委託会社の職員と直営の職員との連携、意思の疎通という質問でございました。
札幌市では、これまでも民間活力の導入がふさわしい分野については業務委託を推進してございましたが、病院局におきましては、国家資格を必要としない業務に従事している
医療補助員などにつきましては、今までも業務委託を進めてきたところでございます。委託会社に雇用されている
医療補助員などについては、個別の指示がなくても行える定型的な業務や軽易な業務に、他方、直接雇用する職員については、看護師などからの指示に基づくことが多い必要な業務に従事するということで役割分担を行っているところでございます。また、連携の必要につきましては、委託会社との契約の中で社員研修の実施や
現場責任者の配置を業務づけておりますので、そういった中で
現場責任者からの指示に基づいて仕事をしていただくことで連携していただいているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員 特に個別の指示が要らない業務を任せているというお話でしたけれども、正職員の看護助手という方もいらっしゃるのですね。正職員の看護助手の職務内容を資料でいただいたのですが、日常生活に関することとして、身体の清掃に関する介助、排せつに関する介助、食事、患者の搬送、そのほか洗濯や買い物など、また、生活環境に関することでは、病床及び病床周辺の清潔、整理整とん、リネン類の管理、安全のための環境整備、診療業務に関することでは、搬送、回収、書類の取り扱い、検査、処置に必要な機械、器具の準備と後片づけ、診療室、処置室、清洗室、
ナースステーションなどの環境整備と、正職員の看護助手についてはこういう仕事内容です。そして、委託業務の看護助手と言われている方々の仕事は、病床及び病床周辺の清潔、整とん、リネン類の管理、検査、処置に必要な機械、器具等の準備と後片づけ、清潔、食事、排せつ、患者の搬送、書類、検体、薬等の搬送や回収などとなっており、一見、正職員の看護助手とは患者の世話と環境整備に仕事が分担されているようにうかがえます。しかし、委託業務の看護助手の仕事は、特に感染に留意しなければならない業務が多くなっていると思います。
感染防止と安全対策の基準の
マニュアルをいただきましたが、こんなに分厚い
マニュアルがあるのですけれども、この中で委託業務の職員はどのように位置づけられているのか、伺います。
◎野崎
経営管理部長 委託業者に雇用されている補助員につきましても、当院の医療及び医療補助に従事する職員として、感染防止及び安全対策の一員として携わるのは当然でございます。そういう観点から、先ほど申し上げましたけれども、委託会社との契約の仕様書の中で社員研修をしていただき、その中で、当院の
マニュアルについて関係する部分をすべて説明していただくことで教育、周知を図っていただいているところでございます。
◆
伊藤理智子 委員
厚生労働省は、2009年3月31日の通知で、発注者が委託業務の順序、方法等の指示を行ったり、
委託労働者の配置や一人一人への仕事の
割りつけ等を決定したりすることは偽装請負と判断されるとし、さらに、こうした指示は口頭に限定しないとして、仕事の内容、順序、方法等の指示や
委託労働者の配置について文書等で詳細に示し、そのとおりに
請負事業主が作業を行っている場合は偽装請負となると明確に示しました。
病院での感染の問題は、影響が広範囲に広がること、緊急な対策が必要なこと、重症化することがあるなど、全職員が問題意識を共有して対応しなければなりません。毎日いろいろな患者が出入りしており、その都度の対策が求められていると思いますが、委託業務の職員に徹底する場合は、現場で緊急に指示を行わなければならないことが発生しても、
委託業務職員に指示をすると
厚生労働省の通達からいくと偽装請負になってしまうと思うのですが、どのように対応しているのか、伺います。
◎野崎
経営管理部長 委託業者に雇用されている補助員に対しての職員からの指示につきましては、今、委員からもご説明がありましたとおり、してはいけないことになってございまして、その旨、当院においては現場の方に周知しているところであり、あくまでも
管理監督者を通じて指導することにしてございます。先ほど業務内容についてご説明申し上げましたが、委託会社に雇用される
医療補助員につきましては、個別の指示がなくても行える定型的な業務や比較的軽易な業務に従事していることから、緊急対応が必要となる事態は他の正規職員に比べて少ないというふうには考えておりますけれども、先ほども申し上げているとおり、社員研修の実施を義務づけている中で非常時の対応を自主的なご本人の判断でやられていることもあろうと思います。
◆
伊藤理智子 委員 ある自治体では、看護助手の仕事を委託していたそうですけれども、委託だと
委託契約書に記載された業務しかやってはいけないことになっているため、現場では人員不足で猫の手もかりたいほど忙しいのに、委託の看護助手に臨機応変に仕事を頼むことができず、委託の看護助手を直接雇用した事例が報告されております。感染防止の対策上からも、
患者サービスとしても、直接雇用をすることで職員の連携と効率化が図られて、
市立札幌病院が目指す良質で高度な医療を将来にわたり安定的に提供することにつながると思いますがいかがか、伺います。
また、先ほどの自治体の事例ですけれども、静岡県富士宮市、愛知県半田市、大阪府堺市では、
委託看護助手を直接雇用に改善しております。委託業務を直接雇用にした方が意思の疎通も現場の臨機応変な対応という点でもよいと思うのですがいかがか、伺います。
◎野崎
経営管理部長 今委託している部分につきまして、直営にすること、あるいは、それについての考えというふうなことだと思います。
先ほども申し上げましたとおり、当病院におきましては、国家資格を必要としないような
医療補助業務などにつきましては、正規の職員の業務と分業いたしまして委託を進めてきたところでございます。また、その業務につきましても、職員から直接指示することがないよう、
管理監督者を通じて指示をしてきたところでございます。そういった意味におきまして、これまでも委託会社とは業務の進め方や研修のあり方などについても十分協議を重ねてきたところでございまして、これらの点も含めて、今後とも適正な業務委託を続けてまいりたいと考えてございます。
◆
伊藤理智子 委員 私も母の看病をしているときに病院に付き添いをしていたのですけれども、看護助手の方は白衣を着ていますね。そういう意味では、仕事は分担して余りかかわらないようにしていたとしても、患者にしてみたら同じ看護師だというふうに思うということもあります。やはり、対応しているのが物ではなくて人の命と健康ですから、そういう意味では、役割分担をしていると言っても、いろいろな意味で重要な仕事になるというふうに私は思うのですね。
現在、日本で発生する結核の患者数は4万人を超えており、約80%は医療機関で発見されているということです。その大部分の患者が最初に訪れるのは、結核病院ではなくて一般の医療機関だということです。医療機関が感染の場となる可能性が決して低くないということは、現場の皆さんが一番感じていることではないでしょうか。こうしたことからも、病院での感染について正しい認識を持ち、看護師など病院職員の
感染防止対策を進めることは大切なことであり、重要なことだと思います。感染症に関しては、昨年、
新型インフルエンザが大流行して国を挙げてその対策を強化しましたけれども、世界各国が急務として取り組んでおります。今後さらに
感染防止対策を強化していくことは、住民の命を守る最後のとりでとしての
市立札幌病院に求められている重要な課題の一つだと考えます。こうした点でも
感染症対策をしっかり行わなければならない現場の看護助手が業務委託では、直接、指示、指導できず、医療現場での業務委託は限界になっているのではないかと思います。日々、打ち合わせをして情報交換をしながら仕事をしなければならない看護助手については、直接雇用をするべきだということを強く求めて、私の質問を終わります。
◆佐藤典子 委員 私からは、
クリティカルパスと
静療院児童部門の2点について、順番に質問させていただきます。
初めに、
クリティカルパスの適用状況について伺います。
最近、医療の標準化と質の向上を図る手法としまして、多くの病院で
クリティカルパスが導入されています。
クリティカルパスとは、医療の内容を評価、改善して質の高い医療を患者に提供することを目的に、入院から退院までの診療内容や入院生活上の注意点などを
スケジュール表の形にまとめた医療の工程表で、クリニカルパスとも呼ばれているということであります。
医療従事者間では、治療や処置に関する知識と情報の共有を図りながら、業務の効率化や標準化、医療の可視化、安全な医療提供を進めるツールとして使用されており、特に、業務の改善、効率化などにより入院日数の短縮に効果的であるというふうに聞いております。また、患者にとっても検査の予定や治療の内容、リハビリテーションの計画、また、いつごろ、どのような状態になれば退院することができるかなど、治療方針や治療計画がわかりやすく示されたこのパスがあることによって、みずから治療に参加し、見通しを持って療養できるのではないかと思います。また、このような積み重ねが安心な医療につながり、
患者満足度も上がっていくのではないかと思います。
一般的に、
急性期病院では、さまざまな疾病を抱える重症の患者が多く入院されていることから、パスの適用率は50%前後というふうに聞いておりますが、2009年度の札幌市
病院局実施プランでは、
クリティカルパスの
平均使用率60%を計画目標に掲げているところであります。
そこで、質問ですが、本市においては、1999年度より
クリティカルパスを導入し、10年が経過しているところでありますけれども、現在までのパスの適用状況はどのように推移しているのか、伺います。
また、現状における課題をどのようにとらえておられるのか、あわせて伺います。
◎加藤
病院局理事 パスについて、全般的にお答え申し上げます。
現在、当院の
クリティカルパスは、395種類ございます。パスの適用状況については、委員もおっしゃっていましたが、当初は50%と、特に17年度の適用率は50%でございました。しかし、
DPC導入準備を開始した平成18年度から徐々に上昇してまいりまして、
DPC導入後の平成20年度は66.9%、平成22年1月末では76%に上昇しており、委員がおっしゃいましたように、
局実施プランで60%以上という目標を掲げてまいりましたが、数年にわたって安定的にその数字を大きく上回っているところでございます。この高い
パス適用率は、DPCの実施において必須でありまして、効率的な医療提供に大きく貢献し、医療の標準化、可視化に寄与しているものと考えております。
次に、現状における課題についてのご質問でございますが、課題の一つは、質の高い標準医療の提供のために、パスの逸脱例、
バリアンスについてその原因分析や解決策などの策定に取り組むことであり、二つ目には、
診療報酬改定に伴うDPCの区分変更に対応したパスに改定することが大きなものであると考えております。
◆佐藤典子 委員
クリティカルパスの使用状況でありますけれども、2005年度には50%だったものが、2010年1月には76%になっているということでありまして、本当に医療の標準化、可視化が進んでいることは評価するところであります。
しかし、課題としてパスの逸脱ということを言われましたが、なかなか
計画どおりには進まないと。やはり、人と人とのこうした取り組みですから、なかなかそういうふうにいかない状況も出てくるかと思います。そうした分析をしっかりしていただきまして、さらにこのパスの適用状況を広げていただくことを強く求めておきたいと思います。
また、
DPC対応の区分変更があるということで、今後、その変更に基づいてパスの策定、改善が重要な課題ではないかと思います。特に、入院患者の病気や症状と治療行為を組み合わせた分類に基づいて、出来高方式ではなく、入院1日当たりの定額の点数を基本に
入院医療費を算定していくというこのDPCですけれども、2010年度の
診療報酬改定でこの点数なども大きく変わると聞いておりますので、さらに標準化された質の高い医療を安定的に患者に提供する上でも、
クリティカルパスの見直しが必要になるのではないかと考えます。
そこで、質問でありますけれども、このパスの逸脱例等の分析を踏まえた改善、また、2010年度の
DPC変更に対応した
クリティカルパスの見直しに今後どのように取り組んでいかれるのか、伺います。
◎加藤
病院局理事 お答えいたします。
クリティカルパスの逸脱例は、平成21年4月から12月までの統計ではパス実施8,792件のうちの385件、率にして4.4%でございました。これらの逸脱例、つまり
バリアンスについては、入院期間の延長や短縮、または予定していた処置等が不要だった場合など、委員がおっしゃったように患者一人一人の条件で変わってまいりますので、ゼロにすることはあり得ない、要因としても多様であるということをご理解いただきたいと思います。
そういう中で、現在もと申し上げた方がいいと思いますが、
検討チームを作成しておりまして、症例別に、また原因分析など、この
検討チームによってパスの改善の実施に当たっているところでございます。
次に、DPCの変更など
診療報酬改定に対応したパスの質の見直しについてでございますが、現在、当院において、新しい診断群別のコードに基づき、症例数が多いものから、鋭意、精査を行っているところであります。その中でも、特に診療内容に大きく影響するものについては早急に改善していく予定でございます。
◆佐藤典子 委員 逸脱例は4.4%で、ゼロになることはあり得ないけれども、
検討チームを組んでしっかり分析を行っているということでありました。
DPCや
クリティカルパスの導入におきましては、医療の質と経済性に関するマネジメントが展開され、病院経営という観点から医療機関の経営に反映されるということで評価されるのは理解するところであります。しかし一方で、患者の入院期間が短くされ、再発などということにつながっては意味がないと思いますので、何といっても患者一人一人に寄り添い、質の高い医療を提供して、安全で安心な医療体制の充実に向け、全力で取り組んでいただきたいと思っております。そのためにも、今後変更されるDPCや、今行っております
クリティカルパスの改善点など、市民へのわかりやすい説明と情報提供を強く求めておきたいと思います。
次に、静療院の児童部門について質問させていただきます。
まず、児童部門の診療環境の整備についてでありますけれども、小児特殊病棟は、昭和48年、1973年に開設されまして、この改修が行われたところであります。2007年度に旧老人病棟の全面改修を行い、それを転用して新たな小児病棟として開設し、これまでの懸案であった老朽化や狭隘化が解消されたところです。
さて、1982年に開設されましたのぞみ学園ですが、こちらについても、本年度から病棟の改修工事に着手しているということであります。全国でも4カ所しか開設されていない第1種自閉症児施設であるのぞみ学園は、札幌のみならず、北海道の児童精神医療、福祉の拠点として、また、専門医療・療育等の中核施設として大きな役割を果たしています。
しかし一方では、現状として既に成人に達した患者が多く、本当に治療を必要とする自閉症児が入院できない状況であるということも聞いております。市民ネットワークは、2007年の2定の代表質問でもこの問題を取り上げまして、再整備に当たっては、幼児期から生涯にわたるライフステージに沿い、自閉症、発達障がい児・者の一貫した総合的支援のビジョンを踏まえて、専門家等の関係者はもとより、自閉症児・者の保護者の声を聞くなど丁寧に進めていただきたいという提案をしたところであります。
そのとき、利用者の特性に応じた療育環境の処遇の向上を図るため、プロジェクトチームと保護者との意見交換の機会を設けてまいりたいというふうに答弁をいただいています。その後、障がい福祉課などで関連施設や団体へアンケートをとったり、家族会に対して説明会などを開催したと聞いており、当然、こうした当事者の保護者等の声を施設整備に反映すべきことは言うまでもありません。
そこで、質問です。
今回の改修により、個室の整備や各部屋の再配置など、より一層の診療環境の充実が望まれるところでありますけれども、現在進めている改修工事の内容と進捗状況、また、完成時期について伺います。
◎安田 静療院長 のぞみ学園の改修内容と工事の進捗状況及び完成時期についてお答えします。
のぞみ学園の改修工事は、所管する保健福祉局が進めているものです。ご指摘のとおり、現施設は老朽化とともに狭隘化が顕著なため、それを解消する方策として、のぞみ学園と棟続きであり、現在使用していない旧小児病棟2階を活用することで必要スペースを確保したものであります。また、療養環境を改善するため、療養生活空間のワンフロア化、男女別病棟に加え、可能な限り多くの個室が配置され、さらには、病棟全体を見渡せるスタッフルームやエレベーターが設置されるなど、患者の安全にも配慮した改修内容となっております。
次に、工事の進捗状況及び完成時期についてでありますが、本年1月から6月までの予定で旧小児病棟2階の改修工事を進めております。その後、引き続きのぞみ学園全体の改修工事に着手し、本年11月には完了する見込みと聞いており、入院患者にとって良好な診療環境になるものと期待しているところであります。
◆佐藤典子 委員 一度見学をさせていただいたのですが、保護者の方も言っておられますように、個室の整備が求められること、それから、療育のためのスペースをぜひ確保してほしいということがありました。今のお話でも、そうした個室の確保、また男女別、それから、旧小児病棟の2階を療育の場所にというようなお話も伺いましたので、こういった取り組みの中で、発達障がいや自閉症の子どもに対して、本当に充実した療育の場所でもあるような取り組みを私は期待したいと思っております。
2005年6月に策定されました
市立札幌病院の
パワーアッププランで、小児病棟、また、のぞみ学園の老朽化が進み、診療環境の整備を進めることが打ち出され、ようやく今のような環境整備が進み、改修工事も11月には終了するということで今後の取り組みが期待されるところであります。
次に、2009年3月に策定されました新
パワーアッププランについてでありますけれども、2010年度までに検討するとされている児童部門の一般行政病院化について伺いたいと思います。
静療院児童部門については、医療のみならず、福祉や保健分野とのかかわりが非常に深く、保健福祉局や子ども未来局を含め、広く関係部局との協議を行い、見直しが必要であるということを早くから提言させていただいております。2005年6月策定の
パワーアッププランにおきましては、小児精神科医療部門は、通常の診療報酬では運営が困難と言われる政策医療分野の中でも特に医業収支比率の低い分野であり、経済性の発揮が求められる公営企業としての努力には限界があり、医療ケアの内容としても障がい児福祉の分野にも重なる実態にあることから、福祉施設と同様に社会的費用をかけるべき行政分野として再構築を図ることが示されました。そして、新
パワーアッププランの中で一般行政病院化に向けた検討という取り組み内容が掲げられているわけであります。新プラン策定から既に1年ほどが経過し、この検討も進んでいるかと思います。そろそろ一般行政病院化の際の新たな所管先を決定し、その後の事業内容や人員体制などの準備を進めていく必要があると考えます。
私は、この間、自閉症など発達障がい児・者のライフステージに沿った総合的な支援体制の整備を求め、さまざまな提案をしてまいりました。
静療院児童部門においても、これまでの小児精神医療分野の機能に加え、さらには、児童心療センター機能など大きな役割が期待されているところであります。こうした中で、2009年4月から保健福祉局に発達障がい担当係が設置されたこともあり、私としましては、一般行政病院化した際の新たな所管先は、現状では保健福祉局が妥当ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
そこで、質問です。
これまでの
静療院児童部門の検討を進める中で出された新たな所管部局の方向性について、どのような議論がなされてきたのか、伺います。
また、今後の具体的な取り組みについて、あわせて伺います。
◎野崎
経営管理部長 静療院児童部門の一般行政病院化の検討を進める中での新たな所管部局の方向性についての議論ということでご質問がございました。
静療院児童部門の一般行政病院化に向けた検討につきましては、保健福祉局、子ども未来局など関係部局と、
静療院児童部門の各局への支援の現状と各局のニーズ、
静療院児童部門スタッフの能力の活用、また、移管後及びその後の将来展望や組織・人員体制などさまざまな項目について議論を進めてきたところでございます。その中で、
静療院児童部門の新たな所管部局につきましては、発達障がいに対しまして早期発見・早期対応を行っていくという観点から、出生時から成人期までの保健医療全般の施策を所管いたしております保健福祉局内の病院として位置づけることが望ましいのではないかという議論になってございます。
今後の取り組みについてでございますが、新年度のなるべく早期に新たな所管部局を確定し、組織・人員体制、業務内容、財産の移管などについて検討を進めることとしてございまして、新
パワーアッププランに掲げております22年度中を目途に整理してまいりたいというふうに考えております。
◆佐藤典子 委員 要望と意見であります。
静療院児童部門の新たな所管部局は、保健福祉局が望ましいという議論が進んでいるということであります。一般行政病院化に向け、さらに検討を進めていただき、早急に所管部局を決定し、これまでの小児精神医療分野の機能に加えて、発達障がい支援におけるセンター機能などもぜひしっかり担っていただきたいと思っております。今、いろいろな障がいがありますけれども、自閉症や発達障がいという問題の中で本当に生きづらさを抱えている子どもたちがたくさんおります。
静療院児童部門が保健福祉局の中にしっかり位置づけられまして、関連部局との連携強化を図り、さらに全庁的な取り組みの中で、発達障がい支援の充実の輪を広げていただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆長谷川衛 委員 私からは、病院事業を取り巻く諸課題のうち、新
パワーアッププランにかかわる点、
診療報酬改定にかかわる点の2項目について質問させていただきます。
まず、昨年3月に策定されました新
パワーアッププランの進捗状況についてであります。
新
パワーアッププランは、公立病院が果たす役割として五つの柱が掲げられているほか、計画期間である2009年度から2011年度の3年間に取り組む項目、達成すべき数値目標が明記されております。また、このプランは、市民の公募委員や医療経営に詳しい民間経験者の方々も多数加えて検討、策定されたものであり、その方々の知恵や工夫が数多く盛り込まれた大変重要な計画であります。ぜひともやり遂げていただくことを強く思っております。
プランの経営的な最終目標は、2012年度での経営収支黒字化でありますが、言うまでもなく、2009年度はスタートダッシュの年であったとともに、取り組むべき項目も大変多かったと思っております。このため、最終目標を達成できるかどうかは、初年度である2009年度でのできが大きなかぎを握っているものと考えます。
そこで、質問ですが、計画初年度の2009年度に実施予定であった取り組み項目について、その達成状況を伺います。
次に、今回の
診療報酬改定の評価と影響についてであります。
昨年の政権交代以来、現在まで、さまざまな見直しが行われております。これまで、財政の緊縮化の一環として、医療費についても抑制が図られ、特に小泉政権下では三位一体改革により医療費についても例外なく削減の対象とされてきました。その結果、診療報酬による評価は後退し、その影響で医療機関の経営は悪化し、さらには、病院勤務医のなり手が年々減少傾向となり、医療崩壊と言われるように社会的に大きな影響を及ぼしてきました。
今回の
診療報酬改定は、政権交代後、初めての改定であり、改革率は診療報酬本体でプラス1.55%、金額にして約5,700億円、薬価などの改定でマイナス1.36%、金額にして約5,000億円であり、全体の改定率はプラス0.19%、金額にして約700億円と、10年ぶりにプラス改定となっております。その内容を見てみますと、社会的に問題化している救急医療、産科、小児科、外科などの医療の再建及び医師不足の原因となっている病院勤務医の負担軽減などに重点を置くものとなっておりまして、診療報酬の面から医療の再生を図ったものとなっております。この診療報酬のプラス改定は、病院経営にとっては大変追い風でありますが、一方では、書類作成や記録項目がますます増加し、医師や看護師などの
医療従事者の事務的な負担がより大きくなるのではないかということも危惧しております。
市立札幌病院については、2008年度に電子カルテを導入してコンピューター化による診療の効率化を図ってきておりますが、反面、入力負担も以前に比べて大きくなっていると伺っています。電子カルテの問題については、一般病院においても今はさまざまな問題が指摘されております。特に、パソコンばかりを見て患者の顔を見ない、意思が通じないというような問題もありますけれども、ここでは業務量の問題についてぜひ指摘しておきたいと思います。
そこで、この点について2点質問いたしますが、病院局として、今回の
診療報酬改定をどう評価し、病院経営への影響についてどのように考えているのか、さらには、電子カルテ導入による職員の負担についてどう考えているのか、お聞きいたします。
◎野崎
経営管理部長 質問が3点ございました。
新
パワーアッププランの進捗状況と
診療報酬改定の評価と病院経営への影響、電子カルテ導入による職員の負担についてでございます。
まず、1点目の平成21年度におけます新
パワーアッププランの実施予定項目の達成状況でありますが、計画しておりました項目についてはおおむね達成できているものと考えてございます。
主なものを申し上げますと、まず、診療体制の強化に関しましては、7月にNICUを9床から15床と6床増床し、重症時の受け入れ体制を一層強化したほか、静療院成人部門の本院統合につきましては、平成22年度予算に新病棟建設に係る設計費を計上するとともに、診療科の連携、センター化といたしまして、産婦人科、泌尿器科の協力によります子宮脱センターを1月に開設したところでございます。また、収入増加、経費削減につきましては、6月から入院時医学管理加算を算定するとともに、7月と10月の2回に分けて、文書料、非紹介患者初診加算、助産料など自主料金の見直しを行いました。そのほか、医師の勤務環境の改善といたしまして、産婦人科や血液内科、眼科などで増員を図ったほか、医師の事務補助を行う医療秘書についても増員したところでございます。
次に、今回の
診療報酬改定に対する評価と病院経営への影響についてお答え申し上げます。
今回の改定は、がんなど4疾病5事業にかかわるもので、中でも急性期の入院医療やチーム医療、救急、周産期、小児などの政策医療に重点配分されており、これらの医療に積極的に取り組んでおります当院にとって、診療報酬上、高い評価を得ることができるものと考えておりまして、経営改善に寄与するものと期待をしているところでございます。
なお、具体的な改定効果額につきましては、一例を申し上げますと、出来高算定となる手術料で21年度実績ベースと比較すると2億円程度の増が見込まれますが、DPCによる1日当たりの点数も大きく変更となっていることから、現在精査を進めているところでございます。
最後に、電子カルテの導入による職員の負担についてお答えします。
電子カルテでは、すべてキーボードからの入力作業や登録確認などの行為が必要となりますことから、移行当初はシステムの不安定もあって職員の負担感が強かったものと考えております。しかし、導入後2年を経過し、手書き書類はほとんどなくなり、転記など手間のかかる単純業務が大きく削減されるなどの効果に加えまして、診療情報はもちろんのこと、検査結果や画像データなどが共有され、他職種の医療者がいつでも、どこでも同時にカルテを見ることが可能となったことから、効率的な医療に役立っているものと考えてございます。
◆長谷川衛 委員 今、部長からの答弁で、新
パワーアッププランにおいて、2009年度に予定した項目についてはおおむね達成したということで、まずまずさい先のよいスタートを切れたのではないかとは思います。特に、周産期医療の充実を喫緊の課題として取り上げている中で、総合周産期母子医療センターとしての役割を十分に踏まえてNICUを6床増床したこと、それから、静療院成人部門の本院統合は、旧
パワーアッププランにも掲げられていた項目でありましたけれども、その移転手法について一定の結論を出せたということは大きな前進ではなかったかと考えます。しかしながら、今後も取り組まなければならない項目は数多くあると思いますし、それらを一つ一つ着実に実施していかなければ、新
パワーアッププランの最終的な達成はないものというふうに考えております。
そこで、この
パワーアッププランについて再質問になりますが、今後取り組まなければならない項目の中で、特に重要であると考えているものは何なのか、お聞きしたいと思います。
また、電子カルテについては、医療情報の共有化による診療の質の向上というメリットに加えて、システム化により、今回のような大規模な
診療報酬改定にも対応できるという利点はもちろんあると思います。しかし、複雑かつ膨大な
診療報酬改定を正確に反映するためには、電算の担当スタッフは短時間でのシステム改造を強いられ、医療スタッフにおいても、業務手順の見直しが必要とされたり、新たな入力業務の増加があるのではないかと大変懸念しております。今の部長の答弁では、当初はシステムが非常に不安定で事務量も多かったという話でありますけれども、短期間の中で一定程度整理されて、今はもう手書き書類等は大体終わっているという話でありました。ただ、やはり、何といってもしっかりした入力がなければ現実にはしっかりした情報は得られないということもありますから、気力も体力も大変要る仕事なのかなとは思っております。
そこで、この点について再質問になりますけれども、今回の
診療報酬改定などにどのように対応されているのか、また、職員の業務負担については可能な限り少なくなるようにお願いしたいと考えておりますが、これについてどう対処していくお考えなのか、お聞きしたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 質問は2点ございまして、新
パワーアッププランの進捗状況の中で、今後の取り組みの中で特に重要であると考えていること、それから、今般の
診療報酬改定への対応による負担についてでございました。
まず、今後の取り組みの中で重要と考えているものについてでございますが、静療院成人部門の本院統合や児童部門の一般行政病院化など、精神科医療の再編及び本院病床数の見直しなどが重要な課題であると考えております。静療院成人部門の本院統合につきましては、ハード面の整備に加えて、院内、院外との連携体制の構築に万全を期していくこと、児童部門の一般行政病院化につきましては、組織体制のあり方はもちろん、成人部門の本院移転後に生じる施設の有効利用など、全市的に取り組む必要があるものと考えてございます。また、本院病床数の見直しにつきましては、プランにおきましては、
病床利用率を踏まえ、75床程度を削減し、病床の有効活用を図ることとしておりますが、削減数及び活用方法については、当院の今後の医療内容や病院経営に与える影響も十分に考慮しながら検討する必要があるものと考えてございます。
次に、
診療報酬改定への対応とこれによる業務増についてでございますが、改定に伴います電算システムの改造作業につきましては、委員ご指摘のとおり、短期間で完成させなければいけないということで厳しい作業日程となっておりますけれども、現在、担当職員とシステム開発業者が協力して鋭意進めているところでございます。
しかし、今回の改定により、多くの指導料などが新設され、それらを確実に取得していくためには指導内容の記載などの業務増が見込まれます。そこで、これらの業務負担を軽減するため、今後とも、継続的に電子カルテシステム等の改良を行うことや、必要に応じた補助者の配置などについても検討してまいりたいと考えてございます。
◆長谷川衛 委員 ただいまの部長の答弁で、今後の取り組むべき重要な課題が明らかになりました。静療院の成人部門の本院統合、児童部門の一般行政病院化、そして本院病床数の見直しということでありました。
静療院に関する精神科医療の再編については、やはり、着実かつ早期に実現するよう進めていただきたいと思います。特に、成人部門の本院統合については、統合後に目指すべき医療としている精神科救急、合併症医療を間違いなく提供できるようにしっかり取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
また、本院病床数の見直しについてでありますが、病床の有効活用を図る観点から、今後の医療内容の充実や病院経営に与える影響も考慮して検討するとの答弁でありました。先ほどお話ししたとおり、収支計画では、2012年に3,500万円の単年度黒字を掲げておりまして、今後とも経営の健全化を図るためには収支を大きく伸ばしていく必要があります。特に、病院の診療収入の約7割を占める入院収入をいかに高めるか、これが大変重要であると考えます。
しかし、
急性期病院を対象とするDPCと言われる入院診療の包括評価の導入などによって1日当たりの入院日数が短くなっておりまして、その傾向は今後も続いていくものと聞いております。病床数をどう定めるかは病院経営の観点からも大変重要であると考えますが、いずれにしても、入院収益の向上には患者数の増加が必須であります。患者をふやす努力を病院一丸となって取り組むべきと……(発言する者あり)、患者をふやすというのは、この市立病院に通う患者という意味で、言うまでもないことであります。
そこで、最後の質問になりますけれども、
DPC導入前後で
病床利用率や
平均在院日数などはどのように変化しているのか、また、先ほどから言っている、病院経営上、大変重要なことであると思う入院患者数の増加について、これは、ぜひ吉田病院事業管理者からお考えをお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 私からは、1点目の
DPC導入前後の本院
病床利用率等の状況についてお答え申し上げます。
まず、
病床利用率は、
DPC導入前の平成19年度は84.6%でありましたものが、DPC後の平成21年度の2月末では79.8%と、約5ポイント低下してございます。
次に、
平均在院日数では、平成19年度が15.9日であったものが、21年度の2月末では14.2日と、1.7日、約11%短縮しております。この結果、同時期を比較した延べ入院患者数では、22万7,256人から21万852人と、1万6,404人、7.2%減少してございますが、実入院患者数につきましては、1万3,575人から1万3,908人と、333人、約2.4%増加しているところでございます。
◎吉田 病院事業管理者 ただいまの入院患者数の増加に向けた考えについてというご質問にお答え申し上げます。
ただいま
経営管理部長からお答え申し上げましたように、
DPC導入後、とみに
病床利用率が低下しているのは事実でございます。これは、増大する医療費の削減のため、病床数の適正化の観点から国が進めてきた
急性期病院に対するDPC制度の導入が、
平均在院日数の短縮と
病床利用率の低下につながっているものであり、全国のすべてのDPC病院で起きていることでございまして、当院においても同じ傾向を示しているものと考えてございます。
しかし、当院としても、スタッフ及び設備などの医療機能をできる限り活用し、当院での治療を望む患者を受け入れることにより、
病床利用率を増加させ、収支を改善させることは大変重要なことと考えております。この考えに基づき、地域連携の推進や柔軟な病床管理などさまざまな取り組みにより、新規入院患者数の増加に努めてきたところでございます。今後につきましても、医師を初め、さまざまな職種のスタッフの確保や施設、設備の限界など困難な問題はございますけれども、患者確保に努めながら、また、当院の果たすべき役割及び医療機能に見合った適正な病床数のあり方についても検討を進めてまいりたいと考えてございます。
◆小嶋裕美 委員 私からは、2点、静療院成人部門の本院統合についてと周産期医療について、それぞれ分けて質問させていただきたいと思いますが、委員長、よろしいですか。
○坂本恭子 委員長 はい。
◆小嶋裕美 委員 それではまず、静療院成人部門の本院統合について、私は、かねてから、本市における精神科医療、特に身体合併症や精神科救急についての現状を心配しておりました。これらは、まさに採算のとりにくい分野であり、民間におりました私としては、精神疾患を持った方の身体合併症の医療は相当に困難であると認識しております。
昨年3月に策定されました
市立札幌病院新
パワーアッププランにおいては、
病床利用率が低下傾向にある本院の余剰病床を活用し、病棟再編を行った上で、既存病棟に移転することを想定した収支計画が立てられておりました。平成21年3定におきましても、静療院成人部門の本院への統合に向けた取り組みや統合後に目指す医療について質問させていただき、身体合併症を持った精神科患者に対応するため、必要なレイアウトを鋭意検討しているとの回答をいただいたところであります。先日、昨年策定されました新
パワーアッププランの見直しに伴うパブリックコメントの中で、移転先として、既存の建物内への移転予定から、新病棟建設による敷地内の別の場所に移転へと変更されておりました。
そこで、質問ですが、新病棟建設に至った理由と新設する施設の概要や職員体制、今後の工事スケジュールはどのように計画されているのか、それぞれお伺いします。
◎野崎
経営管理部長 質問は、新病棟建設に至った理由とその概要、職員体制、今後のスケジュールであったかと思います。
新病棟建設に至った理由につきましては、大きく二つの理由がございます。
まず、精神科救急医療への対応でございます。本市の精神科救急医療体制のあり方につきましては、札幌市精神保健福祉審議会におきまして議論が進んでおりまして、その中で、本院統合後の精神科部門に対しては、精神科救急、身体合併症患者に対応した医療の提供を行うことが期待されております。そこで、当院といたしましても、それに適切に対応していくため、新病棟を建設し、診察室や個室など充実した施設整備や救命救急センターとの緊密な連携を図ることとしたものでございます。
次に、
新型インフルエンザなど不測の事態への対応でございます。当院は、感染症指定医療機関でございまして、病棟内での感染症患者受け入れが必要となることが想定されますが、本院内に精神科病棟を設置した場合は、工事中はもとより、工事後におきましても患者受け入れ余地が減少し、不測の事態への対応が困難であり、新病棟としたものでございます。
次に、新病棟の概要及び今後のスケジュールでございますが、建設場所は救命救急センターの南側で、規模は、地下1階、地上3階建てを予定しており、病床数は38床、保護室5室を含め、個室を半数以上としているところでございます。今後のスケジュールといたしましては、平成22年度に設計、23年度に工事、24年度の移転、供用開始を予定してございます。
最後に、入院病棟の職員体制でございますが、本院統合後、精神科救急・合併症入院料の算定を目指すこととしており、移転当初から医師7名及び看護師30名などの配置を考えてございます。
◆小嶋裕美 委員 ただいまの答弁の中で、救急医療に対する身体合併症も含めた対応と不測の対応も含めて新たに病棟を建設するといった理由がわかりました。
そうした中で、本院への統合にあわせて民間の医療機関での対応が難しい医療に新たに取り組まれるということをお伺いし、かつて医療現場に従事していた私としましても、同時に患者やそのご家族にとっても大変心強いのではないでしょうか。今回の統合により、提供する精神科救急合併症患者への医療は、運ばれてくる患者の症状により、救命救急センターや他の診療科との連携が大変重要になってまいります。例えば、自殺企図で搬送されてくれば、救急処置をした後のフォローアップ体制が必要となりますし、再発を防ぐための治療が必要になってくるというような連携が大事だと思います。また、統合に伴い、現在静療院に入院される患者を今後どうしていくのかについても気になるところであります。移転に伴って、現在通院されている、または入院されている患者、特に長期間入院されている方の転院や退院は、私の経験からしても大変なことだと思います。患者やご家族が不安になられないよう十分な配慮の上に、円滑に移転を進めていただきますことを望んでおります。
そこで、質問ですが、統合後において他の診療科とどのように連携するつもりなのか、また、現在入院されている患者の転院等について具体的にどのような考えをお持ちであるのか、それぞれお伺いいたします。
◎安田 静療院長 まず、統合後の他診療科との連携方法についてです。
統合後には、精神科救急、身体合併症患者に対する医療機能を果たすことになることから、救命救急センターを初めとして、他の診療科との連携が大変重要になります。そのため、今後、身体的疾患をあわせ持つさまざまな精神科患者に対する治療の進め方及び役割分担について各診療科医師と意見交換を進め、必要となる連携体制について相互の理解を深めてまいりたいと考えております。
次に、現在入院されている患者の転院等についてです。
統合後には、身体合併症のように民間の病院では受け入れが困難な患者や、比較的短期間の入院となる救急患者を中心に受け入れることになります。したがって、現在静療院に長期間入院となっている慢性期の患者につきましては、平成23年度までに転院や退院を図ることとしております。そのため、他の医療機関と緊密に連携し、現在入院されている患者やご家族にはご理解いただきながら転院等の調整に努めてまいりたいと考えております。
◆小嶋裕美 委員 他の精神科、民間の病院と連携をしていただけるし、市立病院としても地域医療連携に今後も強く力を入れていかれるということですから、ぜひとも鋭意検討していただきたいと存じます。
次に、NICU病棟の改修状況と患者の受け入れ状況など、周産期医療について伺いたいと思います。
新
パワーアッププランでは、総合周産期母子医療センターの機能拡充が掲げられ、8月にはNICUを6床増床し15床に、また、後方病床の運用の効率化を図るため、9月に病棟改修を行ったと伺っております。道央圏の周産期医療体制にとっては大変心強く思います。
市立札幌病院の周産期センターは、母体搬送を積極的に受け入れておりますが、母体搬送の場合、28週未満の超早産児や非常に小さな1,000グラム未満の超低出生体重児となることが想定されます。さらに、重篤な院外出生時の受け入れもふえ、高度な治療が必要なベビーが多くなり、スタッフの負担が多くなっているのではないかと危惧しております。
医師、助産師、看護師の充実や病棟の設備の効果的な配置も必要であり、特に合併症を抱える管理妊婦など、対応の難しい出産や緊急帝王切開などで生まれた赤ちゃんは低出生体重児や何らかの疾病を持っている場合が多く、受け入れ体制の充実が必要であると思います。
そこで、質問ですが、NICUの増床に当たり、新生児部門の体制整備はどう進められたのか、また、病棟の改修をどのように行ったのか、お伺いします。
また、増床後の母体搬送などの受け入れ状況についてもあわせて伺わせていただきたいと思います。
◎野崎
経営管理部長 周産期の新生児部門の整備につきまして、新生児部門の体制整備、病棟の改修内容、母体搬送などの受け入れ状況のご質問でございました。
新生児部門の医療体制の整備状況についてでございますが、NICUの増床に伴いまして、看護師を7名増員し、合計50名の看護体制とするとともに、医師につきましても、正職員1名の定数増のほか、1名の超過配置に努めたところでございましたが、全国的な医師不足もございまして、従前と同じ5名体制で運営しております。
次に、病棟改修の内容についてでございますが、患児、新生児の快適な療養環境の確保及び職員の勤務環境の改善を図る観点から、病棟のレイアウトを大幅に見直し、沐浴室の移設などによるNICUの後方病床でありますGCU内の整備、器材室の移設などによります面談室や更衣室の変更、女性トイレの増加などの改修を行ったところでございます。
次に、平成21年度の母体搬送などの受け入れ状況でございますけれども、21年4月から22年2月末までの実績でございますが、母体搬送では、152件の依頼に対しまして124件を受け入れ、受け入れ率は約81.6%、院外出生児は、63件の依頼に対しまして48件の受け入れ、76.2%の受け入れ率となってございます。前年同月末に比べますと、母体搬送では、21件、7ポイント増、院外出生児につきましては、母体搬送受け入れ数の増加に伴うNICUの満床などによりまして5件の減となってございます。
◆小嶋裕美 委員 今のお話の中で、母体搬送が81.6%、児の受け入れが76.2%ということでした。母体搬送がふえればNICUも満床になってくるということで、非常に大変な状況でお仕事をされているのではないかと拝察されます。NICUの整備に関しては、増床してもすぐにいっぱいになる状況で、今申し上げましたように、母体搬送受け入れとともに、道央圏の周産期医療に対する
市立札幌病院の役割は大変大きなものがあると感じております。
ところで、低出生体重児については、どうしても長い入院となる児が多く、特に母親などの親としての自覚、感情が乏しくなり、これらが虐待や育児困難、育児放棄につながるとも言われております。現在、6カ月以上長期入院している患児は4名というふうに伺っておりますが、NICUが15床になったことにより、これからも重症の低出生体重児を受け入れることが多くなるのではないかと考えられます。そうすると、また一層、入院が長期化する患児もふえるのではないかと思います。育児困難となるケースは、親として子どもに触れる機会が少ないことも一因とされておりますし、長期間、我が子と生活できなかった両親、特に母親に対して退院前に子どもと一緒に生活して触れ合うなどのいわゆるマザーリングや、ファミリーケアを配慮した病床または施設を設置することが望ましいと考えております。
そこで、病院局としてどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
◎晴山
病院局理事 入院が長期化した新生児に対するいわゆるマザーリングのための病床などの設置に対する考えについてお答えいたします。
昨年、
予算特別委員会において、横山委員より、入院が長期化した新生児とその親に対するサポート施設の設置の要望をいただきました。その後、当院においても、長期入院新生児と家族を支援する環境整備のあり方について、関係する診療科であります新生児内科と小児科を中心に議論を行ってまいりました。その議論の中で、長期に入院した新生児と家族が退院前に生活をともにして、病院としてもケアしながら、親御さんの育児不安の解消に資する院内施設の必要性は認識されましたけれども、具体的な設置場所や規模、院内の連携体制については種々の課題があり、現時点では結論が出ておりません。
◆小嶋裕美 委員 今のところはまだ結論が出ていないということで、鋭意進めていただきたいというふうに思います。
最後に、要望、指摘をさせていただき、私の質問を終わりたいと思います。
静療院成人部門の本院統合につきましては、高齢化が進み、精神科病棟で発生する身体合併症を有する患者の増加が予測されます。この身体合併症の問題についても、各精神科病院では他の専門医を確保することが困難でありますし、各病院の努力にも限界があります。精神障がい者が一般の人と同じように専門的治療が受けられるようなシステム化が急務でありますし、身体合併症重症患者については専門的治療が受けられるように、精神病床を有する総合病院の中で積極的な身体医療を専門的に治療するMPUの設置が望まれるのではないかと思います。
次に、周産期医療については、NICUを退院する低出生体重児の親子支援に関して強く要望させていただきたいと思います。
これまでも、我が会派では、親子の健やかな生活のために、長期入院をしている児と両親が退院前に一緒に生活して、子どもの生活リズムを体感し、会得して家に帰れる病床や施設の必要性を訴えてまいりました。現在、新生児看護は、ファミリーセンタードケアと言われ、個の治療、看護から、家族を含めてのケア中心に変わってきております。NICUの整備が進み、新生児医療が飛躍的な進歩を遂げる一方で、近年、ネグレクトや虐待などの養育行動障がいの一因にNICUにおける長期の母子分離があることが明らかになってまいりました。NICUに子どもが入院すると、親子の関係性が確立される以前に分離されてしまいますが、子どもが家族の一員として迎えられ、両親の愛情に包まれてはぐくまれるという自然な経過を援助していくケアが必要になってくると思います。
ファミリーケアに期待される効果は、まず、親子関係が確立され、親の子育てへの自信が高まることにより、育児でのトラブルの発生を防止することができます。ハイリスク児は虐待される子どものリスク因子と言われますが、きめ細かい家族ケアにより、結果として子どもの虐待を予防でき、子どもの健全育成という大きな効果を生み出すこともできます。親の育児力アップ、すなわち親の育児能力をエンパワーメントすることができ、医療による効果と相まって、NICUにおけるさまざまな保健福祉的取り組みがプラス経済効果を生み出すと新生児医療の保健的側面が考えられております。
現在進めている病床の再編などでは75床削減して再編成するということでございますので、可能であれば、NICUを退院する親子のために、親子がともに過ごすことができ、退院後の家庭での生活ケア、例えばお薬等の取り扱いや服用の仕方だけでも構いませんし、そのことについて具体的な対処行動が経験できるように、退院の準備などのための病床を整備し、親子のつながりを強くサポートすることを要望しておきます。
また、赤ちゃんに優しい病院を目指して、保健福祉的側面をあわせ持つさまざまなケアを提供するための整備は、行政が率先して取り組むべきであり、総合周産期医療センターの機能として重要であることを指摘しまして、私の質問を終わります。
◆横山峰子 委員 私は、先ごろ行われました新
パワーアッププランの収支計画等の見直し案に関連して質問させていただきます。
新
パワーアッププランの収支計画等の見直しに関しましては、私のもとにも数件の意見が来ておりまして、その中で、6床室の4床差額室化で入院料が上がるのではないかという心配の意見がありました。私は、病室の療養環境の向上は患者にとって重要な課題と思っております。市立病院には今も6床室が残っているようですが、最近の病院を見ますと、4床室と個室が中心であり、4床室でも広さを確保し、アメニティーやプライバシーに配慮しているところがほとんどで、6床室は今の患者ニーズには合っていないと感じております。また、最近の患者のニーズは個室志向であり、高齢化もあり、周りに気兼ねしない個室に入りたいという声も多く聞いております。
現在、
パワーアッププランの実施により、病床室の見直しも行われていると聞いておりますが、これに関連して、病室の構成について伺います。現在、一般病室の病床数別の部屋の構成はどのようになっているのか、また、今回見直しを行う6床室について、運用の現状や患者の声にはどのようなものがあるのか、2点お伺いいたします。
◎野崎
経営管理部長 一般病室の病床数別の構成と6床室の運用の現状や患者の声というご質問でございました。
まず、1点目の一般病室の病床数別の構成についてお答えいたします。
救命救急センターやNICUなどの特殊な病棟、病床を除いた一般病室では、許可病床で申し上げますと725床でございます。その構成といたしましては、6床室が37室で222床、4床室が97室で388床、3床または2床室が9室で20床、個室は95室で、そのうち差額の個室が39室、重症室が37室となってございます。
次に、現在の6床室の運用の現状や患者の声でございますが、現在、6床室が常時満床になる病棟は、比較的短期間の入院が多い病棟に限られてございます。また、車いすや歩行器の使用頻度が高い病棟では、6床すべてを使用することが困難なことが多いという現状でございます。6床室に入院された患者からは、荷物をおさめる場所がない、真ん中のベッドでは面会の家族の方の座るところもないなど、療養環境としての不満が寄せられているのが事実でございます。このため、患者数が多く病床の削減が難しい一部の病棟を除いて、療養環境の改善を図るため、6床室を4床室に変更し、また、差額室として整備することについても考えているところでございます。
◆横山峰子 委員 6床室をできるだけ解消して患者の療養環境の改善を行うという病院局の考え方はわかりましたが、患者や家族としては、できるだけ少ない負担で快適な環境、病室で治療を受けたいのではないかと思いますけれども、この思いと病院経営の安定とのバランスも重要なことであると理解はいたします。私の経験からも、食事、排せつなどを初めとして、家族との会話など、さまざまな面で他の患者のことを気にしないで済むので、特に病状が重いときには、経済的負担はあるものの、多くの患者やその家族にとっては個室の方が好まれているのが現状だと思います。
しかし、ご答弁にありますように、市立病院には差額個室が39床と少なく、希望してもなかなか入れないため、個室がないから、市立病院ではなくて他の病院に入院したという患者の声も聞いております。多床室での療養には患者同士の励ましなどというメリットもあるにはありますが、何といってもプライバシーがないことが大きな負担になっております。今回整備する4床差額室には、料金を徴収する以上、療養環境の向上につながるもので、できるだけプライバシーを確保できるように整備していくべきと思います。
そこで、質問ですが、4床差額室は具体的にどのようなものを整備する予定なのか、伺います。
◎野崎
経営管理部長 4床差額室の整備内容でございます。
6床室を4床差額室に変更するに当たりましては、無料でお使いいただけるテレビや冷蔵庫の設置はもとより、従来の4床室より1床当たりの面積が広いことから、患者から要望の高い収納を確保できるロッカーやチェスト、机を一体化した多機能の間仕切りで仕切ることで、個室に近い空間を確保し、より快適な療養環境を提供することを考えているところでございます。
◆横山峰子 委員 4床差額室については、収支のバランスを考慮しつつ、できるだけ患者が利用しやすい料金にしていただきたいと思います。
最後に、病床の再編に関連して、終末期の緩和ケア病棟の設置についてお尋ねいたします。
緩和医療は、がんの初期治療から求められており、がん治療の質の確保には欠かせないものであると思います。治療を継続する中で、痛みを適切にコントロールし、治療効果を高めるとともに、患者の生活の質の向上を図ることは非常に重要なことであると考えております。がんでありながらも、患者がその方らしい日常を送っていただくための支援、また、患者を介護しているご家族への支援、特に精神的支援が大切であると思います。
しかし、治療のかいなく終末期を迎える方も多く、その中には適切な終末期の緩和医療を受けられない方も多くいらっしゃると思います。現在、札幌市内には、緩和ケア病棟を持つ病院が7カ所、計178床で、そのうち、地域がん診療連携拠点病院は2カ所ありますが、公立・公的な病院に緩和ケア病棟はなく、どこもいっぱいのため、患者が自分の望む場所で望むように過ごすことができる専門的な終末期ケアを受けられない状況と聞いております。
私は、新たな医療計画の4疾病5事業としてがんを掲げた以上、がん治療の政策的医療として取り組むことはもちろんとして、治療の先にあるがんの終末期医療についても政策的医療として取り組むべきであると考えております。市民ががんの終末期になったときに、患者が最後まで自分の意思で人生を全うすることができるように、症状や苦痛の緩和を助けるための終末期医療の提供を公立・公的病院がぜひ担っていただきたいと考えます。
そこで、最後の質問ですが、
市立札幌病院では、今回の病床見直しにあわせて終末期の緩和ケア病棟を設置するお考えはないのか、伺います。
◎富樫 副院長 終末期の緩和ケア病棟の設置についてでありますが、
市立札幌病院は、地域がん診療連携拠点病院として、がん治療で入院されている患者に対して、現在、緩和ケアチームによるがんの身体的痛みや不安など精神的症状に対する緩和医療を行っております。緩和ケア病棟については、当院で終末期を迎える患者もおりますし、患者の数に対して市内の緩和ケア病床が少ないことなど必要性は認識しておりますが、病棟の設置には、設置要件や場所、
医療従事者の確保、設置費用などの難しい課題がございます。
今後につきましては、病棟の設置も含めまして、当院が終末期医療にどう取り組むべきか、緩和医療のあり方について院内で協議、検討してまいりたいと考えております。
◆横山峰子 委員 要望ですが、がんの終末期の患者はこれからもどんどん増加することと思います。がん患者が最後まで自分らしくその生涯を全うできる緩和医療の提供が必要であり、その家族にとってもさまざまな支援が必要だと考えております。新プランでは、病床数の見直しや病棟の再編が22年度中に計画されております。市民のニーズが高い緩和ケア病棟の設置については、今伺いましたように、予算、病床数、医師を初めとした専門職、介護従事者の継続的な確保などさまざまな課題があり、かなりハードルは高いことと思いますが、長期的スパンでぜひ検討していただきたいということを切に希望いたしまして、私の質問を終わります。
○坂本恭子 委員長 以上で、
病院事業会計予算の質疑を終了いたします。
本日はこれをもって終了し、次回は、次週3月29日月曜日午後1時から、本委員会に付託されました全案件に対する討論及び採決を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後2時38分...