札幌市議会 2010-03-16
平成22年第一部予算特別委員会−03月16日-06号
平成22年第一部
予算特別委員会−03月16日-06号平成22年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第6号)
平成22年(2010年)3月16日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 31人(欠は欠席者)
委 員 長 坂 ひろみ 副委員長 峯 廻 紀 昌
委 員 湊 谷 隆 委 員 川口谷 正
委 員 西 村 茂 樹 委 員 小 野 正 美
委 員 大 嶋 薫 欠 委 員 藤 川 雅 司
委 員 桑 原 透 委 員 佐 藤 右 司
委 員 しのだ 江里子 委 員 宝 本 英 明
委 員 大 越 誠 幸 委 員 宮 村 素 子
委 員 鈴 木 健 雄 委 員 高 橋 克 朋
委 員 山 田 一 仁 委 員 五十嵐 徳 美
委 員 長 内 直 也 委 員 細 川 正 人
委 員 佐々木 みつこ 委 員 飯 島 弘 之
欠 委 員 義 卜 雄 一 委 員 涌 井 国 夫
委 員 三 浦 英 三 委 員 谷 沢 俊 一
委 員 芦 原 進 委 員 福 田 浩太郎
委 員 井 上 ひさ子 委 員 宮 川 潤
委 員 小 倉 菜穂子 委 員 宮 本 吉 人
委 員 堀 川 素 人
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開 議 午前10時
○坂ひろみ 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、藤川委員からは欠席する旨、長内委員、鈴木委員からは遅参する旨、それぞれ届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
第9款 教育費 第1項
教育委員会費から第9項 生涯学習費まで及び議案第47号 平成22年度札幌市
一般会計補正予算(第1号)中関係分について、一括して質疑を行います。
◆宮川潤 委員 私は、
高校授業料条例の改正、それから、中学校における
スキー授業の強化の2点について質問いたします。
まず、
高校授業料条例です。
私どもが問題として指摘をしてきたのは、第3条第3項で、「校長は、
授業料徴収期限後の滞納が10日以上に及ぶ者には出席停止、2月以上に及ぶ者には退学の処分をすることができる。」となっており、授業料の滞納だけを理由に学ぶ権利の制限ができるとしていることです。
今の経済・雇用状況が厳しいことは言うまでもありませんが、そういう中ですから、授業料の滞納は、親が解雇されたり、勤めていた会社が倒産するなど、親の経済・雇用状況に左右されることが相当ふえています。親の収入が断たれることによって授業料が払えなくなり、高校生が中退せざるを得なくなる。ただでさえ、就職がないのに、高校中退ですと一層難しくなります。いい条件の就職がない。つまり、親の貧困が子どもに連鎖していくことになりますが、この連鎖を断ち切るのが政治の役割であります。ですから、昨年の第2回定例会の代表質問で、第3条第3項を削除するように求めたのですが、その答弁は、
授業料滞納者に対する措置を定めた規定は
受益者負担の趣旨を明確にするものというものであり、要するに、
高校授業料は
受益者負担なのだということになります。
教育を受ける権利は保障されるべきであります。また、教育は、人づくりであると同時に、国づくりの根本であり、教育は、個人の幸せだけでなく、国家の繁栄と発展にも寄与するものでありますから、
受益者負担の考え方はそぐわないものと考えます。もし、今も
教育委員会として
受益者負担の立場に立っているなら、このたびの
授業料無償化が実施されると、
教育委員会としては授業を受ける高校生と受けない人との間に不公平が生じるととらえなくてはならなくなります。
教育委員会は、
高校授業料について、
受益者負担の考え方を改めるべきですがいかがか、伺います。
次に、中学生の
スキー授業の強化についてです。
私は、2007年1定からこの問題を取り上げ続けてまいりました。近年は、スキー場の来場者が大幅に減っていますが、せっかく札幌に暮らしているのですから、
ウインタースポーツに親しみ、冬の寒さと雪を札幌のよさとして満喫し、戸外で冬を楽しむ暮らしを進めるべきだと思います。
学校教育においても、
ウインタースポーツをしっかりと位置づけるべきだと思いますが、
ウインタースポーツ、特に
スキー授業についてどう位置づけているのか、まず明らかにしてください。
◎谷山
学校教育部長 受益者負担についてお答えいたします。
高校の授業料は、学校施設を利用して授業を受ける対価として支払われてきておりまして、その意味では、受益者である生徒が授業料を負担してまいりました。しかしながら、平成22年4月1日以降は、いわゆる
高校授業料無償化法という法律によりまして、受益者である生徒にかわりまして国が負担するという施策に基づきまして受益と負担の新たな制度が構築されるものだと認識しておりまして、これまでの説明と矛盾するものではないと考えているところでございます。(「何言っているのよ」と呼ぶ者あり)
◎西村
指導担当部長 学校教育の中でのウイタンースポーツ、特に
スキー学習の位置づけについて、私からお答え申し上げます。
教育委員会といたしましては、学校における
スキー学習などは、雪に親しみ、
北国ならではの恵まれた冬の自然環境を生かした体験活動であるとともに、冬期間に屋外で体を動かす貴重な機会であると考えており、札幌らしい特色ある学校教育の各学校が共通に取り組む三つのテーマの一つとして、北国札幌らしさを学ぶ雪を位置づけ、
スキー学習の推進について、さまざまな機会をとらえ、各学校に働きかけているところでございます。
◆宮川潤 委員
高校授業料ですが、国会の様子では、無償化が決定しそうであります。
そこで、本市の
高校授業料条例ですが、第3条第3項の滞納者に対して出席停止や退学処分をすることができるという規定は、
授業料無償化のもとでは無意味なものとなり、改正が必要になると思うのですが、どうしようと考えているのか。改正するとすれば、いつ議会に提案しようとお考えなのか、明らかにしてください。
スキー授業についてですが、本市のすべての小学校でスキーの指導が行われております。本市の小学校に通った子どもは、基本的にスキーの経験があるということであり、誇るべき実績だと思います。
ところが、中学校では途端に状況が変わります。中学校でも今から10年くらい前は大半の学校で
スキー授業をしていたのですが、今年度に実施している中学校はおよそ30%程度しかありません。数年前の調査でありますけれども、市立に限らず、市内の高校ということではおよそ60%から70%程度は実施しております。小学校は100%、中学校は30%、高校は60〜70%というゆがんだ状況になっております。ですから、中学校で
スキー授業を復活すると小学校から高校まで多くのところで
スキー授業が行われることになり、中学校で
スキー授業を行うことが特別大きな意味を持ちます。
今後、中学校の
スキー授業の実施について、授業数との関係もあり、学校側の理解も得ながらふやしていくべきでありますけれども、どう考え、どう進めていくのか、伺います。
◎谷山
学校教育部長 高校授業料無償化法案の成立に伴います
札幌市立高等学校授業料等に関する条例の改正についてお答えいたします。
いわゆる
高校授業料無償化法案は、公立高校については授業料を徴収しないものと規定されておりまして、平成22年4月1日から施行されることが予定されております。これに伴う条例の改正時期につきましては、今議会での提案はスケジュール的に困難であると予想されますので、法案成立後の直近の議会に
授業料等条例の改正案を提出する方向で準備を進めております。
また、条例改正の内容といたしましては、市立高校に在学し、授業を受ける者から授業料を徴収する旨の規定や授業料の額を定めた別表の関係箇所の削除など、授業料の徴収を前提とした条文の改正、削除を行うものとなります。
◎西村
指導担当部長 スキー学習の拡大に当たって、中学校との協議についてどう考えるかということでございます。
スキー学習の拡大につきましては、先ほど申しましたとおり、札幌らしい特色ある学校教育の中に位置づけ、
教育方針説明会を初め、さまざまな機会を通して各学校に働きかけてまいりました。また、
スポーツ部や
スキー連盟、
スキー場関係者等々と連携いたしまして、指導者の確保などに努めるとともに、小・中・高等学校の校長や教員による委員会を設置して、
スキー学習の実施に向けた課題の整理や方策の検討を行ってまいりました。このような取り組みを行った結果、ことし2月に実施いたしました調査によりますと、来年度に
スキー学習を実施する中学校が今年度の30校から35校に増加し、そのほかにも実施に向けた検討を行っている学校が12校となるなど、中学校における
スキー学習実施への動きが着実に広がりを見せているというふうに考えております。
また、中学校との連携、協議についてでございますが、今年度は、先ほど申しましたスキーに関する
研究推進委員会を設置いたしまして、具体的な課題の整理、実施の手だてについて校長、
担当教員等と協議を重ねてまいりましたけれども、今後とも、学校の意見や要望を聞きながら、
スキー学習の拡大に向けて、その方策等について検討してまいりたいと考えております。
◆宮川潤 委員 まず、
スキー授業の方でありますが、ふやしていくという方向であります。
私は、その際、
スポーツ部との連携協力が非常に大事になっていくと思います。指導員の派遣など、これまで以上に協力を仰ぐことになりますけれども、この点についてはどうなっているのか、伺いたいと思います。
また、
スキー用具は、費用負担が大変で、保護者の理解も必要であります。そこで、保護者の負担軽減という点ではどのように対策をとるのか、あわせて伺いたいと思います。
次に、
高校授業料条例の方であります。
授業料の徴収を前提としたものを削除ということですから、問題になりました第3条第3項については全面的に削除になるものというふうに考えていいかどうか。
それから、成立時期といいますか、法案成立後、直近の議会ということでありますから、まだ成立していないものを今からいつというふうには言えませんけれども、可能性としては早ければ、第1回臨時会ということもあり得ると考えてよろしいかどうか。
◎西村
指導担当部長 スキー学習についてお答え申し上げます。
まず、
スポーツ部との連携協力についてでございます。
現在、
スポーツ部が中心となり、
教育委員会とともに実施している
市立中学校・
高等学校スキー学習支援事業により、
スキー指導者の派遣を行っているところでございます。今後、中学校における
スキー学習の拡大に伴い、引き続き
スポーツ部と連携しながら
スキー指導者の派遣について拡充を図ってまいりたいと考えております。
次に、
スキー学習に伴う経費の
保護者負担の軽減についてお答え申し上げます。
今年度は、先ほど申しましたスキーに関する
研究推進委員会において支援策等についても検討してまいりましたが、次年度は、
スキーリサイクル事業の開催や
レンタルスキーの活用など、
保護者負担の軽減に向け、
スキー学習モデル校を指定し、実際に検証を進めてまいりたいと考えております。
◎谷山
学校教育部長 委員ご指摘の第3条第3項の削除につきましては、そのように考えております。
それから、直近の議会ですけれども、時期については、先ほど委員のご指摘のとおり、いついつとは言えませんが、一番早い臨時会での提案という形で準備を進めているところでございます。
◆宮川潤 委員 スキーの方は、指導者の派遣も拡充しながら、費用負担のあり方については、
スキー用具は非常に大変でありますから
リサイクルやレンタルなどはぜひ進めていただきたいと思います。
スポーツ用具は、なかなかお金もかかりますし、個人が直接使うものは、学校に一つあればいいというものとは違って、一人一人が用意しなければならないので大変かと思います。しかし、体育の授業で使うものということで考えれば、例えば、跳び箱は学校に用意してあるわけですから、同じように学校で
子どもたちが使うスキーの用意ができないのかということも含めて視野に入れて、今後の
保護者負担については軽減するようないろいろな方法をぜひ検討していっていただきたいということを申し上げておきます。
高校授業料条例ですけれども、これまで求めてきました第3条第3項が削除されるということはいいことですし、当然だというふうに思います。授業料を払わない、払えない
子どもたちが、そのことを理由にして出席停止や退学処分になる、退学処分もわずか2カ月ですから、私は、非常に過酷な条例だったというふうに思います。過酷だったという証明は、本市の対応は、実際は2カ月で中途退学は求めないですというふうに聞いてきましたよ。実際は現場で指導しているのですということは、裏を返せば、いかに過酷な条例かというようなことであります。
しかし、私は、考え方の基本が違うと思います。
高校授業料に
受益者負担の考え方を持ち込んでいるということ自体が矛盾なんです。OECDなどが例えでよく出されますけれども、大半の国は
高校授業料は無償ですし、大学も半分ぐらいの国は無償なんですよ。そういう考え方が世界的には当然になってきています。高校生の中に、現実に親が経済的に大変な状況に追い込まれて授業料が払えなくなっている、そして、滞納を理由に強制的に退学させられたという人でなくても、払えなくなったので自主的にやめていく生徒がたくさんいるんですよ。
子どもの権利条例第10条には、「子どもは、様々な経験を通して豊かに育つことができます。そのためには、主に次に掲げる権利が保障されなければなりません。」として、1番目に「学び、遊び、休息すること。」を挙げています。第28条には、「子ども又はその家族の状況を理由としたあらゆる差別及び不当な不利益を受けないように」するとしています。つまり、学ぶことは、子どもが保障されるべき第1番目のことであり、貧困などの家庭の状況を理由とした差別や不利益、この場合、退学を命じられるということはあってはならないことだと考えます。権利条例の精神を生かすなら、
教育委員会がしなければならないことは、授業料を払えない状況に追い込まれた高校生に対して、
受益者負担の趣旨を明確にして出席停止や退学処分にすることではなくて、やめなくて済むように支援することが
教育委員会の役割ではないですか。
問題の第3条第3項は、国の
授業料無償化があろうとなかろうと、生徒の権利を守り、
教育的見地から削除すべきと思いますけれども、教育長の見解を伺います。
◎北原 教育長 憲法第26条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定しております。そういう意味で、宮川委員がおっしゃることは、教育を受ける権利はすべて子どもに保障されるべきだということはおっしゃるとおりでございます。
ただ、この第26条第2項に、「義務教育は、これを無償とする。」というふうに規定されてございます。したがいまして、義務教育については、本人の負担なしに受けることができることが権利として保障されているわけですけれども、ただ、義務教育以上の教育については、これを無償とするとの規定はこれまでございませんでした。したがいまして、教育を受けている者が応分の負担をするということについては、これまでの我が国の法制度のもとでは維持されてきた考え方でございます。
その考え方に基づいての規定でしたので、このたびの法改正がもし実現したとすれば、その法改正に従って札幌市としての規定を改めようというふうに考えているところでございます。
◆宮川潤 委員 私は、
受益者負担との関係で最初にも質問したのですけれども、改めて伺いたいと思います。
受益者負担だということで前から答弁されていました。つまり、高校で授業を受けることはその子にとっての利益だ、したがって、利益を受けるのだから、その対価もしくは対価の一部を支払うことによって公平性が保たれる、高校で授業を受けていない人との間の公平性が保たれるという考え方ですよね、
受益者負担というのは。もしそうだとしたら、
教育委員会としては――私は、授業料の無償化はいいことだと思っています、
教育委員会としては、無償化になったら、授業を受けている人が対価もしくは対価の一部を支払わないということになりますから、授業を受けていない人との間では不公平が発生することになってしまうのでしょうか。
私は、そうではない、そもそも
受益者負担という考え方が間違いだと思うんです。ですから、今度、高校で授業料の無償化が行われる。だから、
受益者負担という
考え方そのものがやっぱり違うんだと。法律が通ったから
受益者負担そのものが変わってしまうんだということではないでしょう。この点をどういうふうに考えているのですか。
◎北原 教育長 考え方といいますか、観点の違いかというふうに思います。
受益者負担というのは、今、委員がおっしゃったように、義務教育より上の教育を受けている者がその費用について応分の負担を一部していただくということであって、受けていない者に対する公平、不公平という観点があるわけではないというふうに私は考えております。したがいまして、実際に受けている者がその一部を負担するという考え方でこれまでも行われてきておりましたし、少なくとも大学以上の教育については、今後ともそういう形で進められるところであります。
そういうふうに考えますと、そのことによって考え方が根本的に間違っていたということではないのだというふうに私は理解しております。考え方といいますか、観点の違いというふうに私は理解しております。
◆宮川潤 委員 考え方の違いと言って済ませますけれども、
受益者負担のときには、必ず出てきたのがサービスを受ける者と受けない者との間の公平感を図るというのは市役所得意の論理じゃないですか。必ずそう説明してきましたよ。では、今までの説明は違ったということになるのでしょうか。
そもそも私が第3条第3項を削除しろということを求めたときに、
受益者負担のためだから必要なのだと言うこと自体が間違いだったと思うんです。なぜならば、こうやって、これからのように、
高校授業料を無償にしたからといって、受益者から負担をとらないからといって、何も問題は起きないし、不公平になるということもない。だから、私は、最初から
受益者負担なのだという
考え方そのものが無理だった、おかしな考え方だったというふうに思いますよ。だから、今、無償にしても何の矛盾も生じない。最初から
受益者負担なんていうことは通用しないものだったんですよ。そう思いますけれども、聞いてもそうは言わないでしょうから、終わります。
◆
小倉菜穂子 委員 私は、児童生徒の健全育成のための札幌市
教育委員会と
北海道警察本部との連携に関する協定についてと、
男女混合名簿の導入について伺います。
まず、協定について伺っていきたいと思います。
児童生徒の健全育成の名のもとに、多くの自治体が学校と警察の連絡制度、いわゆる子どもの
健全育成サポートシステムを導入していることについてですが、この制度は、犯罪のない安全で安心な
まちづくり条例と同様に、身近な暮らしへの公権力の介入や人権侵害など、さまざまな問題点が指摘されているところです。
市民ネットワークは、2005年の
予算特別委員会においてこの問題を取り上げ、教育現場への過剰な警察権力の介入の懸念や
個人情報保護の観点から子どもの権利侵害につながるおそれがあり、協定の締結については極めて慎重であるべきと訴えてまいりました。その際、
教育委員会は、協定が締結された際、実際に共有される情報が対象事例に該当する児童生徒の実名あるいは事例の概要、交友関係など個人情報にかかわる内容となるため、札幌市の
個人情報保護条例に照らして精査していく必要がある、この
情報連絡制度は、札幌市
個人情報保護審議会の意見を聞いて、公益上、特に必要が認められたときに初めて締結が可能となるものとの見解を示しています。また、当時の教育長から慎重に検討するとの答弁を得ております。
そのような中、この3月に札幌市
教育委員会と
北海道警察本部との間で連携に関する協定が締結されたと聞いております。札幌市においては、昨年4月、子どもの権利条例を制定し、子どもの
権利救済機関を設置するなど、社会全体で子どもの権利を保障する
まちづくりを進める中、子どもにかかわる問題の解決について警察に頼ることに道を開く協定が必要とは思えません。子どもの権利条例を持つ川崎市においても、協定は締結していません。また、北広島市は、
個人情報保護審査会において協定を締結する必要はないとの判断が示され、協定を締結しておりません。
子どもが安心して自分らしく生きていくために必要なことは、学校への警察権力の介入ではなく、教師と児童生徒、保護者の相互の信頼関係を深めることであり、地域社会の温かいまなざしの中で生きる力をつけることです。子どもを取り巻く環境は厳しいものがありますが、これまで以上に学校と保護者、地域が手を携えて、子どもの育ちに寄り添い、ともに問題解決することを基本とすべきです。学校と警察の
情報連絡制度は、子どもの教育や人権にとって極めて重要な問題をはらんでおり、
教育委員会と警察との間で協定を締結することは避けるべきであると考えております。
そこで、なぜ、今、
教育委員会と警察が協定を締結する必要があったのか、伺います。
また、協定の締結については、
個人情報保護審議会の意見を聞くことなしに締結したと聞いておりますが、その理由について伺います。
◎西村
指導担当部長 協定締結の必要性と
個人情報保護審議会に諮問しなかった理由についてお答え申し上げます。
札幌市におきましては、2005年、平成17年当時から、薬物乱用、性被害や児童虐待など、学校と家庭だけでは解決が困難で指導に苦慮することもあり、道警との協定の締結は必要であると考えておりました。しかしながら、一方で、情報連絡については、
個人情報保護の観点から精査する必要があり、これまで慎重に検討してきたところであり、その結果、このたび、札幌市独自の協定を締結したところでございます。
この協定は、子どもの健全育成を目的とした内容であり、札幌市
個人情報保護条例の規定の範囲内で個人情報を取り扱うものとしているため、審議会に諮る必要がないと関係部局との間での確認を経て締結に至ったものでございます。
◆
小倉菜穂子 委員 必要性と理由について、
教育委員会としての説明をいただきました。
子どもが安心して生活できる社会を構築することが求められていることは、言うまでもありません。そのためには、教育の場である学校が安易に警察権力の介入を許すのではなく、私たち大人が子どもの権利についてしっかりと認識し、
子ども自身も自分を大切にすることができるよう、人権教育の実践などを学習する機会の確保が何よりも重要であるというふうに考えています。子どもの権利が保障され、すべての子どもが本来持っている力を発揮できる教育の実践をより一層推進していただくことを強く要望いたしまして、こちらの質問については終わらせていただきます。
次に、
男女混合名簿について伺いたいと思います。
先日、国では、
高校授業料の無償化に関して、朝鮮学校を除外するとしておりますことについては、本当にあってはならないことだというふうに思っております。また、子どもや高齢者等への虐待は後を絶たず、大きな社会問題ともなっています。
1985年に女子差別撤廃条約の批准以降、国や自治体において女性の人権に関する制度的な枠組みが整いつつありますが、こちらが十分に機能するにはさらに時間を要すると思われます。自治体には、さまざまな差別や偏見など、人権侵害の解消に向け取り組むことが強く求められております。そのような中から、今定例会の代表質問において、学校における人権教育の推進や
男女混合名簿の導入を求めてきたところです。(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◆
小倉菜穂子 委員 (続)男女の差別、格差が全くない社会の実現と言うには相当の時間を要するものというふうには思います。そうは言いますものの、昨今、学校の授業参観などにも男性の姿も多く見られますし、育メンという育児を楽しむ男性という言葉も誕生しております。国においても、男性の育児参加等を提唱し、先日は、文京区の区長が育休をとるといったようなことがございました。本当に徐々にではありますけれども、男だから、女だからで決めつけることを是としない社会の流れもあるように思っております。
ですから、現在、私たちが日常生活の中で男女別に名簿管理をしているような場面に遭遇することはほとんどありません。男女別名簿は、小・中学校という非常に限られた場でしか使用されていないというふうに思っております。男女が対等な人として社会の一員であるという意識を育てる大切な時期に男女別名簿を使用することは、人を人として見る以前に男女別で認識する習慣がついてしまいます。そのように考えると、男女別名簿には一層の違和感があります。既に実施率100%という政令市もある中、本市においては小学校で25.6%、中学校では2%にすぎません。
そこで、質問ですが、本市において小・中学校で
男女混合名簿の活用が進んでいない理由をどのように分析されておられるのか、伺います。
◎西村
指導担当部長 男女混合名簿の実施につきましてお答え申し上げます。
名簿につきましては、それまで男女別に記入することとしておりましたが、平成6年に、各学校に対し、出席簿の氏名の記載については学籍業務が適正に行われるよう学校において適宜定めると通知し、
男女混合名簿を取り入れるか否かについては、
教育委員会が一律に定めるものではなく、学校の判断によるものとしております。
したがいまして、各学校におきまして学籍業務を適正に進めることができるよう十分留意して判断した結果として、現在の実施状況になっているものととらえております。
◆
小倉菜穂子 委員 私は代表質問のときにも申し上げましたけれども、
男女混合名簿の有効性をぜひ多くの学校で共有していただきたいというふうに思っています。
混合名簿は、児童生徒に対して男女平等を実践する最も身近な教材であるというふうに考えております。もちろん、健康診断のときなど、男女別が必要な場合には、その都度、分ければ済むことでありまして、常に分けておく必要はないと思っています。教員の方に伺ったところ、コンピューター社会である現在、そうしたデータ化は容易にできると。また、この間、パソコンも教員に1台ずつ準備されるということもありますから、データの整理は以前に比べて格段に楽になっているはずだということでした。
そこで、質問ですが、現在、
男女混合名簿を活用している学校では、何か問題や混乱が起きているのか。また、男女別名簿を使うことによる子どもの最善の利益にもかなう、子どもにとってのメリットはどのようなことがあるのか、お伺いいたします。
◎西村
指導担当部長 男女混合名簿の実施における問題などと、男女別名簿のメリットについてお答え申し上げます。
まず、
男女混合名簿の実施における問題などについてでございますけれども、実施している学校において、問題や混乱が生じているという特段の報告は受けてございません。
2点目の男女別名簿を使うことによる子どもにとってのメリットについてでございますが、健康診断など男女別に実施し、統計処理等を行うものにつきまして業務を効率的、正確に行うことができるなどのメリットはございますけれども、子どもにとっての直接的なメリット自体はないものと考えてございます。
◆
小倉菜穂子 委員 現在、混合名簿を利用しているからといって、学校で何か不都合が生じているということはない。そしてまた、今のご答弁では、子どもにとってこれといったメリットがないということでありますから、なおさら、ぜひ取り入れてほしいなというふうに思っています。(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◆
小倉菜穂子 委員 (続)男女平等教育の推進が本市
教育委員会の方針でもありますし、性にかかわらず、すべての人が平等だということを実感できることが子どもの最善の利益にもつながるはずだというふうに私は思っています。
男女混合名簿が子どもの男女平等教育に有効というふうに判断すれば、各学校に導入を働きかけることもできるのではないかというふうに思います。
先ほども出てきました平成6年に出された出席簿に関する通知といいますか、お知らせのようなものを少し見せていただきましたけれども、その中には、おっしゃるように、どんな名簿を使いなさいといったようなことはありませんが、ぜひ、そういったところにも
男女混合名簿も使えるというようなことを盛り込んでいただくようなことができないのかと思います。また、ほかの自治体では、教員の意見も聞きながら、だれもが導入の意味を共有できるような丁寧な取り組みも行われているというふうに聞いて思います。
そこで、最後にお伺いしますが、このようなことから、本市は、
男女混合名簿の導入に向けてぜひ積極的に取り組むべきというふうに考えますけれどもいかがか、お伺いいたします。
◎西村
指導担当部長 男女混合名簿につきましては、学籍業務を適正に行うことを前提とし、男女平等教育の一層の推進を図る観点から、その指導上の意義も踏まえて、各学校が適切に判断できるよう努めてまいりたいと考えております。
◆
小倉菜穂子 委員 最後に、要望です。
子どもの権利条例に関して、昨年9月に開催されましたシンポジウムの場所で、上田市長が、授業の中で権利教育を行うことももちろん大事だけれども、子どもが日々の生活の中で身につけることがより重要というふうに述べられました。同席されましたユニセフのトロント・ヴォーゲさんという方も、市長のこうした考え方を高く評価されておりました。子どもは、日常の営みの中で、お互いを認め合うことで生まれる信頼関係と自己肯定感をはぐくむことができるのだというふうに考えています。
また、
子どもたちにわかりやすく人権教育を進める方法として、これまでも提案させていただいてきましたが、いわゆるCAPの取り組みがあります。次世代育成の後期プランの中にCAPを盛り込む自治体もあり、より実践的な人権教育のプログラムとして注目されております。
学校における男女平等教育を初めとする人権教育を推進するためには、どんなに小さくても、生かすことのできる仕組みは積極的に導入すべきことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆宮本吉人 委員 私は、先般の新聞報道によると、学力テストの参加率は道内85%という記事が出ておりまして、そのことについて、この機会に札幌市
教育委員会の考え方をきちんととらえていかなければならない、今後においても重要に思っていただきたいという観点から質問したいと思います。
まず、学力テストが行われた時期です。これは突然の質問だから、わかっていれば言ってもらうけれども、わからなければそのころということで結構です。また、それが中止されたのはいつごろか、そして、それが再開したのはたしか3年か4年前と聞いておりますが、それはいつか。
さらに、それに伴って、学力テストを行うことの目的、意義について市
教育委員会はどういうふうに考えているのか。
この二つをとりあえず聞かせてください。
◎西村
指導担当部長 過去に学力テストがあった時期でございます。
突然の質問でございますが、1950年代から1960年代にかけて実施されており、その後、抽出、あるいは形を変えて継続してまいりました。俗に言う学力テストが再開されましたのは、平成19年、3年前のことでございます。
学力テストの意義と目的でございますけれども、この調査は、
教育委員会等がみずからの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることを目的としているものでございます。また、意義については、札幌市として学校教育における施策の充実や学習指導の改善を図る上で意義があるものと考え、過去3回、参加してまいりました。
◆宮本吉人 委員 行われたのは1950年代から60年代ということで、中止になったのはわからないですか。お答えがなかったので、中止の部分をもう一回言ってください。
それから、成果と課題についてですが、いま一度、結果について具体的にどういうことなのか、教えていただきたいと思います。
それから、目的ですが、学力テストを行おうとした目的をもっとわかりやすくもう一回説明してください。
◎西村
指導担当部長 正確な記憶でございませんので、およそのことでお答え申し上げます。
先ほども言いましたように、1950年代から60年代にかけて、悉皆調査、全員を対象とした調査という形で行われておりましたが、その後、形を変えながら抽出であったりしながら継続しておりました。また、教育課程実施状況調査などと名称を変更しながら最近に至っているものというふうに理解してございます。
続きまして、これまで3度実施いたしました学力テストの成果の検証ということでございます。
これまで、全国学テを3回実施いたしまして、札幌市といたしましては、その結果等について、概要でございますけれども、ホームページ上で公表するなどして市民に対してお知らせしているところでございます。また、その結果を詳しく分析、検証いたしまして、それを報告書として各学校に配付するなどして教育施策の成果と課題を把握し、その改善に努めているところでございます。具体的には、
教育委員会としましては、その結果を生かし、改善プランを作成し、リーフレットにして各学校に配付するなどして、学校や教員の指導力向上や指導方法の改善に向けて活用しているところでございます。また、ちょっと具体的になりますけれども、今年度は基礎学力向上委員会というものも立ち上げ、小学校算数などで教員が活用できる学習シートなどを作成し、ホームページに載せ、活用できるようにしたところでもございます。
また、先ほど、意義についてもう少しということでございます。
今、お話ししましたような成果の検証を通しながら児童生徒の学力の向上に向けた取り組みに活用しているところであり、札幌市としての学校教育における教育施策の充実や学習指導の改善を図る上で意義があるものというふうに考えているところでございます。
◆宮本吉人 委員 僕は素人なものだから、今の答弁をなかなかきちっと受けられないのです。私は、これは一般的な考えではないかというふうに思うのですけれども、学力テストというのは、授業を受けた生徒、
子どもたちが、その成果、結果ということで、その授業をどの程度受けとめ、どの程度身につけたかということを判定したいといったことが大目的にあるのではないかと。その裏はと言ったらおかしいですが、少なくとも、子どもが受けたテストの結果で、それぞれの学校における、あるいは、それぞれの地域における学力差や指導の違いがあったら大変だ、だから、そういった部分を評価し、抽出して日ごろの授業に反映させていこうということが大きな目的ではないかというふうに私は受けとめているのですけれども、それが違うというのなら違うと言って答弁をいただければありがたいです。
したがいまして、そういう観点から、新聞報道による学力テストの参加というところを読んでみました。道内は85.6%で、全国平均より高く受けることになっておりまして、抽出校以外はテストを受けない方針の札幌市を除きと書いておりますけれども、85.6%に札幌市が入ったら何%になるのか、大体でいいから出していただければと思います。
それから、今の観点から見ますと、過去の学力テストの平均正答率、要するに正解のことですが、これが全国上位の秋田県や石川県など11県は100%受けるというんですね。最も低いのは愛知県の25.4%、次いで神奈川県の29.9%だったというんです。これを考えてみますと、秋田県や石川県、神奈川県の情報によると、大変すばらしい教育指導というんですか、いろいろな教育の仕方をやっていて、常に学力が高い、生徒は受けている授業を吸収する率が高いと言われている学校なんです。したがって、そういう学校は胸を張って私たちの地域はと、こうやって受けるんですが、全然受けない地域はどうなっているのかということを考えますと、私は甚だ疑問を持っているところでございます。
そんなことで、北海道もかつては低かったそうでありますが、その大きな理由は、要するに、答案用紙の予算や集計や採点する経費が持てないので、それではできないと言って低かったそうであります。しかし、道教委が、学力把握のために継続を希望する学校については採点、集計の経費の約9,600万円を負担いたしますというふうに打ち出したら、何と道内の参加率は98%です。そして、抽出方法ということで部分的に選んだやり方ではすべての子どもの学力を分析できず、個々の学習支援につながらないとして、市町村教委に自主的に参加を呼びかけてきた、その結果、98%になったというのです。
しかし、札幌は抽出方式でいいというふうに言っている。それから、文科省の学力テストが始まった2004年度から約7%の抽出による独自テストを続けているから必要ないのだ、こう言って受けないことにしたんです。
これはどういうことなんですか。もう一度、さっきのものとあわせて答弁ください。
◎西村
指導担当部長 最初は、授業の成果については、さまざまなテストなどによってどのぐらい身についているのかというふうなことを検証するというご質問だったかと思います。
もちろん、日ごろの授業にあっては、日常のテスト、あるいは、授業における教師の見立てといいましょうか、その場にいる教師の指導その他に生かす、その中の一つとして学力テストなども考えられるというふうに思います。そういったことで、子どもはどこがわかっていて、あるいは、どこに課題があるかなどについて日ごろの授業に生かしていくという委員のご指摘はそのとおりであるというふうに思います。
また、札幌の生徒が参加したらどのぐらいになるかということでございます。私どもとしては新聞情報しか承知しておりませんが、札幌市以外にも、一つの市町村でしょうか、市であるか町であるか村であるかはわかりませんけれども、そこが態度を明確にしていないと書いてございましたので、それらを引けば90数%のことなのだろうというふうに思います。
最後の希望利用方式を採用しなかったことについて、あわせてお答え申し上げます。
教育委員会といたしましては、札幌市全体の児童生徒の学習状況を把握し、指導方法等の工夫、改善を図るためには、先ほど委員の指摘もございましたが、平成16年度から実施している独自調査と同様に抽出調査で十分であるというふうに考えてございます。また、希望利用方式については、さまざまな意見があるものの、学校における学習指導において各種テストなどを活用して日常的、継続的に児童生徒の学習状況等を把握し、その都度、きめ細かな指導に生かすことが一人一人の学力や学習意欲の向上を図る上で最も適切であるというふうに考え、
教育委員会として希望利用方式を採用しないことといたしました。
なお、費用負担の問題でございますが、希望利用方式を採用しなかった理由は先ほど申し上げた理由からでございまして、必ずしも費用負担の問題ではございません。
◆宮本吉人 委員 私が言いたいことの一つは、今のお話ですと、生徒、学生が置かれている環境、授業を受けている環境が均一であれば、例えば、同じ一人の先生から全員が聞いていてそこで格差が出るのであれば、これは授業を受ける生徒の問題、能力の違いがあるのはわかります。しかし、現実には、札幌市全体、全国を合わせて、それぞれの地域、それぞれの学校、それぞれの先生で行われているんです。均一じゃないんです。均一でないところの結果が全く平等である、成果も全く同じであるというふうに考えているんですか。私は、そうではないと思います。
現実に、札幌市内においても、地域による差、学校による差、ひいては先生の違いによる差が全くないと考えているのかどうか、お答えください。
◎西村
指導担当部長 教員等の違いということでございますが、当然、年齢構成、経験年数も違います。あるいは、教員といえどもそれぞれの個性がございますから、その特徴に基づく差はあるものというふうに考えております。
なお、その差についてどのように対処するかということも含めてお話し申し上げますと、授業については、共通の土俵でさまざまな研究や切磋琢磨ができるように、授業実践事例などを紙物として学校に配付することもございますし、あるいは、ホームページ上においてそういったものを提供しながら、各学校における授業研究、あるいは教師の指導力の向上を図るよう努めているつもりでございます。
◆宮本吉人 委員 今お答えがありましたように、確かに差がある、それはお認めになったんですね。そこが問題なんです。私は、今の先生すべてが悪いとは言っておりません。人間がやることでありますから、いろいろな違いがあることは認めますし、理解します。しかし、そのことによって、不幸にしてそういう指導の先生や環境などで授業を受けなければならない子どももいます。先ほど子どもの権利条例なんて振り回した人もいますけれども、この人たちはどうするんですか。そういう場面があってはいけないということで、私は、この学力テストの成果において、この地域はちょっと学力が低いぞ、ここの学校はちょっとあれだぞ、あるいは、先生の個人差があるんではないだろうか、こういうことを抽出して今後の教育に反映させていこうということを今おっしゃったんではないですか。
なのに、あなた方はこの差のある現実をどうとらえて抽出方式にするんですか。これは、やはり、全体がそういったテストを受けた結果、地域の差やら学校の差やら、いろいろな問題が抽出され、反映されて判断できるものにつながると思うんですが、いかがですか。
◎西村
指導担当部長 語尾がちょっと聞き取れませんでしたので、違っていたら大変申しわけございません。
先ほど私から申し上げましたのは、教員による差というよりも、私たちの個性とか違いというふうなことを強調して申し上げたつもりでございます。
全国学力テストにおきましては、先ほど申し上げたような札幌市全体としての課題を明らかにし、その改善に努めるとともに、各学校における教育指導上の課題に対する改善を行っていくことが大変大事であるというふうに考えてございます。そうした改善を通して、教員一人一人が互いに切磋琢磨しながら指導力の向上に努めていくことが可能であるというふうに考えており、今後ともこれらの取り組みの一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
◆宮本吉人 委員 何回も言うけれども、先ほど、先生の経験の違いやら年の違いやら、そういうものがあるということは認めたんじゃないですか。経験不足や能力が不足する先生に受けた子どもは不幸な目に遭うんですよ。ですから、言っているんですよ。そういった面を少しでも改善するべきだということで、これをやろうとしているんじゃないですかと。なのに、環境の違いなどがいろいろとあるのに、抽出方式でやってそういうものが正確に判断できるんですか。ここのところをもう一回。
◎西村
指導担当部長 今のご質問に対してお答え申し上げたいというふうに思います。
学力テストによって掌握できるのは、学力の一部の特定の領域でございます。その特定の領域において学力テストを実施しているわけでございますけれども、私どもは、学力というのは、基礎的・基本的な知識、技能ばかりではなくて、興味・関心を持って進んで取り組もうとする意欲や課題を明らかにして情報を活用していく力など、幅広い総合的に学ぶ力であるというふうに考えております。
したがって、こういった力を培っていくためには、先ほど申し上げたような札幌市全体としての課題をきちっと掌握し、札幌市全体としての課題に応じて、共通の、あるいはさまざまな工夫、改善を通して指導していくのが一番よろしいというふうに考えており、札幌市全体の課題を明らかにしていくためには抽出による調査においてその傾向については十分把握できるものというふうに考えているところでございます。
◆宮本吉人 委員 今、おっしゃっていることは、札幌市全体の状況なり何なりを把握したい、その上で対処したいと。抽出方式でどうして全体が掌握できるのですか。私は、やはり、全体をやって初めてそれがとれるんではないでしょうかと言っているんですよ。それで問題点などが抽出されてくるんではないですか。だから、札幌市が抽出方式でやったことはおかしいんじゃないですかということを言っているんです。わかりますか。
だから、全体でやるべきだ。その上で問題点を掌握して……(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)見解の相違どころの騒ぎではありませんよ。俗に言う、偉い人の話じゃありませんけれども、国は乱れても滅びない、しかし、教育が乱れたら国は滅びる。まさに、日本は、戦後、どんどん滅びる方向に向かっていっているんです。
ですから、私は、この辺のところをきちんと踏まえてやるべきだと。この学力テストも、当初の目的や意義があってずっと来たはずなのに、それがいつの間にかぐじゅぐじゅとやり方が変わってきたりなんだりして、とうとう中止になってしまった。しかし、それが必要だということで3年前から文科省が全国実施ということでやったはずなんだ。その目的や意義をしっかりと受けとめれば、何で北海道の中で札幌市だけが抽出方式で十分だなんていうことが言えるんですか。(「繰り返しだよ、これ」と呼ぶ者あり)繰り返しでも、何回でも言わなきゃならんだろう。大事なことだ。
○坂ひろみ 委員長 宮本委員、質疑を続けてください。
◆宮本吉人 委員 (続)だから、そういったことを考えると全体実施でやるべきだ、こうやって言っているんです。それを抽出方式で十分賄えると何回か言いわけがましく出てくるけれども、今言っている見解の相違だけで解決できるか。(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。質問を続けてください。
◆宮本吉人 委員 (続)当然だ。組合に絡まっている連中がいるから、当然、それが出てくるのは当たり前だ。(発言する者あり)日教組、北教組が何をやったか。
○坂ひろみ 委員長 宮本委員、質問に入ってください。
◆宮本吉人 委員 (続)だから、今の部分について、私は全体でやるべきだ。だから、今回、どう考えるのか。今後についてどう考えるのか。(「言っているでしょう、同じこと繰り返すなよ」と呼ぶ者あり)
今後のことを聞いていないべさ。うるさいぞ。
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◆宮本吉人 委員 (続)こういう議員がいるからおかしくなるんだ。
○坂ひろみ 委員長 今の質問でよろしいですか。(「質問じゃないよ、今のなんて」と呼ぶ者あり)
◎西村
指導担当部長 抽出の話と今後につきましてお答え申し上げます。
平成16年当時、私どもの方で独自テストを実施する際に、抽出調査で実施する場合はどのぐらいのパーセンテージを抽出すれば札幌市全体の状況がわかるかということにつきまして、教育統計学の専門の方にも問いまして、そのときいただいた回答としては、札幌市の生徒数の規模であれば全体状況についてはおよそ7%程度でわかるというふうなご返答をいただいたことがございます。
今回の全国学力テストの抽出については、小学校、中学校で若干異なりますけれども、20%強ぐらいの抽出でございますので、これによれば、独自テストの7%に比較いたしますとやや数も多いですから、その上では大は小を兼ねるということでございますので、札幌市全体の状況につきましてはおよそ掌握できるというふうに考えているところでございます。
それから、今後の学力テストについてでございますが、平成23年度、来年度の学力テストの希望利用方式の採用についてお答え申し上げます。
平成22年度、来年度の実施につきましては、抽出調査で参加することといたしまして、希望利用方式を採用しないこととしたところでございますけれども、平成23年度の実施につきましては、今後、文部科学省の方で見直し、検討をしていくことも想定されますことから、改めて、国などの情報を的確に把握するとともに、関係者の意見も参考にしながら総合的に判断してまいりたいと考えているところでございます。
◆宮本吉人 委員 先ほどから何度も言うようですけれども、場所や学校や先生などいろんな違いがあるんです。また、冒頭にも言いましたが、すべてがそんな先生ではありません。立派な先生、頑張っている先生はたくさんいるんです。そんな中に、ブラックボックスのような環境の中で問題になるような先生がいたとするならば、まじめに一生懸命やっている先生のやりがいがなくなるんではないでしょうか。また、そういう状況があるとするならば、抽出方式でそういう状況が掌握されるんでしょうか。私はされないと見ております。
したがいまして、これは、そういった問題点を抽出し、掌握し、そして、子どもに、生徒にきちんとした内容の指導、教育をしていこうという指針にするためなんですから、平均だとか抽出というような状況の中でとらまえられない部分、漏れた部分をどうするのですかと言いたいんです。
ですから、私は、今後においては、文科省がどうあれ、道内全体の方々は、自分たちのやっている教育はどのような成果があるのか、どのようなところに問題があるのか、今後どうしたらいいのかということの指針にするために受けたいと言って90何%まで手を挙げたんですよ。札幌市は、それを今後の国の動向を見てなんて言ったら、まだ全然前向きにやろうとしていない。私は、そこに札幌市
教育委員会として問題があるというふうに言っているんです。全国平均から見れば北海道は低いと言われています。札幌市は道内の平均から見れば若干高いようですが、それだからといって安心はできません。
ですから、常にそういったところを掌握するためには、正確な情報とか正確な結果を反映させるためには全校実施をやらなければ出てこない、こういうふうに確信を持っております。先ほどお聞きしましたら、ことしは4月実施という形ですから、今から手を挙げなさいと言われても間に合わないという答えがありました。ですから、来年度は、国の状況はどうであろうとも、札幌市の
子どもたちの将来のために全校実施を目指していくという覚悟を持っていただきたいことをここで強く要望いたしまして、終わります。
◆宝本英明 委員 私からは、学校用務員の定数削減についてと、第2次図書館ビジョンについての2点について伺いたいと思います。
まず、1点目は、学校用務員の定数削減について伺います。
現在、学校用務員は、学校校務員、管理作業員など地域によってさまざまな呼び方があるようです。私の子どもは、用務員さんと呼んでおりました。用務員さんと呼ばれて親しみを持って呼ばれることが多いと思いますが、その学校用務員の業務は非常に多岐にわたっております。具体的には、校舎内外の巡視や清掃、軽易な整備や修繕作業といった日常業務のほか、校舎や体育館の床のワックス塗りなどの定期的なメンテナンス業務、そして草刈りや雪囲い、除雪といったように季節ごとに必要な管理業務も担っております。また、入学式、運動会、学習発表会、学校祭、卒業式などさまざまな行事の裏方として活躍されており、用務員は、校内の施設を熟知する職員として大変必要な存在であると言えます。さらに、花壇や菜園の手入れ、ニワトリやウサギなどの生き物のお世話、ごみの分別指導などを通じて児童生徒などのかかわり合いが深く、このような用務員とのかかわりは
子どもたちにとっても学校生活の中で大変よい経験になると考えております。
そういった中で、このように重要な役割を担っております用務員の定数が年々減ってきております。来年度の職員定数を見ますと、用務員の定数は、現在の613人から59人減の554人になるとのことであります。来年度からは、新たに、54の小・中学校においてこれまでの用務員2人体制が1人体制になるとのことであります。
そこで、質問でありますが、用務員の定数削減はどのような理由によるものであるのか、またあわせて、
教育委員会として、今後も用務員定数を削減し続ける考えなのか、伺いたいと思います。
◎内藤 生涯学習部長 用務員に関するご質問にお答えいたします。
1点目の定数減の理由についてでございます。
昨今の本市の厳しい財政状況にかんがみまして、行財政改革における札幌市全体の定数管理の中で、より効率的な用務員業務の執行体制を築いていく必要があることから行ったものでございます。具体的には、退職等により減少いたします職員数に合わせまして、2人配置となっている小・中学校の中から規模の小さい順に1人廃止とするものでございます。
2点目の今後でございますけれども、当面、今回のような形で対応していきたいと考えております。
◆宝本英明 委員 当面は、退職を補充しない形で対応していくということだったと思います。
現在でも、用務員が1人配置となっている小・中学校は30校あると聞いております。そこでは、1人で用務員業務を完遂できてきているのだと思います。しかしながら、来年度に1人配置となる54の小・中学校については、今年度まで2人で業務を行っている状況であると思います。昔から比べると、用務員の業務内容自体も学校施設の近代化、
子どもたちを取り巻く環境の変化などによって大きくさま変わりしているものと思いますが、そのような学校が用務員が1人になっても大丈夫なのでしょうか。将来の用務員の体制に対する考え方とあわせて伺いたいと思います。
◎内藤 生涯学習部長 1点目の1人配置となっても大丈夫なのかという点についてでございます。
用務員が1人配置となりましても学校運営に支障を来すことがないよう、予算と業務支援という二つの面からサポートすることを考えております。まず、予算面でありますが、減となる1人分の用務員の業務を補完するため、草刈り、除雪といった委託料など必要となる予算を1人配置となる学校に対して配分することを考えております。また、業務支援でございますが、1人配置となる学校に対しまして、必要に応じて2人配置の学校から一時的に用務員を派遣することができる仕組みを検討しております。この仕組みにつきましては、用務員なども加わったワーキンググループを設置いたしまして、学校現場の声も聞きながら協議を重ねているところでございます。これらによりまして、1人配置の学校の用務員業務をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
次に、2点目の将来の用務員の体制についてでございます。
用務員の仕事は、言うまでもなく、学校運営にとって重要であると認識しております。今後の学校をめぐる環境や社会情勢の変化などを勘案しつつ、先ほど申し上げました用務員が参加するワーキンググループなども活用いたしながら、さまざまな観点から検討を進めてまいりたい、このように考えております。
◆宝本英明 委員 今後の定数配置の検討に当たっては学校施設の維持管理面のみならず、児童生徒の情操教育の面などにおいても用務員が大きな役割を果たしているという点を考慮に入れ、現場の実情に配慮した適切な体制整備を検討していっていただくことを要望して、1点目の質問を終わりたいと思います。
次に、第2次図書館ビジョンについて伺いたいと思います。
昨年の第4回定例市議会の代表質問において、私は、知の基盤として、効率的で質の高い図書館サービスの実現に向けて、より多くの市民の意見やアイデアが反映された第2次図書館ビジョンを早急に策定すべきであると申し上げさせていただきました。このたびの平成22年度予算に当該ビジョンの策定費が計上されたことは、まことに時宜を得た措置であると評価するところであります。まだ策定費が計上された段階ですので、第2次図書館ビジョンがどのような内容になるかは、これから市民の皆様からさまざまな議論をちょうだいしていく中で形になっていくだろうと思います。今回の質問は、現時点における
教育委員会のお考えなどを聞いていきたいと思っております。
第2次図書館ビジョンにはどういった内容が盛り込まれる必要があるかと考えたときに、ビジョンでありますから、図書館のあるべき役割が盛り込まれなければならないと思います。私は、さまざまな考えられる役割の中で、特に地域の課題解決を支える役割は極めて重要であると考えております。多様化する市民活動を後押しするために、図書館は、読書等を通じて個々人の知的好奇心を満たすだけではなく、図書館という場を活用して多くの市民が
まちづくりに参加するための情報を入手し、また発信できるよう、高齢者や障がい者、青少年などが利用、参加しやすいことも念頭に置いた多様な取り組みの実施が求められているのではないかと思います。さらには、本年は、国民読書年ですので、本年を契機に市民の読書活動がますます広がり、市民が図書館を大いに利用し、人生を豊かなものにしていければと考えております。
また、図書ビジョンには、現状において、図書館が抱えている各種課題の解決策を盛り込んでいくことも必要だと考えております。具体的に申し上げますと、例えば、駐車場の問題があります。過去においては、駐車場の混雑に起因して路上駐車が多発し、周辺住民の申し入れを受けて、スペースの拡充や利用時間の制限を行ってきたと承知しておりますが、現在においても日によっては大変混雑していると聞いております。また、図書館内の案内表示についても、高齢者や障がい者に十分配慮されているとは言いがたく、ホームページや展示、講座の充実などのソフト面の課題も含め、現在の図書館は早急に取り組んでいくべき課題を有していると言わざるを得ません。願わくば、これらの課題については、第2次ビジョンの策定を待つのではなく、来年度から先行的に取り組みながら第2次ビジョンの策定につなげていくといったスピード感のある進め方が必要であると思います。
そこで、質問でありますが、第2次図書館ビジョンの策定に向け、現時点でどのような図書館を目指したいと考えておられるのか、あわせて、図書館が抱える現状の課題への対応策としてはどのような方法を検討しているのか、伺いたいと思います。
◎塩澤 中央図書館長 1点目の目指すべき図書館像についてお答えいたします。
これからの図書館には、広く市民の課題解決に資する情報提供機能の充実や、あらゆる人が快適に利用できるユニバーサル化が求められるものと認識しております。こうした観点から、まず、元気で活力ある図書館を目標に情報提供機能を強化するため、大学等研究機関との連携を推進するなど、知的資源のネットワーク化を図ってまいりたいと考えております。また、委員のお話にございましたように、高齢者や障がい者が利用しやすい図書館を目標に専門家の協力を得る仕組みづくりや先進的な事例の調査を行い、サービスや施設のユニバーサル化を進めてまいりたいと考えております。
次に、2点目のスピード感のある先行的な取り組みについてでございますが、四つの項目を考えております。
一つ目として、大学等との連携協力の推進でございます。来年度から、酪農大学や市立大学等と連携した講演会や展示等の事業を行うこととしております。また、各大学を退官された名誉教授から成る学術グループと共同でサイエンス・コンソーシアム札幌という組織を構築いたしまして、毎月、科学講座を開催する準備を進めております。
二つ目として、障がい者、高齢者支援でございます。図書館に来館することが困難な方々への図書資料等の貸し出しについては、今年度から郵送に加えまして宅配便の併用を試行的に実施しておりまして、今後も支援の拡充に努めてまいりたいと考えております。
三つ目として、図書館の情報サービスの充実でございます。今年度は、インターネット上に公開している古書、古地図等を拡充するとともに、全国からの検索を容易にいたしました。来年度においては、雑誌や新聞の目録を迅速に検索できるようデータベースの再整備を実施する予定でございます。
四つ目として、委員からもご指摘のありましたさまざまな課題でございます。まず、ホームページにつきましては、来年度はより楽しくわかりやすいものへ刷新いたします。また、駐車場や案内表示につきましては、アンケート調査等により来館者の声を十分把握するとともに、専門家の意見を参考に今後の対応を考えてまいりたいと考えております。
◆宝本英明 委員 図書館の将来について、市民も大変期待をしているところだと思います。図書館が札幌市民すべての知の基盤として地域社会に根づき、さらに大きく広げていくためには、市民自治基本条例の趣旨を踏まえ、第2次図書館ビジョンについては、多くの市民の参画によりまちを挙げての計画としていく必要があると思います。そして、計画だけに終わらず、その実効性はしっかりと担保していかなければならないと思います。
そこで、質問ですが、第2次図書館ビジョンを策定するに当たり、市民の参画についてはどう考えているのか、あわせて、ビジョンの実効性を担保する方策についてお聞きしたいと思います。
◎塩澤 中央図書館長 1点目の策定に当たっての市民の参画についてお答えいたします。
第2次図書館ビジョンの策定に当たっては、公募委員を含む図書館協議会での議論はもとより、意識調査の実施や懇談会の開催など、さまざまな形で市民の参画を図ってまいりたいと考えております。
2点目のビジョンの実効性を担保する方策についてであります。
ビジョンを計画的に進め、着実に実施していくためには、適切な評価と検証が不可欠であると認識しております。今後、どのような評価の手法がふさわしいのか、ビジョン策定にあわせて検討してまいりたいと考えております。
◆宝本英明 委員 多くの市民が計画づくりに参画できる実効性を担保できる仕組みをぜひ実現していっていただきたいと思います。また、そうすることによって、初めて元気で優しい図書館に、プラス、みんなの図書館といったまちの風土ができ上がっていくものと信じているところであります。図書館が市民の心のふるさと、オアシスになりますようますます努力していただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。
◆佐々木みつこ 委員 私からは、私立幼稚園にかかわる助成について質問させていただきます。
札幌市の私立幼稚園には、市内の幼稚園児の95%が通園しており、幼児教育の主体を担っています。私立幼稚園が果たす役割は大変大きく、幼児教育の質的向上には私立幼稚園に対する支援が不可欠であり、また、本市の経済状況の厳しい中をかんがみますと、
保護者負担の軽減についても配慮する必要があります。
平成22年度予算を見ますと、私立幼稚園に対する助成として、特別支援教育事業費補助金5,407万2,000円が新設されている一方、従来の教材教具等整備費補助金は1億5,890万円から1億3,300万円となり、2,590万円の減額となっています。また、国基準を上回る所得層の保護者に対する助成として、平成21年度予算で2,459万4,000円が計上されていましたEランクの私立幼稚園振興費補助金は廃止となっています。
我々自民党会派は、私学振興のための議員連盟も組織して、毎年、私立幼稚園連合会とともに、私立幼稚園PTA連合会と、平成7年からの15年間、8万人以上の署名を提出し、私学助成の充実を要望しているところです。しかし、今回の予算を見ますと、特別支援教育にかかわる補助制度を新設している一方で、教材教具補助金と保護者への補助金につきましては、増額を要望している中での減額または廃止であり、大変遺憾であります。
そこで、1点目の質問ですが、私立幼稚園に対して、従来の教材教具等整備費補助金を削減し、特別支援教育にかかわる補助制度を新設した考え方についてお伺いします。
また、昨今の厳しい経済状況の中、保護者に対する助成である振興費補助金を廃止した理由について伺います。
◎谷山
学校教育部長 1点目の今回の私立幼稚園に対する補助制度の変更についての考え方でございます。
従来の教材教具等整備費補助金につきましては、平成16年12月に策定されました財政構造改革プラン、及び、その後、平成19年12月に策定されました行財政改革プランで見直しが示されておりました。平成22年度は、行財政改革プランの最終年度でありまして、札幌市の大変厳しい財政状況を踏まえまして、今回、やむを得ず見直しを行うこととなったものであります。
また、特別支援教育にかかわる補助制度についてでありますが、市立幼稚園の一部閉園に伴いまして、私立幼稚園において特別な教育的支援を必要とする幼児のより一層の受け入れを促進することとあわせまして、教育内容の充実が図られるよう、新たに補助制度を設けたところでございます。
次に、2点目の保護者に対する振興費補助金を廃止した理由についてでございます。
本補助金につきましても、行財政改革プランにおいて、国の基準を上回る所得階層の助成であるため廃止することと見直しが示されておりました。平成22年度からの所得制限のない子ども手当の創設を踏まえまして、国の就園奨励費補助については所得に応じた給付の重点化の観点から補助単価が見直されたこともありまして、札幌市として振興費補助金を廃止することといたしましたが、保護者に対する補助金額全体としては増額となっているところでございます。
◆佐々木みつこ 委員 今回、削減または廃止となった補助金につきましては、行財政改革プランに基づき、やむなく見直しとのご答弁でした。札幌市の財政が大変厳しい状況であることは理解しておりますが、札幌市における私立幼稚園が果たしている重要な役割を考えると、厳しい財政状況とはいえ、札幌市全体の予算の中でめり張りをつけて何とか維持できなかったかと思います。
冒頭で申し上げましたとおり、現在、私立幼稚園には95%の幼稚園児が通っています。しかしながら、平成17年12月に、幼児教育振興計画を策定し、市立幼稚園の各区1園化の考え方が示され、20年2月には、幼児教育振興を図る新たな仕組みづくりの中で具体的な閉園対象園やスケジュールが示され、市立は今後7園の閉園が予定されています。市立幼稚園の閉園により、今後ますます私立幼稚園の担う役割が大きくなることは必至です。とりわけ、特別な教育的支援を必要とする幼児の受け入れ促進のための体制整備は喫緊の課題と考え、このための補助制度を新設したことは一定の評価ができます。
しかしながら、私立幼稚園としましては、市立幼稚園の閉園に伴い増大する役割に応じた札幌市の負担を当然求めるわけであり、市立幼稚園の閉園に伴う財政効果も当然発生するので、今回、新設した補助制度につきましても金額が不十分ではないかと考えます。また、保護者に対する補助についても、札幌市独自の補助がなくなってしまい、平成22年度から国の基準どおりの補助のみになってしまいます。
そこで、2点目の質問ですが、現在、市立幼稚園での特別支援教育の体制についてどのようになっているのか、お伺いします。
次に、このたびの22年度予算における私立幼稚園への特別支援教育事業費補助金の約5,400万円の算出根拠についてお伺いするとともに、さらには、この補助金金額で特別な教育的支援が必要な幼児の受け入れが十分に進むとお考えか、お伺いします。
また、保護者に対する助成の振興費補助金について、ほかの政令指定都市においては国の基準に上乗せ、または横出しで市単独の補助を行っている都市がどの程度あるのか、お伺いします。
◎谷山
学校教育部長 1点目の市立幼稚園の特別支援教育に関する体制についてでございます。
現在、市立幼稚園では、特別な教育的支援を必要とする幼児が入園した場合、通常学級の担任のほかに支援が必要な幼児4人に1人の教員を配置しておりまして、平成21年5月1日現在では66人の担当教員を配置しているところでございます。
2点目の特別支援教育の補助金額の根拠についてでございます。
支援が必要な幼児の指導に携わる教員の人件費の一部を補助するものであり、年間の保育時間をもとに、札幌市の類似職種の賃金基準などを勘案しまして、1園当たり約90万円としたところでございます。
3点目の特別支援教育の補助制度についてでございます。
この制度は、特別な教育的支援が必要な幼児の支援に携わる教員の人件費の一部を補助するだけでなく、対象となる教員に対して幼児教育センターが研修を行ったり、訪問支援や個別の指導計画作成のサポートをしたりといったソフト面でのさまざまな取り組みもあわせて特別支援教育の充実を図るものとしております。特別な教育的支援を要する幼児の一層の就園の促進や特別支援教育の充実につながるよう、私立幼稚園のご意見もいただきながら、制度全体の効果の検証をしてよりよいものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
4点目の政令指定都市におけます就園奨励費補助金への補助単価の上乗せ、あるいは、国の基準を上回る所得階層への補助の実施状況であります。
平成21年度では、札幌市を除く17市のうち、どちらも実施しているのが4市、国の基準を上回る所得階層への補助を実施しているものが6市、就園奨励費とは別の補助制度があるものが5市、いずれも実施していないものが2市となっております。
◆佐々木みつこ 委員 ただいまご答弁いただきましたとおり、ほかの政令都市では何らかの上乗せ、横出しなど、厳しい予算の中、それぞれ工夫して幼児教育のために努力されています。17政令都市中、実に15の政令都市が何らかの手当をしているところであり、本市はその補助予算額でも最低の部類に当たります。子どもを産み、育てやすくすることを市政の方針としている本市として、この状況はいかがなものかと考えます。ソフト面でのサポートは当然必要ですが、補助金につきましても今後十分に配慮していただきたいと思います。
ただいまのご答弁での支援費は、市立では4人に1人、私立では何人いても1人分人件費に当たる年90万円の補助のみということです。例えば、昨年の新聞によりますと、私立の中の島幼稚園では43人の支援を必要とする子どもを受け入れていただいていますが、さらに市立幼稚園からの受け入れ分がふえる可能性があると50人になる可能性もあります。それでも、ここも私立ということですので、年90万円、1人分の補助金のみとなります。先ほどの市立の基準で言う4人に1人という計算では、10人分に当たりますので、年900万円もしくは1,000万円に当たるのではないでしょうか。実に10倍ほどの市立と私立の格差がそこにはあるのではないでしょうか。
私は、支援費について、例えば市立で900万円なら私立でも900万円であるべきであり、公立、私立を問わず適切な保育を進めていくための支援は同額であるべきではないかと考えます。支援の必要な子どもの受け入れ体制を整備したくても、補助金の不足からちゅうちょする幼稚園が出ては、保護者の方や平等な教育提供という視点からも問題です。
また、今回、減額される教材費については、単に減額が問題であるとともに、95%の幼児教育を担っている私立幼稚園の運営にも支障を来す懸念があります。札幌市私立幼稚園連合会は、市立幼稚園減園の受け皿としての役割を理解し、会員相互の平等性をもとに結束して本市の幼児教育を支えてくれていますが、その組織の運営でも、今回、特別支援を受け入れる幼稚園は補助金がつきますが、受け入れられない幼稚園はただ減額になるという不均衡が生まれる本予算は組織結束力に支障を来しかねず、結果、本市の幼児教育の体系が厳しい状況にもなりかねないのではないかと危惧するところであります。現在は、市立幼稚園の閉園に向けた過渡期であり、私立幼稚園が教員確保など十分な受け入れ体制を整えるためには、それ相応の過渡期としての財政支援が不可欠と考えます。そのため、さらに幼稚園に対する助成の削減があるようであれば言語道断であり、今後も補助制度の充実に向けた取り組みが必要です。
また、他都市に比べて、札幌市の私立幼稚園にかかわる予算については、政令指定都市の中で1園当たりも園児1人当たりも両方とも17位と最低クラスであり、園児1人当たりの補助額予算の第1位である福岡市の7万3,000円に比べまして、札幌市は9,000円とその補助額についても大きく差があります。ちなみに、福岡市は、私立幼稚園数は119と本市とほぼ同じくらいの数がありますし、福岡市は1園当たりでも政令都市中第3位で、1園当たり1,186万円の予算に対し、札幌市は162万円と、1,000万円以上の開きがあります。
札幌市の私立幼稚園は、現状でも大変厳しい状況に置かれていますが、今後の市立幼稚園の閉園に伴い、私立幼稚園及び保護者のさらなる負担増になってしまう懸念があります。
そこで、教育長にお伺いします。
今後の私立幼稚園に対する補助制度及び保護者に対する補助制度についてどのようにお考えか、お伺いします。
◎北原 教育長 私立幼稚園に対する補助についてでありますが、委員ご指摘のように、札幌市の幼稚園児の95%以上を受け入れていただいている私立幼稚園は、札幌市の幼児教育の主体を担っていただいているというふうに考えておりまして、その役割の重要性については十分認識しているところでございます。
その中で、厳しい財政状況ではありますけれども、予算の確保についてできる限りの努力をするとともに、就園の一層の促進や幼児教育全体の質的向上につながるような、より効果的な補助制度の再構築に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
◆佐々木みつこ 委員 最近は、社会全体が保育所に目が行ってしまっており、札幌市の予算を見ましても保育所に対して大変手厚くなっていると思います。しかしながら、保育所の入所児童数よりも私立幼稚園に通う幼児数の方が圧倒的に多く、幼児教育を広い視野で考えた場合、幼稚園が果たす役割は非常に大きいと考えます。その中で、私は、保育所と幼稚園の補助格差について注目しています。
ここで、子ども未来局にお越しいただいておりますので、申しわけございませんが、堂前子育て支援部長に参考情報としてお伺いいたします。
質問ですが、札幌市の保育所における障がい幼児の就園促進による児童福祉促進のために、札幌市障がい児保育事業費補助について、どのように補助しているのか。また、その目的、予算算出根拠をお伺いいたします。
◎堂前 子ども未来局子育て支援部長 障がい児保育事業費補助金についてお答えいたします。
まず、この補助金の目的でございますが、心身に障がいを有する児童を他の児童とともに集団保育をすることにより、障がい児の成長・発達を促進するとともに、児童の福祉の増進を図るためのものでございまして、障がい児保育事業を実施する保育所に対しまして経費の一部を補助しているものでございます。また、この補助金は、障がい児を保育するための保育士の人件費等、障がい児保育事業に要する経費に充てることとしており、その補助額につきましては、障がいの程度が重度の場合は児童1人当たり月額8万3,870円、障がいの程度が中度及び軽度の場合は児童1人当たり月額7万3,200円としております。
なお、平成22年度予算案では、重度の児童17名、中度及び軽度の児童133名の受け入れを想定いたしまして、予算総額はおよそ1億3,300万円でご提案させていただいているところでございます。
◆佐々木みつこ 委員 ただいまのご答弁、ありがとうございます。
このご答弁にありましたとおり、保育所であれば、程度によって差があるものの、支援の必要な子ども1人当たりは年で計算すると大体85万円ぐらいの補助となっており、3人受け入れれば260万円程度の予算がつくことになります。現在の対象者は大体200人で1億4,000万円弱の補助という現状です。
現在、市立幼稚園の特別支援の受け入れは220人くらいと聞いております。また、私立幼稚園で受け入れている特別支援の園児数は500名ほどになります。これが、市立分の受け入れでさらに180人ほどふえるのではないかと考えます。現場での体制は、700名規模となっており、確保は大変なものがありますし、その中で保護者の方も不安を感じるのではないでしょうか。保育所にいようと、幼稚園にいようと、同じ札幌市の大事な子どもです。
そこで、市長にお伺いします。
私は、このような状態では、本市は、幼稚園と保育所との予算の考え方のバランスがとれておらず、幼稚園に対して非常に厳しい助成状況と考えます。今は、札幌市は、幼児教育センターを中心に、市立幼稚園を各区1園化し、私立とともに幼児教育の振興を図っていこうとしているところであります。そのため、市立幼稚園の各区1園化による財政削減効果が当然あるわけでもありますし、保育所に対する予算とのバランスもあるので、ぜひとも私立幼稚園の助成を充実し、札幌市全体の幼児教育の振興につなげていただけないものかと考えます。
厳しい財政状況の中ではありますが、未来を担う札幌の
子どもたちのために、何とかやりくりをしてもっと私立幼稚園に手厚い助成を据えるべきだと考えますが、いかがか。
また、子どもの権利を大切にする市長には、公と私、そして幼稚園と保育所の差別とも思える予算バランスをどうお考えになるのか。子どもを産み育てやすい札幌市を目標に掲げる上田市長はこのような状況をどうお考えか、市長のご見解をお伺いし、私の質問を終わります。
◎上田 市長 お気持ち、それから、親御さんの立場から言いまして、子を持つ親が保育所に預ける状況にあるご家庭と、幼稚園を選択されるご家庭がある中で、子どもの立場から言えば、当然のことながら、手厚い教育、保育を受けられる状況をつくっていくことが私たちの責任だろうというふうに思います。ただ、ご承知のように、学校教育法上の幼稚園と児童福祉法上の市町村の責務とされている保育所では、その補助の主体も、幼稚園の場合は第一義的には国、道であり、保育所の第一義的な主体は市町村になりまして、そういうこととの兼ね合いでそれぞれ違う補助対象で行われている中で、単純に同一にというわけにもいかないのが現状かというふうに思います。
しかしながら、ご提案させていただいております22年度の幼児教育に対する私立幼稚園の補助の項目は、先ほど来ご説明申し上げて、ご理解いただいたというふうに思いますけれども、特別支援の子について私立の方に新しく補助金を設けさせていただくことと、教材教具の整備補助金が5%ぐらいカットされております。これは、平成16年度との比較において幼児数が約5.3%減少しているということの兼ね合いでそのような計画を立て、提案させていただいているところでございます。全体で差し引きいたしますと、私立幼稚園に対する補助金はそれなりにふえているとご理解をいただけるのではないかと思っております。
しかしながら、それで十分だというふうには、到底、考えているわけではございません。札幌市の子どもを大事にしたいという思いをどのように実現していくかというためには、持続可能な財政支援体制を考慮しながら、全体の予算のバランスの中で考慮していかなければならない。そういう中で、もちろん、佐々木委員がご指摘のように、子どもを大事にする札幌市と言えるようなところに近づけるため、今後ともできるだけ努力をさせていただきたいということはお誓い申し上げたい、このように考えているところでございます。
◆福田浩太郎 委員 私からは、引きこもり、ニート対策についてお伺いしたいと思います。
引きこもりは、1990年代の終わりころから若者の問題状況として関心が高まってまいりました。その当時の担い手は、不登校の居場所づくりを進めてきました当事者団体や民間の支援団体でありました。2003年には、厚生労働省の引きこもりガイドラインの通知が出されて、行政も取り組む課題となり、精神疾患のない引きこもりも保健所などの精神保健の対象とされ、専門的相談窓口が開かれ、家族支援や民間の支援団体との連携などが試みられてまいりました。
また一方で、1990年代の後半から若年者雇用問題が緊急の課題として浮上してきますと、学校教育や職業訓練を受けていない若年無業者はニートと呼ばれ、ニート支援が政策課題になってまいりました。2003年の若者自立挑戦プラン以後、就労支援機関としてジョブカフェ、学習型訓練施設の若者自立塾、総合支援窓口の地域若者ステーションなどが開設されてまいりました。
引きこもりやフリーター、ニートなどをめぐる困難は、新卒一括採用や終身雇用が崩れたことを示すものであり、これまでのように右肩上がりの経済成長が見込めず、人口減少社会に直面する私どもにとって、若者の社会的自立への支援は大きな転換点に来ているというふうに認識しております。平成20年12月に、国において新しい青少年育成施策大綱が取りまとめられ、重点課題として引きこもりなどの困難を抱える青少年の成長を支援するための総合的な取り組みを定めたところであります。さらに、平成21年4月に、引きこもり問題、ニート問題に主眼を置きました子ども・若者育成支援推進法が成立いたしました。このような流れの中、札幌市においても、札幌市青年施策のあり方検討委員会により答申が出され、昨年4月に、若者支援基本構想が策定されたところであります。
我が会派としましても、今後、多くの若者が社会的、職業的に自立できない状態にあることは、当事者とその家族に対して大変な問題であるとともに、札幌市の将来にとっても労働力の減少や社会的負担の増大につながることも懸念される重要な課題であるととらえ、先月、札幌市における引きこもり対策の推進に関する調査研究をまとめ、先週12日に上田市長に申し入れを行ったところであります。
そこで、確認の意味を込めて、何点か質問させていただきたいと思います。
この4月には、若者支援総合センターが開設され、引きこもり、ニート支援を行うということでありますが、具体的にどのような事業を行うのか、お伺いいたします。
◎内藤 生涯学習部長 若者支援総合センターが行う事業についてお答え申し上げます。
若者支援総合センターには、主に30代までの若者のための総合相談窓口を設置いたしまして、引きこもりやニートなど、社会生活を円滑に営む上で困難を抱えた若者の自立や社会復帰を支援することとしております。総合相談では、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士など専門の相談員が相談者本人と話し合いをしながら、センター独自の支援プログラムの実施や他の専門機関の活用など、まずは自立までの行動計画を立てることから支援を始めることとしております。
センター独自の支援プログラムといたしましては、生活習慣と社会性を身につけるためのグループ炊事や軽い運動、あるいは、就職に向けた第一歩を踏み出すための仕事体験、就職活動の準備セミナーなどを実施する予定でございます。センターでの事業の実施に当たりましては、保健福祉機関や就労支援機関など、若者に対する支援を実施している専門機関と連携いたしまして、必要に応じてそれら専門機関の事業と並行した支援も行ってまいりたいと考えております。
◆福田浩太郎 委員 総合支援センターの事業については理解いたしました。
続いて、質問したいと思いますが、家族に対する支援についてお伺いしたいと思います。
家族の対応は引きこもりの方などに強く影響を与えておりまして、家族に理解をされずに苦悩し続けるケースもあるというふうに聞いております。また、引きこもり問題などの長期化が言われておりまして、そのことが、家族と本人に対し、高年齢化や経済的負担など大きな不安を増加させているというふうに思っております。
しかし、引きこもり者とニートの若者は、そもそも家から出ないことが問題となっていることが多く、若者本人が若者支援総合センターでの相談にたどり着かないケースも多いと考えております。
そこで、若者の家族に働きかけることが重要と考えますが、若者支援総合センターでは家族に対する支援を行う予定はないのか、お伺いをいたします。
続いて、二つ目の質問に移らせていただきます。
引きこもり者への支援は、教育、福祉等のさまざまな現場でさまざまな形態で行われておりますが、どの現場でも社会的自立まで単独で支援をするには限界を感じていることと思います。現在では、複数の機関とのネットワークを結んで社会的自立への取り組みが行われつつあります。特に、今後は、総合センターだけで行うことは限られているために、民間団体との連携は重要になると考えております。折しも、子ども・若者育成支援推進法が4月から施行され、市町村に子ども・若者支援地域協議会を設置する努力義務が課せられましたが、札幌市として協議会を設置する考えはないのか、改めてお伺いいたします。
◎内藤 生涯学習部長 1点目の家族に対する支援についてでございます。
委員ご指摘のとおり、家から出られない若者に対しましては、家族に働きかけることが重要であると考えております。そこで、若者支援総合センターの相談窓口では、来所が困難な若者を間接的に支援するため、家族からの相談にも応じる予定でございます。また、困難を抱えた若者の親などによる家族の会を設けるなど、家族が総合センターを利用するきっかけとなる事業を実施したいと考えております。あわせて、これらの事業が若者の家族や関係者にも広く伝わるように、専門家を迎えての家族向けセミナーの開催や、中学校、高校へのリーフレットやポスターなどの配布を通じまして事業の周知を図っていきたいと考えているところでございます。
2点目の子ども・若者支援地域協議会の設置についてでございます。
子ども・若者支援地域協議会は、就学及び就業のいずれもしておらず、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども、若者を支援するために、関係機関が連携して支援を行うために設置する会議でございます。支援の対象となる若者は、さまざまな要因により引きこもり、ニートといった状況になると考えられますことから、子ども、若者を支援する専門機関同士の連携は非常に重要なものと考えております。
そこで、協議会の設置に向けまして、現在、庁内の関係部局、あるいは国、道の機関、また民間機関と調整を図っているところでございます。
◆福田浩太郎 委員 家族に対する支援や協議会の設置について、
教育委員会としての姿勢というか、意向は理解いたしました。現時点では理解をしたいというふうに思います。今できる範囲での努力をしっかりとお願いしたいと思います。
最後に、もう一度、質問させていただきたいと思いますが、本市の引きこもりの実態でありますけれども、平成17年の国勢調査をもとに推しはかりますと、総人口189万人のうち、15歳から34歳までの若者の人口は約52万人でありまして、臨時雇用、完全失業者、無業者を合わせた不安定な就業状況の方は約8万人であります。労働力状況がわからない方も含めると約14万人であり、全体の約27%にもなるわけであります。これらの方は、社会的セーフティネットの支援対象の可能性があると予想もされております。その14万人の中で、ニートは約6,500名でありまして、その中には相当数の引きこもり状態の若者も含まれていると推測されます。札幌市では、引きこもり者の数の調査は行われておりませんが、約7,500世帯程度と推定されております。そして、小・中学校での不登校は年間約1,500名おりまして、その中には、卒業後、教育機関とのつながりが断たれた場合、そのまま引きこもり、ニートへ移行することも懸念されております。また、貧困問題と引きこもりの関係が指摘されております。さらに、引きこもり者支援に取り組むと、意外なほど発達障がいを持つ方々が多くいるという実態がございます。
これまでも、本市では、
教育委員会、児童福祉総合センターでのさまざまな事業を行い、こころのセンターや自閉症・発達障がい支援センターでの広汎性発達障がい者やその家族に対する支援を行ってきたことは評価いたします。また、北海道若者サポートステーションの取り組みもすばらしいものがあり、その運営団体が今回の若者支援総合センターなどを運営していただくことも大変に心強いものであると感じております。
しかし、引きこもりの問題は、冒頭から申し上げているとおり、非常に重要な問題であり、支援対象者も大変多いのであり、しかも、自立にまで至るには大変な時間と労力と忍耐が必要です。さらには、企業の理解と協力が必要不可欠であり、そのような問題を総合センターだけに任せてよいのか、また、
教育委員会が今後も主管部局のままで果たして総合的な支援ができるのかという率直な疑問をぬぐい去れないのであります。
そこで、副市長にお伺いしたいのですが、引きこもり対策は、保健福祉局、子ども未来局、経済局、
教育委員会など関係部局が連携し、全庁的に取り組んでいく必要があるというふうに考えますけれども、副市長のお考えをお伺いして、質問を終わります。
◎生島 副市長 次世代を担う子どもが健やかに育つということは、この社会を維持していく上で非常に大切な問題でございます。そういう中で、引きこもりを初めとする困難を抱えた子どもや若者の対策は非常に重要な施策というふうに思います。
委員からご案内のありました子ども・若者育成支援推進法がこの4月に施行されますが、その中で、基本理念として子ども・若者育成支援は、家庭、学校、職域、地域、その他社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が一致協力していかなければならないということが一つ、もう一つは、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用、その他の各関連分野における知見を総合して行うことが基本理念というふうに述べられております。
この基本理念にまつまでもなく、今、委員からご指摘がありましたように、非常に総合的なものでございますので、札幌市として、札幌市庁内はもちろん共同してやりますし、先ほど部長からご答弁申し上げましたように、子ども・若者支援地域協議会も含めまして庁内、庁外の協力体制が整えられるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○坂ひろみ 委員長 ここで、およそ1時間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後0時4分
再 開 午後1時10分
――――――――――――――
○坂ひろみ 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆井上ひさ子 委員 私からは、二つの質問があります。
一つは、子どもの読書推進のための学校図書館の活用と司書の配置、もう一つは、教職員の時間外勤務の改善についてです。
今、新しい札幌市読書推進計画の策定が進められていますが、それにかかわって、主に学校図書館の問題について伺いたいと思います。
読書活動は、
子どもたちが言葉を学んで、感性を磨いて表現力を高め、想像力を豊かにしていき、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものです。今の
子どもたちの置かれている状況、とりわけ映像メディアの広がりやインターネットの普及などからも読書の持つ意義が再認識されています。学校教育との関連でも、OECDの生徒の学習到達度調査では、読書習慣のある生徒の読解力の得点は高い傾向にあるとされています。文部科学省の全国学力・学習状況調査では、読書の好きな生徒や読書する時間が長い生徒は、全般的に見て国語の問題で正答率が高い傾向が見られるということです。
そこで、最初に、札幌市における子どもの読書活動の現状と今後の取り組みの方向について伺いたいと思います。
このほど行った児童生徒の読書アンケート結果では、前回に比べてやや改善されているとの評価がある一方、学力テストの質問紙調査では、読書しないという生徒が小学校6年生では23.1%、中学校3年生では40.5%もあり、
教育委員会の学力・学習状況調査実施報告書では、教育長の巻頭の言葉で重要な課題の一つとして取り上げています。
札幌市の子どもの読書習慣を養い、多くの本に親しんでもらうためには、私はこれまで以上の取り組みが必要と考えますが、家庭と地域、とりわけ学校において、新しい計画ではどのような活動に重点的に取り組もうと考えているのか、伺いたいと思います。
もう1点は、教職員の時間外勤務の改善についてです。
子どもたちに深くかかわって、より充実した教育を行いたいというのが先生の願いです。このことは、
子どもたちの健やかな成長を保障することにつながっていると思います。日常的に時間外勤務が行われ、雑務に追われ、先生の健康破壊、メンタルヘルスなどはとても深刻です。学校教職員の休務や休職者の状況をいただきました。08年度で30日以上が265人、そのうちメンタルで休んでいる人は140人もおられ、52.8%にもなっています。全体の休職者は、この間、減ってきていますが、76人のうち59人がメンタルで77.6%にもなっています。1998年には40人、2003年には90人、2004年には131人とふえ続けてきております。
この現状について、私は、深刻な実態であり、一刻の猶予もできない状況にあると思うのですが、このご認識を伺いたいと思います。
◎塩澤 中央図書館長 私から、1点目の新しい子どもの読書活動推進計画の重点的な取り組みについてお答えいたします。
この計画では、家庭と地域、図書館、学校それぞれにおいて、より一層の読書活動の推進を図ることとして策定作業を進めております。
家庭と地域においては、日常生活を通して子どもが読書習慣を身につけていくために、今年度から始まりましたさっぽろ親子絵本ふれあい事業、いわゆるブックスタートを初め、家庭読書を啓発するさっぽろ家庭読書フェスティバルなどを引き続き行っていく予定であり、図書館では子どもの読書意欲をより高めていくために、情報サービスの充実を図るとともに、図書館を身近に感じてもらう体験型の事業などに取り組んでまいりたいと考えております。
学校においては、生涯にわたる学びの基盤となる読書活動を一層促進するため、一斉読書の推進など、読書に親しむ機会の充実や、児童生徒の自主的な読書活動を支援する学校図書館の活用促進などに取り組んでまいりたいと考えております。
◎谷山
学校教育部長 教職員の精神疾患による休務・休職者の実態に対する認識でございます。
平成10年度や15年度と比較しますと、精神疾患による休務・休職者は大幅に増加しております。しかし、その一方で、ここ数年、精神疾患による休務・休職者の伸び率はやや鈍っておりまして、また、精神疾患による休職者数は、平成19年度と20年度を比較いたしますと、わずかでありますが、減少している状況も見られます。
いずれにいたしましても、児童生徒に対して良質な教育を提供していくためには、まず教職員が心身とも健康な状態であることが必要でありまして、現在の休務・休職者の状況は憂慮すべきことと考えております。解決していかなければならない重要な課題であると認識しております。
◆井上ひさ子 委員 図書館の方です。
家庭と地域の役割、体験を通じて読書に親しんでいく、また、学校では学びの基礎をつくっていく、そして、本当に多くの
子どもたちに本を読んでもらうという取り組みなども盛り込まれていると、今、幾つかの方向が挙げられましたが、私は、学校においては学校図書館の役割を一層強めることが重要だというふうに考えるのです。
2008年9月の札幌市子どもの読書活動促進プランでも、読書活動促進の方針の一つの柱に学校図書館の環境整備を上げています。
そこで、2点伺いたいと思いますが、1点目は、学校図書館の整備についてです。
日本共産党は、繰り返し全学校に学校図書館を設けるよう求めてきましたが、学校の空き教室などを使って整備が進められてきたものの、今年度当初ではあいの里西小学校、厚別東小学校、栄町小学校の3校が未整備でした。いつまでに、どのようなやり方で全校への整備を終えるのか、伺います。
2点目は、学校図書館の図書蔵書数についてです。
国は、図書の整備のために、2007年度から全国で毎年200億円の交付税措置を行っています。200億円であれば、札幌市であれば小・中学校合わせて3億4,000万円の交付税措置があると聞いていますが、これには2億2,000万円しか使われていません。全額使っていれば国の学校図書館図書標準に定める蔵書冊数は既に達成できているというふうに思うのですが、いつまでに国の標準を達成するのか、伺いたいと思います。
教職員の時間外勤務の改善についてです。
減少してきているとはいえ、今の状態は本当に憂慮すべき大変深刻なことだというご答弁だったと思います。
私は、こういうことは普通は考えられないことだというふうに思うんですね。この間の議論における皆さんの答弁を引いてきましたら、児童生徒や保護者との対応などによるストレスは精神疾患の発症に影響を与える可能性は否定できない、しかし、いろいろなことがあってこれは特定できないということをずっとおっしゃってきたんですが、私は、いつまでもこの状況がわからない現状でいいのかということを大変疑問に持つんです。減ってきているとはいえ、やっぱりこういう状態を打ち破って、本当に現状を変えるつもりで取り組んでいくことが大事ではないかというふうに思うものですから、改めて伺いたいと思います。
◎久田 学校施設担当部長 学校図書館についてお答えいたします。
1点目の学校図書館の整備についてでございますが、今年度当初で未整備であった3校のうち、2校につきましては今年度中に整備を終了いたします。残る1校につきましては、平成22年度に校舎の増築に合わせて整備する予定でございます。
2点目の学校図書館の図書蔵書数についてでございますが、まず、現状について申し上げますと、市内の小学校、中学校ともほぼ95%の学校におきまして図書標準に対する整備率が80%以上となってございます。このような現状も踏まえまして、平成22年度予算には、従来から措置しております予算に加えまして、さらに3,500万円を上積みいたしまして、国の現在の図書整備5カ年計画の最終年度である平成23年度末には、すべての小・中学校で図書標準を達成できる見通しを立てているところでございます。
◎谷山
学校教育部長 精神疾患の原因等についてでございますが、健康審査会での審議で個々の教職員の状況は把握しておりますけれども、発症の要因はさまざまでありまして、複合的に影響する場合もあることから、その原因を特定することは難しいものと考えております。
次に、対策についてでございますが、
教育委員会では、職場のメンタルヘルスに関しまして、管理職を初め、新採用職員等を対象とした研修を充実するとともに、職場復帰訓練を制度化し、円滑な職場復帰と再発防止を図るよう努めているところでございます。また、悩み事の相談窓口としまして、札幌市教職員相談室を設置し、産業カウンセラーなどを配置しまして、メンタルヘルスを含めた健康上の問題、職場や私生活上の問題などさまざまな相談に当たっておりまして、今後は相談時間を一部拡大するなど、より利用しやすい相談体制を検討していきたいと考えております。
いずれにいたしましても、教職員の孤立感を生まない共同体制や、管理職を初めとする教職員一人一人のメンタルヘルスへの理解を深めるなど、職場環境について幅広く配慮することが重要と考えておりまして、市長部局の取り組みなども参考にし、より効果的な対策が実現できるよう努めてまいりたいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 ただいまの答弁で、3校の未整備の学校については、21年度で2校、残る1校については増築を含めて22年度に完了するということですので、ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思います。
それと、今、学校の整備のことを聞きましたが、これは、小学校も中学校も100%実施できるというご答弁だったというふうに思うのですけれども、いいですか。まず、それをお聞きしたいと思います。
学校の中でこういうふうに達成していくと。しかし、その中で図書館が整備されたとしても、
子どもたちが図書館を利用しなければ本当にだめだというふうに思うんですね。学校全体が司書教諭を中心として学校図書館の活用に努力を注いでいってほしいというふうに思うものですから、司書などの専任職員がいるか、いないかでは大きな違いが生まれます。
本市では、中学校への図書館のボランティアの派遣を2008年度から実施しています。これを拡大してきていますが、その効果はどのような形であらわれているのでしょうか。また、来年度は中学校での全校配置を目指すとのことですが、その見通しを伺いたいと思います。
また、先生の問題でありますが、前回、私が取り上げたときには、職場では出勤時間、退勤時間の把握もされていませんでした。つまり、時間の管理が行き届いていませんでした。本当に放置されているのではないかというふうに言われても仕方がないような状況でありました。時間外勤務時間の実態の基準になるものもなくて、一番知っているのが警備員という答弁でありました。超過勤務手当は出ないことにはなっていますが、働かせ過ぎということで言えば、先ほどもいろいろなご答弁がありましたけれども、やっぱりそれが病気につながっていくというふうに私は思います。
この間、先生の負担軽減をするための検討会議の報告もまとめられました。文書の統廃合、校務処理の問題など、実務に追われる実態も明らかになったのではないかというふうに思うのですが、これをどのように職場で確認し合って具体的にしていくのか、伺いたいと思います。
◎西村
指導担当部長 学校図書館ボランティアの派遣の効果と来年度の見通しについてお答え申し上げます。
今年度は、中学校20校にボランティアを派遣しておりますが、この派遣校を対象とした調査では、昨年度6校であった放課後開館が今年度は18校になるなど、実質的な開館時間の拡大につながっており、また、貸し出し冊数につきましても昨年度と比較して2倍程度に増加してございます。
次に、来年度の見通しについてでございますが、ボランティアにつきましては、現在、学校からの推薦のほか、広報さっぽろや
教育委員会のホームページなどで広く募集しているところであり、6月を目途に全
市立中学校に派遣する予定でございます。
◎谷山
学校教育部長 教育職員負担軽減検討会議は、昨年12月に全体会議を開催いたしまして最終報告を取りまとめたところでございます。その内容は、昨年3月の中間報告を踏まえまして、
教育委員会発出文書の統廃合、外部人材の活用などによる支援体制の確立、ICTを活用した情報の共有化と教員の負担軽減に向けたさまざまな方策について報告したものでございます。また、報告の取りまとめに当たりましては、教員の多忙な実態が改めて認識されるとともに、例えば、学校を抽出して実施した一斉退勤の試行は業務の見直しや改善に向けた教員の意識改革へのきっかけづくりとなるといった意欲的な姿勢も報告されております。
このたびの報告書は、各学校に送付しておりまして、広く職員に周知するよう呼びかけておりますことから、教員の共通認識のもとに、負担軽減に向けた各学校における独自の取り組みを、報告内容も参考にしながら進めていただくとともに、
教育委員会といたしましても教員の負担軽減に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思います。
◆井上ひさ子 委員 学校への図書館ボランティアの派遣の問題で、今お聞きしましたら、放課後の開館時間も延長されて貸し出し冊数の増加につながっているということで、2倍にもなっているという報告がされました。これを見ても、私は、人の配置は本当に重要だというふうに思うのです。学校図書館の活性化の一つのかぎが、学校司書などの図書館専任職員の配置であることは明らかだというふうに思います。司書など専任職員が置かれると、そもそも図書館が日常的に開かれ、
子どもたちに本を選びやすく整理して、また、子どもの読書の意欲を高め、そのニーズに合わせた本の選択に手をかしてあげるだけではなく、教員と連携して学習にも大きな貢献をします。
担任を持ちながらも司書教諭として頑張っている先生から、司書など専任職員を置いてほしいとの強い声を聞いています。上田市長もパネリストとして参加した昨年8月の子ども読書フォーラムでも、パネリストの1人が中学校への司書の配置を提言しています。また、今つくられている子どもの読書を考える市民会議でも、学校司書の配置を求める意見が出ています。
司書など専任職員の配置を求める声は強いのですが、
教育委員会はこれらの声をどのように受けとめて読書活動促進に生かしていこうと考えているのか、伺いたいと思います。
教職員の時間外勤務の問題であります。
検討会議でも、本当に、改めて先生の多忙さが認識されたというお話でありました。私は、その中で
子どもたちと一生懸命に向き合って学ぶ力の育成のため頑張っている先生に、将来的な課題ではなくて、一つでも二つでも実施していただきたい。そして、今回は提言にさせていただきたいのですが、本当に働く先生の立場に立って解決できるように、今回の検討委員会は小学校、幼稚園それぞれの校長先生などが入られておりますけれども、産業医などの外部の目も必要なときに来ているのではないかというふうに思います。これについては、今後検討されることを求めておきたいと思います。
この質問はこれで終わります。
図書の方ですが、学校図書館の調査では、全
教育委員会にアンケートを行って、回答者837人中378人、市区町村で45.2%が学校司書を置いています。政令市の中でも4政令市で全校に配置しているように、その必要性は多くの
教育委員会が認めて、独自の調査もやって配置しています。札幌市としても、読書推進計画に学校図書館への専任職員の配置を位置づけて踏み出すべきだというふうに私は思うのですがいかがか、伺います。
◎谷山
学校教育部長 まず、1点目についてお答えいたします。
教育委員会といたしましては、司書教諭の資格所有者の確保を図りまして、学校図書館法によって司書教諭が必要とされる12学級以上の学校はもとより、12学級未満の学校にも司書教諭を配置するよう努めるとともに、積極的に研修を実施していくことなどにより、学校図書館の活用、充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、もう1点でございますが、
教育委員会といたしましても、今後も司書教諭の専任化や加配措置の実現に向けまして、全国都市教育長協議会や北海道都市
教育委員会連絡協議会等を通じまして、粘り強く国や道に要望してまいりたいと考えております。
◆井上ひさ子 委員 今、粘り強く国や道に働きかけていくというふうに言っているのですが、先ほど議論も深めてきましたけれども、司書教諭、専任でそれにかかわる先生がいることによって
子どもたちが読書に親しんで、それが広がっていくことが、ボランティアの先生を配置する中でも既に明らかになってきているというふうに思うんですね。ですから、私は、やっぱり読書推進計画に学校図書館への専任職員の配置を位置づけていくべきだというふうに思うんです。今は計画をつくっている段階でありますが、その辺についての見解を伺っておきたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 今の委員のご指摘のとおり、専任教師の配置の位置づけにつきましては、読書推進計画を今やっておりますので、そのあたりでいろいろと議論させていただきたいと思います。
◆井上ひさ子 委員 推進計画の中でいろいろと議論させていただくということですが、大事な役割だというふうに思います。
町内会の回覧板で、学校の様子などの報告が毎月来るんですね。それを見ておりますと、2010年は国民読書年ということで、読書の喜び、楽しさを
子どもたちにと、ある先生が書いた投稿が載っていたんですよ。今、学校では10分間の読書、それからお母さんたちのボランティアの読み聞かせ、そういう熱意の中で、PTAの皆さんが本を146冊買うのに募金をしてくださり、そういう中で
子どもたちが読書に親しんでいくのです。個々が本を買って学校に持っていく状況でもなくなっていますので、より一層、それが求められているというふうに思うのです。
そういう読書に関する熱心な取り組みも、今、相次いで起こってきております。札幌市もちょうど計画を出されているときでありますので、この間の議論も踏まえまして専任の司書を配置していただくことを求めて、終わりたいと思います。
◆しのだ江里子 委員 私は、人権教育について質問させていただきます。
先月3日、鳩山首相は、参議院本会議の質疑を踏まえ、日本は人権を大事にする国と言われながら人権が侵害されている事件などが年間2万件も起きているとした上で、国内で人権をきちんと扱う機関が必要であり、できるだけ早急に機関設立に向けての関係法案を整えて提出したいと答えております。
日本国内においては、深刻な人権問題が数多く発生し、人権を侵害された弱い立場の人は泣き寝入りを強いられる状態となっており、民主党といたしましても、人権問題、特に人権教育とその啓発に真摯に取り組んでいるところです。私も人権問題には大変関心を持っており、障がいのある人も高齢者もだれもが生き生きと暮らせるよう、学校や地域社会で支え合い、ともに生きる愛情あふれる
まちづくりを目指し、そのためには、市民一人一人の中でともに支え合う意識を醸成していくことが大切だと思っております。ですから、人権に関する意識、人を大切にする気持ちを子どものうちからはぐくんでいくためにも、人権教育について学校が担っている役割は極めて大きいと思います。
そこで、質問ですが、現在、
教育委員会では人権教育についてどのように推進していらっしゃるのか、伺います。
◎西村
指導担当部長 人権教育の推進につきましてお答え申し上げます。
教育委員会といたしましては、これまで、学校教育の重点に人間尊重の教育を位置づけ、具体的には、男女平等教育やアイヌ民族に関する教育、子どもの権利に関する教育などを通して、ともに支え合い、励まし合う温かい人間関係の中で、自他を尊重し合い、互いの人権を守ろうとする意欲や態度を育成するよう努めてまいりました。
◆しのだ江里子 委員
教育委員会では、男女平等教育や民族教育、子どもの権利に関する教育など、人権教育について人を大切にする気持ちを持ちながら、ともに支え合い、励まし合う温かい人間関係の中で心豊かに生きる力をはぐくむ教育を推進しているとのことで、何より大切なことであると私は考えております。しかし、現実の社会ではまだまださまざまな課題が見受けられます。
まず、男女平等に関しては、日本では、男は仕事、女は家庭、男は弱音を吐いてはいけない、家事、育児は女の仕事といった性別役割分業意識が、若い層を中心に減ってはきているものの、諸外国に比べるとまだまだその割合が高い状況にあります。教科書では、男女の平等な関係を築くため、男女共同参画社会の実現などについて教えることとなっていると聞いていますが、現実には、日本ではさまざまな性別役割分業意識の刷り込みがあることは否めず、学校においても
子どもたちに男女平等に関する基本的な考え方や意識を形づくっていくことが望まれます。
また、アイヌ民族については、2007年9月に国連において先住民族の権利に関する国連宣言が採択されたことや、2008年6月に国会においてアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が採択されたことなどを踏まえて、アイヌ民族の人権や経済的、社会的権利を保障することが大切であり、そのためには、アイヌ民族の文化や歴史、現状などについて学校においても学習を進め、アイヌ民族に対する理解促進を図っていく必要があると考えます。
さらに、子どもの権利に関する教育については、昨年4月に子どもの最善の利益を実現するための権利条例が施行され、各学校においては条例の趣旨を踏まえた教育がより一層推進されていかなければならないと考えます。
昨年12月に東区元町北小学校で行われました子どもの権利に関する授業を、私も参観させていただきました。この授業では、小学校1年生の
子どもたちが、自分や友達のよいところを見つける活動を通して自分に自信を持ったり、温かい目で友達を見ることができるようになるなど、体験を通じて実践的に人権について学んでいました。私は、その
子どもたちに、大変大切なことを学んでいる貴重な姿を見た思いがいたしました。そうした意味で、人権教育の推進においては、お互いの権利を尊重し、お互いに思いやりの心を持った生活をするなど、子どもが具体的に行動できるような取り組みが必要であると考えます。
そこで、再質問ですが、
教育委員会では、男女平等教育、アイヌ民族に関する教育、子どもの権利に関する教育をどのように進められているのか、また、今後どのような取り組みを行おうとされているのか、伺います。
◎西村
指導担当部長 人権についての教育の現状と今後の取り組みについてお答え申し上げます。
まず、男女平等教育につきましては、発達段階に応じた実践事例などを示した指導資料を作成し、男女の平等観を育てるための授業実践に取り組むとともに、今年度は小学生用副読本の改訂を行いました。今後につきましては、今年度から教員1人に1台ずつのパソコンが整備されていることから、副読本などを用いた指導展開例をホームページで公開し、これらの活用を通して男女平等教育のより一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、アイヌ民族に関する教育についてですが、これまで指導資料第5集まで作成し、授業づくりを支援するとともに、アイヌの方などを講師とした教員対象の民族教育研修会を実施したり、アイヌ教育相談員を学校に派遣したりするなどして、アイヌ民族に関する教育の充実を図ってきたところでございます。今後につきましては、これまでの取り組みに加え、市立札幌大通高校と札幌市生涯学習センターが連携して、生徒や市民を対象としたアイヌ文化入門と題する講座をことし10月に開講する予定となっております。
子どもの権利につきましては、今年度、条例が制定されたことを踏まえまして、指導の手引をすべての教員に配付するとともに、これを用いたモデル授業を公開するなどして、子どもの権利に関する指導の啓発に努めてまいりました。今後につきましては、保護者向けの研修資料を各学校に配付し、PTA活動などを通して大人の役割などについて理解、啓発を図るとともに、教員向けの研修会や
教育委員会のホームページを活用して、条例を題材とした授業づくりやピアサポートなどの取り組みが広く行われるよう学校を支援してまいりたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 ただいまのご答弁では、男女平等教育に関しては発達段階に応じて実践事例を進めていただくとか、アイヌ民族問題に関しては大通高校で10月からアイヌに関する入門講座を開いていただくとか、さまざまな取り組みをしていただけるものと思います。私も、さらに体験的な活動を取り入れるなど、
子どもたちが、人権に関する知的理解のみならず、人権感覚を身につける効果的な指導を今後とも充実させていただきたいと考えております。
そうした中で、私は、特に、学校で男女は平等ですと教えていても、日常生活の中では改善していくことがなかなか難しいと考えています。性別役割分業意識にとらわれない子どもを育成する視点で、
子どもたちがふだんの学校生活の中で目に触れ、実感する部分から見直す必要があるのではないかと考えます。先ほど小倉委員からも
男女混合名簿についての質問がありましたが、私も、
男女混合名簿を日常から使用していくことが男女平等を実践する有効な手だての一つと考えております。
要望とさせていただきますが、学校で男女別名簿を使用している国は世界的には極めて少なく、25年も前の1985年のナイロビ世界女性会議での参加者の調査では、18カ国中、日本とインドだけでした。世界では、男女別名簿であることは、それほど普通ではないことと考えられています。全道的にも混合名簿は60%を超えており、静岡県では小・中とも100%、神奈川県では90%を超え、名古屋市では100%が混合名簿を使っております。札幌市においても、個人的に混合名簿に取り組んでいる教員もいらっしゃると聞いておりますが、学校として取り組んでいるのは、小学校では207校中53校、中学校では98校中2校とわずかです。
先ほどのご答弁にもありましたように、1994年、平成6年から名簿の規定はなくなり、学校ごとに任せられていると伺いましたが、管理職の意向に流されてしまうとの声もあり、混合名簿の推進を考える先生が結果として少なかったと言え、なかなか混合名簿は進んでおりません。混合名簿になると、男子だから、女子だからではなく、一人一人の子どもの個性を見てとれることができるようになることや、男女の隔たりがなくなり自然に仲がよくなるとの効果が見られております。この3月31日までにスクール・ニューディール事業で教員全員にパソコンが行き渡りますので、名簿の並びかえは非常に簡単にできるものとなります。現場の教員に負担をかけることなく、ともに考え、進めていただくことを私は求め、質問を終わらせていただきます。
◆高橋克朋 委員 私からは、小・中学校の
スキー授業の問題について質問しようと思っておりましたが、午前の部で宮川委員から9割方を網羅していただきました。余り意見が合うことはないのですが、私も宮川委員に賛成でございまして、ぜひ
スキー授業については実施率を高めていただけるように、
リサイクルとかスキーを貸す制度をしっかりとやっていただいて頑張っていただきたいと思っております。
質問をやめようと思いましたけれども、せっかく通告しておりますので、私は教育長に伺いたいと思っておりますが、何を伺いたいかというと給食費の未納の問題です。
先般、横山議員から代表質問がありまして、教育長が答弁されました。学校給食費の未納の問題については、私も1期目に当選させていただいてからずっと高い関心を持っておりました。ちょうど私の手元に資料がありますが、平成7年度で6,200万円の未納がありました。一番多いときで平成11年度の9,100万円です。私は、この当時、給食費の未納の状況について質問しようと思ったのですよ。しかし、給食担当の方から、質問されても答弁できるのはこういう数字しかできない、対策としては学校側で一生懸命やっていただいているので、経済状況も悪いからこれはなかなか難しいですという話をいただいて、質問に立ちませんでした。
2期目になりまして、これが9,100万円になったものですから、これは大変だなと思っていろいろと調べていくと、生活保護世帯で2,000万円の給食費の滞納があったんですよ。私は、保健福祉局でこれを問題視しまして、現在は学校長渡しになってきたということだと思います。これが平成16年度で、15年度から16年度にかけて8,200万円から6,600万円に減りましたから、このときに学校長渡しになってきたのかなと私は認識しているのです。その後、マニュアルなどをつくってやったり、あるいは、学校にあなたの学校の給食費滞納は何番中何番ですよというような告知をして、それぞれ収納を上げるように努力をしてきたと思います。
そこで、教育長、先般の代表質問のときに、教育長はこういう答弁をされた。経済状況の低迷が長期化する中、ここ数年、未納状況が若干増加傾向にあるとはいえ、横ばいで推移していることは、徐々にではありますけれども、この取り組み、いわゆる未納対策の手引ですが、この効果があらわれてきている、こういう答弁をされた。
私は、この答弁では、
教育委員会の事務方のトップがそれでは、申しわけないけれども、大変甘いのではないか。特に、平成20年度で7,200万円になっている。私が当選したときは、平成7年で6,200万円ですよ。結果的に1,000万円もふえているんですよ。ですから、幾らいろんなことをやってきても、
教育委員会が率先してやっていかなかったら学校現場ではもはや限界がある。だから、横山議員の代表質問につながってきたんですよ。
ところが、教育長の答弁は、現状は手引でやっているから満足しているみたいな答弁では、私は納得いかないし、今後、学校サイドだってこれでは甘えが出ますよ。私はそう思うんです。
ですから、教育長、私は質問しないつもりでいたんだけれども、教育長の決意と認識をもう一回改めて伺いたいと思って質問いたしました。
◎北原 教育長 学校給食費の未納対策についてでございます。
代表質問の中で私がお答えいたしましたのは、平成19年度の未納率1.17%に対して平成20年度は1.18%、0.01%の増という状況ですので、これを横ばいというふうに表現したことについてはご理解をいただきたいと思います。また、効果が若干出てきているのかということもお話ししましたけれども、それで満足しているというふうに考えているつもりはまったくございません。学校に大変な負担をかけていることも強く認識してございますし、今後さらに改善していかなければならないものだというふうに強く思っていることも事実でございます。
そういったことを含めて、代表質問の中でもお答えいたしましたけれども、学校支援の取り組みの中で、法律の専門家あるいは福祉の専門家等の協力もいただきながら、学校を支援していく体制を整えるとともに、他都市の取り組み等も参考にしながら、さらに何ができるのかということを積極的に追求してまいりたいというふうに考えてございます。
◆高橋克朋 委員 ところによっては差し押さえもやっているわけですよ。問題なのは、それぞれの学校で、多いところでは多分100万円ぐらいあるのかなという思いがあるんですけれども、結局、食べる
子どもたちに負担というか、例えば、肉が多くなるところが今度はモヤシが多くなるとか、食材によって努力してやってきている、こういう現実があるわけですよ。それと同時に、しっかり払っている保護者もいるんです。そういうことを考えると、15年たっても、結果的に生活保護費のものを抜いてもまだ1,000万円ふえているという状況は異常です。先ほど言った支援相談窓口をつくるのもいいけれども、もっともっと踏み込んで、法的措置を含めた検討をぜひしていただきたい、私はこのように思っております。
そこで、生島副市長、きょうは市長のかわりでおいでですから、今、子ども手当が出るでしょう。子ども手当が6月に出るんですね。札幌市としても、全額国庫と言われているけれども、実は児童手当の上乗せ分が国庫部分だと。結局は民主党の公約違反で、全額国庫と言っていたのが児童手当は地元負担だ、こういうことになりました。
そこで、これは、新聞報道によると、各自治体の長が給食費の未納の問題を取り上げて文科省にこのことを要望したというふうに私は伺っているんですよ。各自治体もいわゆる給食費の未納の問題を抱えているから、子ども手当から充てることができないのかということを要望したというふうに私は伺っている。鳩山総理も、これは問題だ、ぜひ前向きに考えてみたいというようなことが新聞に出ていましたけれども、結果的に、次の日になったら法的問題があってできないというようなことを言うんです。上田市長は、新幹線を一生懸命にやるのもいいですよ。私も新幹線には大賛成です。だけど、私はこの問題もぜひ取り上げてほしいと思うんだけれども、生島副市長、市長は取り上げる気はないのかな。この辺を1点伺いたいと思います。
あとは、札幌市で、子ども手当が出て、国から来てすぐに右から左に行くのではなくて、給食費の未納を子ども手当から云々ということも、これは、多分、子ども未来局になってくるんだろうと思うけれども、給食費の問題ですから、私は、これは早急に考えるチャンスではないかなと。せっかく民主党政権になって、ばらまきと言われる子ども手当ができるわけですよ。各家庭に1人いれば黙っていても1万3,000円が入るわけですから、この機会に、ぜひ未納のところからしっかりと――文書でうたうかどうかは別としてですよ。札幌市もここでしっかり取るチャンスなんですよ、7,200万円を。だから、私は、原局としっかり打ち合わせをしながらやっていただきたいと思うんです。
これは
教育委員会に聞いてもあれですから、生島副市長に今後の考え方について見解を伺いたいと思います。
◎生島 副市長 私も、給食費の未納があることは非常にゆゆしきことだと思っております。納めるものを納めないということの一番の典型は税金なんですね。私も、札幌市の納税対策の本部をやっているという立場でいつも職員の方に申し上げているのは、ほとんどの方は払っているのでございます。例えば95%とか、ほとんどの方が払っている。だから、そういう平等の観点からいけば、心を鬼にしてちゃんと集めるべきものは集めるのだということを職員の皆さんにお願いしております。
そういった意味でいけば、まさしく給食費も、ちゃんと食べているわけですから、ちゃんと支払うというのは当たり前のことですから、それがきちんとなるようにすべきだと思いますし、今まで段々のお話がありましたように、
教育委員会としても頑張っていこうということでございます。
それで、子ども手当から天引きができないのかということについては、私は、今、何とも申し上げる情報を持ち合わせておりません。ただ、それを全く考えていないということでもございませんので、私的には少し研究させていただきたい、今はこう答えるしかございません。恐縮です。
◆高橋克朋 委員 これ以上は言いませんけれども、ただ、研究している間に私は15年たっちゃったんですね。せっかく、子ども手当と言って、各家庭に子どもがいる、小・中学生でいらっしゃる子どもに1万3,000円をばらまくわけですから、私はこの機会を何とか有効活用していただくことが一番いいことではないかなと。
最近、私は保護者を見ていて思うんだけれども、お金を払う順番を間違っているんです。例えば、自分の携帯電話だとかね。給食費は未納でもいいから携帯電話代を払うのが先だとか、そういう方が保護者の中にいらっしゃると思う。教育長が言われたように、確かに未納率は1.18%ですからわずかですけれども、でも、わずかたりともこの問題についてはしっかりと取り組んでいただきたい。そして、次回に質問するときにはこれが半分になったというぐらいの数字まで……(「半分なんてだめだ、全部だよ」と呼ぶ者あり)ゼロです。ゼロにしなければおかしいと言うんだから、そのとおりですよ。ゼロにするぐらい、学校現場は一生懸命頑張っていますから、
教育委員会として取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、終わります。
◆谷沢俊一 委員 私からは、第2次子どもの読書活動推進計画と、先ほどちょっと出ておりましたが、札幌市
教育委員会と道警との連携に関する協定と、大きく2点について伺いたいと思います。
それぞれ1問ずつ質問することについてご了解をいただきたいと思います。
最初に、第2次子どもの読書活動推進計画について伺います。
私は、平成18年第1回定例市議会の
予算特別委員会で、図書館における子どもの読書活動に対する取り組み、あるいは、推進体制についてただすとともに、継続し続けることの大切さ、関係機関との連携の重要性、さらなる取り組みの推進を要望するなど、子どもの読書活動の推進について取り上げてまいりました。さきの代表質問においても、我が党から、札幌市第2次子どもの読書活動推進計画の骨格と平成22年度事業の概要、子どもの読書活動に係る中長期的な障がい者支援について質問し、国民読書年の本年こそ、まちを挙げてしっかりと取り組みをしていただきたい、このように訴えたところであります。
その結果、第2次子どもの読書活動推進計画において、中高生の読書活動の推進、障がいのある
子どもたちに対する支援、図書資源の有効活用などが重点課題であり、特に、多様な障がい者に対応した読書環境を整備するため、関係機関による協議会を設置して中長期的な観点から検討を行っていくとの考えをお聞きしたところであります。協議会を設置して、市役所の内外を問わず知恵を出し合って利用者のニーズを十分把握するとともに、お互いに連携を密にしながら取り組みを行っていくことはまことに大事なことであり、計画の実効性を担保するためにも必要なことであると考えております。
そこで、質問いたしますけれども、第1点目に、平成22年度に設置を予定している障がいのある
子どもたちの読書に係る協議会について、参加団体も含めて、どのような仕組みを考えているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
第2点目に、第2次子どもの読書活動推進計画を実施するに当たって、障がい者支援のみならず、あらゆる分野において大学、教育研究機関などとの連携体制が必要だと思いますが、具体的に考えていることがあればお聞かせいただきたいと思います。
◎塩澤 中央図書館長 1点目の障がいのある
子どもたちの読書に係る協議会についてでありますが、障がいのある
子どもたちへの支援につきましては、障がいの種別や程度、年齢等に応じて多角的な見地からの検討が必要であると考えております。協議会のメンバーといたしましては、札幌市の関係部局や道立の盲学校や聾学校、障がい者団体などを想定しております。また、協議会において検討するだけではなく、障がいのある
子どもたちや保護者から意見や要望を聞く仕組みづくりを考えてまいります。
次に、2点目の大学や教育研究機関との連携についてでございますが、授業を適切かつ効果的に推進していく上で、児童教育などの専門的な知識を生かすことは極めて重要であると認識しており、例えば、最新の研究成果の発表や公開講座を共同で開催するなど、連携を深めてまいりたいと考えております。
◆谷沢俊一 委員 次世代を担う
子どもたちの健全な育成は社会総がかりで取り組む必要があるわけで、特に、
子どもたちの読書活動を進める運動は、それこそ市を挙げて取り組んでいくということで、さまざまな角度からの意見、要望が反映される、あるいは尊重されるような持続的な仕組みを立ち上げることが大事だというふうに思います。
次に、子どもの読書活動推進に係る平成22年度事業について若干お伺いしますが、
教育委員会としては、子ども読書チャレンジプロジェクトというものを考えているというふうに伺いました。
そこで、このプロジェクトのねらいと取り組む事業について、その概略をお聞きしたいと思います。
二つ目には、この事業に関する図書館としてのかかわり方、果たすべき役割をどのように認識されているのか、お尋ねいたします。
◎塩澤 中央図書館長 1点目の子ども読書チャレンジプロジェクトのねらいと取り組みについてでございます。
このプロジェクトは、本を読むための環境づくりと読書に対する興味の促進を二つの柱としております。まず、本を読むための環境づくりとしては、図書資源ネットワーク事業がございます。これは、
子どもたちが学校から市立図書館の本を借りることができる仕組みや、中古本、寄贈本の再活用のシステムを構築するものであります。また、読書に対する興味の促進としては、子どもにマナーなどを教える図書館デビュー、中央図書館で調べ学習を行う図書館モデル公開授業、そのほか絵本づくりや出版体験など、さまざまな事業を予定しております。
2点目のプロジェクトに係る図書館の役割についてでございます。
このプロジェクトは、子どもの読書に関する新たな施策を推進する重要な取り組みであり、事業項目の大部分は図書館が所管あるいは関連するものでありますので、プロジェクト全体が効果的に推進されるよう各事業の進行管理と相互調整の役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
◆谷沢俊一 委員 国民読書年にふさわしいさまざまな事業を行うということでございます。
具体的にお伺いしますが、一つは、学校から図書館の本を借りて読めるという図書資源ネットワーク事業についてでございます。我が党も、かねてから、地域から学校図書室への本の
リサイクル、あるいは、学校と図書館との連携の必要性について訴えてきておりますけれども、今回、行う事業は、具体的にどういう仕組みになるのか、できれば本の流れに沿った形で説明を聞きたいと思います。
二つ目に、今、お話のございました図書館デビューという事業についてであります。どういった対象者に、どういうふうに行うのか、そのねらいも含めてお聞かせいただきたいと思います。
◎塩澤 中央図書館長 まず、1点目の図書資源ネットワーク事業についてでありますが、この事業は、図書館のインターネット予約システムと市内の学校を結び、
子どもたちが学校から手軽に図書館の本を借りることができるようにするものであります。
子どもたちが学校で予約した本は、図書館から既存の学校間の図書物流システムに乗ってそれぞれの学校に届けられます。このことにより、
子どもたちの読みたい本の選択肢は飛躍的に拡大するものと考えております。
2点目の図書館デビューにつきましては、子ども未来局で昨年から実施しておりますさっぽろ親子絵本ふれあい事業、いわゆるブックスタートの次の段階となる事業であり、親子で図書館の楽しさを身近に感じていただき、図書館の本に親しんでもらうことをねらいとしております。具体的には、毎月、図書館デビューの日を設定し、図書館の見学を通して親子で本に触れ合う機会を設け、利用方法やマナーの説明、図書貸し出し券の発行や読書ノートの配付を行うものでございます。
◆谷沢俊一 委員 読書推進については、お子さんにとって情操教育の面でも非常に大切であるという観点から、22年度の当初から、今回、推進計画に盛り込んだ事業の推進をしっかりとやっていただきたい、この点については要望しておきたいと思います。
大きな二つ目でございますが、児童生徒の健全育成のための札幌市
教育委員会と
北海道警察本部との連携に関する協定についてお伺いいたします。
子どもの健やかな成長には、家庭でのしつけ、あるいは、学校教育だけではなく、地域社会や子どもを取り巻く社会環境も大きく影響するというふうに考えております。近年、家庭の教育力の低下、あるいは、地域社会の連携が薄れている、さらには、携帯電話やインターネット環境の普及に伴う有害サイトや出会い系サイトの存在、また、過日も報道されておりましたが、有名人、芸能人が覚せい剤を使用するといった薬物にかかわる事件の報道など、
子どもたちの生活にも多大な影響を与えるような事犯が起きておりまして、それらのことなどを背景として、子どもの非行あるいは問題行動が一層多様化しているとも言えるし、また、深刻化しているとも思われます。
このような子どもを取り巻く状況に対応していくためには、一義的には、学校と家庭、地域社会が協力して子どもをたくさんの大人の目で見守っていくことが大切であり、また、場合によっては、警察あるいは児童相談所等の関係機関との連携を密にするといった対応も図っていかなければならないというふうに考えております。特に、非行少年が集団化し、安易に薬物を使用してみずからの命を危険にさらしたり、あるいは、家出を繰り返して安否がわからないなど、こういった中で子どもの命にかかわるような事件、あるいは、児童虐待事件といった極めて深刻な事態が懸念される場合においては、あくまでも子どもを守るという視点から警察などとも連携した対応が必要だというふうに考えているわけであります。
そのような状況の中で、特に、全国の都道府県では、警察との間で協定が結ばれてきておりまして、連携強化が図られているというふうに聞いております。道においても、平成16年に北海道
教育委員会と道警本部との間で協定を締結しておりまして、その後、多くの道内市町村においても警察との協定を締結していると聞いております。札幌市の
教育委員会も、先ほども触れておりましたが、今月の初めに
北海道警察本部との間で連携に関する協定を締結したというふうに伺っております。
そこで、質問いたしますけれども、道教委が道警本部と協定を締結してから5〜6年がたっておりますので、この間、どういう経過だったのか、伺いたいと思います。
また、このたびの協定はどういう特徴があるのかについて、あわせて伺いたいと思います。
◎西村
指導担当部長 協定締結までの経緯と協定書の特徴につきましてお答え申し上げます。
まず、締結までの経緯についてでございますが、文部科学省などから学校と警察との連携強化の必要性が示されていたことを受けまして、先ほどもありましたけれども、平成16年に北海道
教育委員会と道警との間で情報連携を柱とする協定が締結されてございます。
札幌市におきましても、その当時から、薬物乱用、性被害や児童虐待など、警察の協力を必要とする深刻な事案もあって、道警との協定の締結は必要と考えておりました。しかしながら、情報の連絡につきまして、
個人情報保護の観点から具体的な対象事案の特定や保護者への確認の必要性が課題となり、その後も道警と継続して協議を重ねてまいりました。その結果、このたび、札幌市
個人情報保護条例との整合性が図られたことから、札幌市独自の協定を締結したところでございます。
次に、協定書の特徴についてでございますが、連携の内容として、情報連絡を行うことについては北海道
教育委員会や他の自治体の協定と共通しているところでございますけれども、それに加えて、学校と警察が共同で啓発を行うこととしてございます。また、情報の連絡につきましては、
個人情報保護の観点から、学校と保護者が十分協議した上で、双方が必要と判断したことについて連絡することなどを明確に示したところに特徴がございます。
◆谷沢俊一 委員 ただいまの答弁ですと、
個人情報保護の観点から慎重に検討してきた、また、道警とも協議を重ねてきたということでございます。
当然のことですけれども、私は、子どもの情報が無制限にやりとりされたり交換されることがあってはならないというふうに考えております。しかしながら、一方では、確かに、ご指摘のとおり、子どもを取り巻く環境を考えると、事例によっては学校と警察が連携して、あくまでも子どもの健全育成を図るといった取り組みは必要なことであります。特に、非行を未然に防止したり、犯罪から子どもを守ったりするためには、学校と警察が協力して啓発、指導に当たることはもちろんですけれども、あくまでも本市の
個人情報保護条例にのっとって学校と警察がやりとりすることがまた大切であるとも考えております。
そこで、再質問いたしますが、個人情報を扱う上で特に配慮したことは何なのか、また、協定を締結することによってどのような効果を期待しているのか、具体的に伺いたいと思います。
◎西村
指導担当部長 個人情報を扱う上での配慮及び協定締結によって期待される具体的な効果についてでございます。
まず初めに、個人情報を扱う上での配慮でございますが、情報の連絡につきましては、児童生徒の生命の安全にかかわることについての連絡のほか、薬物等に関すること、犯罪被害に遭うおそれがあること、保護者の指導に従わず不良行為を繰り返すことなど、連絡の対象事案を5点に限定した上で、先ほども申し上げましたけれども、学校と保護者が十分協議し、双方が本人のために警察と連携して指導することが必要であると判断した場合に連絡できることとしてございます。
次に、期待される効果についてでございますが、例えば、集団による暴力行為などで補導された子どもの状況を学校が警察から連絡を受けることで適切な教育的指導ができること、あるいは、深夜徘回を繰り返し、犯罪に遭うおそれがある子どもについて、学校から警察に連絡することで、子どもを犯罪から守ることなどが考えられると思います。
◆谷沢俊一 委員 私も、この協定書を読んでみました。確かに、今言った個人情報上で配慮したことは何かということで、要するに、この規定を読むと制限列挙になっていまして、こういう事例のみ連携がとれるという規定の仕方なんですね。ですから、ある意味では、拡大解釈についてはやりづらくなっている規定の仕方だというふうに読み取れると思うのですね。しかしながら、例えば、虞犯性が強いとか、将来犯罪を起こす可能性というのは、規定していてもなかなか難しい判断も当然出てくることもあるわけで、そういう面では慎重な取り扱いが大事だなというふうに思っております。この協定に基づいて、学校と警察が連携して子どもの非行を未然に防止する、あるいは、早期に対応することが期待されているわけでありますけれども、協定の趣旨を学校が正しく理解して、ある意味では逸脱しない運用が子どもの人権を守るためにも極めて大切であるというふうに考えております。
そこで、最後の質問ですけれども、この協定を適正に運用するために
教育委員会としてはどのようなことを考えているのか、お伺いいたします。
◎西村
指導担当部長 適正な運用についてでございます。
この協定の適正な運用を図るためには、
教育委員会、学校と警察が共通の認識に立って運用することが大切であり、現在、
教育委員会と警察がともに運用の詳細について検討し、4月1日の施行に向けて準備を進めているところでございます。
教育委員会では、今後、管理職及び生徒指導担当者などを対象に、協定の運用に係る説明会等を開催するなどして、個人情報の保護及び人権などを踏まえた配慮事項等について周知していくこととしております。また、このたび締結した協定では、相互に連絡した事案については学校から
教育委員会に報告されることとなっており、報告された事案を適宜確認しながら、適切な運用が図られるよう今後も努めてまいりたいと考えております。
◆谷沢俊一 委員 先ほど、
市民ネットワークの小倉委員からも、国家権力の教育への介入という懸念に対して十分配慮する必要があるという話がございました。こういうことが非常に大切であって、それを踏まえつつ、この協定について、具体的に展開する学校において適切に運用されるようにしっかりと取り組みを行うことを要望して、質問を終わりたいと思います。
◆小野正美 委員 私は、幼児に対する特別な教育的支援の課題について質問いたします。
間もなく4月で、入学式を迎える新1年生やその家族にとっては、ランドセルを購入したり、いろいろと準備をして心待ちにしているわけでありますけれども、障がいのある子ども、あるいは発育、発達に心配のある子どもを持つ家庭にとっては大変悩ましい時期でもございます。
実は、私も、20年前、議員になる前ですが、娘の入学に当たって、未熟児で、早産で生まれて療育センターで訓練を受けながら、2歳を過ぎてようやく歩き始めたという発育・発達遅滞であったわけです。家のすぐそばに学校があって、何とか普通学級に入れたいな、入学する上では、できればよりよい状態で入学させたいと思って、結論的には入学を1年おくらせたのです。就学猶予ということは
教育委員会は認めてくれませんから、厳しい就学指導を受けたのですが、校長先生ともいろいろお話ししまして、とにかくその年齢で入学させていただいて、学籍簿はつくります、ただ、1年間、1回も通学せずに、翌年、もう1年、1年生からやっていただきましょうという方法だったのです。これははっきり言って親の欲目で、もう1年、保育園に通って少しいろいろな経験を積めば、よりよい状態で小学校に上がれるのではないかという思いがあったのです。
こういった過程で、教育相談所でお会いしたのが小野寺先生でありまして、いろいろとお世話になりました。新しい立場につかれましても、障がい児教育に引き続き頑張っていただきたいと思います。
そこで、ここに幼児教育センターの業務概要がございまして、2008年、2009年12月現在の資料がございます。この中で教育相談支援が行われているわけでありますが、昨年12月末の資料では、来所して相談される件数が1年前に比べて1年間で1.3倍にふえ、人数も1.2倍にふえています。電話相談は、昨年1年間では1,410件で前年の2倍である、あるいは、地域教育相談も5.7倍の実績を上げております。それから、昨年の5月に
教育委員会が実施いたしました私立幼稚園への調査の中で、特別な教育的支援を必要とする幼児は、障がいの疑いのある幼児を含めて約650名で、2007年度の調査に比較して150名程度ふえているということであります。
先ほどもいろいろなやりとりがありましたが、こうした障がい児教育、幼児の特別支援教育は市立幼稚園が担ってきたといいますか、その存在理由の一つといいますか、特徴でもあったわけでありますけれども、これが減少していくわけであります。もちろん、現在でも私立の幼稚園においても障がいのある、また障がいの疑いのある子どもを受け入れていただいているわけでありますし、実際に、昨年12月に、西区と手稲区の幼稚園の園長の会合で、私ども地元道議会議員、市議会議員は党派を超えてご案内をいただいて懇談会がございました。そういった中でも、障がいのある
子どもたちの対応に苦慮しているケース、あるいは人手を配置しなければならない苦労などについての課題が出されたわけであります。
そこで、質問でありますけれども、私も既に何回か取り上げてまいりましたが、小学校、中学校、あるいは児童会館、児童クラブなどにおけるこういう障がいのある特別な支援を必要とする
子どもたちあるいは指導員に対して、巡回指導、相談員の派遣、あるいは学びのサポーターなどの支援体制が始まっているわけであります。そういう面では、幼児期こそこうした適切な教育的支援が必要であり、そのことによって望ましい発達を促すことにつながっていくと考えます。札幌市内は、幼児の60%が幼稚園に通い、その95%が私立の幼稚園であるわけで、幼稚園児の大半を占める私立幼稚園に対する特別な支援教育にかかわる具体的な支援策について、まずお聞きしたいと思います。
◎風無 教育研修担当部長 私立幼稚園への特別支援教育にかかわる本市の具体的支援でありますが、幼児教育センターにおきまして、幼稚園訪問支援を実施しております。この幼稚園訪問支援は、私立幼稚園からの要請を受けまして、幼児教育センター職員が必要に応じて市立幼稚園教員とともに支援を必要とする幼児の保育を参観するなどして、指導内容、方法の検討、保護者への適切な対応等について私立幼稚園をサポートするものでございます。今年度は、65件、212人の幼児について実施し、昨年度より9件、27人の増加となっております。私立幼稚園からは、幼児の対応を園全体で考えるようになった、適切なかかわり方を知ることができ、保育に取り入れることができたなどの評価を得ております。
今後は、幼稚園訪問支援において個に応じた指導計画等についての検討を含め、よりきめ細かい対応を心がけるとともに、次年度は人的な体制を支援する私立幼稚園特別支援教育事業を実施するなどして私立幼稚園へのさらなるサポートを行ってまいります。
◆小野正美 委員 ここに札幌市の幼児教育の振興を図る新たなしくみづくりという資料がありますが、ご承知のとおり、2005年12月に札幌市幼児教育振興計画を策定して、翌年の2006年に札幌市幼児教育振興計画アクションプログラムを策定し、さらに、具体的な新たな仕組みづくりとして実行計画が2008年12月に策定されております。その中に、札幌市の幼児教育の現状と課題ということで、私立幼稚園と市立幼稚園について、幼稚園教育について、あるいは、家庭や地域について、幼稚園の経営、運営についての現状と課題があります。そして、特別支援教育という一つの項目として、幼稚園における特別な教育的支援を必要とする幼児の実態把握や支援が十分に行われているとは言えない現状があり、そこで、すべての幼稚園で特別な教育的支援を必要とする幼児を受け入れていくことのできる環境を整えるよう、幼稚園への支援体制の充実を図るという、早急に取り組むべき課題がありますという現状と課題の認識がありまして、こうした現状と課題から目指すべき姿として、新たな仕組みとしての中枢的役割を担う札幌市幼児教育センターが2年前に設置され、今、答弁がありましたように、この間、さまざまな取り組みや仕組みづくりが進められてきていることには評価したいと思いますし、この機会に私も注目と関心を持って今後かかわってまいりたいと思っております。
私立幼稚園では、やはり、経営者の判断で障がいのある幼児を全く受け入れないところもまだあります。さらに、どのような教育内容とするかという先生方の努力もありますけれども、この内容も、経営者の考え方や意気込みによって異なってくる面があると思います。そういう意味で、障がいのある子どもも積極的に受け入れて、健常な子どもとともに育っていく幼稚園教育を充実させるためには、さまざまな仕組みというか、支援策、あるいは意欲をかき立てるインセンティブが必要ではないかと思います。
先ほども議論がありましたが、来年度、新規に私立幼稚園特別支援教育事業費補助金を創設されたことには敬意を表したいと思います。確かに、幼稚園の助成金や補助金のあり方については議論もありました。そして、上田市長からもあったように、主たる助成対象、あるいは、その役割分担として、都道府県と国との関係、市町村が主として担うべき分野などいろいろな違いがある中で、簡単に金額の比較などの議論はできないと思うのです。そういう中で、来年度、私立幼稚園に対して人件費補助がつくられたわけでありますが、先ほどの実態の指摘もありますように、1園に一律90万円という形で助成されることは必ずしも適切ではない、もっと実態に即してきめ細かい仕組みが必要ではないかと思います。この点については、ぜひ関係者の声なども十分に踏まえて、より充実、拡充が図られるように努力していただきたいと思います。
次に、幼児段階、幼稚園や保育園で特別な支援教育を行っていたとしても、それが次の段階へ、いわゆる小学校にどのような形でつながれていくのか、このつなぎが非常に大事なことだろうと思います。先ほど私もお話しさせていただきましたが、当該の学校あるいは校長先生などと、時間もかけて子どもの様子を見ていただいたり、いろいろ相談をする過程で受け入れの準備をしていただいたことが、その後、有効なことになったのではないかという思いもいたしております。
それで、質問でありますが、幼稚園や保育園から小学校への入学に当たってのつなぎについてどのような取り組みがなされているのか、お聞きいたします。
◎風無 教育研修担当部長 幼稚園、保育所から小学校へのつなぎについての取り組みでありますが、幼稚園、保育所と小学校との間では、これまでも就学の際の情報交流を個別に行ってきたところであります。委員ご指摘のとおり、支援の連続性を確保するためには、より全市的な視点からのシステムづくりが必要と考え、今年度、保育所を所管する子ども未来局と連携して、札幌市としては初めて就学に際しての情報共有を目的とした幼稚園・保育所・小学校連絡会を各区において開催したところであります。
◆小野正美 委員 通常でも、新しい1年生を迎える学校側は大変な苦労をされております。特に、最近は、集団生活になかなかなじめない子ども、子どもだけではなくて保護者もいるようでありますが、そういう中で、どんな子どもが学校に入ってくるのか、あるいは、何カ月かたって、この子は保育園や幼稚園でどんな生活をしていたのかということを聞かなければならないようなことを私も何回か耳にしているわけです。そういう面で、今までも、情報の共有といいますか、情報の送付、指導要録あるいは保育要録といった書面の送付などが行われていたわけでありますけれども、それではなかなか実態が伝わらない、あるいは子どもの様子を知ってもらうことができないということがあったと思います。
そこで、今、ことし初めて幼稚園、保育園と小学校の連絡会が各区ごとに実施されたという答弁でありましたが、いま少し詳しく、どのような目的といいますか、どのような方法で実施して、そこにどういう工夫がなされていたのか、あるいは、その中でどういった成果があったのか、保育園や幼稚園などの送り出す側からの立場、あるいは、受け入れる小学校の先生方の立場、それぞれの感想といいますか、教訓があろうと思いますので、その点をどのように把握しているのか、お聞きします。
◎風無 教育研修担当部長 幼稚園・保育所・小学校連絡会は、1月18日、19日の2日間、幼児教育センターと子ども未来局が運営を担当し、各区民センター、小学校を会場に、幼稚園91園、保育所104園、小学校192校の参加を得まして実施いたしました。具体的には、それぞれの担当者同士が面談を行い、幼児の生活の様子や小学校での配慮などについて情報を共有し合うことで、今後の子どものよりよい育ちにつながる有意義な連絡会となりました。
今後は、特別な教育的支援を必要とする幼児はもとより、すべての幼児の小学校への円滑な接続のあり方等について、幼保小の関係者が協力して協議できる場を設置するなどしてさらなる幼保小の連携を図ってまいりたいと考えております。
◆小野正美 委員 今、ことし初めて行われた幼稚園・保育所・小学校連絡会の状況について説明をいただいたわけであります。特に、各区ごとにですから、地元の小学校に上がる幼稚園や保育園の関係者がいろいろ心配のある子どもの様子について伝え、学校側もそれを承知するといいますか、あらかじめ知ることができたと。指導要録などは3月の年度末に学校に送付されるのでクラス編成などには間に合わないというか、大変忙しい年度末の時期であったものが、こうして1月段階で直接会ってそれぞれ情報の交換がなされたという点は非常によかったことでもあります。ただ、残念ながら、参加している幼稚園も約半分近くにとどまっておりますし、保育園の場合は、区のエリアでない保育園に通っている子どもも多数いるわけです。そういうところの情報をこれからどうやって伝えていくのかという課題もあろうかと思います。
いずれにいたしましても、単に書面の送付で終わるのではなくて、直接、顔を合わせて子どもの様子を伝えることができるという今回の取り組みは、ぜひとも来年度以降も充実して取り組んでいただきたいと思います。
◆飯島弘之 委員 私からは、学校における食育、そして、学校の栄養教諭、栄養職員の資質向上研修等につきまして、順次、お伺いさせていただきたいと思います。
子どもたちが健やかに成長していくためには、適度な運動、バランスのよい食事、十分な休養、睡眠が大事なことは言うまでもございません。しかしながら、最近の
子どもたちは、少し前まで当然であったそうした運動、食べる、よく寝るといった基本的な生活習慣が乱れているというふうに言われております。
一例として、一日の活力源であります朝食の摂取について、札幌市の状況を
教育委員会の平成20年度札幌市の児童生徒の実態に関する基礎調査報告書で見ますと、朝食を毎日欠かさずとると回答した小学5年生は82.1%、中学2年生は76.4%であります。一方、2割から3割がとったり、とらなかったり、そして、そのうち全く朝食をとらないと答えた小学5年生が0.4%、中学2年生が3.3%いるということであります。また、朝食をとらない理由では、朝食が用意されていないからと答えた小学5年生が5.9%、中学2年生は7.5%となっておりまして、前回、平成17年度の調査と比較しますと小・中学生ともやや増加傾向にあるということがうかがえます。当然でありますけれども、子どもは自分で朝食を用意することがなかなか難しいわけでありますから、保護者がもっと子どもの食生活に問題意識を持って食生活を改善する必要があるのだろうと考えます。
このような現実を踏まえまして、
子どもたちの食育を進めるためには、まず第一に保護者への啓発の機会を設けることが必要かと考えますが、市内小・中学校では、家庭との連携という観点で、児童生徒の保護者に対してどのような啓発をしているのか、お伺いいたします。
◎久田 学校施設担当部長 食育を進めるに当たりまして、さまざまな方法によりまして学校と家庭との連携を行っているところでございます。具体的には、栄養教諭、栄養職員が中心となりまして、給食試食会や入学説明会、料理講習会、給食便りの発行、あるいは家庭教育学級事業など、さまざまな機会をとらえまして啓発に努めているところでございます。
このうち、給食試食会について申し上げますと、平成20年度では、小学校におきましては99.5%、中学校におきましては78.6%の学校で実施しているところでございます。このほか、平成18年度から実施しております学校給食フード
リサイクルの取り組みの中でも、教材園での栽培活動に保護者の方々も自主的に参加していただきまして、そこで収穫いたしました食材を親子で参加する料理教室などの学校行事で使用するなど、家庭との連携による取り組みも広がってきているところでございます。
◆飯島弘之 委員 今ご答弁いただきましたが、さまざまな取り組みをされて啓発活動をされているということでございました。
ただ、子どもの食に関して関心のある保護者は、ご紹介をいただいたような給食の試食会とか料理講習会に出席されたりするのだというふうに思いますし、また、関心がありますから、給食便りやホームページ等々も積極的に見られるのだというふうに思うのです。
今、99.5%、78.6%という高い率でそうした講習会等を実施されているというお話がございました。しかし、先ほどお話を申し上げましたが、朝の食事を提供されない保護者の方は、そういうことが実施されているのだろうけれども、きっと参加されていないんじゃないか、そういう可能性が高いのではないかということが懸念されるわけであります。そういった関心を示されない、子どもにきちんと食事を与えない保護者の方々にどういった対応をしていくかが問題なのだろうというふうに思います。お伺いしますと、明らかに家庭で食事を用意しないで、給食を1日の主な栄養摂取源としている子どもが結構いるということであります。また、明らかに十分な食事を与えていない家庭に対しては、学校の先生方、担任の先生が家庭を訪問して指導されているとお聞きしましたが、ぜひ、この点はしっかりと対応していただきたいというふうに思います。
先日も、児童虐待、ネグレクトの痛ましい事件が発生いたしております。奈良県桜井市の夫婦が5歳の子どもに食事を与えないで死なせた疑いで逮捕された事件、また、息子に食事を与えず、衰弱させた疑いで逮捕されました埼玉県蕨市の両親の件です。奈良県の場合、嫌疑が保護責任者遺棄致死容疑ということで、殺人ではないということであります。私は不思議でならないのですが、結局、その事件で、殺意があったとまでは認められなかったということなのだろうというふうに思うのです。ただ、一般常識から考えて、食事を与えなければ死んでしまうのは当たり前であります。先ほど、私どもの会派の高橋克朋委員からも、最近の親は優先順位が給食費納入よりも自分の携帯電話を優先するといったお話がございました。時代とともに親は変わってきていて、一概には言えないのでありますけれども、未熟な保護者、親がふえているということなのだろうと思っておりまして、その端的なあらわれがこういった事件なのだろうというふうに思います。
幼児と小・中学生は一緒にはならないと思うのでありますけれども、食というのはやはり子どもの健康に大きな影響を及ぼすものでありまして、そういった親がまた子どもをもうけて、その子どもに対しても同様の扱いをすることも考えられないわけではありません。本市においては、決してこうしたことが起こってはならないわけであります。予防措置という考え方もありますが、小・中学生の親御さんが子どもに食事を与えない、そうしたら、今度また新しくもうけた小さな子どもに与えないことがあっても全然不思議ではないのでありまして、ぜひともしっかりとした対応をよろしくお願いいたしたいというふうに思います。
次に、学校では、学力に限らず、体力の低下も懸念されております。それらの解決には、当然、しっかりとした食習慣を身につけさせることが重要であります。そういう意味でも、学校教育の中で、教職員と栄養教諭、学校栄養職員の方々が一体となって家庭への働きかけなどの取り組みを進めていくことが大事なのではないかと思います。
そこで、学校での食育に大きな役割を果たす栄養教諭、栄養職員の資質向上のために、現状ではどのような研修を行っているのか、お伺いいたします。
◎久田 学校施設担当部長 栄養教諭、栄養職員の研修についてでございます。
学校給食に関する専門的、実践的内容につきましてはもちろんでございますが、それ以外にも幅広い知見を習得させ、学校給食に係るさまざまな今日的課題につきましても対応できる能力を身につけることができるよう体系的に研修を実施しているところでございます。新規採用時におきましては、栄養管理、衛生管理、給食物資の選定、食育などにつきまして、学校内での個別研修、学校外での集合研修などを効果的に組み合わせまして年間およそ30回実施しております。さらに、採用後5年目、10年目といった節目の職員を対象に研修を実施しているほか、栄養教諭、栄養職員全員を対象といたしました研修につきましても毎年4回程度開催いたしまして、職員の資質の向上に努めているところでございます。
◆飯島弘之 委員 資質の向上と、先ほども事例を挙げさせていただきましたが、今日的な課題解決のために、栄養教諭、栄養職員に対するきめ細かな研修については今後ぜひ一層の充実を求めたいと思います。
札幌市の学校に勤務する栄養教諭、学校栄養職員の方々は、193名ということでお聞きしておりまして、経験年数はさまざまでベテランから新卒の方までいるということであります。今の答弁でさまざまな研修を実施されているようでありますけれども、その中で特に耳にするのは、若い栄養教諭、栄養職員の中にはひとり職場で不安を抱えながら仕事をしている職員が多くいらっしゃるということです。
そこで、新規採用研修の効果についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。
また、今日的な課題の中には、エコや地産地消の観点から食材を大切に使うことも食育では重要であると考えますけれども、この点は、新規採用の研修などでどのように取り上げているのか、あわせてお伺いいたします。
◎久田 学校施設担当部長 1点目の新規採用研修の効果についてでございますけれども、新規採用職員の不安を解消するために、同期採用の職員同士はもちろんのこと、他校の先輩の栄養教諭、栄養職員との情報交換、交流の時間も研修のカリキュラムの中に組み込んでございます。こうした研修に対しましては、配置校の管理職等からは、指導や助言を受けながら勤務経験を積み重ねることで業務内容の理解も深まり、それが自信につながっているといったような研修後の評価もございまして、十分な効果が得られているものと考えているところでございます。
2点目の食材を大切に扱うことの重要性についてでございますけれども、食材に対する知識を深めて食育に役立てていくといった趣旨からも、栄養教諭、栄養職員が食材を大切に扱うことは不可欠なことでございまして、新規採用研修の中でもこのことの徹底を図って行っているところでございます。このほか、栄養教諭、栄養職員全員を対象といたしました全体研修におきましても、例えば、札幌産野菜の特徴や生産者の現状についての講義を設けるなどいたしまして、食材への理解を深めているところでございまして、今後も継続していきたいと考えているところでございます。
◆飯島弘之 委員 まず、若い栄養職員の件ですが、新人なのにひとりで働くわけですから大変不安でいらっしゃるのだろうというふうに思いまして、そのお気持ちは十分にわかるところであります。今、お話しされたようなさまざまな対策をぜひしっかりとしていただいて、伸び伸びと元気に仕事ができる環境づくりに努めていただきたいというふうに思います。
また、エコ、地産地消の件でありますが、実は、昨年の第3回定例会の決算特別委員会におきまして、
教育委員会に対して、ちょうど当時、新型インフルエンザが猛威を振るった状況の中で、私は学校給食の物資の納入の問題について取り上げさせていただいた経緯がございます。内容はこの質問には直接関係ありませんが、簡単に申し上げますと、インフルエンザが猛威を振るって多くの学校が一気に休校になり、食材納入の予約をしていたものがキャンセルになり、結局、その損害、損失は納入業者がかぶらなければいけなかった、大変だということでその対応についてお伺いしたのであります。そうした問題を取り上げさせていただいた経緯の中で、今、取り上げております栄養教諭、栄養士が納入業者の窓口として相対していらっしゃいまして、その際、業者の方々から栄養士と学校側の対応についてさまざまなお話を伺いました。
その中で、インフルエンザとは直接関係ないのでありますが、通常の取引の中で、栄養士の方々の注文がなかなか厳しいのだということでありました。例えば、キュウリ1キロの納入をお願いしても、その規格でちょっとでも曲がっているとなかなか受け付けてもらえない等々のお話があります。結局、真っすぐなものをそろえるのに、1キロのオーダーに対して結果的には2〜3キロぐらいを元請から仕入れて食材をそろえなければいけないのだと。平時であれば、2〜3キロ仕入れて姿がいいものを学校に納めて、残りのものは自分のお店で処理したり、ほかに回すことをされるそうであります。しかし、インフルエンザで一斉に休校になってしまった場合に、キャンセル品がいっぱい出るものですから、結局、さばきようがなくて全部捨ててしまうことになるというようなお話もお伺いしまして、当時は大変な状況だなという印象を持ったのであります。
お聞きいたしますと、調理場の要望であって、食材の規格、姿をなるべく均一にした方が調理効率が上がるといったようなお話があり、栄養士もやむなくそういった要望を業者に出すということもあるのだというお話もあったのであります。全部が全部そうではなくて、こだわりを持って食材に対されている栄養士も多いのかなというふうな思いもお聞きいたしております。エコということでは、そういったむだがあってはならないわけでありまして、多少曲がっていたってしっかりとした栄養素が担保されておれば、子どもにしっかり供することができるものだというふうに思います。私も研修のプログラムをいただきましたが、エコ等々についての研修も多いですし、物資の購入、管理の研修というようなことでの項目もございますので、この際、ぜひエコについてのご自身たちの意識も一緒に高めていただければありがたいというふうに思います。
子どもたちを取り巻く環境は大変厳しいわけでありますけれども、食育はまずは食べることが第一で、しっかりした健康な体をつくることがその後の体力、学力の向上にもつながる基礎だというふうに思いますので、その点はこれからしっかりと対応していただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
◆芦原進 委員 私は、武道学習の充実について質問させていただきます。
ちょうどカナダ・バンクーバーの冬季オリンピックが終わって、今、パラリンピックが開催中です。日本から多くの選手の方が参加されておりますし、元気と勇気と歓喜をわき起こしてくれるのがスポーツであります。私は、以前からスポーツ振興は大変重要なものだと考えております。我が会派としましても、地域のだれもが、いつでも、気軽に利用できる総合型地域スポーツクラブの設置を強力に推進してまいりました。5年間で全市町村、10年間で全中学校区域、約1万カ所あるそうですが、その設置を目指しております。
そうしたあらゆるスポーツの中で、私は、少年のころからずっと剣道にかかわってやってまいりました。もちろん柔道、相撲を含めた武道を中学校において学習することは大変いいことだと関心を持っておりますし、私どもの小さいころはそういうことをよく授業の中でやっておりました。私は、中学校における武道の学習は、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てていき、また、体力の向上を図るとともに、ルールの遵守、スポーツにはルールがありますから、ルールを守る大切さ、それから、礼を重んじる姿勢を養い、心豊かに人間を育てることにつながるものと考えております。特に、心身ともに成長期にある少年から青年に成長していく過程では、特に大事ではないかと思っております。
しかし、近年、少子化による学校の小規模化、また諸条件の変化から、柔道部や剣道部に所属する先生、生徒が非常に少なくなっております。道場なんかに行っている子はいますが、学校でクラブ活動として行っているところは非常に減少しております。武道にかかわる部を設置する学校もまた減ってきている状況になっております。要するに、子どもの武道離れが進んでいると感じております。
私は、子どもの心身をともにはぐくむ教育としては、武道の持つ可能性を高く評価しておりますので、そこで、質問したいと思いますが、現在、中学校の授業における武道の実施状況、それから、武道種目の運動部設置状況はどうなっているか、伺いたいと思います。
◎風無 教育研修担当部長 中学校における武道の実施状況についてお答えいたします。
まず、中学校の武道の授業の実施状況についてですが、現在、武道は、保健体育の授業において選択して学習するものとなっており、98校中96校で実施され、種目についてはほとんどが柔道となっております。
なお、平成24年度から全面実施となる新学習指導要領では、武道については必修となり、男女ともすべての生徒が履修することとなります。
次に、武道関連の運動部の設置状況についてですが、男子柔道が11校、女子柔道が6校、男子剣道が19校、女子剣道が18校となっております。
◆芦原進 委員 現在の武道の学習状況について、また、新学習指導要領においてはすべての生徒が履修することになっているのはわかりました。
ただ、やっぱり少ないですね。授業では98校のうち96校はやっているけれども、クラブになるとがたんと落ちてくるということですね。確かに、指導者がいないということもあります。私が小さいころは、たくさんでもないけれども、身近に指導者がおられました。特に、私は剣道をやっておりましたが、私の先生も7段であったし、佐賀県には10段の先生もいらっしゃるというように非常に環境に恵まれていました。だから、いつでもけいこをしていただけるという状況がありましたが、現状はかなり違うと思います。私も剣道を愛する一人ですが、剣道だけをやればいいというものではないわけですから、ほかの種目も大切だと思いますので、ほかの種目も視野に入れた幅広い取り組みと、また、武道種目の運動、部活などについても、体育の授業と違いがあるとはいえ、体育における武道の学習を充実と活性化させていくことが非常に大切なことだと期待しております。
武道の学習をさらに充実させていくためには、それらを教える先生を抜きには語れません。現在、中学校における武道は、男性の保健体育教員が男子生徒に指導している場合が多いと聞いております。また、今回、女子生徒も武道を履修することになり、武道の指導経験の少ない女性教員も指導を行うことが考えられると思うのです。やはり、教員の指導能力の向上をやっていかなければならないと思います。
私は、剣道を愛する一人として、柔道、剣道、相撲の武道を通じて、礼を重んじるなどの伝統を理解し、また、健やかな心身の成長を促すことは重要だと考えております。生徒自身が武道を学習する意義を感じること、また、意義を感じるような授業をすること、それから、心身をともにはぐくむ武道教育の充実です。特に、武道は、礼で始まって礼で終わるということで、非常に礼節を重んじます。これがすべてではありません。しかし、スポーツの一環としてはすばらしい。日本人の持っている古来のすばらしい道徳と私は思っております。
そこで、質問したいと思いますが、中学校における武道の学習の充実に向けて、札幌市としてどのように取り組んでいこうとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
◎風無 教育研修担当部長 中学校における武道の学習の充実に向けての取り組みについてお答えいたします。
教育委員会としましても、武道においては、伝統や文化を尊重し、自他の健康、安全に配慮する態度を養うことが重要であると考えております。今年度、新たに教育センター所管の教員研修講座や札幌市教育研究推進事業における実技研修において柔道の指導についての研修を行っており、今後につきましても、教員研修講座等を活用して教員の指導力向上に努めてまいりたいと考えております。また、平成23年度には中学校教育課程編成の手引を作成し、その中で学校における武道の授業計画や指導の参考例などを示すなどして、中学校における武道の学習を充実してまいりたいと考えております。
◆芦原進 委員 教育センターで講座、実技研修等も行うということで、まず先生みずからがしっかり取り組まなければ生徒たちに伝わらない。武道は心ですから、心がなければ伝わらないと思いますので、しっかり研修をやっていただいて、指導をしっかりとやっていただきたいと思います。また、手引もつくるということですから、非常に期待いたしております。
最後に、要望でございますが、中学校における武道の必修化が円滑に実施されるとともに、それを支える施設がなければなりませんから、武道場を含めた設備の整備が進められることをあわせて要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○坂ひろみ 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時8分
再 開 午後3時30分
――――――――――――――
○坂ひろみ 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆川口谷正 委員 私は、札幌市
教育委員会が日ごろ札幌市の教育の面で先進的な努力を続けておられることについて大変尊敬の念を持って、これから質問に入りたいと思います。とりわけ、開校して間もない大通高校などは非常に特色のある教育を展開されていて、本当に教育の原点といいますか、私はすばらしいというふうに評価しておりまして、北原教育長、あるいは生島副市長のそうした高い見識に敬意を表しているところでございます。
ところで、これから私が質問したい中身は、中高一貫教育問題でありますが、この件に関しましてはいささか違う評価をしておりまして、改めて、順次、質問をさせていただきたいというふうに考えております。
1997年の中教審第2次答申を受けまして、98年度に学校教育法等の一部を改正する法律が施行され、翌年4月から導入可能とした文部省の姿勢を受けまして、札幌市
教育委員会は中高一貫校の検討を始められ、昨年には札幌市中高一貫教育検討協議会から答申を受けているわけでございます。私は、中高一貫教育というテーマにつきましては、現行の6・3・3制、あるいは、大学を入れると6・3・3・4制という教育制度の根幹にかかわるさまざまな課題や問題をはらんでいると認識しておりまして、本件に関しては軽々に判断をされるべきではないというふうに考えております。
しかし、最初に申し上げましたように、この間、札幌市
教育委員会の動きは、そうした私の懸念とは裏腹に、まずは一貫校ありきということでひたすら事を進めようとしているのではないかというふうに見えるわけであります。この間、私どもは、三宅委員もこの問題を取り上げまして本会議で質問などをしてきたわけでありますけれども、一貫校をめぐる動きはさらに進捗を見せて、私の実感では、オリンピックではございませんけれども、スケートで言えば第4コーナーを回ったかなという感じを受けているわけであります。
一方、昨年、政権交代がありました。民主党政権は余り評判がよくないですけれども、政権交代があって以降、一貫校問題は99年から見れば10年が経過したわけでありまして、私は、この一貫校に対する国の政策にもひょっとして変化が起きるかもしれない状況があるのではないかと考えておりますので、ここであえて一貫校に拍車をかけることについて、議会議論あるいは市民議論が未成熟であることなどをあわせ考えますと、もっと慎重であってしかるべきではないかというふうに考えております。
しかも、最近は、貧困に由来する就学困難な生徒が急増しておりまして、先ほど来もいろいろ議論されておりましたけれども、そういう環境下にあるということがお互いの共通認識として必要だというふうに思います。たまたまきょうの午後でしょうか、衆議院本会議で高校の無償化が可決されましたので、参議院に送られるでしょう。子ども手当も可決されたと思いますし、いよいよ4月から
高校授業料の無償化も始まるだろうと考えておりまして、私は、むしろ公教育の教育機会を保障する機関としての自覚が今求められているのではないかと思っております。家庭の経済事情によって授業料を払えない
子どもたちはしっかりと就業していただいて、いずれ次の社会を担っていただかなければいけないというふうに思うわけであります。
前置きはこの程度にいたしまして、以下、順次、私が感じている問題点等につきまして質問させていただきたいと思います。
最初に、1点目でありますが、去年の5月の答申を受けた市教委の基本的な考え方を伺いたいと思います。
また、答申を受けた後、市教委はどんな取り組みをしてきたのか、対市民、議会、教職員、現場等に対する周知や研修会、説明会等についてお答えいただきたいと存じます。
◎谷山
学校教育部長 まず、
教育委員会の基本的な考え方についてでございます。
昨年の5月にいただきました答申は、学識経験者や市立学校教職員、公募の市民委員、PTA関係者から成る検討協議会におきまして、1年間にわたり、中高一貫教育校の課題や留意点を踏まえながら、札幌にふさわしい教育内容等に関する議論を通じまして、その必要性や望ましいあり方について提言されたものであり、
教育委員会としまして大変重みのあるものと受けとめております。その趣旨を踏まえまして、現在、設置する場合の教育内容や課題、留意点などについて具体的な検討を行っているところでございます。
次に、市民、議会、教職員への周知等の取り組みについてであります。
市民に対しましては、答申書を各区役所等に配架し、広報さっぽろを通じまして周知に努め、教職員については、札幌市立の小・中・高校の全学校に答申書を配付するとともに、各校種の校長会に対しまして答申の概要を説明しております。また、文教委員の方々に対しましても答申の概要を個別に説明いたしまして、
教育委員会として答申書を踏まえて具体的な検討を進める旨をお伝えしてきたところでございます。
◆川口谷正 委員 確かに、私も文教委員でありますので、個別に説明はいただいております。その余につきましては、私の目に余り触れる機会がありませんので、部長の答弁を信用することにいたします。
さて、去年5月の答申書を私なりにつぶさに拝見させていただきましたけれども、私に偏見があるのかどうかわかりませんが、多少、答申の内容に無理があるのではないかという感じを受けております。というのは、5ページにこういう記述があります。「中学校での生活の中で、自分の希望や目標が具体化し、進路意識が明確になった時点で、多様な高校の中から、自らの能力や適正、興味・関心、進路希望等に対応した、最も相応しい学校を主体的に選択できるという現行の中学校・高校の制度には、大きな利点と意義」があると中段で述べているわけであります。そして、そのすぐ後ろのフレーズでは次のように言っているわけであります。「こうした現行制度の持つ利点と意義を十分認識した上で、従来の中学校・高校に区分された中等教育の他に、6年間の中高一貫教育を選択可能とする柔軟な学校制度を設けることは、現在の多様化する児童生徒や保護者のニーズを考慮すると、一層望まれてきているものといえます」というふうにうたっております。
私は、無理があるのではないかと感じたのは、現行制度の利点と意義を認めておられながら、児童生徒あるいは保護者のニーズが多様化しているので柔軟な制度も必要なのだというふうに言っているところであり、そこに私がきょう質問したい問題の本質が潜んでいるというふうに考えております。
2点目の質問に移りますが、答申では、一貫校のメリットは強調されて、デメリットについては余り掘り下げがないというふうに思います。中教審答申でも、留意すべきことや課題等についてはきちんと認識していて、5点ほどに分けて受験競争の低年齢化を初めとする課題、留意点を列記しているわけであります。私の問題と感じる点は、以下9点ほどあるのですが、二つに分けまして最初は5点ほど質問いたします。
1点目は、一貫校がエリート化するおそれがあるのではないかということです。2点目は、受験競争の低年齢化が始まるのではないかということであります。3点目は、広域募集、広域選抜により、区域内の一貫校にされた学校への道が閉ざされる、児童生徒にとっては区域で通学可能な高校が一つなくなるということを意味するわけであります。4点目は、地域との日常的な連携、交流が不可能になっていくのではないか。5点目は、受験準備費用がかさみ、階層格差が持ち込まれて相対的に恵まれた階層の学校になってしまうのではないかというふうに私は懸念しております。
最初に、この5点についてお答えいただきたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 まず最初に、1点目のエリート化するおそれはないのかという点についてであります。
答申でも述べられておりますが、設置するとした場合におきましては、いわゆる受験勉強に偏った教育を実施することを想定しておりません。6年間の学校生活の中で、生徒の個性や創造性を可能な限り伸長することが重要と認識しております。
次に、受験競争の低年齢化を招くのではないかという点、そして、一番最後の階層格差が持ち込まれ、相対的に恵まれた階層の学校になるのではないかという点についてまとめてお答えいたします。
こちらも、答申で述べられておりますが、設置するとした場合、中学校段階の入学者の決定に当たりましては、法の定めに従いまして、学力検査は実施せず、適正検査、作文、面接、調査書、抽せんなどを適切に組み合わせて実施することにより、受験競争の低年齢化を招かないよう、また、相対的に恵まれた階層の学校にはならないよう十分留意する必要があると考えております。
なお、入学者決定方法の詳細につきましては、札幌市として設置を決定した場合、十分時間をかけて検討を進める必要があると考えております。
続きまして、区域内の一貫校化された高校への道が閉ざされるのではないかという点でありますが、平成21年度から通学区域が変更され、札幌市立高校につきましては、全市1学区、道立高校につきましては、石狩管内1学区となっており、既存の市立高校を改編して中高一貫教育校を設置したとしても、公立高校に入学を希望する生徒の選択肢は保障できるものと認識しております。
それから、4点目の家庭や地域との連携についてでありますが、通学区域が広い高校と地域との関係におきましては、地域を学校の周辺ととらえる視点と札幌市全体ととらえる視点の二つの視点がありまして、この両方の視点を踏まえまして地域と学校の双方向の協力関係を築いております。中高一貫教育校におきましても、高校の場合と同様に、家庭はもとより、地域とともにはぐくむ教育の推進は可能と考えております。
◆川口谷正 委員 私は、東区に住んでおりまして、近所に市立高校が1カ所ございます。たまたま、昨年度、09年度、学区が撤廃になりました。私のそばの高校にも全市から応募者が来られて、出身校別の様相ががらっと変わりました。校名は挙げませんけれども、去年、おととしは、全体で360人、あるいは320人という定数の中で、地元東区の子どもは247人、206人が通っていたわけですが、09年度は、320人の定数に対して106人と半減したわけです。比率から言いますと、地元率という言葉が当たるかはわかりませんけれども、わかりやすく言いますと、おととしまでは78%や72%ですが、09年度は50%となったわけであります。
そうしますと、ある意味では、撤廃によって地元東区の
子どもたちがそこの高校に行こうとする選択肢が非常に狭まったとも言えるわけであります。私の子どもは、大分年になりましたけれども、たまたまそこの高校を出たのですが、今、09年度だったらほとんど行けていないのではないかというふうに思うのです。やはり、地元の高校がすっかりと色を失ってしまう、薄まってしまうような感じを受けて仕方がないのであります。
また、次の懸念事項について質問してまいります。
中学段階はいわば義務教育でありますが、ここにおける学校選択の自由に道を開くことになっていくのではないかということが一つです。もう一つは、一貫校が制度化いたしますと、中等教育の複線化が制度的に定着してしまうのではないかということです。さらには、一貫校の成果をもって市全体の教育の活性化を期待すると言うのですけれども、異なる制度の学校へその成果を適用することは、言いやすいことかもしれませんが、なかなか難しいのではないか。最後に、市立高校のよき伝統が失われてしまう、卒業生の母校が消滅してしまうのではないかということも寄せられているわけであります。この点についての答えをお願いしたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 まず、中学校段階におけます学校選択の自由に道を開くことになるのではないかとの質問についてであります。
中高一貫教育校を設置することは、現在行われている校区の中学校に就学指定を行う制度を変更するものではなく、本市の特認校の場合と同様に、校区の中学校に加えて新たな選択肢を提供するものでありまして、学校選択制とは別のものと認識しております。
次に、中等教育が複線化し、制度的格差が定着するのではないかとの点でございます。
中高一貫教育は、学校教育法の改正によりまして、現行の中学・高校の意義や利点を踏まえた上で新たな選択として提供することが可能となった制度でありまして、格差を生じるものではないと認識しております。
次に、一貫教育の成果の活用についてであります。
答申にも述べられておりますが、札幌市にふさわしい中高一貫教育校の教育内容の柱として、札幌を教材とした学びを軸に、実験、観察、体験を重視した課題探究的な学習などが挙げられており、こうした取り組みの成果などを他の
市立中学校・高校に生かしていくことは可能だと考えております。
最後に、市立高校のよき伝統が喪失し、卒業生の母校が消滅することにならないかという点でございます。
設置するとした場合は、既存の市立高校を改編することが想定されますが、その場合、改編の対象となる高校のよき伝統や教育内容などを中高一貫教育校に継承することによりまして、卒業生の方々の母校に対する思いにも配慮することになるものと考えております。
◆川口谷正 委員 なかなかすきのない答弁をいただいておりまして、攻めにくいのであります。私から懸念事項等について9点申し上げましたけれども、それを客観的に聞いていただいた方々の中には支持者も結構おられるのではないかと思うのですが、私はそこが一番の心配事でございます。お互いに
子どもたちの健やかな成長についてしっかりした知識を期待して事に取り組んでいるわけでありますけれども、残念ながら、最初に申し上げましたが、中高一貫教育に関してはもうちょっと慎重に取り扱っていただきたいという思いであります。
質問が後先になって申しわけありませんが、先ほど1点目で答弁いただいたことに関連してです。
答申には無理があるのではないかということを申し上げました。つまり、
教育委員会として公教育を推進するという立場から見ると、これは、必然的に中学校段階から序列化を招く、あるいは、入学選抜に当たって競争が始まることは避けられないのではないかと私は思っております。
現に、東京の場合は、中高一貫が私立、国立を中心に非常に進んでおりまして、学校の数で21%、子どもの数で25%くらいは中高一貫校に行っているというふうに言われているわけでありますが、その陰の部分では、いじめ、不登校も非常に起きているし、また、そうしたシステムの弊害も生じていることが指摘されているわけです。そのことが、今、札幌に持ち込まれようとしているのではないかということを私は恐れているわけであります。
公教育という立場、機会均等と口では言うのですが、中高一貫教育を導入することによって機会不均等になっては困るのであります。こうした点について、考えをお示しいただきたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 今、委員のご心配の点でありますけれども、中高一貫教育につきましては、学校教育法の改正により導入できるようになった制度であります。これは、従来の中学校、高校に加えて、生徒や保護者に中高一貫教育という新たな選択肢を提供するものでありまして、生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指すものと認識しているところであります。
◆川口谷正 委員 ちょっとかみ合っていない気もいたします。
そもそも、小学校を卒業した子どもが進路を選択するときに、主体的に、あるいは、みずからの判断で進路を選べるでしょうか。現実には、それは子どもの選択ではなくて、親、保護者の関心とか教育に対する熱心さが如実にあらわれていくのではないかというふうに思うんですよ。そうしますと、先ほど触れましたように、やはり、階層の上位の方々の子どもが主に一貫校に進むことにつながっていかざるを得ないということを含んでいると思うんですよ。そのことがありますから、私は、機会均等が保障されるのか、機会不均等になるのではないかということを指摘したわけであります。
いつまでもここにとどまっていても仕方がないですから、次に進みますけれども、
子ども自身の問題として4点ほど申し上げます。
今申し上げた保護者の意向が強く働くのではないかというところが一つです。二つ目は、中等学校1年生から6年生までということがありますから、必然的に中だるみ現象があらわれてくるのではないかということです。それから、年齢の異なる子どもの交流があるので、その効果もあるのだということも言うわけでありますけれども、12歳と18歳とではかけ離れていて、それはなかなか期待できないし、むしろ低学年に萎縮が起こりはしないかということが心配されるわけであります。4点目は、広域化に伴う長距離通学で、実はゆとりが失われてしまうというふうに思うのです。
こうした事柄について、いかがお考えでしょうか。
◎谷山
学校教育部長 まず最初に、小学校卒業段階で進路指導できるのか、または親の意向ではないかという点でございます。
答申でも述べられておりますが、確かに小学校卒業段階で本人が学校を選ぶことは大変難しい面もあると認識しておりますことから、小学校との連携を十分図るとともに、説明会の開催やパンフレット等の発行などを通しまして小学校やその保護者に対して十分周知し、理解を図ることが必要と考えております。
次に、中だるみの懸念についてでありますが、答申書におきましても、中高一貫教育には高校受験がないことによるいわゆる中だるみが懸念として指摘されております。設置するとした場合には、高校入試がないからこそ、十分時間をかけて取り組むことができる中学校3年生から高校1年生にかけての時期におきまして実験、観察、体験を重視した課題解決的な学習などに取り組ませたり、生徒が打ち込めるものを見出せるよう、学校行事や体験活動などを工夫することによりまして生徒の学習意欲の向上を図ることが可能であると考えております。
次に、幅広い異年齢集団により生じる問題についてでありますが、現地調査した他都市の中高一貫教育校からは大きなデメリットは聞いておりません。一方、メリットとして、例えば、高学年の生徒が低学年の生徒にアドバイスや指導する場面を設定することにより、教え、教えられる関係の中から、上級生にとっては教える喜び、責任感、下級生においては上級生へのあこがれの気持ちをはぐくみ……(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◎谷山
学校教育部長 (続)生徒への学習意欲の向上を図ることができると伺っております。(「デメリットは」と呼ぶ者あり)
最後に、長距離通学に伴うゆとりの喪失という点でございますが、設置するとした場合、校区の中学校に加えまして、中高一貫校を新たな選択肢として広く市民に提供することとなるため、中高一貫教育校への入学につきましては、本市の特認校の場合と同様に、通学距離や通学時間なども加味して児童や保護者に選択していただくことになるものと想定しております。
◆川口谷正 委員 そんなに心配しなくていいのだ、大丈夫ですというお答えだというふうに思います。
安心してお任せできるのであれば、私もいろいろと調べ上げて指摘することもないのでございますが、実は、ほかの地域のさまざまな事例を見ても、現実は部長が答えるようにそうきれいにはいっていないわけです。途中でドロップアウトする子どももいます。一貫教育ですから、1年生から6年生までで、中だるみについては途中でちゃんと手当てをする、最初の2年、真ん中の2年、後の2年できちんと教育目標を立ててやるということのようでございます。理論的にはそれでよろしいかもしれませんが、メンバーが固定する、6年間同じメンバーで異動していくわけですから、そこから来る人間関係のさまざまな確執等もあります。あるいは、教師と生徒の相性の悪さなどをずっと引きずるわけですね。ですから、私は、6・3・3制にこだわるわけではありませんけれども、6・3・3制もなかなかいいなと答申みずからが認めているように、利点と意義が存在するというふうに考えております。
異年齢のことに関してちょっと触れますが、12歳から18歳の子どもの発達水準、あるいは発達の課題で、18歳の青年と12歳を比べますと余りにも落差が大きいわけです。しょせん、無理です。私はあえて一番離れたところを言っておりますけれども、仮にそれがもっと接近したとしても落差は大きいというふうに思います。そして、その落差は、特に、年少の子どもにとっては圧迫感あるいは萎縮に陥る契機になっていくことになると、いずれ不適応や逸脱の機会がふえる基盤となる可能性が大いにあるのではないかというふうに思うのですね。
それやこれや、もっと申し上げたいこともございますが、最後の質問に移ります。
今いろいろと申し上げましたけれども、私とのやりとりで、解決策、あるいは答えとして十分にいただいたという印象は私は持てておりません。この問題は、なお、お互いに切磋琢磨してあるべき姿を探っていく必要があるのではないかと思います。総体的に、私はこの一貫校問題は必ずしも内外に周知されているとは思っておりませんで、議論不足、消化不良の状態にあると言わざるを得ないというふうに思います。
ついては、この問題の取り扱いは、どうか拙速を避けて、慎重に検討すべきだというふうに思うのですが、お考えを伺いたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 中高一貫教育につきましては、先ほど委員がご指摘のとおり、平成11年に法制化されてから、
教育委員会におきまして長期間にわたりまして検討を重ねてまいりました。平成12年には、学識経験者を初め、市立学校教職員、市民委員から成る市立高校教育改革推進協議会を設置し、中高一貫教育を含む高校改革の基本的な方向性と施策についての提言を受けまして、平成15年に札幌市立高等学校教育改革推進計画を策定いたしました。平成16年には、主に義務教育段階における札幌市の教育改革の方向性と施策を示す札幌市教育推進計画を策定しており、この二つの計画におきまして中高一貫教育校の設置について検討を進めることとしております。また、平成19年には、生徒、保護者のニーズを把握するためにアンケート調査を行い、平成20年2月には、それまでの検討成果をまとめました札幌市における中高一貫教育のこれまでの検討について公表いたしました。その後、先ほど申し上げましたとおり、平成20年5月に学識経験者や市立学校教職員、公募の市民委員、PTA関係者から成る中高一貫教育検討協議会を設置いたしまして、他都市の先進事例の調査を行うなど、1年間にわたり議論していただいたところであり、これまでも十分に時間をかけて検討を進めてまいりました。
◆川口谷正 委員 当初の方針どおり、粛々と進めていくというお答えかなというふうに思いますが、私は、なおこだわりがあります。
たまたま市長がお見えになりました。私がお呼びしたわけではございませんが、市長にも、中高一貫について考えを伺っておきたいというふうに思います。
市長が見える前に、私は、今、経済的な事情によって
高校授業料も払えないところに陥っている子どもが急増しているということを申し上げたのです。私の手元にあるデータによりますと、これは2004年の北海道子どもの生活環境調査で小西先生が調べたものでありますが、家族の所得階層と子どもの教育というデータであります。700万円以上1,000万円未満と1,000万円以上の家庭では、学校の成績はできる方がそれぞれ30.6%と30.2%です。授業をほぼ理解しているのは、1,000万円以上では34.6%です。塾、家庭教師を利用しているのは、これは700万円以上の家庭で約34%と、こういうふうに階層化しているわけです。ところが、200万円未満クラスでいきますと、それらは8.3%とか、非常に如実にここにあらわれているわけです。一貫校を進めれば、恐らく社会の上澄みの
子どもたちがそこに集まっていくのではないか。そして、高校だけではなくて、中学校も含めた序列化がますます進むのではないかということを私は申し上げたいわけであります。
こういうところに公教育が進んでいいのかどうかなどの点について、上田市長の見解を伺いたいと思います。
◎上田 市長 前段でおっしゃいました所得や階層と教育の問題につきましては、私も関心を持っており、岩波新書で「子どもの貧困」という本が出ておりまして、そこに詳細なデータが載せられております。大変衝撃的なデータであり、社会的な問題として考えていかなければいけないというふうに思っております。そのことと、中高一貫教育が差別、選別に序列化になりやすいということについては、一つの近似性として、今までの受験体制等々のことを考えると、そういう弊害が全く想定されないかというと、それはそうではないかもわかりません。
ただ、今、ほとんどの
子どもたちが高校まで進学する、しかも、高校の
授業料無償化という政策も実現しつつある中で、あるいは、子ども手当ということで中学校までの
子どもたちは子どもの教育環境を整えるという意味合いにおいて、所得格差を是正していくという政策を実現しようという政府があらわれてきているわけであります。そのような意味で、考えられないわけではない中高一貫教育の序列化の弊害を除去するさまざまな社会的な政策をあわせますならば、最大限、そういうものを防止していくことが可能ではないだろうか。そして、先ほど来、説明させていただいております中高一貫教育のいいところ、多少いいところづくめというお話のような懸念もございますけれども、中高一貫教育のすばらしい教育効果を実現するために努力していくことについては、これから多くの皆様方のご理解をいただくことができるのではないか、また、そのご理解をいただくための努力を今後していかなければならないのではないか、このように考えるところでございます。
◆長内直也 委員 私は、3点について質問する予定でございましたけれども、その前に、先ほど佐々木委員の質問がございまして、その最後に市長がご答弁されておりましたが、ちょっと誤解があるようでございますので、改めてお伺いしたいと思っております。
それは、公私の格差という話をさせていただいたわけであります。一方では、幼保の格差もお話しさせていただいたわけであります。それに対して、私の記憶しているところでは、保育園を抱えて事業をする主体と、学校教育法に基づく幼稚園とではそれぞれ違うと。確かにそうなのでありましょう。それは国や道の意向が大きいので、なかなか思うようにいかないのだというようなニュアンスの答弁をされたかと思います。
しかし、私は、今回の
教育委員会での予算案は、すべてそうだと思いますけれども、当然、
教育委員会では、いろいろな意見を聞いたり、こういったものをやっていきたいというのが最初にあって、それを財政の方に折衝するところからスタートしていると思うのです。それに対して行財政改革プランなどに基づいて削減してきたということは、言いかえると、
教育委員会としてはもっと希望したけれども、市長サイドでそれが削られた、こういうふうに認識せざるを得ないわけであります。これについての市長の改めてのご答弁をいただきたいと思います。
それからもう一つは、先日、社団法人札幌市私立幼稚園連合会、そしてPTA連合会の両者から、これは議長あてですけれども、市長にも申し入れが行っているかと思います。その中の一つに、先ほども議論がありましたが、いわゆる障がい児と言うのでしょうか、特別支援児を市立幼稚園が受け入れていて、今後、今まで市立幼稚園を受け皿としていた部分を私立幼稚園に一部位置づけるということであれば、当然ながら、今まで市立幼稚園で特別支援児に要している費用と同額をもって私立幼稚園に受け入れを委託すべきであると、連合会もそのような主張しているところであります。
私も、これは同感だと思うのであります。やっぱり、支援に要する経費の問題で、せっかく受け入れをしてしっかりやっていこうという思いが、お金の面でできなくなることになると私は大変なことになると思うのです。これについて、札幌市は保護者に対してどのような措置をとり、どのような説明をされるつもりなのか、この2点についてお伺いしたいと思います。
◎北原 教育長 特別支援教育にかかわる取り組みについて、札幌市の市立幼稚園の基準と同様の基準で私立幼稚園に措置する、そういう取り組みをすべきではないかというご指摘についてであります。
実際に札幌市がこれまで取り組みとして進めてきていた特別な支援を必要とする子どもの受け入れについては、モデル的に、札幌市としてどのような受け入れをするとそこでより適切な指導が可能なのかということを追求していくための取り組みでもありますことから、ある意味では極めて手厚く取り組みを進めてきたところであります。しかし、この後、札幌市全体で、先ほど来申し上げております幼稚園児の95%以上を受け入れていただいている私立幼稚園で特別な支援を必要とする子どもの受け入れを考えていく上では、他の取り組み等の基準と一定程度の整合性を持たせながら、先ほど来申し上げているように、1園当たり2名以上受け入れていただいた場合には90万円相当の助成をさせていただくと、今回はそういう取り組みに仕組みを整理させていただいたところであります。
あと、財政の関係ですけれども、
教育委員会は、要求するだけの立場で、財政にそれを削られたという話ではないのかというお話がございました。
教育委員会としても、札幌市の財政に対してその一端を担っているという立場から、最終的には、札幌市
教育委員会としても札幌市の予算に対して基本的な責任を負いながら、今回の予算の確定に向けて合意をしながら取り組みを進めてきているところでございます。
◆長内直也 委員 そういうことになると、どうも今までのお話とちょっと違うようでありますね。
私が認識していたのは、私なりに先ほどのやりとりを解釈すると、一生懸命にそれを何とかしようとしてきた、それが行革プランなどの中で削られるという対象になってきたということで、市長サイドがそれを削ったんだと。私はそう思っていたのですが、今のお話だと、どうもそれを踏まえて最初から予算要求しなかったということなのですね。そういうことかと思うのですが、それについては簡単に終わるわけにはいかないものですから、改めてその認識をいただきたいと思います。
それから、受け入れができなくなった場合にどうしますかということをお聞きしたはずなので、そのこともお答えいただきたいと思います。
◎北原 教育長 まず、予算のことですけれども、各部局としてそれぞれの要求は当然ございます。それはございますが、最終的に、それについて札幌市としてどうあるべきかということを考えていったときに、落ちついた先は、一部局が責任を負うということではなく、札幌市全体としてこの予算案について整理されたものだというふうに理解しているという意味でございます。
それから、特別な支援を必要とする子どもの受け入れですが、これは、もともとの幼児教育推進計画の中でも、私立幼稚園として特別な支援を必要とする子どもを受け入れていただけるための取り組みについて進めていく必要があるということを明記してございますし、その取り組みの中で、どうしたらそれを実現できるかということで整理させていただいたのが今回の助成の制度でございますので、その趣旨に沿って取り組みを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆長内直也 委員 よくわからないですね。
少なくとも、受け入れたくても物理的に受け入れられないということになると、その子ども、あるいは、そこに通わせようとする保護者はどうしたらいいのですか。
◎北原 教育長 具体的には、これまでも、さまざまな
子どもたちの状況の中で、例えばある園が受け入れを求められて、園の状態として受け入れられない状況も過去にはございました。その中で、ほかの園に要望を出して、そこで受け入れていただくといった事例も確かにございました。
今、具体的にどういう状況を想定しながらお話しされているのかはわかりませんけれども、基本的には、市立幼稚園に関しては、これまでの受け入れの枠について、想定している枠よりもより多くの
子どもたちを受け入れてきた経緯もございますし、そういったことを含めて、市立幼稚園として受け入れられる取り組みについて、先ほど来申し上げているさまざまな市立幼稚園ないしは幼児教育センターからの方法論的なサポート等も含めて、サポートさせていただきながら受け入れを促進させていただきたいということとあわせて、現在残っている市立幼稚園においても継続しながら受け入れを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆長内直也 委員 認識として、どうも札幌市の一部局というように教育長はおっしゃっておりますけれども、私は独立行政機関だと思っておりますよ。ですから、その辺の認識からしてまずちょっと違うのではないかと思います。
これが札幌市役所の中の一部局であればその答弁なのかもしれませんけれども、私は、少なくとも
教育委員会として何が必要であるかということをしっかり議論した上で、結果として削られたということだと思っていたのですが、そうでないとするならば、この問題そのものに対する認識が欠けていると言わざるを得ません。
とりあえず、議論としては平行線でありますから、これについては終わりたいと思います。
続いて、当初予定しておりました三つの質問をさせていただきたいと思います。
まずは、全国学力テストについてであります。
先ほども宮本委員からお話がございましたので、なるべくかぶらないようにしたいと思っております。
今回、希望利用方式という形になったわけでありますけれども、過去3年間、国がすべて国費で全員に学力テストを受験させるという制度があったわけですが、なぜかこれを全員にしないという形にしてきたわけであります。各学校もそうでありますし、あるいは、このテストを受ける児童一人一人にとってもそうでありますけれども、それぞれが自身の学力状況とか学校の学力状況を把握するためには、やっぱり抽出だけではできないと思うのですよ。抽出でいいというのは監督官庁の考え方であって、事業主体の札幌市
教育委員会の答弁としてはふさわしくないというふうに思っておりますので、監督官庁ではなくて、みずから実施主体である札幌市
教育委員会の考え方として、この問題についての答弁を再度いただきたいと思います。
それから、先ほどもありましたけれども、秋田県や福井県はそれぞれ学力が非常に上位にいるという一つの事例があります。このような取り組みについて、どういった取り組みをしてこのような結果が出ていると認識されているのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
◎西村
指導担当部長 全国学力テストについて、私からお答え申し上げます。
教育委員会としましては、学力は、基礎的・基本的な知識、技能ばかりではなくて、興味・関心を持ってやる意欲、あるいは、課題を明らかにして情報を活用しながら解決する力などの幅広い総合的に学ぶ力であるというふうに考えております。しかしながら、学力調査によって測定できるのはそうした学力の特定の一部分であって、その一部分についてのみで児童生徒一人一人の総合的に学ぶ力を育成していくこと自体はなかなか難しいものがあるというふうに考えております。
そのような学力観を踏まえた上で、札幌市全体としての課題を明らかにし、その改善に努めるとともに、各学校における教育指導上の課題に対する改善を行っていくことは大切であるというふうに考えております。そうした改善を通して、教員一人一人、あるいは生徒一人一人が、ある面ではその教育を受けながら切磋琢磨し、学力の向上及び指導力の向上、広い意味での学力の向上でございますが、そういったことに努めていくことが可能となるとともに、それが教育、広い意味での学力の向上を支える基盤であるというふうに考えております。
秋田県などの例の中で、学力の高いところはどのような取り組みをしているのかということでございますけれども、これも、基本的には、結果の分析を正確に行って、それに基づく指導方法の工夫、改善をしているものというふうに考えております。私ども札幌市
教育委員会におきましても、学識経験者などを含め、過去3年分の結果の分析も通して、それに基づく指導方法の工夫、改善及び授業改善のプランの表明、そして、学校への送付などを通して指導方法の工夫、改善に努めているところでございます。
◆長内直也 委員 非常にぶっきらぼうな答弁をされましたね。もう少し真剣に取り組んでいただきたいと思いますよ。
一部の学力であって、これだけでははかれないのだ、いろいろなほかの力もあるのだと、それは当たり前ですよ。ただ、そうしたらなぜ学力を向上させなければならないのですか。日本は、既に世界の先進国の中でかなりおくれをとっているというところがまず一つあるわけですね。その中でも、さらに北海道は一番下位なんですよ。下から2番目、3番目です。札幌は都会ですから、北海道のほかの地方よりは上かもしれませんよ。ただ、その分、札幌が上がることで北海道全体をレベルアップするぐらいの気概があったっていいんじゃないですか。その辺は、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
また、2点目は、非常に見当外れなお答えをいただきましたけれども、私が申し上げているのは、秋田県や福井県などが上位にあるということは、当然いろいろな取り組みをされているでしょうと。皆さんだってそれを勉強しているわけですから、どういうことをやってこの結果が出たと認識しておりますか。
◎西村
指導担当部長 後段の秋田県、福井県の取り組みについてでございますけれども、先ほども申し上げたとおり、指導方法の工夫、改善は、さまざまな学力調査を行った結果を分析したり、日常の授業の検証を経る中からそうした工夫、改善に努めていることと、それから、かなり古くから少人数指導などの取り組みをずっと進めてきている地域だというふうに承知してございます。
◆長内直也 委員 全然見当外れですね。そうしたら、私から申し上げますか。
例えば、秋田県は、全国的に自殺率がトップとか、いろいろな暗いニュースがいっぱいあったんですね。学力も下だったんですよ。それを何とかしようという取り組みの中で、教育からやっていこうということなのです、簡単に言えばですよ。福井県は何をやっているかというと、30分早く学校に来て読書をする、そして、学校が終わった後の30分は体力づくりをする、こういうことをやってきたわけですね。
これは、今、世界的にも言われておりますけれども、学力と体力はある程度比例をするわけですね。そういったことからも、こういう取り組みをしているところがあるわけですから、少なくとも札幌だって少しそういうことをやっていったっていいんじゃないですか。そのためには、それぞれ学校単位にしたって、児童や生徒一人一人にしても、自分がどの位置にあるのかということはやっぱり知りたいんですよ。それを少しでも伸ばしたい、あるいは、ここがわからないと――わからないところがわからないのが一番困るんですね。わからないところがわかるということが大事なのです。それは、皆さんは現場にも行っているからわかると思いますが、やっぱり、根本からやる気がないというふうに私は受け取りました、今回のこの件は。
少なくともことしについては、平成22年度については、希望利用方式というものがせっかくあるにもかかわらず、道教委がそれを進めているにもかかわらず参加をしなかった。あえて参加しなかったんですね。例えば、どうしてもお金がなくてというのなら、まだ一つの理由としてわからないのでもないのですが、先日、これを全部やったら幾らぐらいかかるのと聞いたら、数字も把握していないのですね。そんなような状況でありますから、明らかに最初からやる気がない、後ろ向きであるというふうに考えざるを得ないのであります。
少なくとも平成23年度からしっかり検討すべきと考えますけれども、いかがですか。
◎西村
指導担当部長 平成22年度の実施については、抽出調査には参加することとし、希望利用方式は採用しないということで先ほど申し上げたところでございます。
平成23年度につきましては、文部科学省において実施方法等について見直し、検討していくことが想定されておりますので、改めてそういった国などの情報を的確に把握して、校長など関係者の意見も参考にしながら、
教育委員会として総合的に判断していきたい、そういうふうに考えております。
◆長内直也 委員 本当に幾ら言ってもだめなようでありますね。
ただ、根本的にあるのは、私は、これは全額を国でやるべきだと思うのです。せっかく3年間やって、もう少し長く続けていって分析できるまでいかないところでやめてしまった、これが根本にあるわけであります。ですから、少なくとも、国の方へ、全額、全員が参加できるように要望していくとか、そういうことすらも考えていないのですか。
◎西村
指導担当部長 基本的に、先ほども申しましたとおり、札幌市全体の児童生徒の学習状況を把握し、指導方法等の工夫、改善を図るためには、私どもが平成16年から実施している独自調査と同様に、ある面では抽出方法でよいというふうに考えているところでございます。
◆長内直也 委員 幾ら言ってもやる気がないということでありますから、これについては今後も訴えてまいりたいと思います。少なくとも、札幌市
教育委員会は、それをあえてやる必要がないと考えているという認識を持ちました。
次に、学校における児童生徒等に関する個人情報の保護、管理についてであります。
個人情報保護法ができました。また、札幌市でも、それに合わせる形で条例もできました。私は、この法の趣旨は必ずしも間違っていないと思うのです。しかし、その運用上、一部の極めてヒステリックな意見に引っ張られているのではないかというふうに考えております。
特に、学校現場でそれが見られるのは、かつてであれば学校のクラス名簿というのがありました。保護者の氏名も書いてありましたし、住所、電話番号なども書いてありました。たしか、前は保護者の職業まで入っていたと思います。私たちはこういったものを当たり前と思ってきました。それが、最近は、それこそ私がそれをコピーして持ってくると法律違反でありましょうから、今は持っていませんけれども、見せていただいたところ、クラス名簿が穴ぼこだらけなんですね。親の名前が入っていない。住所が入っていない。電話番号がない。そんなことでどうやって連絡をとり合うのかと思って聞いたら、子ども同士が電話番号を知っている場合は子どもに聞いて電話をするというんですね。やっぱり、必要最低限のというか――学級名簿が配付されないという例もあるようであります。
私は、これは非常に過剰な反応からくるものではないかと思いますけれども、その過剰な反応に対してこれまで幼稚園や学校にどういう取り組みをしてきたのか、お伺いしたいと思います。
◎西村
指導担当部長 個人情報の保護、管理に関する取り組みについてでございます。
平成17年4月に
個人情報保護法が施行されまして、これに伴いまして緊急電話連絡網等の連絡名簿の取り扱いなどにおいて一部混乱が見られたと認識しております。そのことから、
教育委員会といたしましては、平成18年5月に学校における緊急連絡網等に関する取り扱いについて通知いたしまして、その中で、本人及び保護者から同意を得ることなどにより緊急連絡網等を作成、配付できることなど、法令等に基づく適正な個人情報の取り扱いについて改めて示したところでございます。
◆長内直也 委員 平成18年にそういう通知を出したということでありますけれども、ただ、現状としてそれが改善されているかというと、されていないわけであります。
この法律は、少なくともこういった名簿をつくるなと言っているわけではないはずですね。つくったものを悪用しないようにしましょうというのが法律だと思います。条例も恐らくそういうことだと思うのです。
私は、これは異常だと思います。なぜ異常かというと、
子どもたちも、小学校時代に身につけたことはそれが常識となってくるのです。クラス名簿がこういうふうに穴ぼこだらけで情報もないようなことが普通だというふうに思ってしまうと、私は余りいいことじゃないのではないかなと思います。緊急に連絡をとりたいときとか、不便に感じていないかどうかを保護者にしっかり調査して、把握して、過度な運用の状況にならないようにしていくべきだと思うのですよ。
これは、学校でやれと言うかもしれません。ところが、一部の保護者が、1人でも2人でもそういうふうに過剰に言う人がいれば、学校はそちらの対応もしなければいけないわけです。そういった意味で、
教育委員会として、大所高所から学校に対してしっかり指導を行い、
教育委員会からの指導に基づいて各学校がそれを適正に運用する形が望ましいかなと思うのですが、これについてお伺いしたいと思います。
◎西村
指導担当部長 緊急連絡網に対する学校への指導についてでございます。
教育委員会としましては、実態の把握に努め、緊急な場合など、学校運営上、必要な情報につきましては法令等の定めに従って提供するなど、適正に情報が取り扱われるよう指導してまいりたいと考えております。
◆長内直也 委員 適正と言ってしまえばそれまでなのですけれども、適正ではないということを言っているわけですね。適正になっていないんじゃないですかということを申し上げているつもりなのです。その辺は、いろんな方がいますから過剰に反応する方もいるかもしれませんけれども、少なくともクラスの中の名簿ぐらいはそれぞれが情報を交換できないと私はやっぱりおかしいと思いますよ。
うちの地元はマンションが多いのですが、その事例を一つ申し上げますと、以前ですと、集合ポストがあって、そこに名前が入っていないということは間々ありました。ただ、最近、入居者同士もお互いに名前を知らないというマンションもできているんですね。お互いに何号室さんと呼んでいるんですよ。私は、こんなことは異常だと思いますよ。そういったことが学校現場からさらにひどくならないように、私は隣近所のつき合いなどは子どものときからしっかりと身についていかないと将来的に大変なことになると思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
最後に、3点目ですが、北教組の問題であります。
先日の代表質問で我が会派の五十嵐委員からも質問させていただいたところでありますが、これは、北海道、札幌だけのニュースではなくて、全国ニュースであります。全国の皆さんが非常に関心を持ち、かつ、非常に残念な事例として全国から見られている問題であります。北教組から裏金1,600万円が提供されたという事件の中で、北教組の委員長代理や書記長など役員3人が逮捕されました。教育界にとっても大変な汚点でもありますし、前代未聞の不祥事であるというふうに考えております。こういうことをしている先生は一部かもしれませんけれども、全体としてイメージが悪く、
子どもたちや保護者にも不安を与えることでありますから、これは、しっかりと事実の解明がされていかなければならないというふうに思っております。
そんな中で、後ほど市長にも質問させていただきますが、まず、
教育委員会に対して質問させていただきます。
今回の北教組の問題に関連して、文部科学省から調査をするようにという通知というか、確認事項ですか、要請なのですか、それが来ているということでありますけれども、どんな内容の調査要請が来ているのか、これについてまず1点目であります。
それから、その調査内容に限らず、言われたから調べますではなくて、足元で起こっているものでありますから、市教委としても、その項目以外にもみずから具体的、積極的に調査をすべきと思いますけれども、何か独自に調査項目を加えるつもりがあるのか、ないのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
また、教員は、教育公務員として一般公務員よりも非常に厳しい政治活動の制限を受けているわけであります。例えば、有給休暇をとって行った政治的行為でも許されないというふうに私は認識しているのですが、具体的に調査をした中でそういった制限に抵触するような事実が今後確認された場合に、どういった処分を行うことになるのか、また、その処分内容についてもお伺いしたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 文部科学省からは、これまで新聞等で報道されております教員の選挙運動やカンパなどにつきまして指摘がございまして、政治的行為の制限に抵触するおそれのあるこれらの行為が事実であるかどうかの確認を求められているところでございます。
2点目につきましては、新聞等におきまして教員の政治的行為の制限に抵触するおそれのある行為等が報道されておりまして、これらについて調査することはもちろんでございますが、一部に教員が勤務時間中に組合活動を行っているという指摘もなされておりますことから、職務専念義務違反の有無につきましてもあわせて調査することを検討しているところでございます。
それから、政治的行為の制限に抵触する行為が確認された場合についてでございますが、このような事実が確認された場合には、他の法令違反行為と同様に、法令違反として地方公務員法にのっとり厳正に対処することとなります。
なお、処分の内容及び程度につきましては、
教育委員会としても、法令違反の内容や行為の態様等を個別・具体的に検討した上で決定するものでございます。
◆長内直也 委員 今、ご答弁がありましたが、調査要請にはどういったものが来ているかという最初の質問に対してすごくあっさりとお答えになりましたけれども、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
それから、勤務時間の組合活動についても疑いがあるということで、それについては個別に調査するということでありますから、当然のことだなと思いますので、まずは調査要請のことについてもう一回答弁をいただきたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 先ほど新聞等でというお話がありましたけれども、例えば、集会参加やチラシの配布、電話作戦などの動員行動を指示したり、1人につき5名の支援者獲得を目指すよう呼びかけたかどうかというあたりでございます。(笑い声あり)
◆長内直也 委員 そうしたら、私が言いましょうか。
まず、一つは、今回指摘されている政治資金規正法違反にかかわった教職員がいるかどうか、これは当たり前ですね。次に、平成17年9月の衆議院選挙の前に、指令書という文書を配付して、候補者ごとに計5人の教員をリストアップし、選挙戦の専従担当者に任命したとあるが、これまでの選挙で公務員たる教職員が専従担当者に任命された事実はあるのか。あるとするならば具体的に何を行ったか。政治的行為の制限等、法令に違反するような行為があったかどうか。それから、今ありましたのは、声が小さいので、多分、皆さんは聞こえなかったと思いますけれども、組合員に対して集会参加やチラシ配布、電話作戦などの動員行動を指示し、1人につき5人の支援者獲得を目指すよう呼びかけたとあるが、公務員たる教職員がこのようなことを行った事実があるのか。それから、これも小さい声でありましたけれども、年に数回、組合員にカンパを要請し、カンパが学校単位の分会で集められ、また、学校ごとに徴収された資金は、北教組の各支部に一たん集められた上、本部に集約される仕組みで、昨年8月の衆院選前、今夏の参院選に向けてことし1月にも行われたとあるが、こうしたことに公務員たる教職員が関係した事実があるのか。こういうような内容なのですね。
こういった事実は、今、確認中だと思いますけれども、今のところ、確認できていることがあればお答えいただきたいと思います。
◎谷山
学校教育部長 今のところ、ありません。
◆長内直也 委員 ということでありますが、ここに第44回衆議院選挙闘争の取り組みについてという文書があります。これは、残念ながら昨年のものではないのですけれども、いわゆる小泉解散のときに具体的に指示があったものであります。その中には、これはちょっと長く書いてありますが、要は、小泉改革に対して反対といった中から、北教組が組織を挙げて組織内の候補を応援するということであります。具体的な取り組みとして、動員行動として集会の参加、チラシ配布、電話かけなどの諸行動に積極的に参加すること、それから、支持者獲得の取り組みとして組合員1人が5人の支持者獲得を目標に取り組むこと、この支持者カードは、単なる紹介カードではなくて、個々に面接、電話、親書などで支持を確認したもの、しっかりとした票になるものだけを持ってこいということであります。
これだけ具体的なものがあって、名前は申し上げませんけれども、選挙区ごとに専従者を設けて――これは現職の教員ですよ。そうしてやっているわけでありますが、これについてはどう認識されますでしょうか。
◎谷山
学校教育部長 ご指摘にありました内部文書につきましては、その内容を承知しておりません。また、その文書により教員がどのような選挙活動を行うことになったかということも今のところ把握しておりません。
しかしながら、当該文書につきましては、今後、その入手に努めるとともに、その上で、法令等に照らしましてどう評価できるのか、また、どのような影響があったのかにつきましても、これから
教育委員会で行う調査によりまして確認してまいりたいと考えております。
その結果、法令に違反するような事実が明らかになりましたときは、厳正に対処していかなければならないと考えております。
◆長内直也 委員 それでは、教育長に伺いたいと思います。
今と同じ質問ですが、こういった内部文書が出ているということについてどのような認識をされているかということと、今後こういったことがないようにどういう指導を行っていきたいと思っているのか、これについて教育長にお願いします。
◎北原 教育長 ご指摘のありました内部文書については、私としても把握してございませんでしたけれども、今、部長から答弁がありましたように、今後、早急にそれを入手するよう努めまして、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
今後の取り組みについてですけれども、服務規律の確保につきましては、これまでも節目節目で各園、各学校、あるいは校長会などに対して注意喚起を行ってきておりまして、特に選挙を控えた時期については、教員の選挙運動の禁止等につきまして文書で事例等も示した上で注意を促し、万一、違反の事実があれば、その報告を義務づけてきたところでございます。
しかしながら、このたびの一連の報道等によりまして、
子どもたちの信頼を損ね、教員の服務規律につきましても多くの市民が疑念を持ったであろうことを踏まえ、これを契機といたしまして、今後より一層の服務規律の確保に向けた指導を徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆長内直也 委員 最初から申し上げているとおり、一部の方のやっていることで全体がそういうことをしていると思われることは、私は本当にひどいなと思っておりますので、やっぱり、その行為を発見した場合には厳罰を考えていただきたいというふうに思います。
もう一つは、これは申し上げづらい話だったのでありますが、いわゆる専従者として選挙の担当になっている方は、過去の職員歴を見ますと、どうも教育長が現場におられたときに同じ学校におられたようなところがございます。言い方は適切かどうかはわかりませんけれども、学校の中で上司と部下の関係であったようなことかなと思うと、非常に身近なところで起こっていたことかなと思いますので、そういった事実関係をよりしっかりと調べて厳正に対処していただきたいということが
教育委員会に対する私の考え方であります。
一方、これから市長にお伺いしたいと思います。
これは周知の事実でありますが、元組合の顧問弁護士のお一人であった上田市長でありますから、その立場でまずお伺いしたいと思うのであります。(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◆長内直也 委員 (続)先ほど私が申し上げたとおり、今回いろいろな疑いがかけられているのは昨年の選挙のことだったのです。ところが、今出てきている新たなものはその前の選挙のときの話であります。ということは、こういったことは、今回、突然に出てきたわけではなくて、長年にわたってずっと同じようなことが行われてきたのではないかというふうに思うのが普通であります。ということになりますと、市長が北教組の顧問弁護士をされていたときにも既にこういったことが行われていたのではないかというふうに疑うのが普通でありますが、これについての市長のお答えをいただきたいと思います。
次に、教職員の政治活動はすべてだめとは言っていないわけです。当然ながら、グレーなところもあるでしょうし、黒も白もあるでしょう。そういった中で、グレーな部分は、恐らく、顧問弁護士である当時の上田弁護士に相談するのではないかということが普通に考えられます。そういった意味で、教職員の活動が法令違反に該当するかどうかというようなことを組合から顧問弁護士である上田市長のもとに相談を受けているような事実があるのかどうか、あるいは、その場合にどういう対処をしてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎上田 市長 そこら辺を知りたいと思われる気持はよくわかりますけれども、(笑い声あり)私も元顧問弁護士ではありますが、今も弁護士の登録をして、弁護士法上の守秘義務がございます。また、刑法上も、秘密漏えいをしてはいけない、職務上知り得た事実を述べてはいけないということが刑事罰を持って禁止されているところでございます。どのような相談を受けたかということについては、一切お答えすることはできません。
ただ、今は市長としているわけでありますし、世上で言われているような事実は、新聞報道等を通じて耳に入っておりますので、そういうことがもしあったとすれば大変遺憾なことだと思うという所感を述べさせていただきたいと思います。
◆長内直也 委員 元顧問弁護士としてはそういうことになるのかというふうに思いますけれども、ただ、そういうふうに疑われても仕方ないことだと思います。この辺については、弁護士上田文雄さんにはこれ以上お聞きできないかと思っておりますので、次は政治家上田文雄さんに質問したいというふうに思うわけであります。
市長は、2回当選されております。これも公然の事実でありましょうから、選挙の際に教職員組合から支援を受けているということであります。普通、支援と言うと、簡単に言えば人・物・金だと思うのです。ただ、市長は政党に属しておりませんから、市長が政治活動として資金をちょうだいするとすれば、政治資金パーティー、もしくは個人の寄附になるかと思います。そういった人の面の支援、あるいはお金の面の支援を受けていらっしゃると思いますが、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
また、一方では、今回の事件にあるような、まさか上田市長に限ってそんなことはないと思いますけれども、政治資金規正法に違反するような寄附、あるいは、収支報告書に記載できないような資金提供を受けているというようなことは、まさかないとは思いますけれども、一応、確認しておきます。
◎上田 市長 たくさんの方からご支援をいただいて2回当選させていただきましたが、選挙は3回やっております。最初は再選挙でございましたけれども、その都度、多くの市民の皆さん方、あるいは、さまざまな団体の皆さん方からもご支援をいただいて、当選させていただいたということでございます。
その中に北教組のお金が組織として提供されているかどうかは、私も気になりますので確認をさせていただきましたけれども、ございません。
それから、裏金、個人に対する違法な献金、そんなものはあるわけがございません。
◆長内直也 委員 もちろんですね。当然ですよ。
そんなようなことで、団体からはいただいていないということは、例えば、教職員組合はパーティー券の購入等もしていないというふうなことでよろしいのですね。そういうことでありますから、そういった直接的なお金の入りは全くなかったということを調べられたということでいいのですね。
もう1点は、人の話です。人の支援があったかどうか。
そしてまた、これもまさかとは思いますけれども、教員から政治活動の制限に抵触するような形での支援を受けたことはないかどうか。
◎上田 市長 ないというふうに思っております。
◆長内直也 委員 そうすると、人の支援もなかったということですね。
ないということでありますから、これは断言できるということでありましょうから、もし何かの間違いでこういったことが起こった、たまたま市長が知らないところで起こったとしても、何かそういったものが出てきた場合にはしっかり責任をとられるということでよろしいですか。
◎上田 市長 しっかり責任をとれというのは、どういう意味かはわかりませんけれども、なかったらあなたはどういう責任をとるのですか。(発言する者あり)
○坂ひろみ 委員長 静粛に願います。
◆長内直也 委員 ですから、まさかないでしょうねという話をしているわけでありますから、私はありますよねと聞いておりませんので、その辺はお間違えないようにしていただきたいのであります。
いずれにしても、市長と密接なかかわりを持つ団体であることは間違いないわけであります。その辺は、市長も、まさに遺憾ということなのでしょうか、そうなのだと思います。私は遺憾という言葉は余り好きではないのですけれども、今、現実に疑いをかけられていることがあるわけです。市長にも同じように支援をしている団体でありますから、
教育委員会が調査し、もしもいろいろな事実が確認された場合に処分をするということでありますが、市長が処分するという形ではないでしょうけれども、市長としても、その辺の事実関係をしっかりと見きわめるために、情報提供するものがあればちゃんとしていただきたいというふうに思っているわけであります。
◆三浦英三 委員 最後ですので、簡潔に行いたいと思います。
私は、中1ギャップの解消に向けた取り組みと今後の課題について、1点お伺いしたいと思います。
子どもはさまざまな体験や人とのかかわりを通して成長していくものでありまして、特に、小学生の子どもにとって中学校に入学するということは、みずからの生活の舞台が一つ大人の段階へ進むと感じるほどの大きな環境の変化であり、不安もさることながら、これからの生活に期待を膨らませる大切な機会であると私は考えております。
ところが、中学生になって、不登校となる生徒が増加している、このように伺っております。調べてみたところ、文部科学省の調査では、病気や経済的な理由ではなく、年間30日以上欠席している不登校児童生徒数は、平成18年度は前年度に比べ3.8%増加し、小学生で2万3,825人、中学生で10万3,069人、実に12万6,894人もの児童生徒が、長期間、学びの場、生活の場としての学校に通うことができなかった、こういう実態であります。平成19年度もさらに増加しまして、12万9,255人と1.9%増加、中でも、中学生の生徒全体に占める不登校の割合が2.91%と過去最高を記録しております。平成20年度は、12万6,805人と微減したものの、中学生の不登校生徒は2.89%の割合となっております。これは、中学生の35人に1人、つまり1クラスに1人は不登校の生徒がいるという深刻な状況になっていることになるわけであります。
詳細を見てみますと、平成19年度の不登校の小6児童は8,145人であったのが、その児童が中学校に進んだ平成20年度の不登校の中1生徒は2万3,149人と約2.8倍になっている実情があります。
一概には言えないまでも、この時期の子どもは思春期を迎え、自我に目覚めたり、他者のことが必要以上に気になったりすることで、小さな出来事でも大きく心が揺れ、不適応を起こしやすい時期だとも言えます。一方、自立していくためには環境の変化に適応していく力を身につけることも大切なことでありますけれども、昨今の
子どもたちには困難を乗り越える体験が不足していると私は感じております。つらつら、不安を乗り越えていくこともこの時期には必要なことだと考えられますけれども、実情としましては、小学校から中学校へ進学する際の急激な環境の変化に対応できずに生徒が不登校という深刻な状況になるなど、いわゆる中1ギャップと呼ばれる問題があると指摘されているところであります。
そこで、質問いたします。
札幌市の不登校児童生徒の実態について、特に、小学校6年生から中学校1年生への変化についてお伺いいたします。
◎西村
指導担当部長 札幌市の不登校児童生徒の実態につきまして、私からお答え申し上げます。
札幌市の不登校児童生徒の実態についてでございますが、小・中学校の不登校児童生徒数は、ここ数年微増傾向が続いており、平成20年度は1,659人、全児童生徒数に対する不登校児童生徒数の割合、いわゆる出現率で見ますと、およそ1.2%、全国とほぼ同程度となってございます。また、小学校6年生から中学校1年生への変化については、平成19年度の小学校6年生の不登校児童は102人で、その学年が進級した平成20年度の中学校1年生の不登校生徒は319人であり、小学校6年生から中学校1年生で不登校の子どもの数はおよそ3.1倍に増加しており、憂慮すべき状況であるというふうに受けとめてございます。
◆三浦英三 委員 札幌市においても、小学校から中学校に進学する際に不適応状況になり、不登校となる生徒が多いということは、今の部長の答弁でわかりましたけれども、これらの背景には、さきにも述べたような
子どもたちの成長段階におけるこの時期特有の心理的な要因もあると思います。学級担任が児童を優しく見守る小学校から、教科担任制で複数の教師が授業を担当する中学校へ進むことにより、学習のつまずきや新しい人間関係をうまく構築できないなどの問題行動の芽が吹き出すことも要因の一つであると考えられるわけであります。
全国では、小・中別々の教育課程につながりのある時間割や指導法を取り入れた小中一貫教育が始まっております。大阪市と神戸市では平成23年度から、横浜市では平成24年度から、全市立の小・中学校で導入すると聞いております。規制緩和などで、自治体はある程度柔軟な学校運営が可能な時代に入ったと考えられます。札幌市においても、全国と同様の状況があり、中1ギャップは深刻な問題であります。
子どもたち一人一人に学びの機会を保障するためにも、中1ギャップの解消に向けた取り組みは、今、不可欠だ、このように考えるわけであります。
そこで、再質問です。
いわゆる中1ギャップの解消に向け、これまで
教育委員会ではどのような取り組みをしてきたのか、また、小・中の連携なども含め、今後の取り組みについてお伺いいたします。
◎西村
指導担当部長 いわゆる中1ギャップの解消に向けた
教育委員会の取り組みについてでございます。
これまで、小・中合同の不登校対策連絡会議やスクールカウンセラー連絡協議会におきまして不登校児童生徒への対応のあり方について検討するとともに、研究指定校、小・中8校でその要因や対応策について専門家とともに分析しております。その中で、不登校対策を柱とした小・中連携のあり方につきましても実践的研究を進めているところでございます。また、各小・中学校におきましては、例えば、入学前に小・中の教員が情報を交流することで不安を抱えている児童に対するかかわり方についての理解を図ることや、小学校6年生が中学校に出向いて授業や部活動を体験したり、中学校の教員が小学校に出向いて授業を行ったり、小・中学生が合同で音楽会を開催し、交流を深めたりするなど、児童の中学生活に対する心理的不安の解消に努めております。
今後の取り組みについてでございますけれども、学習指導と生活指導の両面から小・中学校間の円滑な接続を図るために、小・中連携を課題とした研究開発事業に取り組むなど、小・中の教員が共通の認識に立ちながら、義務教育9年間で子どもをはぐくむ視点を大切にした札幌市にふさわしい小・中連携の取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。
◆三浦英三 委員 中1ギャップは、小学校から中学校へ進学する際の大きな環境の変化に起因していると考えられております。今、札幌市でもいろいろなことをやっておりますけれども、不登校の解消に向けて、より実効性のある取り組みを一つ一つ着実に取り組んでいただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○坂ひろみ 委員長 以上で、第1項
教育委員会費等の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月18日午後1時から、市民
まちづくり局のうち、都市計画部及び総合交通計画部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後5時9分...