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  1. 札幌市議会 2007-12-10
    平成19年(常任)総務委員会−12月10日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成19年(常任)総務委員会−12月10日-記録平成19年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成19年12月10日(月曜日)       ────────────────────────       開 会 午後0時59分 ○細川正人 委員長  ただいまから、総務委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  議案第16号 札幌市無防備平和条例案を議題といたします。  質疑を行います。 ◆しのだ江里子 委員  12月4日、札幌市議会会議冒頭無防備平和条例の制定を求める4人の請求代表者意見陳述が行われました。市民署名運動に参加した方たちが70人以上集まり、傍聴され、本日も多くの方々が傍聴されています。陳述の中で、街頭で、多くの一般市民、政治には余りかかわったことがない方たちが署名され、戦争を体験された方々は絶対に戦争をしてはいけないと話された、自衛隊員の方々もかなりいらした、無防備平和条例の目的は足元から憲法を実現していくこと、自治体もジュネーブ条約にある無防備地域宣言ができることを市長は理解してほしいというご意見、無防備運動市民自治の力で憲法の理想を実現していく運動だというご意見もありました。自作の詩、基地のまち、そして前島を読み上げての無防備運動の大切さの訴えには、改めて平和の大切さ、戦争の悲惨さを思い知らされました。また、自治体の行政権は国の行政権と対等であり、自治体行政はもっと活性化されなければならないというご意見もありました。  たった1カ月で、札幌市有権者数153万人中4万7,000人を超える署名、有効数4万1,619筆は、多くの市民が平和を願い、戦争への危機感、二度と戦争は嫌だとの思いからの結果であると考えます。  そこで、質問です。  改めて、お聞きいたします。今回、直接請求された無防備平和条例と、ジュネーブ条約第1追加議定書とはどのような内容なのでしょうか。そして、日本は、いつ、どのような経過でこのジュネーブ条約追加議定書を批准したのでしょうか、伺います。 ◎浅野 行政部長  この条例案ジュネーブ条約第1追加議定書の内容というご質問でございます。  ジュネーブ諸条約は、戦傷病者、捕虜、文民や、これらの者の救済に当たる衛生要員などの保護を目的としたものでございますけれども、武力紛争の形態が多様化・複雑化したことを踏まえまして、文民の保護、戦闘の手段及び方法の規制などの内容を発展、拡充させるために、1977年に二つの議定書が追加されたところでございます。このうち、国際間の紛争に適用されるのがこの第1追加議定書でございます。  次に、今回制定請求された無防備平和条例は、この第1追加議定書第59条に規定されております無防備地区自治体レベルの条例に取り入れて、平和なまちづくりをしたいというふうに理解をしております。  なお、追加議定書を批准した経過と時期でございますけれども、外務省のパンフレットによりますと、万が一、日本に対する武力攻撃が発生した場合には、日本はもちろん、相手国にも同じ義務が課されるということになりますので、日本国民の生命や財産が一層保護されることになる、そういうことが挙げられておりまして、2004年に批准をいたしております。 ◆しのだ江里子 委員  今までに20都市でこの無防備平和条例の直接請求がされてきました。政令市では、大阪市、京都市、堺市、そして東京都特別区4区でも行われてまいりました。直近の箕面市では、戦争をする国づくりに反対し、無防備地域宣言を含む、憲法第9条、戦争放棄の理念を実践するまちづくりを求めた住民の条例制定請求がなされ、藤沢市長は、この平和条例案国立市上原前市長に次ぐ全国2番目の市長として支持表明を明確にされました。議会で多くの議論があり、議員25名中、無所属、市民派議員5名が賛成という、他市に比べて多くの賛成もありましたが、2007年3月、本会議で反対多数、否決されました。この運動を通じて、多くの市民が戦争と平和について語り、新しい交流が広まっています。  そして、国立市では、2006年7月に、国立市平和都市条例案の質疑・討論、採決が行われました。国立市平和都市条例案は、国立市平和都市宣言との関連、そして、予防措置を市の責務とすること、無防備地区成立要件を満たすまちづくりを特に強調した点において他自治体の条例案と大きく異なり、特に、条例名を国立市平和都市条例としたのは、国立市平和都市宣言との関係を明確にすることを意図したものでした。また、平時における無防備地域宣言を行うことの規定は含まれていませんでした。
     自治事務として自治体に条例制定の権限がある、無防備地区宣言主体にもなり得る、国際条約を遵守する義務にかんがみ、この条例は何ら国内法令に抵触しないなど、無防備平和条例制定の合法性、実効性が実証される形で質疑が展開されましたが、議会構成上、予想されたことではありましたけれども、否決されました。  また、先日、新潟県加茂市の小池市長が札幌で講演をされました。小池市長は、防衛局計画官官房防衛審議官防衛研究所長教育訓練局長を歴任し、1992年、退官されましたが、ジュネーブ条約第1追加議定書を策定の際、日本代表となられた方で、市長の責任を明確にして、万が一のときには、ジュネーブ条約を活用して市民を守ることを明確にし、市民の財産と生命を守るのが自治体と市長であり、市民の負託を受けた議員の責務はここにあるとする立場を貫いていらっしゃいます。  このたびの直接請求に対し、市長は賛成できないとの意見書を発表されました。市長の意見書の構成をご説明いただくとともに、意見書の中で賛成できないとされた理由を改めてお聞かせください。 ◎浅野 行政部長  まず、意見書の構成についてでございますけれども、意見書は全部で5章に分かれておりまして、1章には、市民の平和への願いにより4万を超える署名が集まったことを重く受けとめるということを明らかにしております。2章、3章では、条例案の構成と、条例案が規定しております平和的生存権が憲法の前文にあることや、非核三原則が本市の平和都市宣言に記載されているという事実を述べております。反対意見については、4章で述べております。さらに、最後の5章では、今後も平和都市宣言の理念の普及啓発に努めていく旨の決意を述べたものでございます。  次に、反対理由についてでございますけれども、ジュネーブ諸条約第1追加議定書第59条第2項に言うところの無防備地域宣言は、適当な当局が行う必要があるが、それにはすべての戦闘員が撤退していることなど四つの要件を満たすことが必要となります。我が国の法体系上、防衛施策に関する権限と責任を有するのは国家であるので、権限のない地方公共団体は宣言を行うことができません。それは、すなわち地方自治法第14条第1項の規定に抵触するということであり、仮に地方公共団体が宣言をしても、それは実効性を有しない、そういうことであると考えているからでございます。 ◆しのだ江里子 委員  ただいまの賛成できない理由に、ジュネーブ条約第1追加議定書第59条第2項に言うところの無防備地域宣言を、適当な当局が行うためには、すべての戦闘員並び移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていることなど四つの要件を満たすことが必要であるとあり、法体系上、防衛施策に関する権限と責任を有するのは国家であることから、地方公共団体はこれらの要件を満たす権限を持たないとの説明でした。  そこで、市長に伺います。  適当な当局に地方公共団体がなり得るとの考えもあります。根拠は、人道法上、最も権威ある解釈である赤十字国際委員会コンメンタール2283に書かれているとの考え方から、今まで20市で無防備平和条例が直接請求されてきましたが、このような解釈はできないものでしょうか、伺います。 ◎上田 市長  どういう前提条件なのかということがいろいろ問題だというふうに思います。政府が非常に混乱し、政府の役割を果たせなくなっているような状況だとか、そういう極限状況の中においては、あるいは今の赤十字国際委員会コンメンタールに書かれたような状況での適当な当局というものに自治体がなり得ることもあり得るかもしれません。しかし、平時における法体系、あるいは国家権力というものが統治能力を十分に発揮している状況の中においては、自治体というのはそこの中にはまらないのではないか、私はそんなふうに考えているところであります。 ◆しのだ江里子 委員  上田市長は、請求のために4万を超える署名をされた市民の心情は十分に理解できるが、我が国の法体系上、できないとおっしゃいます。市及び市長のご意見は確認させていただきました。  ところで、これに関して国はどのように考えているのでしょうか、質問いたします。 ◎浅野 行政部長  国の見解というご質問でございます。  まず、これは、平成14年に国立市長が行っている質問書に対する回答書がございまして、その中で、この宣言は、当該地域の防衛に責任を有する当局、我が国においては国において行われるべきものであり、地方公共団体がこの条約の無防備地域の宣言を行うことはできないといった回答がなされております。また、平成16年4月に、衆議院の本会議でも当時の麻生総務大臣が同様の答弁をしています。それから、例えば特定の都市が宣言をしたとしても、それは条約において想定される地帯の設定または宣言に当たらないとの政府見解を述べているところでございまして、札幌市の考え方と同様であると考えております。 ◆しのだ江里子 委員  国の考えもわかりました。  市長の意見書の第5章に、今後も平和都市宣言の理念の普及に努めていく旨の決意がありました。今ある平和都市宣言を充実させたものにするためには、市民、とりわけ子どもたちに平和のとうとさをもっともっと伝えていかなくてはならないと考えます。札幌市平和都市宣言を踏まえ、札幌市は、今までにどのような平和に関する事業を行い、どのような成果を上げてきたのか。  そして、平和事業に関する予算を見ますと、毎年200〜300万円程度と、十分ではないと思いますけれども、今後、増額すべきと考えますが、いかがか。  例えば、白石区には平和通とか平和大橋という名前の橋があります。これらの名称には地域の皆さんの平和を願う気持ちが込められており、そのまま現在の地名となっております。この地域で平和を願うパレードを定期的に行うとか、来年7月のサミット時に平和を願うコンサートが計画されているとも聞いていますが、このような事業に札幌市も大いに参加していただきたいと思いますがいかがか、伺います。 ◎浅野 行政部長  3点ほどご質問がありましたけれども、まとめてお答えいたしたいと思います。  札幌市では、これまでも、意見書にありますように、小・中学生を対象といたしました作文絵画コンクールを行いまして、その優秀者を広島や長崎の平和祈念式典に派遣する平和のメッセージ事業のほか、パネル展、それから、平和に関する映画の上映会や被爆者の講演会などさまざまな事業を行ってきており、子ども、大人を問わず、多くの応募や参加をいただいております。例えば、平和のメッセージ事業はこれまで4回実施いたしておりますけれども、5,000名以上の参加がございました。また、昨年の映画上映会被爆者講演会は500名以上の参加をいただいたところでございます。事業に参加した方からは、ぜひこのような事業を継続してもらいたい、そういう感想も寄せられております。市民の方々が平和について考える機会の一助となっているものと考えております。  また、今後の事業につきましても、市民の皆さんに平和の大切さを考えていただけるように工夫をしながら、さらなる充実を図ってまいりたいと考えております。その中で、必要な予算につきましても措置できるように努めてまいりたい、このように考えております。 ◆しのだ江里子 委員  総務局の主管事業である平和へのメッセージはすばらしい事業だと思いますが、意外と知られておりません。この事業は、毎年、コンクール形式がとられており、選ばれた子どもたちは、広島原爆資料館に赴き、原爆の悲惨さ、平和のとうとさを実感してきます。本当は、札幌の子ども全員が広島や長崎、沖縄に行き、戦争の悲惨さ、平和のとうとさを身をもって知ってほしいのですが、距離的に非常に無理があります。広島に行った子どもたちが札幌に戻り、クラスメートや周りの大人たちに感想を伝える機会をぜひぜひつくっていただきたいと考えます。この平和のメッセージ事業をさらに進めてほしいと願います。  そこで、教育委員会に伺います。  札幌市において、市立小・中学校高等学校において、平和に関する教育はどのように行われているのでしょうか。そして、市立高校特別活動の一環としての見学旅行で平和に関する教育が行われていると聞きました。現状と成果を伺います。 ◎西村 教育委員会指導担当部長  1点目の市立小・中・高等学校における平和に関する教育の現状についてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、札幌市平和都市宣言のもと、人類がひとしく平和のうちに暮らせる世界を実現しようとする子どもの育成を目指し、各学校において平和に関する教育に取り組んでいるところでございます。具体的には、国語、音楽、美術、外国語などにおいて、例えば、美術においてはピカソのゲルニカ、外国語においては広島の被爆などがありますが、戦争や平和を題材とした教材を通しまして戦争の悲惨さや平和の大切さについて学んだり、社会科などでは二つの世界大戦日本国憲法平和主義国際社会と世界平和などについて学習したりしております。また、児童会、生徒会活動の一環といたしまして、戦争による被害を受けた子どもたちなどを支援するユニセフ募金などの活動を行っている学校もございます。これらのことを通しまして、札幌市学校教育の重点にも示している、世界の平和に貢献し、国際社会で信頼と尊敬を得るにふさわしい資質を子どもたちがしっかりと身につけるよう努めているところでございます。  続いて、2点目の市立高等学校見学旅行における平和に関する教育の現状とその成果についてお答えいたします。  最近3年間の見学旅行において平和に関する教育を行った学校は、全日制と定時制をそれぞれ別に数えますと、12校中8校であり、行き先は広島、沖縄などとなっております。具体的には、沖縄におきまして、ひめゆりの塔や南部戦跡などをめぐって沖縄戦について学習したり、広島において、原爆ドーム平和記念資料館などを見学し、被爆の実情を学習したりしております。さらに、地上戦を経験した沖縄でも、被爆地広島でも、戦争や被爆を体験した方から直接話を伺ったり、戦争の悲惨さを、頭だけではなく、実際に自分の目や体などの五感を使って感じ取ったりすることで激しい衝撃を受けるなど、多くの生徒たちにとっては平和のとうとさについて深く考えるきっかけとなっているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  伺いますと、いろいろ事業はされておりますが、まだまだ平和に関する教育を行う余地はあると考えます。  再質問させていただきますが、教育委員会として、総務局と連携して平和のメッセージ事業をもっと積極的に推進してはいかがでしょうか。あわせて、市立高校見学旅行の成果をもっと広く市民に還元する方法はないでしょうか、伺います。 ◎西村 教育委員会指導担当部長  平和へのメッセージ事業の推進などについてでございます。  教育委員会といたしましては、平和な世界を築くために大切なことを児童生徒がイラストやメッセージで表現することは、平和な国家、社会の形成者として必要とされる資質を培う上で有効な取り組みの一つであるというふうに考えております。また、各学校におきましては、例えば、国際紛争などの具体的な問題を取り上げ、話し合いながら、子どもたち自身問題解決に向け対応策を考える授業実践など、多くの教員が平和についての授業に取り組んでおり、このようなことはみずから紛争解決の仕組みを学ぶ機会になるものと考えているところでございます。  今後につきましては、平和へのメッセージ募集事業について平和に関する学習の中での取り組みを呼びかけるなど、応募について教育委員会からも積極的に各学校に働きかけるとともに、先ほど申し上げました各学校における授業実践の交流を図るなどして、平和に関する教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、市立高校見学旅行における成果を還元する方法などについてでありますが、各学校におきましては、見学旅行の記録集を発行したりすることなどを通しまして、次の学年にその成果を引き継いでいるところであります。こうした取り組みを通して平和の大切さをしっかりと考える市民を育てていくことが、委員ご指摘の広く市民に還元することにつながることと考えており、教育委員会といたしましては、今後ともこれらの取り組みの充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  私たちは、この無防備平和条例の直接請求を経験することで、改めて平和のとうとさを考える機会を得ました。この条例に対して、市政相談室には賛否両論の市民の声が寄せられています。しかし、4万筆を超える市民の思いは重く受けとめなければなりません。  市長に伺います。  今までの札幌市平和都市宣言は言いっ放しでいいのでしょうか。もっと市民議論がなされ、深めた上で、事業を充実・発展させ、平和都市推進条例を目指していただきたい。多くの場所や手紙等で、市民の方々からこの条例に対しての思いを聞かせていただきました。決して4万筆を超える市民の声をむだにすることのないような平和への取り組みをしていかなければなりません。  そこで、現在、平和事業総務局行政部庶務課庶務係の中で行われていますが、機構の充実を図るお考えはないのか、そして、近い将来に、平和都市宣言を実効性のある平和都市推進条例として発展させていただきたいが、お考えはいかがか、伺います。 ◎上田 市長  4万筆という決して少なくない市民の皆様方が、この条例に対する期待を寄せられたということであります。これを軽く考えるわけにはいかないというのが基本的な私の立場でございます。日本国憲法以下の法体系の中で、この条例を地方自治体が宣言することができるかどうかというそこの問題では、私は、もちろん精査をした上で、意見書に述べましたように、難しいでしょうと、結論的には反対という意見を出させていただきましたけれども、求められている平和なまちでありたいという考え方については、当然のことながら、敬意を持って私も同意を表明するものであります。  これを実効性のあるものにしていくためにはどうしたらいいのだろうか、それから、日々の私たちの生活の中で平和に対する思いというものが実践活動として行われなければならない、こんなふうに思います。今、総務局に置かれております平和に関する事業、なかなか目立たない係といいますか、平和事業ということが機構の中でなかなか出てこないというふうなこともございます。今回の皆様方の熱い思いといったものを実現するための新しい機構等については、前向きにつくっていくようなことにしていきたいなというふうに思います。  そして、決して行政の考えだけで何かできるということではございません。私のイメージとしては、今日、賛同されたこうした4万筆以上の皆様方の意思や、平和事業はどんなことをしたらいいのかという意見を述べられる、そういうふうな会議なり、意見を自由に交換できる、そんな場所をつくっていく仕事を、新たにつくるセクションでコーディネートしていくといいますか、そういうことがいいのではないか、こんなふうに思っているところであります。  先ほど教育委員会からのお話もございましたが、一番大事なのは、人々の思いというものが、日々の生活の中で、どうしたら平和になることができるかと。それは、小さいころから紛争解決能力といったものを一人一人の市民が身につけていくということ、国民が身につけていくということ、武力を用いない国際紛争解決能力をつけるためには―個人のレベルでも日々の私たちにはさまざまな紛争がございます。その問題を、武力ではなく、暴力ではなく、話し合いによって、人の話をじっくり聞いて、そしてみずからの意見とどこでうまく折り合いをつけられるか、そういう訓練を、教育課程の中で、あるいは私たちの社会生活の中で練っていかなければならない、訓練されていかなければならない、こんなふうに私は思います。  私がこういう発想を持つのは、平和憲法を持っているのは日本国だけではなくて、中米のコスタリカという国が有名であります。私はここの子どもたちの教科書の解説書を読ませていただいたことがありますけれども、これは、まさに日々の学習の中で紛争を解決する能力を鍛えていく教育課程がとられているというふうに私は聞いております。  そのような意味において、先ほど西村部長の方からお話がありましたように、自分の身の回りのことについて紛争を解決していく、そういう能力を鍛えていくということは、日本の国が武力による紛争解決というものに頼らない、そういう平和な国家をつくっていく、そういう国家を支えていく、我々国民一人一人、市民一人一人がそのような紛争解決能力をしっかり身につけていくということが一番の対応になるのではないか、私はこんなふうに思うのであります。  もう一つ、平和推進条例等をつくったらどうかというお話でございます。これは、そういうふうな条例をつくるということも視野に入れて考えてもよろしいかと思います。しかし、それは、私たちが何を実践するのかということを議論し、そして、ある程度、実践に実践を重ねて、こうあるべきだというふうなことが制度化されるという意味において、平和の大切さといったものをこの条例の中でうたい上げるということは大変結構なことだと思います。  ただ、今ある平和都市宣言は、平成4年に宣言をされたものでございますけれども、これにも、日本国憲法の精神を実現していくのだという札幌市民の総意が込められているということもございます。それをさらにどう実践していくのかということについての手続条例とか、あるいは考える順序、そういったものを推進条例の中に入れていくということはあり得るかと思いますが、精神だけであれば、既に平和都市宣言がございますので、これを私たちがいかに守っていくかという運動といいますか、市民運動といいますか、そういったものに多くの市民の方々がこれからも携わることを私は期待申し上げたい、このように思います。 ◆しのだ江里子 委員  今、上田市長から非常に力強いお話をいただきました。上田市長の任期中にぜひとも実現することを祈念いたしまして、質問を終わらせていただきます。 ◆横山峰子 委員  私は、まず、質問に先立ち、今回、この無防備平和条例に対し、1カ月という短い期間に約4万1,000筆もの署名が集まったということには、皆様の熱意に対して本当に敬意を表したいと存じます。  多くの市民が、署名運動をする、そういう行動に出るかどうかは別として、私も含めて、平和都市札幌を希求する思いというのは同じだと思います。しかしながら、そうした平和への思いを実現する手段として、この条例が果たして妥当な内容であるか、あるいは実現可能かどうかについては、条例案をよく読み、よく考えてみる必要があると思いました。  上田市長は、意見書の中で、条例案には実効性がなく、地方自治法に抵触する旨を述べておられますし、先ほど民主党のしのだ委員からもいろいろな観点からのご質問もございました。私からは、条例案の内容に絞って質問させていただきたいと思います。  条例案は、八つの条文から成り、平和の実現に向けて幾つかの施策が示されておりますが、大きな特徴は、この条例案の名称が示すとおり、平和を実現するための手段として無防備地域宣言を盛り込んでいることにあると思います。  そこで、この宣言に関連した条文についてお聞きしたいと思います。  第7条では、無防備地区の地域の要件が幾つか示されており、その中に、札幌市は戦闘員並びに移動可能な兵器などは撤去されていること、あるいは、固定された軍用施設が敵対的な目的に使用されていないことにふだんから努めることとありますが、実際にこのようなことが札幌市において実現可能であるかどうか、お伺いしたいと思います。 ◎浅野 行政部長  条例案の第7条に定める要件についてのご質問でございます。  これにつきましては、意見書の中で述べておりますように、防衛施策に関する権限と責任を有するのは国でございます。したがいまして、地方公共団体である札幌市は、戦闘員の撤退、あるいは軍用施設の撤去、そういったことに関する権限がないのでございますので、この要件を満たすことはできない、こういうふうに考えております。 ◆横山峰子 委員  つまり、今のご答弁からいたしますと、無防備地域宣言地方公共団体が行うことは現実には不可能、できないということでございますね。また、仮に無防備地域宣言をすることができたとして、無防備宣言都市札幌として、この条例の具現化された札幌市がどのようなまちになるのか、また、どのような状況に置かれるのか、お伺いしたいと思います。 ◎浅野 行政部長  仮に無防備地域宣言をしたもとにおいて、札幌市はどういったまち、あるいはどのような状況になるのかといったご質問でございます。  これは、ジュネーブ条約第1追加議定書の第59条に記載されているところでございまして、無防備地域におきましては、敵対する紛争当事国は、この地域を攻撃することは禁止されるわけでございますけれども、一方で、この地域は敵対する紛争当事国による占領のために開放される、そういったものでございますので、敵国の軍隊による進駐とか、あるいは駐留といったようなことが予想されると思います。 ◆横山峰子 委員  今のご答弁からしますと、攻撃はされないけれども、敵対する紛争当事国による占領のために開放され、敵国の軍隊が駐留することが予想される、つまり、攻撃は受けないが、敵国に占領されるということになると思います。過去の歴史を振り返ったとき、占領されるという状態が平和な状態ではないということは言うまでもないことだと思います。  平和は市民みんなの願いであり、市民一人一人が平和について考え、自分にできることで行動を起こすことは大切なことであると認識しておりますので、平和への署名運動とかは大変大事なことだと評価いたしますが、私は、無防備地域宣言を条例化することと平和を希求することは必ずしも同じではないと思います。無防備だからといって、平和が実現できるとは思えません。平和の実現に向けては、条例案にも示されているように、非核政策、平和事業の推進などいろいろな取り組みがあります。  我々札幌市民は、これからも、平和の実現に向けて、札幌市がどのように平和への取り組みをしているのか、関心を持ち続けていきたいと思います。札幌市としても、平和を願う札幌平和都市宣言の理念に基づいて全力を挙げて取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ◆本郷俊史 委員  今まで段々の質疑がございましたので、重複しないように、私の方から2点質問をさせていただきます。  今、国においては、第2次地方分権改革を進めているわけですけれども、先月、地方分権改革推進委員会から中間的な取りまとめが公表されました。来年以降、順次、勧告がなされていくわけですけれども、その中で、地方が主役の国づくりに向けた改革の柱の2番目、完全自治体の実現という中に、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する地方政府の確立という項目がございます。中でも、自治立法権、法令の規定を条例によって上書きする範囲の拡大を含めた条例制定権の拡大ということがうたわれております。  私ども札幌市議会も、今の議会改革の流れの中で、平成16年のポイ捨て禁止条例を初め、3本の議員提案の条例をつくらせていただいているところでございますけれども、以上の観点から、先ほど地方自治法の規定に抵触をするというご答弁がございましたが、今回の議案第16号 札幌市無防備平和条例案について、今の地方分権改革の流れとの整合性についてどのように考えるか、お伺いしたいと思います。  また、2点目でございますけれども、先ほど出ておりましたが、同様の条例案が全国20の自治体で提出され、すべて否決をされております。政令市においても、大阪市、京都市、堺市ということでございまして、この否決の理由について改めて確認をさせていただきたいと思います。 ◎浅野 行政部長  2点のご質問でございます。  まず、1点目は、地方分権改革に関連したご質問でございます。  先ほど委員お話しされましたとおり、現在、国において検討されておりまして、11月16日に中間報告が出されたところでございます。その中間報告では、地方分権改革の推進に当たりましては、地方自治体の自主性を強化し、政策や制度の問題を含めて、自由度を拡大するために条例制定権の拡大を図るべきであるというふうに示されております。  ただ、その対象は自治体が担う事務ということでございますので、外交とか防衛といった国の事務にまでは及ばない、そういうふうに解されると思います。したがいまして、中間報告にありますとおりの条例制定権の拡大が実施されたといたしましても、今回請求されました条例案の内容については防衛施策ということを含んでおりますことから、その部分については自治体によって制定することはできない、こういうふうに考えております。  それから、2点目の他都市における否決の理由というご質問でございます。  お話しのとおり、これまで20の自治体で同様の条例案が提出されておりますけれども、政令市では大阪市、京都市、堺市の3都市で条例案が提出されているところでございます。20自治体のうち、政令市3市を含めまして、18自治体の首長が反対の意見を付しておりますが、そのほとんどが、札幌市と同様に、条例制定に関する地方自治法第14条1項の規定に抵触するということを理由としているところでございます。 ◆本郷俊史 委員  平和を求めるということは、だれしもが思うことでございます。戦争がない状態が平和ということではないというふうに思います。人権が守られて、そして、すべての人が自己実現を目指す、そういう社会、そのためには、先ほど上田市長が述べられたように不断の努力が大事でございまして、先ほど来お話がありました平和に関する事業の予算が、本当にそれを目指して行くに当たって必ずしも多いとは言えない。そういったことも踏まえて、私ども議会もまたしっかり取り組みをさせていただきたいと思いますが、平和事業に関して、札幌市もぜひリーダーシップを発揮して取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私からも、4点質問させていただきます。  今回の条例案については、今、改憲勢力によって、憲法9条で戦争をしない、戦力を持たないと決めたこの憲法が非常に危険な状況にある、脅かされているという中で、市民の皆さんが何とか平和を守りたいと切実に願い、4万筆以上にも及ぶ直接請求に基づいて提出されたのだというふうに考えております。私も、本当に、憲法を守る、平和を守る、戦争をしない、平和な社会を実現するということはとても大切なことであり、私たちが運動を広めていかなければならないなというふうに感じております。  質問の一つ目ですけれども、直接請求とは、住民が、直接、行政に参与する直接民主主義の理念に基づくもので、日本国憲法の理想とする住民自治を実現する上で住民の基本権として認められているものであり、これを守り、保障していくことは議会にとっても重要なことと認識しております。今まで、札幌市に住民から出された直接請求はどれくらいあったのか、その内容についても伺います。  質問の2点目は、先ほどやりとりがありましたジュネーブ諸条約第1追加議定書の第59条の2項、紛争当事者の適当な当局についてのお話です。先ほど市長の方から、混乱したときには自治体の権限があり得るというようなご答弁がありました。国際的には自治体が適当な当局に含まれるというふうに解釈していると私は受けとめておりますけれども、その点についてはいかがなのかなと。  例えば、具体的に言いますと、神戸市では、神戸市港湾施設条例に基づいて、外国艦艇が入港する際には、港湾管理者である市長が非核証明書を請求し、その送付があった者に入港許可通知を出して、非核証明書の提出のない艦艇の入港は認めないという方針をとっています。非核神戸方式と言われております。米軍は、核兵器の存在を肯定も否定もしていない方針なので、神戸市に対して非核証明書を提出しないため、米軍艦は神戸港に入港できないということになっております。これは、自治体独自の権限で行った事例であり、憲法が掲げている地方自治の本旨を実践したことだというふうに私は受けとめておりますけれども、市長はどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。  それから、質問の三つ目ですけれども、条例案の内容についてです。  札幌市無防備平和条例案では、国際人道法の積極的運用として、第7条第2項で、無防備地域とは次の要件を満たす地域だとして四つ書いています。一つは、すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること、二つは、固定された軍事施設の敵対的な使用が行われないこと、三つは、当局または住民により敵対行為が行われないこと、四つは、軍事行動を支援する活動が行われないことを上げております。ここがこの条例案の中心点となる大切な部分だというふうに思いますので、本市としてこの第7条2項についてどのように評価しているのか、伺います。  質問の第4は、ジュネーブ条約と憲法9条との関連についてです。  日本国憲法は、第9条で、国権の発動による戦争放棄をうたっています。憲法9条の改悪を許さず、憲法9条を守ることは、戦争を阻止することです。一方、ジュネーブ条約の諸協定や追加議定書は、戦争の違法化という国連憲章を否定はしないものの、戦争状態を前提として、その犠牲をいかに少なくするかという性格を持つ国際協定と私は認識しておりますが、札幌市の考えはいかがか、伺いたいと思います。 ◎上田 市長  神戸市の事例でございますが、港湾の管理者は自治体である、こういう事例だと思いますので、それは自治体の判断ですることができた事例だというふうに思います。あるいは、道路などの管理もそういうことがあり得るのではなかろうか、こんなふうに思います。  それから、4条件の問題でありますが、これは、残念ながら、自治体で私がもしこの宣言をしたとしても、それに実効性を持たせることはできない。この間、本会議で、請求代表者の方が申し込めばいいのだという意見を述べられましたが、言いさえすればいいのだということではなくて、私は、やっぱり実効性を持ってできること、できないことを見きわめた場合、その基準でいくならば、第59条2項に定める4条件について、私の権限で権力的にそれをすることができない。そういう状況にあるがゆえに、みずからをも規定するこの条例案には残念ながら賛成できない、こういう立場でございます。 ◎浅野 行政部長  残りの質問にお答えいたします。  まず最初に、札幌市における条例の制定改廃の直接請求は、過去どういう状況だったかというご質問でございますけれども、私立幼稚園児の保護者に対する保育料補助に関する条例、あるいは、老人医療費の助成に関する条例、そういった条例請求がありまして、過去に9件行われております。直近では、平成6年に国民健康保険料の引き下げなどを内容といたしました札幌市国民健康保険条例の改正の直接請求が行われております。  2点目は、条例案の第7条2項で規定されております無防備地域の評価というご質問でございますけれども、ジュネーブ諸条約第1追加議定書によりますと、無防備地域と言いますのは、紛争相手国の占領を無抵抗で受け入れることを宣言した地域でございます。宣言され、かつ、その条件が守られている地域を攻撃してはならないというふうにされております。禁止されているのは物理的な攻撃のみでございまして、占領とか、あるいは紛争相手国による統治とか、軍事の拠点化といったようなことは想定されます。  それから、最後の憲法第9条とジュネーブ条約の関係につきましては、先ほど委員のご指摘がありましたとおり、憲法第9条は、戦争が起こらないように戦争放棄などをうたったものでございますし、ジュネーブ条約は、万が一、戦争が起こったときの文民の保護などについて規定したものというふうに理解をしております。 ◆伊藤理智子 委員  まず、質問の1点目の直接請求は今までどのようなものがあったかということについてですけれども、一番最近の話では、平成6年、1994年に国民健康保険条例の一部を改正する条例案というものが出されたということでした。当時、どのくらいの署名が集められたのかと調べてみますと、20万9,000人余りの署名の提出による直接請求が出されたということで、私は中身の議論も読んでみました。そして、今回、13年ぶりに直接請求が出されたということになります。住民が、直接、行政にかかわる大切な権利であり、重みのある取り組みだというふうに考えています。  私たち、日本共産党は、この直接請求の審査のために全会派の議員が所属する特別委員会を設置して、繰り返し委員会を行い、時間をかけて議論を尽くすべきだというふうに主張してきました。時間をかけて議論を尽くすことこそ、直接請求に込められた平和への願いにこたえることだというふうに思います。直接請求署名は4万筆以上、これは、代筆が許されず、直接、本人が署名をして住所、生年月日を書き、捺印したものです。私も、この間、たくさんの署名活動に取り組んできました。本当に、一筆一筆集める仕事というのは大変なものですし、一人一人の皆さんに、平和についての思い、平和を守りたい、そういう願いを語りながら署名を集めるということは本当に力の要る仕事だというふうに思いますので、この4万筆以上の署名は大変重たい署名だというふうに感じていますけれども、この署名に込められた平和への思いをどのように受けとめておられるのか、伺いたいと思います。  先ほどの2点目の適当な当局の問題については、港湾なので自治体が管理することができるというふうな市長のご答弁がありましたけれども、核兵器を日本に持ち込まない、市民の平和を守るのだ、市民の命と平和を守る、そういう立場に立って、管理できるからこれはそうなのだということだけではなくて、やっぱり、自治体としての役割というか、自治体の本旨ということは憲法で保障されている中でできるのではないか、国際的にも解釈はきちんとされているというふうに私は思うのです。その辺で、自治体はできない、権限がないというふうに言うのは、やはりおかしいんじゃないかなというふうに思うのです。ここは平行線なのかなと思いますが、私としては、自治体はそういう権限があるというふうに思いますけれども、いかがかなというふうに思います。  それから、四つ目の問題については、ジュネーブ条約が戦争を阻止するための国際法という見解は、国際法の解釈として異なるものと札幌市は認識しているというふうに受けとめてよろしいですね。まず、答弁をお願いしたいと思います。 ◎浅野 行政部長  順不同になりますが、まず、憲法第9条とジュネーブ条約の関係ですけれども、ジュネーブ条約は、戦時国際人道法ということで、あくまでも戦争があったときのものでございますので、憲法第9条の趣旨とはやっぱり違うというふうに理解しております。  それから、要件の権限の話でございますけれども、これは、赤十字国際委員会コンメンタールという中で議論されていることだと思うのですが、確かに、政府が瓦解して、あるいは無政府状態というようなときで、政府がそういう宣言をするのが困難なときには、地方の文民の機関がやることもあり得るというようなコンメンタールの見解でございます。しかし、その際には一定の条件というのがございまして、軍当局との完全な合意のもとにということで、地方の首長などが軍隊自体に号令をかけて撤去させるとかなんとかという権限がないから合意のもとにという話でやっているものでございまして、やはり、権限と言えば地方公共団体にはないと言わざるを得ないと思います。 ○細川正人 委員長  署名の重みについては、どう考えているかという質問があったかと思います。 ◎上田 市長  4万筆以上もの署名について、どういうふうに考えているかということは、先ほど来、申し上げましたように、これは並大抵の数ではございません。過日、4人の皆さん方から、本会議場で趣旨説明がございましたが、いずれも感動的なお話でございました。特に、矢口さんのお話は、本当に体験に基づいたお話でございました。本当に、もうそういうことを語ってくれる方がだんだん少なくなってきている状況の中で、極めて示唆に富む感動的なお話でもあったというふうに思います。そういう方々の提案にしっかりと市民の皆さん方がこたえて、平和の思いをこの一筆に託すのだという思いで、わずか1カ月の間に4万筆以上集められたということを我々は重視しないわけにはいかないということでございます。これからの札幌市の平和事業等について、担当する係をしっかり定めて、明示的な組織といいますか、機構を設置することと、それは、行政主導ということではなくて、市民の皆さん方の平和事業に対する思いといったものを、どんなことをしたらいいのかということも含めて、さまざまな意見を聴取しながら平和事業を進めてまいりたい、そういうことをしっかりやっていきたい、こんなことを申し上げたところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  私は、10月に行われました決算特別委員会のときにも、その前にも、平和事業については、本当に札幌市に平和を普及していく、こういう役割が非常に大切だということを申し上げてきました。今の総務局が所管している仕事は、具体的に調べますと本当にいろんな仕事があるのですね。たくさんの職員の給料の問題とか、議会の仕事、いろいろな仕事、一つ一つ大切な仕事ですけれども、その仕事の一つとして平和事業取り組みも行っているのです。本当に平和の事業ということは、いろんな学習もしなければならないし、いろんな市民の要求、願い、そういう声を受けとめながら、それをかみ砕いて学習して、では、どういうふうに札幌市で実践していけるのか、これを具体化していく上で非常にエネルギーも要るし、力の要る部署だというふうに思うのですね。今、段々の議論をずっと聞いていて、皆さんも同じような認識なのかなというふうに思いましたので、ぜひこの機会に―前回、質問したときは、初めて言われたので何とも答えられないと私は言われました。そうではなくて、10月にも言いましたし、今この総務委員会でも皆さんの意見が一致しているなというふうに思います。市長もいらっしゃっておりますので、真剣に、札幌市の平和事業を、特に直接請求された署名もたくさん出されている上で、条例としては中身にいろいろ問題があって実現するのは難しいということが今るる述べられておりましたけれども、では、一つ一つ平和の事業を市民の皆さんと一緒にどうやって実現していくのかということは本当に一緒に具体的に考えていけると思うのですよ。だから、このことについてはぜひしっかりと進めていっていただきたいし、私たちもしっかりと応援していきたいというふうに思いますので、お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆堀川素人 委員  僕の方から、幾つか質問させていただきます。  まず、本当に、直接請求された方の気持ちというのは痛いほどわかる、また、市長の意見も、基本的に、その気持ちを十分理解しての意向が表明されている、こう受けとめております。  先ほど、いろいろな話の中に実効性だとかという話がありました。現状を考えたときに、実効性があるのかな、どうかな、こう思ったときには、本当にむなしいというか、平和に対する願いと、自衛隊が存在しながら、また、今、イラクで戦争が起こって、日本がそこに参加をしている、こういうような状態を見ますと、本当にむなしいなという気持ちもするわけです。  そもそも、僕の理解では、日本国憲法ができたときには、これは非武装中立の憲法であった。それが、今、解釈をされる中で、警察予備隊ができて、それから自衛隊になってと、こういうことの中で、日本の憲法第9条に対する考え方をどうやって考えたらいいのかということが、現実と理想のはざまの中で本当にわかりづらい議論がなされなければならん現状、こういうふうに大変残念に思っているわけです。  それで、今回、市長が付した意見の中でどうも理解できない部分というのは、この札幌市において、無防備平和条例、こういうような条例は札幌市でできないのですよと、こういうことが言われて、ほとんどの都市のあれを見ましても、そこでもって議論が打ち切られている。これが、僕にとっては大変残念な話です。
     私から言いますと、地方というのは、あるとき、国に刃向かっていく権限を当初から保有しているんだ、これは侵すことのできない権限である、こういうふうに僕は考えるんです。国と地方が一緒に力を合わせながらやっていくということは極めて大事だ。でも、今、この条例を制定してほしいという中で、それができません。無抵抗な文民がそこで命を失っていく状況が想定される。それをもう少し積極的に考えたならば、そういう運動の中から平和をつくり出していこうじゃないか、こういうことだと思うんですよ。今言う非常に不幸な状況というものを考えたときに、自分の子どもが殺される、親が殺される、兄弟が殺される、私方は何も抵抗しない、だから、むだな殺し合いはやめようじゃないかというのは、僕は、地方にあって、そこの地域の住民を守る市長とすれば、失ってはならん市長の権限だ、こう思うんですよ。  それで、実際に国の見解では、無防備宣言をしても無効である、条例は有効性がないというような話がありますけれども、僕は、そうじゃない、地方事務の一つである、こう考えるんですね。それで、国でも言っているのは、条例は法律じゃないと言っているんですよ、見解は。そうするならば、いつ変わるかわからん時の政府の見解に従って、本来、地方が持って、失ってはならんような権限をこれによって否定してしまうというのはいかがなものなのかなというふうに僕は思うんですけれども、それに対する見解はいかがでしょうか。 ◎上田 市長  地方自治体の権能といいますか、役割の第一義は、地方、札幌市の場合は、市民の生命、身体、自由、財産、こういったものを保護する、これが第一義の務めだというふうに思います。そして、異常事態が起こったときに、この宣言があるかどうか、あるいは、日本国憲法があろうがなかろうが、最善の努力、持ち得る権力、持ち得る能力、そういったものを行使して、先ほども申し上げました住民の生命、身体、自由、財産、こういったものを守るために真っ先に動くことは当然のことであります。それと、今回の無防備地域宣言をする条例、それに賛同しかねるといったこととは全く関係ございません。全く関係ありません。(発言する者あり) ○細川正人 委員長  ご静粛にお願いをいたします。 ◆堀川素人 委員  もう一度、済みません、もう一度、ちょっと今のところを説明してくれませんか。 ◎上田 市長  ですから、地方自治体の職務としてそういう仕事をする、市民の生命、身体、自由、財産、こういったものを守ることが第一義の仕事であり、権限、権力すべてを動員してそれを守るということは当然のことだというふうに考えております。それと、今回のこの無防備条例といったものに賛成できるかどうかということになると、それは違いますよと言っているわけですよ。なぜなら、4条件を私自身が守ることができないからですよ。私の権限でそれを実現することができない。だとすれば、自分があたかもできるがごとくこの条例を制定することには、私は賛同できないと言っているわけです。だけども、その仕事を、私は、権限があろうがなかろうが、条例があろうがなかろうが、しっかり頑張りますよということを申し上げているわけです。矛盾はしません。 ◆堀川素人 委員  今、この宣言をして、それで次の努力をしていくということは、僕が言う中での地方事務の一つであるというふうに僕は思うんですね。そう考えたら、今、札幌には真駒内に自衛隊がありますよ、それから、丘珠にも自衛隊の基地がありますよと。こういう中で、市長が―有効性があるかどうかという部分については別なんです、議論ではないんです。ただ、地方自治法の中で市長の権限に属さないというのは、僕は違うんじゃないですかと、こういうことを言っているんですよ。  もう少しわかりやすく言うならば、今、市長が言われた結論とすれば、これに対して、何というでしょうか、反対意見をつけた、できないということでつけたと。それは幾つかの理由があろうかと思うんですけれども、その中で、地方自治法に違反して、この条例は無効なのだというのはどうしてなのでしょうかということを聞いているんです。 ◎上田 市長  私は、既にそのことを意見書の中にあらわさせていただきました。どこがわかりにくいのか、私はわかりませんが、きちんと順々に読んでいただけるとおわかりいただけると思いますので、くどくどは言いませんけれども、私の立場でできることというものはすべてやりますよと。それは、条例があろうがなかろうが、市民が大事です。そのことは、私は職務から逃げるつもりは全くありませんし、やっていきますよと。ただ、この条例で言っているところの四つの条件を満たさなければならない権限が私にはないんだ、残念ながら、だから、それが与えられていることを前提にする条例には私は賛成できないのだ、たったこれだけです、理由は。 ◆堀川素人 委員  これは、地方自治法の第2条の2項で言う地方自治の本旨にかかわる部分で、それは、札幌市がする地方事務の中の大事な一つじゃないですかと僕は言っているんですけれどもね。 ◎上田 市長  私の意見でございますけれども、刑法だとか、そういう個人のレベルの話になりますと正当防衛というのがありますね。憲法、公法のレベルでも、憲法にも何も書いてありませんが、抵抗権というのがございます。国家権力が余りに不当なことをやった場合とか、そういったものについては、自然法上といいますか、条文にはなくても、それは条理に反するとか、明らかに正義に反するとか、そういう場合には抵抗する権限、抵抗権というものがございます。あるいは、革命権というのもあります。究極の場合はそういうことになると思いますよ。  だけど、今申し上げているのは、この条例案の第7条に書かれている要件を私たちが満たすことができるのか、今の私の立場に与えられている権限でそのことができるのか、第59条の2項の4要件を実現できる権限を私が持っているのかというと、それは、残念ながら、否定的に考えざるを得ないということを申し上げているわけです。  これ以上は議論でありますので、ご意見としては、堀川委員のご意見は十分にお伺いさせていただきます。ありがとうございました。 ◆堀川素人 委員  市長は法律家ですから、法律の解釈については大変詳しいと思いますけれども、例えば、自分が勉強してきた中で、教育という言葉がありまして、一番先に教育が言われたときは、国家の教育権か、それとも親の教育権かと古い形でもって言われてきました。それが国民の教育権という話になって、その次は、今度は子どもにとってどうであるか、それが子どもの受教育権、教育を受ける権利、それから、今言われているのが子どもの学習する権利と。こう言われる中で、同じ教育を考えても教育というものの議論の深みを大変増して、それで、今、子どもが受ける教育の権利ということが普通に当たり前のように言われるようになりました。  僕は、先ほど言った革命権だとか、こういうものも含めて、市長にはやはりそういうものがあって、住民を守ろうとする意思、そういう中では、地方自治法でも僕はこの権限はあると思っています。でも、市長は権限がない、だからできないんだ、こう言いますけれども、僕はあるんだと思うんです。  そういう中で、僕は、やっぱりあきらめないで、この辺からきちっと、国に対して抵抗するというのですか、地方が地方分権を得ると。僕は与えられるものではないと思っているんです。これは、やっぱり奪い取るものだ、こう思ったときに、その権限をしっかりと保有する、その理論化をきちっとしていかなければだめであろう。そうでなければ、やっぱり、市民に対して最終的な責任をとるということにはならん。これの行き着く先は極めて悲惨な状態で、札幌市の市長として、また、札幌市として何ができるかということが議論していることだというふうに僕は思っています。  これ以上は見解の相違だということになるのかもわかりませんけれども、その辺については、今回、4万を超える数が集まって直接請求がなされた。本当にいろいろな国の戦争状況を見たらいたたまれないものがある。そして、前の第一次世界大戦は、何か5%の人と、要するに軍人しか死なない戦争だったと思います。ところが、今は95%以上が民間を巻き込んで、その犠牲の方が多いと言われる、こういう時代に何ができるかということを我々はしっかりと考えていかなければならんじゃないか。  最終的に言うのは、今ここで、反対意見で決議をしてしまう、こういうことじゃなくて、これについては、時間をかけて検討するということも大事なんじゃないか、こういうふうに僕は思っております。僕は、こういうふうに言いまして、これでもって意見を終えます。 ◎上田 市長  ご意見は十分に承りました。  ただ、本会議で意見陳述がございまして、矢口さんが述べられた最後におっしゃいました。真駒内地区を札幌地区から分離してでもやれないか、こういうふうにおっしゃいました。正しいご指摘だと思います。  私は、それは、地方自治の今の制度の中でできないことだという前提でこの条例には賛成できない、こういうふうに申し上げているということだけつけ加えさせていただきたいと思います。 ○細川正人 委員長  ほかに委員の方で質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  それでは、番外で佐藤(典)議員。 ◆佐藤典子 議員  番外ですので、重複を避け、簡潔に質問させていただきたいと思っております。  広島、長崎に原爆が落とされて、唯一の被爆国として平和を希求する思いをつないで62年になります。今回の4万1,619人に上られる署名の数というのは、本当にそうした平和への思いをつなぎ、これからまた平和な社会、世界を子どもたちにバトンタッチしたい、そういう願いで取り組み、また、この1カ月間のそういう署名活動になったのだと受けとめています。  私たちが平和を考え、望んでいるにもかかわらず、国はどうかというと、有事法制を整備し、いつでも戦争ができる国へとかじ取りを進めている、その危機感が今回のこうした平和への市民の活動になっているというふうに受けとめています。そういう意味では、地域から平和をつくるということは一体どういうことなのかということを突きつけられ、また、今回、一生懸命に一人一人が考えられたのではないかと思います。その一人が私でもありますし、また、きょう、そういう意味を踏まえまして質問させていただきたいと思っています。  今、段々の議論の中で、この条例案で、自治体に撤去を求める権限がどうかというようなところの話が出てきました。そして、20の都市の中で今回のような条例提案がされて、18が反対だったというふうに今も聞いております。(発言する者あり)  失礼しました。首長がということであります。  それで、今回、陳情者の資料に二つの意見書がつけられておりました。一つが国立市の上原前市長のもの、それからもう一つが箕面市の市長のものでありました。それで、国立市の市長の意見の中に、政府は、戦争法である有事関連法案を策定するのと引きかえに、2004年にジュネーブ諸条約第1追加議定書を批准した、そして、これによって、政府は自治体が無防備地区宣言をすることにより戦争から離脱する権利を有することも認めることになった、よって、住民による無防備地区宣言の権利も保障しなければならないというようなことを記されております。この条例制定も可能ではないかというような意見であります。箕面市の市長も、今回の無防備地区宣言を行うことを条例で規定することは可能であると考えるというような意見を添えられたものになっています。  そこで、この二つの意見書について、市長はどういうふうに受けとめておられるのか、率直なお考えを伺いたいと思います。 ◎上田 市長  私も読ませていただきまして、各首長のそれぞれの思いがそこにのせられているのだろうなというふうに思います。法的解釈の問題としては、私がこれまで申し上げたところといささか意見が異なるということでございますけれども、私もさまざま関連法を学習した上で先ほど来申し上げているような見解に立ち至っているということでございます。 ◆佐藤典子 議員  この間、さまざまな議論がなされている中で、平和への構築というところで、上田市長はすべての人の思いを受けとめて、今後さらにこうした平和の事業を推進していく、そして、その決意は今伺ったとおりであります。  私も、市民ネットワークも、これまで、平和をつなぎ、また活動を考える、そういう拠点をぜひ札幌市につくっていただきたいというようなことも求めてまいりました。今、機構改革のところではそういうこともあり得るというようなお話でありましたし、また、さまざまな取り組みを進めていくということでありました。今、市長も言われました武力でない平和な社会をつくるということが最も求められている中で、戦時をつくらない、そういう決意もこの中には含まれていることと思います。それはすべての人がそう願っているわけでありまして、改めて、武力ではない平和をつくるということに向けた市長の決意を伺いたいと思います。 ◎上田 市長  先ほど来申し上げておりますけれども、国際紛争を解決する手段として、陸海空軍を持たない、戦争を放棄するのだ、憲法は第9条第2項でそのように述べております。なぜこういう第9条という条文をつくったのかということは憲法前文で非常に詳しく述べておられますし、それが、戦後、いわゆる第二次世界大戦後のこれからの世界の国際関係のありようの理想を示したものだと。その理想を追いかける日本が、国際社会から評価を受け、尊敬されるようになりたい、そういうふうに日本国民は昭和22年5月3日に国会を挙げて賛成してこの憲法ができたということであります。したがいまして、我々はその理念をしっかり実現することが大事だと私は思っております。  戦争というのは、あらゆる意味で人権侵害の最たるものであり、かつ、環境破壊の最たるものであるということも我々の平和都市宣言の中で述べております。ですから、これを実現するために、私たちはやっぱり平和を求める心をいつまでも育てていく、次世代の子どもたちにもそのことを考えてもらう、そういうことが必要だろうというふうに思います。  その実践例として、私は、コスタリカの教育制度というのは非常に参考になるのではないかということを先ほど申し上げました。それは、紛争解決能力を、小さいときから、武力によらないで、話し合いによってどうやって妥当な解決策を見つけていくことができるのか、そのようなわざ、思考能力を私たちは子どもにつけていかなければならない。それが、将来の安定した国際社会、あるいは、日本が戦争の当事者にならない、そういうことに通ずるだろうというふうに思います。どんな法律があっても、どんな条例があっても、そこのところができていなければ悲惨な結果が生まれてくるというふうに私は考えるからであります。  ただいま、すべての会派の皆さん方からご質問をちょうだいいたしました。すべての会派を超えて、戦争が起こらないように、平和事業を札幌市がもっと頑張れ、こういうお話をちょうだいできました。今回の4万人に上る市民の熱い思いといったものをしっかり受けとめて、各会派ともそのような考えで私どもの意見に質疑をしていただいたのだ、このように思います。そういう意味で、今後、私たちの札幌の平和事業、あるいは、教育の面でも、先ほど来、西村部長からもお話がございましたけれども、そのような方向性を明確にした上で取り組んでいくということを、私はここで決意を新たにさせていただきたい、このように思います。 ○細川正人 委員長  佐藤(典)議員に申し上げます。  先ほど来の質疑は、これまでの各委員の質疑と大分重複しているようでございますので、十分注意をされて発言をお願いいたします。 ◆佐藤典子 議員  子どもたちに戦争も核もない社会をというのが本当に願いであります。今、市長の決意を受けとめまして、ともに地域から平和をつくる、また、活動拠点もぜひつくっていただきたい、ともにそういう思いできょうから平和をつくる営みを続けていくということを表明させていただきまして、質問を終わらせていただきます。 ○細川正人 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  それでは次に、討論に入ります。 ◆伊藤理智子 委員  私は、日本共産党を代表して、無防備平和条例案には賛成できないという立場で、討論を行います。  私たち、日本共産党は、直接請求で署名に託された市民の皆さんの戦争をしない平和な社会を守ってほしいという願いは本当によくわかりますし、お一人お一人に署名を訴え、平和を守りたいという思いを伝えて、一筆一筆、積み重ねていく努力は本当に重みのあることで、私たちも同じ思いで運動しています。62年前の悲惨な戦争を繰り返さない、平和な社会を実現するためには、戦争の違法化をうたった国連憲章や、当時の戦争の反省のもとで制定された日本国憲法9条の戦争をしない、戦力を持たないという条項を守り、実践していくこと、札幌市平和都市宣言の徹底が大切だと考えています。それだけに、市民の皆さんの平和の願いを本当に生かすためにも、条例案そのものの問題点を率直に指摘するべきだと考えています。  この条例が根拠とするジュネーブ条約の諸協定や追加議定書は、戦争の犠牲を少なくしようという国際人道法であるというのが国際的な評価です。日本共産党が2004年に国会で追加議定書の批准に賛成したのは、国際人道法という側面を評価したからでした。国連憲章や日本国憲法は、戦争は違法という立場に立って戦争を起こさないように権力を縛るものです。それに対して、ジュネーブ条約の諸協定や追加議定書は、戦争の違法化という国連憲章を否定しないものの、戦争状態を前提として、そのもとで文民、戦傷病者等の犠牲をいかに少なくするかという性格を持つ国際協定です。条例案にある4要件も明らかに戦時下を想定したものとなっています。  無防備地域とは、戦争になったときにどうするのかという内容であり、ジュネーブ諸条約追加議定書における無防備宣言をするということは、戦争に巻き込まれないということを保証するものではありません。札幌市が外国軍に占領され、その上で、軍政、徴用などに対し抵抗しないということを義務づけています。これは、無条件の降伏です。無防備地域の4要件の一つである当局や住民により敵対行為が行われないということは、戦時下なので、たとえジュネーブ条約で無防備地域への攻撃の禁止をうたっていても、基本的人権が守られるということにはなりません。  日本共産党は、一貫して憲法改悪に反対し、憲法を守る運動の発展に力を尽くしてきました。札幌市議会では、私たちは、繰り返し、市長に憲法の重要性について質問を行ってきています。自民党は、新憲法第1次案で、9条から戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認をなくし、自衛軍の海外での活動を明記しました。これは、日本を海外で戦争する国にする道を開こうとするものです。2005年9月に行われた第3回定例議会で、我が党は、日本が、戦後60年間、戦争をしなかったのは、憲法9条が歯どめになってきたこと、アジアと世界に不戦を誓った憲法9条をなくしたら、日本は世界の国々から信頼を失うことになると、市長に憲法9条についての見解を質問しました。市長は、憲法9条は、我が国が世界に誇るべき本当に大切な財産であり、その精神は世代を超えて受け継いでいかなければならないものとして考えておりますし、世界が武力への傾斜を強めている状況の中で、ますますその存在感を増していくのではないかと考えておりますと答弁しています。  有事法制や国民保護計画が出されたときには、札幌市として市民を戦時体制に組み込ませないことを求める立場で論戦をしてきたのが日本共産党札幌市議団です。戦争を許さない、憲法を守り抜く立場で運動し、議会でも平和を守るために論戦してきた私たち日本共産党は、今後も、署名に託された市民の皆さんの平和を守ってほしいという一致できる点をしっかりと受けとめ、その願いの実現のために全力を尽くすことを改めて表明して、私の討論を終わります。 ○細川正人 委員長  ほかに討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第16号を可決すべきものと決定することに賛成の委員の挙手を求めます。  (挙手する者なし) ○細川正人 委員長  賛成者はございません。  よって、議案第16号は、否決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時30分       再 開 午後2時32分     ―――――――――――――― ○細川正人 委員長  委員会を再開いたします。  次に、議案第3号 札幌市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例案を議題といたします。  質疑を行います。 ◆伊藤理智子 委員  私から、質問させていただきます。  この任期付職員について、3点質問させていただきます。  質問の第1は、特定任期付職員と一般任期付職員に分けて、最長5年の任期で、高度の専門的知識、経験、またはすぐれた見識を有する者について採用するとしていますが、札幌市として具体的にはどういう分野で任期付職員を採用しようとしているのか、伺います。  質問の第2は、任期付職員の採用の仕方について伺います。  本来、公務員の採用については、公平で客観的な競争試験に基づいて行われることが原則となっていますが、任期付職員を採用する場合は、高度の専門的知識、経験、またはすぐれた見識を有する者という条件であり、極めて特殊な場合に限られていると考えますが、どのような方法で職員を選考するのか、伺います。  質問の第3は、任期付職員の労働条件では、例えば、一般の任期付職員の場合、任期中に産休や育児休業がとれるのかなど、具体的な問題もあると考えますが、いかがか。また、期限が切れたその後の保障がどうなるのか、具体的な規定などがあるのかどうか、伺います。 ◎板垣 職員部長  ご質問は、3点ございました。  まず、1点目の任期付職員の想定しております導入分野のご質問でございます。  現在、導入を想定している分野でございますけれども、せんだっての第3回定例市議会の決算特別委員会でも申し上げましたとおり、その配置を想定している分野につきましては、市政の重要課題のうち、民間人材の活用により大きな効果が期待できる分野を想定して、今、導入を考えております。具体的には、元気ビジョン第2ステージにも市政の重要課題として掲げております観光、広報、環境、まちづくりなどの分野を考えているところでございます。  次に、質問の二つ目の採用方法についてでございます。  今回導入します任期付職員制度は、法律によりまして、競争試験ではなく、選考による任用を行うこととされております。その募集方法でございますけれども、公認会計士など資格免許職のように必要とされている人材が広く存在する場合は公募とする場合もあり得ると考えておりますが、一方で、民間企業などで培われました専門的な知識、経験が求められる領域につきましては、想定する業務に最もふさわしい、適した人材を事前に調査することのできる非公募とする場合が多いというふうに考えております。  選考に当たりましては、任期付職員が従事する業務に必要とされる専門的な知識、経験の有無について、資格、実務経験等を確認するとともに、面接などによりまして適正な能力実証を行ってまいりたいというふうに考えております。  3番目のご質問でございますが、任期付任用の待遇の問題、それと任期満了後、もとの企業等に戻れるのか、保障はどうなっているのかという問題でございます。  まず、任期付職員の給与につきましては、基本的には正規職員との均衡を考慮して決定されます。さらに、勤務時間や休暇などその他の勤務条件も正規職員と同様でございまして、さらには、あくまでも任期の上限が5年であるということを十分理解していただいた上で採用することによりまして、委員がご心配されるような問題が生じないように適正な採用手続を行いたいというふうに考えております。  なお、採用前の出身企業におきまして、行政での実務経験を積みました人材を再度迎え入れてその能力を活用したいというふうに考えている場合には、任期満了後に、その出身元の企業に復帰することを前提とした退職をされるケースもあるのではないかというふうに考えております。 ◆伊藤理智子 委員  今、三つの質問をしましたけれども、具体的に答弁されたわけですが、この条例で、一般行政のあらゆる分野への任期付職員の配置に道を開くことになり、公務運営の安定性、継続性が保たれるのかなということがやはりちょっと理解できないなというふうに思いますので、この点で問題点があるなということを述べまして、質問を終わりたいと思います。 ○細川正人 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  続いて、討論を行います ◆伊藤理智子 委員  私は、日本共産党を代表して、議案第3号 札幌市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例案について、反対の立場から、討論を行います。  この条例案の適用要件は極めて抽象的で幅広い解釈を許すもので、一般行政のあらゆる分野への任期付職員の配置に道を開くものになるのではないかと懸念します。  公務員の採用については、公平で客観的な競争試験に基づいて行われることが原則となっています。任期付職員採用の拡大は、地方公務員制度をゆがめ、公務運営の安定性、継続性を損なうことにつながりかねず、住民本位の地方自治のあり方によい影響を与えるものではないと考えます。  よって、この条例案には反対することを述べまして、私の討論を終わります。 ○細川正人 委員長  ほかに討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  採決を行います。  議案第3号を可決すべきものと決定することに賛成の委員の挙手を求めます。  (賛成者挙手) ○細川正人 委員長  賛成多数であります。  よって、議案第3号は、可決すべきものと決定いたしました。  次に、議案第4号 札幌市職員の育児休業等に関する条例等の一部を改正する条例案を議題といたします。
     質疑を行います。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  討論を行いますが、討論はございますか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  採決を行います。  議案第4号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  ご異議なしと認め、議案第4号は、可決すべきものと決定されました。  次に、議案第17号 札幌市職員給与条例の一部を改正する条例案を議題といたします。  質疑を行います。  質疑はございますか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  討論を行いますが、討論はございますか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  採決を行います。  議案第17号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  異議なしと認め、議案第17号は、可決すべきものと決定されました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時40分       再 開 午後2時42分     ―――――――――――――― ○細川正人 委員長  それでは、委員会を再開いたします。  最後に、議案第1号 平成19年度札幌市一般会計補正予算(第4号)中関係分を議題といたします。  質疑に先立ちまして、理事者から補足説明があります。 ◎小林 施設担当部長  お手元にお配りをしております平成19年4定補正予算案の概要に基づきまして、清掃工場等関係の補正予算案の概要につきましてご説明を申し上げます。  今回の補正は、平成20年度事業のうち、実施時期の早い業務と工事につきまして、一般競争入札の公告などの契約事務あるいは準備に要する期間を見込む必要がございまして、債務負担行為にて本年度中に契約したいとするものでございます。  以前は、清掃工場の定期整備あるいはプラントの改修工事につきましては、建設したプラントメーカーに特命で発注をしておりましたけれども、透明性、競争性を高めるため、昨年10月から原則として一般競争入札を行うことといたしました。  今回の内容でございますけれども、お手元の資料の表にございます1から4につきましては業務委託に関するものでございまして、債務負担行為限度額合計7億1,800万円でございます。  1と2は、四つの清掃工場のうち、20年度に行う整備の実施時期の早い篠路清掃工場と駒岡清掃工場の中間整備業務でございます。3と4につきましては、ごみ資源化工場とプラスチック選別施設の運転管理業務でございますけれども、これは、業務開始が4月1日ということで債務負担行為にて今年度中に契約するものでございます。また、5から7は、清掃工場整備費で行う工事でございまして、債務負担行為の限度額合計4億6,800万円でございます。  資料の下の模式図に関連工事部分を示してございます。  5は、篠路清掃工場ストーカ更新工事でございます。平成20年9月の定期整備期間に行うものでございますけれども、部品製作に約6カ月を要するために、債務負担行為にて今年度中に契約をするものでございます。6の発寒清掃工場の供給フィーダ更新工事、7の駒岡清掃工場の煙突ライニング材撤去工事も、同様に準備期間が必要なため、今年度中に契約をいたしたいというものでございます。 ○細川正人 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆近藤和雄 委員  私から、ただいま説明にありました清掃工場整備について質問させていただきたいと思います。  篠路清掃工場延命化事業費2億8,700万円を更新工事案として提出されておりますけれども、本年9月27日でございますが、環境局から、スリムシティさっぽろ計画案が発表されました。この計画は、篠路清掃工場の廃止を目指して、焼却ごみについて、平成20年から22年まで16万トン、さらには平成23年から29年まで8万トン、トータルで24万トンの焼却ごみの減量を設定して、当市の低負荷型資源循環社会を実現するという大きな目標を掲げております。  篠路清掃工場は、運転開始から27年以上経過している現状でございます。非常に老朽化していることは否めないと思っております。スリムシティさっぽろ計画は10年間ですから、これから10年間持ちこたえるために、延命するということで今回の案、予算要求が浮上したのだと思います。  そこで、質問いたしますが、1点目は、今回提案がございました清掃工場焼却炉の改修の中で篠路工場のストーカ更新工事を実施すると伺いましたけれども、この工事によってどの程度の延命ができるのか、十分な延命化ができるのかどうか、お伺いいたします。  2点目ですけれども、清掃工場の工事や整備は、以前はプラントメーカーに特命随意契約で、大体は本州の企業が受注されていたのではないかと思います。これを、入札の透明性、さらには競争性を高めるために、一般競争入札にて実施するということでありました。これは昨年10月からの変更ですので、丸1年が経過しております。従来は、道外プラントメーカーが受注して、地元事業者が参入する機会は余りなかったのではないかと思うのですが、入札方法の変更によりまして、地元の多くの事業者が参入できる機会がふえて大変結構なことだなと思います。このことで、地元事業者への還元が可能になったという解釈をしてよろしいのかどうか。  私は、やはり、地元事業者の仕事がふえることによって、景気の回復、さらには当市の税収増につながって、めでたし、めでたしの形にとらまえれば一番よろしいのではないかと日々思うわけです。  そこで、質問でありますけれども、現在、地元事業者の受注実績はどのようになっているか、お伺いいたします。 ◎小林 施設担当部長  まず、1点目の、今回、篠路のストーカ更新工事を実施いたしましてどの程度延命化ができるかということについてでございます。  このストーカと申しますのは、焼却炉底部の可動火格子のことでございまして、この上でごみが燃えるというものでございます。常時、過酷な高温にさらされておりまして、おおむね10年から15年程度が寿命となっております。過去にも更新を行っておりますけれども、今回の更新によりまして、この設備につきましては少なくとも10年の延命化が図られるものというふうに考えてございます。  それから、2点目の入札方法を一般競争入札に変更したことによる地元事業者の受注実績ということでございます。  やはり、炉本体の定期整備、あるいは、プラントの性能にかかわります大規模な改修につきましては、今のところ、どうしてもプラントメーカー系列の会社以外の入札参加というのはございません。しかし、クレーンの整備業務につきまして、本年、地元業者が初めて受注をいたしております。また、複数の工事におきまして地元事業者の入札参加がございまして、将来的には地元事業者の受注がふえていくものというふうに考えてございます。 ◆近藤和雄 委員  確認でございますが、地元の受注実績についてお答えがありましたけれども、お尋ねしたいことは、地元の業者の技術力が、本州のプラントメーカーと同等、あるいは、技術によってはもっと上に行くというような解釈、そういうような判断というか、評価をしてよろしいのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。 ◎小林 施設担当部長  ただいま申し上げましたように、どうしても、炉の本体とか全体のプラントの性能にかかわる部分といいますのは、やはり長年のプラントメーカーのノウハウあるいは特許といったものがございますので、地元の業者の方がそこまですべて網羅するということはまだなかなか難しいというふうに思っております。  しかし、先ほど申しましたように、ある程度、幾つか分けて発注いたしますと、それぞれの部分については地元の業者でも十分に受注できるものもある、そして、基本的にはそれがこれからも広がっていくというふうに考えてございます。 ○細川正人 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  討論を行いますが、討論はございますか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  なければ、討論を終了いたします。  採決を行います。  議案第1号中関係分を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○細川正人 委員長  異議なしと認め、議案第1号中関係分は、可決すべきものと決定されました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時53分...