陳情者の
趣旨説明あるいは提出された資料などにも一部明らかになっておりますが、まず最初に、この春、札幌市の
中学校を卒業した生徒の
高等養護学校への
出願状況がどうなっているのか、それから、今後の傾向について、なお、その原因とか理由についてどのように考えているのか、お聞きします。
それから、札幌市として、具体的には
豊明高等養護学校における
受け入れについてどのような対応、
取り組みを行っているのか。
私の
子どもが10年ほど前に豊明に在籍しておりましたけれども、その後、
定員割れという事態が起きた時期もあったと思います。それから、私も
学校祭などに伺って、従来は入っていなかったような比較的重いと思われる生徒が入っていた時期もあったかなと思うのですが、いずれにしても札幌市としてどういった対応をしているのか。
それから、来年度の計画について、
道教委では
札幌圏で40名の
定員拡大をするという話もありますが、札幌市としては具体的にどう対応するのか、その点をお聞きしたいと思います。
◎西村
学校教育部長 まず、1点目の
出願状況についてでございますが、本年3月に
高等養護学校へ出願した
札幌市内の
公立中学校生徒は153人であります。その内訳は、
特別支援学級の生徒が128人、通常の学級の生徒が25人となっております。
次に、今後の傾向及びその理由、原因についてでございます。ここ数年、少子化による
生徒数の
減少傾向が見られる中で、
特別支援学級の
在籍者数はふえる傾向にございます。その多くが
高等養護学校への進学を希望しておりますが、
豊明高等養護学校におきましては、平成15年度及び平成17年度に
志願者が定員を下回るなどの流動的な状況もございます。こうしたことから、短期的には
志願者数が増加する傾向にありますが、現時点では、
高等養護学校の今後の
志願者数について中長期にわたっての正確な見通しはなかなか難しいものと考えております。
2点目の
高等養護学校における
受け入れの対応、
取り組みについてでございます。
これまでも
北海道教育委員会に対しまして収容率の確保について要望してきたところでございますが、本年度は改めて、文書により、平成20年度
公立特別支援学校配置計画における
石狩管内での
定員増などにつきまして要望したところでございます。平成20年度におきましては、
札幌圏全体で5学級の増があり、これに伴い本市の設置する
豊明高等養護学校においても1
学級増の
定員拡大となりました。
◆
小野正美 委員
出願状況はお聞きしましたが、結果として、不
合格者、
札幌圏の学校に入れなくてほかに行かざるを得なかった生徒、
子どもたちが生まれていることは事実ですね。今後については、全体として
少子化傾向にあるけれども、そういった中にあるにもかかわらず、
高等養護学校を希望する生徒がふえている。もちろん、これから先を予測することは難しい面もありますが、いずれにしてもさまざまな要因でふえているというわけであります。
確かに、豊明は、平成19年度の場合には定員を上回った形で
受け入れているという話を伺っております。さらに、豊明は、来年度、1間口ふえるわけですね。あの敷地が非常に狭いのは僕も承知していて、
学校給食を始める際に
ダムウエーターをどこに設置するかということでもいろいろ頭を悩ませた記憶がありますが、1間口ふえるに当たって教室の増築を考えているのかどうか、これも後でお聞きしたいと思います。
いずれにしても、現状では、やはり希望する
子どもたち全員を
受け入れることができないという状況があるわけです。そういった中で、今回、
陳情者の方からも、全日
制高校の中に知的障がい
自立支援コースと発達障がい
自立支援コースを設置してほしいという陳情が出ています。
聞きましたところ、大阪では、こういう
コースを設置してこれらの生徒の
受け入れをしている事例があると聞いております。確かに、私たちも、以前、同じ
クラスの中に
進学コースと
就職コースという分け方があって、ある特定の授業は別な教室で受けているとかいろいろありました。この大阪での
取り組みですが、知的障がいの
支援コースあるいは発達障がいの
支援コースといったことが行われている内容についてどのように把握しているのか、あるいは、それをどう評価しているのか、
市教委としての
考え方をお聞きしたいと思います。
あわせて、小学校、
中学校の場合は
特別支援学級が設置されていますが、これと同じような形で、
コースと言うと一つの
クラスの中で何人かという形になると思うけれども、単独の
支援学級として全日
制高校の中に開設できないのか、この点についてお聞きしたいと思います。
◎西村
指導担当部長 1点目の大阪の
取り組み内容とそのことに対する考えについて、私の方からお答えいたします。
大阪では、
調査研究校に指定した
大阪府立、
大阪市立の全日制
高等学校合わせて6校が、それぞれ
特別枠として2〜3名の知的障がいのある生徒を
受け入れ、特別な
教員等の配置のもと、教育を行っております。
しかしながら、大阪府
教育委員会の
調査研究報告書によりますと、一人一人のニーズに合った教育を展開するためには、
教育課程の運用の柔軟性が必要であるとの課題が示されております。これは、
小・中学校で認められている特別の
教育課程の編成が
高等学校では認められていないことによるものでございます。
これに対する札幌市
教育委員会の
考え方についてでございますが、
教育課程上の課題が解決されない限り、本市において同様な
取り組みを実施することはできないものと考えております。
2点目の
高等学校に
特別支援学級を開設することにつきましては、
小・中学校で認められている特別の
教育課程の編成が
高等学校では認められていないことから、
現行制度上、知的障がい
特別支援学級の開設に踏み切ることはできないものと考えております。
◎西村
学校教育部長 平成20年度の
豊明高等養護学校の
間口増の件でございますけれども、既存の教室などの転用によりまして対応してまいりたいと考えているところでございます。
◆
小野正美 委員 大阪で取り組まれている
コース、それから
特別支援学級の併設、これらは、高校の
教育課程の編成上、認められていない、それに伴う財政あるいは教員の配置もできない、したがって、札幌
市教委として取り組む考えはないということであります。
例えば、道新に
教育現場の連載がありますが、その中で、読むことは苦手だけれども、その意味がわかればその問題を解くことができるという発達障がい、学習障がいの方の話があります。あのような配慮で
高校教育を可能とする人がいるのかなという思いもするわけです。それは、一応、通常の形で
入学選抜を行って、多少そういった傾向のある生徒ということでの配慮があって
普通高校で学ぶことができればなと、それが
特別支援教育の精神的な柱ではないかなという気がするのです。ただ、それを全体に適用することはなかなか難しいなという思いがあります。これは、こういう障がいのある
子どもたちへの教育の
あり方の議論にもなると思いますが、私自身としては難しいなという思いがします。
そこで、これも
新聞報道で知り得る範囲ですが、ことしの7月2日付あるいは7月9日付の
北海道新聞で、「
高等養護を考える 現場からの発想」という2回にわたる記事がありました。ご承知のとおり、滋賀県に初の
公立併設校というものがございます。つまり、同じ敷地、建物の中に
高等養護学校を併設し、校長や教頭が兼務する中で、人的にも物的にも
効率的運用と、あるいは、障がいのある
子どもとない
子どもが同じ授業を受ける、体育とか水泳がありましたが、そういう形で交流し、学んでいるという記事があります。
今、少子化で、
普通高校の
間口削減が進んで、来年度もさらに
削減計画が示されていて、
札幌市内でもかつては10間口あったけれども、今は減らされてきて、8とか、あるいは7までいかないのかもしれませんが、既にそういう学校が出ていますね。当然、そこには
余裕教室というか、
空き教室があるわけで、学級とか
コースが難しいのであれば、そういったところに
高等養護学校そのものを併設することはできないのか。学校として難しいとすれば、例えば分校の形でも検討することが可能ではないかという気がするのです。
例えば、2間口で1年、2年、3年という分校にするのか、あるいは、3年生だけを分校に通わせる。1年、2年は本校にいて、3年生になったら分校に行くと。つまり、3年生は卒業したら
実社会に出ていろいろな人と触れ合わなければならないから、そういう意味では、
豊明高等養護学校の分校なら分校でもいいけれども、
実社会に出ていく前段として、
普通高校の中でそういう形のいろいろな触れ合いができる、障がいのある子もない子も同じ敷地の中で生活する、そういうことも
実社会に出ていく上で一つの経験として必要なことではないかという気がするわけです。実習など必要であれば本校に行くことも可能ですし、あるいは、3年生になれば
職場実習などで1カ月や2カ月は学校に通わない時期も出てきます。
そんなことも含めて、今、新たに敷地を求めて建物をつくることは財政的にも難しいし、将来の予測も立ちづらいときに、今、可能なこととして、
普通高校の間口が減少されている中で、いわゆる
高等養護学校の併設、新設も含めて、あるいは、それが難しければ分校という設置の仕方、これにも柔軟ないろいろな方法があり得ると思うので、ぜひその点を検討できないものか、この
考え方について見解をお聞きしたいと思います。
◎西村
学校教育部長 余裕教室などを活用して、
高等養護学校を併設する、あるいは分校を設置すること、また、委員ご指摘の手法の
可能性について、あわせてお答えしたいと思います。
今後の
高等養護学校の
あり方につきましては、
北海道教育委員会が本
年度策定予定の
特別支援教育に関する
基本方針におきまして、中長期的な観点からの
特別支援学校の配置の
あり方が示される予定でございます。
教育委員会といたしましては、
高等養護学校を希望する生徒の
受け入れの確保に当たりまして、どのような手法が可能かについて先進的な事例の
情報収集などに引き続き努めるとともに、今後も
北海道教育委員会との協議を継続していきたいと考えているところでございます。
◆
小野正美 委員 どうしても
道教委との関係という話になるわけでありますが、20年度、来年度の
間口拡大の方向は出ています。21年度以降はどうするかということがこれから本格的に検討されるわけですから、ぜひ、その中に、今回提起した、特に
札幌圏に
高等養護学校をふやさなければだめなのだ、その手法として、
間口減が進んでいるところに
高等養護学校を新設する、いわゆる併設という格好、あるいは分校というスタイルでもいいと。それから、可能な限り
都心部の通いやすい場所に設置するのが重要なことだと思います。
陳情者の方は
大通小学校の後ということですが、これは、
定時制高校として設置するということでもう既に設計に入っていますので、
大通小の後が難しければ、例えば、
定時制高校の集約の中で豊水の
星園高校もあく
可能性があるわけですね。やっぱり、本当に通いやすいというか、白樺とか、豊明もそうだし、私が住んでいる手稲区の
札幌高等養護学校もずっと
周辺部にあるので、何とか都心の通いやすい場所に
高等養護学校の開設、設置をぜひ強く求めておきたいと思います。
特に、
生活科の開設の要望も強いわけです。豊明の場合も、長く
職業科という科目でずっと進んできているので、今の時代に合っているのかなという思いもあるのです。そんな見直しも含めて、ぜひ、
陳情者の要望にこたえる努力をお互いにやっていく、特に
市教委の
皆さんには一層の努力をお願いしたいと思います。
◆
宗形雅俊 委員 私も、この陳情について支援するという立場からご質問していきたいと思います。考えていた質問が
小野委員と重なる部分もあるかもしれませんが、その辺はお許し願いながら、ひとつ質問させていただきたいと思います。
まず、1点目に、端的に、
高等養護学校の
設置義務はどうなっているのか、また、
配置計画策定は法的なことを含めてどのようになっているのか、お聞かせ願いたいと思っております。
◎西村
学校教育部長 まず、
高等養護学校の
設置義務についてでございますが、
特別支援学校小・
中学部の
設置義務は、
学校教育法第74条におきまして、
都道府県がその義務を負うとされておりますけれども、
特別支援学校高等部に相当する
高等養護学校の
設置義務につきましては、法令上、特に明記はございません。
次に、
配置計画についてでございますけれども、
北海道の
公立特別支援学校配置計画といたしまして
北海道教育委員会が策定しているところでございます。
◆
宗形雅俊 委員 法的なものはないとのことでありますけれども、
考え方としては
普通高校に準じるという理解でよろしいのですか。
設置義務ということではないですが、現実にあるわけですから、
カリキュラムの
編成等についてはどうなのですか。
◎西村
指導担当部長 高等学校に関しましては、過去に
都道府県が設置するという
義務規定がございましたけれども、法令の条文としては、現在、その
義務規定等は削除されてございます。
高等養護学校につきましては、先ほど
西村学校教育部長からお話がありましたように、特に法令上の定めはございません。
◆
宗形雅俊 委員 ちょっとわかったような、わからないような話です。
次の質問に移りますが、今お聞きすると、いろいろな教育の
計画策定とか、
北海道教育委員会の主導のもとというのは先ほどからの説明でわかるのですが、陳情にありますように、今年度も32名の不
合格者が出たということです。その後の
実態調査といいますか、
追跡調査の中で、いわゆる
進学希望の方が受験して、希望にかなった進学であればいいですが、地域を含めて、かなわなかった方、特に不
合格者がおられて、その後、当然、その方々は希望とは違うところに進学したと。その辺では、特に障がいを抱えている
当事者もそうですし、
保護者の
皆さんも負担が大きいと思いますので、その
追跡調査を含めて、
進学志望に沿った形で進学した方とそうではない方の
実態把握はできているのでしょうか。
◎西村
学校教育部長 いわゆる
札幌圏といいましょうか、
石狩管内と考えたときの
札幌圏で考えてみたときに、
豊明高等養護学校、
白樺高等養護学校、
札幌高等養護学校及び
新篠津高等学校の4校が該当することになるかと思います。昨年度の
札幌市内の
公立中学校生徒の
進学状況については、
石狩管内の
合格者は129名、
石狩管外の
合格者が19名という形になってございます。
◆
宗形雅俊 委員
高等教育ということですけれども、教育の
機会均等を含めて、特に障がい者の方については、
健常者と差別するわけではないですが、やはり特別な配慮といったものが必要でございます。また、教育の
機会均等という立場からも、ぜひ
定員増を検討していただきたいなと思っています。
そこで、2点目ですが、
市立豊明高等養護学校に比較的障がいの重い方の
生活科をという陳情がございます。つい先日、我が自民党の
宮村議員と私が
豊明高等養護学校へ
現地視察に行ってまいりまして、
松山校長を初め、
教頭先生、事務長の丁寧な説明と案内を受け、調査いたしました。そのときの説明の中で、
豊明高等養護学校は、もともと比較的障がいが軽い生徒を対象に設立した
高等養護学校であり、それなりの
カリキュラムの施設であるとことから、比較的障がいが重い生徒の
生活科の新設は、施設のキャパシティーや
カリキュラム編成などの理由で現状では厳しいところであると確認してきました。
そういう中で、先ほど
小野委員も聞いたかもしれませんが、いわゆる
高等養護学校の
定員拡大、そして新設、それからもう一つ、私が一番危惧しているのは、
全国的傾向にあると言われる発達障がい者の
進学増加への対応を含めて、改めて、本市の新設や
定員増についての見解をお聞きしたいと思っております。
◎西村
学校教育部長 高等養護学校の
定員拡大や新設についての本市の今後の対応についてであります。
教育委員会といたしましては、
高等養護学校等を希望する生徒の
受け入れの確保に当たりまして、発達障がいのある生徒の
進学対応も含め、どんな手法が可能かにつきまして先進的な事例の
情報収集などに努めているところであります。
今後の
高等養護学校の
あり方につきましては、現在、
北海道教育委員会が、中長期的な観点からの
特別支援学校の配置の
あり方を含めて
特別支援教育に関する
基本方針の策定を進めております。これに向けまして、本市がこれまで蓄積いたしました事例などを踏まえながら、
北海道教育委員会との協議をさらに進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆
宗形雅俊 委員 そこで、
市立豊明高等養護学校についてもうちょっとお聞きしたいのですが、来年度は1
学級増ということで対応すると。また、
松山校長からも単年度ということでの
道教委からの要請で受けましたという話は聞いております。今後、単年度ということは3年間という中でいろいろなことを考えますと、21年度はどうなるのかといったことも想定していかなければならないのではないかなと思っています。
そこで、
豊明高等養護学校では、私が実際に聞いたところによると、
校長先生は
生徒会室を1
学級増としてあてがう、36平米でしたか、そこを何とかしていくということでした。ただ、今後の増ということも踏まえると、実際に校舎なども見せていただいたときに、
吹き抜けがありました。我々
素人考えでは、これを
何とか増改築、増床の対象にして、少し永続的な
学級増への対応、
スペース確保というのですか、そんなこともちょっと思いました。
その辺について、それが可能なのかどうか、お聞きしたいと思います。
◎西村
学校教育部長 豊明高等養護学校の
吹き抜けの改装または改築についてでございます。
吹き抜けの部分につきましては、光庭と申しておりますが、この光庭につきましては、
吹き抜けに面した部分に光を取り入れることを目的にしておりまして、
光庭スペースを改築することは、
教育環境上、好ましくないというふうに考えているところでございます。また、実際に工事するといたしましても、光庭の
改築工事のために、例えば、くい打ち機といった大型の機械を入れることが非常に難しいという施工上の問題もあります。したがいまして、この部分を改築して増床を図っていくことは非常に難しいと考えております。
◆
宗形雅俊 委員
自立支援コースの件もお話ししたかったのですが、この辺は
小野委員が質問されたので割愛したいと思います。
最後に、私の要望としてですが、陳情の方々、また、障がいを持つ
当事者、親御さんを含めて、経済的なことも含めていろいろな形で
相当負担が大きいと思います。
小野委員も言っておりましたが、今後、
公立高校の
学級減とか、
小・中学校統合の話もこれから検討されるということで、そういった施設の
跡地利用、
施設活用も含めて、それから、
道教委の主導ということもありますけれども、やはり、
政令都市である札幌市
教育委員会も積極的にこれに
取り組みながら、待ちの姿勢ではなく、こちらからも積極的に働きかけながら、ぜひ障がい者の
学級増や
定員増へと。
それから、我々がいろいろ調べてみますと、障がい者を対象とする学校というのは札幌でも郊外です。私は南区に住んでいて、
豊明学校に行くには逆方向になり、
交通機関も乗り継ぎなどになります。
小野委員からもありましたように、
中心部といいますか、まち中といいますか、新設があればいいのでしょうけれども、住居街にある統廃合になったところや
学級減になった施設の後利用も含めて、そういったものを積極的に利用し、ぜひ障がい者に対する
定員拡大を
道教委に働きかけていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
◆高橋功 委員 私からも、何点かお伺いしたいと思っております。
今回の陳情は、先ほど
趣旨説明がございましたけれども、今回、
追加署名がありまして、当初の4万8,000人から5万人を超える方々の署名を添えて陳情が提出されました。このことの重みというのは、
教育委員会としても、また我々議会としてもしっかりと受けとめなければならない、こんな思いでおります。
その上で、今回、この陳情の趣旨は、言うまでもないですが、先ほどの
陳情者の方々のお話を伺っていても、それから、今お2人の委員もおっしゃっておりましたけれども、やはり、
高等養護学校に進学を希望する、
札幌市内の知的障がいをお持ちのお子さんがより近い学校に通えるように、そういう観点で、学科の
あり方も含めて、
高等養護学校の整備、そして拡充というものを求めていらっしゃるのだろうと思うんです。改めて、また確認をしておきたいと思っております。
そこで、ちょうど4年前ですが、平成15年度は、たまさか私は
文教委員だったのです。毎年、
文教委員をさせていただいているわけではありませんが、たまさか4年前、平成15年度には
文教委員をさせていただいておりました。そのときも、先ほどちょっとお話が出たかもしれませんが、同趣旨の陳情が議会に上がりました。私も、当然、そこで質問をさせていただきました。そのとき、当時の教育長からは、機会をとらえてしっかりと
北海道教育委員会に働きかけてまいりたい旨の答弁をいただいておりました。当然だと思います。
冒頭、この4年間、
市教委として、
道教委に、当時の教育長も約束してくれたから、どういうことでやってくれましたかということをお聞きしようと思っていましたが、重複することになるのであえてお聞きしません。先ほど出ましたからね。
道教委に対してしっかりと陳情しています、要望していますということでした。
そこで、ちょっと違う切り口になるかもしれませんが、私は、
高等養護学校というのは、しっかりと社会参加、さらにはご本人が自立できる、そういう力をつけて、そして、一人一人のニーズに応じた教育というものを進めることが求められているのだろうと思います。そのためにも、やはり、養護学校を卒業した後、この生徒の生活を十分見通した就労につながる支援の充実が必要なのだろうと思っております。
そこで、1点目ですが、
高等養護学校の既設の今ある学科、ここで何をやっているかというと、要するに、就労など、今申し上げた社会での自立に必要な知識とか技能とか、そういうものを教育目標に掲げているのですね。私はそう認識しています。そういう意味で、実際、
高等養護学校の卒業生の方々の進路は今どういう状況になっているのか、就労につながるためにどういう対応をしていらっしゃるのかということを先にお伺いしたいと思います。
◎西村
指導担当部長 豊明高等養護学校の卒業生の進路につきましては、年によって違いがありますが、平成18年度の卒業生の場合、48名のうち、一般の事業所等へ就職した生徒は16名、33.3%、通所の作業所などの施設等を利用することになった生徒は30名、62.5%、職業訓練校に進学した生徒1名、その他1名となっております。また、職種につきましては、食品加工5名、クリーニング2名、その他流通・サービス業等の職種9名となってございます。
次に、就労につながるためにどのような対応を行っているのかについてでございますけれども、
豊明高等養護学校では、就業体験の充実を目指しまして、2年生で2週間の体験的な
職場実習、3年生で6週間の将来の就労等につながる実習を実施しております。平成17年度からは、生徒一人一人の卒業後の生活を見据え、社会への移行をスムーズに行うことができるよう、個別の移行支援計画を作成し、進路に関する情報や、生徒や
保護者とともに卒業までに取り組む課題や支援内容を明確にしております。また、札幌市の区役所や保健福祉局を初め、労働や福祉の関係機関とも連携を図りながら、教職員が一丸となって職場の開拓に努めるとともに、生活や就労の安定に向け、卒業後も何年にもわたり継続的な指導の充実に努めているところでございます。
◆高橋功 委員 私は、障がいをお持ちの生徒にとって、就労することがすべてではない、就労することがすべてというふうに考えるのは、これまた一方的だし、いろいろなケースがあるだろうし、親御さんの思いもあるし、就労がというふうには思いません。しかし、やっぱり今のご答弁を伺っていても、今の
豊明高等養護学校に設置している学科、事前に資料もちょうだいしているし、私も伺ったことがあるから承知しているけれども、この学科は、必ずしも今のご答弁にあったような就労実態に即しているのだろうかということは考えてみる必要があると思うのだね。クリーニングとか、コンクリート加工とか、木材加工も大事ですよ。それを否定しているんじゃないんです。ただ、少なくとも時代というのは大きく変わっていますね。時代に迎合する必要はないかもしれないけれども、少なくとも、今ある学科が今の時代に、悪いけれども、例えば30年前、40年前にはパソコンがこんなに普及するなんていうことはだれも考えてなかったでしょうし、IT云々ということも、今でこそだれでもある程度聞いたことがあるかもしれません。そういうことなどを考えますと、就労実態に即しているのかなと思うわけです。
もともと
豊明高等養護学校は、どちらかというと比較的障がいの軽いお子さんがいるという認識です。私はそうだと思います。確かに、今回の陳情要旨の3番目に、
豊明高等養護学校に、比較的障がいの重い
子どもを対象とした
生活科の設置を要望されています。直接これとは関係ないかもしれないけれども、今、私が申し上げたような観点からいけば、やっぱりそういった障がいが比較的軽いとは言っても、さまざまな
子どもたち、生徒たちの実情に応じた、何というか、学科の見直しを私は考えるべきだろうと思うし、考えられていいと思うんだね。
そういう中で、この陳情要旨ももう少し検討の余地があるかないかということもまた考えていかなければならない。そういうことが必要になってくると思うのですね。かたくなに、今ある5学科6学級、これがだめだと言っているんでないですからね、誤解のないように。これは意味がないとかということを申し上げているんではなく、やっぱり、今の
子どもたちの教育内容、学科の見直しということを考えた方がいいのではないかと、十分な自立ということを支援するという立場から言ってもですよ。
そんなことで、今、
教育委員会として、
市教委として、
豊明高等養護学校の教育内容、学科の見直しを含めて、どういうふうな見解をお持ちなのか、この点を伺ってみたいと思います。
◎西村
指導担当部長 豊明高等養護学校の教育内容や学科の見直しに関してどのように考えているのかということについて、私の方からお答えいたします。
ご指摘にありましたように、近年の産業構造、経済状況の変化等を反映いたしまして、卒業後の進路が多様化している現状はございます。このことから、
豊明高等養護学校では、生徒の多様なニーズや新たな職域への対応を図るために、教育内容や方法等の
あり方につきまして内部検討が進められております。
教育委員会といたしましても、学校での検討とあわせて、就労の促進につながるよう、今後とも必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
◆高橋功 委員 ぜひ、冒頭に申し上げました、私の前の2人の委員もおっしゃっておりましたが、やはり、5万人の方々を超える署名を添えた陳情の重みということ、もちろん、今すぐできること、できないこと、いろいろあるのかもしれませんけれども、やはり、普通に考えた意味では、
札幌市内の知的障がいをお持ちの
子どもが
札幌市内に通えるということは、いろいろなことを抜きにしても考えていかなければならない。この立場からいっても、今、伺った学科の見直しということも柔軟にお考えになっているやに私は受けとめるので、ぜひ、今言った陳情の趣旨ということをしっかり受けとめていただきたいということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
◆村上仁 委員 私からも、簡潔に、何点か質問させていただきたいと思います。
先ほど、
陳情者の方から、
札幌圏で定員を超える
志願者が増加している、このことによって不合格の
子どもたちが出ている状況について報告されました。とりわけ、障がいの重たい
子どもほど遠方の学校に行かざるを得ないという状況は、まさに深刻な事態だと思います。
そこで、質問ですが、2007年度の道内の
高等養護学校の受験者数のうち、1次募集の不
合格者が32名であったと聞いております。そのうち、札幌市の生徒は何名なのかについてお示しいただきたいと思います。
また、過去5年間の
市立豊明高等養護学校の受験者数及び不
合格者数についてもお示しいただきたいと思います。
◎西村
学校教育部長 まず、1点目の平成19年度の
高等養護学校受験者のうち、1次募集で不合格となった者は何人かということでございます。1次募集で不合格となった生徒は全道で32名おりますが、そのうち札幌市の生徒は5人となっております。
2点目でございますが、過去5年間の
豊明高等養護学校の受験者数及び不
合格者数についてお答えします。
まず、受験者数につきましては、平成15年度は42名、平成16年度は50名、平成17年度は35名、平成18年度は50名、平成19年度は57名となっております。
次に、不
合格者についてでございますが、各年度とも募集定員は48人であり、平成16年度、平成18年度、平成19年度は募集定員を上回る受験者がおりましたけれども、これらの年度を含め、過去5年間において不
合格者はおりません。
◆村上仁 委員 札幌市で5人の生徒が現実に不合格になっているということです。行政あるいは学校の絶対的なサポートを必要としている障がいのある
子どもたちが、現実に不合格になっているわけです。
そこで、質問ですが、この不合格となった生徒たちの最終的な学校の進路について伺いたいと思います。
さらに、2003年度の
高等養護学校の整備・充実等を求める陳情審査の中で、日本共産党として、
豊明高等養護学校に
生活科を新設してほしいということを要望したところですが、やはり、市としては
豊明高等養護学校に
生活科を新設していく努力が求められていると思うのです。新設に当たり、この間、どのような課題があるのかということについて、調査した結果なども含めてお示しいただきたいと思います。
◎西村
学校教育部長 まず、1点目の1次募集で不
合格者となった生徒5名についてでございますが、この5人につきましては、最終的に、いずれも市内及び道内の
高等養護学校及び養護学校の高等部の方に合格いたしております。
2点目の
豊明高等養護学校に
生活科を設置することについてどのような課題があるかということでございます。
豊明高等養護学校は、障がいの比較的軽い生徒の社会的自立を行うことを目的として設置していることから、これに加えて教育の目標や教育の内容が異なる
生活科の教育を行うためには、まず教室の確保に加えまして、既に設置されている学科の作業棟とは異なる独自の作業棟が必要となります。しかしながら、
豊明高等養護学校の施設、敷地には新たな作業棟などを増設するスペースがなく、
生活科の教育に必要な施設を整備することが困難な状況にございます。
◆村上仁 委員 過去5年間に
市立豊明高等養護学校では不合格の
子どもがいないということであります。
そして、一つ伺いたいのは、不合格の5名の生徒のうち、4名が市内の
高等養護学校に2次募集で進学され、1名は道内ということですが、その道内の進学先、学校名がわかればお知らせいただきたいと思います。
◎西村
学校教育部長 これについては、1名のことでありますし、個人情報に触れますので、ここでは控えさせていただきたいと思います。
◆村上仁 委員
市立豊明高等養護学校において定員をオーバーしても
合格者を出しているという点では、市の努力として一定の評価ができるというふうに思うのです。ただ、同時に、生徒たちや教職員への負担という点では危惧される事態でもあると思うのです。
そういう中で、来年度、
豊明高等養護学校に1
学級増となることは一つの大きな前進だと言えると思います。しかし、札幌市で受験しても不合格になり、現実に道内の
高等養護学校に行かざるを得ないという
子どもが1名いたということですから、先ほどの陳情で、障がいの重い
子どもが遠方の学校に行かざるを得なくて大変苦労している実態について報告もございました。そして、
北海道の圧倒的な人口が集中している
政令都市の札幌市で、やはり
生活科を有する
高等養護学校の新設は急務であると思うわけでございます。答弁の中で、市立の
豊明高等養護学校は、新たな作業棟を増設するスペースの関係で困難だということでした。先ほど宗形委員からも要望として提出されておりますけれども、私も、まず、市として、さらに
実態調査を深めることと、道との協議を進めながら、
生活科の新設を進めることを強く求めることが必要だと思います。
ただ、現実に、来年度はどうするのだということでは、一人も遠方の学校に行かなくても済む状況をつくり出すために、まず努力できることをする必要があると思うのです。そういう点では、今、札幌市は少子化が進む中で市立の小学校や
中学校の学校規模の適正化を進めることを提案しておりますけれども、一方では、学校で
空き教室という問題が生じていて、いわゆる統廃合を進めようとしているわけです。そういう市立の小学校や
中学校の既存の
空き教室や施設を有効に活用していくことは、大きなお金も体制もかからなく、すぐに実現可能なことだと思うのです。新しく学校をつくるということであれば、20億円、30億円というお金もかかります。そういうことで、市として、まず既存の施設を利用することを鋭意検討していただくように私からも強く要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
◆佐藤典子 委員 私からも、質問させていただきたいと思います。
本当に5万人を超える方の署名を添えてという重い陳情の内容であると受けとめておりまして、ぜひ、前向きにともに考えていきたいと思っております。
この陳情趣旨の下に理由があって、この二つ目にも書かれておりますが、近年の傾向として、知的障がい者を対象とした
高等養護学校へ通常学級からの軽度発達障がいの
子どもたちの
志願者が増加している、そして、教育機関の
受け入れ整備が不十分なため、
受け入れ先のほとんどを
高等養護学校が担っている、
中学校の
特別支援学級在籍の
子どもたちが進学を希望しても普通校に入学できない状況があるという指摘をされている箇所があります。いろいろな方からこういうお話をたくさん聞くわけですが、私はこの実態について伺いたいと思います。
現状において、通常学級から、いわゆる発達障がいの
子どもさん方の
高等養護学校への志願はどういうふうに行っているのか、把握しておられる中で伺いたいと思います。
それからまた、
特別支援学級在籍の
子どもさん方への進路指導の状況はどういうふうにされているのか、その点についてまず伺います。
◎西村
指導担当部長 1点目の通常学級からの発達障がいの
子どもの
志願者はどのようになっているのかについてお答えいたします。
通常の学級からの
高等養護学校志願者は、平成17年度は16人、平成18年度は25人であり、そのうち、
豊明高等養護学校につきましては、平成17年度及び平成18年度はともに11人となっております。これらのうち、発達障がいのある生徒が何人であるかにつきましては、現状では、通常学級からの
高等養護学校志願者の発達障がいの有無を把握することは極めて困難であるため、
教育委員会としては実態を把握するには至っておりません。
次に、
特別支援学級在籍の
子どもたちへの進路指導の状況についてでありますが、各
中学校では、1年生から本人や
保護者が考えている進路の意向等についての把握を行っており、2年生の後半では希望する学校の見学を行い、3年生では希望する学校での教育相談を受けるなどして、みずからの特性に合った進路を選択するよう指導しているところであります。加えて、
保護者に対しまして、前年度の受験状況等の情報提供を行うなど、在学期間を通して、
保護者と学校の連携のもと、
子どもの特性に応じ、本人の意向を大切にしながら進路指導を進めているところであります。
◆佐藤典子 委員 今、その状況を伺い、豊明養護への進学も17年度、18年度は11人ずつあったことも伺いました。それから、親御さんと
子どもをあわせて、本人の希望を大切にしながら進路指導を行っておられるということであります。
私がいただいた星置養護と札幌
高等養護の資料ですが、平成18年度、2006年度、小学校6年生が10人だったのが、2007年度は23人になっている星置養護の
中学校入学の状況があります。それから、中学3年のとき10人だったのが高等部に行くときは14人ということで、市内でもそこを選んで入られる方がいるという状況です。それから、札幌
高等養護も、小学校6年生の
クラスが、平成18年には11人だったのが中学1年のときには24人と、入学される方が多い。それから、18年度は、中学3年のときに19人だったのが高等部の1年生のときは29人というふうに、進学を選択して入られている方もかなりいるということで、実際には本当に教室もないような非常に厳しい状況であることも伺っております。そうした中で、本当に近くの学校を選んでいける状況をどういうふうにつくっていくかということは、私たちも一生懸命考えなければならないことだと受けとめています。
そうした中で、本市においては、この間、
高等学校教育改革推進計画というものを立て、また、全国に先駆けて2003年3月に
特別支援教育基本計画を策定して
特別支援教育に取り組んでいます。