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平成19年北海道新幹線調査特別委員会−09月07日-記録
平成19年税財政・地方分権調査特別委員会−09月07日-記録

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  1. 札幌市議会 2007-09-07
    平成19年北海道新幹線調査特別委員会−09月07日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成19年北海道新幹線調査特別委員会−09月07日-記録平成19年北海道新幹線調査特別委員会  札幌市議会北海道新幹線調査調査特別委員会記録            平成19年9月7日(金曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時 ○近藤和雄 委員長  ただいまから、北海道新幹線調査特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、小野委員からは、欠席する旨、連絡がありました。  それでは、議事に入ります。  北海道新幹線についてを議題といたします。  本日は、北海道経済連合会荒谷隆則さん、北海道二十一世紀総合研究所の高橋 功さんを参考人としてお招きしております。  本日の委員会の進め方としては、最初にお2人のお話をいただいた後、各委員から質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  委員会を開催するに当たりまして、一言、ごあいさつを申し上げたいと思います。  お2人の参考人の方におかれましては、ご多忙中のところ、本委員会への出席に快くご承諾をいただき、心から感謝とお礼を申し上げます。  本日の議題であります北海道新幹線につきましては、本市議会において、札幌延伸早期実現に向け、新幹線整備等に関する調査を行うため、特別委員会を設置したところであります。  本日の委員会は、北海道新幹線札幌延伸に伴う効果などについて、調査研究等をされておられる立場からお話を伺いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、参考人の方にお話しいただきますが、ここで、改めてお2人の参考人をご紹介いたします。  北海道経済連合会は、平成18年7月と19年4月に北海道新幹線札幌延伸に伴う地域の課題という報告書を公表されております。お1人目の参考人であります荒谷隆則さんは、北海道経済連合会地域政策部長を務められております。また、この調査報告書の作成につきましては、株式会社北海道二十一世紀総合研究所に委託をされているところでありますが、お2人目の参考人であります高橋 功さんは、北海道二十一世紀総合研究所調査研究部部長をお務めになっております。  それでは、荒谷さん、高橋さん、お願いいたします。 ◎荒谷隆則 参考人  道経連の荒谷でございます。よろしくお願いいたします。  恐縮ですが、座ったままご説明させていただきます。
     まず、私の方から、お手元に渡っております北海道新幹線札幌延伸に伴う効果と地域の課題という資料がありますが、こちらの方は、北海道開発協会の依頼で「開発こうほう」という月刊誌向けに執筆したものでございます。こちらを使いましてご説明させていただきます。  その前に、まず私ども道経連について簡単にご紹介させていただきます。  昭和49年に発足しました経済団体でございます。北海道電力と当時の拓銀の両者が中心になってできた経済団体でございまして、現在、310社ほどの会員企業・団体がございます。現在の会長は、北電の会長でもあられる南山会長です。事務局の方は大体20名ぐらいでやりくりしておりますが、何せ小世帯といいますか、弱小経済団体でございまして、プロパー職員がおりませんで、全員出向者でございます。私は、日本政策投資銀行というところから出向しておりまして、昨年6月に東京からこちらに参りました。新幹線につきましても、前任者から引き継いで調査を担当しておりますので、よろしくお願いします。  それから、道経連会員企業が減ってきているといいますか、厳しい経済状況の中、会員がなかなかふえておりません。最低、1口の年会費14万円ということで、いろいろ委員会活動情報提供など、ご参画いただいたり、差し上げたりしておりますので、ご関連先でお声がけいただけそうなところがありましたら、ぜひご紹介いただきたいと思います。  それでは、本題に入ります。  我々道経連では、北海道経済構造は、どちらかといいますと、今までは官主導といいますか、官依存といいますか、そういう体質が強くて、そのためになかなか浮上できませんでした。そこで、やっぱり産業構造を変えていく必要があるのではないかと。具体的には、加工組み立て型の製造業においてもう少し厚みを持たせる必要があるのではないかということで、産学官連携で新しい産業をつくろうとか、いろいろな取り組みをやっておりまして、新幹線につきましても、産業構造を変えるための一つの大事なツールであるという認識のもとに誘致活動を熱心にやっているところでございます。  資料に入りまして、1枚目に地図がございます。ちょっと見にくくて恐縮ですが、現在通っている新幹線、計画中の新幹線が載っております。  ここで強調したいのは、人口100万人以上の都市で新幹線の恩恵を受けていないのは札幌市だけであるということです。厳密に言うと、神奈川県の川崎市は、新幹線の線路は通っていますが、駅はございません。ただ、川崎市の場合、新横浜とか品川あるいは東京駅が近いので恩恵は受けています。そういう意味では、札幌はそういうものが来ておりません。  これから道州制の議論が進んでいくと、それぞれの道州では、産業にせよ、生活レベルにせよ、健全な形で競い合っていくことが求められてくると思いますが、そのためには、やっぱりある程度土俵を同じにしてもらわないとうまくないのではないかと。そういう意味でも、新幹線というのは札幌まで延ばしていただくことが重要だという認識でおります。  2ページ目に移らせていただきます。  これから経済波及効果についてご説明いたしますが、その前提として、現在の交流量ベースとして、人口減少経済成長、所要時間短縮による誘発を織り込んで将来の交通量をまずはじき、それをベースにもろもろの波及効果をはじいております。我々は、札幌延伸が実現する時期を2020年、平成32年、今が平成19年ですから13年後ですが、その間を工事期間として、2020年に札幌まで新幹線が来るという前提で試算しておりますので、これをちょっと頭に入れておいてください。  次をめくってください。  この経済波及効果も、前提条件の持ち方によって物すごく変わってきます。ここでちょっと頭に入れていただきたいのは、一つ経済成長率をどう見るかということ、もう一つは、新幹線スピードをどう見るか、言いかえると所要時間をどう見るか、この二つによって随分変わってきます。これからご説明する内容は、経済成長率、GDPの成長率を1.4%という形で置いております。これは、直近5年ぐらいの日本の成長率の平均でございます。ですから、バブルのときみたいにそんなに好調でもないということですが、全国的には、北海道に比べてもうちょっとよくなってきている時期かと思います。この1.4%という数字は、経済同友会というところが推定している成長率がありまして、それは2005年から2010年が1.8%ですから、それよりもちょっと緩やかな形で見ております。  それからもう一つは、新幹線が通って、東京札幌間はどのくらい時間がかかるのかということでございます。これは時速360キロという前提を置いております。360キロで、東京札幌間が3時間57分、約4時間でございます。  この360キロというスピード現実性はどうなのかということですが、今走っている新幹線で一番スピートが速いのが「のぞみ」ですが、東京から西に走っておりまして、これが大体300キロです。また、今度、5年後ぐらいに東北新幹線八戸から新青森まで延びるのですが、そのとき新青森まで走らせる新幹線は時速320キロで、JR東日本はこれを投入することを明言しております。ですから、320キロまでは間違いない。そして、360キロの車両も、FASTECH360ということでJR東日本が開発中でございます。札幌まで延びる時期があと13年後でございますので、それまでの間にはまた一段の技術進歩があると思います。騒音問題が一番のネックになっているみたいですが、そういう研究も進んでいるので、我々としましては、時速360キロ、東京札幌間約4時間という前提ではじいております。  あと幾つか細かい前提がありますが、省略させていただいて、その結果、北海道と本州、あるいは北海道内部の移動総交通量は、この図にありますとおり、2003年1,960万人ですが、これが2,470万人までふえます。このうち、新幹線の利用は1,420万人で、航空機を利用していた方が新幹線にかわるのが840万人、在来線からの乗りかわりが260万人となります。それから、純増というのは、時間的にぐっと圧縮されることによって、例えば北海道と東北、あるいは北関東あたりで、今まで行き来がなかった方の新たな交流が発生するという前提で見た分ということです。我々は、この純増分320万人をベース経済波及効果を説明することが多いです。1,420万人を使ってしまいますと、その中には航空機で行き来している方もいらっしゃるわけですから、主に320万人の純増分をもって経済波及効果をご説明しております。  それから、新幹線の利用が1,420万人、1日4万人ということですが、このうち、我々は明示的にご説明しておりませんけれども、札幌駅を利用される方が約1,000万人という見方がございます。これは、1日平均に直すと約3万人です。JRの乗降客数で、2番目が新札幌駅、3番目が手稲駅ですが、3万人という人数は、それよりも多いらしいのです。それだけのボリュームの人数が新しく新幹線を使って札幌駅で乗りおりする。もちらんエアポートシャトルに乗ってくる方は減るでしょうから純増という意味ではそんなにないかと思いますけれども、いずれにしましても札幌駅で乗りおりする方がふえます。  それから、札幌市としてといいますか、だれが整備するのかということをおいて考えますと、やはりそれだけのボリュームの方がいらっしゃるので、今の駅前のバスターミナルがあのままでいいのかとか、あるいは、駅の方から大通、薄野に流す動線をどうするのかとか、あるいは、新幹線でいらっしゃったお客さんを高速道路に乗せるためには札幌北インターまでの動線が今のままでいいのかとか、あるいは、これからは冬場のコンベンションもやりやすくなるでしょうから、そういう機能をどうやって強化するかとか、すべて札幌市の責任分担の話ではないと思いますけれども、恐らくそういう機能が必要になってくるということを議員の皆様にも頭に入れておいていただければと思います。  こういう利用者ベース経済波及効果をはじていますが、次は、建設による経済波及効果です。新幹線は一体幾らでできるのかということです。  こちらの表1でございますが、青函トンネルの真ん中辺に青森と北海道の県境がございまして、北海道分だけでいきますと、用地費が930億円、建設費が1兆2,370億円、トータルで1兆3,300億円という数字でございます。この建設費のうち、実質建設費ベースに、これを最終需要額ということで、詳しくはご説明しませんが、ある一定の投資をやると、どういった分野から幾ら調達しなければならないかとか、そういった産業連関表というものがございまして、それを回して計算すると、最終的に生産額生産額というのは世の中でよく言われている経済波及効果という言葉ですけれども、2兆5,436億円ということで工事額の倍くらいの波及効果があるということでございます。  ただ、これは、数字としては非常に大きいですが、余り建設波及効果だけを言いますと、一昔前の公共工事を下さい型の陳情になってしまいがちなので、実は、我々としてはここは余り協調したくないのです。そこで、その下の運営による経済波及効果の方にむしろ力点を置いてご説明させていただいております。運営による経済波及効果とは、新幹線に乗ってくるお客様の運賃とか、車内で弁当を食べるとか、ビールを飲むとか、あるいは宿泊地に泊まる宿泊代とかお土産代とか、そういったものを個別に積み上げて計算したものでございます。  こちらも、純増の320万人をベースにしたものが次のページにございまして、年間の効果が1,443億円でございます。これは、毎年、毎年ですから、10年では1兆4,000億円、経済成長率を見込むともうちょっとになりまして、これがでかい。これをもっといろいろな面に波及させて、新幹線ツールとして北海道札幌を発展させていくというシナリオをぜひつくりたいということでございます。この経済波及効果は、ここにございます雪まつりとか日ハム戦などと比較していただいても、その大きさはご理解いただけるかなと思います。  ちょっと駆け足で恐縮ですが、5番と6番はここに書いているとおりでございまして、北海道と東北の一体経済化です。  北海道と東北ということでは、札幌−仙台、新千歳−仙台はそれなりに飛行機の便がございますけれども、ほかはあっても1日1往復ぐらいなのです。ですから、非常に行き来しづらい。在来線だと結構しんどいですね。それが、新幹線が通ることによってぐっと圧縮されて交流の芽が生まれます。例えば、札幌には日ハムがあって、仙台には楽天があります。それぞれダルビッシュと田中マー君をトレードに出しているような関係ですが、新幹線があれば、その辺の応援も相互に行きやすくなるとか、一つの例としてそういうことがあり得るということでございます。  それから、6番目の期待されるその他の効果では、やっぱり強調したいのは二つ目新幹線は雪に強いということです。これは東北新幹線とか新潟新幹線で実証されておりまして、全くとまることがないかというと、そんなことはありませんけれども、まずほとんどないです。しかも、北海道に入ってからは、路線図を見ていただけるとわかりますが、大概トンネルですから雪害もほとんどありません。あとは、例えば札幌駅から東京駅まで飛行機に乗っていくことを考えると、途中に階段を何段上りおりするとか、荷物を持っていると結構しんどいじゃないですか。新幹線だとその辺は楽ちんですね。そういうメリット等々があるということでございます。  それから、7番目の地方税の増収ということでございます。  時間もなくなってきたので簡単にご説明しますと、これは、北海道が投資しなければならない新幹線工事費と、先ほどの320万人の純増分建設から生まれる税金を比べるとどうなるかということを試算したものでございます。北海道地元負担はいろいろ仕掛けがあって簡単に説明しづらいのですが、結論だけを言いますと2,400億円くらいです。それに対して、税収の方は、建設分で910億円、運営分が30年の累計だと2,000億円弱、あと、鉄路とか駅に関する固定資産税も入りますので、30年という長い期間で見ますと税金で回収できるという一つの試算でございます。  目先の話だけをしますと、全体で1兆円ですから新幹線は確かに工事費がかかりますね。目先のことだけを考えてだんだんシュリンクしていく道を選ぶのか、それとも、もうちょっと長い目で見て新幹線を活用していくのか、ここはご意見が分かれるかもしれませんが、我々としては推進すべきだという観点からこういう数字もつくっているところでございます。  それから、この表の運営に伴う増加というのは、あくまでも新幹線に乗ってくる純増分の320万人だけをベースにカウントしています。新幹線効果というのは、例えば、札幌に新しくホテルができるとか、デパートができるとか、あるいは、新幹線を契機にして千歳や苫小牧に大きい工場ができるとか、そういう効果も間違いなく見込めるわけです。ただ、それに伴う固定新資産税などはここには入っていません。ですから、実際は税金の方ももうちょっとふえるはずです。  そろそろ私の持ち時間がなくなるので、最後に一つ、我々は誘致活動をやっていて、ライバルは北陸ですが、北海道は盛り上がり方が少ないといいますか、やっぱり新幹線に乗った方が少ないのですね。ですから、我々は、ことしになってから小学生80名を仙台まで連れて行って新幹線に乗せるとか、そういった地道な活動もやっておりますので、委員皆様方におかれましてもぜひこの誘致活動にご理解、ご協力をいただければと思います。  高橋部長からは、各地区の取り組み事例について、札幌市にとっても参考になる事例が幾つかありますので、そちらもぜひお聞きいただければと思います。 ◎高橋功 参考人  北海道二十一世紀総合研究所の高橋と申します。  南区の議員の方で同姓同名の方がいらっしゃいますが、その議員がやっているわけではありませんので、よろしくお願いします。  皆さんは、北海道二十一世紀総合研究所と言っても、この名前をご存じの方はなかなかいらっしゃらないと思います。もともとは、たくぎん総合研究所と申しまして、拓銀関連調査機関としてずっと活動していたところでございますが、今は、北洋銀行のグループと北海道電力を主要な株主として、いわゆる行政からの受託調査を中心に事業を行っております。  今回の調査は、北海道経済連合会からの委託調査ということで、今、荒谷部長からご説明いただいた経済波及効果の数字的な面と、これからご説明いたします先進事例ということで、これまで通っている新幹線の沿線ではどういうふうに地域が変わってきたのかというようなことを調査いたしました。  私自身は、北海道には8年前に来ました。それまでは東京や新潟にいて新幹線を利用する機会が結構多かったのですが、特に、中学生のときに東海道新幹線が開通しまして、私は非常に鉄道が好きだったものですから東海道新幹線の光と影という論文を書いた覚えがあります。その後、新潟に転勤したときには、上越線しか走っていないところに1年くらいたって新幹線が開通しまして、そのときの驚きというのはとんでもない状況でした。特に山越えして東京に行っていたのが、新幹線で1時間半ですから、2時間強も短縮され、とにかくちょっと眠ると東京に着くということになりました。  札幌では、近所の方にこういう話をしても、飛行機があれだけ飛んで、どんどん安くなっているのに、本当に新幹線が要るのかというようなお話があります。しかし、先ほど荒谷部長からご説明いただいた中でも、鉄道と航空というのは全くアクセスの感覚が違ってまいります。在来線を使っていて新幹線に移った新潟の場合の感覚とは違うかもしれませんけれども、空港に早目に行って、あげくの果ては欠航になったり、東京まで行って戻ってきたとか、私も冬場に何回か経験しておりますが、飛行機でひどい目に遭った方は札幌市民の方でも結構いらっしゃると思いますし、特にビジネスの方は、どうしても重要な会議なのに飛行機がとまってしまったということもあると思います。そんなことで、新幹線ができると絶対に違うのだということを実感でなかなかわかっていただけないところを、各地の事例等を見ながら、やっぱりまちが変わるのだ、私たちの生活もよくなるのだということを実感していただければと思って、きょう発表させていただきたいと思っております。  まず、報告書の1ページ目は表紙ですので、2ページ目から入ります。  ここで、新幹線の注目すべきポイントがaからeまであります。  まず、新幹線の駅は、請願駅という形で政治要請によってみずから地元の負担でつくる駅がありますが、今回、北海道の場合はどこも該当しませんけれども、そういう駅の場合は注目するポイントが違うということで、ここで挙げております。  続きまして、かなりの方が来られるということで、そのための専用駐車場をきちっと整備する必要があります。  cは、効果として、新幹線企業誘致効果があるのかどうかと言われていますけれども、その誘致の効果があるという前提産業振興政策を考えなければいけないという点が3番目です。  4番目は、観光ルートの形成です。これは、新幹線がくると今までの観光ルートが大きく変わるという点も、後の事例を見ると幾つか出てきます。  最後に、これは、札幌市にとって多分一番重要なポイントだと思いますが、都市機能が強化されます。札幌都市機能というのは、180万人の人口を抱えて、今でもいろいろな開発がかなり進んでおりますけれども、先ほども荒谷部長にご説明いただいたように、さらに多くの人が札幌駅におりてくると、そういう人たちをまちの中でどういうふうに滞留させるのかということがますます重要になるということで、ここもポイントとして見ていただければと思います。  報告書の上ではもっと多くの例を挙げておりますが、今回、例として挙げましたのは、札幌ターミナル駅になるということで、ほかのターミナル駅では新幹線ができてどういうように変わったのだろうかというようなことを6カ所ほどご説明させていただきます。それから、その他の先進事例ということで、ここに挙げた利用者駐車場とか企業誘致まちづくり観光ルート、この参考になるような駅を挙げさせていただいております。その他の先進事例は、まちの規模も小さいし、札幌とは直接結びつかないところがありますが、今後、札幌市の方もこれを踏まえて留意する点もあるということで挙げさせていただいております。  続きまして、4ページ目に八戸駅の事例を挙げております。  鹿児島中央駅と八戸駅は、比較的最近できたターミナル駅であります。まず、ここの一つポイントとして、合築駅と書いてありますが、市の文化施設とかそういう施設と一緒になったような駅でございまして、もともとの八戸市の中心市街地はここから離れたところにありますが、新しい駅を一つ拠点機能都市機能を持つ八戸市としての新しい市街地として位置づけています。  ただ、ここは、合築駅ということで駅の整備に多額の資金がかかりますけれども、商工会議所が中心となって市民立地企業から寄附を集め、ここに書きましたように寄附金が549件で4億円も集まりました。後ほど福井の例でも同じようなことがありますが、このような市民のお金を新幹線の整備に充てるというのは、市民がそこにお金を出すことによって駅を身近なものと感じるという意味で一つ注目されるのではないかと思います。皆さん新幹線公共事業でやるという意識が強いのですが、市民が税金に頼らないでみずからつくっていくという意識づくりという面では、非常に重要ではないかというふうに思っております。  新幹線は14年に開業しましたが、これまで八戸観光客がずっとふえていますし、もし八戸駅から東京方面への新幹線に乗られたご経験があればおわかりかと思いますが、八戸駅からかなりの人数が乗っております。それだけ、八戸駅でおりて各方面に動いているというような効果が出ているということです。  それから、取り組みにつきましては、先ほど申し上げましたように商工会議所が非常に頑張られましたが、その成果として3に挙げたのは観光ルートが変わるということです。青森の重要な観光地として十和田がありますけれども、十和田観光というのはもともと盛岡から流れていました。しかし、八戸ができることによって、八戸十和田の窓口になり、流動のパターンが変わってきていることがポイントとして挙げられると思います。  それから、開業して、市民の意識としても東京が近くなったと実感される方が74%です。これは、私が新潟にいたときの東京都までの感覚と同じような実感を市民の方が持たれているのだと思います。仮に札幌まで来た場合に、今まで飛行機で1時間半ではなかったかと言う方も、新幹線に乗ると、より東京が身近になったというふうに感じられると思います。  もう一つポイントは、その下にありますが、東京駅に行くと八戸行きという看板が出ています。今、例えば東京に行くと、羽田空港では新千歳という看板しかありません。唯一あるのは上野駅で、北斗星とカシオペアでは札幌行きとあります。あのプレートを見ると札幌が非常に印象に残ると思いますが、1時間に1本くらいの割合で東京駅から札幌行きが出ているのは、札幌八戸よりも当然有名かもしれませんけれども、札幌というのはこんなに近いとか、多分、札幌のイメージは全く変わってくるので、こういう点も非常に重要ではないかと思います。  続きまして、次のページで新潟の例を挙げております。  昭和57年に大宮、60年に上野、東京まで行ったのが平成3年でございますが、ちょうど私が新潟にいたときに開業したわけでございます。この当時は円高の影響があって、燕、三条という洋食器の産地が非常に大きな影響を受けました。  しかし、この新幹線ができて一つ変わったのは、そういう洋食器メーカーが首都圏に営業して、例えば新しいデザインを取り入れるときも、それまで東京へは4時間何分で行けたとはいえ、1時間半で行き来できることでそのようなデザインとか研究開発が非常にやりやすくなり、この直後、新製品に転換して成功された洋食器メーカーが幾つも出てきております。最近、つい何年か前に株式公開された遠藤製作所も、もともと洋食器をやられていたのがゴルフクラブをつくられるようになりました。そういうふうに新分野に展開できるのも、新幹線で行き来して情報を容易にとれるところがポイントだったのではないかというふうに思います。  ただ、新潟というのは、後背地が佐渡くらいしかなくて、札幌と比べると行き詰まりというところがあります。そのため、効果は出ておりますが、これが永続的に新潟の発展をずっと支えているかどうかという面では、政令指定都市にはなりましたけれども、札幌と比較するにはやや違いがあるかなというところは念頭に置くべきかなと思います。  続きまして、長野の場合です。  こちらの場合、長野オリンピックに合わせて開業したということで、もともと新幹線効果が見えやすいような形で動いたところでございます。この一つ効果として、6ページ目の下に挙がっておりますが、平成9年に新幹線が開業してからコンベンションが非常に多くなっています。長野の都市規模は人口30万人台ですが、このくらいの都市でもコンベンションを誘致しやすくなったということでございます。  札幌もコンベンション都市と標榜されておりますが、航空機一本で、先ほどのような不安定な状況がありますし、飛行機で運べる人数と鉄道で運べる人数は極端に違います。そういう意味で、大規模なコンベンションを誘致する場合、やはり新幹線があることがポイントになるのではないかというふうに考えるところでございます。  続きまして、次のページですが、今後、札幌と比較する上で福岡というのは一つのモデルになるのではないかというふうに思います。  開業が昭和50年ということでかなり古い時代でありますけれども、一つは、ここで挙げているように博多のイメージアップです。例えば、明太子です。そもそもの素材は北海道から供給したタラコから出発していると言っておりますが、明太子が博多名物としてメジャーになりました。それから、博多人形、博多何々と、博多という名前が非常に全国にブランド化されたようなことがありました。  新幹線の場合、車内販売の中でヒットした商品が結構ございます。明太子が一つでございますが、伊勢の赤福とか浜松のうなぎパイとか、新幹線で販売してそれがメジャーになりました。北海道のブランドも、今、問題が起こっておりますけれども、昔、白い恋人は飛行機の中でお菓子として配られて、それがヒットしたものでございます。今度、新幹線ができれば、そのような札幌銘菓というようなものも車内で販売することによって新しい市場をつくれる、そういうモデルが福岡ということでございます。  それから、福岡も、今、九州の中の一極集中の拠点になっておりますが、この一極集中が福岡に始まり出したのも新幹線ができてからでございます。  もう一つ、福岡の都市構造というのは、博多駅前と天神・中州という2極に分かれております。この間は札幌と大通よりちょっと長い距離がありますが、天神という地域が一つの核になったのも実は新幹線ができてからです。8ページの下の方にありますけれども、1975年から76年、新幹線が開業してから天神ショッパーズプラザ、天神コア、天神地下街が開業しております。それから、地下鉄も新幹線ができてから開業しています。そういう意味では地下鉄ができて両極ができておりますが、地下鉄のできる前から天神という核ができてきたという面では非常におもしろいのではないかなと思います。  例えば、今後、札幌新幹線ができたときに、大通と札幌駅の役割分担はまた新たに変わってくるのではないかなと思います。そういう面では、先ほど荒谷部長もおっしゃいましたが、大通と札幌の間の地下鉄、地下道と出てきておりますけれども、その他の交通機関も含めて、新しい回遊空間ができていく可能性があるのではないかなというふうに思います。  それから、8ページの下の方は、新幹線で拠点ができて、それだけではなくて、福岡の場合は、高速道路市街地まで入っていて、博多駅のすぐそばにバスターミナルがありますが、延岡行とか佐世保行とか九州各地へのバスがそこから出ております。そういう意味で、九州の場合、新幹線ができて福岡が拠点になりますと、そこから鉄道のネットワークが一つ想定され、それ以外にも高速交通のネットワークを使った高速バスが出てきて、九州全体の交流量が福岡を拠点として物すごく拡大してくるようになります。この辺も、札幌新幹線が来て大量の人が来た場合、全道へのネットワークをどういうふうに考えていくかというモデルとして福岡は参考になるのではないかと思っております。  続きまして、鹿児島の例でございます。  鹿児島の場合、今の九州新幹線は途中の新八代までしかできていませんで、新八代から博多までは在来線の特急を使っております。ただ、おもしろいのは、博多駅に行きますと、鹿児島中央行きという看板で出ています。実は、新八代で乗りかなければいけませんが、その乗りかえも、新八代駅のホームにおりて、その真っ正面に新幹線が待ち構えて鹿児島中央まで行きますので、JR九州としては、最初から博多駅で鹿児島中央行きと出しております。新函館まで開業したときに、果たして東京から新函館経由で札幌駅と出せるかどうかは非常に難しいとは思いますけれども、鹿児島の場合、そういう効果もあってか、博多から非常に身近な実感を得るようになっております。  鹿児島の場合、特色があるのは、福岡まで行って、福岡に引っ張られるのではないかという懸念がありましたが、鹿児島中央駅前にアミュプラザというショッピングモールをつくりまして、そこに若者向きの店をいっぱい入れたところ、逆に、鹿児島が周辺から集められるような拠点になってきました。そういうことで、商業関係の事業も、駅前だけではなく、旧天文館という古い商店街がありましたが、そちらの方まで波及したという効果が出ております  それから、当初予定していなかった新幹線通勤が物すごくふえてきました。もともと鹿児島に下宿していた学生が親元から通ってくるとか、そのような当初は予定していない効果が出てきて流動客が物すごくふえてきています。そのあたりが9ページの下の方にありまして、予想以上の流動が得られております。  続きまして、10ページの下は福井です。  福井は、実はまだ新幹線ができておりません。先ほどからお話があったように、北陸新幹線は金沢までが認可されているところでございます。ところが、福井の場合、先に新幹線駅をつくってしまったところが特色で、もう福井まで来させるのだという意気込みを出しているというのは、これから北海道にとっても重要ではないかなというふうに考えております。  新幹線が来ることを前提として、福井の駅前ですが、左の写真では駅前に何か無造作に車がいっぱいとまっておりますけれども、地下に大規模な駐車場をつくったり、既に都市ホテルを幾つか建設しているとか、新幹線効果を先取りした動きが出てきています。  もう一つ、先ほど市民の参加が重要だというお話をさせていただきましたが、このポイントの三つ目に書かれているように、福井駅の建設に当たって、県がふくい新幹線債というミニ公募債を10億円発行しております。金利が1.34%で比較的高いこともありますけれども、発売後3時間半で売り切れました。この効果として、福井駅をつくるときに、県民がこういう新幹線債を買うことによって自分も新幹線建設にかかわっているのだという意識づくりができたのは非常に重要ではないかなというふうに思います。  その下もそうですが、市民から新幹線に関する作品を集めて、さらにこれをタイムカプセルに入れて、新幹線の福井駅が開業したときに開封するというおもしろい仕組みも考えております。  このように市民参加を高めていく福井の試みは、新幹線ができてもいないのにもうここまでやっているのだ、ライバルの北陸は非常に進んでいるのだという点でご参考になるかなと思います。それから、先ほどのようなまちづくりも、新幹線に合わせて福井は大きく変わりつつあるという点でも参考になるのではないかなと思います。  その後のページは、都市規模としては札幌と比較になりませんけれども、注目される例を幾つか挙げております。  一つは、北上の場合です。北上まで東北新幹線が開業したのは昭和57年でございます。実は、北上の方にはその前の50年代前半に東北自動車道が既にできております。一般に企業誘致というのは道路がなければできないという話がありますけれども、実は、高速道路ができたときにそんなに一気に工場ができたのではなく、新幹線が開業した後の方が北上に立地した企業がずっと多いというのが特徴でございます。当然ながら、物流の機能というのは企業立地には重要でございますが、それ以外にも、ハイテク企業になればメンテナンスがすぐにできるような状態になる、それはやはり人の移動がスムーズになる、あとは、工場長なども単身赴任する場合に新幹線があることによってより赴任しやすくなるようなこともあって、企業立地においては新幹線も重要だという面で北上の例を挙げております。  続きまして、花巻の例でございます。  花巻の駅は、まちの中からちょっと離れたところにあって、道路を使って来られる方が多いために駐車場の整備を一生懸命にやっております。それも、短時間の駐車をする方と、長時間の駐車をする方を分けて駐車場を設けております。札幌駐車場をどういうふうにしていくか、市民の短時間向けのものと、周辺から高速道路札幌まで来て札幌から新幹線を使う方もいらっしゃると思うので、もしかしたら長時間利用者向けの駐車場が別料金体系で必要かなとも考えられますので、そういう点で花巻の例を挙げさせていただいております。  続きまして、13ページ目の佐久市でございますが、ここは、新幹線ができて全く新しいまちができたという例で載せさせていただいております。こちらも高速道路は以前からできていたところですが、新幹線開業によってまちが大きく変化したという例でございます。  それから、14ページ目の越後湯沢は、ここでは一つの問題点として書かせていただいております。  上越新幹線ができたころ、まだスキー人口が非常に伸びているところで、スキー客を当てにして大規模なリゾート開発をやって、駅前に高層マンションが幾つもできました。ただ、その後、急にスキー人口が減少したり、バブル崩壊等の影響もあったのでしょうか、リゾートマンションが全く幽霊屋敷になってしまったとか、ホテル経営が難しくなってきたということがありました。新幹線ができたときにまちづくりをきちっと考えていかなかった、無造作に民間に開発を進めさせてしまった結果、後々に問題を残してしまったという例でございます。  そういう面では、これまでの例でもありましたように、新幹線効果というのは物すごく大きくて、それによってまちが大きく変わってくるところでございます。まちづくりというのは10年、20年の計画でございますから、札幌の開業までまだ10年以上あるのではないかということではなくて、やはり、それを見据えて、新幹線ができたときにはこれだけ変わるのだということをできる前から想定してまちづくりをしなければ、この越後湯沢のように、新幹線ができて、急遽、ばらばらと開発されたということになると問題になるのではないかと思います。沿線である倶知安とかニセコあたりも、今はオーストラリア人がいっぱい入って開発されております。まだそんな乱開発というわけではないかもしれませんけれども、こういう例を見ながら、まちづくりというのはいち早く進めておく必要があるのではないかということで越後湯沢の例を挙げております。  これ以外にもご紹介したい例はまだ幾つもございますけれども、道経連の方で取りまとめていただきました報告書の中にそれ以外の例もございますので、またそちらをご参照いただければと思います。 ○近藤和雄 委員長  荒谷さん、高橋さん、ありがとうございました。  それでは、参考人の方への質問をお受けいたします。 ◆佐藤右司 委員  きょうは、荒谷部長高橋部長、お忙しいところを大変ありがとうございました。  私ども民主党・市民連合といたしましても、やはり、早期に札幌までの新幹線延伸を望む立場で、荒谷部長のお話にもありましたように、北海道札幌市民新幹線に対して気持ちがまだちょっと希薄ではないだろうかというお話もお受けさせていただきまして、今後、ぜひそれらを高揚すべく私どももこれから頑張っていかなければならないと思います。  また、高橋部長の方からは、具体的に各所でできたポイントの問題もお話ししていただきましたけれども、例えばリゾート問題については、北海道はスキーということで代表的なリゾートが今は大変疲弊している状況ですね。ですから、先ほどの越後湯沢のように、これは、在京の不動産屋が来て、土地を買いあさり、都市計画が将来的におぼつかなくなるという失敗した例ですが、そういう問題も多々見受けられると思いますので、先人の失敗を繰り返さないためにも、そういう経験等がございましたらぜひ私どもに教えていただきたいなと思います。  今、北海道、東北というのは、確かに飛行機で交流している場面が多いのでしょうけれども、これが陸続きになりますと、もっともっと違う部分で、文化の問題、歴史の問題も、そして、その土地に関しても北海道は愛着が少ないのではないかということもありますので、こういうことによってもっともっと北海道を愛する、札幌を愛する市民、道民へと変わってくるのではなかろうかと思います。そういうことで参考的なお話があれば、私どももそれを活用して頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、その3点です。市民の意識を高めたり、そういう部分で、ほかの都市はこうだったけれども、札幌北海道としてこういうふうにすべきではないだろうか、こういう方法があるのではなかろうかということがあれば参考にお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ◎荒谷隆則 参考人  佐藤委員のご質問に対するストレートなお答えになるかどうかわかりませんけれども、まず、市民の方の意識高揚に関して言うと、やっぱり、これからの北海道を担っていく、札幌を担っていく今の児童たちでしょうか、中学生、小学生、あるいは高校生、こういった方々にもうちょっと新幹線に関心を持っていただきたいと思います。先ほどの私のご説明の中で、新幹線ツアーを組んで小学校5年生、6年生80名を仙台まで連れていったというお話をしましたけれども、乗ってみると、うわっ、すごいということで、すごく関心を持っていただきました。やっぱり、そういうことの積み重ねで、お子さんが関心を持つと親御さんにも関心を持っていただけるとか、そういったところが一つあるかなと。  それから、札幌市よりもうちょっと枠を広げて考えて、道民の足という観点でいっても、例えば倶知安とか長万部の方が北大病院に通っているとするじゃないですか。今だと結構大変ですね。一日がかりになりますけれども、新幹線ができると、そういった通院もしやすいし、あるいは、学校でも函館の子が北大まで通うということもあるでしょう。あるいは、GLAYのコンサートが札幌であると函館の女の子が見に来るとか、生活に身近なところで新幹線が便利なのですよということをわかっていただく活動を我々もこれからしたいと思っております。  実は、今、4こま漫画風に、どういう局面で、どういう人が、今だとこうだけれども、新幹線ができるとこういうふうになる、そういう資料もつくったりしています。札幌市でも新幹線の出前講座をやっておりますが、我々もそのようなところでそれを活用させていただきながら、新幹線について理解を深めていただければと思っております。  それから、東北との関係でございますが、やはり、もとをたどれば東北の方がやってこられて開拓したと、札幌ですと白石区などがそうなのですね。だから、もともとそういうご縁があるはずなのですよ。3代、4代に至ってそういうことが希薄になっているところもあるかと思いますけれども、やはりそういうもともとのご縁があるわけです。  あとは、わかりやすく言えば、観光などでも、例えば東北の3大祭りがあるではないですか。七夕とねぶたと竿灯でしたか、それとセットで首都圏のお客さんを北海道に回してもらうとか、そういう取り組みもできるはずです。  東北との関係では、北東戦略会議と言いまして、北海道、東北の知事と経済団体がつくっている会議があって一緒に連携しましょうという土壌はもう既にありますので、そういったものも活用してこれから議論を深めていけたらいいな、そのように思っております。  あと、高橋さんの方で、事例が何かございましたらお願いします。 ◎高橋功 参考人  市民の意識の面では、先ほど、市民のお金をうまく導入していたというお話をいたしました。札幌の場合、新幹線に絡む開発資金が必要な状況にはまだなっておりませんけれども、そのようにお金の面でも市民のお金を集めていく。最近、寄附税制のように、自分が出したいところにはどんどん寄附するというようなものができてきていまして、寄附金に対する税制優遇措置もどんどん高まっています。今後は、やはり税制によらない資金調達というのが非常に重要になるのではないかと思います。札幌市としても、都市基盤をつくっていく、駅周辺整備をしていくときに、市の資金でやる場合には、道がミニ公募債を発行するということはありますけれども、札幌市債としてのミニ公募債というような形で市民のお金を集めていく。それは、利息がつくお金ですけれども、それ以外にも、そういう温かいお金を集めることによって資金調達と市民意識を両立させるようなこともできるのではないかなというふうに思います。
     それから、東北との関係では、今、札幌と東北の各空港間は、東北からは北海道観光するのに来やすい。例えば、向こうを午前に出てこちらから夕方に帰っていくような便が中心です。しかし、札幌市民を含めて東北に旅行する場合、今は、夕方の便で行って1泊して、1泊分がむだになるような便の体制ですね。それが、1時間に1本出てくると、札幌市民にとっても東北に行きやすくなります。東北の方は、観光以外の方、ビジネスで来られる方は夕方の便しかなくて、こっちで泊まって、次の日の午前中まで1泊延ばさなければいけないことも今はあります。航空会社も、それに合わせて便を2便にする、3便にするというのはこれからはなかなかあり得ない中で、東北との交流、それも円滑な1日単位で自由に時間を選べるような活動は今は全くできない状況です。非常に近い関係でありながら、こちらから向こうに行く観光交流は阻害されていますし、ビジネスの交流でこちらから行く場合も阻害されているし、向こうから来る場合も阻害されている。そういう意味では、相互のビジネスチャンスはもっともっと高まるのではないかと。  それから、北海道での自動車産業の誘致は、基盤も含めれば札幌市の企業もその関係が出ていると思いますけれども、今は関東自動車工業、自動車の一貫生産工場が岩手県に出ておりますけれども、今後、徐々に北上していくと。それは、苫小牧のように港湾があるから自動車ということもありますけれども、先ほどの北上のように、製造業が立地する上でも新幹線が重要だということを考えますと、今の自動車ラインがどんどん北上して、新幹線ができて北上するということも全く夢のような話ではありません。  そういうふうに企業誘致の面、東北との交流の面でも、新幹線の意義というのは今までにない効果を及ぼすのではないかということが考えられます。 ◆佐藤右司 委員  大変ありがとうございました。  今後ともいろいろと協議をさせていただきながら頑張ってまいりたいと思いますので、ご指導をよろしくお願いします。 ◆飯島弘之 委員  きょうは、荒谷さん、高橋さん、大変お忙しいところ、貴重なお話をいただきまして、まことにありがとうございます。  私から、二つほどご意見をお聞きしたいと思っております。  私ども自民党も、新幹線に関しましては、以前から、誘致、札幌までの延伸につきまして積極的に熱を込めて運動させていただいているところでございます。きょういただきました北海道新幹線札幌延伸に伴う効果と地域の課題というペーパーの6ページにおきましても、平成19年度に政府・与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおいて整備新幹線のスキームの見直しが行われ、未着工区間の建設の優先順位等が検討されると記載されておりますが、全くそのとおりでございます。年末、12月くらいが大きな山場を迎えるということでもありまして、我々といたしましても一層の熱を込めてこの誘致活動を進めていかなければならないという思いでおります。  そういった中で、札幌市議会の役割として、今後の札幌市を考えていく立場でありますので、札幌市は受け入れのためにこれからどのような形にしていくのが重要なのかという観点で一つお聞きします。  先ほどご説明を受けておりまして非常に印象的で勉強させていただいたのが、福井の事例でございまして、こういった状況の中で、もう既に駅をつくって熱意を見せているということではなかろうかと思います。札幌市も既にかなり高次な都市機能を有しておりまして、札幌駅は建てかえも終わり、百貨店も大阪資本のものが出てきたり、札幌駅の周辺は非常に充実した環境になっているのではなかろうかというふうに思います。  そこで、さらに熱意を見せるといいますか、形としてこういったものに取り組んでいったらいいのではなかろうかということがあればぜひお聞かせいただきたい。今のお話の中で、札幌駅から地方に出る際のアクセスをもう少しよくすると。せっかく東京札幌間は短時間で来られても、そこから先の時間がかかったら何の意味もないと思います。そういった意味で、さきの市長選でも若干の議論になりましたけれども、中心部まで高規格道路を持ってくるとか、そういったことも新幹線の延伸に合わせて改めて考えていかなければならない。先ほどそういった言及もございましたけれども、改めてそういったものを幾つかお示しいただければ、我々もそれをもとにこれから一生懸命活動させていただきたいというふうに思っております。  高速道路は北インターから中心部に持ってくる、もしくは、今、エスタの地下にバスセンターがありますが、もう少し拡充する余地があるのかどうか、その辺は研究機関というご専門としてのご意見をいただきたいと思います。  それから、お話の中で駐車場のお話が幾つかございました。現在の札幌駅の周辺、札幌駅の北口にも幾つか地下駐車場がございますが、そのキャパも勘案した上で、今後、駐車場のキャパをふやすべきなのかどうかといった部分について、財政の問題等はおいて、そういった部分のご意見も賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  あわせて、今、新幹線が延びることによって周辺での工場誘致等がはかどると。実際はそのとおりだと思いますし、本州で新幹線に乗ってみましても、沿線には工場がいっぱい進出していまして、ぜひ北海道でも実現されればいいなというふうに思っております。  ただ、札幌までですから、八雲、倶知安、小樽、札幌の周辺に工場が誘致できるものなのか、もしくは、従前のように苫小牧地区が中心になるのか、そうした見通しといったことについて、本州の企業とも情報交換されていると思いますので、どの辺に人気があるのか、その辺の感触がおありであればお聞かせ願いたいと思います。  その2点をどうぞよろしくお願いいたします。 ◎荒谷隆則 参考人  ご質問、ありがとうございます。  札幌市として求められる機能というところからいきますと、新幹線で来るお客さんを道内各地に流す方法としては、在来線との接続はもちろん民間企業であるJR北海道が責任を持ってお考えになられると思います。  あとは、高橋部長の説明にもありましたとおり、高速バスをどういう形で新幹線のお客さんとリンクさせるかです。博多は西鉄のターミナルの乗り場が何階層にもなっているので、そういう複層構造にする手もあります。そうしないとちょっと効率が悪いので、そういうことも考えていただく必要があるかなという感じはします。  それから、高速道路との乗り入れの関係では、私がうまくできていると思うのは新潟です。新潟は、駅から1.5キロぐらいに市街地がありますが、市街地が細長く、そこにちょうどうまく高速道路が走っていて、市内から乗り入れしやすいインターが三つか四つあります。札幌の場合は、高速の流れと市街地の配置に微妙なところがあって、札幌南インター、大谷地インター、伏古、札幌インター、札幌北インターがあって、手稲がありますが、もうちょっと便利にする必要があると思います。現実的なのは札幌北インターなのでしょうか。いずれにせよ、一般市民の思いとして、いろいろな観点からもうちょっと便利になるように検討していただく必要があると思います。  それからもう一つは、私は、観光的なセンスだけではなくて、産業という切り口から何かうまい取り組みをやっていただけないかと。新幹線は、人を運ぶだけではなくて、情報を運ぶという言い方をよくします。札幌市も恐らく研究・検討されていると思いますけれども、例えば北口のエリアにIT関連の企業を積極的に誘致するとか、ITといっても、単にソフトづくりの下請というものではなくて、もう少し高度なお金になる、生産性の高いもの、イメージで申しわけありませんが、そういった集団を集めるとか、産業に結びつくような仕掛けをしていただくことも、札幌の知名度の向上といいますか、文化都市札幌にとっては重要ではないかという感じがいたします。  駐車場のことは、正直に言って、私はよくわかりません。駐車場というのは、どうでしょうか、民間も整備がある程度進んでいますので、例えば、駐車場があいている、あいていないという表示が新しく更新されるというような新聞記事も見ましたけれども、規模の整備よりも、むしろ利用者がわかりやすい情報システムを整備していただく必要があるのかなと。  あと、高速バスを札幌駅からどんどん発着させようとすると、バスだまり、バスプールです。今も朝の北口に行くと、観光バスが結構いっぱいいて、そろそろ満杯かなという気がします。バスプールは中心部でなくて苗穂などでもいいのでしょうけれども、そういうこともトータルで考えていただく必要があるのかなと。回答になっていないかもしれません。 ◎高橋功 参考人  補足的なお話ですけれども、最近、JR北海道の坂本相談役が講演の中でお話しされていて、その受け売りですが、今後、札幌市の都市整備軸が苗穂の方になっていくというお話があって、それと新幹線のことをよく話されています。新幹線の駅がちょっと東寄りにできてきて、そこに札幌市の土地もあるので、JRとしてまちづくりを考えたり、バスターミナルの更新の絵もその場で示されたので、私どもはまだそこまで考えているわけではありませんが、おっという感じがしました。  ただ、これから懸念されることとして、新幹線札幌一極集中をより促進させるのではないかと。福岡の場合も、確かに一極集中を加速させて、福岡県内でも北九州市の位置が落ちました。これは産業構造の問題もありますが、今、北九州は怖いまちになり、より人気がなくなっていて、北九州で仕事があっても福岡に泊まる方が多いような話を伺っています。  このままだと、新幹線ができると、確かに札幌のひとり勝ちになる可能性が非常に高いのですね。ところが、札幌に来た人を全道にネットワークする拠点としては、今でも、例えば札幌にエスタができて周辺の若い人が札幌で買い物をするという面では、まちづくりができて、いろいろなところに波及効果は出ているのです。地方の百貨店が影響を受けているというのはありますけれども、市民の立場になると、札幌がそれだけ拠点になって、魅力ある商店ができます。福岡では、天神と博多の両極ができてお互いに競い合って発展していきましたが、そうすると、消費者にとっては魅力あるまちになるわけです。ですから、機能的に札幌に集中しても、消費者が札幌に身近に行けるなら、その地域にいてもいいという逆のこともあります。  そういう意味では、札幌に来た人をどういうふうに持っていくか。それは福岡の場合もそうですけれども、バスネットワークもありますし、JRも今度はスーパーカムイを出されて旭川までの時間を短縮されたり、鉄道の技術もできてくると、帯広など、鉄道のコネクションをどうしていくかと。これはJRのお考えでしょうけれども、そのように札幌に来た人をどういうふうに持っていくか、その辺のこともきちっと出した上で、札幌が発展するとほかにもできてくるという意味で重要ではないかと思います。九州の場合は、一極集中と言っても熊本、鹿児島、長崎と人口が50万人の都市が点在していますので、それぞれ都市の役割があって、北海道のように札幌の次は旭川で30何万人と、これだけ差があるようなところではないですから、それだけより一極集中が起こりやすいところだと思います。  だから、札幌までできたときに、ほかの地域にどうやってその恩恵を持っていくのか。逆に言うと、福岡もそうだったのですが、九州のダム機能と言われていて、九州から外へ出るのを福岡でとめることができたと。何もないと、北海道からもっと出ていくけれども、札幌がそれだけ巨大になって魅力的な都市機能があることによって、そこが北海道全体のダム機能になるということもあり得ると思います。そういう意味で、ネットワークのあり方と、札幌都市機能をより魅力的にすることによって、北海道全体の経済中枢的な意味で外に出さない力になっている。そういう意味で、先ほどの企業誘致のところでも、北海道全体にあまねく企業を持っていくのが難しい中で、今でもITとかサービス業、コールセンターを含めた部分では、札幌一つの受け皿をつくって北海道の就業人口を保っているところも大いにあると思いますので、やはり、札幌市として北海道全体を担うという役割はより重要になるのではないかというふうに思います。  それから、企業誘致の面では、長万部とか八雲の方に立地するかどうかというのはなかなか単純ではないところがあります。ただ、ちょっとおもしろかったのは、東北大学でご専門に勉強されている先生のお話です。今、インターネットができて情報というのは何でもとれるから、インターネットができれば地方でも関係ないんじゃないかと一般に言われておりますけれども、その先生が論文の中で言われているのは、情報の質を幾つかに分けて、より高度で複雑化すればするほどインターネットで出すのが難しくなり、そういう情報は交流量があることによって流れてくると。今はITでも製造業でも情報の質がより高度化していますから、そうすると、対面によって情報を取り合わなければいけないようなところが出てくると言われていて、そこで、交通によって交流量がふえると新産業がより発展するのだと議論されていて、それはきちっと理論的にも数理的にも説明されていらっしゃいます。  そういう意味では、より高次な産業をとっていくためには、北海道はネットがあるからとれるのではないということです。例えば、北海道のIT企業は力があると言っても、他社に買収されたり経営的に厳しくなられている企業もあります。先ほど新潟の例を申し上げましたが、首都圏の高度な情報を飛行機一本でとりに行く。それは1時間半で行けるじゃないかと言っても、飛行機のロットと新幹線で来る流動量は格段の差があります。飛行機でとりにいってもいいのですが、最初の荒谷さんの話でもありましたが、180万都市で首都圏とのパイプが1本しかないところに、新幹線のような大量手段が出てきて人の行き来ができるようになると、IT産業でも今まで入ってくる情報とは質が全然違うような情報がよりとりやすくなるのではないかということもあります。ですから、企業誘致に関しても、物を運ぶものではない産業にとってもこれは非常に重要になるのではないかというふうに思います。 ◆飯島弘之 委員  どうもありがとうございました。  今お話をお聞きしていまして、確かに、前向きな取り組みであると同時に、ダム機能というお言葉がありましたけれども、北海道人口減少等々で景気も後退しておりますし、そういった非常に厳しい環境がこれから続く中で、一つの防御にもなるというか、守りにもなるといった新しい観点をお聞かせいただきまして、大変勉強になったところであります。  駐車場につきましては、また何か情報があればと思います。なぜこんなお話をするかというと、千歳空港では、開発局が空港の前に駐車場を整備されておりますけれども、足りないのだと思いますが、民間の駐車場が千歳空港の周りに多数整備されて一つの大きなビジネスになっているという現状もあります。当然、新幹線飛行機も長距離の旅行でありますし、宿泊数も多くなりますので、大きな荷物を持って移動されるお客様が多いと思います。ですから、どうしてもバスや地下鉄よりも車で駅まで来るということで、空港と同じような流れになるのではないかと。そういった意味で、やはり、新幹線を迎えるに当たってはそういったことも考えていかなければならないのではないかといった思いでご質問させていただきました。  また、何か情報がありましたらご教示いただきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。 ◆芦原進 委員  私は、簡単な短い質問でございます。  やっと函館まで延伸を決定して着工したわけですが、ほかの都市、特に北陸とは大変な競争だと聞いております。よっぽど性根を据えてインパクトのある運動をしていかないと札幌までの延伸というのは厳しい、新聞紙上でこのように見ております。函館まで開通したから札幌へということにはならないと思います。  そこで、札幌延伸について国が決定する時期というのは、交渉事ですから、ある程度見込みがあると思うのですね。いつごろ山を迎えるのかというようなことで、もし、そういうご計画というか、目安があればぜひ聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ◎荒谷隆則 参考人  我々は、ここ1〜2年が山場という表現をよく使っています。具体的には、やはり、ことしを越えて、来年の概算要求の時期から議論が本格化して、来年7月、8月から11月、12月、こういったところが焦点となる時期ではないかという見方をしております。 ◆芦原進 委員  そうすると、ここ1〜2年というよりも、来年度の概算要求に入れるか、入らないかということで大変大切な1年になってくるわけですから、全道的にももっと盛り上がりをつくっていかなければいけない。来るか来ないかまだわからないのに駅までつくったという福井県もあるわけですから、我々も実現に向かって一生懸命に活動に取り組んでまいりたいと思います。もっともっと、いろいろなイベント等も含めて、子どもたち、また町内会も含めていろいろなPRを一緒にやっていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 ◆佐藤典子 委員  きょうは、貴重な意見のやりとりの場を与えていただきまして、本当にありがとうございます。  今お話の中で市民の盛り上がりということをおっしゃっていましたが、やはり、市民の側からすると、非常に厳しい財政状況の中で、夕張の再建問題とか、それに類するような自治体がたくさんある中で、私たちの自治体はどうなのだろうかとか、そして道民一人一人がどういう負担を負っていくのだろうかという思いも大きいのだと思います。そういう観点から、何点かお話を伺いたいと思います。  きょうは、本当に貴重な資料をいただいて読ませていただきました。この8ページですが、新幹線が開業しない場合の交流量についてです。開業すると1,960万人が見込まれるけれども、そうでない場合は1,820万人と算出されているとここに書かれておりますので、その根拠がありましたら、それについてお話を伺いたいと思います。  それから、同じ8ページの運営による経済波及効果のところで、先ほど生産額が2兆5,436億円と考えられるけれども、それよりもむしろ320万人の純増で考えていくのが現実的であるとおっしゃいました。そこの根拠といいますか、その辺の説明をもう少し丁寧に伺いたいと思っております。  まず、そこを伺いたいと思いますので、教えてください。 ◎荒谷隆則 参考人  お答えいたします。  8ページに、新幹線が開業しない場合は、人口減少の影響で交流量が減少しとございます。基本的に、この調査においては、人口は減少するという前提は織り込んでおります。札幌は別にしますと、特に北海道は人口の減少が大きいですし、東北も同じように減少の見込みというのが高いわけです。そういう意味で、新幹線が開業しない場合は、そもそも北海道、東北の人口減少があり、当然、交流量も減るということで、トータルで1,820万人になると。開業する場合は、人口減少を補って余りある交流の増加が見込まれるということで、開業する場合としない場合の比較では650万人ぐらいの差が出てくると。その辺は、結構、緻密に計算してございます。  それから、経済波及効果のところは、建設と運営の二つがあって、私がご説明したかった趣旨は、必ずしも運営による経済波及効果の方が現実的だということではなくて、建設による経済波及効果というのも確かにあるのですよ。10年ぐらい工事期間がありますから、その期間の経済波及効果ということでは数字が本当に大きいわけです。ただ、この辺は、全部が全部、北海道建設会社にはね返ってくるかどうかというと、ちょっと胸を張ってそうなのですとは実は言えないところもあります。それから、余りここを強調してしまいますと、また北海道公共工事が欲しいから何やかんやと言っているのではないかと言われるのも、私は個人的に非常にしゃくなのですね。言葉を選んでいないので誤解を与えるかもしれませんけれども、そういう意味で、どちらかというと運営による波及効果新幹線に乗ってくるお客さんが落とすお金の波及効果、さらに加えると、もっと別の、新しく工場が立地するとか、ホテルが建つとか、間接効果といいますか、新幹線に乗ってくるお客さんが直接落とすお金だけではなくて、その先にあるメリットが道民、札幌市民の努力次第で大きくなる可能性があるのです。ですから、皆さんがそこに力点を置いて一生懸命やっていきませんかというような趣旨を申し上げたかったのです。  確かに、1兆何千億円という投資は間違いなく大きいですよ。それで、北海道の財政状態は非常に厳しいし、札幌市も、今のところは余り表舞台に出てきていませんけれども、いわゆる扶助費がだんだん上がってきているとか、団塊世代のシェアが高いとか、場合によってはこれから相当厳しくなってきますね。そういう中で、道民として本当にこれが必要なのかどうかというのは意見が分かれても私はいいと思います。ただ、黙っていると、人口がどんどん減ってきます。そして、間違いなく北海道の活力はなくなります。それでじっと耐えていくのか、あるいは、そうではなくて、新幹線を契機として、それを糧に、軸に、何かやろうということで次代の子どもたちにつなげていくのか、どっちを選ぶのかということです。我々としては、やっぱり黙ってシュリンクしていくよりは、新幹線を糧に、経済活動をもうちょっと活発にして、もちろん道民生活の利便性の向上、特に、道央、道南の方ですが、そういったところに力点を置いて、道民の皆様にご理解をいただける方向で頑張っていく方が、長い目で見たら北海道にとって得策ではないか、そういうように考えております。 ◆佐藤典子 委員  丁寧にいろいろご説明いただきまして、本当にありがとうございます。  次に、10ページに地方税の増収のところがあります。北海道新幹線建設費総額が1兆5,470億円、そして、北海道部分が1兆3,300億円と先ほども伺いまして、その中で、また事業費の負担が18.3%であるとここに説明されています。この18.3%というのは、どういう場面でも事業費の18.3%ぐらいが北海道内の負担分になるのだということをおっしゃっておられるのか、そこをお伺いします。  それから、この試算ですが、交流量は2003年度を考えて示しておられると読み取ったのですが、交流量はそうで、こちらの計算の方は2005年からなのか、その辺の時間軸を教えていただきたいなと思います。 ◎荒谷隆則 参考人  この18.3%について、今、資料もなしに説明するのは非常に難しゅうございます。大ざっぱに言って、国が3分の2、地方が3分の1ということですけれども、後々、交付税とかで戻ってくるとか、そういうものがあるので、今のスキームではトータルで考えると道内の負担は18.3%となると、そんなことでお許しいただけますでしょうか。 ◎高橋功 参考人  今、全国の整備新幹線が動いていますが、どちらも地方負担は18.3%という計算になっているのですね。今、整備資金の流れがそういうふうになっているので、これは、北海道でなくても、九州であってもどこでも地方負担分は18.3%というふうに単純にお考えいただいていいと思います。 ◎荒谷隆則 参考人  それから、もう一つご質問がありましたね。 ◆佐藤典子 委員  2003年度で交流量とかを算出されておりますが、建設費も全部2003年度ですかということです。 ◎荒谷隆則 参考人  建設費は、この調査時点の試算でございます。  それから、交流量の方は、2020年度、開業初年度、平成32年度、この初年度の交流量を推定して出しておりまして、純増の320万人というのは平成20年度時点の数字でございます。 ◆佐藤典子 委員  最後に、伺います。  2003年度時点と今は、本当に状況がひどく変っていると私は受けとめているのです。それに基づいてこうした建設費とか交流も大きく変わるという部分があれば、ぜひ伺いたいなと思います。どういうようなところが変わるかということです。  それから、先ほどの福井の駅などで、新幹線債を買うということで市民参加というようなおっしゃり方をされていたかと思います。この新幹線問題の中で、市民とともにそうやっているというような部分がほかにあればお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 ◎高橋功 参考人  2003年からの交流量の変化です。これは、ちょうど調査した時点で全国旅客流動量調査というのがあって、その最新時点が2003年だったのです。その後、ここ最近どちらかというと、成長率が上がっているので交流量がふえている、もしかしたらベースが上がっているかもしれないですね。それからもう一つ、そういう意味では成長率も1.4%とここ最近上がっている。これも、超長期的に見ているのでどれが正しいかというのは非常に難しくて、私どもは、この手の計算をする場合には直近のデータしかとれないのです。2003年から何年かとっていますけれども、こういう交流量データというのは、非常に大規模な調査をやって全国の地点地点の流動量を調べているので、データとしてはかなり古くなります。国勢調査でもそうですね。やっぱり、全体が見えてくるのは次の国勢調査の前々年ぐらいです。そういう意味で、根拠を見直すところは非常に難しいところがありまして、この時点で最新時点の2003年をベースにしたというところです。  だから、その後、ふえるのか、成長率が高まっているかということで、では、それを織り込むかというと、超長期で見るときにはこれがずっとそのまま維持できるかどうかわからないので、一つの目安としてこれを考えていただく。そうすると、これをベースに、さっきの流動量、人口の減少と。非常に面倒くさいのは、これは、単に東京札幌の人口だけではなくて、途中途中の都市の人口を見て、それと札幌との交流量をすべて計算した上で、人口が変わると交流量がどうふえていくかという計算をしているのですね。そういう意味では、また、新しいデータが出るとそれがまたその時点での見直しになるので、そこのところはなかなか限界があるなと。  先ほどの320万人の数字の根拠のところでも、8ページ目の図表に出ておりますけれども、純増交流量320万人、これを基本的に見なければいけない理由は、例えば、交流量人口がふえる中には依然として航空機を使う方がいらっしゃるのですね。私どものこの調査でも、関東と北海道間の交流については、相変わらず50%をちょっと超えたぐらいの方はまだ航空機を使っているのですね。航空機が全部移るわけではないので、航空機が移る部分というのは、航空機を使う所要時間と新幹線の所要時間を比べて、新幹線の方が有利となる時間のところをとらなければいけない。そういうところだけで純粋に見ると320万人だということなのです。そういうふうに、全体の交流量はふえるけれども、依然として航空機や何かを使ってふえる部分は落としています。  それから、在来線もあります。当然、道内であれば、函館―札幌間の鉄道を使っている方が新幹線に変わる部分もあるので、その部分も引き落としていかなければいきません。そうすると、新幹線があることによって純粋に320万人の交流がふえていくのだと。だから、仮になければこの320万人は永久に生まれない。極端な例で言えば、航空機にまだキャパがあるかといっても、もうそんなに便数をふやせるわけでもありません。  もう一つは、新幹線の重要なところは、環境面です。ここにも書かれておりますが、航空機と鉄道のCO2の排出量は全く違います。特に、航空機の場合、今、札幌東京というのは幹線路線になっていて、そういう意味では非常に環境に悪いことをやっています。そう言ったらおかしいですが、悪い状況が新幹線に配分されることによって環境改善されると。京都議定書を遵守するという意味でも、まだ半分は航空機が残っているわけですが、その転換が進むということは環境面でも新幹線効果があります。これは報告書などには書いておりますが、そういう面ももう一つ重要ではないかなというふうに思います。  市民の方のご理解ということでは、やっぱり環境問題という面で新幹線というものを見直していただくことも重要ではないかというふうに思います。 ◆佐藤典子 委員  本当に貴重なやりとりをさせていただきまして、ありがとうございました。  私たちは、北海道新幹線が来るということで、北海道全体がどう元気になっていくかということをいつも思います。その中で、財政的に非常に厳しい部分をどうクリアしていくのか、それから、今おっしゃったような環境面とか、在来線の問題はどうかということを思いながら新幹線のことを考えておりますので、またいろいろなところでお話を伺いながら考えていきたいと思っております。  きょうは、ありがとうございました。 ○近藤和雄 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○近藤和雄 委員長  なければ、以上をもって質問を終了いたします。  本日は、荒谷隆則さん、高橋 功さんのおかげで大変有意義な委員会になりましたことに感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございます。  本日の成果につきましては、今後の委員会活動に生かしてまいりたいと思います。まことにありがとうございました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時41分...