まず、これまでの
取り組み状況につきましては、平成3年に策定をいたしました
芸術文化ホール建設基本構想の中に、来たるべき21世紀に向け、
国際文化都市への飛躍を図るためにも、
音楽専用ホール、
演劇専用ホールとともに、
能楽堂の設置を推進すべきものとして盛り込まれたのが最初でございます。これらの施設の建設のめどにつきましては、平成3年の
構想策定後、10〜15年の間にすべてを完成させるとされておりましたけれども、中でも
音楽専用ホールにつきましては、
札幌交響楽団の存在とかPMFが継続して開催されていたことを踏まえて先行的に整備をすることと位置づけられまして、平成9年に
札幌コンサートホールKitaraがオープンされたところでございます。残る
演劇専用ホール及び
能楽堂につきましては、その後も検討を進め、平成6年度には
演劇専用ホール及び
能楽堂建設基礎調査を実施いたしまして、計画を具体化させるための基礎的なデータを収集したところでございます。
一方、
北海道では、平成6年に
北海道文化振興条例を制定し、
文化施策の一層の推進を図ることといたしまして、平成9年3月には
北海道劇場基本構想を取りまとめております。さらに、
北海道では、平成14年7月に
北海道劇場基本計画を策定いたしまして、各種の演劇を初め、能や狂言の公演にも対応できる機能を備えた劇場を中央区
北5条西1丁目に設置することとしたところでございます。
次に、
能楽堂建設に向けた現状についてでございます。
ただいま申し上げました
北海道劇場基本計画を策定いたしました
北海道では、一方で
財政状況の悪化を受けまして、平成16年8月に
道財政立て直しプランを策定したところでございます。特に、平成17年度から19年度につきましては、
集中対策期間と位置づけており、別途、この3年間を
計画期間とする
社会資本整備重点化プランが策定されております。このプランにおきまして、
北海道劇場計画については
Cランク、すなわち、
対象期間中、
取り組みのペースを抑制せざるを得ない施策と位置づけられており、その結果、現在、
北海道においては計画が進められていない状況となっております。
◆
佐藤右司 委員 確かに、大変厳しい
財政状況であるということは認識しておりますけれども、いかんせん、
上田市長のマニフェストにも、やはり人が輝く街という部分で、芸術・文化、スポーツ発信都市さっぽろを目指していくとあります。そこで、やはり、だれもが気楽に、気軽に文化・芸術を楽しんで、心の豊かさをはぐくむ
まちづくりを進めることが大事だと考えております。
私
ども民主党・
市民連合としましても、芸術・文化の振興に向け、しっかりと応援していきたいと思っておりますので、前向きに取り組んでいかれますよう要望して、私の質問を終えたいと思います。
◆
高橋克朋 委員 私からも、簡潔に、数点お伺いしたいと思います。
私も、何度か、他都市に行っては
能楽堂を見る機会がございました。それぞれの歴史というのでしょうか、その重みというのか、そういうものを見てきたときに感じてきましたけれども、一般的に、
能楽堂というのは具体的にどのような仕様のものか、この点をまずお伺いしておきたいと思います。また、特徴としてどういうものなのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
また、
先ほど来、財政の話が出ておりました。これは、やはり一番の問題だと思うのですよ。やはり、ピンからキリという言い方は悪いかも知りませんけれども、上から下までいろいろあると思うのですが、もし
能楽堂を建設すると一般的に一体どれくらいお金がかかるのかなと、こんな素朴な疑問を持つものですから、その2点をお伺いしたいと思います。
◎塩澤
観光文化局文化部長 まず、1点目の
能楽堂の一般的な仕様と特徴に関するご質問についてでございます。
先ほど村部会長の方から主要な点についてはお話がございましたけれども、能は、
能舞台と称する専用の舞台で演じられ、この
能舞台と客席を一つの建物におさめたものを一般に
能楽堂と申しております。
能舞台は、本舞台、
橋がかり、地謡座、後座の四つの部分から構成されております。4本の柱に支えられた屋根のかかった約6メートル四方の本舞台と、
舞台正面左奥へと続く
橋がかりと呼ばれる通路が特徴的でございまして、見所と呼ばれる観客席は、
先ほどもお話がございました正面と左側面から本舞台を取り囲むように配置され、奥行きのある立体的な構造を持っております。さらに、舞台の周辺には、小石を敷き詰めた白州が取り囲み、
橋がかりの下の白州には、距離の目安ともなる松が3本植えられております。また、本舞台の床はヒノキの厚板で、くぎを用いずにつくられ、床下には共鳴用の大がめが埋められるなどの構造上の大きな特徴がございます。
2点目の建設するとした場合の経費に関するご質問についてでございます。
まず、
建設経費を算定するためには、施設の規模を決める必要がございます。これにつきましては、他都市の例などを拝見いたしますと、500席から600席程度が適切と思われます。そのほか、本格的な
能舞台のほかに多目的に利用できる
和室ホールなども必要とされるものと思われます。これらを含めた
建設経費につきましては、近年、試算したものはございませんけれども、
先ほど申し上げました平成3年に策定した
芸術文化ホール建設基本構想におきましては、上記のような機能を備えた
延べ床面積3,000平方メートルの
能楽堂の場合、建物の
建設費用だけで約21億円と試算しているところでございます。
◆
高橋克朋 委員 21億円、わかりました。
今回の陳情は、
市民会館の
後継施設内にぜひ
能楽堂をつくっていただきたいという陳情でありますから、さきの議会の中でも、
リース契約の
市民会館ということで議決されたところであります。今度新たにつくる
後継施設は、リースが6年から7年ですから、その後にできるのだろうと思いますが、今後、
市民会館の中につくるに当たっての
整備計画というのでしょうか、スケジュールというのでしょうか、まずこれをお示しいただきたいと思います。
同時に、能楽だけではなく、いろいろな芸術あるいは文化をたしなむというのでしょうか、そういう団体があると思います。この
市民会館の
後継施設についてはそういった方々からもいろいろな要望が出てくると思いますけれども、そういった方々の意見などもこれからどういうふうになっていくのか、この点についてお示しいただきたいと思います。
◎丸田
都心まちづくり推進室長 私の方から、今お話のあった
後継施設の検討についてお答えいたします。
新しい
市民会館の
後継施設内において、まずは、
能楽堂の設置を検討することができるのかということだと思います。
後継施設の検討におきましては、単にこれまでの
市民会館の建てかえとして従前の機能を確保するということにとどまるものではございませんで、やはり、将来的な札幌のまちの魅力と市民の活力を高めていくという観点から、例えば
民間施設との複合化なども含めまして、積極的にさまざまな機能について検討していきたいというふうに考えてございます。その検討の中におきまして、市民の皆さんの幅広いご意見を伺いながらやっていくこととなりますけれども、
先ほどお話がありました
芸術文化ホール建設基本構想など、これまでの
能楽堂に関する札幌市の
取り組みも十分踏まえた上で、
市民ニーズの大きさであるとか、優先度であるとか、
財政的負担の度合いとその効果であるとか、あるいは、都心の
まちづくり上の意義など、そういうものを総合的に判断して検討してまいりたいというふうに考えています。
それから、今回の要望以外にも、他の
利用団体からの要望等は確かにございます。それも同様でございまして、これから検討の中でさまざまなご意見をお伺いしながら、
先ほど申しましたように、総合的にその機能のあり方ということで検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆
高橋克朋 委員 平成3年に
基本構想の中に盛り込まれて、期間も15年くらいの間にという話がありました。しかし、いまだになかなか着手されていない、こういう現状だと思います。そんな意味では、今の
上田市長は芸術・文化には一生懸命になられる市長だと私は思っているんですよ。ただ、声高に言うだけで、まだパフォーマンスで終わっているのかなという気もしますから、今度は2期目に入りましたので、ぜひ、その中でしっかりと芸術・
文化振興に取り組んでいただきたい、そのことを申し上げて、私は終わります。
◆
涌井国夫 委員 まず、今回陳情を出されました
村部会長ほか、多くの方々には、
能楽堂の設立について、18年前からずっと今日まで、一生懸命こつこつと取り組んできたことについては本当に敬意を表したいというふうに思っているところでございます。
一方、本市においても、能楽などの
伝統文化・芸能について、いわゆる
古典芸能の振興ということについて、基本的な認識というか、どのように考えているのか、まずお聞きしたいと思います。
それから、今日まで、
期成会の皆様方と本市とのさまざまな話し合いもあったのでしょうと思いますけれども、その辺の経緯、経過についてもお聞きしたいと思います。
また、昨年、
議員立法で
文化芸術振興条例ができ上がり、その中に
基本計画をつくらなければならないというふうになっておりまして、今現在、考えて進めているというふうに思います。そうした中で、今回の
市民会館、あるいは
厚生年金会館もそうでしょうけれども、今までの本市の
文化施設のあり方というものについて、
市民議論、あるいは、いろいろ問われているわけでございます。言い方をかえれば、転換期に来ているというふうに言ってもいいと思います。
この辺についての
文化施設の今後のあり方、
ビジョンといいますか、全体観に立った施策の考え方について、どのように考えているのか、お聞きしたいというふうに思います。
◎塩澤
観光文化局文化部長 まず、1点目の
古典芸能の振興についてどのように考えているのかというご質問についてでございます。
長い歴史の中で培われてきた我が国の
伝統芸能、
古典芸能につきましては、日本人独特の美に対する意識、感性をはぐくむ極めて重要なものであると認識しております。特に、能については、国の
重要無形文化財であるばかりでなく、
先ほど会長からお話もございましたけれども、平成13年には、ユネスコにより、その継承と発展を図ることを目的とした人類の口承及び
無形遺産の傑作に関する宣言に盛り込まれたところであり、我が国が世界に誇る
伝統芸能の一つであると考えております。
本市といたしましては、さまざまなジャンルの文化・芸術の振興に取り組んでいるところでございますが、
古典芸能や
伝統文化につきましても、これをよりよく知っていただき、親しんでいただくためのさまざまな
取り組みを行っているところでございます。中でも、能については、これまでも
教育文化会館においてさまざまな公演を行ってきたほか、昨年からは、
札幌能学校と名づけまして、見るだけでなく、参加、体験しながら能楽に親しむ
ワークショップも開催しております。また、来る7月21日には、従来から人気の高い薪能を芸術の森において開催するほか、8月30日には、
教育文化会館において
野村家親子3代による狂言、「万作・
萬斎狂言会 狂言三代」の公演なども行う予定でございます。
次に、2点目のこのたび陳情を提出された
設立促進期成会と本市との経過に関するご質問についてでございます。
陳情書にもございますけれども、当
期成会は、昭和63年に発足をいたしまして、その後、その年12月には請願を提出され、
平成元年には同様の趣旨の陳情を議会に提出されております。また、翌平成2年には約2万名の署名が提出されているところでございます。近年の動きといたしましては、平成15年に市長に要望書を提出されているほか、平成17年には、要望書とともに、同じく約2万名の署名が提出されております。さらに、昨年の秋からは、
市民会館の
後継施設の検討の動きなども踏まえながら、
関係部局等への
要望活動をされており、本年3月には再び市長に要望書を提出された後、今般の陳情に至ったものでございます。
次に、3点目の文化・
芸術施設のあり方について、全体的な
ビジョンを示すことはできないのかというご質問についてでございます。
今日、
市民会館の建てかえ、あるいは
厚生年金会館の存続問題、それから、
先ほど申し上げました
北海道劇場の計画が進まない状況など、文化・
芸術施設をめぐるさまざまな動きが同時並行的に起こっているというふうに感じております。お話にございました本年4月から施行されている札幌市
文化芸術振興条例につきましては、そのような動きも見据えて、今般、
議員提案により策定をされたものというふうに考えております。
この条例に基づく
基本計画につきましては、
市民意見なども伺う手続を経ながら、来年度には策定する予定で作業を進めておりますが、いわゆる
ホール問題につきましては、文化・芸術の振興という側面だけではなく、札幌市全体としての
まちづくりの観点からも極めて重要な課題であり、今後とも、
市民意見も踏まえ、
関係機関、
関係部局との連携を図りつつ、検討、議論していく中で一定の方向性あるいは
ビジョンといったものを見出していく必要があるものと考えております。
◆
涌井国夫 委員 どちらにしましても、ただいまの子どもを取り巻く今日的状況、あるいは世相といいますか、大変難しい状況にありますし、課題がたくさんあるわけでございます。そうした中にあって、やはり、これからの日本の将来を担っていく
子どもたちに日本の伝統的な芸能というものをどのように伝え、継承していくかというのは、人間の営みの中では極めて重要な視点だというふうにも思っております。能などの
伝統芸能を後世までしっかりと伝えていく
仕組みづくりといいますか、やはり、札幌市においても全力を挙げて取り組んでいかなければいけないというふうに思っておりますので、本当にこの趣旨を踏まえて全力を挙げて取り組んでいただくようにお願いして、終わりたいと思います。
◆
坂本恭子 委員 私からも、何点か質問させていただきたいと思います。
今回、陳情を出されました
期成会の皆さん、本当に20年来、本格的な
能楽堂をつくってほしいということで運動なさっていることについて、改めて、私からも敬意を表したいというふうに思います。
日本の文化、伝統を継承していくということでは本当に大事な観点だというふうに思いますし、この間、
基本構想、それから
基礎調査というような形で、札幌市としてもこれはしっかりと対応していきたいというスタンスは一定程度持ってきていたというふうに思っております。ただ、今までの質疑の中にもありましたように、
北海道劇場が先行して
能楽堂、
演劇ホールの機能を持たせるというような流れの中で、札幌市としては単体で
音楽ホールKitaraを建設するというようなことで、
北海道との絡みもあってなかなか進まない、ちょっととんざしている状況だというふうに思っております。
やはり、本格的な
能楽堂の建設は求められているというふうに思いますし、陳情者の説明の中にもありましたけれども、お能だけにとどまらず、さまざまなほかの
文化活動の分野への活用というようなこともやはり考えられるわけですから、ぜひこれは早期に建設をしてほしいという立場で、この間、私ども
日本共産党としても議論をしてきたところです。直近で言いますと、2003年の
議案審査特別委員会の中で私
ども共産党の委員がこれを取り上げて、
北海道劇場の
基本計画に基づいて、そこに必要な支援、協力をしていきたいというところで議会での議論というのは一たんとまっていると思います。
北海道劇場の方は、今お話がありましたように、今年度まではとりあえず
Cランクで停滞しているということですけれども、これからの
北海道の財政を考えますと、この
建設計画がすぐに具体化していくようなこともなかなか考えにくいというふうに思います。しかし、既に札幌市が先行して
北5条西1丁目の土地を取得しているわけですから、今、駐輪場として活用はされていますが、そういう意味では、そこの今後の計画について
市民まちづくり局の方ではどういうふうに考えているのか、これをまずお聞きしておきたいと思います。
それから、
能楽堂陳情にかかわってでありますけれども、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、札幌市として、この間、能楽の現状についてどういう認識をしていらっしゃるのか、改めて伺いたいのです。市内の公演の状況、それから、
先ほどはいろいろな会場で満席であるというようなこともちょっと触れておりましたけれども、どの程度の
観客動員があるのか、札幌市としてどういうふうに押さえているのか、これを改めてお聞きしたいと思います。
それからまた、能の振興のために、市として具体的にどのような支援策、
取り組みを行ってきているのか、この点を確認させていただきたいと思います。
◎丸田
都心まちづくり推進室長 まず、私の方から、
北5条西1丁目の
計画づくりについてということでお答えいたします。
北5条西1丁目は、ご指摘がありましたように、今、駐車場、駐輪場として活用しているところでございますけれども、
北海道劇場という形での道の構想の中で位置づけられている土地でもございます。土地は札幌市が所有してございます。
あそこにつきましては、今、新幹線を強く要望していますけれども、これから新幹線の
札幌延伸の話とか、駅周辺を取り巻くさまざまな
土地利用の仕方について検討していかなければいけない場所でもございます。また、交通的にも非常に混雑が見られたり、非常に課題を持っている場所でございまして、そういうものを総合的に判断して、
北5条西1丁目についてどのような
土地利用が妥当なのかということを検討していくことで考えてございます。
しかしながら、今言いました新幹線のこともまだ見えないところもございますので、もう少々時間がかかることかと思います。また、
先ほどからお話のある
北海道劇場ということにつきましても、今後、道とのこれからの協議の状況なども見きわめながら考えていくことになると思います。その中で、一つの土地の使い方として、持ち込む機能も含めて、どういうものがいいかという検討をしていくことになります。
◎塩澤
観光文化局文化部長 まず、能に関する公演の状況、それから
観客動員に関するご質問についてでございます。
札幌市内における能及び狂言の公演は、札幌市
教育文化会館では、
学校単位での鑑賞会や
ワークショップなども加えますと、年間10公演ほど行われております。また、薪能も、芸術の森などを会場に年に1回程度行われております。このほか、これまで、
市民会館とか
札幌メディアパークスピカなど、他の施設における公演とか、
北海道神宮に奉納される能の公演などが年に数回行われている状況でございます。
これらの
観客動員につきましては、全体の数字は把握しておりませんけれども、
教育文化会館における公演などは、
先ほど山西様からもお話がございましたけれども、1,100席の大
ホールがほぼ満席の状況になっており、平成18年度で申し上げますと、
教育文化会館で行われました10の公演や
ワークショップを合わせますと約8,000名の
観客動員がございました。
次に、能の振興のための
取り組みについてのお尋ねでございます。
これまでも、ただいま申し上げました
教育文化会館を中心にさまざまな
取り組みを行ってきたところでございます。平成18年度におきましては、まず、10月に、
札幌市民劇場の公演として
能楽鑑賞のひとときを実施いたしました。これは、
札幌能楽会が例年開催しているもので、公演に合わせて
舞台稽古の
一般公開も行われ、能の
普及振興にご貢献をいただいているところでございます。また、本年3月には、
能楽座の
札幌公演を実施いたしました。
能楽座は流派を超えた一流の能楽師によって結成された団体でございまして、質の高い能と狂言の公演を行い、日本の美しい
伝統文化のすばらしさ、おもしろさを多くの人々に感じていただくことを目的に全国で活動を続けております。
さらに、
先ほども申し上げましたが、
札幌能学校という
ワークショップ、それから、
能楽座札幌公演に先立つ4回の
連続公演として
ワークショップを行っております。それから、薪能につきましては、
先ほど申し上げましたように、ことしも7月21日に芸術の森において開催する予定となっております。
◆
坂本恭子 委員
北海道劇場については、
北海道も財政がなかなか厳しいという中でもありますし、土地の利活用については、札幌市がイニシアチブをとって今後検討を具体化されていくのだろうと思いますけれども、やはり、
北海道と劇場に向けての活動ができないのかという協議については、引き続き努力を払っていただきたいなというふうに改めて要望しておきたいと思います。
能楽のことですけれども、なかなか日常的に触れる機会がない分、公演などにはたくさんの方が訪れるということだと思うのです。
教育文化会館がほぼ満席というお話もありましたけれども、そういう意味では、市民の
文化活動の拠点として本格的な
能楽堂が建設されるということは本当に求められているのだろうと思っています。
学校単位も含めて
ワークショップも行われてというお話もありましたけれども、
総合学習への対応などもやはり極めて重要な視点だというふうに思います。私は、実は、縁があって、新琴似の
歌舞伎伝承会というところに入らせていただいて、そこが、一昨年、北区の
文化伝統フェスティバルの中で歌舞伎の公演を行っているんですよ。それが大々的に区の広報などにも載って、新琴似で活動なさっているのですけれども、今度、中学校に出かけて行って、歌舞伎のことが中心ですが、
総合学習の中で、学校で公演といいますか、
文化活動をするというような展開をしているんです。
能楽堂を持っている他都市を見ましても、そういう
教育活動だとか、本当に地域に貢献する
文化活動を積極的にやっているふうに見受けられるものですから、そういう意味でも大切にしていただきたいなと思っています。
また、7月の広報誌に、
教育文化会館の薪能のこととか狂言の
ワークショップのことなども載っていまして、そういう意味では、こういう広報誌も通じて積極的に側面支援という形でやっているんだなということは感じているところです。
先ほど基本構想の話がありまして、その中で、
能楽堂の建設についての重要性というお話は十分伺いました。この後、1994年には
基礎調査が行われて報告書が作成されておりますけれども、この調査が当時どのようなものであったのか、それからまた、報告書の中で整理されている能楽をめぐる状況について改めてお聞きしたいと思います。
それから、その当時整理された内容について、現状でも必要性、意義というのでしょうか、そういうものについて変化はないのかどうか、そこら辺について改めてお聞かせください。
◎塩澤
観光文化局文化部長 演劇専用ホール及び
能楽堂建設基礎調査の内容に関するご質問でございます。
これは、平成3年度に策定した
基本構想に基づきまして、その施設整備の方針を定める上で必要な基礎データの収集を主な目的として平成6年度に実施したものでございます。
能楽堂に関しましては、能の公演状況、能楽関係団体の実情、関係者からのヒアリング、他都市の
能楽堂などについての調査を行い、この時点での本市における能楽に関する状況を整理しております。
この報告書で整理されている能楽をめぐる状況についてでございますが、大きくは3点について記載されております。
1点目は、ハード面についてでございまして、そもそも本格的な
能楽堂がないこと、そしてまた、能楽の稽古場所の確保にも苦労されていることが指摘されております。2点目は、ソフト面の問題についてでございまして、ここでは、札幌は、本州の都市と比較しますと歴史が浅く、能楽人口の絶対数が少ないことが指摘されております。3点目は、その他ということで、
能舞台の特殊性から本格的な
能舞台でないと公演を行わないプロの能楽師もいらっしゃるというようなことが指摘されております。
次に、これらの状況は現在も変わらないのかというご質問についてでございます。
この調査に対応するような具体的な調査は今日において行ってはおりませんけれども、ハード面・ソフト面など能楽の置かれている状況に大きな変化はないものというふうに考えております。
◆
坂本恭子 委員 本当にそうですね。本格的な
能楽堂がない。そして、
先ほど陳情者からもお話がありましたけれども、
能舞台で稽古する機会がないということは決定的だと思うのです。やはり、26の会があって、300名の会員の方がまずいらっしゃる、それから有資格者と言われる方がさらに300人いらっしゃるというお話でしたけれども、やはり、すそ野を広げていくということでいきますと、本格的な
能楽堂がまずあるということ、それから、そういう舞台で稽古することができるということ、これは本当に重要な点だと思います。
そういう意味からいくと、
能楽堂の建設というのは急がれているというふうに思います。91年の
基本構想の中でも、この当時から、既に、
国際文化都市として一層の飛躍を図るためには
能楽堂が必要である、
伝統芸能公演の場としてこれを確保していかなければならないということも言われているわけです。
後継施設といいますと、やはり8年、10年先というようなことにもなっていくわけですけれども、その間、さまざまな工夫をしながら運動されている皆さんにしてみれば、能の普及啓発をしながら、何とか市民の皆さんへすそ野を広げていく努力をしていただくことになるわけです。そういう意味では、札幌市で、側面支援というよりも、もっと本格的にさまざまな支援ができないものなのかなというふうにも思っています。何よりも世界無形文化遺産に指定されているものでありますから、その意味でも、しっかりとこれからのニーズも含めた全体の状況をきちんと分析して、さらに検討を進めていっていただきたいというふうに思いますし、今回陳情を出された皆さんの本当に地道な
取り組みに対して、改めて、市として具体的な支援策を講じていっていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
◆小倉菜穂子 委員
村部会長からは丁寧な
趣旨説明をいただきまして、本当にありがとうございました。
今、もう既にたくさんの委員の方からご質問がありましたけれども、私の方からも何点か質問させていただきたいと思います。
先ほど来質疑があったとおり、89年の陳情、そして札幌芸術文化
ホール基本構想、
北海道の
基本構想という流れがありました。しかし、いずれにしても、劇場
ホール、
能楽堂についての議論は、この間、進んではおりません。劇場の形態について、私なりに考察したり、いただいた資料などを拝見させていただいたり、他の自治体の例などを見ますと、劇場
ホールと
能楽堂が設置されれば主な劇場芸術をおよそ網羅できるというふうに考えております。
一方、こちらの方も
先ほどお話に出て恐縮ですけれども、
上田市長のマニフェストには、芸術・文化、スポーツを発信する都市さっぽろということが目標として掲げられておりますし、また、本年は札幌市
文化芸術振興条例が施行されるなど、文化の薫り高きまちへ向け、
まちづくりの方向性が徐々に整いつつあるというふうに感じております。しかし、
市民会館の建てかえ、そして
厚生年金会館の存続など、本当に今たくさんの課題がある中で、今回、このような陳情が出されたわけです。
まず、1点目の質問といたしまして、そもそも現在の札幌市における
文化施設の充実の度合いをどのように認識されているか、お伺いします。
また、陳情書によりますと、これまでの
市民会館の機能というのは建築当時に要求されていたものであって、現在では不十分ということが指摘されております。今後の新たな
後継施設については、今日的な
市民ニーズにこたえるものを求めていくべきと指摘しております。その点について、
先ほどご答弁もありまして、これまでより機能を向上させていくというようなお話がございました。この後、新しい
文化施設としての充実をどのように図られていくと考えておられるのか、そこのところをお伺いいたします。
◎塩澤
観光文化局文化部長 札幌市の
文化施設の充実度に関するご質問についてでございます。
文化施設の充実度ということにつきましては、一般的な尺度や数的指標がございません。それぞれの都市の歴史や特性、住民のニーズなどもさまざまでございまして、一概には申し上げられないものと考えております。
一方、札幌市におけるこれまでの経過を考えてみますと、
先ほど申し上げましたように、平成3年度に策定いたしました
芸術文化ホール建設基本構想に盛り込んだ
音楽専用ホール、
演劇専用ホール、そして
能楽堂の3施設については、
音楽専用ホールのみが実現している状況にございます。こうした状況を考え合わせますと、札幌市の
文化施設は、高度経済成長期に一定程度の充実が図られたところでございますが、より質の高い専用
ホールについてはまだ充実を図る余地があり、また、大規模
ホールについては、老朽化や設置者の事情等で、存続について、目下、さまざまな検討が行われている状況にあると考えているところでございます。
◎丸田
都心まちづくり推進室長 私の方から、
後継施設の充実度ということで改めてお答えいたします。
先ほどお答えしましたとおり、これから検討します
市民会館につきましては、現在の
市民会館の機能にとどまることなく、幅広く議論し、その導入機能について検討していくこととなりますけれども、施設そのものも、ユニバーサルデザインであったり、利用者に優しい施設ということ、さらには、民間の活力を活用して市民の活力を高めていくという観点から、
民間施設との複合化なども視野に入れてその機能の充実を検討していきたいというふうに考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 今、施設の充実度ということについてお伺いしました。
一方で、
能楽堂の設置を求める市民団体が、今ちょうど陳情をいただいたように、札幌の文化の向上を求めて、今回の陳情のとおり、長年、活動を続けてこられているわけです。
二つ目の質問として、先ほど陳情者の方からも回答がありましたし、高橋(克)委員からのご質問の答弁には2万人ということでしたけれども、
先ほどのご回答以降ということでは、現在、
札幌市内にどれくらいの能楽の愛好者がおられるのか、把握しておられますでしょうか。もしわかれば教えてください。
◎塩澤
観光文化局文化部長 私どもで押さえておりますのは以前の資料でございまして、
先ほどの
期成会からのお話が最新のものというふうに理解しております。
◆小倉菜穂子 委員
先ほどの陳情者からのお話ということですね。
そのような方々の声とか、また、そのほかにもいらっしゃると思いますが、札幌の文化をさらに充実させたいとか、また、その施設を利用していきたいというさまざまな立場の市民の参加によって今後の
市民会館の
後継施設の検討が進められていくべきというふうに考えております。
そこで、以下、2点についてお伺いします。
まず、1点目としまして、現在、既に
後継施設についての検討が行われているということをちょっと伺いましたが、その検討状況及び今後どのように進めていくおつもりでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
また、2点目としましては、市民だれもが使用する施設であることから、自治基本条例に照らして、計画の段階から決定に至るまで市民参加で進めることが求められ、利用者である市民とか
利用団体の意向を十分踏まえることが不可欠であると考えております。どのような方法で
市民意見を把握し、そして反映されるのか、お伺いいたします。
◎丸田
都心まちづくり推進室長 まず初めに、具体的な検討状況でございます。
昨年度に、これまでの
市民会館の利用実態を把握するための基礎的調査を行い、その利用状況や市内にある他施設との役割分担といった
市民会館の位置づけを確認したところでございます。それらを踏まえまして、今年度におきましては、今後の札幌のまちの魅力を高めていくためにどういう機能が必要かという視点が重要であると考えておりますので、さまざまな
民間施設との複合化も含めて、市民生活の質の向上といった観点から
市民意見の把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。またさらに、専門家の皆さんのご意見を聞くなどいたしまして、そのあり方や機能、規模について多角的に検討を進めるというふうに考えております。
2点目の市民や
利用団体の意見把握ということにつきましては、多くの市民の方々に利用され、使いやすい施設の整備を目指すということが重要でありますことから、
後継施設の検討状況に関しましては、適宜、情報提供を行うとともに、それに対する市民の皆さんのご意見を幅広く募る機会を設けていきたいというふうに考えてございます。またさらに、利用が想定されます団体の皆様にもヒアリングを行うことなどもあわせて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆小倉菜穂子 委員 ご答弁いただきましたように、
後継施設建設計画は、市民参加で検討していくことが基本であると考えています。これから本格的な議論が始まるということですけれども、市民に十分な情報を公開し、広く意見を求める場の提供を求めます。札幌市芸術文化
ホール基本構想、
北海道立劇場
基本構想など、これまでの一連の経過を考慮し、札幌の
文化施設の充実を検討すべきと考えます。
札幌市が、現在、厳しい
財政状況にあることは明らかですが、一度建設したらまた何年も利用するものであることから、将来を見据えた検討がなされ、かつ、札幌の文化の充実を願う市民の声をしっかり盛り込んでいくべきと考えております。
また、
札幌能楽会を中心に、現在、市内の学校で公演をされる機会があるというふうに伺っております。
子どもたちがさまざまな文化に出会うことは貴重な体験です。Kitaraで行われているファーストコンサートのように、
子どもたちが
伝統文化に触れる機会を持つことができれば、文化的な体験がさらに充実してくると考えています。
札幌市の目指す文化の薫り高きまちとはどのようなまちなのか、どのような文化なのか、そしてどのような仕組みや設備が必要なのか、今回、改めて問われていると思っています。丁寧な議論を尽くすことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆恩村一郎 委員 まず、私の方から、
村部会長初め、
期成会の皆さんの日ごろの活動に対して敬意を表したいと思います。
今、段々のお話を聞いておりまして、各委員からのお話をまとめても、この
能楽堂の必要性はあるのかなと強く思います。能楽については、日本の
伝統芸能として確固たる地位を築かれておりますけれども、近年、特に渡辺淳一さんの「失楽園」の小説の中で薪能のくだりがありました。そんなことがあって、女性を中心に能のブームに火がついているのかなと、そんな感じも強く持っているところです。つい最近も、三吉神社でのお祭りの際に能が演じられておりまして、私もそこの会場で見させていただきました。大変多くの方が来られて見ておりましたが、私自身が驚いたのは、実はインターナショナルスクールの学生さんたちが能をやっていらっしゃったんですね。日本の学生ではなくて、インターナショナルの学生さんたちがやっていらっしゃった。そんなのを見ていて、日本人は一体どう考えているのかなと逆に考えさせられる部分がありました。
先ほど陳情者の方から、札幌での中心的な活動をされている方が300人余りと、外郭を含めたら全部で1,000人近くになるのかなというふうに思うわけです。
1点お伺いしたいのですが、
札幌市内の学校で、邦楽、とりわけ能楽といったものに取り組んでいる学校はどのくらいあるのか、また、その学生数はどのくらいいるのか、もしそれをつかんでいらっしゃいましたら、その点についてお伺いしたいと思います。
◎塩澤
観光文化局文化部長 能楽について授業等で取り上げている学校があるかというご質問についてでございます。
私どもが
期成会からお話を伺っているところでは、道立の札幌国際情報高等学校で、平成7年から、選択制の授業の一つの日本文化という科目で能楽を取り上げているということでございます。受講者の人数につきましては、同校では年間約20名が受講されていると伺っております。授業の内容につきましては、1年間をかけて一つの演目の謡と舞を勉強し、3月に校内で発表すると伺っております。
それから、
先ほど申し上げました
教育文化会館における鑑賞会の参加でございますが、昨年度で申し上げますと、具体的には、5月に北星学園女子中学校高等学校が、10月には北海高等学校がそれぞれ狂言を鑑賞しております。
◆恩村一郎 委員 学校としては1校だけということですね。札幌市立の高校ではそういったことは全然ないということです。実際に狂言なんかを見てみますと、私も神社で見ていて非常におもしろいなと思ってちょっと笑っていました。やはり、そういった日本の文化といいますか、芸能に対する理解をもっと深めていくことは教育の分野でも必要なことだとは思います。