札幌市議会 2006-06-27
平成18年少子化対策・青少年育成調査特別委員会−06月27日-記録
平成18年
少子化対策・
青少年育成調査特別委員会−06月27日-記録平成18年
少子化対策・
青少年育成調査特別委員会
札幌市議会少子化対策・
青少年育成調査特別委員会記録
平成18年6月27日(火曜日)
────────────────────────
開 会 午後1時1分
○
高橋克朋 委員長 ただいまから、
少子化対策・
青少年育成調査特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
鈴木委員からは欠席する旨、
宮本委員、
福士委員からは遅参する旨、それぞれ連絡がございました。
それでは、議事に入ります。
(仮称)札幌市子どもの
権利条例最終答申についてを議題とし、資料に基づき理事者から説明を受けます。
◎加藤
子ども育成部長 それでは、札幌市子どもの
権利条例制定検討委員会が去る5月に作成いたしました
最終答申書の概要につきましてご説明させていただきます。
本日は、お手元に二つの資料をご用意させていただいております。
一つ目が、ホチキスどめしてございます厚い資料、これは
最終答申書の本書でございます。二つ目は、4ページになります
最終答申書の概要版でございます。本日は、この概要版を用いまして説明させていただこうと考えております。
初めに、札幌市子どもの
権利条例制定検討委員会につきまして、改めて説明させていただきます。
お手元の概要版ですが、最後の4ページに記載しております3.条例ができるまでの道のりというところをごらんいただきたいと存じます。
検討委員会は、ご承知のとおり、子どもの意見、市民の意見が反映された
市民手づくりの子どもの
権利条例素案を策定することを目的に、平成17年4月に設立された委員会でございます。
最終答申書を作成いただくまでに本委員会を計19回開催したほか、それに付随する五つの部会、幼児・
小学生部会、中・
高校生部会、親部会、子どもの
指導者部会、地域部会を計23回開催するなど活発な議論を重ねていただきました。さらに、札幌の
子どもたちの現状を調べるために、昨年7月から10月にかけて、小・中・高校生を初め、教師や保護者など大人も対象とした懇談会を計23回、さらには、市内各所への出向き調査を計22回実施するほか、6,486人の市民に対して
アンケート調査の実施も行いました。また、
条例づくりを広く市民に知らせることを目的に
フォーラムなども開催しております。
検討委員会からは、このような
取り組みの中で、昨年12月には
条例制定に向けての九つの
検討課題などを盛り込んだ
中間答申書を作成いただきました。本年に入りまして、その
中間答申書に対する
市民意見なども参考にしながら、答申書に盛り込む内容を具体的に検討するための
起草ワーキングを頻繁に開催するとともに、本年2月に発足した
子ども委員会から札幌の
子どもたちにとって大切な権利の提案を受けるなど、子どもの意見も取り入れながら、去る5月30日に
最終答申書を作成し、上田市長に手交いただいたところでございます。
なお、これまでの
検討委員会、
懇談会等の開催回数は合計いたしますと計115回に及びます。
続きまして、
最終答申書に掲載されております具体的な内容についてご説明させていただきます。
お手元の概要版ですが、戻りまして1ページ目、なぜ、子どもの
権利条例が必要なのかと書いたページをごらんいただきたいと存じます。
ここでは、条例をつくる目的、意義などを掲載しております。
ご承知のとおり、子どもの
権利条例のもとになるのは、平成元年、1989年でございますが、国連総会において採択された子どもの
権利条約であり、日本はこの条約を平成6年、1994年に批准しております。札幌市におきましても条約の理念を広めていくための
取り組みを推進するとともに、子どもにとって大切な権利や参加の仕組み、
権利侵害からの救済の仕組みなどにつきまして、札幌の現状に基づき、具体的に示す必要があるというのが
条例制定の目的でございます。
さらに、
検討委員会では、条例を制定することの意義として4点を挙げております。
一つ目が子どもの権利の理解促進でございまして、条例をつくることにより子どもとともに大人も子どもの権利を学び、今まで以上に子どもの権利の理解を深めることができます。このことにより、市民みんなで子どもの権利を尊重した
取り組みを行うことが可能になるというものでございます。
次に、子どもに優しい
街づくりというものを挙げてございます。これは、子どもに関する市の施策や事業などは子どもの意見や参加が配慮されたものとなり、その結果、子どもの視点に立った、子どもに優しい
街づくりが推進されるというものでございます。
次に、自立した社会性を身につけた大人への成長でございます。子どもがみずからの権利を学び、自分らしく生き生きとした
子ども期を過ごすことができるようになります。そして、自分で考え判断し、自分の行動に責任を持ち、他者の権利も大切にする自立した社会性のある大人へと成長、発達していくことが可能になるというものでございます。
最後に、
権利侵害からの救済でございます。残念ながら、札幌市にもいじめや虐待などの
権利侵害を受け、悩み、苦しんでいる子どもがおります。そういった子どものための特別な救済制度を創設することにより、迅速で効果的な解決を図ることができるというものでございます。
続きまして、答申書に盛り込まれている具体的な項目についてご説明させていただきます。
2ページの2.札幌市子どもの
権利条例(骨子案)と記載されたところをごらんいただきたいと存じます。
最終答申書には、前文に始まり、ごらんの合計7章の構成となっております。
初めに、前文でございますけれども、ここには、子どもの権利の理念、子どもが権利を行使する際の考え方、子どもの権利を保障するに当たって大人の果たすべき役割、さらに
条例制定の意義などが盛り込まれております。
次に、第1章 総則でございます。
目的の次に、子どもの定義などを記載しております。概要版では、子どもとは何歳までと記載しているところであります。
最終答申書におきましては、子どもの定義は、子どもの
権利条約と同様、原則18歳未満としております。また、
教育活動に支障のないよう配慮する余地を残すため、主に18歳になった高校3年生も含めると想定しております。さらに、この概要版には記載しておりませんが、子どもが学び、生活する場として育ち学ぶ施設というものも定義しております。ここには、保育所、
児童養護施設、
児童会館など、
児童福祉法に基づく
児童福祉施設、さらには、幼稚園、小・中・
高等学校、
専修学校、
各種学校など、
学校教育法に基づく学校などを範囲に入れております。また、その他の施設として民間のフリースクールなども含めております。
次に、第2章
権利普及をごらんいただきたいと存じます。
ここでは、子どもの権利などに関する広報などのほか、子どもの権利の学習の支援というものを挙げており、子ども、大人、それぞれに対しての権利に関する学習の支援を掲載しております。このうち、子どもに対する支援といたしましては、子どもが正しく自分の権利、他の人の権利を学び、知ることができるための支援をしていくというものを挙げております。
次に、第3章 子どもにとって大切な権利のところをごらんいただきたいと存じます。
これは、札幌の
子どもたちは具体的にどのような権利が大切なのかを明記した箇所でございまして、先ほども少し触れさせていただきましたが、小学生から高校生までの
子ども委員会の
子どもたち32人の提案をもとに、安心して生きる、自分らしく生きる、豊かに育つ、参加するの4区分で、合計23の権利を挙げております。
特徴的なことといたしまして、例えば3.豊かに育つ権利の中に、5夢に向かってチャレンジし、失敗しても新たなチャレンジができることというものがあります。失敗したらどうしようというおそれが子どもを萎縮させているケースがあると思います。やり直すことを認めることにより、子どもは伸び伸びと成長していくことができるということからこのような権利が挙がっております。
さらに、同じく3.豊かに育つ権利の中に、7札幌の文化や雪国の暮らしを学び、自然と触れ合うことを挙げております。札幌の子どもは
かまくら遊びなど雪国に住む者の遊びの文化を継承する権利があります。また、雪かきなど厳しい
自然環境に負けず、みんなで力を合わせて生きていく雪国の暮らしを学ぶことも大切です。この札幌独自の文化や厳しくも豊かな札幌の
自然環境などの恩恵を受けて、札幌の
子どもたちが伸び伸びとおおらかにたくましく育っていくための札幌の特色に即した権利として掲載しております。
また、8地球環境の問題について学び、豊かな環境を保つために行動していくことを挙げております。地球環境問題は、
子どもたち自身が未来において幸せに暮らしていくための最も基礎となる問題です。したがって、子どもは地球環境問題の大切さとそれに関する知識を学び、みずから環境保全のために行動することができるよう育っていく権利があり、大人にはそれを教えていく責務があることから、子どもにとって大切な権利としてここに挙げているものでございます。これらは、他都市にない、札幌市独特の項目でございます。
次に、右のページに移りまして、第4章 生活の場における
権利保障をごらんいただきたいと存じます。
初めに、第1節として、家庭における
権利保障を挙げております。
ここでは、保護者を子どもの養育、発達に対する第一義的な責任者としてその役割を明記しているほか、虐待、体罰の禁止、保護者への
子育て支援などを盛り込んでいます。特徴的な項目といたしましては、保護者の役割の2行目に子どもの思いを酌み取り、こたえていくということを挙げております。これは、例えば、言葉を発することができない乳幼児などの表情やしぐさから子どもの思いを酌み取り、それにこたえていくということを意識して表現しております。
次に、第2節として、学校や施設など育ち学ぶ施設における
権利保障を挙げております。
ここでは、子どもや保護者、地域住民に情報提供するなどの開かれた
施設づくりというものを挙げております。さらに、いじめの防止や虐待、体罰の禁止、また、それらが引き起こされた場合の
関係機関等との連携などが盛り込まれております。
次に、第3節として、地域における
権利保障を挙げております。
ここでは、地域で子どもが安心して過ごすことができる
人間関係をつくり上げる場として、子どもの居場所の整備に関する規定を挙げております。これは、単なるハード面だけではなく、時間や仲間などソフト面を含めてのものとなります。さらに、地域における
自然環境の保全、地域での子どもの見守りなど、安全、安心な地域という項目を挙げております。
次に、第4節として、参加、
意見表明の機会の保障に関する規定を挙げております。
初めに、市政、育ち学ぶ施設、市域での子どもの参加について規定し、次に市の施設の設置や運営に関する子どもの意見の反映というものを挙げております。これは、例えば
児童会館とか、学校、動物園、公園など、子どもが利用する市の施設について、できるだけ子どもが参加し、意見を聞いて運営や建設、改築などを行うべきというものであります。
次に、市が開催する
審議会等への子どもの参加を挙げております。これは、市が子どもにかかわる事項を検討する
審議会等を開催するときは、
子ども自身の参加についてできるだけ配慮することや可能な限り
アンケート調査などで意見を聞くことなど、子どもの意見を大切にしていくことを示す規定となっております。
最後に、参加、
意見表明に当たっての子どもの視点に立った
情報発信を挙げております。これら
審議会等への子どもの参加や子どもの視点に立った
情報発信などは、他都市には見られない条項でありまして、子どもの参加や
意見表明の機会の保障について、
最終答申書では手厚く規定していただいたと言ってよいと考えております。
次に、第5節として、障がいや民族、国籍、性別など、差別や不利益を受けやすい状況にある
子どもたちの
権利保障を挙げております。
ここでは、市民の役割と市の役割をあわせて掲載しております。この中で、概要版には詳しくは掲載しておりませんが、障がいのある子どもが尊厳を持って生活し、社会に参加すること。子どもが
アイヌ民族の生活、歴史、文化を学ぶことなどを市が配慮すべき
取り組みとして挙げております。
次に、第6節として、子どもの育ちや成長にかかわる大人への支援が挙げられております。
なぜ、子どもの
権利保障なのに大人を支援するのかと申しますと、子どもと直接かかわる保護者や
学校施設の職員などがストレスを抱えていては、真に子どもの権利を保障する環境にはならないのではということで、その大人たちを重層的に支援していこうではないかという観点からこの項目を特記されたものでございます。ここでは、育ち学ぶ施設の職員への支援、地域での市民の活動に対する支援がそれぞれ挙げられております。
なお、保護者への子育てに対する支援につきましては、第1節に掲載されております。
次に、第5章として、子どもの
権利侵害からの救済が挙げられております。
これは、子どもがいじめや体罰などの
権利侵害を受けた場合、その子どもに寄り添って相談を受け、調整を行い、そして、救済の申し立てがあったときには調査し、勧告し、
意見表明するなど、一連の権限を兼ね備えた、いわゆる子どもの
権利オンブズパーソン制度という特別な制度を設置するべきというものでございます。
なお、具体的な制度設計につきましては、札幌市の実情に合った効果的な制度にするため、新たな
審議会等を立ち上げ、1年をめどに創設すべきという提言をいただいております。
次に、第6章 施策の推進をごらんいただきたいと存じます。
これは、子どもの権利を尊重した施策の推進のほか、子どもの権利を保障するための総合的な推進計画の策定についての規定であります。
なお、
検討委員会では、子どもに関する総合計画であるさっぽ
ろ子ども未来プランがありますので、その後期の改定時に子どもの権利の理念を一層加えたプランを策定してはどうかという意見が出されていたところでございます。
次に、最後の第7章をごらんいただきたいと存じます。
子どもの権利の
保障状況を検証する子どもの
権利専門委員会の設置が挙げられております。この委員会では、子どもの
権利保障に関することがきちんと実行されているかどうか検証するものでございまして、委員には15歳以上の子どもも入れるべきと提言いただきました。
以上が、
最終答申書に盛り込まれている個別の各項目でございます。
なお、今後の予定でございますけれども、現在、市では、この
最終答申書をもとに、市民の皆様にお示しする
条例素案の作成準備を進めているところでございます。現在のところ、7月3日から8月1日までの期間で
条例素案の市民公表、いわゆる
パブリックコメントを実施したいと考えております。この
パブリックコメントにつきましては、通常の
意見募集資料のほか、
イラスト等を使用し、わかりやすくまとめた
子ども向け資料の作成も進めているところであります。これらの資料を広く
子どもたちに配布するなど、多くの市民から意見をちょうだいしたいと考えているところでございます。また、
パブリックコメントの実施後につきましては、お寄せいただいた意見に基づく
条例素案について議会でご議論をいただきたいと考えております。
今後とも、
条例づくりにつきまして、特段のご配慮と貴重なご意見を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○
高橋克朋 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
小須田悟士 委員 私から、
最終答申に関して、大きく4点、質問させていただきます。
まず、その第1点目でありますが、子どもの
権利条例制定検討委員会についてであります。
58ページの名簿のとおり、
検討委員会は25人の委員で構成されておりますけれども、まず、どのような考え方で、どういうような点に着目してそれぞれ選任されたのか。
また、13ページでは、この条例を実効性あるものとするには、子どもの権利についての広報、啓発が極めて重要とした上で、普及の場としては育ち学ぶ施設がとても重要な役割を担うと述べております。この育ち学ぶ施設の中心は学校であります。大学の教授と助教授が委員に4人も入っておりますが、札幌市で14万人余りの児童生徒の義務教育をあずかっている小学校長や中学校長の代表、それに札幌市の
PTA協議会からの
代表委員が入っていないのはなぜなのか、これを疑問に思いましたので、質問いたします。
次に、子どもの
権利条例に関する
最終答申の作成に向けて、58ページに記載のとおり、
起草委員として8名選ばれておりますが、だれがどのような考え方で、どういった点に着目してこの8名を選んだのか。また、札幌市の小・中学校の教員が
起草委員会に入っていないのはなぜなのか、これもお伺いします。
次に、昨年12月に出された
中間答申書や、今回出された
最終答申書に向けて、
検討委員会では
学校関係者、とりわけ学校長や
市PTA協議会の意見をどのように取り入れたのか、
検討委員会と校長会との
意見交換の場はあったのかについてお伺いいたします。
次、大きく2点目であります。
子どもの
権利条約と
条例制定の認知度、理解度と言った方がいいかどうかわかりませんが、これについてお伺いいたします。
昨年12月27日に出された
検討委員会の
中間答申の47ページでは、子どもの
権利条約についての認知度について触れております。平成15年度に実施した札幌市
青少年基本調査の結果を引用して、子どもの
権利条約について知っていると回答した子どもは小学生が3.9%、中学生が26.8%、高校生が38.2%であったということであります。そしてまた、
中間答申の初めの部分に書いてありますが、
検討委員会が活動していく中で、市民の中に子どもの
権利条約や
条例制定に向けての十分な理解がまだ育っていないことがわかった、そのため、
フォーラムを開催したり広報活動に努めたが、十分な
コンセンサスを得られたというにはほど遠い状況であると記述しております。今回、
検討委員会から出された
最終答申の1ページ目にも、平成15年度に行われた
市政世論調査では、
札幌市民の中での子どもの
権利条約に対する認知度は14.3%と、残念ながら市民に広く条約の趣旨が浸透しているとは言えない状況であったとなっております。こうした記述があるように、平成15年度の時点では、札幌市の子どもも大人も、子どもの
権利条約や
条例制定に向けての理解、認知度は極めて低かったのであります。
そうした状況を受けて、
検討委員会では、
条例づくりのための
フォーラムや
先ほどお話がありました懇談会などを開催してきたということでありますが、これらの
取り組みによって、
札幌市民の子どもの
権利条約や条例に関する認知度はどれだけアップしたのか、
条例制定に向けての市民の
コンセンサスが得られたと言えるのか、感覚的なものではなく、具体的に
調査データ等も含めて教えていただきたいと思います。
大きく3点目であります。
子どもの
権利条例の意義などに対する意見、感想についてであります。
63ページ以降に、たくさん寄せられております。
まず、18歳未満の子どもからの意見として重立ったものをちょっと申し述べたいと思います。子どもに権利があってもなくても、自分でしっかりしなくてはいけない、自分で強い意思を持ってしっかり相手の目を見て話した方が権利と言うよりいいとか、大人の話もまじめに聞かないような子どもがさらにわがままになってしまうかもしれないから、余り子どもにとって都合のよ過ぎる条例はつくらない方がいいといった意見が出されております。これは、子どもの意見であります。
そしてまた、大人からの意見として、67ページに、条例をつくる意味は余りない、現行政の枠内で十分に対応が可能である、また、子どもの安全・
保護条例とすべきだ、学校で生じた問題に関しては、基本的には学校と保護者で解決に当たるべきだ、第三者の介入、これは子どもの
権利オンブズパーソン制度を指しているものと思われますが、第三者の介入は学校に混乱をもたらす可能性がある、
中間答申における学校の状況の記述とPTAとして見る学校の状況には相違がある、きちんとした状況把握なしに
オンブズパーソン制度などの方策は拙速ではないか、もっと時間をかけて調査検討することが必要、まだたくさんありますが、このような意見が出ております。このような子どもと大人からの消極的な意見に関して、
最終答申書の作成に向けた
検討委員会ではどのような議論がなされたのか、少数意見として無視してしまったのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。また、理事者として、これらの意見をどのように受けとめているのかについてもお伺いいたします。
最後に、4点目でありますが、答申書に関する庁内議論についてお伺いいたします。
子ども未来局では、
中間答申書と
最終答申書を市の部長職以上の全員に配付している、そういうふうに聞いています。しかし、子どもの
権利条例制定に向けては、特にかかわりの深い
子ども未来局と
教育委員会の間は別として、庁内的にはほとんど議論がなされていないと聞いております。約1万5,000人の市の職員の中には、子どもの
権利条例に関していろいろな意見があるはずであります。それらを取り入れる仕組みが市内部にあるのかどうか。まさか、
パブリックコメントの機会があるから意見があるならそこで言えということではないと思います。
そこで、子どもの
権利条例の制定に向けて、子どもの
意見表明権の重要さをいうなら、職員による
意見表明権、職員同士の自由闊達な議論の場も保障されてしかるべきでありますが、どのような手段が用意されているのか、お伺いいたします。
◎加藤
子ども育成部長 まず、第1点目の
条例制定検討委員会についてでございます。
初めに、校長会及び
PTA協議会から委員が入っていない理由と
検討委員25名の選考理由でございます。
検討委員会設立に当たり、まず、子どもの
権利条約に造詣が深く、啓発活動などで中心的に活動されていた3名の方に
検討委員会発足までの世話人として就任を依頼しております。さらに、
学識経験者、
法曹関係者、
学校関係者、
福祉施設関係者等、各方面から
委員予定者のうちの約半数の11名を選考し、また、各
高等学校校長会の協力を得て、道立、私立、市立の各
高等学校から各1人、計3人の
子ども委員を選考いたしました。残る8人の
公募委員につきましては、応募者30名の中から小論文や年齢、性別、職業等をもとに、子どもとのかかわりなどについて幅広い構成となるよう留意しながら選考したものであります。これは、子どもの権利について見識を有することはもとより、
市民手づくりの条例を目指し、懇談会や出向き調査による札幌の
子どもたちの現状の把握、その後の
条例素案づくりまでを見据え、調査、執筆、
アンケートの分析等の実務的な作業を相当時間行うことが予想されましたことから、こうしたことを担えることを主眼において選考したものでございます。
また、8名の
起草委員につきましては、
最終答申書の作成に当たり、実務的な作業や多くの
打ち合わせ等が必要になることから、正副委員長のほかは自薦により決定しております。
なお、起草当初は8名の
起草委員が
素案づくりの実務を担い、4月以降は他の委員も自由に参加できる形で
起草ワーキングを行ってきたところでございます。
また、
検討委員会と校長会の
意見交換についてでございますが、昨年10月とことし5月に
教育委員会が主催した
校長園長会の役員等による
意見交流会における意見を
検討委員会に報告し、その趣旨をできる限り反映していただいたと考えております。
なお、市のPTAの関係につきましては、昨年7月に懇談会で
意見交換を行ったほか、本年2月には
市PTA協議会主催のシンポジウムに
条例制定検討委員会の委員長がパネリストとして参加し、直接、
意見交換を行っております。
次に、2点目の子どもの
権利条約と
条例制定の認知度についてでございます。
委員のご指摘がございましたけれども、平成16年1月の世論調査で知っているという14.3%は、そのとおりの数字でございました。そして、聞いたことがあるが、内容がよくわからないというのが38%でございました。札幌市におきましては、子どもの
権利条例の認知度が必ずしも高くないという状況を踏まえまして、平成16年度を普及啓発強化の年と位置づけ、また、平成18年度からは
条例づくりにあわせまして、さまざまな広報啓発活動を展開してまいりました。この間の活動を通じて、認知度がどれだけ高まったかと、どれだけアップしたのかということにつきましては、比較できる調査を行っておらず、数値を把握しておりませんが、今後、市民
アンケートなどにより調査を行ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、3点目の子どもの
権利条約の意義などに対する意見、感想についてであります。
まず、市民から寄せられた消極的な意見に対して、
検討委員会ではどのような議論がなされたかということでございます。
条例制定に関しては、
中間答申に対して積極的あるいは消極的なさまざまなご意見を数多くいただいたところでございます。
検討委員会におきましては、そうしたいろいろな意見を踏まえて
条例素案づくりを行ってきたものと考えております。
また、札幌市としましては、消極的なご意見があったことにつきましては、条例をつくる意義や必要性に対してのご理解をいただくための努力が十分ではなかったと受けとめ、今後、一層、あらゆる場面でそうしたことの普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、4点目の答申書に関する庁内議論についてでございます。
子どもの
権利条例の制定に関する庁内議論につきましては、
教育委員会と緊密な連携のもとで協議を行っているほか、次世代育成支援につき、総合的に協議を行うことを目的とする横断的な庁内部会を中心として議論を重ねてきたところであります。さらに、子どもの視点を取り入れた子どもに優しい
街づくりのためにどのような
取り組みができるのか、あるいは、自分の部署でどのようなかかわりが出てくるのかということにつきまして、庁内各部局に対して情報を提供し、活発な議論をお願いしているところでございます。
◆
小須田悟士 委員 何点かにわたって、再質問をさせていただきます。
まず、
検討委員会についてでありますが、委員の選任に当たって、市長が校長会代表者を委員に入れることに反対したという話が漏れ伝わっておりますけれども、事実かどうか、まずお伺いします。
もしそうだとすれば、市長が、
条例制定の機運を盛り上げていくには学校現場での普及啓発が大事だなどと言っておきながら、校長関係者を排除するのは矛盾している話ではないかと思います。
次に、子どもの
権利条約、条例の認知度に関してであります。
条例の素案について、本年7月にも
パブリックコメントを実施するとのことでありますが、ご承知のように、
パブリックコメントは、市民からの意見に行政が一方的に回答するだけで、それ以上のキャッチボールはできない性質のものであります。日本国憲法の中で、国民一人一人の基本的人権が保障されているのはだれしも認めるところでありますが、それなのに、あえて札幌市が子どもの
権利条約に関して条例を制定しようというなら、市民がそのことについて果たしてどう考えているのか、市民
アンケートを実施してはどうかと思うのであります。今おっしゃったように、平成15年度時点では極めて低かった子どもの権利に関する
札幌市民の認知度が、どれくらい変化したのか、あるいは、変化していないかについても知ることができるはずであります。
市長は、2016年夏季オリンピック札幌誘致に関して、市民の真意を知りたいということで市民1万人
アンケートを実施し、誘致反対が過半数を占めたという理由で誘致を見送るという政治判断を下しました。議会の意思ではなく、市民の判断を最終のよりどころにしたわけであります。であるならば、子どもの
権利条例に関しても、
条例制定に賛成なのか、反対なのか、今、制定する必要があるのかどうか、市民議論は尽くされているのかどうかといったことについて、ぜひ、市民多数を相手とした市民
アンケートを実施してはどうでしょうか。
きょうは市長が出席していませんので、
子ども未来局長に聞くしかないのですが、この点について、局長、よろしくご答弁のほどをお願いいたします。
もっとも、ことし2月から3月にかけて実施された自治基本条例の素案に関する
アンケートのように、1万4,000人もの市民を対象に意見を募集しながら、回答者はわずか1,900人余りで回答率14%と、極端に低かったにもかかわらず、条例の必要性は7割を超えたというようなことだけを宣伝しても困るわけでありますが、この点について局長にお願いいたします。
次に、子どもの
オンブズパーソン制度についてであります。
最終答申書の42ページによりますと、川崎市や兵庫県の川西市では、
オンブズパーソン制度を設置していて実績を上げているとのことでありますが、いじめや虐待などで子どもの権利が侵害され、それがこの
オンブズパーソン制度で救済されたという具体的な事例を幾つか挙げていただきたいと思います。
また、
検討委員会では、この
オンブズパーソン制度は今やグローバルスタンダードになっているすばらしいものだというふうに宣伝しておりますが、物事にはすべてプラスとマイナス面があります。調査、調整、勧告などの権限を行使する上で、調整を果たせなかった、あるいは、逆に問題がこじれたという前例もあるのではないかと思いますが、その点について事例があればご報告をしていただきたいと思います。
◎飯塚
子ども未来局長 私の方から、ご質問のありました2点につきましてお答えをさせていただきます。
まず、1点目でございますけれども、
検討委員会に学校長が入らないということについて、校長会で反対したかどうかということの確認でございます。
私が今まで聞くところでは、校長会として反対をしたというようなことは聞いておりませんし、また、そのようなことはなかったというふうに認識しているところでございます。
次に、2点目の認知度について低く、そういうことに関して市民の
コンセンサスが得られているのか、そうであるならば市民
アンケートを実施したらどうかというご質問でございます。
先ほどの部長の方からの答弁の繰り返しになるところも一部あるかというふうには思いますけれども、一つは、
中間答申書が出た時点でいろいろとご意見をいただいた、また、今後
パブリックコメントで市民のご意見をいただくことになっております。その中で、両方とも、市民の方々からの自由記載欄ということで、自由にご意見を書いていただく、そういった欄も準備をしております。そして、その意見を取り入れながら条例に生かしていきたいということも一つございます。また、先ほどの答弁でお答えしましたように、今後は、市民
アンケート等によりまして、その認知度がどう浸透しているのかといったことについてもやっていきたいというふうに思っております。
◎加藤
子ども育成部長 オンブズパーソン制度の具体的救済事例ということについてでございます。
一例を挙げますと、兵庫県川西市におきまして、いじめによる不登校に関する事例について、それが改善されたということが報告されております。それから、調整不能、逆に問題がこじれた事例があるのかというようなことでございますが、その辺のところは把握しておりませんけれども、一般にいじめや虐待など
権利侵害への対処は極めて複雑で、慎重な対応を求められる場合が多く、1年以上の長期にわたり、継続して対応が必要な場合も現実には存在しているというような報告もあわせて承知しております。
◆
小須田悟士 委員 ちょっとしつこいのですが、条例案づくりについて、再度、質問いたします。
今後、市は条例案をつくって、ことしの3定に提案する方針のようでありますが、せっかく子どもの
権利条例を制定しても、学校現場の協力がなければ条例はほとんど実効性を持たないものになるのであります。その意味で、条例案づくりに当たっては、しっかり校長会やPTAの意見を聞くべきと思いますが、具体的に、どの時点で、どのような手法で意見を取り入れていく考えなのか、まずこれを伺います。
また、
最終答申書では、45ページに、条例に基づく施策の実施状況を検証するために、子どもの
権利専門委員会を設けることを提案しております。子どもの
権利専門委員会については、人権、福祉、教育などの分野から市長が委嘱するとされているのでありますが、当然のことながら、学校の管理職を含む教員が委員として入るべきものと思いますが、現時点での考えをお聞かせいただければと思います。
◎加藤
子ども育成部長 先ほどもご説明いたしましたが、7月には
パブリックコメントの実施を予定しているところでございます。その際には、
教育委員会と連携して行うことはもちろん、校長会の皆様方にも趣旨を説明して協力をいただきたいと考えているところでございます。
それから、検証の専門の審議会あるいは諮問機関というようなものでございますが、今のところは答申書をいただいたということで、まだその中身について具体的な検討に入っているわけではございませんが、答申書にもあるような幅広い、あるいはバランスのとれた人材の活用は当然だと考えておりますので、趣旨も踏まえながら今後検討してまいりたいと考えております。
◆
小須田悟士 委員 要望です。
子どもの
権利条例制定に当たっては、これまで、校長会を初めとする教育関係者との意見をどれだけ取り込んできたか、また、市役所内でどれだけ議論がなされてきたのか、先ほどからの答弁を聞いている限りでは非常に疑問を感じた次第であります。
そこで、2点、要望しておきます。
まずは、条例案づくりに当たっての
学校関係者との
意見交換についてであります。
昨年の12月に
検討委員会から
中間答申が出された段階において、校長会などから条例の制定に関して慎重な意見が出されたのでありますが、それを聞いた市長が何と言ったかといいますと、
検討委員会のメンバーに入れてもらえなかった校長会がへそを曲げているのではないか、そう言ったと言われております。最初から
検討委員会のメンバーに入れることを拒否しておいて、こんな言い方もないもんだなと私は感じた次第であります。いじめや虐待に苦しんでいる子どもを救済するのがこの条例の大きな目的だと言うのですが、校長会を仲間外れにするのは、これこそいじめ以外の何ものでもないと思います。
先ほど述べたように学校現場の協力と理解がなければ、この条例はつくっても何の意味も持たないのでありますから、条例については素案作成段階から校長会やPTA組織としっかり
意見交換の場を設けていただきたいということを強く要望します。
2点目ですが、庁内議論についてです。
先般、6月19日の局長会議の席で、市長は、自治基本条例や市民活動促進条例、それに子どもの
権利条例の3条例に関して、職員の認知度、理解度が低いという道新の記事を受けて、職員が市民から条例について聞かれても答えられるように学習してほしい。OBも含めてと。何でOBかわかりませんが、そう語ったとされております。
子どもの
権利条例について学習することは結構でありますが、最近、庁内では、市長は職員から意見されると露骨に嫌な顔をするとの風潮が広まっております。市民議論も必要でありますが、職員間での議論も大変重要なことでありますので、職員が自由に意見が言い合える雰囲気づくりを
子ども未来局として保障していただくよう強くお願い申し上げ、質問を終わります。
◆林家とんでん平 委員 私の方からも、何点か質問させていただきます。
ちょうどここへ来る前にインターネットのニュースをちょっと見ていましたら、新しいニュースですが、全国の2004年度の虐待の人数が3万人を超えたということが載っていたのですね。特に6歳未満のお子さんの数字ですけれども、そういうことが載っていたものですから、何らかの方法で子どもを守らなければいけない、そういうことがあるのではないか、それも早期にということを感じるわけです。そういう意味でも、子どもの
権利条例というのが早期に進むことが必要ではないかなと思います。
この子どもの権利
条例づくりがスタートしてから、ほぼ1年、この間、資料に目を通しますと、
検討委員会が19回、懇談会が23回、出向き調査22回、それから、正副委員長・部会長会議、それぞれいろいろなものがあって、先ほどもお話しいただいたように合計115回行われてきたと報告されました。単純に計算すると、3日に1回、いろいろなことがやられてきたのかなと思います。本当に精力的に、大変なご苦労があったのではないかなと、まずもって関係者に敬意を表したいなとそう思っております。
子どもの
権利条約は、子どもの権利が子どもを取り巻くあらゆる場で実現されることを求める条約で、1989年11月20日に国連総会で全会一致で採択されたと伺っております。日本では、1994年に、国会において、すべての政党の賛成で
権利条約が批准されております。
そこで、質問でございますが、我が国が子どもの
権利条約を批准した後、政府は各自治体に対する
取り組みをどのように指導してきたのか。例えば、何か通達のような文章が出されているのか、伺いたいと思います。
また、この条例の具体的な
取り組みをするために、国の補助金等はどのようになっているのか、札幌市はこうした補助金をどのように取り込み、使用してきたのか、お伺いをしたいと思います。
質問の第2点目は、子どもの
権利条例の制定に向けて、札幌市の
子ども未来局と
教育委員会はこれまでどのような連携を図ってきたのか、これも伺いたいと思います。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の子どもの
権利条約に関する政府の
取り組みについてでございます。
初めに、条約を批准した後の政府の
取り組みでございますけれども、条約発効の直前、平成6年、1994年でございますが、5月20日付で、各都道府県
教育委員会、知事等に対しまして、文部事務次官から、一層子どもの基本的人権に配慮し、一人一人を大切にした教育を行うこと、教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただく必要があることなどを内容とする通知を行っております。そのほか、児童福祉週間において条約の普及啓発に努めることや、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針において、子どもの
権利条約の理念を生かし、子どもの視点に立った
取り組みを推進する必要があることなどについて各自治体に要請しております。
また、条約普及のための国庫支出金でございますけれども、国では自治体の人権啓発活動事業に委託費支出しておりまして、札幌市におきましても、平成12年度から当該委託費を毎年250万円ほど受けて、条約パンフレットの作成、
フォーラムの開催など子どもの権利に関する各種啓発事業を展開しているところでございます。
次に、2点目の
条例づくりにおける
子ども未来局と
教育委員会との連携についてでございます。
子ども未来局と
教育委員会が連携して取り組むことは欠かせないことであり、これまでも
教育委員会職員が
検討委員会に同席するなど、ともに
条例づくりを進めてまいりました。そのほか、最近の主な連携の内容といたしましては、昨年12月に
条例制定検討委員会が作成した
中間答申書につきまして、市立の小・中学校において、全児童生徒への子ども用概要版の配付、意見集約をしていただいたほか、本年2月に立ち上げた
子ども委員会の事務局を
子ども未来局と
教育委員会がともに担い、毎回の
子どもたちの活動をサポートいたしております。また、条約啓発パンフレットについて、
子どもたちの意見や人権擁護委員を初めとする専門家の意見を聞きながら、
教育委員会とともに改訂版を作成したほか、
教育委員会では、子どもの権利をテーマとした授業展開例を作成し、本年4月に各小・中学校に配付したところでございます。今後も、
パブリックコメントの実施、さらには
条例制定後の普及啓発に至るまで、一層の連携強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
◆林家とんでん平 委員 平成12年から250万円が入って、パンフレット等でいろいろ啓発事業をしてきたと。そして、
子ども未来局と
教育委員会がうまく連携をしながらやってきている、そういう経緯が感じますけれども、この後がとても大切になってくるのではないのかなと思うのです。
さて、再質問ですが、
最終答申の中に、子どもの
権利侵害からの救済のために、子どもの
権利オンブズパーソン制度の必要性について記載されております。現時点では、札幌市はこの制度をどのように位置づけているのか、これをお伺いしたいと思います。例えば、個別条例で位置づけるのか、それとも総合条例の中で位置づけるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
◎加藤
子ども育成部長 オンブズパーソン制度の位置づけについてお答えいたします。
検討委員会からは、
権利侵害からの救済に関しまして、相談・調整機能のほか、勧告や
意見表明など一連の権限を背景に、子どもに寄り添い、子どもの立場になって活動する制度の創設について提言をいただいております。
札幌市といたしましては、子どもの
権利侵害に対して、迅速で適切な救済を図るための制度を速やかに設けることは不可欠であると認識しておりますので、求められる救済制度の内容や既存の相談救済機関との役割分担等について、委員ご指摘のとおり、どのように条例の中に位置づけるかを含めまして、各方面からのご意見をいただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
◆林家とんでん平 委員 7月3日から8月1日まで、子どもの
権利条例制定に向けた
最終答申に対する
パブリックコメントが実施される予定だということでございますけれども、その具体的な内容、配付箇所などはどのようになっているのか、これを最後にお聞きしたいと思います。
◎加藤
子ども育成部長 パブリックコメントの具体的な内容等についてお答えいたします。
現在のところ、
パブリックコメントは、ご案内のように、7月3日から8月1日までの30日間実施する予定でございまして、一般用、子ども用の資料をそれぞれ作成し、ホームページや広報さっぽろ7月号への掲載、マスコミを通じての広報など市民に広く周知してまいりたいと考えております。これらの資料につきましては、区役所やまちづくりセンター、
児童会館などの公共施設のほか、市内の児童生徒、
学校施設の職員、保護者、子どもにかかわる各関係団体・機関等に広く配付し、意見募集を呼びかける予定でございます。現在、
教育委員会を初めとする関係機関と連携して準備を進めているところでございます。
さらに、意見募集期間には、各区民センターや本庁舎においてパネル展を開催するほか、人形劇を交えた子どもの権利、子ども
フォーラムを10カ所の
児童会館で開催するなど、子どもの権利についての関心を高めるための
取り組みを積極的に進めたいと考えております。
◆林家とんでん平 委員 要望でございますが、
パブリックコメントでどれだけ回収されて、どれだけ認知されていくかがとても大切だと思うのですね。それは、やはり速やかにうまい方法でやっていただければなと思います。冒頭にお話ししたとおり、子どもが虐待等で苦しんでいるという状況もきちっと数字の中で出てきているわけですから、ぜひ早い、速やかな
条例づくりを進めていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
◆高橋功 委員 私からも、3点、お伺いしたいと思っています。
きょうは、
検討委員会が5月30日に出されました
最終答申書のご報告ですから、改めて条例案なるものが正式にきちっと出れば、それはそれでまた向かっていく先はそっちになるから、責任を持ってまた答えてもらわなければならんのだけれども、そういう意味では
検討委員会の人がいるわけではないし、だれに向かって、何を聞くんだと思いましたけれども、そうは言いながらも、
検討委員会の
最終答申を受けて、市が責任を持って、きょうこうやって委員会に報告をされているのだから、それを踏まえて、3点、お伺いをしたいと思います。市の見解などを改めて確認させていただくことがあると思いますので、よろしくお願いいたします。
1点目は、子どもの
権利条例が仮に制定されたとして、今の子どもを取り巻く権利の侵害の状況、子どもの権利の侵害の状況について、やっぱりその一番の原因となっているのは子どもではなくて大人なのだろう、私はこう思うんですよ。子どもが子どもの権利を侵害するということもあるかもしれませんよ。何々ちゃんが何々ちゃんの権利を侵害することはあり得る。けれども、大方はやっぱり我々大人なんでしょう。子どもの権利を尊重していない、し切れていない、
意見表明権を十分確保してあげられていない、虐待も含めてということは、やっぱり、大人なのではないかと私は思うんですね。
そういう意味では、学校の教育現場にしても、どこにしても、地域にしても、子どもには、恐らく、これ制定されれば、こういうのができたんだよ、市議会のおじさん方、おばさん方が一生懸命にこうやってつくってくれましたよ、君たちにはこういう権利があるんだ、人間として当然生きていく上でというような話は多分されるでしょう。多分、進んでいくんだと思いますよ。だけど、それはだれが教えるんだ。子どもが子どもに教えるのか。そんなことはない。我々大人が教えるんでしょう。
ということからすると、私が大変懸念しているのは、大人にどうやって意識変革させるのか。さっきも小須田委員からいろいろ議論がありました。市の職員や学校の教師や地域の子どもにかかわっている人たちや、そういう大人の意識変革を具体的にどうやって進めていくのか、どういうふうに取り組んでいくのか、この辺が私にはまだ見えてこないので、この辺のお考えがあったら伺いたいのが1点です。
2点目は、当たり前の話ですが、あえて確認をさせてもらいます。
子どもが子どもの権利を行使するに当たって、いいかい、あなたにも権利があるけれども、君の権利だけではなくて、他人にも、自分以外の他人にも権利があって、それも尊重されるべきなんだよということを教えていく、子どもに正しく理解をさせることが当然必要だと私は思いますが、そんなこと聞かなくてもわかっているのかもしれないけれども、改めて市の見解を伺っておきたいと思います。
3点目は、いじめについて。
いじめについてはいろんなことが議論されていますし、実態についてもいろいろ伺ってまいりましたけれども、私は、今の風潮の中で、ともすると、被害者というか、いじめの受ける側にもそれなりの理由があるんじゃないかとか、あの子はいじめられても仕方ないなとか、落ち度があるんじゃないのか、いじめられるにはいじめられる理由があるんじゃないかと、こういう風潮が全くないとは言えない。中には、テレビでそんなようなことを言っている評論家もいて、僕はびっくりしました。何人かの人と話しても、ああいう姿勢ではいじめられるみたいな論調がないとは言えない。
私は、そこが既に間違っていると。いじめというのは、被害者は悪くない。加害者、いじめる側が100%、120%、150%悪いんだということの認識に立たないと、いじめは絶対なくならない。だって、それでは理由によってはいじめが肯定されるということにつながるからね。
私は
最終答申をずっと読ませていただいて、多分、そんなことは当たり前だから書かなかったのかもしれませんが、残念ながら、
最終答申書には、今、私が申し上げているようなことに関する記述はほとんどない。このことについて、市の見解をちょっと伺いたい。
この3点を伺いたいと思います。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の大人の理解を深めるための
取り組みについてでございます。
委員ご指摘のように、子どもの権利をしっかりと保障していくために、とりわけ大人が子どもの権利を正しく理解することがとても重要であると考えております。
最終答申書には
条例制定の意義の一つとして、子どもの権利の理解、促進を挙げているほか、第2章
権利普及におきまして、市民が子どもの権利を正しく理解するための市の支援についての規定を盛り込んでおります。
札幌市といたしましても、子どもの権利が常に意識され、理解が深まるよう、広報啓発を初めとしたさまざまな
取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の自分の権利行使と他人の権利尊重との関係についてであります。
委員ご指摘の子どもが権利を行使する際には、自分と同じように相手の権利も尊重しなければならないことを理解する必要があることにつきましては、
最終答申書におきましても同趣旨の記載がございます。
札幌市といたしましても、同様の認識を持っているところであり、子どもの権利学習を通じて、子どもがお互いの権利を尊重することを理解するよう取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、3点目のいじめについての札幌市の認識についてであります。
ご指摘のとおり、いじめは重大な人権侵害であり、どのような理由であれ、あってはならないものと認識しております。
最終答申書では、いじめ、虐待、体罰などから心や体が守られることが子どもにとって大切な権利として挙げられており、これは子どもを含めただれからもいじめを受けないことを明確に打ち出したものでございます。
札幌市といたしましては、この趣旨を十分尊重して、条例化することで委員ご指摘の趣旨は反映されると考えているところでございます。
◆高橋功 委員 1番目のさまざまな
取り組みを積極的にと、僕は条例案がいつ出てくるか知りませんけれども、出てきたときには、改めて、本当に具体的に、だれが、どうやって、どういうふうに、どの時間でと、こういう議論までしていかないと、さまざまな
取り組みを積極的にということだから、もうちょっと突っ込んだ話は次回にぜひやらせてもらいたいと思っています。
それから、三つ目のいじめの話は、加藤部長がおっしゃったとおりだと私は思っています。やっぱり、本当に、今こうやって議論すると、いじめが悪いんだ、いじめはしちゃいけないと書いてある。そんなことは当たり前なんで、してもいいなんていうのは見たこともないからね。だけど、それが本当に、私はさっき懸念を言いましたけれども、ともするといじめはしょうがないよなみたいなところがあったんではいかん。僕は、ここをもうちょっと色濃く出してもいいなというふうに思っています。これもまた、条例案のときには議論させてもらいたいと思っています。
そこで、ぜひもう一度伺っておきたいのですが、私が聞いた二つ目です。何であんな当たり前のことをわざわざ確認したかというと、
最終答申書の3ページに、多分、加藤部長がお答えになったのは、権利と義務についての1権利と権利の調整という項がありまして、ずっと読んでいきますと、この議会でも1定の予算特別委員会でこういう議論がありましたよ。子どもに権利を認めたら、子どもがわがままになってしまうんではないかとか、権利というものを子どもに教える前に義務を教えろ、こういう意見があった、現実に。議事録を見たらわかる。それが、子どもの
権利条例にどちらかというと消極的な人たちの一つの意見になっている。
この答申書を読んでいくと、そうでないんだと、何を言っているんですかと、その反証する根拠として、子どもに権利を認めたらわがままになるとか、権利より先に義務ではないか、こういうことを言う方に対しての反証として何と言っているかというと、自分の権利主張が尊重されると同じように、相手方の権利も尊重することが必要ですと。全くそのとおりだ。そして、権利と権利が衝突する。権利と権利がぶつかることがありますね、大人だってあるんだ。そういう権利と権利が衝突する具体的場面においては、両者の調整が行われなければならない。これも当たり前だ。このことから、権利を行使する際には、他人との関係性の中で制約を受けるのは当然のことだ、こう言っている。私もそのとおりだと思う。あり得るでしょう。僕には権利があるんだと言って、それだけ主張したって、それは相手の権利を侵さない範囲内なんだよということは当然ですよ、それは。ここまではいい。
ところが、すごく私は気になることがあって、1の一番下の段、最後の4行、「また、子どもは」云々と書いてあって、「子どもに『他人の権利を尊重しなければならないこと』を義務と称して先に教えようとすると、豊かな人権感覚は育ちません」だよ。ちょっと待てよと。他人の権利を尊重しなければならないことを先に教えたら、ろくな人間にならないと言っているんだよ。言葉がちょっと悪いけれども、そう読める。私はそう読んだ。私はそう読んだよ。普通にこの文章を読んだら、だれが書いたか知りませんよ、でも、だれがという問題じゃないんだ。
検討委員会の
最終答申書なんだから、
検討委員会としての意見は、他人の権利を尊重しなければならないことは先に教えたらだめなんだみたいな、ということは、権利を先に教えて、その後に、いいかい、権利が君にあると同時に他人の権利があるんだよ、尊重されなければならないと。時間差はあるのか。それはないんじゃないかと私は思う。だから、私はさっき引用したが、権利を教える前に義務を教える、こういう立場にも立ちませんよ。それも極端だ。それは私も違うと思う。権利の前に義務を教える、これは違う。でも、この
最終答申書の他人の権利を尊重することを先に教えたら豊かな人権感覚は育たない、これも違うんじゃないんですか。
これは、ちょっとやっぱり、だから、さっき部長にあえて確認したんだ。自分みずからの子どもの権利、子どもに限らないけれども、権利は他者との権利の尊重と同時でなければならないのではないのか。矛盾しませんか。
恐らく、これを書いた人は、どちらかというと、まず子どもなんだから、権利があるんだよ、権利は行使できるんだよということをしっかりと教え込んだ上で、自己肯定感、自尊感情というのを持つことで、初めて他人を大事にする心が醸成されていくんだというふうに思っていらっしゃるのかもしれませんが、後先の問題ではないんではないですか。
私はこう思いますが、この点、ここの文言、さっきの答弁とあわせて矛盾しませんか。札幌市も、正式見解として、他人の権利を尊重する前に自分の権利なんですよという立場に立つんですか、それとも、私の読み方が違うんですか、見解を伺いたい。
◎加藤
子ども育成部長 権利と義務の関係につきまして、多方面からさまざまなご意見をいただいているところでございまして、
検討委員会におきましても、多くの時間をかけて慎重にご議論をいただいてきたところでございます。
ご指摘の文面でございますけれども、子どもが相手の権利を尊重することを理解するためには、自分の権利が尊重されていること、実感することが大切だということを表現しているものと考えております。権利の行使を行う際の自分の権利と相手の権利の尊重については、前後の問題ではないということを
検討委員会でも十分認識されていたところであり、札幌市といたしましてもそのように考えております。
◆高橋功 委員 やっぱり、前後ではないんですね。
検討委員会でもそういう議論があったんですね。市の見解もそういうことなんですね。
でも、この先、おれは何も言葉じりとか揚げ足をとる気はないけれども、この表現はやっぱり違うと思うよ。先に教える、先にこういうことを教えようとすると豊かな人権感覚は育たないというんだもの。それを、今、部長が答弁したように、いやいや、そうでないんですと、自分の権利もある、他人の権利も尊重されるというのは言わずもがななんですと、そうとってくださいと言うんでしょう。そう言ったんだもの。そうとってくださいと。やっぱり、おれはとれないもの。私があまのじゃくでないと思うよ。普通に読めば――これ以上は、冒頭に言ったように、
検討委員会のつくった答申書だから、これがあんたたちがつくった条例案だったら、この条例案はここのところを削除しなかったらだめだとか言えるけれども、そうではないからきょうはそこまで言わんけれど、ちょっとその辺のところは誤解受けるし、ここはもう一回考えるべきだと思うな。
局長、どう思う。それだけ聞いて終わる。
◎飯塚
子ども未来局長 先ほどの答弁の繰り返しになるかというふうに思いますが、ここの自分の権利と他人の権利を双方ともに尊重するという部分でございますけれども、どちらが先ということではないというふうに考えております。これは、当然、両方大事ということだというふうに私も思いますし、また、そうあるべきだというふうに思っております。
◆伊藤理智子 委員 子どもの
権利条例の
最終答申について、私からも質問させていただきます。
質問の第1は、子どもの
権利条約との関連についてです。
先ほどもありましたけれども、1994年に国連の子どもの
権利条約を日本が批准しましたが、子どもの
権利条約は、子どもを保護の対象としてではなく、権利の主体としている点に特色があるという内容を踏まえて、国会ではすべての政党が一致して批准しています。
そこで、質問ですけれども、子どもの
権利条約は子どもを権利の主体としていると思うのですが、札幌市としての基本的な認識を伺います。
質問の第2は、子どもに権利を与えるとわがままになるという議論についてです。
最終答申の第3章 子どもにとって大切な権利では、
子ども委員の意見として、「
条例づくりで考えている『子どもにとって大切な権利』は、人間であればだれでも基本的に認められているものであって、子どもだけ特別に認められるのではありません。だから、これ以上子どもに権利を与えたら子どもがわがままになるというのは間違いだと思います。逆に、これらの権利がなければ、子どもの虐待やいじめ、自殺が起きるかもしれません。これらは基本的人権なのだから子どもが自分の権利を知っていて当然だと思います。」という意見が載っています。札幌市の子どもで、この
条例づくりに参加している当事者がこんなにすばらしい意見を言っています。現状では、虐待やいじめ、自殺がないとは言えない状況であり、子どもの
権利条例をつくることの必要性は強く求められているのではないでしょうか。権利は、人間として認められて当然のものであり、わがままとは別次元のものだと思いますがいかがか、伺います。
また、ある人の権利と別の人の権利がぶつかり合ったときこそ、他人の権利を尊重し、思いやる心が生まれるのだと思います。理事者は、子どもの権利を認めたら子どもがわがままになるとお考えですか、明らかにしてください。
質問の第3は、第5章の子どもの
権利侵害からの救済についてです。
先ほどからの議論にも出されておりましたけれども、兵庫県川西市では、1998年に子どもの人権オンブズパーソン条例をつくっています。その実践を記録した本が出版されています。私もこの本を読ませていただきましたが、最初の1年間で92件の案件について300回の相談が行われております。05年度は、213件の案件について558回相談が行われております。その実践は学ばされることがたくさんありました。
川西市の実践では、オンブズパーソンについて、その本にはこういうふうに書いてありました。人と人とをつなぐ役割であるということです。子どもが何らかの問題に直面したとき、周りの大人がお互いを信頼し合い、つながり合って子どもを支援していけるかどうかが重要な問題になります。大人同士がよいつながりをつくっていれば子どもが楽になるし、そうでなければ子どもは傷ついてしまいます。しかしながら、ややもすれば、子どもが困難な状況に陥ったとき、大人同士が対立し合うという傾向があります。しかし、どちらも子どものことで悩んでいたり、十分な意思疎通が行われていないために対立してしまうことが多いのです。そんなときに、双方に耳を傾け、双方がお互いの考えや思いを聞き合える関係をつくることで相互理解が生まれ、そのことが子どもにとっていい影響を与えていきますと書いています。
その役割を果たすのがオンブズパーソンです。問題が起きたとき、お互いを尊重しながら、子どもの立場に立って問題を解決していけるというこの制度は、札幌市でも子どもの権利救済制度として
最終答申案に出されておりますが、しっかり位置づけるべきと考えますけれども、札幌市のご見解について伺います。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の子どもの
権利条約との関連についてでございます。
委員ご指摘のとおり、子どもの
権利条約は、子どもに対する考え方の極めて長い歴史的な経過を踏まえ、子どもを保護の対象としてだけではなく、権利を行使する主体として明確に位置づけております。札幌市におきましても同様に考えてございます。
次に、2点目の子どもに権利を認めるとわがままになるのではないかという議論についてでございます。
検討委員会では、権利とわがままの関係について多くの時間を費やして議論をしておりますが、委員ご指摘の権利とわがままは別の次元のものであるということにつきましては、委員と同様の認識であると考えております。また、
最終答申書でも触れられておりますように、子どもが自分の権利を正しく学び、そして、権利を行使するときは、自分と同じように相手にも権利があり、お互いの権利を尊重することの大切さを身につけることで、権利とわがままの区別をきちんと理解した子どもに育っていくものと考えております。
次に、3点目の子どもの
権利侵害からの救済制度についてであります。
先ほど林家委員のご質問にもお答えしましたとおり、札幌市としましても、現実に
権利侵害で苦しんでいる子どもを迅速で適切に救済するための制度を速やかに設けることは不可欠であると考えておりますので、今後、各方面からのご意見をいただきながら具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
◆伊藤理智子 委員 すべての政党の一致で批准された子どもの
権利条約の精神は、子どもを権利の主体と位置づけているという認識を札幌市も持っているということでよろしいですね。
最終答申でも、子どもの人権の尊重は、すべての人権課題の基礎であると言っています。権利を尊重し合える人間らしい温かい
街づくりと、札幌の子どもを市民みんなで大切にし、幸せにすることにつながるこの条例は、だれからも歓迎される条例ではないでしょうか。こうしたことから、子どもの
権利条約の精神を生かす条例とすべきと考えますが、いかがか。また、条約の精神を生かすなら、子どもの
権利条例と明記すべきですがいかがか、伺います。
次に、第4章 生活の場における
権利保障の第6節子どもの育ちや成長にかかわる大人への支援についてですが、子どもの権利を守るためには、
子どもたちにかかわっている大人の権利も尊重されなければなりません。私も子どもにかかわる保育士の仕事をしてきましたので、ここのところが大変重要だと考えております。施設設置管理者は、子どもの育ちにかかわる職員が心に余裕を持って十分
子どもたちとかかわれるよう、必要な職場環境の整備に努めなければなりませんとうたっています。
先ほども紹介しましたが、第3章の
子ども委員の意見で、子どもにとって大切な権利は人間であればだれでも基本的に認められているものと言っています。子どもにかかわる大人の権利が侵害されていては、子どもの権利についても尊重されることは難しくなります。現状では課題が山積していますので、子どもの育ちにかかわる大人の支援についてもしっかりと条例に反映させるべきと考えますが、札幌市のお考えを伺います。
もう一つ、再質問したいと思います。
子どもの
権利条例の内容をできるだけ多くの市民、
子どもたち、子どもにかかわる大人に知らせていくことが重要だと考えております。これから行われる
パブリックコメントとあわせて、今後どのように知らせていこうとしているのか、伺います。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の条例の名称等についてのご質問でございます。
札幌市としましては、子どもの
権利条約の理念を家庭、
学校施設、地域など、子どもが生活するあらゆる場で、札幌の現状に即して具体化していくことが必要であると考えております。このことから、条例には条約の精神を生かすとともに、市民の皆様に子どもの権利について正しく理解していただくためにも、条例の名称には権利という言葉を明確にしていきたいと考えております。
次に、2点目の子どもの育ちや成長にかかわる大人への支援についてであります。
検討委員会からは、毎日の生活を子どもとともにする大人がストレスを抱えていては、子どもが健やかに育つことも考えにくくなるとして、子どもにかかわる大人を重層的に支援する必要があると提言をいただいております。
札幌市といたしましても、子どもの権利の保障を図るために、子どもの育ちや成長にかかわる大人を支援していくことは大変重要であると考えておりますので、
条例素案には、答申書の趣旨を尊重し、保護者、育ち学ぶ施設の職員、さらには、地域で子どもにかかわる市民それぞれに対する支援について盛り込んでまいりたいと考えております。
最後に、3点目の条例の内容に関する市民への周知についてであります。
先ほどの林家委員のご質問にもお答えさせていただきましたが、まずは、このたび作成する
条例素案について、
パブリックコメントとして子どもを含む多くの市民に周知し、ご意見をいただきたいと考えております。さらに、
パブリックコメントの後につきましても、市民の皆様すべてが子どもの権利を尊重した
取り組みを行っていただくため、札幌市としましてはさまざまな方法を用いて、積極的に広報、普及に努めてまいりたいと考えております。
◆伊藤理智子 委員 子どもの
権利条例制定に向けて、
検討委員会では、
最終答申の報告にも出ておりますけれども、懇談会、出向き調査、
フォーラムや市民
意見交換会を開き、熱心に議論を積み重ねて、当事者である
子どもたちの意見もよく聞いてつくられた
最終答申です。
子どもたちを権利の主体としてはぐくみ尊重していくことは、
札幌市民である私たち大人にとっても、権利について考え、お互いを尊重し合える人間として大切なことを考え合えるきっかけになると考えます。心の通う温かい
街づくりにもつながるとても重要な条例だと考えますので、
最終答申で示された内容をしっかりと生かし、権利を明記した条例を制定するよう求めて、私の質問を終わります。
◆佐藤典子 委員 私からも、何点か質問させていただきます。
市民ネットワークは子どもの権利
条例づくりにおきまして、市民参加でやるべきであるということ、そして、特に子ども当事者の参加を欠かすことはできないということを主張してまいりました。
条例制定に向けまして、子どもの声を聞き、子どもの意見を反映するため、この子どもの
権利条例制定検討委員会においては、懇談会や出向き調査、
アンケート、
フォーラムなど、精力的にさまざまな
取り組みを進められてこられたことを高く評価しているところであります。特に、子どもの
権利条例制定検討委員会におきましては、25名の中に3名の高校生が参加していること、また、
子ども委員会は小学5年生から高校3年生まで32名で構成され、さまざまな議論を重ねながら子どもの権利
条例づくりにかかわってきたということを伺い、また、傍聴などもさせていただいてきました。
そこで、子どもの参加がどのように行われたのかということに関しまして、以下、質問をさせていただきます。
今回の
子どもたちの声や意見、このような声が今回の
最終答申にどのように生かされ、盛り込まれたのか、まず1点、それを伺いたいと思います。
あわせて、この間の子ども当事者の参加について、
子ども未来局ではどのように評価され、課題としてどういうことを受けとめておられるのか、伺いたいと思います。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の
条例づくりにおける子どもの参加についてであります。
初めに、
最終答申書への子どもの意見の反映についてであります。
先ほどの概要説明でも触れましたように、
最終答申書の第3章 子どもにとって大切な権利につきましては、
子ども委員会での議論をもとに
検討委員会で整理し、掲載されたものでございます。また、
検討委員会が昨年12月に作成した
中間答申書に対して、子どもから500件余りのご意見をいただきましたが、これらの意見につきましても答申書の全般に反映されているところでございます。
次に、
条例づくりにおける子どもの参加についての評価と課題についてお答えいたします。
検討委員会において、3人の高校生委員には、子どもの視点からの意見を積極的に言っていただいたほか、
検討委員会と
子ども委員会のパイプ役をしっかり担っていただきました。また、
子ども委員会の活動につきましては、先ほども申し上げましたように、貴重な提案をしていただいたのはもちろんですが、委員会の中で話題となった項目について周りの家族や友達に意見や感想を聞くなど、子どもの権利を浸透させるという大きな役割も担っていただきました。これら子どもの参加による活動につきましては、札幌市といたしましても大きな意義があったと考えているところでございます。
また、課題についてでありますが、やはり、子どもが参加し、議論するときに、その内容を子どもが理解し、考えをまとめ、そして、意見を表明しやすい環境をつくる工夫をしていくことではないかと考えております。したがいまして、こういった環境づくりのためには、
最終答申書で触れている子どもの視点に立ったわかりやすい
情報発信が必要であり、札幌市といたしましても積極的な
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 私も何度か傍聴させていただきまして、高校生の3人の声というのは本当に心に届く、どきっとするような正直な声が出されていたというふうにも思います。また、課題で言われておられましたように、その声を出しやすい環境をつくるということは、今後も必要ではないかというふうに私も受けとめているところであります。
再質問に入らせていただきます。
昨年12月に子どもの
権利条例策定までのスケジュールを見せていただきました。
子ども委員会というのが7月のところで矢印がとまっておりまして、その後は点々になっております。そして、そこには必要に応じて開催するというふうになっておりますが、今おっしゃられた大変有意義な議論が進められたこの
子ども委員会について、今後どのような役割を持ち、どのように進めていくお考えか、それを1点伺います。
そして、再質問の2点目であります。
最終答申書の中の第7章 子どもの
権利保障の検証として、子どもの
権利専門委員会の設置が明記されています。専門委員会は15人以内の委員で組織し、そのメンバーとして人権、福祉、教育などの子どもにかかわる分野において学識経験のある人や、15歳以上の子どもを含む市民のうちから市長が委嘱するとしています。条例の検証に子どもの意見を反映させることは、私たちも非常に重要であると考えております。
そこで、札幌市における子どもの状況や子どもにかかわる事業や政策などに関し、子どもの
権利保障の観点から調査、審議し、その内容を市長に提言する機関としての子どもの
権利専門委員会の設置についてどのようにお考えか、
子ども委員を含めた専門委員会の設置についてお考えをお示しください。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の今後の
子ども委員会の活動についてお答えいたします。
現在、
子ども委員会では、
子どもたちの希望もあり、
権利侵害があった場合に、
子どもたちにとってどのような相談相手、解決方法が望ましいのかということについてグループディスカッションなどを行っております。また、来月上旬には、市の
条例素案について子どもの視点からの検討も行う予定でございます。これらのことと、先に
検討委員会に提案した子どもにとって大切な権利をあわせまして、来月下旬には
子ども委員会からの提案書を市にいただくことで現メンバーでの活動は終了したいと考えております。
次に、子どもの
権利専門委員会における子どもの参加についてでございます。
札幌市としましては、子どもの権利が保障されているかを検証する委員会に子どもみずからが参加し、意見を述べることは、大変意義があると考えております。したがいまして、今後、市民にお示しする
条例素案につきましては、
最終答申書の趣旨を尊重し、専門委員会における子どもの参加についての規定を盛り込んでまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 スケジュールに載っている
子ども委員会は、来月上旬の作業で終わるということを今伺いました。また、
子ども委員を含めた
権利専門委員会については、その方向性で進めていかれるということですので、声の出しやすい環境整備もあわせて、ぜひ考慮していただきたいと思っております。
そこで、最後の質問をさせていただきます。
条例を実効性のあるものとして子どもの意見を反映するためには、子どもの
意見表明の場を保障するこれまでのような
子ども委員会や、また、子ども会議の設置が求められると思っております。今、
子ども委員会は7月上旬で終わるということを伺いましたが、今後、子どもの
権利条例の検証、また、子どもによる普及啓発、子どもから子どもへ、子どもから大人へなど、
情報発信などの機能を持たせることも重要であると考えています。
そこで、そのように子どもだけで構成される
子ども委員会、また子ども会議の設置について、今後どのように進めるおつもりか、そのお考えを伺います。
◎加藤
子ども育成部長 今後の
子ども委員会や子ども会議の設置についてのご質問であります。
検討委員会では、子どもが生活するあらゆる場面での子どもの
意見表明、参加がとても大切であると考え、
最終答申書には、市政、育ち学ぶ施設、地域での子どもの
意見表明、参加の仕組みなどについての規定を盛り込んでおります。さらに、先ほどお答えしましたように、子どもの
権利保障を検証する委員会への
子ども自身の参加についても
検討委員会は提言しております。
札幌市としましては、これら答申書の趣旨を尊重し、条例化を図るとともに、委員ご指摘の趣旨につきましては、ただいま申し上げた
意見表明、参加の仕組みなど、どのように機能していくかなどを踏まえた上で検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 ぜひ、子どもがいろいろな場面で
意見表明できる、そういう仕組みづくりを積極的に進めていただきたいと思っております。
市民ネットワークは、これまで、子どもの権利
条例づくりに向けて
アンケートをとったり、
フォーラムを開催したり、市民とともにそういう活動を続けてきたところです。それから、ことしの3月、そういう市民の団体とともに子どもの
権利条例の前文づくりの発表会というものを行いました。そうしたときに、子ども独自の意見が出されているので、幾つか紹介したいと思います。たくさんの議論の中で、子どもの権利って何だろうとか、どういうものをつくりたいのかということを丁寧に議論を進めた後のことです。
大人は、子どもを管理するということではなく、本当に子どもが困ったり、必要なとき、そっと助言をしてほしい、子どもの
権利条例をちゃんと学んだら、子どもはわがままにはなりません、また、子どもはお日様の当たるところでいっぱい遊びたいと思っているなど、さまざまな声を私たちは聞くことができました。その声を同じような言葉で、今回の条例の中にも書かれているというところを非常に重く受けとめております。
私は北区に住んでおりまして、屯田北
児童会館ができまして、屯珍館という名前ですけれども、ここも29人の
検討委員会が、子どもの参加で開催されて、とてもいい
児童会館ができています。この間、その中の
子どもたち6人の声を聞きましたけれども、その中で、自分たちがつくったものをとても大切に思っている、そして、ほかの
子どもたちにも大切にしてほしいと、そういう思いをたくさん聞いてまいりました。この
権利条例についても、たくさんの
子どもたちの声が生かされた
条例づくりになっていると私は思いますので、ぜひその声を生かした子どもの
権利条例をつくっていただきたいと思います。
最後に、行政から独立した立場で、公正な、本当に子どもの権利救済ができる仕組みづくりを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
◆勝木勇人 委員 私からも、同じような趣旨ですが、子どもの
権利条例最終答申についてお伺いします。
先ほど、高橋委員から大変内容の濃い指摘がございました。権利と義務は同時並行、義務という言葉遣いがいいかどうか、趣旨としては権利と義務はやっぱり同時並行でやるべきで、どっちかを先にするものではないというような話がありました。それに付随して、この
検討委員会の物の考え方といいますか、文言のつくり方はおかしいんじゃないかという指摘があったわけですが、私どももおかしいなと思うところが多々ありますので、何点か、まずただしたいなと思います。
一つ目としまして、2ページ目の(2)
検討委員会の
取り組みと
条例制定の意義のところを読みますと、「条例の名称には『権利』という言葉を明確にすべきと提案します」となっております。これは、我々自民党が権利の2文字を削れと、何回か、ことしの予算特別委員会でもやりましたし、その前にもやっているんですが、それに抵抗してといいますか、言っている記述なのかなという気もするんですが。
ただ、今、共産党さんも同じことをおっしゃっていましたし、第1回定例市議会でも小形議員が討論か何かでも言っていましたし、予算特別委員会でもたしか聞いたような気がするんです。それで、共産党さんの発言をそのまま
最終答申にのせたのか、何かちょっとおかしいなという気がするので、そこをちょっとお伺いしたい。
それから、もう1点ですけれども、20ページの3.豊かに育つ権利の2遊び、疲れたら休むこととなっているんですけれども、子どもが権利を行使する際に休む権利というようなことを意識するというのは、札幌の子どもの環境を見ますとそういう場があるのかなと。普通の子どもは、札幌では疲れたら休むというのは当たり前で、日本社会ではそれを認めないような環境はないと思うんですけれども、変だなと。
また、18ページの2.自分らしく生きる権利の2人と比較されることなく、自分のペースで生きることという記述があるんです。他人と比較されずに生きるというためには、無人島にでも行ってひとりで暮らすしかないわけで、社会人として、普通、立派な人間になりたいとか、恥ずかしくない行動をとりたいといったようなことをよく言いますけれども、そういう言葉の背景には他人との比較ということがあるわけですね。自分と他人の比較、もしくは他人同士の比較において、あの人は立派だ、あの人は余り立派でないとかというのはあるわけですね。そういった中で、自分がより立派な人間になりたいとかという考えがその中にあると思うんです。全く人と比較されることなく生きていきたいなんていうと、どんな子どもになるのかなというようなことが不安になりますね。
そういったところが、ちょっとこの
検討委員会の文言の中でおかしいなというところなんですが。休む権利とか、他人と比較されない権利、これは、本来、子どもの権利として語られるものではなくて、労働組合なんかが職場の自分たちの待遇について雇用者側と争ったりする、そういうテーマなんじゃないかなと。何か、
検討委員会の方向性としては、思想的な偏りがどこかにあるんじゃないのかなという感じがするわけです。その点をちゃんとただししておきたいなと思います。
そして、この
最終答申書が
検討委員会の意見として正式に決定されたのが本年5月27日の会議の場であったとお伺いしているんですが、その決定に当たっては、25名の委員のうち5名が欠席したというふうにお伺いしております。そして、その5名の委員の欠席理由が何であったのか、これをお知らせいただきたいんですね。
私たちの調査では、少なくともその5名のうちのお1人は、
検討委員会の会議の進め方や思想的な方向性に強い拒否反応を起こしてしまったと。まず、条例をつくるのが前提で、つくるべきかつくらないべきかの議論はまるでなくて、頭からつくらなければならないというところから話が始まって、そして、そのつくり方も、非常に一方的で、川崎の条例をほとんどそのまま丸のみといいますか、そのままこっちに引き写してつくろうとしているような雰囲気があって、とにかく何もかも賛成できないことばかりで、出席するのが嫌になったからだというようなお話をお伺いしているわけです。
それは、欠席した5名のうちの1人のお話なんですが、他の4名も、もしかすると同じような理由で欠席されたのかなという気がしますので、そこもお伺いしたい。
とりあえず、以上、3点お伺いします。
◎加藤
子ども育成部長 1点目の条例の名称に権利という言葉を入れるかどうかについてでございます。
検討委員会では、当初から子どもの
権利条約の理念を受けまして、子どもを権利行使の主体ととらえ、次代を担う子どもが生き生きと成長するために社会全体で子どもの権利の保障を図る必要があるとしておりました。このことから、市民の皆様に子どもの権利について正しく理解していただくためにも、条例の名称には権利という言葉を明確にしていきたいという考えで答申書を作成いただいたものと認識しております。
次に、2点目の子どもにとって大切な権利のうち、休む権利、他人と比較されない権利などについての考え方についてであります。
休む権利につきましては、子どもの
権利条約において休息及び余暇の権利が認められておりますように、疲れたら十分な休養をとるということは子どもの豊かな育ちには欠かせないものとして挙げられたものでございます。また、他人と比較されない権利につきましては、子どもにとって一人一人の違いや多様性を尊重されることが自分らしく育つために欠かせないという考えから挙げられたものでございます。
札幌市としましても、子どもの豊かな成長、発達において、これらの権利はとても大切であると考えております。
次に、3点目の
検討委員会を欠席した委員の欠席理由についてであります。
欠席された5名の委員のうち3名は、公務等により欠席すると事前連絡をいただいており、残りの2名の方につきましては、事前に連絡はいただいておりませんでした。
なお、5月27日の最終の
検討委員会の開催に当たりましては、事前に、答申書の内容について意見があれば提出いただきたい旨、各委員に連絡をしておりましたが、欠席委員からは特段の意見提出はございませんでした。
◆勝木勇人 委員 権利の2文字をどうして入れなければならないかという点について、もう本当に何回も聞いたフレーズで、市民の皆様に子どもの権利について正しく理解していただくためにと、それは聞き飽きたといいますか、何回も聞いていますね。今、聞きたいのは、自民党に対して何か思うところがあって、あえてここにこういうことを書き込んだのか、違うのかという点があるわけですが、そこをはっきりしていただきたいなと。
3点目の話では、よく理由を聞いていないということで、欠席委員からの特段の意見はなかったという話でしたが、ちゃんと積極的に、どうして欠席されましたかと、ただ受け身で何も言ってこないからそれでいいんだというのではなくて、ちゃんと任命して、25名しかいないわけですから、そのうちの5名は欠席して、公務だと言うんならそれ以上は突っ込めないのかもしれないけれども、あと2名は何も言っていないわけですね。どうして欠席したんですかと、やっぱり、言うに言えない話があって欠席している場合も考えられるわけですから、事務局としては、ちゃんと積極的にそちら側から聞きに行くという姿勢が必要なんじゃないかなと思うので、指摘させていただきます。
それから、大切な権利のうち、休む権利は条約において認められているということですけれども、条約は、発展途上の国々とか紛争地域の国を想定して、朝から晩まで学校にも行かせてもらえなくて、洗濯をさせられたり、何かやらされている子どもがいたり、戦場に駆り出されて鉄砲を持って走らされているような子どもがいることを想定して休む権利なんていうことを言っているのかと思うんですが、札幌では、これはほとんど必要のない条項だなと思うので、指摘させていただきます。
それで、新たな論点としまして、
中間答申書のなぜ条例をつくらなければいけないのかというところについてお伺いします。
中間答申の中で、日本政府は、子どもの
権利条約に対する基本認識と姿勢において極めて消極的なのですという文言があるわけです。ここもおかしいなという感じもするわけですが、
最終答申書の前文に当たるはじめにというところでは、
条例制定には何の関係もなく格差社会というような言葉が使われて、暗に日本政府のこれまでのやり方を非難しているようなところも感じられるわけです。権利の2文字を入れる入れないの件を見ても、
検討委員会には、どうも、またこれを言うとみんな騒ぐんでしょうが、反自民というか、政治的なスタンスが何かちょっと偏っているような気がいたしてしょうがないわけですね。そういう、ちょっと反政府的なことに、斜に構えて、真っ正面に事を見ていないような姿勢で、子どもに対する権利なんていう大事なことに関して公正な判断を下せているのかと非常に不安があるわけです。
この点について、
子ども未来局の見解をお伺いしたい。
検討委員会の考え方は先ほど聞きましたけれど、それに対して
子ども未来局としての見解もあるはずなんですね。何か、答弁を聞いていますと、
最終答申を丸のみにして、それをそのまま尊重して、一歩もそこからはみ出ないように事をやりたいと言っているように聞こえるんですが、それではちょっとおかしなことになるんではないかなと思うので、あえて
検討委員会に対する
子ども未来局の見解をお伺いしたい。
それから、
検討委員会はそうやって露骨に反自民の色を出しているんですが、その割には、我々が展開している議論についてはほとんどきちんとした反証をしていない。相変わらず、虐待、いじめをテーマとした話を延々と書き連ねているわけです。先般の予算特別委員会でも、宮村委員の話で、条例さえつくればいじめや虐待がなくなるか、それが改善されるかという点について、
子ども未来局長から必ずしもそうなるとは限らないというような答弁が出ておりました。そこの部分を
検討委員会はどんなふうにとらえたのかなというのが一つ疑問であります。それを聞きたい。
それから、18ページの2.自分らしく生きる権利の5にプライバシーが守られることという項目があるわけですが、虐待、いじめについての調査を行うには、一番障壁になるのがプライバシーの問題なんですね。子どもをいじめている、虐待している親なんかは、何ぼその現場に踏み込もうとしても玄関の戸をあけないわけです。呼び鈴を鳴らしても応答しない。おまえは虐待をやっているだろうと言っても、絶対やっていないと言われると、それ以上踏み込めない。これがプライバシーの壁になっているわけです。
それから、子どものプライバシーをここで言っているわけですが、いじめられている子どもというのは、自分がいじめられているということを本当に人に言いたがらないんですね。それを言うとまたもっといじめられるんじゃないかというような恐怖もあって、もしくは自尊心的なことで、告げ口みたいなことをするのが嫌だということもあるんだと思うんですが、言いたくないということがあるわけです。そこでプライバシーを尊重するなんて言っていたら、明らかにこの子はいじめられているなと思っても、おまえ、いじめられているだろうと突っ込んでいけないんですね、それ以上ね。
だから、プライバシーの尊重というのは、虐待、いじめの改善というところとは一線を画して、非常に対立する部分があるとは思うわけですが、この点について
検討委員会は何か考えていたのか、さっぱり何も考えていなかったのか、お伺いしたい。
それから、3ページの2権利と保護の関係というところでは、子どもに寄り添い、支援しながら、子どもとともにいろいろな問題を考えるという表現があります。また、18ページの2.自分らしく生きる権利の2では、ありのままに自分らしく生きることを権利として尊重しなくてはならないようなことが書いてあるんですが、子どもにはしつけが必要なんですね。子どもに寄り添って、ありのままでいいよというようなことを言っていたら、しつけなどできないわけですが、そのことを
検討委員会では議論されたのかどうか、お伺いしたい。
それから、最後にしますが、子どもオンブズパーソンの制度化が先ほどもお話に出ていました。これとよく似た制度は過去にあったんですよ。心の教室という形であったんですね。いじめられている子どもが、何とか担任の先生にも言えない、自分の親にも友達にも言えないというような状況に追い込まれている、それを救済するために心の教室というものを設けて、近所もしくは地域のおじさんかなんか、または退職した学校の先生なんかがそのカウンセラー的な立場で相手をするということになると、なかなか子どもはそこに相談に行かないということで、方式的にはそれをスクールカウンセラーという別の形に変えたとなっているわけですが、制度としてなかなかうまく機能しなかったという経緯があります。
それで、現時点では、子どものための相談窓口、カウンセリングを専門とする機関、児童相談所もあるわけですね。また、電話相談制度なども、官民問わず既存の相談救済機関もあるという状況の中で、新たにオンブズパーソンなんていう制度を、今はもうほとんどやりますというのに近い答弁が出ていましたけれども、本当にやるのかと、新たに。
最終答申で書くのは、それは
検討委員会の自由で、何ぼでも書いていいわけですけれども、それを本当に採用してやるかどうかは、やっぱり、
子ども未来局としてきちっと考えてから判断すべきで、
最終答申に書いてあるからやりますみたいなことでは困るわけですが、その辺をもう一度お伺いしたいなと思います。
◎飯塚
子ども未来局長 最初の子どもの権利という部分、その1点について私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。
先ほどもお話ししているように、子どもの権利ということを明確にした条例をつくるという部分についてでございますけれども、そもそも1989年に国連で全会一致で子どもの
権利条約が採択され、そしてまた、日本におきましても1994年に全会一致で批准している子どもの
権利条約でございます。札幌市といたしましても、子どもの
権利条約の理念を受けまして、札幌市で子どもが健やかに育っていくための環境をつくっていく上で必要だと、そういった意味におきまして子どもの
権利条例という名称にしたいと、私としてもそのように考えておりますので、子どもの権利というのは明確にした上での条例をつくりたいというふうに考えていることを再度お話しいたしまして、私からの答弁にかえさせていただきます。
◎加藤
子ども育成部長 私の方からは、第1点目の
最終答申書に当たりましての
検討委員会のスタンスについてお答えいたしたいと思います。
検討委員会におきましては、まずは、子どもの幸せと生き生きとした成長、発達のためにどのような条例が求められているかを念頭に置き、札幌の
子どもたちの現状把握に努め、さまざまな課題を検討してきたところであります。その中で、委員ご指摘のような表現も出てまいりましたが、あくまでも、今申し上げましたように、子どもの健やかな成長、発達を願うがゆえの思いから書かれたものと考えております。
それから、2番目の虐待、いじめの課題についてであります。
初めに、条例の制定により虐待、いじめの問題が解決されるかどうかということについての
検討委員会の見解であります。
最終答申書では、虐待の禁止やいじめの防止のほか、
権利侵害が引き起こされた場合の関係機関との連携、新たな救済制度の創設について提言しております。したがいまして、条例が制定されることにより、虐待やいじめなどが子どもにとって重大な
権利侵害であるという認識が広く市民に浸透するとともに、救済制度が創設されることなどにより、これまで以上に迅速で適切な救済が実現すると考えられたものでございます。
また、子どものプライバシーの尊重と虐待、いじめの発見についてのご質問であります。
虐待やいじめを受けている
子どもたちは、それを言いたくても言い出せない状況に追い込まれることが多いことから、
検討委員会では、虐待やいじめなどを受けない権利があることを、子ども本人のみならず、周囲が正しく理解することや、身近なところで気軽に相談できる仕組みをつくることなどにより、虐待やいじめなどの早期発見が図られるばかりでなく、未然に防ぐことにもつながると考えているところでございます。
次に、3点目のありのままに生きることとしつけの関係でございます。
最終答申書に盛り込まれている、ありのままに自分らしく生きるといいますのは、だれもが、世界じゅうでたった一人しかいない、かけがえのない存在として一人一人の個性や生き方が大切にされなければならないという考え方であり、子どもが向上するための努力をしなくてもよいという意図ではないものと考えております。また、子どもの
権利条約でも規定されておりますとおり、子どもの最善の利益を考え、子どもの発達に応じて適切な指示、指導をするという意味でのいわゆるしつけを行うことは、保護者の大切な役割であると考えております。
最後に、子どもの
オンブズパーソン制度の創設についてでございます。
最終答申書で触れておりますように、子どもの
権利侵害の特性は、それが日常化し、心に深い傷を残したまま子どもの成長に大きく影響するおそれがあるということでございます。
検討委員会が想定している救済制度は、このような特性に配慮し、相談、調査、調整機能のほか、勧告や
意見表明など一連の権限を背景に、子どもに寄り添い、子どもの立場に立って問題を解決していくための制度でございます。
札幌市としましては、既存の相談救済機関において問題のすべてが解決されているわけではなく、より迅速で適切な対応が必要となる場合もありますことから、いただいた答申を十分尊重し、救済制度の速やかな創設に向けて具体的な検討を進めてまいりたいと考えているところであります。
◆勝木勇人 委員 条約に批准したんだから条例をつくらなければならないというのに近い答弁を局長はしていましたけれども、この手の議論では、条約イコール条例には結びつかないぞという反対意見は常にたくさん出ています。私もそう思います。条約は、多分、国際連合か、その会議の場でそれに反対するというのもおかしいんで、みんながいいことなんだからやるべやという雰囲気の中で、日本もおつき合いをして批准をしたということだと思うんです。ただ、それを適用される当事者として、日本が意識を持ってそれに批准したということではないと僕は思います。あくまでも、発展途上もしくは紛争地域の、本当に子どもが虐待や劣悪な環境でそういう状況を強いられている国に向けての条約であるというふうに僕は判断していますので、その点、札幌市はそういう地域ではないということをもう一度言いたいなというふうに思います。
それから、子どもの健やかな成長、発達を願うがゆえの思いから書かれたというような話がありました。何か答申を丸のみしていて、どうも
子ども未来局の独自の判断がないなというふうに感じます。
それから、虐待、いじめの課題についてですが、条例が……。(発言する者あり)
ちょっとやかましいので、静かにしていただきたいのですが、条例が制定されることにより、虐待、いじめなどが子どもにとって重大な
権利侵害であると認識が広く市民に浸透する、それで、救済制度もつくるし、虐待、いじめが少なくなるというような答弁でしたが、ほとんど詭弁ですね。虐待なんかをしているような親というのは、ほとんど社会認識も何も欠如したような人が多いか、ちょっと病的な人だったりするわけで、そういう意味では、条例があって社会認識が深まればそういう人たちも自然とそちらに引っ張られてそういうことをしなくなるというのは、非常に苦しい議論だと思います。それから、周囲が正しく理解することや、身近なところで気軽に相談できる仕組みをつくる、これによって早期発見と。ということは、プライバシーを尊重しても虐待やいじめの発見に問題は生じないと、それは、全然、対立した関係の課題ではないというふうに思っていらっしゃるのか、もう一回、お伺いしたい。
子ども未来局としてはそこをどう思っているのか、お伺いしたい。
それから、世界じゅうでたった一人しかいない、かけがえのない存在とかなんとかというような、他人と比較されないというところだったと思います。前に札幌市の教育長がオンリーワン教育ということを主張して、半ば
教育委員会から追い出しを食ったような形で辞任せざるを得なかった方がいらしたのですが、たった一人しかいない個性の尊重みたいなことを主眼とした話というのは、そのときのスタンスが
教育委員会としてちょっとぶれたのではないかなと思うのです。その点について、もう一度、
教育委員会の見解をお伺いしたい。
◎加藤
子ども育成部長 虐待、いじめの問題について、条例を制定したからといって効果がどれほど上がるのかというようなお話ではなかったかと思います。条例を制定することによって、ただいま申し上げましたように、理念の浸透が図られると同時に、救済制度も設けられ、両者が相まっていじめに対する認識が高まると。つまり、いじめをしている方も、していることを認識していない場合がある、また、いじめを受けている場合も、いじめを受けていると認識していない場合がある。したがって、虐待なりいじめが重大な
権利侵害であることをまず正確に理解してもらう。それがあった場合、それを迅速かつ適切に救済していく、この両者を子どもの
権利条例は目指しているということで、効果は上がるものと考えているところでございます。
◎西村 指導担当部長 ただいまのお話のありました子ども一人一人が個性を持った人格として尊重されなければならないということ、さらに、社会の一員として育ち行く、これからの私たちのとっての宝物である、そういう概念は従来から変わりなく私たちも持っていることでございます。その意味で、これからも進めてまいりたいと考えております。
◆勝木勇人 委員 市長がどうしてもこれはやりたいのだと、特に、次の選挙に利用したいという強い意思で、原局としてはそれに逆らうわけにいかないというのは十分理解いたします。皆さんの立場としては、どうしてもこれはやらなければならないと、ほとんどそれ以外に生きる道がない状況にあることは理解いたしますが、我々としては、いま一度、踏みとどまって、この条例が
子どもたちもしくは札幌市にとって本当にいい影響を与えるものになるのかどうか、もう一度考えてもらいたい。
聞いた話ですけれども、川崎市では、たしか、子どもが授業中にうろうろ歩き回って騒いでいる、それを注意した教師が子どもの
権利条例に違反していると批判を受けて、どこかで指導を受けてその子どもの親に謝らざるを得なくなったというような状況があったと聞いております。そういうことがこれからまだまだ多々出てくるのだろうなと思います。
そして、川崎の場合は、権利教育というようなことをやって、毎週のように、子どもに、おまえにはこういう権利があるということを教えているらしいのです。そんなことをやって、その子どもが大人になったときに、どんな大人になるのかということが、ちゃんと理解力のある子どもは、他人の権利も尊重しなければならないというその詭弁も理解すると思いますが、詭弁ではないかもしれないけれども、その議論を理解できない子どもも、多分、相当数出るだろうと。その際に、どういう大人になるのかというと、非常に危険だなという感じもしますので、その部分も踏まえて、もう一度、よくやるべきかどうかから検討し直していただきたいなと思います。
◆猪熊輝夫 委員 せっかく
教育委員会が来て、一回しか答弁していませんので、少し質問してみたいなと思います。
いろいろな角度で議論をされることは結構なことですから、ある面では、こういったことが今度は議員同士でもやりとりできるような議会になると、また、一味も二味も変わるのかなと、こう感じました。
実は、子どもの
権利条例という点で言えば、桂市政3期目で、いわゆる子どもの
権利条例制定に向けて取り組むという形で公約を出され、それぞれ関係する部局では一定の検討を積み重ねて今日まで来ていた。それが、上田市政になって、その部分の
取り組みをさらに今日まで継続、発展させてきたというのが経過なのかなと、私自身はこう理解しております。
そんな点で言えば、取り組むという前提の中で、具体化をしていかない過程の中で、例えば
教育委員会にあって、児童に対して子どもの権利ということについてどういった指導をしてきたのか。多分、具体的にしてきていると思いますから、そんな点で当時のことがわかれば教えていただきたいと思います。また、今時点で、具体化に向けてまさに最終局面に向かっているというような状況になっておりますが、そういった動きも背景にしながら、
教育委員会の現場では具体化するまで待つわけにはいきませんので、そういった点での
取り組みについて、今日、具体的に報告できるものがあればこの機会にお話しいただければと思います。
◎西村 指導担当部長
教育委員会としてのこれまでの学校教育における子どもの権利についての
取り組み、そして、これからということでございました。
ご承知のように、子どもの
権利条約が国会で批准されました後ですけれども、私どもの方からも、各学校に対して、子どもの権利に配した学習あるいは
教育活動に取り組むようにということを指導しながら各学校では取り組んできたわけですが、具体的には、各学校で、子どもに対しまして、特に教科で言いますと社会科の学習におきまして、主に小学校6年生、中学校3年生で具体的に出てまいりますけれども、そういったところでの指導、あるいは、現在ですと、国語科の中学校3年生の中でも具体的に写真入りで出てまいりますが、そういった場面でも指導が行われております。それから、
子ども未来局から発行していただきましたパンフレットにつきましては、小学校4年生、中学校1年生ということで、私どもも協力して編集させていただきながら配布してまいりました。そういうことが実績でございます。
そして、最近になりまして、条例に対する
取り組みが始まりましてから、
子ども未来局と連携いたしまして、平成17年度には、ご承知の市教委作成のパンフレットを利用した授業展開例なども作成いたしまして、これは既に4月に全学校に配付して実践を促しているところでございます。その配付の前には、これもご承知かと思いますが、数校の小学校、中学校において、その実践を教師にも見ていただこう、あるいは一般の方にも見ていただこうということで公開してきたところでございます。
そんなことで、
教育委員会におきましては、今年度も学校教育の課題の一つとして人権尊重の教育を掲げておりますけれども、各学校で、教育活動全体を通して、子どもの権利を含む基本的人権尊重の精神の徹底を図るように努めてまいりたいと思っております。また、特に、学校の中における学校生活、子どもと教師の対話、子ども同士の対話、さらには、子ども理解を重視しながら、愛情と信頼に基づく
教育活動が進められるように各学校に対してさらに指導してまいりたいというふうに考えており、この条例を機に、またさらなる学校教育、子どもにとってよい学校生活が営まれるようにということで工夫してまいりたいと考えております。
◆猪熊輝夫 委員 実は、僕はこの答申案を見て、子どもに対する大人のかかわり方、こういったことが本当にわかりやすく説明がなされているという点で、私自身はそのことについては十分理解します。なおかつ、オンブズパーソンを含めて、子どもがそういう委員会あるいは組織に対して、全市から、いじめられた、あるいは虐待に遭っているという部分で声を発するような形態を一応想定してみました。そういう状態で、180万人の札幌市の大きさの中で、
子どもたちが勇気を持ってそこまで伝える、あるいは訴えることは大変なことだし、それができればすばらしいことだと思います。
しかし一方で、そういうこととはまた違った形で、小学校単位で
子どもたちが、自分が今置かれている立場を、子どもの4年、5年、6年というような部分で、代表者がいて、自分は今こういったいじめに遭っているということを訴える、そして、子どもがそれを聞いて、しっかりと、今度はいじめているという人に対して事実確認をしながら、要するに今後のあり方という点で双方に対してきちっと話をするようなことを、一方では、先生方が後ろで見てあげる、そして、聞く側の
子どもたちがちょっと判断に迷うようなところがあれば指導・助言という形で後押しするというようなことで、自主的に
子どもたち同士の中でいじめなどの問題解決を図っていくような場面を具体化するということは、育ち行く過程の中で
子どもたちが、また違った形で、具体的に権利と義務の関係というもの、あるいは、他の権利というものを尊重するという点での学習を高める手法としては有効ではないか、こう思います。
したがって、答申の中では、それらについて触れていないものですから、ぜひ札幌市の条例案を具体化していく過程の中ではこのこともぜひ検討項目の中に入れていただいて、もちろん、今までも
子ども未来局は関係する
教育委員会とも連携をとりながら検討されているところですが、より密接な議論を深めていただいて具体化していただければと、そういう問題提起をしたいとも思っているのですが、その点についての見解などが何かあれば、一言で結構ですから、双方からお聞かせ願えればと思います。
◎加藤
子ども育成部長 今、ご指摘のとおり、答申書には、
オンブズパーソン制度、その辺の内容しかございませんけれども、今ご指摘がありましたように、
子どもたちが相互に、あるいは身近なところで解決できるというのは、本来は理想的であり、そのようなことで解決されるのはすばらしいことだと考えております。
委員ご指摘のように、答申書では、いじめの問題がなかなか自分たちでは解決できない、あるいは、いわゆる検討されているのが、例えば準司法的な権限を持つまでのところまで行ったらどうするのだという究極の部分まで考えた答申であると考えております。今言ったようなことについては、
検討委員会の中でも具体的な検討はなかったと考えておりますので、どのようなことで解決していくか、今のところはお答えしかねる状況ではございますけれども、その趣旨を踏まえながら、どこまで条例化できるかにつきましても改めて研究してみたいと考えております。
◎西村 指導担当部長 今、委員の方でいじめを例にお話しくださいましたが、2点申し上げたいと思います。
1点は、教育指導に当たる大人、親、教師という立場でございますけれども、教育指導に当たりましては、教える者と教わる者、あるいは、親子、師弟関係という形の中で営まれるわけですが、時には優しく、時には厳しくといったようなことの繰り返しになります。この指導の関係が成立する原点というのは、家庭、学校問わずに、大人一人一人の子ども理解にある、そして、受容の態度にあるということは原則であろうと思っております。子どもにとって大人が自分の理解者であるというふうな理解、認識に立つときに、子どもみずから胸を開いて厳しい教えをも受けとめることができるということになるかと思います。
そういった意味で、私たち自身、大人も子どもの心を開くような立場になっていくことが大事だろうと思っております。子どもの心のかぎは外からは開けないとよく言われますが、そういった意味も踏まえながら進めてまいりたい。
そういう意味では、先ほどのいじめの話に戻りますと、子どものサインといったようなものを、そういった立場にいる大人たちはきっと見ることができるのだろうと思っております。
もう一つは、学校の立場で子ども同士のかかわりをというお話がありましたが、学校の
教育活動の中にもさまざまな活動がございますけれども、ご存じのように、特に特別活動と称する中で児童活動とか生徒活動というものがございます。こういったものを活発化させながら、子ども同士の自発的な活動も推進して、そして、その中で子ども同士のかかわりを十分つくっていく形の中で、子どもによる学校づくりも含めて進めていければなというふうに思っております。
◆猪熊輝夫 委員 質問はしません。
意見として申し上げたいのは、例えば、小学校の全校で、5年、6年の代表、要するに、6年生の男の子1人、女の子1人、5年生の男の子1人、女の子1人、場合によっては4年生の男の子と女の子1人というような感じで、しっかりと児童会の中でそういう係の人を言ってみれば1票投票で選挙をして、この人たちは我々が何か問題を起こして相談があるときには聞いてくれる人という感じで、児童会の中の役割として位置づけるような形で、児童会そのものの活動の中に組み入れ、そして、訴える人はあの人に言えば聞いてくれるというようなことが全校的に理解できていることがある面で大事なことなのだなと。それを先生方が支える。それから、そういったことが未然に起こらないように、今、指導部長がお話ししたように、日常、ふだんから
子どもたちのちょっとした目の動きや身のこなしで理解して、同じ目線で語り合うということは従前からやっておられることですから、そういった部分で、先生がだめとか不十分とかではなく、
子どもたち同士でみずからがそういった部分の解決をするような視点はとても大事なことではないかという思いがしたものですから、あえて問題提起をいたしました。それぞれ前向きのご意見ですので、ご期待をして終わります。
◆宮本吉人 委員
教育委員会が来ているということですから、1点だけです。
子どもの
権利条例では、私もPTAのかかわりが長かったものですから、それなりに先生あるいは校長、教頭のOBの先生方と触れ合う機会が多々あるので、これらの問題について個人的にそれぞれ聞いてみたことがあります。過去においては、学校の教室そのものが学級崩壊とか、あるいは、1人か2人の子どもが騒ぎ回っていて授業にならないとか、そういったものが問題視されたし、現在も消えてはいないと思うのですけれども、少なくとも、それは子どもの問題ではなくて、指導する先生の能力がないからなんていう批判も受けたりした事例がいっぱいありました。それは、指導室も掌握していると思います。今でもゼロとは言わないですね。
そういった状況を踏まえたときに、ある校長のOBの方が、宮本さん、教育は強制を伴わなかったらできませんよ、子どもの好き勝手にやらせて教育はできませんよ、ましてや、親だって、しつけとなれば子どもにとっては強制なのですよ、こういうことをきちっとしない限り、その子どもの将来も含めて、社会の将来が不安ですよ、こういうことをおっしゃっておりました。
それから、先生方の中には、校長会、教頭会があるはずです。それぞれの校長会、教頭会に所属していると思うのですが、その現役の先生にこういう投げかけをしてみました。一時は僕にもそういう声が聞こえていましたが、最近はさっぱりぱたっと聞こえなくなりました。子どもの
権利条例が論議され、上程されるというような声が聞こえたときに、それぞれの会から、こんなものを施行されたら、教育、指導なんかできない、そういう声がそこそこで聞こえておりましたが、最近、それがぱたっと出てこないのです。ですから、私は聞いてみました。邪推かもしれないけれども、それぞれの先生の現場で、いじめかどうかわからないけれども、変な圧力があって言えなくなったんですか、先生、と言ったら、そんなことはありませんけれども、と。そうしたら、何で声に出して言わないのですか、言ってくださいよ、こういうことを申し上げました。
したがいまして、こういった部分を含めて、指導室では、この問題でそれぞれの会がどういうことを考え、どういう意見を持っているのかと、そういうことをやったことがあるか。それから、もっと大事なことは、今までさんざん苦労して教職を得られた過去のすばらしい先生方、現職のときには言えないけれども、今なら言えるという人がたくさんおります。こういう人たちの意見こそ、本物の意見だし、本音を吐いてくれるのです。そういう部分についてどういうことをやってきたのか聞きたい。
◎西村 指導担当部長 子どもの権利の問題につきましては、子どもの学校生活や学校の
教育活動にかかわる大事なことでもありますので、そういった意味では、校長会を初め、学校関係機関、
学校関係者は高い関心を持って私どもの方にも意見を寄せられているところでございます。
とりわけ、校長会に関しましては、今、ご質問がございましたけれども、私どもの方で学校現場を預かる責任者の意見を
検討委員会の方にもぜひ寄せる必要があるというふうに考えまして、校長会役員の
意見交流会をこれまで過去2回進めてまいりました。1回目は、
中間答申に資するために、平成17年10月にまず行いまして、その内容を
検討委員会で
教育委員会から説明を申し上げたことがございます。2回目につきましては、ことしに入りまして平成18年5月でございますが、
最終答申案について意見交流を行いました。その内容について
検討委員会に説明し、議論の材料としていただいたところでございます。
そんな中で、とりわけ学校生活は
子どもたちにとっては集団生活を基盤に行われるものですから、不安とか心配とか、ご質問が多かったのは、いわゆる子どもが自分の権利を知ると同時に、相手の権利についてどうとらえるのかとか、あるいは、それとそれとの関係はどうなるのかといったようなことについての問いが大変多かったところでございます。それからもう1点は、子どもにとっての最善の利益を実現する方向へと、子どもの発達段階に応じて導いていく、保護も含めたそういった概念が必要ではないかといったようなことでございました。
その後、
最終答申が出されたわけですが、その中で、とりわけ答申書の作成に当たってという3ページ、4ページの部分でございます。それから、その後に続いて各項目の解説がございましたが、その3ページ、4ページに大きく、例えば一つ申し上げますと、権利と権利の調整について、権利を行使する際には他人との関係性の中で制約を受ける場合もある、それもまた当然のことというような記述がございましたり、二つ目に、権利と保護の関係について、子どもには権利とともに保護も必要であるというような記述がございましたり、4ページにもありますけれども、子どもと大人の対話という部分の中で、子どもの
意見表明権の趣旨につきまして、子どもに関係することを決めるときには、子どもの意向をできるだけ尊重しよう、そういう趣旨であるという記述に加えまして、子どもの最善の利益の観点から、適切でないことが明らかになる場合には、子どもの意向を容認しないこともあり得るのですと。これは、子どもの言いなりになるということではありません、子どもの最善の利益の観点を通して最終的に大人が判断をしなければならないのですと、こういった部分が書かれていることについて
学校関係者は校長も含めて見ております。今後の
条例づくりに当たっては、こういったところが生かされ、表現されて、そしてまた説明されてくれれば、学校生活にも十分生かせる、そういった条例になっていくのではないかといった声も今届いているところでございます。
現在としては、私どものかかわりはそんなところでございます。
◆宮本吉人 委員 過去、条例を提案したときに1回やった、
中間答申が出たときに1回やったと。これだけ大事な、重要な、ましてや、子どもに一番責任とかかわりを持たなければならない
教育委員会、先生方の世界が、たった2回でいいと思うのか。大変なことだよ、これ。皆さん方は、今の立場、今の状況をすり抜ければ、あとはおれらは関係ないといっちゃうかもしれないけれども、永遠に残るんだよ。あなた方が未来永劫にわたってこの問題で責任を持つ、それぐらいの覚悟でやらなきゃならないんだよ。それを、たった2回で。
それから、今の話を聞くと、建前の、現役の先生だったら思っていてもなかなか言えない。建前論だもの。もっともっと、何回も何回も、それぞれの会で白熱した議論をしてもらって、この重要な条例を、クリアしていいのか悪いのか、もっともっと出させるべきではないか。何ぼ、おまえ、
子ども未来局だって、そんなもの、子どものかかわりなんか、表面しかかかわっていないんだよ。本当のかかわりといったら
教育委員会だよ。そこが、こんな問題で、あっさり今の立場さえクリアすればいいじゃ困るな。
もっともっと真剣な論議をさせてくださいよ。ましてや、さっき言ったように、OBを含めて、そういった方々の会があるんだよ、OB会というのがあるんだよ。そっちの方でもっと真剣な論議をしてもらいなさいよ。そっちの方が本音が出てくる。やっていないじゃないですか。
この辺のところをやらない限りは、私自身も承服できない。それだけ提言して、終わります。
◆堀川素人 委員 僕の方から、何点か質問したいと思います。
これは、先ほどからいろいろ議論がありまして、僕も、自分の専門もそうですが、大変強い関心を持っております。
ただ、今の議論を聞いていても、いろんな認識というか、いろんな受けとめ方があって、せっかく条例を決める、条例を定めるとするならば、共通な認識に立たなければならぬ。今の議論を聞いていて、全く認識が違う。言葉は大変美しい。これは、ある意味ではすばらしいと思いますよ。ただ、これは、今ある現実をきちっと見ての話をしているのか。これは、今、そのまま現場に当てたら、現場は大変混乱しますよ。現場というか、親子関係であろうが、先生と子どもであろうが。こういうあれで、本当に、我々は痛みを感じながらこの条例を制定するのか。言葉はきついですけれども、言葉遊びだけしていてもどうしょうもないじゃないですか。ほかの人と比較されないで生きる権利というのか、これはどういう意味なんですか。
僕は、子どもが大分大きくなっちゃってわからないんで、さっきも聞いたのですが、今の中学校の通信簿はまだ5段階で相対評価ですか。もしそうであるならば、この相対評価は他人との比較じゃないですか。こういう中で評価する、この問題をどうするのか。
いまだに体罰はいけないんだとずっと言っていますが、体罰はいつまても続いている。中には、体罰ぐらい仕方ないべ、こう言う人もいる。絶対だめだと言う人もいる。理論的には絶対だめなのですね。いじめだって、たくさんありますよ、学校の先生でも、自分がいじめをしているということをわからないでやっている場合もありますしね。こういう現実があること、これをどうやってとらえて、今、この文章になったのか。僕は、この審議委員というのですか、聞いてみたいですね。僕の友達も1人入っていました。聞いてみようと思っていますけれどもね。
本当に現実がわからない人方がというか、現実をわかってこれをつくらなければ、これができて、条例が制定されたからといって、みんなも言っているとおり、これが制定されたからといって、次にこれに沿ってどんどんうまくいくという保障は全くない。それで、桂さんのときに、子どもの
権利条例のことも話し合われて、桂前市長の時代もこの条例を早くつくらなければならんとして動いた時期があったと思うのですよ。そして、今、そのときから、学校なんかに周知徹底させるんだと言って気合いを入れたはずですね。じゃ、その気合いを入れたのがどのぐらいの周知の度合いまでいったんですか。これも発表されていますね。これは10数%じゃないですか。
今、子どもの権利に関する条例を定める、これは、いろんな意味で極めて意味の深いものですよ。子どもを中心とした総合学習、これがここにかかわっていると考えてもいいんじゃないですか。これをつくるのに、つくってみんなが認識をする。そして、ここで決められることは、考えの違いはあったとしても、ここで言われていることはこういうことなんですと。この共通な認識を持たなければ、何を決めたかわからん、何がこの約束であったのかわからんというようなものを決めたならば、だれがどうして守ったらいいかもわからんですよ。
何をいわんとするかといえば、これについて徹底的な議論がなされなければならない。特に、学校の先生、それから権利の主体と言われる子ども方の中で、それから子どもの保護者である親、それから我々、それから、ここで言うならば市の職員も含めて、これはどんな約束なのかということをきちっと決めなければ、言葉だけが流れてしまうじゃないですか。今まで、ここに書かれていることは、すべてが今まで言われてきたことですよ。それが、今ここで願う目的が達せられないでここまで来ているということが現実じゃないですか。それで、改めてこれを制定しますと、ここからもう一回やり直しをしましょうというのは気持ちとすればわかる。でも、何で今までこれが、同じことを言われていることが前にできなかったのか。この過去の反省がなければこれは意味がないのですよ。
それから、ここで約束するものは何を約束したのか、約束しようとするのか。共通な認識がなければ、これが生きてこないじゃないですか。僕は、そう思うのですよ。そうするならば、今、この条例を定めますと、こんな10何%だとかの関心でもってつくったらだめですよ、こんなもの。
そうじゃなくて、少なくとも、この1年なら1年、徹底してこの議論をしようじゃないか。あらゆる場面でもってやっていこうじゃないか。少なくとも、数値とすれば、この辺までの関心をもってもらって、そこでこれをどうするかということを話し合わなければ、ただ、これがあります、国連でもって採択されました、日本もあれしました、ここでもやっぱりつくらなければならない、子どもは権利の主体ですよ、だから、子どもは大事なんだと、だれだってそんなことくらいわかっていますよ。
そうするならば、僕は、今ここで議論するのは――議論はしてもいいです。してもいいけれども、もう少しみんなに関心を持ってもらってから、いよいよどうするかということを考えなければならない。その前の段階の作業を今しなければならないと僕は思うのですけれども、いかがですか。
◎加藤
子ども育成部長 条例を制定して現実に何がどう変わるのかということ、あるいは、条約なり条例の浸透度が低い中で、これから早急に作業を進めるべきではないというようなお話があったと思います。それから、何がどう変わって、何を約束しているのかということで、質問が多岐にわたっておりますけれども、まとめてお答えさせていただきたいと思います。
ただいまいろいろな委員の方からのご質問も多々ありましたけれども、権利なり義務の問題については非常に議論があるということで、その辺についての理解が必ずしも十分でないことについても議論の中では私たちも率直に認めたところでございます。また、
権利条約についての認知度につきましても、先ほどの
市政世論調査、平成16年1月に実施したものについては条約の中身を知っている人は14.3%しかいないと。これについても余り高いものではないということは率直に認め、それにつきましては、私たちも理解を深める努力が不足していたことについては認めたところであります。
それでまた、桂前市長のお話も出てまいりましたけれども、桂前市長が平成11年から公約にその旨を入れたと。しかし、平成6年に我が国が国連の条約を批准した翌年の平成7年から、札幌市においては、地道ではありますが、パンフレットなどを通じまして小学生、中学生の皆さんに条約についての普及、PR活動もしてきたということで、そういうことからして、権利と義務なり、あるいは、権利の本質については、やはり一朝一夕についてはなかなか浸透しないものであるということは私たちも認識しております。
さて、一方で、何も変わらないかと、一朝一夕で10年たつのを待てということになると、そうではなくて、この条例につきましては、第6章あるいは第7章におきまして、実は、実効性を非常に担保しようという考え方があります。例えば、市の審議会なり、それから、市の施策には、子どもの意見をソフト面、ハード面において聞いて、参加してもらって反映させようと、そして、子どもに優しい
街づくりをしようと。子どもに優しい
街づくりは、イコールみんなに優しい
街づくりということになるだろうということで、子どもの参加については、恐らく
子ども未来局が中心となって、どのような参加の保障がなされたということについてはチェックをしていくことになるだろうと。恐らく、条例ということですから、議会の方からも当然のチェックはあるだろうということで、何も変わらないということにはならないのではないかと考えております。
そういうことから、何を約束しようかということにつきましては、一朝一夕にならない部分につきましては、普及なり啓発活動を地道に努めてまいりたい。それから、すぐできるものについては市役所自身がまずやっていくということがお約束できることではないかと考えております。
◆堀川素人 委員 今、同じことをずっと言ってきているんですよ。この間、言ってきていまして、改めて、ここでもって体系的に条例という形にして、その自己完結的な関係の中で、子どもについてはこういう思いでもって札幌市は子どもを育てるのだという意味で一つにまとめることは大変大事なことかなと、こう思うのです。
しかし、さっきから言うように、実効性が伴わなければ何もならない。じゃ、本当に言葉一つ一つの概念がしっかりしているんですか。それを現場に当てはめて検討したことがあるんですか。いじめはやめましょうね、いじめはあります、だから、これは子どもの権利が侵害されているんだと、これはだれでも考えますよ。今じゃなくても考えてきたんです。
ところが、それが、実際には、体罰がたくさんあったりして、中には教育委員の1人が、いや、そのぐらいの体罰は当たり前だ、そのぐらいやらなかったら今の子どもはだめなんだ、こう言う人もいる。びっくりした。
こういうところで言えば、きれいごとを言う人方がたくさんいるような気がいたします。でも、本当にわかっているのかなと。学校の先生なんかでも、僕はそう思います。やっぱり、そういう意味では、子どもが権利の主体であって、要するに、子どもというよりも、一人の人間としてそれをどう尊重しながら、子どもですから、その子どもをはぐくんでいくかということだと思うのですよ、必ずしも子どもだからということではなくて。そういう哲学的な部分がしっかりと先生方の中にもなければ、僕は、これは実際に機能しないと思うのです。
そういう意味では、本当に我々もそうです。僕も、これを読んだからといって、決して全部わかるわけではないです。これからまだまだ勉強していかねばならないな、こう思います。
それから、さっき、高橋(功)委員とのやりとりの中で、義務からどうのとか、権利が先だとか、こういう議論で、両方とも大事だというような話をしましたけれども、僕は、認識論とすれば、ここに書いている、両方が同じじゃなくて、自分で受容できなかったら、他人の受容なんてなかなかできないですよというのは当たり前じゃないですか。なぜそこで並行です、同じですと言うのですか。そうじゃないじゃないですか。自受容がきちっとできなければ、他受容はできないですよ。これを、何で同じですって、順番からいったら違うでしょう。ただ、最終的には両方とも大事だということは確かですよ。そういうことを、そこで合わせちゃったらだめじゃないですかと僕は思うのです。
こういったところで違いがたくさん出てくるわけです。その議論をきちっとしなかったら、ここでは約束をするわけですから、約束は何だったのか、約束をしたら守らせる。日本の社会はどうも四角い部屋を丸く掃くのが得意なみたいで、でも、約束というのは、やっぱりつくったら守らせる。こうやっていこうじゃないですかと。僕は、そういうためにも概念規定から何からきちっとして、そのためには、まずはみんなに、多くの人に関心をもってもらって、多くの議論をする中で、この中身が何であるかということをしっかりととらえていかなければならない。
だから、今、この9月に
権利条例を仕上げてしまうんだなんて思ったらだめですよ。ぜひとも、僕は、みんなが関心を持つようにあらゆる手段を、例えば、学校なんかというのは、ある意味では
教育委員会が学校に指示できますから、学校の中では、生徒と先生が話をできますから、そしてまた、PTAがあるならば、学校が主催になって親に理解をしてもらう。本当にこういうことをやらなければ意味がないものになっちゃいますよ。絵にかいたぼたもちになってしまう、僕はこう思うのですけれども、どうですか。
◎加藤
子ども育成部長 今のご意見の中でも、子どもを尊重してはぐくんでいくのだ、そういう趣旨は賛成だというお話もございまして、そういうことを念頭に条例化を図っていくというのが私たちの願いでもあるということをまずお答えいたしたいと思います。
それから、条例化をするに際して9月云々というお話もありまして、早過ぎるのではないか、それから、言葉についてさらに議論をしていく必要があるのではないかというようなことがございました。確かに、
検討委員会の答申の中身でも、子どもにわかりやすいような言葉で書いてある部分もありますが、哲学的な部分もあって、解説の中でも哲学的な用語なんかが使われていて、必ずしも全部がわかりやすいかというと、そうでもないというご指摘ではなかったかと思います。
それで、今回、来月には
パブリックコメントを実施いたしますけれども、子ども用には、子どもにわかりやすい言葉で、
教育委員会と一緒につくった
パブリックコメントの内容がございますので、小学生には子どもの言葉に置きかえてわかりやすく解説した内容で意見を募集したいと。小学生、中学生全員に配りますけれども、そういうことでわかりやすい説明をさせていただきたいと考えております。それから、中学生には子ども用に加えて大人用も配りますが、それぞれに応じてわかりやすく理解していただけるように我々も工夫させていただいているところでございます。
そのようなことで、昨年来、
中間答申書にもさまざまな方の意見をいただくような機会を設けましたし、今回の
パブリックコメントでも多くの市民の意見をいただけるものと考えております。
◆堀川素人 委員 これで最後にしますけれども、僕はよく言うのですが、過去は未来の道しるべと。なぜ動かなかったのか。今、悩んでいる現実があるのか。このことの反省と、今の条例の条文を、要するに現実に生きたものにしていかなければならないんじゃないか。そうでなかったら本当に言葉遊びになってしまいますよ。もう一度、今、現実に
子どもたちが本当に悩んでいる、また、問題になっている部分、これとこの条文がどう重なるか、もう一回チェックをされたらいかがでしょうか。今、まずはそのことをお願いするというか、そうしなければ意味がないものだと思います。
最後に聞くのは、いつまでに条例を制定していくというか、これはどういう予定になっているのでしょうか。
◎加藤
子ども育成部長 まず、反省ということを踏まえないと前に進めないのではないかというお話がございました。最初の質問にもございましたように、
市政世論調査においても条約の認知度は必ずしも高くない、それにつきましては、我々はPRに努めたとはいっても、その
取り組みは必ずしも十分ではなかったということについての反省は申し上げたと思っております。それを踏まえつつ、この条例化で、子どもの権利の保障なり理解が促進されるということで、条例化はぜひ進めてまいりたいと考えているところでございます。
それから、いつまでに条例を制定するのかということでございます。
従来、平成18年度中には制定させていただきたいと申し上げているところでございます。
◆堀川素人 委員 僕は、結論からいけば、それは大反対ですね。そんな時間でもってできるとは思えない。また同じ轍を踏むのかなと。ずっとやってきて、前にもほかのところで話したのですが、10年計画、何計画だと立てる。そこでもって、今までのものは一回終わりにして、はい、ここから進みますよみたいにして、また同じことを繰り返す、いつも総括がない。これを今回もまたやろうとしている。
それで、こんな低い関心の中でやってしまうというのは、だれのためにやるのですか。子ども方のためにやるといったって、中身がないものを、何が子どものためになりますか。そうじゃなくて、僕は、1年、おくらせてでもいい。ここまで関心を高めようよと、ある程度の数字を出して、その努力をした上で、そして決めていくべきなんじゃないですか。
そうじゃなければ、先ほど勝木委員が言ったように、何か、ここに来て、条例が――例えば地域活動促進条例、それから自治基本条例、今まである意味では同じくやってきていることですよ。包括すれば同じことができるのですね、この条例をつくらなくても。それが、ここに来てばたばたとやってしまうというのは何なのかなと。非常によこしまな政治的意図を感じざるを得ない。このことを僕は指摘しておきますよ。そうじゃなかったら、こんな10何%でもって、ここでもってどうのこうのと議論するわけじゃなくて、まだまだ関心を高めることに全力を挙げるべきですよ。そのことを言って、終わります。
○
高橋克朋 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
高橋克朋 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時53分...