札幌市議会 2006-03-16
平成18年第二部予算特別委員会−03月16日-06号
平成18年第二部
予算特別委員会−03月16日-06号平成18年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第6号)
平成18年(2006年)3月16日(木曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33人
委 員 長 高 橋 功 副委員長 田 中 昭 男
委 員 小 谷 俵 藏 委 員 佐 藤 美智夫
委 員 武 市 憲 一 委 員 上瀬戸 正 則
委 員 三 上 洋 右 委 員 宮 村 素 子
委 員 馬 場 泰 年 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 勝 木 勇 人 委 員 山 田 一 仁
委 員 長 内 直 也 委 員 村 山 秀 哉
委 員 伊与部 敏 雄 委 員 川口谷 正
委 員 大 西 利 夫 委 員 小 野 正 美
委 員 村 上 勝 志 委 員 三 宅 由 美
委 員 藤 川 雅 司 委 員 桑 原 透
委 員 本 郷 俊 史 委 員 三 浦 英 三
委 員 小 田 信 孝 委 員 阿知良 寛 美
委 員 小 川 勝 美 委 員 井 上 ひさ子
委 員 坂 本 恭 子 委 員 小 形 香 織
委 員 小 林 郁 子 委 員 坂 ひろみ
委 員 松 浦 忠
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開 議 午前10時
○高橋功 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、芦原委員からは、小田委員と交代する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第3款
保健福祉費 第3項
老人福祉費、議案第8号 平成18年度札幌市
介護保険会計予算、議案第27号及び議案第98号について、一括して質疑を行います。
◆坂本恭子 委員 私からは、介護保険について、そして、敬老パスについての質問をさせていただきたいと思います。
介護保険にかかわりましては、追加提案で議案第98号 札幌市
介護保険条例の一部を改正する条例案ということで提案されておりますので、それにかかわっての質問をさせていただきます。
この条例案では、2006年度から始まる第3期
介護保険事業計画における保険料の大幅な引き上げが提案されています。基準となる保険料は、現在の3,790円から4,205円ということで、平均では11%の増、さらには、保険料率の段階を現在の5段階から7段階に細分化する、こういう中身になっています。
お聞きしたい点は、まず、本市の減免制度ですけれども、現行は、年金収入だけで言えば266万円までの高齢者が対象でした。これが、年金収入80万円を区切りにして、新たに第2段階と第3段階が設定されます。そういう中で、新第2段階の保険料が年額3万4,112円から2万5,228円となり、唯一、この階層だけが保険料の引き下げとなるわけですけれども、これによって、今まで本市の独自減免の適用を受けていた方々は、今後、申請の必要がなくなるということです。今、独自減免の申請をしていらっしゃる方は、2月末時点で1,602人というふうに聞いておりますけれども、この
減免対象者のうち、どの程度の人数が新第2段階の対象となるのか、お知らせいただきたいと思います。
それから、国の税制改悪に伴いまして、高齢者に対する
非課税限度額の廃止の影響について伺いたいと思います。
これまで、住民税が非課税だった高齢者が、収入が変わらないのに課税対象になりますが、これは、2004年度と2005年度の税制改悪で、140万円から120万円へ
公的年金等控除の縮小が行われます。それから、
老年者控除の廃止。さらに、
非課税限度額の廃止、定率減税の半減、この四つの改悪が同時に行われております。
そういう中で、大幅な保険料の負担を強いられる高齢者が多く出るというふうに予想されるわけですけれども、今回の条例案の附則では、2006年度と2007年度において激変緩和を行う旨、規定されております。事前にいただいた資料には各年度の段階別の人数が載っておりますけれども、激変緩和の対象人数について具体的にお示しいただきたいと思うのです。
現在の第2段階から新たな第5段階へ移行する方、あるいは、第3段階から第5段階の本人課税となる方々が何人いらっしゃるのか。また、今の第2段階から新たな第4段階、これは、本人は非課税で世帯の中に課税者がいるというケースです。それぞれ最終的にどのような数字に移行していくのか、人数を見込んでいるのか、伺います。
それから、
在宅サービスの利用限度についてもお聞かせください。
この4月1日有効分から順次認定が行われていきます要介護認定についてですけれども、その結果、要支援1または要支援2になっていくことが考えられます。要支援1では6,150単位から4,970単位へ、また、要支援2では1万6,580単位から1万400単位へとそれぞれ限度額が引き下げとなります。これまで週2回、3回とデイサービスを利用していた方が、利用限度を引き下げられることによって、週1回、2回という形で回数を減らさざるを得ない状況が生まれてくるのではないかと思うのですが、それでは、介護保険の本来の目的であった閉じこもり防止、それからまた、在宅で介護する家族の方などへの援助、こういうものができなくなる可能性があると思います。
それからまた、新予防給付については、月単位の定額払いということで支払い方法も変わることになっています。こういう中で、要支援1、2の方々への新予防給付、外出の機会が奪われる、減ってしまう、そういうことから利用を手控えることが考えられると思うのですけれども、そういうふうになるというご懸念は持っていらっしゃらないのかどうか、これを伺いたいと思います。
それからもう一つ、敬老パスの問題についてです。
これは、一番最初に
利用上限額を設けるという提案があってから、随分、議論させていただきました。実際に制度が変えられる中で、多くの高齢者、市民の皆さんから、使い勝手が悪いということでいろいろ意見もあったと思います。
そういう市民運動、市民世論の中で最終的に制度の一部が改善されてきているというふうに私どもは思っているのですが、新年度の交付状況が明らかになってきております。せんだっての新聞報道などでは、出だしは好調というようなことで書かれておりましたけれども、新年度の交付状況の分析と、原局で持っていらっしゃる評価、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
◎宮川
介護保険担当部長 私の方から、介護保険の関係について、3点のご質問にお答えしたいと思います。
まず、1点目の
減免対象者の件でございます。これら
減免対象者のうち、何人の方が新第2段階の対象になるのかということでございますが、ご指摘の現在の対象者1,602人のうち、1,000人程度が移行するものというふうに推計してございます。
次に、2点目の高齢者の
非課税限度額の廃止による影響で、
保険料段階が変更となる方のうち、激変緩和の対象となる見込み人数でございますけれども、まず、本人が課税者となる場合として二つのケースがございます。一つは、旧第2段階から新第5段階になる方が約2万2,300人でございます。もう一つ、旧第3段階から新第5段階になる方が約1,700人と見込んでございます。次に、世帯員が課税となって影響を受ける場合、これは、旧第2段階から新第4段階になるという方でございますが、これについては約8,300人というふうに見込んでございます。
3点目の
介護保険サービスの
支給限度額の関係でございますが、
支給限度額の引き下げや
報酬支払いの変更ということでどのようになるのかというご質問でございます。通所介護の例で具体的に申し上げますと、国の単価設定では、要支援1は大体週1回、要支援2では大体週2回、かつ長時間でないサービスということで単価設定をしてございます。
札幌市の平成18年1月の利用実績におきましては、現在の要支援でも週1回程度でございまして、要介護1では週に1ないし2回程度の実績でございます。利用時間の方も、単独型の通所介護では6時間以上8時間未満が7割以上を占めますけれども、特養施設との併設型の通所介護では、4時間以上6時間未満の利用が約6割で半数以上となってございます。
したがいまして、これらの利用実態を考えますと、
支給限度額の範囲内で十分に対応が可能ではないかということで、今回の引き下げ等によりまして、外出機会が大幅に減少したり、利用の手控えがあるということは想定していないところでございます。
◎中田
保健福祉部長 私からは、
敬老優待乗車証についてお答えさせていただきます。
平成18年度の申請交付の状況とその評価でございます。
2月15日までの状況でございますけれども、
交付対象者は8,500人ほどふえております。それに対して申請者が1万6,000人ほどふえているということで、申請率は昨年同時期より5.5%を超えて上回っております。さらに、
平均申請額も2,000円ほど上回っているという状況であります。
また、当初の
問い合わせも、昨年の4万件を超えるものから、今回は10分の1近くに減少しております。その内容につきましても、昨年は、みずからの1年間の利用額がわからないとか、申請の仕方がわからないといった
問い合わせがほとんどでありましたけれども、ことしに入りましてからは、運用上の見直しを行ったことに関連しまして、追加交付や返還についての
問い合わせ、また、制度の中身についての質問といったものが多くございました。
このようなことから、私どもは、この制度が利用されている方にほぼ定着し、新たな制度に対する理解も深まりつつあると評価をしております。
◆坂本恭子 委員 介護保険の方ですけれども、減免への移行が1,000人というお話でした。
まず、保険料のことについてお話をしたいと思います。
先ほど言いましたように、国の税制改悪による影響ということで、
保険料自体が非常に大幅に引き上がっていくという実態がありました。今ご答弁がありました数字でいきますと、約3万2,300人の方がこの税制改定によって段階が上がっていくということです。3万2,300人というと、高齢者の総体の1割に当たります。平均の保険料の引き上げが11%というお話が出ておりましたし、市長提案の中でもそういうお話がありました。
今、部長のご答弁があったケースですけれども、現第2段階から新第4段階に移行する方は、経過措置等によって今年度は年間3万4,110円を払うという方は、3年間の保険料の激変緩和を経て最終的に年額幾らになるかというと5万456円でよろしいですね。そうしますと、この方は3年後には今の1.48倍の保険料を払わなくてはならない、それからまた、第2段階から新第5段階に移行される方は、同じく3万4,110円払う者は3年後には6万3,070円ということで、実に1.85倍の保険料を支払わなくてはならない、こういうような状況になるわけです。やっぱり、大変な負担増になっていくというふうに思いますし、このような大幅な保険料の引き上げというのは、税制改定によるものだからということだけでは高齢者の理解が得られないというふうに思うのですけれども、この点についていかがお考えになりますでしょうか。大変な不安を抱えることになる高齢者の生活実態をどのように見ておられるのか、この点を伺いたいと思います。
そこで、減免制度ですけれども、高齢者は、ただでさえ年金額の引き下げの中でのさまざまな負担増、これからは医療制度の改悪によって医療費負担もふえていくというような中で、本当に大変な生活苦が強いられるというふうに思うのです。
本市の独自減免は、今後も継続するものの、移行する方が1,000人おられて、減免を受ける方は600人いるということです。私は、市の減免制度はさらに拡大、緩和をしていくべきというふうに思うのですけれども、そういうお考えは全く持っていらっしゃらないのか。国の悪政のもとでも、市として行える施策はあると私は思うのですけれども、この減免制度も、あくまでも国の3原則の枠内でしか実施しないのか。結局、国の悪政をそのまま高齢者に押しつけても仕方がないというふうに考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
それから、新予防給付についてです。
外出とか利用の手控えということはないだろう、それは想定していないし、
利用限度額についても十分対応は可能なのではないかというふうにご答弁されておりました。しかし、必要なサービスが使えなくなる、在宅生活が困難になるということは、やっぱり現実問題として出てくるだろうというふうに私は思います。
そういう中で、特に
ひとり暮らしの男性の方にとって、例えば家事援助のサービスが削られるというような中で言いますと、本当に一人で掃除、洗濯、食事などをやっていくことができるのかどうか、大変不安に思っていらっしゃると思うのです。そういうことも含めて対応していけるという部長の今のご答弁ではありましたけれども、制度が移行していく、新しいものに切りかわっていく時期ですから、そこのところは、実態把握もしっかりとしながら、今後の推移も見ていっていただきたいし、高齢者が本当に必要なサービスが使えなくなるような事態が起こらないように、しっかりと見ていっていただきたいというふうに思っています。
それから、居宅介護の支援についても質問させてください。
現在、
ケアマネジャーが
ケアプランを作成し、利用者への給付、管理等を行ういわゆる
居宅介護支援は、一律に850単位、そして、
標準担当件数は50件と決められております。これに対しては、事業所の運営が十分にできない、あるいは、
ケアマネジャー本来の
マネジメント業務をする余裕が持てないなどの問題が現場からも出されておりましたし、私どもも指摘をしてまいりました。
今回、介護報酬の改定が行われて、1件当たりの介護報酬を引き上げて、逆に担当件数を低く抑えるということが行われます。具体的には、担当件数を40件未満に抑えていくということです。さらに、介護予防の
ケアプランを作成する場合には、35件を上限とするというようなことで改善していこうという方向であります。
しかし、要介護者の半数が要支援あるいは要介護1、そして、その大半が、新たな
介護認定制度の中では要支援1、2ということになっていく、こういうところに拡大されていくという状況ですから、本当に35件、40件の要介護者の
ケアプラン作成を確保することができるのかどうか、やはりここが大きな問題だというふうに思っています。
居宅介護支援事業所の運営が困難になってしまうのではないかと考えておりますけれども、この点はいかが見通しを持っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
あわせて、小規模多
機能型居宅介護についても伺いたいと思います。
今回の
介護保険法の改定によって、新たに
地域密着型サービスというものが創設されました。住みなれた自宅あるいは地域での生活が継続できるようにというようなことで出てきたものというふうに理解しております。施設入所が必要な中度、重度の高齢者でも、地域で生活できるようにという観点で施設から在宅へと、大もとにあったこの流れをしっかりつくっていこうという方策だというふうに思います。
今、私どもは、待機者がたくさん出ている
特養老人ホームの建設等を求めてまいりましたけれども、今まで施設整備のために用意されていた国からの補助金が廃止となって交付金化されます。これは、大規模な
特養老人ホームの建設はしないという国の方針だと思いますけれども、そのかわりに創設されたのが
地域密着型サービスで、この中核をなすのが小規模多
機能型居宅介護であると思うのです。
そこで、このサービスは、利用者あるいは事業者にとってどのようなメリットがあるのか、また、本市では、現在策定している
介護保険事業計画で新年度の
利用見込みを450人と設定しておりますが、どのように事業者に参入を促し、この
サービス基盤を整えようとしているのか、介護保険についてはこの点をお聞きしたいと思います。
次に、敬老パスについてです。
制度も定着してきておおむね理解を得られているだろうというお話でした。数字といたしましても、確かに交付申請もふえておりますし、
平均申請額も上がっているということで言いますと、5万円までの追加交付も認められ、あわせて、使わなかった分についての返金も可能になるということで、5万円の申請をしている方が40%近くになっているということです。
ところが、一方では、1万円、2万円しか買っていないという方もおります。これは、追加交付ができるからということもあるのでしょう。だから、二極化していると私は思うのです。こういう中で、多くの高齢者の方からは、
利用上限額の拡大、あるいは撤廃を求める声が非常に強いというふうに思っているのです。制度が一部改定されてすぐということではありますが、今後、
利用上限額をどうしていくのかということは真剣に考えていただきたいと思っています。
実際に、5万円購入された方がもっと欲しい、足りないというふうにおっしゃっておられます。こういう方の多くは、例えば、町内会の活動であるとか、老人クラブの活動、あるいは
ボランティアなど、さまざまな社会的な活動に参加をされております。こういう方たちは、敬老パスが使えないために、会議に出る回数を減らす、
ボランティアに行く回数を減らす、こういうことが実際に起きているわけですから、5万円という
利用上限額については、新年度もまた見直しをしていくべきだというふうに思うのですが、その点についてどのようにお考えになるのか、お聞かせください。
◎宮川
介護保険担当部長 私の方からは、介護保険に関する4点のご質問にお答えしたいと思います。
まず、1点目の
保険料段階が上がる方の負担が多いという問題でございます。
ご指摘の、平成20年度に新第4段階の5万456円まで上がる方、それからもう一つ、平成20年度で新第5段階の6万3,070円まで上がる方の負担がきついのではないかというふうなお話でございます。
高齢者の
非課税限度額の廃止に伴ってステップアップするこれらの方については、平成18年度あるいは平成19年度にわたる
激変緩和措置を講じておりまして、段階的に最終的な平成20年度の金額へ上げていく措置を講じて緩和しているところでございます。
これらの方々を含めまして、全体的には負担が多いのではないかというふうなお話でございますが、
介護保険制度の趣旨がもともと社会全体で支えるということで、今回の段階の改正、区分変更も含めて、所得に応じた負担を分かち合うという趣旨で改正されたものでございまして、これらの事々につきましては、
介護保険事業計画推進委員会での議論など、そうした形で市民の意向を踏まえて決定してございます。
次に、2点目の減免制度の継続の関係でございます。
今回の保険料の
独自減免制度につきましては、平成18年度以降も継続して行うわけでございますけれども、この減免制度の財源としては、第1号被保険者の全員に上乗せすることになりますので、これらにつきまして、札幌市
介護保険事業計画推進委員会でも議論をしていただいたところでございまして、まずは、今回の新制度での実績を見守り、その状況を踏まえた上で次期計画へ向けて検討してまいりたい、このように考えてございます。
次に、3点目の
居宅介護支援の関係でございます。
今回の
居宅介護支援の報酬改定につきましては、ご指摘のとおり、現行の報酬設定というものが介護度にかかわらず一律であったために、
軽度者中心の
ケアプラン作成に偏りがちになるなど、その業務に対する手間やコストが適正に反映されない、また、サービスの質の向上につながらないなどの問題点がありました。これを改善するために、
ケアマネジャー1人当たりの
標準担当件数を引き下げまして、要介護者の
ケアプラン1件当たりの報酬単価を引き上げたというふうに認識してございます。
こうした改正を基本としつつ、これに加えて、今回におきましては、要介護3から5の中重度の方々を一定割合以上担当し、さらに常勤職員の確保や研修体制の確立等、質の高い
ケアマネジメントを実施している事業所に対しては
ケアプラン1件ごとに一定額を加算するという
特定事業所加算を創設するなど、
事業所運営にも配慮した報酬体系になっているというふうに考えてございます。
次に、4点目の
介護保険サービスのうち、小規模多
機能型居宅介護の話でございます。
委員ご指摘のとおり、小規模多
機能型居宅介護というものは、今後、重要性を増す認知症ケアの充実も含め、住みなれた自宅や地域での生活を継続できるようにという観点から創設されたものでありまして、その
サービス内容は中重度となっても、通いを中心として利用者の容態や希望などに応じて、随時、訪問や泊まりを組み合わせて提供されるというものでございます。したがいまして、利用者は、なじみの
事業所職員から切れ目のない
サービス提供を受けることができます。事業者におきましては、さまざまなサービスを利用する個人ごとの最新情報を把握した上で適切な対応ができるといったようなメリットがございます。
また、事業者にとりましては、従来の広域型の施設と比較いたしますと、小規模であるがゆえのコスト増に対応するような報酬や基準の設定が行われている点もあるというふうに考えてございます。
そこで、事業者の参入見込み、すなわち
サービス基盤の整備でございますけれども、昨年6月に行いました市内の
事業所調査におきましては、小規模多
機能型居宅介護に対する参入意欲が高うございまして、回答があった216事業所中、約6割が取り組む意向を示しており、したがいまして、450名という計画の
利用見込みは可能というふうに考えてございます。
◎中田
保健福祉部長 敬老パスの上限額の引き上げについてでございますが、昨年の
利用実態調査の結果から、私どもも、最高額を選択した高齢者の方の中でこれで不足するという声が相当あるということは認識しております。
しかし、この制度の検討におきましては、これを存続するためにどうするかということで時間をかけ議論した経過がございまして、その視点から利用上限、また利用者の方のご協力を得るという意味で納入金を設定したものであります。したがいまして、制度の根幹にかかわるこのような点につきましては、当面、利用実績や利用実態などの推移を見きわめていくことが必要であると考えておりますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
◆坂本恭子 委員 介護保険についてですけれども、
ケアマネジャーのところで言いますと、質の高い
ケアプランが担保されるのではないかというお話だったかと思うのです。それが利用者にとっても本当に求められていますし、
介護保険制度の根幹の部分にかかわるものだと思いますので、そういう意味でも、事業所に対する対応はしっかりやっていっていただきたいというふうに思っております。
それから、小規模多
機能型居宅介護事業ですけれども、利用者にとってはなじみの事業者、介護者と一緒に継続的な関係がつくれるという意味でのメリット、それから、事業所の方も6割が参入意欲を持っているということで、450名の新年度の見込みについては達成できるだろうというお話でした。
しかし、介護報酬は、本当に皆さんがびっくりするくらいの低いものに抑えられているというふうに思います。ですから、今は元気だけれども、これから、年とともに体の自由がきかなくなるということで、中度、重度になっていく高齢者の皆さんが、そのときに受けたいと思うサービスがきちんと受けられるように、そういうところでは本市としても十分配慮をしていただきたい。介護の社会化、支え合うという視点からいきますと、
地域密着型サービスの中核をなすのが小規模多
機能型居宅介護ですから、そこのところは計画の中でも着実に進めていっていただきたいということを申し上げておきます。
それから、敬老パスについてです。
利用上限額の拡大については、本市で行った調査の結果でもそういう声が出ていたという認識がある、しかし、当面、推移を見ながらというお話でした。
昨年、私どもは、実態調査をしなさいということで求めてまいりまして、その結果、1万人のアンケート調査を行ったわけです。しかし、それは、一般の交通機関を利用されている方も含めての調査でしたし、年の終わりということもあって、既に敬老カード自体が手元になく、外出を手控えている高齢者の方もいらしたというふうに私どもは思っております。そういう意味では、敬老カードを利用している方の、敬老パスに戻してほしいと思っている高齢者の声は反映され切れていないのではないかなというふうに思います。
当面、推移を見てというお話でしたけれども、やはり、新年度は利用されている高齢者を中心にした実態調査をやるべきだというふうに私は思うのですが、このご見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 敬老パスのアンケートについてでございます。
この制度を円滑に運用して存続させていくためには、利用実績、利用の実態の推移を見ていく必要がある、また、社会経済の状況や制度に対する市民の評価、意識の変化などを踏まえていく必要もあるというふうに考えております。したがいまして、これからも、いろいろな形で市民に広く意見や要望を聞いていくことが重要と考えておりまして、その把握の方法や内容、時期などにつきましては、さまざまな状況の推移を見て検討してまいりたいと考えております。
◆小林郁子 委員 それでは、私の方からは、認知症高齢者グループホームいちわの虐待疑惑についてと、地域支援事業と
ケアプラン作成についてお伺いいたします。
別個の問題ですので、別々に取り上げることをどうかご了解いただきたいと思います。
初めに、グループホームいちわの件です。
ここは、2002年10月に手稲区に開設された認知症高齢者のグループホームで、定員は18名となっています。
報道によりますと、この事件は、昨年の春に利用者の家族から北海道に苦情がありまして虐待が発覚したものです。入居者を廊下に座らせるなどの行為があるとか、食事の量や内容が乏しい、また、入居者の行動を制限する、入浴の回数が少ない、そういう通報とか、あざがあったという家族の証言があるといいます。こうしたいちわの虐待疑惑につきましては、かなりの真実性があるのではないかというふうに思います。
そこでまず、グループホームの指導・監督の権限は北海道にありますけれども、札幌市が把握しているこの事件の概要と、札幌市はこれにどのようにかかわっているのか、お尋ねいたします。
それからまた、グループホームの運営体制です。これは、管理者と
ケアマネジャーと介護職員ということになっていますけれども、いちわにつきましては、介護者の資格など、体制がどのようになっているのか、お伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 報道などをされておりますグループホームいちわに関してであります。
まず、今回のこの問題につきましては、昨年5月に、同施設の協力医療機関から情報提供がありましたほか、複数の利用者の家族から、石狩支庁に対して処遇等に関する苦情が寄せられたということが直接の発端であります。
これを受けまして、石狩支庁では、いちわに対する2回の実地指導及び特別検査を実施しました結果、介護給付などサービスの内容に、不正または著しい不当に該当する事実があると考えられたために、指定取り消しを視野に入れた処分を前提に監査を実施したところであります。これは、2月24日に行われております。
また、札幌市におきましては、グループホームに対する直接の指導権限はございませんけれども、老人福祉法に基づく老人
居宅介護支援事業に対する報告の聴取や施設への立ち入りの権限などを持っていることもありまして、石狩支庁が行うこれらの実地指導や監査に本市職員が同行するとともに、本市に寄せられた情報の提供などの協力を行ってまいりました。
2点目の同施設の介護職員の資格と体制についてであります。
認知症高齢者のグループホームにおける介護者の資格につきましては、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準という厚生省令に定められております。一つには、管理者は3年以上認知症高齢者の介護に従事した経験を有する者であること、もう一つは、厚生労働大臣が定める認知症介護実務者研修を修了していることが挙げられます。それから、計画作成担当者は、管理者を兼ねることができますが、福祉サービスなどの利用にかかわる計画の作成に関し、知識及び経験を有する者であって、厚生労働大臣が定める認知症介護実務者研修を修了していることとなっております。
しかし、管理者、計画作成担当者以外の介護職員には、この基準の上からは特に資格は義務づけられておりません。一般の介護職員の資格につきましては、行政機関に対する報告義務がないため、直近の同施設の介護職員の個々の資格は承知しておりません。
なお、多くのグループホームでは、ヘルパー2級程度以上の資格を持つ職員を雇用している現状にあると承知しております。
◆小林郁子 委員 北海道におきましては、きのう、いちわに対して処分の最後の手続であります聴聞を終えたというふうになっております。いちわはこの22日までに弁明の文書を出すということも報道されておりますけれども、今後、北海道が出す処分に焦点が移ってくると思います。北海道が出す処分がどういうものになるのか、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
それからまた、札幌市は指導・監督の権限はありませんが、今も部長が言われましたように、介護保険の保険者として、不正利得があった場合には徴収することができるという権限を持っています。札幌市として、これからどのような態度をとられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
それからまた、これは処分が出た場合のことですけれども、現在入居されている方々の行き先がどうなるのかというふうに思います。市にも、一部の入居家族から退居希望の相談が寄せられているというふうにも聞きますけれども、この点についてどう対応されるのか、そのめどが立っているのかどうか、お伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 同施設に対する道の処分の見通しなどについてでありますけれども、お話しにございましたように、昨日、聴聞が実施されたと私どもは聞いております。さらに、22日までに弁明書の提出といったようなことも予定されていると聞いておりまして、取り消し処分を含めた処分について、道の方でそのために向けた手続が鋭意進められているという状況だと私どもは把握しております。
それから、札幌市は、保険者としまして、例えば、不当利得の徴収等という
介護保険法の定めに基づきまして、指定居宅サービス事業者が偽りその他の不正な行為によりまして居宅介護サービス費の支払いを受けた場合は、当該事業者に対し、その支払った額を返還させることができるとなっておりますが、指定の取り消しを定めた
介護保険法第77条に基づく処分の権限はございません。
次に、仮に取り消し処分があった場合の対応ということでありますが、札幌市としましては、現在も入居されている方がいらっしゃいますので、入居者の方々が混乱なく速やかに転居できるよう支援していく必要があると考えております。
なお、入居者家族の方から既に相談などが寄せられているものについては、手稲区役所、関係機関と調整に入っている状況にございます。
◆小林郁子 委員 今定例会におきまして、市民ネットワークの代表質問の中で、認知症高齢者への施策を取り上げたところですが、札幌市には何らかの認知症を持つ方が現在約2万3,500人おられるということです。グループホームというのは、環境の変化に適応しづらい認知症の特性を踏まえまして、5人から9人の小単位で、家族的な雰囲気の中で地域に溶け込んで生活ができるようにというふうになっているわけです。そうしたことから、認知症高齢者のグループホームというのは、今、全国的にも急増しております。札幌市には、現在、認知症高齢者グループホームが214ありまして、約3,300人の方が入居されているということですが、その運営は社会福祉法人に限らず、民間企業でもいいということになっておりまして、いちわは有限会社です。
そこで、札幌市内の認知症高齢者グループホームの運営主体はどうなっているのか、まず、お伺いをいたします。
それから、最後にいたしますが、道も、昨年、通報を受けてから事実確認など慎重に対応されて今回の聴聞ということになったと思います。いちわのような問題が本当にほかにもないのか、そして、これからも起こってはいけないというふうに思います。
介護保険法の改正によりまして、この4月からグループホームの運営指導の権限が道から札幌市に移ります。現在、グループホームが214ありまして、この3月にはさらにふえるかもしれません。このことからも、札幌市としてグループホームを指導・監督する体制を整える必要があると思いますが、どのように整備をされるのか、お伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の市内におけるグループホームの経営主体についてです。
委員ご指摘のように、3月1日現在で214ということでございまして、そのうち、社会福祉法人が22、医療法人が28、株式会社が67、有限会社が92、合資会社4、NPO法人1ということで、株式あるいは有限会社が全事業所の75%ほどを占めている現状にございます。
それから、2点目のグループホームに対する運営指導体制ということでございます。
お話しにございましたように、4月から、道から札幌市に指導・監督権限が移ってくることになります。私どもは、18年度に向けまして、まずその組織体制を強化する方向で考えておりまして、そういう中でしっかりした取り組みを進めていく考えでおります。
◆小林郁子 委員 認知症のグループホームにつきましては、入居者というのは弱い立場にありますので、本当に安心して住めるようにするためには、外部の目が常に入るということが欠かせないと思います。そのためにも、札幌市としては、しっかりとした体制を整えていただきたいと思います。
続きまして、地域支援事業についてと
ケアプランの作成についてお伺いいたします。
このたびの
介護保険法の改正では、介護予防ということが重視されております。体が徐々に弱っていく高齢期の健康と生活の質を支えていく体制づくりというのは重要だと思いますし、できる限り健康を保ち、住みなれたところで生活するためには、介護予防に力を入れていく必要があります。
そのために、4月からの
介護保険制度におきまして、地域支援事業が創設されています。この中には、大きく分けて3種類あるということで、介護予防事業と包括的支援事業、任意事業があるとされています。そして、この事業の対象者は、要介護状態に陥る可能性のあるハイリスク高齢者、特定高齢者ということですが、その方々は、国によりますと高齢者人口の5%がその対象者割合として設定されています。このことから、札幌市では、次期の
介護保険事業計画におきまして、2006年度は3%、2007年度は4%、2008年度は5%になると推計しております。そして、計画では2008年度の対象者はおよそ2万人というようになっています。
このように計画されていますけれども、この事業につきましては、今、3月半ばですが、なかなか詳細が固まらず、市民もそうですが、利用者もこれからどうしようかというふうに困っている状態にあるわけです。これまで特定高齢者事業として実施されていたすこやか倶楽部なども地域支援事業とのかかわりではどのように整理されるのかとか、また、これまでの特定高齢者事業によるサービスの利用者負担は実費程度だったのですが、
介護保険制度に組み込まれた地域支援事業の中ではどのようになるのかも気になるところです。
そこで、お伺いいたしますけれども、地域支援事業の中の介護予防事業は、一般高齢者と特定高齢者に対して実施するというようになっておりますが、札幌市はどのような事業を行う予定なのか、また、その利用者負担というのはどうなるのか、お伺いいたします。
それからまた、特に現在、地域型在宅介護支援センターで実施しているすこやか倶楽部についてです。これは、地域の人が気軽に利用できる介護予防事業になっております。今年度は、4月からこの1月までの間で延べ3万人の利用者がいるというふうに聞いております。
そこで、このすこやか倶楽部は、新たな地域支援事業の中ではどのような位置づけになるのか、お伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 まず初めに、地域支援事業における介護予防事業であります。
一般高齢者に対しましては、介護予防センターにおいて、これは市内に53カ所設置することとなっておりますが、地域の連携を図りながら、
ボランティアのご協力も得ながら、高齢者の社会参加を促進し、仲間づくりあるいは世代間交流などを通して介護予防に関する知識の普及啓発を図るという内容のものでございます。
特定高齢者に対しましては、特定高齢者というのは、お話しのように、要介護、要支援の状態に陥る可能性の高い方ということで把握した方々でありますが、市内17カ所に設置いたします地域包括支援センターが、お一人お一人の意向と心身の状況や生活環境などに配慮した介護予防
ケアプランを作成して、健康づくりセンターや老人福祉センターにおいて通所型の介護予防サービスを提供するという内容でございます。
また、特定高齢者と位置づけられましても、通所型のこのようなサービスを利用しない方々につきましては、保健師、栄養士、歯科衛生士などによる家庭訪問によって、生活機能に関する課題を総合的に判断して必要な相談支援を行うこととしております。
なお、これらの事業にかかわる利用者負担でありますが、例えば調理の食材費または教材費などについて実費程度のご負担をいただくことを考えております。
それから、2点目は、これまで実施されておりましたすこやか倶楽部の地域支援事業における位置づけであります。
これまで、在宅介護支援センターの閉じこもり予防事業として地域に定着してきておりますので、新たに設置する介護予防センターが実施する介護予防事業の一つとして位置づけ、ほぼ同様の形で継続していきたいと考えております。
◆小林郁子 委員 各種の事業を行うことがわかりましたけれども、介護予防事業というのは、特定高齢者ということで、本当に介護予防事業に参加する必要がある高齢者を対象にしなければならないわけで、そのような高齢者をどのように把握していくのかということをまずお伺いいたします。
それからまた、これからはどの事業もそうだと思いますけれども、効果がどうであるのかということが問われます。介護予防事業は介護給付費の一部を使って行われるわけで、これからこの事業を行うことによってどのくらいの人が要介護状態にならなかったのか、そういう目標値を設定する必要があるというふうに聞いております。
そこで、これらの介護予防事業の効果について、その評価をどのように行っていくのか、お尋ねいたします。
次いで、地域支援事業の任意事業についてですけれども、その中に配食サービスというものが位置づけられております。高齢になって体が弱ってくると、まずできなくなるのが買い出しに行って調理をするということです。その意味では、配食というのは、食事を確保することができ、さらに安否確認をしてもらえるというものです。
そこで、配食サービスについて、現在は利用者負担が400円、市負担が480円という中でやっておりますが、今後のサービスのあり方が変化するのかどうか、また、利用者負担を含めてどのように考えておられるのか、伺います。
◎中田
保健福祉部長 地域支援事業に関連しまして、まず、1点目の特定高齢者の把握についてでございます。
これは、65歳以上の方のうち、約8万人から9万人の方が医療機関での健康診査を受診している状況にありますが、そのほか、区の総合相談、また、保健師などの訪問指導、民生委員さんなどから地域包括支援センターがその情報を得ることになります。
なお、この把握に当たりましては、運動や栄養、物忘れなど、日常生活の状態を25項目にわたる質問表を使用してみずから書いていただき、それを参考に行うこととなっております。
それから、2点目の評価方法であります。
地域包括支援センターでは、各
サービス提供事業者からの報告をもとに、介護予防サービス計画について3カ月から6カ月をめどに目標が達成されたかどうかをチェックするとともに、
サービス内容を見直し、より効果的なサービスの提供を行うこととなっております。
なお、介護予防センターの評価につきましては、参加者数などとともに、地域との連携の状況など、そのプロセスについても十分検証することになっております。
それから、3点目の配食サービスについてであります。
このサービスは、お話しのように、利用者の持てる能力を活用しながら、食の自立支援の観点から調査、評価を行いまして、総合的な視点で作成する支援計画のもとで、栄養のバランスのとれた食事を提供するという内容のものでございます。
この観点から、個々の利用者の状況に応じて、例えば、糖尿病の方にはカロリーや塩分の調整、そしゃくの十分でない方には刻み食などの対応をしております。さらに、その際には、利用者の安否確認を行うということで、異状があった場合には関係機関へ連絡を行うなど、あわせて行っているものでございます。
新年度から、新設されます地域包括支援センターにおいて、要支援1及び2の方並びに特定高齢者と判定された方のプランの作成を行うことになりますが、食の自立支援と位置づけられたこの事業につきましては、その中で実施されることになりますけれども、基本的なサービスのあり方について変更はございません。
さらに、地域支援事業における配食サービスにつきましては、公平を期するという観点から、食材料費及び調理費用は利用者負担とすることを基本とすることが定められておりますので、そのような点から利用者負担についても配慮してまいりたいと考えております。
◆小林郁子 委員 今はもう3月の半ばでして、配食サービスをしている事業者にとりましては、来年度の計画を立てる時期なのです。ですから、どのぐらいの料金設定になるのか、早目に決めていただきたいというふうに思います。
それから次に、
ケアプランの作成についてです。
介護保険制度の改正で、要支援1と2の高齢者の
ケアプランは地域包括支援センターが作成するということになります。現在の要支援、要介護1の方は、介護認定を受けている方全体の約5割を占めているということと、また、国では要介護1の方の7割から8割が要支援2になると推計していることから、新たな要支援1、2の新予防給付の対象者もかなりの数に上るのではないかと思います。そのため、
ケアプランの作成は地域包括支援センターだけではやり切れないだろうということで、利用者の希望があれば、
居宅介護支援事業所の
ケアマネジャーが地域包括支援センターの委託を受けて継続して
ケアプランを作成できるというようにしております。
しかしながら、今回の基準の改正では、
居宅介護支援事業所の
ケアマネジャーは、ことし10月から、
ケアプランの持ち数が要介護者は35件、要支援1、2の新予防給付については8件という制限が設けられております。こうした条件がつけられた趣旨としては、予防介護の
ケアマネジメントは地域包括支援センターみずからが行うべきであって、
居宅介護支援事業所への委託はあくまでも例外であること、また、質の高い
ケアマネジメントを徹底するために、
ケアマネジャーは介護給付にかかる
ケアマネジメントに集中して取り組むこと、そういうことを踏まえての措置であるという国からの見解が示されています。
そこで、札幌市では、このたびの法改正で新たな要支援1と2となる方がどのくらいおられるのか、お伺いいたします。
それからまた、こうした状況の中で、そういう方々に対する予防給付の
ケアマネジメントは適正に行われるのかどうか、お伺いいたします。
◎宮川
介護保険担当部長 介護保険制度における予防給付の
ケアマネジメントについてでございます。
まず、要支援1あるいは要支援2と認定される方でございますけれども、新たな
介護保険事業計画におきましては、平成18年度で1万7,000人余りになるものと見込んでございます。確かに、今後は、こうした多くの方々が、介護支援専門員による
ケアマネジメントから、地域包括支援センターが実施する予防給付の
ケアマネジメントに移行することになります。
そこで、次に、新制度における予防給付の
ケアマネジメントの円滑な実施に向けてでございます。
確かに件数制限等もございますが、一方で、
ケアプラン作成に係る給付管理業務が従前より軽減されることなどもございますことから、これらを踏まえながら、介護予防支援全体の業務量を把握した上で、地域包括支援センターあるいは
居宅介護支援事業所、その他の介護支援専門員などの人材をバランスよく活用していくことなどを含めまして、計画的な体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
◆小林郁子 委員 そういう体制をぜひ整えていただきたいと思います。
ケアプランの作成がおくれますと、それだけ予防給付を受けようという方々がおくれるわけです。ですから、そのあたりはしっかりした体制を整えていただきたいということを要望しまして、終わります。
◆小谷俵藏 委員 それでは、私の方から、認知症高齢者グループホームについて、大きく三つ、お尋ねをさせていただきたいと思います。
認知症高齢者のグループホームの経費は介護報酬と利用者負担で賄われているわけでありますが、私の手元にあります資料に基づきますと、介護報酬は要介護度に応じということで、要介護1の場合は月額24万3,090円、そして、要介護5の場合は26万2,920円、総じて1人当たり月額約25万円前後の費用がかかっているわけであります。その中で、本人負担というのが10%で約2万5,000円ほどです。こういうことになりまして、大変な金額がかかっております。のみならず、利用者負担ということで、その約2万5,000円を含めると、13万6,000円を引いても11万1,000円、これが、いわゆる生活健常であっても、保護を受ける場合であったとしても、かかる共通の費用負担が別にあるわけであります。合わせますと、1人当たり36万円にもなっているわけであります。
どうしてこんなに高い介護報酬が算定されているのか、まず、第1点目に改めてお伺いさせていただきたい。
二つ目は、認知症高齢者グループホームの指導・監督権の移譲ということで、3月いっぱいまでは都道府県ということですが、4月1日からは市町村がその任を負う、権限も負う、こういうことになっております。
認知症高齢者グループホームは、今回の
介護保険法の改正で新設された、まさに
地域密着型サービスの一つとしても位置づけられる、こういう認識もできるわけであります。この指導・監督の対象は金銭的な経理に関する事項が含まれていると思うのですが、そのほかに、例えば
ケアマネジメントといった介護の内容に及ぶ事項が含まれているのかどうか。4月からの権限移譲に伴って指導・監督の対象となる事項はどんなものなのか、お伺いをさせていただきたい。
それから、三つ目は、先ほど来、話に出ておりました認知症高齢者グループホームについての虐待防止の方策であります。
国保でも、他市町村との関係で病院への入院を目的とした札幌市への転入という問題があったわけでありますが、本市にこれだけグループホームがふえてまいりますと、移住を目的とした人口流入という問題も生じているのではないかと思います。
振り返ってみますと、札幌の病院に入院するために地方からどんどん入ってきておりました。札幌の財政がとても大変だ、道の方で何とかそういった面について裏打ちをしてほしいということで、かつて、年間数億円が入っていたように私は記憶をいたしております。最近はよくわかりません。
また次に、ビジネスチャンスをねらっただけの容易な事業参入によってグループホームの増加傾向が見られるわけでありますが、札幌市は全国から事業者が流入しており、グループホームの一番多い都市だとも聞いております。さらに、過当競争となると、介護に従事する優秀な人材の争奪戦が始まって、人手不足を招いている、こういうこともあるわけであります。
いずれにいたしましても、手元の資料によりますと、平成11年度から始まったこの施設は、最初は69の定員、五つの事業所、ユニットが八つ、こういうことでありましたけれども、毎年毎年、倍増、倍増ということでありまして、平成15年までは、数字を見るとちょうど倍、倍となってきておりまして、16年は2,631名、18年3月1日現在で見ますと3,354名、そして、施設も214、ユニットが381と急激にふえてきたわけです。これ以上ふえたら大変だと。これは当然のことであります。そして、今回のいちわの虐待の関係もありました。
こうした流れの中で考えるべきものと思うのですが、今後、介護の質の低下を防ぎ虐待を防止する方策について、札幌市はどう受けとめているのか、お伺いいたしたいと思います。
◎宮川
介護保険担当部長 ただいまの3点のご質問のうち、私の方から2点についてお答えいたします。
まず、グループホーム事業の介護報酬についてでございます。
介護サービスに対する報酬と同様に、国の社会保障審議会介護給付費分科会において決定されたものでございます。その報酬の大部分につきましては、人的経費が占めております。介護給付費実態調査における平均利用定員や介護職員の平均賃金などに基づき、適正な運営のために必要な額として積算されてございます。
ご存じのように、グループホーム事業は、
在宅サービスに区分されております。しかしながら、毎日の介護サービスが必要なために、
在宅サービスの中では高い報酬額となっておりますけれども、施設サービスよりは低い水準に設定されてございます。
なお、ご指摘の本人負担の方でございますけれども、利用料の1割負担以外におきましては、食材料費や日常生活などの費用は利用者から受領することができますが、これは実費相当額の範囲内とされてございます。
以上が国が示す介護報酬の積算と実費相当額の考え方でございます。
2点目でございます。
指導・監督権限の対象範囲というふうなことでございますが、ご指摘のとおり、住みなれた地域において、多様で柔軟な
サービス提供を行うことを目的に創設されたグループホームを含めた
地域密着型サービスにつきましては、利用者がこの市町村内に限られることから、適正な供給量の確保などのために、4月から事業者の指定権限が都道府県から市町村に移行するというわけでございます。
これに伴い、事業所に対する指導・監査も市町村が行うことになり、その対象となる範囲でございますが、介護サービス費の給付に関する金銭面だけではなく、当然、国が定める運営基準などの法定事項の遵守も含まれてございます。現行のグループホームの運営基準におきましては、介護職員などの人員配置や設備の基準が定められるとともに、ご指摘の利用者の心身の状況に応じた適切な
ケアプランの作成、あるいは介護サービスの提供、そのほかに地域との連携などが求められております。したがいまして、市に指導・監査権限が移行しても、これらは、従前と同様に、当然にケアの内容まで指導・監査の対象になるということでございます。
◎中田
保健福祉部長 認知症高齢者グループホームに関しまして、ケアの質の低下を防ぐこと、また、虐待を防止する方策についてでございます。
お話にございましたように、4月には指導・監督権限が道から札幌市に移譲されまして、例えば実地指導などにつきましても、札幌市が主体的に行うこととなります。介護の質の確保、また、このような権限を効果的に行使するためには、行政の指導体制、組織体制が重要でありますので、先ほども申しましたけれども、平成18年度から増員を図るなど体制の強化充実を図ることとしております。このような中で、各種研修の充実、また、外部評価の活用や運営指導など、効果的に進めてまいりたいというふうに考えております。
また、虐待防止という点から申しますと、グループホームがその地域で孤立することなく、また、家族や友人との交流の機会が確保されていることも大変重要であります。また、グループホームの中だけではなく、多くの市民が認知症に対する理解を深め、高齢者を虐待から守るという意識を高めていくことが大変重要であると思いますので、このような地域での取り組みについても、私どもとしては努力してまいりたいと考えております。
◆小谷俵藏 委員 私が何でこういうことを申し上げるかというと、国の基準だと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、これからまさに現実に現場の第一線で取り組んでいかなければならない札幌市として、その辺の費用の問題も含めて考えて、国に対して言うべきことは言っていかなければ大変だと思うのです。当然、必要なことはどんどんやっていかなければなりません。しかし、すべからく、社会全体の経済といったことを踏まえた上でやっていかなければ、地方自治体は破綻をしてしまうことになるでしょう。
ちなみに、今年度は、一般会計の生活保護費が約940億円です。それから、国民健康保険、老人医療費ともにそれぞれ1,800数十億円、合わせると3,600億円何がしということになります。
今思い起こすのは、もう20年も前だったかと思いますが、国民健康保険が大変だ、どんどん医療費がかさんでどうにもならないと。そこで、老人医療費を別立てにしてやっていくことによって、安定した上がらない国民健康保険が保持できるであろうということで二本立てにしたのです。これは光ですよ。ところが、その影として両方ともどんどんふえていくわけです。
介護保険は、そもそもどういうことかというと、病院でベッドが余っているところがたくさんある、そこに患者さんがいないと病院が成り立たない、病院会計にかかわるそうしたことがある。介護というと、治療は余り要らないお年寄りですね。そういった方は別立てにしてやっていこうというのが
介護保険制度だったと私は認識しているのです。
ところが、そういうふうにやっても、必ずしもそのとおりになっていないで、そういう一つのシステムを膨らませることによって経費がどんどんふえていくわけです。全部上がっていくわけです。これは、もつわけがないのです。合わせると大変な数字になってしまうのです。生活保護はまた別ですけれども、介護保険だって大変な状態なのですよ。
こういうことを守っていくためには、日本の経済、札幌の経済がきっちりと安定してこそ成り立つわけであって、こっちにばかり特化したら、札幌はパンクです。だから、私は大変だなということを申し上げているのです。求めるものは簡単、しかし、どうやって生み出すかということを並行して真剣に考えていかなければならないので、これは最後に小澤副市長に伺いたいと思います。
そこで、今の料金の問題ですが、私は、たまたま重度重複障がいを持った人がグループホームで生活することができないだろうかということで、皆さん方に相談いたしました。ところが、知的障がいとか精神障がいについては制度がありますけれども、重度重複はとても金がかかって、国の制度としてもそれはできていない、だから、札幌としてもこれはなかなか手をつけられないのだと。そこで、私は、横浜、横須賀では独自に自主的にそういう制度をつくってやっているということを聞きましたので、それぞれ視察に行きました。これは横浜ではないかと思うのですが、いただいた資料を見ると、お年寄りの介護にかかわる費用よりずっと安いのですよ。重度重複ですから、マン・ツー・マンのような状態で皆さんは頑張っています。
どうなっているのですか。全くつじつまが合わない。こういう現象なのです。確かに、老後はだれしもがあすは行く道ということで大切にしなければならないけれども、全体的にも、経済全体としてもアンバランスがひど過ぎる。また、同じ制度においてもアンバランスがあり過ぎる、こんなことをやっていたら大変です。4月1日から札幌市はその任を第一線で担うわけですから、まさにふんどしをしっかり締め直して頑張ってもらわなければならないと思います。
そして、監査の関係等でありますが、
ケアマネジャーを入れてということであります。さらに、この監査に当たっては、保健師を入れて専門的な視点で監査すると。これは、金銭だけではなくて、業務も監査するということですね。事業も監査するわけですね。したがって、不用意におかしなことがあったら大変だと。これは、あってから騒ぐからだめなのです。行政は、絶えずこういうシビアな、適切な監査・指導をしていますよというところを見せていかなければなりません。若干、職員数もふえるかもしれません。しかし、これは行政でなければできないと思いますが、これについていかがですか、まず、2点を答えてください。最後に、副市長も答えてください。
◎横山 保健福祉局理事 委員がご指摘の報酬が高いあるいは安い、ここら辺につきましてはいろいろなご議論もあるところでございますが、今回、国である程度示された中であります。実態等は我々も十分把握いたしまして、地方財政との関係ということも含めまして、機会あるごとにいろいろな実態を国の方にも伝えていく努力をしてまいりたいと思います。
今回は、特にいろいろと広範に制度が変更になってございますので、その辺は、グループホームのみならず、ほかの点につきましても実態を見ながら、要望が必要な場合には国の方にも要請してまいりたいというような考え方でございます。
◎中田
保健福祉部長 グループホームに対する監査・指導体制の強化に関連しまして、保健師などがかかわるというような部分でありますけれども、特別養護老人ホームなどにつきましては、既に保健師がかかわるような監査をして充実させております。グループホームにつきましても、ご指摘の点も踏まえて、今後、さらに効果的に行われるように検討してまいりたいというふうに思っております。
◎小澤 副市長 先ほど来、話がありましたように、介護保険というのは、介護の社会化という観点から新たにスタートした事業でありまして、札幌市の介護保険会計がきちっと運営できるようにということで
介護保険事業計画をつくり、3年ごとに見直してやっているわけです。私どもは、その計画をつくるに当たりましては、きちっとしたデータをもとにつくるわけですから、その計画に基づいてしっかりした財政運営をしていきたいということで、小谷委員が心配されるような破綻をすることのないようにやっていきたいということでございます。
◆小谷俵藏 委員 では、要望にしておきます。
今、小澤副市長は、破綻をすることがないように頑張っていきたいと。これは、福祉のこういう関係にだけ特化すると財政破綻するということで、これが破綻するということでないです。だから、副市長さんに答弁を求めたわけでありますので、これは全市的な問題として受けとめてよろしいですね。
それで、先ほど申し上げたように、とにもかくにも非常に高過ぎる。高いから倍増、倍増と。ニーズが高いから倍増、倍増ということもあるかもしれないけれども、これはだれでもやれるな、何かうまそうだなと、こういうこともなきにしもあらずで、この方が多いでしょう。だから、こうなるわけです。
ですから、私がさっき申し上げた横浜のそういった施設の内容なんかでも、実は生活費にかかわる関係の中には介助料も全部入っているのですが、障害基礎年金が幾らで、特別障害手当が何ぼで、在宅手当が何ぼで、生活保護が何ぼで、そして、小規模作業所へ行ったときの給料があります。これは、2万円払って2,000円もらっているというシステムですが、それは刺激を求めるためにやはり必要だなと思う。私の孫もそういうふうにしてやっております。ですから、僕もそのことはよくわかります。2万円払って2,000円、例えば、横浜のシステムもわかります。
いずれにしても、トータルで28万5,000円で、実際の支出はもろもろ含めて、家賃から食費から光熱費、介助料も全部ひっくるめて25万4,000円と。重度重複の、マン・ツー・マンでなければできないような大変な人にでさえ、そして、そういうのは金がかかり過ぎてとてもできませんと、こういう話で私は一昨年からやりとりしていました。議会でなくて、直接、原局とやっておりました。そうなのかなと思っておりましたけれども、とにかく、平均すると合わせて36万円もかかっているとすれば、全く違いますね。これは大変なことだと思いますので、国の制度として基本は国でつくるわけですから、現場の実態としてこの辺はしっかり取り組んでいってください。強く求めます。
もう一つ、これもぜひ求めておきますが、少なくともグループホームというのは、地域密着型です。今、本当に地域に密着しているかどうか。私は余り密着していないな、施設的になってしまっているなと、何カ所か歩いて見ている中でこういう思いがしてなりません。本当に名実ともに、皆さんに理解され、皆さんから支えられる、そういうグループホームになるように、積極的に取り組んでいただくことをあわせて強く求めて、終わります。
◆小野正美 委員 私からは、認知症高齢者向けのグループホームに関して質問いたします。
特に、地元であります手稲区稲穂のいちわについてですが、ここはツー・ユニットです。グループホームはそれぞれユニットごとに名前をつけられておりまして、ぬくもり通りとか、さくら、さくらんぼ、あるいは、こもれび、ひだまりとか、そういった比較的かわいい名前が多いのですが、いちわは、なんたらの家、かんたらの家と、そういう名前でありまして、ああ言えばこう言うという人物がつけたのかなという思いがいたします。いずれにいたしましても、一連の報道内容は極めて遺憾であり、あってはならない、許されないことだと思います。
私も、早い段階から北海道などの動きも知っていましたし、地元手稲区で関係者もいたことから、以前からこのグループホームに対するさまざまなうわさを幾度となく聞いていました。退所させた家族や関係者の声、あるいは、開設に当たってグループホームのことについて相談を受けた施設職員、外部評価の調査員などからも聞いておりまして、高い確証を得ていたわけであります。どこかの送金メールとは違いますけれども、いずれにいたしましても、こうした事態が発生したことに極めて遺憾であり、強い憤りを持って質問をしてまいりたいと思います。
委員会質疑ですから、順番の関係があって、既に何人かの方から、事業者の概要とか、この間の経過、あるいは処分の行方などについても話がされました。そういったことと重複しないようにしますが、開設されて3年余がたつわけでありますけれども、まず何よりも、この間、こうしたことが見逃されてきたといいますか、放置をされてきました。しかし、3年余の間に少なくとも10人以上の方が亡くなっているわけです。この施設の中で亡くなった、あるいは、施設から病院に入院して間もなく亡くなったと。もちろん、因果関係においては、年齢が90歳であるとか、いろいろな持病があったとか、直接的なことは言えませんけれども、いずれにしてもこういう状況がございました。
この認知症のグループホームについては、処遇のあり方としては歴史の浅いものです。従来、特別養護老人ホームとか精神病院に入院をするといったことでありましたが、より家庭的な、その人が生活してきたところと変わらない、環境変化をさせないという意味で小規模なものとしてグループホームが認められ、今日があるわけであります。そういう歴史が浅いこととか、小規模なため、閉鎖性や密室性による問題なども懸念をされておりまして、そういったことから外部評価制度が平成14年に制度化され、平成17年度から本格実施されてきたわけであります。
私自身もこうした制度ができたこと自体は評価いたしますし、実際にこの評価実施機関の調査員の方の中には、それぞれ長い経験を持ち、あるいは、非常に熱心に調査し、あるいは、グループホームに対する指導などにも当たられている方を知っています。具体的には、痴呆性高齢者グループホームのサービス評価ガイド集というのがございまして、ここの中には、自己評価の項目あるいは外部評価の項目、それぞれについて項目のねらいとか評価のポイントがずっと記載されていまして、これは、グループホームの職員などの研修やグループホームを判断する際に、利用者家族の方が見る上でも非常に役立つものだと思います。そして、このグループホームの外部評価は、独立行政法人社会福祉医療事業団のワムネットで公表され、その公表内容については本人や家族にも示さなければならないとなっているわけです。
そして、このいちわに対しても、実際に外部評価が行われております。平成16年はまだ高齢者痴呆介護研究・研修東京センター1カ所で3年間に1回という形でしたが、平成17年からは北海道で認定した10カ所の機関が実施するようになります。いちわで平成16年度に行われたものは、約1年たって17年になって公表されていて、この評価概要の中に、全体を通して、このホームのすぐれている点、独自に工夫している点などが書かれています。
1〜2紹介しますと、大変静かな住宅街に位置しており、敷地も広く、畑なども充実しており、そこでとれた野菜が食卓に上っていると。しかし、実際に実地指導に入った方に聞き、また、私も見ているのですが、畑などはありません。ただ、いわゆる草取りなどはされているようです。
それから、職員の中に看護師、栄養士、調理師も配置されていると、しかし、これも、そういう資格のある人は全くいないという実態でありました。
それから、午後からはレクリエーションを1時間ほど行っており、入居者も楽しく参加していると。けれども、これも、実地指導に入った職員の方にお聞きしますと、ただチラシをちぎらされているだけで、そんな楽しいレクリエーションなんかではないという実態です。
それから、いわゆる全体を通しての評価というのは、比較的すぐれている点とか、独自に工夫している点などが記載されているのですが、ほかに特記事項というのがあります。
優先順位の高い要改善点についてというのがあるのですが、この中では、言葉かけが指導的な側面もある。雰囲気は悪くないが、ゆったりという感じではない。個別にゆったりと穏やかな対応を心がけ、情報処理のスピードが遅く、ストレスに弱い認知症高齢者の安定を確保して行ってほしいということとか、週2回午後の入浴となっているけれども、もっと入浴の時間帯や回数、さらには夜間帯にも入浴できるように取り組んでほしいとか、確かにこういう改善点が具体的に書かれておりますけれども、実際にこれがどのように施設の改善につながっているのかという点では、極めて疑問な点があります。
そこで、質問ですが、認知症高齢者グループホームに関して創設されている外部評価制度はどういうものなのか、その性格、あるいは事業者との関係がどうなっているのか。
それから、今、幾つか指摘をしましたけれども、確かに、制度的な限界があろうと思いますが、この点をどのように認識されているのか。特に、指定とか処分の権限がある行政との関係について、今日までは北海道で、この4月からは札幌市に移るわけでありますけれども、これがどうなっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 認知症高齢者グループホームの外部評価制度の性格などについてでございます。
グループホームにつきましては、国の定めによりまして、事業者はみずからサービス評価を実施し、常に質の改善を図ることが義務づけられております。
この外部評価は、行政の権限で実施いたします監査、立入調査とは性格を異にしておりまして、
介護保険法で定める指定水準が確保されていることを前提に、さらなる質の向上を図り、できるだけ理想の姿に近づけようとするものでございます。高い理念を持って利用者の尊厳ある暮らしの実現を目指し、みずからに厳しい事業者は外部評価を有効に活用して一層その質を向上させることができるというものであります。
そこで、2点目の制度的な限界と申しますか、その部分と行政との関係であります。
この制度は、いわば性善説に立った仕組みでありますけれども、本来の目的に沿って活用されますと、介護の質の向上に大きく効果があると考えております。しかし、不利な点を隠したり、正しい評価を回避しようとすれば、表面だけを繕った形式的な評価になりかねないという一面も否定はできないかというふうに考えております。
そこで、この外部評価をより質の高い介護の提供に向けて活用していく一方で、さまざまな研修や管理者連絡会議などを通じて介護の質を確保し、その向上を図っていく努力が行政側にとっても必要であるという認識でございます。
◆小野正美 委員 この外部評価制度は、グループホームに特化してつくられているわけで、この制度そのものを否定するものでは決してございません。本当にこの制度を生かして、自己評価といいますか、そういった中で、みずから処遇や運営内容について改善をされているところもあります。私も実際にお聞きしましたが、調査員の方が幾つか指摘したことは、その次に行ったらちゃんと改善をされている、そういう施設もあると聞いています。
ただ、事業者が評価機関を選んで委託するわけですが、この委託料が実施機関によって大きな差がございまして、北海道が認定をしている10カ所の中でも、ワン・ユニット当たり7万2,000円から、高いところでは16万円というようなところもございます。そして、評価した内容を公表するわけでありますけれども、その公表に当たって、事前に評価機関が事業者にこういう内容で公表するけれども、よろしいですかということを聞いて、異議があれば、そこでいろいろな調整をして、了解を得た内容で公表するものですから、先ほど言ったようなことにもなってしまうのかなという気がするのです。
いずれにいたしましても、処分とか処罰とか、そういうことが目的の機関ではございませんから、そういった限界があろうかと思いますが、今後、行政側としてその点をどのように補っていくのか。
やはり、こういった虐待などのおそれがある問題については、評価実施機関が行政側に通報するとか、あるいは、相談などの持ちかけをすることも含めて、そういったことがぜひ必要だと思います。特に、平成17年度からは、道内、特に札幌市内にもこの実施機関が多数ございます。社会福祉協議会が運営しているところもありますので、そういった連携をぜひ強めていただきたいと思います。
次に、報道では、ホームに出入りしている医療機関がこういった実態を確認して、不自然なあざがある、あるいは栄養失調があるといった証言もされていますし、道に対する通報も医療機関からなされたのが今回のきっかけだと聞いています。
ただ、いちわの協力病院としてパンフに書かれているところに、その院長から直接ではありませんが、院長から話を聞いた調査員の人の話ですと、協力病院として依頼も受けていないし、契約もしていない、ただ、自分の患者がいるから往診したのだというような話をされているとか、あるいは、栄養状態が悪いので入院させて回復させた、しかし、施設を指導する立場、あるいは責任があるわけではないので特段のことはしなかったし、行政側に言うこともなかったというようなことが言われています。
こうした利用者の様子とか施設内部のことを知り得る人、いちわの場合には、家族や関係者が入居者に面会することも許されていなかったわけです。私や私の知人が行っても、ほとんど玄関先の対応で終わりでありました。そういう内部のことを知る得る人、あるいは、頻繁に救急車が来ていたという話もありまして、当然、その中には本市の消防局職員もいたのではないかと思います。
そこで、こういった方々がどのようなかかわりを持つことができるのか、あるいは、協力病院とは一体どういうものなのかについてお聞きをしたい。
それから次に、これも報道にありますけれども、福祉サービスの苦情を解決する北海道社会福祉協議会の北海道福祉サービス運営適正化委員会というのは、介護保険の導入に当たって、私たちも福祉オンブズマンなどの議論もしましたが、いわゆる公式な苦情処理機関として位置づけられているものです。この適正化委員会が、昨年9月に、元入居者の4家族から、食事の量が少ない、入居者の顔や胸に不審なあざがあるなどの申し出を受理、昨年11月とことし1月に同ホームを訪れて調べ、ことし4月下旬までには申し出の妥当性を判断する予定となっているのです。
この苦情処理機関といいますか、公的に位置づけられている適正化委員会が、昨年9月に苦情の申し出を受理しておきながら、今日、まだ結論も出していない。こういう虐待などの疑いがあって緊急性があるのに、どういう対応をしているのかということが非常に疑問なのであります。この点を把握されていれば、この適正化委員会がどのような対応をしてきたのかなどについてお聞きしたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 今回の問題に関連しまして、グループホームの協力病院についてでございます。
グループホームの運営基準には、国が定めたものでありますが、利用者の病状の急変などに備えるために、あらかじめ協力医療機関を定めておくことが義務づけられておりまして、開設前に協定を結ぶことになっております。グループホームから通院する場合もありますけれども、月に2回程度の往診をしている医療機関が多くありまして、こうした機会に得られた情報が寄せられる場合があります。
なお、昨年成立し、この4月から施行される高齢者虐待防止法によりますと、医師は高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならないという規定がありますので、その条文にも該当する部分があろうかというふうに思っております。
それから、2点目の北海道福祉サービス運営適正化委員会であります。
これは、ご指摘のように、社会福祉法に基づいて設置されているものであります。私どもが把握している範囲としましては、福祉サービスの利用者、家族から今回の件に関する苦情が寄せられまして、当事者間の話し合いでは解決が難しく、ホームに訴えたけれども、その意見が退けられたという経過の中で、家族の要請もあって調査に入ったというふうに聞いております。私どもが把握しているのは、その限りでございます。
◆小野正美 委員 特に、医療機関は高齢者虐待防止法に基づいて通報義務があるということで、この4月以降、こういった点が改善をされるのかと思います。
それから、この適正化委員会も、いわば苦情処理で双方の意見を聞かなければならぬわけですから、ホーム側のいろいろな言い分も聞いた上で対応していくという点で、余り敏速に対応できない、限界があるのかなと思いますが、この点も、今回のことを教訓にして北海道あるいは道社協などとの協議もぜひ行っていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、こういったグループホームの指定とか処分権限がこの4月から札幌市に移るわけであります。先ほども幾つか議論されていましたが、札幌市内でグループホームが非常に急増しております。特に、いろいろな異業種の参入などもございますし、介護保険財政への影響なども大きいわけですし、それのみならず、こういった質の問題なども懸念してきたところでございます。この間、指定してきた北海道は、ある面では申請があればほぼそれを認める、数をどんどんふやして競い合って質の高いものにと、そういう考え方もあろうかと思いますが、残念ながら、特養の待機場所になったりして定員がほぼ埋まっているという状況にあろうかと思います。
そこで、今後、指定権限が札幌市に移るわけでありますけれども、札幌市としては、この4月以降のグループホーム開設に関する考え方についてお聞きしたいと思います。
それから次に、今後の再発防止あるいは質の確保、向上に向けてどのように対応していくかということであります。
私も、みずからの経験を踏まえて、議員になってから最初の代表質問でもグループホームについて取り上げましたし、その後、何回となく委員会などでも質問してきました。この間、本市の担当においては、計画作成者だけではなくして、オーナーに対する研修なども必要だという立場から、さまざまな研修なども実施をしてきたわけで、本市の担当者の努力については評価をするところであります。
しかし、今回こうした問題が起きたわけでありまして、これを教訓に、今後の指導体制、特に先ほどの質問に対して指導・監督の組織体制を整備するとございましたけれども、この4月以降の機構改革の中で具体的にどういった対応をされるのか。それから、数も相当ふえていますし、重点的にどういった指導をしていくのかということがあろうかと思いますが、そういった考えがあればお聞きしたいと思います。
それから、もちろん研修などの強化ということが必要になると思いますが、グループホームの人たちも、自分たちは一生懸命に頑張っていて、介護度を軽くしたと。軽くしたら介護報酬が下がってくるというようなジレンマもありながら一生懸命頑張っているところもあろうかと思いますが、今回このような事件が明らかになることで、自分たちの努力、いわゆる評価が下がることについて非常に憤りを持っている方もたくさんいると思います。そういう意味で、こうしたグループホームにかかわっている人たちの連携といいますか、お互いに切磋琢磨する、あるいは研修を積み重ねていく、お互いに注意をし合う、指導し合う、そういうことも必要なことと思いますが、この点はどのように考えられているのか、お聞きしたいと思います。
◎横山 保健福祉局理事 1点目の今後の整備方針についてでございます。
段々のご指摘がございましたように、現在、札幌市内でグループホームの数が210を超えておりまして、3月末でもう少々ふえるだろうというふうに推測しているところでございます。指定権限の移譲にあわせまして、この後は、市町村ごとの実情に合わせて、基本的には市町村の判断で整備方針を決めますので、現在の水準というのは、非常に急激にふえて、間口としてはかなり高い水準にあるだろうというふうに我々は判断をしております。したがいまして、当面は、新規の整備については凍結し、今問題になっております現在ある施設の質の確保、こういうところに力を入れていきたいと思っております。
今後の新規整備を認めるかどうかにつきましては、もう少し時期を置いた後で、入居者の充足状況とか待機状況を見て判断してまいりたい、当面は凍結したいというふうに考えております。
◎中田
保健福祉部長 2点目のグループホームの運営指導体制の内容でございます。
平成18年度から組織体制の見直しを行って強化を図ることとしております。現在は施設担当の課長のもとに認知症対策の係長が2名いる状況でございますが、新体制では、事業の指導課長のもとにグループホームの指導担当係長が1名、そのほか事業の指定にかかわる担当の係長が1名、事業の指導の係長が1名、それから事業の指導の担当者として4名ということで、合わせますと、これまで3名というカウントであれば、今後は8名の体制ということが言えるかと思います。
◆小野正美 委員 最後に、要望になります。
このグループホームは、まだ厚生省のモデル事業の時代に、全国20カ所、札幌市は2カ所でモデル事業として実施されておりまして、そこに私の母親が1年ほどお世話になったというような経過がございまして、この問題については幾度となく取り組んでまいりました。
いずれにしましても、こういう本当にあってはならない事件が起きたことは極めて残念なことでありますけれども、来年度から札幌市に指定あるいは監督権限が移るという中で、これを契機に職員配置の体制も強化をされるということです。これからは、さまざまな研修とか、また、組織づくりも、札幌市全体の協議会では大き過ぎるので、各区ごとにグループホームの関係者の組織づくりもされておりますので、そういった方々との連携などもぜひ強化をしていただきたいと思います。そして、残念ながら、手稲区でこうした問題が起きたわけでありまして、中田部長も新たな立場で引き続き頑張っていただきたいと思います。
◆阿知良寛美 委員 私からは、地域包括支援センターの職員のことについてと、かかりつけ医認知症対応力向上事業についての2点をお伺いします。
初めに、地域包括支援センターの職員のことについてであります。
今回の
介護保険制度改正により、新たなサービス体系として、地域支援事業や地域包括支援センターが創設されることになります。介護予防重視型システムへ変わるわけでありますが、その中核をなすのが地域包括支援センターと言えます。地域包括支援センターは、地域を重視して地域包括ケアを推進する上で最も重要な拠点になる、こう考えられております。
今回の改正で、介護支援専門員、すなわち
ケアマネジャーの
ケアマネジメントが適切に実施されるように、介護報酬や1人当たりの担当件数が大きく見直しをされております。もとより、介護が必要な高齢者の在宅生活の継続は、介護保険を初めとする公的なサービスだけで支えられるものではないというふうに思います。
私は、在宅介護は自助努力を基本としながら、家族の協力や公的なサービス、また、地域の助け合いなど、多種多様なつながりの中で初めて実現できるものと考えます。つまり、介護を必要とする高齢者の地域での在宅生活を支えるためには、多様な価値観に基づくその人の生活背景や人間関係、そういうものを的確に把握して、介護サービスだけではなくて、医療機関や民生委員、または近隣住民や精神保健福祉センターなどの専門機関などとの連携が必要と考えます。
改正
介護保険法の中で、地域包括支援センターは、高齢者の地域での継続した生活を支えるために、個々の高齢者の状況やその変化に応じて介護サービスや医療を初めとする多様な支援を効果的、継続的、包括的に提供できるように、
ケアマネジャーの
ケアマネジメント体制の構築を支援することが業務に位置づけられております。また、新たな予防給付の
ケアマネジメントとともに、
ケアマネジャーに対する支援の充実など、適切なケアを進めることで高齢者の虐待防止や権利擁護の推進に大きな役割を発揮するのではないかと期待するところであります。このように、地域包括支援センターは、地域の
ケアマネジャーの支援や指導的役割を持つ中核機関として大変重要なものであります。また、ケアワーク、ソーシャルワークといった知識と技能を持つ専門職を置くことになっているはずであります。
そこで、お伺いしたいのは、札幌市の地域包括支援センターの専門職種はどのような配置になっているか、また、地域包括支援センターの役割を考えると、専門職という資格だけではなくて、その専門性を高める研修や教育による職員の資質の向上が重要であると考えますが、具体的にどのように実施される予定なのか、初めにお伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の地域包括支援センターへの専門職種の配置についてであります。
これにつきましては、保健師または地域保健活動の経験のある看護師、社会福祉士、加えて主任
ケアマネジャー、この3専門職の配置が定められております。
札幌市では、保険者として関与を強化し、適切かつ効果的な運営を図るということから、広い区域を担当することにしましたので、これらの専門職を複数配置し、1カ所に6から8名の専門職を配置することとしております。
それから、2点目の職員の研修・教育体制であります。
国が全国規模で実施する研修につきましては、地域包括支援センター職員の受講が義務づけられておりまして、その内容は地域包括支援センターの役割を中心として各専門職種別に既に実施されております。これは去る2月21、22日の2日間で実施されまして、札幌市から地域包括支援センターの専門職員となる予定の方109名が受講したところであります。
また、今後、札幌市としましては、各専門職がチームで地域包括支援センターの総合的な相談支援に対応できるように、介護予防
ケアマネジメントや権利擁護など、実践に向けたきめ細やかな研修を実施する予定で検討を進めております。
◆阿知良寛美 委員 国が実施する研修以外にも札幌市独自で実施をする、研修等を位置づけるということはわかりました。
しかし、介護予防の推進に地域包括支援センターの果たすべき役割を考えますと、研修を受けた専門職員といえども、業務を的確に担うためには、行政の連携や協力体制が不可欠と考えております。具体的にはどのような支援体制を考えているのか、お聞きいたします。
◎中田
保健福祉部長 包括支援センターに対する行政としての連携あるいは協力・支援体制であります。
これは、札幌市が設置者として各法人に委託をすることになっております。そこで、各区におきまして地域包括支援センターの業務に関する連絡会議を定期的に開催し、介護予防
ケアプランの作成に関する助言・指導、また、困難事例に対する連携支援など、両者が一体となって介護予防を推進していけるよう協力体制の充実を図ってまいりたいと考えております。また、行政が行う高齢者の要支援、要介護の認定調査の時点から、地域包括支援センターの役割などについて市民の理解を得るための説明や、介護予防を重視した新たな制度の周知に努めることとしております。
◆阿知良寛美 委員 次に、かかりつけ医認知症対応力向上事業についてお聞きいたします。
2003年に厚生労働省老健局長の私的諮問機関であります高齢者介護研究会が出した2015年の高齢者介護報告書によりますと、2002年の統計からではありますけれども、要介護認定を受けた人の2人に1人は、程度の違いはあるが、何らかの認知症があるということであります。また、認知症があると判断された人のおよそ半数が在宅で生活をしているということであります。
少し古いデータでありますが、神奈川県の医師会が平成3年に報告した調査研究の結果によりますと、家族が認知症で医療機関を受診し、医師に相談した理由の1番は、夜騒ぐ、怒りっぽい、暴力、徘徊、不潔な行為など、家族だけでは対応が困難と考えられる問題となる行動であり、約43%を占めていたということであります。次いで、物が盗まれる、家族がいじめるとか、だれか見知らぬ人が来ているなどの妄想的な精神症状であり、約35%がこういう状態だったと。中でも、かかりつけの医師から認知症ではないかと指摘されて、診察を受けに来た方はたったの16%程度だった。
この報告は随分古いものでありますから、現在とは多少違う点があると思いますが、現実として、必ずしも認知症の早い時期に医療機関で受診し、医師に相談するということにはなってはいないのではないかというふうに思います。つまり、認知症の症状が見られても、専門医と言えない、通常、我々がかかるかかりつけの医師に相談したとしても、例えば、受診時に認知症の症状が出なかった場合には、診断をしかねるのではないかというふうに思います。
また、2002年に「老年社会科学」に発表された認知症に対する意識調査を見ますと、認知症が病気であると認識している人は約半数であったというふうに言われます。同じ調査で、身近な人の認知症について相談した相手は、家族や友人、知人が約65%と最も多く、次いで、かかりつけの医師が約27%となっております。割合としては少ないようでありますが、家族以外に相談した相手としてはかかりつけ医師が一番多かったということになります。その意味では、ふだん、かかるかかりつけ医師の重要性が認識される結果となっております。
しかし、そのかかりつけ医師の対応について見ますと、2003年に行われた全国調査では、家族が認知症の相談をした際に、年齢のせいと片づけられてしまったというのが4分の1見られたということであります。
認知症のさまざまな症状で困っている高齢者や家族がかかりつけの医師に相談したときに、その医師がどのような対応をしてくれるかによって、その後に、在宅生活を継続できるかどうかを左右すると言っても、私は過言ではないというふうに思います。つまり、早い時点で認知症を把握することで、適切な医療やケアに結びつけることができるのでありまして、認知症高齢者や家族が安心して地域で在宅生活ができるようにするためには、かかりつけ医師の役割は大変大きいもの、重要なものだというふうに思います。
公明党といたしましても、今後の高齢化の早急な進展に認知症の対策は重要な課題と位置づけられており、特に、早期に把握し、適切なケアに結びつけることは、高齢者の虐待防止、権利擁護など、認知症高齢者の尊厳を支えるケアの推進につながるものでありまして、介護と医療の連携が重要なものと考えております。
そこで、札幌市は、平成18年度の新規事業として、かかりつけ医認知症対応力向上事業を実施するとありますが、どのように取り組むのか、まず初めにお伺いします。
また、この事業にどのくらいのかかりつけの医師の参加を見込んでいるのか、お聞きいたします。
◎中田
保健福祉部長 1点目は、札幌市が平成18年度から実施をすることとしておりますかかりつけ医認知症対応力向上事業の内容などについてであります。
この事業は、札幌市が実施することとなりますが、札幌市医師会に委託をして行う予定でありまして、まず、その指導者となる医師の養成は全国レベルで実施され、養成を受けた医師が地域に帰りまして、一般の診療医に研修を実施するという内容でございます。研修の中身としましては、認知症の診断にかかわる知識だけではなく、治療とケア、家族支援、あるいは地域の関係者との連携、また、権利擁護に至る広い内容となっております。
それから、2点目の参加医師の数でありますけれども、年1回の研修で参加者100名と見込んでおります。
なお、平成17年度においては、既に札幌市医師会が国のモデル事業として同様の内容で実施しておりますが、ここでは100名の募集に対して多くの医師からの参加申し込みがあったと伺っております。
◆阿知良寛美 委員 札幌市内の一般診療医は1,600名いるというふうに言われておりますが、それを考えると、この事業に参加する医師数が100名ということでありまして、十分というふうには言えないと思います。
しかし、かかりつけ医師が認知症の相談に対応できるようになる一つのきっかけづくりとして、大変希望するといいますか、期待する事業であるというふうに思います。
事業の概要などは理解しましたが、この事業を実施することで認知症の方やご家族の日々の悩み、ご苦労などをどのように改善されるか、どう考えているか、お聞かせ願います。
◎中田
保健福祉部長 かかりつけ医認知症対応力向上事業が実施されることによりまして、認知症の方、また、家族の方のご苦労などがどう改善されるかというご趣旨であります。
この事業によりまして、認知症のご本人はもちろんですが、ご家族にとりましては、受診する医師の診療科目にかかわらず、認知症の特性を理解した上での受診が可能となりますので、より効果的な治療を受けることができるようになると考えております。また、研修を受けた医師から、家族の支援について指導・助言を受けることができますし、適切な認知症ケアに結びつけるなど、介護関係者との連携も進むことになりますので、安心して在宅で暮らすことができるような地域づくりに貢献するものと考えております。
◆阿知良寛美 委員 最後に、要望で終わります。
介護保険制度は、4月から新たな制度に移行するわけでありますが、
介護保険サービスを利用している高齢者を初め、
ケアマネジャーや
介護保険サービス事業者など、かなりの混乱といいますか、迷いというものが考えられます。そういう意味では、市民への周知はもとより、現在利用しているサービスが継続してできるように、できるだけ許される範囲で柔軟な対応を求めていきたい、こう思います。
また、かかりつけ医の研修事業に対する要望といたしましては、こういうデータがあります。初診としてかかりつけ医に行くわけですけれども、そのときの医師の対応が、認知症だと肯定的・積極的な対応をしてもらったと答えた人が69%、一方、医師の対応が否定的な、要するに年のせいだと、こう答えた人が28%いらっしゃる、そういうデータもあります。そのことからも、早期に認知症の診断、治療を受けることが可能なかかりつけ医の研修は非常に大事で、また、有効であるというふうに思います。
そういう意味では、何よりも高齢者が安心して生活できるように、保険者として札幌市の支援体制の強化を図っていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○高橋功 委員長 以上で、第3項
老人福祉費等の質疑を終了いたします。
ここで、およそ1時間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後0時4分
再 開 午後1時5分
――――――――――――――
○高橋功 委員長 委員会を再開します。
議事に先立ちまして、各委員にお願い申し上げます。
質疑におきまして、やや前置きが長いように見受けられますので、簡潔に質疑に入られますようにお願いを申し上げます。
それでは、議案第6号 平成18年度札幌市国民健康保険会計予算の質疑を行います。
◆小川勝美 委員 それでは、私から、国保についてお尋ねします。
今、国保加入世帯には、計算方法が変わります、こういうパンフレットが配布されました。私の家にも来ました。昨年の議会で賦課方式の変更を行いました。それに伴って、こういうふうにやられてきているわけですが、国保料そのものは値上げをしないということで新年度予算も提案されております。1世帯平均14万1,597円、これは据え置かれているわけですが、賦課方式の変更、いわゆる今までの賦課方式である住民税額方式から旧ただし書き方式に変わる、こういうことによって中間所得層の保険料をより所得の低い方につけかえるというようなことが行われてまいりました。
したがって、このパンフレットの中でもこういうことが書かれている項目があります。負担が大きくふえる世帯には経過措置として、2006年度は1.3倍を超える場合は1.3倍に抑えます、そして、2007年度の経過措置ということでは1.6倍を超える場合については1.6倍に減額します。こういうことを書いたパンフレットが入っています。大した安くしてくれるようにも思えるのですが、結局、中身は大幅に上がるから、経過措置をとりながら3年目にそれだけに持って行きますよと、こういう中身であります。
そして、具体的にいろいろなことが書かれているのです。加入者によって全部違います。均等割と平等割の比率も変える、所得割の比率も変える、こういうようなことも書かれておりますし、税制改正のことも書かれております。それらも含めているものですから、このパンフレットを見ただけではなかなか簡単にわかるような代物ではないな、こんなふうに思いながら私も見ておりました。
国民健康保険料の賦課方式の変更、賦課方式ということを市民向けにわかりやすく言えば、計算方法を変えるということだと思いますが、それと同じように、
介護保険制度も変わり、介護保険も基準段階で11%の値上げ、そして、先ほどの質疑にあったように、ランク移動も合わせますと場合によっては1.8倍を超える値上げ、こういうのも合わされて、同じ世帯に国保料の賦課方式による値上げ、介護保険料の値上げというふうに行くわけです。
ですから、今回は、市の方から札幌市国民健康保険のお知らせが配られると同時に、各区で介護保険、国民健康保険料の改正に伴う説明会が行われました。2月18日の豊平区民センターを皮切りにして、3月13日の南区民センターまで、各区で開かれたわけであります。今、私がお話ししましたように、今回の賦課方式の変更は、税制改正と連動して、いわゆる
老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小、あるいは定率減税の廃止、こういうことも合わさりながら来ているものですから、非常にわかりづらい内容になっているのではないかなと思うのですが、各区で説明会が行われた中で、その参加者の状況はどうだったのか。
あわせて、国民健康保険料の賦課方式の変更に伴う中身については具体的にどんな質問が出されたのか。
そして、各区の説明会に参加するということですから、この人たちは非常に関心のある人だと思うのです。そういう人たちの中でもこれは十分理解されたのかなと。私はなかなか難しいことではないかなと思うものですからお尋ねするのですが、札幌市としては、そこに参加された参加者は、今回の賦課方式の変更あるいは介護保険料の値上げ、これらについて十分理解されたというふうに受けとめられているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
2点目に、同じように、賦課方式の変更については、昨年、京都市でやられました。京都市でやられたときにも、区役所に苦情が殺到した、中には1.6倍になったような人たちも出まして苦情が殺到した、こういうふうなことをお聞きしています。
例年、6月に国民健康保険料の納付通知書が各国保加入者に配られるときにも、各区の区役所にはたくさんの相談が殺到しています。昨年、私も厚別区役所に行きました。約50人の人がカードをもらっていすを並べて並んでいるのです。みんな国保についての相談です。疑問だとか、不満だとか、そういうことも含めた人ですが、これがことし行われることになるとさらに苦情が殺到する、こういうことが予想されますけれども、札幌市はどういうふうに見通されているのか、これについてお尋ねしたいと思います。
さらに、今回の賦課方式の変更というのは、先ほど言いましたように、
老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小、さらには定率減税の縮減、そして、来年になると廃止、こういうことなどが合わさってきています。そのほかに、介護保険料もふえていく、あるいは、各種料金の値上げなども出てくる。そういう中で、1世帯平均14万1,597円の国保料は据え置きですから、バランスよくという言葉を使って、中間層の保険料をより所得の低い層につけかえをするわけですから、より所得の低い人に負担の強化が襲いかかる、こういうことになりますけれども、これに低所得者が十分耐え得ると考えているのか、今回も改めてお尋ねしたいと思います。
まず、その点について先にお尋ねします。
◎岡村 保険医療担当部長 介護・国保合同説明会についてでありますけれども、まず、参加者数や質問内容などに関するお尋ねであります。
この説明会には、1区平均しますと100名程度の参加をいただいております。この中で、賦課方式の変更の理由あるいは内容などを説明させていただいておりますが、制度そのものが複雑であること、あるいは、比較的高齢の方の参加が多いということから、わかりやすく、ゆっくりと説明するように努めてきたところでございます。
また、参加者の方からいただいたご意見、ご質問は、賦課方式の変更の件に限らず、医療費の適正化でありますとか、収納対策、国保会計の財政状況、あるいは医療保険制度の一本化など多岐にわたっておりまして、特に、保険料に関しましては、説明した内容の確認のほか、参加者個人の所得状況に関連する個々の具体的な質問などがございました。
参加者の方々の理解ということですけれども、説明内容につきましては、おおむね理解していただけたのではないかというふうに考えているところでございます。
次に、納付書の発送後に苦情等が殺到するのではないかということですけれども、円滑な新制度への移行を行うために、広報さっぽろへの記事掲載、公共施設、民間施設へのポスター掲示、報道機関への情報提供などを行ったところでございます。中でも、3月6日からは、35万世帯の国保加入全世帯に今回の改正内容などを掲載したパンフレットをお送りしております。これらの広報を通じまして、納付通知書発送前にできるだけ多くの世帯にご理解いただくよう努めているところでございます。
次に、税制改正などをあわせると、低所得者が耐え得る内容なのかというお尋ねでございます。
来年度から実施する賦課方式の変更は、所得割を負担する範囲を広げる、広くバランスよく分かち合っていける仕組みにするとともに、税制改正があっても保険料が大きく変動しないような仕組みにするために行うものでありまして、特に、低所得世帯に対しましては、賦課割合を変更することにより、制度の範囲内で最大限の緩和策を講じているところでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
◆小川勝美 委員 ご理解をいただきたいと。いわゆる低所得者に軽減を図るように、賦課割合を変更して均等割や平等割を削って所得割の方へ持っていき、しかし、今まで所得割がかからない人にも所得割を負担していただきます、こういうふうに広く負担していただくのだ、こういうことでご理解をいただきたいというご答弁ですね。十分いただきますというご答弁になっていないところがみそだと思いますけれども、次の質問に移らせていただきます。
先ほども言いましたように、昨年6月に国民健康保険料の納付書が送付されたときですら、小さな区であります厚別区でさえ、朝9時をちょっと過ぎたらもう50人ぐらい並んでいました。国保の前に、ふだん、何にも置いていないロビーにずっといすを出して、番号札をもらっている人が50人からいるのですよ。国保から納付書が届く時期は大体そういうことですけれども、これは例年のことです。特別、値上げしたわけではないときです。今回のように賦課方式が変わった場合には、今までと違って大幅に上がる人も出てきます。大幅に上がっても新年度は経過措置で3割増にしかなりませんと、こういうことになりますけれども、年金が下がってくる中で3割も上がる、こういうような人は、きっと間違いだというふうに思ってきっと区役所に相談に行くだろうと思うのです。去年の京都がそうでありましたから、そういうふうに苦情が殺到することが予想されるのですけれども、市はこれについてどのように見通されているのか。
それで、区役所では、例年でさえ50ですから、そのときに100人も入るようにいすを並べるといったって、厚別区役所なんかは国保の前は50でいっぱいですから、100もいすは並びません。それでは、そういうときの体制をどういうふうに対応されるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
また、以前に国民健康保険料が値上げになったときに、厚別ではありませんが、ある区役所の窓口で、それは市議会が決めたことですから、市議会に文句を言ってくださいと窓口の市の職員が言ったと、こういうことが議会の中でも取り上げられて質疑が行われたこともあります。
そういうことから言いますと、大幅な値上げの通知が送られて、これは大変だ、納めるのも大変だ、どうやって払おうかと相談に行っている人たちに、これは間違いではありません、計算方法が変わったらこうですよというふうに理解や納得を得るための窓口での最大限の努力がなければ、国保に対する不信を一層増幅するし、そのことがまた国保の未納につながっていく、こんなふうにも思うのです。こういうことは今から予想されるのですが、それだけに窓口の体制強化、対応をどうされようとしているのか、これについてお尋ねしたいと思います。
◎岡村 保険医療担当部長 区役所での対応ということでございます。
スペース的には限られているものがありますので、いかにご理解いただくような説明をするかということになろうかと思います。
それで、昨年12月中旬から下旬及びことし2月下旬から3月上旬にかけまして、区職員を対象に、納付通知書発送後の市民対応に主眼を置いた研修を延べ20回実施しておりまして、区役所保険年金課職員延べ665人が受講したところでございます。また、市民からの個別、具体の質問にわかりやすく丁寧に答えていけるように、市民対応用のQ&Aを作成し、各区に配付しております。区におきましても、これらの研修や資料などをもとに、独自に市民対応用のマニュアルを作成するなど、6月の納付通知書発送に向けた対応の準備を進めているところでございます。
これらのことを通じまして、市民に対しましては、国民健康保険が国民皆保険制度の一翼を担う市民にとって大切な仕組みであること、あるいは、この仕組みを今後とも安定的に維持していくための財源として保険料は欠かせないものであること、そして、繰り返しになりますけれども、今回の賦課方式の変更が所得割を負担する世帯の範囲を広げ、広くバランスよく保険料を分かち合っていくとともに、税制改正があっても保険料が大きく変動しないような仕組みとするために行うものであることをご理解いただけるように、十分説明に努めてまいりたいというふうに考えております。
◆小川勝美 委員 今回の賦課方式の変更というのは、一つは、札幌市の国保加入者の急速な貧困化、いわゆる小泉構造改革のせいなのかどうか、きっとそうだろうと私は思いますけれども、急速に貧困化してきているのですよ。以前は、札幌市の国保加入世帯の1世帯平均の所得が279万円あったのに、昨年の賦課時のときは110万円ちょっとに下がってしまった、半分以下に下がってしまっているのです。これからさらにどうなるか。もっと下がっていく。そして、どういうことが起こっているかといったら、今まで社会保険のある会社に勤めていた人が、一たん、離職して再就職しようと思ったら、今度は派遣とか、パート、フリーター、そういうところしかない。雇用されたにしても、雇用保険はかけてくれるけれども、社会保険はない、厚生年金なんかない。したがって、札幌市の国保に加入していなかったら病院にも行かれない。こういう人たちが札幌市の国保に大量になだれ込んできて、今、札幌市の国保加入世帯の所得が急速に下がってきました。そこへもってきて、退職した人や年金生活の高齢者などがどんどんふえてきて、全体として国保加入者の所得が下がってきている。
こういう状況の中で、より所得の低い人たちで、本来、市民税非課税世帯の人ですら、今度は国民健康保険料の所得割がかかってくる、こういうような制度に改悪したわけです。ですから、より所得の低い人たちが大変な負担を強いられることになるというふうに思うので、苦情はきっと殺到しますから、適切な対応をしてもらいたい。
僕らは、こういうやり方は正しくない、今の急速な国保加入者の貧困化の実態に見合ったような制度に抜本的改善を図ることが大事だ、そうしないと、結局、札幌市みたいな地方自治体はどうするかというと、ごく一部の人に負担が偏るから、みんなで広く負担をしてもらうといって、より所得の低い人に負担の強化を強いるようなやり方になります。この間だって、市民税所得割方式がやられ、住民税方式に変えたけれども、4年もたないで今度は旧ただし書き方式に変えるわけです。この後、これ以上どうするかといったら、今度は均等割、平等割でふやしていくようにしないとならないですね。毎年、所得割の比率を低くして、均等割と平等割でと、いわゆる人頭税で、オギャーと生まれた赤ちゃんにもまともに保険料をぶっかけるようなやり方をどんどんやっていくようなことをしないとならなくなってしまう。
今、国保制度が根幹から揺らいできているわけですから、抜本的な改善を国に強く求めて、加入者の実態に見合うような制度に抜本的に改善を図るべきだと思うのですが、この点についてお尋ねしたいと思います。
さらに、国保加入者が急速に貧困化する。保険料を払えば生活そのものができない。私は、今、札幌市の国保加入世帯の2割から3割は生活保護基準以下だと思います。一律にはいかないですが、これは昨年12月の代表質問でもお尋ねしましたけれども、現実にフリーターなんかで生活保護基準の6割、7割で生活している1人世帯の人がいますから、そういう人たちに高い国保料が行けば払えないのが当然です。しかし、そういう人たちが滞納すると、保険証を取り上げられて資格証明証が発行される、こんなふうになっております。
そういう面で、滞納者に対する制裁措置としての資格証明書や短期証の大量発行についてお尋ねしたいと思います。
資格証明書がつくられた当時、全国のモデルケースとして札幌市が一番先にやりました。やられたときは悪質滞納者だと言っていたけれども、いつの間にか法改正されて、滞納者に出さなければならないみたいになってきているのですけれども、さいたま市のように、法改正されても、今なお資格証を発行しないことを原則にしている、こういう自治体もあります。ですから、資格証の発行に当たっては、人の命を助けるべき国民健康保険が、病院にかかることができなくて命を奪ってしまう、こういうことのないように、まず、人命優先を明確にして対応すべきだが、今までの対応はどうだったのか。今後の改善についてはどう考えているのか。
特に深刻な不況下で、しかも、格差社会の拡大の中で貧困層が増大し、格差社会の犠牲者的存在の人たちが札幌市の国保になだれ込んできている。そういう人たちに対してどういう対応をしていくのか。この時期は特に制度変更もあるわけで、所得の低い人に重い保険料の値上げをしようというのですから、十分な納付相談や折衝をきちんと行っていくことについてどう改善していくのかをお尋ねしたいと思います。
それからもう一つ、基本的なことですが、資格証明書というのは、国保に加入しているということを証明するだけで、病院の窓口に行ったら医療費は全額を払うわけです。医療費を全額払える人だったら保険料を払うのですよ。けれども、結局、保険料を払えないから、病気になっても病院に行かない。この間、札幌でも、南区の大工さんが、友達が救急車を呼んでくれて、医大に向かう途中で手おくれになって命を落とすという事例だとか、そういうふうに、国民健康保険加入世帯でありながら病院にかかれないで命を落としている事例を何件か私も承知しておりますが、この資格証明書は実質的には病院にかかれないわけです。
この資格証明書の発行については、基本的には、十分な資力がありながら、故意に保険料を支払わない、お金はあるのだけれども、納めない、おれは金があるのだから病院に行って10割払えと言われたらいつでも払うから、こんな高い保険料を払わないと言って払わない人も中にはいるようでありますから、そういう人に限定した形で、そういう悪質滞納者に限って資格証明書を発行する、こういうふうにすべきだと思うのですが、この点について、改めてお尋ねしたいと思います。
◎岡村 保険医療担当部長 国への要望ということでございますけれども、これまでも、加入者負担が過度にならないようにということで、さまざまな財源措置は要望しているところでございます。現在も、基本的には医療保険は一本化するべきであろうということを軸にしまして、それに至るまでの間に、各市町村の国保の財政基盤が強化されるよう、さまざまな財源措置をしていただきたいということで、政令指定都市あるいは市長会等を通じて要望しておりますので、今後とも続けていきたいと考えております。
◎大居 国保収納対策担当部長 私から、資格証の関係についてお答えいたします。
本市では、資格証の交付に当たりましては、これまでも滞納者との折衝機会を確保するため努力を重ねてまいったわけであります。資格証の交付に当たりましては、ただ単に機械的に交付するものではなくて、あくまでも納付折衝を前提として、滞納理由とか納付資力あるいは納付姿勢など個々の事情を把握して滞納者との十分な納付相談に努めているところであります。
今後においても、より一層滞納者との折衝の継続を図るとともに、個々の生活状況とか納付資力を十分把握した上で、交付の適否については慎重に判断してまいりたいと考えております。
それから、悪質滞納者の関係で限定すべきということでありますけれども、資格証につきましては、納期限から1年以上滞納している人たちに対して行うものでありまして、法令では、災害、病気あるいは事業廃止など、特別の事情により保険料の納付が困難である場合に資格証の対象とはしないということにしておりまして、この法の趣旨に沿った制度の運用を適切に進めてまいりたいと考えております。
○高橋功 委員長 以上で、国民健康保険会計予算の質疑を終了いたします。
次に、議案第7号 平成18年度札幌市老人医療会計予算の質疑を行いますが、通告がありませんので、終了いたします。
ここで、理事者の交代がありますので、暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時30分
再 開 午後1時31分
――――――――――――――
○高橋功 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、第5項 健康衛生費及び議案第94号中保健福祉局関係分について、一括して質疑を行います。
◆宮村素子 委員 私は、大きく2点について質問いたしたいと思います。
1点目は、小児慢性特定疾患支援対策事業について、2点目は、思春期の性の健康づくりについてでございます。
まず、1点目の小児慢性特定疾患支援対策事業についてお伺いいたします。
国においては、従来からの小児慢性特定疾患治療研究事業を次世代育成支援の観点から安定的な制度とするように見直し、あわせて、福祉サービスの充実を図るとして、児童福祉法に新たに根拠規定を設け、平成17年4月1日施行となっております。札幌市でも、従来から慢性疾患児とその家族のために、今言いました事業を行っておりまして、4月からは新たに保健センターでの相談事業と日常生活用具給付事業を開始することになっております。
小児の特定慢性疾患は、11疾患群、514疾患が指定されております。療養生活が長期にわたるまれな疾患も多いなどの特徴から、患者、家族は、精神的負担、経済的負担に加えて、身近な相談先も見つからずに地域の中で孤立しているとも聞き及んでおり、今、行政の支援が求められているところです。
そこで、質問いたします。
1点目は、小児慢性疾患児数は何人ぐらいおられるのか、さらに、それらを踏まえた札幌市の考え方について伺います。
また、4月からの新規事業とその内容についてもお伺いします。
2点目の思春期の性の健康づくりについて伺います。
思春期の健康問題としては、今、引きこもりや不登校、10代の自殺といった心の健康に関するものや、食生活の乱れ、運動不足から来る生活習慣病など多岐にわたっておりますが、私は、特に性の健康づくりに関して質問してまいりたいと思います。
私は、かつて助産師として臨床の場におりましたときから、望まぬ妊娠から中絶を行う若者、性感染症に無関心な若者の個別相談・指導を通して、正しい性に関する知識、予防行動の普及が大変おくれていると痛感しておりました。
本市では、平成14年、健康づくりの基本計画として健康さっぽろ21を策定し、その中で思春期の心と体の健康づくりの一つの目標として、望まぬ妊娠と性感染症を防ぐということを掲げておられます。
そこで、質問いたしますが、思春期の性の実態として、本市の10代の人工妊娠中絶率と性感染症の実態について、全国と比較しながら最近の動向をお聞きしたいと思います。
◎小林 健康衛生部長 まず、1点目の小児慢性特定疾患支援対策事業についてお答えいたします。
まず、慢性疾患児の数と、それを踏まえました札幌市の考え方についてでございます。
札幌市では、慢性疾患に罹患しております小児の公費負担医療といたしまして、小児慢性特定疾患治療研究事業を実施しております。この事業の対象者数は、平成16年度で1,675人となっております。
次に、疾患群の内訳といたしましては、多い順位から申しますと、内分泌疾患が652人、悪性新生物が379人、血友病等の血液疾患が153人となっております。また、重症度が高く、日常生活上の支援の必要度が高い疾患群といたしましては、先天性代謝異常の131人などが挙げられます。
このような実態を踏まえまして、市としての考え方でございますが、小児慢性特定疾患治療研究事業は、長期の治療を要し、経済的にも精神的にも負担が大きい疾患を対象としておりますので、このような病気で苦しんでいらっしゃるお子さんはもちろん、ご家族の方々も支援していくことは重要な課題であるというふうに認識しております。
次に、新規事業の内容についてですが、患者さんやご家族を対象に、保健センターの窓口で保健師などによる面接相談を行います療育相談指導事業を実施することとしております。この事業では、継続的な支援が必要な方に対しまして、さらに、訪問相談などの継続的なサポートをあわせて行う予定としております。また、日常生活用具給付事業につきましては、児童福祉制度など、ほかの制度の対象とならない方に対しまして、車いすとか紫外線カットクリームなど、国が指定する13種目につきまして給付を行うこととしております。
次に、2点目の思春期の性の健康づくりについてでございますが、札幌市の10代の人工妊娠中絶率及び性感染症罹患率の実態については、人工妊娠中絶率が15歳から19歳の女子の人口1,000人当たりの率で見ますと、平成16年度では17.3となっており、全国の10.5と比較しても1.6倍という状況でございます。また、性感染症罹患率につきましては、これは暦年統計ですが、平成17年度の性器クラミジア感染症の1カ月当たり平均定点報告数で見ますと、15歳から19歳で1.29となっており、これも全国の0.4と比較いたしまして3.2倍という状況でございます。
◆宮村素子 委員 それでは、再質問させていただきたいと思いますが、まず、1点目の小児慢性特定疾患支援事業についてであります。
新規事業の日常生活用具給付は、児童福祉制度の谷間にある方々を対象とする事業であるため、患者、家族、医療関係者等に事業の内容を十分周知しなければ有効な活用にはつながらないのではないか、そうした心配がございます。
そこで、事業の周知についてはどのように図られるのか。
そして、疾患の中には大変に希少な疾患もあるということから、相談件数と相談内容についてはどのような状況が想定されるのか、お伺いします。
また、相談に従事する保健師の資質向上が重要と考えますが、どうされるのか、お伺いいたします。
2点目の思春期の性の問題です。
10代の人工妊娠中絶率、性感染症、いわゆる性器クラミジア感染症の罹患は、依然として全国平均よりかなり高い状況であります。特に、性器クラミジア感染症は、全国の3倍以上と驚くべき状態にあります。
私は、平成14年から、地域住民にこうした10代の若者の危険な性の実態を報告し、若者の性の健康づくりのために学校教育や家庭、地域の役割は何かを市民とともに考える場づくりをし、また、啓発活動を行っております。参加者の方々の声としては、このような大変な実態にあることは知らなかった、学校での性教育はどうなっているのか、若者は性の正しい知識があるのかなど数多くありまして、私がやっております知識の啓発活動をもっともっと市民に広めるべきだと言っているところです。
また、昨年の1定の
予算特別委員会で、思春期ヘルスケア事業に関して、平成16年9月に実施した教育委員会の養護教員らによる市立中学校、高等学校の生徒の性に関する意識及び実態調査の結果に対する保健福祉局の認識をお聞きしましたところ、性感染症や妊娠を防ぐ正しい知識に欠ける、また、知識があっても適切な行動に結びついていないという実態を重く受けとめ、子どもたちへの対策が急務という認識を示されました。以後、教育委員会とも連携を図りながら、思春期ヘルスケア事業のあり方について検討していくということでありました。
一方、今年度から、若者の性に関する知識の普及啓発事業が医療関係者との連携のもとに始まっております。これらの事業について、私は、その実績に注目し、議会でもあり方について繰り返し質問し、また、要望も述べさせていただいてまいりました。
そこで、質問いたしますが、1点目は、思春期の性の健康づくりに対する取り組みの中で、思春期ヘルスケア事業のこれまでの実績をお教えください。
2点目は、思春期ヘルスケア事業のあり方について、どのような方法で検討され、その結果、今後、どのように事業展開をされるおつもりなのか、お伺いします。
3点目は、若者の性の知識の普及啓発事業について、まだ1年目の中途経過だとは思いますが、その実績と課題についてお伺いいたします。
◎小林 健康衛生部長 まず、1点目の小児慢性特定疾患支援対策事業についてお答えいたします。
事業の周知方法についてでございますが、保健センターは、慢性疾患にかかわる公費負担医療申請の窓口でございますので、その申請の機会を生かして療育相談のご案内をするとともに、日常生活用具給付事業などの紹介を行ってまいりたいと考えております。また、医療機関や患者団体への事業内容の周知に努めるとともに、広報さっぽろとかホームページによります情報提供を行っていくこととしております。
次に、相談件数でございますが、年間900件程度を見込んでいるところでございます。その内容につきましては、療養上の悩みに対する相談とか助言、あるいは、保健福祉サービスや患者団体に関する情報提供などを想定しているところでございます。
次に、相談に従事する保健師の資質向上につきましては、事業開始に先立ちまして、今月6日に専門医によります研修を行ったところでございまして、事業開始後も継続的に研修を行っていきたい、こんなふうに考えております。
次に、2点目の思春期の性の健康づくりについてでございます。
まず、思春期ヘルスケア事業の実績ですが、総合的な学習の時間を活用いたしまして、保健センターの事業に中学生のグループを迎えて行いましたふれあい体験学習は、平成16年度の実績が5回、17年度は、1月末現在でございますが、2回となっております。また、保健センターの専門職が学校に出向いて授業を行います授業支援事業につきましては、平成16年度の実施回数は82回となっており、対象となりました児童生徒数は1万1,101人となっております。また、今年度は、1月末現在でございますが、103回実施をしまして、対象児童生徒数は1万3,936人となっており、年々増加している状況にございます。
次に、思春期ヘルスケア事業のあり方に関する検討についてでございますが、昨年9月に市内の小・中・高等学校を対象にいたしまして、学校が取り組んでいる健康に関する指導の実態調査とか思春期ヘルスケア事業実施校への追跡調査を行い、この結果をもとにいたしまして、教育委員会と連携して事業の方向性について検討したところでございます。
今後の事業展開といたしましては、生命のとうとさや誕生の仕組み、望まない妊娠や性感染症の予防、あるいは喫煙及びアルコールの害といった重点を3点に絞りまして実施していきたいというふうに考えております。また、平成18年度からは、対象学年の見直しを行いまして、学校におきます教育内容と連動して、より効果的に行うために、小学校では4年生、5年生、6年生、中学校では2年生、3年生、高等学校では1年生、2年生と学年を絞りまして、児童生徒の発達段階に合わせた内容としていく予定としております。
次に、若者の性に関する知識の普及啓発事業の実績と課題でございますが、医療機関におきまして性感染症や人工妊娠中絶で受診された方のうち、札幌市が作成いたしましたリーフレットを用いて指導した件数は、平成18年1月末現在でございますが、5,527件となっております。また、保健センターにおける相談状況でございますけれども、電話相談と来所相談を合わせまして、これも1月末現在でございますが、88件にとどまっていることから、今後より一層の普及啓発に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
◆宮村素子 委員 さらに、質問をさせていただきたいと思います。
まず、小児慢性特定疾患対策事業については、難病を抱える子どもや家族をしっかりサポートするよう保健師の活躍に期待したいと存じます。これは、要望にして終わりますが、もう1点の思春期の性の健康づくりに関して質問をいたしたいと思います。
思春期ヘルスケア事業については、ただいま大変にふえているという状況が明らかにされましたので、さらに学校との連携をもっと強めまして、より児童生徒に適切な判断と行動がとれるように、生きる力をつけていくような事業へと拡大していってほしいと思いますし、対象枠もさらに拡大していってほしいと思っているところです。
それから、若者の性に関する知識の普及啓発事業についてですが、今後、さらに医療機関における事業の周知を工夫していただいて、特に医療機関を訪れる方はハイリスクというふうに考えることができるかと思いますので、ハイリスクの若者にしっかりとこのリーフレットが渡され、望まぬ妊娠や性感染症の罹患を繰り返すことのないように、そこの部分でも個別指導をしっかりされていくことを期待しております。
一方、若者の性に関する相談窓口については、まだ実績が上がらないのはなぜでしょうか。相談時間の延長だけでは効果がないようです。専門的な相談をもっと身近に聞ける場所があり、相談相手がいれば若者も足を運ぶのではないかと思います。
先日、新聞に、「性教育は若者同士で」という見出しで、大学生が高校を訪問して性教育を行う、ピア、仲間活動の有効性が記事に載っておりました。栃木県などでは大学と共同で相談窓口を開設しているという事例を聞いたことがあります。ピアカウンセリングという手法を何らかの場面で活用することも考えられるかと思うところです。
また、性教育に関して教育委員会の取り組み状況をお聞きしましたところ、学校での性の指導がより計画的に実施できるように、性に関する指導の手引きを発達段階に応じた目標と指導内容を充実させ、新年度より各学校に配布するとのことでありました。学校の取り組みも、年々、前進してきているかなと感じております。
思春期ヘルスケア事業の一環として、今回、見せていただいた若者の性の知識の普及啓発事業に使用しておりますリーフレットを、情報提供として児童生徒に配布できればと私は考えております。私は、以前から児童生徒たちに、一定の学年の全員に何らかの啓発活動をしてはどうかと訴えてまいったところです。
そこで、お伺いしますが、思春期ヘルスケア事業の一環になると思われますけれども、ある一定の学年、例えば、中学2年生あたりで、全員に性に関する知識と相談窓口が記載されたリーフレットを配布することができないか、お伺いします。
また、同時に、保護者にも、私は小学校入学時がいいかなと思っておりますが、子どもが小学校のある一定の年齢のときに一斉に同様のリーフレットを配布できないか、お伺いします。
もう1点は、若者の相談窓口やヘルスケア事業の中に、このピアカウンセリングの手法を導入していくお考えはないのか、お伺いいたします。
◎小林 健康衛生部長 まず、1点目のリーフレットの配布についてでございますが、性に関する正しい情報提供や相談事業の周知のために有効と考えておりますので、今後、対象学年とか配布方法、あるいは保護者等への配布につきましても、教育委員会と協議をしてまいりたいと考えております。
2点目のピアカウンセリングの手法の導入についてですが、同年代の先輩がリーダーとなりまして性の問題をともに考えるピアカウンセリングの手法につきましては、既に札幌市内の一部の大学などで活動が始まっているというふうに聞いております。今後、この活動がどのように広がり、地域に定着していくかなどを見据えながら、若者の性の相談窓口や思春期ヘルスケア事業での活用について研究してまいりたいと考えております。
◆宮村素子 委員 要望で終わらせていただきたいと思います。
ただいまのピアカウンセリングは、まだまだいろいろな分野でこの方法が定着している状況にないことは私もわかりますけれども、研究というのは聞き置くということに値するのだと思いまして、保健師さんたちに望むことですが、どこかの区で、保健師さんたちが、そういった若者も導入しながら、ぜひ相談窓口を充実させていくということを考えていただきたいと思います。若者がどうしても相談しやすい時間帯または方法でないということは、年間88件という相談件数が物語っていると思います。
各区にすると10件程度ということになりますから、こういう状況であれば、むしろ他の機関にこのような相談窓口を任せることも一つなのかなと思います。例えば、看護協会とか医療機関、地域で開業している助産所などとの連携によって、そちらの方も相談窓口とした方がいいのではないか、そんなふうに思うところです。
委員長、要望の時間がちょっと長くなって申しわけありませんが、実は、私は昨年ICMの視察でオーストラリアに行ってまいりましたけれども、若者の人工妊娠中絶と性感染症、エイズは、どの国でも助産師の取り組むべき大きな課題として皆さんは真剣にやっておりました。そのときのイギリスの発表の中では、なかなかしっかりと理解できませんでしたが、仕組み自体が、札幌で言うと区に当たるような地域ごとに助産師を開業させて、そこが相談窓口になる、若年妊娠の相談も、妊娠して子どもを産むという決断をするそこの支援もしっかりしながらお産を扱い、その後も子育て支援をする、そういった機能を持たせたところ、そこに若者がエイズの相談や性病に関する相談に来るようになり、相談件数が従来になく大変に上がってきて、この方法はいいということを言われておりました。
役所に出向くというと、若者にとってはなかなか敷居が高い状況になるのではないかと思います。むしろ、保健師さんが地域に出る。どこを相談の場所とするかは私はちょっと想定できませんけれども、地域に入り込んだ中で相談体制をとっていくということを、ぜひ保健師総意で考えた方法論を導き出していただきたい、そんなふうに要望するところでございます。
以上、要望して、終わりたいと思います。
◆桑原透 委員 私は、私も一度はご厄介になります斎場について、何点か質問していきたいと思います。
一つは、里塚斎場大規模改修についてです。もう一つは、山口斎場の運営体制について、この2件に分けて質問させていただきます。
本市では、手稲区手稲山口に建設を進めてきた山口斎場が完成し、来月1日から利用が始まり、手稲区や西区など西部方面の市民にとっては利便性が著しく向上することになります。また、東部方面の市民にとっても、里塚斎場の混雑が緩和し、故人との最後のお別れの場である会葬がスムーズに進むことになり、大変喜ばしいというふうに思います。
一方で、現在まで市民の火葬需要を一手に担ってきた里塚斎場については、1984年に開場以来21年が経過し、火葬炉や給排水設備などの老朽化が進行し、大規模な改修が必要な時期に来ていると聞いております。
そこでまず、里塚斎場の改修について、数点、お伺いをいたします。
1点目の質問は、里塚斎場の改修工事の設計費が4,900万円計上されていますが、どのような部分を改修することになるのか、また、改修スケジュールについても伺います。
2点目の質問は、里塚斎場の改修工事の施工方法には、全面休場して行う場合と開場しながら工事を行う場合があると思いますが、それぞれの工事期間や経費、メリット・デメリットはどのようなものがあるのか、伺います。
3点目の質問は、里塚斎場の改修後の運営体制についてどのようにお考えなのか、まず、この3点についてお伺いいたします。
◎大津 生活衛生担当部長 里塚斎場の大規模改修計画についてお答えいたします。
まず、1点目の改修内容とスケジュールについてでございますが、里塚斎場は、昭和59年の供用開始から21年が経過し、火葬炉設備を中心に老朽化が進み、摩耗や劣化による故障も発生している状況にあります。加えまして、将来の火葬需要予測から、今後20年間は里塚斎場と山口斎場の2施設体制で火葬を行っていく必要があります。
そのようなことから、山口斎場のオープン以降に大規模改修を行うこととし、平成16年度に専門機関に委託して改修の範囲や改修方法、その後の管理運営方法などについて調査検討を行ったところであります。その結果、建物本体につきましては外壁タイルの補修や屋上防水などの部分改修で済みますが、火葬炉設備や空調、給排水、電機設備などについては一部を除き全面更新が必要な状況にありました。これらの調査結果などをもとに、平成18年度に改修に係る設計を行いまして、平成19年度から改修工事に着手したい、このように考えております。
2点目の改修工事の施工方法による比較についてでございますが、先ほど申し上げた平成16年度に実施した専門機関による調査検討結果では、工事期間につきましては、全面休場の場合は16から20カ月、一部開場の場合は34から40カ月で、全面休場の場合は工事期間が半分程度で済むことになります。また、改修工事にかかわる費用につきましては、全面休場の方が一部開場の場合より10%程度の経費削減を図ることができます。
反面、全面休場の場合には、清田区など東部方面の市民の皆様も山口斎場をご利用いただくことになりますので、火葬場までの所要時間が長くなるなど不便をおかけすることになります。一方、一部開場の場合には、改修期間や費用がかさむことに加え、老朽化の著しい火葬炉の改修時期が遅くなり、故障による火葬業務への影響が懸念されることや、工事期間中は施設の利用が制限され、火葬場に求められる厳粛で静寂な雰囲気を損なうことになってしまいます。
このような施工方法の検討結果や山口斎場の受け入れ態勢などを総合的に判断いたしますと、全面休場して改修工事を行いたい、このように考えております。
次に、3点目の改修の運営体制についてでございますが、今後20年間は里塚斎場と山口斎場2施設体制で市民の火葬需要にこたえていくことになりますので、効果的・効率的に二つの火葬場を運営していかなければならないものでございます。したがいまして、里塚斎場の運営体制につきましては、平成16年度の専門機関による調査結果に加え、今後、山口斎場のPFI事業者の管理運営状況を十分に検証するとともに、他都市の状況なども踏まえ、いろいろな角度から検討し、総合的に判断してまいりたいと考えております。
◆桑原透 委員 ただいまは、平成18年度に設計する、そして、平成19年度から改修工事を実施したいという答弁でした。
確かに、21年間が経過し、火葬炉設備、空調、給排水については全面更新が必要だということはわかります。私も現地に行き、炉も見せていただきました。炉の中はちょっと熱くて入れませんでしたが、いろいろと職場の人たちの話を聞いたり、そして、実際に現地を見せていただきました。
外壁タイルは、確かに21年間経過していますから、はがれ落ちているものもありましたが、見た目ではすばらしいものだ、21年もたっているのかなというふうに感じたものです。そして、建物本体もそんなに傷んではいないのではないかなというふうに思いました。火葬炉についても、里塚斎場は単体での取りかえも可能だというふうに聞いております。
工事期間についても全面休場で約2年、一部開場の場合は約3年ぐらい工事にかかるとの答弁でしたが、どちらにしても早く工事が終わることが市民にとってよいことだというふうに考えますから、設計時にはいろいろな方々の意見や方法など、いろいろと工夫をしていただきたいと考えます。
また、改修工事の施工方法については、全面休場して改修工事を行いたいとの答弁でした。しかし、せっかく二つの斎場ができ、混雑の緩和や距離的にも近くなったのに、1年しかたたないうちに全面改修するので2年間は山口斎場へ行ってくれということでは、どうも納得いかないというか、開場しながら工事ができる方法があるのであれば考える必要もあると思います。
また、改修後の運営体制については、山口斎場のようなPFI制度にすることがよいのか、十分な議論が必要だというふうに思っております。私は、里塚斎場については現行の体制がよいのではないのかというふうに考えておりますので、十分な議論をよろしくお願いします。
そこで、再質問をいたします。
再質問の1点目は、改修工事は全面休場して行うとのことですが、全面休場して工事を行う場合に、清田区を含む東部方面の利用者が受けるさまざまな負担増をどのように周知し、理解を得ることを考えているのか、お伺いします。
再質問の2点目は、里塚斎場の改修工事を全面休場して行った場合、市内全部の火葬が山口斎場の方に行くということで、受け入れ態勢について十分な検証期間を設けてから改修工事に着手すべきではないかと思いますが、この2点についてお伺いいたします。
◎大津 生活衛生担当部長 1点目の改修工事の市民への周知などについてでございますが、里塚斎場を全面休場して改修工事を行う場合には、清田区や厚別区などの東部方面の皆さんも手稲区の山口斎場をご利用いただくことになります。また、札幌市全体の火葬を山口斎場で行うことになりますので、改修にかかる期間は、火葬の待ち時間が多少長くなるなどのご不便をおかけすることになります。このようなことから、市民の皆様や葬儀業者などに対しましては、ポスターやパンフレットなどによる周知や市政広報番組の利用など、さまざまな機会をとらえて広くお知らせし、ご理解とご協力をお願いしてまいりたい、このように考えております。
次に、2点目の改修工事に着手する時期でございますが、今後、山口斎場のPFI事業者の管理運営状況を十分に検証するとともに、里塚斎場の老朽化の度合いなど、いろいろな角度から検討し、総合的に判断してまいりたいと考えております。山口斎場の受け入れは可能であり、また、里塚斎場の老朽化が年々進んでいる状況を踏まえますと、改修工事はできるだけ早い時期に着手したい、このように考えております。
◆桑原透 委員 全面休場した場合の清田区や厚別区、東部方面の人の火葬の待ち時間が多少長くなると言いましたけれども、今でも、友引明けの日などは2時間半は待つのがざらだということもあります。私は決して山口斎場に行くのがおもしろくないと言っているわけではございませんし、確かに、二つがそろうことはいいことだというふうに思います。私も清田で、里塚斎場に行くのには5分もかかりませんが、今度は山口斎場へ行けば、その6倍ぐらいかかるということですから、そういうことを考えると、このことについては市民の意見をきちんとした形で聞くことが必要ではないのかなというふうに私は思っています。
周知の方法については、今答弁がありまして、多くの人の意見を聞くというふうにありましたけれども、こちらから一方的ではなく、皆さんから意見を聞くという場の設定も私は必要だというふうに思っています。
そして、山口斎場の受け入れ態勢ですが、1年間の検証だけで本当に大丈夫なのか、私は疑問があります。このことについては、後ほど質問をします。
次に、山口斎場の管理運営体制について伺います。
質問の1点目は、本市第1号のPFI事業として、山口斎場の運営がいよいよ4月から始まります。
そこで、事業に参加している企業名とそれぞれの担当業務と内容及び職員数について伺います。
また、これらの職員は、いつから、どのような研修を行ってきたのか、伺います。
質問の2点目は、山口斎場のサービス水準は里塚斎場と同等以上とのことですが、具体的にはどのようなサービス水準を求めているのか、この2点についてお伺いいたします。
◎大津 生活衛生担当部長 山口斎場の管理運営体制についてお答えいたします。
1点目のPFI事業に参加している企業の業務内容と研修状況などについてでございますが、山口斎場の管理運営を行いますPFI斎場運営株式会社の構成員は、東亜建設工業、岩田建設、富士建設工業、北菱産業、札幌グランドホテルサービス、北海道ジェイ・アール商事、芙蓉総合リース、山下設計の8社でございます。このうち、実際に斎場で業務を担当しますのは、PFI斎場運営株式会社が管理運営の総括業務を7名で、玄関、告別、炉前、収骨の各業務については札幌グランドホテルサービスが18名で対応いたします。また、火葬路の運転や保守につきましては富士建設工業が7名で担当し、特別控室提供業務、設備管理、清掃、警備については北菱産業が21名で対応することとしております。
次に、研修についてでございますが、2月から、里塚斎場において受付、玄関、告別、炉前、収骨の実務研修を、山口斎場においては模擬研修を実施しているところでございます。
なお、火葬炉の運転や保守につきましては、山口斎場と同種の火葬炉を有する千葉、川崎の斎場で実務研修を行っております。
次に、2点目の山口斎場のサービス水準についてでございますが、山口斎場の建設に当たりましては、里塚斎場で従事する職員の意見が生かされております。例えば、エレベーターやエスカレーターの設置、お年寄りや体の不自由な方が利用しやすいように配慮した和洋折衷の特別控室、告別室や収骨室へのベンチの設置、収骨室の増設、ユニバーサルデザインを積極的に採用するなど、会葬者や葬儀関係者の方がより便利で快適に施設を利用できるように配慮されております。
この山口斎場で提供されるサービス水準につきましては、現在の里塚斎場と同様に、服装、態度、言動を端正にするなど会葬者の感情への配慮、適切な火葬時間の維持、そして、わかりやすい収骨方法の説明と収骨補助などを求めております。
◆桑原透 委員 今の答弁で、事業に参加している企業、業務内容、研修状況についてはわかりました。
この中で、私が心配しているのは炉前業務であります。炉前業務というのは、告別業務、炉前お別れ業務、収骨業務であります。これに携わる人は18人で対応するということですが、1名を除いては初めて携わる人がほとんどだと。そして、年齢も高く、大変だというふうに聞いています。そして、この業務は、ベテランと組んでも半年は研修が必要だと聞いています。
4月1日から開場しますので、これから何をしろということは大変だというふうに考えますけれども、同じサービスをするのでありますから、PFIだとしても、そこはきちっとした対応が必要だと私は思っています。あと2週間ございますので、ぜひ開場前までの十分な事前チェックをお願いしたいなというふうに思っています。
また、サービス水準については、里塚斎場の職員のアドバイスが生かされていると言っていました。私も現地を見させていただき、どれがどういうふうに変わったのかということがわかりました。実際、新しいところはきれいで、来た方には本当にいいのかなというふうに思いましたし、こういったアドバイスが生かされたことは大変よかったと思っています。
そこで、再質問ですが、20年間の事業期間中、このサービス水準が守られているかチェックすると思いますが、その体制はどのように考えられているのか、伺います。
また、火葬業務はだれでもすぐにできる業務ではないと思いますが、従業員がやめてしまったときの対応などをどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎大津 生活衛生担当部長 サービス水準が適正に確保されているかどうかのチェックについてでございますが、毎月提出される業務報告書の記載内容をチェックするとともに、定期的に施設への立入検査を実施し、業務の履行状況を確認いたします。
また、従業員の退職などの対応につきましては、事業者には、欠員時の人員の配置計画、内部研修の充実などを通じて、常に適正に業務を遂行できる体制を確保するよう十分に指導してまいりたい、このように考えております。
◆桑原透 委員 業務内容のチェック体制などについてはわかりました。
しかし、1年間施行して、もし平成19年から全面受け入れをするということになると大変な数をこなしていかなければだめだということでございます。その体制がどのようになるのか、PFIというものを検証する期間がもうちょっと長くなければいけないのかなというふうに考えているところでございます。
そこで、業務内容のチェック体制について、再度質問させていただきます。
業務内容のチェックはモニタリングで行うということですが、十分に検証を行う必要があると考えますので、モニタリングについては第三者も入れて行った方がいいというふうに考えますけれども、この1点について再度お伺いいたします。
◎大津 生活衛生担当部長 業務内容の検証についてでございますが、運営業務や清掃などの維持管理業務の状況につきましては、本市の立入検査に加え、火葬場を利用される会葬者や葬祭業者などへのアンケート調査も実施し、より客観的に検証してまいりたい、このように考えております。
◆桑原透 委員 いずれにしても、業務内容のチェック体制は重要と考えますから、さらなる充実に努めていただきたいと考えます。
火葬場は故人との最後のお別れの場として市民生活に深いかかわりを持つ公共施設であります。本年4月からは、本市の南東部に立地する里塚斎場に加え、本市西部に位置する山口斎場が整備されることにより、年々増加する火葬需要に対応できるとともに、市民の利便性も格段に向上するものであります。市民が待ち望んでいた里塚と山口の2施設体制が、里塚斎場の大規模改修をすることによって、全面休場で行っても、一部開場しながら行ったとしても、市民に少なからず影響を与えるものと考えます。
この大規模改修が必要不可欠なことは十分理解しますが、これにより市民が受ける影響については、さまざまな機会をとらえて説明を行い、十分な理解を得てから改修工事に着手していただきたい。また、改修後の運営体制については、山口斎場の検証などを十分に行った上で決定するよう要望して、私の質問を終わります。
◆小田信孝 委員 私から、大きく3点、質問させていただきます。
一つ目は、食生活改善と生活習慣病対策について質問させていただきます。二つ目は、がん対策ですが、がん検診の受診率向上策について質問させていただきます。三つ目は、毎回やらさせていただいておりますたばこ対策について質問いたします。多岐にわたりますので、第1テーマと第2テーマを先にやり、たばこは最後にやらせていただきます。
現在、我が国は、世界の中でも最高水準の長寿国で、そして、急速な高齢化に向かっております。長寿社会はうれしいのですけれども、そのかわり高齢化が進展しておりますので疾病がどんどんふえてくる状況にありまして、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病、こういった生活習慣病の割合がどんどん高くなってきている現状であります。
生活習慣病が医療費の中で占める割合は、平成14年度ですけれども、9兆9,000億円ということで国民医療費の約3割となっているというふうに聞いております。生活習慣病は食事、運動、休養、その後にマイナス面が来て、飲酒、喫煙ですが、この生活習慣と密接な関連にあることから、健康的な食生活の実践など生活習慣を見直すことを通じて疾病の発病そのものを予防する第1次予防の推進が非常に大事であります。札幌市民の健康問題を扱うのは保健福祉局が最前線でございまして、食生活改善と生活習慣病予防の対策を立てておられますので、まず、本市における食生活改善事業の取り組みについて、特にこういったことを一生懸命やっていますということをきょうの委員会で披瀝していただきたいと思います。
それから、二つ目のがん検診の受診率の向上策ですが、一生懸命やっておられることは、私もいろいろな資料をいただいておりますので、わかっております。ただ、平成15年度から平成24年度までを対象とした健康さっぽろ21、札幌市健康づくり基本計画におけるがん検診の目標受診率は30%として、少しずつふえてはいますけれども、16年度におけるそれぞれのがん検診の受診率は、胃がんが11.7%、大腸がんが14.8%、乳がんが14.2%、子宮がんが24.3%、肺がんが4%と、率だけ言うと低いのです。
そこで、質問ですけれども、がんというのは何といっても早期発見・早期治療です。がん検診の受診率を向上させることが非常に大事ですけれども、札幌市においては、これまで受診率向上のための啓発をどのように行ってきたのか、重点政策として行ってきたと思いますけれども、披瀝していただきたいと思います。
質問の2点目ですが、がん対策の重要性にかんがみて、これまでの啓発事業について根気よく地道に続けることが肝要であります。平成17年度から、乳がん検診及び子宮がん検診については、対象年齢や2年に一度の受診並びに検診内容が変更となっております。特に、乳がん検診については、今までの問診とか指触診、それから、マンモグラフィー検査が必須とされ、国の要件を満たす検査機関や医師及び放射線技師を配置しなければならないということになりました。この結果、ちょっと困ったことが出てきておりまして、平成16年度の指定医療機関数は市内に175機関ございましたけれども、現在、この基準を満たす医療機関は33カ所と大幅に減少してしまいました。
そこで、質問ですが、がん検診における受診率向上のためのより効果的な普及啓発、そして、乳がん検診の指定医療機関をふやすことによって受診率の向上にもつながると思いますので、どのような対策を講じようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
◎館石 健康づくり担当部長 まず、1点目の食生活改善事業の取り組みについてお答え申し上げます。
札幌市におきましては、健康さっぽろ21の栄養・食生活分野における食を通した健康づくりを推進するために、昨年3月に札幌市食生活指針を策定し、具体的な食生活改善の普及啓発に努めてまいりました。
また、各区保健センターにおきましても、すこやか健診等を受けた方への事後指導として、管理栄養士等が実施している生活習慣改善のための相談事業の中で、一人一人の健康状態に応じた個別栄養相談を行っているところでございます。
さらに、肥満やコレステロール値が高い、いわゆる生活習慣病予備群に当たる方々につきましては、糖尿病や高脂血症の講習会を開催し、適正な体重管理や望ましい食生活について学んでいただいているところでございます。そのほか、地域の方々や老人クラブなどからの依頼を受けて、例えば、減塩料理の工夫や野菜のとり方といった、より具体的な講話や調理実習なども実施しているところでございます。
次に、2点目のがん検診の受診率向上策についてのお尋ねであります。
まず、市民への啓発方法について具体的に申し上げますと、各区保健センターや医療機関でのポスターの掲示及びチラシの配布、また、広報さっぽろ、市民便利帳、札幌市ホームページへのPR記事の掲載、それから、医師会と連携した家庭医学講座の開催などによりがん検診の有効性について啓発し、受診勧奨に努めております。さらに、毎年7月には、国保加入世帯35万世帯に対し、すこやか健診の受診申込券とともに、各がん検診の案内を郵送して、個別に受診勧奨するなど受診率の向上を図っているところでございます。
次に、受診率向上の具体策についてでございますが、まず、より効果的な啓発をといった観点からは、今後とも、市民にがん検診が大切であることを理解していただけるように、ポスターやチラシなどの掲載内容の創意工夫を図り、さまざまな機会や方法を通じてPRに努めてまいりたいと考えております。
また、委員からは、新たな検査方法が導入された乳がん検診についてどうなのかというお尋ねがございました。
乳がん検診の受診率向上のためには、市民にとってできるだけ身近な医療機関において、精度の高い乳がん検診を受けられる体制の整備が重要であると認識しておりますので、技術者の養成を行い、実施医療機関数をさらにふやしたいと考えているところでございます。このため、今年度から、医師会の協力のもとに、国の定めるマンモグラフィーの撮影・読影講習会を開催し、医師や放射線技師の養成を行っておりまして、平成18年度も引き続きこの講習会を開催してまいりたいと考えているところでございます。
◆小田信孝 委員 まず、食生活改善ですけれども、去年の7月に、国において食育基本法が定められまして、それに基づき、今、政府で検討会がございまして、国民の食生活の改善と健康増進を目指す食育推進基本計画の最終案がまとめられました。今度、これがおりてきますと、大人の食育問題、食の教育計画といいますか、こういうものを具体的にしていかなければなりません。
そういう中で、アンケート調査が出ておりまして、20代、30代の若い方の朝食抜きが非常に多くて問題になっております。1回、食事を抜いてしまうと、昼、夜、特に夜にどか食いが来るわけです。ですから、その辺で生活習慣病の改善と同時に食育が大事だと。子どもの分野についてはほかの委員が質問しますので、私は大人のところを強調したいのです。こういう計画がおりてきますから、札幌市としては、この計画案に基づいて数値目標を持っていかなければならないことに当然なってくると私は思うのです。特に、20代、30代でも若い男性の朝食抜きが多いのです。これを15%以下に抑えるようにしようというのがこの計画です。ですから、これに基づいて、札幌市もそういう数値目標をきちっと決められて、目標に向かってやっていくのが大事ではないかと思うのです。
特に、中性脂肪、血糖値が高い状態を内臓脂肪症候群というのでしょうか、この辺については国民の間で余り知られておりません。札幌市民の間で余り知られていない。こういうことを、もっともっといろいろな工夫で、80%以上の人が当然知っているよというふうにしていかなければいけない。食育は、食料自給率の向上や農業を知ることや、その上で医療費の抑制につながりますので、そういった具体的なことをきちっと決めていく必要があると思いますが、再質問として、その辺についてお考えがまとまっていれば教えていただきたいと思います。
札幌市が何もやっていないというのではなくて、私は宣伝したいと思いますが、こういうものをつくって一生懸命にやっております。私はそういうことも重々理解していながら、大人の食育についてどうするのかということをご検討いただきたいのですが、お答えがあればいただきたい。
それから、がん対策には検診体制の見直しが絶対必要です。がんにもいろいろな種類がありますからそれぞれ違うのだと思いますが、マンモグラフィーの問題については、今、取り上げてお答えをいただきました。今後、そのほかのがん対策でこれに力を入れていきたい、あるいは、これによって受診率を向上させていきたいという特別な角度をつけた受診率の向上策がありましたら披瀝していただきたいと思います。
◎館石 健康づくり担当部長 お答え申し上げます。
まず、食育基本法についてお尋ねがございましたけれども、ご質問は、特に20代、30代の若い方の食育についてどう考えるかということであったかと思います。
委員からもご指摘がありましたけれども、私どもの健康さっぽろ21の中の食生活、栄養に関する分野の中にも幾つか視点を掲げております。また、健康さっぽろ21に基づいてご紹介いただきました食生活指針を平成17年3月に策定しておりますけれども、この中には一部に食育の視点からの記述も盛り込んでいるところでございます。
ご指摘ありました国からの方針、あるいは、道の方でも食育基本法に基づく計画を策定しているというふうに聞いておりますので、今後、これらを見ながら関係部局と連携してご指摘の分野についても検討を進めてまいりたいと考えております。
それから、がん検診の実施体制についてであります。
乳がん検診については先ほどお答えしたような方策を講じているところでございますが、例えば、大腸がん検診等についても、一部ではございますけれども、すこやか健診とセットで受診していただけるような試みをいたしましたところ、受診率が向上したということもありますので、PRだけではなくて、その実施方法についても何か改善する方策はないかどうか、引き続き検討してまいりたいと考えております。
◆小田信孝 委員 最後に、たばこ対策についてやらせていただきます。
長くなりますので、いきなり質問に入ります。
結論を言いますと、札幌市民の喫煙率は全国平均に比べて高い。パーセンテージを申し上げますと、成人の喫煙率は、全国では女性が10.3%に対して札幌市は25.4%、男性が全国は49.2に対して札幌市が53.2、これは大変高い喫煙率です。
市民の知識として、喫煙が健康に及ぼす影響について、肺がんを除いて全般的に十分な認識があるかというと、私はちょっと不安だなと。特に、妊婦の認識、あるいは、妊娠している女性が近くにいるのに、へっちゃらでたばこを吸われる。認識がないためにそういう状況が起きているわけであります。
質問の1点目ですけれども、これまでポスターを作成するなど普及啓発に取り組んできたことは、私も十分承知しております。我が会派の事務所内にもべたべたとポスターを張ってあります。
そこで、今後、より効果的な普及啓発についてどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いします。
質問の2点目は、先ほど言いましたように、札幌市の妊婦の喫煙率が全国平均よりも高いのです。たばこを吸いますと、自分の健康に及ぼす影響が大きいことと、赤ちゃんに対する影響も大変大きいのです。そういうことを考えますと、私は、若いお母さんが子どもを抱きながらたばこを吸う姿を何回も何回も目撃していますが、一刻も早く、未来の宝物である子どもたちをたばこの害から守りたいというのが私の強い強い気持ちなのです。
そこで、子どもたちをたばこの害から守るために、子育て中の親にどのような情報を提供していくお考えなのか、お伺いします。
3点目は、15歳よりも前にたばこを吸い始めた人は、将来、肺がんになる危険性が最も高いと言われております。子どもたちにたばこを吸わせないためには、小学校のころから、繰り返し、繰り返し教えていくことが大切だというふうに考えます。
そこで、小学生に対してどのような取り組みをしていくお考えなのか。
私は、20年前にこの点を強く申し上げて、教育委員会でビデオをつくってくださって学校に配布してくださった。見てくれた、実施率の数字を聞いてがっかりしました。20%です。なぜそうなったかというと、学校の現場では寝た子を起こすなという意見があって、全校に配布したにもかかわらず、たばこの害のビデオを見せることができなかった。やっぱり、小学生のときから、たばこは怖い、長い間吸っていると肺はこんなに黒くなってしまうという生々しさを実際の教育現場で教えていかなければならないと思うのです。
きょうは保健福祉局ですから、保健福祉局でどうするのかということについてご答弁いただきたいと思います。
◎請井 歯科保健担当部長 たばこ対策についてお答えいたします。
1点目の効果的な普及啓発についてでございますけれども、これまでも、広報さっぽろや健康さっぽろ21のホームページなどを通してたばこの害に関する普及啓発を行ってまいりました。さらに、今年度は、9月に未成年者喫煙防止イベント、2月には受動喫煙防止フォーラムを開催いたしまして、多くの市民にご来場いただいたところでございます。たばこの害に対する普及啓発に関しましては繰り返して行っていくことが効果的であると考えておりますので、今後は、地下鉄駅に設置されております壁面ショーウインドーを活用するなど、年間を通じた普及啓発に努めてまいります。
2点目の子育て中の親に対する普及啓発についてでありますが、従前より、保健センターにおきまして母子健康手帳の交付時や母親教室、乳幼児健診などを活用いたしまして、個別にたばこの害に関する情報提供を行ってまいりました。今後とも、パンフレットの内容更新を行いながら、これらの機会を活用いたしまして子どもの受動喫煙の防止や親への禁煙支援などの情報提供に努めてまいりたいと考えております。
3点目の小学生に対する普及啓発についてでありますけれども、先ほどもございました保健センターの専門職である医師や保健師などが小学校に出向いて健康教育を行う思春期ヘルスケア事業におきまして、たばこが健康に及ぼす影響についてわかりやすく説明し、未成年者の喫煙防止に努めているところでございます。また、小・中学生や保護者を対象として今年度実施いたしました未成年者喫煙防止イベント、NO!NO!スモーキングにつきましては、来年度も引き続き実施してまいりたいと考えております。
◆小田信孝 委員 たばこの再質問ですが、今おっしゃっていただいたNO!NO!スモーキングフォーラムは、もうちょっと早く、そして広く宣伝してほしかったですね。私がこれを知ったのは、地下鉄のつり広告の中で初めて知って、当日、出席できなかったものですから、後からどんな話があったのか、お伺いしました。
保健福祉局も大変一生懸命に力を入れているのですね。そのことは、私もこれまで何回も質問してきていますから十分によくわかっております。ここから健康づくり応援団というものをつくったり、いろいろやっていることは知っております。
札幌市は一生懸命やっているのですが、その前に、道の方は、もう3年以上たっていますけれども、こういう「空気もおいしいお店」というステッカーをつくっています。これは、札幌市では余り見受けないデザインです。これをどこで見つけたかというと、私は登別市のあるおそば屋さんで見たのです。札幌市内にはほとんど張っていません。こちらの方はスタートしたばかりですから、件数はまだそれほど進んでいないです。国の方も今一生懸命取り組んでいまして、これはコンピューターから取り出したものですが、妊婦さんに優しくしようということで、今後、自治体がバッジをつくって販売してもいいし、いろいろなことで活用してくださって結構ですということで、今回発表になりました。
国、道、札幌市が三者挙げて頑張っておられることはよくわかっておりますけれども、たばこによる特徴的な病気の中で、慢性閉塞性肺疾患、POCDが年々ふえています。去年、私が質問したときは144名の方が札幌市内で亡くなっておられた。今回新しく入手した資料では147名ですから3名ふえています。アスベストもマスコミに大変宣伝されたものですから、アスベスト対策では今どっと予算もつきましたし、対策が進みました。でも、死者数を見たらどうでしょうか。私は、POCDの死者の方が圧倒的に札幌市で多いと思うのです。ところが、たばこ対策については、皆さんが妊婦とか病人に本当に気を使っているかといったら、さほど気を使っていない、残念ながらそう言わざるを得ない。
そこで、質問ですけれども、札幌市は、禁煙・分煙施設をインターネットで登録していただいて、登録した企業名を発表しているわけです。ここのお店は禁煙、分煙していますということで保健福祉局は頑張っている。この件数ですが、去年、私が質問したときは127件でした。今、幾つにふえていますか、教えてください。
◎請井 歯科保健担当部長 お尋ねの禁煙・完全分煙認証施設の数でございます。
ご質問いただきました昨年10月の時点では128施設でございましたけれども、現在1施設が廃業いたしまして127施設ということになってございます。
◆小田信孝 委員 そこで、副市長に質問です。
副市長は、一生懸命に指導されて保健福祉局の成果を上げています。これは、私は十分に認識しているところです。
ところが、保健福祉局だけでは応援団の数がふえないですよ。昨年、私が質問したときよりも1施設減ってしまった。私は、自分でもきちっと勉強するためにこれをインターネットから取り出しました。一番多いのは薬局なのです。病院も何カ所か入っている。ところが、もっともっとふえてほしいなと思っているところ、例えばレストランとか食堂とか、お子さんが一緒に出入りするような場所でも札幌市の呼びかけに応じていろいろ手を打ってほしいな、禁煙マークなんかがどんどん進んでほしいなというふうに思うのです。
副市長、これは、全市的にやらないと、全庁横断的にやらないとふえていきません。もしかしたら、この色がお店に嫌われているのかもしれない。赤くて強烈過ぎるから、ちょっとそれは張れないということなのかもしれない。だったら、道がつくっている、こういう穏やかな色に工夫して、赤がだめならクリーム色ならどうでしょうかとか、いろいろやってもらうのも一つの案ではないか。
私が副市長に質問を向けたいのは、全庁的に取り組んでいかないと応援団がふえないですから、局長会議、部長会議、課長会議に呼びかけていく。それと問題は民間ですから、民間にご協力いただけるようにひとつ腰を上げていただきたい。このことを副市長に質問したいのですが、いかがでしょうか。
◎小澤 副市長 喫煙の害については広く認識されているところですが、なかなかやめられないということも、また現実としてあります。小田委員の年来の主張であり、力説して取り組んでおられます禁煙・分煙対策につきましては、市役所のいろいろな会議の機会にも、私の方から協力するように、いろいろ企業の方との接触もあると思いますので、特に指定登録業者の方々にそういうお願いをするとか、そういうことも含めて検討させていただきたいというふうに思います。
○高橋功 委員長 小田委員、まとめてください。
◆小田信孝 委員 はい、まとめます。
副市長に再質問というのは失礼ですから、これ以上は申し上げませんけれども、大体、去年と同じ答弁なのです。
応援団がふえていないというのは事実ですから、応援団がふえてこそ、全庁的に取り組んだということで、やっぱり数が物を言うのですよ。去年より倍になった、3倍になったと。特に飲食関係、あるいは結婚式場を抱えているホテルだとか、難しいでしょうけれども、市の幹部もいろいろなところに出かけていきますので、その都度、力説していただいて頑張っていただきたいなというふうに私は思うものですから、ぜひよろしくお願いします。
それから、要望にいたします。
裁判では負けましたけれども、東京地裁で判決が出ました。そして、裁判長がこう言っています。タクシーは全面禁煙が望ましいと。裁判は負けたのですが、裁判長は、国民の健康を考えてタクシーは全面禁煙が望ましいということをおっしゃっています。アメリカでは、弁護士さんが優秀で、たばこ訴訟は禁煙の方が勝つのですが、日本は訴えた方が大体負けているのです。けれども、この裁判長はちゃんとおっしゃっています。
ですから、今後、自販機もたばこカードがなかったら買えないという時代が来るのです。2008年から導入だそうです。そうすると、未成年者は簡単にたばこを買えなくなります。そういう意味では、だんだん買いにくくなり、若い人の喫煙が減ってくるということで、いいことではないかなというふうに思います。
国連はもっとすごいですよ。WHOでは、あなた、たばこ吸いますか、吸いませんかと。吸うと言ったら採用してくれないのですよ。
これをやってしまうと長くなりますので、要望にしますけれども、札幌市の禁煙対策、たばこ対策をぜひ進めていただきたいことを強く強く要望させていただいて、終わりにさせていただきます。
◆坂本恭子 委員 私は、エイズに関する質問をさせていただきたいと思います。
今、大先輩が質疑をやっておりましたけれども、昨年の3定でエイズ問題を取り上げていたという記憶があります。
全国的な傾向ということで若干資料をいただいておりますが、厚生労働省にエイズ動向委員会というものがあって、3カ月ごとに委員会を開催しているということです。2004年の結果ですが、HIVに感染した人の総数が初めて1,000件を超え、それから、感染者とエイズ患者の報告者の合計が1,165件になっていることが報告をされています。さらに、感染者、患者とも男性が85%以上を占め、その中でも、同性間性的接触による感染が半数以上の約68%を占めている。さらに、予防啓発の普及と検査による早期発見・早期治療の機会拡大が必要であるというふうに、エイズ動向委員会の方で2004年の動向についてまとめております。
そこで、本市でも、エイズ検査、HIVの検査体制が随分強化してきているというふうに思うのですが、現在の検査の体制がどういうふうになってきているのか、検査数の推移などもあわせてお示しいただきたいと思います。
あわせまして、HIVの感染者及びエイズ患者の届け出数の推移と傾向について、今、全国的な傾向についてお話ししましたけれども、札幌市の状況についてはどのようになっているのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
◎舘 保健指導担当部長 私から、エイズ対策についてお答えいたします。
エイズの検査体制と検査数の推移についてであります。
札幌市におきましては、無料、匿名のエイズの血液検査を実施しておりまして、平日、日中につきましては、各区の保健センターで毎月2回実施しております。また、検査機会の拡大を図るため、夜間、休日における検査を中央保健センターにおいて実施しておりますが、夜間は体制を整備し、平成17年7月からは毎月第2火曜日に、休日につきましては年2回実施をしております。
検査数の推移につきまして、過去3年間における年間の検査件数で申し上げますと、平成15年度が1,010件、16年度が1,142件、17年度が、18年2月末現在でございますが、1,119件となっており、年々増加している状況となっております。
次に、HIV感染者及びエイズ患者の届け出数の推移と傾向についてであります。
札幌市における平成17年の新規届け出数は、感染者が11名、患者が2名であり、合計数13名ですが、過去最高でありました平成16年と同数となっております。平成17年までの累計では、感染者が47名、患者が33名、合計80名となっているところでございます。
また、感染者及び患者を合わせた80名の傾向について申し上げますと、性別については男性が70名、女性が10名であり、男性が多い状況となっております。また、感染経路については、経路が判明している61名のうち、59名が性的接触によるものであり、その内訳は、異性間によるものが25名、同性間によるものが34名であり、同性間性的接触が多い状況となっております。
まとめますと、札幌市において届け出のありました感染者及び患者の傾向といたしましては、委員からご説明のありました全国と同様でありまして、男性の同性間性的接触による届け出数が多い状況となってございます。
◆坂本恭子 委員 厚労省のエイズ動向委員会から出されている特徴は、札幌市にもまた当てはまっているということです。エイズイコール男性同性愛者というイメージでお話ししたいわけでは全くないのですが、そこの部分での対策をどうとっていくのかというのが大変大事な点だというふうに思っています。
私がこの問題に関心を持ちましたのは、昨年、同性愛者の皆さんが自分たちセクシュアル・マイノリティーの立場を社会にアピールしていきたいということで、レインボーパレードというイベントがありました。そこでいろいろな方と知り合いになり、同性愛者の皆様、いわゆるゲイの方たちの中でエイズに対する関心が非常に高く、それから、彼ら自身が市の職員の皆さんと連携をとりながら、一緒にエイズ問題について考えて、検査に行こうというようなキャンペーンといいますか、そういうものをやっているという話を聞きました。そして、社会的になかなか光の当たらない、そういう立場の皆さんが、みずからのこととしてエイズの問題をしっかりと受けとめて、自分たちの中でもいろいろと声を出していきたいというようなことをじかに聞いたものですから、今回、委員会でぜひこれを取り上げたいなというふうに思ったのです。
検査件数については、3年間の動向でお話しいただきましたけれども、この間、一貫してふえてきていると答弁の中にございました。それにあわせてといいますか、検査の体制自体、平日だけだったものが夜間に、そして休日にも拡大する中で件数がふえてきているのかなというふうに思っているのですが、検査の方法について考え方を教えていただきたいと思います。
実は、これはゲイの方たちが、いわゆるゲイバーにいらっしゃる方の協力をもらってつくっているアンケートですけれども、HIV検査を受けたことがあるかないかということです。あるという答えが44%、ないが56%だったのですが、どうして検査を受けないのですかということを聞くと、面倒くさいというのが25%あるのです。
面倒くさいというのはどういうことかなと思って当事者にお話を聞かせていただいたのですが、平日検査の場合だと、予約して検査を受けますが、検査の結果が1週間後でないとわからないということがあって、不規則なお仕事をされている方も中にはたくさんいらっしゃるものですから、このことが原因でなかなか検査に行けないのだというような話を聞きました。
今、年に2回、休日検査が行われているのですが、その中で、迅速検査法というものが試行的に導入されているというふうに聞きました。これは、その日のうちに検査結果が出るということで、休日検査に導入されているこの検査方法を、平日あるいは夜間にも導入することができないのだろうかというのが当事者のお話でしたので、こういう体制がとれるような状況にあるのかどうか。
他都市、それから、北海道でも函館とか室蘭とか、ちょっと定かではないですが、幾つかの都市で迅速検査法が導入されているようにも聞いております。この点、札幌市ではこれからどういう対応をされていくのか、導入するお考えがないのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
それから、男性同性愛者対策の現状についてということで、こういうパンフレットを作成するに当たっても、ゲイバーのママというか、マスターたちに知恵を出してもらいながらいろいろなイベントもやって、札幌市がそこに委託料という形で助成しているということを聞いているのですけれども、実際にどういう対策をしていらっしゃるのか。
それから、この間のエイズに関する全体の予算額が毎年のシーリングで1,200万円程度あったものが今は750万円ぐらいに減っていると思いますが、特に、男性同性愛者への対策は非常に大事なところだと思うので、ここでの予算について、これも同じくシーリングをかけていくことになるのかどうか、そこら辺もお聞かせいただきたいので、お願いします。
◎舘 保健指導担当部長 まず、検査の方でございますが、平日検査における迅速検査法の導入についてであります。
迅速検査法につきましては、検査の技術的問題や疑陽性の方、真の陽性ではないのに陽性の結果が出るということですが、そういう方々に対しての適切なカウンセリング体制が必要という課題がありましたことから、平成17年度におきまして休日検査において試行的に実施をしたところでありますけれども、来年度につきましても継続して実施する予定としております。
しかしながら、平日検査への導入ということにつきましては、検査の特性や体制などのさまざまな課題もありますことから、今後、全市的な検査のあり方の中で研究してまいりたいと考えております。
男性同性愛者対策の方に移らせていただきますが、男性同性愛者対策の現状についてであります。
国におきまして、個別施策層と定義をされておりますけれども、感染の可能性が疫学的に懸念されながらも、感染に関する正しい知識の入手が困難であったり、また、偏見や差別が存在しているという社会的背景などから、適切な保健・医療サービスを受けていないと考えられる方々に対しましては、施策の実施において特別な配慮が必要とされるとされております。
札幌市におきましては、個別施策層としての男性同性愛者の方々に対しまして、人権や社会的背景に配慮しながら、きめ細やかな対応を行っているところであります。具体的には、平成17年度につきましては、世界エイズデー関連事業として、感染について心配されている方が検査をより受けやすくなるように、検査の様子などについて紹介するためのビデオを作成しまして、男性同性愛者の方々が主催したイベントで上映いたしました。また、この2月ですけれども、より安全な性行動、いわゆるセイファーセックスをテーマにしたイベントにおきまして、トークショーや討論会、エイズ相談などの予防啓発などを実施したところであります。
なお、先ほど委員がお持ちだったパンフレットですけれども、その作成につきましても、当事者の方々と協力して、内容としては同性愛者の方々がエイズに関する正しい予防知識を習得すること、また、行動変容に結びつくことを目的にして作成したものでございまして、ゲイバーなど関係機関に配布するなどして普及啓発に努めているところでございます。
男性同性愛者対策の予算の関係でございますが、まず、エイズ対策予算の総額ということで言いますと、過去3年間の状況では、厳しい財政状況を反映して年々減少しているところではあります。しかし、男性同性愛者対策についてということでは、私どももエイズ対策の重点施策ととらえておりますので、前年度とほぼ同額ということで対応してきているところであります。
最後になりますが、個別施策層としての同性愛者の方々への各種普及啓発事業は、当事者など関係者の協力が必要不可欠であり、今後とも、関係機関との連携を図りながら効果的なエイズ対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
◆坂本恭子 委員 男性同性愛者についての予算は、削らずに継続をしていきたいということでしたし、今、札幌市内には42店舗ぐらいのゲイバーがあるらしいのですが、その中の13店舗ぐらいの方が中心になって、クラブイベントの実行委員会をつくっています。夜にお仕事をされている方ですから、お昼ぐらいから集まって皆さんで打ち合わせをして、年に1回のイベント、それから、こういうパンフレットの作成などにいろいろと知恵を絞っているそうですが、実際には会議の運営費なんかは自分でお金を出してやっているのだということでした。本当に手づくりで、自分たちのアイデアを出しながら、それでも何とか、セクシュアル・マイノリティーと――さっき、人権とか社会的背景とか答弁の中にもいろいろありました。自分たちが社会から認められない存在であるという苦しい部分と、ゲイイコールエイズという偏見の中でも、しっかりと人間らしく生きていきたいという思いでいろいろな企画もやっているというふうに思っています。
これもまた、厚労省のエイズ動向委員会の調査ですけれども、HIVの感染例のうち、男性同性間の性的接触による感染の割合は、15歳から24歳の年齢層で77.5%、25歳から34歳で73.9%、35歳から49歳では63.6%ということで、特に若い人たちの中にHIVの感染例が多く出ております。ですから、先ほども性感染症のお話がいろいろ出ておりましたけれども、若い方たちにこうした知識をしっかりと普及啓発していく、それから、予防のための普及啓発、そして検査体制をしっかりとつくっていく、これが3点セットで行われていく必要があるだろうというふうに思います。
そういう意味では、なかなか私たちのはかり知れない分野でもありますが、ぜひとも力を抜かずに頑張っていっていただきたい分野でありますので、当事者の皆さんの知恵をかりながら、市の職員の皆さんも一緒に、検査体制の充実も含めて、これからもこの分野で力を注いでいっていただきたいことを申し上げて、終わりたいと思います。
○高橋功 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時8分
再 開 午後3時30分
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○高橋功 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆三宅由美 委員 私は、大きく2点に分けて質問いたします。
1点目は、医療安全支援センターについて、2点目は、健康づくりネットワーク促進事業及び健康日本21、健康さっぽろ21の中間評価についてです。
まず、1点目の医療安全支援センターについてです。
厚生労働省は、2003年度から、医療に関する患者、家族などからの相談や苦情に迅速に対応するために、医療安全センターの設置を呼びかけており、センターの設置が全国的に進められているところです。
2004年第1回定例会で、私どもの会派の藤原議員が代表質問で取り上げ、2004年9月から札幌市保健所に医療安全相談窓口が設置されました。窓口設置の目的は、医療に関する市民からの
問い合わせ、相談に対応するとともに、病院などの医療機関に相談の情報を提供することで、患者サービスの向上をより一層図るということです。2003年度に市民から保健所に寄せられた医療機関などに対する苦情・相談件数は434件でしたが、窓口を設置した2004年度の相談件数と相談内容の特徴、相談への対応はどういったものか、お伺いいたします。
次に、健康づくりネットワーク促進事業と健康日本21、健康さっぽろ21の中間評価について伺います。
現在、国では生活習慣病対策に力を入れており、特に、生活習慣の改善による予防を重視しております。ポピュレーション・アプローチと称した社会全体の啓発を求めており、住民の主体的な活動が重要な役割を果たすとしております。健康づくりには、身近で無理なく継続して取り組める環境が必要ですが、そのためには地域の果たす役割が大きいと思われます。一方、社会全体の傾向として価値観の多様化があり、健康に対する考え方や情報も多種多様です。このような状況に対応していくためには、さまざまな考えの人々が緩やかに結びつき、共通の目標に向かって主体的に活動していく、いわゆるネットワーク的な活動が適切だと考えております。
そこで、質問ですが、1点目に、本市における地域での健康づくりの重要性についてのご見解を伺います。
2点目に、ただいま申しましたように、これからの社会には、支援を中心とした活動を超えて、思いを同じにする人々がネットワークを結び、街づくりに生かしていくことが必要だと考えます。本年度より健康づくりネットワーク促進事業を立ち上げることになっておりますが、この事業の必要性についてお考えを伺います。
次に、国では健康日本21の中間年評価に着手しており、健康日本21で掲げられている目標値について幾つかの改善項目が見られるものの、必ずしも目標値に向けて数値が改善しているとは言えないものも見られます。
そこで、国では、9分野70項目にも及ぶ目標値の中から代表項目を選定し、重点的な取り組みを進めるとともに、健康づくりの国民運動化、いわゆるポピュレーション・アプローチと、有病者、生活習慣病予備群への対応、いわゆるハイリスク・アプローチ、この2本立てで対応しようとしております。
一方、健康さっぽろ21においては、2007年度が中間年の評価と伺っておりますが、健康日本21の中間評価の状況と対応、さらには、健康さっぽろ21の中間評価に向けた考え方についてお伺いいたします。
◎高瀬 保健所長 医療安全支援センターの設置についてお答えいたします。
1点目の医療安全相談窓口に寄せられる市民相談の件数についてでございますが、平成16年度には871件の相談が寄せられました。このうち、相談窓口を設置した9月以降の件数が628件で、窓口設置前に比べ約2倍の増加となっております。このことは、市民の医療に関する関心の高さが反映されたものと判断いたしております。また、17年度におきましては、本年2月末現在で795件の相談が寄せられております。
また、市民相談の内容の特徴と保健所の対応についてでございます。
相談内容といたしましては、件数の多いものとして、診療内容に関するものと医療従事者の対応、態度に関するものを合わせると全体の約半数を占めており、その他、治療費に関するものや医療従事者の資格に関するものなどの順となっております。
これらの相談のうち、診療内容に関するものや医療従事者の対応、態度に関するものにつきましては、医療法などの法令に基づき、保健所が直接規制できるものではないことから、相談者の意向を確認した上で相手の医療機関に相談内容を伝え、適切な対応を要望したり、また、診療内容に疑問を持っている相談に対しましては、主治医に対し相談者がみずから説明を求めてみてはどうかといったようなアドバイスを行っております。
◎館石 健康づくり担当部長 私からは、まず、健康づくりネットワーク促進事業についてお答え申し上げます。
1点目の地域での健康づくりの重要性に関する見解についてということでございますが、札幌市健康づくり基本計画、健康さっぽろ21では、基本目標の一つとして健康な地域づくりを掲げ、地域の中で市民が世代を超えて自主的な健康づくりを続けられるよう支援していくこととしております。そのためには、町内会を初めとした地域組織や自主活動グループなどがそれぞれの役割を果たしながら、地域ぐるみで健康づくりを行っていくことが一層重要になるものと認識しております。
次に、2点目の健康づくりネットワーク促進事業の必要性についてでございますけれども、本市では、平成14年度からヘルシーコミュニティ促進事業をスタートさせ、健康づくりに取り組む自主活動グループの育成支援を行っております。現在まで167グループに対して助成金を交付し、住民の主体的な健康づくりを支援してまいりました。今後は、これらの自主活動グループを初めとして、地域で健康づくりを実践している、例えば健康づくりリーダーなど、さまざまな主体をつないでネットワーク化を図り、地域での健康づくりをより一層推進していく必要があるものと考え、来年度から、各区において健康づくりネットワーク促進事業を展開することとしたところでございます。
次に、健康日本21と健康さっぽろ21の中間評価についてお答えいたします。
平成12年度にスタートいたしました国の健康日本21は、現在、中間評価を行っている段階でありますが、例えば、肥満者の割合の増加、あるいは日常生活で歩く歩数の減少など悪化している項目もあることから、国は日常生活における運動の基準案をまとめるなど、具体的な対策に着手してきているところでございます。
一方、健康さっぽろ21でございますが、委員からもお話がございましたように、平成19年度に中間評価を予定しております。来年度は、その基礎資料となる市民の健康に関する調査を行うこととしております。その調査結果を受けて、それぞれの目標達成状況を評価し、内容を見直すことになりますが、その際には、国の動向を踏まえるとともに、本市の健康づくり事業に対する評価なども行った上で、必要な施策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
◆三宅由美 委員 まず、医療安全支援センターです。
相談件数が倍増しているということでしたが、相談窓口に配置されている職員は、相談も多岐にわたり、なお、中立的な立場でなければならないために、返答や対応策について悩むことが多く、ストレスの大変多い業務だと思っているところです。
そこで、担当職員の心身の健康管理や働き方についての配慮がどのようになされているのか、まず、お伺いいたします。
2点目は、個別の病院の相談窓口設置状況について伺います。
医療法などの規定では、特定機能病院や臨床研修病院では2003年4月から患者相談窓口の設置が義務づけられておりますが、該当する市内の病院の窓口設置状況とそれ以外の病院の設置状況について伺います。
3点目ですが、来年度予算では医療安全支援センター運営費が計上されております。来年度から相談窓口と医療安全推進協議会の両方がそろうことになり、センターとしての機能が完成することになりました。市民からの相談に対応するだけではなく、患者、家族と医療機関の信頼関係を築き、医療の質を向上させるためにも、協議会で定期的に相談や苦情の内容を分析し、重要な事例に対する指導・助言などを行うことが必要だと考えます。
そこで、協議会の必要性や役割に対する市の見解とメンバー構成、開設時期について伺いたいと思います。
◎高瀬 保健所長 1点目の相談窓口の担当職員のケアについてでございますが、相談を受けた職員がひとりで対応に苦慮することのないよう、職場内で相談内容の情報を共有し、医師等の専門職も含め、職場全体で対応を検討するなど、組織として取り組んでおります。
また、国等が主催する市民相談のための専門研修などに積極的に職員を派遣し、研修で得た相談対応の方法などについて対応マニュアルに盛り込んだり、職場内で講習会を実施するなど、職員の精神的負担を減らすための環境づくりに努めております。
2点目の個々の病院における相談窓口の設置状況についてでございますが、現在のところ、一部の病院を除き、法令により設置が義務づけられているものではございませんけれども、医療安全の推進のためには必要なものであることから、毎年行っております定期の立入検査の際に窓口を含めた相談対応体制について確認をしております。
その結果といたしましては、おおむねすべての病院において相談対応は行っておりますが、その体制は病院によってさまざまであり、相談窓口としての十分な機能を果たしていると思われる施設は多くはないことから、病院の規模に応じた相談体制の充実を要望しているところでございます。
3点目の医療安全推進協議会の必要性や役割、メンバー、設置時期についてでございます。
まず、その必要性や役割といたしましては、市民相談の対応に関するアドバイスだけではなく、医療機関における医療安全体制のレベルアップと、市民の医療に対する主体的な参加を促進するための方策に関する検討や助言及び効果的な実施に向けた支援を行う組織として位置づけたいと考えております。
次に、構成メンバーといたしましては、専門的で幅広い視点を持ち、かつ、多方面から検討を行うことができる協議会とするために、医療を提供する立場と医療を受ける立場及び関係法令や対策方法に詳しい学識経験者などの方々を委員とすることが適当と考えております。
また、協議会の設置時期といたしましては、平成18年度の早い時期としたいと考えております。
◆三宅由美 委員 ただいまのご答弁で患者や家族の側も協議会のメンバーに入るということでしたが、患者側の発言はインフォームド・コンセントの推進や医療サービス向上に欠かせないものだと考えます。患者や家族は、どうしても弱い立場であると感じたり、緊張したり、あるいは動揺したりしていて、医師や医療機関にはっきりと物が言えない傾向にあります。センターが相談を受け、その内容などの情報を的確に医療機関にフィードバックすることで、医療機関に問題点の解消を促し、サービスの向上が図られるということですから、医療安全支援センターは患者にとって強い味方になると思います。
それから、もう一つ、私はちょっとわからないところがあります。相談に関してですけれども、私は、例えば、ちょっと腰痛なのだけれども、近所に適切な病院はないのか、あるいは、受けている検査の必要性を教えてもらいたい、自分の症状はどの診療科を受診したらよいのか、セカンドオピニオンも受けたいが主治医にどう切り出したらよいのか教えてほしい、カルテの開示を求めたいがどうしたらよいか、現在服用している薬についてもっと詳しく知りたいことがある、こういうようなことを相談窓口では尋ねたいと思っているのです。
しかし、このチラシの中に、病状に応じた特定の医療機関の紹介及び健康相談については対応できませんというふうに書いてありますので、やはりそういうことなのかどうか、お聞きしたいと思います。
また、来年度は医療安全支援センターとしてさらに充実した機能を持つようになるのですから、だれでも知っていて利用されているという状況をつくっていただきたいと思います。そこで、市民への周知方法についてお伺いいたます。
次は、健康づくりネットワーク促進事業と健康さっぽろ21について再質問いたします。
これまでのさまざまな街づくりの取り組みは行政主導により行われるものが多かったのですが、これからの街づくりには住民の主体性が求められていると思います。健康づくりにおきましても例外ではなく、1986年のWHOオタワ憲章では、健康づくりについて、住民一人一人がみずからの決定に基づいて、健康増進や疾病の予防、さらに、障がいや慢性疾患をコントロールする能力を高めること、健康を支援する環境づくりを行うことと定義づけています。健康さっぽろ21でも、市民一人一人の健康づくりを応援しますという基本理念を定めているように、健康づくりに対する市民の主体性を尊重し、行政が支援していくことと、市民が健康づくりに取り組もうとする動機づけをすることが重要だと考えております。
また、生活習慣病の予防についてですけれども、1日1時間の運動で糖尿病患者は半減するというようなことも言われております。私の友人で、毎晩8時に近所の方が公園に集合して、集まった人だけで1時間ほど散歩を続けているグループがいます。このように、ネットワーク促進事業が行われることにより、さまざまな健康づくりのメニューが、身近で無理なく継続できる市民主体のメニューが取り入れられると思います。短期的な効果は必ずしも大きくはないですが、中長期的には健康寿命の延伸、医療費の適正化などの重要なかぎになる事業だと考えております。
そこで、質問ですが、健康づくりネットワーク促進事業の基本的な考え方についてお伺いいたします。
2点目として、健康づくりネットワーク促進事業でどのような支援を行うのか、具体的な内容についてお伺いいたします。
◎高瀬 保健所長 1点目の病気、薬に関する相談についてでございますが、疾病や薬に関する相談に対しては、かなり幅広い疾病や薬剤に対する知識がなければ無理なことから、行政機関である今の保健所の体制ではちょっと無理かなというふうに考えております。
それから、カルテの開示など情報の提供につきましては、今後、医療法などに盛り込まれる予定もあるようでございますので、法律上に位置づけられましたら保健所で対応する件となると思います。
それから、2点目の医療安全支援センターの市民への周知方法についてでございますが、市民向けのリーフレットの作成、配布や保健所のホームページへの掲載、それから、広報さっぽろでの公表など、複数の手段により広く周知を図っていきたいと考えております。
◎館石 健康づくり担当部長 私からは健康づくりネットワーク促進事業についてお答えいたします。
まず、1点目のこの事業についての基本的な考え方についてでございますが、この事業では、日ごろ、健康づくりを実施している自主活動グループや
ボランティアの方々により、健康づくりネットワークと呼んでおりますけれども、こうしたネットワークを構成し、地域での健康づくり活動の推進役を担っていただこうとするものでございます。ただいま、市民の主体性を尊重してというご指摘がございましたが、この事業では、主体はあくまでもネットワークというふうに考えておりまして、行政はネットワークの成熟度に合わせて継続して支援をしていくのが基本的な考え方でございます。
次に、2点目の具体的な支援内容についてでございますが、例えば、健康づくりに関する知識を高めていただくための学識経験者等の派遣、あるいは、ネットワーク活動の発表や情報交換のための各区におけるミニイベントの開催、そして、健康づくりへの意識を高めるための全市レベルでのシンポジウムの開催などを考えております。
◆三浦英三 委員 私からは、不妊治療支援事業についてと、先ほど小田先輩から紹介がありましたマタニティマークの普及啓発について、大きくこの2点について質問させていただきます。
初めに、不妊治療支援事業についてです。
我が国では、出生率の低下によりまして、今、急速な少子化が進んでおります。その中でも、特に、札幌市の合計特殊出生率は、例年全国を下回る数値で推移しておりまして、ただいま1.01と過去最低になっているところであります。一方、子どもを望んでいるにもかかわらず不妊に悩んでいる夫婦は、近ごろでは7組に1組とも言われておりまして、医学の進歩に伴って、より先進的な治療を希望される方も多く、経済的負担のほかに、さまざまな不安や迷いが増大しているところであります。
私は、少子化対策の推進のためには不妊治療に対する支援も重要な課題である、このように思っております。子どもを望む夫婦が安心して子どもを産み育てられる環境づくりが必要と考えているところであります。
国では、医療保険が適用されずに高額な医療費がかかる体外受精と顕微授精を対象に、特定不妊治療費助成事業を平成16年度から開始いたしました。北海道旭川市では、同年10月からすぐにこの事業を開始したところであります。
我が党では、平成15年から、次世代育成支援対策の一環としまして、札幌市における不妊治療費の公費負担を早急に実施するように要望してまいりました。そして、不妊に悩む市民への相談体制の整備についても、委員会ごとにたびたび伺ってきたところであります。その結果、札幌市では学識経験者や不妊治療の専門医などによります検討委員会を経まして、北海道から1年おくれの昨年、平成17年10月から不妊治療支援事業が開始されたところであります。
この事業は、特定不妊治療に係る費用につきまして10万円を上限に通算2年間助成し、経済的負担の軽減を図る特定不妊治療費助成事業と、もう一方、不妊に悩む市民に対して医師やカウンセラーなどによる相談を実施しまして、精神的負担の軽減を図る不妊専門相談事業、この二つの柱から成っていると伺っているところであります。我が会派としても、昨年10月にこの事業をスタートしまして、申請や相談のための窓口として中央区に設置された不妊専門相談センターを視察させていただいたところであります。
この事業は、開始から間もなく半年を経過しようとしておりますので、何点か質問させていただきたいと思います。
初めに、特定不妊治療費助成事業の現在までの申請件数とその総額についてお伺いいたします。あわせて、不妊専門相談事業における相談件数とその内容について伺いたいと思います。
それから、2点目のマタニティマークの普及啓発についてお伺いいたします。
21世紀の母子保健に関する国民運動計画として、健やか親子21というものが策定をされまして、その課題の一つに、妊娠・出産の安全性と快適さの確保ということが挙げられております。
国では、この課題の達成のために、妊産婦に対して理解のある地域環境や職場環境の実現と受動喫煙の防止、各種交通機関における優先的な席の確保等について、国民、関係機関、企業、地方公共団体、国などがそれぞれの立場から取り組むことが重要としているところであります。このような課題の解決に向け、健やか親子21推進検討会におきまして、マタニティマークのデザインを決定して、その活用により、妊産婦に配慮する優しい環境づくりを国民に喚起していくことにしているところであります。
特に、妊娠初期においては、つわりや流産の心配などがあり、心身への負担をできるだけ少なくしなければなりませんが、外見からは妊娠していることがわかりにくいために、優先席に座ることなどについて周囲の理解が得られないという声をよく耳にするところであります。身近な方にも、座っていたら、若いのに何でおまえは座っているんだとおじさんにどなられたと言っておられた妊娠2〜3カ月の若いお母さんがおりました。
札幌の街が次代を担う子どもを安全に産み育てられる環境となるように、市民が一丸となって取り組んでいくべきです。その一つの指標としまして、例えば、母子健康手帳の交付時にマタニティマークをデザインしたバッジを配付し、妊産婦が交通機関を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするなど、マタニティマークの活用が有効と私は考えるところであります。
そこで、質問ですが、マタニティマークの普及啓発について、札幌市ではどのように考えているのか、大きく2点、よろしくお願いします。
◎小林 健康衛生部長 まず、不妊治療支援事業についての2点の質問についてお答えいたします。
1点目の特定不妊治療費助成事業の申請件数と総額でございますが、平成18年2月末現在で申請件数は223件となっております。その内訳は体外受精が94件、顕微授精が129件となっております。このうち、認定となりましたものは184件で、助成金の交付額は約1,750万円となっております。また、審査中のものは39件となっているところでございます。
次に、2点目の不妊専門相談事業におきます相談件数とその内容でございます。
この相談事業は、保健師などによる一般相談、専門医やカウンセラーによる専門相談がございます。一般相談では、2月末現在で延べ818件となっており、その相談内容は治療費助成の内容に関することが最も多く、次いで、検査や治療に関すること、医療機関に関すること、不妊の原因に関することの順となっております。専門相談では、同じく2月末現在ですが、専門医による相談が17件、カウンセラーによる相談が14件となっております。
その相談内容でございますが、専門医では、不妊の治療方法や治療上の悩みなど、その多くは現在受けている治療についてのアドバイスを求めるようなものとなっております。カウンセラーによる相談につきましては、治療上の悩みのほか、妊娠できないことによる配偶者とか親族に対する負い目、あるいは、自分が不妊症ではないかという不安など、治療以外の悩みに関することとなっております。
次に、マタニティマークの普及啓発についてでございますが、ただいま委員からご指摘のございましたように、妊娠初期は周囲の方々に妊婦であることがなかなか伝わりにくいこと、あるいは、配慮や理解を得ることが難しい、こういった場面があるものと認識しているところでございます。したがいまして、マタニティマークをデザインした啓発用品などの活用につきましては、妊娠中であることを周囲の方々に理解していただくために有効な手だてというふうに考えておりますので、今後、検討してまいりたいというふうに考えております。
◆三浦英三 委員 初めに、今、部長からマタニティマークの普及啓発について検討していきたいという答弁がありました。
マタニティマークの普及啓発につきましては、小さなことのようですけれども、大きな意味を持つことだというふうに私は思っております。少子社会の中で、働きながら子どもを育てる女性がどんどんふえてきております。身体的に最もつらい妊娠初期に、バスや電車などでつらい思いを強いられているのが現状ではないかと思うわけです。多くの人がこのマークを認知して、命をはぐくむ妊産婦を支え合う社会としていくために、ぜひともしっかり検討していただいて普及啓発に努めていただきたい、このことを先に申し上げておきたいと思います。
あわせて、再質問をさせていただきますが、不妊治療支援事業についてであります。
特定不妊治療費助成事業につきまして、今、ご報告がありました。ほかの自治体の実績を見てみましても、事業開始年度というのは、見込み数に対して助成金の申請件数が少ないという実態にあります。例えば、北海道では、平成16年度の見込み数1,000件に対して申請数が328件、32.8%、旭川市では155件の見込み数に対して36件、23.2%と、いずれも低い状況にあります。当然、札幌市においても2月末現在の申請件数が223件と、当初見込んでおりました961件に対して大体23%にとどまっています。3月分はまだわかりませんけれども、初年度実績としては少ない状況にあるというふうに思うわけであります。
一方、相談事業につきましては、専門相談の利用件数が月平均6人程度と少ない状況になっていまして、より多くの方に利用していただくためには、医療機関との連携を進めていくことが必要ではないかというふうに私は思うわけであります。
当然、広報さっぽろとか医療機関等にポスターなどを掲げていまして、それを目にした患者が自主的に不妊専門相談を受ける、こういう仕組みになっていると思いますけれども、それだけではなくて、医療機関と不妊専門相談センターが患者についての情報を共有していくことも大事である、一人一人の患者の相談に対して治療と相談の役割分担をして支援していくことが大事ではないか、このように考えているところであります。
一方、相談にはいろいろな相談が参るものですから、多種多様な相談にきめ細かな対応を行っていくことが必要です。そのためには、業務に従事している職員の皆さんの資質の向上に対する取り組みが絶対に必要である、このようにも考えているわけであります。
さらに、この事業につきまして、国では、長期にわたって治療を受ける方が継続的に治療費の支援を受けられるように、平成18年度から助成期間を2年間から5年間に延長する方針である、このように聞いております。このことを踏まえまして、3点、再質問をさせていただきます。
1点目には、治療費助成件数と相談事業の利用者をふやしていくために、医療機関との連携等についてどのように考えておられるのか。
2点目に、職員の資質向上など、相談事業の充実に向けてどのような取り組みをされるお考えなのか。
3点目に、助成期間の延長について札幌市ではどのようにされるおつもりなのか、3点お伺いいたします。
◎小林 健康衛生部長 それでは、3点についてお答えいたします。
まず、1点目の治療費助成件数と相談事業利用者をふやすための医療機関との連携についてでございます。
助成事業につきましては、現在、指定医療機関におきまして対象者にパンフレットを配付していただいておりますので、新年度はその内容を更新しまして、引き続き協力していただけるように要請してまいりたいというふうに考えております。
また、相談事業につきましては、市内のすべての産婦人科医療機関に不妊専門相談センターのパンフレットを送付いたしまして、広く事業の周知を図るとともに、相談が必要な方につきましては、相談センターの活用を進めていただけるよう、さらに医療機関と連携してまいりたいと考えております。
次に、2点目の職員の資質向上など、相談事業の充実に向けた取り組みでございます。
一般相談に従事する職員に対しましては、専門員やカウンセラーからの日常的な指導・助言による資質向上を図るとともに、平成18年度には、相談事業の効果的な実施方法を検討するための不妊専門相談事業検討会を設置いたしまして、学識経験者や専門医などによります検討を行ってまいりたい、こんなふうに考えております。
最後に、3点目の助成期間の延長についてでございます。
委員ご承知のように、札幌市におきましては、今年度から事業を開始したばかりでございますが、期間の延長につきましては平成18年度に検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
◆三浦英三 委員 最後に、要望させていただきます。
初めに、治療費助成事業についてです。
今、答弁があったように、助成の対象期間が、次の国の予算では2年間から5年間に延長になっていくということであります。例えば、平成16年度にほかの自治体で1年目の助成を受けていて、転入などにより、現在、札幌市で継続して治療を受けていらっしゃる方につきましては、平成18年度が3年目になってしまうわけですね。こういう方は非常に少ないとは思いますけれども、そういう方も含めて、国と同様に助成期間を延長するということをぜひともお願いしたい、これが1点であります。
不妊専門相談事業については、医療機関と連携体制をしっかりとっていきたい、さらに、きめ細かい対応をしていきたいということでしたので、ぜひお願いしたいというふうに思います。
不妊に悩んでいる方々や治療を継続されている方々に聞きますと、インターネットで治療に関する情報を入手したり、悩んでいる方々同士が掲示板などの書き込みを利用して情報交換されているということもお聞きします。
また、現在、札幌市では、相談手法として電話相談と専門職の面談相談ということで実施されておりますが、インターネットを利用した相談もぜひとも開設していただければというふうに思っております。
また、悩んでいる方同士でグループをつくって相談し、悩みを共有するということは、カウンセリングの中でも有効な手段と聞いたことがあります。プライバシーのこととか個人情報のこととかいろいろありますけれども、グループカウンセリングの導入もぜひとも検討していただきたい。
以上、4点を要望いたしまして、質問を終わります。
◆小形香織 委員 私は、議案第94号 札幌市証明等手数料条例の一部を改正する条例案中関係分に関連して質問いたします。
今回の条例改正案は、国の動物愛護法の改定に伴って、特定動物を飼ったり養ったりすることについての許可申請業務を札幌市が担うことによる手数料の条例を定めるものとの説明を受けています。
そこで、1点目の質問ですけれども、特定動物とはどういう種類の動物か。恐らく定義か何かおありかと思いますので、お尋ねしたいと思います。
あわせて、具体的にはどのような動物が含まれるのか、そして、どのぐらいの数があるのか、これもお示しいただきたいと思います。
それから、飼っていた大型動物が逃げたということで世間を騒がせた事件などもあったかと思いますけれども、こうした特定動物が逃げてしまったという最近の事例があればお示しいただきたいと思います。
2点目の質問は、法や条例が変わることに伴って札幌市が行う作業についてです。
許可申請の手数料が2万円ということで提案されておりますけれども、この料金は、現地まで出向き、飼育状況などを見た上で許可していくために必要な経費として算出したものだというふうに説明を受けております。現地を見てくるというわけですが、そうすると、これは、これまで既に北海道などが許可して札幌市内で飼っている動物についても、今回の法改正や条例の改定に伴って改めて許可申請をするものなのかどうか。つまり、今、飼っている動物についても、再度チェックがなされるものなのか、それとも、これまでのものはチェックする対象にならないのか、そのことについて伺いたいと思います。
それから、3点目の質問ですが、特定動物というのは、現在、札幌市内でどの程度飼われているのでしょうか。円山動物園にはいるだろうなというふうに思いますが、ほかにどんなところで飼っているのか。それからまた、個人で趣味などで飼っておられる方がいらっしゃるのかどうか、そのあたりの数値をお示しいただきたいと思います。
◎大津 生活衛生担当部長 特定動物を飼う場合の許可などについてお答えいたします。
1点目の特定動物の定義、動物の種類、種類の数、そして、最近の逃走事例についてでございます。
特定動物は、動物の愛護及び管理に関する法律の中で、人の生命、身体または財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物と定義されております。いわゆる危険動物でございます。具体的には、ライオンやクマ、サル、ワニなど、約650種類が政令で規定されております。
特定動物の最近の逃走事例につきましては、昨年9月に埼玉県で、10月には石川県で、それぞれペットとして飼われていたと思われるニシキヘビが警察に捕獲される事例が発生しております。
次に、2点目の北海道条例に基づき、既に許可を取得している飼い主についてでございますが、平成18年6月から19年5月末の間に改めて許可申請をしていただき、本市が現地調査をしてチェックを行うことになります。
次に、3点目の本市内の特定動物が飼われている状況についてでございますが、これまで所管していた北海道に確認したところ、平成18年2月末現在で、個人が2施設、クマ牧場1施設、大学2施設、水族館1施設、それと円山動物園1施設の合計7施設が対象になっております。
◆小形香織 委員 そうしますと、こうした水族館とか大学の研究機関などで飼われている特定動物に対し、今回の法改正に伴って、また札幌市の担当者が飼育状況をチェックしに行くということで、ほとんどがプロの方、長年飼いなれている方ということなのだと理解をいたしました。
再質問ですけれども、例えば、私でもいいのですけれども、一市民が特定動物を飼いたいと思ったときに、どのような手順で飼うことができるのか、具体的に伺いたいと思います。
例えば、アライグマを1匹とニホンザル2匹を飼いたいと思ったときに、これらの動物を売っているお店が札幌市内にあるのかどうか、これをまず再質問の1点目として伺いたいと思います。
それから、もし市内で売っているところがなければ、本州、東京などに行って買ってくることになると思いますが、アライグマ1匹とニホンザルを2匹買って札幌に戻ってきて、そして、許可を受けるための申請をすることになるのでしょうか。その場合、1匹と2匹なので合わせて3匹、2万円掛ける3で6万円の手数料を支払うことになるのかどうか、このあたりの仕組みを再質問の2点目として伺いたいと思います。
◎大津 生活衛生担当部長 1点目のアライグマとニホンザルの入手方法についてでございますが、アライグマにつきましては、昨年6月に特定外来生物法が施行され、学術研究目的以外の理由で飼ったり輸入したりすることが禁止されております。また、ニホンザルを初めとする特定動物について北海道に確認したところ、現在のところ、市内はもとより、道内には許可を取得しているペットショップなどはございません。
次に、2点目の本市での許可申請及び手数料額についてでございますが、アライグマにつきましては新たに飼うことはできませんので、ニホンザルについて本市に許可の申請をしていただくことになります。この場合、動物はニホンザルの1種類になりますので、2万円の手数料を納めていただくことになります。
なお、手数料につきましては、頭数にかかわらず1種類ごとに2万円が加算されることになります。
◆小形香織 委員 再々質問させていただきます。
先ほど埼玉などで動物が逃げてしまった最近の事例があるとご答弁いただきましたが、札幌市が許可した特定動物が逃げてしまった場合に、もちろん責任は飼い主にあるというふうに思うわけですが、これを捕獲するために札幌市として対応されるのかどうか。
例えば、きょうは円山動物園でアムールトラが逃げたという想定で捕獲訓練をしたと報道されていますけれども、危険動物が逃げた場合の対応について伺いたいと思います。
それから、生き物には死がつきものですが、もし飼っていた特定動物が死んでしまった場合は札幌市に届け出をする義務があるのでしょうか。飼っているところまでは行政の方で把握していくというのは今の答弁の中でわかりましたが、死んでしまった場合の手続だとか、そうしたときに行政が把握するような仕組みになっているのかどうか、このあたりについて質問させていただきたいと思います。
◎大津 生活衛生担当部長 特定動物が逃げた場合の捕獲の対応と死んだ場合の手続などについてでございます。
特定動物が逃げた場合の捕獲などの対応につきましては、特に規定されておらず、基本的には、委員ご指摘のとおり飼い主の責任となりますが、市民の安全を確保するためにも、これまでと同様に、警察、北海道などの関係機関と連携して対応してまいりたいと考えております。
また、特定動物が死んだ場合には、基本的には30日以内に札幌市長に届け出ることが義務づけられており、さらに、年1回程度の監視・指導を実施することによって現地において確認することができることから適正に把握できるものと考えております。
◆阿知良寛美 委員 最後です。
先ほどうちの小田委員から食育推進基本計画の中でも特に大人の食育について質問いたしましたが、私は、子どもの食育、さらには、妊産婦のための食生活指針について質問させていただきます。
実は、ことしの2月に、公明党札幌市議会で子どもの食に関するアンケート調査を実施しました。これは、市内の小学生、中学生、高校生と、それから、これらの子どもを持つ保護者用の2種類のアンケートがありますが、そのことを紹介させていただいて、質問に移らせていただきます。
まず、お子さんは、小学生が820名、中学生359名、高校生248名で1,427名です。保護者については、小学生のお子さんを持つ保護者が938名、中学生382名、高校生313名で、1,633名の方々からアンケートをいただきました。
どんな質問をしたかといいますと、全部で8問あります。全部は紹介できませんが、まず、朝食を食べていますかという問いをお子さんにしましたところ、毎日食べていますが87.6%いらっしゃいます。それから週に、1〜2回食べているが2.7%、3〜4回食べているが6.9%、ほとんど食べないが2.8%でした。ですから、欠食と言われる子どもたちはここでは12.4%いらっしゃいます。
それに対して、保護者の方にも、朝食を食べさせていますかという同じ質問をしました。これに対して、毎日食べさせているというのが89.3%、週に1〜2回食べさせているが、子どもたちの2.7%に対して2.2%、3〜4回食べさせているが5.5%、ほとんど食べないが3.1%で、欠食と言われるのが約10%いらっしゃいました。
それでは、食べていないという子どもたちに、何で食べないのかと質問をしたところ、時間がないが56.5%、食欲がないが22.8%、食べないことが習慣になっていると答えたのが16.8%、食事が用意されていないが3.8%ありました。
今度は、保護者の方に、あなたは中・高校生のころに朝食を食べていましたかという質問をしたら、毎日食べていましたというのが79.4%、それから1〜2回とか、3〜4回、ほとんど食べなかった方は20.7%いらっしゃいました。
こんなところから質問をさせていただきます。
今、紹介しましたように、成長期にあります小学生、中・高校生がいる家庭で、毎日朝食を食べている子どもの割合は87.6%ということでありまして、思っていたより高い数字というふうに思いますが、しかし、約12%の子どもたちは、毎日、朝食を食べていないという結果でありました。
望ましい食習慣を身につけるには、順序として、まずはきちっと規則正しく食べることが大事であります。その次に、何をどう食べるかということになるだろうと思います。私は、このような一連の望ましい食習慣の形成には、まず、家庭という場が大切であること、そして、乳幼児期からの食育ということが極めて重要であると考えておりますので、そのような視点から質問いたします。
食育の推進に関しましては、子ども時代から、その成長に合わせ、それぞれの段階で心身の発達過程に応じてすき間なく取り組んでいくことが必要でありますが、そのためには、家庭、学校、地域がお互いに補完し合い、関係者が連携していかなければなりません。
その中で、乳幼児期の食育ということを考えますと、特に家庭における食育の取り組みが重要でありますが、昨今、核家族化などの影響もあるのか、現在は、昔に比べて、家庭における食の知識、さらには食文化やマナーなどを伝える力が失われつつあるのではないか、私はそう感じているところであります。家族が食卓を囲むことで語らいながら食べる楽しさ、季節感のある色彩豊かな食材などなど、家庭での毎日の食事の場を通して食に関する知識やマナーが身につくとともに、食べ物に感謝する心が生まれるのではないでしょうか。このように、生活の大半を過ごす家庭での食育の果たす役割は非常に大切であると思うのであります。
健全な食生活は、健康で心豊かな人間性の基礎をなすものと私は思います。思春期の難しい年ごろになりますと、家族の会話も途切れがちになります。朝食に限らず、家族と一緒に食卓を囲むことを嫌がる年代かもしれません。しかし、たとえ、いっとき、食卓から遠ざかることはあっても、小さいころに家族と一緒に食事をした暖かい、また楽しい記憶は決して忘れることはない、このように思います。一度身についた食事のマナーや知識も、大人になってからも覚えているはずであります。
このようなことから、家庭での食育に関しては、お父さんやお母さん、その他の保護者の方々が果たすべき役割について、改めて理解と認識を深めたり、自覚を促す施策が必要であると考えます。特に、家庭において、乳幼児期のお子さんと一緒にいる時間が長いお母さんへの支援が重要だと私は思うのであります。
そこで、質問でありますが、札幌市では、これまで家庭における食育支援の取り組みをどのように行ってきたのか、また、今後はどのような取り組みを進めていかれるのか、あわせてお伺いいたします。
◎館石 健康づくり担当部長 家庭における食育の推進についてお答え申し上げます。
まず、1点目の家庭における食育支援について、これまでどのように取り組んできたかということでございます。
本市では、各区保健センターの乳幼児健診において栄養相談を実施し、一人一人の発達段階に応じた食事の量や離乳食の食べ方についての助言など、きめ細かな支援を行っております。また、母親教室、マタニティクッキング、離乳期講習会等に参加するお父さん、お母さんに、日常生活の望ましい食生活について普及啓発を行っているところでございます。
次に、2点目の今後の取り組みについてでございます。
子育て中のお母さん方への食育の支援は、個別相談や教室形式に加えて、さまざまな媒体を利用した取り組みを進めてまいりたいと考えております。平成18年度からは、健康さっぽろ21のホームページに、母親教室や離乳期講習会などに参加した方が自宅で調理した料理と食卓風景の写真を紹介するコーナーとして、にこにこテーブルと呼んでおりますが、こうしたものを開設することとしております。これにより、講習会に参加した方々の実践意欲を高めるとともに、新たにホームページをごらんになった方にも、楽しい料理の工夫やアイデアを紹介する機会として活用してまいりたいというふうに考えております。
◆阿知良寛美 委員 ただいま、保健センターを利用したいろいろな事業の中で、若いお母さんを中心にした食育支援をしているという答弁をいただきました。ただ、食育は非常に幅の広い政策でありますので、保健センターはもちろんのこと、他の関係部局とも連携を図りながら支援を充実させていただきたい、このように思います。
さて、最近、厚生労働省では、妊産婦の体重管理の目安や妊娠期、授乳期の適正な食生活に関する指針を発表しました。これはどういうことかと申しますと、妊婦の方がやせ過ぎていますと、体重が2,500グラム未満で生まれる赤ちゃん、つまり低体重児が生まれやすくなるという統計があります。新聞によりますと、妊婦がやせているほど低体重児が生まれやすくなる。低体重で生まれた赤ちゃんは、将来、心筋梗塞や糖尿病、高血圧になりやすいことがわかってきて、妊娠中の子宮内の栄養が不足されるためではないか、こういう記事が新聞に載っておりました。
したがいまして、国といたしましても、妊産婦の方々が、太り過ぎを心配して過度な食事制限を行い、栄養のバランスを崩して赤ちゃんの健康に影響を及ぼすことを防止するというねらいがあるわけであります。先ほどは乳幼児の家庭における食育の重要性について伺ったわけでありますが、現在、妊娠されているお母さんたちの世代にも、子どものころの食習慣の乱れや過度なダイエットの影響などからバランスのとれた食事がとれていない方もいらっしゃるというふうに思いますので、次に、このような妊産婦の方々への正しい食生活、食事の普及啓発についてお伺いします。
厚労省が示した指針というのは、平成18年2月に策定され、妊産婦のための食生活指針という名称でありますが、その内容は、妊娠前からの食生活の重要性を再認識するとともに、妊娠期や授乳期に何をどれだけ食べたらよいかわかりやすく伝えるための指針と、妊婦個々の体格に応じた体重増加量の目安を示したものであります。
私は、食育につきましては、将来を見据えて子どものころからの普及啓発を行う一方で、今の親の世代に対しても、自分自身の健康はもちろんのこと、赤ちゃんの健やかな発育、さらには、家族の食育の担い手となっていただくためにも、普及啓発の必要があるというふうに考えております。
そこで、質問でありますが、せっかくこのような妊産婦のための食生活指針というものができています。こういう指針が示されたということで、札幌市の食育の推進にも有効に活用していただきたいと思うのでありますが、本市では、この妊産婦の食生活指針をどのように活用していく考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
◎館石 健康づくり担当部長 妊産婦の食生活指針の活用についてでございます。
ただいまご紹介がありましたように、本年2月に国から通知を受けました後、妊婦を対象として一般健診を委託しております市内78カ所の産科医療機関に送付して、早速、周知を図ったところでございます。また、新年度からは、健康さっぽろ21のホームページにも掲載するとともに、各区保健センターなどで妊婦に配付しております小冊子、「わが家に赤ちゃんがやってきた」というタイトルをつけておりますが、この中に、妊産婦の食生活指針を掲載して、望ましい食生活を実践できるように啓発してまいりたいと考えております。
◆阿知良寛美 委員 最後に、要望いたします。
さきの代表質問で、今後、庁内に連絡会議を設けて関係部局が一体となって食育を推進すること、さらに、その連絡会議において、札幌市の食育推進計画について作成の有無を含めて検討する、こういうご回答がありました。
私は、食育推進計画には地域の特性、また食文化などが反映されるべきものと考えますので、ぜひとも札幌市の食育推進計画を作成していただきたい、このように思っております。そして、その中には、私がただいま申し上げましたように、家庭における食育の重要性という視点をぜひ取り入れていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○高橋功 委員長 以上で、第5項 健康衛生費等の質疑を終了いたします。
本日はこれをもって終了し、次回は、あす17日金曜日午後1時から、農業委員会及び経済局の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後4時33分...