札幌市議会 2006-03-10
平成18年第二部予算特別委員会−03月10日-04号
平成18年第二部
予算特別委員会−03月10日-04号平成18年第二部
予算特別委員会
札幌市議会第二部
予算特別委員会記録(第4号)
平成18年(2006年)3月10日(金曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33人
委 員 長 高 橋 功 副委員長 田 中 昭 男
委 員 小 谷 俵 藏 委 員 佐 藤 美智夫
委 員 武 市 憲 一 委 員 上瀬戸 正 則
委 員 三 上 洋 右 委 員 宮 村 素 子
委 員 馬 場 泰 年 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 勝 木 勇 人 委 員 山 田 一 仁
委 員 長 内 直 也 委 員 村 山 秀 哉
委 員 伊与部 敏 雄 委 員 川口谷 正
委 員 大 西 利 夫 委 員 小 野 正 美
委 員 村 上 勝 志 委 員 三 宅 由 美
委 員 藤 川 雅 司 委 員 桑 原 透
委 員 本 郷 俊 史 委 員 三 浦 英 三
委 員 芦 原 進 委 員 阿知良 寛 美
委 員 小 川 勝 美 委 員 井 上 ひさ子
委 員 坂 本 恭 子 委 員 小 形 香 織
委 員 小 林 郁 子 委 員 坂 ひろみ
委 員 松 浦 忠
──────────────────────────────────
開 議 午後1時
○高橋功 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第7款 土木費 第5項
都市開発費及び議案第94号中
都市局関係分について、一括して質疑を行います。
◆
阿知良寛美 委員 私は、2月21日に提案されました札幌市
証明等手数料条例の一部を改正する条例案と、本市の民間再
開発事業にかかわる問題について、幾つかお伺いをしたいというふうに思います。
本市の再
開発事業につきましては、現在、札幌駅北口やJR琴似駅周辺、
東札幌地区など、都心周辺や
地域中心核等の重要な拠点において活発に進められております。特に、最近は、住宅、商業、業務から構成される複合型の開発として展開されているところであります。これらの事業は、地域住民や
地権者等による自主的な街づくりとしてスタートし、行政による側面支援や、事業化の際には補助金の導入も図られながら、敷地の共同化や良好な
市街地環境の整備が行われているところであります。
また、これらの再
開発事業は、公共的な事業であるため、事業者に協力する
地権者等に対してさまざまな税法上の
優遇措置、また
減免措置等が適用され、これらが補助金に劣らぬ事業の促進効果をもたらしているところでもあります。
こんな中で、今回の
手数料条例の改正案の中には、民間再開発と関係する項目が含まれているとお聞きしております。
租税特別措置法に基づく税の
優遇措置にかかわる事業の
認定事務に対応するためということでありますが、まず、この
認定事務の内容について、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
また、この認定の対象となる事業は、現在、市内各地で補助金を導入して進められている法律に基づく市街地再
開発事業と重なる部分があるのか、または、全く別物なのか、これについてもお答えをお願いします。
◎伊藤
開発調整担当部長 このたびの
手数料条例の改正の内容についてお答えをいたします。
現在、さまざまな事務の権限移譲が、国から地方へ、あるいは、都道府県から市町村へと進められている中で、特定の民間再
開発事業等における所得税の優遇など、課税の特例の認定にかかわる事務について、平成18年4月より札幌市にその権限が移譲されることになりました。
なお、特定の民間再
開発事業等とは、一定の条件のもとに、土地利用の共同化や高度利用の実現、防災性の向上等が図られる、法律に基づかない任意の
民間事業者による再
開発事業でございまして、補助導入を行う法定再開発とは異なるものでございます。
しかしながら、
既成市街地の再整備という意味では同様の意義がございますので、
事業内容を審査した上で認定し、法定再開発への
事業協力者に対するものと同等の税法上の
優遇措置を適用するものでございます。
◆
阿知良寛美 委員 今回、
認定事務と対象事業のイメージは何となくわかりましたけれども、札幌市においては、これまで、総合的、一体的な権限を有した上で、補助や助成制度を中心とした民間の再開発支援を行ってきたわけであります。今回の
認定事務の移譲によって、
補助事業とは異なるタイプの
支援メニューが再認識されることは、効果的な再
開発事業の推進にとって意義深いものというふうに思います。
しかし一方で、国においても、地方においても、未曾有の財政難にあえぐ中にあって、従来からある
補助制度を取り巻く状況は大きく変化しているものと思われます。
そこで、再
開発事業における
補助制度の仕組みと最近の動向について、特に北海道との関係という観点からどのような状況になっているか、また、これらが今後の民間再開発の展開に与える影響について、あわせてお伺いをいたします。
◎伊藤
開発調整担当部長 再
開発事業の
補助制度の仕組みと最近の動向に関するご質問でございます。
まず、現行の再
開発事業における北海道と本市の関係ですが、認可事務については、平成14年度から徐々に権限移譲されつつございまして、本市の場合、ほとんどの事務が既に移譲されているところでございます。
また、施行者に対する再
開発事業の補助については、市町村と北海道を合わせた
地方負担額に、それに見合う国費を合わせたものが補助金として交付されることが基本的な仕組みとなっております。しかしながら、厳しい財政難の影響により、近年、北海道からの補助が確保しにくい状況になっており、さらに、今後は新規地区に対する補助を休止する旨、公表されているところでございます。
これに対して、道内各市町村は支援継続の要望を行っておりますが、北海道からは前向きな回答が得られていない現状にございます。その結果、北海道の補助が削減されると、施行者への安定的な支援が大変困難な状況を招くことになります。このようなことから、当面、今後の再
開発事業の新規採択に当たっては、北海道の補助がない前提で事業計画を策定するよう、再
開発事業を検討している関係者に対し周知を図っているところでございます。
このように、再
開発事業を取り巻く状況は大変厳しいものがございますけれども、一方で、今回の
手数料条例改正による特定の民間再
開発事業等のような補助金によらない支援策もございますので、民間投資の誘発と都心、地域拠点における効果的な
市街地整備を総合的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 最後に、要望にとどめますけれども、今ご説明がありましたように、今後は北海道からの補助金が出ない、しばらく休むということです。ということは、国からの補助金も半減するということですから、再
開発事業に当たっては、非常に厳しいアゲンスト、向かい風が強いということであると思います。
国、北海道、札幌市のいずれも財政的に大変厳しい状況にあるとはいえ、そのことが原因となって、今説明がありました民間再
開発事業支援策がどんどん後手に回るような事態になってはならない、このように思います。特に、民間の再
開発事業は、呼び水的な補助や税制面での
優遇措置等により、効率的・効果的に民間投資を誘発する仕組みとなっております。今日、
駅前地下歩行空間の整備を初めとする公共事業においても、そのような観点が十分認識される必要があると思います。
また、民間の手により大事な拠点の
市街地環境が向上することとあわせて、将来的には
固定資産税等の市税収入の増加をもたらすものであることも、今後の事業評価の要素に加える必要があろうかと思います。
最後に、1点、補助金による直接的な支援だけではなくて、今回の
認定事務のような広い意味で再開発を喚起することにつながる施策については、一般にはそれほど知られていない制度ではないかと思います。お聞きしたところ、これまで、相当な年月がたっておりますが、申請があったものは3件くらいということであります。単なる民間開発ということで、
事業協力者への
優遇措置適用をあきらめている事例もあるかもしれませんので、今回の権限移譲を機会にこの制度を積極的にPRし、該当事例をふやす努力をしていただくことを要望して、私の質問を終わります。
○高橋功 委員長 以上で、
都市開発費等の質疑を終了いたします。
次に、第7項 建築費及び議案第31号について、一括して質疑を行います。
◆
小林郁子 委員 私からは、
マンションの耐震強度偽装問題について、それから、
住まいプラットフォームについてお伺いいたします。
済みませんが、今回は別々に取り上げることをお許しいただきたいと思います。
初めに、
マンションの耐震強度偽装問題についてお伺いいたします。
浅沼良一2級建築士によります
マンションの耐震強度偽装問題につきましては、昨年の姉歯事件がありましたときに、ほかならぬ札幌市が札幌では大丈夫であるというようなことを言われておりましたので、今回は市民として大変衝撃を受けております。また、昨日の報道では、建設現場で働いている
季節労働者にも影響が及んでいるということを見まして、改めて深刻さを感じているところです。
この問題につきましては、一昨日、
建設委員会で審議されておりますので、それを踏まえて質問させていただきます。
建設委員会の審議などで明らかになってきました今回の問題の一連の経緯の中で、まず、
建築確認申請を出す段階におきまして、どこのだれが
構造計算を行ったのかがわからないようになっているということがあります。現在は、元請会社の1級建築士の名前は出てくるようですけれども、その先がどうなっているかわからないということがあります。これは、やはり大きな欠陥ではないかなというふうに思います。
構造計算などをする建築士というのは、国家資格ですから、そのあたりは、やはりだれが携わったのかを明らかにすることが重要だと思います。まして、浅沼氏は、大規模な建築には携わることのできない2級建築士ですから、もしそういう名前の記載があれば、その時点であるいはチェックできたのではないかというふうに思います。
建築確認申請におきまして、携わった建築士の名前など、これからは記載する必要があるのではないかというように思いますので、この点はどうなのか、確認したいと思います。
そして、このことも含めて次にお伺いしたいと思いますが、浅沼氏の問題が発覚するまで、札幌市の審査体制は、担当者がやって、それから係長がやる、二重のチェックを行っている体制なので大丈夫だというふうに言われておりました。今回のようなケースは想定外であったかもしれませんけれども、改めるべき点が多々あるというふうに思います。札幌市は
確認申請書の保存期間が1年となっておりますことも、今回の問題の調査に大きな障害になっております。
このことも含めまして、再発防止に向けてどのように取り組んでいかれるのか、まずお伺いいたします。
◎三浦
建築指導部長 まず、1点目の
確認申請書の建築士の資格の部分についてでございます。
今現在、
建築確認申請の段階では、こういう大きな建物については1級建築士の資格が必要でございますが、
建築確認申請には元請の設計者の資格が記載されるようになっているということで、いわゆる下請の設計者についてはどこにも名前が出てこない現状にあります。そういった現状の中で、抑止力を高めるという意味で、今後、下請の
構造設計者の名前あるいは概要を記載させるようなことについては検討していきたいというふうに考えております。
それから、2点目の
再発防止策についてでございます。
今回の偽装問題を受けまして、今後の
再発防止策として、
構造審査にかかわる係員の増員及び
構造審査の
チェックリストの見直しによりまして
構造審査の厳格化を図るとともに、先ほど述べましたように、これまで書類上に出ることのなかった
構造設計者の明確化、例えば、
建築確認申請時において
建築構造設計に関する調書の提出を義務づけるとか、さらには、
大臣認定プログラムにより作成された
構造計算書について、その
入力データのフロッピーディスクなどを提出させるようなことも考えられますので、そういったことも検討してまいりたい。さらに、
建築確認申請図書の保管期間の延長についても早急に検討してまいりたいというふうに考えております。
◆
小林郁子 委員 今取り組むことを何点か言われましたけれども、そういうことは早急にぜひお願いします。また、具体的にはなかなか言われませんでしたが、これからどうするのか、きちっと詰めていかれるだろうと思いますけれども、できる限り具体的にしていただきたいと思います。
1995年に阪神・
淡路大震災がありましたときに、そのことなどから耐震基準というものが変わってきておりますから、国や道、民間の機関などではさまざまに講習を開いていると思います。建築士の方がそういうものをしっかりと受けて対応していればいいわけですが、浅沼氏の場合は本当にどうだったのかと思います。やはり、自己流で判断していたのではないかというふうに思われます。また、先ほど申し上げましたように、だれが携わったのかという建築の流れがはっきりしていれば、これからはそういうものは防げるのではないかと思います。
そして、札幌市としまして、これから、浅沼氏が偽装と認めた分だけではなく、かかわった分については検証していくということでした。その結果、耐震強度、
保有水平耐力指数が0.5未満であるものは公表するということを言われていましたが、まず、
最低ラインの1.0未満0.5以上のものについてはどのように対応されるのか、それを伺います。
市が確認申請を受けて確認したということを考えますと、個々の
マンションの問題の解決は民民間だけで図られるものではないように思われます。市の責任というものはどうなるのか、そのあたりを示していただきたいと思います。
あわせまして、
保有水平耐力指数が0.5未満のものについてどのように対応されるのか、お伺いいたします。
◎三浦
建築指導部長 検証の結果、
保有水平耐力指数が1.0未満0.5以上となった場合の対応をどのようにするかということでございます。
保有水平耐力指数が1.0未満のものにつきましては、
建築基準法に規定する数値を満たさないということで、
国土交通省が示している是正の手順に基づいて、
建築基準法に基づく基準に適合するように必要な指導等を行うようになります。この場合、法律上は現在の所有者にその措置を求めていくことになりますけれども、その段階では札幌市が各所有者に説明するなど、そういった対応については今後検討していきたいというふうに思っております。
それから、
保有水平耐力指数が0.5未満のものについてどのように対応するのかということでございます。
今の状況でいきますと、まだ確定的なことは言えませんが、恐らく0.5を下回るような建物はないような感じを受けます。しかし、もし0.5を下回るものが出た場合ですが、0.5を下回るものについては、通常、震度5強程度で建物が倒壊または崩壊するおそれがあるとされておりますので、速やかに公表するとともに、入居者、所有者の方々に対して、検証の結果、判明した事実関係と耐震性についての説明を行わなければならないと考えております。
その後の建物の使用制限にかかわることや、必要な入居者の方々への支援などの具体的な対応につきましては、いわゆる姉歯事件でとられました他の都市の事例等を参考にしながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに考えております。
◆
小林郁子 委員 そのあたりは、ぜひ、これからきちっとやっていただきたいというふうに思うところです。
昨日、道の方で、姉歯元1級建築士による
耐震強度偽装事件がありましたときに、緊急に点検した道内の1,588棟の
マンションにつきまして再点検を行うようにしております。これについては、どのようなものなのか、また、札幌市として、このことについてどのように対応されるのか、最後にそのあたりをお伺いしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 北海道が今回実施する予定の再点検につきましては、姉歯元
建築士事件を受け、本年1月19日に緊急に
確認審査業務の点検を行ったものに引き続き実施するというものでございます。
これは、姉歯元建築士による偽装事件は、鉄筋量を減らすような手法だったことから鉄筋の本数等を重視した点検でございましたが、今回、
浅沼建築士が行った偽装は、耐震壁を多く配置し、鉄筋量などを操作せずに数値の改ざんを行っていたことを受けまして、そのような観点から計算内容をチェックするものであります。
これについての札幌市の対応としては、まだ道から正式な通知をいただいておりませんが、前回、札幌市については51件を点検してございますけれども、これについて、再度、そういった観点で自主点検し、さらに北海道からのヒアリングを受けることになると思われます。
◆
小林郁子 委員 このことにつきましては、市に対して、今も市民の方からの問い合わせやおしかりの電話、ファクスが多くあると聞いております。市は、専門の窓口を設けず、そのかわり課長以上で対応しているということです。また、春を迎えまして転勤時期になります。こういうときに、今、
マンション業界としても大きな影響を受けておりますけれども、市民の不安、不満を解消することに全力を挙げていただきたいと思います。
このことにつきましては、最後に副市長にご見解をいただきながら、続いて、住まいの
プラットフォームについてお伺いしたいと思います。
◎田中 副市長 市長からも記者会見でお話を申し上げてございますけれども、行政にとって一番大事な市民の安心・安全な暮らしを保障する、いわゆる市民福祉の増進、その基盤である住居、その生活が脅かされることは、大変重大な事柄だと思っております。
特定行政庁としての役割は大変重いものがございますので、今回の事件の全容について、つぶさに、早期に調査を進めて市民の皆様に明らかにし、少しでも早く安心を確保できるように取り組んでまいりたいと思っております。
◆
小林郁子 委員 続きまして、住まいの
プラットフォームについてお伺いいたします。
少子高齢化の進展や生活様式の多様化によりまして、住まいに関する市民の意識もまた多様化しております。一方では、
リフォーム詐欺などがありまして、住宅をめぐるさまざまな問題も生じております。市民の住まいに対する関心、そして要望も多くありまして、
リフォームなど住宅の改修に際しては専門性を持ち、信頼できる窓口、また、住みかえに当たっての十分な情報の提供、高齢者の安心・安全な住まいの実現など、こういうものがあります。
札幌市では、2004年度に
住宅基本計画というものを策定しています。この計画では、高齢者、障がい者、それから
子育て家庭、そういうところへの住まいの支援を初めとしまして、多様なニーズに対応する住まいの情報提供など、そういう施策が盛り込まれております。この計画の特徴的なことは、市民一人一人が住まいに関する知識を身につけて、自分のライフスタイルに合った住まいを選択する力、住まい力と言っておりますけれども、それを身につけることであり、そのための支援を行っていくようにしております。
そのことから、札幌市は、2004年度から住まいの
プラットフォーム推進事業に取り組んでおりまして、住む立場の市民と、専門的な技術や知識を持った事業者、行政などが連携して、住まいの
プラットフォームいう仕組みをつくっているわけです。これが、市民から信頼される住まいに関する相談とか情報提供の窓口となるよう、私もこれからの事業展開に期待をしているところです。
そこで、お伺いいたしますが、今年度、住まいの
プラットフォーム推進事業において具体的な事業の試行を行うということでしたが、その
取り組み状況がどうなっているのか、まず、お伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 住まいの
プラットフォームに関する平成17年度の
取り組み状況についてでございます。
現在、住まいに関する建築あるいは
マンション、福祉、金融などの各分野の10団体によって住まいの
プラットフォーム検討委員会というものを組織いたしまして、
事業内容及び本格実施に向けての事業の試行を行っているところでございます。
この試行の一つとして、昨年10月から、福祉の専門家を相談員とする
バリアフリー相談窓口を開設しておりまして、相談内容によっては、建築士や
理学療法士などの専門家が連携して現地での調査あるいは助言を行うなど、これまでの行政の相談ではできなかった新たな特徴を持った対応をしているところでございます。
また、本年1月からは、きめ細かな住まいに関する知識の普及啓発を目的といたしまして、高齢者や障がい者の
リフォームポイントや
悪質リフォームに関する被害防止などをテーマとした
訪問セミナーを開設したところでございます。
◆
小林郁子 委員 住まいの
プラットフォーム検討委員会において試行しているということですけれども、現在、相談を受けたり、必要とあれば現地に出向いていろいろと調査や助言もしていらっしゃる、また、セミナーを開くというような事業もしていらっしゃいます。このような住まいに関するさまざまな専門分野の方が入った
検討委員会を、私はもっと拡充していいのではないかというふうに考えております。
その一つとしまして、今、
高齢者世帯が大変ふえております。2003年度の住宅・
土地統計調査では、2003年10月1日現在、札幌市の
高齢夫婦世帯は約6万9,000世帯、
高齢単身世帯は約5万5,000世帯で、合わせますと12万4,000世帯になります。
高齢者が安心・安全に暮らすことができる住宅を確保することは非常に重要だと思います。特に、
単身高齢者が家主の理解を得られずに入居が敬遠されたというケースもあるというふうに聞いております。このため、昨年の秋ですが、市内の
不動産事業が協力して、これら高齢者の賃貸住宅への入居を支援するような取り組みも行っております。
高齢者の住まいの対応につきましては、今申し上げたようなさまざまな環境があります。介護や医療、また不動産など、これからはいろいろな分野が連携しないとなかなか支援できないのではないかと思います。
そこで、質問ですが、今後増加が見込まれる高齢者の住まいに対応する支援体制というものを強化していく必要があると思いますが、そのあたりをどのようにお考えか、お伺いいたします。
それからもう一つ、住まいの
プラットフォームで取り組んでいっていいのではないかと思うことがあります。
リフォームなどを考えている市民の中には、納得して、安心して住まいの設計や施工を頼める事業者を紹介してほしいというものがあります。しかし、住まいの
プラットフォームでは、現在、
リフォーム相談などがありましたときに、施工業者の
あっせんそのものは行っておりません。私も特定業者のあっせんは好ましくないと思いますが、建築業者とか施工業者の団体がありまして、そういう責任体制が明確な団体などの窓口を紹介することはできるのではないかというふうに思います。これによりまして、利用者の利便性の向上につながりますし、また、事業者にとりましても経済活性化ということになると思いますが、そのあたりはいかがか、2点、お伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 2点についてお答えいたします。
まず、1点目の高齢者の住まいに関する支援体制の強化についてでございます。
平成17年度は、さきにご説明申し上げました住まいの
バリアフリー相談窓口によりまして、介護・医療分野などとの連携を図り、高齢者の
リフォーム等への支援を図っているところでございます。今後につきましては、相談や訪問型セミナーを通じて得た市民アンケートの結果等も参考としながら、これまでの取り組みに加えまして、高齢者に対する賃貸住宅の情報提供なども含め、多様な分野との連携について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、2点目の住まいの
プラットフォームにおける
リフォーム工事等の施工者の紹介についてでございます。
このことにつきましては、紹介したことに関する責任や中立性といった課題もございまして、慎重に対応しなければならないものと考えております。しかしながら、一方で、委員がご指摘のように、安心して仕事を頼める業者を求める市民の要望があることも認識しているところでございます。
したがいまして、本年度につきましては、
リフォーム工事等に関して、市民が信頼できる建設業者等の紹介と建設業の需要拡大等を目的として札幌商工会議所が行っている住まいのホットラインという制度がございますけれども、これらや、経済局が実施しておりますコミュニティ型建設業創出事業等との連携を図るべく、関係機関や当該事業に参加している事業者との意見交換を既に行っているところでございます。今後、これらの関係機関との役割分担であるとかネットワーク体制づくりの実現に向けて、さらに協議を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
◆
小林郁子 委員 ただいま
プラットフォームとして可能な対応をお聞きいたしましたが、住まいをめぐるさまざまな問題がある中で、高齢者にとっても、
リフォームなどをしようと考えている人にとっても、安心して相談できる窓口があるということは意義が大きいと思います。
現在、住まいの
プラットフォーム検討委員会というところが中心になりまして進めているわけです。そこにコーディネーターという方がいまして、相談者と専門家をつなぐ働きをしておりますけれども、今後は、
プラットフォームがこうしたコーディネート機能を強化していく、そして、専門性を持ってさまざまな問題にこたえていく、また、必要があれば実際に現場に行って援助・指導をする、そういうようなことが一カ所で集約、解決できる体制ができれば、市民にとって本当に役立つものになるのではないかというふうに思います。
そこで、伺いますけれども、新年度以降、
プラットフォームの体制をどのようにしていくのか、また、どのような事業に取り組んでいく予定なのか、お伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 プラットフォームの平成18年度以降の体制及び事業についてでございます。
平成18年度につきましては、これまで試行してまいりました事業結果を踏まえながら、相談窓口の拡充や市民向けセミナーなどを実施して住まいの情報提供に努めますとともに、平成18年度は本市の当該推進事業の最終年度に当たりますことから、19年度以降の組織の自立運営に向け、NPO法人化など、組織体制づくりについてこの
検討委員会と連携して検討を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
◆
小林郁子 委員 今ご答弁がありましたけれども、住まいの
プラットフォーム自体が自立をしてというふうにおっしゃっておられました。
住まいの
プラットフォーム自体、
検討委員会自体、さまざまな専門家が集まっている、そしてまた市民活動団体も集まっている、そういうところが自立して、市民の多様で複雑な相談にこたえていく、そしてまた問題を解決していく、本当にそのような仕組みができればいいというふうに望んでおります。
このことを要望して、終わります。
◆長内直也 委員 私からも、
構造計算書の偽装問題について質問したいと思います。
おととい、
建設委員会でも議論しましたけれども、その場で明らかになったこともございますので、改めて質問させていただきたいと思います。
まず、今回の件が明るみに出て、素朴に、いまだに非常に疑問として残っておりますのは、この物件の確認の際に実際に名前がどこにも出てこない浅沼氏なる人が、突如、2級建築士として私が偽装しましたというふうに出てきた、この件が何といってもいまだに疑問であります。
やはり、建物を建てる際に、当然、設計者が責任を負ってつくっているのでありましょうから、その方がきっちりと出て、そのことについてちゃんと話をするのが普通の流れであります。しかし、この浅沼氏が突如出てきて、しかも、市役所で会見しているのですね。市役所で会見しているということは、やはり、皆さんの方で、市の方でそういう指導をしたのじゃないのか。市の方から浅沼氏に、偽装のことできっちり説明するようにということがないと、恐らくこういう流れにならないと思うのです。
まず、その点を一つ伺いたいと思います。
それから、この責任の所在ですけれども、偽装を行ったのは確かに2級建築士なのでしょう。しかし、元請として設計に当たっているところがこの人に頼んだわけでありますから、当然、その責任の所在は設計の元請にあるのではないか。そういう意味からして、いまだに公表せずにいることが大きな問題ではないかと私は思っております。
現実には、既に、皆さんも我々も、どこだという名前はそれなりに特定されております。にもかかわらず、いまだに皆さんからはその報告もないということであります。やはり、元請設計会社をきっちり公表すべきだと思いますので、改めて、再度、その認識について伺いたいと思います。
それから、浅沼氏がみずから偽装したというふうに言っているのが33件あって、その33件のうち、16件は札幌市で確認をおろしたということでありますけれども、この33件すべてについて、少なくとも本人が偽装したと言っているわけですから、私は、これについてもきっちりと公表すべきだと思います。公表というよりも、情報を公開すべきだと思います。もし、その必要がないというふうに皆さんが考えているとした場合には、みずから名乗り出て、説明責任を果たすべきであるということを皆さんの側から言うべきである、少なくともそこまではするべきだと私は思っておりますので、とりあえずこの3点についてお伺いします。
◎三浦
建築指導部長 まず、第1点目の
浅沼建築士の記者会見について、市の方から指導したかということにつきましては、私どもの方から特に指導したことはございません。
それから、元請設計者の公表の件につきましては、今現在、札幌市で確認した16件のうち6件の物件につきまして、JSCAに対して再計算を委託し、検証を行っている最中でございまして、耐力についてはまだ確定していない段階でございますので、そういった段階では、具体的な物件あるいはその設計者名については公表すべきではないというふうに考えてございます。(発言する者あり)
それから、33件のことについてでございますけれども、この件についても、同様に、いわゆる風評被害あるいは住民の混乱等を避けるために、検証途中の現段階では公表は控えさせていただきたい。(「設計者で風評被害なんか出るわけないじゃないか」と呼ぶ者あり)設計者を出すことによって物件名も特定される可能性があるということで、今現在としては公表すべきではないというふうに考えてございます。
それから、建て主みずからが自主的に公表するように市から働きかけをすべきではないかということでございます。
建て主が自主的に公表するかどうかにつきましては、建築主それぞれの考え方に基づいて判断されるべきと考えるところでありますが、札幌市としては、現在進めております検証作業について結論が出次第、速やかに建築主及び所有者の皆様には情報を提供してまいりたいというふうに考えてございます。
◆長内直也 委員 非常に後ろ向きのお答えでありまして、隠ぺいしているというふうに言われても仕方のないことではないかと私は思います。
先ほどの再質問になりますが、少なくとも、あの会見場は市役所の市政記者クラブでしょうか、浅沼氏がそこで会見して、皆さんも横にいたのではなかったでしょうか。とにかく市役所の中で記者会見をして、偽装しましたと言っているのですね。勝手に中に入ってきてできるものではないです。指導と言ったから、そうではないと言ったのかもしれませんけれども、当然、皆さんからそういうサジェスチョンがなければそういうことにはならないのです。それで、
建設委員会のときの答弁を繰り返すような形で、いわゆる風評被害とか、そういったものがあるので、構造耐力が確定しない段階では公表できないという答弁に終始しておりますけれども、今の時代でありますから、例えばインターネット等で疑惑のある設計事務所を検索しますと横に偽装と出てくるのですね。それぐらい、もう自然とわかると言ったらあれですけれども、当然、マスメディアの皆さんもあちこち調べているでしょうし、あるいは、そこに住んでいる方とか民間の方とか、どこでどういうふうにしてこの事実が明らかになるかわからないわけであります。その事実が何がしかの形で明らかになった段階で、後になって、いや、実はというようなことを繰り返しているように私は思うのです。ですから、この問題についても、2月初めにわかっていながら、恐らく、できれば表に出ないようにしていたのではないかというふうな疑念を持たざるを得ないわけであります。
そしてまた、その元請も公表しないという理由が、ほかの影響をいろいろ考えてのことだとは思うのですが、ほかの影響を考えているのであれば、きっちり事実は事実として言っていかないと余計に違う風評が出ると私は思います。まさに、一つの経済活動がとまってしまうと。この不安を抱えたままでは、皆さんだってそうだと思いますが、こういうときに安全も確認されないような物件を自分で買うようなことは多分しないですね。そういうことになると、経済活動の面でも非常に大きな悪影響を及ぼすことがあります。物理的にできないことはできないで仕方ない部分はありますけれども、ただ、みずから、今、お金も何もかけずに、人員も増強せずにできることは、まずすべきだということで、このことについては、また後ほど、副市長にまとめて答弁いただきたいと思います。
また、ほかの観点から質問させていただきますが、今後というか、まず、33件についてはいつまでに終わるのか。これは、たしか
建設委員会でもはっきりとは答弁されていなかったようなので、なるべく早くではなくて、きっちりといつまでに対応するのかということが一つです。
それから、33件以外の対応をどうするのか。これは、それが終わってからやっていきますというような話ですが、この時期がどんどん遅くなってくれば、その間にまさに風評も広がるかもしれません。そういったことが起こりますので、これについてもお伺いしたいと思います。
それから、今後のチェック体制ということで、人員を増強するような話も先ほど言っておりました。しかし、
構造計算ができる人もいないという答弁をしているわけですから、
構造計算ができる人もいない中で、人をふやしただけでチェックの体制になっていくのかなと。事務的な人員の増強にはなるかもしれませんけれども、根本のチェックにはならないのではないかというふうに思いますので、これについてもお伺いしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 33件の検証の状況は今後どうなるかということでございます。
今現在、6件の物件の検証を行いながら、さらに、今、確定作業をやっている最中でございます。続いて、残る10件についても、JSCAに依頼をすべく今準備をしているところでございます。
一方、受け入れ側のJSCAの事情もございまして、実は非常に立て込んでいる状況で、検証作業に携わるJSCAの会員が20数社しかいない中でやっているような状況もありまして、なかなかスケジュールが立っていかないという現状がございます。そういった中でも、我々としては、ほかの方法がないかとか、今、内部でいろいろ検討を始めている状況でございますけれども、今後とも、なるべく早く検証作業が終わるような努力を検討していきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
それから、33件以外の物件についてでございます。
これにつきましては、今現在、これから早急に対象物件の資料を収集しまして、その内容について、内部での検証あるいは必要に応じて外部委託による検証を進めることになるかと思います。
◆長内直也 委員 今の答弁で納得しろと言われても、まるでできないわけでありまして、なるべく早くやりたいなんていうのは当たり前のことであります。やっぱり、いつまでにやるのだということで、どこかから人を借りてでもやるということを見せていかないと、いつまでたっても風評被害は消えないではないですか。
やはり、違う形で漏れて、後になってそれを説明するのではなくて、しっかりと皆さんの責任において、何せ皆さんは確認をおろしたわけですから、かつての姉歯事件とはまた違うのですよ。民間に委託した部分ではなくて、行政機関である札幌市が確認をおろした、その物件からこの事件が起こったということは、私は非常に残念でもありますし、やはり、きっちりと対応していく必要があると思います。
そこで、先日も委員会で出ておりましたが、ほかの観点からいきますと、
構造計算できる人がいないと言っています。それであれば、11月28日の
建設委員会で、自信を持って、相当に専門用語も使って、計算もしっかりし直していると。例えば、皆さんが答弁した中で、使用されている
構造計算のプログラムが大臣認定を受けているものかどうか確認すると。確認はだれでもできるでしょう。次に、仮定される荷重とか外力、例えば地震力などが正しく設定されているか。三つ目に、建物の形状などが電算入力に正確に反映された応力計算結果となっているのか。四つ目は、部材の強度が許容応力度、すなわち安全と言われる範囲内になっているかなどを確認し、最後に、
構造計算書の検証結果が構造図に正確に反映されているかを確認している、ですから、大丈夫です、問題となった姉歯事件のようなことは起こり得ないと言っているわけです。
では、
建設委員会で初めて明らかになりましたが、
構造計算できる人がいない中で、しっかりやっていました、計算のチェックを全部していたというのは、
構造計算ができなくてもチェックはできるものなのか、これも改めてお伺いしたいと思います。
○高橋功 委員長 三浦部長に申し上げますが、先ほどの長内委員の質問のときに答弁漏れがありました。
今後のチェック体制のところで、まさに
構造計算ができる人がいない、どうするのだという質問に対しての答弁が漏れておりますので、それを含めてお願いします。
◎三浦
建築指導部長 構造計算ができる職員がいないということではなくて、委員会の中では、構造計算ができる職員を把握していないということだと思います。構造計算ができないということではございませんで、最近の建物の構造計算についてはほとんどがコンピューターソフトを用いて行われますが、市の設計はほとんど委託設計でなされているので、
構造計算を行う機会がほとんどないことから、
構造計算のソフトを所持する必要がない実態となっております。
そういった現状の中で、行政としての仕事の内容からしますと、いわゆる
構造計算をチェックできる能力、
構造計算書をチェックできる能力が必要とされているところでございまして、そういった意味では、札幌市の建築職員239名の中に142名ほどの1級建築士がおりますけれども、それぞれの中で、
構造計算そのものの知識を持った職員はいるものというふうに思っております。(発言する者あり)
○高橋功 委員長 部長、それで、今後どうするのだと先ほど聞いたのですよ。もう一度、三浦部長。
◎三浦
建築指導部長 構造計算の関係につきましては、
構造計算そのものについては、今後、チェックする上で、
構造計算における構造的な研修なども深めまして組織の充実を図っていくことを考えてございますけれども、新年度からは建築職職員の増員も含めながら体制の整備を図っていくということで考えてございます。
◆長内直也 委員 もう一回はっきり言いますけれども、
構造計算をできる人がいないのに、人をふやしただけで何でチェックできるのですか。しかも、それは把握していないと。できる職員を把握していないとまたおっしゃったのですが、どういうことなのでしょうか。全く理解できないのですが、この前の答弁とも食い違っていますし、もう一回、はっきりさせてください。
◎三浦
建築指導部長 実際に、建築職員がいる中で、
構造計算ができるかどうかについては、個々の職員の聞き取りをしているわけでございませんので、数としては把握してございませんけれども……。(発言する者あり)
構造計算をできる職員がいる、これは、今現在ではコンピューターソフトを使って計算するということで、通常、役所の仕事の中で
構造計算を主とした業務をやっているわけではございませんので、ソフトに習熟する必要はあるかと思います。そういった中で……。(発言する者あり)
○高橋功 委員長 部長、どうぞ答弁を続けてください。
◎三浦
建築指導部長 構造計算そのものをコンピューターを使ってやれる能力と、それから、実際に
構造計算書をチェックする能力というのは……。(発言する者あり)
構造計算をチェックする能力があればいいということでございますので、そういった意味では、構造的な知識を持っている職員というのは中にいるというふうに思っております。(発言する者あり)
◆長内直也 委員
構造計算できる人はいないけれども、チェックできる人はいると言うのですか。そうすると、
構造計算をチェックできる人がいるのに、見逃したということですか。今回の偽装は、既にチェックできる人がいたのに、その偽装を見破れずに申請をおろした、そういうことなのでしょうか。今までそういう話は聞いていませんでした。
◎三浦
建築指導部長 今回の
構造計算の偽装の内容、手口から見ますと、まず、我々が通常行っている
構造計算のチェックの仕方としましては、先ほど長内委員がおっしゃいましたような形で通常はチェックを進めているわけです。そういった中で、今回の偽装の手口といいますのは、コンピューターで計算している一連の計算データの中で、集計するときに、最後の集計のところで、フレーム倍率という計算方法を使った中で差しかえをしているということで、これを検証するとすれば、相当数の、例えば1,000ページ程度の
構造計算書の流れの中で、各応力図、応力計算の中から数値を全部拾い出してきて、最後に集計する中で、最後の集計と合っているかどうかチェックしなければならないということで、我々の通常の審査が21日間で確認をおろさなければならないという中では、そういったチェックというのは普通は想定していないと。
いわゆる偽装を前提としたチェックではございませんので、そういったチェックは通常はやり得ないというふうに考えてございます。そういった中で、それを防ぐとすれば、再計算なり何なりしない限りはそういったチェックは不可能だというふうに考えてございまして、それ以外の通常の
構造審査については、現在の構造担当はそういった能力を十分備えているというふうに考えてございます。
◆長内直也 委員 確認しますけれども、そうしたら、そこまで
構造計算をきっちりチェックしない限りは見抜けない、イコール、その
構造計算をできる人がいなければチェックできないということですね。そういうことになりますね。今おっしゃったことを言えばですね。
◎三浦
建築指導部長 構造計算書を設計し直すようなチェックではなくて、まず、構造計算の入力条件が法令の規定に合っているかどうかのチェック、これを入れますとコンピューターで自動計算されますので、その流れが正しくなっているかどうか、その出た結果が正しく断面計算などできちんとされているかどうか、その断面計算で出た鉄筋の量などが構造図にきちんと反映されているかどうか、ふだんはこういったチェックをやっているわけです。そういった意味では、札幌市の審査能力といいますか、そういったものについては全国の自治体の中でも厳しい方というふうに我々としては考えてございます。
ただ、今言いましたような偽装の内容でいきますと、なかなか、例えば、検察の証拠書類という形で、最初から偽造されているのだということで、それを前提に調べるようなチェックであればそういったことが発見できるかもしれませんけれども、今の審査の中では発見することは難しいというふうに考えてございます。
◆長内直也 委員 今回のような偽装であれば、通常のチェック体制では見逃してしまうということなのですね。そうなったら、その他のあらゆる物件はどうなるのですか。しかも、札幌市は特に厳しくやっていると。では、ほかのところは、それをかいくぐる可能性はもっと高いということなのでしょうか。そういうお答えをするということは、非常に問題だと思いますね。
細かい技術的なことはわかりませんが、ただ、できる人がいないけれども、ソフトをそのとおりやればチェックだけはできると言われても、それはチェックしたことにはならないというふうに見られます。これについては、どこまでやっても同じようなことなのでしょうか。どなたか、ほかに答えられる方がいれば答えていただきたいのです。これからのことですからね。今まで起こったことをどうするかということももちろん大事ですが、これからそれ以外のことにどうやって対応するか、みんなそこを見ているわけです。
今、子どもの安全などと言われておりますけれども、そういう中で、犯罪者に焦点を当てたようなことではなかなか解決にならない。今後のためにならないというか、根本的な解決策にならない。それよりも、そういう犯罪を起こさないような環境をつくりましょうと、そういう考え方があります。これも、まさにそうだと思います。確かに、偽装があるという前提で始まっていないことはわかるのですけれども、そういうふうになると、偽装されてしまうという土壌をつくっているのは皆さんではないですか。そういうふうに、ある以上、悪というか、偽装する人が出る土壌を皆さんは容認してきたということになってしまうのですね。ですから、その辺はきっちりとお答えしていただかないと、今後どうするのかということをきっちりお話ししていただきたいと思います。
質問はまだ続くのですが、副市長はいいのでしょうか。
◎田中 副市長 建築に関して専門家ではございませんけれども、今の段々のお話の中で、こういうことだろうと思います。思うことが間違っていたら、また部長に訂正していただきたいと思います。
構造計算についての専門知識、それは、1級建築士の中で、その資格を取るためには、基本的なそういう技能、技術があることが有資格の条件だと思います。そのことで、高層階の構造計算をするような、実際にみずから構造計算するというようなことは、公の施設については直営の時代もありましたが、大方のものについては直営の時代も委託に出していたところでございますので、みずから構造計算をした経験がある職員は、少ないのか、いないのか、わかりませんけれども、絶対的に少ないと思います。そうした厳密な意味からすれば、構造計算ができるのか、構造計算を組み立ててきちっとした土台から天井まですべてできるのかと言われれば、みずからやったことはない。
しかしながら、構造計算を計算するシステム、仕組み、そのような数式等々について、それは、現在、複雑多岐にわたる構造計算はソフト化されてコンピューターに移行されておりますので、それを見抜ける、要所、要所のその監視の目、監視の技術で事足りるということで、ソフトでやることがいわゆる法定の期間で確認審査をおろす、その中に当てはめられていた。そのことによって、やはり建築が期間で建てられていくことを保証していくわけですね。当然、こういう建物が建って、いつまでに売買するとか、建ててほしいという期間がある程度設定されるということは、そういうことを迅速にするという行政の責任もあるのだろうと思います。
そうした厳密な意味でお答えしたわけであって、私どもの構造確認課というのがございますが、当然、そこには1級建築士の中でも
構造計算にたけている者を人選しながら配置していることだろうと思います。
そういう意味では、他都市と比べてどうのこうのという言葉がございました。いわゆる協議会とかがあるわけではございませんが、しかし、自分の能力に誇りを持つことはよろしいかと思います。ただ、こうしたコンピューター化された中にも、やはり、最初から最後まですべて監視するのであれば
構造計算するのと同じことになりますので、それはむだだと思います。そうではなくて、要所、要所を見て、それでソフトプログラムをつくって、いわゆる省力化してスピーディーにやることが保障されていますので、そのことが完璧にやれれば、やっているという言葉で表現しても私は構わないのではないかと。
しかしながら、それでさえも、今回、打ち破られることがございました。現在、姉歯の事件もそうですが、札幌市のこうした事件につきましても、国交省に具体的な事例を添えて報告しています。
今でも
構造計算式では数式あるということで、どれが本当に基準となるべきなのか、ダブルスタンダードなどと言われて、どれを信用したらいいのかということで大きな問題になっておりますので、我々としても、やはり確固たる基準を確保するために、今やっている検証結果を待って、きちんとした対応ができるような根拠を持って皆様の前に公表したいということが前提であります。
確かに、そのことは大変裏腹な問題で、お話ししてしまうことの方が、もしかすると本当に安心が得られることがあるかもしれません。しかし、言ってしまったことによって違った不安がはびこる、蔓延するということもあるのかもしれない。そうした場合に、後退的に思われるかもしれませんけれども、我々には説明責任がございますので、説明責任にしっかりと自信を持って答えられる、そういう体制になる、それを少しでも早く短縮してできるような形で、今、検証作業に全力を傾けております。
確かに、いつなのだと、結局、言わないことは、言い逃れ、いわゆる時間稼ぎではないかと言われるのだと思いますけれども、本当に真剣に市民の不安の声、それから、信頼を確保するために、部門は一生懸命に頑張っておりますので、そこら辺のご理解をぜひお願いいたしたいと思います。
私の解釈が間違っていれば、補足をしていただきたいと思います。
◆長内直也 委員 悪意があることを最初から考えてチェックするということが本意でないのはもちろんわかっておりますけれども、見逃されるような土壌を容認していることは事実でありますから、今後、それをどうやって改善していくのか。かといって、人を何百人も入れて、それがいいというふうには私も思っておりません。ただ、きっちりお答えいただかないと、やはり不安が大きくなってしまいますので、しっかりと対応していただきたいなと思っております。
若干変えますけれども、今回、人員を増員するということを発表されましたが、今回、我々が審議している予算案にはのっていないわけですね。急遽、起こったわけですから。ということになると、新年度予算としてどういうふうに対応するのか。例えば、新たに議案を組むときにどのようにやっていくのか。その辺について、例えば、予算委員会の中で、その分の増額というものを何がしかの形で提案してくるのか。多分、中で人を異動するだけであっても、当然、それには事務費がかかるのですから、今の予算案とは変わってくるわけですので、それについてのご説明をいただきたいと思います。
それから、今回の件について、本件以外に、いわゆる
マンションに住んでいる相当数の住民の不安解消の対策、これについても、今後のあり方として改めてお答えいただきたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 まず、人員の増員のことでございますけれども、これにつきましては、当初予算の経常費の中で、既往の予算の中の人員配置ということでございます。
それから、今後の臨時的な経費がどうなるかということでございます。これにつきましては、今後の対応の中で、例えば住民への説明の中で、
構造計算の再計算だとか、そういったことにかかわる部分につきましては、今の年度内の予算についてはまだ措置されてございませんので、これについては、今後、財政の方とも協議しながら対応するような形で考えていきたいというふうに考えております。
それから、
マンションの住民の皆様に対する不安の解消につきましては、まずは、今現在は検証作業を急ぐということで、検証に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。今後、確定した段階で、住民に対する説明、あるいは、改修などが必要な場合にどういうケアをしていくのか、この辺も他都市の事例を参考にしながら取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
◆長内直也 委員 これからのことが特に重要だと思います。少なくとも、皆さんは絶対に大丈夫だと言って、我々もよかったねと言っていたのが、こうやって出てきたわけでありますから、裏切られた思いでありますし、非常に影響が大きいということをしっかり認識していただきたいなと思っております。
最後になりますけれども、やはり、こういうことになりますと、ほかにもあるのではないかということが必ず出てまいります。現実にそういう情報がありまして、ほかにも浅沼氏のような者がいるようなことも、皆さんの耳にも入っているかもしれませんし、それはうわさだけなのかもしれません。私はわかりませんし、確証はとれませんが、ただ、今後も同じような事件が起こり得るということは皆さんの答弁からも明らかでありまして、では、今後、ほかにあった場合にどういうふうにするのかという部分も最後に聞いておかなければならないと思います。
もしもの話ではありますけれども、やはり、その辺についてもお伺いしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 姉歯事件以来、札幌市の方にもいろいろな情報が寄せられておりまして、そういった事柄につきましては、その都度、検証したり調査してきておりまして、内容を調査した上で、その結果をつぶしているといいますか、そういったことでございます。今後、そういったことにつきましては、そうした情報が寄せられた中で調査、検証を進めながら進めていきたいというふうに考えてございます。
◆長内直也 委員 これでやめますけれども、副市長にとっておいた設計の元請の情報公開について、最後に副市長にお伺いして、終わりたいと思います。
◎田中 副市長 市民の気持ちを思うと、我々も大変もどかしい思いがあります。一日も早く信頼を回復したいという気持ちがありながらも、現在、検証作業を進めている、その作業の一刻も早まらんことを祈っているだけでございます。
我々が自分の手でできないのは非常に残念ですが、やはり、厳密な、厳格な結果を待ってきちんと対応したいということで、確かに、公表することを望む市民が多くおられますし、そういう面では、今回の検証結果の報告ができる段階で、きちっとした公表などの対応なり、市民に対する厳正な対応を進めていきたいと思っております。
◆長内直也 委員 最後だと思ったのですが、もう一回、言わせていただきます。
偽装の責任の所在ですが、2級建築士は単にお手伝いだと思うのです。やっぱり、元請として建物を建てるに当たっての設計の責任者が一切出てこないで今まで来ているということは、絶対に、だれがどう見たって、非常に不思議で不可解なことであります。それを皆さんがかばうかのような答弁をするということは、私は、何かほかの違うものを隠ぺいしているというふうに思われても仕方がない、だからこそ言うべきだと言っているわけであります。我々は別に犯人探しをしているわけではないのですから、やはり、責任があるのはどこなのかと。そうしたら、今回は2級建築士と出てきましたけれども、建築士の資格も何も持っていない人だってお手伝いはできるわけですね。そういう何も資格のない人が出てきて、私が偽装しましたと、そんなことだってあるということですね。要は同じことですね。それと同じことですから、元請の設計事務所の責任を明確にして、謝罪なり何なり、しっかりとするべきだと思いますので、それを申し上げて、終わります。
◆三宅由美 委員 私からは、市営住宅における外断熱工法についてと、2点目は市有建築物の長寿命化推進事業についてお伺いいたします。
まず、市営住宅における外断熱工法からお伺いいたします。
私は、比較的新しい市営住宅でも、機密性が高まったことにより、廊下側が冬期間はびちゃびちゃになるほど結露がひどい、あるいは、民間の
マンションにおきましても、友人がせっかく買った
マンションで結露がひどく、カビだらけで住めなくなったなど、こういう経験がございまして、何とか結露対策がないかとずっと思っておりました。
昨年の
予算特別委員会でも、この外断熱工法について取り上げたところでございます。
外断熱工法につきましては、省エネ、居住者の健康維持、あるいは快適性、建物の耐久性、環境負荷低減においてすぐれた工法であり、欧米におきましては既に一般化している工法です。
一方、日本におきましては、残念ながらなかなか普及しておりません。普及しない要因を考えてみますと、外断熱のメリットである居住性の向上あるいは省エネ効果というものが十分に知られていないこと、また、建設時のコストが在来工法と比べて5%アップすること、また、コンクリートの長寿命化を含めたライフサイクルコスト、これは生涯費用ですけれども、保全費や光熱水費などが生涯にわたってかかり、コストの視点に欠けていることが要因ではないかと思っております。こういった状況におきまして、札幌市の役割は、市営住宅などにおきまして外断熱工法を率先して採用し、データの収集、分析を進め、その効果を広く市民に周知してもらうことだと考えております。
そこで、質問ですけれども、市営住宅では、平成15年度に完成した屯田季実の里団地の3棟で外断熱工法を採用しており、入居後2年が経過しておりますが、外断熱の効果を検証するために、どのような調査を行い、どのような結果となっているのか、お伺いいたします。
それからもう一つ、平成18年度着工予定の団地につきまして、外断熱の採用の有無をお伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 市営住宅におきます外断熱工法の効果の検証についてでございますけれども、屯田季実の里団地及びこれと比較するための団地について、入居者の方々のご協力もいただきまして、結露の発生状況であるとか室内温度の変化、それから、暖房の熱源でありますガスの使用量の調査などをこれまで進めてまいったところでございます。
このうち、結露の発生状況や室温の変化につきましては、外断熱の方が内断熱に比べてよいという結果が得られたところでございます。
一方、ガスの使用量につきましては、外断熱と内断熱の差はほとんどないといった状況になっておりますけれども、一般的に、竣工から数年間はコンクリートの中の水分の影響で、省エネの効果が十分あらわれていないと言われております。
したがいまして、引き続きデータの収集であるとか建物の劣化状況の調査など、長寿命化の視点も含めまして、継続して効果検証を行ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、2点目の平成18年度市営住宅の着工団地における外断熱工法の採用の有無についてでございます。
新年度は、下野幌団地の建てかえ4棟、幌北団地の建てかえ3棟の計7棟の着工を予定しておりますけれども、これらについてはすべて外断熱工法で建設することを計画しているところであります。
◆三宅由美 委員 ただいまのご答弁によりますと、平成18年度の市営住宅はすべて外断熱ということでしたが、これらについても、完成後のデータ収集、分析等をしっかり実施していただきたいと思います。
また、このほかに、円山小学校の改築あるいは自閉症者センターも外断熱工法が取り入れられていると聞きます。この辺の調査について、今、円山小学校はセンサーをつけたりしていますが、こういうことも参考にしていただきたいと思います。
また、外断熱工法におきましては、新築のほかに、改修の面でも有効な手法であると言われております。住みながらの工事で断熱性能を大きく高めることができ、部屋が狭くなることもないため、民間の
マンションなどでも採用されている実績も見られるところでございます。
既設市営住宅においても、外断熱改修によって居住環境の向上を図っていくことは有効であると思いますが、これについても市のお考えをお伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 ご質問の外断熱工法による断熱の改修についてでございます。
この工事の施工性の面からも有効な手段と考えられるところでございまして、市営住宅におきましても、過去に、定期修繕の際に、建物の両端の住居の外壁について外側から断熱材の取りつけを施工した事例もございます。また、新築の外断熱工法と同様に、建物全体を断熱材で覆う場合については、建物が一回り大きくなることによる法的な制約とか、断熱性の高い窓、サッシへの交換であるとか、工事費の増因要素もございますので、それらの課題も含めて、断熱性能の面では大幅な向上が見込まれると考えられるところでございます。したがいまして、今後の建物全面にわたるような大規模改修工事を計画する中で、それらの可能性についても検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆三宅由美 委員 やはり、特に外壁ですけれども、ひび割れから水が入り、積雪寒冷地であるためにそれが凍結を繰り返すことによってコンクリートの寿命が短いということがありますが、そのことについてもこの外断熱工法は有効だと思います。開発局や道でも、現在、外断熱工法を積極的に取り入れておりまして、積雪寒冷地における重要な建築技術の一つとして位置づけ、研究を進めているところです。
また、開発局では、外断熱工法を、断熱性能だけではなく、屋上のグリーン化技術の視点からも積極的に採用するというふうに言っているところでございます。国や道、研究機関とも連携を取りながら、調査研究を進めていただくことを要望いたします。
次に、市有建築物の長寿命化についてお尋ねいたします。
現存する市有建築物の多くは、冬季オリンピックや政令指定都市への移行後に集中的に整備されておりまして、市庁舎、区役所庁舎、福祉施設、スポーツ施設、消防施設、学校、市営住宅、その他公園トイレなどの小規模施設を含めますと、約2,500施設に上っております。これらの多くが1970年代、80年代に新築され、20年から30年以上が経過しようとしております。今後、外壁や屋根防水の劣化、設備類の劣化が急速に進むものと思われます。適切な処置をしなければ、市民サービスそのものに影響するのではないかと思われます。
一方、バリアフリー、ユニバーサルデザイン、耐震問題、アスベスト問題、シックハウス問題など、建築物の安全性にかかわる課題が出現するなど、市有建築物に求められる要求水準は多様化し、複雑化してきております。新築はもちろん、既存の建築物についても、これらの要求水準に対応させていく必要があると考えます。
こうした中、市民まちづくり局の企画部と建築部におきまして、市有建築物の長寿命化を目指す基本方針の策定を進めていると聞いております。超寿命化を目指す基本方針では、市有建築物の建てかえ需要は本市の財政を大きく圧迫するため、できるだけ延命させるなどして有効に活用することを柱に、年度内に策定することになっております。そして、長寿命化の先行的かつ試行的な取り組みとして、市有建築物長寿命化推進事業が18年度予算に盛り込まれているところです。
この市有建築物長寿命化推進事業についてお伺いいたします。
この事業は、計画修繕モデル事業と緊急的な改修・修繕で構成されておりますが、質問の1点目は、市有建築物長寿命化推進事業の趣旨について、改めて確認しておきたいと思います。
2点目は、事業の具体的な内容についてお伺いいたします。
◎長谷川 建築部長 1点目の事業の趣旨でございます。
これまでは、劣化や故障が起きてから対処する事後的な修繕が行われてきましたが、建築物の長寿命化を図るため、外壁あるいは屋根などの使用材料、あるいは、設備などの耐用年数を想定した計画的な修繕を行うものでありまして、本格的な移行に備え、試行と検証を兼ねて実施をするものでございます。
2点目の事業の具体的な内容でありますけれども、ご質問にありましたように、市有建築物長寿命化推進事業は、計画修繕モデル事業と緊急的な改修・修繕から成ります。
まず、計画修繕モデル事業は、計画手法や予算化の仕組みを試行、検証するために実施するものでございます。モデル施設は、企業会計、学校、市営住宅を除きまして、一般施設を対象に、建築後の年数あるいは建物種別を考えて16施設を選定しているところでございます。それぞれの施設の修繕計画を作成しまして、各年度の予算の偏りを調整し、平準化を図ってまいります。18年度は、16施設のうち11施設の修繕工事等を予定しております。
次に、緊急的な改修・修繕は、計画修繕への移行前に済ませておかなければならない建物の改修や修繕を行うものでありまして、劣化が進み、建物の機能維持が危ぶまれる屋根などの改修や、機能が低下している設備の修繕など、保全計画や建築物評価の結果などから10施設を選定して実施するものでございます。
◆三宅由美 委員 ただいまのご答弁で、市有建築物の長寿命化においては、計画的な修繕が重要なキーワードになっており、その場しのぎの事後的な修繕ではなく、計画性を持って修繕に取り組み、この長寿命化推進事業を通して、手法論を含めてその仕組みを確立していくということでした。
建築後20年から30年を経過した施設は、適切な修繕を施さなければ、その性能や快適性が損なわれ、市民サービスに大きな影響を及ぼすことになります。利用する市民の側から見ても、症状があらわれてから対処する事後的な修繕ではなく、予防的に対処する計画的な修繕が望まれているところです。外壁が汚れたり、ひびが入ったり、建具ががたついたり、暖房のききが悪かったり、水や湯の出が悪かったりといったような劣化が進んでいる建築では建てかえの要望の方が大きくなり、長寿命化のための修繕だけではおさまりがつかなくなると思います。計画修繕を通して、多様化・複雑化する要求水準も満たすように努めていくべきと考えております。
そこで、質問ですけれども、長寿命化でも快適性や水準を維持し、市民側から建てかえ要望が上がらないようにすること、計画修繕にはこのメリットがあると思えますが、これに加え、長寿命化への技術的な面と事業手法面からのメリットについてはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
◎長谷川 建築部長 計画修繕のメリットは、大きく分けて三つほどあるというふうに考えております。
一つ目は、建物の寿命を伸ばす、これは本来のメリットでございます。例えば、外壁塗装の剥離とかひび割れなどを計画的に修繕することによりまして、構造体への水分の浸入を防ぎ、健全な状態に保ちながら寿命を延ばすということが可能になります。
二つ目は、施設運営上のメリットであります。計画修繕では、設備の故障や機能低下を未然に防ぎまして、突然の休館などによって施設運営や利用する市民への影響を回避できるということでございます。
三つ目は、財政上のメリットでございます。事後的な修繕では、ある時期に集中して劣化や故障などが発生した場合に、短期間に膨大な費用を支出しなければならないことになります。しかし、計画修繕では、計画作成後に予算の偏りを平準化させることが可能でありますし、また、将来に必要な修繕費用を把握することも可能となります。18年度は試行的に事業を実施しまして、本格実施に向けて検証してまいりたいと考えております。
◆三宅由美 委員 最後に、要望ですが、長寿命化を目指す上で、計画修繕は市民側にも市側にもメリットがあり、それを試行的に実施する長寿命化推進事業は、これからの市有建築物のあり方を問う重要な事業であると認識しているところです。
この事業は、各局の施設の状況を把握している建築部が取りまとめ、事業化したものであり、局を横断する画期的な取り組みとして評価できるものです。しかし、モデル施設に限定され、事業規模も小さいものです。市有建築物の全体を対象にした本格的な事業化と、その後の拡大に向けては、この推進体制が不可欠であると考えております。
そこで、試行としての取り組みである市有建築物長寿命化推進事業を着実に進め、この検証をもとに、全庁的な展開を図るべく、事業の本格化に向けて検討を早く進めていただくことを要望して、質問を終わります。
◆本郷俊史 委員 私からは、住宅の耐震について質問をさせていただきます。
平成18年度の予算を審議します今回の議会は、図らずもといいますか、去る2月21日の招集日に、全68人の議員提案ということで、札幌市住宅耐震化促進条例を可決させていただいてスタートいたしました。今まで札幌でおくれていた住宅の耐震が、この条例ができることによって大きく一歩を踏み出した、そういう中での今回の
マンションの耐震偽装問題、こういうことでございます。私ども防災プロジェクトとしても、戸建て住宅の後は、いわゆる昭和56年以前の既存
マンションの耐震化ということについて、当然、政策としてつくっていかなければいけない、そういう思いでおりますし、私どもも研究させていただきますが、ぜひ、今回のことも含めて、行政として
マンションの耐震化に前向きに取り組んでいただきたいということをまず申し上げたいと思います。
先ほど来もありましたし、一昨日の
建設委員会でもこの問題の質疑がございました。一つは、本当に多くの方が自分の
マンションはどうなのかという不安、そしてまた、耐震強度、いわゆる保有水平耐力の数値、これがずっとマスコミ等で報道されているわけです。市の方では、出していない、まだ最終の確定値ではない、JSCAに確認しても、JSCAではそういうものは出していない、けれども、偽装とされる5物件の最低の値は0.73だと、あたかも確定したかのように報道されております。
そういう中で、
建築基準法で求めている1.0に対して、0.7、0.8、これはどういう意味なのかというのはなかなかよく理解できないわけです。0.5は震度5強で倒壊するおそれがあると。いわゆる旧耐震基準、昭和56年以前の基準です。ですから、その場合は、退去していただく、あるいは、周辺の被害を考えて取り壊しということもある。一方、1.0ということになりますと、震度7で倒壊しない。では、0.5から1.0の間というのはどういうことなのかということであります。
端的にお聞きしますけれども、0.73という数値はどれくらいの震度に耐えられるのかということをまずお聞きしたいと思います。
先ほど来、5物件の公表についての質疑がございました。確かに、5物件が公表されると、それ以外の
マンションの方はうちではなかったということで、当然、安心されるということも考えられますけれども、要するに風評被害を心配するのだということですね。例えば、0.8とか、神戸の地震の後もございましたけれども、実際は耐震補強することによって1.1とか1.2とかに上がる。ここの
マンションは0.8だと公表することによって、いわゆる
マンションの区分所有者、お持ちの方は個人資産になるわけですが、公表されて、0.8が耐震改修していくら1.2になったといっても、やはり
マンションとしての資産価値は下がるということになると、個人資産の侵害ということも想定されるので公表しないのだ、こういうことでよろしいのでしょうかということをまず最初にお伺いします。
◎高崎 建築確認担当部長
保有水平耐力指数が0.7程度は、どの程度の地震に耐えられるのかということでございます。
先ほど本郷委員から、0.5未満あるいは1.0以上の震度階が示されましたが、
保有水平耐力指数0.73というのは、震度6弱までは崩壊のおそれが少ないという専門家のご意見もございます。
次に、今、調査中の5物件を公表しないのはどういうことかということでございます。
委員ご指摘のとおり、当該
マンションにお住みになっていらっしゃる方の不安感や風評被害、あるいは、個人財産権の侵害等が懸念されますことから、現在、検証途中の段階ではきちんとした建物の耐力が確定するまでは公表を控えているところでございます。
◆本郷俊史 委員 わかりました。
震度6ということでありますれば、昭和56年に基準法が変わった段階で、それと比較するとといいますか、この時点で25%増しということで今の基準になっていますので、2次設計で保有水平耐力を確保するということになっているわけですから、そういうことを考えれば今すぐ倒壊する危険は考えにくいという理解かと思います。
先ほどのやりとりの中で、再発防止のそれぞれのご答弁がございました。今、国においても、社会資本整備審議会建築分科会から中間報告が出され、早急に取り組むべき事項、あるいは引き続き検討する事項ということで、例えば、法定確認検査の期間である3週間をもっと延ばすとか、さまざまに検討されているわけでございます。ただ、札幌の場合は、こういうことが起こったということがございます。ですから、前回も申し上げましたけれども、先ほどの
構造設計者に限らず、さらに、設計者のもとで実際の計算をされる担当者、名古屋でやっている形ですが、こういうふうにすぐできることは、ぜひ、4月1日以降、取り組みをしていただきたいと思います。
それから、先ほどありました浅沼2級建築士以外にもないのかと。これは、全くありませんという回答はなかなかできない。そういう中で、この不安というか、これをどう解消したらいいのか。当然、それぞれの管理組合の方がそれぞれの
マンションの
構造計算書をそれぞれでチェックしていただければ、そういうこともできるかもしれません。ただ、やはりなかなか難しい場面があります。
マンションの棟数も、分譲
マンションだけで3,200棟もある。こういう中で、どういうふうにこれを検証するか。私は、特に民間確認検査機関がスタートしたここ5年ぐらい、戸数にしますと、分譲
マンションでは600棟ぐらい、賃貸も入れれば1,000棟を超えるのでしょうか。こういう中で、無作為抽出で耐震の検証を行う、こういうことがぜひ必要ではないかと思うわけですけれども、この点についてもお伺いいたします。
◎高崎 建築確認担当部長 今、
国土交通省より、既存分譲
マンション等の耐震性のサンプル調査というのが、国の費用負担で、札幌市におきましても4件の
構造計算の再計算を行うとともに、実施調査も行うよう指示されておりますけれども、実際、所有者のご協力を得るのに大変苦慮しているところであります。また、財政面での課題も残りますことから、この調査の推移を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
◆本郷俊史 委員 今、4件というお話しでしたが、これは、国の方から言われていると。私が言ったのは、大阪みたいに1割とは言いませんけれども、やっぱり、数%ぐらい、数%まで行かなくても、1%でも数的にはかなりです。だから、年度ごとに、年間100棟前後が建てられていますから、そういう形ででも、国だけではなしに、札幌市の部分も乗せて、4月以降にもと。今は先に、33件やらなければならない、さらには残り49件もやらなければならないということですし、JSCAの方もすぐは受けられないという状況でもございますが、4月以降は、ぜひそういう形で検証していただきたいというふうに思うのですけれども、もう一回、お願いいたします。
○高橋功 委員長 無作為抽出のことで答弁漏れがあったようですから、どなたか。
◎高崎 建築確認担当部長 過去5年くらい、物件の1%ぐらいを抽出してということでございますけれども、実際に、今、国からの指示で進めている4件の
構造計算とか、例えば、現場に入りましてコア抜きをやるにしても、なかなか所有者の理解が得られない部分もございます。そういうことの経緯も実際に見きわめながら、これは、当然、費用のかかる部分もございますので、そんな中で、これからどうやっていかなければならないのかということも含めまして、検討してまいりたいと思います。
◆本郷俊史 委員 今、これは、みんな、関心が高いですから、むしろ逆に、そういうこともあるかもしれないですね。管理組合さんの方から、こういうことで検証できますと。その場合、余りいっぱい来られても困る部分があるかもしれませんけれども、ぜひやるべきだと。やはり、札幌市で確認をおろした物件で見逃しがあったということが一番不安なわけです。5年前までさかのぼると、全部、札幌市で確認をおろしていますので。(発言する者あり)
ごめんなさい。さっきの私の話はあれですね、5年ということはなしにということで。
そうしたら、局長に聞いた方がいいのかな。私が冒頭に申し上げましたように、せっかく住宅の耐震に札幌市が一歩踏み出したわけですから、戸建ての一方に、集合住宅にお住まいの方がいる。今は、逆に、集合住宅にお住まいの方の世帯数はふえていますね。戸建て住宅はそういう形で今進んできますが、
マンションに対しては何もないわけです。
その辺についてどうでしょうか。
◎田中 都市局長 今の本郷委員のご質問は、今後、私どもがとり得る対策を含めて、トータル的にどんなことをとり得るのかというところかと思います。先ほど小林委員からのご質問にお答えした部分と若干重複するところはございますけれども、当面、4月からでもとり得る方法としましては、やはり、これから確認審査を行っていく中での
再発防止策というものは一つあろうかと思います。それは、
構造設計者の明確化とか、フロッピーディスクでデータを出していただく、そういったことです。それから、これまでいろいろ出てきていますのは、過去の資料が保存されていないということがございますので、その保存期間も延ばすというのは、すぐにでもでき得る方法ではないかと考えているところでございまして、そういったことをまず実施していきたいということです。
それから、過去、実際に札幌市が建築確認をした物件に対して、市としてどれだけの方策、対応策がとれるのか。いわば、再計算も含めてということだと思うのですけれども、確かに本郷委員が言われましたように、うちの
マンションは本当に大丈夫かと心配されている方々も多いわけですから、そういった方々の中からご協力をいただくと。国の方の調査でもなかなか協力を得られない、そういう部分があるということを申し上げましたけれども、まず、そういったところをつぶす必要がありますし、それから、それ以外に、過去5年くらいさかのぼって私どもがどれだけのものをできるかと。財政的な部分は確かにございますけれども、まずは、基本的な方向性を定め、ある程度のスケジュールを定め、そして、それを札幌市の方針として改めてご報告させていただきたいというふうに思います。
◎田中 副市長 自分のお住まいの住居がどうなっているかという不安を抱くのは、これは本当に心細い限りだと思います。そういう面では、確かに、抽出といえども、相手の協力などが得られるかどうかの隘路はありますけれども、極力、その隘路を除き、私たちが建築確認の信頼を確保するためには、みずからの調査能力の中で解明していく、また、保障していく、安心の心を広げていくというのは行政の大事な仕事でありますので、できる限り、数%が何%になるかわかりませんが、そうしたこれまでのものを含めて抽出しながら、それを保障していくのが大事なことだと思いますので、都市局内部、財政当局も含め、きちっと対応できるような、効果的な対応のご提言と受けとめて前向きにとらえたいと思います。
◆本郷俊史 委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
多分、国から言ってきた段階のときと、札幌でこういう事件が起きた今と、状況は大分変わってきていると思います。1件当たりの予備診断ですか、本格的な耐震診断ではありませんので、金額的にもそんなにということがございますので、今の副市長のご答弁のように、4月以降、ぜひ実施していただきたいと思います。
それでは次に、代表質問で、柿崎議員の方から質問させていただきました耐震改修促進計画について確認をさせていただきたいと思います。
これは、改修促進法がこの1月26日に施行になりまして、都道府県は耐震改修促進計画をつくらなければならないと、義務規定になっております。札幌市は努力規定ですけれども、この道の計画に合わせて札幌市も平成19年に策定する、こういうご答弁でございました。
この促進計画の策定に当たって、具体的にどのような検討項目を想定されているのか、その内容と、また、国の方では、耐震化率を現在の75%から90%へという目標があるわけですけれども、この数値目標もあわせてお伺いしたいと思います。
それから、今回、議員提案で可決しました住宅の耐震化促進条例ですが、今つくろうとされている促進計画の中で、住宅というのはどのように位置づけをされようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
◎三浦
建築指導部長 1点目の耐震改修促進計画の具体的な検討項目と数値目標についてでございます。
促進計画の策定作業は平成18年度から行うこととしており、また、策定に当たりましては、北海道の促進計画を勘案しなければならないことから具体的な中身はまだ確定していない状況ですけれども、検討項目として国が示した標準的な記載事項例のうち、主な3点について申し上げますと、一つ目は、想定される地震の規模や被害の状況、あるいは、耐震改修等の目標の設定など、耐震診断及び耐震改修の実施に関する目標について、二つ目は、基本的な取り組み方針や優先的に着手すべき建築物の設定など促進を図るための施策に関する事項、三つ目は、相談体制の整備や情報提供の充実など、啓発及び知識の普及に関する事項などが挙げられます。
なお、数値目標としては、今のところ、国が方針の中で示した建築物の耐震化率を75%から90%にという数値しかありませんけれども、今後、現状を把握する中で、道とも連携をとりながら数値を定めていきたいというふうに考えております。
2点目の促進計画における住宅の位置づけでございます。
国の基本方針では、住宅の耐震性が不十分であると推計されていること、また、10年後に死者数や被害額を半減させることを目標とした地震防災戦略を踏まえ、住宅の耐震化率を平成27年までに9割にすることを目標としていることなどから、本市においても、促進計画における住宅の位置づけは、公共建築物や他の施設と同様に重要な位置を占めるものであり、これから策定する計画にも反映したいというふうに考えております。
◆本郷俊史 委員 それでは、分譲
マンションの耐震化に向けた支援についてお伺いしたいと思います。
先ほど数値を言いました分譲
マンション棟数3,214棟のうち、昭和56年以前が636棟、これは分譲に限ってですが、これがございまして、他都市の状況を見ますと、福岡市では、共同住宅の耐震診断に要する費用の一部を補助する共同住宅耐震診断費
補助事業を実施しております。3階建て以上、延べ面積1,000平米以上の共同住宅の耐震診断に要する費用の3分の2を補助する。また、横浜市は補助2分の1ですね。また、実際の改修については13.2%、静岡でも同じような取り組みをされております。神戸は、状況がちょっと違いまして、
マンションの耐震化がもうかなり進んでいるというふうに伺っています。
しかし、本市においては、
マンションに対する支援策がございません。私どもも要望しているわけですけれども、
マンションに対する診断並びに改修に対する支援は将来的には考えていかなければならないと思いますが、どのように考えているか、お伺いしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 集合住宅、主に分譲
マンションの耐震診断、耐震改修についてでございます。
分譲
マンションに限らず、建築物の所有者は、耐震化をみずからの問題として取り組むことが不可欠だと考えております。一方、行政としては、この取り組みにできる限り支援するという観点から、耐震化に向けた環境整備を行う必要があると考えております。
このようなことから、平成18年度から取り組みます耐震改修促進計画の策定作業の中で、
マンション関係につきましても、どのような支援ができるのか検討してまいりたいと思っております。
◆本郷俊史 委員 それでは、最後に要望したいと思います。
今の
マンションについては、最初に申し上げましたとおり、ぜひ実現できる方向で私どもも研究してまいりますし、行政としても、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。
今回成立いたしました住宅耐震化促進条例についてですけれども、今後、規則、要綱を定めて、また、実際の運用体制もつくっていかなければならない。当然、建築士の団体にも協力を仰いでいかなければいけません。今回、不幸にしてこういう事件もございましたが、実際に診断業務をやるに当たっては、建築士の団体の協力を得なければならない。こういった部分の取り組みと、一方で、市民への啓発、広報です。条例ができても、実際に我が家の耐震診断はなかなかしようとしません。静岡あるいは中野区等でもそうでしたけれども、静岡などは、調査員が、これは緊急地域雇用特別交付金ということでやられたわけですが、7万件を訪問して、年間1,000件から1,500件ぐらいの診断をやられています。中野区については、平成17年11月から、区の職員による個別訪問、対象は3万2,000戸、このようなことをやっておりますので、ぜひ広報活動についてもご検討願いたいと思います。
そして、実際の実施時期については、やはり雪がありますので、10月1日ぐらいの実施に向けてぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
さらに、各都市がそうですけれども、住宅の耐震条例とあわせて、家具の転倒防止器具取りつけ助成というものも、大体、並行して一緒にやられております。これは、器具自体はご本人が買われますので、取りつけだけですから、事業費としてはそんなに大きな額ではありません。ただ、地震で家具が倒れることによってけがをする、避難がおくれる、あるいは火災に結びつく、こういうことに対しては大変有効な施策でございますので、規則、要綱をつくられるときには、家具の転倒防止器具取りつけもぜひ1項目に加えていただきたいということを要望しまして、終わります。
◆井上ひさ子 委員 私の方からも、耐震偽造を防ぎ、建築物の安全性の信頼確保のために、市としてできることは建築確認をしっかりとしたものにすることだと思います。そのために今何をなすべきかを考えるために、先日、8日の委員会で市の見解を明確に詰め切れなかった点を私は最初に伺いたいと思います。これは、1点、伺います。
それは、11月28日の
建設委員会で、市の審査ではこのような偽造がまかり通ることはないとの発言にかかわる問題です。この委員会で、部長は、本市が行っている
構造計算に関する審査方法、内容の実態から起こり得ないと言っていますが、自信を持って言明したのに、今回のような偽造が出たわけですので、
構造計算の審査方法、内容のどこに問題があったと反省しているのか、現時点での理解で結構ですので、見解を明らかにしてください。
◎高崎 建築確認担当部長 本市の
構造計算に関する審査方法、内容の実態、そのどこに問題があったのかということでございます。
姉歯事件が発覚以前の建築確認といいますのは、いわゆる設計ミスなどの法令不適合を発見することに主眼を置いた審査を行っておりまして、今回のような建築士の意図的な偽装までは、正直、審査の中では想定していなかったところでございます。
事件以前の本市の審査体制は、
大臣認定プログラムで打ち出されていますデータは、省略できるデータでも、基本的にはすべて提出していただきまして、内部的に精査をして、打ち出しのヘッダーという部分の印字や
入力データ、それから、結果の判断、それから、データが構造図に反映しているかなどの二重チェック体制で、どちらかといえば厳しいチェックを行っていると考えておりました。また、札幌市において姉歯事件関係での問題物件がなかったことから、本市の審査方法で偽装は防ぐことができたと考えていたからであります。
しかしながら、今回のような事態が起きましたことは、まことにもって断腸の思いでありまして、深く反省をしているところでございます。
◆井上ひさ子 委員 それでは、端的にお聞きしたいと思います。
今回の浅沼氏のような偽造は、書類チェックだけでは無理で、構造再計算を行わなければならないというふうに考えてよろしいですか。
◎高崎 建築確認担当部長 先ほど三浦部長からも答弁いたしましたとおり、偽装を見抜くとなりますと、やはり、再計算、計算を流して、同じような計算書で突き合わせをしなければ、見抜くことはなかなか難しいのではないかと考えております。
◆井上ひさ子 委員 もしそうだとすれば、構造再計算をやることに踏み切らざるを得ないのです。ところが、再計算できるところに委託するといっても、現実を見れば、今の体制ではとても間に合いません。市が今回委託した6件だけでもまだ最終結果が出ていないのですから、そうなれば、本当にみずからの力で市民の安全や安心を確保するために、計算ソフトを購入したり、使える人、今、専門家の方がおられるというふうに聞いていますので、その人を配置して、そしてまた育成していく、こういうこと以外にないというふうに私は考えるのですが、これについて伺っておきたいと思います。
もう一つ、私は、率直に言って、市の確認審査にやっぱり過信があったと思うのです。姉歯氏の事件の後でも、福岡県で発見され、全国的には、今、姉歯氏が関与していないものでも、偽造があるかということで調査中のものが実は175件も出ているのですね。そして、国交省が
特定行政庁にかかわる確認検査業務の点検を行いましたが、その中で、姉歯氏の事件発生後に講じた措置として、
構造計算プログラムの入手、再検査等の実施などを行ったと、例を挙げて聞いているのです。札幌市は、その後、何らかの措置をとったかと聞いたら、なしという形でお答えになっています。他の政令都市では圧倒的に措置をとっている。ですから、私は、こういう中で、なしと平然としていた過信が、今度の33件にも及ぶような偽装を今日まで見逃してきた一因と思うのですが、見解を伺っておきたいと思います。
◎田中 都市局長 やはり、審査体制の強化といいますか、市民に、安心・安全な建物である、そういった確認をした上で審査確認を行うという点では、やはり職員の育成といったものが必要でございまして、それとあわせて、本当に、財源的な問題、それから、育成といいましても、やはり時間がかかるということもございますので、そういった機材の配分をしながらということになると、なかなか即効性が出るという部分はちょっと難しいのかなと思います。
ただ、そうは言いましても、こういった問題が出ている以上は、そういったことについて、我々もできるだけのことをしたいというふうに考えているところでございます。
また一方では、国が設置するか、都道府県単位になるのかはわかりませんけれども、二重チェックといいますか、ダブルチェックをするような組織を立ち上げるべきというような話も、国交省の先ほどの審議会でも議論されているというふうに聞いておりますので、そういった状況も見ながら、私どもは何ができるのかというところをしっかり見きわめていきたいというふうに思っております。
また、何度も言われますけれども、先ほど来の姉歯のとき、そして、今回の浅沼、この関係で、私どもの自信といいますか、ある意味、それが過信であったと言われますと、まさに言われるとおりでございまして、今後、私どもは、対応策を含めまして、謙虚に、どうすべきかというところを真剣に考えてまいる所存でございます。
◆井上ひさ子 委員 そういう面では、私は、市みずからが本当に計算ソフトを購入して、使える方々を養成していく、これ以外にないと。それは、今回のこの問題が本市の確認検査の中で起こっているということですので、それを十分認識してこの対応をとられることを求めておきたいと思います。
確認審査の過程には、中間検査や完了検査があります。そして、申請に上がってくる書類や図面は厳格にチェックしていく、こういう必要があると聞いています。現場で鉄筋を少なくすれば、安全性が守られないおそれがあるということですね。そこで有効なのが中間検査だと言われています。今のような1〜2回の中間検査ではなく、数多くすること、さらに、抜き打ちで中間検査を行うことが必要だと私は考えています。
国においても、中間報告の中でこういうことが言われているというふうに思うのです。でも、本市において、現実に、今これが求められているというふうに思います。そういう中で、この間、いろいろ勉強させていただきましたが、アメリカでもインスペクター制度という厳しい検査制度があるそうです。これは、すべての建築を州や市の公的なインスペクターがチェックすると。見ましたら、現場に15回も行って、だめであればチェックをしてやっていく、こういう制度なのですね。そういうものなども参考にしながら、検査の強化を急いでこれを実施していく、こういうお考えがあるのかどうかも伺っておきたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 本市におきましては、木造の共同住宅を対象として、基礎の配筋と木造の軸組み工事について既に中間検査を実施しているところでございます。
検査の拡充等についてでございますけれども、現在、国の社会資本整備審議会におきまして、建築物の安全性確保のための建築行政のあり方について検討がなされておりまして、多数の者が利用する建築物での中間検査を義務づけることや、検査の厳格化を図るために、法令上、検査基準を明確化することなど、
建築基準法の改正を予定しているところでございまして、これらの動向を見きわめながら、本市としても、安全性の確保のための効果的な方策について、どうやるべきかについて、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
◆井上ひさ子 委員 今のところでもう一回お聞きしたいのですが、国において、こういう中間検査を義務づけていく、こういうことが今行われるということです。これは本当に当然だというふうに思うのですが、事は急がれているのです。今、市民の中には、住んでいる共同住宅は大丈夫か、こういう不安が出ています。購入したい人も買い控えているという状況です。さらに、工事中断で、建築業者や労働者の仕事がなくなるという事態まで報道されているのです。景気に対する悪影響すら懸念されています。ですから、市が確認検査をしているものは大丈夫だということをここで強く打ち出していくことが、皆さんに求められていることではないかというふうに私は思うのです。
中間検査は、今、問題になっている鉄筋高層住宅などで行われていないというふうに聞いています。住宅金融公庫とか銀行が融資している場合は、そこが検査しているとのことですが、すべての共同住宅に中間検査を行うことを決断して、できるところからすぐにこれを実施すべきだというふうに考えるのですが、お答えをいただきたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 中間検査の導入につきましては、今の段階ではいつからということはまだ結論を出しておりませんけれども、早急に導入できるような体制がどうあるべきかということも含めて、検討してまいりたいというふうに思います。
◆井上ひさ子 委員 私は、11月28日にも建築主、元請の名前を公表すべきであるというふうに言いましたが、いまだにこれが明らかにされていません。それで、浅沼氏の偽造にかかわった元請設計者で、市の建築物の設計をしている者はいないか、お聞きしたいと思います。あれば、どれぐらいの件数をやっているのか、お答えいただきたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 現在、都市局内で調査している段階でございますけれども、今はまだ未確定でございますが、現時点では20数件あるということでございます。
◆井上ひさ子 委員 ということは、市の建築物にも浅沼氏が構造設計したものがあり得るのですか。浅沼氏の聞き取りの中に市の建築物があるのかどうか、伺います。
◎三浦
建築指導部長 市の建築物ということではございませんで、市の事業ということでございますので、訂正をさせていただきます。
市の事業の中で浅沼氏が関与した物件ですが、79件の中では関与したとされるものについては1件含まれておりました。
◆井上ひさ子 委員 市のやっている中で、79件のうち1件があったということですね。これは、指定業者になっていますね。そういう中で、私は、やはりこの辺を本当に明らかにして、さらなる調査を強く求めておきたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 市の事業と言いまして、市が発注している事業という意味ではございませんので、(発言する者あり)市にかかわる事業にについて1件あったということでございます。(発言する者あり)
◆井上ひさ子 委員 市が発注していない市の事業というのが私にはよくわからないものですから、お答えできますか。
◎三浦
建築指導部長 井上委員の質問の中で、市が発注したという質問がありましたので、ちょっと聞き違いをしておりました。
そういうことではなくて……。
◎田中 副市長 市が直接発注した、そうした公共施設ではなくて、市が支援する、助成する、そういう側面的な形で関与している事業の中に、浅沼氏が
構造計算をした施設があると、今現在で1件把握している状況だということで、部長が答弁している内容だと思います。
◆井上ひさ子 委員 先ほど20数件は、市の発注に浅沼氏を使っているということですか。元請が関与しているということですね。元請の関与ですね。
○高橋功 委員長 ちょっと整理をして答弁してください。
◎田中 都市局長 浅沼が、今回、79件、そのうち33件とかいろいろございますけれども、そこを使った元請の設計会社、例えばA社といいますか、ほかにもB社がいるかもしれません。そのA社、B社、そういったところが札幌市の事業の中でかかわっているところが、今判明しているところでは20数件ということでございます。
◆井上ひさ子 委員 やはり、なおさら、その元請のところ、この問題を明らかにするように求めておきたいというふうに思います。
最後になりますけれども、先ほども質問がありましたので、北海道の調査の再点検にかかわることでお聞きします。
市の書類の保存が1年ということですので、この膨大なものをどうやってチェックしていくのかということでは、建築主とか管理組合から書類を集めるというふうになってくると思うのです。この点検は、どれぐらいをめどに終われるか、その辺の見通しはつきますか。これをお聞きしたいと思います。
◎高崎 建築確認担当部長 今回、北海道の方で再点検をいたします1,600件、それから、そのほかの
特定行政庁で500件、約2,000件につきましては、先ほど答弁いたしました姉歯事件を受けまして、点検したものについて、再度、違う観点から同じものを点検するということで、札幌市におきましては51件を点検するということでございます。
◆井上ひさ子 委員 51件については、いつまでに調査するのか、点検していくおつもりですか、伺いたいと思います。
◎高崎 建築確認担当部長 詳細なことにつきましては、まだ北海道の方より通知が来ておりませんので、その辺の期日については来てからということになります。時期的にいつまでということは、今の段階ではちょっとお答えできない状況でございます。
◆井上ひさ子 委員 私は、この間、2級建築士の浅沼氏だけが出てくる中で、末端の
マンションでは、自分のところの
マンションがその16件に入っている、そういうことが明らかになってきているのですね。しかし、管理組合を中心にしながら、今、札幌市の検査結果をみんな待っているのです。私たちの命にかかわることなので、入居者の協力をいただいてこの問題を解決していきたいと、こんな思いで待っています。
そういう中で、私は、今回の確認審査を通して市ができることは、直ちに実施することが市民から求められていることだと思います。構造再計算を市が行うことなどを含む審査体制の強化や中間検査の強化、それには人とお金がかかりますが、今できる最大の対策を速やかに打って、市民の不安を解消して住宅に対する信頼を確保するため、全力で取り組む決意を最後に副市長にお聞きしたいと思います。
◎田中 副市長 今、いみじくも井上委員からお話がございましたが、いろいろな障害があろうかと思います。そうした中では、それを取り除くためには行政だけではできないものがございますので、いろいろな協力を仰ぎながら、できることを着実にやると。その最たるものは、やはり、調査の結果を、少しでも早く、速やかに、つまびらかに市民の前に出し、その後の札幌市がやるべきこと、そして、道、国がやるべきこと、そしてまた、いろいろな責任の分担の中で、当然、先ほどの抽出のこともございますが、その経費についてのありようなども今後いろいろと協議していかなければならないと思います。その中で、やはり、行政、札幌市が中心になって、やるべきことはできるだけ確実に、着実にやる形で頑張っていきたいと思いますので、ご支援をいただきたいと思います。
○高橋功 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時29分
再 開 午後3時50分
――――――――――――――
○高橋功 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆村山秀哉 委員 自分の方からも、大きく2点についてお伺いしたいと思います。
1点目は、公共建築物の耐震化促進について、2点目は、市内
マンション等における
構造計算書の偽装についてお伺いをいたします。
まず最初に、公共建築物の耐震化についてでありますが、平成7年1月に発生しました阪神・
淡路大震災は、6,400名余りのとうとい人命を奪ったわけでございます。これら亡くなられた方の8割弱が住宅等の倒壊や火災等による直接的な被害だとされており、特に、現行の耐震基準を満たしていない古い建築物において被害が甚大であったわけでございます。その被害は、公共建築物についても及んでおりますが、公共建築物は、災害時の避難場所として、また、被害情報の収集、災害対策の指示が行われる場でもあります。そのため、日ごろの施設利用者の安全だけではなく、災害時の拠点施設としての機能確保の観点からも、公共建築物の耐震性の確保が不可欠であり、また、喫緊の課題であると考えます。
平成18年度予算を見ますと、耐震診断事業費として、昭和56年以前に建設された防災拠点施設の耐震診断調査費が盛り込まれておりますが、本市としても、公共建築物の耐震化の促進に向けて本格的に取り組むべきであると考えます。
そこで、質問ですが、建築物の耐震化は、まず耐震診断を行うことから始まりますが、その耐震診断の作業は現在どの程度進んでいるのか、また、今後どのように公共建築物の耐震化に取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
◎長谷川 建築部長 耐震化に向けた取り組みについてでありますけれども、平成7年度から、逐次、耐震診断に取り組んでいるところでございます。また、平成9年には、市有施設耐震診断・改修の要綱を作成しまして、各施設の機能や用途の分類に応じた耐震安全性のレベルを設定して耐震診断を行っております。これによりまして、現時点で企業会計や学校、市営住宅等を除くいわゆる一般施設につきましては、耐震診断の対象としております114施設のうち71施設、全体の6割強について診断を終えるなど、耐震改修の実施に向けた診断業務に取り組んでいるところであります。
また、今後の取り組みにつきましては、未診断の対象施設43施設について、それらの施設用途の重要度に着目いたしまして、特に災害時における応急活動の拠点となる施設、あるいは避難場所となる施設等について、早急に耐震診断を行う必要があると考えておりまして、平成18年度は12施設について実施する予定でございます。耐震診断後は、診断結果をもとに、施設所管部局に対して技術的な支援を行っていく考えでございます。
◆村山秀哉 委員 今の答弁で、耐震化に向けて積極的に取り組んでいこうとする建築部の意向はわかりました。
しかし、区役所、消防署など一般公共施設は、現時点では各施設管理者が所管をしているということであります。この耐震改修を実施するかどうかの判断や予算化は、一義的に施設管理者が担っているということでありますが、これまで、耐震改修が必要とされた施設において耐震改修が行われたものは一般公共施設については10施設だけであります。このように、耐震診断を終えても、必ずしも耐震改修に進んでいないのが現状であります。
さきに、我が党の村松議員が、代表質問で、緊急性が高いものについては耐震改修促進計画の策定を待たずに速やかに耐震改修を進めるべきであるとの考えを述べたところ、市長は、今後それらについては早急に耐震化に取り組んでいきたいという答弁があったところでございます。
そこで、質問ですが、緊急性の高いものについては、各施設管理者に任せるのではなく、建築部が主体的に早急に行うべきではないかと考えますが、お伺いしたいと思います。
◎長谷川 建築部長 耐震化に向けてのかかわり方についてでございますけれども、これまでも、診断の結果、耐震性能が所定のレベルに達していない施設については、施設所管部局に対し、必要な改修事業費や合理的な改修方法について技術的な支援をしてきたところでございます。同時に、その実施時期につきましても、大規模な改修などに合わせた効率的な耐震改修を提案してきたところでございます。
耐震化について、緊急度が高い施設につきましては、早急に全庁的な耐震化に向けた取り組みを行うこととしておりますので、この中で関係部局と連携しながら、技術的支援など、建築部局としての役割を担っていきたいというふうに考えております。
◆村山秀哉 委員 今、答弁いただきましたけれども、本当に緊急度があり、非常に危ないものであれば、やはり、建築部の方でこれを最初にしなければいけないという指導はどんどん出していくべきではないかと思うところでございます。
各施設管理者ということでありますけれども、施設管理者の方に出しますと、それぞれ予算の関係もありまして、その順序は多少ずれてくることもあるかと思います。建築部の方で把握しているのでありますから、どうぞ、主体的、指導的にいち早く取り組んでいただきたい、このように要望しておきたいと思います。
続きまして、市内
マンション等における
構造計算書の偽装についてお伺いしたいと思います。
今ほど、各会派の委員からも相当数の質問がありまして、なるべく重ならないように、そしてまた、自分が今確認している中でわからない部分がありましたら、多少重なってご確認をさせていただきます。
一昨日、3月8日の
建設委員会で理事者側から説明がありました。内容につきましては先ほどからいろいろありますが、札幌市でも
構造計算書の偽装が確認されたということでございます。
実は、昨年11月28日の
建設委員会で、姉歯元建築士による耐震偽装の問題が取り上げられました。このときに、理事者側からの報告で、札幌市で取り扱った確認申請の物件に対しては、札幌市が従来から行っている
構造計算に関する審査方法、内容の実態からすると、このような偽装がまかり通るようなことは起こり得ないと断言をしておりました。さらにまた、民主党の桑原委員の質問の中にも、市民からの問い合わせの中でどういう内容のものが多いのか、その対応はどうしているのかという質問がありました。その答弁としましても、問い合わせは、自分の
マンションの耐震強度は大丈夫なのかというものが多かったそうであります。札幌市は、確認済み証を交付した建物の
構造審査に対しては、審査方法として、従前から詳細な審査を行い、また、複数の職員により二重のチェック体制をとっていることから、札幌市で確認済み証を交付された
確認申請書については、構造耐力上、全く問題ないと、当時、市民に答えているということでありました。この時点では、市民の皆様は、自分の
マンションの度合いを確認した中で、こういう心強い答えをいただいているものですから、当然、市民の方は大変安心し切っているところでございます。
さらにまた、桑原委員は、
構造審査について問題ないと判断されるということですが、これはどのような審査をされているのか、その審査の内容についても質問をしておりました。その答弁は、議事録にもあるとおり、説明は非常に長かったのでありますけれども、いろいろ説明されている中の最後のくくりで、したがいましてという言葉で、問題となった設計事務所、すなわち姉歯設計事務所を指しているのでありますが、この問題となった設計事務所が行ったような不正というものは起こり得ないと断言をしておりました。
何で今この話を申し上げるかというと、実は、自分も一
マンションの住人であります。また、きょうここにおられる方にも、
マンションに住まわれている方がたくさんいるのではないかと思います。この姉歯の問題がテレビ報道されたときに、実は、自分も、うちの
マンションの住人から、ここの
マンションは大丈夫ですねとか、うちの家族からも、本当に、お父さん、この
マンション大丈夫だよねと、こういう話もされていました。そしてまた、町内会の会合の中でも、自分は、逐次、こういう委員会の情報なんかも話している中で、自分が委員会に携わっていて、札幌市にある
マンションに関しては偽装されたものは絶対にありませんよと断言して町内会の活動をしてきたのも事実であります。本当にこの委員会に所属して自分が携わっているものですから、間違いなく断言できたのも事実であります。
ところが、この3月7日の市長の記者会見でありますが、札幌市でも
構造計算の偽装を発見した、こういう報告があって、実際に自分も何で今さらこんなものが出てくるのかなと驚いた次第でございます。
そこで、質問という形になるのかどうか、自分もわかりませんが、一応、質問ということで、先ほど井上委員も質問されて、似てくるかもわかりませんけれども、発覚直後、札幌市は、
構造計算の偽装、疑惑に対して本当に真摯に受けとめて真剣にこの問題に取り組んだのか、その姿勢をまずお伺いしたいと思います。
◎高崎 建築確認担当部長 委員ご質問の姉歯事件が発覚以後、どんな審査に取り組んだのかということでございます。
我々としましては、姉歯元建築士が起こしたような同様な
構造計算書の改ざんが行われないように、日ごろの審査におきまして、今まで以上に慎重かつ詳細に
構造計算のチェックをして今まで臨んできた、そういう姿勢で業務に取り組んでいたところでございます。
◆村山秀哉 委員 確かに、言われることはわかるのですが、この発覚直後、全国版でニュース報道等をされていた中で、市民の目というのはその一点にいったところであります。やはり、これだけ断言してきた中で、今、自分がそのときを思い出してみると、札幌市の職員の皆さんは、常日ごろやられている仕事の中で多少の甘えがあったのではないかと言わざるを得ない部分があります。本当に慣習的な仕事の中で、決してこういう事態は起き得ないと恐らく職員の皆さんは思っていたのではないかと思います。しかし、実際にこういう事故が起きてみて、本当に事の重要さが思い出されたのではないかと思うところでございます。
その姿勢というものは、当時、札幌市にはなかったですから、他人ごとのように聞こえていたこともありました。我々にも一部はあるかもわかりませんが、このときにもっときちっと精査していれば、断言という言葉には至らず、今、調査していますとか、我々も一生懸命に取り組んでいますという話になったのではないかと。そこを指摘したいと思います。
それぞれ各委員からの質問で経過、調査状況がいろいろ出てきていますので、なるべく重ならないようにお話しさせていただきますけれども、ちょっと不透明な部分がありますので、1点、お伺いをしたいと思います。
元請設計者の公表については、今の段階では公表できない、こういう話があったわけであります。しかし、偽装されたと思われる元請設計者の一部は、テレビ報道にも出て、謝罪もしております。そうした中で、自分はまだ複数の元請設計者があると認識しているのですが、札幌市が把握している範囲内で何箇所、何軒といった表現がいいのでしょうか、何箇所あるのか、ご確認をしたいと思います。何社ですね。
◎三浦
建築指導部長 先日、道の方からも、実は、この件について元請設計者は何社かという発表がございました。8社というお答えが道の方から出ているようでございますが、うちの方で把握している部分につきましては、一部、社名が変更されているということで、実際には7社というふうに把握しております。
◆村山秀哉 委員 7社ということで確認をさせていただきました。
また、もとに戻る部分がありますけれども、実は、テレビ報道の謝罪の方法について、多少、疑問に思うところがあるものですから、お聞きしたいと思います。
まず、浅沼設計士が自分の方から謝罪報告という形で記者会見が始まったことも先ほどから指摘をされております。自分が思うには、本来であれば、元請設計者が自分の方から名乗り出て、下請に出した、浅沼が偽装した、こういう事実を報告すべきであるものが、いまだに報告されていません。そうした中で、札幌市もいろいろ聞き取り調査をしていると思いますが、元請設計事務所に対して、みずからが偽装の報告をする義務があるという指導をしたのかどうか、確認をしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 元請設計者に対する指導の件ですが、その件については、特に指導したということはございません。
◆村山秀哉 委員 これに関しては、やはり、元請設計者が最初に謝罪すべきことだと自分は判断いたします。札幌市が仲介しているような形に聞こえていますが、実際には、元請設計者が自分で下請に出した設計士が偽装したとはっきり自分の方から申し出ているのでありますから、元請設計者の方が自分の責任のもとにこういう事故が発生しましたと報告するのが当然の義務と自分は考えているわけでございます。ですから、こういう時点で、確かに札幌市が確認申請を出した部分はありますけれども、説明責任という部分に関しては元請の責任が一番あると僕は思っております。
ですから、今からでも遅くないと思いますので、元請に対して説明責任をきちっと指導してくれるかどうか、確認をしたいと思います。
◎三浦
建築指導部長 元請事務所に対する説明責任を果たすような指導については、していきたいというふうに思います。
◆村山秀哉 委員 わかりました。
本当に、元請設計事務所が一番の責任ある部分であります。今、指導するという形が出ましたので、当然、これからテレビ報道等にも出るかどうかわかりませんが、一応、期待をして待っていたいと思います。
それから、もういろいろ出まして、くどくなりますので、これは要望として、繰り返しになるかもわかりませんが、再度、お話をしたいと思います。
私自身が
マンションに入居していて、
マンションに入居している一人として、やはり、これから札幌市がいろいろ調査、精査していく中で、その情報をいち早く市民に提供する、そして、正確に提供してもらいたいということを、まず1点、要望しておきたいと思います。
それから、多少は中傷になるかもわかりませんが、市の職員の仕事にかかわっても、やはり、これだけ厳しい状況になってきたわけでありますから、一人一人が仕事に緊張感を持って一生懸命に取り組んでいただきたい、こういうことを要望して、終わります。
◆
阿知良寛美 委員 私からは、市営住宅のストック対策について、もう1点は、先日行われました自治会長会議における市営住宅管理の諸問題について、大きく分けて2点の質問をいたします。
初めに、市営住宅のストック対策についてであります。
約2万7,000戸あります本市の市営住宅の現状を見ますと、昭和50年代以前に供給され、エレベーターもなく、設備機器の水準も低いものが約1万5,000戸を占めている状況にあります。これに対して、近年、建設された市営住宅は、3階建てにおいてもエレベーターが設置され、階段の解消、手すりの設置など高齢者に配慮したバリアフリー住宅となっており、昭和40年代、50年代に建てられた階段室型住宅との格差は大変大きなものになっております。一方、市営住宅の入居者の5人に1人は65歳以上で、その大部分がエレベーターが設置されていない階段室型住宅に入居している状況にあり、既設市営住宅へのエレベーター設置など、既存ストックの機能更新は重要かつ緊急の課題となっております。
国においても、供給中心の住宅政策から、ストックの活用による質の確保へと政策を転換する住生活基本法を今国会で審議する運びとなっているところであり、住宅政策は大きな転換点を迎える中、札幌市も本格的なストック対策に取り組むべきときを迎えているわけであります。
さて、現在、札幌市では、平成13年5月に策定した市営住宅ストック総合活用計画の見直しを進められておりますが、この計画は、当初に策定されてから既に5年間、エレベーター設置などの改修事業は全く実施されていない状況であります。
そこで、質問でありますが、住宅政策の大きな転換期を迎え、既存ストックの適切な改修により、良質な社会資産としてストック形成を進めていくべき現在、次の市営住宅ストック総合活用計画には、高齢者などに対応したどのような新たな取り組みが盛り込まれているのか、お聞かせ願います。
◎荒川
住宅担当部長 市営住宅ストック総合活用計画についてお答えをいたします。
これまで、本市では、平成13年5月に策定いたしました市営住宅ストック総合活用計画に基づきまして、建てかえ事業を中心とした既存ストック対策を進めてまいったところでございます。
しかしながら、資源循環型社会において、建物の長寿命化、既存施設の有効活用が重要なテーマとなっておりますし、また、国や市の厳しい財政状況のもとで、建てかえのみで大量の更新需要に対応することはなかなか困難な状況となってきております。一方では、既存の市営住宅について、高齢者等に配慮した安全・安心な住宅への改修も行っていくことが必要とされているところでございます。
したがいまして、現在策定中でございますが、次期市営住宅ストック総合活用計画の中で、適切な改修による既設市営住宅の機能更新を重要な施策としてとらえまして、これまでの建てかえに、新たに、エレベーター設置を初めとするバリアフリー化、あるいは設備水準の向上等を再生の手法に加えまして、今後、事業計画を定めてまいりたいと考えているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 ただいまの答弁で、今後は既設の市営住宅にエレベーターの設置を初めとする改修事業を進めていくという大変うれしいお話をいただきました。
私も、以前からいろいろな方にお話を聞きますけれども、ふろも要らない、部屋も狭くていい、そのかわり、わしが生きている間にエレベーターをつけてほしい、これが入っている方の切実な願望なのです。そういう面では、きょうは非常に重苦しい雰囲気でありますが、今の答弁は明るい話題だ、このように思います。
そこで、再質問として、2点、お伺いたします。
これまで、私が繰り返し要望を重ねてきたことがようやく実現に向けて動き出したわけでありますが、エレベーター設置について、現在どのような検討状況なのか。
2点目として、エレベーター以外の改修内容についてであります。これも我が会派が繰り返し要望してきておりますが、インターホンの設置なども含まれるものと期待をしておりますけれども、エレベーター以外ではどのような改修内容を想定されているのか、お伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 まず、1点目のエレベーターの設置に関する現在までの検討状況についてでございます。
これまでの間、どのような設置方法が適当かということを検討してまいったところでございまして、検討の結果、エレベーターは外づけ方式といたしまして、各階の中間にある踊り場を活用してとまる方式とするように方向性を定めたところでございます。この方式は、他都市でも多くが採用している方式でございまして、入居者の仮移転が不要である、また、工事費や工期の面からも有効な方式であると判断しているものでございます。
また、平成17年度には、入居者にアンケート調査を実施したところでございますけれども、家賃や共益費の負担増に対して否定的な回答も一部ございました。そこで、本格的実施に先立ち、まずはモデル事業として一つの団地においてエレベーターを設置し、入居者の評価なども参考としながら、その後の本格的な事業につなげていきたいと考えておりまして、現在、モデル団地の選定作業を進めているところでございます。
次に、2点目のエレベーター設置以外の改修内容についてでございます。
高齢者対応といたしまして、手すりの設置や給湯・浴室設備の整備などを想定しております。お話しのございましたインターホンの設置等も含めまして、入居者の方々の意向も踏まえながら、今後検討を続けていきたいと考えているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 エレベーターのほかに、3カ所給湯になるのでしょうか、そういうことも考慮されているということですね。特に、高齢者をねらった悪質な訪問販売に対する有効な手段として、インターホンは本当に大事なものだろうと思いますから、入居者の要望の強いこういうものもぜひ設置する方向で検討していただきたい、このように思います。
最後に、エレベーター設置のモデル事業について、今、設置箇所等の選定作業に入っていらっしゃるとお答えいただきましたけれども、今後のスケジュールについてもお聞かせ願いたいというふうに思います。
◎荒川
住宅担当部長 ただいま一部についてはスケジュールもご答弁申し上げましたけれども、さらに、今後のスケジュールといたしましては、平成18年度に入居者の方々の理解が得られる団地を選定した上で実施設計を行い、当面、平成19年度から1棟ずつ計2棟を対象といたしまして、モデル事業としてエレベーターの設置工事を実施してまいりたいと考えているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 ぜひ、なるべく早く実現をしていただきたいと思います。
続きまして、自治会長会議における諸問題についてです。
本年1月中旬に、市営住宅に関する規則改正、家賃の値上げですが、この周知を兼ねた自治会長会議が開催されたとお伺いしております。
市営住宅の自治会組織につきましては、自治会会員の高齢化、または自治会活動に対する無関心層の増加など、自治会を取り巻く諸問題が数多くあるものと私も認識をしているところであります。
そこで、質問でありますが、この自治会長会議の中で、市営住宅の管理全般に関してどのような意見、要望があったのか、お伺いいたします。
◎荒川
住宅担当部長 本年1月に開催いたしました自治会長会議における各自治会長からの意見であるとか要望等についてお答えいたします。
中で最も多かった意見、要望といたしましては、駐車場の管理運営についてでございまして、具体的には、1世帯2台の駐車を認めてほしい、あるいは、大型車の駐車を認めてほしいといったもの、それから、団地の敷地内外での違法駐車の取り締まりを強化してほしいといったもの、さらには、空き駐車場を有効活用できないかといったような提案的なご意見などもございました。
次の項目として多かったものは、除雪支援事業助成制度に関するご意見でございました。具体的には、除雪支援に関する申請業務を簡素化できないのかといったご意見、あるいは、自治会の構成に高齢者の方が多くて除雪を担う若い方がいないなどの意見もあったところでございます。また、その他の意見といたしましては、自治会役員に最低限の入居者情報を提供してほしい、あるいは、自治会費の確保のために、空き家募集の回数をふやしてはどうかといったご意見、それら各自治会で抱えている課題について意見や要望をいただいたところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 私も、年に2〜3回、市営住宅の入居者の皆さんと懇談会を開かせていただいて、さまざまな要望をいただきます。先ほどのエレベーター設置もそうですし、ふろがまがあって浴槽が高い、何とか低いものに取りかえてもらいたい、それから、ゴキブリが出て大変だ、何とか駆除してもらいたい、玄関前のタイルが滑るとか、高齢者ばかりで自治会が成り立たない、子どもの声が聞こえない、階段、廊下の床がざらざらして掃除に時間がかかるし手が痛くなる、こんな話もありました。そういうことで、自治会の役員の方々が本当に苦労されているということはよくわかります。
そこで、今回の説明会の意見、要望を踏まえまして、市として取り組まなければならない課題があると思いますが、具体的にどのようなものがあるのか。
また、以前から私もいろいろな機会を通してお話しさせていただいておりますが、5人に1人が65歳を超えているという状況であります。ですから、市営住宅に行くと、子どもの話し声や泣き声が聞こえないと。私は、前から、世代を考えた入居のあり方も今後は必要ではないか、こういう質問をさせていただいておりますけれども、子育て世帯の優先入居も考えるべきだとこれまでも主張してまいりました。
そこで、この考えはないのか、この2点について再質問させていただきます。
◎荒川
住宅担当部長 まず、1点目の自治会長会議における意見、要望に対する当面の取り組みについてでございます。
本市といたしましては、一つ目は、駐車場の敷地条件等に応じた2台目の駐車等について、さらに、二つ目としては、除雪支援事業助成制度の申請の簡素化、あるいは、申請要件である高齢者等の世帯割合の緩和、見直し等について、今後、早急に検討したいと考えているところでございます。
なお、自治会への入居者情報の提供要望につきましては、入居者の同意であるとか使用目的の制限などいろいろな課題もございますので、これについては今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
それから、2点目の子育て世帯の優先入居についてでございます。
必ずしも優先入居にはなりませんが、子育て世帯の入居促進といった意味では、平成17年度に国の政令改正がございまして、それに伴い、本市においても、平成18年4月から小学校未就学児のいる世帯について、現行制度における高齢者や障がい者と同様に、少し高い収入階層でも入居できるような基準の緩和をすることといたしております。これによりまして、小さい子どもがいる世帯、すなわち若い世帯の市営住宅の入居機会が若干でもふえ、ひいては、コミュニティー・バランスの改善にもつながっていくものと期待しているところでございます。
◆
阿知良寛美 委員 最後に、要望させていただきます。
平成18年4月から未就学児童のいる世帯に優先措置をするという回答をいただきました。
入居者の皆さんの要望はさまざまなものがありますし、実現できるもの、また実現が難しいものもそれぞれあるというふうに思います。
しかし、今回、市営住宅の使用料の見直しにより市の財政収入は増加するわけでありますから、入居されている皆さんの満足度を高めるためにも、ただいまご答弁いただいたことについて、可能なものから随時実行されるよう要望して、私の質問を終わります。
◆小谷俵藏 委員 それでは、私から、簡潔に質問させていただきます。
我が会派の委員、あるいは他の会派からももう既に出ております耐震構造疑惑の問題、これについてであります。
私は、日ごろ、公は公の役割、責務、今、公から民へということで、民でできるものは民へという国全体の流れがあります。その中で、どうしても公でなければできない仕事というのが数多くあります。この建築確認に基づく仕事も、公でなければできないものの一つと、私は重要な位置づけがされていると考えております。ただ、今、民にも移行している部分がありますね。民に移行していることは私は否定したくないけれども、やっぱり、そうでない方がいいな、公がいいな、こういう思いをしている者の一人であります。
そこで、
建築基準法に基づいて確認申請が出され、この精査を行います。精査をして、内容に指摘するところがあれば指摘して、そして確認済み証の発行、こういう手順になっているのが通常であろうと思います。あるいはまた、完成に至るまで、その構造の内容によっては、2回なり3回なり、現場でいろいろ調査をすることもありますね。
そこで、一番大事なのは、今言われている問題は、まさか札幌でこんな大きな全国的に流れる問題が惹起するとは夢にも思っておりませんでした。このことは、基本的に、現在の
建築基準法においては、札幌市がその内容を精査し、建築確認をする内容、条件に偽装とされているものが入っているのか、そこまで責任を持たなければいけないのか、あるいは、責任はないけれども、道義的に、当然、そういったことに対しては相談に乗らなければならないものなのか、その辺の確認を私からさせていただきたい。要は、そこから入らなければ、市の立場というものが具体的に明確になりません。
それからもう一つは、先ほど来ありましたが、1級建築士の名前が具体的にはまだ公示されておりませんけれども、何事もその発注者が表に出るのが普通であります。したがって、そこが出ないで、2級建築士であれ何であれ、ほかの人が出て、いや、こうでした、ああでしたということで振り回されている。これはいかがなものか、このことに対してどう考えられているか、その見解を求めたい。
以上、まず2点、お伺いします。
◎三浦
建築指導部長 建築確認の関係につきましては、現時点では、札幌市に出てくる部分と民の方に出てくる場合、申請者は両方を自由に選べるということでございまして、民でおろした場合についても官でおろしたものと同様な法的扱いを受けるような状況になってございます。
そういった中で、確認の正確性というか、今現在、そういったことがまさに問われているのではないかということでございまして、こういった事件が起きたことにつきましては、我々としても、非常に残念で、断腸の思いでおります。今後、我々の業務としては、より正確な業務を期していきたいというふうに思っております。
それから、確認申請の方に記されている資格者は、一定規模以上になりますと1級建築士の資格を持って出てくるということで、これにつきましては、法律で定められた資格の中で
確認申請書に記載されてくるということでございます。
ただ、今の法律の中では、下請の設計者までは記載されず、なかなか把握されないということでございまして、これにつきましては、今後の我々の取り組みの中で、その辺の把握をするようなことに努めてまいりたいというふうに思っております。
◆小谷俵藏 委員 まず、確認させていただきましたが、私が申し上げたのは、冒頭、一生懸命に努力していきたいということ、それはそれで当然のことでありますけれども、国で定められている
建築基準法の中で、いわゆる建築確認済み証を発給した札幌市なら札幌市の責任がどこまで及んでいるのかと。今、責任以上の問題として耐震構造問題でいろいろ取りざたされているのか、そこまでは及んでいないけれども、当然、それはできるだけ努力をしていかなければならないということで今お話があったのか、責任がそこまで課せられているかどうかということを確認すべく私は問わせていただいたのです。
その辺、もう一度、答弁してください。わからなければ、ほかのどなたか、局長なり、どちらでもいいです。
◎三浦
建築指導部長 我々の業務といいますのは、確認申請に出された書類が法律に合っているかどうか、それをチェックする義務は課せられております。そういった意味で、正確な審査がなされていないということについては一定の責任はあるかというふうに考えてございます。
◆小谷俵藏 委員 一定の審査がなされていなかったということについての責任はあると思う、こういうことですね。一定のと。ですから、全面ではなく、一定のことでと。そうですね。全面ではないのですね。一定と全面では全然違ってきます。
◎三浦
建築指導部長 確認申請には、申請に添付された図書等が事実に相違ないということで申請者、建築主が判を押して出してくるということでございまして、いわば性善説にのった上での審査ということになります。そういった意味では、我々だけの責任ということではないかなというふうには思います。いわゆる設計者、建て主側が正確な図面を出さなかったということについての意味もあるかと思います。
◆小谷俵藏 委員 ということは、私の方で確認しますけれども、札幌市がそれを見つけ切れなかったということについて、あるいは、その内容が違っていたということについては、全面的な責任ではなくて、一定の責任はある、しかし、やはり1級建築士やその業者、そちらがまず第一義だ、こういう解釈でよろしいですね。
関連してもう一つ、それであれば、先ほど来出ましたが、きちっと1級建築士を表に出してやらないと、ただ、2級建築士云々では堂々めぐりでしょう。なぜ、私がこういうことを申し上げるかというと、先ほど来ありましたように、市民、多くの方々が疑心暗鬼で非常に不安を生じている、この現象を一日も早く払拭して見通しのよい状態にしなければならない、これは札幌市の重要な責務だと思いますから、強く申し上げて、終わります。
○高橋功 委員長 以上で、第7項 建築費等の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後4時37分
再 開 午後4時39分
――――――――――――――
○高橋功 委員長 委員会を再開します。
次に、議案第2号 平成18年度札幌市土地区画整理会計予算及び議案第30号について、一括して質疑を行います。
◆小谷俵藏 委員 短く質問しますが、区画整理事業について206、207ページに載っております。今、札幌市では四つの区画整理事業を行っておりまして、これに対する予算がここに計上されているわけでありますが、これは、延々と非常に長い期間をかけて行っております。東雁来などは大変長いことになりまして、いつ終わるのかなと心配をしている一つでありますが、私は、特に新琴似駅前地区土地区画整理事業に絞って質問をさせていただきます。
これは、平成8年度に札沼線が高架になって、この事業を契機に、駅前及び駅周辺の整備を図るべく平成9年から着手した事業と認識いたしております。高架事業は、軌道ですからスピーディーでなければいけないわけですから、平成11年度に完成いたしましたが、区画整備事業は既にそれから6年を経過しているわけであります。
そこで、現在までの進捗状況をお聞かせいただきたいと思っております。
なぜかといいますと、思い起こすに、札沼線、今は学園都市線と言うのでしょうか、ただ単にその高架だけではなく、地下鉄麻生駅とJRが非常に近いものですから、多くの方々が乗りおりして利用される、非常に費用対効果が上がるだろうと期待しておりまして、当時、地下歩道もつくるかどうかという検討さえされたように私は記憶しております。したがって、非常に重要な事業でありまして、このことについて、今、申し上げましたように、まず事業の進捗状況をお示しいただきたい。
◎山口 区画整理担当部長 私から、新琴似駅前地区土地区画整理事業の進捗状況についてお答えいたします。
この事業は、JR札沼線の連続立体交差事業の着手を契機に、駅前広場や幹線道路等の基盤整備を行うことにより、札幌市北部の交通結節点としての特性を生かした土地の高度利用への誘導を図るべく、平成9年度に土地区画整理事業として着手しておりまして、今年度で9年目を迎えたところであります。
この間の進捗状況についてでありますが、区画整理後の宅地を決めます仮換地の指定では、面積にして約92%に達しております。また、補償費や道路、公園等の整備費などを合わせた事業費ベースで約75%の進捗率となっております。主な整備内容といたしましては、電線類の地中化を含めた新琴似駅前通や駅前広場、また、この広場に隣接する緑地につきましても、今年度、工事を実施しておりまして、この地区の顔とも言える駅前の整備がおおむね完了したところであります。
◆小谷俵藏 委員 当事業は、事業期間が平成9年から平成18年ということであったわけでありますが、2カ年延長して平成20年までとなりました。最近の情勢ですから、10年が12年になったこともやむを得ないことかなと思いながらも、事業期間の延長は一般的には事業費がふえていくということになっている場合が非常に多いと思います。市費の負担もそれだけふえると思われますが、その変更の内容について確認をさせていただきたい。
そしてまた、今後の事業の見通しです。残っているものとして道路などこの3年でやるべきことがありますけれども、確認の意味を含めて、区画整理区域内のこれは平成18年にやりますとか、これは平成19年とか、これは平成20年にすべて終わらせますなどと、おおむねの見通しについて説明していただきたいと思います。
◎山口 区画整理担当部長 当初計画では、平成9年度から平成18年度までの10カ年ということで事業計画を決定し、仮換地の指定、支障物件の移転、道路工事等を順次進めてきたところであります。
しかしながら、この地区は、
既成市街地という場所柄もあり、仮換地の指定や支障物件の移転等について地権者との折衝に時間を要するとの判断から、平成15年度に施行期間を2年間延長して平成20年度までとする第1回目の事業計画の変更を行ったところであります。
また、事業期間の2年間の延長に伴い、市費の負担がふえたのではないかということでありますけれども、平成12年度に新たに導入されましたまちづくり総合支援事業という
補助事業を活用することや、補償費の精査を行いまして、当初事業費の市費の約1割を減額し、市費の負担軽減を図ったところであります。
次に、今後の見通しについてでありますが、仮換地の指定、建物の移転等が残っておりますので、地権者のご協力をいただきながら、平成20年度の事業完了に向け、鋭意努力してまいりたいと考えております。
◆小谷俵藏 委員 わかりました。
あとは、要望にしておきますが、残された期間は3カ年ですけれども、皆さんに多く期待され、喜ばれる内容のものとして完成させていただきたいと思います。
道路については、まだまだこれからが山ですね。それから、駅前公園は、中は空になっているということでありますが、建物が残っていますので、これを解体して見晴らしをよくして、できるだけ早く駅前をすっきりした状態にして、すばらしい街が新たに再生されたなと思われるような事業で完工していただきたいことを求めて、終わります。
○高橋功 委員長 以上で、議案第2号等の質疑を終了いたします。
最後に、議案第3号 平成18年度札幌市団地造成会計予算及び財産処分の件議決変更に係る議案第32号から議案第35号までについて、一括して質疑を行います。
◆伊与部敏雄 委員 団地造成会計は、局別施策の概要の114ページに会計予算が載っております。すなわち、ことしの団地造成会計の予算は1億3,200万円と載っております。
札幌市には、住宅団地を含めて6団地ありますけれども、完売したり賃貸をしたりして100%に達成したものは六つのうち四つあります。ですから、団地造成会計の予算はもうそんなに使わなくても済むのではなかろうかと、私は率直に思っているわけです。
それなのに、1億3,200万円の予算がついています。今は予算議会ですから、これを言わないと予算議会になりませんから言うのですが、114ページを見ても、この1億3,200万円はただ既存団地の維持管理等としか書いてありません。これだけでは、とてもじゃないけれども、率直に言ってわかりません。何にどう使って、どうするのか。
まず冒頭に、これから答弁をください。
◎志賀
開発事業部長 今、伊与部委員から、団地造成会計の18年度事業の1億3,200万円の内訳ということでございます。
団地関連費の用途につきましては、まず、一つ目としまして、広告宣伝費というものがございまして、それにつきましては、グリーンピアしのろの現地案内所の運営や媒介の手数料、その他新聞広告で6,100万円ほどの予算を計上してございます。
次に、維持管理費というものがございます。これは、篠路地区の住宅団地、大谷地の新卸売業務団地、新川地区の工業団地、ハイテクヒル真栄、それからアートヴィレッジなどの維持管理をしてございまして、これらの団地における進出企業の土地利用に合わせまして、低下縁石の設置や汚水升の設置、また草刈り、清掃などに要する費用として4,400万円を計上してございます。もう一つは、事務費として約2,700万円、合計しまして1億3,200万円という形で計上させていただいているところでございます。
◆伊与部敏雄 委員 1億3,200万円の内容についてはわかりました。
要するに、宣伝広告費が6,100万円、維持管理費が4,400万円、そして事務費に2,700万円だと。6団地のうち4団地の団地会計はなくなっているのですから、あと二つ、強いて言えばアートヴィレッジ、篠路住宅団地、これに宣伝費6,100万円をかけて、維持管理費4,400万円、そして事務費に2,700万円ですが、これはちょっと多いのではないかと思いますけれども、この質疑をしていますと5時半までに終わりませんので、これは次に回します。
そこで、きょうは、産業振興部長が来ておりますので、産業振興部長にお伺いします。
きょうの新聞にも、新川に来るほくやくと竹山が統合して全国で8番目の大きな企業が札幌に生まれる、そういうような記事が大きく出ていました。おかげさまで、新川も、ようやく皆さんの力でほくやくが来て、そして満杯の100%になりました。ただ、完売ではなく賃貸が約80%あります。これは、ずっと前に、私は賃貸で行けと言いまして、賃貸になりましたらこういう結果になったということは、率直に言いましていいことです。しかし、ご案内のとおり、新川はウナギの寝床です。その中間に工業団地があるのです。
その前に、ほくやくは新川へ来ると言いますが、いつ着工して、いつから開業するのでしょうか、これがまず一つです。
もう一つは、経済界と地域、例えば町内会、連合町内会、これらと協働した街づくりの発展ということで連動していくということです。これは画期的な状況にありまして、今、24社、30コマが配置されてますから、やはり、何か協議会などの仲よしグループをつくっているらしいですが、それらの人たちと連合町内会が十分に調和をとって、そして、街づくりをどうしていくかと。そういうことは、投げておかないで、市が積極的に入っていって経済界と町内会が協働した街づくりをするような指導をしたらいかがかと思うのですが、どうでしょうか。
◎谷口 経済局産業振興部長 2点のご質問でございます。
まず、1点目の株式会社ほくやくの操業開始の時期でございます。
これにつきましては、昨年11月に土地賃貸借契約公正証書を作成いたしまして、その契約の中で、公正証書作成後1年以内に操業開始をすることになってございまして、その期限がことしの11月でございます。その11月をめどに準備を進めているという状況であると聞いてございますけれども、市としてもその推移に留意してまいりたいと思います。
なお、具体的な操業開始のスケジュールにつきましては、企業の事業活動の自由を保護する意味でお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。
2点目は、団地組合の連合町内会への加入の件だと思います。
当該団地組合につきましては、任意の組合でございますが、まさに委員ご提案のとおり、地域と一体となった街づくりを進めていく上で、団地に立地する企業が地域と連携していくことは大変意義があることだというふうに考えてございます。
したがいまして、私どもといたしましても、団地組合の主体性を尊重しながら、地域との連携に結びつくように努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋功 委員長 部長、今、企業の何とおっしゃいましたか。そのことで差し控えたいというお答えだったのですが、ちょっとそれが聞き取れませんでした。
◎谷口 経済局産業振興部長 申しわけございません。繰り返します。
企業の事業活動の自由を保護する意味でお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
◆伊与部敏雄 委員 何をですか。
◎谷口 経済局産業振興部長 操業の時期について、具体的に何月からということでございます。
◆伊与部敏雄 委員 操業の時期は答えられないというわけですね。わかりました。それはいいでしょう。
次に、ハイテクヒル真栄について質問したい。
ハイテクヒル真栄は、平成3年3月28日に、当事の板垣市長と、日本電気の代表取締役関本忠弘さんによって土地の売買契約が結ばれております。さらに、板垣市長と株式会社リコー代表取締役浜田 広さんが平成3年3月20日に土地売買契約を交わしております。したがって、今は平成18年3月ですから、15年たちます。15年もたつのに、ずばり言って、いまだに建設されていません。
私は、この契約書をじっくり読ませてもらいました。契約書の中には、第10条に、2年以内に施設を建設し、かつ、事業を開始しなければならないという規定があります。これは、双方同じです。NEC、すなわち日本電気も、リコーも同じ契約書をつくっています。
そこで、これは完全に契約違反ではありませんか。第10条に2年以内で建設すると言っているのですから、私は完全に契約違反だと思います。
そこで、二つ目に聞きたいことは、経済局長は去年の10月、それから、部長はことしの2月ということですから先月ですが、リコーはどうなのかわかりませんけれども、日本電気へは、直接、本社へ行ってだれと何を話してきたのですか。経済局長が本社へ行った、産業振興部長が本社へ行った、だれとどういうような話をしてきたのですか。まずお答えください。
◎谷口 経済局産業振興部長 会ってきた対応者でございますけれども、日本電気の不動産を所管する部長とお会いしてまいりました。そして、ハイテクヒル真栄に対する企業の立地について、委員からご指摘のとおり、今、未利用となってございますので、ぜひ積極的に立地をしていただきたいということで要請をしてまいったところでございます。
◆伊与部敏雄 委員 極めて抽象的ですね。経済局長は、日本電気の本社のだれと会って、どういう話をしてきたのか。あなたは、今、本社へ行って不動産担当の部長と会ったと言いましたが、具体的に何という人ですか。その人が一番責任のある人なのですか。
これは、社長と市長が契約しているのですよ。それから15年もたった。15年ですよ。15年たって、行って玄関払いをされて、ただ、さようならと帰ってくるようでは、これは15年間で札幌市民が相当損害を受けていますからね。なぜかというと、これが2年以内に建ったら、固定資産税は入ってくる、従業員の所得税、その他いろいろな税金が入ってくる、市の活性化にもなる、経済の活性化にもなる。
これは、過去を言いますと、この土地はどうしても必要だということで、当時、私は経済局で議論したことがあります。それだけに、何としてもこの真栄の土地が欲しいということで、昔を言えば、札幌トヨペットの社長で岩澤 靖という人がいました。仕手戦で負けて、この土地をマルハ・大洋に抱きかかえられた、そのマルハ・大洋が持っていた土地なのですよ。札幌市はその土地を購入しに行った。そこでどうなったかというと、今、私が裁判をやっている新琴似の土地と、そして、今、武市委員はいないけれども、手稲の西友が建っている土地、この二つを札幌市がマルハにやったのです。
ところが、マルハは、等価交換したけれども、やった金額の方が多くて、逆にマルハから1億9,200万円をいただいたということです。当時、こんな等価交換があるのかと叫んだのです。それで、今、私は新琴似の土地で裁判をやっているのです。いわく因縁の土地だ。
それはさておいて、ここの地目は雑種地になっています。62億円をかけたのですよ、この造成費全体で62億円です。62億円のうち、日本電気は約15億3,500万円、リコーが約3億7,000万円、こういう内容になっています。なぜ雑種地にしておくのか。雑種地というものは、固定資産評価額の50%の税金が免除されるのです。土地の税金は、第18条に、本契約締結後、土地に賦課される公租公課は、要するに税金ですが、乙、すなわち日本電気、リコーが負担することと書いてありますけれども、これは、年間幾らで、15年間でどのくらい税金を納めてもらいましたか。
◎谷口 経済局産業振興部長 最初のご質問で、NECの不動産担当の部長ですけれども、中村と言う者でございます。経済局長が昨年の10月に行かれたときにも、この中村部長にお会いして立地を要請したところでございます。
それから、契約書の第18条の関係でございますけれども、今、委員がおっしゃったように、本契約締結後、土地に賦課される公租公課については乙が負担するという形になってございます。この場合、乙とは日本電気のことでございますが、これにつきましては、公租公課が発生した場合には、日本電気がいわゆる納税義務を負担する当事者となることを明示した規定であるというふうに私どもは理解してございます。
それから、納税額のお話でございますけれども、課税内容につきましては、地方税法第22条の規定で定める秘密の漏えいに関する罪に抵触することから、情報を開示できない旨、税務当局から回答をいただいているところでございますので、お答えはできないということでございます。
◆伊与部敏雄 委員 これは、先ほど言いましたように、部長、第10条に2年以内で建設しなさいと契約書に明確にのっているのですよ。2年以内ということは、もう15年もたっているわけです。そこで、札幌市民は62億円出して、そのうち約20億円の土地に対する税金を日本電気は負担しているのですか、していないのですか。日本電気が公租公課を負担しているのかしていないのか、どうなのですか。
◎谷口 経済局産業振興部長 負担しているか負担していないかについても、先ほどのご質問にお答えしたように開示できないものですから、お答えはできないということでございます。
◆伊与部敏雄 委員 公租公課は日本電気が負担すると。札幌市は本当に課税しているのですか。15年間、課税してきたのですか。
しかも、雑種地です。これは、団地をつくったら、みんな、売れるまで雑種地にしておくのですか。その辺も具体的に答弁してください。
◎谷口 経済局産業振興部長 課税上の問題なので、私からはお答えできないということでご了解いただきたいと思います。
◆伊与部敏雄 委員 契約したのはあなたたちでしょう、ずばり言って。税務ではないですよ。これは、答弁できないのですか。どうして雑種地になっているのですか。団地というのは、全部、雑種地なのですか。建てたら宅地とか工業用地とかになるのですか。土地の地目が雑種地になっています。雑種地の税金の賦課額は、固定資産評価額からいったら50%引きなのですよ。これは、私も、今、裁判をしていて、一生懸命に勉強しました。雑種地というのは安いのですよ。何でこれを雑種地にしておくのか。
○高橋功 委員長 先ほどの課税しているかどうかについては答えられないと、これはわかりました。
ただ、今、伊与部委員からどうして雑種地のままにしておくのか、このことですね、この答弁をお願いします。(発言する者あり)
◎谷口 経済局産業振興部長 私ども経済局としては、お答えできないのでございます。
○高橋功 委員長 雑種地について、団地を造成したらどうするのですかという質問ですから、これは経済局で答えられるのではないのですか。
答弁に時間がかかっているようです。
伊与部委員、もし違うことがあれば先に進めてください。
◆伊与部敏雄 委員 実は、二つとも、平成14年1月15日に土地売買変更契約書をつくっているのです。なぜつくったかというと、先ほど言った平成3年時点では、10年間、転売してはいけませんという契約書になっているわけです。それはなぜかといいますと、我々が想定するには、バブル時代で土地がずっと上がっていましたから、上がったときにぼんと売って金もうけをするようなことはできませんという契約なのです。
ところが、10年たったものだから、そして何もやっていないものですから、平成14年1月15日付でまた10年長くして20年に改めるという変更計画なのです。これは、どうしてこういうふうなことになったのですか。
片方では、先ほど谷口部長と経済局長が東京の本社へ行って、ぜひひとつと。この前の本会議の答弁では、転売を含めた適切な早期の土地の利活用を図られるよう積極的に働きかけてまいりたいと考えていますと言っているのだよ、転売も含めて。これは、だれが転売するのか。札幌市が転売するのか。日本電気が転売するのか。
矛盾するのは、これからまた長引かせる、20年にすると、20年は売ってはだめですという契約書をつくっておいて、片方では転売だと。これはどういうふうに解釈すればいいのか、明らかにしていただきたい。
◎谷口 経済局産業振興部長 まずは転売の件でございますけれども、これは、日本電気がみずから転売するという意味でございます。
それから、ご質問の平成3年に締結したものを平成14年に変更してございますけれども、これにつきましては、まさしく今、委員からお話がありましたように、平成3年に締結いたしました土地売買契約における権利の移転や買い戻しの特約等にかかわる規定の制限期限が10年後の平成13年3月に満了となりますことから、平成14年1月に土地売買変更契約を締結いたしました。
これは、引き続き、ハイテクヒル真栄という団地のコンセプトを保全していくために、本市が意図しない第三者へ土地が譲渡されることのないよう対抗するために設けたものでございまして、新たに再売買予約の規定を設けたところでございます。
◆伊与部敏雄 委員 部長、私は、非常に議会を軽視しているのではないかと思います。ここに佐藤美智夫委員もおります。平成14年1月15日には、この人は議長をやっていた。元議長に聞いたら、そんなことは知らないと言う。我々も知らなかった。1期生は知らないでしょうね、平成15年に出てきたからね。平成14年には、我々も知らなかった。議会には一つもなかった。15億円の土地の話、62億円も総事業費をかけてつくった団地の話を、全然、議会に報告もないし、さわりもないし、各会派に相談といいますか、あいさつもありません。全然ない。これは、佐藤美智夫議長ですらわからないのですから、偉かった人がです。副議長はやめた加藤 斉さんだったのですがね。わかりません。どうして、簡単にあなたたち局だけで、部だけでこんなことをやれるというふうな、そういう感覚でいるのですか。
先ほどの雑種地にしても、いつ雑種地から地目変更するのか。そのことによって札幌市民が大変な損害をこうむっています。15年前にできていたら、都市計画税から所得税、住民税から法人市民税と、さまざまなものが入っています。これは大変なことですよ。
そして、先ほど、あなたたちが本社へ直接行って、そして土地担当部長にあいさつをして、何とかひとつ活用をしてくださいとお願いしてきたと。これはお願いするようなものではないですよ。契約しているのですから、向こうを呼びつけてやるような形にするのが日本の常識ではないですか。世界の常識ではないですか。経済局は、常識を全く履き違えている。間違っているのですよ。
これは、損害賠償ものですよ。損害賠償を幾らにするかは別にして、法律では100分の10くらい損害賠償を請求できることになっている。私は、15年間のさまざまなことを積み重ねて、日本電気並びにリコーに対して損害賠償を請求するべきだと思うのですけれども、いかがですか。
◎谷口 経済局産業振興部長 議会の関係を先に答えさせていただきます。
先ほどお答えさせていただきましたけれども、これにつきましては、先ほどの答弁を繰り返させていただきますが、団地のコンセプトに合わない第三者に土地が譲渡されることに対抗するために行ったものでございまして、いわゆる団地のコンセプトを引き続き担保していきたいということでとった必要な措置だというふうに考えてございます。
しかしながら、確かに、委員ご指摘のように、市政を推進していく上での重要な事項につきましては、今後とも、事柄の内容を十分に精査して、議会への報告や議会でのご審議をいただくなど適切に対応してまいりたいと思っております。
それから、損害賠償請求の件でございますけれども、これまで15年間、未利用であったということの背景には、契約後、バブルの崩壊とかIT革命など、経済環境、産業構造の予想をはるかに超える大きい変化があったということで、これまでNECといろいろ協議する中で、札幌市としても、そういう面からすると事業開始がおくれてきていることもやむを得ない側面があったというふうに認識しておりますので、損害賠償の請求は考えているところではございません。
◆伊与部敏雄 委員 部長、繰り返すようですけれども、あなたと経済局長がお願いに行ったわけですな。何をするために行ったのですか。子どもの使いではないのだ。大人なのだから、しかも大幹部なのだから、行って何をしてきたのですか。
私が聞きたいのは、これは、だらだらと15年も来たのだ。これからまた10年も待てと言うのかということを聞きたいのです。しかも、昔からいわく因縁つきの土地なのだから、はっきり言って。
局長、部長が本社へ行って、早急にだとか、そんな抽象的なことではない。もう来年にも売るかどうかしなかったら、罰金というか、損害賠償を求めますよ、違約金をかけますよと。もともと2年以内に建てるという契約に違反しているのですから、それをばしっと両者に言わなかったら、札幌市はなめられてしまいますよ。なめられっ放しです。
どういうことですか。この辺をはっきりと、それこそ透明性を明らかにしていただきたい。我々だって知る権利がありますよ。あなたは、さっき、税金を払っているか払っていないか、課税しているかしていないか、それには答弁できないと言いました。答弁できないならば、答弁できる税務を呼んでくればいいではないか。
そうしたら、税務を呼んでくるか。5分ほど休憩して、電話で議会事務局が税務を呼んできたらすぐ答弁できるでしょう。(発言する者あり)
そういう答弁はだめですよ。もう一回、答弁してください。
◎谷口 経済局産業振興部長 日本電気に対する働きかけでございますけれども、先ほど言いましたように、いろいろな状況の変化があって今の事態になっておりますが、今の事業開始の延長が2年間でございまして、来年3月に一つの区切りを迎えますので、それに向けて、再度、自社、それからグループ企業を含めた利用促進を要請したところでございます。日本電気からは、社内状況が大変厳しいということで、先ほどちょっとお話がありましたように、コンセプトに合う他社への転売を考えたいといいますか、そういう意向を示されたところでございます。
今、伊与部委員がおっしゃるように、私どもとしても、第一に団地の活性化といいますか、そこに来ていただくことが優先でございますので、この場合、転売も視野に入れた形で利用促進を図れれば雇用にも結びつくことにもなります。
それから、一昨年、隣接地の日立ソフトが持っていた土地も、アミノアップというところに転売され、利活用の目鼻がある程度つきました。そういう土地の動きも出てきていますので、そういう中で、ある面で転売も視野に入れた形での利活用を早急にやっていただきたいということでお話しさせていただいたところでございます。
◆伊与部敏雄 委員 先ほどの答弁が来ていませんけれども、いずれにしても、62億円も費やして団地をつくり、約20億円の土地代をもらっているわけですよね、はっきり言って。2年以内に建てますから何とかこの土地を売ってくださいというふうに来たので、札幌市は売ってあげた。ところが、建物は建たない、操業しない、税金は入ってこない。この予算によると、1億3,200万円の中で、草刈りだとか維持管理費だとか、はっきり言ってここの土地にも予算がついているのですよ。幾らついているのかわかりませんけれどもね。さっきそういうふうな答弁をしていますから、これは、やはり真剣に受けとめていかなければならないと思いますよ。
あなたたちは一生懸命頑張っているけれども、15年間です。15年前からの話で、今の話ではないわけです。これは、議会で真剣に議論して、本当に緊張感を持った対応をしないと、また、だらだらと行ったら、だれが損をするのかといったら札幌市民全体の損なのです。だから、これは真剣に取り組んでいただきたい、そう思いますよ。
先ほどの質問に、答弁できるのであれば答弁してください。
○高橋功 委員長 先ほどの地目の変更はどの段階でという質疑に対しての答弁は今できますか。
◎志賀
開発事業部長 今、調べていまして、この場では答弁をいたしかねると思いますので、後ほど……。
○高橋功 委員長 後ほどではだめです。伊与部委員にだけ言えばいいというものではありません。
伊与部委員、後日、委員長において、しかるべきときに、この委員会の場できちんと答弁させることでよろしいですか。
◆伊与部敏雄 委員 委員長に任せます。
きょうはこれで終わりますではなくて、その件を留保して終わらせていただきます。
○高橋功 委員長 1点だけ留保し、以上で、それ以外の議案第3号等の質疑を終了したします。
本日はこれをもって終了し、次回は次週14日火曜日午前10時から子ども未来局及び保健福祉局関係の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後5時23分...