札幌市議会 2005-10-14
平成17年第二部決算特別委員会−10月14日-05号
平成17年第二部
決算特別委員会−10月14日-05号平成17年第二部
決算特別委員会
札幌市議会第二部
決算特別委員会記録(第5号)
平成17年(2005年)10月14日(金曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33人
委 員 長 井 上 ひさ子 副委員長 本 郷 俊 史
委 員 小 谷 俵 藏 委 員 佐 藤 美智夫
委 員 武 市 憲 一 委 員 上瀬戸 正 則
委 員 三 上 洋 右 委 員 宮 村 素 子
委 員 馬 場 泰 年 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 勝 木 勇 人 委 員 山 田 一 仁
委 員 長 内 直 也 委 員 村 山 秀 哉
委 員 湊 谷 隆 委 員 伊与部 敏 雄
委 員 川口谷 正 委 員 大 西 利 夫
委 員 小 野 正 美 委 員 三 宅 由 美
委 員 藤 川 雅 司 委 員 桑 原 透
委 員 小 田 信 孝 委 員 三 浦 英 三
委 員 芦 原 進 委 員 阿知良 寛 美
委 員 小 川 勝 美 委 員 坂 本 恭 子
委 員 小 形 香 織 委 員 田 中 昭 男
委 員 小 林 郁 子 委 員 坂 ひろみ
委 員 松 浦 忠
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開 議 午前10時
○井上ひさ子 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項はございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第3款 保健福祉費 第2項 児童福祉費のうち
子ども未来局関係分及び
母子寡婦福祉資金貸付会計決算について一括して質疑を行います。
◆宮村素子 委員 私からは、
児童相談所の機能充実についてお伺いします。
児童虐待問題につきましては、依然として全国的に深刻化が増してきております。今まで私は児童虐待問題に関しまして、虐待の予防対策、早期発見と対応、虐待をした親の心のケア、虐待を受けた子どもの心のケア、さらに虐待家族の再統合に向けて支援の取り組みを求めてまいりました。さらに、専門職の配置も必要だと主張いたしまして、保健師の配置も求めてきたところでございます。その結果、この2年で
児童福祉司3名の増員が図られたところでありますが、まだまだ児相の機能強化が必要であると思っているところであります。
そこで、虐待の相談状況についてお伺いいたします。
1点目は、16年度の虐待の
取り扱い状況について、年齢構成や件数などについてお伺いします。
2点目は、16年度に虐待として取り扱ったケースについては、どのように処遇されているのか、お伺いいたします。
◎柴田
児童相談所担当部長 ご質問のございました2点につきましてお答えいたします。
まず1点目の平成16年度における児童虐待の
取り扱い状況についてですが、昨年度、相談、通報を受けたもののうち、虐待として認定したものは242件に上っており、前年度と比べますと約1.2倍となっております。
また、虐待を受けている児童の年齢構成についてですが、3歳未満が35件、3歳から小学校就学前までが47件、小学生が111件、中学生以上が49件となっておりまして、小学生以下で全体の約8割を占めている状況にございます。
次に、2点目のこれらのケースの処遇についてですが、
児童養護施設などへの入所、あるいは里親への委託を行ったものが60件ございました。残る182件につきましては、
保健センター、保育所、学校などとの連携を図りながら在宅指導を行っております。
なお、虐待の認定件数242件のうち、一時保護を行ったものは87件ございますが、そのうち約半数の41件につきましては、在宅指導となっております。
◆宮村素子 委員 ただいまの答弁によりますと、相談件数は依然として増加しておりますし、被虐待児の年齢構成の中で就学前が35%、小学生が45%、中・高生、その他を含めて20%、大まかにくくると大体そういったことになるのかなと思います。そして、ここ数年、同様の傾向を呈しているのかなと思っております。
また、処遇の状況からも施設入所が3分の1、在宅指導が3分の2となっており、一時保護の5割が
家庭引き取りとなっているわけで、再発防止の観点から、在宅における親の指導と、一度壊れた家族関係の再統合への
高度専門的支援がより求められていると思います。
そこで、質問いたします。
在宅指導についてですが、どのようにその家庭を支援しているのか、お伺いいたします。
もう1点は、施設入所等で、親子が長期間にわたって分離したケースについて、家族再統合に向けてどのように支援されようとしているのか、お伺いいたします。
17年1定では、研究するという答弁でございまして、私はがっくりしておりましたが、前進しているのかどうかお伺いしたいと思います。少なくとも、先ほど出ましたデータの中で、家族をしっかり支えていくサポートがより望まれていると思うわけでありますので、この2点をお伺いします。
◎柴田
児童相談所担当部長 在宅指導及び家族再統合に向けました支援の2点につきましてお答えさせていただきます。
1点目の在宅指導につきましては、通所や家庭訪問を通じて行っております。具体的に申し上げますと、子どもに対しましては、児童心理司が医師と連携を図りながら心のケアを行い、また、保護者に対しましては、
児童福祉司が関係機関と協力しながら指導・助言を行っておりまして、必要に応じて精神科医のカウンセリングを受けていただいております。
次に、2点目の施設入所などで、長期間にわたって親子分離を行っている場合の家族再統合に向けた支援についてです。
この場合におきましても、親と子ども双方へ在宅での指導と同様のケアを行いますとともに、さらに施設との連携を図り、面会、外出、外泊を段階的に行う中で、親子関係の状況を確認しながら、家族での生活が実現できるよう支援してございます。
また、この10月からになりますけれども、在宅指導や家族再統合に向けた取り組みといたしまして、4月に配置した精神科医と
児童福祉司、児童心理司による、親を対象とした
グループ指導を始めたところでございます。
◆宮村素子 委員 ただいまの答弁によりますと、虐待をした親と被虐待児の心のケア、それから家族再統合への支援については、より多角的な視点が必要ということであり、少し前進したかなと思うところでございます。精神科医が1名配属になったということで、専門的な立場での支援が期待できるところです。しかし、家庭に返すケースが242件中182件で、一時保護しながらも、いろいろ調査をし、家庭に返すケースが圧倒的に多いわけです。
私は精神科医が1名配置になったのはいいことだと思いますけれども、それで全部のケースに対応することはできないですよね。より必要なところに必要なケアをしているんだとは思いますが、今までの児相の対応では、児相にお世話になる
子どもたち、またはそこに関連する親は、心に何らかの傷を持っているわけですし、疾患を持っているわけです。そうしますと、そこをケアしていくには人員的に大変寂しい限りだなと思っているんです。
児童福祉司だけでは、もう対応し切れない状態は確かだと思いますし、そこに精神科医が1名加わっただけでは、今まで以上に、格段と対応が深まっていくとか、より専門的にできる分野はそんなに数多くできないのではないかと、人的な不足を感じるところです。
私は、今まで、人的な資源としまして、保健師の配置を提案してきております。保健師は家庭訪問ができるわけですし、疾病を持つ親への看護的なかかわり、特に精神疾患を持っている親が多いというのは以前からお聞きしているところですが、そういった方たちにメンタルヘルス的なかかわり、そういった技法も持っているわけですね。それから、育児能力がなくて虐待に陥っているとか、虐待に類したような行動も扱っているわけであります。そうしますと、保健師は育児能力を高める技術的な指導もできるわけです。
そんなことを考えますと、保健師の配置を新年度からすべきではないかと。私は、11月からでも配置を求めたいところでございますが、ぜひ、新年度は考えていただきたいと思います。
児童福祉法の改正、また、虐待防止法の改正に伴いまして、保健師の配置が明記されておりますし、ことしの厚生労働省の
児童家庭相談体制研究会の中間まとめによりましても、児相への保健師の配置がより必要だということもそこで提案されているわけです。
そこで、最後の質問になりますけれども、児相の
高度専門的機能強化のために、保健師を配置すべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎柴田
児童相談所担当部長 保健師の配置につきまして、お答えさせていただきます。
児童虐待ケースへの対応やその後の指導を行うためにも、保健師の持つ専門知識や経験を活用することで、より多角的な視点を持ってケースに対応することが可能になると思いますので、保健師の配置に向けまして関係部局と協議してまいりたいと考えております。
◆宮村素子 委員 要望させていただきますけれども、
児童相談所の職員の方が一生懸命やっているのもわかりますし、養護施設に出向いて
子どもたちの処遇状況を見ますと、やはり職員の方は一生懸命やっていると理解するところですが、いろいろな養護施設を含めて地域の活力を利用できるよう、もっと児相の機能が開かれたものになるべきだなと思っているわけです。これは次の機会にきちっと準備して質問したいと思います。
少なくとも保健師の配置はより求められておりますので、局長がかわられたばかりではございますけれども、ご努力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
◆川口谷正 委員 保育所の件にかかわりまして3点お伺いをいたします。
1点目は、保育料の件であります。2点目は、病後の児童保育といいますか、病気をして回復期にある子どもの保育のあり方について、3点目は、市内の保育所の格差是正ということについて、3点お伺いしたいと思います。
1点目の保育料の件につきましては、せんだっての代表質問で、我が会派の村上委員が今後の取り組みについて、保育料の適正な負担のあり方をお伺いしたところであり、11月に札幌市の
社会福祉審議会に諮るという答弁をいただいているところであります。審議会に諮るに当たって、私としても、各関係団体などと意見交換の場を設けるなどして、十分な議論をいただきたいと思っています。
質問の1点目として、11月に開催する審議会は、それをスタートとされるわけですけれども、その後のスケジュールはどのようになっているのか。
それから、2点目は、審議内容についてであります。
保育料は98年以来ずっと据え置かれておりまして、その後、時間も経て、子育て世代の所得階層の変化であるとか、あるいは就学前の子どもの施策のあり方などを踏まえた幅広い議論が必要ではないかなというふうに思います。
このことから、さきの代表質問で、すべての
子育て家庭に対し支援していくことを審議する必要性について指摘してきたところですが、子どもを産み育てるという
社会環境整備のためには、負担一辺倒という保育料の見直しだけでは、社会全体で支え合うという
仕組みづくりがなかなかできていかないのではないかなというふうに思います。
その点では、今から7年前に開催された
社会福祉審議会では、
児童福祉法の改正がありまして保育料徴収の考え方が変わったことや、国の
徴収金額基準額表の階層区分が簡素化されたことなどによって審議会の意見を求めたものでありますけれども、その後、環境が大きく変化しておりまして、改めて保育料のあり方について審議するわけであります。
そこで、今回、審議会にかけるに際して、基本的にどういう姿勢で臨んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
◎山本
子育て支援部長 保育料の問題についてお答え申し上げます。
保育料の受益者負担の見直しにつきましては、来月の
社会福祉審議会の中でお諮りをすることになっておりまして、この中で十分審議していただく考えでございます。
また、審議会へ臨む基本姿勢につきましては、今後、持続可能な
保育サービスを展開するために、保育所の利用者負担のあり方についてご審議していただきたいと考えております。
また、子育てにかかわるさまざまな負担は、可能な限り社会全体で共有、分担し合うことが必要であると考えておりますので、
子育て家庭に対する新たな支援のあり方についても検討していただきたいと考えているところでございます。
◆川口谷正 委員 子どもを育て、そして仕事をしていくことの困難さは、現在の出生率の低下傾向にも、事実としてあらわれているのではないかなというふうに私は思います。やはり、男と女の平等な関係、そういう法律ができて施行されているわけでありますけれども、残念ながら決して平等ではない社会ではないかなと。
私は、いつも思いますけれども、少子化傾向というのは、女性の側からの無言の反乱というか、抵抗ではないかなと思うんです。社会全体もよほどそこのところを考え直していかないとだめなんですが、保育料を検討することについても、98年から据え置かれており、私どもとしては、単に負担増という結果に落ちつくことのないような検討を期待したいというふうに考えております。保育料の関係については一応了解をいたしました。
次に、病後の児童保育の問題であります。
病後の児童保育は、いろいろ表現されておりまして、病児保育でありますとか、あるいは札幌市の表現で言いますと、
乳幼児健康支援デイサービス事業という長いネーミングであります。これは余り話題になることは少ないのでありますけれども、子を持つ親にとっては非常に深刻な問題であります。
この
パンフレットにもありますけれども、皆さんにもご理解いただくために、その仕組みを簡単に申し上げますが、ここで言われているのは、要するに、回復期にあって集団保育が困難なお子さんを、勤務の都合などによって家庭で保育できない保護者にかわって、市内の
特定医療機関の施設で一時的にお預かりするもので、就労と子育ての両立を目的とした事業であると、札幌市はそのように位置づけております。
これはこれで非常に大事なことでありまして、私がこれから申し上げたいことは、事業名が長いので、病児保育というふうに言わせていただきますけれども、現在の札幌市の
病児保育事業そのものが非常に貧弱であるということを申し上げたいというふうに思います。
病児保育について、一つは、やはりこの事業をもっとPRすべきではないかなと考えております。現在は、市内に3カ所の施設があり、共働き家庭の増嵩や女性の社会進出が進む中で、子育てと就労の両立にはこの事業は不可欠なものだと考えています。
しかし、私も十分承知していなかったことでありますが、事前に病児保育の登録をしなければならないということがありますし、それから、3カ所の施設が連携して機能しているのかどうかということについても、肝心の
保護者サイドがよく知らない面があったりするわけでありまして、今後、これについて積極的にPRをすべきではないかなと思うんですが、この点お答えをいただきたいと思います。
それから、2点目でありますけれども、利用状況と施設の不足状況について、どういうふうに認識されておられるかということであります。
病後のお子さんを保育園に預けてお母さんは職場へ行きます。例えば、子どもがぜんそくでも何でもいいんですが、一応小康状態になって、園に預けて職場に行っているときに、発作が起きたらどうするのかというと、保育園では、その子どもの状態を見て、直ちに親に連絡するわけですね。親は職場に直接電話が来て、慌てて保育園に戻り、子どもを一度引き取って最寄りの病院で診断を受け、この事業の利用連絡書という書類へ証明していただいて、それを持って札幌市の3カ所の施設に向かって、そして一時保育をしてもらうという流れになっていくわけです。非常に煩雑であると。
それから、その施設が札幌市内には東区、手稲区と豊平区のたった3カ所しかないわけです。
子どもたちの数を見ますと、10区に分かれて1万5,000人が保育を受けておられるわけで、私の認識で言うと、今は1割増しぐらい保育されていますから、1万6,000人としますか、1万6,000人の子どもは、いずれ何かのリスクを抱えて育っているわけですから、大げさに言うと1万6,000人分を緊急に受け入れるような数が必要ではないかと、理屈としてはですね。ところが3カ所しかないと。しかも、3カ所の定数が1カ所4名ですから、四三、十二人分しか受け皿がないという状況になっているわけでありまして、まことにこれは足りないと私は思うんです。
来年度の施設整備数5カ所というふうにありますが、現状とこれらの計画等をつけ合わせてみますと、いささか不安を覚えるわけでありますが、どう考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
それから、これに当然関連してくるわけでありますけれども、現在の施設というのは、病院に併設しているわけですが、天使病院の
天使こどもデイサービスセンター、中の島の
北海道社会保険こどもデイサービスセンター、手稲の
渓仁会こどもデイサービスセンターの3カ所があります。これはいずれも医療機関型というふうに呼ばれているわけでありますが、そうではなくて、保育所に併設するという考え方が有効で、必要ではないかと思います。
これは、園に子どもを預けているお母さんから直接伺ったわけでありますが、このお母さんはお子さんを1人亡くしていらっしゃって、園から連絡があったら大至急行って、病院で子どもを診てもらって、それから
天使こどもデイサービスセンターへ行くと。行く前に電話するわけですね、ところが、実は今4人入っていて満杯で、これ以上受けられないということになると、お母さんはそこから仕事を休まなければならないということになるわけですね。ですから、もし、それが病院ではなくて、保育園に併設された形で、例えば、最寄りの小児科などがあれば、保育園が親にかわって病院へ連れていき、そして引き続き一時的に保育していくことが可能になるということを訴えられているんですよ。
したがって、今後、計画はあるでしょうけれども、保育所に併設をした形での
デイサービスも検討すべきではないかなと思っているんですが、この点についてもお答えいただきたいと思います。
◎山本
子育て支援部長 3点お答えしたいと思います。
まず1点目の
デイサービス事業のPRにつきましてお答え申し上げます。
乳幼児健康支援デイサービス事業につきましては、現在、委員ご指摘のように市内3カ所で実施しているところでございます。札幌市といたしましても、子育てと就労の両立が可能な環境づくりが強く求められていることから、今後も多くの市民に利用いただけるよう
認可保育所や地下鉄駅などでの
パンフレットの配布、また、ホームページをより多くの方にごらんいただけるような工夫を実施していきたいと思っております。今後とも、積極的なPRに努めたいと考えております。
2点目の施設の不足状況に対する認識でございます。
乳幼児健康支援デイサービス事業につきましては、今後、ニーズがさらに高まっていくものと考えておりまして、17年度においては1施設の新規開設を図るべく設置場所等も考慮しつつ、現在、準備を進めているところでございます。
また、ご質問の中にもありましたように、新
まちづくり計画におきましては、18年度までに4カ所の整備を図ることになっております。まずはこの実現に向けて最大限の努力をしていきたいと考えております。
それから、
保育所併設型の検討でございますけれども、この事業につきましては、病気回復期にある児童の保育に当たるという施設の特殊性から、札幌市におきましては、その委託先につきましては医療法に定める病院または診療所の開設者としております。
病気回復期の児童を預ける保護者の不安感を可能な限り軽減し、児童のさまざまな状況にも即時的な対応を可能とするには、
医療機関併設型の開設が望ましいと考えているところでございますが、今後につきましては、施設の改修、建築する際に、地域の状況等を踏まえて、委託先についても検討してまいりたいと考えております。
◆川口谷正 委員 最後にお答えいただいた部分で申し上げますと、基本的には医療機関型を目指していくということでありますけれども、保育所型についても視野に入れているようなご答弁でありましたが、そもそもこれは病児保育を1カ所施設化するということになると、予算としてはどのくらいかかるのか。
今は財政難で、あらゆるところを切り込まれているわけでありまして、これはやむを得ないとは思うんですけれども、札幌の将来を担う子どもに関しては、やはりこれは選択、集中、重点化で、むしろふやしていくべきだと考えておりまして、かつ医療機関型ではなく、保育所型を増設していただきたいというふうに考えております。
近郊の市町村を見てまいりますと、石狩市には1カ所そうした保育所型が存在しておりますし、道内では、基本的には保育所型が主流なわけですね。そういう道内他市町村と比較すれば、残念ながら札幌市は一番おくれているのではないかなと。
マンモス都市であるがゆえの状況かもしれませんが、ぜひ、保育所型についても前向き、あるいは重点的に検討願いたいと思っております。
また、そういう保育所型をやってみたいという意欲を持っている園もありますので、今後、検討の際はぜひ視野に入れていただきたいというふうに思います。
施設の不足状況について、もうちょっとつけ加えますけれども、三つの施設で12人の受け入れ枠しかないということ。さらに1カ所に4人であります。感染症の子ども用に一つ部屋があるわけですが、例えば、風疹などが蔓延した場合は、1人が入ってしまえば次の人は入られない、風疹同士は入れるらしいんですが、それ以外の水ぼうそうとかになると、その子は風疹の子と一緒に入れないということになりまして、事実上排除され、保育をされないということにつながっていくわけであります。そういう意味では、やはり枠の拡大ということが、今、緊急に求められている事態であります。保護者からは、共通した切実な問題だということが訴えられておりまして、ぜひ、前向きに検討願いたいと思います。
三つ目の保育所の格差是正について申し上げたいと思います。
保育所はたくさんあって、資料によれば、市内で181園、民間が155園で公立が26園だと思いますけれども、実は、公立はともかくとして、民間の保育園の保育内容、ソフトと施設の内容、ハード、ここに大きな格差があるという現実がありまして、これに関する苦情も時々私どもに寄せられます。利用される場合は、公立の保育園を含めたどの
認可保育所を利用しても、同一基準の保育料を負担することになっているわけであります。しかし、施設によっては、保育の実施内容について大きな格差があります。
一つの例でありますけれども、韓国から北大に留学している方ですが、北区の某保育園に子どもを預けた。日本の保育というのはこういうものだと思っていたんですが、ちょっと事情があってその保育園をやめて別な保育園へ行ったわけです。そうしましたら、最初の保育園と2カ所目の保育園が余りにも保育の内容、ソフト・ハードとも格段の差があったと。つまり、最初の方は非常に劣悪だったということで、天国と地獄というか、余りの格差にびっくりしたと。日本の保育というのは、最初はこんなものだと思っていたけれども、そうでないんだと見直したというわけです。
私は、その話を聞いて、本当にこれはまずいなと、155の保育園は、はた目には子どもを受け入れて、本当に愛情いっぱいで育てているように見えるのですが、与えられる食事の中身を厳密に見れば、メロンを食べさせているところ、トマトだけで終わっているところ、細かなことを言えばたくさんあるんですが、私は、一つには、やはり保育士の資質の向上が求められるのではないか、あるいは経営者のマネジメントの向上ということが求められるのではないかなと思うんですが、日常の運営指導についてどう考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
保育士の資質の向上に向けて、どういう研修を実施しておられるのか。園によっては園長ばかりが研修へ行くわけですね。全国各地で持ち回り的に研修が行われるわけでありますけれども、何十年来も園長しか行かない、現場の保育士がだれも行かないと。研修はちゃんと受けておりますという形は整っているんですが、現場にそれが反映されていないという実態があるわけです。この保育士の資質向上の研修実施状況についても、お答えいただきたいと思います。
◎山本
子育て支援部長 研修に関して2点お答えいたします。
保育所の運営指導でございますけれども、
認可保育所における苦情解決の仕組みにつきましては、ご質問のとおり非常に各園の格差等々が現実に一部では見受けられるところでございます。
ご指摘のように、すべての
認可保育所におきまして、苦情解決の処理を行うための第三者委員の選任や、解決結果の公表を含めた解決処理の仕組みを構築する必要があるだろうと考えているところでございます。
したがいまして、今後は、早期にすべての
認可保育所に苦情解決の仕組みを構築するとともに、本来目指すべきである、苦情の出ない保育環境の実現に向けて、より一層のきめ細かな日常の運営指導を実施してまいりたいと考えております。
それから、研修の実施内容でございますけれども、保育士の研修につきましては、札幌市が主催するもののほか、
認可保育所が組織する団体などとの連携の中で、集合研修を中心に研修会を開催しており、16年度の実績で言いますと、年間27回の研修会に公立、私立合わせて延べ約1,400人が参加しております。
その内容につきましては、新任保育士の心得といった経験年数に応じたものや、夏の遊びや冬の遊びといった日常の保育にかかわるもの、または発達心理学といった保育のための知識を深めるものなど、さまざまなテーマを取り上げております。
また、日本保育協会や北海道社会福祉協議会などが開催する研修会などにも、各
認可保育所が独自に参加しており、これらを通じて保育士の資質向上に努めているところでございます。
◆川口谷正 委員 子どもは、おおむねその保育園しか知りません。そこへ行って、2〜3年で卒園して小学校へ行くことになりますので、親も子もこういうものかと思い込んでいる点が多いのではないかなと思いますが、移動することによって、その差が歴然とし、これではいけないのではないかなと。多少の違いというのはやむを得ないと思うんですが、先ほどの韓国の方の体験などから言えば、ひど過ぎるというふうに思います。
例えば、いろいろイベントもやるわけですね。大体運動会が一般的だと思うんですが、ある園では、運動会を最寄りの公園を借りまして、保護者もみんな集まって、十分な場所をとって見ることができ、場合によっては保護者も運動会に参加するということもあるようで、そういうゆったりとした環境の中でやっているところがあります。ところが、ある園では、お寺の境内の駐車場、これは舗装済みのところですが、その日は車をとめないで運動会をやると。保護者が見るには狭過ぎて十分に見られない、猫の額のようなところで運動会をやると。
これを比較したら、子どもの発達上どちらが望ましいかはっきりしているわけでありまして、お寺の境内でやるような実態があるとすれば指導して、やはり近隣の公園を使うとか、公共的な施設の利用ということについても積極的に指導していただきたいなと思います。
最後に、現状の研修の実施内容とか実施回数を伺ったわけでありますけれども、効果的な研修をやっていくためには、ふだんの保育の実践の中から学ぶということと、それから集合形式などで実施される研修が密接に結びついていくのではないかなというふうに考えるとともに、そうした明確なねらいのもとで、これは体系的にやっていかなければならないのではないかなと思います。そのためには、それぞれの保育所に資質向上をゆだねるのではなくて、保育所全体を所管する部局が主体的に研修の実施に当たっていくことが大事だと思います。
そこで、
認可保育所の保育士の資質向上に向けて、今後、どういうねらいを持って研修をやっていくのか。また、計画的な研修を実施していこうとされているのかどうかについてお答えをいただきたいと思います。
◎山本
子育て支援部長 お答え申し上げます。 今後の研修の考え方につきましては、保育士につきましては保育を実施するための専門的な知識のみならず、親の支援に向けたさまざまな面において資質の向上を図っていく必要があり、そのためには、幅広いテーマについて体系的な研修を実施していくことが重要であると我々も認識しております。
また、保育士の資質向上のためには、保育士自身の自己啓発の意識を高めていくことも重要であり、日常の運営指導などを通じて、このための環境醸成にも努めてまいりたいと考えております。
◆三浦英三 委員 私からは、ミニ児童会館の整備についてお伺いをいたします。
ミニ児童会館は、児童会館を補完するものということで、児童の健全育成及び放課後の留守家庭児童対策を担う重要な位置づけの施設であると理解しております。当然、ミニですので、その名のとおり児童会館に比べ規模は小さく、利用する児童たちにとっては、何かと窮屈な思いをすることもあるかもしれません。
一方で、施設として行っている児童クラブなどの事業につきましては、児童会館と何ら違いはなく、かえって学校内にあるということで、放課後すぐに行けることから、利用する児童や保護者にとっては、より安全で安心できる貴重な居場所となっていると思うわけであります。
そこで、1点目の質問ですけれども、今年度を含むこれまでのミニ児童会館の整備実績と児童の利用実績について伺いたいと思います。あわせて、どのような考え方によってその整備を進めてきているのか、その整備方針や整備基準等があればお示しいただきたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 まず、ミニ児童会館の整備実績についてです。平成9年度の2館整備を皮切りといたしまして、今年度までに30館の整備を終えたところでございます。なお、今年度は4館の整備を行いまして、既に全館ともオープンさせたところでございます。
次に、利用実績でございますけれども、平成16年度で申し上げますと、1館当たりで1日平均45人の利用となっておりまして、この数は近年増加傾向にあるところでございます。
次に、整備方針についてです。
現在、ミニ児童会館は、まずは小学校区に児童会館や民間学童保育施設等のいずれもない、いわゆる空白校区での整備を優先的に進めてございます。加えまして、平成11年の
社会福祉審議会からの答申に基づきまして、学校施設方式児童育成会のミニ児童会館への転換も進めてきております。
また、整備基準といたしましては、一つは、児童会館が距離や道路事情などによって利用しづらい地域であることや、留守家庭児童が多く見込まれる地域であること、さらには小学校低学年の児童数がおおむね200人以上といった諸条件を勘案して対象校を選定しております。
なお、整備に当たりましては、2教室分程度の広さを確保することを基本としてございまして、当該小学校の余裕教室等の状況が大きな要素となっているところでございます。
◆三浦英三 委員 今、部長から答弁がありましたけれども、児童会館は中学校区単位を基本としているというふうに承知しております。今、百数館の整備を終えて、ミニ児童会館の整備も、今、報告があったように着実に進められていると。利用状況もだんだん増加傾向にあるということであります。私は、今後もますますミニ児童会館に対するニーズは高まってくるのではないかなと、このように考えているところであります。
この整備についてですけれども、今も説明がありましたように空白校区、ここをまず優先的に整備する。さらに、留守家庭児童数等を勘案しながら、余裕教室等の状況を見て整備を決めているというふうに理解しました。皆さんもご存じのように、本市の財政状況が厳しいというのは、当然、承知をしております。しかし、児童の健全育成、そして安全・安心な居場所確保のためにも、ミニ児童会館整備のスピードを落としてはならないと考えているところであります。
特に、札幌新
まちづくり計画に、16年・17年・18年の3年間で14館整備するという計画になっております。この計画につきましては、ぜひとも実現していただきたいと思っております。
そこで、再質問ですけれども、来年度以降の整備について、どのような方針で進めようとしているのかを伺いたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 来年度以降の整備についてです。
ミニ児童会館は、近年の
子どもたちを取り巻く環境の変化、今、委員からご指摘ございましたが、とりわけ、安全・安心な居場所はもとより、遊びの場といたしましても非常にニーズが高まってきておりますことから、今後も、空白校区の解消を優先に順次整備を進めてまいりたいと考えてございます。
なお、来年度につきましては、札幌新
まちづくり計画の中で予定されています残る6館の整備に向けまして、教育委員会など関係部局と協議してまいりたいと考えております。
◆三浦英三 委員 今、部長から残る6館を目指してというお話がありました。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
我が党では、チャイルドファースト、子ども優先という標語を掲げて、今、いろいろな施策に取り組んでいます。その観点からも、この整備についてはぜひとも最大限の努力をお願いしたいなと思っております。
最後に、今後の整備手法についてお尋ねしたいと思います。
先ほど来説明がありましたけれども、これまでは学校の余裕教室を利用する形で整備が行われてきたということであり、学校施設の有効活用の観点から、余裕教室を利用するというのは非常に理にかなっていると理解しております。
しかし、一方で、児童数が多い、またどんどんふえてきている学校については、先ほどのお話にあった2教室分の余裕教室は非常に生まれにくいのではないかなと。よって、ミニ児童会館のニーズがある学校ほど余裕教室等がない、十分な広さで整備できないということが起きるのではないかなと、素朴な疑問ですけれども、そのように思っているわけであります。
そこで、最後の質問ですけれども、これまでにそのような状況があったのかなかったのか。あわせて、今後、ニーズがあるのに空き教室がないというような状況になった場合には、どのように対処しようとしているのか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 まず、余裕教室などの少ない学校での整備についてです。
現行で2教室分の広さを基本としていることは、先ほどご答弁申し上げましたが、どうしてもその確保が難しい事例はこれまでもございました。そのような場合には、例えば、1教室分だけ確保いたしまして、多目的ホールを学校と共有していくですとか、また、1教室だけでも、体育館や多目的教室を開放してもらうなど、状況に応じた柔軟な対応をしてきたところでございます。
今後におきましても、2教室分を基本としますが、その確保が困難な場合でも、まずは子どもたちのために、できる範囲で整備をしていくことを第一に置きまして、学校や教育委員会の協力を得ながら、さまざまな工夫を凝らし整備してまいりたいと考えてございます。
◆三浦英三 委員 今、お話があったように、いろいろな工夫をしながら、所管部局でも、ミニ児童会の設置に向けて頑張っていることはよくわかりました。今後も、余裕教室の確保等々、そういうところほどミニ児童会館のニーズが高いわけでありますので、その中でさらに工夫をしながら、今まで以上に、教育委員会とか学校等とよく連携をとって、ミニ児童会館の整備をぜひとも進めていただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
◆小形香織 委員 私は、大きく3点質問をしたいと思います。
1点目は、こどもの劇場についてです。2点目は、子どもの権利条例についてです。そして、3点目は、民間学童保育所についてです。
最初に、こどもの劇場の質問です。
財政構造改革プランによって、この4月から札幌市こどもの劇場、やまびこ座、人形劇場、こぐま座の貸し室使用料を、596万4,000円の歳出削減効果があるといって減免を廃止してしまいました。
札幌市こども劇場条例は1976年に制定され、その第1条には、本市は、人形劇、児童劇等の制作及び発表と制作団体の育成を通じて、青少年の情操のかん養を図り、もってその健全な育成その他の活動に資するため、札幌市こども劇場を設置し、と書かれています。この条例がつくられて以来、札幌市の人形劇活動は営々と引き継がれ、こぐま座、やまびこ座が実施した人形劇教室などから多くのママさんサークルが育っていると、北海道人形劇協会理事長の宮本和志さんも語っています。
ことし3月には、減免制度が廃止されると知った人形劇団の方々から、上田市長と当時の武市市議会議長あてに要望書が出され、その文面には、子ども文化の発信地として大きな役割を果たし、たくさんの人形劇団、子どものための劇団を生み出し、はぐくむ母体となり、多くの子どもと家族に喜びを与えてきましたと述べながら、減免制度が廃止されれば公演料金は上げざるを得ない、公演そのものが困難になる劇団も出てくると、減免制度の継続を要望しています。
まず、ここで伺いたいのは、こうして営々と親から子へと引き継がれてきたこども劇場が、札幌市の子ども文化の向上にどのような役割を果たしてきたと考えておられるのか、その評価を伺いたいと思います。
質問の二つ目でありますが、子どもの権利条例についてです。
札幌市は、4月に子どもの権利条例制定検討委員会を立ち上げて、条例づくりに取り組まれております。出向き調査や、子どもと大人との懇談会、そして、この懇談会の中では、直接さまざまな声が聞かれました。
例えば、子どもの権利条約に関する授業を受けたことがない子どもがほとんどだとか、あるいは子どもの権利というものにまだ理解を示さない意見もあったと、検討委員会の中ではこんなふうに話されているようであります。検討委員会で熱く議論されていながら、市民にはまだ知らない人もいる。そういった実態もありまして、知らない人に対して子どもの権利というものがどういうものなのか、これを知らせる必要があると考えています。
そこで、市民や子どもたちへ、子どもの権利という考え方をしっかりと広げ、実効性あるものにしていくためにどのように取り組もうとされているのか、ここについてお伺いしたいと思います。
質問の三つ目でありますけれども、学童保育所についてです。
私が、ことし3月の予算特別委員会で質問した、民間学童保育所が4月1日現在で10名に満たなかった場合、早急に対策を打つべきだという件についてです。あの時点では、3カ所の民間学童保育所が10名に満たないかもしれないという状況だったかと思いますけれども、その後どうなったのか。救済策がとられたのか、とられたならば、どのような対策だったのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 最初に、こどもの劇場についてでございます。
まず、評価についてですけれども、札幌市こどもの劇場、やまびこ座で活躍する劇団の活動に対する評価でございますが、札幌市の子どもたちに生の人形劇、児童劇に触れる数多くの機会を提供しておりまして、子どもたちの豊かな感性をはぐくむ上で大きな役割を果たしております。まさに札幌が全国に誇るべきすばらしい児童文化であると考えてございます。
2点目の子どもの権利についてです。
子どもの権利に関する理解を深めていくための取り組みについてですけれども、これまでも子どもの権利条約の普及啓発活動を通じまして、市民の理解を深める取り組みを行ってまいりました。
しかしながら、子どもの権利に関する市民や子どもたちの理解がいまだに十分とは言えないことから、今後は、子どもの権利条例づくりの活動状況を発信するニュースレターですとかホームページ、フォーラム等を通じまして、市民の理解を深めてまいりたいと考えてございます。
また、教育委員会の取り組みといたしまして、子どもの権利に関する授業展開例の作成や、これを用いた公開授業の準備を進めていると伺ってございますので、これを契機といたしまして、子どもたちの理解がさらに深まっていくものと考えてございます。
3点目の学童保育についてでございます。
まず、年度当初の助成金申請に伴う登録状況で申し上げますと、平成17年度当初におきましては、昨年度登録されていたすべての育成会につきまして、10人以上の登録要件を満たしておりまして、引き続き助成対象となっているところでございます。
ちなみに、10月1日現在におきましても、登録人数が10人を切った育成会は出ておりません。春にもいろいろとご質問がございましたが、補助については、現状では適用がなかったということでございます。
◆小形香織 委員 まず、こどもの劇場についてです。
全国に誇るすばらしい活動をしておられるという評価でありますけれども、そうした評価をしながら、子ども文化を育てる財政的な支援としての減免制度をばっさりと削ってしまったことは、私は許されないことだと改めて申し述べておきたいと思います。
この減免制度があったからこそ人形の制作や大道具、小道具などもつくることができ、子どもたちに喜ばれる質の高い上演ができたのだというふうに考えます。
ある人形劇団の方は、高校生という学生の身での人形劇活動は、アルバイトをしないとできなくなると言っておられますし、また、別の劇団の方も、学生ばかりの劇団でやっており、やまびこ座がふるさとですというふうに言っています。こどもの劇場は学生や若い母親たちが人形劇という文化に触れて、育っていく大事な場であったわけですが、こうした人形劇団などへの育成支援のための施策、これについて、今後、どのように考えておられるのか、再質問したいと思います。
続きまして、子どもの権利条例についてです。
市民に知らせるための公開授業の準備やフォーラム、ホームページの作成などを進めていくというご答弁でした。こうした大人に対して知らせる努力と同時に、子ども自身の変化、体験ということが、私は大事なことだと感じていますし、条例をつくる過程で、大人と子どもが参加して経験していく、これが最も大事なことだろうと思っています。
大人が子どもの権利に対する理解を広げていく、そして、子ども自身が自由に意見を言っていいんだというふうに実感できる場所、自分の意見を言ったら、大人がそれを聞いてくれた。あるいは、言ったらこんなふうに変わっていった、こういう経験を積み重ねていくということが大事だろうと思っています。
先日は、検討委員の方が、
子どもたちあるいは大人との懇談などもされたようであります。そこでも、
子どもたちが大人にしてほしくないことは、子どもの声を聞かないで大人が決めてしまうことだという声も出されています。私は、子どもの力で問題を解決していく場所、経験、そして、自分たちには人間としての権利があって、お互いを尊重することが大事なんだということを、子ども同士の交流の中で経験していくことが必要だと考えております。子どもが権利の主体となり、大人とともに社会を形成する一員としてさまざまなものに参加していき、そのことによって、大人も子どもも成長していく。そのために、今後、札幌市としてどのように取り組もうとされているのか、この点をお示し願いたいと思います。
3点目の再質問でございますが、民間学童保育所の助成対象学年の引き上げについて質問したいと思います。
ことしの4月時点では、札幌市全体の民間学童保育所の入所児童者数を見ますと、1年生が398名、2年生が386名、3年生が308名、ここまでが助成対象となる児童です。4年生は285名、3年生よりもわずか23名少ないだけです。実際にこれだけニーズがあるというふうに私は考えます。6年生までの助成対象の拡大を求めますけれども、一遍に6年生まで広げることはできないにしても、せめて、最初に4年生にまで助成対象の拡大を急ぐべきだと考えますが、この点いかがか、伺いたいと思います。
3月の予算特別委員会の質疑の中でも、奥岡部長は、4年生への拡大については一定の必要性があると認識しておりますと、このように答弁されています。また、国からの通達でも、札幌市の
社会福祉審議会の放課後児童育成事業のあり方についての答申でも、4年生以上の受け入れを配慮すべきという内容が出されています。
さらには、最初の質問とも関係しますけれども、民間学童保育所の学年ごとの人数を詳しく見ていきますと、1年生3名、2年生ゼロ名、3年生9名というところと、1年生1名、2年生2名、3年生7名、こういうところがありまして、来年、もしこのまま学年が上がったときにはどうなるのか。やはりまた10名に満たないといったことが生まれることも懸念されるわけです。1年生から3年生のみの人数で10人以上かどうかということを基準にしていれば、また1年生の入りぐあいによって10名に満たないということが発生するかもしれません。
ですから、まずは1年生から4年生を助成対象にするという措置をとることで、10名未満になってしまって、助成対象でなくなってしまうというケースを減らせるというふうに考えます。その点いかがか、伺いたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 最初に、こどもの劇場への支援策についてお答えいたします。
まず、劇団に対する育成支援策についてですけれども、平成16年度までは、入場料を徴収する場合の使用料を除きまして、減免制度を適用することにより使用料負担の軽減をいたしまして、やまびこ座を拠点に活動を続ける劇団を支援してきたところでございます。平成16年度の財政構造改革プランにおきまして、札幌市の厳しい財政状況の中、支出負担を抑え、負担の公平を図る観点から減免制度を廃止することとしてきたところでございます。
しかしながら、やまびこ座を拠点に活動を続けます劇団にとりましては、少人数であり財政的に大変で余裕がないこと。そしてまた、情熱を持って活動している劇団が多いことから、平成17年度以降も、引き続き札幌市の子どもたちのために、やまびこ座を拠点に活動を続ける場合につきましては、使用料の一部を援助する支援事業を行うことにより、急激な負担増を避け、継続した活動を行ってきているところでございます。
続きまして、2点目の子どもの権利につきまして、子どもが権利の主体として、社会参加して成長していくための取り組みについてお答えいたします。
まず、子どもを権利の主体ととらえ、子どもたちにさまざまな参加の機会を提供することを通して、子どもの成長を保障することは大変重要なことであると考えてございます。
そのような視点から、札幌市では、これまで札幌の街づくりにつきまして、子どもたちに提言をしてもらう子ども議会ですとか、それから、児童会館の設計に子どもたちが参画する事業などに取り組んでまいりました。さらには、「大志塾」におきましても、子どもたちの意見を聞いて、それを実践していくということで進めておりますし、現在は、児童会館の運営に当たって、子どもたちが運営委員会を立ち上げて、さまざまな意見を言っていくという準備にとりかかっているところでございます。
こうした取り組みを継続することによりまして、地域の街づくりにおける子どもたちの参加につながるものと考えておりまして、今後は、市政のさまざまな場面において、同様の取り組みを進めるよう働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
3点目の学童保育の関係についてです。
4年生以上の受け入れについてですけれども、まずは児童クラブ、それから学校施設方式児童育成会、それから民間施設方式児童育成会のいずれの施設もない小学校区、先ほども申し上げましたが、いわゆる空白校区の解消に全力を傾けていきたいと考えてございますので、4年生の拡大につきましても、その解消後に検討すべき課題と考えてございます。
◆小形香織 委員 まず、こどもの劇場についてですけれども、今、ご答弁として、新たに支援事業を設けて、負担を少しでも軽くするというふうな方向を持ったと伺いました。
もう一つ心配なのが指定管理者制度で、今、議会でもたくさん決められて、やまびこ座の場合は公募となりましたね。公の施設に民間も参入できるという指定管理者の公募について、私たち日本共産党は反対の立場ですけれども、公募となるやまびこ座、これがもし営利を目的とする事業者になってしまうならば、子どもの文化は育っていかないと考えますが、この問題はどのように解決していくのか、方向をお示ししていただきたいと思います。
それから、子どもの権利条例について、今後もさまざまな場面で同様の取り組みをされていくということで、今、検討委員会で進めておられる状況でもありますので、私も見守りながら、ぜひともさまざまな場を多くつくっていくこと、そして子どもの意見を表明する権利、子どもたちの居場所づくり、こういったものを積極的に進めて、子ども参加でつくる条例にしていっていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
最後に、民間学童保育所の問題ですけれども、先ほどの質疑にもありましたが、今、部長は、まずは空白校区の解消が必要なんだとおっしゃいました。私は、空白校区を解消するということは、これはぜひ進めていただいて結構だと思うんですけれども、それを理由に助成対象学年の拡大ができないということにはならないと思っています。
それは、一つには、学童保育所に預けている父母の長年の強い願いであるということ。同時に、学童保育所の運営に父母が積極的にかかわっている、そのことが子どもと親の成長にもつながって、そして大人も子どももともに育ち合う。学童保育の保育内容というのは、まさに、先ほど部長がおっしゃられた、子どもの権利条例のさまざまな場の一つだというふうに思うんですね。そして、1.02%という札幌市の大変低い合計特殊出生率を上げていくためにも、先ほどの子どもの権利条例づくりを実践していく上でも、民間学童保育所に対する助成対象の学年を引き上げて、積極的な子育て支援をするという札幌市の姿勢を示すべきだと考えますがいかがか、伺いたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 お答えいたします。
まず、やまびこ座の育成支援策についてです。
指定管理者制度移行後の劇団育成支援策でございますが、やまびこ座につきましては、これから公募によりまして、平成18年度からの指定管理者を選定していくこととなりますけれども、募集に際しましては、今年度実施しております支援策、これと同等以上の事業計画を求めることとしてございます。これによりまして、施設の管理が指定管理者制度に移行した後につきましても、劇団への必要な育成支援策が維持できるものと考えてございます。
2点目の学童保育の関係でございます。
先ほども申し上げましたが、まずは空白校区を優先的に解消していきたいということで考えてございまして、何よりも市内の地域で行き場所のない子どもの居場所をつくっていく、これを優先していきたいというふうに考えてございます。
◆小形香織 委員 こどもの劇場の最後のご答弁をちょっと確認させていただきたいのですけれども、公募の際に、支援策と同等以上の管理をすることを条件とするとおっしゃったのか、その点についてもう一度、私、理解しづらかったものですから、わかりやすいご答弁をいただきたいと思います。
それから、私は、空白校区の解消はどんどん進めていただいて構わないと思っているんですけれども、順番をつけるのではなくて、助成対象学年も広げていくということも同時にやってほしいと思っているんです。何回も繰り返して述べますけれども、それは子どもの親たちからの強い願いであるし、そして子どもの権利を推進する実践の場であるという点からも求められているというふうに思います。ですから、この点、ぜひとも進めていただきたいと思いますけれども、再度その点いかがか、伺いたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 最初の劇団育成支援策についてですけれども、17年度の支援事業という形で実施して、今、公募しているわけですけれども、募集要項の中にも位置づけをいたしまして、相手方からそれに基づいた計画が出されるわけですが、その計画の中にも、きっちりそれが担保されることを求めているところでございます。
2点目の学童保育事業でございます。
何度も申し上げますけれども、やはりいろいろと条件もございますが、まずは居場所を確保していく、これを最優先に考えていきたいというふうに思っております。
◆小形香織 委員 こどもの劇場の方は、ぜひ条例の目的に沿って、市が評価しているように、大切な子ども文化を育てていくということで、劇団の負担をふやさない、そして、これからも子どもの文化を育てていくという視点で進めていただきたいということを求めておきたいと思います。
それから、学童保育所ですけれども、まずは空白校区ではなくて、両方一緒に進めていただきたい。それを申し述べまして、質問を終わります。
◆坂ひろみ 委員 私は、子どもの権利条例について質問をいたします。
子どもの権利条例制定検討委員会では、これまでの懇談会や出向き調査、ホームページでの意見募集、アンケート等の集計・分析、議論を踏まえ、12月に提出予定の中間答申書の作成に向けて精力的に活動されていると伺っております。今定例会の代表質問でも、条例づくりへの子どもの参加について質問をしたところですが、今後、中間答申から骨子案策定に向けて大事な時期に入っていきますので、再度4点ほど質問をさせていただきます。
質問の1点目は、シンクタンクの導入についてです。
検討委員会は、ことしの4月からこれまで、毎月1回のペースで6回開催されており、正副委員長、部長会議や五つの部会の開催は合計68回にも上るとのことです。
そこで質問ですが、9月10日に開催された第5回検討委員会からシンクタンクが導入されたとお聞きしております。中間答申のまとめに入るこの時期に突然導入されたことについて、傍聴者からも疑問の声が上がっておりますが、シンクタンク導入の趣旨についてお伺いをいたします。
質問の2点目は、市民意見の反映についてです。
子どもの権利条例検討委員会では、傍聴者に意見参加シートを配布し、会議に関する意見を求めています。しかし、これまで提出された市民意見が検討委員会の中で報告、あるいは資料として配布されたことはありません。そこで、検討委員会を傍聴した市民の意見をどのように反映されておられるのか、伺います。
質問の3点目は、条例制定に向け、校長先生を含む教職員の意見の反映についてです。
今後、子どもの権利条例を実効性あるものとするためには、子どもが最も多く時間を過ごす学校現場の先生たちの意見を条例づくりに反映させることが必要です。子どもの権利条例制定に当たり、学校の先生たちの声を反映するために、今後、どのように取り組むおつもりか、伺います。
質問の4点目は、北海道教育委員会との連携についてです。
今後も引き続き子どもの権利条約の普及啓発と条例制定の広報、PRについては、積極的に行われることが求められます。現在、市立小中高校には学校を通して情報が届けられていますが、道立の高校や私立高校へは情報が届きにくい状況にあることから、道立、私立両校との協力体制も欠かすことはできません。そこで、道立高校を所管する北海道教育委員会との連携や私立高校への協力依頼はどのように進められておられるのか、伺います。
◎奥岡 子ども育成部長 子どもの権利条例につきまして4点お答えいたします。
まず、1点目のシンクタンク導入の趣旨についてです。
札幌市では、4月に札幌市子どもの権利条例制定検討委員会を設置しており、この委員会が主体的に札幌市子どもの権利条例素案の策定に取り組んでいるところでございます。この議論の進展に伴いまして、検討委員会運営に係る事務局の事務が増大しておりますことから、検討委員会の活動を円滑に進めるために、9月からシンクタンクに事務局の事務の一部を業務委託したところでございます。
具体的に申し上げますと、情報収集ですとか資料作成、それから委員会議論の意見整理などの業務を行っておりまして、今後、条例素案策定に向けた議論や取り組みが、より一層円滑に進むものと考えてございます。
2点目の傍聴者が提出している参加意見シートの取り扱いの件でございます。
検討委員会の傍聴者から提出されました意見参加シートでございますが、今回の子どもの権利条例づくりにおきましては、多くの市民が参加して策定することに非常に大きな意義がございまして、意見参加シートは、条例づくりに対する市民参加の大切な手段であると考えてございます。したがいまして、意見参加シートにより寄せられた市民からの意見は、速やかに検討委員に報告すべきところでございますが、一部を除きまして検討委員への報告が大変遅くなっておりますことを深く反省しております。今後は、速やかに検討委員に報告し、条例づくりに反映させてまいりたいと考えてございます。
それから、3点目でございます。学校の先生たちの声を反映するためにどのように取り組むつもりかというご質問でございます。
子どもの権利条例づくりにおける学校の先生たちの意見の反映についてですが、検討委員会では、既に7月から8月にかけまして幼稚園、小学校、中学校、高校の先生を対象といたしました懇談会を開催して、子どもたちの現状や権利条例の内容に関する意見を聞いております。
また、学校関係者などから条例づくりに積極的にかかわっていきたいとの意向も伺っておりますことから、今後は、さらに教育委員会との連携を密にいたしまして、学校の先生たちの意見の反映に取り組んでまいりたいと考えております。
4点目でございます。道立高校を所管する北海道教育委員会との連携でございます。
子どもの権利条例づくりを進める上で、市立高校や私立高校の
子どもたちだけではなく、市内の道立高校の
子どもたちにも、子どもの権利条例づくりの広報、PRを積極的に行っていくことが大切でございます。そのため、教育委員会とともに北海道教育委員会に対しまして、道立高校への広報、PRの協力要請を行いました。その結果、子どもの権利条例のポスター、それからニュースレター、チラシ等を道立高校へも送付することになってございます。今後におきましても、私立、公立を問わず、各高校に子どもの権利条例づくりに関する情報発信を継続的に行うことによりまして、権利条例づくりに参加していただきたいと考えてございます。
◆坂ひろみ 委員 4点についてご答弁をいただきました。
まず1点目のシンクタンクについてですけれども、私も議員になってからこれまで、さまざまな市民会議を傍聴させていただいておりますが、通常でしたら最初からシンクタンクが入っているものと思われます。これから中間答申をつくるという途中の段階で突然導入されたということで、戸惑っている委員もいらっしゃったのではないかなと思うわけです。委員が25名もいらっしゃいますので、こういう場合は、きちんと理解を得て、丁寧に進めてから導入すべきではなかったかなということを指摘しておきたいと思います。
また、ホームページの更新や検討委員会の会議録が公開されていないといったようなことも聞いておりますので、シンクタンクが導入されることで、こういった事務的なことが進んでいくのではないかなというふうに私も思っておりますので、進めていただきたいと思います。
それから、2点目の市民意見の反映についてですが、私も傍聴していて、いつも熱心に来ている市民の方がいらっしゃいますね。検討委員会が終わると、びっしり意見シートに書いていらっしゃるんです。隣の傍聴者の方が、そんなに書いたら読んでもらえないよとおっしゃるんですが、本当に思いを持って参加されている市民の方がいらっしゃいます。ぜひこうした意見は貴重な意見ですので、最低でも次の検討委員会のときまでには、検討委員の方に伝えていただきたいと思います。
それから、先生たちの意見の反映についてですけれども、以前、校長会の判断でといういろいろなことがございました。条例制定するに当たりましては、学校もしくは教育委員会との連携が不可欠ですので、条例の実践や教育の場である学校現場での先生たちの声を大切にしていかなければいけません。今後、先生たちの意見をきちんと取り入れて進めていただきたいなというふうに思います。
それから、道教委との連携についても、教育委員会と連携して協力要請に行かれたということで、今後、進めていかれると思いますので、よろしくお願いいたします。
そこで、再質問になりますが、先ほどのご答弁にもありましたけれども、今定例会の代表質問において、市民ネットが教育委員会と連携した具体的な取り組みについてただしたところ、子どもの権利をテーマにした公開授業の実施に向けて指導案を作成し準備を進めているとのご答弁をいただきました。子どもの権利条約をテーマにした授業では、現在使用している2種類の子ども向け
パンフレットを有効活用するものと思われますが、この
パンフレットについて質問をいたします。
子どもの権利条約を多くの
子どもたちに理解してもらうためには、既存の
パンフレットではなく、小さな子どもでもわかるような、やさしい言葉と表現で構成されている子ども向けの
パンフレットが必要です。そのためには、子ども自身が
パンフレットの作成に参加することが効果的と考えます。また、挿絵を
子どもたちから募集するなど、
子どもたちが愛着を持って手にすることができるような工夫も必要です。
そこで、質問です。子どもの権利条約の普及啓発に使用する子ども向け
パンフレットを、
子どもたちが中心となって作成すべきと考えますがいかがか、伺います。
質問の2点目は、条例制定に向けての子ども参加についてです。
市民ネットでは、これまでも子ども参加の一つの手法として、子ども会議の設置を求めてまいりました。今定例会の代表質問でも、子ども議会の中に、子どもの権利について議論をしてもらう委員会を設置する等のご答弁をいただいておりますが、子ども議会に参加できるのは小学校5年生から中学校2年生までと限られているほか、任期も3カ月ほどとなっています。
権利条例を実効性のあるものとするためには、条例づくりにより多くの
子どもたちの声を反映し、条例制定後は子どもの視点で検証するとともに、市政に子どもの意見が反映されるシステムとして子ども会議が必要です。したがって、現在の子ども議会では、その役割を担うことは難しいと考えます。
そこで、質問です。条例づくりへの子ども参加や条例の検証の場として、また、市政の運営に子どもが参加し、意見表明をする機会を継続的に保障するためにも、子ども会議を設置すべきと考えますがいかがか、再度お伺いをいたします。
◎奥岡 子ども育成部長 お答えいたします。
まず1点目の子ども向け
パンフレットを子ども参加で作成していくべきとのご質問でございます。
先ほどもご答弁申し上げましたけれども、教育委員会では、現在、子どもの権利をテーマといたしました授業展開例の作成、それから、それを使いました公開授業の準備を進めていると聞いておりまして、その中で、現在、小・中学生に配布しております子ども向け
パンフレットを活用していく予定となってございます。
この場を通じて、まずは
パンフレットの記載内容や表現につきまして、
子どもたちから十分意見を聞き、わかりやすい
パンフレットとなるよう努力してまいりたいと考えてございます。
それから、2点目でございます。条例づくりや条例の検証の場として、子ども会議を設置するということについてです。
市政への子どもの参加につきましては、条例づくりの場だけではなく、条例制定後も子どもの意見表明の場を設け、子どもの参加機会を提供していくことが非常に重要なことであると認識してございますので、今後におきましては、市政のさまざまな場面において、子どもの意見を表明する場を設けるよう検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆坂ひろみ 委員 私は、市民ネットでずっと引き続き子どもの権利について取り上げてまいりまして、今回、改めてこれまでの質疑などを見返してみたんですけれども、子どもの権利条例制定検討委員会を立ち上げるという最初の段階で、原局の方で用意した計画がございました。当初の計画のときにも検討委員会の中に、子どもの意見部会というのが入っておりましたね。それから、2004年の3定の答弁でも、条例検討委員会においても子ども部会を設けると答弁されております。
また、検討委員会の中でも、親部会の方からでしょうか、子ども委員会の設置が提案されております。子ども未来局としても、子ども参加の必要性や重要性については異論がないというふうなお話を伺っております。このような流れの中で、当然、子どもが条例づくりに参加する仕組みが、子ども委員会でも、子ども部会でも、子ども会議でも名称はどうであれ、何かシステムとして形になってあらわれてくるのではないかなと思っていたわけです。今回の答弁でも、子ども議会の中に、子どもの権利について議論する委員会を設けるということで、委員会の設置は一応評価をいたしますが、先ほど申し上げたように、子ども議会は小学校5年生から中学2年生までということで限られている上、3カ月で解散してしまうわけですから、子どもの参加も意見反映も、子ども議会では十分に行えないのではないかというふうに思います。
子どもが権利条例の制定プロセスに参加することを保障することこそが、子どもの意見表明権の本旨ではないでしょうか。
市民ネットでは、2005年1月に多治見市の子どもの権利委員会会長の勝 典子さんをお招きして、子どもの権利条例の学習会を開催しました。そのときの勝さんのお話を少しだけご紹介させていただきます。
多治見市子ども会議は、現在、約20名の子どもたちで会議を運営しているそうです。大学生や高校生、下は小学校4年生まで参加しておられます。会議の中では難しい話もしますので、4年生の子はほとんど意見が言えない状態なんだそうです。でも高校生や大学生が優しくて、君はどう思うんだいと必ず振るようにしているんだそうです。あるとき、結構厳しい意見が出てきた中で、お兄ちゃんたちが、おまえ、来て楽しいのかと4年生の子に聞いたそうです。そうしましたら、にっこり笑って、楽しいと言ったそうなんです。
勝さんは、彼は何を見、何を聞き届けて、この場で何を学習して次につなげる子なのか、非常に楽しみだとお話されておりました。もし、札幌で子ども会議を立ち上げ運用されるときには、小さい子は意見がないと思わないで、兄弟、姉妹も誘いなよと言って励まして、小さいうちから意見表明の場になれさせていくということをぜひ念頭に置いてくださいと、このようにお話をされておりました。
子ども会議というふうに市民ネットでは提案しておりますが、公募ということになりますとなかなか
子どもたちは集まりません。そこで、できるところから一歩踏み出すことが重要と考え、子ども議会の中に委員会を設けるのであれば、そこにかかわった
子どもたちと、現在、検討委員会の中に参加しております3人の高校生がいますね。その3人の高校生を中心に、例えば、先ほど質問した
パンフレットづくりなどに参加してもらうことから始めてもいいのではないかなと思うわけですが、部長、いかがか、再度お考えを伺います。
◎奥岡 子ども育成部長 お答えいたします。
まず、子ども会議の件でございますけれども、さまざまな場面で、そういう場をつくっていくということでございまして、今、委員からもお話がありましたが、過日行われました検討委員会の中におきましても、子ども議会の役割は認めますけれども、一方で、高校生も参加していろいろな議論をしていく、そういう過程が必要でないかというお話もございました。
いずれにいたしましても、検討委員会の中でもしっかり議論をしていくことになると思いますし、その中には、まさに高校生3人が委員として入ってございますので、そういった検討委員会と私ども事務局が一緒に、またそういう機会の確保等について検討していきたいと思っております。
◆坂ひろみ 委員 今後、検討委員会の中でもしっかり議論していきたいということでございましたけれども、子どもの権利条例づくりにおいて、子どもの参加を保障し、子どもの意見を反映する仕組みとしての場が必要だと私は思うんです。それは短期間であったり、その都度人がかわるものではなく、条例の全文を
子どもたちが考えられるようなきちんと保障された場であれば、私は、その名称が委員会でも部会でも何でもいいと思っていますので、再度、子ども会議というところでの検討をお願いしたいと思います。
あわせて、要望になりますが、先ほどニュースレターやポスター、それから
パンフレットを作成し配布するお話がありましたが、
子どもたちが子どもに発信するルートをぜひつくっていただきたいと思っています。大人から子どもへ、子どもから子どもへ、子どもから大人へと、いろいろな構図で発信し続けない限り、大人が子どもに教える子どもの権利から広がらないのではないかというふうに思っています。
今回、発行された子どもの権利ニュースはとてもよくできていると思いますが、小学生には理解が難しいのではないかなと思いました。子ども向けのニュースや条約の
パンフレット、広報さっぽろの原稿など、
子どもたちの声が発信できるようぜひ進めてくださるよう要望いたします。
最後に、提案した子ども会議についても、ぜひ実現していただきますよう強く要望して、質問を終わります。
◆勝木勇人 委員 私からは、少子化対策についてお伺いいたします。
皆様ご承知のとおり、本市の少子化傾向は非常にひどいところにきておりまして、このままにしておくと、合計特殊出生率が1.0を割るというのも時間の問題かなと思われます。
少子化対策といいますと、国のエンゼルプラン以来、先ほども川口谷委員から話がありましたけれども、保育所の充実というのが重点施策にされてきている。そして、待機児童の解消が少子化対策としての当面の目標といった感じで行われてきているわけですが、しかしながら、子どもがどんどん減っていて、毎年新しい保育所を整備しているにもかかわらず、待機児童の問題は解消されていませんし、出生率も上がっておりません。保育行政が必ずしも少子化対策としてのみ行われているわけではないようで、少子化対策としては、何かざるで水をすくっているようなむなしさを感じるわけでございます。
保育行政というのは、要するに対症療法的なものだと考えられます。既に、子どもをつくった人たちの救済をすることによって、もっと子どもをつくれますよという方向性ではないかなと思うんです。これは抜本的な解決策にはつながっていないんじゃないかと。もうつくってしまった人にもっとつくれというのではなくて、問題は全然つくろうとしない人が大量にいて(発言する者あり)その話は後で出すのですが、まだつくっていない人に、つくれというような施策が急務になっているのではないのかなというふうな感じでございます。
我が会派としましては、次世代育成支援対策推進行動計画をやるに当たって、父性、母性の育成という項目を最重要課題として挙げたわけです。
子どもをつくりたがらない人たちのつくらない理由、これはほとんどが教育にお金がかかり過ぎるとか、子育てをする時間的な余裕がないとか、景気の低迷で将来に夢が持てないといったような話になるわけですが、実はそれらの理由の根底には、一種、短絡的な損得勘定が働いている。
子どもをつくらない理由の多くは、子どもをつくると損をするという意識が働いているのではないかと想像されるわけです。この場合の損とは、時間的な余裕を失うとか、金銭的な余裕を失うというようなことでございます。
そして、損得勘定で子をつくろうとしない若者の内面には、父性、母性の欠如という教育上の問題も内在しているように思われるわけです。要するに、精神的に幼いというところに起因しているのではないかなと。また、子孫を残すのが動物の本能であるといった、その本能にも目覚めていないということも言えるのではないかと思うわけです。私も、それに近い状態でしたのでわかるわけですが、そこを何とか攻める政策はないかということなんです。もう既に大人になってしまった人に、今さら父性、母性の話も説教しづらいでしょうし、難しいだろうと。自我が確立される前の中学生、高校生などには、そこを重点的にやればそれなりの効果も出やすいような気がするわけです。その年代の
子どもたちの精神的な成長を促すような施策が、今の札幌市にはどうも欠けていて、これを早急に形にするべきと思うわけですがいかがか、お伺いします。
なお、既にやっているという部分もあるかと思います。父性、母性の育成というような取り組みがなされているのだとするなら、どんなことをやっているのかお知らせいただきたい。
また、それらのプロジェクトはどのくらいまで踏み込んだものなのか、人格形成に大きく寄与するといったところまで踏み込んだものなのか。父性、母性の育成と言えるような、つまり精神的な成長を促すような指導となっているのかといったところもあわせてお伺いしたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 まず、1点目の中・高生などへの精神的な成長を促すような施策の実施についてです。
札幌市といたしましても、少子化対策という観点から考えますと、次代を担う若者の意識のあり方が大変重要であると認識してございます。このことから、保健福祉局の事業ではございますが、思春期ヘルスケア事業を通じまして命のとうとさ、あるいはみずからの健康はみずから守る、次の世代の子どもを産み育てることの大切さなどについての意識啓発を行っているところでございます。
また、子どものときに、乳幼児と触れ合うことが結婚観や家族観などを形成する上で貴重な体験になるものと考えておりますことから、
保健センター、保育所、子育てサロンなどにおきまして、児童生徒の体験学習の受け入れを行っているところでございます。
さらには、今年度、若者を対象といたしました意識啓発のためのイベントの実施も予定しているところでございます。
次に、これらの事業におきまして、人格形成や精神的な成長を促すような踏み込んだ指導になっているのかというご質問でございますけれども、結婚、出産などにつきましては、個人の価値観、人生観に深くかかわる問題でございます。したがいまして、行政の役割といたしましては、こういった事業を通しまして意識の醸成を図っていくことが大切であると考えてございます。
◆勝木勇人 委員 思春期ヘルスケア事業、体験学習、いろいろやっているんだという話でした。ただ、指導というところまでいっていないと。個人の価値観があるという話でございました。
確かに、市民には子どもをつくる権利もあるが、またつくらない権利もある。子どもをつくらないのはけしからんといったような教育は、これは僕もできないと思っております。私もつくりたくてもできないわけですから、それがけしからんと言われると議員としても、個人的にも立つ瀬がないというところであります。
しかし、子どものいる家庭はすばらしいんだということを教えることには何ら問題はないはずだと感じます。子どもをつくり、育て、老いては孫と戯れる、これが充実した人生の完結した姿の一つであると、強く教えることには差しさわりはないと思うわけですね。意識の醸成とかなんとかと言っていましたね。ちょっと弱いなという感じがするわけですが、指導という言葉が強過ぎるのであれば奨励するというような、もう一歩踏み込んだ形の施策。そして聞いたら、思春期ヘルスケアなんかも学校側の要請でやっている程度で、要請がなければだれもやりに行かないという話もあります。ですから、当局として、受け身ではなく、もうちょっと積極的な働きかけといいますか、そういった形で事業を進めるべきだなと思うわけですが、この点についてのご見解をお伺いしたい。
それから、保育行政は対症療法的な施策だと話をしましたけれども、それに似たような話ですが、もう1点だけ質問をいたします。
損得勘定で子どもをつくらない若者が多いという話をしましたけれども、対症療法としては、子どもをつくると得をすると。もしくはつくらないと損になるというような社会構造を築き上げることが、少子化対策としては非常に有効だろうと思われるわけです。この手の話になりますと、税制面での優遇制度を実施するとか、子育て保険制度を創設して、子育て中の人を子育てしていない同世代の人たちが扶助する制度をつくるといった話になって、どちらかというと国の守備範囲の話になってしまうんですが、それでも地方は地方なりに得をする形をつくろうと思って頑張っているところがあります。
一つご紹介したいのですが、奈良県で、「なららちゃんカード」というものを配っているんですね。どういう人に配っているかといいますと、18歳未満の子どもが3人以上いる家庭に配っている。その「なららちゃんカード」を提携している企業に持っていくと、例えば、美容院で10%の割引が得られるとか、スポーツ用品店で20%の割引が得られるとか、地元の信用金庫でカードを提示すると、定期預金の金利を7倍にしてくれる。そういったサービスを提供しているそうです。
これは子どもが3人以上いない人にしたら、それはうらやましいなというような形で、もう1人つくろうとか、3人以上つくろうという動機づけにもつながるでしょう。本当は子ども1人つくればもっとお金がかかりますから、この程度のことでは得するというところまではいかないかもしれないですけれども、気分的な問題として、つくると得するんじゃないかというような感じは出せるんじゃないかと思うわけですね。私も、こういった施策を本市でもやってみたいと思うわけですが、奈良県の場合は、商工会議所なんかを通じていろいろな企業に当たって、大分苦労して枠を広げているみたいですけれども、本市もぜひともこういう方向で頑張ってもらいたいなと思いまして、それを実現する話をぜひ局長からご答弁いただきたいと思います。
◎飯塚 子ども未来局長 今、委員の方から2点ほど質問がございましたけれども、まず1点目の子どもを持つことについて、何とか奨励できないのかということでございますが、私どもとしましては、先ほどもお答えいたしましたように、結婚する、しない、あるいは子どもを持つ、持たないということにつきましては、あくまでも個人の選択にゆだねられるべきものというふうに考えております。したがいまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、多くの市民の方々にまず考えていただく、そういったさまざまな機会を提供する、あるいはそういったことを通して意識の醸成を図っていくことが大変重要であると考えております。
2点目でございますけれども、子どもがいると得をするというような取り組みについて何かできないのかということでございますけれども、社会全体で、子どもを産み育てやすくする環境をつくっていくということは非常に大事なことですし、また、そのためには企業のかかわりであるとか、協力というものは非常に重要であると考えております。そういったことから、今後、企業あるいは経済団体と連携を深めつつ、どういったことが可能なのかということを一緒に考えて、検討してまいりたいというふうに考えております。
先ほど、委員の方から、「なららちゃんカード」というお話もありましたけれども、そういった貴重な情報についても、ぜひ参考にさせていただきながら検討を進めてまいりたいと思っております。
◆勝木勇人 委員 得をする政策の方は一生懸命やってくれそうなんで、その点は大変満足する答弁をいただいたと思います。
ただ、父性、母性育成の方には、まだかなり抵抗があるといったような感じがいたしました。その件に関して、この質問をつくる際に僕もいろいろ考えまして、まず、本市の少子化対策にかかる経費は総額でどのぐらいかかっているのだろうという話をしましたら、そういう数字は出したことがないと。どれが少子化対策でどれが少子化対策ではないという色分けをしていないものだから、総額で何ぼという計算はできないんだという話でした。
それは説明としてはわかるんですけれども、だれかが少子化対策を統括して見張りながら、司令塔となってきちっと事を進めるという体制が本当はないんじゃないのかなと。その場、その場で、現場で動いているような状態ではないか。さっきも保育行政の話になりましたけれども、保育行政ではかなり金額を使っております。事業費総額で約190億円、そのうち施設利用者の負担が約30億円、国からの補助額が約50億円、国の補助と利用者の負担を差し引くと札幌市の負担は約110億円、かなりのお金を使っているわけです。そして、これをやっておけば何かやっていることになるみたいなことであるとすれば非常に遺憾だなという感じがするわけで、積極的に少子化対策をやっているんだという雰囲気をやっぱり持つべきでないかと。とりあえず数字を出すところから始めていただきたいなと思うわけですが、ここは要望という形で言っておきますが、頑張っていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。
○本郷俊史 副委員長 ここで、おおよそ1時間委員会を休憩します。
──────────────
休 憩 午前11時57分
再 開 午後1時
──────────────
○井上ひさ子 委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆三宅由美 委員 私からは、3点ほど質問いたします。
1点目は、子育てサロンについて、2点目は幼保一元化について、3点目は、子どもの権利条例づくりについて質問いたします。
まず1点目ですけれども、子育てサロンと子育てサークルの実態についてお伺いしたいと思います。
子育てサロンには児童会館で行われているもの、地域主体で行われているもの、また、子育て総合支援センターで行われているものがありますけれども、その開催頻度や利用実績をお伺いいたします。
また、児童会館などを会場に子育てサークルが活動をしていると思いますが、どのくらいのサークルがあるのか、お示しいただきたいと思います。
次に、幼保一元化への取り組み状況についてお伺いします。
保護者のニーズ等を考慮すると、幼稚園と保育園との連携を進めることが必要であると考えます。また、保護者だけのことではなく、子どもにとっても、親が働いている、働いていないにかかわらず、地域の子どもが同じ場所でともに過ごすということが大変重要なことだと考えます。
また、もう一つは、兄弟が少ない中で、乳幼児に接する機会が本当に今は減っていると思うんですけれども、幼稚園と保育園が一緒になることによって、乳幼児と接する機会もふえるということで、将来、子育てについて大変有益性があると考えております。
子ども未来局と教育委員会で設置している幼保連携推進プロジェクトにおいて、今、どのような取り組みが行われているのか。その具体的な内容や効果などについて伺いたいと思います。
3点目ですが、子どもの権利条例づくりについてです。
まず、どのような市民PRがなされているかについてお伺いいたします。
札幌市では、現在、上田市長の主要な公約でもあります子どもの権利条例の制定作業に取り組んでおります。
ことしの4月に、札幌市子どもの権利条例制定検討委員会を立ち上げまして、公募委員8人と現役高校生3人を含む25人の委員により素案づくりに取り組まれているところだと聞いております。検討委員会では、市民手づくりによる条例づくりを目指しまして、7月には各委員それぞれが五つの部会に分かれて、小・中学生や高校生といった子どもたちはもちろん、子どもを持つ親や現に子どもとかかわる仕事をなされている方々との懇談会を開き、また、札幌の子どもたちの現状を把握しようと努力されております。
さらに、8月以降は、検討委員が進んで子どもたちが集まるところへ出向き、直接子どもたちやそれにかかわる大人たちからさまざまな意見を聞き、アンケート調査を行うなど、条例制定に向けた課題の把握に積極的に取り組まれているところだと聞いております。
このように多くの市民、特に、直接条例の対象となる
子どもたちから意見を聞くという取り組みは、子どもの権利条例の制定に対する市民議論を高める上で非常に重要であったと考えております。
しかしながら、こういった検討委員会の取り組みが、いま一つ市民に伝わっていないのではないかと感じており、そればかりか、札幌市が子どもの権利条例づくりに取り組んでいること自体知らない市民がまだまだ多いように感じられます。また、知ったとしても、子どもが、権利ばかり主張して義務を果たさない、これ以上わがままになったら困るというような声もたくさん聞きます。権利とは何なのか、人権とは何なのか、こういったことも含めまして、市民への周知徹底が必要だと考えております。
そこで、質問ですけれども、まず、こういった検討委員会の活動状況や条例制定に向けた議論の状況を、どのように市民や
子どもたちに知らせていくお考えなのか、お伺いいたします。
◎山本
子育て支援部長 私の方から2点お答え申し上げます。
最初に、子育てサロンと子育てサークルの実態でございます。
9月末現在、札幌市における子育てサロンは、市内99の児童会館と公立7保育園、そして子育て支援総合センターを加えた107カ所と、地域主体で実施しております114カ所の合計221カ所でサロンが設置されております。
地域が主体となっている子育てサロンにつきましては、今年度既に24カ所が設置されており、子育て支援に対する地域の盛り上がりを感じているところでございます。
利用の実績では、平成15年度、児童会館での子育てサロンの参加組数は15万1,923組でございますが、平成16年度は、子育て支援総合センターの開設を含め、参加組数を合わせますと15万9,701組となっている状況でございます。
次に、開催の状況でございますが、子育て支援総合センターは、年末年始を除く毎日開設をしております。また、保育所の場合は、月曜日から金曜日までの毎日開催をしております。児童会館のサロンは週1回、地域のサロンにつきましては主に月1回から週1回という状況でございます。また、札幌市に登録しております子育てサークルは、8月末現在で231のサークルが登録されている状況でございます。
2点目の幼保連携プロジェクトの取り組み内容でございますが、幼保連携プロジェクトにおける取り組み内容につきましては、現在、幼稚園と保育所の連携や総合施設の設置に関する検討を進めてきております。
まず、具体的な取り組みでありますが、近接する市立幼稚園と保育所、具体的には白石区の東橋幼稚園と青葉保育園、手稲区の手稲中央幼稚園と手稲中央保育園をそれぞれモデル園として指定いたしました。これらの施設の間で、お互いの施設を訪問したり、近くの公園に集まって一緒に遊んだりといった活動を行っており、今後、さらに活動の内容を深めていきたいと考えております。
また、近年、市内において幼稚園に保育所を併設する、または合築する民間施設が市内に3カ所ありますことから、これらの施設における取り組みの状況や、国の総合施設モデルとなりました道内の事例についても直接お話を聞くなどして、民間施設における取り組み状況について調査を行っているところでございます。
これらの取り組みの効果につきましては、まだ取りまとめの段階に至っておりませんが、合同活動に携わることにより、幼稚園と保育所での職員の相互理解が深まり、また子ども同士の交流の輪が広がるなど、その効果が期待されるところでございます。
◎奥岡 子ども育成部長 3点目の子どもの権利条例についてお答えいたします。
子どもの権利条例づくりや検討委員会の活動状況等の周知についてですけれども、子どもの権利条例づくりを進める上で、市民にこの取り組みを知ってもらい、市民議論を喚起して積極的に条例づくりに参加してもらうことが大変重要であると考えてございます。
このため、現在、札幌市が子どもの権利条例づくりに取り組んでいることを知らせるポスターを作成しておりまして、区役所や公共施設、市内各学校や保育園などに継続的に掲示するほか、地下鉄の車内にも掲示することとしてございます。
また、検討委員会の活動状況や、条例制定に向けた議論の状況をお知らせするためにニュースレター第1号を作成いたしまして、区役所や公共施設などで配布をしたほか、各学校でも掲示するとともに、各教職員にも回覧していただくようお願いしております。
今後につきましても、子どもの権利に関する専用ホームページを近く公開する予定となっておりまして、市民や
子どもたちに随時、情報発信をしてまいりたいと考えております。
さらに、これまでの検討委員会の取り組みですとか議論の経過、懇談会や出向き調査の結果などを広く市民に知らせ、市民とともに考える場といたしまして、来る10月29日には、札幌市子どもの権利条例フォーラムを開催することとしてございます。
◆三宅由美 委員 再質問ですが、まず子育てサロンについてですけれども、全市で221カ所は、数としては多いと思っております。その中から生まれた子育てサークルが231と一定程度の効果は上げていると思いますが、私は、この中で、常設のサロンがないということが問題だと考えております。地域主体では原則月1回、児童会館では週1回、それから総合センターでは毎日ということであり、来年度3区で開設される区子育て支援センターのサロンでは、月曜日から土曜日に開催される予定と承知しております。
私は、親子がいつでも気軽に来られる常設のサロンが必要だと考えております。それがなければ母親の孤立を防ぐことにはならないのではないかと考えております。やはり月に1回だったら行事なんですよね。週に1回でも、その日に行けないということがあります。
母親が子育て等の中で一番つらいのは、やはり、日本で母性神話がまだまだ消えていないということが大きな問題だと思っております。女性は習わなくても子育てができるものだとか、いつも子どもがかわいいと思って子育てに当たっているだとか、そういうような母性神話がまだまだ根強いと感じております。そういう中でプレッシャーを感じることも多いと思っております。
また、父性、母性と分けてそれぞれが必要だというご意見もありますが、私は、小さな命をはぐくむ、そして小さいものを保護しかわいがるということは、父性、母性に限らず、すべての親が持っているものだと考えているところです。
私は、地域主体の子育てサロンへボランティアで行っている人のお話を聞いたことがあるんですけれども、泣けばミルクを与えているお母さんがいらっしゃったので、泣くというのもいろいろなときがあるのだから、ちょっと様子を見ないと太り過ぎてしまうとか、そういうようなことを注意したら、子育てサロンが終わった後に、こういう変なことを言われたと
保健センターに苦情が寄せられたことがあるんですね。やはり、月1回ではなかなか人間関係もできずに、そういうふうに言われたことが、ぐさりと傷ついてしまうという実態もあると思います。
また、子育てサロンの意義についても、まだまだ若いお母さん方には知られていないのかなということも、問題だと思っております。
現在、今の計画では平成18年度に3区、平成21年度までに5区において、既存の公立施設を活用してセンターを設置することになっておりまして、この中で常設のサロンが設置されるというふうに聞いておりますが、南区などでは施設がないんですよね。こういう状況を考えますと、なかなか常設のサロンを開くのは難しいのではないかと考えております。
そこで、やはり地域の力をかりるのが大切だと思っております。子育て事業を始めているNPO法人とか、さらには子育てサークルでそういう事業をしていいというような、公共サービスの面にかかわる市民の力を活用していくべきだと思います。そのための支援としましては、児童会館や学校の空き教室を開放するとか、そういったことも必要だと考えておりますので、この点に関してのご所見をお伺いしたいと思います。
次に、幼保一元化についてですけれども、今、ご答弁で説明のあった公立保育所と幼稚園におけるモデル的な実践や民間の保育所、幼稚園の一体的な取り組みについては承知いたしました。
しかしながら、その一方で、公立施設における幼保連携施設や総合施設の早期導入に向けた積極的な対応が必要と考えておりますがいかがお考えか、伺いたいと思います。
3点目ですけれども、子どもの権利条例についてですが、私は、ぜひとも子ども白書が必要だと考えております。
子どもの権利条例を策定するために、まず、札幌の
子どもたちがどんな状況にあるのかをきちんと把握しておく必要があると思います。縦割りでそれぞれ持っている、子どもの状況を一つにまとめることが大切だと思います。確かに、委員会の中では、このようにいろいろまとめられておりますけれども、この実態を広く知ってもらうためには、やはり白書として、市民に多く配布できるようにした方がいいと思います。
以前、男女共同参画推進条例を制定した際には、札幌市男女共同参画白書というものがありまして、これをもとに随分みんなで話し合ったということがありました。その白書が制定された後も、もう一度白書が発行されまして、条例の浸透ぐあいや進行ぐあいがそれによってわかるようになっておりました。検証する上でも、子ども白書をつくるということは非常に重要な役割を果たすものだと考えております。
条例制定後に、本市の
子どもたちの権利がどのくらい保障されているのかを検証するためにも、今後、札幌子ども白書を作成していくべきと考えますが、この点についてどのように考えるか、お伺いいたします。
◎山本
子育て支援部長 私の方から2点お答えを申し上げます。
最初に、常設サロンがない地域での子育てサロンの開設につきましてお答え申し上げます。
委員ご指摘のように、仮称区子育て支援センターの設置につきましては、18年4月には豊平区と西区、手稲区の3区にオープンいたします。また、平成19年4月には東区に設置し、さらに、さっぽろ子ども未来プランにおきましては、平成21年度までにもう1カ所の整備を予定しております。
これまでの整備につきましては、公立保育園など公共施設の有効活用を図りながら、着実に整備を進めているところでございます。しかしながら、ご指摘のように、短期間で全区に整備はできないことから、当面、設置予定のない区につきまして、地域の方々や子育て中の親子が触れ合える場がいつでも開かれているということが望ましいことでございますので、どのようなことが可能か検討していく必要があると考えております。
それから、幼保一元化の関係でございますけれども、市立施設における幼保連携施設、あるいは総合施設の早期導入に関してでございますが、先ほど申し上げましたように、本市では、現在、すべての
子育て家庭を支援するために、仮称区子育て支援センターの整備を進めております。一方、教育委員会から、さきに素案が公表されました札幌市幼児教育振興計画におきましては、幼稚園と保育所の連携や総合施設への対応について記載されております。
このようなことから、幼保一元化のプロジェクトにおきましては、現在、保育所機能と幼稚園機能に加えて、子育て支援機能をあわせ持つ施設の整備について検討を進めているところでございます。
今後、教育委員会と連携いたしまして、他都市における先進的な取り組み事例について調査することとしておりまして、これらを参考としながら、施設において提供するサービスの内容、保育料、入所要件、職員配置などにつきまして、具体的に検討してまいりたいと考えております。
◎奥岡 子ども育成部長 子どもの権利につきましてお答えいたします。
子どもの権利条例制定後の検証を行うためにも、札幌子ども白書を作成すべきというご質問でございます。私どもも、条例の制定後におきまして検証を行うことが必要であると考えておりますし、検討委員会の中でも、そのあり方などについて議論されているところでございます。
また、条例内容の検証を行うためには、子どもに関するさまざまなデータを把握し、子どもの姿を明らかにしていくことが必要と考えてございますので、その方法などにつきまして、今後の検討委員会の議論の推移などを踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆三宅由美 委員 要望ですけれども、まず、常設サロンについてですが、先日、テレビを見ていましたら、数字は定かではないのですが、ベネッセで行った全国の子ども調査で、だれと一番多く遊んでいるかという項目では、お母さんと遊んでいるという子どもが、昨年よりふえたというような状況があります。さまざまな子育て支援が全国でもなされていると思うんですけれども、ますます母子密着が進んでいるのではないかなというふうに私は危惧しているところです。これでは子どもの社会性も身につかないし、お母さんも大変だと考えております。
一方で、札幌市が行いました札幌市次世代育成支援に関するニーズ調査、これは平成15年のものなんですけれども、子育てに関して日常悩んでいること、または気になることのトップが、子どもをしかり過ぎているような気がすることで44.6%、次が仕事や自分のやりたいことができないこと、これは自分自身に対する社会参加とか、そういうことができないことに対する焦燥感だと思うんですが43.7%、この二つが格段に多い状況になっております。
こういうことを考えますと、ニュージーランドに60年の歴史を誇るプレイセンターというものがあり、私は、これが今必要ではないかと考えております。プレイセンターは民間でやっているんですけれども、お母さんが当番制で順番に子どもを見るわけですよね。自分が当番になっていないときには、その場所で研修を受けることができます。研修は大学を出たと同じ保育士の資格まで取れるようになっております。当番でないときは自分の用を足すとか、そういうこともできますし、当番のときには、また自分の子どもだけではなく、よその子にも気を配りながら広い目で子ども全体を見渡すことができます。
子育てサロンに行った後のお母さんの悩みを私はいつもよく聞きます。いろいろな人と知り合えるので、行ってすごく楽しかった、でも、家に帰るとやっぱりむなしさが募るんですよねと。その日だけのお祭りだったのかなということをよく聞きます。
ですから、自分が将来目指す社会参加までも見据えた子育てができるこのプレイセンターを、私は高く評価したいと思っております。日本でも、近ごろプレイセンター協会ができていますけれども、ぜひ、このような視点を子育てサロンに入れていくことを要望いたします。
次に、幼保一元化ですけれども、今、教育と保育が一体的な形で提供できる
仕組みづくりが本当に求められていると思います。そういった観点からは、幼保連携施設のような形なども、現実的な選択肢として大いに検討に値するものと考えております。
また、学童保育も交え、あるいはお母さんがそこで休めるような、これもニュージーランドですが、子育てに疲れたお母さんが一時的にそこに子どもを預け、別室にはヒーリングの施設があるというような施設があります。そのような総合的な施設が理想だとは思いますが、検討に値するものと考えております。それらを含めて、早期導入に向けて積極的に幼保一元化に取り組んでくださることを要望いたします。
子どもの権利条例につきましては、何よりも子どもの意見がどれだけ取り入れられるかが大事だと思っております。子ども議会は小学校5年生から中学校2年生までの参加なんですけれども、どれだけ幅広い年代の意見を取り入れられるかが大事だと思っております。パブリックコメントでは、子どもの声を多く集めるためにも、教育委員会との連携を強めながら、学校の中で話し合える場をつくることに努めていただきたいと思っております。
以上、要望して終わります。
◆坂本恭子 委員 私は、保育の問題について、大きく2点質問したいと思います。
1点目は、保育園の整備についてです。2点目は、保育料の見直しについて伺いたいと思います。
まず、保育園の整備についてですけれども、2004年度決算ベースですので、2004年度の整備状況について、計画では660人の定数増ということでしたが、実績は300人となっております。なぜこのような乖離が生じたのか、この点、簡潔に伺いたいと思います。
それから、待機児童数についても、2004年度の4月時点で、本来であれば年度当初ですから待機児童などあってはならない時期ですけれども、これが、2004年度では156人、今年度4月では307人と倍増しております。さらに7月時点でも、昨年度305人に対して、今年度は378人ということで、計画の進捗率に呼応するように待機児童数がふえているという状況になっておりますが、この点についての現状認識を伺いたいと思います。
大きな質問の2点目は、保育料の見直しについてです。
先ほど川口谷委員の方からも同様の質問がありましたので、重複しないように質問したいと思います。
先ほどご答弁がありましたように、来月、11月には札幌市の
社会福祉審議会で検討するということで、お話の中では十分にここで審議をしていきたいということです。それから、今後、持続可能な子育て支援策と、それに見合う子育ての負担は社会全体で共有していくんだというようなご答弁があり、その一方で、新たな支援のあり方についても考えていきたいというお話だったと思うんですけれども、この点について、今現在考えておられる具体的な見直しの検討項目があれば、それをお示しいただきたいと思います。
財政構造改革プランにかかわって、軽減率については、37%あるものを政令市の平均まで引き下げていくんですね。今、政令市平均では32%ですから、ここに向けて5%下げていくということだと思うんですが、財政構造改革プランでは、2006年度4月から段階的にこれを行っていくという見通しが出されておりますけれども、この方向に沿った形で保育料の見直しが行われていくのかどうなのか、そのお考えを伺いたいと思います。
それから、先ほどの新たな支援策のあり方というところで言えば、サービスのメニューをふやして、支援策を提供する一方で、受益者負担を導入するということになるのかどうなのか。新たな支援のあり方というのはどういうことを想定しているのか、現時点でお考えになっていることがあればお示しをいただきたい。
それから、これも先ほどの答弁にあったと思うんですが、子育てに対するさまざまな負担があるという上で、これを可能な限り社会全体で共有、分担し合うことが必要であるというお話でした。さまざまな負担ということについてはどのような認識でいらっしゃるのか、これを伺いたい。
それから、経済的負担感についての問題です。私どもは、保育所整備に当たって非常に重要なところだと思っております。さっぽろ子ども未来プランの中でも、子育て費用の負担が大きいということが、子育てをしていく上での阻害要因として言われていることが指摘されております。実際、保育所をふやしてほしい、そこに対する経済的な援助をしてほしいという保護者の声が非常に大きいわけですが、改めて経済的負担感についてのご認識についても伺いたいと思います。
◎山本
子育て支援部長 私の方からお答えを申し上げます。
最初に、平成16年度の保育所の整備計画と実績についてです。
平成16年度の施設整備についてでありますが、国庫補助による保育所の新設につきましては、北区拓北地区で90名、東区苗穂地区で120名の民間保育所を新設しております。
また、国庫補助による改築につきましては、北区、東区、白石区、厚別区、手稲区の合計5カ所で、改築にあわせて、それぞれ30名の定員増を行うことにより150名の定員増となっております。
これらの国庫補助につきましては、国の予算の関係から、保育所の開設や定員増の時期が本年の6月から7月にかけて行われたところでございます。さらには、
認可保育所への移行促進事業により、中央区、南区、手稲区で各1カ所、北区で2カ所の合計5カ所で、それぞれ60名の保育所を整備し、ことしの4月に開設となっております。
ことしの4月時点では、これらの施設整備に加え、法人の自主的な整備と合わせますと、昨年4月に比べまして390名の定員増となっており、7月時点では、国庫補助事業の整備分を合わせまして、最終的に750名の定員増となっております。
平成16年度の待機児童の状況でございますけれども、委員ご指摘のように、4月1日の待機児童数は全市で307名となっており、対前年比で151名の増加となっております。
また、7月1日におきましても、全市では378人となっており、昨年同月の305人と比べ、依然、実数としては多くなっております。しかしながら、増加数は73名となっており、4月の151人増に比べますと改善の様子が見られるのかなというふうに考えております。
具体的な見直しの検討項目でございますけれども、これは先ほどもお話し申し上げましたように、現時点では、保育所の利用負担のあり方、また、
子育て家庭に対する新たな支援のあり方についてご検討、ご審議をしていただくというような考えでございます。
経済的負担感につきましては、試算では、軽減率を37%から政令指定都市のように32%と5%の引き下げを検討しておりますが、実際には、これらのことも含めましてそれぞれ新たな支援策を含めたご検討、ご審議をしていただこうと考えているところでございます。
それから、経済的負担の認識でございますけれども、我々といたしましても、さっぽろ子ども未来プラン、あるいは各市民ニーズ調査によりまして、十分その辺の認識はしているところでございます。
◆坂本恭子 委員 計画については、具体的なお話をいただきましたけれども、国庫補助の関係で開設がずれ込んだという理解でよろしいでしょうか。
待機児童数は、4月と7月の時点での数字の推移を出しながら、改善の様子が見られるというお話でした。さっぽろ子ども未来プランの中では、2007年の4月時点で待機児童数ゼロ、これは新
まちづくり計画についても同様ですが、こういう目標を掲げております。そういう中で、国庫補助採択が単年度ではなく2カ年の事業になり、計画どおりには進んでいないという中で、本当に達成できる見通しがあるのかということについて伺いたいと思います。
2004年度のところで、国庫補助が単年度ではなくて2カ年ということでしたから、今年度の分についても、今は国庫補助ではなくて、次世代育成の交付金という形で出ているんだと思うのです。事前に資料をいただきましたが、大体6億円ぐらいの要求に対して、国側から出てきた数字が2億2,000万円余りということで、採択率でいくと37.5%ということになっております。2004年度同様、採択がなかなか進んでいないという状況だと思うんですけれども、この採択率は妥当なものなのか、なぜこのような低い採択率になってしまったのか。この点について、今後の保育所の整備計画とあわせてお話をいただきたいと思います。
それから、保育料についてですけれども、支援策のあり方も含めて、これから全部審議会の方で議論をしていくというお話でしたが、この間、所得税法の改悪ということで、保育料の算定というのは、住民税もそうですけれども、所得税額ベースで算定されていますから、税制が定率減税を含めて縮減、あるいは廃止ということになりますと、これが即保育料の引き上げということにつながっていくと思います。所得が変わらないのに保育料が引き上げられていくという実態があると思うんですけれども、その点について、どのような見通しを持っていらっしゃるのか、これをお聞きいたします。
あわせて、さっぽろ子ども未来プランでは、保育料の軽減ということが具体的に文言としてうたわれております。これは、以前も私ども日本共産党の議員が議論したところではありますけれども、やはり財政構造改革プランによる保育料見直し、それからさっぽろ子ども未来プランでの保育料軽減ということの整合性が全くないというふうに思いますし、これは行うべきではないと私どもは考えておりますが、この点についてはどのようにお考えになるのか、改めてお示しください。
◎山本
子育て支援部長 私の方からお答えを申し上げます。
最初に、待機児童数の見通しでございますけれども、委員ご指摘のように、この2年間は国の内示が2カ年となっていますことから、国の財政状況によりましては、平成18年度の整備につきましても、同様に2カ年事業という可能性は否定することはできない状況になっております。この場合は、平成19年4月における目標達成が困難ということも現時点で予測されるところでございます。
また、特に新設施設につきまして2カ年事業となった場合には、入所児童がなかなか定員に満たないという状況にもなりますことから、施設運営にも重大な支障が生じます。このようなことから、できる限り単年度整備になるよう国への要望等を進めてまいりたいと考えております。
それから、今年度のハード交付金のいわゆる約38%の内示率でございますけれども、その要因等で、平成17年度の保育所の整備につきましては、国の整備区分で申し上げますと、創設が2件、増改築が3件、改築が2件、大規模改修が1件となっております。このうち、定員増を伴わない改築及び大規模改修につきましては、国から示されたハード交付金の積算内訳資料には載っていなかったわけであります。
これらの整備が交付金算定の際に対象とされなかった理由でございますけれども、ハード交付金の国への協議に当たりましては、事業ごとに評価ポイントを算定することになっておりまして、その際に、整備区分によりポイントの算定方法が異なっております。
例えば、改築と増改築を比較した場合には、老朽度等の条件が同じであれば、定員増を伴わない改築につきましては、増改築に比べてかなり厳しく評価される仕組みとなっております。
また、これまでは、採択の際に考慮していただくことが可能な個別の事業につきましても、定められた項目以外の事業については、点数化される余地がなくなったことから、一部の整備につきましては、積算の対象から外れたものであると考えております。
さらに、算定の対象になった事業につきましても、いずれも2カ年事業となったことから、協議額に対する今年度の内示額が38%ということになったと理解しております。
それから、保育料の関係で、いわゆる税制改正に伴うさまざまな影響ということでございますけれども、我々も税制改正に伴って保育料が増減してくるということは想定しております。ただ、税制改正の中では、それぞれ与えられた環境の中で一定程度の環境整備、いわゆる保育環境の整備の中でこの辺の負担増については理解していただこうというふうに考えております。
また、さっぽろ子ども未来プランでの保育料軽減の考え方でございますが、これも、前回の議会でもお話を申し上げましたように、軽減という基本的な考え方は、さっぽろ子ども未来プランでお示ししたとおり何ら変わったわけではございません。軽減率の中で、それぞれの市に見える財源状況の中で、適切な負担軽減をご議論していただく中で、今回、財政構造改革プランでのシミュレーションの中に、政令市平均の率を試算したということでございます。
◆坂本恭子 委員 今、お話をいただきましたけれども、待機児童の解消については、2007年度の目標達成は困難な状況になるかもしれないということで、そこにかかわって国庫補助事業の採択が、単年度ではなくて2カ年のものになっているというお話がございます。
言われたように、定員増を伴わないものについて、国の採択が行われないというお話でした。やはり今、国を挙げて待機児童を解消していこうということが大きな施策として動いているというのが、そこにも透けて見えるというふうに私は思います。
今ある待機児童を解消していくために保育所の創設、あるいは定員増を伴う改築というものを進めていく必要があるというふうに思いますし、国に対してもしっかりと要望していくということが大事だろうと思います。
今回、採択されなかったものにつきましては、豊平区、東区の子育て支援センター、それから公立保育園を民間移譲した興正保育園が実質的に国庫補助の対象にはなっていないということですね。興正保育園の方では、国庫補助が得られるという前提のもとで、札幌市が支出補助の予定をしていた1億1,600万円、これが今年度計上されているわけですが、結局、ここについて国の補助採択が得られなかったので、1億1,600万円全額を札幌市の単費で支出するということになっていくんでしょうか。その見通しについてもお示しいただきたいと思います。
この間、延長保育あるいは一時保育、各種補助金というものが軒並みカットされております。延長保育については3,300万円、一時保育は1,100万円、それから各種補助金については5,100万円という形で、保育所に対する補助金がカットされていく。そしてまた、今回の国庫補助事業の採択に見られますように、定員増につながらない改築については交付金がつかないという状況になっていくわけです。
先ほど、環境整備をしっかりしていく中で、保育料を含めた負担についても理解が得られるようにしたいというお話がございましたけれども、実質的に改築したくても補助金がカットされる、国から交付金も来ないという中では、自前で改築をしなければならないというような事態も当然出てくるわけです。
今回の興正保育園のように1億1,600万円、これをすべて単費で賄うというようなことになれば、イコール札幌市の財政にもはね返ってくるわけですから、ここについての見通しというものをしっかりと持っていただかなければいけないと思います。そして、イコール受益者負担ということで保育料の引き上げになってはいけないと思うんです。やはり、保育の質の低下ということにつながっていくのではないかと思うんですが、この点についてのご見解を改めて伺いたいと思います。
それから、国庫補助事業にかかわって、子育て支援センターの設置ですけれども、2009年度までに五つの区に支援センターを整備していくことになっているわけですが、そのうちの二つが国庫補助採択にならなかったということです。
今回、平岸乳児、幼児保育園をつぶして、2006年、2007年に新しい子育て支援センターが開設されますが、保護者の理解が得られないまま進められている公立保育園つぶし、民間移譲という同様の手法を私どもはとるべきではないと思っているんですけれども、今後、こういう手法はとらないということになるのでしょうか、その点について明らかにしてください。
◎山本
子育て支援部長 私の方から、3点お答え申し上げたいと思います。
最初に、国庫補助事業の関係、1億1,600万円の対応でございますけれども、ご存じのように平成17年度の保育所整備計画の予算につきましては、平成17年3月の定例市議会におきまして可決成立されているところでございます。定められた歳出予算内で行われておりますので、予定どおり市長のもとで執行されてございます。
それから、ハード交付金等の質の低下の問題でありますけれども、ハード交付金につきましては、定員増を伴わない場合には、増改築に比べまして限りなく厳しい評価をされる仕組みになっていることは先ほど申し上げましたけれども、このような整備でありましても、老朽度や築後経過年数によっては必ずしも対象にならないということではありません。そういうことを含めて、評価方法の見直しなどについては、先ほど申しましたように、国に対して要望しながら保育環境が確保されるように努めてまいりたいと考えております。
それから、民間移譲の関係でございますけれども、民間移譲につきましては、今後の子育て支援策につきまして保育施策の充実を図る一方、すべての
子育て家庭を対象に幅広く取り組んでいく必要があると考えております。
中でも、区における子育て支援の拠点となります仮称区子育て支援センターにつきましては、これまでもたびたびお話を申し上げているとおり、従来の保育所機能のほか、新たに保育所支援機能やコーディネート機能を展開するものとなっております。これらの新しい事業化のためには、子育てに関するさまざまな体験、ノウハウを有する保育士の確保が必要になるというふうに考えております。
そこで、民間保育所の整備により、保育所定員の拡充を図る一方で、公立保育所につきましては、民間移譲により生み出した保育士等の人材を、仮称子育て支援センターで行う事業に配置することにより、
子育て家庭に対する支援の充実を図ってまいりたいと考えております。このような関係に基づきまして、仮称子育て支援センターの設置と公立保育所の民間移譲を進めているところでございます。
◆坂本恭子 委員 興正保育園については、そのまま予算を執行していくというお話でしたけれども、要するに、国からお金が来ないわけですから、これについては一般財源で賄っていかなければならないということで、最終的にどういう形で決着がつくのか。また、新たな起債を起こしながらこれを生み出していくということになるのかどうなのか。それが保護者に対する新たな保育料の負担につながらないようにしていただきたいということを申し上げたいと思います。
先ほども申し上げましたけれども、国の所得税法のかかわりもありまして、収入が変わらないのに保育料が上がっていくという実態が確実に進行していくわけです。そこで、新たな受益者負担という考え方で、国よりも軽減率があるからいいだろうというような部長の答弁だったんじゃないかなと思うんですが、それを政令市平均に5ポイント引き下げていくということで、それは実質的に保護者に対する負担がふやされていくということですから、環境整備ということを口実に負担がふえていくというようなことはあってはならない道だと思います。市長もいらっしゃいますので、それは選択すべきではないということを改めて申し上げておきたいと思います。
最後に、公立保育園の問題についてですけれども、ベテランの保育士を確保して子育て支援センター、全家庭支援ということで、それを視野に入れてやっていくんだと。したがって民間移譲が必要なんだというお話でしたが、札幌市全体の保育の水準を引き上げていく、維持をしていくということで言いますと、私は、子育て支援センターに、公立保育園のベテラン保育士さんを中心に人員を確保していくということが、イコール保育の質を向上し、子育て支援策の向上につながっていくとはどうしても考えられないのです。子育て支援センターを整備することが、公立保育園をつぶして民間移譲することに、どうしてつながっていくのか、その点をわかりやすく、もうちょっと丁寧にお話をいただければと思います。
私は、やはりこれは選択すべき道ではないと。まして平岸保育園、乳児保育園では、保護者の理解が得られないまま、これが進められてきたという経緯があるわけですから、最後に、この点を十分踏まえた答弁を求めて、私の質問を終わります。
◎山本
子育て支援部長 民間移譲の関係に関しましては、できるだけ重複を避けたいと思いますけれども、子育て支援センターの整備のためには保育士の確保が前提となります。そのためには公立保育園のいわゆる経験、ノウハウ、それを活用した中で、子育て支援の機能をさらに強化していきたいという考えのもとで実施をしているところでございます。ぜひご理解いただきたいと思います。
◆小谷俵藏 委員 それでは、私から育児にかかわる問題について質問させていただきます。
決算書の60ページから64ページでありますが、児童福祉費が441億2,892万4,000円、そのうち前段で話をいたしました障がい児関係の決算は7億7,571万890円ということになって、障がい児にかかわる決算を引きますとおよそ434億円という財源があらわれています。私は、これが高いか低いかあえてここで申し上げることは差し控えさせていただきます。
まず、児童問題の対応問題について質問させていただきます。
最近のテレビや新聞などを見ておりますと、児童虐待や犯罪の低年齢化、働く意欲を失ったニートの問題など、子どもを取り巻くさまざまな問題が連日のように報道されているわけであります。私は、このようなニュースに接するたびに、あすの社会を担う
子どもたちが、人間として本当に大切な部分を置き忘れたまま、家庭や学校、地域社会の中で育てられているのではなかろうかという危惧の念を抱くのであります。
核家族化の進行や家庭環境の複雑化などによって、子育ての原点である家庭が、人間をはぐくむ場という本来の機能を失いつつあるような気がしてなりません。
そこで、質問でありますが、先ほど宮村委員から家庭内虐待にかかわる質疑がありました。私からは包括的に質問させていただきます。
まず、札幌市で起きているさまざまな児童問題に対応している
児童相談所の現状についてお伺いをいたします。
1点目として、昨年度、
児童相談所で取り扱った相談件数とその概要について、改めてお伺いをさせていただきます。
2点目として、ここ数年間の
取り扱い状況の動向について、お伺いさせていただきます。
◎柴田
児童相談所担当部長 2点につきましてお答えいたします。
まず1点目の平成16年度におけます
児童相談所が取り扱いました相談件数についてですが、総数で4,107件でございます。その内訳といたしましては、養護に関する相談が1,089件、障がいに関する相談が2,473件、非行に関する相談が201件、家庭内暴力や不登校などに関する育成相談等が327件、その他が17件となっております。
次に、2点目のここ数年の
取り扱い状況の動向でございますが、保護者の病気や家庭不和などといった保護者の事情による相談、虐待など保護者に子どもを監護させることが不適当と判断されるような相談が増加しております。このような児童の養護に関する相談は、この5年間で約1.4倍となっております。
◆小谷俵藏 委員
児童相談所の分野においての相談は、ここ5年間で約1.4倍という傾向にあるというご答弁をいただきました。まさに子どもを取り巻く状況は大変深刻なことが明らかになったと思うのであります。
札幌市では、平成16年4月に、子どもはあすを担う大切な人材であるととらえて、子ども関連施策を総合的、一元的に展開するために、それまで担当部でありました児童家庭部を改めて、子ども未来局という大きなくくりとして創設されたわけであります。
昨年の4月からですから1年半たっているわけでありまして、局の統廃合等でいろいろ課題はあるわけですが、少なくとも子ども未来局については適切なものだと、私はこう評価している者の一人であります。
そこで、このような状態についても十分認識し、幅広い観点からの取り組みが必要であり、それが新たに誕生した子ども未来局の役割だと思うのであります。子どもの成長に大切なものは教育であり、また、その中で、教える「教」とはぐくむ「育」の両輪が教育行政にあるわけであります。
そこで、お伺いしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、子ども未来局としてさまざまな施策を進めていく上で、教育を所轄する教育委員会と、はぐくみの部分で共通認識を持つことが基本になると考えますが、これまでどのような連携が行われてきたのか教えていただきたいと思います。
◎奥岡 子ども育成部長 教育委員会との連携についてお答えいたします。
まず、子どもが生まれ、成長する過程を総合的に支援するためのさっぽろ子ども未来プランを昨年の9月に策定いたしました。この策定に当たりましては、同じ子どもを対象とした施策を担っている教育委員会とも十分協議をしたところでございます。また、その後の事業執行に当たりましても、さまざまな場面で連携協力を図ってございます。
特に、連携強化を図ることで事業の効果的な推進につなげるため、昨年11月には五つのプロジェクトを立ち上げてございます。その分野は、児童会館事業推進、子どもの体験・活動事業推進、子どもの権利推進、幼保連携推進、そして子どもに関する相談業務の推進でございます。既に、それぞれのプロジェクトにおきまして、課題や検討項目の抽出を終えておりまして、現在、課題の解決や効果的な事業推進に向けた具体的な取り組み、また検討を進めているところでございます。
◆小谷俵藏 委員 教育委員会との連携についてはおよそわかりましたが、子どもに係る施策については、原点に立ち返っての検討が必要と考えますので、さらに深めていっていただきたいと思います。
これまでの段々の質疑の中で、子育て、そして子育て支援というのは、社会の根本に翻って考えなければならないということが明らかになってきたと思うのであります。
今、人間として育つ環境については、子どもが学校に上がる年齢からの対応ではもう遅過ぎるのでありまして、物心のついたときから社会性を身につける環境が形成されていく必要があると思います。まさに昔から言われます、三つ子の魂百までということであります。
このようになってきた要因はさまざまなことが考えられます。昔は兄弟が多く、我慢することも教えられました。外に出たら、隣近所の上級生などに鍛えられました。今は環境が大きくさま変わりして、核家族であり、まさに友達はテレビとゲームになっているのではないかなと。このテレビも、極めて娯楽性の強い番組が多いのが実態であり、家族が個別に好きな番組を見ていたり、家族のきずなにも大きな影響を与えております。
学校では、子どもに何かトラブルがあれば親がすぐ抗議に行く、今の日本は、個人の人生観を鍛える場所が非常に少なくなって、すぐにお受験みたいな方向に行ってしまうわけであります。何から何まで個人が孤立するというか、浮遊するというような方向に行っている気がしてなりません。
日本の社会は戦後、地域社会や社会全体で共有していたいろいろな仕組みや考え方がすっかり崩れてしまったわけであります。それに加えて、今後、少子高齢化がますます急速に進むわけでありますから、今の子どもたちがどのような大人なり、どのような社会をつくることになるのか、私は非常に懸念せざるを得ないのであります。今の
子どもたちがあすの札幌、そして社会、ひいては国を支えていくわけでありますから、この現状を考えたとき、非常に大きな危惧の念を抱いてならないのであります。
そこで、質問でありますが、このような社会の現状を踏まえて、行政は子育て支援を進めていくべきと考えますが、この基本的な姿勢をお伺いいたしたいと存じます。
さらに加えて、さきの勝木委員からの質問で、子どもの問題、いわゆる子どもをはぐくむ、産み育てることに関連した質問がありました。私はすばらしい質問だと思って聞いておりました。私はその点を指しているんです。それに対して局長から、結婚する、しない、子どもを産む、産まない、それは個々人の自由判断ですという趣旨の答弁がありました。基本的には全くそうです。私は、あすの社会、自分の老後を考えたときに、やはりその社会を担う子どもなくして老後はない。それをしっかりと考えながら、子どもというものに対しての認識を深めていくべきだと。子どもがほしくてもできない方もおられます。これはやむを得ないことであります。しかし、今は必ずしもそうでない。結婚もしない、子どももつくらない方が大勢いらっしゃる。こういうことであすの福祉が成り立ちますか、社会保障が成り立ちますか、大変なことになるんじゃないですか。このことに対しての答弁をいただきます。
◎飯塚 子ども未来局長 最初のご質問でございますけれども、子育て支援における基本的な姿勢についてということからお答えをさせていただきたいと思います。
今、委員の方から大変貴重な意見をいただいたと思っております。子どもが社会性を身につけることは大事なことであるというふうに私も思っているところでございます。したがいまして、そういったことも踏まえまして、札幌の
子どもたちが健やかに育つように、家族、そして広く地域を含めた社会全体で支えることを基本姿勢といたしまして、子育て支援について一生懸命に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
先ほどの勝木委員からの質問の継続で、もっと子どもを産むべきということについてであろうかと思います。また先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり基本的な認識といたしましては、結婚する、しない、子どもを産む、産まないというのは、個人の選択であろうというふうに思っております。ただ、子どもがいることによって、豊かな時を過ごせるということも、それは当然あるかというふうに思いますので、そういったことも含めまして、多くの市民の方々にそういった意識を持っていただけるような環境醸成に努めてまいりたいと思っております。
◆小谷俵藏 委員 要望を申し上げておきます。
自由だということは、それはだれしもわかっています。そのことよりも、やはり皆さんの意識がどうあるかということが大切なんです。その意識高揚のために、しっかりと子ども未来局が中心となって取り組んでいき、全市を挙げて全国へ発信するものを考えていただきたい、そのことで申し上げているんです。子どもをしゃにむにつくれとは言えませんよ。それは自由ということは当たり前のことです。それは聞かなくてもわかっているんですけれども、やはり意識の改革ができるような、そういうことを強く求めておきたいと思っております。
それから、市長もいらっしゃいますので−−社会貢献された方を表彰されておりますね、これは非常に多いわけです。私は、子どものことを考えるときに、例えば、札幌市の職員で、6人も7人も産み育てていらっしゃる方を承知しております。本当に自分で食うものも食わないで育てていると思いますよ、すばらしいことだと思うのです。市長、市の職員のみならず、こんなすばらしい方を表彰するぐらいの気持ちになって、これからの取り組みをしていただきたい。とにかくそういうふうにして、子どもは大切なんだということをしっかり認識していただくことを強く要望して、終わります。
◆小川勝美 委員 児童虐待と
児童相談所にかかわって、簡潔にお尋ねをしたいと思います。
昨年も、厚別区もみじ台で、住民の通報があって、
児童相談所の
児童福祉司などの皆さんが何度も訪問したり接触を試みたり、そんな中で、結局、警察署で子どもが保護される、こんな児童虐待があって、厚生委員会でもそれらの内容について報告を受けたことがございます。
この間、札幌市は、
児童相談所の
児童福祉司の配置基準が、国の基準よりも少ないということで、私どもの会派も何度も取り上げてまいりました。その中で、
児童福祉司の配置が改善されてきた。これはその前進として受けとめているわけでありますが、児童虐待は減る状況にない現状にございます。
子どもに対して親が暴力を振るう、あるいは子どもに食事を与えない養育放棄、こんな児童虐待などが行われて、これが子どもの心身の発達に大きな影響を与えております。児童虐待の内容によっては、
児童相談所での具体的な対応が異なるのではないかなと、こんなふうに思うんでありますが、お尋ねしたいのは、札幌市における児童虐待の特徴、ほかの政令指定都市と比較して、札幌市はこういう児童虐待の特徴があるというものがあるのではないかなと思いますので、その点について具体的に明らかにしていただきたい。最初にそれをお尋ねしたいと思います。
◎柴田
児童相談所担当部長 札幌市における特徴につきましてお答えいたします。
札幌市の場合につきましては、他都市と比べまして子どもに対する養育の拒否、あるいは監護の怠慢、そういったいわゆるネグレクトの割合が非常に多いということが特徴として挙げられます。
平成16年度におきましては虐待総件数242件でございますが、身体的虐待が42件、心理的虐待が28件、性的虐待が6件、ネグレクトが166件となっておりまして、全体の約7割をネグレクトが占めている状況でございます。また、ネグレクトの占める割合につきましては年々増加しておりまして、5年前の平成12年度と比べますと約1.3倍に増加しております。
◆小川勝美 委員 他の政令市では、昔と同じような身体的虐待という特徴があるようなんですけれども、札幌の場合は約7割がネグレクト、養育放棄という特徴があるのというのが今のご答弁だと思います。札幌の場合、ネグレクトが多いというのは、非常に核家族化が進行してきているとか、そのことから、親から子への養育技術が伝わらない、そして、育児の負担感が親に強まっている。しかも、特に母親のみに集中してしまう、そんなことから、養育負担から逃避をするという養育放棄があって、ネグレクトが多いのではないかなという気もするわけであります。
それでは、なぜ札幌だけがそんなになるのかなと思い、いろいろなネグレクトの資料を見ました。こういうことが背景にあるのかなと思うのは、一つには、札幌は他の政令指定都市と比較して、人口1,000人当たりの離婚率が非常に高い、東京区部だとか横浜は人口1,000人当たり2.2とか2.4の離婚率に対して札幌は2.8で、母子家庭が増加している。この母子家庭が、経済的貧困で養育に疲れる。
私の知っている母子家庭の人も、午前8時から美装に働きに行っている。1カ所目が終わったら、2カ所目は夕方4時から夜8時まで、また同じように美装に行く。そうして一生懸命働いても8万円か9万円、そんな状態です。区役所の保護課に生活保護の申請に行くと、若いんだから頑張れば10万円以上働けるんだと。そういうように実際には窓口で拒否される。
そして、厚生労働省から123号通知が出ていますよね。これは母子家庭の人が生活保護申請に来ても、簡単に受け付けるなというようなことが現実にあります。123号通知が出されてから、なかなか母子家庭であっても生活保護が受けられない。少ないパート収入の中で子育てをしている。そういう負担感から、先ほど言ったような子育て負担から逃避をしていくようなことが多いと。別にこれは母子家庭だけという話ではなく、こういうことの中からネグレクトが多いのではないかなと、私は、こんなふうに見ているわけであります。養育放棄が7割も占めるわけですから、ネグレクトの状態を何とかしていく、それを改善していく。特に、食事を与えないということになれば、健康面では栄養失調ということが起こってくると思うのです。そういう意味で、私は、午前中の質疑にもありましたように、
児童相談所に保健師を配置していく。
昨年、住民からの通報があって、もみじ台に
児童相談所の皆さんが行かれたときにも、お医者さんである当時の所長が、もし、子どもさんと会ったときに、顔色を見て、それらを判断できるようにとついて行かれたわけですけれども、そのときにはたまたまた子どもさんと接触することができなかったと聞いておりますが、健康面だとか栄養面でも指導を行う保健師を
児童相談所に配置していくことが、今、非常に強く求められているのではないかなと、こんなふうに思います。
各
保健センターには保健師さんがいて、そこの
保健センターでは地域割りがされております。それでは、今、配置されていない
児童相談所において、各
保健センターの保健師さんの活用がどういうふうにされているのか、お尋ねしたいと思います。
札幌市は、
児童相談所に保健師を配置しておりません。そういう中で何度も保健師を配置すべきでないかという質疑が行われてきたわけですけれども、ほかの政令指定都市の場合、
児童相談所に保健師はどのように配置されているのか。配置していない政令市というのはどことどこなのか。その配置状況について具体的にご答弁をいただきたいと思います。
◎柴田
児童相談所担当部長 2点につきましてお答えいたします。
まず1点目の保健師の活用の現状についてですけれども、現に
保健センターとかかわりのあるケースにつきまして、また、乳幼児に関するケースにつきましては、各区の
保健センターと連携を図りまして、保健師との同行訪問を実施するなど、協力体制を確保しながら対応しているところでございます。
次に、札幌市以外の指定都市におけます
児童相談所における保健師の配置についてですけれども、保健師を配置していないのは、さいたま市と広島市の2市のみとなっております。残りの政令指定都市では、保健師を1名ないし複数名配置している状況にございます。
◆小川勝美 委員
児童福祉司については、この間、ずっと努力をされて何とか国の基準までに増員されて24人、係長を入れると27人と、札幌市も今年度で初めて
児童相談所の体制が整ったわけでありますけれども、今のご答弁にありますように、保健師との連携ということになると、今は事前に予約をしてセッティングをしながら
保健センターの保健師さんと一緒に訪問するということを行っております。
昨年の児童虐待では、住民からの通報で夜中の張り込み、こんなことになると
保健センターの保健師と予約を取ってやるという実態にはならないので、児相の所長さんであった小児科の先生と一緒に行かれたということもあったわけです。
通報を受けて、すぐ
児童福祉司が訪問する、そのときに健康面、内容面からもチェックできる体制ということになると、保健師が一緒に訪問する、これが非常に重要なことだと思うものですから、あえてご質問をさせていただきました。
それから、今、ご答弁がありましたように、保健師が配置されていないのはさいたま市と広島市だと、これは最近政令市になったところですよね。30年も前から政令市になっているところで、保健師を配置していないのは札幌市だけなんですよ。しかも、横浜市は三つの
児童相談所がありまして、ここに1人ずつ3人配置されています。名古屋市、京都市、神戸市、この3市は2人ずつ配置している。仙台市は発達相談係に6人も置いて対応している。そういう意味で、先ほどご答弁ありましたように、保健師の配置について関係部局に働きかけたいということでありました。新しく就任された局長に、ぜひそのことをご要望します。午後からは上田市長もおられますし、小澤副市長は朝からこの質疑をお聞きだと思いますので、私はあえてこれ以上答弁を求めません。
30年以上も前から政令市でありながら、保健師を置いていないのは札幌市だけだと。先ほど言ったように、離婚率は政令市の中で最も高い、しかも所得は低い、東京と比べると、常用労働者の月給で12万円低い、こういう経済的な状況もあるし、先ほど私が話したようなパートで働いている母子家庭の人たちもおられる、そういうことなんかも考えた場合、この札幌市においても、保健師の配置というのは急務であるということをあえて申し上げて、私の質問を終わります。
○井上ひさ子 委員長 以上で、第2項 児童福祉費のうち関係分及び母子寡婦福祉資金貸付会計の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後2時22分
再 開 午後2時25分
──────────────
○井上ひさ子 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第1項 社会福祉費及び第2項 児童福祉費のうち保健福祉局関係分について一括して質疑を行います。
◆小野正美 委員 私の方からは、高次脳機能障がいの問題について質問いたします。
この件については、ことしの6月にNPO法人コロポックルさっぽろから高次脳機能障がいの施策の充実を求める陳情が出されまして、7月19日の厚生委員会で初審査を行いました。この際、すべての会派から発言、質疑がありまして、議会、議員の関心の高さが認識されたと思います。
最近、私もこの問題に直接かかわる機会がございました。それは、8月の中旬、選挙のこともあって地域回りをしていましたら、ある家庭で、小野さん、いい弁護士さんを知らないかと。橋本先生とか上田先生とかが思いつくわけでありますが、一体どうしたと話をしましたら、娘さんが6月に交通事故で大変なけがをされて、ある脳外科の病院に入院をしていたのだと。体的にはもう大丈夫だと、だからもうそろそろ職場復帰をしたらどうだと言われたらしいんですが、親の目から見たらとてもそういう状態ではないと。そんなことで、先々のことを考えると、医療事務の仕事についていたらしいのですが、しっかりした弁護士さんについてもらって、少し事故の賠償といいますか補償というか、そんな思いがあったんだと思います。
そういった中で、交通事故による脳の損傷で障がいが残るということで、コロポックルの方を紹介いたしました。早速、親御さんが行かれましていろいろお話を伺って、具体的には、高次脳機能障がいにかかわりの深い弁護士さんを紹介してもらい、今現在は、北大病院に再入院して検査、診断を受けて、リハビリもされているということです。
こういったコロポックルの存在を知ったからよかったんですけれども、ただ単純に交通事故の賠償といいますか、そういったことだとしたら、その人の家庭は大変だったなという思いがいたします。
こうした経過を踏まえて質問をいたしますが、一つは、この間、高次脳機能障がいについて、どういった障がいなのか、あるいはそれに対してどういう診断基準が必要なのか、どういった支援が必要なのかというさまざまなモデル事業が行われてまいりました。当初、3年間でありましたけれども、さらに2年延長して、このモデル事業が行われてきたわけでありますが、これが再々延長ということにはならないわけで、いわゆるポストモデル事業として、来年度以降具体的な施策の展開が求められているわけであります。
さきの厚生委員会でも、札幌市としてもこの5年間、全国12カ所の一つとしてモデル事業に参加してきたと。このモデル事業の成果が生かされるよう施策の検討を進めてまいりたいという答弁がなされております。確かに、解散総選挙で障害者自立支援法の審議が廃案になりまして、今、特別国会で再提出されているわけであります。そういった中で、法律の成立がおくれて、政省令もいまだ明らかになっていないという中にあり、しかし、札幌市としても、このモデル事業への参加で終わりということは決してないわけで、当然、来年度への向上的な施策の展開、予算編成に向け事業の検討などがなされていると思うわけであります。そういった中で、モデル事業にともにかかわってきたNPO法人などを含めた関係者との協議は当然されなければならないと思うわけですが、そういった必要性をどのように認識しているのか。あるいはこういった協議をいつ行うのか。この点、明らかにしていただきたいと思います。
陳情者も含めて、あるいは各会派の質疑の中でも、高次脳機能障がいが非常に新しい、そしてわかりづらい障がいのために、なかなか一般市民の皆さんに認識されない。体の機能としては回復するわけですから外見的にはわからない。しかし、脳は一度壊れると治らない状態で障がいが残るわけですが、そういった情報の提供、あるいは相談や支援についての拠点機能を持った専門機関が必要であるということは、さきの委員会の中でも、いろいろと議論されているわけです。
さらに、答弁としては、札幌市内のいろいろな既存施設を利用しながら考えていきたい、障がい者と家族及び地域の支援機関への相談支援、地域における支援体制の整備を図る、関係機関への技術的な支援、支援コーディネーターの在籍、こういった機能も必要であるという認識を示されていますが、高次脳機能障がいの支援センターの設置について、どのように考えているのか、この点、最初に明らかにしていただきたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 1点目の支援のあり方に関する検討会議についてでございますけれども、札幌市といたしましては、今後の地域における支援のあり方に関しまして、日常的な支援と、それから専門的な支援のための資源、体制をどのように整備していくかということにつきまして、モデル事業の成果を受けまして引き続き検討していく必要があると考えております。
今後の事業における検討会議の枠組みにつきましては、札幌市内にとどまらない広域的な見地からの検討が必要であるというふうに考えておりまして、これまでのモデル事業との連続性に配慮し、検討会議を所管し主催してきた北海道と十分協議をするとともに、特に、札幌につきましては救命救急の医療機関が集中してございますので、こうした現状を踏まえまして、本市としても検討会議の中で積極的に関与してまいりたいというふうに考えております。
2点目の仮称高次脳機能障害センターの設置につきましては、さきの常任委員会の中でもお答えしておりますけれども、拠点機能を持つ専門機関の必要性につきましては十分認識しているところでございます。今後のあり方につきましては、委員ご指摘のとおり支援法が一たん廃案になったこともございまして、ただいまその支援法が国会に上程されておりますが、こうした支援法のもとでの新しい制度の枠組みと国の動向を見きわめながら、北海道とも協議し、適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆小野正美 委員 確かに、北海道と十分な協議をしながらということでありますが、今言われたように、このモデル事業は全国12カ所で行われてまいりましたけれども、多くが県レベルで、政令市として参加し、取り組んできたというのは、名古屋市と福岡市、北九州市、そして札幌市でありまして、事業費については、国が半分、地方自治体が半分です。最近、北海道は減額をしてきているけれども、札幌市はこの金額を5年間守ってきたと自負されているわけでありまして、このことは評価するものであります。そういう努力は評価いたしますが、逆に言うと、札幌が積極的にかかわりを持って、北海道との協議、あるいは札幌市独自に関係者との協議をする中で、どのような施策が必要なのか、そういう努力がもっと必要ではないかと思います。
特に、今言われたように、札幌には救急救命医療機関が数多くあります。あるいは、不十分な調査でありますけれども、高次脳機能障がいとして把握された方の約4分の3は札幌ですし、そういったことも含めて、間もなく障害者自立支援法が成立するでありましょうし、予算編成の時期も迫っているわけですから、ぜひ早急に関係者と具体的な協議をして、特に札幌市としての施策の確立に向けて努力をしていただきたいと思います。
それから、支援センターについても、この委員会で議論もしましたけれども、やはり新しい施設とか建物が欲しいというわけではなくて、既存のいろいろな機能を生かしていけばできるわけです。
コロポックルの方々も、小さき旗揚げといいますか、本当に高次脳、高次脳という形でいろいろな旗を配ってきたと。自分たちはこういう努力をしてきたと、世間の人たちに知ってもらう、あるいはそういう人たちの相談を受けて支援をすると、そういう旗を配ってきたけれども、やはりそこには限界があると。行政がしっかりと旗を立て、ここに高次脳機能障がいの支援センターがあるということが求められているし、それが必要なんだと思います。そんなことも含め、そのことについて十分認識を新たにして、来年度の予算の中にぜひ位置づけられるように要望したいと思います。
交通事故が年々ふえておりますし、一方、救急救命体制も充実する中で死者は減っているけれども負傷者がふえる。いわゆる脳に損傷を受けた状態の方が年々ふえているわけでありまして、そういった中で、医療機関に対する高次脳機能障がいの診断基準といったものも策定され、そのことが医療機関に対してきっちりと提供されて、そういった識見を持った医療体制が必要になってくると思うわけであります。
市立札幌病院には救急救命センターがあるわけでありますが、そこの中で高次脳機能障がいへの対応はどのようになっているのか。築島精神保健福祉センター所長は、かつて市立札幌病院の救急救命センターで救急外科医として仕事をされていたとお聞きしているわけですが、そういった実情なども踏まえて、現状における市立札幌病院の状況はどうなっているのか。また、これをどのように改善していくのか。救急救命センターといいますか、ほかの脳外科の医療機関に対する拠点病院として、市立札幌病院の指導性といったことが必要になってくると思うんですが、この点について見解をお聞きいたします。
それから、このことも含めて、市の職員、病院の方もそうですし、各
保健センターの保健師さんなどもそうなんですが、さらにはこういった高次脳機能障がいの方々とかかわる施設の関係職員に対する研修を充実するということが非常に重要であります。さきの厚生委員会の答弁で、ことし5月に実施をして、通常は30人から50人だけれども、この日は通常より多い80人の参加があったということで、その後、どういった内容で研修されたのかという資料をいただきました。
札幌市は、精神保健福祉にかかわる職員として新たに転入してきた、そういった初任者研修のような形で、5月に5日間にわたる研修が朝9時から5時まで行われています。その中の一つの項目として、精神疾患の理解と対応ということで、約1時間半の中で、気分障がい、てんかん、高次脳機能障がい、認知症と、こういう四つのテーマで講義が行われております。
一方、平成16年7月に、道立精神保健福祉センターで行った研修では、朝10時から16時にかけて、困難事例検討会、いわゆる高次脳機能障がいに絞った研修会が1日かけて行われまして、そこで高次脳機能障がいとは何かという講義が約2時間近くありました。その後、当事者としてコロポックルの利用者、それから家族から、こういう実態があるという具体的な事例についての提議があったわけであります。
こういう北海道と札幌市の研修内容について、僕自身も単純に比較をする気はございません。確かに対象者と目的が異なるわけですから、北海道でやる内容と、それからより広く対応する札幌市、基礎自治体としてやる内容とは異なるんだという見解もあろうかと思います。当然、こういった市の職員も含めた関係者に対する研修について、充実を図っていくということは必要であると思うんですが、こういう研修体制の強化についてどのように考えているのか、2点目にお聞きいたします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 1点目の市立札幌病院に関連する救命救急についてのご質問でございますけれども、救命救急のある病院というのは市立札幌病院だけではなくて大学病院も含めて何カ所かございます。そこの中で、委員ご指摘のとおり、命は助かったけれども障がいを持ってしまったという方が増加しているということについては、確かにそのとおりでございます。その中で、高次脳機能障がいに対してどのように周知が図られているかという内部のことについては承知しておりませんけれども、私どもの方で、これまでの5年間のモデル事業の成果を踏まえまして、医師等についても、その内容について十分情報提供に努めてまいります。そして、モデル事業について、共同で実施してまいりました北海道と連携しながら、このモデル事業の積極的な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
それから、2点目の高次脳機能障がいを理解するための研修でございますけれども、委員ご指摘のとおり、数多くの支援者を確保するため、幅広い層に対しての研修、これは大変重要なことだと認識しております。障がい者本人に対する介護、訓練、こういった一般的な分野につきましては、基礎自治体である札幌市が担うことが適当でありますし、これにつきましては、今後も、本市職員に対する研修にとどまらず、支援の担い手であるいろいろな作業所、それから支援センター、こういったところに対象を広げて情報提供に努めていきたいと考えております。
さらに、広域的、専門的な人材育成に関しましては、北海道と協議しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
◆小野正美 委員 特に、医療機関に対して、先ほども言いましたけれども、約3カ月たって、もう体も大丈夫なんだから職場復帰したらという脳外科病院の例もあるわけですし、市立札幌病院については、きょうは審査対象になっていませんし、お呼びしていませんので、これはまた別な機会に取り上げていきたいと思います。ぜひ、モデル事業をともにやってきた北海道といいますか、具体的には北大病院のことですが、そことも十分連携をして、医療機関に対する情報提供、あるいはそれぞれ医療機関のドクターだけでなくスタッフも含め、そういった意識、見識などを高める努力をしていただきたいと思います。
それから、本市としての研修について、単に市職員だけではなくて、先ほど言われました精神障がいの地域生活支援センターとか、あるいは共同小規模作業所など支援施設の関係者、そういったところも含めた研修について、毎年とは言いませんけれども、ぜひこの機会に、やはりモデル事業の経験を生かした次の事業展開というときに、より多くの方々にすそ野を広げるということも大事なことですから、そういった研修を行っていただきたいと思います。その際、特に、当事者もなかなか自覚をし得ないという障がいなわけですから、家族の立場からも学んでいくというか、ぜひ、この研修の中に取り入れていただきたいと思います。
◆小形香織 委員 私は、外出支援を目的につくられている障がい者の交通費助成について、2点質問をします。
1点目は、身体障がい1級、2級の方などを対象とするタクシー券、ガソリン券の助成額の格差についてです。
同じ目的の制度なのに、福祉タクシー券は年間3万6,000円分の助成、福祉ガソリン券の場合は年間3万円で、6,000円もの格差が生じています。福祉パス、タクシー券、ガソリン券、これの選択制というのは、多くの障がい者やその団体からの強い要望で導入されました。そして、当初はこの二つに格差を設けるというような説明など全くされていませんでしたが、実際には6,000円の格差が生じました。同じ目的のものなのに、なぜ格差があるのか、私は何度も質問しておりますけれども、全く納得ができません。
ことしは、特にガソリンの価格が高騰しています。札幌市消費者センターの調査では、ガソリン券導入当初の2003年4月の1リッター当たりのガソリン平均価格は108円、ことしの10月時点では126円と約20円値上がりしています。これを助成額の3万円で幾ら使えるかと計算しますと、2003年は278リットルなのに、現在は238リットルしか入れられず、40リットルも少なくなっています。外出支援という同じ目的で、しかも、対象となる人も基本的には同じということですから、6,000円の格差は設けるべきではない。しかも、ガソリン代も高騰している、こういうことも考慮して、6,000円分を増額して3万6,000円に合わせるべきではないかと考えますがいかがか、伺います。
2点目は、福祉タクシー券の対象拡大についてです。
身体障がい1級、2級の方は、障がいの内容に応じて福祉パス、タクシー券、ガソリン券の選択ということで、先ほどお話をしたとおりですけれども、身体障がい3級、4級の方に対しては、福祉割引のウィズユーカードの支給、もしくは定期券料金の助成となっていて、タクシー券は交付の対象になっていません。身体障がい3級の方の中には、雪が降る冬の長い札幌で、転んでけがをしないようにと外出の際にはタクシーを利用している人も多く、ウィズユーカードとタクシー券との選択制にしてほしいという強い願いがあります。障がい3級の方への福祉タクシー券を冬の間だけでも選択できるようにするべきだと考えますがいかがか、伺います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 1点目の福祉自動車燃料助成券、いわゆる福祉ガソリン券でございますけれども、交通費助成制度は、障がいのある方の外出機会をできるだけ確保する、それから社会参加の促進をするという目的のためにつくった制度でございます。このガソリン券の増額につきましては、保健福祉に関するアンケートにより、外出回数等の調査結果に基づいて年額3万円の助成額を設定したものでございまして、ガソリン価格の変動によりまして助成額も変動させるというものではなく、あくまで外出のための一部支援というものでございます。
したがいまして、厳しい財政状況の中で、交通費助成制度を安定的に維持していくといった観点からも、現行の助成額で推移させていただきたいというふうに考えております。
2点目の福祉タクシー利用券の対象拡大についてですけれども、タクシー利用券につきましては、重度の障がいのある方の中でも、通年にわたって公共交通機関による移動が困難、特に下肢とか視覚等に障がいのある方を対象としてございます。このように、タクシーの利用券は、重度の方を支援するといった目的でありますので、身体障がい3級の方への拡大、あるいは冬期間という一時的な取り扱いにつきましては、非常に難しいというふうに考えており、ご理解をいただきたいと思います。
◆小形香織 委員 まず、ガソリン券についてです。
ガソリン料金値上がりの変動のためにということを言っているのではなくて、同じ目的のためにつくられた制度なのだから、同じ額にしてほしいのです。しかも、同じ制度でなぜ違いがあるのか、その点を同じにしてほしいのだと。それが障がい者の願いであるということですから、ガソリン券を6,000円分ふやして3万6,000円にすること、これについていかがお考えなのか、再度伺いたいと思います。
そして、タクシー券との選択制についてですけれども、冬の間、3級の方でもつえをついて出かけられる、そういう方がいらっしゃいますよね。その方が、もし転倒されて入院する、そしてさらに障がいが重くなる、あるいは入院費用がかかるといったことになれば、ますますその方は窮地に陥るわけで、私は、きちんと予防するという意味でも、障がい3級の方に冬の間だけ選択制で、どちらかを選べるようにしてほしいということを言っているのです。新たにタクシーを全部使えというふうに言っているのではないのです。その点、もっと柔軟に対応していただきたいと思いますが、改めていかがか、伺いたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 重ねてのご質問でございますけれども、1点目のガソリン券の増額についてですが、重度の障がいのある方の交通費助成につきましては、当初、福祉乗車証の取り扱いから、福祉タクシー利用券を選択できるということに制度を拡大しまして、さらに選択の幅を拡大するために、いわゆるガソリン券につきましても、平成15年度に導入したというのが直近の状況でございます。こうしただんだんの制度拡大の経過の中で現在の金額を設定したものであり、一方では、外出回数等の調査結果に基づいておりますこともご理解いただきまして、ほかと同一の金額とすることを目指すものではなくて、今の段階では現行のとおりで継続させていただきたいというふうに考えております。
2点目の身体障がい3級の方の福祉タクシー利用券の選択についてですけれども、先ほども申し上げましたとおり、タクシー利用券につきましては、重度の障がいのある方の中でも、通年にわたって公共交通機関の移動が特に困難な方に限るということで、その対象としております。現在の枠組みを変更することにつきましては、制度全体に影響を及ぼすというふうに考えております。本市としましては、今の制度を維持することが、現状とり得る最大限の措置でございますので、身体障がい3級の方へのタクシー券の拡大につきましては困難というふうに考えておりますので、ご理解をお願いいたします。
◆小形香織 委員 ガソリン券6,000円分の拡大についてですけれども、確かに制度を選択できるようにだんだん枠が広がってきたということですけれども、ガソリン券を受給したいという方は、つまり障がいがありながら自分で運転して外出したいと、できるだけ人の介助を受けないで、できることは自分でやって、そして移動をしたいんだと、障がいがありながらもしっかりやっていこうと、そういう気持ちをお持ちの方、あるいはそれを支えようという家族の方に支給されるものですから、そういったご本人たちの要望をしっかり受けとめて、そもそもだんだんとやったから格差があるという考え方ではなくて、同じ制度だからこそ合わせる、この方がすっきりとわかりやすいというふうに思いますので、そこのところを求めたいと思います。
それから、タクシー券との選択制については、枠の変更はできないという回答では私には理解できません。事務方の頭の中できちんと整理していくならば、その枠の中でどちらか好きな方を選んでというふうにすることがなぜできないのか。枠の変更ができないというのではなくて、それならば枠を変更してください。それを求めておきます。よろしくお願いします。
◆小林郁子 委員 私から、発達障がい者の支援についてお伺いいたします。
札幌市自閉症者自立支援センターと自閉症・発達障害支援センター、この二つが併設になった施設がいよいよ11月にオープンいたします。これによりまして、自閉症やアスペルガー症候群などの発達障がいを持つ本人や家族などにとりましては、本当に大きな期待を持っていることだろうと思います。
発達障がいの中で、自閉症の状況につきまして少し申し上げたいと思いますけれども、自閉症児・者というのは、人口1,000人に1人から2人いると言われております。札幌市内では、最低でも1,800人いると言われております。最近の調査事例によりますと、横浜市では人口1,000人に2.1人、それからまた、豊田市では1,000人に1.71人、海外では1,000人に9.1人という報告があります。そういう意味では、診断技術の向上によりまして、今後、一層ふえるのではないかと予測されております。
札幌市が委託しました民間機関の2003年3月の調査研究報告によりますと、札幌市の場合、最も少なく見積もった数で、1,800人のうち、児童が300人程度、成人が1,500人程度というふうに見積もられております。そのうち、強度行動障がいを有するとされている方が380人いるとされていますが、その半数はのぞみ学園や精神病院、入所更生施設に入っており、残り半数は厳しい状況の中で在宅生活を送っているということになっております。
また、本来、入院の必要がない程度の精神障がいを伴う自閉症の方が、適切な支援が受けられないということから、精神病院に入院しているという状況もあります。さらに、知的障がいや行動障がいを持たない人も含め、多くの自閉症者が社会の理解不足によりまして、就労できない状態で家庭に引きこもっているという状況もあります。
また、広く自閉症、アスペルガー症候群、学習障がい、そして注意欠陥多動性障がいという発達障がいにつきましては、実態がなかなか把握されていないということや、医学の面でも調査研究の途上にあるということで、今まで制度の谷間に置かれまして、福祉支援が十分でなかったということもあります。しかし、ことしの4月に発達障害者支援法が施行されまして、これから施策の充実が進むのではないかと期待されております。
札幌市におきましても、法の目指す支援のあり方について、現在、検討委員会で検討されているというふうに伺っております。自閉症など発達障がいがこのような状況にある中で、初めに自閉症児の医療施設でありますのぞみ学園につきまして伺っておきたいと思います。
現在、のぞみ学園の入所者は、ほとんど18歳以上ということで、そのために本来対象となる自閉症児が入所できない状況にあります。それが、このたび自閉症者の入所施設ができるということで、この状態が緩和されるのかどうなのか。のぞみ学園の今後のあり方についてお伺いをいたします。
また、市立札幌病院で、のぞみ学園も含めまして、静療院児童部門を来年4月から児童心療福祉センターに再編するということになっております。これとのかかわりについてもお伺いいたします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 のぞみ学園の今後のあり方についてですけれども、自閉症者自立支援センターの開設に伴いまして、のぞみ学園から10名の方が移られる予定となっております。したがいまして、今後は、のぞみ学園の方でより多くの自閉症児の受け入れが可能になりまして、本来の自閉症児施設としての機能を発揮できるのではないかなというふうに考えております。
また、静療院の児童部門の児童心療福祉センターへの再編とのぞみ学園とのかかわりということでございますけれども、のぞみ学園につきましては、児童心療福祉センターとして再編された後におきましても、これまでと同様の役割を果たしていくことになります。ただ、老朽化が進んでおりますので、療育環境を整備する必要がありまして、このことにつきましては、市立札幌病院のパワーアッププランの中でも示されており、整備の方法等につきまして、今後、市立札幌病院と連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。
◆小林郁子 委員 自閉症者自立支援センターができるということで、のぞみ学園が児童施設として、今後、本当に医学的、また専門的な施設になっていっていただきたいと思います。
そこで、次に、新たにできます自閉症者の入所施設であります自閉症者自立支援センター、これにつきまして2点お伺いしたいと思います。
ここの定員は30名ということなんですけれども、これについては既に入所者の選定を行っていると思います。入所希望があっても入れないという待機の状態が生じているのかどうなのか。応募や選考、待機の状況について、まず1点目、お伺いしたいと思います。
それから、2点目ですけれども、自閉症者自立支援センターは、中間施設というふうに位置づけられております。強度行動障がいなどを有する自閉症者に、適切な療育を行いまして、そしてほかの施設や家庭などに移っていくという施設になっているわけでして、入所期間が3年となっております。ただ、実際は、この3年で本当に移れるのかどうなのかということを私は懸念するわけですが、これを実現するためには、次のステップとしてグループホームなどが有効ではないかというふうに思っております。そういう意味で、自閉症者グループホームの設置状況がどうなっているのか、また、今後についてはどうお考えなのか、伺います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 自閉症者自立支援センターの入所者の選定でございますけれども、9月15日に指定管理者による入所者選定委員会が開催されまして、応募は他の施設の入所者であるとか、それから病院に入院している方、あるいは在宅の方から38名の申し込みがございまして、選定の結果、定員30名の入所者が内定してございます。残り8名の方につきましては、他の施設等での支援を受ける見通しでございまして、今のところ待機者として登録されている方についてはございません。しかしながら、待機者という制度そのものはございます。
それから、二つ目の自閉症者グループホームの設置状況についてですけれども、札幌市では、障害者保健福祉計画の中で、地域での生活の場である知的障がい者のグループホームにつきまして、毎年20カ所程度の増設を目指しておりまして、10月現在、市内に知的障がい者のグループホームは104カ所ございます。そのうち、自閉症者だけが入居しているところにつきましては3カ所となっております。
自閉症者自立支援センターの入所施設利用者の退所後の支援につきましては、それぞれ個別の支援計画の中で、グループホームでの生活が望ましいということになれば、そのグループホームにつきましても、一般の知的障がい者と一緒がいいのか、それとも、やはり独立して自閉症者だけのグループホームがいいのか、こういったことも含めて関係機関と調整しながら進めていくことを考えております。
◆小林郁子 委員 自閉症者にとりましても、そしてまた、家族の方は特に自分が亡くなった後のことを心配しているわけです。そういう意味で、グループホームということに強い関心を持っております。この充実につきましては十分お願いをしておきたいと思います。
次に、自閉症者自立支援センターと併設されます自閉症・発達障害支援センターの機能についてお伺いをしたいと思います。
自閉症を含めた発達障がいということにつきましては、これまでも支援体制が未整備であったということで、今回、議員立法によりまして、発達障害者支援法ができたわけです。支援の先進国の状況などを見てみますと、障がいの特性に合わせた早期の適切な支援を行うことによりまして、自閉症など発達障がいの人たちの社会適応力が高められて、自立と社会参加が可能になるというふうに考えられております。
そういうことで、国では、2002年度から自閉症・発達障害支援センターを拠点としながら支援体制を整備するということになっております。今回、札幌にもセンターができるわけですけれども、十分機能していただきたいと思います。
そこで、3点お伺いをいたします。
1点目ですけれども、自閉症者など発達障がい者やその家族にとりまして、療育支援ですが、在宅生活をする人にとりましては、家庭とか、それからまた保育園に行っている場合もあるし、学校に行っている場合もありますが、そういうところで、こういう場合はどうすればいいかとか、じかにいろいろ具体的に指導してもらいますと非常に効果があるとされております。ですから、今回のセンターでもそういうことをやっていただきたいと思いますが、そのあたりはいかがか、お伺いいたします。
あわせまして、必要に応じて医学的な診断だとか心理的な判定を行うということも必要だと思いますけれども、それについていかがか、伺います。
さらに、在宅生活者にとりましては、夜間や緊急時における容体の急変ということが一番心配で、夜間等の緊急時や行動障がいによりまして一時的に保護が必要になった場合には対応できるのかどうなのか、お伺いをいたします。
それから、2点目ですけれども、発達障がい者にとりまして、これはすべての障がい者にとっても大きな課題ですけれども、就労支援ということについてです。
就労を希望する方にとって、労働機関と連携をしながら、何とか就労に結びつけていくという就労支援をしていただきたいと思いますが、そのあたりはどのように行っていくおつもりか、お伺いをいたします。
それから、3点目ですけれども、苦情窓口の設置についてです。
センターが提供しました相談、支援などに対する苦情については、やはりきちっと受け付ける窓口が必要と思いますがいかがか、お伺いいたします。
以上、3点です。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 まず、家庭とか学校に対する現地での指導・助言ということでございますけれども、基本的には、個々の家庭につきましては、当センターにおける個別面談や家族の学習会を通して、保育園とか学校への指導、助言といたしましては、公開講座であるとか研修会の実施、それから地域で実施を予定しております療育巡回相談、こういった中で対応してまいりたいと考えております。確かに委員ご指摘のようなケースもございますので、家庭や学校において難しいケースが出てきた場合につきましては、柔軟に対応してまいりたいというふうに考えております。
次に、診断とか判定についてですけれども、医学的な診断につきましては、必要に応じまして、入所施設の嘱託医が判定するほか、精神保健福祉センターにも医師がおりますので、そういった専門機関への依頼を行う場合もございます。
また、心理的な判定につきましては、当センターの方にセラピスト、臨床心理士等の職員がおりますので、そういった職員が判定していくことを考えております。
次に、緊急時の一時的な保護についてですけれども、この施設につきましては、入所施設との複合施設でございまして、入所施設の中にはショートステイの専用床が6床備えつけてございますので、一時的保護の受け入れについては可能と考えております。
次に、就労支援についてですけれども、当面はハローワーク等の関係機関の職員に対しまして、発達障がいに対して理解をしていただくために講習会を実施いたしまして、その次の段階といたしまして、相談者のニーズや状況に応じまして、関係機関と連携を図りながら受け入れ企業へのアドバイスを行う、あるいは職場定着に向けた支援の実施、また職親会と連携した職場開拓、こういうことについても考えていかなければならないと思っております。
最後に、苦情の窓口の設置についてですけれども、自閉症者発達支援センター長を苦情の責任者といたしまして、自閉症児・者の親の会、あるいは学識経験者から成る委員によりまして、苦情処理機関を設置いたしまして、問題の解決に当たっていきたいというふうに考えております。
◆小林郁子 委員 わかりました。
自閉症者自立支援センターというのは、成人の施設ですね。そして、自閉症・発達障害支援センターというのは乳幼児からずっと生涯にわたって支援をしようという施設です。そういうことで、今回、この施設は指定管理者にはるにれの里が決まって、運営管理をするということになっておりますが、やはりこれだけ幅広いものを一つの法人でなかなかやり切れるものではないというふうに思いますので、今、部長もおっしゃいましたが、いろいろなところとの連携、そしてまた親の会との意見交換とか、そういうものをこれからもぜひやっていただきたいと思います。これを要望しまして、終わります。
○井上ひさ子 委員長 ここで、およそ20分委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後3時12分
再 開 午後3時35分
──────────────
○井上ひさ子 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆長内直也 委員 私からは、簡潔に1点だけ質問したいと思います。
お金の必要ないことですから、意識さえあればすぐできることですので、しっかりとしたご答弁をいただければというふうに思っております。
いろいろな市有施設があり、その中にバリアフリー化をされた施設があるわけですが、それを障がい者が優先的に利用してはどうかという話でございます。
たまたまご相談いただきました中で、定山渓に自然の村というのがあるんですね。コテージが10棟ほどあるということで、そのうちの1棟がいわゆるバリアフリー化されていると。障がい者が利用できるようになっているというわけであります。この申し込みは2カ月前から予約を受け付けていて、先着順だということで、優先が何もされていないわけですね。
ですから、せっかくバリアフリー化されている棟があるのに、健常者と一緒に受け付けされるということでありますので、なかなか使いたくても使えないのだというお話でございました。この時代にあって、せっかく利用できるようにしてあるのに、その配慮がなければ生かされないというふうに私は考えております。
この施設については、所管は生涯学習部だというふうに聞いてはいるんですけれども、ただ、障がい福祉という中で、全体を考えていくのはこちらの局だと思いますし、そういった担当の部長もいらっしゃるわけですから、当然、全体の把握をされ、そして、そのような指導もされていると思います。しかし、結果としてそうなっていないということは、やはりまだまだその辺は不十分なのかなと思います。施設を所管するそれぞれの部局について、指導という言葉が正しいかどうかわかりませんが、しっかりと管理するべきではないかというふうに思っております。まず、これについてお伺いしたいと思います。
それから、たまたま例として定山渓自然の村を挙げたんですけれども、そのほかにも市有施設が多くある中で、バリアフリーの状況についてどのように把握しているのか。当然、把握されていると思いますので、その辺についてもお伺いしたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 札幌市では、障がいのある方や高齢の方にとって住みよい街づくりを行うために、平成10年に札幌市福祉のまちづくり条例を制定しております。札幌市の施設改修や整備に当たりましては、この条例に基づきましてバリアフリー化に取り組んでいるところでございまして、施設の利用方法等につきましては、設置目的や設置数、あるいは利用対象者の範囲などさまざまな要因を勘案して、各施設の所管部局において定めているところでございます。
こうしたことから、障がいのある方の優先利用につきましては、例えば、身体障害者福祉センターのように、障がいのある方のために設置した施設なのか、あるいは体育館やプールなどのように、障がいのある方とない方が共用する施設なのか、あるいは施設の利用実態などに応じて取り扱われるものというふうに考えておりますけれども、ノーマライゼーション社会の構築に向けましてどのような改善ができるのか、所管部局とも連携を図ってまいりたいと考えております。
また、市有施設のバリアフリー化の状況についてですけれども、福祉のまちづくり条例の整備基準が施行されました平成12年度から13年度にかけまして、当時の市有施設約600施設におきましてエレベーターの設置であるとか、あるいは車いす駐車場の設置等の調査を実施いたしまして、この結果について、各施設所管部局に伝え、改修あるいは増改築の時点でそれらの改善を行ってきているものでございます。
当時の調査件数の中で、そういった一部バリアフリー適合の施設につきましては、約600施設のうち220件ぐらいの約36%が一部適合でバリアフリー化されている施設ということでした。それ以降新築されるものにつきましては、当然、こういった整備基準に基づいて行われていますし、ただいま申し上げました増改築、改修等につきましても、当然、整備基準に基づいて行われておりますので、現時点では大分改善されているものと考えております。
◆長内直也 委員 当然、全体を把握している中で、今後、つくりかえるとか、そういうときに対応するということだと思うんですよね。定山渓自然の村についても、究極的には10棟すべてがその対応をされていればいいんでしょうけれども、そうはいってもお金のかかる話でもあるし、そういった意味では、一部ではありますけれども、そういう対応をされているということまではいいと思うんですよね。ただ、せっかく対応がされているのに、要はその部分がうまく使われていないと私は考えざるを得ないわけであります。
究極的には、すべてが対応されればいいという話をさせていただきましたけれども、私の持論では、例えば、公共交通機関にも優先席があるのはおかしいと思っているんです。譲るという気持ちがあればすべてが優先席なわけですから、それがあること自体、私はまだノーマライゼーションにおいては過渡期であるというふうに考えております。
そんな意味で、この施設の場合は、やはり優先的に受け付けてあげるという配慮が必要じゃないかなと。そしてまた、障がいのある方がそれを使わないときには一般の人にも開放すればいいわけですから、そうすることによって何ら問題は起きないと私は思っております。
究極的には、例えば、障がい福祉という部局もなくなるのかもしれないですね、そういう意味では。すべてが整えば、ひょっとしたらそれすら必要ない、私はそこまで考えております。ただ、そうはいっても、そこまでにはまだ時間がかかるという中で、とりあえずできることからやってもらいたいと思うんですが、優先的に使えるような工夫について、障がい福祉を推進する立場から、各部局にぜひとも働きかけていただきたいと思っておりますけれども、これについてのお考えを再度お伺いします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 委員ご指摘のとおり、現状としては必ずしも本市の施設全体がバリアフリー化されているわけではないということもありますので、バリアフリーの措置が図られている施設を、障がいのある方を優先的に利用させることができないかということにつきまして、私どもの方でも、利用状況を踏まえて、やはり効果的な使用方法を施設の所管部局の方と協議する中で、その取り扱いの検討を促進してもらうように必要な要請を行ってまいりたいというふうに考えています。
◆長内直也 委員 非常に回りくどい言い方なんですけれども、要は必要だという認識を持っていて、それを働きかけていきたいというふうに受け取っていいんでしょうかね。(「はい、そうです」と呼ぶ者あり)私もそういうふうに受け取っておりますので、すぐにできることですから、ぜひとも考えていただきたいと思います。
◆坂本恭子 委員 私は精神科救急について大きく2点、札幌市精神科救急情報センターについて、そして精神科救急医療センターの設置について質問をさせていただきます。
現在、札幌市では、38病院、約7,500ベッドの精神科の病床があると聞いております。地域には約3万2,000人の在宅の精神障がい者の方がおられて、これらの方々の地域生活を安定させるために必要な医療を随時確保するということが大変重要な課題であろうと思っております。
1999年度から、北海道が事業主体となる北海道精神科救急システム整備事業が運用されており、札幌市を含む道央ブロックにおいて、札幌市内の29病院が毎晩1カ所ずつ交代で救急診療と病床の確保を行う輪番制が導入されているという現状です。
そして、本市の精神科救急情報センターが、昨年、2004年6月から業務を開始しております。これも議会の中でいろいろ議論されまして、市内の精神障がい者、そしてそのご家族の切実な願いのもとこのセンターが開設されるということですね。精神障がい者本人、それから家族からの緊急の精神科医療に関する電話に、専門のソーシャルワーカーなどの職員が相談に応じ、適切な処遇へと振り分けるということで、夜間や土・日、休日の精神科医療を円滑化するものというふうに理解をしております。さらに、このセンターの設置によって相談対応が一本化され、専門的な見地からの適切な振り分け、そして必要な医療の確保が可能になったと思っております。
そこで、精神科救急情報センターについて、2004年6月に開設したということですから、1年半余りを経過した時点で、やはりある程度の検証が必要だというふうに思っております。
関係者への浸透の度合いはどのようになっているのか、利用の実績、あるいはリピーターの比率などについて、それからまた、現在、電話の回線が2回線、そして職員の対応も2人体制ということになっておりますが、現状、これで足りているのかどうなのか。それからまた、入院に至る措置等の状況はどのようになっているのかなど事業の実績、これに対する基本的な評価、今後の課題などについて、どのように認識しておられるのか、この点についてお聞きいたします。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 札幌市精神科救急情報センターの事業実績についてですけれども、平成16年6月に同センターの運用を開始してから、17年5月までの1年間の相談件数は5,128件でございまして、月に約400件以上の相談電話がありました。相談者は障がい者本人及び同居家族が約7割を占めております。
相談の内容といたしましては、不安感であるとか、いらいら感、不眠、そういった全体に軽症のものが多く、実際に病院での受診を必要としたものにつきましては2割弱の870件でございます。そのうち、入院を要したものにつきましては219件ということで、1日平均で言いますと0.6件ということでございます。
このことから、8割以上が電話のみで一応の解決を得ていることになりまして、電話相談が精神障がいのある人の不安にこたえて、地域生活を支える資源の一つとして機能しているということ、適切な精神科医療の提供を円滑化しているものと考えております。
なお、電話相談の運用上でしばしば問題となる長時間電話であるとか、あるいは、今、お話のございましたリピーターの問題につきましては、これは非常に流動的で、人数については押さえておりませんけれども、相談員の相談技術の向上のために研修を行うなどにより、要点を踏まえた適切な相談対応によって、約8割の相談が20分以内というふうになっておりますので、現状では大きな問題とはなっておりません。また、関係者への周知、浸透につきましては、新聞各紙の救急医療欄に毎日掲載してございますので、周知、浸透されているものというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 1年間の実績ということでお答えがありましたけれども、5,128件、月にすると400件程度ということで、こういう中でいいますと、電話2回線、それと職員が2人体制ということについては充足しているという理解でよろしいのかなというふうに思います。
全国的には、やはり長時間電話やリピーターの問題というのが結構重要課題だったかなというふうに思っているんですけれども、札幌市の場合は、そこも研修等を行いながらクリアをしているということだと思います。本当に電話相談の有効性ということが改めて実証されたというご答弁でありましたけれども、望まれてできたセンターですし、そういう意味では、新聞で広報をして周知も図っていると、一定程度浸透もされているというお話でしたから、本当に地域で精神科の患者さんが生活をしていく、その支えになっているのが情報センターだと改めて思っているところです。
相談が、全体的には軽症であったということ、措置をしたものが870件で、そのうち入院にかかわったものが219件というお話で、1日平均0.6人というお話でしたけれども、ちょっと入院のことにかかわってお聞きいたします。
札幌圏には3万2,000人の精神科の患者さんがいるということで、これに対して夜間・休日における空きベッドの確保が1ベッドのみというふうに聞いております。今、お話をいただきました救急情報センターがこの空きベッド情報をシステムとして活用しているということです。救急入院システムについては、現行制度の輪番制に関して、前段、お話を申し上げました道央ブロックの会議でさまざまな検討がされているということですけれども、やはり緊急入院が必要になるということでいうと、夜間・休日での空きベッドの確保が1床のみというのはどうなのかなというふうに思うものですから、実態についてお話をしていただきたいと思います。
札幌市における輪番制の現状と課題、具体的には、先ほどお話をしました夜間・休日における空きベッドの確保について、現状はどういうふうになっているのか。既に空きベッドが埋まっていて、入院措置したいけれどもできないというようなお話も聞いておりますし、実際そういう問題が発生したときにはどういう対応をされているのか、抱えている課題などについてお示しいただきたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 札幌市内の精神科救急体制の現状と課題ということでございますけれども、一つには、輪番病院はすべて精神科の単独病院でございまして、身体合併症等への対応が困難であること、さらに当番の医療機関におきまして必要な入院ベッドの確保ができない場合に、空きベッドの情報システムを活用してもなお入院ベッドの確保が難しいということもあります。
こういう場合につきましては、精神
保健センターや本庁の担当職員のところに、夜中でも休みでも電話が来まして、時間を問わず各精神科医療機関と直接連絡をとりまして入院などにつなげておりますけれども、かなりの時間を要する場合もあるというのが課題といえば課題ということなっております。
◆坂本恭子 委員 課題といえば課題というお話でしたけれども、大変重要な課題だと思います。本当に職員の皆さんが大変ご苦労されている実態というのが、今のお話の中でも浮き彫りになったかなと思うんですね。やっとできた情報センターということでもありますけれども、1年経過する中で、今、札幌圏で抱えている3万2,000人の精神科の患者さんが、地域で生活するための支えとしてどういうものが必要なのか。克服すべき課題は、緊急に対応できるシステムをどうつくっていくかであることが改めて出てきたと思います。
それからまた、輪番制では単独病院が対応しているということでしたから、そこについては身体合併症を持った患者さんについては対応できないというお話もされておりました。
そこで、二つ目の質問ですが、精神科の緊急医療体制の整備について伺いたいと思います。
今、お話をいただきましたように、精神科救急情報センターは、いろいろな課題がありながらも順調に機能しているということで、精神障がい者や家族、関係者には、大変喜ばれているという声も実際には聞いております。その上で、精神疾患の患者さん、それから関係者の方から、この情報センターに連携する医療センターの設置を早急に実現してほしいということで、実際に、市長、市立札幌病院長を初めとする関係各位に要望書が出されているということで、私も要望書をいただいております。
それから、今、厚生労働省の方からですけれども、精神科救急医療センター整備事業ということで、精神科の第3次救急医療施設の確保を図ることを目的とするということで、都道府県や政令指定都市を実施主体として要綱が公表されているということです。
札幌市においても、先ほどお話が出ました身体合併症を持った精神疾患の方が少なからずおられるということですから、合併症の患者さんには高度の医療が求められると。現在の救命救急センターと連動できるような医療機関の必要性というものを私は実感しておりますし、それについては、市立病院のところでもちょっと触れさせていただいたのですが、精神科救急センターの必要についてどのように認識されているのか。また、どういうものが望ましいというふうにお考えになっているのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
◎佐藤 障がい福祉担当部長 委員ご指摘のとおり、輪番による医療の確保によっても十分に満たされない医療ニーズにこたえるためには、お話のありました身体合併症の医療であるとか、急性期医療への対応、高度な医療を随時提供できる、そうした精神科の救急医療機関の整備が望まれるものと認識しております。
札幌を含む道央圏に、このような医療機関を整備することにつきましては、単独ではなく、広域的な見地で検討する必要がありますので、北海道とも十分協議をしてまいりたいと考えております。
◆坂本恭子 委員 高度な医療水準の必要性ですとか、北海道とも広域的な見地で協議をしていきたいというお話がありましたけれども、やはり本当に情報センターが順調な滑り出しといいますか、稼働している中で、これからそこに見合う医療センターをつくっていくということが、やはり精神障がい者の方、関係者の方には望まれているというふうに思います。
実際、関係者の方からは、入院治療を受ける際にも、どんなところにあるかわからない、見知らぬ遠くの病院へは運ばれたくないとか、中心となる救急の入院病院がどこにあるのかはっきりしてほしい、それからご自身が合併症を抱えている、公立病院で診てもらいたいというような声も出ておりまして、市立札幌病院に設置されるということを非常に強く望んでいらっしゃいます。
24時間対応の救急情報センターに引き続き医療センターを、先ほど要望書を紹介しましたけれども、北海道精神障害者回復者クラブ連合会を初めとする関係12団体など、当事者、関係者が強く要望しておりますし、厚生労働省からも、設置を促進するということで要綱が出されておりますので、精神科救急医療センターが早期に設置されるようにますますご尽力をいただきますように強く求めて、終わりたいと思います。
○井上ひさ子 委員長 以上で、第1項 社会福祉費及び第2項 児童福祉費のうち関係分の質疑を終了いたします。
最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。
◆芦原進 委員 私は、生活保護につきまして質問をしたいと思います。
日本の景気は踊り場を脱し、若干上向きになったと発表されておりますけれども、北海道、また札幌では余りそういう実感はわいてきません。バブル崩壊後の構造的不況の傷跡は今もいやされておりません。会社の倒産、リストラ、働く場所を奪われ収入が激減し、生活の基盤が音を立てて崩れるなど、経済不況の波が今も押し寄せており、生活保護の受給世帯が増加しております。私も生活保護のことでよく相談を受けることがあります。
そこで、2点について質問をいたします。
本市の生活扶助費は、平成16年度決算で約882億円と増加の一途をたどっていますが、過去10年間、どのような推移になっているのか、お伺いしたいと思います。
2点目に、生活保護の第一線で業務にかかわる重要な立場のケースワーカーがおられますが、この職員の方は、被保護者の方に対して、どのような内容の仕事を行っているのか、また、ケースワーカーの年齢やキャリアなどの現状と育成の内容について、2点お伺いいたします。
◎深村 総務部長 1点目の扶助費の推移ですが、生活保護扶助費は、市内景気の長期低迷により失業者の増加ですとか、高齢化の進展等により増加を続けている現状でございます。過去10年間の推移を見ますと、平成7年度決算では約542億円であったものが、バブル崩壊後の大型倒産が続いた平成9年度以降急増に転じまして、平成16年度には約882億円と63%の伸びを示しております。
次に、2点目のケースワーカーの業務につきましては、社会福祉法に規定がございまして、被保護者の家庭を訪問し、これらの者に面接し、本人の資産、環境等を調査し、保護その他の措置の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対し生活指導を行う等の事務をつかさどる、このように定められております。
ことしの4月現在、ケースワーカーは全市で412名おり、その平均年齢は35歳6カ月ですが、20代の職員が約半数と比較的若い職員が多く、平均経験年数は2年1カ月でございます。また、ケースワーカーの育成につきましては、各区で折に触れ職場研修を実施しておりますほか、毎年本庁主催で、年間10回程度の研修を行い、ケースワーカー1人当たり年間3回程度受講させております。この中で、生活保護制度の基本はもちろん、年金、介護等の関係制度や医学知識など、ケースワーカーが業務を行う上で必要な知識を習得させるとともに、訪問、面接、面談の仕方や具体的な事例に基づいたケースの記録の書き方、あるいは上司への適切な報告の仕方などを指導し、質的レベルの向上、均質化に努めております。
◆芦原進 委員 私は、ケースワーカーの方は、1人で80人ぐらい担当なさっていると聞いていますので、非常に大変だなと思います。今、いろいろと答弁いただきましたが、業務内容についてもわかりましたし、予算についても、17年度は921億円でございます。このように増加しておりますが、若干ことしは落ちついてきているというふうにも伺っております。
最近、ケースワーカーの中には、若い20代の方がいますけれども、一生懸命な指導が逆効果になるケースがあるのか、または過度に厳しいと思われる指導があるのか、被保護者とのトラブルとなったり、逆に、余り熱心に求職活動をしていない被保護者に対して、指導が不足したりしている事例も見られます。
先ほど、札幌は非常に離婚率が高いというお話がありました。母子家庭がふえているということは、収入の道が絶たれるわけでありますから、生活保護に行かざるを得ないという状況もよくわかります。しかし、最近、相談を受けている中には、若いご夫婦が慰謝料もそれから養育費も決めずに別れて、小さい子どもを抱えて非常に悩んでいるという傾向が見られるんですね。いろいろと家庭の事情があるでしょうから、一概には言えません。
私が相談された事例を一つご紹介したいと思います。
事情があって、若いお母さんが小さい子どもさんを抱えて離婚され、蓄えがある間はそれを使って一生懸命生活してきたんですが、限度がございます。いよいよということで生活保護の相談に行ったと。そうすると、面談される方は、生活保護を受けるに当たっていろいろな事情をお聞きになるのはよくわかります。当然のことだと思います。しかし、こういうことを言われたと。離婚した事情はあなたも悪いのではないかと、このように言われたことが非常にショックだったと。
これは当事者からの一方的な話でございますし、長い話の流れの一部でございますから、これがすべてとは言えません。しかし、そこまで言ってはおしまいではないかと私は思うんです。本当にわらをもすがる思いで相談に行っているのに、傷口に塩を塗り込むようなことではいけないと思うんです。
そこで、質問したいと思います。生活保護には、当然、自立支援も含みますが、自立支援や就労指導のあり方について、どのように考えておられるのか。また、被保護者とのトラブル発生などの際に、部、課、係として、それぞれ「ホウレンソウ」、すなわち報告、連絡、相談の体制はどのようになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
◎深村 総務部長 まず、自立支援や就労指導につきましては、保護を受けている方の能力、あるいは適性、健康状態や家庭の状況などに応じた指導、助言、援助が重要であると考えております。
また、現場のケースワーカーや本庁職員から成るプロジェクトチームによって、就労支援の手引をつくりまして、ケースワーカー全員に配布をし、業務の統一化を図っているところでございます。この中には求職方法から履歴書の書き方、面接の受け方までを示し、受給者に対して具体的、効果的な指導・援助を実施できるようにしているほか、職安OB等の非常勤職員を清田区と手稲区を除く各区に1名配置しています。なお、清田区と手稲区は隣接区の職員が兼務する体制で就労指導に当たっております。
ただ、実際の指導、援助の場面では、ケースワーカーと被保護者との間でさまざまなやりとりがあるわけですが、その際、先ほどのお話にもありましたように、言葉の行き違い、誤解などに起因するトラブルですとか、さらには病状認識の差によって生ずる指導そのものに対する反発があります。
例えば、腰痛で働けないといって来られる方がいるんですが、立っているのもやっとだと、こういう人に対しまして、ケースワーカーはその人の主治医に病状を確認します。仮に、主治医から、軽作業は可能ですよという確認がとれれば、その人に対して、全く働かないということではなくて、軽い仕事を探して働いてみたらどうかと、そういう話をきっかけにもめるケースがあり、そういったトラブルがいろいろあるということは事実でございます。
そういったトラブルがこうじてにっちもさっちもいかなくなったような場合には、上司へ速やかに報告、相談をしまして、適切な指示を受けるように指導を行っておりますが、今後、さらにそうした組織対応に対する指導というものを徹底してまいりたいというふうに考えております。
◆芦原進 委員 にっちもさっちもいかなくなってから相談するといったら、これはどうにもならないわけですから、そうなる前に何とかしていくことが大事ではないかと思います。
生活保護法の第60条で、被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その生活の維持、向上に努めなければならないと、このように被保護者の生活上の義務があるんです。第61条では、収入、支出などの生活状況について届け出の義務が規定されています。これは非常に大事なことだと思うんです。しかし、これはごく一部だと思いますが、私のところに、被保護者の中には、昼間からパチンコをしている、それから夜はたびたびスナックに行っているとか、こういう被保護者の生活態度や市当局への取り組みについても、市民からの批判の声が寄せられています。これは事実確認をしたわけではありませんので、現実にこのような事実があるとしたら、生活保護の趣旨から外れた行為ではないでしょうか。
そこで、質問でございますが、市当局の担当部や課に、市民からこのような苦情の声が寄せられていると思いますが、どのような内容が寄せられているのか。また、それらに対してどのような対応、指導をしているのか、お尋ねしたいと思います。
◎深村 総務部長 生活保護法には、委員ご指摘のとおり、被保護者の生活上の義務や届け出の義務が定められております。市民の方からの苦情には、ただいまご指摘のありましたような内容のものが多くを占めているということは事実でございます。確かに、働くことができるにもかかわらず、仕事を探さずにギャンブルや酒などにふけっているという場合は、市民感情はもとより生活保護法上からも許されることではございませんので、当然、就労に向けて強い指導を行っております。
◆芦原進 委員 被保護者の方は、生きていくためにはどうしてもやむを得ない事情を抱えて生活保護を選択される方が多いと思うんです。国は法律で、すべての国民に対して最低限度の生活の保障と自立の助成を目的として生活保護を制定しているわけであります。行政は被保護者に対して高圧的であったり、強制であったりすることは避けていくべきだと私は思います。
被保護者が安心して一日も早く自立できるようなケアとともに、先ほど、ケースワーカーの半分近くは20代とお聞きしました。そういう20代のケースワーカーが現場で本当に苦労している、これはよく私も存じ上げております。こういうケースワーカーへの温かいフォローも積極的に取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○井上ひさ子 委員長 以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。
本日はこれをもって終了し、次回は次週18日午前10時から、保健福祉局関係のうち保健福祉部、健康衛生部、衛生研究所及び高等看護学院の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
それでは、散会いたします。
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散 会 午後4時14分...