それでは、資料1から説明させていただきます。
まず、前文では、大都市において増加する
財政需要に対して、
都市税源が乏しく、
財政運営が厳しい状況にあることから、地方税など自主財源の拡充強化が急務であることを説明しております。その上で、真の
地方分権を実現するためには、平成18年度までとされている三位一体の改革では不十分であり、19年度以降も引き続き
税源移譲による
地方分権改革に取り組む必要があることを述べております。前文の最後では、国・地方の新たな役割分担に応じた
税源配分の是正を積極的に行い、特に
都市税源の充実を図ること等により、大都市の実態に即応した
税財政制度を確立することを強く要望して、結びとしております。
次に、1ページの大項目「1
大都市財政の実態」でございます。
資料のつくりでございますけれども、各項目とも、今年度の要望文の後ろに枠で囲った前年度の要望文を掲載しておりまして、主な変更箇所にはアンダーラインを引いてございます。また、図表等の係数については、現在、集計中のものもございますので、次回の委員会で確定値を報告させていただきたいというふうに思っております。
まず、中項目「1 大都市の実態」でございますが、ここでは、大都市が我が国で担っている重要な役割や大都市が抱えている諸問題によって
財政需要が増加の一途をたどっていることを述べております。
次に、3ページの中項目「2
大都市財政の実態」でございます。
ここでは、大都市の財政について、公債費や扶助費などの
義務的経費が増加している反面、
市税収入が依然として厳しい状況にあることを述べた上で、今後も引き続きこのような傾向が続くことなどから、大都市の
財政運営がますます厳しくなっていくという実態を述べております。
続きまして、25ページまで資料をめくっていただきまして、大項目「3
国庫補助負担金及び
地方交付税の改革等」の中項目「1
国庫補助負担金の改革」についてでございます。
小項目(1)では、
国庫補助負担金の改革は、地方が示した改革案に基づいて、必ず
税源移譲と一体で進めるとともに、国の関与を速やかに廃止・縮減すること、また、
公立文教施設等施設費及び
公共事業関係の
国庫補助負担金についても
税源移譲の対象とすること、さらに、交付金化された
国庫補助負担金についても、国の関与が依然として残ることから、必ず
税源移譲につなげることを求めております。
次に、小項目(2)でございます。
昨年度、小項目(1)に含めていた生活保護と
児童扶養手当の負担率の堅持について、新たに項目立てをしておりまして、負担率の引き下げは単なる地方への
負担転嫁であるため絶対に行わないこと、また、
生活保護制度を
社会保障制度の全体改革の中で、時代に即した制度とするよう要望しております。
次に、27ページの小項目(3)でございます。
ここでは、
義務教育費国庫負担金を廃止して
税源移譲すること、また、
給与費負担の道府県から
政令指定都市への移管に当たっては、包括的な権限移譲を行うとともに、
大都市特例税制を創設し、その所要全額について
税源移譲を行うよう求めております。
続きまして、小項目「(4)
大都市特例事務に係る
国庫補助負担金の見直し」でございます。
大都市においては、国道や道府県道の管理を行うなど道府県にかわって行っている事務がございますが、このような事務に係る
国庫補助負担金について、
一般財源化等の見直しが行われる場合に、
政令指定都市に対しても
税源移譲による
財源措置等を行うよう求めております。
次に、28ページの中項目「2
地方交付税の改革」でございます。
(1)では、
地方交付税の改革は、地方のあるべき
行政サービスの水準について十分な議論を行った上で進め、財源の保障機能と税源偏在の調整機能の双方を重視するよう求めております。
昨年度までは項目が一つのみでございましたが、本年度、新たに三つの項目を追加してございます。
(2)で、地方団体の安定的な
財政運営に必要な
一般財源総額を確実に確保するとともに、本格的な
税源移譲の際には、
地方交付税の原資である
所得税等が減少することから、
地方交付税率の
引き上げ等の措置を実施するよう求めております。
次の(3)では、現在、
経済財政諮問会議などで議論されております
地方財政計画と決算の乖離是正に当たっては、
投資的経費と
経常的経費を同時一体的に是正するよう、また、(4)では、地方自治体が計画的な
財政運営を行うことができるように、
中期地方財政ビジョンを早期に策定するよう求めております。
次に、29ページの中項目「3
国直轄事業負担金の廃止」でございます。
国直轄事業負担金は、
直轄事業が
全国的視野のもとに国家施策として実施されながら、
地方公共団体に対して個別に
財政負担を課すものであることから、廃止することを求めており、今年度の要望では、特に
維持管理費について本来の管理者である国の
全額負担とし、
地方負担を直ちに廃止するよう求めております。
なお、本
年度要望では、
普通建設事業費と
国直轄事業負担金の伸びの比較について、新たにグラフを挿入しております。
次に、30ページの中項目「4
国庫補助負担金の運用・関与の改善」でございます。
ここでは、見直しを行った上でなお存続する
国庫補助負担金について、
超過負担の解消を図るとともに、地方の実情に合った
弾力的運用を図ることができるよう、また、交付申請のための
事務手続等の
簡素合理化を図るよう要望しております。
なお、今回の要望では、地方6団体の改革案との整合性を図る観点から、
超過負担の具体例のグラフは削除してございます。
次に、31ページの大項目「4 地方債の
発行条件の改善等」でございます。
まず、中項目「1 地方債の
発行条件の改善」では、
公債費負担の増大が財政の圧迫要因となっていることから、
政府資金、
公庫資金にかかわる地方債の
発行条件の改善、既発債の借りかえなどについての特段の配慮を求めております。
なお、借りかえ措置が制度化されていない
政府資金は、借りかえ措置が制度化されている
公庫資金に比べて高利率の残高の割合が多いことから、
借り入れ残高のグラフについては、今回の要望から
公庫資金と
政府資金とに分けて掲載することとしております。
最後に、33ページの中項目「2
特殊法人等整理合理化の推進にあたっての配慮」では、
特殊法人改革の推進に当たって、安易に地方へ負担を転嫁しないよう配慮を求めております。
次に、資料3でございますが、これは、去る7月19日に地方6団体が政府へ提出した
国庫補助負担金に関する改革案でございます。
提出に至る経緯でありますが、平成18年度までに実施される国から地方への3兆円の
税源移譲については、その対象である
税源移譲につながる
国庫補助負担金改革が2.4兆円分しか具体化していないため、残りの6,000億円分について、去る4月28日に行われました国と地方の協議の場において、国から地方に対し改革案の
取りまとめ要請があり、これを受けて地方6団体で取りまとめたものがこの改革案(2)でございます。
(2)としてありますのは、昨年8月に地方6団体で取りまとめた改革案を(1)と位置づけたためであります。
この改革案の概要と全文を資料3として配付しておりますので、概要に基づいて説明させていただきます。
1ページをごらんください。
まず、改革案を提示するに当たっての前提条件として、三位一体の改革は、平成19年度以降も引き続き第2期改革としてさらに推進すべきとしております。その上で、6点の具体的な前提条件を提示しております。
その主な内容といたしましては、1所得税から住民税へ3兆円規模の
税源移譲を確実に実施すること。2第2期を含め、改革を行っている間は不合理な
地方交付税等の
地方一般財源の削除をしないこと。4平成18年度に優先して
税源移譲をすべき
国庫補助負担金は、昨年8月に地方の改革案で示した
移譲対象補助金の中から選別して提示すること等としてございます。
次に、2ページ目でございますが、平成18年度の
国庫補助負担金改革の対象として9,970億円をリスト化しております。
その内訳としては、経常的な
国庫補助金が1,620億円、経常的な
国庫負担金が2,580億円、経常的な
国庫補助負担金のうち、既に交付金化されたものが570億円、普遍的・経常的に行われる施設整備に関する
補助金等が5,200億円となっております。これは、昨年8月に示した3.2兆円の改革案の中から優先的に改革すべきものを絞り込んだものであり、先送りされている
税源移譲額6,000億円分は、これらの中から選定して実現すべきものとしております。
なお、3ページ以降は改革案の全文でありまして、具体的な
補助金名等につきましては11ページから14ページに別表としてまとめられております。
◎米田
税政部長 私からは、資料1の5ページから24ページまでにございます大項目「2 税制の改正」と資料2につきましてご説明いたします。
それでは、資料1の5ページをお開きいただきたいと思います。
大項目「2 税制の改正」は、四つの中項目から構成されております。
まず、中項目「1 真の
地方分権の実現のための国・地方間の
税源配分の是正」についてでございます。
ここでは、真の
地方分権を実現するためには、
地方公共団体が
事務事業を自主的かつ自立的に行うことが必要であり、そのため基幹税からの
税源移譲を柱とする三位一体の改革を進め、国と地方の役割分担に応じた
地方税源の充実確保を図ることを求めております。ここでは、国・地方間の租税配分の是正目標を当面1対1とすること、この第一歩として、平成18年度
税制改正において、所得税から
個人住民税への3兆円規模の
税源移譲を確実に実施すること、また、
道府県民税と
市町村民税の
税率配分に当たっては、市町村の役割に十分配慮した配分とすること、さらに、19年度以降も改革を継続し、消費税、法人税を含めた基幹税からの
税源移譲について早期に実現することを要望しております。
次に、7ページの中項目「2
大都市特有の
財政需要に対応した
都市税源の拡充強化」についてでございます。
ここでは、ますます増大する大都市の財源需要に対応するため、
都市税源とされております
法人所得課税や消費・
流通課税について、その
配分割合を拡充するよう要望するものでございます。
8ページの図表等は、ただいま説明いたしました中項目の1及び2の実態を明らかにするためのものでございます。
次に、10ページの中項目「3
事務配分の特例に対応した
大都市特例税制の創設」についてでございます。
政令指定都市は、他の市町村とは異なりまして、国・道府県道の管理など、大都市の
事務配分の特例に伴う特別な
財政需要があるにもかかわらず、それに見合う税制上の措置が不足しております。このため、現状においては、その財源の多くについて一般財源からの持ち出しにより対応しておりますことから、こうした
財政需要に見合う税制上の
特別措置を創設するよう要望するものでございます。
なお、10ページ目の下段には、大都市の
事務配分の特例に伴います税制上の
措置不足額を示す表を掲げておりますが、その数値につきましては、現在集計中でございます。
次に、12ページの中項目「4
具体的要望項目」についてでございます。
こちらは、12ページ以降に七つの
具体的要望項目を挙げております。
まず、小項目の「(1)
所得課税の充実」についてでございます。
個人住民税につきましては、市町村の
基幹税目としての一層の充実を要望することとし、そのため、まずは、三位一体の改革の一環として、平成18年度
税制改正において所得税からの3兆円規模の
税源移譲を確実に行い、
道府県民税と
市町村民税の
税率配分に当たっては市町村の役割に十分配慮するよう要望しております。また、
利子所得等に係る課税につきましては、税負担の公平と地方税収入確保の観点から、適切な見直しを進めるよう要望いたしております。
次のページになりますが、さらに、
都市的税目であります
法人住民税につきましても、
配分割合が極めて低いことから、その拡充を図るよう要望いたしております。
次に、15ページの小項目「(2)消費・
流通課税の充実」でございます。
こちらも、市町村への消費・
流通課税の
配分割合が3.8%と極めて低い現状にありますため、
都市的税目であることを考慮して、その
配分割合の拡充を求めております。
次に、17ページの小項目「(3)
固定資産税の
安定的確保」についてでございます。
これは、今回から新たに設けた項目でございまして、市町村の重要な
基幹税目であります
固定資産税につきまして、公平かつ簡素な税制を目指すとともに、安定的な確保を要望するものでございます。
次に、18ページの小項目「(4)
定額課税の見直し」についてでございます。
ここでは、相当期間にわたって据え置かれております
定額課税につきまして、適切な見直しを行うよう要望するものでございます。
次に、19ページの小項目「(5)
租税特別措置等の
整理合理化」についてでございます。
ここでは、税負担を軽減する
租税特別措置や
非課税措置等のうち、主に国の施策により地方税に影響を及ぼすものや、課税の均衡上、適当でないものなどについて、一層の
整理合理化を進めるよう要望するものでございます。
次に、21ページの小項目「(6)
市町村道路特定財源の拡充」についてでございます。
道路整備事業に占める
道路特定財源の比率は、国費の場合に比べて地方費の場合は極めて低くなっておりまして、特に市町村道の整備が著しくおくれておりますことから、
市町村道路特定財源の
配分割合を大幅に引き上げるよう要望するものでございます。
次に、23ページの小項目「(7)日本銀行の
国庫納付金に係る適切な措置」についてでございます。
現在、
日本銀行納付金につきましては、所得計算上、損金に算入されているため、
法人市民税の課税対象となっておりませんので、こうした点などについて適切な措置を求めるものでございます。
私の方の大都市の実態に即応する財源の拡充についての要望(案)については以上ですが、次に、2枚つづりになっております資料2、
重点要望案をごらんいただきたいと思います。
重点要望案についてですが、この要望書は、ただいまご説明申し上げました青本要望書の項目のうち、特に重要と考えられます項目について、記書きのとおり5項目を抜粋したものでございまして、要望の際に、青本要望書とあわせて
重点要望書として使用するものでございます。
○大嶋薫 委員長 質疑を行います。
◆細川正人 委員 税制の改正にかかわっての3番目の
具体的要望項目の
固定資産税の
安定的確保についてというところで、1点、質問させていただきます。
固定資産税については、平成17年度の札幌市の予算でも、市税の予算に占める割合が41.7%ということで、市民税よりも高いというようなことで、大変重要な税目であるというふうに認識しているところでございます。
そして、平成18年度、来年がちょうど
評価替えの年に当たっております。この
評価替えにあわせて、土地に係る税負担に関する制度改正というのがこれまでもなされてきたということでございますが、今回、新たに
固定資産税の
安定的確保ということで新規項目として要望されているわけです。その背景というか、理由についてお伺いをさせていただきたいことと、来年度に向けてどういった動きになっていくのかということについて、お伺いさせていただきます。
◎米田
税政部長 ご質問のありました
固定資産税要望項目の追加の背景についてでございます。
ただいま委員からお話がありましたように、札幌市でも
固定資産税は41.7%、
個人住民税は40.5%、この二つの税目で合わせて約82%を占めております。
固定資産税は、そういった意味で住民税と同様に
基礎的行政サービスの提供を安定的に支える上で重要な
基幹税目となっております。
しかしながら、土地は引き続く地価下落によりまして、毎年度、減収となっておりますし、また、家屋についても、3年ごとの
評価替えでは
在来家屋分に係る
減価償却等によりまして減収が生じておりますし、新増築分の増収額を上回るような現状にあります。また、土地に対する税負担につきましては、現在、複雑な
負担調整措置が講じられておりまして、納税者にとってわかりにくい仕組みであるというふうに指摘されているところであります。
したがいまして、市町村にとって
固定資産税が最も重要な
基幹税目であるという位置づけを考えますと、納税者にとって公平かつ簡素な税制を目指すことが重要であると認識しておりまして、その安定的な確保を図ることとあわせまして、新たに項目を設けて要望することとしたものであります。
次に、来年度に向けての動向についてでございますが、来年度は、今お話しにありましたとおり、
評価替えの基準年度に当たる年でありまして、それに伴っての改正がなされるものというふうに考えております。
◆藤川雅司 委員 1点目は、税制の改正に関してなんですけれども、三位一体の改革に伴う
税源移譲についてであります。
これについては、5ページの中項目「1 真の
地方分権の実現のための国・地方間の
税源配分の是正」の項と、12ページの「4
具体的項目」の「(1)
所得課税の充実」といった中で、所得税から
個人住民税へ3兆円規模の
税源移譲を要望しているというふうになっております。これについては、6月21日に閣議決定の骨太の方針2005で、
個人住民税所得割の税率を
フラット化することを基本に、平成18年度、2006年度の
税制改正で実施することとされているわけであります。
そこで、この
フラット化についてなんですけれども、新聞報道によりますと、現在は5%、10%、13%の3段階の
税率区分であるものを10%の
比例税率化にする方向というように報道されているわけであります。
そこで、質問ですが、1点目は、現在、所得税は税率が10%、20%、30%、37%と4段階となっているわけです。一方で、住民税は先ほど言いました3段階あるわけでありまして、この住民税の3段階ある税率を10%に
フラット化するということとの関係で、どのような仕組みで
税源移譲する方法が考えられているのか、わかる範囲でお答え願いたいというふうに思います。
そして、一般的には、住民税の増税分になる部分は所得税が減税になるというふうに思います。しかし一方で、現在、所得税は課税されていないが、住民税のみが課税されているという納税者がいるわけであります。この場合、単純にいきますと、現在、5%の住民税がさらに10%に上がってしまうということで負担が多くなるのではないかということが考えられるわけであります。
この点、何らかの調整ということが考えられているのかどうか、まず2点についてお伺いしたいと思います。
◎米田
税政部長 ご質問の1点目の所得税から
個人住民税への
税源移譲の具体的な方策についてでございます。
税源移譲は、所得税を減らす一方で
個人住民税をふやし、自治体の
財政基盤を強化するものでありまして、委員ご指摘のとおり、このたびの骨太の方針2005などによりますと、現在、3段階となっております住民税の所得割の税率を
フラット化することを基本とすることが示されております。お話しにありましたように、新聞報道では、
住民税所得割の税率が10%に一本化されますと、所得金額が200万円以下の部分については、市民税、道民税合わせまして所得割の税率が5%から10%に、200万円を超えて700万円以下までの部分が10%で、これは変わりません。700万円を超えた部分が13%から10%に変わります。
このことに伴いまして、住民税に増減が生ずることになりますが、その際、個々の納税者の所得税と住民税を合わせました税負担の変動を極力抑制することとしまして、住民税の税率が引き上げられる部分につきましては、所得税において現行の最低税率10%よりも低い
税率区分を設け、逆に住民税の税率が引き下げられる部分につきましては、所得税の税率を引き上げることなどが検討されているところであります。
次に、2点目の所得税が非課税の方への
負担調整措置についてです。
標準世帯、夫婦・子2人で
給与収入が所得税の
課税最低限であります325万円以下の納税者につきましては、住民税の所得割の税率が5%から10%に引き上がりますが、所得税は非課税のため
負担調整が働きません。したがいまして、これらの方につきましては、住民税において適切な
負担調整措置が検討されるものというふうに認識しております。
◆藤川雅司 委員 そこで、わかりやすく、
標準世帯の
給与収入でモデルがあればイメージとして理解が深まるのではないかという趣旨で質問するのですが、
標準世帯の
給与収入で、一つには、所得税がかかっていないけれども、住民税がかかっている
給与収入約300万円の方のケース、それから、2番目は、所得税、
住民税ともに現在課税されている500万円のケースについて、どのような姿になるのか、試算していればこれをお示しいただきたいと思います。
◎米田
税政部長 税源移譲された場合の収入段階別の税負担のご質問でございます。
税源移譲の具体的な姿がまだ明らかにされておりませんので、現段階での負担額の試算につきましては非常に難しい面もありますが、平成18年度から適用される改正項目を含めて、住民税の所得割の税率を単純に10%に置きかえて
標準世帯、夫婦・子2人の
給与収入の場合で住民税の負担額の変化を試算いたしますと、まず、お話にありました所得税が非課税となっております収入300万円の方では、現行の8,300円が1万6,600円となり、8,300円の増額、それから、収入500万円の場合、現行の7万300円が14万600円となり、7万300円の増額となります。いずれにいたしましても、所得税から住民税への
税源移譲であることから、所得税及び住民税の適正な
負担調整が行われ、個々の納税者に係る国・地方を通じた税負担は、極力、変化が生じないようにするというふうにされております。
◆藤川雅司 委員 いずれにしても、具体的な考え方が示されていない段階ですので、一応、今の試算ということで、8,300円あるいは7万300円が住民税では増税となる。その分、何らかの形で所得税が減税されるのではないかということで一応のイメージとしてはわかりました。今後、そういった情報を的確に早期に収集して皆さんに明らかにしていただきたいと思います。
大きな2点目の質問であります。
資料の25ページに、
国庫補助負担金の改革における小項目「(2)生活保護費等の国庫負担率の堅持」があります。その後段の
生活保護制度の改正を求めている点についてお伺いしたいというふうに思うわけですけれども、これが新設されているといった観点で質問します。
ご存じのとおり、札幌市の生活保護率は平成9年度以降に増加しているわけでありまして、15年度では25.0パーミル、16年度は26.2パーミルと過去最高の数字に達しています。15年度を基準とした比較でも、全国平均の保護率である10.5パーミルと比較して高い水準にあり、
政令指定都市の中でも大阪市の35.4パーミルに次いで2番目に高い割合となっているわけです。こういった状況の中、今回、
生活保護制度について、
社会保障制度全体の改革の中で、時代に即した制度とすることと新規内容ではしているわけであります。地域経済の低迷による雇用の場が少なくなっている、あるいは、高齢化により高齢者の生活保護率が増加しているというようなこともあるのではないかというふうに思うわけであります。
先般、この委員会で総務省等にさまざまな要望内容――総務省の自治
財政局長へは国庫負担率を削減しないようにという要望を行ってきたわけであります。そこのやりとりでは――総務省の自治
財政局長と行ったやりとりでは、財務省は自治体を信頼していないのではないかと。負担率を引き下げることによって保護率が低下するというような思いが財務省にはあるのではないかというような感想を述べられました。そんなことも含めまして、このように今、高い保護率がどういう原因によるものなのか。そしてまた、本市の特性についてどのようにとらえているのか。そして、今回要望した時代に即した制度とはどのようにすることを考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎井上
財政部長 まず、保護制度についての特性等でございます。
まず、全国的な動向ということでございますけれども、保護世帯に占める高齢者世帯の割合というのは近年増加しておりまして、本市の場合は、平成16年度における高齢者世帯の割合は39.8%と全体の4割を占めております。これは、高齢化の急速な進展と高齢者の収入減少を反映したものと受けとめております。また、高齢世帯、傷病・障がい世帯、母子世帯を除いた、いわゆる就労可能年齢層が多くを占めるその他の世帯の比率がここ数年では最も高い伸び率を示しておりまして、16年度には全体の13.8%になっております。
このような「その他の世帯」の増加要因といたしましては、不況の長期化に伴う失業、稼働収入減少などの経済的理由による新たな生活保護世帯がふえていることが大きく影響しているものと考えております。特に、
政令指定都市におきましては、地域における経済活動や医療・福祉を支える役割を担っていることから、就労機会と医療機会を求める人の社会的転入増が多く、こうしたことも生活保護率の増加の要因となっていると考えております。
次に、2点目の時代に即した制度の部分でございます。
生活保護制度の見直しにつきましては、指定都市市長会といたしまして、その問題点と改善策につきまして検討を行ってきております。その抜本的な改革に当たりましては、雇用状況の悪化や高齢化の進展を踏まえまして、年金、医療保険制度を初めとする他の
社会保障制度との全体比較の中で見直しをすべきだということで提案してきたところでございます。
社会状況の変化によりまして、全国の保護世帯総数における高齢者世帯の割合は、昭和40年度には約23%にすぎなかったものが、平成15年度には約46%と倍増しております。こうした保護世帯に対しましては、
生活保護制度による就労支援を行いましても、その自立を求めることは極めて困難だと思われます。このため、
社会保障制度の全体改革としては、例えば低所得者、高齢者のための生活保障制度として最低年金制度を新たに創設し、
生活保護制度の対象は働ける年齢層の者がいる世帯に限定するなどの見直しによって、現在の社会状況に即した制度にすべきと考えております。このほかにも、失業保険、医療制度との整合性を図るなどの見直しを検討することの方が、国と地方の役割分担や負担率を見直すことよりも有効な改善になるものと考えております。
◆藤川雅司 委員 今、ご説明があったとおり、私も全く同感でありまして、さきに紹介いたしました地方自治体がやっている生活保護の事務に対する財務省の誤解の部分で、負担率を下げるといったことによって保護率が減るのではないかというようなことは全く問題だというふうに思うわけであります。そういった趣旨からの負担率の引き下げについては、強く反対していっていただきたいと思います。
あわせて、今、説明がありましたように、
生活保護制度だけではなくて、失業保険、あるいは――今、最低年金制度ということもお話しされましたけれども、そういった中で解決されるべきものであります。
生活保護ということで言いますと、仮に高齢者が年金等でカバーされるといったことになって生活保護を受けなくていいということになれば、これは私見ですけれども、それに伴って生活保護を受けている部分に伴ういわゆる人件費部分も軽減されるわけでありますから、生活保護の負担率を下げるという単純な財政的負担の問題ではなくて、トータルに国民の
財政負担を軽くするといった意味での住民福祉につながることが本当に重要だというふうに思います。
この場は
税財政制度の調査特別委員会ですから、細かい議論にはならないというふうに思いますが、しっかりと要望することを求めて、終わりたいと思います。
◆芦原進 委員 私から、資料1の大項目「3
国庫補助負担金及び
地方交付税の改革等」の中の中項目「3
国直轄事業負担金の廃止」というところについてお尋ねしたいと思います。
このグラフを見ますと、非常に
国直轄事業負担金が大きいということで、特に
維持管理費についてはもうやめるべきだというふうに指摘されて、要望されていますし、去年とは違いましてグラフまでつけていただいて、計算途中だそうですけれども、非常に見やすく、中身が濃くなっているなと思いまして、説得力がある要望になっているなと思います。次回にきちんとした数字が示されるということですので、それをきっちり拝見したい。
しかし、要望中、確定していませんが、市としては財政局できちんとしたデータをお示しになっているはずなんですね。
そこで、お尋ねしますが、札幌市財政局として、平成元年から16年までの数値をお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
◎井上
財政部長 まず、本市の普通会計におきます
普通建設事業費の決算額でございます。
平成元年度は1,571億円でございます。その後、順次、増加いたしまして、4年度から11年度にかけましては、2,000億円を超える水準で推移いたしております。最も多かったのは、8年度の2,325億円でございます。これが、12年度以降は減少しておりまして、15年度決算におきましては1,204億円となっております。
次に、
国直轄事業負担金の決算でございますけれども、平成元年度は33億円でございます。その後も35億円から50億円程度のほぼ同水準で推移しておりますけれども、最大では5年度の51億円、最小で元年度の33億円でございます。15年度決算では、35億円となっております。
◆芦原進 委員 今、大まかな数値を聞かせていただきましたけれども、本市においては、平成元年が1,571億円ということで、多いときで2,325億円、15年が1,204億円で、最初と最後は300億円ぐらいしか違いがありませんが、8年度が2,325億円と、非常に――1,000億円ぐらい違いが出ています。そういう面では、ずっと減る傾向にあるということであります。
国は33億円から出発しまして、35億円から51億円という時期もありましたが、またさらに、平成14年から33億円から35億円に下がってきているということであります。国は要するに2億円しか下げていない。地方は減っているのに、国は下げないというデータが出ているのではないかと思うのです。
そういう意味では、今、数値を聞きましたが、やはり中身がよくわからない。金額はどういうふうにして国が決めるのか――お金の決め方ですね。それから、どういう事業に使うのか。要するに、事業の中身、決め方についてお尋ねしたいと思います。
◎井上
財政部長 まず、
国直轄事業負担金でございますけれども、これは、国が道路や河川や砂防等の建設事業及びこれらの施設の災害復旧事業をみずから行う場合に、その経費の一部を
地方公共団体が国に対して支出する性格のものでございます。
本市におきます
直轄事業負担金について申し上げますと、平成17年度予算では、国道の
維持管理費や改築等の
直轄事業負担金が31億円、それから、滝野すずらん丘陵公園の国営公園整備費等負担金が約4億円、丘珠・新千歳の空港整備事業負担金が約1億円となってございます。
次に、負担額の算定でございます。
負担率は具体的な個々の法律で決まっておりますけれども、例えば、国直轄道路の維持・修繕費であれば対象経費の約3割――これは道路法で決まっておりますが――そういうような形で個々の法律や政令で規定されております。
各年度の負担金額につきましては、対象経費である国の事業の予算額に応じて、ほぼ自動的に決まるものとなっております。したがって、具体的な事業費の積算内容については、地方には明らかにされておりません。また、本市の財政状況や裁量が考慮されるということもございません。
◆芦原進 委員 今、事業費の予算枠、中身は知らさずに、とるのだけしっかりとっていくというような話でございます。普通は、中身はどうなのかときちんと照査するものではないかと思うのですけれども、補助金を出しておいて取り上げようかというような感じがしないでもありません。
ところが、すずらん公園でしたら、私たち市民がよく利用いたしますし、市民の施設というふうに理解できますけれども、空港だとか道路というものは不特定多数の人が使うわけですから、そういうものの管理は、本来、国の
直轄事業ですから、つくったものは自分で管理するということが普通ではないかという気もいたします。やはり、国の均衡な発展のために国が
直轄事業としてやっているわけですから、本来、国が負担するべきものではないかと思います。そうした意味では、今回の要望というものは、非常に的を射た要望ではないかと思っております。
また、我々地方自治体は、財政状況に応じまして、非常に厳しい――特に札幌は、
地方交付税も非常に多いということです。どこでも、今、一生懸命に税財政の改革に取り組んでいる中で、国は一つも変えないという状況であれば非常に困るわけです。だから、財政の負担だけ国から一方的に請求されて、その金額に応じて一方的に払っているわけなんですけれども、ぜひ三位一体の改革とあわせて、やはりしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
資料3の8ページに、同じように――地方6団体の中でもこういう要望書が出ております。そういう意味では、やはり、地方6団体と連携をとりながらしっかりと見直しを図っていくように取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
◆坂本恭子 委員 25ページ下段の生活保護費等国庫負担率の堅持について、それから、28ページの
地方交付税の改革のところで質問させていただきます。
まず、25ページ、生活保護費等国庫負担率の堅持の項目についてですが、負担率の引き下げは絶対に行わないということは当然であり、私どももこれはしっかり求めるべきものだというふうに考えております。
先ほどの質疑でも、
生活保護制度を時代に即した制度にするということで若干のご説明もありましたけれども、そもそも現在の
生活保護制度についてどのような認識をお持ちなのか、その点についてお聞きしたいと思います。
それからまた、下から2行目ですが、「制度疲労を起こしている状況を鑑み」という文言が使われておりますけれども、これが何を言わんとしているのか、真意について伺いたいと思います。
また、制度疲労という文言を選択した根拠、あるいは出典などというものがあればお示し願いたいと思います。
引き続いて、28ページの
地方交付税の改革についてでございます。
3項目が新たに追加になったということで、これは白本にはなかった内容としても掲載されておりますけれども、これが、この間、どういう理由で加えることになったのか、一体どういう問題点があって、今回この要望になったのかと。具体的に何を求めているものなのかお示しいただきたいと思います。
◎井上
財政部長 まず、1点目の
生活保護制度についての基本的な認識でございます。
生活保護制度は、昭和25年に現在の生活保護法の制定に伴い創設されましたものでございまして、以後50年以上にわたって、日本国憲法第25条の理念であります、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという生存権を保障してきた極めて重要な制度と認識しております。こうした
生活保護制度の基本的なあり方は、今後の
社会保障制度におきましても必要不可欠なものでありまして、制度そのものを否定するということは考えてはおりません。
続きまして、制度疲労というのは何か、根拠、出典はどこかということでございますけれども、その理由等につきましては、先ほど藤川委員のときに説明したとおりでございます。
出典といたしましては――制度疲労という表現は白本にはございませんでしたけれども――これは、先月7月27日に開催されました指定都市市長会議におきまして、三位一体の改革について議論した際に決議されました
生活保護制度の抜本改革に向けての提案という決議文において同様の表現がされたことから、これらを踏まえて
要望文案にこの表現を加えたものでございます。
それから、3点目の
中期地方財政ビジョンの現状の問題点と要望の具体的な内容でございます。
本市では、5年間にわたる中期財政見通しを立てて、それを踏まえて財政の健全化に向けた取り組みを進めております。とりわけ
地方交付税等の一般財源については、今後の見通しを立てることが困難になっております。例えば、平成16年度の予算編成におきましては、年末の地方財政対策におきまして、
地方交付税と臨時財政対策債の全国総額が唐突に12%、約3兆円削減されまして、本市を初めといたします多くの自治体が財源確保に苦しんだところでございます。
こうした地方財政の不安定さを解消して、地方自治体が自立的な
財政運営により、今後の行財政改革をより計画的に行うためには、中期の財政見通しをよりしっかりとしたものとすることがどうしても必要でございます。しかし、その指針となるべきものが不足している点は、本市を含む全地方自治体に共通した課題となっております。また、地方自治体の毎年度の予算編成におきましても、年末にまとめられる国家予算政府案に大きく左右されるということが実情でございまして、こうしたことからも国が早期に情報を示してほしいということは必要と考えております。
要望内容といたしましては、
地方財政計画における総額の規模、地方単独事業が一般財源である地方税・
地方交付税についての3年から5年程度の見通しを明らかにすることで、地方自治体が計画的に
事務事業を進められるような内容にするよう求めております。また、財務省では、
地方交付税における財源保障機能の縮小廃止を目標とした中期ビジョンの策定を提案していることからも、その策定については地方とよく話し合いをして行ってほしいという表現もしております。
◆坂本恭子 委員 生活保護についての基本的な認識について伺いました。50年以上続いている憲法の理念によって、今後も必要不可欠な制度だという認識が示されたわけでありますけれども、この
生活保護制度は、地方自治法に定める法定受託事務として、国が制度設計を行い、適正な事務処理に必要な処理基準を決め、そして、それを地方自治体が国が定めた認定基準に当てはめ、事実認定を行うということで、まさしく基本的な役割を担っているのは地方だというふうに思うわけです。
先ほど、部長のご答弁にもありましたように、この
生活保護制度は極めて重要な役割を今も果たしておりますし、そして、その意義が今後も必要不可欠なものであるというふうに考えているのであれば、なおさらのこと、私はこの制度疲労という文言が適切なものであるというふうには思えないのです。出典も明らかではないといいますか、7月27日に行われた指定都市市長会議で初めて制度疲労という言葉が使われたというお話でしたけれども、この間、こういう手のものがこういう文書の中に載ってきた経緯はないわけですし、通常、否定的に用いられることが多い言葉を果たして使う必要性が本当にあるのかどうなのかということについていかがお考えになるか、改めて伺いたいと思います。
それから、
地方交付税の改革についてですけれども、
中期地方財政ビジョンに関して、指針となるべきものが不足している、年末の国家予算に暗に左右されていて早期になかなか地方自治体が独自の計画を安定的に立てていくことができないのだという中での必要な指針になるのではないかというお話だったと思うのですが、私は、この
中期地方財政ビジョンに関しては、地方行政改革のかかわりでさらなる自治体のスリム化につながっていく危険性はないのかなという懸念を持っております。
国は、6月に発表されました基本方針である骨太の方針2005の中でも――これは繰り返し言われていることですが――小さくて効率的な政府への取り組み、実現ということを言っておりますし、それと一体化して、国・地方の行政改革を徹底して行っていくのだと、一つの大きな眼目は、公務員の総人件費の削減だというようなことも言われております。ことし3月に総務省から出されました新地方行革指針等もありますし、地方に直接政府が介入して行政改革を求めてくるという流れがますます強まってくるのではないかというふうに私は考えます。
結局、今回、地方と一緒にやっていきましょうということで提起されております
中期地方財政ビジョンの策定ですけれども、この骨太の方針2005で規定しているように、自治体が経営努力を発揮できるようにということでこのビジョンの策定がうたわれているわけですから、より強い、強力な地方行政改革を推進させる、その国の地方に対する介入がますます強まってくるというふうにはお考えにならないのか伺いたいと思います。
◎井上
財政部長 まず、1点目の制度疲労という表現でございます。
繰り返しになるかもしれませんけれども、
生活保護制度の目的は、生活保護法第1条に規定されておりますとおり、最低限度の生活の保障と自立の助長の二つでございます。ここで制度疲労と表現した理由といたしましては、近年の急速な高齢化の進展や雇用形態の多様化などの社会状況の変化によりまして、この二つの目的のうちの自立の助長を進めることが困難になっているという課題についてでございます。全国の保護世帯における高齢者世帯の割合が大きく増加しておりますことや、地域経済の状況や失業の面からも保護世帯に自立を求めることが困難になってきているということでございます。
このため、
生活保護制度の見直しに当たりましては、国と地方の役割分担の見直しや国庫負担率の引き下げを行うのではなくて、高齢化や経済雇用状況などの社会情勢の変化を踏まえて、制度のあり方を踏まえた
社会保障制度全体についての議論と改革を行うという観点から、こういう表現にしていることをご理解いただきたいというふうに考えております。
それから、中期財政ビジョンの関係でございますけれども、これが国の地方に対する介入の強化ではないかという質問でございます。
中期財政ビジョンの策定につきましては、地方自治体が今後の財政見通しを立てる際に、地方税、
地方交付税等を初めとする一般財源の動向に関する情報を得る上でぜひとも必要な部分でございまして、地方の自立的な
財政運営のためには必要不可欠なものと考えておりまして、国の地方への介入とは別の問題というふうに考えております。
それからもう1点、行政改革との関係でございますけれども、現在の国と地方自治体の財政状況を勘案いたしますと、国と地方は歩調を合わせて行政改革を推進していくことはある程度必要なことというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 生活保護についてですが、制度上の問題として自立支援と最低限度の生活の保障という観点から、高齢化率も進んでいて、そういう意味での制度疲労だというご答弁でしたけれども、私は、やはり、先ほども議論がありましたように、現在の大変厳しい経済状況・雇用状況の中で、生活保護世帯が増加しているという現実を見たときに、今回、こういう形で要望として国に対して国庫負担率を引き下げるべきではない、守りなさいということをきちんと求めていくことは大変重要なことだと思っております。
その一方で、部長の答弁にもありましたけれども、先ほども出ました指定都市市長会で、
生活保護制度の抜本改革に向けての提言というものが発表されております。その中で、先ほどご説明があったように、高齢者層に対する生活保障制度の創設ということで、高齢化が進んでいる中で、稼働年齢層以外の世帯に対して、
生活保護制度同様の憲法第25条に基づく最低限度の生活を守る制度を新たにつくるべきというふうに言っているのだろうというふうには理解いたします。しかし他方では、同じ改革案ですけれども、生活保護の基準の見直しということにも言及している。この中には、年金支給額との整合性であるとか、一般低所得者層との整合性、あるいは加算のあり方というような具体的なもの、それから、先ほど話があったような医療費や介護給付費に対する一部負担の導入というようなものが指定都市市長会から出てきているということを考えますと、私は、一方で国庫負担率の堅持ということを言いながら、他方では保護費全体の縮小につながるような、国の責任を縮小させるような提言を行うべきではないというふうに考えるのです。
財政当局として、市長会のこの提案をどのように受けとめるのか。先ほどの制度疲労という言葉自体が指定都市市長会の提言の中から引き出されたものだということもありましたので、この際、ここについて伺いたいと思います。
それから、
中期地方財政ビジョンについてです。
国の介入とは全く別のものだというふうに考えているというご答弁がございましたけれども、私は、これは地方自治体としてはもっと危機意識を持つべきだというふうに思っています。やはり、市民サービスの低下につながるような行政改革というものは、絶対に行うべきではないというふうに思います。今、財政当局といたしましても、そういうところでの切り下げはしたくないという立場でいらっしゃるのだろうと思うのですけれども、やはり、
中期地方財政ビジョンの策定においてはそのことをしっかりと念頭に置いて対応をすべきです。国が地方にも意見を聞きましょうということを言っているわけですから、そういう中で、きちんと物を申すといいますか、対応していくということが、やはり重要だと思うのですけれども、この点について、もう一度ご答弁いただきたいと思います。
◎井上
財政部長 まず、生活保護の問題でございます。
現在、生活保護事務につきましては、法定受託事務として地方自治体が実施しておりますが、保護率の上昇の要因といたしまして、地方自治体の認定事務自体など、その運用について課題があるという認識は、先ほども申し上げたように、国でしております。しかしながら、地方自治体といたしましては、そうした認識ではございませんで、先ほどお答えいたしましたように、高齢化や雇用状況などの社会状況の変化によるものと考えております。そもそも年金制度も含めた
社会保障制度全般にわたっての問題点がありまして、そうしたひずみが
生活保護制度に顕在化してきているものと考えております。したがって、このたびの提言につきましても、生活保護費全体の縮減を意図したものではなく、今申し上げたことに基づきまして制度自体の改正を提言しているというものでございます。
それから、中期財政ビジョンの関係でございます。
先ほども答弁いたしましたが、当然、現在の国と地方の財政状況は厳しいものがございますので、行財政改革は必要でございますけれども、それは、当然、地方だけが一方的に行うものではなくて、国といろいろと議論しながら、必要なものは残しながらやっていくべきものというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員
生活保護制度について、制度疲労という言葉を修正することについては、改めて求めておきたいと思います。
最初に部長がご答弁してくださったように、50年以上経過しているこの制度です。憲法第25条の理念に基づき、生存権というものを具現化しているという重要な制度であり、今後も必要不可欠なものであるという答弁がございましたので、この観点に立ってしっかりと国庫負担の堅持ということについては対応していっていただきたいと思います。
それから、中期財政ビジョンについてですけれども、ご答弁いただいたように、地方6団体の中でも、資料3の9ページに(5)として、「国の行財政改革の断行と地方の自己改革」ということで項を起こして載っております。多分、地方が身を削っているのだから、国もしっかり頑張れという立場で書かれているのだろうというふうに思うのですが、私は、地方自治体みずからが自治体でのリストラを宣言しているというような印象をぬぐい切ることができません。今回の中期財政ビジョンは、市民サービスの低下には絶対につなげるべきではないと思いますし、国に対しては、本当の意味で地方自治体が自立して自主的に安定した計画づくりをしていけるというような立場から求めていくべきというふうに思います。やはり、そういうものは安定的な計画がつくれるようになることによって、一定程度の市民サービスの維持、それから向上という地方自治体本来の仕事ができるのだろうというふうに思いますので、あわせて、このことを強く申し上げて、終わりたいと思います。
◆小谷俵藏 委員 私から、
固定資産税の関係についてのみ、質問させていただきたいと思います。
先ほど、細川委員から質問がありました。基本的なご答弁等の中で、ページで言いますと資料1の17ページの「(3)
固定資産税の
安定的確保」というところと、それから、19ページの「(5)
租税特別措置等の
整理合理化」、そして、20ページの枠で囲まれた
租税特別措置等の
整理合理化というふうなところが
固定資産税にかかわるところのようでございます。
私は、この17ページの(3)を見ましても、「
固定資産税は税源の偏りも小さく、住民税と同様に、
基礎的行政サービスの提供を安定的に支えるうえで重要な
基幹税目であるので、今後も公平かつ簡素な税制を一層目指すとともに、その安定に云々」ということになっているわけであります。下の図を見ますと、この8年でも、どんどんと――特に土地の関係の税収が減ってきていることがわかります。
私が気になるのは、19ページ、20ページにあります――どちらも同じ表現ですが――特に地方税における
固定資産税の非課税、課税標準の特例については抜本的な見直しを行うと。ただ、抜本的という言葉だけでは、具体的に中身が全然見えてこない。非常に厳しい、ハードな表現になっているようにも感じるわけです。
私は――市民税等は、これは、当然、交付税と同じように累進で所得に応じて比率が変わってくるわけであります。しかし、
固定資産税は、いわゆる収益性があろうとなかろうと、あるいは生産性が高かろうと脆弱であろうと、これはかかるわけであります。ここで、課税標準の特例――これは、土地等の場合、価格は大体時価相場の70%ぐらいだろうと思います。これに対して課税標準額でまともにいったら大変な税金になってしまうということで、地方自治体それぞれの判断にゆだねられているということも聞いているのですが、いわゆる課税標準額で、皆さんの負担が余り極端に大きくならないように調整しようということのように認識しておりますけれども、抜本的な見直しということになりますと、一体、具体的にどういう基準をつくろうと考えているのか、その辺をちょっとお示しいただきたいと思っております。
これは、場合によっては大変なことになってしまうものですから、お願いします。
◎五十嵐 税制課長 確かに、
固定資産税につきましては、さまざまな課税標準の特例、あるいは、非課税措置がたくさんございまして、その中でも、特に
非課税措置等につきましては、例えば鉄軌道等にかかわるトンネルや踏切などというものが非課税になっております。それから、農業協同組合あるいは農業協同組合連合会の事務所、倉庫や、直接、学校法人や社会福祉法人の用に供するものは非課税という形になっております。そのほかに、課税標準の特例措置ということで、主として企業が設置する公害防止設備――これは土地ではなく、償却資産でございますけれども――こういったものは、通常、
固定資産税の場合、評価額に対して税負担を求めるということになっておりますが、これを、時限を切って――例えば5分の3で課税するだとか、2分の1で課税するだとか、それぞれ物によりまして異なっておりますけれども――相当数のものがございます。
税制改正の年度改正におきましては、それぞれこれらの見直しがされておりますけれども、これらは、主として国の政策によってなされる軽減措置でありますことから、これらのものにつきましては、抜本的という言葉を使いまして見直しを要望しているということでございます。
◆小谷俵藏 委員 今の五十嵐課長の答弁で、ある部分については意味はわかるのです。国の制度にのっとってやっているので、その制度を抜本的に改正してくれと。課税標準を調整しているものは、いろいろな不動産の関係で相当多いですよね。これが、例えば、課税標準がなくなって丸々税がかかってしまうなんていうようなことになったら大変なことが起きてくるんでないのかなと。相当のものに課税標準が入っているはずですね。
それで、この辺の、国に対して抜本と言っても、その抜本の意味は、当然、
政令指定都市14市で具体的に検討されているわけでしょうから、抜本的という言葉でくくって、それだけでいってしまうということでは、意味不明のままいってしまうことになるのですよ。そちらはわかっているかもしれないけれども、我々としてはですね。この辺、部長、どうなのですか。
◎米田
税政部長 固定資産税の課税標準の特例というものは、戦後の経済再編期において、基幹産業の育成等の見地から、例えば送電設備であるとか軌道施設といったものに対して軽減措置として設けられておりまして、
税制改正によって特例対象の範囲については決められておりますが、これは国で決められたものでございますので、抜本的に改正するということは国にも要望していかなければならないことだというふうに認識しております。
◆小谷俵藏 委員 ですから、抜本的な見直しというのは、こちらからただ抜本的に改正してくれという言葉だけでしか考えていないのか。それにはそれなりの、ここには書いていなくても、こうこうこういうような、こういう点はこういうふうにしてほしいとか、何かがなければ――これだけだったら、我々が見たのでは意味不明なのですよ。
財政が厳しい、抜本的、では、何をもって抜本的なのか、具体的なものは何もないのですよ。答えられないなら答えられないで仕方ないかと思いますけれども、そんなことでは……。これは14都市全体での要望ですから、札幌市だけの問題ではないけれども、非常に意味がわからないのですよ。
◎五十嵐 税制課長 今回のこの種の要望は、これまでも行ってきたのでございますけれども、念頭に置いているのは、非課税措置の廃止等につきましては、鉄軌道用地に係るトンネルだとか踏切、あるいは農業協同組合や農業協同組合連合会の事務所、倉庫といったものの見直しは必要かなと。
それと、課税標準の特例の廃止についてでございますけれども、これは、変電所、送電施設、あるいはガス製造、あるいは船舶、航空機、いろいろございます。それから、公害防止設備などについても見直しは必要ではないかというふうに考えておりまして、そのほかにもたくさん課税標準の特例措置はございます。例えば、住宅用地につきましても、200平米までは6分の1の課税標準の特例がございますし、こういったものにつきましても、
政府税制調査会の中では、これらの見直しというものは適正な水準にすべきだという考え方は過去の答申の中でも触れられている事項でございます。
◆小谷俵藏 委員 平行線のようです。
ただ、非常に関心が高いところで、長年の、現在のこういう制度できて、それがどう変わるか。全く課税標準がなくなってしまって、もともとの価格になってしまうなんていうようなことは絶対ないとは信じているけれども、これはどうなっていくのかなと、非常にわかりづらい面があります。今、多分、税政部では答えられないのでしょう。いずれかの機会には、もっと具体的にわかるような答弁をいただきたいと思って、きょうはこの程度にしておきます。
○大嶋薫 委員長 ほかにございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○大嶋薫 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
本委員会を代表して、私から理事者に一言申し上げます。
本件については、本日の委員会における意見・要望を踏まえた上で各
政令指定都市と今一度ご協議いただき、その結果を次回の委員会において、改めて報告いただきたいと思います。
以上で、本日の委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後2時21分...