私は、今回の
陳情にあります高次脳
機能障がいとはおおよそそのように
理解しているわけでありますけれども、この高次脳
機能障がいの問題に関しては、
平成13年度から本年度まで
高次脳機能障害者支援推進モデル事業として行われてきているわけであります。それを受けて、
札幌市も
北海道との
共同事業で問題に取り組んできている、そういうふうに伺っているわけであります。
そこで、何点か
質問いたしますけれども、まず、高次脳
機能障がいとは一般の市民にとっても余り耳になじみがないというものではなかろうかなと。そればかりか、
医療や
福祉にかかわる
専門家の間においても、十分
理解されていない節もあるというふうに伺っているわけであります。
そこで、1点目の
質問でありますけれども、まず、具体的にどのような障がいであるのか、少々詳しく
説明をいただきたい。また、どんな困難を生じているのか。
それから、2点目は、
支援モデル事業の
目的と
事業内容についてお伺いしたいと思います。
今回の
陳情にかかわる国の
補助事業である
高次脳機能障害者支援推進モデル事業、これは、何を
目的に、どのようなことをするものなのか。どの程度の次元のものを求めてこれをやっておるのか、その
事業の
目的と内容、これについてもお伺いしたいと思います。
それから、3点目でありますけれども、
平成13年度から
モデル事業として道と一緒に
札幌市も取り組んできました。そこで、
札幌市としては、取り組んできた
成果をどのように受けとめておられるのか、この3点をちょっとお伺いしたいと思います。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 今、3点のお尋ねでございますけれども、まず、高次脳
機能障がいとはいかなる障がいかということでございます。
今、
陳情者の方から、
お子さんの
関係で具体的に十分なご
説明がありましたけれども、
一般論として若干ご
説明申し上げます。
医学、
医療の
専門家の間では、必ずしもコンセンサスが得られているという
状況のものではありませんけれども、
専門用語といたしましては、
外傷性の認知障がいということです。これを平易に申し上げますと、頭の
けがとか
病気の
後遺症で、脳に負った傷によって麻痺がないのに動作が行えなくなったり、物事を順序立てて行えなくなる、また、感情や行動のコントロールが難しくなる、それから、事柄を覚えたり思い出したりすることが困難になったり、注意を集中できなくなる、こういったような症状があらわれるものでございます。そのような症状のある人の中で、これに起因いたしまして
日常生活あるいは
社会生活への適応が困難となる、こういう人々のことを
行政用語で高次脳
機能障がいと呼んでおりまして、一連の
施策の
対象者として
認識したものでございます。
高次脳
機能障がいにつきましては、
福祉的な観点から言いますと、
身体・知的・
精神の
三つの障がいの領域にまたがる場合も少なくないものでございます。
三つの障がいの重なりの問題とともに、それぞれの
制度の
谷間の中で必要な
支援が提供されにくくなる、こういったおそれがあることや、この種の障がいに関する
知識と技術を持つ
専門機関が少ない、こういったような
医療福祉現場における
問題点も指摘されているところでございます。
次に、
高次脳機能障害支援モデル事業の
目的及び
事業内容についてでございますけれども、
平成13年から15年までの3カ年につきましては、高次脳
機能障がいのある人の自立した日常の
社会生活を
支援するために、その具体的な
支援方策を
検討することを
目的としたものでございます。
事業内容といたしましては、先ほど来、話が出ております
全国12の地方
自治体及び
国立身体障害者リハビリテーションセンター、ここに
登録症例を集積いたしまして、
評価基準あるいは
訓練プログラム、
支援プログラム、こういったものを作成したものでございます。その後の
平成16年度、17年度の2カ年におきましては、それまでの
成果を踏まえ、
地域の
関係機関の
連携のもとに、各種の
制度を活用した
サービス提供を試行的に行い、
支援体制の確立を図ることを
目的としております。
事業内容といたしましては、各
自治体において
支援対策整備推進委員会を設置し、登録した個々のケースの
検討を行う、あるいは、効果的な
支援方法、
普及啓発方法について総合的な
検討を行う、それから
支援の
拠点施設に
支援コーディネーターを置いて
社会復帰支援のための継続的な調整を行う、こういったものでございます。国におきましては、
国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、
全国12カ所の
拠点と
連携して普及可能な
支援体制の確立に向けた
検討に取り組む、こういった
事業内容でございます。
次に、
モデル事業の
成果の、
札幌市としての受けとめ方についてでございます。
高次脳
機能障がいのある人の総合的な
支援に関しまして、
全国で初めての
事業ということでございます。この12の
拠点の
一つとして、
札幌市におきましても参加をし、高次脳
機能障がいのある人の
状況を把握し、今後の
支援のあり方の
研究に貢献できたということにつきましては、今後の
札幌市における
施策の展開において大変有意義であったのかなというふうに思っております。この
モデル事業を通じまして、
札幌市内の当事者の方あるいはご家族の
方々の自助的な活動が活性化されました。また、
医療や
福祉にかかわる
専門職の
方々の関心も喚起されるなど、
地域医療、
地域福祉に大変よい影響があったのではないかなというふうに受けとめております。今後とも、この
成果が生かされるように
施策を
検討してまいりたい、そのように感じております。
◆
馬場泰年
委員 答弁の中で、
平成13年度から15年度までの前半3カ年では、高次脳
機能障がいの
診断基準、
評価基準及び
訓練プログラムが策定された、そして、
国立身体障害者リハビリテーションセンターで
専門的な
検討が行われたということでありました。
そこで、
質問ですけれども、
訓練プログラムの
有効性というのはどういうものなのか。また、今後、この
検討結果を踏まえて、それをどのように活用していくことが必要と
考えているのか、この点、お伺いしたいと思います。
次に、高次脳
機能障がいの
理解のための
職員研修の
部分についてです。
障がいのある人と
支援を結びつける重要な
役割を担う、いわば
保健師とか、
相談員とか、
ケースワーカーなどを初めとする市の
職員が、まずは正しい
知識に基づく適切な
対応をとるということは殊のほか重要であると、
皆さんも十分
理解していることと思います。そのために、
陳情の
要旨の4
項目めにも掲げておられますけれども、高次脳
機能障がいに関する
職員研修が積極的に実施されることは極めて
必要性の高いことであると私も思うわけであります。
まず、
研修について、
札幌市は、この間、どのように取り組んできておられたのか、その
取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。
また、この
状況を踏まえて、今後どのようにしていこうとしているのか、この点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 まず、
国立身体障害者リハビリテーションセンターの標準的な
訓練プログラムの
有効性、こういったことでございます。
これまでのいろんな
調査や分析で明らかになっておりますことは、傷を受けた、あるいは回復した後、速やかに
訓練に導入できた方については
改善率が高い。したがいまして、できるだけ速やかに
訓練に導入できる
体制づくりがぜひとも必要であるというふうに思われております。今後につきましては、中央の
研究結果をもとに、
拠点病院、その他の意欲的な
医療機関等と
連携いたしまして、
モデル事業の
成果の普及に努めてまいりたいと
考えております。
次に、高次脳
機能障がいの
理解のための
職員研修でございますけれども、
保健福祉の
相談支援等に携わる
保健師、
精神保健福祉相談員等の
職員が高次脳
機能障がいに対する
知識とか
理解を深めることにつきましては、極めて重要であるというふうに
考えております。そのため、
札幌市では、昨年度から
精神保健福祉センターが毎年行っております
精神保健関係職員研修の中で、高次脳
機能障がいに関する講義を実施しているところでございます。本年は、5月に
研修を行いまして、通常であれば30名から50名ぐらいの
参加者でございますけれども、この日は約80名が受講しております。各区の
保健センターの
精神保健福祉相談員、
保健センターあるいは
保健福祉サービス課の
保健師、それから
保護課の
ケースワーカーなどの
市職員のほかに、
公共職業安定所あるいは
障害者職業センター、こういった外部の
関係職員の方も参加して行ったわけでございます。今後とも、できるだけ
関係職員に対する
研修を幅広く実施してまいりたい、そのように
考えております。
◆
馬場泰年
委員 関係職員の
研修については、今
説明のあったとおり、その
重要性を
認識されて昨年から行っているということであります。
高次脳
機能障がい者の総合的な
支援に関しては、いわば
専門的な領域を多く含んでおるものであります。それだけに、特に
医療機関や外部の
専門機関との
連携は欠かすことのできない大切なことではなかろうかと。したがって、
陳情にありますとおり、この点についても
モデル事業の
成果が生かされるように、
保健師などの
市職員の
研修に当たってはもちろんでありますけれども、そこと
医療機関、他の
支援機関との
連携体制をきちんととっていかなければならないのではなかろうかなと。
先ほどの
提案者の
説明では、いいお
医者さんとのかかわりの中で、
お子さんの状態に、
認識の程度の違いといいますか、そういうものも実際生じてきておるようであります。したがって、特に
医療機関との
連携といいますか、それをこれからの
施策に、いろいろとやっていかれるでしょうから、ぜひこの点を十分
考えて今後の
対応をとっていっていただきたい、このことをお願いして、終わります。
◆
三宅由美 委員 今般の
陳情では、
要旨の1、2でありますけれども、
センター機能を持つ
拠点施設の設置、あるいは、
高次脳機能障害支援センターの設置を求めると。
高次脳機能障害支援センターとはどういったものなのか、どういう
機能を必要と
認識されているのか、この
モデル事業を経た結果で
お話し願いたいと思います。
また、先ほど私の
陳情者への
質問で、数カ所、
三重方式、あるいは福岡市の
心身障害者センターがセンター的な
役割を果たしている、名古屋は
総合リハビリセンター、そして千葉は小児を対象に
中核地域生活支援センターがセンター的な
役割を果たしているとの
お話がありました。
陳情の中では、市独自ではなく、全道をカバーするような
高次脳機能障害支援センター、
総合センターが必要だともおっしゃっておりました。今の
認識はどうなのかということをお伺いいたします。
それから、2点目ですけれども、この
モデル事業の
成果が生かされ、高次脳
機能障がいのある人への
支援を継続していくためには、
専門的な
ケアはもちろんですが、
専門性はそれほど高くなくても、日常的で一般的な
ケアが
地域において継続的に提供されていくことがぜひとも必要であるというふうに、私は
趣旨説明を聞いていくうちに
考えました。そのための方策について、
札幌市としてはどのようにお
考えなのか、まず、お伺いいたします。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 1点目の
高次脳機能障害支援センターについてでございます。
現在のところ、
施設としての基準が定められたものはございません。
平成13年度から15年度までの
モデル事業におきまして、
支援について総合的に
検討される中で、
専門的な調整、
支援力を有した
拠点施設機能、それから、
支援の中核となる人材を
一定支援を提供する
社会資源であるという
認識をしております。当面、
札幌市におきましては、既存のいろんな
施設を利用しながら
考えていきたいなというふうに思っております。
その
機能につきましては、これは、12
拠点の中の
病院関係者の集まった
連絡協議会の中で協議されましたけれども、
一つには、高次脳
機能障がい者と家族及び
地域の
支援機関への
相談支援を行うこと、それから、
地域における
支援体制の整備を図るとともに
関係機関への技術的な
支援を行うこと、このほかに、
都道府県域に設置されるであるとか、あるいは
支援コーディネーターが在籍していること、こういった
機能がつけられるべきだというようなことをその中で話されております。
次に、2点目の
地域における日常的で一般的な
ケアの継続についてであります。
委員ご指摘のとおり、
専門性は余り高くなくても、日常的で継続的な
支援が障がいのある人の身近なところで提供される、これは非常に大切なことでございます。そのためには、この
モデル事業の試行結果を踏まえまして、各
福祉施設等、あるいは就業、それから就学、
在宅生活、こういった中で
支援をする
機関などにも積極的な
情報提供をするなど働きかけていきたいというふうに
考えております。
◆
三宅由美 委員 私は、先般、コロポックル・レディースの
会組織に行ってまいりましたら、近所の大勢の主婦の
方々がボランティアとして参加されておりました。また、もう
一つ、白石の本郷通では、
商店街の方と
連携をとりながらサポートしていくというような
体制もとられておりました。
街づくりの中で、やはり、これは大変重要な
事業だと私は
考えております。特に、障がいの種別によらないということで、
障害者自立支援法がこれからできますけれども、必要とする方が
生活圏域の中でそのような
ケアを受けるということがまず何よりも大切だと私は
考えているところなんです。一口にこう言いましても、高次脳
機能障がいについてはなかなか難しいところがあります。特に、
NPO法人として先行的にこのような
ケアサポートを行っている
事業所のノウハウを十分に
地域の中に広げていくにはどうしたらいいかということを、工夫して広めていっていただきたいと
考えているところです。
再
質問なんですけれども、
要旨3にかかわることです。
現在、国会では、障がいのある人の自立した
日常生活と
社会生活を保障するため、障がい種別によらない共通の
サービスの
枠組みづくり、いわゆる
障害者自立支援法案が審議されております。その中では、
陳情にありますとおり、
障害福祉計画を策定し、具体的な
支援計画を定めることとされています。
しかしながら、まだ成立していない法律に基づいた
制度について、ここで
理事者のお
考えをお聞きすることは必ずしも適切ではないと思いますので、
方向性ということにとどめておきたいと思いますが、趣旨としましては、いわゆる3障がい共通の
福祉サービスの
推進が求められているということだと思います。つまり、これによって障がい
種別ごとの
谷間に落ちてしまうようなことのないよう、
支援を必要としている人には、その必要に応じて確実に
サービスが提供されるような
支援策が講じられる必要があると
考えております。
そこで、3障がい共通の
福祉サービスの
推進ということでは、
札幌市では
平成15年に
障害者保健福祉計画を策定しましたが、この中で高次脳
機能障がいについての
取り組みを盛り込んだのかどうか、確認しておきたいと思います。
また、この
計画の今後の
見直しに当たっては、高次脳
機能障がいをどう位置づけしていくお
考えか、あわせてお伺いいたします。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 札幌市の
障害者保健福祉計画についてのご
質問でございます。
高次脳
機能障がいへの
取り組みにつきましては、
精神保健施策の充実といったことから、高次脳
機能障がいに対する
支援策を、国あるいは
北海道、
関係医療機関、
施設、こういったところとともに
調査研究を進めていくというふうにのせてございます。具体的には、
支援モデル事業の中で
訓練プログラム、
支援プログラムの
調査研究を進める、こういったことでのせております。
また、
計画見直しに当たっての位置づけについてでございますけれども、この
計画につきましては、
平成15年度から24年度までの10年間の
計画ということで策定しておりますが、
社会経済情勢などの変化によりまして
見直しの必要がある場合については
見直しを行うというふうにしております。今後、必要な際には、これまでの
モデル事業の
成果を踏まえるとともに、国、
北海道の
施策展開に十分留意いたしまして、高次脳
機能障がいの
施策充実を図っていくように
検討してまいりたいというふうに思っております。
◆
三宅由美 委員 これまで、
谷間の障がいということでなかなか認知されなかった高次脳
機能障がいが、ようやく
モデル事業も終わり、また、
障害者自立支援法案の中でも語られるようになりました。ぜひ、強力にこのことを
推進していくために、
札幌市の
障害者保健福祉計画の中にもきちんと盛り込んでいただきたいと思います。
最後に、要望なんですけれども、今まで、
北海道には炭鉱がありまして、低
酸素脳症の
方々が
精神病院の中で一生暮らさなければならないといったようなことが多くあったんですけれども、これからはそうではなく、できるだけ
地域で生活する、就労もできるといったようなことが大切になってくると思います。そのために、何より一番必要なのは、
急性期を過ぎた後の早期の
リハビリだということも先ほどの
答弁の中でおっしゃっておりました。特に、私が要望したいのは、
救急救命センターを持っている
市立病院は、確かに命を助けてくださいますけれども、
急性期を過ぎた患者さんへの
対応、これが本当に十分なのかどうか、この辺のところも常にチェックしていただきながら
施策を進めていただくことを要望して、
質問を終わりたいと思います。
◆
三浦英三 委員 段々の
質問がありましたので、初めに、高次脳
機能障がいのある人への
支援に関しましては、我が党の、
脳神経外科医でもあります
渡辺孝男参議院議員が幾度となくこの問題を国会で取り上げさせていただきまして、
診断基準の策定、さらには
就労支援の
必要性等々を何回も訴えられ、今回、この
モデル事業の実現に我が党としても努力をしてまいりました。そういう意味からいきますと、
平成13年度からの
モデル事業の実施について、
札幌市が
北海道とともに
全国の
自治体に先駆けて率先して手を挙げ、コロポックルの
皆さんとともに実施をしてきたということは、大変うれしく思っております。
質問がたくさんありましたので、私からは、2点、ちょっと重なる
部分もありますが、
質問させていただきたいと思います。
1点目に、先ほど来、
馬場委員の
質問の中で
モデル事業の概略については
答弁がありましたけれども、ここでは少し突っ込んで、具体的に
札幌市ではどんな
実態になっているのかということを改めてお聞きしたいと思います。
また、
モデル事業を行ってどんな
成果が上がっているのかということも、具体的にお願いしたい。
さらには、今後の課題は何かという点についても具体的にお答え願いたいと思います。
2点目は、先ほど来ありましたけれども、
救命率が向上して、その陰に取り残されて苦しんでこられた高次脳
機能障がいを持つ
方々に、やっと最近光が当たってきたな、こういう感があるわけであります。しかし、この問題は最近になって急に生じた問題ではなくて、先ほども
お話がありましたけれども、
交通事故とか
炭鉱事故など、この
北海道でも昔から脳の損傷に基づいた障がいに苦しむ人々が少なくなかったのだということを聞いております。いわば古くて新しい障がいということでありますけれども、これまで必ずしも適切な
診断とか
対応がなされてこなかったと思うわけでございます。
そういうことから、実際問題、
陳情者の先ほどのご報告にもありましたけれども、お
医者さんたちの間ですら、これまではこの障がいに対する正しい
理解が進んでいない
実態があった、こう思うわけでございます。今回、
モデル事業がそういう
実態を改善する大きなきっかけになればいいなということも、私は期待をしているわけであります。
そこで、2点目の
質問ですけれども、
陳情にありました市民と
札幌市職員の啓発というのはもちろんのこと、
馬場委員からも要望のありました
専門のお
医者さんへの
意識啓発の
必要性について、
札幌市ではどのように
考えているのかということをお伺いしたいと思います。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 まず、
札幌市における高次脳
機能障がいのある人の
実態ということでございます。
身体・知的・
精神の
三つの
制度にまたがる、そういった
対象者の一部で、かつ、範囲がややあいまいな
部分がありますので、
施策の
対象者としての
実数把握ということは現在のところ困難でございます。
しかしながら、
札幌市におきましては、
平成13年度に
北海道と共同で
アンケート調査を行いました。全道のクリニックを除く400強の病院あるいは
施設、そういった
関係機関に対する
アンケート調査でございますけれども、その当時で約690名の方がこういった高次脳
機能障がいということで、うち約半数が
札幌市内に在住しているというようなことが
アンケート調査の統計からわかってきております。
また、
成果についてでございますけれども、
平成13年度からの3年間は30名ほど、それから16年度からの2年間は40名ほどの高次脳
機能障がいのある人を
試行事業の
対象者として登録し、実際の
訓練あるいは
支援の
プログラムを提供してまいったわけでございます。前半3年間の約30名につきましては、
訓練プログラムと
支援プログラムが適時提供されたものでございますが、このうち約3分の2の
方々に、やや改善、あるいは改善といった
状況を得たということで、一定の効果があることがわかったものでございます。
今後の課題といたしまして、今
お話ししましたとおり、障がいの状態になって長期間たってからの
訓練では必ずしも芳しい効果が得られていないということで、できるだけ早い時期の
訓練の導入が大切であるということがございます。それから、
罹病期間の長い障がい者の方に対しましては、やはり必要な
支援が身近なところで継続的に提供される、こういったことが必要なのではないかなというふうに
考えております。
次に、
医師等に対する
情報提供についてでございます。
関係する
専門医師が、高次脳
機能障がいに対する高い見識を持って、適切な
診断と高い技術に基づいて早期に適切な
訓練と
支援に結びつけていただく、これが大変重要なことであるというふうに
認識しております。今回の
モデル事業の
成果につきまして、
北海道と
連携しながら
関係する
医師等に積極的に
情報提供をするなどして、早期に適切な
訓練あるいは
支援に結びつけるように図ってまいりたいというふうに
考えております。
◆小川勝美
委員 私も、2点ほどお尋ねをしたいと思います。
この
陳情が出されてから、私も改めて高次脳
機能障がいというものを勉強させていただきまして、北大の
リハビリテーション科の私の知人がこの
支援コーディネーターをしているということもお聞きしまして、直接電話をしてお尋ねをしたところであります。知能検査をするとIQが120ぐらいと高レベルなんだけれども、全体として、高次脳
機能障がいになると、いわゆる記憶
機能がなくなって自立した生活が送れない、こんなことなどが現実に起こってくるんだと。そして、今、やっとモデルケースがスタートしたところで、これに基づいた
全国的な
支援が切実に求められているので、今回、コロポックルの
皆さんなどもそういう形で市議会に
陳情されたんだと、私も北大のコーディネーターの方から改めて
説明を受けて、そんなことだったのかということを改めて
認識させられた次第であります。
こういう形で3年間、さらに2年間、
モデル事業をやって、しかも、この
モデル事業で、北大の
リハビリテーション科に
支援のコーディネーターを置いているのは、国の補助を受けて
札幌市の
事業としてお金を出してやっている、こういうことであります。今、段々のご
説明がありましたように、そういう中でのものでありますだけに、今回の
陳情が生かされるような形で、
モデル事業の
成果が本当に生かされて、
札幌市なり、国、道なりの
支援が継続されるということが非常に重要だと思うし、
陳情者の
皆さんもそのことを切実に求められていると思うものですから、前向きな展望をぜひ示していただきたい、こういうふうに思いますので、その点をまずお尋ねしたいと思います。
また、きょうの質疑を聞いておりますと、最後に
陳情者の方は、情報の問題、相談だとか既存
施設の活用、人材の育成、フォローアップ
事業、広報啓発
事業だということを言いながら、こういう今までやってきた
事業をきちんと評価し、調整し、さらに
研究も進めていくということで、名古屋の事例だとか神奈川の事例を挙げられました。神奈川県では、100万円の予算をつけて、
研究会も立ち上げて来年度以降に向けた
取り組みを進められていると。
札幌市というのは、どうも
陳情者のご
説明だと、行政としての
札幌市というより、
札幌市域において道なり国と一体となってという意味も含めてだと思うんだけれども、
支援センター構想をぜひ打ち立ててほしい、そういうふうに安心できる将来展望を示してほしいんだとご
説明がありましたものですから、この点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 支援モデル事業の今後の展望についてでございます。
高次脳
機能障がいの
支援モデル事業につきましては、第1次、第2次の通算5カ年間をかけて実施されたわけでございます。中央におきましては、
診断とか
評価基準、
訓練プログラム等の策定を行い、地方においては、
拠点施設を中心として
地域の
支援体制の構築、こういった
プログラムの試行と検証を行ってきたところでございます。国の
補助事業であります
モデル事業そのものは今年度で終了する予定でございますけれども、このようにさまざまな
成果と実績が残されまして、また、
支援の
必要性についても十分
認識が高まってきましたので、国におきましても、これに引き続いてこれらの
成果を
全国的に普及する
事業を
計画しているものと思われます。
現時点では、まだ時期的に確認はとれておりませんけれども、
札幌市におきましても、こういった国の
施策の動向を見きわめながら、
北海道とも
連携いたしまして、
モデル事業の
成果が生かされるように
施策の
検討を進めてまいりたいと思っております。今後とも、既に高次脳
機能障がいのある人の
相談支援に携わっている小規模作業所であるとか、あるいは
地域生活
支援センター、こういった
機能を活用しながら
支援の継続に努めてまいりたいと
考えております。
また、
支援センター構想ということについてでございますけれども、今申し上げたこういった生活
支援センター等の
機能との関連で、ほかの12
拠点の情報も収集しながら
検討してまいりたいというふうに
考えております。
◆小川勝美
委員 先ほど言いましたように、北大の
リハビリテーション科に
支援のコーディネーターがいる、これは、国の補助を受けた
札幌市の
事業としてやっております。去年、ことしと2カ年かけて
モデル事業をやっていて、そのケーススタディーの
研究などについては、
札幌市はこころのセンターの築島先生も参加してことしの秋ぐらいにまとめていくということですから、ぜひそれらが生かされた形で、本当にこういう人たちが安心して
支援を受けられるし、相談も受けられる、そういう
機能を持ったきちんとした
事業をと。
建物が欲しいのではありませんというふうに、北大リハの方も言っている。建物とか新しい
施設が欲しいのではなくて、そういう
機能を持って、みんなが相談できるようにと。特に、最近だと、あちこちの役場だとか病院に行ったけれども、たらい回しにされ、インターネットで、北大のリハに行けばそういうことが相談できるというのがわかって、そこを初めて受診して、そういう相談も受けられる、こういうふうになってきていると思うんです。
札幌市の行政の中にというふうに特定しなくてもいいと思うのですが、そういう
機能をぜひ
札幌市域の中に置いてほしい。特に、全道の4分の3は
札幌の患者さんだということだそうですので、ぜひそういうふうにしていただきたいと要望して、終わっておきます。
◆小林郁子
委員 私からも、何点かお伺いします。
先ほど
お話がありましたけれども、
モデル事業の中で
北海道と
札幌市が共同で行った
実態調査のことがありました。その中で、道内には当該障がい者は約690人であろうということで、これは、部長もおっしゃいましたけれども、
リハビリテーション科や
精神神経科などのある病院だとか、
施設だとか、当事者団体とか、保健所、そういう極めて限られたところの
調査でもって把握した数だということですね。
そういうことを
考えますと、今までの高次脳
機能障がいの特徴などからも、障がいとして非常にわかりづらい、そしてまた、お
医者さんにとってもわかりづらいところがあるということであれば、私はかなりの数の方が潜在しているのではないかというふうに思うんです。そういうことを
考えますと、やはり、なるべく多くの方がこのことについて知るということが大事かなと思います。
交通事故が原因だという方が、この
実態調査でも43%ということですね。そうしますと、これは、いつどこでも起こり得ることだということを
考えますと、市民への啓発が非常に重要ではないかというふうに思います。
先ほど来ありましたけれども、受傷後早期に
対応している方ほど改善が早いということであれば、これはやはり知っているということが大事かなというふうに思うのです。そういう意味で、啓発を、それもなるべく具体的にやっていただくことが効果的だと思うんです。この障がいの特徴が、記憶障がいだとか注意障がい、行動と情緒の障がいと、そういったものでなかなかわかりづらいので、パンフレットなども使いながら具体的な啓発をしていただきたいというふうに思うんですが、そのあたりいかがか、お伺いしたいと思います。
それから、先ほどとも少し重なるかもしれませんが、
実態調査や
モデル事業からわかってきたことといいますか、それは、相談が必要だということと、高次脳
機能障がいの特性を踏まえた
日常生活上の
訓練だとか
就労支援、こういうものが必要だということなんです。特に、
札幌市や道がやった
実態調査に先立って名古屋が1999年2月に
実態調査をしていますけれども、そこでも、就労面では一般就労と
福祉就労とあわせても27%ぐらいの人しか就労できていないという
実態もあるわけです。そうした中で、今、
リハビリテーションセンターだとか、デイ
ケアセンターとか、コロポックルは、きょういただいた資料にも就労にいかに取り組んでいるかということもあるんですが、そういう
訓練なり相談なり
支援してくれるところがありますけれども、これだけではやっぱり不十分だというふうに思うんです。
先ほど来、既存の
施設の活用ということが出ていますけれども、やはり身近なところでそういうものをできるようにしていくということが必要だと思うのですが、そのあたりいかがお
考えか、伺いたいと思います。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 まず、市民への普及啓発の
必要性についてでございます。
委員ご指摘のとおり、高次脳
機能障がいばかりでなくて障がい一般に言えることですけれども、だれの身の上にも起こり得る身近な問題と
考えることは大変重要であるというふうに
考えております。したがいまして、今年度末にまとめられる高次脳
機能障がいの
支援モデル事業の最終報告書、この
成果を踏まえまして、
モデル事業の共同実施主体であります
北海道とも協議しなければなりませんけれども、やはり、効果的な普及啓発のための方策はどんな方法がいいのかということを含めて
検討してまいりたいというふうに
考えております。
次に、
地域における既存の
社会資源を利用した
支援の拡大ということでございます。
新たに高次脳
機能障がい者の
支援に特化したような
施設、あるいは
制度を創設するということにつきましては、さまざまな困難性がありますので時間もかかりますけれども、既存の
社会資源の柔軟な活用を図るということにつきましては、確かに
支援のすそ野を緊急に広げていかなければならないという点では、やはり必要であるというふうに
考えております。
先日、ある
精神障がい者の
地域生活
支援センターに照会したところ、既に数名の高次脳
機能障がいのある方が利用の登録をしておりまして、特に、問題なく相談、
支援を行っているというふうに聞いております。その法人では、受け入れに際しまして、
職員に対して高次脳
機能障がいの
理解についての勉強会を実施したというふうにも聞いております。
札幌市としましては、
モデル事業の
成果を踏まえまして、
地域生活
支援センターであるとか、あるいは身近な小規模作業所等、既存の
社会資源を活用した相談・
支援体制、こういったことの充実について、
情報提供あるいは技術
支援を行ってまいりたいというふうに
考えております。
◆小林郁子
委員 今回、
札幌と同様に
モデル事業に取り組んでいます埼玉県の
リハビリテーションセンターというところがあるんですが、そこのホームページを見てみましたら、自分のところで出している市民向けの非常にわかりやすいパンフレットが掲載されていました。きょうちょっと持ってきましたが、どういう症状だとか、それへの
対応だとか、相談
機関や
医療機関というのを、A4判の裏表で、黄色と黒で非常に目立ってわかりやすいんです。こういうものなどもぜひ
考えていただきたいなというふうに思います。
それから、2点目の既存の
社会資源の活用ということについては、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
あわせて、お伺いをいたしますけれども、高次脳
機能障がいの方の現状を見てみますと、
福祉あるいは介護の
サービスを受けるためには、障がいとしてまず認定されなければならないということが今はあるわけです。
身体か知的か
精神かというふうに認定されなければいけないということなんですが、先ほど来出ていますけれども、お
医者さんに行ってもなかなか適切な
診断が出てこないと。
精神科、脳外科、
リハビリテーション科などが
考えられるんでしょうけれども、やはり、そういうところのお
医者さんに
理解をしてもらうということが挙げられていましたが、いろいろな
サービスを受けていく上で、適切な
診断書をもらいまして、そして、手帳をもらいに行くという流れの中で、
診断書に高次脳
機能障がいとは書かれないわけですよね。これは
行政用語だということで、医学的には、例えば器質性人格障がいとかいろいろな病名がつくのでしょうが、そのときに、その方が
日常生活上どういうことに困るのかと、
実態を具体的に書いてあれば、その症状として浮かび上がってくる。高次脳
機能障がいという言葉がなくてもわかるのではないかと思うんですが、そのあたりのことを、実際に
診断をされるお
医者さんに、
福祉の
サービスとはこうなんだと、
福祉というものの
理解もある程度していただかないとなかなか通らないということになると思うんですね。
ですから、今これからなさっていこうとおっしゃってくださったお
医者さんへの
理解を進めるという中において、障がい者の
福祉に関する情報ということもぜひ入れていただきたいと思いますが、そのあたりいかがか、お伺いをします。
◎
佐藤 障がい
福祉担当部長 医師に対する障がい者の
福祉に関する
情報提供ということでございますけれども、確かに、高次脳
機能障がいに限らず、障がい者の手帳の
診断書を作成する医師が
福祉の
制度を十分に
理解していないと、適切な手帳交付の判定はできないということになろうかと思います。今、自立
支援法が国会の方にかかっていますけれども、こういった
制度の大きな変革とともに、手帳の
制度については基本的には従前どおりということでございますので、高次脳
機能障がいのある人は、これまでどおり、その障がいの
状況に応じて
身体・知的・
精神のいずれかの手帳を取得するということになります。そのため、障がいの
医療を担当する医師には、手帳の
制度を初め、障がいの
福祉全般に対する適切な
理解が必要であるというふうに
考えております。今後、さまざまな機会をとらえて、他の
関係機関とも
連携しながら、医師に対してそのような
理解を深める
情報提供を行ってまいりたいと思います。
また、昨日の新聞に一部出ておりましたけれども、厚生労働省の方で
診断基準の策定を実施し、秋には通知をするというふうになっております。直接、情報収集をまだしておりませんけれども、こういったことも踏まえて適切な手帳交付につながるように努めてまいりたいと思います。
◆小林郁子
委員 障がい当事者とか家族がやはり一番望んでいるのは、高次脳
機能障がいということがきちんと認定されて、その結果として手帳や年金などの
サービスにつながっていくということだろうと思うんです。そういう意味では、詳細で客観的な指標に基づいた
診断基準というものの導入が望まれてくるわけです。今おっしゃいました障がい者の自立
支援法でもって、障がいの認定区分のあり方も変わってくるかもしれませんけれども、そこにおいても高次脳
機能障がいの方の
社会生活上の困難さというのが適正に評価されるような、そういう評価のあり方ということが求められると思います。そういうことに関して、やはり現場の医師の方が一番わかるんじゃないかと思いますので、ぜひご
理解をいただきたいというふうに思います。
最後に、先ほど小川
委員もおっしゃったことですが、今までコロポックルの方が1998年からこの問題に取り組んで、さらに
モデル事業がなされてきているという中で、私たちに何が見えてきたかというと、道とか
札幌市とか、そういう中核になるところがまずあって、そこに対していろいろな
関係機関や当事者団体の
方々がネットワークを組み、実際に
支援や相談に取り組むところがある、さらに、コーディネーターとしての配置が必要だ、こういう仕組みが浮かび上がってくるわけで、そういうことが、これからぜひとも必要だと思います。
私も、
モデル事業に参加しているところで、埼玉県、神奈川県、名古屋市に聞きましたところ、やはり、来年度に向けた予算要求、どういう要求をしていくかということも既に決めているわけですね。そんなことも
考えますと、ここまでやってきて、
札幌市も来年は何もないということはないと思います。そのあたりのことをぜひ取り組んでいただきたい。そこが、一番、当事者にとっても家族にとっても私たちにとっても気になるところですが、先ほどございましたけれども、改めて、局長になるのか理事になるのかわかりませんが、お聞かせいただきたいと思います。
◎横山
保健福祉局理事 各会派の
委員の皆様から、非常に的確にいろいろなご指摘をいただきました。それから、きょうの
陳情につきましても、
実態が非常に明らかになっていると思います。国の
モデル事業として、この5年間でやれることというのは、コロポックルを初め、当事者の家族会、国の
機関、地方公共団体も含めて相当進んできているんだろうというふうに
考えてよろしいかと思います。
国におきましても、
モデル事業としては一応5年間ですが、ただ、この問題につきましては、相当、今後の
対応が必要だと、厚生労働省の担当セクションも
認識してございます。我々も、国の予算がいろいろ厳しい
状況の中でどういうような流れになるかというのは今後を待たなければなりませんけれども、その中にあっても、やはり、
北海道あるいは
関係機関、
医療機関、そういうところと
連携して
対応できるような予算案になるよう
検討を進めてまいりたいというふうに
考えております。
○
小野正美 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
小野正美 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
それでは、取り扱いについてお諮りをいたします。
いかがいたしますか。
(「継続審査」と呼ぶ者あり)