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平成17年出資団体等調査特別委員会−05月27日-記録

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  1. 札幌市議会 2005-05-27
    平成17年出資団体等調査特別委員会−05月27日-記録


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    平成17年出資団体等調査特別委員会−05月27日-記録平成17年出資団体等調査特別委員会  札幌市議会出資団体等調査特別委員会記録            平成17年5月27日(金曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時1分 ○涌井国夫 委員長  ただいまから、出資団体等調査特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、武市委員からは欠席する旨、三上委員からは遅参する旨、それぞれ連絡がありました。  それでは、議事に入ります。  札幌市の出資団体評価についてを議題といたします。  本日は、本年3月末まで本市の出資団体評価委員会委員長をなさっておられました宮脇 淳先生参考人としてお招きしております。  本日の委員会の進め方としては、最初に宮脇先生にお話をいただいた後に、私の方から、委員会を代表して、数点、質問を行い、その回答をいただいた後に各委員から質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  委員会を開催するに当たり、一言、ごあいさつを申し上げます。  本日は、ご多忙にもかかわらず、快く本委員会への出席をご承諾いただき、まことにありがとうございます。  また、昨年度末まで、本市の出資団体評価委員会委員長として、出資団体を調査し、その評価に当たられましたことに、深く敬意をあらわします。  今後は、評価委員会報告書に基づき、本市も出資団体改革に取り組んでいくことになりますが、議会としても、より積極的にその改革に取り組んでいかなければと思っております。  本日は、評価委員会委員長として、実際に出資団体評価に携わっておられたお立場から、出資団体の運営や事業あり方などについてお話を伺いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、北海道大学公共政策大学院院長、教授の宮脇 淳先生にお話をいただきますが、最初に、略歴を紹介させていただきます。  宮脇先生は、北海道主宰の道州制推進会議の座長や国の特殊法人等改革推進本部参与など、国や地方自治体の要望によりさまざまな公職を歴任されながら、財政投融資改革と国、地方の政策形成独立行政法人等の財務、予算制度などの研究に取り組まれております。  それでは、宮脇先生、よろしくお願いいたします。 ◎宮脇淳 参考人  北海道大学公共政策大学院宮脇でございます。
     まず、ご説明させていただく前に、ごあいさつをさせていただきます。  私ども出資団体評価委員会最終報告の内容につきまして、議会の先生方にこうして直接ご説明させていただく機会を与えていただきまして、大変ありがたく感じております。  また、昨年1年間、非常に密なスケジュールの中で評価をしてまいりましたけれども、これを支えていただきました札幌市の皆様、あるいは出資団体の皆様に、この場をおかりいたしまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。  ありがとうございました。  これから15分程度のお時間をいただき、今回の出資団体評価委員会最終報告の特色についてご報告をさせていただきます。細かい内容につきましては、この後、諸先生から、あるいは委員長からご質問をいただき、その中でご説明をさせていただきますので、大きな特色という点につきまして整理をさせていただきたいと思います。  今回、出資団体評価委員会最終報告を整理するに当たり、五つの大きな特色があると思っております。  まず、第1番目として、今回の出資団体見直し報告書は、問題提起型の報告書であるということでございます。  私ども出資団体評価委員会は、ご承知のように、外部評価委員会でございます。このような外部評価委員会には、大きく分けて二つの性格のものがあると委員会では考えております。  その一つは、管理評価型のものでございます。よく例に挙げられますけれども、目標を立てて、それに対して何%達成したか、その達成というのが、より少ない予算、より少ない人で実現しました、その結果について評価をいたしますのが管理評価型でございます。  ただ、私どもは、今回、札幌市長からの諮問を受けるに当たり、このような管理評価型の評価を行っていく外部評価委員会として諮問を受けたという考え方ではございませんでした。  といいますのは、もう一つの外部評価あり方として、行動評価型というものがございます。今の札幌市と出資団体との関係、あるいは、出資団体の運営の仕方といったようなものを通じ、札幌市と出資団体、そして、出資団体間の予算や人あるいは権限といったようなものの配分のあり方をどう変えていくかといったようなことに力点を置いて、いろいろな視点から意見を整理していくというところに力点を置きました。  このため、既に報告書の冒頭でも書かせていただいておりますように、我々の最終報告書というものが最善のものであるとは、申しわけございませんが、考えておりません。我々の最終報告書の内容におきましても、まだまだ不十分な点があり、もっともっと工夫することができる点があると思っております。  その点につきましては、我々委員会の能力の限界、あるいは時間的な制約というものもございまして、より高いものを目指すということに限界があったということについてはお許しいただきたいと思いますが、この出資団体見直しについて、一つのきっかけとなる、引き金となる、そうした問題提起を行うことによって、さらに創意工夫というものが積み重ねられていって、出資団体、そして札幌市全体のあり方というものがいい方向へ向いていく、そのスタートライン報告書であるというふうに考えております。  この点が、まず第1点でございます。  第2点の特色といたしましては、事業評価からスタートしております。  今回、出資団体評価委員会ヒアリングをスタートさせるに当たりましては、札幌市の所管部局、あるいは出資団体に対して非常に大きな負担をお願いして、みずから行っている事業について整理をして提出していただいております。  やはり、本質的なことは、公共サービスとして、市民に対し、あるいは地域に対して、事業として必要なものであるのか、あるいは、有効性を持っているのかといったような視点で、事業から入っていくということを委員会では合意をし、進めてきたところです。その上に立ちまして、事業として必要なものであったとしても、それでは、提供する手段として現在の出資団体やり方がベストなのかどうなのか、もっとほかの方法があるのか、ないのかと、いわゆる2段階の評価方法をとってまいりました。  今回、委員会議論をしていく過程において、第1段階の事業評価の中で、必要性ですとか、公共性ですとか、有用性ですとか、何か教科書に出てくるようなかたい言葉でございますけれども、こういった視点でいろいろ議論いたしました。  しかし、正直なところ、100%、これは要らないのだというふうに言い切れる事業はほとんどございませんでした。何らかの形で、やはり地域や市民の皆さんに公共サービスとしての側面は持っている。これは、程度の違いはあろうかと思います。しかし、そういった中で、完全にこの事業は要らないのだという判断ができたものは非常に少なかった。ただ、事業として必要であったとしても、先ほどご報告させていただきましたように、今のやり方ではなくて、ほかのやり方民間の力をかりる、NPOの力をかりるというやり方でも、同じような事業を展開することができるものも当然あるのではないですかというような形で評価をさせていただきました。  3番目の特色といたしましては、機関評価であるということです。行政機関の機関という言葉でございます。  といいますのは、今回、出資団体評価をさせていただくに当たりまして、スタートのときから委員間で話し合ったことは、出資団体だけを取り上げて議論をすることでは不十分ではないかということでございます。やはり、札幌市と非常に密接な関係のある出資団体のことを議論するに当たりましては、札幌そのもの行政機関としての構造も視野に入れながら議論をしていきませんと、これは言葉として不適切かもしれませんけれども、ややもするとトカゲのしっぽ切り的な結論になってしまう、そういうことがあってはならないと考えました。  このため、我々といたしましては、事業を単位として、権限と責任という視点と同時に、財務と人という視点も持って、この両方から札幌市と出資団体の関係をどう見直していくのか、また、出資団体見直し統廃合を行うときであったとしても、この財務と人という問題についてどのように取り扱うのかということを常に視野に入れながら議論をしていこうということで委員会でのいろいろな議論を進めてまいりました。  そして、4番目の特色でございますけれども、これは、今後、札幌市でご議論をいただくに当たり、今回の報告書が、他の地域の出資団体、あるいは民間の組織と比較して議論ができる、そういったベースをつくりたいというふうに思ってまいりました。  これは、また後ほどのご質問の中でご議論いただくのかもしれませんけれども、例えば、出資団体常勤役員の人数ですとか、あるいは出資金の額、委託料の額といったようなもの、あるいは、もっと本質的に、出資団体としての事業の担い方というようなことにつきましても、他の政令指定都市あるいは諸外国との比較を行いながら、札幌市の現状がどうなのか、あるいは、もっと工夫ができる余地があるのかどうなのかということを常に意識しながら議論し、そして、今後の議論におきましても、そうした情報議論の中で常に整理できるような、そうしたスタートラインがつくれる報告書でありたいと思ってまいりました。  そして、最後でございますけれども、やはり、委員間での一番大きな視点といたしましては、先ほども若干触れましたが、札幌市の行財政改革と一体となって考えなければならないということでございます。これは、私ども出資団体評価委員会として諮問を受けた、その市長からの諮問の範囲からいたしますと、もしかすると少し逸脱をしているのかもしれません。  ただ、我々といたしまして、出資団体のことを考えるに当たっては、そこで働いておられる職員の方々もいらっしゃるし、また、現実にサービスを受けている市民の方々もいらっしゃる。そういう中で本当にいいものにしていくためには、やはり、札幌市本体とのあり方、そして本体の改革というものがなければ、実のあるものにならないのではないかと思っております。そして、その中で、地域に対する公共サービスを担うのだという視点は見失わないようにしていきたいと思いました。  現実に、いろいろな出資団体を訪問させていただきました。その中で、同じ出資団体でも、この事業は恐らくもう民間にお願いしてもいいのではないか、しかし、同じ団体で行っているもう一つの事業は今後の札幌において本当に必要な事業かもしれない、したがって、こういうものはもっともっと厚くしていかなければならないのではないかというような思いをいたしました。そうした思いというものが、今回の統廃合見直しにおいて、組織の見直しの数でありますとか枠組みというところで埋没してしまうことのないように考えていかなければならないと委員会の中では考えてまいりました。  以上、5点を基本的な視点に持ちまして、この1年間、委員会議論し、今回、最終報告書として提出をさせていただいたものでございます。  私ども委員会の中では、情報整理等でまだまだ十分なものに至らない点はあったと思っております。ただ、こうした部分につきましても、今後、札幌市におかれまして、議論をし、あるいはモニタリングをしていく中で、より充実したものにしていっていただきたいというのが我々委員会の思いでございます。  ありがとうございました。 ○涌井国夫 委員長  宮脇先生、ありがとうございました。  それでは、私から、委員会を代表して、次の5点につきまして質問をさせていただきます。  まず、1点目の質問として、出資団体のあるべき姿についてお伺いいたします。  国の規制緩和による公共サービスの担い手の多様化や、地方自治体財政悪化など、社会情勢の変化により、出資団体にもその変化への対応が求められております。また、最近では、総務省において、地方公共団体における行政改革推進のための新たな指針、いわゆる新地方行革指針が策定され、自治体に通知されるなど、今後の行政改革計画、いわゆる集中改革プランを今年度中に公表するよう自治体は求められております。  そうした状況の中で、本市と出資団体の関係を見ますと、現在、出資団体には財政的関与として補助金交付金委託料貸付金として約522億円支出されています。  今後の出資団体のあるべき姿や市の財政的関与あり方についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。  二つ目に、出資団体自律性の向上についてお伺いいたします。  出資団体評価委員会報告書では、これまでの出資団体は、札幌市の代理執行機関たる性格が強く、市の課題として、市自身が既存の規程等を見直すとともに、政策の方向性等を明確に示す必要があるとしています。今後の出資団体は、札幌市の代理執行機関ではなく、みずから判断し、行動する団体運営が必要だと思われます。  そこで、出資団体自律性向上のために、出資団体自身は何をすべきだとお考えか、お聞かせ願いたいと思います。  三つ目は、外部からのモニタリング機能についてお伺いいたします。  出資団体見直しに当たり、外部からのモニタリング機能を導入することが不可欠とされています。この報告書の中で、出資団体見直し議論透明性を確保し、見直し取り組み進捗状況を定期的に公開すると同時に、さらなる工夫を積極的に積み重ねるため、外部からのモニタリング機能を導入することが不可欠とされております。  この外部からの日常的・恒常的な監査・点検の機能について、どのような形態のものを想定し、どのように運用することが効果を発揮できるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。  四つ目には、団体の統合、廃止について伺います。  報告書では、4組8団体が統合という評価をされています。統合の効果について、事業連携やノウハウの共有等が指摘されていますが、評価委員会議論の状況を含めてご説明していただきたい。  また、廃止と評価されている2団体のうち、北海道青少年福祉協会については、北海道が廃止を表明していますが、札幌道路維持公社については、今後、市において検討していくこととなります。札幌道路維持公社の行ってきた事業について、市直営とする方法民間業者に委託する方法同種事業を行う他の出資団体事業を移す方法と三つの選択肢を示しています。実施方法を検討するに当たっては、効率的で透明性の高い実施方法選択肢の中から幅広く検討する必要があるとしております。  今回、三つの方法をご提示いただきましたが、率直に言ってどうあるべきと考えられるか、お伺いいたします。  最後に、指定管理者制度についてお伺いいたします。  報告書では、公の施設を有する団体改革にとって、指定管理者制度の導入がキーになると思われるが、市の現職を派遣している出資団体とそうでない民間とでは、初めから立地点に差があり、公平な競争となり得ないとのことでした。  そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。 ◎宮脇淳 参考人  それでは、ただいま委員長の方からご質問をいただきました5点につきまして、順次、ご説明をさせていただきます。  まず、第1番目の出資団体のあるべき姿についてという点でございます。  この点につきましては、出資団体そのもののあるべき姿と、財政的関与あり方ということで、この二つに分けてご報告をさせていただきます。  出資団体のあるべき姿ということですが、ただいまも、委員長の方から、これまでの札幌市におきましては、代理執行機関的な性格というものがあったと報告書の方で書かれているというご指摘がございました。私ども委員会ヒアリングをしている中でほぼ共通して教えていただきましたのは、札幌市、あるいは出資団体から、その役割というのは、札幌市の業務を代理的に執行していくことなのだ、そして、それをより低いコストで実現していきます、そういうご説明が圧倒的に多かったように記憶しております。  確かに、これまでのような右肩上がりの成長の中でまいりますと、こうした札幌市本体の代理的な執行機関としてより効率的に一つの方向性を求めていくというやり方は、決して間違いであったとは思いません。  ただ、ご承知のように、そうした右肩上がりの時代から、先ほど、これも委員長のご質問の中にございましたように、規制緩和ですとか、少子高齢化、あるいはグローバル化といったような大きな環境変化が起こっている、そうした中で、地域も、住民も、極めて多様な方向性を向いていかざるを得ない、そういう現実がございます。こうした多様性にこたえていくためには、今までのような単なる代理執行機関としての位置づけだけではその役割を果たすことはできないのではないかというのが我々委員会考え方でございます。したがって、代理執行機関といういわゆる先ほどの管理型の考え方ではなくて、より出資団体が自由に創意工夫できる、そうした関係づくり出資団体仕組みというものをつくっていくことがまず必要なのではないかと思います。  もちろん、その際に、札幌市が出資しているわけですから、札幌市が何を求めていくのかということは明確にしなければならないと思います。しかし、その目的を実現するための手段などは基本的に出資団体の自由な発想に任せていく、そうしたやり方というものが出資団体のあるべき姿を高めていくのではないか。そのことによって、民間や地域とのいい意味での競争、そして連携という中で、よりよいサービスの提供というものを考えていくことができるのではないかと思っております。  そして、2番目の財政的関与あり方でございますが、私ども委員会におきましても、公認会計士先生に入っていただきまして、出資団体財務諸表等についてご検討をいただきました。  ただ、私どもは、出資団体見直しということが大きなテーマでして、会計監査という視点が主な役割ではありませんので、監査というレベルから見ますと、どれだけ掘り下げたのかという点については、もちろん掘り下げができていない部分はございます。  ただ、今回の議論の中で例を挙げると、例えば委託料の問題、そして、再委託がさらになされている、そして、委託料を決定する水準というもの、決定の方法というものはどうなのか、この辺のところにつきましては、ほぼ共通して各出資団体において議論をしたところでございます。やはり、こうした委託料、再委託といったことを本当に行う必然性があるのか、別の方法をとることができるのではないか、あるいは透明性はどうなのだろうかといったようなところには、常に疑問を生じる点もあったということがございます。  ただ、この点は、出資団体側の問題であるだけではなくて、札幌市側のいろいろな規則ですとか、そういったものの見直しをすることで、委託料あり方、あるいは、出資団体で行っているようなコスト水準でやる方法があるのではないかといったようなことも当然検討するべき課題ではあろうと思っております。  そして、最後になりますが、こうした委託料等出資団体で再委託として使われているというような場合に、理由として挙げられてきたものとして調整という言葉が出てまいります。こういう調整機能というものが、今後、今までの代理執行機関としての役割とは違って、調整という機能そのものの質が変わってくる中でどのように考えていくのかということは、やはり大きな課題であろうと思います。  いずれにいたしましても、財政的関与あり方につきましては、やはり、委託料等も含めて、一度、透明性のある中で再整理をして、そうした委託等々の手法がどこまで最適なのか、適正なのかということについては、もう一度、検討してみる必要性はあるのではないかというのが委員会の基本的な考え方でございました。  2番目といたしまして、出資団体自律性の向上ということでございます。  この点につきまして、委員長の方から、出資団体自身は何をなすべきなのかというご質問をいただいております。  やはり、委員会において、基本となるのは人である、そういう結論になりました。今までの出資団体は、かなりいろいろな工夫をされているというのも確かです。あるいは、一律に申し上げてはいけないわけで、委員会委員の中でも、恐らくこれは民間に匹敵するくらいの努力をされているのではないかと思えるような出資団体もございました。  ただ、そういったところも、やはり、人材というものについては、もっともっとオープンな形で広く視野を持って確保していく、そして、いろいろな視点の人材が組織の中で活躍していただくことによりまして、創意工夫というものもたくさん出てくるのではないか、そして、そのことが、札幌市の代理執行である、そういう位置づけをみずから克服していくのではないかと思います。  ただ、人という問題は、そう簡単に解決する問題ではございません。しかし、採用といった問題についてももっとオープン化をしていく、あるいは、採用した後の人材の育成でありますとか、こういった問題についても、今までの官僚型ではないようなやり方というのも、もしかするとあるのかもしれない。そういったことによって、出資団体においてもっと自立をした意識というものを形成をしていくということが一番の課題であろうと思います。  なお、出資団体自律性を高めるには、繰り返しになりますが、やはり、全体としての札幌市の計画でありますとか規程、規則といったようなものの見直しによっても出資団体自律性をバックアップすることが不可欠であろうとは思っております。  3番目でございますけれども外部からのモニタリング機能でございます。  モニタリングということに関しましては、今回、私ども委員会においても、市民の皆様から直接意見をいただくようなこともさせていただきました。しかし、決してその件数というのは多い状況ではございませんでした。やはり、出資団体というその言葉自身が、市民の皆様から見ますと遠い存在であろうと思います。モニタリング本来の機能からすると、こうしたものをもっと近くにしていって、情報を共有する中で、地域全体としてこのことを考えていく、そういった仕組みをつくることがモニタリングにおける本当に一番重要な機能であろうと思っております。  したがいまして、今回、評価委員会の中で議論をするときに基礎資料といたしました基本情報シートですとか経営状況シートといったものは、非常に貴重な情報であろうと思います。これは、委員会委員もすべて一致をいたしましたけれども、恐らく、日本の中でも、札幌市がまとめ上げたこの情報というのは出資団体白書として値するものであろう、こうしたものは、今まで地方自治体ベースにおいてはなかなかなかったのではないかというふうに思っております。  しかし、こういったものを生きたものにしていくためにも、モニタリング機能を、こうした情報ときちっと結びつけていくことがやはり必要なのではないか。そして、そのための仕組みというのは何なのだろうということを考えていく必要性があると思います。  私は、基本的には、札幌市の中でモニタリング機能というものをきちっと働かせていくと同時に、外部からの評価機能というものを継続的に確保していくことが不可欠だと思っております。やはり、モニタリングというものにつきまして、今回の報告書位置づけというのは、まだまだ創意工夫が足りない。今回、モニタリングをしていただかなければならないのは、ある意味でいいますと、我々の報告書自体という側面も持っております。我々の報告書を超えて、いろいろな創意工夫というものを札幌市の皆さんやほかの外部評価を通じてしていただくことによって、今回の出資団体見直しのプログラムというものがさらにいいものになっていくのではないかと思います。  そして、4番目のご質問の、団体の統合、廃止についてでございます。  これらについては、具体的にご質問をいただきましたので、個別にご説明をさせていただきます。  まず最初に、財団法人札幌市芸術文化財団と財団法人札幌彫刻美術館の統合でございます。  これらにつきましては、やはり、貴重な芸術というものを残していくためには、彫刻美術館の施設の老朽化などを考えますと、この二つを統合し、より体力の強いものにしていかなければならないというのが基本的な考え方でございます。  目的というのも非常に類似しており、業務そのものにおいても相互に活用することができる、そうした業務を行っております。もちろん、こうした美術品を提供してくださった提供者の方のご意思というものも十分尊重しなければならないということが大前提ではございますけれども事業として考えた場合には、この二つについて、札幌市の貴重な作品や芸術品というものを後世に伝えていくためには、むしろ、統合していくことがベストであるというふうに考えました。  そして、2番目といたしまして、財団法人札幌市環境事業公社と株式会社札幌リサイクル公社でございます。  この点につきましては、委員会としてもいろいろと苦悩いたしました。といいますのは、実際に訪問させていただき事業の展開というものを見せていただきますと、やはり、これら二つの団体とも廃棄物処理事業である。もちろんその周辺部分にいろいろと複雑な問題は抱えておりますけれども、基本的にはそういった性格の事業であろう。とすれば、この二つの事業というものは、連携を持って統合を行うことによって、より有効性の高い、効率性の高いものにしていくことのできる可能性があるのではないかというのが委員会の基本的な考え方であります。  しかし、現実問題として、財団という組織と、多くの株主を持っている株式会社という組織を統合することの事実上の難しさ、こういったものも委員会の中で議論をさせていただきました。そして、もう一つは、リサイクル公社は、最終的には民間というベースを目途とされているということもございます。  この2点につきまして、委員会でもいろいろと議論をいたしました。しかし、この経緯も含めた財団と株式というそうした形態の違いというものは、やはり、最善の知恵を絞って克服するべき課題ではないかということで、委員会では統合という判断をさせていただきました。  本当にこの二つを統合するという手法がないのか。この点については、決して100%ないということではないと考えております。したがいまして、今後、札幌市においてそうした手段というものをお考えいただきたい。  それから、民間という最終ゴールではありますが、そこに向けたタイムスケジュール、こういったものについてもきちっと議論をしていっていただかなければならない。そして、その期間というのが現状においてなかなか視野に入らない段階においては、この両団体は、やはり、廃棄物事業であるということで、一度、統合に向けた議論をしていただきたいというのが委員会の考えでございます。  そして、3番目は、札幌市健康づくり事業団と札幌市スポーツ振興事業団でございます。  この二つの事業団につきましては、対象となっている事業に非常に類似性がある、また、お互いに同じようなノウハウ、あるいは、異なったノウハウを持っておりますけれども、同じ健康とかスポーツということで、この二つが複合し合えればもっといいサービスが実現できるのではないかというのが委員会の考えでございます。  ただ、1点、議論で留意点として出ましたのは、この事業団の中で、介護ですとか高齢者に向けた予防医療的な機能というものをお持ちになっている部分があり、こうした機能というものは、今後、地域において非常に重要な役割を担ってくる、こうしたものをこの統合の中で埋没させてはいけないのではないかという委員会における議論がございました。  そして、4番目は、札幌エネルギー供給公社と北海道熱供給公社でございます。  これは、地区が違っても、基本的に展開している事業は同じであるということ、それから、これも委員会の中で議論が出ましたけれども、こうしたエネルギー供給型の事業そのものが、今後、今の省エネですとか、そういう構造の中で、比較的、早期にその経営形態のあり方を転換しておかないと、競争力等において限界を生ずる可能性もあるのではないか、したがって、こういうものも、やはり、今のうちに議論をしておく必要性があるのではないか、そういう考え方がございました。  最後に、5番目は、札幌道路維持公社でございますが、これは、報告書では廃止という形で記載させていただいております。  先ほど委員長の方から、直営、民間に委託、市の他の出資団体事業として位置づける、この三つの方法の中で、より具体的にはどういうふうに考えているのかというご質問をいただいております。  この点から参りますと、やはり、直営に戻すということは、我々は、選択肢としてその順番は極めて低いというふうに思っております。したがいまして、札幌道路維持公社については、道路維持公社の事業等を含めて、他の出資団体あるいは民間で類似の事業を行っているかどうかということまでやや視野に入れて、この事業あり方について、民間に委託をするのか、民間を活用するのか、出資団体統廃合の中でまた議論をしていくのかというところが大きな方向性ではないかというのが委員会の中での基本的な考え方でございました。  いずれにしましても、こうした議論をしていくに当たりましては、透明性ある議論の中で、その選択肢それぞれのメリット・デメリットというものを議論していく必要性があるということは申し上げるまでもございません。  最後に、指定管理者制度でございます。  これにつきましては、委員会において、かなり多くの公の施設が指定管理者制度の対象になるということで、札幌市における指定管理者制度がどういう内容を持ち、かつ、具体的に展開されるのかということによって、出資団体見直しの結果というのも大きく影響を受けると思っております。  委員長の方から、現実として、それでは公平な競争になり得るのか、現状においては、出資団体には現職の市職員等が入っていて公平な競争にはならないのではないか、そういうご指摘をいただいております。  私どもも、最終報告書に、あるいは中間報告のときに、あえて指定管理者制度ということを非常に強く主張させていただきましたのは、まず、指定管理者制度において民間にお願いするという事業をどのようなくくりにするのか、このことによっても民間の参入の仕方、可否というものが決まってくる、ここが我々にとってまず最初の大きな注目点でございます。  そして、2番目といたしましては、委員長がご指摘くださいましたように、現職派遣がこのまま出資団体の中で定着するということであれば、公平な競争を実現することは難しいと思います。したがって、報告書の中でも、現職派遣については、逐次、見直しをして引き揚げていただきたいと考えております。  ただし、すべての指定管理者の対象施設に対して一気に実現するということ、これも、また一方では難しいと思っております。やはり、こうしたものは、指定管理者に移行することを段階的に――ただ、段階的と言いましても、時間がかかってはいけないわけですけれども、一定のルールのもとに段階を踏んでスピーディーに行うということがやはり必要であろう、その道筋というものが今回の指定管理者制度のスタートにおいて明確に示されることが必要であろうと思います。  これは、どこの自治体でも生ずることですが、指定管理者制度におきましては、具体的にはどうしても自治体の内部で選考することになります。したがって、その選考のプロセス、基準というものが明確に示されることは、逆に、出資団体等が継続して担うという場合であっても、そのことの正当性を市民の皆さんが理解をすることになると思います。したがって、指定管理者制度透明性ある選考というものが、ある意味でこの制度の可否を大きく左右し、我々の出資団体見直しの成果というものにも大きな影響を与えると思います。
     なお、最後になりますが、こうした現職派遣については、もし民間側のいろいろな工夫というものが高まっていけば、現職派遣をしている方々のノウハウに頼らないで、新しい視点での提供の方法というものを発案していくことは可能になると思います。したがって、移行期においてこうした問題をどう乗り越えていくかといったようなところは、大きな課題になってこようかと思います。 ○涌井国夫 委員長  ありがとうございました。  それでは、委員からの質問をお受けいたします。 ◆近藤和雄 委員  きょうは、貴重な時間をお越しいただきまして、ありがとうございました。  私の方から、1番の調査に対する出資団体の協力態勢、それから、4番の出資団体の資金運用についてお伺いしたいと思っております。  3番目の天神山の管理事業は個別性が強いということと、5番目の評価委員会の限界については、先ほど委員長が冒頭でおっしゃっていただきまして理解できましたので、質問は省略いたします。  まず、1点目の各出資団体の協力体制のことです。  評価委員会は、12回にわたって出資団体に対してヒアリングし、5回にわたって団体への施設訪問調査をご苦労されて行ったという報告を受けております。そうした調査をされている中で、各出資団体の協力態勢はどのようだったのか、感想をお聞きしたいなと思っております。  二つ目は、出資団体の資金運用についてでございます。  実は、私は6年前まで信託銀行に勤めておりましたので、出資団体の資金運用は大変大きな問題をはらんでいるのではないかということについてお伺いしたかったわけです。  出資団体の資金運用については、日常の商取引を決済するために口座にある程度の資金は必要であると認められますが、その他の資金は、ここで申しますと、余裕資金とみなされて、それが資金運用に回っているのではないかと考えております。  平成15年3月31日現在、38の出資団体の中で、端数は切り捨てますが、預貯金が173億円、有価証券等で83億円と、資金運用ということで合計256億円の多額な資金を預託しております。さらに、平成13年度決算ベースなんですけれども出資団体の収入について少し調査いたしますと、この収入は独自の分もありますけれども、当市の補助金交付金委託料の合計で収入の50%から90%という財政的関与を受けている団体は、38団体のうち16団体あり、42%に上っているわけであります。  私が申し上げたいことは、公的サービスの担い手であります出資団体は、平等の原則のもとで創意工夫し、委員長もおっしゃっているとおり、競争することの中で、市民、お客様のニーズにこたえたサービスが選択できる仕組みをつくることが求められているのではないか。そして、これは当市にも求められている役割と考えているのです。民間会社では、補助金、委託金とか、財政的関与は全くないわけです。そこで、申しますと、民間との公平の原則が前提で崩れてしまっているということにほかならないと思います。さらには、札幌市民のお客様のとうとい税金を、サービスに回さずに、余裕資金として長期にわたって運用に回していいのでしょうかという疑問が生じてくるわけですけれども、この辺をお伺いしたいと思います。  質問の2点目は、運用先についてであります。  委員長報告書の中でも財団法人の資金運用のあり方をご提案いただいておりますが、私の調べた中で、具体的には、海外の国債で格付ランクが13位とか23位、あるいは、投資信託にも回っております。先ほどの1点目で、市民のとうとい血税をリスクの高い外国債、あるいは、元本保証のない投資信託に運用していいのかどうかということでは、特に外国債は、円にかえるときに為替リスクの問題が必ず起こってくると思います。  そして、資金運用で一番大切なことですが、経理のご担当の方が、預託先に対して、常日ごろから運用する商品や仕組みなどについて本当に勉強なさる時間があるのか、その専門家であるのかどうか。生保とか信託銀行、また、投資顧問会社では、先日、高額納税者でお話がありましたが、年収100億円の投資顧問会社のファンドマネジャーの方も実際にいるわけでして、出資団体が預託されるときは、先方の生命保険会社、信託銀行、投資顧問会社にすべて任せ切りではないかと私は推測しています。これは、自分もやっていましたので、そんな考え方であります。  例えば、31ページの財団法人札幌中小企業共済センターは、生保5社に432億円の退職給付積立金をやっております。これは、全額が生命保険会社ですが、果たして生命保険会社5社にすべて偏ってよろしいのかどうかと私はちょっと感じているところでございます。さらに、これは利回り競争ですから、1年ごとに切りかえをやっている会社もあって、財団法人の運用もすべて運用利回りをしっかりやっていない限りはすぐ移し変えられるというのが日常茶飯事でございまして、この辺についてもうちょっと突っ込んだお話をお聞きできたらと思ってご質問させていただきます。 ◎宮脇淳 参考人  それでは、大きく2点のご質問をいただいておりますので、これについてご報告をさせていただきます。  まず最初に、私ども評価委員会議論あるいは調査に対します各出資団体からの協力態勢の問題でございます。  私どもは、ヒアリングをしたり、あるいは現地訪問等をさせていただきましたけれども、私どもが求めましたいろいろな資料等につきまして、これを提出していただいていないというものはございません。我々の能力不足によって求めることができなかった、そのような部分もあろうかと思いますけれども、我々委員会が必要としたものにつきましては、すべてご提出をしていただいております。また、現地訪問においても、我々委員は素人ですけれども、そうした者に対しても非常に懇切にご説明をいただき、正直に言って、こういった調査におきまして非協力的な部分を感じたことはございません。ただ、委員会等で議論をする際に、それぞれの考え方の違いですとか、そういったところは当然あったかと思いますけれども、協力態勢ということからいきますと、評価委員会を運営するに当たりまして全く支障はなかったというのが正直な報告でございます。  それから、2番目の点で、出資団体の資金運用についてということでございます。  先生は専門家でいらっしゃいますので、私のような素人がここでどうこう申し上げる能力はないわけですけれども評価委員会では、公認会計士の方にも委員会に参加をしていただきまして、先ほど先生もご指摘くださいましたように、報告書の方では最低限の運用方針というものを書かせていただきました。  ただ、私どもは、基本的には、会計監査ですとか外部監査という性格づけで財務を見たわけではありません。出資団体の組織として、ビジネスモデル的に最低限のところで問題がないかどうかという視点で見せていただいておりますので、先ほどご指摘いただきましたようなALM的な構造ですとか、そういったところまでは至っていないというのが正直なところでございます。  ただ、出資団体財務諸表等議論する中で、先ほど先生もご指摘くださいましたけれども、余剰資金、これは資金のたまりといったような性格のものですが、全体の財務諸表からいきますとやや多いのではないかというふうに委員間で議論をする、そういう団体もございました。したがって、そういう団体において、こうした余剰的な資金のボリュームというものを見直す必要性があるのではないかという議論をする一方で、多くの出資団体においては、著しく過剰というような考え方、判断をすべきものはほとんどございませんでした。  私ども委員会としては、これから自立性を求めていく中で、やはり、ある程度は財務面でも体力をつけていただくことが札幌市の財政にも貢献するというふうに考えておりますので、今までのような形ではなく、自立をしていくことになりますと一定の厚みを持っていただくことも必要かなと思います。  最後になりますけれども、外債ですとか、そういったものへの資金運用の是非という問題でございます。  これも、若干、委員会の方で議論になりました。この点は、先生が最後の方でご指摘くださいましたように、外債を含めた資金運用をやって、そのリスクをとることができるような能力、体力というものをつけることが必要であるというふうに委員会の中で議論いたしました。これは、若干、ご意見が違うのかもしれませんが、外債そのものに対して、運用することが画一的にいけないというふうには委員会の方では判断しなかったわけです。ただ、それでは、そこで生ずるリスクをきちっと管理できるのかということにつきましては、今までの財務の運用の仕方と違うということから考えますと、かなりご努力をいただかないといけないのではないかというところはございました。  不十分かもしれませんけれども、以上です。 ◆峯廻紀昌 委員  この評価委員会は、昨年5月に設置され、宮脇委員長を初め、評価委員の皆様におかれましては、お忙しい中、約10カ月間という短期間で報告書をまとめ上げられ、提出されましたことに対して、まず、心から敬意を表したいと思います。  また、ご多忙の中、本委員会にご出席いただきましたことにも、心から感謝申し上げます。  せっかくの機会でございますので、簡潔に2点ほどお伺いします。  これから、評価委員会からいただいた報告書をもとに見直しを行っていくわけですけれども、それには多くの課題があると考えております。  これは先ほども宮脇委員長からお話がありましたが、報告書の中でも、札幌市の課題として、これまでの出資団体は、札幌市の代理執行機関としての性格が強く、市の拘束を受ける側面が少なくなかった、そこで、札幌市自身が、既存の規程類を見直すとともに、政策の方向性を明確に示して、団体の責務と役割を活性化するために積極的に行うべきということで提起をされております。この中身を見ますと、先ほどもお話がありましたように、札幌市の行財政改革といいますか、組織改革も含めて、要は、札幌市がきちっとしたビジョンを持って見直しを進めていきなさいということであると受けとめております。  そこで、この評価委員会では、実態調査も含めて多くのヒアリングをやっておられますし、報告書の中にも課題として提起をされております。先ほどの宮脇教授のお話、あるいは、委員長質問の中にも今後の課題的な部分が幾つかありましたが、そのほかに、今まで明るみになっていないというか、お話しになっていない部分で、特に課題としてとらえていることがあれば、お話を伺えればと思います。  それから、先ほどもお話ししたように、今後の見直しの中で、当然、いただいた報告書はすべて重要な内容になりますけれども、特にこのことにポイントを置いて、あるいは重視してというような中身があればお伺いしたいと思います。  大変漠然とした質問で申しわけありませんが、2点についてお願いいたします。 ◎宮脇淳 参考人  それでは、2点につきましてご報告させていただきます。  今回の見直しにおいて重要な課題となるものは、今までご説明させていただいたもの以外にどういうものがありますかという先生のご質問でございます。  重さにつきましては順番が正しくないかもしれませんけれども、お許しいただいて整理をさせていただきます。まず一つは、先ほどの指定管理者制度等も含めて、こうした見直しをするときには、一時的に非効率な方向に動き、結果的に、全体として非効率になる部分が生じてくるということでございます。指定管理者制度あるいは出資団体見直しをいたしますと、そのことによって、財政支出の削減ですとか人員の削減というものがすぐにでも目に見えた形で出てくるのではないかということを非常に期待される面がございますけれども、実は、動き出した初期においては、もしかすると財政支出はふえてしまう、そういう実態というのもございます。  そういう実態というのは、どういう点で起こるのかということになりますと、やはり、指定管理者制度を導入して民間にお願いしたとしても、そこで働いている方々をどう処遇するのかといったようなことを考えますと、財政支出については、必ずしもその分だけ削減されるということにもならないということです。ということは、長期的な視野に立って着実に行うプログラムを持ち、その中で、一時的に発生することに余り揺れないといったようなことでございましょうか、言葉遣いとしてはちょっと適切ではないかもしれませんけれども、そういう気構えというのが恐らく必要になってくるのだろうと思います。  このことは、先ほど来ご説明させていただいております市の改革というものが進まないとなりますと、今申し上げましたような問題点がより深刻化する場合がございます。したがいまして、長期的なプランに立ち、その中で発生する一時的な問題ということについては、きちっと乗り越えていく、そういう体力、そして市民への説明というのが必要になるというのが最も大きな問題であろうと思っております。  もう少し具体的にご紹介させていただきますと、長期的な視野と申しますのは、ご承知のように、札幌市においても、これから職員構成というのが大きく変わってまいります。そういう中で、当面は、よく言われます団塊の世代の方々がおられて、給与面等においても非常に厳しい状況にあるということはそのとおりでございますが、その後の世代を考えてみますと、人員構成も非常に減ってくる。そういう中で、出資団体も含めて、今後の公共サービスをいかに支えていくのか、より充実させるのかといったような長期ビジョンの中で出資団体見直し位置づけませんと、実は単なるトカゲのしっぽ切り的なものになってしまうといったことも起こるのではないかということはございます。  したがいまして、ご指摘くださいましたように、長期的なビジョンの中でこのことをきちっと位置づけていくということがございます。  それから、もう1点でございますけれども出資団体も含めた職員の方々について、研修という言葉は余りよくないのかもしれませんけれども、人的な資源としての育成をどのようにして行うのか。このことは、今までは代理執行機関として、ある意味で札幌市のルールとかやり方に熟知しているということが一つのメルクマールにはなったのだと思いますけれども、今後は、自律的な創意工夫というものを求めていくとすれば、やはり、人的な評価の問題や人を育てていくやり方というものも違ってくる、そのことを同時並行的に充実させていく必要性があるのではないかということでございます。  また、2番目として、実行計画を策定していくに当たり、報告書の中で特に重視してもらいたい部分というのはどこなのだというご質問でございます。  これは、先ほど来のご質問に重複してしまいますけれども、1番目は、やはり、指定管理者制度をきちっとスタートさせていただきたい。そして、それが透明性のあるものであるかどうかということが非常に重要なことになるというふうに思っております。  もちろん、最初の段階から、すべて出資団体から民間に移っていただきたいといったような考え方を持っているわけではございません。これは、やはり、やれるところから着実に実施をしていくということが必要であり、また、ある意味でいいますと、指定管理者の選考などにおいて透明性を担保することによって、出資団体の業務の必要性ということを根拠づけていくということも、また一方では非常に重要なことになるのではないかと思っております。  したがいまして、指定管理者制度の問題というのは、私どもは常に非常に重視をした点でございます。  それから、2番目として、これも繰り返しになりますけれども、やはり、札幌市役所本体の改革と両輪でやっていただきたいということでございます。これは、当然、札幌市本体の人事制度や財務制度、あるいは、契約発注といったようなことについても、出資団体創意工夫をした場合にそれを柔軟に受けとめられるような制度になっておりませんと、実現することがなかなか難しくなっていってしまいます。  これは余談になりますが、80年代の第三セクターの改革というものが必ずしもいい成果でなかったという原因の一つは、決して第三セクターという枠組みが悪かったということだけではなくて、これを十分に生かす周辺の制度というものが生み出されてこなかったところにあると思います。  やはり、出資団体につきましても、重要な地域のサービス提供の役割を担うところであるということも当然ございますので、この見直しによって自律性が出ることを生かしていただけるような環境をぜひ設定していただきたいということが、委員会全体が非常に重要視した点でございます。 ◆阿知良寛美 委員  きょうは、大変お忙しい中を出席していただきまして、ありがとうございます。  私の方からは、組織の評価について、簡潔に2点、質問させていただきます。  4番目の組織の評価についての中に、内部統制が十分機能しておらず、組織体質として問題を有している団体や組織利益が優先しやすい団体も見受けられた、こう述べられております。  初めに、内部統制が十分機能していないというのは、もう少し具体的に言うと、どういう事例のことをおっしゃっているのか、お聞かせ願いたいと思います。  それから、2点目として、組織利益が優先しやすい団体がネガティブな団体、だめな団体と思われておられますが、組織利益イコール設立目的の達成というふうに考えますと、逆に評価できる団体ではないかなと思いますけれども、具体的にどういう事例なのか、この2点をお聞かせ願いたいと思います。 ◎宮脇淳 参考人  お答えさせていただきます。  正直に申し上げまして、報告書作成のところで少し筆が滑ったのかなという感じがしないでもないところでございますけれども、一つは、内部統制が十分機能していない団体ということでございます。  これは、委員会の中でも明確に議論いたしましたし、報告書の中でも指摘をしている事項でございますので、個別団体ということでご説明をさせていただきます。  これは、財団法人札幌市交通事業振興公社でございます。  内部統制といいますのは、やはり、組織全体の価値観あるいは意思というものが、全部の職員を含めた組織全体にどの程度浸透しているのか、その浸透度というものが必ずしも十分ではないのではないかということを委員会の中で非常に強く感じたわけでございます。といいますのは、現実に訪問もさせていただきまして、大通だったと思いますけれども、事務所も見せていただきました。そこで働いている方々は、非常に熱心に働いておられ、また、私も定期券を買いに行きますけれども、対応も非常にすばらしいと思っております。  ただ、組織全体で見た場合に、ご承知のように、売上金等の管理、こういったことについて、ある意味ではサイクル的に再発してしまっている。また、そうした問題への対処というのが手続的な性格の方に非常に強くなってしまっていて、組織全体として、こういう不正を発生させないという意識とそれに基づく行動をとるような、そういう組織体質を生み出すというところに至っているかというと、まだまだなのではないかというふうに委員会の中でも感じたところでございます。  したがいまして、組織全体としての職員のそういう意識づくり等々について、あえて、もっとご努力をいただくことが必要なのではないかということで、報告書の中でも明確に団体名を示して書かせていただいております。  そして、2番目でございますけれども、組織利益が優先しやすい団体、これは、今、言われましたように、組織利益イコール設立目的の達成であり、その設立目的が地域全体の利益ということで一致しているということであれば、決してネガティブに評価をするべきものではないと思います。ご指摘はそのとおりだと思います。  ただ、私どもが見せていただきまして、地域全体あるいは公共全体の利益ということと、その設立目的も含めた出資団体の一つ一つの組織が求めているものというのは、全部が100%一致していたかというと、恐らくそうではないというふうに感じます。これはどんな組織でもあることだと思います。ややもすると、一つ一つの組織の中の利益を、追求といいますか、相対的に重視をされている度合いが少し大きいのではないかというふうに感じられる団体もあったということです。  ただ、これは、どこの団体で際立ってひどいといったような問題ではなくて、高いところから低いところまでいろいろありました。  こういった問題と申しますのは、よく天下りという批判が出ますけれども、天下りというのが、もし組織利益と設立目的が一致して、設立目的が地域全体のためということであれば、地域全体のために天下りしているわけですから、これは決して批判されるべき問題ではないということになってしまいます。しかし、批判があるというのは、やっぱり、それが地域全体ではなくて、組織のための部分を持っているから、そういう意識というものもまた一方ではある。  今回、こういった団体で、これは今の私の例の部分ではございませんけれども、組織の財務体質等も含めて、必ずしも地域全体という視野ではなく、一つ一つの組織利益の方を重視しているのではないかと、あえてこういう指摘をさせていただきまして、出資団体として、そういった点については少し見直しをしていただいて、質の向上に投入をしていただきたいというのがこの文言の真意でございます。 ◆小川勝美 委員  それでは、私からも、3点お尋ねしたいと思います。  今、前の委員のご質問の中で、宮脇先生から、いみじくも、天下りの問題が地域全体の利益になっているのでは問題もないし批判もないのだろうけれども、組織利益のためになっている、そういうことから往々にして批判があるのだというようなご答弁がございましたが、私は、実はその問題についてお聞きをしたかったのです。  きょう、最初に、宮脇先生から、五つの特色ということで、今回は問題提起型の報告なのだと、そして、これは、今後、創意工夫されるスタートライン報告書だ、こういうふうにご説明がありましたので、より理解を深めたところであります。また、委員長の2番目の質問で、出資団体自律性の向上、こういうことでは人が基本だと、それから、今の問題の人的資源の研修のあり方、こういうこともご答弁がありました。  そこで、1点目は、今回、市長の選挙公約との関係で、宮脇先生を中心にした宮脇委員会がつくられたのではないかと思うものですからお尋ねしたいのですけれども、市長は、選挙のときに、「市民との約束 札幌あたりまえ宣言」ということで、「あたりまえのことがあたりまえに通るまち 脱・不公平が基本のまち 2003年春 上田文雄とともに札幌は変わります」、こういう公約をしました。その中で、「市民の目線で市役所改革を進めます」、こういうのがありまして、その中に、外郭団体への補助金をゼロベース見直しますとか、各種団体への補助金交付のあり方透明性、合理性、公平性の観点から見直します、こういうようなことなどとあわせまして、きょう、問題になっております出資団体、第三セクターを改革するとともに、そこへの職員の慣習化、既得権化された天下りを禁止します、こういうのが市長の選挙公約なのです。  今回、宮脇先生報告書の中では、38団体について、OBが53人、現職派遣が5名とされております。ゼロの団体もございますけれども、これらOBなどが再就職しているところについては、複数のところは1人削る、もし削れない場合についてはその理由を明確にすべきだ、こういう報告になっているのです。  市長の公約では、慣習化、既得権化された天下りを禁止しますとなっていますが、札幌市の出資団体で社長であるとか理事長だとかに天下りしているのはほとんど既得権化しているのです。三役、助役や収入役、企業管理者、これらの退職者はこういう会社のポストとかこういう公社のポストと、そして、局長職についてはこういうポスト、そして部長職についてはこういうところのポストというふうな形で、それこそ慣習化、既得権化しているのだと思うのです。したがって、市長の選挙公約はそれらを禁止しますというふうになっていたものですから、多くの市民が、市民の目線に立って本当に市役所を改革してくれるのだな、こういうふうに期待をしていたのだと思います。  そして、2年が過ぎて、今度、6月で折り返し点を過ぎるんですけれども、ことし3月に退職した局長職や部長職も、同じように、同じレベルで再就職をしています。そんな中で、3月31日に、宮脇先生から報告書が出されたわけですけれども宮脇先生自身は、市長の選挙公約についてどのようにお考えになっているのか。これは、もともとできないことを公約しているのだというふうにお考えなのかどうなのか、この点をお尋ねしたい。  2番目に、今回、38団体を指定されて報告の対象になっていますが、OBが再就職していない団体が5団体ありますので、33団体に53人が再就職をしておりますけれども、その中で複数の団体というのは16団体しかないのです。この16団体の中で1人ずつ削減する、もしできないときは理由を明示するということになると、最大限で16人しか、天下りというか、再就職が少なくならないのです。そうすると、先ほどの答弁で言われたような、地域全体への利益ではなくて、組織利益という批判があるという点と結びついていくように私は思うのです。あるいは、天下り関係というのは、つくられた関係から、もとの職場と関係の深いところにそれぞれ天下っているという特徴があります。そういうことからいって、組織利益のためというふうな批判が引き続き多く残ることになるのと同時に、市長の選挙公約とも反するのではないか、こういうふうに思うのですが、この点について2点目としてお尋ねしたいと思います。  3点目は、今回は38の指定団体について調査をされて報告が出されたのですけれども、それ以外にもたくさんの出資団体がありまして、札幌市が筆頭株主の団体で、社長は常に市の局長職が天下りする、こういうところなどもございます。そして、昨年の私ども委員会で、再就職の見直しというのが出されて、64歳になったら、なった年にこれらの天下り先では退職する、私どもはこういうふうに報告を受けました。しかし、その舌の根の乾かないうちに、64歳ではなくて、65歳でも社長に居座り続けようというような動きがあるようにも報道されています。  これらについてはどのように考えておられるのか。非指定団体の取り扱いについてのご意見などがありましたら、お尋ねをしたいと思います。 ◎宮脇淳 参考人  今、3点のご質問をいただきました。  今回、私は、札幌市の出資団体評価委員会の前の委員長ということで伺っておりまして、その出資団体評価委員会での議論ベースにしてご説明をさせていただきますので、今のご質問の中でお答えできないこと、能力不足のところが恐らくあろうと思いますが、その辺はお許しいただきたいと思います。  まず、最初の点で天下りということと、それから、市長の公約の問題というところを少しまとめてご説明させていただきたいと思います。  市長の公約につきましては、実は、私は詳細に存じ上げておりませんで、十分理解をしているわけではございませんけれども、私ども出資団体評価委員会ができ上がるときに、札幌市長から諮問をいただいた事項といいますのは、札幌市の出資団体についてゼロベース見直してください、そういうご諮問をいただきました。したがって、その諮問をベースにして、札幌市から出資団体に対する職員の再就職の問題などを検討してまいったわけです。  先ほど、私は、組織利益的なことになるような天下りについては十分見直すべきであるというふうに整理をさせていただきました。今日、こういう組織利益的なものの代表といたしましては、よく、国家公務員の中で、渡りといった形で何回もの退職金を大量に確保していくですとか、あるいは、地方自治体でも、従来からございましたけれども、昨今、特に取り上げられている大阪市ですとか、こういった問題があるということは確かであろうと思います。  ただ、委員会全体の意見といたしましては、天下りという言葉遣いが適切かどうかはわかりませんけれども、市の退職者が他の団体に再就職するということがすべて禁じられるものなのかということに関しては、それをすべて禁じることは適切ではないというふうに考えております。  むしろ、そのプロセスにおいて、なぜこの方がここに行かれるのか、どういう資質をお持ちになられているから行くのかといった選択のプロセスというものが不透明であるところに本質的な問題点があるのではないかというのが委員会の意見でございます。  といいますのは、やはり、札幌市を初めとした行政の中で培われたノウハウというものを地域にさらに生かしていくという面からいきますと、限られた人材を再活用するということは、必要なことであろうと思います。ただ、そのプロセスにおいて不透明な部分がある。選考基準等々において、どういう人材が必要なのかというようなことが市民の方からはよくわからないというところに本質的な問題があって、そういったところを透明化するご努力というものが必要ではないでしょうかというのが委員会の基本的な考え方でございました。  そういった考え方ベースといたしまして、先ほど先生がご指摘してくださいましたけれども、我々としては、複数の常勤役員等がいるところについては、まず1人を削ってくださいということで、ある意味でいいますと機械的なやり方をさせていただいております。  その理由でございますが、各団体を見ますと、常勤役員の数と業務の複雑性、範囲というのが必ずしもパラレルではないということがございます。実質的に業務数が非常に広くて、これは事業の数として意味ではなく、実質的に業務領域が広く、職員数が多いにもかかわらず、常勤役員の方がお1人しかいない、そういうところもございますし、一方で、必ずしも2人以上おられる必要性があるのかと思える組織もあります。また、そういう業務の範囲だけではなくて、恐らく経営形態によってもこういった問題は違うと思います。  そこで、我々といたしましては、まさに問題提起型の報告書とするために、複数以上のところで1人を削減するのか、しないのか、そのことについて、するならする、しないならその理由を明確に書いていただきたい、そして、さらにほかの出資団体とも比較して、そのあり方について議論をしていくベースにしていただきたいというのがこの考え方の本意でございます。  したがって、これは委員会の最後の方で議論が出たところですけれども、場合によっては、そうした比較の中で、現在、1人しかいないところが2人になるということもあり得るのだろうと思います。  しかし、我々はそこを明確に根拠づけるという能力がございませんので、今回、こういう形で1人を削減していただきたいという提案の中から、今後、ご議論をいただくためのトリガーというものを提供していきたい、ここはそういう思いでございます。  最後の点につきましては、私は今初めてお聞かせいただいた点ですし、これは、委員会では全く何も議論をしておらず、私にご答弁させていただく能力はございませんので、この2点で終わらせていただきます。 ◆小林郁子 委員  私からは、3点、お伺いしたいと思います。  先ほどの委員長からの質問への先生のお答えの中にも示唆されたものがありますけれども、改めてお伺いしたいと思います。  1点目は、経営評価ということについてでございます。  市の財政的関与や出資比率のあり方を考えるときに、通常、市もそうなんですが、私ども議会にとっても判断材料が乏しいのではないかというふうに思っております。このことから、特に株式会社についてですけれども事業業績とか財政状況とかについて、計画と実績との評価というものが必要ではないかなと考えます。そのためには、外部の専門家等の評価委員会というものを設置することも考えられるわけです。そこで、評価必要性、また、その方法についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。  また、今申し上げたことともかかわりますけれども、出資を継続するか否かというときの判断基準のようなものが市にあってよいのではないかとも思うのですが、この点についてもどうお考えか、お伺いしたいと思います。  それから、2点目は、情報公開についてです。  札幌市の情報公開条例では、出資団体における情報提供はある意味で努力規定になっております。そういう中で、見直しや今後の運営ということに当たりましては、経理とか人事とか、そういうものを市民に公開してもいいのではないかと考えるんですが、出資団体情報公開はどの程度までがふさわしいのかというようなことも含めまして、どうあるのがいいのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから、3点目は、自主事業評価についてです。
     特に、財団法人ですけれども、自主事業をやっているところがあります。自主事業といいましても、市の財政的、人的関与を受けている団体が行う公益的な事業だと思います。その事業のための会計というのは、本来事業とは区別されておりますけれども、実態としては、やはり団体一体として、何らかの形で、人とかお金とか事務所スペースとか、そういう意味では資源をやりくりしながらやっているところもあると思います。また、自主事業が、民間でもう既にやっているとか、NPOでもできるというものがありますし、現在でも実際にあります。  そうなりますと、自主事業についても、その団体が行うのがいいのかどうなのか、市として財団評価とあわせて自主事業評価も必要になってくるのではないかと考えるんですが、そこについてお伺いをしたいと思います。 ◎宮脇淳 参考人  それでは、先生からいただいた3点の質問にお答えさせていただきます。  少し順番を変えさせていただいて、最初に、3番目にご質問いただきました自主事業の問題でございます。  正直に言いまして、委員会議論の中でも、当初から十分に理解が進まなかったのが自主事業という部分です。自主事業というものについて、よくその内容を見てみますと、今ご指摘のように、ある意味で、本当にそれは出資団体がやる必然性があるのかなと議論したところもございます。それから、自主事業といっても、その財源は、間接的ではあれ、財政資金的なところに依存している部分もあるのではないか。その一方で、これは内部補助と言いますけれども、こういう自主事業によって得た収入で他の公共的なことをやっているといった仕組みも存在する。  いずれにしましても、今回、審議をするときの資料でも、自主事業というものについて、自主事業だから組織が自主的にやっているのでこれは問題がないのだというふうにくくってしまいますと、実は全体像のところがよくわからなくなってしまって十分な評価ができないというのは、ある意味で委員全員が共通して抱えた問題でございます。  ですから、今ご指摘がありましたように、自主事業であったとしても、その内容について事業的な評価を行ってみるということは必要なことだと思います。ただ、最終的に判断を下す場合に、その自主事業という単体のものをやめるとか見直すということが、それと対になっているほかの事業と一体になってしまっていて、その見直しを行うことによって、ある意味で言いますと財政的な負担というものが発生する可能性も出てきます。そういうことを思いますと、自主事業以外の部分の公共性とか、そういうところをきちっと判断しながら自主事業あり方というのも見ていかなければならない、そういうちょっと複雑なことはあると思います。  ただ、そういう内部補助的な必要性があるといっても、やはり、自主事業も含めて明確化を図っていって、その上で、自主事業をやりながらも担っていただく公共サービスであるのか、ないのかという議論はしていくべきであろうというふうに思います。これは、恐らく全員の委員が感じているところであろうと思っております。  そして、最初の質問に戻らせていただいて、評価あり方です。  私どもが感じたのは、冒頭にご紹介させていただきましたように、事業評価事業ごとにあるべき姿というものを考えていくということは非常に重要なことでございます。事業ごとに、そのコスト、あるいは公共性がどの程度なのか、必要性がどうなのかといったようなことを整理していくことは非常に重要なことですけれども、その評価自身によって、先ほどご説明したような予算のこと、人事のこと、人のことということは自動的に結論が出てくるものではないということ、これが一方では非常に難しいことでございます。  したがって、よく言われる費用対効果的な評価をするのであれば、これはもう事業評価のレベルでいかようにもやることができるわけですけれども、そうした事業についての財政的な負担や人の問題をどのように考えていくかということになりますと、事業評価を超えた、やはり、行政機関全体としての評価なりビジョンというものが不可欠になってくるというふうに思います。  つけ加えさせていただくなら、例えば、財務分析などから最近よく行われる経営評価的なものを行ったといたしますと、経営分析的に言えば、組織体としては、国から出資金補助金をよりたくさんいただいた方がキャッシュフローの安定を確保することができる、そういう結論が出てまいります。しかし、そのことは、出資団体として適切であるかどうかということとはまた別の問題でございます。ですから、あくまでも、こうした評価というものは、貴重な判断材料ではありますけれども、そのこと自身において最終的な判断を示すことにはならないというふうに我々は考えております。  もう1点、ご質問をいただいた出資の問題でございます。  出資の問題については、委員会でも議論になりまして、例えば、出資比率が非常に中途半端になっている部分がございます。これは、恐らくいろいろな経緯の中でそうなってきた部分があるのだろうと思います。  ただ、これは、一方で、先ほどのガバナンスといいますか、内部統制の問題でございますけれども、商法などいろいろな規定によってガバナンスをきかせられる出資比率というのは一定の比率で段階ごとに決まっているわけです。そうしますと、それでは、内部統制上、こういう中途半端な比率が有効なものなのかどうかといいますと、必ずしも有効ではない。ですから、一方においては、もう少し出資比率を上げなければいけない部分があるのかもしれません。しかし一方では、中途半端な出資であっても経営が安定しているのであれば出資を引き揚げるという判断もあろうと思います。ですから、一つの判断材料としては、札幌市として出資団体に対するガバナンスをどういうレベルできかせるのか、そのことによって出資を継続するのか、どういう比率にするのかといったような判断もまた必要であろうと思います。  それから、最後になりますが、情報公開の問題でございます。  現在、札幌市の情報公開条例では努力規定になっているけれども、このことについてどう考えるかというご質問をいただいているわけでございます。  出資団体に関するこの議論の中でも、やはり、情報というのはできる限り共有していくべきであるというのは、他の政策、事業と異なるところはないと考えております。ただ、出資団体の場合に非常に難しいのは、形態が非常に千差万別であるというところです。このために、場合によっては、出資団体の他の出資者の経営の自主性というものに対して影響を与えてしまう、そういう場合が出てまいります。これは、出資団体自律性ということを考えますと、やはり、そのことが適切であるかどうかということもまた一方では十分に議論しなければならないということになります。しかし、そういった面に配慮しつつも、出資団体についての情報は、最大限、共有をしていくという努力をしていくことは私も必要であろうと思います。  繰り返しになりますけれども出資団体に対する取り扱いも、法人格も、極めていろいろな形態がございますので、これらを画一的に取り扱うことが適切なものかどうかということについては、十分に議論する必要性があるのではないかと私は思っております。 ○涌井国夫 委員長  以上をもって、質問を終了いたします。  本日は、宮脇先生のおかげで大変有意義な委員会になりましたことに、改めて感謝申し上げます。  本日の成果につきましては、今後の委員会活動に生かしてまいりたいと考えております。本当にありがとうございました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午後2時41分...