札幌市議会 2005-05-27
平成17年出資団体等調査特別委員会−05月27日-記録
まず、ご説明させていただく前に、ご
あいさつをさせていただきます。
私
ども出資団体評価委員会の
最終報告の内容につきまして、議会の
先生方にこうして直接ご説明させていただく機会を与えていただきまして、大変ありがたく感じております。
また、昨年1年間、非常に密なスケジュールの中で
評価をしてまいりましたけれ
ども、これを支えていただきました
札幌市の皆様、あるいは
出資団体の皆様に、この場をおかりいたしまして、重ねてお礼を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
これから15分程度のお時間をいただき、今回の
出資団体評価委員会の
最終報告の特色についてご
報告をさせていただきます。細かい内容につきましては、この後、諸
先生から、あるいは
委員長からご
質問をいただき、その中でご説明をさせていただきますので、大きな特色という点につきまして整理をさせていただきたいと思います。
今回、
出資団体評価委員会の
最終報告を整理するに当たり、五つの大きな特色があると思っております。
まず、第1番目として、今回の
出資団体見直しの
報告書は、
問題提起型の
報告書であるということでございます。
私
ども出資団体評価委員会は、ご承知のように、
外部評価委員会でございます。このような
外部評価委員会には、大きく分けて二つの性格のものがあると
委員会では考えております。
その一つは、
管理評価型のものでございます。よく例に挙げられますけれ
ども、目標を立てて、それに対して何%達成したか、その達成というのが、より少ない予算、より少ない人で実現しました、その結果について
評価をいたしますのが
管理評価型でございます。
ただ、私
どもは、今回、
札幌市長からの諮問を受けるに当たり、このような
管理評価型の
評価を行っていく
外部評価委員会として諮問を受けたという
考え方ではございませんでした。
といいますのは、もう一つの
外部評価の
あり方として、
行動評価型というものがございます。今の
札幌市と
出資団体との関係、あるいは、
出資団体の運営の仕方といったようなものを通じ、
札幌市と
出資団体、そして、
出資団体間の予算や人あるいは権限といったようなものの配分の
あり方をどう変えていくかといったようなことに力点を置いて、いろいろな
視点から意見を整理していくというところに力点を置きました。
このため、既に
報告書の冒頭でも書かせていただいておりますように、我々の
最終報告書というものが最善のものであるとは、申しわけございませんが、考えておりません。我々の
最終報告書の内容におきましても、まだまだ不十分な点があり、もっともっと工夫することができる点があると思っております。
その点につきましては、我々
委員会の能力の限界、あるいは時間的な制約というものもございまして、より高いものを目指すということに限界があったということについてはお許しいただきたいと思いますが、この
出資団体の
見直しについて、一つのきっかけとなる、引き金となる、そうした
問題提起を行うことによって、さらに
創意工夫というものが積み重ねられていって、
出資団体、そして
札幌市全体の
あり方というものがいい方向へ向いていく、その
スタートラインの
報告書であるというふうに考えております。
この点が、まず第1点でございます。
第2点の特色といたしましては、
事業評価からスタートしております。
今回、
出資団体評価委員会の
ヒアリングをスタートさせるに当たりましては、
札幌市の
所管部局、あるいは
出資団体に対して非常に大きな負担をお願いして、みずから行っている
事業について整理をして提出していただいております。
やはり、本質的なことは、
公共サービスとして、市民に対し、あるいは地域に対して、
事業として必要なものであるのか、あるいは、
有効性を持っているのかといったような
視点で、
事業から入っていくということを
委員会では合意をし、進めてきたところです。その上に立ちまして、
事業として必要なものであったとしても、それでは、提供する手段として現在の
出資団体の
やり方がベストなのかどうなのか、もっとほかの
方法があるのか、ないのかと、いわゆる2段階の
評価方法をとってまいりました。
今回、
委員会で
議論をしていく過程において、第1段階の
事業評価の中で、
必要性ですとか、
公共性ですとか、
有用性ですとか、何か教科書に出てくるようなかたい言葉でございますけれ
ども、こういった
視点でいろいろ
議論いたしました。
しかし、正直なところ、100%、これは要らないのだというふうに言い切れる
事業はほとんどございませんでした。何らかの形で、やはり地域や市民の皆さんに
公共サービスとしての側面は持っている。これは、程度の違いはあろうかと思います。しかし、そういった中で、完全にこの
事業は要らないのだという判断ができたものは非常に少なかった。ただ、
事業として必要であったとしても、先ほどご
報告させていただきましたように、今の
やり方ではなくて、ほかの
やり方、
民間の力をかりる、NPOの力をかりるという
やり方でも、同じような
事業を展開することができるものも当然あるのではないですかというような形で
評価をさせていただきました。
3番目の特色といたしましては、
機関評価であるということです。
行政機関の機関という言葉でございます。
といいますのは、今回、
出資団体の
評価をさせていただくに当たりまして、スタートのときから
委員間で話し合ったことは、
出資団体だけを取り上げて
議論をすることでは不十分ではないかということでございます。やはり、
札幌市と非常に密接な関係のある
出資団体のことを
議論するに当たりましては、
札幌市
そのものの
行政機関としての構造も視野に入れながら
議論をしていきませんと、これは言葉として不適切かもしれませんけれ
ども、ややもするとトカゲのしっぽ切り的な結論になってしまう、そういうことがあってはならないと考えました。
このため、我々といたしましては、
事業を単位として、権限と責任という
視点と同時に、財務と人という
視点も持って、この両方から
札幌市と
出資団体の関係をどう
見直していくのか、また、
出資団体の
見直し、
統廃合を行うときであったとしても、この財務と人という問題についてどのように取り扱うのかということを常に視野に入れながら
議論をしていこうということで
委員会でのいろいろな
議論を進めてまいりました。
そして、4番目の特色でございますけれ
ども、これは、今後、
札幌市でご
議論をいただくに当たり、今回の
報告書が、他の地域の
出資団体、あるいは
民間の組織と比較して
議論ができる、そういった
ベースをつくりたいというふうに思ってまいりました。
これは、また後ほどのご
質問の中でご
議論いただくのかもしれませんけれ
ども、例えば、
出資団体の
常勤役員の人数ですとか、あるいは
出資金の額、
委託料の額といったようなもの、あるいは、もっと本質的に、
出資団体としての
事業の担い方というようなことにつきましても、他の
政令指定都市あるいは諸外国との比較を行いながら、
札幌市の現状がどうなのか、あるいは、もっと工夫ができる余地があるのかどうなのかということを常に意識しながら
議論し、そして、今後の
議論におきましても、そうした
情報が
議論の中で常に整理できるような、そうした
スタートラインがつくれる
報告書でありたいと思ってまいりました。
そして、最後でございますけれ
ども、やはり、
委員間での一番大きな
視点といたしましては、先ほ
ども若干触れましたが、
札幌市の
行財政改革と一体となって考えなければならないということでございます。これは、私
どもが
出資団体評価委員会として諮問を受けた、その市長からの諮問の範囲からいたしますと、もしかすると少し逸脱をしているのかもしれません。
ただ、我々といたしまして、
出資団体のことを考えるに当たっては、そこで働いておられる職員の方々もいらっしゃるし、また、現実に
サービスを受けている市民の方々もいらっしゃる。そういう中で本当にいいものにしていくためには、やはり、
札幌市本体との
あり方、そして本体の
改革というものがなければ、実のあるものにならないのではないかと思っております。そして、その中で、地域に対する
公共サービスを担うのだという
視点は見失わないようにしていきたいと思いました。
現実に、いろいろな
出資団体を訪問させていただきました。その中で、同じ
出資団体でも、この
事業は恐らくもう
民間にお願いしてもいいのではないか、しかし、同じ
団体で行っているもう一つの
事業は今後の
札幌において本当に必要な
事業かもしれない、したがって、こういうものはもっともっと厚くしていかなければならないのではないかというような思いをいたしました。そうした思いというものが、今回の
統廃合や
見直しにおいて、組織の
見直しの数でありますとか枠組みというところで埋没してしまうことのないように考えていかなければならないと
委員会の中では考えてまいりました。
以上、5点を基本的な
視点に持ちまして、この1年間、
委員会で
議論し、今回、
最終報告書として提出をさせていただいたものでございます。
私
ども委員会の中では、
情報の
整理等でまだまだ十分なものに至らない点はあったと思っております。ただ、こうした部分につきましても、今後、
札幌市におかれまして、
議論をし、あるいは
モニタリングをしていく中で、より充実したものにしていっていただきたいというのが我々
委員会の思いでございます。
ありがとうございました。
○
涌井国夫 委員長 宮脇先生、ありがとうございました。
それでは、私から、
委員会を代表して、次の5点につきまして
質問をさせていただきます。
まず、1点目の
質問として、
出資団体のあるべき姿についてお伺いいたします。
国の
規制緩和による
公共サービスの担い手の
多様化や、
地方自治体の
財政悪化など、
社会情勢の変化により、
出資団体にもその変化への対応が求められております。また、最近では、
総務省において、
地方公共団体における
行政改革推進のための新たな指針、いわゆる新
地方行革指針が策定され、
自治体に通知されるなど、今後の
行政改革計画、いわゆる
集中改革プランを今年度中に公表するよう
自治体は求められております。
そうした状況の中で、本市と
出資団体の関係を見ますと、現在、
出資団体には
財政的関与として
補助金、
交付金、
委託料、
貸付金として約522億円支出されています。
今後の
出資団体のあるべき姿や市の
財政的関与の
あり方についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
二つ目に、
出資団体の
自律性の向上についてお伺いいたします。
出資団体評価委員会の
報告書では、これまでの
出資団体は、
札幌市の
代理執行機関たる性格が強く、市の課題として、
市自身が既存の
規程等を見直すとともに、政策の
方向性等を明確に示す必要があるとしています。今後の
出資団体は、
札幌市の
代理執行機関ではなく、みずから判断し、行動する
団体運営が必要だと思われます。
そこで、
出資団体の
自律性向上のために、
出資団体自身は何をすべきだとお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
三つ目は、
外部からの
モニタリング機能についてお伺いいたします。
出資団体の
見直しに当たり、
外部からの
モニタリング機能を導入することが不可欠とされています。この
報告書の中で、
出資団体の
見直し議論の
透明性を確保し、
見直し取り組みの
進捗状況を定期的に公開すると同時に、さらなる工夫を積極的に積み重ねるため、
外部からの
モニタリング機能を導入することが不可欠とされております。
この
外部からの日常的・恒常的な監査・点検の
機能について、どのような形態のものを想定し、どのように運用することが効果を発揮できるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
四つ目には、
団体の統合、廃止について伺います。
報告書では、4組8
団体が統合という
評価をされています。統合の効果について、
事業連携やノウハウの
共有等が指摘されていますが、
評価委員会の
議論の状況を含めてご説明していただきたい。
また、廃止と
評価されている2
団体のうち、
北海道青少年福祉協会については、
北海道が廃止を表明していますが、
札幌道路維持公社については、今後、市において検討していくこととなります。
札幌道路維持公社の行ってきた
事業について、
市直営とする
方法、
民間業者に委託する
方法、
同種事業を行う他の
出資団体へ
事業を移す
方法と三つの
選択肢を示しています。
実施方法を検討するに当たっては、効率的で
透明性の高い
実施方法を
選択肢の中から幅広く検討する必要があるとしております。
今回、三つの
方法をご提示いただきましたが、率直に言ってどうあるべきと考えられるか、お伺いいたします。
最後に、
指定管理者制度についてお伺いいたします。
報告書では、公の施設を有する
団体の
改革にとって、
指定管理者制度の導入がキーになると思われるが、市の現職を派遣している
出資団体とそうでない
民間とでは、初めから
立地点に差があり、公平な競争となり得ないとのことでした。
そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
◎
宮脇淳 参考人 それでは、ただいま
委員長の方からご
質問をいただきました5点につきまして、順次、ご説明をさせていただきます。
まず、第1番目の
出資団体のあるべき姿についてという点でございます。
この点につきましては、
出資団体そのもののあるべき姿と、
財政的関与の
あり方ということで、この二つに分けてご
報告をさせていただきます。
出資団体のあるべき姿ということですが、ただいまも、
委員長の方から、これまでの
札幌市におきましては、
代理執行機関的な性格というものがあったと
報告書の方で書かれているというご指摘がございました。私
ども委員会で
ヒアリングをしている中でほぼ共通して教えていただきましたのは、
札幌市、あるいは
出資団体から、その役割というのは、
札幌市の業務を代理的に執行していくことなのだ、そして、それをより低い
コストで実現していきます、そういうご説明が圧倒的に多かったように記憶しております。
確かに、これまでのような
右肩上がりの成長の中でまいりますと、こうした
札幌市本体の代理的な
執行機関としてより効率的に一つの
方向性を求めていくという
やり方は、決して間違いであったとは思いません。
ただ、ご承知のように、そうした
右肩上がりの時代から、先ほど、これも
委員長のご
質問の中にございましたように、
規制緩和ですとか、
少子高齢化、あるいは
グローバル化といったような大きな
環境変化が起こっている、そうした中で、地域も、住民も、極めて多様な
方向性を向いていかざるを得ない、そういう現実がございます。こうした
多様性にこたえていくためには、今までのような単なる
代理執行機関としての
位置づけだけではその役割を果たすことはできないのではないかというのが我々
委員会の
考え方でございます。したがって、
代理執行機関といういわゆる先ほどの管理型の
考え方ではなくて、より
出資団体が自由に
創意工夫できる、そうした
関係づくり、
出資団体の
仕組みというものをつくっていくことがまず必要なのではないかと思います。
もちろん、その際に、
札幌市が出資しているわけですから、
札幌市が何を求めていくのかということは明確にしなければならないと思います。しかし、その目的を実現するための手段などは基本的に
出資団体の自由な発想に任せていく、そうした
やり方というものが
出資団体のあるべき姿を高めていくのではないか。そのことによって、
民間や地域とのいい意味での競争、そして連携という中で、よりよい
サービスの提供というものを考えていくことができるのではないかと思っております。
そして、2番目の
財政的関与の
あり方でございますが、私
どもの
委員会におきましても、
公認会計士の
先生に入っていただきまして、
出資団体の
財務諸表等についてご検討をいただきました。
ただ、私
どもは、
出資団体の
見直しということが大きなテーマでして、
会計監査という
視点が主な役割ではありませんので、監査というレベルから見ますと、どれだけ掘り下げたのかという点については、もちろん掘り下げができていない部分はございます。
ただ、今回の
議論の中で例を挙げると、例えば
委託料の問題、そして、再委託がさらになされている、そして、
委託料を決定する水準というもの、決定の
方法というものはどうなのか、この辺のところにつきましては、ほぼ共通して各
出資団体において
議論をしたところでございます。やはり、こうした
委託料、再委託といったことを本当に行う
必然性があるのか、別の
方法をとることができるのではないか、あるいは
透明性はどうなのだろうかといったようなところには、常に疑問を生じる点もあったということがございます。
ただ、この点は、
出資団体側の問題であるだけではなくて、
札幌市側のいろいろな規則ですとか、そういったものの
見直しをすることで、
委託料の
あり方、あるいは、
出資団体で行っているような
コスト水準でやる
方法があるのではないかといったようなことも当然検討するべき課題ではあろうと思っております。
そして、最後になりますが、こうした
委託料等が
出資団体で再委託として使われているというような場合に、理由として挙げられてきたものとして調整という言葉が出てまいります。こういう
調整機能というものが、今後、今までの
代理執行機関としての役割とは違って、調整という
機能そのものの質が変わってくる中でどのように考えていくのかということは、やはり大きな課題であろうと思います。
いずれにいたしましても、
財政的関与の
あり方につきましては、やはり、
委託料等も含めて、一度、
透明性のある中で再整理をして、そうした委託等々の手法がどこまで最適なのか、適正なのかということについては、もう一度、検討してみる
必要性はあるのではないかというのが
委員会の基本的な
考え方でございました。
2番目といたしまして、
出資団体の
自律性の向上ということでございます。
この点につきまして、
委員長の方から、
出資団体自身は何をなすべきなのかというご
質問をいただいております。
やはり、
委員会において、基本となるのは人である、そういう結論になりました。今までの
出資団体は、かなりいろいろな工夫をされているというのも確かです。あるいは、一律に申し上げてはいけないわけで、
委員会の
委員の中でも、恐らくこれは
民間に匹敵するくらいの努力をされているのではないかと思えるような
出資団体もございました。
ただ、そういったところも、やはり、人材というものについては、もっともっとオープンな形で広く視野を持って確保していく、そして、いろいろな
視点の人材が組織の中で活躍していただくことによりまして、
創意工夫というものもたくさん出てくるのではないか、そして、そのことが、
札幌市の
代理執行である、そういう
位置づけをみずから克服していくのではないかと思います。
ただ、人という問題は、そう簡単に解決する問題ではございません。しかし、採用といった問題についてももっと
オープン化をしていく、あるいは、採用した後の人材の育成でありますとか、こういった問題についても、今までの官僚型ではないような
やり方というのも、もしかするとあるのかもしれない。そういったことによって、
出資団体においてもっと自立をした意識というものを形成をしていくということが一番の課題であろうと思います。
なお、
出資団体の
自律性を高めるには、繰り返しになりますが、やはり、全体としての
札幌市の計画でありますとか規程、規則といったようなものの
見直しによっても
出資団体の
自律性をバックアップすることが不可欠であろうとは思っております。
3番目でございますけれ
ども、
外部からの
モニタリング機能でございます。
モニタリングということに関しましては、今回、私
ども委員会においても、市民の皆様から直接意見をいただくようなこともさせていただきました。しかし、決してその件数というのは多い状況ではございませんでした。やはり、
出資団体というその
言葉自身が、市民の皆様から見ますと遠い存在であろうと思います。
モニタリング本来の
機能からすると、こうしたものをもっと近くにしていって、
情報を共有する中で、地域全体としてこのことを考えていく、そういった
仕組みをつくることが
モニタリングにおける本当に一番重要な
機能であろうと思っております。
したがいまして、今回、
評価委員会の中で
議論をするときに
基礎資料といたしました
基本情報シートですとか
経営状況シートといったものは、非常に貴重な
情報であろうと思います。これは、
委員会の
委員もすべて一致をいたしましたけれ
ども、恐らく、日本の中でも、
札幌市がまとめ上げたこの
情報というのは
出資団体白書として値するものであろう、こうしたものは、今まで
地方自治体ベースにおいてはなかなかなかったのではないかというふうに思っております。
しかし、こういったものを生きたものにしていくためにも、
モニタリング機能を、こうした
情報ときちっと結びつけていくことがやはり必要なのではないか。そして、そのための
仕組みというのは何なのだろうということを考えていく
必要性があると思います。
私は、基本的には、
札幌市の中で
モニタリング機能というものをきちっと働かせていくと同時に、
外部からの
評価機能というものを継続的に確保していくことが不可欠だと思っております。やはり、
モニタリングというものにつきまして、今回の
報告書の
位置づけというのは、まだまだ
創意工夫が足りない。今回、
モニタリングをしていただかなければならないのは、ある意味でいいますと、我々の
報告書自体という側面も持っております。我々の
報告書を超えて、いろいろな
創意工夫というものを
札幌市の皆さんやほかの
外部評価を通じてしていただくことによって、今回の
出資団体見直しのプログラムというものがさらにいいものになっていくのではないかと思います。
そして、4番目のご
質問の、
団体の統合、廃止についてでございます。
これらについては、具体的にご
質問をいただきましたので、個別にご説明をさせていただきます。
まず最初に、財団法人
札幌市芸術文化財団と財団法人
札幌彫刻美術館の統合でございます。
これらにつきましては、やはり、貴重な芸術というものを残していくためには、彫刻美術館の施設の老朽化などを考えますと、この二つを統合し、より体力の強いものにしていかなければならないというのが基本的な
考え方でございます。
目的というのも非常に類似しており、業務
そのものにおいても相互に活用することができる、そうした業務を行っております。もちろん、こうした美術品を提供してくださった提供者の方のご意思というものも十分尊重しなければならないということが大前提ではございますけれ
ども、
事業として考えた場合には、この二つについて、
札幌市の貴重な作品や芸術品というものを後世に伝えていくためには、むしろ、統合していくことがベストであるというふうに考えました。
そして、2番目といたしまして、財団法人
札幌市環境
事業公社と株式会社
札幌リサイクル公社でございます。
この点につきましては、
委員会としてもいろいろと苦悩いたしました。といいますのは、実際に訪問させていただき
事業の展開というものを見せていただきますと、やはり、これら二つの
団体とも廃棄物処理
事業である。もちろんその周辺部分にいろいろと複雑な問題は抱えておりますけれ
ども、基本的にはそういった性格の
事業であろう。とすれば、この二つの
事業というものは、連携を持って統合を行うことによって、より
有効性の高い、効率性の高いものにしていくことのできる可能性があるのではないかというのが
委員会の基本的な
考え方であります。
しかし、現実問題として、財団という組織と、多くの株主を持っている株式会社という組織を統合することの事実上の難しさ、こういったものも
委員会の中で
議論をさせていただきました。そして、もう一つは、リサイクル公社は、最終的には
民間という
ベースを目途とされているということもございます。
この2点につきまして、
委員会でもいろいろと
議論をいたしました。しかし、この経緯も含めた財団と株式というそうした形態の違いというものは、やはり、最善の知恵を絞って克服するべき課題ではないかということで、
委員会では統合という判断をさせていただきました。
本当にこの二つを統合するという手法がないのか。この点については、決して100%ないということではないと考えております。したがいまして、今後、
札幌市においてそうした手段というものをお考えいただきたい。
それから、
民間という最終ゴールではありますが、そこに向けたタイムスケジュール、こういったものについてもきちっと
議論をしていっていただかなければならない。そして、その期間というのが現状においてなかなか視野に入らない段階においては、この両
団体は、やはり、廃棄物
事業であるということで、一度、統合に向けた
議論をしていただきたいというのが
委員会の考えでございます。
そして、3番目は、
札幌市健康づくり
事業団と
札幌市スポーツ振興
事業団でございます。
この二つの
事業団につきましては、対象となっている
事業に非常に類似性がある、また、お互いに同じようなノウハウ、あるいは、異なったノウハウを持っておりますけれ
ども、同じ健康とかスポーツということで、この二つが複合し合えればもっといい
サービスが実現できるのではないかというのが
委員会の考えでございます。
ただ、1点、
議論で留意点として出ましたのは、この
事業団の中で、介護ですとか高齢者に向けた予防医療的な
機能というものをお持ちになっている部分があり、こうした
機能というものは、今後、地域において非常に重要な役割を担ってくる、こうしたものをこの統合の中で埋没させてはいけないのではないかという
委員会における
議論がございました。
そして、4番目は、
札幌エネルギー供給公社と
北海道熱供給公社でございます。
これは、地区が違っても、基本的に展開している
事業は同じであるということ、それから、これも
委員会の中で
議論が出ましたけれ
ども、こうしたエネルギー供給型の
事業そのものが、今後、今の省エネですとか、そういう構造の中で、比較的、早期にその経営形態の
あり方を転換しておかないと、競争力等において限界を生ずる可能性もあるのではないか、したがって、こういうものも、やはり、今のうちに
議論をしておく
必要性があるのではないか、そういう
考え方がございました。
最後に、5番目は、
札幌道路維持公社でございますが、これは、
報告書では廃止という形で記載させていただいております。
先ほど
委員長の方から、直営、
民間に委託、市の他の
出資団体に
事業として
位置づける、この三つの
方法の中で、より具体的にはどういうふうに考えているのかというご
質問をいただいております。
この点から参りますと、やはり、直営に戻すということは、我々は、
選択肢としてその順番は極めて低いというふうに思っております。したがいまして、
札幌道路維持公社については、道路維持公社の
事業等を含めて、他の
出資団体あるいは
民間で類似の
事業を行っているかどうかということまでやや視野に入れて、この
事業の
あり方について、
民間に委託をするのか、
民間を活用するのか、
出資団体の
統廃合の中でまた
議論をしていくのかというところが大きな
方向性ではないかというのが
委員会の中での基本的な
考え方でございました。
いずれにしましても、こうした
議論をしていくに当たりましては、
透明性ある
議論の中で、その
選択肢それぞれのメリット・デメリットというものを
議論していく
必要性があるということは申し上げるまでもございません。
最後に、
指定管理者制度でございます。
これにつきましては、
委員会において、かなり多くの公の施設が
指定管理者制度の対象になるということで、
札幌市における
指定管理者制度がどういう内容を持ち、かつ、具体的に展開されるのかということによって、
出資団体の
見直しの結果というのも大きく影響を受けると思っております。
委員長の方から、現実として、それでは公平な競争になり得るのか、現状においては、
出資団体には現職の市職員等が入っていて公平な競争にはならないのではないか、そういうご指摘をいただいております。
私
どもも、
最終報告書に、あるいは中間
報告のときに、あえて
指定管理者制度ということを非常に強く主張させていただきましたのは、まず、
指定管理者制度において
民間にお願いするという
事業をどのようなくくりにするのか、このことによっても
民間の参入の仕方、可否というものが決まってくる、ここが我々にとってまず最初の大きな注目点でございます。
そして、2番目といたしましては、
委員長がご指摘くださいましたように、現職派遣がこのまま
出資団体の中で定着するということであれば、公平な競争を実現することは難しいと思います。したがって、
報告書の中でも、現職派遣については、逐次、
見直しをして引き揚げていただきたいと考えております。
ただし、すべての指定管理者の対象施設に対して一気に実現するということ、これも、また一方では難しいと思っております。やはり、こうしたものは、指定管理者に移行することを段階的に――ただ、段階的と言いましても、時間がかかってはいけないわけですけれ
ども、一定のルールのもとに段階を踏んでスピーディーに行うということがやはり必要であろう、その道筋というものが今回の
指定管理者制度のスタートにおいて明確に示されることが必要であろうと思います。
これは、どこの
自治体でも生ずることですが、
指定管理者制度におきましては、具体的にはどうしても
自治体の内部で選考することになります。したがって、その選考のプロセス、基準というものが明確に示されることは、逆に、
出資団体等が継続して担うという場合であっても、そのことの正当性を市民の皆さんが理解をすることになると思います。したがって、
指定管理者制度の
透明性ある選考というものが、ある意味でこの制度の可否を大きく左右し、我々の
出資団体の
見直しの成果というものにも大きな影響を与えると思います。
なお、最後になりますが、こうした現職派遣については、もし
民間側のいろいろな工夫というものが高まっていけば、現職派遣をしている方々のノウハウに頼らないで、新しい
視点での提供の
方法というものを発案していくことは可能になると思います。したがって、移行期においてこうした問題をどう乗り越えていくかといったようなところは、大きな課題になってこようかと思います。
○
涌井国夫 委員長 ありがとうございました。
それでは、
委員からの
質問をお受けいたします。
◆近藤和雄
委員 きょうは、貴重な時間をお越しいただきまして、ありがとうございました。
私の方から、1番の調査に対する
出資団体の協力態勢、それから、4番の
出資団体の資金運用についてお伺いしたいと思っております。
3番目の天神山の管理
事業は個別性が強いということと、5番目の
評価委員会の限界については、先ほど
委員長が冒頭でおっしゃっていただきまして理解できましたので、
質問は省略いたします。
まず、1点目の各
出資団体の協力体制のことです。
評価委員会は、12回にわたって
出資団体に対して
ヒアリングし、5回にわたって
団体への施設訪問調査をご苦労されて行ったという
報告を受けております。そうした調査をされている中で、各
出資団体の協力態勢はどのようだったのか、感想をお聞きしたいなと思っております。
二つ目は、
出資団体の資金運用についてでございます。
実は、私は6年前まで信託銀行に勤めておりましたので、
出資団体の資金運用は大変大きな問題をはらんでいるのではないかということについてお伺いしたかったわけです。
出資団体の資金運用については、日常の商取引を決済するために口座にある程度の資金は必要であると認められますが、その他の資金は、ここで申しますと、余裕資金とみなされて、それが資金運用に回っているのではないかと考えております。
平成15年3月31日現在、38の
出資団体の中で、端数は切り捨てますが、預貯金が173億円、有価証券等で83億円と、資金運用ということで合計256億円の多額な資金を預託しております。さらに、平成13年度決算
ベースなんですけれ
ども、
出資団体の収入について少し調査いたしますと、この収入は独自の分もありますけれ
ども、当市の
補助金、
交付金、
委託料の合計で収入の50%から90%という
財政的関与を受けている
団体は、38
団体のうち16
団体あり、42%に上っているわけであります。
私が申し上げたいことは、公的
サービスの担い手であります
出資団体は、平等の原則のもとで
創意工夫し、
委員長もおっしゃっているとおり、競争することの中で、市民、お客様のニーズにこたえた
サービスが選択できる
仕組みをつくることが求められているのではないか。そして、これは当市にも求められている役割と考えているのです。
民間会社では、
補助金、委託金とか、
財政的関与は全くないわけです。そこで、申しますと、
民間との公平の原則が前提で崩れてしまっているということにほかならないと思います。さらには、
札幌市民のお客様のとうとい税金を、
サービスに回さずに、余裕資金として長期にわたって運用に回していいのでしょうかという疑問が生じてくるわけですけれ
ども、この辺をお伺いしたいと思います。
質問の2点目は、運用先についてであります。
委員長の
報告書の中でも財団法人の資金運用の
あり方をご提案いただいておりますが、私の調べた中で、具体的には、海外の国債で格付ランクが13位とか23位、あるいは、投資信託にも回っております。先ほどの1点目で、市民のとうとい血税をリスクの高い外国債、あるいは、元本保証のない投資信託に運用していいのかどうかということでは、特に外国債は、円にかえるときに為替リスクの問題が必ず起こってくると思います。
そして、資金運用で一番大切なことですが、経理のご担当の方が、預託先に対して、常日ごろから運用する商品や
仕組みなどについて本当に勉強なさる時間があるのか、その専門家であるのかどうか。生保とか信託銀行、また、投資顧問会社では、先日、高額納税者でお話がありましたが、年収100億円の投資顧問会社のファンドマネジャーの方も実際にいるわけでして、
出資団体が預託されるときは、先方の生命保険会社、信託銀行、投資顧問会社にすべて任せ切りではないかと私は推測しています。これは、自分もやっていましたので、そんな
考え方であります。
例えば、31ページの財団法人
札幌中小企業共済センターは、生保5社に432億円の退職給付積立金をやっております。これは、全額が生命保険会社ですが、果たして生命保険会社5社にすべて偏ってよろしいのかどうかと私はちょっと感じているところでございます。さらに、これは利回り競争ですから、1年ごとに切りかえをやっている会社もあって、財団法人の運用もすべて運用利回りをしっかりやっていない限りはすぐ移し変えられるというのが日常茶飯事でございまして、この辺についてもうちょっと突っ込んだお話をお聞きできたらと思ってご
質問させていただきます。
◎
宮脇淳 参考人 それでは、大きく2点のご
質問をいただいておりますので、これについてご
報告をさせていただきます。
まず最初に、私
ども評価委員会の
議論あるいは調査に対します各
出資団体からの協力態勢の問題でございます。
私
どもは、
ヒアリングをしたり、あるいは現地訪問等をさせていただきましたけれ
ども、私
どもが求めましたいろいろな資料等につきまして、これを提出していただいていないというものはございません。我々の能力不足によって求めることができなかった、そのような部分もあろうかと思いますけれ
ども、我々
委員会が必要としたものにつきましては、すべてご提出をしていただいております。また、現地訪問においても、我々
委員は素人ですけれ
ども、そうした者に対しても非常に懇切にご説明をいただき、正直に言って、こういった調査におきまして非協力的な部分を感じたことはございません。ただ、
委員会等で
議論をする際に、それぞれの
考え方の違いですとか、そういったところは当然あったかと思いますけれ
ども、協力態勢ということからいきますと、
評価委員会を運営するに当たりまして全く支障はなかったというのが正直な
報告でございます。
それから、2番目の点で、
出資団体の資金運用についてということでございます。
先生は専門家でいらっしゃいますので、私のような素人がここでどうこう申し上げる能力はないわけですけれ
ども、
評価委員会では、
公認会計士の方にも
委員会に参加をしていただきまして、先ほど
先生もご指摘くださいましたように、
報告書の方では最低限の運用方針というものを書かせていただきました。
ただ、私
どもは、基本的には、
会計監査ですとか
外部監査という性格づけで財務を見たわけではありません。
出資団体の組織として、ビジネスモデル的に最低限のところで問題がないかどうかという
視点で見せていただいておりますので、先ほどご指摘いただきましたようなALM的な構造ですとか、そういったところまでは至っていないというのが正直なところでございます。
ただ、
出資団体の
財務諸表等を
議論する中で、先ほど
先生もご指摘くださいましたけれ
ども、余剰資金、これは資金のたまりといったような性格のものですが、全体の財務諸表からいきますとやや多いのではないかというふうに
委員間で
議論をする、そういう
団体もございました。したがって、そういう
団体において、こうした余剰的な資金のボリュームというものを見直す
必要性があるのではないかという
議論をする一方で、多くの
出資団体においては、著しく過剰というような
考え方、判断をすべきものはほとんどございませんでした。
私
どもの
委員会としては、これから自立性を求めていく中で、やはり、ある程度は財務面でも体力をつけていただくことが
札幌市の財政にも貢献するというふうに考えておりますので、今までのような形ではなく、自立をしていくことになりますと一定の厚みを持っていただくことも必要かなと思います。
最後になりますけれ
ども、外債ですとか、そういったものへの資金運用の是非という問題でございます。
これも、若干、
委員会の方で
議論になりました。この点は、
先生が最後の方でご指摘くださいましたように、外債を含めた資金運用をやって、そのリスクをとることができるような能力、体力というものをつけることが必要であるというふうに
委員会の中で
議論いたしました。これは、若干、ご意見が違うのかもしれませんが、外債
そのものに対して、運用することが画一的にいけないというふうには
委員会の方では判断しなかったわけです。ただ、それでは、そこで生ずるリスクをきちっと管理できるのかということにつきましては、今までの財務の運用の仕方と違うということから考えますと、かなりご努力をいただかないといけないのではないかというところはございました。
不十分かもしれませんけれ
ども、以上です。
◆峯廻紀昌
委員 この
評価委員会は、昨年5月に設置され、
宮脇委員長を初め、
評価委員の皆様におかれましては、お忙しい中、約10カ月間という短期間で
報告書をまとめ上げられ、提出されましたことに対して、まず、心から敬意を表したいと思います。
また、ご多忙の中、本
委員会にご出席いただきましたことにも、心から感謝申し上げます。
せっかくの機会でございますので、簡潔に2点ほどお伺いします。
これから、
評価委員会からいただいた
報告書をもとに
見直しを行っていくわけですけれ
ども、それには多くの課題があると考えております。
これは先ほ
ども宮脇委員長からお話がありましたが、
報告書の中でも、
札幌市の課題として、これまでの
出資団体は、
札幌市の
代理執行機関としての性格が強く、市の拘束を受ける側面が少なくなかった、そこで、
札幌市自身が、既存の規程類を見直すとともに、政策の
方向性を明確に示して、
団体の責務と役割を活性化するために積極的に行うべきということで提起をされております。この中身を見ますと、先ほ
どもお話がありましたように、
札幌市の
行財政改革といいますか、組織
改革も含めて、要は、
札幌市がきちっとしたビジョンを持って
見直しを進めていきなさいということであると受けとめております。
そこで、この
評価委員会では、実態調査も含めて多くの
ヒアリングをやっておられますし、
報告書の中にも課題として提起をされております。先ほどの
宮脇教授のお話、あるいは、
委員長の
質問の中にも今後の課題的な部分が幾つかありましたが、そのほかに、今まで明るみになっていないというか、お話しになっていない部分で、特に課題としてとらえていることがあれば、お話を伺えればと思います。
それから、先ほ
どもお話ししたように、今後の
見直しの中で、当然、いただいた
報告書はすべて重要な内容になりますけれ
ども、特にこのことにポイントを置いて、あるいは重視してというような中身があればお伺いしたいと思います。
大変漠然とした
質問で申しわけありませんが、2点についてお願いいたします。
◎
宮脇淳 参考人 それでは、2点につきましてご
報告させていただきます。
今回の
見直しにおいて重要な課題となるものは、今までご説明させていただいたもの以外にどういうものがありますかという
先生のご
質問でございます。
重さにつきましては順番が正しくないかもしれませんけれ
ども、お許しいただいて整理をさせていただきます。まず一つは、先ほどの
指定管理者制度等も含めて、こうした
見直しをするときには、一時的に非効率な方向に動き、結果的に、全体として非効率になる部分が生じてくるということでございます。
指定管理者制度あるいは
出資団体の
見直しをいたしますと、そのことによって、財政支出の削減ですとか人員の削減というものがすぐにでも目に見えた形で出てくるのではないかということを非常に期待される面がございますけれ
ども、実は、動き出した初期においては、もしかすると財政支出はふえてしまう、そういう実態というのもございます。
そういう実態というのは、どういう点で起こるのかということになりますと、やはり、
指定管理者制度を導入して
民間にお願いしたとしても、そこで働いている方々をどう処遇するのかといったようなことを考えますと、財政支出については、必ずしもその分だけ削減されるということにもならないということです。ということは、長期的な視野に立って着実に行うプログラムを持ち、その中で、一時的に発生することに余り揺れないといったようなことでございましょうか、言葉遣いとしてはちょっと適切ではないかもしれませんけれ
ども、そういう気構えというのが恐らく必要になってくるのだろうと思います。
このことは、先ほど来ご説明させていただいております市の
改革というものが進まないとなりますと、今申し上げましたような問題点がより深刻化する場合がございます。したがいまして、長期的なプランに立ち、その中で発生する一時的な問題ということについては、きちっと乗り越えていく、そういう体力、そして市民への説明というのが必要になるというのが最も大きな問題であろうと思っております。
もう少し具体的にご紹介させていただきますと、長期的な視野と申しますのは、ご承知のように、
札幌市においても、これから職員構成というのが大きく変わってまいります。そういう中で、当面は、よく言われます団塊の世代の方々がおられて、給与面等においても非常に厳しい状況にあるということはそのとおりでございますが、その後の世代を考えてみますと、人員構成も非常に減ってくる。そういう中で、
出資団体も含めて、今後の
公共サービスをいかに支えていくのか、より充実させるのかといったような長期ビジョンの中で
出資団体の
見直しを
位置づけませんと、実は単なるトカゲのしっぽ切り的なものになってしまうといったことも起こるのではないかということはございます。
したがいまして、ご指摘くださいましたように、長期的なビジョンの中でこのことをきちっと
位置づけていくということがございます。
それから、もう1点でございますけれ
ども、
出資団体も含めた職員の方々について、研修という言葉は余りよくないのかもしれませんけれ
ども、人的な資源としての育成をどのようにして行うのか。このことは、今までは
代理執行機関として、ある意味で
札幌市のルールとか
やり方に熟知しているということが一つのメルクマールにはなったのだと思いますけれ
ども、今後は、自律的な
創意工夫というものを求めていくとすれば、やはり、人的な
評価の問題や人を育てていく
やり方というものも違ってくる、そのことを同時並行的に充実させていく
必要性があるのではないかということでございます。
また、2番目として、実行計画を策定していくに当たり、
報告書の中で特に重視してもらいたい部分というのはどこなのだというご
質問でございます。
これは、先ほど来のご
質問に重複してしまいますけれ
ども、1番目は、やはり、
指定管理者制度をきちっとスタートさせていただきたい。そして、それが
透明性のあるものであるかどうかということが非常に重要なことになるというふうに思っております。
もちろん、最初の段階から、すべて
出資団体から
民間に移っていただきたいといったような
考え方を持っているわけではございません。これは、やはり、やれるところから着実に実施をしていくということが必要であり、また、ある意味でいいますと、指定管理者の選考などにおいて
透明性を担保することによって、
出資団体の業務の
必要性ということを根拠づけていくということも、また一方では非常に重要なことになるのではないかと思っております。
したがいまして、
指定管理者制度の問題というのは、私
どもは常に非常に重視をした点でございます。
それから、2番目として、これも繰り返しになりますけれ
ども、やはり、
札幌市役所本体の
改革と両輪でやっていただきたいということでございます。これは、当然、
札幌市本体の人事制度や財務制度、あるいは、契約発注といったようなことについても、
出資団体が
創意工夫をした場合にそれを柔軟に受けとめられるような制度になっておりませんと、実現することがなかなか難しくなっていってしまいます。
これは余談になりますが、80年代の第三セクターの
改革というものが必ずしもいい成果でなかったという原因の一つは、決して第三セクターという枠組みが悪かったということだけではなくて、これを十分に生かす周辺の制度というものが生み出されてこなかったところにあると思います。
やはり、
出資団体につきましても、重要な地域の
サービス提供の役割を担うところであるということも当然ございますので、この
見直しによって
自律性が出ることを生かしていただけるような環境をぜひ設定していただきたいということが、
委員会全体が非常に重要視した点でございます。
◆阿知良寛美
委員 きょうは、大変お忙しい中を出席していただきまして、ありがとうございます。
私の方からは、組織の
評価について、簡潔に2点、
質問させていただきます。
4番目の組織の
評価についての中に、内部統制が十分
機能しておらず、組織体質として問題を有している
団体や組織利益が優先しやすい
団体も見受けられた、こう述べられております。
初めに、内部統制が十分
機能していないというのは、もう少し具体的に言うと、どういう事例のことをおっしゃっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
それから、2点目として、組織利益が優先しやすい
団体がネガティブな
団体、だめな
団体と思われておられますが、組織利益イコール設立目的の達成というふうに考えますと、逆に
評価できる
団体ではないかなと思いますけれ
ども、具体的にどういう事例なのか、この2点をお聞かせ願いたいと思います。
◎
宮脇淳 参考人 お答えさせていただきます。
正直に申し上げまして、
報告書作成のところで少し筆が滑ったのかなという感じがしないでもないところでございますけれ
ども、一つは、内部統制が十分
機能していない
団体ということでございます。
これは、
委員会の中でも明確に
議論いたしましたし、
報告書の中でも指摘をしている事項でございますので、個別
団体ということでご説明をさせていただきます。
これは、財団法人
札幌市交通
事業振興公社でございます。
内部統制といいますのは、やはり、組織全体の価値観あるいは意思というものが、全部の職員を含めた組織全体にどの程度浸透しているのか、その浸透度というものが必ずしも十分ではないのではないかということを
委員会の中で非常に強く感じたわけでございます。といいますのは、現実に訪問もさせていただきまして、大通だったと思いますけれ
ども、事務所も見せていただきました。そこで働いている方々は、非常に熱心に働いておられ、また、私も定期券を買いに行きますけれ
ども、対応も非常にすばらしいと思っております。
ただ、組織全体で見た場合に、ご承知のように、売上金等の管理、こういったことについて、ある意味ではサイクル的に再発してしまっている。また、そうした問題への対処というのが手続的な性格の方に非常に強くなってしまっていて、組織全体として、こういう不正を発生させないという意識とそれに基づく行動をとるような、そういう組織体質を生み出すというところに至っているかというと、まだまだなのではないかというふうに
委員会の中でも感じたところでございます。
したがいまして、組織全体としての職員のそういう意識づくり等々について、あえて、もっとご努力をいただくことが必要なのではないかということで、
報告書の中でも明確に
団体名を示して書かせていただいております。
そして、2番目でございますけれ
ども、組織利益が優先しやすい
団体、これは、今、言われましたように、組織利益イコール設立目的の達成であり、その設立目的が地域全体の利益ということで一致しているということであれば、決してネガティブに
評価をするべきものではないと思います。ご指摘はそのとおりだと思います。
ただ、私
どもが見せていただきまして、地域全体あるいは公共全体の利益ということと、その設立目的も含めた
出資団体の一つ一つの組織が求めているものというのは、全部が100%一致していたかというと、恐らくそうではないというふうに感じます。これはどんな組織でもあることだと思います。ややもすると、一つ一つの組織の中の利益を、追求といいますか、相対的に重視をされている度合いが少し大きいのではないかというふうに感じられる
団体もあったということです。
ただ、これは、どこの
団体で際立ってひどいといったような問題ではなくて、高いところから低いところまでいろいろありました。
こういった問題と申しますのは、よく天下りという批判が出ますけれ
ども、天下りというのが、もし組織利益と設立目的が一致して、設立目的が地域全体のためということであれば、地域全体のために天下りしているわけですから、これは決して批判されるべき問題ではないということになってしまいます。しかし、批判があるというのは、やっぱり、それが地域全体ではなくて、組織のための部分を持っているから、そういう意識というものもまた一方ではある。
今回、こういった
団体で、これは今の私の例の部分ではございませんけれ
ども、組織の財務体質等も含めて、必ずしも地域全体という視野ではなく、一つ一つの組織利益の方を重視しているのではないかと、あえてこういう指摘をさせていただきまして、
出資団体として、そういった点については少し
見直しをしていただいて、質の向上に投入をしていただきたいというのがこの文言の真意でございます。
◆小川勝美
委員 それでは、私からも、3点お尋ねしたいと思います。
今、前の
委員のご
質問の中で、
宮脇先生から、いみじくも、天下りの問題が地域全体の利益になっているのでは問題もないし批判もないのだろうけれ
ども、組織利益のためになっている、そういうことから往々にして批判があるのだというようなご答弁がございましたが、私は、実はその問題についてお聞きをしたかったのです。
きょう、最初に、
宮脇先生から、五つの特色ということで、今回は
問題提起型の
報告なのだと、そして、これは、今後、
創意工夫される
スタートラインの
報告書だ、こういうふうにご説明がありましたので、より理解を深めたところであります。また、
委員長の2番目の
質問で、
出資団体の
自律性の向上、こういうことでは人が基本だと、それから、今の問題の人的資源の研修の
あり方、こういうこともご答弁がありました。
そこで、1点目は、今回、市長の選挙公約との関係で、
宮脇先生を中心にした
宮脇委員会がつくられたのではないかと思うものですからお尋ねしたいのですけれ
ども、市長は、選挙のときに、「市民との約束
札幌あたりまえ宣言」ということで、「あたりまえのことがあたりまえに通るまち 脱・不公平が基本のまち 2003年春 上田文雄とともに
札幌は変わります」、こういう公約をしました。その中で、「市民の目線で市役所
改革を進めます」、こういうのがありまして、その中に、外郭
団体への
補助金をゼロ
ベースで
見直しますとか、各種
団体への
補助金交付の
あり方を
透明性、合理性、公平性の観点から
見直します、こういうようなことなどとあわせまして、きょう、問題になっております
出資団体、第三セクターを
改革するとともに、そこへの職員の慣習化、既得権化された天下りを禁止します、こういうのが市長の選挙公約なのです。
今回、
宮脇先生の
報告書の中では、38
団体について、OBが53人、現職派遣が5名とされております。ゼロの
団体もございますけれ
ども、これらOBなどが再就職しているところについては、複数のところは1人削る、もし削れない場合についてはその理由を明確にすべきだ、こういう
報告になっているのです。
市長の公約では、慣習化、既得権化された天下りを禁止しますとなっていますが、
札幌市の
出資団体で社長であるとか理事長だとかに天下りしているのはほとんど既得権化しているのです。三役、助役や収入役、企業管理者、これらの退職者はこういう会社のポストとかこういう公社のポストと、そして、局長職についてはこういうポスト、そして部長職についてはこういうところのポストというふうな形で、それこそ慣習化、既得権化しているのだと思うのです。したがって、市長の選挙公約はそれらを禁止しますというふうになっていたものですから、多くの市民が、市民の目線に立って本当に市役所を
改革してくれるのだな、こういうふうに期待をしていたのだと思います。
そして、2年が過ぎて、今度、6月で折り返し点を過ぎるんですけれ
ども、ことし3月に退職した局長職や部長職も、同じように、同じレベルで再就職をしています。そんな中で、3月31日に、
宮脇先生から
報告書が出されたわけですけれ
ども、
宮脇先生自身は、市長の選挙公約についてどのようにお考えになっているのか。これは、もともとできないことを公約しているのだというふうにお考えなのかどうなのか、この点をお尋ねしたい。
2番目に、今回、38
団体を指定されて
報告の対象になっていますが、OBが再就職していない
団体が5
団体ありますので、33
団体に53人が再就職をしておりますけれ
ども、その中で複数の
団体というのは16
団体しかないのです。この16
団体の中で1人ずつ削減する、もしできないときは理由を明示するということになると、最大限で16人しか、天下りというか、再就職が少なくならないのです。そうすると、先ほどの答弁で言われたような、地域全体への利益ではなくて、組織利益という批判があるという点と結びついていくように私は思うのです。あるいは、天下り関係というのは、つくられた関係から、もとの職場と関係の深いところにそれぞれ天下っているという特徴があります。そういうことからいって、組織利益のためというふうな批判が引き続き多く残ることになるのと同時に、市長の選挙公約とも反するのではないか、こういうふうに思うのですが、この点について2点目としてお尋ねしたいと思います。
3点目は、今回は38の指定
団体について調査をされて
報告が出されたのですけれ
ども、それ以外にもたくさんの
出資団体がありまして、
札幌市が筆頭株主の
団体で、社長は常に市の局長職が天下りする、こういうところな
どもございます。そして、昨年の私
どもの
委員会で、再就職の
見直しというのが出されて、64歳になったら、なった年にこれらの天下り先では退職する、私
どもはこういうふうに
報告を受けました。しかし、その舌の根の乾かないうちに、64歳ではなくて、65歳でも社長に居座り続けようというような動きがあるようにも報道されています。
これらについてはどのように考えておられるのか。非指定
団体の取り扱いについてのご意見などがありましたら、お尋ねをしたいと思います。
◎
宮脇淳 参考人 今、3点のご
質問をいただきました。
今回、私は、
札幌市の
出資団体評価委員会の前の
委員長ということで伺っておりまして、その
出資団体評価委員会での
議論を
ベースにしてご説明をさせていただきますので、今のご
質問の中でお答えできないこと、能力不足のところが恐らくあろうと思いますが、その辺はお許しいただきたいと思います。
まず、最初の点で天下りということと、それから、市長の公約の問題というところを少しまとめてご説明させていただきたいと思います。
市長の公約につきましては、実は、私は詳細に存じ上げておりませんで、十分理解をしているわけではございませんけれ
ども、私
ども出資団体評価委員会ができ上がるときに、
札幌市長から諮問をいただいた事項といいますのは、
札幌市の
出資団体についてゼロ
ベースで
見直してください、そういうご諮問をいただきました。したがって、その諮問を
ベースにして、
札幌市から
出資団体に対する職員の再就職の問題などを検討してまいったわけです。
先ほど、私は、組織利益的なことになるような天下りについては十分見直すべきであるというふうに整理をさせていただきました。今日、こういう組織利益的なものの代表といたしましては、よく、国家公務員の中で、渡りといった形で何回もの退職金を大量に確保していくですとか、あるいは、
地方自治体でも、従来からございましたけれ
ども、昨今、特に取り上げられている大阪市ですとか、こういった問題があるということは確かであろうと思います。
ただ、
委員会全体の意見といたしましては、天下りという言葉遣いが適切かどうかはわかりませんけれ
ども、市の退職者が他の
団体に再就職するということがすべて禁じられるものなのかということに関しては、それをすべて禁じることは適切ではないというふうに考えております。
むしろ、そのプロセスにおいて、なぜこの方がここに行かれるのか、どういう資質をお持ちになられているから行くのかといった選択のプロセスというものが不透明であるところに本質的な問題点があるのではないかというのが
委員会の意見でございます。
といいますのは、やはり、
札幌市を初めとした行政の中で培われたノウハウというものを地域にさらに生かしていくという面からいきますと、限られた人材を再活用するということは、必要なことであろうと思います。ただ、そのプロセスにおいて不透明な部分がある。選考基準等々において、どういう人材が必要なのかというようなことが市民の方からはよくわからないというところに本質的な問題があって、そういったところを透明化するご努力というものが必要ではないでしょうかというのが
委員会の基本的な
考え方でございました。
そういった
考え方を
ベースといたしまして、先ほど
先生がご指摘してくださいましたけれ
ども、我々としては、複数の
常勤役員等がいるところについては、まず1人を削ってくださいということで、ある意味でいいますと機械的な
やり方をさせていただいております。
その理由でございますが、各
団体を見ますと、
常勤役員の数と業務の複雑性、範囲というのが必ずしもパラレルではないということがございます。実質的に業務数が非常に広くて、これは
事業の数として意味ではなく、実質的に業務領域が広く、職員数が多いにもかかわらず、
常勤役員の方がお1人しかいない、そういうところもございますし、一方で、必ずしも2人以上おられる
必要性があるのかと思える組織もあります。また、そういう業務の範囲だけではなくて、恐らく経営形態によってもこういった問題は違うと思います。
そこで、我々といたしましては、まさに
問題提起型の
報告書とするために、複数以上のところで1人を削減するのか、しないのか、そのことについて、するならする、しないならその理由を明確に書いていただきたい、そして、さらにほかの
出資団体とも比較して、その
あり方について
議論をしていく
ベースにしていただきたいというのがこの
考え方の本意でございます。
したがって、これは
委員会の最後の方で
議論が出たところですけれ
ども、場合によっては、そうした比較の中で、現在、1人しかいないところが2人になるということもあり得るのだろうと思います。
しかし、我々はそこを明確に根拠づけるという能力がございませんので、今回、こういう形で1人を削減していただきたいという提案の中から、今後、ご
議論をいただくためのトリガーというものを提供していきたい、ここはそういう思いでございます。
最後の点につきましては、私は今初めてお聞かせいただいた点ですし、これは、
委員会では全く何も
議論をしておらず、私にご答弁させていただく能力はございませんので、この2点で終わらせていただきます。
◆小林郁子
委員 私からは、3点、お伺いしたいと思います。
先ほどの
委員長からの
質問への
先生のお答えの中にも示唆されたものがありますけれ
ども、改めてお伺いしたいと思います。
1点目は、経営
評価ということについてでございます。
市の
財政的関与や出資比率の
あり方を考えるときに、通常、市もそうなんですが、私
ども議会にとっても判断材料が乏しいのではないかというふうに思っております。このことから、特に株式会社についてですけれ
ども、
事業業績とか財政状況とかについて、計画と実績との
評価というものが必要ではないかなと考えます。そのためには、
外部の専門家等の
評価委員会というものを設置することも考えられるわけです。そこで、
評価の
必要性、また、その
方法についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
また、今申し上げたことともかかわりますけれ
ども、出資を継続するか否かというときの判断基準のようなものが市にあってよいのではないかとも思うのですが、この点についてもどうお考えか、お伺いしたいと思います。
それから、2点目は、
情報公開についてです。
札幌市の
情報公開条例では、
出資団体における
情報提供はある意味で努力規定になっております。そういう中で、
見直しや今後の運営ということに当たりましては、経理とか人事とか、そういうものを市民に公開してもいいのではないかと考えるんですが、
出資団体の
情報公開はどの程度までがふさわしいのかというようなことも含めまして、どうあるのがいいのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
それから、3点目は、自主
事業の
評価についてです。
特に、財団法人ですけれ
ども、自主
事業をやっているところがあります。自主
事業といいましても、市の財政的、人的関与を受けている
団体が行う公益的な
事業だと思います。その
事業のための会計というのは、本来
事業とは区別されておりますけれ
ども、実態としては、やはり
団体一体として、何らかの形で、人とかお金とか事務所スペースとか、そういう意味では資源をやりくりしながらやっているところもあると思います。また、自主
事業が、
民間でもう既にやっているとか、NPOでもできるというものがありますし、現在でも実際にあります。
そうなりますと、自主
事業についても、その
団体が行うのがいいのかどうなのか、市として財団
評価とあわせて自主
事業の
評価も必要になってくるのではないかと考えるんですが、そこについてお伺いをしたいと思います。
◎
宮脇淳 参考人 それでは、
先生からいただいた3点の
質問にお答えさせていただきます。
少し順番を変えさせていただいて、最初に、3番目にご
質問いただきました自主
事業の問題でございます。
正直に言いまして、
委員会の
議論の中でも、当初から十分に理解が進まなかったのが自主
事業という部分です。自主
事業というものについて、よくその内容を見てみますと、今ご指摘のように、ある意味で、本当にそれは
出資団体がやる
必然性があるのかなと
議論したところもございます。それから、自主
事業といっても、その財源は、間接的ではあれ、財政資金的なところに依存している部分もあるのではないか。その一方で、これは内部補助と言いますけれ
ども、こういう自主
事業によって得た収入で他の公共的なことをやっているといった
仕組みも存在する。
いずれにしましても、今回、審議をするときの資料でも、自主
事業というものについて、自主
事業だから組織が自主的にやっているのでこれは問題がないのだというふうにくくってしまいますと、実は全体像のところがよくわからなくなってしまって十分な
評価ができないというのは、ある意味で
委員全員が共通して抱えた問題でございます。
ですから、今ご指摘がありましたように、自主
事業であったとしても、その内容について
事業的な
評価を行ってみるということは必要なことだと思います。ただ、最終的に判断を下す場合に、その自主
事業という単体のものをやめるとか見直すということが、それと対になっているほかの
事業と一体になってしまっていて、その
見直しを行うことによって、ある意味で言いますと財政的な負担というものが発生する可能性も出てきます。そういうことを思いますと、自主
事業以外の部分の
公共性とか、そういうところをきちっと判断しながら自主
事業の
あり方というのも見ていかなければならない、そういうちょっと複雑なことはあると思います。
ただ、そういう内部補助的な
必要性があるといっても、やはり、自主
事業も含めて明確化を図っていって、その上で、自主
事業をやりながらも担っていただく
公共サービスであるのか、ないのかという
議論はしていくべきであろうというふうに思います。これは、恐らく全員の
委員が感じているところであろうと思っております。
そして、最初の
質問に戻らせていただいて、
評価の
あり方です。
私
どもが感じたのは、冒頭にご紹介させていただきましたように、
事業評価、
事業ごとにあるべき姿というものを考えていくということは非常に重要なことでございます。
事業ごとに、その
コスト、あるいは
公共性がどの程度なのか、
必要性がどうなのかといったようなことを整理していくことは非常に重要なことですけれ
ども、その
評価自身によって、先ほどご説明したような予算のこと、人事のこと、人のことということは自動的に結論が出てくるものではないということ、これが一方では非常に難しいことでございます。
したがって、よく言われる費用対効果的な
評価をするのであれば、これはもう
事業評価のレベルでいかようにもやることができるわけですけれ
ども、そうした
事業についての財政的な負担や人の問題をどのように考えていくかということになりますと、
事業評価を超えた、やはり、
行政機関全体としての
評価なりビジョンというものが不可欠になってくるというふうに思います。
つけ加えさせていただくなら、例えば、財務分析などから最近よく行われる経営
評価的なものを行ったといたしますと、経営分析的に言えば、組織体としては、国から
出資金や
補助金をよりたくさんいただいた方がキャッシュフローの安定を確保することができる、そういう結論が出てまいります。しかし、そのことは、
出資団体として適切であるかどうかということとはまた別の問題でございます。ですから、あくまでも、こうした
評価というものは、貴重な判断材料ではありますけれ
ども、そのこと自身において最終的な判断を示すことにはならないというふうに我々は考えております。
もう1点、ご
質問をいただいた出資の問題でございます。
出資の問題については、
委員会でも
議論になりまして、例えば、出資比率が非常に中途半端になっている部分がございます。これは、恐らくいろいろな経緯の中でそうなってきた部分があるのだろうと思います。
ただ、これは、一方で、先ほどのガバナンスといいますか、内部統制の問題でございますけれ
ども、商法などいろいろな規定によってガバナンスをきかせられる出資比率というのは一定の比率で段階ごとに決まっているわけです。そうしますと、それでは、内部統制上、こういう中途半端な比率が有効なものなのかどうかといいますと、必ずしも有効ではない。ですから、一方においては、もう少し出資比率を上げなければいけない部分があるのかもしれません。しかし一方では、中途半端な出資であっても経営が安定しているのであれば出資を引き揚げるという判断もあろうと思います。ですから、一つの判断材料としては、
札幌市として
出資団体に対するガバナンスをどういうレベルできかせるのか、そのことによって出資を継続するのか、どういう比率にするのかといったような判断もまた必要であろうと思います。
それから、最後になりますが、
情報公開の問題でございます。
現在、
札幌市の
情報公開条例では努力規定になっているけれ
ども、このことについてどう考えるかというご
質問をいただいているわけでございます。
出資団体に関するこの
議論の中でも、やはり、
情報というのはできる限り共有していくべきであるというのは、他の政策、
事業と異なるところはないと考えております。ただ、
出資団体の場合に非常に難しいのは、形態が非常に千差万別であるというところです。このために、場合によっては、
出資団体の他の出資者の経営の自主性というものに対して影響を与えてしまう、そういう場合が出てまいります。これは、
出資団体の
自律性ということを考えますと、やはり、そのことが適切であるかどうかということもまた一方では十分に
議論しなければならないということになります。しかし、そういった面に配慮しつつも、
出資団体についての
情報は、最大限、共有をしていくという努力をしていくことは私も必要であろうと思います。
繰り返しになりますけれ
ども、
出資団体に対する取り扱いも、法人格も、極めていろいろな形態がございますので、これらを画一的に取り扱うことが適切なものかどうかということについては、十分に
議論する
必要性があるのではないかと私は思っております。
○
涌井国夫 委員長 以上をもって、
質問を終了いたします。
本日は、
宮脇先生のおかげで大変有意義な
委員会になりましたことに、改めて感謝申し上げます。
本日の成果につきましては、今後の
委員会活動に生かしてまいりたいと考えております。本当にありがとうございました。
以上で、
委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後2時41分...