これまでの
取り組みを踏まえ,
地域防災計画を初め,
各局などで
策定している
災害や
危機対応の
個別計画,
マニュアルなどの
実効性を確保し,さらに新たに
対応すべき
事象への
取り組みを進める必要があります。このため,
危機マネジメントシステムを導入することにしました。この
システムを確実に運用することにより,
市役所の全組織の
危機対応力向上を目指します。
5ページをごらんください。
第3章
危機マネジメントシステムです。この
システムは,
危機管理責任者制度と
危機管理対応力強化システムの二つの柱から成ります。これは,
各局などの
危機管理の
責任者のもと,
危機の発見に努め,
マニュアルを整備し,これに基づいて
訓練,
研修を行い,
対応策を検証し,改善を行って常に緊急時に備える
システムです。既に本市においては,
業務が環境に及ぼす影響の
評価を行う
環境マネジメントシステムを
実施して,
組織風土としてなじんでいます。同様の手法で
最高経営層が行う
マネジメントとしての
危機管理を行いたいというものです。これは,他都市には類例がないことから,着実な定着を図るため段階的に進めていくという考えです。
まず,第1節
危機管理責任者制度ですが,局等の長を
責任者として
平常時における
所管局内の
危機管理を行うものです。
6ページをごらんください。
責任者の
役割としては,
危機の把握,
対応マニュアルの整備,
情報連絡体制の確立,
職員の
訓練・
研修の
実施,
市民等の
意識啓発,このようなものがあります。当然,
危機の把握は
所管業務にかかわる
危機の
情報を日常的に調査研究し,分析する能力の
向上を図る必要があります。
対応マニュアルの整備については,緊急時にどう
対応すべきかの
マニュアルを整備します。
危機の把握により,新たに
策定する必要がある場合や,既に
策定していても把握した
危機に
対応できるか検証し,必要により
見直しを行います。
情報連絡体制の確立ですが,緊急時の
対応には迅速で的確な
情報が必要不可欠です。局内はもちろん,
事象により,
関係局,
関係機関との
連絡体制が必要となります。
平常時から
連絡体制を構築する必要があると考えています。
危機管理訓練・
研修の
実施ですが,緊急時における迅速で的確な判断,
対応を行うためには,
職員は日ごろから
対応マニュアルに基づく緊急時
対応の習熟に努める必要があります。
責任者は,
所属職員に対して,緊急時を想定した実践的な
研修,
訓練を行います。
市民等の
意識啓発では,大
規模な
危機の発生時には行政だけでは十分な
対応は困難です。
市民,企業の理解と協力が不可欠です。また,
市民,企業みずからも備えを講ずる必要があります。このため,
責任者は,
市民等に対し,
所管業務に係る
危機管理対策への積極的な理解や協力を求めるとともに,
市民等の
危機管理対応力の
向上を図るための支援を行います。
第2節
危機管理対応力評価システムです。
責任者が,
危機の把握や
訓練・
研修の
実施などみずから行うべき
役割について定期的に検証と
評価を行い,不適合な点を改善していく
システムです。
指針には,10項目ほど例示していますが,全局に共通する項目として
責任者の
役割を主たる
評価項目として考えています。この
評価については,
最高経営層による検証を踏まえ,その結果から,
危機管理に関する
対応力を客観的に
評価し,改善を行って
市役所全体として
対応力の強化を図っていくことを目指すものです。
9ページをごらんください。
第3節
危機管理対策室の
役割です。これは,
平常時の当室の
役割に当たります。
役割としては,第1に
危機マネジメントシステムの
運用管理があります。これは,
危機マネジメントシステムの
事務局として,全市的な運用の
統括管理を通じ,
各局などの緊急時
対応への備えを促進します。
二つ目として,
情報の
共有化です。想定される
危機に関する
情報について,みずから,または各
責任者から,さらには
関係機関と連携して収集に当たり,分析し,
情報の
共有化を図ります。
三つ目は,
危機管理訓練・
研修の
実施です。各
責任者の行う
訓練・
研修の支援とともに,
職員への
階層別研修とか,
個別研修を
実施します。主な支援の内容としては,お手元にお示しのとおりです。第4番目に,
市民等の啓発ですが,各
責任者が行うもののほか,
広報誌等を活用して
危機管理対策に関する
情報提供を行い,
市民などの
意識啓発を進めます。主な手だてとしては,マスコミによる活用,ホームページの活用,
洪水ハザードマップの作成・提供,
防災カルテの作成・提供,
地下施設の
浸水対策マニュアルの
作成支援などです。
10ページをごらんください。
第4章 緊急時の
対応等です。
第1節 予兆時の
対応ですが,
地震などの突如発生するものもありますが,多くの
事象に
予兆段階があることから,この節を置きました。この節では,この段階での
各局などと当室の
対応について記述しています。
事象が発生していませんが,未確認の
情報があるとか,
事象はあるが
警戒体制レベルにおいては,局,当室とも
情報の収集,分析を行って,今後の予測をするとともに,
関係局や
関係機関との連絡を行います。当室においては,必要により,
対応体制の指示や,
単独局では
対応できない場合は
関係局・機関との調整を行います。また,
所管局が不明な場合は当室が
初期対応を行い,
所管局が決定後,速やかに引き継ぎを行うこととしています。
次に,11ページの第2節 緊急時の
対応体制ですが,巻末の別表でご説明します。
対応体制としては,次の3段階に整理しました。下から順に申し上げると,
規模,程度が日常の
業務の
管理の
範囲の場合,これは
警戒体制レベルとなります。
各局等の
責任者の判断で
職員配置や
情報収集を行います。次に,
規模の拡大,種別により日常の
管理業務を超える
事象の場合,これは
危機対策実施本部レベルを組織し,
対応します。最近の例では,昨年の台風18号があり,ほかには,
食中毒対策本部,それから
水道局事故対策本部がこの
レベルに相当します。次に,全市
対応が必要と判断されるときは,市長を本部長とする
危機対策本部
レベルで
対応に当たります。
感染症対策本部や飲料水対策本部がこれに相当します。
12ページをごらんいただきたいと存じます。
第5章 今後の
取り組みです。
第1節 今後の
取り組みでは,今後,
札幌市においてどのようなことが
危機となるかを研究して,
危機の把握を行うとともに,
対応力の一層の
向上を進めてまいります。想定される
危機の中で,
自然災害は,発生頻度も高く,
市民生活の影響度も非常に大きい,多くの局の
業務にかかわることから,今後の実際の全市的な
危機管理の
取り組みに当たっては,
地域防災計画が既に
マニュアル化している
事象の
対応体制の確立,これを中心にこの
システムの運用を進め,その後,その他の
危機対応へと拡大していきたいと考えています。当分の間,
危機マネジメントシステムの運用については自己検証で進めてまいりますが,将来的には
環境マネジメントシステムなどで行われている市
職員による内部監査を導入したいと考えています。
第2節
武力攻撃事態等では,
国民保護法制が成立し,武力攻撃事態への備えも今後始まろうとしています。また,テロについては今現在の法制度では
国民保護法の枠組みとなる事態対処法で当面
対応することとされています。今後,これらの推移を見ながら整備を行うことになります。
最後に,第3節
指針の
見直しでは,
指針については常に検証を行いますが,
危機の定義の変化に伴い,実際に機能させていくためにも,現実に即するように弾力的に
見直しを図っていかなければならないと考えています。
○
熊谷憲一 委員長 それでは,
質疑を行います。
◆藤川雅司
委員 今まで,
地域防災計画で想定する
災害は,2ページの表のように幾つかあり,それに基づいて対策本部なりが
設置されるということでした。これ以外の
危機を探すのだということで,
危機の定義もここに
危機事象とあるのですが,新たな
危機ということで,感染症などがありました。これから,各原局で具体的に
危機を想定するということです,イメージとしてはわかるのですが,どのような事柄が挙がってくるのでしょうか。
◎北村
危機管理対策部長 現在,新たな
危機を探すという
委員のお話がありましたが,探すのではなくて,今現在行われている
対象としては,
地域防災計画でそれぞれの
役割があり,それをさらに深めていただく。それから,
感染症対策とか,人為的な
事故による水道
事故に対する
マニュアル,こういうテロを想定したようなものもあります。現在行っているものをまず深めていただくことと,それぞれの
業務の中で,
市民の生命,財産に直結というか,そういう事態を引き起こすようなファクターをそれぞれの
業務の中で探していただきたいということです。そういう
システムを回すことにより,それに対する
マニュアルをつくり,それに対する習熟
訓練を行う,そして,市全体としての
対応力を高めていきたいという
考え方です。
◆藤川雅司
委員 言っている意味はよくわかるのですが,具体的なイメージがちょっと浮かびません。例えば,今,ITがありますが,これはセキュリティポリシーということで,これだけITが日常化している中では不都合があると大変です。直接的に
市民の身体や財産には影響を及ぼさないかもしれないが,間接的には非常に大きな影響を与えます。こういったものが
位置づけられていくというイメージでいいのですか。
◎北村
危機管理対策部長 実は,
危機マネジメントシステムを構築するベースに,もともとは組織のリスク
マネジメントという
考え方があり,組織の中には
マネジメントしなければならないいろいろなリスクがあります。政策的なものであればリスクをとりにいく,そういうリスクから始まり,オペレーショナルリスクと申しまして,通常,
業務に附帯する人事的なリスクとか,贈収賄とか,そういうものもすべて組織のリスクとなります。私どものところで
対応したいと考えている,第2章の第3節に例示しているのは,いわゆる外部から衝撃を与えられるハザードリスク,風水害とか天変地異を想定しています。
委員ご指摘のIT関連のハッカーについては,どちらかというと内部組織的な部分になりますので,この部分については私どもの
対象としません。また,IT推進課で同じようにセキュリティポリシーの
システムを立ち上げようとしていますので,それとうまく整合するような形でもって行いたいと考えています。
◆福士勝
委員 今,
危機管理基本指針ということで概略の説明をいただきましたが,
基本的な関係について質問します。
昨年の段階で,本市全般にわたる
危機管理事象に対する
危機管理計画を作成すると伺っていて,今回,
基本指針として示されました。
そこで,計画と
指針は,性格的に同じなのかどうかよくわかりませんが,それらのことを含めて,
基本指針とした背景,あるいは理由を具体的にご説明ください。
◎北村
危機管理対策部長 当初の予算ベースでは計画という名称がついていました。他都市の
策定状況を見ても,
指針と
基本計画は,
策定済みのところで言えば半々です。今後,
策定予定のところはおおむね
指針という
考え方とお伺いしています。
この内容としては,他都市の
策定状況を見ても,このような
危機事象に対する
対応マニュアル的なものを整備することが主眼です。内容的にはほとんど私どものものと変わりません。ただ,私どもの違いは,
マネジメントシステムで,エンドレスで改善を進めていこうというものです。他都市の場合は,いろいろな項目
体制とか
レベルがあり,そこについて有効的な記述が行われている状況です。
その中で,計画と言える部分があるのかとなりますと,実は,
危機事象の発生の形態がいろいろありますが,そこの根を断つとか,それに対するアクションが立てられるかというと,そういうわけではありません。発生してからどうするかが主になりますので,そこはあくまで
対応マニュアルという形になってしまいます。それで,多くの都市でも,発生後の
対応状況を記述する
指針的な,どういう
対応をしていくのかということで整理している現状です。これは,他都市で計画という名称を使っているところも,全く同じです。
私どもとしては,当初,計画という予算名称を掲げていましたが,内容的に計画にわたる部分が非常に希薄だということで,
指針という形でつくらせていただきました。今後,
マネジメントシステムのための要綱,今,最終の詰めを行っているところですが,それで各部局の
危機対応力を高めていきたいと考えています。
◆福士勝
委員 発生後どうするという
対応マニュアル的なものなので
指針と,それはそれとして理解したとしても,この
指針に基づいて各主管局においては
マニュアルを作成をしていくことになっています。しかしながら,
地域防災計画の関係では,
マニュアルを作成をすることになっています。それらについて,進捗状況はどうなっているのか。
それから,この
指針に基づく
マニュアルは,
地域防災計画上の
マニュアルとは別なものかどうか。あるいは,一体として今後作成をしていくのか,その点も確認します。
◎北村
危機管理対策部長 まず,進捗状況の関係です。
地域防災計画上は29
マニュアルをつくることになっていて,現在,22
マニュアルで,7
マニュアルについて早急に進めるように,今までも働きかけしていますが,今後これによってさらに働きかけを進めていきたいと考えています。
もう一点の
地域防災計画上の
マニュアルと,
基本指針で言う
策定を促す
マニュアルとの関係です。
地域防災計画とか,そのほかのいろいろな計画があり,そこで個別の
マニュアルをつくる形になっています。この
基本指針は,あくまで各部局が自己の
責任によって,
マニュアルをつくる,習熟
訓練を行うことがきちんとなされるように働きかける,そういう仕組みです。ですから,
地域防災計画上の
マニュアルと,ここで言うこの
システムを使ってつくっていただく
マニュアルは全く同一と考えていただいて結構です。
◆福士勝
委員 同一ということですから,それはそれとして理解します。
いずれにしても,現行の
地域防災計画を初めとして,今後,
国民保護に関する計画等々を作成していかなければならない。そういう意味では,これらの計画と
基本指針との関係とかかかわりというのは極めてわかりづらい面が多々あると思います。
具体的には24日の予算特別
委員会でお聞きしいたいと思いますが,これらのことを含めて,本市の
危機管理の全体像が今後どうなっていくのか,お示しをいただきたい。
◎北村
危機管理対策部長 危機管理の全体像については,機構など,いろいろな側面があろうかと思います。私どもとしてお話しできるのは,
市民の生命,財産を守るために,少なくとも
危機に対する市の全体の
対応力です。
危機事象自体は事態によってとらえ方も変わってくる可能性があります。ですから,最終の到達点がここだということはないですが,それに向けて常に出てくる
事象に向けて,我々市の組織がすぐ検知して,
職員が習熟されていてすぐ
対応できる,そういう
体制をつくりたいと考えています。
○
五十嵐徳美 副
委員長 先ほどの藤川
委員からも質問があった具体的事例が見えないということです。例えば,ことしの冬は,十数年来の中で,区によっては最も多い降雪量,積雪量を記録していて,ある意味では
災害だなと。ただ,
危機の
範囲の中で,
市民の身体,生命,財産にどこまで影響を及ぼすかどうかというイメージとしてとらえられないのです。この中にも降雪時の
対応指針がありますが,今の状況でも人によっては
災害であると思うのです。雪に関しては,本当に猛吹雪で3日,4日も交通が麻痺するとか,そんなイメージがこの
指針の
対象になってくるのか,その辺の見きわめは,その時点で判断する
基準などの明確なものはないですが,どんなイメージを持てばいいのでしょうか。
◎北村
危機管理対策部長 雪害に関しては,
地域防災計画の中で風雪害があり,そちらの方で,市の本部の
対応体制の
基準レベルはすべて定まっています。
○
五十嵐徳美 副
委員長 現段階では,この冬はそういう
対象にならないということですか。
◎北村
危機管理対策部長 現段階においては,
対応体制としてそこまで至っていないと考えています。
○
五十嵐徳美 副
委員長 たまたま3月1日現在の各区の土木センターの数字ですが,降雪量は北区が7メートル70,東区が7メートル30,積雪量は北区が1メートル10で,東区は1メートル60です。気象台発表の観測点とは違いますから
基準には該当しないかもしれませんが,私の認識の中では間もなく8メートルにもなろうという降雪量です。ここには該当しないものの,ただ大雪による雪害という言葉で,本当に
市民にとっては我慢せざるを得ない。
市役所も目いっぱい
対応していることは十分わかっていますが,そうすると,こういう風雪害に対して,ならないにこしたことはないのは十分承知しているのですが,正直に言ってそういったイメージです。これは,
地震災害にしても,全市全域ではなくて,局地的にそういった
災害が発生するとしたときに,こういった雪も非常に難しい
対応はあるかと思いますが,どういう状況であれば本当にこの
指針が機能していくか,今後,本当にもう少しわかりやすく
市民に開示をしていただきたいと思います。
◆湊谷隆
委員 10年前に雪害という形がありましたが,これを教訓として,雪害のときにどうしたらいいという
マニュアル的なものは現在あるのですか。
◎北村
危機管理対策部長 こういう事態が起こったときに,市全体としての
対応体制についての
マニュアルはあります。具体的には,建設局雪対策室の方で,本部の立ち上げなどを行っていただいて,私どもと連携しながらやる形になります。ことしの雪についても,私どもに入ってくる気象台の
情報を,雪対策室を通じてマルチセンターの方に流して,どういう状況になりそうですということを常にお知らせしています。そして,一応の
基準といいますか,
札幌市全体の本部立ち上げ
レベルに達しているか,その判断については,雪対策室と私どもでお話しさせていただきます。
ただ,雪害によって交通が完全に遮断されて食べるものがないなどという場合は,私どもは雪対策室を押しのけてでもやらなければならない事態と考え,私どもが備蓄物資などの手配するようにします。
◆湊谷隆
委員 これは難しい話かもしれませんが,神戸等の
地震にしても,その後に被害がどんどん拡大していくのが実態です。ちょうど10年前に,ある所長が朝の3時にトイレに起きたところ,非常な猛吹雪のようだと,近所にいる
職員のジープで出て,猛吹雪の中,3時間かかってようやく事務所に到着したと。私も6時ごろ事業所に行ったのですが,これは大変だと言ったって連絡はつきません。9時に出勤してきた助役が,現状視察だと言って出たが,埋まって全然身動きがとれない。もちろん,交通は麻痺しています。雪対策の
災害本部は昼に
設置されましたが,国道でも不通のところがどんどん出てきて,バスにしても全市的に麻痺している。だからといって,ヘリコプター等は猛吹雪では大変です。そうした実態が後からどんどん出てきて,これが雪害だということになって
市民生活はもうどうにもならない状況に落ち込んでいったわけです。つまり,スマトラの
地震だってそうですが,いろいろな問題は後から出てくるのです。ですから,
危機管理というのはとても大きな意味を含んでいるのではないかと思います。
○
熊谷憲一 委員長 ほかに
質疑はありませんか。
(「
なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,
質疑を終了します。
以上で,本日の
委員会を閉会します。
──────────────
閉 会 午後1時59分...