また,そのような切断が必要となるような事象が発生した場合に,
本市の
サーバーなどが先に出るのかどうか――
札幌市長が判断するよりも,もっと先に国が判断するのではないかと思いますがいかがか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 現行の
法体系の中で切断ということができないのかということについてですが,それは可能です。
現行の
法体系としては,
法律あるいは国の通知に基づき,
札幌市緊急時
対応計画を定めております。ただ,これは
内部規定ですから,
内部決裁により定めたものです。ですから,首長が判断するための一つの要素とはなりますけれども,厳密な
法律の解釈からすれば,
住民基本台帳法第36条の2における,
市町村長の
責任としてとるべき手段という中に,そういったものが含まれるということが考えられると思います。
次に,不
性アクセス等が発生した場合に,国が先に
切断等の
措置の判断を行うことになるのではないかということについてですが,
ネットワークシステムということですから,国の所管する範囲でのみ
漏えいするということではなく,いろいろなところで
漏えいする
可能性があります。
本市から
北海道に
情報を送り,
北海道から国に送りますが,全国的な
ネットワークの中でそれが他の
都道府県に送られ,他の
市町村に送られるというようなことが実際の
システムの中では行われており,他の
自治体で
本市の
住基情報が
漏えいするということも
可能性としてはあります。そういった場合は
本市が判断することになります。
ですから,いろいろな
状況が考えられますが,その時々の判断として――国がトータルで判断するということだけでは済まない
状況もあり得ます。
◆
阿知良寛美 委員 ということは,
札幌市民の
情報が漏れて――その際に切断するかどうかということは,
本市では
札幌市長が判断するということですか。国が判断するものではないということですか。
◎
石原 地域振興部長 当然,国には
システム全体の
セキュリティーに対する
責任がありますので,そのような状態があったときには,
本市から国に送られている
情報を,国から他の
都道府県や
市町村に送ることについて何らかの判断を行うということは考えられると思います。ただ,
札幌市長の
責任として,国に送る
情報をその段階で切断する,停止するという判断は
札幌市として行うことになります。
◆
阿知良寛美 委員 条例の
目的は――
住民基本台帳法に基づく市の
事務について必要な事項を定めることにより,
住民基本台帳の公開と
市民の
プライバシーの
保護との調和を図り,もって,
住民基本台帳制度の適正な運用に資することを
目的とする――とされております。
市民の
プライバシーの
保護との調和ということであれば,この間,改正して4月1日から施行される
個人情報保護条例で,本来,守られるべきではないかと考えますがいかがか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 個人情報保護条例の中で,当然,
住基情報もその対象というとらえ方になりますから,大きなとらえ方としてはその中で整理されるべきだと思います。
ただ,
住基情報の中には,
住基情報なるがゆえの性格というか――
閲覧制度に
対応する必要があるという要素もあって,そういったものも網羅的に整備して
条例としてまとめていきたいということです。
個人情報保護条例に規定されている部分については,当然,その規定が適用されます。今回は,それ以外の,より厳密に――
住民基本台帳情報なるがゆえに整理しなければならない部分をまとめていくという
考え方で整理してきました。
◆
阿知良寛美 委員 今回,
条例案が提出されておりますが――これまで,
住民基本台帳法,施行令,施行規則,省令などで運用され,
事務を取り扱ってきましたが――
横浜市は別として,このようなものは――現在,動きがあるのかどうかはわかりませんけれども――
政令指定都市ではいまだそのような
条例は
制定されていないのです。何がゆえに,
本市が先んじてこの種の
条例を
制定しなければならないのか,お伺いします。
次に,
本市には住民票の写し等の交付に関する取扱要領というものがあります。今までこれで運用してきたわけですけれども,この要領で何か不十分だったのか。事故やふぐあいがあったのかどうか,お伺いします。
また,
条例や規程に踏み込まないまでも――例えば大量
閲覧ということであれば,
閲覧手数料を値上げする,監視する職員数の増加,あるいは,回数や枚数を制限するというような方法で一定程度の歯どめをかけることが可能ではないかと考えますがいかがか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 なぜ,
本市が他の
政令指定都市に先んじて,この
条例を
制定する必要があるのかということについてですが,最近の
個人情報に対する社会的な意識の高まりなども踏まえ――また,昨年の
総務委員会でも,
市長は
住民基本台帳ネットワークシステムの問題を含めて
住民基本台帳情報の適正な
管理のために
条例化を含めた検討を行いたいと答えております。また,この間,
個人情報保護法の施行があり,
本市としても
個人情報保護条例を
制定し,この4月に施行されることになります。そういった
状況を背景として,守るべき
個人情報として位置づけられる
住基情報についても,同じ視点で,4月から適切な
対応をすべく
条例化を図りたいということが,今回,
条例案を提案した理由です。
次に,現在の法令や
本市の要綱その他で運用している中で不都合があるかということについてですが,実務面での不都合やふぐあいは現実にはありません。ただ,この要綱についてはあくまでも
内部規定ですので,
個人情報に対するかかわりとして,
条例上,きちんと整理し,
市民にわかりやすく示していくということが必要だろうということも一つの要素です。
次に,
閲覧の規制について,例えば料金の値上げや
閲覧の場所,方法などにおいて規制的な要素を設けることにより,
条例を
制定しなくても
対応が可能なのではないかということについてですが, 料金的な面では,
本市の
閲覧手数料のレベルは非常に高く――全国でも一番高いと言っていいくらいのレベルにあります。申請件数として年間約1,600件,
閲覧件数としては24万件程度ありますが,
閲覧手数料として年間1億円前後の収入があります。
閲覧で得る
情報の対価として支払っていいただく金額をさらに上げるということは,かなり難しいと思います。
また,
閲覧の場所あるいは回数の規制については,
法律自体が
閲覧そのものを権利として
基本的に認めておりますので,何か不都合があった,不正を働いたというようなことが具体的にあれば何らかの
措置をとることは必要になると思いますが,通常の正規の
閲覧申請に対してそうした規制をするということは,現行法では難しいのではないかと考えております。
◆
阿知良寛美 委員 現行の要領で別にふぐあいを生じていないということです。
個人情報についても――
個人情報保護条例の審査の際に,死者の
情報は
条例に盛り込まれなかったけれども,要領に盛り込むという話でした。ですから,今回も要綱の改正等で十分
対応できるのではないかと思います。
今回,提案された
条例案の特徴として,
閲覧,DV,
住民基本台帳ネットワークシステムに対する
セキュリティーが挙げられておりますが,例えば,これまで大量に
閲覧された事例としてはどの程度のものがあったのでしょうか。
それから,パブリックコメントを見ると――大方という言い方は語弊があるかもしれませんけれども――
住民基本台帳ネットワークシステムそのものに対して反対している意見が多いのではないかと思います。それに対し,事業者――
閲覧する側については――
条例案には
罰則規定がありますが――そのような方々のコメントを募集したのかどうか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 パブリックコメントについては,確かに
住民基本台帳ネットワークシステムそのものに反対する意見はありましたが,今回の
条例の内容とは別のものと判断しており,そのような意見に対しては,
考え方を説明するということで
対応しております。
それから,パブリックコメントの対象には,事業者も含んでおりますが,個別に事業者あるいは
閲覧業者と言われる方に対して意見を求めてはおりません。今回の
条例案については,正規の
閲覧を行う部分については従前と同様の
対応ができるものと考えておりますので,パブリックコメント上の意見として出てこないことについて
対応を考える必要は特にないと思います。
◎吉田 戸籍住民課長 大量
閲覧の
状況についてですが,
平成10年度は総件数で約28万件,11年度は約30万件――11年度から14年度までは30万件台で推移しております。15年度については約27万件です。
時間の関係――また,区役所には
閲覧台帳の簿冊が1冊しかありませんので,それを1件ずつ見て,転記していくということですから,大体,1回に
閲覧できる件数は200件程度です。一つの業者が,何区かを回って
閲覧していくということはあるものと思われますが,その実態は把握しておりません。
◆
阿知良寛美 委員 事業者の意見――要するに,罰則を受ける側です。例えば,いわゆるポイ捨て
条例においても,これからパブリックコメントを行うのですが,これは,捨てようとする人たちの意見も聞かなければならないということで実施しようということなのです。ということは,この
閲覧にしても同じことで,罰金を取られるかもしれない,処罰されるかもしれない事業者――それは事業者が悪いということではありません。いけないということではなくて,
閲覧というものが,
法律上,認められているのです。そのような対象となる人たちの意見もきちんと聞かなければならないと思うのです。
次に,
住民基本台帳カードの活用についてですが,上田
市長が就任してから,これまで
住民基本台帳カードについて,
市民の
情報が
漏えいするという声が大きくなり過ぎて,その活用は全然進んでいないということが実情だと思います。1月末現在で7,326枚の発行――0.4%の発行率です。そのうち,最近は――例えば新規の生活
保護の受給者には――現在,振り込め詐欺などがあって,銀行もすんなり口座を開かせてくれないということで,身分証明書としてこの
住民基本台帳カードをつくりなさいというようなこともあると聞いております。
そこで,この7,326枚,0.4%という発行
状況にとどまっている現状についてどのように考えているのか,お伺いします。
それから,2月24日,読売新聞と朝日新聞に,住民異動届に不正があることが発覚して,結構,件数が多い――そこで,
自治体が発行する身分証明書――
住民基本台帳カードのことだと思いますが――それによる
本人確認を10月ころから開始したいという
総務省の方針が報道されておりました。
本市としても,カードの活用方法について検討していると思いますが,他の
自治体では,例えばICカードの空き領域の
利用,磁気ストライプやバーコードの添付によって発行枚数をふやして
利用を拡大していこうとしております。また,
政令指定都市ではありませんが,ICカードであるということも含めて,どのようなことに使えるかという検討チームをつくっている
自治体もあります。
このようなことについて市としてはどのように考えているのか――現状の普及率をどう思うか,それから,そのような独自サービスの
考え方,また,それらの検討のために部署やチームをつくろうという考えがあるのかどうか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 住民基本台帳カードの普及率が0.4%という現在の数字への評価についてですが,必ずしも十分な数字ではなく,我々が当初予定した数字ではありません。原因がどこにあるかということを考えると,いろいろな要素があると思いますが,一番大きな要素は,カードを持ったときのメリット――カードの活用ということに対して,サービスを受けられる分野が余りないということではないかと考えておりますので,その辺に対してどのように取り組んでいくかということは一つの課題だと思います。
ただ,カードの空き領域等を使用するに当たっては,
条例で定めることになりますので,整理できたときには,
条例の改正を提案させていただくことになります。
現在の
本市の
状況では,
住民基本台帳カードに先行したICカードとしてS.M.A.Pカードというものをモデル的に導入して,いろいろな
市民活動の中で活用できないかという検討を進めてきております。モデル事業としての展開も行ってきておりますので――それとの関係をどう整理するかということも課題としてあると思います。
ただ,ICカードの活用領域がこれから広がっていく
可能性は非常に大きいと思いますので,その辺は,企画調整局の
情報化推進部が全庁的な取りまとめを行っており,その中で
住民基本台帳カードを想定した活用ができるかどうかということも含めて検討していくものと考えております。
◆
阿知良寛美 委員 住民基本台帳ネットワークシステムそのものが,いかにも危ないというような感覚が
市民に大きく伝わっているのだろうと思います。そのような部分では,
住民基本台帳カードを持つことによって,もっともっと生活が便利になる――すぐにはならないかもしれないけれども――明るい話題というか――活用方法というものをもっと研究すべきだということを申し添えて,終わります。
◆飯坂宗子
委員 条例案の第8条で,
閲覧の実施及び中止について述べられておりますが,第5項で,
閲覧者が
住民基本台帳に記載された事項を記録媒体に記録したときのことが述べられていて,破棄や消去を命じることができるという文言になっております。
先ほどの答弁において,現在は,各区に一冊ずつある
住民基本台帳を筆記で写しているという現状について話されましたが,ここで言っている記録媒体とはどのようなものを想定しているのか,お伺いします。
次に,第27条の,緊急時
対応計画の策定についてですが,これは,
住民基本台帳法第36条の2に,緊急時
対応ということで,適切な
管理のために必要な
措置を講じなければならないという規定があり,今回の
条例案では,
市長権限として
システムの全部または一部を停止することができることとしております。私どもも,
住民基本台帳ネットワークシステムに対する
市民不安が大変強いこともあり,緊急時には切断も含めて検討するようにと言ってきましたので,このことが
条例に明文化されることには賛成です。
そこで,第2項で,そのための基準,手続を定めた行動計画を策定しなければならないと規定しておりますが,先ほど来の
質疑の中では,行動計画というものは,現在の
法律,指針に基づいて
本市は既につくっているということでした。今回,
市長権限として明文化するということは前進だと思うし,評価しますが,この第2項に規定している行動計画というものは,既にあるものを指して言っているのか,あるいは,今回の
条例化を機に一段踏み込んだものを新たにつくろうと考えているということなのか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 記録媒体についてですが,紙ベースで
閲覧いただいて,それを転記するということが
原則です。ただ,過去にあった不正の事例としては,隠しマイクのようなものを身につけ,声で録音していくような手法であったり,最近では,携帯電話などのカメラで撮影するといった事例もありました。
現在は,そういったことにも
対応できるように,
閲覧場所を職員の目の届くところに限定するなどの防止
措置を行っておりますが,万が一,そのようなことがあった場合には,その破棄を命ずるという趣旨でこの規定を設けております。
次に,行動計画についてですが,現在,緊急時
対応計画ということで
内部規定として持っておりますが,今回の
条例案の附則の中で,この
条例の施行の際,現に実施されている
セキュリティー対策に関する
事務は,この
条例の相当規定によって行われているものとみなすという規定を設けております。ですから,
条例が成立した段階で,現在の緊急時
対応計画がこの
条例に基づく行動計画に位置づけられるものと考えております。
◆飯坂宗子
委員 閲覧については,現在は紙に手書きで写しているけれども,録音したり携帯電話等のカメラで写したりというような事例もあったということです。これは,本当に禁止されなければいけないし,そのようなことを
条例できちんとうたったということは大切なことだと思います。
それから,緊急時
対応計画についてですが,ただいまの説明では,既に
法律に基づいて
内部規定として定めているけれども――実態としては変わらないが,
条例に明記するということで格上げを行うという解釈でよろしいのでしょうか。
◎
石原 地域振興部長 現行の規定で不都合があるかというと,決してそうではありませんので,運用上,それなりのものが整理されており,それなりの効果を上げているものと考えております。
ただ,
委員ご指摘のとおり,現在のものはあくまでも
内部規定という形ですので,これを
条例の規定に基づく制度,計画と位置づけることにより,職員を含めた意識の持ち方はかなり変わってくると思いますし,そういった効果もかなり期待できると考えております。
◆飯坂宗子
委員 法律としては,決まっていて,既に施行されている案件ですが,一たび何かあった場合――
市民の
情報が漏れた場合には
市長の
責任になるわけです。そのような面では,きちんと
条例を定めて
セキュリティーの万全を期すということは,私は重要なことだろうと思います。これから,どのような場面が起きるかわかりません。現在は4
情報ですが,将来的にもっと広がっていって,
個人の利害関係で不都合が生じるということも十分あり得ます。そういった点では,新しい分野であるだけに,この
条例制定を機に,万全を期すための
対応を強化していただきたいということを申し上げて,終わります。
◆小林郁子
委員 住民基本台帳法を改めて見ると,
自治体が住民の居住関係を明らかにして,選挙人名簿の登録や住民に関する
事務処理の基礎を定めるために
住民基本台帳という制度を定める,また,それを行政の合理化に役立てていくとされております。
そして,その
住民基本台帳は,
原則公開となっております。
法律の言葉で言えば,自己と同一の世帯にある者以外でも――要するに,だれでも住民票の写しを
閲覧したり交付を受けられることになっているということが現在の実態です。このように,行政以外でもだれでも見ることができるということに関して,現在,これだけ
プライバシーという人権に関する意識が高まっていることや,
情報通信手段が発達していることを考えると,どこかで制限を設けていくということが必要だろうと思います。そのような意味からも,そのことをきちんと
条例で定めていくということは意義があることだろうと私は思っております。
今回の
条例案を見ると,DVやストーカー関係,それから大量
閲覧,
住民基本台帳ネットワークシステムの関係と,大きく三つが定められております。前二者については,
プライバシー保護の観点から交付や
閲覧を制限する,そして,
住民基本台帳ネットワークシステムについては,少し性格が違って
セキュリティーに関する規定になっております。
そこで,まず,
住民基本台帳についてですが, これは,現在では台帳そのものだけではなく,電子化されているものもありますが,ここに載せることによって
自治体の住民であることを公証する,そして,それによって選挙権や行政サービスを受ける権利,また,納税の義務というようなものが確定されていくのだろうと思います。
そこで,4
情報とよく言われておりますけれども,それ以外に
住民基本台帳に載せていいとされている
情報はどのようなものがあるのか――実際にはどのような
情報が載せられているのか,お伺いします。
それから,
本市では,そのほかにも,
札幌市としての行政
事務のために
住民基本台帳の
情報をいろいろ使っているのだろうと思いますが,どのようなことに使用しているのか,お伺いします。そして,それらの
情報の使用に際しては,行政がどこでどのように判断しているのか,あわせてお伺いします。
◎吉田 戸籍住民課長
住民基本台帳にどのような項目が記載されているのかということについてですが,全部で15項目記載されております。具体的は,氏名,生年月日,性別,住所・住定日,
市民日,異動届出日・前住所,世帯主名・続柄,本籍・筆頭者,住民票コード,選挙人登録,国民健康保険・介護保険・国民年金・児童手当の受給資格などが記載されております。
なお,住民票として交付されるものについては,省略された住民票では,氏名,生年月日,性別,
市民日,住所・住定日,異動届出日・前住所などが記載されます。特に必要な場合には,そのほかに,世帯主名・続柄,本籍・筆頭者,住民票コードなども記載することができます。
次に,
本市において住民サービスを行うためにどのような使い方をしているのかということについてですが,
住民基本台帳法の第1条に,行政の合理化に資することを
目的とするという文言があり,そういった部分では,国民健康保険,介護保険,福祉に関する諸手当,小・中学校の教育の関係――新入学児童への案内の発送など,それから,
市民税などの税関係――税金を納める
市民にはどのような方がいるのかというようなことを把握するために
住民基本台帳の
情報を使用しております。
また,
住民基本台帳法に規定されているものについてはそれぞれの規定に基づいて使用しておりますが,それ以外については,それぞれの法令を根拠に――例えば学校教育法では教育を受ける権利があるということに基づき――それらの
情報を
住民基本台帳から入手することになります。つまり,行政
事務においては,それぞれ
法律の根拠に基づいて
住民基本台帳の
情報を使用しているということです。
◆小林郁子
委員 必ずどこかに根拠があって使用しているということですね。
次に,配偶者からの暴力,ストーカー行為に対する規定に関して,私は特に
条例案の第15条について伺います。
この条文は,支援
措置の申出についての規定です。申し出の要件が余りに厳格であったり煩雑であれば,せっかく申出規定が設けられても役に立たないということになりかねません。生命や身体に危険を及ぼす暴力や言動と――ここに言葉も入れたということは私は評価したいと思いますが――そのような恐怖を感じている人に対するものですから,できる限り緩やかに運用する方が望ましいと思います。
そこで,第15条第1項の第3号についてですが,前2号に掲げる者のほかというものはどのようなことを想定しているのか,お伺いします。
それから,第2項で申出を行う者は書類を提出するということになっております。自分はこのような状態にあるということを証明する書類ということですが,これはどの範囲のものまで受け付けることになるのか,お伺いします。
それから,現在,この
措置を受けている方はどの程度いるのか,あわせてお伺いします。
◎
石原 地域振興部長 条例で想定している支援
措置の対象範囲についてですが,実際に,警察に通報したことを逆恨みされて,いわゆるお礼参りという形で被害を受ける方など,DV,ストーカーとは別な視点でも想定しております。そのほか,住所等を調べられて暴力的な行為を受けるおそれがある場合などを広く想定していきたいと考えておりますので,親子でありながら,転居先の住所を調べられて暴力的な被害を受ける場合なども想定しております。
次に,申請者の手続書類についてですが,
本人確認を行うために免許証やパスポート,保険証などの提示を求めるということは必要だと考えております。あわせて,相談機関である警察,あるいは,実際に身体的な被害を受けたということであれば医療機関の診断書などによって必要な支援
措置の判断はできるものと考えております。
次に,現在の届け出
状況についてですが,2月24日現在の数字では,DV被害者として101件,ストーカー被害者として16件の申請があります。
◆小林郁子
委員 かなり運用に幅を持たせているのだと感じました。
次に,大量
閲覧についてですが,私は,この件については2003年の第3回
定例市議会でも取り上げましたが,そのとき,件数がかなり多いということに驚きました。2003年度では約27万件――その中には重複もあるかもしれませんが,単純に言えば
札幌市民の6人から7人に1人の名前が出ているということになります。
大量
閲覧された
情報については,その多くはダイレクトメールに
利用されているのであろうと考えられますが,
閲覧を拒むことができるのは不当な
目的がある場合となっております。しかし,事実上は,
閲覧後,どのように使用しているかということはなかなか把握できないということが実態だろうと思います。以前にも報道されましたが,市区町村が加盟している全国連合戸籍
事務協議会が昨年1月に実施したアンケートでは,約8割の方が
プライバシーを侵害されるおそれがあるという心配を持っているということでした。そのようなことも考え合わせると,これからはより厳格な運用が求められるのだと思います。
条例案の第24条にこうしたことが規定されていて,これからは,
閲覧によって知り得た
情報を適正に
管理することや,請求事由の範囲内で使用すること,そして,それに違反していると思われれば
報告を求めたり立入調査を実施すると規定されております。
そこで,実際にどこまで実効性を持って立入調査を実施したり
報告を求めたりできると考えているのか,その見解をお伺いします。
それからまた,今回,このような条文ができれば,
閲覧を申請する方々に対して,このような条文があるということをきちんとどこかに明示することが必要ではないかと思いますが,どのように考えているのか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 実際にどこまで調査権を行使できるのかということについてですが,予防的に,それを抑止するような形で調査権を行使するということは非常に難しいと思います。
ただ,
閲覧に当たっては,申請書を提出させ,何のための
閲覧なのか――その
目的等についてもきちんとした形での申請がなければ許可しないということになりますので,まず,申請の段階で適正かどうかという判断ができるものと考えております。
それから,適正な申請ということで
閲覧を許可した場合に,得た
情報の
管理がどのような形になっているか――
管理状況についての調査を行うことになります。それは,抜き打ち的に実施するということも
可能性としてはありますが,現実には,その
情報をどこかに流用する――
目的以外に使われたという事例があったときに,その
状況を把握するための調査を行うというような現実的な
対応にならざるを得ないのではないかと考えております。
次に,
閲覧に対する規制を厳しくしたということを
閲覧者に知らしめる手続についてですが, 今回の規定について,そういった厳しさを設け,不正な
閲覧に対する
本市の姿勢を示していくということは当然必要だと思いますので,
閲覧申請の際に告知する,あるいは,
閲覧場所に注意事項を掲示するなどといった配慮が必要と考えております。
◆小林郁子
委員 熊
本市の例も先ほど示されましたが,
北海道でも苫前町がそのような
措置をとりました。全国の
自治体の中では,そのほかにも幾つかあると聞いておりますが,これからは,行政
事務に限る,あるいは,学術的な
目的に限るなどの制限を設けていくことが必要だと思います。
本市も国にそのように要望していると伺っておりますので,これからは一層厳格に
対応していくことを求めておきます。
次に,
住民基本台帳ネットワークシステムについてですが,この条文では
セキュリティー対策が主です。その中で,
セキュリティー・ポリシーに沿って,今回,緊急時
対応計画があって,それに基づいて行動していくのでしょうけれども,実際にハード面で適正な状態にあるのか,あるいは,
事務処理が適正になされているのかということについての,第三者による監査体制についてはどうなっているのか,お伺いします。
◎
石原 地域振興部長 住民基本台帳ネットワークシステムについては,全国共通の部分もありますし,個別の
システムとしてそれぞれの
自治体が独自に
対応すべき部分もあります。
本市の場合,まず,
システムに関しては,どういったところに留意しなければならないか,そういったことが充足されているかどうかというようなことを点検するチェックリストがありますので,日常的にはそれによって点検を行っております。また,内部チェックだけではなく,外部チェックもということで,国が年間100カ所程度の
自治体を抽出して,監査法人による
管理体制についての監査を行っております。
本市は,昨年9月にその監査を受けております。これは,
本市の
状況というよりも,全体のチェック結果を持ち寄り,現在の
システム上の
対応策としてどうかという判断を行うという位置づけになっておりますので,個別に
札幌市の
セキュリティーがどうかということを直接的に
報告されるというようなものではありませんが,当然,調査結果については知り得るものと思いますので,その結果を踏まえて,できるものについては必要な公表を行っていきたいと考えております。
◆小林郁子
委員 情報というものは,一度,流出してしまえば取り返しがつかないところがあります。今回,この
条例ができることによって,より一層,厳格に運用していただきたいということを要望して,終わります。
◆松浦忠
委員 ICチップが組み込まれたカードについて,大丈夫だと言われたけれども,これだって,五右衛門の昔からの言い伝えは何も変わりません。かぎと錠前の関係で絶対というものはないのです。私
個人で言えば,いろいろな
個人の
情報は役所に集積されたくない――これは,みんなそうだと思うのです。まして,国の一元的な
管理につながっていくようなことは,やはり,みんなどうも不安に思っている。
そのようなことからすれば,やはり,各
自治体においてどこかで制限を加えるということが大切ではないかと思います。そのような意味で,私は,
条例を
制定して,例えば,
住民基本台帳ネットワークシステムも必要によっては,
市長は国との関係を遮断することも必要ですし――逆に言えば,この
条例で事足りるということはないのではないかと私は考えております。
そのようなことを申し上げて,この
条例については,とりあえず,第一歩として時節にかなっているのではないかと考えております。したがって,今後,さらに
個人情報が守られるような形で取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
○
長内直也 委員長 ほかにございませんか。
(「
なし」と呼ぶ者あり)
○
長内直也 委員長 なければ,
質疑を終了いたします。
(上瀬戸議員「
委員長」と呼び,発言の許可を求む)
◆上瀬戸正則 議員 今まで,それぞれの
委員からいろいろな
質疑がなされました。我々自民党は,小須田
委員が申し上げたように,現段階で
条例制定の必要はないのではないかという
考え方から
質疑を行いました。また,現行規定で不都合はないという答弁もありました。
今回,多くの
条例案が提出されておりますけれども,
住民基本台帳条例案については最重要の
議案ではないかと考えております。また,上田
市長の選挙公約にも絡んで,我々もいろいろ議論してきました。ですから,今回,きょうここで賛否を問うということではなく,もう少し
基本的なことについて
市長と直接やりとりもしたいと考えております。また,この
条例案を読みましたが,全部が全部を否定するものでもなく,一部に修正等を加えることによって,我々も賛同できる余地もあります。
そこで,私は,あえてここで議事延期の動議を提出いたします。
現在,
市長は出張中です。3日には
札幌に戻ってくるということですから,この
議案については,日を改めて,
市長出席のもとで,
総務委員会を再度開催し,さらに議論を深めていきたいと考えます。
○
長内直也 委員長 ただいま,上瀬戸
委員から,当該
議案について,本日,結論を出さずに,議事を延期すべきである旨の動議が提出されましたので,当該動議につきまして,お諮りいたします。
議案第43号に関する議事を延期する動議に賛成の
委員の挙手を求めます。
(賛成者挙手)
○
長内直也 委員長 賛成多数であります。よって,当該
議案については,継続審査とし,後日,改めて
委員会を開催することといたします。
○
長内直也 委員長 以上で,本日の
委員会を閉会いたします。
──────────────
閉 会 午後2時18分...