このため,平成15年度に入ってからは,
改革プランの実行計画として10年間を計画期間とする10カ年経営計画の策定を進めてきたところ,国の方では,経営状況が非常に厳しい札幌を含む横浜市,名古屋市,京都市,この4都市を対象として不良債務の計画的な解消と発生を抑制するために,一般会計からの出資を認める
地下鉄事業経営健全化対策を創設しました。札幌市としては,まさに10カ年経営計画の策定段階で検討していたやさきでしたので,その検討していた効率化策を取りまとめた
経営健全化計画を策定し,昨年16年1月に国に申請し,3月にその実施団体の指定を受けたところです。
次に,2として,計画策定までの経過です。
この計画については,交通局を担当する副市長を議長とする
交通事業経営改革会議で,平成15年12月から都合3回にわたり議論してきています。また,16年3月には,
経済公営企業委員会を開催させていただき,国に申請した
経営健全化計画とあわせて10カ年経営計画の素案という形で説明しています。平成16年度の
市営企業調査審議会の交通部会でも,3回にわたりご審議をいただき,こうした成果を踏まえ,昨年10月には私
ども交通局のホームページで公開し,市民意見もいただいています。集まった意見については,今回の成案化に当たってできる限り計画に盛り込むとともに,素案段階では盛り込まれていなかった財政支援の考え方なども整理し,先月1月24日に開催した
交通事業経営改革会議で了承され,その後,市長決裁を経て正式な経営計画として位置づけされました。
次に,2ページ目ですが,上段には
交通事業改革プラン,10カ年経営計画,国に申請した
経営健全化計画の関係についてわかりやすく図にして整理しています。
この図を見ていただきますと,平成13年からの
交通事業改革プランですが,これは,
地下鉄事業ばかりではなく,路面電車,バスも入った3事業の形で18年を最終年度として整理しました。その中で,今後の
地下鉄事業について具体的な目標達成のための計画をつくっていく必要があるということで,効率化と増収策の両方を盛り込み,図のグレーのように10カ年でつくっていたところ,国の方から
健全化計画を出す団体として指定するという話があったことから,私どもとしては,効率化の部分をまとめて国の方に提出させていただきました。
続いて,3として,計画の目的と内容です。
10カ年経営計画は,乗車人員の減少や巨額な
資本費負担などの非常に厳しい事業環境,財政状況の中で,
改革プランを効果的かつ具体的に進めるとともに,国の指定を受けた
経営健全化計画を着実に推進していくための計画として策定し,その期間は平成16年度から25年度までの10年間としています。
ここで,計画書の冊子をごらんいただきます。
まず,10カ年経営計画の推進に当たっては,市民の皆さんに積極的に情報を提供しながら進めていこうという考えに立っています。計画書の構成についても,これまでのさまざまな交通局の経営改善に向けた計画と異なり,5ページから10ページにかけて,これまで十分に情報の提供がなされていなかった地下鉄が非常に厳しい経営状況に至った経緯や現状について説明するとともに,22ページには,今後の
収支見通しについて長期収支を記載して説明するなど,広く市民の皆さんにわかりやすく
地下鉄事業の経営状況を知ってもらおうという考えで構成しました。
それでは,計画書に沿って要点を絞って説明します。
1ページ目は,札幌市
市営地下鉄の現状です。
上から7行目の「しかしながら」という段落ですが,地下鉄の整備には,これまで約7,000億円という巨額な建設費がかかっており,その財源の大半を企業債で手当してきたことから,開業時からの
支払い利息の累計額は約6,000億円になっており,工事を請け負う業者に対する支払いの7,000億円と,それを支払うためにかかる金利を合わせると約1兆3,000億円にもなります。そうしたことを踏まえ,まさに,地下鉄は多額の投資によって建設された札幌市民の貴重な財産となるのではないかと理解しています。
次に,2ページ中段の囲みの記述にあるように,
改革プランでは,地下鉄が
公共交通ネットワークの基軸として,将来にわたって安定したサービスを提供していくことが必要であるという観点から
地下鉄事業の方向性を定めています。しかし,現実問題として,不良債務を有する地下鉄が安定したサービスを提供していくためには,不良債務の増加を抑制していく必要があり,建設時の
資本費負担に着眼した補助を行うなど,一般会計から適切な
財政支援措置を講ずることを明確にしたところです。
次に,3ページと4ページ目ですが,冒頭の2枚物の別紙の計画書,計画策定の背景の中で説明したことをここにまとめているので割愛させていただき,5ページの(1)
地下鉄開業時から平成15年度までの収支状況に移ります。
昭和46年の
地下鉄開業時から平成15年度までの
地下鉄事業の
収益的収支です。
これは,さきの
会派勉強会等でも概要をご説明していますが,その中の
収益的収支という欄があります。経常収支に特別利益,特別損失を加えたものですが,収入と支出額の累計額,開業から今までのそれぞれの
収益的収支の各項目を積み上げて表にしたものです。それを見ますと,収入では,開業からの
乗車料収入の累計が7,524億円,特例債の利子や建設改良に伴う補助として国から1,241億円,一般会計から1,321億円の補助を受けています。その他として,広告料や土地の貸付料など事業に伴う附帯収入などが2,172億円となっています。支出では,開業からの人件費の累計額が2,811億円,動力費や修繕費を初めとする経費を積み上げて2,870億円となっていて,人件費と経費の合計5,680億円になりますが,これについては
乗車料収入で十分に賄うことができています。しかし,建設に伴う
減価償却費の3,646億円と,建設時の財源として借り入れた企業債,建設債やその他特例債,緩和債等のすべての企業債の
支払い利息が6,262億円と非常に巨額となっているために,収支はいまだに厳しい状況にあります。結果として,3,331億円の
累積欠損金が15年度末における状況となっています。
次に,その下の
折れ線グラフは,
地下鉄開業時から平成15年度までの収支の推移です。
表の右上の丸で囲まれたところは,平成14年度に開業後初めて税抜きの営業収支で25億円の黒字を計上しました。また,表ではあらわれていませんけれども,平成15年度には減価償却前の経常収支も52億円の黒字になるなど,少しずつではありますが,これまでの健全化への取り組みが一定の成果を上げて明るい兆しも見えてきていると思っています。
続いて,6ページの(2)は,地下鉄の建設費と財源です。
南北線,東西線,東豊線それぞれの建設費とその財源の内訳を記載しています。建設費は,東豊線が非常に軟弱地盤での工法で,建設費も非常に高いものになっています。3線合計では建設費7,018億円のうち,8割を超える5,913億円が建設債,つまり大部分が借入金という状況です。
ちなみに,今,現在の新線の建設または路線を延長した場合に,建設費を100とすると,一般会計からの出資が2割,国と市からの当年度の補助として約53%が見込まれることから,残りの27%を建設債で各自治体が賄えばよいことになり,当時,札幌市が地下鉄をつくったころと比べ,補助制度がかなり充実した状況になっています。
しかし,札幌市の地下鉄は,現在の制度に至る前の建設ですので,建設債を主な財源としていたことから,当時の高金利と相まって収支を圧迫している状況です。
次に,7ページの(3)は,企業債,借入金の状況です。
この残高は,平成10年度にピークを迎え,5,170億円となっています。その後は,新線建設を行っていないため,建設債の残高は減少してきていますが,資金手当てのための緩和債を発行しており,その残高が若干増加して,企業債全体の残高の大幅な減少にはまだ至っていない状況です。
7ページ下の円グラフでは,左側に平成15年度末の
利率別企業債の残高,右側に平成15年度単年度の利率別の
支払い利息額を表示しています。現在,非常に低金利が続いている状況ですが,借り入れの状況を見ると,いまだに利率5%を超えるものの残高が1,346億円あって,全体の3割弱を占めています。この高金利の企業債から発生する
支払い利息は,15年度
支払い利息総額191億円のうち93億円,約半分を占めています。
この高金利な企業債については,これまでも,国に対して,借りかえ制度によって金利負担を下げてください,借りかえ制度の拡充をお願いしたいと継続して要望活動を続けてきました。昨年夏の総務大臣と
指定都市市長の懇談会での要望,指定都市の白本,青本要望など,一連の
国家予算要望においてこれまで以上に強力に働きかけを行ったところ,平成17年度の新年度の国家予算では,
公営企業金融公庫からの借り入れに限ってですが,
借入対象利率が7%以上からさらに下がって6%以上に緩和されることとなっています。
続いて,7ページの下の表は企業債の元利消化の見通しです。
支払い利息は,平成7年度の290億円がピークで,既に過ぎていますが,元金の償還のピークは平成17年度の395億円,利息を合わせると515億円となっており,17年度をピークに18年度以降は着実に減っていくと見込まれています。今後,地下鉄の延長や新線建設の計画がないことを考えますと,ここ数年が地下鉄の収支を改善していく悲願の大きな山場となってきます。経営の効率化を着実に進めることにより,経営の見通しは立ってくるものと考えています。
次に,右側8ページ下の(4)は,乗車人員と
乗車料収入の推移です。
1日平均の乗車人員を
折れ線グラフで表示していますが,平成7年度の1日当たり62万6,000人をピークとして減少傾向になっています。
乗車料収入は,定期券からウィズユーカードへの移行もあり,ここ10年程度はほぼ横ばいです。
次,9ページの5の乗車人員の計画と実績です。
1日平均の乗車人員の推移を,全線,南北線,東西線,東豊線に分けて,計画と実績の比較を載せています。最初のグラフが3線を合わせた全線のグラフです。各線別のグラフで見ますと,まず,南北線は開業から平成5年度までは実績が計画を上回っていました。当然,札幌市では初めての地下鉄です。平成6年度以降は,計画を下回っています。また,東西線と東豊線の乗車人員は,開業から計画を下回っており,3線を合わせた乗車人員では,昭和60年度から計画を下回り,東豊線が開業した昭和63年度以降は乖離が大きくなり,これにより
収支見通しも狂いが生じてきました。
こうした厳しい経営状況の中,10ページ下の(6)の
社会的要請では,火災対策や
バリアフリー化など,緊急的に
社会的要請の高い事業について着実に取り組んでいかなければならない状況があります。
次に,11ページの4の
社会的使命です。
地下鉄は資本費の負担が重く,経営的には大変厳しい状況にありますが,一方で,地下鉄は公営でなければ整備ができなかったという現実があります。私
ども交通局としては,札幌市民の貴重な財産である地下鉄,
公共交通ネットワークの中核としての市民の足である地下鉄を守ることが使命であると考え,今回の10カ年経営計画に着実に取り組んでまいりたいと考えています。
12ページは,五つの経営目標と五つの取り組みです。
国の指定を受けた
地下鉄事業経営健全化計画の
収支改善目標を確実かつ早期に達成し,将来にわたって安全で安定したサービスを提供することを
交通局最大の経営目標に掲げ,
社会的使命及び
経営目標達成のため,五つの取り組みを柱とした事業運営を実践していきたいと考えています。
1点目としまして,
交通事業者としてまず最優先していかなければならないのが安全確保の取り組みです。2点目として,多くの利用者があってこその公共交通ですから,だれもが快適で利用しやすい地下鉄にしなければなりません。3点目として,公営であっても,民間にまさるとも劣らない生産性の高い地下鉄を目指していきたい。さらには,札幌市では平成13年にISO14001を取得していますが,公共交通の利用促進が環境負荷の低減に大きく貢献できることから,環境に優しい地下鉄をもっとアピールするなどして利用促進につなげていきたいと考えています。また,行政の一方的な取り組みではなく,市民,企業の方々を巻き込んで,札幌市民の貴重な財産である地下鉄を生かす創意工夫をもってして地下鉄の将来が見えてくるのではないかと考えています。
こういった観点から,記載のとおり,五つの取り組みを柱として,この後,ご説明する事業計画に反映させていきたいと考えています。
13ページは,事業計画です。
(1)安全で安心して利用できる地下鉄として,
地下鉄火災からお客様を守るため,
火災対策基準に適合するよう施設の整備を進めるとともに,
転落事故等の抜本的な対応策である
ホームさくの設置などに取り組み,利用者の安全確保に努めてまいりたいと考えています。
次に,14ページの右側ですが,(2)快適で利用しやすい地下鉄として,視覚に障がいのある方々への
誘導ブロック整備などの
バリアフリー化の推進や,案内標識などの改修,首都圏を中心に急速に普及しているICカードの導入も検討してまいりたいと考えています。
次に,15ページでは,(3)生産性の高い地下鉄として,コストダウンの徹底と収益の確保に努めてまいります。主な取り組みとしては,平成12年度に49駅ある駅のうち,20の駅を
財団法人札幌市
交通事業振興公社に委託していますが,平成16年度の7駅の委託拡大を初めとして,平成20年度までに全駅を委託する予定です。
また,右側16ページの1行目に記載していますが,
ホームさくの設置とあわせて,
ワンマン運転を実施するなど,安全を確保しつつ,効率的な事業運営に努めてまいりたいと考えています。
また,収益の確保では,この10カ年経営計画の基本的なスタンスとして,収入は手がたく見る中で地下鉄の健全化を確実に進めていきたいと考え,素案の段階では,確実に増収につながると考えた
ドニチカキップの発行と南北線大通駅コンコースの活用のみを記載していました。しかし,審議会での交通部会を初めとして,市民意見などでも増収対策の取り組みを強化すべきではないかという意見が非常に多くありました。
こういったことから,今回の成案に当たっては,内容を充実させるとともに,20ページの下段のとおり,ここに収益の確保を推進しますと二重括弧で書いてありますが,16年度から実施しているもの,今後一,二年のうちに実現したいと考えているもの,また重点的に検討を加えていきたいと考えている項目について表にして整理しています。具体的には,平成16年10月から発売している
ドニチカキップによる新たな需要の確保や,2月4日に
出店事業者が決定しましたが,大通駅
定期券発売所の
空きスペースへの
テナント誘致を初めとする駅構内の有効活用など,附帯収入の増収対策について,できないことはないという姿勢をもって積極的に取り組んでまいりたいと考えています。
17ページに戻っていただき,下段の(4)環境に優しい地下鉄として,利用促進による
環境配慮型社会の形成の推進と,事業者として
環境マネジメントシステムによる積極的な環境配慮に努めてまいりたいと考えています。
次に,18ページの中段ですが,(5)市民とともに創造する地下鉄として,お客様の声の活用,それから,地域団体,企業などとの連携により,地下鉄の活性化による活力ある都市の創造に取り組んでまいりたいと考えています。
19ページ,20ページでは,ただいまご説明した事業計画を年次計画として整理しています。素案とは,ここが大きく変わっていまして,後ほど26ページの振興管理でも説明いたしますが,目安として3年ごとに本計画の見直しを行っていきたいと考えていることから,平成16年度から18年度までの3カ年は単年度ごとに表示して,19年度以降,現在のところを一まとめに整理しています。
次に,21ページの7の収支計画です。
国に提出し,指定を受けた
健全化計画における
収支改善目標は,10カ年経営計画における目標であるとともに,札幌市として国に約束した目標でもあり,確実に達成していかなければならないと考えています。その目標ですが,一つ目として,営業収支を10年間で156%改善させる。次に,償却前営業収支,
減価償却費を除いた営業収支のことですが,国の
健全化対策の実施団体に指定される条件では10年間で5%以上の改善ですが,本市では9%の改善を目標としてございます。
次に,この計画の最大の目標になるかと思いますが,経常収支を平成23年度に黒字転換させます。このことは,これまで増加し続けてきた
累積欠損金が,23年度以降は徐々に減少に転じるものです。
次に,不良債務ですが,平成15年度末で31億円あった不良債務を,一般会計からの出資と内部努力により,25年度までに全額解消いたします。また,計画における効率化への取り組みと増収策の転換により,10年間で総額270億円の収支改善を図りたい。これを目標としてございます。
次に,(2)
長期収支見通しです。
収入,とりわけ事業の根幹である乗車人員及び
乗車料収入は,これまでの
健全化計画や回復策を策定したときのように,二,三年で計画と実績の乖離が始まってしまうことを繰り返さないよう,近年の利用実態などから今後も減少傾向が続くものとして,あえてかたく見込み,また料金改定も見込まないで推計しています。
22ページでは,それらを踏まえた長期収支の見通しを記載しています。
表の真ん中の右に,長期収支のポイントとしてA,B,Cと解説があり,それが表の中の黒塗りのA,B,Cですので,後ほどごらんをいただきたいと思います。
続いて,23ページの(3)財政支援についてですが,素案にはなかった項目です。
初めに,財政支援の必要性として,上段に平成13年11月の
市営企業調査審議会における
札幌市営交通事業のあり方に関する意見から,地下鉄に対する提言を抜粋して記載しています。この意見を踏まえ,
改革プランでは,不良債務の増加を抑制するため,建設費の
資本費負担に着眼した補助など,一般会計からの適切な
財政支援措置を講ずるという考え方を示しています。
今回,財政支援の枠組みとして整理していますが,具体的な数字を交えてご説明申し上げたく,大変恐縮ですが,先ほど途中になった2枚物の資料の3ページごらんいただきたいと思います。
3ページの中段に,4)財政支援の枠組みとあります。今後,一般会計から新たに受ける財政支援として,大きく二つに分けて整理されています。
一つ目として,国の制度,
健全化対策に基づく一般会計からの新たな出資金,二つ目として,
改革プランの考え方に基づく,
資本費負担に着目した新たな財政支援です。その考え方としては,これまでに整備した
地下鉄施設のうち,非常に重たい負担となっているトンネルや停車場などのいわゆる躯体と言われる部分に着目して,過去に繰り入れた補助金分を除いた建設債の
元利償還額を対象として財政支援を算定するというものです。
参考として囲み枠の中に記載していますが,計画期間中10年間の
財政支援所要額は887億円と試算しています。
その所要額に対する財政措置としては,一般会計からの新たな出資金で195億円,新たな財政支援として平成17年度から25年度の9年間で558億円,また,16年度は,
改革プランに基づく財政支援として整理していますが,62億円を予定していますので,一般会計からの新たな
財政支援措置としては10年間で815億円を見込んでいます。
なお,不足する72億円については,17年度に創設される平準化債,借金になりますが,これで手当する予定となっています。
次に,計画書の24ページに戻っていただき,8の経営体制です。
(1)の経営体制の強化として,経営層の役割を明確にし,組織力を高めることにより,経営層のリーダーシップによる経営の活性化を推進してまいりたいと考えています。
(2)では,活力ある組織の構築として,お客様によりよいサービスを提供するという職員の意識を高め,行動する仕組みを構築してまいりたいと考えています。ここでは,職員一人一人が
社会的使命を自覚して行動する,また,昨年4月に公表しましたが,札幌市交通局の行動宣言を実践していくことで,お客様に愛される交通局を目指してまいりたいと考えています。
最後に,26ページの9の進行管理です。
経営目標の達成を確実なものとするために,計画の的確な進行管理及び検証を行っていくこと,また,計画全体については,社会経済状況の変化や法令,制度など,国の動向を十分に見きわめながら
収支改善目標を少しでも早く達成できるよう,3年ごとをめどに見直しを行っていきたいと考えています。
なお,国の
健全化対策の実施団体は,
健全化計画の実施状況について,毎年6月と9月の年2回,総務省への報告義務がありまして,必要に応じて指導を受けることになります。
次に,(2)計画の進捗状況の公表についてです。
計画の進捗状況については,議会の皆様への報告はもちろんですが,そのほか,
市営企業調査審議会への報告,またホームページなどの活用により広く市民の皆さんにも公表し,ご意見をいただき,計画の見直しにも反映してまいりたいと考えています。
○三浦英三 委員長 それでは,質疑を行います。
◆近藤和雄 委員 先日,ご説明を伺い,いただいた資料をいろいろと見て,大変ありがたく思いました。いつもその日に机の上にぽんと置かれますので,質問しようにもなかなか質問できないのです。今回は,その意気込みが伝わってきた思いがしますし,総体的に見て非常にシビアで,このとおりにやっていけば相当迫力ある改善計画になっていくのではないかと思い,そのご苦労に対して敬意を表したいと思っています。
まず,1点目は,総務省とのやりとりが多々あったのではないかと思います。札幌はもちろんですが,横浜市,名古屋市,京都市など,地下鉄は,公共交通機関の軸としてそれぞれの都市の発展を支える上で非常に大きな役割を果たしてきたと認識していますが,札幌市の場合,総務省とのやりとりでも,例えば
収支改善目標,償却前営業収支の改善や経常収支,不良債務の解消,効率化及び増収策,このあたりが一番のポイントではないかなと思いました。この辺について,もっとこうしなさいとか,ハードルは高かったのかどうか,ざっくばらんにお聞かせいただきたいと思います。
2番目に,長期収支の見通ですが,10年間で156%の改善と,15年度25億円を25年度終了年には64億円というのはすごくパーセントが高いなと思います。ドラスチックに改善を図っていく思いは私もわかりますが,収入を追いますと,17年度は
乗車料収入はマイナス5億円ですし,その後もわずか1億円とか2億円,3億円ぐらいで
乗車料収入を抑えていまして,この辺は本当に大丈夫なのか。と申しますのは,2025年には4人に1人が65歳以上になって,ますます少子高齢化が進んでいきます。地下鉄を利用される方がもっと減少するので,もっと厳しい予測が必要ではなかったかと私は感じていますが,その辺のお考えをお聞かせいただきます。
3点目に,17ページの料金設定の見直しについてです。
収支が均衡していない現状では,受益者負担の原則に基づいて値上げをするという選択肢もありますが,これは取りやめたということです。東京を除く各公営地下鉄は同水準の料金体系にあることから,これ以上の負担を求めることは,受益者,お客様に対してはしないと。その次に,「このため,わかりやすく利用しやすい料金設定による需要喚起」とありますが,この辺を具体的にご説明願います。
質問の4番目は,この4月から敬老優待乗車証の改正が行われ,市民負担が一部出てまいりますが,財政状況を考えるとこのような受益者負担はやむを得ないと考えます。ただ,今まで札幌市から敬老優待乗車証の補助が一部ありましたが,今回の見直しによってこれがどの程度変わっていくのか。札幌市から負担金をいただいていますが,今回,一部有料になって,70歳以上で最大5万円の方は1万円を払いますので,この辺が収支にどういうふうにかかわっていくか,教えていただきたいと思います。
質問の5点目は,
財団法人札幌市
交通事業振興公社の果たす役割が非常に重要になってきて,私も大変関心を持っています。平成20年度までに全駅を委託されるというお話でした。お客様は,市の職員ではないかと認識しながら,これから地下鉄を利用されていくと思いますが,働いている職員が,札幌市民のお客さんのために一生懸命やろうではないかという誇りと生きがいを持って,一生を託せる職場にしていかなければなりません。そういう意味で,これから
交通事業振興公社の職員に対する研修教育は非常に重要なものになってくると私は予想しています。今までと違った教育研修も取り入れていかなければならないと思いますが,愛される地下鉄という非常にすばらしい目標を掲げていらっしゃる中で,どのように研修教育をするのか。
もう一つは,労働組合のお力をいただきながら,これからも労使協調路線を推し進めていかなければなりません。本当に,労働組合のご理解をいただいてこそ,
健全化計画案が成り立っていくのではないかと思いますが,その辺は重要な部分だと思いますので,どのように考えているか,教えていただきたいと思っています。
◎下村
事業管理部長 総務省とどんなやりとりがあったかですが,当時,私はいなくて,現在,報告を受けている状況です。
総務省では,4都市の地下鉄の経営状況が非常に悪いために,国としても,お金は出せないが,一般会計からの出資を認めるという形で,後がないのだから頑張れと非常にはっぱをかけたわけです。私たちとしても,平成4年から
経営健全化計画,11年からはその回復策ということで非常に多くの効率策に取り組み,さらに,収支目標ということで,とにかくこの10年間のうちに資金不足,不良債務の解消を全額やろう,それから,23年には経常収支の黒字転換をやっていこう,これをやらないと改善したとは言えないという気持ちを持って総務省と臨みました。総務省の方からは,もっとこういう改善目標を立てなさいということがあったのですが,結果的には,我々の方が効果が高く,また,効率性についても,単なる効率性ではなく,増収策も含めたより踏み込んだ効率性であったため,こういうことでやっていきたいということで全面的な理解を得ました。
それから,長期収支の目標において大幅に改善される形だが,これは本当に大丈夫なのかというご質問ではなかったかと思います。
22ページの長期収支の見通しは,上段が平成15年度決算に近いベースでいっています。16年度のスタートから25年度まで右に2段になっています。この中で特に端的に見ていただきたいのは営業ベースです。お客さんを運んで,料金をもらって,かかる運行経費,人件費を払って,差し引き幾らだというのが営業収支ですが,平成16年度の差し引きが30億円という黒字の形になっていて,これは平成14年から黒字になっています。これが平成25年の営業収支の差し引きを見ていただきますと,64億円とほぼ倍増になっています。何でだろうと見ると,支出のうちの人件費が16年度は110億円になっていますが,25年度は60億円です。これは,ひとえに,駅業務の全面委託化をメーンとして人員配置の効率化で収支の改善を図っていることが大きな要因となっています。
それから,料金の見直しです。
収支が均衡していない現状では,受益者負担の原則に基づき値上げをする選択肢もあるが,昨今の状況を考えると現時点では難しい,このため,わかりやすく,利用しやすい料金の設定による需要喚起に取り組みますと。「このため,わかりやすく」の前の3行は,基本的に,収支が悪いので運賃の値上げによって収支を改善していくことは難しいということを述べています。
しかし,料金的な工夫をしていこうと。今の利用者と10年前の利用者では,生活行動にしても明らかに変わっていますから,そういったことも踏まえ,これからの利用者にとって本当に利用しやすい料金サービス,割り引きも含めてどういったものがあるか考え,需要喚起に取り組んでいきたい。その一つのあらわれが
ドニチカキップです。そうしたお客様にとって魅力のある料金サービスをこれからいろいろ考えて展開していきたい,こういう説明です。
それから,敬老パスの見直しによってどのような影響があるかということです。
敬老パスの制度の見直しにより,結果的には17年度予算から響いてくる形になると思います。この見直しに伴い,我々は,保健福祉局が算定した敬老乗車証の負担金は16年度予算対比で3億円程度の減少が見込まれるだろうとしています。一方,このほかの福祉乗車証の負担金では,6,000万円の増加が見込まれ,一般会計からもらえる負担金全体では16年度予算と比較して2億4,000万円の減少を見込んでいます。現行の敬老乗車証の利用実態を考えますと,敬老乗車証は,新たな制度では利用限度額を設定されていまして,これを超える利用も十分考えらます。
乗車料収入全体では,負担金の減少分を確保することも予想されるところですが,一方で,利用限度額を超えてどのくらい使われるかということは,現在,把握することが困難ですから,予算においても,この10カ年計画においても見込めないために,当初からの推計値をもって一応見込んでいます。
今後は,高齢者の方々のトータルでの利用動向の把握について,保健福祉局と何らかの形で連携してとらえるとともに,旅行会社とのタイアップによる新たな需要の開拓,魅力的な乗車券の開発,その他,利用増に向けたいろいろな取り組みを一生懸命やる中で,10カ年で見込んでいる
乗車料収入総額は確保していきたいと考えています。
ちなみに,17年度予算案では負担金の減少分を見込んでいますが,当初の
改革プランで想定していた
乗車料収入の737億9,800万円,
健全化計画で国に出しているものもそうですが,この額は確保した予算となっています。
◎黒田
交通事業管理者 最後の財団の関係ですが,財団という役割はこれから非常に大きくなっていきます。通常の施設を管理委託するという感覚ではなく,交通事業運営そのものを交通局本体と財団の2本の柱で,トータル的に,効率的に,なおかつ安全面,サービス面でも十分に配慮をしながら運営していくところに財団の特徴があります。交通局の本体では,これまでのいろいろな経緯,国の規制などの問題がありますが,財団という身分になりますと,可能な限り民に近い感覚でサービスアップも含めて対応できるという利点があります。その二つの柱でやっていく上で,それを着実に遂行する意味で私も理事長を兼務してやっています。また,駅事業部なり総務部なり営業部の主要なポストそのものは交通局本体のベテランのそれなりの人物をきちんと派遣しながら,そして,若い力,プロパーを活用しながらトータル的に進めています。
そういうことで,交通局でやってきた研修も,交通局という組織の中で財団職員への研修をきちんと果たしています。さらに,財団独自での研修も,東京などにいろいろな民鉄がありますが,そういったところへ研修のために派遣したり,そして,それらを全員の中で発表しながら,その中の一つでも二つでも必ず実行するのだという形で取り組んでいます。そういった意味で,よく民でやっている駅ごとの特色をいかに出すかということも含めて,今,新鮮な感覚で取り組んでいるところです。そういった感覚を大事にしながら,これからも運営していきたいと思っています。
それから,この10カ年は,組合の協力は本当に大事な話です。現在まで,交通局全体の力を試されている時期ですから,いい意味で労使が一体となって,情報を共有化し,切磋琢磨していろいろな協議をしながら進めてきました。ですから,ワンマンの問題についても効率化ありきでなく,また,防護さくという問題も,安全面を配慮するために,逆に言えば効率性を実行していくかという中で,組合も大所高所に立って安全面に十分配慮しながら一緒に相談していこうという形で,全面的に協力を得ながら進めています。
◆近藤和雄 委員 最後に,要望です。
やはり,地下鉄は49駅ありますが,地下鉄駅に行けば情報がもらえるというようなほのぼのとする何か,例えば幼稚園でかいた絵を地下鉄のコンコースに張るとか,もうちょっと和やかな雰囲気で,地下鉄に行けばおもしろいとか,親子で地下鉄に乗ろうと,乗客増,需要喚起につながることがないかと思うのです。町内会やまちづくりセンターもありますから,それらの協力を得たり,また,ボランティア組織を募集して発足させ,車いすの方が駅の方に負担をかけなくてもいつでも快適に乗れると。そういうふうに,情報発信したり,地域の方と何かを共有したり,それぞれの駅が特色を発揮できることをもっとやっていただきたいと思います。福住駅には日本ハムがあるからどうだとか,地元の商店街と仲よくなって何かするとか,交通局だけが全部やるのではなく,いろいろな人の手をかりてさまざまな発信をしてもらいたいということを最後にお願いして,終わります。
◎黒田
交通事業管理者 よく心にとめてやっていきます。
◆峯廻紀昌 委員 私からは,増収対策と資産の有効活用について,2点ほどお伺いします。
今の
地下鉄事業の厳しい財政状況から,収益力のアップは欠かすことのできない項目であると考えます。今までの計画を見ると,乗車人員を右肩上がりの中で推移させる中での計画で,収支の乖離を生じて狂ってしまった現実があったというお話しでした。そこで,先般,国の制度に基づいて策定した
地下鉄事業の
健全化計画と10カ年経営計画では,かなり収支を厳しく見ていると。今,説明でも,
乗車料収入の部分だけ見ても,17年度が357億円で,昨年度で362億円ですから,実態を踏まえた数字をつかまえてつくられていると思います。そういった意味で,さまざまな効率化策を展開することで,今までとは違い,確実に推し進めていける,見通していける計画になっていると思います。
しかし,収支の好転を図る中期的な中で,安定した経営をしていく上では,とりわけ効率化でよく言われる人員の削減については,今日までもかなり厳しい中で行ってきています。なおかつ,この10カ年計画の中でも,駅舎,駅業務の完全委託,あるいはワンマンカー導入などでも,削減化が入っています。そういった意味で,安全確保という観点を考えれば,人員の効率化はある意味でもう限界に来ているのではないかと私は思います。そういう中でこの計画を進めていくためには,いかに収益力を上げる努力をするかが,この計画を着実に実行する上での生命線であると私は思っています。収益を上げるためには,増収策の展開にも増して,今,交通局で持っている土地や既存の資産をいかに有効に活用していくかが大きなポイントとしてあると思います。
そこで,第1点目の質問は,増収対策を含めて,資産の有効活用の部分について,基本的にどのようにお考えになっているのか,お伺いします。
◎下村
事業管理部長 増種策及び資産の活用策に対する基本的な考えについてですが,現在,利用人員が低迷を続けている厳しい状況の中で,増収策及び資産の有効活用は非常に重要な取り組み事項であると交通局として考えています。
具体的な取り組みとしては,計画書の20ページに記載していますが,まず,旅行会社とのタイアップです。これは,これまで余りなされておらず,近年取り組み始めたものです。それから,沿線施設との連携などによる新たな需要の開拓,さらには,お客様のニーズをとらえた魅力的な定期券,乗車券の開発です。この典型的な例が
ドニチカキップで,これは成績を上げています。加えて,こういったことによる固定利用者層の拡大にも取り組んでいきたいと考えています。
資産の有効活用については,駅構内は,利用者の利便に供する施設であることを前提としまして,歩行動線を阻害しないことや法令に定める必要な設備を施すことで,国道及び市道を所管する道路管理者を初め関係機関から店舗等の設置などについても理解をいただける状況にだんだんなってきています。こうしたことから,昨年12月には大通駅
定期券発売所の
空きスペースの活用として店舗等の設置について公募し,25社ぐらい見学に来て,最終的に審査には8社残ったという非常に関心の高い状況でした。ここは,去る2月4日には何とか
出店事業者も決定して,新年度4月からの開店を予定しています。そのほかにも,今,活用可能なスペースとして既に何カ所かをピックアップしていまして,できる限り早期に活用を実現したいと考えています。
◆峯廻紀昌 委員 基本的な考えについてはわかりました。なおかつ,今までとは違う積極的な取り組みをされている部分も見られたと思います。
いただいた資料は,既存の土地と施設における活用状況ですが,平成17年度の予算ベースで見ると,今の土地と建物で得ている収入は,土地の部分で約3億円,建物等で約7億円,合計約10億円あり,非常に大きなウエートを占める額だと思います。
しかし,このほかに,既存の土地あるいはスペース等はまだまだ資産としてあるように見受けられます。なおかつ,今まで,こんなところは使えないだろうと思っていたところでも,視点を変えることによって使える部分もあろうと思いますので,そうした部分の努力も必要だと思います。
未利用地の部分の資料も若干いただきましたが,大きい部分だけを話すと,大通西19丁目に約1,000平米あります。建物で言うと,本庁舎1階西側事務所,2階の事務室など,使われていない未利用の部分がかなりあります。この部分をいかに利用するかという努力が必要で,増収対策で言われている
ドニチカキップあるいは広告料はもとより,資産活用については片手間ではできないと思うのです。
そういった中で,資産活用について具体的にどのように取り組んでいこうと考えられているのか,お伺いします。
◎下村
事業管理部長 資産の有効活用の取り組みについて具体的にどうしていくかですが,今回,
地下鉄事業10カ年経営計画を策定するに当たり,交通局では,局内の横断的な組織として策定作業部会を設置しました。これは五つの分野がありますが,特に,その中に乗客誘致分科会,資産活用分科会を設置しています。交通局の職員配置も極限まで絞り込んでいますから,専門でやる部署を純増でつくるのはなかなか難しいので,常にいろいろなワーキンググループ等を設置して兼務しながらやっています。そして,それぞれの分科会ごとに計画の策定を行い,これまで取り組んできたいろいろな改善プランに役立てようとしております。
今回の計画策定後についても,継続した増収策の取り組みは非常に重要だと考えていますことから,今後,分科会の取り組みを一層強化し,地下鉄利用者の皆様のニーズや利用傾向の変化を的確にとらえ,その時々に合った増収策や乗客誘致策に取り組みたいと考えています。
また,特に資産の有効活用ということでは,現在,各部ごとに資産の管理をやっている現状です。交通局では,平成16年3月にバス事業を廃止して,現在,事業管理部,高速電車部2部と担当部一つの体制になっていることから,効率的な資産の有効活用を図るためにも,新年度からは資産活用を専門に担当する課を新設して,資産の一元的な管理と積極的な活用に取り組みたいと考えています。
◆峯廻紀昌 委員 今,特に資産活用の部分で,新たにセクションを設けて専門的にやられるというお話しでしたので,こうした中身について,ぜひ職員一丸となってとにかく達成するのだという意気込みを持ちながら推し進めていただきたい。なおかつ,計画は10年ですが,少しでも前倒して実行しよう,達成しようという思いを持ちながら取り組んでいただきたいと思います。
最後に,これを推し進めていく管理者の決意をお伺いして,私の質問を終わります。
◎黒田
交通事業管理者 管理者の決意ですが,峯廻委員の意見と全く同意見です。
ことしの1月4日の交通局における新年のあいさつの中で,私は,地下鉄に限ってみれば,10カ年計画ができ上がる,これを着実にやっていこう,光は見えてくる,頑張ろうということを言いました。そして,ことし1年間の重点目標は,一つは増収の問題,もう一つは,もう一度,原点に立ち返り,乗ってもらおうというサービスのレベルアップです。これは気持ちの持ちようも含めてですが,この2点をことしは重点的にやっていこうと。
その前段の増収の問題についても,ちょっと視点を変えれば,まだまだ使えるスペース,今,使ってはいるが,そのままではよくない,もっと行動的に使えるようなスペースが結構あります。我々は企業でありますから,それは,できないことはないのだという視点で積極的に取り組んでいきたいと思います。そういった場所の洗い出しも結構いいところまでいっていますので,新しい組織体制を強化して,それを積極的にやって実現していきたい。
ただ,資産の活用も,利益に結びつくところもありますが,例えば,地域との密接な関係でにぎわいを持たせる視点の場所もあろうかと思いますので,その場所に合った有効的な活用を図っていきたいと思います。そういった意味では,組合の方も大変前向きでして,チームをつくりながら全面的協力をしながらやっていこうと言ってくれていますので,ぜひ大きな成果を上げていきたいと思っています。
◆小形香織 委員 質問の一つ目は,昨年3月4日に開かれた
経済公営企業委員会で
地下鉄事業10カ年経営計画の素案について審議しましたが,今回いただいた成案を見ますと,火災対策事業について,素案では55億円だったものが,37億円に減額なっています。それから,効率化策として
ワンマン運転化による累積効果額が12億円と素案で出ていたものが,これは19億円と増額になっています。この2点が大きく変わっているので,なぜ素案と違いが出たのか,その理由と検討の経緯などについてお聞きします。
二つ目は,コストダウンを徹底するという名前のもとで行われる人員削減についてです。
経営目標と五つの取り組みの中には,安全で安心して利用できる地下鉄ということを掲げていますが,現在,約1,000人いる交通局の
地下鉄事業の職員が,10年間で497名減らされて約500人になる計画になっています。こういう人員の削減で,本当に安全で安心に利用できる地下鉄になるとお考えなのかどうか,伺います。
火災対策や地震対策,あるいは
ホームさくの設置などを進めていくという計画になっていますが,例えば大規模な災害が発生した際に,乗客を安全に避難,誘導することができるのか。私は,その点を非常に疑問に思っています。乗客へのサービス,あるいは,安全で安心して利用できる地下鉄という目標が,人員の削減によって実現できるとお考えかどうか,この点をお聞きします。
あわせて,効率化によって実際に人員が削減されますが,その方々のその後の職場の確保はどのようにされようとお考えなのか,伺います。
現在,地下鉄の職員の平均年齢が46.1歳です。そういう意味では,定年退職までまだ十数年あります。定年退職後の人を補充しないことによって人員削減するのが市の一般的なやり方ですが,そういうわけにはいかないと思います。その点,どのような方策をお持ちか,伺いたいと思います。
3点目は,増収対策です。
とりわけ乗車人員は,1995年の年間2億2,928万円余りをピークにして,その後は年々乗客が減少しています。そして,今回,敬老パスの制度が変えられ,一般会計から地下鉄に繰り入れられるお金が3億円,福祉乗車証を相殺すると2億4,000万円が減少になると言っていました。今回の計画では,かなり乗車人員をかたく見込んだのだという説明がありましたが,収益確保を目指す中で,乗客そのものをどのようにふやす計画を進めようとしているのか,その点をお示し願いたい。
◎下村
事業管理部長 まず,素案と比べて,今回の成案では火災対策事業費が55億円から37億円に減少して,一方で,
ワンマン運転の実施の効果額が12億円から19億円に増加していることについて,経理的な立場で私の方から説明し,技術的なことは,また別に説明させていただきたいと思います。
まず,ご質問の火災対策事業費が55億円から37億円に減少している理由です。
経営計画の素案策定時点では,火災対策が具体的にどういうふうになっていくかについて,事前情報的にわかっている段階でつくってきました。このため,駅施設を火災対策の基準に適合させるためにどの程度の改良工事が必要か,結構不明な点が多かったのですが,何とか漏らさない形でカバーするという前提で見積もってきまして,そういった観点から,避難通路の設置が必要だと思われる駅を一たん全部抽出して概算工事費を計上してきました。その後,国とも,どういう施工だったらいいとか,どういった距離でどういったところに避難通路があればいいというようなことを精査して,議論を重ねてきましたが,そうした中で,避難通路を設置しなくても簡易な工事で済むものや,排煙能力の問題も徐々に明らかになって排煙設備を必要とする駅などの整理を進めたりして,その結果として当初の概算工事費が絞り込まれて減少しました。
一方で,
ホームさく設置及び
ワンマン運転実施に伴う効果です。素案段階では,
ホームさくなどの設備投資を行う事業費の財源として,どの程度の補助金が見込まれるか非常に不明な状態で,一般会計からの補助金は見込むことができず,
ホームさくとワンマン抱き合わせで効果額をはじいていました。しかし,今回,国に提出した
経営健全化計画や,10カ年経営計画の成案化の作業の中では,現在の国の補助制度からある程度の補助金額が見込まれるだろうということがだんだん明らかになり,最終的には補助採択されないと決定しませんが,事前の協議でほぼ間違いないだろうという部分は補助金を見込みました。そういうことで,その分を効果額に加えて算出を行ったために効果額がふえています。
◎北川 技術担当部長
火災対策基準に関連して,私から具体的にご説明します。
これまでの火災対策は,昭和50年の基準に基づいて満たしている,満たしていないということでした。その中で,避難通路については2点あり,一つは,ホームから地上まで異なる2方向の避難経路を設けなさいという条件に抵触しているのが9駅でした。それから,その避難通路の設置場所ですが,ホーム端から50メートル以内につけなさいという基準に抵触していたのが6駅で,合計15駅でした。
このたび,昨年12月27日に,国土交通省の方から新しい
火災対策基準見直しの内容が通達の形で出てまいりまして,その中で,この辺について若干の変更がありました。
1点目は,ホームの2方向避難についてですが,北12条駅とか北18条駅は相対式ホームとなっていて,ここは,ホームが二つあり,駅の中でも両方のホームをつなぐ地下連絡通路を設けています。こうした駅は,上り線と下り線の真ん中に天井から壁を下げることによって,その連絡通路を一つの避難通路として認めるという考え方が出てきました。その結果,そうした連絡通路を持っている6駅については,そういう垂れ壁を措置することによって対策ができます。それから,残りのすすきの,中島公園,幌平橋と3駅は,もともとそういう連絡通路がありませんし,駅の性格上,お客さんがたくさんご利用されますので,こちらについては新たに2方向避難通路をつくろうと考えています。
もう1点は,ホーム端から50メートル以内に避難通路をつけなさいという基準がありましたが,この50メートルという基準がなくなりました。これは,ホームからお客さんが地上に出るまでの避難時間を計算し,ホームの煙の濃度が一定の基準以下であれば構わないという解釈になっています。
このように二つの基準が変わったことにより,当初見込んでいた55億円から37億円に減額することができました。
◎下村
事業管理部長 次に,業務を委託して果たして地下鉄の安全が確保できるのかというご質問と,委託等による人員削減をやって,削減された職員の処遇はどうなるのか,さらに,今後の乗車人員の増加対策をどうするかについて,一括してお答えします,
まず,お客様の安全確保については,交通局として最も基本的な責務ですので,計画に掲げている個々の取り組みはいずれも安全面の検証を重ねた上で計画しています。このうち,駅業務の委託化については,交通事業の健全な発展を図ることを目的として,交通局が全額出資して設立した
財団法人札幌市
交通事業振興公社を委託先として,平成12年度から駅業務の委託に取り組んできています。当該財団については,既に今年度までに受託している全49駅中27駅の業務委託により,お客様の安全確保はもとより,駅業務の円滑な執行に関して経験と実績を積んできています。今後は,平成20年度当初までに残る22駅についても,順次,委託することとしていますが,交通局としては,当該財団との連携をより一層強化して,引き続き安全確保に努めてまいります。
また,工場業務の一部外注化については,工場で行っている地下鉄車両の検査業務のうち,受託業者が保守整備等の現場作業を実際に担当し,交通局職員はそれらの作業を確認するための立ち会いを行いながら,検査確認等の管理業務を担当していきます。今後とも,交通局として,受託業者の育成,指導に当たりながら,検査確認をきちんと行い,的確な業務の履行と安全の担保に努めたいと考えています。
また,地下鉄のワンマン化運転については,
ホームさく設置によって,まさしくお客様の安全・安心を十分に確保できるもので,これにより,一層の効率的な運行が可能になると考えています。いずれにしても,今後とも,交通局としての管理体制の充実や業者の育成,指導に努めながら,引き続き,お客様の安全を確保したいと考えています。
それから,乗車人員をどうやってふやしていくのかというご質問です。
10カ年経営計画では,基本的なスタンスとしては,収入を手かたく見る中で確実に経営の健全化の計画を組み立てていきたい,そして,それを実現していきたいと考えています。乗車人員及び
乗車料収入については,近年の減少傾向を踏まえた上で見込んでいますが,事業の根幹である乗車人員をいかに増加させるかという取り組みは最も重要な事項であると考えています。
乗車人員増,利用促進に向けた取り組みとしては,
ドニチカキップの発売を初め,旅行会社とのタイアップで官民合わせて乗車券を売っていきますが,これもかなりの実績が出てきています。それから,今後は沿線施設との連携などによる新たな需要の開拓,さらには,地域との連携,愛される地下鉄といったことも踏まえながら,利用されるお客様のさまざまなニーズをとらえる魅力的な定期券や乗車券の開発により,地下鉄を常に利用していただける固定利用者層の拡大にも今後は力を入れていきたいと考えています。
◎千葉 高速電車部長 業務委託,ワンマン化をやって大規模な災害が起きた場合に安全を確保できるのかというご質問でした。
ワンマン運転を実施した場合には,当然,車両内で事故が起きた場合は運転手が対応することになります。駅間では,大体2分ぐらいが走行時間の一番長いところですが,この中では,緊急時には,何か起きたことがお客様と運転手の間で迅速に連絡がとれるように車両に複数個のブザーを設置します。現在は1車両に1カ所ブザーがついていて,ブザーを押すと,どこかで何かがあったことをお知らせするものですが,今後はこれを複数個にしていき,さらに,そのお客様がブザーを押して運転手もしくは指令所と直接会話ができるインターホン機能もつける形に改良することにしています。これにより,必要な情報が的確に運転指令や駅に伝達され,より確実な対応が可能になるのではないか。例えば,急病人が出ても,すぐに駅に連絡が行って対応できるような形になるだろうと思います。
今後は,先行して
ワンマン運転を実施している9事業者16路線の地下鉄も参考にして,お客様の安全確保に努めていきたいと考えています。
また,駅業務については,これまで半数以上の駅を
財団法人札幌市
交通事業振興公社に委託し,現在,着実に実績を積み上げてきています。また,必要な人員も適切に配置されています。また,駅職員の養成についても,当局の駅務員と全く同じ教習内容で実施しており,平成20年度の全面委託後も不測の事態に十分対応できるものと考えています。
◎下村
事業管理部長 大変申しわけありませんが,削減人員の処遇について答弁を漏らしていました。
今後,工場業務の外注化や駅業務の委託化,さらには,地下鉄駅への
ホームさくの設置に伴うワンマン化によって職員配置がかなり効率化されていきます。これにより,各職場の業務に必要となる職員定数を上回る職員が生じます。こうした職員の処遇については,市内部での連携を十分に図りながら,基本的には市長部局への配置転換を進めたいと考えています。具体的には,今後の計画の進捗状況,市長部局における職員配置計画などを踏まえ,その都度,状況を精査しながら,適宜適切に職員の配置転換を進めたいと考えています。
◆小形香織 委員 確認しますが,削減後のその人の処遇や職場配置というのは,勤続年数とか給与の職位などが確保された上で,内部で新たな職場を確保していくことでよろしいのでしょうか。
◎下村
事業管理部長 そうです。
◆小形香織 委員 正規の職員を順次減らしていくと。最初は札幌管区で74名,17年度は大通管区で85名,18年度は札幌管区で83名,19年度は真駒内管区で74名,20年度が琴似管区で57名,駅業務を委託化するだけで373名の職員が5年間で減らされ,その後,ワンマン化によって92名減らされていく計画になっています。駅業務の委託先は
交通事業振興公社ということですが,七十余名から始まって合計で373名を削減しての駅業務委託化は,そのまま
交通事業振興公社が同じ人数確保していくことになっているのかどうか。要するに,振興公社は減った分と同じ人員を配置していくのかどうか,伺います。
◎長岡 人事労務担当課長 18年度以降については,
財団法人札幌交通事業振興公社における人数がまだ確定しておりませんので,17年度の人数についてお答えします。
17年度の大通管区駅の委託に伴い,交通局の職員は85名の削減を予定しています。一方,
交通事業振興公社において増員となる駅関係の職員数は77名を予定しています。同数というわけにはいきませんが,これについては,平成16年度までの実績として,
交通事業振興公社では,全49駅のうち27駅を確実に,安全の確保はもとより駅業務の円滑な執行を行って経験と実績を積んできてございます。平成17年度以降のさらなる駅業務の委託に際しても,受託者である財団法人としても,これまでに培ってきた経験あるいは交通局と連携した駅業務総体のフォローアップ体制などを踏まえて,民間業者として一層効率的な勤務体制を整えて行っていくこととしています。
その結果,トータルとして,今回の大通管区駅の委託においても,交通局としての削減人員よりも少ない人員での人数で従来どおりの業務執行が可能ということで人員確保をしています。
◎黒田
交通事業管理者 もう少し細かく話すと,今まで本局で100人だったから財団でも100人でいいのかということです。財団は,民営の運営形態を十分参考にしながら対応していく必要があるということで,視察をしました。その中で,一つは,勤務時間の持たせ方の問題があります。駅の業務の実態を考えれば,柔軟性あるいは変形労働時間制といった意味で,24時間勤務体制と休みを組み合わせることによって,実質的な仕事の安全性の担保を確保しつつ,減った人数でも十分やっていけるというのが一番大きな要素です。
◆小形香織 委員 24時間体制だとか変形労働制というのは,働く者にとっては非常にきついと思うのです。そういう意味では,過重労働で本当に大変だということが予想され,人員が減らされることにより,結果的に乗客のサービスが低下する,あるいは,安全が十分に確保できないことになるのではないかと危惧しています。
ぜひ,その点を踏まえて今後進めていただきたいとつけ加えて,質問を終わります。
◆柴田薫心 委員 僕は,この経営健全計画の実施団体に入ったということはいいと思いますが,最近,せっかく計画を立てて発表しても,一転,二転,下手をすると三転する事例が見えています。そこで,これは是としても,今,25年が23年で前倒してできるような説明も受けましたが,もしこの計画ができなかった場合はどうなるのでしょうか。
それから,きのう,市長の58件の予算説明がありました。その中でもこの件については僕は記憶にないのですが,緊縮財政という言葉はよく耳に入りました。そういう中で,一般会計からかなりの金額の導入があるように説明を受けましたが,それが幾らぐらいになって,どういうことになるのか。
一般会計が緊縮財政で,市民は,あれも値上がりになるのではないか,これも値上げになるのではないか,しまいにはごみまでも値上げになるのではないかと,今,青色吐息であります。そういう中で,一般会計の中の割り振りはどうなっているのか。そしてまた,国からどういうように交付金として来るのか,補助金として来るのか,目的財源として来るのかよくわかりませんが,その辺もどうなっているのか,2点目としてお聞きします。
3点目としては,地下鉄50キロ作戦というのがありました。48キロでストップして,議会でもいろいろともめた結果,最終的には2キロ延長,清田線までということで一件落着していると思っています。我々としては,早くそれをやってほしい。その次にまたやってもらいたいという願いが市民の声として大きくあります。今,下村部長の説明を承ると,今後は建設がないとはっきりおっしゃいました。その説明の前に,今,着工するならば建設費27%でいい,それは今後ないからという説明を受けたのですが,その50キロ作戦がどうなったのか。そして,その関連で,ないという説明をされたのはどういう根拠からか,その辺も詳しく説明いただきます。
◎黒田
交通事業管理者 私から,まず1点目についてお答えをいたします。
国から健全化の指定を受けたということは,本当に緊急事態の経営状況だという位置づけだと私どもは考えています。それから,国に出した
健全化計画は,交通局の効率化を前提として,財政当局も含めて札幌市全体として,例えば営業収支はどうかという一つの目標がありますから,それをクリアするものとして札幌市トータルで議論をした上で持ってこいという前提になっています。
そういったことから,私
ども交通局としては,札幌市全体が国に対して約束した中身ですから,それは必ず守らなければならない,遵守しなければならないというかたい決意でいます。それは,中身の数字もあるでしょうけれども,私は,大きな流れとしてはいけると思っています。私が約束しますと言うのもおかしな話ですが,そう思っています。
それから,少しでも努力して増収が図られることになってくれば,それだけ札幌市トータルでの支援額が減ってくる構造ですから,そうした意味も含めて,交通局の努力によって1年でも2年でも前倒しできるような形でと。これは目標ですので,まずは
健全化計画を着実に進めることをきちんとお約束したい,このように考えてございます。
◎下村
事業管理部長 私から,地下鉄50キロ構想はどうなっているのかということについてお答えします。
先ほどの私の10カ年計画の説明では,今後の延長がないと申し上げたのではなくて,今は延長する計画がないというご説明をしました。私の説明の仕方がまずかったと思いますが,ご容赦いただきたいと思います。
今後の軌道系交通機関の整備については,平成13年4月の札幌市総合交通対策調査審議会の答申において,今後は人口の動向や地域,街づくりの進展などを見きわめながら地下鉄の延伸に向けた検討を進めていくことが必要,こういう判断が出ました。また,その後の第一部決算特別委員会の質疑においても,企画調整局から,特に,近年,利用が低迷している状況にあることから,減少傾向についての要因分析を踏まえ,今後の進展状況も見きわめながら検討してまいりたい,このように非常に慎重な答えをしています。
こういった状況を踏まえ,交通局では,利用人員が減少傾向にある厳しい状況の中で,既存路線48キロメートルの中での経営の健全化を最大の目標にしていまして,平成23年度の経常収支の黒字転換と,25年度末の資金不足解消を
収支改善目標として
経営健全化計画として総務省にも提出し,昨年度末に実施団体の指定を受けたという状況にあります。また,この計画を着実に推進していくための
実行プランとして,今回,札幌市市営
地下鉄事業10カ年経営計画を策定して,計画より少しでも早い収支改善が図られるよう今努力をしています。今後の路線延長は,これらの状況を十分踏まえ,交通局としても十分慎重な対応をしていきたいと考えています。
◎田畑 財務課長 私から,2点目の一般会計の予算削減の中で繰出金の割り振りはどうなっているかということと,今回の経営計画の中で国から来る補助金の取り扱いはどうなっているか,この2点についてお答えします。
まず,一般会計の方も,中期財政見通しを立て,財政構造
改革プランという中で,特に企業会計に対する繰出金を削減していくのが大きな目玉でした。そんな中で,私
ども交通局としては,平成13年12月に,平成14年から18年を計画期間とした
改革プランをつくり,これに沿って進んできましたが,この中では,このベースを逃したときには,平成25年まで,今回の10カ年計画と同時期では1,012億円の
地下鉄事業に対する繰入所要額が必要でした。平成16年3月に,国の総務省に出しした
健全化計画の中では,私ども内部努力の部分で,いろいろな安全対策とかバリアフリーの設備投資をする前提で,さらに増収対策や効率化を行うことで125億円圧縮し,一たんこれを887億円に圧縮しました。さらに,16年3月に国にお出しした
健全化計画の中での
財政支援所要額を,平成17年度から制度化される国の制度の平準化債の部分もありますが,一般会計からの財政支援の繰り入れの整理をして,一定のルールづけを行い,これを815億円までにさらに削減しまして,非常に厳しい中ではありますが,一般会計の繰出金の中では一定の成果があると感じています。
それでは,国からのこの計画に対する補助金はどうなのかというご質問です。残念ながら,国からの直接の補助金は,この制度の中ではありません。あるのは,一般会計からの出資金,
健全化対策の出資と呼ばれている部分でして,これは発生する資金不足を低減するために,もう一度,一般会計が借金していいですというのがあって,それだけです。
◆柴田薫心 委員 説明はよくわかりましたが,こんなことを言ってはちょっと生意気ですが,僕はこの中で一番年長者と思っていますから,老婆心ながら申し上げます。
僕は,ことし27年目になります。27年間,議会の流れ,行政の流れを見てきています。ところが,人事は,何年間かでころころとかわっていきます。今,黒田管理者が言っていることは,腹の底からそうやろうと思って,本当のことを言っていると僕は思います。全くこまかしていないと思います。
ところが,変わるのです。東豊線のときも,1日三十何万人乗るという計画を国に上げたのです。あけてみたら,10万人とちょっとです。そのとき,お目玉を食ったのです。そういうことがずっと流れてきています。
そのときの議会答弁,初めの計画答弁,それから,そういうふうになったときの答弁は人がかわっているのです。この点は,僕は株式会社と行政との違いではないかと思うぐらいなのです。僕が株式会社の社長だったら死ぬまで社長をやっているかもわかりませんから,答弁を変えらません。そういうところが僕の心の中の悩みの一つです。
それで,僕から言わせると,この審議会を何でこんなに早くやったのだということになるのです。大騒ぎしてあの審議会をやったのです。あちこちから陳情を山ほど受けたのです。それで,ドームの関係もいろいろありますから,ようやく清田で落ちついたのです。みんな認めて,議会で決定したわけです。健全経営計画はこれから10年計画です。今のは,僕から見ると,23年ごろから計画を立てようかなという答弁なのです。そんなものを,10年一昔というのは昔の言葉で,今は5年一昔の時代なのです。それを,あの審議会で騒いだのはもう何年か前ですよ。それで,ここに来て,市民はこれで納得しますか。もう一回,やり直せということになりますよ。そういうようなやり方については,申しわけないが,僕は一言言いたい。
答弁は要りません。しかし,そういうような体制でなくて,例えば,黒田さんからだれにかわるかわからない。わからなくてもいい,一つの線だけはきちんと引いたものの中で運営をしていただきたい。そういうことを要望して,終わります。
◎黒田
交通事業管理者 柴田委員のお話はもっともでして,真剣に受けとめたいと思います。
今回の10カ年計画は,国に市がトータルで約束した中身ですから,これは私がかわろうとも守られていく,守らなければならないものだと思っています。
それから,せっかくきょうこういったメンバーが集まっていますので,お話ししておきたいのは,若干,私見もありますが,9ページ,10ページをごらんになっていただきたいのです。
たまたま柴田委員の方から延長的な要素が見え隠れするのではないかということですが,今のところは全くございません。それは,延長をどうするという問題は,総交審の中の企画調整局の中で主導する事項であります。もう少し現実的に見ますと,9ページ,10ページ目で,南北線は計画の乖離が若干見えていますが,経常収支は大分前に黒字になっています。それから,東西線は,計画との乖離はありますが,今まで効率化を進めてきたことによって,17年度予算で経常経費がやっと黒字に転化できる見込みが立ちました。その後,東西線も経常経費では黒字が続いていくだろうと思います。
問題は,やはり東豊線でして,見込みとの違いの問題があります。私も清田に住んでいて町内会の役員をやっていまして,昔は東豊線の延長ができないかという話もやりました。しかし,交通局に来てみてざっくばらんに思ったのは,私からすれば栄町の方よりも福住の方が,さらに南の方にたくさん人がいるだろう,だから今に見ていろという気持ちは実はありました。
ところが,平成7年に延長になったときに,かえって南側の方の伸びが非常に低いという現実的な問題があります。ですから,これも一つの仮定でありますが,東豊線単体で見たときの経常収支の赤字額を単体で埋めると仮定すれば,今の乗車人員の倍が乗らなければ,事業を経営している立場からいくとペイしないということですから,そういうこともお話ししておきたかったところです。
◆田中昭男 委員 まず,管理者に一つお聞きしたいのですが,冒頭に,この計画は全市的な検討という言葉を使われましたが,この計画のどこに全市的な観点が入っているのですか,改めてお聞きしたい。
◎黒田
交通事業管理者 一つには,経営の健全化,収支の問題についてどうあらねばならないのかという形での全市的な取り組みということです。それにプラスして,交通局としては一般会計の支援をいただくわけですから,トータルとして経営の効率化,経営指針も含めて,ある意味では交通局内部の経営戦略を構築したということです。
◆田中昭男 委員 まさに,今言われたように,一般会計からの支援が先ほどから出ていますが,それについては,財政も含めて,最終的に市長が判を押したわけだから,そういう意味で言うとその部分は入っているとは思うのです。
しかし,この計画の中に書かれるべき文言で書かれていないのが一つあります。何でしょうか。街づくりとの関係という言葉です。1行も書かれていない,一言も書かれていない。この言葉をもしこの計画の中に書くとすれば,それこそ企画調整局も含めて,現状の地下鉄と札幌のこれからの街づくりがどういうふうにリンクされるかという論議が当然のことながら起きなければなりません。ただ,そこまでやったら時間もかかってとても間に合わない。また,それに何を裏づけるという知恵も出てこないから,だからその言葉が書けなかったのだと私は想像します。
しかし,その一方で,街づくりとの関係でしきり言われているものがある。市電です。これから市電を残すとしたら,街づくりとの関係をリンクさせなければならない。これは,市民フォーラムだろうが何だろうが,全部言っています。
しかし,この計画の中には街づくりの関係ということでの表現は一切ない。街づくりとの関係がなくて,そして乗車人員はどうなるか,増収対策はどうなるのかということは,計画の中に織り込めないから,だから,現状のままの中で,乗車人員をはじくとしたら,厳し目で見積もれば減らさざるを得ない,こういうことではないですか。
そうすると,この街づくりとの関係について,この計画の中でどういうふうに考えられ,検討されたのか,お聞きしなければならないことになります。
◎黒田
交通事業管理者 これも全く田中委員のおっしゃるとおりでして,私も全く同意見であります。基本的にはそうした考えを持っていますし,交通局全体も全市的な街づくりはぜひ必要だと常に思っていますし,特に市長部局とも意見交換をしています。
いっとき,そういった形で具体的な箱物をどうするかという議論が札幌市トータルでされました。私は,そのとき交通局にはいませんでしたが,なるほどなと思っていました。そうした街づくりと地下鉄を直結して公共交通機関を育成していくという考え方は,今の厳然として札幌市トータルとして生きています。例えば,代表質問の議会答弁等でいろいろな勉強会がありますが,常に,街づくりのときには地下鉄に直結した形でどうこうと,全市的にはそういう考えに立っていると私は認識しています。
ただ,田中委員がおっしゃるとおり,そういったことをここにより明確に書き込むことまでできなかったことについては,私も反省せざるを得ないと思っています,
◆田中昭男 委員 私は,この問題はずっと言っているのです。
最近の典型的な例では,東札幌のコンベンションセンターの計画が出たときに,菊水の駅とどういうふうにリンクするのかと聞いたら,この施設は地下鉄は当てにしていませんとはっきり言われました。
その前の例では,交通局の管理者の立場のある人は何と言ったかいうと,これからいろいろな施設をつくるときに地下鉄との関係を考えてくださいと結構言っているのですが,それぞれの担当からは,この施設は交通局のためにつくる施設ではないとよく言われる,困ったものですと嘆いました。