札幌市議会 2004-12-10
平成16年(常任)環境消防委員会−12月10日-記録
平成16年(常任)
環境消防委員会−12月10日-記録平成16年(常任)
環境消防委員会
札幌市議会環境消防委員会記録
平成16年12月10日(金曜日)
────────────────────────
開 会 午前10時
○
熊谷憲一 委員長 ただいまから,
環境消防委員会を開会いたします。
それでは,議事に入ります。
最初に,議案第27号 札幌市たばこの吸い殻及び
空き缶等の散乱の防止等に関する条例案及び同条例案に関する陳情第113号,陳情第115号を一括して議題といたします。
陳情2件は,本日が初審査ですので,提出者から
趣旨説明を受けます。
ここで,委員会を暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午前10時1分
再 開 午前10時12分
──────────────
○
熊谷憲一 委員長 委員会を再開いたします。
提出議員から,補足説明を受けます。
◆馬場泰年 議員 今回の議案第27号については,公明党,自由民主党第二,自民党の3会派所属の全議員による提案です。
この趣旨は,先日の本会議で時間をいただき,説明いたしました。したがって,この場での重ねての説明は割愛しますが,どうか,
環境消防委員の皆さんには十分なご審議をいただきますよう特にお願い申し上げます。
○
熊谷憲一 委員長 それでは,質疑を行います。
◆
鈴木健雄 委員 まず,
提出者側に質問しますが,陳情者が懸念されていた言論の自由,表現の自由についてどう思っておられるか,お伺いします。
◆馬場泰年 議員 この問題は,
条例制定に当たり,私どももいろいろと議論を重ねてきました。表現の自由は憲法でも保障されていますが,私どもは
チラシ等を配ることに対する表現の自由を束縛するものではなく,配った後に捨てられたもの,これはごみというとらえ方をしており,
環境整備の問題からそれを回収する努力義務を規定しました。ご心配の表現の自由については,私どもとしては全く意図していませんし,従前同様の活動を大いにやっていただきたい。
◆
鈴木健雄 委員 仮にこの条例が成立したとして,その後の具体的な
取り組みについて原局側に質問します。
ポイ捨て禁止条例に関して,たばこの吸い殻や空き缶の
ポイ捨て防止は,これまで一人一人のモラルやマナーの問題として市民の良識にゆだねてきました。しかし,依然として,
ポイ捨てが後を絶たない状況をかんがみ,美しい
街づくりを推進するために,罰則の適用も含め,実効性のあるルールを提案したところです。我々議員一人一人も,その重責を認識して,既に芽生えている市民の自主的な活動を積極的に支援していくとともに,市民一人一人に最低限守るべきルールを自覚していただくことが,モラルやマナーの醸成につながり,ひいては美しい札幌の
街づくりの実現に向けた第一歩になるということで,非常に重要な条例案であると考えています。
さて,この条例案は,札幌市の美しい
街づくりや
環境美化という観点が基本となっております。ただし,条例の内容は,例えば,道路や河川,公園が
制限対象区域に含まれていたり,また,市民の自主的な活動を積極的に支援していくこともあって,複数の部局にまたがる内容となっております。
そこで,1点目の質問は,もし条例が成立した場合,執行するに当たってどの局が中心になって,各局間の連携はどのように行っていくつもりか,お伺いをいたします。
それから,今後の
スケジュールについてですが,本定例会において条例が成立したと仮定して,
提案者側では,4月に施行し,過料の徴収については半年後と想定していました。原局としては,条例の可決後に規則の
制定作業や
取り締まり,さらには
過料徴収体制の確立など,実施に向けてさまざまな準備が必要になってくると思います。
そこで,2点目の質問は,可決後の準備は原局としてどのような
スケジュールで進めていくことができるか,お伺いします。
それから,この条例においては,たばこの吸い殻や空き缶などの散乱を防止する必要が特に認められる区域を
美化推進重点区域とし,さらに,この区域内において喫煙を制限する必要が特に認められる区域を
喫煙制限区域としてそれぞれ指定し,重点的に
取り組みを行うことを規定しています。こうした規定に関しては,あらかじめ,関係する地域住民や団体などからも意見を聴取することを義務づけ,さらに,区域内においては,目的に応じて,
禁止行為に違反した者に対する過料は高く設定し,さらに,
喫煙制限区域内における
歩行喫煙などには過料を科すなど,厳しい内容となっております。
これは,市長が定める事項となっております。また,具体的な
地区指定ですが,
提案者側では,
美化推進重点区域について
札幌駅前から大通周辺にかけての中心街を想定しております。さらに,
喫煙制限区域については
札幌駅前通周辺を想定し,その
取り締まり体制として
パトロール員等を配置することも想定しています。
そこで,3点目の質問は,具体的な
地区指定や
取り締まり体制について,実際に執行する原局側の現時点での考えやイメージなどについてお伺いします。
また,予算関係などについてもお伺いします。
この条例が可決,施行された場合,市民の啓発や
取り締まり体制など相応の経費が生じてくると思います。新たに生ずる事務作業のため,
職員配置の検討も必要になってくるのではないかと思います。
そこで,4点目の質問は,新年度の予算要求についてどのように考えておられるのか,また,
職員配置についてもどのように考えられるのか,お伺いします。
関連して,
駅前広場や道路,河川,公園などの公共の場所において,市民等に対する周知や啓発のため,また,
取り締まりの前段として,看板や表示物の設置なども必要になってくると思います。したがって,これらの予算もある程度必要になってくると思いますが,5点目の質問として,関係各部局としてこれからどのような看板や表示物の設置等に取り組んでいかれるか,お伺いします。
◎好川
環境計画部長 条例が成立されたらという前提でのご質問ですが,私からは,5点の質問のうち,1点から4点までお答えします。
まず,1点目の
執行体制についてです。
このたびの条例案の内容では,ご指摘のとおり,複数の部局にかかわってくることになりますので,どの局が中心となるかは,関係する部局での調整となります。今回,議員の皆様から条例案が提出されたということは,広く市民が関心を持っている事柄ですので,組織的,横断的にしっかり対応するようにということだと理解しておりますので,条例の執行を任される私どもとしては,そのことを肝に銘じて対応していきたいと思います。
次に,2点目の今後の
スケジュールです。
これも,条例が施行されたらという前提でのお話ですので,その前提に即してお話しします。
条例の全面施行までには,規則の制定,予算も含めた
執行体制の整備,さらに,
美化推進重点区域及び
喫煙制限区域の指定,市民等への周知など多くの課題があります。提案者のご意向を尊重しつつ,できるだけ速やかにこれらの課題を解決していきたいと考えています。
なお,北海道で同様の条例が既に施行されておりますが,ご参考までに北海道の
条例公布から
罰則規定の施行までの
スケジュールをお示しすると,道条例の公布は平成15年3月,施行は15年12月で,
罰則規定を含めた
全面的施行は16年4月という
スケジュールを踏んでいます。これが一つの参考になるかと思いますので,施行から規則の公布まで,少なくても6カ月程度の期間は必要かなと即断しているところです。
また,三つ目の
地区指定と
取り締まりの体制についてです。
他の
政令指定都市においても同様の
地区指定を行っていますが,その実例を見ると,福岡市ではJR博多駅周辺と
天神地区,にぎわいの多い場所です。広島市ではJR広島駅から広島城,
原爆記念公園に至る地区,神戸市では三宮駅周辺など17地区と,いずれも人通りが多く観光客が多く訪れてにぎわう場所を中心に指定しています。
それから,
取り締まり体制についてのお話がありましたが,広島市では,非常勤,嘱託職員などが
指定区域内を巡回する形をとっています。条例が施行されたとしても,物理的に全市での強固な
パトロールは不可能ですので,地区を指定し,その地区がモデル的な意味を持ち,そして,札幌の街の中に共感を持った形でこの条例の精神が伝わるようなフレームが必要ではないかと考えています。札幌市においても,
地区指定や
取り締まり体制についてこれから庁内で協議,検討していく形になろうかと思います。
それから,4点目は,予算などに関する質問です。
条例施行に当たっては,数多くの解決しなければならない課題がありますが,それらを十分見きわめ,いかに条例を適正に運用していくか,また,運用のための基本となる規則をいかに定めていくか,そうした状況を踏まえた上で速やかに必要な予算や人員配置を検討していきたいと考えています。
◎山田 管理部長 建設局としての
取り組みですが,私どもで所管している
駅前広場,道路及び河川における周知,啓発のための看板あるいは表示物を設置することについては,
条例可決後に,その方法や設置場所,当然,
予算措置等も関係する部局と十分に協議しながら進めていきたいと考えております。
◎千代
緑化推進部長 私からは,公園について答弁します。
札幌市には,現在,2,500カ所以上の公園があります。ただいまご質問の周知用の看板や表示物の設置については,道路や河川と同様に,条例の可決後に,関係する部局とその方法や
設置場所等を協議していきたいと考えております。
◆
鈴木健雄 委員 あくまでも条例が成立をした場合ということでしたが,この条例の成否は何といっても担当部局の役割に大きくゆだねられます。
環境局並びに関係部局におかれては,新たな事務事業も生じ,非常に苦労が多いと思いますが,ぜひ,各部局間の連携を密にして,美しい札幌の街の実現に向けてご尽力いただけることを要望して,私の質問を終わります。
◆
小野正美 委員
議員提案ですから,
提案者側に対する質疑を主として進めていくものと思っていましたが,
条例制定を前提にして,
理事者側に対する質問が先行しましたけれども,委員長の仕切りでしたから従いました。
これから,質問に入っていきます。
議員提案として
条例案作成に至ったご努力には敬意を表し,その提案の趣旨を踏まえながら,制定の手続や内容的な疑問点,課題,あるいは他都市の条例との比較を中心に何点か質問します。
まず最初に,この条例は,札幌を訪れる人も含めて,市民あるいは事業者,
土地所有者,市の責務と,適用範囲は極めて広いものです。
先ほど陳情者の
趣旨説明にもありましたが,やはり,市民の理解と協力を得るためには,今までマナーやモラルの啓発を行ってきたけれども,どういう実態にあるのでそれではだめなのだ,やはり,こうしたペナルティーを含めたルールが必要だということを明らかにする必要があると思います。
そこで,提案者は,どのような
実態調査あるいは
市民意識の調査などを行ったのか。本会議の
提案説明では,昨年11月にプロジェクトを立ち上げ,3会派の中で二十数回の検討会議を行い,町内会など地域の方々の意見を聞き,独自の
アンケート調査を実施したと言われていますが,その内容を明らかにしていただきたいと思います。
◆馬場泰年 議員 この提案に当たり,私どもとしては,一つには,関係機関である道に行き,道の条例の状況,執行状態,あるいは,今は過料になっていますけれども,これを罰金とした場合の道警の動き,道警の考え方もいろいろお聞きしてきました。また,各種団体のご意見も聴取したり,さらに,広島市,福岡市,千代田区といった他都市等の視察も行いました。
また,昨年11月の立ち上げというお話ですが,正式な
政策研究会という形に持っていったのは11月ですけれども,それ以前から調査等の動きをしていました。そうした中で,多くの意見を検討し,
パブリックコメントを含めて,私どもとして
アンケート調査も実施してきましたが,その結果,八十数%以上の方がぜひつくってほしい,また,罰則を入れるべきではないかというお話しでした。そういうもろもろのことを考え,検討に検討を重ねて,今回,
条例制定を提案いたしました。
◆
小野正美 委員 独自の
アンケート調査を実施して,その内容は,余り詳しくはないですが,300程度の調査ということです。また,他の都市の条例を調査したり参考にしたりしていると思いまが,私どもの調べでも,広島市の場合は,昨年7月に制定しています。広島市は,人口113万で,185万の札幌の約6割の規模ですが,ここでは,平成14年6月に3,000人を対象に
アンケート調査をして,その後,
検討委員会を設置し,6カ月後の12月に結論を出して,市の広報誌を通じて市民意見を募集し,
パブリックコメントも実施しています。そういう面で,私どもは
パブリックコメント手続を実施すべきと考えていますが,この点をお聞きします。
札幌市においても,
パブリックコメント手続に関する要綱をことしの7月に定め,それぞれ実施しています。その目的は,本市の重要な政策の
意思決定過程における市民参加の機会の拡大並びに公正の確保及び透明性の向上を図り,もって市民との協働による市政の推進に寄与することとしています。そして,第3条においては,次に掲げる条例案を作成する場合ということで,直接,市民等を対象とするものについて定める条例,あるいは,市民等への義務の賦課,また市民等の権利の制限について定めるものとなっており,まさに今回の条例案はこの対象に合致しますので,当然,この手続を踏まなければなりません。
やはり,案の段階で公表して,市民論議や意見をいただき,よりよい条例にして市民の理解と協力を求めていくべきと考えます。決めてしまってから周知期間を長くとればよいというものではないし,陳情者から,
議員提案だから
パブリックコメント手続をしなくてもよいのかという指摘を受けるようなことはすべきではないと思います。
議員提案だからこそ,模範を示す必要があると考えますが,提案者はこの点をどうお考えになりますか。
◆馬場泰年 議員 確かに,私どもは,ことしの7月に市で定めた
パブリックコメント制度の導入については十分認識しています。そういう中で,広島市は3,000人の
アンケート調査も行っていますが,ほかの
政令都市でそれを実施していないところも実際にあります。だからといって,私たちはしなくていいという考えではありません。
パブリックコメントにかわるものとして,議会は住民を代表する議員で構成されているという部分もあります。
アンケート調査の様子を見て,例えば半々くらいの意見に分かれるとか,微妙な段階であれば,当然,さらにほかの
調査方法でやらなければいけないと思いますが,結果は圧倒的多数の賛成を得ております。また,道にもそういう条例がありますし,ほかの
政令都市でもあるように,
社会環境もそうなってきています。私ども自体も街の中を歩いて調査したり,札幌市でも6月から8月にかけて
実態調査を行っておりますが,そこにもお伺いして状況を把握しました。そういう観点から,今回,提出しました。
◆
小野正美 委員 結果が同じだからやらなくてもよいとか,まだ定着していないし,やったところで意見も数少ないからやらなくていいということにはならないと思います。そういう面では非常に残念な回答だと思います。
次に,他の政令市の
条例内容との違いについて幾つか考え方をお聞きします。
例えば,犬のふんを
ポイ捨て条例に含めているのは12都市中四つですが,そのうち,過料を科すとしているのは広島と京都の2都市で,しかも,ここは
美化強化区域に限っています。今回の条例案では,市内全域,そして
重点区域については過料が3万円以下になっています。この点で,既に本市の野犬掃とう条例の中にも罰金として含まれていますが,あえて組み入れた理由をお聞きします。
それから,
携帯用灰皿については,北海道の条例あるいは
近隣都市の条例などでもほとんど含まれています。
北海道条例では,歩行中,または
吸い殻入れが付近に設置されていない場合,
吸い殻入れを携帯していないときは,公共の場所において喫煙をしないように努めなければならないとか,屋外で喫煙するときは,
携帯用灰皿を持参し,その吸い殻を持ち帰らなければならないということが含まれていますが,今回の提案の中ではこれは含まれていない,外している理由について明らかにしていただきたい。
次に,
喫煙制限区域については,一部の新聞報道とか,先ほどの
提出会派の質問の中で
札幌駅前通などとありましたが,この点はどのようにお考えか,明らかにしてください。
◆涌井国夫 議員 まず,本市の他の条例との関係の問題です。
この条例案の目的は,市,事業者及び市民等が協働して美しい
街づくりを推進することです。安全で快適な
生活環境,さらには,観光都市さっぽろにふさわしい環境を確保することを目的としていることが一番大事なポイントです。公衆衛生の向上という視点を目的とする廃棄物の減量及び処理に関する条例,あるいは,
畜犬取締り及び野犬掃とう条例とはその目的を異にするということでご理解いただきたいと思います。
同時に,
携帯灰皿の件については,一部,
携帯灰皿を条例に盛り込んだところもありますが,今回,我々がいろいろ論議していく中にあって,
携帯灰皿をよしとしてどんどん認めていけば,
歩行喫煙がもっと悪化してくる要素が出てきます。とにかく
歩行喫煙をなくそうという趣旨から,あえて
携帯灰皿という文言は条例の中に盛り込まないと言う結論に達しました。
また,駅前通についても,これはまだ正式には決定しておりませんが,今後,喫煙者に対する配慮も今後何らかの形で考えなければならないのではないか,それは今後の課題とご理解をいただきたいと思います。
◆
小野正美 委員 確かに,
携帯灰皿については,
歩行喫煙を誘発するというご意見があろうかと思います。
しかし,屋外で立ちどまってたばこを吸う方もいます。灰皿が設置されていない場合も含めて,携帯用の灰皿については,今
たばこ販売店などでは余り売っていないようですが,そういう議論も必要かなと思います。
それから,駅前通の
喫煙制限区域の関係についても,時計台とか道庁前を含めて,札幌市の
観光スポットになっているところは,駅前通に比べれば歩道も狭いですし,僕も通行する中で危ないなと思うことが何回かありました。いずれにしても,
制限区域の議論も必要だろうと思います。
それから,印刷物の関係ですが,ほかの都市では紙くずという形で対象にしています。具体的にはたばこのケースやチューインガムの紙,レシートであったりということで,チラシという表現で対象にしているのは12
都市中福岡市のみです。そういう意味で,チラシを受け取り,その後に捨てる,あるいは,意識的に後で捨てて,そのことによって配布者への制約につながるのではないかという心配もあります。私たちもさまざまな政治活動で印刷物を配布していますが,大体においては,自分の顔とか名前が載っているものを捨てられるということは屈辱的ですから,当然,周辺のものは大体回収します。
いずれにしても,思想,信条に関する印刷物を配布する
市民活動や商行為も含めていろいろなものが配布されます。こうした
配布行為そのもの,あるいは,言論,表現の自由や
市民活動の自由を制約したり規制するものではないと思いますが,提出者としての考え方を改めて確認しておきます。
◆本郷俊史 議員
印刷物等については,条例の第1条に目的を書いていますが,あくまでも美しい
街づくりを進めるためにこのことを盛り込んでいて,
印刷物等を配布すること自体を制限するものではありません。チラシを受け取った方が,離れた場所で紙くずとして捨てたというのは,まさに
空き缶等に含まれる紙くずになります。ここで言っていることは,配布した場所並びにその周辺に散乱した場合には配布した者が回収するようにということで,紙くずと散乱した印刷物とは立て分けています。
◆
小野正美 委員 この点は,陳情にもあり,その陳情の取り扱いも後ほど諮りますが,
配布行為そのもの,あるいは,言論,表現の自由や
市民活動の自由を制約,規制するものではないということは,
委員長報告の中でもしっかり触れていただきたいと思います。
次に,運用にかかわって,相当の予算と機構,体制が必要になります。先ほど
理事者側への質問もありましたが,
提出者側の責任としてどのように考えているのか。また,札幌市全域を対象に,違反した場合は2万円以下の過料,
重点区域や
喫煙制限区域は3万円以下の過料となっていますが,以下ですから,具体的な徴収金額を定めることになりますが,どの程度と考えているのか。
それから,通年的な経費として
パトロールの人たちを雇用するお金も必要でしょうし,初年度は看板の設置などが必要です。私どもの調べでは,広島市の場合,平成16年度の通常経費として2,362万円,準備の過程で必要だった経費が平成15年度は3,353万円です。福岡市の場合は,平成16年度の予算は6,090万8,000円,初年度の臨時的な経費として7,918万4,000円かかったという話もあります。
この点は,
提出者側の責任としてどのように検討して考えているのか,お聞きします。
◆馬場泰年 議員 まず,過料については,これから詰めていかなければならないところがいろいろあると思います。新聞紙上では2,000円で決まりのような表現をされているところもありますが,私どもは,別にそれを固定していませんし,発表したつもりもありません。これは,ほかの都市との関係もあって,広島と福岡では過料の金額も違いますが,これからの議論になっていくのかなと思います。
それから,費用の問題ですが,こういう
条例制定に当たっては,初年度にチラシ,あるいは市民への
啓発活動,看板等のいろいろな問題がありますので,実行に移せる最小限の予算はこれから
理事者側の方にいろいろお願いしていきたいと考えています。
◆
小野正美 委員 金を徴収することが目的ではないでしょうけれども,条例化して具体化するのですから,当然,どの程度の予算が必要なのかということは検討されてしかるべきだと思いますが,まだ具体的には検討していないということですね。
それでは,理事者にもお聞きします。
行政側としても,
ポイ捨てについて,モラル,マナーの啓発から,防止策の必要性についていろいろ検討されていると思うし,その裏づけとなる
実態調査もことしの6月に実施したと聞いていますので,この調査を行った目的及び結果の概要をお尋ねします。
これは,何年か前に調査をしたときにこういう実態で,ことし調査をしたら非常にひどくなった,だから考えなければならないというような経年的な比較ができるものかどうか,さらには,他都市との比較ができるかどうか,この点を明らかにしていただきたいと思います。
◎好川
環境計画部長 まず,今年度に私どもが実施した
実態調査の方法などについて概要を説明します。
ポイ捨て防止に関する今後の普及啓発や実施方法,さきに施行されている道条例における
環境美化促進地区の指定,
歩行喫煙に関する規制の要否など,それぞれを検討する際の参考とするために,ことしの6月から8月にかけて
歩行者喫煙ポイ捨て防止調査啓発業務を実施しました。その内容については,
市内中心部,地下鉄駅周辺の5地区,23地点において,朝8時から夜8時までの
歩行者数や
歩行喫煙者数,加えて,調査日の朝に歩道の散乱物を採取,分類してその個数を調査しました。調査結果は,現在,急ぎ取りまとめ中ですが,近いうちに発表したいと考えています。
それから,経年変化,つまり編年体的に比較できるのか,また,他都市との比較ができるのかという点は,私どももそのことに腐心しようと思ったのですが,なかなか比較できない実情です。
ただ,私どもに寄せられる電話とか広報部門に寄せられる苦情は,千代田区の運動が全国に響いていますので,大筋の傾向としては,これまで,札幌市はマナーに,つまり人間性の道徳にゆだねてきたところがありますが,現状は汚い,札幌は本来きれいな街なのだから,なおさらそういう条例が必要だという声が多く寄せられているのは事実です。
◆
小野正美 委員 次に,先ほど
喫煙制限区域について提出者とやりとりをしましたが,指定する場所をいろいろ検討していく中で,喫煙の権利,分煙の保障に関してです。
今,公共交通機関は構内も含めて禁煙になっていますし,建物の中に入ればほとんど禁煙で,議会も喫煙室を設けています。そういう面で,屋外,道路とか公園などで喫煙をしたいという市民もいるわけですから,喫煙場所を設置することも必要ではないかと思います。東京などでも喫煙ボックスやコーナーがあり,札幌駅の南口を出たところにも屋外に喫煙コーナーを設けています。そうしたことの必要性についての認識,あるいは,道路に
喫煙制限区域を定める場合,エリアの中の道路にそうしたコーナーを設けることが道路管理者として可能なのか,お聞きします。
それから,
吸い殻入れの設置についてです。
広報さっぽろ昨年6月号の東区版に,商店街の灰皿ケアということで,伏古商店街振興会の
取り組みが報告されました。これは,日本たばこ産業,JTが区に灰皿を提供して,その管理をしっかりできる商店街などに貸し出す形で取り組んでいます。東区役所の地域振興課がことし3月に行った
アンケート調査の中でも
ポイ捨てが減ったという結果が出ていまして,これは道路管理者の立場なのか,環境局の清掃事業部の方なのかわかりませんが,こういう灰皿などの設置を進めていく考えがあるかどうか,伺います。
◎好川
環境計画部長 まだ条例審議中ということで,我々がまだ全体的な協議を実行し得ない状況では,私の発言には多分に限界がありますし,不確定要素もありますので,そういう前提で私見も含めてお聞き取り願います。
一ころの指定地区については,ことごとく禁煙であるとして,たばこを飲まない運動と,そこで飲んではいけないということがダブルで来たような印象があります。しかし,地下鉄を出た後,飲みたくなるという生理現象もあって,これは一般論ですが,私の見た範囲では,最近の各都市の指定地区においては,指定地区で厳しくする反面,そこに分煙を求めていくという風潮も見られます。私もかなり飲むタイプですけれども,部分的には飲む権利,人間の生理現象を保障していく状況です。
それが道路の場面でどのように展開できるかは,所管の管理部長からお答えします。
◎山田 管理部長 道路に
吸い殻入れあるいはごみ箱を設置することが可能かどうかですが,私も,道路交通の妨げにならないとか,道路が本来持っております機能を損なわない範囲で設置することは可能ではないかと思います。
ちなみに,
札幌駅前通では,地域の団体の方が既に灰皿やごみ箱を設置しております。
したがって,条例が制定されればという前提になりますが,先行都市の状況等を踏まえながら対応していきたいと考えております。
◆
小野正美 委員 最後に,私は,どちらかというと嫌煙の立場で,煙が来たら手であおっていた方です。しかし,喫煙をしている方もいらっしゃいますし,禁煙の流れというか,分煙の方向にあるけれども,そうした整備もあわせてやっていかないと,
制限区域を設けても実効性が生まれない面もあると思います。
いずれにしても,これは市民全体の中でさまざまな議論をやるべき課題であると思うので,重ね重ね残念ですが,今回の提案は,拙速に結論を出すのではなく,
パブリックコメント手続も含め,広く市民論議を行って決めていくべきであったことを指摘して,終わります。
◆青山浪子 委員 私からは,本条例案が可決されたと仮定して,施行後の具体的な
取り組みについて原局に3点お聞きします。
1点目は,事業者及び市民への意識の啓発についてです。
この条例案では,市の責務として,事業者と市民等への意識の啓発を行うことが規定されていますが,本条例を実効性あるものとするためには,事業者や市民等に対して広範かつ継続的に意識の啓発を行うことが大変重要になってくると考えます。
そこで,意識の啓発について,どのような方法で行っていくのが効果的と考えているのか,お伺いします。
2点目は,
条例施行による効果の測定方法についてです。
本条例案のように,明確な目的を持った条例が施行された場合,当然ながら,その効果の検証が行われなければならないと考えています。効果の測定方法として,例えば,定点観測を行うなど何らかの指標を設定することが考えられますが,どのような方法で効果を測定するのがよいと考えるのか,お尋ねします。
3点目は,北海道との連携についてです。
ポイ捨て条例については,既に北海道において制定,施行されていることから,今後,本条例の施行に当たっては,本市単独で行うだけではなく,北海道の条例との相乗効果を上げるために北海道に対して協力を求めなければならない部分があると思います。その際には,北海道と札幌市で役割を分担したり,連携をとることが必要になってくると考えますが,どのように行っていくことができると考えているのか,伺います。
◎山本 清掃事業部長 私から,1点目の市民への意識の啓発についてお答えします。
まず,これまでの
取り組みについてですが,平成7年12月に市議会において,吸い殻,空き缶などの
ポイ捨て防止に関する決議がなされ,これを機に,毎年5月30日のごみゼロの日に合わせ,全市で約3,000人のクリーンさっぽろ衛生推進員の皆さんと協働で,地下鉄駅周辺あるいは都心部で
ポイ捨て防止キャンペーンを展開しています。また,各地域においても,春,夏,秋の清掃運動など,
環境美化に向けた数々の活動が行われています。さらに,本市では,普及啓発用のポスター,ステッカーを作成し,地下鉄車両内への掲出,公共施設など市内各施設へ配付しているほか,ドライバーに向けたラジオスポットによる広報なども行ってきております。
今後も,これらの
取り組みの充実を図るとともに,条例が成立した場合は,本市としても,なお一層効果的な広報
啓発活動を行うよう検討していきたいと考えております。
◎好川
環境計画部長 二つ目と三つ目は,私からお答えします。
まず,条例が施行された場合の効果の検証ですが,地域によってどういう市民運動があるか,また定点観測も含めて,わかりやすい調査が必要であると思います。
それから,北海道庁との連携というお話がありました。条例案が成立した場合,札幌市は道条例での禁止・
罰則規定が適用されない区域になります。したがって,罰則の適用については,オリジナルの札幌市条例に基づいて実施していくことになります。しかし,道との連携,意識啓発は,共通の目的を持っていますので,連携を深めながらともどもにやっていきたいと思います。
◆青山浪子 委員 最後は,要望になりますが,関係部局で,新たな事務事業ということでご苦労も大変多くなると思いますが,美しく住みよい札幌の
街づくりを進めるため,一層のご努力をお願いします。
◆宮川潤 委員 最初に,先ほど,印刷物に関して,散乱した場合の回収なのだという答弁がありましたが,改めて確認させていただきます。
本条例は,市民のマナー向上を図り,美しい街をつくることを目的としたものであって,政治活動あるいは市民運動について制約するものではない,この点を確認させていただきます。
◆本郷俊史 議員 そのとおりです。
◆宮川潤 委員 先ほど来,提出者自身から質問がありました。自民党あるいは公明党の委員からです。提出者といっても,理事者席に座られている方は,提出者を代表して座られているのですが,委員席にいる自民党,公明党議員も提出者の一員ですね。聞いておりますと,例えば,可決後にはどのような流れになるのかとか,効果の測定のほどはどうするのかという質問がありました。提出者は,提出に当たり,このようなことは事前に調査して,踏まえてはいなかったのか。私は,こういうことは十分踏まえた上で提案すべきだと思います。本当は質問された方に聞く方法もありますが,せっかく代表者として前に座られていますので,こういうことを事前に踏まえないで提案されたのか,この点を伺います。
もう一つ,プライバシーアクションという団体の方だったと思いますが,先ほどの陳情提出者の方は,提出者に対して質問状を出したけれども,期日までに回答がなかったとおっしゃいました。回答されなかったのでしょうか。この点も伺います。
◆涌井国夫 議員 最初のご質問については,提出者の側として,最大限の論議を尽くし,関係部局とも若干の意見交換を持ちながら臨んでいるのは当然だと思います。その上で,公開の場である
環境消防委員会に付託され,たくさんの市民の皆さんも傍聴席に座ってどういう論議があるのかお聞きしていらっしゃいます。そういう中にあって,理事者の意見を明確にして,そういうふうに進んでいくのかと理解することは別に問題ないと思います。
もう一つは,きょうを迎えるに当たり,大変な時間をかけて取り組まなければならなかったこと,どんな難しい質問が来るのかなということで大変多忙を極めている状況でしたので,十分な回答をできない場合もあったと思います。
私どもとしては,公開質問状,あるいは,今,陳情が上がっている2件については,この委員会の中で十二分に意を尽くしてご説明をしようと考えています。
◆宮川潤 委員 提出者自身が効果の測定や可決後のことを質問したことについて,きょうは傍聴者もいるので問題がないというお答えでした。私が質問した中身は,効果の測定をどうするのか,啓発としてどういうものだと効果があるのかなどについては,傍聴者がいるからということではなく,提出者自身が提出に先立ってそれらを踏まえていなかったのかということなのです。
踏まえないで提出されたのですか。それとも,提出者全体としてそういう問題については十分調査して調べていたのですか,改めて伺います。
◆涌井国夫 議員 先ほどからお話ししているとおり,今回,条例の提出に当たり,原局ともさまざまな角度からいろいろな論議をしました。同時に,今回の委員会の中で,市民の方にも来ていただきながら,確認の意味も含めて質問があってもいいと思い,問題はないと思っています。
◆宮川潤 委員 結果的にはわかっていたことだと。
私は,そういうものならば,委員からの質問という体裁でするのが適切かどうか,ちょっと疑問があります。質問があったときに,理事者席に座られている方が,そういう内容については十分踏まえている,中身はこうだ,効果の測定についてはこうだとお答えするようなやり方が当然ではないかという点で,やはり,疑問を残す質問であったと申し上げておきます。
それから,道条例との関係です。相乗効果もとありました。道条例は,札幌市を除外した条例ではなく,札幌市も含めた条例となっていて,罰金は2万円ですから,これが3万円までとなっている点が最も違いのはっきりしているところではないかと私は思いました。その場合,道の2万円では不十分で,札幌は3万円までと独自に上乗せした場合,その効果がどれほどあるかについて検討されたのか。
私は,道の条例でも,運用をしっかりやっていけば十分な効果を期待できるし,札幌市のものも,金額は違っても,意図するところはそれほど変わらず,その点では屋上屋を架すという印象を持ちました,3万円にしたことでどうなるのか,その見通しについてどのように考えていらっしゃるのか,伺いたい。
それから,札幌市
畜犬取締り及び野犬掃とう条例についてですが,ここでは5万円の罰金または過料とされております。先ほど,この条例とは目的が違うとおっしゃったかのように聞いておりました。しかし,実際には,今回,提出された議案第27号の第10条で,飼い犬を連れている者は,公共の場所において当該飼い犬がふんをしたときは,そのふんを回収しなければならないと,ふんを回収することを言っています。それから,
畜犬取締り及び野犬掃とう条例では,第16条第2項の中で,公の場所及び他人の所有地内等を畜犬の汚物により汚染するような行為もしくは荒らすような行為を防止する意味で罰金,科料を規定しています。実際に犬のふんに関して求めていることは,事実上は同じではないかと思うのですが,違うのかどうか。この点を伺います。
◆馬場泰年 議員 前段の道条例の過料の件ですが,確かに,道条例は全道にかかっていて,今おっしゃられたとおりです。
私どもは,北海道の中の札幌,そして,これだけの大都市で人ごみのある状況から,全市にかけたものの,実際に過料の重点地域を設けて,そこに実際に市民の
啓発活動をやって意識向上を図っていきたいということです。
私どもは,ほかの都市もいろいろ参考にさせていただきました。その結果は,明らかにあらわれていますので,そういうことを含めて重点地域あるいは喫煙地域を設けましたので,ご理解をいただきたいと思います。
◆涌井国夫 議員 2点目の畜犬条例の絡みですけれども,本条例案は,市民,事業者が美しい
街づくりを推進することを目的にした条例です。もう一方,
畜犬取締り及び野犬掃とう条例,あるいは,公園につきましても,公衆衛生の向上ということで,目的は違っているということで問題はないと思います。
もう一方,
畜犬取締り及び野犬掃とう条例については,罰則は罰金または科料となっています。過料と科料では意味合いが違いまして,畜犬での科料は刑事罰です。行政罰とはまた違う意味になりますから,これで取り締まろうとすると,具体的には,本市が違反者に対して告発しなければ対象とできません。このため,今まで聞いたところでは,告発をして取り締まった例は一件もないという実態だそうです。
◆宮川潤 委員 条例の目的ということでおっしゃいましたが,現実には畜犬の汚物で汚染する行為を防止することとふんを回収することは,現実上は変わらないだろうと私は思います。5万円の罰金または科料ということが既に決められていて,2万円あるいは3万円の過料では,屋上屋を架すという印象は免れないと指摘しておきます。
最後に,
パブリックコメントについてです。
パブリックコメントの要綱は,直接,市民等を対象とするものを定める条例について
パブリックコメントに付すということでした。事情はいろいろあろうかと思います。
アンケート調査を事前にやったなどの努力をされていることは先ほど伺いましたが,一方で大変お忙しかったとも聞きました。質問があっても,多忙な中で十分に回答できなかったものもあるということでは,市民の皆さんの間に疑問を残した状況だと思うので,その点についての認識はいかがか,お聞かせ願います。
◆涌井国夫 議員 先ほどから何遍もお話ししていますが,市民の皆さんが懸念を呈している問題については,本委員会の中で意を尽くしてお話しするのだということで理解していただきたいと思います。
◆宮川潤 委員 北海道の場合,同じように議員で提出してということでしたが,提出後に
パブリックコメントに付していると聞いておりました。その点についてはどのような考え方をされているのか,今後,
パブリックコメントに付すというお考えがあるのか,それは予定していないのか,お聞かせいただきます。
◆馬場泰年 議員 細則になるのか要綱になるのか,範囲の問題とか,これからいろいろな課題があります。当然,これらの
取り組みは市長がやるという条例になっていますが,その中では,市民の皆さんの意見をできるだけ聴取するような形で事を進めていくべきだと我々は思っています。
◆宮川潤 委員 できるだけ聴取する,しないではなく,
パブリックコメントに付す予定でいるかどうかという点ではどうですか。
◆馬場泰年 議員 課題がいろいろありますから,その中で市民の皆さんの意見も聞きながら取り決めをしていかなければならないと思っています。
◆宮川潤 委員 私は,最初に,政治活動あるいは市民運動について制約するものではないということを確認し,そのとおりだという答弁をいただきました。今後,施行規則等の策定作業に入っていくと思いますが,施行規則の策定に当たっては,政治活動あるいは市民運動について制約するものではないことをぜひ明記すべきだ,この点については求めておいて,終わります。
◆福士勝 委員 この条例について,段々の質疑や答弁の中でさまざまな考え方が示され,数多くの指摘もありました。陳情者からは,まず,
印刷物等を規制対象にすることについて問題の指摘がありました。このことについては,北海道の条例で規制の対象になっていますから,あえて本条例案に盛り込む必要があるのか,私は疑問に感じており,条例案中に
印刷物等の回収義務の規定を盛り込む必要はないと考えております。ただ,全体の流れを聞きながら,さらには本市の置かれている状況等々を考えますと,
ポイ捨てや
歩行喫煙などに過料を課すということを含めて,全体的にはこの条例案を理解する立場です。
いずれにしても,この条例の運用段階では,いろいろなご意見等々が出ていますから,市民の意見を聞きながら議論し,そして育てていく姿勢が大切であり,求められていると思います。所期の目的が達成され,
ポイ捨てや
歩行喫煙がなくなるようであれば,当然,大幅な見直しも視野に入れるべきだと思っておりますから,条例案の提案に当たって,こうした改正については,今後どのような考え方に立つのか,お聞かせいただきたい。
◆馬場泰年 議員 委員のご指摘のとおり,我々が提案していく上で,この条例を育てていくことは大変大切な観点であると思います。そして,実際に運用していく中において,これから市民の意見を聞き,条例を改善すべき点があれば,その意見も取り入れていく必要があることは先ほども申し上げました。
私どもも,この条例案を検討する中でいろいろ議論をしました。目的や趣旨を議会でも説明しましたが,モラルやマナーが守られてきれいな街になっていれば,こういう条例をつくる必要はないだろうという意見も多数ありました。しかし,実際はそうなってはいません。将来,
条例制定によって,
ポイ捨てや
歩行喫煙に対する市民の意識の高揚が図られ,きれいな街になったとすれば,極端な表現ですが,そこで条例を取り消すこともあると思います。
いずれにしても,社会の変化もありますし,今後も見直すところは見直していかなければならないと思います。将来,議論をして,改正するところがあれば,改正していくこともあり得ると思います。
◆福士勝 委員 今の答弁を含め,柔軟に,前向きに対応していくということが求められていると思います。
条例というものは,市長が提案しようと,今回のように議員が提案しても,100%完璧だということはなく,実際に運用する中で幾つかの問題が生じてくるのは当然だと思います。重要なことは,運用による条例の効果や陳情で述べられた危惧を含めて,予想できなかった問題点を放置することなく検証し,きちんと改正していく,こういうことを重く受けとめるべきだと思っております。
いずれにしても,条例を制定して違反した方々を取り締まることより,第1条に書いてある条例の理念を大切に持ちながら,協働して美しい
街づくりをしていくことが大事なことですし,それらを支援していくことが基本的に本市の大きな役割の一つだと思います。アダプトプログラムにまで至らなくても,それぞれの地域で
環境美化に関する多くの活動がなされていますから,今後,この条例が運用段階に入ってくると,実効を上げていくという意味で,そうした地域における
取り組みを積極的に支援していくことを理事者に要望しておきます。
◆坂ひろみ 議員 委員外なので,簡潔に申し上げます。
最近の札幌市では,特に雪解けなどを見ますと,本当に
ポイ捨てが多くて,何らかの形で
ポイ捨てをなくす方法は必要かなと思います。しかし,だからといって,いきなり罰則つきの条例が果たして必要かどうかについては,もう少し市民を交えての議論が必要ではないかと,今まで皆さんの話を聞きながら感じていました。
昨今,盗聴法の制定,住基ネットの稼働,街中にふえる監視カメラ等,監視社会が進む中で,安全・安心な
街づくりという名のもとに,全国で1,400を超える自治体が生活安全条例を制定していると聞いています。代表的なのは,皆さんもご存じの千代田区の路上禁煙条例ですが,本市の
ポイ捨て条例も生活安全条例の中の一つのものとして入るのかなと思います。
この安全・安心
街づくり条例が各地で急速に制定されている背景にあるものですが,1994年に警察庁で生活安全局が設置され,また,警察の関連団体である全国防犯協会連合会の2者が,安全・安心
街づくり条例の制定を積極的に推進していることがあります。私は,従来,警察が介入できなかった市民社会への警察の介入がこうした形で実施されていることに対する危惧を持っております。千代田区の方でも,条例が制定されたときには,条例担当部局に警察庁の警察官が出向して
条例制定に関与し,また,2003年4月からは,それまで市の職員が巡回
パトロールされていたものを,警察官OBを採用することも起きております。もちろん,今回,条例案として出されたものも警察との連携があるとは考えていませんし,ないものと思っていますが,全国的にこのような社会の流れの中で,
ポイ捨て条例は慎重に進める必要があるのではないかと考えています。
先ほど陳情者からお話があったとおり,条例案第9条の問題については,
市民活動を規制する上,憲法で保障されている表現の自由や言論の自由を侵害するものではないかと市民の方が大変心配されるのは,私は当然のことだと考えています。先ほどの答弁でも,馬場議員から,あくまでも捨てられた後のごみとなる紙類について言っているのであって,活動そのものを規制する意図ではないというお話しでした。
しかしながら,回収するよう努めなければならないという文言で条例が決まると,例えば,地下鉄駅で坂ひろみのチラシを配った場合,皆さんは地下鉄に乗って移動され,地下鉄の中やおりた駅など,いろいろなところで捨てられます。そうすると,一体どこまで回収に努めなければならないのかという範囲の問題が出てきて,そういう部分では非常にあいまいな表現になっています。条例が制定された後に,警察官のOBであろうと,だれであろうと,巡回
パトロールの方から現場で回収に努めなければならないという点で指導を受ける場合,いろいろな問題が生じてくることを考えると,市民の方が心配される活動を規制するようなことになりかねない面があると思います。
また,その範囲について,憲法上の問題点として,憲法第31条では,手続面と実態面における適正手続の保障を規定しています。どこまで努めなければならないのか,拾わなければいけないかが条例で明確に定義されていない場合は,解釈の幅が拡大でき,憲法,刑事法の明確性の原則に反するのではないかと考えますが,この件についてどのようにお考えか,伺います。
それから,この条例には市民の責務が明記されています。したがって,
パブリックコメントは当然必要だと私は考えます。今回の議会で,急いでこれを決めなければならない理由はないのではないかと考えます。これだけ市民の方からも陳情が上がっており,他の会派からも,これまで
パブリックコメントが必要ではないかという意見が出ております。こうした中で,この後,
パブリックコメントを1カ月程度かけて行い,1定の中で決めていくのでも決して遅くないのではないかと考えます。
先ほど来のいろいろなご答弁は,どうもしっくりと納得できません。昨年から
パブリックコメント制度が実施されておりますし,札幌市としても市民参加が進められている中で,市民の責務が明記されているのに,この件で
パブリックコメントをできない理由はないと思います。1定まで時間を延ばしてでも
パブリックコメントをすべきだと考えますが,ご見解を再度伺います。
それから,先ほど来,札幌市が
実態調査した件が出ていましたが,まだきちんとした結果が出ていないということで,今後出てくるのかなと思います。札幌市が行った
実態調査は,2,289万円を今年度予算に計上して15日間にわたり調査したものですが,こうした
ポイ捨て条例の
実態調査は過去に例がありませんので,非常に貴重なデータではないかと思っています。道条例の効果を調べるためにも実施したと聞いていますし,PRしたり,巡回指導員の方を配した後,どのくらい減ったかというデータも非常に参考になるのではないかと思います。多額なお金をかけて行った
実態調査の結果をきちんと市民に返した上で,
ポイ捨て条例が必要かどうか,
パブリックコメントなどできちっと時間をとって議論することが必要ではないかと考えますが,その点はいかがか,伺います。
それから,第6条の
土地所有者の責務について,これは民間の個人の方も当然入ってくると思いますが,ここの必要な措置を講じるよう努めなければならないということも若干あいまいな表現かなと思います。ここも,具体的にどこまで,どのように考えているのか,伺いたいと思います。
◆本郷俊史 議員 まず,印刷物,
チラシ等についてです。
昨年12月に道の
ポイ捨て条例が制定され,同趣旨の条例が既に施行されております。したがって,今,札幌市内ではチラシが散乱した場合に回収しなければならない努力義務が既にかかっています。また,その表現として,道条例では配布した場所の周辺,また,他の
政令都市では,名古屋市の場合は配布した場所,京都市の場合は配布場所またはその周辺の場所,広島市では配布された場所またはその周辺の場所と規定されており,その周辺をどこまで指すかは常識の範囲ではないかと思っています。
また,先ほど私は説明しましたが,
ポイ捨てに該当する
空き缶等の中に紙くずが入っておりますから,紙くずを捨てれば
ポイ捨ての対象になります。散乱しているのは,
ポイ捨てではないです。私たちは,当然,政治活動を行いますし,私も行っていますが,このチラシをあえて紙くずとして
ポイ捨てするわけはなく,配っている途中にやむを得ない事情でその周辺に散乱したものを回収していただくと。あくまでも努力義務ですので,これは表現の自由を侵すものではないと認識しています。
◆馬場泰年 議員 早急に条例提案がされたのではないかと,
パブリックコメントについてご質問がありました。私どもは,昨年から時間をかけて,4定において提案することを前提に諸事項を整理してきました。その内容は先ほど来説明したとおりですので,決して
パブリックコメントを嫌がっているわけではないとぜひご理解いただきたいと思います。
◆涌井国夫 議員
土地所有者の責務の規定についてのお話です。
当然,公共施設,あるいは民地や空き地などいろいろな場所がありますが,札幌市内の空き地をきれいにしていくのは市民全員の思いではないかと思います。1人がごみを捨てることにより,2人,3人,4人と,ほかの人も捨てていいと思ってしまう法則があるようですので,少なくとも
土地所有者の人たちは,可能な限り,それぞれの土地の範囲内で責任を持ってごみをきちんと清掃するのが美しい
街づくりへの大事な視点ではないかと思って規定しました。
◆坂ひろみ 議員
パブリックコメントについては,見解の相違といいますか,そこはどうしてもご理解いただけないようですので,これでやめます。しかし,
議員提案であっても,市民の責務を盛り込んでいる以上,また,こうした陳情が提出されている以上,私は
パブリックコメントをすべきだと申し上げます。
先ほど,施行後に半年間の周知期間を置いて市民の方に十分知らせてからとお話しされていました。それであれば,現段階において
パブリックコメントをして,広く市民の皆さんにPRし,周知することで理解と協力を得られると考えられます。昨年来,市民参加が札幌市政の中で進んでいる中で,この条例に関してだけ
パブリックコメントが行われないのはいかがなものかと思います。これからの議論になりますが,早急に決めるのではなくて,市民の声をきちんと聞き,十分議論した上でこの条例案を進めていただくよう要望して,終わります。
◆松浦忠 議員 私どもの会派は,本委員会に委員が出ておらず,本会議での質疑も時間の制約でできませんでしたから,質疑をするのはこの場限りになりますので,少し具体的に質疑をさせていただきたいと思います。
まず,今までの議論を聞き,提出者の説明も聞いて,まず,お尋ねしたいのは,自民党,公明党と合わせて35人の提出した会派の皆さんは,道条例をどのように市民に説明し,道条例に基づく
ポイ捨てや美化のための
取り組みをされてきたのか。どなたでも結構なので,議員の比率からして,そちら側にお座りの自民党2人,公明党1人から具体的に取り組んできたことをお答えいただきたいと思います。
◆涌井国夫 議員 ご案内のように,道条例につきましては,一昨年の12月に施行され,その後に運用細則ができ上がって周知されています。また,道の所管部局とも,今後,こういった
ポイ捨て条例をつくるに当たり,さまざまなことを参考にしなければいけないということで,いろいろ意見交換をさせてもらいました。
その中で,私たちが一番思ったことは何かというと,実効性のあるものにしなければならないということです。市長も,ある場所で
ポイ捨てについて論議したときに,そういう話をされたこともあります。私たちも,当然,条例を制定するに当たり,実効性がなければいけない。
罰則規定をつくり,刑事罰もつくっても,全く何も変わらないのであれば意味がありません。ですから,行政罰の中で,私たち自治体の方でも実効性を伴うものとしてそこに
罰則規定を盛り込むことが一番大事なポイントだなということでのせました。
もう一つ大事なことは,広島に行ったときに,条例があっても,運用する側で,警備員といいますか,指導員といった人たちが,常日ごろ,街の中で注意喚起する,あるいは目を光らせる,そうしたことが極めて有効なのだとまざまざとわかりました。したがって,そうした相乗効果で極めて高い効果を期待できることが今回の条例に盛り込んだ意図です。
◆松浦忠 議員 委員長もしっかり質問者の質問を聞いて,答弁者がその趣旨に沿って答弁しなければ,委員長の方から,それは違うと指揮をとってもらわなければ困ります。
私は何を質問したかったか,もう一回言います。
北海道の条例ができてから,この条例を提案するまでの間に,自民党会派24名と公明党11名の35名の議員の皆さんは,議員ですから人の集まるところに行きますので,その条例に基づいて,こういう道の条例ができたから,犬のふんの放置とかたばこの
ポイ捨てはお互いに気をつけてしないようにしましょうという啓発運動を具体的にどのようにされてきたのかと聞いたのです。
そして,比率として,公明党は11名,自民党は24名ですから,そちらにお座りの自民党の提出者2名から,公明党は1人で結構なので,3名から,どういう場所で,何回くらいそういう発言をしたかと聞いているのです。
◆馬場泰年 議員 私自身も,道の状況もきめ細かに説明を受け,諸会合において道の条例がこういう形であると市民の皆さんに理解を求めています。そういう状態において,我々としては,なおかつ札幌に条例をつくる必要性を持ったということで,今回の提案になりました。
◆松浦忠 議員 それでは,馬場議員にお尋ねします。
少なくとも白石区では,各議員が呼ばれるいろいろな会合がありますが,私は,今までこのことについてただの一回も言ったことはありません。自民党と公明党の議員からも聞いたことはありません。私は何を前提としてこのことを言っているかといったら,提案理由として,北海道の条例では,罰則などの具体性がなく,効果がないからこの条例を提案したと,その趣旨の主要事項の一つとして説明しています。涌井議員もそう答えています。
市民団体の方からもいろいろな質問書が出ているように,議員というのは,基本的に,まず憲法をきちんと理解することが大前提です。それから,今ある法律も理解する,条例も理解する。その中で,特に市民の代表である議員が条例で市民生活を規制していこうと考えるときには,まず,みずからが市民に具体的に呼びかけて実践し,その結果,それではどうも言うことを聞いてくれない,ただ,そういう違反をしている市民は全体からいうと少数だ,大多数は違反していないのに少数の違反に大多数の市民が困っている,こういう状況があって,初めて,条例とか規則をつくって規制していこう,これが戦後の憲法下における日本の基本的な考え方なのですよ。
ここのところは,先ほどからの議論を聞いていて私が質問しても,答えになっていない。私も馬場議員も,新年会などいろいろなところに一緒に出ていますし,公明党の議員も出ていますが,私はただの一回も言っていないし,馬場議員からも聞いたことがない。公明党の議員も言ったことはない。
したがって,私は,あるものをみずから実践もしないで,それで,質問されたら,
提出会派の議員が市長部局に,これはどうやってやるのだ,金をどのくらい見ているのだとか,予算をお願いするとか,私に言わせたら,何をわけのわからないことを言っているのだと。わけのわからない連中が,こんな条例を出すなどということ自体,さっき自民党と公明党の質問を聞いておって,私は全くナンセンスな提案だと思った。まさに無知と言わざるを得ない。今の質疑を聞いて,まず,私の判断を示しておきます。
そこで,質問です。
実践はしていない皆さんの提案ですが,今までのやりとりの中で,例えば,宮川委員が,ビラについて政治活動と
市民活動は除外かと聞いたら,そういうものは規制しないと言っています。
しかし,法律体系ということでは,委員会の質疑が条例として効力を持ってくるのか,持ってこないのか。馬場議員にお尋ねしますが,こういう質疑で皆さんが答えたことが,市長がこれを適用していくときに効力を発していくのか,発していかないのか,このことについてお尋ねします。
◆馬場泰年 議員 今回の条例提案に当たって,今後の課題があるところは,それはそれで要領等の中で盛り込んでいくことになろうと思います。
◆松浦忠 議員 今後の規則とか要領の中に盛り込んでいくと言うけれども,あなた方提案者がこの規則や要領をつくるのですか。この条例を見たら,市長が定めて実行することになっているでしょう。あなたの権限外でしょう。あなた方自民党と公明党の35人の提案者の権限外なのです。今度は市長にゆだねられるわけです。
その市長が,自分の考え方は質疑があったものとは違う,市長に課せられている義務はこの条例に書いていることだけだ,条例に書いていないことについては市長の判断でできるとなるのです。憲法も法律も条例も,日本の戦後の解釈はすべてそういうことになっているのです。
私は,今まで皆さんの質疑を黙って聞いていたら,これは対象外などと言っているけれども,条例には対象外と一つも書いていません。書いていないものを,どうして対象外にできるのですか。明記しなければだめなのです。
◆馬場泰年 議員 制定していくのは,そこに書いておるとおり,これから市長がやっていくことになりますけれども,我々も条例提案者の立場でそれだけの責任がありますので,我々の意見も十分述べながら制定をしていただくように働きかけます。
◆松浦忠 議員 絶対的な拘束力を持つのは,
議員提案でも結構ですが,議決した条例というのは,市長に対して,その文言を明確に解釈できる範囲では絶対的な拘束力を持ちます。しかし,明記されていないものは,市長の執行権限に属することになります。その執行権限には我々は関与できません。市長がこれでやると言ったらやれます。したがって,それにきちっと関与していくとすれば,例えば,チラシに関して
市民活動や政治活動は対象外だと言うのなら,この条例の中に
市民活動と政治活動は除くと書かなければいけません。
憲法から始まる日本の法律体系,日本の中央行政官庁を含めて,もっとわかりやすく言えば,内閣法制局がどういう解釈をして国の法律を適用してやっていっているか。それに基づいて地方行政があるわけです。私は,実は内閣法制局でこの見解を聞きました。そうしたら,たとえ条例といえども,明記されていないものについては執行権者を拘束することはできないと言っています。あなた方は内閣法制局に聞いたのですか。(「聞かなくてもわかっている」と呼ぶ者あり)
わかっていれば,なぜそういう答弁をするのですか。権限外のことをどうして答弁するのですか。
馬場議員,答えてください。
◆馬場泰年 議員 条例の中に盛られているとおり,それは運用上の問題にかかわっていくことですから,それを実行に移すときに我々はこれからそういう意見を求めながらやっていくということです。
◆松浦忠 議員 それでは,法制担当課長にお尋ねします。
あなたは,市長の組織下の一員として法律を担当していますが,条例に明記されていない事項について質疑がありました。具体的に言うと,チラシについて,政治活動と
市民活動は対象外とか配慮するとか,あるいは常識の範囲とかいろいろ言っていたようですが,(「言ってない」と呼ぶ者あり)言ってないのですか。それなら改めて聞きます。
政治活動,市民生活にかかわる
市民活動に関するチラシは,特に政治活動について聞きますが,このチラシの範囲に入るのか,入らないのか,具体的にもう一回答えてください。私の質問に答えてください。
◆本郷俊史 議員 先ほど来,何回も申し上げていますが,政治活動であれ,布教活動であれ,あるいは,商業的なチラシであれ,とにかく印刷物のことを言っています。ですから,政治活動について対象外という答弁はしておりません。
◆松浦忠 議員 そういうことになると,これは全く憲法上の表現の自由と大きくかかわってくる問題です。とりわけ,戦後の今の憲法における現在の日本の行政
執行体制を決めるすべての根源というのは,国会で制定される法律にあります。市町村にあっては条例です。
議員が,この条例はだめだ,もっとこういう条例に変えるべきだということをわかりやすく案内する文書をつくって,例えば,私の名前で,駅前通で街頭宣伝,
啓発活動をやったときに,それをもらった人たちは,それを読んで,要らなくなったらその辺に捨てていくかもしれない。そこが特定地域に指定されていたら,私はそのチラシを全部回収しなかったら3万円の罰金だと。(「違う,中身を理解していない」と呼ぶ者あり)3万円以下の過料ということになってないのですか。いや,3万円以下でなくてもいいです。そういう規制をここにかけてくるのはよくない。憲法上に触れる問題がある。したがって,ここは,明確に,それを除くとしなかったらだめだと私は思います。
先ほどの本郷議員の答弁では表現の自由に触れないということですが,私は表現の自由に触れると思います。表現の自由というより,日本の戦後の政治体制の根源に触れる問題だと私は思っています。本郷議員は,これは根源に触れると考えないのかどうか,改めて質問します。
◆本郷俊史 議員 条文をよく読んでいただきたいと思います。
第9条,公共の場所において,
印刷物等を市民等に配布し,または配布させた者は,先ほどの陳情ではその次が略されていますが,その配布場所の周辺に散乱している当該
印刷物等を回収するよう努めなければならない,こういう条例の案文であって,配布してはならないとはなっていません。あるいは,配布したものを回収しなければならないという文章ではありません。先ほど来,何回も言っているように,議員の配ったものが地下鉄構内で捨てられる,あるいは,遠く離れたところで捨てられる,それが配った者の責任になるというつくりにはなっていないのです。それは,捨てた方が対象になるので,配った方が対象になるわけではない。あくまでも,周辺に散乱したものを回収して帰ってくださいという努力義務です。
◆松浦忠 議員 この第9条で言えば,配布し,または配布させた者とあります。そうすると,例えば,私が駅前通で先ほどのようなことをしたときに,私が回収に努めなければならないということでしょう。努めなかったらどうするのですか。何も罰則はないでしょう。それだったら,何も強制力がない。あなた方は先ほど,道条例では罰則がない,強制力がないからそれが守られない,だから罰則をつくるのだということを趣旨の一つとして言っていました。だとしたら,これは,まさにこれまですることはない,意味のない話ではないかと私は思います。これで意味があるのですか。
◆馬場泰年 議員 印刷物を配り,ほかの人がその周辺に捨てたときに,配った人はそれを回収する努力目標を与えているだけです。道条例では,捨てた人そのものが適用になっていると思います。ですから,配った人には回収の努力目標を求めているだけです。
◆松浦忠 議員 なぜこのことを聞くかといったら,この問題は,古くは,もう亡くなったけれども,社会党の澤木さんがどうだという話を随分していました。しかし,当時は,もっと市民
啓発活動をやってからやるべきだということで,今の自民党の皆さんも,公明党の皆さんも,何もしなかったのです。
そこで,散乱などの状況は,その当時よりさらにどの程度進んだかと言えば,先ほどの理事者の答弁を聞いてもそれを比較するものは全くないということです。提案者の皆さんにそれについて比較するものがもしあるなら,それを聞かせてほしい。ないのなら,ないと答えてください。
次に,第15条2項で,美しい
街づくり月間は毎年4月とするとありますが,今の実態として,皆さんが春の雪解けのときに各町内会で一斉に大掃除をやるのはいつかといったら,必ずしも4月とは限っていません。大体は連休前後にやっているところが多いです。その後,花の苗ができたら街路樹の花植えをする,これが雪解けからの一連の流れですから,ここで4月と規定することが実態に合っているかどうかということもあります。こうした時期的なものも,今,市内の各町内会ではどういうふうに行われているか調査の上で,少し幅を持たせて,この期間くらいと幅を持たせた方がいいのではないかと私は思います。それについては,どういう調査の結果で4月と限定されたのですか。
◆涌井国夫 議員 松浦議員の質問をずっと聞いておりましたが,第1条,2条に書いてある条例の本来の目的,理念規定をしっかり踏まえ,私たちはこの目的達成のためにどうするかということで,最終的に,私たちは罰則という手段をもって理念を実効あらしめるようにしていこう,できれば一人一人がモラル,マナーを遵守して街をきれいにしていこう,これが一番大事な趣旨です。憲法の問題があるとか,表現の自由とか,そういうことではないということは,先ほど来,何遍も言っておりますので,どうかご理解いただきたいと思います。
4月にしたことについては,やはり,私どもも雪解け時に缶とかたばこの吸い殻が一番目につきます。そこで,5月のゴールデンウイーク前の春先に,多くの皆さん方と有効的な月間を通じて啓発にきちんと努力していこうということです。
◆松浦忠 議員 私もあきれています。質問してもまともに答えないで,憲法や法律体系も別の話だという人たちが出しているような条例に何を質問しても意味がない。一番大事なことは,戦後の政治体制,国家体制に基づいて,我々がどう快適な市民生活をするかという観点でつくられなければならない条例が,憲法にも関係ない,何も関係ない,とにかくたばこの
ポイ捨てと犬のふんだけ取り締まればそれでいいのだという認識の条例については,質疑をするのも全くばからしくなりました。よくぞこんな考え方で出してきたなということだけ,噴飯物だということだけを申し上げて,終わります。
◆堀川素人 議員 印刷物の回収に努めなければならない周辺とは,どのくらいの範囲を想定しているのか。
実際に,政治活動をして,相手はビラを受け取ってくれたけれども,その辺に捨てて街が散らかったから,監視の人はこの活動自体をやめてくれ,先にその辺に散らばったものを拾ってからしなさいと言うのでしょうか。相手が受け取ってくれたということは,上げたものですから,相手の所有物になります。その所有物をその人が捨てたときに,配った人間が回収しないために,やめてくれと言われることにつながって政治活動や表現の自由が侵されたらどうなるのか,そういう意味で周辺とはどの範囲を言うのか,伺います。
それから,受け取ったということは,一回,相手のものになっています。それを,相手の意思で捨てたのに,配った人間が回収しなければならないことについて,どういうふうに考えるのか。
もう一つは,この条例と警察権力の関係はどうなるのでしょうか。具体的には,注意されて,過料を払う人と払わない人がいたら,そのとき,この条例では払わない人からどうやってお金を取り立てるのでしょうか。警察の力をかり得るものか,かり得ないのか,それはどうなのでしょうか。
○
熊谷憲一 委員長 質問の1点目については,先ほども質問がありまして(「範囲は答えてないぞ」と呼ぶ者あり)答弁されておりますので,簡単に答弁していただきたいと思います。
◆馬場泰年 議員 この
条例制定は,先ほど来ずっと議論があるように,市民の
啓発活動であり,意識を高揚して街をきれいにしていこうということです。過料にしたというのも,そういう意味で,過料を徴収するのが目的ではありません。それが何らかの形であくどい状態になっていったときは,警察の手をかりる告発等もあり得ると思いますが,まだそこまでは至っていません。我々は,その前段の活動をしていこう,市民に理解を求めていこうということです。
◆堀川素人 議員 せっかく委員長がまとめてくださろうとしましたが,今のことは,僕はわざと聞きました。わざと聞いたというのは,どれほど知識があるのかと。これは警察権力は全く介入できません。告発も,できるものではないのです。
どういう手続になるか,あなた方がわかっているのであれば答えてください。
◆涌井国夫 議員 先ほど来ご説明をしていますが,私どもの本条例の
罰則規定について,過料というのは,札幌市が独自の判断で,きちんと実行していない人に対し,法的に
罰則規定により過料として徴収できるものです。札幌市の独自の判断でできるものです。警察は,刑事罰でないと,罰金とか科料でないと介入できません。それは,先ほども明確に分けてご説明しました。
◆堀川素人 議員 そうするならば,払った人がいる一方,その人の名前もわかり,どこに住んでいるかもわかって,払わない人が出てくることもあり得ます。条例は,市民全体に平等の扱いをしなければなりません。法のもとに平等であるとよく言われますが,払わない人がそのままで済むことにはならないでしょう。そういう場合には,どういうふうにして払わせるようにするのですか。
◆涌井国夫 議員 広島市では,実際に過料を徴収していますが,実例を見ますと,支払っていただけない人も実際に出ているということからわかるとおり,本来,過料を徴収することが目的ではないので,それらもあり得ると思います。
◆堀川素人 議員 はっきり言いますが,今の答えは余り法律に明るくなさ過ぎる。法は万人に平等に対応しなければならないものです。わがままを言って,おれは払わないと言ったら,払わなくてもいいような条例はあり得ません。そういう人からどうやってしっかり取っていくか,その作業がこの先にあります。これをどう考えているのですかと聞いているのです。
◆涌井国夫 議員 今後,細則の中でどうするのか,実際に運用する行政部の方でその辺もしっかり論議することだと思います。
◆堀川素人 議員 これは,これから考えることではないです。あなた方が条例を決める時点でもう既に決まっていることなのです。相手が払わないならば,最終的には差し押さえという方法をとっていくのです。そういう方向に行くのですよ。そういうこともわかった上できちっと提案をしていかなければいけません。
それから,その周辺というのはどこまでを言うのか。この概念規定をしっかりしなければ,10メートルなのか,100メートルなのかということは,少なくとも過料を科すのですから,しっかりしていかなければならない。
◆涌井国夫 議員
罰則規定では,印刷物の部分はそうなっていません。
◆堀川素人 議員 今の印刷物は過料を科せないのでしたね。
ただ,努力目標であったとしても,条例を決めるときには概念規定をしっかりしていなければだめです。さっき坂議員が言った原則があります。ですから,そういうことについて,今,あなた方が,どの範囲であれ,5メートルとか3メートルというのもあれでしょうけれども,こういうことをイメージしています,それを市長が決める細則の中でしっかり入れさせます,こういうイメージを持たなかったらだめですよ。
さっき言ったように,憲法の問題と違うと言っても,今のことで憲法にかかわる表現の自由が侵される可能性があるとみんなが心配しています。すべての印刷物が入るということなら,政治的印刷物も入るということでしょう。それを一生懸命に配っている人は,自分で捨てたいと思ってまきません。受け取った相手が捨てて散らかしていったら,受け取った人ではなく,配った人がそれを回収しなければならないのなら,その範囲はどこかということを明確にしなければだめです。
ただ,もうこれ以上は言いません。その程度の認識でやられていることがよくわかりました。以上でやめます。
○
熊谷憲一 委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,質疑を終了いたします。
まず,陳情2件の取り扱いについてお諮りいたします。
取り扱いはいかがしますか。
(「継続」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 陳情第113号及び陳情第115号を継続審査とすることにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 異議なしと認め,陳情第113号及び陳情第115号は継続審査と決定されました。
それでは,議案第27号について,討論を行います。
◆
小野正美 委員 本日,この議案について結論を出すということであれば,民主党・市民の会として議案第27号については賛成いたします。
我が会派としても,マナーの啓発では限界があって,ペナルティーを含むルール化が必要という考えもあります。一方,先ほど議論もありましたが,安全・安心な社会とか,きれいな
街づくりを名目に,市民生活や活動を制約する,あるいは監視社会が強化されてきているのではないか,この流れの中にこの条例もあるのではないかという危惧の声もあります。
そういうことも含めて,あるいは,今後のこともあるので指摘しておきますが,先ほど来いろいろ議論してきたように,今回の条例については,さまざまな疑問点というか,共通の課題があります,何よりも,
条例制定の必要性やその内容について,広く市民の理解と協力を得るためにも
パブリックコメント手続を実施すべきだと思います。
アンケート調査などで大方の理解を得られるのだ,あるいは,市民の代表である議員が提案して議論したからいいのだ,あるいは,やっても余り声が届いていない実態があるなどと言われていましたけれども,そういうことではなくて,本市も要綱を定めてやっているのですから,
議員提案だからこそ,模範を示すべきであると思います。
ただ,結論を出すという点で言えば,今後,具体的な要綱を定める過程においては,これらの趣旨を踏まえて,行政側においても市民論議,市民への啓発あるいは市民意見を反映する努力をしていただきたいし,提出者を含めた議会側としてもこういった努力をしていくことが必要ではないかと思います。そういう立場に立った上で,議案第27号について賛成いたします。
○
熊谷憲一 委員長 ほかに討論はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,討論を終了いたします。
続いて,採決を行います。
議案第27号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 異議なしと認め,議案第27号は可決すべきものと決定されました。
ここで,説明員の交代を行いますので,委員会を暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後0時24分
再 開 午後0時27分
──────────────
○
熊谷憲一 委員長 委員会を再開いたします。
次に,議案第15号 札幌市都市公園条例の一部を改正する条例案を議題といたします。
質疑を行います。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,質疑を終了いたします。
それでは,討論を行います。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,討論を終了いたします。
続いて,採決を行います。
議案第15号を可決すべきものと決定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 異議なしと認め,議案第15号は可決すべきものと決定されました。
次に,議案第22号 財産の取得の件(公園用地)を議題といたします。
ここで,理事者から,補足説明を受けます。
◎千代
緑化推進部長 議案第22号は,公園用地に係る財産の取得の件です。
まず,仮称宮の森4条緑地は,中央区宮の森地区に位置し,市街地に残された面積約3.9ヘクタールの貴重な樹林地となっています。周辺一帯は北海道神宮風致地区に指定されており,良好な戸建て住宅地の中にあるミズナラやイタヤカエデなど落葉広葉樹を中心とした樹林地です。今後とも,市民の財産として保全,活用していく必要があることから,今回,取得するものです。
なお,施設の整備は,平成17年度から19年度の3カ年を予定し,樹林地の保全を主体としつつ,自然との触れ合いや自然学習の場として整備する予定です。
次に,仮称屯田1番通公園用地です。
昭和58年に小学校建設予定地として約1.6ヘクタールを札幌市土地開発公社が先行取得しましたが,その後の急激な少子化等により建設計画がなくなったため,現在,行政確保用地として保有しています。
当該地は,平成6年から約10年間,地元管理による屯田スポーツ広場として開放されていて,周辺地域の公園配置状況も勘案して,このたび,近隣公園として整備するために取得するものです。
整備
スケジュールは平成17年度と18年度の2カ年を予定し,整備内容は,本年11月に1回目の地元説明会を開催しており,今年度中に基本計画を策定する予定です。
○
熊谷憲一 委員長 それでは,質疑を行います。
○
熊谷憲一 委員長 なければ,質疑を終了いたします。
それでは,討論を行います。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 なければ,討論を終了いたします。
続いて,採決を行います。
議案第22号を可決すべきものと決定することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
熊谷憲一 委員長 異議なしと認め,議案第22号は可決すべきものと決定されました。
以上で,本日の委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後0時30分...