札幌市議会 > 2004-12-01 >
平成16年(常任)総務委員会−12月01日-記録
平成16年(常任)厚生委員会−12月01日-記録

ツイート シェア
  1. 札幌市議会 2004-12-01
    平成16年(常任)総務委員会−12月01日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成16年(常任)総務委員会−12月01日-記録平成16年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成16年12月1日(水曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時 ○長内直也 委員長  ただいまから,総務委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,高橋委員からは,欠席する旨の届け出がございました。  議事に入ります。  路面電車事業の存廃の検討状況についてを議題といたします。  理事者より,説明を受けます。 ◎下平尾 企画調整局長  本日は,路面電車事業の存廃に係る今日までの検討状況について報告します。 ◎高宮 総合交通計画部長  路面電車を存続するか廃止するかということについては,平成15年度末までに結論を出すこととしておりましたが,結論を出すまでの検討や議論――特に市民への路面電車の置かれている状況などの情報提供や市民との議論が不十分であることなどから,その結論を16年度末までに先延ばししました。  15年度末の交通事業経営改革会議における結論としては,路面電車を存続させるために,経営の効率化車両更新などの設備投資の内容,料金改定などの課題の整理を引き続き行うとともに,議会や市民との幅広い議論などを行うとのことでした。16年度については,これらの課題について調査,検討を進めるとともに,市民に対しても広く路面電車事業の現状と課題を周知し,広報さっぽろでの特集や市電フォーラム出前講座の開催を通じて情報を提供し,意見をいただきながら検討を進めてきております。これらの結果を踏まえ,今年度内に方向性を結論づける予定です。  また,検討に際しては,経営形態あり方を検討するため,民間事業者へのヒアリングを行っており,本日は,その結果について報告します。  お手元に配付している資料に基づいて説明します。  まず,民間事業者へのヒアリング結果についてですが,路面電車事業民間活力を導入することが可能かどうかを検討するため,バス事業者軌道事業者,整備・メンテナンス事業者等ヒアリング調査を実施しました。  調査期間は,16年6月から10月にかけてです。  ヒアリングの対象としては,道内道外交通事業者と整備やメンテナンスを行う事業者です。バス,鉄道事業者は4社,軌道事業者は7社,整備・メンテナンス事業者は9社です。  ヒアリングの項目としては――1点目として本市路面電車事業現行路線に対する評価について――これは,経営全般収支状況,運行,乗客サービス等について評価いただきました。2点目は,各企業で行っている増収策経費削減策について,3点目は,電車事業への民間活力の投入の可能性について,4点目は,それらのヒアリングの総括です。  まず,本市路面電車事業現行路線に対する評価についてですが,経営面については,経営の効率化が不足している――特に,経費中の人件費の割合が大きいため,収益を圧迫しているという意見,経営の合理化によっては単年度営業収支黒字転換可能性もある,現行ルートのみの運行では,事業の発展性がなく,乗車料金のみでの独立採算は難しいのではないかなどという意見がありました。また,乗車人員減少傾向について――現在,各年約2%程度減少しておりますが――これに歯どめがかからない現状では,この路線での増収策は難しいのではないかという意見もありました。
     次に,路線・運行面についてですが,路線がループされていないことが運行効率を低減させている原因になっている,地下鉄さっぽろ駅,JR札幌駅等へのアクセスが非常に悪い,電車の老朽化が進んでおり,早急な対応が必要となっている,高床式電車のため交通弱者――いわゆる高齢者には利用しにくい構造になっているのではないかという評価をいただきました。  次に,各企業が行っている増収策経費節減策についてです。  まず,サービス向上策増収策についてですが,新型低床車両の導入は街のシンボルとなり,路面電車イメージを向上する,街づくりに非常に貢献しており,また,高齢者交通弱者利便性をも向上させるものであるということ,また,利用者ニーズに対応した運行便数,さらには,始発や終発の時間対応を適宜図っているということ,運行情報システム導入により,利便性の向上を図っている,料金の引き下げを行うことによって利便性を高め,利用客をふやす――その手法としては,ワンコイン化,高割引率の定期,さらにはシルバー定期を導入しているということでした。また,地域住民の利用を促進するための方策として,地域イベントの支援,子供向け電車教室など,沿線住民電車サポーター化を図ることに力を入れている事業者もありました。さらに,軌道内自動車乗り入れ規制の強化による定時性の確保――基本的に路面電車の構内に入ることはできませんが,さらに強化して路面電車を優先させることによりその定時性を確保する,また,広告車両の活用に積極的に取り組む――本市も行っておりますが,より積極的に取り組んでいるということでした。  次に,経費削減策についてですが,各企業とも,人件費削減策に着手しております。具体的には,嘱託職員等の導入による人件費の削減,勤務時間実働制の導入による人員削減などを積極的に行っております。また,新型車両の導入による燃費の向上とメンテナンスコストの削減を図っております。さらには,レール強度の向上,PC枕木導入によるメンテナンスコストの削減を図っているとのことでした。  次に,本市路面電車事業への民間活力導入可能性についての意見ですが,いずれの企業にも尋ねましたが,具体的な企業名を公表しないという条件で尋ねておりますので,ご了承願います。  まず,参画形態についてですが,乗車料金のみで賄う独立採算は困難である――いわゆる設備投資も含むということでは困難であり,市から一定の補助がある場合には可能であるという意見がありました。また,参画の形態としては,従来型の個別委託方式管理運営委託,さらには事業そのものを契約によって運行管理のすべてを民間にゆだねる方式が可能であるという意見もありました。また,運行,設備,施設管理分野の企業によるコンソーシアムの参画は可能という意見もありました。この形態は,地元企業の参加の可能性を高めます。コンソーシアムとは,複数の企業による共同体です。さらには,老朽化した車両の更新など,新たな設備投資には行政の支援が不可欠である――乗車料金設備投資の回収は不可能という意見もありました。事業契約期間については,契約改善効果の発現に時間を要することから,20年程度の長期間の契約が必要であるという意見もありました。  こういったヒアリング結果を総括すると,運営及び設備投資分を含む独立採算は,民間活力を導入しても困難である――行政からの支援が必要である,運行業務全般の受託は可能である,経営の合理化により運営のみの単年度収支黒字転換は可能である,設備投資には行政からの支援が必要である,さらに,本市の都市交通体系の中で路面電車位置づけが明確になっていないが,今後どうするのかという意見がありました。また,ループ化されていない現路線は非効率であるという意見もありました。  こういったヒアリングの結果を参考に,資料5ページの右図に基づき管理運営委託方式事業契約方式における経営の効率性について検討し,民間事業者の参画の可能性についてまとめていきます。今後,これらの課題の整理を行った後,存続か廃止かの結論を今年度内に出す予定です。  右の図ですが,上から管理運営委託方式事業契約方式――BTO,BOTの順で示しております。BTOとは,民間主体が施設を建設し,施設完成後に施設所有権を公共に移転し,民間主体が管理運営する方式です。BOTとは――第2斎場がこの方式ですが――民間主体が施設を建設,管理運営し,事業終了後に施設所有権を公共に移すという方式です。今後,私どもはこれらの方法について検討していきます。 ◎二木 交通企画課長  第1回市電フォーラムの結果について説明します。これまで課題を整理する上で市民議論が足りない部分もあったことから,このような場を通じて市民と意見の交換を行いました。  日程については,8月31日に開催しました。第2回は――今後になりますが――今週土曜日の12月4日に開催する予定です。その後,第3回は,来年に方向性についての報告の場として開催したいと考えております。  第1回市電フォーラムの概要についてですが,200名を超える方に参加いただき,まずは路面電車の現状の課題等を我々から説明しました。そのほか,現在,路面電車を運行し経営している民間事業者である広島電鉄中尾常務に,これまでの取り組みについて発表していただきました。その後,有識者を交えたディスカッションを行い,存廃の問題についてどうすれば克服できるのかということについていろいろ意見交換を行いました。  広島電鉄もかなりの経営危機を乗り越えて現在に至っておりますが,その間,いろいろな営業努力利便性向上の工夫にさまざまな観点から取り組んできたということでした。特に最近は,バリアフリーの観点から利便性の向上を図るべく,低床車両の積極的な導入を図っているというお話でした。また,国産の新型車両の導入にも着手しており,平成16年度に新型の車両が完成し,現在,試験走行中であり,年次ごとに整備を進めていきたいということでした。  その後,ディスカッションの中で,存廃問題の克服に向けていろいろな議論が交わされました。その中で,現在,路面電車が抱えている問題は,まず経営問題が根元にあるという議論がありました。それから,赤字と言うけれども,身の丈に合った支出を目指す必要があるのではないか――例えば,家計と同じような考え方で臨む必要があるのではないかということでした。それから,事業運営についても,民営には民営のメリット,公営には公営のよいところもあるのではないかという指摘もありました。また,市民議論方向性についても,存廃に向けて,ノスタルジー的なイメージとしてあった方がいいと主張される方や,今後,積極的に活用するという街づくりの視点からの路面電車必要性を主張する方がいて,そのような方が先鋭化すればするほど,一般庶民からは議論が遠ざかっていくことも考えられる,今後,市民議論をする上でのプロセスが大切になる,また,市民全体の議論に広げていく必要があるという指摘もありました。  有識者からもいろいろな提言をいただいており,その中では,現行路線という枠の中で存廃の議論をすると,どうしても消極的な議論にならざるを得ないのではないかという指摘や,車両や施設の更新に約90億円が必要と想定しているけれども,現行路線維持という小さな議論では非常にネガティブな面もあることから,市全体として,都市のインフラである路面電車をどのようにするのかという全体ビジョンを示された中であれば,約90億円という投資についても市民理解が得られるし,伝わっていくのではないかという意見もありました。それから,現在の本市の路面電車には,経営体質の改善,電車の快適性の改善,交通結節点アクセス改善の三つの改善が必要ではないかという視点も提言され,そのような意味で,本市は将来の路面電車をこうしたいというグランドデザインを示す段階に来ているのではないかという提言もありました。  フォーラムの様子を9ページに示しておりますが,大方の参加者からは大変参考になった,やはり,民間の鉄道事業者が行っている努力を見習うべきではないか,もっと大きな市民議論にしていくべきではないかといった意見が寄せられました。  10ページに示しているものは,参加者アンケート調査の結果です。次のような意見が寄せられました。まず,路面電車の存廃に関する意見の主なものとしては,延伸についても考えながら存続していくべき,環境に優しい乗り物なので存続すべき,シンボル性の面から存続すべき,民間活力を生かして存続すべき,交通の面から存続すべき,存続のためにさまざまな可能性をもっと探っていくべき,もっと議論してから結論を出すべき,そして,やはり,全体のビジョンが,現在,必要とされているのではないかというような意見がありました。  なお,参加者からは,廃止すべきという意見はありませんでした。  それから,参考として11ページに――広報さっぽろ7月号で市民に対して路面電車の現状の課題について情報提供を行った上で市民意見を募集したところ,これまでに200件を超える意見が寄せられております。この表ではそれを整理してグラフ化しておりますが,存続を希望する方が全体の66%,廃止してもいいという方が20%程度です。それを住所別,区別に分類したものが右側の表で,全市的には存続を望む声が強いという結果があらわれております。中央区に限った存続派というよりも,全市的に残したいという思いの方がそれなりの割合を占めております。  次のページは,その中の意見の観点を整理したものです。  存続の理由として掲げている主なものは,札幌のシンボルとして残してほしい,また,環境に優しい面があるということで存続を希望するという意見が多くありました。また,廃止の理由としては,経営が赤字ということで,このまま赤字が続くのであれば廃止もやむを得ないとする意見がありました。それから,経営のあり方―財源的なものについても,民間活力を積極的に導入して存続していくべきではないかという意見がありました。料金のあり方についても,一定程度の値上げもやむを得ないとする意見が多くありました。また,ループ化,延伸についても,必要という意見がそれなりに多くありました。  広報さっぽろ7月号に寄せられた意見等の集約結果として示したほかに,お手元に参考資料として,広報さっぽろ9月号のコピーを配付しております。市民の存続,廃止に対する具体的な意見を整理しております。やはり,存続派が114件と大半を占めており,先ほどのグラフで整理したように,札幌のシンボルという意見,環境面から存続を支持する意見等があります。一方,廃止については,沿線の足を守るという上では代替措置としてバスでもいいのではないかという意見,路面電車に対してこれだけ税金を補って運営していくのであれば他の施策に使うべきではないかという意見等がありました。  市民議論については,4日に開催するフォーラムなどを含めて――これからも市民意見を集約していきたいと考えております。 ○長内直也 委員長  質疑を行います。 ◆小須田悟士 委員  これまで,路面電車活用策については,いろいろと検討を重ねてきた経過がありますが,いかに活用していくかという議論から,赤字になるという収支の悪化で,存続するのか,廃止するのかといった原点に立ち戻った議論がなされております。  先ほど全体の説明がありましたが,昨年の段階では路面電車の存続問題について平成15年度末までに結論を出すと言っていたにもかかわらず,解決すべき課題を整理するということで結論を1年先延ばしすることになりました。しかし,地元の住民は結論を待ち続けており,一刻も早く結論を出すべきだと考えております。  そこで,なぜ結論を先延ばしすることになったのか,もう少し詳しくお伺いします。あわせて,間違いなく今年度中に結論を出すことができるのか,お伺いします。  次に,昨日の日本経済新聞ときょうの北海道新聞には,路面電車民間事業者への委託に関する記事が出ておりました。民間事業者は,設備投資負担をした上で独立採算で運営することは困難などと回答しているとの内容です。これまでの報道を見る限り,私は,既に民間事業者への委託を前提に検討が進められているかのように受けとめております。  そこで,今回の民間事業者へのヒアリングはどのような目的で行われたのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  存廃の結論を先延ばしした理由等についてですが,平成15年度は,路面電車を存続させるために経営形態の見直しによる効率化,車両や施設などの更新,それに伴う財源の確保などさらなる課題の整理を引き続き行うとしたものです。やはり市民との幅広い議論が足りない,また情報交換も足りなかったことも反省しつつ,結論を1年先延ばししました。今後,広報さっぽろでの市民への情報提供市電フォーラムでの市民議論を踏まえて鋭意検討を行い,今年度中には存廃の結論を出したいと考えております。  ヒアリングの目的についてですが,今回の調査は,路面電車事業民間委託化を前提としたものではありません。民間活力導入の検討に際して,可能性のある手法,形態などについて民間事業者に調査したものです。今後,これらヒアリングの結果を踏まえ,存廃の方向性を導き出したいと考えております。 ◆小須田悟士 委員  今の答弁を聞くと,それこそ理事者民間事業者との間で,裏ではかなり突っ込んだ,詰めた話をしているのではないかと疑いたくなります。これは私の思い過ごしなのでしょうか。 ◎高宮 総合交通計画部長  個別の事業者により深く将来に向けた話をしているといったことは一切ありません。先ほど申し上げた評価なり,増収策削減策,または民間活力の導入といったことについてヒアリングを行ったものです。 ◆畑瀬幸二 委員  全体で20社の民間事業者からヒアリングを行ったということですが,以前の報道では市内のバス事業者にもヒアリングを行ったと聞いております。  市内のバス事業者には路面電車事業ノウハウはないと思われますが,どのような意見だったのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  市内のバス事業者へのヒアリングについては,路面電車事業に対して各社それぞれの考え方があり,さまざまな意見をいただいております。条件によっては参画の検討も可能であるが,現行路線では事業の発展性がなく増収等を図ることは困難であるといった評価や,軌道事業ノウハウはないことから,バスでの代替ではだめなのかという意見,また,バス事業と比べて事業コストが高く収益性が低いなどといった意見もいただいております。 ◆畑瀬幸二 委員  今,民間事業者へのヒアリング結果を伺いましたが,総じて特徴的なことは,現行ルートでは需要の将来見通し発展性がない,運行効率の面からもせめてループ化が必要であるとの印象を強く受けました。  この問題については,平成10年度から路面電車活用方策についてさまざまな検討がなされ,そして調査も行われて,私どももいろいろな議論をさせていただいてきました。やはり,ループ化については,結論を出すに当たって特に重視しなければならない点だと思っております。仮にループ化せずに現状のまま更新すると,沿線の住民は札幌駅にも行きにくいままで,現状からの改善はほとんど見られないと思います。また,全市的に見て,多くの市民には無関係な状態になってしまうと思います。観光客にも,今のままでは余り利便性がよくありません。経営的に見ても,乗車人員の低迷という問題が発生して,持続的な運営は困難になると考えます。  逆に,効果が高いと思われる札幌駅前までの延伸を行うと,沿線の生活は大変便利になって,今以上に住みたい街になるのではないでしょうか。全市的に見ても多くの市民が利用できる重要な公共交通機関になることで,市民の合意も得られやすくなると思います。それから,観光客にとっても,JR札幌駅に短絡できて,現在の地下鉄を含めて十分利用可能な状況になると思います。経営的にも,乗車人員の増加が見込めて,事業の安定化につながると思います。  さらに,ループ化の議論の中で札幌駅前まで延伸するということになれば――もう一方で,本市では札幌駅前通地下歩行空間整備事業が待ち受けており,その計画では5年後くらいには地上部を埋め戻すことになっていると聞いております。仮に,路面電車を存続させて延伸を行うことになれば,こうしたことと連動して工事費の節約になり,一石二鳥になると考えます。逆に,この問題の判断がおくれ,この事業との整合性がとれなくなれば,市民批判の対象になりかねません。廃止するなら別ですが,存続を前提に判断し,計画を立てようとするならば,こうした点との整合性も十分に考える必要があると思います。  いずれにしても,この問題については6年余りの期間を費やして議論してきました。1年間,検討期間を延長して今年度中に結論を出すという報告でしたけれども,これまでの検討結果や市民意見の集約などを通じて,最終的に路面電車方向性を明確に打ち出す時期に来ているのではないかと強く感じますが,この点についてはどう考えているのか,お伺いします。  あわせて,民間事業者の声や市電フォーラムでの市民意見においては,本市における路面電車位置づけ――グランドデザインを示した上で議論を進めていくべきとの指摘があります。これまで,都心まちづくり計画都心交通計画など,都心のありようについてさまざまな議論を行ってきましたが,そうした計画との整合性を整理し,年度内の結論において路面電車位置づけを明確にしていくことが一方で必要だと考えますがいかがか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  路面電車を存続させると結論づけた場合には,ループ化や延伸などを含めた路面電車街づくりにおける積極的なあり方について,検討していく必要があると十分認識しております。本日報告したヒアリング結果についても,今後,精査,検討するとともに,12月4日に行われる市電フォーラム,これまで行ってきたアンケート結果などの市民意見を十分に踏まえ,年度内に存廃の方向性をきちんと出したいと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  存廃の課題整理の一つに,今後の設備投資あり方という問題があります。これまで,約90億円もの投資を前提に検討が進められておりますが,路面電車位置づけ活用方策の検討がなされて,初めて施設整備の方針が定まると考えます。路面電車を存続して活用を進めるべきとの立場で考えるとすれば,そうした基本的な方向性が整理されるまでは,交通局において現行路線の運行を維持していくことになりますが,その間は,政策的な投資は極力抑えて安全運行に主眼を置いた設備投資にとどめるべきであると考えます。  そこで,路面電車事業がこのまま推移した場合,平成15年度決算を踏まえた今後の資金見通しはどうなっているのか,お伺いします。  あわせて,交通局において,当面の設備投資考え方について検討していると聞いておりますが,その検討状況はどのようなものか,お伺いします。 ◎下村 事業管理部長  現在の財務状況がこのまま推移した場合の資金的な見通しについてですが,まず,結論的には,平成15年度の決算では年度末の資金残が5億8,200万円という状況になっております。13年度の交通事業改革プラン策定時には,16年度には資金不足に陥るのではないかと推計しておりました。しかし,その後の局内での経費節減努力により,現段階では,少なくとも18年度末までは資金的な不足を来さないで事業を維持できるのではないかと見込んでおります。 今後についても,単なる効率化のみならず,ペイント電車の増車を初めとする広告料などの増収策や,さまざまなイベントを活用した需要喚起策に全力を挙げて取り組むとともに,さらなる経費節減の検討も進めていきたいと考えております。  また,車両更新等設備投資検討状況ですけれども,これについては,路面電車を存続させる場合の大きな課題の一つとして,交通局が主体となって検討を行っております。これまでの検討経過としては,老朽化した施設や車両の更新及び改修により,平成32年度までに約90億円の設備投資を必要とし,特に老朽化が著しい車両の更新に当たっては,交通バリアフリー法との関係から低床車両を早々と導入していくことを前提としておりました。  しかし,委員ご指摘のとおり,路面電車の将来的な活用方法,路線の形態あるいは運行業務量といったことでまだ具体的な姿が見えない現状においては,当面の間は,現在最も老朽化が懸念されている200系車両18両の緊急的な改修を優先させるなど安全確保のための設備投資にとどめて,事業の基本的な方向性が整理されるまではその他の設備投資は可能な限り見送る方向で検討を進めたいと考えております。  こうしたことから,当初,1両当たり2億円程度と見込んでいた新造の低床車両への更新を一たんは見送り,安全運行を確保するための台車部分を中心とした改修を行っていきたいと考えております。この場合,1両当たり3,000万円から4,000万円程度かかるものと推定しております。 ◆畑瀬幸二 委員  資金見通しについて,これまで,平成15年度が分岐点で,16年度には資金ショートするかもわからないという説明であったものが,15年度決算を経た段階で若干延びることになったということは,内部努力を含めて努力してきた結果だと高く評価したいと思います。  ただ,今年度あるいは来年度にどうなるかはだれにもわからないことで,このようなことで一喜一憂することなく,やるべきことをやっていくという姿勢で臨んでもらいたいと思っております。  いずれにしても,この問題は,やはり路面電車を本市の街づくりの中でしっかりと位置づけていく,さまざまな街づくりの重要な計画の中に位置づけていく――そうでなければ,交通局でも将来展望に立った運行,運営というものがなかなかできないのではないかと思います。一にも二にも位置づけが重要ですので,その点を意識して積極的に最終結論を出していただきたいと思います。  それから,市民から,これまでの車社会から人や環境を重視した交通政策へ転換してほしい,そのための強力な施策の問題として路面電車位置づけてほしいという意見が,近年,特に大きくなってきました。その証拠に,この問題に関心を持っている方は――先ほど説明のあった意見にもあらわれているように,中央区民だけが関心を持っているわけではありません。いろいろな区で――中央区民以上に関心を持っている方もおります。そのようなところにこの問題の重要性が反映されているものと思います。  いずれにしても,路面電車は,こうした観点からも環境に優しいシンボル的な都市型交通として評価されており,本市としても評価していくことが望ましいと思います。ただ,現状では限界がありますので,利用しやすく,安定した事業として市民合意を得やすくするような状況の中で延伸――私はあえて延伸ということに触れましたが,やはり,札幌駅までの延伸を考えなくてはどう見ても効果がないと思われますので,そのことを前提に積極的な方向性を出されるよう強く要望して,質問を終わります。 ◆義卜雄一 委員  平成16年度末までに存廃の結論を出すということですが,先ほど示された市民アンケートや前回の市民アンケートの結果からも,存続を望む声がふえているという流れもあります。  我が会派としては,これまで,路面電車は存続すべきであると表明してきました。経営形態あり方については,特に具体的に申し上げたことはありませんが,どのような経営形態であれ――本市直営であれ――存続すべきであるということは申し上げてきました。  もうすぐ結論が出ますけれども,今回,民間事業者に対してヒアリングを行い,いろいろな課題や民間事業者の声も出てきた流れの中で――私としては存続すべきという立場で物を言っておりますが――本市の路面電車の望ましい姿がおおむね出てきたのではないかと思います。先ほど説明のあった経営手法の取り組み方は――PFIになるのか,PPPになるのか,行政がかかわった形か,あるいは民間事業者に移譲するかは別にして,大体浮かび上がったのではないかと思います。そこで,今年度中には結論が示されるということですけれども,おおむね存続ということであろうと私は思います。また,環境問題という点でも,特にこのようなご時勢ですので,存続すべきということを前提に質問します。  まず一つは,ヒアリングの資料にもあり,畑瀬委員からも提案があった延伸やループ化についてですが,これは必要なことだと思います。それから,本市の街づくりの中で,都市の装置である路面電車をどのように位置づけるのかという検討もしなければならないと思います。また,この資料にもあったように,新型低床車両というものは,LRTやLRVなどを指しているのだと思うのですが,それらの導入の可能性を探る作業の時間も必要だと思います。そこで,今年度中に結論が出て,その後,延伸をどうする,あるいは,どのような新型車両をどのようなスケジュールで導入していくのか――順次導入するのか,既存の古い車両のままかというような検討作業も含めて,どのようなスケジュールを考えているのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  ただいまの質問については存続が決まった後のことだと思いますが,どのようなスケジュールになるかということは,この場ではまだお示しできない状況です。いずれにしても,結論を出すときにはその方向性を示さなければならないと考えております。  同時に,LRT,LRV等についても,今後のあるべき姿の中で検討しなければならないということで,まだどのようなスケジュールになるかは決まっておりません。 ◆義卜雄一 委員  この問題は,今発生したわけではありません。私は,平成9年第4回定例市議会の代表質問で,本市の将来にとって現在の路面電車事業ではいかがなものか――環境問題もあり,高齢化が進むということでLRTの導入を提案しました。これは,総合交通対策調査審議会等でも議論されていたと思いますし,当時の桂市長は検討したいと述べていたものであり,総合交通計画部としてのこれまでの検討は別個にあると思います。存廃について現時点で言えないということはわかるのですが,古くからの検討するという議会答弁もあるのです。  もう一つ,12年に,私は,延伸ということを意識したわけではないのですが,高齢社会では現在の路面電車の形態は非常に使い勝手が悪く,利用者からすると危険だということがあり,可能であれば歩道側に路面電車を走らせるサイドリザベーション方式を検討してはどうかと提案しました。そのころ,熊本市で実験的に試行するということで事業に着手していたと思いますが――当時の総合交通対策部長は検討すると答弁しております。もし仮に延伸ということになると――札幌駅や薄野あたりは道路の真ん中ではなくて歩道側に電車を走らせることが可能ではないかと考えております。当時の答弁では,たしか沿道の商店街の荷さばき云々ということで研究したいということだったと思いますが,サイドリザベーション方式についてはどのような研究,検討を重ねてきたのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  サイドリザベーション方式については,地域商店街に与える影響が非常に大きいということで,具体的に商店街の方と協議している状況にはありません。まず,存続を決め,その次にどのような形態がいいのかということで進めていくことになると思いますので,現在と当時でその検討状況は大きく変わっておりません。 ◆義卜雄一 委員  状況が変わったということではなくて,市としてどのように検討,研究してきたのかという検討内容が知りたいのです。 ◎高宮 総合交通計画部長  当時,サイドリザベーション方式についての提言を受けて,問題,課題の一たんの整理を行ったと思いますけれども,それ以上に具体的にどの地域で実施するかというような検討は行っておりません。 ◆義卜雄一 委員  先日,LRTさっぽろという会の方から,路面電車の存廃論議に一石を投じるということで,第3弾の提言書を我々議員に配付されました。かなりいろいろ活動した上で提言を行っている団体だと思いますが,現在,国土交通省においてLRT総合整備事業を17年度から実施するというような話があります。この予算づけはこれからということですから先の話でしょうけれども,これまでの議論の中で,桂市長も,当時の通商産業省の電車に絡む国の補助事業を活用してやっていきたいと話しておりました。今回,もし17年度から創設されれば,本市でも活用すべきだと思います。そのような国のいろいろな補助事業もありますし,もちろん裏負担ということで本市の財政的な課題もあるかと思いますが,そのようなものをすべて活用しながら,街づくりと連動していかなければ――市民を運ぶというだけの話ではなく,そのようなきちんとした位置づけの中で取り組んでいくべきだと思います。  今までも,市長の「検討する」という答弁で,ずっと7年間も来ております。せっかく市民議論のためのフォーラムも開催し,民間事業者にこのような働きかけをして,どうすれば本市の路面電車が復権して街づくりにつながるのかという提言もあるわけですから,本当に真剣に受けとめて取り組まなければ,停滞して市民から見放された路面電車になってしまうと思いますので,今後の方向性に対する見解を局長にお伺いします。 ◎下平尾 企画調整局長  委員ご指摘のとおり,路面電車については,平成9年の議会議論を踏まえ,10年度からさまざまな形で調査研究を進めてきました。そのような中で,長期総合計画,あるいは総合交通対策調査審議会の答申等においても街づくりの中に位置づけて活用していくべきであると提言いただいております。一方,このような議論になっているということは,やはり交通事業の経営問題を十分に考えていったときに,いま一度立ちどまって存廃を検討すべきではないかということで,私どもは1年先延ばしして取り組んできました。その間,議会でも,各会派からさまざまな意見をいただいており,広報さっぽろにも2度にわたって掲載して問題点を全部さらけ出し,フォーラムでもいろいろな意見をいただいております。そのような意味では,まさに報道機関も含めて,非常に注目され,この行方が本市の大きな課題になっているところです。  そのような点では動きが鈍いのではないかと感じているかと思いますが,現在,最終的な調査結果を詰めて結論を出し,できれば新たに街づくりの中で位置づけていきたいと考えております。あくまでも結論は今年度中ということで――現在はまだそのような段階ですので,こうした議論を十分に重く受けとめていきたいと考えております。 ◆飯坂宗子 委員  まず,路面電車位置づけについてですが,これは明確だと思うのです。  議会には,昨年7月に,路面電車の存続と延伸,ループ化など充実を求める請願が出されており,総務委員会において審査しております。そのときの私の質問に対して,高宮部長は,平成12年の第4次長期総合計画,13年の総合交通対策調査審議会を引き合いに出し,路面電車は,人や環境に優しく,また高齢者にも優しく,移動の楽しさを提供する交通機関であるとともに,都心居住の促進と魅力ある都心の創造に寄与する都市の装置として,その機能の向上や拡充を進めるという位置づけになっていると明確に答えております。今日もこの位置づけに変わりないと思うのですが,確認のために,改めてお伺いします。  また,その時点では,昨年度末までに結論を出すということでした。そもそも存廃論がなぜ出てきたかというと――当初は,どうやって路面電車を充実させるかということで,桑園方面や札幌駅方面などいろいろな延伸の案も出されて,非常に具体的にこのとおり進んでいくのかというところまで議会に提起された時期もあったわけです。それが,いつの間にか存廃の議論ということになったのは――交通局において交通事業改革プランを策定して初めて存廃について検討するという方向に変わりました。ですから,企画調整局では,存続を前提に委員会をつくったりしながらいろいろな案を出して取り組んでいたと思うのです。専ら交通局電車事業の部署から,車両も老朽化している,さてどうするかというあたりで――先ほど財政論という話が出ておりましたけれども――その改革プランの中で初めて存廃の検討という話が出てきたのだと思うのです。  ですから,私もどうして1年おくらせて市民議論をするのか非常に疑問に感じました。先ほどの答弁では,市民議論が不十分なので,さらに1年先延ばしして検討しているという話でしたが,昨年の総務委員会においても,市が実施したアンケートでも54%が存続を望むと答えているし,北海道新聞が実施した6月のアンケートでは7割が存続を望んでいるということで,圧倒的多数の市民が存続を願っている――廃止すべきだという意見を持つ市民は,当時は1割に満たないと報道されている中で,なぜあえてことし3度もフォーラムを開催するのか疑問に思ったわけです。  さらに,第1回のフォーラムでは,いろいろ意見はあったけれども,廃止すべきという意見はないということでした。そこで,第2回のフォーラムを12月4日に予定しているということですが,そのテーマは市民による存廃問題についての議論というものです。当初,市としては,賛成派2名,反対派2名から賛否両論を出していただいて,そこで議論を深めようと企画し,それに当たって意見表明者を公募したということです。そこで――これは,もうほぼ固まっていると思いますが――何名の公募があったのか,また,賛成派何名,反対派何名という内訳についても,あわせてお示し願います。 ◎高宮 総合交通計画部長  現在においても,路面電車の都市計画的な位置づけは変わっておりません。 ◎二木 交通企画課長  第2回の市民フォーラムにおいて市民意見を発言していただく方の募集を行ったところ,応募者は10名でした。また,存続,廃止に関するその10名の意見については,10名全員が存続を前提にしての意見でした。 ◆飯坂宗子 委員  第1回のフォーラムでも廃止の意見を持っている方は1名もいなかった。それから,議論を深めようということで,市が第2回のフォーラムにおいて賛否両論を出していただこうということで公募したけれども,10名全員が存続を望む意見表明をしたいと手を挙げたということです。そうすると,第2回のフォーラムにおいて廃止を表明する人はいないということです。ですから,どのような深め方をするのかと思いますが――存続に当たって課題を整理するということについてはよく意味がわかりますけれども――タイトルは存廃問題を考えるということなのです。  しかし,流れとしては――市民が望んでいることは――存続を前提に,市は具体的に検討してくださいということが今日時点での市民の意向だとはっきりしていると思うのです。それなのに,来年3月まで3回かけてフォーラムを開催し,その上で存廃の結論を出すと,部長も局長もそう言っておりますけれども,市民感覚から見ると,1年おくらせて何をやっているのかということになります。市民は,昨年も存続が多数派だったし,フォーラムでは第1回も第2回も存続という流れになっているのだから,そこで課題を整理してくださいと言っているのではないかと私は思うのです。  そこで,10名全員が存続を前提とする意見表明者として名乗りを上げてきた,反対派がだれもいないということについてどう考えているのか,お伺いします。  それから,ここまで来たら――皆さんも言っていましたが――路面電車位置づけははっきりしていて変わっていないのですから,市としては腹をくくって,どうやって存続させるのかと――民間事業者ヒアリングの話も出ました。施設も含めて運営を丸投げされれば受けられない,補助金や施設面を何とかして――運営だけだったら受けられるということです。どの事業者がということではないにしても――単体でやるのか,グループでやるのかは別としても――そのような公設民営というような話がもう具体的な方向性として出てきているわけでしょう。そのような意味では,存続させるために,運営面も含めて具体的にどう検討していくのかという段階に入っているのだと私は思いますので,むしろそのようなことも含めて市民議論に付すべきではないかと考えますがいかがか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  第2回の市民フォーラムにおける市民公募についてですが――存続という意見が66%で,廃止という意見をお持ちの方も20.8%いるという現実があります。そのような意味では,このフォーラムの場で議論してほしかったと我々は考えておりました。そのために,廃止という意見をお持ちの方にも参加していただいて議論し,それを市民に見ていただきたいと考えておりました。ただ,そこまでして廃止を表明するかということがあります。どちらかというと,賛成派の方が積極的に発言したいということで,現在,4名に報告していただくことになっておりますが,やむを得ずそのような形になったものです。  それから,市民議論が足りなかっただけではなく,今回の民間ヒアリングも――前回のように民間ヒアリングを行っていない段階で将来の経営形態についての議論もできませんので――そのような意味で1年先延ばししてこうしたヒアリング調査も行ったというものです。 ◆飯坂宗子 委員  第1回のフォーラムで,広島電鉄の方が民間事業者として非常に努力をしてうまくいっているという話をされて――私もビデオを見ました。その方の話で貴重だと思ったことは,自分は民間事業者として携わっているが,民間事業者に委ねればすべてうまくいくと単純に考えないで――公営は公営ですごくいいところがあるとおっしゃった点です。例えば,一般行政との連携や補助金の問題,あるいは国との関係でも民間事業者よりも公営の方がメリットが大きいということをおっしゃっておりました。つまり,先に民間委託ありきではなくて,公営でまだ努力すべき点はないのかという課題整理が先だという趣旨のお話だったと思うのです。そのフォーラムには高宮部長も参加しており,廃止とはとても言えませんと話しているわけです。  そのような点で――やはり貴重な意見を拝聴しているのですから,私は,市として努力すべき点がまだあって,それを優先的にやるべきであり,その上で,公設民営等も含めた運営形態についていろいろ検討する部分があるのだと思いますが,どのように考えているのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  確かに,公営のいいところもたくさんあると思います。  企画調整局がやっていることは,やはり現在の経営が立ち行かないという点が明らかになって,その後,私どもは民間活力が導入できないのかということでスタートしたものですので――公営が可能ということであればこれまでどおり経営できるでしょう。それが難しいというところからスタートしたものですので,私どもは,現在,民間活力の導入はどうなのかということを検討しているものです。 ◆飯坂宗子 委員  いずれにしても,選挙公約において路面電車を活用すると明確に示して当選した上田市政のもとでの検討ですから,そこのところをしっかり踏まえて,ぜひ結論を出していただきたいと思います。当然,我々は,存続前提ということで繰り返し議論を行ってきましたけれども,そのように意見を述べて,終わります。 ◆原口伸一 委員  今まで段々のお話があり,議会でももう随分前から議論がありました。平成7年だったと思いますが,私も路面電車ループ化について代表質問で取り上げました。その前にも,ヨーロッパ各国のLRTを実際に見てきました。今,いろいろな話がありましたけれども,経営の問題や街づくりの問題など,路面電車を公営交通として残すということになれば,地域の街づくりということも一つの側面としてあると思うのです。ただ運搬するだけの手段ではありません。そのような面では,路面電車の問題については,市として市営バスの民間事業者への移譲の問題と同じように今まで検討してきていると思います。また,フォーラムを開催して市民意見も聞いてきております。  しかし,根本は,市長が,自分はこうやるぞと表明し,その上で市民はこれについてどのように批判するのか――賛成なのかという聞き方をすることが首長としてのリーダーシップのあり方だと私は思います。路面電車だけではなく,いろいろな面でそうだと思っております。市長はそのような態度でずっと来ておりますから,皆さんはある程度固まった考え方を持っているのだろうと思うのです。持っていなければ,おかしいと私は思います。そのことをはっきり言えないということであれば,あえて聞きません。  それから,広島電鉄については――これも一つの例かもしれませんけれども,私はそれほど大きな参考にはならないと思います。人口113万人の広島市の市域の中で,広島電鉄の電車がカバーしている区域は,人口でいうと五,六十万人分もの地域といいます。約半分です。ところが,本市ではそうはいきません。  ですから意見だけ言わせてもらいますけれども,いろいろなところで延伸やループ化などいろいろな話がありますけれども,私は,札幌駅前通には延伸すべきでない――現在のままの街並みを――薄野や中島公園方面にずっと続いているような景観は北方圏の都市として維持するべきだと思います。もしループ化や延伸によってJR札幌駅に接続するのであれば,西2丁目か西3丁目の一方通行路を通すべきだと思います。その方が,本市の街づくりのためにも,中心街の活性化のためにも,大きな貢献になると私は個人的に考えております。  今まで各委員が言ってきたことは,路面電車を存続するということが市民の大体の合意になってきている――皆さんもそのように考えているのではないかということですから,私は,思い切って市長に決断させて,市民にリーダーとしての考え方を投げかけるべきだと思っております。そのときには,LRTのような乗ってみたくなる路面電車にぜひしていただきたい。このことだけを,意見として言っておきます。 ◆小林郁子 委員  路面電車については,市民アンケートの結果,また,広報さっぽろに対する反応においても存続させてほしいという意見が市民の過半数ということで,そのことは市も十分考えているのだと思います。ただ,乗車人員が減少している,単年度収支では1億円以上の赤字であるという現実も見なければなりません。  そのような中で,現在の路面電車の抱えている障害は今までも明らかにされてきており,私も日常的に利用していて感じますが,やはり機動性に欠けるということがあります。乗降車するとき,あるいは,信号を待つのに所要時間の半分以上もかかっていたり,自動車が軌道上に乗ってくるということもあります。そのような意味では,スピード性という点では非常に問題があると思います。また,使い勝手ということでは,極めて限られたエリアのものであるという問題点がありますし,使いづらさという点では高床式の車両であるということもあります。運営面での問題としては,人件費が運行経費の約6割を占めているということもあります。そうした障害については――広島電鉄の代表の方からの報告を聞くと,それぞれの課題を解決しながら現在に至っているということでした。  そのような中で,今回は――今まで挙げられた検討課題の中で二つについて報告を受けているのだと思います。昨年の総務委員会では課題として五つが挙げられました。それは,経営形態の見直しによる効率化の検討で――そのことが民間活力の導入の検討になります。それから,車両更新等設備投資の詳細検討――90億円という費用に関するものです。  このほかに,料金改定と需要の確保策,財政支援の可能性ということが残されておりますが,これらについても,この間,検討されたと思いますので,その検討結果をお示し願います。 ◎高宮 総合交通計画部長  料金改定及び財政支援の可能性については,相互に深く関係することですので,現在,検討を進めている経営形態の見直しによる効率化の中での料金改定あり方,その他の課題も含めて総合的に整理し,検討している段階です。  また,需要確保策については,これまでも市電フェスティバルの開催を初め,本年10月の公共交通利用促進キャンペーンに合わせて電車専用一日乗車券の実験発売や,沿線の飲食店などとタイアップしたスタンプテーリングの実施など,さまざまな取り組みを行ってきました。また,11月21日からの冬ダイヤに合わせて,速達性,定時性を確保する観点から,北海道警察及び北海道運輸局と協力し,南1条線において優先信号を本格的に稼働したところです。今後も,需要確保に向けては,関係部局と連携を図るなど市を挙げてさまざまな角度からの施策を一つ一つ積み重ねていきたいと考えております。
     このようなことで,現在,課題の整理中です。 ◆小林郁子 委員  料金改定あるいは財政支援についても,今後どうするかということと絡んできて,その中での検討になるというお話でしたけれども,そのような中で次の段階として民間事業者へのヒアリングを行ったということです。今回報告がありましたが,民間事業者に委託していくにも三つの方法があるということで――管理運営委託,そして事業契約でもBTOとBOTがあるということでした。  そのような中で,市が直営するとすればどれほどになるのか。また,この三つの方式は,市の直営と比較してどれだけの差があるのか。現在,市場化テストということで,民間事業者であればどのような方法でやって,幾らぐらいで,どうなるかという検討を国でも行っております。そのようなものに近いと思いますが,先ほどの三つの方式でやるとすればどうなるのか,その経費を精査して市民に示していく必要があると思いますがいかがか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  民間事業者が運営した場合と市が直営する場合でどの程度の差が出るのかということについてですが,民間事業者が本市の路面電車事業に参画した場合に,メリットとしては,人件費等が相当違うことから,費用負担が軽減することが想定されます。また,どの程度になるかということについてですが,今回,民間事業者から回答のあったさまざまな条件,軽減策,人件費削減策といったものを考慮して,どれだけのメリットが出てくるかということについては,現在,作業中です。存続の仮定の中で,機会を見てお示ししたいと思います。 ◆小林郁子 委員  そのことを検討し,精査して,この次の機会に示すということですね。  そのような中で,現在,内部に抱えている課題の解決に向けて,民間事業者ヒアリングを行いながら取り組んできておりますが,存続させるためには約90億円の設備投資が必要ということなど,さまざまな課題を解決しながら――例えば残すとしても,乗車人員の増はこれから先も余り望めない,将来的には難しいと言われております。それから,経費的にも,乗車人員を現在と同じレベルと想定した場合に,一般会計からの補助を受けても2020年度には累積資金の不足額が19億円から65億円程度になるだろうと報告されております。  これでは,存続すると言っても,現在の形のままで残すのであれば将来的な展望が余りありません。今年度中に結論を出すということですが,どのような考えで結論を出していくのかということが注目されますので,その点についてはどう考えているのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  今回行った民間事業者へのヒアリングの結果や,12月4日に行う市電フォーラム,これまで行ったアンケート結果や,ループ化,延伸などさまざまな市民要望等の意見を踏まえて,当然,それらを生かすような方向で存廃の方向性を出したいと考えております。 ◆小林郁子 委員  ということは,存続させるにしても,決して現在の形のままではないということが前提としてあると思うのですが,いかがですか。 ◎高宮 総合交通計画部長  そういったことを十分配慮して,存続の結論に導いていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  現在,市民によるLRTさっぽろという政策研究グループがあり,路面電車について,あるいは今後のLRT化についてもかなり詳細にシミュレーションして,市にも議会にも示していただいております。このように,市民の中に専門的な知識を持っている方がいる,そしてまた,庁内にもいろいろな方がいると思いますので,将来像をつくるに当たっては,そのような方々との協働の場を設けながら研究していくということも一つの手ではないかと思いますがいかがか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  今,お話しのありましたLRTさっぽろによる「さっぽろLRT10km構想」については私どもも読ませていただいております。市民団体のレベルでこのような構想をつくっていただき,研究していることについては,我々としても評価しているところです。  今後,路面電車事業の議論を進めていく中で,機会を見て,こういった方々との意見交換を積極的に行っていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  今年度中に結論を出すということですが,そのような中で,将来の形を大胆に示しながら取り組んでいただきたい――先ほど私はそのように受け取りましたので,そのことを期待して,終わります。 ◆松浦忠 委員  まず,議論を聞いていて,決定的に欠けていると思うことは――地下鉄を建設したときの都市計画において,最初からわかっていながら乗車人員を過大に見込んで建設した。そのことが現在の地下鉄の赤字経営につながっているわけです。そのような反省の上に立って,路面電車の利用実態をきちんと見込み,その上で路面電車が存続していけるのかどうか,経営形態をどのようにすれば存続できるのかという判断をしなければなりません。情緒的にあった方がいい――札幌のシンボルだといっても――紹介された市民意見の中にもありますが,路面電車が本市のシンボルなどということは――函館市であればいざ知らず,本市では言葉としても当てはまることではないと私は思います。  そこで,地下鉄建設の計画段階での失敗を路面電車の再建に当たってどのように生かそうと考えているのか,お伺いします。  次に,新まちづくり計画において265億円という資金不足が生じるということで,例えば,敬老パスの一部負担,家庭ごみの有料化など,市民にさまざまな負担を求めていくということを市長は表明しております。環境問題の議論もいろいろあるけれども,どのような議論があったとしても,市民が負担できないような政策を打ち出してもやれないのです。  これから高齢者がふえていく,年金所得がどうなっていくかということなどの見通しをきちんと立てた上で路面電車の財政収支計画を考えなければ――現在の上田市政が何年続くかはわかりませんが,20年も30年も続くわけではないでしょうから,早晩,破綻を来すことになってしまいます。そのような点で,財政計画との見合いについてはどのように検討したのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  過去の地下鉄建設時の反省を踏まえて乗車人員をどのように予測しているかということについてですが,現在,乗車人員は2%程度の減少傾向が続いております。私どもとしては,この2%という数字がずっと続くだろうと――できるだけ厳しい仮定のもとで収支計算しております。ただ,都心回帰現象があり,都心部の沿線人口がかなりふえているという現実もあります。  次に,長期的な財政見通しの中でどう考えているのかということについてですが,現在の作業は,民間事業者から各種の要素をいただいて,民間の資金や活力を導入した場合,どういった市民負担,もしくはサービス料の支払いで運営できるのかというようなことについて今後20年程度の長期的なスパンで検討していく予定です。 ◆松浦忠 委員  現在,都心回帰現象ということで――確かにマンションなどが都心部にかなり建設されており,中央区の人口もふえております。そのようなことであれば,現在の路面電車を利用する区域においてこの何年間で何%ふえたという具体的な数字を示していただきたいと思います。路面電車利用区域の人口が何%ふえて,年々このようにふえているという具体的なデータがあってそのように発言しているのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  沿線区域の人口についてですが,平成元年から7年,また,7年から15年の人口動態調査を行っております。元年の沿線人口は約8万7,600人でしたが,15年では約9万人です。この差だけ見ると,2,400人程度ふえているという状況です。 ◆松浦忠 委員  2,400人ということですから,2%余りの増加ということで,乗車人員の増加と連動しているとも見受けられますが,人口増加と乗車人員の増加とのかかわりについてはどのようにとらえているのか,お伺いします。 ◎高宮 総合交通計画部長  先ほどの発言を訂正します。  沿線区域の人口についてですが,平成元年から7年までの6年間で3,600人程度減少し,その後,増加に転じ,7年から15年までの8年間で6,300人程度増加しているという現状です。  それから,人口が増加しているにもかかわらず,乗車人員が減少しているということについてですが,これについては,現在分析中です。ただ,その要素として,景気の後退,また,事業者が中央区から郊外に転出しているということもかなり見受けられます。そういった要素が路面電車乗車人員の減少につながっているのではないかと考えております。 ◆松浦忠 委員  マンションなどを購入して回帰してきた年齢層についてですが,通勤・通学する年齢層の方が沿線のマンションを購入しているのか,あるいは,退職した年金生活者などが購入しているのか,その点を把握していればお示し願います。 ◎高宮 総合交通計画部長  そういった分析も既に行っておりますけれども,手元に資料がありません。  ただ,路面電車の利用実態については,通勤・通学時に大きなピークを出すバスなどとは違い,平準化したいわゆる都市型の交通機関という特徴があります。 ◆松浦忠 委員  市内の地下鉄やバスでも,最大の収入源はやはり通勤・通学などの固定客によるもので,これが安定収入となります。年金生活者が利用するということになると,所得の変動によっては出かけることも控えようということで,そのような影響を受けるわけです。ところが,通勤・通学はそのようなことは関係ありませんから――やりくりしてとにかく定期は買います。  そのような点で,住民の年齢構成,持ち家か借家かといったことも含めてきちんと分析した上で収支見通しを立てていかなければ,私は地下鉄の二の舞となると思います。例えば,地下鉄の琴似駅から宮の沢駅まで延長を行うときは,私は大反対しました。しかし,当時,議会を挙げて,西区選出の議員が延長は何としても――手稲までもという意見で延長した結果,必ずしも当初の見込みどおりにはなっていないということもあります。やはり,行け行けどんどんでやることだけで将来的に大丈夫なのかといえば,そうもいきません。したがって,そのような分析をきちんとした上で,存続するのか廃止するのかを判断すべきです。恐らく,市長も選挙公約といえども――環境面や,一般的に考えてあった方がいいということで公約した面が強いのではないかと私は思うのです。  そうでなければ,1年も延長してこのようにあれこれ議論しません。1年延長して,民間事業者の話などを聞いて初めていろいろなことが浮かび上がってきたということです。  先ほど存続の方向でという答弁もありましたけれども,情緒的に存続するということではなく――このようなことは精神論の話ではなく,極めて数値的で論理的な話ですから,論理的にきちんと位置づけて,存続か廃止かということを,もう一度,きちんと市民に明らかにして,その上で市民に判断してもらうことが,2兆数千億円の借金を抱えた本市のこれからの市政運営の上で一番大事で基本的な問題だと思います。私はこのことを強く求めておきます。 ○長内直也 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  以上で,本日の委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午後2時35分...