札幌市議会 2004-10-15
平成16年第二部決算特別委員会−10月15日-06号
平成16年第二部
決算特別委員会−10月15日-06号平成16年第二部
決算特別委員会
札幌市議会第二部
決算特別委員会記録(第6号)
平成16年10月15日(金曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 33人
委 員 長 大 嶋 薫 副委員長 近 藤 和 雄
委 員 大 越 誠 幸 委 員 宮 本 吉 人
委 員 笹 出 昭 夫 委 員 宮 村 素 子
委 員 横 山 光 之 委 員 勝 木 勇 人
委 員 村 松 正 海 委 員 細 川 正 人
委 員 伊与部 敏 雄 委 員 川口谷 正
委 員 西 村 茂 樹 委 員 大 西 利 夫
委 員 村 上 勝 志 委 員 林家とんでん平
委 員 峯 廻 紀 昌 委 員 小 田 信 孝
委 員 柿 崎 勲 委 員 本 郷 俊 史
委 員 高 橋 功 委 員 三 浦 英 三
委 員 谷 沢 俊 一 委 員 小 川 勝 美
委 員 坂 本 恭 子 委 員 伊 藤 理智子
委 員 小 形 香織 委 員 柴 田 薫 心
委 員 高 橋 克 朋 委 員 田 中 昭 男
委 員 佐 藤 典 子 委 員 佐 藤 美智夫
委 員 堀 川 素 人
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開議 午前10時
○大嶋薫 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第3款
保健福祉費 第3項
老人福祉費及び
介護保険会計決算について一括して質疑を行います。
◆高橋功 委員 私は、この議会でも大変話題になってございます
敬老優待乗車証、いわゆる
敬老パスに関して、これに絞って1点お伺いをしたいと思っております。
この件につきましては、さきの
代表質問でも取り上げさせていただきました。より市民の側に立った案にすべきだと、こういう観点で市長にお尋ねをし、そして、再質問もさせていただいたところであります。まず、あのときの市長の答弁については、私としてはまだ納得をしておりませんものですから、きょうは市長にも出席を求めまして、来ていただいているところでございます。ありがとうございます。
まず、質問に入ります前に、一つ確認をさせていただきたいと思っております。それは、これからさせていただく議論の前提になる話だと思うものです。
市が提案してございます3万円までという上限をもし決めた場合に、昨年行った
アンケートにより、どのぐらいの方が3万円でカバーできるかというか、3万円内に入るのか。この辺をちょっと確認させていただきたいと思うのですが、私は53%と理解していますが、その点いかがか、まず、冒頭に伺いたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 ただいまの上限額の範囲内に入る市民の割合ということでございますが、私どもが昨年行いました
アンケート調査の
利用実態のデータから推計しますと、3万円という金額の範囲内でご利用いただける市民の方の割合は53%となっております。
◆高橋功 委員 そこで、ちょっと具体的な話になりますが、我が党は、1年前から
敬老パス問題をずっと議論してまいりましたし、
基本的スタンスとしては、これからも継続可能な、持続可能な制度とするためにも、それから、高齢者の方がどんどんふえていく、そういう状況でもありますから、いわゆる上限をつけることはある程度理解をすると、こういう立場に立っております。それから、負担もある程度やむを得ないよね、こういうスタンスではあるのですが、
代表質問でもお伺いしたように、やはり、今、市から提案をされている3万円というのは、今伺ったように53%、逆に言ったら47%はその範囲に入らないわけです。その観点から拡充を求めてきたところなのです。
そこで、具体的な話になりますが、例えば、これを5万円、もしここまでを上限とした場合になると、どのぐらいの方がカバーされることになるのか、この点、お伺いしたいと思います。それから、仮に、4万円の場合はどうなのか。
3万円から拡充するという観点でいくと、この2点でどのぐらいカバーされるか、これをお答えいただきたい。
◎中田
保健福祉部長 上限額を仮に設定した場合、それでカバーできる市民の方の割合ということでございます。同じく、昨年行いました
アンケート調査の結果から申し上げますと、5万円の範囲内に入る市民の方は約68%でございます。それから、4万円の範囲内に入る方は、約58%となっております。
◆高橋功 委員 そこで、5万円だと68%、ほぼ7割ですね、私は、7割までカバーできれば、これはある程度は、市長がよく言われます、理解していただきたい、ご理解いただきたいという、市民の皆様がある程度理解できる線であると思うのです。そういう意味では、今ご答弁のあった68%、約7割が、5万円まで上がるとカバーできる。これは、十分に可能ではないかと、私はこう思っているのです。
そこで、改めて、今、市が提案されている3万円を上限とした場合の事業費、
利用可能総額、それから、それに伴う市民の負担、札幌市の負担、ある程度伺っているところでございますが、ちょっと対比するためにも、改めてこの場でもう一回確認したいと思います。
それから、今私が申し上げている5万円を上限とした場合の
事業費等、今申し上げたような
市民負担や市の負担、これについての試算をされているかされていないか。されているとすれば、どういう金額になっているのか、明らかにしていただきたいと、こう思います。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の今お示ししている3万円を上限とした案の事業費の関係でございますが、
利用可能総額は約48億円でございます。それから、
市民負担は約9億円。それから、札幌市の負担は29億円程度となっております。
また、私どもはこの案に至るまでにさまざまな
シミュレーションを行っておりまして、ご指摘の5万円という金額でも、検討段階で試算はしております。ただ、具体的な事業費の額につきましては、例えば、市民の方の上限が5万円となりますと3万円、4万円、5万円というようなランクになりますので、そのどれを選択するかといった問題ですとか、それぞれについて負担率をどうするかといった幾つかの前提条件のもとでさまざまな
シミュレーションが考えられますので、ちょっとこの場で特定して申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
◆高橋功 委員 3万円のところはいいですよ、私もある程度わかっていて聞いているからね。市の負担が29億円で、市民が9億円で、全体が48億円と、これは前から聞いているから。ただ、今、部長が、試算しているけれども出せませんというのは、それでは議論にならないではないですか。議論できないよ、それなら。うちの会派としては、拡充すべきではないのかと、こう言っているのです。拡充すべきだと言っているのです。今、この場で4万円とか5万円とかという話をしているのではない。例えば、5万円だったらどのぐらいの数字で試算されているのかと。不
確定要素がありますからと、そんなことはわかっていて聞いているのです。それは、ある意味、まだ始まっていないから、だれもわかりませんよ。だけど、この場で差し控えさせていただきたいという答弁では、全然、次の議論に入れないよ。もう一回、ちょっと答えて。これではだめだ。
◎横山
保健福祉局理事 ただいま部長が答弁させていただいたのは、本当にいろいろな負担額だとか、
利用可能額について相当幅があります。何パターンもあるということでございます。今、委員がご指摘の部分での議論ということでありますれば、本当に一つの大くくりの前提をつけた上で答えをさせていただきたいと思いますので、答弁をいたします。
◎中田
保健福祉部長 ただいま、上限額5万円を想定した場合の試算ということで、一つのパターンとしてお答えさせていただきますけれども、現在、提示させていただいている3万円までの案に、5万円までとなりますと、4万円と5万円というものを設定する形になろうかと思います。
これまでお示しした案では、3万円を選択される方が7割という想定で事業費を申し上げてまいりましたけれども、全体のうちの3割の方が4万円、5万円を選択し、それぞれ1.5割ずつという想定です。さらに、負担の率としましては、これも仮で、3万円で20%という案をお示ししておりますので、4万円、5万円も同率と、そういうふうにした場合の額として申し上げさせていただきます。
利用可能総額は56億5,000万円程度、
市民負担では10億7,000万円程度、それから札幌市の負担は34億5,000万円程度。これを一つの試算としております。
◆高橋功 委員 やっぱり、事ここに至って、それは、みんな市民も今は大変な関心を持っているわけです。そういう中で、何とか市の
敬老パス事業を継続できるような、そういう案でできないかということで今いろいろと議論しているわけです。
そこで、今伺うと、5万円だと34億円、これは部長ね、今の平成16年度の予算で事業費は37億円ですよね。これより、ある意味、安いではないですか。そういう意味では、ずっと市はかたくなに、私に言わせるとかたくなにですよ、3万円で3万円で3万円でと、こういうことで言ってきた。では、5万円でなぜできないのか、できない理由を答えてください、できない理由を。
◎中田
保健福祉部長 利用上限額を仮に5万円とした場合、私どもは困難であるというふうに考えているわけですが、確かに、来年度の事業費としては現在の16年度の事業費を下回ると、単年度ではそういうことになっておりますけれども、現実にこの5万円という設定をいたしますと、こういう形をとった場合には、上限額の幅の設定、それから利用者にご負担いただく額の関係で、市の負担と市民の負担との相互関係ということになってくるかと思います。
上限額を引き上げる場合には、
市民負担、それから札幌市の負担もそれぞれ引き上げることになります。そういう中にあって、
市民負担をある程度のところで抑える、低くすると、その分は札幌市の負担が大きくなりますし、一方、市の
財政負担を抑えると、
市民負担がふえるということです。例えば、最高額5万円で最高額を選択した人には、バランスからいきますと、やっぱり1万円以上の負担、20%としても1万円ということになるわけで、それ以上の額の負担を考えなければならないというふうになりますし、この金額というのは、負担感といいますか、比較的所得の低い方々への配慮という面では課題が残るのではないかと。
仮にそのような方々に一定のご負担をいただいたといたしましても、これまでも申し上げてまいりましたけれども、対象者が毎年1万人以上増加していく中で考えますと、翌年度で既に今年度の予算に到達をすると。また、数年後、大体4年ぐらいをめどとして考えた場合には、既に40億円を超えるというようなことが確実に見込まれるわけでありまして、財政的な負担の面からも大きな問題であり、現行制度とほぼ同じような伸びになるというようなことから、制度を維持することは困難であると判断したところでございます。
◆高橋功 委員 今の答弁ではよくわからないのですね。市長、これね、きょうは市長に来ていただいているのですけれども、私は、今までずっと30年近くこの制度をやってきて、そして定着をして、そして高齢者の方々もそれなりに喜んでお使いになっている。一方、これからの時代を考えると、先ほど申し上げたように、最終的には、本当にこれを継続していかなければならない。さらには、市の
財政負担もある。そういうもろもろの中で、今回、見直しをしようと、こういうことです。
それが、今、市から出ている案は、とにかく3万円だと。これについては、いわゆる激変だと私は言っているのです。それで、市長は、半数をカバーしているから理解してくれとおっしゃった。ここは、僕は、最終的にはやっぱり決断、判断だと思っているのです。
今、部長から、金額が云々だとかというお話がありました。それは十分理解する。理解するけれども、やはり、市民から見て、ただで青天井だったものが、一気に、負担をして、そして3万円という話、果たしてこれが、市民に、高齢者の方、高齢者を支える市民に、本当に理解してもらえるか。
ここは、やはり、市長、この場で明確に言えるかどうかわからないけれども、私はやっぱり、何回も我が党が言っているように、上限についてはある程度広げないとならぬぞ、こういうことなのですよ。そこをぜひね。
そして、負担も同じです。我が党は、一貫して、ある程度所得の低い方々にも配慮すべきではないのかと。所得が低いからといって1万円を選ぶとは限らないわけですから、そうですよね。3万円よりもっと使いたい方はいっぱいいるわけだから。例えば10%、15%、20%というこの累進の負担率も、考え直すことがあっていいのではないかと、これも
代表質問で私が伺ったところです。これも含めて、特に今議会で補正予算も出ているわけだから、その辺のところも含めて、市長、ちょっとご答弁いただきたい。
◎上田 市長 既に、この問題につきましては、多くの議員からご議論をいただきまして、各会派からも、それぞれのご意見をちょうだいしているところであります。また、昨年6月、7月以降、多くの市民の方々にも、私どもが直接出向いたり、あるいは、
コールセンター等にご意見をちょうだいしたりという形で、市民の
皆さん方のご意見も吸い上げ、こういう提案をする前提としてのさまざまなチャンネルをつくってきたつもりでございます。
その上で、当初は2万3,000円、3,000円という負担での提案でございましたけれども、さらに検討、熟慮して、3万円の線であれば持続可能な制度としてやっていけるのではないかというふうな考え方を示させていただきました。もちろん、持続可能なといっても、永遠にこの3万円で行けるかというふうになりますと、それはやはり不
確定要素がございます。
これからどんどん
高齢者人口がふえると、こういう状況の中で、あるいは、反対に、担税力といいますか、税金を支払っていく人口が減少していくと、所得も減少しているという中で、両挟みの問題を一気に解決する方法論としてはどういうものがあるのかというふうに考えた際に、この
敬老パスの問題だけではなくて、あらゆる意味での
市民サービス、もちろん順番としては
内部努力をせよ、むだな金の使い方をやめろと、これはもっともな話でございますので、私どもは、市民との信頼関係をきちんと確立するためにも、市役所の内部におけるさまざまな仕事のやり方等についてしっかり見直しをし、削れるものはすべて削っていくという方針であることは、これまで何度も申し上げてきたところであります。そしてまた、事業のやり方についても、選択と集中というようなことで、縮減の傾向で、本当に必要なものだけやるのだというふうな方向でやらなければならない。あるいは、民間ができることは民間にお願いするというようなことで、予算の使い方をしっかりやっていこうというふうな方針でいるところであります。
最後に残った市民の負担という問題について、この問題を今取り上げさせていただいて、そして、多くの
皆さん方に、持続可能、サスティナブルという言葉がキーワードでございますけれども、これを実現させるためには、小手先と言ったら申しわけありませんが、小手先の変更だけではもう限界に来ているという社会状況であろうというふうに私どもは理解をし、やはりこれを構造改革していかなければならないという意味で、三つの、
内部努力だとか、選択と集中だとか、
市民負担というふうなことで、先ほど来申し上げているわけであります。
その上で、3万円ということについて、今、委員の方からは、上限をつけるのはある程度やむを得ないだろう、負担もやむを得ないだろうというふうなご理解を得た上で、私どもが提案をさせていただいている上限の3万円というものをもうちょっと考えろと、こういうふうなお話のくだりでいけば、これは、皆様方からいろいろなご意見をちょうだいしておるわけでありますので、私どもは、もっと努力をする方向で検討しなければならないというふうに今考えているところでございます。
◆高橋功 委員 市長、決してね、私が今ここで言っている、今回提案されている
利用限度額の3万円を広げろという話は、私は小手先ではないと思っています。決して小手先だけではない。そうではなくて、やっぱりどんな政策だって、市民の理解を得られなければ政策は成り立たないでしょう。成り立たないですよ、本当に。ですから、よく市長がおっしゃるように理解をいただいてと。
我々も、現場でたくさんの人にいろいろな説明をしています。いろいろな話を受ける。中には、指一本触れるなと言う人もいるよ。絶対に青天井を守れと言う人もいるよ。それから、逆に、もうそんな時代でないでしょうと言う人もいっぱいいる。そういう人たちに、責任を持って私たちも話をしているわけですよ。そういう中で、実感として、今の3万円ではなかなか市民の理解を得られないよと、こういう話をしているわけです。決して、僕は小手先の話をしているつもりはありません。
ですから、何回も言うけれども、ここで余りかたくなに、3万円で、3万円でということではなくて、もう少し柔軟になって。今ちょっと最後が聞こえなかったのだけれども、もう一回、お願いします。
◎上田 市長 釈明も含めまして、小手先と言ったのは、3万円が5万円という、そういう意味で言っているわけではありません。要するに、構造改革をやっていかなければだめだ、意識改革をしていかなければだめだという意味で、小手先の手当てだけではもう立ち行かないという意味でその言葉を使ったわけで、誤解がないようにお願い申し上げたいと思います。
その上で、私は、今、3万円ということに固執するかどうかという問題については、今、たくさんご議論をいただいておりますので、これは慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
◆
坂本恭子 委員 私も、
敬老パスの問題について質問させていただきたいと思います。
今回提示をされております
見直し案については、多くの市民から怒りの声が上がっていて、私ども
日本共産党は、この
見直し案について、市民不在の提案であり、敬老の精神をないがしろにする、全く受け入れることのできないものだ、そういう評価をしております。
前回3月に示された
見直し案では、
自己負担の導入と
利用上限額の設定という二重の改悪が、多くの市民の理解を得ることができずに今回の再提案となったというふうに理解をしておりますけれども、この二重の改悪という枠組みは全く変わっていない。それどころか、利用者の
自己負担が、先ほどもありましたけれども、総額で5億円から9億円へと1.8倍にもふえている。市民が納得していないこの二重の改悪で、しかも、
自己負担額がふやされている。
今回の
見直し案が本当に市民の理解を得られていると思っていらっしゃるのか、そして、その根拠がどこにおありなのか、伺いたいと思います。
それからまた、市の事業費についてですけれども、先ほども議論がありましたが、2003年度の決算で
敬老パスの事業費35億2,200万円余ということで、これが毎年2億円ずつ増加するという予測です。今年度は37億円ということで、現行のままで継続をすると、来年度は39億円になるということです。これは、これまでも市が繰り返しご説明をしておりましたけれども、それが、今回の
見直し案では、市の負担が39億円から10億円も引き下げられて29億円となっている。
先ほどもやりとりがありましたけれども、やはり、本市が負担すべきものを高齢者に肩がわりをさせている、そういうことになると思うのですが、そういうことではないのか、これについて、もう一度明らかにしていただきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の今回お示しした案も基本的な枠組みは変わっていないという趣旨のご質問であります。
私どもは、昨年来、さまざまなご議論をいただいて、3月に、具体的にご検討いただくための検討案として2万3,000円を上限とする案をお示しさせていただいたわけですけれども、それ以降もさまざまな形で市民の皆さんからご意見をいただいてまいりました。
加えて、今回、案をお示しするに当たりましては各
交通事業者の協力を求め、また、札幌市の
財政状況といったものをもちろん踏まえながら、これまでいただいたご意見の中で、もちろん上限額に対しての反対ということもありましたけれども、やはり、設けざるを得ないのであればもっと引き上げろといったような声もございましたので、そのようなことも踏まえた中で、できる限り上限額を引き上げて3万円までとしたものでございます。また、昨年来のいろいろな調査の結果、利用する方の
利用実態に大きなばらつきがあるということもわかりましたので、市議会の方からもいろいろご要望があった点でもございまして、私どもは、利用可能な額を選択できるような形にするといったようなことで、一つのバランスのある制度とした場合に、結果として
市民負担の総額が上がっておりますけれども、
利用総額そのものも上がっているというようなことからご理解をいただきたいというふうに考えております。
なお、
カード機能の面でも、プリペイドというものから、実際に実績を正確に把握し、それに基づいて事業費を負担する形のシステムにするという機能面の前進もあったというふうになりますので、ご理解いただきたいと思います。
それから、2点目の事業費にかかわる
市民負担でございますけれども、確かに、さまざまなご議論をいただく中で、
市民負担というものをできる限り低いところに抑えようという検討を私どもはしてまいりました。そして、そういうご要望のある制度であればこそ、将来的に存続していくことができる制度にしなければならないということで、根拠ということでは、ここに明確に多数決をとってはいないのですけれども、多くの市民の方々に、私どもが出向いてご意見を伺う中で、やはり何らかの形の負担というものに大方のご理解をいただいているということを踏まえ、さらに、札幌市の
財政状況、それから事業者の協力というバランスの中で、今回の案にたどり着いたということでございます。不公平といいますか、そういう制度ではないというふうに認識をしておりますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
◆
坂本恭子 委員 高齢者の生活が大変厳しいものであるということは、この間も再三指摘をしてまいりました。
敬老パスの
自己負担導入が、高齢者の生活に与える影響をどれほどのものかと考えておられるのかということだと思うのです。将来を見据えて見直しが必要だと、存続するためには負担が必要だということで理解をしてほしいというふうに言われましても、今、苦しい生活を強いられている高齢者の方々にどう対応するのか、ここに対しての答えというものは、今、札幌市として持ち合わせていないということだと思うのです。6,000円を負担して3万円のカードを購入できる人がいる一方で、やはり、負担が重くて生活が苦しいために1,000円しか出せずに1万円のカードを選択せざるを得ないと、そういう方が出てくるというのを当然のことだというふうにお考えになっているのか。所得によって格差が生じる、低所得者への配慮が全く欠けているというふうに思うのですけれども、いかがお考えか、伺いたいと思います。
それから、住んでいる地域によって格差が生まれるということについてもお聞きしたいと思います。
例えば、私が住んでいるのはあいの里ですが、札医大病院にかかっていらっしゃる方がいます。あいの里からバスに乗って地下鉄に乗って札医大に行くということですと、往復840円かかるのです。片や、ちょっと比較が極端ですけれども、市電に乗って札医大まで行けるという方、これは往復340円で済むわけです。同じ通院目的で、その病院に行かなければならないという方にとって、住んでいる地域によって利用額に格差が生じる。1万円のカードを買えば、あいの里から札医大に行くだけで、往復で11回しか使えない。けれども、市電だけを利用される方は29回乗ることができ、3倍の格差が生じるということになるわけです。
先ほどから、公平性というようなことも
自己負担にかかわって言っておりますけれども、利用する側として、地域間格差、それから経済間格差ということで不公平を生じるというふうに私は思うのですけれども、これで公平なサービスを提供しているというふうに言えるのかどうなのか、率直にお答えいただきたいと思います。
◎横山
保健福祉局理事 まず、1点目の高齢者の方々の生活への影響についてでございます。
確かに、生活が苦しいというのは、これは高齢者の方もそうかもしれませんし、それ以外の方々もいろいろな経済状況の中で苦しいと。今、景気が非常に悪いような背景もございます。何度も申し上げているとおり、今後のことを考えますと、
敬老パスの対象者というのは、毎年、1万数千人という方々が70歳を超えていくわけでございます。この方々にも、やはりこの精神を継続したものの中で堅持していくということを考えなければならない、今回一番大きなところであるというふうに考えております。
したがいまして、負担をお願いしたい、あるいは上限額を設けるけれども、その中でも、できる限りの上限額の引き上げを図ってきた経過もあります。負担についても、やはり制度を存続するために、できる限り低い中で行ったというふうに判断しておりますので、そこのところは本当にご理解をいただきたいと思います。
それから、2点目の地域間格差の関係でございますけれども、やはり、生活様式だとか置かれている状況によりまして、確かに交通手段を使う頻度だとか必要性、これについては千差万別というか、皆さんのご事情はそれぞれ違うということは承知をしております。先ほど来申し上げています、やはりこれからふえていく方々にもサービスを提供していくということになりますと、地域間格差あるいは生活様式での必要度の違いについて、差を少しでも埋めていくという方向でやるとすれば、やはり、今お示しの案のように、できる限り上限額を引き上げてきた経過もありますので、そういうことを行う。それから、負担はできる限り少ない中でやると。こういうものによってその辺をカバーしていきたいというふうに考えておりますので、ご理解をいただきたいと思っております。
◆
坂本恭子 委員 理解をいただきたいというのが理事からの答弁、それから部長の答弁の中でも繰り返し出てきておりますけれども、私は、そもそも理解が得られていないよということを前提にしてお話をしているわけですから、理解されるためにどうするのかということをきちんとこの場で明らかにしていただかなければならないというふうに思っているのです。
生活が苦しいのは、もちろん高齢者もそうだし、市民全体が、今、不況のもとで苦しい思いをしていると。それは、きっと札幌市の財政についてもそういうことが言えるのだろうというふうに思っておりますし、市長はそういうことを繰り返しお話されています。
ここからは、市長に伺いたいと思うのですけれども、今回の
見直し案は、先ほどから出ておりますように、
利用上限額は1万円、2万円、3万円という形で3段階に設定をして、どうぞ選択をしてくださいと。それぞれ
自己負担が1,000円、3,000円、6,000円というふうになっております。先ほどもお話をしましたけれども、利用者の負担額というのが、3月案に比べますと5億から9億円ということで1.8倍になっているわけです。
さらに、これまでどおり無制限で無差別に乗れるという従来の水準で、これを利用しようとしたときに、では、上限額を超えてからどのくらい利用するのか。これは厚生委員会で試算をしていただきましたけれども、19万人全体で32億円ぐらいになるのではないかと。これはバス事業者の方から提出されております
利用実態なども考慮しての数字ということです。現在、来年4月から交付する予定の方は19万人ですから、32億円を単純に19万人で割り返すと、1人当たり1万7,000円になるということですよね。1,000円から6,000円という幅の中から
自己負担をしながら、さらに、そのカードを使い切ってしまったら、自分でその乗車料を払わなければならない。それが平均で1万7,000円かかるということです。
やはり、これだけの多くの負担というものを強いながら、存続可能、持続可能な制度とするためにこういう見直しをするのだということを、市長、それから担当部局の皆さんは口をそろえておっしゃいますけれども、私は、今このような形で提示された
見直し案については、敬老の精神でこの制度を存続していくのだということにはならないというふうに思うのです。市長は、敬愛の精神だとか敬老の精神というものを持ってこの制度を維持していきたいというふうに常々おっしゃってはおりますけれども、やはり、今回出された
見直し案については、私は全く敬老の精神のかけらというものも存在しないのではないかというふうに思うのですけれども、この点についての市長の考えを伺いたいと思います。
それから、市長は、私どもの今回の
代表質問に対して、
敬老パス制度に要する事業費の増加は、札幌市が将来的に負担し続けることができるレベルをはるかに超えるものであり、市民生活を支えるさまざまな施策に及ぼす影響は避けられない、こういうふうに答弁をされている。実際、今も、財政的な見地からどうやっていったらいいのかということでのご答弁が先ほどありましたけれども、結局、この
敬老パスを存続可能な制度として維持したいからという口実のもと、私は財政難のしわ寄せを高齢者の皆さんに与えていることになる、敬老の精神の、普遍的なものである無差別、無制限という本質をやはり変えてしまうことになるというふうに思うのですけれども、市長の真意を伺いたいと思います。
◎上田 市長 委員がご指摘の観点から言えば、それは不公平だというふうになると思います。しかし、物の見方は、どっちから出発するかというふうな観点からも考えなければいけないというふうに私は思います。
今の制度は、大変使い勝手がよくて、高齢者の
皆さん方に好評を得ている、また、家族の方々にも喜んでいただいているということは重々承知をしております。この制度をそのまま続けることができるということであれば、だれも文句は言わないということになることも、これもわかります。そしてまた、最大限の敬老の精神のあらわれであるというふうに評価されることも、また間違いのないことだろうというふうに思います。
しかし、これが本当に存続できるかどうかということを考えたときに、右肩上がりの経済情勢の中で、どんどん税収が上がってくるというふうなことであれば、あるいは、それを支える人がふえてくると、今は少子化と言われておりますけれども、どんどん人口がふえていく、生産力も上がっていくというふうなことであれば、可能かというふうには思うのですが、そこが、今、私たちの社会が持っている病といいますか、難しいところかなというふうに思うわけです。
その上で、私は、悩んだあげく、この問題を取り上げさせていただいている。決して、高齢者だけにしわ寄せするというわけではなく、私も、将来、高齢者になるのでありまして、今の高齢者だけが高齢者ではない、みんな高齢者になる、平等に高齢者になる。その制度、高齢者になったときの制度を、今、私たちはしっかり考えていかなければならないのだということでありまして、私の真意はそういうことでございます。
それから、敬老の精神が完全におかしくなるのではないかというようなお話ですけれども、30億円なりの市税をこの問題に投入するというのは、私は立派なものだというふうに思います。これは市民のみんなが、今まで37億円でも我慢したと、このことに30億円ならいいだろう、この財政の厳しいときにそれだけのことを市民が理解して支えていこうという合意が、市議会の
皆さん方のご同意の中でやれてきたというのは、私は、これはそんなに批判されるべきというか、それを全部やめるというなら批判されますけれども、そうではなくて、その中で持続可能な状況にしていこうというふうなご提案をすることは、さほど敬老の精神に反することにはならないだろうというふうに私は理解をしているところでございます。
◆
坂本恭子 委員 今、公平、不公平ということで言いますと、どっちの側から見るかによってそれは違うというお話でしたし、最後のところでは、事業費は29億円ですけれども、今30億円とおっしゃっいましたけれどもね、30億円を使うということで立派なものだと思うというふうにおっしゃいました。私の側から見れば、30億円で立派だというふうにはとても言えないということです。そこについては、明確な違いがあるということはお互いに承知の上での議論ですけれども。
やはりですね、右肩上がりであればそれも許されるかもしれないけれども、財政が厳しいからこういう形で悩みながら決断をしてきたという市長のお話でありました。しかし、ことしの予算特別委員会で、私が、
自己負担と
利用上限額の二重の改悪で、これは全国どこにも例を見ない最悪の改悪であるという話をしましたところ、市長は、そういうふうに言われるのはいささか心外であるというふうにご答弁されました。ですが、私は、3月案に比べて、今回の
見直し案の方がもっと悪いものになっているというふうに思っています。それは、先ほど言いましたように、そもそも
市民負担、
自己負担が1.8倍にふえている。それから、
利用上限額の選択肢を広げるということではありますけれども、それを超えて乗るためには、またさらにその場での乗車料の負担がふえていくということですから、私は、これは本当に市民の理解は得られない中身だというふうに思っているのです。
市長は、10月6日の定例記者会見でこの
敬老パス問題について問われたときに、この間、1年、議論をやってまいりまして、一番成果があったのは、ご負担をしていただくということと上限をつけるということについて、大方のご同意を得られたと思う、こういうふうに述べていらっしゃいます。しかし、市民の受けとめ方とは違うというふうに私は思っています。
議会への請願・陳情、署名ということで、これは前回のときもお話をさせていただきました。今は予算特別委員会のときよりもこれがふえています。請願で153件、それから陳情では30件、署名では、3月の時点で4万2,626筆だったものが、今は5万6,329筆ということでふえております。それぞれの地域で高齢者の皆さんがみずから街頭に立って署名の訴えをして、何とか存続をさせたいということで粘り強く運動をして、それにこたえた方が、この半年の間でも、署名だけでも1万4,000筆になっているということです。
この方たちの声というのは、現行制度を守ってほしい、そういうことです。市長は、この間、いろいろな団体と懇談もなさったり、老人クラブ連合会の方などは陳情も出されておりますけれども、お話をされて、やはり負担は最小限にしてほしい、できれば制度は残してほしい、現行のまま維持してほしいというのが皆さんの本音だと思うのです。本当に、気軽に出かけたいときに、いつでも、どこへでも行くことができる、これが、来年1月で30年目を迎えますけれども、これまで29年間続いてきた
敬老パスの精神だというふうに思いますし、そこには、経済的な格差、それから地域間格差はなく、自由で便利な制度として残してほしい、そういうことだと思うのです。
私は、この立場に立つと、やはり、市民理解も得られてはいないと思いますし、それからまた、これ以上、市民の意見を聞く場を持とうとしていない。担当部局やコールセンターで対応しているから、意見があったらそこに寄せてくださいというような対応では、多くの市民に市政に対する不信の念を抱かせる、そういう方向に向かっているというふうに考えますが、市長は、もう十分に市民の意見も聞いたし、理解も得られた、そういうふうに判断をしているのでしょうか。定例記者会見の中ではそういうふうにおっしゃっていますが、どうなのか、お答えください。
◎上田 市長 経済的格差あるいは地域間格差、こういったものを全部捨象できるのは今の制度だというのは、そのとおりだと思います。私は、そのとおりのことが維持できるかどうかというところで悩んでいるという話であります。存続させるとすれば、ほかのところを削ってもいいから、これは存続させなければならないのだという議論になるわけです。その際に、私は、この
敬老パスだけを維持して、ほかのものは少し削っていくというふうなことがなかなか難しいというところでの判断をしているところでございます。
私がご理解をいただきたいというふうに申し上げているのはそのことでありまして、
敬老パスの一部負担をしていただく、あるいは上限を設けることについて理解を求めたいと言っているのは、そういう全体的な構造の中で、今の社会の中で無料化ということ、あるいは、アッパーなしという、そう制度が成り立ち得ない経済状況になりつつあるのだと。そういう
財政状況、支える者と支えられる者の関係と言ってもいいでしょうか、そういう構造が今の私たちの社会の中にあるのだということを理解して、その上で何を選択するのかということを一緒に考えていただきたいということを申し上げているわけであります。
ただと、負担があるのとどっちがいいですかと問われたときに、ただがいいという気持ちはよくわかります。そして、それが今まで便利に使われていたということもよくわかります。しかし、そういうことばかりではなかなか進まないというところの悩みを市民の皆さんと一緒に悩みたいというふうに申し上げて、この間、時間をかけさせていただいたところでございます。
私どもと同じ制度を持っていないほかの都市もたくさんございます。そこは、敬老の精神がないのかといったら、そうではないと思います。やはり、みんな、市民の
皆さん方が自分たちでできる範囲のことをやろうという精神のもとで、
敬老パス制度といったものを維持できる範囲でやっているのだ、それは悩みの上でやっているのだというふうに私は理解をしているところでありますので、ぜひそういう点でのご理解をいただきたいと思います。
◆
坂本恭子 委員 前段のご答弁については、この間もいろいろな機会で伺っておりますから、よく理解はしているつもりでございます。
維持できるかどうかというところでは、この
敬老パス制度を今のままの制度で維持するために、ほかで削ってもいいところがあるのかどうなのか、そういう議論もしていかなければならないというお話がありました。経済状況、
財政状況という、そういうところで、ともに悩み、考えていきたいというお話でしたけれども、さきに公表された財政構造改革プラン(案)にかかわってちょっと質問をさせていただきたいと思うのです。この間の市長の発言から既に明らかですけれども、財政健全化に向けての取り組みの一つとして
敬老パスの見直しがあったということですよね。
私ども
日本共産党は、
敬老パスの見直しが検討され始める、元気ビジョンに具体的な呼称として
敬老パスの見直しというものが出されてくる、そして、4定に向けて5,000人の
アンケート調査を行いたいということで600万円の補正予算が組まれてくる、こういうことについて、私どもは、当初から善意の市民の手に行財政改革の方向性をゆだねる。そして、世論誘導的な情報提供と、私どもの評価は作為的な
アンケート調査というふうに思っておりますけれども、こういう中で、いみじくも市長がおっしゃいましたが、支える者と支えられる者と、そういう世代間の分断というものを招いているものだということを一貫して、指摘して、批判してまいりました。
市長は、財政が厳しいのだということを市民にも投げかけ、そして、膨大な借金があるから、
敬老パスも含めて痛みを分かち合っていきたいという発言をしております。前回の特別委員会のときにも、タウントークでのいろいろな話の流れなどを例にとりながらお話をしました。
今回は一般会計ということで言わせていただきたいのですが、1兆1,000億円余りの借金があるということですね。借金があって大変なのですというお話をされてきていると思います。実際に今の経済状況の中で、札幌市の財政だけが健全なのですということはやはり言えないわけで、そのことについては言っていらっしゃると思いますけれども、では、どうして1兆1,000億円の借金を今札幌市が抱えることになったのかということについて、私は、市長は説明不足だというふうに思うのです。きちんと説明責任を果たしてきたというふうに言えるのか。
市長は、考える機会を提供するために情報公開を行っていきたいということを公約にも掲げておられましたし、多分、自治基本条例の制定であるとか、そういうところに向けてそういう発言をされてきているというふうに思うのですけれども、そこと照らし合わせても、本当に説明責任、情報開示ということを積極的に行ってきたのかどうか。
私は、やはり、これがしっかりと行われてきていないというふうに思いますし、まして、この借金財政というものが、市民のせいで生まれたというものではないというふうに理解をしております。この点、明確にご答弁をいただきたいと思います。
◎上田 市長 借金があって、なぜそういう借金になったのかというふうなことについて、それは市民のせいではないというのはちょっと内容的によくわかりませんけれども、私は、札幌市のために使われたお金だろうというふうに思っております。もちろん施策の中での公債発行ということになりましょうから、その施策が、人々にとって、あるいはやる必要がなかった、これはそんなに必要ではなかったのではないか、もっと時期をずらした方がよかったのではないかというふうな議論があることは確かにあるというふうに思いますけれども、私は、基本的には札幌の街づくりのためにこういうお金を使ってきたのだろうなというふうに今思っているところであります。
また、札幌の
財政状況については、昨年はさっぽろのおサイフというパンフレットを財政局がつくりまして、こういう財政構造になっております、借金の構造になっておりますということをお示しをしております。これで十分な説明ができているかどうかについては、もちろん議論がございますので、改訂版をつくって、もっとしっかりとした説明ができるように、詳しくなり過ぎるとわかりにくくなる、余り易しくてもわからないというところがありますので、工夫をして情報提供をさせていただきたいというふうに思っております。
それから、支える者と支えられる者というふうなことが世代間分断だというふうなご指摘がございますけれども、私は、支える者、支えられる者という形は固定的な関係ではないと思います。これは、流動的な、ある時期、支えることができる、元気に働くことができる、そういう世代でいるときは支える側であり、しかし、お年を召して、あるいは障がいを持ったりされて支えられる側にいつでもなり得る、私たちはそういう社会生活を送っているのだ、同じ構成メンバーなのだというふうに私は思います。
そういう社会の中で、いろいろな方がおられるということの連帯感をしっかり持ちながらこの社会というのをつくっていかなければならない。その中での一つの制度としての
敬老パスというものがあるわけでありまして、それは、社会の構造だとか経済の状況によって、それなりに変わっていくことが許されないことではないと、私はそのように思っております。
◆
坂本恭子 委員 何かしっかりとご答弁をいただいていないのではないかなというふうに思うのですけれども、(発言する者あり)いろいろな冊子もつくって、
財政状況についてもお話をしているし、今できた借金については、市民生活に資するもの、街づくりのために使われたものというご答弁だったでしょうかね。私は、今回の特別委員会でコンベンションセンターの問題なども取り上げさせていただきましたけれども、総工費、用地取得費も含めて206億円かかっているという中で、174億円という数字を財政の方からいただきましたが、この借金が残っているのですね。これが、これから2023年まででしょうか、平準化すると、毎年11億円ずつ返済されていくというお話をいただきました。
街づくりのためにということであれば、確かに、コンベンションセンターの位置づけは、担当部局でも市民の社会生活に資するものであるという言い方をしておりましたが、私は、毎年11億円ずつの借金を払ってまで、その社会生活に資するものがコンベンションセンターにあったのかどうなのかということが、やっぱり大きく問われるのだと思うのです。そういうことを一つ一つ丁寧に話をしていかなければならないというふうに私は思っています。それとも、そういうことも含めて、本当に市民にきちんと説明をしながら理解を得てきているというふうに思っているのかどうなのか、私はそこはちょっと疑問に感じているのです。
今回の財政構造改革プラン(案)で言いますと、
敬老パスの見直しも含めて、
市民負担が70億円ということになっております。これは11月4日まで、パブリックコメントで市民からも意見が寄せられる機会をつくってありますから、多くの市民の皆さんと、ぜひこういう
市民負担はやめてほしいという声を市民の皆さんと一緒に強く上げていきたいと私は思っていますけれども、この中には、家庭ごみの有料化、それから、市営住宅の家賃や駐車場料金の見直し、減免の見直し、そして、すこやか健診の
自己負担の引き上げなど、市民生活全般にわたっているものについて書かれているわけです。
私は、やはり、やるべきことをやらずに市民に負担を求めている、そういうふうに思います。市長は、先ほど、
敬老パスを現行制度のままで維持するためには、何か別のところを削らなければならない、そういう議論をしなければならないというふうにおっしゃいましたけれども、削るべきものはこういう市民生活にかかわる分野ではないと思うのですね。
前回も、これは公約とのかかわりで申し上げました。出資団体の見直しはどうなっているのか。
代表質問の答弁では、今、第三者評価機関をつくっていて、そこでの評価結果を取りまとめて今年度末までに報告をしてもらう予定になっていると。そして、これを踏まえると、持続可能な財政構造への転換の実現に資するものになるというご答弁をされております。公約の絡みからいっても、それから、削るべきものを削っていくという立場からいっても、私は、この財政構造改革プラン(案)の中で、出資団体の見直しというのが大きな柱として立つのが当然のことではなかったのかなというふうに思っております。
市長は、前回の予算特別委員会のときに、私がこの点を指摘しましたら、4年間かけてこれをしっかりとやっていくのだ、こういうふうにご答弁なさいました。まさに、財政構造改革プランの実施時期というのは市長の次の期をまたいで発表されているものでありますから。これから資するものになるだろう、評価報告を待って、それから具体的な手法を考えてということでは間に合わないというふうに思うのです。改革プランの中でしっかりと位置づけられていないという問題について、私は指摘をしたいと思います。
それから、削るべきものという問題の一つに、私たち
日本共産党は、駅前通の地下歩行空間についても、必要性は認めながらも、今すぐ巨額の建設費を投入して行うべきではないのではないか、時期を見てから取り組むべきではないか……
○大嶋薫 委員長 坂本委員、問題が広がっているようですので、討論もありますから。
◆
坂本恭子 委員 (続)こういうものの建設こそやめるべきものだと私は思っています。
借金財政に対する説明責任をきちんと果たし、やるべきことをちゃんとやる、これが市民の求めている財政の健全化であって、今、市長がやろうとしていることというのは本末転倒なのではないかというふうに思います。切るべきところは切ると、そして伸ばすべきところは思い切って伸ばしていくということは、福祉や暮らしに直接かかわるところを切って、大型公共事業、開発というものはやっていくということなのか。その切っていくものの中身に
敬老パスの見直しというものが入っているのか、この点について伺いたいと思います。
◎上田 市長 コンベンションセンターについてのご意見は、従来からお伺いしておりますけれども、コンベンションセンターがむだ遣いだったのかというふうに評価を申し上げるならば、私は必要な設備だというふうに考えておりますので、これは借金をしてでも、毎年11億円支払ったとしても、それに余りある、札幌のコンベンション都市という、そういう都市のイメージをつくること及びそれに伴うお客様がおいでになるということ、そういうことで、さまざまな都市の顔というものを作出するために必要な財政支出ではないだろうか、このように私は思っております。
もちろん、市民あっての街づくりでありますので、市民が苦しくて苦しくて食うに食われずという状況があるのに、何か違うことをやろうというのであれば、それは非常に問題があるというふうに私は思います。しかし、札幌186万人都市、あすの札幌を描きながら今日の市民生活をどう安定させていくかということが私たちに与えられた課題であろうというふうに思います。そのあすの札幌、50年後、100年後の札幌をどういう札幌にしていくのかということについて、私も公約として掲げさせていただいているわけでありまして、やはり
皆さん方で議論をされ、それに対する投資を、大型公共事業だからそれは削減してというふうなご指摘も、気持ちはわからないわけではありませんけれども、しかし、それは同時に、並行的にバランスよく投資をしながら、そして、市民の生活の安定も図りながらやっていくということをしなければ、どれかが先で、どれかが後だというふうな、そういう順番づけというのは難しいのではないかなと。市政というのはバランスよくやっていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。
◆
坂本恭子 委員 質問については、多分、これが最後になると思うのですけれども、そもそも地方自治体の役割というものを市長は何と心得ていらっしゃるのかと思うのですね。
敬老パスの見直し問題というのが、そもそも財政的なところで、これは小澤助役の時代に明確に答弁されていて、受益と負担のサービスの水準とのあり方での検討だということをおっしゃっていました。先ほどちょっと広がり過ぎではないかというご指摘をいただきましたけれども、ちょっとそこは勘弁していただきたいと思います。
今の財政構造改革プランは、基本的には市の単独事業はやめていきましょうと、そして、保育であるとか福祉であるとか、さまざまな分野で上乗せをして行っている補助事業についても、これはすべて国や道の基準に合わせていく、あるいは、政令市の平均にしていくというようなことがずっと書かれております。私は、札幌市が、市民の暮らしだとか営業の厳しさだとかという実情を目の当たりにして、札幌市が何に取り組んでいこうとしているのかということだと思うのです。地方自治体の役割というのは、やはり、それは住民の福祉の増進を図ること、これが第一義的な役割ではないでしょうか。
この4月から
敬老パス制度が改悪をされると、実施をされるということになれば、3月に市民の皆さんに対する手続というものが行われていく。そこで、市長に考えていただきたいのは、年金の振り込みというのは2カ月に1回ですから、2月15日に年金がそれぞれの指定口座に振り込まれる。冬場の一番寒い時期であり、ことしは特に灯油の高騰などということが非常に懸念されていて、そういうものにも生活費を割いていかなければならないということも懸念されています。年度末に向けては、税金であるとか、さまざまな支払い期限というのがあって払っていかなければならない。そういうときに、病院代あるいは食費として必要なお金のうちから、6,000円の
自己負担を選択するのか、1,000円の負担を選択するのか。3万円のカードを買うのか、足りなくなるのはわかっているけれども、1,000円で1万円のカードしか買えないと、今はそれしか使えないのだと、そういうことで悩んで苦しんでいるお年寄りの姿というのを市長は想像することができないのかな、そういうふうに思うのです。
そういう苦悩というものを背負わせることにつながる今回の
見直し案で、本当に敬老の精神が生きていると言い切ることができるのか。そしてまた、生保世帯であるとか、非課税世帯への配慮というものが全くない、福祉の観点からいっても許されることではないと思うのですけれども、この点について、持続可能な制度とするために見直しを行っている、けれども、片一方ではこれだけ苦しむ方たちがいるということ、それが敬老の精神とどうリンクしてくるのか、この点について、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
○大嶋薫 委員長 坂本委員、質問がかなり重複してきているようですが、質問は最後でよろしいですか。
◆
坂本恭子 委員 質問は最後と宣言しました。
◎上田 市長 最初の地方自治とは一体何たるものだと考えているかということでございます。そして、委員のご見解によれば、市民福祉を最重点に置くのが地方自治体のやるべき仕事だと……(発言する者あり)
○大嶋薫 委員長 答弁を続けてください。
◎上田 市長 (続)大事なものだということであります。もちろん、私もそれはそのとおり、それも仕事だというふうに思います。その市民福祉を充実させるためにはどうするかということを考えなければならないということを申し上げているわけです。
それは、どういうことかというと、福祉の財源をどうやって獲得するかということであります。私は、三位一体の改革を待つまでもなく、自治体がしっかりとした税収を上げていくということ、そのことによらなければ福祉も何もできなくなってしまうというふうに思っております。だから、自立した経済構造をつくるということ。国から金をもらってこいと言われたって国に金がない、その借金体制はだれがつくった、それは私たちの責任ではないというふうに叫んだところでお金は来ないという状況の中で、私は、やはりこの街が活性化し、経済的にも豊かになる、そのことで福祉が充実をしていくということを考えなければならないというふうに思います。
いろいろなことに投資をするということは、これは福祉を軽く見ているということでは決してありません。その福祉を実現するためにも、充実するためにも、地方財政というものをしっかりやっていかなければいけないと、こういう認識に立っていることをご理解いただきたいというふうに思います。
あともう一つは、6,000円を負担できない人はどうするのかというお話でございます。
6,000円といいますと、そのときに6,000円というのは本当にきついお金なのかもわかりません。しかし、本当に月にすれば500円でございます。これはやはり工夫はできないのか、その工夫をする努力をしていただけないだろうかというところで、せっぱ詰まって申し上げれば、お願いできないだろうかというふうに私は思っているところであります。
◆
坂本恭子 委員 最後のご答弁で、6,000円は月に平均すれば500円の負担であると、それくらいの工夫をしてはいただけないだろうかというご答弁がありました。私は、工夫すべきなのは行政の方だということを言っているのですよ。そこを履き違えないでいただきたいと思う。
市長は、先ほど、
敬老パスの制度を持っていない自治体があると、そういう自治体では、敬老の精神がないのかということになりはしないかというようなご答弁をされましけれども、全くそれは違うと思います。それは、それぞれの自治体に合わせていろいろな形で老人福祉の施策をやっていると思いますから、私の発言からそういう一律的な言い方、受けとめ方ということをしないでいただきたいと思う。
そして、なぜ今、これだけ多くの方たちが現行制度で
敬老パスを守ってほしいと言うのか。それは、30年近くも続いているこの
敬老パスを守っていきたいということなのですよ。市長の言葉をかりれば、本当に敬老の精神を持って、札幌市が、行政の単独事業、その施策として全国に対して胸を張ってやっているのが
敬老パスだからではないですか。そこをしっかりと受けとめていただかなければならないというふうに私は思います。
私たち
日本共産党は、現行制度のまま、敬老の精神がしっかりと息づく、
敬老パス制度の存続というものを求めて、終わりたいと思います。
◆高橋克朋 委員 私からも、
敬老パスについて質問したいと思います。
市長に出席要請はしておりませんけれども、まだ帰りませんよね。
敬老パスについては、自民党の中にも、あるいは私個人としても、これをこのままずっとやれる制度かということで、疑問点をずっと持ってまいりました。だから、私は、上田市長が誕生して、
敬老パスをみんなの議論の中で何とかいい形に変えたいという気持ちはよく理解をいたします。
しかし、前回の予算議会のときに、市長の答弁の中で、4月中には議論をさらに活性化させて判断をしていかなければならないと、いわゆる10月の改正に向けてやりたいのだと、こういう意思を明確にされたわけですよ。ただ、予算議会のときは37億円という予算をつけておきながら、途中に2万3,000円、3,000円ということが出されてきたものだから、私はいかがなものかという思いで申し上げてきたわけであります。ですから、この問題について、私と市長はボタンをかけ違えてスタートしてしまいました。自民党にもう少し相談をしていただければ形は変わっていたのではないかなと、私は、最近、こんなことを思っております。
そこで、私からは、交付方法についてお伺いをしておきたいと思います。
新制度案では、3月と9月に交付すると、こういうふうになっております。3月ですと、一斉交付ですから、対象者がおよそ22万人。追加交付ですと、およそ5,500人と、こういうことで資料をいただいておりました。
現行制度では、一斉交付と随時交付で、年の途中で70歳になると随時もらえる制度になっておりますし、市外からの転入者についても、およそ1カ月もしくは2カ月で交付されるというのが今の制度であります。そこで、この見直しに当たっては、自民党では、以前から、居住年数を一定程度設けるべきではないのかと、こういう議論をさせていただきました。前回の委員会の質疑の中でも、当時の大町部長は、これは前向きにぜひ検討したいと、この旨答弁をされてきております。また、5月の厚生委員会の中でも、そういう方向の可能性について検討したいと、こういう答弁がございました。
そこで、この新制度案を公表するに当たって、これまでどういう経緯、経過で検討されてきたのか、まず、お伺いしておきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 交付方法に関連しまして、交付対象者の居住年数の制限の関係でございますが、ご指摘のように、予算議会の中でそういう答弁がありました。居住年数の制限の関係は、そのご指摘もございましたし、その前の
アンケート調査、あるいはさまざまな市民の方からご意見を聞く場におきましても、長年、札幌に住んで70歳になられた方と、市外に住んでおられて初めて札幌に来られた方が同じように扱われるのはいかがなものかというご意見は少なからずいただいておりました。その観点から、私どももさまざまな角度から検討してまいりました。札幌市民になると同時に権利も発生しますが、一方で、義務も生じるといったようなことから、その点に対する慎重な考え方があるというようなことで考え合わせて検討してまいったところでございます。
今回、年に2回交付ということを提案させていただいております。ご質問にもございますように、この中で、転入された方につきましては、事実上、最大で9カ月、次の交付までお待ちいただくというような状況になります。
3月に一斉交付を行いますけれども、その時点では、それまで随時交付をしておりました札幌にずっとお住まいの70歳に到達した方と、9月までに70歳に到達される方を前倒して交付をするといったようなことになります。その時点で把握できていない転入者の方については、転入した時点からさらに事務的な、把握する期間も加えますと、次の交付時期ということになりますので、最大で9カ月といったようなことで、転入された方については、事実上、待機をするというか、待っていただく期間が生じるということになっております。
◆高橋克朋 委員 最長で9カ月待ってもらうと、既に札幌市に住んでいる方と市外から転入をされてきた方ではおよそ1年の差が出ると、こういうことだろうと思います。
ただ、この制度の中には、非常にわかりづらい部分が多々あると私は思っているのです。例えば、転入の月が7月だった場合、翌年の3月にもらうと。ところが、誕生日が7月の場合、その年の3月に戻ると、こういうシステムになっておりますことや、あるいは69歳の方が札幌市に来た場合、どこでどうされるかという難しい問題がありますから、この辺は、市民にわかりやすいように、今後、しっかり説明をしていただきたいとこう思っております。
そこで、この制度でありますが、追加交付が9月ですから、いわゆる年に2回交付ということになると思います。そこで、基本的には4月から3月までという1年間の
敬老パス制度でありますから、今の札幌市の案ですと3万円という案で、9月に交付する方は半年分ということになると思うのです。この半年分は果たして3万円になるのか、あるいは、半年だから1万5,000円と、これはないのですが、されるのか、その辺がまだ明確になっておりません。その点について、今、札幌市としてどういうふうに考えているのか、明確にお答えいただきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 年に2回交付にすることに伴いまして、追加交付、いわゆる9月に交付を受ける方に交付する
利用上限額ということでございますが、交付を受けてから利用できる期間が半年ということになりますので、その利用期間に応じた限度額というものを検討する必要があるというふうに考えております。
◆高橋克朋 委員 数字を3万円とした場合、明確な答えというか、先ほど高橋(功)委員からの話で、上限が少し上がりそうだと、慎重に検討したいということもございましたから、今後はその点についてもよく検討していただいて、多くの方に納得していただく制度にしていただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。
最後に、市長、今、3万円、2万円、1万円、そして20%、15%、10%とそれぞれの上限と負担率がございます。先ほど、高橋(功)委員の質疑の中で私が理解したのは、上限については慎重に検討したいと、こういうことだったと思っているのです。ただ、負担率の問題については、我々自民党の中でもいろいろな議論があって、確かにまだコンクリートされておりません。しかし、敬老の精神からすると、これはある程度一定にすべきではないかと、こういう議論も多々あるのです。
そこで、市長、最後に負担率の問題について、これは市長としての政治判断ですから、最後にこの点だけ、市長としての考え方をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
◎上田 市長 極めて悩ましい問題だというふうに私は思っております。
しかし、1万円、2万円、3万円ということを発想する際に、これは、熟慮を重ねて、収支バランスといったこと、それから利用される方々の実績等を全部組み合わせて、これぐらいならできるだろうというふうなことと、それから、選択をしたカードの額によってサービス額が大幅に違ってくるということの矛盾をどうしたらいいかというふうなことで、段階的にパーセンテージを立てて、そこの不公平といったものを是正しようという形で出てきた話でございますので、その点で、負担額について、一定の割合にした方がいいという議論には少し抵抗を感じているところであります。
◆佐藤典子 委員 私からも、何点か質問をさせていただきます。
2015年には4人に1人が65歳以上になるという社会を迎える中で、これから高齢者福祉をどう考えていくかという大きな視点に立って、さまざまな政策を考えねばならないときだというふうに私も認識しております。そして、2015年というのは、もうあと10年で来るわけですから、この10年間で、どういう政策を考えていくかということは、私たち議員も一人一人、本当に大きな責任を担っていかなければならないということで、今回の
敬老パスの問題についても、非常に苦しみながら、私たち市民ネットワーク北海道も、どういう方法がいいだろうかということで考えてまいりました。
今、札幌市は、2兆円を超す市債残高を抱えている、そして、265億円の収支不足が生じてくる、そして、さまざまなそういう厳しい状況の中で、では、この
敬老パスを持続可能にするにはどうしたらいいかということを考えたときに、上田市長がおっしゃる構造改革の中で、どういうふうに改革をしていくかということで、私たち市民も一人一人が支える者と支えられる者というような立場からも、しっかり考えていかなければならないと考えています。
市民ネットワークは、
代表質問でも取り上げさせていただきましたが、今回の3万円、2万円、1万円、こういう上限額の設定について、金額はちょっと別にしましても、ある程度仕方がないのではないかというふうに考えています。そしてまた、私ども市民ネットワークも独自の
アンケート調査をした結果からも、いろいろな
利用実態が浮かび上がってきておりますので、その
自己負担も一律ではなくて、いろいろな方法を選べるという選択制というのはある程度やむを得ないというふうに考えております。できれば、このままのパスが持続可能で、続けることができたらどんなにいいだろうというふうには思いますが、こういうような厳しい状況の中で、ある程度やむを得ないのではないかという観点から質問をさせていただきます。
代表質問でも、利用上限には、地理的なことと
利用実態から踏まえて、やっぱり低いのではないかということを提案させていただきまして、
代表質問では上限額の工夫をというような言い方をさせていただきました。きょうは、先ほども高橋(功)委員の方から質問が出ておりますので、もう少し具体的に市長にお聞きしたいのですが、上限額を上げるということでもう一度工夫をしていただけないかということで、まず、1点お聞きしたいと思います。
それから、現在示されている案というのは、札幌市がとられた
アンケートをもとに事業額を出しているというふうに伺っております。しかし、これまでにいただいた資料の中で、平成15年度の予算は35億円、そして、事業者が
利用実態などから割り出したものが71億円、この乖離というのがどこからどういうふうに来ているのかというのが今までも明らかになっておりませんし、ここの部分をしっかり見据えていく必要があるというふうに考えています。もし新制度案が実行されるという場合には、やはり、
利用実態とか利用実績に見合わせた検証が必要不可欠だと思いますし、その検証を踏まえて、またさらに見直しをするという、そういう過程が必要だと私どもは考えております。
そこで、質問ですが、新制度実施後の検証の必要性と、その検証をどのように進めていかれるのか、この点をお聞きします。
◎中田
保健福祉部長 私から、2点目の新制度案の検証についてお答えを申し上げます。
ご指摘のように、新たな制度につきまして、今後の利用の実績あるいは事業費という部分は確かに見きわめ切れない部分がございます。これまでもご説明させていただいておりますように、今提示させていただいている案につきましては、専用のカードを作成いたしまして、
交通事業者ごとに利用実績が正確に集計できる形になります。そのようなことからも、実績をしっかり把握する、また、それに関連をした利用の実態、また制度に対する市民の評価といったもの、意識の変化、あわせて札幌市の
財政状況や交通事業を取り巻く環境などといったものを総合的に検証する必要があるというふうに思います。
その検証の結果に基づいて、事業者の負担の問題、あるいは札幌市の財政的な負担、あるいは市民の皆様、利用者の負担といったものの中で検討していく必要があるというふうに考えております。
◎上田 市長 上限額についてというお話でございますが、先ほど来お答えいたしておりますように、今議会におけるご議論等を踏まえまして、上限額について工夫できるかどうかも含めて、しっかり検討させていただきたいというふうに考えております。
◆佐藤典子 委員 私は、
敬老パスの質問をこれで終わらせていただきますが、しっかり検討していただけるというようなお話ですので、ぜひ前向きに、きょうの議論も聞いていただきまして、重ねてお願いします。
それから、私ども市民ネットワーク北海道は、これまでに
アンケートをとりまして、
敬老パスを持っている方は88%、持っていない方は12%という数字を得ています。これは、札幌市が
アンケートをとられたときの結果とほとんど似ております。
敬老パスで移動される皆さんの足を確保するということも非常に重要ですが、これから2015年に向けた高齢社会の中で、痴呆のお年寄りもどんどんふえていく、それからひとりでお住まいのお年寄りもふえていく、それから、こういうような状況の中で
敬老パスが使えない、そして公共交通での移動は困難だという、そういう方への移動サービス支援が重要になってくるということを訴えてまいりました。
この方々の56%は、体が不自由で利用できないというふうな答えになっております。こういう公共交通機関を使えないというような答えの中で90%は家族の車やタクシーを利用しているというふうなお答えになっています。そして、そういう方々は、月1万円以上もかかっていてとても大変だというような声を受けています。そういう観点からも、公共交通機関を利用することが困難な高齢者の移動支援も含めて、高齢者の移動支援全体を考えるべきであるということを強く訴えてまいりましたので、後半の2点目は、この移動支援の保障について伺います。
2004年の1定の
代表質問でも取り上げさせていただきましたが、こういう方々は、何を利用されているのかという
アンケートをとりましたところ、社会福祉協議会の移動サービスとか介護タクシー、またNPO等の移動・移送サービスを利用しているというような答えが返っております。そして、その全体の75%が、実は、情報が少なくてわからない。また、利用した方も、予約が面倒だったり、PR不足ですぐにそれを使うというふうになかなかならないというふうな実態が浮かび上がっています。
新まちづくり計画の中にも、高齢者の外出支援事業というのが盛り込まれていまして、そこにはわかりやすい情報の提供を進めていくということが書かれてありました。その情報提供には、積極的にわかりやすいものをまず進めていただくということを強く要望させていただきます。
もう一方のNPOの移動サービスなのですけれども、これらはNPOやボランティア団体などがドア・ツー・ドアまたはベッド・ツー・ベッドという移動サービスを提供してきているものです。行政からは、法律上、違法なサービスであるというふうに見られる面と、移動困難者への必要なサービスとして認識されているという2面性を持った評価がされてまいりました。
しかし、こういうような状況の中で、今般、厚生労働省及び国土交通省から、訪問介護事業者等が行う要介護の輸送について、道路運送法上の事業許可、一般または特定を含めて、この事業許可によることを原則とし、一定の準備期間の後、無許可で輸送を行う事業者については介護報酬の対象としないものとするという方針が出されていると聞いています。そうなると、これまで2面性の評価をされていたものが、事業許可を取得しない事業者はこのサービスを行えなくなるということで、利用者にとってもさらに困難な状況が生まれるということになります。
移動の制約を受けている高齢者または障がいのある皆さんの大事な移動手段について、国からこういう方針が出されましたので、これについて3点、簡潔に伺います。
1点目は、今申し上げましたように、国の方針が出ておりますが、具体的にどのような内容を言われているのか。そして、この一定の準備期間というのは具体的にいつまでのことを言われているのか。
そして、2点目は、札幌市では、公共交通機関を利用することが困難な高齢者の移動手段の確保という問題についてどのようにとらえ、今回の国の方針に対してどのように対処していかれようと考えておられるのか。
そして、3番目に、その進捗状況についてお聞きしたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 高齢者あるいは障がいのある方の移動支援に関連してのご質問でございますが、まず、1点目の国の方針の概要ということでございます。
介護保険制度あるいは障がいのある方の支援費制度の開始に伴いまして、訪問介護事業者ですとかNPOなどが所有する車両を使用して介護の移送サービスを実施するといった事例が全国的にも多く拡大してきたわけですけれども、これは、かつては運送法上の手続を経ていないということで、いわゆる白タク行為とみなされる、それに該当するということで、法的な問題が指摘をされておりました。
そのような中で、厚生労働省、国土交通省が、一つは、訪問介護事業者などが行う要介護者等の輸送については道路運送法の事業許可によることを原則とするということ、それから、NPO等の非営利法人は一定の手続、条件のもとで自家用自動車の有償運送許可によることができるということ、それからもう一つは、一定の準備期間の後、無許可で当該輸送を行うという事業者については道路運送法に抵触する違法な行為であると、ご指摘のようになり、介護報酬の対象としないという整理が行われまして、通知が本年3月に出されたところでありますが、これによりまして、今後、こうした介護輸送サービスを行うためには、タクシー事業者など、既に事業許可を取得している者を除きまして、道路運送法上の事業許可、あるいは自家用自動車の有償運送許可、これを取得しなければならないということになっております。
なお、一定の準備期間というのは新たな介護保険制度がスタートする、新たなというのか、今見直しが行われておりますが、その制度がスタートする平成18年度春までという方針が示されております。
それから、2点目の公共交通機関を利用することが困難な高齢者の方の移動手段の確保というとらえ方あるいはその対応でございますけれども、公共交通機関の利用が困難な高齢者というのは、やはり閉じこもりになりやすいとか、さまざまな生活機能の低下ということを引き起こし、ひいては、寝たきりになるなどという危険性が極めて大きいと考えられますので、外出の機会、また移動の手段を確保するという必要性は高いものという認識をしておりまして、自動車によりドア・ツー・ドアという移動をするための個別的な輸送手段の確保というのは重要であると考えております。
そのため、今回の国の方針に対しましても、介護輸送を行う事業所がスムーズに道路運送法上の許可を取得できるように、まず、環境づくりをしてまいりたい。特に自家用自動車の有償運送許可については、その手続におきまして、市町村または都道府県が運営協議会を設置して、当該許可の必要性の協議を行うことが前提でありますので、その体制づくりも進めていく必要があると考えております。
それから、3点目の体制づくりの進捗状況でございますけれども、現在、先ほど申しました運営協議会の設立に向けての準備を行っております。当該協議会は、必ずしも一つの市町村単位ではなく、交通圏あるいは経済圏などを勘案して設置すべきものとされていることもございますので、北海道との調整を図りながら、可能な限り早期に運営協議会の設置、開催ができるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 先ほどの質問はこれで終わりますが、要望です。
平成18年の春までに有償運送許可というのを取らなければならないという、それに向けて運営協議会を立てて準備を考えていかれるということで、いろいろなNPOやボランティア団体の皆さんが、漏れなくこういう事業が可能な体制にいくように丁寧な周知、またPR、それから呼びかけを行っていっていただきたいと思います。
最後に、3点目です。
先ほどから申し上げておりますが、2015年には4人に1人が65歳以上になるというふうに言われています。6割から7割が痴呆になる、それから、また先ほど申し上げたような独居老人、日中もお一人で暮らすお年寄りがふえるであろうというふうに言われています。
質問ですが、今回、「2015年の高齢者介護」推進事業というのが新まちづくり計画の中にも盛り込まれております。特に、痴呆性高齢者など、高齢者が地域で安全・安心に暮らすための施策について、「2015年の高齢者介護」推進事業にどのように盛り込まれていらっしゃるのか、具体的にお聞かせください。
そして、2点目は、地域でお年寄りがいつまでも尊厳を持って暮らし続けることができる、それはだれにとっても、この高齢者福祉の望みであると思っています。そうしたときに、在宅生活を継続し、最期まで自宅で暮らすというふうにするためには、地域におけるターミナルケアというのが最も必要になってくると思います。このターミナルケアまで含めた政策として、札幌市では2015年までの高齢者介護推進ということについてどのような認識で取り組まれていくおつもりか、お聞かせください。
◎中田
保健福祉部長 2点、ご質問をいただきましたけれども、まず、1点目の新まちづくり計画に盛り込んでおります「2015年の高齢者介護」推進事業に関連してでございますが、申すまでもなく、高齢の方が増加する、あるいは痴呆になっても、その方がおひとりであっても、できるだけ住みなれた地域で安全に安心して暮らしていけるための施策を進めるというようなことは本当に重要なことであると考えております。
「2015年の高齢者介護」推進事業と銘打った事業の中では、市民や介護者に対する痴呆性高齢者の正しい理解、権利擁護など、尊厳を支えるため、不適切なケアをなくすための対応、あるいは徘回などの行動障がいに対する捜索システム、SOSネットワークの充実といったものを図り、要援護高齢者に対する地域の見守り支援体制を強化するなど、きめ細やかな施策を進めたいと考えているところでございます。
それから、2点目のいわゆる在宅ターミナルケアということでございますが、これも、高齢者が介護、医療を受けながら在宅で最期まで自分らしく暮らし続けていくためには、保健・医療・福祉の連携による適切なケアの推進が重要と認識しております。
札幌市では、総合在宅ケア事業団が運営する訪問看護ステーションを各区に設置し、質の高い訪問看護の提供を進めるとともに、在宅医療を推進している地域のお医者さんたちと連携するなど、介護や医療を必要とする市民が住みなれた地域で、最期まで質の高いサービスを総合的に受けることができるような、いわゆる在宅ケアネットワークといったものの充実に向けて検討を進めておりますので、今後も検討をさらに進めてまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 推進事業の方では、地域での見守り体制をつくりながら、だれもが尊厳を持って住みなれた地域で暮らし続けられるような、在宅ケアネットワークなども活用しながら進めていかれるということでしたので、ぜひ、いつまでも安心して過ごせることができる地域社会をつくっていけるように、ともに頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後になります。
先ほど
敬老パスのことを申し上げました。私のところにも、ぜひこのまま存続してほしいとか、お金の集め方をもっと工夫できないのだろうかという高齢者の皆さんの切実な声が届いています。
私は、やっぱり、みんなで痛みを分かち合うというところでは、議員もみずから、今、議会改革でも出ていますけれども、議員報酬とか費用弁償とか、政務調査費なども見直すということが出ていて改革ということになっていますので、そういうようなことも含めまして、市民全員でこの問題を考えていくべきであるというふうに思っています。
移動の自由は基本的人権であるというその視点で、年をとっても、障がいを持っても暮らしやすい街をつくるという、そういう政策を目指して、それこそ、ともに頑張っていきたいと思っていますので、それを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
◆堀川素人 委員 それでは、私の方から
敬老パスについてご質問をしたいと思います。
先ほどから段々の話を聞いておりまして、市長は、今後、財政が厳しい中、どうすべきかと。まさに、これを甘く考えていたら大変なことになりますよ、それはそのとおりですよ。ことし、そして来年、再来年、1年間の税収不足が250億円、260億円と、一般会計で1兆1,000万円の借金がある、特別会計、企業会計でも1兆1,000万円の借金がある、これをだれがどうやって返すのか、返せるのですか。今まで、皆さんに共通しているのは、これは過大な借金だと。では、どこまでが過大な借金なのか、その過大な部分はどうしたら返せるのか、どうやって返していかなければならないのか、聞いてもだれも答える人がいない。こういう中で、先送り、先送り、先送りして今進んでいるのが現状です。今、市長も予算編成などで本当に大変な思いをしていると僕は思いますよ。これだけ苦しい中で、しなければおかしいのです。
さっき言った中で、僕は、この
敬老パスの問題については、二つに議論を分けなければだめだと。一つは、
財政状況からどう判断すべきなのか。
これは、僕の調べの中では、上田さんが市長になったときに、保健福祉局の方から、これは長い間の懸案事項であった、これも見直さなければならないというふうに市長に報告、説明があったと思うのです。そして、市長も、それはそのとおりだということで、今回、話題になったわけですよ。
なぜそういうふうになるかといえば、さっきも言ったように、財政が逼迫している状況だと僕は想像しています。僕は、まず、率直にそのことを言うべきだと思うのです。それが、福祉政策がどうだとか、敬老の精神がどうだとか、そうではないのです。これが出てきたもとは、財政が逼迫した大変厳しい中で、これ以上は予算編成も十分にできない。ですから、自分は、第三セクター、要するに出資団体だとか、そういうところの行政のむだも含めてみずからきちっとするし、市民にもそういう面から負担を求めたい、ぜひそれは理解をしてほしいのだということにまず立たなければ、この問題は中途半端になってしまう。
ですから、簡単に僕の意見を言いますと、
敬老パスの対象者も子供料金ぐらいの負担をすべきである、僕はそう思っています。だれがこの借金を払うのですか。未来が払うのですよ。我々が好き勝手に決めた借金を未来にしょわせてはならぬ。こういうことをずっと続けていったら、本当に未来に対する犯罪だと僕は思いますよ。僕はそう思っています。
そこでまず、このことについて、市長は率直に市民に語りかけるべきである。やっぱり皆が今の財政の厳しさ、これをわからなければ、これに対する理解がない中でのいろいろな発言というのは、この問題が抱えている根本にある問題、ここをどうも忘れがちになってしまう。ですから、僕は、市長が初めに出した、上限を今より低く設定して、こういうふうにして提案をした、これを変化させて今度は9月案になった。こういう中では議論が本質からどんどん外れていっているなと、これを一つ心配しています。
そこで、先ほど言いましたように、市長は、財政困難、逼迫をしている、これはこのままではいかぬと。このことについて、これはだれの責任かということはまた別ですよ、今置かれている状況をやっぱり市民にきちっと説明をすべきだ、こう思うのですけれども、いかがか、お考えを聞かせてください。
◎上田 市長 各論はともかく、総論については全くそのとおりだと思っています。子供料金云々ということは、これはまたお考えとして今お伺いいたしますけれども、借金がゼロであるということは、これはあり得ないことであります。投資をするわけですから、あるいは、世代間の公平というふうなことからいえば、何かをやるときに借金をして、みんなの世代でお金を払っていくということは、これはしなければならない。したがって、後世に借金を残すことを正当化できるのは、いいものに投資をすると。市民にとって、みんなに喜ばれるものに対して投資をするという形でなければならない、こういうことだというふうに思います。だから、借金がないということがいいことではないわけであります。後世代も適正な借金をしっかり背負っていくという形で担っていくことになるというふうに思います。
ただ、現状において、265億円という収支不足が出るというのは、さまざまな構造改革、政府の三位一体の改革絡みで、収支不足を語るわけにはいかないという問題もございます。そういう意味で、この問題は非常に流動的なところもありますけれども、確かに大変なのだという中から発生してきた項目であることは間違いのないことでございますので、その点はおっしゃるとおりであるというふうに考えております。
◆堀川素人 委員 今、市長の方から、要するに今回の制度の改正というのは単なる改正ではなく、大変大きな根本が変わるのですね。負担がないという状態から負担があるという、こういうふうに変わると。これは、市長として、ぜひ理解を得なければならないところ。僕も、負担がどのくらいになるかということは別にして、やはり、負担をしていかなければ、これは未来に禍根を残す、こういうふうに理解をしております。
では、今度は、今回提案になった部分についてどうかといいますと、まず、私の印象では、大変どたばたしてやっているなという印象です。3月案が5月に撤回をされまして、それから3カ月弱で今回の提案がなされてきておるのです。我々もこれに大変関心がありますから、検討している部局と積極的に接触をしています。そういう中で言えることは、しっかりとした根拠を持ち合わせていない。
アンケートをいたしました。これが、ある意味では札幌市として持つ唯一の根拠なのです。これは、地下鉄だとか路面電車についてはある程度の調査はなされている。この調査さえも、今回の問題のために行った調査ではないのですね。その中から抜き出せるという形の中でもってやっているのです。
それから、今一番問題なのは、民間の事業者にどれだけ払うかという話。これが、来年の4月からということですから、ずんずん期間が迫ってくる。こういう中で、相手は調査しましたという話の中で聞いていますけれども、市の方で調査を全然やっていないじゃないですか。それで決めていこうというのは何なのか。普通は立ちどまるはずですよ。自分たちもきちっとやってみよう、やってから、根拠を持って、相手と利害が対立する関係ですから、そうするならば、それをやってから交渉をしていかなければならぬ。それをしないで、とにかく時間が来たからといって、8月23日に意思決定をしてしまう。僕は、これは
市民負担があるかどうかという問題ではなく、このもの自体、こういうやり方自体が大変まずいと、こう思っているのですけれども、まず、そこで、一つ、質問をいたします。
この3カ月をかけて新しい案をつくった、これについて、時間が十分あったとお考えかどうか、お聞かせください。
◎中田
保健福祉部長 3月に検討案をお示ししてから3カ月程度で今回の案をお示ししたという、それに十分な時間をかけたかどうかということでありますが、私どもは、最初の案を撤回して新たな検討を始めたというふうには考えておりません。ここまで検討してきたものを、さらによりよい制度とするために、もうしばらく時間をかけるということで、この間、私どもが特にやりましたことは、
交通事業者との交渉です。もちろん市民の方からご意見を伺うといったこともやりましたけれども、
交通事業者との交渉を進める中で、当初案では13%程度の割引率であったものが、20%程度までの合意をいただけたといったようなことで、存続可能な新しい制度のできる環境が整ったというふうに判断をして、今回の案をまとめたところでございますので、必要な時間を要して、そこにたどり着いたというふうに考えております。
◆堀川素人 委員 もちろん、僕も、前にやったものは全部ゼロで、また新たにゼロから出発したとは思っていませんよ。ただ、実際にあなた方がやっている姿は、自分の根拠がないがゆえに、十分な説明がされないじゃないですか。前から聞いているのは、例えば、地下鉄は、
敬老パスの対象者がどのくらい乗っているか。計算からいけば、それはおよそ1.4倍ですと。これが地下鉄から出て来る計算であった。民間から出てくる中で、ジェイ・アールバスは2倍であった。それからじょうてつバスはおよそ3倍であった。中央バスは3.5倍であった。この数字は、どうしてこんなに違って、これを根拠にして話ができますか。お互いに調査をやったならば、多少の違いはあっても一定の範囲に入るのですよ。それが、こんな調査だったら、調査したことにならないし、こっちは全然計算していないのですから。しかも、相手から出てくるものは格差のある数字ですよ。何を基本にしてこれを計算したのですか。そういうふうに自分で数字を持たないで、持たないがゆえに慌てている姿が大変はっきりと見えてくる。
これでもって決めようとするならば、僕は、やっぱり本当は時間が足りなかったのではないのかと。中田さん、あなたはこれをやっていてね、バス会社とまだ自信を持って交渉していないのではないですか。なぜかといったら、今回のは交渉ではないのですよ。白旗を上げて交渉しているのです。なぜならば、もう期日が迫っているからですよ。これは交渉ではないのです。交渉というのは、決裂もあって初めて対等な立場に立つ、代替案を持って対等の立場に立つ、こうでなければならないのに一つもそれがなされていない。こういうことについてあなたはどう思うのか、聞きたい。
◎横山
保健福祉局理事 まず、第1点目でございますけれども、
利用実態の把握が確実にされていないことについてのご質問でございます。
利用実態につきましては、機会があるときに何回かご説明したところもございますけれども、まず、市営地下鉄につきましては、今のパスが地下鉄のカードリーダーを通りますので、これは非常に明確に把握されております。その結果が1.4倍と、お話にあったとおりでございます。
それから、バスにつきましては、まず、市営バスにつきましては、今は路線の移譲等々がございますけれども、平成12年に相当数の路線についての実態調査をやってございます。そのときの報告数値というのがやはり4倍近い数字ということで上がってきております。
それから、民営バスでございますけれども、これは例年というか、ここ二、三年、いろいろな調査の報告を受けてございます。例えば、中央バスですと、1年のうちの特定の1週間、これを夏と冬に分けまして、乗務員が
敬老パス使用者の人員を降車の際にカウントすることで人員を把握し、1年分に換算して、報告をしてきてございます。その結果がやはり3.数倍です。
それから、ジェイ・アールバスにつきましては、ジェイ・アールバスをご利用の方はご承知だと思いますけれども、バーコードがついた整理券を持って乗るわけで、それを料金箱に入れますので、料金箱には幾らかという表示が出ます。その表示が例えば220円であれば、一般の方は220円を入れたときにきちっと解除されてカウントされるようになっているのですが、定期券での乗車の者と、
敬老パスでの乗車の者は、それを解除するために、運転手が、定期券のカウント、
敬老パスのカウント、これを全路線すべてにわたってやってございます。その報告をいただいております。これは、3年間にわたっていただいております。その結果の数値がやはり2倍と。
じょうてつバスについても、これは基本的に中央バスと似た調査を行っているところでございます。
そういうことから、何もつかまえていないのではないかというお話でございますけれども、この調査報告は、一部、推計が入っているものもございますが、それは、私どもが、20年、30年、この制度を一緒にやってきた相手方として、その報告は正しいという、そういう評価をして、その上に立って、今回、いろいろな交渉もやらせていただいたものでございます。
なお、この調査結果というのは、昨年の
アンケート調査がございますけれども、その調査結果の総額の面でもほぼ同程度と。それから、
アンケート調査の中では交通機関ごと、地下鉄、電車、バス、それごとの
アンケートをとってございますが、それの分布状況もほぼ一致したというところでございますので、大きな相違はないというふうに判断をしていたところでございます。
それから、交渉姿勢でございます。
民営バスとの間におきましては、やはり民営側の経営上のいろいろなこともお伺いしながら、この制度をどうしても存続をさせていきたい、そのぎりぎりのところで、これは市長も副市長も代表者とじかにやっていただいたところでございますけれども、その中で、本当にお互いにぎりぎりやれるところでの交渉をやってきたというふうに私は考えてございます。決して、白旗を上げて、時間がないからと交渉が非常に弱腰であったというふうに思っているわけではございません。やはり、バスの方におきましても、公共交通を担う公共性というものについての責任感というのを非常にお持ちになっている中で、やっぱり、札幌市民とどうやって共存していこうかというところを持って交渉に臨んでいただいたと思っております。
そういう経過でございます。
◆堀川素人 委員 僕も、それは交渉する相手を信じたいですよ。これは、だれでもそうだと思うのです。ただ、実際には裏切られることもある。裏切られることがないように、自分の調査をしっかり持つべきだということなのですよ。
例えば、今回、中央バスさんが、財政支援をしないという中で、ほかのところを先に1年走らせて、自分は後から4億8,000万円の財政支援を得た。僕は、これについては、どうしてもそうなるならば、早目に言って、もう少し市民の理解を得るような努力を彼らがしなければならなかった。結局は、この4月から走るのに時間がなくて、財政支援をしたわけです。
例えば、僕が今やっている電柱の問題があります。北電さんを信用して、きちんと申請したところに立ててくれているかなと思ったら、立てていないことが実際にたくさんあるのです。なぜそういうことになったかといったら、自分方が調べないから、そのままほったらかされて、ずっと道路の真ん中に立っている。ですから、自分方がちゃんと調べましょうよ、調べてからきちんと交渉しませんかと、こういうことです。
結論を言うならば、僕は、今こちら側の方で資料が不足をしている。そうするならば、僕は、1年なら1年、きちっと待ってもらって、どういうふうに待ってもらうかは別ですよ。でも、やっぱり、自分方の計算をきちんと持って交渉をすべきである。これが、ずっとこの間、どたばたと見えている原因だと僕は思うのです。
それからもう一つは、これは財政的な問題から発生しているのです。それが、福祉の問題へというふうになる。では、福祉のことを語るとするならば、今、提案されているものは福祉のあり方ですか。僕は違うと思う。原則が間違っていると思うのですよ。福祉というのは、どこでも、だれでも、同じ条件の中で利益を得られる、こうでなければならぬ。
ところが、この提案にある地域間格差などというのはどうですか。福祉は、北海道にいようが、東京にいようが、沖縄にいようが、九州にいようが、同じく利益を受けられるのですよ。ところが、さっきも出ていましたが、病院に行くにしても、定山渓の人は何回も利用できない。こんな地域格差があって、これが福祉政策と言うならば、福祉政策というものの根本を間違えているのではないか、僕はこう言いたい。
そして、皆さんが考えるときは、頭に距離しかない。さっき、坂本委員もちらっと言っていましたけれども、目的ごとにどう平等であるか、極めて大事なことですよ。これを実現するために、桂さんが平成8年に均一料金という考え方を持ち出しているのです。平成9年に、今の
敬老パスの見直しが話題になったのです。僕の知っている限りでは桂さんのときは1回です。この
敬老パスの見直しの前に、共通料金、均一の料金ということをなぜ桂さんが言ったかといいますと、そこに既に、均一にしておくことによって、負担があったとしても均一の負担である、これが簡単であるということが中に隠されていたのですよ。今回の場合は全然それがない。もし福祉と言うならばですよ。
僕は、そういうことを一つ一つきちっと確認しなければ、もし福祉政策であるならば、それが必要なものであるならば、赤字を覚悟でやるわけです。これが福祉政策なのか、財政からの問題が強く出ているのか、これをきちっと分けて議論しなければならないと思うのですけれども、市長、いかがでしょうか、この考え方についてお考えを聞きたい。
◎上田 市長 福祉なのか、財政なのかという議論ですけれども、福祉というのが平等に、公平にということは、それはいいといたしましても、例えば、住んでいる場所によって同じ額を給付されても、サービスを提供されても、違ったことがあり得るということは、これはやむを得ないことではないかというふうに思っております。この
敬老パスだけではなくて、ほかの問題についてもあり得るかなと思います。福祉はその給付を受ける、サービスを受ける方にとって、すべて公平といいますか、平等であるかと。平等を目指すことはいいとしても、完璧に平等になれるかというと、それは条件によって随分違うことがあり得るということも一定程度の含みを置いた上でなければ前へ進めないのではないかという感想を持ちます。
それから、財政のことをストレートに前に出したらどうかというお話も、これは私が先ほど申し上げましたように、まさに財政が非常に潤沢で何も心配がないということであれば、それはこういう議論を今しなくても済むことであろうというふうに思いますので、その点はそのとおりだというふうに考えております。
◆堀川素人 委員 今、市長が、福祉というものをどう考えるかということで、福祉を受ける人間というのは、何かを与えられるわけですね。それが当然であるかどうかというのはまた別な問題です。それに、外出するというのは目的があるのです。目的なしに、ただ出ることはないのです。その目的がかなえられるかどうか。今の無料である
敬老パスも、そういうことの中での均一料金なのです。
そうするならば、皆さんはどうも距離だけを考えがちだけれども、そうではないと僕は思います。この部分については、違う機会もありますので、改めてまた議論をしたいと思います。
あとは、利用額の格差の問題があります。1,000円で1万円で、それから3,000円で2万円で、6,000円で3万円だと。こういうふうな考え方がどこから出てきたのか。僕は全くわからぬ。そして、1回買ったら二度と買えないという。これは、まさに、あなた方がやりやすいという論理で、出費を抑えよう、抑えようとする意思は伝わってきますよ。でも、これは、何のために、これをやる理由、納得する理由が必要である。なぜ、負担が10%の人と20%の人などがいるのですか。答えてください。
◎中田
保健福祉部長 今回の案に関しましては、利用者の負担は選択制をとっておりまして、それが累進というような形になっております。一律の率でないのはなぜかということでございますが、その方が必要な1年間の利用回数から三つのいずれかを選んでいただくわけですけれども、例えば、1万円を選んだ方につきましては、
交通事業者からの20%割り引きがありまして、その方が1割を負担をしますと、7,000円部分に公費が投じられることになります。3万円を選んだ方については、同じ率でいきますと2万1,000円の公費を投じるということになります。それぞれの利用のサービスのレベルとその方の負担ということを考えた場合に、公費を投じる率、その格差というものをやはりある程度緩和することも一つの合理的な理由ではないかということで、高い金額を選んだ方にはある程度率を高くして、しかし、その金額というのはできるだけ低いところに位置づけるということで、制度としての全体のバランスをとるという意味で、今回、そういう形にさせていただいたということでございます。
◆堀川素人 委員 僕は、全く意味がわかりません。今まで何度聞いても、そこについてはわかりません。ただ、それをやるという意思は、いかにもそれは選択の余地が3段階あってと、こうですけれども、何を目的にしてそれをするのか。
先ほど市長はこう言いました。6,000円といっても月に直せば500円ではないかと。こういう言い方からするならば、今の10%、15%、20%というのは、さっきから言うように、本当に行政でもう少し、しっかり考えてもいいのではないか。それを3段階にしないで、その真ん中をとって、極端にいったら15%なら15%で一律にする、必要に応じて何回も買えるようにする、こうでなかったらだれのための制度がわからないじゃないですか。まず、そのことを指摘しておきます。
最後になりますけれども、皆さんは、今回提案したほかにどんな制度を考えて、そして、なぜこの制度が一番いいとしたのですか。
◎中田
保健福祉部長 昨年来の検討経過の中では、他の都市のいろいろな形のこういう交通費助成制度といったものも情報を集め、あらゆる角度から検討してまいりました。ただ、交通機関の利用の状況、あるいは、交通費助成制度の内容というのは、例えば13政令指定都市がありますけれども、さまざまでありまして、そういうものを参考にしつつ、いろいろなアプローチといいますか、いろいろな
シミュレーションをしたり、いろいろな角度からの検討をしてまいったわけであります。例えば、ワンコインという制度も小樽市でこの春から実施しておりますが、そういうことも可能かどうかということも含めて、さまざまな形のものをこれまでの経過の中で検討してまいりました。
しかし、札幌がこれまで29年間続けてきた制度の内容というのは、やはり、市内をほぼ網羅する交通機関を利用できるという状況と、
利用実態からいって、確かに、実績の把握の仕方についてのご指摘はございましたけれども、私どもとしてはある程度見きわめ切れる段階まで来ているというふうに思ったわけでして、その格差というものを考えた場合に、今後、この制度を続けていく場合に、例えば20万円、30万円乗る方も、1万円、2万円乗る方も、すべてひっくるめてこの制度をずっと継続していくことは難しいというところから、やはり、一つの利用上限を設けるとか、あるいはご負担をいただくという形に至ったということでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
◆堀川素人 委員 今、あなた方の提案しているものと比べて、ワンコインの何が決定的に劣っているのでしょうか。総合的にと、こう言っていますけれども、僕は何もないと思いますよ。
市民負担が大き過ぎるとすれば、例えばワンコイン100円だったものを50円にすればいいじゃないか。そのほかに、今、三億何がしの、券の確認のための補正がなされる。あれだって、地下鉄の改札を変えるだけで済むじゃないですか。それが多少は高くなるのかもしれません。でも、これから長い間やっていく中で、
自己負担もきちっとしてもらうと。それは、外出するかしないかという自己責任の世界の中で、自分が幾ら負担して利用するのか、このこともはっきりするこの制度は、全体的に、どこに問題があったのですか。具体的にちょっと話してください。
◎中田
保健福祉部長 私がワンコインというふうに申し上げてしまいましたので、そういうふうなご質問をいただきましたけれども、ワンコイン方式は、先ほど小樽と申し上げましたが、道内でも幾つか例がございます。これは、基本的には、市域といいますか、比較的範囲が狭く、均一料金のところに適した制度ということを申し上げることができるのかなというふうに思います。
また、堀川議員がおっしゃるように、市民の負担感という意味では、例えば、200円均一のところで100円と、乗る回数に応じて負担をしていく、1年を通じて払っていくと。事実上、半分くらいの負担をしていただくという観点からも、負担感がないといったようなことからも、そういう意味からは適切な制度であるということも言えるかとは思います。それが、幾つかの市で行っていることだと思いますが、札幌の場合は、やはり、市域が広く、対キロ区間というものが相当広範囲であります。そういうところをすべてワンコインといいますと、例えば100円ということになりますと、乖離の問題もあり、
交通事業者の協力を得るには限界があるのかなというふうに思います。
それともう一つは、技術的な部分ですけれども、例えば、
敬老パスを利用されている方の6割近くは地下鉄をご利用されているわけです。現在、地下鉄は自動改札となっておりまして、この部分にワンコイン、要するに100円を投じて通過するというようなシステムを考えた場合は、やはり、技術的にはかなり難しい部分があろうかなと。その方が対象者であるかどうかという判断をどこかでしなければいけません、例えば人的な配置ですとか、いろいろなことも生じてきます。
それから、今、お示ししている案は、利用実績を把握できる形にしておりますけれども、ワンコインの場合、そのカウントというのが、方法はありましょうけれども、一般的に行われているものの中ではその実績というものを正確に把握し切れない面があるのかなと。そのようなことを考え合わせて、札幌においてそれを実施することは難しいというふうに判断をした経過がございます。
◆堀川素人 委員 今、二つの理由を言いましたが、交通局の技術さんに聞いてください。そんなに難しい話ではないですよと言っているのです。その中で、今言う、どこから乗ってどこまで行ったか、これだって大した難しい話ではないですよ。僕は、十分に検討したとは思えないのですね。
最後に、これを聞きますけれども、検討したとするならば、例えば、100円で行ったならば、札幌市の財政の負担というのは持ち出しがどのくらいなのですか。50円で行ったらどのぐらいなのですか。そこまできちんとしていないではないですか。そうやって、やはり、慌ててしまったと。
僕は、こういうときには、立ちどまることが大事だと思っているのです。立ちどまることが大事だと思っているのですよ。それで、もし事業者も都合があるとするならば、真剣に、ここまでしかできなかった、勘弁してほしい、こう言って、来年はそれにこたえられるような数字の把握に努めて、改めて交渉させてくれないかと、僕は、これが札幌市のとるべき姿だと。そして、そのときに、福祉政策というのはどうあるべきなのか、今の財政がどれだけ逼迫した状態でこの問題が持ち出されているか。このことについて、本当に市民の納得を得てからスタートすべきである、僕はこう考えておるのですけれども、市長はいかがでしょうか。
◎上田 市長 さまざまな議論をちょうだいしておりますけれども、私どもも、この提案は、1度、2万3,000円という形でさせていただき、3万円にしようという提案をし、さらに今、議会の
皆さん方からのお話等を踏まえて、検討できることは検討していこう、こういうふうに申し上げているわけであります。
この方法を選択をするまでの間に、1の単位までのきちんとしたデータがあるわけではないというところが、一番の原因で、今まで30年間、事業者を含めて、そこそこでの話し合いを進めてきたというところです。今、変えようとするときには、決定的な資料がない上でやらなければならないという、そういう難しさがあることはご指摘のとおりだというふうに思いますけれども、それでも、これまで事業者とともに培ってきた、この制度の意義というものをしっかりわきまえて、その上で一番いい方法を考えようという形でやってきているわけであります。その延長線の上で選択をさせていただいた提案でございますので、その点を踏まえて、
皆さん方のご理解をいただくために、これからも努力をしてまいりますし、ぜひ議会の
皆さん方にもご理解をちょうだいしたい、このように考えます。
◆堀川素人 委員 ここで、はい、わかりましたと言ったら、僕はだめだと思うので、改めて、こういう準備のない中でやることは、本当にこれから将来に大変な禍根を残す。これが今までの札幌市のやり方であった。僕は、やっぱり、説明責任を求められている今の政治や行政のこの社会の中で、きちっとバックデータを持つということは極めて大事です。はったりでもってやったり、なあなあでやったりしたならば、説明責任を果たせない。こう考えたときには、僕は、わからない中でこのまま進んでいくべきではないということを改めて考え直してほしいというお願いをして、質問を終わります。
○大嶋薫 委員長 ここで、おおよそ1時間委員会を休憩いたします。
なお、再開時刻は1時30分といたします。
──────────────
休 憩 午後0時27分
再 開 午後1時30分
──────────────
○大嶋薫 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆村松正海 委員 私も、午前中に引き続き、
敬老優待乗車証について質問をさせていただきたいと思います。
そもそも
敬老パスの見直しは、市長が昨年示された施政方針の中で問題提起されたわけであります。それ以来、1年3カ月、市民の皆さんや議会でもいろいろ議論をしてきたわけであります。そんな中、ことしの1定でありますけれども、3月18日に示された検討案は、ご承知のように、プレミアつき2万3,000円、一部負担が3,000円ということでありました。この案は、我々議会や市民に受け入れられなくて、その後、市長は、5月に、この検討案を検討するための時間が必要であるという理由で、今月でありますけれども、本年10月からの実施を見送り、来年4月に延期して実施したいということを明らかにされてきたわけであります。そして、9月13日の厚生委員会で、今の原案であります1万円、2万円、3万円、市民の一部負担は10%、15%、20%ということで示されてきたわけであります。
先ほど午前中の答弁の中で、上限については見直しも検討するということを示唆されたわけでありますが、私は、見直しをするのであれば、先ほど第二会派の高橋克朋委員からもありましたが、上限だけではなくて、一部負担も、定率なのか、累進なのか、その辺も見直しの中に入れられたらどうかなと思いますし、また、今の交付率を85%で計算されておりますが、そのことも含めて、全体的に見直しをする必要があるのではないかなと思っております。
ただ、上限という一部だけでも見直しを示唆されたことは、評価まではいきませんけれども、その一歩手前までは行ったのではないかなと思います。
そこで、まず市長にお聞きしたいのは、市長自身が
敬老優待乗車証をどう考えておられるのか、そして、どうあるべきと思っておられるのか、冒頭にまずお聞きしたいと思います。
◎上田 市長
敬老優待乗車証の意義については、皆さんと同じ考え方だと思いますけれども、札幌に住んでおられます高齢者の
皆さん方、とりわけ70歳以上の方々に対して、敬老の精神を持って接するということが正当であろうということの制度でございます。
その副次的な効果といたしまして、移動が非常にスムーズにできるというようなこともございまして、高齢者の社会参加を促進する、あるいはそういう活動をすることによって介護予防にもなる、そのような効果も十分にあるということは承知をしておりますので、大事な制度であるというふうに考えているところでございます。
そして、その見直しについて、昨年の施政方針の中で触れさせていただきましたが、昨年来、この事業につきまして、行政のサービス水準といったものと市民の負担のあり方というものの両面で十分に市民の皆さんと一緒に議論をしたいというふうに考えまして、検討をさせていただいたところでございます。
昨年は、予算を組んでいただきまして
アンケート調査等の実施とその分析に時間を費やしまして、それ以外にもさまざまな方法、機会をとらえて多くの市民の意見、あるいは
交通事業者の、これはバスはすべてが民営化ということになりますので、以前とは少し違った状況がございますが、そういうことも踏まえまして、事業者の理解を求めるというようなことでの精力的な討論、検討をさせていただいた、そういう状況でございます。
さらには、これは先ほど来のご質問の中でもお答えをいたしておりますけれども、札幌市の
財政状況というものを十分考慮して、今回、お示しした新たな制度案というものをご提案申し上げたわけでございます。私自身、この提案というのは、持続可能な財政構造への転換というものを旨とするということのもとに、持続可能な
敬老パスの制度のあり方といったものを十分検討した上で、この案を示させていただいたということでございます。
◆村松正海 委員 今、市長の答弁をいただきました。簡単に言うと、財政は厳しいですけれども、この制度の趣旨を維持して、今後とも継続をしていくということだと理解をいたしました。
そこで、改めて、これは原局の方にお伺いしますが、この趣旨というのは、当初、昭和53年3月31日にできていると思いますが、その後、四、五回、改正をされておられると思います。その当時というか当初の、昭和53年にできた、第1条で結構ですから、そこを改めて示していただきたいのと、それと現在の基本的な考え方の視点の(1)ですね、ここをちょっと示していただきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 敬老優待乗車証の趣旨に関しましては、これは交付規則で定めておりまして、その1条でございますが、この規則は、多年にわたり社会の発展に寄与してきた高齢者を敬愛し、明るく豊かな老後の生活の充実を図るため、高齢者に対し、
敬老優待乗車証を交付することについて必要な事項を定めるということで、前段の方が趣旨、目的でございます。
それから、新しい制度をお示しするに当たって、私どもの方からご説明をさせていただいた考え方というものは、敬老精神と社会参加を促す制度の趣旨を堅持し、外出支援や介護予防を内容とした福祉サービスの視点からもこの制度を存続するということでございます。
◆村松正海 委員 今、お答えしていただいたように、基本的な考え方の中に、市長のお答えもそうでありましたが、外出支援や介護予防を内容とした福祉サービスの視点からもこの制度を存続するとあります。今の視点の中には、外出支援、介護予防が明確にうたわれているわけであります。この意義は、この制度の趣旨の中で、私は大変大事な意義ではないかなと思います。単に市の
財政負担だけを考えるのではなくて、私は市の
財政負担ももっと柔軟に考えるべきではないかなと思っております。
午前中に議論がありましたが、上限が3万円ならだめで、例えば4万円ならいいとか5万円がいいとか、そういうことではなくて、それから、負担も財政的に30億円が足りないとか多いとか、そういう議論の前に、私は皆さんに考えていただきたいのは、現在、平成16年度はこの制度について37億円の予算を組んでいるわけであります。それが、新制度移行に当たって、29億円、30億円を切るくらいに圧縮するのは、私は、高齢者に対して大きな負担と圧縮になるのではないかなと思っております。せっかく新しい制度でスタートした中で、カードリーダー、機械を通して、そして高齢者の皆さんに使っていただいて、正式には改めてこの制度をスタートすることによって実態を把握していくわけであります。そういう中で、先ほども述べさせていただいたように、外出支援の中には経済効果もありますし、介護予防の中には高齢者の医療の軽減等々も含まれると思います。
それで、この趣旨、目的は、私は本当に重要なものだと思っております。それなのに、37億円から29億円に大幅に圧縮するということは、私は、この
敬老優待乗車証の趣旨に反して、単なる札幌市の財政の視点からだけの判断で考えておられるのではないかなと思いますが、なぜ30億円を下回る29億円という金額なのか、もう一度、ここを改めてご答弁をしていただきたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 今お示ししている案の事業費の関係でございますが、先ほど申し上げましたような
敬老優待乗車証の趣旨というものは大変重要でありますが、そういう制度であるがゆえに、それを存続するために、この制度の対象者が毎年1万人以上ふえ続けるということに伴います事業費の伸び、また、他の財政需要といったものを考慮するなど、まず財政的にも安定した制度にしていく必要があるというふうに考えております。
そこで、この制度に対する札幌市の負担をおおむね4年程度先の状態、その時点で現在の
財政負担のレベルに到達するようにするためには、制度をスタートさせる時点で、これまで申し上げておりますように、それは平成17年度ということになりますけれども、30億円を下回るところに抑えておく必要があると考えたところでございます。
◆村松正海 委員 その部分はほかの委員の方にも何度も答弁されておりますけれども、私としては、何遍聞いても理解ができないわけであります。
それともう1点は、現行制度での交付率が80.22%ということであります。現行制度はご承知のとおり負担もなし、上限もなしということであります。それが、なぜ今度は上限を設けて、それから市民の方の一部負担も設けて、交付率を85%で計算されているのか。
私は、これは本当に逆ではないかなと思っております。今は上限なしで負担もなしですから80.22%でありますが、今度は上限を設けて一部負担も設けるということは、現在の80.22%からさらに下がって、私の試算では75%ぐらいになるのではないかなと思っております。
今現在の交付率と同じだけの、85%には絶対にならないと思っておりますから、仮に現在の交付率と同じ80%で計算した場合になりますが、市の負担は29億円ではなくて、さらに2億円減って、私は27億円ぐらいになるのではないかなと試算をしているわけであります。その点について、もう一度お聞きしたいと思います。
もう1点、13日の委員会で、横山理事がご答弁をされた件であります。障がい者の福祉乗車証、一般的に福祉パスと言われているものですが、この福祉パスのご答弁の中で、ちょっとあやふやだったのでもう一度確認をさせていただきたいと思いますが、現在の福祉パスは、障がい者の方が70歳になったら、現在はご承知のとおり、上限はなしで負担はなしですから、福祉パスから
敬老パスに変わるわけであります。これが、今度は仮に今の原案が通って、原案というか、今のとおり一部負担があって、そして上限も決められて、この場合、福祉パスは今のように
敬老パスに移行されるのか、それとも、福祉パスはそのまま福祉パスとして70歳以上になった方でも利用していけるのか、ここを明確にもう一度お答えいただきたい。
その2点をお願いします。
◎中田
保健福祉部長 交付率の関係でございますが、現行では、ご指摘のとおり、大体80%の交付率でございます。私どもが85%ということで見込んでおりますのは、一つには、これまで交付を受けていない2割の方のうちの半分程度の方は、実際には公共交通機関を利用できる方であります。要するに、身体的な事情でお使いになれない方が2割のうちの1割ということでありますので、そのような方々が、このように1年以上にわたって議論をされてきた
敬老優待乗車証というものに対して、関心も大いに高まってきているといったようなことから、交付を受けようという方がふえるのではないかということが一つと、それから、選択制にしてそれぞれの利用に応じた使い方ができるといったようなことから、多少、頻度の少ない方でも交付を受けるということにつながるのではないかということ。それから、ここ3回ほど、一斉交付ということでこの制度で行われてきておりますが、わずかですけれども、上昇傾向にあるといったようなこと、また、この事業費の見積もりというのは、最終的には予算に結びつくものでありますので、ある程度確実なところを見込んでおくといったようなことから85%ということを一応想定してやっております。
いずれにしましても、交付率の見きわめというのは、いろいろな見方があろうということは私どもも十分承知しているところでございます。
◎横山
保健福祉局理事 2点目の福祉パスの関係でございます。
委員がお話になりましたとおり、今までは69歳までは福祉パスで、負担なし、上限なしなものですから、障がいを持たれた70歳に到達した方は
敬老パスに移行しておりましたけれども、70歳以上の障がい者については福祉パスを適用するという方向で調整を行っております。70歳以上の障がい者の方については福祉パスを使えるようにするということでございます。そういうことでございます。
◆村松正海 委員 今の横山理事のご答弁で、そこは理解できました。
ただ、先ほどの29億円の予算組みのご説明、それから、なぜ交付率を85%で組んでいるのかというご答弁には、これは何回も議論の中で取り組んできましたけれども、何回答弁いただいても、部長もいろいろな考え方があるとおっしゃいましたが、私はどうしても理解できないわけであります。
特に、交付率については、大変失礼かもしれませんが、皆さんの85%よりも、私が言う75%の方が正しいのではないかなと、中をとっても80%かなと、私は真剣にそう思っております。もう一度ご検討していただければと思います。
そこで、
敬老優待乗車証は、今、まだいろいろな議論をしております。その中で、当然でありますけれども、決して、我々も反対のための反対をしているのではありません。こういう制度でありますから、近い将来において、現在においても、中身は別にして、やはり見直すべきものは見直さなければならないと、それはよくわかっております。また、今の見直しというのは、当然、廃止を前提にした見直しではなくて、存続を前提にした見直しであります。また、
アンケート調査の結果も、対象者の70歳以上の方、対象者ではない方などを含めて、さまざまな議論があるのもわかっておりますし、また、他の政令都市ですね、札幌市の
敬老優待乗車証は決して悪い状況ではないというか、いいというか、内容的に上位の方にあるのもよくわかっておりますし、また、我々が主張してまいりました、70歳以上の年齢を引き上げるべきではないと、また、所得で制限を行うべきではないと、一定の住居制限を設けた方がいいと、こういうことも考慮し、そして今の制度の中に加わったことも理解しております。また、この問題は、どなたがやられても大変なことだと思っておりますし、その辺も理解はしておるつもりであります。
ただ、そういうことを全部理解しても、やっぱり理解できないのが、くどいようですけれども、現行制度の今の37億円を、なぜ見直しのときに29億円にしないとならないのか。ここは、我々は本当に理解できないわけであります。私は、この
敬老優待乗車証としての趣旨、目的に反しているのではないかなと思います。先ほども述べさせていただいたように、せっかく新しい形で今スタートをされようと思っておられるわけでありますから、どれがいいというのはこれからになりますが、いい形でスタートをして、きちっとしたデータが出てから見直すということではなく、見直して37億円を多くしなさいとか、29億円に絞り込むとか、そういうことではなくて、妥当な金額でスタートして、それから実態を把握して、きちっとした形でやられた方がいいのではないかなと私たちは思っております。
そのためには、これも先ほど述べさせていただきましたが、どうせと言ったら失礼ですが、もう一度見直すのでありますから、上限だけではなくて、その一部負担率、それから交付率も、その3点セットで見直しをして、そして、大体の市民、それから我々にも理解を得られるようなそういう案を出していただきたい。我々もそういう案を提示していきたいと思いますが、最後に、市長にお聞きしたいと思います。その点はいかがか、お伺いしたいと思います。
◎上田 市長 大変ご理解いただいた上でのご質問に感謝を申し上げたいと思います。
私どもが提案させていただいております
敬老パスの改革案でございますけれども、今後、さまざまな観点から、今、村松委員からご指摘をされました観点をしっかり踏まえて検討していかなければならないというふうに考えております。
特に、一番の問題でありますベースになる数のとらえ方についてしっかりしたものがないではないかというふうに言われれば、まさにそのとおりでございまして、今度それがきちんとカウントできる制度にしていこうと。それが整って、さらに、改革をした私どもの案でさせていただいた結果は、再度、検討しなければならないということも含んだ提案であるということもご理解いただいた上でのお話でございますので、私の方でこれ以上の議論を、委員との間でここがこうだということを申し上げるつもりはございません。
ただ、ご指摘いただいた点をしっかりと踏まえて検討を重ねさせていただきたい。私どもの一番の命題は、これは持続可能な財政構造への転換をしていかなければならないと、そういう命題のもとに、その命題に抵触しないというところをしっかり押さえながら、議会等でご要望いただいている点、ご議論いただいている点を踏まえて、私どもも上限についても検討させていただきたいというふうに考えます。
◆村松正海 委員 しっかり検討していただきたいと思います。
終わります。
◆西村茂樹 委員 私の方からも質問を続けてまいりますけれども、ちょうど
敬老パスの問題で言うと、林家議員が行う予定でございましたが、流れでありますから、私の方から、質問というよりも、我が会派の考え方だけ述べまして、市長にぜひ今後の扱いについてお願いをしたいと、こう思っております。
その一つは、もう既に質疑がされておりますけれども、高橋(功)議員から始まって段々の話があります。まさに、今の
敬老パスの置かれている状況というのは、このままで行ったのではいずれ破綻してしまうと。したがって、いずれ手直しをしなければいけない、それも、1年、2年、3年と置けば置くほど大変深刻な状況になってくる、だからやらなければならないということで、実は、上田市長が誕生してからその提起が始まって、今日まで本当に悩みに悩みながらここまで来たと思うのです。しかし、いまだにこの問題が、まだ市民の中で十分な話というのですか、議会の中で出ておりますように、1万円、2万円、3万円という選択制、これは、我が会派が、当時、予算議会の中で、3,000円の負担をして2万3,000円という上限になったときに、これは地域ではなかなか大変ですよということから始まって、やはり、一定の選択性を求めた制度にしてはどうかという、こういう議論も予算議会の中でしてまいりました。そういった中で今回出された案でありますから、そういった意味では一定の評価はしているわけであります。
しかし、今、ここの時点で、先ほどからずっと各会派の意見が出ておりますように、確かに、地域に入りましたら、高齢者の方々から言われることは、財政難ということについては一定の評価、理解をされているというぐあいには、判断をしております。ただ、果たして1万円、2万円、3万円ということがいいかどうかという、そういったことが聞かれていることも事実であります。そういった意味では、もう既に出尽くしたわけでありますから、私から言うまでもなく、各委員の議論の経過を踏まえて、市長も答弁しておりますように、もっと努力をする方向で検討せざるを得ない、あるいはまた慎重に検討させていただきたい、こういう話がございましたから、そういう意味では、短期間でありますけれども、今まで出されてきた議論の経過を十分に踏まえて検討されるように、ぜひ私の方から要請し、お願いをしておきたいと思っております。
これは、我が会派の考え方でございます。答弁は要りません。
次に、質問を変えていたきいと思います。
私の今回の質問の中身というのは、社会福祉法人公和会、ルミエール、これは、10月1日の厚生常任委員会において、虐待問題の中間報告として、経過報告がされました。この問題について、私の方から質問をしてまいりたいと思います。
これはどういう経過かというと、札幌市の方に8月27日付で、入居者が虐待をされているのでぜひ調査をしてもらいたい、こういった依頼があったということであります。それに基づいて、札幌市が、社会福祉法人であります特別養護老人ホーム、施設に対して調査を行ってきたといった経過がございます。その調査をした結果というものが10月1日の厚生常任委員会で示されました。その内容というのは、身体的虐待事例5件については目撃者5名、伝聞24名の証言が得られたと。その他、暴言等の不適切な処遇の事例4件については多数の目撃があったということ。それから、二つ目としては、複数の職員の行為として、延べ50件の不適切な処遇事例の伝聞があったと、その他の問題としては、職員に対する不十分な指導体制、研修の不足などの指摘があったと、こういうことで厚生常任委員会の方に報告されました。
その要因として、施設における虐待に対する認識の甘さ、虐待防止に対する取り組みの不足があったと考えられるとあったのです。したがって、この施設に対しては、3点の指導を行ってきた。それは、不適切処遇の原因究明と防止策の策定、指導体制の充実、具体的研修計画の作成、こういったことを施設に対して、本市の方から指摘をしてきたと、こういった話であります。
それでは、施設の側がどうなっているかというと、これまた、どういう報告があるかというと、施設の側から本市の方に出されたものは、申し入れ書において、虐待の事実として示される事実について、いずれの事案についても事実であるという結論には至らなかったという施設側の見解なのです、札幌市に対しては。そしてまた、施設の調査としては、目撃したと聞いたという件数は15件あるが、真偽を確定することは困難である、したがって、こういった虐待があったということはないと判断されたということを、実は本市の方に結果報告として出ていますね。ただ、最後に、施設側としては、人材育成と職場の管理の強化を徹底すると、自己評価と第三者評価を実施すると、こういった反省も実は述べられているようであります。
しかし、そういった報告をされていながらも、実は、この施設で今度はどうなっているかというと、恐らく理事会にもかけられたと思うのでありますが、虐待についてはなかったけれども、マスコミだとか、あるいは内部告発をしたという職員、あるいはその職員を支援しながら守る会として動いていた組合、こういったところを裁判所に告訴している。名誉毀損ですか、事実がなかったのにこういった騒ぎを起こされたので大変迷惑していると、こういうことで提訴したという動きをしていることが明らかとなりました。
したがって、私がここで聞きたいのは、このルミエール、社会福祉法人であります公和会はどういった形でこういった結論を出したのか。札幌市と全然違う結論を出して裁判に持っていったのかということで、どういう形で理事会に報告されたか、理事会の内容について改めて詳しくお知らせをいただきたい。
そして、理事会に報告したときに、当然、施設側としては調査をされていると思います。だれが調査をして、だれが理事会に報告をし、理事会でこういった提訴までするという動きになったのかについても明らかにしていただきたい。
二つ目の問題としては、理事の問題。理事会の構成は一体どうなっているのか、これも明らかにしていただきたい。
理事会の構成の中には、福祉関係者が構成要員として入っているのかどうか。あるいは、施設長としての役割は大変大きいと思うのですけれども、施設長もそういった福祉の関係者なのかどうなのかも含めて明らかにしていただきたい。経歴も一緒にお願いしたいと思います。
◎板橋 監査指導室長 お答えいたします。
まず、1点目の施設側の調査等についてでございます。
虐待に関する施設側の調査は、7月下旬から9月上旬まで行われ、各職員からの聞き取り調査及び各種の処遇記録の調査を行ったとのことでございます。また、ルミエールの運営法人であります社会福祉法人公和会では、去る9月13日に理事会を開催しておりますが、この中で、虐待問題について報告されており、副施設長が全体の説明を行っております。
その報告内容につきましては、議事録によりますと、6月から理事会当日までの経過説明がなされております。その中で、6月上旬に通報が札幌市に入り、それについて、施設内で全体会議を開催しましたが、虐待の有無の確認はできなかったとしております。その後、7月下旬からの個人面談の実施、新聞報道、札幌市の立入調査などが説明されております。また、この経過報告を受けまして、理事会では虐待について審議されておりますが、新聞報道等への疑問などが話し合われ、虐待については否定的な内容になっております。
続きまして、理事構成についてでございます。
当法人の理事会は、6名で構成されております。その内訳は、理事長は長沼政幸氏で、医療法人の病院長を兼ねております。また、理事長は、医師でありまして、法人理事の中では福祉関係者の1人でもございます。残りの5人の方、まず当施設の施設長、この方は理事長の妻でありますが、理事に入っております。そのほか、施設職員の1人として副施設長が入っております。このほかに、会社役員の方など3名が理事に入っております。
続きまして、施設長の経歴についてでございます。
昭和52年7月から長沼病院、これは現在の札幌ロイヤル病院でございますが、ここに勤務しております。その後、平成7年9月に、札幌ロイヤル病院の事務長に就任し、平成12年4月からルミエールの施設長に就任しております。
◆西村茂樹 委員 今の話を聞いていまして、札幌市の調査と全然違った結論を出して、1回の理事会でそういう事実がなかったという確認をしてその行動をとっているのですね。私は、ここのところに、やはり慎重さが欠けているのではないかと、こう思っているのです。社会福祉法人を設立して運営するということは、社会福祉法人としての社会的責任を負っていかなければいけない。特に、高齢化社会の中にあって、介護保険制度ができて、そして、施設に入りたくても大変困難な中、ようやっと入ったと。少なくとも、そういう施設に入ったら、きちっとした対応、サービスの中で介護してもらいたいという、こういった気持ちと、それを受けとめてしっかりとサービスをしていかなければいけないという、そういった役割というものがあるはずなのであります。
しかし、今の理事構成を聞いたときに、6人の理事構成の中で、福祉関係の経歴を持った人がお医者さん1人です。そして、施設長はだれですか。私が調べてみたら、理事長の奥さんが施設長なのですね。それともう一つは、理事の中にご夫婦が2組いますね。6人の中に夫婦2組いるのです。やっぱり、こういった社会福祉法人を経営する、運営するに当たっては、いろいろな角度から適切なサービスをしていくという、そういった福祉という観点で事業を営んでいかなければいけないこの理事構成が、6人の理事の構成の中で2組の夫婦が入っている、それも理事長と、理事長の奥さんが施設長と、こういった関係です。私は、ここのところに、何かしら同族経営のような感覚を持っておられるのではないか。本当に社会福祉としての体をなしているのだろうか、そういった気がして仕方がないのであります。
もう一つ、私は、今の全体の調査の中で問題があると思うのです。何かというと、こういったことが発生をしているということで施設の調査が入った、そのときに、職員全体会議を開催し、事実関係を確認しましたが、会議では虐待があったともなかったとも職員から返事がなかったと、このことを通して、なかったと。今度は、一人一人を呼んでどうかという話です。ですから、札幌市の把握した伝聞、いわゆる言い伝えと、見たという目撃と、あるいは、そういった話も聞いていると、こういった件数と、施設長が職員を一人一人呼んで、あるいは、これを報告したのは副施設長ですか。副施設長と言いますが、この副施設長というのはだれですか、副施設長は。この副施設長のことについてもその存在について明らかにしていただきたい。
いずれにしても、こういった形で呼んで結論を出したということに対しても、私は大きな問題があると思うのです。ここで一つ、厚生常任委員会で各委員から出されてきた内容で、内部告発をした職員に対しての処遇の問題、それもきちんと守ってもらいたいと、こういった話を各委員から出されておりましたけれども、一体、どのように適切に保護されているかどうか、このことについても具体的に明らかにしていただきたい。
なぜならば、あの委員会の中でも指摘されているように、訴えられているのはマスコミなのですけれども、ここにも書いておりますが、この告発者に対して、施設長が、私の目を5分間見なさいということで、顔を近づけて強要しているのです。そうかと思うと、今度は、グループでミーティングをしているさなかに施設長がやってきて、あなた、よくこの職場で仕事を続けていられますねとか、親の顔を見たいとか、こんな話までしている。こういったことが言われて、指摘をされていたのですけれども、私も、実はきょう、そのテープを聞きました。活字で書いたらそういった話になるのですけれども、聞いた口調というのは大変ですね。これはもう、仕事をやめろという話ですよ。こんなことが職場で行われているような状況と、施設長がそこまで、内部告発者に対するそういった態度をしているということに対して、本当に施設のこと、福祉のことを思っているのかどうか。私は、少なくともこういった施設長の人格とか資質の問題について疑わざるを得ないのですけれども、その辺についても明らかにしていただきたい、こう思います。
◎板橋 監査指導室長 お答えいたします。
初めに、理事の中に、夫婦が2組もいるのは問題ではないのかということでございます。
理事構成の中に親族等特殊関係者の数が定款に規定する数を上回っていない限り、法的には問題がないものというふうに考えております。ルミエールの場合は、理事が6名定員ということでございますので、1人の委員に対して親族等は1名まで許されるということでございますので、特に問題はないものというふうに考えております。
しかしながら、関係者が多いということは、これは事実でありまして、こうした構成の場合におきましては、法人運営が適正に行われるかどうかということにつきまして、今後とも私どもは留意してまいりたいと考えております。
続きまして、副施設長のことについてでございます。
この方は経理関係、給与関係など庶務経理全般を担当されている方でございます。私どもの聴取したところでは、現在は常勤職員と同じ勤務形態となっているとのことでございます。
ただ、以前は、毎日の勤務ではなくて、理事長の経営する病院の業務とルミエール関係の業務を兼務していたということでございます。
◎中田
保健福祉部長 この問題について内部告発者が守られるべきだということのご質問でございますが、私どもは、基本的に、虐待という問題は非常に重大な、人の尊厳を損ねる問題であるという認識をしておりますし、この問題の特質として、やはり、その事実関係ですとか実態が把握しづらいという部分がございます。そういう意味からも、内部から、特に施設の場面でありますと、内部から情報を提供していただく方の立場は非常に重要なものであるというふうに考えております。
それで、委員ご指摘のような情報も私どもの方に届いておりましたので、私どもは9月1日から立入調査を行ったわけですけれども、施設側に対しましては、内部告発者といいますか、情報提供者がきちんと守られるようにということで厳しく指導してまいりましたし、また、その後におきましても、そのような情報が入った折には、再三注意を促してまいったところでございます。公益通報者保護法というものがことし6月に公布をされ、施行はまだ2年以内ということにはなっておりますが、この中でも、内部告発者、内部の情報を通報したという人に対しての不利益な扱いというのを厳しく禁止しておりますので、その趣旨を十分踏まえて、そういう意味では今後もきちんと指導して状況を把握していく必要があると考えております。
◆西村茂樹 委員 そこで、今の副施設長の話が出ましたけれども、副施設長が調査をし、理事会に報告しているのですが、この副施設長の位置づけ、勤務状態について、私はちょっともう少しきちんと把握した方がいいのではないかと思うのです。私の聞いている範囲では、副施設長という肩書を持って、当然、ルミエールの方から給料が出ているということを聞いていますけれども、実際にこの事件が発覚するまで、施設の中で仕事をしている状況を見ている人が少ないのです。この人はロイヤル病院で仕事をしていると、こういった話を聞いているのです。ただ、この種の問題が起きてから、最近は施設に来て、確かに調査がありますから、個々に面接をしながら、どうだったかという調査をしたのだろうと思いますが、そういったふだんいない人が調査をして、そして、理事会に報告をして、こういう事実はなかったということをそっくりそのまま理事会で決定する、こういったことが本当にいいのだろうか。
ですから、いま一つ、私は、今答弁があったように、副施設長が、ロイヤル病院の方にもいて、仕事をしていたという話もされましたけれども、一体、この人は果たして本当にどこから給料をもらって、どういった仕事をどこでしていたのですか。どのように把握されたのですか。もしこれが、仮にロイヤル病院でその病院の仕事をしたとなれば、これは介護報酬から人件費が出ているわけですから、私は、これは不正な支払いになっていくのではないかと思うのです。ですから、どういう仕事でどういう任務で何をやってきたのか、私はこのこともやはり調べておく必要があるだろうと思います。
そして、もう一つ、この副施設長を調べてみると、理事の1人なのです。そうすると、6人いる理事の中で、2組の夫婦と、理事長が医者をやっているロイヤル病院で一緒に仕事をしている職員も理事に入っている。まさに一つの家族でやっているように私は見えるのですけれども、その辺についても、どういう考え方、認識をお持ちなのか、お聞かせいただきたい。
もう一つ、ルミエールに介護報酬を支給していまして、これは平成12年からやっています。毎年、幾らの介護報酬を支給し、そして、幾ら余剰金を残してきたのか、現在、累積で幾らぐらいあるのか、このことについても明らかにしていただきたいと思うのです。
なぜならば、少なくとも社会福祉法人というのは、人件費と給食費と、そして、施設に必要なおむつだとか備品、そういったものがきちっと運営の中でできるような形で、介護報酬の算出根拠としてやっているはずなのです。ですからそんな意味で、どのぐらいの介護報酬が支払われて、そして、今日までどのぐらいの決算になっているのか、このことについても明らかにしていただきたい。
◎板橋 監査指導室長 副施設長の勤務実態の関係でございますけれども、私どもが現在把握しておりますところによりますと、平成13年4月以前は病院とルミエールの業務を兼務していたということでございます。しかしながら、13年4月以降はルミエールの業務のみを行っていたということのようでございます。
それから、この法人に対する認識についてでございます。
6名の理事のうち、施設長であります理事は理事長の妻であり、また、副施設長は職員でありますことから、委員がご指摘になりましたとおり、内部の関係者がもう半数を占めているという状況でございます。こうした理事構成の場合、内部チェック機能が十分に働かないこともあり得るため、法人運営状況を慎重に見きわめながら法人指導を行っていく必要があるというふうに考えております。
当法人につきましては、虐待の事実関係につきまして現在調査中でございますが、これまでの調査からは虐待の可能性が疑われておりますので、今後の調査の結果を見まして対処してまいりたいと考えております。
続きまして、介護報酬の関係でございます。
ルミエールに対しまして、平成15年度は約3億4,400万円の介護報酬が支払われております。
続きまして、剰余金についてでございますが、平成15年度の単年度で約3,500万円、また、これまでの累積では約3億5,700万円となっております。
◆西村茂樹 委員 この額というのは大変な金額ですね。残っているのは、私のもらった資料からすると、3億5,786万4,000円、こういうことですね。この金額が残されている。そして、この施設は平成12年4月から開設されているのです。わずか4年間です。そして、これは、伊与部議員も議会があるごとに話をしておりますけれども、社会福祉法人そのものが本当に福祉を食い物にしているのではないか、介護報酬をもらいながら、どんどんどんどん、毎年、毎年、蓄積をしているのではないか、一体、これはどうなっているのだという話をしていますね。大友恵愛園、後から出てきますけれども、ここは25年になるでしょう。ここでも14億円だということでおしかりをこうむっているのです。大友恵愛園、次に残しているのは清香園、3番目にルミエールなのです。いいですか、新しく建てた施設が、もう既に、39の施設のうち一番黒字で、一番、金を残している、できたばかりの施設が、上位3番目です。こういったところでもそれだけの金額を残している。私はもう異常だと思うのです。そして、今言ったような施設の運営のあり方自体、私は、本当に社会福祉法人としての責務なり、認識というものを持っているのだろうか、疑わしいと思います。
もう一つ、ここで聞きたいのですけれども、職員なのです。
今、虐待問題があったかないかは、確かに、別なところで本市もしっかりと調べて、一定の結論を出しながら指導していくということでありますから、その結果は待ちたいと思っております。
しかし、私は、虐待がある、ないということよりも、職場の環境が実はそういった状況になっているとしたら大変です。一体、職員が何人いて、そして、しっかりとした経験を持った人方がそこに配置をされているのだろうか。
聞くところによると、随分と定着率が低い。入ったはいいけれども、1年ぐらいでやめていく、半年でやめていく。こういった労働環境なり、労働条件で、もし人件費を余りにも低くするということであれば、当然、サービスの質というものも、低下していくことはあっても、決して向上していくということにはならない。そんな意味で、職員が何人いて、正職員が何人いるのか、その比率、そしてあと残りはパート、臨時と聞いておりますけれども、どのぐらいパートや臨時を使ってやっているのか、職員の構成比率、それと定着率、勤続年数、これも含めて明らかにしていただきたいと思います。
それから、給与面についても、ほかに39施設がありますけれども、職員の給与面についてもどのような給与体系になって、大体、どういうベースの位置づけにあるのか、この辺についても明らかにしていただきたい。
◎板橋 監査指導室長 まず、剰余金の関係についてでございます。
当施設では、毎年、相当程度の剰余金が発生しておりますが、最終的には3億5,700万円以上の累積となったものでございます。一般的に、支出額を大きく左右するのが人件費であるということであります。当施設につきましては、他の同規模施設と比較いたしまして、職員の平均年齢が若く、派遣職員の数が多いという状況にございます。こうしたことなどが要因となりまして、このような剰余金が生じたものというふうに考えております。
また、今後の指導につきましては、利用者の処遇、あるいは職員の処遇への資金の有効活用が図られているかどうかについて確認をいたしまして、問題があれば、今後も厳しく指導してまいりたいと、このように考えております。
それから、職員の給与水準についてでございます。
介護保険制度になりましてから、各施設において独自の給与体系を整備しておりまして、手当等の額も異なっているため、一律に比較することは大変難しい状況となっております。
そこで、一つの基準となる基本給で考えた場合、他の同規模施設と比較いたしますと、やや低い水準にあるということが言えます。また、予算の中に占める人件費全体で考えますと、その割合は、他の同規模施設と比較して低い状態にあるということでございます。
それから、ルミエールの職員構成についてでありますが、これは、施設の直接処遇職員につきましては49名でございます。そのうち、正職員は24名、派遣職員は17名、臨時、パート職員は8名となっております。
それから、職員の勤続年数についてでございますが、この施設につきましては平均3.28年というふうになっておりまして、大体、一般的な勤続年数ととらえております。
それから、職員の定着率でございますけれども、これは、平成14年度で見た場合に、定着率は50%ということでございます。当時、44名の職員がおりまして、22名がその年度でおやめになったということでございます。
◆西村茂樹 委員 私は、今の話を聞いて、やはり問題があると思うのです。先ほど言ったように、虐待があったか、なかったかということよりも、職場の雰囲気なり、あるいは施設の雰囲気というものが、やはりそこに働いている人方の気持ちだとか顔色にかかってきているのです。ですから、今言われたように、定着率が低いということは、やはり、希望を持って、自分はこれから高齢化社会を支えていくのだということで、資格を取りながら、そういった施設でヘルパーとして従事したいという気持ちで入っていくのに、それが夢も希望も破れて、やめざるを得ないか、あるいは、他の施設の方がいいから移るか、そういった形ですね。私は、少なくとも夢と希望を持って、自分で選んだ職業ということで本当に誇りを持てるのであれば、職場の雰囲気がよければそこに定着性というものが出てくると思うのです。
ですから、そういったところで、私はこの職場の雰囲気そのものを変えていく必要があると思うのです。私の話で余り時間をかけてはいけませんから次に移りますけれども、いずれにしても、そういった職場環境を変えていくということが大前提であるということ、そのことが、そこに入っている人方の処遇も向上していくということにつながっていくのだろうと思いますけれども、その辺についての認識はどうお考えなのか、今のままの状態でいいと思うのかどうか、まずお聞きをしたい。
それから、二つ目の問題として、今回の事件を契機に、監査の見直しも含めてやっていかなければいけないということなのです。なぜならば、厚生委員会の中でもさまざまな形で意見が出されました。今のままの監査の状態で十分な監査体制とは言い切れない。やはり、もっと突っ込んでやっていかなければいけない。例えば、あざがあるにしたって、そのあざが何でできたのか、どうなのか。単なる職員の話だけで、あるいは、その施設の話だけでいいのかどうか。
先ほども、施設の側からも、第三者機関で評価をしてもらいたいという話をしていますけれども、私は、少なくとも本市としても、とりわけこういった施設については、そういった事例というのがあるのですね。虐待か、虐待でないかという、本当にそのはざまの中で仕事をしながらも、残念ながら、やっぱりあざをつくる場合もあるのですよ、自分の意思とは違って。ですから、そういったことも含めて、あるということを前提にしながらも、虐待があったかなかったかという判断をどうしていくかという監査の仕方についても、私は一考を要すると思うのです。
そんな意味では、私は、監査の仕方についても、やはり一定の見直しをしていく必要があると思いますけれども、その辺について、どのような監査を進めようとしているのか。
11月1日から新しく見直しをして監査をしていきたいという話も、実はあの委員会の中でありました。当然、その中では、これから監査・指導をするに当たっても十分見直し作業をされていると思いますけれども、今後、どういった形でやっていこうとしているのか、そのことについても明らかにしていただきたいと思います。
◎横山
保健福祉局理事 後段の監査・指導体制の強化の点についてお答えをさせていただきたいと思います。
今回の問題というのは、現在、調査中でございまして、結論を出すまでにはまだ時間をいただきたいと考えておりますが、大変大きな問題というふうにとらえております。特養の指導・監査に当たって、やはりこういうものを教訓にしながら、早急に改善策を検討したいということを申し上げておりました。
まず、一つは、今のお話にもございましたように、虐待と申しましょうか、それが疑われるような行為、あるいは、そういうことが実際にあり得るのかどうかについては、やはり、専門職というか、そういうものに日ごろなれている職員の同行が必要だろうということで、新たに保健師職の同行を検討しております。専門職員の目で利用者の処遇を調査し、適切な処遇が行われているか、確認体制を強化したいということでございます。
次に、聞き取り調査でございます。聞き取り調査は、これまでいろいろ時間的な制約だとか、そういうこともございまして、主に施設長あるいは看護部長等からの聞き取りというのを中心にしてきたところがございますけれども、今後におきましては、介護主任だとか看護主任、相談員など、より現場に近い職員からも十分な聴取をするように検討してまいりたいと考えております。
そのほか、苦情処理体制の確認でございます。あるいは、第三者評価制度の受け入れの促進なども、これまでも行ってきておりますけれども、さらに強化して指導をしてまいりたいというふうに考えております。
また、職員処遇につきましては、配置職員の数、正職と臨職、あるいはパート職員の比率、給与水準などについて厳格な調査をいたしまして、その状況に応じまして、必要な場合、適切な指導を十分行ってまいりたいと考えております。
お話にございましたように、このことにつきましては、まず、今年度11月から、特養についての実地検査を行う予定でございますので、今申し上げた点などを十分強化して監査に当たりたいというふうに思っております。
◎板橋 監査指導室長 職場に対する認識のことでございます。
社会福祉施設は、利用者の処遇、職員の処遇をまず充実させなければならない、このような使命を持っているということだと思います。
しかしながら、ルミエールにつきましては、利用者の処遇につきましてもいろいろな問題があるようにも思いますし、また、実際に私どものところにも結構な苦情等が参っております。また、職員処遇につきましても、ただいまお話を申し上げてきましたけれども、例えば基本給が低いでありますとか、定着率が悪いでありますとか、そのようなことが実際にあるわけでございます。そのようなことを十分踏まえまして、私どもは、この11月からの監査で、厳しく指導・監査をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
◆西村茂樹 委員 最後になりますが、ぜひそういった角度で認識をしながらやっていただきたいと思いますけれども、ただ、私は、根本的に、設立許可をした札幌市、そのときに、理事構成について、先ほど言ったように、6人いる中で2組の夫婦、それも、理事長と、理事長の奥さんが施設長という形。その中には、もう1人、副施設長として、理事の1人でありロイヤル病院にいた職員を配置をしていると。まさに、一つの社会に生活をしている人方が理事構成をし、運営をしている。こういったことは、やはり、設立するときに、こんなことでいいのだろうかと、理事構成については、もう少ししっかりとチェックする必要があるのではないかと。いろいろな角度から、社会福祉法人として運営をしていくからには、社会福祉というきちっとした目的を持った、あるいは福祉施設に従事をしているか、あるいは関係者をそこに何人か入れていく、その目でしっかりと運営していくという、そういったことをチェックをしながら、この施設を任せていく、法人を任せていくという、こういった体制があってしかるべきではないかという気がして仕方がありません。
したがって、今回の理事構成、これはやはり私は、札幌市の強い指導を持って福祉関係者を複数入れていく、それも、関係者ではなくて、新たなところから入れていくという、そういった取り組み、指導というものも、求められるのではないかと。そうしなければ、入っている人方が一番不幸なのです。
そうでなくても、私のところに入所者の人方の声というものが本当に10件ほど来ています。こういう事件が起きる前です。実は、そのたびに施設に言っているけれども、そのあざがどうなったかといったら、説明が二転三転としていくのです。しかし、家族にとってみても、そこが嫌だからといって他の施設に動かせない。そういった悩み、今になって事件が明るみに出て、新聞に出たので、やっぱりあそこは、あざの説明を聞いたけれども、信頼できないなという話が実は私のところにも届いているのです。それに類似した話というものが、実は10件ありました。
こんなことを考えてみるときに、私は、虐待があったかないかはこれからで、ここで結論を出すことではないのですけれども、しかし、そういった同族というか、同じような人方が集まって運営されていると。副施設長がロイヤル病院の事務職員で、副施設長としては、本来そのときにいなかったのだけれども、たまたま事件が起きて、慌てて自分が施設に行って聞き取りをして報告をした、その報告をうのみにして、それを全体で承認して事実はなかったという判断をするという、正しいか正しくないかは別にして、そういった流れをつくること自体が、私は社会福祉法人としての役割を、やはり疑問視せざるを得ないという立場であります。そういった意味では、そういう理事構成ではなくて、新たな理事構成をつくりながら、入所者からの信頼を高めてもらうような指導なり、指摘というものをぜひしていただきたい。
これは、答弁を求めるといってもなかなか難しいと思いますけれども、私は、強くそのことを求めて、その経過についてこれから見詰めていきたいと、こう思っております。
◆三浦英三 委員 私からは、高齢者保健福祉計画についてお尋ねしたいと思います。
札幌市の高齢化率は、平成12年4月に14%に達しまして、本年4月では16.2%となったと、このように聞いております。この4年間で実に2.2ポイントも上昇しまして、高齢化の進展はますます顕著になってきておりますので、その対応が急務となっていると、このように思うわけであります。
そこで、今後の札幌市の高齢社会対策の基本となります高齢者保健福祉計画について幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。
国では、平成12年の介護保険制度施行から5年が経過しようとしています今、平成18年度の制度改正を目指して、来年2月上旬に改正法案を通常国会に提出をすると、こういう見通しになっております。私たちの会派が重要であると主張し続けてきています介護予防や支援費との統合、それから保険料徴収対象者の年齢引き下げなどの制度検討案は、現在、国で示されておりますけれども、具体的な内容については、引き続き社会保障審議会介護保険部会のこれからの審議にゆだねられている状況であります。
一方、こういう国の動向を踏まえまして、札幌市では、平成15年4月に、高齢者保健福祉計画を介護保険事業計画と同時にスタートさせております。この二つの計画は、保険給付に要する費用のあり方、さらには保健福祉施策の進捗状況等を踏まえまして、平成17年度中に見直しをするということになっております。現計画の見直しによる次期計画の策定については、介護保険制度の制度改正など、国の高齢者施策の転換の中で、今後の札幌市の高齢者保健福祉施策の真価がいよいよ問われてくるのではないかと、このように思うわけであります。
そこで質問ですが、1点目に、高齢者保健福祉計画の次期計画の策定を前にいたしまして、今後の高齢者保健福祉施策の課題について、札幌市ではどのような認識を持っておられるのか、まず説明をしていただきたいと思います。
2点目には、その課題を踏まえまして、次期高齢者保健福祉計画ではどのようなことに力を入れ、どのように施策を推進していこうとされているのか、現在の考えで結構ですので、お聞かせ願いたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 高齢者保健福祉計画の策定に関連しまして、今後の課題についての認識というお尋ねでございます。
1点目でございますが、一つは、介護予防を主な目的といたしました対象者、あるいは実施内容が類似する複数の事業の効果的推進ということがございます。もう一つは、従前の身体介護を基本とした高齢者施策、あるいは介護保険制度から、その身体介護に加えまして、痴呆性高齢者介護の視点を含めた施策への転換ということがございます。また、もう一つは、ひとり暮らし、あるいはお年寄りご夫妻のみで暮らしている高齢者が、介護が必要となってもできる限り住みなれた地域で暮らし続けることができる、そういうことが可能となるような、いわゆる地域ケア体制の整備、また、一つには、要介護高齢者の急増で見過ごされがちな、介護を要しない、いわゆる元気な高齢者の方を対象とした生きがい活動の充実、また、介護を受けながら住み続けることができるなど、高齢者が安心して暮らしていける多様な形態の住まいの整備など、これが高齢者保健福祉計画策定に当たっての課題と認識しております。
次に、2点目の次の計画の策定に向けての方向性でありますけれども、戦後のベビーブームに生まれましたいわゆる団塊の世代の方々が65歳になり切る2015年まで、10年ぐらいでありますが、この戦後の混乱期に育ち、高度成長時代を支えてこられたこの世代の方々の価値観はさまざまでありまして、今後の高齢者施策はこのような多様な価値観を持っておられる高齢者の方々を尊重していくべきであると考えております。次期計画におきましても、それらを念頭に置いて進めていくべきと考えております。
具体的には、今後の介護保険制度の方向性や、国の高齢者施策の動向を考慮しながら、一つは要介護状態に陥るおそれのある高齢者の方に対して行う地域支援事業、また、要支援、要介護1の方を対象とした新予防給付を含めた介護予防の各事業を体系的、効果的に運営する仕組みづくり、もう一つは、虐待などの問題もありますが、痴呆性高齢者などの権利擁護や、ひとり暮らしの高齢者などへの支え合いの活動を包括した地域での高齢者の支援体制の整備、また、街のバリアフリー化、生涯にわたる学習機会の提供を初めとする高齢者の社会参加の促進につながる環境の整備といったことなど、広い意味での高齢者施策の体系化を目指して、次の介護保険事業計画との調整を図りながら、計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
◆三浦英三 委員 今、部長から高齢者保健福祉施策の課題、大きく5点ありましたし、また、次期計画の方向性というので具体的には3点のお話がありました。
それを受けまして、次期計画と市民意識の把握という部分について再質問させていただきたいと思っています。
市政世論調査によりますと、高齢者福祉というのは、長年にわたって、市政に関する要望順位で第2位に位置しておりまして、札幌市民の高齢者福祉施策に対する熱い期待を物語っているのではないかと思うわけであります。高齢期は、当然、市民のだれもが通る道でありますし、この道をどう暮らしていけるかということにつきましては、市民の方々の関心が高いのは当然であると、このように私も思っております。
一方、停滞しています経済状況の中で、これから訪れるであろう高齢期に対する不安を持っている市民の方々はたくさんいるのではないかとも考えております。さらには、高齢者施策全般に対する市民の方々の思いというのもさまざまでありまして、午前中からの
敬老パスの議論でもありますように、さまざまなご意見があります。そういうことから、私は、各世代によって意識についても大きな違いがあるのではないかと、こういうふうに考えているわけであります。
そこで再質問になりますけれども、今後の高齢者保健福祉施策を考えるときに、高齢者の方はもちろんでありますけれども、その施策を支える幅広い市民の各世代から、この高齢者施策全般に対するご意見というか、意識・意向を伺う姿勢というのは非常に大事である、重要であると、このように考えております。そこで幅広い市民の各世代から、意識・意向を十分に伺った上で施策を推進していく必要があると、このように特に私は考えますが、このことについてどう思うか、ご回答願いたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 次期計画の策定に係る市民意識の把握ということでございます。
委員ご指摘のとおり、今後の高齢者施策を考えるに当たりまして、当事者である高齢者のみならず、支える、あるいは支えられる全ての世代、全ての世代といいましても中学生ぐらいからのイメージでありますが、そういう方々の意向というものを把握することは非常に重要であると考えております。札幌市といたしましても、次期高齢者保健福祉計画の策定に当たりましては、高齢者のみならず、若い世代の方の高齢社会に対する考え方などをしっかり調査しまして、市民ニーズを明らかにするとともに、幅広い年代の健康状況、あるいは生活状況を把握して、長期にわたる施策の方向性も踏まえつつ計画に反映させていく考えでございます。
◆三浦英三 委員 次期計画に対しての部長のお話がありましたけれども、高齢者施策の重要性にかんがみまして、我が会派では、かねてから介護予防ということをずっと推進してまいりましたし、一貫して主張をしてまいりました。今までの高齢者施策というのは後追いになっているということで、介護予防という観点から主張しているところであります。
先ほどの部長の答弁でも触れられておりましたけれども、要支援、それから要介護1を対象とした新予防給付、それからそのような状況に陥るおそれのある高齢者に対して行う地域支援事業の創出等々、今後、介護保険制度が改正される中で、介護予防に対する市の役割というのはいよいよ重要になると、このように感じているわけであります。
国の方も、平成16年、ことしの6月3日に決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004、いわゆる骨太の方針第4弾の中にも、健康介護予防の推進という項目がございまして、国民一人一人が生涯にわたり元気に活動し、生活できる、明るく活力ある社会を構築する。このため、健康で自立して暮らすことのできる健康寿命の延伸を目指し、働き盛り層、女性層、高齢者層など、国民各層を対象とした生活習慣病対策及び介護予防について、平成17年度からの10カ年戦略、国では健康フロンティア戦略と言っていますけれども、この施策の推進によって、成果について数値目標を設定して、その達成を図るために、各地域における介護予防の拠点の整備など、関係省庁が連携をして重点的に政策を展開すると、国の方でもこのようにうたっております。
よって、本市の次期高齢者保健福祉計画の策定においても、先ほど来お話がありました市民の意見や要望をぜひ十分に把握して反映させていっていただきたい。
2点目には、介護保険事業計画との調和をしっかりと保ってもらいたい。そして、介護予防の体系的かつ効果的な運営体制をしっかりと盛り込んでもらいたいと、このように思うわけであります。そのことによって、札幌市の高齢者施策が全般にわたって推進されていくのだと、このように思いますので、そのことを期待して、私の質問を終わらせていただきます。
◆宮村素子 委員 私も、高齢者虐待対策と予防という観点から質問いたします。
まず最初に、白石区の特別養護老人ホームにおける虐待事件に関してであります。
この事件は、西村委員もおっしゃっていましたように、私も、法人の介護施設としての理念や倫理観の問題、それから、従業員の労働環境や質の問題、そして、施設における人材育成の課題が浮き彫りになった事件であったと思います。それらについてはそれぞれお答えがございましたが、さらに、この事件を通して、介護老人福祉施設等の監査には、現状では限界があるということが浮き彫りになったと思うわけであります。
しかし、虐待があったのかなかったのか、これに関しましてははっきりしない。そして、不適切ケアというような表現、虐待が強く疑われるという言い方をされておりますが、虐待ではない、例えば不適切なケアがあったということであれば、もうその不適切ケアイコール虐待であります。ここまでが虐待で、これは不適切ということではなくて、言葉一つ、不適切な声かけがあったとしたら、もうそれも虐待なわけでありまして、私たちは、不適切ケアという使い方も、十分吟味していかなければならないというふうに思います。
こうした中では、入所者の不安や家族の不安というのが、現段階では必ずしも払拭されているとは思えないわけです。今後の指導に当たって、いろいろございましたけれども、観点を変えて、利用している入所者の方や家族に関して、この方たちの不安を取り除くために札幌市として何かかかわることができるのかできないのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
そして、今後、市として施設への監査について、11月の調査からは保健師を同行させると、そういったことで、より記録から虐待の状況をキャッチしようと、事実確認をしっかりしようという、そういったお答えがございました。
そこで、伺いますが、この事件を契機に、今後、高齢者福祉施設の全施設の監査に当たって保健師を同行させるべきだと思っておりますが、そういったことが含まれているのかどうか、再度、確認させていただきたいと思います。
次に、在宅における高齢者虐待対策と予防についてであります。
さきの
代表質問で、自民党第二会派の五十嵐議員も、この高齢者虐待に関しての質問をされておりました。その中で、本市は、高齢者虐待は人権にかかわる重大な問題だという認識を示されましたけれども、具体的な質問に関しましては、その認識を裏づけるような踏み込んだお答えでなかった、具体性がなかったというふうに、私は聞いておりました。
そこで、私もそういったことに関連した質問になりますが、まず1点目は、本市における要介護認定者数、それからまた介護者はどのような実態になっているのか、伺います。すなわち、要介護度別の認定者数と、これらの方々についてだれが介護を担っているのかということでございます。
2点目は、昨年の本市の高齢者虐待に関する調査結果、これによると、虐待を受けている、または疑いのある高齢者の相談を88件、各区の保健師が受けているという報告がされております。
そこで、本市で相談を受けて対応した高齢者虐待調査の概要についてお尋ねいたします。
◎中田
保健福祉部長 1点目の白石区の特別養護老人ホームルミエールの虐待問題に関連しまして、入所者または入所者の家族の不安を払拭するための対応ということでございます。
先日、厚生委員会の方にご報告をさせていただきましたけれども、事実関係の確認ということでは、最終的な見きわめというところにはまだ至っておりませんが、まさにご指摘のように、不適切な対応、あるいは、これまで施設としての虐待に対する認識の甘さ、あるいは、防止に対する対応策の不足といった部分については、既に私どもも認識しているところでありまして、施設側にも、今の段階で、既に口頭で指導をしている状況にあります。今後、そういう状況を踏まえて、さらにご家族の方に対する聞き取りといったことも、これから行ってまいりたいというふうに思います。
なお、最終的に入所者、あるいは入所者のご家族の不安を払拭するということは、やはり施設側の積極的な対応といいますか、そういう疑われるような状況が生じないように、あるいは、身体的に何か異常があった場合もきちんと確認をし、それをご家族の方にきちんと説明できるような体制をということで、今後に向けて対応してほしいということは、私自身も施設側の責任者の方とお会いをしてお話ししてありますので、そういうことを進める中でご家族、あるいは入所者の不安を払拭することに対応してまいりたいというふうに考えております。
◎板橋 監査指導室長 保健師の同行についてでございますが、高齢者のすべての施設を対象としているかということでございます。
現在、私どもが考えておりますのは、特別養護老人ホームのみを対象としております。特別養護老人ホームはことしで40施設になるということでありまして、11月下旬から、ルミエールをトップバッターといたしまして、2月下旬までずっと監査を続けていくわけでございますけれども、実際に監査に入りますのは30施設、それから、書面でやりますのは10施設ということになっております。この30施設につきまして保健師さんの同行をお願いしたいというふうに考えております。
◎飯塚 介護保険担当部長 私の方から、高齢者の虐待につきましての1点目のご質問、今現在の要介護認定者の数と、その介護を担っている方につきましてお答えをさせていただきます。
まず、要介護認定者の数でございますけれども、平成16年9月30日現在で、要支援の方が7,091名、要介護1の方が1万9,858名、要介護2の方が8,155名、要介護3の方が6,061名、要介護4の方が5,425名、要介護5の方が6,272名、合計で5万2,862名の方が要介護認定を受けていらっしゃいます。
次に、介護を担っている方についてでございますけれども、これは最新のデータではございませんが、平成13年度に実施いたしました居宅サービス利用者調査によりますと、介護者がいると回答した方に主な介護者の続柄を尋ねました。まず、子供と答えた方が44.8%と最も多く、次いで配偶者が33.9%、子の配偶者が15.9%となっております。
◎中田
保健福祉部長 私の所管でもう1点ご質問をいただいていました。
高齢者虐待に関連しまして、札幌市が昨年行いました調査結果についてでございます。
各区で調査をいたしましたけれども、区で虐待の相談を受けた相手といいますのは、ケアマネジャーが27件と最も多く、次いで民生委員さんからが11件、ご家族の方からが8件、ご本人からは7件というふうになっております。
虐待を受けた高齢者の方でありますが、75歳以上の方が約6割で、女性が全体の8割を占めておりまして、全体の約7割に痴呆が見られております。また、介護度別に見ますと、要介護度1から3が全体の6割を占めております。
虐待をしている方は子供が59件、次いで配偶者が25件ということでございます。
また、虐待の内容につきましては、暴力などの身体的虐待が43件と最も多く、次いで必要な生活の世話をしないなどの介護放棄が40件、暴言などの心理的虐待が38件、それから年金を本人に渡さないなどの経済的虐待が25件ございました。
次に、対応が難しい事例ということでありますが、支援のかかわりが持ちづらいケースといたしまして、介護者が行政や周囲の人たちとのかかわりを避けたり、介護サービスの利用を拒否している事例、また、周りからは虐待と考えられる場合でも、高齢者ご本人または介護者が虐待と認識していない事例などがございます。また、介護者みずからが障がいや病気のために適切な介護ができない場合、介護者に対する支援も必要となるケースなどがございます。さらに、高齢者を介護者の虐待から保護するために法的な対応が必要とされるケースの場合には、関係者への逆恨みに対する安全対策などが必要となるような特殊なケースもあります。
以上のような状況でございます。
◆宮村素子 委員 最初のルミエールの件ですが、家族への対応、聞き取り調査も行うということです。やはり、そのときにぜひご注意いただきたいといいますか、虐待かというよりも、どういった介護を望んでいて、どんな不愉快さがあったのか、そんなところは入っている方たちの痴呆症の状況等もあると思いますので、家族の方に本当に率直に意見が言えるような状況、場所、そんなことも含めて十分配慮していただいて、本当に不安のないようにするための調査をしていただきたいと、そのことを申し上げたいと思います。
それから、保健師の同行は特養のみの30施設ということでございますが、かねてから監査には保健師の同行をということを私もずっと求めてきた経緯もございまして、よかったと思っております。老健につきましては、今回は入っていないようですけれども、老健は医療場面もございますし、看護者もいるわけですが、やはりここも必要に応じては、保健師の同行ということもあるとは思いますので、そちらの方の監査のあり方についても、ぜひご検討いただくようにお願いするところでございます。
さらに、88件の実態と、認定者の数がありましたけれども、これは認定者の中で在宅で介護を受けている数の合計と受け取ってよかったのでしょうか、部長、ちょっと確認です。
◎飯塚 介護保険担当部長 今、要介護認定を受けていらっしゃる5万2,862名の方の中で、在宅の数ということでございますけれども、5万2,862名がすべて在宅ということではございませんで、その中で在宅は2万5,385名ということになってございます。
◆宮村素子 委員 在宅介護を受けている数が2万5,000名近くいると、そういうことでよろしいのですね。
そうしますと、施設においては、これからこうした監査ということが始まりますので、やはり本当に適切なケアがされているかどうかというチェック体制は整っていくと思いますが、在宅の場合は、札幌市の特徴として家族、どっちかというと息子が多いとか、それから、その中の7割近くは痴呆症を合併していると、そういったお話でございました。道の調査でも同様で、それから国の調査でも、先ほどのお答えの中でも、難しい事例としては、どうもこれは虐待に該当すると、市やケアマネジャーが虐待行為だというふうに見ても、在宅介護を受けている方も、それから介護をしている家族も、双方にその認識がないということが、特徴として答弁があったところです。
在宅はこの介護ケアが密室で進められます。そして、そこを訪れるケアマネジャーなりケアを担当する方、繰り返し介護に行く方は限定されるわけです。毎日一人一人違った職員が来るということではないものですから、そうしますと、やはり虐待が、最初ちょっとしたことでもだんだん深みにはまっていくといいますか、そんなこともなきにしもあらず。第三者の目が入りにくい、そういった点から、私は、本市では、在宅における虐待という状況にしっかりと取り組んでいくべきだと思っております。
人間関係の問題、それから先ほどあったように高齢で介護を受けている方の自立度の低さ、高齢でそして痴呆症があると、大変に難しいケースが在宅介護を受けているわけです。そうしますと、本市としては、虐待の予防と早期発見というのは、行政の役割としてしっかりやらなければならない緊急の課題だと思っております。
そこで、質問しますが、虐待の早期発見と予防について、本市ではどのように取り組まれているのか、お伺いします。
◎中田
保健福祉部長 札幌市の虐待防止に対する、特に早期発見など予防の必要性について、その対応、取り組みでございます。
先ほども調査の内容で申し上げましたけれども、現在、高齢者虐待の相談というのは、ケアマネジャーとか民生委員さんなどを通じて、区がその相談を受けることが多くなっておりまして、その場合は、区の保健福祉サービス課の保健師が早急に対応するように努めているのがまず現状でございます。
また、介護保険の認定調査の際には高齢者本人、また家族の状況などから虐待の有無、危険性などについて、直接そのような接触の中から把握できるということでありまして、担当ケアマネジャーと区の連携といったような形で必要な支援を行ってきているのが現状でございます。なお、今後に向けてさらに適切なケアを進めるという観点では、ケアマネジャー、介護にかかわるサービス事業者などの職員に対しまして、研修会、事例検討会などの学習会を実施するといったようなこと、また、専門職の質の向上を図るとともに、地域における処遇困難事例につきましては、これは、各区に基幹型在宅介護支援センターが主催している地域ケア会議という、さまざまな問題のあるものについて処遇の事例を検討する部会がありますが、そのようなものを通じてさまざまな関係者がかかわりますので、そのネットワークにより支援を実施していくということを一つの方向性として考えております。
◆宮村素子 委員 この早期発見、予防ということでは、虐待はなぜ起きるのかということの言及がなかなかされないわけですね。いろいろな要因が絡み合っているということ、それだけに難しいのですけれども、難しい事例の中からその要因を探っていくという答えなのかなというふうに私は判断したところですが、やはりなぜ起きるか、それから虐待はやっぱり起きることを前提にしながら、しない、させない、そういった研修、教育をしていかなければならないなと、そんなふうに思うところでございます。
もう1点、今後ですが、早期発見、速やかなケアの実施についてお答えがあったような気がしますが、緊急保護の受け入れ態勢、これも絶対大事だと思っております。道の調査でも、ケアマネジャーの方から大変高い割合で、緊急時すぐ保護できるような態勢が必要ということが言われておりますが、本市の場合も、特に緊急時の対応というところでは、市が用意している特定の場所というのはないわけでございまして、早急にどんな方法をお考えになられるのかお聞きして、終わりたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 虐待にかかわる緊急の受け入れ、あるいは保護といった部分への対応でございますけれども、現在、これから進めていく新まちづくり計画の重点事業の中で、司法や警察などの専門機関を加えました支援体制の整備、また相談窓口の設置、緊急一時保護体制の整備、痴呆性ケアの正しい理解と権利擁護など、尊厳を支えるケアの普及、地域への見守りネットワークの強化ということを進めていく予定でありまして、このような中で緊急受け入れ、あるいはその対応といったこともしっかり取り入れて検討してまいりたいと思っております。高齢社会の進展に対応しまして自立支援、あるいは介護予防を進めるということが必要になってまいりますけれども、基本的にやはり住みなれた地域で安心して暮らし続けるという観点からも、この虐待の問題はきちんと対応していくことが必要だというふうに思っております。
◆伊与部敏雄 委員 簡潔に質問いたします。
私は、特別養護老人ホームに関連する質問をさせていただきます。
札幌市では、先ほども室長が言っておりましたけれども、ことし1施設ふえて40施設になる。今までは39施設でしたね。39施設で定員は3,359人、ほぼ満杯だというふうに聞いております。
そこで、冒頭まずわかりやすく、39施設の14年度と15年度、これの資金ベースでいう資金残高がどのぐらいあるか、簡単に答弁願います。
◎板橋 監査指導室長 ただいまのご質問にお答えいたします。
剰余金の関係でございますが、資金ベースで、平成14年度につきましては10億4,700万円ほどでございます。それから、平成15年度につきましては4億2,200万円ほどでございます。
◆伊与部敏雄 委員 それでは、もう一つ簡単に。その14年度と15年度の累積の資金残高は幾らですか。
◎板橋 監査指導室長 累積の資金残高でございます。平成15年度につきましては65億7,100万円となっております。それから、14年度につきましては61億4,900万円ほどでございます。
◆伊与部敏雄 委員 あるところにはあるのですね、金が。これは、みんな我々の税金ですから、金ですから。
今、資金ベースといいましたね、資金ベース。今、あなたが言った、例えば15年度の65億7,100万円ですか、それを例えば15年度の実態ベースでいくと、実態ベースというのは何かというと、この39施設の中で償還金を使っている施設がある。その償還金というのは、例えば施設の運営資金の償還、もう一つは設備資金の償還、この償還を介護保険制度の中から編み出した施設の剰余金で償還しているわけです。これは15年度の単年度でどのぐらいありますか。
◎板橋 監査指導室長 お答えいたします。
実態ベースで、15年度末の累積の数字を申し上げますと、73億7,300万円でございます。
◆伊与部敏雄 委員 そうすると、室長、先ほどの65億7,100万円に約8億円が償還支出計になっているわけです。それで、今あなたが答弁した73億7,300万円、こういうことになるわけ、そうでしょう。これは大変な数字ですよね。この償還金、例えば運営資金の償還、設備資金の償還、これが全部施設会計から出されているわけです。単年度で8億円も。そのほかに現金として65億円残っているわけです、これは、39施設で。みんな我々の金なんだわ。我々の税金。同時に、施設会計から法人会計へ繰り入れ支出している。これは本来あるべき姿ではないのですね。本来は功成り名を遂げた人が法人をつくって、法人というのは6人いればできるというのだから、さっき言った最低6人、それのほかに監事が2人、評議員が6人の場合はその倍の6人、合計6人対6人対2人だから14人いれば法人ができると、これは。中身がどうかは別にして。社会福祉法人はそういう制度になっている。私はこの制度自身おかしいなと思っているのだけれども、立派に功成り名を遂げて、もう私はお金も要りません、土地も要りません、困った人、弱い人、お年寄りの人に寄附をしますと。そして、これを使ってくださいと、これが福祉の本来の姿でないですか。原点ですよ、これは。ところが、今、私が言うように、施設会計から逆に法人に金を出している。
39施設のうち本来あるべき姿、法人に行っていない、施設会計で剰余金はあるけれども法人にやっていないと。私はこれは褒めてやるべきだと思うのだけれども、39のうち11引いたら、あとの28はみんな法人にやっているのです。そのお金は、こんなもの電話で聞いたらすぐわかるから、私が答弁しましょう。何と4億8,800万円あるのです、15年度、単年度で。これは現金だから。
さっき、冒頭、あなたが言った累積の現金65億7,100万円、65億1,000万円に4億8,800万円足したら、もう既にここで現金だけで70億円、39施設で償還金入れたら78億円ぐらいの現金があり、金が動いていると、そういうことになるのです。今決算議会だから、これが決算なのです。
私は、この39施設の中で11施設、これは施設から法人に行ってない貴重な施設ですから言います。愛輪園、かりぷ・あつべつ、オニオンコート、サン・グレイス、五天山園、神愛園清田、ウィズ東苗穂、フローラルさつなえ、それから札幌市稲寿園、それから秀寿園、慈徳ハイツ、この11カ所の施設は65億円の中で相当余していますよ。余しているけれども、これは法人に金は一銭もやっていない。中には市会議員で理事をやっている人もいるらしいけれども、この11の中にね、これは褒めてつかわすというふうに言いたい。
そんなことで、今言った数字、こんなにたくさん、七十数億円のお金を、札幌市の監査指導室がどうしようとしているのか。どういうふうに使えと言っているのか。しかも、さっき西村議員からも話が出た大友恵愛園なんて、今、約15億円現金で残していますけれども、これは2年前に施設の設備資金、これを約2億円使って全部施設整備したところです。それがなかったら15億円でなくて17億円も余している。私は大友を、25年間ずっと追ってきた。なぜ追ってきたか。ここに福祉の原点があるから。特別養護老人ホーム設立の原点があるから、大友には。
なぜかといったら、札幌市が30年間、八千数百平米を無償で貸しているわけです。建物は理事長が関係する大友建設がつくった、水増してつくった、これは明らかなのです。寄附したのはたった1万円、日赤に指定寄附して、そして施設にバックした。だから、ほとんどただでつくったようなものです。それがこういう数字になっている。大友恵愛園、私が25年間やってきたことは、特別養護老人ホームの施設建設の悪い原点がここにあるということだから、私は共通の認識でこういうことがあってはいけないということで、ずっとやってきたのです。
ところがこんな数字がまた出てきたから、これには驚きますよ。室長、あなたもことしは指導監査室長になったばかりだけれども、どういうふうに指導するのか。このままずるずるといったら100億円ぐらいにすぐなってしまう。何かテクニックを使っているような感じがしてどうしようもないのだけれども。14年度の決算では39施設で約10億円余っていたが、15年度は4億2,200万円で、剰余金は4割ぐらい、余り多い多いというものだから、何かテクニックを使っているのではないかという感じがするのだけれども、それも含めてこの膨大な、現在ある七十数億円のお金を、どうやって使うのか。しかも、法人の4億8,800万円なんていうのは、何に使われているかわからない。
その中でも、例えば、この前、道の特別監査が入った北区の法人ですけれども、施設が三つあります。その三つの園で、15年度は約2億円余しています。それが、その三つの施設から法人会計へ幾ら行っているか。これも2億円ぐらい行っています。これがどうしたかといったら、その前の理事長さんが私的流用している。こんなことに使っているのかと、我々には恐ろしくて言えないようなところに使っている。しかも、返還せと言ったら、3億円使って返還したのはわずか5,000万円、これは道の監査権だから、道議会議員は何やっているのだと。我々市民の税金なんだと、本当に。3億円でもって5,000万円返してあとの2億5,000万円はちゃらにするのか、とんでもないと。もう少し道議会でしっかり精査せというふうに言いたいのだけれども、おのおの何か事情があるらしいから、そこまでは言わないけれども、いずれにしても、これどうやって使うの。
◎板橋 監査指導室長 剰余金に関します指導についてでございます。
平成15年度から介護報酬が改定となりまして、施設サービスの報酬単価が減額されました。この結果、市内特養の介護報酬は、全体を平均いたしますと収入面では2.3%程度の減収となっております。この結果、剰余金は増加を続けておりますが、その伸び率は鈍化しております。
ただ、全体といたしましては、高額の剰余金が残っているのは事実でありますので、今後も積極的に有効活用を指導してまいる所存でございます。
例えば、施設の修繕でありますとかユニット化、個室化など、利用者処遇の充実、あるいは職員処遇の充実などについて有効活用を図るよう指導してまいりたいと考えております。
◆伊与部敏雄 委員 指導するってね、あなたね、指導をしっかり受けとめてちゃんと言うことを聞くような施設ならまだめんこいところがあるのだわ。ところがめんこくないのだわ。室長だとか課長が行って、言うことを聞く玉ではない、理事長だとか施設長だとか、これは。
例えば、大友を一つ例にとって言いますか。先ほどの累積では、今15億円ぐらいありますね。15億円のほかに毎年大友は法人会計に1,650万円ぐらいずつやっているのです。それは何かといったら、15億円預金した金利。15億円を預金しているのです。その金利が法人に行って理事長が懐に入れている。毎年だよ、金利は大体同じだから、1,600万円が行っているのです。それこそ銀行に預けてある施設会計の剰余金の金利が毎年1,600万円、施設にためないで法人に行って、法人で何に使っているかわからない。こういうようなことだから、これはとてもじゃないけれども、指導していきますなんて軽く言ったって、そんな簡単な、おれは25年間もやっているのだ、あなたは1年もやっていないのでしょう。冗談でないよ、本当に。簡単に、指導していきますと言われたって、はい、わかりました、板橋室長、指導してください、後ろにいる石塚課長、指導くださいと言ったって、そんな簡単なものではないのです。これは副市長だとか局長だとか、上田市長だとか横山理事とか、この人たちが言ったって、言うことを聞くような玉でないのです。
なぜかといったら、例えば、大友には今までOBが5人行きました。そこに大久保議会事務局長が座っているけれども、議会事務局長2人行っているのです、あなたの先輩が。一番最初に松浦さんという人が施設長で行っている。90日しかもたなかった。直近の話でいうと、議会事務局長の鍛冶沢さん、これは628日間勤まった。一番長いのは息子、その息子の悪口は言わないけれども、理事長の大友正吾さんの息子、これが5年弱やっている。例えば、去年行った元保健福祉局障害福祉担当部長相沢さん、これが305日、それから元民生局高齢化対策推進部長白井さんという方が702日、それから元市民局の市民部長村岡さんという人が704日、今までで施設長が13人もかわっているのです。
さらに、私は清香園の話もしたい。新琴似1条3丁目、私のうちの近くだけれども、清香園、これは一昨年にできた。清香園の施設長はわずか2年間で6人もかわっている。しかも、大友と清香園の共通点をずっと勉強して調べたら、ことしの1月から5カ月間、両方とも施設長がいなかった。これは社会福祉法人法の違反ではないですか。施設長が5カ月もいない施設なんてあり得ない。社会福祉法人法に明確に施設長を置くと書いてあるわけだから。これをまだ1カ月なら話はわかるけれども、5カ月間も投げておいたかどうか、あなたたちは、指導したけれども言うことを聞かなかったという答弁をするのかもしれないが、しかし、いずれにしても大友も清香園も両方とも5カ月いなかった。どんな指導をしてきたのですか。
◎板橋 監査指導室長 施設長の不在に対します指導についてでございます。
清香園につきましては、ことしの1月から5月末までの5カ月間、施設長が空席となっておりました。施設長が長期間不在であるということは極めて憂慮すべき事態でありまして、再三にわたり配置するよう指導してきましたが、結果的に5カ月後に現在の施設長が就任となったものでございます。
また、大友恵愛園につきましては、ことしの2月から施設長が不在となったために、札幌市から速やかに配置するように指導した結果、一時、施設長代行ということで、現施設長であります方が配置されておりましたが、5月27日に正式に施設長に就任いたしております。
◆伊与部敏雄 委員 5カ月間いなかったことは事実なのだ、今の答弁で。私は、この5カ月間は社会福祉法人法違反じゃないのと。今のあなたの答弁は6月からおのおの配置したと。配置しなかったら大変ですよ、配置しなかったら大変なのだから。その施設長の中身にもよるが、さっきの西村議員の話ではないけれども、ろくでない施設長だととんでもないから。だから、2年間で6人もくるくるくるくるかわっているわけだから。大友は13人もかわっているわけだから。5カ月間いなかったわけですよ。いなかったことに対してどういう指導をして、何でいなかったか、どうしてつくれなかったか、しかも、その法人の施設長というのはほとんど理事ですよ、法人の理事。大体施設長というのは理事を兼務しているわけです。
理事会で施設長を何で置かないのか。理事1人欠員ということになるでしょう、これは。
先ほどのルミエール、これは6人で理事会をやっていたけれども、清香園は理事が8人、大友も8人でしょう。監事が2人。こんな調子でもって法人をつくっているわけです。5カ月間施設長がいなかった。これは、給料は介護保険制度の中で入れて、出すのでしょう、施設に毎月送るのでしょう。どうしてそういうことになるのかということを聞いているわけ。
それからもう一つ、清香園は、法人に極めて混乱が続いていると。この前も新聞に出ていたけれども、前の理事長が解任されて理事になって、その理事も解任されたということになって、今裁判に訴えて、理事会は無効だということで騒いでいるのだけれども、その件について知っている範囲でいいから答弁していただきたい。
◎板橋 監査指導室長 清香園の施設長がなぜこんなに不在であったのかということであります。私どもの15年度の指導監査、これは16年2月10日と27日に入ったわけでありますけれども、そのときに、施設長が不在であるということが把握できたものですから、とにかく早く選任をしていただきたいと、こんなふうに話をいたしました。その後、再三にわたって働きかけをしてきたところであります。それを受けまして、当時の理事長もいろいろと人選をしたようでございます。しかしながらなかなかまとまらなかったというようなことを聞いております。そして、結果的に6月1日からの就任と、このようなことになったということでございます。
それから、清香園の理事長の関係のことでございますけれども、今現在、札幌地裁に対しまして仮処分申請というものが出されております。これは、一番最初の施設長であります大泉カヨ子さんという方がおられますけれども、その方を含めてもう1人の理事の地位保全を求めるということ、さらには新しく選任された理事の職務執行停止を求める、このような仮処分申請がなされたということでございます。
これにつきましては、私どもも法人の方からいろいろと情報収集をしようとはしておりますけれども、現在のところなかなか審尋も開かれないというような状況を聞いております。9月29日には第1回の審尋を開くということを予定していたようでありますけれども、それも流れてしまったということであります。聞くところによりますと、この仮処分決定までには2カ月程度かかるのではないかというような話でございます。私どもはその推移を見守ってまいりたいと考えております。
◆伊与部敏雄 委員 いずれにしても混乱をしているわけですよね。法人が法人の体をなしていない。まさに両方とも不適切な法人だと、そういうことなのです。これに対して監査した、指導する、これだけでは私はだめだと思う。これは大友、清香園双方に特別監査をやるべきではないかと思います。同時に、その前、これはことしの春、4月、5月中に、札幌市が清香園の法人に、あなたたちが入って、その当時の理事一人一人を回って、ある札幌市のOBの名前を出して、この人を理事長にするから承認をしてくれと。したがって、皆さんも理事はやめてくれと。そして、監事を含めて8人全部回って、印鑑をもらって歩いた。これはどういうことでそういう行為をしたのですか。
◎板橋 監査指導室長 まず、札幌市の対応についてでございます。
清香園におきましては、5月21日に理事会が開かれて以降、法人内部に意見対立が生じまして理事会が開催できないなど、スムーズな法人運営が難しい状況となりました。このため、札幌市では双方の理事から事情聴取などを行い、善後策につきまして法人と協議を続けてきたところでございます。その過程の中で、一部理事から退任の意向が示されたこともありまして、新たな体制を構築することを、全理事の同意を得られる見通しの中で進めておりました。
当初は、全役員が辞任し、新体制に移行するということで大筋の合意が得られましたため、その後の体制の協議に入っておりましたけれども、その経過の中で、一部の理事から同意が得られないというような状況となりました。札幌市としましては、法人理事の判断を尊重せざるを得ず、それ以上の調整は難しい状況であるというふうに判断をしたところでございます。
なお、辞任届につきまして、札幌市が判こをもらって歩いたということでございますけれども、理事会内部の混乱もございまして、中立的な立場であります札幌市が、次回の理事会までに辞任届をお預かりするということとしたものでございます。
それから、特別監査をすべきだということであります。現在、清香園の状況でございますが、平成15年度の我々の指導監査の中で、39項目の指導事項が出てきたわけでございます。これにつきましては、現時点ではほぼ改善されているという状況になっております。さらにまた、8月下旬には新しい体制が確立しまして、9月上旬には新しい理事長の登記が完了したということでございます。
このような状況でもございますので、特別監査ということにはなかなかならないのかなというふうに、現時点では判断をしております。
◆伊与部敏雄 委員 室長、札幌市のOBの人の名前を、しかも、福祉の専門的な局長クラスのOBの名前を出して、この人が理事長になるからと、具体的にそういう声があったのですよね。これは認めると思う。そこで、今、あなたが答弁したような結果になっている。それまで理事長というのは何人目ですか、今は。何日にどういうふうな流れで、この2年間で理事長は何人かわったのですか。
そして、もう一つ聞きたいのは、今8人いる理事並びに2人の監事、合計10人。10人はこの清香園にどのぐらい寄附行為をしていますか、明らかにしてください。
◎板橋 監査指導室長 清香園の理事長についてでございますが、去る8月28日の理事会におきまして、斎藤義信氏という方が清香園の理事長に選任されて登記も完了しております。この斎藤氏は理事長としては3人目でございます。初代の理事長は大泉カヨ子さんでございます。その次の理事長でございますけれども、これはことしの4月23日に清香園の中で理事長の互選が行われました。その中で竹林さんという方が理事長に選任されております。
それから、寄附行為の関係でございますが、現在の理事の方々につきましては、寄附はされていないということでございます。
◆伊与部敏雄 委員 私の知る限りでは、ことしの8月21日にも理事会が開かれて、8月28日に今言った斎藤何がしさんという方が理事長になったと。8月21日から8月28日までの1週間、私が理事長だったと声高らかに叫んでいる人がいるのですよ、女性で。これらもやっぱり詳しく説明しないとわからないから、その辺も含めてもう1回答弁していただきたい。と同時に、今、あなたが、現在の理事は一銭足りとも寄附をしていないと。この清香園は、一番最初の大泉カヨ子さんという人がたった1人寄附行為をしていた。その人に理事長をやめさせ、理事もやめさせ、そして設立のときには全く関係のなかった人ばっかりを、この8月28日で理事にして、一銭足りとも寄附をしていないと。
清香園は2年間で幾ら残しているかというと、現金で7,645万4,000円残している。そういう状態ですよ。こういう実態を見過ごしておいてもいいのかと。社会福祉法人運営に携わる人たちが一銭の金も出していない。そして、金を出した人を多数決によって首にする、理事も首にする、理事長も首にする。今ちょっといろいろ私語が聞こえてきますけれども、乗っ取り的な行為じゃないかと、こう言われても仕方がないような現象が生まれたのです。これを黙って、ただ指導・監査しますと、ことし4月に来た室長が言ったって、そんなの受け入れるわけないじゃないですか。海千山千の連中が入ってきているわけだから。こんなこと、今黙って様子を見るなんて言ったけれども、いつまで様子を見るのか。金一銭も出していないのだから。しかも、現金で7,645万4,000円、同時に、これだけではないのですよ。さっき言った施設から法人会計にこの2年間で幾ら行っているか。調べてみたら約1,200万円行っている。そうすると、これは9,000万円ぐらいの現金があるということだ。それに群がったのではないかというふうに言っても過言でないのではないか、これ。それを黙って投げておくの。
これはもっと厳しくきちっと、それこそ指導して。私はこの法人は法人の体をなしていないと、法人であって法人でないと思うのだけれども、いかがですか、これ。横山理事が手を挙げているけれども、明確に答弁してください。
◎横山
保健福祉局理事 清香園の件についてでございますけれども、8月の、現在の新たな理事の交代について、その方々が寄附等々何も行っていない中でどうかということでございますが、社会福祉法人の場合、通常設立のときにはある程度の寄附を出し合って、その中で設立し運営していくというのが、これは大体通例になってきてございます。ただ、理事長の代がかわる、あるいはいろいろな状況でかわっていくというときに、寄附をなしていくかというと、これは必ずしもそうなっておりません。ほかのところでもそういうことがございます。
理事あるいは理事長の要件といたしまして、そういうものについての指導上の法律だとか、そういうものは特にございません。そういうことから指導といいますか、その辺についてのことを、余り適当な運営ではないのではないかというご指摘でしょうけれども、現在のところ、それを適当でないということをもって、例えば、寄附を出しなさいとか、そういうような指導というのはなかなか難しいところでございます。
ただ、今回、清香園につきましては、今、先生の段々のご指摘があったとおり、いろいろな経緯の中で新たな理事、あるいは理事長が選任されてきております。そして、4月、5月の時点で、かなり、理事会がなかなかスムーズに回っていかないような、いろいろな関係が適切でない中で運営がなされていたというふうに我々も認識しております。そういうことを引きずりながら今の体制になっておりますので、本当に今の新たな理事を含めた新たな体制の方々が、法人運営をきっちりやっていけるかどうか、これは非常に重大な関心を持って私どもとしては見ていく必要があるだろうというふうに思っております。処遇等々に影響が出るようなことがあっては非常に困りますので、そういう点で重大な関心を持ちながら運営を見てまいりたいというふうに考えております。
◆伊与部敏雄 委員 理事ね、この見守っていくって、あなたたちね、今年の春、それこそ39項目にわたって文書指導、口頭指導、指導でなくて要請したわけだ、それできちっとなったかといったらなってなくて、こういうような状態になったわけです。今全く新しい理事が、一銭も寄附もしてない、先ほどもちょっと話が出たけれども、本当に福祉に情熱と熱意を持ってやる理事なのかと。福祉を食い物にして、施設をだしにして剰余金を還流させていろいろ使っていると。そういう不適切支出もいろいろあったと。こういう中で、このまま黙ってね、これ見守るってさっきも話をしたけれども、それじゃこの春、札幌市の優秀だった局長クラスのOBの名前出して判こ押させて、皆さん理事やめてくださいと、この人にさせますから同意してくださいと、そういう行為までやった札幌市の監査・指導、これはこれからね、それこそ今のような答弁だけでは、これは今まで清香園に携わってきた、寄附した、それこそ今裁判やっている人が怒るのも当たり前だと。乗っ取られたという感じをしているわけだから、率直に言って。
福祉の目的が最初から間違っていたのではないかと、ずばり言って。福祉とは何か、本当に福祉に正義感を持って携わるような法人をちゃんとつくらせるというのがあなたたちの義務ではないですか。そのことを言って、これはきょうはこの辺でやめますけれども、これからも皆さんが監査・指導をどういうふうやるのか注目しておりますので、きょうはこの辺でやめておきます。
○大嶋薫 委員長 ここで、およそ20分間委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後3時56分
再 開 午後4時20分
──────────────
○大嶋薫 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き質疑を行います。
◆本郷俊史 委員 私からは、介護予防とグループホームについて2点ご質問をさせていただきます。
先ほど三浦委員の方からの質疑もございましたけれども、今、国の方で介護保険制度の見直しということで、特に、今後予防に力を入れていくと、予防重視型のシステムへ転換していくと、こういうような流れになっているわけでございます。先ほどもありました健康フロンティア戦略でも、いわゆる健康寿命、なるべく寝たきりにならないで元気に暮らしていただくと、この健康寿命をこの10年かけて2歳延ばしていきたいと。女性で言えば78歳を80歳、男性で言えば72歳を74歳と、このような取り組みというふうに聞いているわけです。
実は、昨年、私の祖母ですけれども、明治32年生まれ、104歳で亡くなりましたが、100歳になっても自分でおふろに入るものですから、これは自立していて要介護にならないということで、亡くなる直前まで自宅で暮らしていました。これは理想的といいますか、今、国でも言っている、いわゆるPPK、ぴんぴんころりと、こういうことなのですが、そうはいってもなかなかならないわけで、平成12年4月に介護保険制度がスタートして、当初218万人であった要介護認定者は、これは国ですけれども、4年たって平成16年4月で387万人と、約1.8倍。
札幌市においては約2万6,600人から、今4年たって5万1,000人ぐらいと。国よりも要介護認定者が多いわけですけれども、特に要支援、要介護度1と、比較的軽度の方の伸びが大変多いわけです。スタート時から比べて2倍以上になっていると。本来、この介護保険制度の保険メニューを使って、介護が必要になった人に対してサービスを提供して、要介護状態の軽減や悪化の防止につなげようと、こういう趣旨であったわけですけれども、一たんこの認定を受けると、サービスを受けてもなかなか症状の改善につながっていかないと。むしろ重度化に向かっていくと、このようなことがございまして、いわゆる介護予防というところに力を入れていくということでございます。
先ほどもありましたとおり、2015年には団塊の世代が65歳に達するということで、そういう要介護の方がさらにふえていくと。このような流れの中で、本市として、これまでどのような介護予防の取り組みをされてきたのか。また、それらの事業による効果について、どのように考えているのか、最初にお伺いをしたいと思います。
それから、グループホームについてですけれども、先ほども虐待の質疑もありましたが、特に、本市では平成12年の介護保険導入に伴いまして、わずか4年のうちに急激にこのグループホームが増加をしていると。また、これまでそういった介護の経験のない有限会社だったり、あるいは株式会社など、さまざまな事業者が参入して設置運営をしていると。さらに、先ほどもございましたけれども、グループホームの特徴として、そこがまた痴呆性高齢者にとっていいところなのですが、少人数の住居であると。そういった特徴から密室化したり、あるいは密室化による虐待など、不適切な介護が行われてもわかりにくいといった面もあるわけでございます。
そこで、1点目として、特に昨年急激にふえているわけですが、現在、札幌市内の施設数と定員はどのぐらいになってるのか、お伺いをいたします。
2点目は、設置する法人の種別と割合について、特に、営利法人がどの程度を占めているのか、お伺いをします。
3点目として、平成14年度から外部評価が義務づけられているわけですけれども、現在、どういう機関が外部評価を行っていて、それがどこまで進んでいるのか、お伺いをいたします。
また、その外部評価、これはどのような内容で、どんな点に着目した評価となっているのかも、あわせてお伺いをいたします。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の介護予防についての札幌市の取り組みとその効果でございます。
札幌市では、介護保険制度の施行に伴いまして、介護予防の拠点となります在宅介護支援センターの整備を進めてまいりまして、現在、市内に64カ所、地域型というものがございまして、それらを指導調整する基幹型が別に10カ所ございます。地域型在宅介護支援センターでは担当地域を定めまして、24時間の電話相談などの相談事業、地域の要援護者に対しますすこやか倶楽部や転倒予防教室、家族介護者教室、それから痴呆高齢者介護者教室などの介護予防事業を実施しております。
すこやか倶楽部につきましては、外出の機会が少ない、閉じこもりがちな高齢者を早期に把握しまして、健康管理やふれあい交流などを実施する内容を持っておりますが、ここだけを見ましても、平成12年の実施回数が430回でありましたけれども、平成15年では2,329回と、5.4倍に伸びておりまして、その他の事業も年々着実に実施回数がふえてきております。しかし、このようにサービスの量は確実に増加しておりますけれども、参加した方々の効果といったような面あるいは実施体制など、効果の面ではまだ課題が残されているというふうに認識をしております。
それから、痴呆性高齢者のグループホームの関係で4点ご質問をいただきました。この整備状況でございますが、この10月1日の時点で、事業所としては155カ所ですが、定員は2,388名となっております。
それから、2点目の設置の主体別の状況でありますけれども、この10月1日現在で、有限会社が69カ所で全体の44.5%を占めておりまして、株式会社が39カ所で25.2%、同じく医療法人で25カ所、16.1%、社会福祉法人で18カ所、11.6%、その他4カ所、2.6%。なお、合資会社を含んだこれらの営利法人の占める割合が全体の71.6%となっております。
それから、3点目の外部評価の関係でございます。評価機関でございますが、現在、都道府県が認定する評価機関の立ち上げを急ぎ進めておりますけれども、それまでは国の第三者評価の委託先であります高齢者痴呆介護研究・研修東京センターに依頼して実施しております。
同じく3点目の進捗状況でございますが、9月時点で152カ所の事業所がありますが、実施済みのところが47カ所、それから日程調整済みが73カ所でありまして、未確定が16年度開設分を含んで32カ所ということで、実施済みのところはややおくれておりますが、16年度開設分を除きますとすべてのところで日程調整が終えておりますので、その日程に沿って順次進められていくと考えております。
それから、評価項目でありますけれども、全体では71項目に及んでおりまして、運営理念に関するもので4項目、それから生活空間づくりについて10項目、具体的なサービス提供状況にかかわるケアサービスについて38項目、職員の育成や家族、地域との交流にかかわる運営体制について19項目の4分野から構成されておりまして、評価結果はインターネットのホームページで公開されております。
◆本郷俊史 委員 札幌市から委託を受けて、在宅介護支援センターでいろいろ各種事業を実施してきていると。サービス量は着実にふえているけれどもその効果については課題があると。これは国で言っていることと同じことかと思います。東京の葛飾区で、高齢者要介護の方たちへの機械を使った筋力トレーニング、こういうのをやっていまして、13人の参加者中4人が要介護度2から1へ改善になったと。また、3人が要介護度1から要支援に改善したと。実に半数以上が、この機械を使った筋力トレーニングによって要介護度が改善していると。これは同じく世田谷でも、3カ月コースですけれども、16名中14名が改善して6名が認定から外れたと、いわゆる自立になったと。
札幌市も、今、厚生労働省委託の調査研究事業ということで、東区、西区の健康づくりセンターで同じような取り組みをされていて、これはまだ実施中ですので、終了すればそういった効果ということが検証できるのではないかと思うのですが、要するにそういった目に見える形での効果、検証が、先ほど来ありました今後の介護保険制度の改正に向けて、今後問われてくると思うのです。
そこで、寝たきり等介護が必要になる大きな原因の一つに、転倒骨折というものがあります。平成13年度の厚生労働省の国民生活基礎調査では、介護が必要となった原因の第3位がいわゆる転倒骨折で、脳卒中、衰弱に次いで第3位、12%と。特に、本市は積雪寒冷ということで、雪道での転倒事故も多いわけでございます。
消防局の救急出動を見ますと、平成6年から14年の8年間、年平均859件と、毎年大体40件ぐらいふえていっていると。高齢者ほど人口に対する出動割合が高く、特に、女性の65歳以上に負傷程度が重く、3週間以上の入院も5%あったと。こういった転倒骨折などで介護が必要となるという原因に対する具体的、効果的な支援策というものが、今後必要と考えるのですけれども、本市としてはどのような考えで、どのように取り組もうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
それから、グループホームについては、7割が有限法人や株式会社といった、そういう法人だと。また、外部評価も始まったばかりで効果については、これからだろうというふうに思うのですけれども、今のところ札幌市では起こっていないといいますか、表面化していないわけですが、全国では虐待で指定取り消しを受けたグループホームも数カ所あると。こういった中で、札幌市としてこうした問題に対してどういう対応を考えているのか、お聞きをしたいと思います。
それから、外部評価について、4分野71項目の評価がされると。ですから71項目すべてできていれば71項目中71ということでパーフェクトなのでしょうけれども、実際にはその施設、施設で60項目しか達成されていないとか、あるいは50項目しか達成されていないとか、そういったばらつきがあると思うのです。こういった評価結果の利用についてどういうふうに考えているのか、お伺いをしたいと思います。
それから、先ほどありました外部評価の日程が未確定のところ、特に平成16年度開設分、これはまだ開設して1年経過していないわけですから、そういった中で32カ所あるということですけれども、今年度中に実施する見込みがあるのか、その3点お伺いいたします。
◎中田
保健福祉部長 まず、1点目の介護予防、特に転倒骨折などに関して、札幌市としての考え方、そしてどう取り組もうとしているかという点でございます。
基本的に介護が必要となる要因として、若い世代からの生活習慣、あるいは老化に伴う心身の生活機能の低下が考えられます。介護予防を進めるためには高齢者の社会的孤立を防ぎ、自立生活を支援していく、さまざまな高齢者の生きがいと健康づくり事業、また、生活支援事業などを総合的に推進する必要があると考えております。
特に、効果的な介護予防を進めるという観点から、転倒による骨折が引き金となりまして介護が必要な状態や寝たきりになるなど、高齢者の介護予防を進める上で転倒骨折予防が重要なことでありますので、新まちづくり計画の中では、転倒骨折予防推進ネットワーク事業というものを重点事業と位置づけまして、介護予防事業の充実強化を図っていきたいと考えているところであります。
それから、グループホームの関係でございまして、1点目の不適切なサービス、虐待の防止策という部分であります。厚生労働省もグループホームの実態調査が必要との考え方で、都道府県と保険者である市町村が連携して平成16年度中に全グループホームの調査、指導を行うよう指示を出しておりまして、札幌市内のグループホームに対しましては、石狩支庁を含む北海道が3分の2、札幌市が3分の1の割合で分担しまして、9月から3月までの予定ですべてのグループホームを対象に調査、指導を行っていくこととしております。
なお、札幌市の調査分54件中、10月8日現在で12カ所の調査を終えておりますけれども、現在のところ、処遇面を含め不適切な運営を行っているグループホームはございません。
それから、外部評価の関係で結果の利用ということでありますが、先ほど申し上げましたようにインターネットで公開されておりますが、一つには、グループホームを利用される方々がその情報を得て、それを選択する際の目安となるということがありますし、事業にとってもサービス向上に向けての改善点などを明確にして、その助けになるというような利用ができると考えておりまして、グループホーム運営のレベルアップに寄与するものと期待しております。
それから、日程調整未確定なものの実施の状況でございます。32カ所残っておりますが、開設後1年以内に外部評価を受けることになっておりますので、大部分は今後日程調整を行い今年度中に実施される見込みでございます。
◆本郷俊史 委員 グループホームの方は、外部評価がインターネットのホームページで公開になっているということですので、それが施設側としても一つの歯どめといいますか、そういった形になるのかなと思っております。ぜひ、これも先ほど来話がありますとおり、不適切な対応といいますか、こういったことに対しては札幌市としても積極的にかかわっていただきたいと思います。
今、新まちづくりの転倒骨折予防推進ネットワーク事業の話がございました。これは17年、18年の2カ年でやるということだと思うのですけれども、この事業の中身と進め方について、もう少し詳しく説明をお願いしたいと思います。
◎中田
保健福祉部長 新まちづくり計画の中の重点事業に位置づけております転倒骨折予防推進ネットワーク事業でございますが、事業の中身といたしましては、医師や理学療法士などによる転倒骨折予防の推進協議会を設置しまして、転倒骨折予防のための指針づくり、また、市民がみずから転倒の危険性を自己診断できて、予防に取り組めるように危険度予知のための自己診断表の作成ですとか、また、転倒骨折予防の普及啓発を図ることなどを内容として考えております。医療機関や関係団体などとのネットワーク、協力関係によってこれを進めてまいりたいと考えております。
◆本郷俊史 委員 各機関と連携しながら2年かけて指針を作成するということですけれども、問題は指針を現実的な取り組みとしていかに効果を上げていくかということだと思うのです。ですから指針をつくった後が大事だと思うのですが、筋力トレーニングの例を先ほど述べましたけれども、この指針をつくった後の取り組み、この事業を進めてどのように生かしていくのかということを最後にお聞きをいたします。
◎中田
保健福祉部長 転倒骨折予防の指針についてですけれども、この内容といたしましては、骨粗しょう症の予防、筋力トレーニング、それから機能訓練事業、転倒予防教室、住環境の整備といったことなど、総合的な転倒骨折予防を進めるための手引書でございまして、この指針に基づきまして、これらの事業内容の充実を図って、先ほど申し上げました在宅介護支援センターですとか各区の老人福祉センターなど、それらを実施している関係団体との連携を進めて、体系的な事業展開が図っていけるというふうに考えております。
○大嶋薫 委員長 以上で、第3項
老人福祉費及び介護保険会計の質疑を終了いたします。
次に、国民健康保険会計決算の質疑を行います。
◆小川勝美 委員 昨年度の国保の決算にかかわって、また、国保問題について数点お尋ねをいたします。
昨年4月から国民健康保険料の賦課方式の変更が行われて、所得割については、それまでの市民税所得割方式から住民税額方式に変更される、そういう中で、所得の低い人に対して大幅な保険料の値上げが行われたわけでありますが、片方で中間層については値下げがされたわけであります。そういうことを反映したのかどうなのかよくわかりませんけれども、昨年度の国民健康保険会計の決算による収納率を見ますと、現年度で82.96%の収納率、前年度よりもアップしてきたと、こういうふうに説明をされております。また、累積赤字についても4年ぶりに4億8,200万円減少すると、こういうふうなことになってきておりますけれども、賦課方式の変更によって遺族年金だとかの、これらの層というのは比較的きちっと国保料を納める世帯でありますが、そういう人たちの保険料を上げること、負担をふやすことによって、全体として収納率のアップがなされてきたのかどうなのか。また、収納率が前年度より改善してきたということについてどういうふうに分析をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
しかし、全体としてはまだ収納率というのは非常に低くて、しかも滞納期間が長い、こういう場合については資格証明書の発行が行われております。昨年10月1日ですと1万4,110世帯に資格証明書が発行されておりますし、短期証は2万4,186世帯、合わせますと3万8,296世帯に発行されておりました。ことしの10月1日になりますと、資格証が1万3,136世帯、短期証が2万8,871世帯、合わせて4万2,007世帯と、昨年よりも大幅にふえておりますが、資格証については、昨年同月10月1日と比較をしますと974世帯減少してきています。逆に短期証は4,685世帯ふえております。病院に実質かかれない、病院へ行ったら医療費を全額負担しなければならない、こういう資格証が1万3,136世帯と、昨年同月と比較をすると約1,000世帯減少してきている。
その理由の一つに、昨年12月に要綱改定をいたしましたよね。私は、それまでの間何度か、機械的に発行しているのではないのかと、そして、国保加入者ときちっと接触をするようにして、十分な資力がありながら故意に国民健康保険料を滞納している、そういう人たちに限定すべきだということを一貫して主張してきました。昨年同月と比較して974世帯減少したのは、これは要綱改定によって札幌市の対応に変化があらわれたことによるものなのかどうなのか、お尋ねをしたいと思います。
それから、資格証明書が、今なお、それでも1万3,136世帯も発行されている、こんな状況にあるわけです。こういう人は実質病院にかかれないわけで、今までも手おくれになって命を落としている人が何人も出ている、こんな実態にあるわけでありますから、今後、これらは具体的にどう改善されていこうとしているのか、これについてお尋ねをしたいと思います。
また、ことしの春の予算議会で、私は、釧路市が少子化対策の一環として、子供のいる世帯に対しては資格証を発行しないと、こういう取り扱い方針を決めたようだということを述べて、政令指定都市の中で最も少子化が進み、合計特殊出生率が1.06という状況になって、全国に先駆けて次世代支援育成行動計画をつくっている札幌市が、子供のいる世帯に対して資格証明書を発行して病院にかかれないようなやり方はやめるべきではないかと、当時、児童家庭部も所管をしておりました宮田局長にお尋ねをしておりますが、宮田局長は、釧路がどういうふうにしているのか参考にしながら、それが積極的にやれるものであればやっていくべきかなと考えておりまして、委員のご指摘は真摯に受けとめたいと思っておりますと、こういう答弁がなされました。それで、その後、札幌市としては具体的に釧路に調査に行ったのかどうか、どうやっているのか、これをお尋ねをしたい。
しかも、この10月1日からは、乳幼児医療費が小学校入学前まで拡大されました。これらついては、当然、医療助成対象者には資格証明書は発行されていないと思うけれども、それがどうなのか。
今、学校では、修学旅行だとか宿泊学習のときには、保険証の写しを持ってくるようにと。何かがあったとき、それを使って病院に行かなければならないからということで担任の先生が子供たちに求めていますけれども、現実には保険証がない世帯というのが多いのです。それから、4月に全校生徒に出していただく健康カード、この中にも保険証がないと。こういう世帯が増加をしているし、資格証の世帯は、資格証はあってもコピーして持っていかれないのです。
こういうことについて、宮田局長が真摯に受けとめて検討したいと、こういうふうにご答弁をされておりますので、少子化対策の一環として具体的にどのようにされたのか、まずお尋ねをしたいと思います。
◎岡村 国保収納対策担当部長 まず、1点目の収納率向上の要因ということでございますけれども、収納率向上の要因につきましては、収納対策の強化を含めさまざまな取り組みの結果であると認識をしております。保険料賦課方式の見直しと収納率の関連につきましては、見直しの目的が、委員おっしゃるように中間所得層の負担を緩和し、保険料負担の公平を図ることであるといったことから、これらの所得層に対しては収納率に寄与したものと考えているところでございます。
それから、2点目の資格証明書の交付数等でございますけれども、要綱改正後、夜間、休日相談、あるいは電話督励に加えて外勤訪問を強化するなど、これまで以上に滞納者との納付折衝機会の確保に取り組んでまいりました。この結果、交付率が低下しているということでございまして、要綱改正の効果があったものというふうに考えてございます。
それから、3点目の児童生徒の関係でございますけれども、まず、釧路市の関係ですが、この調査は電話で聞き取りにより行いました。釧路市の状況についてでございますけれども、あくまでも納付約束を前提に資格証明書の解除をしているというふうにお聞きをしております。
本市といたしましては、資格証明書の交付につきましては、個々の具体的な事情の把握により判断すべきものと考えておりまして、児童生徒であるという形式的要件、これをもって一律、画一的に対象としないということは、負担の公平の観点から難しいというふうに考えております。
なお、昨年12月に、先ほど申し上げましたように資格証明書関係の要綱を改正しておりまして、滞納の解消が見込まれる場合にも、資格証明書の解除ができるよう取り扱いを改めておりますので、今後とも適切な運用に努めてまいりたいと考えてございます。
◆小川勝美 委員 釧路はこの4月から、子供、児童生徒のいる世帯に対しては、わかりました、払います、子供が病気だからという場合は、すべて無条件で、しかし、それはもちろん接触して、払いますということで全部解除しているのです。もちろん、子供の分は、その前の乳幼児医療の関係がありますから、きちっと調べていただいて、片方で少子化対策だといって、次世代育成の行動計画だなんてつくって、保健福祉部は全然関係ない、考慮しません、少子化対策なんてそんなの関係ありませんと、こういう対応はいかがかなと思うのですけれども、これはだれに聞いたらいいのですか。宮田局長は子ども未来局というのができたから、ことし3月の予算のときとは違いますので、小澤副市長に聞かないと局が違うことになりますが。やはり、合計特殊出生率が1.06と、政令指定都市の中で最低になってきている。そして、この3月の議会では、宮田局長は真摯に受けとめていきたいと言っていたのだけれども、去年の12月1日の要綱改定と何も変わっていないということを、先ほどの岡村部長の答弁ではなされたわけですよね。ここは何かもう少し少子化対策の一環として、子供が病院にかかれないようなことになって、重症化して命を落とすようなことが起こらないうちに改善策をとるべきではないかと思うのですけれども、まず、この点についてお尋ねをしたいと思います。
◎小澤 副市長 釧路については、4月1日からそういう状況になったということは私はまだ承知しておりませんけれども、そういう意味では、また改めて釧路市の状況を調査したいと思います。
少子化対策につきましては、小川委員よくご存じのとおり、子ども未来局だけがどうのこうのという話では全くありませんで、札幌市全体で取り組まないと、この危機的な合計特殊出生率の改善はなされないということは強く意識しております。
◆小川勝美 委員 ぜひ、その辺、何らかの改善策を。子供のいる世帯に対しては、窓口なんかでももっと真剣な対応をしていただいて、そして保険証がなくて、修学旅行があっても宿泊学習があっても、学校に保険証の写しを持っていかれないと、そんな子供が一人もいないような状況になるように、収納対策の面で、特に資格証の面で対応していただきたい、こういうことを強く求めておきたいと思います。
その資格証が全体として少しは減少してきたのですけれども、札幌市の国保加入者というのは、この間、所得が本当に下がってきていますよね。昨年の国保料賦課時で1世帯平均所得が126万8,000円です。ことしの国保料賦課時はさらに4万2,000円下がって122万6,000円と、こんな状況になってきております。
こういう中で、保険料だけは1世帯平均14万1,597円と、こういう国保料がかかってきているわけですから、毎年料率が上がるのです。これは市民税所得割方式から住民税額方式に変更しても毎年料率が上がって、重い負担率で国保料がかかっている中で、しかも所得が全体として低下をしてきている。
いただきました資料を見ますと、所得段階別未納状況調べというのがありますが、札幌市の国保加入者の53.65%は所得100万円以下ですよね。こういうところがやっぱり非常にきついし、また、未納割合が多いのは350万円のところと、こういう状況になっているのですが、これらの状況と比べて、最近、札幌市の滞納世帯に対する対応で変化してきているのが滞納処分、これは差し押さえだと思うのですけれども、昨年度は22件、その前の年は26件と、それまでは1件とか6件とか4件とか、こんな件数だったのが、滞納処分がふえてきております。どういう人を対象にして滞納処分しているのか。今言った所得の低い人までもこういう滞納処分の差し押さえの対象にしているのかどうなのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
一方、国保加入者は非常に所得が低下して、100万円以下が53%も占める中で、国保加入者のうち所得が1,000万円を超えている人、これは収入ではなく所得ですから、基礎控除や扶養控除だとか、それから勤労控除の計算をしまして出てきた金額が1,000万円です。この1,000万円を超える世帯で滞納世帯が357世帯、昨年1年間全部未納、こういう世帯が68世帯あります。こういう世帯を対象にして滞納処分をされてきているのかどうなのか。昨年22件されているわけですけれども、全部未納の68世帯というのは、この後、どんな対応をされていくのか。これについてもお尋ねしたい。
そうしないと、100万円、200万円の、子供のいるような滞納世帯に、保険証を取り上げて資格証を出しながら、1,000万円を超える所得の世帯には資格証だけ発行して、あとはもういいですよということであれば、上田市長の「脱・不公平」というのが、こんなのが「脱・不公平」ということなのかなと、こういうふうに市民には映るのです。市長の選挙スローガンは「脱・不公平」ですよ。所得100万円や200万円のところから保険証を取り上げて、子供がいても資格証を発行している。しかし、片方で所得が1,000万円ある人が全部未納のままになっているとしたら、それ、本当に上田市政のもとでやっている仕事ですかと市民に映ると思うのですけれども、この点、どんな対応をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
◎岡村 国保収納対策担当部長 まず、滞納処分の対象ということでございますけれども、財産調査等を行いまして、あくまでも資力がありながら納付をしないという方を対象にするということにしております。
それから、非常に高額所得がありながら全期未納というようなお話がありましたけれども、これらの方に対しても、今後は財産調査等を事前にきっちりとやりまして、強制徴収、いわゆる滞納処分というものには力を入れていきたいというふうに考えております。
◆小川勝美 委員 子供のいる世帯とか、それから所得の低い世帯というのは、これは片方でやっぱり配慮していかなければならないのです。そして、資格証などは発行しないようにして、接触の機会を設けて、仮に短期証を発行してでも納付を促進させていくと、こういうことはやらなければならないのです。
1,000万円を超えている世帯で1年間に1円も払わないで、そのまま資格証を送っているからいいのだというのは、本当に公平なことなのかと思うのです。やはり、1,000万円所得があってこういう十分な資力がありながらも、何かの事情があったという場合はこれはまた別な話です、前年所得ですから。そういう場合は配慮しなければならないですけれども、1,000万円を超える世帯で357世帯が滞納しているのですよね。全部未納の世帯で滞納金額が3,845万7,000円、こんな金額になっているのです。
100万円以下と少ないところに資格証明書を出して、事務の手数料かけることも大事ですし、早く接触して資格証なんか発行しないで短期証を発行していくこともやっていくべきだと思うのですけれども、こういう1,000万円を超える世帯、1,000万円を超えるというのですから、この中に、2,000万円とか3,000万円の所得がある人も含まれている可能性があるのです。そういうところに、全部未納だ、資格証明書を送っているからそれでいいのだと、これは、私は、上田市長の「脱・不公平」とは合致しないと思うのですけれども、この点についても、最後に小澤副市長にお尋ねをして、私の質問を終わります。是正すべきだと思うのです。
◎小澤 副市長 やっぱり個々のケースをきちっと調査をして、払うべき資力がありながら払わない者については、先ほど部長が申し上げましたようなしかるべく対応をとるというのは当然のことだと思います。
○大嶋薫 委員長 以上で、国民健康保険会計の質疑を終了いたします。
次に、老人医療会計決算の質疑を行いますが、通告がございませんので、質疑を終了いたします。
ここで、理事者の交代がありますので、暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後5時
再 開 午後5時3分
──────────────
○大嶋薫 委員長 委員会を再開いたします。
最後に、第5項 健康衛生費の質疑を行います。
◆高橋克朋 委員 私からは、大型の普通浴場対策について質問したいと思います。
大型の普通浴場対策でありますけれども、銭湯は市民の日常生活にとって必要不可欠な施設であり、現在、北海道では、入浴料金は370円と安く設定されております。市民の健康増進を図るとともに福祉の向上にも寄与するなど、重要な役割を担っていると思います。
また、地域住民の交流の場でもあり、日本人文化の一つとも言える銭湯でありますけれども、昨今は自宅にも内ぶろが急増して、いわゆるスーパー銭湯と言われる大型の普通浴場もふえて、地域に密着した昔ながらの銭湯の経営にも少なからず影響を及ぼしていると思います。
いわゆるスーパー銭湯は娯楽的要素が強くて、従来の銭湯とは異なるものと思いますが、配置基準をクリアし、構造基準に合致していると普通浴場として許可を受けられ、本市においては銭湯と同様の優遇措置を受けられると聞いております。
このような大型のスーパー銭湯がふえてまいりますと、近隣の昔ながらの銭湯の経営を圧迫し、このままの状態では廃業する施設もふえ、市民の健康保持に支障を来すことが危惧されるところでもございます。さらには、このことにより、市に納められるべき上下水道料金や固定資産税などが入らず、
財政状況にも影響を及ぼすことにもなります。
このような現状について、公衆浴場法の趣旨を踏まえ大型の普通浴場対策について、以下、何点か質問したいと思います。
1点目は、普通浴場とは一体どのようなものを言うのか、その定義についてお示しをいただきたいと思います。
2点目は、過去5年間における市内の普通浴場の施設数の推移について伺います。
3点目は、普通浴場に対する市の優遇措置は一体どのようになっているのか、お伺いをいたします。
◎坂本 生活衛生担当部長 1点目の普通浴場の定義についてのご質問にお答えをいたします。
まず、公衆浴場は、北海道公衆浴場法施行条例において、普通浴場、福利厚生浴場、その他の浴場の三つの種類に分類されておりまして、銭湯はこの中の普通浴場に該当いたします。
普通浴場は、この条例で、利用目的及び形態が、地域住民の日常生活において、その健康の保持及び保健衛生上必要不可欠なものとして使用されるものと定義をされており、入浴料金につきましても、市民生活の安定を図るため、物価統制令の規定により、今、お話もありましたけれども、北海道内では現在、中学生以上の大人が370円、小学生が140円、未就学児は70円の、統一料金となっております。
次に、2点目の過去5年間における普通浴場の施設数の推移についてのご質問にお答えいたします。
平成11年度末における施設数は143、平成15年度末では126でありまして、この5年間で17施設が減少しております。内訳を申し上げますと、廃業者施設が22、新たに営業開始したものが5施設でございます。
次に、3点目の優遇措置に関するご質問にお答えをいたします。
普通浴場に対しましては、公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律により、国または地方公共団体は、公衆浴場の確保を図るため、必要と認める場合には、所要の助成、その他必要な措置を講ずるように努めるものとすると規定をされております。
この規定に基づきまして、本市では、公衆浴場のうち普通浴場に対し、上下水道料金、固定資産税及び都市計画税の軽減等の優遇措置を講じているところでございます。
◆高橋克朋 委員 ただいまの答弁では、公衆浴場は三つに分類されると。そのうち銭湯は普通浴場であり、物価統制令の規定によって統一料金で営業していると。かつ利用目的及び形態が地域住民にとって必要不可欠なものとのことでありますが、スーパー銭湯も普通浴場として営業する場合は、銭湯と同様の優遇措置を受けられることになります。
このことにより、昔ながらの銭湯の経営に影響を及ぼし、結果として廃業に至る、そういうケースもあるわけでございます。地域住民が普通浴場を利用する機会を確保するために、市では法律の規定に基づき、さまざまな優遇措置を講じているとのことでありますが、今の話ですと、過去5年間で新たに開業したのは5件あるけれども、廃業したのが22件もあるということをお伺いいたしました。
そこで質問でありますけれども、1点目は、これらの普通浴場はどのような理由により廃業しているのか、お尋ねいたします。
2点目として、15年度における普通浴場に対する上下水道料金や固定資産税などの軽減額は、全体で一体どのぐらいになるのか、お伺いをいたします。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず、1点目の普通浴場の廃業理由についてのご質問にお答えをいたします。
先ほど申し上げました22施設の廃業の理由でありますけれども、経営不振によるものが8件、営業者の高齢化や病気によるものが8件、死亡によるものが3件、後継者不在が2件、転業が1件でございます。
次に、2点目の平成15年度における上下水道料金等の軽減額についてのご質問にお答えをいたします。
平成15年度の実績では、普通浴場に対する上下水道料金、固定資産税及び都市計画税の軽減等の総額は、約2億4,500万円となってございます。
◆高橋克朋 委員 ただいまの答弁で、経営不振による廃業が8施設あるとのことでありますが、経営不振に陥る背景にはさまざまな要因があると思われます。自家ぶろの普及による入浴客の減少などのほかに、いわゆるスーパー銭湯による影響も一因と考えられます。また、市が優遇している軽減額は全体でおよそ2億4,500万円ということでありますけれども、この中で、いわゆるスーパー銭湯と言われるおふろ屋さんの占める割合というのも相当な額であると、こう推測されます。昔ながらの銭湯とスーパー銭湯との中でこのまま一律に軽減措置をずっと続けていくと、地域に密着した昔ながら銭湯の経営を圧迫して、市民の保健衛生にも支障を来すことが危惧されます。
公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律ということで、ことしでありますけれども、4月16日、新たに施行されております。その中では、地域密着型の普通浴場の減少に歯どめをかけることを目的としているものでもあり、レジャー型のスーパー銭湯にも一律に助成すべきではないと、私はこのように考えております。
そこで、質問でありますけれども、今後、本市として、スーパー銭湯対策についてどのように対応していくのか、お尋ねをいたします。
◎坂本 生活衛生担当部長 いわゆるスーパー銭湯に対する今後の対応についてのご質問にお答えをいたします。
スーパー銭湯は、近年ふえてまいりました新しい形態の公衆浴場でありまして、そのうち普通浴場として許可を受けている者に対する助成措置のあり方につきましては、それぞれの関係部局において慎重に検討を進めていく必要があるものと考えております。私ども、公衆浴場の許可を行う者といたしましても、今後の適切な公衆浴場行政の推進を図るため、大型浴場、いわゆるスーパー銭湯対策について、他都市の状況も参考としながら検討してまいりたいと考えております。
◆高橋克朋 委員 今も申し上げましたけれども、公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律では、目的として、住民の健康の増進等に関し重要な役割を担っているにもかかわらず、著しく減少しつつある状況にかんがみと、こういうことで法律が新たに改正されているわけでございます。スーパー銭湯を入り口の段階で許可をしないということは、法律上できないのは私もよく理解をしておりますけれども、実際には、スーパー銭湯の進出が昔ながらの銭湯の経営に影響を及ぼすこともあるということを理解をしていただきたいと思いますから、ぜひ、今後、大型の普通浴場対策について行政が適切な施策を進めていくことを要望して、終わります。
◆佐藤典子 委員 私からは、遺伝子組みかえ食品の検査について、特に遺伝子組みかえ大豆を中心に質問させていただきます。
昨年の3定のこの特別委員会でも、遺伝子組みかえ食品の検査について、ぜひ検査を進めて、そして公表していただきたいということをお願いしました。
今回、キッチンメールでもう既に報告されておりますが、大豆が5検体、そして産地はアメリカと中国のものであったということ。そして含有率は、5%以下のものが5検体ともすべてであったというようなことが公表されております。
昨年10月に、遺伝子組みかえ大豆などの検査の話をさせていただきまして、その後、皆さんご存じのように、遺伝子組みかえ大豆が長沼で栽培されていたということがわかりまして、98年、99年に除草剤耐性の遺伝子組みかえ大豆が4.6ヘクタールで試験栽培され、ある業者に出荷された。現在は、遺伝子組みかえ大豆の栽培はないけれども、来年度0.3から4.6ヘクタールで除草剤耐性の遺伝子組みかえ大豆を本格的に栽培し出荷する予定であるというようなことが新聞でも報道されていますし、先日の北海道農政部道産食品安全室からいただきました資料にも、そのようなことが報告されております。
これまでは、大豆は表示をする義務があるというので、2001年から表示義務が課せられたわけですが、長沼の大豆については表示義務がないときのものなので、先日、担当の方にもお聞きしましたが、どのように流れて行ったかはわからないであろうということでした。
私は、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」を代表されておられる天笠さんという方と、いらないネットという活動でご一緒させていただいたりするのですが、その方からいただいた資料で、2004年1月からの情報をちょっと聞いていただきたいと思います。
2004年1月に、全米科学アカデミーが公表したものの中に、遺伝子組みかえ作物が意図せざる影響を引き起こすのを完全に封じ込めるのは難しいというような報告書が出されております。そして、その後、2月にアメリカの民間科学者団体の憂慮する科学者同盟が、アメリカで販売されているトウモロコシ、大豆、菜種の種子に遺伝子組みかえ汚染が広がって、最大1%汚染されているという報告書を出しております。このようなことから、今、アメリカでの全大豆中の遺伝子組みかえ大豆の作付割合が、何と2004年度の予測として86%に達しているというふうに聞いております。
日本はどうかというと、大豆の輸入量の約8割をアメリカに依存しているということで、こういう状況の中でこの検査体制をますます強化せねばならないという実態、そして、そのことは明らかであると考えおります。
世界的に見ると、全大豆畑に占める遺伝子組みかえ大豆の割合というのも55%に達しているということで、大手企業のモンサント社の除草剤耐性大豆というのが出回っているということであります。今、ここで申し上げましたのは中国産とアメリカ産であったということで、中国産のものはどうなのだろうといいますと、中国は今のところは遺伝子組みかえ大豆を栽培していないということですが、同時に世界最大の輸入国であって2,300万トン、これは2003年度から2004年度にそれだけの輸入をしているということだそうです。
日本の輸入量が515万トンですから、かなりの量を中国は輸入している。それで、日本に入ってくる中国の大豆も、もしかしたら混入しているのではないかという、そういう疑いが持たれている状況だということです。
それで、質問させていただきます。
先ほども申し上げましたが、98年、99年の表示義務がなかったときのものは行方がわからないということだったのですが、今の現状ならば、この大豆が遺伝子組みかえのものだということをしっかりキャッチできる体制になっているのかどうか。まず、その1点を教えてください。
そして、今、アメリカ産と中国産のものを検査されたということですが、このような日本の状況を見ても、この後、十勝の音更町でもつくってみたいという農家が出ているというふうにも聞いておりますので、国産の大豆も合わせて検査体制を厳しくしていかなければならないのではないかと思うのですが、その点いかがか、この2点についてまずお答えください。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず、1点目の遺伝子組みかえ大豆の流通時の確認についてのご質問にお答えいたします。
遺伝子組みかえ食品にかかわる表示につきましては、平成13年4月より、食品衛生法で規定されておりまして、遺伝子組みかえ大豆については流通段階において遺伝子組みかえ大豆である旨の表示が義務づけられております。したがいまして、この表示をもって遺伝子組みかえ大豆の流通を確認することができると考えております。
2点目の国産大豆の検査予定についてのご質問にお答えいたします。
国の見解では、国内においては遺伝子組みかえ大豆の商業栽培は行われていないとされていたため、これまでに検査した大豆はすべて輸入大豆でございます。今後、国内において、遺伝子組みかえ大豆の商業栽培が行われる段階には、検査について検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 国産大豆は商業栽培はしないということできておりまして、今、北海道のその農家に厳しく申し入れているというところでありますし、国も商業栽培は認めないという基本的なスタンスは持っているようですので、注意をしながら、ぜひ国産大豆の検査体制も視野に入れて検査を進めていただきたいということを強く要望させていただきます。
そして、今、国民の8割以上がこの遺伝子組みかえ食品について不安であるとか、食べたくないというような声を出しております。そういうことを踏まえますと、この表示が5%以下だから大丈夫だよというだけではなかなか市民や消費者の不安が払拭されない状況でもあります。それで、やはりだれもが、今、状況がどうであるかという情報を丁寧に伝えていただきたいというのがもう一つの望みであります。
今、5%以下のものに関しては、先ほども申し上げましたが検査対象になっており、この検査の書き方も、含有率5%以下のもの5検体だったら、ただ5と書いてあるだけなのですね。それで、例えば、さらにこれが4%は何検体、3%はこうだと、5%以下のものに関しましても、その数字と検体数の表示をし、ぜひ公表をしていただきたいというふうに思っておりますが、そのことについてお答えください。
◎坂本 生活衛生担当部長 検査結果を数値まで公表するということに対する本市の考え方についてのご質問にお答えをいたします。
遺伝子組みかえ食品の定量検査の結果につきましては、現段階では食品衛生法の表示の規定にあわせまして、検査成績表には5%を超える、あるいは5%以下という記載をしているところでありまして、この結果はキッチンメール等で公表しているところであります。
具体的な検査数値につきましては、公表している自治体はございませんが、今後、他の自治体の動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。
◆佐藤典子 委員 他の自治体はないかもしれないのですが、この札幌におきましては、北海道の食の安心・安全条例も、今つくられようとしているときに、安全な食を守るという観点から、ぜひ前向きにこの5%以下の数値と検体数も公表していただけるよう強く要望させていただきます。
それから、先ほどから大豆のことを申し上げておりますが、今、日本の食卓に上る豆腐の原料として用いられている大豆なのですけれども、国産の割合としては農水省の推計で31%だそうです。これは2002年度の推計です。そして、今、日本の大豆全体の自給率が5.2%、これは2001年度のものですが、ということから、国産大豆は豆腐に用いられる割合が高いということが本当によくわかります。その残りの69%が主にアメリカなどからの輸入ということになっています。それでアメリカから輸入する場合は遺伝子組みかえでない大豆を生産している農家から購入して、かつ証明書が添付されているということなのですけれども、先ほど申し上げたようなアメリカの実態なわけですから、とても安心ということには結びつかないというのが現状であると思います。
要望でありますが、今、遺伝子組みかえ大豆を使っている豆腐もこの検査の項目には入っておりませんので、ぜひそれも対象にしていただくよう要望させていただきます。
また、前回の質問のときに要望させていただきまして、キッチンメールなどに公表していただいて本当によかったなと思っているのですが、キッチンメールのホームページを開きまして、どこに遺伝子組みかえの数字があるのかと、実は半日探しました。どこから入れるかなと思いまして、いろいろ見たのですけれども、最終的には保健所の方にとても丁寧に載せられていたということで、やっぱり食の不安やそういうことを思う方が、どこからでもそのページを見られるようなホームページの工夫とか情報公開を望みますので、あわせて、だれにでも食の情報が伝わるような、そういう公表の仕方を重ねてお願いしたいと思います。
私からの質問は、以上です。
◆宮村素子 委員 私の方から質問いたします。
エイズ対策についてお伺いいたします。
エイズの感染拡大は世界的に深刻な状況にありまして、国連では世界のエイズウイルス感染者は4,000万人との推計の報告が出ているところでございます。これは15年度末の推計です。本市においても、エイズ予防普及啓発事業に大変に取り組んでいるということは承知しておりますが、私は、何といっても若者のエイズを予防するために、正しい知識を教えていくということが第一に必要なことだと考えているところでございます。
そこで質問いたします。1点目に、15年度のHIV感染者とエイズの発病者の動向、感染経路、10代の性感染症者、それと10代の人工妊娠中絶の数値についてどのような現状になっているのか、お伺いいたします。
2点目に、本市はこれまで若者を対象に、どのような普及啓発事業を、どれだけの人数に対して実施したのか、伺います。
3点目ですが、思春期ヘルスケア事業での啓発についてお伺いいたします。
平成14年度より開始した思春期ヘルスケア事業では、エイズに関する事業も行っているというふうに聞いております。開始から3年経過しておりますが、この事業の開始当時と現在では、実績はどのような状況になっているのか、お伺いします。
また、この事業を実施して学校や子供たちの反響があればお聞かせ願いたいと思います。
◎舘 保健指導担当部長 若者へのエイズ啓発についてお答えをいたします。
1点目のエイズ及び10代の性感染症、人工妊娠中絶の実態についてでありますが、札幌市における平成15年の新規HIV感染者は2名、患者は7名が報告されており、累計は感染者30名、患者24名、合わせて54名となっております。感染経路につきましては、54名のうち経路が判明している36名はほとんどが性的接触によるものであり、異性間性的接触17名、同性間性的接触18名となっております。
次に、10代の性感染症患者についてでありますが、平成15年の発生動向調査によりますと、性器クラミジア感染症では、15歳から19歳で248名の患者が報告されており、1医療機関当たりの1カ月の報告患者数を全国と比較しますと、全国平均の2.7倍という高い状況になっております。
また、人工妊娠中絶につきましては、厚生労働省統計によりますが、平成14年の統計になりますけれども、15歳から19歳の女子人口1,000人に対する人工妊娠中絶率は全国平均が12.8のところ、札幌市は24.0と全国の約1.9倍になっております。
2点目の若者へのエイズ啓発についてでありますが、札幌市では、若者に対しさまざまな普及啓発を行っているところでありますが、平成15年度は若者向けにデザインした冊子、フリーペーパーを4万部作成し、街頭での配布を初め、市内高校27校に1万5,000部、大学5校に1,800部、成人式で2,600部をお配りしたほか、喫茶店など若者が集まる場所にもこの冊子を置かせていただいたところであります。
また、市内のファッション、音楽、スポーツなどの69の店舗で、エイズ患者、感染者との共生を示す世界共通のシンボルであるレッドリボンを店員の方に着用いただき、若者たちへのエイズに対する普及啓発を図ったところでございます。
さらに、エイズについて若者同士が語り合う参加型勉強会を開催いたしましたが、これは残念ながら参加者が5名と少ない状況となっております。
次に、3点目の思春期ヘルスケア事業の実施状況についてでありますが、事業開始の平成14年度は、小・中学校20校を対象に28回実施し、参加者は2,894名でありました。平成15年度は、対象を高等学校にまで広げ、37校、53回、8,752名に実施し、平成16年度は、9月末現在で39校から65回の申し込みを受けております。
実施校のうち新規の申し込みにつきましては、平成15年度は26校、平成16年度は24校となっており、事業開始の3年間で合わせて70校への実施と、年々実施数は増加してきております。
また、授業のテーマにつきましては、エイズ及び性感染症に関するものが、平成14年度は4回、平成15年度は11回、平成16年度は17回と要望が高くなってきております。さらに、授業終了後の児童生徒の
アンケートでは、エイズや性感染症が身近で大変な病気だとわかった、正しい知識を身につけ、自分も相手も大切にしなければならないと思ったなどの感想が寄せられ、およそ9割が授業の内容を理解できたと答えております。また、学校からは、保健の専門職による授業を受けたことで生徒の理解を深めることができ、その後の授業を進める上で有効であったなど、事業を評価しておるところでございます。
◆宮村素子 委員 ただいまの結果を見ますと、若者への啓発についてということでは、パンフレット4万部、これは市がつくる従来のとは違いまして、やはり若者に見てもらいたい、そのためにNPOに依頼して新たな発想でつくったということで、私も大学でそれをもらったわけですけれども、やはり違うのだなという気がして、その大学でも学生たちはかなりそれを手にしていたと、そんな状況でございました。このフリーペーパーは、今後もさらに配布をしていくべきというふうに思っています。高校で1万5,000部、大学で1,800部、成人式で2,600部ということでございますので、これらの次年度の予算にはしっかり取り組んでほしいなと思うところです。
しかし、若者にフリーペーパーを渡して、認識して、それに伴って行動してねという願いを込めて啓発事業として渡すわけですけれども、具体的には、やはり若者の心にしっかりと響く授業というのでしょうか、話をしてほしいなと、それを期待するわけです。先ほど、参加型のセミナーは、5名の参加しかなかったと、そういったことが明らかであります。
また、地域でいろいろなエイズの研修、などと新聞に載っていますよね。私も行ってみるのですが、やはり大変参加者が少なくて、どちらかというと医療関係者、教育者、そういう方たちが、何とかしてこの問題を解決するためにという思いで来ているのですね。実際に若者は参加していないと、そのような状況であります。
また、思春期ヘルスケア事業、これもぜひやるべきだと言いまして、取り組んでいただきまして、13年、14年、15年と、13年から比べますと学校からの要請、それから対象の子供たちが3倍にふえているということは、この事業は大変ヒットではないかなというふうに思っているところです。
しかし、10代の性感染症、それから中絶数に関しては、これは決して減っているとは言えない状況にありまして、その問題はどうしてもエイズ感染の機会、それと同時に発病の機会ということにつながってまいります。私は性行動が低年齢化して、全国に比べて性感染症、中絶数がこんなに圧倒的に多いということから、やはり、今回フリーペーパーを中学生に配布しているという答えはなかったのですが、若者向けの参加型のセミナー、そういったことに対する若者の行動が全然ついてこないといったことを考えますと、この思春期ヘルスケア事業への学校側からのニーズが大変高まってきていると。
それから、中学校、高校が、ある一定の期間に、それと関連させて、ある一定の学年、札幌市の子供全部を対象に、エイズ予防の啓発事業といいますか、学校で言えば授業ということになるのでしょうか、そういったことをしっかりすべきではないかと。ですから、むしろ義務教育の中でというふうに私は思っておりまして、それをすることが絶対的に重要だと思うところであります。それについてどうするのか、ぜひお考えいただきたいと思います。
次に、地域での取り組みについであります。
私は、エイズ予防に対しては家庭も地域も一緒に、今、学校で、一定の学年で全部ということを申し上げましたけれども、それと一緒に、地域もそれから家庭も、ともに頑張るべきだと思っております。しかし、寝ている子を起こすという考えが保護者や地域にあり、市の行っているエイズ対策が十分地域でも家庭でも理解されていないのではないか。ですから、どんなことをされているのかわからないから、下手に寝ている子を起こすようなことをやめてという親の気持ちもわからないわけではないのですけれども、これではだめだと思うわけであります。
それで、市が行っている事業を保護者や地域にしっかり伝えて、エイズの現状を認識していただくことが、若者のエイズ予防にもつながると私は強く考えているわけであります。
今後、地域に対しても、エイズの現状や市の取り組みを積極的に伝えていくべきではないかと考えておりますがいかがか、伺います。
◎舘 保健指導担当部長 1点目の若者全員を対象とした啓発についてでありますが、エイズ予防を効果的に進めるためには、若者の性に関する実態を把握した上で普及啓発を行うことが必要と考えております。現在、市立の中学校、高等学校の養護教諭の有志が、性教育に関するグループ研究の一環として、中学生、高校生を対象に
アンケート調査を行っているところであります。この調査結果をもとに、中・高校生に対するエイズ予防の普及啓発のあり方について、教育委員会と連携を図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
2点目の地域への取り組みについてでありますが、委員ご指摘のとおり、保護者や地域の人々にエイズの現状などを積極的に伝えることが、若者のエイズ予防に重要なことであると認識しております。保健センターにおきましては、小・中学校の保護者を対象とした思春期教室や健康フェアの機会を利用して、エイズの正しい知識や実態などについて啓発をしているところであります。今後とも、より一層家庭や地域への啓発に努めてまいりたいと考えております。
◆宮村素子 委員 ただいまのお答えの中で、性教育のグループ研究というのでしょうか、教育機関とも連携してしっかり調査をして、そしてどんな方法がよりよいのかということを今取り組んでいるということでしたので、ぜひその成果を待ちたいと期待しております。
次に、三つお伺いしますが、私は、今、研究グループでされることで、新たな取り組みの方法論がしっかりそこで出てくるということになればいいなというふうに思いますが、行政による新たな普及啓発方法の導入ということも必要ではないかというふうに思いますので、その辺について伺います。
若者のエイズ予防への関心は、さきに申しましたように大変低い。しかし、エイズという病気は、多くの若者は知っているのです。ですけれども正しくそれを予防するとか、どういったことで予防できるかとか、この病気の怖さはどういうことかとか、どこへ行けば検査をしてもらえるかとか、そういったトータル的なものでいきますと認識がずっと低くなるのです。病気というのは知っているのだけれども、総合的に、これについての関連した知識が十分あるかというとそうではない。そういうことから、関心のない若者にももっと浸透していくような新たな方法、手法を取り入れていくべきだと考えておりますが、何か妙案はないのか、伺います。
それから次に、保護者についても、思春期ヘルスケア事業は各学校で大変評価されている。それから授業を受けて子供たちも大変よく理解をしていると、9割以上がこう答えている。それから、先生方もうまくそのことを、その後の授業に生かしていけるということから考えますと、保護者にもこの思春期ヘルスケア事業の各学校での授業に積極的に参加してもらい、家庭でもエイズ予防について折に触れて話し合いができる、そういった環境づくりをしていくべきではないかと思っております。そういったことについていかがか、お伺いいたします。
それから三つ目は、関係団体と連携をした人材の活用であります。
効果的かつ踏み込んだエイズ啓発教育を実施するためには、啓発の担い手として、学校では今も医師を活用している向きもありますが、思春期ヘルスケア事業といういい側面も考えまして、ぜひ、医師、看護師、助産師などの関係団体としっかり連携して、今あるそれらの専門職を有効に活用していくような方法も考えるべきかと思うのですがいかがか、お伺いいたします。
◎舘 保健指導担当部長 1点目の新たな普及啓発手法の導入についてでありますが、私どもも若者のエイズ予防への関心はまだまだ低い状況にあると認識をしております。
したがいまして、今後、さらに若者に興味を持っていただくためには、若者の文化や流行も踏まえた手法が必要と考えておりまして、今や若者にとって必需品である携帯電話を使った情報提供、携帯サイトによってエイズに関する普及啓発を行ってまいりたいと考えております。
2点目の保護者の参加についてでありますが、保護者の理解を深め、家庭においてエイズ予防が話題となるように、一部の学校では思春期ヘルスケア授業の際に、保護者にも授業を参観してもらうなど、より実践的な対応を図っていただいております。
また、保健センターの専門職が家庭教育学級に出向き、家庭における性教育や若者の性の実態などについての講話も行っております。
今後とも、家庭、学校において、エイズ予防の取り組みが推進されるよう、教育委員会との連携を一層深めてまいりたいと考えております。
3点目の関係団体と連携した人材活用についてでありますが、エイズ予防を推進していくためにはさまざまな機会をとらえ、継続的に啓発していくことが必要であります。今後は、エイズ予防啓発にとって貴重な人材である専門職や医師会、看護協会など、関係団体との連携を図ってまいりたいと考えております。
◆宮村素子 委員 最後に、要望をしたいと思っておりますが、実は16年度のエイズ予防対策の予算が1,363万7,000円、これは普及啓発それからエイズの電話相談等にかかわる事業内容になっております。ちょっと一つ確認したいなと思っておりますが、例えば、エイズの抗体検査ですが、一応検査は1,800件ということで予算に上がっておりますが、例えば、普及啓発をして検査を受けようという方がこの倍になったとしたら、そうした必要性が起きたときには、予算的には、全部するということで理解していいのでしょうか。一つ確認です。
◎舘 保健指導担当部長 今、委員がおっしゃいました平成16年度の予算額につきましては、普及啓発事業費としての予算額でございまして、検査費については衛生研究所の方の予算の方に入ってございます。普及啓発によって検査件数がふえるように、これから私たちも働きかけてまいりたいと考えておりますし、対応が不十分になることのないように、当然、全員が検査できるような体制でということで臨むつもりでおります。
◆宮村素子 委員 わかりました。若者への普及啓発によって、若者が検査を受けて予防行動につながっていくと、そういった流れがしっかりできるように、ぜひ、来年以降の予算もこれに関しては削ることなくきちっと確保していただくよう要望するところです。
それともう一つ、人材活用に関してですが、例えば一定の予算というのがありますが、関連団体との協力によってさらに教育効果が上がったとしたら、費用対効果ということから見れば、今の予算を削るというのではなくて、事業のやり方によっていい方法を取り入れることで効果を上げるということをぜひ考えるべきではないかなというふうに思っておりますので、その件をお願いしたいと思っております。
◆伊与部敏雄 委員 私は、仮称札幌市第2斎場整備運営事業特定事業契約書、ここにこういう契約書を持っていますけれども、これは平成15年2月21日、札幌市の代表者、市長桂信雄、PFI斎場運営株式会社代表取締役高木和博、こういう契約書があるわけです。その中で、まず簡単なところから質問したいと思うのだけれども、仮称札幌市第2斎場、通称ね、ところが局別施策の62ページを見てください。仮称が入っていないのだけれども、仮称はいつから抜けたの、これ。仮称をとられて、正式名称になったのですか。そして、ここには第2斎場建設事業費、進入路整備、PFI事業との基本・実施設計協議等ということで、今度の決算では1億8,965万4,730円と書いてある。
まず、一番簡単な質問ですけれども、仮称はいつとったのですか、いつとれるの。どういう名称にするの。これをまず聞きたい。
◎坂本 生活衛生担当部長 新しい火葬場の名称についてのご質問にお答えいたしたいと思います。
新しい火葬場の正式名称でございますけれども、現在のところはまだ決まっておりません。現在、第2斎場ということで呼んでいますけれども、これは事業のスタート時から里塚斎場に次ぐ2番目の火葬場という意味で、仮称で第2斎場ということで呼んでおります。したがいまして、今、ご指摘もありましたけれども、現在におけるこの施設の正しい名称といいますか、それは契約書にございます、仮称札幌市第2斎場というのが現在の正しい表記でございます。
◆伊与部敏雄 委員 答弁漏れでないか。62ページには、仮称が抜けているけれども、どうなんだと聞いている。
◎坂本 生活衛生担当部長 この決算書の名称に仮称が抜けているということについてでございますけれども、これは、私ども事業部局の一貫性を欠いた事務処理でございました。私ども、関係部長といたしまして大変申しわけないというふうに思っています。
今後の正式名称が決まるまでの間でありますけれども、市民の皆様に誤解を与えないよう、仮称という表記をつけることを徹底してまいりたいというふうに考えております。
◆伊与部敏雄 委員 わかりました。
それで、やっぱり名称というのは非常に大事なのです。政治家でも俳優でも歌手でも、これは名前に命をかけている。そうなのですよ。やっぱり名称というのは大事なのです。それで、特に斎場というのは何々斎場にするのか、まだ決まっていないというわけでしょう。第2斎場ではないことは一つ事実だね、これ。
それから、山口斎場というのはやめていただきたいというふうに地元の人が言っている。なぜか。山口はスイカの名所だと。山口スイカ、山口カボチャ、これが山口斎場の隣でできたスイカですなんていったら、これは食べなくなってしまう。イメージが欠落するというのです。笑い話ではないのです。後ろで笑っている人もいるかもしれないけれども、笑い話ではない。生産者はあそこで何十年もスイカをつくって、夕張は夕張メロン、山口は山口スイカ、山口カボチャ、これは物すごくおいしいのですよ。
山口斎場という言葉とそれから第2斎場、これはつけないと。ほかに新しい名称を選ばなければならないと、私は個人的にそういう認識をしているのだけれども、部長、まず、いつまでに決めるの。それからどういう手順で決めるの。あなたが決めるの、だれが決めるの、これは。その辺の手続、手順、いつまで、それをはっきりしてください。
◎坂本 生活衛生担当部長 第2斎場の正式名称の決定時期等についてのご質問にお答えをいたします。
第2斎場の名称につきましては、現在のところ選定方法などは決まっておりませんけれども、他都市では選定委員会を設置したり、公募により決定している事例もございますので、選定手続、手順につきましては、これらの事例を参考にするとともに、地元の意向や、手稲区や関係部局との協議を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
また、正式名称を決める時期についてでございますが、平成17年度に第2斎場の設置に伴う本市火葬場条例の改正を行いますことから、平成17年12月末までに正式名称を決定し、条例の中で名称を規定することにしております。
◆伊与部敏雄 委員 わかりました。
17年12月末までに選定委員会だとか、公募だとかなんか、他都市でやっているようなことも踏まえて、手稲区の関係者と協議して決めると、そういうことなんだね、これ。(発言する者あり)何言ってるの、私が病院の話をしたら病院に入れないというし、火葬場の話をしたらおまえは焼いてやらないというし、老人ホームの話をしたら老人ホームに入れてやらないというし、おれ、どうしたらいいのだという話をさっきからちょっと言っていたのです。
それはともあれ、ここに契約書がありますけれども、契約書には契約金額が書いてある。すなわち、契約金額は185億4,852万2,000円なのです。これには何と何と何が入っているのですか。このほかに、平成12年からさまざまなことをやって、今まで幾ら使ってきたのか。これは契約日から平成38年3月31日までの契約書なのです。そして、これを慎重に一字一字読むと「185億4,852万2,000円に」と書いてある。この、「に」がくせ者なのです。「に金利変動、物価変動及び税制度の変更による増減額並びに消費税額及び地方消費税額を加算した額」と書いてある。この「に」から「加算した額」まで入ったら大体幾らになるのか。いつ払うのか、だれが決めるのか、この辺をもっと詳しくひとつ明らかにしていただきたいと思います。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず1点目でございますけれども、契約金額の内訳についてでございます。この185億円は第2斎場の設計と建設にかかる費用、第2斎場がオープンする平成18年4月から契約が終了する平成38年3月までの20年間の運営業務と維持管理業務に要する経費、それに事業者が建設費用に充てる金融機関からの借入金に対する金利相当額、各種税金などが含まれております。
この契約金額185億円につきましては、運営期間の20年間にわたって、毎年おおむね8億円から10億円に消費税等を加算した額をサービス購入料として事業者に支払うものでございます。
2点目のPFI事業者に支払う185億円以外、これまで第2斎場の整備を行う上でかかった費用についてでございますが、建設費用、建設用地と進入路用地の取得に約7億5,600万円、進入路の設計と路盤整備工事に約1億9,800万円、環境アセスメントに約2,600万円、PFI事業を行うに当たってのアドバイザリー業務の費用に平成12年度からの5年間で約5,500万円、その他測量費や事務費など、事業を進める上で必要な経費としまして1,900万円、合計で約10億5,400万円でございます。
次に、3点目の契約書における契約金額の表現についてのご質問にお答えをいたします。
第2斎場におけるPFI事業契約は、約23年の長期にわたる契約となっておりますことから、この契約期間に金利や物価の変動、税制度が変更することが想定されます。この変動や変更に対応するため、この事業契約ではこれらの変動等にあわせて事業者へのサービス購入料の支払いを増減させております。
つまり、事業期間中に金利や消費者物価指数などが高くなれば、それにあわせて事業者に支払うサービス購入料を増額することになりますし、逆に金利や消費者物価指数などが低くなれば、事業に支払うサービス購入料を減額する、そういう仕組みになってございます。
◆伊与部敏雄 委員 部長、今大変なことを答弁しているのだよね、はっきり言って。
一つ、わかりやすいところから行きましょう。アドバイザリー契約、これは平成12年から今16年度までと言ったね、5年間で約5,500万円払っていると。アドバイザーって、だれですか、どこですか、これは。前は第一勧銀総研、12年度やったときは、私もやりとりしたけれども、そんな人を連れてきて、まさか5,500万円もその人に払うとは驚いた。何をアドバイスされているのですか。
それともう一つ、62ページの基本・実施設計協議等、さっき部長は、185億円の中に設計料も入っていると答弁した。しかし、要するに開業するのは18年4月からですから、18年4月に開業して38年3月31日までですか、これは。20年間契約するわけです。この185億円の中に設計が入っているとさっき言ったけれども、本当に入っているのですか。
それともう一つは、先ほどの答弁の中で10億5,400万円というのは、12年から16年までの間に使われた金額ですね。さっき答弁した中では、進入路の用地代だとか、それから環境アセスメントだとか、路盤整備工事だとか入っていますね。私も、都市計画審議委員を1年間やったけれども、隣の宮本さんも都市計画審議委員になった。石狩から手稲、銭函へ行く337号線から800メートルの道路をつくる。幅26メートル、そのうち当初車道が9メートル、歩道が3メートル50センチに3メートル、そして7メートルと3メートル50センチの緑地帯をつくると、これで26メーター道路をつくるということが、冒頭提案されたのです。
その中で、道路整備が進んできた。800メートルのうち、まだ130メートルは舗装も何も整備していない。あとの470メートルは整備した。そしたら、130メートルの道路基盤整備と7メートルと3メートル50センチの緑地帯に植樹をすると言っている。どんな植樹をするかわからないけれども、その金はまだこの金額の中に入っていないのですね。幾らかかるのですか、これは。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず、1点目の外部の専門機関に委託しましたアドバイザリー業務についてのご質問にお答えをいたします。
ご承知のとおりPFI手法は公共施設の整備やサービスに民間の経営能力や資金を活用することによりまして、
財政負担の縮減と
市民サービスの向上を図る新しい整備手法でございます。
このPFIの事業化には、従来の公共施設の整備運営とは全く異なるノウハウや知識を必要とするため、財務や金融、技術、法律などの専門知識を有するアドバイザーが不可欠でございます。札幌市といたしましては、初めて取り組むPFI事業である第2斎場の整備に当たっては、財務と金融を担当するみずほ総合研究所株式会社、建築物の技術的な内容やコストを担当する株式会社佐藤総合計画、火葬炉に関する技術的な内容を担当する有限会社日本斎苑企画、そして契約、入札条件などの法律を担当する三井安田法律事務所の4社に、連合体を組んでアドバイザリー業務に当たっていただきました。
このアドバイザリー業務は、平成12年度のPFI導入可能性調査を皮切りに、平成13年度は実施方針、入札説明書、契約書の素案の検討、14年度は実施方針の公表から事業者選定に至るまでの関連業務、平成15年度は事業者との設計協議及び融資金融団との直接契約に関連した業務、そして16年度には事業者を監視していく上でのモニタリング業務マニュアルの作成を委託したところでございまして、5年間で約5,500万円を支出いたしております。
それから、2点目でございますけれども、185億円の中に、設計費用が含まれているかどうかというお話でございますけれども、設計費用は含まれてございます。
それから、3点目の平成17年度における事業の関係になると思います。平成17年度予定をしておりますのは、今、ご指摘ございましたけれども、路盤整備を終えました進入路の舗装と植栽の工事、それから用地境界の復元測量、それにアドバイザリー業務などを予定しております。
金額につきましては、来年度の予算ということでありまして、まだ確定してございません。
◆伊与部敏雄 委員 今最後に緑地地帯、それから130メートルの道路、これについては17年度の予算で計上するからまだ決まっていないと。大体どのぐらいかかるかぐらいの答弁もできないの。それもできない。こんなお粗末な、これ聞いていてみんなどう思う。これ、おかいしいのではないのか、はっきり言って。12年から始まっている、そして、26メートルの道路つくりますと。26メートルの道路のうち、さっき私が言ったような、車道、歩道、緑地帯と、もう最初から26メートルと決まっているわけだから、それを17年度で幾らかかるかわからないようでは、もうとてもじゃないけれどもやってられないわ、はっきり言って。議論できない。
部長、なぜ私は基本設計、実施設計が入っているかと聞いたかというと、これは62ページに、基本・実施設計協議等、1億8,965万4,730円と書いてある。書いてあるのだから、今数字を挙げたこの中に、基本・実施設計が入っていると、そう思いますよ、ここに書いてあるのだから。これは別な185億円の中に入っていると、こういう答弁だけど、それじゃ、この文書というかこれを読んだ中で、協議等と、この協議等にこの金が使われていると、こういうことになるのではないですか。
協議等にどのぐらい使われているのですか。今、決算やっているのだから、局別施策の概要の62ページを見ながら私はしゃべっているのだ。答弁と私が質問しているのと整合しないから、協議等に幾ら使いましたかと。設計は185億円に入っていますと、こういう親切丁寧な答弁がはね返ってこないと、なかなか納得できないのではないでしょうか。
それともう一つは、さっき言ったように、16年度まで、10億5,400万円使ったけれども、17年度で緑地帯のが入ると、まだこれは財政と接触していないからわかりませんということなのですね。
もう一つ、さっき質問するのを忘れていたけれども、金利、物価の変動、その他、物価の変動の中で、最近特に軽油、それから鉄骨、これが上がっているわけです。そういう物価変動の中で20年間で払うと言っているわけです。今は16年度でしょう。この18年度以降はこの契約書の中でもって金利変動がある。その前の変動はだれがどういうふうに協議して決めるのですか、これは。財政も後ろに来ているから、これ答弁できたら答弁していただきたいのだけれども。
一般的に、札幌市の契約、その他案件の中で、物価変動だとか金利変動だとか、そういうことで、契約書が変更して払うのはどういう基準で払うの。わかっていたら教えてください。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず、15年度の決算内訳になるというふうに思いますので、ご説明いたします。
15年度の決算、第2斎場建設事業でありますけれども、1億8,965万4,730円、このうち進入路の改良工事費としまして、これは一番多いわけでありますけれども約1億6,600万円、それから進入路の設計変更費としまして約250万円、それからPFIのアドバイザリー業務といたしまして約1,450万円であります。その他の経費といたしまして654万円という内訳でございまして、この中にアドバイザリー業務として、今、お話をしましたとおり約1,450万円が含まれているという状況でございます。
それから、物価についてのお話でございます。
管理運営にかかわります人件費、物件費、また、火葬に使用する燃料費などにつきましては、この事業契約の中に詳細に決めてはおりますけれども、その中でどういう指数を使うかというのを決めております。それは総務省の消費者物価指数を指標として決めておりまして、この物価変動につきましては、毎年度改定をするという契約になってございます。
それから、指標の増減によりまして事業者に支払うサービス購入料の額もふえる場合もあれば、当然減る場合もあるということでございまして、この算定につきましては、今お話をしたとおり、すべて事業契約の中に詳細に規定しているという状況でございます。
◆伊与部敏雄 委員 いろいろまだたくさんあるけれども、時間が時間だからやめますが、今の物価の変動について坂本部長が答弁したけれども、財政はそれでいいの。総務省の物価指数に基づいて払いますと。これはPFIだけでなしに、札幌市の契約事項というのは、物価変動は総務省の物価指数に基づいて毎年変えて払うことになっているの、これ。財政はどうですか。
◎新谷 財政課長 今回の件につきましては、それぞれの契約条件の契約の内容に従って変動するものというふうに考えております。
◆伊与部敏雄 委員 当たり前のことでしょう、それなら。
部長、進入路の設計費も入っていると言っていたよね、これは。これはPFIに関係ないの。札幌市がつくるわけだから、はっきり言って。札幌市がつくっているのですよ、10億数千万円の中に入っているわけでしょう、まだ130メートル入っていないけれども。そういうのはもっと正確にきちっと答弁しないとだめですよ、これは。
PFIというのは進入路だとか(発言する者あり)入ってないんだ、道路もそれから緑地も全部札幌市が払うのだから、別立てなのだ。それは共通の認識を持ってもらわないと困る。
185億4,852万2,000円は、18年4月1日から38年3月31日まで使うということなのだから、それ以外はみんな札幌市が出すのだから、そうでしょう。
そういう中で、私は、18年度以降のことについてちょっとお伺いしたい。
今、建設が始まっているが、建設工事に伴うさまざまな支障、これは乙、すなわちPFIの運営株式会社が
自己負担すると、こういうふうに約款では書いている。これは、私は現地の土木センターの部長と何回も協議した。
あの800メートルは横風で雪が降ったら道路が一遍に埋まってしまうと。そういう中で9メートルの道路が11メートルになった。建設局の連中と、9メートルでは話にならないではないか、雪が降ったら交差できないのではないかと、2年がかりでわんわんがんがんやって、ようやく11メートルになった。そして歩道が3メートル、3メートル50センチ、2メートル、2メートル50センチになった。それでも冬は大変なのです。交差できない。
なぜかというと、あそこに雪捨て場ができた。それから夏は土砂捨て、砂採取、こういうトラックが猛烈に行き来するのです。1日に2,000台行き来するというのだから。霊柩車がそれに接触して交通事故に遭ったら死んだ人が2度死にすると、こういうことになる。林家とんでん平的な落語的な発想なのだけれども、落語でないのですよ、事実なのです。ダンプは来る、雪捨て場に来る、危険だと。だから、私は、少なくともあの800メートルは専用道路にしなければだめだと。
特に19年度から大変です。なぜかというと、里塚は19年度から休止するのです。こっちができたら、休むのですよ。そうすると、亡くなった方は全部こっちに来るから、大変な交通渋滞を起こすのです。
それから、一昨日新聞に出ていたけれども、建設局では石狩に雪捨て場をつくるとか、あの辺がいろいろ変わるわけです。337号線が非常に混むと。それからまた、今言った800メートル、800メートルでつくったら市道だと、今は進入路だが、18年からは市道だからどんな車でも入ってもいいというふうに言うのです。そんな簡単なものでないだろう、これは。
だから接触事故を起こしたら大変なことになる、だれがこの責任を持つのだと。自己責任かと、こういう話もあるけれども、しかし、念には念を押して、厳粛に亡くなった方に対しても、また家族に対しても、きちっと行政が対応してやるというのが、これは人間としての尊厳ではないですか。(発言する者あり)何聞いているの。これは専用道路にせと、専用道路にすべきだと私は言っているのだけれども、いかがですか。
◎坂本 生活衛生担当部長 まず最初に、先ほどのPFI事業の金額でありますけれども、185億円の中には進入路の設計費は入っていないということでございますので、よろしくお願いします。
それから、今お話がありました進入路を市道にするという、その理由でございます。
進入路につきましては、国道337号と市道山口東3号線を結ぶ道路となります。すなわち第2斎場で行きどまりにならないという道路であります。
それから、二つ目として、進入路予定地内の国有地、これは従来から土壌改良や農作業の車両の出入りなどに付近の地権者が利用しておりまして、進入路整備後も第2斎場を利用する車両だけに限定できないという状況がございます。
それから、三つ目は、進入路は整備終了後に事実上一般の車両が通ることになりますので、道路の維持管理や経費を考えた場合、市道として管理することが合理的であるということから、これは建設局、それから私ども保健福祉局、企画調整局、手稲区が協議しまして、進入路は整備後市道認定を受けて道路管理者に引き継ぐということを決めているところでございます。
◆伊与部敏雄 委員 最後に、今そういう答弁があったけれども、机の上だけで議論していたってらち明きませんよ。現場へ行って、雪なんていうのは多く降るときと少なく降るときと、風だって、台風並みに吹くときと、あそこの現場は大変なのですよ、はっきり言って。植樹をするといっても、小さい木だったら防風林にならないと言っている。それと同じぐらい雪がたまってしまう。こういうようなことだったら、あそこにロータリー車を1台つけておかなかったらならないというような状況があるということは、手稲の土木センターの責任者がそう言っているわけです。
そういうことも含めて、最悪の状態を考えながら対応していかなければならないのではないかと。これは簡単なものではないですよ、はっきり言って、本当に。真剣にみんなで考えなければならないと思うのです。
私は最後に言うけれども、現場主義で行きましょう、現場主義で。つくってみて、そして通行してみて、何かがあった場合は見直しをすると、そういうことを強く要望しておきます。
終わります。
○大嶋薫 委員長 ここでおおよそ20分間委員会を休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後6時27分
再 開 午後6時49分
──────────────
○大嶋薫 委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆高橋功 委員 私からは、札幌市が実施しております乳がん検診にマンモグラフィ、乳房専用のエックス線検査を早期に導入すべきだと、こういう観点から簡潔にお伺いしたいと思っております。
乳がんは、聞くところによりますと、毎年全国で約3万5,000人の女性が新たに発症していると。特に40歳代の罹患率が大変高いということでございます。
昔は子宮がんとか胃がんとかの率が大変高かったのですが、最近は女性のがん死亡率の1番は乳がんだそうです。10年前と比べますと5割増しだと、こういうデータがあるようでございます。今、女性は30人に1人の割合で乳がんになると、こう言われておるわけでございます。
そこで、医学の進歩というのは大変なもので、今までは乳がんの検診は乳房を触って、しこりの有無を調べる、いわゆる視触診による検診が中心でございましたけれども、マンモグラフィという機械ができまして、視触診だけでは見落としがちな、乳がんの早期発見に大変な効果を上げておると、こういうことでございます。
厚生労働省では、ことしの4月に、乳がん検診の指針を改正いたしまして、40歳以上の方を対象に、従来の問診と視触診に加えて、初期の段階のがんの発見が可能というマンモグラフィの導入を各市町村に促しておるということでございます。既にもう欧米ではマンモグラフィによる検診が主流だということで、実際にがんの発見率は一気に2倍から3倍に上がると言われているところでございます。しかし、実態はどうかというと、全国で乳がん検診にマンモグラフィを導入している市町村というのは、5割に満たないという状況でございます。
残念ながら、札幌市においても、現状は導入がされていないということでございます。マンモグラフィの導入がなかなか進まない要因というのは、一つは、やはり何といっても、機器そのものが数千万円はするという、大変高額であるということで、医療機関でなかなか保有できない、こういうことが挙げられるのかなと思います。
そこで、まずお伺いをいたしたいのですが、札幌市における現在の乳がん検診の実施状況、さらにはことしの6月に、厚生労働省が全国規模で、マンモグラフィの機器整備に関する医療機関の実態調査を行っております。その中で、札幌市の調査結果がどういうふうになっておるのか、まずこの2点お伺いをいたしたいと思います。
◎小林 健康づくり担当部長 1点目の札幌市における乳がん検診の実施状況についてでございますが、札幌市における乳がん検診は、30歳以上の職域で検査を受けられない女性の方を対象といたしまして、視診並びに触診による検診を医療機関に委託して行っております。
平成15年度の乳がん検診の受診者は5万2,549人で、受診率は14.6%となっております。なお、検診の結果、がんが発見された方はそのうち156人で、受診者総数の0.3%となっております。
次に、2点目の乳房エックス線検査、いわゆるマンモグラフィの機器整備に関する厚生労働省による実態調査の結果についてでございますが、調査は札幌市内226の医療機関に対する
アンケート方式により行い、180の医療機関から回答をいただいたところでございます。
その結果、札幌市内には、本年の3月31日現在で、39の医療機関が合計で43台のマンモグラフィ機器を保有している状況となっております。なお、現在、札幌市内の乳がん検診実施医療機関は186施設ございまして、マンモグラフィ機器の保有率は2割程度となっております。
◆高橋功 委員 そういう意味では、マンモグラフィ機器を現在保有している医療機関は39と、2割程度ということですから、市民の方がマンモグラフィで乳がん検診を受けられるというのは、医療機関がかなり限定されるということですよね。今回改正されました国のがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針によりますと、がんの見落としを回避するために1人ではなく、ドクター2人によってマンモグラフィの画像を読影する、それから最も罹患率の高い40代については、2方向からエックス線撮影を行うことが義務づけられているということです。
そこで、私は今、マンモグラフィそのものの導入がまだまだ十分でないと。あわせて、二重読影が必要なわけですから、医師の確保、それからこれまで年に1度の受診間隔だったのが、早期乳がんの比率と中間期乳がんの発生率から検証した結果、2年に1度とすることが適切であると、こういう見直しも行ったところでございますから、2年に1度となる受診管理の問題など、機器だけでなく、読影する側の解決しなければならないさまざまな条件、課題が山積していると認識しております。
厚生労働省の指針に基づいて、直ちにマンモグラフィを導入するためには、本市としてもさまざまな課題があるし、非常に厳しい状況に置かれている。それはよくわかりますけれども、やはり本当に、市民の皆さんの健康を保持・増進する立場からいっても、何といってもマンモグラフィの客観的な利点というのは言われているわけですから、市民をがんから守るという立場から、みんなで知恵を出さなければならないし、こういった条件、課題をしっかり克服して、マンモグラフィを札幌市の乳がん検診に一日も早く導入していく、市民が安心して乳がん検診を受診できる体制を整備しなければならないと思います。
そこで、今申し上げたマンモグラフィの実施体制の整備、ただ単に機器だけがふえればいいというのではなく、実施体制の整備ということに関して、本市としてどういうことに今現在取り組んでおられるのか、この点をお尋ねいたします。
◎小林 健康づくり担当部長 マンモグラフィの実施体制の整備に関する取り組みについてでございますが、マンモグラフィの実施に当たりましては、委員からのご指摘にもございましたように、一定の基準を満たしたマンモグラフィ撮影装置の確保、二重読影に必要な医師の確保、それから受診管理や市民へのPR方法などが大きな課題となっております。
このため、札幌市では乳がん検診を委託しております札幌市医師会及び北海道対がん協会、市民団体などの代表者を委員とします体制整備の検討会を本年の9月に設置したところでございます。現在、この検討会におきまして、ただいま申し上げました課題を含め、マンモグラフィの早期導入に向けまして鋭意検討を進めていただいているところでございます。
◆高橋功 委員 9月に実施体制に関する検討会を設置したと、現在検討しているということでございます。何といっても高い精度で、そして見落としのない体制づくりができるかどうか、やっぱりここが一番のかぎだというふうに思います。乳がんを診断する精度管理の問題、これも非常に大事な課題だというふうに思っております。
インターネットでちょっと見てみますと、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会というところがホームページで公開しているのです。それを見ますと、この精度管理中央委員会が実施した撮影技術や読影技術の講習会といったものを受講して認定を受けている人が札幌市で何人いるかと、放射線技師や医師の方々が公表されているのです。放射線技師が24名で、ドクターが33名と。やっぱり今のこういう現状では精度の高いマンモグラフィの有効な利用というか、活用というのはなかなか難しいなと思います。やっぱり技量のある放射線技師や医師をしっかりと確保するということがより大事になってくるというふうに思います。
そこで、精度管理の上で欠かすことのできない高度な撮影技術を持った放射線技師、それから画像を分析する読影能力の高い医師の確保、それから質の向上について、現時点でどう考えているか、お伺いをいたしたいと思います。
◎小林 健康づくり担当部長 高度な撮影技術を持った放射線技師及び読影能力の高い医師の確保、それと質の向上についてでございますが、厚生労働省の新しい指針では、マンモグラフィの実施に当たりましては放射線技師及び読影医師のいずれにつきましても、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会が開催します講習会、またはこれに準ずる講習会を終了していることが望ましいとされております。
札幌市におきましても、高度な撮影技術を持った放射線技師及び読影能力の高い医師の確保とその質の向上を図ることは、高い検診精度を保つために重要な課題と認識しております。したがいまして、先ほど申し上げました体制整備の検討会の中で、人材確保のための講習会についても検討をしていただいているところでございます。
◆高橋功 委員 実はこのマンモグラフィの早期導入について、我が党も、札幌市内で相当署名運動もさせていただきました。市長にも提出をさせていただいたところでございます。女性の支持者の方も、最初みんなこのマンモグラフィを知らない、知らない人が多かったのです。それは何ですかと、こういう話だったのだけれども、やっぱりそういうものがあるのだったらというお話で、今、市民の中で期待感が大変強いです。そういう市民のニーズにしっかりこたえるためにも、さっき申し上げた機器の導入及び体制の整備というものにしっかりと取り組んでいただきたい、このことをしっかりお願いして、終わりたいと思います。
◆
坂本恭子 委員 私からは、すこやか検診とがん検診について伺いたいと思います。
財政構造改革プラン(案)で、すこやか検診については
自己負担の見直しが800円から1,200円に、がん検診の中では胃がん検診について1,800円から2,200円に、そしてまた、子宮がん検診の実施方法の見直しというようなことで提案がされていますので、それにかかわって質問をしたいと思います。簡潔にお伺いいたします。
本市の健康づくり基本計画であります健康さっぽろ21で、2021年までの10年間の計画というのが、さまざまな分野で載っておりますが、このすこやか検診とがん検診について、受診料の目標が設定されております。すこやか検診では50%、そしてがん検診は全体で5項目あり、それぞれが30%になるようにということで目標が設定されておりますけれども、がん検診の種類などによりますと、なかなか受診率が低水準ということもありまして、目標の達成が困難になるのではないかというふうに思うのですが、その点はどのようにお考えなのか。
自己負担額の見直し、それから実施方法の見直し等についてこれらに影響がないのか、お聞きをしたいと思います。
それとあわせて、すこやか検診につきましては、2001年度に既に
自己負担額の引き上げというのが行われております。500円だったものが800円に引き上げられたということで、このときも実際に検診を利用されている方ですとか、医療関係者の方からかなり反対の声というのがあったと記憶をしておりますが、この際に、受診率に対する影響について、どういう認識を持たれているのか、その点について伺いたいと思います。
◎小林 健康づくり担当部長 今回の
自己負担額の見直しの検討によりまして、受診率の目標達成が困難になるのではないかというご質問と、平成13年度の検診の
自己負担額の見直しによる受診率へ影響についてどのように認識しているのかというご質問でございますが、すこやか検診につきましては、値上げをしました平成13年度における受診者数は11万2,676人、受診率は37.8%となっております。前年度と比べますと、受診者数で約1万1,000人、受診率で3.1%上回っており、
自己負担額の引き上げによります市民の受診動向への影響は特になかったものと認識をしております。
したがいまして、仮に今回の見直しを行ったといたしましても、計画目標の達成には影響がないものというふうに考えております。
◆
坂本恭子 委員 今、受診率についても目標達成についても影響がないというふうな認識でおられるというご答弁でしたけれども、すこやか検診について
自己負担の引き上げの影響が全くなかったかというと、実は私は違った評価をしております。今、2000年から2001年ということで、受診者数と受診率についてご答弁がありましたけれども、対象者数というのが前の年に比べて5,200人ふえているのです。この対象者というのは自営業者、それから主婦の方、それとご高齢の方など、40歳以上の方がすこやか検診などの対象になるわけですけれども、この期間に国保世帯と人員数というのが急増しているのです。ですから、対象者数というところでのくくりからいくと、ちょっと外れる部分にはなるのかなというふうにも思ってはいるのですけれども、実際、2000年から2001年というところで比較をしてみると、人数で2000年が49万8,499人、翌年は52万1,859人ということで、2万3,360人、国保の加入人員というのがふえているのです。このときの受診率は37.8%で、それを単純に当てはめていくとほぼ1万人に近い数字になっていくのです。そちらでお考えになっている影響ということについて、数字から見ていくと、確かに受診率も上がっていますし受診者数もふえている、そういうふうに言えるとは思うのですが、やはりこの間、不況の中で職を失ったりだとかということで、社会保険から離脱をして国保に加入する方がふえているということ、あるいは会社での定期検診をやめてしまって、すこやか検診の方に流れてくるというような、いわゆる対象者の中に加えられないような方たちがすこやか検診を受けていらっしゃるということなのではないかなというふうに思っております。
それから、また、皆さんの努力によってすこやか検診とかがん検診というものが根づいてきて、自発的にそれを受けようという意識啓発というのは、もちろん作用しているとは思いますけれども、やはり、私は、経済状況というのが大変大きなものの一つになっているのではないかなというふうに思っております。影響がないというご答弁ではありましたけれども、受診者数、それから受診率が上がっているから影響がないというふうには断言できないと思いますし、これをもって、今回見直しをすることで目標達成ですとか、受診率の向上について影響がないというふうに、一直線につながっていくのかどうかということについては、疑問を感じるということを指摘させていただきたいと思います。
見直し案の中では、すこやか検診、それから先ほど言いました胃がんと子宮がんの検診について、金額でいうと1億5,000万円以上の負担強化になるという見通しになっております。私は、やっぱりこれは大きな影響が出てくるだろうというふうに思っているのです。
さっき言いました健康づくり基本計画の健康さっぽろ21では、2003年度から2012年度までの10年間で計画を達成していくと。そして、中間年である2007年度には検討を加えて見直しをしていくというふうにありますけれども、そこに向かって
自己負担額の引き上げをしようというのですから、やはり健康づくり基本計画との関係で値上げの基本的な考え方というのを、改めて伺いたいというふうに思います。
その前に、がん検診について。先ほどすこやか検診のことについても、おおむね目標達成できるだろうというお話がありました。実際、今年度の受診率見込みというのが49.2%になっておりまして、ほぼこれと同推移に数字が上がっていくのだろうというふうに思うのです。ですから、2012年を待つまでもなく、50%という目標は値上げがあろうとなかろうと達成していける数字だというふうに思っているのです。一方、がん検診についてですが、目標が30%というふうになっております。
先ほどもお話に出ておりました乳がん検診では、昨年度14.6%の受診率になっています。子宮がんが一番高くて24.5%になっておりますけれども、ほかは大腸がんが14.7%、胃がんが12.0%、そして肺がんの検診に至っては4.2%という極めて低い数字になっているのですね。目標に対して半分以下の受診率であって、これは相当しっかりと対応していかないと目標の達成は難しいというふうに思うのですけれども、やはりこれが
自己負担額の引き上げが障害となってなおさら目標達成ができなくなるというような可能性がないのか、そこに向けてどう対応していかれるのか、その点をお聞かせください。
◎小林 健康づくり担当部長
自己負担額の引き上げが障害になって、目標の達成が難しいのではないかというご質問でございますけれども、先ほどお答えしましたように、
自己負担額を見直した平成13年度における受診率の状況を踏まえますと、目標達成には影響がないというふうに考えております。
また、受診率の目標達成に向けましては、毎年国民健康保険の加入者に対し、すこやか検診の受診券を個別に郵送するときに、がん検診のチラシを同封しまして、受診の勧奨に努めております。さらには、健康教室や健康フェアなどの機会をとらえまして、検診事業の普及啓発を図っているところでございます。今後とも、さまざまな手段や機会を活用いたしまして、受診率の向上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
自己負担額の見直しの基本的な考え方についてでございますが、札幌市の大変厳しい
財政状況におきまして、今後とも受診者数の増加に伴う
財政負担が増大する中で、現在の検診内容を維持するためにも、他の手数料等との均衡、市民意見、国庫補助のあり方、他都市の動向などを踏まえながら、負担額の見直しについて検討してまいりたいと、こんなふうに考えております。
◆
坂本恭子 委員 検診受診率については向上を目指していくというご決意と、それからまた、見直しについては、現在の検診内容を維持するためにも見直しをして、検討していかなければいけないのだというご答弁だったと思うのですけれども、先ほど言った健康さっぽろ21の中での基本理念の中には、市民一人一人の健康づくりを応援しますということが大きな柱になっています。それからまた、死亡原因ということでいえば、35歳以上の方すべての世代にわたって、先ほども高橋(功)委員の方からも話がありましたけれども、がんで亡くなるとか、それから、いわゆる生活習慣病、心疾患であるとか、脳疾患というようなことで、死亡原因の1位から5位までずっと続くというような状態になっておりますから、早期発見、早期治療と、そしてまた、医療費の抑制というところでも大きな役割を果たしていく、こういう健康診断というものは守っていかなければならないというふうに思っております。
そしてまた、保健福祉局の重点政策の中では、やはり各種検診について、受診の普及啓発、促進を図るということが述べられておりますので、この点をしっかりと対応していただきたいというふうに思いますし、私は、この1億5,000万円という負担強化については、やはり市民の健康を守っていく、そういう立場からいえば引き上げはすべきではないということを申し上げて、終わりたいと思います。
◆小田信孝 委員 私は、たばこ対策、これ1本をやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
たばこ対策については、日本も世界もこの二、三年で大きくかわりました。すごい変化です。私は、1年生議員のときから、禁煙について、市の教育委員会に働きかけまして、小学校から子供にたばこの恐ろしさを教えなくてはいけない。ついては教育教材をつくれということを提案しまして、実はビデオをつくったのです。その後、どのくらい児童生徒に見せたのかということをお伺いしましたら、大体20%で終わってしまいましたと、その理由は、教育現場の先生方から反対されてしまったのです。さっきだれかが言っていたように、小学生にそういうものを見せると、寝た子を起こすと、たばこに興味を持ってしまうと。やめてくれという先生方の意見が多くて、20%以上は進まなかった。
その後、私は、何度か機会あるごとに、たばこの害の問題について、たばこ対策について質問をしてまいりましたけれども、先ほど言いましたように、この二、三年でがらっと変わりました。
どのように変わったかというと、昨年の5月に、ジュネーブで開催されたWHOの総会において、たばこによる健康被害の防止を目指す、たばこ規制枠組条約が採択されたわけです。これは大きな出来事です。ことしの3月9日に日本もようやく署名しまして、いよいよ日本もことしの6月に19番目の批准国になったと。このことによりまして、日本は、保健分野でのたばこ対策の取り組みについて、国際協力に関する積極的な姿勢を示さなければならなくなったわけです。
どういうことをしなければならないかというと、たばこを値上げしなさいとか、包装の30%以上に警告文を印刷しなさいとか、未成年者の自動販売機の利用制限など、これらを批准した国は全部やらなければならないのです。非常にきつい、非常に進んだ条約ができたということであります。
国内においても、昨年5月に健康増進法ができまして、この第25条で、多数の人たちが利用する施設の管理者に、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努力義務が規定されたところであります。本当に国内外で変わってきた。
札幌市においても、市民が生涯を通じて健康を実現するための指針として、今までも出てきていましたけれども、札幌市健康づくり基本計画、健康さっぽろ21を策定しまして、昨年の4月から推進しておりますが、この計画の中で、たばこの領域を設けて、市民をたばこの害から守るための対策を講じておられます。
しかしながら、札幌市が行った健康づくり基本計画に関する市民意識調査結果を見ますと、喫煙が健康に及ぼす害についての理解度、これは肺がんとか妊娠している場合は影響があるという、この辺の知識はある程度あるのです。ところが、もっと重大な病気を起こす、それ以外の、例えば脳卒中だとか心臓病とか胃潰瘍だとか歯周病等については、市民はまだまだ十分な知識を持っていないというのが実態であります。
私も前に取り上げさせていただきましたけれども、この喫煙により、重症化しますと、酸素ボンベを24時間お友達にしなければならない非常に重症な、COPDと言いますけれども、慢性閉塞性肺疾患になります。これはもとに戻りません。多くの市民はこういうたばこでの恐ろしさをまだまだ知らないで吸い続けているのが現状であります。
質問の1点目ですけれども、たばこの害から市民の健康を守るために正しい知識を提供することが極めて重要なことと考えますが、このたばこの害について市民にどのように啓発をしているのか、お伺いいたします。
2点目は、市民意識調査では、妊婦の喫煙率は18.7%で、全国平均の2倍という大変高い数値が出ているのが実情であります。妊娠中にたばこを吸いますと乳幼児にどういう影響を与えるか。いろいろなことが発表されております。
例えば、2,500グラム以下の低体重児の出生、赤ちゃんが小さい、流産、死産など悪影響を及ぼすこと、また、乳幼児がいらっしゃる家庭内で、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんがたばこを吸っていると、受動喫煙になりますけれども、これを受けることによって、SIDSと言われている乳幼児の突然死症候群、それから呼吸器疾患などの危険性が高まることが科学的に明らかにされております。
札幌市では、妊婦に対する喫煙対策として、どのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。
3点目ですが、たばこを吸う方の約70%は、今すぐやめたい、それから、できたら本数を減らしてやめたい、こう思っているのです。しかし、たばこに含まれているニコチンの作用によって、たばこ中毒に陥っているのです。この辺は皆さん結構知っているのですが、私の集めた資料によりますと、このニコチンというのはヘロインとかコカインと同じで、非常に依存性が高くて、雨の日も風の日も365日、数十年間吸い続けて、やめたくてもやめられない。ニコチンが切れるとまず一服となってしまう、やめられない。だけど本音を言ったらすぐやめたい、あるいは何とかいい方法があればやめたいという方が約7割いるということです。札幌市では、どのような禁煙支援対策を行っているのか。
最後の4点目です。受動喫煙防止対策を進めるには、まず行政が率先して行う必要があると考えますが、札幌市が所管する公共施設における受動喫煙防止対策の現状についてお伺いいたします。
以上、4点先にお示しください。
◎請井 歯科保健担当部長 たばこ対策についてお答えいたします。
1点目のたばこの害に関する普及啓発についてでございますけれども、広報さっぽろや保健福祉局のホームページを活用いたしまして、広く市民に周知をしておるところでございます。
また、各区で開催しております健康フェアなどにおきまして、医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力をいただきながら普及啓発に努めております。さらに、未成年の喫煙を防止することが重要でありますことから、保健センターの医師や保健師などが高等学校に出向きまして、たばこの害についての健康教育を行っているところでございます。
2点目の妊婦に対する喫煙対策の取り組み状況についてでございますが、母子健康手帳を交付いたしますときに、妊婦や家族の喫煙状況を確認した上で、たばこを吸っている妊婦には禁煙の指導を行っております。また、家庭での受動喫煙を防止するために、たばこの害についてのパンフレットを配布いたしまして情報提供に努めてございます。
さらに今年度は、妊婦の喫煙と家庭における受動喫煙を防止するということでポスターを作成いたしまして、産科、小児科の医療機関や保育所などに掲示をお願いいたしております。
3点目の禁煙支援対策の取り組み状況についてでございますが、保健センターでは、禁煙を希望する方に対しまして、個別に禁煙支援を行っております。また、禁煙を補助いたしますニコチンパッチなどによる治療を望む方に対しましては、禁煙外来を実施している医療機関の情報を提供するなど、ご相談にも応じてございます。
4点目の札幌市所管施設における受動喫煙防止対策の現状についてでございますが、昨年の9月と本年の9月に施設の取り組み状況を調査いたしました。昨年の調査では、健康増進法に基づいて禁煙や分煙をしている施設は26.8%でございましたが、本年の調査では82.2%と増加しており、受動喫煙防止対策は着実に進んでいるものと考えております。
◆小田信孝 委員 今、いい数字が出てきましたね。実は去年からことし、裁判がございまして、非常に象徴される判例が出ました。新聞に出ていたのですが、去年の10月末には、たばこを吸っていた人が肺がんになったと。どうしてくれるのだということで、日本たばこ産業や国を相手に損害賠償の訴訟をしたのですけれども、このときは原告は負けました、敗訴です。ところが、ことし、つい最近ですから皆さんご存じだと思いますけれども、江戸川区の職員の方が、私はたばこを吸わないけれども、吸っている人と一緒にいたので被害を受けたと、どうしてくれるのだと裁判して、この人は勝ちました。だから、同じ東京地裁でわずか1年の間に、判例が右と左に見事に分かれまして、ことしの7月に受動喫煙で初の賠償命令5万円、本当はもうちょっと、31万円請求したのですが5万円の慰謝料ということで裁判所が画期的な判例を出した。時代は確実に変わっています。禁煙しましょうと、こういうことです。
それで、全国の政令都市のいろいろな動きを、私はお願いして調査してもらいました。そうしましたら、健康増進法の施行に伴う民間事業所等に対する具体的な施策、これがずらっと出てきました。西高東低で南側の政令都市は一生懸命取り組んでいます。その反面、名古屋から北の方では、たった1カ所、仙台市だけがガイドラインをつくって一生懸命やっているということなのです。
私は、再質問させていただきたいのですけれども、1点目は、先ほどポスターをつくったというご答弁がございました。もし、この場にお持ちでしたらどんなポスターをつくったのか。これは結構訴えるのですよね。男性は割と見ていないかもしれませんので、どんなポスターをつくったか、お持ちでしたらこの場でぜひ見せていただきたい。それから、札幌市としては、継続的な普及啓発をどう進めていくのかも、あわせてお伺いしたいと思います。
それから、再質問の2点目ですが、札幌市が所管する公共施設においては、受動喫煙の防止対策が着実に進んでいることが先ほどの数字でわかりました。市民が日常的に利用する民間の施設における受動喫煙防止対策についてはどのように取り組んでいるのかをお伺いいたします。
これから、民間に向かっていくわけですけれども、きょう僕はちょっときついことを言いたいのですが、議会も一生懸命やらないとだめですね。先ほど、皆さんにご協力をいただいて、吸っている人と吸わない人と会派ごとにちょっと人数を出してもらいました。そしたら、自民党さんは吸う人と吸わない人とが10人、10人でイーブンです。民主党さんは吸う人が4人で吸わない人が12人、公明党は吸う人が8人で吸わない人が3人なのです。私は、議長さんが、ことし、17階議会関連施設の完全分煙についての依頼ということで、4月6日付で、17階の各会派控室やロビー等を禁煙とすることにいたしましたので、喫煙に当たりましては喫煙室を利用してくださいということで、決定しています。だから、みんなだんだんそっちの方へ行くと思うのです。なかなか一遍にできないかもしれませんけれども、自民党第二も吸う人3人、吸わない人1人、共産党さんも吸う人4人、吸わない人4人でここもイーブンです。
これは議会も一生懸命やらないとだめなのです。やっぱり市民の手本、見本として、官庁もしっかりやる、議会もしっかりやる、そして、今後は民間にも向かっていく、こういうことでお互いにしっかりやりましょうということで、先ほど民間に向かってどうやっていくかということを再質問させていただきましたけれども、この辺についてはですね、さっき言いましたように西高東低ですよ。京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡は全部ガイドラインをつくっている。北側は仙台市だけ。札幌市も何か情報入っていますけれども、ちょっとご説明いただければありがたいと思うので、よろしくお願いします。
◎請井 歯科保健担当部長 1点目の継続的な普及啓発の進め方についてでございますが、若い世代に対しましては、携帯電話を利用した情報提供が有効でありますことから、携帯サイトを活用いたしまして啓発を進めてまいりたいと考えております。
また、これまでに作成したポスターの掲示箇所を広げていくことによりまして、たばこの害について繰り返し啓発をしてまいりたいと考えております。
先ほどお話がございました作成したポスターが手元にございましたので、ちょっとごらんをいただきたいと思います。このようなものを今年度つくらせていただきました。
続きまして、2点目の民間施設における受動喫煙防止対策についてでございますが、広報さっぽろや保健福祉局のホームページなどを活用いたしまして、受動喫煙の害と効果的な分煙方法について周知を行ってまいりました。今年度は受動喫煙防止対策のガイドラインを作成いたしまして、多くの市民が利用する飲食店、ホテルなどの民間施設に対しまして、受動喫煙を防止するための具体的な方法を周知してまりいたいと考えております。
◆小田信孝 委員 まとめますけれども、たばこに対しての認識がまだまだこの場でも低いですし、それから市民の皆さんも、恐ろしさの認識がまだまだ低い。大阪市からいただいた資料では、たばこで命を落とす人の数、日本では年間9万5,000人から10万人です。これ、しっかり認識してください。1兆3,000億円以上の医療費負担がある。もう一つ言いたいのは、受動喫煙で命を落とす人は大体2万人から3万人、ちゃんと大阪市は市民にこういうのをつくって配布しています。みんなが真剣になって本気になってやっていかないと。
僕は目撃しているのです、ぞっとすることを。若いお母さんが赤ちゃんを前に抱いて、くわえたばこで運転しているのです。こういうことが本当にあるのです。
今、ポスターをつくってもらった、これは大変ありがたい、市民に対しての一つの教育になります。若いお母さんに、本当に、たばこの害とか、乳幼児の前で吸ってはいけない、車の中は密室ですから、大変なことになるのだということを真剣に教育していかなければだめなのです。
それから、たばこの自動販売機は大分減らしました。17階も撤去されてしまった。今、7台残っているのです。1階、2階、6階、7階、9階、11階、13階に自販機が残っています。全部撤去というのはこれまた問題があるかなと思うのですけれども、今、答えられる範囲内でこの7台について撤去する決意をどなたかに表明してほしいのです。
◎小澤 副市長 今、小田委員からお話がございまして、実は私も喫煙者でございますから、今、大変な教育を受けた気持ちでいるところであります。
たばこの被害につきましては、確かに今いろいろ担当の方からもお答えさせていただきましたように、非常に害が多いということはよくわかっている話でございまして、個人的なことは別にして、市民の方々に、ちょっと迫力がないのは非常に困るのですが、本当に先生がおっしゃったように、非常に害が大きい。特に車の中で女性が吸うとか、妊婦さんが吸うなんていうことはやっぱり本当に大変な問題だと思いますし、そういう被害の大きさということをきちっとPRして、喫煙の害を教育していくということは大変重要なことだと思います。そんなことでは、改めて私どもも有効なPR方法、意識の普及啓発について努めていきたいというふうに考えております。
それから、庁内に今7台残っているのだそうでございますけれども、これについていかがするのかという話ですが、先生の趣旨から言わせれば、それはすぐ撤去せよという話でございましょうが、確かに、今、分煙ということで吸う部屋を確保している関係もあるものですから、とりあえず経過を見ながらその方向で頑張っていきたいというふうに思います。
◆小田信孝 委員 最後にしますが、7台のうち1台でもいいから減るということはこれは前進なのです。全部とは言いませんけれども、毎年1台ずつでも結構です。減らすという決意が大事なのです。
最後の質問です。これから、新ガイドラインをつくって、民間にも協力してもらうために民間に向かっていくのです。例えば、市民が見てよくわかるような、例として、ホテルなんかマル適マークがあるじゃないですか。ホテルなどは、本当にたばこを吸わない人はベッドに入ってたばこのにおいがするだけで嫌なのです。おたくのホテルは禁煙になっているのですかと事前にホテルに問い合わせするお客さんもふえているのです。ですから、マル適マークのような認証制度、今後、こういうことを考えていくお考えがあるかどうか。
それと、局長はドクターですから答弁は要りません。最近、日本呼吸器学会では喫煙者を専門医として認めないそうです。もう聞いておられると思いますけれども、学会認定の専門医に禁煙を義務づけているのです。喫煙する医者は認定や更新時に拒否されるそうです。これはドクターの世界では決定的なことです。ドクターストップです。ですから、本当にほかの科目のドクターよりも吸う人が随分少なくなってきているそうです。ドクターの世界もこうなってきている。
ですから、最後に、質問させてもらいましたマル適マークみたいなことで、認証制度というのですか、ぜひ札幌市からお墨つきをもらいたいとか、いろいろ民間から希望があると思います。それを張っているだけでお客さんがふえるような感じがします。ですから、そういうことも考えて、最後に、今後、何かいい方法をお示しいただけるのかどうか、これで終わります。
◎請井 歯科保健担当部長 民間施設におけます受動喫煙防止対策の中で、今年度でございますが、禁煙あるいは完全分煙に取り組んでおられる民間施設を募りまして、適正にこれが取り組まれているという施設については認証ステッカーを交付いたしまして、インターネット上で市民にその施設の情報を提供すると、このような事業を考えております。
◆小形香織 委員 私は、遺伝子組みかえ食品の検査について質問いたします。
2003年10月に、札幌市に遺伝子組みかえ食品を検査する機器が導入されました。スーパーに行けば遺伝子組みかえでないとの表示がされているもの、何も表示されていないものなどがあり、遺伝子組みかえ食品は、この食品は安全かどうかと、市民が心配するものの一つです。
現在、国が販売を認めている遺伝子組みかえ食品は6作物59種類ですけれども、その安全性に不安を抱く消費者が、一般の食品と区別できるように、遺伝子組みかえ食品については、2001年4月から、検証ができる食品には表示を義務づけるようになりました。
そのような背景があって、昨年、遺伝子組みかえ食品の検査機器が本市に導入されましたけれども、導入後、この機器がどのように活用され、市民の健康、安全な食品の提供に寄与してきたかという観点から幾つか質問いたします。
質問の1点目は、機器導入後から現在までの検査状況についてです。この機器を使ってどのように、どういうようなところから何検体集めて検査したのか。対象とした種類、その結果などについてお示しを願います。
2点目は、それらの検査に要する日数についてです。DNAの検査をすることから、非常に神経を使って、ご苦労されながら検査をされているとお聞きしておりますけれども、導入された機器を使って検査をするのにどの程度の日数がかかり、どのような点に留意されているのかをお示し願います。
◎藤田 衛生研究所長 1点目の遺伝子組みかえ食品のこれまでの検査状況とその結果についてお答えいたします。
まず、検体の採取方法と数でございますが、市内の製造施設やスーパー等の販売店において昨年度は20、今年度は14、合計34検体を抜き打ちで採取し、本市の衛生研究所で検査をいたしました。34検体の内訳を申し上げますと、トウモロコシの粒、その粉及びスナック菓子等の加工品29検体については、安全性未審査の遺伝子組みかえトウモロコシの混入がないかを確認するための定性検査を実施しております。また、大豆5検体では、安全性審査済みの遺伝子組みかえ大豆の含有率の表示につきまして、それが適正かどうか確認するための定量検査を実施しております。
検査の結果、すべての検体が食品衛生法に基づく遺伝子組みかえ食品の基準に適合しておりました。
2点目の検査に要する日数と留意点についてでございますが、検査に要する日数は、検体の受け付けから成績書の発行までを含めて、定性検査では5検体で約10日間、定量検査では3検体で約2週間を要します。
次に、留意点につきましては、遺伝子組みかえ食品の検査は、従来の食品検査とは異なり、遺伝子という特殊なものを扱いますので、他の食品などの遺伝子が混入しないようにする必要がございます。そのために専用の試験室を設置し、細心の注意を払って行っております。
◆小形香織 委員 非常に細心の注意を払ってほかのものが混入しないように検査されているということでした。今のご答弁の中には、例えば、ポテトチップスだとか豆腐のような、ジャガイモの加工品や大豆の加工品の名前がありませんでしたけれども、2003年1月からは、ジャガイモの加工品も遺伝子組みかえの表示の対象となりました。これら加工品も、導入された機器を使って検査をされているのかどうか、これを伺いたいと思います。
また、今年度はまだ半年あるわけですが、今後、どんな検査を進めていく予定か、また、次年度の計画はお持ちかどうかなど、今後のことについてもお示しを願いたいと思います。
◎坂本 生活衛生担当部長 1点目の大豆、ジャガイモの加工品の検査についてのご質問にお答えをいたします。
豆腐、納豆などの大豆や、ポテトスナック菓子などのジャガイモの加工品につきましては、現在、国において検査法が定められていないため検査は実施しておりませんが、今後、検査法が示された場合には検討してまいりたいと考えております。
2点目の今年度の今後の検査予定と来年度の検査計画についてのご質問にお答えをいたします。
今年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、既にトウモロコシの粒とその加工品14検体の定性検査を実施しておりますが、今後、さらに大豆15検体について定量検査を予定しております。
また、来年度の遺伝子組みかえ食品の検査計画につきましては、これから策定する札幌市食品衛生監視指導計画に盛り込むこととしております。なお、この計画の策定に当たりましては、パブリックコメントで広く市民の皆様のご意見を聞きながら進めていくこととしております。
◆小形香織 委員 ポテトチップや豆腐など、ジャガイモの加工品や大豆の加工品については、今のご答弁では、国による検査法が定められていないということでしたけれども、せっかく機器があるのでぜひ検査法を定めるように、私は国に求めるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
それからもう1点伺いたいのは、遺伝子組みかえ食品であるかどうかということについての表示義務についてです。今の国の基準というのは、トウモロコシなどの加工品は、全部の原材料中の重さが上位3品目以内で、かつ食品の中に占める重さが5%以上のものについて、遺伝子組みかえ食品であるという表示が義務づけられています。
逆に言うと、遺伝子組みかえ作物を使っていても、この基準を満たさなければ遺伝子組みかえ品であるという表示をしなくてもいいというわけです。例えば、EUでは、遺伝子組みかえの混入率が1%以上で、遺伝子組みかえ作物を使っていると表示することになっています。これは国の政策の問題ですが、市民の食の安全を守る立場から、国に対して遺伝子組みかえ表示についてはより厳しい基準で、使っていることを表示するように求めるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎坂本 生活衛生担当部長 遺伝子組みかえ食品の表示にかかわる国への働きかけについてのご質問にお答えをいたします。
現在の制度は、適切な管理が行われている限り、遺伝子組みかえ食品の混入があっても5%以下であれば表示の義務はございません。この制度は有識者らによる厚生労働省の専門部会における議論やパブリックコメントを経た上で、平成13年4月に制定されたものであることから、現在のところ国に改正を要望することは考えておりません。
なお、検査体制を充実すること、試験検査法の開発や整備をすること、情報提供を推進すること、組みかえDNA技術を応用した食品の安全性をより慎重に審査することなどにつきましては、これまで全国衛生部長会議や大都市衛生主管局長会議などにおいて、国に要望してきているところでございます。
◆小形香織 委員 例えば、先ほどの質疑にもありましたけれども、日本の大豆の自給率というのはわずか5%、95%はアメリカなどからの輸入です。アメリカでは86%が遺伝子組みかえ大豆という実態です。消費者や市民は買い物の際に、店頭で商品を見て遺伝子組みかえ作物が使われているかどうかを考えるわけですけれども、実際にはコーン油などの油、それからしょうゆなどは加工の際にタンパク質が分解されてしまうなどして、遺伝子組みかえかどうかの検証は困難だということから、原料に遺伝子組みかえ大豆を使っているとしても表示がされません。原材料が輸入されるときには、国の検査体制もありますけれども、その検査体制の不十分さが消費者団体から指摘されていますし、国は安全性が完全には立証されていなくても、遺伝子組みかえ食品の認可を拡大するという方向にあるわけですから、私は、市の衛生研究所が市民の食の安全を守る最後のとりでになるというふうに思っています。ぜひとも国に対して遺伝子組みかえ表示の基準を厳しくして、消費者に正しい情報が届くように求めるべきであることを指摘しまして、質問を終わります。
○大嶋薫 委員長 以上で、第5項 健康衛生費の質疑を終了いたします。
本日はこれをもって終了し、次回は19日午後1時から、交通局関係の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。
それでは、散会いたします。
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散 会 午後7時52分...